電子回路通論 〈 上〉 中村
欽雄 著
東京電機大学 出版局
ま
電 子 回 路 は,ダ
が
き
イ オ ー ドや トラ ン ジ ス タ を 含 む 電 気 回 路 で,そ
通 常 の 回 路 で は 得 ら れ な...
50 downloads
699 Views
25MB Size
Report
This content was uploaded by our users and we assume good faith they have the permission to share this book. If you own the copyright to this book and it is wrongfully on our website, we offer a simple DMCA procedure to remove your content from our site. Start by pressing the button below!
Report copyright / DMCA form
電子回路通論 〈 上〉 中村
欽雄 著
東京電機大学 出版局
ま
電 子 回 路 は,ダ
が
き
イ オ ー ドや トラ ン ジ ス タ を 含 む 電 気 回 路 で,そ
通 常 の 回 路 で は 得 ら れ な い,特 (1)
え
別 な 働 き を も っ て い る.す
れ らを含 ま ない
な わ ち.
増 幅 回 路 は 微 弱 な 信 号 を 増 幅 す る こ とが 出 来 る.た
と え ば,マ
イ ク ロホ
ン や 電 蓄 の ピ ッ ク ア ッ プ に 生 じ た,小
さ な オ ー デ ィ オ 信 号 を 増 幅 して ス ピ ー カ を
駆 動 す る.ま
ン テ ナ 回 路 に生 じ た 小 さ な高 周 波 電 圧 を 増
幅 す る.こ
た ラ ジ オ 受 信 機 で は,ア
れ は,接
合 トラ ン ジ ス タ の コ レ ク タ ・エ ミ ッ タ 間 の 電 流 や,電
トラ ン ジ ス タ の ドレ イ ン ・ソ ー ス 間 の 電 流 が,ベ
界効果
ー ス ま た は ゲ ー トに 加 え る 電
流 ・電 圧 に よ っ て 制 御 さ れ る こ と に 基 づ く. (2)
整 流 回 路 は ダ イ オ ー ドの 特 性 を 利 用 し て 交 流 を 直 流 に 変 換 す る.ま
調 回 路 は,ダ
特 性 を 利 用 し て,ラ
ジ オ の 電 波 と な る 高 周 波 と,オ
幅 変 調 波 信 号 を つ く る.こ (3)
ー デ ィ オ 信 号 と を 混 合 して 振
れ ら は 非 線 形 ア ナ ロ グ 回 路 で あ る.
デ ィ ジ タ ル 回 路 は デ ィ ジ タ ル 量 を 処 理 す る.こ
る か 流 れ な い か と い う2つ 性,接
た変
イ オ ー ド ・接 合 トラ ン ジ ス タ ・電 界 効 果 トラ ン ジ ス タ な ど の 非 直 線
れ は,回
の 状 態 の み を 利 用 す る も の で,ダ
合 トラ ン ジ ス タ や 電 界 効 果 トラ ン ジ ス タ の 電 流 が0と
イ オ ー ドの 整 流 特 最 大 値 の間 で制 御 さ
れ る こ と な ど を 利 用 す る.電
流 の0と
し て2進
た ア ン ドや オ ア の 論 理 演 算 を 行 う こ と が 出 来 る.コ
数 の 演 算 を 行 い,ま
ン ピ ュ ー タ の 内 部 で2進
最 大 値 と を用 い て2進
路 に電 流 が 流 れ
数 の 加 算 や 乗 算 を した り,数
数 の0と1と
を表 わ
値 を 記 憶 した りす る の も こ
の 働 き に よ る.
*
本 書 で は,こ
*
*
の よ う な 電 子 回 路 の 全 体 を上 ・下2巻
に 分 割 し て 説 明 す る.す
な
わ ち 上 巻 は, 第1章
「半 導 体 と電 子 デ バ イ ス 」 で,半
導 体 の 性 質,ダ
イ オ ー ド ・接 合 トラ ン
ジ ス タ ・電 界 効 果 トラ ン ジ ス タ な ど の 構 造 と特 性,電
子 回 路 の 基 本 を 説 明 し,集
積 回 路 に も 言 及 す る. 第2章
「増 幅 回 路 の 基 礎 」・第3章
基 礎,回
「増 幅 回 路 の 周 波 数 特 性 」 で,増
幅回路 の
路 の 特 性 の 解 析 法 を詳 し く説 明 し,
第4章
「増 幅 回 路 各 論 」 で,与
え ら れ た 特 性 を もつ 増 幅 器 の 構 成 の 手 法,お
よ
び 各 種 の 増 幅 器 を述 べ る. 上 巻 は こ こ で 終 わ る が,電
子 回 路 の 全 体 像 と,最
も重 要 な 部 分 で あ る増 幅 回 路
の 基 本 が 含 ま れ て い る. 下 巻 は,増
幅 回 路 の 補 足,お
よ び 非 線 形 ア ナ ロ グ 回 路,デ
ィジ タ ル 回 路 を 含 む.
す な わ ち, 第5章 で,増
「発 振 と整 流 」 に お い て,発
振 とは,正
弦 波 や矩 形 波 な どの発 生 の こ と
幅 器 の 出 力 を 入 力 側 に フ ィ ー ドバ ッ ク す る こ と に よ っ て 得 られ る.発
直 流 を正 弦 波 な ど に 変 換 し,整 第6章 い て,増
振 は
流 は 交 流 を 直 流 に変 換 す る.
「周 波 数 特 性 と過 渡 特 性 」 で は,フ
ー リエ 変 換 と い う数 学 的 な 手 段 を 用
幅 器 の 周 波 数 特 性 と過 渡 特 性 の 関 係 を 明 ら か に し,増
幅 器 の設 計 の手 法
の 一 端 を説 明 す る. 第7章
「ひ ず み ・変 復 調 ・ス イ ッ チ ン グ」 で は,素
の ひ ず み の 性 質,非
線 形 ア ナ ロ グ 回 路 と そ の 応 用,ス
ス イ ッチ ン グ 回 路 は,素
子 の 非 直 線 性 に よ る増 幅 器 イ ッチ ン グ 回 路 を述 べ る.
子 の 働 き に よ っ て 回 路 の 電 流 を 断 続 す る も の で,デ
ィジ
タ ル 回 路 の 基 礎 に も な る. 第8章
「デ ィジ タ ル 回 路 」 で は,そ
の 一 般 的 説 明 と,応
用 の1つ
として デ ィジ
タル コ ン ピュ ー タの 回 路 の基 本 を説 明 す る. *
*
*
本 書 は,筆
者 の 大 学 に お け る 講 義 を も と に ま と め た も の で あ る.電
類 は 多 く,そ
の 機 能 も 極 め て 多 岐 に わ た り,ま
た,そ
の な か で 使 用 され る 電 子 素
子 に も多 く の 種 類 が あ る . こ の よ う な 電 子 回 路 の 姿 を,限 明 す る た め に,内 (1)
容 の 選 択,配
列 の 順 序,記
子回路の種
られ た 紙 面 で 平 易 に 説
述 の 方 法 を くふ う し た.す
な わ ち,
半 導 体 の 物 理 現 象 の 説 明 は 必 要 最 小 限 に 止 め た . こ れ は 早 く電 子 回 路 の
説 明 に 入 る た め で あ る. (2)
増 幅 回 路 の 基 本 を 詳 し く説 明 した.し
か し そ の 一 方 で,電
子 回 路 の 全体
を過 不 足 な く説 明 す る よ う に 努 め た. (3)
接 合 トラ ン ジ ス タ 回 路 と電 界 効 果 ト ラ ン ジ ス タ 回 路 と を 同 等 に 扱 い,真
空 管 お よ び 真 空 管 回 路 の 説 明 は 省 い た. (4)
読 者 の 学 習 の 参 考 の た め に,各
章 の 本 文 中 に 随 時 例 題 を 配 置 し,章
末 に
そ の 解 答 を付 し た. (5)
さ ら に 各 章 末 に 練 習 問 題 を,巻
末 に そ の 略 解 を示 し た.
本 書 が 学 生 諸 君 や 若 い 技 術 者 諸 子 の 良 き参 考 に な れ ば 幸 い で あ る . しか し 一 方 で は,筆
者 の 未 熟 に よ る,あ
る い は 思 わ ぬ 不 備 が あ る こ と を 恐 れ る.大
方 の ご叱
正 に よ る 改 善 の 労 は 惜 し ま な い つ も りで あ る.
昭和63年12月 著 者 しるす
目
ま え が
き
第1章
半 導 体 と電 子 デ バ イ ス
1・1 半
導
(1)
1・2
(3)
(3)
1・3 pn接
1
半 導 体 とキ ャ リア
(2)
半導 体 の構 造
不 純 物 を含 ん だ半 導 体
キ ャ リア の密 度
(2)
サ ー ミス タ 合
9
(1)
pn接
合 の構 造
(2)
pn接
(3)
pn接
合 の降 伏
(4)
接合容量
1・4
合 の整 流 作 用
ダイ オ ー ド
14
(1)
ダ イ オ ー ドの 構 造
(3)
小 信 号 用 ダイ オ ー ド
(4)
定 電 圧 ダイ オ ー ド
(5)可
変 容 量 ダイ オ ー ド
(6)
その 他 の ダイ オ ー ド
(2)
整 流用 ダイ オ ー ド
1・5 接 合 ト ラ ン ジ ス タ (1)
5
ド リ フ ト電 流 と拡 散 電 流
体
キ ャ リ ア と電 流 (1)
次
22
31
接 合 トラ ン ジ ス タ の 構 造 と原 理
(2)
接 合 トラ ン ジ ス タ の 特 性
(4)
温 度 が 高 い ときの 特 性
(3)
エ ミ ッ タ接 地 特 性
1・6 接 合 ゲ ー ト電 界 効 果 トラ ン ジ ス タ (1)
接 合 ゲ ー ト電 界 効 果 トラ ン ジ ス タ の 構 造 と原 理
(2)
接 合 ゲ ー ト電 界 効 果 トラ ン ジ ス タ の 特 性
1・7 MOS電
界 効 果 トラ ン ジ ス タ
(1)
MOS電
界 効 果 トラ ン ジ ス タ の 構 造 と原 理
(2)
MOS電
界 効 果 トラ ン ジ ス タ の 特 性
1・8
ダ イ オ ー ド,ト
ラ ン ジス タ
(1)
結 晶,ウ
ェ ー フ ァ,ペ
(3)
プ レ ー ナ ・ トラ ン ジ ス タ の 製 法
38 レッ ト
(2)
pn接
合 の製 法
1・9 集 積 回 路(IC)
第2章
34
41
(1)
集 積 回路 の種 類
(2)
(3)
ユ ニ ポ ー ラ集 積 回 路
バ イ ポ ー ラ集 積 回 路
問題解答
45
練 習問題
47
増 幅 回路 の基 礎
2・1
ソ ー ス 接 地FET増
幅 回路
51
(1)
回 路 の構 成
(2)
(3)
動 作 状 態 ―増 幅 の原 理
静 止状 態 (4)
遮 断 と飽和
2・2 交 流 分 の 分 離
54
(1)
交流特性
(3)
電圧 利 得 の計 算
2・3
(2)
エ ミ ッ タ 接 地J-TR増
(1)
回路 の構 成
(3)
遮 断 と飽 和
2・4 J-TRの
交流特性
交 流 特 性 に 関 す る理 論
幅 回路 (2)
57 静 止 点 お よび動 作 状 態
59
(1)
ベ ー ス接 地 モ デル
(3)
エ ミ ッタ接 地 モ デル
(4)
エ ミ ッタ接 地 抵 抗 負 荷増 幅 回 路 の 交 流 特 性
(5)
簡易等価回路
2・5
hパ
ラ メ ー タ
(2)
(6)
等 価 回 路 に よる計 算 の例
出力抵抗 65
(1) 線 形 四 端 子 網 (2) J-TRの
交 流 特 性 を表 わ すhパ
(3) hパ ラメ ー ダ に よるJ-TRの
ラ メー タ モデ ル
(4) hパ ラ メー タ とT形 モ デル 2・6 抵 抗負 荷FET増
幅回路
72
(1) FET増
幅 回 路 の3基 本 形 式
(2) G-D回
路,G-G回
(3) FET増
幅 回路 の交 流 特 性 の ま とめ
2・7 抵 抗 負 荷J-TR増
幅 回路
(1) J-TR増 (2) G-C回
76
幅 回 路 の3基 本 形 式 路 お よびG-B回
(3) J-TR増 2・8 整
路 の交 流 特 性
路 の交 流特 性
幅 回 路 の 交 流特 性 の ま とめ
合
(1) 整 合 の定 義
81 (2) 変 成 器 に よる整 合
(3) 増 幅 回路 の整 合 2・9 FET増
幅 回路 の 静 止点 の設 計
(1) 固定 バ イ ア ス回 路
84
(2) 自己 バ イ ア ス回路
(3) 静 止 点 の ば らつ き (4) 温 度 の変 化 に よる静 止 点 の移 動 2・10 J-TR増
幅 回 路 の静 止 点 の設 計
(1) 固定 バ イ ア ス回 路
第3章
87
(2) 自己 バ イ ア ス 回路
(3) 静 止 点 の 計 算
(4) 静 止 点 の ば らつ き
(5) 温 度 変化 に よる静 止 点 の移 動
問題解答
91
練習問題
95
増 幅 回路 の周 波 数 特 性
3・1 増 幅 回路 の特 性
100
(1) 正 弦 波入 力 (3)
(2) ひ ず み と最 大 出力
ダイ ナ ミ ック レン ジ
3・2 デ シベ ル と周波 数 特 性 (1) デ シ ベル
102
(2)周
波 数 特 性 の表 示
3・3 増 幅 回 路 の結 合
103
(1) 直 接 結 合
(2) ダ ー リン トン接 続
(3) コ ン デ ンサ 結 合
(4) 変 成 器 結 合
3・4 低 周 波 特 性 の計 算(1)
107
(1) 変 成 器 の 低 周 波 モ デ ル (2) 変 成 器 結 合 増 幅 器 の低 周 波 特 性 3・5 低 周 波 特 性 の 計 算(2)
110
(1) 信 号 周 波 数 が あ ま り高 くも,あ ま り低 く もな い と き (2) 結 合 コ ンデ ンサC1の
作用
(3) 結 合 コ ンデ ンサC2の
作用
(4) 側 路 コ ンデ ンサCEの
作用
3・6 増 幅 回路 の 高周 波 特 性
117
(1) 電 線 の 自己 イ ン ダク タ ンス と浮 遊 容 量 (2) 抵 抗 負 荷 ソ ー ス接 地FET増 (3) J-TRの
幅 回 路 の高 周 波 特 性
高 周波 特 性
(4) 抵 抗 負 荷 エ ミ ッタ接 地J-TR増
幅 回路 の 高 周波 特 性
(5) 周 波 数 特 性 の例 3・7 同 調 増 幅 回 路
124
(1) 同 調 回 路 の 性質 (3)
(2) 単 同調 増 幅 回路 ―1
yパ ラ メ ー タに よ る解 析
(4) 単 同調 増 幅 回路 ―2
3・8 中和 増 幅 回 路 (1) 中
和
133 (2) 中 和FET増
(3) 中和J-TR増 問題解答
幅回路
幅 回路 139
練習問題
第4章
139
増 幅 回路 各 論
4・1 負 帰 還 増 幅 器 (1) 帰
還
145 (2) 負 帰 還 増 幅 器 の特 徴
(3) 負 帰 還 に よる周 波 数 特 性 の改 善 (4) 負 帰 還 増 幅 器 の例 4・2 帰 還 系 の安 定 性
155
(1) 安 定 性 の 判 定
(2) ナ イ キ ス トの 判 定 法
(3) 補 償 回 路 4・3 差 動 増 幅 器 と演算 増 幅 器 (1) 差 動増 幅器
160
(2) 演 算 増 幅器
(3) 演 算 増 幅 用IC
4・4 演 算 増 幅 器 の応 用 (1) 増 幅 器
167
(2) 加 算 器
(3) 対 数増 幅器
(4) 積 分器 4・5 電 力 増 幅 の 理 論
170
(1) A級 増 幅 とB級 増 幅 (3) B級 増 幅 の理 論
(2) A級 増 幅 の 理論
(4) 出 力 とひ ず み
4・6 電 力 増 幅 回 路 の 例
176
(1) A級 電 力増 幅 回 路 (2) B級 プ ッシ ュ プル 電 力 増 幅 回 路 (3) 省 変成 器 電 力増 幅 回 路
(4) C級 電 力増 幅 回路
4・7 直 流 増 幅 器 (1) 簡 単 な増 幅器 の特 性
179 (2) 差 動増 幅器 と演 算 増 幅 器
4・8 オ ーデ ィオ増 幅器 とビデ オ 増 幅 器 (1) オ ーデ ィオ増 幅 器 (3)
181
(2) デ カ ッ プ リ ン グ
ビデ オ増 幅 器
4・9 高 周 波増 幅 回路
183
(1) 単 同 調増 幅 回 路
(2) 複 同調 増 幅 回 路
(3) ス タ ガ増 幅 回 路 4・10 増 幅器 の雑 音 (1) 熱 雑 音
186 (2) 雑 音 の加 算
(3) シ ョッ ト雑 音 とフ リ ッカ雑 音 問題解答
192
練 習問題
194
練 習 問題 略 解 索
(4) 増 幅器 の雑 音
引
199 207
第1章
半 導 体 と電 子 デ バ イ ス
電 子 回 路 は ダ イ オ ー ドや トラ ン ジ ス タ な ど を 含 む 電 気 回 路 で,通 ン デ ン サ(静
電 容 量 を もつ)・ コ イ ル(自
常 の 抵 抗 ・コ
己 お よ び 相 互 イ ン ダ ク タ ン ス を も つ)の
み を 含 む 回 路 で は 得 ら れ な い 特 性 を も っ て い る.こ
の 章 で は,半
導 体 の 性 質,電
子 デ バ イ ス す な わ ち ダ イ オ ー ド ・接 合 トラ ン ジ ス タ ・電 界 効 果 ト ラ ン ジ ス タ な ど の 原 理 とそ の 特 性,そ
れ ら を含 む 電 子 回 路 の 要 点,ダ
イ オ ー ド ・ トラ ン ジ ス タ ・
集 積 回 路 な ど の 構 造 お よ び 製 法 の 概 要 を述 べ る.
1・1
半
(1)
導
体
半 導 体 とキ ャ リア
金 属 や 電 解 液 な ど が 導 電 性 を も つ の は,そ て,外
の なか に電 荷 を 帯 び た 粒 子 が あ っ
か ら加 え た 電 界 に よ っ て 移 動 す る か ら で あ る.こ
(carrier)と
い う.金
electronと く述 べ る よ う に,自 (ion)で
属 で は キ ャ リア は 自 由 電 子(free も い う)で
の よ うな粒 子 をキ ャ リア electron)(伝
あ り,半 導 体(semiconductor)で
由 電 子 と正 孔(positive
hole),電
解 液 で は,正
導 電 子conductio は,後
で詳 し
・負 の イ オ ン
表1・1に
あ る. 種 々 の 材 料 の,温
度20℃
表1・1
に お け る導 電 率 を示 す.表
材 料 の導 電率(20℃)
中,ゲ
ルマニ
ウ ム と シ リ コ ン が 半 導 体 で あ る.導
電 率 は,各
相 対 す る 面 の 間 の コ ン ダ ク タ ン ス で,MKS単
辺 が 単 位 の 長 さ を もっ た立 方 体 の 位 系 で はS/mと
る.S(ジ
ー メ ン ス)は コ ン ダ ク タ ン ス の 単 位 で あ る.
MKS単
位 系 は,長
時 間 の 単 位 にs(秒)を
さ の 単 位 にm(メ
ー トル),質
い う単 位 を用 い
量 の 単 位 にkg(キ
用 い て つ く られ た 単 位 系 で,本
ロ グ ラ ム),
書 で も原 則 と し て こ れ を 用
い て い る. 材 料 の 種 類 に よ っ て 導 電 率 が 大 幅 に 異 な る の は,キ キ ャ リア の 電 界 内 で の 動 き や す さ(移
動 度)の
ャ リ ア 密 度 の 大 幅 な 違 い,
違 い に よ る.一
密 度 や 移 動 度 は 温 度 に よ っ て 材 料 に 特 有 の 変 化 を し,し
般 に,キ
た が っ て,導
ャ リア の
電 率 も温 度
に よ っ て 変 化 す る. (2)
半 導 体 の構 造
図1・1は し て,質
シ リ コ ン(Si)原
子 の 構 造 で,質
量 の 大 き な1個
量 の 小 さ な 幾 つ か の 電 子 が 軌 道 の 上 を周 回 し て い る.原
を,電
子 は 負 の 電 荷 を も ち,個
る.実
際 に は 電 子 の 軌 道 は 立 体 的 な 広 が り を も ち,原
る.最
も外 側 の 軌 道 を 周 回 す る 電 子 が 価 電 子(valence
や ゲ ル マ ニ ウ ム(Ge)の
図1・1
子 の形 は通 常 ほぼ 球形 で あ electron)で,シ
リコ ン
の 価 電 子 を も つ.
図1・2
ダ イ ア モ ン ド構 造
こ の よ う な シ リ コ ンや ゲ ル マ ニ ウ ム の 原 子 同 士 は 等 間 隔 の4つ 結 合 して,図1・2に
子核 は正 の 電 荷
々の 原 子 は通 常 は全 体 と し て 電 気 的 に中 性 で あ
原 子 は4個
シ リ コ ンの 原子
の原 子 核 を中 心 と
の方 向 に互 い に
示 す よ う な ダ イ ア モ ン ド構 造 と よ ば れ る 結 晶 を つ く る.こ
こ で 丸 い 玉 は 原 子 を,棒 原 子 に よ る 各1個 子 を 通 し て4個
は 結 合 の し か た を 表 わ し,1つ
の 価 電 子 に 対 応 し て い る.黒
い5個
の棒 の 両 端 は そ れ ぞ れ の の 玉 は,中
央 の原 子 が価 電
の 原 子 と結 合 し て い る様 子 を示 す.
図1・3に,結
晶 を 仮 に 平 面 に 描 い て,価
電 子 の 働 き,お
よ び 自 由 電 子 と正 孔
の 発 生 と働 き に つ い て 説 明 す る.
(a) 結 晶 の 構 造
(b) 自由電 子 と正 孔 の 発 生
(c) 正 孔 の 移 動
図1・3
図(a)は
結 晶 の 温 度 が 低 い と き(絶
を結 合 す る 働 き を し て い て,自 図(b)は
こ とが 出 来 る.こ
A点
対 零 度 付 近)で,す
た,価
べ て の価 電 子 は 原 子
由 電 子 は 存 在 し な い.
温 度 が 少 し高 くな っ た と き で,価
出 し て 自 由 電 子 と な る.ま
の で,正
自 由 電 子 と正 孔
電 子 の一 部 が 結 合 の位 置 か ら 抜 け
電 子 が 抜 け 出 し た 跡 も結 晶 内 を 自 由 に 移 動 す る
れ は 正 の 電 荷 を も っ た 粒 子 の よ う に 振 る 舞 い,導
孔 と よ ば れ る.図(c)に
よ っ て こ れ を 説 明 し よ う.
に あ る正 孔 は 価 電 子 が 抜 け 出 し た 跡 で あ っ て,近
子 を受 け 入 れ よ う と す る傾 向 が あ る.そ 正 孔 は な くな り,Bに
電 に あ ずか る
こ で,B点
くの他 の場 所 に あ る価 電
の価 電 子 を 受 け 入 れ る と,Aの
正 孔 が 生 じ た こ と に な る.こ れ は 正 孔 がA点
か らB点
に移 動
し た こ と に 相 当 す る.こ の よ う に し て,正 孔 は 自 由 電 子 と同 じ よ う に 結 晶 内 を 自 由 に 動 く こ とが 出 来 る.す
な わ ち,正
孔 は 正 の 電 荷 を も っ た 粒 子 と して ふ る ま う.
正 孔 お よ び 自 由 電 子 の 電 気 量 の 絶 対 値 は 等 し く, (1・1)
とい う値 を もつ.こ ー ロ ン)は
れ を 電 気 素 量(elementary
electric
密 度 は 等 し い.こ
ャ リア で あ る 自 由 電 子 と正 孔 の
の よ う な 半 導 体 を真 性 半 導 体(intrinsic
ャ リ ア の 密 度 は 温 度 に よ っ て 大 き く変 わ り,温
温 度 が 高 く な る と密 度 は 急 激 に 増 加 す る.こ 低 い と き に は 小 さ く,温 (3)
い う. C(ク
電 気 量 の 単 位 で あ る.
純 粋 な シ リ コ ン や ゲ ル マ ニ ウ ム の 結 晶 で は,キ
う.キ
charge)と
semiconductor)と
い
度 が 低 い と密 度 は 小 さ く,
の よ う な 半 導 体 の 導 電 率 は,温
度が
度 が 高 く な る と急 激 に 大 き く な る.
不 純物 を 含 ん だ 半導 体
シ リ コ ン や ゲ ル マ ニ ウ ム の 結 晶 の な か に 微 量 の 不 純 物 を 入 れ る こ と に よ っ て, そ の 電 気 的 性 質 を 変 え る こ とが 出 来 る.図1・4(a)は て,原
子 の 一 部 が ひ 素(As)の
シ リコ ンの 結 晶 に お い
原 子 に 置 きか わ っ た も の で あ る.ひ
(a) n形 半 導 体
素 は価 電 子 が
(b) p形 半 導 体
図1・4 外 因性 半 導 体 5個 あ り,結
晶 の 中 に 入 る と1個
の 価 電 子 は 結 合 の た め に は 不 必 要 と な り,結
内 を 自 由 に 移 動 す る こ とが 出 来 る よ う に な る.こ
れ が 自 由 電 子 で あ っ て,こ
う な 結 晶 は 純 粋 な 結 晶 の 場 合 よ り も 多 くの 自 由 電 子 を もつ.ま
た,正
晶
の よ
孔 の 一部 は
自 由 電 子 と の 再 結 合 の た め に 消 滅 し,そ の 密 度 は 小 さ くな る.し
た が っ て,自 由 電
子 の 密 度 は 正 孔 の 密 度 よ り も大 き い.こ
れ をn形
semiconductor)
とい い,5価
い う.ま
の 不 純 物 を ドナ(donor)と
半 導 体(n‐type た,2種
の キ ャ リア の うち密 度
の 大 き い ほ う,す
な わ ち 自 由 電 子 を 多 数 キ ャ リ ア(majority
さい ほ う を 少 数 キ ャ リ ア(minority
carrier)と
図(b)の
よ う に,シ
か わ る と,結
合 の た め の 価 電 子 が 不 足 して,正
し て イ ン ジ ウ ム(In)が
よ り も大 きい 半 導 体 と な る.こ )と
い う.多
れ をp形
数 キ ャ リ ア は 正 孔,少
の 原 子(価
電 子 が3個)に
孔 が 出 来 る.図
で は3価
た こ の と き,結
され て お り,自
半 導 体,3価
の 不 純 物 を ア ク セ プ タ(acceptor
数 キ ャ リ ア は 自 由 電 子 で あ る.
コ ン の ほ か に,3族
ク セ プタ原 子 は負 に
の イ オ ン は キ ャ リア とは 異 な っ て.位
電 子 が4個
と5族(そ
あ る)の
置 が 固定
元 素 で あ る ゲル マ ニ ウ ム や シ リ
れ ぞ れ 価 電 子 が3個
お よ び5個
あ る)の
あ る ガ リ ウ ム ・ひ 素(GaAs),イ
ン ジ ウ ム ・ア ン チ モ ン(InSb),そ
金 属 酸 化 物(た
か に 炭 化 珪 素(SiC),セ
と え ば 酸 化 銅),ほ
半 導 体 素 子 の 材 料 と して は,シ ゲ ル マ ニ ウ ム が,新
(1)
semiconduc
由 電 子 や 正 孔 の よ う に 自 由 に 動 く こ とは 出 来 な い.
半 導 体 材 料 に は,4族(価
1・2
の原 子 と
孔 の密 度 が 自由 電子 の密 度
晶 中 で は ドナ 原 子 は 正 に,ア
帯 電 し て イ オ ン と な っ て い る.こ
置 き
た が っ て,正
n形 半 導 体 とP形 半 導 体 と を合 わ せ て 外 因 性 半 導 体(extrinsic tor)と い う.ま
度 の小
い う.
リ コ ン の 原 子 の 一 部 が3価
入 っ て い る.し
carrier),密
化合物 で
の他 あ る種 の
レ ン(Se)な
リ コ ン が 最 も多 く使 用 され る が,そ
ど が あ る.
の ほか 古 くは
し く は ガ リ ウ ム ・ひ 素 や も っ と複 雑 な 構 成 も用 い られ る .
キ ャ リア と 電 流 キ ャ リア の 密 度
半 導 体 の な か の キ ャ リ ア は,常
に発 生 と消 滅 と を繰 り返 し て お り,通
常 そ の密
度 は温 度 に よ っ て 決 ま る 一 定 の 値 に 落 ち着 い て い る. 純 粋 な 結 晶 す な わ ち真 性 半 導 体 で は,自 ニ ウ ム や シ リ コ ン で は ,そ
の 値 niは 温 度300K(27℃)で,お
Ge:ni≒2.2×1013/cm3
Si:ni≒1.2×1010/cm3
で あ る.原
子 の 密 度 は お よそ5×1022/cm3で
ム で は 原 子20億
由 電 子 と 正 孔 の 密 度 は 等 し く,ゲ
個 に つ き1個,シ
あ る の で,こ
リ コ ン で は4兆
ル マ
よそ
の温 度 で は ゲル マ ニ ウ
個 に つ き1個
の 原 子 が 自由 電
子 と正 孔 の 対 をつ く っ て い る. こ の 割 合 は,温 10℃
度 に よ っ て 大 幅 に 変 わ る.す
高 く な る と,ゲ
が15℃
高 くな る と2倍),シ
る.逆
に,温
度 が10℃
1.4×1013/cm3,シ
な わ ちni≒2.4×1010/cm3と
な
な わ ち,ni≒
な わ ちni≒0.6×IO10/cm3と
数 関 数y=exp(x)〔y=exと
な る と,yの
Tとniと
度
リ コ ン で 約2倍,す
リ コ ン で1/2倍,す
値 のexp(⊿x)倍
付 近 で は温 度 が
な わ ちni≒3.5×1013/cm3(温
低 く な る と,ゲ ル マ ニ ゥ ム で1/1.6倍,す
こ の よ う な 性 質 は,指 がx+⊿xと
な わ ち,300Kの
ル マ ニ ウ ム で 約1.6倍,す
な る.
も 書 く〕 で 表 わ され る.x
値 はexp(x+⊿x)=exp(⊿x)・exp(x),す
な わ ち前 の
に な る. の 関 係 は や や 複 雑 で あ る が,接
ni は 前 の 値 の お よ そexp(K⊿T)倍 す る と,⊿T=10℃
と な る.Kは
に 対 してexp(K⊿T)=2と
が 上 昇 す る と,キ
ャ リ ア の 密 度 は2倍
外 因 性 半 導 体 で は,正
合 の温 度 が
け 上 昇 す る と,
定 数 で あ る.い な る.す
まK=0.07と
な わ ち,10℃
だけ 温 度
に な る.
孔 お よ び 自 由 電 子 の 密 度p,nの
い と き の そ れ に 等 しい.し
⊿Tだ
た が っ て,真
積 は,不
純 物 を含 ま な
正 半 導 体 の キ ャ リ ア の 密 度 をniと
す る
と, (1・2)
p形 半 導 体 で は,正
孔 は ア ク セ プ タ 原 子 に よ っ て 生 ず る ほ か,熱
生 す る の で,そ
の 密 度pは
タ の 密 度NAを
大 き く(NA≫ni)し
しい.す
ア ク セ プ タ 原 子 の 密 度 よ り大 き い.し て お く と,正
に よって も発 か し,ア
クセ プ
孔 の 密 度 は ほ とん どNAに
等
な わ ち, (1・3a)
正 孔 の 密 度 が 大 き い と,熱
に よ っ て 発 生 し た 自 由 電 子 が 正 孔 と結 合 して 消 滅 す
る 機 会 も大 き くな る の で,自
由 電 子 の 密 度 は 小 さ く な る.そ
2)が
の 結 果 や は り式(1・
成 り立 ち,
(1・3b)
と な る.
こ の よ う な 多 数 キ ャ リ ア と少 数 キ ャ リ ア との 関 係 は,n形
半 導 体 の場 合 に も同
様 で あ る. しか し温 度 が 高 く な る と,熱 分 高 い 温 度 で は,両 ち,こ
に よ る 正 孔 お よ び 自 由 電 子 が 多 量 に 発 生 し て,十
キ ャ リ ア の 密 度 は 大 き く,か
の よ う な 高 い 温 度 で は,外
(2)
つ ほ ぼ 等 しい 値 に な る.す
因 性 半 導 体 と し て の 性 質 を 失 っ て し ま う.
ド リ フ ト電 流 と 拡 散 電 流
導 体 や 半 導 体 の な か の キ ャ リ ア は,熱 や 半 導 体 に 電 界 を加 え る と,キ
に よ る ラ ン ダ ム な 運 動 を して い る.導
ャ リ ア は 熱 運 動 を し な が ら,キ
正 ・負 に 応 じ て 電 界 の 方 向 ま た は 逆 の 方 向 に 移 動 し て ゆ く,こ
current)で
の よ う に して,電 リ フ ト電 流
あ る.
金 属 ま た は 半 導 体 に 電 圧 を 加 え,自 き,単
体
ャ リアの 電 荷 の
界 に よ っ て キ ャ リ ア が 特 定 の 方 向 に 移 動 す る た め に 生 ず る 電 流 が,ド (drift
なわ
由 電 子 が 速 さvnで
位 断 面 積 を単 位 時 間 に 通 過 す る 電 気 量envnが
ドリ フ トの 速 さ をvpと
ド リ フ ト運 動 を す る と
電 流 密 度 に 等 し い.正
して 正 孔 に よ る 電 流 を も考 慮 す る と,全
孔 の
電 流 密 度iは (1・4)
とな る. ド リ フ トの 速 さvnお お よびvp==μpEと の 速 さ で,そ
よびvpは,加
え ら れ た 電 界 の 強 さEに
書 く こ とが 出 来 る.μn,μpは
比 例 し,vn=μnE
単 位 電 界 を加 え た と き の 移 動
れ ぞ れ 自 由 電 子 お よ び 正 孔 の 移 動 度(mobility)と
い う.こ
の とき
式(1・4)は
とな る. 導 電 率 σ は 単 位 電 界 に よ る 電 流 密 度i/Eで
あ る か ら, (1・5)
とな る. 表1・2に
代 表 的 な半 導 体 の特 性 を表 わす 諸 量 を示 す.禁 止 帯 の 詳 しい 説 明 は
省 略 す るが,そ
の幅 は真 性 半 導 体 にお け る 自由 電 子 と正孔 の対 の発 生(電 離)の
表1・2
半 導 体 の 諸 量(ni,μn,μpは300Kに
起 こ り に く さ を表 わ す.ほ リ ア の 密 度ni,移 位 電 界V/m当
か に,温
動 度 μn,μpを
度300K(27℃)に 示 した.移
た りの 速 さm/s,す
こ こで はcm2/VSを
お け る値)
お け る真 性 半 導 体 の キ ャ
動 度 の 単 位 は,MKS単
位 系 で は単
な わ ち(m/s)/(V/m)=m2/VSで
あ る が,
用 い た.
半 導 体 の な か の キ ャ リア の 移 動 度 は 温 度 に よ っ て も変 わ り,一
般 に温 度 が 高 く
な る と減 少 す る. 測 定 結 果 に よ れ ば,移
動 度 は,常
Tのm乗
に 逆 比 例 す る.た
で は,自
由 電 子 でm=2.5,正
m=1.66お
よ び2.33で
温 を は さむ 広 い 温 度 範 囲 に わ た っ て 絶 対 温 度
と え ば,シ
リ コ ン で は温 度 が100Kか
孔 でm=2.7,同 あ る.し
ら400Kの
範 囲
じ くゲル マ ニ ウ ム で は それ ぞ れ
た が っ て 温 度 が 高 くな る と移 動 度 は 小 さ く な
る. 半 導 体 を 流 れ る 電 流 に は,拡
散 電 流(diffusion
性 半 導 体 の 一 端 か ら 少 数 キ ャ リ ア を注 入 す る と,拡
current)も
散 現 象 に よ っ て,少
ア は 密 度 の 高 い ほ うか ら低 い ほ う へ 広 が っ て ゆ き,キ を もつ た め,電 (3)
サ
界 を 加 え な くて も 電 流 が 流 れ る.こ ー
ミ
ス
あ る.い
数 キャ リ
れ が 拡 散 電 流 で あ る.
タ 性 半 導 体 で は,温
の 上 昇 に よ っ て キ ャ リ ア の 密 度 が 増 加 す る た め に 導 電 率 も増 加 す る.ま
度
た外 因 性
る温 度 範 囲 で は キ ャ リア の密 度 は不 純 物 原 子 の密 度 に ほ ぼ等 し く
て ほ と ん ど変 化 し な い の で,温 減 少 す る.さ
因
ャ リア が正 また は負 の電 荷
半 導 体 の 導 電 率 は 一 般 に温 度 に よ っ て 大 き く変 化 す る.真
半 導 体 で は,あ
ま,外
度 が 上 昇 す る と移 動 度 が 減 少 す る た め に 導 電 率 は
ら に 温 度 が 高 く な る と,熱
度 が 増 加 し,導
に よ る 電 離 の た め に 自 由 電 子 と正 孔 の 密
電 率 も増 加 す る よ う に な る.
サ ー ミ ス タ(thermistor)は
温 度 に よ っ て 抵 抗 値 が 変 わ る 半 導 体 の 抵 抗 体 で,
通 常 の も の は 温 度 が 高 く な る と抵 抗 値 が 減 少 す る.図1・5は で500Ω,100℃
で100Ω
特 性 の 例 で,20℃
と な っ て い る.
図1・5
サ ー ミス タの 温 度 特 性
温 度 が 高 くな る と抵 抗 値 が 増 加 す る も の も あ り,正 サ ー ミ ス タ は 温 度 変 化 を 検 出 し た り,電
特 性 サ ー ミス タ と い う.
子 回路 の温 度 に よる特 性 の変 化 を補 償
した りす る た め に 用 い られ る.
問1.
厚 さが 一 様 な 正 方 形 半 導 体 薄 片 の 相 対 す る辺 間 の 抵 抗 は,厚
導 電 率 σで 定 ま り,辺 問2.
(a)純
の 長 さ に は 関 係 し な い こ と を 証 明 せ よ.
粋 な シ リ コ ン の 結 晶 の 温 度290Kお
率 を求 め よ.(b)シ
リコ ン の 原 子108個
が 入 っ た 結 晶 の,温
度290Kお
よ び300Kに
原 子 の 密 度 は5×1022個/cm3,300Kに を参 照 し,温
度 に よ るniお
用 い よ.
1・3 pn接 (1)
pn接
さdと
合 合 の構 造
よ び300Kに
に対 し て1個
お け る導 電
の 割 合 で5価
の原 子
お け る導 電 率 を求 め よ. お け るniお
よ び 移 動 度 は 表1・2
よび 移 動 度 の 変 化 に つ い て は 本 文 中 の デ ー タ を
単 結 晶 半 導 体 片 の な か に 境 界 が あ っ て,そ る も の をpn接 pn接
合(pn
junction)と
の 片 側 がp形,他
がn形
とな っ てい
い う.
合 の 内 部 の 状 態 を,図1・6に
図1・6
よ っ て 説 明 す る.結
晶 の 骨 組 とな っ て い
pn接 合
る シ リ コ ン(ま た は ゲ ル マ ニ ウ ム)の 原 子 は 省 略 し,正
ま た は 負 に 帯 電 し て い る不
純 物 イ オ ン と,多
数 キ ャ リア の 分 布 状 態 の み を 示 す.少
され て い る.p形
領 域 に は 負 イ オ ン とな っ た ア ク セ プ タ 原 子 が,n形
イ オ ン とな っ た ドナ 原 子 が 分 布 し て い る.そ n形 領 域 の 大 部 分 に は 自 由 電 子 が,多
し て,P形
数 キ ャ リア も図 で は省 略 領 域 に は正
領 域 の 大 部 分 に は 正 孔 が,
数 キ ャ リ ア と し て 存 在 す る.こ
で は イ オ ン の 電 荷 と キ ャ リア の 電 荷 とが 多 量 に 存 在 し て い て,さ
れ らの部 分
らに少 数 キ ャ リ
ア の 電 荷 を含 め て 全 体 と して 電 気 的 に 中 性 で あ る の で,中 性 領 域(neutral と よ ば れ る.し る.こ
か し,接
合 部 を は さ ん で キ ャ リ ア が ほ とん ど存 在 し な い 領 域 が あ
の 部 分 に は イ オ ン の 電 荷 だ け が 存 在 し,接
荷 が 相 対 し て い る.こ (depletion
layer)と
p形 領 域 の 正 孔,お
れ を 空 間 電 荷 層(space
pn接
合 の 境 界 を は さ ん で 正 ・負 の 電 charge
layer),あ
るい は 空 乏層
い う. よ びn形
の 領 域 に 移 動 し よ う とす る が,一 い て,正
region)
領 域 の 自 由 電 子 は,拡
散 作 用 の た め それ ぞ れ 相 手
方 こ の 部 分 に は 空 間 電 荷 の た め に 電 界 が 生 じて
孔 お よ び 自 由 電 子 を そ れ ぞ れ の 領 域 の 方 に 追 い 返 す 作 用 を も っ て い る. 合 の 両 端 の 電 線 を 開 放 ま た は 短 絡 す る と,上 の2つ
ン ス して,正
孔 お よ び 自 由 電 子 の 正 味 の 移 動 は な い.空
の 作 用 は ち ょ う どバ ラ
間 電 荷 層 の 幅 は,ち
ょう
ど こ の よ うな 電 界 を生 ず る 値 に な る.通 (2) pn接
pn接
常 こ れ は10-5cm程
合 の整 流 作 用
合 の 最 も重 要 な 性 質 は 整 流 作 用(rectification)で
の 側 に 正,n形
の 側 に 負 の 向 き に 電 圧 を 加 え る と,空
く な っ て バ ラ ン ス が 崩 れ,p形 p形 領 域 へ 移 動 す る.し )あ
度 で あ る.
領 域 の 正 孔 がn形
あ る.す
領 域 へ,n形
領 域 の 自由 電子 が
た が っ て 接 合 に は 電 流 が 流 れ る.こ
れ を 順 方 向(forward
る い は 順 バ イ ア ス とい う.
電 圧 の 向 き を 逆 に す る と,バ
ラ ン ス は 逆 の 方 向 に 崩 れ る.し
は 正 孔 が ほ とん ど存 在 せ ず,ま
た,p形
の で,電
な わ ち,p形
間 電 荷 層 の 電 界 の 強 さが 弱
流 も ほ とん ど流 れ な い.こ
か し,n形
領域 に
領 域 に は 自 由 電 子 が ほ とん ど存 在 し な い
の 向 き が 逆 方 向(reverse),あ
るい は逆 バ イ
ア ス で あ る. 理 論 の 結 果 に よ れ ば,接
合 の 両 端 に 加 え た 電 圧Vと
電 流Iと
の 間 に は,
(1・6)
の 関 係 が あ る.こ JS)は
こ で,Tは
接 合 の 絶 対 温 度,eは
ボ ル ツ マ ン の 定 数 で,JS(ジ
ュ ー ル 秒)と
電 気 素 量,k(=1.381×10-23
い う単 位 を もつ.Jは
仕事 または
エ ネ ル ギ ー の単 位 で あ る. V<0で,か
と な る.こ
つ そ の 絶 対 値 が 十 分 大 きい と,Iは
のIsを
逆 方 向 飽 和 電 流(reverse
一定値
saturation
current)と
い う.一
般 に
そ の 値 は 小 さ い.
逆 方 向 飽 和 電 流 の 値 を(1)Is=10-4A お よ び(2)Is=10-11Aと と し て,I-Vの と,図1・7と 造 に も よ る が,材
し,T=300K
関 係 を グ ラ フ に えが く な る.Isの
値 は接 合 の構
料 が ゲル マ ニ ウム か シ
リ コ ン か に よ っ て 大 き く 異 な り,曲
線
(1)は
シ
ゲ ル マ ニ ウ ム の,曲
線(2)は
図1・7
理 論 式 に よ るpn接
合の特性
リ コ ン の 特 性 を代 表 し て い る と考 え られ る.あ pn接
合 に お け る 電 圧 降 下 は,ゲ
る 程 度 の 電 流 を 流 して い る と き の
ル マ ニ ウ ム で は 通 常0.3V,シ
リ コ ン で は0.7V
程 度 で あ る. 逆 方 向 飽 和 電 流Isの
大 き さ は 極 め て 強 く温 度 に 依 存 し,温 度 が 高 く な る と温 度
の 指 数 関 数 と し て 増 加 す る.理 が7.5℃
上 昇 す る こ と に2倍
(3)
pn接
論 に よれ ば,ゲ に,シ
ル マ ニ ウ ム で はIsは
リ コ ン で は5℃
れ を接 合 の 降 伏(breakdown)と
特 性 を,降
上 昇 す る こ と に2倍
に な る.
合 の 降 伏
接 合 の 逆 バ イ ア ス 電 圧 を大 き く し て い く と,あ る.こ
お よそ温 度
伏 特 性 を含 め て 示 す.降
る 電 圧 で 電 流 が 流 れ る よ うに な
い う.図1・8にpn接
合 の 電 圧 ・電 流
伏状
態 で は 電 流 が 変 わ っ て も電 圧 降 下 は ほ ぼ 一 定 で あ っ て ,こ 図 のyBが pn接
れ を降 伏 電 圧 とい う.
こ れ で あ る. 合 の 降 伏 は,気
似 て い る.空
体 の 絶 縁 破壊 に
気 中 に2枚
電 圧 を加 え る と,電
の 電極 をお い て
圧 が あ る値 に 達 す る 図1・8
pn接 合 の 特 性
と空 気 分 子 の イ オ ン化 が 激 し く な っ て, イ オ ン の 移 動 に よ っ て 電 流 が 流 れ る よ う に な る.し は も と の 絶 縁 性 を 回 復 す る.pn接 層 内 に 多 量 の キ ャ リ ア が 発 生 し,電 電 圧 は ほ ぼ 一 定 に 保 た れ,電 降 伏 電 圧 の 大 き さ は,半
か し電 圧 を 低 くす る と,空
合 の 降 伏 も同 様 で,あ 流 が 流 れ る.電
気
る 逆 電 圧 に 達 す る と空 乏
流 が 流 れ て い る間 は端 子 間 の
流 の 大 き さ は 外 部 の 条 件 だ け で 定 ま る. 導 体 材 料 の 種 類 お よびp形
とn形
の 部 分 の不 純 物 の 密
度 分 布 な どで 決 ま る. (4) pn接
接
合
容
量
合 の 両 端 に 加 え る 電 圧Vの
が 変 化 す る.こ
大 き さ に よ っ て,空
間 電 荷 層(空
れ を空 間 電 荷 層 幅 変 調(space‐charge‐layer‐width
乏 層)の
幅
modulation)
とい う. 図1・9に
逆 バ イ ア スVR(VR>0,V=-VR)の
大 き さ と,空
間 電 荷 層 の幅 と
図1・9
の 関 係,そ イ ア スVRが の で,pn接
逆 バ イ ア ス を 加 え たpn接
合
れ に と も な う空 間 電 荷 層 内 の 正 ・負 の 電 気 量Qと 変 わ る(変 化 量 を ⊿VRと 合 は 静 電 容 量 を も つ.こ
す る)と 電 気 量Qも
の 関 係 を 示 す.逆
バ
変 わ る(変 化 量 を ⊿Q)
れ を接 合 容 量(junction
capacity),ま
たは
空 乏 層 容 量 とい う. 接 合 容 量Cjは
⊿Q/⊿VRの
極 限値
(1・7)
で 表 わ され る.pn接
合 に逆 バ イ ア ス電 圧(直 流)に 交 流 電 圧 を重 ね て加 え る と,
接 合 容 量 を通 して交 流電 流 が 流 れ る. 接 合 部 が 平 面 構 造 の場 合,接 合 容 量 の値 は,空 間 電 荷 層 の断 面 積 をS,幅
をd
とす る とき,平 板 コ ン デ ン サ の静 電 容 量 と同 じ式
(1・8) で 表 わ さ れ る.ε は 半 導 体 材 料 の 誘 電 率 で あ る.し を大 き くす る と,空
間 電 荷 層 の 幅dが
逆 バ イ ア ス 電 圧 がVRの
た が っ て,逆
バ イ ア ス 電 圧VR
大 き く な る た め 接 合 容 量 は 小 さ くな る.
と き の 接 合 容 量Cjは (1・9)
で 表 わ さ れ る.Kは 定 数 で あ る.nの
定 数,Vjは0バ 値 は理 想pn接
イ ア ス時 の 空 間 電 荷 層 の 両 端 の 電 位 差 で, 合 で は1/2で
あ る が,p形
お よ びn形
不 純 物 密 度 を 接 合 面 か ら の距 離 に よ っ て 変 え る こ と に よ り,1/2よ
の部 分 の
り大 き く も小
さ く もす る こ とが 出 来 る.
問3.
図1・10に
お け る電 流Iを
求 め よ.V=6Vと
す る.ま
た ダィ オ ー
ドDの 順 バ イ ア ス に お け る 電 圧 降 下 は 0,逆 る.ま
バ イ ア ス に お け る 電 流 は0と
す
た ダ イ オ ー ドDの 向 き を逆 に す
る と電 流Iは
ど れ だ け に な る か.
問4.
図1・10の
イ オー
ドDの 降 伏 電 圧VB=6Vと
ま で 変 化 す る と き,電
イ
オ
ー
ダ
(1)
ダ イ オ ー ドの 構 造
ダ ィ ォ ー ド(diode)と
す る.電
流Iは
1・4
ら+15V
ド
は2端
子 の 素 子 の こ とで,古
く は2極
こ で は ゲ ル マ ニ ウ ム,シ
体 ダイ オ ー ドに つ い て 説 明 す る.こ 利 用 す る も の と,pn接
源 電 圧Vが-15Vか
ど の よ う に 変 化 す る か.
セ レ ン 整 流 器 な どが あ る が,こ
に 示 す.図(a)は
図1・10
回 路 に お い て,ダ
真 空 管,放
電 管,
リ コ ン な ど を用 い た 半 導
れ に は 半 導 体 と金 属 との 接 触 部 の 整 流 作 用 を
合 の 特 性 を利 用 す る も の とが あ る.前 者 の 構 造 を 図1・11
ゲ ル マ ニ ウ ム ま た は シ リ コ ン の 結 晶 片(チ
の 針 を接 触 させ た も の で,点
接 触 ダ イ オ ー ド(point‐contact
(a) 点 接 触 ダ イ オ ー ド
ッ プ)の 表 面 に 金 属 diode)と
(b) シ ョ ッ ト キ ー ・ダ イ オ ー
よ ば れ,
ド
図1・11 金 属 と半 導 体 との 接触 形 ダ イ オー ド構 造 pn接
合 に 似 た整 流 作 用 を もつ.断
た め,高
周 波 特 性 が よい.し
面 積 が 小 さ く,し
か し,整
流 特 性 がpn接
史 は 古 い が 現 在 で は ほ とん ど用 い ら れ な い.図(b)は
た が っ て接 合 容 量 が 小 さ い 合 よ り劣 っ て い る た め,歴 シ リコ ン の チ ッ プ の 表 面
に 金 属 線 を溶 接 し た も の で,シ ば れ る.整
流 作 用 を も ち,か
ョ ッ トキ ー ・ダ イ オ ー ド(Schottky
つ 順 方 向 の 電 圧 降 下 が 小 さ い の が 特 長 で あ る.小
流 ・低 電 圧 の 整 流 用 の ほ か,高 ダ イ オ ー ドの 多 くはpn接 後 に 述 べ る よ う に,製 な どが あ る.拡
diode)と
周 波 の 検 波,ス
電
イ ッチ ン グ用 な ど が あ る.
合 形 で 接 合 ダ イ オ ー ド(junction
造 方 法 に よ っ て 成 長 接 合 形,合
diode)と
金 形,拡
散 形 は 高 圧 ・大 電 流 用 に 適 して い る.ま
散 形,プ
よば れ, レ ー ナ形
た プ レー ナ形 は接 合 をシ
リ コ ン基 板 の 片 面 に つ く り,表 面 を酸 化 皮 膜 に よ っ て 保 護 す る の で,高 が 良 く,か
よ
周波 特 性
つ 特 性 が 安 定 し て い る.
実 際 の ダ イ オ ー ドは これ ら を 適 当 な外 被(ケ ー ス)に 入 れ て 保 護 し,外 部 回 路 に 接 続 す る た め の 端 子 を もつ.ま
た 大 き な 電 流 を流 す も の は,自
己加 熱 に よる温 度
上 昇 を緩 和 す る た め の 放 熱 機 構 を そ な え,ま た は 放 熱 機 構 を外 付 け し て 使 用 す る. 接 合 ダ イ オ ー ドに は,そ
のほ か に 降 服 特 性 を利 用 し て 直 流 電 圧 を一 定 に 保 つ 働
き を す る定 電 圧 ダ イ オ ー ド(voltage 変 容 量 ダ イ オ ー ド(variable 図1・12に で,三
regulation
capacitance
diode),接
diode)な
合 容 量 を利 用 す る 可
どが あ る.
各 種 ダ イ オ ー ドの 記 号 を示 す.図(a)は
一 般 の ダ イ オ ー ドの 記 号
角 記 号 の 向 き が 順 方 向 を 示 して い る.図(b),(c)は,そ
れ ぞ れ 定 電圧 ダ
イ オ ー ドお よ び 可 変 容 量 ダイ オ ー ドで あ る.
(a) 一 般 の ダ イ オ ー ド
(b) 定 電 圧 ダ イ オ ー ド 図1・12
(2)
ダ イ オ ー ドの 記 号
整 流 用 ダ イ オ ー ド
整 流(rectification)と 単 な 整 流 回 路 で,ダ
図(b)に,電
は 交 流 を 直 流 に 変 換 す る こ とで あ る.図1・13(a)は
イ オ ー ドの 作 用 に よ っ て 負 荷RLに
電 流 が 流 れ る の で,直
電 流 を0と
(c) 可 変 容 量 ダ イ オ ー ド
は 上 か ら下 に 向 け て だ け
流 電 圧 が 生 ず る.
源 電 圧 が 正 弦 波 形 で,ダ し た と き の,負
正 の 半 波 に相 当 し,直
簡
イ オ ー ドの 順 方 向 の 電 圧 降 下 を0,逆
荷 に 加 わ る 電 圧 の 波 形 を 示 す.こ
れ は入 力 正弦 波形 の
流 電 圧 の 値 は そ の 平 均 値 で 表 わ さ れ る.
(b) 各 部 の 電 圧 波 形
(a) 簡 単 な整 流 回 路
図1・13 簡 単 な整 流 回路 とその 動 作
電 源 電 圧 の実 効 値 をVaと
す る と,直 流 電圧Vdは, (1・10a)
直 流 電 流(平 均 電 流)Idは (1・10b)
ピ ー ク 電 流Ipは
(1・10c)
とな る. ま た,ダ
イ オ ー ドに 加 わ る 逆 電 圧 の ピ ー ク 値Vpは (1・11)
と な る. 図1・14は,図1・13(a)の ー ド と負 荷 の 間 にL
,Cか
タ を付 加 し た も の で,直 (1・10a)で
ダイ オ ら成 る フ ィル 流 電 圧Vdは
表 わ され るが,フ
式
ィル タ の
働 き に よ っ て 負 荷 に加 わ る 電 圧 の 交 流 成 図1・14
フ ィ ル タつ き 整 流 回 路
分 は 小 さ くな る. 図1・15(a)の ピ ー ク に 際 し て,ほ
よ う に,負
荷 に 並 列 に コ ン デ ン サ を 接 続 す る と,入
力電圧 の
ぼ ピ ー ク 電 圧 に 等 し い 電 圧 で コ ン デ ン サ が 充 電 され ,入
力 の
(b) 入 ・出 力 電 圧 波 形
(a) 整 流 回 路 図1・15
瞬 時 値 が 下 が る と,コ の 波 形 は 図(b)の
コ ンデ ンサ 入 力 形整 流 回路
ン デ ン サ の 電 荷 が 負 荷 を 通 し て 放 電 し,負
荷 に加 わ る電圧
よ う に な り,直 流 電 圧 は 入 力 電 圧 の ピ ー ク 値 に 近 い 値 に な る .
こ の 回 路 で は ダ イ オ ー ドを 流 れ る電 流 の ピ ー ク 値 は 極 め て 大 き い .こ ー ジ 電 流(surge
current)と
整 流 用 ダイ オ ー ドは,使 平 均 電 流,逆
用 時 に 回 路 で 生 ず る ピ ー ク 電 流(ま
電 圧 に 耐 え な け れ ば な ら な い. 表1・3
小 信 号 用 お よび 整 流 用 ダ イ オ ー ド
(1)
小 信 号 ゲル マ ニ ウム ・ダ イ オ ー ド
(2)
小 信 号 シ リ コ ン ・ダィ オ ー ド
(3) 整 流 用 シ リ コ ン ・ダ イ オ ー ド VRRM 逆 方 向 ピー ク電圧 IO
整流電流
IFSM
サ ー ジ電 流
VFmax 順 方 向 電 流IFに IRmax 逆 方 向 電圧VRに * 接 合 温 度150℃ 外 形 図1・16参
照
れ を特 に サ
い う.
対 す る電圧 降 下(最 大 値) 対 す る逆 方 向 電 流(最 大 値) に お け る値
た は サ ー ジ 電 流),
(3)
小 信 号 用 ダイ オ ー ド
整 流 用 ダ イ オ ー ドは 一 般 に 大 電 流,そ い.こ
れ に 反 し,同
して多 くは高 電圧 に耐 えな け れ ば な らな
じ く整 流 作 用 を利 用 す る,小
の が 小 信 号 用 ダ イ オ ー ドで あ る.検
波,変
調,ミ
型 で 高 周波 に まで使 用 出来 る も キ サ ー,リ
ミ タ ー,ス
イ ッチ ン
グ な ど の用 途 が あ る. 表1・3に
小 信 号 用 お よ び 整 流 用 ダ イ オ ー ドの 実 例 を示 す.最
の 値 ま で は 使 用 可 能 で あ るが,こ が 保 証 出 来 な い と い う,メ
大 定 格 と は,こ
の 値 を超 え る と安 定 し た 性 能 ま た は 安 全 性 な ど
ー カ ー の 保 証 値 で あ る.ま
た,一
般 に製 品 の 特 性 に は
ば らつ きが あ る の で,順
方 向 電 圧 降 下VFmaxや
し て い る.す
の値 を 超 え る こ と は な い とい う意 味 の 保 証 値 で あ る.
な わ ち,こ
(a)
(e)
(b)
(c)
(f) 図1・16
逆 電 流IRmaxは
(d)
(g) ダ イ オ ー ドの 外 形
そ の 最 大 値 を示
図1・16に (4)
こ れ ら の 外 形,寸
法 の 概 要 を示 す.
定 電 圧 ダイ オ ー ド
定 電 圧 ダ イ オ ー ドは ツ ェ ナ ・ダ イ オ ー ド(Zener
diode)と
も よ ば れ,pn接
の 降 伏 特 性 を利 用 し て 直 流 電 圧 を 一 定 に保 つ た め に 用 い ら れ る.図1・17に 電 圧 回 路 の 例 を示 す.電
源 電 圧Vが
合 定
小 さ
い と き は,ダ イ オ ー ドに は 電 流 が 流 れ ず, ダ イ オ ー ドの 端 子 間 電 圧VDは
(1・12a)
Vが 大 き く な り,こ の 値 はVBに
図1・17
の 式 で 計 算 し たVDが
固 定 さ れ,ダ
定電圧回路
降 伏 電 圧VBを
超 え る と,実 際 のVD
イ オ ー ドに 流 れ る 電 流IDは (1・12b)
と な る.Vが た が っ て,IDの 表1・4に
大 き く な る とIDも
増 加 し,ダ
許 容 最 大 値 は ダ イ オ ー ドの 許 容 消 費 電 力 に よ っ て 制 限 され る. 定 電 圧 ダ イ オ ー ドの 実 例 を 示 す.降
イ オ ー ドの 交 流 抵 抗 は0で
あ る が,実
少 し 変 わ る た め,交
定 電 圧 ダィ ォ ー ド
らつ きが あ るの で,範 囲 を示 す.
Rac 交 流 抵 抗(最 大 値) α
中 に は そ の 最 大 値 を示 す.
消費電力
IZ 電 流 VB 降 伏 電 圧.ば
降 伏 電 圧 の温 度 係数(%/℃)
外 形 図1・16参
照
常RLの
イ オ ー ドの 電 流 も 変 化 してVBも
流 抵 抗 が 生 ず る の で あ る.表 表1・4
伏 電圧 が完 全 に一 定 で あ れ ば ダ
際 に は 負 荷 電 流 が 変 化 す る と(通
代 わ り に 電 子 回 路 な ど が 接 続 され る の で),ダ
P
イ オ ー ドの 消 費 電 力 も増 加 す る.し
(5)
可 変 容 量 ダ イ オ ー ド
接 合 容 量 が 逆 バ イ ア ス に よ っ て 変 わ る こ と を利 用 す る.図1・18に た 同 調 回 路 の 例 を示 す.Cは る こ と を 防 ぎ,C1は と に よ りCが
可 変 静 電 容 量,L1は
高 周 波 電 流 が 直 流 電 源 を流 れ
直 流 電 流 が コ イ ル を流 れ る こ と を 防 ぐ.電
変 わ り,同 調 周 波 数 が 変 え られ る.L1≫L,C1≫Cと
図1・18
こ れ を用 い
圧Vを
変 えるこ
す る と,同
可 変 容 量 ダ イ オ ー ドを 用 い た 同 調 回 路
周 波 数f0は (1・13)
と な る. 表1・5に
可 変 容 量 ダ イ オ ー ドの 例 を 示 す. 表1・5
可変 容 量 ダ イ オ ー ドの 例
P 消費電力 VR 端子電圧 Ct 端 子 電 圧 がVの と きの静 電容 量(最 小 値) Ct1/Ct2 容量 比(最 小 値) Q
周 波 数fに
外 形 図1・16参
お け るQ(最 照
小 値)
調
(6) pn接
そ の他 の ダ イ オ ー ド 合 に 降 伏 電 圧 以 下 の 逆 バ イ ア ス を 加 え た だ け で は 電 流 は 流 れ な い が,接
合 部 分 に 光 を 当 て る と正 孔 お よ び 自 由 電 子 の 対 が 発 生 して,電 ト ・ダ イ オ ー ド(photo‐diode)は 図1・19(a)に
ト ・ダ イ オ ー
図1・19
pn接
これ に よ っ て 光 を 電 流 に 変 換 す る も の で,
示 す よ う に,pn接
(a) フ ォ
合 の 接 合 部 に 光 が 当 た る よ う に な っ て い る.
ド
(b) 発 光 ダ イ オ ー ド
フ ォ ト ・ダ イ オ ー ド と 発 光 ダ イ オ ー ド
合 に 順 バ イ ア ス を か け て 電 流 を 流 す と,正
電 磁 波 を 発 生 す る.ゲ
流 が 流 れ る. フ ォ
孔 と自 由電 子 の 再 結 合 の た め
ル マ ニ ウ ム や シ リ コ ン の 接 合 で は,電
磁 波 は熱 線 で発 熱 を
生 ず る が,GaP,GaAs等
を用 い た接 合 で は 可 視 光 線 に な る. 発 光 ダ イ オ ー ド
(light‐emitting
こ れ を 利 用 す る も の で,図(b)に
diode)は
示 す よ う に,接
部 で 発 生 す る 光 が 電 極 の 欠 如 し て い る 部 分 か ら外 部 に 放 射 され る.そ の 構 造 に よ っ て 決 ま り,赤,緑 図1・8は 電 圧VBが
通 常 のpn接 小 さ くな り,特
合
の色 は接 合
な ど が あ る.
合 の 特 性 で あ る が,不 性 は 図1・20(a)に
(a) 不 純 物 密 度 の 大 きいpn接 合 図1・20
純 物 の 密 度 を 大 き くす る と降 伏 示 す よ うに な る,さ
(b) ト ン ネ ル ・ダ イ オ ー ド
ら に不 純 物
ト ン ネ ル ・ダ イ オ ー ドの 特 性
の 密 度 を 大 き くす る と,V=0で た 電 流 が 流 れ る.Vを は 図(b)に
も降 伏 が 生 じ,V=0の
ほぼ 比 例 し
大 き くす る と通 常 の 順 バ イ ア ス 特 性 に 移 行 し,全
示 す よ う に な る.こ
ダ イ オ ー ド(Esaki
近 傍 でVに
体の特性
の よ う な ダ イ オ ー ドを発 見 者 の 名 前 か らエ サ キ ・
diode),ま
た そ れ が 量 子 力 学 で い う トン ネ ル 効 果 に 基 づ くの
で トン ネ ル ・ダ イ オ ー ド(tunnel
diode)と
い う.
一 般 に,ダ
イ オ ー ドな ど の2端
子 素 子 に お い て,あ
る 電 圧Vを
な 変 化 ⊿Vを
与 え た と き の 電 流 の 変 化 量 を ⊿Iと す る と き,比
基 準 として小 さ ⊿V/⊿I,あ
るい は
そ の極 限 値 (1・14)
を 交 流 抵 抗(AC
resistance)と
こ の 例 で あ る.ト
い う.前
に 述 べ た 定 電 圧 ダ イ オ ー ドの 交 流 抵 抗 も
ン ネ ル ・ ダイ オ ー ドは,図1・20(b)のAB間
で は負 抵 抗 特
性 を もつ. 交 流 抵 抗 が 負 値 を と る と き,負 交 流 抵 抗 に 対 し てR=V/Iを
抵 抗(negative
し な い 素 子 で は,直
問5.
resistance)と
直 流 抵 抗 とい う こ と が あ る.電
流 抵 抗 は 電 圧(ま
た は 電 流)の
い う. 圧 と電 流 が 比 例
値 に よ っ て 異 な る値 を と る.
あ る ダ イ オ ー ドの 電 圧 ・ 電 流特
性 を測 定 して 右 表 を 得 た.V=3.5V に お け る直 流 抵 抗 お よ び 交 流 抵 抗 を求 め よ.
1・5
接 合
トラ ン ジ ス タ
(1)
接 合
トラ ン ジ ス タ の 構 造 と 原 理
接 合 トラ ン ジ ス タ(junction ば れ,ま
降 で はJ‐TRと (base),コ
transistor)は,略
た バ イ ポ ー ラ ・ トラ ン ジ ス タ(bipolar 略 記 す る.図1・21に
レ ク タ(collector)の3領
して単 に トラン ジ ス タ とも よ transistor)と
示 す よ う に,エ 域 か ら成 り,ベ
もい う.第2章
ミ ツ タ(emitter),ベ ー ス を共 通 とす る2つ
以 ース のPn
(a) pnp形
(b) npn形
図1・21
接 合 を も つ.pnp形 図(a)はn形
とnpn形
の2つ
の 種 類 が あ る.
の ベ ー ス を 中 心 に2つ
領 域 が エ ミ ッ タ,他
こ れ がnpn接
のpn接
合 が 形 成 さ れ て い て,一
が コ レ ク タ,ま た こ の よ う な トラ ン ジ ス タ がpnp接
ジ ス タ で あ る.図(b)はn形
の ベ ー ス,p形
方 のp形 合 トラ ン
の エ ミ ッ タ お よ び コ レ ク タ を も つ.
合 トラ ン ジ ス タ で あ る .
図1・22(a)に
示 す よ う に,エ
ア ス 電 圧VEEを,コ ッ チSを
接 合 トラ ンジ ス タ
ミ ッ タ ・ベ ー ス 間 に は,接
合 に対 し て 順 バ イ
レ ク タ ・ベ ー ス 間 に は 逆 バ イ ア ス 電 圧VCCを
切 っ て エ ミ ッ タ に 電 流 を流 さ な い よ う に す る と,コ
逆 バ イ ア ス の た め,コ
レ ク タ に も 電 流 は 流 れ な い.し
Sを 閉 じ て エ ミ ッ タ 電 流 を 流 す と,コ
加 え る .ス
イ
レ ク タ ・ベ ー ス 間 の
か し,後 に 示 す 理 由 に よ り,
レ ク タ に も ほ ぼ エ ミ ッタ 電 流 に 等 し い 電 流
が 流 れ る.
(a) バ イ ア ス の 加 え 方 図1・22
図(b)に
示 す よ う に,2個
小 さ な 交 流 電 圧V1,コ 直 流 電 源VEEに 流 れ,こ
(b) ベ ー ス 接 地 増 幅 回 路 バ イア ス電 圧 の 向 き
の 直 流 電 源(VEE,VCC)の
レ ク タ 側 に 抵 抗RLを
よ る直 流 電 流 に 重 な っ て,交
れ に ほ ぼ 等 しい 電 流 が コ レ ク タ に,し
ほ か に,エ
接 続 して み よ う.エ 流 入 力 電 圧V1に た が っ てRLに
ミ ッタ側 に ミ ッ タ に は,
よる交 流 電 流 が 流 れ る.こ
の た
め,抵
抗RLの
両 端 に は 交 流 電 流 と抵 抗 の 積 に等 し い 交 流 電 圧V2が
ミ ッ タ ・ベ ー ス 間 の 順 バ イ ア ス の た め,小 な 交 流 電 流 が 流 れ,負
荷 抵 抗RLを
さ な 入 力 電 圧V1に
生 ず る.エ
よっ て比 較 的大 き
大 き く して お く と大 き な 出 力 電 圧 が 得 ら れ,
入 力 電 圧 が 増 幅 さ れ る. 一 般 に バ イ ア ス(bias)と の 電 圧,電
は,信
流 の こ とで あ る.ト
号 電 圧 に重 ね て 加 え る一 定 の直 流 また は交 流
ラ ン ジ ス タ で は,エ
に 直 流 バ イ ア ス 電 流 を流 し,こ
ミ ッ タ ・ベ ー ス 間 に は 順 方 向
れ に 信 号 電 流 を 重 ね る.ま
た コ レ ク タ ・ベ ー ス 間
に も直 流 バ イ ア ス 電 圧 が 必 要 で あ る. (2)
接 合
図1・23に
トラ ン ジ ス タ の 特 性 接 合 トラ ン ジ ス タ の 記 号 を 示 す.初
ラ ン ジ ス タ と よ ば れ,半
(a) pnpト
導 体 の チ ッ プ の 上 に2本
ラ ン ジ ス タ
(b) npnト
図1・23
ッ プ が ベ ー ス で,2本 ど っ た も の で,矢
の 針 を 立 て た も の で あ っ た.チ
(c)
ラ ン ジ ス タ
接 合 トラ ン ジス タの 記号
の 針 が エ ミ ッ タ お よ び コ レ ク タ で あ る.記
印 の つ い た 線 が エ ミ ッ タ,矢
す.図(a),(b)は
期 の トラ ンジ ス タ は点 接 触 ト
そ れ ぞ れpnpお
号 は これ をか た
印 の 向 きが 順 バ イ ア ス の 向 き を 示
よ びnpnト
ラ ン ジ ス タ で あ る.図(c)の
よ う に 円 で 囲 ん で 示 す こ と も あ る. pnp接 VEBと
合 トラ ン ジ ス タ の 電 圧 ・電 流 特 性 を考 え る.エ エ ミ ッ タ 電 流IEと
に な る.ま
た,IE=0の
の 間 に は,VCBの
と き の コ レ ク タ ・ベ ー ス 間 電 圧VCBと
正 の 向 き をpn接
で 示 す よ う な 関 係 が あ る.こ
示す よう コ レ ク タ 電 流IC
合 に 対 して 逆 バ イ ア ス 方 向 に, ICの
を コ レ ク タ か ら流 れ 出 る方 向 に と る と,図(b)の
す る もの で,コ
ミ ッ タ ・ベ ー ス 間 の 電 圧
の 間 に は 整 流 作 用 が あ り,図1・24(a)に
の と き の 電 流 は,pn接
レ ク タ 遮 断 電 流(collector
cut‐off
下 の 曲 線(IE=0と
正の向 き 記 し た)
合 の逆 方 向飽 和 電 流 に相 当 current)と
い い,ICOで
表
(a) エ ミ ッ タ 特 性
(b) コ レ ク タ 特 性
図1・24
わ す.通
接 合 トラ ン ジ ス タ の 特 性 の 説 明
常 こ の 値 は 小 さ く,0と
な る と無 視 出 来 な く な る.ま
考 え て よい が,ト
ラ ン ジ ス タの 動作 温度 が 高 く
た 図 に 示 す よ う に,VCBが
ベ ー ス 接 合 の 降 伏 電 圧 を超 す と,ICOは
大 き くなっ て コ レ クタ ・
大 き くな る.
エ ミ ッ タ ・ベ ー ス 間 に順 バ イ ア ス を加 え て エ ミ ッ タ 電 流 を流 す と,コ は,コ
レク タ に
レ ク タ 遮 断 電 流 に エ ミ ッ タ か ら ベ ー ス を通 っ て コ レ ク タ に 流 れ 込 む 正 孔 に
よ る 電 流 が 加 わ っ て 流 れ る.こ 記 し た)に
上 の 曲 線(IE=1mAと
例 示 す る.
コ レ ク タ 電 流ICは 流ICOと
の と き の 特 性 を 図(b)の
の 和,す
エ ミ ッ タ 電 流IEの
寄 与 分 で あ る αIEと,コ
レ クタ遮 断 電
なわ ち (1・15)
と な る.ICOの
値 はVCBに
電 圧 以 下 で は,ICOの α は,エ
よ っ て 変 わ る が, VCBが0.2V程
度 以上 でか つ降 伏
値 は ほ ぼ 一 定 で あ る.
ミ ッ タ 電 流 の う ち エ ミ ッ タ 領 域 の 多 数 キ ャ リ ア(pnp形
レ ク タ に 入 っ て コ レ ク タ 電 流ICと factor)と
な る 割 合 を表 わ し,電
で は 正 孔)が
流 増 幅 率(current
コ
amplification
よ ば れ る.エ
ミッタ 電 流 の うち の正 孔 に よる電 流 は エ ミッタ
電 流 全 体 よ り も 小 さい こ と と,正
孔 電 流 は ベ ー ス領 域 内 の 自由 電 子 との再 結 合 の
た め に 減 少 す る こ と と に よ り,α
は1よ
純 物 密 度 を大 き く,ベ
り も小 さい.し
か し,エ
ミッタ領 域 の不
ー ス領 域 に お け る不 純 物 密 度 を小 さ くす る こ と に よ り正 孔
電 流 の 割 合 を大 き く し,か
つ ベ ー ス の 幅 を 極 力 小 さ くす る こ とに よ り正 孔 の 再 結
合 に よ る 減 少 を小 さ くす る こ とが 出 来,α
は 通 常1に
近 い 値 を もつ.ベ
ー スの 幅
は1mmの
数10分
図1・25は
の1以
下 で あ る.
小 型 接 合 トラ ン ジ ス タ の 特 性 の 例 で あ る.図(a)はIE-VEB特
性 で あ る.厳
密 に い う と,こ れ,はVCBの
値 に よ っ て,わ
(a) エ ミ ッ タ 特 性 図1・25
はIC-VcB特
性 で,種
ず か に 変 化 す る . 図(b)
(b) コ レ ク タ 特 性 接 合 トラ ン ジ ス タ の 特 性 の 例
々 のIEの
値 に 対 す る グ ラ フ を え が い て い る.こ
の 値 を パ ラ メ ー タ(parameter)ま と し て グ ラ フ を え が き,IEを
た は 副 変 数 とい う.す
な わ ち,IEの
の と きIE 値 を一 定
別 の 値 と し て つ ぎ の グ ラ フ を え が く.
こ の よ う に,IE-VEB,IC-VCBの
関 係 と し て 表 わ され た も の を,接
合 トラ ン
ジ ス タ の ベ ー ス 接 地 特 性 と よぶ. こ の グ ラ フ か ら α の 値 を求 め る こ とが 出 来 る.式(1・15)に 量 ⊿IEに
対 す るICの
変 化 量 を ⊿ICと す る と,α=⊿IC/⊿IE,あ
お い てIEの
変化
るい は極 限値 を
とって (1・16) と な る. 図 か ら,VCB=10V,IE=2mAに る と,⊿IE=1mA,こ
お け る α の 値 を 求 め よ う.IE=3mAに の と き
⊿IC=2.94-1.96=0.98
mAで
な
あ る か ら,α=0.98
と な る. ベ ー ス 電 流IBも
重 要 で あ る.ベ
ル ヒ ホ ッ フ の 第1法
則 に よ り,
ー ス 端 子 か ら 流 れ 出 る 向 き を 正 に と る と,キ
(1・17)
の 関 係 が あ る. npnト
ラ ン ジ ス タ で は,エ
と,エ
ミ ッ タ 電 流IEが
ミ ッ タ ・ ベ ー ス 間 に 順 バ イ ア ス 電 圧VEBを
エ ミ ッ タ 端 子 か ら 流 れ 出 る.こ
ッ タ か ら ベ ー ス 領 域 を 通 っ て コ レ ク タ に 入 り,コ で も 式(1・15)お 図1・26に
よ び(1・17)が
成
の と き,自
レ ク タ 電 流ICが
流 れ る.こ
も 正 の 向 き を 矢 印 で 定 義 す る.pnpト
流IE,IC,IBを
ラ ン ジ ス タ と,npnト
示 す.い
う す る と ト ラ ン ジ ス タ の 特 性 は,pnp形,npn形
ず れ も 図1・24,1・25の
よ う な 形 に な る.
ラ ン ジ ス タ
(3)
電圧 ・ 電 流 の 定 義(ベ
示 す よ うに,電
圧VBE,VCE,電
ー ス 接 地 に お け るVEBに
タ 接 地 特 性 とい う.IBはIEとICか で,理 る が,計
のい
ラ ン ジ ス タ
ー ス 接 地)
エ ミ ッタ接 地 特 性
図1・27に とVBE(ベ
(b) npnト
ず れ
ラ ン ジス タ とで は 矢
印 の 向 き が 逆 で あ る が,こ
図1・26
こ
り立 つ.
ト ラ ン ジ ス タ の 電 圧VEB,VCB,電
(a) pnpト
加 え る
由電 子 が エ ミ
流IB,ICを
等 しい),お
定 義 す る と き,IB
よ びICとVCEの
ら,VCEはVEBとVCBか
関 係 をエ ミ ッ ら求 め られ るの
論 上 は ベ ー ス 接 地 特 性 が 与 え られ れ ば エ ミ ッ タ 接 地 特 性 は 定 ま る は ず で あ 算 の 精 度 な どの 問 題 で う ま くゆ か な い.実
接 地 特 性 は,測
際 の トラ ン ジ ス タ の エ ミ ッ タ
定 に よ っ て 直 接 求 め た 方 が よい.
(a) pnpト
ラ ン ジ ス タ
図1・27
電 圧 ・電 流 の 定 義(エ
(b) npnト
ラ ン ジ ス タ
ミ ッ タ 接 地)
ま た,VCEを
一 定 と しIC,IBの
変 化 量 を ⊿IC,⊿IBと
す る と き,⊿IC/⊿IBの
極 限値 (1・18)
を エ ミ ッ タ 接 地 回 路 の 電 流 増 幅 率 と い う. 式(1・16),(1・17),(1・18)か
ら α と β との 間 の 関 係 式 (1・19)
が 得 られ る. 図1・28は IB-VBE特
小 型 接 合 ト ラ ン ジ ス タ の エ ミ ッ タ 接 地 特 性 の 例 で あ る.図(a)は 性,図(b)はIC-VCE特
性 の 例 で あ る.前
IBの 値 を パ ラ メ ー タ と し た 曲 線 群 に な る.し
(a) lB-VBE特
(b) IC-VCE特
か し,IB-VBE特
値 を,後 者 は
性 に お い て はVCE
性
性(25℃)
図1・28
者 はVCEの
(c) IC-VCE特
接 合 トラ ン ジ ス タ の エ ミ ッ タ 接 地 特 性
性(75℃)
の 値 が2V程
度 以 上 に な る とIBは
あ ま り変 わ ら な い の で ,曲
線 は1本
で表わ し
て い る. (4)
温 度 が 高 い とき の特 性
接 合 トラ ン ジ ス タ の 特 性 は 温 度 の 影 響 を強 く う け る . ベ ー ス 接 地 特 性 に つ い て い う と,IE-VEB特 わ され,か
性 はpn接
つIsが
合 のI-V特
温 度 に 強 く依 存 す る.ま
性 と ほ ぼ 同 様 で,理 た, IC-VCB特
ICOは
コ レ ク タ ・ベ ー ス 接 合 の 逆 方 向 飽 和 電 流 に 相 当 し,常
が,温
度 が 高 く な る と温 度 の 指 数 関 数 と し て 増 加 す る.
図1・28(a)の
論 式(1・6)で
性 に つ い て い う と, 温付近 で は 小 さい
エ ミ ッ タ接 地 特 性 の 例 に お い て,IB-VBE特
度25℃
の と き の も の で,温
す る.移
動 量 は 個 々 の トラ ン ジ ス タ に よ っ て 異 な る が,1℃
て お よ そ0.002Vで
度 が 高 くな る と,点
あ る.こ
表
性 は,実
線が温
線 で 示 す よ う に 左 に 平 行 に移 動
の 値 を用 い る と,75℃
の 温 度 の 上 昇 に対 し
で は0.1Vだ
け 左 に移動 す
る こ と に な る. ICOに
つ い て は,温
と し て10℃
度 がX度
上 昇 す る ご と に 前 の 値 の2倍
を選 ん で み よ う.い
ICO=1×25=32nAと IC-VCE特
ま,25℃
でICO=1nAと
に な る.Xの
代表 値
す る と,75℃
では
な る. 性 に つ い て い う と,IBが
(1・17),(1・19)か
与 え ら れ た と き のICの
値 は,式(1・15),
ら (1・20)
α=0.98(し
た が っ て β=49)と
は0.05mAで と,ICは
小 さ い が,75℃
す る と,IB=0の で は1.6mAと
こ れ に βIBを 加 え た も の に な る.図(c)に
と き のICの
値 は,25℃
か な り大 き くな る. IBが 温 度 が75℃
で
流れ る
の とき の特 性
の 例 を示 す.
問6. クタ
あ る接 合
ト ラ ン ジ ス タ の エ ミ ッ タ ・ベ ー ス 間 に 順 バ イ ア ス が,コ
・ベ ー ス 間 に 逆 バ イ ア ス が 加 わ っ て い て,端
(1・15)が
成
の と き のIE,ICの
り立 つ も の
と す る.α=0.98,ICO=2μAと
値 を 求 め よ.
子 電 流IE,ICの
レ
間 には式
し,IB=0.1mA
表1・6に
接 合 トラ ン ジ ス タ の 例 を あ げ る. 表1・6
Pc VCEO Ic Ti
接 合 トラ ン ジス タの例
コ レク タ損 失 コ レ ク タ ・エ ミ ッ タ 電 圧(ベ
ー ス 開 放 時)
コ レク タ電 流 接合温度
β エ ミ ッ タ 接 地 電 流 増 幅 率(標 準 値) fT │β│=1と な る周 波 数(目 安 を 示 す) Ico
(*は 25℃
β 遮 断 周 波 数) に お け る 値(最
外 形 図1・29参
大 値)
照
(注) 2SA1342と2SC3396,2SB1090と2SD1568は そ れ ぞ れ 相 補 形 の 組 み 合 わ せ で, 一 方 がpnp,他 方 がnpn形 で 極 性 が 異 な る が,特 性 は ほ と ん ど 同 じ で あ る.
(a)
(b)
(c)
(d)
(e)
(h)
(g)
(f) 図1・29
接 合 ト ラ ン ジ ス タ,FETの
外形
問7.
接 合 トラ ン ジ ス タ の エ ミ ッ タ 接 地 特 性 が 図1・28(b),(c)に
与 え ら れ る と き,温
度 が25℃
お よび75℃
よって
の と き のVCE=10V,IB=20,μA
の 近 傍 に お け る β の 値 を求 め よ.
1・6
接 合 ゲ ー ト電 界 効 果 ト ラ ン ジ ス タ
(1)
接 合 ゲ ー ト電 界 効 果 ト ラ ン ジ ス タ の 構 造 と 原 理
接 合 ゲ ー ト電 界 効 果 トラ ン ジ ス タ(junction 構 造 を 図1・30に
示 す.図(a)はp形
gate
域 をつ く り,2つ す る.両
の 電 極 を設 け る.n+は
電 極 間 に 電 圧 を加 え る と,負
っ て 電 流 が 流 れ る.さ
ら に,電
不 純 物 密 度 の 大 き いn形
領 域 を設 け て,負
い う.以
の電 圧 を
極 を それ ぞ れ
下 ソ ー ス,ド
ャネル レ イン,
記 号 を用 い て 示 す.
ドレ イ ン ・ソ ー ス 間 の 電 圧 をVDS,ゲ
ー ト ・ソー ス 間 の 電 圧 をVGS,ド
か ら流 れ 込 む 電 流 をIDと
す る と,ゲ
っ て,ド
制 御 す る こ とが 出 来 る.こ
レ イ ン 電 流IDを
極,正
流 の 通 路 を チ ャ ネ ル(channel),チ
領 域 を ゲ ー ト(gate)と
ゲ ー トを そ れ ぞ れS,D,Gの
を意 味
極 か ら正 極 へ 自 由 電 子 が 移 動 す る こ と に よ
流 の 通 路 の 脇 にp+形
レ イ ン(drain),電
の 上 部 に つ く ら れ,たp形
の領
構 造
か け る こ と に よ っ て 電 流 の 通 路 を制 御 す る こ とが 出 来 る.負 ソ ー ス(source),ド
上 にn形
(b) pチ ャ ネ ル 形
接 合 ゲ ー ト電 界 効 果 ト ラ ン ジ ス タ(J‐FET)の
のn+形
transistor)の
半 導 体 基 板(substrate)の
(a) nチ ャ ネ ル 形 図1・30
field‐effect
ー ト ・ソ ー ス 間 電 圧VGSを れ がnチ
レイ ン
変 え る こ とに よ ャネ ル 接 合 ゲ ー ト
電 界 効 果 ト ラ ン ジ ス タ で あ る. 図(b)に
示 す よ う な,P形
とn形
と を 入 れ 替 え た 構 造 の 接 合 ゲ ー ト電 界 効 果
ト ラ ン ジ ス タ も あ る.ド に 電 圧 を加 え,ゲ
レ イ ン ・ソ ー ス 間 に ,ド
レイ ン が 負,ソ
流 れ を制 御 す る.こ
れ がPチ
ャ ネ ル 接 合 ゲ ー ト電 界 効 果 トラ ン ジ ス タ で あ る.
接 合 ゲ ー ト電 界 効 果 トラ ン ジ ス タ の 記 号 を 図1・31に
(a) 4端 子 形(nチ
ャ ネ ル)
ほ か に,基
ト と し て ゲ ー トGと
示 す.図(a)は3個
(b) nチ ャ ネ ル 形
図1・31
端 子S,G,Dの
J‐FETの
(c) pチ ャ ネ ル 形
記号
板 に 接 続 さ れ た 端 子SUBを
も つ.SUBは
接 続 して 使 用 され る .図(b),(c)は
内 部 で 基 板 が ソ ー ス と接 続 され て い て,S,G,Dの3端
接 合 ゲ ー ト電 界 効 果 流IDの
ャ ネ ル 形,図(b)はPチ
な っ て い る.い
トラ ン ジ ス タ の 子G(お
た が っ て 図(a),(b)はnチ
トラ ン ジ ス タ の 特 性 向 き を,図1・32の ャネ ル 形 で,電
ず れ に お い て も,VDSを
る と ゲ ー トに は 電 流 は 流 れ ず,ド た が っ てVGSの
ゲー
ャネ ル 形 で あ る.
電 圧VDS,VGS,電 nチ
第2の
子 の み を も つ.端
矢 印 は 接 合 の 順 方 向 を 示 す も の で,し
ャ ネ ル 形,図(c)はpチ (2)
の
は 別 の 入 力 を 加 え て 使 用 す る こ と も 出 来 る が ,通 常,図1・
30に 示 す よ う に ソ ー スSに
よ びSUB)の
ース が正 の 向 き
ー ト ・ソ ー ス 間 の 電 圧 に よ っ て ソ ー ス か ら ドレ イ ンへ の 正 孔 の
よ う に 定 義 す る.図(a)は 圧 お よ び 電 流 の 矢 印 の 向 きが 逆 に
正 の 一 定 の 値 に 保 ち,VGSを
レ ィ ン電 流IDは
絶 対 値 を大 き く)し て い く と,チ
(a) nチ ャ ネ ル 形 図1・32
流 れ る.VGSの ャネ ル と基 板,お
(b) pチ ャ ネ ル 形 電 圧 ・電 流 の 定 義
少 し負 に す 値 を 低 く(し よび チ ャネ ル
と ゲ ー ト間 のpn接 少 す る.VGSが る.こ
合 の 空 乏 層 が 広 く な る た め チ ャ ネ ル の 幅 が 狭 く な り,IDは
あ る値 に な る と,つ
い に チ ャ ネ ル の 幅 は0と
れ を ドレ イ ン 電 流 の 遮 断 とい う.こ
voltage)ま
た は し き い 電 圧(threshold
ろ んVT<0で
voltage)と
な
値 を 遮 断 電 圧(cut‐off
い い,VTで
表 わ す. も ち
あ る.
図1・33(a)はID-VGS特
性 の 例 で あ る.ま
変 え る と,VDS=0でID=0,VDSを
(a) ID-VGS特
J‐FET(2SJ43)の
し も チ ャ ネ ル の コ ン ダ ク タ ン ス が 一 定 で あ れ ば,ド 際 に は ドレ イ ン ・ゲ ー ト間 の
ー ス ・ゲ ー ト間 の 電 位 差VDSよ
て ドレ イ ン 寄 りの 空 乏 層 の 幅 が 広 く,チ を 大 き く して い く と,チ
性
特性
比 例 す る は ず で あ る が,実
電 位 差VDS-VGSは,ソ
大 き く な る が,
(b) ID-VDS特
一 定 と し た と き,も
レ ィ ン 電 流IDはVDSに
一 定 に 保 ち,VDSを
これ を示 す.
性
図1・33
増 加 し な く な り,一
たVGSを
大 き く し て い く と,IDも
あ る と こ ろ で 頭 打 ち と な る.図(b)に
VGSを
の と き のVGSの
な り,ID=0に
減
り も大 き く,し
たがっ
ャネ ル の 幅 が 狭 く な る.そ
の た め,VDS
ャ ネ ル の コ ン ダ ク タ ン ス は 小 さ く な り,つ
い に はIDは
定 値 に 近 づ く.
理 論 の 結 果 に よ れ ば,VDSが
大 き く飽 和 状 態 に あ る と き の ドレ イ ン 電 流ID
は,VGS-VT>0に
対 して (1・21)
と な る こ とが 知 られ て い る(VGS<0で ス タ の 構 造 で 決 ま る 定 数 で あ る .な VDSを
一 定 と し,VDSの
す る と き,両
者 の比
あ る こ と に 注 意) .Kは おVGS-VT<0な
小 さ な 変 化 量 ⊿VGSに
⊿ID/⊿VGSの
電 界 効 果 トラ ン ジ
らID=Oで
あ る.
対 す るIDの
変 化 量 を ⊿IDと
極 限値
(1・22)
一定 を 相 互 コン ダ ク タ ン ス(mutual 章 で 説 明 す る よ う に,電
conductance.transconductance)と
い い ,第2
界 効 果 ト ラ ン ジ ス タ の 増 幅 作 用 を表 わ す 重 要 な 量 で あ
る. 式(1・21)が
成 り立 つ と き,
(1・23) と な る.
問8・ 図1・33に
示 す 特 性 を もつ 接 合 ゲ ー ト電 界 効 果 トラ ン ジ ス タ に お い
て,VGS=-0・3V,VDS=10Vの
近 傍 に お け る 相 互 コ ン ダ ク タ ン スgmの
値 を 求 め よ.
1・7
MOS電
界 効 果 トラ ン ジ ス タ
(1)
MOS電
界 効 果 トラ ン ジ ス タ の構 造 と 原 理
図1・34(a)にnチ transistor)の
ャ ネ ル 形MOS電
構 造 を示 す.p形
界 効 果 トラ ン ジ ス タ(MOS
基 板 の 上 に2個
のn+領
属 膜 が あ り,接 合 ゲ ー ト形 の 場 合 と 同 じ く ソ ー ス,ド
域 ,そ レ イ ン,ゲ
field‐effect
の 間 に絶 縁 層 と金 ー トとよば れ る.
絶 縁 層 は 基 板 の 上 に つ く られ た シ リ コ ン 酸 化 膜 で あ る,ゲ
ー ト部 分 の 構 造 が 上 か
ら金 属(Metal),酸
な っ て い る こ とに 基 づ
き,そ
化 膜(Oxide),シ
の 頭 文 字 を 並 べ てMOSと
リ コ ン(Silicon)と
い う名 称 が つ く ら れ た .ソー
ス ・ ドレ イ ン間 に
(a) nチ
(b) pチ
ャネ ル 形 図1・34
ソ ー ス が 負,ド
MOS‐FETの
ャ ネル 形
構造
レ イ ン が 正 の 向 き の 電 圧 を 加 え,ソ
ー ス か ら ドレ イ ン へ 流 れ る 自
由 電 子 の 働 き を利 用 す る. 図(b)はpチ
ャネ ル 形 で,ソ ー ス か ら ドレ ィ ンへ 流 れ る 正 孔 の 働 き を利 用 す る.
こ れ ら は 絶 縁 ゲ ー ト(insulated‐gate)電 nチ
ャ ネ ル 形MOS電
VGS≦0で
は,ド
は 流 れ な い.ド が あ り,そ
界 効 果 トラ ン ジ ス タ と も 呼 ば れ る.
界 効 果 ト ラ ン ジ ス タ に つ い て,動
レ イ ン ・ソ ー ス 間 に 電 圧VDS(>0)を
加 え て も ドレ イ ン 電 流ID
レ イ ン ・ソ ー ス 間 に は,n形,p形,n形
の1つ
の 順 で2つ
は 必 ず 逆 バ イ ア ス とな る か ら で あ る.し
圧 を加 え,VGS>0と
す る と,酸
ャ ネ ル を つ く る.つ
ま り,こ
の 部 分 が 一 時 的 にn形
と な る.し
よ っ て ド レ イ ン電 流IDが
な る とIDも
ら にVDSが
ジ ス タ と 同 様 に,IDは こ の よ う なMOS電 し,MOS電 の 間 に,正
か し,ゲ
飽 和 し,一
ー トに 正 の 電
た が っ て,ド
流 れ,VDSの
値が大 き く
き い 電 圧VTは0で
ー トの 下 の 絶 縁 層 と基 板 と
ま た は 負 の 固 定 電 荷 を封 じ込 め る こ とが 出 来 る.こ 定 電 荷 が 正 か 負 か に よ っ て,し
あ る.し か
れ に よっ て し きい
き い 電 圧VTは
トラ ン ジ ス タ を ノ ー マ リ ・オ ン(normally
on),ま
負 ま た は正 たVT>0
の トラ ン ジ ス タ を ノ ー マ リ ・オ フ(normally
off)と
VGSが
ゲ ー ト・ソ ー ス 間 電 圧VGS,し
電 圧VTと
十 分 大 き い と き の ド レ イ ン 電 流IDと の 間 に は,接
レイ
定 の 値 に な る.
界 効 果 トラ ン ジ ス タ を製 造 す る と き,ゲ
に な る.VT<0の
合
大 き く な る と接 合 ゲ ー ト電 界 効 果 ト ラ ン
界 効 果 トラ ン ジ ス タ で は,し
電 圧 が 変 え ら れ る.固
のpn接
化 膜 の 下 の 基 板 の 上 部 に 自 由 電 子 が 集 ま り,チ
ン ・ソ ー ス 間 の 電 圧VDSに 大 き く な る.さ
作 の 原 理 を説 明 す る.
い う. きい
合 ゲ ー ト電 界 効 果 トラ ン ジ ス タ の 場 合 と 同 じ式(1・21)
が 成 り立 つ.た が,MOS電
だ,接
合 ゲ ー ト電 界 効 果 トラ ン ジ ス タ で は 常 にVT<0で
界 効 果 トラ ン ジ ス タ で は ノ ー マ リ ・オ フ ,す
あった
な わ ちVT>0の
も の
も存 在 す る. 図1・35,1・36にMOS電
界 効 果 トラ ン ジ ス タ の 記 号 を示 す.図1・35は
S,D,Gの
ほ か に 基 板 に 接 続 さ れ た 端 子(SUB)を
っ て,nチ
ャネ ル
〔図(a)〕
かPチ
ャネ ル
も つ も の で ,矢
〔図(b)〕
か が 決 ま る.図1・36(a)
は 基 板 が ソ ー ス に 接 続 され た タ イ プ で ,S,D,Gの3本
(a) nチ
ャネ ル 形
図1・35
ま た,図(a),(b)の
の 端 子 を もつ.
(b) pチ ャ ネ ル 形
MOS‐FETの
記 号(そ
(a) ノ ー マ リ ・オ ン
図1・36
印 の向 きに よ
の1)
(b) ノ ー マ
MOS‐FETの
リ ・オ フ
記 号(そ の2)
よ うに し て ノ ー マ リ ・オ ン と ノ ー マ リ ・オ フ を 区 別 す る
こ と も 出 来 る. 本 書 で は 電 界 効 果 トラ ン ジ ス タ の 記 号 は,接 合 ゲ ー ト形 とMOS形
を 区 別 せ ず,
ま た ノ ー マ リ ・オ ン と ノ ー マ リ ・オ フ と を 区 別 せ ず,図1・35(SUB端 略 して)を
使 用 す る.こ
の そ ば にnま (2)
た はpの
MOS電
図1・37に
の と きnチ
ャ ネ ル とpチ
子 を省
ャネ ル を 区 別 す る た め に は 記 号
文 字 を書 き そ えれ ば よい.
界 効 果 トラ ン ジ ス タ の 特 性 特 性 の 例 を 示 す ・ 図(a)は
し き い 電 圧 は3Vで
あ る.VDSが12V以
温 度25℃
に お け るID-VDS特
上 でIDは
一 定 とな り,IDとVGSの
性 で,
(a) ID-VDS特
(b) ID-VCS特
性 図1・37
関 係 は ほ ぼ 式(1・21)に 単 位,IDを
〔mA〕
MOS‐FETの
性
特性 の例
従 っ て い る こ とが わ か る.す
な わ ち,VGSを
〔V〕 の
の 単 位 で 表 わ す と,
ID=0.32(VGS-3)2〔mA〕 し た が っ て,VGS=6Vの
と き,式(1・23)に
よ っ てgm=1.9mSで
温 度 に よ る 電 界 効 果 トラ ン ジ ス タ の 特 性 の 変 化 は,接 り少 な い.図(b)にID-VDS特
性 の 例 を示 す が,温
の 移 動 度 が 小 さ く な る た め に,IDは
あ る.
合 トラ ン ジ ス タ の 場 合 よ 度 が 高 くな る と,キ
少 し減 少 す る.こ
の 例 で は,し
ャ リア
きい電 圧 も
少 し変 化 して い る. MOS電 で,静
界 効 果 トラ ン ジ ス タ の ゲ ー ト とチ ャネ ル の 間 の 絶 縁 膜 は 極 め て 薄 い の 電 気 に よ っ て 膜 が 破 壊 さ れ や す い とい う欠 点 を も っ て い る.し
静 電 気 を 帯 び た 手 で 素 子 に 接 触 して は い け な い.静 が 高 く,容 MOS電
易 に 数1000Vに
電 気 は電 気 量 は 少 な い が 電圧
達 す る の で あ る.
界 効 果 ト ラ ン ジ ス タ の 多 く は,ゲ
ダ イ オ ー ドを 内 蔵 し て,静
た が っ て,
ー トとソ ー スの 間 に保 護 用 の ツ ェナ ・
電 気 を 逃 が す よ う に し て い る.ま
子 を 短 絡 し た 包 装 を行 っ て い る も の も多 い.ま
た 通 常,回
た,出
荷 に 際 して 端
路 に 接 続 した 後 で は,
静 電 気 の 問 題 は 生 じ な い. 電 界 効 果 トラ ン ジ ス タ に は,前
節 お よび 本 節 で 述 べ た よ う に 接 合 ゲ ー ト形 と
MOSの2種
類 が あ る.こ れ ら は 正 孔 ま た は 自 由 電 子 の い ず れ か を利 用 す る の で,
両 者 を あ わ せ て ユ ニ ポ ー ラ ・ トラ ン ジ ス タ(unipolar 第2章
以 後,接
者 を総 称 し てFETと
用 い た も の で,自
特 性 が よ く,12000MHz程
Pチ
J *GaAsを
J‐FET M 用 い た 超 高 周 波 用J‐FET
ャネ ル
n
ノ ー マ リ ・オ フ
外形 (注)
1・8 (1)
は
nチ
ON
ノ ー マ リ ・オ ン
は
ゲ ー ト を 開 放 し て ド レ イ ン ・ソ ー ス 間 に 加 え る 電 圧
照
ダ イ オ ー ド,ト
相 補 性 の ペ ア で あ る.
ラ ンジ ス タ
ェ ー フ ァ,ペ
半 導 体 素 子 の 材 料 と し て は,シ ゲ ル マ ニ ウ ム(Ge),ガ
ャネル
MOS‐FET
2SJ18と2SK60,2SJ56と2SK176は
結 晶,ウ
用 い て い る.
ソ ース を開 放 して ゲ ー ト ・ ドレイ ン間 に 加 え る電 圧
MOS‐FETで 図1・29参
は す べ てSiを
電 界 効 果 トラ ン ジス タの実 例
p
J‐FETで
素 子 の 材料
由 電子 の移 動 度 が極 め て大 きい た め 高 周 波
度 ま で 使 用 出 来 る.他 表1・7
Vmax
界 効 果 トラ
略 記 す る.
各 種 の 電 界 効 果 トラ ン ジ ス タ の 実 例 を示 す.2SK273は
と して はGaAsを
OFF
も い う.
合 ゲ ー ト電 界 効 果 トラ ン ジ ス タ はJ‐FET,MOS電
ン ジ ス タ はMOS‐FET,両 表1・7に
transistor)と
レ ッ ト リ コ ン(Si)が
リ ウ ム ・ひ 素(GaAs)な
最 も多 く使 用 され る.ほ ど が あ る.
か に,
シ リ コ ン の 結 晶 は,直 通 常,n形
ま た はp形
径10数cm,長
さ数10cmの
の 単 結 晶 と して 得 ら れ る.こ
断 し,表 面 を研 磨 す る.こ れ を ス ラ イ ス(slice)ま ウ ェ ー フ ァ は,は
じ め に,あ
図1・38
pn接
い う.
る い は チ ッ プ(chip)と
い う.チ
か ップ
な る.
に こ れ ら を示 す.
pn接
単 結 晶 , ウ ェ ー フ ァ,チ
金 接 合,拡
散 接 合 な ど の 方 法 が あ る.生
長接
示 す よ う に 引 き上 げ 法 に よ っ て 単 結 晶 を つ く る と き に,結
に 入 る 不 純 物 を 調 整 す る こ とに よ っ て 得 ら れ る.す
図1・39
ドナ と な る 不 純 物 を入 れ て 溶 融 し,結 が 晶 出 し,つ
部 分 が 出 来 る.
ッ プ
合 の製 法
合 を つ く る に は 生 長 接 合,合
合 は,図1・39に
く とn形
度 の 厚 さに切
た は ウ ェ ー ファ(wafer)と
ラ ン ジ ス タ あ る い は 集 積 回 路(IC)と
図1・38
(2)
れ を0.5mm程
る い は 製 造 過 程 が あ る 程 度 進 行 した あ とで,細
く切 断 され る . これ をペ レ ッ ト(pellet)あ 1つ ず つ が ダイ オ ー ド,ト
棒 状 の も の が つ く ら れ,
な わ ち,ゲ
晶
ル マ ニ ウム の 中 に
成長 接 合 の 製造
晶 を 徐 々 に 引 き上 げ て 結 晶 を生 長 させ て い
ぎ に ア ク セ プ タ と な る 不 純 物 を 入 れ て 生 長 させ る とP形
の
(a)
(b)
(c)
図1・40 合 金 接合 の 形成
合 金 接 合 の 製 法 は,図1・40に
示 す よ うに,た
と え ば ま ずn形
ゲル マ ニ ウ ム
の ペ レ ッ トの 上 に イ ン ジ ウ ム の 粒 を の せ,加
熱 し て 室 温 に 戻 す と,イ
3価 の 元 素 で あ る の でpn接
れ に 電 線 を 接 続 して 外 被 に 入 れ る と
接 合 ダ イ オ ー ドに な る.ま
合 が 出 来 る.こ た,ペ
ンジウムは
レ ッ トの 両 側 か ら合 金 接 合 を行 う と,接
合 トラ
ン ジ ス タ が 出 来 る. 拡 散 接 合(diffusion
junction)はp形
ま た はn形
ウ ェ ー フ ァ を,適
当 な不 純 物
を 含 む ガ ス 中 で 加 熱 す る こ と に よ っ て 得 ら れ る.す
な わ ち,p形(n形)ウ
ェー
フ ァ の 表 面 に 拡 散 さ れ た5価(3価)の
不 純 物 に よ っ て 表 面 にn形(p形)の
層
が 形 成 さ れ る. (3)
プ レ ー ナ ・ トラ ン ジ ス タ の 製 法
プ レ ー ナ ・ トラ ン ジ ス タ(planar に 酸 化 層 を形 成 し,写
transistor)は
真 蝕 刻 法(photo‐etching)に
散 に よ っ て 接 合 を つ く る こ と を繰 り返 し て,ベ る.基
よ っ て 酸 化 層 に 穴 を あ け,拡 ー ス,エ
ミ ッタ をつ くる もの で あ
板 の 下 部 が コ レ ク タ に な る.
写 真 蝕 刻 法 を 図1・41に す る.ま
よ って 説 明
ず,ウ ェ ー フ ァの 表 面 を酸 化 し,
フ ォ トレ ジ ス ト膜(photo‐resist を 塗 布 す る.適 し,現
シ リ コ ン ・ウ ェ ー フ ァ の 表 面
layer)
当 な マ ス ク を用 い て 露 光
像 処 理 を す る と,マ
ス クの パ タ ン
に 応 じて 光 が 当 た ら な か っ た 部 分 の み 膜 が 除 去 され る.つ
ぎ に,こ
れ を酸 化 層 を
図1・41
露
光
選 択 的 に除 去 す る薬 品 で処 理 す る と,膜 が 除去 され た部 分 の酸 化 層 に穴 が あ け ら れ る.
図1・42に
プ レ ー ナ ・ トラ ン ジ ス タ の
製 造 過 程 の 概 要 を 示 す.図(a)はn形 ェ ー フ ァ の 表 面 を 酸 化 し,フ
ウ
ォ トレ ジ ス
ト膜 を塗 布 した と こ ろ.図(b)は
写真蝕
(a) 酸 化,フ
ォ ト レ ジ ス ト膜 塗 布
刻 法 に よっ て酸 化 層 に穴 をあ け た と こ ろ.図(c)は
そ の 穴 か らp形
の不 純 物 を
拡 散 し た と こ ろ.こ
のp形
ス に な る.図(d)は
表 面 を再 び 酸 化 し,
の部 分 が ベ ー
(b) 孔 あけ(写 真 蝕 刻)
別 の マ ス ク を用 い た写 真 蝕 刻 法 に よって 酸 化 層 に 穴 を あ け た と こ ろ.図(e)はn 形 の 不 純 物 を 拡 散 し た と こ ろ で,こ 分 が エ ミ ッ タ に な る.図(f)は 蒸 着 し,適
の部
(c) ベ ー ス 拡 散
金属膜 を
当 な マ ス ク を用 い て 膜 の 不 要
部 分 を除 去 し た と こ ろ.こ
れ で 配線 が完 (d) 孔 あ け
了 す る. こ の 操 作 を ウ ェ ー フ ァ単 位 で 行 い,以 上 が 完 了 して か ら,ペ レ ッ トに 切 り離 し, 外 被 に お さ め,完
成 品 とす る.
プ レ ー ナ ・ トラ ン ジ ス タ は 表 面 が 安 定
(e) エ ミ ッ タ 拡 散
な シ リ コ ン の 酸 化 膜 で 保 護 され て い る こ と,量 産 が 可 能 で あ る こ と,同
一 の工 程
で マ ス クの パ タ ン を変 え る だけ で 種 々の 特 性 の トラ ン ジ ス タ が 得 ら れ る こ と な ど (f) 孔 あけ お よび 電 極 蒸 着
の 利 点 が あ る.
図1・42
1・9 (1)
集
積
回
プ レ ー ナ ・トラ ン ジ ス タ の 製 造
路(IC)
集 積 回路 の種 類
集 積 回 路(integrated
circuit‐IC)は,ハ
イ ブ リ ッ ドIC(hybrid
IC)と,モ
ノ リ シ ッ クIC(monolithic
IC)に
大 別 され る.
前 者 は セ ラ ミ ッ ク な どの 基 板 の 上 に 抵 抗 体,配 に よ っ て つ く り,別 ー ス)に
た は蒸 着 法
入 れ た もので あ る.
後 者 は1つ る.こ
線 な ど を焼 付 法,ま
に つ く ら れ た トラ ン ジ ス タ な ど の 素 子 を 取 り付 け て 外 被(ケ
の 半 導 体 の チ ッ プ の 上 に つ く ら れ た も の で,半
れ に は,バ
IC)と,
MOS‐FETを
も とに し た ユ ニ ポ ー ラIC(unipolar
に 示 す よ う に,ア
ナ ロ グICと,デ
IC)と
ィ ジ タ ルICと
は
演 算 増 幅 用IC 定 電 圧 電 源 用IC オ ー デ ィ オ ・ア ン プ用IC ラ ジ オ 受 信 機 用 各 種IC テ レ ビ受 像 機 用 各 種IC そ の他 は
論理 ゲー ト フ リ ップ フ ロ ップ レジスタ カ ウンタ マ イ ク ロ プ ロセ ッサ ICメ
モ リ
時 計 用IC そ の他 が あ る.
な る.下
巻第
る い は 大 き い か 小 さい か とい う
2つ の 状 態 を利 用 し て 情 報 の 表 示 や 演 算 な ど を行 う も の で あ る.
デ ィ ジ タ ルICに
が あ る.
ナ ロ グ と は 電 圧 や 電 流 の 連 続 的 な 変 化 を利 用 す る も の,
デ ィ ジ タ ル と は 電 圧 や 電 流 が 存 在 す る か 否 か,あ
ア ナ ロ グICに
も よば れ
イ ポ ー ラ ・ トラ ン ジ ス タ を も と に し た バ イ ポ ー ラIC(bipolar
ICを 機 能 に よ っ て 分 け る と,ア 7・8章
導 体ICと
集 積 度 が 大 き い の は,モ
ノ リ シ ッ クICの
方 で あ る.こ
れ は 集 積 度 に よ っ て,
つ ぎ の よ う に 分 け ら れ る. 小 規 模 集 積 回 路 SSI(small‐scale
integrated
中 規 模 集 積 回 路 MSI(medium‐scale 大 規 模 集 積 回 路
LSI(large‐scale
超 大 規 模 集 積 回 路 VLSI(very 多 く の 電 子 装 置 が 各 種 のICを
integrated Iarge‐scale
circuit) circuit)
integrated
動 カ メ ラ な ど に もICが
circuit)
ン ピ ュ ー タ は も と よ り, 組 み 込 ま れ て い る.
バ イ ポ ー ラ集 積 回路
図1・43に
よっ て集 積 回路 製 造 の 過
程 を 説 明 す る.図(a)はp形 を 用 意 し,表 (b)は
integrated
用 い て つ く ら れ る.コ
テ レ ビ ジ ョ ン 受 像 機,VTR,自
(2)
circuit)
(a) ウ ェ ー フ ァ 研 磨
ウ ェー フ ァ
面 を 研 磨 し た と こ ろ.図
ウ ェ ー フ ァ を 加 熱 し な が ら不 純 物
(b) エ ピ タ キ シ ャ ル 成 長
を含 ん だ シ リコ ン化 合 物 の蒸 気 に曝 す こ と に よ っ て,そ
の 表 面 に 新 しいn形
の層
を生 長 させ た とこ ろ. これ はエ ピ タキ シ ャ ル 生 長(epitaxial
growth)と
(c) 分
離
い う.そ
の あ と で,表 面 に 酸 化 膜 を つ く る.図(c) は 写 真 蝕 刻 と選 択 拡 散 に よ っ て,表 n形 の 層 の 一 部 にp形 多 くのn形
面の (d) ベ ー ス 拡 散
の 領 域 を つ く り,
の 島 を形 成 し た と こ ろ.お
の
お の の 島 が そ れ ぞ れ電 気 的 に独 立 した ト (e) エ ミ ッ タ 拡 散
ラ ン ジ ス タ や ダ イ オ ー ドな ど に な る.ま た 島 の 底 が コ レ ク タ に な る.図(d)以 は1つ
の 島 に つ い て 説 明 す る.ま
の 一 部 にp形
の 領 域 を つ く る.こ
ー ス と な る .図(e)はp形 にn+形
降 ず,島 れが ベ
の領 域 の一 部
の 領 域 を つ く っ た と こ ろ.こ
れ
(f) 内部 配 線 図1.43
バ イ ポ ー ラICの
製造
が エ ミ ッ タ と な る.同
時 に コ レ ク タ 領 域 の 表 面 にn+の
ラ ン ジ ス タ は 完 成 す る.図(f)は
領 域 を つ く る.こ
れで ト
蒸 着 法 に よ って 金 属 膜 に よ る 配 線 を行 った と
こ ろ で あ る. ダ イ オ ー ドは トラ ン ジ ス タ の3領 て 実 現 され る.抵
域 の 一 部 を用 い,あ
抗 は 通 常 ベ ー ス 拡 散 層 を 使 用 す る.す
の ベ ー ス 層 を 用 い,そ
な わ ち,適
部 配 線 を 終 え た の ち ペ レ ッ トに 分
レ ッ トは 外 被 に 入 れ て ピ ン を 接 続 し,ICが
出 来 上 が る.
バ イ ポ ー ラICはp形
基 板 に負 電 圧 を か け て 使 用 す る.図(c)を
基 板 と各 島 の 間 はpn接
合 の 逆 バ イ ア ス の た め 電 流 が 流 れ ず,各
各 素 子)の (3)
参 照 す る と, 島(し
たがって
間 は 電 気 的 に 分 離 さ れ る. ユニ ポ ー ラ集 積 回路
ユ ニ ポ ー ラ 集 積 回 路 の 製 造 工 程 は こ れ よ り簡 単 で あ る.pチ 形 の 基 板 の 上 面 を 酸 化 し,写 部 分 にp+形
当 な 長 さ と幅
の 両 端 に 配 線 を す る.
こ れ ら の 工 程 は ウ ェ ー フ ァ単 位 で 行 わ れ,内 割 さ れ る.ペ
るい は適 当 な結 線 に よっ
領 域 を つ く り,つ
部 分 に 穴 を あ け,金
ャ ネ ル 形 で は,n
真 蝕 刻 法 に よ っ て ソ ー ス お よ び ドレ イ ン領 域 とな る ぎ に 今 一 度 表 面 を 酸 化 し て ソ ー ス お よ び ドレ イ ン
属 の 蒸 着 に よ っ て ゲ ー ト電 極 お よ び ソ ー ス,ド
(a)(b) 図1・44
ユ ニ ポ ー ラICと
そのレイアウ ト
レイ ンの結 線
を 行 う. 図1・44に,簡
単 な デ ィ ジ タ ル 回 路 とICの
は 回 路 で,T1,・・・,T4は 続 し て,抵
と も にMOS‐FET,T4は
抗 と し て 用 い て い る.図(b)は
板 の 表 面 にp+の
レ イ ア ウ トの 例
拡 散 を 行 う.こ
の 間 の 接 続 線 に な る.つ
ぎ に,基
ゲ ー ト と ド レ イ ン を接
レ イ ア ウ ト で あ る.ま
れ がT1,・・・
を 示 す.図(a)
の ソ ー ス,ド
ず,n形
レ ィ ン お よ びFET
板 の 表 面 を 酸 化 し て 絶 縁 層 を つ く り,そ
に 穴 を あ け て 導 電 膜 を 蒸 着 し,電
源 線,
接 地 線,入
の基
力 線1,2,3,お
の一 部
よ び 出 力線
と す る. VLSIで
は,1つ
の チ ッ プ の 上 に 数10万
以 上 の 素 子 が つ く ら れ る.こ
は 結 晶 に 欠 陥 の な い ウ ェ ー フ ァ を 用 意 し,極 刻,拡
め て細 か い パ タ ン を 用 い て 写 真 蝕
散 を 行 っ て チ ッ プ 上 に 多 数 の 素 子 を つ く り,細
要 で あ る.ICの
集 積 度 が 高 め ら れ た の は,こ
ユ ニ ポ ー ラICは
の た め に
い 線 で 配 線 を行 う こ とが 必
の よ う な 技 術 が 進 歩 し た か ら で あ る.
静 電 気 に よ る 被 害 を 受 け る こ と が あ る の で,MOS‐FETの
場 合 と 同 様 に 取 り扱 い に は 注 意 が 必 要 で あ る.
問
1.
1辺
の 長 さ をl,厚
さ をd,導
て,辺
間 の 抵 抗RはR=l/(σS)=1/(σd)と
2.
式(1・5)を
μp=500,し
=537
電 率 を σ と す る と,断
面 積 はS=dlで
あ っ
な る. は,n=p=ni=1.2×1010,μn=1500,
σ=1.6×10-19×1.2×1010(1500+500)=3.84×10-6S/cm.
,し
たが って
σ=2.08×10-6S/cm.(290/300)-2.5=(300/290)2.5の
は 対 数 表,あ
簡 単 に 計 算 出 来 る.(b)半
290Kで
答
はni=0.6×1010,μn=1500(290/300)-2.5=1633,μp=500(290/300)-2.11
計 算 に は,昔
=enμn
解
用 い る.(a)300Kで
たが って
290Kで
題
.し は
た が っ て300Kで
る い は 計 算 尺 を 用 い た が,現 導 体 はn形 は
で,正
孔 の 密 度pは
よ うな 在 で は 関 数 つ きの 電 卓 で 無 視 出 来 る の で,σ
σ=1.6×10-19×5×1014×1500=0.12S/cm.
σ=1.6×10-19×5×1014×1633=0.13S/cm.
3.
こ れ は 簡 単 で あ る,(a)I=6mA,(b)I=-2mA(矢
印
と は 逆 方 向 に
2mA). 4.
V>0で
はI=V/R1,0>V>-VB(R1+R2)/R2(=-9V)で
は,ダ
ー ド に は 電 流 が 流 れ ず ,I=V/(R1+R2).V>-VB(R1+R2)/R2で ド は 降 伏 し,端
子 電 圧 はVBに
な る.し
は,ダ
イ オ イ オ ー
た が っ てI=(V-VB)/R1.図1・45に
こ れ を 示 す.
図1・45
5. =390Ω 6.
電 圧 はV,電 ,交
流 はAの
単 位 で 表 わ し て 計 算 し よ う.直
流 抵 抗=3.5/0.009
流 抵 抗=(4.0-3.5)/(0.0054-0.009)=-139Ω.
式(1・15),(1・17)か
ら,IE=(IB+ICO)/(1-α)=5.1mA.IC=(αIB
+ICO)/(1-α)=5.0mA. 7.
図(b)か
IC=2mAで
ら,VCE=10Vの
あ る か ら,⊿IC=1mA,⊿IB=20μA=0.02mA.し
⊿IC/⊿IB=50.同 8.
と き,IB=20μA,IC=1mA;IB=40μA,
図1・33(b)か
=10V,VGS=-0.2Vの =0.1V.式(1・22)に
様 に 図(c)か
た が っ て,β=
ら,β=65.
ら,VDS=10V.VGS=-0.3Vの と きID=4.3mA.し よ り,gm=8mS.
と きID=3.5mA,VDS たが っ て
⊿lD=0.3mA,⊿VGS
練
1. (a)銅
は1cm3中
習
問
に 約9×1022個
題
の 自 由 電 子 を も つ.電
流 密 度 が1A/mm2
の と き の 自 由 電 子 の ド リ フ トの 速 さ を 求 め よ. (b) 5価 の 不 純 物 原 子 が1cm3中 結 晶 に,10mA/mm2の
に1016個
の割 合 で含 まれ た ゲル マ ニ ウ ムの
密 度 で 電 流 を流 す と き の 自 由 電 子 の ド リ フ ト の 速 さ を
求 め よ. 2. 純 粋 な シ リ コ ン の 結 晶 中 に は,温 ×1010対
度27℃(300K)で
の 自 由 電 子 と正 孔 が 存 在 す る.ま
500cm2/VSで
あ る.こ
ド リ フ トの 速 さ,お
れ に0.2V/cmの
は1cm3当
た り1・2
た そ の 移 動 度 は そ れ ぞ れ1500お
よび
電 界 を加 え た と き の 自 由 電 子 と正 孔 の
よび 電 流 密 度 を求 め よ.
3. 図1・46(a)は
あ る ダ イ オ ー ドの 特 性 を近 似 表 示 し た も の で,図(b)の
よ う な 理 想 ダ イ オ ー ドD(順
バ イ ア ス に 対 し て 電 圧 降 下 が0,逆
バ イ ア ス に対 し
て は 電 流 が0),電
抗Rの
の と きV0,R0
圧 源V,抵
直 列 回 路 で 表 わ さ れ る.こ
の 値 を 求 め よ.
(b)
(a) 図1・46
4. 図1・47の を 調 べ よ.ダ て は 電 流 は0と
回 路 に お い て 図(a)お
よ び 図(b)の
電 圧Vと
イ オ ー ドは 順 バ イ ア ス に 対 し て は 電 圧 降 下 は0,逆 す る.
電 流Iの
関係
バ イ ア ス に対 し
(a)(b) 図1・47
5. 図1・17に
示 し た 定 電 圧 回 路 に お い て,直
RL=500Ω,ダ
イ オ ー ドの 降 伏 電 圧VB=6V,許
と す る と き,出
力 電 圧VDが
6. (a) pn接 V≫kT/eな
つ ダ イ オ ー ドの 消 費 電 力 が 許 容 範
変 化 の 範 囲 を求 め よ.
合 ダ イ オ ー ドに 順 バ イ ア スVを
加 え た と き の 交 流 抵 抗rは,
ら
で 表 わ さ れ る こ と を 証 明 せ よ,Iは (b) T=300K(こ 2mAを
荷抵抗
容 最 大 消 費 電 力Pmax=180mW
一 定 に保 た れ,か
囲 に あ る た め の 電 源 電 圧Vの
列 抵 抗R=300Ω,負
ダ イ オ ー ドを 流 れ る 直 流 電 流 で あ る.
の と きkT/e=0.026V)と
して,ダ
イ オ ー ドに 直 流 電 流I=
流 す と き の 交 流 抵 抗 を求 め よ.
7. 図1・48の
回 路 で,α=0.97,ICO=2μAの
ス ・エ ミ ッ タ 間 の 電 位 差VBE=0.3Vと
図1・48
図1・49 α=0.99,ICO=0.5μAと
の 回 路 で ベ ー ス線 が 断線 す る.
と き のIB,ICを
求 め よ.ベ
ー
して 計 算 せ よ.
図1・49 し た と き の コ レ ク タ 電 流 の 値 を 求 め よ.
9.
図1・50のFET回
ソ ー ス の 直 流 電 圧VS=5Vで FETの
あ っ た.
ゲ ー ト ・ ソ ー ス 間 電 圧VGS,ド
レ イ ン ・ ソ ー ス間 電 圧VDS,ド 流IDを
路 に お い て,
レイ ン電
求 め よ.
図1・50
第2章
こ の 章 で は,電
増 幅 回路 の 基礎
界 効 果 トラ ン ジ ス タ(FET)お
よ び 接 合 トラ ン ジ ス タ(J‐TR)
を用 い た 増 幅 回 路 の 基 礎 を述 べ る. FETで
は ソ ー ス 接 地 抵 抗 負 荷 増 幅 回 路 が 重 要 で あ る.ま
い と き のFETの 電 流 の 変 化(増 線 か ら,図
電 圧 ・電 流 の 状 態(静 止 点),交 幅 動 作)を,FETの
幅 回 路 の 交 流 特 性,す
算 す る 実 用 的 な 方 法 を 説 明 す る.同 抵 抗,電
流 利 得,電
FETの
流 入 力 が加 わ っ た ときの 電圧 ・
ぎ に,FETの な わ ち,電
交 流特 性 を 表 わ す
圧 利 得,出
様 な 方 法 をJ‐TR増
力 抵 抗 な ど を計
幅 回 路 に も適 用 し,入
力
圧 利 得 な ど を 計 算 す る.
交 流 特 性 を 表 わ す モ デ ル と し て は,ド
ソ ー ス 間 の 信 号 電 圧 に 比 例 し た 電 流 源 と,ド の を用 い る.負
力 が 加 わ らな
特 性 曲 線 お よび 外 部 回 路 の 特 性 を表 わ す 負 荷
に よ っ て 求 め る 方 法 を 述 べ る.つ
モ デ ル を 導 入 し,増
ず,入
レ ィ ン ・ソ ー ス 間 を,ゲ
ー ト・
レイ ン抵 抗 の並 列 回 路 で表 わ した も
荷 抵 抗 の 値 が 小 さ い と き に は,ド
レ イ ン 抵 抗 を省 略 す る こ とが 出
来 る. J‐TRの
交 流 特 性 を表 わ す モ デ ル に は,T形
用 い る.T形
モ デ ル は3個
の 抵 抗 と1個
モ デ ル とhパ
ラ メ ー タ ・モ デ ル を
の 電 流 源 を 用 い る も の で,ベ
と エ ミ ッ タ 接 地 形 とが あ る.負
荷 抵 抗 の 値 が 小 さい と き に は,抵
来 て,モ
れ を簡 易 モ デ ル とい う.
デ ル は 簡 単 に な る.こ
hパ ラ メ ー タ ・モ デ ル は,J‐TRの し方 の 一 種 で あ るhパ 接 地,コ
交 流 特 性 を,線
タ の 値 が 変 わ る だ け で あ る.ベ の 値 が 小 さ い と き に は,2個
だ,接
抗1個
が省略 出
形 四 端 子 網 の 一 般 的 な表 わ
ラ メ ー タ を用 い て 表 わ し た も の で,ベ
レ ク タ 接 地 の い ず れ に も用 い られ る.た
ー ス接 地 形
ー ス 接 地,エ
ミ ッタ
地形 式 に よっ て パ ラ メ ー
ー ス 接 地 お よ び エ ミ ッ タ 接 地 回 路 で は,負 の パ ラ メ ー タ が 省 略 出 来 て,モ
荷抵抗
デ ル は 簡 単 に な る.
FET増 り,ソ
幅 回 路 に は,ソ
ー ス 接 地,ド
レ イ ン 接 地,ゲ
ー ス 接 地 形 が 最 も多 く用 い られ る,J‐TR増
コ レ ク タ 接 地,ベ
ー ス 接 地 の3基
ー ト接 地 の3基
幅 回 路 に は,エ
本 形 式 が あ り,エ
本形式が あ ミ ッ タ 接 地,
ミ ッ タ 接 地 形 が 最 も多 く用 い
ら れ る. J‐TR増
幅 回 路 で は,電
力 利 得 を大 き く す る た め に は,ト
間 を 整 合 させ る と よ い.こ
の と き に は,負
ラ ン ジ ス タ と負 荷 の
荷 抵 抗 の 値 は 大 き くな り,簡 易 モ デ ル
は 使 用 出 来 な い. 最 後 に,FETお
よ びJ‐T‐R増
幅 回 路 の 静 止 点 の 設 計 と,温
度 の変 化 に よる静
止 点 の 変 動 に つ い て 述 べ る.
2・1
ソ ー ス 接 地FET増
(1)
回
図2・1は
路
の
構
幅 回路
成
抵 抗 負 荷 ソ ー ス 接 地 増 幅 回 路 の 例 で,ソ
に 直 流 電 源VDDと 図 はnチ
負 荷 抵 抗RLが
ャネ ルFETの
ー ス と ドレ イ ン の 間 に 直 列
接 続 され て い る.
場 合 で あ る が,Pチ
ャネ ルFETで
は,直
流 電 源 の向
き は 図 と は 逆 に な る. FET回
路 やJ‐TR回
電 源 はVDDの
路 で は,一
般 に い く つ か の 直 流 電 源 が 必 要 で あ る.直
よ う に 同 じ添 字 を2つ
図2・1
ゲ ー トと ソ ー ス の 間 に は,直 接 続 され て い る.ド る.VGG,VDDを
重 ね て 表 わ す.
ソ ー ス 接 地FET増
流 電 源VGGと
レ イ ン電 流IDは
流
幅 回路
小 さ な 交 流 入 力 電 圧V1と
ゲ ー ト ・ソ ー ス 間 電 圧VGSに
適 当 な 値 に 選 ぶ と,小
さ な 正 弦 波 電 圧V1を
が直列 に よっ て 変 わ
加 え た と き,IDは
そ れ に よ っ て 変 化 し,RLの
両 端 に 生 ず る 交 流 電 圧V2は
入 力 電 圧V1に
ほ ぼ比
例 す る. 正 弦 波 交 流 電 圧 ・電 流 は 一 般 に 複 素 数 で あ る が,本 位 相 か180° VGGの
の 位 相 差 を も つ の で,正
向 きや 大 き さ は,FETの
の と き に は,VGGは す 向 き,pチ
mode)と
ま た は 負 の 実 数 と し て 扱 う.
種 類 に よ っ て 異 な る.FETが
正 で あ る.す
な わ ち,nチ
ャ ネ ル の 場 合 に は 図2・1と
こ の よ う なFETの い う.ま
ー マ リ ・オ ン の 場 合 に はVGGに
(2)
静
FETの
特 性 を 図2・2(a)と
状
と し た と き の,こ
し,回
通 常 負 の 値 を用 い る. い う.
路 定 数 をVDD=25V,VGG=6V,RL=1
(b) ID-VGS動 ソ ー ス 接 地MOS‐FETの
静 止 状 態 とい い,そ
値 を 静 止 点(quiscent
図 の 曲 線(VGS=6V)の
一 方,VDD,RLの
mode)と
性
入 力 が 加 わ ら な い と き(V1=0)を
ID,VDSは
な る.
の 回 路 の 動 作 を 解 析 し よ う.
図2・2
子 電 流IDの
向 き も逆)と
示
態
(a) ID-VDS特
VDS,端
ャ ネ ル の 場 合 に は,図2・1に
は 逆 の 向 き(VDDの
こ れ を デ プ リ ー シ ョ ン ・モ ー ド(depletion
kΩ
ノ ー マ リ ・オ フ
バ イ ア ス 法 を エ ン ハ ン ス メ ン ト ・モ ー ド(enhancement た,ノ
止
章 で は これ ら はす べ て 同 じ
point)と
特性
特性
の と き の 端 子 間 電 圧VGS, い う.明
ら か に,静
上 に あ る.
止点
直 列 回 路 に よ っ てVDSとIDの
間には (2・1)
とい う関 係 が あ り,こ 示 す.こ
れ はID-VDSグ
れ を 負 荷 線(load
交 点 と な る.す
line)と
ラ フ上 で は 直 線 と な り,図(a)の い う.静
止 点 はFETの
点線で
特 性 曲 線 と負 荷 線 の
な わ ち,
で あ る.
(3)
動 作 状 態― 増 幅 の 原 理
入 力 電 圧V1と
して 波 高 値2Vの
を 中 心 と し て8Vと4Vの
正 弦 波 電 圧 を 加 え た と き,VGSの
間 を変 化 し,そ
示 す 変 化 を す る こ とが,図2・2(a)か
こ こで ① → ② 絶 対 値=4Vは
絶 対 値)=2で
正 弦 波 の 入 力 に 対 し て,正
あ る.こ
っ た 値 に な る が,こ
遮
図2・1の
gain)と
と 飽
回 路 で,入
お け る 負 号 は,
よ ぶ.こ
れ は 数 値 の 読 み と りの 誤 差,お
平 均 値(-4.5V)を
力電
の 値 は 符 号 を考 慮 す れ とは 少 し異 な
よび 出 力 波形 の ひ ず み に よっ
ず み に つ い て は こ こ で は 説 明 し な い が,電
方 の ⊿VDSの
断
圧 の 倍 率 は(⊿VGSの
→ ③ に つ い て 同 様 な 計 算 を す る と,こ
ろ う.電 圧 利 得 の 値 は-2.25と (4)
た が っ て,電
・負 反 転 し た 出 力 波 形 を 生 ず る こ と を 表 わ す.出
お,②
て 生 ず る も の で あ る.ひ て い え ば,両
入 力 電 圧 の 波 高 値,⊿VDSの
こ で ⊿VDS=-4Vに
圧 と入 力 電 圧 と の 比 を 電 圧 利 得(voltage な る.な
値 は次 表 に
ら読 み と ら れ る.
出 力 電 圧 の 波 高 値 で あ っ て,し
る と-2と
れ に応 じてVDSやIDの
の 変 化 を考 え る と,⊿VGS=2Vは
絶 対 値)/(⊿VGSの
値 は6V
圧 利 得 につ い
用 い て 計 算 し た ほ うが よ い で あ
な る.
和 力V1が0と
す る.VGG(=VGS)の
IDの 値 は,上
と 同 じFETお
よ びVDD,RLの
に な る.VGSの
値 が0ま
た は 負 に な る と,ド
値 を変 化 させ た と きの
値 を 用 い る と,図2・2(b)の
よう
レ イ ン電 流IDは0で
れ を
あ り,こ
FETの
遮 断(cutt‐off)と
い う.ま
く な る.こ
れ を飽 和(saturation)と
始 ま る.こ
の と き のIDの
が,25mAを
たVGSが
大 き く な る と,IDは
い う.こ
の 例 で はVGSが
値 は 約20mAで,VGSが
超 え る こ と は な い.ま
あ ま り増 加 し な
約12Vか
ら飽和 が
大 き く な る と 少 し増 加 す る
た 遮 断 と 飽 和 の 間 を活 性 領 域(active
region)
と い う. 増 幅 回 路 で は 静 止 点 を 活 性 領 域 の ほ ぼ 中 央 に お き,入 力 電 圧 が 加 わ っ てVGSが 変 化 した と き,IDが
ほ ぼ そ れ に 比 例 し て 変 化 す る よ う に し な け れ ば な ら な い.
2・2
交 流 分 の 分 離
(1)
交
流
特
性
ソ ー ス 接 地 増 幅 回 路 〔図2・1〕 RLの
に お い て,交
両 端 に 生 ず る 交 流 電 圧 をV2,RLを
出 力 電 圧,出 図2・3で
力 電 流 と よぶ.こ
(I1,I2)に
流 れ る交 流 電 流 をI2と
お,
の基準 を
と え ば,前
節
示 し た 例 で ⊿VGSをVGS 図2・3 交 流 特性 のみ を表 わ す 回 路
の 交 流 分 の 波 高 値 と す る と,⊿VGS=2V 力 電 圧 が 実 効 値2/√2=1.4Vの
交 流 で あ り,ま
出 力 電 圧 の 実 効 値 が2.8Vで,入 を 示 し て い る.な 図2・1(a)のnチ に も(こ
れ ぞ れ
も矢 印 が つ い て い る が,こ れ は
示 す た め に 必 要 で あ る.た
は,入
し,そ
交流電流
交 流 に は 位 相 の 違 い が あ り,そ
2・1(3)に
対 して負 荷 抵 抗
の 回 路 を 電 圧 ・電 流 の 交 流 成 分 の み に 着 目 し て ,
表 わ す こ とが 出 来 る.な
図 上 で は 交 流 電 圧(V1,V2)や
流 入 力 電 圧V1に
お,FETの
た ⊿VDS=-4Vは
,
力 と は180° 位 相 の 異 な る交 流 電 圧 で あ る こ と 性 質 に よ り,入
ャ ネ ルFETの
力 電 流I1=0で
の と き に は 直 流 電 源VDDお
代 わ り に,Pチ
み を 表 わ す と き に は,図2・3が
よ びVGGの
あ る.
ャ ネ ルFETを
用 い た場 合
向 き は 逆 に な る),交
流 特性 の
(2)
交 流 特 性 に関 す る 理 論
FETの
ドレ ィ ン 電 流IDは,VGSお
そ の ま ま 用 い られ る.
よ びVDSの
関 数 で あ る.す
なわ ち
(2・2)
と書 く こ とが 出 来 る.VGS,VDSが IDの
そ れ そ れ ⊿VGS,⊿VDSだ
け 変 化 した と きの
変 化 量 を ⊿IDと す る と
右 辺 を テ ー ラ ー の 級 数 に 展 開 す る と,
(高次 項) 高 次 項 が 省 略 出 来 る も の と し,か
つ
(2・3)
と置 く と (2・4) と な る. gm,gdを
静 止 点VGS,VDSに
conductance)お ま たrd(=1/gd)を
よび
お け るFETの
相 互 コ ン ダ ク タ ン ス(mutual
ド レ イ ン ・ コ ン ダ ク タ ン ス(drain
conductance)と
い い,
ド レ イ ン 抵 抗, (2・5)
を 増 幅 定 数(amplification
factor)と
入 力 電 圧V1(正
加 え る こ と に よ っ てID,VGS,VDSの
の で,⊿VGSを る.こ
弦 波)を 入 力 電 圧V1と
い う.
考 え る こ と が 出 来 る.す
の と き,⊿VDS→V2,⊿ID→-I2で
(a) 電 流 源 モ デ ル
図2・4 FETの
変 化 が 生 ず る
な わ ち,⊿VGS→V1で
あ っ て,式(2・4)は
(b) 電 圧 源 モ デ ル
交 流特 性 を表 わ す モ デ ル
あ
(2・6a)
と 書 く こ とが 出 来 る.こ
れ か ら,FETの
交 流 特 性 を表 わ す モ デ ル(model)が
得
られ る. 図2・4(a)は 表 わ す.す
電 流 源(current
な わ ち,電
V2/rd=gdV2)の
流-I2が
source)を
用 い た モ デ ル で,式(2・6a)を
電 流 源 の 電 流gmV1と
和 に 等 しい こ と を表 わ し て い る.二
抵 抗rdを
流 れ る 電 流(=
重 丸 ◎ は 電 流 源 の 記 号 で,
矢 印 は 電 流 の 基 準 の 向 き を表 わ す. ま た,式(2・6a)は (2・6b)
と 書 く こ とが 出 来 る.こ カ-μV1と,抵
抗rdの
れ は,出
圧 源(voltage
source)の
示 し た よ う な 電 圧 源 モ デ ル が 得 ら れ る.両
い に 等 価 で あ る が,本
起 電
両 端 に 生 ず る電 圧 の 和 に 等 し い こ と を表 わ して い る.
こ れ か ら 図2・4(b)に
(3)
力 電 圧V2が,電
モデルは互
書 で は 以 後 電 流 源 モ デ ル の 方 を使 用 す る.
電圧 利 得 の計算
図2・5に,FETソ
ー ス 接 地 増 幅 回 路 〔図2・3〕
の 等 価 回 路(equivalent
circuit)を
源 モ デル
に 置 き換 え た も の で,ゲ
〔図2・4(a)〕
に は 表 わ れ な い.こ
示 す.こ
の交 流 特 性 を計 算 す る た め
れ は 図2・3に
お い てFETを
電流
ー トに は 電 流 が 流 れ な い の で 図
れ か ら
が 得 られ る.電 圧 利 得 は
図2・5 抵抗 負荷 ソー ス接 地 増幅 回 路(等 価 回 路)
(2・7a) GL=1/RLと
お く と
(2・7b)
ド レ イ ン抵 抗rdは
大 き い の で,通
常RL≪rdと
考 え られ る.こ
の と き は, (2・8)
と な る.
問1.
図2・2に
示 す 特 性 を も っ たFETの,静
20Vに
お け る 相 互 コ ン ダ ク タ ン スgm,ド
止 点VGS=6V,VDS= レ イ ン 抵 抗rdの
値 を 求 め よ.図
か ら つ ぎ の 数 値 が 読 み と ら れ る も の と す る.(1)VGS=6V,VDS=20Vの と きID=6mA,(2)VGS=6V,VDS=30Vの VGS=7V,VDS=20Vの
と きID=6.5mA,(3)
問2. 1kΩ
と きID=8.5mA.
図2・1の
ソ ー ス 接 地 増 幅 回 路 で,gm=2.5mS,yd=30kΩ,RL=
と す る と き,電
圧 利 得 の 値 を 求 め よ.
2・3 エ ミ ッ タ 接 地J‐TR増 (1)
回 路
図2・6は
の 構 成
エ ミ ッ タ接 地 抵 抗 負 荷J‐TR増
タ の 間 に 直 流 電 源 VBBと V1が,コ
い る.図
入 力交 流 電圧
負 荷 抵 抗RLが はnpnト
接 続 され て
ラ ン ジ ス タ の 場 合 で,
ラ ン ジ ス タ で は 直 流電 源 の 向 きが 図2・6
逆 に な る. 出 力 電 力 と入 力 電 力 の 比 が 電 力 利 得(power お よび 電 流 利 得 が と も に 実 数 で あ る と き,両 (2)
エ ミ ッ タ 接 地J‐TR増
gain)で
あ る.こ
幅回路
れ は 電圧 利 得
者 の 積 に 等 しい.
静 止 点 お よ び動 作 状態
静 止 点 お よ び 動 作 状 態 に つ い て は,FET増 る(問3.,4.参
照).た
だ,FET回
流 利 得 は 無 限 大 で あ っ た が,J‐TR回 利 得 の ほ か に 入 力 抵 抗(input あ る.
幅 回路 の例 で あ る.ベ ー ス とエ ミ ッ
レ クタ とエ ミ ッタ の 間 に 直 流
電 源VCCと
pnpト
幅 回路
幅 回路 の場 合 とほ とん ど同 じ で あ
路 で は 入 力 電 流 が0で,入
力 抵抗 お よび 電
路 で は 有 限 の 値 を も つ.し
た が っ て,電
resistance),電
流 利 得(current
gain)も
圧
重要で
(3)
遮
断
と 飽
和
図2・6の
回 路 で,VCC=6V,RL,=1.2kΩ
と し,J‐TRの
と す る と,入
力V1が0の
関 係 は 図2・8と
が0(ま
と き のIBとICの
た は 少 し負 の 値)で
遮 断,IBが
(a) lC-VCE特
な る.ICはIB
の 例 で は0.09mA以
性
上 に)
(b) IB-VBE特
図2・7
な る と 飽 和 す る.遮
大 き く(こ
特 性 を 図2・7(a)
エ ミ ッ タ 接 地J‐TRの
性
特性
断 と飽 和 の 間 が 活 性
状 態 で あ る こ と は 言 う まで も な い.こ
こ
で も増 幅 器 の 静 止 点 は活 性 領 域 に置 か な け れ ば な ら な い. 遮 断 で はICは VCEは
ほ と ん ど0,し
電 源 電 圧VCCに
た 飽 和 で はVCEは0に な り,VCE≒0と
たがって
ほ ぼ 等 し く,ま 近 い 小 さな 値 に
す る とICの
値 は
IC(飽 和)
(2・9) 図2・8
J‐TRの
動特性
と な る. こ の 例 で わ か る よ う に,J‐TRの の 飽 和 は 緩 や か で,ま
飽 和 は 極 め て シ ャ ー プ で あ る,一
た 飽 和 時 に お け るVDSの
方,FET
値 も あ ま り小 さ く は な い.
問3.
図2・6(エ
ミ ッ タ 接 地 抵 抗 負 荷 増 幅 回 路)に
VCC=6V,RL=1.2kΩ,IB=40μAと 7と
す る.静
問4.
し,ま
止 点(IC,VCE)を
問3.の
ら20μAの
電 圧 利 得Av,電
流 利 得Acを
交 流 入 力 を 加 え,IBが40μAを
求 め よ.J‐TRの
J‐TRの
(1)
ベ ー ス 接 地 モ デ ル 構 造,図(b)は
モ デ ル で あ る.E,C,Bは
示 す.ま
た α は 前 に 述 べ た 電 流 増 幅 率,re,rcは
そ れ ぞ れ エ ミ ッ タ,コ
コ レ ク タ ・ベ ー ス接 合 の 交 流 抵 抗 で,前 バ イ ア ス の た め 大 き な値 を も ち,そ
す る.
レ ク タ,ベ
ース端 子 を
そ れ ぞ れ エ ミ ッ タ ・ベ ー ス 接 合,
者 は 順 バ イ ア ス の た め 小 さ く,後 者 は 逆
れ ぞ れ エ ミ ッ タ 抵 抗,コ
レ ク タ抵 抗 と よ ば れ
ベ ー ス の 中 心 部 分 か ら ベ ー ス 端 子 ま で の 実 効 的 な 抵 抗 で,ベ
抵 抗 ま た は ベ ー ス広 が り抵 抗 と い う.し の 増 幅 作 用 は表 わ さ れ な い.コ
か し,3個
電 圧 源 を用 い た モ デ ル で,αrcIeは
(a) ベ ー ス 接 地J‐TR(b)
ース
の 抵 抗 だ け で は トラ ン ジ ス タ
レ ク タ 抵 抗 γcに 並 列 に,エ
比 例 し た 電 流 源 αIeを 加 え る こ と に よ っ て,モ 図(c)は
力 抵 抗Ri
そ の交 流 特 性 を表 わ す ベ ー ス接 地 電
流 源T形
たrbは
特 性 は 図2・7と
中心
交 流 特 性
図2・9(a)はJ‐TRの
る.ま
た ト ラ ン ジ ス タ の 特 性 は 図2・
間 を 変 化 す る と き の 状 態 を 解 析 し,入
2・4
路定数 は
求 め よ.
回 路 で,波 高 値20μAの
と し て60μAか
お い て,回
ミ ッ タ 交 流 電 流Ieに
デ ル は 完 全 に な る. 電 圧 源 の 電 圧 で あ る.こ
電 流 源 モ デ ル(c)
図2・9 J‐TRと 交 流特 性 を表 わ すT型 モ デ ル
のモデル
電圧源モデル
が 図(b)と
等 価 で あ る こ と を証 明 し よ う.両
圧Vは,コ
レ ク タ 交 流 電 流 をIcと
図(c)で
モ デ ル のX点
し て,図(b)で
も 同 じ式 に な る の で,図(b)と(c)と
とC点
の間の交流電
は
は 等 価 で あ る.本
書 で は お も
に 電 流 源 モ デ ル を用 い る. α,re,rb,rcを
一 括 し てT形
J‐TRの
よ び 同 じJ‐TRで
種 類,お
モ デ ル の パ ラ メ ー タ と よ ぶ.パ
ラメ ー タ の値 は
も静 止 点 に よ っ て 異 な る.ま
た 温 度 の影 響
も 比 較 的 大 きい. 表2・1に
小 型J‐TRの
パ ラ メ ー タ の 数 値 例 を示 す.re,rbの
値 は 小 さ く,rc
の 値 は 大 きい こ とが わ か る. 表2・1
(2)
T形
モ デル の パ ラ メー タの例
等 価 回路 に よ る計 算 の例
増 幅 回 路 の 交 流 特 性 は,交
流 特 性 を 表 わ す 等 価 回 路(equivalent
い て 求 め る こ とが 出 来 る.例
と して,図2・6に
circuit)を
お い て,負 荷 抵 抗RL=0と
用 した
と きの ベ ー ス接 地 回 路 の 入 力 抵 抗 を 表 わ す 式 を 求 め よ う. 等 価 回 路 は 図2・10と
な る.こ
こで は
直 流 電 源 は 抵 抗 の な い 電 線 と な り,J‐TR は そ の モ デ ル 〔図2・9(b)〕
で置 き換 え
ら れ て い る. 回 路 方 程 式 を 求 め る た め に,キ
ル ヒホ 図2・10
ッ フ の 法 則 を 用 い る. 電 流I1,I2を
図 の よ う に,向
き を含 め て 仮 定 す る.ま
上 か ら下 に 向 け て 電 流I1-I2が,rcを つ ぎ に,第2法
ず,第1法
則 に よ っ てrbを
左 か ら右 に 向 け て 電 流I2-αI1が
則 を用 い て 閉 路 方 程 式 を つ く る.電
と に 注 意 し て お く.V1,re,rbを
等価回路
含 む 閉 路 で は,
流 れ る.
流 源 は 閉 路 を構 成 しない こ
rb,rcを
含 む 閉 路 で は,
こ れ を整 理 し て,
(2・10)
I1,I2に
つ い て 解 く と,
入 力 抵 抗 は,
通 常rc≫re,rbで
あ る の で,分
母 で はrbが,分
子 で はrerbが
省 略 出 来 て,
入力抵抗 は (2・11)
とな る. (3)
エ ミ ッタ接 地 モ デ ル
エ ミ ッ タ 接 地 増 幅 回 路 の 交 流 特 性 を 調 べ る に は,J-TRの デ ル と し て,エ
交 流 特 性 を表 わ す モ
ミ ッ タ 接 地 電 流 源 モ デ ル と よば れ る,図2・11(a)に
(a) 電 流 源 モ デ ル 図2・11
エ ミ ッ タ 接 地J-TRの
(b) 電 圧 源 モ デ ル 交 流 特 性 を表 わ す モ デ ル
示 し たモ
デ ル を用 い る と よい.こ
こ でIbは
ベ ー ス を 流 れ る 交 流 電 流 で,そ
源 の 矢 印 と の 関 連 が 重 要 で あ る(両
者 はX点
の 矢 印 と電 流
の 方 向 に 向 い て い る).ま
た, (2・12)
は 第1章
で 説 明 し た エ ミ ッ タ 接 地 電 流 増 幅 率 で あ る.
図2・11(b)は
電 圧 源 モ デ ル で あ る.こ
れ が 図2・9(b)に
地 モ デ ル と等 価 で あ る こ と は 容 易 に 証 明 出 来 る.こ て 書 く と,図2・12と
の 関 係 が あ る.X点 圧Vは,rcを
な る.図
とC点
のIb,Ie,Icの
示 した ベ ー ス接
の 端 子E,Bの
間 に は,矢
位 置 を交 換 し
印 の向 きに 注 意 して
の間 の交 流 電
流 れ る 電 流 がIc-αIeで
あ
る こ と を考 慮 す る と,
これ は,図2・11(b)と ま た 図(a)のX点
等 価 で あ る. とC点
電 圧Vは,抵
抗(1-α)rcを
と な っ て,上
式 に 等 し い.す
(4)
図2・12
エ ミッタ接 地 モ デ ル の 導 出
の間 の交 流 流 れ る電 流 がIc+βIbで
な わ ち,図2・11(a)と
あ る か ら,
図(b)も
等 価 で あ る.
エ ミ ッタ接 地 抵 抗 負 荷 増 幅 回 路 の交 流 特 性
図2・13(a)に 入 力 電 圧V1が
増 幅 回 路 を,図(b)に
そ の 交 流 特 性 を表 わ す 等 価 回 路 を 示 す.
与 え られ た と き,I1,I2を
(a) 増 幅 回 路(直 流 電 源 省 略) (J-TRは,pnp,npnの ど ち ら で も よ い)
含む回路方程式は
(b) 等 価 回 路
図2・13 エ ミッ タ接 地 抵 抗 負荷 増 幅 回 路 の 交 流 特性 の計 算
こ れ を 解 い て(re,rb≪rcと
し た),
これ か ら
(2・13)
(5)
簡 易 等 価 回 路
式(2・13)に
お い て,負
荷 抵 抗 の 値 が 小 さ く てRL≪(1-α)rcな
ら,
(2・14)
と な る,こ
れ は,図2・13(b)に
た こ と に 当 た り,こ
お い て(1-α)rcが
十 分 大 きい と し て 省略 し
の と き等 価 回 路 は 図2・14(a)と
(a) 簡 易 等価 回 路
な る.ト
ラ ン ジス タ 自身
(b) 簡 易 モ デ ル
図2・14 簡 易 等価 回路 と簡 易モ デ ル
の モ デ ル も 図(b)と (6)
出
力
出 力 抵 抗(output 図2・15に
な り,こ 抵
抗
resistance)と
示 す よ う に,出
む 電 流 をI2と =V2/I2と
れ を簡 易 モ デ ル と い う.
し た と き,出
は,出
力 端 子 か ら見 た 抵 抗 で あ る.す
力 端 子 に信 号 電 圧V2を
加 え,出
な わ ち,
力 端 子 か ら流 れ こ
力 抵 抗 はR0
し て 定 義 され る ,こ
の と き,
入 力 端 子 に は入 力 端 子 に接 続 され るべ き 信 号 源 の 内 部 抵 抗RSが
接 続 され て い る
図2・15
出力 抵 抗 の 定 義
も の と す る. エ ミ ッ タ 接 地 増 幅 回 路 の 出 力 抵 抗 を求 め よ う.出 図2・16(a),等
こ れ をI2に
価 回 路 は 図(b)と
な り,回
つ い て 解 き,(1-α)rc≫rb,reと
力抵 抗 を求 め る た めの 回 路 は
路方程式 は
し て,
(2・15)
を 得 る.
(a) 出 力 抵 抗 を 求 め る回路 図2・16
問5.
出力 抵 抗 の 計 算
エ ミ ッ タ 接 地 抵 抗 負 荷 増 幅 回 路 の 入 力 抵 抗,電
力 抵 抗 を 求 め よ,J-TRの kΩ,ま
(b) 等 価 回 路
パ ラ メ ー タ に は 表2・1を
圧 利 得,電 用 い,負
た 出 力 抵 抗 の 計 算 に は 入 力 信 号 源 の 内 部 抵 抗 を5kΩ
流 利 得,出
荷 抵 抗 は1.5 と せ よ.
2・5
hパ
(1)
ラ メ ー タ
線 形 四 端 子 網
線 形 四 端 子 網(linear
four-terminal
network)の
た(あ る い は 発 生 し て い る)電 圧 ・電 流 を,図2・17の す る(矢
印 の 向 き に も 注 意).こ
に は,Z11,Z12,Z21,Z22を
よ う に,V1,I1,V2,I2と
れ らの間
定 数 と す る と き,
(2・16)
の 関 係 が あ る.定
入 力 ・出 力 端 子 に 加 え られ
数Z11,・・・
図2・17
四 端子 網
は イ ン ピ ー ダ ン ス の 次 元 を も ち,Zパ
ラ メー タ ま
た は イ ン ピ ー ダ ン ス ・パ ラ メ ー タ と い う. 上 式 は 種 々 に 変 換 さ れ る.た
あ る い は 係 数 にh11,・・・
と え ば,こ
れ をV1,I2に
つ い て解
く と,
を用 い て
(2・17)
と 書 く こ と も 出 来 る. h11,・・・,h22をhパ ー タ(hybrid
parameter)と
の 次 元 を も ち,h12,h21の 式(2・16),(2・17)は,電 り立 つ.前
ラ メ ー タ(h-parameter)ま い う .h11は 次 元 は0で 圧,電
た は ハ イ ブ リ ッ ド ・パ ラ メ
イ ン ピ ー ダ ン ス の,h22は
ア ドミタ ンス
あ る. 流 が 直 流 の 場 合 に も正 弦 波 交 流 の 場 合 に も成
者 で は パ ラ メ ー タ は 正 ま た は 負 の 実 数,後
者 で は 一 般 に複 素 数 に な
る.
hパ
ラ メ ー タ の 意 味 は つ ぎ の と お りで あ る . い ま,V2=0(す
を 短 絡)と
す ると
な わ ち出 力 端 子
(出力 端 短 絡 入 力 イ ン ピ ー ダ ン ス) (出力 端 短 絡 入 ・出 力 電 流 比) ま たI1=0(入
力 端 子 を 開 放)と
}
(2・18a)
}
(2・18b)
す ると
(入力 端 開 放 入 ・出 力 電圧 比) (入 力 端 開 放 出 力 ア ドミタ ン ス) カ ッ コ 内 はhパ
問6.
図2・18の
ラ メ ー タ の 意 味 を 簡 潔 に表 わ した も の で あ る.
四 端 子 網 のzパ
ラ メ ー タ お よびhパ
ラメ ー タが下 式 で表
わ され る こ と を 証 明 せ よ.
図2・18
(2)
J-TRの
交 流 特 性 を 表 わ すhパ
接 合 トラ ン ジ ス タ の 交 流 特 性 をhパ 2・19(a),(b)は
(a) npnト
ラ メ ー タ を 用 い て 表 わ す こ とが 出 来 る ・ 図
静 止 点 を(VBE,VCE,IB,IC)と
ラ ン ジ ス タ
図2・19
ラ メ ー タ
し,入
・出 力 端 子 に そ れ ぞ れ
(b) pnpト
四 端 子 網 と し て の トラ ン ジ ス タ
ラ ン ジ ス タ
正 弦 波 電 圧V1,V2を し,こ
加 え た と こ ろ で あ る.V1,V2に
れ に 応 じ てIB,ICが
V1,V2の
⊿VBE,I1→
⊿IB,V2→
変 化
変 化 分 が 交 流 電 流I1,I2と
振 幅 が あ ま り 大 き く な い と き に は,I1,I2も
ラ ン ジ ス タ で はV1→ b)か
変 化 す る.IB,ICの
よ っ てVBE,VCEが
⊿VCE,I2→
な る.
正 弦 波 交 流 と な る.npnト ⊿1cと
し て,式(2・18a,
ら
一定
一定 (2・19)
一定
一
pnpト
定}
ラ ン ジ ス タ で はV1→-⊿VBE,I1→-⊿IBな
ど と す れ ば よ い.結
果 は上
式 と 同 じ に な る. ベ ー ス 接 地 回 路,コ
レ ク タ 接 地 回 路 に つ い て も,同
様 にhパ
ラメ ー タ を求 め る
こ と が 出 来 る. 同 一 のJ-TRの
同 じ静 止 点 に つ い て,3種
を 区 別 す る た め に は 添 字e,b,cを ー タ は(h11b
,h12b,h21b,h22b)で
ッ タ 接 地 回 路 のhパ 添 字11な
のhパ
用 い,た 表 わ す.後
と え ば ベ ー ス 接 地 に お け るhパ
ラメ
に 示 す よ う に,ベ
ース接 地 お よび エ ミ
ラ メ ー タ が 重 要 で あ る.
れ ぞ れ(
ち,h11=hi,h12=hr,h21=hf,h22=h0で
)内
の 英 語 の 頭 文 字 を 採 っ た も の で あ る.す
か し,周
波 数 が 高 く な る と,正
ど に 位 相 の ず れ,が生 ず る.こ
図2・20は
用 なわ
あ る.
周 波 数 が あ ま り高 く な い と き に は,J-TRのhパ
問7.
れ ら
ど の 代 わ り に,i(input),r(reverse),f(forward),o(output)を
い る こ と が あ る.そ
で あ る.し
ラ メ ー タ が 存 在 す る.こ
の 結 果,hパ
ラ メ ータ は 正 また は負 の実 数
弦 波 入 力 電 圧V1に
対 して,I1,I2な
ラ メ ー タ は 一 般 に複 素 数 と な る.
あ る トラ ン ジ ス タ の エ ミ ッ タ 接 地 特 性 を 理 想 化 し て え が
い た も の で あ る.静
止 点IB=40μA,VCE=15Vの
付 近 に お け るhパ
ラメ
ー タ の値 を求 め よ.
(a) IB-VBE特
(b) IC-VCE特
性
性
図2・20
(3)
hパ
ラ メ ー タ に よ るJ-TRの
式(2・17)は,V1は たI2は る.こ
抵 抗h11に
抵 抗1/h22を
生 ず る 電 圧 と起 電 力h12V2の
流 れ る 電 流 と電 流 源h21I1の
れ か らJ-TRの
モ デ ル と し て,図2・21が
図2・21
図2・22
モデ ル
J-TRのhパ
和 に 等 しい こ と を表 わ し て い 得 られ る.
ラ メ ー タ ・モ デ ル
hパ ラ メ ー タ ・モ デ ル を 用 い た 抵 抗 負 荷J-TR増
抵 抗 負 荷 増 幅 回 路 の 交 流 特 性 を,こ そ の 等 価 回 路 で あ る.出
和 に等 し く,ま
幅 回 路 の 等価 回 路
れ か ら 求 め る こ と が 出 来 る.図2・22が
力 端 子 に は 負 荷 抵 抗RLが
接 続 され て い る た め,
と な る.こ
I1,I2に
れ を 式(2・17)に
つ い て解
代 入 して
くと
入 力 抵 抗,電 流 利 得,電 圧 利 得 は それ ぞれ
(2・20)
上 の 等 価 回 路 に お い て,RL≪1/h22な
ら 抵 抗1/h22が
省 略 出 来 て,
(a) 簡 易 等価 回 路
(b) 簡 易 モ デ ル
図2・23 簡 易 等価 回 路 と簡 易 モ デ ル
ま た,│h11I1│≫│h12V2│な 2・23(a)と
な る.ま
ら 電 圧 源h12V2が た,こ
省 略 出 来 る.こ
の と き 等 価 回 路 は図
の よ う な 省 略 が 可 能 と な る条 件 を整 理 す る と,
(2・21)
と な る.こ
の と き
(2・22)
後 に 数 値 例 を 示 す が,エ 省 略 が 可 能 で あ る.こ
ミ ッ タ 接 地 お よび ベ ー ス 接 地 回 路 で は 通 常 こ の よ う な
の と き,J-TRの
交 流 特 性 を 表 わ す モ デ ル は 図2・23(b)
と な る. (4)
hパ
ラ.メ ー タ とT形
ト ラ ン ジ ス タ の,同
モデ ル
一 の 静 止 点 に お け る3種
類 のhパ
ラ メ ー タ とT形
の 間 に は あ る 決 ま っ た 関 係 が あ っ て,相
互 に 変 換 が 可 能 で あ る.
ベ ー ス 接 地hパ
れ を 求 め よ う.ベ
お い て,出 (a)と
ラ メ ー タ に つ い て,こ
力 端 を 短 絡 し,入
力 端 に 信 号 電 圧V1を
ー ス 接 地T形
加 え る と,回
な る.
(b) 入力 端 開 放
(a) 出 力端 短絡 図2・24
回路方程式 は
こ れ を解 い て,
ベ ー ス 接 地hパ
ラ メー タの 計 算
等 価 回路
モデルに
路 は 図2・24
rc≫rb,reで
あ るか ら
し た が っ て,
(2・23a)
ま た,入
力 端 を 開 放 し,出
力 端 に 信 号 電 圧V2を
加 え る と図(b)が
得 られ,
(2・23b)
と な る. 表2・2に,ベ のhパ
ー ス 接 地(G-B),エ
ミ ッ タ 接 地(G-E),コ
レ ク タ 接 地(G-C)
ラ メ ー タ を 示 す.
表2・2
表2・3に,hパ と き の 値 と,あ
ラ メ ー タ
ラ メFータ の 値 の 例 と して,T形 わ せ て1/h11,h11/(h12h21)の
負 荷 増 幅 器 で は,負 に は,h12,h22を
hパ
荷 抵 抗RLが
省 略 して,簡
パ ラ メ ー タ の 値 が 表2・1の
値 を示 す.前
こ れ よ り十 分 小 さい(通 易 モ デ ル が 使 用 出 来 る.こ
に 述 べ た よ う に,抵
抗
常1/10以
き
下 の)と
の 例 で は,G-B,G-E
回 路 で はRLが2kΩ
以 下 の と き に 簡 易 モ デ ル を使 用 す る こ とが 出 来 る . 表2・3
hパ
ラ メー タ の数 値 例
問8. 入 力端 子 に信 号 源 の 内部 抵 抗RSが
接 続 され たJ-TR回
路 の 出 力抵
抗は (2・24)
で あ る こ と を証 明 せ よ.
2・6
抵 抗 負 荷FET増
(1)
FET増
図2・25に (grounded ),図(c)は S,G-D,G-Gと
幅 回路
幅 回 路 の3基 抵 抗 負 荷FET増
source
本 形 式 幅 回 路 の 例 を 示 す.図(a)は
circuit),図(b)は
ドレ イ ン接 地 回 路(grounded
ゲ ー ト接 地 回 路(grounded 略 称 す る.G-D回
ソー ス 接 地 回 路
gate
circuit)で,以
drain
下 そ れ ぞ れG-
路 は ソ ー ス ・フ ォ ロ ワ(source
follower)と
も よ ば れ る.
(a) ソ ー ス 接 地 回 路 (G-S)
(b) ド レ ィ ン 接 地 回 路 (G-D)
図2・25 FET増
幅 回路 の 基 本 形 式
circuit
(c) ゲ ー ト接 地 回 路 (G-G)
信 号 成 分(普
通 は 交 流)か
入 力 電 圧 を 加 え,ド る,FETは3端
ら み る と,ソ
レ イ ン と ソ ー ス の 間 に 負 荷 を接 続 し て 出 力 を 得 る も の で あ
子 素 子 で あ る の で,ソ
る の で あ る.共 同 様 に,ド
ー ス 接 地 回 路は ゲ ー トと ソ ー ス の 間 に
ー ス を入 ・出 力 共 通 の 端 子 と して 使 用 す
通 ソ ー ス 回 路(common
source
circuit)と
レ イ ン 接 地 回 路 は ド レイ ン を 共 通 端 子 と し て,ゲ
ソ ー ス に 負 荷 を接 続 す る.ま
た,ゲ
レ イ ン に 負 荷 を接 続 す る も の で あ る.
こ の よ う に,接
地 と は 信 号 成 分 に 対 す る接 地,あ
を金 属 板 の 上 に つ く り,ま
ー トに 入 力 を加 え,
ー ト接 地 回 路 は ゲ ー トを 共 通 端 子 と して,ソ
ー ス に 入 力 を ,ド
部(通
も い う.
た は 金 属 筐 体(シ
常 直 流 電 源 の 一 方 の 端 子 を含 む)は
る い は 共 通 接 続 を い う.回
ャ シ ー)に 収 め る と き た は,共
路
通接続
直 接 ま た は容 量 の大 きな コ ン デ ソサ を
通 し て シ ャ シ ー に 接 続 され る. 図 に は,ド FETの
レ イ ン ・ソ ー ス 回 路 に 接 続 さ れ る 直 流 電 源 の 極 性 が,nチ
場 合 に つ い て 示 し て あ る.Pチ
通 常,直
ャ ネ ルFETの
ャネル
場 合 に は こ の 逆 で あ る.
流 電 源 の 負(ま た は 正)の 側 が シ ャ シ ー に 接 続 され る.
ゲ ー ト ・ソ ー ス 間 の 直 流 電 圧 は,FETがnチ
ャネ ル かPチ
ャネ ル か,ま
た ノー
マ リ ・オ ン か ノ ー マ リ ・オ フ か の 特 性 に よっ て 適 当 な 極 性 お よ び 値 を と ら な け れ ば な ら な い. こ れ ら の 回 路 は,直
流 電 源 を 省 略 して 書 く と,図2・26と
な る.
(b) G-D
(a) G-S
(c) G-G
図2・26 直 流電 源 を 省略 し た 回路 3種 類 の 基 本 形 式 の な か で,G-S回 Avの
路 が 最 も 多 く用 い ら れ る.そ
計 算 式 に つ い て は 既 に 述 べ た[式(2・7),(2・8)].ま
利 得Acは
そ れ ぞ れ 無 限 大 と な る.出
力 抵 抗R0はrdに
の 電圧 利 得
た 入 力 抵 抗Ri,電 等 しい.
流
(2)
G-D回
路,G-G回
G-D回
路 に お い て,入
路 は 図2・27(a)と
路 の交 流 特 性 力 信 号 電 圧 をV1,負
な る.図
荷 抵 抗 をRLと
の 電 流 源 の 矢 印 は ドレ イ ン か ら ソ ー ス へ 向 き,そ
(a) 抵 抗 負荷 増 幅 器 の 等価 回 路 図2・27
の 大 き さ はgmと V1か
G-D回
(b) 出 力抵 抗 を求め る
路の交流特性の計算
ゲ ー ト ・ソ ー ス 間 の 交 流 電 圧(す
ら ソ ー ス の 交 流 電 圧RLI2を
す る とき の等 価 回
引 い た も の)と
に 向 け て 流 れ る 電 流 はgm(V1-RLI2)-I2で
な わ ち,ゲ
ー トの 交 流 電圧
の 積 で あ る.rdを
あ る の で,閉
上 か ら下
路方程式 は
した が って 電圧 利 得 は (2・25)
出力 抵 抗R0は
図(b)の
等 価 回 路 か ら計 算 す る こ とが 出来 る.結 果 は (2・26)
と な る.通
常gm≫gdで
あ る の で,R0≒1/gmで
(a) 抵 抗 負荷 増 幅 器 の 等 価 回 路 図2・28
G-G回
あ る.
(b) 出 力抵 抗 を求 め る
路の交流特性の計算
G-G回
路 で は,入
図2・28(a)と き,大
力 信 号 電 圧 をV1,負
な る.図2・4(a)を
き さ はgmと,ゲ
荷 抵 抗 をRLと
参 照 す る と,電
す る と きの等 価 回路 は
流 源 の 矢 印 はDか
ー ト と ソ ー ス の 間 の 交 流 電 位 差(-V1)の
らSの
向
積 に 等 しい こ
と が 理 解 出 来 よ う. 回 路 方程 式 は
ゆ えに
入 力 抵 抗Ri,電
流 利 得Ac,電
圧 利 得Avは,gd=1/rd,GL=1/RLと
して
(2・27)
出力 抵 抗R0は
図(b)の
内 部 抵 抗 をRSと
す る と,閉 路 方 程 式 は
等 価 回 路 か ら計 算 す る こ とが 出 来 る.入 力信 号 源 の
したが っ て (2・28) と な る.
(3)
FET増
抵 抗 負 荷FET増 表2・4は
幅 回路 の交 流 特 性 の ま とめ 幅 回 路 の 交 流 特 性 を表 わ す 公 式 を ま とめ て お こ う.
計 算 式,表2・5はrd≫RL,RS,μ=gmrd≫1と
2・6は
と した と き の 数 値 例 で あ る.
し た 近 似 式,表
表2・4
RS=入
FET増
幅 回 路 の交 流特 性(精
力 信 号 源 内 部 抵 抗,RL=負
表2・5
FET増
荷 抵 抗,GL=1/RL,gd=1/rd
幅 回路 の交 流 特 性(近 似 式)
表2・6
数
値
gm=3mS,rd=100kΩ,RL=2kΩ,RS=10kΩ
2・7
抵 抗 負 荷J-TR増
(1)
J-TR増
図2・29に 図(b)コ
レ ク タ 接 地,図(c)ベ
G-C,G-Bと も よ ば れ る.
略 記 す る,G-C回
例
の と き
幅 回 路
幅 回 路 の3基 抵 抗 負 荷J-TR増
密 な 計 算 式)
本 形式 幅 回 路 の 基 本 形 を 示 す.図(a)エ ー ス 接 地 の3種
類 が あ る.以
ミ ッ タ 接 地, 下 そ れ ぞ れG-E,
路 は エ ミ ッ タ ・フ ォ ロ ワ(emitter
follower)と
(a) エ ミ ッ タ 接 地 回 路
(b) コ レ ク タ 接 地 回 路 (G-C)
(G-E) 図2・29
な お,図 ま た,ベ
はnpnJ-TRを
J-TR増
(c) ベ ー ス 接 地 回 路 (G-B)
幅 回路 の 基 本 形 式
用 い た と き の コ レ ク タ 側 の 直 流 電 源 の 極 性 を示 し た.
ー ス ・エ ミ ッ タ 間 に も適 当 な 直 流 電 源 が 必 要 で あ る.pnpJ-TRを
い る と き に は,直 図2・30に
用
流 電 源 の 極 性 は 図 と は 逆 に し な け れ ば な ら な い.
直 流 電 源 を 略 して え が い た3種
(a) G-E
類 の 基 本 回 路 を示 す.
(b) G-C
(c) G-B
図2・30 直 流電 源 を 省略 した 回 路 こ の な か で,エ
ミ ッ タ 接 地 回 路(G-E)が
は,式(2・13),(2・14),(2・15)で る 計 算(こ れ はG-C回
路,G-B回
最 も広 く使 用 され る.そ
表 わ され,ま
たhパ
の交 流 特 性
ラ メ ー タ ・モ デ ル に よ
路 に も用 い ら れ る)に は,式(2・20),(2・22)
な ど を 用 い れ ば よ い, (2)
G-C回
図2・30(b)の
路 お よ びG-B回
路 の交 流 特 性
等 価 回 路 は 図2・31(a)と
ッ タ接 地 電 流 源 モ デ ル を用 い て い る.入 求 め よ う.回 路 方 程 式 は
な る.J-TRの
力 電 圧V1が
モ デル と して エ ミ
与 え ら れ た と き のI1,I2を
(a) 抵 抗 負 荷 増 幅 器 の 等 価 回 路 図2・31
G-C回
(b) 出力 抵 抗 を求 め る
路 の 交 流特 性 の計 算
で あ る. I1 ,I2に
つ い て解
く と[rb,re≪(1-α)rcと
こ れ か ら交 流 特 性Ri,Ac,Avを
し て],
求 め る こ とが 出 来 る.す
な わ ち,
(2・29)
負 荷 抵 抗RLの
値 が あ ま り 大 き く な い と き に は,等
2・32(a)は,図2・31(a)の て 省 略 し た も の で あ る.こ
価 回 路 は簡 単 に な る.図
等 価 回 路 に お い て,(1-α)rcが
十 分 大 きい と し
れか ら
(2・30a)
が 得 られ る. 図2・32(b)は
エ ミ ッ タ 接 地 の 場 合 のhパ
ラ メ ー タ簡 易 モ デ ル[図2・23(b)]
(a) (1-α)rcを
省 略
図2・32
表2・7
J-TR回
(b) h12e,h22eを
G-C回
路の簡易等価回路
路 の交 流 特 性(精 密 な 計算 式)
省 略
を用 い た 等価 回路 で, (2・30b)
が 得 られ る. hire=rb+(β+1)re,h21e=β
で あ る か ら,式(2・30a)と(2・30b)は
等 し
い 値 を もつ. 出 力 抵 抗 は,出
力 端 子 か ら見 た 抵 抗 で,入
等 価 回 路[図2・31(b)]か
力 端 子 に 抵 抗RSを
接 続 した と きの
ら 求 め られ る . 結 果 は (2・31)
と な る. G-B回
路 の 交 流 特 性 に つ い て も 同 様 に し て 求 め る こ とが 出 来 る .
(3)
J-TR増
幅 回 路 の交 流 特 性 の ま とめ
つ ぎ に 抵 抗 負 荷J-TR増
幅 回 路 の 交 流 特 性 を表 わ す 式 を示 す(表2・7はT形
モ デ ル の パ ラ メ ー タre,rb,rc,α(ま 似 式,表2・9は
た は β)に よ る精 密 な 計 算 式 ,表2・8は
数 値 例,表2・10はhパ 表2・8
表2・9
re=30Ω,rb=400Ω,rc=1000kΩ
ラ メ ー タ に よ る計 算 式 で あ る. 近
数
値
似
式
例(近 似 値)
,α=0.98,RL=2kΩ,RS=10kΩ
近
表2・10
問9.
図2・30(c)に
2・8 整 (1)
整 合
hパ
ラ メ ー タに よ る計算 式
示 し たG-B回
路 の 交 流 特 性 を表 わ す 式 を 求 め よ.
合 の 定 義
信 号 源 は 一 般 に内 部 イ ン ピー ダン ス と起 電 力 の 直列 回路 で表 わ され る.図2・ 33に
示 す よ う に,こ
れ に 負 荷 を接 続 し
て 最 大 の電 力 を負 荷 に与 える よ うに す る こ と を 整 合(matching)と
い う.信
の 起 電 力 を 実 効 値 でVS,内 ダ ン ス を 抵 抗RSと
部 イ ン ピー
す る と,最
PmはRL=RSの
号源
大 出力
と き に 生 じ,
図2・33
信 号 源 と負 荷
(2・32)
と な る.こ
の 値 を 有 能 電 力(available
はVSとRS)に
よ っ て 決 ま る.整
power)と
通,RSとRLは
な い.こ
の と き,変
成 器(transformer)に
(2)
変 成 器 に よ る整 合
よ く設 計 さ れ た 変 成 器 は,あ
号 源 の 特 性(こ
合 の た め に は 負 荷 抵 抗RLの
く す れ ば よい が,普
理 想 変 成 器 は 交 流 電 圧 をn:1,交
い い,信
独 立 に 定 ま る の で,一
の場 合
値 をRSに
等 し
般 に はRL=RSで
は
よ る 整 合 が 用 い られ る.
流 電 流 を1:nに
る 周 波 数 範 囲 に 対 して,理
変 換 す る 装 置 で あ っ て, 想 変成 器 と見 なす こ とが
出 来 る.nは
変 成 器 の1次
た,V1とV2が
コ イ ル の 巻 数 と2次
同 じ 位 相 な ら 正 極 性,逆
の よ うに,2個
コ イ ル の巻 数 と の 比 で あ る.ま
位 相 な ら負 極 性 と い う.図2・34(a)
の ド ッ トに よ り こ れ を示 す こ と が で き る.図
は正 極 性 の場 合 で あ
る.
(a) 変 成 器
(b) 単 巻 変 成 器 図2.34
図(a)は 電 圧V1を
理 想 変 成 器 の2次
はnの
す な わ ち,一
側 の 電 圧 をV2,1次
接 続 し,1次
す る)で
あ る か ら,一
電 流 をそ
極 性 の場 合 に
次 側 か ら 見 た イ ン ピ ー ダ ン スZ1は
次 側 か ら見 た イ ン ピ ー ダ ン スZ1は
ン スZ2のn2倍
側 に正 弦 波
電 流,2次
す る と き,Z2=V2/I2,V1/V2=n,I1/I2=1/n(逆
代 わ り に-nと
二 次 側 に接 続 され た イ ン ピー ダ
に な る.
図(b)は1つ former)と
側 に イ ン ピ ー ダ ン スZ2を
印 加 し た と こ ろ で あ る.2次
れ ぞ れI1,I2と
理 想変 成 器
の コ イ ル か ら タ ッ プ を 出 し た も の で,単 よ ば れ る.1次
成 器 と同 様 の 性 質 を も ち,か 内 部 抵 抗RSを
巻 変 成 器(auto-trans-
・2次 が 直 流 的 に 導 通 す る ほ か は,上
記 の2巻
線 の変
つ 正 極 性 で あ る.
も っ た 信 号 源 に 負 荷 抵 抗RLを
接 続 し て 整 合 を と る た め に は,
巻 数 比nが (2・33)
と な る よ うな理 想 変 成 器 を用 い れ ば よい. (3)
増 幅 回 路 の整 合
増 幅 回路 は信 号 源 か ら電 力 を引 き出 して 増 幅 し,こ れ を負 荷 に伝 え る もの で あ
る か ら,与
え られ た 信 号 源 お よ び 負 荷 に 対 し て 電 力 利 得 を 最 大 に す る に は,増
器 の 入 力 側 と 出 力 側 を共 に 整 合 させ る と よい.こ
れ はJ-TR増
幅
幅 回 路 に お い て重
要 で あ る. い ま,1段
のJ-TR増
幅 回 路 に お い て,図2・35に
図2・35
内 部 抵 抗 をRS,負 (2・20),(2・24)か
荷 抵 抗 をRLと
示 す よ う に,入 力 信 号 源 の
増幅器の整合
す る と,入
力 抵 抗Ri,出
力 抵 抗R0は,式
ら
入 ・出 力 側 が い ず れ も整 合 が とれ て い る と,
これ を満 足 す る値 をRim,R0m(そ
れ ぞ れ 整合 入 力抵 抗,整 合 出力 抵 抗)と す る と
(2・34)
こ の と き の 電 流 利 得,電 (Avm)と
い い,式(2・20)を
圧 利 得 を そ れ ぞ れ 整 合 電 流 利 得(Acm),整
合 電圧 利 得
参 照 して
(2・35a)
(2・35b)
整 合 電 力 利 得(Apm)は
両 者 の 積 に 等 し く, (2・35c)
多 段J-TR増 J-TRで
幅 器 の 段 間 も整 合 を と る こ とが 出 来 る.す
な わ ち,各
段 が 同種 の
あれ ば
(2・36)
の 巻 数 比 の 変 成 器 に よ っ て 整 合 を と る こ とが 出 来 る . 表2・11に
数 値 例 を 示 す.J-TRのT形
た が っ てhパ
ラ メ ー タ を 表2・3に
パ ラ メ ー タ を 表2・1に
示 し た 値,し
示 し た 値 と し て 計 算 し た.
整 合 増 幅 回 路 は 電 力 利 得 が 大 き い が,変
成 器 を 必 要 とす る.こ
れ に反 し非 整 合
抵 抗 負 荷 増 幅 器 は 回 路 が 簡 単 で あ る. 表2・11
問10.
巻 数 比1:3の
を接 続 し た と き,1次 問11.
整 合 増 幅 器 の特 性―
理 想 変 成 器 の2次
内 部 抵 抗 が10kΩ
(1)
FET増
側 に 静 電 容 量50pFの
コ ンデ ンサ
側 か ら見 た 静 電 容 量 は どれ だ け か. の 信 号 源 に,理
負 荷 と の 間 に 整 合 を と る と き に,必
2・9
数値 例
想 変 成 器 を用 い て5kΩ
の抵 抗
要 な 巻 数 比 を求 め よ.
幅 回 路 の静 止 点 の 設 計
固 定 バ イ ア ス 回路
ドレ イ ン側 お よび ゲ ー ト側 に それ ぞれ 別 個 の 直 流 電 流 を用 い る回 路 が,固 定 バ
(a) ソ ー ス 接 地 回 路 図2・36
イ ア ス 回 路(fixed-bias ソ ー ス 接 地 回 路 で,電
circuit)で
に 等 しい.し
(b) ドレ ィ ン 接 地 回 路 FET固
定 バ イ ア ス 回路
あ る.図2・36に
そ の 例 を示 す.図(a)は
源 の 負 側 端 子 か ら測 っ た ゲ ー トの 電 圧VGは
た が っ て ドレ ィ ン 直 流 電 流 をIDと
電 源 電 圧VGG
す る と き, (2・37)
で あ る.回
路 定 数VGG,VDD,RG,RSお
よ びFETの
特 性 に よ って 静 止 点 が 決定
され る. Pチ
ャネ ルFETの
場 合 に は,そ
で 示 し た よ う に と る と,nチ ま た,図(b)は
の 端 子 電 流,端
子 間 電 圧 の 正 の 向 き を第1章
ャ ネ ル の 場 合 と 同 じ式 で 表 わ さ れ る.
ドレ ィ ン 接 地 回 路 の 例 で,RD=0と
し て 式(2・37)が
適用 出
来 る. (2)
自 己バ イ ア ス 回路
自 己 バ イ ア ス 回 路(self-bias に そ の 例 を 示 す.図(a)は
circuit)は1個
の 電 源 を用 い る 回 路 で,図2・37
ソ ー ス 接 地 回 路 の 例 で,式(2・37)の
代 わ りに (2・38)
が 成 り立 つ. 図(b)は
ソ ー ス 接 地 回 路 の 別 の 例 で,VGSは
式(2・38)でR2→
∞ とおい て
とな る. 図(c)は
ドレ イ ン接 地 回 路 の 例 で,VDSは
式(2・38)で
表 わ さ れ る.
(a) ソ ー ス 接 地 回 路
(b) ソ ー ス 接 地 回 路
(c) ド レ イ ン 接 地 回 路 図2・37
FETに FET)と
FET自
己 バ イ ア ス 回路
は ノ ー マ リ ・オ ン(J-FET,MOS-FET)と,ノ が あ る.前
者 で は 通 常VGS<0,後
図2・36(a),図2・37(a)の
者 で はVGS>0で
ー トの 直 流 電 圧 をVGと
源 の 下 端 を電 圧 の 基 準 に と る と,ゲ ー ト電 圧 はVGを
vD(t)と
書 く.ド
あ る.
ソ ー ス接 地 回 路 を例 に とっ て入 力 端 子 に交 流 電
圧 が 加 わ っ た と き の 状 態 を 考 え る.ゲ
よ っ て ド レ イ ン 電 流,し
ー マ リ ・オ フ(MOS-
す る と き,直
流電
中 心 と し て 変 化 す る.こ れ に
た が っ て ド レ イ ン電 圧 も変 化 す る の で,そ
れ ぞ れiD(t),
レ イ ン電 圧vD(t)は (2・39)
vD(t)の
交 流 分 が 出 力 電 圧 と な る.こ
直 流 だ け が 流 れ,ソ - RDiD(t)の (3)
の と き,コ
ー ス の 電 圧VS=RSIDは
ン デ ン サCSの
一 定 で,vD(t)の
た めRSに
交 流 分,す
は
なわ ち
交 流 分 が 出 力 電 圧 に な る.
静 止 点 の ば らつ き
同 じ形 名 のFETの
特 性 に も ば ら つ き が あ り.同
静 止 点 や 交 流 特 性 に も ば ら つ き を生 ず る.す
じ 回 路 を 多 数 製 造 す る と き,
な わ ち,電
極 間 電 圧VGS,VDSが
与
え ら れ た と き の ド レ イ ン 電 流IDに (b),(c)の
よ う な 自 己 バ イ ア ス 回 路 で は,同
大 き なFETを
用 い た と き,IDが
ゲ ー ト ・ソ ー ス 間 電 圧VGSは 抵 抗RSが (4)
は ば ら つ き が あ る.し
か し,図2・37(a),
じ電 圧 条 件 に 対 し て た と え ばIDの
大 き く な る とVSも
小 さ く な っ て,IDの
大 き く な り,し
増 加 を 緩 和 す る.す
たがって な わ ち,
静 止 点 の ば らつ き を 少 な くす る, 温 度 の変 化 によ る静止 点 の移 動
FETの
電 極 間 の 電 圧VDS,VGSを
ン 電 流IDは
一 定 に 保 つ と き,温
減 少 す る 傾 向 が あ る.(3)で
度 上 昇 に よ っ て ドレ イ
述 べ た と 同 じ理 由 に よ っ て,自
己バ
イ ア ス 回 路 は 固 定 バ イ ア ス 回 路 よ りは 温 度 の 変 化 に よ る 静 止 点 の 移 動 は 少 な い.
問12.
図2・37(a)のFET回
ID=2mAと
路 で,静
止 点 をVGS=-2V,VDS=3V,
し た い.R1=200kΩ,R2=800kΩ,VDD=10Vと
RD,RSの
す る と き,
値 を 求 め よ.
問13.
図2・37(b)のFET回
ま た,FETの
特 性 は 第1章
路 で,VDD=10V,RD=2kΩ,RS=500Ω, の 図1・33に
示 す も の と す る.静
止 点ID,VDS
を 求 め よ.
2・10 J-TR増 (1)
幅 回路 の静 止 点 の設 計
固定バ イアス回路
図2・38の
よ うに,コ レ ク タ側 に直 流 電 源VCCを
(b) コ レ ク タ 接 地 回 路
(a) エ ミ ッ タ 接 地 回 路
図2・38
用 い るほ か,入 力 側 に も う
J-TR固
定 バ イア ス 回 路
一 つ の 電 源VBBを
用 い る も の が 固 定 バ イ ア ス 回 路 で あ る .図(a)は
地 増 幅 回 路,図(b)は (2)
コ レ ク タ 接 地 回 路 の 例 で あ る.
自己 バ イ ア ス 回 路
1個 の 電 源 を用 い る 回 路 で,図2・39に はCEを
通 して 電 源VCCの
図(b)は J-TRが
そ の 例 を 示 す(図(a)で
除 い て 簡 単 に し た も の で あ る.
活 性 状 態 に あ る と き に は,室
温 付 近 で は シ リ コ ン ・ トラ ン ジ ス タ で
ル マ ニ ウ ム ・ トラ ン ジ ス タ でVBE≒0.2V程
で は エ ミ ッ タ 直 流 電 流 がREを
差 がVBEと
は 電 源 電 圧VCCと
上昇 さ
ベ ー ス 電 流IBに
よ
な る.
交 流 入 力 が 加 わ っ た と き の 動 作 はFETの が 小 さ な 幅 で 変 化 し,こ
度 で あ る.図(a)
流 れ る こ と に よ っ て エ ミ ッ タ の 電 圧VEを
上 の 値 に 保 た れ る.図(b)で
る 電 圧 降 下R2IBの
は エ ミ ッタ
下 部 に 接 続 さ れ た,標 準 的 な エ ミ ッ タ 接 地 回 路 で あ る.
こ れ か らR1とREを
VBE≒0.7V,ゲ
せ,VBEが
エ ミッタ接
れ に よ りIBお
場 合 と ほ ぼ 同 様 で あ っ て,VBEの よ びICが
(a) エ ミ ッ タ 接 地 回 路
変 化 し,出
(b) エ ミ ッ タ 接 地 回 路
(c) コ レ ク タ 接 地 回 路 図2・39
力 を 生 ず る.図(a)
J-TR自
己 バ イ ア ス 回路
値
で はCEの (3) J-TRで
た め,エ
ミ ッ タ の 電 圧VEは
ほ ぼ 一 定 に 保 た れ る.
静 止 点 の 計 算 は ベ ー ス 電 流IBが
流 れ る た め,静
止 点 の 計 算 はFETの
単 で は な い.図2・39(a)に
つ い て そ の 計 算 を し よ う.直
(a)
(b) 図2・40
回 路 は 図2・40(a)と
J-TR静
場 合 ほ ど簡
流 特 性 を表 わす 等価
止 点 の計 算
な り,こ れ を書 き 直 して 図(b)が
得 ら れ る.こ
こで
(2・40)
で あ る. J-TRが
活 性 状 態 に あ り,か
つ α,ICO,VBEが
既 知 とす る と,つ
ぎ の式 が 成 り
立 つ. キ ル ヒ ホ ッ フ 第1法
則
(2・41a)
キ ル ヒ ホ ッ フ 第2法
則
(2・41b)
J-TRの
特 性(活
性 領 域)
(2・41c)
こ れ を解 い て
(2・42a)
また (2・42b)
とな る. 計 算 の 結 果,VCEの な く,飽
値 が 負 と な る こ と が あ る.こ
和 し て い る.し
立 し な い.そ
た が っ て 式(2・41c)は
の 代 わ りJ-TRは
飽 和 し,ICの
の と き,J-TRは
活性状態 で
成 立 せ ず,式(2・42a)も 値 は
IC(飽 和) と な り,VCEは
成
(2・43)
ほ ぼ0と
な り,入
力 が 加 わ っ て も変 化 し な く な る.し
た が って 回
路 は 増 幅 作 用 を も た な い. (4)
静 止 点 の ば ら つ き
J-TRの
定 数 α,VBE,ICOの
(2・42a)に
値 に は ば ら つ き が あ る,エ
し た が い,α
の ば ら つ き に よ るIEの
を 小 さ くす る と小 さ く な る.ICOの くす る と小 さ く な り,ま
ば ら つ き に よ るIEの
た,VBEの
ミ ッ タ 直 流 電 流IEは
ば らつ き は,REを
ば ら つ き は,RBを
ば ら つ き に よ るIEの
式
大 き くRB
ば ら つ き はVBBを
小 さ 大
き くす る こ と に よ っ て 減 少 さ せ る こ とが 出 来 る. (5)
温 度 変 化 によ る静 止 点 の移 動
J-TRの VBEは
特 性 は 温 度 に よ っ て も変 わ る.α
は 温 度 に よ っ て あ ま り変 わ ら な い が,
温 度 の 上 昇 に 対 し て ほ ぼ 直 線 的 に 減 少 し,ICOは
温 度 の 上 昇 に対 して 指 数
関 数 的 に増 加 す る. そ の た め 温 度 の 上 昇 に よ っ てICは
増 加 し,VCEは
温 度 が あ ま り高 く な る と つ い にICは
ほ と ん ど0と
飽 和 し,VCEは
減 少 す る. な り,回
路 は
増 幅 作 用 を 失 う. 具 体 例 を 示 そ う.図2・40の
回 路 に お い て,R1=20kΩ,R2=80kΩ,RE=
1kΩ,RC=3kΩ,VCC=8Vと
す る.VBB=1.6V,RB=16kΩ
(a) 温 度20℃ (2・42a,b)に
(b) 温 度100℃
を 想 定 す る.α=0.98,ICO=0.4μA,VBE=0.6Vと
で あ る. す る.式
よ り,
を 想 定 す る.100℃
に お け るJ-TRの
定 数(α,ICO,VBE)が
既
知 で あ れ ば,そ
の 値 を用 い る.い
上 昇 す る こ と に 前 の 値 の2倍 0.02Vだ
ま,α の 値 は 変 わ ら ず,ICOの
に な り,VBEの
値 は 温 度 が10℃
け 減 少 す る と仮 定 し よ う.100℃
と な り,し
た が っ て 式(2・42a,b)に
とな る.実
際 に は,上
ち,こ
の と きJ-TRは
mAに
な る.
上 昇 す る ご とに
で はICO=0.102mA,VBE=0.44V
よ って
に 述 べ た よ う に,VCEの 飽 和 し,VCEは
値 が 負 に な る こ と は な い.す
ほ ぼ0に,ICは
と え ばR1=5kΩ,R2=20kΩ
なわ
ほ ぼVCC/(RC+RE)=2
高 温 に お い て も増 幅 作 用 を も た せ る た め に は,R1,R2を す る と よい.た
値 は 温 度 が10℃
小 さ く,REを
と す る と,100℃
大 き く
に お い て もJ-TR
は 飽 和 せ ず 増 幅 作 用 を保 持 す る. つ ぎ に,100℃
と い う温 度 を 考 え る こ と は,あ
が あ る か も しれ な い が,実
は そ うで は な い.た
子 機 器 は 容 易 に こ の 温 度 に 達 す る し,ま
ま り実 際 的 で は な い と 思 う読 者 と え ば,直
射 日光 に さ ら さ れ た 電
た 小 型 の 素 子 に 大 き な 電 流 を流 す と,素
子 内 の ジ ュー ル 熱 の た め に 周 囲 温 度 よ り も 高 い 温 度 に な り得 る.こ
れ が 自己加 熱
で あ る.
問14.
図2・40(a)の
RC=3kΩ,VCC=8Vと 0.102mA,VBE=0.44Vと
回 路 に お い て,R1=5kΩ,R2=20kΩ,RE=1kΩ, す る.温
=6Vの 2. やJ-TRの
VDS=20Vの
を 想 定
す る と き,静
問
1.
度100℃
題
し て,α=0.98,ICO=
止 点IC,VCEの
解
値 を 求 め よ.
答
と き,gm=⊿ID/⊿VGS=(8.5-6.0)/(7-6)=2.5mS.VGs
と き ,rd=⊿VDS/⊿ID=(30-20)/(6.5-6.0)=20kΩ. 式(2・7a)を
用 いAv=-2.42,近
似 式(2・8)に
よ りAv≒-2.5,FET
パ ラ メ ー タ は 個 々 の 製 品 に よ る ば ら つ き が 大 き い の で,通
常,近
似 式
に よ る1割
程 度 の 誤 差 は 差 し支 え な い .
3. 負 荷 線 は 図2・7(a)に の2点
を 通 る.こ
mA,3.5V)が
お い て(IC,VCE,)=(0mA,6V),(5mA,0V)
れ とIB=40μAの
曲 線 と の 交 点 か ら静 止 点(IC,VCE)=(2.1
得 られ る.
4. IB=40μAお VCE[図(a)と
よ び60μAに
お け るVBE[図2・7(b)か
負 荷 線 の 交 点 か ら]を
ら]お
よ びIC,
求 め る と,
こ れ か らRi=⊿VBE/⊿IB=2.5kΩ.Ac=-⊿IC/⊿IB=-55,Av=⊿VCE/⊿IVBE= -24
.
5.
式(2・13)ま
た は 近 似 式(2・14)を
- 45.6(-49),Av=-38.0(-38.7)(カ
用 い てRi=1.80(1.90)kΩ,Ac= ッ コ 内 は 近 似 式).ま
た 式(2・15)を
用 い
てRo=25.4kΩ. 6.
入
る と き,回
・ 出 力 端 子 に そ れ ぞ れ 電 圧V1,V2を 路 方 程 式
が 得 ら れ る.こ
右 辺I1,I2の
れか ら
係 数 がzパ
ま た こ れ をV1,I2に
こ の 係 数 がhパ
ラ メ ー タ で あ る. つ い て解 い て
ラ メ ー タ で あ る.
加 え,流
入 す る 電 流 をI1,I2と
す
四 端 子 網 の そ れ ぞ れ 出 力 端 短 絡,お a,b)に
よ っ てhパ
よ び 入 力 端 開 放 時 の 特 性 か ら,式(2・18
ラ メ ー タ を 求 め る こ と も 出 来 る,図2・41(a)は
短 絡 し た と こ ろ で,こ
出力 端 子 を
れか ら
(a) 出力 端子 短 絡
(b) 入 力端 子 開放 図2・41
ま た,R2,R3を
図(b)は
含 む 回 路 に お い て,R2I2+R3(I1+I2)=0か
ら
入 力 端 子 を 開 放 し た と こ ろ で,式(2・18b)に
よ りh12,h22が
得 ら
れ る. 7.
式(2・19)を
VCE=15Vの
参 照 し て,h11,h12は
曲 線 のIB=40μAに
⊿IB=0.02V/40μA=500Ω させ る と きの
線 のVCE=15Vに
I1を
.h12はIBを40μAに
保 つ よ う にVBEとVCEを 図(b)か ら40μAに
変 化
ら 求 め ら れ る.
変 化 さ せ た と き,ICは1.3
な る の で,h21=⊿IC/⊿IB=50.h22はIB=40μAに
お け る曲
お け る 切 線 の 傾 斜 の 逆 数 で,h22=⊿IC/⊿VCE=0.02mS.
図2・21に
(2・17)に
お け る 切 線 の 傾 斜 の 逆 数 で あ っ て,h11=⊿VBE/
保 ちIBを20μAか
ら2.3mAに
8.
ら 求 め ら れ る.h11は,
⊿VBE/⊿VCEで,h12=0.002.h21,h22は
h21はVCE=15Vに mAか
図2・20(a)か
お い て,入
お い てV1=-RSI1で
消 去 し,V2/I2を
求 め る.
力 端 子 にV1の あ るか ら
代 わ り に 抵 抗RSを
接 続 す る.式
9. 等 価 回 路 を 図2・42に
示 す.回
路方程式 は
図2・42 こ れ を 解 い て(rc≫re,rbと
し た)
これ か ら
10. 32×50=450pF 11. n=√2 12. RS=2kΩ,RD=1.5kΩ 13. 直 流 負 荷 抵 抗 はRD+RS=2.5kΩ を 通 る.ま
ず,VGS=-0.6Vと
VS=RSID=0.6V,し よ う に,VGSを し,ち
で,負
仮 定 す る.特
荷 線 は 縦 軸4mA,横
性 曲 線 と の 交 点 はID=1.2mAで,
た が っ て 静 止 点 はID=1.2mA,VDS=7Vと 仮 定 し てID,VSを
ょ う ど よいVGSを
調 べ,不
求 め る.必
軸10V
適 当 な ら他 のVGSを
な る.(こ
の
仮 定 し て 繰 り返
要 な ら 内 挿 法 に よ っ て 答 を見 つ け る.)
14.
式(2・42a,b)に
よ る.IE=1.45mA,IC=1.52mA,VCE=1.99V.
練 1. 図2・43に
習
問
示 す よ う に,J-FET回
題
路 と,J-FETの
特 性 が 与 え られ て い
る. (a) 特 性 曲 線 の グ ラ フ の 上 に 負 荷 線 を え が き,静 (b) 入 力V1と
し て 波 高 値0.2Vの
止 点ID,VDSを
求 め よ.
正 弦 波 電 圧 を加 え た と き,VDSの
変化 の
範 囲 を 調 べ,電 圧 利 得 の 値 を求 め よ.
図2・43
2. FETの を得 た.相
特 性 を 測 定 して,右
の表
互 コ ン ダ ク タ ン スgm,ド
レイ
ン 抵 抗rdの 3. J-TR増
値 を 求 め よ.
が 図2・44に (a) Ic-VCEグ
幅 回 路 と,J-TRの 与 え られ て い る.
ラ フ の 上 に 負 荷 線 を え が き,静
(b) 波 高 値0.2mAの べ ,電
特性
流 利 得 を 求 め よ.
止 点IC,VCEを
正 弦 波 交 流 入 力 を 加 え た と き の,ICの
求 め よ. 変 化 の 範 囲 を調
図2・44
(c) 入 力 抵 抗 と電 圧 利 得 を求 め よ. 4. 相 互 コ ン ダ ク タ ン スgm=8mS,ド に,負
荷 抵 抗RL=1.5kΩ
レ イ ン抵 抗rd=100kΩ,を
を接 続 し た ソ ー ス接 地,ド
も っ たFET
レ イ ン 接 地,ゲ
ー ト接 地
の 各 増 幅 回 路 の 電 圧 利 得 を 求 め よ. 5. 図2・45の mS,rdは
ソ ー ス 接 地 回 路 の 入 力 抵 抗 お よ び 電 圧 利 得 を 求 め よ.gm=4.5
十 分 大 き く,ま
た コ ン デ ン サC1,C2の
ス は 小 さ く て 無 視 出 来 る も の と す る.
図2・45
信 号 周 波 数 にお け る リア ク タ ン
6. 図2・46の
四 端 子 網 のhパ
ラメ
ータ を求 め よ. 7. 図2・47は
あ る 増 幅 回路 の交 流
特 性 を表 わ す 等 価 回 路 で あ る.入
力電 図2・46
圧,電
流 は そ れ ぞ れV1,I1で
あ っ て,電
図2・47
圧 源A,電
流 源Bは
そ れ ぞ れ 出 力 電 圧V2,入
で 表 わ され る 正 方 向 の 基 準 に 注 意 せ よ).こ (V2/V1)の
力 電 流I1に
支 配 さ れ て い る(矢
れ か ら 入 力 抵 抗(V1/I1),電
印
圧利得
値 を求 め よ.
8. J-TRのT形
パ ラ メ ー タ が,re=20Ω,rb=500Ω,rc=2MΩ,α=0.97,
ま た 負 荷 抵 抗RL=2kΩ
と し て,(a)ベ
ク タ 接 地 の 各 増 幅 回 路 の 入 力 抵 抗,電 9. 図2・48のJ-TR増
ー ス接 地,(b)エ 圧 利 得,電
ミ ッ タ 接 地,(c)コ
流 利 得 の 値 を求 め よ.
幅 回 路 の 入 力 抵 抗 と 電 圧 利 得 を 求 め よ.C1,C2の
号 周 波 数 に お け る リ ア ク タ ン ス は 小 さ く,無 視 出 来 る も の と す る.ま 特性 を
図2・48
レ
図2・49
たJ-TRの
信
(a)
re=20Ω,rb=500Ω,α=0.97,ま
(b)
h11e=1.17kΩ,h21e=32,ま
10.
たh11e,h21eは
図2・49のJ-TR増
くJ-TRの
たrcは
無 限 大 と し て 省 略 せ よ. 小 さ く 無 視 出 来 る も の と せ よ.
幅 回 路 の 入 力 抵 抗 と 電 圧 利 得 を 求 め よ.前
(a)
re=20Ω,rb=500Ω,α=0.97,rcは
(b)
h11=1.17kΩ,h21=32,h12,h22は
11. 図2・50の
無 限 大 と し て 省 略 せ よ. 小 さ く 無 視 出 来 る も の と せ よ.
エ ミ ッ タ 接 地J-TR
増 幅 回 路 の 入 力 抵 抗(V1/I1で る も の とす る),電 利 得(V2/V1)を
定 義 され
流 利 得(I2/I1),電
h12,h22の
圧
求 め よ.V1,V2,I1,I2は
交 流 入 ・出 力 電 圧 お よ び 電 流,ま
図2・50
たJ-TRのhパ
ラ メ ー タh11,h21が
13. 図2・51の
部 抵 抗5kΩ
の 信 号 源 の 有 能 電 力 は どれ だ け か.
よ う な 変 成 器 結 合 増 幅 器 に お い て,各J-TRの
お よ び 整 合 出 力 抵 抗 を そ れ ぞ れ1kΩ,50kΩ,ま す る と き,整
合 を と る た め に 必 要 な 各 変 成 器 の 巻 数 比n1,n2,n3を
図2・52のFET増
幅 回 路 で,
VCC=9V,RD=3kΩ,R1=100kΩ
と
止 点 をID=0.5mA,VDS=4V,
VGS=2Vと
す る た め に 必 要 なRS,R2の
値 を 求 め よ. 15.
前 問 と 同
じFET増
幅 回 路 で,
整合入 力抵抗
たRS=10kΩ,RL=500Ω
図2・51
す る.静
与 え られ,
値 は 小 さ く無 視 出 来 る も の と す る.
12. 起 電 力0.2V,内
14.
問 と同 じ
特 性 を
図2・52
と 求 め よ.
VCC=9V,RD=3kΩ,R1=100kΩ VGS=-2Vと 16.
と す る.静
す る た め に 必 要 なRS,R2の 図2・53のJ-TR増
止 点 をID=0.5mA,VDS=4V,
値 を 求 め よ.
幅 回 路 で,
R1=10kΩ,R2=30kΩ,RC=2kΩ,RE= 1kΩ,VCC=8Vと
し,J-TRの
α=0.98,ICO=0,VBE=0.6Vと き,静
止 点IC,VCEの
17.
定 数 を す る と
値 を 求 め よ.
図2・54のJ-TR回
路 の静 止 点 図2・53
IC,VCEを
求 め よ.回
路 定 数 はVCC=3
V,R=500kΩ,RC=3kΩ,ま の定 数 は
たJ-TR
α=0.99,ICO=0,VBE=0.7V
と す る. 18.
前 問 と 同 じ 回 路 の 静 止 点IC,VCE
を 求 め よ.回
路 定 数 は 同 じ で あ る が,温
度 が 高 く な っ た た め にJ-TRの 0.5Vで
あ る と す る.
定 数 が 変 化 して
図2・54 α=0.993,ICO=3μA,VBE=
第3章
増 幅 回路 の周 波 数特 性
増 幅 回 路 の 入 力 イ ン ピ ー ダ ン ス や 電 圧 利 得 な どは 周 波 数 の 関 数 で あ っ て,そ 絶 対 値 や 位 相 は,一
般 に 周 波 数 に よ っ て 変 わ る.抵
抗 負 荷 増 幅 器 で は,低
お け る 利 得 の 低 下 は 結 合 コ ン デ ン サ や 変 成 器 な ど に よ っ て 生 じ,高 利 得 の 低 下 はJ-TRやFETな よ っ て 生 ず る.ま
た,入
周波 に
周波 に お け る
どの素 子 の高 周 波 特 性 や 回 路 の浮 遊 容 量 な ど に 力 側 や 負 荷 側 に 共 振 回 路 を も っ た 同 調 増 幅 器 は,お
共 振 回 路 の 特 性 に よ っ て,狭
力 端 子 間 の 静 電 容 量 が 問 題 に な り,と ずFETお
もに
い 周 波 数 範 囲 を選 択 的 に増 幅 す る.
増 幅 の 対 象 と な る信 号 の 周 波 数 が 高 い と き に は,と
こ の 章 で は,ま
の
入 ・出
き に は こ れ を 中 和 す る方 法 が 必 要 に な る.
よ びJ-TRを
増 幅 の た め の 結 合 方 式 を説 明 す る.つ
く にJ-TR,FETの
用 い た 基 本 増 幅 回 路 を 復 習 し,多
づ い て,変
段
成 器 結 合 お よび抵 抗 負 荷 増 幅 回
路 の 低 周 波 お よ び 高 周 波 特 性 に つ い て 説 明 す る. つ ぎ に,共
振 回 路 を も っ た 同 調 増 幅 回 路 の 特 性 と 中 和 法 を 説 明 す る.
正 弦 波 交 流 電 圧 ・電 流 は 大 き さ と位 相 を も つ の で,ベ は フ ェー ザ(phasor)と め に,本
よ ば れ,一
り,や
般 に 複 素 数 で 表 わ され る.こ
章 以 降 で は こ れ ら をV,Iな
ダ ン ス や 電 圧 利 得 な ど も2つ
ク トル(vector)あ
るい
れ を強 調 す るた
ど と上 に ドッ トを つ け て 表 わ す.イ
ンピー
の 複 素 数 の 比 で 定 義 され る の で 一 般 に複 素 数 とな
は り ド ッ トを つ け る.
3・1
増 幅 回路 の特 性
(1)
正
図3・1(a)に
弦
波
入
力
示 す よ う に,負 荷 イ ン ピ ー ダ ン スZLを
幅 器 の 入 力 端 子 に 正 弦 波 交 流 電 圧V1を
も っ た,ひ ず み の な い 増
加 え た と き,入 力 電 流I1,出
力 電 圧V2,
出 力 電 流I2も
正 弦 波 とな り,
入 力 イ ン ピー ダン ス 電圧利得
} (3・1)
電流利得 と し て 定 義 され る.
(a) 負 荷ZLを
も った 増 幅 器
(b) 出 力 イ ン ピー ダ ン ス
図3・1 増 幅 器 の 交 流電 圧 ・ 電流 ま た,出
力 イ ン ピ ー ダ ン ス は 図(b)に
ン ピ ー ダ ン スZSを
示 す よ うに,入
力端 子 に信 号 源 の 内 部 イ
接 続 して 出 力 端 子 か ら 見 た イ ン ピ ー ダ ン ス で あ る.出
に 正 弦 波 信 号 電 圧V2を
加 え,出
力 端 子 か ら流 れ 込 む 電 流 をI2と
力端子
す る と き,
出 力 イ ン ピ ー ダ ン ス Z0=V2/I2
(3・2)
と な る. (2)
ひ ず み と最 大 出 力
増 幅 回 路 に 用 い るFET,J-TRな
ど の 素 子 の 特 性 に 非 線 形 性 が あ る と,正
入 力 に 対 し て ひ ず ん だ 波 形 を 出 力 す る.ひ (distortion 一 般 に,入 る が,入
factor),す
ず み(distortion)の
弦波
程度 は ひずみ率
な わ ち 出 力 波 形 の 中 の 高 調 波 含 有 率 で 表 わ さ れ る.
力 の 振 幅 が 小 さい と き に は,出
力 が あ る 程 度 大 き く な る と,急
ま た は 電 流 波 形 の ひ ず み 率 が10%
力 波 形 の ひ ず み は 小 さ くて 無 視 出 来
激 に ひ ず み は 増 加 す る.通
常,出
力 電圧
の と き の 出 力 電 圧 ・電 流 ま た は 電 力 を,最
大
出 力 電 圧 ・電 流 ま た は 最 大 出 力 と い う. (3)
ダ イ ナ ミ ック レ ンジ
増 幅 器 の 最 小 有 効 出 力 は,お
も に 雑 音 に よ っ て 定 め ら れ る.す
に な ら な い 最 小 出 力 が 最 小 有 効 出 力 で あ る.た 0.01Vで,そ
の20倍
力 は0.2Vで
あ る,倍
と え ば,増
な わ ち雑 音 が気
幅器 の平 均 雑 音 出力 が
の 出 力 が あ れ ば 雑 音 は 気 に な ら な い と す る と,最 率 は 経 験 的 に 定 め られ る.
小有効 出
ひ ず み に よ っ て 制 限 さ れ る最 大 出 力 と,最 ン ジ(dynamic
range)と
い い,通
3・2
デ シ ベ ル と周 波 数 特 性
(1)
デ
シ
ベ
電 圧 比 や 電 流 比Aの
小 有 効 出力 との比 を ダ イナ ミ ック レ
常 つ ぎ に 示 す よ う な デ シ ベ ル で 表 示 さ れ る.
ル デ シ ベ ル(decibel)表
示[A]dBと
は (3・3a)
を い う.こ
こ でAは
電 圧 比 や 電 流 比(一
増 幅 器 が 電 圧 を50倍 あ る と い う.dBは 減 衰 度 は34dB,あ 電 力 比Pの
般 に 複 素 数 に な る)の
に 増 幅 す る と き,利
デ シ ベ ル と読 む.ま
絶 対 値 で あ る.
得 は34dB(20log50=34で
た,減
あ る)で
衰 器 が 電 圧 を1/50倍
る い は 利 得 は-34dB[20log(1/50)=-34]
に す る と き, で あ る.
デ シ ベ ル表 示 は (3・3b)
で 表 わ され る.電
力 比Pは
正 の 実 数 で あ る.
電 圧 や 電 力 そ の も の を デ シ ベ ル で 表 示 す る こ と も あ る.た に と る と,50mVは
そ の50倍
と な る の で34dB,ま
入 力 抵 抗 と 負 荷 抵 抗 と が 等 しい 増 幅 器,減 の デ シ ベ ル 表 示 は 同 じ 値 を も つ こ と は,容 (2)
た1Vは60dBと
基 準 な る.
衰 器 な ど の 電 力 比,電
圧 比,電
流比
易 に 証 明 出 来 る で あ ろ う.
周 波 数 特 性 の表 示
イ ン ピ ー ダ ン ス や,増 よ っ て も変 わ る.複 し てZ=a+jbと る.す
と え ば1mVを
幅 器 の 電 圧 利 得,電
素 数Zは
流 利 得 は 一 般 に 複 素 数 で,周
実 数 部 と虚 数 部 を も ち,実
し て 表 わ す こ と も 出 来 る が,も
数 部 をa,虚
波数 に
数 部 をbと
っ と便 利 な の は 極 座 標 表 示 で あ
な わ ち, (3・4)
Mは
絶 対 値(absolute )ま た は 位 相(phase)と
value)ま い う.そ
た は 大 き さ(magnitude),θ
は 偏 角(argument
れ ぞ れ が 一 般 に は 周 波 数 に よ っ て 変 化 す る.
図3・2に
増 幅 器 の 電 圧 利 得 の 絶 対 値 お よ び 位 相 の 周 波 数 特 性 の 例 を示 す.図
の よ う に,周
波 数 範 囲 が 広 い と き に は,周
波 数 を対 数 目盛 で 表 わ す の が よい.ま
図3・2 増 幅 器 の 周 波 数 特 性 の 例
た図 で は利 得 の絶 対値 にデ シベ ル表 示 を用 い て い る.
問1.
入 力 抵 抗 が10kΩ,負
0.1Vの
荷 抵 抗が600Ω
と き 出 力 電 圧 が20Vで
の 増 幅 器 が あ る.入
あ る とす る と,電
力 電圧 が
圧 比 ・電 流 比 ・電 力 比 の
デ シ ベ ル 表 示 は ど れ だ け か.
3・3
増 幅 回路 の結 合
第2章
で は お も に 抵 抗 負 荷FETお
の と き,1段
結 合(condenser 直
幅 回 路 の 基 本 を 説 明 した.こ
の 増 幅 回 路 で 利 得 が 不 足 し て い る な ら ば 段 数 を増 せ ば よい.そ
め に 段 間 の 結 合 が 必 要 に な る.結
(1)
よびJ-TR増
coupling),変 接
結
合 に は 直 接 結 合(direct 成 器 結 合(transformer
そ の 例 を 示 す.直
力 端 子 に 生 ず る 直 流 電 圧 が 次 段 に 伝 え られ る の で,前
図(a)は
coupling)な
ンデ ンサ ど が あ る.
合
直 接 結 合 は 直 結 と もい い,図3・3に
た はJ-TR)の
coupling),コ
のた
接 結 合 で は,前
段 の出
段 と後 段 両 方 のFET(ま
間 の 直 流 電 圧 の 調 整 が 必 要 で あ る. ノ ー マ リ ・オ フFETに
レ ク タ の 直 流 電 圧 が 高 い の で,抵 下 げ て い る.図(c)は1段
よ っ て これ を解 決 し,図(b)は1段 抗R3,R4に
よ っ て2段
目 に コ レ ク タ 接 地 回 路,2段
目の コ
目の ベ ース直 流 電 圧 を 目 にエ ミッタ接 地 回 路 を
(a) ソ ー ス 接 地― ソ ー ス接 地
(c) コ レ ク タ 接 地― エ ミ ッ タ 接 地
(b) エ ミ ッ タ接 地― エ ミ ッ タ 接 地
(d) エ ミ ッ タ 接 地― エ ミ ッ タ 接 地 相補性回路
図3・3 直 接 結 合 増幅 回 路 の例 用 い て い る. 図(d)は,1段
目 のJ-TRがnpn形
エ ミ ッ タ接 地 回 路 で ,全 J-TRとpnpJ-TRと FETと
体 の 利 得 は 大 き い.こ を 用 い る も の,あ
を用 い る も の を,相
直 接 結 合 で は,温
の よ う に,1つ
る い はnチ
補 性 回 路(complementary
度 変 化 な ど に よ る1段
止 点 に も影 響 す る の で,回 (2)
の エ ミ ッ タ 接 地 回 路,2段
目がpnp形
の
の 回 路 の 中 にnpn
ャネ ルFETとPチ circuit)と
目 の 静 止 点 の 変 動 が,2段
ャネル い う. 目以 降 の 静
路設 計 に 当 た っ て注 意 しな けれ ば な ら ない .
ダ ー リ ン ト ン接 続
図3・4は2個
のJ-TRの
エ ミ ッ タ と ベ ー ス,コ
レク タ と コ レ ク タ を接続 して
3端 子 と し た も の で,ダ (Darlington
ー リ ン トン接 続
connection)と
結 合 の 一 種 で あ る.こ
い い,直
れ を1つ
接
の トラ ン
ジ ス タ と考 え て 電 流 増 幅 率 を求 め よ う. 図 の よ う に,ベ
ー スお よび コ レ クタ に 図3・4
相 当 す る 端 子 の 信 号 電 流 を そ れ ぞ れIb, Icと
し,各J-TRの
ダ ー リ ン ト ン接 続
エ ミ ッ タ 接 地 電 流 増 幅 率 を β1,β2と す る と,1段
お よび コ レ ク タ 信 号 電 流I1,I2,2段
目 のエ ミッタ
目 の コ レ ク タ 信 号 電 流I3は,
した が って
と な り,こ
れ を1つ
の トラ ン ジ ス タ と考 え た と き の 電 流 増 幅 率 は (3・5)
す な わ ち,β (3)
の 値 の 極 め て 大 き い トラ ン ジ ス タ と し て 働 く.
コ ンデ ン サ結 合
コ ン デ ン サ に よ っ て 直 流 分 を遮 断 し,交 も っ と も普 通 に 用 い ら れ る.図3・5に ン サ で あ る.こ
流 分 の み を 次 段 に 伝 え る 結 合 方 式 で,
そ の 例 を 示 す.Cが
段 間 結 合 用 の コ ンデ
の 結 合 方 式 で は 静 止 点 は 各 段 ご と に 決 定 され,前
段 の静 止 点 の 変
動 は 後 段 の 静 止 点 に 影 響 を与 え な い.
図3・5 コン デ ンサ 結 合 増 幅 回 路 の例
(4)
変 成 器 結
合
変 成 器 に よ り直 流分 を遮 断 し,交 流 分 だ け を次 段 に伝 える もの で あ る.し たが
っ て,静
止 点 の 計 算 は コ ン デ ン サ 結 合 の と き と 同 じ く,各
段 ご と に 行 う こ とが 出
来 る. 図3・6(a)に CEな
そ の 例 を 示 す.周
波 数 が あ ま り低 く な い と き の 交 流 特 性 は,C1,
ど の 交 流 リ ア ク タ ン ス を0と
と が 出 来 る.な 3・6で
お,信
し た 等 価 回 路,す
号 周 波 数 が 特 に 低 い と き,特
な わ ち 図(b)か
ら求 め る こ
に 高 い と き に つ い て は3・4,
説 明 す る.
(a) 変 成 器 結 合 増 幅 回 路
(b) 交 流 等 価 回 路 図3・6 変 成 器 結 合 増幅 回路 の 解 析 各 変 成 器 の 巻 数 比 を そ れ,そ れn1,n2,n3と
V2/V1′,V3/V2′ 抵 抗 は,理 をRi2と
す る と,電
は 変 成 器 を含 ま な い 各 段 の 電 圧 利 得 で あ る.各
想 変 成 器 を仮 定 す る と,2段 す る と き,n22Ri2と
目 はn32RL,1段
目 のJ-TRの
と な る. お よ びV3/V2′
目 は2段
段 の実 効 負 荷 目の入 力抵 抗
な る.
こ の 増 幅 回 路 の 入 力 抵 抗Riは,1段
V2/V1′
圧利得 は
をAv1,Av2と
書 く と,
入 力 抵 抗 をRi1と
して
(3・6a)
入 力 側,段
間,出
等 し い と して,お
力 側 が と も に 整 合 が とれ て い る と き に は,両J-TRの の お の の 入 力 抵 抗Rim,出
1段 当 た り の 電 圧 利 得Avmは
力 抵 抗Romは
同 じ く式(2・33b)と
第2章
な る.し
特性が
の 式(2・32),
た が っ て,
また
この増 幅 器 の全 体 の 電圧 利 得Avは (3・6b) と な る.
問2.
図3・3(a)に
値 を求 め よ.FETの
示 し た 直 結FET増 特 性 は 第2章
の 図2・2に
R2=150kΩ,RL1=RL2=1kΩ,VDD=25Vと 問3.
図3・3(c)に
幅 回 路 各 段 の 静 止 点ID,VDSの
示 した 直 結J-TR増
示 す も の と し,R1=100kΩ, す る.
幅 回 路 各 段 の 静 止 点IC,VCEの
値 を 求 め よ.R1=8kΩ,R2=12kΩ,RE1=2kΩ,RE2=RC2=1kΩ,VCC =10Vと
し, J-TRの
て 無 視 で き,α
は1に
特 性 はVBE=1V,ベ
ー ス 電 流 お よ びICOは
小 さく
近 い 値 を もつ も の と す る.
3・4 低 周 波 特 性 の 計 算(1) (1)
変 成 器 の低 周 波 モ デ ル
い ま まで の交 流 特 性 に関 す る説 明 で は,コ ン デ ンサ の 交 流 信 号 に対 す る リア ク タ ン ス は0,ま
た変 成 器 はす べ て理 想 変 成 器 で あ る と した.し か し,周 波 数 が 低
い と き に は,こ
の 仮 定 は 正 し く な い.ま
身 の 高 周 波 特 性 や,浮
た 周 波 数 が 高 くな る と,ト
遊 容 量 の 影 響 が 現 わ れ て く る.本
節 で は,変
ランジスタ自 成 器 結 合抵 抗
負 荷 増 幅 器 の 低 周 波 特 性 の 計 算 方 法 に つ い て 説明 す る. オ ー デ ィオ 用 変 成 器 の 特 性 は,低
周 波 で は 図3・7に
示 す よ う に,自
己イ ンダ
ク タ ン スLと 理 想 変 成 器 を接続 した もの と考 え られ る.Lは
変 成 器 の1次 コイ ル
の 自己 イ ン ダ ク タ ン スで,周 波 数 が あ る 程 度 高 くな る と,イ ン ピ ー ダ ンス が大 き くな る た めLは 無 視 され,変 成 器 は理 想
図3・7 変 成 器 の低 周 波 モ デ ル
変 成 器 とな る. (2)
変 成 器結 合 増 幅 器 の 低周 波 特 性
図3・8に
示 す変 成 器 結 合FET増
幅
回 路 を考 え る.変 成 器 を逆 極 性 に接 続 す る と,入
・出 力 電 圧 が 同 相 と な る.
変 成 器 の モ デ ル と し て 図3・7を る と,等
価 回 路 は 図3・9(a)と
用 い 図3・8 変 成 器 結合 増幅 回路
な る.
(a) 等 価 回 路(1) 図3・9
負 荷 抵 抗RLを1次 圧 は,出
ゆ えに
力 電 圧 をV2と
図3・8の
(b) 等 価 回 路(2) 低 周 波 等価 回路
側 に 換 算 す る とn2RLと す る と-nV2と
な り,こ
な り,図(b)が
の両 端 に 生 ず る 信 号 電 得 ら れ る.こ
れか ら
(3・7)
周 波 数 特 性 を 調 べ よ う. (3・8)
と 置 く と,ω ≫ ω1で は,式(3・7)の
虚 数 部 が 無 視 出 来 る の で, (3・9a)
し た が っ て,周 差 は0で
波 数 が 高 い と き に は 利 得 の 値 は 一 定 で,か
つ 出 力 と入 力 の 位 相
あ る.
つ ぎ に,周
波 数 が 低 く,ω ≪ ω1と な る と,式(3・7)の
分 母 の実 数 部 が無 視 出
来 て, (3・9b)
利 得 の 値 は 周 波 数 が 低 く な る と,周 の 絶 対 値(Avの
波 数 に 比 例 して 小 さ くな る.こ
絶 対 値 は ドッ トを除 い てAvと
書 く)の
の式 の両 辺
対 数 を と る と, (3・9c)
縦 軸 にlogAv,横
軸 にlogω
を と っ て グ ラ フ を え が く と,図3・10と
図3・10
グ ラ フ は,低 は 式(3・9a)に
周 波 で は 式(3・9c)に
数 が2倍
低周波特性の例
し た が っ て45° 右 上 が りの 直 線,高
よ っ て 水 平 線 で 近 似 され る.こ
45° 右 上 が りの 直 線 は,電 と い う こ と は,音
と は デ シ ベ ル 表 示 で6dBで
な る.
周波で
れ を 折 れ 線 近 似 とい う.
圧 利 得 が 周 波 数 に 比 例 す る こ と を 示 し て い る.周 楽 用 語 で1オ あ る の で,こ
ク タ ー ブ(octave),利 れ を6dB/octの
得 が2倍
波
とい うこ
傾 斜 とい う.
ま た,両
直 線 の 交 点 で は ω=ω1で,こ
っ た も の を折 れ 点 周 波 数(break 周 波 数 特 性 の 詳 細 はAvの
れ を 折 れ 点 角 周 波 数,こ
frequency)と 絶 対 値Avお
れ を2π
で割
い う.
よび偏 角 θを表 わ す式
(3・10)
か ら計 算 に よ っ て 求 め る こ と が 出 来 る. 一 般 に,Avが off
高 周 波 に お け る 値 の1/√2に
frequency)と
い う.上
な る 周 波 数 を遮 断 周 波 数(cut
に 示 し た 回 路 で は こ れ は 折 れ 点 周 波 数 に 等 し い.
例 と し てgm=4mS,n=2,L=5H,RL=500Ω =64Hz,こ
3・5
とす る と,遮
れ よ り も十 分 高 い 周 波 数 で は 電 圧 利 得 は4と
低 周 波 特 性 の 計 算(2)
エ ミ ッ タ 接 地 抵 抗 負 荷 増 幅 回 路 の 例 を 図3・11に R1,R2,RE,RCお
よ びJ-TRの
図3・11
り低 く な い と き に は,利
周 波 数 の 関 数 と な る.以
特 性 に よ っ て 定 ま る.ま
た,信
号周波数が あま
得 の 大 き さ お よ び 位 相 は 周 波 数 に よ っ て 変 わ ら な い が,
下 に,低
リア ク タ ン ス が 大 き く な る た め,交
等 価 回 路 は 図3・12と
流特性 は
周 波 特 性 の 計 算 方 法 を説 明 す る.
信 号 周 波 数 が あ ま り 高 く も,あ
図3・11の
示 す.静 止 点 は 回 路 定 数VCC,
エ ミッタ接 地 抵 抗 負 荷 増 幅 回 路
周 波 数 が 低 く な る と,C1,C2,CEの
(1)
断 周 波 数 はf1
な る.
ま り低 く も な い と き
な る.こ
こ で はC1,C2,CEの
リア ク タ ン ス
(a) T形
モ デ ル に よ る等 価 回 路
(b) T形 簡 易 モ デ ル に よる 等価 回 路
(c) hパ ラ メ ー タ ・モ デ ル に よ る 等 価 回 路
(d) hパ ラ メ ー タ 簡 易 モ デ ル に よ る 等 価 回 路
図3・12 中域 周波 数 にお け る等 価 回路 は0,直
流 電 源VCCは,等
価 回 路 で は 抵 抗 の な い 電 線 と な る.ま
デ ル と し て,図(a)で
はT形
た.さ
並 列 抵 抗 をRBと
ら に,R1,R2の
モ デ ル,図(c)で
と す る と き,こ
の 値 が 小 さい とT形
デ ル で はh12お
よ びh22が
図(d)を
用 い る と,
し た.ま
はhパ
モ
ラ メ ー タ ・モ デ ル を用 い
た,RCとRLの
モ デ ル で は(1-α)rcが,hパ
省 略 出 来 て,等
たJ-TRの
価 回 路 は 図(b),図(d)と
並 列 抵 抗 をR ラ メ ー タ ・モ な る.
(3.11a) も しRB≫h11な
ら,Ri=h11と
な る.ま
た
で あ る か ら,
(3.11b)
(2) CE,C2の
結 合 コ ン デ ン サC1の
作 用
リア ク タ ン ス が 小 さ くて 無 視 出 来,C1の
来 な い と き の 等 価 回 路 を,図3・13に
示 す.入
リア クタ ン スの み が無 視 出
力 イ ン ピ ー ダ ン スZiは, (3・12)
Riは
式(3・11a)に
示 す よ う に,h11とRBの
並 列 抵 抗 で あ る.
図3・13 C1を 考 慮 し た 等 価 回 路
入 力側 の 回路 方 程 式 は
Ibを
求 め る と,
電圧利 得は
(3・13)
折 れ 点 角 周 波 数 は, (3・14)
周 波 数 が 高 い と, (3・15a)
周 波 数 が 低 い と, (3・15b)
と な る.
電 圧 利 得Avの (3)
絶 対 値Avの
周 波 数 特 性 は,図3・10と
結 合 コ ン デ ン サC2の
つ ぎ に,結
合 コ ン デ ン サC2の
図3・14
で あ る か ら,電
同 じ形 に な る.
作 用 み を考 慮 し た 等 価 回 路 を 図3・14に
示 す.
C2を 考 慮 し た 等 価 回 路
圧利 得は (3・16)
折 れ点 角 周 波 数 ω2は, (3・17)
周 波 数 が 高 い と, (3・18a)
周 波 数 が低 い と, (3・18b)
と近 似 され る.こ
こ で も,電
圧 利 得 の 絶 対 値 の 周 波 数 特 性 は,図3・10と
同 じ
形 に な る. (4) C1,C2の
側 路 コ ン デ ン サCEの
作 用
リ ア ク タ ン ス は 十 分 小 さい と し て,側
た 等 価 回 路 を図3・15に
示 す.RCとRLの
図3・15
列 イ ンビ ー ダ ン ス をZEと
回路方程式
か ら
す る と,
CEを
路 コ ン デ ン サCEの
並 列 抵 抗 をR,ま
考 慮 した 等価 回 路
み を考 慮 し
たREとCEの
並
(3・19)
この周 波 数 特 性 は 複 雑 で あ る.2つ
の折 れ点 角 周 波 数 を考 え る.1つ
は分 母 の
実 数 部 と虚 数 部 とが 等 し くな る角 周 波 数 ω3で, (3・20a)
い ま1つ は 分 子 の 実 数 部 と虚 数 部 が 等 し くな る角周 波 数 ω4で, (3・20b)
明 らか に,ω3>
ω4で あ る.
入 力 信 号 の 角 周 波 数 が ω4よ り十 分 低 い と,式(3・19)の
分 子,分
母 と も虚 数
部 が 無 視 出 来 て, (3・21a)
角 周 波 数 が 少 し高 くな り,ω4≪ ω≪ ω3と な る と,分
子 で は 実 数 部 が,分
母 で は虚
数 部 が 省 略 出 来 て, (3・21b)
角 周 波 数 が ω3よ り十 分 高 く な る と,分
子 ・分 母 と も実 数 部 が 無 視 出 来 て, (3・21c)
と な る. logAvを
縦 軸 に,logω
は ω≫ ω3な ら 式(3・21a)ま は 水 平 線 に な る.ま
を 横 軸 に と っ て グ ラ フ に え が く.ま た は(3・21c)に
ず,ω
≪ ω4ま た
よ っ て 一 定 の 値 に な り,グ
た ω4≪ω≪ ω3な ら式(3・21b)に
な る.こ
ラフ
の式 の両 辺 の絶
対 値 の 対 数 を と る と,
と な り,こ
れ は 右 上 が り45° の 傾 斜 を も っ た 直 線 と な る.し
ラ フ は 図3・16に
た が っ て,全
体 の グ
示 す よ うな 折 れ 線 で 近 似 され る.ω4≪ ω3な ら ω3が 遮 断 角 周
図3・16 低 周 波数 特 性 の折 れ 線近 似 波 数 と な る. 実 際 に は,図3・11の の 定 数)が
回 路 で は,C1,C2,CE(お
よ び 関 連 す る 回 路 定 数,J-TR
同 時 に 低 周 波 特 性 に 関 係 して い て,複
す る に は,図3・17の
雑 で あ る.こ
等 価 回 路 を用 い る と よい.
図3・17
C1,C2,CEを
考 慮 した 等価 回 路
し か し,近 似 的 に は 上 に 述 べ た よ う に,C1,C2,CEを 結 果 を総 合 す る こ と に よ っ て,求
め ら れ る.す
ω3の う ち の 最 も大 き い も の で 決 ま る .た れ よ り1桁
以 上 小 さ い とす る と,遮
す る が,も
し ω1=ω2な
問4.
図3・11に
別 々 に考慮 して解 析 した
な わ ち,遮
と え ば,ω1が
最 も 大 き く,ω2,ω3は
ら遮 断 角 周 波 数 は ω1(=ω2)の
約1.6倍
示 され る エ ミ ッ タ 接 地 増 幅 回 路 の,周 ら に,各
と な る.
波 数 が あ る程 度 高
路 定 数 は,RB=20kΩ,
,C1=1μF,C2=3μF,CE=50μF,ま
特 性 はh11=1.9kΩ,β=49,h12=0,h22=0と
こ
しい 計 算 は 省 略
種 の 折 れ 点 周 波 数 を求 め て
低 周 波 数 特 性 の 概 要 を調 べ,遮 断 周 波 数 を 求 め よ.回 RE=2kΩ,RC=2.5kΩ,RL=1kΩ
断 角 周 波 数 は ω1,ω2,
断 角 周 波 数 は ω1と な る.詳
い と き の 電 圧 利 得 の 大 き さ を 求 め よ.さ
たJ-TRの
れ ら を同時 に考 慮
す る.
3・6
増 幅 回路 の高 周波 特 性
(1)
電 線 の 自 己 イ ン ダ ク タ ン ス と浮 遊 容 量
電 線 自身 は 自 己 イ ン ダ ク タ ン ス を も ち,ま ン ス を も つ.さ
ら に 電 線 は 他 の 導 体 と の あ い だ に 静 電 容 量 を も つ.信
が 低 い と き は,自 タ ン ス(リ
た 他 の 電 線 との 間 に 相 互 イ ン ダ ク タ
己 イ ン ダ ク タ ン ス の もつ リ ア ク タ ン ス や 静 電 容 量 の も つ サ セ プ
ア ク タ ン ス の 逆 数)は
大 き くな り,増
号の周波数
小 さ い が,周
幅 作 用 に 影 響 を与 え る.す
波 数 が 高 くな る とそ れ に比 例 して
な わ ち,回
路 中 の 配 線 の もつ イ ン ピ ー
ダ ン ス に よ る電 圧 降 下 は 周 波 数 と と も に 大 き く な り,ま
た 配 線 と シ ャ シ ー との 間
の 静 電 容 量 に よ る 信 号 電 流 の 漏 れ も周 波 数 と と も に 大 き く な る. FETやJ-TR自
身 の 電 極 間 の 静 電 容 量 や,内
部 電 線 のイ ン ダ ク タ ン ス も高 周
波 特 性 に 関 係 す る. FETで
は,ゲ
こ の 容 量 は,チ
ー トと チ ャ ネ ル の 間 の 静 電 容 量 が 高 周 波 特 性 に 影 響 を 与 え る. ャネ ル の ド レ イ ン 側 か ら ゲ ー ト側 ま で に 分 布 して い る が,近
に は ゲ ー ト ・ソ ー ス 間 容 量Cgsと ま た,ド
ゲ ー ト ・ ドレ イ ン 間 容 量Cgdと
レ イ ン ・ソ ー ス 間 容 量Cdsも
J-TRで
は,2つ
似的
で 表 わ さ れ る.
存 在 す る.
の 接 合 が そ れ ぞ れ 静 電 容 量 を も ち,ま
た 少 数 キ ャ リア が ベ ー
ス 領 域 を お も に 拡 散 作 用 に よ っ て 通 過 す る た め に 所 要 時 間 が 比 較 的 大 き く な り, 高 周 波 特 性 に 影 響 を 与 え る. (2)
抵 抗 負 荷 ソ ー ス 接 地FET増
信 号 周 波 数 が 高 い と き のFETの Cgs,Cgd,Cdsを
幅 回路 の高 周 波 特 性 モ デ ル は,端
考 慮 す る と,図3・18(a)と
(a)
子 間 に 存 在 す る3個 な る.こ
の静電容量
の モ デ ル を 用 い る と,抵
(b)
図3・18 抵 抗 負 荷 ソー ス接 地 増 幅 回路 の 高 周 波 等価 回路
抗 負 荷 ソ ー ス 接 地 増 幅 回 路 の 等 価 回 路 は 図(b)と 構 造 上 本 質 的 な も の と,内
な る.3個
部 の 配 線 に 基 づ く も の と,外
の 容 量 は,FETの
部 回 路 の 配 線 に 基 づ く,
い わ ゆ る 浮 遊 容 量 か ら な る が,こ
れ ら を 区 別 し な い で,上
す る.な
一 般 に大 き い の で 無 視 した.
Cgdを
お,ド
レ イ ン抵 抗rdは
通 る 電 流 は 小 さ い の で,出
し た が っ て,電
力 電 圧V2の
の記 号 で 表 わ す こ とに
計 算 に は 無 視 す る と,
圧利 得は (3・22)
い ま,
(3・23)
と す る と,ω
≪ ω5で
は (3・24a)
ω≫ ω5で は (3・24b)
両 辺 の絶 対 値 の対 数 を と る と, (3・24c)
グ ラ フ を え が く と,図3・19と が り の 直 線 は-6dB/octの
な る.折 傾 斜 を もつ.遮
れ 線 近 似 を 併 せ て 示 し て お く.右
下
断 角 周 波 数 は 折 れ 点 角 周 波 数 ω5に
等 しい.
図3・19 高 周 波特 性 の例
低 周 波 利 得gmRLと width
遮断周波数
product),略
し てGB積
ω5/2π
と の 積 を 利 得 帯 域 幅 積(gain‐band‐
とい い,
GB積= と な る.こ
(3・25)
れ はRLの
に は 負 荷 抵 抗RLを
値 に よ ら な い.こ
の こ と は,遮
小 さ くす れ ば よ い が,低
断周 波 数 を高 く したい と き
周 波 利 得 も小 さ く な る こ と を意 味 す
る. た と え ば,利
得 帯 域 幅 が 負 荷 抵 抗 の 値 に か か わ ら ず500MHzで
域 幅 を80MHzと
あ る と き,帯
す る と き の 低 域 周 波 数 に お け る 電 圧 利 得 の 値 は500/80=6.25
と な る. 端 子 間 容 量 の 存 在 は 入 力 端 子 か ら み た 静 電 容 量,す
な わ ち 入 力 容 量 に も影 響 を
与 え る.図3・18(b)に
ら,入
お い て 負 荷 抵 抗RLが0な
力 容 量Ciは
明 らか
に, (3・26a)
で あ る. しか し,RLが
入 っ て い て 電 圧 増 幅 が 行 わ れ る と,周
き に は 式(3・24a)に V2は‐gmRLV1と (b)の
い う値 に な り,図
回 路 は 図3・20で
す な わ ちCgdの で あ る.そ
波 数 が あ ま り高 くな い と
よっ て 出力 電圧
表 わ され る.
端 子 電 圧 はV1+gmRLV1 図3・20
の 結 果 入 力 電 流I1は
し た が っ て,入
入 力 容 量 の 計算
力 容 量Ciは
(3・26b)
す な わ ち,増 く な る.こ
幅 作 用 の た め に 入 力 容 量 は 式(3・26a)で の 現 象 を ミ ラ ー 効 果(Miller
ミ ラ ー 効 果 を考 慮 し,か
つ 負 荷 抵 抗RLを
effect)と
表 わ され る 値 よ り も 大 き い う.
流 れ る 電 流 に く らべ てCgdを
通 して
図3・21
高 周 波 等価 回 路
流 れ る 信 号 電 流 が 小 さい とす る と,等 価 回 路 と し て 図3・18(b)の 3・21を RLの
用 い る こ とが 出 来 る.こ
こ でCiは
式(3・26b)で
代 わ りに 図
表 わ さ れ る も の で,
値 に も関 係 して い る.
多 段 増 幅 回 路 で は,1段 る と,1段
目 の 負 荷 に並 列 に2段
目 の 入 力 容 量Ciが
加 わ る.す
目 の 増 幅 器 の利 得 帯 域 幅 積 は
GB積= と な り,一
(3・27)
(3)
般 に 式(3・25)よ J‐TRの
J‐TRの πmodel)に
り は か な り小 さ く な る.
高 周 波 特 性
高 周 波 特 性 は,図3・22に
示 す よ う な ハ イ ブ リ ッ ドπ モ デ ル(hybrid
よ っ て 表 わ さ れ る.こ
電 流 源 か ら な る.電
れ は3個
流 源 の 大 き さ はgmV(矢
の 相 互 コ ン ダ ク タ ン ス と呼 ば れ,Vは
の 抵 抗 と,2個 印 も 重 要)で
の コ ン デ ン‐ サ,1個
の
あ っ て,gmはJ‐TR
トラ ン ジ ス タ の 内 部 の 図 示 の 場 所 に 生 じ て
い る 信 号 電 圧 で あ る.
図3・22
ハ イ ブ リ ッ ドπモデ ル
ハ イ ブ リ ッ ド π モ デ ル の パ ラ メ ー タ の 意 味 を調 べ る た め,信 そ の た めCy,Czの
リ ア ク タ ン ス が 大 き くてCy,Czが
こ の と き モ デ ル は 図3・23と hパ
な る.
ラ メ ー タ を求 め る と,rz≫ryと
して
号 周 波 数 が 低 く,
無 視 出 来 る場 合 を考 え る.
図3・23
低 周 波 ハ イブ リ ッ ドπモ デ ル
(3・28)
第2章
の 表2・2を
用 い てT形
モ デ ル の パ ラ メ ー タ と比 較 す る と, (3・29)
で あ る こ と が わ か る.
(4)
抵 抗 負 荷 エ ミ ッ タ 接 地J‐TR増
抵 抗 負 荷 エ ミ ッ タ 接 地J‐TR増
幅 回路 の高 周 波特 性
幅 回 路 の 等 価 回 路 は,J‐TRの
ハ イ ブ リ ッ ドπ モ デ ル を用 い る と,図3・24(a)と 価 容 量Ciは,ミ
ラ ー 効 果 に よ っ て 式(3・26b)と
な る.a,bか 同 様 に,
(a) 等 価 回 路
(b) 近 似 等 価 回路 図3・24 抵 抗 負 荷 エ ミッ タ接 地 回 路 の 高 周 波 等価 回 路
モデ ル と し て ら右 を見 た 等
と な る.Czを
流 れ る 信 号 電 流 を無 視 す る と,近 似 等 価 回 路 と し て 図(b)が
得 ら
れ る. 入 力 イ ン ピ ー ダ ン ス は, (3・30)
電圧利得 は (3・31)
こ れ は 低 周 波 で は, (3・32a)
高 周 波 で は, (3・32b)
と な り,絶
対 値 の 周 波 数 特 性 は 図3・19と
折 れ 点 角 周 波 数,す
同 じ形 に な る.
な わ ち 遮 断 角 周 波 数 は, (3・32c)
こ こ で,gx=1/rx,gy=1/ryと
置 い た.
利 得 帯 域 幅 積 は,
GB積= こ れ はRLの
(3・33)
値 に 関 係 し,利
負 荷 抵 抗RLが0の
得 帯 域 幅 積 は 一 定 で は な い.
と き の 電 流 利 得 は,
電 流 利 得 に 一 の 符 号 をつ け た も の を β(ω)と お く と,こ ミ ッ タ 接 地 電 流 増 幅 率 で,一
般 に ω の 関 数 と な る.こ
れ は 高 周 波 にお け るエ
れ を
(3・34a)
同 様 に α も ω の 関 数 で あ っ て,α(ω)と
β(ω)と の 間 に は 式(1・19)と
同 じ
式 が 成 りた つ.こ
れ か ら (3・34b)
が 得 ら れ る.ω β は 折 れ 点 角 周 波 数(遮
断 角 周 波 数)で,fβ=ω
を そ れ,それ ベ ー タ 遮 断 周 波 数(β‐cut‐off
frequency)お
β/2π,fα=ωα/2π
よ び ア ル フ ァ遮 断 周 波
数 とい う. β(ω)の
絶 対 値 が1と
な る角 周 波 数 を ωTと 書 く と,式(3・34a)か
ら
したが っ て (3・34c)
そ の1/(2π)をfTで (5)
表 わ す.Tは(transition
frequency)の
頭 文 字 で あ る.
周 波 数 特 性 の 例
図3・11に
示 し た エ ミ ッ タ接 地 抵 抗 負 荷 増 幅 回 路 を 例 に と っ て,低
周波か ら
高 周 波 に 至 る ま で の 利 得 の 周 波 数 特 性 を調 べ よ う. い ま,J‐TRの
特性 を
と す る.式(3・28)か
ら,低
0,h21=β=49,h22=0と
周 波 に お け るhパ
な る.ま
た,回
ラ メ ー タ は,h11=1.9kΩ,h12=
路 定 数 を
と す る. ま ず,中
域 周 波 数 に お け る 電 圧 利 得Avは,式(3・11b)か
つ ぎ に,折
れ 点 周 波 数f1,・・・
(3・32c)か
ら
は ,式(3・14),(3・17),(3・20a),(3・20b),
ら
こ れ か ら,低 周 波 遮 断 周 波 数 は,約100Hz(f1とf3は
接 近 し て い る の で,f1
よ りか な り高 目 に な る)高
あ る こ とが わ か る.
周 波 遮 断 周 波 数 は 約270kHzで
な お,図3・2は
問5.
J‐TRの
=1MΩ rzの
こ の タ イ プ の 増 幅 器 の 特 性(回
路 定 数 は 異 な る)で
あ る.
交 流 特 性 を 表 わ す パ ラ メ ー タ が,re=30Ω,rb=400Ω,rc
,α=0.98で
あ る と き,ハ
イ ブ リ ッ ド π パ ラ メ ー タ のgm,rx,ry,
値 を 求 め よ.
問6.
fβ,fTを
求 め よ.J‐TRの
パ ラ メ ー タ を,(a)gm=32.7mS,rx=400
Ω,ry=1500Ω,rz=∞,Cy=5000pF,Cz=20pF,(b)gm=40mS,rx= 50Ω,ry=1500Ω,rz=∞,Cy=200pF,Cz=2pFと
3・7
同 調 増 幅 回 路
(1)
同 調 回路 の性 質
同 調 回 路(tuned (resonant
circuit)は
circuit)と
(a)はC,R,Lの
す る.
共 振 回路
もい う.図3・25
並 列 回 路 で,そ
のイ ン
ピ ー ダ ン スZは
(b)
(a) 図3・25 (3・35)
絶 対 値Zお
並列共振回路
よび 偏 角 θは (3・36a)
(3・36b)
絶 対値Zは
角周波数が (3・37)
に お い て 最 大 と な り,そ は 同 調(共
振)角
の 値 はRで
周 波 数,f0=ω0/2π
あ る.ま
た こ の と き 偏 角 θ は0で
は 同 調(共
振)周
波 数 で あ る.
あ る.ω0
図3・26に
これ ら の 周 波 数 特 性 の グ ラ フ を示 し て お く.横
角 周 波 数)で,共
振 周 波 数(ま
た は 共 振 角 周 波 数)を1と
で は イ ン ピ ー ダ ン ス の 絶 対 値Z,図(b)で に,共
軸 は 図(a)
下に示す よう
振 の 鋭 さ を表 わ す パ ラ メ ー タ で あ る.
(b) 偏 角(位 相) 図3・26
Zの 値 が ω0に お け る 値 の1/√2と
の 解 で あ る.こ
し て い る.縦
は 偏 角 θ で あ る,Qは
(a) 絶 対 値
軸 は 周 波 数(ま た は
れ を ω1,ω2(ω1<
B=(ω2-ω1)/2π
ω2)と
並 列 共 振 回路
な る 角 周 波 数 ω は,式(3・36a)か
ら
す る と
を 共 振 回 路 の 帯 域 幅 と定 義 す る と,上
式 を用 い て
(3・38) が 得 ら れ る . ま た,
(3・39)
は 共 振 の 鋭 さ を 表 わ し,共
振 回 路 のQ値(Q
factor)と
い う.こ
れ はまた
(3・40)
ま た,Q,ω0を
用 い てZを
表 わ す と,
(3・41)
と な る. つ ぎ に,図3・25(b)の 列 抵 抗rを
よ う な コ ン デ ン サCと,自
己 イ ン ダ ク タ ン スLと
直
も っ た コ イ ル と の 並 列 回 路 の イ ン ピ ー ダ ン スZは,
(3・42a)
rが 十 分 小 さい とす る と
(3・42b)
こ こで
(3・43)
と置 く と,式(3・35)と 数 の 範 囲 は 狭 い の で,こ 3・25(b)の 波数
同 じ式 に な る.通 の 範 囲 で はRも
常,Zの
ほ ぼ 一 定 の 値 を も ち,し
イ ン ピ ー ダ ン スZは,図(a)と
ω0に お い て 最 大 値L/(rC)を
値 が 大 き く変 化 す る 角 周 波
も ち,帯
た が っ て,図
ほ ぼ 同 じ特 性 を も つ.こ
れは角周
域幅 は (3・44)
Q値
は (3・45)
で あ る.
(2)
単 同 調 増 幅 回 路―1
図3・27(a)はFETソ
ー ス接 地 単 同 調 増 幅 回 路,図(b)はJ‐TRエ
接 地 単 同 調 増 幅 回 路 で あ る.FET増 成 容 量 をCと
す る と,等
幅 回 路 で は,Cgdを
価 回 路 は 図3・28(a)と
ス は 十 分 小 さい と した.rd,RLの
(a) FETソ
(b) J‐TRエ 図3・27
(a) FETソ
こ でCCの
す る と電圧 利 得 は
ー ス接 地 増 幅 回 路
ミ ッタ接 地 増 幅 回 路 単 同 調 増幅 回路
ー ス接 地増 幅 回路
(b) J‐TRエ
図3.28
無 視 し,C1とCdsの
な る.こ
合 成 抵 抗 をRと
ミ ッタ
ミ ッ タ接 地 増 幅 回 路
単 同 調 増 幅 回 路― 等価 回路
合
リア クタ ン
(3・46a)
あ る い は,式(3・40)に
よっ て (3・46b)
と な り,同 調 周 波 数 にお け る利 得 は
帯 域 幅Bは
式(3・38)か
ら得 ら れ る.
利 得 の絶 対 値 の 最 大 値gmRと
帯 域 幅1/(2πRC)の
GB積= こ れ はCが
最 小 値 はFETの
と な る.式(3・25)と
図(b)と
ド レ イ ン ・ソ ー ス 間 の
(3・47b)
同 じ式 で あ る.
幅 回 路 の 場 合 に は,J‐TRをT形 な り,C1をCと
簡 易 モ デ ル で 表 わ す と,等
置 い て,
出力電圧 は
電圧利得 は
し た が っ て,Avの
は
あ っ て,
最大GB積=
J‐TR増
な わ ちGB積 (3・47a)
小 さ い ほ ど大 き くな る.Cの
静 電 容 量Cdsで
積,す
周 波 数 に よ る変 化 は 式(3・46b)と
同 じ形 に な る.
価 回路 は
(3)
yパ
ラ メ ー タに よ る解 析
周 波 数 が 高 く な る と,FETやJ‐TRの て はyパ
高 周 波 特 性 が 問 題 に な る.こ
れ に対 し
ラ メ ー タ に よ る 解 析 が 便 利 で あ る.
四 端 子 網 の 入 出 力 電 圧 ・電 流V1,I1,V2,I2をyパ
ラメ ー タ を用 い て 表 わす と
(3・48)
こ れ か ら 図3・29(a)のyパ
ラ メ ー タ ・モ デ ル が 得 られ る.高 周 波 に お け るyパ
ラ メ ー タ は 一 般 に 複 素 数 で あ る が,煩
雑 さ を 避 け る た め に ドッ トを つ け な い で お
く.
(a) yパ
ラ メ ー タ ・モ デ ル
(b) YL負 荷 増 幅 回 路 図3・29
入 力 端 子 に 信 号 電 圧V1を と,図(b)に
yパ ラ メ ー タ に よ る 等 価 回 路
加 え,出
力 端 子 に 負 荷 ア ド ミ タ ン スYLを
示 し た 等 価 回 路 が 得 ら れ る.こ
接続 す る
れか ら
電圧利得 は (3・49)
また
で あ る か ら,入
力 ア ドミ タ ン ス は
(3・50)
と な る. つ ぎ に,図3・18(a)か
らFETの
高 周 波 に お け るyパ
ラ メ ー タ を求 め る と
(3・51)
FETのgmの
値 は 大 き い の で,通
これ か ら,図3・27(a)に
常 上 式 の よ う にy21≒gmと
示 し たFETソ
YL=GL+jωC1+1/(jωL)と
す る こ とが 出 来 る .
ー ス 接 地 増 幅 回 路 の 電 圧 利 得 は,
して (3・52)
こ こで
と置 く と,電
圧 利 得 を 表 わ す 式 と して 式(3・46a)と
J‐TRのyパ gx=1/rx,gy=1/ry,ま
ラ メ ー タ は,図3・22の たrzは
同 じ式 が 得 られ る.
ハ イ ブ リ ッ ドπ モ デ ル か ら得 ら れ る.
大 き くて 省 略 出 来 る も の と し て
(3・53)
y22の 右 辺 の 第2項
は
第2項=
y22を 実 数 部 と虚 数 部 に 分 け て
と 書 く. 図3・27(b)のJ‐TRエ
と な る.こ
ミ ッ タ接 地 増 幅 回 路 の 電 圧 利 得 は
こ で はy21,C,Rは
波 数 帯 域 は 狭 く,そ
ω の 関 数 で あ っ て 複 雑 で あ る が,利
の 周 波 数 範 囲 で はy21,C,Rの
の 周 波 数 特 性 は 式(3・46a)と (4)
得 が 大 きい 周
変 化 は 小 さ い の で,電
圧利得
ほ ぼ 等 し い.
単 同 調 増 幅 回 路―2
図3・30(a)に
示 し た,相
互 イ ン ダ ク タ ン スMを
側 に 同 調 回 路 を も っ たFET単
同 調 増 幅 回 路 を 考 え る.FETの
よ び 端 子 間 の 静 電 容 量 を無 視 す る と,等 ル の 電 流 をI1,I2と
も っ た2つ
価 回 路 は 図(b)に
の コ イ ル の2次 ドレ イ ン 抵 抗 お
な る.1次,2次
す る と,
(a) 回
路
図3・30 M結 合 単 同調 増 幅 回 路
(b) 等 価 回路
コイ
出 力 電 圧V2は
した が っ て電 圧 利 得 は
こ こ で
と置 くと
これ は 式(3・46b)と
同 じ形 で あ っ て ,図3・27(a),(b)の
回 路 と 同 じ周 波 数
特 性 を も つ.
問7.
図3・31の
よ .FETの =300μH
単 同 調 増 幅 回 路 の 同 調 周 波 数,最
定 数 はgm=8mS,rd=150kΩ,Cds=4pFと ,C=400pF,RL=100kΩ
と す る.
図3・31
大 利 得,帯 し ,回
域 幅 を求 め 路 定 数L
3・8
中 和 増 幅 回 路
(1)
中
和
前 節 で は,図3・27(a)に 無 視 して 求 め た.容
示 し たFET単
量Cgdは
低 い と き は こ れ で よ い が,周 電 圧 利 得 に 影 響 を与 え,さ れ はyパ
小 さい の で[図3・18(a)参
通 る 電 流 が 大 き く な っ て,
よ っ て 出 力 電 圧 が 入 力 側 に 帰 還 さ れ る た め と考
還 が 強 く な る と発 振 の お そ れ も生 ず る.y12(し
前 節 で は ま た,図3・27(b)に
y12を
号 の 周波 数 が
ら に 入 力 イ ン ピ ー ダ ン ス に も大 き な 影 響 を与 え る.こ
る 帰 還 を 打 ち 消 す 方 策 が 中 和(neutralization)で
T形
照],信
波 数 が 高 く な る と,Cgdを
ラ メ ー タ の な か のy12に
え られ る.帰
同 調 増 幅 回 路 の 電 圧 利 得 を,Cgdを
か し,周
同 調 増 幅 回 路 の 電 圧 利 得 を,
波 数 が 高 く な る とFETの
場 合 と同 じ く
通 し て 出 力 電 圧 が 入 力 側 に 帰 還 され て 電 圧 利 得 に影 響 を 与 え,さ
力 イ ン ピ ー ダ ン ス に も影 響 を与 え る.そ す る お そ れ が 生 ず る.こ に,FETの
の 結 果FETの
場 合 と同 様,回
れ を避 け る た め
場 合 と同 じ く 中和 法 が 用 い
ら れ る. い ま,図3・32に
示 す よ う に,四 端 子
網 の 出 力 側 に 理 想 変 成 器(巻
数 比n:1)
を逆 極 性 に つ な ぎ,2次
側 と入 力 端 子 の
間 に ア ド ミ タ ン スYNを
接 続 す る.
新 しい 四 端 子 網 の 入 出 力 電 流I1′,I2′ は
新 しいyパ
ラ メ ー タ を(′)を
つ け て 表 わ す と,
よ
あ る.
示 し たJ‐TR単
モ デ ル を 用 い て 求 め た.し
た が っ てCgd)に
図3・32
中
和
ら に,入 路が発振
(3・54)
と な り,y1z′
を0と
す る には (3・55)
と す れ ば よい.こ
の と き回 路 は 中 和 の 状 態 と な る.
中 和 が とれ て い る と き のyパ
ラ メ ー タ は,
(3・56)
と な る. こ の と きyパ
ラ メ ー タ ・ モ デ ル は 図3・33(a)と
(a) yパ ラ メ ー タ ・モ デ ル(そ の1) 図3・33 に 複 素 数 で あ る の で,y11′,y22′
な る.y11′,y21′,y22′
は一 般
(b) yパ ラ メ ー タ ・モ デ ル(そ の2)
中 和 が とれ た 四端 子 網 を
(3・57)
と 書 く.す
る と モ デ ル は 図(b)の
よ う に な る.一
般 にg11,C11,g22,
C22は
ωの
関 数 に な る. 出 力 側 にC1,L,
GLの
図3・34と
れ か ら 入 力 ア ド ミ タ ン スYi,電
な る.こ
並 列 回 路 を接 続 した 単 同 調 増 幅 回 路 と そ の 等 価 回 路 は 圧 利 得Avは (3・58)
(a) 単 同 調増 幅 回路
(b) 等 価 回 路
図3・34
中和 単 同調 増 幅 回 路
(3・59)
R=1/(g22+GL),C=C22+Cl
と置 い た.
y21′は 一 般 に 複 素 数 で あ り,さ
ら にg11,C11,g22,C22は
き な 利 得 を もつ 周 波 数 範 囲 は 狭 く,そ 定 の 値 を も ち,Avの
ω の 関 数 と な る が,大
の 範 囲 で はy21′,g11,C11,g22,C22は
周 波 数 特 性 を表 わ す 式(3・59)は
式(3・46a)と
ほぼ 一 ほぼ 同
じ性 質 を もつ. (2)
中 和FET増
図3・35(a)は
幅 回 路 ソ ー ス 接 地FETに
中 和 用 ア ド ミタ ン スYNを
(a) 中 和FET
(b) yパ ラ メ ー タ ・モ デ ル 図3・35
ろ で あ る,こ
で あって
接 続 した と こ
こ で 式(3・51),(3・55)に
中 和FETの
モデル
よっ て
(3・60)
し た が っ て,中
和 の た め に は 変 成 器 の 出 力 端 子 とFETの
ン デ ン サCN[=nCdg]を
接 続 す れ ば よ い .nは
入 力端 子 との間 に コ
変 成 器 の巻 数 比 で あ る. この と
き,
(3・61) で あ っ て,ソ は 図3・35(b)と
ー ス 接 地FETのyパ
ラ メ ー タ ・モ デ ル は,図3・33(b),あ
るい
な る.
(a)
(b)
(c) 図3・36 FET中 図3・36(a)は
中 和 単 同 調FET増
自 己 イ ン ダ ク タ ン ス がL,1次 に 並 列 に コ ン デ ン サC1と 等 価 回 路 は 図3・35(b)の
・2次
和 単 同調 増 幅 回路 の 例
幅 回 路 の 例 で あ る.変
成 器 は1次
コイ ル の
コ イ ル 間 の 結 合 は 十 分 密 で あ る と し,こ
負 荷 コ ン ダ ク タ ン スGLが 出 力 端 子 にL,C1,GLを
れ
接 続 され て い る. 接 続 し た も の に な る.入
力 ア ドミタ ンス は
電圧 利得 は
こ れ は 式(3・46a)と
同 じ形 に な る.
図3・36(b)もFET単
同 調 増 幅 回 路 で あ る が,コ
イ ル は 中 間 に タ ッ プ を もつ
単 巻 変 成 器 で,aとbに
生 ず る 高 周 波 信 号 の 位 相 は 逆 で あ る . コ イ ル(ab)間
己 イ ン ダ ク タ ン ス をLと
す る.
も れ 磁 束 が 無 視 出 来 る も の とす る と,ac端 に 示 す とお りで あ る.acを1次 巻 数 比 を1:nと 倍,ア れ る.端
ドミ タ ン ス はn2倍 子aは
子 か ら見 た イ ン ピ ー ダ ン ス は 図(c)
側,abを2次
す る と,1次
側 と し,ac間
とab間
側 か ら 見 た イ ン ピ ー ダ ン ス は2次
と な り,こ
ドレ イ ン,cは
の自
れ がFETの
の コイ ル の
側 の そ れ の1/n2
ドレ イ ン ・ソ ー ス 間 に 接 続 さ
電 源 を 通 して ソ ー ス に接 続 さ れ て お り,回
路 の解
析 は 容 易 で あ ろ う. (3)
中 和J‐TR増
ソ ー ス 接 地J‐TR回
幅 回 路 路 で は,中
和 用 ア ド ミ タ ン ス は 式(3・53),(3・55)か
ら (3・62)
し たが って (3・63)
こ こで
で あ っ て,変
成 器 の 出 力 端 子 と入 力 端 子 と の 間 に 抵 抗RNと
列 に接 続 す れ ば よ い.
コ ン デ ン サCNを
直
こ の と きyパ
ラ メ ー タ は
(3・64)
y11′,y22′ を,式(3・57)の 表 わ し,中
和J‐TRの
図3・37は
モ デ ル と して 図3・33(b)を
中 和J‐TR単
と き に は,図
よ うに コ ン ダ ク タ ン ス と コ ンデ ンサ の 並列 回路 で
の よ う にRNを
同 調 増 幅 回 路 の 例 で あ る.周 省 略 し,CNの
図3・37
問8.
用 い る こ と が 出 来 る.
図3・36(a)のFET中
波 数 が あ ま り高 くな い
み を用 い る こ と が 出 来 る.
単 同 調J‐TR中
和 増 幅 回路
和 増 幅 回 路 を 設 計 す る.FETの
タ をgm=8mS,gd=0.02mS,Cgs=7pF,Cgd=2pF,Cds=3pF,回 をn=3,GL=O.1mS,C1=30pF,L=2μHと 入 力 容 量Ci,最
大 電 圧 利 得,同
パ ラ メ ー 路 定 数
す る. 中 和 コ ン デ ン サCN, 調 周 波 数,帯
域 幅 を 求 め よ.
問 題 1.
電 圧 比=46.OdB,電
2.
1段
る.2段
流 比=70.5dB,電
目:VG=VGS=10V.負
を 通 り,こ
答 力 比=58.2dB.
荷 線 は 縦 軸 上ID=25mA,横
軸 上VDS=25V
れ と 特 性 曲 線 と の 交 点 か ら 静 止 点ID=15mA,VDS=10Vが 目:VGS=10Vで,1段
3.
解
得
目 と 同 じ 値 に な る.
電 圧 や 電 流 の 正 の 向 き を 通 常 と は 逆 の 方 向 に と る と,VB,ICな
と し て 処 理 す る こ と が 出 来 る.こ =VE/RE1=1
の と き,1段
どは 正 の値
目:VB=4V,VE=3V,IC≒IE
.5mA,VCE=VCC-VE=7V.2段
=VE/RE2=2mA
ら れ
目:VB=3V,VE=2V,IC≒IE
,VCE=VCC-RC2IC,IC-RE2IE≒VCC-(RC2+RE2)IE=6V.
4.
本 文3・6(5)を
5.
式(3・29)に
見 よ. よ る.gm=0.98/30=0.033S,rx=400Ω,ry=30/0.02=
1.5kΩ,rz=1MΩ. 6.
式(3・34b,c)に
よ る.(a)fβ=21.1kHz,fT=1.17MHz,(b)fβ=525
kHz,fT=31.5MHz. 7.
FETの
=300μH
特 性 を 含 め た 同 調 回 路 は(改
.C=404pF,R=60kΩ,し
め てL,C,Rの
並 列 回 路 と し て),L
た が っ てf0=457kHz,B=6.57kHz,
Avmax=480. 8.
CN=6pF,f0=18.84MHz,B=0.535MHz,Ci=15pF,Avmax=66.7.
練 1. 図3・3(a)のFET直 の と きID=2mAと
習
題
結 増 幅 器 に お い て,FETの
な る と い う.直
特 性 はVGS=VDS=3V
流 電 源 電 圧VDD=7Vと
点 で 動 作 させ る た め に 必 要 なR1,R2,RL1,RL2の 200kΩ
問
す る と き,上
値 を求 め よ.た
の静 止
だ し入 力 抵 抗 は
以 上 と す る.
2. 図3・3(c)は
コ レ ク タ 接 地― エ ミ ッ タ 接 地 のJ‐TR直
結 増 幅 器 で あ る.
こ こ でR1=10kΩ,R2=20kΩ,RE1=RE2=RC2=2kΩ,VCC=12Vで (a) J‐TRの と し て,2つ
定 数 がVBE=0.7V,IC0=0,ま のJ‐TRの
たIBは
小 さ くて 無 視 出 来 る も の
各 端 子 の 接 地 点 に 対 す る 直 流 電 圧 を 求 め よ.
(b) さ ら に 両J‐TRの CEの
あ る.
定 数 がh11=2kΩ,β=100と
して,コ
ン デ ン サC1,C2,
リア ク タ ン ス が 無 視 出 来 る よ う な 中 域 の 周 波 数 に お け る 入 力 抵 抗 お よ び 電
圧 利 得 を 求 め よ. 3. 図3・3(d)はJ‐TR相
補 性 直 結 増 幅 回 路 の 例 で あ る.こ
kΩ,R2=20kΩ,R3=R4=R5=R6=2kΩ,VCC=12Vで (a) J‐TRの し て,各
定 数 がVBE=1V,ICO=0,ま
段 のJ‐TRの
こ でR1=10
あ る. たIBは
小 さ くて無 視 出来 る もの と
各 端 子 の 接 地 点 に対 す る直 流 電 圧 を求 め よ.
(b) h11=2kΩ,β=100と
し て,コ
ン デ ン サC1,C2,CEの
リア ク タ ン スが 無 視
出 来 る よ う な 中 域 の 周 波 数 に お け る 入 力 抵 抗 お よ び 電 圧 利 得 を 求 め よ. 4. 等 しい 特 性 を も っ た,相 FETを,ゲ
ー ト と ゲ ー ト,ソ
接 続 とい う)し
て1個
互 コ ン ダ ク タ ン スgm,ド ー ス と ソ ー ス,ド
のFETと
レ イ ン 抵 抗rdのn個
レ イ ン と ドレ イ ン を 接 続(並
して 使 用 す る場 合,相
の 列
互 コ ン ダ ク タ ン ス と ドレ
イ ン抵 抗 は そ れ ぞ れ ど ん な 値 に な る か. 5. 図3・38の 抵 抗RSを
変 成 器 結 合 増 幅 回 路 に お い て,入
力 信 号 源 は 起 電 力VS,内
部
も っ て い る.
図3・38
(a) C1,CEの
値 は 十 分 大 き く,か
は,R1,R2,REの
値 は 入 力 抵 抗,電
あ る こ と を示 せ.
つ 変 成 器 が理 想 変 成 器 とみ な さ れ る と き に 圧 利 得,電
流 利 得 な ど の交 流 特 性 に 無 関 係 で
(b) 電 圧 利 得 は 通 常Av=V2/V1で る.AvとAv′
定 義 され る が,Av′=V2/VSと
の 関 係 を 述 べ よ.ま
す る こ ともあ
た 整 合 が とれ て い る と き に はAv′
はAvの
何
倍 に な るか. (c) J‐TRの
整 合 入 ・出 力 抵 抗 が そ れ ぞ れ,2kΩ
kΩ,RL=500Ω
とす る と き,整
お よ び20kΩ,ま
たRS=10
合 を と る た め の 変 成 器 の 巻 数 比n1,n2の
値 を
求 め よ. 6. 図3・39のFETソ
ー ス 接 地 増 幅 回 路 に お い て,gm,rd,R1,R2,RL,Cの
値 が 与 え られ て い る も の と す る. (a) 信 号 周 波 数 が 低 い と き の 等 価 回 路 を 書 き,入 圧 利 得Av(=V2/V1)を る 値,Ziお
よ びAvの
力 イ ン ピ ー ダ ン スZiお
ω の 関 数 と し て 求 め よ.Ziお
よびAvの
よび 電
低 周波 にお け
遮 断 周 波 数 を 求 め よ.
(b) gm=3mS,rd=80kΩ,R1=R2=100kΩ,RL=2kΩ,C=0.02μFと と き,Zi,Avの
す る
絶 対 値 の 周 波 数 特 性 を折 れ 線 近 似 で 表 わ せ.
図3・39
7. (a)図3・40のFET増
図3・40
幅 回 路 の 電 圧 利 得 は,R=RDRL/(RD+RL)と
し
て
と な る こ と を証 明 せ よ.FETの イ ン抵 抗rdは
モ デ ル に お い て 相 互 コ ン ダ ク タ ン ス はgm,ド
レ
大 き い た め 無 視 出 来 る も の と す る.
(b) RG=500kΩ,RD=2kΩ,RL=1kΩ,C1=0.05μF,C2=0.6μF,gm=12 mS,rdは
極 め て 大 きい と して,周
波 数 が 高 い と き の 電 圧 利 得 の 値,遮
断 周波 数
を 求 め よ. 8. 図3・41はFET増
幅 回 路 で,
ソ ー ス と共 通 接 地 線 の 間 に 入 っ たRSと CSの
並 列 回 路 の た め,低
周波 に お け る
利 得 が 低 下 す る. (a) CSの
影 響 が表 われ る低 周 波 に お け
る 電 圧 利 得 を 表 わ す 式 を 導 け. 図3・41
(b) gm=5mS,RL=1.2kΩ,RS=600 Ω とす る,遮
断 周 波 数 を80Hzと
す る た め に 必 要 なCSの
こ の と き の 電 圧 利 得 の 絶 対 値 の 周 波 数 特 性 を,折 9. 図3・11の
エ ミ ッ タ接 地J‐TR増
値 を設 計 せ よ. ま た
れ 線 近 似 で表 わ せ.
幅 回 路 に お い て,R1=6kΩ,R2=30
kΩ,RE=2kΩ,RC=3kΩ,RL=1kΩ,h11=2kΩ,h21=β=50と (a) 中 域 周 波 数 に お け る 入 力 抵 抗,電
す る.
圧 利 得,電
(b) 入 力 信 号 に 含 ま れ る最 低 の 周 波 数 が100Hzと め に 必 要 な コ ン デ ン サC1,C2,CEの の 周 波 数100Hzの1/10以 10. 図3・39の
す る と き,こ
値 を 求 め よ(す
下 に す る よ う なC1,C2,CEの 回 路 に お い て,入
力 容 量,中
び 高 周 波 側 の 遮 断 周 波 数 を求 め よ.FETの 14mS,
流 利 得 を求 め よ.
べ て の 折 れ 点 周 波 数 を最 低 値 に す れ ば よ い).
域 周 波 数 に お け る電 圧 利 得 お よ
パ ラ メ ー タ お よ び 回 路 定 数 をgm=
rd=100kΩ,RL=2kΩ,Cgs=5pF,Cgd=3pF,CS=20pFと
CSはCdsお
す る.
よ び 浮 遊 容 量 等 の 和 で あ る.
11. J‐TRの 80pF,Cz=2.5pFと
パ ラ メ ー タ をrx=50Ω,ry=400Ω,rz=1MΩ,gm=0.2S,Cy= す る.周
波 数 が あ ま り高 く な い と きのhパ
β 遮 断 周 波 数 を 求 め よ. 12.
図3・42の
増 幅 回 路 に お い て,
ハ イ ブ リ ッ ド π モ デ ル の パ ラ メ ー タ がrx =100Ω,ry=150Ω,rz=∞,gm=0.4S, Cy
=200pF,Cz=6pFで
RB=20kΩ,RC=1kΩ
れ を増 幅 す る た
あ る.C=2μF, と す る と き,
図3・42
ラ メ ータ お よび
(a)中
域 周 波 数 に お け る 入 力 抵 抗,電
流 利 得,電
圧 利 得,(b)低
域 お よび 高域 に
お け る 電 圧 利 得 の 遮 断 周 波 数 を 求 め よ. 13. 損 失 が 無 視 出 来 る 容 量50pFの 続 して,共
振 周 波 数6MHz,Qの
値 と して120が
ダ ク タ ン ス と直 列 抵 抗 を 求 め よ.ま し た い.こ
コ ン デ ン サ と,損
た,こ
失 の あ る コ イ ル と を接
得 ら れ た.コ
イ ル の 自己 イ ン
れ に 並 列 に 抵 抗 を接 続 し てQを80に
の 抵 抗 の 値 を 求 め よ.
14. 中 心 周 波 数f0=2MHz,帯 て,図3・27(b)の
域 幅B=100kHz,負
タ イ プ の 非 中 和 同 調J‐TR増
荷 抵 抗RL=2kΩ
とし
幅 回 路 を設 計 せ よ.J‐TRの
パ ラ メ ー タ はrx=50Ω,ry=400Ω,rz=∞,gm=0.2S,Cy=80pF,Cz≒0と す る.L,C1の 15. 図3・37に
値,最
大 電 圧 利 得 は どれ だ け か.
示 す タ イ プ の 中 和 増 幅 器 が あ る.J‐TRの
=50Ω,ry=400Ω,rz=∞,gm=0.2S,Cy=80pF,Cz=2.5pFと も 同 じ回 路 が 巻 数 比2:1の た め に 必 要 な コ ン デ ン サCNの
パ ラ メ ー タ はrx し,次
段 に
変 成 器 を 通 して 接 続 さ れ て い る も の と す る.中
和の
値 を求 め よ.
第4章
増幅 回路各論
帰 還 と は 入 ・出 力 端 子 を も っ た 系 の 出 力 の 一 部 を,外
部 か らの 入 力 と と も に
(あ る い は 外 部 か ら の 入 力 な しで)入 力 端 子 に 加 え る こ と を い う.増 幅 器 に 帰 還 を 掛 け る こ と に よ っ て,増
幅 器 の 特 性 が 変 化 す る.利
う な 帰 還 が 負 帰 還 で あ っ て,こ る.反
対 に,正
得(の
絶 対 値)が
減少す る よ
れ に よ り利 得 の 減 少 と 引 き換 え に 特 性 が 改 善 され
帰 還 を 強 く掛 け る と,入
力 が な くて も出力 が生 ず る よ うに な る.
これ が 発 振 で あ る. あ る 周 波 数 範 囲 で 負 帰 還 と な る よ う に 設 計 され た 増 幅 器 も,他
の周 波 数 で は正
帰 還 と な る こ と が あ り,発 振 を生 ず る か も しれ な い. 本 章 で は,ま
ず 負 帰 還 の 理 論 と負 帰 還 増 幅 器 の 例,帰
還 系 が 安 定 か ど うか を判
定 す る 方 法 な ど を説 明 す る. つ ぎ に,俗
に オ ペ ア ン プ と も呼 ば れ る 演 算 増 幅 器 を 説 明 す る.こ
ア ナ ロ グ ・コ ン ピ ュ ー タ に お い て,信 に 用 い ら れ た も の で あ る が,現
号 波 形 の 増 幅 ,加
在 で は 広 い 用 途 を も ち ,集
・減 算,積
分 な どの演 算
積 回 路 化 され て い る.
増 幅 の 対 象 に な る 電 圧 や 電 流 の 波 形 に は 多 くの 種 類 が あ る.音 ジ ョ ン の 映 像 信 号 な ど は そ の 例 で,そ
れは もともと
声 信 号,テ
れ ぞ れ オ ー デ ィ オ 増 幅 器 ,ビ
レビ
デ オ増 幅 器 が
これ を増 幅 す る. ラ ジ オ や テ レ ビ ジ ョ ン な ど の 電 波 は,搬 は 映 像 の 信 号 を,変 周 波 信 号 と よ ば れ,比
幅 す る.さ
声 あ るい
の信 号 は一 般 に高
較 的 狭 い 周 波 数 帯 域 を も つ.
ラ ジ オ や テ レ ビ ジ ョ ン の 受 信 機 で は,ま て 増 幅 す る.つ
送 波 と よ ば れ る 高 周 波 に,音
調 と い う方 法 に よ っ て 乗 せ て 送 信 す る.こ
ぎ に,通
ず,高
周 波 信 号 を高 周 波 増 幅 器 に よ っ
常 これ を周 波 数 変 換 に よ っ て 中 間 周 波 信 号 に 変 換 して 増
ら に 復 調 と い う操 作 に よ っ て オ ー デ ィ オ や ビ デ オ 信 号 に 戻 さ な け れ ば
な らな い.変 調 ・復 調,周 波 数 変 換 に つ い て は下 巻 第7章
で説 明す る.
増 幅 の対 象 とな る信 号 に は,そ の ほか,各 種 計 測 の際 に生 じ,増 幅 を必 要 とす る信 号,電 子 回路 を制 御 す る た め の パル ス,矩 形 波,の
こ ぎ り波 な ど も あ る.こ
の うち,直 流成 分 を含 む低 周 波 信 号 を増 幅 す る ものが 直 流 増 幅 器 で あ る. 直 流増 幅器,オ
ー デ ィオ増 幅 器,ビ
デ オ増 幅 器,高 周 波 狭 帯 域 増 幅 器,中 間 周
波 増 幅器 な どの概 要 に つ い て説 明 す る. 最 後 に,増 幅器 に お け る雑 音 とそ の性 質 に つ い て説 明 す る.
4・1 負 帰 還 増 幅 器 (1)
帰
図4・1に
還 示 す よ うに,増 幅 器 の 出力 電 圧(ま
図4・1
た は 電 流)を 入 力 側 に 加 え,ま い う.図
は,出
力 電 圧V2に
た は電 流)に 比 例 した 電圧(ま
帰 還 増 幅 器 の構 成
た は 差 し 引 く よ う に す る こ と を帰 還(feedback)と 比 例 し た 電 圧kvV2と,入
幅 器 の 入 力 端 子 に 入 れ る も の で,電
力 電 圧V1と
圧 比 帰 還(voltage-ratio
を加 え て 主 増
feedback)と
呼ばれ
る.
kvは,帰
還 回路 の電 圧 比 で あ る.主 増 幅 器 の電 圧 利 得 をAvと
す る と,主 増 幅
器 の入 力 電 圧V1′ は (4・1) ま た,
し た が っ て,帰
で あ るか ら
還 増 幅 器 全 体 と し て の 電 圧 利 得AvF(=V2/V1)は
(4.2) と な る.
kv,Avは
一 般 に 複 素 数 で あ る が,負
数 範 囲 に わ た っ てkv,Avの た め,ky,Avは
帰 還 増 幅 器 で は,一
値 は ほ ぼ 一 定 で,か
つ 正 ま た は 負 の 値 を と る.そ
正 ま た は 負 の 実 数 で あ る と し て,ド
kvAv>1の
般 に 比較的広い周波 の
ッ トを 省 い て 記 述 す る.
と き に は 通 常 安 定 な 増 幅 が 出 来 な い の で,ま
ずkvAv<1の
場合 に
つ い て 考 え る. ① 0<kvAv<1の
す な わ ち,帰
とき
feedback)と
還 に よ っ て 利 得 の 絶 対 値 は 増 大 す る . こ れ を 正 帰 還(positive い う.
② kvAv<0の
とき
す な わ ち,帰 還 に よ っ て 利 得 の 絶 対 値 は 減 少 す る.こ )と kvAvが な る.こ
れ を 負 帰 還(negative
feedback
い う. 正 で1に
近 づ く と利 得 は 大 き く な り,ち ょ う ど1に
等 し い と き無 限 大 に
れ は 発 振 ま た は 不 安 定 を 意 味 す る.
帰 還 増 幅 器 の 信 号 の 経 路 は,図4・2(a)に は 入 力 電 圧V1と
帰 還 電 圧kvV2と
(a) 帰 還 ル ー プ 図4・2
示 す よ う に ル ー プ を構 成 す る.〓
の 加 算 を意 味 す る.図(b)は
回 路 をP,P′
(b) 帰 還 ル ー プ を 開 く 帰還 ル ー プ とルー プ利 得
間
で 開 い た と こ ろ で あ る.P点 る 電 圧 をVp′
に 仮 に 入 力 電 圧Vpを
加 え た と き にP′ 点 に 現 わ れ
とす る. (4・3)
を ル ー プ 利 得(loop
gain)ま
性 を 決 定 す る.ま
た は 開 ル ー プ 利 得 とい い,こ
れが負帰還増幅器の特
た, (4・4)
を 帰 還 率(feedback
factor)と
い う.帰
還 率Kを
用 い る と,式(4・1)は
と な る. kv,Avが と,負
実 数 の 範 囲 で はL,Kも
帰 還 で はL<0,K>1で
Lく1,1>K>0で
実 数 で あ る の で,ド あ る.ま
ッ トを 省 い て 記 述 す る
た 発 振 を 生 じ な い 程 度 の 正 帰 還 で は0<
あ る.
式(4・1)か
ら
で あ る か ら,
と な る. し た が っ て,主 ダ ン ス をZiFと
増 幅 器 の 入 力 イ ン ピ ー ダ ン ス をZi,帰 す る と,式(4・4)を
還 増 幅器 の入 力 イ ン ピー
用 いて (4・5)
す な わ ち,負 な お,Avお 要 が あ る.す
帰 還 に よ っ て 入 力 イ ン ピ ー ダ ン ス は 大 き く な る. よびkvの
計 算 ま た は 測 定 に 当 た っ て は,負
な わ ち,図4・1に
お い て,主
荷 効 果 を考 慮 す る 必
増 幅 器 の 出 力 端 子 に は 負 荷 抵 抗RL
と 帰 還 回 路 の 入 力 イ ン ピ ー ダ ン ス とが 接 続 され て い る こ と を考 慮 し,ま
た帰 還 回
路 の 出 力 端 子 に は 入 力 信 号 源 の 内 部 イ ン ピ ー ダ ン ス と主 増 幅 器 の 入 力 イ ン ピ ー ダ ン ス が 接 続 され て い る こ と を考 慮 し な け れ ば な ら な い. 主 増 幅 器 の 解 釈 に は 任 意 性 が あ る の で,与
え られ た 回 路 が 負 帰 還 で あ る か は,
あ る程 度 解 釈 の 仕 方 に も よ る.た にkv=1の (2)
と え ば,コ
レク タ接 地 回 路 はエ ミ ッタ接 地 回 路
帰 還 を 掛 け た も の と考 え る こ と も出 来 る. 負 帰 還 増 幅器 の特 徴
式(4・2)に
お い て,-kvAv≫1と
す る と, (4・6)
と な る.主
増 幅 器 はJ‐TRやFETな
特 性 の ば ら つ き,電
ど の 能 動 素 子 を含 む の で,素
源 電 圧 の 変 動 な ど に よ っ てAvの
通 常 抵 抗 器 な ど の 受 動 素 子 で つ く られ る の で,kvの て,AvFの
絶 対 値 は 負 帰 還 に よ っ てAvの
変 化 に は あ ま り関 係 せ ず,安 帰 還 の 方 式 に は,代
子 の 劣 化,
値 は 変 わ る が,帰
還回路 は
値 は 安 定 して い る.し
たが っ
絶 対 値 よ り 小 さ く な る が,Avの
値 の
定 な 増 幅 が 出 来 る.
表 的 な もの と して
(a) 出 力 電 圧 に 比 例 し た 電 圧 を 入 力 側 に 帰 還 す る … … 電 圧 比 帰 還 (b) 出 力 電 流 に 比 例 し た 電 流 を入 力 側 に 帰 還 す る … … 電 流 比 帰 還 (c) 出 力 電 圧 に 比 例 し た 電 流 を入 力 側 に 帰 還 す る … … 伝 達 ア ド ミ タ ン ス 帰 還 (d) 出 力 電 流 に 比 例 し た 電 圧 を 入 力 側 に 帰 還 す る … … 伝 達 イ ン ピ ー ダ ン ス 帰 還
(a) 電 圧 比 帰 還
(b) 電 流 比 帰 還
(c) 伝 達 ア ド ミ タ ン ス帰 還 図4・3
(b) 伝 達 イ ン ピ ー ダ ン ス 帰 還 帰還の種類
が あ り,こ
れ,を図4・3に
示 す.こ
れ ら の 混 合 形 式 もあ り,ま
た 帰還 が主 増 幅器
の な か に組 み 込 ま れ た 形 式 も あ る. (a)は 既 に 述 べ た.す
な わ ち,電 圧 利 得 の 絶 対 値 は 負 帰 還 に よ っ て 小 さ く な り,
入 力 イ ン ピ ー ダ ン ス は 大 き く な る.負
荷 効 果 を 無 視 す る と そ れ ぞ れ 前 者 は1/K
倍,後
下 に つ い て 説 明 す る とAc,Az,Ayは
者 はK倍
と な る.ま
た,(b)以
ぞ れ 主 増 幅 器 の 電 流 利 得,伝 後 の 二 者 は そ れ ぞ れ,主 電 圧 の 比 で あ る.帰 利 得AyFも
達 イ ン ピ ー ダ ン ス 利 得,伝
それ
達 ア ドミ タ ン ス 利 得 で,
増 幅 器 の 出 力 電 圧 と入 力 電 流 の 比 お よ び 出 力 電 流 と入 力
還 増 幅 器 の 伝 達 イ ン ピ ー ダ ン ス 利 得AzF,伝
達 ア ドミタ ン ス
同 様 に 定 義 され る.
ま た,kc,ky,kzは
そ れ ぞ れ 帰 還 回 路 の 電 流 比,伝
ー ダ ン ス で ,一
般 に 帰 還 係 数 と よ ば れ る.帰
側 が 入 力 側,左
側 が 出 力 側 で,電
達 ア ド ミ タ ン ス,伝
還 回 路 は 一 般 に 四 端 子 網 で,図
流 比 と は 出 力 電 流 と入 力 電 流 と の 比,伝
ミ タ ン ス と は 出 力 電 流 と入 力 電 圧 と の 比,伝
達イ ンピ の右
達 ア ド
達 イ ン ピ ー ダ ン ス と は 出 力 電 圧 と入
力 電 流 と の 比 で あ る. 主 増 幅 器 の 利 得Av,・・・ 帰 還 係 数kv,・・・
をkと
を一 般 にA,帰 お き,ま
還 増 幅 器 の 利 得AvF,・・・
た 帰 還 率 をK=1-kAと
す る と,い
をAF, ずれ の帰
還形式 において も
(4・7)
が 成 り立 つ.L=kAは
一 般 の 場 合 の ル ー プ 利 得 で あ る.kA,L,Kは
い ずれ も次
元 を も た な い 量 で あ る. 負 帰 還 で はK>1で
あ る.Kの
値 が 十 分 大 き い と, (4・8)
と な り,AFは
安 定 化 され る.
帰 還 の 方 式 に よ っ て は,入 ば,伝
力 イ ン ピ ー ダ ン ス が 小 さ く な る も の も あ る.た
達 ア ドミ タ ン ス 帰 還 に お い て は,主
で あ るか ら
増 幅 器 の 入 力 電 流 をI1′ と す る と,
とえ
し た が っ て,帰
還 増 幅 器 の 入 力 イ ン ピ ー ダ ン スZiFは (4・9)
V1/I1′ は 主 増 幅 器 の 入 力 イ ン ピ ー ダ ン ス で あ っ て,負 ピ ー ダ ン ス は 小 さ く な る.同
様 に,負
帰 還 に よっ て 入 力 イ ン
帰 還 は 出 力 イ ン ピ ー ダ ン ス に も影 響 を 与 え
る. 帰 還 率Kの
値 が 十 分 大 き い と き の 負 帰 還 増 幅 器 の 特 徴 を,図4・4に
(a)
よ って 示
(b)
(c)
(d) 図4・4 各 種 負 帰 還 の 特徴
す.入
力 線 が 増 幅 器 内 で 切 れ て い る の は,入
と を,短
絡 は 極 め て 小 さい こ と を 示 す.ま
ダ ン ス が 極 め て 小 さい こ と を,電 が っ て,電
た,増
幅 器 内 の電圧 源 は 出力 イ ン ピー
流 源 は 極 め て 大 き い こ と を 表 わ して い る.し
圧 比 帰 還 と伝 達 イ ン ピ ー ダ ン ス 帰 還 で は,入
て 大 き く,他 還 で は,出
力 イ ン ピー ダン スが 極 めて 大 きい こ
の2者
で は極 め て 小 さい.ま
た,電
力 イ ン ピ ー ダ ン ス は 極 め て 小 さ く,他
力 イ ン ピー ダ ン ス は極 め
圧 比 帰 還 と伝 達 ア ド ミ タ ン ス 帰 の2者
で は 極 め て 大 き い.
例 と して 伝 達 イ ン ピ ー ダ ン ス 帰 還 増 幅 器 の 説 明 を追 加 し よ う.出 比 例 し た 電 圧kzI2が 安 定 化 され る. 電 圧 利 得AvFは
入 力 側 に 帰 還 され,そ
た
力 電 流I2に
の 結 果 伝 達 ア ド ミ タ ン ス 利 得AyFは
kzAyが
十 分 大 き い とAy≒-1/kzと
な り, (4・10)
と な り,Ayの
変 動 に は関 係 しな い.
電 流利 得AcFと
主 増 幅 器 の 電 流 利 得Acは
と もにI2/I1で,同
じ値 を もつ.す
な わ ち,帰 還 に よっ て 電 流 利 得 の値 は変 わ らず,安 定 化 され て い ない. (3)
負 帰 還 に よ る 周 波 数 特 性 の改 善
主 増 幅器 の 電圧 利 得 が (4・11)
で表 わ され る増 幅 器 を考 え る.電 圧 利 得 は 複 素 数 で あ るか らAvで 角 周 波 数 は ωん,利 得 の絶 対 値 は低 周 波 で はA0(A0>0)で,周
表 わす.遮 断
波 数 が 高 くな る と
減 少 す る. 電 圧 比kv(負
の実 数)の 電 圧 比 帰 還 を掛 け る と, (4・12)
低 周 波 にお け る帰 還 率 を
とお くと,負 帰 還 増 幅 器 の電 圧 利 得AvFは
と な っ て,周
波 数 が 低 い とき の値 は
(4・13a)
す な わ ち,帰
還 に よ っ て 利 得 は1/K0に
な り,ま
た遮 断 角 周 波 数 は (4・13b)
す な わ ち,K0倍 善 さ れ る.
に な る.こ
の よ う に,利
得 の 減 少 と 引 き換 え に 高 周 波 特 性 が 改
図4・5にK0=1(帰
還 な し),K0=5,K0=20の
波 数 特 性 を 示 す.A0=1000,ωh=1と
図4・5
と き のAvFの
絶対 値
の 周
し て い る.
Av=-1000/(1+jω)に
帰 還 率K0
の 負 帰 還 を掛 け た と き の 周 波 数 特 性
(4)
負帰 還 増 幅 器 の例
〔例1〕 エ ミ ッ タ 抵 抗 に よ る 帰 還 エ ミ ッ タ 接 地 増 幅 回 路 に,エ 掛 か る.図4・6(a),(b)に,そ
ミ ッ タ に 直 列 に 抵 抗REを
接 続 す る と,負
帰還 が
の よ う な 増 幅 回 路 と等 価 回 路 を示 す.こ
れ か
ら,
した が っ て
(4・14a)
負 帰 還 が 掛 か ら な い と き の 特 性 は,上 る.こ
れ か ら,負
る こ と が わ か る.
式 でRE=0と
置 く こ と に よ っ て 得 られ
帰 還 に よ っ て 入 力 抵 抗 は 大 き く,電 圧 利 得 の 絶 対 値 は 小 さ く な
(a) 帰 還 増 幅 回 路
(b) 等 価 回 路
(c) (a)を 書 き な お し た も の 図4・6
REが
エ ミ ッ タ 抵 抗REに
大 きい と,上 式 の 分 母 の う ちh11が
よ る帰 還
省 略 出来 て (4・14b)
と な り,J-TRの
パ ラ メ ー タh11,β
こ の 回 路 は 図(c)と
に 関 係 し な く な る.
書 く こ と も 出 来,伝
達 イ ン ピ ー ダ ン ス帰 還 で あ る こ と が
わ か る. 〔例2〕 伝 達 イ ン ピ ー ダ ン ス 帰 還 の 例 図4・7(a) ほ ぼREI2に な お,こ
は 伝 達 イ ン ピ ー ダ ン ス 帰 還 の 他 の 例 で,出 等 し い 電 圧 が 入 力 側 に 帰 還 さ れ る.し
の 回 路 は,図4・6(c)に
た が っ てkz≒REで
お い て 主 増 幅 器 を3段
も の に な る. し た が っ て,電
と な る.
圧 利 得AvFは
式(4・10)と
力 電 流I2に
同 じく
のJ-TR回
比 例 した あ る. 路 と した
(b) 電 圧 比帰 還
(a) 伝 達 イ ン ピ ー ダ ン ス 帰 還
図4・7 負 帰 還 増 幅 器 の 他 の 例 〔例3〕 電 圧 比 帰 還 の 例 図4・7(b)は,RE《RFと 流 れ,電
圧REIFが
す る と 出 力 電 圧V2に
比 例 し た 電 流IFがRFを
入 力 側 に 帰 還 され る の で 電 圧 比 帰 還 の 性 質 を も つ が,REが
主 増 幅 器 の な か に 組 み 込 ま れ て い る の で,そ
の 解 析 は 面 倒 で あ る.し
還 で あ る こ と は 容 易 に 理 解 出 来 る で あ ろ う.詳 す る こ と が 出 来 る.と
も か く,負
ピ ー ダ ン ス は 大 き く,出
か し,負
帰
しい 特 性 は 等 価 回 路 を用 い て 計 算
帰 還 に よ っ て 電 圧 利 得 は 小 さ く な り,入 力 イ ン
力 イ ン ピ ー ダ ン ス は 小 さ く な る.
〔例4〕 オ ー デ ィオ 増 幅 器 の 例 ス ピ ー カ を 含 む オ ー デ ィオ 増 幅 器 に 負 帰 還 を 掛 け た 例 を図4・8に は 図4・7(b)に
似 て,電
圧 比 帰 還 に 近 い 性 質 を も つ.コ
図4・8
負 帰還 オー デ ィ オ増 幅 器 の例
示 す.こ
ン デ ン サCは
れ
直 流 を遮
断 す る た め に 用 い られ る・RE=5kΩ
に 対 し てCの
す る と,低
周 波 で は 負 帰 還 が 掛 か ら な い の で,相
出 来 る.ま
た,Cの
値 を 大 き くす る と,低
値 を小 さ く0・1μFく
らい に
対 的 に 低 周 波 を強 調 す る こ と が
周 波 か ら 高 周 波 ま で 負 帰 還 が 掛 か り,
広 い 周 波 数 範 囲 に わ た っ て 電 圧 利 得 を フ ラ ッ トに す る こ と が 出 来 る.
問1.
電 圧 比 帰 還 増 幅 器 に お い て,主
路 の 電 圧 比 を0.02と (b)主
す る と き,(a)帰
増 幅 器 の 電 圧 利 得 が,素
っ て-900と
増 幅 器 の 電 圧 利 得 が-1000,帰
還回
還 増 幅 器 の 電 圧 利 得 は どれ だ け か.
子 の 特 性 の 経 年 変 化 の た め に10%
な っ た とす る と,帰 還 増 幅 器 の 電 圧 利 得(絶
対 値)は
小 さ くな 何 % 低下
す る こ と に な る か. 問2.
図4・9の
回 路 は,エ
ミ ッタ接
地 回 路 の コ レ ク タ とベ ー ス の 間 に 接 続 し た 抵 抗RFに
よって 負 帰 還 を掛 け た
回 路 で あ る.等
価 回 路 を用 い て 入 力 抵
抗 お よ び 電 圧 利 得 を表 わ す 式 を導 け.
4・2
帰 還 系 の安 定 性
(1)
安 定 性 の 判 定
第3章
の 図3・2に
例 で は0.5∼20kHz)で が180° と,発
図4・9
コレ ク タか らベ ー ス へ の帰 還
示 す よ う な 周 波 数 特 性 を も っ た 増 幅 器 に,中 負 帰 還 が 掛 か る よ う に す る と,周
進 む た め 正 帰 還 と な る.も
し こ の と き,ル
域 周 波 数(本
波 数 が24Hzで
ー プ利 得 が1よ
は位 相
り大 き く な る
振 を生 ず る.
い ま,本
例 に お い てkv=0.1の
性 は 図4・10に
電 圧 の 位 相 差 は0で で あ る の で,発
電 圧 比 帰 還 を掛 け る と,ル
示 す よ う に な る.入
力 信 号 の 周 波 数 が250Hzの
正 帰 還 に な る が,こ
ー プ利 得 の 周 波 数 特 と き,入
・出 力
の と き の ル ー プ 利 得 は0.01(-20dB)
振 を 生 じ な い.
一 般 に,ル ー プ利 得 が1に
な る と き の 位 相 の180° か ら の ず れ を位 相 余 裕(phase
margin),ま
た 位 相 が180°
得 余 裕(gain
margin)と
の と き の ル ー プ利 得(デ い う.こ
の 例 で は,位
シ ベ ル で 表 わ す)の
相 余 裕 は88°,利
負 値 を利
得 余 裕 は20dB
で あ る.
図4・10
(2)
ナ イ キ ス トの 判 定 法
帰 還 増 幅 器,あ の 関 数 で あ る.ω し,あ
ル ー プ利 得 の 例
る い は 一 般 に 線 形 の 帰 還 シ ス テ ム の ル ー プ利 得L=kAはjω が-∞
か ら+∞
る軌 跡 を え が く.こ
∞ で は 通 常kAは0に
ま で 変 化 す る と き,kAは
れ を ナ イ キ ス トの 軌 跡(Nyquist
複 素 平 面 上 を移 動 plot)と
な る た め(周 波 数 が 無 限 大 で は 電 圧 利 得 は0に
い う.ω=± な る),ナ
イ
キ ス トの 軌 跡 は 一 般 に 閉 曲 線 に な る. 帰 還 系 が 安 定 か 否 か を 判 定 す る 方 法 の1つ criterion)が
あ る.こ
ル ー プ 利 得kAの み,そ
に,ナ
イ キ ス トの 判 定 法(Nyquist
れ は つ ぎ の とお りで あ る.
ナ イ キ ス トの 軌 跡 が 点
「1」 を そ の 内 部 に 含 ま な い と き に の
の 帰 還 系 は 安 定 で あ る.
い ま,主
増 幅 器 の利 得 が
(4・15a)
お よ び,こ
れ を3段
結 合 し た よ う な 周 波 数 特 性 を もつ
(4・15b)
(a)
(b) 図4・11
図4・12
ナ イ キ ス トの 軌 跡
に 負 帰還 を掛 け た ときの 周 波 数 特 性
を考 え る.A0,ω
ん は 正 の 定 数 で,A0は
低 周 波 に お け る利 得 の 絶 対 値,ωhは
折れ
点 角 周 波 数 で あ る. 帰 還 係 数 をkと る.ル
す る.低
周 波 に お い て 負 帰 還 と な る よ う に,kは
ー プ 利 得L1=kA1,L3=kA3は
負 の 実 数 とす
それぞれ
(4・16a)
お よび
(4・16b)
こ れ らの ナ イ キ ス トの 軌 跡 は,そ は 原 点 の 右 側 に あ り,図(a)で はkA0の
れ ぞ れ 図4・11(a),(b)と
図4・12に
な わ ち,kA0/8>0で
後 者,す
な わ ち 主 増 幅 器 の 電 圧 利 得 が 式(4・15b)で
を生 ず る こ とが わ か る.こ 補
償
回
こ でA0=1000と
発 振 は,主
内部 に
表 わ され る
利 得 が 無 限 大 と な り,発
振
し た.
路
負 帰 還 増 幅 器 で 強 い 負 帰 還 を掛 け る と,上 い は 利 得 余 裕)が
は1を
振 を生 ず る.
場 合 の 負 帰 還 増 幅 器 の 周 波 数 特 性 を示 す.kA0=8で
(3)
「1」
は こ れ を 内 部 に含 む こ と は な い が,図(b)で
大 き さ に よ っ て は そ れ が 生 ず る.す
含 む よ うに な り,発
な る.点
に 例 示 した よ う に,位
小 さ くな り,周 波 数 特 性 が 乱 れ,さ
相 余 裕(あ
る
ら に 発 振 す る こ とが あ る.
増 幅 器 の 周 波 数 特 性 に よ っ て 低 周 波 側 ま た は 高 周 波 側 に 生 ず る.
こ れ を 回 避 す る た め に,帰
(a) 回
還 回 路 に 特 別 な 周 波 数 特 性 を も た せ る こ と が あ る.
路
図4・13
(b) 特 遅 相 回 路 とそ の特 性
性
こ れ を 補 償 回 路(compensating
network)と
い い,図4・13,4・14に
そ の例
を 示 す. 図4・13(a)の
帰 還 電 圧 比kvは, (4・17)
折れ点角周波数 は (4・18a)
(4・18b)
kvの
大 き さ お よ び 位 相 の 周 波 数 特 性 は,図(b)に
折 れ 線 表 示).こ
れ は 遅 相 回 路(lag
(a) 回
き さは
よ ば れる.
(b) 特
路 図4・14
図4・14(a)の
network)と
示 す よ う に な る(大
性
進 相 回路 とそ の 特 性
帰 還 電 圧 比kvは (4・19)
折れ点角周波数 は (4・20a)
(4・20b)
kvの (lead
大 き さ お よ び 位 相 の 周 波 数 特 性 は 図(b)に network)と
よ ば れ る.
示 す よ う に な る.進
相回路
精 密 な計 算 に よ る補 償 回 路 の設 計 は面 倒 で あ るが,低 周 波 側 に お け る発 振 また は不 安 定 性 を除 くた め に は 一 般 に遅 相 回 路 が 用 い られ,高
周波 側 に対 して は進 相
回路 が用 い られ る.
4・3 (1)
差 動 増 幅 器 と演 算 増 幅 器 差
動
増
幅
器
差 動 増 幅 器(differential
(a) J-TR差
amplifier)は,図4・15(a),4・16に
(b) 等 価 回 路
動 増 幅 回路 図4・15
2個 のJ-TRの
エ ミ ッ タ(ま
の ソ ー ス)に1個
示 す よ う に,
J-TR差
動 増 幅 回路
た はFET
の 抵 抗 を,各
コ レ クタ
(ま た は ドレ イ ン)に そ れ ぞ れ 抵 抗 を接 続 し,2個
の ベ ー ス(ま た は ゲ ー ト)に そ れ
ぞ れ 入 力 を加 え,2個 ド レ イ ン)か
の コ レ ク タ(ま た は
ら 出 力 を と る も の で あ る.
図4・15(a)はJ-TRを
用 い た差 動
増 幅 回 路 で あ る.両J-TRの
特 性 は等 し
くh11,h21(=β)で
表 わ され,h12,h22は
レ ク タ に 接 続 され る2つ 入 力 端 子1aお
の 抵 抗RCも
よ び1bに
図4・16
FET差
動 増幅 回 路
小 さ くて 無 視 出 来 る も の と す る.ま
た コ
等 し い と す る.
そ れ ぞ れ 交 流 入 力 電 圧V1a,V1bを
加 え,端
子2a
お よ び2bに る.入
生 ず る交 流 電 圧V2a,V2bを
力 電 流 をI1a,I1b,抵
抗REを
出 力 とす る.等
価 回 路 は 図(b)と
流 れ る交 流 電 流 をIeと
な
す る と,
こ れ を解 い て,
REが
十 分 大 き い と,
(4・21)
し た が っ て,
(4・22)
2つ の 出 力 電 圧V2a,V2bは,そ た も の に な り,ま
たV2aとV2bは
の 値 が 十 分 大 き い と 利 得 はREの ま た,V1b=0の
れ ぞ れ2つ
の 入 力 電 圧V1a,V1bの
ち ょ う ど正 ・負 逆 の 波 形 に な る.さ
よ びV1a=0の
の 端 子 か ら の 入 力 抵 抗 とす る と,い
ず れ も2h11と
端 子1a,1b間
加 え,端
電 圧 とす る と,
ら に,RE
値 に は 関 係 し な く な る.
と き のV1a/I1aお
に 入 力 電 圧V1を
差 を増 幅 し
と き のV1b/I1bを
それ ぞれ
な る.
子2a,2b間
の 電 位 差V2を
出力
と な る か ら,電
圧 利 得Avは
式(4・22)に
よ り
(4・23a) ま た,入
力 抵 抗Riは
式(4・21)に
つ ぎ に,V1b=0と
し,端
ら 出 力 電 圧V2(=V2a)を
よ り2h11と
子1aに
な る.
入 力 電 圧V1(=V1a)を
と る と,電
加 え,端
子2aか
圧 利 得Avは
(4・23b)
ま た,端
子2bか
ら 出 力 電 圧 を と る と,電
圧 利 得Avは
式(4・23b)の
符号 を
変 え た も の に 等 し い. 図4・16はFETを
と な る.入
用 い た 差 動 増 幅 回 路 で,RSの
値 が 大 き い と,
力 抵 抗 は 極 め て 大 き い.
端 子1a,1b間 と す る と,電
に 入 力 電 圧V1を
加 え,端
子2a,2b間
の 電 圧V2を
出力 電圧
圧 利 得Avは (4・24a)
ま た ,V1b=Oと る と,電
し,端
子1aに
入 力 電 圧 を 加 え,端
子2aか
ら出力 電 圧 を と
圧 利 得Avは
(4・24b)
と な る.端 (2)
子2bか 演
算
ら 出 力 電 圧 を と る こ と も 出 来 る. 増
幅
演 算 増 幅 器(operational 用 い ら れ た 増 幅 器 で,信 た.当
器 amplifier)は 号 波 形 の 増 幅,反
初 は 個 別 部 品 で つ く ら れ た が,現
も と も と,ア 転,波
ナ ロ グ ・コ ン ピ ュ ー タ に
形 の 加 算,積
在 で はICと
分 な ど に 用 い られ
し て 供 給 され ,用
途 も広 く
な っ て い る. 図4・17は
演 算 増 幅 器 の 内 部 構 造 を 示 す た め の ブ ロ ッ ク 図 で あ る.ま
ず,入
図4・17
力 側 はJ-TRま
た はFETを
用 い た 差 動 増 幅 器 で,2つ
の 段 で さ ら に 信 号 を 増 幅 し,直 幅 し,あ
演 算 増幅 器 の 構 成
流 レベ ル を調 節 し,ド
の 入 力 端 子 を も つ.つ
ぎ
ライ バ に よ っ て 電 力 を 増
る 程 度 の 出 力 を 負 荷 に 与 え る.
入 力 お よ び 出 力 信 号 は 直 流 成 分 を 含 む 非 正 弦 波 形 で あ る こ と を 想 定 して,Vi1 (t),Vi2(t),V0(t)と
記 述 す る・
入 力 側 の 差 動 増 幅 回 路 に お い て,エ ス に 接 続 さ れ る抵 抗RS)の き な 抵 抗 は 造 り に くい.バ J-TRを
ミ ッ タ に接 続 され る 抵 抗RE(ま
値 は 十 分 大 き い こ と が 望 ま しい が,集 イ ポ ー ラICの
場 合,こ
用 い た 定 電 流 回 路 が 組 み 込 ま れ る.そ
図4・18
IB,IEと
VBEは
す る と,回
示 す.図(a)は
定 電 流 回路
ー ス お よ び エ ミ ッ タ を流 れ る 直 流 分 を 含 む 電 流 を
路方程式 は
ベ ー ス ・エ ミ ッ タ 間 電 位 差 で,活
IC0 を0と
代 わ りに
(b) 定 電 流 回路(2)
(a) 定 電 流 回 路(1)
簡 単 な 定 電 流 回 路 で あ る.ベ
積回路で は 大
の た め に 抵 抗REの
の 例 を 図4・18に
たはソー
す る と,IB=(1-α)IEで
性 状 態 で は ほ ぼ 一 定 の 値 を も つ. あ る か ら,
コ レ ク タ 直 流 電 流10は10=αIE≒IE.
し た が っ てI0は
値 に 関 係 し な い.こ
れ が 定 電 流 回 路 で あ る.こ
代 わ りに 用 い る.す
な わ ち,PQの
図(b)は
ま ずI1,I2を
の 回 路 を 図4・15(a)のREの
間 に 入 れ る の で あ る.
も っ と 巧 妙 な 回 路 で あ る.コ
電 圧 降 下 をVDと
エ ミ ッ タ の 電 圧VEの
レ ク タ 電 流I0の
値 は,ダ
イ オ ー ドの
して,
求 め,こ
れ か らI0=β(11-I2)を
求 め る と,
こ こ で, (4・25) と す る と,
(4・26)
と な る.VBE,VDは1つ
のICの
チ ッ プ の 中 で は そ の 値 は ほ ぼ 等 し く,ま
係 数 も 同 じ で あ る の で,R1=R2と (式 中VDの
代 わ りに2VDと
足 させ る こ とが 出 来 て,I0は
し,か な る)と,温
つ ダ イ オ ー ドを2個
直 列 と して 用 い る
度 が 変 化 し て も 条 件 式(4・25)を
で あ っ て,J-TRの
小 さ くす る こ と に よ っ て 大 き く す る こ と が 出 来 る.す
理 論 に よれ ば,エ
ミ ッ タ 抵 抗reは
の 式(1・8),す
なわ ち
レク
な わ ち,
近 似 的 に エ ミ ッ タ ・ベ ー ス
接 合 に 順 バ イ ア ス を加 え た と き の 交 流 抵 抗 に 等 し い.pn接 は,第1章
満
一 定 の 値 を 保 つ.
バ イ ポ ー ラ差 動 増 幅 器 の(し た が っ て 演 算 増 幅 器 の)入 力 抵 抗2h11は,コ タ 直 流 電 流ICを
た温 度
合 の 電 圧 ・電 流 特 性
で,こ
れ を エ ミ ッ タ 電 流 と 考 え る と,
式 中Iは
コ レ ク タ 直 流 電 流ICに
T=290Kと
ま たrbは
ほ ぼ 等 しい.
す る と,kT/e=0.025〔V〕
あ ま りICに
ぼ(β+1)reに
で,ICを
は 関 係 し な い.し
等 し く,入
〔mA〕
た が っ て,ICを
の 単 位 で 表 わ す と,
小 さ くす る と,h11は
ほ
力 抵 抗Riは
と な る. β=100と 1/100に
し て,IC=0.5mAで 減 ら して5μAと
はRi=10kΩ
で,あ
す る とRiは100倍,す
ま り大 き く な い が,ICを
な わ ち1MΩ
とす る こ とが
出 来 る. 演 算 増 幅 器 は 通 常,信 幅 す る.図4・19は
号 周 波 数 が 直 流 か ら あ る 程 度 まで 高 い 周 波 数 の 電 圧 を 増
演 算 増 幅 器 の 記 号 で,こ
こ で は 入 力 端 子A,B,出
力 端 子C
お よ び 接 地 端 子 の み が 示 され て い る.入 力 端 子 に つ け た 記 号"-","+"は,入 力 端 子Aか
ら入 っ た 信 号 が 出 力 端 子Cで 図4・19
反 転 出 力 され,Bか
で 出 力 さ れ る こ と を 表 わ し て い る.ま 加 え た と き に は,両
演 算 増幅 器 の記 号
ら入 っ た 信 号 は 同 相 た,端
子A,Bに
者 の 差 に 比 例 し た 電 圧 がCに
そ れ ぞれ 別 の入 力 電圧 を
出 力 され る.
演 算 増 幅 器 は さ ら に つ ぎ の 性 質 を も つ. (a)
利 得 の 絶 対 値 は 極 め て 大 き い(理
想特性―
∞)
(b)
入 力 イ ン ピ ー ダ ン ス は 極 め て 大 きい(理
想特性―
∞)
(c)
出 力 イ ン ピ ー ダ ン ス は 極 め て 小 さい(理
想 特 性 ―0)
そ の た め,カ
ッ コ 内 に 示 し た 理 想 特 性 を 仮 定 して,回
路 の 解 析 をす る こ とが 出
来 る. (3)
演 算 増 幅 用IC
演 算 増 幅 用ICの ポ ー ラ形,後
例 と して,μA741お
者 はJ-FET入
はば ら つ き が 大 き い の で,標
μA741の
性 は 同 じ で あ る.図(c)は
明 で あ る.オ
フ セ ッ ト と は 両 入 力 端 子 の 電 位 差 が0の の よ うに ピ ン1と5の
と き の 出 力 電 圧 が0に
形
オ フ セ ッ ト調 整 の 説 な
間 に 抵 抗 器 と電 源(― 側)を 接 続 し,入
力
な る よ う に,抵
抗 器 の タ ッ プ の 位 置 を調 整 す
(b) ピ ン の 接 続
(c) オ フ セ ッ ト調 整 図4・20
形 に はD
と き に も 出 力 電 圧 が0に
る.
(a) 外
の値 は温 度 や 負
外 形 お よ び ピ ン の 接 続 図 を示 す.外
イ プ が あ る が,特
電 圧 が0の
た,こ
者 はバ イ
圧利得 など
件 の 説 明 は 省 略 す る.
タ イ プ とTタ
ら な い こ と で,図
説 明 す る.前
そ の 特 性 を示 す.電
準 値 ま た は 最 小 値 を示 す.ま
荷 抵 抗 な ど の 条 件 に よ っ て 変 わ る が,条 図4・20(a),(b)に
よびLF441を
力 形 で,表4・1に
演 算 増 幅 用ICμA741
表4・1
4・4
演 算 増 幅器 の応 用
(1)
増
幅
器
演 算 増 幅 器 は 通 常,安 4・21に
定 な 利 得 を得 る た め に 強 い 負 帰 還 を掛 け て 使 用 す る.図
そ の 例 を示 す.図(a)は
を反 転 した も の に な る.演 は 極 め て 大 き く,出
演 算 増 幅 用IC
逆 相 増 幅 器 で,出
力 電圧 波 形 は入 力 電 圧 波 形
算 増 幅 器 の 利 得 は 極 め て 大 き く,入
力 イ ン ピー ダン ス
力 イ ン ピ ー ダ ン ス は 極 め て 小 さ い の で,回
路 の解 析 に 当 た っ
て つ ぎ の 仮 定 を す る. (a)
有 限 の 出 力 を生 じ て い る と き,2つ
の 入 力 端 子 間 の 信 号 電 位 差 は0で
あ
る. (b)
2つ の 入 力 端 子 に 流 れ る 電 流 は い ず れ も0で
(c)
出 力 電 圧 の 大 き さ は 負 荷 に 無 関 係 で あ る.
図(a)で で あ る.有 る.入
は2つ
あ る.
の 入 力 端 子 に 加 わ る 電 圧 を そ れ ぞ れVa,Vbと
限 の 出 力 電 圧 を生 じて い る の でVa-Vb≒0,し
力 電 圧V1に
よ っ て 抵 抗R1,R2を
また
流 れ る 電 流I1,I2は
ゆ え に,入 力抵 抗Riお
よび 電圧 利 得Avは
す る と,Vb=0
た が っ てVa≒0で
あ
(4・27)
と な る. 図(b)は
同 相 増 幅 器 で,電
(a) 逆 相 増 幅 器
圧 利 得Av
は
(4・28)
図(c)は
ボ ル テ ー ジ ・フ ォ ロ ワ(volt
age follower)と
よ ば れ る 回 路 で,電
利 得Avは+1に
圧 (b) 同 相 増 幅 器
等 し い.
演 算 増 幅 用ICは,表4・1に う に 帯 域 幅 が 狭 く,μA741で の 程 度,LF441で
示す よ は100HZ
もほ ぼ 同 様 で あ るが
,
(c) ボ ル テ ー ジ ・フ ォ ロ ワ
強 い 負 帰 還 に よっ て 高 い 周 波 数 まで 増 幅 図4・21
が 出 来 る よ うに な る. 負 帰 還 に よ る 発 振 を 防 ぐ た め に,位 がICの (2)
相 補 償 が 必 要 に な る こ と が あ る.補
内 部 に 組 み 込 ま れ て い る も の と,必 加
算
負帰 還 増 幅 器
償 回路
要 に 応 じ て 外 付 け す る も の と が あ る.
器
加 算 器(summing
amplifier)の
形 をv1(t),v2(t)と
し,出
原 理 を図4・22に
力 電 圧 をv(t)と
図4・22
す る.時
加 算 回路
示 す.2つ
の入 力 電 圧 の波
間 と と もに変 化 す る任 意 の
波 形 を 取 り扱 うの で,こ
の よ う に 記 述 す る,同
様 に 各 部 の 電 流 をi1(t),・・・
と
す る.
ゆ え に,
(4・29)
す な わ ち,出 力 電圧 は2つ の入 力 電圧 に それ ぞ れ の 重 み を掛 け て 加 えた もの に な る. (3)
対 数 増
入 力 電 圧v1(t)に
幅 器 対 して (4・30)
と い う出 力 を得 る(K1,K2は )で あ る.図4・23に
定 数)よ う な増 幅 器 が 対 数 増 幅 器(logarithmic こ の 例 を示 す.
ダ イ オ ー ドDの 電 圧vDと ず れ もtの
関 数)の
電 流 をIsと
で あ っ て,vDが
で
関 係 は,逆
方 向飽 和
して
あ る 程 度 大 き い と,
あ る.i1(t)=iD,vD=-v2(t),v1(t)=Ri1(t)で
と な る.
電 流iD(い
図4・23
あ
る か
対数増幅器
ら,
amplifier
と お く と式(4・30)が な お,1nは (4)
積
得 られ る.
自 然 対 数,l0gは 分
常 用 対 数 で あ る.
器
積 分 器(integrator)の
回 路 を 図4・24に
示 す.
図 4・24 積 分 回 路
vC(t)=-v2(t),iC(t)=i1(t)=v1(t)/Rで
あ る か ら,出
力 電 圧v2(t)は
(4・31) と な る.す
な わ ち 入 力 電 圧 波 形v1(t)を
問3. 図4・25の
時 間 に つ い て 積 分 し た も の に 比 例 す る.
同相 増 幅 器 の 電圧
利 得 お よび 入 力抵 抗 を表 わ す 式 を 導 け.
図 4・25
4・5 電 力 増 幅 の 理 論 (1)
A級 増 幅 とB級
電 力増 幅 器(power
増幅
amplifier)は,与
え られ た負 荷 に信 号 電 力 を供 給 す る こ と
を 目的 と す る も の で,図4・8の オ 信 号 を増 幅 し,ス を,効
率 よ く,ひ
最 終 段 が これ に 相 当 す る.こ
の回 路 は オ ー デ ィ
ピ ー カ に 電 力 を 供 給 す る も の で あ る が ,最
終 段 は信 号 電 力
ず み な く負 荷 に 伝 え る よ う に 設 計 され る.
簡 単 な 電 力 増 幅 回 路 の 例 を 図4・26に
示 す.J-TRの
代 わ り にFETを
用い
て も よ い.
(b) 変 成器 結 合
(a) 並 列 給 電
(c) 同 調 増 幅 器 図4・26
図(a)は
チ ョ ー ク コ イ ルLと
流 分 は 直 流 電 源 の 方 を,交
A級
電 力増 幅 回路
結 合 コ ン デ ン サCに
流 分 は 負 荷RLの
十 分 小 さ く な る よ う に 設 計 さ れ る.し 供 給 され る . 与 え られ たJ-TRま
方 を通 り,か
た が っ て,交
た はFETと
効 率 よ く大 き な 出 力 を 取 り出 す た め に は,最 図(b)は 数 比nを
図(a)に
似 て い る が,RLの
適 当 に 定 め る こ と に よ っ て,最
こ の と き の 変 成 器 は,第2章
よ っ て,コ つCの
レク タ電 流 の直 交流電圧降下 は
流 電 力 は 全 部 負 荷 抵 抗RLに
与 え ら れ た 直 流 電 源 を用 い て, 適 な 負 荷 抵 抗 の 値 が あ る.
値 が 定 ま って い る とき に も変 成 器 の巻 適 な 状 態 に す る こ と を 可 能 に し て い る.
で 述 ベ た 整 合(イ
ン ピ ー ダ ン ス 整 合 と も い う)と
異 な っ た 用 い か た に な る. 図(c)は
同 調 増 幅 器 で,増
と ほ ぼ 同 様 な 性 質 を も つ.
幅 さ れ る 周 波 数 帯 域 が 狭 い こ と を除 く と,図(b)
は
こ れ ら の 回 路 で,適 ア ス 電 圧VBBを に 対 し て,コ 27に
当 な大 き さの バ イ
用 い る と,正
弦 波入 力
レ ク タ 電 流 の 波 形 は 図4・
示 す よ う に,ほ
こ れ をA級(class
ぼ 正 弦 波 状 に な る.
A)動
作,ま
た はA級 図4・27
の バ イ ア ス,そ
し て 回 路 をA級
A級
動作
増幅回路
と い う. こ れ に対 して 図4・28(a)に い な い た め,理 形 は 図(b)に
示 した 回 路 で は,ベ
想 特 性 を 仮 定 す る と,正
ー ス に 直 流 電圧 が加 わ っ て
弦 波 入 力 に 対 して コ レ ク タ 電 流ICの
示 す よ うに 正 弦 波 の 上 半 分 に な る.こ
れ をB級(class
B)動
波 作 と
い う.
(b) ICの 波 形
(a) B級 バ イ ア ス 図4・28
後 に 示 す よ う に,FETま を させ て,全
A級
図4・29に
値 はVCCに は(VCC,I0)で
た はJ-TRを2個
組 み 合 わ せ,お
B
push-pull
amplifier)と
の お の にB級 れ をB級
い う.
増 幅 の理 論 示 し たA級
幅 器 を 考 え る.入 タ 電 流 をI0と
動作
体 と し て ひ ず み の な い 増 幅 を行 う 回 路 が あ る.こ
プ ル 増 幅 回 路(class (2)
B級
ベ ー ス接 地 増
力 が な い と きの コ レク
す る.こ 等 し い.す あ る.つ
特 性 と して 図4・30(a)に
の と き,VCBの な わ ち,静
止点
ぎ に,J-TRの 示 した 理想
図4・29
A級
電 力増 幅
動作
プ ッシ ュ
(a) 理 想 特 性
(b) エ ミ ッ タ 接 地 特 性 図4・30
特 性 を仮 定 す る.こ
A級
こ で はIC-VCB特
動 作
性 が,エ
ミ ッ タ 電 流IEに
対 応 す る水 平
線 群 で 表 わ され て い る. 正 弦 波 入 力 が 加 わ る と,エ 変 化 し,こ る.コ
れ がRLを
ミ ッタ 電 流IEが
レ ク タ 電 流ICも
流 れ る こ と に よ っ て コ レ ク タ ・ベ ー ス 間 電 圧VCBも
レ ク タ 電 流 の 変 化 量 を ⊿IC,そ
の 変 化 量 を ⊿VCBと
変 化 す る た め,コ
変 化す
れ に よ っ て 生 ず る コ レ ク タ ・ベ ー ス 間 電 圧
す る と, (4・32)
と な る.ICとVCBの
関 係 は,静
止 点Qを
通 り,傾 斜 が ⊿IC/⊿VCB=-1/RLの
直 線 で 表 わ され る. こ の よ う に して,理 は,VCBが0か る.こ
想 特 性 を仮 定 す る と,ひ
ら2VCCの
間 を,ICが2I0か
ず み が 生 じ ない範 囲 で の最 大 出 力 ら0の
間 を変 化 す る と き に 生 ず
の た め に は 負 荷 抵 抗 と し て,
(4・33)
を 用 い る と よい.ま がI0,コ
た こ の と き,最
大 出 力Pmaxは,コ
レ ク タ ・ベ ー ス 間 交 流 電 圧 の 波 高 値 がVCCで
レ ク タ交 流 電 流 の波 高値 あ る か ら, (4・34a)
ま た,電 源VCCの
供 給 す る電 力PSは
(4・34b)
電 源VBBの
供 給 す る 電 力 は 小 さい の で 無 視 す る と,最
電 力 の 半 分 が 交 流 出 力 と な る.つ 分 はJ-TRが
消 費 し,J-TR自
出 力 が0の
ま り,電
J-TRの
ベ ー ス 接 地 特 性 は,上
性 は 図4・30(b)の
よ うに,コ
に 述 ベ た よ う な 理 想 に 近 い が,エ レ ク タ 電 流 の 最 小 値 は0で
タ ・エ ミ ッ タ 間 電 圧 の 最 小 値 も0で 率 も上 記 よ りは 小 さい.ソ
B級
は な い.し
ー ス 接 地FET増
値 は あ ま り小 さ く な ら ず,最 B級
れ は全
ミ ッタ接 地 特
は な く,ま
た が っ て,最
たコレク
大 出力 や 最大 電 力効
幅 回 路 につ い て もほ ぼ同 様 で あ るが
大 効 率 は 一 般 にJ-TRの
場 合 よ り も 小 さい.
増 幅 の理 論
プ ッ シ ュ プ ル 増 幅 回 路 の 例 を図4・31(a)に
地J-TRプ
力 の あ と半
と き に は 電 源 の 供 給 し な け れ ば な ら な い 電 力 は 変 わ ら ず,こ 加 熱 に 費 や され る.
(3)
で あ る,電
身 が 加 熱 され る.
部J-TRの
Vminの
大 出 力 の状 態 で は 供 給
力 効 率 は50%
示 す.こ
れ はB級
ベ ー ス接
ッ シ ュ プル 増 幅 回 路 で あ る.
(a) プ ッ シ ュ プ ル 増 幅 回 路 図4・31
(b) B級 動 作 B級
プ ッ シ ュ プル 増 幅
こ こ で も 理 想 特 性 を仮 定 す る.交
流 入 力 電 圧 が 加 わ ら な い と き は,VCB=VCC,
IC=0で,こ
弦 波 入 力 が 加 わ る と,両J-TRの
れ が 静 止 点 で あ る.正
は 交 互 に 正 弦 波 の 半 分 の 電 流 が 流 れ る.T1に だ け 変 化 し た と き,コ を2n:1と
す る と き,
電 流 が 流 れ,コ
レ ク タ ・ベ ー ス 間 電 圧 の 変 化 量 ⊿VCBは
コ レク タ に
レ ク タ 電 流 が ⊿IC ,変
成 器 の巻 数 比
(4・35a) と な る.ま
たVCBが0(こ
⊿IC=I0)と
の と き ⊿VCB=-VCC)の
と き のICをI0(す
な わ ち
す る と,
(4・35b)
で あ る.T2に
電 流 が 流 れ る と き も 同 様 で あ る.
最 大 出 力Pmaxは,交
流 電 流 の 波 高 値 がI0,交
流 電 圧 の 波 高 値 がVCCの
とき
で あ る の で, (4・36a)
こ の と き,電
源VCCを
流 れ る 直 流 電 流IDは
電 源 の供 給 す る電 力PSは (4・36b)
こ の と き 電 力 効 率 はPmax/PS=78.5% 電 源 が 供 給 す る 電 力PSは で あ る.J-TR自 J-TRの
で あ る.
出 力 に よ っ て 変 化 し,出
身 の 加 熱 に 使 わ れ る 電 力 は,出
ベ ー ス 接 地 特 性 は,A級
力 が0の
と き に はPSも0
力 の 大 き さ に よ っ て 変 化 す る.
で は 式(4・34a,b),B級
で は 式(4・36a,b)
が 成 り立 つ と い う意 味 で,電
力 増 幅 用 と し て 理 想 に 近 い.理
き の,A級
プ ッ シ ュ プ ル 電 力 増 幅 器 の 特 性 の 比 較 を表4・2に
示 す.と
電 力 増 幅 器 とB級
も に 最 大 出 力 をPmaxと
素 子 の 損 失PC,最
想 特 性 を仮 定 し た と
し,こ れ を 出 力 す る た め に 必 要 な 電 源 の 電 力PS,
大 出 力 時 の 電 力 効 率 η を 示 す.
表4・2
A級 とB級 の比 較
実 際 のJ-TRやFETの や 電 力 効 率 も,こ 出 力 が0の (4)
特 性 は,こ
れ よ りは 小 さ く な る.ま
出 力
に な る.入
大 出力
増 幅 回路 で も
は な い.
と ひ ず み 力 電 圧 と出力 電圧
お よ び ひ ず み の 関 係 は 図4・32の
よ う
力 電 圧 が 小 さい う ち は,出
電 圧 は 入 力 電 圧 に 比 例 し,ひ
J-TRで
た 後 に 示 す よ う に,B級
と き の 電 源 か ら の 入 力 は 完 全 に0で
実 際 の 回 路 で は,入
な い.し
の よ う に 理 想 的 で は な い の で,最
力
ずみ は生 じ
か し,入 力 電 圧 が 大 き く な る と, は お も に コ レ ク タ 電 流,FETで
は ドレイ ン電 流 の遮 断 お よび 飽和 の た め に ひ ず み を 生 じ,出 る.第3章
図4・32 入 力電 圧 対 出 力電 圧 特 性 と ひず み
力電 圧 は頭 打 ち とな
で 述 ベ た よ う に,通
常 ひ ず み 率 が10%
の と きの 出 力 を最 大 出 力 とす
る.
問4.
図4・26(b)のA級
流 の 最 大 値 を0.5A,負
電 力 増 幅 回 路 に お い て,VCC=6V,コ 荷 抵 抗 の 値 をRL=6Ω
す る た め の 理 想 変 成 器 の 巻 数 比nを J-TRの
理 想 特 性 を 仮 定 し,入
4・6
電 力 増 幅 回 路 の例
(1)
A級
35b)の
力 を最 大 と
た 最 大 出 力 は どれ だ け か.
力 信 号 は 正 弦 波 と す る.。
エ ミ ッ タ 接 地J-TR電
力 増 幅 回 路 の 例 を示 す.理
大 出 力 を得 る た め に は 静 止 点I0とVCC,RL,nの
関 係 が あ れ ば よ い.I0はR1,R2に
い ま,VCC=10V,I0=1Aと =5Wと
とす る と き,出
電力 増 幅 回 路
図4・33にA級 定 す る と,最
求 め よ.ま
レク タ電
な る.
想特性 を仮
間 に は,式(4・
よ っ て 決 ま る.
す る と,n2RL=10Ω,最
大 出 力(理 論 値)はPmax
図4・33 A級 電 力増 幅 回路 の 例
(2)
B級
プ ッシ ュプル 電力 増 幅 回路
図4・34は
エ ミ ッ タ 接 地B級
はVBB=0と
し た が,こ
プ ッ シ ュ プ ル 電 力 増 幅 回 路 の 例 で あ る.前
れ で は 実 際 に は,J-TRのIC-VBE特
形 に 基 づ く ひ ず み を生 ず る.こ
性 で あ る.特
(a) IC-VBE特
性 の下 部 の非 線
れ をつ な ぎ 目 ひ ず み とい う.
図4・35(a)はJ-TRのIC-VBE特
図4・34
節 で
性 を 下 方 に延 長 し て 横 軸
プ ッシ ュ プル 電 力増 幅 回路 の例
性
図4・35
(b) つ な ぎ 目 ひ ず み つ な ぎ 目ひ ず み の 説 明
と の 交 点 をVBE0と 34に
す る.図(b)は
お い てVBB=0と
し た と き の 出 力 電 圧 の波 形 で あ る .つ
く す る た め に は,図4・34に な お,VBBと
つ な ぎ 目 ひ ず み の 波 形 を示 す も の で,図4・
お い てVBB=VBE0と
路 はA級
動 作 を させ る こ と も 出 来 る.
プ ッ シ ュ プル 増 幅 回 路 と な る.ま
級 との 中 間 に 選 ぶ こ と も 出 来 る.こ (3)
す れ ば よ い.
し て も っ と大 き な 値 を用 い て,A級
こ の と き,回
れ をAB級
な ぎ 目ひ ず み をな
た,バ
イ ア ス をA級
とB
と い う.
省 変 成 器 電 力 増 幅 回路
入 力 側 お よ び 出 力 側 に 変 成 器 を用 い な い 電 力 増 幅 回 路 を省 変 成 器 電 力 増 幅 回 路 (transformerless
power amplifier)と
を 省 い て 直 接 負 荷 を接 続 す る と,負 ル 増 幅 の 場 合 に は,図4・36に う に,ス
い う.図4・33に
お い て,出
荷 に は 直 流 電 流 も流 れ る.ま
た,プ
力変成器 ッシ ュ プ
示 す よ
ピ ーカ の 音 声 コイ ル に 中間 タ ッ
プ を 設 け て 接 続 す る.し 直 流 電 流 が 流 れ て,発
か し,こ
れ に も
熱 お よび 電 力 の 損
失 を 生 ず る. これ を改 良 し た も の が 図4・37に
示
図 4・36
(a) 通 常 の 回 路
(b) 相補 性回 路
図 4・37 シ ン グ ル エ ン ド・プ ッ シ ュ プ ル 増 幅 回 路
す シ ン グ ル エ ン ド ・プ ッシ ュ プ ル 電 力 増 幅 回 路(single-ended amplifier)で
push-pull
power
あ る.
図(a)は2個 よ っ て,各J-TRに
のJ-TRが
直 列 に 接 続 され,入
交 互 に 電 流 が 流 れ,出
力 側 変 成 器 の2個
の2次
力 変 成 器 を必 要 と しない .
巻線 に
図(b)は
相 補 性 プ ッ シ ュ プ ル 増 幅 回 路 で,pnp形
タ ・エ ミ ッ タ 間 を 直 列 に 接 続 し て い る.両 られ る が,特
とnpn形
性 の 相 違 に よ っ て 両 者 は 交 互 に 導 通 す る.こ
相 補 性 の ペ ア は,こ
コ レク
者 の ベ ー ス に は 同 じ位 相 で 入 力 が 加 え
び 出 力 側 の 変 成 器 を な くす る こ と が 出 来 る.第1章1・5,1・6で FETの
のJ-TRの
れ に よっ て 入 力 側 お よ 述 ベ たJ-TR,
の よ う な相 補 性 プ ッ シ ュ プ ル 増 幅 回 路 の 素 子 と し て
用 い られ る.
(4)
C級
電力増幅回路
正 弦 波 入 力 に対 して,そ の 半波 よ りも短 い期 間 だ け電 流 を流 す もの が,C級 幅 器 で あ る.こ れ はB級 図4・26(c)の
よ りも さ らに 電 力効 率 が よい.
同 調 増 幅 回 路 は,B級
弦 波 入 力 に対 す るB級
増
また はC級
で用 い る こ と も出来 る.正
また はC級 の電 流 波 形 は多 くの高 調 波 を含 む が,基 本 周 波
数 に同 調 させ る と,正 弦 波 出力 を生 ず る.な お,C級
で は 出力 電圧 の大 き さは入
力 電圧 に比 例 しな い の で,オ ー デ ィオ増 幅 回路 に は使 用 出来 ず,利 用 範 囲 は限 ら れ る.
4・7 直 流 増 (1)
幅 器
簡 単 な 増 幅器 の特 性
直流 増 幅 器 は極 め て低 い周 波 数,あ
るい は直 流 成 分 を含 む信 号 を増 幅 す る もの
で あ る. 図4・38に
示 し たJ-TR増
交 流 信 号 に 対 す る 電 圧 利 得Avは 14a),す
幅 回路 の 式(4・
なわち
で あ っ て,低 周 波 の利 得 を低 下 させ る原 因 が な い の で,直 流 成 分 を含 む 低 周 波 信 号 を増 幅 す る こ とが 出来 る.し か し これ は直 流 増 幅 器 と して 多 くの 欠 点 を もつ.
図4・38 簡単 な 直 流 増幅 回路
ま ず,入 vi(t)に
力 電 圧 は ベ ー ス に 加 え ら れ る.し
等 しい.コ
レ ク タ 電 圧VC=v0(t)を
の 関 係 は 温 度 の 変 化,電 化 し,入
る 多 段 増 幅 を 行 え ば よ い が,そ て 増 幅 さ れ る の で,静 (2)
特 性 の 経 年 変 化 な どに よっ て変
力 電 圧 が 一 定 で も 出 力 端 子 の 電 圧=V0(t)は
変 動 す る.こ
示 し た よ う に,REの
の と き利 得 も 小 さ く な る.大
入 力 電圧
出 力 電 圧 と考 え る と,vi(t)とv0(t)
源 電 圧 の 変 動,J-TRの
くす る に は,第2章2・10(4),(5)で よい が,そ
た が っ て ベ ー ス 電 圧VBは
の変 動 を少 な
値 を大 き く す る と
き な利 得 が 必 要 な場 合 に は直 接 結 合 に よ
うす る と前 段 の 出 力 電 圧 の 変 動 が 次 段 に 伝 え られ
止 点 の,し
た が っ て 出 力 の 変 動 も増 幅 され る.
差 動 増 幅 器 と演 算 増 幅 器
差 動 増 幅 器 と演 算 増 幅 器 は,直 ち,図4・15(a)の
流 増 幅 器 と し て 好 ま しい 性 質 を も つ.す
よ うな 差 動 増 幅 器 は,図4・38の
(a) ブ ロ ッ ク 図
(b) 各部 の 波形 図4・39
チ ョ ッパ 形 直 流 増幅 器
回 路 を2個
なわ
組み合わせ た
も の で,REの
た め に 静 止 点 の 変 動 が 小 さ く,か
つ 電 圧 利 得 は 式(4・23a),す
な
わ ち
と な っ てREの
影 響 を受 け ず,REに
よ る利 得 の 低 下 は 生 じ な い.
ま た,演
算 増 幅 用ICの
い の で,こ
れ に 適 当 な 負 帰 還 を掛 け る こ と に よ り,安
直 流 増 幅 器 に は,こ に 示 す . 図(a)に 入 力 信 号vi(t)を 行 い,の
多 くは 入 力 側 が 差 動 増 幅 器 の 構 成 を も ち,利
各 部 の 波 形 を示 す.直
れ を 図4・39 流 成 分 を含 む
チ ョ ッ パ ま た は 変 調 器 に よ っ て 交 流 信 号 に 変 換 し,交
ち整 流 に よ っ て も と の 波 形v0(t)に
チ ョ ッ パ に は,機
定 し た 直 流 増 幅 が 出 来 る.
の ほ か に チ ョ ッパ 形 ま た は 変 調 形 が あ り,こ
ブ ロ ッ ク 図 を,図(b)に
得 も大 き
流増幅 を
戻 し て い る.
械 的 な ス イ ッ チ の 断 続 に よ る も の と,電
子 回 路 に よって スイ
ッ チ ン グ を行 う も の と が あ る.
4・8
オ ー デ ィオ増 幅器 と ビデ オ増 幅器
(1)
オ ー デ ィオ増 幅器
オ ー デ ィ オ 信 号(audio れ は 抵 抗 負 荷J-TRま
signal)は20∼20000Hzの
た はFET増
幅 器 で十 分 カ バ ー 出 来 る.ま
は コ ン デ ン サ 結 合 を用 い る の が 普 通 で あ る が,直
(a) 低 周 波 強 調 図4・40
周 波 数 範 囲 を も つ が,こ た,多
段増 幅に
接 結 合 や 変 成 器 結 合 も用 い られ
(b) 高 周 波 強 調 オ ー デ ィオ増 幅 器 の 音 質 調 整
る. 周 波 数 範 囲 は よ り狭 く制 限 され る こ と も あ る.ま
た,利
な 周 波 数 範 囲 で フ ラ ッ トに す る こ と が 原 則 で あ る が,時 調 す る こ と も あ る.こ R1,C2に
得 の 周波 数特 性 は必 要 に は 低 周 波 や 高 周 波 を強
れ を 音 質 調 整 とい い,そ の 例 を 図4・40に
示 す.図(a)は
よ っ て 高 周 波 を 減 衰 さ せ,相 対 的 に 低 周 波 を強 調 す る.図(b)は
を 減 衰 させ る こ と に よ っ て,相
対 的 に 高 周 波 成 分 を 強 調 す る.こ
の 値 ま た は タ ッ プ の 位 置 を 変 え る こ と に よ り,周 (2)
低周波
れ ら は 抵 抗R1
波 数 特 性 が あ る程 度 変 化 す る.
デ カ ップ リ ン グ
多 段 増 幅 を 行 う と き,電
源 の 内 部 イ ン ピ ー ダ ン ス を 通 して 帰 還 が 掛 か り,増
が 安 定 に 行 わ れ な く な る場 合 が あ る.こ カ ッ プ リ ン グ(decoupling)で ン グ の 例 で,R3,C3に て い る.す
電 流 はC3を
あ る.図4・41は
還)を
避 け る の が,デ
オ ー デ ィオ 増 幅 器 の デ カ ッ プ リ
よ っ て こ れ を行 っ
な わ ち,C3の
く し て お く と,J-TRを
の よ うな 結 合(帰
幅
値 を十分 大 き 流 れ る交 流 信 号
通 っ て 流 れ,直
流 電 源 の方
に は 流 れ な い. (3)
ビ デ オ 増 幅 器
テ レ ビ ジ ョ ン の ビ デ オ 信 号(video
nal )は,直
流 か ら4MHzま
sig
図4・41
デ カ ップ リン グ
で の周 波 数 を含 ん で い る.こ の よ うな広 い 周 波 数 範
囲 に及 ぶ 信 号 を増 幅 す るに は,普 通 の抵 抗 負 荷 増 幅器 で は不 十 分 で,ま
ず小 さな
負 荷 抵 抗 を用 い て利 得 の減 少 と引 き換 えに高 周 波 特 性 を よ く し,さ らに,高 周 波
(a) 並 列 ピ ー キ ン グ
(b) 直 列 ピ ー キ ン グ
図4・42 高 周 波 特 性 の 改 善 法
特 性 を 改 善 す る 回 路 を用 い る.図4・42は 図(a)は
並 列 ピ ー キ ン グ(shunt
後 段 のJ-TRの
そ の 例 で あ る.
peaking)と
出 ・入 力 容 量 と浮 遊 容 量 の 和 で,こ
低 下 す る の を,回 い る.LとCは(Rが
よ ば れ る 回 路 で あ る.Cは
の た め高 周 波 にお け る利 得 が
路 に 挿 入 し た コ イ ル の 自 己 イ ン ダ ク タ ン スLに 大 き い た め)Qの
低 い(Qは
前 ・
通 常1以
よ っ て 補 償 して
下)並
列共 振 回路 を
構 成 す る. 図(b)は
直 列 ピ ー キ ン グ(series
の 入 力 容 量 と浮 遊 容 量 の 和)の 段 のJ-TRの
peaking)で,コ
イ ルLとC2(次
段J-TR
直 列 共 振 に よ っ て 高 周 波 特 性 を 改 善 す る.C1(前
出 力 容 量 と浮 遊 容 量 の 和)の
値 も特 性 に 関 係 す る.
テ レ ビ受 像 機 の ブ ラ ウ ン管 を駆 動 す る た め の ビ デ オ 増 幅 器 の 例 を 図4・43に 示 す.L1は
直 列 ピ ー キ ン グ用 コ イ ル,L2は
キ ン グ を併 用 し て い る.R1,R6は よ び 輝 度 調 整(直 信 号 は,受
並 列 ピ ー キ ン グ 用 コ イ ル で,両
そ れ ぞ れ コ ン トラ ス ト調 整(利
流 レ ベ ル を 変 え る)用
の 可 変 抵 抗 器 で あ る.増
像 管 の カ ソ ー ドに 加 え られ る.グ
れ 負 お よ び 正 の 直 流 電 圧 が,ア
図4・43
4・9 高 周 波 増 幅 回 路 (1) 単 同 調増 幅 回 路
リ ッ ド(1)お
得 を変 え る)お 幅 され た ビ デオ
よ び(2)に
ノ ー ドに は 直 流 高 電 圧 が 加 え ら れ る.
ビ デ オ増 幅 器
ピー
はそれぞ
第3章3・7に 約500kHzか
単 同 調 増 幅 回 路 の 基 本 を説 明 し た.中 ら1600kHzま
で の 周 波 数 を用 い,電
調 の 結 果15kHz程
度 に な る.い
中 心 周 波 数f0お
よ び 帯 域 幅Bは,
ま た,C=30pFと
波 ラ ジ オ 放 送 の 電 波 は,
波 の周 波 数 帯 域 幅 は振 幅 変
ま,L=330μH,C=300pF,Q=50と
す る と,
す る と,
と な る. ラ ジ オ 受 信 機 で は 同 調 回 路 のLやCの の 例 に よ れ ば,可
変 コ ン デ ン サCを
す る こ と に よ り,中 図4・44は
値 を 変 え て,受
信 周 波 数 を選 択 す る.上
用 い て そ の 値 を300pFか
ら30pFま
で変 化
波 帯 を カ バ ー す る こ と が 出 来 る.
中 波 ラ ジ オ 受 信 機 の 高 周 波 増 幅 段 の 例 で あ る.同
調 回路 は ア ンテ
ナ 側 と負 荷 側 の 両 方 に あ り,選
局 の た め 連 動 の 可 変 コ ン デ ン サ を用 い て い る.ア
ン テ ナ は バ ー ・ア ン テ ナ で,フ
ェ ラ イ ト ・バ ー に巻 い た コ イ ル が 同 調 回 路 のLを
図4・44 ラ ジオ受 信 機 用 高 周 波増 幅 器 兼 ね て い る.な
お,受
信 機 の 後 段 で つ く ら れ たAVC(自
の 強 さ に 応 じ て 変 化 す る)が VHFテ 6MHzで
図 示 の 部 分 に 加 え ら れ ,自
レ ビ ジ ョ ン放 送 の 第1チ あ っ て,た
動 音 量 調 節)電
圧(電
動 的 に 利 得 を 制 御 す る.
ャ ネ ル の 中 心 周 波 数 は93MHz,帯
と え ばL=0.146μH
,C=20pF,Q=15と
波
す れ ば,
域 幅 は
と な る.
(2)
複 同 調 増 幅 回 路
ラ ジ オ や テ レ ビ ジ ョ ン の 受 信 機,無 で 説 明 す る よ う な,ス
ー パ ー ヘ テ ロ ダ イ ン 方 式 を用 い て い る.た
短 波 の ラ ジ オ 受 信 機 の 内 部 で は,変 た ん455kHzに
線 通 信 専 用 の 受 信 機 は,通
変 換 す る.こ
調 方 式 は そ の ま ま で,中
れ を 周 波 数 変 換(frequency
と え ば,中
波 や
conversion)と
い い,
signal)と
い う.
調 して 音 声 信 号 を 得 る.
ラ ジ オ 受 信 機 で は 中 間 周 波 信 号 を 増 幅 す る た め に,単 45に
巻 第7章
心周波数 だけをいっ
中 心 周 波 数 が 低 く な っ た 変 調 信 号 を 中 間 周 波 信 号(intermediate さ ら に これ を増 幅 し,復
常,下
同 調 増 幅 器 ま た は 図4・
示 す よ うな 複 同 調 増 幅 回 路 が 用 い
られ る.後
者 はL1,C1お
よ びL2,C2か
ら な る2つ
の 同 調 回 路 が,両
コイ ル 間 の
相 互 イ ン ダ ク タ ン ス で 結 合 され,通 常,両 図4・45
方 の 同 調 周 波 数 は 等 しい 値 に 選 ば れ る. k=M/√L1L2の れ は 一 般 に,0か る.kの
値 を コ イ ル 間 の 結 合 係 数(coupling ら1ま
で の 値 を と り,回
値 が 小 さ い と,利
つ の 周 波 数 で,利
図4・46
い う.こ
値 に よっ て変 わ
き い と 同 調 周 波 数 か ら上 下 に 離 れ た2
れ を適 当 な 値 に 調 整 す る こ と に よ っ て,最
も 良 好 な 周 波 数 特 性 を得 る こ とが 出 来 る.図4・46に,そ 回 路 の 特 性 と あ わ せ て 示 し て お く.横
coefficient)と
路 の 周 波 数 特 性 はkの
得 は 小 さ く,大
得 が 大 き く な る.こ
複 同調 増 幅 回路
の特 性 を 単 同 調増 幅
軸 は信 号 周 波 数 の 中 心 周 波 数 か ら の ず れ
周波数特性
f-f0で
あ る.
(3)
ス タ ガ増 幅 回 路
ス タ ガ 増 幅 回 路(stagger の 中 心 周 波 数 を ず ら せ,か
amplifier)は つ 各 段 のQを
単 同 調 増 幅 回 路 を 多 段 に 結 合 し,各 段 調 節 す る こ と に よ っ て,全
な 周 波 数 特 性 を 得 る も の で あ る.図4・47は
体 と して 良 好
こ の 例 で,図(a)はA,B,C,3
段 の 単 同 調 増 幅 器 を接 続 し た ス タ ガ 増 幅 回 路,図(b)は
各 段 お よび 全 体 の利 得
の 周 波 数 特 性 で あ る.
(a) ス タ ガ 増 幅 回 路
(b) 特 図4・47
ス タガ 増幅 特 性
テ レ ビ ジ ョ ン の 中 間 周 波 数 は 通 常58.75MHzに
選 ば れ,帯
帯 域 幅 と 中 間 周 波 数 と の 比 が ラ ジ オ の 場 合 よ り も大 き い.こ に は,ス
4・10 (1)
性
域 幅 は6MHzで, の よ うな信 号 の増 幅
タ ガ 増 幅 回 路 が 多 く用 い ら れ る.
増 幅 器 の 雑 音 熱
雑
雑 音(noise)と こ と で あ る.そ
は 所 要 の 信 号 に 混 入 して い る 不 要 あ る い は 有 害 な 電 圧 ・電 流 の の な か で 最 も基 本 的 な も の が 熱 雑 音(thermal
一 般 に 導 体,抵 して い る.し
音
抗 体 な ど の な か の キ ャ リア は,温
た が っ て,常
ぎ が 雑 音 電 流 に な り,ま れ が 熱 雑 音 で あ る.共
noise)で
あ る.
度 に よ る ラ ン ダ ムな熱 運 動 を
に 細 か い ゆ ら ぎ を も っ た 電 流 が 流 れ て い て,こ
のゆ ら
た そ の た め に 生 ず る 電 圧 の ゆ ら ぎ が 雑 音 電 圧 に な る.こ
振 回 路 な ど に も同 様 な 熱 雑 音 が 存 在 す る.
熱 雑 音 電 圧 の 瞬 時 値vn(t)の
周 波 数 ス ペ ク トル は,電
波 数 領 域 に わ た っ て 一 様 に 分 布 し,そ
の2乗
平均値 は
子 回 路 で 問 題 に な る全 周
(4・37)
と な る こ とが 知 られ て い る.上
線 は 平 均 値 を表 わ す.k(=1.381×10-23JS)は
ル ツ マ ン の 定 数,Tは
抗 体 の 絶 対 温 度,Rは
導 体,抵
る周 波 数 帯 域 幅 で あ る.こ 電 圧 の2乗
平 均 値 は,抵
の よ う に,導
抗 値,絶
体,抵
対 温 度,帯
抵 抗 値,Bは
抗 体,共
ボ
問題 に してい
振 回 路 な どの も つ熱 雑 音
域 幅 に よ っ て 定 ま る あ る 値 を も つ.
た と え ば,T=300K,R=1kΩ,B=4MHzと
す る と,雑
音 電 圧 は 約8μVに
な る. こ の よ う に,抵
抗 体 は 熱 雑 音 を発 生 す る雑 音 源 と考 え ら れ る.し
れ に 負 荷 抵 抗RLを
接 続 して 電 力 を取 り出 す こ と が 出 来 る.抵
す る と き,負 荷 抵 抗RLをRに 能 雑 音 電 力(available
た が っ て,こ
抗 体 の 抵 抗 をRと
等 し くす る と電 力 は 最 大 と な り,こ れ を抵 抗 体 の 有
noise-power)と
い う.明
ら か に,熱 雑 音 の 有 能 雑 音 電 力 は (4・38)
で あ っ て,抵
抗 値Rに
無 関 係 に な る.た
こ の 値 は 約1.7×10-16Wと (2)
雑
音
の
加
と え ば,T=300K,B=4MHzと
な る. 算
2種 類 の 雑 音 電 圧(ま た は 電 流)の 瞬 時 値 をv1(t),v2(t)と
の 平 均 値 を 考 え る.v1(t)とv2(t)が 値 は0に
す る と,
し,そ
互 い に 無 関 係 で あ れ ば,右
の 和 の2乗
辺 第3項
の平 均
な り, (4・39)
とな る.す
なわ ち,相 関 の な い2つ
の 雑 音 源 を 直 列 に接 続 した もの の 雑 音 電圧
の2乗 平 均 値 は,各 雑 音 源 の出 す 雑 音 電 圧 の2乗 平 均 値 の和 に等 しい. 相 関 の ない2つ
の雑 音 電 流 の和 の2乗 平 均 値 につ い て も,同 様 な性 質 が あ る.
熱 雑 音 は相 関 の ない 雑 音 の 例 で あ る. (3)
シ ョ ッ ト雑 音 と フ リ ッ カ雑 音
電子 素 子 に一 定 の電 流 が 流 れ て い る と き も,そ れ は有 限 の電 荷 を もっ た 多数 の
キ ャ リ ア の 移 動 に よ る た め に,多 ら ぎ が あ る.そ
の た め に,シ
く の パ ル ス 性 の 電 流 の和 で あ っ て,統
ョ ッ ト雑 音(shot
い る と き の 雑 音 電 流 in(t)の2乗
noise)が
平 均 値in2(t)は,電
生 ず る.電 流Iと
計 的 なゆ
流Iが
帯 域 幅Bに
流れて 比 例 し,
(4・40)
と な る こ と が 知 ら れ て い る. pn接
合 の 電 圧Vと
電 流Iと
で 表 わ さ れ る が,こ
れ は2つ
の 和 で あ る.I1は
の 関 係 は,第1章1・3で
の電流
接 合 の 両 側 のp形
域 に 流 入 す る こ と に よ る,い に 流 入 す る こ と に よ る,い る雑 音 を発 生 す る.し よ る も の と の 和,す
述 ベ た よ うに
お よ びn形
の領 域 の多 数 キ ャ リア が相 手 の領
わ ゆ る順 方 向 電 流,I2は わ ゆ る 逆 方 向 電 流 で,両
た が っ て,雑
音 電 流 の2乗
少 数 キ ャ リア が相 手 の領 域 者 は 独 立 に 式(4・40)に
平 均 値 はI1に
よ
よ る も の とI2に
なわ ち (4・41)
と な る. pn接
合 に 逆 バ イ ア ス が 加 わ っ て 順 方 向 電 流 が 無 視 出 来 る と き に は,式(4・41)
の 右 辺 の 第2項
の み と な り, (4・42a)
0バ イ ア ス で は 第1項
と第2項
が 等 し く, (4・42b)
また 順 バ イ ア スが 加 わ っ て,右 辺 第1項 が 大 きい た め第2項 が 無 視 出来 る と きは (4・42c)
と な る. J-TRに と,(a)
も シ ョ ッ ト雑 音 が 存 在 す る.た
と え ば,J-TRで
はpnp形
を例 に と る
エ ミ ッ タ か ら ベ ー ス に 注 入 され コ レ ク タ に 集 め ら れ る 正 孔 に よ る もの,
(b) エ ミ ッ タ か ら ベ ー ス に 注 入 され ベ ー ス 中 で 再 結 合 す る 正 孔 に よ る も の,(c)
ベ ー ス 領 域 で 熱 に よ り発 生 しエ ミ ッ タ に 注 入 さ れ る 正 孔 に よ る も の
,(d)ベ
領 域 で 熱 に よ り発 生 し コ レ ク タ に 注 入 され る 正 孔 に よ る も の で ,そ
ース
れ ぞ れ 独立 に
シ ョ ッ ト雑 音 を 発 生 す る. こ の ほ か にJ-TRやFETに が あ る.こ
は2乗
れ は フ リ ッ カ 雑 音(flicker
低 周 波 で,通
常1kHz以
音 と よば れ る も の で
た は1/f雑
は こ の よ う に 熱 雑 音,シ
の 原 因 は種 々 の 物 理 的 な過 程 の 不
ョ ッ ト雑 音,フ
が 低 く な る と と も に 大 き く な る.ま
た,低
リ ッカ 雑 音 が あ る,こ
た 高 周 波 で も雑 音 は 大 き く な る .
の 大 き さ は 一 般 にJ-TRよ
熱 雑 音 や シ ョ ッ ト雑 音 の よ うに,広
波 数 に 対 し てJ-TRと
れ に 対 し1/f雑
noise)と
い う こ と が あ る.
(4)
増 幅 器 の 雑 音
い周 波 数 範 囲 に わ た っ て一 様 な分 布 を もつ
(external
noise),後
者 を 内 部 雑 音(internal
ベ た 雑 音 の ほ か に,(b)素
noise)と
者 を外 来 雑 音
い う.
抗 な ど の 受 動 素 子 の 熱 雑 音 や,J-TR,FETな
ど先 に 述
子 や 回 路 接 続 部 の 欠 陥 に よ っ て 生 ず る過 剰 雑 音
電 源 に 混 入 す る 交 流 分 に よ る 電 源 ハ ム,外 が あ る.(a)は
力 端 子 か ら信 号 と と も
幅 器 な ど の 内 部 で 発 生 す る も の と が あ る.前
内 部 雑 音 に は ,(a)抵
noise)と
音 の よ う な 周 波 数 分 布 を も つ も の を ピ ン ク 雑 音(pink
増 幅 器 や 受 信 機 な ど の 出 力 端 子 に 現 わ れ る 雑 音 に は,入 に 混 入 す る も の と,増
ほ
り も小 さ い .
色 光 の ス ペ ク トル 分 布 か ら の 連 想 に よ っ て 白 色 雑 音(white
い う.こ
れ らの
周 波 で は フ リ ッカ 雑 音 の た め 周 波 数
は お も に 熱 雑 音 と フ リ ッ カ 雑 音 と が あ り,周
ぼ 同 様 な 性 質 を も つ が,そ
も の を,白
,
確 に は 知 ら れ て い な い.
大 き さ は 静 止 点 に よ っ て も変 わ り,ま
FETで
に ほ ぼ 逆 比 例 す る雑 音
noise)ま
下 で 重 要 で あ る.そ
規 則 性 に よ る も の で,明 J-TRで
平 均 が 周 波 数 の2乗
,直
流
部 電 磁 界 に よ っ て 誘 起 され る 雑 音 な ど
一 般 に は 避 け られ な い 本 質 的 な も の で あ る が ,(b)は
設 計 や製 造
ま た は 使 用 の 際 の 適 当 な 配 慮 に よ っ て 避 け る こ とが 出 来 る も の で あ る . 信 号Sに to-noise 圧,電
雑 音Nが ratio)あ
流,ま
混 じ っ て い る と き,両 る い はSN比
た は 電 力 で あ る.
と い う.S
者 の 比S/Nを ,Nは
信 号 対 雑 音 比(signal-
そ れ ぞ れ 信 号 お よ び雑 音 の 電
増 幅 回路 に お い て,入 力 信 号 源 か ら信 号 電 力Siと り,負 荷 に は信 号 電 力S0と と出力 側SN比
雑 音電 力N0が
雑音 電力Niが
増 幅器 に 入
出 力 され る.こ の と き入 力 側SN比
との比 (4・43)
は 増 幅 器 を通 っ たあ とのSN比
の 劣 化 の度 合 を示 す.
Gは 増 幅 器 の 電 力利 得 で あ る.信 号 電 力 お よび雑 音 電 力 が とも にG倍 に な る と き にはF=1で
あ るが,一 般 に増 幅 器 内 で も雑 音 が 発 生 す る ため にFは1よ
りも
大 き くな る. 入 力 雑音 電 力 が 熱 雑 音 に よる有 能 雑 音 電 力Ni=kTBの
場 合 のF,す
なわ ち (4・44)
を,そ
の 増 幅 器 の 雑 音 指 数(noise
帯 域 幅B,利
得Gは
通 常T=290Kが
figure)と
い い,通
増 幅 器 の 特 性 に よ っ て 決 ま る.Tに
常 デ シ ベ ル で 表 わ す. は 任 意 性 が あ る が,
用 い られ る.
出 力 雑 音N0を (4・45a)
と書 く と き,右 た,第2項
辺 の 第1項
は 入 力 雑 音 電 力 が 増 幅 さ れ て 出 力 し た も の で あ る.ま
は 増 幅 器 内 で 発 生 し た 部 分 で,こ
れ を入 力 側 に 換 算 し た も の をNi′
と
す る と, (4・45b)
で 表 わ され る.図4・48(a)に
これ を 示 す.F=1な
ら増 幅 器 内 で は 雑 音 は 発
生 しな い. つ ぎ に,図(b)の ・)で
よ う に 電 力 利 得,雑
あ る よ う なn個
号 源 の 熱 雑 音(kTB)に (Fj-1)kTB]に
音 指 数 が そ れ ぞ れGj,Fj(j=1,2,・
の 増 幅 器 を 縦 続 接 続 し た も の を 考 え る.雑 よ る も の と,各
段 に 生 ず る 内 部 雑 音[入
・
音 出力 は入 力信 力 側 に換 算 して
よ る も の の 合 成 で あ る.
出 力 端 子 に は,入
力 信 号 源 の 熱 雑 音 と第1段
の 内 部 雑 音 は そ れ ぞ れG1G2・
・
(a) 増 幅 器 の雑 音 出力
(b) 多段 増幅 器 の雑 音 出力 図4・48
・Gn倍
さ れ ,第2段
雑 音 と雑 音 指 数
の 内 部 雑 音 はG2G3・・・Gn倍
さ れ る の で,全
雑 音 出 力N0
は,
とな り,全 体 の雑 音 指 数 は
(4・46)
と な る.G1,G2,・・・
が1よ
り十 分 大 き い と す る と,F1が
全 体 の 雑 音 指数 の大
き な 部 分 を 占 め る こ と に な る. ラ ジ オ 受 信 機 は 普 通,高 な り,そ れ ぞ れ 利 得Gjお
周 波 増 幅 器,周 よ び 雑 音 指 数Fjを
も全 体 の 雑 音 指 数 は 式(4・46)で
波 数 変 換 器,中
間 周 波 増 幅 器 な どか ら
定 義 す る こ とが 出 来 る.こ
表 わ さ れ る.
のときに
問5.
入 力 抵 抗Ri=10kΩ,負
帯 域 幅B=500kHz,雑 RS=10kΩ,す
荷 抵 抗RL=2kΩ,電
音 指 数F=5の
増 幅 器 が あ る.信
な わ ち 入 力 側 は 整 合 が とれ て い る.ま
信 号 電 圧 の 実 効 値 が200μV0で を求 め よ.信
力 利 得G=110dB,
あ る と き,入
号 源 の 内 部 抵 抗 は 温 度290Kに
た,入
号源の内部抵抗 力 端 子 に加 わ る
力 側 のSN比,出
力 側 のSN比
相 当 す る熱 雑 音 を発 生 す る も の
と す る.
問
1. (a)式(4・2)か
(4・7)の
解
ら-47.6.(b)式(4・2)を
トに 解 答 して み よ う.k,A,AFを と す る(負
題
答
用 い て も よ い が,ス
マ ー
実 数 と し て ド ッ トを 省 い て 書 く.A,AFは
な ら そ の 絶 対 値 を用 い る).ま
た 負 帰 還 で は1-kA=K>1で
あ る.式
両 辺 の 自然 対 数 を と る.
両 辺 の 微 分 を とって
あ るい は,微 分 を変 化 量 と解 釈 して
⊿AF/AFはAFの =-0.1な 2. Bに
変 化 率,同 ら ⊿AF/AF=-0
J-TRの
じ く ⊿A/AはAの .0048す
な わ ち0.5%
簡 易 モ デ ル を 用 い る と,等
ど の ド ッ ト は 省 い て 書 く)
変 化 率 で あ る.K=21,⊿A/A よ り少 し し か 減 少 し な い.
価 回 路 は 図4・49の
お け る 節 点 方 程 式 は,g11=1/h11,GF=1/RF,GL=1/RLと
正
よ う に な る.A, し て(V1,I1な
図4・49
また こ れ をI1,V2に
つ い て 解 き,Ri=V1/I1,Av=V2/V1を
帰 還 が 掛 か ら な い と き(RFを よ っ て 得 ら れ る.こ
求 め る と
接 続 し な い と き)の 特 性 は,RF→
の と きRi=h11,Av=-βRL/h11.な
お,こ
∞
とお くこ とに
れ は伝 達 ア ドミタ
ン ス 帰 還 で あ る. 3. 演 算 増 幅 器 の 入 力 端 子(-,+)に をV1,V2と
す る と,演
加 わ る 電 圧 をV1a,V1b,入
算 増 幅 器 の 各 入 力 端 子 に 流 れ る 電 流 は0で
・出 力 電 圧 あ るか ら
した が っ て
4.
I0=0.25A,n2RL=VCC/I0=24Ω,n=2,Pmax=0.75W.
5.
入 力 信 号 電 力 は4×10-12W,信
×10-15W.し
た が っ てSi/Ni=2×103,す
の1/F,7dBだ
け 減 少 し て26dBと
出 力 側 の 信 号 電 力 は4×10-12×1011=0.4W,雑 10-3W.
号 源 の 有 能 雑 音 電 力 は 式(4・38)か な わ ち33dB.出 な る,な
お,電
ら2
力 側 のS0/N0は
力 利 得 は1011で
そ
あ る か ら,
音 電 力 は2×10-15×1011×5=
練
1. 入 力 抵 抗 が1kΩ,負
習
問
荷 抵 抗 が2kΩ,電
力 電 圧 が逆 相)の 増 幅器 に,出 力 電 圧 の1/50の
題
圧 利 得 が-1000(入
力 電 圧 と出
電圧 を帰還 す る負 帰 還 増 幅器 が
あ る.負 荷 効 果 が 無 視 出来 る もの と して,負 帰還 増 幅 器 の 入 力 抵 抗 お よび 電圧 利 得,電
流 利 得 の 値 を求 め よ.
2. 図4・50はRSに
よっ て負 帰 還 が
掛 か っ た 増 幅 回 路 で あ る(直 略 され て い る).FETのgmが rdは
流電源は省 与 え られ,
大 き くて無 視 出来 る も の と し て ,
電 圧 利 得 を 表 わ す 式 を 導 き,RSを 大 き くす る と電 圧 利 得 はgmの 3. 図4・51の た と き,入
値 が 変 わ っ て も一 定 で あ る こ と を 示 せ.
増 幅 回 路(直 流 電 源 は 省 略)に
力 抵 抗,電
図4・50
十 分
流 利 得,電
お い てAB間
圧 利 得 を 求 め よ.ま
え た と き(負
帰 還 が 掛 か ら な い)の
入 力 抵 抗,電
J-TRのhパ
ラ メ ー タ はh11=1kΩ,h21=70,h12,h22は
の と す る.ま
た 各 抵 抗 値 はRL=1kΩ,R1=0.5kΩ
に 入 力 電 圧 を加 え
た ,AC間
流 利 得,電
に入 力 電 圧 を加 圧 利 得 を 求 め よ.
小 さ くて無 視 出 来 る も ,R2=4.5kΩ
と す る.
図4・51
4. 図4・52の
回 路 の 中 域 周 波 数 に お け る 入 力 抵 抗,電
表 わ す 式 を 導 け.J-TRの 小 さ く,ま
たRF2は
パ ラ メ ー タ と し てh11,h21(=β)が
大 き く,負
流 利 得,電
圧利得 を
既 知 と し,h12,h22は
荷 効 果 が 無 視 出 来 る も の とす る.
図4・52
5. 電圧 利 得 が
で 表 わ さ れ る増 幅 器 が あ る. (a) 中 域 周 波 数 に お け る 電 圧 利 得 の 値,お (b) こ れ にkv=0.2の の 値,お
よ び 低 周 波 側 の 遮 断 周 波 数 を 求 め よ.
電 圧 比 帰 還 を掛 け た と き の 中 域 周 波 数 に お け る 電 圧 利 得
よび 低 周 波 側 の 遮 断 周 波 数 を 求 め よ.
6. 図4・53は
あ る 増 幅 器 の 電 圧 利 得 の 周 波 数 特 性 で あ る.
(a) こ れ にkv=-0.02の
電 圧 帰 還 を掛 け た と き の ル ー プ 利 得 の 位 相 余 裕 お よび
利 得 余 裕 を求 め よ. (b) 利 得 余 裕 が0dBと
な る と き のkvの
値 は お お よ そ ど れ だ け か.ま
たkvの
値 が これ を超 え た と き に 生 ず る 発 振 の 周 波 数 を求 め よ.
図4・53
7. 図4・54に
示 し たFET差
動 増 幅 器 に お い て,A,B各
端 子 に入 力 を 加
え な い と き,各FETに
は0.5mAの
ド
レ イ ン 電 流 が 流 れ る と い う. (a) 静 止 点(VGS,VDS)は (b) gm=5mSと
どれ だ け か.
して つ ぎ のお のお のの
場 合 の交 流 信 号 に対 す る電 圧 利 得 を求 め よ.① Cか
Bを
接 地 し,Aに
ら 出 力 を と る.② 同 じ くDか
力 を と る.③ AB間
ら出
に 入 力 を 加 え,Cか
ら 出 力 を と る.④ AB間 CDか
入 力 を 加 え,
に入 力 を加 え, 図4・54
ら 出 力 を と る.
8. 演 算 増 幅 器 は 直 流 成 分 を 含 む 信 号 を増 幅 す る こ と が 出 来 る.図4・55(a), (b)の
増 幅 回 路 に お い て,図
の 値 を求 め よ.図(b)は2個
に 示 し た 直 流 入 力 電 圧 を 加 え た と き の 出 力 電 圧V2 の 入 力 端 子 に そ れ ぞ れ-1Vお
よ び+3Vの
が 加 え ら れ て い る.
(a)
(b) 図4・55
9.
図4・56に
回 路 に お い て,電
示 し たA級
電力増幅
源 電 圧VCC=12V,コ
レ ク タ 直 流 電 流IC=2A,ま
たL,Cの
値 は 十 分 大 き い と す る. (a) 電 源VCCの
供 給 す る 電 力 は どれ だ
図4・56
電圧
け か.(b)
正 弦 波 交 流 を加 え て,ICが2Aを
が12Vを
中 心 と して24Vと0の
抵 抗RLの
値,お
よ びRLに
10. 図4・56の Lの
中 心 と し て0か
ら4Aの
間 を変 化 さ せ る も の と す る.こ
間 を,VCB の と きの負 荷
供 給 され る 電 力 を求 め よ.
回 路 に お い て,RL=6Ω
リア ク タ ン ス がRLの10倍,Cの
と し,周
波 数f=40Hzに
リ ア ク タ ン ス が1/10と
おける
な る よ う にL,C
の 値 を定 め よ. 11. 図4・57(a)はA級FET増
幅 器,図(b)はFETの
止 点 を 図 のQ(VDS=12V,ID=0.4A),実 IDがAB間
を い っ ぱ い に 変 化 す る と き に(A点
られ る も の とす る.RL=6Ω
成 器 のnの
供 給 さ れ る電 力,お
荷RLに
し,最 大 出 力 はVDS,
でVDS=3V,ID=0.7A,B点
で 同 じ く21V,0.1A)得 値,負
特 性 で あ る.静
効 負 荷 線 をABと
と して,こ
の ときの変
よ び こ の 出 力 を得 る た め の 正 弦 波
入 力 電 圧 の 実 効 値 を求 め よ.
(a)
(b) 図4・57
12. 図4・34のB級 と す る と き,正 ピ ー ク 値,電
プ ッシ ュ プル 増 幅 回 路
で,VCC=12V,RL=1Ω,n=4
弦 波 入 力 に対 し て 得 ら れ る 最 大 出 力,こ
源 の 供 給 す る 電 力 を 求 め よ.J-TRは
の と きの コ レク タ 電流 の
理 想 特 性 を も ち,VBB=0と
す る. 13. 帯 域 幅 が12MHz,T=290° る.増
で 定 義 さ れ た 雑 音 指 数 が10の
幅 器 内 に 発 生 す る 雑 音 電 力 の 入 力 側 へ の 換 算 値 を 求 め よ.
増幅器 が あ
14. 周 波 数 帯 域 が0∼100kHzの 290Kの
信 号 源 が あ る.こ
力 利 得120dBの
間 で10-12Wの
有 能 電 力 を 発 生 す る,温
れ を上 の 帯 域 を 一 様 に 増 幅 す る ,雑
増 幅 器 で 増 幅 す る.信
度
音 指 数20dB,電
号 源 と増 幅 器 の 入 力 イ ン ピ ー ダ ン ス は 整
合 が と れ て い る も の とす る. (a) 信 号 源 の 発 生 す る雑 音 は 温 度290Kに
相 当 す る 熱 雑 音 だ け とす る と き,増
幅 器 の 出 力 端 子 に 現 わ れ る雑 音 電 力 は 何Wか. (b) 入 力 側 のS/Nお
よ び 出 力 側 のS/Nを
(c) 入 力 信 号 源 に は 信 号 の 有 能 電 力10-12Wの W(熱
雑 音 を 含 む)が
S/Nを
求 め よ.
求 め よ. ほ か に,雑
含 まれ て い る も の とす る.入
音 有 能 電 力2×10-14
力 側 のS/Nお
よび出 力 側 の
練 習 問題 略解
第1章 1.
式(1・4)に
お い てp=0と
す る.(a)vn=i/(en)=0.069mm/s.(b)
n=1016/cm3,vn=6.25m/s. 2.
vn=μnE=4m/s.vp=1m/S.式(1・4)に
3.
V0=0.5V,R0=0.5Ω.
4.
(a)図1・46(a)と
mAの
点 を 通 る.(b)原
I=4mA)を 5. な る.ダ
よ りi=7.7μA/mm2.
同 じ 形 で,V=3Vで
立 ち 上 が り,V=6VでI=30
点,(V=2V,I=0),(V=4V,I=1mA),(V=6V,
通 る 折 れ 線 と な る. V≦9.6Vで
はID=O.V>9.6Vで
は ダ イ オ ー ド は 降 伏 し,VD=6Vと
イ オ ー ドの 消 費 電 力 が180mWと
な る と きID=30mA.こ
の と きV=
18.6V.
6.
(b) 7.
(a)式(1・6)か
ら
数 値 を 代 入 し て,V》0.026Vな
と な る.
らr=13Ω.
IB=(VCC-VBE)/R1=19.4μA.式(1・15),(1・16)か
/(1-α)=0.69mA. 8. IB=0.し 9.
た が っ てIC=IE=lCO/(1-α)=50μA.
ゲ ー ト に は 電 流 が 流 れ な い の で,VG=8V.VGS=VG-VS=3V,IS=VS
/RS=2.5mA=ID,VDS=VDD-RSIS-RDID=6V.
らIC=(αIB+IC0)
第2章 1.
(a)
ID=3mA,VDS=6V.(b)
ぞ れVDS=6V,8V.電 2.
①,②
VGS=-0.6V,-0.8Vに
対
して そ れ
圧 利 得=⊿VDS/⊿VGS=-10. を 比 較 し てgm=⊿ID/⊿VGS=5mS.①,③
を 比 較 し てrd=⊿VDS/
⊿ID=80kΩ. 3.
(a)
IC=31mA,VCE=4.6V.(b)
RiはIB-VBE曲
電 流 利 得=-50.(c)
線 のVBE=0.7Vに
入 力 抵 抗
お け る 傾 斜 か ら 求 め る .Ri=250Ω.電
圧
利 得=⊿VCE/⊿VBE=-48. 4.
表2・4ま
た は 表2・5(近
似 値)に
よ る.G-S:-11.8(-12),G-D:
0.92(1.0),G-G:11.8(12). 5. Ri=75kΩ,Av=-9. 6. h11=12Ω,h12=0.4,h21=-0.4,h22=0.04S. 7. -76
V1=1.5I1+0.002V2,V2=-2×50I1か
ら,V1/I1=1.3kΩ,V2/V1=
.9.
8.
9. 10.
(a)
Ri=737Ω,Av=-27.7.(b)
Ri=738Ω,Av=-27.4.
コ レ ク タ 接 地 回 路 で,表2・8のG-Cの
部 で,rb→R1+rb,ま
(b)
(a)
図A
た はh11
→R1+h11と A(a)ま
し て も よ い .こ た は(b)と
(β+1)I1.こ 図(b)か
こ で は 等 価 回 路 に よ る 計 算 を し よ う.等
な る.図(a)か
価回路は図
ら,回 路 方 程 式 はV1=(rb+R1)I1+(re+RL)
れ か ら,Ri=V1/I1=68.8kΩ,Av=V2/V1=(β+1)I1RL/V1=0.97.
ら も 同 じ結 果 が 得 ら れ る.
11. 等 価 回 路 は 図B.
図B
ゆ えに
ま た,
12.
2μW.
13.
n1=√10,n2=5√2,n3=10.
14.
RS=7kΩ,VS=3.5V,VG=5.5V,R2=63.6kΩ.
15.
RS=7kΩ,VS=3.5V,VG=1.5V,R2=500kΩ.
16. 1式(2・42a),(2・42b)か
ら,IC=1.19mA,VCE=4.4V.
17.
IB=(VCC-VBE)/R=0.0046mA,IC=βIB=0.455mA,VCE=1.63V.
18.
IB=0.005mA,活
-0
.4V.し
性 領 域 に あ る こ と を 仮 定 す る と,IC=1.14mA,VCE=
た が っ てJ‐TRは
飽 和 し,VCEは
ほ ぼ0に
固 定 さ れ,回
路 は増 幅 作
用 を も た な く な る. 第3章 1. R1=450kΩ,R2=600kΩ =RL2=2kΩ 2.
と す る とVG=3V,入
力 抵 抗=257kΩ,RL1
. (a)
1段
目:VB=4V,VE=3.3V,IE=1.65mA.2段
VE=2.6V,IE=1.3mA≒IC,VC=9.4V.(b)
目:VB=3.3V, 入 力 抵 抗=1.54kΩ.1段
目
は コ レ ク タ 接 地 で,電 3.
(a)
圧 利 得 ≒1.2段
IB≒0,IC≒IEと
目 は エ ミ ッ タ 接 地 で,電
し て,1段
目:VB=4V,VE=3V,VC=9V.2
段 目:VB=9V,VE=10V,IE=1mA,VC=2V.(b) 1段
目 の 電 圧 利 得=-50(負
流 利 得 ≒-100.
入 力 抵 抗=1.54kΩ. 荷 はR4とh11の
並 列 抵 抗),2段
目 の 電 圧 利 得=
-100. 4.
そ れ ぞれ
5.
(a)
ngm,rd/n.
R1,R2はC1に
よ っ て,REはCEに
よ っ て バ イ パ ス さ れ,エ
ミッ
タ 接 地 と な る.
(b)
整 合 が とれ て い る と き に は,
(c)
6.
n1=√5,n2=2√10.
(a)
お よ び
の 遮 断 周 波 数 は 等 し く,fC=1/(2πCRG). (b) Zi=50kΩ,Av=-5.85,fC=159Hz. 7. (a) ゲ ー トの 信 号 電 圧 をVG,RLを
一 方
流 れ る電 流 をILと
す る と,
,
(b)
高 周 波 に お け る 利 得 はAv=-gmR=-8.折
1/(2πC1RG)=6.4Hz,f2=1/[2πC2(RD+RL)]=88.4Hz.遮
れ 点 周 波 数 は2つ
あ り,f1=
断 周 波 数 は大 きい
方,88.4Hz.
8. (a) 等 価 回 路 は 図Cと
な る.RS,CSの
並 列 イ ン ピ ー ダ ン ス をZSと
る と,
電圧利得 は (b) 高 周 波 に お け る 電 圧 利 得 はAv=-gmRL=-6.折
れ 点 周 波 数 はf1=1/
す
(2πCSRS),f2=(1+gmRS)f1.遮 はf2で
あ る.こ
れ
断 周 波 数 を80Hzと
す る と,
CS=(1+gmRS)/(2πf2RS)=13μF.f1=20 Hz.周
波 数 特 性 は 図3・16の
な お,実
際 に はf1はf2に
の で,遮
断 周 波 数 はf2よ
9.
(a)
よ う に な る. 接 近 して い る り高 め に な る.
式(3・11a,b)に
よ る.Ri=
図C
1.43kΩ.Av=-18.8,AC=-26.8. (b)
式(3・14),(3・17),(3・20a)を
用 い る.C1=11μF,C2=4μF,CE=
414μF. 10.
式(3・26b),(3・22)等
を 用 い る.こ
こ でCds→CSと
す る.Ci=92pF,
Av=-28,fC=4MHz. 11. 12.
h11e=450Ω,h12e=4×10-4,h21e=80,h22e=81μS,fβ=4.8MHz.
c)に
(a)Ri=247Ω,Av=-240,AC=-59.(b)fl=322Hz.式(3・32 よ りfh=1.OMHz.
13.
4.42Ω,14μH,127kΩ.
14.
式(3・37)か
/Q)2=104.し ry=450Ω
らLC1=1/ω02=63.33×10-15.式(3・40)か
た が っ て,L=7.96μH,C1=796pF.ま か ら,最
式(3・63a)か
CNRN)=44MHzで
た β=gmry=80,h11=rx+
大 電 圧 利 得=-βRL/h11=-356.Cyは
慮 し た 等 価 回 路 か ら 計 算 し て も,最 15.
らL/C1=(RL
考
大 電 圧 利 得 は ほ と ん ど 変 わ ら な い.
らCN=4.4pF.な はRNは
無 視 し た が,Cyを
お,RN=825Ω
で あ る が,f≪1/(2π
省 略 出 来 る.
第4章 1.
K=21,AvF=-47.6,RiF=21kΩ.電
流 利 得AcFは
下 式 の とお
り で 変
わ ら な い.
2. 等 価 回 路 は 図Cか を 求 め,下
式 に 代 入 す る.
らCSを
除 い た も の に な る.I2=gm(V-RSI2)か
ら I2
RS≫1/gmと 3.
す る と,Av≒-RL/RSと
等 価 回 路 は 図D,回
な る.
路 方 程 式 はh11I1+R1[(β+1)I1+I2]=V1,RLI2+R1
[(β+1)I1+I2]+R2(βI1+I2)=0.
図D これ を解 い て
RiF=V1/I1,AvF=V2/V1=R2I2/V1か
ら
帰 還 が 掛 か ら な い と き は,R1→0と な お,式(4・2),(4・5)か
す れ ば よ い.Ri=1kΩ,Av=-58.3と
ら 近 似 値 が 得 ら れ る.R1=0と
な る. し て,負
荷 抵 抗R=
R2RL/(R2+RL)=0.818kΩ,Av=-βR/h11=-57.2,kv=R1/(R1+R2)=0.1, K=6.7で
あ る か ら,RiF≒Kh11=6.7kΩ,AvF≒Av/K=-8.5.
4.
J‐TRのh11を1段
RF2が
無 限 大 と す る と 帰 還 が 掛 か ら ず,等
こ れ か ら,電
流利得 は
目r1,2段
目r2と
書 く.同
価 回 路 は 図Eと
様 に
β1,β2と
な る .回
す る.
路 方 程 式 は
図E
RF2≫RF1と
す る と,帰
還 電 流 比 はkc≒-RF1/RF2.し
電 流 利 得 は,式(4・7)を
(b) 6.
(a)
(a)
=33° ,利
力 抵 抗 はr1の(1-kcAc)倍
中 域 周 波 数 に お け る 利 得 はAv=-100,遮
K=21,利
還増幅器の
用 いて
電 圧 利 得 は 帰 還 に よ っ て 変 わ ら ず,入 5.
た が っ て,帰
得 は-4.8,遮
に な る.
断 周 波 数 はfC=79.6Hz.
断 周 波 数 は3.8Hz.
ル ー プ 利 得 は│kv│=0.02倍,す
得 余 裕=8dB.(b)
な わ ち34dB低
約24dB,す
く な る.位
な わ ちkv=-0.063.発
相 余 裕
振 周 波 数=
140kHz. 7.
(a)
2kΩ
の 抵 抗 を流 れ る 電 流
は1mA.し
た が っ てVS=-5+2=-3
V,VGS=0-(-3)=3V,VDS=5-0.7×0.5-(-3)=4.5V.(b) /2=-17.5.②
17.5.③ -17.5.④ -35.
8.
(a)
3V.(b)
9.
(a)
24W.(b)
10. 11. J-TRの 12. 13. 14.
① -gmRD
-0.2V. RL=6Ω,12W.
L=0.24H,C=6630μF. n2RL=30か
らn=√5,出
力=1.35W,直
消 費 電 力=3.45W,入
力 電 圧(実
最 大 出 力=4.5W,ICmax=0.75A,電
流 電 源 の 供 給 電 力=4.8W, 効 値)=√2V. 源 の 供 給 す る 電 力=5.73W.
4.3×10-13W. (a)
0.04W.(b)
入 力 側S/N=34dB,出
力 側S/N=14dB.(c)
入
力 側S/N=17dB,出
力 端 子 に 現 わ れ る 信 号 電 力 は1W.出
力 端子 に現 われ る雑
音 電 力 は 入 力 端 子 か ら入 っ た雑 音 に よ る も の(2×10-14×1012=0.02W)と,増 器 内 で 発 生 し た 雑 音 に よ る も の[(F-1)kTB=0.04W] 側S/N=12.2dB.
の 和.し
幅
たがって 出力
索
引
エ ン ハ ン ス メ ン ト ・モ ー ド あ
行
α(ア ル フ ァ) IC(集
52
演 算 増 幅 器 25
積 回 路)
162,180
演 算 増 幅 用 集 積 回 路
166
41
ア ク セ プ タ
5
ア ナ ロ グ 集 積 回 路
42
ア ル フ ァ 遮 断 周 波 数 安 定 性(帰 還 系 の)
オ ー デ ィオ 信 号
181
オ ー デ ィオ 増 幅 器
154,181
123
オ ク タ ー ブ
109
155
オ フ セ ッ ト
166
大 き さ(複 素 数 の) 位
相
位 相 余 裕
102
折 れ 線 近 似(周
155
折 れ 点 周 波 数
移 動 度
7
ウ ェ ー フ ァ
38
102
波 数 特 性 の)
110 か
行
回 路 方 程 式
60
拡 散 電 流 A級
増 幅
170
拡 散 接 合
A級
電 力 増 幅 回 路
176
加 算 器
FET
38,51
fT ラ メ ー タ
hパ
ラ メ ー タ ・モ デ ル(J‐TRの)
MOS電
界 効 果 トラ ン ジ ス タ
65,70
(MOS‐FET) nチ
ャ ネ ル
n形
半 導 体
54,58
価 電 子
2 15,20
簡 易 モ デ ル(J‐TRの) 簡 易 等 価 回 路(J‐TR増
63 幅 回 路 の) 63,69,78
34,38 31,34
外 因 性 半 導 体 4
5
外 来 雑 音
189
Q値
125
キ ャ リア
1,5
22
エ ミ ッ タ ・ フ ォ ロ ワ
76
エ ミ ッ タ接 地
27,57,76
エ ミ ッ タ 接 地 特 性 エ ミ ッ タ 接 地J‐TR増
39 168
可 変 容 量 ダ イ オ ー ド
68
エ ミ ッ タ
17
活 性 領 域
123
hパ
109,115,118
28 幅 回 路
エ ミ ッ タ 接 地 モ デ ル(J‐TRの)
57,76 61
キ ル ヒ ホ ッ フ の 法 則 帰
60
還
145
帰 還 ル ー プ
146
帰 還 系
155
雑
帰 還 係 数
149
雑 音 指 数
190
帰 還 率
147
共 振 回路
124
C級
179
共 振 周 波 数
124
J‐FET
極 座 標 表 示(複 素 数 の)
102
J‐TR
音
電 力 増 幅 回 路
逆 バ イ ア ス
11
シ ョ ッ トキ ー ・ダ イ オ ー ド
逆 方 向 飽 和 電 流
11
シ ョ ッ ト雑 音
空 間 電 荷 層
10
空 乏 層
10
空 乏 層 容 量
13
186
38 22,59 15 187
シ ン グ ル エ ン ド ・プ ッ シ ュ プ ル 電 力 増 幅 回 路 し き い 電 圧 四 端 子 網 写 真 蝕 刻 法
ゲ ー ト
31,34
ゲ ー ト接 地 ゲ ー ト接 地FET増
幅 回 路
結 合(増 幅 回路 の)
遮
断
72
遮 断 周 波 数
72
遮 断 電 圧
103
集 積 回 路(IC)
178 33,35 65 40 53,58 110 33 41
周 波 数 特 性
102
コ レク タ
22
周 波 数 変 換
185
コ レク タ遮 断 電 流
24
出
175
コ レク タ接 地
76
出 力 イ ン ピ ー ダ ン ス
コ レク タ接 地J‐TR増 幅 回 路
76
出 力 抵 抗
力
コ ン デ ンサ 結 合
103
小 信 号 用 ダ イ オ ー ド
高 周 波 増 幅 回路
183
省 変 成 器 電 力 増 幅 回 路
高 周 波 特 性(増 幅 回路 の) 降
伏
117,120
進 相 回 路
降 伏 電 圧
12
自 己 バ イ ア ス 回 路
交 流 抵 抗(非 線 形 素 子 の)
22
自 動 音 量 調 節
幅 回 路 の)
54,76
交 流 特 性(J‐TR増 幅 回路 の)
59,79
固 定 バ イ アス 回 路
84,87
合 金 接 合
39
自 由 電 子 順 バ イ ア ス
ス タ ガ 増 幅 回 路 ス ラ イ ス
さ
64 18 178
真 性 半 導 体
12
交 流 特 性(FET増
101
4 159 85,87 184 1 11
186 39
行
サ ー ジ 電流
17
正 帰 還
146
サ ー ミス タ
8
正 弦 波
100
最 大 出 力 差 動 増 幅 器
101 160,180
正
孔
正 特 性 サ ー ミ ス タ
1 9
静 止 点
チ ッ プ
52,57,87
39
生 長 接 合
39
チ ャ ネ ル
整
81
チ ョ ッパ 形 直 流 増 幅 器
181
15
遅 相 回 路
159
15
中 間 周 波 信 号
185
11
中 性 領 域
整
合 流
整 流 回 路 整 流 作 用 整 流 用 ダ イ オ ー ド
15,17
積 分 器
170
接 合 ゲ ー ト電 界 効 果 トラ ン ジ ス タ
31,38
接 合 ダ イ オ ー ド
15
接 合 トラ ン ジ ス タ
22,30
接 合 容 量
12
線 形 四 端 子 網
65
絶 縁 ゲ ー ト電 界 効 果 トラ ン ジ ス タ
35
絶 対 値
中
31,34
10
和
133
中 和 増 幅 回 路
133
直 接 結 合
103
直 流 増 幅 器
179
直 列 ピ ー キ ン グ
183
直
103
結
ツ ェ ナ ・ダ イ オ ー ド
19
102 デ ィ ジ タ ル 集 積 回 路
ソ ー ス
31,34
ソ ー ス ・フ ォ ロ ワ
72
ソ ー ス 接 地 ソ ー ス 接 地FET増
51,56,72 幅 回 路
相 互 コ ン ダ ク タ ン ス
抵 抗 負 荷FET増
幅 回 路
72
34,55
抵 抗 負 荷J‐TR増
幅 回 路
179
低 周 波 特 性(増 幅 回 路 の)
104
定 電 圧 ダ イ オ ー ド
82 167
増 幅 定 数
55 た
ダ ー リ ン トン 接 続
対 数 増 幅 器
行
電 圧 比 帰 還
14 145,154
電 圧 利 得
53,101
電 圧 源
56 31,38
電 気 素 量 104 14 101 119,125 169
単 巻 変 成 器 単 同 調 増 幅 回 路
15,19 163
電 界 効 果 ト ラ ン ジ ス タ
ダ イ オ ー ド ダ イ ナ ミッ ク レ ン ジ
76 110
点 接 触 ダ イ オ ー ド
増 幅 回 路 の 整 合
帯 域 幅
定 電 流 回 路
50,57,100,144
増 幅 器
102 52
50,53,100
増 幅 回 路
デ シ ベ ル
51,72
相 補 性 回 路 幅
182
デ プ リ ー シ ョ ン ・モ ー ド
相 補 性 プ ッシ ュ プ ル 増 幅 回 路
増
42
デ カ ッ プ リ ン グ
82 127,131,183
4
電 流 源
56
電 流 源 モ デ ル(FETの)
56
電 流 増 幅 率(エ
28
ミ ッ タ 接 地 の)
電 流 増 幅 率(ベ ー ス 接 地 の) 電 流 比 帰 還 電 流 利 得 電 力 増 幅 器 電 力 利 得
25 148 57,101 170 57
伝 達 ア ド ミ タ ン ス 帰 還
148
伝 達 イ ン ピ ー ダ ン ス 帰 還
148,153
発
振
146
半 導 体
1
半 導 体 集 積 回 路 ト ラ ン ジ ス タ
22
ト ン ネ ル ・ ダ イ オ ー ド
22
ド
ナ
4
ド リ フ ト電 流
7
ド レ イ ン
31,34
B級
42
プ ッ シ ュ プ ル 電 力 増 幅 回 路
B級 増 幅 pn接 pチ
177 170
合
9,39
ャ ネ ル
32,36
ド レ イ ン ・ コ ン ダ ク タ ン ス
55
p形 半 導 体
5
ド レ イ ン 接 地
72
ピ ー ク 電 流
17
72
ピ ン ク 雑 音
189
55
ビ デ オ 信 号
182
ド レ イ ン 接 地FET増
幅 回 路
ド レ イ ン 抵 抗 等 価 回 路(FET増
ビ デ オ 増 幅 器
幅 回 路 の) 56,74,118,127
等 価 回 路(J‐TR増
182
ひ ず み
幅 回 路 の)
101,176
ひ ず み 率
62,68,78,111,116,121,128
101
引 き 上 げ 法
39
同 調 回 路
124
同 調 周 波 数
124
フ ィル タ
16
同 調 増 幅 回 路
124
フ ォ ト ・ ダ イ オ ー ド
21
フ ォ ト レ ジ ス ト膜 な
行
ナ イ キ ス トの 判 定 法
156
内 部 雑 音
189
入 力 イ ン ピ ー ダ ン ス
40
フ リ ッ カ 雑 音
101
188
プ レ ー ナ ・ ト ラ ン ジ ス タ
40
負 荷 線
53
負 帰 還
146
負 帰 還 増 幅 器
145
入 力 抵 抗
57
負 抵 抗
22
入 力 容 量
119
複 素 数
102
複 同 調 増 幅 回 路
185
熱 雑 音
186
浮 遊 容 量
117
ハ イ ブ リ ッ ド π モ デ ル
120
β(ベ ー タ) ベ レ ッ ト
ハ イ ブ リ ッ ド集 積 回 路
41
ベ ー ス
パ ラ メ ー タ
26
ベ ー ス 接 地
は
行 28 38 22 59,76
バ イ ア ス
24
ベ ー ス 接 地J‐TR増
バ イ ポ ー ラ ・ トラ ン ジ ス タ
22
ベ ー ス 接 地T形
白 色 雑 音 発 光 ダ イ オ ー ド
189 21
幅 回 路
76
モ デ ル(J‐TRの)
59
ベ ー ス 接 地 特 性 ベ ー タ 遮 断 周 波 数
26 123
ベ ク トル
100
並 列 ピ ー キ ン グ
183
並 列 共 振 回 路
124
ユ ニ ポ ー ラ ・ トラ ン ジ ス タ
偏 角(複 素 数 の)
102
有 能 雑 音 電 力
変 成 器
81
変 成 器 結 合
や
38 187
有 能 電 力
81
103 ら
ボ ル テ ー ジ ・フ ォ ロ ワ 飽
行
和
168 53,58
補 償 回 路
159 ま
行
ミ ラ ー 効 果
理 想 変 成 器
81
利 得 帯 域 幅 積
119
利 得 余 裕
156
ル ー プ 利 得
147
119 わ
モ デ ル(交 流 特 性 を 表 わ す) モ ノ リ シ ッ ク 集 積 回 路
行
56,61,68 41
行
yパ
ラ メ ー タ
129
yパ
ラ メ ー タ ・モ デ ル
129
― 〈著者紹介〉― 中
村
欽
雄
東 京帝 国大学工学部電気工学科卒業(1941年) 旧海 軍技術 研究所部員(1944年) 東 京電 機大学工学部 助教授(1949年) 東 京電機 大学工学部教授(1957年) 元東京電機大学附 属図書館長 元東京電機大学短期大学長 主 な著書 「 電気 工学用語辞典」共著(技 報堂) 「 詳 解 電子回路」(東京電機大学 出版局) 「電気工学要論」共著(東 京電機 大学 出版 局)
電 子 回 路 通論 1989年2月20日
〈上〉 第1版1刷
〓Norio
Nakamura
1989
発行
著 者
中 村 欽 雄
学校法人 東 京 電機 大 学 発行者 代 表者 廣 川 利 男
発行所 東京電機大学出版局 著者承認 検 印省略
印刷(株)秀
〒101 東 京 都 千 代 田区 神 田 錦 町2‐2 振 替 口座 東 京6‐71715 電 話 03(294)1551(代) Printed in Japan
製本(株)徳 住 製本所
好堂印刷
* 本 書 の 内 容 の 一 部 あ る い は 全部 を無 断 で 複 写 複 製(コ る こ とは,法
ピー)す
律 で認 め られ た場 合 を除 き,著 作 権 お よび 出 版権
の 侵 害 とな ります の で ご注 意 下 さい. * 落 丁 ・乱 丁 本 はお 取 替 えい た し ます. ISBN
4‐501‐31320‐X
理工学講座 基 礎
電 気
電磁気学
・電 子 工 学 宮 入庄 太/磯 部 直 吉 監 修 A5判 312頁 2色 刷
東 京 電 機 大 学 編 A5判
266頁
電気 の基礎/電 気回路/半 導体デバイス/電 子回路/エ ネル ギー変換機 器 とその応 用/電
電磁気学の ベク トル解析/真 空中の静電界/ 誘電 体中の電界/電 流/真 空中の磁気現象/
子 機器 とその応用
磁性体 中の磁気現象/電 磁誘導/電 磁界
照 明工学講義 新訂版
制御工学
関 重 広 著 A5判 200頁
深 海 登 世 司/藤 巻 忠 雄 監 修 A5判
270頁
2色 刷
総 論/電 球/螢 光 灯/放 電灯/照 明計算/昼 光 照明/照 明の生理 と心理/色 彩 と照明/照 明器 具/屋 内照 明/屋 外 照明/測 光/放 射
序論/制 御系の構成 とブロック線図/制 御系 の特性/フ ィー ドバ ック制御系の安定判別/
システム工学 入門
BASICシ
設計/サ ンプル値制 御/シ ーケ ンス制 御
ス テ ム工 学
松 永 省 吾 著 A5判
186頁
本 書 を学 ぶ に あ た って/シ
ス テ ム 工学 概 論/
プ ロゼ ク トの た め の最 適 化計 画 法/プ
松 永 省 吾 著 A5判 250頁
2色 刷
ロゼク
トに お け る 諸 問 題 の 考 察
電子工学概論
「システム工学入 門」 の姉妹編 線形計画法/動 的計 画法/PERT計 適配置問題/待 ち行列
画法/最
電気通信概論
倉 石 源 三 郎/丹 野 頼 元 監 修 A5判 260頁
A5判
荒 谷 孝 夫 著 154頁 2色 刷
電子 回路の基礎/構 成部品/ダ イオー ドとト ラ ンジスタ/集 積回路/基 本電子回路/電 子 計 算機/電 気通信/電 子計測器/応 用分野
通信 システ ムの概要/伝 送媒体/信 号の処理 /信 号の伝送/信 号の交換/環 境 別各種伝送
例 題演習
半導体工学
マ イ ク ロ波 回路
基 礎 か らデ バ イ ス まで 倉 石 源 三 郎 著 A5判
伝 送 線 路/電 ル タ/MICと
310頁
磁 波/導 波 管/共 振 回路 とフ ィ ス ト リ ップ 線 路/フ ェ ラ イ トと
マ イ ク ロ波/マ
イ ク ロ波 電 子 回路
*定 価,図
方式/情 報別 各種通信方 式
青 野 朋 義/本 間 和 明 他 著 A5判 352頁 2色 刷 基礎的性質/ダ イオー ドとバ イポー ラ トラン ジス タ/電 界効果 トランジスタ/集 積回路/ 光電素子/他 の半導体 デバ イス/製 造技術
書 目録 のお 問 い 合 わ せ ・ご要 望 は 出 版 局 ま で お願 い 致 し ます .
A‐1