横 山隆一 【 監修】
電力 自由化 と 技術 開発 21世 紀 における電気事業の 経営効率 と供給信頼性の向上を目指 して Liberalization
of
Electricity and
Technologic...
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横 山隆一 【 監修】
電力 自由化 と 技術 開発 21世 紀 における電気事業の 経営効率 と供給信頼性の向上を目指 して Liberalization
of
Electricity and
Technological
Issues
東京 電機 大学出版局
Markets
本 書 の 全部 また は一 部 を無 断 で 複 写複 製(コ ピー)す る こ とは,著 作 権 法 上 で の例 外 を除 き,禁 じ られ てい ます.小 局 は,著 者 か ら複 写 に係 る 権 利 の 管 理 に つ き委 託 を受 け て い ます の で,本 書 か らの複 写 を希 望 され る場 合 は,必 ず 小 局(03-5280-3422)宛 ご連 絡 くだ さ い.
は じ め に エ ネ ル ギ ー 等 の 諸 分 野 で の規 制 緩 和 と 自 由 化 が 世 界 各 国 に お い て進 め られ て お り, と りわ け,米 にEU諸
国 で の 競 争 的 電 力 市 場 の 創 設,英
国 の 電 力 自 由 市 場 の統 合 が,わ
えた 。1997年
国 で の 完 全 電 力 自 由化 へ の 移 行,さ
7月 に,電 気 事 業 審 議 会 基 本 政 策 部 会 か ら,日 本 型 電 力 小 売 自 由 化 と言
うべ き 「 部 分 自 由 化 」が 打 ち だ さ れ,1995年12月 あ い ま っ て,大
ら
が 国 の 電 気 事 業 の あ り方 に も大 き な影 響 を 与
口 需 要 家 は,従
に施 行 された 卸電気 事業 の 自由化 と
来 の 区 域 内 電 気 事 業 者 の み な らず,区
電 事 業 者 及 び 電 気 事 業 者 か ら の 電 力 購 入 が 可 能 とな り,ま た,電
域 内外 の新規 発
力供 給 に参入 しよ う
とす る事 業 者 に と っ て は 自 社 保 有 の 発 電 設 備 以 外 の 他 発 電 事 業 者 や 区 域 内 外 の 電 気 事 業 者 か らの 電 源 調 達 も可 能 と な る な ど選 択 の 自 由 度 が 向 上 した 。 さ ら に,小 売 り託 送 お よ び 料 金 設 定 ル ー ル が 明 示 さ れ,2000年
3月 よ り,我 が 国 に お い て も競 争 原 理 に基
づ く電 力 市 場 自 由 化 の 本 格 的 潮 流 が 動 き だ して い る。 今 後 は,新 電 気 事 業 の 経 営 効 率 の 向 上,供
た な環境 下 にお け る
給 信頼 度 の確保 の た めの電 力設備 形成 及 び公平性 のあ
る 系 統 運 用 と送 電 サ ー ビ ス の 確 立 が 求 め られ て い る 。 こ の よ う な 電 力 自 由 化 の 流 れ の 中 で,建
設 期 間 が 短 く,需 要 地 に近 接 し て 設 置 が 可
能 で あ り送 電 ネ ッ トワ ー ク へ の 負 担 が 軽 く,ま た ク リー ン で 地 球 温 暖 化 の 防 止 に 貢 献 す る こ とか ら,天 然 ガ ス コ ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン,マ
イ ク ロ タ ー ビ ンや 燃 料 電 池 な ど の新
エ ネ ル ギ ー 利 用 技 術 及 び 風 力 発 電 や 太 陽 光 発 電 な どの 自 然 エ ネ ル ギ ー 利 用 発 電 と い っ た 分 散 電 源 が 注 目 を集 め て い る。 総 合 資 源 エ ネ ル ギ ー 調 査 会 新 エ ネ ル ギ ー 部 会(2001 年 5月)に お い て は,2010年 策 維 持 ケ ー ス)は,原 合 は,1.4%に
度 に お け る 供 給 サ イ ドの 新 エ ネ ル ギ ー 導 入 見 通 し(現 行 対
油 換 算 で 約878万klで
あ り,1 次 エ ネ ル ギ ー 総 供 給 に 占 め る割
と ど ま る と見 込 ま れ て い る。 これ をふ ま え 官 民 の 最 大 限 の 努 力 を前 提 と
した 新 エ ネ ル ギ ー 導 入 見 通 し(目 標 ケ ー ス)で は,石 油 換 算 で1,910万klと 場 合 の 1次 エ ネ ル ギ ー 総 供 給 に 占 め る割 合 は,3.2%に
な り,こ の
な る こ とが 期 待 さ れ て い る。新
エ ネ ル ギ ー(再 生 可 能 エ ネ ル ギ ー)に よ る電 力 の 導 入 促 進 の た め の 法 的 措 置 に よ る 諸 般 の 制 度 の 整 備 と並 ん で,こ
の よ うな 新 エ ネ ル ギ ー 利 用 の分 散 電 源 が 電 力 系 統 に導 入 さ
れ る に あ た っ て は,系 統 の 計 画 ・運 用 へ の 影 響 評 価,系 護 シ ス テ ム の 整 備,系
統 周 波 数,電
技 術 開 発 が 重 要 とな っ て い る。
圧,高
統 連 系 時 の 接 続 技 術 要 件 と保
調 波 な ど の 電 力 品 質 の 管 理 と制 御 に関 す る
一 方,電
力 自 由 化 に 伴 う電 力 系 統 運 用 に 係 わ る懸 念 も指 摘 され て い る。 規 制 緩 和 が
進 展 す る な か ア メ リ カ 西 部 地 域 の 大 停 電 事 故(1994年12月,1996年 月),マ
レ ー シ ア の 全 系 崩 壊(1996年
8月),ニ
7月,1996年
8
ュ ー ジ ー ラ ン ド北 島 の 長 期 間 停 電(1998
年 1月)な ど電 力 系 統 支 障 が 多 発 し て い る。 これ は 電 力 自 由 化 に よ り送 電 ネ ッ トワ ー ク は コ モ ン キ ャ リア 化 され,多
くの市 場 参 加 者 間 の複 雑 な 電 力 取 引 に よ りネ ッ トワ ー
ク 運 用 に歪 み が 生 じ,電 力 潮 流 が 混 雑(過 負 荷)状 態 に 陥 っ た こ とが 原 因 とい わ れ て い る。 これ らの 対 応 と して,送
電 可 能 容 量 の 算 定 と評 価,系
故 波 及 防 止 な どの 供 給 信 頼 性 確 保 に係 わ る 技 術 開 発,パ
統 安 定 度,電
圧 安 定 性,事
ワ ー エ レ ク トロ ニ ク ス 機 器 に
よ る送 電 可 能 容 量 の 向 上 技 術 が 求 め られ て い る。 ま た,ア
メ リ カ で 他 州 に 先 駆 け て電 力 自 由化 に踏 み 切 った カ リ フ ォ ル ニ ア 州 は,電
力 危 機 に襲 わ れ て い る。 州 の 4割 に あ た る1300万
人 が利 用 して い る最大 手 電 力会社
パ シ フ ィ ッ ク ・ガ ス&エ
レ ク ト リ ッ ク(PG&E)が
経 営 難 に よ る 資 金 不 足 か ら十 分 な
電 力 の 調 達 が で き ず,広
い 範 囲 で 計 画 停 電 を実 施 せ ざ る を得 な くな り,つ
い に は倒 産
に い た っ た 。 エ ネ ル ギ ー 分 野 へ の 競 争 導 入 の 旗 の 下 に 規 制 緩 和 が す す め られ,同 電 力 会 社 は 発 電 と送 電 部 門 が 分 離 さ れ,電 が 義 務 付 け ら れ て,そ
力 は 卸 電 力 取 引 所(PX)か
州の
ら調 達 す る こ と
こ か ら電 力 を購 入 して 企 業 や 一 般 消 費 者 に 送 電 ・販 売 す る とい
う仕 組 み と な っ た 。 同 州 で は,厳
しい 環 境 規 制 と不 透 明 な 電 力 需 要 動 向 の も とで コ ス
トの か か る 発 電 設 備 の 新 設 は こ こ十 年 ま っ た く行 わ れ て い な か っ た 。 この 状 況 に お い て,シ
リコ ン バ レ ー に 代 表 さ れ るIT産
業 の 急 成 長,人
口 の 急 増 加 さ ら に は豪 雨,寒
波,猛
暑 とい っ た 異 常 気 象 な どの 複 数 の 要 因 が 重 な っ て 電 力 需 要 が 急 増 加 し,電 力 供
給 力 不 足 に 陥 り電 力 価 格 が 暴 騰 し た こ とが この 危 機 の 第 一 要 因 と考 え られ て い る。 し か し,始
ま っ た ば か りの 自 由 電 力 市 場 の 中 で,発
電 事 業 者 が よ り高 く電 力 を 売 ろ う と
供 給 調 整 や 価 格 調 整 を は か っ た の で は な い か との 意 見,あ 市 場,強
制 的 な 発 電 設 備 の 売 却 命 令,ス
る い は 前 日入 札 型 ス ポ ッ ト
トラ ン デ ッ ドコ ス ト回 収 ま で の 決 済 価 格 へ の
プ ラ イ ス キ ャ ッ プ 制 な ど の 市 場 メ カ ニ ズ ム の 未 熟 さ に起 因 す る と い っ た 見 方 も あ る。 これ らの 対 応 と して は,供 計 画 手 法 の 確 立,需 発,双
給 信 頼 度 監 視 機 構 の 見 直 し,そ
給 運 用 と設 備 補 修 計 画 の 策 定,信
の維持 のた めの送 配電設 備
頼 度 解 析 ソ フ トウ ェ ア 技 術 の 開
方 向 情 報 通 信 技 術 の 開 発 の 重 要 性 が 認 識 さ れ て い る。
我 が 国 の 電 気 事 業 体 制 の あ り方 に 関 して は,2000年 に渡 っ て検 証 し,さ
し,電 力 市 場 の 自 由化 は,従 系 構 造,供
3月 の 部 分 自 由 化 の 効 果 を 3年
ら な る 自 由 化 を進 め る か 否 か を決 定 す る こ と とな っ て い る。 しか 来 の 供 給 体 制,エ
ネ ル ギ ー 事 情,国
際 あ るいは地域 間連
給 信 頼 性 及 び安 定 運 用 に 対 す る需 要 家 の 要 望 等 の 国情 に よ り そ の 選 択 す る
べ き道 も大 き く異 な る。 我 が 国 の電 力 事 業 は,世 界 で も最 も良 質 で 信 頼 性 の 高 い 電 力
を安 定 に供給 して きてい る ことか ら,今 後 の電力 自由化 の方 向 は,他 国 を模倣 す るこ とな く,我 が 国電気 事業 の特 性 に則 した独 自の最 適選 択 をす る こ とが望 まれ る。 本 書 にお い て は,電 力 自由化 とい う新 環境 下 にお いて電 気事 業 の経営効 率 の 向上 と 供 給 信頼 度 の確保 のた めの重 要 ソ フ ト及 びハ ー ド技術:電 力市 場 のた めの基礎 経済 理 論(第 2章 岡 田健 司),送 電 サー ビス と送 電料 金設 定理 論(第 3章 浅 野浩 志),短 期 限 界 費 用 と最 適 潮流 計 算(第 4章 久保 川 淳 司),系 統 維 持運 用 ・制御 とア ンシ ラ リー サ ー ビス(第 5章 栗原 郁夫 ,岡 田健 司),安 定度 評価 と固有値 解析(第 6章 的場誠 一), 供 給信 頼 度評 価 と電 力設 備 形成(第 7章 陳 洛 南),電 力系 統 の運 用 ・解析 支 援 シ ミュ レー シ ョ ン技 術(第 8章 中 西 要祐),分 散電 源連 系 と電 圧 管 理 技 術(第 9章 福 山 良 和),分 散 型電 源 系統 連 系 と単独 運転検 出技 術(第10章 と可 変 速 回転 機器 技 術(第11章 (第12章
舟橋俊 久),新 エ ネル ギー導 入
小 柳 薫),電 力 品 質 維 持 とパ ワ ーエ レク トロニ クス
荒井 純 一),新 エネ ルギ ー利 用 と分散 電源(第13章
系 統計 画 へ の影響 評価(第14章
藤 田吾郎),分 散 電源 の
新村 隆英)に つい て述べ る。 本書 におい て紹介 す る各
種 の先 端技 術 が,廉 価 で信 頼性 の高 い電力 を安 定的 に供 給 で きる電気 事業 及 び電力 系 統 の構 築 の一助 となる こ とを期待 してい る。
2001年 8月 監 修 横 山隆一
■監修者 横 山隆 一
工学博士 東京都立大学大学院 工学研究科 教授
■執筆 者 浅野浩志 荒井 純 一 岡 田健 司
工学博 士
(財)電力中央研究所 経済社会研究所 上席研 究員
博士(工学) (株)東芝 電力 システム社 電力 ・産業 システム技術開発セ ンター 技監 工学博 士
(財)電力中央研究所 経済社会研究所 主任研究員
久保 川 淳 司 博士(工学)広
島工業大学 工学部 知能機械工学科 助教授
栗 原郁 夫
工学 博士
小柳 薫
博 士(工学) 東電 ソフ トウエア(株)応 用技術部 次長
陳洛南
(財)電力 中央研 究所 狛江研究所 電力 シス テム部長
工 学博士
中西 要 祐
工学博士
新村隆英
工学博士
大阪産 業大 学 電気電子 工学科 助教授 富士電機(株)事 業開発室ITソ
リュー ション部 課長
University of British Columbia Department
of Electricaland Computer
福 山良 和
博士(工学)富
士電機 ㈱
藤 田吾 郎
博士(工学)芝
浦工業大学 工学部 電 気工学科 電力 システム研 究室 講 師
舟橋 俊 久
博士(工学)(株)明
的場 誠 一
工学博 士
■執筆 分担
第 1章 第 2章
事業開発室ITソ
Engineering
リュー ション部 担当課長
電舎 エネル ギー事業本部 電力事業部 電力技術部 主管技師
(株)開発計算 セ ンター 電力 システム部 解析技術室 グル ープ リーダ
横山 隆一
第 6章
的場 誠一
第12章
荒 井 純 一
陳
第13章
藤 田 吾 郎
岡田 健 司
第 7章
洛 南
第 3章
浅野 浩志
第 8章
中西 要祐
第14章
新 村 隆英
第 4章
久保川淳 司
第 9章
福 山 良和
第15章
横 山 隆一
第 5章
栗原 郁夫
第10章
舟橋 俊久
岡田 健司
第11章
小 柳
薫
目 第
1 章 1.1
電
力
自 由
化
動
次 向
と 技
術
課
題
電 力 自 由 化 の 背 景 と 供 給 形 態 の 変 遷
1 1
1.1.1 電 力 自 由 化 の 背 景
1
1.1.2 電 力 自 由 化 の 世 界 的 潮 流 と供 給 形 態
3
1.1.3 資 本 所 有 形 態 に よ る電 力 供 給 事 業 体 系 の 分 類
6
1.1.4 垂 直 統 合 型 と水 平 分 割 型 に よ る電 力 供 給 事 業 体 系 の 分 類
7
1.1.5 競 争 導 入 に よ る電 力 供 給 形 態 の変 遷
8
1.2
イ ギ リ ス に お け る 電 力 自 由 化 の 動 向
12
1.2.1 電 気 事 業 の 民 営 化 と完 全 競 争 型 供 給 形 態
12
1.2.2 プ ー ル 市 場 の 設 立 と電 力 取 引 の手 順
14
1.2.3 プ ー ル 市 場 で の 電 力 取 引 の構 造
16
1.2.4 競 争 導 入 後 の 電 気 事 業 へ の 影 響
18
1.2.5 完 全 自 由 化 へ 向 け て の 今 後 の 動 向
18
1.3
ア メ リ カ に お け る 電 力 自 由 化 の 動 向
1.3.1 ア メ リカ に お け る電 力 自 由 化 の 経 緯 1.3.2 FERC
Order
1.3.3 ISO設
立 に よ る 電 気 事 業 再 編
No.888とNo.889に
よ る 電 力 自 由 化 の 促 進
22 22 23 24
1.3.4 カ リ フ ォル ニ ア 州 の ハ イ ブ リ ッ ド型 電 力 取 引 形 態
25
1.3.5 送 電 線 情 報 シ ス テ ム の 設 置
28
1.4
欧 州 連 合(EU)に
お け る 電 力 自 由 化 の 動 向
28
1.4.1 EU電
力 市 場 自 由 化 指 令 の 背 景
28
1.4.2 EU委
員 会 の 電 力 市 場 自 由 化 の 提 案
30
1.4.3 自 由 化 電 力 市 場 の 選 択 制
31
1.4.4 送 電 事 業 の 機 能 分 離
32
1.4.5 EU域
33
内 電 力 市 場 構 想 と加 盟 国 の対 応
1.4.6 今 後 の 課 題
33
参考文献
第 2 章 電力市場のための基礎経済理論 2.1
電 力 産 業 の 概 要
34
36
36
2.1.1 電 力供 給体 制 と電力 系統 の特徴
36
2.1.2 電 力産 業 にお け る自然独 占性 と規制 の根拠
40
2.2
需 要 と 供 給 の 経 済 学 的 な 考 え 方
43
2.2.1 基本 的 な経 済問題
43
2.2.2 需 要 曲線 の 基本 的な性 質
44
2.2.3 供給 関数 と費 用概 念
46
2.3
完 全 競 争 市 場 で の 需 給 均 衡 と 社 会 厚 生
53
2.3.1 市場 構造 の特徴
53
2.3.2 完全 競争 市場 に お ける需給 均衡
55
2.3.3 消費 者余剰 ・生産 者余 剰 と社会 厚生
57
2.4
不 完 全 競 争 市 場 の 特 徴
59
2.4.1 独 占市場
59
2.4.2 独 占的競 争市場
61
2.4.3 寡 占(お よび複 占)市 場
61
2.5
電 力 自 由 化 に 伴 う 諸 問 題
参 考 文 献
62 65
第 3 章 送電サー ビス と送電料金設 定理論 3.1
67
送 電 サ ー ビ ス と 送 電 コ ス ト
67
3.1.1 オ ー プ ン ・ア ク セ ス と送 電 サ ー ビス
67
3.1.2 送 電 コ ス ト
69
3.2
送 電 プ ラ イ シ ン グ 手 法
70
3.2.1 総括 費 用方 式 と限界費 用 方式
70
3.2.2 固定 費 回収 のた めの ア クセ ス料 金 設定
72
3.2.3 限界 費 用方 式の特 徴 とノー ダル プラ イ シング
74
3.3
送 電 線 混 雑 管 理 と 送 電 利 用 権 の 導 入
83
3.3.1 送 電線 混雑 管理
83
3.3.2 送 電線 混雑 料金
86
3.3.3 送 電利 用権 の導 入
88
3.4
欧 米 諸 国 に お け る 送 電 料 金 設 定 方 式 の 動 向
90
3.4.2 ドイ ツの送 電料 金
93
3.4.3 ア メ リカの送電 料 金
96
3.4.4 北欧 の送 電料 金
99
3.5
日 本 の 託 送 料 金
100
3.5.1 託送制 度 の概 要
100
3.5.2 託送料 金体 系
102
3.6
今 後 の 課 題
104
参 考 文 献
第
90
3.4.1 イギ リスの送電 料 金
4
章
4.1
105
短 期 限 界 費 用
と 最 適 潮 流 計 算
短 期 限 界 費 用 の 算 出 方 法
107 107
4.1.1 短期 限 界費 用 の定 義
107
4.1.2 直流 法 潮流 計算 に基 づ くノーダル プ ライス の計算 法
108
4.2
最 適 潮 流 計 算 法 の 定 式 化
4.2.1 OPF問
題 の定式 化
110 111
4.2.2 目的関 数
112
4.2.3 等式制 約
112
4.2.4 不 等式 制約
112
4.3
内点法 による最 適潮 流計算の解 法
4.3.1 主 双 対 内 点 法 に よ るOPFの
定 式 化
113 113
4.3.2 主双 対 内 点 法 の ア ル ゴ リズ ム
116
4.3.3 主 双 対 内 点 法 に よ るOPF解
118
4.4
法 の 実 行 例
最 適 潮 流 計 算 法 の 拡 張
118
4.4.1 実 行 不 可 能 な運 用 条 件 に 対 す る 最 適 潮 流 計 算 法
119
4.4.2 電 圧 安 定 度 を 考 慮 し た 最 適 潮 流 計 算 法
120
4.4.3 安 定 度 制 約 を 考 慮 し た 最 適 潮 流 計 算 法
123
4.5
ま と め
127
参 考 文 献
第
5
章
サ ー
系 統 維 持 運 用
127
・制 御 と ア ン シ ラ リ ー
ビ ス
5.1
電 力 市 場 に お ける ア ン シ ラ リー サ ー ビス の
必 要 性 5.2
電 力 系 統 に お け る 系 統 維 持 運 用 ・制 御 の 現 状
130 132
5.2.1 系統 維持 運用 ・制御 の種 類
132
5.2.2 個 別 発電事 業者/需 要家 を対 象 とした系統 運 用 ・制 御
138
5.3
ア メ リカ にお け る ア ン シ ラ リー サ ー ビス の
考 え 方 と 問 題 点
140
5.3.1 ア メ リカにお け るア ンシラ リー サー ビス の考 え方
141
5.3.2 カ リフ ォル ニ ア州 にお け るア ンシラ リー サー ビスの 実例
148
参 考 文 献
第
130
6
章
6.1
安 定 度 評 価 と 固 有 値 解 析
156
159
電 力系統安 定度解析 手法 と電 力自由化 にお ける
そ の 役 割
159
6.1.1 電力 系統 の安定 度
159
6.1.2 近 年 の安定 度 と規制 緩和
160
6.1.3 安 定 度解析 にお ける固有値 法 の位 置 づ け
161
6.2
線 形 微 分 方 程 式 の 安 定 性 と 固 有 値 解 析
163
6.2.1 線 形微 分 方程式 の解 の固有 値 に よ る表 現
163
6.2.2 デ ジタル制 御系 に対応 す る固有 値解 析
166
6.3
電 力 系 統 解 析 に お け る 固 有 値 解 析 の 定 式 化
170
6.3.1 電力 系統 動特 性 方程式
170
6.3.2 固有 値 の数値 解析 手法
172
6.4
大規 模電 力系統 にお ける固有値 解析手 法
175
6.4.1 大 規 模 電 力 系 統 の 固 有 値 法 の 特 徴
175
6.4.2 行 列 の ス パ ー ス 性 を 考 慮 し た 固 有 値 計 算 法
177
6.4.3 固 有 値 計 算 の効 率 化
180
6.4.4 大 規 模 固 有 値 解 析 の 今 後 の 課 題
183
参 考 文 献
183
第 7 章 供給信頼 度評価 と電力設 備形成 7.1
供給信 頼 性と生産 コス トの評価法
185 185
7.1.1 等 価 負 荷 持 続 曲 線 と信 頼 性 指 標
187
7.1.2 直 接 た た み 込 み 法(RCT)に
189
よ る評 価
7.1.3
高 速 フ ー リエ 変 換 法(FFT)に
よ る 評 価
189
7.1.4
フ ー リエ 級 数 近 似 法(FEA)に
よ る 評 価
190
7.1.5 グ ラ ム シ ャ リエ 級 数 近 似 法(GCE)に 7.1.6
7.2
よ る評 価
比 較
191 192
電 力市場 における 需要家 向け信頼度 指標 と
そ の 評 価 法
193
7.2.1 需 要 家 向 け信 頼 度 指 標
193
7.2.2
モ ン テ カ ル ロ 法 に よ る 評 価
195
7.2.3
高 速 モ ン テ カ ル ロ 法 に よ る 評 価
196
多 地 域 電 源 拡 張 計 画 法
197
7.3
7.3.1 多 地 域 電 源 計 画 の 定 式 化
199
7.3.2
下 位 問 題 と解 法
200
7.3.3
上 位 問 題 と解 法
201
7.3.4
評 価
203
不 確実性 を考慮 した電源 拡張計画 法
203
7.4
7.4.1 2-ステ ッ ジ統 計 計 画 問 題 の 定 式 化
204
7.4.2 統 計 電 源 計 画 問 題 の 解 法
205
7.4.3
208
ア ル ゴ リ ズ ム
7.4.4 小 規 模 系 統 の 計 算 と比 較
210
7.4.5 大 規 模 系 統 の 計 算 と比 較
213
7.4.6
215
評 価
参 考 文 献
215
第 8 章 電力系統の運用 ・解析 支援 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 技 術 8.1
218
電 力 系 統 の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 技 術
218
8.1.1
系 統 解 析 ソ フ ト ウ ェ ア
219
8.1.2
シ ミ ュ レ ー タ
220
8.2
電 力 自 由 化 に お け る シ ミ ュ レ ー シ ョ ン の 課 題 例 222
8.2.1 配 電 系 統 に お け る分 散 型 電 源 の シ ミュ レ ー シ ョ ン の 必 要 性
222
8.2.2
送 電 線 の 利 用 に 対 す る シ ミ ュ レ ー シ ョ ン
224
シ ミ ュ レー シ ョ ン の 実 例
225
8.3
8.3.1 供 給 信 頼 度 評 価 解 析 支 援 ソ フ ト ウ ェ ア:PROMODIV
225
8.3.2 送 電 可 能 容 量 評 価 支 援 ソ フ トウ ェア:PSS/E
229
8.3.3 長 周 期 系 統 現 象 評 価 解 析 支 援 シ ミ ュ レー タ:EUROSTAG
233
8.4
電 力 系 統 の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 技 術 の 開 発 動 向
237
8.4.1 モ デ ル の ラ イ ブ ラ リー 化 と シ ミュ レ ー シ ョ ン結 果 の 可 視 化 技 術 237 8.4.2
リ ア ル タ イ ム シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 技 術
238
8.4.3
統 合 型 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 技 術
239
8.4.4 独 立 系(IPP)の
導 入 評 価 お よび 運 用 支 援 技 術
8.4.5 緊 急 時 給 電 指 令 の 公 平 性 の 検 証 技 術
参 考 文 献
240 241
242
第 9 章 分 散電源連系 と電圧 管理 技術 9.1
送電 系統の 電圧安 定性解析 による 管理
243 243
9.1.1 連 続 型 潮 流 計 算
244
9.1.2
P-Vカ
ー ブ の シ ナ リ オ 作 成
246
9.1.3
簡 単 な シ ミ ュ レ ー シ ョ ン に よ る 比 較
247
送電 系統の想 定事故 解析 による電圧 管理
248
Look-Ahead法
249
配電 系統の 電圧 管理 のための 高速潮 流計 算
251
9.2 9.2.1
9.3
9.3.1 放 射 状 系 統 潮 流 計 算
9.4
252
電圧 制御機器 の最適整 定
9.4.1 最 適 整 定 問 題 の 定 式 化 Search(RTS)の
258
9.4.2
Reactive
9.4.3
最 適 整 定 方 式
261
9.4.4
シ ミ ュ レ ー シ ョ ン に よ る 検 証
265
配 電系統の 電圧 制御機 器の 協調制 御
268
9.5
Tabu
257
概 要
259
9.5.1 協 調 制 御 方 式 の 基 礎 検 討
269
9.5.2 協 調 制 御 シ ス テ ム の 概 要
269
9.5.3
シ ミ ュ レ ー シ ョ ン に よ る 検 証
270
ま と め
271
9.6
参 考 文 献
第10章
272
分散型電源系統連系と単独運転
検 出 技 術 10.1
273
分 散 型 電 源 系 統 連 系 と 電 力 品 質
273
10.1.1
周 波 数 変 動
273
10.1.2
電 圧 変 動
274
10.1.3
高 調 波
275
10.1.4
信 頼 度
276
10.2
単 独 運 転 検 出 の 必 要 性
277
10.2.1
単 独 運 転 と は
277
10.2.2
単 独 運 転 の 弊 害
278
10.2.3 従 来 の 単 独 運 転 検 出 技 術
278
10.2.4 受 動 的 方 式 と能 動 的 方 式
280
10.3
単 独運転 検出技術(受 動 的方式)
281
10.3.1 周 波 数 変 化 率 検 出 方 式(ROCOF)
281
10.3.2 電 圧 位 相 シ フ ト検 出 方 式
281
10.4
単独運 転検出技術(能 動 的方式)
10.4.1 無 効 電 力 変 動 方 式
283 283
10.4.2
QCモ
10.4.3
負 荷 変 動 方 式
ー ド周 波 数 シ フ ト方 式
285 287
10.4.4
周 波 数 シ フ ト方 式
287
10.4.5 次 数 間 高 調 波 注 入 方 式
288
10.4.6
そ の 他 の 能 動 的 方 式
288
単 独 運 転 検 出 リ レ ー シ ー ケ ン ス
289
10.5
10.5.1 周 波 数 変 動 量 の 検 出
289
10.5.2 無 効 電 力 変 動 方 式 の 単 独 運 転 検 出 シ ー ケ ン ス
290
10.5.3 無 効 電 力 変 動 方 式 に対 す る電 圧 変 動 低 減 対 策
291
10.6
今 後 の 課 題 と 将 来 展 望
292
10.6.1 分 散 型 電 源 複 数 台 連 系 時 の 単 独 運 転 検 出
292
10.6.2 誘 導 発 電 機 を用 い た 風 力 発 電 機 の 単 独 運 転 検 出
292
10.6.3 パ ワ ー エ レ ク トロ ニ ク ス 技 術 や 通 信 網 を 活 用 し た 新 し い
自律 分散 型電 源 の実現 可能 性
参 考 文 献
第11章
294
新 エネル ギー導入 と可変速
回 転 機 器 技 術 11.1 11.1.1
294
297
新 エ ネ ル ギ ー 導 入 と 可 変 速 技 術 の 応 用
297
新 エ ネ ル ギ ー 電 源 の 系 統 導 入
297
11.1.2 風 力 発 電 の 概 要 と課 題
297
11.1.3 風 力 発 電 シ ス テ ム へ の可 変 速 技 術 の 応 用
299
11.2
可変速 揚水発 電 システムの構 造 と特徴
302
11.2.1 夜 間 揚 水 運 転 時 に お け る揚 水 電 力 調 整 が 可 能
303
11.2.2
303
系 統 安 定 度 の 向 上
11.2.3 発 電 運 転 時 に お け る運 転 効 率 の 向 上
11.3
可変 速揚水発 電 システムの 制御方式
304
304
11.3.1 過 渡 安 定 度 な ど の 短 時 間 領 域 で の 解 析
304
11.3.2 周 波 数 応 答 解 析 な ど の 長 時 間 領 域 で の 解 析
306
11.4
可変 速揚水発 電 システム と系統安定 度
311
11.4.1 可 変 速 機 に よ る 系 統 安 定 度 向 上 効 果 の 解 析 モ デ ル
311
11.4.2 可 変 速 機 の 安 定 化 装 置 の設 計 例
311
11.4.3 設 計 した 安 定 化 装 置 適 用 の 効 果
314
11.5
可 変速 回転機器 の系統連 系装置 と しての
適 用 研 究 事 例 11.5.1
317
回 転 形 系 統 連 系 装 置 の 構 成 と特 性,モ
デ リ ン グ
317
11.5.2 簡 単 な モ デ ル 系 統 で の 系 統 連 系 装 置 の 動 特 性 シ ミ ュ レー シ ョ ン319 11.5.3
ウ イ ン ド フ ァー ム と系 統 と の 連 系 装 置 へ の適 用 研 究 事 例
参 考 文 献
第12章
326
電 力品質維 持 とパ ワー
エ レ ク ト ロ ニ ク ス 12.1
322
328
電 力託送 と既存送 電線の送 電能 力向上
328
12.1.1
送 電 電 力
329
12.1.2
FACTS機
12.1.3
SSSC
334
12.1.4
UPFC
335
12.1.5
TCSC
336
12.1.6
TCBR
337
12.1.7
TCPST
337
部 分 系 統 の 運 用 と 制 御
338
12.2
器
330
12.2.1 自 励 式 直 流 送 電
338
12.2.2 他 励 式 直 流 送 電
340
12.2.3
サ イ リ ス タ ス イ ッ チ
341
12.2.4
限 流 器
343
高 調 波 と ア ク テ ィ ブ フ ィ ル タ
344
12.3.1
LCRパ
345
12.3.2
ア ク テ ィ ブ フ ィ ル タ
345
12.3.3
組 み 合 わ せ 型
345
電 力品質 にお ける今後の 多様 化 と課題
346
12.3
12.4
ッ シ ブ フ ィ ル タ
参 考 文 献
第13章
348
新 エ ネ ル ギ ー 利 用 と分 散 電源
350
13.1
概 要
350
13.2
背 景
352
13.2.1
新 エ ネ ル ギ ー へ の 転 換 政 策
352
13.2.2
研究
352
・普 及 支 援 体 制
13.2.3 電 力 業 界 の グ リー ン制 導 入
353
13.2.4 余 剰 電 力 の購 入
353
13.2.5
353
13.3
ESCOの
成 立
連 系 方 法
354
13.3.1 分 散 電 源 導 入 へ の 法 規 整 備
354
13.3.2
連 系 の 要 件
355
13.4
風 力 発 電
355
13.4.1
開 発 の 背 景
355
13.4.2
標 準 シ ス テ ム
355
13.4.3
基 本 技 術
356
13.4.4
導 入 事 例
357
太 陽 光 発 電
359
13.5.1
開 発 の 背 景
359
13.5.2
標 準 シ ス テ ム
360
13.5.3
基 本 技 術
360
13.5.4
導 入 事 例
361
13.5
13.6
コ ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン シ ス テ ム
361
13.6.1
開 発 の 背 景
361
13.6.2
標 準 シ ス テ ム
364
13.6.3
基 本 技 術
365
13.6.4
開発
366
13.7
・導 入 状 況
燃 料 電 池
369
13.7.1
開 発 の 背 景
369
13.7.2
標 準 シ ス テ ム
370
13.7.3
基 本 技 術
371
13.7.4
導 入 事 例
372
ま と め
373
そ の ほ か の 開 発 動 向
373
13.8 13.8.1
13.8.2 分 散 型 電 源 の 限 界
374
13.8.3
374
今 後 の 動 向
参 考 文 献
第14章
374
分 散 電 源 の 系 統 計 画 へ の影 響 評 価
14.1
背 景:分
散 電 源 の 影 響 評 価
14.2
影 響 評 価 の 指 標
376 376 377
14.2.1 最 適 潮 流 計 算 の概 要
377
14.2.2
379
14.3
評 価 指 標
フ ァ ジ ィ 指 標 に よ る 総 合 評 価
380
14.3.1
送 電 損 失
381
14.3.2
環 境 影 響
382
14.3.3
系 統 混 雑 度
382
14.3.4
系 統 信 頼 度
382
14.3.5
電 圧 分 布
383
14.3.6
総 合 評 価
383
14.4
適 用 事 例
384
14.4.1
モ デ ル 系 統 と 設 定
384
14.4.2
評 価 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン(1):託
送 な し の 場 合
384
14.4.3
評 価 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン(2):託
送 が あ る 場 合
390
14.5
考 察
参 考 文 献
第15章 15.1 15.1.1
電 力 自 由 化 の 今 後 の 展 望
395
395
397
わ が 国 に お け る 電 力 自 由 化 の 動 向
397
部 分 自 由 化 の 採 用
397
15.1.2 電 力 自 由 化 の 効 果 の 検 証
399
15.1.3
わ が 国 の 小 売 部 分 自 由 化 に お け る制 度 整 備
399
主要諸 国にお ける電 力自由化 の動向
401
15.2
15.2.1 電 力 市 場 統 合 へ 向 け て の 諸 国 の 動 向
401
15.2.2
フ ラ ンス の 電 力 自由 化 動 向
408
15.2.3
北 欧 諸 国 の 動 向
410
15.2.4
ド イ ツ の 動 向
413
15.2.5
イ タ リア の 電 力 自由 化 動 向
415
15.2.6
ス ペ イ ン の 電 力 自由 化 動 向
416
15.2.7 EU区
15.3
域 電 力 市 場 統 合 の た め の 新 た な取 り組 み
電力市場 自由化 に伴 う諸課題
419
15.3.1 電 力 系 統 の計 画 ・運 用 に お け る諸 課 題
419
15.3.2 送 電 線 開 放 に 伴 う諸 課 題
420
15.3.3 電 気 事 業 の競 争 へ の 対 応
421
15.4
送 電可能容 量の算 定 と公開
422
15.4.1 競 争 的 電 力 取 引 と送 電 可 能 容 量 算 定
422
15.4.2 送 電 可 能 容 量 の 定 義
423
15.4.3 送 電 可 能 容 量 の 算 定
424
15.5
地 域送電機構(RTO)に
最 終 規 則(Order
関す る
2000)
426
15.5.1 地 域 送 電 機 構(RTO)の
提 案
426
15.5.2 地 域 送 電 機 構(RTO)の
特 徴 と機 能
427
15.5.3 地 域 送 電 機 構(RTO)の
形 成 動 向
428
参 考 文 献
索
417
引
429
433
第 1章 電力 自由化動向 と技術 課題
1.1電
力自由化の背景と供給形態の変遷
1.1.1電
力 自由化の背景
電 力 ・ガ ス ・水 道,電
信 ・電 話,鉄
規 制 の も とに あ り,参 入 規 制,料
道 な どの 産 業 は,公
金 規 制,事
業 規 制,業
そ の 内 容 は産 業 に よ り若 干 異 な る もの の,幅
益 事 業 と して 伝 統 的 に政 府
務 規 制 や 安 全 ・保 安 規 制 な ど,
広 い 制 約 を受 け て きた.電
気 事 業 な どへ
公 的 規 制 が 必 要 で あ る と考 え ら れ て き た 理 由 は,自 然 独 占 が 成 立 す る こ と,電 気 は 日 常 生 活 や 産 業 に不 可 欠 で あ る こ と,設 備 投 資 額 が 大 き く事 業 リス ク が 高 い こ と,エ
ネ
ル ギ ー の 確 保 な ど政 策 的 な側 面 が 強 い こ と な どが あ げ ら れ る.こ の よ う な 自然 独 占 性 は,あ
る産 業 の 市 場 需 要 に 見 合 っ た供 給 量 の 生 産 が,技
っ て 行 わ れ た 方 が,複
術 的 特 性 か ら,単 一 企 業 に よ
数 の 企 業 に よ る供 給 よ り も費 用 が 安 くな る と い う性 質 を 意 味 す
る. しか し,市 場 に お け る供 給 者 を特 定 企 業 の み に託 す 場 合,価 が 発 生 す る お そ れ が あ るの で,公 と な る.一
方,規
的 機 関 に よ る料 金 規 制 な どが 参 入 規 制 と同 時 に必 要
制 関 連 費 用 の増 大,規
規 制 の 非 効 率 面 も指 摘 され,規
格 支 配 な ど独 占 の 弊 害
制 の 目的 と手 段 間 の 不 適 合 に よ る 損 失 な ど,
制 自体 の 再 検 討 も行 わ れ て き て い る.
1970年 代 以 降,ア メ リカ,イ ギ リス や 日本 な ど の 主 要 国 を 中 心 に,電 気 通 信,運 輸, 金 融,鉄 た.参
道 な ど の 多 くの 産 業 分 野 に わ た っ て規 制 緩 和(deregulation)が
入 規 制 や 価 格 規 制 を緩 和 す れ ば,新
実 施 され始 め
規 企 業 の 参 入 に よ る競 争 や新 規 企 業 と既 存
企 業 と の 間 お よ び 既 存 企 業 間 で の 価 格 競 争 が 発 生 し,競 争 の 導 入 ・促 進 を通 じて,多 様 な サ ー ビ ス の 提 供,料
金 水 準 の 低 下,料
金 体 系 の 多 様 化,技
術 革新 の促進 な どが期
待 で き る と考 え られ る よ う に な っ て きた か らで あ る. こ の よ う な 背 景 の も と に,近 年,諸
分 野 の 規 制 緩 和 あ る い は 自 由 化 が 進 め られ,こ
れ ま で 自 然 独 占 が 成 立 し,独 占 が 認 め れ て き た 公 共 事 業 に お い て も競 争 原 理 の 導 入 が 行 わ れ て い る.特 カ で は,カ
ー タ ー 政 権 時 代(1970年
緩 和 が 行 わ れ,レ に,ガ
に,欧 米 で は1970年
代 後 半 か ら規 制 緩 和 が 始 ま っ た.ま ず,ア
代 後 半)に 陸 上 輸 送,航
空,電
メリ
気通 信 の分野 で規制
ー ガ ン 政 権 で は さ ら に これ らの 分 野 で の規 制 緩 和 を促 進 す る と と も
ス ・電 力 分 野 に も競 争 が 導 入 され た.イ
国 有 企 業 の 民 営 化 に 伴 っ て,石
油,陸
ギ リ ス で は,サ
上 輸 送,電
気 通 信,ガ
ッチ ャー 政 権 時 代 に,
ス,電
力 に競 争 が 導 入 さ
れ た. 日本 で も,1985年
のNTT民
割 ・民 営 化 さ ら に1995年
営 化 と 競 争 導 入,1987年
のJAL民
の ガ ス ・電 力 へ の 競 争 導 入 と,高
営 化,国
鉄 の分
度 成 長 が 終 りを遂 げた
1980年 代 後 半 か ら,経 済 の 活 性 化 対 策 と し て規 制 緩 和 策 が と られ て い る.こ の よ うな 内 外 の 規 制 緩 和 の 背 景 と し て,図1.1に
示 す よ う に,技
術 革 新,ニ
ー ズ の 多 様 化,経
済 の 成 熟 化,国
際 化 と い っ た 経 済 社 会 の 基 本 潮 流 の 変 化 が 指 摘 され て い る.
特 に,1970年
代 後 半 か ら始 ま っ た 公 益 事 業 へ の 規 制 緩 和 の 流 れ の 中 で,従 来 よ り,
自然 独 占 が 成 立 す る と考 え られ て い た ネ ッ トワー ク型 産 業 に も競 争 導 入 が な され た こ と が き わ め て 特 徴 的 で あ る.電 力 事 業 の 規 制 緩 和 あ る い は 自 由 化 の 固 有 の 背 景 と し て,と
りわ け,以 下 の 状 況 を あ げ る こ とが で き る
①
分 散 型 電 源 の 普 及:技
図1.1規
術 革 新 に よ り,従 来,自
然 独 占が 成 立 す る と考 え ら れ,
制 緩 和 推 進 の 因 果 関 係(参 考 文 献 6よ り作 成)
独 占 が 認 め られ て き た 分 野 へ の 分 散 型 電 源 の参 入 が 可 能 に な っ た.小
規模 発電 が
大 規 模 発 電 に 対 抗 で き る よ う な 技 術 的 ・制 度 的 な 基 盤 が で き上 が り,従 来 の 発 電 分 野 に お い て,独
占体 制 が 崩 れ,電
力 分 野 に お け る規 制 緩 和 の 推 進 要 因 の 一 つ で
あ る と考 え られ る. ②
エ ネ ル ギ ー 間 競 合:電
力 産 業 の ほ か に,ガ
ス 産 栄 お よ び 石 油 産 業 に お い て,エ
ネ ル ギ ー の 供 給 お よ び 利 用 方 法 に つ い て 技 術 開 発 が 進 み,特
に 熱 需 要 を め ぐっ て
の各 エ ネ ル ギ ー 産 業 間 で の 競 争 ・競 合 が 強 ま っ て い る. ③
発 電 ・送 電 部 門 を 独 占体 制 に お き,配 電 部 門 を 地 域 独 占 体 制 に お く こ とが 企 業 の効 率 化 や 活 性 化,料
金 の 低 廉 化,サ
ー ビ ス の 多 様 化 な ど に弊 害 を もた らす と考
え られ,競 争 体 制 を 導 入 した 方 が これ らが 改 善 さ れ る とい う認 識 が,他 の 産 業(航 空 産 業 や ガ ス 産 業 な ど)に お け る規 制 緩 和 の 実 績 を通 じ て 強 ま った こ と. ④ECや
北 ア メ リカ に お け る電 力 の 広 域 運 営 が 進 行 し,こ
れ を 可 能 な 限 り競 争 体
制 で 運 営 す る こ と が 効 率 化 を促 進 す る と い う考 え方 が 支 配 的 と な っ て きた こ と. これ ら の ほ か に も,首 都 圏 の 電 力 需 給 の 逼 迫,電 分 野 で の 規 制 緩 和 の 背 景 と して 考 え られ る.さ
気 料 金 の 内 外 価 格 差 な ど も,電 力
ら に,イ
ギ リス で は サ ッチ ャー 政 権,
ア メ リ カ で は 共 和 党 政 権 が 公 的 規 制 の 削 減 と市 場 原 理 導 入 を 強 く主 張 した よ う に,政 策 的 に"小
さ な 政 府"へ
の志 向 が 強 くな っ て い る こ と も見 逃 せ な い.
わ が 国 の 電 気 事 業 に お い て は,戦 後 9電 力 体 制(1978年 電 力 体 制)と 呼 ば れ る地 域 独 占 の 供 給 体 制 が と られ,電 体 系 に つ い て 詳 細 な 規 定 が 設 け られ て い る.電 な 規 制 を 受 け て い る理 由 の一 つ と し て,電
以 降 は 沖 縄 電 力 が 加 わ り10
気 事 業 法 に基 づ き参入 や 料金
力 産 業 が,一
般 の産 業 と異 な り,公 的
力 産 業 自体 が 自然 独 占性(natural
mono
poly)と い う 特 別 な 技 術 的 要 件 を 備 え て い る と考 え られ て い る.さ ら に,電 力 は,一 般 の 財(製 品 や サ ー ビ ス)と 異 な り,日 常 生 活 や 産 業 活 動 に 必 要 不 可 欠 で あ る こ と,大 規 模 な 設 備 形 成 が 要 求 さ れ,埋 避,さ
没 費 用 が 大 き く事 業 リス ク が 高 い こ とや 二 重 投 資 の 回
ら に破 滅 的 競 争 の 防 止 な ど も公 益 事 業 規 制 の 根 拠 と して あ げ られ て い る.
さ ら に,発
電 用 燃 料 な どエ ネ ル ギ ー の 確 保 な ど の 政 策 的 な 必 要 性 が あ る こ と も考 え
られ て きた.し
か し,技 術 進 歩 の 変 化 や 規 制 に よ る費 用 と効 率 を比 較 検 討 す る こ との
必 要 性 が 注 目 さ れ る よ う に な り,こ れ ら の 規 制 の根 拠 に つ い て も再 検 討 さ れ る よ う に な っ た.そ
の 結 果,規
制 関 連 費 用 の増 大 や,規
制 目的 と規 制 手 段 との 間 の 不 適 合 に よ
る 損 失 な ど の 非 効 率 性 に も注 目 が 集 ま る よ う に な っ て きた.
1.1.2電 旧 来,電
力 自由化の世界 的潮流と供給形態 力 供 給 シ ス テ ム は,国 営,公
営,私
営 と い っ た 企 業 形 態 の 差 異 は あ る もの
の,発 送 配 電 一 貫 型 の電 気 事 業 者 を 中 心 と し た 供 給 体 制 で あ っ た.こ 者 は,公 益 事 業 と し て,一 られ て い た.そ
定 の供 給 地 区 に 独 占 的 に 電 力 を販 売 す る権 利 を 法 的 に認 め
の一 方 で,需
広 範 な規 制 を受 け て い た.こ 年 代 後 半 か ら,民
れ ら の電 気 事 業
要 家 に供 給 義 務 を 負 い,規
制 当 局 か ら料 金 や 参 入 な どの
の よ う な 電 力 事 業 シ ス テ ム の あ り方 へ の 疑 問 か ら,1970
営 化 や 規 制 緩 和 に よ る競 争 原 理 導 入 の 兆 しが 見 え 出 し て い る.
電 気 事 業 へ の 競 争 原 理 の 導 入 は,ア メ リ カ に お い て,1978年 制 政 策 法(PURPA:Public
Utilities Regulatory
Policies
に成立 した公益 事業 規 Act)の 発 効 に よ り,QF
(qualifying facilities:認 定 設 備)と 呼 ば れ る非 電 気 事 業 者 が 電 力 市 場 へ の 参 入 を認 め られ た こ と に始 ま る.そ
の 後,こ
のQFやIPP(Independent
系 発 電 事 業 者)か らの 供 給 力 の調 達 が 拡 大 し,1992年
Power
Producer:独
の エ ネ ル ギ ー 政 策 法(EPAct)の
成 立 に よ り,非 電 気 事 業 者 の 発 電 市 場 へ の 自 由 な参 入 が 認 め ら れ た.し
か し,送 電 線
の ア ク セ ス が 問 題 とな り,卸 電 力 市 場 の 自 由 化 が 不 完 全 な 状 態 で あ っ た.そ 1996年
に,連 邦 エ ネ ル ギ ー 規 制 委 員 会(FERC:Federal
mission)は,「
Energy
こ で,
Regulatory
Com
送 電 線 の 開 放 及 び 回 収 不 能 投 資 費 用 に 関 す る 最 終 規 則(Order
888)」 と 「送 電 線 の 情 報 公 開 お よ び 運 営 に 関 す る 最 終 規 則(Order し,電 気 事 業 者 は す べ て の 発 電 事 業 者(IPPを 電 料 金 の 算 定 が 義 務 づ け られ,競 一 方,イ
立
No.889)」
No. を制 定
含 む)へ の 送 電 網 の 開 放 と非 差 別 的 な 送
争 的 な 卸 電 力 市 場 の 実 現 へ の 道 が 開 か れ た.
ギ リ ス で は 戦 後 復 興 期 に 建 設 さ れ た 数 多 くの 老 朽 発 電 所 建 て 換 え の 時 期 を
迎 え て い た.電
力 会 社 が 国 有 独 占形 態 で あ っ た こ と に加 え,国
政 治 的 に利 用 さ れ て い た こ とや,小 策 の 流 れ か ら,1990年
内 炭 や メ ー カ保 護 な ど
さ な 政 府 を標 榜 とす る サ ッチ ャ ー 政 権 の 民 営 化 政
に イ ン グ ラ ン ド ・ウ ェ ー ル ズ 地 域 に お い て,国 有 電 気 事 業 が,
発 電 ・送 電 ・配 電 の 各 社 に 分 離 さ れ,発
電 と小 売 供 給 に 競 争 が 導 入 さ れ た.そ
の 後,
北 欧 諸 国 や ニ ュ ー ジ ー ラ ン ドな ど,世 界 各 国 で 電 力 市 場 の 自 由 化 が 進 展 し て い る. この よ う な ア メ リカ で の 競 争 的 卸 電 力 市 場 の 創 設,イ 行,ヨ
ー ロ ッパ の 発 電 自 由 市 場 統 一 の進 展 が,わ
与 え て い る.1995年12月
ギ リスで の完全 自由化 への移
が 国 の 電 気 事 業 の あ り方 に も影 響 を
に施 行 さ れ た 改 正 電 気 事 業 法 に よ り,卸 電 気 事 業 へ の 参 入
規 制 が 原 則 と し て 撤 廃 さ れ,電
力 会 社 の 電 源 調 達 に係 る入 札 制 度 が 導 入 さ れ た.そ
の
落 札 価 格 は 上 限 価 格(電 力 会 社 が 自 ら電 源 開 発 した 場 合 に か か る コ ス ト)よ り20∼40 %ほ
ど安 い もの と な り,発 電 部 門 へ の参 入 自 由 化 は初 期 の 効 果 を達 成 し て い る との 評
価 も得 られ た.そ
こ で,さ
らな る効 率 化 の手 段 と し て 小 売 り供 給 の 自 由 化 を始 め とす
る競 争 導 入 の 論 議 が 電 気 事 業 審 議 会 に お い て 進 め られ,2000年
3月21日
よ り小 売 り
の 部 分 自 由 化 が 実 施 され る は こ び と な っ た. ア メ リ カ に お い て,1978年
に成 立 した 公 益 事 業 規 制 政 策 法 の 発 効 に よ り,QFと
呼
ば れ る 非 電 気 事 業 者 が 電 力 市 場 へ の 参 入 を認 め られ た こ とに よ り,電 力 自 由化 が は じ ま っ た こ と は先 に述 べ た.そ ル ニ ア 州 で は,1994年
の 後 は,競 争 導 入 に 関 し て 先 進 的 な 立 場 を と る カ リ フ ォ
4月 に 提 案 さ れ た 電 力 事 業 再 編 指 令 後,1996年
に直 接 ア ク セ ス(小 売 自 由化)を 実 施 す る こ とが 法 制 化 さ れ た.1998年 卸 プ ー ル 市 場 と し て 需 給 調 整 を 行 う電 力 取 引 所(PX:Power
System
時 に,直 接 ア ク セ ス 制 度 も 導 入 され,す
事 業 者 を 選 択 で き る よ う に な っ た(全 面 自 由 化).こ
3月31日
exchange)と
の 運 用 制 御 ・監 視 を 担 う独 立 系 統 運 用 機 関(ISO:Independent 運 営 が そ れ ぞ れ 開 始,同
に は,全 需 要 家
れ は,卸
に,
系 統 設備
Operator)の
べ ての需 要家 が供給
プ ー ル 市 場 と直 接 ア ク セ
ス 制 度 の 両 者 を 含 む ハ イ ブ リ ッ ト型 供 給 シ ス テ ム と も呼 ば れ,ま たISOとPXの
機能
は明 確 に 分 離 さ れ て い る. イ ギ リス で は,長
ら く電 力 国 有 化 が 続 い て い た が,サ
年 電 気 法 」が 成 立 し,1990年 割 ・民 営 化 さ れ た.ま な っ た.電
4月 に 国 営 電 力 会 社 は発 電 会 社 3社 と送 電 会 社 1社 に分
た,従 来 の12地
域 電 力 局 も そ の ま ま民 営 化 さ れ12配
気 法 の 成 立 に よ りプ ー ル 制 度 が 導 入 さ れ,電
き る よ う に な っ た.民 れ,政
ッチ ャ ー 政 権 の も とで 「1989
営 化 後,電
力 を商 品 市 場 の よ う に売 買 で
気 事 業 の 規 制 機 関 と し て,従
府 か らの 独 立 性 の 強 い電 気 事 業 規 制 局(OFFER)が
電会 社 と
来 の電気 会議 が廃 止 さ
新 た に設 置 さ れ た .2001年
3月 よ り,イ ギ リス で は小 売 市 場 完 全 自 由 化 の た め の 環 境 整 備 な ら び に 電 力 取 引 の 枠 組 み の 再 構 築 を 実 施 した. 最 近 で は,ア ducer)の
メ リ カ に お け る 独 立 系 発 電 事 業 者(IPP:Independent
興 隆 と送 電 線 開 放 の 動 き,EC統
ス(TPA:Third
Party
Access)の
図1.2
Power
Pro
合 に よ る電 力 市 場 の 単 一 化 と第 三 者 ア ク セ
動 き,多
くの途 上 国 に お け る電 気 事 業 の 民 営 化 と
電 気 事 業 に お ける競 争 原 理 導 入 の 流 れ
図1.3 電力 自由化 に伴 う供 給形態の転換
自由化 な ど,来 世紀 に向 けて,電 気事 業 の再編 が世 界 的な潮 流 にな って い る(図1.2参 照). 世 界 的 に電 気事 業 の供 給 体制 は,発 送 配電 一貫 の独 占供給 体 制か ら,発 送 配電 部 門 お よび供 給部 門 の分離 供給 体制 へ と移行 しつつ あ る.こ れ ら分 離供給 体 制 は,送 配電 網 への公 平 な アクセ ス,発 電 ・供給 事 業へ の参入 自由化 と公正 な競 争 の確保 のた めに 採 用 され る.特 に,送 配電 事 業 で は,経 済 的 な観 点 か ら も,自 然独 占が容認 され る. そのた め,送 配電 設備 の公平 な利 用 と適正 な設備 形 成 を達成 し,独 占に よ る弊 害 を排 除 す るた め に,託 送料 金 規制 や託 送義 務 な どの公的 規制,発 電や供 給事 業 か らの分 離 (組織 分離 や機能 分離)を 実施 す る方 向 にあ る(図1.3参
照).
次項 以下 には,こ れ まで に諸 国で採 用 され て きた電力 供給 形態 とその変 遷 を電力 自 由化 の進展 に合 わ せて整 理 す る.さ らに,自 由化 が進 んで い る代 表 的な例 としてア メ リカ,イ ギ リス(イ ング ラ ン ド ・ウ ェール ズ),北 欧諸 国,ECの
電 力市 場 の単 一化構 想
な どの概 要 を紹介 す る.
1.1.3資
本所有形態 によ る電力供給事 業体系の分 類
資 本 の 所 有 形 態 に よ っ て,電 (1)国
気 事 業 者 は大 き く,国 営,公
営,私
営 に 分 類 さ れ る.
営
一 般 に,国 家 が 所 有 す る 企 業 を さす.た で は公 社 と呼 ん で い る.こ と に す る.ま た,株
こで は,厳
だ し,政 府 が 全 額 出 資 して い る も の を 日本
密 に 完 全 所 有 で な い も の も含 め て 国 営 と呼 ぶ こ
式 会 社 の 形 態 を と らず,国
体 制 下 の 企 業 も狭 義 で 国 営 とい え よ う.た
家 が 直 接 経 営 す る企 業 お よ び 社 会 主 義
とえ ば,フ
ラ ン ス 電 力 公 社(EdF),イ
タリ
ア 電 力 公 社(ENEL)な
(2)公
どが,国
営 に属 して い た.
営
公営 とは州 また は市町村 な どの地方 自治体 が所 有 す る企業 を意 味 す る.大 規模 な電 源 開発 は,大 規模 な資金 を要 す る上 に,国 家 のエネ ルギ ー政策 に密 接 な関係 が あ るの で,発 電事 業者 に は国営 が比 較 的多 いの に対 して,配 電 系統 規模 と行政 区画 が類 似 し てい るケ ースが 多 い こ とな どか ら,配 電業 者 には公営 の ものが 多 い. (3)私
営
私 営 は私 的 資 本 に よ る所 有 で あ る が,一
部 に公 的 資 金 が 含 まれ て い る 場 合 もあ る.
た と え ば,国 営 か ら民 営 化 さ ら た イ ギ リス のNational は,株
式 の 約60%が
民 間 に 売 却 さ れ た が,残
Power社
りの 約40%は
やPower
Gen社
で
政 府 が所有 す るケー スで
あ る. 国 営 中 心 の 企 業 体 制 で は,民
間 投 資 導 入 に よ る合 理 化 を 目 的 と して,株
民 営 化 さ ら に競 争 導 入 を検 討 ま た は 実 施 して い る.一 方,公 で は,規 制 緩 和 に対 す る防 御 策 と し て,市
式会社 化 や
営や私 営 中心 の企業 体制
場 支 配 力 の 強 化 を 目的 とす る合 併 ・統 合 が
く り広 げ られ つ つ あ る.
1.1.4垂
直 統合型 と水平分割 型 による電 力供 給事業体系の 分類
発 送配電 事業 を同一 事業 者が 一貫体 制 で行 うか,分 業体 制 で行 うか とい う分 類 もで きる. (1)垂
直 統合 型供 給体 制
この供給 体制 は,発 送配 電事 業 を同一事 業 者が一 貫体 制 で行 う.さ らに,こ の体 制 は以 下 の 2種類 に大別 す る こ ともで き る. ①
従 来,多 数 の小 規模 な電 気事 業者 が存 在 してい たが,規 模 の経 済性 の効 率化 を 図 る こ とを目的 として,統 合 し国家 の一 元的 な管理 下 にお く国有 1社 に よる独 占 的体 制 に移行 した ケー スで あ る.
②
あ る程 度 まと まった需要 が 見込 まれ る大都 市で,公 営 事業 者 が その供給 地 区 の 需 要の ほ とん どを 自社 の発 電 設備 で賄 うこ とによって安 定供 給 を確保 し,地 域熱 供給 事業 な ども兼 業 す る こ とに よ って,効 率 的 な事 業運 営 を めざ した ケー スで あ る.
(2)水
平分 割型 供給 体制
従 来,こ の水平 分割 体制 は,競 争導 入 とは直接 関係 な く,発 送 配電 が 別 々の事 業 に よっ て行わ れて い る分 業体 制 を意 味す る.し か し,最 近 の動 向で は,競 争 導入 に伴 い, 各部 門 間の相 互補 助 を禁 止 して系 統使 用料 金の透 明性 を確保 す るため に,各 部 門 ご と
に水 平分 割 して別 会社 化 を図 るケ ース もあ る.ま た,EU指
令 の よ うに,会 計上 の分 離
を行 うケー ス もあ る. 送 電系 統運 用部 門 を発電 部 門 よ り引 き離 し,国 家 に よる所 有 また は複 数 発電 事業者 に よ る共 同所 有 の もとで,自 然独 占を維持 し,発 電部 門 のみ競 争 を導入す るケー ス も あ る.こ の とき,配 電 部 門 を配電 系 統運 用部 門 と供 給部 門 に分割 して,配 電系統 運 用 部 門 は自然独 占の ま まと し,供 給 部 門 に も競争 を導入 す る再 編 が進行 してい る.電 気 事 業体 制 の水 平分 割 を どの段 階 まで進 め るか は,競 争 導入 の進展 度合 い と密接 な関係 が あ る とと もに,各 国の エネル ギー政 策 な ど個 別 の事情 に左 右 され る.
1.1.5競
争導入 による電力供給形 態の変遷
電 気 供 給 形 態 は,競 争 導 入 や 自 由 化 の 度 合 い に よ っ て,"独 場 自 由 型 供 給 形 態","送 さ れ る.こ (1)独
こ で は,そ
電 線 開 放 型 供 給 形 態","完
占 的 な 供 給 形 態(monopoly
電 か ら送 電,配
全 自 由 型 供 給 形 態"の
電市
四つ に大別
れ ら の 市 場 構 造 の 違 い と電 力 供 給 上 の特 徴 に つ い て 解 説 す る.
独 占 的 供 給 形 態(monopoly し,発
占 的 供 給 形 態","発
model)を
model) とる 国 の 電 気 事 業 者 は,発
送 配 電 設 備 を所 有
電 ま で を垂 直 的 に 統 合 さ れ た 独 占 企 業 体 で あ る(図1.4参
照).
こ れ らの 電 気 事 業 者 は,一 定 の 供 給 地 区 に独 占 的 に 需 要 家 に電 力 を 供 給 し て い る.こ の 体 制 で は,電
気 事 業 へ の 新 規 参 入 が き び し く制 限 され て お り,発 電 部 門 や 供 給 部 門
の い ず れ に も競 争 は 導 入 され て い な い.よ
っ て,こ
の 段 階 で は,既
存の 発電事 業者 が
独 占 的 に 供 給 して い る た め,規 制 の 対 象 外 と な る独 立 系 発 電 事 業 者(IPP:indepen dent power
producer)が
参 入 す る余 地 は な い.た
だ し,供 給 力 の 一 部 を,種
を受 け る卸 発 電 事 業 者 か ら購 入 す る ケ ー ス もあ る.
図1.4 独 占的供給形態 の構造
々の規 制
私 営,国
営 とい っ た 経 営 形 態 の 違 い は あ る もの の,1995年
以 前 の 日本,フ
イ タ リア な どが,こ の モ デ ル に属 す る.ま た,公 共 事 業 規 制 政 策 法(PURPA)に 認 定 施 設(QF)が
ラ ン ス, よ って
発 電 市 場 に 参 入 す る前 の ア メ リカ の 電 気 事 業 体 制 も含 ま れ る.再 生
可 能 エ ネ ル ギ ー 発 電 設 備 や コ ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン な ど に つ い て は,発 電 事 業 許 可 が 不 要 で あ っ た り,自 家 発 電 か らの 余 剰 電 力 につ い て は 回避 可 能 コ ス トで 買 い 取 る こ とが, 法 律 で 義 務 づ け られ て い た りす る な ど,次 の 段 階 で あ る発 電 自 由 化 へ の 端 緒 と な る ケ ー ス もあ る .た だ し,卸 電 気 事 業 者 との 買 電 は,供 給 義 務 に基 づ く供 給 で あ る ケ ー ス が 多 い. (2)発
電 市 場 自 由 化 型 の 供 給 形 態(purchasing
この供給 形態 は,図1.5に
agency)
示 す よ うに,送 配 電部 門 につ いて は既存 の電 気事 業者 に
よ る系統 設 備 の独 占 的所 有 と利 用 が認 め られ る一 方 で,発 電 部 門 で は独 占が 撤 廃 さ れ,新 規参 入 が 自由化 され た供 給 体制 で あ る.供 給 域 内で送 配電施 設 を所 有 し,最 終 需 要家 に電 力 を供給 す る既存 の電 気事 業者 は,必 要 とす る供 給力 の一部 を,規 制 の緩 和(撤 廃)に よ り参入 して きたIPPな
どの他 の発電事 業者 か ら買電 す る.
こ こで は,発 電部 門 の一部 に競 争 が導 入 され,電 力会 社 が所有 す る既存 の発 電設 備 まで競 争 入札 の対 象 には な らない.こ の場 合,既 存 の電気事 業者 は自 ら新 規 の発電 所 を建設 せ ず,IPPな
どの他 の発 電事 業者 を対 象 とし競 争入札 が行 わ れ る.契 約 に先立
ち,既 存 の電 気事 業者 は,電 源 の規模 や型,必 要 電力 量や そ の他 の供 給条 件 を,入 札 者(IPPな
ど)に提 示 す る.入 札 して きた各発 電 プ ロジ ェク トは,入 札 価格 の低 い順 に
ラン ク付 けされ,必 要 量 に達 した点 で締 め切 られ る.入 札 した各 プ ロジ ェク トが提示 した中 で最 も高 い価格 の ものが 共通 の買取料 金 とされ(メ リッ トオ ーダ 方式),需 給契 約 を締結 す る落札 者 が決定 され る. この供 給 形態 は,競 争 導入 の最初 の形態 で あ る.発 電部 門 への競 争導 入 とい うよ り
図1.5 発 電市 場 自由化型 の供給 形態の構 造
も,電 力 会社 が新 規発 電設 備 の選択 ・導入 に競 争 が導入 され,新 規 発電設 備 の競 争 的 調 達 とい う意 味合 い が強 い. (3)送
電 線 開 放 型 あ る い は 卸 託 送 型 供 給 形 態(open wholesale
access
or
competition)
こ の供 給 形 態 は,図1.6に キ ャ リア 化 さ れ,さ
示 す よ うに,発
電 部 門 の 自 由 化 に加 え,送 電 線 が コ モ ン
ら に 競 争 が 進 展 した 供 給 体 制 で あ る.こ
を有 す る電 気 事 業 者 が,第
の モ デ ル で は,送 電 系 統
三 者 に 送 電 サ ー ビス を 提 供 す る こ と を義 務 づ け られ る こ と
に な る.つ ま り,あ る発 電 事 業 者(ま た はIPP)は,送
電 系 統 所 有 事 業 者(既 存 の 電 気 事
業 者 で あ る場 合 も あ る)に 対 して,配 電 事 業 者 へ 卸 託 送 を希 望 す る場 合 に は,卸 託 送 を 希 望 す る 発 電 事 業 者 は適 切 な送 電 系 統 使 用 料 金 を 支 払 い,送 す る こ とが で き る.こ
の 場 合,送
電 系 統 所 有 事 業 者 は,送
電 系 統 の 余 裕 部 分 を使 用
電 料 金 設 定 の透 明 性 を確 保
す る た め に,送 電 部 門 と他 の 部 門 との 内 部 相 互 補 助 が 禁 止 され,部 創 設 す る か,会 た だ し,こ
門 ご と に別 会 社 を
計 上 の 分 離 を行 う こ とが 必 要 と な っ て く る.
の 形 態 で は,基 本 的 に 卸 電 力 市 場 で の 競 争 促 進 を意 図 した もの な の で,
最 終 需 要 家 を巡 っ て の競 争 は 考 慮 さ れ な い.つ ま り,最 終 需 要 家 へ の小 売 託 送(直 接 供 給)は 認 め ら て お らず,送
電 系 統 運 転 者(た と え ば 既 存 の 電 気 事 業 者)や 配 電 事 業 者 へ
の 卸 託 送 に 限 定 さ れ る の で,最 (wholesale
wheeling)は,託
終 需 要 家 は供 給 者 を選 択 す る こ と は で き な い.卸
託送
送 さ れ る 電 力 の 買 い 手 が 電 気 事 業 で あ る の に対 し,電 力
の 買 い手 が 最 終 需 要 家 で あ る 場 合 を小 売 託 送(retail wheeling;)と 呼 ば れ る.供 給 形 態 で,卸
託 送 の 拡 大 や,競
争 条 件 の整 備 が な さ れ る と,小 売 託 送 が 導 入 され た 供 給 形 態
図1.6 送 電線開放 型あ るいは卸託送型供給形 態の構造
(4)に近 づ く こ と に な る.1992年
の エ ネ ル ギ ー 政 策 法(EPAct)成
立 以 降 のア メ リカな
どが この モ デ ル の代 表 例 で あ る. (4)完
全 競 争 型 の 供 給 形 態(complete:competition
or
retail
wheeling) この 供 給 形 態 で は,各 部 門 の垂 直 統 合 が 分 離 さ れ(unbundling),ネ 接 続 も開 放 され,最
終 需 要 家 へ の 小 売 託 送 が 認 め られ,発
供 給 部 門 に 至 る ま で 徹 底 し て 競 争 原 理 が 導 入 さ れ る.現 ア 州 も こ の 形 態 で あ る が,そ 当 す る の で,イ
れ 以 前 の1990年
在 の ア メ リ カ.カ
電 系 統 運 用 会 社 は,日
照).
々 の 需 給 状 態 に応 じ て,メ
リ ッ トオ ー ダ 方 式 に よ り,発 電 事 業 者 に 対 し て給 電 指 令 を 行 い,卸 決 め て配 電 事 業 者 に 売 電 す る.こ
リ フ ォル ニ
以 降 の イ ギ リ ス な どが この モ デ ル に 相
ギ リ ス型 供 給 体 制 と呼 ぶ 場 合 もあ る(図1.7参
この 完 全 競 争 型 電 力 市 場 で は,送
ッ トワ ー ク へ の
電 部 門 か ら最 終 需 要 家 へ の
購 入 ・販 売 料 金 を
の 形 態 で は 配 電 系 統 も開 放 され て い る の で,系
所 有 す る電 気 事 業 者 に小 売 託 送 を義 務 づ け る こ とで,最 終 需 要 家 はIPPか
統を
ら直 接 電 力
を購 入 す る こ とが で きた り,地 元 以 外 の 配 電 事 業 者 か ら電 力 を購 入 す る こ と が で き る. 発 電 と最 終 需 要 家 へ の供 給 の 両 部 門 に 競 争 が 導 入 さ れ る が,送 を,こ
電 系 統 の 所 有 ・運 用
の よ うな 完 全 競 争 体 制 下 に お く と,設 備 の 二 重 投 資 を招 き,経 済 的 に 非 効 率 で
あ る た め,自
然 独 占 が 維 持 さ れ て い る.発 送 配 電 が 垂 直 統 合 され た 電 力 会 社 が 発 電 部
門 の 投 下 資 本 を 回 収 す る た め に,自 社 の 発 電 設 備 を優 先 的 に投 入 し よ う とす る可 能 性 が あ る.原 価 配 分 の 際 に,固 定 費 用 や 間 接 費 用 を 発 電 部 門 よ り も送 配 電 部 門 に 多 く配 分 す る可 能 性 が あ る.よ
っ て,発
電 コ ス トは 安 くな り,送 配 電 コ ス ト(託 送 コ ス ト)を
高 く し て 自社 の 発 電 設 備 を優 先 させ て,電
図1.7完
力 会 社 に有 利 な 競 争 条 件 を つ く る こ と も可
全競争型 の供給 形態の構造
能 とな り,ネ ッ トワー クに連 系 しよう とす るIPPな
どへ参 入障 壁 をつ くる可 能性 が指
摘 され てい る.こ の 完全競 争型 供給 体制 下 で は,内 部相 互補 助 を防 ぎ,系 統使 用料 金 の透 明性 を確保 す るた めに,送 電部 門 と配電部 門 につ いて も,系 統運 用部 門 と供給 部 門 の別 会社 化 また は会 計分 離 が義務 づ け られ て いる.
1.2イ
ギ リスにおける電力自由化の動向
1.2.1電
気事 業の民営 化との完全競 争型供給形態
イ ギ リス の 電 力 構 造 改 革 は,電 気 事 業 の 再 編 と民 営 化 に よ り,発
・送 ・配 電 を 垂 直
的 に 統 合 し て い た 国 営 電 力 を分 割 し,電 力 プ ー ル 制 度 を 導 入 す る こ と で 発 電 部 門 と配 電 部 門 に市 場 競 争 を 導 入 した 点 で,電
力 市 場 を競 争 原 理 に基 づ い て 自 由化 した 典 型 的
な モ デ ル の 一 つ と し て知 られ て い る.こ と も呼 ば れ,完
れ は,イ
ギ リス 型 あ る い は電 力 プ ー ル 型 な ど
全 競 争 型 の 供 給 形 態 で あ る.
サ ッチ ャ ー 保 守 政 権 下 に,国 営 企 業 の 効 率 化 ・民 営 化 の 一 環 と し て,1990年 中央 発 電 局(CEGB:Central ョナ ル ・パ ワ ー(NP:National
図1.8民
Electricity Generating Power),パ
Board)を
に国営
3社 の 発 電 会 社(ナ シ
ワー ・ジ ェ ン(PG:Power
Gen) ,ニ ュ ー
営化 後 の イ ギ リス(イ ング ラ ン ド ・ウ ェー ル ズ)の 電 力 供 給 形 態
ク リ ア ・エ レ ク トリ ッ ク(NE:Nuclear
Electric,現
送 電 1社(ナ シ ョナ ル グ リ ッ ト,NGC:National
ブ リテ ィ ッ シ ュ ・エ ナ ジ ー))と
Grid Company)に
分 割 ・民 営 化 し,
12地 区 配 電 局 は 従 来 の 形 態 と供 給 区域 の ま ま配 電 事 業 者 と して 民 営 化 した.原 子 力 発 電 所 を 民 間 会 社 に移 管 す る こ とは 負 担 が 大 き す ぎ る と判 断 さ れ,NE社 子 力 発 電 会 社 と し て 設 立 さ れ た(図1.8参
照).
この 民 営 化 の 基 本 的 な 目 的 は,経 済 効 率 の 改 善,公 に対 す る政 府 干 渉 の 軽 減 な ど に よ っ て,経 う.ま
た,当
で あ っ た こ と,さ っ た た め,短
的 債 務 の 軽 減,企
業 の意 思決 定
済 の活 性 化 を 図 っ た もの で あ っ た とい え よ
時 の サ ッチ ャ ー 政 権 の “小 さ な 政 府 ” 政 策,割
国 有 企 業 の 非 効 率 性,国
の み国有 の 原
高 な 電 気 料 金 に み られ た
有 企 業 で あ っ た た め に議 会 の 決 定 の み で 再 編 ・民 営 化 が 可 能
ら に,エ
ネ ル ギ ー 自 給 率 が ほ ぼ100%で,発
電 設 備 も過 剰 状 態 で あ
期 的 に は供 給 不 足 の 問 題 が な か っ た こ と も民 営 化 の 背 景 と して 指 摘 さ れ
て い る. 民 営 化 後,発 電 市 場 は 自 由 化 さ れ,発 電 電 力 は す べ て 送 電 会 社(NGC)が 力 取 引 市 場 を 介 して 取 引 す る こ とを 義 務 づ け た プ ー ル 市 場 を 導 入 し た.送 は,民
営 化 前 と同 様 所 有 に つ い て は,自 然 独 占 を 認 め る 一 方 で,利
運営 す る電 配電部門
用 につい ては独 占
を認 め ず コ モ ン キ ャ リア と した. 新 体 制 の 発 足 に と もな い,電 気 事 業 規 制 局(OFFER:Office tion)が 新 た に 設 立 さ れ た.OFFERは,1986年
of Electricity Regula
電 気 事 業 法 で 示 さ れ た 政 府 の 関 与 の極
力 排 除 に 則 り,政 府 か ら独 立 し た 規 制 機 関 で あ る.OFFERに
は,発
電 事 業 か ら供 給
事 業 に 至 る まで す べ て の 事 業 者 の ラ イ セ ン ス 発 給 権 限 を有 す る と と も に,発 給 した ラ イ セ ン ス の 内 容 に 基 づ き業 者 を監 督 す る義 務 を 負 っ て い る.ま た,表1.1に イ セ ン ス は,競
争 の 促 進,供
給 信 頼 度 の 維 持,需
表1.1電
力 市 場 に お け る ラ イ セ ンス の 種 類
ライセ ンスめ種 類 発電 ライセンス
内容 ・5万kW以
上 の 発 電 設 備 容 量 を 有 す る発 電
所 を運 転 す る際 に必 要(NP社,PG社 の ほ か に12配
など
電 会 社 も取 得)
送電 ライセンス
・送 電 業 務 を行 う際 に必 要(NG社
一 般 供 給 ラ イ セ ンス
・供給地域内 にお いて小 売供給 事業お よび配
第 2種 供 給 ラ イ セ ンス
・一 般 供 給 ライ セ ン ス外 で行 わ れ る小 売 供 給
取 得)
電事業 を営む者(12配 電 会社取得)
事 業 の 際 に 必 要 と さ れ る(12配 NP,PG他 出 典:“
示 す各 ラ
要 家 の 利 益 保 護 な ど を意 図 して 作 成
が 取 得)
海 外 の 電 気 事 業 ” 電 力 新 報 社(1996).
電 会 社,
さ れ,各
ラ イ セ ン ス 保 有 者 が 遵 守 しな け れ ば な らな い 条 件 が 記 さ れ て い る.
自 然 独 占 を容 認 した 送 電,配 規 制 の 代 わ りに,料
電 事 業 や 配 電 会 社 に よ る供 給 事 業 に は,伝
統 的な原価
金 上 限 規 制(プ ラ イ ス キ ャ ッ プ規 制)が 導 入 さ れ た.プ
ライス キ ャ
ッ プ規 制 は,消 費 者 物 価 上 昇 率(RPI)-生
産 性 向上 率(X)を 上 限 と し,こ
の範 囲 で あ
れ ば事 業 者 は価 格 を 自 由 に設 定 す る こ とが で き る. さ ら に,小 売 供 給 事 業 に つ い て も大 口需 要 家 を対 象 に段 階 的 に 自 由 化 さ れ,1998年 4 月 か ら,順 次 す べ て の 需 要 家 に つ い て 小 売 供 給 が 自 由化 さ れ た.
1.2.2プ
ー ル市場の 設立と電力 取引の手順
表1.2に
示 す よ う に,八
①
取 引 前 日:取
つ の 手 順 に よ り プ ー ル で の 電 力 取 引 が 行 わ れ て い る.
引 前 日 の 発 電 事 業 者 に よ る入 札 デ ー タ の 提 示 内容 は,ユ
時 系 列 形 式 の発 電 可 能 出 力,起
動 費 や 発 電 コ ス ト(価 格),運
れ る.無 制 約 供 給 計 画(U-schedule)で,必 要 供 給 発 電 量 は,想 力 と して,30分
ニ ッ トの
転 特性 や運 転制 約 が含 ま
要 供 給 発 電 量,入
札 価 格 の 計 算 を行 う.必
定 需 要 に 必 要 予 備 力 を 上 乗 せ し た もの を取 引 当 日 の 必 要 供 給 発 電
ご と に作 成 す る.入 札 価 格 は,発 電 事 業 者入 札 デ ー タ を も と に,30分
単 位 に 対 応 す る ユ ニ ッ トの 可 能 出 力 値 に対 応 す る発 電 費 用 を算 定 す る.最 後 に,30分 ご との 必 要 供 給 発 電 力 お よ び 発 電 ユ ニ ッ トの 入 札 価 格 を も とに,各
時 間 ご と に取 引 当
日 に運 転 さ れ る ユ ニ ッ ト を入 札 価 格 の 安 い順 に選 択 す る(メ リ ッ トオ ー ダ 方 式).こ メ リ ッ トオ ー ダ 方 式 に よ る必 要 供 給 電 力 量 の 決 定 で は,送 ッ トの 単 純 な 運 転 特 性 の み は考 慮 し て 決 め られ る.さ
の
電 制 約 を 無 視 し,発 電 ユ ニ
ら に,送 電 制 約,各
発 電 ユニ ッ
トの 詳 細 な 特 性 を反 映 し,取 引 当 日 に 系 統 運 用 者 が 使 用 す る “運 転 用 給 電 計 画(opera tional schedule)”
も併 せ て 作 成 され る.
U-scheduleで
選 択 さ れ た 発 電 ユ ニ ッ トの 中 で,最
(SMP:system
marginal
帯(table
price)と す る.な お,発
A period)と 軽 負 荷 時 間 帯(table
増 分 費 用 の み だ が,重
B
も高 い 発 電 価 格 を 系 統 限 界 価 格 電 価 格 の 計 算 方 法 は,重
負荷 時間
period)と で 異 な る.軽 負 荷 時 間 帯 で は
負 荷 時 間 帯 で は増 分 費 用 の ほ か に発 電 ユ ニ ッ トの 起 動 費 用 の 回
収 も考 慮 した 発 電 価 格 が 計 算 さ れ る.た だ し,運 転 制 約 や 出 力 指 定 の あ る発 電 ユ ニ ッ トは,こ
のSMPの
LOLP(loss
選 定 か ら除 外 さ れ る.
of load probability:供
ue of lost load:需
給 電 力 が 想 定 需 要 を 下 回 る確 率)とVOLL(val
要 家 が 停 電 を避 け る た め に支 払 っ て も よい とす る 価 格)か ら,各 時
間 帯 ご と にCE(capacity
element)の
値 を 計 算 す る. CEは,短
需 要 の 抑 制 お よ び 供 給 力 の 増 加 とい う 点 で,長 促 す とい う 点 で,イ
期 的 には需給 逼迫 時 の
期 的 に は発 電 設 備 へ の 投 資 の 必 要 性 を
ンセ ン テ ィ ブ を与 えて い る.
表1.2イ
ギ リス の 完 全 競 争 型 プー ル 市 場 で の取 引 手順
電力取 引の手順
業務内容 と算 定項 目 ・取 引 前 日の 午 前10時 分 間 隔). ・過 去 の実 績,天
[1]需 要 想 定
ま で に 当 日の 需 要 想 定 を 行 う(30
気 予 報,そ
の 他 の 需 要 変 動 に 影 響 を与 え
そ う な要 因(社 会 的 行 事)を 考 慮 し て,予 測 され る. ・取 引 前 日 の午 前10時
[2]発電事業者入札 データの提示
ま で に,各
ユ ニ ッ トご と に入 札 デ
ー タ を提 示(発 電 可 能 量 ,起 動 費,発 ・必 要 供 給 発 電 力(+必
電 コス トな ど)
要 予 備 力)を 算 定 し,30分
単 位 に発
取
電 費 用 を計 算 し,入 札 価 格 の 安 い 順 に発 電 ユ ニ ッ トを選
引 前
[3]無 制 約 の給 電 計 画(U-sched ule)の 作 成
日
(運 転 用 給 電 計 画 の 作 成)
択 す る. ・U-scheduleの
作 成 に は ,GOALと
呼 ばれ る 給 電 計 画 作
成 専 用 プ ロ グ ラ ム が利 用 さ れ て い る. ・送 電 制 約,各 発 電 ユ ニ ッ トの 詳 細 な特 性 を反 映 した 運 転 用 給 電 計 画 も作 成 さ れ,取
引 当 日 に系 統 運 用 者 が 使 用 す
る. ・無 制 約 給 電 計 画 の 中 で ,最 [4]SMPの
計 算(系 統 限 界 価 格)
も高 い 発 電 価 格 を 系 統 限 界価
格 とす る.た だ し,運 転 制 約 や 出 力 指 定 の あ る 発 電 ユ ニ ッ トは,SMPの
選 定 か ら除 か れ る.
・供 給 量 が 想 定 需 要 を下 回 る確 率(loss ity=LOLP),需
い とす る価 格(value [5]CE(capacity
element)の
計 算
of load
probabil
要家が停電 を避 けるた めに払 って もよ of lost load:VOLL)よ
り,
CE=LOLP×(VOLL-SMP) を求 め る. ・短 期 的 に は需 給 逼 迫 時 の 需要 抑 制 と供 給 力 の増 加,長
期
的 に は発 電 設 備 投 資 へ の イ ン セ ンテ ィ ブ と な る. ・取 引 当 日 に発 電 事 業 者 が プ ー ル に 電 力 を供 給 す る際 の価 格PPP(pool [6]PPPの
purchase
price)の 決 定(時 間 帯 別)
PPP=SMP+CE =SMP+LOLP×(VOLL-SMP)
決定
=(1-LOLP)×SMP+LOLP×VOLL
取引当日
[7]取引 当 日の給 電 修正無制 約給 電計画作成
・運 転 用 給 電 計 画 に沿 っ た発 電 ユ ニ ッ トの 給 電 . ・修 正 無 制 約 給 電 計 画(revised
U-schedule)の
作成.
・uplift:送 電 制 約 の た め に 出 力 調 整 を行 っ た 場 合 に ,給
取引後
電 計 画 と運 転 実 績 の 誤 差 分 の補 償 費 用. [8]upliftの 算 定 とPSPの
決定
そ の 他 に,周 波 数 制 御 や 無 効 電 力 補 償 な どの 補 助 サ ー ビ ス(ancillary service)も 含 まれ る. ・プ ー ル 販 売 価 格PSPを 求 め る. PSP(pool
selling price)=PPP+uplift
プ ー ル 市 場 で,取 格(PPP:pool
引 当 日の 発 電 電 力 量 に対 し て 支 払 わ れ る価 格 で あ る プ ー ル 支 払 価
purchase
引 前 日 ”に,SMPとCEの 階 で,想
price)は,需
要 想 定 と発 電 事 業 者 に よ る競 争 入 札 を行 う “取
和 と し て 決 定 さ れ る(表1.2参
照). PPPは,取
引前 日の段
定 需 要 が 供 給 力 を 上 回 る か 否 か と い う 2ケ ー ス を 考 慮 した 確 率 的 な 予 想 価 格
(期 待 値)で あ る と い え よ う. ②
取 引 当 日:取
引 当 日 は,NGCの
系 統 運 用 者 が,運 転 用 給 電 計 画 に 基 づ い て,需
要 変 動 に応 じ た発 電 ユ ニ ッ トへ の 給 電 指 令 と,運 用 上 の 制 約 を 考 慮 した 系 統 運 用 を 実 施 す る.た
だ し,発 電 ユ ニ ッ トの 入 札 デ ー タ(た だ し価 格 に 関 す る もの は 除 く)の 変 更
は,取
引 当 日 で も,事 前 に な さ れ れ ば,随
る.ま
た,取
時 受 け付 け られ 運 転 用 給 電 計 画 に反 映 さ れ
引 当 日 の 発 電 ユ ニ ッ トの 運 転 予 定 の 変 更 や 実 際 の 運 転 実 績 は,発
者 へ の 支 払 い の 計 算 に 必 要 な の で,こ
電事 業
れ ら の 変 更 ・実 績 記 録 を も と にU-scheduleを
修 正 す る. 取 引 後:取 用,需
引 当 日 に 送 電 線 制 約 の た め に 運 転 した 高 価 格 の 発 電 ユ ニ ッ トの 運 転 費
要 想 定 の 誤 差 や 発 電 ユ ニ ッ トの 給 電 計 画 と 実 際 の 運 転 実 績(operational
turn)と の誤 差 分 に つ い て の 補 償 費 用 は,ア れ る.さ
ら に,系
統 周 波 数 ・電 圧 の 安 定 運 用 に必 要 な 発 電 ユ ニ ッ トが提 供 す る補 助 サ
ー ビス 費 用 や ,発 電 ユ ニ ッ トが 提 示 した 出 力 可 能 値 の う ち,修
正U-scheduleの
組 み 込 ま れ な か っ た 発 電 可 能 容 量 分 の 費 用 もupliftに 含 ま れ る.こ を も とに,供
1.2.3
のupliftとPPP
引 後 に決 定 さ れ る.た だ し,こ のupliftは 重 負 荷 時 間 帯 に配
電 ロ ス 費 用 は供 給 事 業 者 の 購 入 電 力 量 に 比 例 して 分 担 さ れ る.
プール市場 での電力取 引の構造
プ ー ル 市 場 で の 価 格 決 定 手 順 の 中 で,プ 市 場 か ら構 成 さ れ て い る(図1.9参 (1)
中に
給 事 業 者 が プ ー ル か ら電 力 を購 入 す る価 格 で あ る プ ー ル購 入 価 格(PSP:
pool selling price)が,取 分 さ れ,送
out
ッ プ リフ ト(uplift)と して 取 引 後 に 清 算 さ
先 物 市 場(forward
発 電 事 業 者 が 取 引 前 日 に,価
ー ル を 介 し て 行 わ れ る 電 力 取 引 は,以
下の
照).
market) 格PPPで
販 売 電 力 の 契 約 を結 ぶ 市 場 で,プ
ー ル にお
け る 発 電 事 業 者(電 力 の 売 り手)と 供 給 事 業 者(電 力 の 買 い 手)と の 間 で取 り交 わ され る 電 力 の 先 物 取 引(厳 密 に は 先 渡 取 引 と い う)と 考 え る こ と が で き る.つ scheduleで
決 め られ た 価 格(PPP)で,U-scheduleで
供 給 す る こ とが 相 当 す る.プ ー ル で 取 引 され る電 力 の 大 半 は,取 物 市 場 で 電 力 取 引 が 成 立 す る.
ま り,U-
決 定 した 発 電 電 力 量 を プ ー ル に 引前 日に行わ れ る先
図1.9
イ ギ リス に お け る電 力 取 引 プ ール 市 場 の構 造
(2) オ プ シ ョ ン 市 場(option
market)
実 際 に,送 電 制 約 の 発 生 に よ り,U-scheduleに 抑 え,U-scheduleに
組 み 込 ま れ た 発 電 ユ ニ ッ トの 出 力 を
組 み 込 ま れ な か っ た 高 価 な 発 電 ユ ニ ッ ト を運 転 し な け れ ば な ら
な い 場 合 が あ る.こ の よ う な事 態 を想 定 して,こ
の 市 場 で は,取
引 前 日 の 段 階 で,予
備 的 な 位 置 づ け の 発 電 ユ ニ ッ ト,あ る い は 発 電 ユ ニ ッ トの 容 量 余 力 に対 し て,取
引当
日 の 不 測 の事 態 や 送 電 制 約 発 生 時 に 給 電 指 令 に応 じ ら れ る よ う に 待 機 す る 契 約 を 結 ぶ.こ
の 場 合,い
ざ 必 要 が る と き に は,U-scheduleに
トの 発 電 可 能 容 量 分(unscheduled
組 み 込 まれ な か っ た 発 電 ユ ニ ッ
availability)に 対 す る費 用 を オ プ シ ョ ン料 金(給 電
指 令 を す る権 利)と して 支 払 う.実 際 に こ れ ら の 発 電 ユ ニ ッ トが 給 電 指 令 を受 け た 場 合 に は,そ
の ユ ニ ッ トの 表 示 価 格(>PPP)で
プ シ ョ ン料 金 に相 当 す るunscheduled は,取
支 払 い を受 け る こ とが で き る.な
availabilityに 対 し て 発 電 事 業 者 に 支 払 う 価 格
引 当 日 に そ の 発 電 ユ ニ ッ トが 実 際 に給 電 指 令 を 受 け る期 待 値(CEの
似)を 反 映 して 決 め られ る.こ
お,オ
算 定 に類
の オ プ シ ョ ン 料 金 と高 価 な発 電 ユ ニ ッ トの 運 転 費 用 は,
ア ッ プ リ フ ト費 用 と して 算 定 さ れ る. (3) ス ポ ッ ト市 場(spot
market)
取 引 前 日 に 作 成 され た 給 電 計 画 と取 引 当 日の 運 転 実 績 との 差 を調 整 す るた め に,そ の と き ど き に 応 じて 必 要 電 力 量 を取 引 す る市 場 で あ る.特 に,U-scheduleに れ た 発 電 ユ ニ ッ トが 取 引 前 日 の 先 物 市 場 で 価 格PPPで
組 み込 ま
契 約 し た 取 引 量 が,取
引当 日
の 送 電 線 制 約 発 生 に よ り発 電 で き な か っ た 場 合,プ 電 ユ ニ ッ トの 提 示 価 格(