編集 荒船次郎 東京大学名誉教授
江沢 洋 学習院大学名誉教授
中村孔一 明治大学教授
米沢富美子 慶應義塾大学名誉教授
ま え が き
本 書 は,前 著 『量 子 力 学 の数 学 的構 造Ⅰ,Ⅱ』(朝 倉 物 理 学...
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編集 荒船次郎 東京大学名誉教授
江沢 洋 学習院大学名誉教授
中村孔一 明治大学教授
米沢富美子 慶應義塾大学名誉教授
ま え が き
本 書 は,前 著 『量 子 力 学 の数 学 的構 造Ⅰ,Ⅱ』(朝 倉 物 理 学 大 系 第7巻,8巻)の 続 編 で あ る.そ の 目的 とす る とこ ろ は,前 編 に お い て公 理 論 的 に定 式 化 され た, 量 子 力 学 の 基 本 原 理 に 基 づ い て,量 子 現 象 に関 わ る数 理 を 主 題 別 にや や 詳 し く み て い く こ と に あ る.こ
こ で は,九 つ の 主 題 を選 ん だ.各 章 に一 つ の主 題 を割
り当 て(目 次 を参 照),そ
れ ぞ れ の 章 は,ほ ぼ 独 立 に読 め る よ う に書 い た.し
た
が っ て,読 者 は,自 分 に興 味 の あ る主 題 が 扱 わ れ て い る章 か ら読 む こ と も可 能 で あ る.命 題 や 定 理 の 証 明 は,か
な り丁 寧 に書 い た つ も りで あ る.前 編 で論 じ
られ た 内容 や 数 学 的技 法 を 自 分 の もの と して い る読 者 に とっ て は,本 書 を読 む 上 で 特 に 困 難 は ない はず で あ る. 本 書 に は,邦 書 で は,お そ ら く初 め て 登 場 す る内 容 が 多 く盛 り込 まれ て い る. 特 に,ア ハ ラ ノ フ-ボ ー ム効 果 と照 応 す る,ゲ ー ジ理 論 にお け る正 準 交 換 関 係 の 非 同 値 表 現 の 構成 に 関 す る理 論,量
子 力 学 的 状 態 の 生 き残 り確 率 と関 わ り を も
つ 時 間 作 用 素 の 理 論(い ず れ も第3章),埋
蔵 固 有 値 の摂 動 問 題 の 基 本 的 な例 と
して の フ リー ドリ クス モ デ ル の 詳 しい解 析(第5章),超 章)は,そ
対 称 的 量 子 力 学(第9
れ ぞれ,著 者 自身 の 研 究 テ ーマ の 一部 をな す もの で もあ り,現 在 に お
い て も な お,量 子 力 学 や 量 子 場 の 理 論 の 数 学 的 ない し数 理 物 理 学 的研 究 の前 線 に通 じる もの で あ る.た だ し,本 書 の 性 格 上,そ
の 論 述 は入 門 的 な レ ヴ ェ ル に
と どめ た.ま た,物 理 量 の 自 己共 役 性 の 問題 を詳 し く論 じて い る の も本 書 の特 色 の 一 つ と い え る で あ ろ う(第2章).他
の 主 題 につ い て も,本 書 の 精 神― 座 標
か ら 自 由 な絶 対 的 相 か らの ア プ ロ ー チ― に の っ とっ て,原 理 的・ 普 遍 的 観 点 を 強 調 す る仕 方 で,叙 述 に工 夫 を凝 ら した つ も りで あ る.紙 数 の 都 合 上,量 子 場 の 理 論 に関 す る 章 を設 け る こ とが で き なか っ た の は心 残 りで あ る.こ の 側 面 に
つ い て は 拙 著 『フ ォ ッ ク空 間 と量 子 場 上 下 』(日 本 評 論 社,2000)を
参 照 して い
た だ け れ ば幸 い で あ る. 数 学 的 に厳 密 な 思 考 に よ っ て もた ら され る確 実 で 明晰 な認 識 は,理 念 と現 象 との 調 和 的 ・美 的 照 応 を よ り深 い 次 元 で 観 照 す る こ とを 可 能 に し,宇 宙 の原 像 と して の ロ ゴス,理 の 世 界 の 豊 饒 さ,妙(老
子 的 意 味 で の),繊 細 さ,美 し さ,そ
して,宇 宙 の果 て しな い 深 さ を垣 間 見 させ て くれ る.本 書 が 量 子 現 象 を支 え る 理 の 世 界 の よ り深 い 相,よ
り高 い次 元 へ と読 者 をい ざ な う よす が とな る こ とを
切 に願 う. 本 書 の原 稿 を通 読 され,貴 重 な コ メ ン トを寄 せ られ た 江 沢 洋 先 生 に心 か ら感 謝 した い.ま
た,本 書 の 出版 に際 して,い
ろ い ろ とお 世 話 に な っ た朝 倉 書 店 編
集 部 の 方 々 に も厚 く御 礼 申 し上 げ る.
2006年 新 春
札 幌 の寓居 に て
新
井 朝
雄
目
次
1 物 理 量 の 共 立 性 に関 わ る 数理
1
1.1 は じ め に
1
1.2 単 独 の 物 理 量 に 関 す る 測 定(Ⅰ)―純 点 ス ペ ク トル 的 な物 理 量 の場 合 3 1.3 単 独 の 物 理 量 に 関す る 測 定(Ⅱ)― 一 般 の 場 合
5
1.4 複 数 の 物 理 量 の 測 定 に よ る状 態 の 一 意 的 決 定(Ⅰ)― 純 点 ス ペ ク ト ル 的 な 物 理 量 の組 の 場 合 1.5 複 数 の 物 理 量 の測 定 に よる状 態 の 一 意 的 決 定(Ⅱ)―
16 一般 の 場 合 …21
1.6 代 数 的 な 特 徴 づ け 付 録A ノ
ー
第1章
可 分 な ヒル ベ ル ト空 間 の巡 回 ベ ク トル に よ る直 交 分 解 ト
演 習問題
28 32 35 36
関 連 図 書
37
2 物 理 量 の 自己 共 役 性
38
2.1 は じ め に
38
2.2 小 さ い 摂 動
42
2.3 加 藤-レ リ ッ ヒの 定 理 の 応 用― シ ュ レー デ ィ ン ガ ー 型 作 用 素 の 自 己 共 役 性,原 子 と物 質 の 弱 安 定 性 2.4 必 ず し も小 さ くな い摂 動
52 71
2.5 混 合 型 ポ テ ン シ ャ ル を もつ 場 合
78
2.6 交 換 子 定 理
79
2.7 解 析 ベ ク トル 定 理
85
2.8 準 双 線 形形 式 と 自己 共 役 作 用 素 2.9 形 式 に よ る摂動―KLMN定
理
89 108
2.10 デ ィ ラ ッ ク型作 用 素 の 本 質 的 自己 共 役 性
110
付 録B 作 用 素 の 和 が 閉 で あ る た め の 条件
116
付 録C
閉対 称 作 用 素 の基 本 的 性 質
117
付 録D
閉 対 称 作 用 素 が 自己 共 役 拡 大 を もつ 条 件
付 録E
交 換 子 に関 す る基 本 公 式
122
ト
123
演 習 問題
123
ノ
ー
第2章
119
関 連 図 書
127
3 正 準 交 換 関 係 の 表 現 と物 理
128
3.1 は じ め に
128
3.2 予 備 的 考 察
130
3.3 ヴ ァ イ ル 型 表 現
137
3.4 シ ュ レ ー デ ィ ン ガ ー 表 現 の ヴ ァ イ ル 型 性 3.5 ヴ ァ イ ル 型 表 現 の 構 造― 3.6 CCRの
フ ォ ン ・ノ イ マ ン の 一 意 性 定 理
140 142
非 同 値 表 現 と ア ハ ラ ノ フ-ボ ー ム 効 果
154
3.7 弱 ヴ ァ イ ル 型 表 現 3.8 時 間 作 用 素 ノ
ー
第3章
ト
169 174 183
演習問題
関 連 図 書
4 量 子 力 学 に お け る対 称 性
184
185
188
4.1 は じめ に― 対 称 性 と は ど うい う もの か
188
4.2 群
189
4.3 量 子 力 学 に お け る対 称 性 の原 理 的 構 造
197
4.4 一 般 の表 現
213
4.5 物 理 量 の対 称 性
219
4.6 シ ュ レー ディ ン ガ ー型 作 用 素 の 対 称 性
224
4.7 対 称 性 と保 存 則
226
4.8 回転 対 称 性 と軌 道 角 運 動 量 作 用 素 の保 存 4.9 軌 道 角 運 動 量 の 固 有 空 間 に よ る直 和 分 解(Ⅰ)―2次 4.10 軌 道 角 運 動 量 の 固有 空 間 に よ る直 和 分 解(Ⅱ)―3次
227 元 空 間 の 場 合 229 元 空 間 の 場 合 235
4.11 リー代 数 的 構 造 と対 称 性
245
付 録F 位 相 空 間 ノ
ー
第4章
255
ト
257
演習 問題
258
関 連 図 書
259
5 物 理 量 の 摂 動 と固 有 値 の 安 定 性
261
5.1 は じ め に
261
5.2 複 素 変 数 の バ ナ ッハ 空 間値 関 数
263
5.3 閉作 用 素 と冪 等 作 用 素
270
5.4 物 理 量 の 摂 動 の 一 般 的 ク ラ ス― 解 析 的 摂動
279
5.5 応
用
5.6 埋 蔵 固 有 値 の摂 動,共
鳴 極,生
き残 り確 率
5.7 フ リー ドリ ク ス モ デ ル 付 録G
バ ナ ッハ 空 間 の双 対 空 間 とハ ー ン-バ ナ ッハ の定 理
付 録H
あ る2重 積 分 の 計 算
ノ
ー
第5章
ト 演 習問題
関 連 図 書
289
297 304 317 320 321 322 323
6 物 理 量 の ス ペ ク トル
324
6.1 は じ め に
324
6.2 離 散 スペ ク トル と真 性 ス ペ ク トル の特 徴 づ け 6.3 最 小-最 大 原 理
324 329
6.4 コ ン パ ク ト作 用 素 6.5 真 性 ス ペ ク トル の 安 定 性 6.6 シ ュ レ ー デ ィ ン ガ ー 型 作 用 素 の 真 性 ス ペ ク トル 6.7 シ ュ レ ー デ ィ ン ガ ー 型 ハ ミ ル トニ ア ン の 離 散 ス ペ ク トル ノ
ー
第6章
ト
343 352
354
361 367
演 習 問題
368
関 連 図 書
7 散 乱 理 論
369
370
7.1 は じめ に― 発 見 法 的議 論
370
7.2 数 学 的 準 備―
376
絶対 連 続 ス ペ ク トル と特 異 ス ペ ク トル
7.3 散 乱 理 論 の 一 般 的枠 組 み
390
7.4 波 動 作 用 素 の 存 在 に対 す る判 定 条 件
399
7.5 波 動 作 用 素 の 完 全 性 に対 す る判 定 条 件
402
7.6 散 乱 作 用 素 の 積 分 表 示 と漸 近 展 開
403
ノ
ト
406
演 習問題
406
ー
第7章
関 連 図 書
407
8 虚 数 時 間 と汎 関 数 積 分 の 方 法
409
8.1 は じめ に― 量 子 動 力 学 の 虚 数 時 間 へ の 拡 張
409
8.2 熱 半 群,ス ペ ク トル の 下 限,基 底 状 態
412
8.3 汎 関 数 積 分 お よび確 率 過 程 との接 続― 発 見 法 的議 論
418
8.4 確 率 過 程 の 存 在
430
8.5 ブ ラ ウ ン運 動
434
8.6 フ ァイ ンマ ン-カ ッツ の公 式
440
8.7 基 底 状 態 過 程
445
付 録I 確 率 論 の基 本事 項
450
付 録J
ガ ウ ス型 確 率 過 程
付 録K 確 率 過 程 の連 続 性 に対 す る 判 定 条 件
454 458
ノ
ー
第8章
ト
460
演 習問題
460
関連 図 書
462
9 超 対 称 的量 子 力 学
464
9.1 は じめ に― 超 対 称 性 とは ど うい う も の か
464
9.2 超 空 間,超 場 お よ び超 対 称 性 代 数
465
9.3 公 理 論 的超 対 称 的 量 子 力 学
476
9.4 超 対 称 性 と特 異 摂 動―
499
摂動法の破綻
9.5 ウ ィ ッテ ンモ デ ル
502
9.6 縮 退 した零 エ ネル ギ ー基 底 状 態 を もつ モ デ ル
510
付 録L
トレー ス型 作 用 素
513
付 録M
自己 共 役 作 用 素 の 強 レゾ ル ヴ ェ ン ト収 束
516
付 録N
簡 単 な超 関数 方 程 式 の 解
518
ノ
ト
519
ー
第9章
演習 問題
関 連 図 書 索
引
520 524 527
記 号
表
標準的記号 記号
意 味 自然数 全体 の集 合 整数全 体 の集合 実数全 体 の集 合 複 素 数全体 の集 合 Rのd個
の直 積集 合
Cのd個
の直積 集合
Rdに おけ るd次 元 ボ レル集 合体 Rdの 開集合 Ω 上 のm回
連 続 微分 可能 な 関数 で有界 な台 を
もつ もの の全 体 L2(IRd)上 の フ ー リエ 変換 ほ とん どいた る ところ
若干 の 論理 記号
記号
意 味 AをBで Pな
定義 す る
らばQ
PとQは
同値(Pで
PをQで
定義 す る
あ るため の必 要十分 条件 はQ)
Xの す べ ての元xに 対 して.P(④ が 成立 同上
ヒ ル ベ ル ト空 間 論 に関 わ る 記 号 Aは
ヒ ル ベ ル ト空 間H上
の 線 形 作 用 素 を表 す.DはHの
記号
部 分 集 合 とす る.
意 味 Hの 部分 集合Dの
直交 補空 間
Dの 閉包 Aの 定義 域 ま たは
Aの 値域 Aの レゾ ルヴ ェ ン ト集合 Aの スペ ク トル Aの 点 スペ ク トル(Aの
固有値 の全 体)
Aの 核 Aの 共役 作用 素(D(A)がHで Hの 部 分集 合Dか
稠密 の場合)
ら生成 され る部分 空 間
測度 空 間(X,μ)上 の2乗 可 積分 関数 か ら生成 される ヒルベ ル ト空 間 H全 体 を定義 域 とす る有 界線 形作 用 素全 体の 集合 H全 体 を定義 域 とす る,Hか
らヒルベ ル ト空 間Kへ
線形 作用 素 の全 体 ベ ク トル空 間V全 体 を定 義域 とす る,Vか Wへ
の有 界
らベ ク トル空 間
の線 形 作用 素 の全体
L(V,V) 代 数 的 テ ンソル積 テ ン ソル積 A(閉 作用 素)の 離散 スペ ク トル(Aの,多 有 値 の全体) Aの 真性 スペ ク トル 自己共役 作 用素Aの
ス ペ ク トル測度
重度 有限の孤 立 固
ス ク リプ ト(カ リ グ ラ フ 体)対 応 表 A
A
G
G
M
M
S
S
Y
Y
B
B
H
H
N
N
T
T
Z
Z
U
C
C
I
I
O
O
U
D
D
J
J
P
P
V
V
E
E
K
K
W
F
F
L
L
Q R
W X
X
Q R
ギ リシア文字 Α α
アル フ ァ
Ι ι
Β β
ベー タ
Κ κ
カ ッパ
Γ γ
ガ ンマ
Λ λ
Δ δ
デ ル タ
ラム ダ
Μ μ
ミュー
Ν ν
ニ ュー
Ε ε,ε
イプ シ ロ ン
Ζ ζ
ゼータ
Ξ ξ
Η η
イー タ
Ο ο
Θ θ,θ シ ー タ
イオ タ
グザ イ オ ミクロ ン
Π π,π パ イ
Ρ ρ,ρ ロ ー Σ σ,σ シ グ マ Τ τ Υ υ
タ ウ ウプ シ ロ ン
Φ φ,φ フ ァ イ Χ χ
カイ
Ψ ψ
プサ イ
Ω ω
オメ ガ
1 物 理量 の共立性 に関 わる数理
量 子 力 学 系 にお け る複 数 の物 理 量 の 組(A1,…,AN)は,そ の 中 の ど のAjの 観 測 も 他 の 物 理 量Ak(j≠k)の 観 測 に よ って擾 乱 され る こ とな くで きる場 合,共 立 的 に観 測(測 定)可 能 で あ る とい う.こ の 章 の 目的 は,複 数 の 物 理量 の共 立 的 観 測可 能 性 の根 底 にあ る数 学 的構 造 を見 極 め る こ とで あ る.複 数 の物 理 量 が共 立 的 に観 測 可 能 であ ると き,そ れ らの観 測 が 状 態 を"一 意 的 に"定 め る こ との 数学 的本 質 も明 らか にす る.
1.1
前 著[8]に
お い て,物
物 理 量 の 測 定 で は,量
定)に
252).こ
値 を も つ 状 態"で
あ る が,そ
関 す る 公 理 を 述 べ た 際 に,単
の 意 味 は,粗
い う こ とで あ る.た
くい え ば,物
の 直 後"の
と え ば,ス
は限 ら な 理 量Aの
状 態 は"物
理量
ピ ン を も つ 量 子 的 粒 子1個
子 の 位 置 だ け を測 定 し,あ
ピ ンの 在 り方 に つ い て は 不 明 の ま ま で あ る か ら,そ
状 態 の 重 ね 合 わ せ の 状 態 に あ る).こ
定 さ れ る)と
独の
の よ うな状 態 が た だ 一 つ か ど うか は 一 般
て は 状 態 は 一 意 的 に 指 定 さ れ て い な い(ス
れ ば,ス
に
い う値 が 得 ら れ た と き,"そ
か ら な る 量 子 系 に お い て,粒 も,ス
め
子 力 学 的 状 態 は 一 意 的 に 定 ま る(指
測 定 に よ っ て,a∈IRと
的 に は わ か ら な い,と
じ
理 量 の 観 測(測
い こ と を注 意 して お い た([8]のp.
Aがaの
は
る値 が 得 られ た と して の よ う な測 定 に よっ
ピ ン に つ い て は,異
の 場 合,状
な るス ピ ン固 有
態 を よ り詳 細 に 指 定 し よ う と す
ピ ン の 測 定 も 行 う 必 要 が あ る*1.
測 定 に よ る 状 態 の 一 意 的 決 定 性 の 条 件 を 理 論 的 に探 る こ と は,実
験 的 に は,初
期 状 態 を 設 定 す る こ と― こ れ を 状 態 の 準 備 と い う― ま た は 終 状 態 の 同 定 に と っ て 重 要 で あ る. *1 ス ピ ン に つ い て は ,[8]のp.
272の
脚 注 お よ びp. 424を
参 照.
い ま の例 か ら示 唆 され る よ うに,量 子 系 に関 して,測 定 に よ っ て状 態 を一 意 的 に定 め る た め に は,一 般 には,複 数 の物 理 量 の 組 の観 測 が 必 要 と さ れ る.こ で,"物
理 量A1,…,ANの
理 的 描 像 は,A1,…,ANの
こ
測 定 に よ り状 態 が 一 意 的 に定 ま る"と い う こ との 物 測 定 値 の組(a1,…,aN)(ajはAjの
可能な測定値
の 任 意 の 一 つ)の そ れ ぞ れ にた だ一 つ の状 態 Ψa1,…,aNが 対 応 し,A1,…,AN の 測 定 に よ り,こ れ らの 状 態 の うち の どれ か 一 つ が"選 び 出 され る"こ とで あ る*2.状 態 Ψa1,…,aNに お い て は,A1,A2,…,ANは
そ れ ぞ れ,a1,a2,…,aN
の 値 を もつ.し か し,量 子 力 学 系 にお い て は,物 理 量Aを が 得 られ た と して も,そ の 状 態 で 別 の物 理 量Bを
測 定 し,あ る 測 定 値
測 定 した な らば,Aの
ま っ た く消 えて し ま う とい う事 態 が 起 こ り うる.そ の よ う な場 合 に は,Aの
情 報は
Bの
値と
値 の 両 方 が と もに 定 まっ て い る状 態 は指 定 され え な い.し た が っ て,こ の
よ う な物 理 量 の 組(A, B)を 状 態 の 指 定 に使 う こ と は で きな い.い
ま言 及 した,
量 子 力 学 特 有 の 現 象 形式 を考慮 す る と き,状 態 を指 定 す るた め の 複 数 の物 理 量 の 観 測 が 意 味 を もち う るの は,こ れ らの 物 理 量 の観 測 にお い て,そ の 物 理 量 の 測 定 に よっ て得 られ た情 報 が そ の ま ま保 持 され,同
の 中 の任 意
じ組 に属 す る 他
の 任 意 の物 理 量 の測 定 が可 能 で あ る よ うな 場 合 に 限 られ る.こ の よ う な測 定 は 共 立 的 で あ る(compatible)と
い い,共 立 的 測 定 が で き る物 理 量 の 組 を共 立 的 な
物 理 量 ま た は共 立 的 な観 測 量 と呼 ぶ(例:量
子 的粒 子 の位 置 作 用 素 とス ピ ン作 用
素 の 一 つ の 成 分 の 組*3). と こ ろ で,非 可 換 な物 理 量 の 組 に 関 して は,一 般 化 され たハ イ ゼ ンベ ル クの 不 確 定 性 関 係([8]の 定 理3.5)が
適 用 され る の で,そ の よ う な物 理 量 の 組 は 共 立
的 で は あ りえ な い.し た が って,物 理 量 の 組 が 共 立 的 で あ る た め に は,そ れ が 可換 な物 理 量 の組 で あ る こ とが 必 要 で あ る.だ が,こ れ は 十 分 条件 で は な い*4. この 章 で は,ま ず,測 定 に よ る状 態 の 一 意 的 決 定 性 の 問 題 を単 独 の物 理 量 に
*2 ajの 少 な くと も一 つ がAjの
連 続 スペ ク トル に属す る場 合 に は ,こ の い い方 は 正確 で は
な い.だ が,さ しあ た り,こ の粗 い 物 理 的描 像 か ら出 発 す る こ とは物 理 的 には 自然 で あ る. *3 本 書 で は ,「 演 算子 」 とい うか わ りに 「 作 用 素 」 とい う呼 び方 をす る. *4 詳 し くは ,1.4.1項 の 定 理1.13を 参照.物 理 の教 科 書 で は,可 換 性 の 条 件 だけ で事 足 れ りと してい る ものが 多 くみ られ るが,こ れが 有 効 なの は 有界 な 自己 共役 作 用 素 で表 され る物 理 量 の 場 合 だ けで あ る.
つ い て 論 じ,そ
の 根 底 に あ る 数 学 的 構 造 を 明 ら か に す る.次
に複 数 の 物 理 量 の
組 の 共 立 性 と そ れ ら の 観 測 に よ る 状 態 の 一 意 的 決 定 性 の 問 題 を 考 察 す る.
1.2
単 独 の 物 理 量 に 関 す る 測 定(Ⅰ)―
単 独 の 物 理 量 の う ち で も,扱 "本 質 的 に"固
純 点 ス ペ ク トル 的 な 物 理 量 の 場 合
い や す い の は,い
う ま で も な く,ス
有 値 だ けか らな る 物 理 量 の 場 合 で あ る
.そ
こ で,ま
ペ ク トル が
ず,そ
の よう
な 自 己 共 役 作 用 素 の ク ラ ス を 定 義 す る:
定 義1.1
Tを
ヒ ル ベ ル ト空 間H上
ク トル か ら な る,Hの
の 自 己 共 役 作 用 素 と す る.Tが
完 全 正 規 直 交 系(CONS)を
も つ と き,Tは
そ の 固有 ベ 純 点 スペ ク ト
ル 的 で あ る と い う.
線 形 作 用 素Tの σ(T), σp(T)で
ス ペ ク トル と 点 ス ペ ク トル(Tの
命 題1.2
自 己 共 役 作 用 素Tが
証 明 dim
H0
dμ)収 束 の 意 味 で 近 似 で き る.こ に よ っ てL2(IR, dμ)収
え に
束の意
はL2(IR, dμ)で
の ス ペ ク トル は 単 純 で あ る.
の 座 標 変 数x∈IRxに
■
よ る か け算 作 用 素x―
量 子 力 学 的 に は位 置
作 用 素― の ス ペ ク トル は 単 純 で あ る.
*8 こ の よ う な 測 度 をIR上 *9 [7]のp. *10 [2]の
136
の 局 所 有 界 な 測 度(locally
bounded
measure)と
いう
.
,例2.13.
p. 123,例3.6,[7]のp. ス ト ー ン の 公 式([8], p. 266)を
168,例2.18.μ 用 い れ ば,よ
が ル ベ ー グ 測 度dλ り容 易 に 証 明 で き る.
で な い 場 合 も 同 様.
例1.3
L2(IRx)上
作 用 素;h=1の
の 運 動 量 作 用 素p:=-iDx(Dxはxに
関 す る 一 般 化 さ れ た微 分
単 位 系)を 考 え る.F1:L2(IRx)→L2(IRk)を1次
換 とす れ ば,
が 成 り立 つ.し
元 の フ ー リエ 変
た が っ て,前 例 と命 題1.5に
よ っ て,pの
ス ペ ク トル は単 純 で あ る.
1.3.2 定 義1.3と 定 義1.7
巡 回 ベ ク トル 関 連 す る 概 念 を 導 入 し て お く. (ⅰ) H上
の 線 形 作 用 素Tに
対 して
(1.8) をTのC∞-定
義 域 と い う*11.
零 で な い ベ ク トル Ψ0∈C∞(T)に 稠 密 な と き,Ψ0をTの
つ い て,
巡 回 ベ ク トル(cyclic
がHで vector)と
い う.こ
の 場 合,Tは
巡 回 ベ ク トル を も つ と い う*12. (ⅱ) T:={Tα}α
∈Λ(Λ は 添 え 字 集 合)をH上
で な い ベ ク ト ル な と き,Φ0をTに Φ0を
の 線 形 作 用 素 の 集 合 と す る.零
が あ っ て,
がHで
対 す る 巡 回 ベ ク トル と い う.こ
の 場 合,Tは
稠密
巡 回 ベ ク トル
も つ と い う.
い ま 定 義 し た 概 念 を 用 い る と,自 こ と は,ス
己 共 役 作 用 素Aの
ス ペ ク トル が 単 純 で あ る
ペ ク トル 測 度 か ら つ く ら れ る 作 用 素 の 集 合
ベ ク トル を もつ こ とで あ る と言 い 換 え ら れ る.ま る 生 成 元 で あ る こ と と
た,あ
が巡 回 る ベ ク トル がAに
関す
に 対 す る 巡 回 ベ ク トル で あ る こ と は 同
じ こ と に な る.
1.3.3 単 純 ス ペ ク トル を も つ 自 己 共 役 作 用 素 の対 角化 ヒル ベ ル ト空 間H上 意 を 調 べ よ う.AをH上 *11 こ れ は
の 自 己 共 役 作 用 素 の スペ ク トル が 単 純 で あ る こ と の 含 の 自 己 共 役 作 用 素 とす る.任 意 の Ψ ∈Hに
,Tを 何 回 で も 作 用 で き る ベ ク トル の 集 合 で あ り,部 密 と は 限 ら な い(Tに 依 存 す る). *12 Tの 巡 回 ベ ク トル は 一 つ と は 限 ら な い .
分 空 間 で あ る.た
対 して, だ し,稠
μAΨ:B1→[0,∞)を
(1.9) に よ って 定 義 す れ ば,こ れ は可 測 空 間(IR, B1)上 の有 界 測 度 で あ る*13. 自己 共 役 作 用 素Aの
ス ペ ク トル が 単 純 で あ る場 合 には,次 の 定 理 の 意 味 でA
は 対 角 化 され る: 定 理1.8
AをH上
る.Ψ0をAに
の 自己 共 役 作 用 素 と し,Aの
スペ ク トル は単 純 で あ る とす
関 す る 生 成 元 とす る.こ の と き,次 の性 質 を もつ ユ ニ タ リ作 用
素
が 存 在 す る:
(ⅰ) UΨ0=1. (ⅱ) 作 用 素 の等 式
(1.10) が 成 り立 つ.た
だ し,右
辺 はL2(IR, dμAΨ0)に
お い て 座 標 変 数 λ ∈IRに
よ るか
け 算 作 用 素 を 表 す.
(ⅲ) 任 意 の Ψ ∈Hに
対 して,ボ
レル 可 測 関 数
がただ 一
つあ って
(1.11) と 表 さ れ る. (ⅳ) 任 意 の ボ レ ル 集 合J∈B1に
対 して
(1.12) 証 明 証 明 を 通 し て,μ:=μAΨ0と 素 解 析 に よ り,Ψ0∈D(f(A))で し た が っ て,写 Vは はHの
お く.任
意 のf∈L2(IR, dμ)に
あ り,
像V:L2(IR,
dμ)→HをVf:=f(A)Ψ0に
*13 [7]のp.
194∼p.
195を
意 のJ∈J1に
参照
.
用
が 成 り立 つ.
線 形 な 等 長 作 用 素 で あ る. 部 分 空 間 で あ る.任
対 し て,作
よ っ て 定 義 す れ ば, と お け ば,M
対 し て,xJ∈L2(IR,
dμ)で あ る か ら,
こ れ とAの で 稠 密 で あ る.部 H(n→∞)と
分 空 間Mが
し よ う.こ
在 す る.Vの
ス ペ ク ト ル の 単 純 性 に よ り,MはH
閉 で あ る こ と を 示 す た め に,Ψn∈M,
の と き,Ψn=fn(A)Ψ0と
基 本 列 で あ る.ゆ
と な るf∈L2(IR,dμ)が を 意 味 す る.し 上 か ら,M=Hが
で あ る.U:=V-1と
dμ)が 存
存 在 す る.こ
結 論 さ れ る.よ す れ ば,こ
閉であ ユニ タリ
れ が 求 め る も の で あ る こ と を 次 に 証 明 する.
対 して,
し た が っ て,作 あ り,Vλf=Af(A)Ψ0=AVfが
れ は λ ⊂V-1AVを
作 用 素 の 等 式 λ=V-1AVが
(ⅳ) (1.12)の
え にMは
っ て,V:L2(IR, dμ)→Hは
用 素 解 析 に よ り,Vf=f(A)Ψ0∈D(A)で
(ⅲ) 任 意 の Ψ ∈Hに
れ は
あ る か ら,UΨ0=1.
(ⅱ) 任 意 のf∈D(λ)に
成 り立 つ.こ
え に,
た が っ て,Ψ=f(A)Ψ0∈M.ゆ
(ⅰ) 明 ら か に,V1=Ψ0で
意 味 す る.両 得 ら れ る.こ
対 して,fΨ=UΨ
右 辺 の 集 合 をMJと
辺 と も に 自 己 共 役 で あ る か ら,
れ は(1.10)と
同 値 で あ る.
と す れ ば よ い.
す れ ば,任 意 のf∈MJに
で あ る か ら,
対 し てL,xJf=f
し た が っ て,f(A)Ψ0∈R(EA(J)).
ゆ え に,VMJ⊂R(EA(J)).逆
に,任
と書 け る(Φ
∈H).Φ=g(A)Ψ0(g∈L2(IR,
xJg∈MJで
あ る か ら,Ψ
(1.12)が
な るfn∈L2(IR,
意 の Ψ ∈R(EA(J))は,Ψ=EA(J)Φ dμ))と
∈VMJ.よ
す れ ば Ψ=V(xJg).
っ て,VMJ=R(EA(J)),す
な わ ち,
成 り立 つ.
1.3.4
Ψ ∈
等 長 性 に よ り,
し た が っ て,{fn}nはL2(IR,dμ)の
る.以
Ψn→
物 理 的 含 意―
定 理1.8と
定 理1.6に
■
測 定 に よ る状 態 の 一 意 的 指 定 よ っ て,ス
て 表 さ れ る 物 理 量 に つ い て は,Aの
ペ ク トル が 単 純 な 自 己 共 役 作 用 素Aに
測 定 に よ る 状 態 の 一 意的 指 定 に 関 す る 問 題
に 対 して,次
に 述 べ る 意 味 で 肯 定 的 な 答 が 得 ら れ る.Ψ0をAに
と し よ う.ヒ
ル ベ ル ト空 間
台suppμAΨ0は
σ(A)に
含 ま れ る)は,Aの
ス ペ ク トル の 測 定 と い う 描 像 と 結 び
こ で,測
空 間(spectral
れ と対 応 し て,任
呼 ぶ.こ
関す る生 成 元 (∵ 測 度 μAΨ0の
つ い た 状 態 空間 と 解 釈 さ れ る.そ space)と
よっ
度 空 間(IRλ, μAΨ0)をAの 意 の 状 態 Ψ ∈Hに
ス ペ ク トル 対 して 一
意 的 に定 ま る,ス ペ ク トル 空 間 上 の状 態 関 数fΨ は,状 態 Ψ にお い て 物 理 量A を測 定 した と き に得 られ る情 報 の(ス ペ ク トル空 間上 で の)担 い 手 で あ る と解 釈 され る.い ま の場 合,Aは 理2.27-(ⅰ)(p.127)に
か け算 作 用 素 λに ユ ニ タ リ同 値 で あ るの で,[7]の 定
よっ て
(1.13) が 成 り立 つ こ と に も 注 意 し よ う.
さて,物 理 量Aの
測 定 に よ っ て,Aの
測定値が区 間
(1.14) (ε>0は
十 分 小)の
中 に あ る こ と が 知 ら れ た と し よ う.た
す る.し
た が っ て,(1.13)に
だ し,λ0∈
σ(A)と
よ っ て,
(1.15) 観 測 の 公 理 に よ り,測 定 に よ っ て 指 定 さ れ た 状 態 はR(EA(〓 い ま,そ
の よ う な 元 の 任 意 の 一 つ を Φε ≠0と
トル 空 間 上 の 状 態 関 数 は 定 理1.8-(ⅲ)に る.さ
ら に,定
理1.8-(ⅳ)に
こ れ か ら,ε ↓0と
す る こ と は,ス
方,ε
よ っ てfΦ ε∈L2(IR,dμAΨ0)で
ペ ク
与 え られ
ペ ク トル 空 間 上 の 状 態 関 数 の 台 が ど ん ど ん 狭
態fΦ ε の 決 定 の 精 度 が あ が る こ と に 対 応 す る と
↓0と い う過 程 は,測
測 定 の 精 度 を あ げ る こ と に 対 応 す る.こ 一 意 的 に 指 定 す る と解 釈 さ れ る 特 殊 な 場 合 と し て,も
れ に 対 応 す る,ス
よ って
く な る と い う 意 味 に お い て,状 解 釈 さ れ る.他
し よ う.こ
ε))の 元 で 表 さ れ る.
定 の 観 点 か ら は,Aの
の 意 味 に お い て,Aの
ス ペ ク トル の 測 定 は,状
態 を
.
し,λ0がAの
固 有 値 で λ0の 十 分 小 さ い 近 傍 に は,λ0
以 外 にAの
ス ペ ク トル が な い と す れ ば― こ の よ う な 固 有 値 を 孤 立 固 有 値 と い
う*14―,十
分 小 さ な ε に対 し て,Φ ε は λ0の 固 有 ベ ク トル に な る.実
*14 一 般 に
際,い
,ヒ ル ベ ル ト空 間 上 の 線 形 作 用 素Tの 固 有 値 λ に つ い て,あ る δ>0が あっ て,σ(T)∩(λ-δ,λ+δ)={λ}が 成 り立 つ と き,λ はTの 孤 立 固 有 値(isolated
eigenvalue)で
あ る と い う.
ま の 条 件 の も と で は,十
分 小 さ な任 意 の ε>0に
対 し て,EA(〓
と な る か ら,
で あ り,最
に 属 す る 固 有 ベ ク トル で あ る([7]のp.171,命
題2.54-(ⅱ)).他
よ っ て,λ0の の 場 合,量
固 有 ベ ク トル は 定 数 倍 を 除 いて一意
子 力 学 的 状 態 が 一 意 的 に 定 ま る.こ
ペ ク トル 空 間 上 で の 状 態 関 数fΦ
ε)=EA({λ0})
右 辺 はAの
的 で あ る.し
固 有 値 λ0
方,命
題1.4に
た が っ て,い
ま
の 固 有 ベ ク トル に 対 応 す る,ス
ε(λ)は
(1.16) に よっ て 定 義 さ れ る 関 数 η0の 零 で な い定 数倍 で 与 え られ る*15. Aの ス ペ ク トル σ(A)の 点 λ0がAの
孤 立 固 有 値 とは 限 らな い 場 合 に も,上
述 の解 釈 を支 持 す る,も っ と精 密 な議 論 を展 開す る こ とが 可 能 で あ る(演 習 問題 2を 参 照). こ う して,量 子 力 学 にお い て は,単 純 スペ ク トル を もつ 自己 共 役 作 用 素 に よっ て表 され る 物 理 量 が よ り基 本 的 な 対 象 で あ る こ とが知 られ る.そ
こで,そ
のよ
う な物 理 量 に 名 前 を つ け て お く: 定 義1.9
量 子 力 学 の コ ン テ ク ス ト に お い て,ス
ペ ク トル が 単 純 で あ る 自 己 共
役 作 用 素 に よ っ て 表 さ れ る 物 理 量 を 極 大 観 測 量(maximal
observable)ま
たは
極 大 物 理 量 と 呼 ぶ.
以 下,量
子 力 学 の コ ン テ ク ス トで な い 場 合 で も,語
の 使 い 方 を拡 張 し て,極
大 観 測 量 ま た は 極 大 物 理 量 と い う 言 葉 を 使 う こ と に す る. 例1.4
例1.2に
よ っ て,L2(IRx)上
の 位 置 作 用 素xは
例1.5
例1.3に
よ っ て,L2(IRx)上
の 運 動 量 作 用 素pは
あ る 対 比 的 な 意 味 に お い て.極
極 大 観 測 量 で あ る. 極 大 観 測 量 で あ る.
大 観 測 量 に な ら な い 基 本 的 な物 理 量 の 一 般 的
ク ラ ス の 一 つ を あ げ て お こ う: *15 関 数 η 0は,も ち ろ ん,ル ベ ー グ 測 度 に 関 し て はa.e. L2(IR)の 元 と して は0で あ る.だ が,μAΨ0({λ0})≠0で に 関 し て はa.e.零 な い.
に は な ら な い.し
0で
あ る.し た が っ て,η0は あ る か ら,η0は,測 度 μAΨ0
た が っ て,L2(IR,dμAΨ0)の
元 と して は η0は0で
命 題1.10
H, Kを
可 分 な ヒ ル ベ ル ト空 間 と し,dim
の 共 役 子 と し,H上
K〓2と
す る.CをH上
の 自 己 共 役 作 用 素AはEA(J)C=CEA(J),∀J∈J1…(*)
を 満 た す も の と す る*16.こ
の と き,A
証 明 同 型 定 理([7,p.80,定
Iは 極 大 観 測 量 で は な い.
理1.41])に
よ り,K=CN(N0は
定 数)は
理
λに関する生
⊂∞(λ)で あ る こ と が わ か る.し
た
お け ば,
稠 密 で あ る こ と を示 そ う(こ の と き,
Hで 稠 密 に な る の で,Φ0はAの n∈{0}∪INに
よ っ て,IR上
あ っ て,UAU-1=λ
は 有 界 測 度 で あ る か ら,ψ0∈
が っ て,Φ0:=U-1ψ0と
極 大 観 測量 で あ るた め
巡 回 ベ ク トル で あ る).f∈D⊥
対 し て,
と し て,
*18 自 然 な 同 型L2(IRx;C2)〓L2(IRx)
は と す れ ば,任 意 の
し た が っ て,t∈IRを と お け ば,∫IRgNV(λ)ψ0(λ)f(λ)dμ(λ)=0.
C2に
おい て
,Xはx
Iに
対 応 す る.
任意
limN→
∞gN(λ)=eitλ,λ
(CtはN,λ
∈IRで
あ り
に 依 ら な い 定 数).μ
が 有 界 測 度 な の で│f│∈L1(IR,dμ)で
積 分 に 関 す る シ ュ ヴ ァ ル ツ の 不 等 式).し て
た が っ て,ル ベ ー グ の 優 収 束 定 理 に よ っ
が 導 か れ る.Imz0に
対 し て は
z=x±iε(x∈IR,ε>0)と
が 得 ら れ る.
し て,xに
つ い て,aか
らbま
で 積 分 し(a0は
定 数,Δ
は 一 般 化 さ れ た ラ プ ラ シ ア ン)は 極 大 観 測 量 で は な い.
証 明
質 量 を表 す
を フ ー リエ 変 換 と し,
す れ ば,FdH0F-1d=hが 1.5に よ っ て,hも 一 つ を ψ0∈C∝(h)と で あ る.し
べ て のJ∈J1に
は λ に 関 す る 生 成 元 で あ っ た か ら,
(十 分 性)Aは
がHで
ベー グの優収
成り 立 つ.仮 極 大 観 測 量 で あ る.し す る
.こ
に,H0が
と
極 大 観 測 量 で あ る と す れ ば,命 題
た が っ て,hは
巡 回 ベ ク トル を もつ.そ
の と き,
た が っ て,ψ0(k)≠0,a.e.k.ま
はL2(IRdk)で た,任
意 のN∈INに
対 し て,ベ
の
稠密 ク トル
ψ0,hψ0,…,hNψ0は の1.1.5項)に
線 形 独 立 で あ る.し
た が っ て,グ
よ り,
ラ ム-シ
とな る もの が 存 在 す る.し た が って,特 に,各 φnは│k│の で あ る か ら, NlでNl→
(S⊂IRdは,ル
関 数 で あ る.
と展 開 で きる(cn∈C).し
∞(l→
ュ ミ ッ ト の 直 交 化([7]
で
た が っ て,部
分列
∞)か つ
ベ ー グ測 度 に 関 す る,あ る零 集 合)を 満 た す もの が と れ る. とお く と,こ れ は 空 集 合 で は な い.上 の こ とか ら,任 意 のk∈
に 対 して, で あ る が,左
右 辺 は,変 辺 は 符 号 が 変 わ る.し
た が っ て,こ
数 変 換k→-kに
れ は矛 盾 で あ る.ゆ
Ω
対 して 不 変 え にH0は
極大
観 測 量 で は な い.
■
1.4 複 数 の物 理 量 の測 定 に よる状 態 の一 意 的 決 定(Ⅰ)― 純 点 スペ ク トル 的 な物 理 量 の 組 の場 合
次 に,2個
以 上 の 物 理 量A1,…,AN(N〓2)―
ヒルベ ル ト空 間Hで
働 くも
の とす る― の 共 立 的測 定 可 能性 と共 立 的 測 定 に よ る状 態 の 一 意 的 決 定性 の 問 題 を考 察 す る.た だ し,こ の 節 で は,簡 単 な場 合 だ け を取 り扱 う.す な わ ち,各 Ajが
純 点 ス ペ ク トル 的 で あ る場 合 で あ る.Ajの
点 スペ ク トル は次 の形 で 与 え
られ る とす る:
(1.17) こ こで,添 え字ljは 有 限集 合 ま た は可 算 無 限 集 合 を走 る.ま た,n≠mな
らば
λ(j)n≠λ(j)mとす る.解 析 に進 む前 に,複 数 の 自 己共 役 作 用 素 の 固 有 ベ ク トル に 関 す る 基 本 的 な 概 念 を定 義 して お く. 定 義1.12
T1,…,TN(N〓2)をH上
(ⅰ) ベ ク トル Ψ ∈HがT1,…,TNの
あ り,各jに
対 し て,Tjの
の 自己 共 役 作 用 素 とす る 同 時 固 有 ベ ク トル で あ る と は,Ψ ≠0で
固 有 値 λj∈ σp(Tj)が
あ っ てTjΨ=λjΨ,j=1,…,N
が 成 り立 つ と き をい う*19.こ の 場 合,固
有 値 の 組(λ1,…,λN)をT1,…,TN
の 同 時 固 有 値 とい う. あ る同 時 固有 値 を与 え る 同 時 固 有 ベ ク トル が定 数倍 を除 い て た だ一 つ しか存 在 しな い と き,そ の 同 時 固 有 値 は単 純 で あ る とい う. 同 一 の 同 時 固 有 値 を与 え る 同時 固有 ベ ク トルで 線 形 独 立 な もの が2個
以上 あ
る と き,そ の 同 時 固有 値 は 縮 退 して い る とい う. (ⅱ) T1,…,TNの 同 時 固 有 ベ ク トル の集 合 がHのCONS(完 全 正 規 直交 系) を なす と き,T1,…,TNは 同時 固有 ベ ク トル の 完 全 系 を も つ とい う. 物 理 量T1,…,TNが
同時 固有 ベ ク トル の 完 全 系 を もつ と し よ う.T1,…,TN
を測 定 す れ ば,同 時 固 有 値 の 一 つ λ=(λ1,…,λN)が
得 られ る(公 理).こ れ
に よ っ て状 態 が 一 意 的 に定 ま るた め に は,λ は単 純 で な け れ ば な らな い.逆 に, T1,…,TNの
任 意 の同 時 固 有値 が 単 純 で あ れ ば,こ れ らの 測 定 は 明 らか に状 態
を一 意 的 に定 め る.し たが っ て,同 時 固 有 ベ ク トル の完 全 系 をも つ物 理 量 の 組 の 測 定 が状 態 を一 意 的 に決 定 す る た め の必 要 十 分 条 件 は,そ の す べ ての 同 時 固 有 値 が 単 純 で あ る こ とが 結 論 され る.こ の 条 件 を満 た す物 理 量 の 組(T1,…,TN) ― す な わ ち ,そ の 同 時 固 有 ベ ク トル の 全 体 は完 全 系 を な し,か つ そ のす べ て の 同 時 固 有 値 が 単 純 で あ る よ うな物 理 量 の 組― は純 点 スペ ク トル 的 に極 大 で あ る (maximal)と
い う.こ
う して,純 点 スペ ク トル 的 な物 理 量 の 組 につ い て は,そ
の 測 定 に よ っ て状 態 が 一 意 的 に定 ま る よ うな ク ラス が 決 定 され る.そ
こ で,以
下 で は,物 理 量 の 組 が純 点 ス ペ ク トル 的 に極 大 で あ るた め の 条 件 を検 討 す る.
1.4.1 同 時 固 有 ベ ク トル が完 全 系 をな す ため の 条 件 次 の定 理 を証 明 す る: 定 理1.13
(1.17)を 仮 定 す る.こ の と き,A1,…,ANが
完 全 系 を もつ た め の 必 要 十 分 条件 はA1,…,ANが
同 時 固 有 ベ ク トルの
強 可 換 で あ る こ とで あ る.
この定 理 を証 明 す る ため に,あ る基本 的 な一般 的 事 実 を補 題 と して述 べ てお く: *19 い う ま で も な く な よ う に,Tjの
,こ の"同 時"は,時 間 的 に 同 時 と い う意 味 で は な い.定 う ち一 つ で も 固 有 値 を も た な い も の が あ れ ば,T1,…,TNの
ベ ク トル は 存 在 し な い .
義 か ら明 らか 同 時固 有
補 題1.14
TをH上
の 自 己 共 役 作 用 素 と し,MをHの
の 正 射 影 作 用 素 をPと
す る*20.も
不 変 に す る な ら ば(i.e.,Ψ
し,す
∈Mな
閉 部 分 空 間 と し,Mへ
べ て のt∈IRに
ら ばeitTΨ
対 し て,eitTがMを
∈M),
(1.18) が 成 り立 つ.特
に,TはMに
よ っ て 簡 約 さ れ る.
証 明 仮 定 に よ り, Pe-itT.左 (1.18)が
辺 は(*)に
よ っ て,e-itTPに
す る.(1.18)に
有 界 性 に よ り,左
t=0で
等 しい.t∈IRは
任 意 で あ る か ら,
得 ら れ る.
次 に Ψ ∈D(T)と Pの
こ の 式 で 共 役 を と る と,Pe-itTP=
よ り,
辺 はt=0で
強 微 分 可 能 で あ る.し
強 微 分 可 能 で あ る か ら,[8]の
PTΨ=TPΨ
が 成 り立 つ.す
と
定 理3.37に
た が っ て,右
よ っ て,PΨ
な わ ち,PT⊂TP.よ
辺 も
∈D(T)か
っ て,TはMに
つ
よって
簡 約 さ れ る.
定理1.13の
■
証 明 (必 要性)Ajの
固有 値 を重 複 を込 め て数 えた もの を μ(j)qjと する
(集 合 と して は,
の同
時固有ベクトルからなるCONSと する:すなわち, で あ り,{Ψq1,…,qN}q1,…,qNはHのCONSを
任意のt∈IRとj=1,…,Nに したが っ て,任
な す と す る.作
用 素 解 析 に よ り,
対して,
意 のs∈IRとk=1,…,Nに
対 して,
こ れ か ら, が 導 か れ る.任
意 のΨ
∈Hは{Ψq1,…,qN}q1,…,qNで
は 有 界 で あ る か ら,
展 開 で き,eisAk,eitAj が 得 ら れ る.し
ゆ え に,[8]の
定 理3.13に
た が っ て.
よ っ て,AjとAkた
は強
可 換 で あ る. (十 分 性)A1,…,ANは
強 可 換 で あ る と す る.
と お く と(l1,…,lN)≠(l'1,…,l'N)な
ら ばHl1,…
,lNとHl'1,…,l'Nは直
交
*20 [7]に お い て射 影演 算 子(直 交射 影)と 呼 んだ作 用 素 を ,本 書 で は,正 射 影作 用 素 と呼 ぶ.
す る.仮
定(1.17)に
Hl1,…,lNが
成
よ り,
で あ る の で,H=
り 立 つ.Ak,Aj(j≠k,j,k=1,…,N)の
強 可 換 性 に よ り,任
意 のs,t∈IRに
対 し て,
し た が っ て,任
ker(Ak-λ(k)lk)に
対 し て,
そ こ で,s=0で
分 を 考 察 す れ ばeitAjΦ
がker(Ak-λ(k)lk)を
∈D(Ak)か
で あ り,Hl1
(Ml1,…,lN〓
え に,補
た が っ て, 同 時 固 有 ベ ク トル で あ る:
同 時 固 有 ベ ク ト ル の 完 全 系 を も つ.
■
一 つ の物 理 量 で表 す こ と
も と で,A1,A2,…,ANは
強 可 換 で あ る とす る.こ
の と き,定
同 時 固 有 ベ ク トル か ら な る 完 全 正 規 直 交 系 が
ま,こ れ を{Ψm}∝m=1で
に 関 す る 固 有 ベ ク トル 方 程 式(固
表 し(dim
H=+∞
の 場 合 を 考 え る),Aj
有 値 方 程 式)を
と 書 く(し
合 と して, .
有 界 な 実 数 列 κ:={κm}∝m=1でm≠nな
ら ばκm≠κnを
の を 任 意 に と り,C:=supm〓>1│κm│0).
Aの
各 固 有 値κmは
単 純 で あ る.し
各j=1,…,Nに
対 し て,IR上
に よっ て定 義 す る*22.Fjは
た が っ て,Aは
極 大 観 測 量 で あ る(例1.1).
の 関 数Fj:IR→IRを
連 続 関 数列 の各 点 極 限 と して 書 け る ので,ボ レル 可
測 で あ る.次 の定 理 を証 明 す る: 定 理1.15
仮 定(1.17)の
も と で,A1,A2,…,ANは
強 可 換 で あ る とす る.こ
の と き,Aj=Fj(A),j=1,…,N.
証明 作用素解析 によ り, とす れ ば,こ れ はHで
稠密 な部 分 空 間 で あ り,各AjはD上
で 本 質的 に 自己共 役 で あ る([7]の 命 題2.79の 証 明 と同様).(*)はAj│D⊂Fj(A) を意 味 す るか ら,両 辺 の 閉 包 を と る こ とに よ り,Aj⊂Fj(A)が 辺 とも に 自己 共 役 で あ る か ら,Aj=Fj(A)で 定 理1.15は,量
した が う.両
な け れ ば な らな い.
■
子 力 学 の コ ンテ ク ス トで は,次 の こ と を意 味 す る:強 可 換 な
純 点 ス ペ ク トル 的 物 理 量 の組 の各 要 素 は,あ る一 つ の 極 大 観 測 量(こ れ も純 点 ス ペ ク トル的)の 関 数 と して表 され る. 次 の 事 実 は,Aの 系1.16
定 理1.15の
定 義 と定 理1.15か
らた だ ち に導 か れ る:
仮 定 の も と で,物
理 量 の 組(A1,…
,AN,A)は
純点スペ
ク トル 的 に 極 大 で あ る.
こ う して,純
点 ス ペ ク トル 的 か つ 強 可 換 な物 理 量 の 組 に対 して は,こ れ に あ
る純 点 ス ペ ク トル 的 物 理 量 を付 け 加 え る こ と に よ り,常 に,純 点 スペ ク トル 的 に極 大 な 物 理 量 の 組 をつ くる こ とが で きる こ とが わ か る. 注 意1.2
作 用 素Aの
構 成 か ら わ か る よ う に,Aj=Fj(A)(j=1,…,N)と
な る よ う な 有 界 自 己 共 役 作 用 素Aと
*22 以 下 の 議 論 か ら わ か る の だ が
,実
は,κ
関 数Fjは
≠κmに
無 数 に 存 在 す る.
お け るFjの
値 は ど う定 め て も よ い.
1.5 複 数 の物 理 量 の 測 定 に よ る状 態の 一 意 的決 定(Ⅱ)―
一 般 の場 合
こ の節 で は,必 ず し も純 点 ス ペ ク トル 的 で な い 物 理 量 の 組 の 測 定 に よ る状 態 の 一 意 的 決 定 性 の 問 題 を考 え る.こ の 一 般 の場 合 は,当 然,前
節 の特 殊 な場 合
を含 まな けれ ば な ら な いか ら,対 象 と な る物 理 量 の 組 は強 可換 で な け れ ば な ら な い.こ の 点 は以 下 の議 論 にお い て 大 前 提 とな る も ので あ る.
1.5.1
可 換 な観 測 量 の 極 大 な組
A1,…,ANを
ヒ ル ベ ル ト空 間H上
の 強 可 換 な 物 理 量 の組 と し
(1.20) と お く.た
と え ば,A1が
る と,A1がaを
連 続 ス ペ ク トル を も ち,a∈
と る 状 態 はHの
σ(A1), a〓
σp(A1)と
中 に は 存 在 し な い の で(∵EA1({a})=0),前
節 の 場 合 と は 異 な り,A1,…,ANの
ス ペ ク トル の 点 の 組 を 用 い て 状 態 を 指 定 す
る こ と は で き な い.し
た が っ て,現
さ れ ね ば な ら な い.そ
の た め の 自 然 な ア イ デ ア の 一つ は,単
下 の 問 題 を解 く た め に は,別
の方 法 が探 索
独 の 物 理 量 の場 合
の 極 大 性 の 概 念 を 複 数 の 物 理 量 の 場 合 へ と拡 張 す る こ と で あ る.こ う に し て な さ れ る.仮 ペ ク トル 測 度EA トル 測 度EAが
定 に よ り,A1,…,ANは
1(・),…,EAN(・)は 定 義 さ れ る([7]の
ク トル 測 度 で あ り,す
す
強 可 換 で あ る か ら,そ
可 換 で あ る.し 定 理2.67).す
べ て のB1,…,BN∈B1に
れ は次 の よ
た が っ て,そ
な わ ち,EAはIRN上
れ らの ス
の直 積 ス ペ ク のスペ
対 して
(1.21) を満 たす もの で あ る.作 用 素 解 析 に よ り,ス ペ ク トル 測 度EAを
用い ると
(1.22) と表 示 され る こ とが わか る.EAの
台
(1.23)
をAの ANの
結 合 ス ペ ク トル(joint
呼 ぶ*23.こ
れ は,物 理 的 に は,A1,…,
測 定 値 の 組 全 体 の 集 合 を 表 す と 解 釈 さ れ る.
注 意1.3 一 が,等
spectrum)と
般 に,suppEA⊂
σ(A1)×
号 は 成 立 す る と は 限 ら な い(次
例1.9
P1,…,Pd(d∈IN)をH上
…
× σ(AN)で
あ る(演
習 問 題6).だ
の 例 を 参 照).
の 強 可 換 な 自己 共 役 作 用 素 の 組 とす る.m〓0
を定 数 と して,P0:=(P21+…+P2d+m2)1/2と で あ り,
お く.こ の と き,P0は が 成 り立 つ.ま
自己共役
た,P:=(P0,P1,…Pd)
は 強 可 換 で あ る. 次 の 事 実 が 成 立 す る:
とお くと
(1.24) 証 明 任意 の Ψ ∈∩dj=1D(P2j)に 対 して,Ψ ∈D(P20)で
あ り,
これ は
を意 味 す る.
した が っ て,
は稠 密 で あ るか ら,
が 得 られ る.ゆ V+mは,特
え に(1.24)が
殊 相 対 性 理 論 に お い て,質
素 の組Pは,相
成 り立 つ. 量mの
■
超 双 曲 面 と呼 ば れ る.自
対 論 的 場 の 量 子 論 の コ ン テ クス トにお い て は,質 量mの
の エ ネ ル ギ ー ・運 動 量 作 用 素 を 表 す.σ(Pj)=IR(通
己 共役作 用 量 子的粒 子
常 の 場 合)な ら ば,(1.24)は
を示 す. 定 義1.9の
多次 元 版 と して,次 の 定 義 は 自然 な もの で あ る:
定 義1.17 物 理 量 の 組Aに を もつ と き,Aは
とす る.強 可 換 な つ い て,作 用 素 の集 合{EA(B)│B∈JN}が 極 大 で あ る とい う.こ の場 合,Aを
*23 ス ペ ク トル 測 度 の 台 の 定 義 に つ い て は[7]のp.192を
参照
巡 回 ベ ク トル Ψ0 可 換 な観 測 量 の極 大 な組 .
(maximal
set of commuting
う*24.Ψ0をAに
observables)ま
た は可 換 な物 理 量 の極 大 な組 とい
関 す る 生 成 元 と い う.
こ の定 義 が 意 味 を もつ た め に は,そ れ が,純 点 ス ペ ク トル 的物 理 量 の 組 の極 大 性 の概 念 の 拡 張 に な って い る こ と を確 か め てお く必 要 が あ る.実 際,次
の事
実 が 成 立 す る: 命 題1.18
Aを
強 可 換 な純 点 ス ペ ク トル 的 物 理 量 の 組 とす る.こ の と き,A
が 純 点 ス ペ ク トル 的 に極 大 で あ る た め の 必 要 十 分 条 件 は,Aが(上
に 定 義 した
意 味 で)極 大 で あ る こ と で あ る. 証 明 (必 要 性)Aは
純 点 ス ペ ク トル 的 に 極 大 で あ る と し よ う.こ
の と き,Hの
CONS で と な る も の が あ る.正
の 数Cλ1,…,λNで
を 満 た す もの
に 対 し て,
は 収 束 す る.作
用 素解 析 に よ り
. これ か ら,L({EA(B)Ψ0│B∈ JN})がHで
稠 密 で あ る こ と が 導 か れ る.ゆ
巡 回 ベ ク トル で あ る の で,Aは (十 分 性)Aは
え に,Ψ0は{EA(B)│B∈JN}の
極 大 で あ る.
極 大 で あ る と し,Ψ0を{EA(B)│B∈JN}の
す る.定
理1.13に
に,Aが
純 点 ス ペ ク トル 的 に 極 大 で な い とす れ ば,A1,…,ANの
(λ1,…,λN)で
よ り,A1,…,ANは
巡 回 ベ ク トル と
単 純 で な い も の が あ る.し
の 次 元 は2以
上 で あ る.一
元 で あ る.し
た が っ て,η
に な る.こ
同 時 固 有 ベ ク トル の 完 全 系 を も つ.仮
方,η:=EA({λ1}×
の 極 大 性 に 反 す る.ゆ
た が っ て,M:=∩Nj=1ker(Aj-λj) …
×{λN})Ψ0≠0はMの
と 直 交 す る 零 で な い ベ ク トルxがMの
の 場 合,xは{EA(B)Ψ0│B∈JN}と え にAは
同時 固有値
中にある こと
直 交 す る こ と に な る の で,A
純 点 ス ペ ク トル 的 に 極 大 で な け れ ば な ら な い.
■
*24 前 者 の 呼 び方 のほ うが 標 準 的 と思 われ るの で本 書 で も以 下
,こ の 慣 習 に したが う.
1.5.2
同
時 対
角 化
可 換 な観 測 量 の 極 大 な組 に対 して,定 理1.8の
拡 張 とみ られ る定 理 が 成 立 す
る こ とを示 そ う. Aを 可 換 な観 測 量 の極 大 な 組 と し,Aに 関 す る生 成 元 の 一 つ を Ψ0と す る. B NをN次 元 の ボ レル集 合 体 とす る.こ の と き,可 測 空 間(IRN, BN)上 の 測 度 μAΨ0を
(1.25) に よ っ て定 義 で きる.こ れ は 有 界 な 測 度 で あ る. 定 理1.19
Aを
U:H→L2(IRN,
上 の も の と す る.こ
の とき,次
の 性 質 を も つ ユ ニ タ リ作 用 素
dμAΨ0)が 存 在 す る:
(ⅰ) UΨ0=1. (ⅱ) 作 用 素 の 等 式
(1.26) が 成 り立 つ.た
だ し,右 辺 はL2(IRN,
に よ る か け 算 作 用 素 を 表 す(IRNの (ⅲ) 任 意 の Ψ ∈Hに 一つ あって
対 し て,ボ
dμAΨ0)に お い て 第j番 点 を(λ1,…,λN)と レ ル 可 測 関 数fΨ
目 の 座 標 変 数 λj∈IR 記 す).
∈L2(IRN, dμAΨ0)が
た だ
(1.27) と 表 さ れ る.
(ⅳ) 任 意 の ボ レ ル集 合B∈BNに
対 して
(1.28) 証 明 定 理1.8の
証 明 と ま っ た く並 行 的 で あ る の で 省 略 す る(演 習 問 題7). ■
単 独 の極 大 観 測 量 の場 合 と同様 の考 察 に よ り,定 理1.19は,物 理 量.A1,…,ANの 釈 さ れ る.こ
理 的 には,物
組 の 測 定 が 状 態 を一 意 的 に定 め る こ とを意 味 す る もの と解
う して,1.1節
で提 起 され た 問題 に対 す る一 つ の解 答 が得 られ る.
1.5.3 基 本 的 な 構 造 可 換 な 観 測 量 の極 大 な組 を見 い だ す た め の基 本 と なる 構 造 につ い て述 べ て お こ う. 次 の命 題 は,可 換 な観 測 量 の極 大 性 はユ ニ タ リ不 変 な性 質 で あ る こ と を語 る: 命 題1.20
Kを ヒ ルベ ル ト空 間 と し,U:H→Kを
ユ ニ タ リ変 換 とす る.A
が 可 換 な 観 測 量 の 極 大 な組 な らば,(UA1U-1,…,UANU-1)も
可換 な 観 測 量
の 極 大 な 組 で あ る. 証 明 命 題1.5の 定 理1.21
証 明 と同 様.
H1,…,HNを
■
ヒ ルベ ル ト空 間 と し,AjをHj上
の極大観測量 と し
(1.29)
と す る.こ
の と き,(A1,…,AN)は Nj=1Hjに
お け る 可換 な観 測 量 の 極 大 な組
で あ る.
証 明 前 著[8]の4.2節 可 換 で あ る.さ
を 満 た す.し
で み た よ う に,Ajは
ら に,こ
自 己 共 役 で あ り,A1,…,ANは
れ ら の 直 積 ス ペ ク トル 測 度EAは
た が っ て,Ajに
関 す る 生 成 元 を ηjと し,Ψ0:=η1
お け ば, …
で あ る.ゆ
×JN)Ψ0と
稠 密 で あ る か ら,DはHで
L2(IRN)に
稠 密 で あ る.こ え に,題
リ同 値 で あ る([8],4.2節).定
NL2(IR)([8],4.1節)に 理1.21に
の 事 実 と命 題1.20と
部分 含 む. 関 ■
極 大 で あ る. お い て,xjはxjと
よ っ て,(x1,…xN)は
に よ っ て,題
れ は,Ψ0がAに
意 が 成 立 す る.
お け る位 置 作 用 素 の 組x1,…,xNは
証 明 自然 な 同 型L2(IRN)〓
な 組 で あ る.こ
え に,EA(J1×
代 数 的 テ ン ソ ル 積D:= Nj=1Djを
す る 生 成 元 で あ る こ と を 意 味 す る.ゆ 例1.10
… ηNと
い う 型 の ベ ク ト ル に よ っ て 生 成 さ れ る 部 分 空 間 は ,Hjの
空 間Dj:=L({EAj(J)ηj│J∈J1})の 各DjはHjで
強
ユニタ
可 換 な観 測 量 の 極 大
意 が し た が う.
■
例1.11
L2(IRN)に
お け る運 動 量 作 用 素 の 組p1,…,pNは
証 明 (k1,…,kN)は 例1.12
極 大 で あ る.
は フ ー リ エ 変 換).前 極 大 で あ る.こ
ス ピ ン1/2の
の事 実 と命 題1.20と
量 子 的 粒 子 がIR3に
お い て1個
の ヒ ル ベ ル ト空 間 はL2(IR3;C2)=L2(IR3)
C2に
をとる.s3の 重 度 は1で
あ る.し
た が っ て,s3はC2に
の 事 実 お よ び定 理1.21に
に よ っ て,題
例 に よ り,
意 が した が う. ■
存 在 す る 系 を 考 え る.状
と れ る.ス
固 有 値±1/2で
あ り,各固 有値 の 多
お け る極 大 観 測 量 で あ る.こ
れ と例1.10
よ り,位 置 作 用 素 と ス ピ ン作 用 素 の 組(x1,x2,x3,s3)は
大 で あ る こ とが わ か る.s3を
態
ピ ン作 用 素 と して,
ス ピ ンの 他 の 成 分 で置 き換 え て も 同様 で あ る.ゆ
極 え に,
考 察 下 の 系 に お い て は,位 置 とス ピ ンの 成 分 の 一 つ を 測 定 す る こ と に よ り,状 態 は一 意 的 に定 ま る.
1.5.4 可 換 な観 測 量 の 極 大 な組 の 別 の特 徴 づ け 単 独 の 観 測 量 の 極 大 性 の,巡 回ベ ク トル に よる特 徴 づ け(定 理1.11)は
可換 な
観 測 量 の極 大 な組 の 場 合 に も可 能 で あ る: 定 理1.22
強 可 換 な 物 理 量 の組A=(A1,…,AN)が
極 大で あるための必要
十 分 条 件 は,作 用 素 の集 合
が巡 回
ベ ク トル を もつ こ とで あ る. 証 明 (必 要性)定 理1.19が
成 立 す る の で,定 理1.11に
お け る 「必 要 性 」 の証
明 を多 次 元 の 場 合 に拡 張 す れ ば よい.こ れ は容 易 で あ るの で 演 習 問題 とす る(演 習 問題8). (十分 性)定 理1.11に
1.5.5
お け る 「十 分性 」 の証 明 と同 様(演 習 問題8).
■
可 換 な 観 測 量 の極 大 な組 を一 つ の 極 大 観 測 量 で 表 す こ と
A=(A1,…,AN)を が 成 立 す る.U,μAΨ0を
可 換 な 観 測 量 の 極 大 な 組 と し よ う.こ 定 理1.19の
も の と す る.ボ
の と き,定 理1.19
レ ル 可 測 関 数u:IRN→IR
で 単 射 で あ る も の を 任 意 に 一 つ と る*25.L2(IRN,dμAΨ0)に
お け る,関
数uに
よ
*25 この よ うな 関 数 の存 在― それ は全然 自明 で は な い― を示 す 一 つ の方 法 は ,IRか らIRN へ の 単 射 な写 像 φ で そ の 逆写 像 φ-1が ボ レル 可測 に なる よ うな もの をつ くる こ とであ
るか け算 作 用 素 をMuと
し(こ れ は 自己 共役 作 用 素)
(1.30) とす れ ば,AはH上
の 自 己 共 役 作 用 素 で あ る.各j=1,…,Nに
対 し て,関
数fj:IR→IRをfj(μ):=0,μ〓u(IRN);
に よ っ て 定 義 す る.こ の と き,作 用 素 解 析 に よ り,作 用 素 の等 式
が 成 立 す る.両 辺 をU-1で
ユ ニ タ リ変 換 す れ ば,作 用 素 の等 式
(1.31) が 得 ら れ る.さ 命 題1.23
ら に,次
上 のAは
の 事 実 が 成 立 す る: 極 大 観 測 量 で あ る.
証 明 Ψ0は{Aα11…AαNN│αj∈{0}∪IN,j=1,…,N}に ル と し て 一 般 性 を 失 わ な い.す
はHで
稠 密 で あ る.他
る と(1.31)に
対 す る巡 回 ベ ク ト よっ て
方,各fjを,L2(IRμ,d‖EA(μ)Ψ0‖2)の
収 束 の 意 味 で,
多 項 式近 似 す る こ と に よ り
が わ か る*26.し に 定 理1.11に
た が っ て,L({AnΨ0│n∈{0}∪IN})はHで よ り,Aは
稠 密 で あ る.ゆ
極 大 観 測 量 で あ る.
え ■
る(こ の と き,u:=φ-1が 求 め る関 数 の一 つ を与 える).た だ し,そ の よ う な写像 φ は "常識 的 描 像"か らい う とた いへ ん 特異 な もの に なる .φ をつ くる に は,た とえ ば,ペ ア ノ 曲線 をつ くる 方 法[高 木 貞 治 『 解 析 概 論 』(改 訂 第 三版,岩 波 書 店)の 附 録Ⅱ(p.468 ∼p.469)]を 応 用 す れ ば よ い. *26 多 項 式 近 似 は い っ き に行 う こ とは で きず
,次 の段 階(ⅰ)∼(ⅴ)を 踏 まね ば な ら ない.(ⅰ) ボ レル 可測 関数fjを,台 が 有 界 な ボ レル可 測 関数gnで 近 似 す る;(ⅱ) gnを 階段 関数 で 近似 す る;(ⅲ) (ⅱ)に 現 れ る階段 関数 を区 間 の定 義 関 数 の線 形 結 合 で表 され る階段 関 数 で 近似 す る;(ⅳ) 区 間 の定 義 関数 を連 続 関数 で 近 似 す る;(ⅴ) 区 間 に 制限 され た連 続 関 数 を ヴ ァイエ ル シ ュ トラス の多 項 式 近似 定 理 に よ り,多 項 式 で 近似 す る.
こ う して,可 換 な観 測 量 の 極 大 な組 は一 つ の極 大観 測 量Aに
集 約 され る.こ
れ は,可 換 な観 測 量 の 極 大 な組 の 測 定 に よ る状 態 の 一 意 的決 定性 が,実
は,一
つ の 極 大 観 測 量 の 測 定 に よ る一 意 的決 定 性 に帰 着 で きる こ と を意 味 す る.
1.6
代 数 的 な特 徴 づ け
強 可 換 な 自己 共 役 作 用 素 の組 が 極 大 で あ る こ と を代 数 的 に特 徴 づ け る こ と も で き る.そ の鍵 と な る ア イ デ ア の 一 つ は,互 い に異 な る強 可 換 な物 理 量 を よ り 多 く測 定 す れ ば,状 態 を よ り詳 細 に特 定 す る こ とが で き,し た が っ て,状 態 の 一 意 的 決 定 へ とよ り"近 づ く"こ とが 可 能 で あ ろ う とい う物 理 的推 測 で あ る(そ の 示 唆 は,す で に,系1.16に
現 れ て い る).こ の 推 測 は,強 可 換 な 物 理 量 の 集 合
の 代 数 的 構 造 を研 究 す る こ とへ と人 を導 く. Hを 複 素 ヒ ルベ ル ト空 間 と し,H全 素 の 全 体 をB(H)と
体 を定 義 域 とす る,H上
の有 界 線 形 作 用
す る([7],1章,1.2項).
1.6.1 可 換 子 代 数 定 義1.24
A⊂B(H)と
す る.Aの
元 と可 換 な有 界 作 用 素 の 全体 をA'で 表 す:
(1.32) A'をAの A'の
可 換 子 集 合(commutant)と
い う.明
ら か にI(恒
等 作 用 素)∈A'.
可換子集合
(1.33) をAの2重
可 換 子 集 合(double
commutant)と
い う. n個
以 下,同
様 に し て,Aのn重
(A(n-1))',n〓2に
A'がC上
可 換 子 集 合A'…'=A(n)が
帰 納 的 にA(n):=
よ っ て 定 義 さ れ る.
の 代 数 を なす こ とは 容 易 に わ か る*27.こ
の ゆ え に,可 換 子 集 合 を
可 換 子 代 数 と も い う. *27 C上
の 代 数― 複 素 代 数 と も い う― の 定 義 に つ い て は
,[7]のp.70を
参 照.
H上 の有 界 作 用 素 か ら な る2つ
の集 合A, Bに つ い て
(1.34) が 成 り立 つ(証 明 は容 易). 他 方,こ
れ も容 易 に わ か る こ とで あ る が
(1.35) し た が っ て,(1.34)よ A'⊂A'''.ゆ
り,A'''⊂A'.ま
た,(1.35)のAと
して,A'を
考 える と
えに
(1.36) Aを 複 素 ヒル ベ ル ト空 間H上 2つ の 元X,
Yが
の 有 界 作 用 素 か らな る集 合 とす る.Aの
可 換 で あ る と き,す な わ ち,XY=YXが
任意 の
成 り立 つ と き,A
は可 換 ま た は ア ー ベ リア ンで あ る とい う. 補 題1.25
任 意 の 可 換 な 集 合A⊂B(H)に
証 明 X∈Aを XY=YX.し
1.6.2 RをB(H)の
任 意 に と る.Aの
対 して,A⊂A'.
可 換 性 に よ り,任
意 のY∈Aに
対 し て,
た が っ て,X∈A'.
■
ス ペ ク トル 射 影 が 生 成 す る 代 数 部 分 代 数 と す る(i.e.,R⊂B(H)か
し て 代 数 に な っ て い る).こ
つRは
線形作 用素の積 に関
れ に 対 して
(1.37) に よ っ て 定 義 さ れ る 作 用 素 の 集 合 をRの
強 閉 包(strong
closure)と
い う.こ
れ
も 代 数 で あ り,強 収 束 の 位 相 で 閉 じて い る .
A⊂B(H)と (B(H)の)部
し,H上
の恒 等 作 用 素IとAの
元 の す べ て の 積 か ら生成 され る
分空間
(1.38)
はB(H)の
部 分 代 数 を なす.こ
閉包 をMs(A)と
れ をAか
ら生 成 され る代 数 とい う.P(A)の
強
記 す:
(1.39) Aが
可 換 で あ れ ば,Ms(A)も
可 換 で あ る.
A=(A1,…,AN)をH上
の 強 可 換 な 物 理 量 の 組 と し,A1,…,ANの
ク トル 射 影EAj(Jj)(Jj∈J1,j=1,…,N)か
スペ
ら 生 成 さ れ る代 数 の 強 閉 包
(1.40) を 考 え る.こ
れ をAに
同 伴 す る フ ォ ン ・ノ イ マ ン(J.
von
Neumann)代
数 と
呼 ぶ.
定 理1.26
ヒル ベ ル ト空 間Hは
可 分 で あ る とす る.こ の と き,Aが
可換 な 観
測 量 の 極 大 な組 で あ る た め の必 要 十 分 条 件 は
(1.41) が 成 立 す る こ とで あ る. 証 明 (必 要 性)Aは Uお
極 大 で あ る と し,Aに
よ び μ:=μAΨ0を
と す る.し
定 理1.19の
関 す る 生 成 元 の 一 つ を Ψ0と す る.
も の と す る.EA⊂E'Aは
明 ら か.T∈E'A
た が っ て,
TU:=UTU-1と
そ こ で,
す れ ば,
た だ し, とお け ば,
TUはL2(IRN,dμ)上
の 有 界 作 用 素 で あ る か ら,g∈L∝(IRN,dμ)で はL2(IRN,dμ)で
(*)は 任 意 のf∈L2(IRN,dμ)に る.し
た が っ て,TUはgに
対 し て,TUf=gfが
を 意 味 す る.し とEA(Bl),Bl∈JNと
稠 密 で あ る か ら,
え に,T=g(A).他
λ ∈IRNと
意 のf∈L2(IRN,dμ)に た が っ て,
あ る.
成 り立 つ こ と を 意 味 す
よ る か け 算 作 用 素 で あ る.ゆ
有 界 な 階 段 関 数 列gnで こ れ は,任
.
方,
な る も の が と れ る.
対 して は 恒 等 作 用 素I
い う 形 の 作 用 素 の 線 形 結 合 で 表 さ れ る.EA(Bl)は,
EA1(J1)…EAN(JN), る とT∈EAが
Jk∈J1と
い う 形 の 作 用 素 で あ る.以
上 の 事 実 を合 わ せ
結 論 さ れ る.
(十 分 性)(1.41)が をT=EAと
成 り立 つ と す る.Hは
可 分 で あ る の で,付
録Aの
し て 応 用 で き る.Hn:=HT(Ψn)=HEA(Ψn)を
の と し,N=∞ 選 ぶ.す
の 場 合 を 考 え る.
と な るcn>0を
る と ベ ク トル
が 定 義 さ れ る.こ
ル がε:={EA1(J1)…EAN(JN)│Jj∈J1,j=1,…,N}の
し て,番
と 書 け る.た
の 正 射 影 作 用 素 をPnと だ し,Φn:=PnΦ.任
号Nを
を考 え る と
方,PnEAj(J)=EAj(J)Pn(j=
あ る か ら,T(N)∈E'A.こ た が っ て,Φ
こ れ は Ψ0が
定 義 か ら,
を 満 た す もの が存 在 す
し た が っ て,limN→∞T(N)Ψ0=Φ.他
T(N)∈EA.し
対
い う形 の 作 用 素 の 線 形 結 合 で
用 素
1,…,N;J∈J1)で
意の
意 の ε>0に
表 さ れ る 作 用 素 列Qnで こ で,作
す る.任
と な る よ う に と る.Hnの
EA1(J1)…EAN(JN)(Jk∈J1,k=1,…,N)と
る.そ
のベ ク ト
巡 回 ベ ク トル
で あ る こ と を 示 せ ば 十 分 で あ る.Hnへ Φ ∈Hは
定 理A.3 そ こで の も
∈L({SΨ0│S∈
れ と 仮 定(1.41)に ε}).Φ
∈Hは
よ り,
任 意 で あ っ た か ら,
ε に 対 す る 巡 回 ベ ク トル で あ る こ と を 意 味 す る.よ
っ て,Aは
大 で あ る.
■
A1,…,ANに,こ
れ ら と強 可 換 な 自 己 共 役 作 用 素AN+1を
(A1,…,AN+1)に E'A.し
極
同 伴 す る フ ォ ン ・ノ イ マ ン 代 数EAを
た が っ て,条
は 変 わ ら な い.こ
件(1.41)が
の 意 味 で,条
条 件(1.41)は,強
考 え る と,EA⊂EA⊂
成 り立 つ 場 合 に は,EA=EAと 件(1.41)は
付 け 加 え て,A:=
物 理 量 の 組Aの
な っ て,EA 極 大 性 を 表 す.
可 換 な 物 理 量 の 集 合 の 濃 度 が 有 限 で な い 場 合 に も使 え る.
こ の こ と に 注 目 す る と,強
可換 な物 理 量 の極 大 性 に 関 す る 普 遍 的 な定 義 の 一 つ
に 到 達 す る:
定 義1.27
A={Aα}α
∈Λ(Λ は 添 え 字 集 合)を
強 可 換 な 自己 共 役 作 用 素 の 集
合 とし
(1.42) とお く.Aが
可 換 な観 測 量 の極 大 集 合 で あ る とは
(1.43) が 成 り立 つ と き を い う*28. 注 意1.4
B(H)の
の 条 件 は,Aの
可 換 な 部 分 代 数AがA=A'…(*)を
満 た す と し よ う.こ
す べ て の 元 と 可 換 な 有 界 作 用 素 をAに
は 何 も 変 化 し な い こ と を い っ て い る.そ
こ で,(*)を
加 え て も代 数 全 体 と して 満 た す 可 換 代 数Aを
極 大
ア ー ベ ル 代 数 と い う.
付 録A
可 分 な ヒ ル ベ ル ト空 間 の 巡 回 ベ ク トル に よ る 直 交 分 解
こ の付 録で は,ヒ ルベ ル ト空間 上 の解 析 に おけ る,巡 回ベ ク トルの概 念 の本 質 的重 要 性 を観 る ため に,ヒ ルベ ル ト空 間 の構造 と巡 回ベ ク トル との あ る普 遍 的 な関 わ りにつ いて 述べ て お く.
A.1 Hを
単 独 の 自 己共 役 作 用 素 に 同 伴 す る直 和 分 解 ヒ ル ベ ル ト空 間,AをH上
の 自 己 共 役 作 用 素,EAをAの
ス ペ ク トル 測 度 と
して
(A.1) を 定 義 す る*29.た 補 題A.1
だ し,線 形 作 用 素Tに
AをH上
稠 密 な 部 分 空 間 で あ る.
(ⅱ) 任 意 の Ψ ∈C∞0(A)に ∈D(Am)で
値 域 を表 す.
の 自己 共 役 作 用 素 とす る.こ の と き,次 の(ⅰ)∼(ⅲ)が 成 り立 つ.
(ⅰ) C∞0(A)はHで
て,Ψ
対 して,R(T)はTの
対 して,番
号nΨ
が あ っ て,す
べ て のm∈INに
対 し
あ り
(A.2) が 成 り立 つ.し
た が っ て,特
に
(A.3) (ⅲ) C∞(A)はHで *28 こ の 場 合 *29 Aが
稠 密 で あ る.
,Aを 可 換 な観 測 量 の 完 全 な 組 と 呼 ぶ 場 合 も あ る. 有 界 で あれ ば ,C∞0(A)=H.
証 明 (ⅰ) C∞0(A)が
部 分 空 間 で あ る こ と は,EA(J)EA(K)=EA(J∩K)(J,
K∈B1)
に注 意 す れ ば容 易 に示 され る.稠 密 性 は,任 意 の Ψ ∈Hに 対 して,Ψn=EA([-n, とお け ば,Ψn∈C∞0(A)で
あ り,‖Ψn-Ψ‖
(ⅱ) 任 意 の Ψ ∈C∞0(A)に EA([-n,
n])Φ と書 け る.し
した が っ て,Ψ
∈D(Am)で
(ⅲ) (ⅰ)と(A.3)か 定 理A.2
→0(n→∞)と
対 して,あ
る 番 号n=nΨ
た が っ て,任
意 のm∈INに
あ り,(A.2)が
n])Ψ
な る こ と か ら した が う. と Φ ∈Hが
あ っ て Ψ=
対 して
得 られ る.
ら した が う.
■
Hを 可 分 な ヒ ル ベ ル ト空 間,AをH上
の 任 意 の 自 己 共 役 作 用 素 とす る.
こ の と き,零 で な い ベ ク トル の 直 交 系{Ψn}Nn=1⊂C∞0(A)(Nは
有 限 また は可算無
限)が 存 在 し て
(A.4) が 成 り立 つ.さ 注 意A.1 ΨnはAnに
ら に,各HnはAを
各Hnに
お け るAの
簡 約 す る. 簡 約 部 分 をAnと
対 す る 巡 回 ベ ク トル で あ る*30.こ
す れ ば,
う し て,上
で あ り,
の 定 理 は次 の こ と を 意 味
す る:可 分 な ヒ ル ベ ル ト空 間 は,自 己 共 役 作 用 素 の 巡 回 ベ ク トル か ら つ く られ る 部 分 空 間 の 閉 包 の 直 和 に分 解 さ れ る. 証 明 Hが 無 限 次 元 の 場 合 に つ い て証 明 す る(有 限 次 元 の 場 合 に つ い て も,以 下 の 証 明 と 同様 で あ る が,収
束 性 に 関 す る 議 論 が い ら な い の で よ り簡 単 で あ る).
Hの 可 分性 とC∞0(A)の {Φn}∞n=1でHに
稠 密 性 に よ り,C∞0(A)の
お い て 稠 密 な もの が とれ る.Hの
構 成 す る.ま ず,Θ1:=Φ1と
す る.(A.3)に
間H1:=L({AkΘ1│k∈{0}∪IN})を 影 作 用 素 をP1と
す る.こ
よ り,Θ1∈C∞(A)で
つ くる こ と が で きる.こ
の と き,P1Φ2=limn→
あ る.Θ1∈R(EA([-n1, n1]))と
ベ ク トル Φnか ら な る可 算 無 限 集 合 ベ ク トル列{Θn}∞n=1を
∞Qn(A)Θ1と
な る多 項 式 列Qnが
n1]))が わ か る.こ
用 素 の 値 域 が 閉 で あ る こ と を使 え ば,P1Φ2∈R(EA([-n1,
*30 作 用 素 の 直 和 に つ い て は
の 閉部 分 空 間 へ の 正 射
す れ ば,EA(J)Qn(A)⊂Qn(A)EA(J),
に 注 意 す る こ と に よ り,Qn(A)Θ1∈R(EA([-n1,
,[8]の4章,4.3.2項
を 参 照.
次 の ように
あ る か ら,閉 部 分 空
∀J∈B1 れ と正 射 影 作
n1]))が 結 論 さ れ る.次
に
を定 義 す る.前
段 の 事 実 に よ り,Θ2∈C∞0(A)で
が 定 義 さ れ る(Φ2=0で とAの
あ る 場 合 に は,H2={0}で
自 己 共 役 性 を 用 い る と,H1とH2は
P1Φ2=Φ2,す
な わ ち,Θ2=0と
と考 え る.以
下,同
こ の と き,任
義 か ら,任 意 の Ψ ∈Hと
対 し てHn⊥Hm
Φ ∈KMに
と Φk∈KM(k=1,…,M)に
た が っ て,任
ら ば‖ Ψ-Φnk‖0に
ε.こ れ はlimM→∞QMΨ=Ψ に, .と
.任 意 のM∈INに
す れ ばQM=ΣMn=1Pn
稠 密 性 に よ り,limk→∞
てk〓k0な
す れ ば‖ Ψ-QMΨ‖
0は ≠0)に
対 し て,
あ る が― こ の 意 味 で,Ψ
は時
Ψ と 同 じ状 態 を 表 さ な い.
りの 平 均 エ ネ ル ギ ー がNの 累 乗 で 急 激 に 下 が れ ば,十 分 大 き なNに 得 を 使 っ て,粒 子 が 生 成 す る こ と が 起 こ り う る.ひ と た び,そ れ が 起 数 が さ ら に 増 し,エ ネ ル ギ ー が 一 層 下 が る.し た が っ て,再 び 粒 子 の
ハ ミル トニ ア ンHが あ る 閉部 分 空 間Mが 約 部 分HMが
下 に有 界 で な い場 合 で も,状 態 の ヒ ルベ ル ト空 間 の 中 に, あ っ て,HがMに
よ っ て簡 約 され,HのMに
下 に 有 界 で あ れ ば,HMは
物 理 的 に意 味 を もつ場 合 が あ りう る*7.
た と え ば,デ ィラ ック作 用 素HD([6]の3章,3.4.3項)を す る系 は そ の よ う な例 の 一 つ で あ る.[6]の 定 理3.30で に有 界 で は な いが,HDは はHDの
お け る簡
ハ ミル トニ ア ン と 示 した よ う に,HDは
下
閉 部分 空 間H+:=EHD([0,∝))L2(IR3;C4)(EHD(・)
ス ペ ク トル 測度)―
これ は,物 理 的 には,非 負 エ ネ ルギ ーの 状 態 空 間 を
表 す― に よ って 簡 約 され,そ の 簡 約 部 分 をHD,+と は粒 子 の 静 止 質 量)が 成 り立 つ.し
た が ってHD
い ま の例 か ら もわ か る よ う に,ハ
す れ ばHD,+〓m(m〓0
,+は 下 に有 界 で あ る.
ミル トニ ア ンHが
下 に有 界 で な い か ら と
い っ て,そ れ が"物 理 的"で な い と判 断す る こ とは必 ず し も正 当 で あ る とは い え な い.重 要 な こ と は,Hか
ら"物 理 的"と 解 釈 さ れ うる 内 容 が 引 き出 せ る か 否
か で あ る.
2.2
前 節 で 提 起 した 問 題(S)で
小
は,BがAに
さ い 摂 動
対 す る 摂動 で あ り,Aが
素 で あ る.摂 動 とい う観 点 か らは,摂 動 作 用 素Bが Aに 対 して"小 さ い"な ら ば,A+Bも そ こ で,問 題(S)を
無摂動作用
適当な意味で無摂動作用素
ま た 自己 共 役 に な る こ とが予 想 され る.
考 察 す る に あ た っ て は,BがAに
関 して"小 さい"場 合 と
必 ず し もそ うで な い場 合 と に分 け る の が 自然 で あ る.ま ず,前 者 の場 合 か ら議 論 す る.こ の節 を通 して,Hは
複 素 ヒ ルベ ル ト空 間 で あ る とす る.
2.2.1 相 対 的 有 界 性 摂 動 作 用 素 の 無 摂 動 作 用 素 に関 す る相 対 的 な小 さ さ を測 る 一 つ の尺 度 を導 入 す る: 生 成 が 起 こ る.こ の よ うな過 程 が 際 限 な く繰 り返 され る こ と にな れ ば,系 は安 定 とみ な せ る状 態 で は存 続 で きな い.本 書 で は,残 念 なが ら,ハ ミル トニ ア ンのH安 定性― これ は種 々 の不 等 式 と関連 してい て 純数 学 的 に もたい へ ん お も しろ い主 題― につ い て 論 じる 紙 数 は とれ なか った.興 味 の あ る読 者 は,[7]や[17]を 参 照 され たい. *7 作 用 素 の簡 約 につ い て は ,[5]の2章,2.6.4項 を参 照.
定 義2.1
A, Bを
ヒ ル ベ ル ト空 間H上
と す る:(ⅰ) D(A)⊂D(B);(ⅱ)
の 作 用 素 で 次 の(ⅰ), (ⅱ)を 満 た す も の
定 数a〓0,
b〓0が
存 在 して
(2.2) こ の と き,BはAに
関 し て 相 対 的 に 有 界(relatively
界(A-bounded)で BのA-限
あ る と い い,aをBのA-限
bounded)あ
る い はA-有
界 と い う.
界 の下限
が成立 をAに
関 す る,Bの
r(A,B)=0の
相 対 限 界(relative 場 合,BはAに
記 号 的 にB≪Aと
例2.1 0.し
関 し て 無 限 小(infinitesimal)で
あ る と い い,
界 が 小 さ け れ ば 小 さ い ほ ど,BはAに
い う 観 点 に よ っ て,BのAに
Bが
呼 ぶ.
表 す.
上 の 定 義 は,BのA-限 小 さ い,と
bound)と
(2.3)
有 界 でD(A)⊂D(B)な
た が っ て,B≪Aで
あ る.だ
比 べ て,よ
り
対 す る 小 さ さ を 測 る も の で あ る. らば,a=0,
が,こ
b=‖B‖
に とれ るか ら,r(A,B)=
の 逆 は必 ず し も成 立 し な い(次 の 注 意 を
参 照).
注 意2.1 れ る:任
容 易 に わ か る よ う に,B≪Aで 意 の ε>0に
対 し て,定
あ る こ と は次 の よ う に言 い 換 え ら
数bε〓0が
あって
(2.4) が 成 り立 つ.
証 明 B≪Aな
ら ば,非 負 の 数 列{an}∞n=1,
{bn}∞n=1で 次 の 条 件(a),
す も の が 存 在 す る:(a) limn→ ∞an=0;
(b) ‖BΨ ‖〓an‖AΨ
D(A),n∈IN.(a)よ
対 し て,番
ら ば0〓an0に が 成 り 立 つ.そ
意 の ε>0に
か で あ る.
こ でbε=bn0と
対 し て,(2.4)が
号n0が
(b)を 満 た
‖+bn‖ Ψ‖,Ψ ∈ あ っ て,n〓n0な
お け ば,(2.4)が
成 り立 つ な ら ば,r(A,B)=0は
成 り立 つ. 明 ら ■
命 題2.2
Nを
自 然 数 と し,A,
(ⅰ) B≪Aな
ら ば,任
B, Bj(j=1,…,N)をH上
意 の λ ∈C\{0}に
(ⅱ) Bj≪A(j=1,…,N)な 証 明 (ⅰ) こ れ は(2.4)と
の 作 用 素 と す る.
対 して λB≪A.
ら ば 「ε>0が
.
任 意 な ら ば,│λ│ε(λ
≠0)も
任意の正数 に
と れ る 」 と い う 事 実 か ら し た が う. (ⅱ) (2.4)に
お い て,B=Bjと
に つ い て1か
らNま
し て 得 ら れ る 不 等 式(bε をbj,ε とす る)をj
で加 えれ ば
3角 不 等 式 に よ り, ε>0が
ま た,ε'=Nε
任 意 な ら ば,ε'も 任 意 に とれ る.し
とお くと,
たが っ て,
■
相 対 的 に有 界 な作 用 素 に よ る摂 動 問 題 を考 察 す る 際 に頻 繁 に使 わ れ る こ とに な る基 本 的 事 実 を証 明 して お こ う. 補 題2.3 (Aの
A, Bを
定 義2.1の
も の とす る.さ
レ ゾ ル ヴ ェ ン ト集 合)≠0と
し て,B(A-z)-1∈B(H)で
ら に,Aは
仮 定 す る.こ
閉 作 用 素 で あ り,ρ(A)
の と き,任
意 のz∈
ρ(A)に 対
あ り
(2.5) が 成 り立 つ. も し,Aが
閉 対 称 作 用 素 な らば
(2.6) が 成 り 立 つ.こ 証 明 Aは
こ で,ε
は 括 弧 の 中 の 条 件 を 満 た す 任 意 の 正 の 定 数 で よ い.
閉 で あ る か ら,A-zは
任 意 の Ψ ∈Hに
対 して,(A-z)-1Ψ
全 単 射 で あ り,(A-z)-1∈B(H)で ∈D(A)で
あ る か ら,不
あ る. 等 式(2.2)に
よって
(2.7)
A(A-z)-1=1+z(A-z)-1で
あ る の で,A(A-z)-1∈B(H)で
あ り
(2.8) が 成 立 す る.不 下 で あ る.ゆ
等 式(2.7)の
右 辺 は(a‖A(A-z)-1‖+b‖(A-z)-1‖)‖
Ψ‖ 以
えに
(2.9) こ れ と(2.8)に 次 に,Aが
よ り,(2.5)が
得 ら れ る.
閉 対 称 作 用 素 の 場 合 を 考 え よ う.こ
の 場 合,任
意 の Ψ ∈D(A)に
対 して
シ ュ ヴ ァル ツの 不 等 式 に よ り
こ こ で ε>0は
任 意 で よ い.し
が 導 か れ る.こ
れ は,│x│0
自 己 共 役 で あ る.
対 し てker(A*-γ+λ)={0}な
ら ば,Aは
本 質 的 に 自 己 共 役 で あ る.
証 明 A*は
閉 で あ る か ら,直
り立 つ([5]のp.138,補
交 分 解H=ker(A*±i)
題2.37).こ
こ で,閉
は 閉 集 合 で あ る こ と([5]のp.140,補
対 称 作 用 素Sに
題2.39)も
(ⅰ) こ の 問 題 の 条 件 と(*)はH=R(A〓i)を R(A〓i)に
等 しい.し
た が っ て,補
な わ ち,R(A〓i)はHで
よ っ て,Aは
定 理2.7の
つ い て は,直
よ っ て,Aは
自 己 共 役 で あ る.
よ りH=R(A〓i).右
辺 はR(A〓i)に
た が っ て,補
交 分 解H=ker(A*-γ+λ)
証 明 (ⅰ) 補 題2.8-(ⅰ)に
∈ ρ(A).し
題2.8-(ⅱ)に
R(A-γ+λ)を
∈ ρ(A+B).す
用 ■
よ り,あ る λ ∈IR\{0}に
た が っ て,A±iλ
∈IR\{0}と
す る.Aは
は 全 単 射 で あ る.定
ら ば ±iλ ∈ ρ(A+B)で
分 大 き い│λ│に 対 し て(*)が
て は,±iλ
閉 な らば,右 辺 は
(ⅱ)と 同 様 に論 じれ ば よ い.
て,a+(b/│λ│)0に
べ て の ψ ∈D(-Δ)に 対 し て,定 数bε〓0が
対 し て,ψ 存 在 して
∈
,す べ
対 して
(2.37) が 成 り立 つ.
証 明 ψ ∈D(-Δ)な た が っ て,任 2.18の
ら ば,補
意 のr>0に
題2.19に
よ り,
.し
対 し て,f(k):=rνψ(rk)と
仮 定 を 満 た す.し
た が っ て,不
等 式(2.33)が
お け ば,fは 成 り立 つ.他 .し
.rが も 正 数 全 体 を 動 く.し
た が っ て,任
補題
方,
た が っ て,
正 数 全 体 を動 く と き,C(ν)r(ν-4)/2
意 の ε>0に
対 し,bε>0が
存在 し
(2.38) が 成 り立 つ*18.
であ るか ら
が 成 り立 つ([5]ま
た は[6]の
.こ
付 録B,定
れ と(2.38)お
理B.8を
よ び 補 題2.19に
補 題2.21 ν〓3,
参 照).し
た が っ て,
よ り(2.37)を
得 る.
な ら ばF≪-Δ.
証 明 仮 定 に よ り,F=F1+F2, ψ ∈D(-Δ)と
す れ ば,補
と書 け る.
題2.20に .し
D(F).さ
ら に,(2.37)を .ε>0は
定 理2.17の
■
よ り,ψ∈L∞(IRν)で た が っ て,ψ ∈D(F),す
あ り, な わ ち,D(-Δ)⊂
用 い る と い く らで も小 さ く と れ る か ら,F≪-Δ
証 明 補 題2.21に
よ っ て,A=-Δ,
B=Vと
ヒ の 定 理 を 応 用 で き る.
で あ る.
し て,加
■
藤-レ リ ッ ■
2.3.4 並 進 対 称 なポ テ ン シ ャル を もつ2体
系の構造
次 に,非 相 対 論 的 量 子 力 学 の モ デ ル の 基 礎 的 あ る い は標 準 的 な具 体 例 を取 り 上 げ,上 述 の 理 論 を応 用 す る こ と に よ り,そ の ハ ミル トニ ア ンの(本 質 的)自 己 共 役 性 を証 明 した い.だ が,そ *18 具 体 的 に は ,た
と え ば,
の 前 に,こ こ で,あ
る重 要 な 基 本 的 な事 実 に
ふ れ て お か ね ば な ら な い.そ 子 が,そ
れ は,水
素 原 子 の 場 合 の よ う に,2個
の 量 子 的粒
れ ら の 位 置 座 標 の 差 だ け で 決 ま る ポ テ ン シ ャ ル― 水 素 原 子 の 場 合 に は
-e2/│x1-x2│(e>0は
基 本 電 荷 ,x1,x2∈IR3は
置 座 標 を 表 す)―
そ れ ぞ れ,電
子,陽
子 の位
の 作 用 の も と に あ る 系 の ハ ミル トニ ア ン の 構 造 に 関 す る も の
で あ る.こ
の 系 は2体
合 に は,実
は,当
系 で あ る が,ポ
テ ン シ ャ ル が そ の よ う な形 を して い る場
該 の ハ ミ ル トニ ア ン の 解 析 は,本
ン の そ れ に 帰 着 で き る の で あ る.以
下,こ
質 的 に1体
の ハ ミ ル トニ ア
れ が ど の よ う に して 可 能 で あ る か を
み る. d次 元 ユ ー ク リ ッ ド空 間IRdに 系 を 考 え,そ
お い て,2個
の非相対論的量子的粒子か らなる
れ ぞ れ の 量 子 的 粒 子 の 質 量 をm1,m2>0と
ト空 間 と し て 座 標 表 示 で のL2空
間L2(IRd×IRd)を
の 点 を 一 般 に(x1,x2)(x1,x2∈IRd)で
す る.状
態 の ヒ ルベ ル
と り,(IRd)2=IRd×IRd
表 す.量
子 的 粒 子 の 間 に は,ル
ベー グ
測 度 に 関 し て ほ と ん ど い た る と こ ろ 有 限 な ボ レ ル 可 測 関 数V:IRd→IRか 定 ま る ポ テ ン シ ャ ルV(x1,x2):=V(x1-x2)が て,系
ら
働 い て い る と す る.し
たが っ
の ハ ミ ル トニ ア ン は
(2.39) で 与 え ら れ る.た
だ し,Δxは
変 数x∈IRdに
関 す る,一
般 化 さ れ たd次
元 ラ
プ ラ シ ア ン で あ る. 容 易 に 気 づ く よ う に,ポ a,x2-a)=V(x1,x2), 並 進,す
な わ ち,空
称 性 ま た はIRd-並 よ う に,Hの
テ ン シ ャ ルVは,任 ∀(x1,x2)∈(IRd)2を
意 のa∈IRdに 満 た す.す
間 並 進 に 対 し て 不 変 で あ る.こ 進 不 変 性 を も つ と い う*19.こ
解 析 は1体
対 し て,V(x1な わ ち,VはIRdの
の よ う な 関 数 はIRd-並
の 対 称 性 の お か げ で,次
進対 に示 す
の ハ ミ ル トニ ア ン の 解 析 へ と 帰 着 で き る の で あ る.
写 像u:(IRd)2→(IRd)2を
*19 一 般 に
上 の 関 数fが
a,…,xN-a))=f(x),∀x=(x1,…,xN)∈(IRd)Nを 並 進 対 称 ま た はIRd-並
進 不 変 で あ る と い う.
任 意 のa∈IRdに
対 して
,f(x1-
満 た す と き,fはIRd-
に よ っ て 定 義 す る.こ す るx1の とm2の
こ で,右
辺 に 現 れ た ベ ク トルx=x1-x2は
点x2に
対
易 に わ か る よ う に,uは
線
相 対 位 置 ベ ク トル で あ り,X=(m1x1+m2x2)/(m1+m2)はm1 重 心 ベ ク トル で あ る こ と に 注 意 し よ う.容
形 で あ り全 単 射 で あ る.(IRd)2の
に よ っ て 与 え ら れ る(1dはd次 detu=1.と
標 準 基 底 に 関 す るuの
の 単 位 行 列).し
計 算 さ れ る.こ
れ は,ま
行 列 表 示uは
た が っ て,そ
た,detu-1=1も
の 行 列 式detuは 意 味 す る.そ
こ で,
写 像U:L2((IRd)2)→L2((IRd)2)を
(2.40) に よ っ て 定 義 す れ ば,Uは
ユ ニ タ リで あ り
(2.41) が 成 り立 つ こ と が わ か る.こ
のUに
よ るHの
ユ ニ タ リ 変 換UHU-1を
求 め
よ う. xj=(xj1,…,xjd)∈IRdと
分 作 用 素 をDjlと
で 与 え られ る.こ
記 す.し
導 入 す る(Dylは
意 の φ∈C∞0((IRd)2)に
で あ り,(x,X)=u(x1,x2)と
を 得 る.同
様 に
数xjlに
算 の 便 宜 上,Py,l=-ihDyl, 変数ylに
対 して,(2.41)に
お け ば,合
関 す る一 般 化 され た偏 微
運 動 量 作 用 素 の 第l成 分 は
の と き,-h2Δxj=Σdl=1p2jl.計
y=(y1,…,yd)∈IRdを 作 用 素).任
書 く と き,変
た が っ て,粒 子mjの
関 す る一 般 化 され た偏 微 分 よ り,U-1φ∈C∞0((IRd)2)
成 関 数 の微 分 法 を用 い る こ とに よ り
した が っ て
こ れか ら
が 導 か れ る.た
だ し,μ:=m1m2/(m1+m2)は2体
系 の 換 算 質 量 を 表 す.作
用 素-(h2Δx/2μ)-(h2ΔX/2(m1+m2))はC∞0((IRd)2)上 共 役 で あ る か ら,上
の 式 よ り,作
で 本 質 的 に 自己
用 素の等式
(2.42) が 成 り立 つ こ と に な る.ハ
ミ ル トニ ア ンHの
中 の ポ テ ン シ ャ ル の 部 分Vに
い て は,V1:(IRd)2→IRをV1(x,X):=V(x),a.e.(x,X)に ば,作
つ
よ って 定 義 す れ
用 素 の等 式
が 示 され る.以 上 か ら(脚 注15も
参 照),作 用 素 の 等 式
(2.43) が 得 ら れ る. 自 然 な 同 型L2((IRd)2)=L2(IRd)
L2(IRd)を
用 いる と
(2.44) が 成 立 す る こ と に な る.た
だ し
で あ り,D(HV)=D(Δx)∩D(V)はL2(IRd)で が っ て,HVは
稠 密 で あ る と仮 定 す る(し た
対 称 で あ り,可 閉で あ るの で テ ンソ ル積 が 定 義 され る).[6]で す
で に論 じた よ うに,作 用 素HCは
質 量 がm1+m2の
ハ ミル トニ ア ンで あ る .他 方,HVは
自由 粒 子 の 運 動 を記 述 す る
質 量 μ の 非 相 対 論 的粒 子 が ポ テ ン シ ャ ル
Vの
作 用 の も と にあ る系 の ハ ミル トニ ア ンで あ る.こ
Hで
記 述 され る 系 は,独 立 した2個
う して,ハ
ミル トニ ア ン
の量 子 的粒 子 か ら な る系―一
方 は,も
と
の 系 の重 心 の 運 動 に対 応 す る 自由 粒 子 の運 動 で あ り,他 方 は ポ テ ンシ ャルVを もつ1粒
子 の運 動― と同値 にな る.ハ
で あ る の で,Hの
ミル トニ ア ンHCは
解 析 は,本 質 的 にHVの
が 本 質 的 に 自己 共 役 な らば,HV I+I (2.44)に よ り,Hの
よ くわ かっ た 作 用 素
解 析 に帰 着 さ れ る.た HCは
とえ ば,HV
本 質 的 に 自己 共役 で あ る の で,
本 質 的 自己 共 役 性 が した が う.
次 の 項 以 降 で,HVの
型 の ハ ミル トニ ア ンを取 り上 げ るが,2体
系 で あ っ て も,
こ の 型 の 作 用 素 で 表 され るハ ミル トニ ア ン― これ は1体 のハ ミル トニ ア ン― に 考 察 を限 定 して よい 理 由 は こ こ に あ る の で あ る.
2.3.5
基 本
的
な 例
a. 水 素 様 原 子 の ハ ミ ル トニ ア ン
e>0を
基 本 電 荷(電
気 素 量)を
表 す パ ラ メ ー タ ー と す る.Zeの
電荷で正 に
帯 電 さ れ て い る 原 子 核 が つ く る 場 の 中 で1個
の電子が運動 する系は水素様原子
(hydrogen-like
子 核 は3次
ル 空 間IR3の シ ャ ル はIR3の
atom)と
呼 ば れ る.い
ま,原
原 点 に 固 定 さ れ て い る と す る.こ
の と き,こ
元 ユ ー ク リ ッ ドベ ク ト の系 に お け る ポ テ ン
ク ー ロ ン型 ポ テ ン シ ャ ル
(2.45) に よっ て 与 え ら れ る.し
た が っ て,こ
の 系 の ハ ミ ル トニ ア ン は
(2.46)
で あ る.こ
こ で,m>0は
し,XRを[0,R]上
電 子 の 質 量 を 表 す パ ラ メ ー タ ー で あ る*20.R>0と
の 定 義 関 数 と す れ ば,
と 書 け る.容
易 に わ か る よ う に,
補 題2.21に
よっ て
し た が っ て,
(2.47) ゆ え に,加 藤-レ リ ッ ヒの 定 理 ま た は定 理2.17に
Hhyd(Z)は
定 義 域 をD(-Δ)と
あ り,C∞0(IR3)上
よっ て,次 の事 実 が 得 られ る:
す る,下 に有 界 な 自 己共 役 作 用 素 で
で本 質 的 に 自己 共 役 で あ る.
この 事 実 か ら,特 に,水 素 様 原 子 は弱 安 定 で あ る こ とが 結 論 され る. b. 多 体 系 の ハ ミル トニ ア ン 例aは一
体 問題 の ハ ミル トニ ア ンで あ っ た.で は,多 体 問 題 のハ ミル トニ ア ン
の場 合 は ど うで あ ろ うか.こ の 場 合 の一般 的定 理 の一 つ と して次 の 定 理 が あ る. 定 理2.22 IRdN上
d〓3,
と し,
の 関 数:x=(x1,…,xN)〓Vi(xi)に
用 素 をViで
表 す.同
に よ る(L2(IRdN)上
様 に,IRdN上 の)か
よ る(L2(IRdN)上
の)か
け算 作
の 関 数:x=(x1,…,xN)〓Vij(xi-xj)
け 算 作 用 素 をVijで
表 す.こ
の と き,
*20 原 子 核 が 固 定 し て お ら ず ら ば,mは meか
,前 項 の よ う に,水 素 様 原 子 を 真 の2体 系 と して考 え る な 電 子 の 質 量 で は な く,水 素 の 原 子 核 で あ る 陽 子 の 質 量mpと 電 子 の 質量
ら 決 ま る 換 算 質 量 μ=memp/(me+mp)で
の こ と も 考 慮 し て,理
論 的 に は,mを
9.11×10-31kg/1.67×10-27kg〓5.46×10-4≪1で も近 似 の 精 度 は か な り よ い.
あ る と し な け れ ば な ら な い.こ パ ラ メ ー タ ー と み る.ち
な み に,me/mp=
あ る の で μ 〓meと
して
はD(-Δ)上
で 下 に 有 界 な 自 己 共 役 作 用 素 で あ り,C∞0(IRdN)上
で本質的 に 自
己 共 役 で あ る. 証 明 補 題2.21に D(Δ).し
よ っ て,Vi≪-Δxi.ま
た が っ て,命
点xj∈IRdを
た,‖-Δxiψ‖〓‖-Δ
題2.2-(ⅱ)に
よ っ て,ΣNi=1Vi≪-Δ
が 成 り 立 つ.
任 意 に 固 定 し,u(xi)=Vij(xi-xj)(i≠j)と した が っ て,u≪-Δxiと
対 し てbε〓0が
あ っ て,任
意 の ψ∈D(-Δ)に
ψ‖,ψ∈
す れ ば, な る の で,任
意 の ε>0に
対 して
ゆ えに
こ れ はVij≪-Δxiを意味
す る.し
た が っ て,
ら,
以上 か
よ っ て,加
藤-レ
リッ ヒ の 定 理 に よ り,
題 意 が した が う.
■
例2.3
多 電 子 系 の ハ ミル トニ ア ン.原 子 番 号Zの
間IR3の
原 点 に 固 定 して い る もの と し,j番
で 表 す.電
原 子 系 を考 え る.原 子 核 は座 標 空
目の 電 子 の 座 標 をxj∈IR3(j=1,…,Z)
子 間 お よ び 電 子 と原 子 核 の 間 に 働 く万 有 引 力 に よ る 重 力 相 互 作 用 は 電 気 的
相 互 作 用 に 比 べ て 非 常 に 小 さい の で,こ だ け を考 慮 す る.こ
こで は,第 一 次 近 似 と して,電 気 的 相 互 作 用
の と き,系 の 非 相 対 論 的 ハ ミ ル トニ ア ンはL2(IR3Z)に
お け る作
用素
で 与 え られ る.こ ポ テ ン シ ャ ルVCを
例aで
こ で,Δ
は3Z次
元 の 一 般 化 さ れ た ラ プ ラ シ ア ン で あ る.ク
ーロン
用いると
示 した よ う に,
2.22の 作 用 素 の 定 数 倍 の 形 を し て い る.こ
で あ る か ら,H(Z)atomは,定 う して,次
の 事 実 へ と 到 達 す る.
理
H(Z)atomはD(-Δ)上
で 下 に有 界 な 自 己 共 役 作 用 素 で あ り,C∞0(IR3Z)上
で本 質 的 に 自 己 共 役 で あ る. こ れ は,特 例2.4
に,多
電 子 系 が 弱 安 定 で あ る こ と を示 す.
荷 電 粒 子 の 多 体 系 の ハ ミ ル トニ ア ン.電 気 的 に 中 性 で あ る 巨 視 的 物 質 は量 子
力 学 的 に み れ ば,N個
の 電 子 とN個
の 陽 子 お よ びK個
ヴ ォ ガ ド ロ定 数 の オ ー ダ ー〓1023).中 用 を し な い.し
た が っ て,第
の 中 性 子 か ら な る(Nは
ア
性 子 は 電 荷 を もた な い の で 電 磁 気 的 な 相 互 作
一 近 似 と して,電 気 的 相 互 作 用 だ け を 考 慮 し た場 合 の 系
の 非 相 対 論 的 ハ ミル トニ ア ン は,ヒ
ル ベ ル ト空 間L2(IR3N×IR3N)で
働 く作 用 素 と
して
(2.48) に よ っ て与 え ら れ る.こ
こ で,M>0,
パ ラ メ ー タ ー で あ り,Ra∈IR3は
m>0は
陽 子 の 位 置 座 標 を 表 す.前
事 実 が 知 ら れ る(Δ はL2(IR3N×IR3N)に HNはD(-Δ)上
そ れ ぞ れ,陽
子,電
子 の 質 量 を表 す
例 と 同様 に し て,次
の
お け る 一 般 化 され た ラ プ ラ シ ア ン とす る).
で下 に 有 界 な 自 己共 役 作 用 素 で あ り,C∞0(IR3N×IR3N)
上 で本 質 的 に 自己共役 で あ る. ハ ミル トニ ア ンHNの
下界 性 は物 質の弱 安定 性 を意味 す る.
c. 電磁 場 中 を運 動 す る荷 電 粒 子 の ハ ミル トニ ア ン 質 量m>0,電
荷q∈IRの
荷 電 粒 子 が3次
電 磁 場 の 中 を運 動 す る系 を考 え よ う.よ トル ポ テ ン シ ャ ルA=(A1,A2,A3)と
元 空 間IR3に
ス カ ラ ー ポ テ ン シ ャ ルVに
され る.す な わ ち,こ れ らの 量 を用 い る と電 場Eと
に よ っ て 与 え ら れ る.こ
お い て,与 え られ た
く知 られ て い る よ う に,電 磁 場 は ベ ク よ っ て記 述
磁 場Bは
こで
(2.49)
は3次
元 の 一 般 化 され た 勾 配 作 用 素 を表 す.粒 子 の 運 動 量 をp,真
空 中の光速
をcと す れ ば,古 典 的ハ ミル トニ ア ンは
で あ る. こ の 古 典 力 学 系 の 正 準 量 子 化 をCCRの う に は,Hclに
シ ュ レー デ ィ ンガ ー 表 現 を用 い て 行
お い て形 式 的 な 置 き換 えp→-ih∇
をす れ ば よい.こ の 手 続 き
に よ り,考 察 下 の系 の量 子 力 学 的 ハ ミル トニ ア ンの 候 補 と して
(2.50) が 得 ら れ る.た
だ し,こ
の 段 階 に お い て は,Aj:IR3→IRが
可 能 で あ る と す る 必 要 は な い.作 (q/c)Ajと
通 常 の意 味 で微 分
用 素 の 積 と和 の 定 義 に よ っ て,Tj:=-ihDj-
す る と き,
(2.51) で あ る.
定 理2.23
次 の(ⅰ), (ⅱ), (ⅲ)を
仮 定 す る:
(ⅰ)
(ⅱ) 超 関 数 の意 味 で のAjの
偏 微 分DjAjは
関 数 と同 一 視 で き,
(ⅲ) こ の と き,C∞0(IR3)⊂D(H(A,V))で に 自 己 共 役 で あ る.さ
あ り,H(A,V)はC∞0(IR3)上
ら に,D(H(A,V))=D(-Δ)で
有 界 で あ る.
証 明 仮 定(ⅰ),
(ⅱ), (ⅲ)を
用 い ると
あ り,H(A,V)は
で本 質的 下に
が わ か る.し
た が っ て,D(H(A,V))は
に 対 して〈 ψ,H(A,V)ψ〉 使 え ば,容
稠 密 で あ る.す
が 実 数 で あ る こ と は,Tjが
易 に わ か る.し
任 意 の ψ∈C∞0(IR3)に
た が っ て,H(A,V)は
べ て の ψ∈D(H(A,V)) 対 称 作 用 素 で あ る こ とを
対 称 作 用 素 で あ る*21.
対 して
(2.52) (2.53) ただ し
(2.54) こ こ で,第 二 式 を得 るの に,超 関 数 微 分 に 関す る ラ イ プ ニ ッ ツ則
を 用 い た*22.
と お こ う.仮
定(ⅱ),(ⅲ)と
補 題2.21に
よ っ て,
が 成 り立つ. 次 にAjDj≪H0を
示 そ う.仮
Aj2∈L∞real(IR3)(j=1,2,3)と *21 [5]の 命 題2
.30(p.132)に *22 [5]ま た は[6]の 付 録C
定 に よ り,Aj=Aj1+Aj2, 書 け る.ψ∈C∞0(IR3)と
よ る. , C.3節
を参 照.
Aj1∈L4real(IR3), し よ う.は
じめ に シ ュ
ヴ ァ ルツ の不 等 式 を使 い,次 にハ ウス ドル フ-ヤ ング の不 等 式([5]ま た は[6]の 付 録Dを
参 照)を 援 用 す れ ば
任 意 の α>0に
対 して
と書 き,ヘ ル ダー の 不 等 式([5]ま た は[6]の 付 録Dを
そ こ で,α ∞.さ
を3/40に の 合 成 積 をfε
付 録Dを
の と き,fε
あ り,Δfε=(Δ 参 照)を
た が っ て,fε
れ とfε〓0を
応 用 す れ ば,Δfε
∈D(Δ).
は[6]の
付 録C,定
∈L2(IRd)で
あ
あ る か ら,Δfε〓0が
え に,〈fε,Δfε 〉=0で
な る.一
方,L2(IRd)上
な け れ ば な ら な い.こ
に フ ー リエ 変 換 を 応 用 す れ ば す な わ ち,fε=0を
辺 にヤ ング
とお く と
用 い る と,〈fε,Δfε 〉〓0と
の 作 用 素 と し て,Δ〓0.ゆ
∈C∞(IRd)(∵[5]ま ρε)*f.右
と 表 す こ と が で き,uε,x〓0で 導 か れ る.こ
対 し て,
とす る:fε:=ρε*f
を 得 る.こ
意 味 す る.
の式
れ は,fε=0,
で あ っ た か ら([5]ま
理C.16-(ⅱ)),f=0を
た
得 る.
■
次 の 定 理 は そ れ 自体 と して も興 味 あ る もの で あ る. 定 理2.28 L1loc(IRd)の
(加 藤 の 不 等 式)f∈L1loc(IRd)と 元 に な っ て い る とす る.関
し,超
数sgnfを
関 数 の 意 味 で のΔfも
また
次 の よ う に 定 義 す る: の とき の と き
(2.58)
こ の と き,超 関 数 の 意 味 で 次 の不 等 式 が 成 り立 つ:
(2.59) 注 意2.8
定 義2.26で
述 べ た よ う に,(2.59)の
意 味 は,す
べ て のu∈D+(IRd)
に対 して
*26 こ の よ う な 関 数 ρ の 存 在 を示 す に は でh〓0,
supp
は[6]の
付 録B,
よ い.
,た と え ば,次 の よ う に す れ ば よ い.関 数h∈C∞0(IR) hはhの 台 を 表 す)を 満 た す も の を と り([5]ま
h⊂[-1,1](supp B.1節
を 参 照),
た
とす れ ば
が 成 り立 つ とい う意 味 で あ る. 注 意2.9
定 理 の 仮 定 の も とで,
で あ る か ら,
した が って, 注 意2.10
f∈C2(IRd)(IRd上
0,x∈IRdな
ら ば,直
の2回 連 続 微 分 可能 な関数 の全 体)か つf(x)≠
接計 算 によ り
(2.60) が 示 さ れ る.こ の 不 等 式 を超 関 数 の レヴ ェ ル まで 普 遍 化 した もの が 加 藤 の不 等 式 で あ る.言 い換 えれ ば,加 藤 の不 等 式 は,(2.60)に 的 理 念 を捉 え た もの な の で あ る.だ が,こ
現 れ て い る究 極的 な普 遍
の 普 遍 化 の構 造 は,以 下 の 証 明 が 語
る よ う に,全 然 自明 で は な く,注 意 深 い重 層的 な極 限 解 析 が 必 要 と され る.一 挙 に 高 み に達 す る こ とは容 易 で は ない.し
か し,こ こ に 関数 解 析 学 の 醍 醐 味 の
ひ とつ の 側 面 を味 わ う こ とが で きる. 証 明 まず,
の 場 合 を考 え,ε>0と
し
(2.61) と す る.こ
の と き,
であ り
(2.62) が 成 り立 つ.(2.61)は ,を
意 味 す る.こ
の 事 実 と(2.62)か
ら
(2.63) が 得 られ る. (2.62)の 両 辺 にFε をか け,そ
う して 得 られ る式 の 両辺 の 発 散 を とれ ば
を 得 る.そ
こ で,(2.63)を
使 え ば
を 得 る.し
た が っ て,
た だ し, さ て,定
理 の 仮 定 の よ う に, かつ
と し,
と し よ う(ρ は 補 題2.27の の と き,
証 明 に お け る の と同 じ も の で あ る).こ
で あ る か ら,
と お き,前
半
の結 果 を用 い る と
(2.64) を 得 る.ε
を 固 定 し,δ
→0の
と し,Brの
極 限 を と る.r>0に
定 義 関 数 をXrと
対 し て,
す る.δ0は こ れ は
の 位 相 でfδ →f(δ
て,D(IRd)'の δ→0と
意 味 で もfδ →fと
→0)と な る([5]ま
収 束 す る の で,
任 意 で あ っ た か ら,
な る こ と を 意 味 す る.し た は[6]の
付 録C,定
たが っ 理C.4).
な る δの 部 分 列 に 移 行 す る こ と に よ り,fδ(x)→f(x)(a.e.x)と
一 般 性 を 失 わ な い*28 .こ ま た,Δfδ=(Δf)δ に,
の と き
と な る.
で あ り,
で あ る か ら,fδ
の 位 相 で
と な る.し
位 相 で,
と な る.ゆ
とす る こ と に よ り,超
関 数 の 意 味 で, か つ
位 相 で,
*27 [5]ま た は[6]の
付 録C
*28 [5]ま た は[6]の
付 録A
の 場 合 と 同様
た が っ て,D(IRd)'の え に(2.64)で
δ→0
を 得 る.ε
とす れ ば, ら,D(IRd)'の
して
→0
であるか ま た,
,定
理C.16-(ⅱ)の
,定
理A.16の
応 用. 応 用.
任 意 のu∈D(IRd)に対して,
な
ら ば,
で あ り, が 成 り 立 つ.
か ら,ル
で あ る
ベ ー グ の 優 収 束 定 理([5]ま
た は[6]の
付 録Aの
定 理A.6)に
よ り,
し た が っ て,
以上 に よ っ て,(2.59)が
定 理2.25の (2.57)が
証 明 ψ ∈D(H*)は(2.56)を
成 り立 つ.(2.57)はΔ
ψ=Vψ+ψ
か ら,こ の 式 の 右 辺 は
に は い る.し
得 ら れ る .
満 た す も の と し よ う.し
■
た が っ て,
と変 形 で き,
である
た が っ て .そ
こ で,
加 藤 の 不 等 式 を 適 用 す れ ば, ゆ え に .こ 定 理2.25の
れ と 補 題2.27か
後 半 の 主 張 に つ い て は,付 録Bの
て 応 用 す れ ば,条 件(2.55)の
も と で,-Δ+Vは
で あ る か ら,-Δ+V⊂-Δ+V.自 大 を も た な い か ら([5]のp.137,命
ら ψ=0が
結 論 さ れ る.
定 理B.1をA=-Δ,B=Vと
し
閉 で あ る. 己 共 役 作 用 素 は非 自明 な対 称 拡
題2.34),-Δ+V=-Δ+Vで
なければ
な ら な い.
■
定 理2.25の
系2.29
系 と して 次 を 得 る.
(下 に 有 界 な 多 項 式 型 ポ テ ン シ ャル を もつ シ ュ レー デ ィ ン ガ ー型 作 用
素)P(x)をx1,…xdに
関す る 実 係 数 の多 項 式 で 下 に有 界 な もの とす れ ば,
作 用 素-Δ+Pは 証 明 Pの
上 で本 質的 に 自己 共 役 で あ る.
連 続 性 を使 え ば,
2.25をV=Pと
して 応 用 で き る.
系2.30 nを
任 意 の 自 然 数 と し,
λ>0は
定 数,QはIRd上
数 α ∈[0,2n)が
あ って
は容 易 にわ か る.し たが っ て,定 理
の 実 数 値 ボ レ ル 可 測 関 数 で,非
■
と す る.た 負 定 数p ,q〓0と
だ し, 定
を 満 た す も の とす る.こ で あ り,下
の と き-Δ+Pは,
に 有 界 で あ る.ま
証 明 p2n(x):=λ│x│2n,x∈IRdと の ε>0に
上 で 自己 共役
た, は-Δ+Pの
芯 で あ る.
お く.0〓
α0を
だ し,a,
定 数 と し,a+(a'/λ)0に
対 して
(右 辺 の 級 数 が 収 束 す る こ と は ダ ラ ンベ ー ル の 判 定 法 を使 え ば容 易 に わ か る.)ゆ え に, Ψ は ΦS(f)の
解 析 ベ ク トル で あ る.こ
ベ ク トル で あ る こ と を 意 味 す る.し
れ は,Fs,fm(D)の
た が っ て,系2
任 意 の元 が ΦS(f)の
解析
.42が 適 用 で き,結 論 を得 る. ■
2.8 準 双線 形形 式 と自己 共役 作 用 素
量 子 力 学 へ の 応 用 に お い て,状 与 え られ た と き,A+Bが
態 の ヒ ル ベ ル ト空 間 上 の 対 称 作 用 素A,Bが
た と え本 質 的 に 自己 共 役 で な くて も,そ れ が 適 切 な
自己 共 役 拡 大 を もつ な らば,そ の 自己 共 役 拡 大 に よっ て,A+Bが
表す物理 的
描 像 に 呼 応 す る物 理 量 を定 義 す る こ とが 可 能 で あ る.そ れ ゆ え,そ の よ う な 自 己 共 役 拡 大 を構 成 す る方 法 を探 求 す る こ と は数 学 的 に も物 理 的 に も意義 を もつ. これ が この 節 の 主 題 で あ る*33. *33 対 称 作 用 素 の 自己 共役 拡 大 に関す る一 般 論 につ い て は ,こ の 章の 付 録C,
Dで
論 じる.
2.8.1
準双線 形形式再訪
準 双 線 形 形 式 に つ い て は,す で に[5]の2.7.2項(p.198∼p.200)で こ で は,ま Hを
ず,準
双 線 形 形 式 の 重 要 な ク ラ ス の 一 つ を 導 入 す る.
複 素 ヒ ル ベ ル ト空 間,DをHの
は な い).写
定 義 域 と 呼 び,Q(s)で
部 分 空 間 で あ る と す る(稠 密 で あ る 必 要
像s:D×D→CをD×D上
よ う な 準 双 線 形 形 式sをHに
定 義2.44
ふ れ た.こ
の 準 双 線 形 形 式 と す る.以 お け る 準 双 線 形 形 式 と い う.こ
後,こ
の
の 場 合,Dをsの
表 す*34.
s1, s2を
ヒ ル ベ ル ト空 間Hに
お け る 二 つ の 準 双 線 形 形 式 と す る.
(ⅰ) (準 双 線 形 形 式 の 相 等)Q(s1)=Q(s2)か
て
つ 任 意 の
が 成 り 立 つ と き,s1とs2は
に対 し
等 しい と い い,s1=s2と
記 す.
(ⅱ) (準 双 線 形 形 式 の 和)準 双 線 形 形 式s1+s2を
次 の よ うに定 義 す る:
(2.75) (2.76) s1+s2をs1とs2の
和 と 呼 ぶ.同
準 双 線 形 形 式s1,…,sn(n〓3)に sl,…,snの
様 に,ヒ
ル ベ ル ト空 間Hに
対 し て,準
双 線 形 形 式
お け るn個 ―
の
これ を
和 と呼 ぶ ― が
(2.77) に よ って 帰 納 的 に 定 義 さ れ る. (ⅲ) (準双 線 形 形 式 の ス カ ラ ー倍)ヒ ルベ ル ト空 間Hに
お け る準 双 線 形 形 式
sの ス カ ラ ー倍 αs(α ∈C)は
(2.78) に よ っ て 定 義 さ れ る. *34 文 献 に よ (form)と
っ て は,準
双 線 形 形 式 の こ と を2次
呼 ぶ 場 合 が あ る.
形 式(quadratic
form)あ
るい は単 に形 式
あ る 定 数γ が あ っ て,す 成 り立 つ と き,sは と れ る 場 合,sは
べ て の Ψ ∈Q(s)に
対 し て,s(Ψ,Ψ)〓-γ‖
下 に 有 界 で あ る と い い い,s〓-γ
と 記 す.特
Ψ‖2が
に,γ=0に
非 負 で あ る と い う.
準 双 線 形 形 式sが
下 に有 界 の と き
(2.79) をsの
下 限 と 呼 ぶ.
部 分 空 間D⊂Q(s)が
準 双 線 形 形 式sの
芯(core)で
あ る と は,任 意 の Ψ ∈Q(s)
に 対 し て,
と な る Ψn∈Dが
存 在 す る と き を い う.
次 の 事 実 を 注 意 し て お こ う.
補 題2.45
任 意 の Ψ ∈Q(s)に
対 し て,
(2.80) が 実 数 な ら ば,sは
対 称,す
な わ ち,s(Ψ,Φ)*=s(Φ,Ψ),Ψ,Φ
∈Q(s)が
成 り
立 つ.
証 明 準 双 線 形 形 式 に関 す る偏 極 恒 等 式
(2.81) とs(αΨ)=│α│2s(Ψ)(Ψ∈Q(s),α∈C)を 例2.8
Aを
ヒ ル ベ ル ト空 間H上
用 い れ ば よ い.
■
の 自己 共 役 作 用 素 と し,そ の ス ペ ク トル 測 度 をEA
とす る.
(2.82) と し,sA:Q(A)×Q(A)→Cを
(2.83)
に よ っ て 定 義 す る.こ
の と き,sAはQ(A)上
に 同 伴 す る準 双 線 形 形 式 あ る い は 単 にAの 定 義 域(form
domain)と
呼 ぶ.作
の対 称 な準 双 線 形 形 式 で あ る.sAをA 形 式(form)と
い い,Q(A)をAの
形式 の
用 素解 析 に よ り
(2.84) で あ る こ と に 注 意 し よ う. 作 用 素 解 析 を用 い る と次 の こ とが わ か る:Aが が っ て,A+γ
下 に有 界 でA〓-γ(γ
∈IR)(し
た
は 非 負 の 自 己 共 役 作 用 素)な ら ば,sA〓-γ,Q(A)=D((A+γ)1/2)
で あ り,す べ て の Ψ,Φ ∈Q(A)に
対 して
(2.85) 次 の 事 実 に注 意 し よ う. 命 題2.46
二 つ の 自 己 共 役 作 用 素A,Bに
証 明 sA=sBと
す れ ば,任
つ い て,sA=sBな
意 の Ψ ∈Q(A)と
ら ばA=B.
Φ ∈D(A)に
∫IRλd〈Ψ,EB(λ)Φ〉.任 意 のn∈INに 対 して,x[-n,n](B)Ψ Ψ の か わ りにx[-n,n](B)Ψ を代 入 す れ ば
対 して,〈 Ψ,AΦ〉= ∈Q(B)で
あ る か ら,
容 易 にわか るよ うに
で あ る か ら, 補 題3.6を
が 導 か れ る([1]のp.115,
参 照).そ
した が っ て,Φ
こ で,n→
∈D(B).ゆ
意 味 す る.A,Bと
え に〈Ψ,AΦ〉=〈 Ψ,BΦ〉 が 導 か れ る.こ
芯 で あ る と き,DをAの
作 用 素 に 対 し て,閉
定 義2.47
とす れ ば,
も に 自 己 共 役 で あ る か ら,A=Bで
部 分 空 間DがsAの
よ う に,準
∞
れ はA⊂Bを
な け れ ば な ら な い.
形 式 芯(form
core)と
■
呼 ぶ(定 義).
作 用 素 とい う重 要 な作 用 素 の ク ラス の 一 つ が 定 義 さ れ た
双 線 形 形 式 に 対 し て も そ れ に 対 応 す る 概 念 が 定 義 さ れ る.
sを 準 双 線 形 形 式 と す る.Ψn∈Q(s),‖
Ψm)→0(n,m→
∞)な
ら ば,常
成 り立 つ と き,sは
閉 で あ る と い う.
Ψn-Ψ‖
に Ψ ∈Q(s),s(Ψn-Ψ)→0(n→
→0,s(Ψn∞)が
例2.9
Aを
下 に 有 界 な 自己 共 役 作 用 素 でA〓-γ
る 準 双 線 形 形 式sAは
証 明 Ψn∈Q(A)=D((A+γ)1/2),‖ ∞)と
し よ う.こ
が わ か る.し
Ψn-Ψ‖
の と き,(2.85)よ
た が っ て,あ
閉 で あ る か ら,Ψ
とす る.こ
の と き,Aに
同伴 す
閉 で あ る.
る Φ ∈Hが
導 く.ゆ
基 本列 で あ る こ と
あ っ て,(A+γ)1/2Ψn→
∈D((A+γ)1/2)=Q(A)か
者 はsA(Ψn-Ψ)→0を
→0,sA(Ψn-Ψm)→0(n,m→
り,{(A+γ)1/2Ψn}nはHの
Φ.(A+γ)1/2は
つ(A+γ)1/2Ψn→(A+γ)1/2Ψ.後 え にsAは
閉 で あ る.
■
閉で は な い 準 双 線 形 形 式 の例 もあ げ てお こ う. 例2.10
ヒ ル ベ ル ト空 間L2(IR)に
お い て,準 双 線 形 形 式sδ を次 の よ う に定 義 す る:
これ は対 称 な準 双 線 形 形 式 で あ り,非 負 で あ る.だ
が,そ れ は 閉 で は な い(演 習 問 題11).
こ の 例 の 準 双 線 形 形 式 は 超 関 数 論 の 記 法 を 使 え ば,sδ(u,υ)=∫ δ(u*υ)と 表 さ れ る.こ
こで,δ
は1次
下 に有 界 な準 双 線 形 形 式s〓-γ(γ
と お く と,〈 ・,・〉sはQ(s)の 積 空 間 をHsと
書 き,こ
∈IRは 定 数)に 対 して
内 積 で あ る.こ
れ をsに
δ(x)u(x)*υ(x)dx=
元 の デ ル タ超 関 数 で あ る.
の 内 積 をQ(s)に
付 与 して で き る内
同 伴 す る 内 積 空 間 と 呼 ぶ.次
の命 題 は 明 らか
で あ ろ う.
命 題2.48
下 に有 界 な準 双 線 形 形 式sが 閉 で あ る た め の 必 要 十 分 条 件 はHsが
ヒ ル ベ ル ト空 間 で あ る こ とで あ る.
2.8.2 定 義2.49
可 閉 な準 双 線 形 形 式 Hに
お け る 準 双 線 形 形 式s1,
意 の Ψ,Φ ∈Q(s1)に
Hに
が あ る と き,sは
つ い て,Q(s1)⊂Q(s2)か
対 し て,s1(Ψ,Φ)=s2(Ψ,Φ)が
の 拡 大 で あ る と い い,s1⊂s2と
定 義2.50
s2に
つ任
成 り立 つ と き,s2はs1
表 す.
お け る 準 双 線 形 形 式sに 可 閉 で あ る と い う.こ
対 し て,s⊂sと の 場 合,sをsの
な る 閉準 双 線 形 形 式 一 つ の 閉 拡 大 と い う.
命 題2.51
Hに お け る準 双 線 形 形 式sが
可 閉 な ら ば,次 が 成 り立 つ:
な らば 証 明 仮 定 に よ り,sの 0(n,m→
∞)と
に,sの
(2.86) 閉 拡 大sが
し よ う.し
あ る.Ψn∈Q(s),
Ψn→0,
s(Ψn-Ψm)→
た が っ て,s(Ψn-Ψm)→0(n,m→
閉 性 に よ り,s(Ψn)→0(n→
∞).す
∞).ゆ
な わ ち,s(Ψn)→0(n→
え ∞). ■
下 に 有 界 な 準 双 線 形 形 式sに た め に,補
Kを
内 積 空 間,DをKで
任 意 の 基 本 列 はKの
逆 も成 立 す る こ と を示 す
稠 密 な 部 分 空 間 と す る.Dの
中 に 極 限 を も つ と 仮 定 す る.こ
元か らなる
の と き,Kは
完 備,す
なわ
意 の ε>0に
対 して,番
ル ベ ル ト空 間 で あ る.
証 明 {Ψn}nをKの n0が
題2.51の
題 を 一 つ 用 意 す る.
補 題2.52
ち,ヒ
つ い て は,命
基 本 列 と す る.し
あ っ て,n,m〓n0な
り,各nに
た が っ て,任
ら ば‖ Ψn-Ψm‖0,V∈L1loc(IRd)で 定 義 され る.こ 例2.14
だ し,c>0,
あ る.し
α ∈(d/2,d)は
た が っ て,自
の 場 合,
定 数 で あ る.こ
の と き,
己 共 役 作 用 素Hα:=-Δ+c│x│-α
が
で あ る か ら,D(V)はC∞0(IRd)を
磁 場 を も つ シ ュ レ ー デ ィ ン ガ ー 作 用 素.H(A,V)を(2.50)に
られ る 作 用 素 と し よ う.V,
Aに
Aが
よ っ て与 え
対 す る あ る 条 件 の も とで,H(A,V)がC∞0(IRd)上
で 本 質 的 に 自 己 共 役 で あ る こ と はす で に 証 明 した(定 理2.23).準 を使 う と,V,
双 線 形形 式 の方法
も っ と一 般 的 な ク ラ ス に 属 す る 場 合 で もH(V,A)の
を定 義 す る こ とが 可 能 で あ る.
*37 反 例 に つ い て は
含 ま な い.
の 場 合 を考 え て み よ う.こ
の と き,作 用 素
,た
Example
と え ば,[10]のp.329,
2.19を
み よ.
自己共 役拡大
の定義 域 はC∞0(IRd)を し よ う.ま
含 み,DA,jは
た,V:IRd→IRは
対 称 作 用 素 に な る.DA,jの閉包
下 に 有 界 で
き, 密 で あ る.し
をDA,jと
を満 た す とす る.こ
で あ る か ら, た が っ て,定
理2.60を
応 用 す れ ば,形
A, BをH上
の 自己 共 役 作 用 素 でAは
り立 つ と き,BはAに Q(B)⊃Q(A).
自己共 役拡 大 で あ る.
形 式 の 意 味 での 相 対 的有 界 性
非 負 で あ る とす る.次 の(ⅰ), (ⅱ)が 成
関 して,形 式 の 意 味 で 相 対 的 に 有 界 で あ る とい う:(ⅰ)
(ⅱ)あ る 定 数a, b〓0が
こ の 場 合,定
は稠
式和
は 自己 共役 で 下 に有界 で あ る.こ れ は,H(A,V)の
2.8.7 作 用 素 の 意 味 での 相 対 的 有 界 性 ⇒
の と
数aを
存 在 して,
れ る と き,BはAに
形 式 の 意 味 でのA-限
界 とい う.定 数aが
任 意 に小 さ く と
関 して 形 式 の 意 味 で無 限 小 で あ る と い う.
次 の 定 理 は有 用 で あ る. 定 理2.62
A, Bを
自己 共 役 作 用 素,A〓0と
す る.こ の と き,次 の(ⅰ),(ⅱ)が
成 り立 つ: (ⅰ) BがA-有
界 で,定 数a, b〓0が
存 在 して
(2.96) と な っ て い る な ら ば,任
意 の ε>0に
対 して
(2.97) が 成 立 す る. (ⅱ) B≪Aな
らば,BはAに
関 して 形 式 の 意 味 で 無 限 小 で あ る.
この 定 理 を 証 明 す る た め に,補 題 を二 つ 用 意 す る.ま ず,自 累乗 に つ い て の基 本 的 性 質 を証 明 す る.
己共役作用素の
補 題2.63
Aを
自 己 共 役 作 用 素 と し,00に
λ2α と∫IR│λ│2αd‖E(λ)Ψ‖20が
Ψ‖20に
Φε ∈Dで
(**)
対 して,
を 満 た す も の が 存 在 す る.三
角 不 等 式 と(2.98)お
よ び(*),(**)を
用 い るこ と
に より
が 得 ら れ る.そ
こ で,n∈INに
Ψ,│A│α Ψn→│A│α
Ψ(n→
対 して,Ψn:=Φ1/n∈Dと ∞).し
お け ば,Ψn→
た が っ て,Dは│A│α
の 芯 で あ る.
■
次 の 補 題 は非 負 自己 共 役 作 用 素 に 同 伴 す る準 双 線 形 形 式 の 不 等 式 の拡 張 に関 す る も の で あ る.
補 題2.64 をA1/2の
A,Bを
ヒ ル ベ ル ト空 間Hに
芯 でD⊂D(B1/2)を
べ て の Ψ ∈Dに
お け る 非 負 の 自 己 共 役 作 用 素 と し,D
満 た す も の と す る.定
数a,b〓0が
あ っ て,す
対 して
(2.99) が 成 り 立 つ と す る.こ D(A1/2)に
の と き,D(A1/2)⊂D(B1/2)で
対 し て(2.99)が
∞)と
こ れ とB1/2の
対 し て,Ψn∈Dで
な る も の が と れ る.(2.99)に 閉 性 に よ り,Ψ
∈D(B1/2)か
Ψn→
∈D(A1/2)に
対 す る(2.99)が
定 理2.62の
証 明 (ⅰ)(2.97)の
そ こ で,2番
目 の 不 等 式 を 示 す.作
と お く.こ aε0を
Ψ,A1/2Ψn-A1/2Ψ
よ り,{B1/2Ψn}nは
した が っ て,特 に,D(A1/2)⊂D(B1/2).(2.99)の とす れ ば,Ψ
べ て の Ψ ∈
成 立 す る.
証 明 任 意 の Ψ ∈D(A1/2)に 0(n→
あ り,す
リ ッ ヒ の 定 理 に よ り,A-Bε
∈D(B) 同値 であ
bε:=b/(a+ε) Ψ‖,Ψ
∈D(A).
は 自己 共 役 で あ り
し た が っ て,(a+ε)A-│B│〓-(a+ε)b/ε.ゆ
え に
(2.100) 補 題2.63の
応 用 に よ り,D(A)はA1/2の
補 題2.64に
よ り,(2.97)の2番
(ⅱ)B≪Aな
ら ば,aは
芯 で あ る.こ の 事 実 と(2.100)お
目 の不 等 式 が 得 られ る.
い くらで も小 さ く とれ る か ら,(ⅰ)の 結 果 に よ り,題
意 が した が う.
■
2.9
自己 共 役 作 用 素Aに 形 式sA+β
よび
は,ど
形 式 に よ る 摂 動―KLMN定
理
対 して対 称 形 式 β に よ る摂 動 に よ って 得 られ る準 双 線 形
の よ うな 条 件 の も と に,あ る 自己 共 役 作 用 素 に 同伴 す る 準
双 線 形 形 式 とな る で あ ろ うか.こ
れ は,準 双 線 形 形 式 を用 い て 自 己 共役 作 用 素
(量子 力 学 の コ ンテ ク ス トで は物 理 量)を 定 義 す る方 法 を探 究 す る観 点 か らは 自 然 な 問 い で あ る.こ
の 問題 に関 す る基 本 的 な事 実 と応 用 を述 べ るの が こ の節 の
目 的 で あ る. 形 式 に 関す る摂 動 問 題 に関 して も,作 用 素 の 摂 動 問 題 に 関す る加 藤-レ リ ッ ヒ の 定 理 に呼 応 す る 定 理 が 存 在 す る.そ れが 次 の定 理 で あ る. 定 理2.65 役 作 用 素,β
(KLMN定
理*38).Hを
ヒルベ ル ト空 間,AをH上
の非 負 自 己共
を対 称 な準 双 線 形 形 式 で次 の 条 件 を満 たす もの とす る:
(ⅰ) Q(A)⊂Q(β). (ⅱ) 定 数0〓a0に
証 明 す る.a>0を
任意
ら か にuj,a∈C∞(IRd).
対 し て 成 立 す る 自 明 な 不 等 式
にお
い て左 辺 を計 算 す る こ と に よ り
単 純 な計 算 に よ り
で あ るか ら
し た が っ て,
任 意 のx≠0に
が 得 ら れ る.た
対 し て,
で あ り,
が 成 り立 つ.い し た が っ て,ル
ま,d〓3で
あ る か ら,
.こ に よ り,(2.107)が
任 意 のf∈C∞0(IRd)に
前 段 の 結 果 と補 題2.64の に 対 して,(2.107)が
れ と
得 ら れ る.
対 し て,
の 芯 で あ る か ら,(-Δ)1/2の
注 意2.18
.
ベ ー グの 優 収 束 定 理 に よ り
ゆ え に,
は-Δ
だ し
が 成 り立 つ.C∞0(IRd) 芯 で も あ る(補 題2.63(ⅱ)の
応 用 に よ り,任
応 用).よ
意 の
導 か れ る.
不 等 式(2.107)は
ン テ ク ス トに お い て,上
っ て,
■
ハ ー デ ィ ー の 不 等 式 と も 呼 ば れ る.量
の 補 題 を"不 確 定 性 原 理 の 補 題"と
子力学の コ
呼 ぶ 理 由 は次 の 点 に
あ る.pj=-iDjと 単 位 系).証
お く と,こ
れ は 運 動 量 作 用 素 の 第j成
分 で あ る(h=1の
明 の 中 で 計 算 し た 交 換 関 係[Dj,uj,a]はi[pj,uj,a]と
の 場 合,uj,aは"力"x/(x2+a)の 非 可 換 で あ る の で,一 不 等 式(2.107)は
定 理 2.70
第j成
書 か れ る.こ
分 と み る こ と が で き る .pjとuj,aは
般 化 さ れ た 意 味 で の 不 確 定 性 関 係 が 導 か れ る.要
す るに
こ の 不 確 定 性 関 係 の 一 つ の 帰 結 な の で あ る.
V:IR3→H4(C)と
し,次
の 条 件 を 満 た す と す る:
(2.108) た だ し,‖V(x)‖
はV(x):C4→C4の
0〓a0は
そ れ ぞ れ,原
表 す パ ラ メ ー タ ー).V(x)=-Ze2/│x│と き,次
子 番 号,電
し て,定
気 素 量(基
理2.70を
本 電 荷)を
応 用 す る こ とが で
の 結 果 を 得 る.
系2.71
00に
を得 る(cは
意D.3に
意 のf∈
た が っ て, .し
て,超 関 数 の 意 味 でDg=-g.g∈L2(IR+)で
る こ とが 示 さ れ る.さ
の と き,注
の と き,任
のgが
す べ て のγ>0で
微分 可 能 であ
の 微 分 方 程 式 の 解 はg(γ)=ke-γ 確 か にker(p*γ-i)の
とい
元 で あ る こ と もわ
次 にh∈ker(p*r+i)の h'(r)=h(r)が
とす れ ば,前 段 と同 様 の 議 論 に よ っ て,hは
わ か る.こ
れ はk=0の
の 微 分 方 程 式 の 解 はh(r)=kerに
と きの み,L2(IR+)の
元 で あ る.よ
微 分 可 能 で あ り,
限 られ る.し
か し,こ
っ て,n-(pr)=0.
■
次 に,対 称 作用 素 の不足 指数 が一 致す る(し たが って,自 己共役 拡大 の 存在 が保証 さ れ る)有 用 な 十 分 条 件 を 一 つ 定 式 化 し て お く. 定 義D.3
写 像J:H→Hを
任 意 の をJに
共 役 子([6],p.458),AをH上
に 対 し て,
関 す る 実 作 用 素(real
の 線 形 作 用 素 と す る.
で あ り,
operator)と
い う.こ
が 成 り立 つ と き,A の場 合,単
にAはJに
関 して実
で あ る と もい う. 注 意D.4 D(A)で
AがJに
関す る 実 作 用 素 な ら ば,容 易 に確 か め られ る よ う に,実 はJD(A)=
あ る.
補 題D.4 役 子Jに
稠 密 に 定 義 さ れ た 線 形 作 用 素Aが
共 役 子Jに
関 して 実 な ら ば,A*も
関 して 実 で あ る.
証 明 任 意 の と
に対 して, 最 初 と最 後 の 式 に よ っ て,
が し た が う.し
定 理D.5
たが っ て,A*はJに
かつ
関 して 実 で あ る.
(フ ォ ン ・ノ イ マ ン の 定 理)AをH上
関 して 実 作 用 素 で あ る とす る.こ はJに
共
■
の 対 称 作 用 素 と し,Aは
の と き,n+(A)=n-(A)が
共 役 子Jに
成 り立 つ.さ
ら に,A
関 して 実 の 自 己 共 役 拡 大 を もつ.
証 明 補 題D.4に
よ っ て,A*もJに
関 して 実 で あ る.こ
に 対 して,
らK〓
へ の 全 単 射 で あ る.こ
D.1に
よ っ て,各V∈U(K+,K-)に
CONS{en}nに
れ はn+(A)=n-(A)を
対 し て,
た す こ とが わ か る.こ
理
任意 の
満 た す も の が 存 在 し, 関 す る 実 性 を用 い る と,Aの が 成 り立 つ.こ
証 明 に お け る ユ ニ タ リ作 用 素UVはJUV=U*VJを
れ はAVのJに
か
た が っ て,定
自 己 共 役 拡 大AVでV1≠V2
でVen=Jenを た,AのJに
意の
た が っ て,JはK±
満 た す もの が 存 在 す る.K+の
つ い て も
事 実 を用 い る と,定 理D.1の
れ を 用 い る と,任
意 味 す る.し
対 して,Aの
な らばAV1≠AV2を
が 成 り立 つ.ま ケ ー リー 変 換Wに
が わ か る.し
関 す る 実 性 を 導 く.
れ らの 満 ■
付録E 交 換 子 に関 す る基 本 公 式
Hを
複 素 ヒ ル ベ ル ト空 間,A,B,C,S,TをH上
部 分 集 合
の 線 形 作 用 素 とす る.
が あ っ て,す
成 り立 つ と き,「D上
でS=Tが
べ て の Ψ ∈Dに
対 して,
が
成 り立 つ 」 とい い,こ の こ と を 「S=T(D上)」
と
い う ふ う に も記 す. 線 形 作 用 素 の 交 換 子[S,T]:=ST-TSに 易 で あ る(α,β ∈Cは
関 す る 以 下 の 関 係 式 を証 明す る の は 容
任 意). 上),
(E.1)
命 題E.1
上),
(E.2)
上),
(E.3)
上),
(E.4)
上),
(E.5)
とす る.こ
の
とき (Dn上)
(E.6)
が 成 り立 つ. 証 明 n=1の
と き は 明 ら か.n=m∈INの
の と き,Dm+1上
最 後 の 式 は,k=j+1と い こ とが わ か る.し
と き,(E.6)が
成 り立 つ と し よ う.こ
で
して,和
を書 き 直 せ ば,n=m+1の
た が っ て,(E.6)はn=m+1の
場 合 の(E.6)に
系E.2 c∈Cが
等 し
場 合 も成 立 す る.
■
とす る.定 あ っ て 上)と
す る.こ (Dn上)
が 成 り立 つ.
数
の とき (E.7)
証 明 (E.6)の 右 辺 の[A,B]にcIを 例E.1
L2(IRd)に
代 入 す れ ば よ い.
お い て,
■ な らば
(D上),j,k=1,…,d.
ノ
ー
ト
本章 の主 眼 は,量 子 力学 にお いて現 れ る(あ るい は現 れ る可 能性 のあ る)諸 々の物 理 量 の候 補 の(本 質 的)自 己共役 性 を証 明す る ための い くつか の基 本 的方法 お よ び準 双 線形 形式 による 自己共役 拡大 の構 成法 を論述 す る ことにあ った.自 己共役 性 の問題 につ いて は,本 章 で取 り上 げた事 実 の他 に も非常 に多 くの結果 が得 られ てい る.こ れ らにつ いて は,[14]のX章
や[15]等 を参 照 され たい.量 子力 学や 量子場 の理論 にお
いて,新 たなモ デ ル を考 察の対 象 と し,モ デ ルの有 す る物 理量 の候補 につい て,そ の (本質的)自 己共役性 を証 明す る際 に,従 来 の方 法が 適用 で きる場合 とそ うで ない場合 が あ りうる.後 者 の場合,本 質 的 に新 しい方法 が必 要 と され る.こ の よ うに して,自 己 共役 性 の問題 は,量 子 場 の理論 を含 む広範 な領 域 にお いて重要 な主題 の一 つ であ り 続 け てい る.
第2章 演 習 問 題
1. 命 題2.14を
証 明 せ よ.
2. V1,V2をIRν と お く.こ
上 の ボ レ ル 関 数 の 集 合 と し, の と き,V1,V2が
ス ケ ー ル 不 変 な ら ば,V1+V2も
ス ケール不 変で
あ る こ と を 示 せ.
3. p,q〓1な
ら ば,関 数 空 間
は そ れ ぞ れ,複
素 ベ ク トル 空 間,実
4. 関 数 (K>0:定 作 用 素Vは1次
ベ ク トル 空 間 で あ る こ と を 示 せ. 数)に
よ る(L2(IR)に
お け る)か け 算
元 ラ プ ラ シ ア ンΔ に関 して 相 対 的 に 有 界 で は な い こ と を 示 せ.
5. 多 項 式 型 ポ テ ン シ ャル
に よ る(L2(IR)に
お け る)か け 算 作 用 素Pは1次
元 ラ プ ラ シ ア ンΔ に 関 して
相 対 的 に有 界 で は な い こ と を 示 せ. 6. nを 任 意 の 自然 数,λ>0を
定 数 と し,
2.29に よ っ て,
は
下 の 手順 で,H2n=H2n,す
とお く.系 上 で 本 質 的 に 自己 共 役 で あ る.以
な わ ち,H2nは
上 で 自 己 共 役 で あ る こ と を証 明 せ よ.pj:=-iDjと (ⅰ) 任 意 のf∈C∞0(IRd)に
お く.
対 して
を示 せ. (ⅱ) (ⅰ)を用 い て,任
意 のf∈C∞0(IRd)に
対 して
を示 せ. (ⅲ) 任 意 の ε∈(0,1)に
対 して,定
数bε〓0が
が 成 り立 つ こ と を 示 せ.n=1の (ⅳ) (ⅱ),(ⅲ)か
存 在 して
と き は,bε=2dλ
に と れ る こ と を示 せ.
ら
を 示 せ.n=1の
と き は,ε=0,bε=2dλ
(ⅴ) (ⅳ)とC∞0(IRd)がH2nの
に と れ る こ と を 示 せ.
芯 で あ る こ と(系2.29)を
な ら ば,
か つ す べ て の
用 い て,ψ ∈D(H2n) に
対 して 不 等 式
が 成 り立 つ こ と を 証 明 せ よ. (ⅵ) (ⅴ)と 系2.29に
よ っ て,-Δ+P2nは
上 で 自己 共 役 で あ る こ と を証 明 せ よ.
7. ボ レ ル 可 測 関 数V:IRd→IRに 十 分 条 件 は 8. d〓3な
つ い て,
で あ るた めの必要
で あ る こ と を示 せ.
ら ば,L2(IRd)に
お い て,D(Δ)の
任 意 の元 は連 続 関数 と同一視 で き
る こ と を示 せ. 9. Vは
定 理2.31と
同 じ条 件 に した が う と す る.E∈IRdを
を 定 数 と し,W(x)=-qE・xと (ⅰ) 任 意 の ε>0に
定 ベ ク トル,q∈IR
す る*46.
対 し て,不 等 式
が 成 り立 つ こ と を 示 せ. (ⅱ) 任 意 の
に 対 して
を 示 せ.こ
こ で,ε>0は
任 意 の 正 の定 数 で よ い.
(ⅲ) 次 の 事 実 を 証 明 せ よ:0〓a0を
任 意 に と り,有 限 開 区 間(-L/2
,L/2)に
お け る 一 般 化 され た デ ィ
リ ク レ境 界 条 件 つ き ラ プ ラ シ ア ン をΔ(L)Dと す る[枠 と な る ヒ ル ベ ル ト空 間 は ](例2.11で
の
場 合). か つ
(ⅰ)
を示 せ. (ⅱ)
が存在 と お く.こ
の と き,
か つ を示 せ.
(ⅲ) 関 数 φn(n∈IN)を次
の よ う に定 義 す る:
こ の と き,
か つ
を示
せ*47.
を証 明 せ よ.
(ⅳ) 14. L2(Ω)(Ω
はIRdの
開 集 合)に お い て 準 線 形 形 式sNを次
の よ う に定 義 す る:
(ⅰ) sNは 非 負 か つ 可 閉 で あ る こ と を 証 明 せ よ. sNの
閉 包sNに
同伴 す る 非 負 自 己 共 役 作 用 素 を-ΔNと
(ⅱ) -ΔNは-Δminの
自 己 共 役 拡 大 で あ る こ と を 示 せ.
(ⅲ) Ω が 有 界 の と き, 注:-ΔNを一 よっ て,Ω *47 {φn}n
す る.
を示 せ.
般化 され た ノイ マ ン境界 条 件 つ きラ プラ シ ア ン とい う.前 問 と(ⅲ)に が有 界 な らば,ΔD≠ΔNが
わ か る.
∈INは,発 見 法 的 に は,微 分 方 程 式 を満 たす 関 数fを 求 め る こ と に よ り,得 られ る.
お よ び条 件
15. d〓3の
と き,-Δ
は
上 で は本 質 的 に 自 己 共 役 で は な い こ と を
証 明 せ よ.
関 連 図 書
[1] 新 井 朝 雄,『 ヒル ベ ル ト空 間 と量 子 力 学』,共 立 出 版,1997. [2] 新 井 朝 雄,『 フ ォ ック空 間 と量 子 場 上』,日 本 評 論 社,2000. [3] 新 井 朝 雄,『 フ ォッ ク空 間 と量 子 場 下』,日 本 評 論 社,2000. [4] 新 井 朝 雄,『 現 代 物 理 数学 ハ ン ドブ ッ ク』,朝 倉書 店,2005. [5] 新 井 朝雄 ・江 沢 洋,『 量子 力 学 の 数 学 的構 造Ⅰ』,朝 倉 書 店,1999. [6] 新 井 朝雄 ・江 沢 洋,『 量子 力 学 の 数 学的 構 造Ⅱ 』,朝 倉 書店,1999. [7] 江 沢 洋,物 質 の安 定 性,江 沢 洋 ・恒 藤敏 彦(編)『
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1978. [8] 池 部 晃 生,『 数 理 物 理 の 固 有 値 問 題― 離 散 ス ペ ク トル―』,産 [9] T.Kato,Fundamental properties type,Trans.Amer.Math.Soc.70(1951),195-211. [10] T.Kato,Perturbation [11] 黒 田 成 俊,『
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1979. [12] 黒 田 成 俊,『 [13] M.Reed tional
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B.Simon,Methods
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E.H.Lieb,Springer,2001(3rd
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[16]
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Press,1972.
量 子 力 学Ⅰ 』(第2版),み
of
Matter:From
ed.). す ず 書 房,1969.
Atoms
to
Stars,Selecta
3 正準交換 関係 の表現 と物理
量子 力 学 の根 本 原 理 の一 つ で あ る,代 数 的 構造 と しての 正準 交 換 関係(CCR)の
表現 論
の 初等 的 部 分 を,量 子物 理 との 関 連 を念 頭 に置 きつ つ,論 述 す る.ま た,CCRの
変形
か ら定 義 され る時 間作 用 素 の概念 につ い て もふ れ る.こ れ は,従 来曖 昧 に論 じられ て き た"時 間-エ ネル ギ ー の 不確 定 性 関 係"に 対す る一 つ の 明 晰 な形 を与 え る.さ らに,時 間作 用 素 と状 態 の 時 間発 展(生 き残 り確 率)と の 関 係 に つ い て議 論 す る.
3.1
は
じ
め
に
ハ イゼ ンベ ル ク の不 確 定 性 関 係 を考 慮 す る と,量 子 的粒 子 の粒 子 的描 像 にお け る位 置作 用 素 と運 動 量作 用 素 は正準 交 換 関係(canonical CCRと
relation;
略 す)に し たが う こ とが あ る意 味 で 自然 に導 か れ る こ と を前 著[14]の3
章,3.3節
で 発 見 法 的 に示 した.さ
も無 限 自 由度 の 場 合 も含 め て,外 CCRの
commutation
ら に進 ん で,量 子 力 学 は,有 限 自 由度 の 場 合 的 自由 度 に関 す る 限 り,代 数 的 構 造 と して の
ヒ ルベ ル ト空 間 表 現 と して,統 一 的 に捉 え られ る こ と も示 唆 した([14]
の3.3.7項 お よ び4.4節).こ
の 場 合,有 限 自 由度 の 量 子 力 学 と量 子 場 の 理 論 の
よ うな無 限 自 由度 の量 子 力 学 との違 い は,有 限 自由度 のCCRの 度 のCCRの
表 現 と無 限 自 由
表現 の それ と して把 握 さ れ る.代 数 的 構 造 そ の もの と して のCCR
を量 子 力 学 の根 本 原 理 の 一 つ と して立 て る と き,次 に行 うべ き仕 事 は 無 数 に存 在 す るCCRの
表 現 の 構 造 を解 析 す る こ とで あ る.こ れ は 量 子 現 象 の 現 出 の 仕
方 を根 本 で 支 配 す る数 学 的 構 造 の一 つ の 相 を そ の根 源 か ら明 晰 に認 識 す る こ と を可 能 にす る は ず で あ る.よ は,無 数 に あ るCCRの
り具 体 的 にい え ば,こ の仕 事 の 基 本 的 課 題 の 一 つ
表 現 た ち を本 質 的 に 異 な る もの とそ うで な い もの とに
分 類 し整 理 す る こ とで あ る.CCRの
表 現 の うち には,前
著[14]で す で にみ た
よ うに,外 見― 表 現 形 式― が 異 な って も物 理 的 に は ま っ た く同 じ内容 を記 述 す る もの が あ る(例:シ ン表 現).そ
ュ レ ー デ ィ ン ガー 表 現 とボ ル ン-ハ イ ゼ ンベ ル ク-ヨ ル ダ
の よ う な表 現 ど う しは物 理 的 に 同値 で あ る とい う.他 方,あ
る表 現
は別 の 表 現 と本 質 的 に異 な る 物 理 的 内容 を 内 蔵 して い る場 合 が あ る.こ の よ う な二 つ の表 現 は物 理 的 に非 同 値 で あ る とい う.CCRの
表 現 の 分 類 問 題 は,量 子
力 学 の コ ン テ クス トに お い て は,無 数 に存 在 す るCCRの
表 現 を物 理 的 に 同値
な もの とそ う で な い もの とに分 類 す る問 題 に ほ か な ら な い.こ れ が 本 章 の主 題 で あ る.だ が,こ Nを
こ で は,有 限 自 由度 のCCRの
自然 数 と し,自 由度Nの
表 現 の み を考 察 す る.
場 合 のCCRを
ここ で も う一 度 か き下 して お こ
う*1:
(3.1) (3.2) だ た し,[X,Y]:=XY-YX.
定 義3.1
Hを
CCRの
表 現 の 二 つ の 型 を 導 入 す る:
ヒル ベ ル ト空 間 とす る.Hで
作 用 素Qj,Pk(j,k=1,…,N)に
稠 密 な部 分 空 間DとH上
の対 称
ついて
(3.3) か つD上
で(3.1),(3.2)が
成 立 す る と き*2,
CCRの
対 称 表 現 と い う.こ
の 場 合,も
し,Qj,Pj(j=1,…,N)が
作 用 素 で あ る な ら ば, 現 と い う.い
を 自 由 度Nの
を 自 由 度NのCCRの
ず れ の 表 現 の 場 合 で もHをCCRの
注 意3.1 N=1の
自己 共役
場 合 のCCRの
表 現 の ヒ ル ベ ル ト空 間 と い う.
表 現 は{H,D,(Q,P)}の 各Qj,Pjの
自 己 共役 表
注 意3.2
上 の 定 義 に お い て,Dが
も あ る.こ
の 方 が 代 数 の 表 現 と い う 意 味 で は 自 然 で あ る.だ
よ う に 表 す*3.
不 変 部 分 空 間 で あ る とす る場 合 が,本
書 で は,作
用 素 論 の 観 点 か ら 論 じ た い の で 上 の よ う な 定 義 を採 用 す る. *1 h=1の *2 H上
単 位 系 を採 用す る の 線 形 作 用 素A
Ψ ∈Dに
対 し て,
*3 反交 換 関 係 の 記号{・
,Bに
. つ い て,部
分 空 間D⊂D(A)∩D(B)が
が 成 り立 つ と き,D上
,・}と の混 乱 を避 け る ため.
でA=Bが
あ っ て,任
意の
成 り立 つ と い う.
前 著[14]の3.3.4項 下,単
にCCRの
で 定 義 した の は,実 はCCRの
表 現 とい う と き に は,CCRの
現 を表 す もの とす る.任 意 のCCRの に つ い て,QjとPjの
自己共 役 表 現 で あ った.以 対 称 表 現 あ る い は 自己 共 役 表
表 現
にお い て,各j
少 な く と も一 方 は非 有 界 で あ る([14]の 定 理3.23,定
3.24).こ
の 特 性 をCCRの
CCRの
表現 論 を展 開 す る た め の方 法 に は大 き く分 け て2通
は,CCRの
表 現 の 非 有 界 性 と呼 ぶ. りあ る.そ の一 つ
表 現 の非 有 界 性 に まつ わ る困 難 を避 け る ため に,CCRを
見 法 的 に は 同 等 な― しか し,実 際 に は,あ 有 界 作 用 素 の 関係 式 に 翻 訳 して,後 CCRの
これ と発
る付 加 的 条 件 の も とで の み 有 効 な―
者 の 表 現 を論 じ る方 法 で あ る.も
表 現 を直 接 考 察 す る方 法 で あ る.こ
る.だ が,そ
理
う一 つ は
こで は,ま ず,前 者 の方 法 か ら論 じ
の 前 に,あ る予 備 的 考 察 を行 う.
3.2
この 節 で は,CCRの
予 備 的 考 察
表 現 を考 察 す る 上 で あ らか じめ把 握 して お くべ き基 礎 的
な事 柄 を論 述 す る.
3.2.1
ス ペ ク トル 特 性
ヒ ル ベ ル ト空 間H上 た はT│Dと
の 線 形 作 用 素Tの
部 分 空 間D⊂D(T)へ
の 制 限 をTDま
記 す([13]のp.65∼p.66).
命 題3.2
を 自 由 度NのCCRの
と き,各j=1,…,Nに
対 し て,Qj│D,Pj│Dは
対 称 表 現 とす る.こ
の
固 有 値 を も た な い:
(3.4) 証 明 λ を実 定 数 と して と き,CCRに 左 辺 は0と が っ て,Qjは
を満 た す Ψ ∈Dが
よ り, な る こ と が わ か る.し
あ っ た と し よ う.こ の の 対 称 性 に よ り,
た が っ て,‖Ψ‖2=0.ゆ
固 有 ベ ク トル を も た な い.Pjに
え に Ψ=0.し
つ い て も 同 様.
た ■
注 意3.3
命題3.2はQjま
た はPjが
る もの で は な い(i. e., Qj, Pjが
まっ た く固 有値 を もた な い こ とを 意 味 す
そ れ ぞ れ,D(Qj)\D,
ベ ク トル を もつ 可 能性 は排 除 で きな い).[14]の3章
D(Pj)\Dの 演 習 問題19を
中 に 固有 参 照.
3.2.2 表 現 の 既 約 性 CCRの
表現 を同値 な もの とそ うで な い もの と に分類 す る上 で,次 に述 べ る事
実 は あ ら か じめ心 に と どめ て お く必 要 が あ る. 自 由度NのCCRの と し て,そ
表 現 がM個(Mは
有 限 ま た は 可 算 無 限)与 え ら れ た
れ ら を
と
し よ う.こ の と き,直 和 ヒ ル ベ ル ト空 間 HM上
に お け る部 分 空 間
の場 合 は 代 数 的無 限 直 和 とす る)は 稠 密 で あ る*4. の 作 用 素Qj, Pj(j=1,…,N)を
に よっ て 定 義 す れ ば,
はCCRの
こ の場 合,各 表 現 πmを 表 現πMの Qj, PjはHmに 一般 に,CCRの 表 現(direct sum
第m成
表 現 で あ る.
分 と呼 ぶ.表 現 πMに お い て は,各
よっ て 簡約 され る こ とに 注 意 しよ う*5. 表現 が い ま述 べ た 型 の 表 現 と して表 され る と き,こ れ を直 和 representation)と
呼 ぶ.こ
の場 合,当 該 のCCRの
表 現 は直
和 分解 され る とい う.直 和 表 現 が 二 つ 以 上 の 成 分 を もつ と き,こ の 直和 表 現 は 非 自 明 で あ る とい う. CCRの
直 和 表 現 に お い て は,そ の 表 現 の 詳 細 な性 質 を調 べ る 問題 は,各 成 分
の そ れ を調 べ る 問題 に帰 着 さ れ る.そ れ ゆ え,CCRの て は,直 和 表 現 は度 外 視 して よ い.そ
こで,非
表 現 を分 類 す る に あ た っ
自明 な直 和 表 現 に分 解 され な い
表 現 を定 義 す る こ と を考 え る.そ の た め の 鍵 とな る概 念 が 次 に定 義 す る既 約 性 の概 念 で あ る. 定 義3.3
Xを
ヒル ベ ル ト空 間,MをX上
の線 形 作 用素(有 界線 形 作 用 素 で あ
る必 要 は な い)の 族 とす る. *4 ヒ ル ベ ル ト空 間 の 直 和 に つ い て は *5 作 用 素 の 簡 約 に つ い て は
,[13]の1.1.8項
,[13]の2.6.4項
を 参 照.
お よ び[14]の4.3.2項
を参 照.
(ⅰ) X上 の有 界 線 形 作 用素T∈B(X)が を満 たす と き,TとMは をM'と
すべ て のA∈Mに
可 換 で あ る とい う.Mと
記 し,こ れ を をMの
の 恒 等 作 用 素)な
ducible)で
あ る と い う.
定 義3.4
CCRの
る と き,こ
の 表 現 は 既 約 で あ る と い う.
表 現
際,上
可 換 な 有界 線 形 作 用 素 の全 体
可 換 子 集 合 とい う*6.
(ⅱ) M'={zI}=:CI(IはX上
こ の 定 義 が,実
対 してTA⊂AT
ら ば,Mは
に お い て
既 約(irre
が既 約 であ
述 の 目的 に か な う もの で あ る こ とは 次 の 命 題 に よ って
示 さ れ る:
命 題3.5
CCRの
表 現
が 既 約 な ら ば,そ
れ は非 自明 な直
和 表 現 に 分 解 さ れ な い.
証 明 仮 に,表
現
が 非 自 明 な 直 和 に 分 解 さ れ た と し,そ
の 成 分 を
と 書 こ う(非自明
よ り,M〓2).Пm:H→HmをHmへ Hmに
の 正 射 影 作 用 素 とす れ ば,Qj, Pjの
よ る 簡 約 可 能 性 に よ り,
か ら,Пm≠I(m=1,…,M).こ
性 に
しか し,M〓2で れ は
ある
の 既 約 性 に 反 す る. ■
作 用 素 の 集 合 の 既 約 性 を別 の視 点 か ら特 徴 づ け る概 念 を導 入 して お く. 定義3.6
Xを
T*∈Mで
あ る と き,Mは
注 意3.4
ヒ ル ベ ル ト空 間,M⊂B(X)と
す る.任 意 のT∈Mに
対 して,
自己 共 役 で あ る とい う.
この 定 義 は,有 界作 用 素 の 集 合 に関 す る 自己 共 役 性 の概 念 で あ る.作
用 素 の 自 己 共 役 性 の 概 念 と混 同 し な い よ う 注 意 さ れ た い. 例3.1 M}と
Xを
ヒル ベ ル ト空 間 とす る.任 意 のM⊂B(X)に
す れ ば,Mは
*6 第1章
自 己 共 役 で あ る((T*)*=Tに
対 して,M:=M∪{T*│T∈
で 導 入 した可 換 子 集 合 の一 つ の 一般 化 で あ る
注 意).
.
命 題 3.7
Xを
ヒ ル ベ ル ト空 間,M⊂B(X)を
次 の(ⅰ),(ⅱ)は (ⅰ) Mは
既 約.
(ⅱ) Xの
閉 部 分 空 間YでM-不
TY⊂Y)はXか{0}の
変 な も の(i.e.,任
既 約 で あ る と す る.A∈Mと
変 な も の と す る.任
<Φ,A*Ψ>=0(∵A*∈Mで もM-不
意 の Ψ ∈Xと
意 の Φ ∈Y⊥
変 で あ る.そ
が,Mの
よ っ て,(ⅱ)の
こ で,Yへ
対 し て,<AΦ
既 約 性 とPの
,Ψ>=
た が っ て ,AΦ
の 正 射 影 作 用 素 をPと
対 し て,PAΨ=APΨ
∈Y⊥.
す れ ば,任
が 成 り立 つ .ゆ
正 射 影 性 に よ り,P=Iま
仮 定 す る.T∈M'と
し て,TA=AT.し
す る.こ
え
た はP=0
.
の と き,任 意 のA∈Mに
た が っ て,A*T*=T*A*.Mは 意 味 す る.し
元 で あ る.こ
役 で あ る.T1の
ス ペ ク トル 測 度 をEと
対 し て,E(J)∈M'と 仮 定 に よ り,R(E(J))=Xま す れ ば,任
,T2:=(T-T*)/(2i)
の 場 合,T=T1+iT2と
な る.し
書 け,T1,T2は
す る と,任
変 で あ る.こ
た はR(E(J))={0}で
R(E([a-ε,a])=X.ε>0は
あ る.S=supp
対 して,E([a-ε,a])≠0
任 意 で あ っ た か ら,こ
味 す る.す
な わ ち,E({a})=I.ゆ
るb∈IRが
あ る.よ
れ と
Eと .し
し,
た が っ て,
れ はR(E({a}))=Xを
え にT1=aI.同
っ て,T=(a+ib)I.ゆ
自己 共
意 の ボ レ ル 集 合J∈B1に
た が っ て,R(E(J))はM-不
意 の ε>0に
対
自己 共 役 で あ る か ら ,こ れ
た が っ て,T1:=(T+T*)/2
の い ず れ もM'の
Sと
∈Y).し
閉部 分
主 張 が 出 る.
(ⅱ)⇒(ⅰ):(ⅱ)を
a:=sup
対 し て,
す る.YをXの
と Ψ ∈Yに
あ る か ら,A*Ψ
す べ て のA∈Mに
に,P∈M'.だ
はT*∈M'を
意 のT∈Mに
い ず れ か で あ る.
証 明 (ⅰ)⇒(ⅱ):Mは
ゆ え に,Y⊥
の と き,
同 値 で あ る.
空 間 でM-不
自 己 共 役 集 合 とす る.こ
意
様 に し て,T2=bIと
な
既 約 で あ る .
■
え にMは
次 の命 題 は,作 用 素 の 集 合 の 既 約 性 のユ ニ タ リ不 変 性 に関 す る もの で あ る. 命 題3.8
X,Yを
Xか
の 任 意 の ユ ニ タ リ 変 換 と し,MU:={UAU-1│A∈M}と
らYへ
の と き,Mが
証 明 S∈M'Uと
ヒ ル ベ ル ト空 間,MをX上
既 約 な ら ば,MUも
す れ ば,任
の 線 形 作 用 素 の 族 と す る.Uを
既約 である. 意 のA∈Mに
対 し て,SUAU-1⊂UAU-1S.
す る .こ
そ こ で,S':=U-1SUと Mの
お け ば,S'∈B(X)で
既 約 性 に よ り,あ
るz0∈Cが
あ り,S'A⊂AS'が
あ っ て,S'=z0I.こ
成 り立 つ.
れ はS=z0Iを
意味
す る.
■
強 可 換 性 の 概 念 を 若 干 拡 大 して お く:ヒ Aと
有 界 線 形 作 用 素T∈B(X)に
は 強 可 換(strongly CCRの
ル ベ ル ト空 間X上
つ い て,TA⊂ATが
commuting)で
の 自 己共 役 作 用 素
成 り立 つ と き,AとT
あ る と い う(定 義)*7.
自 己 共 役 表 現 に つ い て の 重 要 な 事 実 を 証 明 す る た め に,次
の 補 題 を証
明 す る. 補 題3.9
Aを
ヒ ル ベ ル ト空 間X上
形 作 用 素(T∈B(X))でAと
の 自 己 共 役 作 用 素 と し,TはX上
強 可 換 で あ る とす る.こ
に 対 し て,eitAとTは
の と き,す
の有界線 べ てのt∈IR
可 換 で あ る:
(3.5) 証 明 Ψ,Φ ∈D(A)を
任 意 に と る.こ
の と き,e-itAΨ
能 で あ り,de-itAΨ/dt=-iAe-itAΨ.Tは
はtに
つ い て 強微 分 可
有 界 で あ る か ら,Te-itAΨ
に つ い て 強 微 分 可 能 で あ り,dTe-itAΨ/dt=-iTAe-itAΨ
もt
が 成 立 す る.関
に よ っ て 定 義 す れ ば,こ
数
れ はtに
ついて微分可 能であ り
と計 算 さ れ る.e-itAΨ D(A).し
∈D(A)で
あ る か ら,TとAの
強 可 換性 に よ り,Te-itAΨ
た が っ て,右 辺 第 一 項 は,
て,
ゆ え に .こ
が 得 ら れ る.Tお
は 稠 密 で あ る か ら,拡 が 成 り立 つ.こ
に 等 しい.し れ とD(A)の よ びeitATe-itAは
大 定 理 の 一 意 性 に よ り,作
れ を 書 き換 え れ ば(3.5)が
∈
たが っ
稠 密 性 に よ り,
有 界 で あ り,D(A)
用 素 の 等 式eitATe-itA=T
導 か れ る.
■
次 の 補 題 も基 本 的 で あ る. *7 Tが自
己 共役 な らば ,い ま定義 した 意 味 で の 強可 換 性 は,自 己 共役 作 用 素 ど う しの 強 可 換性 の概 念 と一 致 す る(演 習 問題1).
補 題3.10
Xを
作 用 素 をPと
ヒ ル ベ ル ト空 間,NをXの
す る.X上
す る と す る.こ
閉 部 分 空 間 と し,N上
の 有 界 線 形 作 用 素T∈B(X)はNお
への正射 影
よ びN⊥
を不 変 に
の と き,PT=TP.
証 明 任 意 の Ψ ∈Xは
Ψ=PΨ+(1-P)Ψ 仮 定 に よ り,右
N⊥ の 元 で あ る か ら,PTΨ=TPΨ
と 表 さ れ る.し 辺 第 一 項 はNの
辺第二項 は ■
をCCRの
自 己共 役表 現 とす る.こ れ が 既 約
で あ るた め の必 要 十 分 条件 は
が既 約 で あ る こ とで あ る.
偶 を 証 明 す る.そ
こ で,
約 で な い と し よ う.Mは
自 己 共 役 で あ る.し
の 閉 部 分 空 間KでM-不
変 か つK≠Hか
れ と 補 題1.14に
元 で あ り,右
とな る
命 題3.11
証 明 (必 要 性)対
た が っ て,
よ っ て,各Qj,
は既 た が っ て,命
つK≠{0}と
PjはKに
題3.7に
よ っ て,H
な る も の が あ る.こ
よ っ て 簡 約 さ れ る.し
で あ り, (QjのKに
た が っ て,
お け る 簡 約 部 分), と す れ ば, (PはKへ
与 え る.ゆ
え に,
命 題3.5に
よ っ て,
定 数).し
3.2.3 N次
は 非 自 明 な 直 和 に 分 解 さ れ る.こ
れ は,
と す る.こ
た が っ て,補
T=cI(cは
表現 を
が 既 約 で な い こ と を 意 味 す る.
(十 分 性) で あ る.し
の 正 射 影 作 用 素)はCCRの
題3.9に
の と き,各Qj,
よ っ て,T∈M'.こ
た が っ て,
PjはTと
れ とMの
強可換
既 約 性 に よ り,
は 既 約 で あ る.
■
シ ュ レー デ ィ ン ガ ー表 現 の既 約 性
元 ユ ー ク リ ッ ドベ ク トル 空 間IRNの
ル ベ ル ト空 間L2(IRNx)に 用 素 をxjと 用 素 の 第j成
記 す.こ
お い て 作 用 す る,j番
れ は,量
分 を 表 す.運
元 をx=(x1,…,xN)と
表 し,ヒ
目 の 座 標 変 数xjに
子 力 学 の コ ン テ ク ス トで は,量
よる か け算 作
子 的 粒 子 の位 置作
動量作用 素 は
(3.6)
に よっ て定 義 され た(Dxjは
変 数xjに
よ る一般 化 され た偏 微 分作 用素).S(IRNx)
をIRNx上 の 急 減 少 関 数 の 空 間 とす る と き
(3.7) が 自 由 度NのCCRの
自 己 共 役 表 現 で あ る こ と は す で に 前 著[14]の3章,3.3
節 で み た([14]の
例3.3
た)*8.CCRの
(p. 283)で
は,xj=QSj,pj=PSjと
こ の 表 現 を 自 由 度Nの
い う 表 記 を用 い
シ ュ レ ー デ ィ ン ガ ー 表 現 と呼 ぶ こ と も そ
こ で 言 及 し た.
定 理3.12
任 意 のN∈INに
対 し て,シ
ュ レ ー デ ィ ン ガ ー 表 現 π(N)Sは 既 約 で
あ る.
この 定 理 を証 明 す る ため に,そ れ 自体 と して 興 味 の あ る重 要 な 事 実 を補 題 と して 掲 げ て お く: 補 題3.13
T∈B(L2(IRNx)は
に 有 界 な 関 数F∈L∞(IRNx)が
各xjと
強 可 換 で あ る とす る.こ
あ っ て,T=MF(Fに
の と き,本 質 的
よ る か け 算 作 用 素)が
成 り立 つ.
証 明 例1.10で
示 し た よ う に,x:=(x1,…,xN)は
に よ っ て,Ex=E'x…(*)が と お く と,T1,
T2は
極 大 で あ る の で,定 理1.26
成 り立 つ.T1:=(T+T*)/2,T2:=(T-T*)/(2i)
有 界 な 自 己 共 役 作 用 素 で あ り,T=T1+iT2が
成 り立 つ.
し か も 仮 定 に よ り,T1xj⊂xjT1,T2xj⊂xjT2(j=1,…,N)が し た が っ て,各Tk(k=1,2)とxjは 換 で あ る.ゆ 測 度).こ
自己 共役 作 用 素 の 強可 換 性 の 意 味 で 強 可
え に,TkExj(J)=Exj(J)Tk, J∈B1(Exjはxjの
れ はTk∈E'xを
意 味 す る.こ
方,(Exj(J)ψ)(x)=xJ(xj)ψ(x), 1.26の
あ っ て,Tk=MFkと
よ っ て,Tk∈Ex.他
ψ ∈L2(IRNx)で
あ る か ら,定
理
る 本 質 的 に有 界 な 関 数Fk∈L∝(IRN)が
表 さ れ る こ と が わ か る.そ
ば,T=MF.
ス ペ ク トル
の 事 実 と(*)に
x∈IRN,
必 要 性 の 証 明 と 同 様 に し て,あ
*8 [8]の 例6
導 か れ る.
こ で,F:=F1+iF2と
すれ ■
.2(p.
186)に
お い て も ふ れ た.
定 理3.12の
証 明
B(L2(IRNx))が
を 満 た すT∈
あ っ た と し よ う.こ
が あ っ て,T=MFと
の と き,補 題3.13に
書 け る(MFはFに
こ れ は,超
し た が っ て,F(x)=c(cは
よ っ て,あ るF∈L∞(IRNx)
よ る か け 算 作 用 素).し
た が っ て,
関 数 の 意 味 でDjF=0(j=1,…,N)を 定 数)と
な る.ゆ
え に,T=cIで
導 く. あ る か ら,題
が 成 立 す る.
定 理3.12と
系3.14
意 ■
命 題3.11に
よ っ て,次
の 事 実 が 見 い だ さ れ る.
ユ ニ タ リ作 用 素 の 集 合
は既 約 で
あ る.
3.2.4
表 現 の 同 値 性
二 つ のCCRの 表 現 る と は,ユ ニ タ リ変 換U:H→H'が (j=1,…,N)が
が 同値 で あ 存 在 して,
成 り立 つ 場 合 を い う.互 い に 同 値 で な い 表 現 ど う し は非 同
値 で あ る とい う. CCRの もCCRの
表 現
が 直 和 表 現 で あ り,π の どの成 分 πm
表 現 π'に 同 値 で あ る と き,π
3.3
は π'の 直 和 に 同 値 で あ る と い う.
ヴ ァ イル 型表 現
3.1節 の終 わ りで 予 告 した よ うに,CCRの
表 現 を有 界 作 用 素 の代 数 の表 現 と
して 書 き換 え る こ と を考 え る.
を 自 由度NのCCRの
自
己 共役 表現 と し よ う.求 め る関係 式 を見 い だ す た め に,発 見 法 的 議論 を行 う.交 換 関 係(3.1)を
繰 り返 し使 う と
が 得 ら れ る.そ
こ で,両
い て 和 を と る.こ
辺 をn!で
割 り,(it)n(t∈IRは
任 意)を
か け て,nに
つ
の と き,無 限 和 の 収 束 を 仮 定 す る な ら ば,
が 得 ら れ る.こ
れ は 発 見 法 的 に
を意 味
す る.も
し,こ
れ が 作 用 素 の 等 式 と して 成 立 す る な ら ば,作
任 意 の 実 数s∈IRに が 得 ら れ る.す
用 素 解 析 に よ り*9,
対 し て,
な わ ち,
(3.8) 同様 に して
(3.9) い ま行 っ た発 見 法 的議 論 は,Dに とは 可 能 で あ る.だ が,紙 も と も とのCCRの
適 当 な条 件 を課 す こ とに よ り,厳 密 化 す る こ
数 の 都 合 上,こ
こで は 省 略 す る.
自 己 共 役 表 現 の こ と は忘 れ て,関 係 式(3.8)と(3.9)そ
の もの を一 つ の 代 数 関係 式 と して捉 え 直 し,そ こか ら出発 す る. 定 義 3.15 (3.9)を
ヒ ル ベ ル ト空 間H上
の 自 己 共 役 作 用 素 の 組
満 た す と き,
を 自 由 度NのCCRの
型 表 現 と い う.(3.8),(3.9)を
が(3.8)と ヴ ァ イ ル(Weyl)
ヴ ァ イ ル 関 係 式 と い う.
が 既 約 で あ る と き,ヴ
ァイル型表現 は既
約 で あ る とい う.
注 意 3.5 (3.8)でj=kと
すれ ば
(3.10) し た が っ て,
な ら ばeisQjとeitPjは
注 意 3.6 (3.8)は,j≠kな
ら ば,QjとPkは
強 可 換 で あ る こ と を 意 味 す る.
ま た,(3.9)は,
が 強 可 換 で あ る こ と,お
る こ と を 意 味 す る([14]の
定 理3.13(p.269)の
*9 AをH上 る.こ
可 換 で は な い.
よ び{Pj}Nj=1が
強可換であ
応 用 に よ る).
の 自己 共 役 作 用 素 と し の と き,任
,UをHか ら ヒ ル ベ ル ト空間Kへ の ユ ニ タ リ 作 用 素 とす 意 の ボ レ ル 可 測 関 数IR→Cに 対 して,作 用 素 の 等 式Uf(A)U-1=
f(UAU-1)が 成 り立 つ([14]の 補 題3.27-(ⅱ)ま た は[8]のp.126,式(3.33)).以 こ の 性 質 を 作 用 素 解 析 の ユ ニ タ リ共 変 性 と し て 言 及 す る.
下,
命 題3.11の
十 分 性 の 証 明 に よ っ て,次
命 題3.16
の 事 実 が 得 ら れ る.
ヴ ァ イ ル型 表 現
が 既 約 な らば,
は
既 約 で あ る.
こ の 節 を終 え る にあ た っ て,ヴ
ァ イ ル型 表 現 はCCRの
表 現 で あ る こ と を示
そ う.そ の た め に,あ る一 般 的 な 事 実 を補 題 と して述 べ る. 補 題3.17
Hを
ヒ ル ベ ル ト空 間,S,
TをH上
IR→B(H);t〓F(t)∈B(H)をB(H)-値 ル Ψ ∈D(T)と
Φ ∈Hが
の 自 己 共 役 作 用 素 と す る.F:
の 強 微 分 可 能 な 関 数 と す る.ベ
ク ト
あ って
(3.11) が 成 り立 っ て い る と し よ う.こ
の と き,Φ
∈D(S)で
あ り,eitSΦ
はtに
ついて
強微 分 可 能 で あ り
(3.12) 特 に
(3.13) 証 明 [14]の 補 題3.51の eitSΦ はtに
証 明 と 同 様 に して(A(t)=F(t),B(t)=eitTと
す る),
つ い て 強 微 分 可 能 で あ り,
が 成 り立 つ(Ψ
∈D(T)が
き く).eitSΦ
お よ び(eitSΦ)'=iSeitSΦ=ieitSSΦ し た が っ て,第
のtに
関 す る 強 微 分 可 能 性 は Φ ∈D(S)
を 意 味 す る([14]の
一 の 主 張 が 出 る.(3.13)は(3.12)でt=0と
定 理3.37-(ⅱ),
(ⅲ)).
し た も の で あ る.
■ 命 題3.18 に 固 定 す る.こ
を ヴ ァ イ ル 型 表 現 と し,j,k=1,…,Nを
任意
の と き:
(ⅰ) 任 意 の Ψ ∈D(PkQj)∩D(Pk)に
対 し て,Ψ
∈D(QjPk)で
あ り
(3.14)
が 成 り立 つ. (ⅱ) 任 意 の Ψ ∈D(QkQj)∩D(Qk)に
対 し て,Ψ
∈D(QjQk)で
あ り
(3.15) が 成 り立 つ. (ⅲ) 任 意 の Ψ ∈D(PkPj)∩D(Pk)に
対 し て,Ψ
∈D(PjPk)で
あ り
(3.16) が 成 り立 つ. 証 明 (ⅰ)(3.8)よ か ら,補
り,
題3.17を ∈D(Qj)で
∈D(Pk),Ψ
∈D(Pk)で
し た が っ て,左 Qjの
辺 もtに
あ り, あ る か ら,右
命 題3.18は
つ い て 強 微 分 可 能 で あ る. と
であ り
す れ ば,(3.14)が
(ⅱ),(ⅲ):(ⅰ)の
辺 はtに
つ い て 強 微 分 可 能 で あ る.
閉 性 に よ り,
そ こ で,t=0と
あ る
と して 応 用 す る
こ と に よ りeitPkΨ QjΨ
Ψ ∈D(Qj)で
得 ら れ る.
証 明 と ま っ た く 同 様(も
次 の こ とを語 る:CCRの
■
っ と 簡 単).
ヴ ァ イ ル 型 表 現
に
お い て,
がHで
密 な ら ば,
はCCRの
ヴ ァ イ ル 型 表 現 は 確 か にCCRの
表 現 を 与 え る こ と が わ か る*10.
3.4
自 己 共 役 表 現 で あ る.こ
稠
の 意 味 で,
シ ュ レ ー デ ィ ン ガー 表 現 の ヴ ァ イ ル 型 性
シ ュ レ ー デ ィ ン ガ ー 表 現 π(N)S(式(3.7))が
ヴ ァイ ル 型 で あ る こ と を証 明 し
よ う. *10 実 は 照).
,Hが可
分 な ら ば,Dが
実 際 に稠 密 で あ る こ と が 証 明 さ れ る(後
の 定 理3.30を
参
補 題3.19
任 意 のt∈IRとj=1,…,Nに
対 して
(3.17) た だ し,
は 数 ベ ク トル 空 間IRNの
標 準 基 底 で あ る*11.
証 明 フ ー リエ 変 換
のユ ニ タ リ性 と作 用素 解 析 のユ
ニ タ リ 共 変 性 に よ り, し の ψ ∈L2(IRN)に
た が っ て ,任 意
対 して, で あ り,右
補 題3.19は
次 の こ と を 語 る:ユ
標 軸 方 向 へ,-tだ
定 理3.20
辺 は ψ(・+tej)に
け 平 行 移 動(並
等 し い. ■
ニ タ リ作 用 素eitpjは,関 進)さ
数 ψ をj番
目 の座
せ る 働 き を も つ.
任 意 のs, t∈IRとj,k=1,…Nに
対 して
(3.18) (3.19) 証 明 (3.18)は
補 題3.19を
使 え ば 簡 単 に わ か る.(3.19)の ([14]の 補 題3 .26)を
の 第 二 式 は,(3.19)の
第 一 式 は,
使 え ば 容 易 に 示 さ れ る.(3.19)
第 一 式 の フ ー リ エ 変 換 か ら 得 ら れ る(ま
た は 補 題3.19を
用 い る 直 接 計 算).
■
後 の 論 述 へ の 準 備 も兼 ね て,こ
こ で,シ
ュ レー デ ィ ンガ ー 表 現 の基 本 的構 造
の 一 つ を 証 明 し て お こ う.
定 義3.21
ヒ ル ベ ル ト空 間H上
の 線 形 作 用 素 の 族A={Aα}α(α
字 集 合 を 動 く)が 与 え ら れ た と き,Hの あ る と は,K⊂ な わ ち,Ψ
∈Kな
こ の 場 合,KをAの
∩αD(Aα)で ら ば,す
あ り,任
部 分 空 間KがAの 意 のAα
∈AがKを
べ て の α に 対 し てAα Ψ ∈Kが
は 適 当 な添
作 用 の も とで不 変 で 不 変 に す る と き,す 成 り立 つ と き を い う.
不 変 部 分 空 間 と い う. j番 目
*11 ej:
=(0,…,0
,1,0,…0)∈IRN(j成
分 が1で
他 の 成 分 は0の
ベ ク トル).
定 理 3.22 る.こ
Ω(x)>0(a.e.x)と
の と き,L2(IRN)の
な る 関 数 Ω ∈L2(IRN)を
任 意 に一 つ 固 定 す
部分空 間
(3.20) は,L2(IRN)上
の有 界作 用 素 の 部 分 集 合
(3.21) の 不 変 部 分 空 間 で あ り,L2(IRN)で
証 明 DS(Ω)がWSの (3.19)に
稠 密 で あ る.
不 変 部 分 空 間 で あ る こ と は,ヴ
よ り容 易 に わ か る.DS(Ω)の
IR,j,k=1,…,N,に
稠 密 性 を い う に は,す
限 る こ と を 示 せ ば よ い.(*)でtk=0,k=
場 合 を 考 え る と,
s=(s1,…,sN).s∈IRNは て,f*Ω=0で
を 得 る.た 任 意 で あ る か ら,フ
だ し,
ー リエ 変 換 の単 射 性 に よ っ
な け れ ば な ら な い.Ω(x)>0(a.e.x)で
元 と し てf=0と
べ て のsj,tk∈
対 して,
を 満 た すf∈L2(IRN)はf=0に 1,…,Nの
ァ イ ル の 関 係 式(3.18),
あ る か ら,L2(IRN)の
な る.
■
注 意 3.7 上 の 証 明 は,稠 密 性 に 関 して い え ば,実 は,
が 稠 密 で あ る こ とを 示 した こ とに な る.定 理3.22は,Ω WSに
よ って 生 成 され る代 数 の巡 回ベ ク トル(第1章
3.5
が
を参 照)で あ る こ と を示 す.
ヴ ァ イ ル 型 表 現 の 構 造― フ ォ ン ・ノ イ マ ンの一 意 性 定 理
こ の節 で は,可 分 な ヒル ベ ル ト空 間 にお け る,有 限 自 由度 のCCRの
ヴァイ
ル型 表 現 の 構 造 を明 らか に し,同 一 の 自由 度 の 既 約 な ヴ ァ イル 型 表 現 ど う しは す べ てユ ニ タ リ 同値 で あ る こ と,し た が って,本
質 的 に 一つ しか な い こ と を証
明 す る.目 標 とす る定 理 は次 で あ る: 定 理 3.23 (フ ォ ン ・ノ イ マ ンの一 意性 定 理)Hを H上 の 自己 共 役 作 用 素 の 組{Qj,Pj}Nj=1をCCRの
可 分 な ヒルベ ル ト空 間 と し, ヴ ァ イ ル型 表 現 とす る.す
な わ ち,eitQj, eitPj(t∈IR,j=1,…,N)は し た が う と す る.こ
の と き,次
ヴ ァ イ ル 関 係 式(3.8),
の(ⅰ)∼(ⅲ)を
間Hm⊂H(m=1,…,M)(Mは
満 た す,互
(3.9)に
い に 直 交 す る閉 部 分 空
有 限 ま た は 可 算 無 限)が
存 在 す る:
(ⅰ) (ⅱ) (Qj, Pj(j=1,…,N)は (ⅲ) Qj, PjのHmに mに
対 し て,ユ
各Hmに
よ っ て 簡 約 さ れ る.
お け る簡約 部 分 をQ(m)j, P(m)jと
ニ タ リ 作 用 素Um:Hm→L2(IRN)が
し よ う.こ
の と き,各
存 在 し,各j=1,…,N
に 対 して
(3.22) が 成 り立 つ. この 定 理 は,可 分 な ヒ ルベ ル ト空 間 に お け る,CCRの
ヴ ァイ ル 型 表 現 は 同 じ
自由 度 の シュ レー デ ィ ン ガー の 直 和 表 現 に同 値 で あ る こ と を語 る.こ の意 味 で, 可 分 な ヒル ベ ル ト空 間 にお け る,CCRの 定 理3.23を 系3.24
ヴ ァ イル 型 表 現 は一 意 的 で あ る.
認 め れ ば,次 の 事 実 は容 易 に導 か れ る.
前 定 理 に お い て,{Qj,Pj}Nj=1が
既 約 な ら ば,{Qj,Pj}Nj=1は
シ ュ レー
ディ ン ガー 表 現 に 同値 で あ る. 証 明 命 題3.5を
応 用 す れ ば,定
理3.23に
お け るMは1で
な け れ ば な ら な い. ■
こ う し て,同
じ 自 由 度 の 既 約 な ヴ ァ イ ル 型 表 現 は す べ て,シ
表 現 に ユ ニ タ リ 同 値 で あ る こ と,し
た が っ て,そ
ュ レー デ ィ ンガ ー
れ らは 互 い にユ ニ タ リ 同値 で
あ る こ と が わ か る.
注 意3.8
ヴ ァ イ ル 型 で な いCCRの
マ ン の 一 意 性 定 理 と系3.24は た い.物
理 の 文 献 の 中 に は,有
自 己 共 役 表 現 に つ い て は,フ
一 般 に は 成 立 し な い.こ 限 自 由 度 のCCRの
の 点 は特 に強 調 して お き
表現 はすべ てシュ レーデ ィ
ン ガ ー 表 現 に ユ ニ タ リ 同 値 で あ る と 書 い て あ る も の が み ら れ る が,こ で あ る.実
際,シ
ォ ン ・ノ イ
ュ レ ー デ ィ ン ガ ー 表 現 に 非 同 値 で,物
れ は誤 り
理 的 に も重 要 な例 が存
在 す る こ と を次 の節 で示 す(簡 単 な例 は,す で に,[14]の3章
演 習 問題19に
あ
げ て お い た). 定 理3.23の
証 明 は 簡単 で は な い.ま ず,自 由 度1の
ヴ ァ イル型 表 現 の場 合 を
証 明 す る.
3.5.1
自由 度1の
{Q,P}を
ヴ ァ イル 型 表 現 の 基 本 的性 質
可 分 な ヒ ルベ ル ト空 間H上
の 自己 共 役 作 用 素 の 組 と し,CCRの
ヴ ァ イル 型 表 現 で あ る とす る.し たが っ て
(3.23) とお け ば,こ
れ らは ヴ ァ イ ル の 関係 式
(3.24) を満 た す.こ
の表 現 の 構造 を調 べ る手 が か りの 一 つ はユ ニ タ リ作 用 素 の族
の 作 用 の も とで不 変 な部 分 空 間 の構 造 を調 べ る こ とで あ る.そ の た め には
(3.25) と い う作 用 素 を導 入 す る の が 自然 で あ る(係 数eist/2は 後 の 議 論 をみ こ して 選 ん で あ る).こ の と き,あ る部 分 空 間 がWの
作 用 の も とで 不 変 で あ る こ と とそ
れが作 用素の族
の 作 用 の も とで 不 変 で あ る こ と とは 同 値 で あ る.そ こ で,Wの
作 用 の も とで 不
変 な部 分 空 間 の構 造 を調 べ よ う. こ の た め に,ま ずW(s,t)の 用 素U(s),
基 本 的性 質 を明 らか に して お く必 要 が あ る.作
V(t)の ユ ニ タ リ性 は
(3.26)
を 導 く.す
な わ ち,W(s,t)も
ユ ニ タ リ で あ る.W(s,t)が(s,t)に
続 で あ る こ と も 容 易 に わ か る.さ
関 して 強 連
ら に,U(s)*=U(-s),V(t)*=V(-t)で
る こ と お よ び ヴ ァ イ ル の 関 係 式(3.24)を
あ
使 えば
(3.27) が得 られ る.同 様 に して
(3.28) が 成 立 す る こ とが わ か る. 閉部 分 空 間MがWの に対 して,Wの
作 用 の も とで不 変 で あ れ ば,IR2上
の 任 意 の 関数k(s,t)
元 の 有 限 一 次 結 合
不 変 にす る.Mは
もMを
閉 で あ る か ら,そ の 強 収 束 の 意 味 で の 極 限 も(存 在 す れ ば)M
を不 変 に す る.そ の 種 の 極 限 の 一 つ の 形 と して
とい う
作 用 素 が 考 え られ る(積 分 は 強 収 束 の 意 味 で 存 在 す る とす る).そ あ る ク ラ ス の 関 数k(s,t)に
こで,次
に,
対 して は,実 際,そ の よ うな作 用 素 が 定義 され る こ
と を示 し,そ の 性 質 を調 べ る. IR2上
の 連 続 関 数kでk∈L1(IR2)と
意 の Ψ ∈Hに
対 し て,k(s,t)W(s,t)Ψ
な る も の を 任 意 に 選 ぶ.こ は(s,t)に
の と き,任
関 して強 連 続 で あ り
で あ るか ら,強 収 束 の 意 味 で,有 界作 用 素Kが
に よ って 定 義 され
が 成 り立 つ.作
用 素Kを
積 分 核k(s,t)に
同 伴 す る 作 用 素 と呼 ぼ う.こ の 種 の
作 用 素 に 関 す る基 本 的事 実 は次 の 補 題 に ま とめ られ る. 補 題 3.25 関数kを
上 述 の もの とす る.
(ⅰ) 積 分 核k(-s,-t)*に
特 に,任
意 のs,t∈IRに
同 伴 す る 作 用 素 はK*で
あ る:
対 し て,k(s,t)=k(-s,-t)*な
ら ば,Kは
自己 共 役
で あ る. (ⅱ) k(s,t)〓0な
ら ば,K≠0.
証 明 (ⅰ) こ れ は 次 の 計 算 に よ る:任
(ⅱ) 対 偶 を証 明 す る.そ
意 の Ψ, Φ ∈Hに
こ で.K=0と
し よ う.こ
して,
対 し て,
の と き,任 意 の Ψ ∈Hに
し た が っ て,任 意 のu, υ ∈IRと
対 し て,
(3.28)を
に よ り,任 意 の Φ, Ψ ∈Hに が 導 か れ る.u, υ
∈IRは
の フ ー リエ 変 換 が0で
対
Φ ∈Hに 使 うこ と
対 して, 任 意 で あ っ た か ら,こ れ は,関
あ る こ と を 意 味 す る.し
0,
s,t∈IR.こ
れ は 任 意 の Ψ, Φ ∈Hに
0で
な け れ ば な ら な い.W(s,t)は
数k(s,t)〈
Ψ,W(s,t)Φ〉
た が っ て,k(s,t)〈 Ψ,W(s,t)Φ〉=
対 し て 成 立 す る か ら,k(s,t)W(s,t)=
ユ ニ タ リ で あ る か ら,k(s,t)=0,
∀(s,t)∈
IR2.
■
3.5.2
シ ュ レー デ ィ ン ガ ー表 現 の 場 合
定 理3.22に
お い て,シ
ュ レ ー デ ィ ン ガ ー 表 現 の 構 造 の 一 つ を 明 ら か に し た.
こ の 定 理 に お け る 関 数 Ω は 正 のL2関 て,調
数 な ら何 で も よ い か ら,簡
単 な もの と し
和振 動 子 の基 底 状 態
(3.29) を選 ん で み よ う(い
ま,N=1の
場 合 を 考 え る).定
理3.22(N=1の
場 合)に
よ って
(3.30) は そ こ で,ベ
の 不 変 部 分 空 間 で あ り,L2(IR)で ク ト ル Ω0を,シ
稠 密 で あ る.
ュ レ ー デ ィ ン ガ ー 表 現 か ら 定 義 さ れ る 作 用 素Kを
用 い て 特 徴 づ け る こ と を 考 え て み る.具 よ り,Ω0を
固 有 ベ ク トル と す るKを
自 由 度1の
体 的 に は,k(s,t)を
う ま く選 ぶ こ と に
見 い だ す こ と で あ る.
シ ュ レ ー デ ィ ン ガ ー 表 現{L2(IR),S(IR),{x,p}}に
お け るW(s,t)
は
(3.31) で 与 え ら れ る.IR2上
の ガ ウス 型 関 数
(3.32) を積分核 とす る作 用素
(3.33) に つ い て 次 の 事 実 が 見 い だ さ れ る: 補 題3.26
σp(AS)\{0}={2π}か
証 明 補 題3.19に
つker(AS-2π)={cΩ0│c∈C}.
よっ て
(3.34) した が っ て, 任 意 のf∈L2(IR)に
対 して
で あ る か ら,
フ ビ ニ の 定 理 に よ っ て,上 式 の 右 辺 に お け る積 分 順 序 は任 意 で よ い .そ こでs に関 す る積 分 を最 初 に行 い,次
を 得 る.し
た が っ て,ASf=λf(λ
わ か る.こ
こ で,c≠0は
にtに 関 す る積 分 をす れ ば
≠0, f≠0)な
複 素 定 数 で あ る.一
満 た す こ と は 直 接 計 算 に よ り容 易 に わ か る.し ら ず,こ
れ を 固 有 値 とす る,ASの
ら ばf=cΩ0と
方,関
な る こ とが
数 Ω0がASΩ0=2π
た が っ て,λ=2π
Ω0を
で な けれ ば な
固 有 ベ ク トル は Ω0の 定 数 倍 に 限 ら れ る. ■
3.5.3
一 般 の ヴ ァ イル 型 表 現 の 場 合
CCRの
ヴ ァ イ ル 型 表 現U(s),V(t)の
て,こ
場 合 に 戻 ろ う.補
題3.26の
類推 によっ
の場 合 に は 自 己 共役 作 用 素
(3.35) の 固 有 値2π に属 す る 固有 ベ ク トル が(存 在 す る とす れ ば)Ω0の 役 割 を演 じる こ とが 期 待 され る.そ こで,ま ず,2π がAの
固 有値 とな って い る こ とを示 そ う.
補 題 3.27
(3.36) と し よ う.こ
の と き:
(ⅰ)
(3.37) (ⅱ) Ψ ∈Mと とW(u,υ)Φ
Φ ∈Mが
直 交 す れ ば,任 意 のs,t,u,υ
∈IRに
対 して,W(s,t)Ψ
も 直 交 す る.
証 明 (ⅰ)補 題3.25に
よ り,A≠0.関
係 式(3.28)を
用 い て,初
等 的 だが 少 し
長 い計 算 を実 行 す れ ば
(3.38) が 成 り 立 つ こ とが わ か る*12.そ
こ で,特
い る とA2=2πAを
得 る.こ
を 意 味 す る.し
た が っ て,R(A)⊂M.他
*12 任 意 の Ψ ,Φ
形 で き る.そ dt,dsに
∈Hに
こ で,積
方,M⊂R(A)は
分 の 変 数 変 換:s'→
α=s+u+s',t'→
用
明 ら か.し
たが っ
β=t+υ+t'を
と変 行 い,
分 の順 序 交 換 が で き る こ と に つ い て は,フ
で き る こ と を 確 認 せ よ).そ
と い う 形 の 積 分 に 帰 着 さ せ,公式 う.
し,W(0,0)=1を 対 し て,A(AΨ)=2π(AΨ)
対 し て,
関 す る 積 分 を 実 行 す れ ば よ い(積
ニ の 定 理 が適用
にu=υ=0と
れ は 任 意 の Ψ ∈Hに
の 際,指
ビ
数 関 数 の積 分 を を使
て,(3.37)の
第 一 の 等 号 が 成 り立 つ.ま
た,A≠0で
あ っ た か ら,R(A)≠{0}
で あ る. (ⅱ) Ψ, Φ ∈Mと
し よ う.(3.28),
Ψ=AΨ/(2π),
Φ=AΦ/(2π)お
よ びAが
自己 共 役 で あ る こ と を使 う と
そ こ で(3.38)を
用 い る と,す
べ て のs,
t, u, υ ∈IR,に
対 して
(3.39) が 得 ら れ る.こ
れ は,Ψ,
Φ ∈Mが
直 交 す れ ば,W(s,t)Ψ,
W(u,υ)Φ
も直 交 す
る こ と を 意 味 す る.
3.5.4 Hは も つ.そ
■
フ ォ ン ・ノ イ マ ン 定 理 の一 意 性 定 理 の 証 明―1自
可 分 で あ る か ら,Mも
可 分 で あ る.し
の 一 つ を{Ψm}Mm=1(Mは
由度の場合
た が っ て,Mは
完全正規直交系 を
有 限 ま た は 可 算 無 限)と
し
(3.40) と お く.こ
の と き,補
題3.27に
よ っ て,m≠nな
ら ばHmとHnは
直 交 す る.
さ ら に 次 の 事 実 が 成 り立 つ.
定 理3.28 U(t),
V(t)は(3.23)で
(ⅰ) す べ て のt∈IRに
(ⅱ) 各mに
対 し て,ユ
与 え ら れ る も の と す る.こ
対 し て,U(t), V(t)は
各Hmを
ニ タ リ 変 換Um:Hm→L2(IR)が
の と き:
不 変 に す る. 存 在 して
(3.41) が 成 り 立 つ.た 表 現 で あ る.
だ し,x, pはL2(IRx)に
お け る 自 由 度1の
シ ュ レー デ ィ ンガ ー
(ⅲ) HはHmの
直 和 に分 解 され る:
(3.42) 証 明 (ⅰ) は ヴ ァ イ ル の 関 係 式 か ら わ か る. (ⅱ) 各mに
対 し て,Dm:=L({W(s,t)Ψm│s,t∈IR})と
で 稠 密 で あ る.Dmの
す れ ば,こ
れ はHm
任意 の元 Ψ は
(3.43) と い う 形 に 表 さ れ る(αjk∈C, sj,tk∈IR, J,K∈IN).こ ベ ク トル WS(s,t)に
を 考 え る.(3.39)はW(s,t)を 置 き換 え て も 成 立 す る か ら(た だ し,MはA=ASの
‖ Ψ‖=‖ Ψ‖ …(*)が
成 り立 つ.そ
を用 い て,Ψ=Φ=Φ'と2通
え に,写
に よ っ て 定 義 で き る.(*)に で あ る.し
た が っ て,拡
こ で,Ψ が(3.43)の
よ っ て,UmはDmか
らDS(Ω0)上
大 定 理 に よ り,Umは,Hmか の 拡 大 もUmと
と ヴ ァ イ ル の 関 係 式 を 使 え ば,(3.41)が
と す る と き,K⊥={0}を
IRに
各Hmを
⊂ker
不 変 に す る.こ
も 不 変 に す る こ と が わ か る.一 A…(*).い
た こ と に よ り,任
意 のu,υ
Φ-Φ'‖.
へ の等長作用素
らL2(IR)へ 書 こ う.こ
のユニ タリ
の とき
成 り立 つ こ と が わ か る.
(ⅲ)
W(u,υ)はK⊥
Φ-Φ'‖=‖
像Um:Dm→L2(IR)を
作 用 素 に 一 意 的 に 拡 大 さ れ る.こ
対 し てW(u,υ)は
場 合 のM),
右 辺 の 型 の ベ ク トル Φ, Φ'
り に 表 さ れ た とす る と,0=‖
し た が っ て,Φ=Φ'.ゆ
ら,K⊥
れ に 対 応 さ せ て,
示 せ ば よ い.任
意 のu,υ
の 事 実 と(3.27)を 方,R(A)=M⊂Kで
ま,Ψ
∈K⊥
と し よ う.こ
∈IRに
対 し て,W(u,-υ)Ψ
あ るか
の と き,す ∈K⊥
∈
用 い る と,
で に注 意 し
で あ る.し
た
が っ て,(*)に
よ っ て,AW(u,-υ)Ψ=0.ゆ
え に,任
意 の Φ ∈Hに
対 し て,
これ は
を 意 味 す る.(3.28)に u,υ ∈IRは
よっ て,
任 意 で あ る か ら,フ ー リ エ 変 換 の 単 射 性 に よ り,
Φ ∈Hは
を 導 く.し
任 意 で あ っ た か ら ,W(s,t)Ψ=0.こ
れ は Ψ=0
た が っ てK⊥={0}.
定 理3.28か
■
ら 定 理3.23(N=1の
場 合)を
導 く に は,次
の 一 般 的 事 実 を利 用
す れ ば よ い. 補 題3.29
Xを
ヒ ル ベ ル ト空 間 と し,NをXの
の 自 己 共 役 作 用 素 と し,す と す る.こ
べ て のt∈IRに
対 し て,eitSはNを
不 変 に して い る
の と き:
(ⅰ) SはNに
(ⅱ) Kを
よ っ て 簡 約 さ れ る.
ヒ ル ベ ル ト空 間 と し,ユ
作 用 素Tが
ニ タ リ 変 換U:N→KとK上
の 自己 共 役
存 在 して
が 成 り立っ て い る と す る.た の と き,作
閉 部 分 空 間 と す る.SをX上
だ し,SNはSのNに
お け る 簡 約 部 分 で あ る.こ
用 素 の等 式
(3.44) が 成 り立 つ. 証 明 (ⅰ) こ れ は 補 題1.14に
よ る.
(ⅱ) 作 用 素 解 析 の ユ ニ タ リ共 変 性 を応 用 す れ ば よい.
■
3.5.5 一 般 の 自由 度 の 場 合 自 由 度Nの をCCRの
場 合 の 定 理3.23の
証 明 につ い て は概 略 だ け を述 べ る.
ヴ ァ イ ル 型 表 現 と す る.任
意 のt=(t1,…,tN)∈IRNに
対 して,
U(t),
V(t)を
(3.45) に よ っ て 定 義 す る.こ
の と き,ヴ
ァイ ル 関係 式 を用 い る こ と に よ り
(3.46) が 導 か れ る.次 にユ ニ タ リ作 用 素
(3.47) を導 入 す る.あ なお,シ
とは 自由 度1の
場 合 と ま っ た く並 行 的 に 考 察 を進 め れ ば よ い.
ュ レー デ ィ ンガ ー 表 現 に関 して は,次 の 置 き換 えが 必 要 で あ る:
詳 細 を埋 め る こ とは読 者 の演 習 とす る(演 習 問題3).
3.5.6
フ ォ ン ・ノ イマ ンの 一 意 性 定 理 か らの 一 つ の帰 結
次 の定 理 は,可 分 な ヒル ベ ル ト空 間 にお け る,有 限 自由 度 のCCRの ル 型 表 現 は 同 じ自 由度 のCCRの 定 理3.30 はCCRの
ヴァイ
表 現 で あ る こ と を示 す.
Hを 可 分 な ヒルベ ル ト空 間,H上
の 自己共 役作 用 素 の組
ヴ ァイ ル型 表 現 で あ る とす る.こ の と き,次 の(ⅰ)∼(ⅲ)が 成 り立 つ
よ う な稠 密 な 部 分 空 間D⊂Hが (ⅰ) 各Qj, PjはDを (ⅱ) (ⅲ) 各Qj, PjはD上
存 在 す る:
不 変 にす る:
はD上
でCCRを
かつ
満 た す.
で 本 質 的 に 自 己 共 役 で あ る.
証 明 仮 定 に よ り,定 理3.23が はHmで
不 変 に し,C∞0(IRN)上
た が っ て,Q(m)j,P(m)jはDmを
不 変 に し,Dm上
と が わ か る.xj,pjはC∞0(IRN)上
P(m)jはDm上 下,二
と す れ ば,Dm
稠 密 で あ る.各xj,pjはC∞0(IRN)を
を 満 た す.し す.こ
成 り立 つ.
でCCR
でCCRを
満た
で 本 質 的 に自己 共 役 で あ る か ら,Q(m)j,
で 本 質 的 に 自 己 共 役 で あ る([8]の
補 題5.7(P.165)の
応 用).以
つ の 場 合 に 分 け る.
(1)M0と
察 下 の 系 に お け る 速 度 作 用 素 の 第j成 ず,P1,
P2が
実 際 に量 子 力 学 的物 理 量
で あ る こ とす な わ ち,そ
れ ら が 本 質 的 に 自 己 共 役 で あ る こ と を 証 明 し よ う.
補 題3.31
閉 集 合 と し,そ
FをIRdの
と す る(i. e., Fは
閉 零 集 合).こ
のd次
の と き,
元 ル ベ ー グ 測 度│F│は0で はL2(IRd)で
ある
稠 密 で あ る.
*13 p j:=-iDj(j=1,2)は2次 元 系 に お け る 自 由 な 粒 子 の 運 動 量 作 用 素.光 お よ びh=1で あ る よ う な 単 位 系 で 考 え る.
速c=1
証 明 IRd\Fは
開 集 合 で あ る か ら,
([22]の 定 理6.6の
応 用).だ
は
が,│F│=0で
で稠密で ある
あ る か ら,
と 自然 な 仕 方 で 同 一 視 で き る.
系3.32
(ⅰ) L∈INを
■
任 意 の 自 然 数 と し,c1,…,cL∈IRを
の と き,
はL2(IR)で
(ⅱ) C∞0(M)はL2(IR2)で
稠 密 で あ る.
定 点 と す る.こ
稠 密 で あ る.
証 明 (ⅰ) 前 補 題 をd=1,
と し て 応 用 す れ ば よ い.
(ⅱ) 前 補 題 をd=2,
と し て 応 用 す れ ば よ い.
X,Yを
g:Y→Cに
集 合 とす る と き,f:X→C,
■
対 してf×g:X×Y→C
を
に よっ て 定 義 す る.FをX上 す る と き,X×Y上
の 関 数 の 部 分 集 合,GをY上
の 関 数 の 部 分 集 合
の 関 数 の 部分 集 合 と
を
(3.51) に よっ て 定 義 す る.次
補 題3.33
の 一 般 的 事 実 が あ る.
(X,μ), (Y,ν)を 二 つ の 測 度 空 間 と し,
次 元 で 可 分 で あ る とす る.FをL2(X,dμ)で 稠 密 な 部 分 空 間 と す る.こ
証 明 FのL2(X,dμ)に (CONS)
は無 限
稠 密 な 部 分 空 間,GをL2(Y,dν)で
の と き,
は
で 稠 密 で あ る.
お け る 稠 密 性 に よ り,L2(X,dμ)の で ψn∈F(n∈IN)と
な る も の が と れ る.同
元 φnか
ら な る,L2(Y,dν)のCONS{φn}∞n=1が
理4.2に
よ っ て, で あ る か ら,こ
あ る こ と を 意 味 す る.
完全 正規 直 交系
存 在 す る.す
は れ は
のCONSで が
様 にGの
る と,[14]の
定
あ る. で稠密 で ■
便 宜 上,IRの
部分集合
(3.52) を 導 入 す る.補
題3.32と
補 題3.33に
よ っ て,L2(IR2)の
部分空間
(3.53) はL2(IR2)で
稠 密 で あ る.IR2の
部 分 集 合.M1,
M2を
次 の よ う に 定 義 す る.
(3.54) 容 易 に わ か る よ う に, C∞0(Mj)はL2(IR2)で
補 題3.34
し た が っ て,各
稠 密 で あ る.
各j=1,2に
対 して,Djはpjの
証 明 任 意 の
芯 で あ る.
に 対 し て,
を 満 た す φ ∈L2(IR2)が
あ っ た と し よ う*14.
と
フ ビ ニ の 定 理 に よ り,
した が っ て,積
分 に
関 す る シ ュ ヴ ァ ル ツ の 不 等 式 を使 え ば, が わ か る の で, 定 義 さ れ,u∈L2(IR)で はL2(IR)で
が
あ る.(*)と
フ ビニ の 定 理 に よ り,〈u,g〉=0.
稠 密 で あ る か ら(系3.32),u=0.し C∞0(IR)はp1の
が 結 論 さ れ る.こ
れ はL2(IR2)の
はL2(IR2)で 稠 密 で あ る こ とが わ か る.よ
っ て,本
よ り(補 題2.8-(ⅱ)),p1はD1上 p1の
芯 で あ る.p2に
注 意3.9
L2(IR)上
は な い.実
際,
*14 〈・ ,・ 〉はL2(IR2)の
た が っ て, 芯 で あ る か ら,
元 と し て φ=0を
稠 密 で あ る.同
C∞0(Ya)
意 味 す る.し
た が っ て,
様 に,もL2(IR2)で
質 的 自 己共 役 性 に 関 す る一 般 的判 定 法 に
で 本 質 的 に 自 己 共 役 で あ る.す
つ い て も 同 様. の 作 用 素 と して のp1はC∞0(Xa)上
な わ ち,D1は ■
で は 本 質 的 に 自己 共 役 で に よ って定 義 され る 関数
内 積 を 表 す.
υ ≠0はL2(IRk)の
元 で あ り,そ の 逆 フ ー リエ 変 換υ は
に 入 る こ と が わ か る(フ
ー リエ 変 換 を 用 い て,
を 示 せ).
x0∈Xa,y0∈Yaを
任 意 に固 定 し
(3.55) (3.56) を定 義 す る.こ の と き,φ1はM1に
お い て連 続 か つx1に
つ い て 偏微 分 可 能 で
あり
(3.57) 同様 に φ2はM2に
お い て 連 続 か つx2に
つ い て偏 微 分 可 能 で あ り
(3.58) IR2\Mjの2次
元 ル ベ ー グ 測 度 は0で
と ん ど い た る と こ ろ(a.e.)有 る(た
数eiqφjに
ル ベ ー グ 測 度 に 関 して ほ
限 に定 義 され た実 数 値 可 測 関 数 とみ る こ とが で き
と え ば,
が っ て,関
あ る か ら,φjは
上 で は φj(x1,x2)=0と よ る か け 算 作 用 素 はL2(IR2)上
こ の ユ ニ タ リ作 用 素 をUjと
す れ ば よい).し
た
の ユ ニ タ リ作 用 素 に な る.
記 す:
(3.59) 以 上 の 準 備 の も とで,こ
の項 の基 本 定 理 の ひ とつ を証 明 で きる:
定 理 3.35 各j=1,2に
対 して,PjはUjDj上
で 本 質 的 に 自己 共 役 で あ り,
作用素 の等式
(3.60) が 成 り立 つ.
証 明 D1の
元 η で η=f×gと
い う 形 の も の を 任 意 に と る.こ
x∈IR2.右
偏 微 分 可 能 で あ り,x2に あ る.こ
辺 の 関 数 はx1に
つ い て は 連 続 で あ り,そ
つい て は
の 台 は 有 界 でM1の
の こ と か ら,
内部 に
か つ が わ か る.こ
し た が っ て,U1D1⊂D(P1)で
れ はP1U1η=U1p1η
あ り任 意 の ψ ∈D1に
が 成 り立 つ こ と に な る.補 る か ら,P1はU1D1上
の と き,
題3.34に
を 意 味 す る.
対 し て,
よ っ て,p1はD1上
で 本 質 的 に 自己 共役 であ
で 本 質 的 に 自 己 共 役 で あ り作 用 素 の 等 式
が 成 り立 つ*15.こ
れ は(3.60)でj=1の
場 合 と 同 値 で あ る.同
様 に し て,P2
に 関 す る 主 張 も 証 明 さ れ る.
3.6.2
物 理 的 運 動 量 が 生 成 す る 強 連 続1パ
定 理 3.35に 続1パ
■
よ っ てPjの
自 己 共 役 性 が 確 立 さ れ た の で,そ
ラ メ ー タ ー ユ ニ タ リ群
定 理 3.36
ラ メ ー タ ー ユ ニ タ リ群
す べ て のt∈IRと
れ が 生 成 す る強 連
を 考 え る の は 自然 で あ る.
ψ ∈L2(IR2)に
対 して
(3.61) た だ し,(e1,e2)はIR2の
証 明 (3.60)と
標 準 基 底 で あ る.
作 用 素 解 析 の ユ ニ タ リ 共 変 性 に よ り,す べ て のt∈IRに し た が っ て,Ujの
L2(IR2)と
よ っ て,任
意 の ψ ∈
に 対 し て,
と な る.右
注 意 3.10
辺 の 指 数 関 数 の 部 分 を 計 算 す れ ば(3.61)が
定 理3.35と
更 な し に,IRd上
(3.61)の
定 義 と補 題3.19に
対 して,
定 理3.36は,そ
得 ら れ る.
の 証 明 か ら わ か る よ う に,本
質 的 な変
の 理 論 に 拡 張 さ れ る(d〓2).
幾 何 学 的 意 味 に つ い て 簡 単 に 触 れ て お こ う.qAj=0の で あ る.す
*15 [8]の 補 題5
■
.7の
応 用.
で に み た よ う に,eitp1,eitp2は
場 合 は, 関数 ψ ∈
L2(IR2)を
そ れ ぞ れ,x1軸
qAj≠0の
方 向,x2軸
場 合 に は,(3.61)の
方 向 に-tだ
け 平 行 移 動 す る 働 き を も つ.
右 辺 は,こ
の 平 行 移 動 が 指 数 因 子
の"歪 み"を 受 け な が ら行 わ れ る こ と を意 味 す る.す
な わ ち,
eitPjは 磁 場 が 存 在 す る 状 況 の も と に お け る,関 数 の"自 然 な"並 進 を 定 義 す る も の と解 釈 さ れ る.そ
こ で,eitPjをj方
向 へ の 磁 気 的 並 進(magnetic
translation)
と 呼 ぶ.
3.6.3
ヴ ァ イル 型 の 交 換 関係
ベ ク トル ポ テ ン シ ャ ルAの
ジ ョ ル ダ ン 閉 曲 線C⊂Mに
沿 う線 積 分
(3.62) を 閉 曲 線Cの
内 部 を 貫 く磁 束 と 呼 ぶ.
x1, x2, s, t∈IRに
対 し て,点(x1,x2)を
始 点 と し, とい うふ うに一 巡 す る矩 形 閉 曲線 を
C(x1,x2;s,t)と
記 す(図3.3).
図3.3
各s, t∈IRに
対 し て,IRの
曲 線C(x1,x2;s,t)(s,t>0の
場 合)
部 分 集 合S(s)1, S(t)2とIR2の
部 分 集 合Ms,tを
次
の よ う に定 義 す る:
Ms
,t上 の 関 数 ΦAs,tを
(3.63)
に よ っ て 定 義 す る*16.こ く磁 束 を 表 す.集
理 的 に は,閉
合IR2\Ms,tの2次
ΦAs,t(x1,x2)は,IR2上 はL2(IR2)上
れ は,物
のa.e.有
曲 線C(x1,x2;s,t)の
元 ル ベ ー グ 測 度 は0で
内 部 を貫
あ る か ら,関
限 な 実 数 値 関 数 と み な せ る.し
数
た が っ て,ΦAs,t
の 自 己 共 役 な か け 算 作 用 素 を 一 意 的 に 定 義 す る.こ
の か け算 作 用
素 も 同 一 の 記 号 で 書 く こ と に す る. 考 察 下 の 量 子 的 粒 子 の 位 置 作 用 素 を そ れ ぞ れ,x1,x2で そ れ ぞ れ,座
標 変 数x1,x2に
定 理3.37
す べ て のs,t∈IRとj,k=1,2に
表 す(i.e.,x1,x2は
よ る か け 算 作 用 素).
対 して
(3.64) (3.65) 証 明 任 意 の ψ ∈C∞0(M)に と 定 理3.35に ゆ え に,作
よ っ て,作
対 し て,eisxjPke-isxjψ=(Pk-sδjk)ψ.こ
用 素 の 等 式eisxjPke-isxj=Pk-sδjkが
用 素 解 析 の ユ ニ タ リ 共 変 性 に よ り,(3.64)が
定 理3.36に
よ っ て,任
(eitP2eisP1ψ)(x)に
れ
意 の ψ ∈L2(IR2)に
つ い て も 同 様.こ
し た が う.
得 ら れ る.
対 して
れ を 用 い る と(3.65)が
成 立 す る こ とが 示
さ れ る.
3.6.4
■
CCRの
こ の 項 で は,あ
表 現 る ク ラ ス の ベ ク トル ポ テ ン シ ャ ルAに
物 理 的 運 動 量 の 組{xj,Pj}2j=1は
定 義3.38 *16 (x
M上
1,x2)∈Ms,tな 注 意.
でB=0の
自 由 度2のCCRの
と き,Aは
平 坦(flat)で
ら ば,C(x1,x2;s,t)は,点an,n=1,…,N,を
対 して,位
置作 用 素 と
表 現 に な る こ と を 示 す.
あ る と い う.
通 ら な い こ と に
注 意3.11
Mは
単 連 結 で は ない の で,A=(A1,A2)がM上
トル ポ テ ン シ ャ ル で あ っ て も,あ る実 数 値 関 数 φ ∈C1(M)が ∂1φ,A2=∂2φ
の平坦 なベ ク あ っ て,A1=
と表 され る とは限 らな い(以 下 に出 て くる例 を参 照).こ れ は 重
要 な点 で あ る.実 際,以 下 に提 示 され る理 論 の非 自明 性 に と っ て,Mの
非単連
結 性 は本 質 的 で あ る. 容 易 にわ か る よ う に,任 意 の ψ ∈C20(M)(M上 で,そ
の台 が 有 界 でMの
の2回 連 続 微 分 可 能 な 関 数
中 に含 ま れ る もの の 全 体)に 対 し て
(3.66) (3.67) が 成 り立 つ.し
補 題3.39
た が っ て,次
{L2(IR2),C20(M),{xj,Pj}2j=1}が
た め の 必 要 十 分 条 件 はAが Aが
の 補 題 を 得 る.
自 由 度2のCCRの
表 現で ある
平 坦 で あ る こ とで あ る.
平 坦 で あ る こ とは,超 関 数 と して の磁 場Bの
して い る こ と を意 味 す る.こ の 場 合,超
台 が{a1,…,aN}に
集中
関 数 の 一 般 論 に よ れ ば,そ の よ う な磁
場Bは
と い う 形 を も つ.こ 関 数 で あ り,kは 数 で あ る*17.こ
こ で,δ(x-an)は
質 量 を もつ2次
元 の デ ル タ超
非 負 の 整 数,λ(n)αβ(α,β=0,1,…,k,n=1,…,N)は れ を 磁 場 と し て 与 え る ベ ク トル ポ テ ン シ ャ ル と し て(ゲ
換 の 任 意 性 を 除 い て)次
*17 た と え ば
点anに
,[37]の4章
の も の が あ る:
§1,例
題5を
参 照.
実定 ー ジ変
こ れ は,公
式
を用 い れ ば,容 易 に確 か め られ る.こ の 種 のベ ク トル ポ テ ンシ ャル で 最 も簡 単 な 形 の もの は 次 で 与 え られ る:A(x)=(A1(x),A2(x)),
た だ し,λn(n=1,…,N)は
任 意 の 実 数 で あ る.こ
の 場 合 の 磁 場 をBと
す
れば
で あ る. こ う し て,{a1,…,aN}に て,CCRの(非
自 明 な)表
集 中 し た,特異
な 磁 場 を も つ2次
現 が 実 現 し て い る こ と が わ か る.そ
元 量 子 系 にお い こ で 次 の 問 題 は,
こ の 表 現 が シ ュ レ ー デ ィ ン ガ ー 表 現 と 同 値 な もの で あ る か 否 か を 決 定 す る こ と で あ る. 例3.2
平 坦 な ベ ク トル ポ テ ンシ ャ ル の 一 般 的 な 例 は,次 の よ う に して,C上
数 を使 っ て 構 成 で きる.anに Mに
対 応 す るCの
対 応 す る,複 素 平 面 の 点 をanで
開 集 合 をMCで
表 す.fをa1,…,aNに
の有 理 型 関
表 す:an:=an1+ian2. 孤 立 特異 点 を も つ 有 理
型 関数 と し
と お く.こ
の と き,A:=(A1,A2)と
に よ り,AはM上
す れ ば,fに
で 平 坦 で あ る こ とが わ か る.ゆ
対 す る コ ー シ ー-リ ー マ ン方 程 式 え に,MC上
の任 意 の有理型 関数
に対 して,平 坦 な ベ ク トル ポ テ ン シ ャ ル が 同伴 して い る こ とが わ か る.そ
の よ う な有
理 型 関 数 は 無 数 に 存 在 す る か ら,平 坦 な ベ ク トル ポ テ ン シ ャ ル は 無 数 に存 在 す る こ と に な る.こ
の 構 成 法 は,孤 立 特異 点 の 数 が 可 算 無 限 個 の場 合 に も適 用 で き る の で,よ
り一 般 的 で あ る.
具 体 例 と して,f=A2+iA1と
3.6.5
すれ ば
表 現 の 同値 性 と非 同 値 性
こ の 項 で は,Aは
平 坦 で あ る と仮 定 す る.す
る と補 題3.39に
よ り,
(3.68) は 自 由 度2のCCRの
表 現 で あ る.表
表 現π(2)Sと 同 値 で あ る た め の(し
現 πAが
た が っ て,ま
自 由 度2の
シ ュ レー デ ィ ン ガ ー
た 非 同 値 で あ る た め の)必
要十
分 条 件 を 求 め よ う.
補 題3.40
πAは 既 約 で あ る.
証 明 T∈B(L2(IR2))がTxj⊂xjT,TPj⊂PjT(j=1,2)を と し よ う.こ
の と き,第
てT=MFと
満 た して い る
一 の 条 件 と補 題3.13か
ら,あ
るF∈L∞(IR2)が
表 さ れ る.F=F1+iF2(F1:=ReF,F2:=ImF)と
す れ ば,
第 二 の 条 件 か ら,MFkPj⊂PjMFk(j,k=1,2).MFkは こ れ は,任
意 のt∈IRに
係 と 定 理3.36を て,任 はFkが
自 己 共 役 で あ る か ら,
対 し て,eitPjMFke-itPj=MFkを
意 味 す る.こ
用 い る とFk(x)=Fk(x+tej)(a.e.x)が
意 の(t,s)∈IR2に
わ か る.し
対 してFk(x)=Fk(x+(t,s))(a.e.x)と
定 数 で あ る こ と を 意 味 す る.し
あっ
た が っ て,Fは
たが っ
な る.こ 定 数 で あ る の でTは
数 作 用 素 で あ る.
定 理3.37と す べ て のt,sに
の関
れ 定 ■
フ ォ ン ・ノ イ マ ン の 一 意 性 定 理 に 注 目 す る と次 の 定 義 に 導 か れ る. 対 し て,ΦAs,tが
(整数全体) の 中 に 値 を と る 関 数,す
な わ ち,Ms,t上
の2π〓/q-値
局 所 的 に 量 子 化 さ れ て い る と い う こ と に す る.こ
関 数 で あ る と き,磁
れ は,閉
曲 線C(x1,x2;s,t)を
束 は
貫 く磁 束 が 局 所 的 に定 数 で あ っ て,そ の 定 数 値 が2π/qの
整 数 倍 で あ る とい う
こ とで あ る. 定 理3.41
CCRの
表 現 πAが
自 由 度2の
シ ュ レ ー デ ィ ン ガ ー 表 現π(2)Sに
同
値 で あ る ため の必 要 十 分 条 件 は,磁 束 が 局 所 的 に量 子 化 され て い る こ とで あ る. 証 明 (必 要 性)CCRの
表 現 πAがπ(2)Sに 同値 な らば,eisxj,eitPkは
の 関 係 式 を 満 た す.す
る と 定 理3.37に
で な け れ ば な ら な い.こ (十 分 性)磁
3.24に
よ っ て,e-iqΦAs,t=I,∀t,s∈IR…(*)
れ は磁 束 の 局所 的 量 子 化 を意 味 す る .
束 が 局 所 的 に 量 子 化 さ れ て い れ ば,(*)が
に よ り,eisxj,eitPkは
ヴ ァイ ル
成 り立 つ の で,定
ヴ ァ イ ル の 関 係 式 を満 た す こ とが わ か る.し
よ り,πAはπ(2)Sと
理3.37
た が っ て,系
同 値 な 表 現 で あ る.
■
次 に 磁 束 の 局 所 的 量 子 化 の 条 件 を も っ と み や す い も の に す る こ と を 考 え る. δ0:=min{│an-am││n≠m,n,m=1,…,N}と 中 心 がan,半
径 ε>0の
し,0<
ε< δ0に 対 して ,
円 周Cε(an)={x∈IR2:│x-an│=ε}(向
時 計 回 り)に 沿 っ て の,Aの
線 積 分 をγnと
きは 反
す る:
(3.69) D(x1,x2;s,t)を
閉 曲 線C(x1,x2;s,t)の
用 す る こ と に よ り,次
補 題3.42
内 部 領 域 と す る.グ
リー ンの 定 理 を応
の 事 実 を 証 明 で き る.
各γn(A)は
ε に よ ら な い 定 数 で あ り,す べ て のs,t∈IRとx∈Ms
,t
に対 して
(3.70) が 成 り立 つ.た D(x;s,t)に
だ し,sgn(t)は
符 号 関 数 で あ る*18.Σan∈D(x
含 ま れ る よ う な す べ て のnに
な い 場 合 に は,上
式 の 右 辺 は0で
つ い て の 和 を 表 す(そ
あ る と す る).
こ の 補 題 か ら た だ ち に 次 の 結 果 が 得 ら れ る. *18 t〓0な
ら ば sgn(t)=1,t0と
し,ヒ ル ベ ル ト空 間HL:=L2([-L/2,L/2])に
お け る作 用 素xL, pL, 0
を次 の よ う に定 義 す る:
こ の と き,xLは
有 界 な 自 己 共 役 作 用 素 で あ り,pL
pL, 0の 閉 包 をpLと
記 す.{HL,(pL,0,-xL)}がCCRの
,0は 非 有 界 な 対 称 作 用 素 で あ る. 弱 ヴ ァ イ ル型 表 現 で あ る こ
とは 直 接 計 算 よ り容 易 に証 明 さ れ る.し
た が っ て,命 題3.47に
もCCRの
が,pLは
弱 ヴ ァ イ ル 型 表 現 で あ る.だ
項 を参 照),そ
3.7.3
れ は ヴ ァ イ ル 型 表 現 で は な い.
ス ペ ク トル 特 性 と 作 用 素 論 的 性 質
次 の 定 理 は 基 本 的 で あ る.
よ っ て{H,(pL,-xL)}
自己 共 役 で は な い の で([13]の2.3.8
定 理3.52 す る.こ
{H,(Q,P)}を
弱 ヴ ァ イ ル 型 表 現 と し,P':=P│D(P)∩D(Q)と
の と き,σp(P')=0,す
証 明 λ ∈IRと こ の と き,作 (3.72)と
な わ ち,P'は
し て,PΨ=λ
Ψ と な る Ψ ∈D(P)∩D(Q)が
用 素 解 析 に よ り,任
意 のt∈IR\{0}に
Ψ の 内 積 を と り,〈 Ψ,eitPQΨ
注 意 す れ ば,t〈 Ψ,Ψ 〉=0が
固 有 値 を も た な い.
あ っ た と し よ う.
対 して,eitPΨ=eitλ
〉=〈e-itPΨ,QΨ
得 ら れ る.し
〉=eitλ
た が っ て,Ψ=0.ゆ
Ψ.
〈 Ψ,QΨ
〉に
え に,P'は
固
有 値 を も た な い.
一 般 に,ヒ と き,Tは
■
ル ベ ル ト空 間 上 の 対 称 作 用 素Tが 半 有 界(semi-bounded)で
定 理3.53
ヒ ル ベ ル ト空 間Hは
表 現 と す る.Pは
証 明 (3.73)は
下 に 有 界 ま た は上 に有 界 で あ る
あ る と い う.
可 分 で あ る と し,{H,(Q,P)}を
半 有 界 で あ る と し よ う.こ
の と き,Qは
作 用 素 の 等 式eitPQe-itP=Q+tを
自 己 共 役 で あ る と し よ う.こ
の と き,作
eitPeisQe-itP=eis(Q+t)=eisteisQ.し 関 係 式 を 満 た す.ゆ
え に,フ
弱 ヴ ァ イル型 自 己 共 役 で は な い.
意 味 す る.仮
用 素 解 析 の ユ ニ タ リ 共 変 性 に よ り, た が っ て,eisQ, eitPは
ォ ン ・ノ イ マ ン の一 意 性 定 理 に よ り,Pは
の シ ュ レ ー デ ィ ン ガ ー 表 現pの
直 和 に ユ ニ タ リ 同 値 で あ る.こ
を 意 味 す る.だ
半 有 界 性 に 反 す る.
3.7.4
が,こ
れ はPの
弱 ヴ ァ イ ル 型 表 現{H,(Q,P)}に
にQが
ヴ ァイルの 自 由 度1
れ は σ(P)=IR ■
お け るeitP(t∈IR)のtに
関 する
減衰的性質 自 己 共 役 作 用 素Pに
SP:={S│Sは
例3.5
対 し て,対
対 称 作 用 素 でeitPS⊂SeitP,
任 意 の 実 数a∈IRに
ル 可 測 関 数).
称 作 用 素 の 集 合SPを
次 の よ う に 定 義 す る:
∀t∈IRを
対 し て,0, aI, f(P)∈SP(f:IR→Cは
満 た す}. (3.77)
任意 の ボ レ
定 理3.54
{H,(Q,P)}をCCRの
固 定 す る.こ
の と き,任
弱 ヴ ァ イ ル 型 表 現 と し,S∈SPを
意 のt∈IR\{0}と
Ψ, Φ ∈D(Q)∩D(S)に
任意 に 対 して
(3.78) 証 明 (3.72)と
Φ の 内 積 を と り,Sの
性 質 を 用 い る と,
が 得 られ る.そ
こで,両 辺 の 絶 対 値 を と り,シ ュ ヴ ァル ツの 不 等 式 とe±itPの
ユ ニ タ リ性 を使 うこ とに よ り,(3 .78)が 得 ら れ る.
3.8
■
時 間 作 用 素
物 理 の教 科 書 や文 献 にお い て は,エ
ネ ル ギ ー と時 間 に 関す る不 確 定 性 関 係 の
取 り扱 い は た い へ ん 曖 昧 で あ る*23.こ の 節 で は,エ ネ ルギ ー と時 間 に関 す る不 確 定 性 関 係 お よ び これ に関 わ る数 学 的 構 造 を原 理 的 観 点 か ら明 晰 に把 握 す る こ と を試 み る.
3.8.1 弱 時 間 作 用 素 と時 間-エ ネル ギー の 不確 定 性 関 係 Hを
ヒル ベ ル ト空 間 と し,HをH上
の 自 己 共役 作 用 素 とす る.い
ヒ ルベ ル ト空 間 がHで
あ り,ハ ミル トニ ア ンがHで
定 義3.55
の 対 称 作 用 素 でD(T)∩D(H)≠{0}を
TをH上
ま,状 態 の
表 さ れ る量 子 系 を考 え る. 満 た す もの とす
る.次 の 性 質(ⅰ), (ⅱ)を満 た す,有 界 な 自己 共 役 作 用 素C∈B(H), C≠0が 在 す る な らば,TをHに
関 す る弱 時 間作 用 素 と い い,Cを(T,H)に
可 換 因 子 と呼 ぶ.こ の 場 合,「Hは
弱 時 間 作 用 素Tを
(ⅰ) す べ て の Ψ,Φ ∈D(T)∩D(H)に
存
関 す る非
もつ」 と もい う.
対 して
(3.79) (ⅱ) δC:=inf‖
Ψ ‖=1, Ψ ∈(kerC)⊥│〈
Ψ,CΨ
〉│>0.
*23 この 問題 に 関 して ,概 念 的 に明 晰 で 数 学 的 に も厳 密 な 議論 を与 えた重 要 な論 文 の一 つ は [28]で あ ろ う.
この 定 義 は,容 易 にみ て とれ る よ う に,自 由 度1のCCRの 表現 のある種の 一 般 化 で あ る.こ こ で は,Hが 半 有 界 で あ る場 合 やHが 連 続 ス ペ ク トル の他 に点 スペ ク トル を有 す る場 合 を も射 程 に 入 れ て い る.弱 時 間作 用 素 の例 に つ い て は,次 の項 で述 べ る. 命 題3.56
TをHに
関 す る弱 時 間 作 用 素 と し,Cを(T,H)の
す る,こ の と きすべ て の Ψ ∈D(T)∩D(H)∩(kerC)⊥
非可換 因子 と
に対 して
(3.80) 証 明 シ ュ ヴ ァル ツの不 等 式 に よ り
し た が っ て,(3.80)が
対 称 作 用 素Sと に お け るSの
し た が う.
■
単 位 ベ ク トル Ψ ∈D(S)\{0}(‖Ψ
‖=1)に
対 して,状 態 Ψ
不確 定 さ を
(3.81) に よ っ て 定 義 す る*24.
定 理3.57
(時 間-エ ネ ル ギ ー の 不 確 定 性 関 係)TをHに
素 と し,(T,H)の
非 可 換 因 子 をCと
Ψ ∈D(T)∩D(H)∩(kerC)⊥
す る.こ
関 す る 弱 時 間作 用
の と き,す
べ て の 単 位 ベ ク トル
に対 して
(3.82) 証 明 任 意 の 実 数a,b∈IRに あ り,(T-a,H-b)の て,‖(T-a)Ψ す れ ば,(3.82)が *24 これ は
対 し て,T-aはH-bに
非 可 換 因 子 はCで ‖ ‖(H-b)Ψ
‖〓 δC/2.そ
得 ら れ る.
,"不 確 定 さ"と い う概 念 をSが た もの で あ る.
あ る.し こ で,a=〈
関 す る 弱 時 間作 用 素 で た が っ て,命
題3.56に
Ψ,TΨ 〉,b=〈 Ψ,HΨ
よっ 〉と ■
必 ず し も自 己共 役 とは 限 ら ない場 合 へ と拡 張 し
定 理3.57は
従 来 曖 昧 に扱 わ れ て い る"時 間-エ ネル ギ ーの 不 確 定 性 関 係"に 対
す る一 つ の 明 晰 な表 現 を与 え る.こ の定 理 は,(ΔT)Ψ
が 一 定 の 限 界 にあ る よ う
な任 意 の状 態 Ψ に 対 して は,エ ネル ギ ー の 不 確 定 さ に正 の 下 限 が 存 在 す る こ と を意 味 す る. だ が,こ
こ で,次
の疑 問 が 生 じる か も しれ な い.す
物 理 量 で あ ろ うか?こ
の 問 い に対 して は,筆 者 は,そ れ は物 理 量 で あ っ て も
な くて も よい と考 え て い る.そ の理 由 の一 つ は,ハ て も,Hに Hが
な わ ち,弱 時 間作 用 素 は
ミル トニ ア ンHを一
関 す る 弱 時 間 作 用 素 は 一 意 的 に定 ま らな い とい う こ とが あ る.ま た,
下 に有 界 な らば,付 加 的 な条 件 の も とで,Hに
関す る弱 時 間 作 用 素 は 本 質
的 に 自己 共 役 で は あ りえ な い こ とが 証 明 され る.他 方,そ 己 共 役 に な る ハ ミル トニ ア ン も存 在 しう る*25.定 理3.57か は,ハ
つ決め
ミル トニ ア ンHに
の 弱 時 間作 用 素 が 自 ら読 み 取 れ る こ と
関 す る弱 時 間作 用 素 とい うの は,エ ネル ギ ー の 不確 定
さ を 測 る尺 度 を提 供 す る作 用 素 の 一 つ で あ る とい う こ とで あ る.こ の観 点 か ら い え ば,弱 時 間作 用 素 が物 理 量 で あ る か否 か は第 二 義 的 な問 題 に な る(考 察 す る ハ ミル トニ ア ン に依 存 す る性 質).さ
らに付 け加 え る な ら ば,弱 時 間 作 用 素 が 仮
に物 理 量 で な い と して も,そ れ が物 理 的 に 意味 が な い とい う こ とに は な らな い. 前 著[13,14]で
もす で に暗 示 した よ う に,本 書 の 観 点― 座 標 か ら自 由 な絶 対 的
次 元 か らの 公 理 論 的 ア プ ロ ー チ― に よれ ば,た リ群{e-itH}t∈IRが
とえ ば,系 の 時 間発 展 は ユ ニ タ
統 制 し,素 粒子 の 生 成 ・消 滅 は 生 成 ・消 滅 作 用 素 が 司 っ て
い る よ う に,自 己 共 役 で な い作 用 素 も物 理 現 象 の 現 出 に何 らか の 役 割 を もっ て い る と考 え る の が 自然 だ か らで あ る.重 要 な こ とは,諸 象 現 出 との 関連 に お い て,ど る こ とで あ る.前 著[13],
々 の 作 用 素 が,量 子 現
うい う役 割 を演 じて い るか を厳 密 な仕 方 で把 握 す
[14]や 本 書 全 体 が 示 唆 す るで あ ろ う よ う に,作 用 素
の 空 間 に は,物 理 現 象 の現 出 との 関連 にお い て もあ る種 の(無 限)階 層 構造 が 存 在 し,各 作 用 素 は そ れ ぞ れ 固 有 の 役 割 を担 い,重 々 無 尽 縁 起 的 な仕 方 で現 象 を 支 え て い る の で あ る.
*25 た と え ば
,や
や 人 工 的 で あ る が,H=cp(c≠0は
運 動 量 作 用 素)に あ る.
実 定 数 で,pはL2(IRx)に
関 す る 弱 時 間 作 用 素 の 一 つ と し て,x/cが
あ る が,こ
お ける
れ は自 己 共 役 で
3.8.2 CCRの 自由度Nの
表 現 と弱 時 間 作 用 素
量子 力 学系 にお け る物理 量 や量 子現 象 と関 わ る作 用 素 は,そ の 状態 の
ヒルベ ル ト空 間 を表 現空 間 とす る適 切 なCCRの
自己 共役 表現{H,D,{(Qj,Pj}Nj=1}
か らつ くられ る.し たが っ て,弱 時 間作 用 素 も― も し,存 在 す る な らば― 当然, CCRの
自己 共 役 表 現 か らつ くられ るは ず で あ る.実 際,こ の構造 は普 遍 的 な形
で 存 在 す る こ とが 示 され る.だ が,こ
こ で は,そ
の 一般 論 を展 開す る余 裕 は な
い の で,自 由度 が1で ハ ミル トニ ア ンが 簡 単 な形 の 場 合 につ い て の み論 述 す る. a. 非 相 対 論 的 な場 合 {H,D,(Q,P)}を (A.1) Pは
自 由度1のCCRの
対 称 表 現 とす る.次 の 仮 定 を設 け る.
自己 共 役 で あ り,単 射 で あ る(し た が っ て,逆 作 用 素P-1が
存在
す る). (A.2) 稠 密 な 部 分 空 間FでQF⊂F,
PF⊂F,
P-1F⊂Fを
満 たす もの が存 在
す る.
m>0を
定 数 と し て,
(3.83) に よ っ て 定 義 さ れ る ハ ミ ル トニ ア ンHNRを レ ー デ ィ ン ガ ー 表 現 に お け る,質 ンを
一 般 のCCRの
量mの
考 え る*26.こ
れ は,CCRの
シュ
自 由 粒 子 の 非 相 対 論 的 な ハ ミ ル トニ ア
表 現 の 場 合 へ と 拡 張 し た も の で あ る.仮
定(A.1),
(A.2)に
よ り
(3.84) は 対 称 作 用 素 で あ り,Fを
命 題3.58
(A.1),
不 変 に す る.ま
(A.2)を
仮 定 す る.こ
間 作 用 素 で あ り,(TNR,HNR)の
*26 「NR」
はnon
,Φ〉.Q, -relativistic(非
等 作 用 素)で
任 意 に と る.こ Pに
関 す るCCRを
相 対 論 的)の
不 変 に す る.
の と き,TNRはHNRに
非 可 換 子 はI(恒
証 明 Ψ,Φ ∈D(TNR)∩D(HNR)=Fを =(1/2m)〈P2QP-1Ψ
た,HNRもFを
意 .
関 す る弱 時 あ る.
の と き,〈QP-1Ψ,HNRΦ
使 う こ と に よ り,P2QP-1Ψ
〉
=(-i+PQ)Ψ.し
たがって
同 様 に,〈HNRΨ,P-1QΦ 〈HNRΨ,P-1QΦ
〉=(1/2m)〈QPΨ,Φ
〉=(i/m)〈
〉.し た が っ て,〈QP-1Ψ,HNRΦ
〉-
Ψ,Φ 〉.こ の 式 を 用 い る と求 め る 結 果 が 得 ら れ る. ■
例3.6
1次 元 空 間IRの
中 に 質 量m>0の
ヒル ベ ル ト空 間 と して座 標 表 示 のL2空
量 子 的粒 子 が 一 つ 存 在 す る系 を考 え,状 態 の 間L2(IR)=L2(IRx)を
とる.外 力 が 働 い て い な
い場 合 の系 の ハ ミル トニ ア ン― 自由 粒 子 の ハ ミル トニ ア ン― はH0:=-Δx/(2m)で え られ る.た だ し,Δxは1次 CCRの
シ ュ レー デ ィ ンガ ー表 現 を(x,p)と
らL2(IRk)へ で あ る.た
の フー リエ 変 換 をF1と だ し,Dkは
変 数kに
作 用 素 で あ る.L2(IRk)の
す る.x,pい
記 す.こ
とお け ば,こ れ はL2(IRx)で
ず れ も単 射 で あ る.L2(IRx)か
関 す る 一 般 化 され た微 分 作 用 素,kはkに
不 変 に す る.し
稠 密 で あ る.さ
稠 密 で あ り,x,p,p-1はF0を
不 変 にす る.し
して 満 た さ れ る.ゆ
関 す る 弱 時 間 作 用 素 で あ り,(TAB,H0)の
時 間 作 用 素TABは
よ るか け 算 ら に,
た が っ て,F0:=F-11C∞0(IRk\{0})
仮 定(A.1),(A.2)がQ=x,P=p,F=F0と
あ る.弱
おけ る
の と き,F1xF-11=iDk,F1pF-11=k
部 分 空 間C∞0(IRk\{0})はL2(IRk)で
iDk,k,k-1はC∞0(IRk\{0})を
とお け ば,TABはH0に
与
元 の 一 般 化 さ れ た ラプ ラ シ ア ンで あ る.L2(IRx)に
た が っ て,
えに
非 可 換 因 子 はIで
ア ハ ラ ノ フ-ボ ー ム の 時 間 作 用 素 と呼 ば れ る[2].こ
の例
は 高 次 元 へ の 拡 張 を もつ(演 習 問 題5).
b. 相 対 論 的 な 場 合(1) 相 対 論 的 な ハ ミ ル ト ニ ア ン に つ い て もCCRの あ る.だ
が,こ
こ で は 簡 単 の た め,CCRの
C∞0(IRx),(x,p)}で
考 え る.質
量 がm>0の
任 意 の 表 現 で の考 察 が 可 能 で
シ ュ レ ー デ ィ ン ガ ー 表 現{L2(IRx), 自 由 粒 子 の 相 対 論 的 ハ ミ ル トニ ア
ンは
(3.85) で定 義 され る.IRk上
の関数 ω を
(3.86)
に よっ て定 義 す る.作 用 素 解 析 の ユ ニ タ リ共 変 性 を使 うこ とに よ り
(3.87) が わ か る(右
辺 は 関 数 ω に よ る か け 算 作 用 素 を 表 す).容
ωC∞0(IRk\{0})⊂C∞0(IRk\{0}).し
易 に わ か る よ う に,
た が っ て,HRはF0を
不 変 に す る.ゆ
え に作 用 素
(3.88) が 定 義 さ れ る.こ
命 題3.59
れ は 対 称 作 用 素 で あ る.
作 用 素TRはHRに
換 因 子 はIで
非可
あ る.
証 明 任 意 の ψ ∈F0に iF1ψ.し
関 す る 弱 時 間 作 用 素 で あ り,(TR,HR)の
対 し て,F1[HRp-1x,HR]ψ=ω
た が っ て,[HRp-1x,HR]ψ=iψ.同
・k-1[iDk,ω]F1ψ=
様 に(あ る い は,い
共 役 を と る こ と に よ り)[xHRp-1,HR]ψ=iψ.し
ま導 い た式 の
た が っ て,[TR,HR]ψ=iψ.
■ こ の 例 も 高 次 元 へ の 拡 張 を も つ(演
c. 相 対 論 的 な 場 合(2)― 質 量 がm>0で
デ ィ ラ ッ ク ハ ミ ル トニ ア ン
ス ピ ン が1/2の
ル ベ ル ト空 間L2(IR3x;C4)=
習 問 題6).
自 由 な 相 対 論 的 粒 子 の ハ ミ ル トニ ア ン は,ヒ 4L2(IR3x)で
働 くデ ィラ ッ ク作 用 素
(3.89) に よ っ て 与 え ら れ る(2.10節 f3│fj∈F0, j=1,2,3})はL2(IR3x)で 和 ベ ク ト ル 空 間D0:= う に,HD, xj, p-1jはD0を
を 参 照).L2(IR3x)の
部 分 空 間F0(3):=L({f1×f2×
稠 密 で あ る.し
4F(3)0はL2(IR3x;C4)で 不 変 に す る.ゆ
た が っ て,そ
稠 密 で あ る.容 え に,各j=1,2,3に
の4個
の直
易 にわか るよ 対 して
に よ っ て 定 義 さ れ る作 用 素 は対 称 作 用 素 で あ る.xj, plが 満 た すCCRと
αj,β
に 関す る 反 交 換 関係 を用 い る こ とに よ り,次 の 事 実 が 証 明 され る: 命 題3.60
D0上 で[Tj,HD]=iが
弱 時 間作 用 素 で あ り,(Tj,HD)の
成 立 す る.す な わ ち,TjはHDに 非 可 換 因 子 はIで
関す る
あ る.
d. 相 互 作 用 の 入 っ た ハ ミル トニ ア ン お よ び 量 子 場 の ハ ミル トニ ア ン に 関 す る弱 時 間作 用 素 上 に あ げ た例 は い ず れ も,相 互 作 用 の な い 自 由粒 子 を記 述 す るハ ミル トニ ア ン に 関 す る弱 時 間 作 用 素 で あ っ た.同 様 に して,自 由 な量 子 場 の ハ ミル トニ ア ン(第 二 量 子 化 作 用 素)に 関 す る 弱 時 間作 用 素 を 具 体 的 に 構 成 す る こ とが で きる [12].次 の 問 題 は,相 互 作 用 の 入 った ハ ミル トニ ア ン も弱 時 間 作 用 素 を もつ か ど うか を吟 味 す る こ とで あ る.本 書 で は,残 念 な が ら,こ の主 題 につ い て論 じる 余 裕 は な い が,次 の事 実 だ け を指摘 して お く:一 般 に,自 己 共役 作 用素Hが 時 間作 用 素 を もつ と き,あ る条 件 を満 たす 対 称 作 用 素Vに
弱
対 して,H+Vも
弱 時 間作 用 素 を もつ こ と を証 明 す る こ とが で きる[12].
3.8.3 強 時 間 作 用 素 弱 時 間作 用 素 よ りも強 い特 性 を もつ 時 間 作 用 素 の概 念 を導 入 す る.Hを ベ ル ト空 間,HをH上 定 義3.61 tC)eitH,
H上
の有 界 な 自己 共 役 作 用 素C≠0が
∀t∈IRか
素(strong
の 自己 共 役 作 用 素 と し,TをH上
つ δC>0が
time operator)と
場 合,「Hは
強 時 間作 用 素Tを
注 意3.14
こ の定 義 にお い て,C=Iな
イル 型 表 現 で あ る.し
の対 称 作 用 素 とす る. 存 在 して,eitHT⊂(T+
成 り立 つ と き,TをHに
呼 び,Cを(T,H)の
ヒル
関 する強時間作用
強 非 可 換 因子 とい う.こ の
もつ」 とい う. らば,{H,(T,H)}はCCRの
たが って,(T,H,C)は,一
弱ヴァ
般 化 され た 弱 ヴ ァイ ル型 表 現
の 一 つ とみ る こ とが で き る. 命 題3.48の
証 明 と 同様 に して,TがHに
関 す る強 時 間作 用 素 な ら ば,作 用
素の等式
(3.90)
が 成 立 す る こ とが 証 明 され る.さ
らに,極 限 操 作 に よ り,作 用 素 の等 式
(3.91) が 成 り立 つ こ と もわ か る.す な わ ち,TもHに
関す る 強 時 間 作 用 素 で あ る.
強 時 間 作 用 素 の 概 念 が弱 時 間作 用 素 の 概 念 よ り も強 い こ と は次 の命 題 に よっ て保 証 され る. 命 題3.62
TをHに
関 す る強 時 間作 用 素 と し,Cを(T,H)の
とす る.こ の と き,TはHに 子 はCで
関 す る弱 時 間作 用 素 で あ り,(T,H)の
非可換 因
あ る.
証 明 Ψ,Φ ∈D(T)∩D(H)と 〈(T+tC)Ψ,eitHΦ〉.両
し よ う.こ 辺 と も にtに
係 数 を と れ ば〈(-iH)Ψ,TΦ
注 意3.15
CCRの
〉=〈CΨ,Φ
命 題3.62に
の と き,(3.90)に
よ り 〈e-itHΨ,TΦ
つ い て 微 分 可 能 で あ り,t=0で 〉+〈TΨ,iHΦ
〉=
の微 分
〉を 得 る.
■
表 現 が 必 ず し も弱 ヴ ァ イ ル 型 表 現 で は な い よ う に,Hに
す る 弱 時 間 作 用 素 は 必 ず し もHに
よ っ て,強
す べ て 成 立 す る.特 こ で,そ
強 非 可 換 因子
に,時
関
関 す る 強 時 間 作 用 素 と は 限 ら な い.
時 間 作 用 素 に つ い て は,弱
時 間作 用 素 の 一般 的性 質 は
間-エ ネ ル ギ ー の 不 確 定 性 関 係 も成 立 す る.だ
が,こ
れ ら を 書 き 下 す こ と は 省 略 す る.
3.8.4 量 子 系 の 時 間発 展 に お ける 状 態 の 生 き残 り確 率 と強 時 間 作 用 素 量 子 系 の状 態 の 時 間発 展 に関 す る公 理 に よ り,自 己 共 役 作 用 素Hを ニ ア ン とす る量 子 系 の 時刻t∈IRに さ れ る(h=1の
単 位 系).た
お け る状 態 は ベ ク トルe-itHΨ
だ し,Ψ ∈H\{0}は
ハ ミル ト に よっ て表
初 期 状 態 ベ ク トル― 時 刻0
で の状 態 ベ ク トル― を表 す.時 刻tに お い て状 態 Φ ∈H\{0}に 期 状 態 Ψ の,時 刻tに お け る,状 態 Φ へ の遷 移 確 率―
あ る確 率― 初
をPΨ,Φ(t)と す れ ば,そ
れは
(3.92)
に よ っ て与 え られ る(確 率 解 釈 の 公 理).時 刻tで 初 期 状 態 と 同 じ状 態 に留 ま る 確率
(3.93) を 残 存 確 率(survival う に,残
probability)ま
た は 生 き 残 り確 率 と い う.以
下 に示す よ
存 確 率 と 強 時 間 作 用 素 は 深 い つ な が り を も つ.
TをHに
関 す る 強 時 間 作 用 素 と し,Cを(T,H)の
定 理3.63
S∈SHを
任 意 に 固 定 す る*27.こ
強 非 可 換 因 子 と す る. の と き,任
意 のt∈IR\{0}と
単 位 ベ ク トル Ψ,
に
対 して
(3.94) 証 明 (3.90)に
よ り
両 辺 の 絶 対 値 を と り,シ
ュ ヴ ァ ル ッ の 不 等 式 とe±itHの
ユ ニ タ リ 性 を 使 え ば,
これから,(3.94)が 得られ
る.
■
(3.94)は,状
態 の 時 間 発 展 に お け る 遷 移 確 率 がt→
束 す る こ と,す
な わ ち,遷
こ と を 示 す と 同 時 に,そ supt∈IRt2PΨ
,CΦ(t)が
味 に お い て,強
系3.64 C2=Cと IR\{0}と
±∞
に お い て0に
収
移 確 率 が 時 間 の 大 き さ│t│の 増 大 と と も に 崩 壊 す る の 崩 壊 の 度 合 い に つ い て の 評 価 を 与 え る.こ
の 場 合,
Ψ,Φ と 時 間 作 用 素 か ら決 ま る 定 数 で 抑 え ら れ る と い う 意
時 間 作 用 素 は 系 の 状 態 の 時 間 発 展 と 関 わ る.
す る(i. e., Cは
正 射 影 作 用 素).こ
単 位 ベ ク トル
の と き,任
意 のt∈
に対 して
(3.95) *27 S
Hは(3.77)に
お い て,P=Hと
した も の.
証 明 (3.94)に
お い て,Φ=Ψ
と し,Sと
し てS=-〈
Ψ,TΨ〉 を と り,CΨ=Ψ
を 用 い れ ば よ い.
(3.95)は
■
残 存 確 率 の 時 間 減 衰 に 関 す る 評 価 を与 え る.右
辺 にTの
不 確 定 さが
現 れ る の は 興 味 深 い.
ノ
CCRの CCRの
ー
ヴ ァ イ ル 型 表 現 の 一 意 性 は,フ
ト
ォ ン ・ノ イ マ ン に よ っ て 証 明 さ れ た[26].
対 称 表 現 が い つ シ ュ レ ー デ ィ ン ガ ー 表 現 に な る か とい う問 題 に つ い て は,本
章 で 論 じる こ と が で き な か っ た が,こ (Dixmier)に 理;[29]を
れ に 対 し て は,レ
よ っ て 一 つ の 解 答 が 与 え られ て い る(レ
リ ッ ヒ と デ ィ ク ス ミエ ー ル
リ ッ ヒ-デ ィ ク ス ミエ ー ル の 定
参 照).
シ ュ レ ー デ ィ ン ガ ー 表 現 と非 同 値 なCCRの [33, 34]に み られ る.弱
表 現 の 純 数 学 的 な例 は,た とえ ば,[16],
ヴ ァ イル 型 表 現 の 研 究 は,[15],
[33, 34]に よ っ て 基 本 的 な部
分 が 完 成 さ れ て い る. ア ハ ラ ノ フ-ボ ー ム 効 果 の 表 現 論 的 扱 い は お そ ら く[18]が 学 的 に厳 密 な 解 析 的 ア プ ロ ー チ は[32]に CCRの
よ っ て な さ れ た.ア
最 初 か も し れ な い.数 ハ ラ ノ フ-ボ ー ム 効 果 と
非 同 値 表 現 と の 関 連 を 最 初 に 指 摘 した の は,多 分[31]で
文 に動 機 付 け られ て,CCRの
表 現 と アハ ラ ノ フ-ボ ー ム 効 果 とい う主 題 につ い て,一
連 の 研 究 を展 開 した[3, 4, 5, 6, 7, 9, 10, 11].関 3.6節 で 考 察 した2次
あ る.筆 者 は,こ の 論
元 系 に お い て,特
連 す る 研 究 と して,[19,
異 点anの
個 数 を可 算 無 限 個 に し,そ の 分
布 に関 して あ る 種 の 対 称 性 を も た せ る と(た と え ば,格 子 点 の 集 合),こ CCRの
21]が あ る.
れに付 随す る
非 同 値 表 現 に 関 し て い ろ い ろ と興 味 深 い 事 実 が 見 い だ され る.た
子 平 面 や 量 子 群[20]の
表 現 が 構 成 さ れ る.こ
の 側 面 に つ い て は,一
とえ ば,量
般 向 け の解 説 を
[11]に 書 い て お い た.ア ハ ラ ノ フ-ボ ー ム 効 果 の 数 理 は,現 在 で も活 発 に 研 究 さ れ て い る(現 状 を知 る に は,論 文[17]が 参 考 に な る か も しれ な い). 時 間 作 用 素 の 理 論 は 最 近 の 量 子 論 の 熱 い 話 題 の 一 つ か も しれ な い[24].こ 対 す る 表 現 論 的 な ア プ ロ ー チ はMiyamoto[23]に
よ っ て 着 手 さ れ た.こ
強 非 可 換 因 子 が 恒 等 作 用 素 の 場 合 の 強 時 間作 用 素 が 扱 わ れ て い る.強 す る,よ は,3.7節
り一 般 的 で 包 括 的 な理 論 展 開 につ い て は[12]を
時 間作 用 素 に 関
参 照 さ れ た い.論
文[12]で
で 論 じた 弱 ヴ ァ イ ル型 表 現 お よ び 強 時 間 作 用 素 の 一 般 化 が 導 入 さ れ た.特
に,量 子 系 の ハ ミル トニ ア ンHが
一 般 化 され た 意 味 で の 強 時 間 作 用 素Tを
遷 移 確 率 につ い て次 の 事 実 を 証 明 す る こ と が で きる:各 Dnが
の 理論 に
の 論 文 で は,
あ っ て,
自 然 数nに
もつ と き,
対 して,部
分空 間
(cn(Ψ,Φ)はtに が で き る.こ
よ ら な い 定 数).ま
た,Hの
ス ペ ク トル に 関 して も情 報 を 得 る こ と
れ ら の 事 柄 の 他 に も い ろ い ろ 興 味 深 い 事 実 が 見 い だ さ れ る.
こ の 章 の 論 述 や 上 に述 べ た こ と か ら 示 唆 され る よ う に,CCRあ
るいは その変 形の
表 現 と して 量 子 力 学 を 捉 え る 観 点 は,諸 々 の 量 子 現 象 を原 理 的 か つ 統 一 的 な 仕 方 で 厳 密 に 認 識 す る た め の 基 礎 を 提 供 す る だ け で な く,具 体 的 な諸 問 題 に お い て も実 り多 い 結 果 を も た ら す の で あ る.
第3章
Hを
演 習 問 題
ヒ ル ベ ル ト空 間 とす る.
1. A, TをH上
の 自 己 共 役 作 用 素 と し,T∈B(H)と
す る.こ
強 可 換 で あ る た め の 必 要 十 分 条 件 はTA⊂ATが
の と き,AとTが
成 り立 つ こ とで あ る.こ
れを
証 明 せ よ. 2. (3.33)に
よ っ て 定 義 さ れ る 作 用 素ASのker ASを
3. 自 由 度2以
求 め よ.
上 の 場 合 に 関 す る フ ォ ン ・ノ イ マ ン の 一 意 性 定 理 の証 明 の 詳 細 を 埋
め よ. 4. LをH上
の 自己 共 役 作 用 素 と し
と お く.
(ⅰ) L〓0な
らば,
(ⅱ) L〓0な
らば,
を 示 せ. を 示 せ.
(ⅲ)
5. d〓1を
を 示 せ. 任 意 の 自 然 数 と し,ヒ
ニ ア ンH0:=-Δ/(2m)を m>0は
ル ベ ル ト空 間L2(IRdx)に
考 え る(Δ
定 数).各j=1,…,dに
を 定 義 す る.た
だ し,F0は
はd次
お い て 自 由 ハ ミル ト
元 の 一 般 化 され た ラ プ ラ シ ア ン,
対 して
例3.6に
お け る部分 空 間で あ り
こ の と き,各TNR 換 因 子 はIで
,jはH0に
関 す る 弱 時 間 作 用 素 で あ り,(TNR,j,H0)の
非可
あ る こ と を示 せ.
6. 記 号 は 前 問 題 に した が う と し,L2(IRdx)で
働 く非 負 自 己 共 役 作 用 素― 相 対 論 的
自 由 ハ ミ ル トニ ア ン―K0:=(-Δ+m2)1/2を
考 え る.各j=1,…,dに
対
して
を 定 義 す る.こ
の と き,各TR,jはK0に
の 非 可 換 因 子 はIで
関
[1] Y.Aharonov
and
quantum
関 す る弱 時 間作 用 素 で あ り,(TR,j,H0)
あ る こ と を 示 せ.
連
図
書
D.Bohm,Significance
of
electromagnetic
potentials
in
the
theory,Phys.Rev.115(1959),485-491.
[2] Y.Aharonov
and
relation
for
D.Bohm,Time
time
and
in the
[3] A.Arai,Momentum
operators
magnetic
quantum
theory
and
the
uncertainty
energy,Phys.Rev.122(1961),1649-1658.
flux,and
with
gauge
representation
of
potentials,local
canonical
quantization
commutation
of
relations,J.
Math.Phys.33(1992),3374-3378. [4] A.Arai,Properties gauge
of
[5] A.Arai,Gauge of
the
Dirac-Weyl
operator
with
a
strongly
singular
potential,J.Math.Phys.34(1993),915-935. theory
canonical
on
a non-simply
commutation
[6] A.Arai,Representation ory,the
conneted
domain
and
representations
relations,J.Math.Phys.36(1995),2569-2580. of
Aharonov-Bohm
canonical
commutation
effect,and
relations
the Dirac-Weyl
in
a
gauge
the
operator,J.Nonlinear
Math.Phys.2(1995),247-262. [7] A.Arai,Canonical
commutation
Zeta-function,and quantum
group
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infinite
編
relations
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tum
theory,the
space
singular
algebras,and
Weierstrass
representations
of
the
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ー ジ 理 論 に お け る 正 準 交 換 関 係 の 表 現 と ア ハ ラ ノ フ-ボ
『数 理 物 理 へ の 誘 い2』(遊
in
a gauge
Hilbert
Uq(sl2),J.Math.Phys.37(1996),4203-4218.
星 社,1997)の
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in
dimensional
vector
aspects
of
potentials:canonical
reduction
to
lattice
ー ム 効 果,荒
木 不
第7話,p.165-p.190. two-dimensional
quantum
commutation
relations,quan
quantum
systems,J.Math.Phys.39
(1998),2476-2498. [11] 新 井 朝 雄,非 星 社,2000)の
単 連 結 空 間 上 の ゲ ー ジ 量 子 力 学,江 第6話,p.143-p.164.
沢
洋
編
『数 理 物 理 へ の 誘 い3』(遊
sys
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weak
Weyl
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and
decay
of
quantum
dynamics,
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modes
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algebra
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nonsimply
D.H.Sharp,Representations
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local
Aharonov-Bohm
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波 書 店,
4 量子力学 にお ける対称性
対 称性 は現 代 物 理 学 にお け る最 も基本 的 な概 念 の一 つ で あ り,数 学 的 には,群 や リー代 数 と呼 ば れ る根 源 的理 念 あ るい は こ れ ら に類 似 の代 数 的構 造 の 表現 と して普 遍 的 ・統一 的 に捉 え られ る.こ の章 で は,作 用 素 論 的 に厳 密 な仕方 で,量 子 力 学 にお け る対 称 性 の 基 本 的 な 構 造 を普 遍 的 な観 点 か ら論 述す る.
4.1
は じめ に― 対 称 性 と は ど う い う も の か
対 称 性 とい う と きに,多 な か ろ う か.実 際,左 が で き る.た
くの 人 が す ぐ に想 い浮 かべ るの は,左 右対 称 性 で は
右 対 称 的 な対 象 は,私
た ち の 周 囲 に難 な く見 い だ す こ と
と え ば,人 間 の 体 や 植 物 の葉 の 多 くは,そ れ ぞ れ,然 るべ き視 点
か ら眺 め れ ば,左 右 対 称 的 に見 え る.建 築 物,家
具,食 器 な ど につ い て も 同様
の こ とが 観 察 され る.左 右 対 称 性 を数 学 的 にみ た場 合,そ
れ は,あ る 種 の 空 間
的操 作 に対 す る不 変 性 と して捉 え ら れ る こ とが わ か る.た
とえ ば,2次
上 の 図 形 が左 右 対 称 で あ る とい う こ とは,あ 直 線 に関 して,そ
元平面
る基 準 と な る直 線 が あ っ て,こ の
の 図 形 を折 り重 ね た と き に,直 線 の 左 側 の 図形 の部 分 と右 側
の そ れ が ぴ っ た り重 な る とい う こ と に ほ か な ら な い.つ
ま り,こ の場 合 は,あ
る 直線 に関 す る"折 り重 ね"と い う空 間 的操 作 に関 して不 変 な図 形 を,こ の直 線 に 関 す る左 右 対 称 な 図形 とい うわ け で あ る. い う まで もな く,"折
り重 ね"以 外 に も種々 の空 間 的操 作 が 可 能 で あ る.た
と
え ば,平 行 移 動(並 進),鏡 映,回 転 な どが あ る.こ れ らの操 作 で 不 変 に保 た れ る性 質 は,そ れ ぞ れ,並 進 対 称 性(不 変 性),鏡
映 対 称 性,回 転 対 称性 と呼 ば れ
る.こ の 観 点 を普 遍 へ と向 か って 徹 底 的 に押 し進 め て い く と,任 意 の,一 つ な
い し複 数 の空 間 的 操 作 に対 して不 変 と な る性 質 と して 一 つ の 対 称 性 を想 定 す る こ とが で き,こ れ が す な わ ち対 称 性 の 一 般 的概 念 像 に ほ か な ら ない.こ
の概 念
像 を 数 学 の 概 念 と して明 晰 に捉 え るた め に は,ま ず,対 称 性 と関 わ る空 間 的操 作 を 一 つ の 数 学 的 構 造 と して抽 象 的 ・普 遍 的 に措 定 す る必 要 が あ る.こ の よ う に して得 ら れ る根 源 的 理 念 の 一 つ が 群 と呼 ば れ る対 象 で あ る*1.対 称 性 とい う の は,普 遍 的 ・本 質 的 な い い方 をす れ ば,群 の作 用 に対 す る 不 変 性 の こ とで あ る.こ
う して,対 称 性 の 概 念 は,日 常 的 な次 元 を 超 え て,普 遍 的 な,よ
り高 次
の 次 元 へ 向 か って一 挙 に拡 大 す る.こ の 普 遍 的 な 高 み に立 つ こ とに よ り,種 々 様 々 な 個 別 的 対 称 性 を あ る絶 対 的根 源 か ら統 一 的 に俯瞰 す る こ とが 可 能 とな り, 感 覚 的 ・表 層 的 次 元 に と ど ま って い た の で は得 る こ とが で きな い,深
く美 しい
認 識 に到 達 す る こ とが で きる.も ち ろ ん,こ の 認 識 は美 しい とい うだ け で な く, 応 用 上 も強 力 で あ る*2. で は,群
とは何 か,ま ず,そ
の定 義 を与 え よ う.
4.2
4.2.1
定
定 義4.1
集 合Gが
て,Gの
義
元g1g2を
と
群
例
群(group)で
あ る と は,Gの
対 応 さ せ る 演 算 が 定 義 さ れ,か
任 意 の 二 つ の 元g1, g2に 対 し つ 以 下 の 条 件(G.1)∼(G.3)
が 満 た さ れ る と き を い う:
(G.1) (結 合 法 則)(g1g2)g3=g1(g2g3), (G.2) (単 位 元 の 存 在)あ ge=eg=gが
∀gj∈G,j=1,2,3.
る 元e∈Gが
成 立 す る.eをGの
存 在 す る.g-1をgの
条 件(G.1)∼(G.3)は し て,g1g(g1∈G)を
べ て のg∈Gに
対 して
単 位 元 と い う.
(g.3) (逆 元 の 存 在)各g∈Gに g-1∈Gが
あ っ て,す
対 し て,gg-1=g-1g=eを
み たす元
逆 元 と い う.
群 の 公 理 系 と呼 ば れ る.こ 割 り当 て る対 応 をg1の
*1 「群 」 と い う理 念 に 至 る 道 は 他 に も あ る
*2 こ こで略 述 した観 点 を初等 的 な レヴ
の 場 合,任
意 のg∈Gに
左 作 用 と い う.g1gを
.
ェ ル で詳 述 した本 と して[1]が あ る.
対
得 ることを
「gにg1を
左 か ら作 用 さ せ る,あ
り当 て る 対 応 をg1の せ る,あ
右 作 用 と い う.gg1を
(ⅰ) 群Gの
得 る こ と を 「gにg1を
割
右 か ら作 用 さ
足 的 な 注 意 を し て お こ う.
単 位 元 は た だ 一 つ で あ る.実
を 満 た す 元e'∈Gが (G.2)でg=e'と
際,別
あ っ た と す れ ば,g=eと
∀g∈G 方,
え に,e=e'.
逆 元 も た だ 一 つ で あ る.実
あ っ た とす れ ば,左 か らg-1を
にge'=e'g=g, し て,ee'=e'e=e.他
す れ ば,e'e=ee'=e'.ゆ
(ⅱ) 各g∈Gの g'∈Gが
た,gg1を
る い は 右 か ら か け る 」 とい う.
群 の 公 理 系 に 関 し て,補
る い は 左 か ら か け る 」 とい う.ま
際,別
に,gg'=g'g=eと
なる
作 用 させ る こ と に よ り,g'=g-1e=g-1
を 得 る. (ⅲ) 群Gを
定 義 す る 演 算(g1,g2)〓g1g2は,通
と 呼 ば れ る.こ g1g2=g2g1が
の 積 が 可 換 の と き,す 成 り 立 つ と き,Gを
(ⅳ) Gが
可 換 群 の 場 合,演
呼 び,g1g2をg1+g2と の 単 位 元 は0, gの 群Gの
べ て のg1,
る い は"乗 g2∈Gに
法"
対 して
可 換 群 あ る い は ア ー ベ ル 群 と い う.
算(g1,g2)〓g1g2を
書 く場 合 が あ る.こ 逆 元 は-gと
元gとn∈INに
常,"積"あ
な わ ち,す
積 と い う 代 わ り に"和"と
の 場 合 に は,群
は 加 群 と呼 ば れ,そ
書 か れ る.
対 して
(4.1)
と記 し,そ れ ぞ れ,gのn乗,マ
イ ナ スn乗
とい う.
例4.1 任 意のベ ク トル空 間 は,そ の加 法 の演算 に関 して加群 で あ る. 群Gの
元 の個 数 をGの
位 数 とい う.位 数 が 有 限 の 群 は有 限 群 と呼 ば れ,位 数
が 無 限 の 群 は無 限 群 と呼 ば れ る. 群Gの
部 分 集 合HがGの
群 の演 算 に関 して群 で あ る と き,HをGの
群 とい う.容 易 に わ か る よ う に,HがGの は,任 意 のg, h∈Hに
対 して,gh∈Hか
例4.2 加 群 と して のIRdをd次
部分
部分群 であ るための必要 十分条件 つg-1∈Hが
成 り立 つ こ とで あ る.
元 並 進群 とい う.こ れ は無 限群 で あ る.
例4.3
d次
GL(d,IR)と
の 実 正 則 行 列 の 全 体 は 行 列 の 積 の 演 算 に よ っ て 群 に な る.こ 書 き,実
一 般 線 形 群 と 呼 ぶ.GL(d,IR)の
は直 交行 列 はGL(d,IR)の
部 分 群 を な す.こ
れ をd次
の群 を
部 分集 合
元 直 交 群 と い う.ま
(4.2)
た,O(d)の
部分 集合
(4.3) はO(d)の 例4.4
部 分 群 を な す.こ
れ をd次
d次 の複 素 正 則 行 列 の 全体 も群 を なす.こ
と記 す.GL(d,IR)はGL(d,C)の 例4.5
元 回 転 群 と い う.い ず れ も無 限 群 で あ る.
VをIK上
れ を複 素 一 般 線 形 群 と呼 び,GL(d,C)
部 分 群 で あ る.
の ベ ク トル空 間 と し(IK=IRま
用 素 の 全 体 をL(V)と
記 す.こ
の と き,V上
た はC),Vか
らVへ
の全 単射 な線 形作 用素 の全 体
は全 単射 は 作 用 素 の 積 に 関 して 群 を な す.こ 例4.6
ヒル ベ ル ト空 間Hに
の線 形作
れ をV上
(4.4)
の 一 般 線 形 群 とい う.
対 して,
(4.5) (H上
の 全 単 射 な有 界 線 形 作 用 素 の全 体)はGL(H)の
例4.7
ヒル ベ ル ト空 間H上
部 分 群 を な す.
の ユ ニ タ リ作 用 素 の 全 体
(4.6) はGLB(H)の 特 に,H=CNの
部 分 群 で あ る.こ
の 無 限 群 をH上
場 合
はN次
とい う記 号 で 表 され る.CN上 同 一 視 す る と(以 下,こ
の ユ ニ タ リ群 と い う. 元 ユ ニ タ リ群 と 呼 ば れ,通 常,
の 線 形 作 用 素 をN次
の 同 一 視 を適 宜 用 い る),U(N)はN次
体 と同 一 視 で き る.U(N)の
の正方 行列 と
の ユ ニ タ リ行 列 の全
部分 集 合
(4.7) も部 分 群 で あ り,こ れ はN次
の 特 殊 ユ ニ タ リ群 と呼 ば れ る.
4.2.2
線
HをIK上
形
リ ー 群
の ヒ ル ベ ル ト空 間 と す る と き,群GLB(H)はB(H)の
あ る の で,作
用 素 ノ ル ム で の 位 相 が 入 る.以
集 合 と し て 考 え る.Tn,T∈B(H)に
この 位 相 の 入 っ た
つ い て,
つ と き,
が 成 り立
と記 す .
定 義4.2
GをGLB(H)の
部 分 群 とす る.も
な ら ば,常 い る と い い,こ
た はCdの
群GLB(H)自
体 は,定
例4.8
H上
例4.9
GL(d,IK)は,こ
GL(IKd)と
に
場 合 の 線 形 リ ー 群 をd次
明 的 にH上
下,こ
の 線 形 リ ー 群 と い う.
の 線 形 リ ー 群 で あ る.
線 形 リ ー 群 で あ る.
れ に属 す る 元 をIKd上
の 線 形 作 用 素 とみ る こ と に よ り,
同 一 視 で き る.こ の 場 合,GL(d,IK)の
こ とが で き る.以
中で 閉 じて
の 線 形 リ ー 群 と い う.
義 に よ っ て,自
の ユ ニ タ リ群U(H)は
し,
と な る と き,GはGLB(H)の
の よ う な 部 分 群GをH上
特 に,H=IRdま
はd次
下,GLB(H)は
部分集 合で
の 同 一 視 を 用 い る.し
の 線 形 リー 群 で あ る.GL(d,IK)の
部 分 群 はGL(IKd)の
部 分 群 とみ る
た が っ て,O(d),SO(d),U(d),SU(d)
部 分集 合
(4.8) も線 形 リ ー 群 で あ る.こ
れ をd次
の 特 殊 線 形 群 とい う.こ
れ ら の 他 に も種 々 の 線 形
リー 群 が 存 在 す る*3.
4.2.3
変 換 群 と対 称 性
Xを 空 で な い集 合 と し,X上 演 算fgを
の任 意 の2つ
の 写 像f,g:X→Xに
(合 成 写 像,i.e.,
て定 義 す る.明
らか にf9はX上
)に よっ
の 写 像 で あ る.
X上 の 全 単 射 な写 像 の 全体 をG(X)で
表 す.次
の事 実 は基 本 的 で あ る.
命 題4.3 G(X)は
写 像 の 積 演 算 に 関 して 群 を な す.こ
の 恒 等 作 用 素IXで
あ り,
*3 た と え ば
,[23]を
参 照.
対 して,積
の 逆 元 は,fの
の場 合,単 位 元 はX上
逆 写 像 f-1で あ る.
こ の 命 題 を 証 明 す る た め に,次 補 題4.4
の 事 実 に 注 意 す る:
(ⅰ) 任 意 の
(ⅱ) 任 意 の
に 対 し て,
に 対 し て
証 明 (ⅰ) fgの 単 射 性 を 示 す た め に, こ の と き,f(g(x))=f(g(y)).こ 単 射 で あ る か ら,x=y.ゆ め に,
れ とfの え にfgは
を 任 意 に と る.fの
gの 全 射 性 に よ り,x=g(w)と ゆ え にfgは
と し よ う. 単 射 性 に よ り,g(x)=g(y).gは
単 射 で あ る.次
に,fgの
全 射 性 に よ り,y=f(x)と な る
が あ る.し
全 射 性 を示 す た
な る
が あ る.
た が っ て,y=(fg)(w).
全 射 で あ る.
(ⅱ) こ れ は 逆 写 像 の 定 義 か ら 明 ら か. 命 題4.3の
証 明 写 像 の 積 演 算 が 結 合 法 則 を 満 た す こ と は 容 易 に わ か る.X上
の 恒 等 写 像IXは に よ り,題
■
全 単 射 で あ る か ら,G(X)の
元 で あ る.こ
れ ら の 事 実 と補 題4.4
意 が し た が う.
群G(X)をX上
■
の 全 変 換 群(full
transformation
G(X)の
部 分 群 をX上
の 一 つ の 変 換 群 と い う.
例4.10
GL(IKd)はIKd上
の 変 換 群 で あ る.し
group)と
た が っ て,そ
呼 ぶ.
の 任 意 の 部 分 群 もIKd
上 の 変 換 群 で あ る. 例4.11
任 意 の ベ ク トル 空 間Vに
意 の 部 分 群 はV上 例4.12
対 して,V上
の 一 般 線 形 群GL(V)お
(ロ ー レ ン ツ群,ポ
ア ン カ レ群)
と す る.(d+1)次
間
元 ベ ク トル 空
を 考 え,双
線形形式
を
に よ っ て定 義 す る.こ れ をIRd+1上
の ロ ー レン ツ内 積 ま た は ロ ー レ ン ツ計 量 とい う*4.
た だ し,こ れ は 本 来 の 意 味 で の 内 積 で は な い.実 *4 文 献 に よ っ て は
よびそ の任
の 変 換 群 で あ る.
,ミ
際,内 積 の 正 値 性 は成 立せ ず,xの
ン コ フ ス キ ー 内 積 あ る い は.ミ
関
ン コ フ ス キ ー 計 量 と い う 場 合 もあ る.
数g(d+1)(x,x)は
正 に も負 に も な り う る*5.こ
れ る.IRd+1とg(d+1)の
組(IRd+1,g(d+1))を
ク トル 空 間 とい う*6.こ
の よ うな 双 線 形 形 式 は 不 定 内積 と呼 ば 標 準 的(d+1)次
元 ミン コフス キーベ
れ は 特 殊 相 対 性 理 論 の 時 空 を定 義 す る概 念 で あ る(d+1=4
の 場 合). IRd+1上
の 線 形 写 像Λ が ロ ー レ ン ツ計 量 を 保 存 す る と き,す
を 満 たす と き,Λ
をIRd+1上
の ロ ー レ ン ツ写 像 とい う*7.容
なわ ち
易 に わ か る よ う に,ロ ー
レ ン ツ 写 像 Λ は全 単 射 で あ る. IRd+1上
の ロ ー レ ン ツ 写 像 の 全 体 をO(d,1)と
変 換 群 を な す.こ
の 変 換群 を(d+1)次
任 意 のa∈IRd+1と
に よっ て 定 義 す る.こ
表 す.こ
に 対 して,写
像
れ を ポ ア ン カ レ写 像 とい う.ポ
す れ ば,こ れ もIRd+1上
れ は 写 像 の 積 演 算 に 関 して
元 ロ ー レ ン ツ 群 とい う.
の 変 換 群 を な す.こ
を
ア ン カ レ写 像 の全 体 をP(d,1)と
の 場 合,任 意 の
に対 し て
が 成 り立 つ.群P(d,1)を
ポ ア ン カ レ群 と い う.
写 像f:X→XとXの
部 分 集 合Sに
対 して
(4.9) とお く.こ れ はfの
定 義 域 をSに
制 限 して 得 られ る写 像 の像(値 域)で あ る.
TをX上
の 変 換 群 とす る.Xの
部 分 集 合Dが
T(D)=Dを
満 た す と き,DはT-不
変 また はT-対 称 で あ る とい う.こ う して,
各 変 換 群 に 応 じて,Xの
任 意 の
に対 して,
部 分 集 合(抽 象 的 な意 味 で の幾 何 学 的 対 象)に 関 す る対
称 性 が定 義 され る. *5 た と え ば ,x=(0,x1,…,xd)≠0と
い う ベ ク トル を 考 え る と,
で あ り,y=(y0,0,0,…,0)(y0≠0)と とg(d+1)(y,y)>0. *6 抽 象 的 な ミ ン コ フ ス キ ー ベ ク トル 空 間 の 概 念 も あ る[5] *7 "ロ ー レ ン ツ 変 換"と
い うベ ク トル を 考 え る
.
い うの が慣 習 的 な呼 び名 で あ るが
味 で 使 う場 合 が 多 い の で,こ う言 葉 は 使 用 し な い,座
,物 理 で は,こ れ と の 混 同 を 避 け る た め,本 書 で は,ロ
標 変 換 と写 像 は 別 の 概 念 で あ る.
れ を座 標 変 換 の 意 ー レ ンツ変 換 とい
例4.13
IRdのSO(d)-不
た と え ば,IRdの
変 な 部 分 集 合 をd次
中 の 半 径rの(d-1)次
元 の 回 転 対 称(不 変)な 図 形 と い う.
元 球 面
は回転 対
称 で あ る. 例4.14
IRd+1のO(d,1)-不
な 図 形 と い う.た
(
変 な 部 分 集 合 を(d+1)次
元 の ロ ー レ ン ツ対 称(不 変)
とえば
は定 数)― 質量mの
質量 超双 曲面― はロ ー レンツ対称 で あ る.
Xの 部 分 集 合 に 関 す る 対 称 性 は,次 に示 す よ うに,Xの
直積集合
(4.10) ―Xのn重
直 積(n=1
,2,…)―
か ら別 の 集 合 へ の 写 像 に 関 す る 対 称 性 を 誘
導 す る. Yを Yへ
集 合 と し,
をXnか
の 写 像 と す る.こ
の と き,任
意 の
ら
に 対 し て,TF:Xn→Yを
(4.11) に よ っ て 定 義 す る.も ば,FはT-不 例4.15
し,す べ て の
変 ま た はT-対 SO(d)-不
のFは
例4.16 O(d,1)-不
元 の 回 転 対 称(不 変)な
用 い て 写 像F:IRd→IRを
変 な 関 数 を(d+1)次
に よ っ て 定 義 す れ ば,こ
と え ば,
によっ て定
のFは
元 の ロ ー レ ン ツ対 称(不 変)な 関 数 とい う.
用 い て 写像F: ロ ー レ ン ツ対 称 で あ る.
準 同 型 写 像 と核
群 に 関 す る 基 本 的 概 念 を い くつ か 述 べ て お く.G,Hを G→Hが
関 数 とい う.た
回 転 対 称 で あ る.
た とえ ば,IR上 の 任 意 の 関数fを
4.2.4
成 り立 つ な ら
称 で あ る と い う.
変 な 関 数 をd次
[0,∞)上 の 任 意 の 関 数fを 義 す れ ば,こ
に 対 し て,TF=Fが
す べ て の
に 対 し て,
群 と す る.写
像 φ:
を満 たす と
き― こ の性 質 を写 像 φの 準 同 型 性 とい う―,φ 像 とい う.こ れ は,つ
中への準同型写
全射であるとき
準 同 型 で あ る とい う.
全 単 射 な準 同型 写 像 φ:G→Hを 準 同型 写 像 φ:G→Hに 単 位 元)―eH∈Hの 注 意4.1 eGと
らHの
ま り,群 の 構 造 を保 存 す る よ う な写 像 の こ とで あ る.
準 同型 写像 φ:G→Hが GはHに
をGか
同 型 写 像 とい う.
対 して,
(eHはHの
φ に関 す る逆 像― を φ の 核(kernel)と
φ:G→Hが
準 同 型 写 像 な ら ば,φ(eG)=eHで
準 同 型 性 に よ り,
φ(eG)=eHが
出 る).ま
い う. あ る(∵e2G=
両 辺 に左 か ら φ(eG)-1を た,任
意 のg∈Gに
か け れ ば,
対 し て,
(∵
であ る
に よ る).こ
れ ら の 事 実 は,以
後,
断 り な し に 用 い られ る で あ ろ う.
命 題4.5
φ:G→Hを
準 同 型 写 像 と す る と き,kerφ
証 明 上 の 注 意 に よ り,g-1∈kerφ,g∈kerφ.ま 対 し て,
4.2.5
はGの
た,任
部 分 群 で あ る.
意 のg,h∈kerφ
に
し た が っ て,
位
並 進 群IRdや
相
■
群
線 形 リ ー 群 で は,点
列 の 収 束 と極 限 の 概 念 が 定 義 され て い る.こ
の よ う な 群 の 普 遍 化 を 考 え る. Gを
群 と す る.Gが
か らGへ の 逆 元)が 例4.17
位 相 空 間 で あ り(付 録Fを
の 写 像:
お よ びGか
と も に 連 続 で あ る と き,Gは d次 元 並 進 群IRd,ロ
群 は位 相 群 で あ る.
参 照),直 らGへ
積 位 相 空 間G×G の 写 像:
位 相 群 と呼 ば れ る.
ー レ ンツ 群O(d,1),ポ
ア ン カ レ群P(d,1),線
形 リー
4.3 量子 力学 にお ける対 称性 の原 理 的構 造
4.3.1
対 称
性
変 換
前 著[8]の3章,3.1節 空 間Hの
で 定 式 化 し た よ う に,量
射 影 空 間
子 系 の 状 態 は,ヒ の元
こ れ を 射 線 と 呼 ん だ― に よ っ て 表 さ れ る.二 率 は
―
つ の 状 態[Ψ],[Φ]の
で 与 え ら れ た([8],p.255).こ
≪[Ψ],[Φ]≫
ルベル ト
間の遷 移確
こ で は,こ
の量 を
と記 す:
(4.12) 状 態 間の 遷 移 確 率 を保 存 す る よ う な,P(H)上
の写 像 は量 子 系 の基 本 的 な 対 称 性
を表 す もの とみ る こ とが で き る.そ こで,そ の よ う な写 像 に名 前 をつ け て お く: 定 義4.6
全 単 射 な 写 像T:P(H)→P(H)で,す
べ て の
に
対 して
(4.13) を 満 た す も の をP(H)上
の 対 称 性 変 換(symmetry
P(H)上
の 対 称 性 変 換 の 全 体 をSym(H)と
"群=対
称 性"と
transformation)と
呼 ぶ.
記 す.
い う 理 念 に し た が え ば,次
の 事 実 は,対
称 性 変 換 と い う命 名
の 妥 当 性 を 支 持 す る:
命 題4.7
Sym(H)はP(H)上
の 変 換 群 で あ る.
証 明 Sym(H)⊂G(P(H))(4.2.3項 合)で
あ る か ら,任
を 示 せ ば よ い.だ
Hの
に お け るG(X)に
意 のT1,T2,T∈Sym(H)に が,こ
お い てX=P(H)の
対 して,T1T2,T-1∈Sym(H)
れ は 容 易 で あ る.
■
零 で な い 二 つ の ベ ク トル Ψ,Φ が 同 じ 射 線 に 属 す る と き,Ψ
こ と は[8]の3章,3.1節 な ら ば
で 述 べ た.H上
場
の 写 像F:H→Hに
が 成 り立 つ と き,Fを
∼ Φ と記 す
つ い て,「 Ψ ∼ Φ
同 値 性 保 存 写 像 と 呼 ぶ.
F:H→Hが
同 値 性 保 存 写 像 な らば,各 射 線[Ψ]に 対 して,射 線[F(Ψ)]は
[Ψ]の代 表 元 の選 び 方 に よ らず に一 つ 定 まる か ら,P(H)上
の 写 像Fを
(4.14) に よっ て 定 義 で きる.FをFの
誘 導 写像 と呼 ぶ.
容 易 に わ か る よ う に,F:H→Hが 件 は,各
同値 性 保 存 写 像 で あ る た め の 必 要 十 分 条
と各
に 対 して,
が あ っ て,
が 成 り立 つ こ とで あ る.
した が っ て,特
に,H全
体 を定 義 域 とす る線 形 作 用 素 お よび 反 線 形 写 像 は 同
値 性 保 存 写 像 で あ る. 次 の事 実 は容 易 に証 明 さ れ る(演 習 問題1): 命 題4.8
Fが
ユ ニ タ リ また は 反 ユ ニ タ リ な らば,Fは
な わ ち
対 称 性 変 換 で あ る.す
.
逆 に次 の 事 実 が 成 り立 つ: 定理4.9
(ウ ィ グ ナ ー-バ ー グ マ ン(Bargmann)の
Sym(H)に
対 して,H上
定 理)各 対 称 性 変 換T∈
のユ ニ タ リ また は反 ユ ニ タ リな作 用 素Uが
あって
(4.15) と 表 さ れ る.こ ち,別
の よ う な 作 用 素Uは
にT=Wと
満 た す 定 数 θ ∈[0,2π)が
す べ て ユ ニ タ リで あ る か,す
証 明 任 意 の
Ψ ご と に 一 つ 選 ぶ.す
る と,対 応
表 さ れ る.こ
ィ グ ナ ー の 定 理([8]のp.318)に 写 像θF:H→IRが れ は
に,(4.15)を
と な る
写 像 を定 義 し,し か も,遷 移 確 率 を保 存 す る.Tの
な 作 用 素Uと
あ る.特
あっ 満 た
べ て 反 ユ ニ タ リ で あ る か の ど ち ら か で あ る.
に 対 し て,
よ う な ベ ク トル ΨTを
し た が っ て,ウ
なわ
な る ユ ニ タ リ ま た は 反 ユ ニ タ リ な 作 用 素W:H→Hが
た とす れ ば,U=eiθWを すUは
指 数 因 子 を 除 い て 一 意 的 に 定 ま る.す
全 射 性 に よ り,Fは
が あ る.こ
の
はH上
の
全 射 で あ る.
よ り,ユ ニ タ リ ま た は 反 ユ ニ タ リ
存 在 して, を 意 味 す る.し
と た が っ て,T=U.
次 に,U=Wと
し よ う(Wは
ユ ニ タ リ ま た は 反 ユ ニ タ リ).こ
で あ る か ら, が あ る.U,Wの
ユ ニ タ リ 性 ま た は 反 ユ ニ タ リ性 に よ り,│aΨ│=1.し
っ て,
が た だ 一 つ 存 在 し て,
る こ と に よ り,θ(Ψ1)=θ(Ψ2)が 考 え る と,U,Wは
線 形 独 立)を
え に, 考 え
導 か れ る. と も に ユ ニ タ リ で あ る か,と
る か の ど ち ら か で あ り,か つ θ(Φ)=θ(α
たが
と 書 け る.ゆ
こ の 式 で,Ψ=Ψ1+Ψ2(Ψ1,Ψ2∈Hは
は 任 意)を
の と き,
を満 た す 複 素 数
も に 反 ユ ニ タ リで あ
Φ)が 示 さ れ る.し
た が っ て,θ(Ψ)は
に よ ら な い 定 数 で あ る.
4.3.2
射
影
表
■
現
量 子 系 にお い て,空 間 的 ま た は 時 間 的 な"操 作"あ る い は他 の何 らか の"操 作 "を 記 述 す る群Gが 与 え られ た と し よう(た とえ ば ,IRdの 原 点 に関 す る回 転 で あ れ ば,G=SO(IRd)). の空 間P(H)に
Gの 各元gに
よ って 記 述 され る操 作 に対 応 して,状 態
お け る変 換― ρ(g)と 書 こ う― が 誘 導 され る と想 定 す るの は物 理
的 にみ て 自 然 で あ る.こ の 場 合, 群 に な っ て お り,し か もGの
が 対 称 性 変 換 群Sym(H)の
部分
群 構 造 を保 存 す る もの で あ る な らば,こ れ に よっ
て,ρ は,当 該 の量 子 系 の,群Gに
関 す る対 称 性 を記 述 す る も の とみ なせ る で
あ ろ う.こ う して,次 の 定 義 に達 す る: 定 義4.10
Gを
群 とす る.写
をGのP(H)に
Gを
像
お け る 射 影 表 現(projective
群 と し,
よ っ て,各gに
representation)と
を 射 影 表 現 と し よ う.こ
対 し て,ユ
あ っ て,ρ(g)=π(g)と
い う.
の と き,定
理4.9に
ニ タ リ ま た は 反 ユ ニ タ リ な 作 用 素 π(g):H→Hが
書 け る.も
タ リ(反 ユ ニ タ リ)で あ る と き,ρ こ の 場 合,射
が 準 同 型 写 像 で あ る と き,ρ
し,す
べ て のg∈Gに
対 し て,π(g)が
を 射 影 ユ ニ タ リ(反 ユ ニ タ リ)表 現 と い う*8.
影 表 現 ρ は ユ ニ タ リ(反 ユ ニ タ リ)で あ る,と
い う.
そ の 射 影 表 現 が 常 に ユ ニ タ リ と な る よ う な 群 の ク ラ ス を 導 入 し よ う: *8 括弧 は括 弧 に対 応 させ て読 む .
ユニ
定 義4.11
群Gの
と き,Gは
各 元gに
対 し て,元h∈Gが
表 される
平 方 的 で あ る と い う.
定 理4.12
平 方 的 な 群Gの
射 影 表 現 は す べ て ユ ニ タ リで あ る.
証 明 ρ をGの
射 影 表 現 とす る.仮
と 表 さ れ る.準
同 型 性 に よ り,
ρ(g)=π(g).し
た が っ て,定 あ る.再
リ で あ る.し
た が っ て,π(h)2は
例4.18
並 進 群IRdは あ る.し
例4.19
び,定
理4.9に
た が っ て,IRdの
よ り,
方,
を満たす定 数
よ り,π(h)は
ユ ニ タ リ で あ る.ゆ
ユ ニ タ リで あ る か 反 ユ ニ タ え に,題
際,任 意 のx∈IRdに
意 が 成 立 す る. ■
対 して,x=(x/2)+
任 意 の 射 影 表 現 は ユ ニ タ リ で あ る.
対 して,d次
元 回 転 群SO(d)は
平 方 的 で あ る.し
たが っ
任 意 の 射 影 表 現 は ユ ニ タ リ で あ る.
証 明 まず,Aを (tAはAの
が 成 り 立 つ.他
平 方 的 で あ る.実
任 意 のd∈INに
て,SO(d)の
定 に よ り,各g∈Gはg=h2(h∈G)
理4.9に
θ ∈[0,2π)が
(x/2)で
あ っ て,g=h2と
任 意 のd次
の 実 交 代 行 列,i.e.,
tA=-Aを
転 置 行 列 を表 す)と す る と き,eA∈SO(d)で
形 代 数 学 で よ く知 られ て い る よ う に,各T∈SO(d)に p,r∈IN(p+2r=d)お
と 表 さ れ る(た
満 た すd次
あ る こ と に 注 意 す る*9.線 対 し て,直
よ び 定 数
と え ば,[17, p.178]).こ
の実 行 列
交 行 列Pと
定数
が あ って
こ で,Ipはp次
の単位 行列
(4.16)
と お け ば,R(θ)=eθJと
*9 正 方 行 列Aに 問 題19ま
対 して
書 け る.そ
,eA:=Σ∞n=0An/n!.[7]の1章
た は[5]の9章
演 習 問 題17を
参 照.
こで
演 習 問 題31,
[2]の2章
演習
とす れ ば,P-1TP=eY.し る.任
た が っ て,X=PYP-1と
意 の 実 数t∈IRに
た が っ て,こ
対 して,tXは
あ り,T=h2が
任 意 のN∈INに
が っ て,U(N)の
対 して,N次
元 ユ ニ タ リ群U(N)は
平 方 的 で あ る.し
意 の ユ ニ タ リ行 列U∈U(N)に
た
対
対 角 行 列
があ っ
て,
と表 さ れ る([17]の
§5,p.167の
て,X=W-1DWと
お け ば,U=eiXと
書 け る.そ
例 4.21
■
任 意 の 射 影 表 現 は ユ ニ タ リで あ る.
ニ タ リ行 列Wと
h∈U(N)で
こ で,h=eX/2
成 立 す る.
証 明 線 形 代 数 学 で よ く知 ら れ て い る よ う に,任 し て,ユ
表 され
実 交 代 行 列) .し
の 証 明 の は じめ に述 べ た 事 実 に よ り,etX∈SO(d).そ
と お け ば,h∈SO(d)で 例 4.20
お け ば,T=eXと
実 交 代 行 列 で あ る(∵Yは
あ り,U=h2が
定 理7の
応 用) .し
こ で,h=eiX/2と
たが っ お け ば,
成 り立 つ*10.
2次 の 複 素 特 殊 線 形 群SL(2,C)は
■ 平 方 的 で あ る.し
た が っ て,SL(2,C)
の 任 意 の 射 影 表 現 はユ ニ タ リ で あ る. 証 明 A∈SL(2,C)と り,2次
の 正 則 行 列Pが
α ≠0,β
る.結
∈Cは
形 代 数 学 の 一 般 論(ジ
ョ ル ダ ン標準 形 の 理 論)に
あ っ て,
定 数 で あ る.右
が 成 立 す る.た
辺がeYに
等 し い よ う な
X=0)で
書 け る.
(∵
あ る か ら,B∈SL(2,C).よ
っ て,題
意 が成 立
す る.
例 4.22
だ し,
し た が っ て,
お け ば,A=B2,B:=eX/2と
ト レ ー ス を 表 し,Tr
よ
を求 め
果 は 次 の よ う に な る:
X=P-1YPと Trは
す る.線
■
ロ ー レ ン ツ 群O(d,1)の
Λμνと 記 す(μ,ν=0,1,…,d).η 1,…,d),ημν=0,μ
≠ν
任 意 の 元Λ
を 行 列 表 示 で 考 え,そ
を(d+1)次
の 対 角 行 列 で,η00=1,ηjj=-1(j=
を 満 た す も の と す る.こ
の と き,任
の(μ,ν)成
分 を
意 のx,y∈IRd+1に
対 して
(4.17) *10 AがN次
の エ ル ミー ト行 列 な ら ば
,eiA∈U(N).
と書 け る(〈・,・〉IRd+1はIRd+1の
標 準 内 積).こ
の 事 実 を 用 い る と,(d+1)次
の正
方 行 列 Λ が ロ ー レ ンツ 写 像 で あ る た め に は
(4.18) が 必 要 十 分 で あ る こ とが わ か る. Λ ∈O(d,1)と 得 る.し
し よ う.(4.18)の
両 辺 の 行 列 式 を と る こ と に よ り,
を
たが っ て または
ま た,(4.18)の る.し
両 辺 の(0,0)成
(4.19)
分 を 考 え る と
が わ か
た が っ て,
また は そ こ で,detΛ
(4.20)
の 符 号 と Λ00の 値 域 に 応 じて,ロ
合 に 分 け る こ とが で き る.そ
ー レ ンツ 群O(d,1)を
四 つの部 分 集
の一 つ
(4.21) はO(d,1)の group)と
部 分 群 を な す(演 習 問 題2).こ
れ を 固有 ロ ー レ ン ツ 群(proper
Lorentz
呼 ぶ.
d+1=4の 定 理4.13
場 合 を 考 え よ う.こ
の 場 合,次
の事 実 が あ る:
準 同 型 写 像 φ:
で 次 の 性 質(ⅰ)∼(ⅲ)を
の が あ る:(ⅰ)φ は 全 射 で あ る.(ⅱ)各 と な るA∈SL(2,C)が
こ こ で は,紙 定 理4.13に
た だ 一 つ 存 在 す る.(ⅲ)kerφ={±I2}.
数 の 都 合 上,こ よ っ て,任
が あ る.例4.21に
満 たす も
に 対 し て,φ(A)=φ(-A)=Λ
の 定 理 の 証 明 は 割 愛 す る*11.
意 の
に 対 し て,Λ=φ(A)と
よ り,A=B2と
準 同 型 性 に よ り,T:=φ(B)と た が っ て,
な るB∈SL(2,C)が お け ば,
は 平 方 的 で あ る.ゆ
な る.A∈SL(2,C)
とれ る.し
た が っ て,φ の
で あ り,Λ=T2と え に,
書 け る.し
の 任 意 の 射 影 表 現 はユ ニ タ
リで あ る.
注 意4.2 る.こ
線 形 リ ー 群 の 概 念 の 普 遍 化 と し て,リ
れ は,大
*11 た と え ば
ざ っ ぱ に い え ば,可
,[23]のⅣ
通 読 す る 上 で は,定
ー群 な る 群 の ク ラ ス が存 在 す
微 分 多 様 体 の 構 造 が 入 る 群 で あ り,群
章 の §2あ る い は[4]の11章,11-1-2項 理4.13を
認 め て 先 に 進 ん で も 問 題 は な い.
を 参 照.だ
が,本
の演
書 を
算 と逆 元 を 対 応 さ せ る 演 算 が 連 続 で あ る よ う な 群 の こ とで あ る*12.一 な リ ー 群 は 平 方 的 で あ り,し 示 さ れ る.こ
た が っ て,そ
の 一 般 的 事 実 を使 え ば,任
般 に 連結
の 射 影 表 現 は ユ ニ タ リで あ る こ と が
意 のd∈INに
対 して,の
射
影 表 現 は ユ ニ タ リ で あ る こ とが 証 明 さ れ る.
4.3.3 Gを
ユ ニ タ リ 表 現
群 と し,ρ:G→Sym(H)を
よ う に,各g∈Gに
射 影 表 現 と す る.こ
対 し て,ρ(g)=π(g)と
ニ タ リ な 作 用 素π(g)を
一 つ 選 ぶ こ とが で き る.誘
こ と に よ り,π(g)π(h)=π(g)π(h), よ び 定 理4.9に 数 ω(g,h)が
な る,H上
よ っ て,Gの
g, h∈Gが
の と き,す
の ユ ニ タ リ ま た は反 ユ
導 写 像 の 定 義 に戻 っ て考 え る
わ か る.こ
任 意 の 元 の 対(g,h)に
で に述 べ た
れ と ρの準 同型 性 お
対 し て,絶
対 値 が1の
複素
あ って
と 表 さ れ る.群
演 算 の 結 合 則 を 用 い る と,す
べ て のf,g,h∈Gに
対 して
π(f)が ユ ニ タ リ の と き π(f)が 反 ユ ニ タ リ の と き が 示 さ れ る.一 が,そ
般 に は,ω(g,h)を
の よ う な 場 合 も あ り う る.そ
定 義4.14
写 像 π:G→u(H)が
ユ ニ タ リ表 現 と い う .こ
命 題4.15
π がGのH上
て,
の 場 合,Hを
な る よ う に 選 べ る と は 限 ら な い.だ
こ で,次
の 定 義 を 設 け る:
準 同 型 写 像 で あ る と き,π
を,GのH上
の
表 現 空 間 と い う.
で の ユ ニ タ リ 表 現 で あ る と き,任
意 のg∈Gに
対 し
が 成 り立 つ.
証 明 π の 準 同 型 性 に よ り, の ユ ニ タ リ 性 に よ り,
*12 た と え ば
常 に1と
,[14]のⅣ
(注 意4.1を
参 照).他
した が っ て,π(g-1)=π(g)*.
章 を参 照.
方,π(g) ■
Gが
位 相 群 の 場 合 の ユ ニ タ リ表 現 に は 連 続 性 の 概 念 が 伴 い う る.そ
表 現 の ク ラ ス を 定 義 す る た め に,こ
こ で,位
の よ うな
相 空 間 か ら ヒ ル ベ ル ト空 間 上 の 有
界 線 形 作 用 素 の 空 間 へ の 写 像 の 連 続 性 の 概 念 を 定 義 して お く.
定 義4.16
Xを
位 相 空 間,Hを
界 線 形 作 用 素 の 全 体)へ
(ⅰ) 各 Ψ ∈Hに
ヒ ル ベ ル ト空 間,TをXか
対 し て,Xか
らHへ
の 写 像:
ノ ル ム に よ る 通 常 の 位 相)で
continuous)で
あ る と い う.す
と に,任
の有
の 写 像 と す る.
の 強 位 相(Hの
Ψ ∈Hご
らB(H)(H上
な わ ち,Tが
意 の ε>0に
がH
連 続 の と き,Tは
強 連 続(strongly
強 連 続 で あ る と は,各x∈Xと
対 し て,
がx
の 近 傍 を 含 む こ と で あ る*13.
(ⅱ) 任 意 の Ψ, Φ ∈Hに
連 続 で あ る と き,Tは
定 義4.17
位 相 群Gの
が 強 連 続 で あ る と き,π
注 意4.3
対 して,X上
弱 連 続(weakly
の 複 素 数 値 関 数: continuous)で
ヒ ル ベ ル ト空 間Hに
が
あ る と い う.
お け る ユ ニ タ リ 表 現 π:G→u(H)
を 強 連 続 ユ ニ タ リ 表 現 と呼 ぶ.
文 献 に よ っ て,"位
相 群 の ユ ニ タ リ表 現"と
い う 言 葉 に よ っ て,強
連
続 性 も 含 め て い る 場 合 が あ る. 例4.23
ヒル ベ ル ト空 間H上
の 強 連 続1パ
ラ メ ー タ ー ユ ニ タ リ群 は,1次
元 並進 群
IRの 強 連 続 ユ ニ タ リ表 現 で あ る.
強 連 続 ユ ニ タ リ表 現 の 別 の 例 は 次 の 項 で み る こ と に し て,ユ
ニ タ リ表 現 の 強
連 続 性 を 判 定 す る た め の 命 題 を 証 明 し よ う.
命 題4.18
Xを
位 相 空 間,uをXか
らu(H)へ
の 弱 連 続 な 写 像 と す れ ば,uは
強 連 続 で あ る.
*13 点 列 収 束 で い えば て,
,
の と き,す べ て の Ψ ∈Hに 対 し が 成 り立 つ とい うこ と.た だ し,一 般 の 位 相空 間の
場 合 に は,点 列 収 束 に対 してい まの 条件 を満 た して も,強 連 続 で あ る とは い え な い.し か し,本 書 を通 読 す る上 で は,点 列収 束 の 場 合 を念 頭 に おい て い ただ け れ ば十 分 で あ る.
証 明 Ψ ∈Hとx∈Xを
任 意 に と る.u(・)の
ユ ニ タ リ性 に よ り,任
意 のy∈X
に 対 して
と評 価 で き る.一
方,仮
が 存 在 し て,y∈Uε
定 に よ り,任
意 の ε>0に
命 題4.19
が 成 り立 つ. ゆ え にuは
Xを
位 相 空 間,uをXか し,任
証 明 命 題4.18に
らu(H)へ
意 の Ψ,Φ ∈Dに
が 連 続 で あ る な ら ば,uは
の 写 像,DをHの
対 して,X上
稠密 な部分
の 関 数:
強 連 続 で あ る.
よ っ て,uの
弱 連 続 性 を 示 せ ば よ い.任
対 し て,
と お く.Dの と な る Ψn,Φn∈Dが と す れ ば,シ
意 の Ψ,Φ ∈Hに
稠 密 性 に よ り,
あ る.そ
こ で,
ュ ヴ ァ ル ツ の 不 等 式 に よ り, 任 意 の ε>0に
対 し て,番
な ら ば,
号n0が
が 成 立 す る.し さ て,x∈Xを
のy∈Xに
対 して,
関 数Fn0は
連 続 で あ る か ら,任 と な る 近 傍Vε
強 連 続 で あ る. ■
も う少 し使 い や す い 形 に し て お こ う:
空 間 と す る.も
ε>0は
近 傍Uε ,Ψ⊂X
,Ψ な ら ば
し た が っ て,
命 題4.18を
対 し て,xの
意 の ε>0に が あ る.し
が 成 立 す る.ゆ 任 意 で あ っ た か ら,こ
あ っ て, た が っ て,
任 意 に 固 定 す る.任
意
対 し て,
た が っ て,任
意 のy∈Vε
に 対 し て,
え に,
れ は,Fが
点xで
連 続 で あ る こ と を 意 味 す る. ■
4.3.4
保 測 変 換 と ユ ニ タ リ表 現
(X,B,μ)を
σ 有 限 な 測 度 空 間 と す る.写
意 のB∈Bに
対 し て,
う.φ
が 全 単 射 で,φ
像 φ:X→Xが
可 測 で あ る と は,任 が 成 り立 つ こ と を い
お よ び 逆 写 像 φ-1が
と も に 可 測 で あ る な ら ば,φ
は両 可
測 で あ る と い う. 可 測 な 写 像 φ:X→Xが 満 た す と き,φ
す べ て のB∈Bに
は 保 測(measure
対 し て,μ(B)=μ(φ-1(B))を
preserving)で
あ る と い う.こ
の 場 合,μ
は φ
に 関 し て 不 変 な 測 度 あ る い は 単 に φ-不変 測 度 で あ る と い う. 両 可 測 な 保 測 写 像 を 保 測 変 換 と呼 ぶ*14.
命 題4.20
φ:X→Xが
証 明 f:=φ-1(φ
保 測 変 換 な ら ば,φ-1も
の 逆 写 像)の
保 測 性 を 示 せ ば よ い.こ
に 対 して,
あ る か ら,φ の 保 測 性 に よ り, ゆ え にfは
例4.24 IRd上
おけ し た が っ て,
保 測 で あ る.
■
の 任 意 の 直 交 変 換T∈O(d)は,(IRd,
ベ ー グ 測 度)上
て,X上
の と き,任 意 のB∈B
が 成 り立 つ.C=φ(B)と
ば,B=φ-1(C)で
命 題4.21
保 測 変 換 で あ る.
Bd, μdL)(μdLはIRd上
のル
の 保 測 変 換 で あ る(ル ベ ー グ測 度 の 基 本 的 性 質 の 一つ) .
φ:X→XをX上
の 関 数U(φ)Ψ
の 保 測 変 換 と す る.X上
の可 測 関 数 Ψ に対 し
を
(4.22) に よ っ て 定 義 す る.こ
証 明 ま ず,任
意 のA1,…,An∈Bか
(xAはAの
とφ-1の
の と き,U(φ)はL2(X,dμ))上
保 測 性(命
ら つ く ら れ る 単 関 数(階
定義 関数 題4.20)を
αj∈Cは
意味 で 用 い る.
定 数)に
段 関 数)f=
対 し て,積
分 の定 義
用 い る こ と に よ り,
を 示 す こ と が で き る.次 *14 もっ と一般 には
の ユ ニ タ リ作 用 素 で あ る.
に,非
負 の 可 積 分 関 数fに
対 して
,保 測 な写 像 を保 測 変換 とい う場合 が あ る.本 書 で は,こ こ で定 義 した
は,こ
れ を 単 関 数 の 単 調 増 加 列 で 近 似 で き る の で,や
意 の 可 積 分 関 数fに と す れ ば,f±
は 非 負 の 可 積 分 関 数 で あ り,f=f+-f-と
す れ ば,
は 可 積 分 関 数 で あ る か ら,(*)に
こ と が わ か る.し
た が っ て,U(φ)は
で あ る か ら,U(φ)は
書 け る の で,U(φ)
成 り 立 つ.
∈L2(X,dμ)と
と 書 け る.Ψ*Φ
成 り立 つ.任
対 して,
の 線 形 性 に よ り,(*)が さ て,Ψ,Φ
は り(*)が
内 積 を 保 存 す る.さ
全 射 で あ る.ゆ
容 易 に わ か る よ う に,X上
よ り,右
え に,U(φ)は
辺 は 〈 Ψ,Φ 〉に 等 し い ら にU(φ)U(φ-1)=I
ユ ニ タ リ で あ る.
■
の 保 測 変 換 す べ て か らな る集 合
(4.23) は 群 を な す.こ X上
の 群 を(X,B,μ)上
の 全 保 測 変 換 群 と い う.GMP(X)の
部分群 を
の 保 測 変 換 群 と 呼 ぶ.
系4.22
GをX上
φ〓U(φ),φ
の 保 測 変 換 群 とす る.こ
∈GはGのL2(X,dμ)上
証 明 前 命 題 に よ り,Uの
の と き,対 応U:G→u(L2(X,dμ));U:
で の ユ ニ タ リ表 現 を 与 え る.
準 同 型 性 を だ け を み れ ば よ い が,こ
れ は容 易 で あ る. ■
例4.25 ν
∈INと
す る.任
意 のa∈IRν
に対 して,写
像Ta:IRν
→IRν
を
(4.24) に よ っ て 定 義 す る.こ (IRν,Bν,μνL)上
れ をベ ク トルaに
よ る並 進 ま た は平 行 移 動 とい う.写 像Taが
の 保 測 変 換 で あ る こ とは 容 易 に わ か る*15.し
た が っ て,L2(IRν)
上 の 写 像T(a)を
に よ っ て 定 義 す れ ば,T(・)は 数T(a)fを
関数fの,ベ
並 進 群IRν のL2(IRν)に
ク トルaに
*15 ル ベ ー グ 測 度 の 並 進 不 変 性 を 使 う .
お け る ユ ニ タ リ表 現 に な る.関
よ る 並 進 ま た は平 行 移 動 と い う.
ユ ニ タ リ表 現Tの
強 連 続 性 を 示 そ う.そ
C∞0(IRν)と す れ ば,K:=supp
の た め に,命 題4.19を
応 用 す る.g,f∈
gは 有 界 閉 集 合 で あ り,
この 右 辺 にル ベ ー グ の 優 収 束 定 理 を応 用 す る こ とに よ り,関 数: の 連 続 性 が 示 され る.C∞0(IRν)はL2(IRν)で Tは
稠 密 で あ る か ら,命 題4.19に
よ っ て,
強 連 続 で あ る.
Tの す る:
強 連 続 性 の 含 意 の 一つ を み よ う.
上 に 証 明 した 事 実 に よ り,任 意 のt∈IRに
と お く と,{Tj(t)}t∈IRは
強 連 続1パ
を ベ ク トル 空 間IRν の 標 準 基 底 と
対 して
ラ メ ー タ ー ユ ニ タ リ 群 で あ る.し
た が っ て,ス
トー ン の 定 理 に よ り
を 満 た す 自 己 共 役 作 用 素Ljが
た だ一つ 存 在 す る.任
意 の
に 対 して,
(4.25) を 示 す の は 難 し くな い*16.し はC∞0(IRν)を
た が っ て,f∈D(Lj)で
不 変 に して い る の で,
等 式
が 成 り立 つ.こ
運 動 量 作 用 素 のj成
分 で あ る.よ
あ り,
はLjの こで,pjは
芯 で あ る.ゆ
え に,作
用素 の
シュ レーデ ィンガー表現 にお け る
って
(4.26) こ う して,運
動 量 作 用 素pjの(-1)倍
は,ν 次 元 並 進 群 の ユ ニ タ リ表 現Tの
第j座
標 の 並 進 の 生 成 子 で あ る こ とが わ か る. 任 意 のa∈IRν
*16 K
=supp fと
は
お け ば,Kは
と書 け る の で
有 界 で あ り
とす れ ば
右 辺 の 積 分 の被 積 分 関 数 をFt(x)と す れ ば, かつ したが っ て,ル ベ ー グの優 収 束 定 理 に よ り,(4.25)が 得 られ る.
が 成 り立 つ.一
方,pjとpkは
強 可換 で あ ったか ら
(4.27) と な る.た
だ し,
で あ り,apはapの
閉 包― これ は 自 己 共 役― を
表 す. 例4.26
d次 元 直 交群O(d)は(IRd,
Bd, μdL)上 の 保 測 変 換 群 で あ る.ル
の 直 交 変 換 不 変 性 に よ り,φ をO(d)の U:O(d)→u(L2(IRd))はO(d)の 続 で あ る.こ
元 と し て,(4.22)に
ユ ニ タ リ表 現 を与 え る.し
れ に 対 す る証 明 の 方 法 は,例4.25の
例4.27 IRd上
ベ ーグ測度
よっ て定 義 され る対応 か も,こ の 表 現 は 強 連
そ れ と 同 様 で あ る(演 習 問 題3).
の 空 間 反 転Iは
(4.28) に よ っ て 定 義 さ れ る.集
合
(4.29) は位 数2の
群 で あ る.こ
れ を空 間 反 転 群 と 呼 ぼ う,こ れ はO(d)の
は保 測 変 換 で あ るの で,φ をGspの
元 と して,(4.22)に
部 分 群 で あ る.I
よ って 定 義 され る 作 用 素U(φ)
は 空 間 反 転 群 の ユ ニ タ リ表 現 を 与 え る. 容 易 に わ か る よ う に,U(I)は
自己 共 役 で も あ る.ユ
ニ タ リ作 用 素 の ス ペ ク トル は
複 素 平 面 の 単 位 円 周 内 に含 ま れ,自 己 共 役 作 用 素 の ス ペ ク トル は 実 数 の 部 分 集 合 で あ る か ら,
で な け れ ば な ら な い.一
方,
で あ る.し
た
が って
(4.30) を得 る.ゆ
え に,
と直 和 分 解 で きる.量 の 状 態, 例4.28
をU(I)の
固 有 値 ±1に 属 す る 固 有 空 間 とす れ ば
子 力 学 に お い て は,
の 元 を パ リテ ィ が 負(ま SNをN次
よ う.σ ∈SNに
の 対 称 群(す な わ ち,N文 対 し て,IRdのN個
の 元 を パ リ テ ィ が 正(ま
た は偶)
た は 奇)の 状 態 とい う. 字 の 置 換 全 体 か ら な る 置 換 群)と
の 直 積IRdN=IRd×
…
×IRd上
し
の変換 σが
(xj∈IRd,j=1,…,N)に 変 換 で あ り,対
よ っ て 定 義 さ れ る.こ
応 σ → δ はSNの,IRdN上
れ は(IRdN,BdN,μLdN)上
で の 表 現 に な っ て い る.し
の保 測 たが って
(4.31) とす れ ば,SNはIRdNの 定 義 さ れ るU(σ)を
保 測 変 換群 で あ る.ゆ あ ら た め てU(σ)と
す べ て の σ ∈SNに る と い い,ま
た,す
の 関 数 ψ は 反 対 称 で あ る とい う.こ [8]の4章,4.1節
書 け ば,こ れ はSNの
対 して,U(σ)ψ=ψ べ て の σ ∈SNに
え に,φ=δ
と し て(4.22)に
よって
ユ ニ タ リ表 現 を与 え る.
を 満 た す,IRdN上
の関数 ψ は対 称で あ
対 して,U(σ)ψ=ε(σ)ψ
を 満 た す,IRdN上
こ で ε(σ)は置 換 σ の 符 号 を 表 す.こ
れ は,前 著
に 現 れ た,対 称 状 態 関 数 あ る い は 反 対 称 状 態 関 数 の 表 現 論 的 特 徴 付
け を 与 え る.
4.3.5
回 転 群 の 強連 続 ユ ニ タ リ表 現 と一 般 軌 道 角 運 動 量
d次 元 回転 群SO(d)の
強 連 続 ユ ニ タ リ表 現 の あ る一 般 的 構 造 にふ れ て お く.
Hを 複 素 ヒ ル ベ ル ト空 間 と し,UをSO(d)の,Hに
お け る任 意 の強 連 続 ユ ニ タ
リ表 現 とす る. 1〓j-E0(H)と (**)に
よ っ て,-E∈
よ っ て,次 て,ハ
i.e., E0(H)〓0.
な るE∈
σ(H).だ
σ(H)が
が,-E<E0(H)で
の 興 味 深 い 結 論 に 到 達 す る:時
あ る.す
な 構 成 法 に つ い て は,演
あ る か ら,こ
先 に 進 む 前 に,こ
こ で,群
び,
れ は 矛 盾).
間 反 転 は反 ユ ニ タ
間 反 転 を 記 述 す る 反 ユ ニ タ リ作 用 素 の 具 体 的
習 問 題8を
4.4
る と,再
上
間 反 転-時 間 並 進 群 の 射 影 表 現 に お い
ミル トニ ア ン が 非 有 界 か つ 下 に 有 界 で あ る な ら ば,時
リ 作 用 素 に よ っ て 記 述 さ れ る.時
Hは
参 照.
一 般 の 表 現
の ユ ニ タ リ 表 現 を そ の 一 分 節 と し て 含 む,一
般の
表 現 の 概 念 に つ い て 簡 単 に ふ れ て お こ う.
4.4.1
定
IK=IRま る.Gか
義 た はCと
らV上
(〓,V)を 群GのV上 (IK=C)の
群,V≠{0}をIK上
実 表 現(複
こ の 場 合,も
し,す
い う*18.〓
が 単 射 で あ る と き,
い う.
場 合 に は,(〓,H)をGの
べ て のg∈Gに
組
表 現 空 間 と い う*17.IK=IR
素 表 現)と
忠 実 で あ る(faithful)と
ヒ ル ベ ル ト空 間Hの
の ベ ク トル 空 間 と す
の 準 同 型 写 像〓 と ベ ク トル 空 間Vの
で の 表 現 と い い,VをGの
場 合(〓,V)を
表 現(〓,V)は Vが
す る.Gを
の 一 般 線 形 群GL(V)へ
ヒル ベ ル ト空 間 表 現 と い う.
対 し て,〓(g)∈B(H)な
ら ば,表
現(〓,H)
を 有 界 表 現 と呼 ぶ.
注 意4.4
dimV0は
プ ラ シ ア ン を 表 す.次 定 理4.45
Vが
定 数 で あ り,Δxnは
変 数xn∈IRdに
関す る ラ
の 定 理 も 容 易 に 証 明 さ れ る.
置 換 対 称 で あ り,HNは
自 己 共 役 で あ る と し よ う.こ
の と き,HNは
上 で 本 質的 に 置 換 対 称 で あ る.
4.7 対 称 性 と保 存 則
4.7.1 Hを
一
般
的
構
造
ヒ ル ベ ル ト空 間H上
し,(U,H)を
そ のG-対
ン を 表 す と し よ う.作
の 自 己 共 役 作 用 素 で群Gに
称 性 の 表 現 と す る.い
進 群 や 回 転 群 の 場 合 の よ う に,連
と え ば,H上
トー ン の 定 理 に よ り,一
対 し て,
保 存 量 で あ る*22.と
続 パ ラ メ ー ター で 定 義 され
成 子 と 呼 ば れ る,い
さ れ る こ と が 知 ら れ て い る(た
は,そ
量 子 系 の ハ ミ ル トニ ア
成 り立 つ の で,U(g)は
る 位 相 群 の 場 合 に は,U(g)は,生
群 は,ス
ま,Hは
称 な もの と
用 素 解 析 の ユ ニ タ リ 共 変性 に よ り,各g∈Gに ,∀t∈IRが
こ ろ で,Gが,並
関 し てG-対
くつ か の 作 用 素 か ら 構 成
の 強 連 続1パ
ラ メ ー ター ユ ニ タ リ
つ の 自 己 共 役 作 用 素 に よ っ て 生 成 さ れ る).で
の よ う な 作 用 素 も保 存 量 に な る で あ ろ う か.
簡 単 の た め,こ
こ で は,Gの
元gが
い くつ か の 実 パ ラ メ ー タ ーt1,…,tnの
よ っ て 定 義 さ れ,自 己 共 役 作 用 素Aj,j=1,2,…,nが に 対 して,tj=0の
組 に
存 在 し て,各j=1,…,n
近傍 で
(4.45) と 表 さ れ る 場 合 を 考 え よ う*23. *22 以 後
,保 存 量 の概 念 を 自己共 役作 用 素 以 外 に も拡 大 して 使 う.す なわ ち,任 意 のt∈IR に対 して,eitHAe-itH=Aを 満 たす作 用 素 はハ ミル トニ ア ンHに 関 して保 存 量 で あ る と定 義 す る. *23 詳 細 は割 愛 す るが ,線 形 リー 群 の よ う な場 合,こ の形 に帰 着 で きる.
定 理4.46
H,G,Uを
上 述 の よ う な も の と す る.こ
の と き,各Ajは
保存量で
あ る.
証 明 (4.45)を
満 た す よ う なtjを
べ て のs∈IRに
対 して,
任 意 の ベ ク トル と し,tj=0で か つ
と る.こ
の と き,HのU(g)-不
.こ の 式 で,Ψ
れ は
辺 も 右 辺 も 自 己 共 役 で あ る か ら,
て,Ajは
保 存 量 で あ る.
例4.35
(T,L2(IRν)を
この と き,L2(IRν)上
例4.25に
お い て 定 義 さ れ た,強
連 続 ユ ニ タ リ表 現 と す る. に よ っ て 定 義 す る.た
己 共 役 作 用 素-iDjと-iDkは
変 で あ る こ と も容 易 に わ か る.し
の 生 成 子 た ち,す な わ ち,運 動 量p1,…,pν この 事 実 は,Hとpjの
たが っ ■
は 本 質 的 に 自 己 共 役 で あ る([8]の 補 題4.15-(ⅱ)の に 対 して,T(a)-不
.し
の線 形 作 用 素Hを
し,λjは 実 定 数 で あ る*24.自
をD(Aj)の
の 強 微 分 を 考 察 す る こ と に よ り, で あ る こ と が 導 か れ る.こ
を 意 味 す る.左
変 性 に よ り,す
はHに
強 可 換 性 に 注 目 す れ ば,た
応 用)*25.さ
だ
強 可 換 で あ る か ら,H ら に,Hが,a∈IRν
た が っ て,定 理4.46に
よ り,T(a)
関 す る 保 存 量 で あ る.も だ ち に わ か る.こ
ち ろ ん,
こで は,こ
の事
実 を 対 称 性 の 観 点 か らみ た わ け で あ る.
4.8 回転 対称 性 と軌 道 角運 動 量 作用 素 の保 存
前 節 の 定 理 を軌 道 角 運動 量 作 用 素 に応 用 し よ う.d〓2を 元 の 軌 道 角運 動 量 は,CCRの
自然 数 とす る.d次
シ ュ レー デ ィ ン ガ ー表 現 に お い て
(4.46) (4.47) を満 た す 作 用 素 の 組(Mjk)j
,k=1,…,dに よ っ て 定 義 され る.Mjkを
量(の 成 分)作 用 素 あ る い は単 に成 分 とい う.た だ し,xjは か け 算 作 用素(位 置 作 用 素),pj:=-iDjは *24 た と え ば
軌道 角運動
座 標 変 数xjに
運動 量 作 用 素 で あ る.
,H=D21-D22-…-D2ν(ν 次 元 の ダ ラ ン ベ ー ル シ ャ ン). *25 フ ー リ エ 解 析 を 用 い て 直 接 的 に も 証 明 で き る .
よる
4.3.5項
に お け る 一 般 論 を い ま の 場 合 に 応 用 す れ ば,
(4.48) を 満 た す,L2(IRd)上 C∞0(IRd)を
の 自 己 共 役 作 用 素Ljkが
不 変 に す る の で,C∞0(IRd)はLjkの
に 対 し て
た だ 一 つ 存 在 す る.Vjk(θ)は 芯 で あ り,任 意 の ψ ∈C∞0(IRd) .が
に,す べ て の φ ∈C∞0(IRd)に
成 り立 つ.し
た が っ て,特
対 して .た
だ し
平 均 値 の 定 理 に よ り,
であ
り,
.よ っ て,ル
ベ ー
グ の 優 収 束 定 理 に よ り. を 得 る.し
た が っ て,
意 味 す る.こ
定 理4.47
.こ
う し て,次
れ は,
を
の 事 実 が 証 明 さ れ た こ と に な る.
各j,k=1,…d,j≠kに
対 し て,MjkはC∞0(IRd)上
で本質的 に
自己 共 役 で あ り
(4.49) が 成 り立 つ.
式(4.49)は,軌
道 角 運 動 量 作 用 素Mjkが,xj-xk平
転 群 の 生 成 子 の(-1)倍 定 理4.47と 系4.48
で あ る こ とを示 して い る.
定 理4.46か
HをL2(IRd)上
j,k=1,…d,j≠kに
面 の 回 転 に対 応 す る 回
ら次 の 結 果 が 得 られ る: の 回 転 対 称 な ハ ミ ル トニ ア ン とす る.こ
対 し て,軌
道 角 運 動 量 作 用 素MjkはHに
の と き,各 関 して 保 存
量 で あ る. 例4.36 る と す る.
H=-Δ,HV.た
だ し,Vは
回 転 対 称 で,HVは
本 質的 に 自 己 共 役 で あ
4.9 軌 道 角 運 動 量 の 固有 空 間 に よ る直和 分 解(I)―2次
例4.3.6と
命 題4.37に
よ り,回
転 対 称 な シ ュ レ ー デ ィ ン ガー 型 作 用 素 は軌 道
角 運 動 量 の 固 有 空 間 へ 簡 約 さ れ る.こ の 節 で は2次
4.9.1
元 空 間の 場 合
の 構 造 を 具 体 的 に 見 て み た い.ま
ず,こ
元 空 間 の 場 合 を 考 え る.
L2(IR2)の
2次 元 空 間IR2の
直和分解 点 を(x,y)(x,y∈IR)と
運 動 量 は,L2(IR2)で
表 す.2次
元 空 間 に お け る軌 道 角
働 く作 用 素
(4.50) で 与 え ら れ る.た
だ し,Dx,
作 用 素 で あ る(x, yに
θ ∈IRに
そ れ ぞ れ,x, yに
関 す る一 般 化 され た偏 微 分
よ る か け 算 作 用 素 を ふ た た びx, yと
た よ う に,MはC∞0(IR2)上 で 表 す.各
Dyは
記 す).す
で 本 質的 に 自 己 共 役 で あ る.そ
で に証 明 し
の 閉 包 も 同 じ記 号
対 して
(4.51) とお け ば,2次
元回転群 は
(4.52) と表 され
(4.53) が 成 り立 つ. 定 理4.23に
よ っ て,σ(M)=σp(M)⊂〓
の ス ペ ク ト ル を 完 全 に 決 定 した い.そ
は す で に わ か っ て い る.こ の た め に 極 座 標(r,θ)(r>0,θ
こ で は,M ∈[0,2π))
を 用 い る:
(4.54)
極 座 標 へ の 移 行 に は,あ
る ユ ニ タ リ変 換 が 伴 う こ と を 示 そ う.
正 の 実 数 空 間IR+:=(0,∞)と
区 間[0,2π)の
直積 空間
(4.55) に は 直 積 測 度dμ:=rdr れ る*26.以
後,便
dθ が は い る の で,ヒ ル ベ ル ト空 間L2(E,dμ)が
宜 上,L2(E,dμ)の
に よ っ て,IR+×IRに
考 えら
関 数 ψ の 定 義 域 を,ψ(r,θ)=ψ(r,θ+2π)
拡 張 し て お く.写
像P:L2(IR2)→L2(E,dμ)を
(4.56) に よ っ て 定 義 す れ ば,Pが L2([0,2π])上
ユ ニ タ リ で あ る こ と は 容 易 に わ か る.
の 作 用 素pθ を 次 の よ う に 定 義 す る:
(4.57) (4.58) た だ し,AC2[0,2π]は[0,2π]上
の 絶 対 連 続 関 数fでf'∈L2([0,2π])を
も の の 全 体 で あ る*27.[7]の2.3.8項
で 証 明 し た よ う に,pθ
満たす
は自 己 共 役 で あ り
(4.59) が 成 り立 つ.こ の 場 合,各 固 有 値l∈〓
の 多重 度 は1で
あ り,こ れ に 属 す る 規
格 化 さ れ た 固 有 ベ ク トル は
(4.60) で 与 え ら れ る. 以 下,自
然 な 同 一 視(同
用 い る*28.こ 作 用 素Bに
型)
の 場 合,L2(IR+,rdr)上 対 し て,A
*26 任 意 の ボ レ ル 集 合B⊂IR
I, I Bを +,C⊂[0,2π)に
はCの ル ベ ー グ 測 度 を 表 す. *27 [7]のp.147を 参照 . *28 [8]の4 .1.3項 を 参 照.
を 自由 に の 閉 作 用 素Aお そ れ ぞ れ,A,Bと
よ びL2([0,2π])上 表 す.
対 し て,μ(B×C)=(∫Brdr)│C│.│C│
の閉
任 意 のψ∈C∞0(IR2)に
対 し て,Pψ
∈D(pθ)で
あ りpθPψ=PMψ
が成 り
立 つ こ と は合 成 関 数 の 微 分 法 に よ り,容 易 に わか る.C∞0(IR2)はMの
芯 であ
り,pθ は 自己 共 役 で あ る か ら,作 用 素 の 等 式
(4.61) が 結 論 さ れ る.し
た が っ て,ス
ペ ク トル の ユ ニ タ リ不 変 性 に よ り,次
の定理 を
得 る.
定 理4.49
(4.62) 各l∈〓
に対 して
(4.63) 証 明 (4.63)だ
け 証 明 す れ ば よ い.ψ
し た が っ て,a.e.rに 立 つ.Pψ
対 し て 定 数f(r)が
∈L2(E,dμ)で
ψ=P-1f
∈ker(M-l)と
す れ ば,pθPψ=lPψ.
あ っ て,(Pψ)(r,・)=f(r)φlが
あ る か ら,f∈L2(IR+,rdr)で
あ る.し
成 り た が っ て,
φl.
逆 に ψ=P-1f か ら,(4.61)に
φl(f∈L2(IR+,rdr))と よ り,ψ
∈D(M)で
す れ ば,Pψ
あ り,Mψ=lψ
∈D(pθ)で
が 成 り立 つ.す
ある
な わ ち,
ψ ∈ker(M-l).
[7]の 例1.20で を な す.し ψ(r,θ)は
■
み た よ う に,{φl}l∈〓 はL2([0,2π])の
た が っ て,任
意 の ψ ∈L2(E,
θの 関 数 と し てL2([0,2π])に
完 全 正 規 直 交 系(CONS)
dμ)に 対 して,a.e.rを
固 定 す る ご とに
属す るので
(4.64) と 表 さ れ る(L2([0,2π])に
お け る 強 収 束).た
だ し
(4.65)
ベ ッセ ル の不 等 式 の応 用 に よ り,任 意 の 自然 数Lに が 成 り立 つ こ とが わ か る.こ (4.64)はL2(E,dμ)の
対 して,
れ と ル ベ ー グ の 優 収 束 定 理 に よ り,
強 収 束 の 意 味 で も 収 束 す る こ と が わ か る.ゆ
えに
(4.66) とす れ ば
(4.67) が 成 り立 つ(Hlが
で あ る.し
閉 部 分 空 間 で あ る こ と は 容 易 に わ か る).(4.63)に
よ り
た が って
(4.68) と無 限 直 和 分 解 で き た こ とに な る.
4.9.2
ラ プ ラ シ ア ンの 直 和 分 解
一 般 化 さ れ た2次
元 ラプラシア ン
(4.69) は,定
理4.42に
和 分 解(4.68)に
よ り,SO(2)-対 応 じ て,直
称 で あ る か ら,命
題4.37に
和 分 解 さ れ る.(4.61)か
ユ ニ タ リ表 現 の 生 成 子Mは,L2(E,dμ)上
よ り,L2(IR2)の
ら わ か る よ う に,SO(2)の
の ほ う が 簡 潔 な 形 を も つ.ラ
ア ン に つ い て も 同 様 の こ と が 期 待 さ れ る.L2(E,dμ)上
直
プラシ
で の ラプラシアン
(4.70) は,定
義 域 をPD(Δ)と
し て,L2(E,dμ)で
自 己 共 役 で あ る.命
題4.37を
い ま
の 場 合 に応 用 す れ ば
(4.71)
と直 和 分 解 され る.た だ し,Δ(l)r,θ はΔr ,θのHlに
お け る 部 分 で あ る.こ の作 用
素 の具 体 的 な表 示 を適 当 な部 分 空 間上 で 求 め て み よ う. 次 の記 法 を導 入 す る:
ψ∈C∞0(IR2)と しよ う.容 易 に確 か め られ る関 係 式
を用 い る と
が 導 か れ る.こ れ か ら
と な る こ と が わ か る.し
たがって
(4.72) IR+上
の 関 数fが
次 の 条 件(ⅰ)∼(ⅲ)を
満 た す と き,fは
空 間D0に
属 す ると
い う: (ⅰ) f∈L2(IR+,rdr). (ⅱ) (0,∞)上
で2回
連 続 微 分 可 能 でlimr→0f(r)が
存 在 し,limr→0rf'(r)=
0.
(ⅲ) す べ て のl∈〓 f∈D0と
に 対 して,
し
(4.73)
と す る.こ
の と き,任
意 のψ∈C∞0(IR2)に
を 得 る.PC∞0(IR2)はΔr,θ
対 して,部
分積分 に よ り
の 芯 で あ る か ら,ψ(l)f∈D(Δr,θ)か
つ
(4.74) が 成 り立 つ.し
た が って
(4.75) とお け ば
(4.76) 上
(4.77)
と な る こ と が わ か っ た.
4.9.3
シ ュ レーデ ィ ン ガ ー型 作 用 素 の 直和 分 解
V:IR2→IRを
回 転 対 称 な ポ テ ン シ ャ ル と し よ う.こ
け の 関 数 で あ る の で,V=V(r)と
書 く こ と に す る.シ
用 素HV:=-Δ+VはD(Δ)∩D(V)上 そ の 閉 包 も 同 じ記 号HVで
れ は
だ
ュ レー デ ィ ンガ ー 型 作
で 本 質 的 に 自 己 共 役 で あ る と仮 定 し, 表 す.こ
の と き,定
称 で あ る の で,HVは
直 和 分 解(4.68)に
換PHVP-1のHlに
お け る 簡 約 部 分 をH(l)Vと
理4.43に
よ っ て,HVは
応 じ て 分 解 さ れ る.HVの
回転 対 ユ ニ タ リ変
し
(4.78) と お く.こ
の と き,上
の議 論 か ら
(4.79) 上
(4.80)
が 成 り立 つ こ と が わ か る.こ
う し て,ハ
れ は 自 然 な 仕 方 でL2(IR+,rdr)上 (radial
part)と
ミ ル トニ ア ンHVの
解 析 はHlV―
の 作 用 素 と み る こ と が で き,HVの
動径 部 分
呼 ば れ る― の 解 析 の 問 題 に 帰 着 さ れ る.
4.10 軌 道 角運 動量 の固 有空 間 に よる直和 分解(Ⅱ)―3次
4.10.1
こ
元 空 間 の場合
3次 元 空 間 にお け る軌 道 角 運 動 量 の成 分 の 変 換性
3次 元 空 間 に お い て は,独 立 な 軌 道 角 運 動 量 の成 分 は3個 で あ り,そ れ らは, 符 号 の 不 定 性 を除 い て,次 の 作 用 素 に よ って 与 え られ る(4.8節
を参 照):
(4.81) こ れ らの 作 用 素 の組
(4.82) を― こ れ 自 体 は 作 用 素 で は な い が― 便 宜 上,3次 い う こ と に す る.こ と考 え ら れ る.有
れ は,そ
元 の(量
子)軌
道角運動量 と
の 成 分 が 線 形 作 用 素 で あ る よ うな ベ ク トル の一 種
限 次 元 空 間 の ベ ク トル の 成 分 の 変 換 に 対 応 す る あ る 概 念 を導
入 す る:
定 義4.50
d∈INと
(A1,…,Ad)が
す る.L2(IRd)上
の 線 形 作 用 素A1,…,Adの
回 転 に 関 して ユ ニ タ リ装 備 的 で あ る(unitary
は,す べ て のg∈SO(d)とψ∈∩dj=1D(Aj)に
組A=
implementable)と
対 し て,Urot(g)-1Ψ∈∩dj=1D(Aj)
であ って
(4.83) が 成 り立 つ と き を い う.
注 意4.6 IRdの
v:IRd→IRd;IRd∋x〓v(x)∈IRdをIRd上
の ベ ク トル 場 と し,
標 準 基 底ej=(0,…,0,1,0,…,0)(j=1,…,d)に
関 す る成 分 表 示
を(υj(x))dj=1と
す る:
とす れ ば,(ej)dj=1はIRdの
こ の と き, 基 底 で あ り,こ
の 基 底 に 関 す るv(x)の
第j成
分 を
υj(x)と す れ ば 成 り立 つ.こ
が
の 構 造 と の ア ナ ロ ジ ー か らい え ば,(4.83)の
標 系 の 回 転 に 伴 う,"作 こ れ が,回 (4.83)の
用 素 成 分"A1,…,Adの
右 辺 は,IRdの
直 交座
変 換 を 表 す も の と解 釈 さ れ る.
転 群 の ユ ニ タ リ表 現 に よ るユ ニ タ リ変 換 で 与 え られ る とい う の が式 意 味 で あ る.
回 転 に 関 し て ユ ニ タ リ装 備 的 な 作 用 素 の 組 の 基 本 的 な 例 に つ い て は 演 習 問 題 4を み よ. 軌 道 角 運 動 量Lは
定 理4.51
回 転 に 関 して ユ ニ タ リ装 備 的 で あ る こ と を 証 明 し よ う:
す べ て のg∈SO(3)に
対 し て,作
用素 の等式
(4.84) が 成 り立 つ.こ
こ で,右
辺 は,作
証 明 ま ず,(4.84)がC∞0(IR3)上 Urotと
用 素
で 成 立 す る こ と を 示 す.証
記 す.ψ∈C∞0(IR3),θ∈IR\{0}と
も の と し,U1(θ):=U(R23(θ))と
の 閉 包 を 表 す.
す る.Rjk(θ)を4.8節
お く.こ
の と き,U1(θ)=e-iθL1で
した が っ て
ただ し
と こ ろ で,R23(-θ)=I+K(θ)と
明 を 通 して,U=
書 け る.た
だ し
で 定 義 した あ り
し た が っ て,Kg(θ):=gK(θ)g-1と と な る.こ
お け ば,gR23(-θ)g-1x=x+Kg(θ)(x)
こ で
に注意す れば
と な る.し
た が っ て,L2(IR3)収
と な る こ と が わ か る.ゆ
束の意味で
えに
が 得 ら れ る.と
こ ろ でgj=(g1j,g2j,g3j)と
g2×g3の
分 は
第j成
し,εjkl(j,k,l=1,2,3)は
す れ ば,g2とg3の
ベ ク トル 積 と書 け る.た
だ
次 の よ う に 定 義 さ れ る 数 で あ る(反 対 称 シ ン ボ ル ま
た は レ ビ ・チ ビ タ シ ン ボ ル と 呼 ば れ る):
(j,k,l)が(1,2,3)の
偶 置換 の とき
(j,k,l)が(1,2,3)の
奇 置 換 の と き
(4.85)
その 他 の場 合 した が っ て
(4.86)
と な る.gが る.つ
直 交 行 列 で あ る こ と は〈gj,gk〉=δjk
ま り,{gj}3j=1はIR3の
正 規 直 交 基 底 を な す.こ
し て,〈gk,g2×g3〉=0と
な る こ と,お
い る と,g2×g3=g1と tg=g-1を
,(4.84)でj=1と
同値 で あ
の 事 実 とk=2,3に
よ び〈g1,g2×g3〉=det
な る こ と が わ か る.こ
使 えば
(j,k=1,2,3)と
対
g=1を
用
れ を(4.86)の
右 辺 に 代 入 し,
し た 場 合 をC∞0(IR3)上
に制 限 した 関 係
式 が 得 ら れ る.
C∞0(IR3)はL1の 芯 で あ る か ら,任 意 の ψ ∈D(L1)に
L1ψ(n→
∞)と
な るψn∈C∞0(IR3)が
対 して,ψn→
とれ る.φn:=U(g)ψnと
ψ,L1ψn→ す れ ば,φn∈
C∞0(IR3)で あ り上 に 示 し た 事 実 に よ り, は,n→
∞ の と き,U(g)L1ψ
左辺
に収 束 す る.他
っ て,
方,φn→U(g)ψ(n→
∞).し
たが
を 意 味 す る.右
辺 は
か つ
が 結 論 さ れ る.こ
れ は
対 称 作 用 素 で あ り,左 す る.j=2,3の
4.10.2
辺 は 自 己 共 役 で あ る か ら,(4.84)でj=1の
場 合が成立
場 合 も 同 様 に して 証 明 さ れ る.
■
軌 道 角 運 動 量 の2乗
軌 道 角 運 動 量 の2乗
は
(4.87) に よ っ て 定 義 さ れ る 非 負 対 称 作 用 素 で あ る(C∞0(IR3)⊂D(L2)に L2│C∞0(IR3)の フ リ ー ド リ ク ス 拡 大 をΛ
と す る(2.8.5項
Λ は 非 負 自 己 共 役 作 用 素 で あ り,C∞0(IR3)はΛ1/2の
定 理4.52
任 意 のg∈SO(3)に
Λ はSO(3)-対
証 明
証 明 を 通 し て,U(g)=Urot(g)と
,Λ
を 参 照).し
た が っ て,
芯 で あ る*29.
はUrot(g)-不
変 で あ る.す
な わ ち,
称 性 を も つ.
U(g)はC∞0(IR3)を
*29 実 は
対 し て,Λ
注 意).
不 変 に す る.定
はC∞0(IR3)上
る 読 者 は,た
お く.任 理4.51に
意 のg∈SO(3)に
よ っ て,任
意のψ,φ∈C∞0(IR3)
で 本 質 的 に 自 己 共 役 で あ る こ とが 証 明 で き る.証
と え ば,[19]のp.61,
Lemma
2.20を
対 し て,
参 照 さ れ た い.
明 に興 味 の あ
に 対 し て(Lj=U(g)-1[U(g)LjU(g)-1]U(g)と
変 形 で き る こ と に 注 意)
そ こ で,
に 注 意 す れ ば,最
〈ψ,U(g)-1ΛU(g)φ〉
に 等 し い こ と が わ か る.し
〈Λ1/2U(g)ψ,Λ1/2U(g)φ〉.C∞0(IR3)は 任 意 の ψ ∈D(Λ1/2)に
D(Λ)の
た が っ て,〈 Λ1/2ψ,Λ1/2φ〉=
Λ1/2の 芯 で あ る か ら,極 限 理 論 に よ り,
対 し て,U(g)ψ
〈Λ1/2U(g)ψ,Λ1/2U(g)φ〉,ψ,φ
∈D(Λ1/2)で
∈D(Λ1/2)で
あ り,〈 Λ1/2ψ,Λ1/2φ〉=
あ る こ と が 示 さ れ る.U(g)φ
場 合 を考 え る こ と に よ り,U(g)-1ΛU(g)⊂
で あ る か ら,そ れ ら は 一 致 し な け れ ば な ら な い.す よ っ て,題
後 の 式 は
Λ が 出 る.両
∈
辺 と も自己 共役
な わ ち,U(g)-1ΛU(g)=Λ.
意 が 成 立 す る.
系4.53
■
各Lj(j=1,2,3)と
証 明 e-iθLj(θ
∈IR)はUrot(g)の
e-iθLjΛeiθLj=Λ.こ
4.10.3
Λ の
Λ は 強 可 換 で あ る.
れ はLjと
固
有
特 殊 な 値 で あ る か ら,定
理4.52に
よ り,
Λ の 強 可 換 性 を 意 味 す る.
■
値
系4.53に よ っ て,軌 道 角 運 動 量 の2乗 Λ と,Lj(j=1,2,3)の うち の任 意 の 一つ は同時固有空間 をもちうる .こ の こ と を 念 頭 に お い て Λ の 固 有 値 を 求 め よ う.結
(r>0,φ
果 的 に 言 え ば,2次
元 空 間 の 場 合 と 同 様,こ
の 場 合 も3次
元極座 標系
∈[0,2π),θ ∈([0,π])に 移 る と 便 利 で あ る こ と が わ か る*30.直
積集合
に は 直 積 測 度dν:=r2dr
sinθdθ dφ が 入 る.し
た が っ て,ヒ
L2(Ω,dν)が
座 標 変 換 に 対 応 し て,ユ
ニ タ リ 変 換T:L2(IR3)→
考 え ら れ る.極
*30 物 理 描 像 的 な 理 由 は ,軌 道 角 運動 量 の2乗
の 回転 対 称性 に あ る.
ル ベ ル ト空 間
L2(Ω,dν)が
(4.88) に よ っ て 定 義 さ れ る. 2次
元 の 軌 道 角 運 動 量Mの
L2(IR+,rdr)
場 合 と 同 様 に し て― 自 然 な 同 型L2(Ω,dν)=
L2([0,π],sinθdθ)
L2([0,2π],dφ)を
用 い る と簡単 ―
(4.89) を証 明 す る こ とが で きる.し た が って
(4.90) で あ り,L3の
固 有 値m∈〓
に属 す る固 有 関 数 はF(r,θ)exp(imφ)と
与 え られ る.た だ し,Fは
い う形 で
とい う条 件 を満
た す 関 数 で あ る. 合 成 関 数 の微 分 法 に よ り,任 意 のf∈C∞0(IR3)に
を 示 す こ と が で き る.こ
れ ら の 表 示 式 と(4.89)を
や 長 い 計 算 を 行 う こ と に よ り,任
意 のf∈C∞0(IR3)に
対 して
用 い て,初
等 的 で あ る が,や
対 して
(4.91) (4.92) が 成 り立 つ こ とが わ か る.作 用 素 Λ の形 をみ れ ば わ か る よ うに,そ の 固有 関 数 は変 数 分 離 法 に よ っ て求 め られ る こ とが 予 想 され よ う.実 際,fを 数 とし
とす れ ば
θだ け の 関
で あ る か ら,Λ の 固 有 ベ ク トル方 程 式
(λ ∈IR)は
(4.93) と い う 形 を と る.x=cosθ, f(θ)=F(x)と
す れ ば,こ
の方程式 は
(4.94) と書 か れ る.こ れ は級 数 展 開の 方法 で 解 くこ とが で きる*31.特 か つlが 非 負 の 整 数 の 場 合 を考 え る と,(4.94)は て,ル
に,λ=l(l+1)
古 典 的 な微 分 方 程 式 論 に お い
ジ ャ ン ドル の 陪 多 項 式 の 満 た す 微 分 方 程 式 と して知 られ て い る方 程 式 に
ほ か な らな い.ル
ジ ャ ン ドルの 陪 多 項 式 とい うの は
(4.95) に よ っ て 定 義 さ れ る 多 項 式 で あ る.こ こ で,右 辺 の 関 数Pl(x)は
ル ジ ャ ン ドル
の 名 で 呼 ば れ るl次 の 多 項 式 で
(4.96) と い う形 を も ち,ル
ジ ャ ン ドル の 微 分 方 程 式
(4.97) を 満 た す*32.し │m│>lな
た が っ て,(4.93)の
ら ばPml=0で
一 つ の 解 はf(θ)=Pml(cosθ)で
あ る.
あ る こ と に 注 意 し よ う.
次 の 式 を 証 明 す る こ と が で き る(証
明 は 難 し く な い)*33:
(4.98) *31 た と え ば *32 [7]の1章 *33 [13]の2章
,[13]の2章
を 参 照.
,演 習 問 題7を ま た は[12]のp
参 照.詳 .136を
し く は,[13]の2章 参 照.
ま た は[12]のp.57を
み よ.
し た が っ て,特
にPml(cosθ)はL2([0,π],sinθdθ)の
Pml(cosθ)とPml'(cosθ)は
直 交 す る.関
元 で あ り,l≠l'な
ら ば,
数
(4.99) お よ び そ の1次 結 合 はl次 の 球 関 数 と呼 ば れ る.関 数 系
はL2([0,π]×[0,2π],sinθdθ dφ)に こ と が で き る*34.し
た が っ て,任
L2([0,π]×[0,2π],sinθdθ
お い て完 全 直 交 系 で あ る こ とを 証 明 す る 意 の ψ〓L2(Ω,dν)とa.e.r>0に
対 し て,
dφ)の 収 束 の 意 味 で
(4.100) と 展 開 さ れ る.こ に よ り,任
こ で,展
意 のL〓INに
開 係 数al, m(r)に
ッセ ル の 不 等 式 の 応 用
対 して
が 成 り立 つ こ と が わ か る.こ L2(Ω,dν)に
つ い て は,ベ
れ と ル ベ ー グ の 優 収 束 定 理 に よ り,(4.100)は,
お け る 収 束 の 意 味 で も成 立 す る こ と が わ か る.し
た が っ て,L2(Ω,dν)
の 部 分 空 間Klを
(4.101) に よ っ て定 義 す れ ば,こ れ は 閉部 分 空 間で あ り
(4.102) *34 た とえ ば ,[23]の5章 §2を 参 照.い まは,こ の事 実 を認 め て,こ の項 の 終 わ りま で読 み進 んだ ほ うが全 体 の 流 れ を把 握 しや す い で あ ろ う.
と直 和 分 解 さ れ る.し た が って
(4.103) が 成 り立 つ. 関 数 系yに Dy:=L(y)を
よ っ て 生 成 さ れ る,L2([0,π]×[0,2π],sinθdθ dφ)の 定 義 域 と す る 線 形 作 用 素RΛ
部分 空間
を
(4.104) に よ って 定 義 す る.関 数 系yの 閉包 も同 じ記 号RΛ
完 全 性 に よ り,RΛ
は対 称 作 用 素 で あ る.そ の
で表 す.こ の と き
(4.105) (4.106) dimMl=2l+1で
あ る か ら,RΛ
の 固 有 値l(l+1)は(2l+1)重
に縮 退 して
い る. さ て,W:L2(Ω,dν)→L2(IR+,r2dr)
L2([0,π]×[0,2π],sinθdθ
dφ)を
自然 な 同 型 と す れ ば
(4.107) が 成 り立 つ.し 2.9.6項
た が っ てWTAT-1W-1⊃I
の 事 実 に よ っ て,RΛ
はL2(IR+,r2dr)
Dy上
はDy上
RΛ│L2(IR+,r2dr)
Dy.
[7]の
で 本 質 的 に 自 己 共 役 で あ る か ら,I
で 本 質 的 に 自 己 共 役 で あ る.し
RΛ
た が っ て作 用 素 の 等 式
(4.108) が 成 り立 つ.こ
れ と テ ン ソ ル 積 の ス ペ ク トル の 理 論 に よ り,次 の 定 理 が 得 ら れ る:
定 理 4.54
(4.109) であり
(4.110)
軌 道 角 運 動 量 の 大 き さは
(4.111) に よ っ て定 義 され る.上 の 定理 とス ペ ク トル写 像 定 理 に よ り
(4.112) │L│の 固 有 値 (4.89)に T-1Klに
を 特 徴 づ け る 非 負 整 数lを
よ っ て,閉
部 分 空 間T-1Klはe-itL3の
お け る 簡 約 部 分 は(2l+1)個
こ と が わ か る.こ
4.10.4
軌 道 角 運 動 量 の 量 子 数 と い う. 不 変 部 分 空 間 で あ り,L3の
の 固 有 値m=-l, -l+1,
…, lを
もつ
れ を 軌 道 角 運 動 量 の 方 向 量 子 化 と い う*35.
シ ュ レ ー デ ィ ンガ ー型 作 用 素 の 簡 約
こ の 項 で は 次 の 仮 定 の も と で 考 察 す る: 仮 定:ポ
テ ン シ ャ ルV:IR3→IRは
回 転 対 称 で あ る と し,シ
ガ ー 型 作 用 素HV:=-Δ+VはD(Δ)∩D(V)上
ュ レー デ ィ ン
で本 質 的 に 自己共 役 で
あ る と す る(そ の 閉 包 も 同 じ記 号 で 表 す).
補 題4.55
HVとΛ
は 強 可 換 で あ る.
証 明 す で に み た よ う に,任 た が っ て,す
意 のt〓IRに
べ て のf,g〓C∞0(IR3)に
が 成 り 立 つ.C∞0(IR3)はΛ1/2の 式 は,す D(Λ1/2)が
べ て のf,g〓D(Λ1/2)へ わ か る).す
eitHVΛe-itHΛ.こ *35 軌 道 角 運 動 量 の 第
対 し て,eitHVLje-itHV=Lj.し
対 して
芯 で あ っ た か ら,極
限 議 論 に よ り,こ
と 拡 張 さ れ る(同
時 にe-itHVD(Λ1/2)⊂
る とΛ ⊂eitHVΛe-itHVが
れ は,Λ 一成 分L
とHVの 1,第
導 か れ る.し
た が っ て,Λ=
強 可 換 性 を 意 味 す る.
二 成 分L2に
の等
つ い て も 同 様 の こ と が 示 さ れ る.
■
さて
(4.113) と お け ば,補 る の で,そ
題4.55に のKlに
よ り,HVは,直
和 分 解(4.102)に
お け る 部 分 をH(l)Vと
応 じて 直 和 分 解 さ れ
す る.
とす れ ば
(4.114) とな る.こ
う して,HVの
解析 は,L2(IR+,r2dr)上
の 作 用 素HlVの
解 析 に還 元
さ れ る.
4.11
4.11.1
リー 代 数 的 構 造 と対 称 性
リー代 数 とそ の 表 現
こ れ まで は,群 の 表 現 と い う観 点 か ら,量 子 系 にお け る対 称 性 の構 造 に関 す る 基 本 的側 面 を み て きた.こ
こで,前 節 まで の 議 論 を注 意 深 く振 り返 っ て 眺 め
る と,連 続 群(位 相 群)の ユ ニ タ リ表 現 の場 合,表 現 の特 性 は,最 終 的 に は,そ の 表 現 の生 成 子― た とえ ば,回 転 群 の ユ ニ タ リ表 現 の 場 合 に は,軌 道 角 運 動 量 で あ り,空 間 並 進 群IRdの
場 合 に は,運 動 量,時 間並 進 群 の場 合 に は,ハ ミル ト
ニ ア ン― の そ れ に帰 着 さ れ る こ とが わ か る .ゆ え に,こ の 場 合 に は,対 称 性 の 現 出 にあ た っ て,生
成子 の 集 合 が よ り基 本 的 で あ る と考 え られ る.そ こ で,も
し生 成 子 の集 合 が 何 らか の 普 遍 的 な代 数 的構 造 を有 す る な ら ば.む 代 数 的 構 造 の ほ う を,群
よ り も高 い 位 階 に あ っ て,よ
しろ,こ の
り深 い 次 元 か ら対 称 性 を
統 制 して い る基 本 的 理 念 の 一 つ とみ なす こ とが で き よ う.実 際 にそ の よ うな代 数 的構 造 は 存 在 す る.そ の 一 つ が 次 に定 義 す る リ ー代 数 で あ る. 定 義4.56
gをIK上
(X,Y)〓[X,Y]が
のベ ク トル 空 間 とす る.写 像[・,・]:g×g→g;
g×g∋
あ っ て,次 の条 件(ⅰ)∼(ⅲ)を 満 た す と き,こ の 写 像 をg上
の 括 弧 積 また は リー 括 弧 積 と呼 び,gをIK上
の リー代 数 ま た は リー環 とい う.
(ⅰ) (線 形 性)[aX+bY,Z]=a[X,Z]+b[Y,Z],a,b〓IK,X,Y,Z〓g.
(ⅱ) (反 対 称 性)[X,Y]=-[Y,X],X,Y〓g. (ⅲ) (ヤ コ ビ恒 等 式)[X,[Y,Z]]+[Y,[Z,X]]+[Z,[X,Y]]=0,X,Y,Z〓g. IK=IR, Cに 例4.37
応 じて,そ VをIK上
れ ぞ れ,gを
の ベ ク トル 空 間 と す る と き,V上
換 子 積[A,B]:=AB-BAを 例4.38 IK上
実 リ ー 代 数,複
括 弧 積 と してIK上
のn次
素 リ ー 代 数 と い う.
の 線 形 作 用 素 の 全 体L(V)は
の リ ー 代 数 に な る.
の 正 方 行 列 の 全 体Mn(IK):={A=(Aij)i,j=1,…,n│Aij〓IK}
は 交 換 子 積 に よ っ て,IK上
の リ ー代 数 に な る.こ
般 線 形 リー 代 数 と い う.こ
れ は リ ー 代 数 と して のL(IKn)(前
例4.39 N〓INに
の リ ー代 数 をgl(n,IK)と 例)と
表 し,一
同 じで あ る.
対 して
は リ ー代 数 を な す.こ
れ を示 す た め に,ま ず,す べ て のt〓IRに
らば,ス トー ンの 定 理 に よ り,N次 に 注 意 す る.し た が っ て,Xは
の エ ル ミー ト行 列Aが
交代 行 列 で あ る.逆
は エ ル ミー ト行 列 で あ る の で,す る.し
交
べ て のt〓IRに
に,Xが
対 して,etX〓U(N)な
あ っ て,X=iAと
書 け るこ と
交 代 行 列 な ら ば,A:=-iX
対 して,etX=eitA〓U(N)で
あ
たが っ て
(4.115) 右 辺 の 集 合 が 交 換 子 積 に 関 して リ ー代 数 を な す こ と は容 易 に わ か る.u(N)をN次 元 ユ ニ タ リ群U(N)の 例4.40
N〓INに
リ ー 環 と い う. 対 して
は リ ー代 数 を な す.証 書 け る(Aは t〓IRに
明 は 次 の 通 り:前 例 に よ り,任 意 のX〓su(N)はX=iAと
エ ル ミー ト行 列).detetX=1に
よ り,eitTrA=1.こ
対 して 成 立 しな け れ ば な ら な い か ら,TrA=0で
を 満 た す 交 代 行 列 と す れ ば,す 容 易 に わ か る.よ
べ て のt〓IRに
あ る.逆
対 してetX〓SU(N)で
れが すべ ての にXを,TrX=0 あ る こ とは
って
(4.116) 右 辺 の 集 合 が リ ー代 数 に な る こ と も 簡 単 に示 さ れ る.su(N)をN次 群SU(N)の
リ ー環 とい う.
元特殊 ユ ニ タ リ
例4.41
例4.39,例4.40と
同 様 に,Vが
有 限 次 元 ベ ク トル 空 間 でGがV上
の線 形
リ ー 群 で あ る と き,
(4.117) に よ っ て定 義 され る 集 合 は交 換 子 積 に 関 して リー 代 数 を な す こ と が 証 明 さ れ る(簡 単 で は な い)*36.こ
注 意4.7
の リー 代 数 を線 形 リー 群Gの
上 述 の 例 に お い て は,リ
ー 括 弧 積 は 交 換 子 積 で 与 え ら れ て い る が,そ
う で な い リ ー 代 数 の 例 も 存 在 す る(演
例4.39,例4.40,例4.41は
リー 環 とい う.
習 問 題5).
線 形 リ ー 群 と特 定 の リ ー 代 数 と の 関 係 を 与 え る.
一 般 の リ ー群 につ い て も同 様 の 関 係 が あ る と い う の は,リ と は,リ
ー 代 数 を"積 分 し て"得
ー 群 の"微
分"な
.非
常 に 大 ざ っ ぱ に い え ば,リ
ら れ る も の で り,逆
の で あ る.こ
れ が,リ
に み れ ば,リ
ー群 ー代数
ー群 よ り も リー代 数 の 方 を よ り
根 源 的 な 存 在 と み る 理 由 の 一 つ で あ る. 群 の 場 合 と 同 様,リ
ー 代 数 に つ い て も そ の 表 現 の 概 念 が 存 在 す る:
定 義4.57
gをIK上
の リ ー 代 数,VをIK上
g→L(V)が
線 形 で あ り,か
立 つ と き,(π,V)ま
の ベ ク トル 空間 と す る.写
つ[π(X),π(Y)]=π([X,Y]),
た は 単 に π をgのV上
の 表 現 空 間 と 呼 ぶ.表
像 π:
X,Y〓gが
で の 表 現 と い う.こ
成 り
の 場 合,Vをg
現 空 間 が ヒ ル ベ ル ト空 間 の 部 分 空 間 の 場 合 に は,ヒ
ルベ
ル ト空 間 表 現 と い う. Vの
部 分 空 間Dに
つ い て,π(X)D⊂D,
X〓gが
成 り立 つ と き,Dを
πの
不 変 部 分 空 間 と い う. も し,π の 不 変 部 分 空 間 が{0}, ほ か に な い な ら ば,π
注 意4.8 例4.42
V―
こ れ ら を 自 明 な 不 変 部 分 空 間 とい う― の
は 既 約 で あ る と い う.
言 葉 の 混 用 で あ る が,{π(X)│X〓g}をgの Vを
ベ ク トル 空 間 とす る.L(V)の
い れ ば(i.e., A,B〓h⇒[A,B]〓h), の 場 合,π(A):=A,
A〓hと
*36 た と え ば
,[23]の3章
部 分 空 間hが
を 参 照.
交 換 子 積 に 関 して 閉 じて
hは 交 換 子 積 に 関 し て リ ー 代 数 を な す.こ
す れ ば,(π, V)はhの
表 現 とい う.
表 現 と い う場 合 も あ る.
表 現 を 与 え る.こ
れ をhの
恒等
例4.43 gをIK上
の リー 代 数 とす る.各X〓gに
に よ っ て 定 義 で き る.こ 現(adjoint
例4.44
の と き,Adはg上
representation)と
L2(IR3)で
対 して,Ad(X)〓L(g)を
で のgの
表 現 で あ る.こ
れ をgの
随伴 表
い う.
働 く 軌 道 角 運 動 量(L1,
L2,
L3)は
交 換 関係
(4.118)
を満 た す([8]の3章,
3.4.4項).し
た が って,L1,
の 部 分 空 間
L2, L3か
ら生 成 され る,L(C∞0(IR3))
は 交 換 子 積 に 関 し てリー 代 数 を な す.
リ ー 代 数 の 同 型 の 概 念 は 次 の よ う に 定 義 さ れ る:
定 義4.58 g1,
g2をIK上
の リ ー 代 数 とす る.ベ
線 形 作 用 素)T:g1→g2で
括 弧 積 を保 存 す る も の,す
T([X,Y]),
X,Y〓g1を
い う.Tを
リ ー 代 数 の 同 型 写 像 と い う.
4.11.2
ク トル 空 間 同 型(i.e.,全 な わ ち,[T(X),T(Y)]=
満 た す も の が 存 在 す る と き,g1とg2は
同型であ る と
リー代 数 に関 す る対 称 性
gを 複 素 リ ー 代 数 と し,(π, V)をgの 素 ヒ ル ベ ル ト空 間Hの
複 素 ヒ ル ベ ル ト空 間 表 現 と す る(Vは
部 分 空 間).H上
の 自 己 共 役 作 用 素A―
テ ク ス トで は 物 理 量― に つ い て,eitAπ(X)⊂ り立 つ と き,Aはg-対
π(X)eitA,
複
量子力学の コ ン
∀t〓IR,
∀X〓gが
成
称 性 を も つ と い う.
こ の 対 称 性 の 概 念 は,群 が 次 の よ う に し て わ か る.い
に関 す る対 称 性 の あ る種 の 一 般 化 に な って い る こ と ま,各X〓gに
対 し て,π(X)は
役 で あ る と し よ う.(そ
の 閉 包 も 同 じ 記 号 π(X)で
の 定 理 に よ り,π(X)は
強 連 続1パ
す る.そ
単射 な
表 す).こ
本 質的 に 自己共 の と き,ス
トー ン
ラ メ ー タ ー ユ ニ タ リ群{eitπ(X)}t〓IRを
生成
こで
(4.119)
と お け ば,こ がg-対
れ はH上
の ユ ニ タ リ群u(H)の
称 性 を も て ば,任
が わ か る.し AのGg-対
意 のX〓gに
部 分 群 で あ る.自
対 し て,π(X)はAと
た が っ て,eitπ(X)Ae-itπ(X)=A,
己 共 役 作 用 素A 強可換であ るこ と
∀t〓IRが
導 か れ る .こ
逆 にAがGg-対
称 性 を も て ば,Aはg-対
称 性 を も つ こ と も 容 易 に わ か る.
だ が,上
の 定 義 の 要 点 は,π(X)が
い こ と,ま
た,本
を 含 む,よ
り大 き な 群 に 関 す る対 称 性 を もつ 必 要 は な い と い う 点 に あ る.
4.11.3
ハ イ ゼ ン ベ ル ク ・ リ ー 代 数 の 表 現 と して の 正 準 交 換 関 係
Nを
れは
称 性 を 意 味 す る*37.
必 ず し も本 質 的 に 自己 共 役 で あ る必 要 は な
質 的 に 自 己 共 役 で あ っ て も,g-対
自然 数 と す る.(2N+1)個
成 さ れ る 複 素 リ ー 代 数hに
の 元X1,
称 な 自 己 共 役 作 用 素 が ,Gg
…, XN, Y1,
…, YN, Z≠0か
ら生
お いて
(4.120) (4.121) が 成 り立 つ と き,hを(2N+1)次
元 の ハ イ ゼ ン ベ ル ク ・リー代 数 とい う.
前 著[8]に お い て,正 準 交 換 関係(CCR)の に 据 え た が,実
表 現 を量 子 力 学 の 基 本 原 理 の 一 つ
は,そ れ は抽 象 的 な意 味 で の ハ イゼ ンベ ル ク ・リ ー代 数 の 表現
とみ るの が 適 切 で あ る.実 際,次 の 事 実 が 成 り立 つ: 定 理4.59
を 自 由 度NのCCRの
し,QjD⊂D, PjD⊂D, j=1,
…, Nと
す る),表
表 現 とす る と き(た だ 現 π:h→L(D)(D上
の線
形 作 用 素 の 全 体)で
を 満 た す も の が 存 在 す る.π
証 明 hの 元X1,
…, XN, Y1,
は 単 射 で あ る.
…, YN, Zは
線 形 独 立 で あ る.実 と し,こ
*37 G gに つ い て は,恒
等 表 現 を 採 用 し て い る.
際,
れ とXkと
の括弧積 を
と れ ば,iβkZ=0.
Z≠0で
弧 積 を 考 え る と αk=0を Q1, …, QN,
あ る か ら,βk=0.ま 得 る.し
P1, …, PN, IはL(D)の
た,(*)とYkと
た が っ て,γ=0も
出 る.同
様 に し て,
元 と し て 線 形 独 立 で あ る.し
た が っ て,
ベ ク トル 空間 同 型 写 像 に 関 す る 存 在 定 理([5]のp.31,定
理1.22)に
ル 空 間 同 型 写 像 π:h→L({I,Qj,Pj│j=1,…,N})で Pj, π(Z)=Iを
の括
よ り,ベ ク ト
π(Xj)=Qj,
満 た す も の が た だ 一 つ 存 在 す る.こ
れ がhの
π(Yj)=
表 現 で あ る こ とは
容 易 に わ か る.
4.11.4 Hを
■
リー 代 数 の 表 現 と し て の 第 二 量 子 化
複 素 ヒ ル ベ ル ト空 間,
し([8]の4章,4.3節),H上 用 素 をdΓ(A)と
をH上
の 全 フ ォ ッ ク空 間 と
の 稠 密 に 定 義 さ れ た 可 閉 作 用 素Aの
す る*38.Hの
部 分 空 間Dに
対 し て,F(H)の
あ る 番 号n0が
第二量子化作 部分 空間
あ っ て,n〓n0な
ら ば Ψ(n)=0
(4.122) を 定 義 す る.次 補 題4.60
の 事 実 が 成 り 立 つ:
A, BをH上
の 稠 密 に 定 義 さ れ た 可 閉 作 用 素 と し,[A,
B]も 稠 密 に
定 義 さ れ た 可 閉 作 用 素 で あ る と す る(D([A,B]):=D(AB)∩D(BA)).こ き,す
べ て の Ψ〓Ffin(D([A,B]))に
の と
対 して
(4.123) 証 明 n〓INを
任 意 と して,Ψ= nj=1Ψj,
対 し て(4.123)を
*38 [8]の4章
では
示 せ ば よ い.第
,Aが
Ψj〓Dと
い う形 の ベ ク トル Ψ に
二量子化作用素の定義 によ り
自 己共 役 の場 合 だ け考 え たが,容 易 にわ か る よ う に,Aが
定義 され た可 閉 作 用 素の 場 合 に も,dΓ(A)は
ま った く同 じ形 で定 義 され る.
稠密に
dΓ(B)dΓ(A)Ψ
は,い
か ら(4.123)が
得 ら れ る.
さ て,H上
ま の 式 でAとBを
D⊂D(A)か
部 分 空 間Dが
つAD⊂D(i. の と き,写
れ らの事 実 ■
の 稠 密 に 定 義 さ れ た 可 閉 作 用 素 の 集 合gが
リ ー 代 数 を な す と し,Hの
る*39.こ
入 れ 換 え た も の で あ る.こ
e., Dはgの
あ っ て,す
交 換 子 積 に関 して複 素
べ て のA∈gに
不 変 部 分 空 間)が
対 し て,
成 り立 つ も の と す
像 π:g→L(Ffin(D))を
(4.124) に よ っ て 定 義 す れ ば,補
題4.60に
で あ る こ とが わ か る.こ
う して,第
よ っ て,(π,Ffin(D))は
リ ー 代 数 のgの
二 量 子 化 作 用 素 を通 し て,L(H)の
表現
中のあ る
ク ラ ス の リ ー 代 数 は 全 フ ォ ッ ク 空 間 上 に そ の 表 現 を もつ. 第 二 量 子 化 作 用 素dΓ(・)は ボ ソ ン フ ォ ッ ク 空 間Fs(H)お ッ ク 空 間Fas(H)に
よ っ て 簡 約 さ れ る.そ
よび フ ェル ミオ ンフ ォ
の 簡 約 部 分 を そ れ ぞ れ,dΓs(・),dΓas(・)
と し
(4.125) (4.126) と す れ ば(Ps:F(H)→Fs(H), Pas:F(H)→Fas(H)は
そ れ ぞ れ,ボ
フ ォ ッ ク 空 間Fs(H),フ
の 正 射 影 作 用 素) ,
πs,πasもgの
ェ ル ミ オ ン フ ォ ッ ク 空 間Fas(H)へ
ソ ン
表 現 を 与 え る.
こ の 種 の 表 現 は 量 子 場 の 理 論 に お い て 重 要 な 役 割 を演 じ る.
4.11.5
角 運 動 量 代 数
す で に み た よ う に(例4.44),軌 数 を な す.だ
が,L2(IR3)は
道 角 運 動 量 が 生 成 す る ベ ク トル 空 間 は リ ー 代
具 象 的 な ヒ ル ベ ル ト空 間 で あ る の で,軌
道角運動量
に よ っ て形 成 され る リー代 数 は あ る抽 象 的 な リー代 数 の表 現 の 一 つ とみ るの が 自 然 で あ る.こ
の 考 え 方 は,軌
道 角 運 動 量(L1,
L2, L3)以
と 同 じ交 換 関 係 を 満 た す も の の 存 在 に よ っ て 補 強 さ れ る. *39 gの
自 明 な 例 はg
=B(H).こ
の 場 合,D=H
.
外 の 物 理 量 で(4.118)
例4.45
ス ピ ン1/2の
ス ピン角運動 量
(4.127) ―C2で
働 く 自 己 共 役 作 用 素 ― も(4 .118)と
例4.46
ス ピ ン1/2の
ル ベ ル ト空 間 は NC2で の 第j成
分(j=1,
量 子 的粒 子 がN個
同 じ交 換 関 係 を満 た す.
存 在 す る 系 の ス ピ ン 自 由度 に関 す る状 態 の ヒ
あ り,この 場 合 の 全 ス ピ ン角 運 動 量
2, 3)は
(4.128)
(Iは 恒 等 作 用 素)で 与 え ら れ る.S(N)1, S(N)2, S(N)3も(4.118)と
同 じ交 換 関 係 を 満
た す. 例4.47
3次 元 ユ ー ク リ ッ ド空 間IR3の
中 に 現 象 す る,ス
ピ ン1/2を
粒 子 の 状 態 の ヒ ル ベ ル ト空 間 と して, こ の 場合 の全 角 運 動 量J:=(J1,
J2, J3)(軌
もつ量 子 的 が と れ る.
道 角 運 動 量+ス
ピ ン角 運 動 量)の 第j成
分は
(4.129) に よ っ て 定 義 さ れ る.こ 例4.48 N個
れ ら も(4.118)と
同 じ交 換 関 係 に した が う.
の(内 部 自 由 度 を も た な い)量 子 的 粒 子 の 系 の 状 態 ヒ ル ベ ル ト空 間 (自 然 な 同 型 に よ る 同 一 視)に お い て 定 義 され る線 形 作 用 素
(4.130) も,た
と え ば, NC∞0(IR3)(
換 関 係 を 満 た す.L(N)jは す こ と に す る.こ
は 代 数 的 テ ン ソ ル 積 を 表 す)上 で(4.118)と
同 じ交
本 質 的 に 自 己 共 役 で あ り,そ の 閉 包 も 同 じ記 号L(N)jで
の と き,自 己 共 役 作 用 素 の 組(L(N)1,
L(N)2, L(N)3)はN粒
表
子 系の 全
軌 道 角 運 動 量 を 表 す. 例4.49 N個
の ス ピ ン1/2の
(L2(IR3; C2)のN重
量 子 的 粒 子 の 系 の 状 態 ヒ ル ベ ル ト空 間 NasL2(IR3; C2)
反 対 称 テ ン ソ ル 積;ス
ピ ン1/2の
量 子 的 粒 子 は フ ェ ル ミ オ ンで
あ る こ と に注 意)に お い て 定 義 され る 線 形 作 用 素
(4.131)
は 自 己 共 役 で あ る.作 運 動 量 を 表 す.こ 例4.50
用 素 の 組J(N):=(J(N)1,
れ も(4.118)と
J(N)2, J(N)3)は
こ の 系 にお け る 全 角
同 じ交 換 関 係 を満 た す.
(量 子 場 の 軌 道 角 運 動 量)L2(IR3)上
の フ ォ ッ ク空 間F#(L2(IR3))(#=
s, as)に お い て
とす れ ば,こ れ らの 作 用 素 は 自己 共 役 で あ り,補 題4.60に で,(4.118)と は,量
同 じ交 換 関 係 を満 た す こ と が わ か る.作
子場 の 理 論 の コ ン テ ク ス トで は,4次
よ っ て,P#Ffin(C∞0(IR3))上 用 素 の 組(M#
,1, M#,2, M#,3) 元 時空 にお け るス カラー量 子場 の空 間的
軌 道 角 運 動 量 を 表 す. こ れ ら の 例 を 一 つ の リ ー 代 数 の 異 な る 表 現 と み る こ と に よ り,統 へ と 移 行 す る こ と が で き る .そ
一 的 な観 点
の リー代 数 とは次 の 定 義 に よっ て 与 え ら れ る も
の で あ る. 定 義4.61
3個 の 元J1, J2,
J3(Jk≠0, k=1,
2, 3)か
ら生 成 され る 複 素 リ ー
代 数Aが
を満 た す と き,Aを 定 理4.59と
角 運 動 量 代 数 とい う.
同様 に して,L1,
L2, L3は 角 運 動 量 代 数Aの
表 現 であ る こ とが わ
か る(演 習 問題6). 同様 に ス ピ ン1/2の
角 運 動 量s1, s2, s3もAの
表 現 で あ る.こ れ は既 約 表 現
で あ る(演 習 問題7). 上 述 の他 の 例 もす べ てAの
表 現 で あ る こ とが わ か る.
角 運 動 量 代 数 の 表 現 とい う理 念 は,先 述 の例 に現 れ る種 々 の 角 運 動 量 を 統 一 す る に と ど ま らず,角
運 動 量 の 概 念 を拡 大 す る.た
とえ ば,ス
ピ ンが1/2と
は
異 な る ス ピ ン角 運 動 量 は も と よ り,ア イ ソ ス ピ ンの よ うな 内 部 自 由度 で さえ も 一 種 の 角 運 動 量 とみ な す こ とが 可 能 に な る*40 . *40 ア イ ソ ス ピ ン とは
,荷 電 以 外 の性 質 は ほぼ等 しい素 粒 子 を同 じ素 粒 子 の 異 な る固 有状 態 とみ るた め の量 子 数 で あ る.た とえ ば,核 子 の ア イ ソス ピ ンは1/2で,通 常 の ス ピ ンの
場 合 と同 様,2種 類 の 固有 状 態 が 可 能 で あ り,そ れ ぞ れ,陽 子 と中性 子 に対 応 す る.同 様 に π 中 間子 の アイ ソス ピ ンは1で3種 類 の異 な る固有 状 態 が 可 能 で あ り,そ れぞ れ, π+,π0,π-と い う 中間 子 に対 応 す る.
自然 哲 学 的認 識 論 の観 点 か ら は,角 運 動 量 代 数 の 理 念 に よっ て,非 常 に豊 か な― 事 実 上,無
限 的 とい って よ い― 量 子 的現 象 の展 開 を内 蔵 す る,自 然 ・宇 宙
の 根 源 的 な構造 の 一 つ が 認 識 され た こ と に な るの で あ る. 次 の事 実 に も注 目 しよ う. 命 題4.62
su(2)とAは
リー代 数 と して 同 型 で あ る.
証 明 su(2)の 任 意 の元Xは,例4.40に
と い う 形 に 書 か れ る.た
よって
だ し,α*=-α,β
∈Cで
あ る.そ
こ で,写
像T:
su(2)→Aを
に よ って 定 義 す れ ば,こ れ は リー代 数 の 同 型 写 像 を与 え る こ とが 確 か め られ る. ■ この 命 題 に よ り,角 運 動 量 代 数 の表 現 を求 め る問 題 は,su(2)の
表現 を求める
問 題 に帰 着 され る.こ れ を用 い る こ と に よ り,次 の 重 要 な事 実 が 得 られ る. 定 理4.63 Sj:=π(Jj)(j=1, 角 運動 量代 数Aの
2, 3)を 有 限 次 元 ヒ ルベ ル ト空 間Hに
既 約 な表 現 と し,各Sjは
自 己共 役 で あ る とす る.こ の と き,
非 負整 数 ま た は正 の 半 奇 数(1/2, 3/2, 5/2,…)lが 成 り立 つ.こ の 場 合,j=1, 固 有値mの
存 在 して,dimH=2l+1が
2, 3に 対 して,
多 重 度 は1で あ る.さ
ら に,Aの
お け る,
各 有 限 次 元 既 約 表 現 は こ の型 の表 現
に 限 る. この 定 理 の 証 明 は こ こで は しな い*41. 上 の 定 理 に い う既 約 表 現 を 区 別 す る数lは,物 動 量 の1成 *41 た と え ば
理 的 に は,量 子 的 粒 子 の角 運
分 の と り うる値 の 最 大 値 で あ る と解 釈 され る.ス ,[5]の10章,演
習 問 題2や[23]の
Ⅲ
章,§4を
参 照.
ピ ン角 運 動 量 の場
合 に は,こ れ を ス ピ ン量 子 数 と呼 び,Aの(2l+1)次
元 既 約 表 現 をス ピ ンlの
表 現 と い う. 例4.51 l次
の 球 関 数Yl,mで
空 間Ml(4.10.3項
生 成 さ れ る,
の部 分
を 参 照)は
に よ っ て 定 義 さ れ る,角 π(Jk)はLkを
運 動 量 代 数 の(2l+1)次
元 既 約 表 現 の 表 現 空 間 で あ る(各
極 座 標 で 表 し,作 用 す る ベ ク トル 空 間 をL({ψ
∈Ml│l∈{0}∪IN})
に 制 限 し た も の で あ る*42).
付 録F
位 相 空 間
ユ ー ク リ ッ ド空 間,ヒ ルベ ル ト空 間,バ ナ ッハ 空 間 にお け る点 ど う しの近 さは,そ の ノ ル ム か ら定 義 され る距 離 を用 い て測 られ る.だ が,集 合 の中 には線 形 空 間 で な い もの も無 数 にあ る し,距 離 が 定 義 され な い も の も存在 しう る.で は,距 離 の概 念 が 必 ず し も存 在 しな い よ う な集 合 にお い ては,点
どう しの近 さを どの よ うに測 るの が 自然 であ ろ うか.こ の 問 い に応 え
る一 つ の概 念 が 以 下 に定 義 す る位 相(topology)と
い う概 念 で あ る.こ れ は上 に言 及 した空
間 の 開集 合全 体 の 構 造 の 抽 象 化 と して得 られ る.
F.1
定
定 義F.1
義
と
集 合Xの
例
部 分 集 合 の 一 つ の 族Tが
次 の 三 つ の 性 質 を 満 た す と き,TをX
の(一 つ の)位 相 あ る い は トポ ロ ジ ー とい う: (T.1)X, 0∈T. (T.2)Tの
任 意 の 有 限 個 の集 合 の 共 通 部 分 はTに
と任 意 のT1,…,Tn∈Tに (T.3)Tの
注 意F.1 照),位 相Tに
属 す る.す
らば,∪ α∈A Tα ∈T(Aは
も つ 集 合Xを
開 集 合(open
属 す る.す
な わ ち,任 意 のn∈IN
.
任 意 個 の 集 合 の 和 集 合 はTに
は 添 え字 集 合)な 位 相Tを
対 して,
な わ ち,Tα
∈T(α
∈A; A
可 算 集 合 で あ る必 要 は な い).
位 相 空 間(topological
space)と
い う.こ の 場 合,Tの
元 を
set)と い う. 集 合Xが
有 す る 位 相 は一 つ と は 限 らな い の で(以 下 の 例F.2,例F.3を
よ る位 相 空 間 で あ る こ と を明 確 し た い場 合 に は,(X, T)の
*42 こ の 表 現 の 自 然 な 導 出 に つ い て は
,[23]の
Ⅴ 章 を 参 照.
参
よ う に 記 す.
例F.1
Eを バ ナ ッハ 空 間 と し,Eに
お け る 開 集 合 の 全 体 をOEと
す れ ば,OEは
位
相 で あ る. 証 明 ま ず,E, 0∈OEは り,x∈
明 らか.(T.2)を
∩ni=1Tiと す る.こ
ら,あ るδi>0が
存 在 して,‖x-y‖0に
す る.
対 して,定
ば‖F(z)-F(z0)‖0が
存 在 し て,│z-z0│0}か
ら,実
リ ー マ ン面 の)下 半 平 面{z∈C│Imza,Imz0な 中 に た だ 一 つ の1位
ら ば, の 極Z0=
も っ.
(ⅲ) limz∈Da,z→∞│FH(z;Ψ)│=0. こ の と き,す
べ て のt>0に
対 して
(5.78) た だ し,R0はF(z;Ψ)のz=z0に
お け る留 数 で あ り
証 明 記 号 上 の 煩 雑 さ を避 け る た め に,証 明 を 通 し て,f(t):=〈 >0),F(z):=FH(z;Ψ),F(z):=FH(z;Ψ)と
お く.Imz>0に
つ公式
*21 生 き残 り確 率 に つ い て は
,3.8.4項
を 参 照.
Ψ,e-itHΨ〉(t 対 し て 成 り立
([7]のp.
268,補
と 書 け る.た
題3.11)に
だ し,x[0
F(x+iy)はxの
よ っ て
,∞)は[0,∞)の
関 数 と して,ix[0
で あ る.関数f(t)e-ytはt〓0で る の で,フ
定 義 関 数 で あ る.し
,∞)(t)f(t)e-ytの
た が っ て,F(z)=
フ ー リエ 変 換(の
倍)
微 分 可 能 で あ り,
であ
ー リ エ 逆 変 換 公 式 が 成 り立 つ:
(5.79) た だ し,右
辺 は 広 義 積 分 の 意 味 で と る*22.ま
が 切 断 平 面C\[a,∞)で
た,y>0は
解 析 的 で あ る こ と を 考 慮 し て,(5.79)の
三 つ の 部 分 に 分 け る:f(t)=I1(t)+I2(t)+I3(t).た
た だ し,0-Imz0+y,R>Rez0-aを
F(z)e-itzを
任 意 で よ い.関
∈[-R,0]}に
数 ∈
添 っ て 積 分 す る(図5.3).
こ の 閉 曲 線 内 に 含 ま れ る.し
た が っ て,コ
ー シ ー の積 分 定
理 によ り
*22 積 分 は 発 散 して い る.
か ど うか はわ か らな い.具 体 的 な例 で は ,多 くの場 合,こ の
図5.3
I3(t)の 計 算 の た め の 積 分 路
条 件(ⅲ)と
を 用 い る と,左 R→
辺 の 第 二 項 の 積 分 はR→
∞ と し て か ら,y→0と
を 得 る.I1(t)に
つ い て は,閉
∞ で0に
収 束 す る こ と が わ か る.
す る こ とに よ り
曲 線: に つ い てF(z)eitz
を 積 分 す る こ と に よ り,I3(t)の
が 示 さ れ る.
場 合 と 同様 に して
は 容 易 に わ か る.以
上 を 整 理 す れ ば,(5.78)が
得 ら れ る.
式(5.78)の
■
物 理 的 意 味 を 考 え よ う.議
論 を み や す くす る た め に,‖Ψ‖=1の
場 合 を考 え る. て 区 間[α,β](α〓0)が
を 満 た す一 つ の 集 合 と し と れ る と 仮 定 す る.こ
の と き,任
意 のt∈[α,β]に
対
して
が成 り立 つ. 第3章
で す で にみ た よ う に,Hが
は 時 刻0で
量 子 系 の ハ ミル トニ ア ン を表 す場 合
状 態 Ψ に あ っ た 系 が 時 刻tで
(残 存 確 率)―
を表 す.し
状 態 Ψ に 留 ま る 確 率― 生 き残 り確 率
た が っ て,時 刻t∈[α,β]に な わ ち,そ
お け る 生 き 残 り確 率 は 近 似
的 にe-tΓ
に比 例 す る.す
ゆ え に,状
態 Ψ の 生 き 残 り時 刻 の 平 均 値― 状 態 Ψ の 平 均 寿 命―
こ
れ は 時 間 に 関 し て,指 数 関 数 的 に 減 衰 す る.
れ か ら,も
な ら ば τ〓1/Γ
と な る.よ
っ て,条
し,αΓ≪1か
件(**)の
も と で,Γ
え て よ い.ゆ
え に,Γ
次 に(*)を
満 た さ な い よ う な 状 況 を 考 え る.こ
と え ば,R1(t)お
つ βΓ≫1…(**) は 平 均 寿 命 の 逆 数 と考
が 大 き け れ ば 状 態 Ψ の 平 均 寿 命 は 短 く,小
よ びR2(t)の
れ は,tが
減 衰 の オ ー ダ ー がtの
に 比 例 す る 場 合 に 起 こ る*23.こ
の 場 合 に は,も
を τ とす れ ば,
さ け れ ば 長 い.
十 分 大 き い と き,た
負冪t-γ(γ>0は
は や,状
定 数)
態 の 平均 寿 命 につ い て
語 る こ と は で き な い.
5.6.4
指 数 関 数 的 減 衰 と ス ペ ク トル
前 項 の 最 後 に 述 べ た こ と と 関 連 し て,次
定 理5.27
AをH上
が あ っ て,す
べ て のt∈IRに
が 成 り立 つ と す る.こ
証 明 f(t):=〈
*23 実 際
,こ
の 自 己 共 役 作 用 素 と し,単 位 ベ ク トル Φ と定 数C,γ>0 対 して
の と き,σ(A)=IR.
Φ,e-itAΦ〉,
μ(B):=‖EA(B)Φ‖2と
の 驚 くべ き 事 実 を 証 明 し て お こ う.
t∈IRと
お け ば,こ
の よ う な 例 は 存 在 す る.
お く.1次
れ は,(IR,B1)上
元 ボ レ ル 集 合Bに
対 し て,
の 確 率 測 度 で あ り,f(t)=
と 書 け る.仮 定 に よ り,
で あ る か ら,f
の 逆 フー リエ 変 換
は存 在 し,そ
れ は帯 領 域
で 定 義 さ れ る正 則 関 数 へ と解 析 接 続 され る .任 意 の λ ∈IRに
は 実 数 で あ り,fはIR上
で 有 界 か つ 連 続 で あ る.フ
対 して,f(λ)
ー リエ 解 析 と作 用 素 解 析
に よ り,
が 成 り立 つ こ とが 示 さ
れ る*24.ゆ
え に,μ は ル ベ ー グ測 度 に関 して 絶 対 連 続 で あ る.fはS上
で正
則 で あ り,そ れ は恒 等 的 に0で な い か ら,一 致 の 定 理 に よ り,そ の零 点 はSの 孤 立 点 に 限 る.こ の事 実 と任 意 の λ ∈IRに 対 して,f(λ)は 考 慮 す る と,supp supp μ ⊂supp
μ=IRで
な けれ ば な らな い こ とが 結 論 され る.と
EA=σ(A)で
定 理5.27は,ハ
あ るか ら,σ(A)=IRで
ミル トニ ア ンHに
い て 次 の 性 質 を導 く:Hが
実数 になる ことを ころ が,
あ る.
■
よ って 記 述 され る系 の 生 き残 り確 率 につ
下 に有 界 ま た は 上 に 有 界 な ら ば,任 意 の 単位 ベ ク ト
ル Ψ に関 す る 生 き残 り確 率 は,t∈IRの
関 数 と して
IR全 体 で 指 数 関 数 的 に 減 衰 す る こ とは な い.
5.7
最 後 に,前 的 に は,フ
フ リ ー ドリ ク ス モ デ ル
節 の 最 初 の 項 で 述 べ た 事 柄 を 例 証 す る 簡 単 な モ デ ル の 一つ― 歴 史 リ ー ド リ ク ス(K.O.Friedrichs)[10]に
よ って 最 初 に考 案 され たモ デ
ル― を 考 察 し て お く.
5.7.1
モ デ ル の 定 義
ω:IR→[0,∞)を
連 続 関 数 で,任 意 の λ〓0に
ル ベ ー グ 測 度 が0で
あ り,か
ル ベ ル ト空 間L2(IR)に *24 まず
つ ω(k)→
お い て,関
∞(│k│→
対 して{k∈IR│ω(k)=λ}の ∞)を
満 た す も の と し,ヒ
数 ω に よ る か け 算 作 用 素 を ω で 表 す.し
た
,有 界 な台 を もつ実 数値 連 続関 数gの す べ て に対 して,
を示 せ.次 に,IRの 任 意 の有 界 区 間Jの 定 義 関数xJを 有界 な台 を もつ実 数 値連 続 関 数列 で 近似 す る こ とに よ り,B=Jの 場 合 の(*)を 導 け.最 後 に,μ(IR)=1 に注 意 し,ホ ップ の拡 張 定 理 の一 意 性 に よ り,(*)を
示 せ.
が っ て,ω
は非 負 自 己共 役 作 用 素 で あ り
(5.80) と す れ ば,m〓0で
あ り
(5.81) が 成 り立 つ*25.μ0∈IRを 例5.2 る,質
(ⅰ)m〓0を 量m,運
定 数 と す る.
定 数 と し て, k∈IR(2次
動 量kの
て,ω(k)=k2/(2M), k∈IR(質 ル ギ ー).(ⅲ)α>0を
元 時空 にお け
相 対 論 的 自 由 粒 子 の エ ネ ル ギ ー).(ⅱ)M>0を 量M,運
動 量kの
定 数 とし
非 相 対 論 的 自 由粒 子 の 運 動 エ ネ
定 数 と して,ω(k)=│k│α+m.
1次 元 ユ ニ タ リ 空 間CとL2(IR)の
直 和 ヒ ル ベ ル ト空 間
(5.82) を考える.HFの
ベ ク ト ル(z,ψ)を
L2(IR)か
の 線 形 作 用 素,SをCか
らCへ
上 の 線 形 作 用 素 とす る と き,HF上
をD(L):=C
らL2(IR)へ
般 に,α
∈C,
Tを
の 線 形 作 用 素,AをL2(IR)
の線形作 用素
[D(A)∩D(T)]
に よ っ て 定 義 す る.こ う*26.容
と も 表 す.一
の 型 の 作 用 素Lを
作 用 素 行 列(operator
matrix)と
い
易 にわかる ように
*25 [6]のp .136,例2.13, [6]のpp. 126-127,命 題2.26,定 理2.27の 応 用. *26 作 用 素 を 行 列 要 素 とす る 作 用 素 の 意 .任 意 の 有 限 個 の ヒ ル ベ ル ト空 間H1,…,HNの 和 ベ ク トル 空 間 表 さ れ る.N=2の
に お け る 線 形 作 用 素 の 非 常 に 広 い ク ラ ス が,作 場合 に つ い て は,[3]の
付 録Cを
参 照.
直
用 素 行 列 の形 に
で あ る.右
辺 はC上
の 作 用 素 α(α を か け る 作 用 素)とAの
直 和 で あ る*27.
さて
(5.83) とす れ ば,こ れ は 自 己 共 役 で あ り
(5.84) が 成 立 す る.こ の 場 合,固
有 値 μ0の 多 重 度 は1で
あ り,そ の 固 有 ベ ク トル は
(定 数 倍 を 除 い て)
(5.85) で 与 え ら れ る.も
し
(5.86) な ら ば,μ0はH0の
埋 蔵 固 有 値 で あ る(図5.4).以
下,こ
の 条 件 の も とで考 え
る*28.
図5.4
H0の
ス ペ ク トル(μ0>mの
場 合)
図5.5
H0の
ス ペ ク トル(μ0<mの
場 合)
ヒル ベ ル ト空 間HFお
よ び μ0,ω に対 す る 量子 力 学 的 に 可 能 な描 像 の 一 つ は
次 の よ うな もの で あ る.す な わ ち,HFは,1次
元 的 な 運動 を行 う量 子 的粒 子 が
高 々1個 存 在 しえ る よ うな 系 の 状 態 の ヒル ベ ル ト空 間 を表 す.こ トル(z,0)∈HFは
量 子 的粒 子 が0の 状 態 を記 述 し,(0,ψ)∈HFは
*27 ヒ ル ベ ル ト空 間 上 の 作 用 素 の 直 和 に つ い て は *28 μ0<mの
場合 は
,μ0はH0の の 解 析 は 演 習 問 題 とす る(演
,[7]の4章,4.3.2項
離 散 固 有 値 で あ る(図5.5).こ 習 問 題4).
の 場 合,ベ
ク
量 子 的粒 子
を 参 照. の 場 合 の摂 動 につ い て
が1個 存 在 す る状 態(運 動 量 表 示)を 記 述 す る.ω は,量 子 的 粒 子 の 自由 運動 の ハ ミル トニ ア ン を表 し,μ0は 量 子 的粒 子 が存 在 し ない と きの 系 のエ ネ ル ギ ー を 表 す.作 用 素H0は,こ
の よ うな系 に お け る 自 由ハ ミル トニ ア ン(無 摂 動 ハ ミル
トニ ア ン)で あ る. 次 にH0の
摂 動 を 考 え る.関 数g∈L2(IR)(g≠0)に
対 して,写 像Ag:
L2(IR)→Cを
(5.87) に よ っ て定 義 す る.容 易 に わ か る よ う に,Agは
有界線形作用素 であ り
(5.88) が 成 り立 つ*29.上
述 の 描 像 で い えば,Agは
る作 用 素 で あ る.作 用 素Agの
量 子 的 粒 子 を一 つ 減 らす 働 きをす
共 役 作 用 素A*g:C→L2(IR)は
(5.89) とい う形 で与 え られ る.こ れ は量 子 的粒 子 が 存 在 しな い状 態 か ら,量 子 的 粒 子 が 一 つ 存 在 す る状 態 をつ くる働 き をす る作 用 素 で あ る. 摂 動 作 用 素HI:HF→HFを
(5.90) に よ っ て 定 義 し,κ
∈IRを
パ ラ メー タ ー と して
(5.91) と お く.こ
れ が フ リ ー ド リ ク ス モ デ ル の ハ ミル トニ ア ン で あ る.HIは
称 作 用 素 で あ る の で,加
藤-レ
リ ッ ヒ の 定 理 に よ っ て,H(κ)は
有 界 な対
自 己 共 役 で あ り,
下 に 有 界 で あ る. 以 後,L2(IR)やHFの *29
内 積 を 単 に 〈・,・〉で 表 す. は 容 易 にわ か る .実 際 に 等号 が成 立 す る こ とを 示 す には,
に注 意 す れ ば よい.
5.7.2
埋 蔵 固 有 値 の消 失
以下
(5.92) とい う条 件 の も とで 考 え る.作 用 素H(κ)に
関 す る基 本 的 性 質 の一 つ が次 の 定
理 で 与 え られ る. 定 理5.28
κ ≠0と
し,(5.86),
(5.92)お
よ び 次 の 二 つ の 条 件(ⅰ),(ⅱ)を
仮
定 す る: (ⅰ) 任 意 のE>mに
対 して
(5.93) (ⅱ)
(5.94) こ の と き,H(κ)は
固 有 値 を も た な い.す
な わ ち,H0の
埋 蔵 固 有 値 μ0は 摂 動
の も と で 消 え る.
証 明 固 有 ベ ク トル 方 程 式 は
を 意 味 す る.こ
ら
ま ず,z=0な
ら,Φ=0.し
た が っ て,Φ
の 第 二式 か
ら ば,ψ=0で
は 固 有 ベ ク トル で は な い.zが0で
あ るか
な い と き,次
の
三 つ の 場 合 が 考 え ら れ る. (a) E=mの
場 合.こ
を(*)の
に 代 入 す る と μ0-m=κ2Cgと
第1式
E=mはH(κ)の (b) E<mの
これ な り,条
件(5.94)に
反 す る.
固 有 値 で は な い. 場 合.(a)と
を 得 る.(-∞,m)上
方 程 式f(x)=xは(-∞,m)の
同 様 に して,
の 関 数
続 で 単 調 減 少 で あ る.条
値 で は な い.
の と き は,
は連
件(5.94)に
よ っ て,
中 に 解 を も た な い.ゆ
した が っ て, え に,EはH(κ)の
固有
(c) E>mの
場 合.こ
て,EはH(κ)の
件(5.93)に
固 有 値 で は な い.以
例5.3 g∈L2(IR)が
ら ば,例5.2の の よ う な ω とgに
よ っ て,
上 か ら,H(κ)は
連 続 関 数 で あ り,ω(k)>mを
て,│g(k)│>0な が っ て,こ
の 場 合,条
した が っ
固 有 値 を も た な い. ■
満 た す,す
べ て のk>0に
関 数 ω の す べ て に 対 し て,(5.93)は 対 し て は,条
件(5.86),
(5.94)の
対 し
成 り 立 つ.し
た
も と で,H(κ)(κ
≠0)
は 固 有 値 を も た な い.
5.7.3
H(κ)が
条 件(5.93)ま
固 有 値 をも つ条 件
た は(5.94)が
成 立 し な い よ う な ω とgに
対 して は,H(κ)が
固 有 値 を も つ 場 合 が あ る.
定 理5.29
条 件(5.86),
(5.92)お
よび
(5.95) を 仮 定 す る.こ
の と き,H(κ)は
多 重 度1の
固 有 値Em(κ)∈(-∞,m)を
も ち,
これは方程式
(5.96) を 満 た す.さ
らに
(5.97) と す れ ば,ΦmはH(κ)の
固 有 値Em(κ)に
属 す る 固 有 ベ ク トル で あ る:H(κ)Φm=
Em(κ)Φm.
証 明 条 件(5.95)の り,f(x)=xは(-∞,m)の ψm∈L2(IR)で
も と で は,前
定 理 の 証 明 に お け る(b)の
中 に た だ 一 つ の 解Em(κ)を
あ り,Φm∈ker(H(κ)-Em(κ))で
部 分の考察 に よ もつ.仮
定 に よ り,
あ る こ とは直 接計 算 に よ り
確 か め ら れ る.
定 理5.29は,摂
■
動 パ ラ メ ー タ ー の 大 き さ│κ│が 十 分 大 き け れ ば,H(κ)は
値 を も つ こ と を 示 す も の で あ り,興 味 深 い.た
固有
だ し,こ の 場 合 の 固 有 値 は,埋
蔵
固 有 値 μ0の"変
容"と
い う よ り も,む
し ろ,強
結 合 領 域―│κ│の
に 特 有 の 新 し い 数 理 的 現 象 と み る の が 自 然 で あ る.定 ラ メ ー タ ー│κ│の 変 化 に お い て,│κ│が
を"通
過 す る"際
(critical point)と 一般
に,量
理5.28も
大 きい 領 域― 考 慮 す る と,パ
点
に 劇 的 な 変 化 が 起 こ る わ け で あ る.こ
の 種 の 点 を摂 動 の 臨 界 点
呼 ぶ.
子 力 学 や 量 子 場 の 理 論 に お い て,ハ
ミ ル トニ ア ン の 強 結 合 領 域 で
独 自 に 出 現 す る 構 造 な い し 効 果 を 非 摂 動 的 構 造(nonpeturbative た は 非 摂 動 的 効 果(nonperturbative フ リ ー ド リ ク ス モ デ ルH(κ)に
effect)と
structure)ま
い う.
お け る 固 有 値Em(κ)の
出 現 は非 摂 動 的 効 果 の
一 つ とみ なせ る .
5.7.4 H0の
レ ゾ ル ヴ ェ ン トと ス ペ ク トル
埋 蔵 固 有 値 μ0が 摂 動 κHIの
在 す る か ど う か を調 べ る た め に,ま
も と で 消 え て し ま う場 合 に,共
ず,H(κ)の
鳴極が存
レ ゾ ル ヴ ェ ン トが ど うい う 形 で
与 え ら れ る か を み よ う. z∈C\IRと
し(し
た が っ て,z∈〓(H(κ))),任
対 し て,(H(κ)-z)-1Ψ=(ω,φ)と
お く.こ
意 の Ψ=(η,ψ)∈HFに の とき
この 連 立 方 程 式 を ω と φ につ い て 解 け ば
(5.98) を 得 る.た
だ し
(5.99)
した が っ て
(5.100) この 形 か ら,H(κ)の
レゾ ル ヴェ ン トの性 質 に とっ て,関 数D(z)の
な役 割 を演 じる こ とが 推 察 され る.そ こで,こ 補 題5.30
関 数D(z)は
性質が重要
の 関数 の性 質 を調 べ よ う.
切 断平 面
(5.101) で 解 析 的 で あ る.さ
(ⅰ) (5.94)が
ら に,次
(ⅱ)が 成 立 す る:
成 り立 つ と き,D(z)はCmの
て,1/D(z)はCmで
中 に 零 点 を も た な い.し
たがっ
解 析 的 で あ る.
(ⅱ) (5.95)が Em(κ)だ
の(ⅰ),
成 り立 つ と き,D(z)のCmに
け で あ る.し
お け る 零 点 は 定 理5.29に
た が っ て,1/D(z)はCm\{Em(κ)}で
い う
解 析 的 で あ る.
証 明 最 初 の 主 張 を 証 明 す る の は 容 易 で あ る.方
程 式D(z)=0…(*)を
すz∈Cmをz=x+iy(x,y∈IR)と
そ の 実 部 と 虚 部 が と も に0と
し,(*)を
い う 条 件 で 吟 味 す る こ と に よ り ,y=0で た が っ て,D(x)=0.こ
れ と 定 理5.28と
が 出 る.
定 理5.31
満 た
な け れ ば な ら な い こ と が わ か る.し 定 理5.29の
証 明 か ら(ⅰ), (ⅱ)の 主 張 ■
(ⅰ) (5.94)が
成 り立 つ と き
(5.102) (ⅱ) (5.95)が
成 り立 つ と き
(5.103)
証 明 (ⅰ) (5.100)の 的 で あ り,z∈C\IRな
が 成 り立 つ.任
す る と,こ れ はCmで
対 して,z=x+iε,
Φ ∈HFが
任 意 のz∈Cmに
ρ(H(κ)).ゆ
解析
らば
ε>0と
し,ε→0の
稠 密 で あ る こ と を使 え ばT(x)(H(κ)-x)Ψ=Ψ,
(H(κ)-x)T(x)Φ=Φ,
Cm⊂
関 数 をT(z)と
意 のx∈(-∞,m)に
を と り,D(H0)が
式(5.100)は
右 辺 のB(HF)値
導 か れ る.こ
れ はx∈
極限
Ψ ∈D(H0), ρ(H(κ))を
対 し て 成 り 立 つ こ と が わ か る.し
意 味 し,
た が っ て,
え に,σ(H(κ))⊂[m,∞).
(ⅱ) (ⅰ)と 同 様.
■
定 理5.31は
次 の こ と を 語 る:弱
で は,H(κ)は
基 底 状 態 を も た な い が,強
領 域― で はH(κ)は
結 合 領 域― 条 件(5.94)を
基 底 状 態 を も つ.こ
底 状 態 が 現 れ る こ と を 意 味 す る.こ binding)と
5.7.5
い う.こ
満 たす κ の 領 域―
結 合 領 域― 条 件(5.95)を れ は,強
満 たす κの
結 合 領 域 に お い て 初 め て,基
の よ う な 現 象 を 束 縛 の 高 ま り(enhanced
れ も た い へ ん 興 味 深 い 現 象 で あ る.
解 析 接 続 と共 鳴 極
こ の 項 を 通 し て,(5.86)を トに つ い て,無
仮 定 す る.ハ
ミ ル トニ ア ンH(κ)の
摂 動 系 の ハ ミ ル トニ ア ンH0の
レゾ ル ヴ ェ ン
固 有 ベ ク トル Ω0に 対 す る 行 列
要素
(5.104) の 解 析 接 続 を 考 え る.(5.100)に
よっ て
(5.105) し た が っ て,D(z)の
解 析 接 続 を考 え れ ば よ い.こ
こ で は,簡
単 のため
(5.106)
の 場 合 に つ い て の み 論 述 す る*30.こ
の とき
ただ し
(5.107) 関 数gは
次 の 条 件 を満 たす とす る:
(g.1) g∈L2(IR)でgはIR上
連 続 で あ り,│g(k)│>0, k>0か
つsupk∈IR│g(k)│2
0はj
番 目 の 量 子 的 粒 子 の 質 量 を 表 す.
定 理7.10
H(N)0は 純 粋 に絶 対 連 続 で あ り
(7.29) 証 明
は す でに 証 明 し た の で([6]の
す る 絶 対 連 続 部 分 空 間 がL2(IRdN)で う に,H(N)0は-Δxに
Δx=Δ
あ る こ と を 示 せ ば よ い,第2章
ユ ニ タ リ 同 値 で あ る の で,定
対 連 続 部 分 空 間 がL2(IRdN)で
定 理3.28),H(N)0に
理7.7に
あ る こ と を 示 せ ば よ い.証
絶
明 を 通 じ て,n=dN,
とす る.
のp. 299,
(3.60)式).た
だ し,
よ る か け 算 作 用 素 で あ る.k2の
に よ っ て 与 え ら れ る.し
で あ り,kjは
径1の
球 面)と
た が っ て
し,n次
([6] 運動量座標 関数
ス ペ ク トル 測 度 は
と し よ う. 面(半
で 示 した よ
よ っ て,-Δxの
を フ ー リ エ 変 換 とす れ ば,
kjに
関
と し, を(n-1)次
元 の 極 座 標 変 換
元 の単 位 球 を使 え ば
と 書 け る.た
だ し,dS(ω)は,
的 な 測 度 で あ る.こ た が っ て,任 n=1の
の 式 か ら,│B│=0な
意 の
ら ば,
は,-Δ
の標準 と な る.し
に 関 す る 絶 対 連 続 部 分 空 間 に は い る.
場 合 も 同 様.
定 理7.10と
系7.11
と な る,Sn-1上
定 理7.6に
■
よ り,次
関数f:IR→IRは
の 事 実 が 得 ら れ る:
ボ レ ル 可 測 で,
を 満 た す もの とす る.ま ラ シ ア ン と す る(n∈IN).こ 例7.9
た,Δ
な ら ば,常
を
の と き,f(-Δ)は
を 定 数 とす る と き,自
に
上の一般化 されたラプ
純 粋 に 絶 対 連 続 で あ る.
由 な 相 対 論 的 シ ュ レー デ ィ ン ガー 作 用 素
は 純 粋 に 絶 対 連 続 で あ る(∵
関 数
は系
7.11の 仮 定 を 満 た す*10). 例7.10
任 意 の 正 の 実 数 α>0に
対 して,(-Δ)α
と 同様 に して,関数
7.2.5
は純 粋 に絶 対 連 続 で あ る(∵
は 系7.11の
前例
仮 定 を満 た す こ とが 示 さ れ る).
自由 なデ ィラ ッ ク作 用 素 の純 粋 絶 対 連 続 性
前 著[6]の3.4.3項
を 考 察 し た.こ
で 自 由 な デ ィ ラ ッ ク作 用 素
こ で,αj,β
は4次
の エ ル ミー ト行 列 で 反 交 換 関 係
(7.30) (j,k=1,2,3)を
満 た す も の で あ り,m>0は
ラ ッ ク 粒 子 と い う― の 質 量 を 表 す.HDが *10 任 意 のB∈B1に
量 子 的 粒 子― い ま の 場 合,デ 働 く ヒ ル ベ ル ト空 間 は
対 して ,
に 注 意.右
辺 は│B│=0な
ら ば0で
あ る.
ィ で
あ る.
上の作用素Aか ら定 まる直和作用素
上 の作用素― も簡単の ため,し ば しば,単 にAと 記す*11.次 の事実 を証明 し よう. 定 理7.12 HDは
純 粋 に絶 対 連 続 で あ る.
証 明
を フ ー リ エ 変 換 と す る*12.し
た が っ て,
そ れ は ユ ニ タ リで あ り,作 用 素 の 等 式
(7.31) が 成 り立 つ.関
数
を
(7.32) に よ っ て 定 義 し,ω に よ る か け算 作 用 素 をω で 表 す.容 は 自 己 共 役 で 全 単射 で あ る.さ ら に,ω-1は
が 成 り立 つ*13.ま
た1±mω-1は
易 に わか る よ う に,ω
有界で あ り
非 負 の 有 界 な 自 己 共 役 作 用 素 で あ る.し
た
が って
(7.33) は 有 界 な 自 己 共役 作 用 素 で あ る.|k│に よ るか け算 作 用 素 を同 じ記号│k│で 表 す. 任 意 の
に対 して の
3.29の 証 明 にお け るK(ψ)の
補題
計 算 を参 照)で あ る か ら
(7.34) *11 こ う し て も
,ど の ヒ ル ベ ル ト空 間 の 作 用 素 と し て み て い る か を 明 晰 に把 握 して い れ ば 混 乱 は 生 じ な い で あ ろ う. *12 上 の 規 約 に し た が っ て , *13 実 際 に は等号 が 成 り 立 つ(演
習 問 題3)
.
は 定 義 域 をD(│k│-1)と
す る有 界 な 自 己 共 役 作 用 素 で あ る.D(│k│-1)は
あ る か ら,Sは
稠密で
上 の 有 界 な 自己 共 役 作 用 素 へ と一 意 的 に拡 大 され る.
こ の 拡 大 も 同 じ記号Sで
表 す .u±,Sを
用いて
(7.35) を 定 義 す る.こ
の と き,uは
上 の ユ ニ タ リ作 用 素 で あ り,(7.30)を
用 いる直接計算 に よ り
(7.36) を 証 明 す る こ とが で き る(こ れ は,αj,β の 具 体 的 な 行 列 表 示 を用 い な い で 証 明 さ れ る こ と を 強 調 し て お く).[6]のp. と お く と,こ
308で
み た よ う に ,uD=α1α2α3β
れ は エ ル ミ ー トか つ ユ ニ タ リ で あ り,UDβuD-1=-β
こ れ は,σ(β)=σ(-β)を つ.こ
307∼p.
れ と β2=I
意 味 す る か ら ,λ
,β ≠Iか
つ β=-Iと
∈ σ(β)⇔-λ
が 成 り立 つ. ∈ σ(β)が 成 り立
い う事 実 を使 え ば
(7.37) で あ り,固
有 値 ±1の 多 重 度 は そ れ ぞ れ2で
次 の ユ ニ タ リ行 列wが
と対 角 化 で き る.ゆ
あ る こ と が わ か る.し
た が っ て ,4
あって
え に,hDは
(7.38) と対 角 化 さ れ る.以
上 を ま とめ る と,UD:=F-1wuFと
お け ば,こ れ は
上 の ユ ニ タ リ変 換 で あ り,HDは
(7.39) とい う形 に対 角 化 され る こ とが わ か っ た.右 る こ とが 示 され る(演 習 問題4).ゆ
辺 の 作 用 素 は純 粋 に絶 対 連 続 で あ
え に題 意 が したが う.
■
7.3
散乱 理 論 の 一般 的枠 組 み
こ の節 で は,散 乱 理 論 の 一 般 的 枠 組 み を論 述 す る.ま ず,7.1節
で 言 及 した波
動 作 用 素 の厳 密 な定 義 を よ り普 遍 的 な形 で行 い,そ の 基 本 的性 質 を調 べ る.
7.3.1 波 動 作 用 素 H1,H2を
複 素 ヒ ル ベ ル ト空 間,Hj(j=1,2)をHj上
る.一 般 に,自 己 共 役 作 用 素Aの で 表 す.J:H1→H2を
の 自己 共 役 作 用 素 とす
絶 対 連 続 部 分 空 間 へ の 正 射 影 作 用 素 をPac(A)
有 界 線 形 作 用 素 とす る.7.1節
の 発 見 法 的 考 察 か ら次
の 定 義 へ と導 か れ る:作 用 素
(7.40) の強極限
(7.41) が 存 在 す る と き,こ
れ を 三 つ 組(H2,H1,J)に
の 定 義 は 次 の 二 つ の 点 に お い て,7.1節 な っ て い る:(ⅰ)ヒ
ル ベ ル ト空 間H1とH2が
う 作 用 素 が 導 入 さ れ て い る.い
付 随 す る 波 動 作 用 素 と い う.こ
で 言 及 した波 動 作 用 素 の概 念 の一 般 化 に 必 ず し も 同 じ で は な い.(ⅱ)Jと
う ま で も な く,H1=H2,J=Iの
用 素 論 に お け る 第 一 段 階 的 レ ヴ ェ ル で あ る.だ 理 的 に 自 然 で あ り,応
用 上 も 威 力 を 発 揮 す る.以
と き,「 波 動 作 用 素W±(H2,H1;J)は H1=H2,J=Iの
が,い
い
場合が波動作
ま 言 及 し た 一 般 化 は,数
下,(7.41)の
右 辺が存在す る
存 在 す る 」 と い う い い 方 を す る.
場 合 の 波 動 作 用 素 を
と記 す:
(7.42) 波 動 作 用 素 が 存 在 す る か 否 か はH2,H1,Jの
性 質 に よ る.波 動 作 用 素 の 存 在
条 件 につ い て は 後 ほ ど議 論 す る こ とに して,ま ず,波 動 作 用 素 が 存 在 した と し て,そ の 性 質 が どの よ う な もの で あ るか を調 べ る.
命 題7.13
波 動 作 用 素
が 存 在 す る と き,次
の(ⅰ)∼(ⅳ)が
成
り立 つ*14.
(ⅰ) す べ て のs∈IRに
対 して
(7.43) (ⅱ) す べ て の
に対 して
であ り
(7.44) す なわち
(7.45) (ⅲ) す べ て の
に対 して
(7.46) (ⅳ) EH2,
EH1を
レ ル 集 合B⊂IRに
そ れ ぞ れ,H2,
H1の
ス ペ ク トル 測 度 と す れ ば,す
べ てのボ
対 して
(7.47) 証 明 (ⅰ)任意 のs∈IRに
こ こ で,exp(isH1)とPac(H1)は 右 辺 は
可 換 で あ る こ と(∵
定 理7.3)に
注 意 す れ ば,
に 等 し い.
(ⅱ)(ⅰ)か ら,任
s→0と
対 して
意 の
に対 し て
す れ ば,右 辺 は
に 収 束 す る.し
ン の 定 理 に よ り, *14 以 下 の 諸 式 にお い て は ,±
で あ り,(7.44)が は複 号 同順 で 読 む.
た が っ て,ス 得 ら れ る.
トー
(ⅲ)こ
れ は(ⅱ)を
(ⅳ)(ⅲ)と
使 え ば 容 易 に わ か る.
ス トー ン の 公 式([6]の
上 の 命 題 か ら,波
定 理3.10)を
動 作 用 素 の 値 域 に つ い て,次
系7.14
用 い れ ば よ い.
■
の 基 本 的 な 結 果 が 導 か れ る:
は 存 在 す る と し よ う.こ
の とき
(7.48) 証 明 Pac(H1)の
冪等性 に より
(7.49) 任 意 のB∈B1に
対 し て,Pac(H1)とEH1(B)は
命 題7.13-(ⅳ)か
ら,任
意 の Ψ ∈H1に
Pac(H1)Ψ
∈Hac(H1)で
る の で,上
式 の 右 辺 は0と
れ らの事 実 と
対 して
あ る か ら,│B│=0な
ら ば,
であ
な り,し た が っ て,
こ れ は,
命 題7.15
可 換 で あ る.こ
を 意 味 す る.
波動 作 用 素
■
が と もに存 在 す れ ば
(7.50) 証 明 系7.14か
ら
(7.51) し た が っ て,任
意 の Ψ ∈H1,Φ
∈H2に
対 して
ゆ え に,(7.50)が
成 り立 つ.
■
H3を 複 素 ヒル ベ ル ト空 間,H3をH3上 とす る.も し,波 動 作 用 素
の 自己 共役 作 用 素 と し, が と も に存 在 す
る な らば,そ れ らの 合 成 が
が 考 え られ る.こ
れ
に付 随 す る波 動 作 用 素 に な る とい う調 和 的 関 係 につ い て 言 明
した の が 次 の定 理 で あ る. 定 理7.16
(結 合 法 則(chain
rule))
に存 在 す る と し よ う.こ の と き,
が とも も存 在 し
(7.52) が 成 り立 つ. 証 明 任 意 のt∈IRに
対 して
(7.53) と変 形 で き る.た (7.53)の
だ し,
右 辺 の 第 一 項 は,t→
± ∞ の と き,
強 収 束 す る か ら,R(t)が,t→ が 得 ら れ る.実
際,任
こ こで,系7.14を 作 用 素Jを
±∞
意 の Ψ ∈H1に
の と き0に
に 強 収 束 す る こ と を 示 せ ば(7.52)
対 して
用 い た.
■
有 界 作 用 素 の あ る ク ラ ス の 中 に制 限 した場 合 に は,波 動 作 用 素 は
次 の定 理 に述 べ る 意 味 で 良 い 性 質 を もつ こ とが 見 い だ され る. 定 理7.17
作 用 素Jに
つ いて
(7.54)
が 成 り立 つ と し,波 動 作 用 素 の(ⅰ),(ⅱ)が
が 存 在 す る と す る.こ
の と き,次
成 立 す る.
(ⅰ)
は,始 空 間 をHac(H1)と
す る 部 分 等 長 作 用 素 で あ る*15.
す なわ ち
(7.55)
(7.56) 特 に,
はHac(H1)か
リ 作 用 素 で あ る.こ
へ のユ ニ タ
の ユ ニ タ リ 作 用 素 を
(ⅱ) R± はHac(H2)の に お け る 部 分H2│R± (H1)acと
ら と書 く.
閉 部 分 空 間 で あ り,H2を
は,
簡 約 す る.さ
を 介 して,H1の
ら に,H2のR±
絶 対 連 続 部 分
ユ ニ タ リ 同 値 で あ る:
(7.57) 注 意7.3
条 件(7.54)は,H1=H2,J=Iの
場 合 に は,自
明 的 に 成 り 立 つ.
証 明 証 明 を 通 し て, (ⅰ)任 意 の Ψ ∈H1に
対 して
こ れ は(7.55),(7.56)を
意 味 す る.
(ⅱ) R± の 閉 性 は,W± す た め に,H2か の Ψ ∈H2に (7.46)に
らR±
の 部 分 等 長 性 か ら 出 る.H2のR± へ の 正 射 影 作 用 素 をP±
対 し て,
よ り,す
*15 部 分 等 長(等
と お く.
べ て のz∈C\IRに
距 離)作
用素については
と し よ う.し
と な る Φ ∈Hac(H1)が 対 して
,[5]の2.6.3項
を 参 照.
に よる簡 約 性 を示 た が っ て,任 存 在 す る.こ
意 れ と
した が っ て, す る.ゆ
こ れ は
え に,R±
はH2を
任 意 の
立 つ.こ
簡 約 す る. は,
き,(7.45)に
を意 味
よ り,
と 書 け る
.こ
で あ り
れ は,
を 意 味 す る.両
る か ら,そ
れ ら は 一 致 し な け れ ば な ら な い.
注 意7.4
(7.57)は
の と
が成 り 辺 と も に 自己 共 役 で あ ■
(7.58) す なわ ち,波 動 作 用 素 の存 在 は,H1,H2の
絶 対 連 続 スペ ク トル に 関 す る 一 つ の
関 係 を導 く.こ れ も散 乱 理 論 にお け る重 要 な結 果 の 一 つ で あ る.
7.3.2 散 乱 作 用 素 と完 全 性 7.1節 で は波 動 作 用 素 か ら散 乱 作 用 素 が 定義 され る こ と を示 唆 した.こ れ に な ら って,波 動 作 用 素
が存 在 す る と き
(7.59) に よ っ て 定 義 さ れ る 作 用 素 を(H2,H1,J)に operator)と
呼 ぶ.こ
の 作 用 素 の 基 本 的 な 性 質 は 次 の 定 理 で 与 え ら れ る.
定 理7.18
は 存 在 す る と仮 定 す る.
(ⅰ) S(H2,H1;J)とH1は
S(H2,H1;J)が (ⅱ) H1=H2の
付 随 す る 散 乱 作 用 素(scattering
強 可 換 で あ る.す
な わ ち,S(H2,H1;J)H1⊂H1
成 り立 つ. と きH2,H1と
強 可 換 な 任 意 の ユ ニ タ リ 作 用 素Uに
対 して
(7.60) 特 に,
な ら ば,S(H2,H1;J)とUは
可 換 で あ る.
(ⅲ) 条 件(7.54)を
仮 定 す る.こ
の と き,S(H2,H1;J)がHac(H1)上
のユニ
タ リ作 用 素 で あ る た め の 必 要 十 分 条 件 は
(7.61) と な る こ と で あ る.
証 明 証 明 を 通 し て, とお く. (ⅰ) Ψ
∈D(H1)と
す れ ば,(7.44)に
よ っ て,
(最 後 の 等 式 は Tを
有 界 作 用 素,Xを
成 り立 つ.こ れ と(*)に
に よ る).一
の 事 実 を(7.44)の よ り,SΨ
共 役 関 係 に 応 用 す る と .こ
∈D(H1)で
(ⅱ) 仮 定 に よ り,す
あ り,SH1Ψ=H1SΨ
べ て のt∈IRに
が 結 論 さ れ る.
対 し て
し た が っ て, 意 の Ψ,Φ ∈Hac(H1)に
こ れ は,(7.60)を
ゆ え に,任 対 して
意 味 す る.
(ⅲ) 条 件 の 十 分 性 は,定 め に,SがHac(H1)上
理7.17か
な る
が 存 在 す る.仮
が 存 在 す る.し を 意 味 す る.ゆ も
え ば よ い.
ら 明 ら か で あ ろ う.条
で ユ ニ タ リで あ る と し よ う.任
と な る
れ は,
般 に,
稠 密 な 定 義 域 を も つ 作 用 素 と す れ ば(TX)*=X*T*が
え に
た が っ て,
件 の 必 要 性 を示 す た
意 の Ψ ∈R+に
定 に よ り,
対 して と こ
こ の 逆 の 包 含 関 係 を 示 す に は,
上 の ユ ニ タ リ で あ る こ と に 注 意 し て,同 様 の 議 論 を 行 ■
注 意7.5
定 理7.18は,Uが
U*JU=Jが
量 子 系 の 対 称 性 を 表 す 群 の ユ ニ タ リ 表 現 で あ り,
成 り 立 つ 場 合,そ
の 表 現 の 不 変 部 分 空 間 に お い て,散
考 察 す る こ と を 可 能 に す る(演 習 問 題7を
散 乱 作 用 素S(H2,H1;J)がHac(H1)上 ク トル Ψ,Φ ∈Hac(H1)に
乱作 用素 を
参 照).
の ユ ニ タ リ 作 用 素 で あ る と き,単
対 し て
の 散 乱 の 遷 移 確 率 振 幅 と い い,そ
位 ベ
を 状 態 Ψ か ら状 態 Φ へ
の 絶 対 値 の2乗
を状
態 Ψ か ら 状 態 Φ へ の 散 乱 の 遷 移 確 率 と 呼 ぶ*16. 条 件(7.54)の
も と で,性
質(7.61)が
意 味 で 漸 近 的 に 完 全 で あ る,ま t=-∞
で の 漸 近 的 配 位 の 全 体 とt=∞
よ っ て,1対1に
で の漸 近 的 配位 の全 体 が散 乱 作 用 素 に
は,「 弱 い 漸 近 的 完 全 性 」 よ り も強 い 漸 近 的 完 全
性 の 概 念 を 考 え る こ と が で き る.こ た 散 乱 の 描 像 に 戻 ろ う.今
れ を 説 明 す る た め に,再
度 は,Hs,K0の
簡 単 の た め,H1=H2,J=Iと
と き,"時
か わ り にH2,H1を
す る).7.1節
記 述 さ れ る 系― こ れ を 仮 にH2-系
の 散 乱 に 関 す る もの で あ っ た.言
に お け るH2-系
と い う 型 の 状 態―
が"時 か し,も
"時 間 漸 近 的 に 自 由 な"状
考 え る(た
で 記 述 し た の は,全
い 換 え れ ば,初
だ し,
ハ ミ ル トニ ア の
期 条 件 を,t→-∞
に お い て,
の 時 間 発 展 を 問 題 に し た の で あ っ た.
の 任 意 の 散 乱 状 態―
間 漸 近 的 に 自 由 な"状 し,t→-∞
で 略述 し
で あ る と した 場 合
そ の よ う な 状 態 に 設 定 し た 場 合 のH2-系 し か し,t→-∞
び,7.1節
と 呼 ぼ う― の 状 態 が,t→-∞
間 漸 近 的 に 自 由 な"状 態
事 柄 で は な い.し
弱 い の 場 合,
対 応 づ け ら れ る.
そ の 命 名 が 示 唆 す る よ う に,実
ン がH2で
成 り立 つ と き,W±(H2,H1;J)は
た は 弱 い 漸 近 的 完 全 性 を も つ と い う.こ
態 に漸 近 す る か ど うか は 自明 な
に お け るH2-系
態 で つ く さ れ る とす れ ば
,任
のすべての散乱状態が 意 の Ψ ∈Hac(H2)に
対
して
とな る
が存 在 しな けれ ば な らない.こ れ は
を意 味 す る か ら, *16 この 命 名 の背 後 にあ る物 理 的 な描 像 につ いて は7
と な る.こ の逆 の 包 含 関 係 は
.1節 で ふ れ た.散 乱作 用 素 の ユ ニ タ リ 性 は散 乱 の過 程 にお け る金 確 率 の 保 存 の た め に要 請 され る.
す で に知 ら れ て い る か ら(系7.14),結
局
が成
り立 つ こ と に な る.同 様 に,t→+∞
に お け るH2-系
の散 乱 状 態 の 全 体 が"時
間漸 近 的 に 自由 な"状 態 で つ くされ る とす れ ば, で な け れ ば な らな い. 以 上 の発 見 法 的 考 察 か ら次 の定 義 へ と到 る: 定 義7.19
条 件(7.54)が
成 立 し,波 動 作 用 素
が存在 する と
す る.こ の と き
(7.62) が 成 り立 つ な ら ば,波
動 作 用 素
は 完 全 で あ る と い う.
こ の 完 全 性 の 条 件 は,重
要 な 結 果 を 導 く:
定 理7.20
満 た さ れ,波
条 件(7.54)が
つW±(H2,H1;J)は
動 作 用 素W±(H2,H1;J)は
完 全 で あ る と し よ う.こ
(ⅰ) W±(H2,H1;J)はHac(H1)か
の と き,次 の(ⅰ),(ⅱ)が
らHac(H2)へ
存 在 し,か 成 り立 つ:
の ユ ニ タ リ作 用 素 で あ り
(7.63) し た が っ て,特
に
(7.64) (ⅱ) S(H2,H1;J)はHac(H1)上
の ユ ニ タ リ作 用 素 で あ る.
証 明 (ⅰ)W±(H2,H1;J)が
完 全 で あ れ ば,
の 事 実 と 定 理7.17-(ⅱ)か
ら 題 意 が 成 立 す る.
(ⅱ)定 理7.18-(ⅲ)に
注 意7.6 こ う し て,ス
こ
よ る.
(7.64)は,H1,H2の
■
絶 対 連 続 ス ペ ク トル が 等 し い こ と を 意 味 す る.
ペ ク トル 理 論 の 観 点 か ら み る と,散
ス ペ ク トル の 同 定 に 使 う こ と が で き る.
乱 理 論 と い う の は,絶
対連続
た と え ば,シ
ュ レ ー デ ィ ン ガ ー型 作 用 素
の 場 合 で い え ば,
に付 随 す る 波 動作 用 素 が 完 全 とな る よ う なVの
ク ラ ス に対 して は
と同 定 で きる わ け で あ る. こ の 意 味 に お い て,散 乱 理 論 とい う の は,純 数 学 的 に は,絶 対 連 続 ス ペ ク ト ル に 関 す る摂 動 論 の 一 つ の重 要 な ク ラ ス とみ る こ とが で き る. 定 義7.19に
お け る完 全 性 の概 念 よ り もさ らに強 い完 全 性 の概 念 を定 義 す る こ
とが で き る.す な わ ち
(7.65) が 成 り 立 つ と き,W±(H2,H1;J)は
漸 近 的 に 完 全 で あ る と い う.実 際,容
わ か る よ う に,W±(H2,H1;J)が か つHsc(H2)=0で 定 義 さ れ る,波 間"に
漸 近 的 に 完 全 で あ る こ とは そ れ が完 全 で あ り
あ る こ と と 同 値 で あ る.し 動 作 用 素 の 完 全 性 は,弱
た が っ て,定
義7.19に
よっ て
い 意 味 で の 完 全 性 と 漸 近 的 完 全 性 の"中
あ た る 完 全 性 の 概 念 で あ る.
7.4
前 節 に お い て,散
波動 作 用 素 の存 在 に対 す る判 定 条件
乱 理 論 の 一 般 的 構 造 が 明 ら か に さ れ た の で,次
素 の 存 在 条 件 に つ い て 考 察 し よ う.波 る に は,任 t→
易 に
意 の Ψ ∈Hac(H1)に
± ∞ の と き,tに
動 作 用 素W±(H2,H1;J)の
対 して,ベ
に波 動 作 用 存 在 を証 明す
ク トル
が,
関 して コ ー シ ー 列 を な す こ と,す な わ ち, を 示 せ ば よ い.し
い う 条 件 を 満 た せ ば(*)が
た が っ て,問
題 は,H1,H2,Jが
どう
成 り立 つ か を 調 べ る こ と で あ る.
そ の た め の 一 つ の ア イ デ ア は,IR上
の 関 数
お け る 極 限 の 存 在 を 示 す 次 の 方 法 か ら 示 唆 さ れ る:も を 満 た す と す れ ば,任
意 の
に し,fが
連 続微分可能 で
に対 して
s0)が
素 で あ る こ と を 意 味 す る.t>0な
関 数Pt(x,y)を ら ば,積
積 分 核 とす る 積 分 作 用
分 に関 す る シ ュ ヴ ァル ツの 不 等 式 に
*19 確 率過 程 に関 す る一 つ の物 理 的描像 は次 の よ うな もの で あ る .ラ ン ダムな運 動 をす る粒 子 を考 え よ う(た とえば,非 常 に細 か く砕 い た花 粉 が 水 の 中 を運 動 す る場 合).そ の よう な 運 動 に お い ては,時 刻tで の位 置X(t)∈IRdは 確 率 的 に分 布 す る.し たが っ て,X(t) は,あ る確 率 空 間(Ω,B, P)上 のIRd-値 確 率 変数 とみ なす の が 自然 で あ る.こ の場 合, 考 察 下 の 運動 は確 率 変 数 の集 合{X(t)}t∈[0,T](T>0は 定 数)― 確 率 過程― に よ って 記 述 され る と予 想 され る.こ の 枠組 み で は,い う まで もな く,粒 子 の時 刻tで の位 置 に つ い て は確 率 的 に予 言 で きる だ けで あ る.す な わ ち,粒 子 が 時 刻tで 集合B⊂IRdの 中 にあ る確率 はP({ω 本 関数ζω はIRd内
∈ Ω│X(t)(ω)∈B})で
あ る と解 釈す るの で あ る.こ の 場 合の 標
の 曲線(粒 子 の 可能 な軌 道 曲 線 の一 つ)を 表 す.
よ り
し た が っ て,(8.32)の さ ら に,ル xに
右 辺 は 各 点x∈IRdご
と に 定 義 さ れ た 有 界 な 関 数 で あ る.
ベ ー グ の 優 収 束 定 理 を 応 用 す る こ と に よ り,(8.32)の
つ い て 連 続 で あ る こ と も 証 明 さ れ る.ゆ
と は,L2(IRd)の 味 で,各
元 で あ る が,IRd上
点x∈IRdの
値(e-tH0ψ)(x)に
積分核Pt(x,y)の基本的性質
補 題8.13
t,s>0と
右 辺 の 関数 は
え に,e-tH0ψ(t>0)は,も
とも
の 有 界 な 連 続 関 数 と 同 一 視 さ れ る.こ
の意
つ い て 語 る こ と が で き る.
を み て お こ う.
す る.
(ⅰ) Pt(x,y)>0,∀x,y∈IRdか
つ∫IRdPt(x,y)dy=1,∀x∈IRd.
(ⅱ) (鎖 則)∫IRdPt(x,y)Ps(y,z)dy=Pt+s(x,z),∀x,z∈IRd.
証 明 直接 計 算. 注 意8.5
■
(ⅱ)は 半 群 特 性e-tH0e-sH0=e-(t+s)H0と
呼 応 し て い る.こ
れを
用 い て 証 明 し て も よ い.
定 理8.14 る.こ
ψ1,…,
ψn-1∈L∞(IRd),ψn∈L2(IRd),0〓t1〓
…
〓tnと
す
の と き
(8.33) と書 け る.た
だ し
で 定 義 さ れ る,(IRd)n上
証 明 s1=t1,
の 測 度 で あ る*20.
s2=t2-t1,…,sn=tn-tn-1と
ら,j=1,…,n-1に
お く.ψjに
対 し て ψje-sj+1H0…
た が っ て,(8.32)を
繰
つ い て の 条 件 か
ψn-1e-snH0ψn∈L2(IRd).し
り返 し用 い る こ と に よ り
(8.35) さらに
で あ り,補
題8.13に
し た が っ て,フ で よ い.ゆ
ビ ニ の 定 理 が 応 用 で き る の で,(8.35)に
え に(8.33)が
補 題8.13を る.す
よ り
出 る. ■
用 い る とdμt1,…,tn;xは(IRd)n上
な わ ち,μt1 ,…,tn;x((IRd)n)=1.し
上 の 確 率 ベ ク トル(Xt1,…,Xt に は,(8.33)の A. 8の 定 理A.
,B)上
応 用*21).こ
れ は,適
れ を 用 い て,ト
書 け る([3]ま
,確
当 な確 率 空 間
切 な ク ラ ス のVに
対 し て(e-tHψ)(x)=
成 り立 つ と き,dμ(x)=f(x)dν(x)と 率 空 間(Ω,B,μ)上 の 確 率 変 数Xに
期 待 値 を 表 す.
の場 合
た は[4]の
付録
ロ ッ タ ー の 積 公 式 を 経 由 し て,
の 二 つ の 測 度 μ,ν と 可 測 関 数f:X→Cに
∫Bf(x)dν(x),∀B∈Bが *21 同 付 録 で 述 べ た よ う に ∫ΩX(ω)dμ(ω)はXの
た が っ て,そ
ψn(Xtn)]と
発 見 法 的 ・形 式 的 な 議 論 を 行 う と,適 *20 可 測 空 間(X
の 確 率 測 度 で あ る こ とが わ か
n)の 分 布 に な っ て い る 可 能 性 が あ り,そ
右 辺 はE[ψ1(Xt1)… 19の
お け る積 分 順 序 は任 意
つ い て,μ(B)= 象 徴 的 に 記 す. 対 し て,E(X):=
が 成 立 す る こ と が 予 想 さ れ る.こ (t〓0)の
う し て,熱 半 群e-tHV
汎 関 数 積 分 表 示 を 厳 密 に確 立 す る 問 題 は,確 率 変 数 の 族{Xt}t〓0で,任
意 の 自 然 数nと0〓t10に
ュ ヴ ァル ツ の 不 等 式 に よ っ て
が 成 り立 つ.も はR→∞
件(9.117)と(9.119)は
し,(9.117),(9.119)が
の と き,有
限 値 に 収 束 す る.だ
あ る. こ う して,次
の 定 理 が 得 ら れ る.
と も に 満 た さ れ て い る とす れ ば,右 が,左
辺
辺 は 無 限 大 に な る か ら矛 盾 で
定 理9.23
ウ ィ ッ テ ンモ デ ル の 超 対 称 的 ハ ミ ル トニ ア ンHが
態 を も つ た め の 必 要 十 分 条 件 は(9.117)ま る こ と で あ る.そ
の 場 合,次
(ⅰ) (9.117)が
満 た さ れ る 場 合,Hの
に 限 ら れ る.特
た は(9.119)の
零 エ ネ ル ギ ー状
ど ち らか が 満 た され
が 成 立 す る: 零 エ ネ ル ギ ー 状 態 は(eW,0)の
定数倍
に,
(9.121) (ⅱ) (9.119)が
満 た さ れ る 場 合,Hの
倍 に 限 られ る.特
に,
零 エ ネ ル ギ ー 状 態 は(0,e-W)の
定数
(9.122) こ の 定 理 の 一 つ の 帰 結 は 次 で あ る: 系9.24
(9.117)と(9.119)の
す な わ ち,Hの
ど ち ら も満 た さ れ な い な ら ば,kerH={0},
零 エ ネ ル ギ ー 状 態 は 存 在 し な い.し
た が っ て,こ
の 場 合,超
対
称 性 は 自 発 的 に破 れ て い る. こ う し て,ウ ン シ ャ ルWの
9.5.3
ィ ッ テ ン モ デ ル に お い て は,超 特 性 に依 存 す る こ とが わ か る.
多 項 式 型 超 ポ テ ン シ ャル
こ の 項 で は,Wが と し,Wがq次
対 称 性 の 自発 的 な破 れ は 超 ポ テ
多 項 式 型 の 場 合 を 考 え,こ
れ ま で の 結 果 を応 用 す る.q〓2
の多 項 式
の 場 合 を 考 え る(aj∈IRは
定 数,aq≠0).こ
し た が っ て,W'(x)2は2(q-1)次 で あ る か ら,(9.112)は
の とき
の 多 項 式 で あ り,W"は(q-2)次
満 た さ れ る.次
の 事 実 は 容 易 に 確 か め ら れ る:
の多 項 式
(ⅰ) eW∈L2(IR)⇔qが
(ⅰ) e-W∈L2(IR)⇔qが
偶 数 か つaq0.
(ⅲ) e±W〓L2(IR)⇔qが
奇 数.
こ れ ら の 結 果 を ま と め て 記 述 す る た め に,Wの
無 限 遠 で の 符 号sgnW±∞
を
次 の よ う に 定 義 す る: の と き の と き こ の と き,定
理9.21と
定 理9.22に
よ り
(9.123) と書 け る こ とが わか る.こ の よ う に表 す と,Q+の
指 数 は,Wの
無 限遠 で の 振
る舞 い だ けで 決 ま り,途 中 の 詳 細 に は よ らな い こ とが 一 目瞭 然 に な る. こ の 例 で は,W'2±W"∈L2loc(IR)で
あ り
で あ る の で,定
の結果
理6.50が
適 用 で き る.そ
(9.124) す な わ ち,H±
は 離 散 ス ペ ク トル しか も た な い.し
が 満 た さ れ る.ゆ
9.5.4
え にQ+は
た が っ て,定
理9.15の
条件
フ レ ドホ ル ム で あ る.
特 異 摂 動 の生 起
ウ ィ ッ テ ン モ デ ル に お い て は,特 う.g∈IRを
異 摂 動 が ご く"自 然 に"起
パ ラ メ ー タ ー,W1:IR→IRを2回
こ る こ と を示 そ
連 続 微 分 可 能 な 関 数 と し て,
作用素
(9.125) ―Q+の
摂 動― を 考 え る .作
用 素Q,
H, H±
に お け るWをW+gW1に
え る こ と に よ り得 られ る 作 用 素 を そ れ ぞ れ,Q(g),
H(g),
H±(g)と
置 き換 記 す.(9.109)
に よ って
(9.126) (9.127) (9.128) 以下
(9.129) を 仮 定 す る.
補 題9.25
条 件(9.129)の
も と で,H±(g)は,g→0の
と き,H±
に強 レゾ
ル ヴ ェ ン ト収 束 す る.
証 明 (9.129)が
仮 定 さ れ て い る の で,定
応 用 で き る.し
た が っ て,C∞0(IR)はH±(g)の
用 い る こ と に よ り,任
意 の ψ ∈C∞0(IR)に
な る こ と が 容 易 に わ か る.し
た が っ て,付
理9.20を,WがW+gW1の 芯 で あ る.さ
場合 に ら に,(9.128)を
対 し てlimg→0H±(g)ψ=H± 録Mの
定 理M.4の
ψ と
応 用 に よ り,題
意 が し た が う.
定 理9.26 の と き,次
■
(9.129)を
仮 定 し,g0>0を
任 意 に と り,Ⅱ:=(0,g0]と
の 三 つ の 条 件 の 一 つ が 成 立 す れ ば,H+(g),g∈Ⅱ
お く.こ
はH+に
関 して 特
異 で あ る: (ⅰ) (ⅱ)
(ⅲ) 証 明 定 理9.23に 件(ⅰ),(ⅱ),(ⅲ)を
定 理9.26の 存 在 す る.
よ っ て,上
の 条 件(ⅰ),(ⅱ),(ⅲ)は
そ れ ぞ れ,命
題9.19の
導 く.
条 件(ⅰ),(ⅱ),(ⅲ)の
条 ■
ど れ か を 満 た すW,
W1は
無 数 に"十
分 多 く"
例9.4
W(x):=x2n,W1(x):=-x2m+2,m〓n〓1.こ
ば,定 理9.26の
条 件(ⅲ)が
満 た さ れ る.条
く らで も例 をつ くる こ とが で き る.そ が[2]に
の と き,g>0な
ら
件(ⅰ),(ⅱ)に つ い て も ,同 様 に して,い
の よ う な例 の い くつ か に 関 す る 更 に詳 しい解 析
あ る.
注 意9.7
ウ ィ ッ テ ン モ デ ル の 多 次 元 へ の 拡 張 に つ い て は,演
習 問 題8∼10を
参 照.
9.6
例9.2の
縮 退 した零 エ ネル ギ ー基 底 状 態 を もつ モデ ル
超 対 称 的 量 子 力 学 の モ デ ル は,あ る ク ラ ス の ベ ク トル ポ テ ンシ ャル
Aに 対 して,縮 退 した 零 エ ネ ルギ ー基 底 状 態 を もつ こ とを示 そ う. B:IR2→IRを
有 界 な台 を もつ 連 続 な関 数 と し
(9.130) を定 義 す る.こ
の と き,φ は 連 続 関 数 で あ り超 関 数 の 意 味 でΔ φ(x)=B(x)…(*)
が 成 り 立 つ([13]ま 可 能 で あ る(ル
た は[14]の
付 録C.3の
例C.3を
ベ ー グ の 優 収 束 定 理 を応 用 せ よ).そ
参 照).ま
た ,φ
こ で,IR2上
は偏 微 分
のIR2値
関数
A=(A1,A2)を
(9.131) に よ っ て 定 義 し,Q+(A)を D1A2-D2A1で
例9.2に
あ る か ら,Bを
ン シ ャ ル の 一 つ と 解 釈 さ れ る.こ
お け る 作 用 素 と す る.(*)に
磁 場 と解 釈 す る と き ,Aは
よ っ て ,B=
そ の ベ ク トル ポ テ
の場 合
(9.132) はBの
磁 束 を 表 す.
正 の 実 数a>0に {0}:=0と 定 理9.27 0.
対 し て,aよ
り も 真 に 小 さ い 最 大 の 整 数 を{a}で
す る. A1, A2は(9.131)で
(ⅰ) ΦB>0な
ら ば,dim
与 え ら れ る も の と す る.こ kerQ+(A)={ΦB/2π}か
の と き:
つdim
kerQ+(A)*=
表 す.
(ⅱ) ΦB0を
由度 の 正準 反交 換 関
自 動 的 に し たが う)(こ の よ う な 表 現 の 例 に
参 照).
定 数 と し て,作
用 素Q(j),j=1,
2を ,
に よ っ て 定 義 す る.こ
の と き,Q(j)は
有界 な
自己 共役作 用 素で あ り
が 成 り立 つ こ と を示 せ. (ii) Γ:=1-2a*aと
お く と,Γ
は 自 己 共 役 か つ ユ ニ タ リ作 用 素 で あ り
が 成 り立 つ こ と を示 せ.
注:こ の 問題 に述 べ た 事 実 は,1自
由度 のCARの
表 現 か ら,N=2の
を もつ 超 対 称 的 量 子 力 学― た だ し,ハ ミル トニ ア ンMは れ る こ と を示 す(こ の"N=2"は
ス ピ ン 自 由度 に 関 す る も の で は な く,ス ピ ン
とは 異 な る 内 部 対 称 性 に 関 す る も の で あ る).別
の い い 方 を す る と,(Q(j)2j=1
は 拡 大 され た 超 対 称 性 代 数(9.40)のn=1,N=2の 現 を 与 え る.こ
れ はN=2の
場 合 の ヒル ベ ル ト空 間 表
内部対 称 性 を もつ相対 論 的超対 称 的量子 場 の理
論 の コ ン テ ク ス トに お い て は,静 空 間 の 表 現 を与 え る.次
超 対称性
定 数 作 用 素― が 構 成 さ
止 系 に お け る,質
の 問 題 も参 照.
量Mの1粒
子状 態の 内部
2. F,a,a*,Q(j),Γ
は 前問 の も の と す る.単
す も の が あ る と す る.こ 呼 ぶ.
位 ベ ク トル ψ0∈Fでaψ0=0を
の よ う な ベ ク トル ψ0をCARの
表 現a,a*の
満 た 真 空 と
と お く.
(ⅰ) ψ0と ψ1は 線 形 独 立 で あ る こ と を 示 せ. (ⅱ) ψ0と
ψ1に
よ っ て 生 成 さ れ る 部 分 空 間 をFaと
dimFa=2).a,a*はFaを
す る((ⅰ)に
よ っ て,
不 変 に す る こ と を示 せ. を 示 せ.
(ⅲ) (ⅳ) を示 せ.
3. 2 次 元 ユ ニ タ リ空 間C2に
(ⅰ) a,a*は1自
お い て
由 度 のCARの
と す る.
表 現 で あ る こ と を示 せ. の 定 数 倍 に 限 られ る こ と を 示 せ.
(ⅱ) この 表 現 の真 空 は存 在 し,
(ⅲ) この 表 現 で は,演
習 問 題2の
作 用 素Q(j),Γ
は
とい う 形 を と る こ と を 示 せ. 4. a1,a*1,a2,a*2を る.す
ヒ ル ベ ル ト空 間Hに
な わ ち,各aα(α=1,2)はH上
お け る 自 由 度2のCARの
有 界 表 現 とす
の 有 界 線 形 作 用 素 で あ り を 満 た す も の とす る(こ
例 に つ い て は 以 下 の 演 習 問 題6を
参 照).こ
の よ うな表 現 の
の と き,有 界 な 自 己 共 役 作 用 素
が 定 義 さ れ る. を 示 せ.
(ⅰ)
とお く と,γ
(ⅱ)
は 自己 共 役 か つ ユ ニ タ リで
あり
が 成 り立 つ こ と を示 せ. 5. a1,a*1,a2,a*2を Ω ∈Hが
前問
の も の と し,aα
存 在 す る と す る.こ
の 真 空 と 呼 ぶ.
Ω=0,α=1,2を
の よ う な ベ ク ト ル をCARの と お く.
満 た す 単 位 ベ ク トル 表 現{a1,a*1,a2,a*2}
(ⅰ) Ω,ψ1,ψ2,ψ12は 線 形 独 立 で あ る こ と を示 せ.
(ⅱ) Ω,ψ1,ψ2,ψ12に
よ っ て 生 成 さ れ る 部 分 空 間 をHaと
dim Ha=4).aα,a*α
はHaを
(ⅲ)
注:ヒ
す る((ⅰ)に よ っ て,
不 変 に す る こ と を示 せ. を 示 せ.
ル ベ ル ト空 間Haは,相
お い て は,静
対 論 的 超 対 称 的 量 子 場 の 理 論 の コ ン テ ク ス トに
止 系 に お け る,質 量Mの1粒
さ れ る.(ⅲ)が
示 す よ う に,Ω,ψ12は
子 の ス ピ ン状 態 を 表 す 空 間 と解 釈 ボ ソ ン 的 状 態 を 表 し,ψ α(α=1,2)は
フ ェ ル ミオ ン的 状 態 を表 す. とお け ば, さ れ る.Haに ば,Haは
角 運 動 量 代 数 の 表 現 空 間 に な って い な け れ ば な ら な い.こ
ら,直 和 分 解(*)は
ン が1/2の
ピ ンが0の
表 現 で あ る.こ
表 現 で あ り,M1は2次
う して,こ
ェ ル ミ オ ンの ス ピ ンは1/2で
6. a,ψ0を 演 習 問 題3の
の モ デ ル で は,ボ
もの とす る.C2の2個
ピ あ
の テ ン ソ ル 積 空 間
に
に よ っ て 定 義 す る.
(ⅰ) a1,a*1,a2,a*2は
(ⅱ) こ の 表 現 の 真 空 は
自 由 度2のCARの
任 意 の 自然 数 と し,N次
表 現 で あ る こ と を示 せ.
の零 で な い 定 数 倍 に 限 られ る こ と を示 せ. 元 ユ ニ タ リ空 間CN上
ク 空 間 のp重
元 で あ る の で,ス ソ ンの ス ピ ン は0で
あ る こ とが わ か る.
お け る 作 用 素a1,a2を
7. Nを
の観 点 か
角 運 動 量 代 数 の 既 約 表 現 の 直 和 と解 釈 さ れ る.M0,M2は
1次 元 で あ る か ら,ス
り,フ
と直和 分解
対 す る上述 の解 釈 と相対論 的 場 の量子 論 の公 理論 的要 請 に よれ
の フ ェ ル ミオ ン フ ォ ッ
を 考 え る
反 対 称 テ ン ソ ル 積*29).e1,…,eNをCNの
はCN 標 準 基 底 とす る:el:=
l成 分
(0,…,0,1,0,…,0)(l=1,…N).各l=1,…,Nに対 上 の 線 形 作 用 素alを
し て,
そ の 共 役 作 用 素a*1が(a*lψ)(0)=0,
とな る よ うに 定 義 す る(Apはp次
の 反 対 称 化 作 用 素).ベ に よ っ て 定 義 す る.こ
ク トルΩ∈∧(CN)を の ベ ク トル は∧(CN)
に お け る フ ォ ッ ク 真 空 と呼 ば れ る. (ⅰ)
に 対 し て,
φ(q)=0,q≠pと *29 [14]の4章 ,4.3.1項
を 参 照.
い う形 の ベ ク トル
かつ を と る.
こ の と き,各l=1,…,Nに
対 して
を 示 せ. (ⅱ) alΩ=0(l=1,…,N)を
示 せ.
(ⅲ) {al,a*l│l=1,…,N}は
自 由度NのCARの
表 現 で あ る こ と,す な わ ち,
が 成 り立 つ こ と を示 せ. (ⅳ)
偶数
奇数
とす れ ば,
と表 され る. 用 素 をp±
と し,
とお く.こ
上へ の 正射影作
の と き,
を
示 せ. (ⅴ)
と し, と お く.た
だ し,M>0は
定 数 で あ る.こ
とき
が 成 り立 つ こ と を示 せ. 8. ajを 演 習 問 題7の
も の と し(N=nと
に お い て,作
を考 え る(Djは
す る),ヒ
ル ベ ル ト空 間
用素
変 数xjに
関す る 一般 化 され た偏 微 分 作 用 素).
と お く( は代 数 的 テ ン ソ ル 積 を表 す). (ⅰ)
で あ り(し た が っ て,dは
稠 密 に 定 義 さ れ て い る),
を示 せ. (ⅱ) D0上
でd2=0,d*2=0で
あ る こ と を示 せ.
(ⅲ)
とす る(Δ の 一 般 化 さ れ た ラ プ ラ シ ア ン).こ
の とき (D0上), (D0上)
はL2(IRn)上
の
を 示 せ.
(ⅳ) Qj(j=1,2)はD0上
で 本 質 的 に 自 己 共 役 で あ り,作 用 素 の 等 式H=
Q12=Q22が
成 立 す る こ と を 示 せ.
ヒ ン ト:(ⅲ)と (ⅴ)
交 換 子 定 理 を用 い よ.
とお く(τ は 演 習 問 題7で
定 義 し た作 用 素).
お よ び作 用 素 の 等 式
を 証 明 せ よ.
注:こ の問題 の結 果 は, を 示 し て い る.dはHに と 呼 ば れ る.こ て,ス
が超 対称 的量 子力 学で あ るこ と お け る 外 微 分 作 用 素(exterior
differential
の モ デ ル で は,
operator)
で あ る.し
ペ ク トル 写 像 定 理 に よ り,
特 に,超
たが っ 対 称性 は
自 発 的 に 破 れ て い る. 9. (研 究 課 題)
をC∞
関 数 とす る.前問
テ ン 変 形dt:=etWde-tW(t∈IRは 前問
の 作 用 素dに
パ ラ メ ー タ ー)を
対 し て,ウ
行 う.こ
ィッ
れ に 関 し て,
と 同 様 の 問 題 に つ い て 考 察 せ よ*30.
10. (研 究 課 題)演
習 問 題7を
基 礎 に し て,ヒ
ル ベ ル ト空 間
を 状 態 空 間 と す る 超 対 称 的 量 子 力 学 の モ デ ル を 構 成 せ よ.
関
[1] Y.Aharonov and a two dimensional
連
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Uni
索
A AB効
果 167,168
Aか
ら生 成 さ れ る代 数 30
引
n回
元 特 殊 ユ ニ タ リ群SU(N)の
N次
元 ユ ニ タ リ群 191,201
N次
A-限 界 43
n重
A-コ
N粒
ンパ ク ト 352
Aに
微 分 可 能 264
N次
元 ユ ニ タ リ群U(N)の
子 系 の 全 軌道 角 運 動 量 252 P
A-有 界 43 π± 中 間 子 297 πO中 間 子 297
C∞-定 義 域 8
ρ(G)-不 変 214
CCR ―
ρ-不変 214 の 自 己共 役 表 現 177 R
― の弱 ヴ ァ イ ル型 表 現 169 ― ―
の表 現 の 非 有 界性 130 の表 現 の ヒ ルベ ル ト空 間 129
C上
リー 環 246
可 換 子 集 合 28
同 伴 す る準 双 線 形 形 式 92
C
リー 環 246
IRd-並 進 対 称 性 61 IRd-並 進 不 変 性 61
の 代 数 28
S D
S方
向へ の微 分 81
d次 元 の 回 転 対 称 性 224 d次 元 の 軌 道 角 運 動 量 227 G
T T-対 称 194 T-不 変 194
G-対 称 性 220 ― の(一 つ の)表 現 220
U U-不 変 219
g-対 称 性 248 ア H
行
ア イ ソ ス ピ ン 253 H安
定 性 41
H0-コ
アハ ラ ノ フ-キ ャ シ ャー の 結 果 513 アハ ラ ノ フ-ボ ー ム効 果 154,167
ンパ ク ト 358 K
KLMN定
ア ーベ リア ン 29 理 108
ア ーベ ル群 190 N
n階
の 導 関 数 264
アハ ラ ノ フ-ボ ー ム の 時 間 作 用 素 178
安 定 261 生 き残 り確 率 182,300,303,316
位 数 190
解 析 ベ ク トル定 理 88
位 相 255
回 転 群 191,200
位 相 空 間 255
回 転 対 称 224,225
位 相 群 196
―
位 相 写 像 257 位 相 同 型 257 一 意 性 ベ ク トル 86
な 関 数 195 ―な 図 形 195
回 転 不 変 225
一意 的 284
外 微 分 作 用 素 524 ガ ウス 型 確 率 ベ ク トル 456
位 置 作 用 素 7,12,135,381
ガ ウス 型 確 率 変 数 455
―
の 組 25
ガ ウス 型 関 数 147
1次 元 調 和 振 動 子 36
可 換 29
1次 元 の デ ィ ラ ッ ク型 作 用 素 503
―
1次 元 量 子 調 和 振 動 子 の ハ ミル トニ ア ン 446
―
1自 由 度CARの 一 般 化 さ れ たd次
表 現 520 元 ラ プ ラ シア ン 61
一 般 化 され た デ ィ リ ク レ境 界条 件 つ き ラ プ ラ シ
な 観 測 量 の完 全 な組 32
な 観 測 量 の極 大 集 合 32 ― な 観 測 量 の極 大 な組 21 ,22,28 ― な 物 理 量 の極 大 な組 23 可 換 群 190
ア ン 101 一 般 化 され た ノ イマ ン境 界条 件 つ き ラ プ ラ シア
可 換 子 集 合 28,132
ン 126 一 般 化 さ れ た ラ プ ラ シ ア ン 15
可 換 半 群 414
一 般 軌 道 角 運 動 量 211
,59
可 換 子 代 数 28 核 196 角 運 動 量 代 数 253,522
一 般 線 形群 191
核 子 294 拡 大 され た 超 対 称 性 代 数 475
一 般 線 形 リー 代 数 246
拡 大 定 理 319 ヴ ァ イ ル 型 表 現 138 ヴ ァ イ ル 関係 式 138
確 率 過 程 426 核 力 294
ヴ ァ イ ル の 判 定 法 327
加 群 190
ヴ ァ イル の 補 題 519 ウ ィグ ナー-バ ー グマ ンの 定 理 198
可 測 206 ― な 写 像 206
ウ ィ ッテ ン指 数 493
括 弧 積 245
ウ ィ ッテ ン 変 形 503
荷 電 粒 子 の 多 体 系 の ハ ミル トニ ア ン 67
ウ ィ ッテ ン モ デ ル 503
加 藤 の 不 等 式 74
ウ ィー ナ ー過 程 437
加 藤-レ リ ッヒ の定 理 48,58,65
運 動 量 作 用 素 8,12,135,208,383 ―の組 26
可 閉 93
エ ネ ル ギ ー ・運 動量 作 用 素 22
完 全 398
オ ル ン シ ュ タ イン-ウ ー レ ンベ ッ ク過 程 448
完 全 可 約 215 完 全 で あ る 86
可 約 215 間 隙 条 件 497
カ 開 集 合 255 階 数1の
完 全 連 続 343 緩 増 加 超 関 数 355 簡 約 18,33,35
作 用 素 406
解 析 関 数 298 外積代数
行
467
基 底 状 態 41,284,418,447 ―
の 存 在 335
解 析 的 264
基 底 状 態 過 程 447
解 析 的 指 数 493
軌 道角運動量
解 析 的 摂 動 論 262,283 解 析 ベ ク トル 85
―(の
成 分)作
用素 227
―
の 大 き さ 244
―
の2乗
― ―
の 方 向量 子 化 244 の 量 子 数 244
―
の 公 理 189
238 形 式 92 ―
の 意 味 で のA-限
基 本 近 傍 系 256
―
の 意 味 で 無 限 小 105
既 約 132,215,247
―
の 定 義 域 92
逆 元 189
―
の 場 合 の比 較 定 理 339
既 約 成 分 216 ―(表 現)の 球 関 数 242
界 105
形 式 芯 92 直和 216
形 式 的 摂 動 級 数 289 形 式 和 103,110
強 安 定 41 強 可 換 17,20,134
結 合 ス ペ ク トル 22 結 合 定 数 285
― な物 理 量 の極 大性 31 強 結 合 領 域 310
結 合 的 に ガ ウ ス型 456 結 合 法 則 189,393
強 時 間 作 用 素 180
ケ ー リー 変 換 119
強 非 可 換 因 子 180
原 子 の 安 定 性 40
強 閉 包 29
原 点 に 特 異性 を もつ ポ テ ン シ ャ ル 360
共 鳴 極 299 共 鳴 散 乱 299
交 換 子 121
共 鳴 状 態 299
交 換 子 積 247
共 鳴 の 幅 299
交 換 子 定 理 79
共立的 2
恒 等 表 現 247
―
な観 測 量 2
― な物 理 量 2
勾 配作 用 素 68,113 古 典 的 極 限 466
強 レゾ ル ヴ ェ ン ト収 束 516
古 典 的 経 路 421
強 連 続 204
古 典 的 フ ェ ル ミ場 474
― なH-値 関 数221 強 連 続1パ ラ メー ター 半 群 414
古 典 的 ボ ー ス 場 474
強連 続 ユ ニ タ リ表 現 204 局 所 的 特 異 性 113 局 所有界な測度 7 極大
20,22
極 大 ア ー ベ ル代 数 32
固 有値 の 安 定 性 の 問 題 261 固 有 ロ ー レ ンツ 群 202 孤 立 固 有 値 11 コ ル モ ゴ ロ フの 連 続 性 定 理 458 混 合 型 ポ テ ン シ ャ ル 78 コ ンパ ク ト 343
極 大 観 測 量 12,28
サ
極 大 物 理 量 12,36
行
虚 数 時 間 410
最 小-最 大 原 理 333,361
空 間 反 転 209
最 低 エ ネ ル ギ ー 41 ― の経 路 積 分 表 示 445
空 間 反 転 群 209
作 用 素 解 析 の ユ ニ タ リ共 変 性 138
空 間 反 転 対 称 225 空 間 反転 不 変 225
作 用 素 行 列 305,481
ク ッ クの 方 法 400
作 用 素 行 列 表 示 481 3次 元 の(量 子)軌 道 角 運 動 量 235
グ ラ ス マ ン数 467
3次 元 パ ウ リ作 用 素 487
グ ラ ス マ ン代 数 467
残 存 確 率 182
グ リムージ ャ ッ フ ェーネ ル ソ ンの 交 換 子 定 理 79
散乱
クー ロ ン型 ポ テ ン シ ャ ル 64,361
―
の 遷 移 確 率 397
ク ー ロ ンポ テ ン シ ャ ル 291
―
の 遷 移 確 率 振 幅 374,397
群 189
散 乱 角 370
散 乱 行 列 374
自 由度NのCCRの
散 乱作 用 素 374,395
自由 な相対 論 的 シ ュ レーデ ィ ン ガー 作用 素 387
―
の 積 分 表 示 と漸 近 展 開 403
散 乱理 論 370,390
対 称 表 現 129
自 由 な デ ィ ラ ック作 用 素 110 自由 ハ ミル トニ ア ン 15 重 陽 子 297
時 間-エ ネ ル ギ ー の 不 確 定 性 関 係 175
縮 退 17
時 間作 用 素 174
縮 退 した 零 エ ネ ル ギ ー 基 底 状 態 510 シ ュ タ ル ク効 果 84
時 間 反転 211 時 間 反転-時 間 並 進 群 212
シ ュ タル ク ・ハ ミル トニ ア ン 84
時 間並 進 211 時 間崩 壊 300,316
寿 命 299 シュ レーデ ィ ンガ ー 型作 用 素 52,56,77,225,
磁 気 的 並 進 160
226,329,354
時 空 の 対 称 性 465
シ ュ レー デ ィ ン ガ ー型 半 群 440
時 空 変 数 468
シ ュ レー デ ィ ン ガ ー半 群 418
自己 共 役 132
シ ュ レー デ ィ ン ガー 表 現 136
自己 共 役 作 用 素 の 組 110
シ ュ レー デ ィ ン ガー 描 像 370
自己 共 役 半 群 414
準 位 幅 299 巡 回ベ ク トル 8,14
―
に関 す る生 成 定 理 415
指 数 493 ―
純 虚 数 時 間 425
に対 す る トレー ス 公 式 497
純 虚数 時 間経 路 積 分 426
指 数 型 作 用 素 410,472
純 粋 に絶 対 連 続 380
磁 束 510
純 粋 に点 ス ペ ク トル 的 385
―
の 局 所 的 量 子 化 165
磁 束 の 局 所 的 量 子 化 165 下 に 有 界 91
純 粋 に特 異 連 続 385 純 粋 に離 散 的 336 準双線形形式
実 一般 線 形 群 191 実 時 間経 路 積 分 423
―sの ―
の 拡 大 93
実 表 現 213
―
の 相 等 90
実 リー代 数 246
―
の 和 90
質 量mの
超 双 曲 面 22
質 量0の3次
元 デ ィ ラ ッ ク作 用 素 487
質 量 超 双 曲面 195
ス カ ラ ー 倍 90
純 点 ス ペ ク トル 384 純 点 ス ペ ク トル的 3 ― に極 大 17
磁 場 67,154,486 ― を もつ シ ュ レー デ ィン ガ ー 作 用 素 104
純 点 ス ペ ク トル部 分 384
自明 な不 変 部 分 空 間 215
準 同 型 写 像 196
射 影 430
準 同 型 性 196 状態
射 影 演 算 子 18
準 同 型 196
射 影 反 ユ ニ タ リ表 現 199
―
の一意的決定性 1
射 影 表 現 199
― ―
の 一 意 的 指 定 10 の準 備 1
射 影 ユ ニ タ リ表 現 199 弱 安 定 性 41
状 態 曲線 222
弱 解析 的 266
状 態符 号 作 用素 480
弱 時 間 作 用 素 174 弱連 続 204
芯 48,91
シ ュ ー ア の 補 題 216
真 空 447,521
重 心 ベ ク トル 62
真 空 期 待 値 448
初期 値413
周積 分 266 自 由度NのCCRの
真 性 スペ ク トル 278,324 自 己 共 役 表 現 129
伸 張 解 析 的 方 法 321
伸 張 対 称 55
遷 移 確 率 182, 197,
伸 張 変換 52, 53
全 解 析 ベ ク トル 85
振 動 子 過 程 448
全 角 運 動 量 252
373
漸 近 的 に完 全 399 水 素様 原子 の ハ ミ ル トニ ア ン 64, 115,
362
漸 近 的 配 位 372
随 伴 表 現 248 ス カ ラ ー ポ テ ン シ ャ ル 113
線 形 リ ー群 192
ス ケ ー ル 不 変 55
全 ス ピ ン角 運 動 量 252
ス ケ ー ル 変 換 52, 53 ス ピン 1
全 フ ォ ッ ク空 間 250
線 形 リ ー群Gの
リー 環 247
全 変 換 群 193
―lの 表 現 255 ― 角 運 動 量 252
全 保 測 変 換 群 207
― ―
相 互 作 用 部 分 39
作 用 素 26 量子 数 255
ス ペ ク トル解 析 261,
相 対 位 置 ベ ク トル 62 324
ス ペ ク トル空 間 10
相 対 限 界 43 相 対 コ ン パ ク ト 352
ス ペ ク トル測 度 32
相 対 的 に有 界 43
ス ペ ク トル的 超 対 称 性 487
相 対 論 的 自 由 粒 子 の エ ネ ルギ ー 305
ス ペ ク トルの 下 限 415
相 対 論 的超 対 称 的 量 子 場 の 理 論 522 相 対 論 的 な 自 由 粒 子 110
ス ペ ク トルの 単 純 性 6
相 対 論 的 な 超 対 称 的 場 の 量 子 論 491 静 止 系 520, 522 正 射 影 作 用 素 18
双 対 空 間 318
正準 交 換 関 係 36, 38
相 流 222
正 準 反 交 換 関係 476
測 定 に よ る 状 態 の 一 意 的 指 定 10
生 成 子 414
速 度 作 用 素 155
生 成 元 6, 23
束 縛 の 高 ま り 312
相 補 的 272
正 則 264
タ
正 則 的 摂 動 論 262 正 値 性 改 良作 用素 461
第 一 種 の 安 定 性 41
正 値 性 保 存 作 用 素 461
対 角化 9
積 演 算 192
対 角 的 作 用 素 行 列 481
積 分 核 355 ― に 同伴 す る 作 用 素 145
対 称 210
積 分 作 用 素 355
対 称 性 194
積 分 表 示 269
対 称 性 変 換 197
積 率 452
第二 種 の 安 定 性 41
行
対 称 群 209
絶 対 連 続 ス ペ ク トル 380
第二 量 子 化 作 用 素 250
絶 対 連 続 部 分 380
楕 円 的 正 則 性 292
絶 対 連 続 部 分空 間 378 切 断 平 面 311
多 項 式 型 超 ポ テ ン シ ャ ル 507 多項 式 型 ポ テ ン シ ャ ル 71
摂 動 39
多体 系 の ハ ミル トニ ア ン 65
摂 動 級 数 287 摂 動 作 用 素 39
多 電 子 系 の ハ ミル トニ ア ン 66 単 位 元 189, 414
摂 動 パ ラ メ ー ター 285
単 純 17 単 純 ス ペ ク トル 6
摂 動 法 の 破 綻 499 零 エ ネ ル ギ ー状 態 502, ― の 空 間 505
505,
507,
513 置換 群 209
置 換 対 称 225
同時 対 角 化 24
置 換 不 変 225
同相 257
忠 実 213
同相 写 像 257
抽 象 的 シ ュ レー デ イ ン ガ ー 方 程 式 222
同値 137,
抽 象 的 な熱 方 程 式 413 抽 象 的 熱 方 程 式 の初 期 値 問 題 413
同程 度 に連 続
超 空 間 465
同伴 す る 内積 空 間 93 特 異 ス ペ ク トル 380
長 時 間挙 動 370 超 対 称 荷 477
214 341
同伴 す る超 対 称 荷 479
特 異 摂 動 500, 508 ― の生 起 508
超 対 称 性 465 ― の 自発 的破 れ 491
特 異 部 分 380
超 対 称 性 代 数 473
特 異 部 分 空 間 378
超 対 称 的 状 態 491
特 異 連 続 ス ペ ク トル 384
超 対 称 的 場 の 量 子 論 475
特 異 連 続 部 分 384
超 対 称 的 ハ ミ ル トニ ア ン 477
特 異 連 続 部 分 空 間 384
超 対 称 的 変 換 470 超 対 称 的 量 子 力 学 465, 476,
特 殊 相 対 性 理 論 22 477
― の 公 理 論 的 定 式 化 476 超 場 469 重 複 度 理 論 35
特 殊 ユ ニ タ リ群 191 特 性 関 数 450 特 性 レ ヴ ェ ル 331 トポ ロ ジー 255
超 並 進 群 470
トレー ス 513,
超 ポ テ ン シ ャ ル 503
トレー ス 型 作 用 素 514
515
直 積 位 相 空 間 257
トレー ス ク ラ ス作 用 素 514
直 和 に 同 値 137
トレー ス ノ ル ム 514
直 和 表 現 131
トロ ッ ター-加 藤 の 積 公 式 419
直 和 分 解 131
トロ ッ ター の 積 公 式 419
直 交 群 191
ナ
行
デ イ フ トの 定 理 488
内 部 対 称 性 465
デ ィラ ッ ク-ヴ ァ イ ル作 用 素 486 デ ィラ ッ ク型 作 用 素 110
内 部 変 数 468
デ ィラ ッ ク作 用 素 42, 387
2核 子 系 の 束縛 状 態 294
デ ィラ ッ クハ ミル トニ ア ン 179
2次 形 式 90 2次 元 回転 群 218,
デ ィラ ック 粒 子 387
229
デ ィ リ ク レ境 界 条件 101
2次 元 パ ウ リ作 用素 486 2重 可 換 子 集 合 28
デ ル タ超 関 数 162
2重 積 分 の計 算 320
電 磁 場 中 を運 動 す る 荷 電 粒 子 の ハ ミル トニ ア ン 67
2電 子 系 の基 底 状 態 290
テ イ ラ ー 展 開 269
2体 系 60
電 場 67 熱 伝 導 方 程 式 413 導 関数 264
熱 半 群 414
同型 写像 196
ネル ソ ンの 解 析 ベ ク トル 定 理 88
同時 固有 値 17 ― の 縮退 17 ―
の単 純 性 17
同 時 固有 ベ ク トル 16, 19 ―
の完 全系 17
ハ
行
ハ イゼ ンベ ル ク描像 370 ハ イゼ ンベ ル ク ・リー 代 数 249 ハ ー デ ィー の 不 等式 114, 波 動 作 用 素 373, 390
366
― の 完 全性 402 ハ ミル トニ ア ン 40, 226, 409 パ リテ ィ 209 ― が 負(奇)の 状 態 209
フ ェ ル ミオ ン的 零 エ ネ ル ギ ー 状 態 493
半 群 414
フ ォ ン ・ノ イマ ン環 35 フ ォ ン ・ノ イ マ ン代 数 30, 35
反 対 称 210 反 対 称 シ ンボ ル 237 ハ ー ン-バ ナ ッハ の 定 理 319
フ ェル ミオ ン フ ォ ック 空 間 251 フ ェ ル ミ場 475 フ ォ ック真 空 522
フ ォ ン ・ノ イマ ンの-意
性 定 理 142
フ ォ ン ・ノ イ マ ンの定 理 99, 121 不 確 定 性 原 理 の補 題 113
半 フ レ ドホ ル ム 494 半 有 界 173
複 素 一 般 線 形 群 191 複 素 代 数 28
非 可 換 因 子 174
複 素 特 殊 線 形 群 201
比 較 定 理 336
複 素 表 現 213
非 自明 131
複 素 変 数 の作 用 素 値 関 数 263
非 摂 動 的 効 果 310
複 素 変 数 のバ ナ ッハ 空 間 値 関 数 263
非 摂 動 的 構 造 310 非 相 対 論 的 自由 粒 子 の 運 動 エ ネ ルギ ー 305
複 素 リー代 数 246 不 足 指 数 119
左 作 用 189
物 質 の安 定 性 40
非 調 和 振 動 子 367
物 理 的 運動 量 155 物 理 量 の観 測 1
非 同 値 137 非 同 値 表 現 154 非 負 73, 91
不定 内 積 194
非 負 超 関 数 73
不 変測 度 206
微 分 264
不 変 部 分 空 間 141, 214
微 分 可 能 264
ブ ラ ウ ン運 動 434, 437 フ ー リエ 変換 15, 26, 58, 451
部 分群 190
表 現 213, 247, 434 ― の 第m成 分 131 表 現 空 間 203,
213,
フ リー ドリク ス 拡 大 99, 101, 238 フ リー ドリク ス モ デ ル 307
247
フ レ ドホ ル ム 作 用 素 494
表 現 定 理 96 標 本 関 数 426 標 本 経 路 426 ヒ ルベ ル ト空 間表 現 213,
分 布 関 数 431 247
閉 93
ヒ ルベ ル ト-シ ュ ミ ッ ト型 積 分 作 用 素 356
閉拡 大 93
ビ ルマ ン-シ ュ ウ ィ ン ガー 原 理 364
閉 曲線 の 内部 を貫 く磁 束 160
ビ ルマ ン-シ ュ ウ ィ ン ガー の定 理 363
平均 寿 命 303
ビ ルマ ン-シ ュ ウ イ ン ガー の方 法 362
平 行 移 動 56,
141, 207
閉 集 合 256 フ ァ イ ンマ ン-カ ッ ツの 公 式 440 フ ァ イ ンマ ン測 度 423
閉準 双 線 形形 式 93 並 進 56, 57, 141, 207
フ ァ リス-ラ ヴ ァ イ ンの 定 理 82
並 進 群 190
不 安 定 261 フ ェ ル ミオ ン 的座 標 466
平 坦 161 ― なベ ク トルポ テ ンシ ャ ル 162 , 163, 閉 包 96
フ ェ ル ミオ ン 的状 態 480
平 方 的 な群 200
フ ェ ル ミオ ン 的零 エ ネ ルギ ー状 態 493
冪 級 数 展 開 287
フ ェ ル ミオ ン 的 超場 の 空 間 474
冪 等 作 用 素 272
フ ェ ル ミオ ン的部 分 484 フ ェ ル ミオ ン 的 変 数 466,
冪 等 作 用 素 値 関 数 273 ベ ク トルポ テ ン シ ャ ル 113,
フ ェ ル ミオ ン 464
468
155,
162
166
ヘ リ ウ ム原 子 290
モ ー メ ン ト 452
ヘ ル ダ ー連 続 性 439 , 460 ヘ ル ダ ー連 続 版 460
ヤ
変 換 群 193
有 界 線 形 汎 関 数 317
偏 微 分 作 用 素 471
―
ポ ア ン カ レ群 193,
有 界 表 現 213 有 限 群 190
194
行
の 存 在 319
方 向 量 子 化 244 ボ ー ス 場 475
有 限 次 元 表 現 214
保 測 206
有 限 自由 度 のCAR
保 測 変 換 206
優 作 用 素 81
保 測 変 換 群 207
有 理 型 関 数 163
ボ ソ ン 464 ボ ソ ン的 状 態 480
湯 川 型 ポ テ ン シ ャ ル 359
ボ ソ ン的 零 エ ネ ルギ ー 状 態 493 ボ ソ ン的 超 場 の 空 間 474
湯 川 ポ テ ン シ ャ ル 294 ユ ニ タ リ群 191
ボ ソ ン的 部 分 484
ユ ニ タ リ装備 的 235
ボ ソ ン的 零 エ ネル ギ ー状 態 493
ユ ニ タ リ同 値 214
ボ ソ ン フ ォ ッ ク空 間 88, 251
ユ ニ タ リ表 現 203
保 存 量 226 ポ テ ン シ ャ ル 52
弱 い 意 味 で 漸 近 的 に完 全 397
ボ レル 筒 集 合 431
弱 い 漸 近 的 完 全 性 397
有 限 次 元 分 布 430
湯 川 方 程 式 294
ホ ワ イ トノ イ ズ 439 マ 埋 蔵 固 有 値 293, ― ―
476
ラ 行
306
の 消 失 308 の 摂 動 問 題 297
行
ラ イ プニ ッ ツ則 69, 81 ラ プ ラス 作 用 素 101 リー 括 弧 積 245 リー 環 245
右作 用 190
離 散 位 相 256
密 着 位 相 256
離 散 空 間 256
密 着 空 間 256 ミ ン コ フス キ ー計 量 193
離 散 ス ペ ク トル 278, ―の 存 在 335
ミ ン コ フス キ ー 内 積 193 ミ ン コ フス キ ー ベ ク トル 空 間 194
324
リー 代 数 245 リー 代 数 の 同 型 写 像 248 流 線 222
無 限 遠 で の 符 号 508
両 可 測 206
無 限 回 微 分 可 能 264
量 子 系 の 時 間 発 展 222
無 限 群 190
量子 調 和 振 動 子 の 摂 動 289 量 子 的 力 学 的 流 線 222
無 限 次 元 表 現 214 無 限 自由 度 ― のCAR ― ―
量 子 場 の 軌 道 角 運 動 量 253 476
のCCR 475 の 正 準 反 交 換 関 係 475
量 子 力 学 的 状 態 の 流 れ 222 臨 界 点 310
無 限 小 43
ル ジ ャ ン ドル の 陪 多 項 式 241
無 摂 動 系 279
ル ジ ャ ン ドルの 微 分 方 程 式 241
無 摂 動 作 用 素 39 無 摂 動 部 分 39
零 エ ネ ル ギ ー 状 態 502, ― の 空 間 505
505,
507, 513
レ イ リー-シ ュ レー デ ィ ンガ ー 級 数 287
ロ ル ニ ッ ク ノ ルム 365
レ イ リー-シ ュ レー デ ィ ンガ ー 係 数 287 レ イ リー-リ ッツ の原 理 337
ロ ル ニ ッ クポ テ ンシ ャ ル 365
レ ゾル ヴ ェ ン トの積 分 核 表 示 354
ロ ー レ ン ツ計 量 193
ロ ー レ ン ツ群 193,
201
レ ビ ・チ ビ タ シ ンポ ル 237
ロー レ ン ツ写 像 194
レ リ ッ ヒ-デ ィ クス ミエ ー ルの 定 理 183
ロ ー レ ン ツ対 称 な関 数 195
連 続 257,
264
連 続 写 像 257 連 続 版 434
ロー レ ン ツ対 称 な図 形 195 ロ ー レ ン ツ内 積 193
著 者 略歴 新 井 朝 雄 1954年 埼玉 県に生 まれる 1979年 東京大 学大学 院理学研 究科 修士課 程修了 現 在 北海道 大学大 学院理学 研究 院 数学 部門教授 理学博 士
朝倉物理学大系12 量子現象 の数理 2006年2月20日 2008年5月20日
定価 は カバー に表 示
初 版第1刷 第2刷
著 者 新
井
朝
雄
発行者 朝
倉
邦
造
発行所
株式 会社 朝
倉
書
店
東 京 都 新 宿 区 新 小 川 町6-29 郵 便 電 FAX
2006 〈無 断複写 ・転載 を禁ず 〉
ISBN 978-4-254-13682-1
03(3260)0180
http://www.asakura.co.jp
〈検 印省 略〉 C
番 号 162-8707 話 03(3260)0141
C 3342
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