遊びの創造共育法第2巻 ボール遊びと造形 (遊びの創造共育法)

和 久 洋 三

玉川大学出版部

つながるかたち つながるこころ つながるいのち

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ボール 遊びと造形

和 久洋三

玉川大学出版部

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目 次 

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ボール遊びと造形

Ⅰ  ボール遊びと造形活動  

6

1　ボ ー ル 遊 び  紐つきボール   8

7 歳児

2　ボ ー ル 遊 び  赤ちゃんの童具は球   10 3　ボ ー ル 遊 び  ママボールで遊ぶ   12 4　ボ ー ル 遊 び  板を使って遊ぶ   16 5　ボ ー ル 遊 び  雨樋を使って遊ぶ   18 6　ボ ー ル 遊 び  おんなじ  おんなじ   21 7　ボ ー ル 遊 び  いろいろなものを利用して   22 8　ボ ー ル 遊 び  ボールで遊ぶ   26 9　ボ ー ル 遊 び  ボールになる   28 10　ボ ー ル 遊 び  似たもの探し   30 11　ボ ー ル 遊 び  ゴム風船で遊ぶ   32 12　ボ ー ル 遊 び  的当て   34 13　球の造形活動  しゃぼん玉遊び   36 14　球の造形活動  球の色塗り   39 15　球の造形活動  大きな花火の制作   40 16　球の造形活動  球から生まれる線   42 17　球の造形活動  球から生まれる点・線・面   44 18　球の造形活動  ボールで描く   48

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19　球の造形活動  お団子づくり   50 20　球の造形活動  石をつくる   51

5 歳児

21　球の造形活動  色粘土のレリーフ   52 22　ボ ー ル 遊 び  積木のコリントゲーム   54 23　球の造形活動  コリントゲームをつくる   55 24　球の造形活動  雨の日のあじさい   60 25　球の造形活動  球の分割   62 26　球の造形活動  丸いロウソクづくり   63 27　球の造形活動  石膏で球をつくる   64 28　ボ ー ル 遊 び  コマで遊ぶ   65 29　球の造形活動  コマをつくる   68 30　球の造形活動  球をつくる・球でつくる   70 31　球の料理活動  クッキーづくり   72 32　球の料理活動  つみれ汁づくり   73 33　球の造形活動  果物・野菜の制作   74 34　球の造形活動  果物・野菜の描画   76 35　球の造形活動  木炭画   80 36　球の造形活動  パンの描画   82 37　球の造形活動  パイナップルを描く   84

4 歳児

4 歳児

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6 歳児

フレーベル解体新書

Ⅱ  ボール遊びをはじめる前に  

90

ボールは万物のシンボル   92

ボール遊びの中で生まれる言葉   99

全体を示すボール　93

ボール遊びを類似物で　100

ボールが直感させるもの　94

身体機能を発達させるボール   101

ボールが発達させる手の機能　94

ボール遊びの多様と統一　102

紐つきボール　96

自然の法則を学ぶ   103

九つの知覚   97

人間の本質の三重性　105

ボールによる意識の発達　99

三重的存在   106

フレーベル解体新書

Ⅲ  乳幼児からのボール遊びの展開　108 おすわりするようになるまでの紐つきボール遊び　110 5 歳児

ケルンボール で遊ぶ  ⑴　110 ① ボールを一つ握って   110

⑥ ぶつけ合わせて   114

② 揺らして遊ぶ   112

⑦ 吊り棒を使って   115

③ 上げたり下げたり   113

⑧ 円盤につけて   117

④ くるくる回す   113

⑨ 箸を使って   118

⑤ 紐を長くして   114

エッセイ 

ボールに脱帽  

120

童具創作ノート ① ケルンボール   124 ② ベビーボール   125 ③ さくらんぼ   126 ④ たまゆら   127 ⑤ ぽ  こ   127 ⑥ カラーボール   128 ⑦ ねじっこ   129 ⑧ ふ  え   129 ⑨ たまっこ   130 5 歳児

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おすわりや這いはいをするようになってからの紐つきボール遊び  

131

ケルンボールで遊ぶ  ⑵　131 ① 落下させたり弾ませたり   131

⑥ ボールはどこ？   135

② 積木を使って   132

⑦ 箱の中に   136

③ 空中で回転させて   134

⑧ 小鳥になったり、犬になったり   137

④ 床の上を転がして   134

⑨ 同じ言葉   139

⑤ 机の上で箱にボールをぶつけて   134

⑩ 雀がお庭で   141

おすわりや這いはいをするようになってからの椀を使ったボール遊び  

143

カラーボールで遊ぶ   143 ① 床の上で   143

⑤ 転がす   147

② 椀の中で   144

⑥ 隠  す   148

③ 色の変化   145

⑦ いろいろなボールで   150

④ 椀の出し入れ   147

歩けるようになってからのボール遊び  

151

ボールで遊ぶ　151 ① 一人で遊ぶ   151

⑧ 向き合って   154

② 二人で遊ぼう   151

⑨ 色のイメージ遊び   155

③ みんなと遊ぼう   152

⑩ 果物屋さんごっこ   155

④ 壁に向かって   152

⑪ 目隠し遊び   156

⑤ 斜面で遊ぶ   152

⑫ 両手を使って   156

⑥ 色を楽しむ   153

⑬ 友達と一緒に   157

⑦ 右と左へボール渡し   153

⑭ まりつき   159

アイデアカードのつくり方　160 8 歳児

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Ⅰ  ボール遊びと造形活動

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1  ボール遊び 

紐つきボール 共感共同活動・探究認識活動・美的表現活動　0 歳 〜

活動のねらい

② 循環色による 10 色の球が繰り広げる遊びは、乳

① 母子分離がはじまる前に母と子を結ぶ紐つき

児と身のまわりの人や自然や物々を結びつけます

ボールが、親子の絆を深めます。

（ P . 110 〜 119・P . 124・P . 131 〜 142 ）。



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トント

ントン

さあ見ててよ、きれいなお花が咲くからね。

、木の

触れ合

う音は

やさし

いね。

強い、強い！  元気だね。

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2  ボール遊び 

赤ちゃんの童具は球

さくらんぼ 最初に与えるガラガ ラは手にやさしい 14 g

共感共同活動・探究認識活動　0 歳 〜

のみず木製（ P . 126 ） 。

活動のねらい 乳児の最初の友達は童具です。童具を媒介にして外 界を旺盛な好奇心で吸収していきます。 この時、最初に与える形は最も単純で、手になじむ、 球や球に類似した丸い形。舐めて、触って、見つめ て、発見欲求と表現欲求を満たそうとします。

ふ  え おしゃべりをはじめる 前に笛を吹いて口の筋 ベビーボールで「ほらほらここよ」

力 を 高 め、 息 の 出 し 入れが上手になります （ P . 129 ） 。

ベビーボール お母さんの軟らかい乳 房の弾力。最初に与え る童具です（ P . 125 ） 。

ぽ  こ お母さんの乳首のおしゃぶりガラ ガラ。おんなじお顔でも違う音 （ P . 127 ） 。

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カラーボール おすわり、這いはいができるように なったら、紐のついていないボール が遊びを誘発します（ P . 128・P . 143 〜 150 ） 。

たまゆら 歯が生えてくる頃に は歯固めで歯茎を丈 夫にしたくなります （ P . 127 ） 。

ねじっこ 1 歳前後になるとネジ に関心を持つように なって手の機能を発達 させます（ P . 129 ） 。

たまっこ ぶらぶら振ってペロペ ロ舐めて（ P . 130 ） 。

ペアリング 同じもの、似ているもの、違うもの（第 3 巻 P . 102 〜 103 ） 。

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3  ボール遊び 

ママボールで遊ぶ 共感共同活動・探究認識活動　0 歳 〜

活動のねらい

活動の注意点

① 触れる、取る、離す、掴む、握る、捕る、転がす、

① おすわり、這いはいができるようになったら用

投げる等の活動を通して、ボールの特性を直感し、

意するボールはスポンジ状の軟らかいボール≪ママ

手や腕や身体機能を発達させます。

ボール≫やゴムまり、ピンポン玉、木の≪カラーボー

② ボールを上手に扱うようになると活動範囲が多

ル≫等が適しています。

様に広がるだけでなく、操作が巧みになります。

② 色彩と模様

③ ボールの数が遊びの世界を広げます。

最初は球の全体の形が目に印象づけられるように、 単色で模様のない三原色のママボール。

このボール、あのボール、 分離した存在に対する意識 が芽生え、感触を手や口で 感じとります。0 歳児

形は同じでも色の違うボール。

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出したり入れたり

。1 歳児

なか

お母さんのお腹にいるみたい。0 歳児

13

いろいろな色のボール。 いろいろな友達。1 歳児

水を含むと重さが違う。1 歳児

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ダンボールのボール風呂。壁面に 穴をあけてボールを出せるように してあります。1 歳児

ボールのシャワー。3 〜 5 歳児

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2 歳児 「長いヘビだよ」関係づける喜び。

気持いいなぁ。ボールの感触を身 体全体で楽しみます。0 歳児 大きいプール、たくさんのボール、遊びの質が変化します。4 〜 5 歳児

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15

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4  ボール遊び 

板を使って遊ぶ 共感共同活動・探究認識活動　0 歳 〜

活動のねらい

④  3 歳を過ぎたら、斜面の下から上にボールを転が

板や雨樋等を使った遊びは小学生になっても楽しめ

し、そのボールを自分で受け取る遊びができます。

ます。この時必要になるのは量です。たくさんのボー

⑤ 大きさ、重さ、材質、速度やその関係について

ル、いろいろなボール、何本もの雨樋、何枚もの板

知覚、認識します。

で子ども達は創造的な活動を飽くことなく生みだし ます。 活動の組み立て

活動の注意点 ① 単色の軟らかいボールを最初は与えます。 ② 充分に単色の軟らかいボールで遊び込んだ後に

① 斜面を利用して、転がす活動や捕球する活動が

しだいに、硬いボール、弾むボール、弾まないボール、

できます。

軽いボール、重いボール、いろいろな大きさ、いろ

② おすわりが上手にできるようになったら、乳児

いろな材質、いろいろな色のボールを与え、多様な

に向けてボールを転がす活動ができます。やがてカ

ボールの世界を体験させます。

ゴや椀等の入れ物と低い斜面を用意すると、入れ物

③ 小さいボールを使う時は板の両サイドにボール

からボールを取って転がすようになります。

が転がり落ちないようにするための角棒をセットし

③ 自由に歩けるようになったら、一人で転がした

ます。

り拾ったりして、斜面の角度によって速度の違いを

④ 転がる先に V 字形に角棒をセットするとボールが

楽しみながら繰り返し遊ぶようになります。

散らかりません。

16

いろいろなボールを使ったボール転がし。1 歳〜

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大きいボール、小さいボール。 1 歳児

ダンボ

ールの

トンネ

ルを転

がそう

。1 歳

〜

17

積木を両面テープで貼って大きな コリントゲーム。1 歳〜

いろいろなボールでボウリング。 倒しやすいボールと倒しにくい ボール。2 歳〜

転がってきたボールを幾つ取れるか、5 〜 6 歳児も大喜び。

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5  ボール遊び 

雨樋を使って遊ぶ 共感共同活動・探究認識活動　0 歳 〜

活動のねらい ① 雨樋の利用は子どもの注視を促し、方向性が定 まるので捕球しやすい状態をつくりだします。 また転がす時にも的を定めて活動ができるので、上 手にボールを手から離せるようになります。 ② 小さな球は雨樋をトンネルにして遊ぶこともで

大喜び。0

も 」赤ちゃん

「いくよー

歳児

きます。 ③ 幼稚園や保育園では何本もつなげて、机やイス や箱≪プレイボックス≫で傾斜をつくるとダイナ ミックな遊びが広がります。 ④ 雨樋に限らず、紙管や、ペットボトルの上下を 切ってつなげて遊ぶこともできます。

友達とも遊べます。1 歳児

18

レールを長くすると追視の楽しみが増加します。1 歳〜

庭の斜面で遊んでボールと追いかけっこ。2 歳〜

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コードカバーを使ってビーズ流し。小学生

バケツがあると拾う作業も遊びになります。1 歳〜

波形のスレートも用意しました。1 歳〜

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部屋中をレールにしよう。5 歳〜

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長いほど面白い！  ビーズ流し。2 歳〜

20

ダンボールを使って、穴に落ちないように。3 歳〜

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6  ボール遊び 

おんなじ  おんなじ 探究認識活動　2 歳 〜

活動のねらい 同形同色のボールを 2 個ずつ数種類用意し、片方を 皿の中に入れて布で覆います。片方のボールは机上 にのせ、その中から子どもが選んだボールを布の上 から手の感触で探す遊びです。探り当てた時の一致 の快感、子どもの顔は輝きます。導入時の遊び。

「この中の

どのボール

がかくれん

ぼしてるの

かな」　2

歳児

「好きなボールを取ってごらん。ほらこっちの お皿にも同じボールがあるよ。布で隠すからど こにあるか探してごらん」

「あったあった。おんなじだね」

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7  ボール遊び

活動のねらい 身のまわりにあるいろいろなものを利用することに

いろいろなものを利用して

よって遊びはどんどん広がります。ボールと関係づ

共感共同活動・探究認識活動　1 歳 〜

けられないと思えるものを関係づけて遊びます。

シュレッダーでできた紙くずのプールにボールがいっぱい入っています。 「幾つ探せるかな」 　1 歳〜

空気を入れたビニール袋がイスになったり ベッドになったり。1 歳〜

ビニール袋の中にはシュレッダーでできた紙 くず。ボールにみたてて蹴ったり、ぶつけた りしてみよう。1 歳〜

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網を使ってボールを転がしたり、弾ませたり。落ちないようにするんだよ。2 歳〜

23

ボール遊びが終わったら、網の中をくぐって遊ぼう。

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安価な障子紙を空き箱のフタにして貼りつけて 濡れた≪ママボール≫をそっと置くとポトン、 ポトンと落ちていきます。1 歳〜

24

「落ちてくるよー」色をつけたママボールが障 子紙を破って落ちて転がると、斜面に敷いた ロール紙に軌跡が描かれます。1歳〜

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ール。2

りだすボ

クル回 くとクル

歳〜

上に置

扇風機の

ポリプロピレンシートを円錐状に丸めて球を転 がすと予想以上に回転を繰り返します。スチー ルボール（直径 10 m m ぐらい）が一番長く回転 します。斜面に向かって放り投げることが難し い子には雨樋を利用します。2 歳〜

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8  ボール遊び 

ボールで遊ぶ 共感共同活動・探究認識活動　0 歳 〜

活動のねらい ボール遊びは手や腕だけでなく、全身の運動機能を 発達させます。ボールを上手に扱えるようになると 遊びの世界が飛躍的に広がっていきます。 私のボール、友達のボール。1 歳児

大きなボールを身体全体で感じます。1 歳〜

紐で吊るしたボールと遊ぶ。2 歳〜

つなぐと

なの足を

いてみん 、足を開 ル転がし ー ボ て 〜 。1 歳 輪になっ りません 外に転が ボールは

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ボール転がしのスタートは床に絶縁テープを貼って二人の足 をくっつけるとボールは遠くに転がりません。上手に転がせ るようになったら、二人の距離を離していきます。0 歳〜

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ボールを蹴って遊

びましょう。2 歳〜

弾ませたり、投げたりできるようになりました。4 歳〜

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27

お母さんとキャッチボール。4 歳〜

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9  ボール遊び 

ボールになる

活動のねらい 子どもはボールの動きに自分を同化させようとして ボールと同じ活動をしたがります。その欲求を汲み

共感共同活動　1 歳 〜

あげて身体活動に導きます。

上手に転がれない子にはマットを持ちあげてあげます。2 歳〜

28 ス た後に 転がし ら か を斜面 歳〜 す。1 ボール 遊びま て し 台に

ベリ

ロール紙を敷いた斜面でボール転がしをした後で、みんなで転がって遊びます。4 歳〜

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バウンドさせて投げたり取ったりした 後にスキップをして遊びます。4 歳〜

29

大きく弾ませて投げたボールに負けないように高く遠くに跳んで遊びます。3 歳〜

転がるボールを真似てでんぐり返しで進みます。4 歳〜

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高く上下に弾 ませたボール を真似て「イ チ、ニのサン 」で高く跳びま す。2 歳〜

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10  ボール遊び 

似たもの探し 探究認識活動・共感共同活動　2 歳 〜

活動のねらい 球も円も円柱も 3 歳児は＜丸いもの＞として理解し

ものの中に関係性を見つけだす注意力を育てます。

ます。身のまわりや街を散歩する時に丸いもの探し

この活動にあたって球、円柱、円の言葉をためらう

をしてみましょう。いろいろなところに同じ形をし

必要はありません。丸いものの中にもいろいろ性格

たものがあることを発見する活動は無関係に思える

の違う形があることを子どもは理解します。

30

「これも（メーター計）丸い！」

パ  ン

すだち

「この石丸いかなぁ」

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「あっ、あの電球丸い！」

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クラゲ

水族館の

「これだって丸いよ」

くるみ

かたつむり

「八百屋さんには丸い果物や野菜がいっぱいあるよ」

地球儀

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食器や調理の道具にも丸いものがたくさんあります。

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11  ボール遊び 

ゴム風船で遊ぶ

共感共同活動・探究認識活動　1 歳 〜

活動のねらい 球に似た形のゴム風船だからできる遊び（紙風船で も遊べます）。似ているけれどちょっと違うもので 遊ぶことによって、球形の多様性と同時にゴム風船 （紙風船）の特性を感じとります。

ビニール袋の中に入れてみよう。4 歳〜

33

ゴム風船のバレーボール。4 歳〜

扇風機を上に向けてゴム風船を浮かべるとな んと空中でフワフワ浮いています。2 歳〜

ボール。4

ったバレー

うちわを使

歳〜

積木でつくった円筒の中へ。4 歳〜

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12  ボール遊び 

的当て 共感共同活動・探究認識活動・（美的表現活動）　1 歳 〜

活動のねらい ぶつけたり、投げ入れたり、的当てを楽しみながら、 定めたところにボールを投げられるようにします。 活動の組み立て

③ 大きなポリバケツを用意してこれにボールを投 げ入れます。 ④ 大きいボールを置いて、これを的にします。 ⑤ 壁のそばに大きなポリバケツを置いて、ボール を壁に一度当ててバケツに入れます。正面から投げ

① 壁に大きな円盤（紙でつくる）を貼り、これを的

入れたり、斜めから投げ入れたりします。

に投げます。はじめは近くから、だんだん遠くから

⑥ 木の枝や天井から的（例えばボール）を吊るし、

投げます。

これにボールを当てて遊びます。

② 円盤を少しずつ小さくする方法もあります。

⑦ 友達とぶつけ合って遊びます。

ボールが当たると先生の「イテテッ」の声が面白くて力いっぱい投げつけます。3 歳児

壁面に円盤を貼って。4 歳児

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台の上にのせたボールに当てよう。4 歳児

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ダンボールの箱の中にみんな入れよう。1 歳〜

入ったボールが見えるかな。4 〜 5 歳児

35

白く塗ったダンボールの壁、そのすき間から向こうにいる友達に「エイ！」 　4 歳〜

円に向けて絵具を含ませたボールをぶつけま す。その後は自由にボールで絵を描いたり、ス タンプしたり。4 歳〜

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13  球の造形活動 

しゃぼん玉遊び 共感共同活動・探究認識活動・（美的表現活動）　2 歳 〜

36

紙を取り除いたうちわを使うとみるみるうちにしゃぼん玉が飛びでてきます。2 歳児

活動のねらい

活動の注意点

液体から生まれる球の姿はものごとが質的に変化す

①  1 〜 2 歳児はストロー等の細い管を使うと液を飲

るあり様を示します。種子から芽が出ることも、卵

み込んでしまいます。そのためには口をつけないで

から生命が生まれでることも、色が混ざりあって変

しゃぼん玉をつくりだすことのできる用具や装置が

わることも、水が蒸気になることも、同じですが、

必要です。

この変化に子どもは引きつけられます。生成の原理

②  2 歳を過ぎたら、太い管（ホース等）を使うことか

と、生成したものはやがて形を失くす理もしゃぼん

らはじめて下さい。

な

ことわり

玉遊びは感得させます。

ホースを切って。2 歳児

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針金に布を巻くと何度もつくれます。2 歳〜 はじめてしゃぼん玉に出 合う子どもは空に舞うだ けでも喜びます。1 歳児

上手に吹けるようになったら液に息を吹きかけて泡をつ くってみよう。六角形が現れることがあるよ。3 歳〜

輪を振ってもしゃぼん玉 は生まれます。3 歳児

37

大きな輪に布を巻いて液を入れたプールから引き上げると円筒状の膜がで きます。踏み台の上に子どもを立たせてやってみましょう。用心のために 水中メガネをかけました。2 歳〜

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38

大きな紙を敷いて、絵具を溶かしたしゃぼん液を吹 いてみました。紙に落ちたしゃぼん玉が割れて美し い点描画の世界が現れます。2 〜 3 歳児

クレパスを指でこすって描きました。4 歳児

5 〜 6 歳児

水で円を描いて絵具の溶液を落とすと、きれいな しゃぼん玉ができました。4 歳児

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1 . 5 〜 3 歳児

14  球の造形活動 

球の色塗り

共感共同活動・探究認識活動・美的表現活動　1 歳 〜

活動のねらい 発泡スチロールの球にポスターカラーを手で塗りな がら球の感触、絵具の感触を楽しみます。どの子も 大好きな活動で、手の汚れを気にする子がいなくな ります。 活動の注意点 ① ポスターカラーは水に溶かずに使用します。 ② 濡れ雑巾を用意して、色を変える時は手をよく 拭くように。 ③ 混色も楽しめます。

1 . 5 〜 3 歳児

39

1 . 5 〜 3 歳児

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15  球の造形活動 

大きな花火の制作

共感共同活動・探究認識活動・美的表現活動　2 歳 〜

活動のねらい 紐つきのスポンジボール≪ママボール≫に絵具を溶 かした液をしみ込ませて回転させると、飛沫が円状 に飛び散り、花火のような模様が現れます。回転が 速くなると飛沫は広がり、回転が遅くなると狭まり ます（遠心力の直感）。 活動の組み立て ① ママボールの紐を長い棒に固定しておきます。 ママボールをたっぷり水を含んだ絵具に浸します。 ② ママボールの紐をよじります。 ③ ママボールを紙の真中に差し出すようにして、 ボールを回転させます（第 3 巻 P . 107 ）。

児

紙の上で。4 歳

④ 色を変えたり、ボールを持つ高さを変えながら、 複雑な模様をつくります。 ⑤  2 〜 3 歳児にも見せると喜びますが、自分でもや りたがります。指でよじることができないとうまく いかないので手助けが必要です。

40

* スポンジボールの紐の取りつけ方は P . 125 を参照。

飛沫で現れた花火のような模様。5 歳〜

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窓ガラスを利用しました。3 歳児

透明のビニールシートを利用して下から見上げると。

41

飛沫が散ったビニールシートに和紙を置いて転写させました。2 歳〜

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菓子箱等を利用します。内 側の大きさに画用紙を切っ て入れると、作品が何枚も つくれます。1 歳〜

42 16  球の造形活動 

球から生まれる線

活動のねらい 球の全面にポスターカラーを色づけして、箱状の容 器の中で転がすと線が描けます。球体が線を内在し

美的表現活動・探究認識活動　1 歳 〜

ていることを直感します。

枠を取りつけた大きな円盤 の裏側に半球や球を取りつ け、回転させると、円運動 による曲線の軌跡が描けま す。2 歳〜

1-球・活動記録.indd 42

07.8.22 8:51:31 AM

大きな箱をみんなで動かしてつくりました。2 歳児

43

机板の上に模造紙を貼り、木枠をつけて転がしました。1 歳〜

1-球・活動記録.indd 43

07.8.22 8:51:33 AM

3 歳児

44

17  球の造形活動 

球から生まれる点・線・面 美的表現活動・探究認識活動・共感共同活動　2 歳〜

活動のねらい

活動の注意点

① できるだけ大きな紙を室内に貼りめぐらせて、

① 最初は暖色（赤、黄、橙、ピンク）、あるいは寒

投げたり転がしたりしながら、球に内在する点と

色（青、青紫、緑、ライトブルー）を使って同系色

線と面をダイナミックに表現する中で、身体全体を

の美しさを感じさせます。

使った活動の楽しさを体感します。

② 暖色→寒色、または寒色→暖色を加えると反対

② 重なり合う線の美しさを感じとります。

色との対比の美しさが表現できます。

③ 色彩の変化を楽しみます。

③ 最後に黒を加えると画面が締まりますが、有彩 色の微妙なニュアンスを壊すこともあるので、色が 混濁した時に行うと効果的です。

1-球・活動記録.indd 44

07.8.22 8:51:35 AM

黒のラシャ紙を貼り合わせてボールを転がして遊び ました。シーツを使うこともできますが、その時は 霧吹きでしめらせると色がよくのります。4 歳〜

れます。2 歳〜

異なる画面が生ま

、床面は点と線。

は点 投げて遊ぶと壁面

45

4 〜 5 歳児

ボールによる描画活動はいつの間にか混色遊びに変わることもあります。ポスターカラーを適時加えると色彩の変化を楽しめます。2 歳〜

1-球・活動記録.indd 45

07.8.22 8:51:36 AM

46

ボール転がしをした後に、いろいろなお魚をつくって貼りました。4 〜 5 歳児

細い線が描けるように木球を使い同系色の画面をつくりました。2 歳〜

1-球・活動記録.indd 46

07.8.22 8:51:40 AM

シーツにボールでスタンピングしてできた鯉のぼり。2 歳児でも活動可能です。胴の 両サイドはガムテープを貼っておくと色のはみ出しを防げます（ P . 162 ） 。4 〜 5 歳児

黒のラシャ紙の上にボールで夜桜を描きました。最後は手で塗りたくって完成。3 歳〜

ボールをぶつけてりんごの樹木をつくりました。5 歳児

1-球・活動記録.indd 47

07.8.22 8:51:43 AM

18  球の造形活動 

ボールで描く

美的表現活動・探究認識活動・共感共同活動　1 歳 〜

活動のねらい ① 球と円の関係を知ります。 ② ボールの多機能を直感します。 活動の組み立て ① 自由にスタンピングを思う存分してから、秩序

1 歳児

のある構成も取り入れていきます。 ② 果物や野菜をモチーフにスタンピングで表現し ます。

白や黒のテ

ープ状の紙

にスタンプ

してつない

でいきまし

た。

48

点対称のこんな模様もできました。

線対称の模様。

ドットシールと円の折紙を貼って からボールでスタンピングをしま した。2 歳児

1-球・活動記録.indd 48

07.8.22 8:51:46 AM

ベビーボールやママボールを使って

さくらんぼ　2 歳〜

ぶどう　3 歳〜

も  も　4 歳〜

みかん　5 歳〜

お花畑をつくります。2 〜 3 歳児

ママボールを強く掴んでスタンピ ングすると楕円がつくれます。

≪ケルンプレート≫≪ケルンスタ

はらぺこあおむし登場。

ンプ≫ドットシールも一緒に使い ました。3 歳児

1-球・活動記録.indd 49

07.8.22 8:51:53 AM

19  球の造形活動 

お団子づくり 探究認識活動　2 歳〜

づくり。

砂場でお団子

活動のねらい 球をつくる活動の基本はお団子づくりです。砂や土 等を使った割れない丈夫なお団子づくりも楽しめま す。 活動の注意点

50

2〜3歳児の最初のお団子づくりは直径1cmぐらい の小さな球づくりからはじめると、だんだん大きな 球がつくれるようになります。 いっぱいお団子をつくろう。4 歳児

小さい順に並べてみました。

1-球・活動記録.indd 50

ちょっと平らにして。

大きいお団子から積んでみました。4 歳児

07.8.22 8:51:55 AM

20  球の造形活動 

石をつくる

共感共同活動・美的表現活動・探究認識活動　3 歳 〜

活動のねらい 同形と類似形に対して敏感になり、全体と部分の関 係に意識が向かいます。

丸い石を探しましょう。

5 歳児 「これ一番丸いよ」 　3 歳児

51

3 歳児

6 歳児

大きな石をつくる時は新聞紙や発泡スチロール等で 芯をつくると粘土が節約できます。小学生

10 歳児 紙管の上にのせると描きやすくなります。

1-球・活動記録.indd 51

07.8.22 8:51:57 AM

21  球の造形活動 

色粘土のレリーフ

美的表現活動・探究認識活動　1 歳 〜

活動のねらい ① 球をつぶすと円になりますが、寄せ集めてつぶ すと不思議な形がつくられます。立体から平面への 変化を楽しめます。 ② 混色を楽しめます。 活動の注意点 ①  2 〜 3 歳児は絵具を粘土に混ぜる作業が長続きし ないので（2 〜 3 個）、前もってつくっておきます。 ② 球に大小の変化があると画面も多様に変化しま す。

2 歳児

52

活動の組み立て

① 球を黒く塗ったベニヤ板の上

② 食品用ラップをかぶせます。

に、ボンドをつけて置きます。

④ 食品用ラップを取り除きます。

⑤ 違う形を加えて、もう一度つ ぶしてみました。 ③ 食品用ラップの上に板をのせてジャンプするとでき あがり。 板からはみでた粘土は粘土ベラで取り除きます。

1-球・活動記録.indd 52

07.8.22 8:51:59 AM

4 歳児

5 歳児

53

3 歳児

5 歳児

6 歳児

1-球・活動記録.indd 53

8 歳児

07.8.22 8:52:00 AM

22  ボール遊び 

積木のコリントゲーム 共感共同活動・探究認識活動　1 歳 〜

活動のねらい 積木と球の組み合わせによって、球の動きと軌跡の 関係を知る活動です。

小学 3 年

生のお姉

ちゃんと

。4 歳〜

2 枚の机板で段差をつけました。

ました。4 〜

つめてつくり

に積木を 積木の収納箱

5 歳児

斜面にした板の片側に直角二等辺三角柱を両面テープで貼りつけ、 立方体や直方体で球が転がる路をつくります。積木で高低をつけて 転がり落ちていくコースをつくります。5 歳〜

1-球・活動記録.indd 54

07.8.22 8:52:02 AM

23  球の造形活動 

コリントゲームをつくる 美的表現活動・探究認識活動　2 歳 〜

活動の組み立て 2 〜 3 歳児のはじめてのコリントゲームづくりは割 箸を使ってつくりました。スタートとゴール地点に ドットシールを貼ると成功した時の成就感が生まれ ます。

2 歳〜

正方形の板はダンボールを 使い、一辺が割箸の長さで す。中に使う割箸は少し短 くしてあります。

55

3 歳児

穴をあけると操作が少し難 しくなります。 2 歳〜

1-球・活動記録.indd 55

07.8.22 8:52:04 AM

球が転がり落ちていくコリントゲーム 小割（小さな角棒）や木っ端を使って つくります。ボード面や小割、木っ端 の色づけをしてから貼っていくと仕上 りがきれいです。球はスチールボール やビー玉を使います。

56

4 歳児

8 歳児

1-球・活動記録.indd 56

4 歳児

07.8.22 8:52:05 AM

コリントの塔 木っ端や発泡材を芯にして塔 をつくり、これに紙粘土で コースをつくったり、ホース を利用したりしてつくりま す。

10 歳児

8 歳児

4 〜 5 歳児

1-球・活動記録.indd 57

4 〜 5 歳児

07.8.22 8:52:07 AM

いろいろなコリントゲーム いろいろな材料を利用すればいろいろ なコリントゲームがつくれます。

四角い紙管と割箸でつくりました。穴は電気ドリルで あけておきます。2 歳〜

した。

りつけま

っ端を貼

小さな木 3 歳〜

長い板に釘を打ち

つけました。4 歳〜

58

7 歳児 8 歳児 点とりゲームが

輪ゴムを利用して玉をはじく棒 を取りつけました。10 歳児

できました。

小学生

1-球・活動記録.indd 58

07.8.22 8:52:09 AM

ジャンボコリント　4 〜 5 歳児 不用になったドアに木っ端をつけてつくりました。 ① 両サイドに枠を取りつけます。 ② 木っ端を貼ります。 ③ ビーズやビー玉を転がして球がスムーズにすべ り落ちるように修正します。 ④ 白の水性ペイントをハケで塗ります。 ⑤ 赤、黄、青、黒等の水性ペイントを板上で混色 しながら塗ります。

保育者が受け皿をつくりました。

1-球・活動記録.indd 59

07.8.22 8:52:10 AM

4 〜 5 歳児

60

24  球の造形活動 

雨の日のあじさい 美的表現活動・探究認識活動・共感共同活動　4 歳 〜

活動のねらい

活動の組み立て

粘土と糸と折紙と絵具、全く違う素材を関係づけた

① 紫、ピンク、空色、青等のポスターカラーを紙

造形活動。異質なものを関係づける楽しさを感じさ

粘土に混ぜて直径 2 〜 5 c m の色粘土の球をつくり、

せます。

これをヘビ状にしてから小さな球を幾つもつくりま す。 ② 木工用ボンドで紺色のラシャ紙に小さな球をつ けてつぶします。緑や黄緑色の折紙を破り、葉っぱを つくって貼ります。 ③ 凧糸に白の液状にしたポスターカラーをしみ込 ませ両端を押さえて、真中を持ちあげてつま引くよ うにすると白い線が雨となって現れます。

ポスターカラーを混 ぜた紙粘土

1-球・活動記録.indd 60

07.8.22 8:52:12 AM

たくさん子どもがいる場合には 地色のラシャ紙を丸く切って、 その上に花びらをのせてから大 画面に貼ると活動がスムーズに 進みます。

指導者養成講座の受 講生も大喜び。 「子どもの頃、大工

4 〜 5 歳児

さんがやってたね」

割箸に絵具をつけて スタンピングすると 茎ができます。 受講生

4 〜 5 歳児

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07.8.22 8:52:14 AM

25  球の造形活動 

球の分割

美的表現活動・探究認識活動　3 歳 〜

活動のねらい 球を分割して現れる形を知り、見える外部と見えな い内部の関係を感じとります。 活動の注意点 ① 最初に球をスライス状に切って球の断面がすべ て円であることを示します。 ② 子どもにスチロールカッターで自由に球を切断 させます。 ③ 内部に塗る色と外部に塗る色に変化をつけると 内外の関係が際立ちます。

パズル遊び

62 オブジェ

スチロールカッターでゆっくり

切断面に指で色塗り。4 歳児

切ります。4 歳児

1-球・活動記録.indd 62

07.8.22 8:52:20 AM

26  球の造形活動 

丸いロウソクづくり

美的表現活動・探究認識活動　3 歳 〜

活動のねらい ① 半球を重ねると球ができることを知ります。 ② 型の役割とロウソクのつくり方を理解します。 活動の組み立て ① ロウとクレヨン（クレパス）を一緒に温めて溶か します。 ② ガムテープの芯等の紙管に紙粘土をつめてから ≪カラーボール≫を押し込んで半球状のくぼみをつ くり、これに色のついたロウを流し込みます。色違 いの半球を 2 個つくります。 ③ 直径状に凧糸を置きロウをたらして 2 個の半球を 接着させます。

63

木球でつくった半球状のくぼみにロウを流しま す。幾つもの色を加えると模様がつくれます。

粘土を紙管につめます。

型の中の半球にもう一つの半球を合 わせて置き、固まるのを待ちます。

一度固まった球をまた液状のロ ウの中に何度も入れるとだんだ ん大きく卵形になっていきま す。

1-球・活動記録.indd 63

半球のままのロウソクや、固まりきらないいろい ろな色のロウソクをつけてナイフで削ると不思議 な模様が出てきます（写真の円錐のロウソク） 。

07.8.22 8:52:22 AM

27  球の造形活動 

石膏で球をつくる 美的表現活動・探究認識活動　3 歳 〜

64

活動のねらい

活動の注意点

① 半球を重ねて球をつくる活動を石膏を材料にし

① 半球を二つ合わせて球をつくる時は直面を紙ヤ

て行います。

スリに当てて平らにしてから木工用ボンドで貼り合

② 淡い色調の美しさを感じとります。

わせます。

③ 石膏の溶き方を学びます。

②彩色は絵具を水で溶いて、うすめの液を使うと淡 い色調が表現されます。

石膏液をつくります。

椀状の発泡スチロールに石膏液を流し

球体の石膏に絵具をうすめた液を塗り

入れて固まるのを待ちます。

込んでいくとしゃぼん玉のようなオブ ジェができます。

半球のプラスチック容器に食品用ラッ プを敷き、均等に 7 〜 8 m m の紙粘土 の層をつくり、乾燥させると半球の椀 をつくることもできます。

1-球・活動記録.indd 64

07.8.22 8:52:30 AM

28  ボール遊び 

コマで遊ぶ 探究認識活動　1 歳 〜

活動のねらい ① 球に絶縁テープ等で模様をつけて回転させると パターンの変化を楽しめます *。1 歳〜 ② いろいろなものを回して遊びます。回転するこ とによって思わぬ形が出現します。 ③ エネルギーをかけることによって質的変化をす

A

る現象を感じとります。4 歳〜

B

65

* 絶縁テープを貼って回転させてみましょう。

A

B

身のまわりのいろいろな形を回転させてみましょう。A・B は静止と回転の比較のための記号です。

1-球・活動記録.indd 65

07.8.22 8:52:38 AM

いろいろなコマで遊びましょう。4 歳〜

円盤に半球をつけたコマに黒でいろいろなパターンを描くと有彩色が見えることがあります。3 歳〜

放射状に循環色を塗ると輝く 虹のような面になります。

≪ピンボード≫の中央のピン にビーズを差し込み、裏返し て回転させるとコマになりま す。ドットシールを貼ると点 が円となり、色が重なり合っ て同心円状の模様が現れま す。2 歳〜

1-球・活動記録.indd 66

07.8.22 8:52:46 AM

いろいろなコマを回したり、つくったりしてみましょう。4 歳〜

A

67

A

B

C

C

B 身のまわりの物を貼り合わせていろいろなコマをつくってみましょう。 A・B・C は静止と回転の比較のための記号です。4 歳〜

1-球・活動記録.indd 67

07.8.22 8:52:51 AM

29  球の造形活動 

コマをつくる

美的表現活動・探究認識活動　2 歳 〜

活動のねらい ① どんなものにも中心があります。子どもが自分 でつくった不定形の板に中心を探しだしてコマをつ くります。 ② 回転による色や形の変化を楽しみます。

3 歳児

3 歳児

68

3 歳児

5 歳児

3 歳児

1-球・活動記録.indd 68

5 歳児

07.8.22 8:52:52 AM

ベニヤ板（3 〜 4 m m ）を電 動糸鋸で自由な形に切って 半球の軸をつけ、彩色して 仕上げます。両面に半球を つけ、片面には有彩色を塗 り、片面には黒のカッティ

4 歳児

ングシートを貼ると、有彩 色と無彩色の変化を楽しめ ます。 3 歳児

69

4 歳児

3 歳児 中心の見つけ方

7 歳児

割箸等でバランスがとれた ところが中心の位置です。

1-球・活動記録.indd 69

07.8.22 8:52:56 AM

30  球の造形活動 

球をつくる・球でつくる 探究認識活動・美的表現活動・共感共同活動　2 歳 〜

活動のねらい いろいろ工夫をして球をつくって遊びます。

3 本の同じ長さの線状に切った丈 夫な紙を貼り合わせるとつくれま す。斜面を転がしてみましょう。 4 歳〜

新聞紙を丸めて、 ちぎった折紙を貼っていきます。蹴っても、 ぶつけても痛くないボールがつくれます。2 歳〜

荷づくりテープでつくったボール。5 歳〜

10 歳児

ゴム風船に紙粘土や新聞紙を貼る と張子のマスクや球のオブジェが つくれます。4 歳〜

1-球・活動記録.indd 70

07.8.22 8:52:58 AM

ボール紙を 2 枚貼 り 合 わ せ た 15 〜 20 c m の 円 盤 が 2 枚必要です。

71 円盤 2 枚にそれぞれ中心までの割り込みを入れてから、マス

　3 歳児

キングテープを平行に貼り、色を塗ります。組み合わせ方に よっていろいろな動きが生まれます。テープの貼りつけをサ ポートすれば 2 歳児から楽しめます。1 〜 2 歳児

　3 歳児

球を車輪にしたクルマ ベニヤ板や角材を利用したクルマ づくりには木っ端を与えて自由に 車体をつくらせます。紙粘土をつ けるとひと味違ったマイカーが誕 生します。2 歳〜

1-球・活動記録.indd 71

07.8.22 8:53:01 AM

①

31  球の料理活動 

クッキーづくり

美的表現活動・共感共同活動・探究認識活動　2 歳 〜 ④

活動のねらい 球体をのばしてできる形を知ります。

72

活動の組み立て ① とかしたバターと砂糖を混ぜ合わせます。 ② さらに溶き卵を加えて混ぜます。 ③ よく混ざったら、ふるいにかけた小麦粉とベー キングパウダーを加えてふたたび混ぜます。 ④ 生地を小分けにして団子状に丸めます。 ⑤ めん棒や手のひらを使って平らにのばします。 ⑥ 型で抜いてクッキングペーパーに並べ、チョコ 等をトッピングします。 ⑦ オーブンで焼いてできあがりです。

⑥

⑦

1-球・活動記録.indd 72

07.8.22 8:53:05 AM

32  球の料理活動 

つみれ汁づくり 探究認識活動・共感共同活動　2 歳 〜

活動の組み立て ① 水の入った鍋に昆布を入れて 20 〜 30 分置いてお

⑥ 鰹節を入れ、2 〜 3 分煮立たせ、そのまま沈むま

きます。

で待って布巾でこします。

② 背開きして皮をはがしたイワシを包丁で細かく

⑦ 丸めたつみれとぬるま湯で戻した手まり麩を鍋

たたきます。

に入れ、つみれが浮かんでくるまで煮た後、灰汁を

③ ねぎをみじん切りにしてイワシに混ぜます。

とります。

④ ボールに入れてしょうが、しょうゆ、片栗粉を

⑧ 味を整え、三つ葉を加えてできあがり。

加え手でよく混ぜ、団子状に丸めます。 ⑤ 鍋を弱火にかけ、煮立つ寸前に昆布を取りだし ます。その間に鰹節を削ります。

73

②

1-球・活動記録.indd 73

④

⑤

07.8.22 8:57:05 AM

33  球の造形活動 

果物・野菜の制作 美的表現活動・探究認識活動・共感共同活動　2 歳〜

活動のねらい

活動の組み立て

① 球が身近な自然の中にたくさんあることを知り

① 球状のモチーフを粘土でつくり、これをベニヤ

ます。

板に木工用ボンドで接着し、手で押しつけます。

②  2 〜 3 歳でもレリーフによる制作によって、描く

② ベニヤ板、粘土部分共に白の水性ペイントで白

対象の形が失われません。

地に塗ってから描画をはじめます。

74

か  き　5 歳児

塑  造　5 歳児

とうもろこし　4 歳児

1-球・活動記録.indd 74

07.8.22 8:57:06 AM

活動の注意点 果物や野菜の形にした粘土が乾いたら、色づけはモ

ようにして下さい。8 〜 9 歳児以上の児童を対象に

チーフの中にある一番色味の少ない色を見つけだ

したきっかけづくりの指示です。この作業によって、

し、その色から順に強い色を塗っていくと実物に近

形と色の関係に敏感になります。

い彩色ができますが、決して強制することはしない

75

果物　3 歳児

ぶどう　4 歳児

塑造・ざくろ　4 歳児 発泡スチロールの球に粘土 をつけてつくると球体との 関係がよく解ります。

小さなお団子をつくって針 金を刺したさくらんぼ

2 歳〜 ぶどう 3 歳児

1-球・活動記録.indd 75

07.8.22 8:57:09 AM

34  球の造形活動 

果物・野菜の描画

活動のねらい 粘土でつくり、色づけをした果物や野菜をこんどは 絵によって表現します。モチーフは実物を用意しま す。この作業でいつも立体として捉えていた球は円

美的表現活動・探究認識活動・共感共同活動　3 歳〜

となって表現され、球と円はここでも結びつきます。

さくらんぼ　3 歳児

かぼちゃ　4 歳児

りんご　3 歳児

夏みかん　4 歳児

さくらんぼ　3 歳児

　野  菜　4 歳児

メロン　3 歳児

野  菜　4 歳児

76

1-球・活動記録.indd 76

07.8.22 8:57:11 AM

ざくろ　5 歳児

イーゼルを使用すると全体がバランスよく目に 入り、腕を使って描けるので勢いのある画面が 表現されやすくなります。

1-球・活動記録.indd 77

07.8.22 8:57:11 AM

夏みかん　4 歳児

78

ざくろ　5 歳児

1-球・活動記録.indd 78

07.8.22 8:57:12 AM

果  物　4 歳児

79

かぼちゃ　6 歳児

1-球・活動記録.indd 79

07.8.22 8:57:14 AM

35  球の造形活動 

木炭画

美的表現活動・探究認識活動・共感共同活動　3 歳〜

活動のねらい 木炭は印象を線と面によって一気に描ける画材で す。使い慣れない新鮮な画材が子どもの表現意欲を 刺激します。 果  物　4 歳児

80

キャベツ　5 歳児

キャベツ　5 歳児

1-球・活動記録.indd 80

果  物　5 歳児

07.8.22 8:57:16 AM

さつまいも　5 歳児

81

ぶどう　4 歳児

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07.8.22 8:57:17 AM

36  球の造形活動 

パンの描画

美的表現活動・探究認識活動・共感共同活動　3 歳〜

活動のねらい ここでは球に類似した形だけでなく、方形の食パン 等も取り入れて、球形と異なる形も加え、同じ形、 似ている形、違う形を感じとりながら描きます。 7 歳児

82

5 歳児

4 歳児

1-球・活動記録.indd 82

07.8.22 8:57:18 AM

3 歳児

83

6 歳児

5 歳児

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07.8.22 8:57:19 AM

37  球の造形活動 

パイナップルを描く

美的表現活動・探究認識活動・共感共同活動　3 歳〜

活動のねらい パイナップルは多くの子ども達が集中して取り組む モチーフの一つです。表面の凹凸の変化と葉のコン トラストが子どもの関心を捉え、自ずと手数が多く なるので複雑多様な画面がつくられていきます。 撫でたり、嗅いだり、持ちあげたり して対象を感じとります。りんごと の比較もしてみました。

84

ベニヤ板に鉛筆や木炭で形をとって

粘土をつけ終わったら彩色します。

から、木工用ボンドを紙粘土につけ

ベニヤ板に白を塗ると色の変化が複

て貼っていきます。

雑になり、発色がよくなります。

レリーフ描画　4 歳児

1-球・活動記録.indd 84

ベニヤ板を切って制作。5 歳児

レリーフ描画　7 歳児

07.8.22 8:57:20 AM

85

　レリーフ描画　3 歳児

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07.8.22 8:57:22 AM

86

レリーフ描画　4 歳児

レリーフ描画　4 歳児

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レリーフ描画　3 歳児

レリーフ描画　5 歳児

07.8.22 8:57:23 AM

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水  彩　4 歳児

水  彩　4 歳児

水  彩　4 歳児

水  彩　4 歳児

07.8.22 8:57:24 AM

4 歳児

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07.8.22 8:57:25 AM

木炭画

5 歳児

3 歳児

5 歳児

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5 歳児

5 歳児

5 歳児

5 歳児

5 歳児

5 歳児

07.8.22 8:57:26 AM

この章はフレーベルの文献や荘司雅子先生の御著書、玉成保育専門学校の文献、 そしてエドワード・ヴィーベの『子どもの楽園』を元に著者が独断を恐れず書 き改めたものです。フレーベルの直訳は『フレーベル全集』第四巻（玉川大学出 版部）にあります。読み較べていただければ、なお理解が深まると思います。

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Ⅱ  ボール遊びをはじめる前に フレーベル解体新書

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07.8.22 9:09:20 AM

ボール * は万物のシンボル

　私達が住んでいる地球は球体です。球の上で私達は立ったり座った り、寝たり歩いたりしています。その私達に光によるエネルギーを与 え続けてくれている太陽も球体です。そして、私達の身体は精子と合 体した球体の卵細胞が核分裂を繰り返してできたものです。大宇宙 は球体をしているに違いない、そんな思いが頭をよぎります。人間の 心、人間の精神の基底にあるものとして使われている魂という言葉も 玉（タマ）が語源です。 　ドイツ語のボールには＜万物の肖像＞＜万物の似姿＞という意味が あります。すべてのものは球体に集約されることを意味しています。 　そのためでしょうか、このボール＝球は子どもから大人までを魅了 し、様々なゲームやスポーツに使われていますが、とりわけ子ども達 に愛されています。 　その最大の理由は幼い子どもは、いろいろなものごとをボールの中 に感じとり、ボールを自分と同じように動きまわり跳ねまわることの 92

できる分身のように感じるからです。 　このように子どもがボールを自分の分身として感じることは、人間 としての自覚がはじまったことを意味します。なぜなら、人間は自分 に似ているものを通して、自分を成長させようとするからです。やが て友達、身のまわりの人達、自然、宇宙の現象が人間洞察を深めてい くための糧になるように、ボールは子どもの成長を促す手段になって います。 　それだけでなく子どもは、ボールの中に、様々なものをイメージし、 イメージしたものに自分自身の姿を重ねて、自分とそのものを同時に 理解していきます。 　また最も単純な形体という点でボールは最初に与える童具となりま

* 球とボールの言葉の使いわけ 通常は＜ボール＞の表現をしますが、とくに形体について言及す る時に＜球＞あるいは＜球体＞の語を使用します。

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す。単純なものからしだいに複雑なものへ、単一な世界からしだいに 多様な世界へ、これがものごとを理解する筋道だからです。

全体を示すボール

　子どもは弾むボールを見ると、自分も跳びはねて、自分とボールの 共通点、一致点を見つけるように、他者や事物にも自分自身やボール と共通するものを見つけようとします。ボールをクルマにみたてたり、 おとぎ話の登場人物に自分と同じ心や行動を読みとったり、身近な一 つ一つの物の中に知ったものをイメージするのも同じことです。 　これは対象の特徴や本質を直感する力が育っていることの表れです が、この力を育てるためには部分ではなく全体に意識を向かわせるこ とが大切です。 　これは一人ひとりの人間の成長過程についても、また民族や人類の 発展史についても、全体の流れを掴まなければ正しく理解できないこ とや、一人の子どもを知るには、それが明るい面であろうと、暗い面 であろうと、その子の生活全体を客観的に捉えねばならないのと同じ ことです。

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　料理をするにしてもすべての材料や調理する時間を頭に入れてつく らなければスムーズにことは運びません。 　また、人体を描く時、常に全体の形を意識して頭部や胴体や腕、脚 のバランスを観察しなければしぜんな姿を表現することはできません。 　どれも全体を捉えることの大切さを意味しています。 　子どもにこの全体を一瞬のうちに理解させる最適な対象がボールで す。ボールはどこから見ても、いつも同じ形をしています。そんな形 は他にはありません。

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ボールが直感させるもの

　そしてボールは、1 匹の犬や、1 台の机、1 本の樹木、一人の人間 のように、自己完結したものとしての万物の肖像であり、りんごのよ ひら

うな丸い形をしたものや、種子のようにその中から多様な可能性が拓 けてくるものの象徴的な存在でもあります。 　つまり、一つの存在としての＜単一性＞と、一つの存在の中に様々 な発展性を秘めている＜統一性＞を直感させるものとして存在します。 　そしてまたボールは、中心点から表面までの半径が一定していると いう、＜秩序があることによって発展していく、あらゆるものごとの 典型＞であり、同時に、どこから見ても左右対称の姿を保って立つ姿 バランス

によって、＜均衡＞と＜調和＞の関係も暗示させます。 　そしてさらに重要なことは、子どもが遊びを生みだす創造力、ボー ルで遊ぶ創造力、これと同質の力によって人間も自然もつくりだされ ていることを直感することです。それは、すべての生命を生みだし動 かしている＜創造エネルギー＞の存在です。その存在を理解させ、子 94

ども自身からもこのエネルギーを導きだすことが子育てや教育の最重 要課題です。この創造エネルギーを＜神の働き＞と感じ、その働きを 司る存在を＜神＝創造主＞と呼ぶ人達もいます。

ボールが発達させる手の機能

　ところで私達は子どもが喜んでなんでも握ったり掴んだりしたがる のをよく見かけます。この人間の手はもともと片手でも両手でも一つ のボールを包むのにふさわしいように形づくられています。 　そのために幼な子の小さな手にまずボールを与えることからはじめ ます。最初はただ掴んだり握ったりするだけで子どもはその丸さを理

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解し、やがてボールを持つようになります。 　ボールを掴めば子どもの指や手や腕の筋肉は強くなります。そし

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て手や指がボールそのものを自由に扱えるようになると、他の事物を きちんと取り扱えるようになっていきます。ダウン症児とある時期関 わったことがありますが、この子はボールを巧みに扱えるようになる のと同時に、積木遊びがスムーズにできるようになりました。 　人間の生活ではものごとの正しい理解と、正しい取り扱いが基本と なります。たとえ身のまわりにある一つの物でも、それをいろいろ工 夫して扱うことは、知恵を深め、技を磨くうえで、子どもの将来の生 活にとってかけがえのないものとなります。

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紐つきボール

　さて、では子どもの発達のために、ボールをどのように扱えばよい のか。答えは単純明快、ボールの本質と子どもの要求に素直にしたが えばいいのです。 　しかし、乳児には、子どもの手元にあるようにしなければ遊ぶこと ができません。そこでまず、1 本の紐を取りつけたボールを用意しま す。そして、ボールを手離そうとしない乳児に、ボールが自分と違う 存在であることを知覚させるために、このボールをそっと乳児の手か ら引くことからはじめます（ P . 108 写真）。大人がボールを持ちあげ ると、乳児の腕も一緒に持ちあがります。紐をゆるめると乳児の手と 腕は自分の重みで元の位置に下がります。この活動を繰り返すと乳児 はだんだん喜ぶようになります。 　これがボールで子どもと一緒にする最初の遊びです。やがてこの遊 びから新しい遊びが生まれてきます。それは紐でボールを引いたり持 ちあげたりするうちに、ボールが子どもの手から離れ、独立した別個 96

の物として静かに自由に動く時です。 　前にはしっかり握っていたものが、いまは目の前で動くことによっ て＜自分以外の存在＞に対する関心が生まれ、これまで味わったこと のない新しい感情を生むようになります。それによって、身のまわり についての認識は、ボールを通してしぜんに広がっていきます。 　この取るに足らぬような遊びによって子どもは、いままで母の胸を 通して感じていた＜結合＞と＜分離＞の感覚を、ボールによっても知 覚します。 　そしてこの遊びの反復によって も

の

＜唯一の実在＞　世界にたった一つしかない存在。 も

の

＜統一された実在＞　様々な可能性を秘めている自己完結した存在。

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も

の

＜別々の実在＞　自分でない、他の存在。 も

の

＜分離した実在＞　かつては結合していたのに、いまは分離している 存在。 　このような知覚を身につけます。

九つの知覚

　以上のような子どもの意識の発達や、子どもの中に目覚めつつある 力と活動への意欲、そしておぼつかない表現の中に秘められている子 どもの欲求を大人が敏感に読みとることによって、落ち着いた元気な 子が育ちます。しかし、そのためには子どもの意識の動きを読みとる ための＜測定器＞のようなものが必要になります。ボールはそのため のものでもあります。 　ボール遊びの中で子どもには 　いま存在していること＝＜現存＞ 　存在しているものが消えてなくなること＝＜消失＞ 　消えてなくなったと思えたものが再び現れること＝＜再現＞ の観念が芽生えます。

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　同時に＜結合と分離＞から＜再結合＞の観念も直感されます。 　それは、母体からの誕生とその後の共同生活、出会いと別れと再会 等に共通するものですが、それによって子どもは見失ったものを探す ようになります。

　そして 　＜現在＞所有しているということと 　＜過去＞に所有していたということから 再び所有するだろうという＜未来＞に対する観念も生まれてきます。

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　その中で 　＜在る＞こと＜存在＞ 　＜持つ＞こと＜所有＞ 　＜成る＞こと＜生成＞ 　つまり、＜存在するもの＞に対しては、＜持つ＝働きかける＞こと によって＜新しい事態が生まれる＝生成する＞ことを知っていきます。 　こうした諸観念は子どもの誕生と同時に子どもの中にぼんやり現れ てくる最初の知覚です。しかし、それはその後、ものごとを感じ考え ていくうえでの基盤となります。 　そして、これらの知覚と同時に最初は区別できなかった 　＜対象＞と＜時間＞と＜空間＞ の三つの最も基本的な知覚が発達します。ある対象（物やものごと） を意識した時、かならずそこには時間と空間は切り離せないものとし て存在します。 　そしてまた空間と対象の知覚から 　＜上下＞と＜左右＞と＜前後＞の知覚が生まれ 98

やがて対象との時間に関して 　＜現在＞＜過去＞＜未来＞の知覚が発達してきます。 　そしてそれは＜存在＞＜所有＞＜生成＞の活動を通して、確かな知 覚になっていきます。 　このものごとを客観的に認識していくうえで、なくてはならない ＜九つの知覚＞を 1 個のボール遊びによって発達させているのです。 　子どものすべての発達の基礎は、このような活動の、かすかな刺激 と知覚の積み重ねによってつくられていきます。はじめは跡かたもな く消えていくような知覚が、数えきれないほどの繰り返しによってし だいに子どもの中で確かなものになっていきます。 　このような原理・原則的なものごとのあり様を人生の最初の段階で

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直感することは、その後経験する複雑多様なものごとを紐解く重要な 手がかりになります。

ボールによる意識の発達

　人間が理性的な存在になっていくためには、まず第一に＜存在・所 有・生成＞の観念をしっかり体得し、対象に働きかけることによって ものごとが成就していくことを実感させることが大切です。 　そのために私達は、子どもと遊ぶ時に、自分の感情に素直にした がって、子どもの気持と、見たり触ったりすることのできる対象物 （ボール）とを結びつけて言葉にします。 　言葉と物を結びつけることによって 　音のしないもの（対象物）と音のするもの（言葉） 　とどまるもの（対象物）と消えていくもの（言葉） 　見えるもの（対象物）と見えないもの（言葉） 　肉体的なもの（対象物）と精神的なもの（言葉） 　この両者の結びつきによって、子どもの中で対象物に対する＜意 識＞は生まれ、育っていきます。

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　この意識形成は人間理解とも密接な関係をもっています。対象物 を意識することは自分を意識することになり、＜自己意識＞も育んで いくからです。自分自身を意識することは、人生の最初の課題であり、 これを洞察していくことは人間の生涯の課題になります。

ボール遊びの中で生まれる言葉

　 「人間とは何か」 「自分の存在理由はどこにあるのか」この課題の解 決のために子どもは誕生と同時に、ある一定の＜場所＞と身のまわり

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の＜対象物＞と、人間の＜言葉＞に取り囲まれて育ちます。そのため、 生気づける言葉や歌を子どもの遊びの中では常に取り入れます。 　子どもを理解している大人は、自分のこともよく解っています。 　自己理解ができている大人は、子どもに対して適切な言葉がけがし ぜんにできます。まだ言葉を理解しない子どもに語りかけることが無 駄でないことも知っています。それは誕生後間もない乳児を愛撫しな がら、話しかけている母親の姿によく表れています。楽しく仲よく遊 んで下さい。仲よく遊べば、適切な歌や言葉が口から無意識のうちに 繰り返し出てきます。 　この時の心情的な＜遊び言葉＞には、高い人間性が宿っています。 なぜなら、子どもと素直に無心につながろうとする共感感情は、宇宙 生命に秘められている＜調和の原理＞に一致するからです。生命の本 質に素直にしたがった時の言葉や行動は人間性を高め、他者の感情も 目覚めさせます。 　ここで、私達にとって大切なことは、子どもの最初のかすかな表情 や動作を、子どもの＜身体的・心情的・精神的＞なメッセージとして 100

感じとることです。 　子どもの＜教育の中心点、出発点は心情的なもの＞です。もちろん 心情的なものと並んで＜活動と思考＞や、＜肉体と精神＞も絶えず発 達しています。思考は活動によって呼びさまされ、活動は思考によっ て意識されますが、その根底には心情の働きがなければ心を動かしま せん。心情とは心の中で感じる思いや願いです。

ボール遊びを類似物で

　繰り返しますが、ボールは自己完結した事物の典型です。そして ＜一つの存在＞を通して、子どもの意志を表現するための媒介物とも

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なります。 　さて、ボールの幾つかの現象、例えば、探す−見つける−取って くる（現存−消失−再現） 、捕らえる−掴む―持つ、転がす−バウン ドさせる−投げる等の活動は、他のものによってもできます。例えば、 りんご、ハンカチ、毛糸玉、鍵等を使っても同じことができること もあります。それによって子どもの認識は広がり、多様と統一の関係 が確かなものになっていきます。他の事物による同じ活動、同じ言葉 がけによって、その活動や言葉が一つのことだけを意味するのではな く、他のものごとにも通用することを感じとっていくからです。それ は、同じ活動や言葉によって、無関係に見えるものが関係づけられる ことです。その点でボールはどんな時でも、そうした多様な遊びを統 一し、解明し、説明するものとして、つまり媒介の手段、理解の手段 として、子どもと私達の身のまわりのものを結びつける役割をします。

身体機能を発達させるボール

　やがて、乳児が一人で座ったり、ある場所から他の場所へ這ってい けるようになったら、ボール遊びはさらに発展していきます。

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　例えば、居間にカーペットを広げ、その上に子どもを座らせて、1 個のボールを与えて好きなように遊ばせることができます。そして、 次には適当な大きさのボールを丈夫な紐につなぎ、それを大人が手で 持てば子どもはボールを揺り動かして遊んだり、それに掴まって立つ ようにもなります。この方がイスやベンチに掴まるよりも、うまくバ ランスをとることができます。たとえ子どもが倒れたとしても、イス やベンチに掴まって立つ時よりもはるかに安全です。 　また、紐のついた大きなボールを座っている子どもにしっかり持た せ、これを少しずつ高く引きあげてみましょう。上げたり下げたりす

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る運動は、子どもを喜ばせるだけでなく、子どもの全身の筋肉、とく に腰の筋肉や脚の筋肉を強めることができます。そして、子どもが立 つ状態までボールを引きあげる動作を繰り返すと、やがてしぜんに一 人で立つことができるようになります。 　立てるようになると、素晴しい活動が待っています。父親との遊び です。ボールが父と子を結びつける役割を果たすようになり、子ども は父親を通しても成長することができるようになります。母親がなご やかな言葉によって遊ぶのに対して、父親は＜力＞を子どもに使わせ たり、示したりしながら、子どもを発達させていけます。 　このように、ボール遊びは子ども達の身体機能を発達させる大切な 手段にもなります。

ボール遊びの多様と統一

　以上のように、0 〜 1 歳児のボール遊びは様々な能力を開発するう えで欠かすことのできないものですが、なかでも重要なことは、種々 102

様々な遊びはすべて 1 個のボールから現れ、再び 1 個のボールに帰す ことを、子どもに感じさせることです。それは、自己統一的なボール の多様性を示すことであり、統一から発展して再び統一に帰結するも のであることを直感させます。多様と統一の知覚と、多様と統一の間 の生き生きとした相互関係の知覚の獲得、これ以上重要な知覚は他に ありません。 　そしてまた、遊びを子どもの側から考察すれば、あらゆる活動は自 己統一的な一人の子どもから発展し、再び自己統一的な一人の子ども に統合されていきます。 　その中で子どもは、自分が統一性と多様性とを持っていて、それ を周囲の環境との関係によって発展させていくことを感じとっていき

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ます。ボールはその子どもの統一性と多様性を豊かにする媒介物で す。なぜなら、ボールそれ自身があらゆる対象物の身代り的存在とし

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て、あらゆるものを統一し、多様化するものとしてあるからです。

自然の法則を学ぶ

　さらにボールは、量・材質・空間（位置）・形状・数を示すもので あり、力（弾力）を持ち、これによって静止と運動を引きだし、色も ついています。材質によっては音も呼び起こし、重さもあります。つ まりあらゆる物体の一般的な特性をそなえているものとしても存在 します。そればかりか、その落下によって、あるいは紐による運動に

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よって、自然現象や自然の法則、とりわけ地球の引力の直感に導いて もいます。私達が引力の中でバランスを保って生きている点で、この ことは深い意味をもちます。 　以上のことから、ボールは私達と子どもを関係づける童具として、 誕生と同時に、子どもの生活の中心に置くべきものです。あらゆる自 然現象、あらゆる生命活動を直感したり認識したりする中心にボール を位置づけることが大切です。子どもにとって、生命より魅惑的なも のはありません。ボールは動きによって、生命を直感させます。しか し、残念ながらいくら巧みな教育法でも、乳児期から、自然と生命の 関係性について、言語や絵本でそれを理解させたり、自然と生命の調 和に意識を向かわせることはできません。そこで、ボールによって最 初は両親と子どもとを関係づけるもの、あるいは、身のまわりの人や 物と子どもを関係づけるものとして扱います。それによって、ボール は自然の、そしてあらゆる生命のあり様を集約するものとして、子ど もの意識の中心に置かれるようになっていきます。 　こうした中で子どもは自分を感じ、自分を見いだすようになります。 104

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つまり子どもはボール遊びによる＜感じ知覚する活動＞＜動き創造す

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る活動＞＜思考し比較する活動＞の中から、自分を感じ、自己発見し ていきます。 こた

　このようにボール遊びは、子どもの肉体や精神の欲求に応え、人間 としての自覚に導くものとして存在します。

人間の本質の三重性

　さて、いろいろ述べたボール遊びは、子どもを＜人間の本質の三重 性＞において捉えたものでもあります。 　人間の本質の三重性とは＜感性と知性を働かせて創造する存在＞で す。つまり＜感ずるもの＞＜思考するもの＞＜創造するもの＞として の生命です。 　このことは、子どもの遊びは子どもを＜役立つもの＞＜美しいも の＞＜真実のもの＞、つまり＜生活＞と＜芸術＞と＜科学＞が調和さ れた世界へ導くものであるということをも意味します。ですから決し て一面的に、一つだけの要素を取りだして遊ばせることのないように して下さい。この創造共育はそのために様々な活動を用意します。

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　その中で、子どもの＜知力＞はボールによって驚くほど発達してい きます。例えば子どもはボールによって、一つの物体を静止した状態 だけでなく、現象の変化についても捉えることを学びます。そしてい ろいろなボール遊びは、すでに知っている物を再認識させ、＜比較し たり＞＜推理したり＞＜判断したり＞する思考力も育てます。

　以上のように私達はボールがすべての中心に位置づけられることを 知りました。なぜなら、子どもの生活、母親や父親の生活、そして子 どもの全環境が、ボールによって生き生きとイメージできるようにな るからです。 　ここでさらに知っておきたいことは、このボール遊びによって、子 どもの心情は、私達の感情と思考と行動によって、また愛と願いが込 められることによって育まれていくことです。決してボールだけがあ ればいいのではなく、ボールを媒介にした触れ合いこそがボール遊び に生命を与えるのです。

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三重的存在

　もう一度繰り返します。お母さん、お父さん、保育者の方々！ 　まだ全く頼りない発達段階にある子どもでも、ボール遊びに対して、 たとえ生き生きとした反応がなかったとしても、子どもの感受性が働 いていないなどと考えないで下さい。子どもがボール遊びから感知す るものは、ちょうど深く地中にある種子や、あるいは硬い外皮に包ま れた樹木のつぼみが、春の太陽や、一瞬のうちに過ぎ去るそよ風を感 じとるのと同じなのです。ですから、その後の子どもの様々な成長要 素を、乳児の時に感じとり、それを注意深く育もうとしなければ、や がて発達のきざしが現れてきても、それを見抜くことはできませんし、

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その援助をすることもできないのです。 　すべてのことは関係性を意識した時にだけ 　目に見えないもの 　目に見えないのに認められるもの 　目に見えるもの 　この変わることのない＜三重的な存在＞が理解され、それによって はじめて真理も生命そのものも感得できるようになるのです。 　この三重的な存在については、例えば子どもの誕生の過程を考えて みて下さい。精子と卵子が合体した時、目には見えませんが新しい生 命は確かに存在しています。やがて母体の中で動くようになると、目 には見えませんが存在は認められます。そして誕生と同時にそれは目 に見えるものとして存在するようになります。これが三重的な存在の ものの見方です。子どもの内部で発達している諸要素もこれと少しも 変わりません。 　そして、ボール遊びで重要な点がもう一つあります。言語能力の発 達です。すでに述べたように、ボール遊びを通して、自分自身を発見 するのと同じように、遊びによって言語能力の発達が促されていきま す。子どもはその中でより確かに自己発見をし、成長します。

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　以上のように、ボールは子どもにあらゆることを感じとらせる媒 介物となります。そして最初の童具として子どもの友達になります。 ボールによって子どもは自分自身を発達させ、人間の本性を導きだし、 宇宙を網み目のように取りまいている目に見えない秩序を感じとらせ、 身体と精神のバランスがとれるように成長させていきます。 　子どもの願いはボール遊びの中に現れ、外界のあらゆる現象はボー ルによって統一されて子どもに示されます。

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この章はフレーベルの文献や荘司雅子先生の御著書、玉成保育専門学校の文献、 そしてエドワード・ヴィーベの『子どもの楽園』を元に著者が独断を恐れず書 き改めたものです。フレーベルの直訳は『フレーベル全集』第四巻（玉川大学出 版部）にあります。読み較べていただければ、なお理解が深まると思います。

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Ⅲ  乳幼児からのボール遊びの展開 フレーベル解体新書

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おすわりするようになるまでの 紐つきボール遊び ケルンボール

ケルンボールで遊ぶ  ⑴

① ボールを一つ握って

　お母さんはほほえみを浮かべてやさしく語りかけます。

　 「しっかり持ってちょうだいよ。ほら、ゆっくり、ゆっくり持ちあ げるわよ」 　 「さあ、こんどはリナちゃんが引っ張ってね。イチ・ニ・イチ・ニ」 　一つの≪ケルンボール≫ * で遊ぶ時には、残像が最も残る赤いボー 110

ルを＜主人公＝基本ボール＞にして下さい。他のボールと一緒に扱う 時には、できるだけ赤いボールと関係づけて遊ぶようにします。 　一つの基本ボールを繰り返し与えることによって、乳児はしだいに、 基本ボール以外の存在を意識するようにもなり、他の人、他の物があ ることを感じるようになります。他者の存在を感じることは、自分自 身への意識を強めます。 　そして、基本ボールを設定することによって、10 個のボールの同 形・同量の関係だけでなく、他のボールとの色や動きや位置等の関係 も感じとります。

　乳児がボールから手を離します。ボールは乳児の目の前でゆらりゆ

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* ケルン− K e r n ケルンはドイツ語で種子を意味します。種子は 1 個の粒にすぎま せんが、この中にはやがて葉を繁らせ、花を咲かせ、実をつける 因子とエネルギーを内包させています。子どもも同じです。私達 は子どもに新しい能力を付加するのではなく、すでに内在してい るものを引きだすための働きかけしかできません。それは植物に 水や養分を与えて、育ちやすい環境を用意する庭師の仕事と同じ です。菊をバラに育てることはできません。菊は菊としてバラは バラとして育ちます。そのあり方を大切にすることによって花 は健康に育ちます。W A K U 童具の幾つかにこの名を付したのは、 そんな願いと、それじたいが種子と同じ可能性を秘めているもの であることを暗示させたかったからです。

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らりと揺れています。

　この活動によって、母親の胸に抱かれていた時の一体感とは違った、 分離の感覚を意識するようになります。つまり結合と分離の感覚を、 ボールを握ったり離したりすることによって感じとります。

② 揺らして遊ぶ

　乳児の目の焦点は乳房を含んで母親の顔が見える 20 〜 30 c m の距 離に合うようになっているので、その位置にある、とくに動くものに 関心を示します。 　そこで赤い紐つきボールを目の前でゆっくり揺らしながら語りかけ てあげます（写真 1 ）。

♪  あっち、こっち、あっち、こっち 赤いボールが揺れてるよ 112

あっち、こっち、あっち、こっち

♪  ぶーらん、ぶーらん、ぶーらん、ぶーらん

♪  イチ、ニ、イチ、ニ

　時々静止させて、乳児の視線が合うのを待ってボールを握らせ、

あっち  こっち

写真 1

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ボールの存在（対象）をはっきり意識させます。 　ボールを掴むことは、いま持っていること、少し前には持っていな かったことも意識させ、動くことによって空間も感じさせます。時間 や空間に対する意識は物の存在や動きによってより確かになります。 　そして、ボールを握ったり、動かしたりすることによって、子ども は状況を変えていく力が自分にあることを知り、それによって生命力 が強化され、＜存在―所有―生成＞のあり様を直感していきます。

③ 上げたり下げたり

♪  上に下に　上に下に（写真 2 ） 上がった下がった　上がった下がった 上に下に　上に下に

④ くるくる回す

　誕生直後、ほとんど横向きに寝ている乳児が、やがて上を見ること ができるようになる頃、赤いボールを輪を描くように、最初はできる

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だけゆっくり回してあげます（写真 3 ）。

♪  くるくる　くるくる ボールが回る くるくる　くるくる

くるくる  くるくる

上に  下に

写真 3 写真 2

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輪になって　回る くるくる　くるくる だんだん大きな輪になあれ くるくる　くるくる だんだん小さな輪になった くるくる　くるくる

⑤ 紐を長くして

　生後 3 ヵ月、4 ヵ月たって、だんだん子どもの視野が広がるように なったら、時には紐つきボールを 2 本つなげて遊びます。 　振られた両端が目で捉えきれないほど大きく振ることによって、 ＜現存―消失―再現＞が繰り返されます（写真 4 ）。

♪  ほーらこちらに　ほーらあちらに 近くに遠くに　近くに遠くに ほらボールがくる　ほらボールがいく

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こっちへくる　あっちにいく

⑥ ぶつけ合わせて

　二つの紐つきボールの端を持って球をぶつけ合わせながら語りかけ ます（写真 5 ） 。

近くに  遠くに

  トン

トン  トン  トン

写真 4

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写真 5

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♪  トン、トン、トン、トン 赤と緑が遊んでいるよ トン、トン、トン トン、トン、トン

　時には歌ってあげましょう。

♪  チックタック　チックタック ボーン　ボン おはよう　おはよう……

　二拍子や四拍子の歌に合わせて、ボールをぶつけ合わせて下さい。 　球のぶつかり合う音を楽しみながら乳児は二つのボールがくっつい たり、離れたりするのを見つめます。

⑦ 吊り棒を使って

♪  あっち　こっち

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あっち　こっち ぶーらん　ぶーらん ボールが揺れる ぶーらん　ぶーらん

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　次に 2 個吊るします。この時は循環色で隣の色、例えば赤と橙を用 います（写真 6 ）。

♪  ぶーらん　ぶーらん 赤とオレンジ 二人でブランコ　楽しいな ぶーらん　ぶーらん 右のボールがぶーらん　ぶーらん 左のボールがぶーらん　ぶーらん 二人一緒にぶーらん　ぶーらん

　次に、補色対比、赤に対しては緑のボールを取りつけます。 　3 色にします。循環色の系列から、赤紫−赤−橙を並べます。ある いは三原色、青−赤−黄を並べます。 　しだいに色を増やしていきます。 　5 色の場合は紫−赤紫−赤−橙−黄と並べます。色の循環に沿って 116

ボールを増やしていきます。 　生まれて 3 〜 4 ヵ月たつと、自分から物に働きかけるようになりま す。手を出して、ボールを掴むようになったら、また同じように一つ からはじめて、しだいに球数を増やしていきます。

ぶーらん  ぶーらん

吊り棒 ベッドの両サイドのバーに両端を結びつけます。

写真 6

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⑧ 円盤につけて

　吊るし棒に吊るされた 10 色のボールは同じ形です。しかし、それ はバラバラに目に映ります。これを円盤に吊るすと、色の輪＝色環と して見えてきます。色が互いに関係をもちながら移り変わっていく姿 を輪による循環によって感じさせます。球体は赤−橙−黄−黄緑−緑 −青緑−青−青紫−紫−赤紫の順序で円盤に取りつけます。 　最初に円盤を回して、中心に取りつけられている紐をねじります。 ねじり合わせた紐の間に片方の手の人差し指を入れ、下に押し開くよ うに降ろすと円盤が回転しはじめます。この指を上下に動かし続ける と、円盤は右回転、左回転を交互に繰り返します（写真 7 ）。色のボー ルが、完全につながり、美しい虹の輪が目に映ります。バラバラなも のが、回すという活動によって、一つの円に統一されます。 　これは人間の目にはバラバラに見える様々な事柄が、活動によって、 つながりをもち、統一されていくことを暗示します。

♪  くるくる　くるくる

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くるくる　くるくる お花がくるくる　回ります くるくる　くるくる

くるくる 

くるくる

大きくなって くるくる　くるくる 小さくなって

写真 7

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くるくる　くるくる だんだん　速く くるくる　くるくる だんだん　遅く

　あるいは歌いながら

♪  ひらいた　ひらいた なんの花がひらいた レンゲの花が　ひらいた ひらいたと　思ったら いつのまにか　しぼんだ

⑨ 箸を使って

　竹の調理用の長い箸に紐つきボールの紐をはさみ込んで語りかけま 118

す（写真 8 ） 。

♪  くるくるくるくる くるくるくるくる だんだん大きく だんだん小さく

だんだん大き

く  だんだん小

さく

写真 8

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くるくるくるくる くるくるくるくる

　紐が箸に巻きついたり、解かれたりして、大きな輪から小さな輪へ、 小さな輪から大きな輪へと回転を繰り返します。

　以上、≪ケルンボール≫の遊びを紹介しましたが、私達はボールだ けに取り囲まれて暮らしているわけではありません。乳児の目に映る 世界も日ごとに変化し、複雑になっていきます。このボールで行った 遊びを他のものごとにもできるだけ結びつけるようにして下さい。 　例えば、ボールを「高く高く、低く低く」などと言って遊んだ後に、 乳児を上に持ちあげたり、下げたりしながら同じ言葉を繰り返します。 一つの同じ言葉がいろいろな場面で使われることによって、言葉はし だいに子どもに正しく理解されるようになります。 　そして、ここにあげた遊びは、座ったり、歩いたりするようになっ てからも行って下さい。子どもはそれを喜び、言葉の理解はさらに確 かなものとなっていきます。

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エッセイ

ボールに脱帽

　1 〜 2 歳児がアトリエに通いはじめる日、新しい場所に戸惑って、 なかなか室内に入れない子がいます。そんな時、私はボールを持ちだ します。 　 「ハイ、ユカちゃん、ボールがいくよ」 　入口の子どもに向かって木のボールを転がします。カタカタカタ、 木の床を木球が音をたてて転がります。その子の身体に一瞬緊張が 走って逡巡しますが、思いきったようにボールに手を差しのべます。 　 「あっ、取れた、取れた。うまい、うまい。こんどはこっちにちょ うだい」 　ニッと笑って子どもは恐る恐るボールを投げ返します。 　これを二、三度繰り返すと、もう友達です。ためらうことなく部屋 の中に入ってきます。 　ボールは不思議な力を持っています。 120

　子どもの頃、私は野球少年でした。日が暮れてボールが見えなくな るまで草野球に興じた毎日がいまでも記憶に残っています。空高く舞 うボールにこうもりが突進してくる頃に家路につきました。 　やっと買ってもらった皮製のグローブにワセリンを塗りボールを 入れて敷蒲団の下に置き、寝づらいのも我慢して床についた日が何日 もありました。早くグローブにボールがなじむのを願ってのことです。 その時の皮の匂い、ワセリンの匂いがよみがえります。

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　打順は四番、守備はピッチャー、そのうえ監督だったあの頃は、投 手が投げたボールが止まって見え、思うようにかっ飛ばすことができ ました。 　適当な広場がふさがっている時には、足でボールを蹴る三角ベース をやったり、手で打つ三角ベースまでしてボールと興じました。 　ドッジボールもずいぶんしました。 　父が事業を失敗してしばらく工場が空いていた時は卓球に熱中した 時期もあります。ビー玉遊びで友達の持っていたものを全部勝ち取っ たこともありました。戦後の物が無い時代に私にとって球体はかけが えのない遊び道具だったのです。 　その球体の魅力に思いを馳せるようになったのはそれからずっと後 のことです。 　25 歳、保育士の真似事をさせていただいた時に子どもが「どんな童 具で遊ぶのか」  1 年間統計をとったことがありました。なんと、子ど もが一番遊んだのがボールだったのです。二番目に遊んだのは積木で

121

した。○と△と□で子どもは飽きずに遊んでいたのです。 　その頃はデザイナーとしていろいろな形や機能の童具をつくろうと

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夢をふくらませていた時代でしたから、目の前を閉ざされたような気 持になりました。 　なんでこんな単純な形が子どもの心を捉えるのか、私の童具づくり はその答えを解き明かす過程と重なりました。 　ボールで遊ぶのは子どもだけに限りません。野球・サッカー・バ レーボール・バスケットボール・テニス・そして老いてはゲートボー ル、老若男女の誰からも愛されています。 　 こ の 最 も 単 純 な 形 は、 最 も 平 凡 な 形 と も 言 え ま す。S i m p l e i s b e a u t i f u l . という言葉があります。＜大平凡＞の魅力を説く人達も います。 　平凡であるということは一般に没個性を意味します。では球体に個 性はないのでしょうか。＜中心点から表面までの半径は一定である＞ という確かな、解りやすい秩序を内在させた個性を持っています。そ れがあるから、すべての球技は成立しています。

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　ゴムの球体を 10 人の人間が好き勝手に変形させ、固定したら確か にそれぞれ個性的な形として生まれ変わります。しかし、それで遊ぶ こともスポーツをすることもできなくなります。秩序が不明瞭になり、 動きが予測できなくなるからです。 　理解すると真理はすべて平凡です。あたり前のことです。だから 真理と言えるのでしょう。万有引力の法則と言うと難しく感じますが、 物が上から下に落ちることです。 　循環色というとややこしく感じますが、三原色の隣り合う色を混ぜ た色が間に位置すると言えばこれも難しいことではありません。 　真理を発見する過程には血のにじむような苦労があったとしても、 発見された後はみんなあたり前のことになります。 かど

　＜角がとれて丸くなる＞と人格について言われています。丸くなる ことは他者を受け入れられることと同義になっています。人間が求め る究極の個性は球に類似するのかもしれません。誰にも受け入れられ るのに、少しも自分を変えることのない存在。球に人格を重ね合わせ た先人の知恵に脱帽します。 　これ以上の童具は絶対私にはつくりだせない──そう言い切れるの は球をおいて他にありません。

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童具創作ノート

❶ ケルンボール

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　自動でクルクル回り、メロディを奏

きぐあいや環境問題のこと等、新しい

でる＜吊りメリー＞に私はかねてから

課題が生まれました。できれば塗料に

疑問を持っていました。最初に出合う

よる彩色は避けたかったのですが、こ

童具の一つなのに母と子の触れ合いを

の作品ばかりは色がなければ、存在理

必要としないことが不快だったのです。

由がなくなります。フレーベルは子ど

そこで母と子の関係を生みだす＜吊り

もに最初に与える色彩を、循環色と虹

メリー＞をつくろうと思い立ち、幾つ

の色を関係づけて取りあげています。

かの条件設定をしました。

私はその意図をより鮮明にするために

① 手動の回転体であること

回転を考えて循環色にこだわり、赤→

② 球を用いること

橙→黄→黄緑→緑→青緑→青→青紫→

③ 球は乳児が掴める大きさであるこ

紫→赤紫→（赤） 、この 10 色を選びま

と。

した。塗料の環境問題は食品衛生法の

④ 母親が子どもに語りかけ、表情を

基準をクリアしたカラーラッカーが見

読みとりながら回転させることができ

つかって解決できました。

るもの

　球の大きさは基尺の 30 m m を導入

　手動の回転体にするために思いつい

すれば乳児の手には適した大きさにな

たのは紐による回転機能でした。円盤

ります。

を利用して、これに紐つきの球を取り

　10 色のバラバラに吊るされた球が、

つけることはすぐに思いつきました。

母親の歌声と手作業によって、虹色の

これなら④の条件も満たされます。問

美しい輪となり、関係性が生みだす調

題は彩色です。それまで白木の童具ば

和の美しさが表現されました（ P . 8 ） 。

かりをつくっていたので、仕上りので

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童具創作ノート

❷  ベビーボール

1 .  紐を 20 〜 22 c m 残して下側 A へ貫通させます。 2 .  A から B へ貫通させ、再度差し込んで C へ。 3 .  C から再度差し込んで A へ。 B

C

4 .  A から再度差し込んで上側へ。 5 .  球に接するように一度結び、その後、紐の両端を結びます。 ※手芸用毛糸針（♯ 20 位）を使用して下さい。

A

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　童具の世界の基礎工事がようやく完

「発泡ウレタン樹脂で女性の化粧用パ

成に向かう頃、最後に残っていた懸案

フや、乳房の感触を与えるブラジャー

のデザインが＜紐つきボール＞、フ

の芯をつくっている」との答えが返っ

レーベルの第一恩物の改良です。

てきました。

　第一恩物は毛糸によってつくられて

　 「それだ！」私は事情を話して翌日、

いますが、乳児が舐めた時に毛が口に

彼の会社を訪れました。材質は私のイ

入る難点があります。これをどうして

メージしていたものと完全に一致して

も解決したくて、それまでにもスポン

いました。

ジボールに紐をつける実験をメーカー

　いよいよ残るのは紐の取りつけです。

に頼んでしたこともあるのですが、金

刻一刻と発売予定日は迫ってきます。

型の中で原料を発泡させる時にどうし

「かならずできる」この言葉を反芻し

ても紐を球の中心に定着させることが

ながら、ボールと紐を頭の中で操作し

できず断念していました。スポンジの

ていました。突然、ボールの中を通り

素材も乳児には少し固すぎました。

抜ける紐の仕組みが頭をよぎりました。

　しかし、これができないと私の童具

　 「できた！」思いついたのが針に紐

制作の基礎工事は完成しません。完成

を通して縫う図のようなあり方です。

を予定し、発売日を決めていた販売会

基礎工事は完成しました。

社の方々はその日を待っています。し

　このことがあってから私は「答えは

かし、紐つきボールだけは全く制作

かならず見つかる」という自信が確信

の目処が立ちませんでした。そんな

になりました。そして、そう思えるよ

時、中学時代のクラス会がありました。

うになってから、それまでよりもはる

たまたま同席した級友に「いまどんな

かに短時間に様々な問題が解決できる

仕事をしているのか」と問いかけると、

ようになりました。

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童具創作ノート

❸ さくらんぼ

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　≪さくらんぼ≫をデザインしたのは

んぼ≫で「キャッ、キャッ」と笑い声

もう 30 年以上前のことです。最初は

をあげて遊び続けました。私はその姿

ふたまわりぐらいスケールアップした

を見て、乳児にとって、重さの設定は

ものでした。当時まだ子どものいな

考慮しなければいけない大切な点であ

かった私は、市販されているものを参

ることを思い知らされ、もてあそぶ乳

考に大きさを決めていたのですが、我

児用の童具を、その時を境にすべて縮

が子が生まれて与えてみると、すぐに

小して、軽量化しました。

手から離してあまり遊びませんでした。

　この製品でとくに心がけたことは、

ちょうどその頃、ある学会で乳幼児の

まだ自由な移動ができない乳児のため

発達に関するシンポジウムが開かれて、

に手を離した時に転がらず、落とした

学者から「木のガラガラは乳児が持っ

場所にとどまるようにすることと、ど

て遊ぶには重すぎて不向きである」と

の方向に振ってもかならず音がでるよ

いう意見が出されました。

うにすることでした。この 2 点は三つ

　それを聞いた私は、我が子が遊ばぬ

の球を紐で取りつけることによって解

理由が重さにあるのかもしれないと気

決できましたが、柄に球をつけて握り

づいて、早速ひとまわり小さくしたも

やすくする配慮もしました。

の、ふたまわり小さくしたものを試作

　まだ意識がおぼろげな段階にある乳

しました。その学者は現実のデータに

児が＜手を振ることによって──音が

よって木のガラガラに対して否定的な

でる＞、この＜存在・所有・生成＞の

結論を導きだしましたが、否定的な結

因果関係に気づいた時の喜びが、あの

論から新しい答えを見つけることは可

「キャッ、キャッ」であることを知っ

能です。

た の は フ レ ー ベ ル と の「 出 会 い 」が

　なんと我が子は小さくした≪さくら

あってからのことです。

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童具創作ノート

❹ たまゆら

　乳児に＜歯固め＞をつくってあげた

子がこれをコマにして遊んでいる姿に

いと思い立った時に、口にくわえる形

出合いました。すると、なんと半球が

として円盤が思い浮かびましたが、そ

逆転して切断面が床面につくと同時に

れだけでは面白くありません。最初

回転が止まったのです。その時ひら

は中央にも円盤あるいは球を取りつけ、

めいたのが赤色の面にかすかな曲面を

これをクルクル回転させることを考え

つくれば、ひっくり返っても回り続け、

ていたのですが、半球にすれば重さに

逆さゴマになることでした。

よってかならず切断面が上になり、そ

　子どもの活動からヒントを得て改良

こに色をつければ持った時にいつも色

した製品の一つです。それによって歯

が見えるようになることを思いつきま

固めとしての役割が用済みになっても

した。このアイデアが気に入って早速

コマとしていつまでも遊べるようにな

製品化したのですが、ある時、5 歳の

りました。

127

❺ ぽ  こ

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　ガラガラは太古の昔からあり、乾い

ることに敏感になることや、1：1 対

た木の実を鳴らしたのがそのはじまり

応・ペア（ p a i r ＝対）の意識を生むた

と言われています。音に魔除けの願い

めでもあります。

を託していたようです。その発想をそ

　この 2 個のガラガラは違った音をだ

のまま取り入れ、木の実に乳首の形を

しますが、似ていても違う点があるも

取りつけたのが≪ぽこ≫です。

のが世の中にはたくさんあることによ

　球の＜変形体＞として、紡錘体を暗

ります。よだれで濡れた時の予備にも

示する形にもなっています。同じ形を

なります。ガラガラとしての役割を終

2 個 1 セットにした理由は「同じ」であ

えた後はコマとして遊びます。

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童具創作ノート

❻ カラーボール

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　水をすくうように窪みをつくった両

もなく本気で死への道を考えていたそ

手の中や、椀状の容器の中で球を転が

の女性が、ふと立ち寄った「おもちゃ

すと子どもがとても喜ぶことをフレー

屋」でこの≪カラーボール≫を見た時、

ベルは著述しています。この文献を読

突然、とめどなく涙がこぼれ落ちてき

んで早速、同じことをやってみたので

たそうです。手にとって椀とボールを

すが、手の中では球はスムーズに転

撫で続けているうちに、流れ落ちる涙

がらず、容器を使うとすぐに外に飛び

にとって代わるように胸の底から気力

出します。そこで、球が飛び出ない椀

がこみあげてきて、涙が乾く頃には生

をつくってみようとデザインしたのが

きたいと思う気持が湧いてきたと書か

この≪カラーボール≫です。基本 6 色

れていました。 「きっとあのおもちゃ

の球を入れて、椀の中で花が咲いてい

の温かさが私を救ってくれたのだと、

る姿がイメージできるようにしまし

いまも思っています、ありがとうござ

た。椀で球を覆うと回転しながら進む

いました」そう締めくくられたお手紙

U F O にみたてて遊ぶこともできます。

に私もまた勇気を与えられ、つくり手

　余談ですが、ある女性から手紙をい

としての幸福をしみじみと味わわせて

ただきました。失恋の痛手をいやす術

いただいたことがありました。

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童具創作ノート

❼ ねじっこ

　ピンセットつまみができるようにな

　その時期の子どものためにつくった

ると、乳児は細かな手作業に集中し、

のが≪ねじっこ≫です。エンドレスに

ゴミのような小さいものを見つけてつ

作業を続けられるように工夫し、この

まんだり、小さな穴があると物を詰め

作業に関心がなくなった後は積木遊

込んだりします。同じ頃、ねじること

びに導入できるように寸法を設定して

に関心を持ちだし、ビンにフタがある

あります。球を 1 個で、あるいは 2 連、

とどれもこれもねじ開けようとします。

3 連にして回転させても楽しめます。

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❽ ふ  え

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　一語文が出はじめる前に笛で遊びは

る≪ふえ≫をつくりました。両極にあ

じめるのは唇や舌の機能を高めるため

る二つの穴で、吸ったり吹いたりす

だと思われますが、最初は口に付けて

ることによって 4 色の音色がでるよう

もなかなか吹くことができず、吸って

にしてあります。球の＜変形＞でもあ

ばかりでイライラが続きます。

り、球と円錐の合体した形でもありま

　そこで、吸っても吹いても音がで

す。回転遊びも楽しめる童具です。

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童具創作ノート

❾ たまっこ

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　幼い頃のことです。毎日、父と母は

ないか？

仏壇に手を合わせ経を唱えていました。

　こんな時、私は手を動かします。な

その手には数珠がからんでいます。私

んの気なしに、数珠状の紐を十字に交

はそのそばで、使われていない数珠を

差させて押し込むと 2 本の紐が組み合

もてあそんで、チューリップやバナナ

わされました。一瞬手から電流が流れ

の形をつくっていました。その時思っ

ます。次々にはめ込んでいくと、いつ

たのです。

の間にか、線でしかなかったものが立

　「なんでもっと大きな数珠がないん

体的な抽象形体に変化しました。この

だろう。あれば、象も兎もクルマもつ

時インスピレーションが働きます。

くれるのに」

　 「紐にもっと張力があったら、立体

　このことを童具の創作をはじめた頃

は容易につくりだせる！」

に思い出して大きな数珠をつくりまし

　瞬時にゴム紐が脳裏をかすめます。

た。直径 15 m m の玉を 100 個つない

組み込んだ時の左右のバランスをとる

だ数珠状の紐を製品とすることにしま

ために偶数個の棒状にすることはすぐ

した。これだけでも球同士の間隔をゆ

思い浮かびます。そこから≪たまっ

るめに配列するといろいろ遊べますが、

こ≫が生まれるまでは 1 日あれば充分

数本つないだ輪にすると巨大な数珠が

です。

つくれます。

　試作して遊んでみると新発見があり

　そこで思案したのは 1 本 1 本の紐を

ました。球を、2 個、あるいは 4 個結

つなぐ方法です。玉を通した紐の両端

合して写真のように回転させると遠心

を結んでいけば簡単に大きな数珠はで

力によって想像以上に長い時間回転す

きますが、それでは結んだ箇所が美し

ることです。

くありません。なにかいいアイデアは

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おすわりや這いはいをするようになってからの 紐つきボール遊び ケルンボール

ケルンボールで遊ぶ  ⑵

① 落下させたり弾ませたり

　乳児がおすわりができるようになる頃（7 ヵ月頃）には、すでに部屋 の中や、乳母車の散歩等によって、多くの情報が脳にはインプット （入力）されています。 　言葉の意味もしだいに理解されていくようになります。　 　様々なものごとが言葉によって関係づけられていくこれからの時期 に、子どもはいろいろな対象物、とくにボールの中に、自分の知って いるもののイメージを思い浮かべたり、つくりだそうとするようにな ります。 　イメージの中には、命あるものも、命のないものもありますが、と

131

くに命あるものへの関心が強まり、そこに自分自身の姿も感じとるよ うになります。

　乳児の前で、机や床の同じ箇所に何度も落としながら

♪  とんとんとん　とんとんとん

　机や床の違った箇所に垂直に落としながら

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♪  たんとんとん　たんとんとん

　ボールを急に落下させ、その弾力で弾ませながら（写真 1 ）

♪  跳べ　跳べ　ボール 見てごらん　いま　ボールが跳ぶからね 跳べ　跳べ　ボール

② 積木を使って

　すばやく引いたり急な動作を加えたりしながら

♪  そっちへここへ　そっちへここへ あっちこっち　あっちこっち

♪  ボールは高く高く跳ぶよ ボールはもう跳べません

132

ボールは疲れてしまいました ボールは眠ってしまいました

　ボールをすばやく積木の上に持ちあげながら（写真 2 ）

♪  ほら、跳び上がれ

ほら  跳び上がれ

跳べ  跳べ

写真 2 写真 1

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跳び越えろ！

　紐で机や床の上を回転させながら（写真 3 ）

♪  ルルルル　ルルルル ぐるぐる回れ　ぐるぐる回れ 回れ　回れ 速く　速く だんだん速く　だんだん速く ルルルル　ルルルル

　右に転がしたり、左に転がしたりして

♪  右にぐるぐる　左にぐるぐる

　ボールを引っ張りながら（写真 4 ） 133

♪  引っ張って　引っ張って　引っ張って ガタン、ボールが落っこった

　前述と同じ動作を、紐を乳児の手に持たせながら、母親が手をそえ て「ガタン、ボールが落っこった」と言ってあげると、子どもは自分 がしたことのように喜びます。

ぐるぐる回れ

引っ張って  引

っ張って

写真 3 写真 4

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③ 空中で回転させて

♪  だんだん広く だんだん狭く

　子どもはすでに円形的なボールの運動に注意を払ってきたので、ら せん状に広がったり、狭くなったりする運動にも注目します（写真 5 ）。

④ 床の上を転がして

♪  ごろごろごろ　ごろごろごろ（写真 6 ） ほら！　ボールがいくよ

⑤ 机の上で箱にボールをぶつけて

♪  ボールよおいで　 もう一度　坊やのところへ戻っておいで

134

ボールがきたよ ボールをつかまえて ボールが落ちて転がってった ボールを取っておいで どこにあるかな ボールを探してごらん

狭く

く  だんだん

だんだん広

写真 5

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ごろごろごろ  ごろごろごろ

写真 6

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　この時、乳児自身にボールを取らすために、母親はボールのあると ころまで子どもを連れていきます。もし、子どもが這いはいができる ようになっていれば、子どもがボールを転がした時、できるだけ子ど も自身に拾わせて下さい。それは幼い時から、自分の行為の結果を意 識させ、その行為の結果は自分自身が責任を持つ、という経験をさせ るためです。子どもには多くの新しい活動をさせるだけでなく、その 活動の結果もしっかり心にとどめさせることにも配慮して下さい。

⑥ ボールはどこ？

♪  ボールはどこ あっ　ここにあった（写真 7 ）

　ボールを手の中にしまいこんで

♪  ボールはどこ ボールはここよ（手を開きながら）

135

　片方の手の後ろ側に隠して

♪  なくなった どこ？ ここにあった

ボールはどこ

あっ  ここにあった

写真 7

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　こうした遊びは、それが子どもに喜びを与え続けているうちは、何 度も繰り返して下さい。子どもは経験が自分の身につくまで、繰り返 し行うことを喜びます。身につくと同じ繰り返しには関心がなくなり ます。

⑦ 箱の中に 　 （ケルンブロックの収納箱が利用できます）

♪  深く中へ

　箱に入れ、フタをしながら

♪  ボールがなくなったよ

♪  ボールは眠りたいのね 坊やも疲れたでしょ 136

坊やも眠ろうね（写真 8 ）

　これらの遊びは、それを幾つか結びつけることによって無数の変化 を生みだし、子どもの精神的・身体的活動を目覚めさせます。とくに 大人との会話が成り立つようになっていればなおのことです。

写真 8

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⑧ 小鳥になったり、犬になったり

　ここで、ボールの使用にあたって、子どもが喜んで、その時その時 ボールの中に万物を見ようとし、また万物をつくりだそうとすること を知っておいて下さい。 　子どもの身のまわりにはいろいろな対象物が成長とともに現れてき ますが、とくに生命をもったものが出現したり、いなくなったりする ことに注意が向かうようになります。多くの場合、＜生命が生命を目 覚ます＞ように＜生命は生命を引きつけます＞。子どもは犬や猫が来 ると注目し、窓辺の雀や籠の中の小鳥をじっと見つめます。 　そこで、ここでは同じ生命に対して関心を向けていく遊びを紹介し ます。

♪  見てごらん、小鳥が飛んでるよ ほら、あっちに ほら、こっちに

　弾むボールが子猫になります

137

♪  子猫がそこのベンチから跳び上がるわよ

　犬になって

♪  ほらほら跳んでごらん 犬が小川を跳び越えた

　ひよこになって

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♪  ぴょこぴょこ　ぴょこぴょこ ひよこが走って来ます

　おんどりになって

♪  クックックッ おんどりがお米を食べています

　ある時は樹（身体や腕でみたてて）のまわりをよじ登ったり降りた りするリスになります。 　あるいは、猫になったり、息せききって走る小犬になったりします。 　紐をつけられて乳母車になることもあります。 　ここで二つの点に注目して下さい。 ・わずか 1 個のしかも常に同じもの（この場合生命のないボール）に、 じつに多くの生命を感じとることができること。 ・その対象物が言葉を通して子どもの前に持ちだされること。 138

　これらの対象物は、多くの場合まだ子どもが見たことのないものも あります。一緒に遊ぶ大人は見たことがあっても、子どもが一度も見 たことのない対象物を、持ちだすことは間違っていると思うかもしれ ませんが、それをあまり臆病に避ける必要はありません。かといって また、あまりに軽率に広げるべきでもありません。子どもが不審な表 情をしない範囲にして下さい。 　本来、人間は推論して判断する生命です。予測したり、想像したり する能力はこの時期から開発されています。 　しかし、次の点には気をつけて下さい。 　例えばまだ見たことのない兎を導入する時には、あらかじめ子ども が似たような経験をしたことがあるものを取りあげるようにして下さ

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い。日頃、子猫を身近に見ている子どもには、ボールで子猫のみたて 遊びをしたうえで兎を導入します。その時には、子どもは猫が跳び はねることを知っています。そこで「兎が跳んでいく」と言えば、そ れによって、兎が跳ぶ生き物であることを無理なくイメージできます。 それによって子どもの注意力は喚起され、もしその直後、子どもが兎 を見ると、関心が集中します。そして、たとえその時に兎の名が呼ば れなくとも、兎であることを認めることさえあります。こうした遊び を通して、類似性のあるものを比較する意識が身についていきます。 そして、みたてた対象物から＜種＞を直感し、やがて種から＜類＞を 見分けるようになります。

⑨ 同じ言葉

　ここで紹介する紐つきボールを用いての遊びは、子どもが情報を 増やすにしたがって、取りあげるものも増えてきます。例えば「上へ、 下へ」と語りかけをする時、風船を知っている子どもには

♪  ほら、赤い風船がお空の上へ、どんどんあがっていきます

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上へ上へ、もっと上へ 高く高く、もっと高く お空のてっぺんまであがった風船はだんだん下にさがってきます 下へ下へ、だんだん下へ 低く低く、だんだん低く 「おーい、風船、さっちゃんのところへ降りておいでよー」 風船は下に降りて、やっと、さっちゃんの手に戻ってきました 　そしてある日、子どもは空飛ぶ小鳥を見て関心を示しました。

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♪  小鳥がお空の上を飛んでいきます ピヨピヨ　ピヨピヨ どんどん上に上に飛んでいきます お空の上で、小鳥はぐるぐるぐるぐる回りながら、下を見ていま す ピヨピヨ　ピヨピヨ 小鳥は下にいるさっちゃんを見つけて降りてきました どんどん下に降りてきて、さっちゃんの手のひらに止まりました

　そしてまたある日、木をよじ登っている猫を見てびっくりしました。

♪  ニャーオ　ニャーオ　猫のチコちゃんがやってきました ニャーオ　ニャオ　チコちゃんは机の上によじ登っていきます よじ登ったかと思うと下の方へ跳びおります こんどはイスの上に跳びのりました きょろきょろ下を見て、また跳びおりました 140

さっちゃんの肩の上にも跳びのります　　 ニャーオ　ニャーオ 母さんの肩の上にも登ってきました 「チコちゃん、下におりて静かにしててちょうだい」 猫のチコちゃんは言うことをきいて、さっちゃんの膝の上にぴょ こんと座ると、そこでスヤスヤお昼寝しました

　こうして、一つのボールは子どもの見たものを通して、様々なもの に変わっていきます。時には鳥はカナリアと呼ばれたり、雀と呼ばれ たりします。猫は犬になったり兎になったりもします。まだ、子ども の目に触れていないものが登場してくることもあります。

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⑩ 雀がお庭で

　前項で、幾つかの例をとって上下の関係を理解するための遊びを紹 介しましたが、一つのボールを使って、一つのもの、例えば小鳥の多 様な姿を示すこともできます。

♪  チュッ　チュッ　チュッ　チュッ 雀がお庭で遊んでいます あっちへいって　チュッ　チュッ こっちへきて　チュッ　チュッ ぴょんぴょんぴょんぴょん　跳んでます 小さな石がありました あっちへ　ぴょん こっちへ　ぴょん 大きな石がありました 石の上へ　跳んであがりました それからお空に飛んでいきます チュッ　チュッ　チュッ　チュッ

141

だんだん高くあがっていきます お空で大きく輪をかいて飛んでいます 右にぐるぐる 左にぐるぐる だんだん大きく回ります だんだん小さく回ります 「戻っておいで　雀さん」 チュッ　チュッ　チュッ　チュッ 雀は下にまいおりてきました

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石の上に飛びおりて　ひと休み 「さっちゃん　雀をつかまえてごらん、そして食べものあげてちょ なか

うだい　雀はお腹がすいたんだって」 142

あっ　うまくつかまえたわね それじゃあ　食べものをあげてね チュッ　チュッ　チュッ　チュッ いっぱい食べた雀はさっちゃんの手の中でスヤスヤ眠ってしまい ました

　以上様々な活動によって、一つの言葉の意味を動態やみたてによっ て理解していく遊びと、一つの球の多様な姿を示す遊びとを紹介しま したが、これはいろいろなものごとのあり様を、言葉と形によって統 一していく作業であり、また、一つの言葉や形を多様化させる作業で もあります。

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おすわりや這いはいをするようになってからの 椀を使ったボール遊び カラーボール

カラーボールで遊ぶ

　子どもの力が発達するにつれて、ボール遊びは多様化し、独自な遊 びも生まれてきます。最初はボールを転がすだけの遊びが、椀を一つ 与えると出し入れするようになり、やがて、ボールをその中でいった りきたりさせるようになります。 　この頃から子どもは、自分や自分の身のまわりに起こるものごとに 対して＜意味づけ＞をしたがり、＜因果関係＞を知ろうとしはじめま す。その子どもの欲求を満たすために、≪カラーボール≫はつくられ ました。この童具にはサラダボールのような椀と 6 個 6 色（三原色三 補色）の球がセットされています。 　8 ヵ月前後になると子どもはしっかりおすわりができるようになり ますが、その頃から与える童具です。紐つきボールでは紐がついてい

143

るために、球本来の機能（動き）に制限が加えられていましたが、こ のボールは自由に動き回らせることができます。

① 床の上で

♪  あっちへ　こっちへ（両手を使って） 向こうに　こっちに あれ！　ボールが どこかにいっちゃった　 （手の中に隠す）

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♪  あっち　こっち　あっち　こっち あっち　こっち　あっち　こっち パパが帰ってこないので 坊やは家の前を あっち　こっち　あっち　こっち パパの帰りを待ってます

♪  あっちへ　こっちへ 速く　速く ゆっくり　ゆっくり 飛ぶことだってできるのよ 飛べ飛べボール ポーン　ポーン（両手を使って空中で） あっちへ　こっちへ

　この遊びによって、経過した時間や位置や距離等が直感されます。 144

② 椀の中で

　まず椀の中に紐つきボールで決めた基本色の赤い球を入れます（写 真1） 。

♪  赤いボール　踊ってごらん

速く　写真

る  だんだん

くるくるく

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1

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くるくる　くるくる 踊ってごらん くるくるくる　だんだん速く くるくるくる　もすこし速く 赤いボールが輪になりました （回転をますます速くします） 赤いボールが見えません 赤いボール　出ておいで （椀の回転を止めるとボールが姿を現します） 元気に楽しく遊んだね しばらくお休みしましょうね

♪  赤いボールがぐるぐる回る ゆっくり回る　ぐーるぐーる だんだん速く　ぐるぐるぐる

③ 色の変化

145

♪  赤いボールに緑のボール おててをつないで、くるくるくる おててを離して、くるくるくる 二人で踊ると楽しいな　

　赤と緑の対比は互いの色をきわだたせます（写真 2 ）。 　同じ遊びを暖色同士（例えば赤と橙）、寒色同士（例えば青と緑）等 いろいろな色の組み合わせをして遊びます。

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♪  赤いボールが一人で踊っています 青いボールが加わりました 黄色いボールも一緒になりました みんなで踊ると楽しいね

　三原色を示します（写真 3 ）。 　同じように、橙、紫、緑の三補色で遊びます。 　次には語りかけながら色環の順に沿って赤−橙−黄と数を増やして いきます。3 個までは椀の中を円状にスムーズに回転させることがで きます。

　全部を入れて遊んでみましょう（写真 4 ）。

♪  おしくらまんじゅう 押されて泣くな おしくらまんじゅう 146

押されて泣くな あんまり押すとあんこが出るよ

　椀の動きを止めて、ボールを一つ一つ指さしながら

いで

をつな

おてて

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写真 2

る　　

るく   くるく

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♪  赤いボール、オレンジのボール、黄色のボール 緑のボール、青いボール、紫のボール 円い輪になって、おすわりしてます みんなで一緒にお話しましょ

④ 椀の出し入れ

　子どもは容器に入ったものを次々に出すことにも興味を持ちます。 ふとんを 1 枚敷いて、その中央に≪カラーボール≫を置き、そのそば に子どもを座らせます。ふとんの上ならボールは転がりません。

♪  ボールさんをお椀の中から出してちょうだい ひとーつ、ふたーつ、みっつ、よっつ、いつつ……

♪  出したボールをお椀の中に入れてちょうだい ひとーつ、ふたーつ…… 147

⑤ 転がす

　床の上に子どもと向かい合ってお母さんは座ります。手を伸ばせば 乳児に届くぐらいの位置からはじめます。

みんなで踊ると楽しいね　　写

真3

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おしくら

真4

な　　写

れて泣く

う  押さ まんじゅ

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♪  はい、ボールを転がすよ 最初は赤いボールよ　ころころころ 次はオレンジ色のボールよ　はい、ころころころ

　次々と椀の中からボールを取って子どもの方へ転がします。 　この時、両脚を大きく開き、ボールを転がす床上に絶縁テープで母 と子を結ぶと目標が定まって転がしやすくなります。

⑥ 隠  す

　基本ボールを用意して、両手を広げて片方の手にボールをのせます。

♪  ほらここにボールがあるわよ

　両手を一緒に握って、ボールを隠します。

148

♪  あれっ、ボールがなくなっちゃった　どこへいったの

　子どもがお母さんのそばに寄ってきて、その手を掴んだり、目で見 つめたりしたら、その手を開いて下さい。

♪  ボールさん、ボールさん　出ておいで　ほら、あった

　次にはポケットに入れます。 　座ぶとんの下に隠します。 　両手を合わせた中にボールを入れて、どちらかの手にボールを隠し てあてっこ遊びをします。

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149

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⑦ いろいろなボールで

　おすわりができるようになる頃には活発に子どもは動きはじめます。 いざったり、あとずさりしたり、勢いよく這いはいしたりします。や がて、掴まり立ちもするようになります。 　こうした活発な運動に合わせてボールの種類や数を増やしていきま しょう。

・大きいボール バランスボール・ビーチボール（できるだけ大きいボールで模様の ないもの） ・バレーボール

・中くらいの大きさのボール 軟式テニスボール・硬式テニスボール・スポンジボール・軟式野球 ボール・硬式野球ボール・ソフトボール

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・小さいボール ゴルフボール・卓球のボール（ピンポン玉）・空気入りゴムボール・ スポンジボール・ビーズ *

　これらのボールによって、子どもはさらに多様な球体の姿を知って いきます。重いボール軽いボール、硬いボール軟らかいボール、大き いボール小さいボール、いろいろなボールを扱うことによって、まる でボールに導かれるようにして身体機能も発達させていきます。なか でも外部の脳と言われている手の機能をとくに発達させます。やがて 友達とも遊べるようになっていきます。

* ビーズ おすわりができて、手が自由に動かせるようになると、子どもは 小さいものを触ったり、わしづかみにしたりすることを喜びます。 大人がそばについていて飲み込む心配のない時に与えて下さい。

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歩けるようになってからのボール遊び

ボールで遊ぶ

① 一人で遊ぶ

　歩行ができるようになるとボール遊びはどんどん発展し、友達とも 遊べるようになりますが、最初は壁等の目標物を決めて、できるだけ 遠くから転がしたり投げたりします。この時近くから、だんだん遠く へ子どもを離していきます。 　壁にぶつけて、転がってくるボールを取る→バウンドさせて取る→ ダイレクトに取る。 　地面にボールを強くぶつけて、上にあがったボールを取る。 　自分でボールを空中に高くあげて取る。

151

② 二人で遊ぼう

　二人が対になり、いろいろな方法でボールの受け渡しをします。　 　転がして取る→幾つもバウンドさせて取る→二度バウンドさせて取 る→一度バウンドさせて取る→アンダーハンドで投げる→高く空中に あげてダイレクトに取る→ストレートに投げてダイレクトに取る。

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③ みんなと遊ぼう

　たくさんの子ども達がいる時は、サークルの内と外に子どもを分け、 投げて当てるドッジボールや転がして当てるゲーム、あるいはキック ボール等みんなで楽しく遊べるゲームからはじめます。

④ 壁に向かって

　一人が壁にボールをぶつけ、一人が（みんなが）それを取ります。 最初は転がして、次にはバウンドで、そしてダイレクトにやりとりを します。この中で子どもは、強く投げれば強くはね返ってくることや、 ボールの弾力についての直感を深めていきます。

⑤ 斜面で遊ぶ

　私達は子ども達が斜面に沿ってボールを投げるのが好きなことを 152

知っています。例えば屋根の上に投げて、転げ落ちてくるボールを喜 んでキャッチする姿を何度も目にしてきました。 　この遊びはボールへの愛着を呼び起こし、再び手にしたボールとの 絆を子どもに感じさせます。 　この活動を通して子どもは、ある地点からある地点までの直線は常 に最短距離であることを直感します。また、この遊びでボールを上の 方に投げれば投げるほど、落下の空間が大きく、落下の線が長ければ 長いほど、ボールは速い速度になり、しかもその作用や力も強くなる ことを感じとります。

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⑥ 色を楽しむ

　≪ママボール≫を三つ並べて（写真下） 　 「青いボールを取ってちょうだい　きょうは青いボールで遊ぼうね」 　ハーイ 　 「この色はどこで見た色かな」 　海 　空 　 「そうね、お空の色も青いわね。それじゃあ、お外に出て、みんな で空に向かって、このボールを投げてみましょう」 　 「お空の上まで、高く高く飛んでいけー　イチ、ニノ、サン！」 　青いボールが青い空に向かって幾つも幾つも飛んでいきます。1 日 青いボールで遊ぶうちに「青」という言葉は繰り返し使われ、記憶さ れます。

⑦ 右と左へボール渡し

　 「はい、じゃあみんな先生のまわりに集まってェ—。手をつないで

153

円く輪になってちょうだい。イチ、ニのサンでお空に向かって投げる よ。誰が一番高く飛ばせるかな」 　保育者は子ども達が持っているボールを集めて、そのうちの一つを 一番高く空に向かって投げることのできた子に渡します。 　そして、右手にボールを持たせ、そのボールを左手に移し、それを 左隣にいる子の右手に渡します。子どもはこんな単純な繰り返しを楽 しんで行います。 　この活動をする時に「右から左に、左から右に」とみんなでリズミ カルに唱和すると、それを楽しみ、右と左の区別を意識するようにも

ママボール

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なります。 　最初の子にボールが戻ってきたら、こんどは両手をあげて、逆方向 にボールを送っていきます。この時も「左から右へ、右から左に」の 言葉を唱和します。この運動がすばやく、美しく、リズミカルにでき るようになるまで毎日繰り返します。毎日やっても子どもは飽きずに 続けます。 　やさしい動作の繰り返しに思えますが、この遊びは 4 〜 5 歳児でも なかなか手際よくいかず、ボールを移動させる時に間違えたり、中断 したりします。慣れてきたら最終段階では目をつぶってできるように までなります。

 ⑧ 向き合って

　この活動は輪になっている子ども達の一箇所に私達が入って、その 両側の子からペアーになって手をつないでいき、2 列縦隊をつくりま す。次にペアーになった子ども達の間隔をあけ、ボール投げができる 154

ようにします。年齢によって経験度によって、その間隔を変えます。 　ボールをトスする列の子どもは最初は一人ずつ、次に二人ずつ、次 に三人ずつ、最後に全員が同時にトスします。 　トスする技術がない場合は転がして遊びます。

　以上⑦⑧の活動は一つの流れの中で行われるものです。青いボール によってその活動は統一され、工夫しだいではいくらでも広がりをも たすことができます。保育活動で大切なのはこの流れです。一つの活 動から次の活動へスムーズに関係性をもって進むことによって、子ど もは楽しく活動を続けていけます。

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⑨ 色のイメージ遊び

　≪カラーボール≫を用意します。 　一つ一つの球を取りだして、子どもに何色か聞いてみます。しかし これからの活動は、子どもに色を覚えさせようとするのではなく、色 彩に対する関心を持たせるための活動です。 　≪カラーボール≫の青い球体を取りだして保育者は話しかけます。 　 「青い球はお散歩が大好きです。みんなのところへ行ってごあいさ つをします」

　直子ちゃん　こんにちは 　けんちゃん　こんにちは 　なおきくん　こんにちは

　青いボールは子ども達によって次々に手渡されていきます。 　 「青いボールが疲れたので、お椀の中で休ませてあげましょう」 　次にはオレンジ色を取りだします。 　 「このボールはおいしいジュース。一人ひとり飲み終わったら『ご

155

ちそうさま』をしましょうね」 　 　子どもは飲む真似をして「ごちそうさま」を言うと次の子に手渡し ていきます。 　赤い球はりんごになったり、黄色い球はレモンになったりして遊び が続けられます。

⑩ 果物屋さんごっこ

　年長になったら≪カラーボール≫や≪ケルンボール≫で「果物屋さ

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んごっこ」もできます。 　赤いボールは真っ赤に熟れたさくらんぼ、橙色のボールはオレンジ、 黄色いボールはレモン、緑色のボールはりんごです。この遊びによっ て物と物を比較し、関係づけることを学びます。「お花屋さんごっこ」 「お菓子屋さんごっこ」等にも発展させることができます。

⑪ 目隠し遊び

　年長の園児には、≪カラーボール≫をテーブルの上に置き、ゲーム をします。子ども達のうちの何人かが目をつぶっている間に球を隠し ます。 　 「あててごらん。お椀の中から抜けたのは何色のボールでしょう」 　目を開けた子どもが、どの色の球がなくなっているか言い当てる遊 びです。

⑫ 両手を使って 156

　次に、空に向けてまっすぐに投げる遊びに移りましょう。 　この時は次のような扱い方があります。

　右手で投げて両手で取る 　右手で投げて右手で取る 　右手で投げて左手で取る 　左手で投げて両手で取る 　左手で投げて右手で取る 　左手で投げて左手で取る 　このようにして、しだいに左右の手の働きを発達させていきます。

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⑬ 友達と一緒に

　まず友達と投げ合うことからはじめます。やがて同じ行為に満足で きずに変化を求めるようになります。そこで、右手で投げ右手で取っ たり、右手で投げ両手で取ったりするかわりに、下図のようなボール のやりとりもできます。まずボールがＡ君の右手から斜めにＢ君の右 手にいき、次にＢ君の右手からまっすぐにＡ君の左手に、Ａ君の左手 から斜めにＢ君の左手に、こんどはＢ君は左手でボールをＡ君の右手 に戻します。 3

2

A

B

1・5

4

　このようにボール投げを複雑にすることもできますが、最初に紹介 した単純なボールの投げ合いにも別な発展のさせ方があります。それ

157

は二人が向かい合ってボールを投げ合いながら、替わるがわる一人ず つ、あるいは二人ずつ一緒に、少しずつ遠ざかる方法です。そして、 だんだん遠ざかるにつれてボールがしだいに大きな弓型（放物線）を 描くように投げ合います。 　2 個のボールで、二人がそれを一つずつ持ち、同時に投げ合うこと もできます。 　そして子どもの数が三人以上になっても、三角や四角に陣取って 順々にボールを投げ続けていく遊びに発展させることができます。 　次に、もしボール投げが上手になった子が六人、あるいは八人いれ

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ば、数個の緑や赤の彩色されたボールを与えて遊ばせることもできま す。その時ボールは、まるで咲き乱れている一つの花環のように見え るでしょう。 　この運動は、円環的な活動によって活気づけられて、規則正しい共 同の、秩序のある統一的な活動となり、自然と人間の生命の調和を子 どもに感じさせます。そしてこの活動が≪ケルンブロック≫等の＜パ ターン遊び＞で行うことを、運動を通して行っている点に注目して下 さい。積木遊びもボールによる運動遊びも決して無関係なものではな

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く結びついています。あらゆるものごとの結合、万物の生命的なつな がりは、その意識が働くことによって読みとられるようになります。

⑭ まりつき

　最後に、＜まりつき＞遊びを取りあげます。 　跳ねあがり続けるこのボールによって、子どもはエネルギーの使用 はエネルギーを増進し、エネルギーを高めるものであることや、エネ ルギーの規則正しい応用はエネルギーの持久力を長くすることを発見 します。 　そして、この大好きなボール、自分の力を引きだしてくれるボール、 目標に向かわせてくれるボール、そのために集中するボールによって、 子どもは人生の課題である、＜常に変化する現象の中でより高い目標 に向かって行動する＞態度を身につけていきます。

　以上のようにいろいろとボールを使っての遊びを紹介しましたが、 まだまだいくらでも考えることはできます。子どもと一緒に考えて遊 びを発展させていきましょう。

159

　また、ここで述べてある連続的な遊びは短期間で子どもが身につけ ることもありますし、1 年、2 年かけてできるようになる遊びもあり ます。あせって子どもに強制するようなことはせず、発達に合った遊 びを充分に心ゆくまで楽しませるようにして下さい。一つの遊びをこ なせば、自ずと子どもは次の段階の遊びを創造し、それに挑戦してい くようになります。私達は時々ヒントを与えるだけで充分です。

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アイデアカードのつくり方 　ここにはボールと球の活動を事前に組み立てた「アイデアカード」の参考事例を幾つか紹介 します。3 歳児の子どもの活動を想定してありますが、難易度や集中度を考慮して、簡略化し 160

たり、複雑化すれば 2 歳児、4 〜 5 歳児にも適応できます。本書の「遊びと造形活動」を参考に して他の活動事例をつくってみて下さい。家庭用事例も 1 枚加えましたが、保護者の負担にな らない程度に大まかな活動内容にしてあります（アイデアカードの書き方は第 1 巻 P . 146 〜 159 参照）。

i d e a  c a r d

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形体分類　C S M・B O N D

アイデアカード 2005 - ①

CB

活動の分類　A・B

認識・体得事項　C

A①

C ①②⑤

□   共感共同活動  □

活　動

ボール遊び・園庭で

□   美的表現活動  □ □   探究認識活動  □

保育実施日

2005 　年　　　　　月　　　　　日 4 20 対象年齢　年少児（3 歳） 活動時間　1 時間 対象人数　20 名

活動の ねらい

ボール遊びの中で球の動きの特性を知る。 ボールになじむ、親しむ。

指導者数　1 準備・用意・注意

活動内容

＜導　入＞

① ボールをテーマにした絵本の読み聞かせをする。

・ボール遊びの第 1 日目はマ マボールだけを使って遊ぶ

② いままでにどんなボール遊びをしたか、子ども達に質問する。

（一つのものを深く知るこ とによって他との比較が適 確になる）。

＜次の活動への意識づけ＞

以後、バレーボールやドッ 「どんな遊びができるか園庭に行って遊んでみよう」

ジボール等の球による屋外 活動も用意する。

＜展　開＞

子ども達との対話を楽しみながら遊びをつくりだす。

＜展　開＞

ボールの数を数える。一人 1 個ずつ渡す。 ①〜⑤ ≪ママボール≫人数分　21 個

・遊びのストック

161

青、赤、黄　各 7 個 ① 高く放り投げる（樹木の最上部をめがけて）。 ② 遠くまで投げる。 ③ 的当て遊び（樹木のまわりに大きく円を描き、そこから幹をめが けて投げる）。 ④ スベリ台の上から転がしたボールを取る。 ⑤ 二人 1 組で遊ぶ。 　 1 . 転がす　　2 . バウンドさせる　　3 . 投げる−取る ⑥ ぶつけ合って遊ぶ。

＜まとめ＞

① 一人 1 個ずつ取って数を確かめる→足りない時は探す。 ② ママボールを 3 色に色分けしてカゴに片づける。

参照　P . 26 〜 27 　　　P . 34 〜 35 ・  記入者 田中  明子 2005　年　　　　　月　　　　　日記  3 20

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形体分類　C S M・B O N D

アイデアカード 2005 - ②

CBO

活動の分類　A・B

認識・体得事項　C

B1⑦B2⑧

C ①②

□   共感共同活動  □

活　動

球の造形活動・スタンピング（鯉のぼり）

□   美的表現活動  □ □   探究認識活動  □

保育実施日

2005 　年　　　　　月　　　　　日 4 27 対象年齢　年少児（3 歳） 活動時間　1 時間 対象人数　20 名

活動の ねらい

指導者数　1

スタンピングによって球と円の関係を知る。

準備・用意・注意 活動内容 ・シーツ　2 枚 ＜導　入＞

① ママボールを見せ、どんな遊びを前回したか質問して思いだす。

・≪ママボール≫人数分

② 子どもの日のお話−鯉のぼりの話。

・ポスターカラー

③ 鯉のぼりの歌。「きょうは鯉のぼりをつくります」

＜展　開＞

・墨汁

・植木皿

① 暖色組（女の子）と寒色組（男の子）に分ける。

直径 15cm　10 個 ②  2 枚のシーツを新聞紙の上に敷き、2 組に分かれる。 ・植木皿に赤、橙、黄、ピ

162

③ シーツの両端の、頭と尾の部分に色をつけないように布ガムテー

ンク、青、緑、空色を溶

プを貼る。

いておく。 ガムテープ

ガムテープ

赤、青、緑は 2 皿、他 1 皿。 ・布ガムテープ ・床にはビニールシートの

シーツ

上に新聞紙を敷いておく （シーツを敷く部分）。 とう

・後日、口部に薹を取りつ ④ 中央部にママボールですき間なくスタンピング。

け、腹部を縫って子ども の日のために用意してお

⑤ あらかじめ鉛筆で描いておいた目と尾を希望者に墨汁で描かせ

く。

る。 ・5 月 1 日に上げる。 ⑥ 左右の中央部を持ちあげると鯉のぼりの形になる。 ⑦ 壁に貼る。

＜まとめ＞

① 片づけ。 ② みんなで鑑賞し、鯉のぼりの歌をうたう。 参照　P . 44 〜 47 ・  記入者 田中  明子 2005　年　　　　　月　　　　　日記  3 20

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形体分類　C S M・B O N D

アイデアカード 2005 - ③

活動の分類　A・B

CB

認識・体得事項　C

A①

C ①②⑤

□   共感共同活動  □

活　動

ボール遊び・遊戯室で

□   美的表現活動  □ □   探究認識活動  □

活動の ねらい

保育実施日

2005 　年　　　　　月　　　　　日 5 4 対象年齢　年少児（3 歳） 活動時間　1 時間 対象人数　20 名

いろいろなボールを使って遊ぶ。

指導者数　1

材質による重さ、速度、手触りの違いを感じとる。 道具・用具の使い方、用い方への関心を高める。

準備・用意・注意

活動内容 ・大机板で斜面をつくっておく。 ＜導　入＞

① ママボールを見せて、どんな遊びを前回、前々回したか質問を

・角棒を V 字にセットしておく。

して思い出させる。 ・≪ママボール≫人数分 ② 新しく使うボールを見せて、その違いを比較させる。 ＜導　入＞

　 ・触らせる　　・弾ませる　　・斜面を同時に転がす 　 ・重さと速さの比較　　・硬さと重さの比較　等

① ≪ママボール≫ ② ≪カラーボール≫

＜次の活動への意識づけ＞

　 ゴムボール 　 スチールボール

斜面

斜面を指導者が二つのボールを転がし、

　 スーパーボール等

その違いを子どもと Q & A の後に、すべ

163

　 数十個用意

てのボールを一気に転がして、子ども達 に取らせる。

＜展　開＞

＜展　開＞

① 取ったボールを自由に子ども達に斜面 を転がして遊ばせる。 ボールがたまる

入れるバケツ（筆洗）

テープで貼らせる。斜面の両サイドにも

人数分用意

角棒をつける（コリントゲーム）。

② 両面テープ

③ カ ラ ー ボ ー ル の 6 色 に よ っ て 6 組 の

　 ≪カラーボール≫と使う。

チ ー ム を つ く る。 斜 面 の 下 部 を 1、2、

　 ボールがスムーズに転が

3 点の三つの箱の上にのせ球が落ちてく

積木

るように子どもとチェッ ク。

るようにする。色分けされたチームの球 が何点に何個入ったかのゲーム。2 〜 3

③ ≪カラーボール≫

回繰り返し行う。

＜まとめ＞

・＜展開＞のボールを取って

② 斜面に円柱の積木や角柱の積木を両面

　 6 色× 5 個　用意

1 番勝ったチームを拍手で讃えて終わり。

1

2

3

・みんなで片づけ。両面テープ をはがす作業を忘れずに。

参照　P . 16 〜 17 ・  記入者 田中  明子 2005　年　　　　　月　　　　　日記  3 21

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形体分類　C S M・B O N D

アイデアカード

活動の分類　A・B

CBO

2005 - ⑤

認識・体得事項　C

B 1 ①②⑥ B 2 ④

C ①②

□   共感共同活動  □

活　動

球の造形活動・球をつくる①

□   美的表現活動  □ □   探究認識活動  □

活動の ねらい

いつも遊んでいるボールの形（球）を粘土でつくり、球への認識を深め

保育実施日

2005 　年　　　　　月　　　　　日 5 11 対象年齢　年少児（3 歳） 活動時間　1 時間 対象人数　20 名 指導者数　1

る。 球と円の関係を知る。

準備・用意・注意

活動内容 ＜導　入＞

① 前回行ったボール遊びを思いだす。カラーボールを見せる。 ②  「きょうはカラーボールのような色のついたお団子をたくさんつ くって遊びます。お団子ができたら、ほらこんなものをつくるよ（完 成品を見せる）。どうやってつくるんだろうね。きょうはこれの大 きいのをつくるの。あの板につくるんだよ」

児はあまりはかどらないの で、事前につくっておく。 直径 2 〜 4 c m 位の大きさ を一人 5 〜 6 個分。赤、黄、 緑、青、グレー　各 10 個

ベニヤ板を示す。

＜展　開＞

・色団子をつくる作業が年少

③ 指導者がつくった色団子を見本に見せて、つくり方を教える。

・粘土　一人半分用意

①  「最初ベニヤ板を真白にします」

＜展　開＞

ベニヤ 1 枚（6 m m 厚）に白ペンキを塗る。 ① 水性ペイント白 ② 色団子のつくり方

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ハケを 20 本用意

1 . 紙粘土を八等分したものをつくり、机上に置く。 一人＝ 1 / 8 × 3 〜 4 個

② 3 . ポスターカラー用意 ③ 木工用ボンドを発泡皿に

2 . 粘土を球にする。

5 〜 6 個用意

3 . 球の真中に穴をあけてポスターカラーをたらす。 ④ 食品用ラップ　3 箱

4 . こねて色団子にする。 　  （色を変えて団子をつくる時は手を洗ってから） 5 . 団子づくりに飽きてきたら、団子をちぎって大小 いろいろな大きさをつくる。 ③  「お団子にボンドをつけてベニヤ板の上にのせていきます」 ④ その上から食品用ラップをかぶせる。 ⑤ 大机板をのせる。 ⑥ 机板の上に乗ってみんなでジャンプする（乗れない子と替わる）。 ＜まとめ＞

① 机板を取り、食品用ラップをはがすとできあがり。 ② 壁面に立てかけてみんなで鑑賞。 ③ 感想を聞く。みんなで拍手。 ④ 後片づけ。

参照　P . 52 〜 53 ・  記入者 田中  明子 2005　年　　　　　月　　　　　日記  3 21

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形体分類　C S M・B O N D

アイデアカード

CB

2005 - ⑥

活　動

活動の分類　A・B

認識・体得事項　C

B 1 ③ B 2 ①⑥

C ①②

□   共感共同活動  □

球の造形活動・球につくる

□   美的表現活動  □

玉ねぎの塑造と彩色

□   探究認識活動  □

保育実施日

2005 　年　　　　　月　　　　　日 5 17 対象年齢　年少児（3 歳） 活動時間　1 時間 対象人数　20 名

活動の ねらい

球を核として玉ねぎをつくり彩色する。 次の活動、玉ねぎの描画へ量を感じとる。

指導者数　1 準備・用意・注意

活動内容 ・お盆 1 枚、布 1 枚 ＜導　入＞

① 野菜の絵本の読み聞かせ。

・玉ねぎ 10 個

② 指導者の机上に皿に入れた玉ねぎが数個、布で覆われている。 ③ 子ども達に触らせたり、嗅がせたりして当てさせる。 ④ 水栽培してある玉ねぎを見せ、根と葉の成長に関心をもたせる。 ⑤ どんな料理に使うか Q & A 　 ・カレーライス、オムライス、サラダ、にくじゃが e t c . 　　（他にどんなものに使うか家に帰って聞いてきてね）

165 ＜展　開＞

① 玉ねぎを二人に 1 個ずつ与える。 　 Q & A 「どこがきれい？」 「どんな形？」 「どんな匂い？」 「どんな色がある？」   「どんな手触り？」 　 発泡スチロールの球を一人 1 個ずつ与える。

② 発泡スチロール球 　4 c m　20 個 粘土一人半分　10 個 木工用ボンド 発泡皿

②  「この球に粘土をつけて玉ねぎをつくります」

粘土板

　 発泡球に粘土をつける時はボンドを使わせる。 ③ アクリル絵具セット   20 箱 ③ 彩色。

筆 筆洗 雑巾

＜まとめ＞

彩色した玉ねぎを並べて鑑賞。

・机の上での作業にする。

できるだけ一人ひとりの作品をほめる。

机はビニールシートを敷い

似ているものだけをほめないようにする  →  自由な表現

ておく。

*　 ＝直径

参照　P . 74 〜 75 ・  記入者 田中  明子 2005　年　　　　　月　　　　　日記  3 22

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形体分類　C S M・B O N D

アイデアカード 2005 - ⑦

活動の分類　A・B

CB

認識・体得事項　C

B1⑧B2⑥

C①

□   共感共同活動  □

活　動

球の造形活動・描画

□   美的表現活動  □ □   探究認識活動  □

保育実施日

2005 　年　　　　　月　　　　　日 6 8 対象年齢　年少児（3 歳） 活動時間　1 時間 対象人数　20 名

活動の ねらい

塑造によってその形を感じとった玉ねぎを中心に球形に似た野菜や 果物等、三次元（立体）のモチーフを二次元（平面）に表現する。

指導者数　1 準備・用意・注意

活動内容 ・玉ねぎ塑造作品   2 〜 3 個 ＜導　入＞

① 前の活動でつくった玉ねぎの塑造を見せて玉ねぎや野菜・果物 の絵を描くことを伝える。

く（無地で淡い色の布の

② 玉ねぎを使う料理を保護者に聞いた子の答えを聞く。 　　　　　　　　　　　　　　　   →どんな料理が好きか話し合う。 ③ 用意したじゃがいも・きゅうり・なす・にんじん等を見せて形 の違いを子どもと Q & A。 丸い形だけでなく円柱、円錐状のものも加えることによって形の違 いに意識を向かせる。

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・モチーフをセットしてお 上にセット） ・イーゼルの用意 画用紙 絵具 発泡皿（パレット） 筆 筆洗 雑巾

＜展　開＞

木炭

① 形を木炭でとる。 ② 絵具を与えて描画をさせる。 ③ 描き終わった子には絵本を選ばせ与えておく。

＜まとめ＞

全員終了したら、作品を並べて鑑賞。どんな絵も認めてあげる。

参照　P . 76 〜 83 　　　P . 87 〜 89 ・  記入者 田中  明子 2005　年　　　　　月　　　　　日記  3 22

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家庭

用 形体分類　C S M・B O N D

アイデアカード 2005 - ①

活　動

活動の分類　A・B

C

認識・体得事項　C

A①

ボールで遊ぶ

保育実施日

C ①②⑤

2005 　年　　　　　月　　　　　日 4 27

□   共感共同活動  □

対象年齢　2 歳 5 ヵ月（幸子）

□   美的表現活動  □ □   探究認識活動  □

活動時間　気のむくままに 対象人数

活動の ねらい

ボールを使った様々な活動を用意して、球の動きの特性を知る。

指導者数　母 準備・用意・注意

活動内容

＜導　入＞

ボールをテーマにした絵本の読み聞かせをする。

＜展　開＞

① 公園でボール遊び。

① ≪ママボール≫

　 ・投げ合う　　・蹴り合う　　・ぶつけっこする

　 バレーボール

　 ・スベリ台から転がして取る

① 1 時間くらいゆっくりと

　  （母が斜面に放り投げて幸子が取る）

娘のペースに合わせて遊

　  （幸子が放り投げて取る）

ぶ。

② 居間に斜面（板）を用意して、いろいろなボールを転がして遊ぶ。 ③ 円柱の積木を板に貼ってコリントゲームをする。

②③ ≪ママボール≫ 　　 バレーボール

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　　 ≪カラーボール≫ 　　 ピンポン玉 　　 ≪ベビーボール≫ 　　 ビーズ 　　 その他 角棒

②③ 板 ②③ 両面テープ、角棒 　　 皿（ボールを入れる）

④ 雨樋で遊ぶ 　 90 c m の雨樋を 4 本、布ガムテープでつなぐ。 　 左右の角度、上下の角度を変えて（廊下にて）。

③ 円柱積木　1 箱 　  （立方体、三角柱も可） ③ お片づけも一緒にする。

雨樋 受け箱

④ 雨樋 　 布ガムテープ 　 ≪カラーボール≫　12 個

＜まとめ＞

片づけをまとめにする。 ①〜④の展開はそれぞれ 1 日（1 時間くらい）かけて行う。 参照　P . 16 〜 20 　　　P . 26 〜 27 ・  記入者 母　福子 2005　年　　　　　月　　　　　日記  3 25

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著  者　和 久 洋 三 　わく・ようぞう わくわく創造アトリエ代表 童具館館長 1942 年東京生まれ。東京芸術大学美術学部工芸科 工業デザイン専攻卒業、同大学大学院修了。保育園 での保育体験、玉川学園女子短期大学講師等を経て、 創造性を開発する童具づくりに専念する。1989 年 「童具館」を設立し、新しい創造教育活動を展開す る。2001 年全国に「わくわく創造アトリエ」を開校。 かたわら、幼児教育についての講演・講座活動、美 術大学や幼児教育者養成校での指導にあたる。 協力 覚王山プレイルーム 加古川プレイルーム 神戸岡本プレイルーム 相模原プレイルーム 高根沢プレイルーム つくば学園都市プレイルーム 童具館プレイルーム 西新プレイルーム 文京プレイルーム 瑞穂プレイルーム 宮崎プレイルーム （五十音順） 共楽園プレイルーム 中関プレイルーム 幼稚園、保育園等の公的施設や、ご家庭の方々のご協力も数多くいた だいております。ありがとうございます。

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 ボール遊びと造形 2006 年 2 月 25 日　第 1 刷

著　者　　和久  洋三 発行者　　小原  芳明 発行所　　玉川大学出版部 〒 194 - 8610　東京都町田市玉川学園 6 - 1 - 1 T E L  042 - 739 - 8935　F A X  042 - 739 - 8940 http://www.tamagawa.jp/introduction/press 振  替　00180 - 7 - 26665

印刷所　　オカムラ印刷株式会社 N D C 376 Ⓒ W A K U Y o u z o u  2006  P r i n t e d i n J a p a n 乱丁・落丁本はお取り替えいたします I S B N 4 - 472 - 05885 - 5  C 2037

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手にふれてごらん この、やさしさ、あたたかさ 手にとってごらん この、ぽっくりと重い、たしかな手ごたえ ほら、生きている木の鼓動が伝わってくる

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