電 子 計 測 基 礎 か ら計 測 シス テ ム まで
小滝
國雄
島 田
和信
共著
東京電機 大学 出版局
本 書 の全 部 また は一 部 を無 断で 複 写複 製(コ ピ ー)す る こ とは,著 作権 法 ...
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電 子 計 測 基 礎 か ら計 測 シス テ ム まで
小滝
國雄
島 田
和信
共著
東京電機 大学 出版局
本 書 の全 部 また は一 部 を無 断で 複 写複 製(コ ピ ー)す る こ とは,著 作権 法 上 で の例 外 を 除 き,禁 じ られ て い ます 。 小局 は,著 者 か ら複 写 に係 る 権 利 の管 理 につ き委託 を受 けて い ます ので,本 書 か らの複 写 を希 望 され る場合 は,必 ず 小局(03‐5280‐3422)宛 ご連 絡 くだ さ い。
は し が き
電 子 計 測 は,電 子 的手 段 を利 用 して物 理 的 な量 を 「は か る」 こ と を 目 的 と し て い る。 「はか る」 とい う言 葉 は 「は か ど り」,す なわ ち,仕 事 や 物 事 の進 み 具 合 を表 す 「は か 」 を動 詞 化 した もの だ とい う。 捗 る,計
る,量 る,は 本 来 同 じ
意 味 と され て い る。 電 子 計 測 は今 日の産 業 社 会 の 中 で,電 子 的 な 「もの さ し」 を提 供 す る と同 時 に,製 品 の 生 産 効 率 や 品 質 の 向上 に深 くか か わ っ て い る。 現 代 の電 子 技 術 の 中 心 に は,コ
ン ピ ュー タ の存 在 が あ る。 計 測 技 術 も従 来 の
ア ナ ロ グ 的 手 法 か らデ ィ ジ タ ル 的 手 法 に変 貌 しつ つ あ る。 もち ろ ん 計 測 の 基 本 的 な原 理 ・原則 は変 らな い が,デ
ィ ジ タ ル技 法 を使 用 す る こ とに よ り,よ
り柔
軟 性 に富 ん だ計 測 制 御 環 境 を実 現 で き る し,自 動 化 が 容 易 にな る の で 高 速,高 精 度,高
能 率 を達 成 で き,さ
ら に人 為 的 な誤 りを 排 除 で き る。
計 測 技 術 の 発 展 に よ り,工 業 製 品 は 客 観 的 な評 価 基 準 を与 え られ,さ な用 途 の もの が 開 発 され る。 また,あ な性 能 が規 定 され る た め,新
る材 料,部
まざ ま
品,シ ス テ ム に つ い て 多 面 的
しい 用 途 が 開 け る。 この よ う に して,先 端 技 術 は
計 測 技 術 と表 裏 一 体 の連 携 を保 ち な が ら,よ
り一 層 の 高度 化 が 行 わ れ る。
来 るべ き21世 紀 を展 望 す る と,計 測 技 術 は制 御 技 術 と よ り密 接 な 関 係 を も ち,人 間 の 筋 肉労 働 や 危 険 を と もな う作 業 を肩 代 わ りす る ロ ボ ッ トの発 達 を 主 導 す る。ま た コ ン ピ ュ ー タ や ネ ッ トワー ク と一 体 化 し て空 間 的 な制 約 を克 服 し, 遠 隔 計 測 や 遠 隔 制 御 の 一 層 の発 展 に貢 献 で き る。 コ ン ピ ュー タ と人 間 との の マ ン ・マ シ ン ・イ ン タ フ ェー ス に は,情 報 変 換 効 率 の 観 点 か ら も現 状 で は 問 題 点 が 多 い が,こ
れ に対 す る解 答 も計 測 制 御 技 術 に
よ っ て 与 え られ るで あ ろ う。 手 書 き文 字 の 認 識,音 現 実 感(virtual
reality)な
声 情 報 の 発 生 と認 識 ,人 工
ど,将 来 の 高 度 情 報 化 社 会 を支 え る基 盤 技 術 も多 く
は計 測 技 術 に よっ て もた ら され る で あ ろ う。 本 書 は,大 学 や 高 専 の教 科 書 や 参 考 書 と して,ま た 専 門 技 術 者 に とっ て も基 礎 か ら最 近 の計 測 技 術 を展 望 で きる よ う に記 述 した 。 主 に1,3,お 小 滝 が,2,4お
よ び6章
よ び5章
を
を島 田 が,そ れ ぞ れ分 担 して執 筆 した 。
本 書 が 世 に 出 る に は,東 京 電 機 大 学 工 学 部 ・金 田 輝 男 教 授 と同 大 学 出版 局 ・ 岩 下 行 徳 課 長 の 御 尽 力 に よ る と こ ろが 多 い。 横 河 電 機(株)お よび 日本 ヒュ ー レ ッ ト ・パ ッ カ ー ド(株)に は資 料 の提 供 を頂 い た。 こ こに 厚 く御 礼 を 申 し上 げ る 次 第 で あ る。 1996年6月
小 滝 國 雄 島 田 和 信
目
1.
計 測 の 基 礎 的 事 項 計 測 シ ス テ ム の進 歩
1
1・2
単 位 系 の 構 成
4
1・3
電 気 の 標 準
6
1・4
測 定 方 式
7
問
トレー サ ビ リテ ィ
9
題
11
基本測 定
12
2・1
電気量 の測定
2・2
表示方式
2・3
電 圧 計(電 圧 の 測 定)
16
2・4
電 流 計 と検 流 計(電
26
2・5
電 力 計(電
力 の 測 定)
31
2・6
抵 抗 計(抵 抗 の 測 定)
35
2・7
イ ン ピー ダ ンス 計(イ
44
2・8
オ シ ロス コ ー プ とオ シ ロ グ ラ フ(波 形 の 観 測 と記 録)
2・9
周 波 数 計 お よ び 周 波 数/時 間 標 準
問
3.
1
1・1
1・5
2.
次
12 15
流 の測 定)
ン ピ ー ダ ン ス の 測 定)
題
48 56 61
デ ィジ タル 測 定
63
3・1
デ ィジタル計測技術
63
3・2
デ ィジタルマル チメー タ
65
3・3
3・4
問
4.
デ ィジ タル オ シ ロ ス コー プ とサ ン プ リ ン グオ シ ロス コー プ 任意波形 発生器
77 91
題
97
測 定 デ ー タの 記 録
100
4・1
ア ナ ロ グ量 の 記 録
100
4・2
デ ィジタル量の記録
105
問
5.
題
107
高 周 波 お よ び マ イ ク ロ波 の 測 定
108
5・1
高 周 波 とマ イ ク ロ波
108
5・2
信 号発生器
109
5・3
ス ぺ ク トル 分 析 器
114
5・4
ネ ッ トワー ク分 析 器
122
問
6.
題
131
計 測 自動 化 シ ス テ ム 6・1
実時間計測評価
6・2
コ ン ピ ュ ー タ援 用 計 測 シス テ ム
6・3
電 子 計 測 自動 化 の 将 来 展 望
問
132 132 136 139
題
141
参考 文献
143
索
145
引
1、 計測の基礎的事項
1・1
計 測 システム の進歩
[1]
計 測 シス テ ム
あ る シ ス テ ム を特 徴 づ け る属 性 の 量 を測 る こ とは,あ
らゆ る技 術 や 工 学 に お
い て,ま た あ る と き に は商 取 引 に お いて も,第 一 歩 とな る基 本 的 な事 項 で あ る 。 シ ス テ ム を客 観 的 に評 価 す る に は,対 象 とな る シス テ ム の定 量 的 な 把 握 が必 要 に な る。 計 測 に か か わ る シ ス テ ム は,最
も単 純 に は図1・1(a)の
よ う に理 解 さ れ る で
あ ろ う。 あ る物 理 シ ス テ ム の あ る物 理 変 数S(t)は 時 間 の 関 数 と し て 変 化 す る が,測 定 器 は これ に測 定 条 件c(t)を
与 えて 必 要 な情 報 変 数i(t)を 得 る。
これ を計 測 シ ス テ ム と して,現 実 の 姿 に近 づ け て 表 現 す る と図1・1(b)の う に な る。 計 測 対 象 シ ス テ ム が もつ物 理 量 は信 号 と して 発 生 す るが,こ
(a)基 本 的 な計 測 シ ステ ム
(b)マ
ン ・マ シ ン を 考 慮 し た 計 測 シ ス テ ム 図1・1
計 測 シ ステ ムの 概 念
よ
れはま
た計 測 が 行 わ れ る環 境(温
度,湿 度,振 動,衝 撃,地 磁 気 な ど)に 影 響 され る。
計 測 シ ス テ ム は先 ず計 測 対 象 か らデ ー タ を収 集 し,処 理 し,記 録 な い しは記 憶 す る。 次 に そ の デ ー タ を表 示 し,計 測 を行 う人 間 に対 して 提 示 し,人 間 は 自 分 の欲 し い デ ー タ を操 作 に よ り選 択 取 得 す る。 つ ま り,こ の シ ス テ ム の 出 力 端 は マ ン ・マ シ ン ・イ ン タ フ ェー ス と して機 能 す る。 さ ら に,計 測 者 な い し は観 測 者 で あ る人 間 は提 示 さ れ た デー タ な り情 報 を認 識 し,一 定 の判 定 を下 す こ とが で き る。 計 測 方 法 な い し は シ ス テ ム に は,ア ナ ロ グ計 測 とデ ィジ タル 計 測 の 二 つ が あ る。 前 者 で は得 られ る デ ー タ は連 続 的 な量 で あ り,後 者 で は不 連 続 的 な 量 で あ る。 近 年,デ
ィ ジ タル 技 術 の 進 歩 に と もな っ て,処 理,表 示,記
録 な どの 面 で
能 率 の よい デ ィ ジ タル 計 測 が 広 く利 用 さ れ る よ う に な っ て きて い る。 [2]
自動計 測 シ ス テ ム
人 間 は 多 くの異 な る仕 事 を処 理 す る融 通 性 を備 え て い る反 面,反
復 す る仕 事
を速 く正 確 に処 理 す る能 力 に は欠 け る。 工 場 な ど生 産 現 場 で は,生 産 性 や信 頼 性 を向 上 させ,製
品 の 品 質 管 理 を徹 底 す る必 要 か ら,コ ン ピュ ー タ な い しは マ
イ ク ロ プ ロ セ ッ サ を利 用 した 自動 計 測 を採 用 して い く傾 向 に あ る。 物 理 シ ス テ ム か ら 自動 的 な い しは半 自動 的 に 計 測 情 報 を得 る一 般 的 な方 法 と して,図1・2(a)の
よ う な 図式 が 説 明 に便 利 で あ ろ う。物 理 シ ス テ ム,す なわ ち
計 測 対 象 か ら の 信 号 エ ネ ル ギ ー は セ ン サ(sensor)ま (transducer),例
た は トラ ン ス ジ ュ ー サ
え ば サ ー ミス タ,熱 電 対,圧 力 セ ン サ な どに よ っ て検 知 され,
他 の形 式 の信 号 に変 換 さ れ,信 号 前 処 理(増 幅,フ
ィル タ リ ング,リ ミテ ィ ン グ
な ど)を 経 て 信 号 処 理 され,望 ま しい信 号 形 式 で,入 出 力 イ ン タ フ ェ ー ス で 必 要 に応 じて 表 示,プ
リン ト,プ ロ ッ テ ィ ン グ され る。 シ ス テ ム に対 して は キ ー ボ
ー ドな ど入 力 装 置 に よ り操 作 され る。 信 号 処 理 や 入 出 力 に は マ イ ク ロ プ ロセ ッ サ と記 憶 装 置 が 介 在 し,シ ス テ ム 全 体 を 目 的 に応 じて制 御 す る。 計 測 機 器 とコ ン ピ ュー タ と,こ れ ら を結 ぶ イ ンタ フ ェ ー ス とバ ス(多 くは標 準 化 され たRS‐232‐CやGP‐IB,す
な わ ちIEEE488規
格 が 使 用 され る),ソ フ ト
ウ ェ ア と周 辺 機 器 な ど を統 合 す る こ と に よ っ て,自 動 計 測 シ ス テ ム が 構 成 され
(a)マ
(b)ネ
イ ク ロ プ ロ セ ッサ を べ ー ス と し た 計 測 シ ス テ ム
ッ トワ ー ク を 通 じ て 広 域 化 す る 計 測 シ ス テ ム 図1・2
計 測 シ ステ ムの 展 開
る 。 さ ら に,コ
ン ピ ュ ー タ の 利 用 を 推 し進 め る こ と に よ っ て,デ
処 理,解
測,試
析,予
GP‐IB(General
験 成 績 書 の 作 成,デ
Purpose
Interface
Bus)に
ー タの整理 と
ー タベ ー ス の一 元 管 理 が 図 られ る。 つ い て は 第6章
に詳 述 した 。
自 動 計 測 を 行 う 複 数 の シ ス テ ム を 統 合 化 し てLAN(Local やWAN(Wide 製 造,試
Area 験,検
Network)な
Network)
ど の ネ ッ ト ワ ー ク で 結 ぶ こ と に よ り,設 計,
査 な ど の 工 程 が 統 合 さ れ,一
こ の よ う な 方 向 はCAD(Computer‐Aided Manufacturing)と
Area
元 化 で き る こ と に な る 。 す な わ ち, Design)やCAM(Computer‐Aided
い っ た 設 計 ・製 造 の 自 動 化 と も 密 接 な 関 連 を も っ て い る 。 ネ
ッ ト ワ ー ク を 通 じ て 広 域 化 す る 計 測 シ ス テ ム の 構 成 例 を 図1・2(b)に
1・2
示 す。
単 位 系 の 構 成
単 位 系 に は 過 去 に い ろ い ろ な 経 緯 が あ っ た が,現 在 はSI(International of
Units)単
SI単 位 は,7つ
System
位 系 が 国 際 的 に 広 く使 用 さ れ て い る 。 の 基 本 単 位,2つ
の と組 立 名 の も の が あ る),さ
の 補 助 単 位 お よ び 組 立 単 位(固 有 名 を も つ も
ら に単 位 の 大 き さ を 表 す 接 頭 語 か ら成 っ て い る。
物 理 量 を 根 元 的 な も の に 整 理 し て い く と,い
表1・1 SI基
ち お う 表1・1の
本単位
よ う な7つ
の基
本 単 位 に還 元 され る。しか し,物 質 量 の モ ル(mol)は 物 質 に よ り異 な る質 量 で あ り,光 度 の カ ン デ ラ(cd)は あ る方 向 に 指 向 され る電 力 で あ るか ら,基 本 的 に独 立 した 単 位 と し て は5つ 補 助 単 位 は,ほ
の 単位 に整 理 さ れ る。
か の 組 立 単 位 を構 成 す る た め に用 い られ,次
位 で あ る。 これ を表1・2に 示 す 。 表1・2 SI補 助 単 位
表1・3 SI組
立単 位 の例
元 を もた な い単
組 立 単 位 は基 本 単 位 や 補 助 単 位 を使 っ て代 数 的 に組 み 合 わ せ て 導 か れ る。 多 数 あ る組 立 単 位 に は,表1・3に す に は,表1・4の
示 す よ うな 例 が あ る。 また,10の
整 数 乗 倍 を表
よ うな 接 頭 語 を
付 加 す る 。 接 頭 語 は,例
表1・4 SI接 頭 語
え ば μμ
(マ イ ク ロ マ イ ク ロ)は 使 用 せ ず, p(ピ
コ)を 使 用 す る よ う に,二
つ
以 上 並 べ て使 用 して は い け な い こ とに な っ て い る。 さ ら に,SI単
位 と併 用 して よい
単 位 と し て,時
間 :分(min),時
(h),日(d);平
面 角 :度(°),分
('),秒(");体
積 : リ ッ トル(lま
た はL);質
量 : ト ン(t)が 使 用 さ
れ る 。 ま た,特
殊 な 分 野 に 限 り,
エ ネ ル ギ ー と し て 電 子 ボ ル ト (eV)な
ど も使 用 して よ い こ と に
な っ て い る。
1・3 電 気 の 標 準 SI基 本 単 位 の 定 義 に つ い て は,す で に 表1・1に 掲 げ た とお りで あ る が,現 場 で の 測 定 に使 用 で き る よ うな 内容 で は な い 。標 準(standard)は,実 え な い精 度 で,し
か も誰 で も同 じ数 値 が 得 られ る,つ
用 上,差
支
ま り再 現 性 の よ い原 理 ・
現 象 を利 用 した 方 法 で あ る こ とが 望 ま し い。 こ の よ うな 目的 で 設 定 され た標 準 の 例 を ま とめ て表1・5に 示 す。 新 し い物 理 現 象 の 発 見 に よ って,標 準 の 精 度 は 年 々 向 上 して い て,す で に基 本 単 位 の 精 度 を超 え る もの も見 られ る よ う に な っ て きて い る 。 質 量 はSI単 位 系 の 中 で も異 質 の 存 在 で あ り,国 際 キ ロ グ ラ ム 原 器 の 質 量 を もっ て1キ
ロ グ ラム とす る,と い う自然 法 則 とは無 縁 の定 義 で あ る。 また,他
表1・5 原 理的 に精 度 の 高 い標 準 の 例
の 単 位 との間 に相 互 関 連 もな く,精 度 も悪 い。 しか し,こ れ も超 伝 導磁 気 浮 上 を利 用 し て,磁 束 量 子 の 絶 対 測 定 を行 う こ とに よ り解 決 さ れ る可 能 性 が で て き て い る。精 度 は お よ そ10-9が 期 待 され,従 来 の 原 器 に よ る方 法 に く らべ て1桁 くらい 改 善 さ れ る。
1・4
測 定方式
測 定 す る量(測 定 量)は,基
準 とな る量(基 準 量)と 測 定 した 値(測 定 値)の 積 に
よ り求 め られ る。 例 え ば,金 額 を求 め る場 合,1円 (10円 の と き は10倍,100円
の と きは100倍)に
な り,こ れ らの積 が 測 定 量,す
を基 準 量 と して,そ
の倍数
相 当 す る硬 貨 や紙 幣 が 測 定 値 に
なわ ち合 計 金 額 にな る。
基 準 量 とし て は 基 本 単 位 な い し は標 準 が使 用 され る の が 筋 で あ るが,も
っと
も身 近 に は 「国 家 標 準 」 か ら導 か れ る 「産 業 計 測 標 準 」 が利 用 さ れ る のが 普 通 で あ る。 した が っ て,産 業 計 測 標 準 は国 家 標 準 に 対 して生 産 現 場 に必 要 な精 度 を保 っ て い く必 要 が あ り,こ れ を 「トレー サ ビ リテ ィ」(traceability)と い う。 測 定 方 法 を大 き く分 け る と,直 接 測 定(Direct Measurement)と Measurement)と
間 接 測 定(Indirect
が あ る。直 接 測 定 は,測 定 量 と同 じ種 類 の量 を表 す尺
度 また は次 元 で 測 定 す る方 法 で,電 圧 計 で電 圧 を計 測 す る場 合 が これ に 当 た る。
間 接 測 定 は,測 定 量 と一 定 の 関 係 を もつ 複 数 の量 につ い て測 定 し,こ れ ら の量 を ま とめ て 関 係 式 に 従 い計 算 に よ り求 め る方 法 で,電 力 を知 るた め に電 圧 と電 流 を別 々 に 測 っ て積 を 求 め る場 合 が これ に当 た る。 計 測 器 また は測 定 器 に は い ろ い ろ な方 式 が あ る が,古
くか ら指 針 に よ る 装 置
が 多 く利 用 され て き た。 指 針 の 指 示 方 式 に よ り,測 定 は 次 の4方 式 に 大 別 で き る。 [1]
偏 位 法(Deflection
図1・3(a)に
Method)
示 す よ う に,指 針 の 振 れ に よ り直 接 測 定 量 を読 み と る方 式 で あ
る。 直 接 に測 定 が行 わ れ る の で,直 動 式 と もい わ れ る。 測 定 器 に内 部 で は,測 定 を行 うた め に必 要 な 測 定 量 の信 号 変 換 機 能 を も って い る。 この 方 式 で は,前 も って 基 準 量 が 設 定 され て い て,目 盛 りが 決 め られ て い る。 最 も簡 単 に は ア ナ ロ グ 表 示 に な るが,こ
の ア ナ ロ グ量 をA-D変
換 して デ ィ ジ タ ル表 示 とす る こ
と もで き る。 [2]
零 位 法(Null
図1・3(b)に 節 さ れ,釣
Method)
示 す よ う に,測 定 量 は比 較 器 で 可 変 の基 準 量 と平 衡 す る よ う調
り合 っ た 基 準 量 の値 に よ り測 定 され る 。 こ の動 作 原 理 か ら平 衡 方 式
(a)偏
(c)補
(b)零 位 法
位法
償法 (d)置
図1・3
各種 測定 方 式
換法
と も い わ れ る。 この 変 形 と して,比 較 器 が平 衡 す る まで サ ー ボモ ー タ に よ り基 準 量 を調 節 す る 自 動 制 御 系 に よ り,手 間 を省 く方 法 もあ る。 [3]
補 償 法(Compensation
Method)
偏 位 法 と零 位 法 の 中 間 的 な 方 式 で あ る。図1・3(c)に
示 す よ う に,測 定 量 か ら
そ の値 に ほ ぼ 等 しい 基 準 量 の差 を と り,そ こで現 れ る小 差 を測 定 して 測 定 量 を 求 め る方 式 で あ る。 測 定 器 は この小 さい 差 だ け を測 定 す れ ば よ い の で,比 較 的 高 精 度 を得 る こ とが で き る。 [4]
置 換 法(Substitution
Method)
補 償 法 に よ く似 た 方式 で あ るが,測 定 量 と基 準 量 とを置 き換 え て,時 間 的 に 異 な る2度
の測 定 結 果 か ら測 定 量 を 求 め る 方 法 で あ る。 図1・3(d)に
示す よう
に 時間t1に 基 準 量 を測 定 し,測 定 量1を 得 る。次 に時 間t2で 測 定 対 象 を測 定 し 測 定 量2を
得 る。 測 定 量1と2が
一 定 の 小 さ い差 が あ る場 合 に は
等 しい場 合 に は,基 準 量 は測 定 量 に等 し く, ,こ れ を基 準 量 に加 減 して 測 定 量 を得 る こ とが
で き る。 この 方 式 は測 定 に 際 し て時 間 的 な ず れ が あ るの で,こ しな い よ う に注 意 しな けれ ば な らな い 。 その 反 面,基 一 また は小 差 の 測 定 値 を得 れ ば よい の で
の間 に測定条件が変化
準 量 と測 定 量 につ い て 同
,測 定 器 は精 度 や 測 定 範 囲 の 面 で 多 く
を要 求 され る こ とが な く,性 能 は さ ほ ど高 くな くて もよ い と い う利 点 が あ る。
1・5
ト レー サ ビ リ テ ィ
計 測 器 は常 に 正 確 で高 精 度 を保 つ こ とが 要 求 さ れ る。 と く に製 造 業 の 工 場 で は,製 品 の 品 質 を高 め均 一 化 す る た め に,組 織 的 な計 測 器 管 理 が 品 質 保 証 の 上 か ら必 要 と され る。 計 測 器 を 組 織 的 に 管 理 す る に は,計 測 器 の校 正 に必 要 な標 準 器 や 校 正 装 置 を 整 備 し,校 正 を行 うた め の規 格,作
業 手 順,周
囲 条 件(環 境),す
なわ ち校 正 シ
ス テ ム を制 度 と して確 立 す る こ とが 要 点 に な る。 計 測 器 の精 度 を保 証 す るた め に は,適 正 な時 間 間 隔 ご と に校 正 を実 施 す る こ とが 必 要 で あ る。 電 気 計 測 器 の校 正 は,国 際 的 に 認 め られ た 国 際 度 量衡 局 な ど
図1・4
トレ ー サ ビ リ テ ィに よ る 基 本 的 校 正 シ ス テ ム
の 原 器 と照 合 した 日本 の国 家 標 準 が 通 産 省 工 業 技 術 院 ・電 子 技 術 総 合 研 究 所 や 計 量 研 究 所 な どに備 え られ て い る。 これ か ら,さ
ら に校 正 を実 施 す る公 共 標 準
機 関 と して,日 本 電 気 計 器 検 定 所 や 日本 品 質 保 証 機 構 が あ る。 ま た,こ れ ら は 地 方 試 験 所 や 都 県 に 工 業 試 験 所 な ど を 出先 機 関 と して もっ て い る。 企 業 は 自 社 の計 測 器 管 理 を行 うに 当 た っ て,こ 標 準 器 や 校 正 装 置 を校 正 し て も らい,こ
れ らの 出先 機 関 に 自社 保 有 の
れ を 社 内 標 準 と して使 用 して い る計 測
器 を定 期 的 に校 正 す る体 制 を取 っ て い る。 生 産 現 場 で使 用 さ れ る計 測 器 は,定 め られ た 使 用 時 間 ご とに,定
め られ た社 内標 準 に基 づ い て 校 正 され,そ
の記 録
が 保 存 され る。 この よ う に,一 般 に使 用 され る計 測 器 の 精 度 が,国
が保 証 して い る国 家 標 準
に対 応 して 明 確 な経 路 で つ な が り,校 正 され 管 理 され て い る状 態 を トレー サ ビ リテ ィ(traceability)と い い,図1・4の
問
よ うな 階 層 構 成 に な っ て い る。
題
1‐1 計 測 シス テム にお ける コン ピュー タの利 用法 に つい て述 べ よ。 1‐2 計 測 システ ム にお けるマ ン ・マ シ ン ・システ ム につ いて述 べ よ。 1‐3 SI単 位 系 の特 長 と目的 を述 べ よ。 1‐4 SI単 位 系 に おい て,長 さ(メ ー トル)の 定 義 と して,最 も身 近 な物差 しや巻 き尺 を使 用 しない の はなぜか。 1‐5 SI単 位 系 にお いて,時 間 の定義 に地 球 の 自転 な ど天 体観 測 デー タが使 用 され な い の はなぜ か。 1‐6 計測 器 の精度 に影 響 を与 え る環境 条件 に は どうい う もの が あ るか。 また,そ れ らの影 響 か ら計測器 を防護 す る方法 を述 べ よ。 1‐7 トレーサ ビ リテ ィは,か な り複 雑 で面倒 な制 度 で あ るが,こ れ を行 わ な い場 合 の不 具 合 な点 を述 べ よ。 1‐8 トレー サ ビ リテ ィの原 点 は国家標 準 に な ってい るが,こ れ を私 的 な機 関が 実施
す る とな る と,ど の よ うな問題点 が挙 げ られ るか 。
1‐9 原 器 を使 用 す るメ リッ トとデ メ リッ トにつ いて論 述せ よ。
2、 基本測定 2・1
電 気量の 測定
電 気 量 の 測 定 に は い ろ い ろ な 方 式 が あ るが,基 本 的 に は第1章
の と お りで あ
る。 実 際 の例 を次 に 述 べ る。 [1]
偏位法
偏 位 法 の代 表 的 な もの は 図2・1の パ ネ ル 形 メ ー タで あ る。 こ の 方 法 は指 針 を 動 か す の に エ ネ ル ギ ー を消 費 し,測 定 対 象 物 に影 響 を与 え るた め精 密 な測 定 は 期 待 で きな いが,簡
便 な測 定 法 と して 広 く用 い られ て い る。
図2・1
[2]
偏 位 法 の例
零位法
零 位 法 の 例 を 図2・2に示 す 。 同 図(a)の
電 位 差 計 で は,可 変 抵 抗 器RSを
スラ
(a)電 位差 計
(b)ホ
イ ー トス ト ン ブ リ ッ ジ
(c)自 動 平 衡 形電 位 差 計 図2・2 零 位法 の例
イ ド さ せ て 検 流 計Gの くな る 。 同 図(b)の
左 右 の 電 位 がeO=EXと
等 し く な っ た と き,Gは
ホ イ ー トス トン ブ リ ッ ジ(Wheatstone
振れ な
Bridge)では,
(2・1)
の と き平 衡 し,Gに 電 流 が 流 れ な くな る。同 図(c)の の 変 形 で,ExとEOと
自動 平 衡 形 電 位 差 計 は(a)
の 差 εが ゼ ロ に な る まで サ ー ボ モ ー タMがRSを
動か
し,平 衡 を得 る。 これ は(a)の
電 位 差 計 の 平 衡 を取 る作 業 を 自動 的 に行 う もの で,さ
ら にオ ー
トメー シ ョ ンや 自動 制 御 へ と発 展 す る。 この 方 法 は被 測 定 物 か らエ ネ ル ギ ー を とる こ と は な く,被 測 定 物 に測 定 器 に よ る外 乱 を与 え な い ので,精
密 な測 定 に は よ く用 い られ る。
[3]
補償法
周 波 数 を補 償 法 で 測 定 す る例 を図2・3に 示 す 。図 で 標 準 周 波 数fSと 被 測 定 周 波 数fxと の 差 の 周 波 数│fx-fs│が
ミク サ(mixer)で
取 り出 さ れ る。fXを 求 め
る に は そ の差 を測 りfSに 加 え れ ば よ い。 こ の方 法 は 基 準 量 が 正 確 で あ れ ば全 体 と して 高 精 度 の 測 定 が で き る。
図2・3 補償 法 の 例
[4]
置換 法
図2・4に 置 換 法 の 例 を示 す 。図 で は ま ず ス イ ッ チSWを1に む。次 にSWを2に
倒 し,値 の わ か っ た 可 変 抵 抗 器RSを1と
う調 整 す る。 この と き,Rx=RSと 側 に倒 し,RSを る),E1=ESと
な る。 同 図(b)の
同 じ電 流 に な る よ
場 合 は,初 め にSWをES
動 か して 平 衡 を とれ ば(検 流 計Gに な る。 次 い でSWをEx側
倒 し電 流 計 を読
電 流が 流れ な い ようにす
に して,RSに
よ りE2=Exで
平衡 を
とる と,Exは, (2・2) で 求 め られ る。
(a)抵 抗 の測 定
(b)電 圧 測定 の 例 図2・4 置 換法 の例
こ の 方 法 は被 測 定 量 に ほ ぼ等 しい 基 準 量 を用 い れ ば,精 度 の 高 い 測 定 が で き る。
2・2
表 示方式
[1]
ア ナ ログ 表 示
指 示 計 器 の 指 針 や ペ ン レ コー ダ の記 録 紙 な どか ら,連 続 した 量 で 表 示 させ る 方 法 で あ る。 この 方 法 は連 続 した 測 定 にお い て,変 化 量 の監 視 は しや す い が, 読 取 り誤 差 や 精 度 の 点 で 限 界 が あ る。 [2]
デ ィジ タ ル表 示
測 定 した 値 が そ の ま ま数 字 で表 示 さ れ る方 法 で あ る。 この 方 法 は表 示 桁 数 を上 げ る こ と に よ っ て,高 精 度,高 分 解 能 が 得 られ,読 取 り誤 差 も な く コ ン ピュ ー タ処 理 に も適 す る。 図2・5に ア ナ ロ グ表 示 とデ ィ ジ タル 表 示 の例 を示 す。 この章 で は ア ナ ログ 式 に つ い て述 べ,デ
図2・5
ハ イ ブ リ ッ ド表 示 の メ ー タ
ィ ジ タル 式 に つ い て は次 章 に述
べ る。
[3] 指 示 電 気 計器 の精 度 日本 工 業 規 格JIS
C
1102で は 電 圧 計,電 流 計 お よび 電 力 計 に つ い て,精 度 に
よ り5段 階 の 階級 を設 け て い る。 これ は最 大 目盛(定 度 を表 す もの で,表2・1の
とお りで あ る。 表2・1 指示 電 気 計器 の階 級
格 値)に
対 す る誤 差 の 限
2・3
電 圧 計(電
圧 の 測 定)
電 気 量 の計 測 の 中 で,最 [1]
も測 定 頻 度 の高 い電 圧 の 測 定 に つ い て 述 べ る 。
直流電圧の測定
(1) 偏 位 法 に よ る測 定 a) 指 示 電 気 計 器 形 電 圧 計 代 表 的 な もの は可 動 コ イ ル 形 電 流 計(2・4節 参 照)を 電 流 計 に 倍 率 器(multiplier)と
用 い,図2・6の
い わ れ る直 列 抵 抗RSを
もの で あ る。 この 図 で電 流 計 の 内部 抵 抗 をRmと
よ うに
入 れ て 電 圧 計 とす る
す れ ば, (2・3)
とな り,IはVに
比 例 す る の で,電 流 値 か ら電 圧 を求 め る こ とが で き る 。
こ に式 か ら倍 率 器 の抵 抗 値 は, (2・4)
と して 求 め られ る。 例 え ば,内 部 抵 抗10Ω
の1mA電
率 器 と し てR=10/0.001=10000Ω(厳 き9990Ω)の
流 計 を用 い て10Vの
電 圧 計 とす る に は倍
密 に は電 流 計 の 内 部 抵 抗10Ω
を差 し引
抵 抗 器 を直 列 に 接 続 すれ ば よい 。
この 方 法 は た い へ ん簡 便 で あ るの で,い わ ゆ る 「回 路 テ ス タ」 な ど,さ
ほど
精 密 さ を必 要 と しな い測 定 器 に広 く用 い ら れ て い る。
図2・6 直流 電圧 計
b) 直 流 電 子 電 圧 計 上 述 の 電 圧 計 に 直 流 増 幅 器 を組 み合 わ せ た もの で あ る。 この 方 法 は簡 便 で あ
る と同 時 に,入 力 イ ン ピー ダ ン ス を 非 常 に高 く取 れ る の で,電 子 回路 の電 圧 測 定 な ど,電 圧 計 を 接 続 す る こ とに よ って 生 じ る外 乱 や 影 響 を最 小 に した い場 合 に広 く用 い られ て い る。
図2・7 直流 電 子電 圧 計
(2) 零 位 法 に よ る測 定 a) 電 位 差 計 法 直 流 電 圧(起
電 力)を
非 常 に 正 確 か つ精 密 に測 定 す る に は,電 位 差 計 が 用 い
られ る。 図2・8に そ の例 を示 す。 い ず れ の場 合 も検 流 計Gに
流 れ る電 流 が ゼ ロ
に な っ た と きの 滑 り抵 抗 器 の値 か ら求 め る値 を知 る こ とが で き る。 図 の(a)は 測 定 原 理 を 示 す もの で,ESに の 電 圧Exを
は値 の わ か っ た 極 め て安 定 な電 源 を 用 い る 。未 知
測 定 端 子 に 接 続 し,検 流 計Gに
流 れ る電 流 が ゼ ロ に な る よ う に滑
り抵 抗 器 の ブ ラ シ を動 か した と き, (2・5)
と な り,ブ ラ シ の位 置 か ら電 圧 を求 め る こ とが で き る。 図 の(b)は
実 際 の電 位 差 計 の構 成 図 で,滑
(a)電 位 差 計 の基 本 形
り抵 抗 器 に は十 分 に安 定 な補 助 電
(b)精 密 級電 位差 計 の構 成 図2・8 直 流 電位 差 計 の 原理
源 か ら電 流 を流 し,ま ず 標 準 電 池(20℃ の 値(図
の(c)の
位 置)で,Gに
り抵 抗 器 を動 か してdの
・Rbcお よ びEx=I・Rbdで
測 定 し,そ の 電 圧 目盛
流 れ る電 流 が ゼ ロ に な る よ う に電 流 加 減 抵 抗
器 を調 整 す る。 この と きの 電 流 値 をIと し,滑
で1.0186V)を
す る。次 に ス イ ッチSWをEx側
位 置 でGの
に倒
値 が ゼ ロ に な っ た とす る と,ES=I
あ るか ら, (2・6)
とな る。 す な わ ち,滑
り抵 抗 器 の値(目
盛)か
ら求 め る電 圧 が わ か る。
この 方 法 は置 換 法 と呼 ばれ て い るが,注 意 を 要 す る の はEXを
測 る と き とE
Sを測 る と き に,Iの 値 が 変 わ ら な い こ とで あ る。この た め補 助 電 流 電 源 に は十 分 に安 定 度 の 高 い もの を使 用 す る必 要 が あ る。 電 位 差 計 に は後 述 す る熱 起 電 力 の 影 響 を 少 な くす るた め に,入 力 端 子 に 金 メ ッ キ を施 す な どの対 策 が な され て い る。 電 位 差 計 は,① 被 測 定 回路 か ら電 流 を と らな い の で,そ
の 内 部 抵 抗 に は関 係
が な く,ま た リー ド線 の 抵 抗 や ブ ラ シ の接 触 抵 抗 も測 定 結 果 に は影 響 が な い, ② 可 変 抵 抗 器 に は精 密 な デ ィケ ー ド抵 抗 器(decade
resistor)が 用 い られ るの
で,測 定 の有 効 桁 数 も多 く とれ る,と い っ た特 徴 が あ り,精 密 な 電 圧 測 定 に適 して い る。 b) 差 動 電 圧 計 図2・9の よ うな 平 衡 指 示 用 検 流 計 を内 蔵 した 可 変 形 標 準 電 圧 発 生 器 を差 動 電 圧 計(differential
voltmeter)と
変 化 させ れ ば,EX=ESと
い い,検 出 器 が ゼ ロ を示 す よ うに 発 生 電 圧 を
な り,標 準 電 圧 発 生 器 の 精 度 で 電 圧 の 測 定 が で き る。
図2・9 差 動電 位 計 の原 理
[2]
直流 電 圧 測 定 時 の 注 意
(1) 入 力抵 抗 の 影 響(負
荷 効 果)
電 圧 計 を接 続 した と きに 被 測 定 回 路 に与 え る影 響 を最 小 限 にす るた め に,被 測 定 回 路 に比 べ て 十 分 に 高 い入 力 抵 抗 の電 圧 計 を使 用 す る必 要 が あ る。 図2・10に お い て,内 部 抵 抗ROの 抗Rmの
回 路 の 電 圧VOを
測 定 し よ う と し て入 力 抵
電 圧 計 を接 続 す る と, (2・7)
とな り,電 圧 計 に 流 れ る電 流 に よ って 測 定 さ れ る電 圧Vmは
実 際 の 電 圧VOよ
り小 さ くな っ て し ま う。 これ を電 圧 計 の 負 荷 効 果 とい う。 内部 抵 抗5kΩ
の 回 路 に入 力 抵 抗100kΩ
果 は100/(5+100)=0.952と
の電圧 計 を接続 した ときの負 荷効
な り実 際 の電 圧 よ り4.8%も
低 く測 られ る。
図2・10 電 圧 計 の 負荷 効 果
(2) 熱 起 電 力 の 影 響 mV程
度 の 直 流 の微 小 電 圧Exを
測 定 し よ う とす る とき に 注 意 す る こ と は,
図2・11に 示 す よ う に 測 定 ル ー プ の 一 部 に異 種 金 属 が あ り,し か も 両 接 点T1 − T2間 に 温 度 差 が あ る と き は ゼ ー ベ ッ ク効 果(Seebeck
図2・11
熱起 電 力 に よ る誤差
effect)に
よ る熱 起
電 力ΔEが
発 生 し,こ れ が 測 定 誤 差 とな る こ とで あ る。
この 影 響 を除 去 す るた め に は,熱 起 電 力 の 少 な い リー ド線 を選 び,ま た 測 定 回 路 との 温 度 差 を な くす な どの注 意 が 必 要 で あ る。 [3]
交流電圧の測定
(1) 偏 位 法 に よ る測 定 a) 指 示 計 器 形 交 流 電 圧 計 交 流 に よ り作 動 す る指 示 計 器 に は,動 作 原 理 に よ り可 動 鉄 片 形,電 流 力 計 形, 整 流 形,熱 電 対 形,静 電 形,振 動 片 形 な どに分 類 さ れ,JIS規
格(JIS
C
1102)
で規 定 さ れ て い る。 表2・2に 直 流 用 を含 め そ の 一 覧 を示 す 。 これ らは商 用 周 波
表2・2 動 作 原 理 に よ る指 示計 器 の 分 類
数 で は まだ用 い られ て い るが,音
声 周 波 数 以 上 の 領 域 で は,次
に述 べ る よ うな
交直 変 換 器 ・増 幅 器 と組 み 合 わ せ て,直 流 に変 換 され た値 を可 動 コ イ ル 形 指 示 計 器 で 読 み取 る方 式 が 多 く使 わ れ て い る。 b) 交 流 電 子 電 圧 計 こ の方 式 の 電 圧 計 は交 直 変 換 器 ・増 幅 器 と直 流 指 示 計 器 と を組 み 合 わ せ た も の で あ る。図2・12に 示 す よ うに,測 定 電 圧 を 交 流 増 幅 器 で増 幅 した後 に直 流 に 変 換 し計 器 で 表 示 す る もの と,ま ず 直 流 に変 換 した もの を直 流 増 幅 器 で 増 幅 し て計 器 に表 示 す る もの とが あ る。 交 流 を直 流 に変 換 す る方 法 に よ っ て計 器 の 指 示 値 が,入 力 波 形 の 平 均 値 に比 例 す る平 均 値 指 示 形,波
高 値 を 示 す 波 高 値 指 示 形,実 効 値 を示 す実 効 値 指 示 形
な どが あ る 。図2・12の 電 子 式 電 圧 計 の 回 路 方 式 の特 長 を ま とめ る と,表2・3の 表2・3 電 子 電圧 計 の 基本 形
* 1015Ω の もの(静
電 容 量 偏 位 形)も
あ る
(a)直 流増 幅 形
(b)交 流 高感 度 形 図2・12 (1)電
子 電圧 計 の 回路構 成
(c)ダ
イ オ ー ド整 流 形
(d)熱 電対 形 図2・12(2) 電 子 電圧 計 の 回路 構 成
よ う に な る。 電 子 電 圧 計 は 指 示 計 器 形 に比 べ,次
の よ う な特 長 が あ る。
① 入 力 イ ン ピー ダ ン ス を 高 く取 れ る の で,電 圧 計 を つ な ぐこ とに よ る被 測 定 回 路 に与 え る影 響(負 荷 効 果)を 非 常 に少 な くで き る。 ② 電 圧 測 定 範 囲 が 広 い。(数 μV∼ 数100Vの ③ 周 波 数 範 囲 も広 い。(数GHzま
測 定 が 可 能)
で 測 れ る もの もあ る)
④ 電 流 測 定 や 抵 抗 測 定 な ど に も応 用 で き る。 (2) 零 位 法 に よ る測 定(交
流 電 位 差 計)
交 流 電 位 差 計 の 原 理 は直 流 と基 本 的 に は同 じ で あ るが,交 け で な く,周 波 数,位 相,波
流 の 場 合 は電 圧 だ
形 な どの影 響 の た め,平 衡 状 態 を得 る の は難 し い
こ と,直 流 の場 合 の標 準 電 池 の よ うな起 電 力 の標 準 が 交 流 で は得 が た い こ とな ど の た め,あ
ま り使 わ れ て い な い。
[4]
交流電圧測定時の注意
(1) 入 力 イ ン ピー ダ ンス の 影 響 直 流 の 場 合 と同様 に,電 圧 計 の 入 力 イ ン ピー ダ ンス は被 測 定 回路 の イ ン ピー ダ ン ス よ り十 分 に高 い もの を選 ぶ 。 (2) 測 定 波 形 に よ る影 響 電 圧 計 は整 流 方 式 に よ って,平 均 値,波
高 値,実 効 値 に比 例 し た 指 示 が 得 ら
れ る が,目 盛 りは入 力 波 形 が 正 弦 波 で あ る と して,そ の実 効 値 で 目盛 っ て あ る。 表2・4は,各
種 の 波 形 を整 流 方 式 の 異 な る電 圧 計 に 指 示 さ せ た と きの 値 を示
した もの で あ る。 電 子 回 路,デ
ィ ジ タル 回路 に お い て は,各 部 の波 形 は必 ず し も正 弦 波 で は な
く,ひ ず み(distortion)の
大 きい 波 形 で あ る場 合 が 多 い 。 こ う した 波形 の 電 圧
を測 定 す る場 合 は,使 用 す る電 圧 計 に よ って,そ
の誤 差 が どの 位 で あ るか 知 っ
て お く必 要 が あ る。 表2・4 特 別 な波 形 を測 定 した ときの雷 圧 計指 示
* いず れ も正 弦 波 の 実効 値 で 目盛校 正 を した場 合 の値
(3) 微 小 電 圧 測 定 時 の 注 意 交 流 電 圧 の 測 定 に際 して 問 題 とな る の は各 種 の雑 音(noise)で
あ る。雑 音 源
に は,配 電 線 や 交 流 電 源 か らの商 用 電 源 周 波 数 お よび そ の 高 調 波,放
送電 波や
電 子 機 器 か らの 漏 洩 電 波 な どが あ る。 ① 静 電 結 合 対 策:測
定 器 と測 定 回 路 を接 続 す る リー ド線 に 静 電 シー ル ド線
を用 い,誘 導 源 か らで き る だ け離 す 。(図2・13参 照)
図2・13 静 電 結 合
② 電 磁 誘 導 対 策:誘
導源 か ら離 す,雑 音 源 や 信 号 源 に電 磁 シ ー ル ドを施 す,
リー ド線 を よ り合 わ せ る こ とな どの 方 法 が効 果 的 で あ る。 また 電 磁 シー ル ドを施 した シー ル ドル ー ム の 中 で 測 定 を行 う こ とが 必 要 な場 合 もあ る。
図2・14
電磁誘導
③ コ モ ン モ ー ド雑 音 対 策:図2・15(a)の 位Ecを
よ う に被 測 定 信 号 源 に は 対 地 電
持 つ こ とが 多 く,計 測 器 の 入 力 端 子 に は, (2・8)
の大 き さ の雑 音 が 加 わ り測 定 誤 差 とな る。 この対 策 と して は,図2・15(b)
(a)コ
モ ン モ ー ド雑 音 図2・15
(b)ガ コ モ ン モ ー ド雑 音 の 除 去
ー ドに よ る 除 去 法
の よ う に測 定 器 全 体 を シー ル ドす る ガ ー ド端 子Gを 音Enの
設 け,コ モ ン モ ー ド雑
影 響 を除 去 す る方 法 が あ る。
④ 接 地 方 法 の 注 意:他 が あ る。(図2・16参
の電 子 機 器 と と もに で き る だ け一 点 接 地 を行 う必 要
照)
図2・16
一 点接 地 法
(4) 高 電 圧 の 測 定 商 用 周 波 数 の 交 流 の 高 圧 測 定 に は,直 接 測 定 法 と し て静 電 電 圧 計 を用 い る 方 法 と,図2・17や 図2・18に 示 す よ う な コ ンデ ンサ 分 圧 器 や 計 器 用 変 圧 器(PT: Potential
Transformer)を
は巻 線 比n2/n1を
用 い る方 法 が あ る。 電 圧 計 の読 み に分 圧 比nま
乗 じて,高 電 圧 を計 算 で 求 め る。
図2・17 コ ンデ ンサ 分圧 器
図2・18 計 器 用 変圧 器 の 原理
た
2・4 [1]
電 流 計 と 検 流 計(電
流 の 測 定)
直 流 電 流 の測 定
(1) 指 示 計 器 形 直 流 電 流 計 直 流 電 流 計 の代 表 的 な もの は可 動 コイ ル 形 で あ る。 これ は永 久 磁 石 の 中 に置 か れ た 可 動 コイ ル に電 流 を流 して 回転 トル ク を発 生 させ,制 御 ばね とバ ラ ン ス して 停 止 した指 針 の 振 れ 角(変 位)か
ら電 流 値 を読 み 取 る もの で あ る。
図2・19に そ の動 作 原 理 を示 す。図 の よ う に,永 久 磁 石 の つ くる磁 束 密 度Bの 磁 界 の 中 に置 か れ た 可 動 コイ ル に測 ろ う とす る電 流Iを 部 分 に はIの 大 き さ に比 例 した電 磁 力Fが 密 度Bの
磁 界 中 に微 小 電 荷dqが
流 す と,コ イ ル の 垂 直
発 生 し,コ イ ル を回 転 させ る。磁 束
速 度υ でdSの
距 離 を運 動 す る と き,電 荷 に
は た ら く力dFは,
図2・19 可 動 コイ ル形 指 示計 器 の動 作 原 理
(2・9)
し た が っ て,Fは
コ イ ル の 縦 の 寸 法 をaと
す る と,
(2・10)
コイ ル の 巻 数 をn,そ
の横 の 寸 法 をbと
す る と,コ イ ル に はた ら く駆 動 トル
クTDは, (2・11)
そ して コ イ ル に取 り付 け られ た制 御 用 バ ネ の 制 御 トル クTcと
バ ラ ンス す る
角 度 まで 回 転 して 止 ま る。制 動 装 置 の うず 巻 ば ね の制 御 トル ク は τを制 御 トル ク係 数,θ
を可 動 コイ ル の 回転 角 とす る と, (2・12)
で あ る 。 し た が っ て,Tc=TDか
ら,
(2・13)
とな り,コ イ ル の 角 度 θは電 流Iに 比 例 す る の で,コ イ ル に取 付 けた 指 針 の指 す 目盛 りを読 め ば よ い。 可 動 コ イ ル の 支 持 方 式 に は ピ ボ ッ ト(pivot)形
と トー トバ ン ド(toteband
)形 が あ る。 精 密 級 の もの は トー トバ ン ド形 が 用 い られ る。 可 動 コ イ ル 形 は交 流 用 も含 め,他 の トラ ン ス ジ ュー サ や 増 幅 器 な ど と組 み 合 わ せ て,測 定 値 の ア ナ ロ グ表 示器 と し て最 も多 く用 い られ て い る。 (2) 内 部 抵 抗 の 影 響 図2・20(a)に に 内部 抵 抗Rmの
示 す よ うな 回路 にお い て端 子 間 の 導線 を は ず し,(b)図
の よう
電 流 計 を接 続 し た とす れ ば, (2・14)
で あ る か ら,IOとImの
関 係 は,
(2・15)
(a)
(b)
図2・20 内部 抵 抗 の 負荷効 果
と な り,ImはIOよ
り小 さ く測 られ る。 これ を電 流 計 の 負荷 効 果 とい う。
例 え ば 電 源 の 内部 抵 抗100Ω
の 回 路 に10Ω の 抵 抗 を もつ 電 流 計 を 接 続 す る
と,Im/IOは100/(100+10)=0.91と
な り接 続 前 の電 流 よ り9%も
少 な く測 定 さ
れ る。 電 流 計 の 内 部 抵 抗 は 挿 入 す る回 路 の 内 部 抵 抗 に比 して 十 分 に小 さ くす る こ と が 望 ま しい 。 交 流 の場 合 で も同様 で あ る。 (3) 大 電 流 の 測 定 50mA位
まで の 電 流 計 で は 直 接 コ イ ル に電 流 を流 す が,そ
の よ うな分 流 器(shunt)を
れ 以 上 は 図2・21
用 い る 。図 に お い て電 流 計 の 内 部 抵 抗 をRmと
すれ
ば 分 流 器 の 抵 抗RSは,
から (2・16)
が 得 られ る。 例 え ば 内部 抵 抗5Ω
の10mA電
流 計 で1Aを
図2・21
分 流器 の 原理
測定す るための分流 器 は
Im=10mA,Is=(1000-10)mAで
あ るか らRS=(10/990)×5=0.0505Ω
とな
る。 [2]
交 流 電流 の測 定
(1) 指 示 計 器 形 交 流 電 流 計 指 示 計 器 形 交 流 電 流 計 に は電 圧 計 と同様 に 動 作 原 理 に よ り,可 動 鉄 片 形,電 流 力 計 形,整 1102)で
流計,熱
電 形,静 電 形,誘 導 形,な
ど に分 類 されJIS規
格(JIS
C
規 定 され て い る 。 そ の 一 覧 を 表2・2に 示 す 。
(2) 大 電 流 の 測 定 数Aか
ら数 万Aの
交 流 の 大 電 流 の 測 定 に は,分
用 変 流 器(CT:Current
Transformer)が
流 器 で は な く主 と し て計 器
使 わ れ る。 図2・22の よ う に測 定 し
よ う とす る電 流 を一 次側 に流 し二 次側 に交 流 電 流 計 を接 続 す る。 電 流 計 に は 定 格5A程
度 の もの が 用 い られ る。 一 次 側 の 電 流 値 は 変 流 器 の巻 線 比n1/n2と
電
流 計 の 読 み か ら求 め られ る。 使 用 上 の 注 意 と して は,電 流 計 を接 続 し な い と き 二 次 側 端 子 は 短 絡 し て お く(絶 対 に 開路 に して は い け な い)こ
とで あ る。
図2・22 計 器 用 変 流器 の 原理
[3]
微 小電 流 の測 定
(1) 検 流 計(galvanometer) 電 位 差 計 の ゼ ロ点 検 出 用 な ど,超 微 小 電 流 の 検 出 に 用 い る検 流計 に は直 流 用 と して は可 動 コ イ ル形,可
動 鉄 片 形 な ど,ま た 交 流 用 と し て は振 動 検 流 計 な ど
が あ るが,指
示計 器 同様 に可 動 コ イ ル形 が 最 もよ く使 わ れ て い る。 可 動 コ イ ル
形 計 器 の 指 針 の 代 わ りに 軽 くて小 さ な反 射 鏡 を つ け,別 の 光 源 か らの 光 の反 射 を見 て微 小 電 流 を検 出 す る もの を反 照 形 検 流 計 とい い,1nA程
度 の 電 流 を検 出
で き る。 光 源 か ら 目盛 に 当 た る 角 度 は反 射 鏡 の 振 れ 角 度 の2倍
と な り,精 度 が
向 上 す る。図2・23に そ の 構 造 を示 す 。 この構 造 は電 磁 オ シ ロ グ ラ フ の 振 動 子 に も用 い られ て い る。 検 出感 度 を減 らす に は 分 流 器 を用 い る。
図2・23 反照 形 検 流計 の構 造
(2) 電 子 検 流 計 高 入 力 イ ン ピー ダ ンス の増 幅 器 と指 示 計 器 とを組 み 合 わ せ た もの で,高 感 度 で 取 扱 い も簡 単 な た め 広 く使 用 さ れ る よ う に な り,最 近 は検 流 計 の 主 流 に な っ て い る。 そ の 構 成 を 図2・24に 示 す 。
図2・24 電 子検 流 計の 構 成
(3) 電 子 電 圧 計 に よ る電 流 測 定 一 般 に電 流 を測 る た め に は回 路 を切 断 しそ こ に電 流計 を挿 入 す るが,電
流計
の代 わ りに値 の わ か っ た抵 抗 を挿 入 し,そ の 両 端 の 電圧 を測 っ て も よ い。 図2・25で 回路 に流 れ る電 流 がIの VはV=I・RSと
な る か ら,I=V/RSで
準 抵 抗 の 電 圧 降 下 を測 り10mVで
と き,挿 入 した標 準 抵 抗RSの
両 端 の電 圧
電 流 値 が 求 め られ る。例 えば1Ω
の標
あ る とす る と,求 め る電 流 値 は10 mAで
あ
る こ とが わ か る。 標 準 抵 抗 と電 子 電 圧 計 の組 み 合 わ せ は,実 際 に しば し ば行 わ れ て い る。
図2・25 電 子電 圧 計 に よる電 流 測定
図2・20か ら もわ か る よ う に,挿 入 す る標 準 抵 抗 は被 測 定 回路 の 内 部 抵 抗 た比 べ 十 分 に 低 い値 で あ る こ とが望 ま し い。 直 流 の場 合 も同 様 で あ る。
2・5
電 力 計(電
[1]
力 の 測 定)
直流 電 力の 測 定
(1) 電 流 力 計 形 電 力 計 に よ る電 力 の 直接 測 定 計 器 の 内 部 抵 抗 に よ る誤 差 を減 らす た め に,一 般 に可 動 コ イ ル は,高 電 圧 低 電 流 の 場 合 は負 荷 側,低
電 圧 高 電 流 の 場 合 は電 源 側 に接 続 す る。
(2) 電 圧 計 と電 流 計 に よ る電 力 の 間 接 測 定 電 圧 計 ・電 流 計 の接 続 は,そ の 内部 抵 抗 の 影 響 を考 慮 し,負 荷 抵 抗 の 大 き さ に よ り図2・26の よ う に行 う と よい 。 図(a)に
お い て,Raを
電 流 計 の 内部 抵 抗 値 とす る と,電 力Pは, (2・17)
(b)負 荷 抵抗 が 低 い とき の接 続 法
(a)負 荷 抵 抗 が 高 い と きの接 続 法
図2・26 電 圧 計 ・電 流計 に よ る直 流電 力 の 測定 と な る 。 ま た,図(b)で
は,Rυ
を 電 圧 計 の 内 部 抵 抗 値 とす る と, (2・18)
で あ る。 [2]
交流 電 力 の測 定
こ こ で は音 声 周 波 数 以 下(主 述 べ,力 率,無
に商 用 周 波 数)の 単 相 交 流 の電 力 測 定 につ い て
効 電 力 の 測 定 お よ び多 相 交 流 につ い て は省 略 す る。
(1) 誘 導 形 電 力 量 計 電 力 量 の測 定 に は誘 導 形 電 力 量 計 を 用 い る。 これ は 交 流 用 電 力 量 計 の う ち最 も一 般 的 な形 式 で,家 庭 用 に も多 く用 い られ て い る。 構 造 的 に は上 下 一 対 の 鉄 心 コ イ ル と そ の 中 間 に水 平 に置 か れ た ア ル ミ 円板 と,そ の横 に 置 か れ 円板 を くぐ らせ た 永 久磁 石 か らな って い る。 上 部 の 鉄 心 コ イ ル は電 圧 巻 線,下
部 の 鉄 心 コ イ ル は電 流 巻線,そ
の 中 間 に 円板 を く ぐらせ た
馬 て い形 の永 久 磁 石 は 円 板 の制 動 装 置 に な っ て い る。 電 圧 巻 線 と電 流 巻 線 の 間 に は移 動 磁 界 が 発 生 し,誘 導電 動 機 の 原 理 に よ りア ル ミ板 は トル ク を受 け,駆 動 され る。 電 圧 巻 線 の電 圧 をV,電 I,磁 石 の磁 束 をΦ,力
流巻線 の電流 を
率 角 を φ とす る と,円 板 の 回転 角 速 度 ω は, (2・19)
と な る 。 こ こ にkは
定 数 で あ り,ω
は 有 効 電 力VIcosφ
に比 例 す る 。
(2) 直 流 と同 様 に電 流 力 計 形 電 力 計 で 直接,交 (3) 3電 圧 計 法,3電
流 電 力 を測 定 す る
流計法
図2・27の よ う に3つ の 電圧 計 また は電 流 計 を用 い て 電 力 の測 定 が で き る。図 (a)に 示 す 三 電 流 計 法 の 場 合,Rpを
既 知 とす る と,電 力Pは, (2・20)
図(b)の
三 電圧 計 法 の場 合,RSを
既 知 とす る と,電 力Pは, (2・21)
で あ る。
(a)三 電 流 計法
(b)三 電 圧 計法
図2・27 3個 の 電 流計 また は 電圧 計 に よ る交 流電 力の 測定
(4) 電 子 電 力 計 a) ホ ー ル効 果 電 力 計 これ は半 導体 の ホ ー ル効 果 を利 用 した もの で,そ 図2・28(a)に
お い て,磁 束 密 度Bの
の半 導 体 の 薄 板 に電 流Iを
磁 界 の中 に置かれ たゲ ルマ ニ ウム な ど
流 す と,a‐b間 にBとIの
生 す る。 これ が ホ ー ル 効 果 で,こ
の 原 理 を 図2・28に 示 す 。
積 に比 例 した 起 電 力 が 発
の現 象 を利 用 して磁 束,電 圧,電
流,電
力な
ど の測 定 が で き,ま た 二 乗 回 路 ・開平 回 路 もで き る。 構 造 も簡 単 な の で 用 途 は 広 い。
(b)電 力 測 定 回路
(a)ホ ー ル素 子 利用 基 本 回 路 図2・28
図 の(b)は
ホ ー ル効 果電 力計
電 力 測 定 の 原 理 で,電 流 成 分 で励 磁 し電 圧 成 分 で電 流 を流 す と,
a‐b間 に電 力 の実 効 値 に比 例 した直 流 成 分 が 得 られ るの で,そ み取 れ ば 電 力 計 と な る 。 この 方式 で10kHz位 b) デ ィ ジ タ ル 精 密 電 力 計(時 これ は 時 分 割 掛 算 器(電
れ をメー タで読
まで の 電 力 測 定 が で き る。
分 割 掛 算 器 を用 いた 電 力 計)
気 的 パ ル ス 列 の 面 積 が パ ル ス 幅 とパ ル ス の高 さの 積
で あ る こ とを用 い た 掛 算機)と
デ ィ ジ タル 電 圧 計 と を組 み 合 わ せ た もの で,交
流 電 力 の 精 密 測 定 に適 して い る。 図2・29に その 原 理 を示 す 。 図(a)に
お い て 入 力Xは
パ ル ス幅 変 調 され て次 の よ う に な る。 (2・22)
一方
,S1と
連 動 し たS2で−Yと+Yを
切 り換 え る と,そ
の平均値 は (2・23)
とな る。 この 両 式 か ら (2・24)
した が っ てXYの
掛 算 が お こな わ れ た こ とに な り,Xに
電 圧 成 分,Yに
電流 成
(b)各 部 の波 形 の 関係
(a)回 路 構 成 図2・29 時 分割 掛 算器 に よる電 力 測定
分 を入 れ れ ば,EOは
電 力 を示 す こ と に な る。
こ の 方 式 は高 精 度 が 得 られ るの で,EOの
値 を ア ナ ロ グ計 器 で 読 む よ りは デ ィ
ジ タル 電 圧 計 で 表 示 させ る ほ うが よ い。 この タ イ プ の もの は実 効 値 測 定 に な る の で,低 力 率 の ひ ず み 波 の 電 力 測 定 に 向 い て い る。 また 力 率 の 影 響 も少 な い の で 電 力 測 定 の 実 用 標 準 と し て も使 用 で きる。
2・6
抵 抗 計(抵
一 般 に1Ω ∼1MΩ
抗 の 測 定) の 抵 抗 を中 抵 抗 とい い,そ れ 以 下 を低 抵 抗,そ れ 以 上 を 高
抵 抗 あ る い は絶 縁 抵 抗 とい っ て い る。
[1]
直 流 抵抗 の 測定
(1) 中 抵 抗 の測 定 a) ホ イ ー トス トン ブ リ ッ ジ に よ る測 定 直 流 に対 す る抵 抗 の 値 を零 位 法 で 正 確 に測 定 す る の に ブ リ ッ ジ法 が あ る が, そ の 基 本 形 が 図2・30に 示 す ホ イ ー トス トン ブ リ ッ ジで あ る。図 に お い て抵 抗 値 の わ か っ た 他 の3辺
の 抵 抗R1,R2,R3を
加 減 し,検 流 計Gに
態 とす る。 これ を平 衡 状 態 とい い,a点
電 流 が 流 れ な い状
とb点 の電 位 は等 し い。 この と き は (2・25)
で あ る。 こ の両 式 か ら (2・26)
と な り,未 知 の 抵 抗 値 は (2・27)
で 求 め られ る。 Rxを
求 め る に は,R3を
変 化 させ て
ブ リ ッ ジ の 平 衡 を と り,そ R1/R2の
の 値 に
比 を 掛 け れ ば よ い 。R1/R2は
比 例 辺 と呼 ば れ,実
そ の 比 の 値 は1,10,100,あ 呼 ば れ るR3も
図2・30
ホ イ ー トス ト ン ブ リ ッ ジ
際 の ブ リ ッジ で は
る い は0.1,0.01に
作 られ て い る。 また 測 定 辺 と
使 い や す い よ う に4桁 程 度 の ダ イ ヤ ル 式 デ ィケ ー ド抵 抗 と な っ
て お り,電 源 と検 流 計 も内 蔵 され て い る。 b) 回 路 計(テ
ス タ)に
よ る抵 抗 測 定
テ ス タ は 内蔵 の 電 池 と電 流 計 に よ る簡 易 測 定 と して,中 抵 抗 の 測 定 あ る い は 導 通 試 験 な どに よ く用 い られ る。図2・31に その 原 理 を示 す。図 に お い て,ま ず 測 定 端 子 を破 線 の よ う に短 絡 し,零 調 整 の つ まみRSを
加 減 し,メ ー タ の 指 針 を
フル ス ケ ー ル に合 わ せ る。 次 に測 定 す る抵 抗 を接 続 し指 針 の振 れ か ら抵 抗 値 を 読 取 る。零 調 時 の 電 流 をIO,測 定 時 の電 流 をIrと れ ば,
しメ ー タの 内部 抵 抗 を無 視 す
(a)零
図2・31
調整
回 路 計(テ
(b)測
ス タ)に
定
よ る抵 抗測 定
(2・28) で あ る か ら, (2・29)
とな り,RxはIO/Irに の半 分 の 時 はRx=RSと
比 例 して 求 ま る が,目 盛 りは逆 数 目盛 り とな る。IrがIO な り,こ れ が 目盛 りの 中 央 値 とな る 。測 定 時 に は指 針 の
振 れ が 中 央 目盛 り以 上 に な る よ うな レ ン ジ を選 ぶ と よ い。 c) デ ィジ タ ル 抵 抗 計 に よ る 中抵 抗 の測 定 デ ィ ジ タ ル抵 抗 計 は図2・32の よ う に内 蔵 の 定 電 流 電 源 とデ ィ ジ タル 電 圧 計 を組 み合 わ せ た構 造 とな っ て い る。 測 定端 子 に被 測 定 抵 抗 を接 続 し電 源 部 か ら 供 給 さ れ る定 電 流 に よ る抵 抗 の 電 圧 降 下 を,デ ィ ジ タ ル 電 圧 計 で 読 み取 る よ う に し た もの で あ る。 中 抵 抗 の 測 定 で は二 端 子 法 で もよ い 。 図2・32に お い てRx に 流 す 一 定 電 流Iが1mA,電 1kΩ
圧 計 の 読 み が1Vの
場 合Rx=1/1×10-3=
とな る。
図2・32 デ ィ ジ タル抵 抗 計に よる抵 抗 の測 定
こ の 方 法 は測 定 レ ン ジ に よ って 電 流 が 決 ま っ て い る の で,ダ
イ オ ー ドや サ ー
ミス タ な ど の よ う な,流 れ る電 流 の大 き さ に よ っ て 抵 抗 値 が 変 化 す る もの(非 直線 抵 抗)を
測 定 す る と きに は,レ ン ジ の 選 択 に 注意 す る必 要 が あ る。
(2) 低 抵 抗 の測 定 a) ダ ブ ル ブ リ ッ ジ に よ る測 定 mΩ 台 の低 抵 抗 を 測 定 す る に は,接 触 抵 抗 や リー ド線 の 抵 抗 な どの 影 響 に つ い て 考 慮 しな け れ ば な ら な い。 ダ ブル ブ リ ッ ジ は これ らの 影 響 を除 去 す る もの で,0.1mΩ
∼100Ω を0.03%程
度 の 正 確 さで 測 定 で き る。 図2・33に そ の原 理
を示 す 。
図2・33
図 に お い て,そ P1,P2,C1,C2で
れ ぞ れRSは 示 す),Rxは
の 和 と す る と,R1/R3=R2/R4の
ダ ブル ブ リッ ジ
標 準 抵 抗(そ
の 電 圧 端 子,電
測 ろ う と す る 低 抵 抗,rを と き,平
流端 子 をそれ ぞれ
リ ー ド抵 抗 や 接 触 抵 抗
衡 条 件 は, (2・30)
で あ る。 b) デ ィ ジ タ ル 抵 抗 計 に よ る低 抵 抗 の 測 定 低 抵 抗 を測 定 す る に は,被 測 定 物 を測 定 器 に接 続 す る際 に,接 触 抵 抗 や リー
ド線 の 抵 抗 に よ る誤 差 を な くす た め に,図2・34に 示 す よ うな4端 子 法 に よ り測 定 す る。この 方 法 は 接 続 す る際 の接 触 抵 抗 や リー ド線 の抵 抗r1,r2に は電 流 が 流 れ な い た め に電 圧 降 下 は な く,そ れ に よ る誤 差 は 除 去 され る。 また,接 触 点 にお け る 熱 起 電 力 や 接 触 電 位 差 に よ る誤 差 を除 去 す る に は,電 流 の 方 向 を反 転 させ て二 回 測 定 して 平 均 を とる と よい 。
図2・34 デ ィジ タル 抵抗 計 に よる4端 子 抵 抗 測定
(3) 高 抵 抗 や 絶 縁 抵 抗 の 測 定 a) 絶 縁 抵 抗 計 に よ る測 定 古 くは メ ガ ー(megger)と れ た もの で,発 電 機 式(JIS
呼ば
と電 池 式(JIS
C 1302)が
C 1301) あ る。 代
表 的 な も の は 測 定 電 圧500Vで100 MΩ
まで の絶 縁 抵 抗 が 測 れ る もの
で,電 気 機 器,電
気 配 線,電
気部 品
な どの絶 縁 試 験 に 広 く用 い られ て い る。図2・35に そ の外 観 を示 す。デ ィ ジ タ ル 表 示 の もの も あ る 。
図2・35
メ ガー
b) 超 絶 縁 抵 抗 計 に よ る測 定 これ は直 流 電 圧 を被 測 定 物 に か け,そ れ と直 列 に 入 れ た値 の わ か っ た抵 抗 器 に生 じ る微 小 電 圧 を増 幅 指 示 させ る こ とに よ り,超 高抵 抗 を測 定 す る もの で あ る。 図2・36(a)に
そ の 原 理 を示 す。 図 に お い て,抵 抗Rxの
定 電 圧 を印 加 し,そ こに流 れ る微 小 電 流 を高 抵 抗RSで 入 力 抵 抗 の 電 圧 計 で 読 む。RSがRxとrlに り,ESを 測 れ ばES≒iSRS,is≒EO/Rxか
受 け,そ の電 圧 降 下 を高
対 し十 分 に 小 さ け れ ば,is≒ixと
な
ら被 測 定 抵 抗 値RxはRx≒EORS/ESで
求 ま る。ア ナ ロ グ 指 示 計 器 の場 合 は逆 数 目盛 とな るが,CPUを を して デ ィ ジ タ ル表 示 とした もの も あ る。 図2・36(b)に 法 で 印 加 電 圧1000Vの
絶 縁 物 に直 流 の一
内 蔵 し逆 数 計 算
そ の例 を示 す。 この 方
場 合,1016Ω の 程 度 の超 高 抵 抗 が 測 れ る の で,絶 縁 材 料
な どの 絶 縁 抵 抗 の測 定 に 用 い られ る 。
(a)測 定 原 理 図
(b)製 品例 図2・36 超絶 縁 抵 抗計
さ ら に 高 抵 抗 を測 るた め,図 のRSを
さ らに 高 抵 抗 と し電 圧 計 も さ らに 高 入
力 抵 抗 の振 動 容 量 電 位 計 を 用 い て1018Ω まで 測 れ る もの も あ る。 超 高 抵 抗 の 測 定 に は次 の よ うな 注 意 が必 要 で あ る。 ① 板 状 試 料 の体 積 抵 抗 や ケ ー ブル の絶 縁 抵 抗 を測 定 す る場 合 に は,図2・37 の よ う に,ガ ー ド端 子 を 用 い て 表 面 漏 れ電 流 の 影 響 を除 去 す る。 ② 接 続 ケ ー ブ ル に は低 雑 音 ケ ー ブ ル を 用 い て 摩 擦 電 気 の 影 響 を少 な くす る。 ③ 被 測 定 物 に並 列 容 量 が あ る と充 電 電 流 に よ る誤 差 が 生 じ るの で,並 列 容 量 を十 分 充 電 して か ら測 定 をす る。
(a)板 状 の 体 積 固有 抵 抗値 の 測定 図2・37
[2]
(b)電 線 の絶 縁 抵 抗 測定 ガ ー ド端 子 の 使 用 例
交 流 抵 抗 の 測定
(1) 中 抵 抗 の 測 定 前 述 の ホ イ ー トス トン ブ リ ッジ は,測 定 精 度 に影 響 の な い範 囲 で交 流 ブ リ ッ ジ と して も使 う こ とが で き る。図2・30の 各 抵 抗 器 は純 粋 な抵 抗 器 で は な くイ ン ダ ク タ ン スや 分 布 容 量 が あ るた め,こ れ らの 影 響 に よ る誤 差 が 発 生 して 高 周 波 で は使 え な い。 交 流 用 ホ イ ー トス トンブ リッ ジ は交 流 で も使 え る よ うに 各 素 子
の構 造 に工 夫 を こ ら した もの で 通 常1kHz付 か に標 準 コ ンデ ンサ も内 蔵 しLCRブ
近 で使 わ れ て い る。標 準 抵 抗 の ほ
リ ッ ジ,万 能 ブ リ ッ ジ と呼 ば れ て い る も
の もあ る。 (2) 低 抵 抗 の 測 定 リ レー,ス イ ッチ,コ ネ ク タ な どの 接 触 抵 抗 の測 定 に は,図2・38の 点 抵 抗 計 が 用 い られ る。 これ は熱 起 電 力 の影 響 を除 去 す るた め,1kHzの
よ うな 接 交流
で 測 定 す る。 直 流 の 場 合 と同様 に低 抵 抗 の測 定 は リー ド線 の 抵 抗 の影 響 を 除 く た め4端 子 法 で の 測 定 が 必 要 で,接 続 が 容 易 な よ うな ク リ ップ付 きの もの あ る。 図 に お い て,被 測 定 物 に 一 定 電 流iを はRX=υ/iと
流 し そ の電 圧 降 下υ を測 定 す れ ば抵 抗 値
して 求 め られ る。測 定 電 流 を流 す こ とに よ る接 点 の状 態 を変 化 さ
せ な い た め に,測 定 電 圧 は50mVp‐p以
下,電 流 は1A以
計 さ れ て い る。 また,交 流 測 定 で あ るた め,例 木 製 の 台 な どで10cm以
下 で 測 定 す る よ う に設
え ば金 属 板 上 で 測 定 す る と き は
上 金 属 板 か ら離 す な ど,回 路 の イ ンダ ク タ ンス の 影 響
に も注 意 を要 す る。
(a)接 点 抵 抗 計 の 原理
(b)接 点 抵 抗計 の 例 図2・38 接 点 抵抗 計
(3) 特 殊 な 抵 抗 の測 定 a) 液 体 抵 抗 の 測 定 液 体 抵 抗 は 普 通,図2・39に (Kohlrausch
bridge)を
示 す よ うな 回 路 の コー ル ラ ウ シ ュ ブ リ ッジ
用 い,液 体 を電 極 に入 れ て1kHz位(可
聴 周 波 数)の
交 流 電 圧 で 測 定 す る。 これ は 直 流 で 測 定 す る と分 極 作 用 を 生 じる た め で あ る。 また,イ
ヤ ホ ン を使 い聴 覚 に よ りゼ ロ点 を 知 り平 衡 条 件 を判 定 で き る。 液体 抵
抗 は 温 度 係 数 が 大 き いた め測 定 時 の 室 温 を 記 録 して お く と よい 。 平 衡 条 件 の も とで は, (2・31)
図2・39
コ ー ル ラ ウ シ ュ ブ リッ ジ に よ る 液 体 抵 抗 の 測 定
b) 接 地 抵 抗 の 測 定 変 圧 器 な ど の電 気 機 器 は接 地 が 必 要 で,接
地 抵 抗 は あ る値 以 下 に す る よ う定
め られ て い る。図2・40に 示 す よ うに 接 地 抵 抗 計 は接 地 線 の 接 地 抵 抗 を測 る もの で あ るが,2本 の 補 助 接 地棒 を直 線 上 に5∼10mの
間 隔 で 打 ち 込 み,大 地 で生 じ
る分 極 作 用 を除 くた め 交 流 で 測 定 す る。 接 地 抵 抗 計 の規 格 はJIS 定 さ れ て い る。 い ま抵 抗RSを る よ う平 衡 を とれ ば,Vx=RSnIと
C 1304で 規
調 節 して 交 流 電 流 計 ま た は検 流 計Gが
ゼ ロ とな
な る の で,接 地 抵 抗Rxは, (2・32)
と な り,RSの
値 か ら直 読 で き る。
(a)接 地 抵 抗 計 の 回路
(b)接 地 抵 抗 計 の 外 観 図2・40 接地 抵 抗 計
2・7
イ ン ピ ー ダ ン ス 計(イ
ン ピ ー ダ ン ス の 測 定)
イ ン ピー ダ ン ス は,交 流 に対 す る純 抵 抗,イ シ タ ン ス(コ
ン デ ンサ)の3要
抗 の測 定 は2.6節[2]に [1]
ンダ ク タ ン ス(コ
イ ル),キ
ャパ
素 が あ り,通 常 は そ の 組 み 合 わ せ で あ る。 純 抵
述 べ た の で,こ
こで は省 略 す る。
交流 ブ リ ッジ に よ る測 定
交 流 ブ リッ ジ に は 数 十 種 あ るが,実
際 に測 定 器 と し て使 わ れ て い る の は わ ず
か で あ る。図2・30に そ の 代 表 例 を示 す 。交 流 電 源 に1kHz位
の可聴周 波 を用い
る と,検 出 器 は イ ヤ ホ ン で人 間 の 聴 覚 に よ り,音 量 ゼ ロで 平 衡 を検 知 で き る。 交 流 ブ リッ ジ の使 用 に 当 た っ て は 次 の よ う な 注意 が 必 要 で あ る。 (1) 接 地 の 問 題 ① 測 定 端 子(ブ
リ ッジ の 未 知 辺)は
アー ス か ら浮 い て い るか,片
線接地 か
を調 べ る。 一 般 に は浮 い て い る ほ うが 望 ま しい 。 ② 被 測 定 物 は ア ー ス か ら浮 い て い るか,ま
た 浮 か せ られ るか を知 る。 測 定
端 子 が 浮 い て い る とき に は 片 線 接 地 の もの を接続 で き な い が,浮 て い れ ば測 定 で き る。
か せ られ
(a)直
列 抵 抗 ブ リッ ジ (Cとtanδ
(c)マ
(b)シ
の 一 般 測 定 用)
クス ウェ ル ブ リッジ (L-C) (LxとRxの
ェ ー リン グブ リ ッ ジ (Cとtanδ
の 精 密 測 定 用)
(d)Lxと ρxの 等 価 回 路 で あ らわ され る とき
直 列 等 価 回 路)
図2・41
③ 発 振 器(OSC),検
ブ リッジの 代 表例
出器(DET)を
含 め一 点 接 地 を す る。
(2) そ の 他 の 誤 差 要 因 へ の 対 策 ① 電 磁 誘 導 に対 して は,配 線 の ル ー プ を な くす,ト
ラ ンス の シ ー ル ドを厳
重 にす る,な
ど を考 慮 す る。
② 直 接 容 量 結 合 に対 して は,シ ー ル ド線,シー
ル ド板 の 使 用 な ど を考 慮 す
る。 [2]
変 成器 ブ リッジ
変 成 器 ブ リッ ジ は 交 流 ブ リッ ジ の 中 で は,構 造 が簡 単 で,対 地 イ ン ピー ダ ン ス の影 響 もな い,バ
ラ ン ス が 取 りや す い,高 精 度 の ものが 得 や す い,測 定 範 囲
が 広 く取 れ る,測 定 の 自動 化 が しや す い,な
どの 特 長 が あ り,最 近 見 直 され て
きた 。 従 来 は微 小 容 量 の 測 定 な ど に用 い られ て い た が,回 路 をわ ず か に 変 更 す れ ば イ ン ダ ク タ ンス の測 定 も同様 にで き る。 図2・42に そ の動 作 原 理 を,図2・43に 自動 平 衡 式 の 変 成 器 ブ リ ッジ の 回 路 と外 観 を示 す 。図 に お い て,E1とE2と 整 し て(ト
ラ ンス の 巻 線 比 を 変 化 さ せ て)ブ
を調
リ ッジ の平 衡 を と る と,次 式 が成
立 しCx,ρxが 求 ま る。 (2・33)
図2・42
変成 器 ブ リッ ジの 原理
(a)回 路 説明 図
(b)製
品例
図2・43 自動 平衡 式 変 成器 ブ リッ ジの 例
[3]
LCRメ
ー タ,イ
ン ピ ー ダ ン ス メ ー タ に よ る測 定
これ らの 計 器 を用 い て行 う測 定 は,ブ 動 化 し,平 衡 条 件 か らZ,L,C,Rな りZ,L,C,Rを
リ ッジ測 定 法 で の平 衡 を取 る作 業 を 自
ど を求 め る か,あ る い は,電 圧 電 流 計 法 に よ
求 め る もの で あ る。デ ィジ タル 電 圧 計 を 内蔵 し,高 精 度 の測 定 が
で き る。 図2・43も そ の 一 例 で あ る。
[4] Qメ
Qメ
ー タ に よ る測 定
ー タ はMHz帯
で の 電 子 部 品 の特 性 をQ(Q=ωL/Rま
た は1/ωCR)の
値 で測 定 す る もの で,簡 便 な測 定 器 で あ る が精 度 はあ ま り高 く はで き な い(Q の正 確 な 標 準 器 が な い た め)。 しか し それ に代 わ る良 い測 定 器 もな い の で,よ く 使 わ れ て きた 。 そ の 原 理 を 図2・44に 示 す 。図 にお い て,測 定 し よ う とす る コ イ ル を測 定 端 子 に接 続 し,発 振 器 を所 望 の 周 波 数 に設 定 し,抵 抗rに と きrに
は電 圧eが
発 生 す る),Cを
e/Rxの 電 流 が 流 れ る(こ の と きrが 端 の電 圧 をEcと
一 定 電 流iを
流 し(こ の
回 し て 同 調 を取 る と共 振 回 路 に はI= 十 分 に小 さ くeは
一 定 とす る)。Cの
両
す る と, (2・34)
とな る。 コイ ル の 良 さ は
と定 義 され る か ら (2・35)
と な りEcを
測 る こ と に よ っ てQを
図2・44
求 め る こ とが で き る。
Qメ ー タ の 原 理
2・8 オ シ ロ ス コ ー プ と オ シ ロ グ ラ フ(波
形 の 観 測 と 記 録)
電気量 の時 間的変化(波 形)を 観測 ・記録 す るた めに,低 周 波用 に はペ ン書
き オ シ ロ グ ラ フ(oscillograph),電 (Braun
tube)オ
磁 オ シ ロ グ ラ フ,高
シ ロ ス コ ー プ(oscilloscope)等
測 ・記 録 装 置 に つ い て は 表2・5に
周 波 用 に は ブ ラ ウ ン管
が 用 い られ る。 各 種 波 形 観
ま とめ て い る。
表2・5 波 形 の 観 測 ・記 録 装 置一 覧
[1]
ペ ン書 きオ シ ロ グ ラ フ
代 表 的 な もの は,可 動 コ イ ル形 指 示 計 器 の 指 針 の 先 端 に取 り付 け ら れ た ペ ン で,記 録 紙 上 に電 気 信 号 を記 録 す る形 式 の もの で あ る。 入 力 レ ン ジ切 換 器,増 幅 器 と,ペ ン の駆 動 部 に十 分 な トル ク を 得 る た め に 強 力 な磁 石 を使 用 した ペ ン モ ー タ部 で 構 成 さ れ て い る もの が 多 く,数mV∼
数10V,DC∼100
Hz程
度の
電 気 信 号 の 観 測 と記 録 が で き る。 ペ ン書 き オ シ ロ グ ラ フ は電 磁 オ シ ロ グ ラ フ に比 べ 応 答 速 度 が遅 いが 記 録 紙 は
安 価 な もの が 多 い の で,低 速 現 象 の長 時 間 記 録 に 向 い て い る。1チ ャネ ル 当 た り の 記 録 幅 は狭 い の で 多 チ ャネ ル 化 が容 易 で あ り,多 現 象 を 同 一 記 録 紙 上 に並 列 に記 録 す る方 式 が 多 い。 記 録 方 式 に は カ ー トリ ッ ジ式 パ イ プ ペ ン,デ ィ ス ポ ー ザ ブ ル フ ェ ル トペ ン な どの ほ か,感 熱 式,放 [2]
電 式,イ
ン ク ジ ェ ッ ト式 と多様 で あ る。
電 磁 オ シ ログ ラ フ
(1) 電 磁 オ シ ログ ラ フの 概 要 これ は振 動 子 と よ ばれ る可 動 コ イル 形 検 流計 に取 付 けた 反 射 鏡 に水 銀 灯 か ら の光 を 当 て,電 気 信 号 に応 じた 反 射 光 の振 れ を感 光 紙 に照 射 して 波 形 を記 録 す る方 式 で あ る。振 動 子 は 高感 度 で 小 形 化 が 可 能 な た め 多 チ ャ ネ ル の もの も多 く, 応 答 周 波 数 もペ ンモ ー タ に比 べ 高 い(数kHzま
で 可 能)の
で,高
速現 象 の波
形 の 観 測 ・記 録 が で き る。 図2・45に 示 す よ う に 電 磁 オ シ ロ グ ラ フ の 原 理 は 可 動 コ イ ル 形 検 流 計 の 応 用 で あ る。 図 に お い て磁 界 中 お か れ た 可 動 コ イル(検 し可 動 部 と一 体 に な っ た 反 射 鏡 に光 を当 て,そ
測定信 号電流 を流
の光 点 の動 き を感 光 紙 に記 録 す
る。 多 チ ャ ネ ル で あ っ て も光 は交 差 で き る ので,記
図2・45
流 計)に
録 紙 の幅 い っ ぱ い に振 らせ
電磁 オ シロ グ ラフの 原 理
記 録 す る こ とが 可 能 で あ る。この 検 流 計 は振 動 子 と呼 ばれ,3.3μA/mmの 度(た
だ し100Hz程
mA/mm)ま
度 ま で)の
も の か ら3500Hzの
高 周 波 用(た
高感 だ し2.8
で 各 種 あ る の で 目的 に合 っ た もの を選 ぶ 。感 光 紙 は 高 価 な の で ラ
ン ニ ン グ コ ス トは 高 い。 (2) 使 用 上 の 注 意 ① 振 動 子(ガ
ル バ ノ メ ー タ)の 選 択 に は入 力 信 号 の レベ ル,周 波 数,波 形
を 考 慮 して適 切 な もの を選 ぶ こ と。 方 形 波 や 過 渡 現 象 を記 録 す る時 に は 測 定 周 波 数 の5∼10倍
高 い 応 答 周 波 数 の もの を選 ぶ と よ い。
② 記 録 紙 は紫 外 線 感 光 紙 が 多 く使 わ れ て い る。 これ は特 に 現 像 の必 要 は な い が 長 期 保 管 の た め に は定 着 処 理 を した 方 が よい 。 [3]
感熱 式 オ シ ログ ラ フ
これ は入 力 信 号 波 形 をA-D変
換 し,内 蔵 コ ン ピ ュ ー タ で 処 理,サ ー マ ル ラ イ
ン ヘ ッ ドを加 熱 し,記 録 用 感 熱 紙 を熱 して 波 形 を記 録 す る もの で あ る 。 こ の 方 式 は,周 波 数 特 性,操
作 性,整
備 性 に優 れ て い る の で,ペ
ン書 きや 電 磁 オ シ ロ
ス コ ー プ に とっ て代 わ り,低 周 波 信 号 の 記 録 器 の 主 流 と な りつ つ あ る 。 そ の外 観 を図2.46に
示 す。
図2・46
[4]
オ シ ロ ス コ ー プ(ブ
感 熱式 オシ ロ グラ フの 例
ラ ウ ン 管 オ シ ロ ス コ ー プ)
これ は電 子 計 測 の基 本 的 な 測 定 器 の一 つ で,入 力 信 号 波 形 を ブ ラ ウ ン管 あ る い は陰 極 線 管(CRT:Cathode-Ray
Tube)上
で 観 測 す る も の で,非 常 に広 い
周 波 数 範 囲 で使 用 さ れ て い る。 そ の 回路 構 成 を 図2・47に 示 す 。
図2・47
(1)
トリガ 掃 引 オ シ ロス コー プ
シ ン ク ロ ス コー プ(商 標 名)と 幅 器,掃
オ シ ロス コー プ の 回路 構 成
引 発 信 器,ト
も呼 ば れ,CRTを
中 心 に水 平 増 幅 器,垂 直 増
リガ 回 路 で構 成 され て い る。
波 形 観 測 の 原 理 を 図2・48に 示 す 。垂 直 軸 に は 入 力 信 号 を入 れ,増 幅 器 を通 し て垂 直 偏 向版 に印 加 す る。 同 時 に,入 力 信 号 の立 上 り部 分 で トリガパ ル ス を作 り,そ の パ ル ス で 掃 引 発 信 器 を作 動 さ せ,水 平 軸 に の こ ぎ り波 を加 え る とCRT 上 に 波 形 が 表 示 され る。CRTに MHz位
は機 械 的 な 可 動 部 分 が 全 くな い た め,DC∼500
まで の非 常 に広 い周 波 数 範 囲 で使 用 で きる 。
図2・48 トリガ同期 方 式 の 原理
(2) オ シ ロス コ ー プ の 用 途 オ シ ロ ス コ ー プ は波 形 観 測 の ほ か 電 圧,周
波 数,時 間(例
え ば パ ル ス波 形 の
立 上 り時 間),位 相,雑 音,単 発 現 象 の観 測 な どに用 い られ る 。この 機 能 に よ り, 電 圧 に換 算 され れ ば,い
ろい ろ な物 理 現 象 の 波 形 が観 測 で き る。
(3) オ シ ロス コ ー プ 使 用 上 の 主 な 注 意 a) パ ル ス波 な ど高 次 の 高 調 波 を 多 く含 ん で い る 波 形 の観 測 に は,十 分 に 広 い周 波 数 帯 域 幅 を も った もの を選 ぶ 。 オ シ ロ ス コ ー プ の 仕 様 に 定 め られ て い る 周 波 数 帯 域 とは 図2・49の よ う に増 幅度 が3dB下 以 上 の 周 波 数 の 電 圧 を測 定 す る と30%以 外(例
が る周 波 数 の 幅 をい う。 これ
上 の誤 差 が 出 る。した が っ て正 弦 波 以
え ばパ ル ス 波 な ど)の 測 定 に は,そ れ に 含 まれ る 高 調 波 成 分 を考 慮 す る
必 要 が あ る。
図2・49
オ シロ ス コー プの 周 波数 帯 域
図2・50
オ シ ロ ス コー プ の 立 上 り 時 間
b) パ ル ス の立 上 り時 間 の 測 定 に は,観 測 波 形 の立 上 り時 間 の1/3∼1/4以 下 の立 上 が り時 間 の オ シ ロス コ ー プ を用 い る。 オ シロ ス コー プ に 方 形 波 を加 え た と き,CRT上 立 上 りの遅 れ た 波 形 と な る 。図2・50のTrを の オ シ ロ ス コー プ で 立 上 り時 間Tsの 上 り時 間Ttは
に観 測 され る波 形 は これ よ り
立 上 り時 間 とい う。立 上 り時 間Tr
波 形 を観 測 す る とCRT上
の見 か けの立
次 の よ う に な る。 (2・36)
した が っ て 観 測 す る パ ル ス 波 形 の 立 上 りよ り3∼4倍 ロ ス コー プ で あ れ ば数%以
以 上 早 い 立 上 りの オ シ
下 の誤 差 で 立 上 り時 間 を測 定 で き る。
オ シ ロ ス コー プ の立 上 り時 間Trと
周 波 数 帯 域Frの
間 に は次 の 関 係 が あ る。 (2・37)
C) オ シ ロ ス コ ー プ を接 続 す る こ とに よ る負 荷 効 果 を最 小 限 にす る た め,入 力 イ ン ピ ー ダ ン ス に は 十 分 な注 意 を払 う。 一 般 の電 圧 測 定 と同様 に,オ
シ ロ ス コ ー プ を接 続 す る こ とに よ っ て 回路 に 負
荷 効 果 を与 え る と,正 確 な測 定 が で き な くな る。 そ こで オ シ ロス コー プ の 入 力 イ ン ピー ダ ン ス を 高 め る 方 法 と して 図2・51の よ う な プ ロ ー ブ(probe)を
使
用 す る。
(a)接
続図
(b)等 価 回路 図2・51
図 に お い て10:1の
オ シ ロ ス コ ー プ 用 プ ロー ブ
プ ロ ー ブ と す る に はR1=9Ro,C1=(1/9)Coと
れ に よ り見 か け上 の10倍
の 入 力 イ ン ピ ー ダ ン ス と な る(た
す る。 こ だ し感 度 は1/10に
な る)。使 用 に 際 し て は オ シ ロ ス コ ー プ 内 蔵 の 校 正 用 方 形 波 電 圧 を プ ロ ー ブ に 加 え,観
測 波 形 が 方 形 波 に な る よ う(Co:C1が9:1に
コ ン デ ンサ を調 整 す る。
な る よ う に)プ
ロー ブ の
プ ロ ー ブ の 入 力 波 形 が オ シ ロ ス コ ー プ で 忠 実 に測 定(再 は,等 価 回 路 でZ1とZoの した が っ て,Ciが
比(分
現)さ
れ るた め に
圧 比)が 純 抵 抗 性 とな る こ とが必 要 で あ る。
無 視 で きれ ば, (2・38)
で あ る。 入 力 信 号 の 周 波 数 が 高 くな る と,図 のC1な
どの 並 列 容 量 の た め に入 力 イ ン
ピー ダ ンス が 下 が る の で 注 意 を要 す る。 (4) サ ンプ リン グ オ シ ロス コー プ 数 百MHz以
上 の繰 返 し波 形 観 測 に は,サ
ン プ リ ン グ 変 換 に よ り周 波 数 を
下 げ て観 測 を行 うサ ン プ リ ン グオ シ ロ ス コー プ が 用 い られ る。 サ ン プ リ ン グ オ シ ロ ス コー プ は図2・52の よ う に連 続 した 繰 り返 し入 力 波 形 1の 各 点 を ト リガ パ ル ス2を 基 準 に,わ ず か(Δt)ず つ 位 相 をず ら し な が らサ ン プ リ ン グパ ル ス3の
タ イ ミ ング に よ っ て サ ン プ リ ン グヘ ッ ドで サ ン プ ル ホ ー ル
ドして 入 力 波 形1に 相 似 の低 周 波 の波 形4に 変 換 し,そ れ をCRT上 る もの で あ る 。 この 変 換 に よ り10数GHzま
図2・52
での観測 がで きる。
サ ンプ リン グ回路 の動 作 原理
入 力信 号 は サ ン プ リ ン グ ダ イ オ ー ドブ リッ ジ に加 え られ るが,こ 最 大2V位
で観測 す
の耐電圧 は
で あ る の で,過 大 入 力 は も ち ろ ん静 電 気 に よ る破 壊 に も十 分 気 を配
り,ダ イ オ ー ドを保 護 す る よ う注 意 しな けれ ば な らな い。 最 近 の サ ン プ リン グ オ シ ロ ス コ ー プ はア ナ ロ グ式 の もの か ら デ ィ ジ タ ル 方 式 の オ シロ ス コ ー プ に とっ て 代 わ られ つ つ あ る。
(5) ス トレー ジ オ シ ロ ス コ ー プ 単 発 現 象 や低 速 現 象 を観 測 す る に は ス トレー ジ 機 能 を もっ た 特 殊 なCRTを 利 用 した ス トレー ジオ シ ロ ス コー プ(strage ス ト レー ジCRTに
oscilloscope)が
は メ ッ シ ュ ス トレー ジCRTと
用 い られ る。
蛍 光 体 ス トレ ー ジCRT
の2種 類 が あ る。蓄 積 時 間 は メ ッ シ ュ形 で1時 間 か ら1週 間 位,蛍 光 体 形 で1時 間 程 度 で あ る。 記 録 で き る周 波 数 は仕 様 に定 め られ て い る書 き込 み速 度 で 決 ま る(例
え ば100cm/μs)。
ス トレー ジCRTの
メ ッ シ ュ や 蛍 光 体 は 電 子 の衝 突 に よ っ て焼 損 しや す い の
で,輝 度 を上 げ過 ぎ な い よ う注 意 しな け れ ば な らな い。 この 分 野 も最 近 は現 象 を メ モ リに蓄 積 し て表 示 す る デ ィジ タ ル オ シ ロ ス コー プ が 主 役 に な っ て き て い る。 これ に つ い て は第3章
2・9 [1]
周 波 数 計 お よ び 周 波 数/時
で 述 べ る。
間標 準
周 波 数 の測 定
(1) 指 示 電 気 計 器 に よ る周 波 数 の 測 定 商 用 周 波 数 の付 近 で は表2・1に あ る よ う な振 動 片 形 計 器 や トラ ン ス ジ ュ ー サ 付 きの 可 動 コ イ ル形 計 器 が 用 い られ る。 (2) オ シ ロス コ ー プ に よ る測 定 ブ ラ ウ ン管 オ シ ロ ス コ ー プ の水 平 垂 直 両 軸 に別 々 の 正 弦 波 電 圧 を加 え,管 面 の 図 形 か ら周 波 数 や 位 相 差 を知 る方 法 で あ る。 片 方 を既 知,他 方 を未 知 とす れ ば,両 者 の 比 が整 数 の と き,図2・53の リサ ジ ュー 図 形(Lissajous
pattern)が
ような
得 られ る 。 この 方 法 は 操 作 が や や 面 倒
で あ る た め 今 日で は あ ま り使 わ れ な い。 (3) エ レク トロニ ッ ク カ ウ ン タ に よ る 測 定 被 測 定 信 号 をパ ル ス に変 え,内 蔵 の水 晶 発 信 器 を基 準 に して 正 確 な一 定 時 間 (例 え ば1秒 間)を 作 り,そ の 間 に 入 っ た パ ル ス を 数 え て周 波 数 を計 る もの で あ る。 周 波 数 と時 間 は 表 裏 一 体 で あ り,1台 りで な く周 期,時
の カ ウ ンタ(counter)で
周 波 数 ばか
間,イ ベ ン トカ ウ ン ト,測 定 値 の 演 算 処 理 まで も行 う多 機 能
図2・53
形(ユ
ニ バ ー サ ル)カ
リサ ジ ュ ー 図 形
ウ ンタ も あ る。 この 方 法 は時 間 の 基 準 に水 晶 振 動 子 を利
用 す る の で,非 常 に正 確 な測 定 が簡 単 に で きる 。 こ の た め 現 在 で は周 波 数 測 定 の 主 流 に な っ て い る。 図2・54に お い て,周 波 数 を測 定 す る に は入 力 信 号 をパ ル ス に変 換 し,水 晶 発
(a)周 波数 の測 定 図2・54
(b)周 期(時 間 間 隔)の 測定 カ ウ ンタに よる周 波数 と時 間 の測 定
振 器 の よ う な正 確 な基 準 発 振 器 に よ って 作 られ た 一 定 時 間 で ゲ ー トを 開 閉 し, そ の 間 にゲ ー トを通 過 す るパ ル ス の 数 を カ ウ ン トし て表 示 させ る。 周 期(ま
た は 時 間)を 測 定 す る に は,そ の逆 に,入 力 信 号 で ゲ ー トを 開 閉 し,
パ ル ス に変 換 され た 基 準 発 振 器 か らの 通 過 パ ル ス 数 を数 え表 示 させ る 。 この 二 つ の 方 法 を組 み合 わ せ る と,二 つ の信 号 の 周 波 数 比 が 測 定 で き る。 カ ウ ン タの 回路 構 成 と各 部 の 波 形 を 図2・55(a),(b)に
示す。
(a)周 波 数 測定 の 場 合
(b)周 期測 定 の場 合 図2・55 カ ウ ン タの 回路 構 成 と各部 の 波 形
(4) カ ウ ン タ使 用 上 の 注 意 ① 測 定 周 波 数 と基 準 時 間 の ゲ ー トの 関 係 で ±1カ ウ ン トの 誤 差 が 出 る。 低
周 波 の 測 定 で は,こ
の影 響 を無 視 で き な い場 合 が あ る 。
図2・56で は 同 じ信 号 を カ ウ ン トし て もゲ ー トの 開 くタ イ ミ ン グ に よ っ て,3カ ウ ン トまた は4カ
ウ ン トに な る。低 い周 波 数 で は この 影 響 を 少 な く
す る た め に周 期 測 定 と し,周 波 数 は 周 期 の逆 数 と して 算 出 した ほ うが よ い。
図2・56 ±1カ
ウ ン ト誤 差
② ト リガ レベ ル を適 切 に設 定 す る こ と。
図2・57の よ うな 波 形 の場 合 は正 し くカ ウ ン トで き る よ う にAの に 設 定 す る。Bの
レベ ル に設 定 した 時 に は正 し くカ ウ ン トされ な い 。
図2・57
ト リ ガ レベ ル の 調 整
③ 入 力 モ ー ドの切 り替 え(AC,
レベ ル
入 力 信 号 にDCバ
DC)を
使 い 分 け る こ と。
イ ア スが あ る 時 は入 力 モ ー ドをACに
設 定 す る。
④ 周 波 数 の精 密 測 定 に は,内 蔵 発 振 器 の 周 波 数 が安 定 す る まで1時
間以 上
予 熱 して お く こ と。 [2]
周 波 数(お
よ び 時 間)の
標準
(1) 周 波 数 の 一 次 標 準 一 次 標 準 は 他 に基 準 を要 せ ず 自分 自身 で 校 正 され る もの で,セ 標 準 や 水 素 メ ー ザ 標 準 な どが あ る。(第1章
参 照)
シ ウム ビー ム
現 在,周
波 数 と時 間 の 一 次 標 準 と して 世 界 の多 くの 国 で セ シ ウム 標 準 器 が 使
用 され て い る。 (2) 周 波 数 の 二 次 標 準 a) ル ビ ジ ウ ム ・ガ ス標 準 ル ビ ジ ウ ム 周 波 数 標 準 器 は小 型 で 周 波 数 の 短 期 安 定 度,長
期 安 定 度 と も非 常
に高 い とい う特 長 が あ る。 若 干 の 経 時 変 化 が あ る の で,正 確 さ を保 つ た め に は 定期 的 な校 正 が 必 要 で あ る。 b) 水 晶 発 振 器 水 晶 は カ ッ トの 仕 方 に よ っ て 温 度 係 数 が10-6/℃ 以 下 の 振 動 子 が 比 較 的 廉 価 に得 られ る の で,こ れ を 用 い た 水 晶 発 信 器 は腕 時 計 な どに広 く使 わ れ て い る。 これ を恒 温 槽 に 入 れ 周 波 数 安 定 度(エ た もの が,周
ー ジ ン グ レ ー ト)を10-8∼10-10/日
とし
波数 の 二 次 標 準 器 と して 用 い られ て い る。 これ も経 時 変 化 が あ る
の で定 期 的 な校 正 が 必 要 で あ る。 (3) 周 波 数,時
間 お よび 時 刻 の 簡 易 校 正 法
こ こで は上 述 の標 準 器 を用 い て直 接 校 正 す る以 外 の 方 法 に つ い て述 べ る。 a) 標 準 電 波 に よ る方 法 標 準 電 波 は搬 送 波 の 周 波 数 が きわ め て 正 確 な電 波 で,原 子 時 計 を も と に作 ら れ,放 送 され て い る。 標 準 周 波 数 を一 般 利 用 者 に提 供 す るた め,正 確 な 時 間 と 時 刻 を示 す報 時 信 号 や,標 準 音 声 周 波 数 を変 調 して い る。近 距 離 で は40kHzの LF(Low
Frequency:長
15MHzのHF(High
波)が
使 用 され るが,そ れ 以 外 で は2.5,5,8,10,
Frequency:短
波)が 使 用 され,JJYの
局 符 号 で放 送 さ
れ る。 発 射 電 波 の 周 波 数 偏 差 はLFで る。HFで
平 均10-11/日 程 度 で と び ぬ け て 高 精 度 で あ
も10-7/日 な い し10-8/日 で あ る。HFの
に 頼 る た め,電
場 合,遠 距 離 で は 電 離 層 伝 搬
離 層 の 変 動 に よ る マ ル チ パ ス や ド ッ プ ラ ー 効 果(Doppler
effect)に 基 づ く周 波 数 変 動 が あ る。これ を避 け る た め に は,受 信 周 波 数 の時 間 平 均 を と り,変 動 の 影 響 を軽 減 す る。 時 刻 の 精 度 と し て はLF,HFと
も1ms程
度 で あ る。 近 年,JJYを
自動 的 に
受 信 して 時 間 校 正 す る置 時 計 や 腕 時 計 が 発 売 され て い る。
b) 人 工 衛 星 を 利 用 す る 方 法
航 法 衛 星GPS(Global
Positioning
星GMS(Geostationary
Meteorological
の 標 準 を も ち,校
正 信 号 を 出 し て い る の で,こ
受 信 機 で 受 信 で き る。 そ の 精 度 は,周
System)や
「ひ ま わ り」 の よ う な 気 象 衛
Satellite)は
周 波 数 と時 刻 に つ い て
れ を安 定 な ク ロ ッ ク源 を も っ た
波 数 で10-13程
度,時
刻 で10ns程
度 で あ
る。 c) テ レ ビ 電 波 を 利 用 す る 方 法 TV(television)信
号 の 伝 搬 領 域 内 でTV放
を 校 正 で き る 。 そ の 精 度 は 周 波 数 で5×10-12程 d) NTT時
送 波 を 受 信 し て,周
波 数 と時 刻
度,時
度 で あ る。
刻 で0.1μs程
報 サ ー ビス を利 用 す る方 法
電 話 番 号117を
ダ イ ヤ ル す る こ と に よ り10秒
ご と の 時 報 を 受 信 で き る 。腕 時
計 や ス ト ッ プ ウ オ ッ チ の 秒 レ ベ ル で の 簡 易 校 正 に よ く使 わ れ る 。
問
題
2‐1 測 定 方 式 に は どの よ う な も の が あ る か,説 2‐2 零 位 法 の 長 所,短
明 せ よ。
所 を述 べ よ 。
2‐3 測 定 結 果 の 表 示 方 法 に は どの よ う な もの が あ る か,説
明 せ よ。
2‐4 ア ナ ロ グ表 示 とデ ィ ジ タ ル 表 示 に つ い て 述 べ よ 。 2‐5 図2・6に
お い て定 格 電 流0 .1mA,内
部 抵 抗1kΩ
の 電 流 計 を用 い て,100Vの
電 圧 計 とす る た め の 倍 率 器 の 値 を 求 め よ 。
(答 999kΩ)
2‐6 電 位 差 計 の 原 理 と特 長 を 述 べ よ。 2‐7 図2・10に お い てVo=100V,Ro=500kΩ
回 路 に 内部 抵 抗1MΩ
続 し た と きの 負 荷 効 果 を 求 め よ。
の 電 圧 計 を接 (答 66.7V)
2‐8 直 流 の 微 小 電 圧 を測 定 す る時 の 注 意 事 項 を 挙 げ よ。 2‐9 電 子 式 電 圧 計 で ひ ず み 波 形 の 電 圧 を 測 定 す る と きの 注 意 点 を述 べ よ 。 2‐10 コ モ ン モ ー ドノ イ ズ と,そ の 除 去 方 法 に つ い て 述 べ よ。
2‐11 図2・21に お い て 定 格 電 流10mA,内
部 抵 抗50Ω
の 電 流 計 で10Aを
た めの分流 器 の値 を求 め よ。 (答
測定 す る
50.05mΩ)
2‐12 ホ ー ル効 果 電 力 計 の 原 理 と特 長 を述 べ よ 。 2‐13 図2・30に
お い てR1=1000Ω
れ た ときRxを
,R2=10Ω,R3=500Ω
で ブ リ ッジ の 平 衡 が と
求 め よ。
(答 50kΩ)
2‐14 低 抵 抗 を 測 定 す る と きの 問 題 点 と,そ れ を 解 決 す る 方 法 を 述 べ よ。 2‐15 絶 縁 抵 抗 を測 定 す る と き の 問 題 点 と,そ れ を解 決 す る方 法 を述 べ よ 。 2‐16 交 流 ブ リ ッ ジ の 平 衡 を と る の が 面 倒 な 理 由 を述 べ よ。 2‐17 交 流 ブ リ ッ ジ の 誤 差 の 原 因 とな る もの は 何 か,そ れ を 解 決 す る 方 法 を 述 べ よ 。 2‐18 図2・41(c)に
お い て,Cs=1μF,R1=1000Ω,R3=10000Ω,R4=500Ω
衡 が とれ た 。Lx及 2‐19 立 上 り時 間10nsの 時,ブ
びRxを
求 め よ。
波 形 を 周 波 数 帯 域50MHzの
で平
(答 Lx=500mH,Rx=50
Ω)
オ シ ロス コー プ で観 測 す る
ラ ウ ン管 上 に 観 測 さ れ る立 上 り時 間 を求 め よ。
2‐20 周 波 数 カ ウ ン タ の ±1カ ウ ン ト誤 差 に つ い て 述 べ よ。
(答 12.2ns)
3、 デ ィジタル測定 3・1
デ ィジ タ ル 計 測 技 術
デ ィジ タ ル 技 術 の 展 開 は め ざ ま し く,電 子 技 術 の あ ら ゆ る面 で従 来 の ア ナ ロ グ技 術 を刷 新 しつ つ あ るが,計 測 の 世 界 で も そ の例 に もれ な い。 デ ィ ジ タ ル 計 測 器 は単 体 と し て多 種 多様 な もの が 出 現 した が,こ れ ら を統 合 して デ ィ ジ タ ル 計 測 シ ス テ ム に ま と め上 げ,全 体 と して は シ ナ ジー(synergy)効
果 を ね らっ
た 形 態 が 多 く見 られ る よ う に な っ て きた 。 計 測 の 現 場 で,最
も労 力 と時 間 を必 要 とす るの は,計 測 シス テム の セ ッ トア
ップ と計 測 デ ー タの 読 取 り,収 集,記
録 お よ び 処 理 で あ る。 デ ィ ジ タ ル 計 測 シ
ス テ ム で は,い っ た ん汎 用 的 に全 器 材 を接 続 して お け ば,あ め,プ
と は計 測 環 境 を決
ロ グ ラ ム を 設 定 し て走 らせ ば,測 定 デ ー タ は 自動 的 に収 集 ・処 理 され る 。
デ ィ ジ タル 計 測 シス テ ム で は測 定 の 過 程 は簡 単 で あ るが,そ
の反 面,セ
ット
ア ップ や ソ フ トウ ェ ア の 作 成 に労 力 が 必 要 に な る。 した が って,製 造 現 場 な ど で 同 じよ うな 測 定 を繰 り返 す 場 合 な ど に適 して い る。 OS(基
本 ソ フ トウ ェ ア)に はMS‐DOS,
WINDOWS,
処 理 言 語 と して はC/C++,(VISUAL)BASICな 接 続 す るLAN(Local
Area
使 用 され,
どが 主 用 され る。各 機 器 を
Network)で
して は一 般 にTCP/IP(Transmission
UNIXが
はEthernetが,ま
Control
た プ ロ トコル と
Protocol/Interface
Protocol)
が 使 用 され る。 そ の ほか,計 測 器 メー カ ー で 独 自に 開 発 し,専 用 して い る ソ フ トウ ェア も多 い。 デ ィジ タ ル 計 測 シス テ ム の セ ッ トア ップ は 目的 に応 じて 千 差 万 別 で あ る が, 典 型 的 な構 成 例 を示 す と図3・1の よ う に な る。
図3・1
デ ィ ジタル 計測 シス テム の 構 成
デ ィジ タル 計 測 シ ス テ ム の 一 つ の 変 形 で あ るが,例 1機 分 の 航 法,通
信,制
ATE(Automatic
え ば,計 測 対 象 を航 空 機
御 機 器 に 限 定 して 計 測 業 務 を 自動 化 し て 統 合 化 し た
Test Equipment)が
あ る。 これ は機 内 の デ ー タバ ス に接 続
され,試 験 信 号 を送 出 して 各 搭 載 機 器 の 応 答 信 号 を点 検 し,こ れ ら機 器 の 良 否 を判 定 す る。ATEは
今 日 で は 多 くの場 面 で 使 用 さ れ て い て,産 業 を支 え るイ ン
フ ラ ス トラ クチ ュ ア と な っ て い る。
3・2
デ ィジタル マルチ メー タ
[1]
デ ィジ タル マ ル チ メー タの 特 長
デ ィ ジ タ ル マ ル チ メ ー タ(DMM:Digital
Multimeter)は,基
本 的 に は直 流
お よび 交 流 の電 圧 ・電 流 お よ び 抵 抗 を測 定 す る五 つ の機 能 を満 た す が,そ
のほ
か に周 波 数 や温 度 な ど,い ろ い ろな 機 能 を付 加 で き る柔 軟 性 を も っ て い る。 従 来 の 指 示 計 器 や ア ナ ロ グ式 の テ ス タ な い し は マ ル チ メ ー タ に く らべ て,デ ィ ジタ ル マ ル チ メ ー タ の特 長 は 次 の とお りで あ る。 ① 電 子 回路 やA‐D変
換 器 に よ り測 定 範 囲 を拡 張 す る こ とが で き,精 度 が
高 く分 解 能 が 高 い。 ② A‐D変 換 器 に よ り デ ィ ジ タ ル 値 で 表 示 さ れ る の で,読
み 取 り誤 差 が な
い。
③ 入 力 抵 抗 が直 流 電 圧 で10MΩ 象(被
測 定 物)に
以 上,交 流 電 圧 で約1MΩ
と高 く,測 定 対
電 圧 降 下 な どの影 響 を与 え な い 。
④ 測 定 入 力 は電 源 や 出 力 と絶 縁 され て い る の で,電 圧 の加 わ っ た 箇 所 を 測 定 して も安 全 か つ 高 精 度 に 測 定 で き る。 ⑤ 保 護 回路 が 何 重 に も付 加 され て い るた め,過 大 入 力 や 誤 使 用 に 対 して安 全 性が高 い。 デ ィ ジ タ ル マ ル チ メ ー タ に は 図3・2に 示 す よ う に,携 帯 用 と卓 上 用 とが あ る。 携 帯 用 は 従 来 の 回 路 試 験 器(テ 31/2な
い し41/2桁
ス タ)に
代 わ る も の で あ り,表 示 桁 数 は
で液 晶 表 示,電 池 駆 動,小 型 軽 量 で あ る。 ま た,感 電 防 止 や
短 絡 事 故 防 止 の た め,樹 脂 カ バ ー の つ い た入 力 プ ラ グや 測 定 リー ド線 の先 端 に
(a)携
帯用
(b)卓 上 用 図3・2
鍔(つ
ば)の
デ ィ ジ タ ル マ ル チ メー タ の 外 観
つ い た もの が使 用 さ れ る 。
卓 上 用 は 自動 計 測 装 置 な ど に連 接 して使 用 さ れ る こ とが 多 い。 した が っ て, GP‐IBイ
ン タ フ ェー ス を経 由 して の 遠 隔 制 御,コ ン ピ ュ ー タ へ の測 定 デ ー タ の
転 送 が 行 わ れ る た め,高 速,高 精 度,高 分 解 能 な測 定 が 可 能 で あ る。 表 示桁 数 は41/2か [2]
ら61/2桁
の もの が 多 い 。
デ ィ ジ タ ル マ ル チ メ ー タの 動 作 原 理 と構 成
図3・3に デ ィ ジ タ ル マ ル チ メ ー タ の 系 統 図 を 示 す。 左 側 のLo端 (接地)端 子 で あ り,Hi端
子 は 交 直 流 の電 圧 と抵 抗 の 入 力 端 子,Aは
の入 力 端 子 で あ る。 こ こに挙 げ た の は机 上 用 で,GP‐IBな
子 は共 通 交直流電 流
どの イ ンタ フ ェ ー ス
で コ ン ピ ュー タ と接 続 す る と各 機 器 で 接 地 電 位 が 共 通 とな り,測 定 値 に 影 響 し た り,短 絡 す る な どの 問 題 が 出 る。 こ の た め,イ
ンタ フ ェ ー ス を もつ デ ィ ジ タ
ル マ ル チ メ ー タ で は,デ ィ ジ タ ル部 と測 定 回路 部 と を フ ォ トカ プ ラ な どで絶 縁 して い る。 携 帯 用 の構 成 は,基 本 的 に卓 上 用 と同 じで あ るが,電 あ る の で,ア
ナ ロ グ部 や ロ ジ ッ ク部 をICの1∼2チ
池駆 動 で 絶 縁 が 不 要 で
ップ に集 積 して 小 型 化,低
消 費 電 力 化 して い る。 図 中右 側 の デ ィ ジ タル 部 はマ イ ク ロ プ ロ セ ッサ を 中 心 とす る ロ ジ ック 回 路 で
図3・3
デ ィ ジ タ ル ・マ ル チ メ ー タ の 系 統 図
構 成 され,表 示 制 御,測 定 タ イ ミ ング の 制 御,イ
ン タ フ ェ ー ス の 制 御 な どを行
っ て い る。 [3]
A‐D変
換器
デ ィジ タ ル マ ル チ メ ー タ の 心 臓 部 はA‐D変
換 器 で あ る が,こ
A‐D変 換 器 に 属 す る 帰 還 形PWM(Pulse‐Width 調)方
式 とデ ュア ル ス ロー プ(dual
slope)方
こ で は積 分 形
Modulation:パ
ル ス幅 変
式 に つ い て 述 べ る。
(1) 帰 還 形 パ ル ス 幅 変 調 方 式 帰 還 形PWM方 圧 ±ECと
式 の原 理 を 図3・4に 示 す 。入 力 電 圧EXは
比 較 器 出 力 に よ り交 互 に 切 換 え られ る基 準 電 圧ESと
に加 え られ る。比 較 器 は 積 分 器 出 力EOを +ESが,ま
方 形 波 ク ロ ック電
たEO<0の
にス イ ッチSを
と も に積 分 器
零 レベ ル と比 較 し,EO>0の
と き に は−ESが,そ
駆 動 す る。ス イ ッチ が+ES側
ときには
れ ぞ れ 積 分 器 に負 帰 還 さ れ る よ う また は−ES側
に接 して い る期 間
は 入 力 電 圧 の大 き さ に よ っ て変 化 し,そ の1周 期 に わ た る平 均 値 が ち ょ う ど入 力 電 圧 と打 ち消 し あ う と こ ろで 平 衡 状 態 に な る。
図3・4 帰 還 形パ ル ス幅変 調 方 式
ク ロ ッ ク電 圧 ±ECは,こ で,1周
り返 し周 期Tを
定 め るもの
期 の 平 均 電 圧 は零 に な る よ う に設 定 し て あ る。ス イ ッチ が+ES側
して い る期 間 をT1,−ES側 =R2と
の 回 路 を動 作 させ,繰
に接 して い る期 間 をT2と
に接
す れ ば,平 衡 状 態 で はR1
して 次 式 が成 り立 つ 。
(3・1)
こ こで,T=T1+T2は ス 幅 の 差,T2−T1に ば,Exを
ク ロ ック信 号 の 周 期 で あ り,入 力 電 圧ExはESの 比 例 す る の で,T2−T1の
パル
時 間 を計 数 回 路 で カ ウ ン トす れ
デ ィ ジ タ ル 的 に表 示 で き る。
この 方 式 の 信頼 性 は高 い。 その 理 由 は,こ の 方式 に よ る 回路 が 積 分 器 定 数, ク ロ ッ ク電 圧,OPア
ン プ(operational
amplifier:演
算 増 幅 器)の
増幅度 な ど
の影 響 を受 け ず,さ
らに 負帰 還 に よ っ て パ ル ス幅 変 調 が 高 精 度 化,高
安定 化 さ
れ る た め,比 較 器 の 不 感 帯 電 圧 も影 響 を 与 え な い こ とに よ る。 入 力 電 圧 を積 分 して い る の で,雑 音 の 影 響 を受 け に くい とい う利 点 が あ る。 高速 化 したPWM方 速 くす るた め にA‐D変
式 で は,原 理 的 に は上 述 の 方 式 と同 じで あ るが,応 答 を 換 器 の 基 本 ク ロ ッ ク周 波 数 を約10倍
方 法 は表 示 桁 数 に対 応 して,計 数 サ イ ク ル 数nが
と して い る。 計 数
決 め られ て い る。
測 定 結 果 は 式(3・1)に
対 し て, (3・2)
とな る。 (2) デ ュ ア ル ス ロー プ 方 式 デ ュ アル ス ロー プ 方 式 の 系 統 図 を図3・5に 示 す 。 測 定 され る電 圧Exが 場 合,ま ずS1が
一 定 時 間TSだ
け 閉 じ る。OPア
ン プAは
そ の利 得 が き わ め て
大 きい の で,入 力 電 圧 が 常 に ほ ぼ ゼ ロ に な る よ う に コ ン デ ン サCを 還 され る。 した が っ て,抵 抗Rに
負の
通 して 負 帰
流 れ る電 流Iは, (3・3)
と な る。
図3・5
増 幅 器Aの
デ ュア ル ス ロー プ方 式
入 力 抵 抗 は きわ め て 大 き い の で,増
は無 視 で き,電 流Iは
す べ て コ ン デ ンサCに
され た と きの コ ン デ ンサ の両 端 の 電 圧 をEOと
幅 器Aの
入 力 に流 れ る電 流
充 電 さ れ る。あ る時 間TSだ す る と,EOは
け充 電
次 式 で 表 さ れ る。
(3・4)
式(3・3)を
式(3・4)に
代 入 す る と, (3・5)
と な る。 次 にS2を 閉 じ,測 定 され る電 圧 と逆 極 性 の 標 準 電 圧ESに と,出 力 電 圧EOは
入 力 を 切 り換 え る
次 式 の よ う に な る。 (3・6)
こ こで 出力 電 圧EOが
零 に な る まで の 時 間 をTxと
す る と,次 式 が 得 られ る 。 (3・7)
し たが っ て,積 分 時 間TS,基 は,S2が し,デ
準 電 圧ESが
一 定 で あ れ ば,測 定 され る電 圧Ex
閉 じて か ら出 力 電 圧 が 零 に な る ま で の 時 間Txを
計 数 回路 で カ ウ ン ト
ィジ タ ル 表 示 す る。
この 方 式 の利 点 と して は,次 C,R,お
の2点 が 挙 げ られ る。 第 一 は原 理 上,積
分定 数
よび ク ロ ック 周 波 数 の ド リフ トが誤 差 に な らな い こ と,第 二 は入 力Ex
を常 に周 期TSの
間 にわ た り積 分 して い る の で,こ のTSを
商 用周波数周 期 の整
数 倍 に選 べ ば,後 述 す る ノ ー マ ル モ ー ド雑 音 を 除 去 で きる。 [4]
入 力 増 幅,直
流電圧測定部
入 力 増 幅 器 は最 高 分 解 能 で の 安 定 度 を決 定 す るた め,高 感 度 で 低 雑 音 で あ る こ とが 要 求 さ れ る。 オ ー トゼ ロ方 式 の もの で はFET(Field
Effect
Transistor:
電 界 効 果 トラ ン ジ ス タ)直 結 形 の 直 流増 幅 器 が使 用 され る。さ らに 高 精 度 を要 求 す る機 種 で は,半 導 体 チ ョ ッパ ス タ ビラ イ ズ 形 増 幅 器 を使 用 して,超 低 雑 音,超
低 ド リフ トを実 現 して い る。
デ ィ ジ タル マ ル チ メ ー タ で は,零 点 の安 定 度 を保 持 す る こ と は重 要 な性 能 の 一 つ で あ るが ,プ
リア ン プ やA‐D変
換 器 の 温 度 や 経 年 変 化 に よ る ド リ フ トを
補 償 す るた め に は,オ ー トゼ ロ 方 式 が 採 用 され る。 これ は プ リア ン プ の 入 力 に FETス にFETの
イ ッ チ を設 けて,ま ずFETス
イ ッチ の 入 力 側 をオ ン に して 測 定 し,次
コ モ ン側 をオ ン に して 測 定 し,二 つ の デ ー タ の差 を演 算 して ド リ フ
トを打 ち 消 す 方 法 で あ る。 [5]
抵抗測定部
直 流 抵 抗 の 測 定 は,図3・6(a)の
よ う に測 定 抵 抗 に一 定 の 電 流 を流 し,そ の 電
圧 降 下 か ら抵 抗 の 値 を求 め る方 法 と,同 図(b)の よ う に基 準 抵 抗RSと
測定抵抗
Rxを 直 列 に し,そ れ ぞれ の電 圧 降 下 の比 を 演 算 して 抵 抗 値 を 求 め る方 法 とが あ る。
(a)
(b) 図3・6 抵 抗 測定 回 路
抵 抗 比 を測 る(b)の 方 法 は,(a)と
は異 な り定 電 流 源 を必 要 と しな い が,測 定
電 流 が 抵 抗 値 に よ っ て変 化 す る た め,測 定 抵 抗 が 非 線 形 特 性(Rx≠(Ex/ES)RS) を もつ場 合 に は 誤 差 を生 じ る。 抵 抗 器 の 抵 抗 値 を測 定 す る と き,接 続 線 の 抵 抗 値 が 十 分 小 さ い場 合 に は 二 端 子 で測 定 す る。 測 定 前 に は接 続 線 の 両 端 を短 絡 し て,零 点 調 整 を行 う。 低 抵 抗 を測 定 す る時 に は,測 定 抵 抗 器 ま で の 接 続 線 の 抵 抗 が 無 視 で きな い こ とが あ る。 こ の場 合 に は,図3・7の
よ うに 電 流 端
子 か ら測 定 電 流 を 流 し,電 圧 端 子 で その 電 圧 降 下 を測 定 す る と,接 続 線 の抵 抗 をほ と
図3・7 抵抗 の四 端子 測 定 法
ん ど受 けず に抵 抗 を測 定 で き る 。 [6]
交流測定
交 流 を測 定 す る場 合,交
流 用 前 置 増 幅 器 や分 流 器 抵 抗 で正 規 化 した 信 号 を交
流-直 流 変換 回 路 を利 用 して,入 力 信 号 レベ ル に比 例 した 直 流 電 圧 に変 換 す る 。 こ の変 換 回 路 と して は,平 式)が
均 値 整 流 方 式 と対 数 変 換 方 式(Log‐Antilog方
あ る。
平 均 値 整 流 方式 は交 流 信 号 を整 流 した 後,平
滑化 して平 均 値 を得 て,正 弦 波
表3・1 代 表 的 な 周期 波 形 の実 効値,平 均 値,波 形率 お よび波 高率
注:実
効 値(Root‐Mean‐Square
あ る波 形の 瞬 時 値 の 二 乗 を1周
Value) 期 間 で平 均 し た 値 の 平 方 根 。 英 語 名 称 の 頭 文 字 を と っ てRMS値
と もい う。
波 形 に 含 まれ る 力や 熱 な ど の エ ネ ル ギー に 結 び つ い た 量 を 示 す 。 平 均値(Mean
Value)
あ る波 形 の 半 周 期 間 の 瞬 時値 の 平 均 。
波形率(Form
Factor)
ある波形の実効値の平均値 に対す る比。 波形率=実 効値/平 均値
波 高 率(Crest
Factor)
あ る波 形の 最 大 振 幅 の 実効 値 に 対 す る 比 。 波 高 率=最
大 振 幅/実
効値
の 波 形 率1.11を
乗 じて 実効 値 と して表 示 す る。表3・1に 示 す よ う に,正 弦 波 で
は,波 形 率 は1.11で
あ り,波 形 率=実 効 値/平 均 値,で
あ る。 この 方 式 は安 価
で あ る が,正 弦 波 以 外 の 波 形 で は誤 差 を と もな う の で 注 意 を要 す る。 交 流 電 圧 波 形 に お い て は,最 大 値,平
均 値,お
よ び 実効 値 が 定 義 され,こ
れ
らか らさ ら に波 高 率 と波 形 率 が 求 め られ る。 波 形 が わ か って い る と きに は,測 定 値 と計 算値 との 関連 を これ らのパ ラ メー タ か ら求 め る こ とが で き る。 波 形 が わ か っ て い な い場 合 に は,ス ペ ク トル 分 析 器 また は 高 速 フー リエ 変 換(FFT: Fast Fourier Transform)を
行 い,ス ペ ク トル を表 示 さ せ て 図 的 解 析 を行 う。
また 同 時 に,ひ ず み率 計 を利 用 して,基 本 波 と高 調 波 の成 分 比 を知 る こ とが 必 要 で あ る。 [7]
実効値変換
入 力 した電 圧 を実 効 値 に変 換 す る方 式 と して,Log‐Antilog方
式 が 用 い られ
る。 図3・8に 系 統 図 で示 す よ う に,入 力 信 号 は まず 絶 対 値 回路 で 正 の極 性 に 変 換 され,ト ラ ン ジ ス タの 増 幅 度 の対 数 特 性 を利 用 して ア ナ ロ グ的 に対 数 を求 め, さ ら に逆 対 数 変 換 を行 い,開 平 し て実 効 値 を 出 力 とし て得 る。 この よ うに入 力 した 信 号 を実 効 値 と して 出 力 す る と,小 さ な電 圧 か ら大 き な電 圧 まで 広 い測 定 範 囲 を カバ ー す る こ とが で き る。
図3・8
[8]
Log‐Antilog
方 式に よる実 効 値 変換
電 流測 定
電 流 測 定 に あ た っ て は分 流 器(shunt)に 値 を求 め る。
電 流 を流 し,そ の 電 圧 降下 か ら電 流
[9]
デ ィジ タル マ ル チ メ ー タの 性 能
(1) 測 定 確 度 デ ィ ジ タル マ ル チ メ ー タ の 基 本 確 度 は標 準 状 態 に お け る 測 定 値 と真 値 の 差 で,一 般 に 次 式 の よ う に表 され る。 ±[(読 み ×%)+(桁
数)]
(3・8)
ま た は, ±[(読 み ×ppm)+(桁
これ ら二 つ の 式 で,第1項
数)]
(3・9)
は読 み値(reading)に
さ に比 例 し,単 位 は%ま た はppm(parts る。 第2項
対 す る誤 差 で,入 力 の 大 き
per million:百
万 分 の1)で
は入 力 に よ らな い一 定 値 の誤 差 で あ り,表 示 の桁(digit)数
表 され により
決 ま る。 例 え ば61/2桁(1999999)表 確 度 は ±(0.003%の
示 で の0.1μV分
読 み値+15桁)と
解 能 のDMMで
は, DC基
本
な っ て い る。
(2) デ ィ ジ タ ル マ ル チ メ ー タの 測 定 範 囲 代 表 的 な 測 定 範 囲 は次 の とお りで あ る 。 直 流 電 圧:10nV∼1000
V
交 流 電 圧:1μV∼700V 直 流 電 流:10nA∼10A 交 流 電 流:10nA∼10A 抵
抗:100μ Ω∼200MΩ
測 定 範 囲 の上 限 は,そ の 機 種 の 最 大 レ ンジ の フル ス ケ ー ル で 測 定 で き る最 大 の値 で あ る。 下 限 は最 小 分 解 能(感
度)と 呼 ば れ,表 示 で き る最 小 の 値 で,デ
ィ ジタ ル マ ル チ メー タ の 機 種 が 決 ま る と,そ の 最 小 レ ン ジ の 分 解 能(1デ
ィジ
ッ ト)で あ る。 直 流 電 圧 で は,微 小 電圧 に対 す る雑 音 や 測 定 器 の 安 定 度 の 目安 とな る。現 在 は100nV∼10μVの
もの が 多 く,高 確 度,高 分 解 能 形 で は10nVの
分 解 能 を もつ もの も あ る 。 (3) 入 力 イ ン ピー ダ ン ス 測 定 器 の 入 力 イ ン ピー ダ ンス が 低 い と,測 定 対 象 か ら電 流 が 流 れ 込 み,電 圧
低 下 や イ ン ピー ダ ンス の 不 整 合 が 起 こ る。 した が っ て,入 力 イ ン ピー ダ ン ス は 高 けれ ば 高 い ほ ど よ い。 デ ィ ジ タル マ ル チ メー タ の 入 力 イ ン ピー ダ ン ス は,直 流 電 圧 レ ン ジ で20V/ 200V/1000Vレ
ン ジ の よ う に分 圧 器 を通 る場 合 に は約10MΩ,プ
直 接 増 幅 で き る場 合 に は1000MΩ
リア ン プ で
以 上 と な っ て い る。
(4) 雑 音 除 去 デ ィジ タル マ ル チ メ ー タ は い ろ い ろ な雑 音 環 境 で 使 用 さ れ る。 入 力 端 子 のHi‐Lo 端 子 に 入 る 信 号 に 重 畳 す る 雑 音 を ノ ー マ ル モ ー ド雑 音(normal noise)と
呼 ぶ 。 デ ィ ジ タ ル マ ル チ メー タ で は こ の雑 音 をA‐D変
mode
換 器 や フ ィル
タ で 除 去 す るが,こ の 雑 音 を 除 去 す る比 率 を ノ ー マ ル モ ー ド雑 音 除 去 比(Normal Mode
Noise
Rejection
Ratio:NMRR)と
電 源 か ら混 入 す る低 周 波 数 雑 音(ハ で,A‐D変
い う。
ム)の 除 去 は 測 定 に つ き も の で あ る の
換 器 の 積 分 時 間 を電 源 電 圧 の 周 期 の 整 数 倍 に選 び,図3・9に
示すよ
うに平 均 を とっ て 除 去 す る 。
図3・9 積 分 形A‐D変 換 器 の雑 音 除 去
入 力 端 子H‐Lに mode
noise)と
共 通 に 加 え ら れ る 雑 音 を コ モ ン モ ー ド 雑 音(common
い う。 こ の 雑 音 は デ ィ ジ タ ル マ ル チ メ ー タ の 内 部 シ ー ル ドや ノ
ー マ ル モ ー ド雑 音 除 去 効 果 に よ り
,軽
除 去 比(Common
Mode
Noise
減 さ れ る 。 こ の 比 率 を コ モ ン モ ー ド雑 音
Rejection
Ratio:CMRR)と
い う。
[10] そ の 他 の 機 能 (1) 測 定 条 件 の 設 定 使 用 目的 に応 じ て積 分 時 間 や測 定 周 期 な どの測 定 諸 元 を 設 定 で き る機 能 が あ る。積 分 時 間 を長 く設 定 す る と,よ り高 い分 解 能 で,よ
り安 定 した 測 定 が で き,
また積 分 時 間 を電 源 の 周 期 よ り も短 く設 定 す れ ば,高 速 測 定 が で き る。例 え ば, 最 高 速 測 定 は約300回/秒,測
定 周 期 は3msか
ら60分 に 設 定 で き る。
(2) ゼ ロ点 調 節(null) 電 圧 の ゼ ロ点 の 補 正 や,抵 抗 測 定 時 の リー ド線 抵 抗 を補 正 す る機 能 で あ る 。 このnull操 作 を 行 う と,そ の と きの 表 示 され た値 を記 憶 し,そ れ 以 降 の 測 定 で は記 憶 した 値 を差 し引 い て 表 示 す る。 (3) ア ベ レー ジ ン グ(averaging) 信 号 に 乗 っ て い る雑 音 や 測 定 時 の不 安 定(ふ 定 さ れ た 数(周 期)の
らつ き)を 除 去 す る た め に,設
測 定 値 の 平 均 を と り,そ れ を 時 間 的 に 移 動 さ せ なが ら表
示 す る。 (4) 演算 機 能 ス ケ ー リン グ演 算,コ
ンパ レー タ,デ
シベ ル 計 算 な どが あ り,内 蔵 され た マ
イ ク ロ コ ン ピ ュ ー タ に よ り測 定 値 か ら計 算 処 理 され る。 (5) デ ー タ メ モ リ 高 速 で サ ン プ リ ン グ す る と き,い っ た ん 測 定 デ ー タ を メ モ リに蓄 積 し て コ ン ピ ュ ー タ に転 送 す る こ とに よ り,デ ー タ転 送 速 度 に制 約 さ れ ず 高 速 で 測 定 で き る。 さ らにICメ
モ リカ ー ドを使 用 す る と,約500な
い し8000の
測 定 デ ー タ を測
定 条 件 と と も に保 存 し た り,測 定 プ ロ グ ラム の 設 定 が で き る 。 これ に また レ コ ー ダ を付 加 し て使 用 す る と,測 定 デ ー タ の再 生,記 録 が で き る。 (6) イ ン タ フ ェー ス GP‐IBま
た はRS‐232‐Cの
イ ン タ フ ェ ー ス を経 由 して パ ー ソ ナ ル コ ン ピ ュ
ー タ な どか ら測 定 条 件 を設 定 す る こ とが で き,ま た 測 定 デー タ を コ ン ピ ュー タ に転 送 して処 理 で き る な ど,双 方 向 の ア ク セ ス が 実 現 で き る。
(7) ソ フ トウ エ ア に よ る校 正 従 来 は測 定 器 回路 の 可 変 抵 抗 な ど を計 測 者 が調 節 して い た が,現
在 は多 くの
機 種 で は,マ イ ク ロ プ ロ セ ッサ で 内部 の 不 揮 発 性 メ モ リに標 準 状 態 を 記 憶 して い て,自 動 的 に校 正 す る よ う に な っ て い る。 (8) ガ ー デ ィ ン グ(guarding) 図3・10の よ うに,デ ィ ジ タ ル マ ル チ メ ー タ で微 小 電 圧 を測 定 した り,入 力 電 圧 に コモ ン モ ー ド電 圧 が 重 畳 さ れ て い る場 合,導
線 の影 響 を防 ぐた め に使 用 す
る。微 小 電 流 の 測 定 の際 に は,浮 遊 容 量 に よ る漏 れ 電 流 を防 ぐた め に ガ ー ド(遮 へ い)を 使 用 す る。
(a)一
般 的 接続 法
(b)高
精 度 測 定((a)の 測 定 で 表 示 の ふ ら つ き が 大 き い と き)
(c)熱
電 対 の 測 定(DC 図3・10
3・3
mV)
(d)ブ
リ ッ ジ 回 路 の 測 定(DC
mV)
デ ィ ジ タ ル マ ル チ メ ー タ の ガ ー ド機 構
デ ィジ タ ル オ シ ロス コー プ と サ ン プ リン グ オ シ ロス コ ー プ
デ ィ ジ タ ル オ シ ロス コ ー プ は デ ィ ジ タ ル技 法 を利 用 して,演 算 処 理,記
憶,
表 示 な ど融 通 性 に 富 ん だ性 能 を特 長 と し て い る。 測 定 す る入 力 信 号 を い っ た ん デ ィ ジ タ ル 化 して取 り扱 う こ とに よ り,デ
ィジ
タル オ シ ロ ス コ ー プ は 直 流 か ら高 周 波 まで の 広 い帯 域 に わ た る信 号 を ブ ラ ウ ン 管 な どの表 示器 上 に指 示 す る こ とが で き る。 した が っ て,従 前 で は ア ナ ロ グ オ
シ ロ ス コー プ上 で は取 り扱 う こ との で きな か っ た 現 象 を測 定 し,解 析 す る こ と が で き るた め用 途 が 広 い。 他 方,サ ン プ リ ング オ シ ロ ス コー プ は,2・8節 で 述 べ られ て い る ア ナ ロ グ方 式 の もの と基 本 的 に は同 じ動 作 原 理 に よ るが,デ
ィ ジタ ル 技 法 を利 用 す る こ とに
よ り,さ ら に性 能 の 向 上 を 図 って い る。 こ の よ う に,デ
ィ ジ タ ル化 され る こ とで,測 定 能 力 が 拡 張 され 一 般 の 電 気 信
号 ばか りで は な く,そ の他 の 物 理 現 象 に も電 気 信 号 に変 換 で き る もの で あれ ば, 測 定 し現 象 を解 明 で き る。 デ ィ ジ タ ル オ シ ロ ス コ ー プ の特 長 に つ い て,以 下,い
くつ か の点 に つ い て 述
べ る こ とに し よ う。 [1]
プ リ トリ ガ 機 能
ア ナ ロ グ オ シ ロ ス コー プ の場 合,測 定 機 能 は トリガ(trigger)信 と も に ス タ ー トす る た め,ト
リガ 以 後(ポ
ス ト ト リガ領 域)の
号 の発生 と
現 象 しか測 定 で
きな い。これ に対 して,デ ィ ジ タル オ シ ロス コー プ で は波 形 入 力 を常 時 記 憶 し, 必 要 に応 じて 取 り出 す た め,ト 前(プ
リ ト リガ 領 域)に
リガ 以
よ る波 形 の 観
測 が で き る。 これ を図3・11に 示 す 。ト リガ点 に お い て ト リガ が ト リガ レベ ル を 越 え る と,ア ナ ロ グ オ シ ロ ス コー プ の場 合 に は,こ
こか ら後 の 現 象 しか 測 定 で きな
いが,デ
ィ ジ タ ル オ シ ロ ス コー プ の場
合 に は,こ の 前 後 の現 象 を測 定 で き る。 [2]
図3・11
プ リ トリガ と ポス ト トリガ
単 発 現 象 の 観測
ア ナ ロ グ オ シ ロス コ ー プ で は,繰 り返 し生 起 す る現 象 は観 測 で きる が,1回
し
か 発 生 す る現 象 は 観 測 で きな い 。 こ う した 単 発 現 象 を観 測 す る必 要 か ら,以 前 は残 光 時 間 の 長 い特 殊 な ブ ラ ウ ン管 で あ る蓄 積 管(memory
tube)を
使用 し
た ス トレー ジ オ シ ロ ス コ ー プ に頼 っ て い た が,蓄 積 管 は高 価 な う え に蛍 光 面 が
電 子 ビ ー ム に よ り焼 損 した り,残 光 時 間 の調 整 が 困 難 な どの 問 題 点 の た め に, あ ま り利 用 され な か っ た 。 デ ィ ジ タ ル オ シ ロ ス コー プ で は,入 力 信 号 は メ モ リ(memory)に
い ったん
蓄積 され て か ら処 理 ・表 示 さ れ るた め こ の よ うな 問題 は な く,操 作 が 簡 単 で信 頼 性 の 高 い作 動 が期 待 で き る。 [3]
測 定 機能 の拡 張
デ ィ ジ タ ル オ シ ロ ス コ ー プ を使 用 す る こ とに よ り,従 来 の ア ナ ロ グ オ シ ロ ス コー プ とは異 な るい ろ い ろな 機 能 を 引 き出 す こ とが で き る。 デ ィ ジ タ ル オ シ ロ ス コ ー プ に信 号 波 形 を入 力 して い く と,こ の 信 号 はサ ンプ リ ング され,順
次 メ モ リに 記 憶 さ れ る。 メモ リの容 量 を大 き くす れ ば,長 時間
の現 象 を記 録 で き る。 メ モ リ,マ イ ク ロ プ ロ セ ッサ,信 号 処 理 プ ロ セ ッサ,お よ びA‐D(Analog‐to‐Digital)/D‐A(Digital‐to‐Analog)変
換 器(converter
)は 半 導体 で あ り,ダ ウ ンサ イ ジ ング が 進 み,小 型 化 され る と と もに 性 能 が 向 上 され て い くた め,デ
ィ ジ タ ル オ シ ロス コー プ 自体 も年 々 高 性 能 化 され て
いる。 そ の た め,デ
ィジ タル オ シ ロ ス コ ー プ で は 波 形 デ ー タ に 関 す る高 度 の 演 算 処
理 を行 い,そ の 結 果 を リア ル タ イ ム で 表 示 で き る。 入 力 信 号 に応 じ た最 適 な 表 示 を 自動 的 に行 うオ ー トセ ッ トア ップ機 能,カ
ー ソル に よ る電 圧 の デ ィジ タル
読 み取 り,雑 音 の 中 か ら信 号 波 形 を取 り出 す信 号 処 理,リ ア ル タ イ ムFFT演
算
に よ る波 形 の 表 示 とパ ワ ー ス ペ ク トル 表 示 な どの 多 くの機 能 が 付 与 され る 。 記 憶 容 量 を十 分 もて ば,い
っ た ん記 憶 した 波 形 デー タ を圧 縮 して 表 示 し,ま
た一 部 を 拡 大 し て表 示 す る こ と もで き る。 特 定 の 波 形 パ タ ー ン だ け を さ が し出 し て表 示 させ るパ タ ー ンサ ー チ機 能 もあ る。 処 理 し表 示 した 信 号 波 形 デ ー タ を出 力 す る の に,ア 場 合 で はCRT管
ナログオ シロス コープの
面 に ポ ロ ラ イ ドカ メ ラな どを取 り付 け て撮 影 して い た が,デ
ィ ジ タル オ シ ロス コ ー プ で は プ リ ン タ に よ り出 力 す れ ば よ い こ とに な る。 また 数値 的 な デ ー タ も同 様 に プ リン トア ウ トで き る。 プ リン タ を 内 蔵 した デ ィ ジ タ ル オ シ ロ ス コ ー プ は 多 い し,そ の ほ か に も フ ロ ッ ピ ー デ ィ ス ク入 出 力 装 置
(FDD:Floppy
Disk
Drive)を
GP‐IBやRS‐232‐Cな
もつ型 式 もあ る。
ど を 経 由 し て デ ィ ジ タ ル 通 信 回 線 に つ な い で,測 定 デ
ー タ を 外 部 の パ ー ソ ナ ル コ ン ピ ュ ー タ な ど外 部 コ ン ト ロ ー ラ と の 間 で 授 受 す る こ と に よ り,測
定 条 件 を 遠 隔 地 か ら設 定 し た り,ま
っ た り で き る 。 こ の よ う な 可 能 性 は,社
内 のLAN(Local
らISDN(Integrated
Network)な
に 及 び,自 [4]
Services
Digital
た 測 定 デ ー タ を遠 隔 地 に 送 Area
Network)か
どの 広 域 デ ー タ 回線 まで
動 計 測 シ ス テ ムへ と発 展 す る こ とに な る。 構 成 と動作 原 理
実 際 の デ ィ ジ タ ル オ シ ロ ス コ ー プ は 利 便 さ を 追 求 す る た め,多 リ ー を 内 蔵 し て い る が,最
も簡 単 化 し た 構 成 図 を 図3・12に
注)S/H:標
図3・12
くの ア ク セ サ
示す。
本 保 持 回路
デ ィ ジタ ル オシ ロ ス コー プ の構 成
ア ナ ロ グ 入 力 信 号 を信 号 入 力 端 子 に 加 え,ト リガ入 力 端 子 に トリガ に加 え る。 入 力 信 号 は増 幅 され,標 本 保 持 回 路(sample
and hold circuit)で
路 か らの 水 晶 計 時 信 号 に よっ て 標 本 化(sampling)さ はA‐D変
クロック回
れ る。標 本 化 され た 信 号
換 され,メ モ リの 所 定 の ア ドレ ス に順 次 格 納 され る。ア ドレス は ク ロ
ッ ク を も ら っ て カ ウ ン タ 回路 が計 数 して作 る。 こ の メ モ リに収 め られ て い る デ ー タ は必 要 に 応 じ て 波 形 演 算 回路 で 処 理 さ れ,D‐A変
換 さ れ て ア ナ ロ グ信 号 に戻 さ れ, CRT上
に 表 示 さ れ る。ま た,記 録
紙 上 に各 種 デ ー タ を プ リン トア ウ トす る こ と もで き る。 デ ィ ジ タ ル オ シ ロ ス コー プ の外 観 の 一 例 を 図3・13に 示 す。
図3・13
[5]
デ ィジ タル オシ ロス コー プ の外 観
信 号 の サ ンプ リ ング
デ ィ ジ タ ル オ シ ロ ス コ ー プ の周 波 数 帯 域 は サ ン プ リ ン グ 方 式 に よ っ て 異 な り,図3・14に 示 す よ うに,実 時 間 サ ン プ リン グ方 式 と等 価 時 間 サ ン プ リン グ 方 式 とが あ る。
(a)実
時 間 サ ン プ リン グ
図3・14
(b)等
価 時 間サ ンプ リン グ
サ ン プ リン グ 方 式
実 時 間 サ ンプ リン グ 方 式 は単 発 現 象(1回
だ け生 起 す る 波 形)を
観測するこ
と を 目 的 と して い る。 波 形 を一 定 速 度 で サ ン プ リ ン グ し,メ モ リ に記 憶 させ CRT上
に 表 示 す る 。この 周 波 数 帯 域 幅 は サ ン プ リ ン グ周 波 数 の2.5分
の1に
な
る。 等 価 時 間 サ ンプ リン グ 方 式 は繰 り返 し波 形 の観 測 を 目 的 と して い る。 ト リガ 位 置 を 基 準 に して,反 復 す る信 号 を 時 系 列 に そ っ て順 次 メ モ リに記 憶 させ,マ イ ク ロ プ ロセ ッサ で も との 波 形 を組 み 立 て る。 この 方 式 で は高 精 度 の 波 形 再 現
を 行 う た め,標 よ り も,は
本 化 周 波 数 の 最 小 値 で あ る ナ イ キ ス ト レ ー ト(Nyquist
る か に 高 い 周 波 数 で デ ィ ジ タ ル 化 す る 。 こ の た め,必
rate)
要 な周 波 数 帯
域 も広 が る 。 ナ イ キ ス ト レ ー ト と は 標 本 化 を 行 う 際,標 本 化 周 波 数fs[Hz]は 周 波 数fm[Hz]の2倍
は 必 要 で あ る,と
信 号 波 の最 高
い う 標 本 化 定 理(sampling
に 基 づ い た サ ン プ リ ン グ 周 波 数 で あ る 。 す な わ ち,標
theorem)
本 化 定 理 は, (3・10)
と表 され,信
号 波 の 帯 域 幅 をBm[Hz]と
す る と,同 様 に (3・11)
ま た,標
本 の 時 間 間 隔 をT[s]と
す る と,こ
の 最 大 値 はTm=1/Bmで
あ る か ら, (3・12)
等 価 時 間 サ ン プ リン グ 方式 に は,信 号 波 形 に そ っ て逐 次 サ ン プ リ ン グ し て い くシ ー ケ ン シ ャル サ ン プ リ ン グ(sequential
sampling)と,波
形 の任 意 の 箇 所
を ラ ンダ ム に サ ン プ リン グ す る ラ ン ダ ム サ ン プ リン グ(random
sampling)の
二 つ の 方 式 が あ る。 シ ー ケ ン シ ャル サ ン プ リ ン グ は トリガ 時 点 を 基 準 と して,一 定 時 間 ず つ サ ン プ リ ング 位 置 を遅 らせ て い くや り方 で,広 帯 域 の観 測 を必 要 とす る サ ン プ リ ン グオ シ ロ ス コ ー プ に広 く用 い られ る。 ラ ンダ ム サ ンプ リン グ は任 意 にサ ン プ リン グ した デ ー タ を メモ リに い った ん 落 と して,ト
リガ 位 置 を基 準 に 並 べ か え再 構 成 す るや り方 で,プ
リ ト リガ が 容
易 に行 え る とい う利 点 が あ る。 [6]
エ リア シ ン グ
単 発 波 形 の 観 測 の よ う に,実 時 間 で 信 号 波 形fmの ン グ周 波 数fsがfs<2fmで
あ れ ば,当 然,誤
観 測 を行 う場 合,サ ン プ リ
差 が 生 じ る。
図3・15の よ う に,ア ナ ロ グ 入 力 信 号(a)に 対 して,十 分 高 い サ ン プ リ ン グ周 波 数(オ
ー バ ー サ ン プ リン グ)で 観 測 す れ ば,(b)の
実 に再 現 で き るが,ア
よ う に も との 原 波 形 を忠
ナ ロ グ入 力 周 波 数 の2倍 以 下 の サ ン プ リ ン グ周 波 数(ア
ン ダ ー サ ン プ リ ン グ)で
標 本 化 す る と,(c)の
よ う に低 い 周 波 数 が 観 測 され た か
の よ う に 観 測 さ れ る 。 こ れ を エ リ ア シ ン グ(aliasing:折
り返 し誤 差)と
呼 ん
で い る。
(a)ア ナ ロ グ入 力信 号
(b)十 分高 い サ ン プル 周波 数の 場合
(c)サ ン プ リン グ周 波数 が低 す ぎるた めに エ リア シン グが発 生 した場 合 図3・15
図3・16
エ リア シ ン グ
この現 象 を周 波 数 領 域 に つ い て み る と,図3・16の
折 返 し誤 差
よ う に見 か け上,fs/2の
と
こ ろで 折 り返 した よ う に実 在 しな い 信 号 が現 れ る。 これ が 折 り返 し誤 差(エ
リ
ア シ ン グ)と 呼 ば れ る理 由 で あ る。 [7]
パ ー セ プ チ ュ ア ル エ リア シ ン グ
実 時 間 サ ン プ リ ング を行 う と き に は,上 述 の エ リア シ ン グ が 問 題 とな るが, そ の ほ か に も一 連 の エ リア シ ング誤 差 が あ る。 周 波 数 帯 域 を狭 くす る こ とに よ り生 起 す る現 象 と して,視 覚 の 錯 覚 に よ り視 認 が 困難 に な るパ ー セ プ チ ュ ア ル(perceptual)エ タ ル化(離
散 化)し
た 波 形 デー タ をCRT上
リア シ ン グ が あ る。 デ ィ ジ
に 表 示 す る場 合,次
の よ う に三 と
お りの 方 法 が あ る。 ① ドッ ト(点)で 表 示 す る ドッ ト表 示 法,② 不 連 続 点 を連 続 な線 分 で 補 間 す る 直 線 補 間 法,こ
れ は不 連 続 な 点 と点 との 間 を直 線 で結 ぶ た め,こ
線 で 結 ん だ ギ ザ ギ ザ の 「の こ ぎ り」 状 の 波 形 とな るの で,③ と呼 ばれ る曲 線sinx/xを
れ だ けで は直
さ らに サ イ ン関 数
使 っ て補 間 す る サ イ ン補 間 法 が あ る。
図3・17は
ドッ ト(点)表 示 の例 で あ る。入 力 信 号 は 高 い 周 波 数 で あ るが,低 い
周 波 数 の 波 形 が 重 な っ て い る よ うに 見 え,パ ー セ プ チ ュ ア ル エ リア シ ン グ を 表 して い る。
図3・17
ドッ ト表 示 の パ ー セ プ チ ュ ア ル
図3・18
エ リア シ ン グ
図3・18は
ドッ ト表 示 の 直 線 補 間 (パ ー セ プ チ ュ ア ル エ リア シ ン グ は 残 る)
直 線 補 間 表 示 で,高
い 周 波 数 で あ る こ と は 観 測 で き る が,デ
ィジタ
ル 化 の た め,波
形 先端 が 欠 け て 不 均 一 に な っ て い る の が 観 測 され る。 これ をエ
ン ベ ロ ー プ(包
絡 線:envelope)誤
差 と い う。
実 時 間 サ ン プ リ ン グ を 行 う 場 合,上 い 周 波 数 帯 域 は,図3・19に グ レ ー トの1/25,②
述 の よ う な各 種 の エ リア シ ング の 生 じ な
示 す よ う に,そ
れ ぞ れ ① ド ッ ト表 示 で は サ ン プ リ ン
直 線 補 間 で は サ ン プ リ ン グ レ ー トの1/10,③
は サ ン プ リ ン グ レ ー トの1/2.5で
図3・19
あ る。
各 種 の エ リア シ ン グ領 域
サ イ ン補 間 で
表3・2に 概 略 の 仕 様 を 示 す 実 際 の デ ィ ジ タル オ シ ロ ス コー プ を使 っ て 周 波 数 の 異 な る正 弦 波 の 実 時 間 サ ンプ リン グ を行 う と,図3・20の
よ う に な る。
表3・2 例 示 し た デ ィ ジ タ ル オ シ ロ ス コ ー プ の 主 要 性 能
*S/s:1秒
図3・20
あ た り の サ ン プ ル 数(Sample
per Second)
例 示 し た デ ィ ジ タ ル オ シ ロ ス コー プ に よ る 正 弦 波 の 観 測
この例 に挙 げ て い る デ ィ ジ タ ル オ シ ロ ス コ ー プ は 実 時 間 サ ンプ リ ン グ レー ト が200MS/sで (1)ド
あ るが,こ れ で い ろ い ろ な 周 波 数 を観 測 す る と次 の よ う に な る。
ッ ト表 示:上
述 の よ う に,200MHz/25=8MHzで
ッ ト波 形 が 観 測 さ れ るが,そ
れ 以 上 で は波 形 が 乱 れ る。
(2)直 線 補 間 表 示:200MHz/10=20MHzま が,そ
は正 確 な正 弦 波 の ド
で は正確 な波形 が得 られ て い る
れ以 上 に な る と 「の こ ぎ り」 状 の 波 形 に な る。
(3)サ イ ン補 間 表 示:周
波 数 帯 域 が 広 い た め,200MHz/2.5=80MHzま
良 好 な表 示 が 得 られ て い る が,100MHzに
では
な る と振 幅 が 小 さ くな っ て い る 。
サ イ ン補 間 表 示 は利 用 周 波 数 範 囲 が 広 い が,パ
ル ス 波形 の よ うな 立 上 りが 急
峻 な(鋭 い)ス
テ ップ 状 の 信 号 で は,立 上 り部 分 に 大 き な オ ー バ ー シ ュ ー ト
(overshoot)や
プ リシ ュ ー ト(preshoot)が
現 れ,正 確 に 観 測 し に くい こ とが
あ る。 した が っ て,実 時 間 サ ン プ リン グ を行 う場 合,パ
ル ス 信 号 に対 して は直
線 補 間,正 弦 波 に は サ イ ン補 間 とい う よ うな使 い 分 け が必 要 で あ る。 [8]
実 効 蓄 積 周 波 数 帯 域 と 実 効 立 上 り時 間
前 述 の よ うに,正 弦 波 の 観 測 に お い て,実 時 間 サ ン プ リ ン グ を行 う際 の 実 効 蓄 積 周 波 数 帯 域 は サ イ ン補 間 を利 用 す る とサ ン プ リ ン グ レ ー トの1/2.5に
な
る。 ラ ン ダム 等 価 時 間 サ ンプ リン グ を利 用 して繰 り返 し波 形 観 測 を行 う場 合,実 効 蓄 積 周 波 数 帯 域 はサ ンプ リン グ レー トに は無 関係 で,入 力 増 幅 器 や 標 本 保 持 回路 の 特 性 に よ り決 ま っ て くる。 表3・2に 例 示 した デ ィ ジ タ ル オ シ ロ ス コ ー プ の場 合,実 時 間 サ ン プ リ ン グ レ ー トは200MS/sで 帯 域 は300MHzと
あ るが,等 価 時 間 蓄 積 周 波 数
な って い る。
パ ル ス 波 形 の観 測 で は,実 際 の パ ル ス の 立 上 り を どの 程 度 正 確 に表 示 で き る か が 問 題 と な る。 い わ ゆ る ス テ ップ 関数 の よ うな立 上 り時 間 が ゼ ロ の 波 形 が 入 力 され た場 合,CRT上
で 観 測 さ れ る立 上 り時 間 を実 効 立 上 り時 間 と い う。
単 発 パ ル ス 波 形 を 実 時 間 サ ン プ リ ン グ で 観 測 す る場 合,図3・21に
示すよう
に,信 号 波 形 の サ ン プ リン グ の や り方 に よ っ て,立 上 り時 間 は サ ン プ リン グ間 隔 の0.8倍
か ら1.6倍
の 間 を と る。 最 悪 の場 合 と して,実 効 立 上 り時 間 はサ ン
図3・21 単 発 パ ル ス波 形 の立 上 り時 間 プ リ ン グ 間 隔 の1.6倍
を と る 。 ち な み に,最 悪 の 場 合 で,200MS/sの
ン グ レ ー トで の 実 効 立 上 り時 間 は,1.6/(200×106)=8nsで
あ る。
繰 り返 し 波 形 の ラ ン ダ ム 等 価 時 間 サ ン プ リ ン グ に よ る 観 測 で は,実 波 数 帯 域 をf〔MHz〕
と す る と,実
サ ンプ リ
効 立 上 り時 間Tr〔ns〕
効蓄 積周
は近 似 的 に 次 の よ う に
与 え られ る。 (3・13)
例 え ば,実 効 蓄 積 周 波 数 帯 域 が300MHzで
あれ ば,Tr=350/300=1.17nsと
な
る。 い ま まで ス テ ッ プ関 数 の よ う な理 想 的 な 波 形 に つ い て考 え て きた が,実 パ ル ス 波 形 は あ る程 度 の立 上 り時 間Tsを 上 り時 間Trの
際の
も っ て い る か ら,こ の 波 形 を実 効 立
オ シ ロス コー プ で観 測 した と き の立 上 り時 間 をTtと
す る と,お
お よ そ 次 の よ う な関 係 に な る。 (3・14)
例 え ば,実 効 蓄 積 周 波 数 帯 域300MHzの 観 測 す る と,Tt=√22+1.172=2.3nsと [9]
オ シ ロ ス コー プ でTs=2nsの
波形 を
な る。
単 発 周 波数 帯 域
単 発 波 形 を 実 時 間 サ ン プ リ ン グで 観 測 す る場 合,サ
ン プ リ ン グ レー トと デ ィ
ジ タ ル 化 し た値 を メ モ リに記 録 させ る レ コー ド長 は,互
い に 妥 協 しあ う関 係 に
あ る。 す な わ ち,有 限 の メ モ リ資 源 を使 用 す るわ けで あ る か ら,高 い周 波 数 の 入 力 を 正 確 に 観 測 す る た め に は サ ン プ リ ン グ を速 く,言 い 換 え れ ば1分 画
(Division)当 逆 に,波
た り の 時 間(Time/Div)を
形 の 全 体 像 を と ら え る た め に は,サ
ばTime/Divを い ま,レ
短 く す る必 要 が あ る 。 ン プ リ ン グ を 遅 く,言
い換 えれ
長 くす る必 要 が あ る。 コ ー ド長 をN,サ
と す る と,次
ン プ リ ン グ 間 隔 をΔT,サ
ン プ リ ン グ 周 波 数 をfs
の 関 係 が あ る。
(3・15)
(3・16)
標 本 化 定 理 か ら, (3・17)
こ れ ら の 三 つ の 式 か ら,
(3・18)
が 得 ら れ る 。 こ のfが
単 発 周 波 数 帯 域 で あ る。
周 波 数 帯 域 幅 が10MHzの
デ ィ ジ タ ル オ シ ロ ス コ ー プ に つ い て,レ
を パ ラ メ ー タ に と っ て 単 発 周 波 数 帯 域 とTime/Divの の が 図3・22で あ る 。 こ の 図 か ら,大
コ ー ド長
関係 を グラ フ に した も
容 量 メ モ リ を も ち,レ
図3・22 レ コー ド長 と単 発周 波数 帯 域 の関 係
コ ー ド長 が 長 い ほ ど
単 発 周 波 数 帯 域 が 広 が り,高 い周 波 数 成 分 も観 測 で き る こ とが 理 解 され る で あ ろ う。 [10] 垂 直 軸 分 解 能 波 形 の振 幅 を表 す デ ィ ジ タル オ シ ロ ス コ ー プ で の垂 直 軸 分 解 能,す 直 軸 の精 度 な い しは解 像 度,はA‐D変 デ ィ ジ タ ル オ シ ロ ス コー プ で は8ビ
な わ ち垂
換 器 の ビ ッ ト数 で 決 ま る。 これ は 普 通 の ッ ト,高 精 度 の もの で は12ビ
ッ ト程 度 で あ
る。 nビ
ッ トの 分 解 能 はCRTの
垂 直 表 示,す
1)等 分 に 分 割 し,2nレ ベ ル(段 8ビ ッ トのA‐D変
な わ ち 電 圧 の フ ル ス ケ ー ル を(2n-
階)で 表 示 す る こ と を意 味 し て い る。例 え ば,
換 器 で デ ィ ジ タ ル 変 換 され た 信 号 振 幅 は28=256レ
分 解 能 を もち,そ の ス ケ ー ル は2-8=0.4%ご ッ トの 場 合 は,4096レ
ベルの
とに刻 まれ て い る。 同様 に,12ビ
ベ ル の分 解 能 で,ス
ケ ー ル刻 み は0.024%と
な る。
[11] サ ン プ リ ン グ オ シ ロス コ ー プ 高速 半 導 体 デ バ イ ス,高 速 デ ィ ジ タ ル 通 信 な ど,ナ ノ秒 な い し ピ コ秒 で 変 化 す る 短 パ ル ス や 高 速 波 形 に対 して は,通 常 の オ シ ロス コー プ を使 用 して も応 答 速 度 が 追 い つ か ず,現 象 の観 測 や 解 析 が十 分 に行 えな い。 この よ う な問 題 を解 決 す る た め に,シ sampling)を
ー ケ ン シ ャ ル サ ン プ リ ン グ(sequential
利 用 し た デ ィ ジ タル サ ン プ リン グ オ シ ロ ス コ ー プ が 利 用 され
る。 これ まで に述 べ て きた デ ィジ タ ル オ シ ロ ス コ ー プ で は,実 時 間 サ ン プ リ ン グ を行 うた め,周 波 数 帯 域 は10MHzな グオ シ ロ ス コ ー プ で は10GHzく
い し500MHz程
度 で あ るが,サ ン プ リ ン
らい で大 幅 に拡 大 され る。した が って,測 定 す
る帯 域 幅 が 増 加 す る た め,高 周 波 や 高 速 現 象 の 観 測 が容 易 に な る。 図3・23に サ ンプ リン グ オ シ ロ ス コ ー プ の 系 統 図 を示 す 。この 中 で も入 力 端 に あ る サ ンプ リン グ ヘ ッ ドが キ ー デ バ イ ス で,図3・24の
よ う に トリガ に駆 動 さ れ
る タ イ ム ベ ー ス 回路 か らの 信 号 を も ら っ て ス トロ ー ブ パ ル ス(strobe
pulse)
を発 生 し,ダ イオ ー ドブ リッ ジ に よ るサ ン プ リン グ ゲ ー トで 入 力 信 号 を ご く短 時 間 オ ン に し,こ の 時 間 に コ ンデ ンサCが
充 電 され サ ンプ リン グヘ ッ ドの 出 力
図3・23
サ ン プ リ ン グ オ シ ロ ス コー プ の 系 統
図3・24
と し て,そ
サ ン プ リ ン グヘ ッ ド
の 後 段 の デ ィ ジ タ ル オ シ ロ ス コ ー プ 部 に 供 給 さ れ,や
が て 抵 抗Rに
よ り放 電 さ れ る 。 図3・25の
よ う に,ス
トロ ー ブ パ ル ス は ト リ ガ 信 号 を も ら う と,そ の 前 縁 か ら
一 定 の 時 間 遅 延 を お い て サ ン プ リ ン グ して い き
れ ら 微 小 時 間Δtだ
け異 な
る 断 片 的 な 波 形 を を メ モ リ に 蓄 積 し て ス ム ー ジ ン グ す る こ と に よ り,入
力 波形
を 再 現 す る こ と が で き る 。 こ のΔtが10ps/Divの
,こ
と き,最
高 で0.2psと
な る。
図3・25
シー ケ ン シ ャルサ ンプ リン グの原理
この よ うに して,高 速 に変 化 す る波 形 は サ ン プ リン グ ヘ ッ ドに よ り低 い 周 波 数変 化 に変 換 され,比 較 的 低 速 な デ ィ ジ タ ル オ シ ロ ス コ ー プ 部 で 観 測 さ れ る。 サ ン プ リン グ オ シ ロ ス コー プで は制 約 事 項 と して,次
の よ うな こ とが 挙 げ ら
れ る 。① 外 部 トリガ が 入 力 信 号 と完 全 に同 期 して い る必 要 が あ り,ま た ② 外 部 トリガ信 号 の 前 縁 に対 し て入 力 信 号 は一 定 時 間 後 に 入 力 波 形 と して 捕 捉 され る 必 要 が あ る。
3・4
任 意波形 発生器
信 号 発 生 器 は最 近 ま で は 単 能 機 と して,低 周 波 や 高 周 波 の 発 振 器,パ 生 器 な どが あ っ た が,デ
ル ス発
ィ ジタ ル 技 術 の 進 歩 に と も な い,任 意 の 複 雑 な 波 形 を
合 成 で き る任 意 波 形 発 生 器 が 出 現 して い る。 ま た この ほ か,デ
ィジタル シンセ
サ イ ザ な ど,デ ィ ジ タ ル 技 術 を利 用 して 広 い 周 波 数 範 囲 の 正 弦 波,三
角 波,パ
ル ス波 な ど各 種 波 形 を 高精 度 で 発 生 す る フ ァ ン ク シ ョン ジ ェ ネ レ ー タ(function generator)が
あ る。
これ らの デ ィジ タル 技 術 を利 用 した 信 号 発 生 器 に は,パ ル ス 発 生 器,デ
ータ
ジ ェ ネ レー タ,デ ィ ジ タ ル シ グ ナル ジ ェ ネ レー タ な ど,い ろ い ろ な名 称 が あ る。 [1]
任意 波 形発 生 器
電 子 機 器 の 試 験 や 評 価 を行 う と き,従 来 は何 種 類 もの信 号 発 生 器 に よ り,異 な っ た 入 力 波 形 が 必 要 で あ った が,実 際 に使 用 され る特 殊 な 波 形 で も任 意 波形 発 生 器 を利 用 して,こ 重 畳 さ れ た 波 形,特
れ ら を作 り出 す こ とが で き る。 得 られ る波 形 は,雑 音 が
殊 な 変 調 が か か った 波 形,高
調 波 で歪 ん だ波 形 な ど,変 形
され て い て も再 現 で き,そ の 発 生 も可能 で あ る。 実 際 の 機 器 の 試 験 や 評 価 を行 う場 合,そ
の 機 器 を動 作 状 態 に置 い て 疑 似 信 号
を入 力 す る こ とに よ り,信 頼 性 の 高 い 結 果 を得 る こ とが で き る。 例 え ば,通 信 シ ス テ ム の 試 験 ・評 価 を行 う と き,広 帯 域 雑 音 や フ ェ ー ジ ン グ の 混 在 し た各 種 変 調 波 形 を入 力 し て,シ ス テ ム の 信 号 対 雑 音 比 やBER(Bit ト誤 り率)を
Error Rate:ビ
ッ
求 め る こ とが で き る。
任 意 波 形 発 生 器(arbitrary
waveform
generator)は
この よ う に柔 軟 性 に 富
み,万 能 的 な 波 形 発 生 器 で あ る た め,利 用 範 囲 は広 い。 機 器 の評 価 や 解 析 に使 用 す る場 合,波
形 を厳 密 に関 数 で定 義 した とお り発 生 す る機 能 と,実 波 形 また
は これ を変 形 した 波 形 を発 生 す る機 能 とを備 え て い る。 [2]
任 意 波 形 発 生 器 の 原理
任 意 波 形 発 生 器 の動 作 原 理 は 図3・26に 示 す よ う に,内 蔵 した メ モ リに あ らか じめ 記 憶 して あ る デ ィ ジ タル 形 式 の 波 形 デ ー タ を読 み 出 し,D‐A変 ロ グ デ ー タ に 直 し て 出 力 す る。
図3・26 任 意 波 形発生 器 の 原 理
換器 でアナ
[3]
任意波形発生器の構成
任 意 波 形 発 生 器 の 外 観 を 図3・27に 示 す 。 この型 式 は4チ
ャネ ル 同 時 出力 で,
内 蔵 の マ イ ク ロ プ ロ セ ッサ に よ り,種 々 の 波 形 出 力 を1台 で 発 生 す る こ とが で き る。
図3・27 任 意 波 形発 生 器の 外 観 こ の 任 意 波 形 発 生 器 の 系 統 図 を 図3・28に 16ビ
ッ ト ・マ イ ク ロ プ ロ セ ッ サ で,キ
示 す 。こ の 測 定 器 の 心 臓 部 は 内 蔵 の
ー ボ ー ド操 作 と デ ィ ス プ レ イ に よ る 表 示
が マ ン ・マ シ ン ・イ ン タ フ ェ ー ス に な る 。 記 録 は フ ロ ッ ピ ー デ ィ ス ク に と る こ とが で き る。
図3・28 任 意 波 形発 生 器の 系 統図 系 統 図 を 見 る と,CPU(Central ほ と ん どPC(Personal
Processing
Computer)のI/O(入
ジ ェ ネ レ ー タ は 図3・26か ら も わ か る よ う に,そ
Unit:中 出 力)と
央 処 理 装 置)か
ら左 は
変 わ ら な い 。ク ロ ッ ク
の 周 波 数 は デ ー タの 流 れ や 処 理
の速 さ を決 め る もの で,機 種 に よ り10MHzか
ら1GHzく
形 を構 成 す る設 計 図 は シー ケ ンス メ モ リ(sequence
ら いの 幅 が あ る。波
memory)に
与 え られ て
い て,波 形 を合 成 す るプ ロ グ ラ ム を 発 生 す る 。 こ の信 号 か ら任 意 波 形 を発 生 す る ア ドレ ス ジ ェ ネ レ ー タ(address
generator)は,ト
リガ 制 御 部 の ス ター ト信
号 に よ り,タ イ ミ ング を決 め て任 意 の 波 形 を読 み 出 す 。CH1か
らCH4ま
での
各 チ ャ ネル は そ れ ぞれ 波 形 メモ リを もっ て い る。 波 形 メモ リの 記 憶 容 量 は,機 種 に よ り32キ で あ り,16キ
ロ ワー ドか ら4メ ガ ワー ド く らい
ロ ワ ー ドの 波 形 エ レ メ ン トが 最 大16個
は機 種 に よ り8ビ ッ トな い し12ビ
登 録 さ れ る。D/A変
換器
ッ トの分 解 能 で,後 段 の フ ィル タ で デ ィ ジ タ
ル 処 理 に と もな う段 階 状 の 波 形 を平 滑 化 す る。 [4]
波形の発生
任 意 波 形 発 生 器 の 波 形 発 生 機 能 は,ま ず 出 力 した い 波 形 を メモ リの 中 に デ ィ ジ タ ル デ ー タ と し て作 り,D‐A変
換 器 を通 し て ア ナ ロ グ信 号 に直 し て 出 力 す
る。 こ の た め,ほ ぼ 万 能 的 な 波形 発 生 手 段 を備 え る こ とが 必 要 に な る。 ふつ う 任 意 波 形 発 生 器 に は,① 関 数 定 義,②
ス コ ー プ ドロー,お
よ び③ デ ィ ジ タ ル オ
シ ロ ス コー プで つ くった 波 形 の ダ ウ ン ロ ー ド,の 三 とお りの 方 法 が あ る。 関 数 定 義 で は,波 形 が 時 間 の 関 数,y=f(t)と
して 表 現 で き る もの は,す べ て
作 り出 す こ とが で き る。 定 義 で き る関 数 は,四 則 演 算,三
角 関 数,対 数 関数,
指 数 関 数,平 方 根,白 色 雑 音 な どで,こ れ らの 関 数 を組 み 合 わ せ る こ とに よ り, 生 成 で き る波 形 の 種 類 が 多 くな る。 図3・29(a)に 関 数 定 義 に よ る 波 形 プ ロ グ ラ ム の 例 を,同 図(b)に
この プ ロ グ ラ ム に よ り生 成 され た 波 形 を,そ れ ぞ れ 示 す 。
ス コー プ ドロー(scopedraw)は,CRT観
測 波 形 で の 波 形 の定 義 と修 正 機 能
で あ る。 波 形 の 修 正 に は直 線 補 間 と,ス プ ラ イ ン 曲線(splined
curve)で
なめ
らか に近 似 させ る ス プ ラ イ ン補 間 とが あ る。図3・30に ス プ ラ イ ン補 間 に よ る 波 形 の修 正 を例 示 して い る。
(a)関 数 定 義 に よ る波 形 プ ロ グラム 例
(b)出
力 波形
図3・29 関 数定 義 に よ る波 形の 生 成
デ ィ ジ タル オ シ ロ ス コ ー プ か ら任 意 波形 発 生 器 へ の 波 形 の ダ ウ ン ロー ドは, 互 い の メ モ リ間 の 波 形 デ ー タ の転 送 に よ る。 これ に はGP‐IBイ が 利 用 さ れ,い
ン タ フ ェー ス
っ た ん 任 意 波 形 発 生 器 に記 憶 され た波 形 は,消 去 し な い 限 り必
要 に応 じて再 現 で き る。 また,デ
ィ ジ タル オ シ ロ ス コ ー プ の 代 りに,パ ー ソ ナ
ル コ ン ピ ュ ー タ で 作 成 した 波 形 を利 用 す る こ と もで き る 。
(a)修
(b)ス
正 範 囲 と修 正 点 の設 定
プ ライ ン補 間 波 形 と元 波 形の 比 較
(c)波 形修 正 完 了 図3・30
[5]
ス コ ー プ ドロ ー に よ る ス プ ラ イ ン 補 間
シ ーケ ンス プ ログ ラ ム機 能
任 意 波 形 発 生 器 の 波 形 発 生 を 行 う 波 形 メ モ リ は 機 種 に よ り,32キ ら4メ
ガ ワ ー ド と 容 量 に 違 い が あ る 。 例 え ば,128キ
に 示 す よ う に,8キ
ロ ワ ー ドの 波 形 要 素(wave
ぞ れ の 順 序 を シ ー ケ ン ス プ ロ グ ラ ム(sequence 立 て た り,ル ー ピ ン グ(looping)に ル ー プ 回 数 は,無
ロ ワ ー ドの 場 合,図3・31
element)を16個 program)に
よ り循 環 さ せ,繰
限 の 組 合 わ せ に よ り設 定 で き る 。
ロ ワー ドか
つ く り,そ れ よ りつ な げ て 組
返 す こ とが で きる。 この
図3・31
シー ケ ン スプ ロ グラム 機 能
問
題
3‐1 デ ィ ジ タ ル マ ル チ メ ー タ の 系 統 図(図3・3)に ル 部 と を 導 線 で 接 続 せ ず,フ 3‐2 前問 の 図 で,A‐D変
お い て,測
定 回路 部 とデ ィジタ
ォ トカ プ ラ で 接 続 す る 理 由 を 述 べ よ。
換 器 と して,PWM方
式 を使 用 し て い る が,そ
の 長 所 と短
所 を述 べ よ 。 3‐3 PWM形
の 帰 還 形 パ ル ス 変 調 方 式 に お い て,ク
パ ル ス 幅 を0.2msと
ロ ッ ク信 号 の 周 波 数 を1kHz,
す る と き,入 力 電 圧 を 求 め よ。た だ し基 準 電 圧Esは5Vと
す る 。
(答 3V)
3‐4 デ ュ ア ル ス ロ ー プ 方 式 に お い て,積 分 時 間 を20ms,演
算増 幅器 の入 出力端 子 を
短 絡 し て 出 力 電 圧 が ゼ ロ に な る ま で の 時 間 を10ms,基
準 電 圧 を1.5Vと
と,被 測 定 電 圧 の 値 を 求 め よ。
す る
(答 0.75V)
3‐5 低 い 抵 抗 値 を測 定 す る の に,四 端 子 測 定 法 が 必 要 な 理 由 を 述 べ よ。 3‐6 サ ン プ リ ン グ レ ー トが250MHzの
デ ィ ジ タ ル オ シ ロ ス コ ー プ で,実
プ リ ン グ に よ る単 発 波 形 の 観 測 を行 う と き,ド
ッ ト表 示,直
線 補 間,お
時間 サ ン よび サイ
ン補 間 各 周 波 数 領 域 の 上 限 を求 め よ。 (答 そ れ ぞ れ,10,25,お
よ び100MHz)
3‐7 表3・1に 示 す よ うな 代 表 的 な 波 形e(t)に
つ い て,実 効 値,平
よ び 波 高 率 を 求 め よ。た だ し実 効 値 と平 均 値 と はTを
均 値,波
形 率,お
周 期 と し て,次 の よ う に 求
め られ る 。
実効値 (答 表 中 に記入)
平均値 3‐8 あ る ひ ず み 波e(t)に
つ い て,フ ー リエ 級 数 を 求 め た と こ ろ,次 の とお りで あ っ
た。
この信号 波形e(t)の 実効 値Eは,
で あ り,ま た,こ
れ ら の 各 ス ペ ク トル に つ い て,実 効 値Eiは (周 波 数iω/2π の ス ペ ク トル に つ い て)
で あ る こ と を証 明 せ よ。 3‐9 デ ィ ジ タ ル オ シ ロ ス コ ー プ で 繰 り返 し 波 形 の ラ ン ダ ム 等 価 時 間 サ ン プ リ ン グ に よ る 観 測 を 行 う場 合,実
効 蓄 積 周 波 数 帯 域 幅 を250[MHz]と
す る と き,実 効 立
上 り時 間 を求 め よ 。
(答1.4ns)
3‐10 前問 の デ ィ ジ タ ル オ シ ロ ス コ ー プ を使 用 し て 波 形 を観 測 す る場 合,被 ス 波 形 の もつ 固 有 の 立 上 り時 間 を3nsと 間(概
略 値)を
す る と,観 測 され るパ ル ス 波 の 立 上 り時
求 め よ。
(答 3.3ns)
3‐11 デ ィ ジ タ ル オ シ ロ ス コ ー プ の 垂 直 軸 分 解 能 が10ビ 能 の レベ ル 数 と1ド
ッ トで あ る と き,そ
ッ トの 占 め る フ ル ス ケ ー ル の パ ー セ ン テ ー ジ(%)を (答 1024レ
3‐12 A‐D変
測定 パ ル
換 を行 う 際 に標 本 化 を 行 うが,図3・32(a)に
求 め よ。
ベ ル,0.098%)
示 す よ う に,同 図(b)の 標 本
保 持 回 路 の 時 定 数 に も とづ く ア ク イ ジ シ ョ ン タ イ ム(acquisition 号 変 換 の た め に必 要 な ア パ ー チ ュ ア タ イ ム(aperture
の分 解
time)と
time)と,信 呼 ば れ る時 間遅
れ が あ る。ア パ ー チ ュ ア タ イ ム 内 に信 号 の 振 幅 が 急 激 に 変 化 し た と き に は 誤 差 が 生 じ る の で,こ の 振 幅 を 次 の標 本 化 信 号 が 来 る ま で 記 憶 し て お く回 路 が 標 本 保 持
回 路 であ る。 この 図 の(b)は
実 用 さ れ て い る標 本 保 持 回路 で あ る が,増
ー ダ ン ス で ,こ の 回 路 が 動 作 状 態 に あ る と き に は100%帰
幅器 は高入 力 イ ン ピ
還 を行 い信号 伝送 誤差
を 少 な く して い る。 ク ラ ン ピ ン グ ダ イ オ ー ド は,こ の 回 路 に ロ ジ ッ ク信 号 が 入 力 さ れ ず,ス イ ッチ と し て 開 い た と きに,標 本 保 持 を安 定 化 す る た め の もの で あ る。 こ の 回路 に つ い て,標
本 保 持 機 能 を 定 性 的 に 説 明 せ よ。
(a)標 本保 持 の動 作
(b)閉 ルー プ 標 本保 持 回 路
図3・32 標 本 保持 の動 作 と回路
4、 測定データの記録 4・1
アナ ログ量の 記録
電 気 量 の 記 録 に は,電 圧,電
流 な どに 比 例 して動 く測 定 部 と,時 間 軸 と して
送 り出 され る記 録 部 で構 成 さ れ る記 録 計 が 用 い られ る。 動 作 原 理 か ら直 動 式 と 自動 平 衡 式 が あ り,記 録 方 式 に は イ ン ク式,感 (1abo:laboratory)用
熱 式 な どが あ る。 形 状 は ラ ボ
と いわ れ る卓 上 型 が 多 い が,制 御 盤 な どに 使 わ れ るパ ネ
ル 取 付 形 もあ る。 こ こで は長 時 間 に わ た りゆ っ く り と変 化 す る量 を記 録 す る器 材 に つ い て 述 べ,変 化 の速 い 現 象 の 記 録 に 用 い る オ シ ロ グ ラ フ に つ い て は2.7節 [1]
に述 べ た。
直動 式 記 録 計
これ は指 示 計 器 の 指 針 の先 に ペ ン を付 け,電 気 信 号 に よ る振 れ を記 録 紙 に書 か せ る もの で あ る。 この 方 式 は 入 力 ペ ン を駆 動 す る エ ネ ル ギ ー を 入 力 電 気 量 か
図4・1 直 動 式 記録 計 の動 作 原理 と構 造
ら得 る た め,精 度 は あ ま りよ くな い(指 示 計 器2.5級
程 度)。 図4・1に 動 作 原 理
と構 造 の概 略 を示 す 。 この 方 式 の も の は構 造 が 簡 単 で 安 価 で あ るた め,電 圧 や 温 度 な どの 簡 易 記 録 に適 し て い るが,入 力 抵 抗 は あ ま り高 くな い の で,被 測 定 回路 に接 続 す る とき は,そ の影 響 を十 分 に考 慮 す る必 要 が あ る。直 動 式 は電 力 ・ 配 電 関 係 に も広 く用 い られ て き た が,マ
イ ク ロ プ ロ セ ッサ な ど技 術 の 進 歩 に と
もな い ハ イ ブ リッ ド レコ ー ダ な どに置 き換 え られ つ つ あ る。 [2]
自動 平衡 形記 録 計
これ は 記 録 ペ ン を駆 動 す る の にサ ー ボ モ ー タ を用 い,ペ
ンの 位 置 が被 測 定 電
気 量 に比 例 す る よ う 自動 平 衡 を と る方 式 の 記 録 計 で,電 位 差 計 式 とブ リ ッ ジ式 が あ る。 図4・2に 電 位差 計 式 の動 作 原 理 を示 す 。 これ は図2・2に 示 した電 位 差 計 を 自動 化 した もの で あ る。 サ ー ボ シ ス テ ム に は交 流 サ ー ボ方 式 と直 流 サ ー ボ 方 式 とが あ るが,高 感 度 で ペ ン速 度 の 速 い もの に は直 流 方 式 が 多 い 。
図4・2 自動 平 衝 形 電位 差 計 の動 作 原理
図4・2に お い て,す
べ り抵 抗 器 の ブ ラ シ がCの
Exが 入 っ て きた と き,AC間
の 電圧Es'とExの
位 置 に あ り測 定 す べ き電 圧 差 の 電 圧(e=Ex−Es')が
増
幅 器 の 入 力 と して加 わ る。eは 増 幅 され サ ー ボ モ ー タ が 回 転 し,モ ー タ に直 結 さ
れた ブ ラ シ を 動 か し,e=0に
な った 点 で モ ー タ は止 ま る 。ブ ラ シ と記 録 計 用 の
ペ ン とを連 動 させ れ ば ペ ン は 入 力 電 圧Exに
比 例 した位 置 で 停 止 す る こ と に な
る 。 こ の時 の 入 力 抵 抗 は理 論 的 に は無 限 大 で あ り,ま た ペ ン駆 動 の エ ネ ル ギ ー は直動 式 の よ う に被 測 定 回 路 か ら取 る の で は な く,別 途 電 源 部 か ら供 給 され る の で ペ ン と記 録 紙 との摩 擦 を考 慮 しな くて よい ほ ど強 力 な駆 動 力 が え られ る。 増 幅 器 の 利 得 が 大 き け れ ば わ ず か なeで
も検 出 で き る の で,電 圧 計 で は 数
mVの もの も可 能 で あ る。また 増 幅 器 や モ ー タ な どに多 少 の 変 動 が あ っ て も,測 定 結 果 に は影 響 し な い た め 安 定 度 は高 い。 ブ リ ッ ジ式 は電 位 差 計 の代 わ り に ブ リ ッジ の 平 衡 を と る もの で 抵 抗 温 度 計 な ど抵 抗 に 変 換 さ れ た もの の 計 測 に 用 い られ る。 この よ う に 自動 平 衡 形 記 録 計 は 高 入 力 抵 抗(被 測 定 回 路 に 与 え る影 響 が 非 常 に少 な い)で,高
感 度,高 精 度,高
安 定 が 可 能 で あ るた め,変 化 の遅 い電 気 量
を長 時 間 にわ た っ て 記 録 す る方 式 の 主 流 と な っ て お り,プ ロ セ ス形 の 製 造 業 の オ ー トメ ー シヨ ン に広 く用 い ら れ て い る。 や や 変 化 の速 い現 象 の 記 録 に は,ペ ン の最 大 速 度 との 関 連 に留 意 す る必 要 が あ る。 [3]
ハ イ ブ リツド ・レ コ ー ダ
自動 平 衡 形 記 録 計 に マ イ ク ロ プ ロ セ ッサ を搭 載 した イ ン テ リジ ェ ン トな記 録 計 をハ イ ブ リ ッ ド レ コー ダ とい う。 この特 長 と し て は,い
ろ い ろ な入 力 信 号 に
対 応 す るので 各 種 セ ンサ を接 続 で き る,レ ン ジ切 替 え な どが 簡 単 に で き る, 各 種 メ ッセ ー ジ(文 字 ・数 字)を
アナ
ロ グ 信 号 の記 録 と同 一 の 用 紙 上 に記 録 で き る,各 種 の演 算 が で き る,GP-IB (第6章
参 照)な
どの イ ン タ フ ェ ー ス
に よ りコ ン ピ ュー タ制 御 や デ ー タ転 送 が で き る,な どが 挙 げ られ る。図4・3に こ の よ うな 機 器 の 外 観 を 示 す 。
図4・3 ハ イ ブ リ ッ ド レ コ ー ダ の 例
[4] X軸
X-Yレ
XY両
コー ダ
とそ れ に直 角 なY軸
それ ぞ れ に,自 動 平 衡 形 記 録 計 を組 み入 れ た も の で
軸 の 入 力 に よ り,そ の座 標 軸 にペ ンが 止 ま り記 録 さ れ る。す な わ ち 直 角 座
標 のX軸
とY軸
の変数x,yがy=f(x)の
を時 間 軸 に切 替 えてy=f(t)と
関 数 で記 録 され る もの で あ る。X軸
して一 般 の記 録 計 同 様 に使 え る も の や,Y軸
2組 の サ ー ボ 機 構 を 持 ちy1=f(x1)とy2=f(x2)の
に
二 つ の現 象 を 同 時 に 記 録 で
き るの もあ る。 高 感 度 のX-Yレ
コー ダ で微 小 信 号 を測 定 す る と き は,シ ー ル ド線 を 用 い て
接 続 し外 部 か らの 干 渉 を 防 ぐ必 要 が あ る。 X-Yレ
コー ダ は半 導 体 の 電 圧 電 流 特 性 や磁 性 材 料 のB-H曲
広 範 囲 に応 用 され て い る。 図4・4に その 原 理 と外 観 を示 す 。
(a)X-Yレ
(b)X-Yレ
図4・4
コー ダの 原理
コー ダの 外 観
X-Yレ
コ ー ダ
線 の記 録 な ど,
[5]
記録の方式
a) 記 録 の 方 式 と して は,測 定 値 を連 続 的 に記 録 す るペ ン式 と,一 定 時 間 間 隔 で 打 点 す る方 式 とが あ る。 記 録 ペ ンに は,イ ン ク で 書 か せ る イ ンク 式,熱 た ペ ン で感 熱 紙 に 書 か せ る熱 ペ ン式,ペ
し
ン と記 録 紙 の 間 に放 電 を起 こ させ る
放 電 式,硬 い ペ ン先 で フ ィル ム を 引 っか く ス ク ラ ッ チ(scratch)式
また はス
夕イラ ス(stylus)式 な どが あ る。 打 点 式 は一 定 時 間 ご とにペ ン部 分 を記 録 紙 上 に押 し付 け て点 と して記 録 す る もの で,直動
式 の場 合 は低 トル クの 計 器 で よ く,自 動 平 衡 形 で も多 チ ャ ンネ
ル の 記 録 に 用 い られ る。 b) 記 録 紙 の 形 状 に は帯 状 の もの(ロ 記 録 紙 は時 計 仕 掛 け あ る い は,シ り送 られ る。X-Yレ
ー ル 式,折 畳 式)と
円 形 の もの と あ り,
ン ク ロ ナ ス モ ー タ,パ ル ス モ ー タ な どに よ
コー ダ はA4判
用 とA3判
用 が 多 く,記 録 紙 の 保 持 方 式
に は磁 石 や 静 電 吸 着 式 な どが あ る。 [6]
デ ー タ レ コー ダ
電 気 信 号 を磁 気 テ ー プ レ コー ダ に記 録 す る もの で,他 の 記 録 計 に比 べ て周 波 数 範 囲 も広 く同 時 に 多 チ ャ ンネ ルの 記 録 が で き,再 生 も容 易 で あ る。 た だ 記 録 中 に は波 形 な ど を直 接 に は見 られ な い の で,モ ニ タ用 の 計 器 や オ シ ロ ス コー プ を併 用 し信 号 を見 な が ら記 録 す る こ とが 多 い。 ア ナ ロ グ 値 の 記 録 方 式 に は直 接 記 録(DR:Direct 記 録,パ
Recording),周
波 数 変 調(FM:Frequency
ル ス 変 調(PTM:Pulse‐Time
Modulation,PWM:Pulse‐Width
Modulation)
Modulation,PCM:Pulse‐Code Modulation)記
録 が あ り,DR方
式 とFM
方 式 が 多 く用 い られ て い る。 DR方
式 は動 作 範 囲 も広 く,周 波 数 帯 域 は最 も広 い(数MHz)が,直
低周 波 の再 生 が で き な い。FM方
流 と超
式 は周 波 数 範 囲 は狭 い(数10 kHz)が,直
流
か らの記 録 再 生 が で き直 線 性 もよ い。 磁 気 テ ー プ に はオ ー プ ン リー ル 形 とカ セ ッ ト形 が あ る。 カ セ ッ ト形 はオ ー プ ン リー ル に比 べ て 記 録 時 間 や チ ャ ネル 数 が 少 な い な どの 欠 点 が あ る が,取 扱 い は 簡 便 で あ る。
(a)直 接 記録(DR)方
(b)周 波 数 変調(FM)方 図4・5
4・2
式
式
デ ー タ レ コー ダ の 原 理
デ ィジ タ ル 量 の 記 録
電 気 量 は も と も とア ナ ロ グ量 で あ り,そ の デ ー タの 記 録 に は4・1節 で 述 べ た 各 種 の 記 録 計 が 用 い られ る。 記 録 計 は測 定 した 電 気 量 を グ ラ フの 形 で ハ ー ドコ ピー 化 す る機 器 で あ る とい え る。 近 年,電 子 技 術,な
か で もデ ィ ジ タ ル 技 術 の
進 歩 に よ り,ま た 計 測 の 自動 化 の た め に も,電 子 計 測 器 に は測 定 デ ー タ を デ ィ ジタ ル 量 と して取 出 す た め の 出 力 端 子 付 き の もの が 多 くなっ て きた 。 計 測 器 の 出力 端 子 か ら直 接,あ
る い は コ ン ピ ュー タ を 介 して デ ー タ や計 算 結 果 の デ ィ ジ
タ ル 量 の ハ ー ドコ ピー を得 るた め の機 器 が,以
下 に述 べ る プ リ ン タ や プ ロ ッタ
で あ る。 [1]
X-Yプ
X-Yレ
コ ー ダ で デ ィジ タ ル 入 力 信 号 に対 応 して 打 点 す る もの がX-Yプ
タ(plotter)と
ロ ッタ
呼 ば れ て い る。 記 録 紙 の 大 き さ はA4判
描 け る もの もあ る。 測 定 デ ー タ の グ ラ フ 化 に はA4判
専 用 か らA0判 やA3判
ロッ まで
の ものが使 わ
れ,A0判
やA1判
な どの大 きな レ コ ー ダ はCADの
分 野 で 用 い られ る。図4・6
にX-Yプ
ロ ッタ の 外 観 を示 す 。記 録 紙 が 固 定 され た フ ラ ッ トベ ッ ドタ イ プ と,
Y軸 方 向 に記 録 紙 が 動 くペ ー パ ー ム ー ビ ン グ タ イ プ とが あ る 。
(a)机
(b)床 置 形
上形
図4・6
記 録 方 式 と して は,ペ は フ ァ イバ ー ペ ン,セ
X-Yプ
ロ ッ タの 外 観
ン式 が 主 流 で あ るが,感
熱 式 や静 電 式 もあ る。 ペ ンに
ラ ミ ックペ ン,ボ ール ペ ン な どあ り,図 面 用 に は鉛 筆 対
応 の もの もあ る。 コ ン ピュ ー タ や電 子 計 測 器 との イ ン タ フ ェ ー ス と して はGP-IBが る こ とが 多 い が,RS-232-Cな
使 用 され
ど も よ く使 わ れ て い る。プ ロ ッ タ の使 用 に 当 た っ
て は,接 続 す る計 測 器 の イ ン タ フ ェー ス は何 か,命 令 体 系 は何 か を,確 認 しな けれ ば な らな い。 [2]
プ リン タ
プ リ ンタ は電 子 計 測 器 た直 接 に接 続 す る こ と よ りは,自 動 計 測 シ ス テ ム の一 部 分 と して,測 定 結 果 の報 告 書 の プ リン トア ウ ト用 に使 わ れ る こ とが 多 い。 印 字 の 方 式 に は,ド
ッ トイ ンパ ク ト,熱 転 写,イ
ン ク ジ ェ ッ ト,レ ー ザ ー 方
式 な ど が あ る。プ ロ ッタ 同様 に イ ン タ フ ェ ー ス や 命 令 体 系 を確 認 して使 用 す る。 図4・7 に そ の 外 観 の 一 例 を示 す。
図4・7 プ リ ン タ(卓 上 形)の
問
外観
題
4-1 自 動 平 衡 形 記 録 計 の 動 作 原 理 と特 長 を述 べ よ 。 4-2 ハ イ ブ リ ッ ド ・レ コ ー ダ につ い て 述 べ よ。 4-3 X-Yレ
コ ー ダ の 用 途 につ い て述 べ よ 。
4-4 デ ー タ レ コ ー ダ に つ い て 述 べ よ 。 4-5 X-Yプ
ロ ッ タ や プ リ ン タ の 使 用 に 当 た っ て の 注 意 事 項 を述 べ よ 。
5、 高周波およびマイクロ波測定 5・1
高 周 波 と マ イ ク ロ波
電 波 法 で は電 波 を3THz,す が,こ
な わ ち3000GHz以
下 の 電 磁 波 と規 定 して い る
の範 囲 の 中 で 実 際 に使 用 さ れ て い る周 波 数 帯 は,お
もに大 気 中 の 伝 搬 特
性 に よ る制 約 を受 け,用 途 は局 限 さ れ る。 周 波 数 な い し は波 長 に よ る周 波 数 の 区 分 は 表5・1(a)の で特 に定 義 は な い が,高 周 波 と はだ いた い10kHzか ロ 波(microwave)と
は1GHzか
ら100GHzく
と重 複 して 慣 用 的 に,10∼30GHzを 000GHzを
よ うに な る 。 こ の 中
ら1GHzく
らい,マ イ ク
らい を指 す こ とが 多 い 。 これ
準 ミ リ波,30∼300 GHzを
ミ リ波,300∼3
サ ブ ミ リ波 とい う区分 も あ る。
同 表(b)はCCIR(国
際 無 線 通 信 諮 問 委 員会)の
勧 告 に よ り定 め られ た 周 波
数 の 呼 称 で あ る。 VLF以
下 で は,300∼3000
ELF(Extremely 同 表(c)は
Low
HzをVF(Voice
Frequency)と
Frequency),300Hz以
下を
す る呼 称 も実 際 に使 用 され る。
お もに 米 国 の レ ー ダ技 術 者 が 戦 時 中 か ら慣 用 的 に使 って きた レー
ダ バ ン ドの 呼 称 で あ る。 ミ リメ ー トル 波 と して は40GHz以
上 の 周 波 数 とな っ
て い る が,上 述 の 呼 称 とは違 っ て い る。 周 波 数 が 高 くな り,高 周 波 か ら マ イ ク ロ 波 領 域 に 入 っ て くる と,表 皮 効 果 (skin effect)に
よ る電 気 抵 抗 が 増 加 し,電 流 が 流 れ に く くな る。マ イ ク ロ 波 領
域 に入 る と電 気 回 路 は 集 中定 数 回 路 か ら分 布 定 数 回 路 の 取 り扱 い が 必 要 に な り,同 時 に3次 元 の 立 体 回路 と して の ふ る ま いが 現 れ る よ うに な る。
表5・1 周 波数 の 区 分 (a)全 般 的 な 分類
(b)CCIR注1)の
勧告
注1)国 際 無線 通 信 諮問 委員 会
5・2
(c)レ
ー ダ 周 波 数 帯 コ ー ド注2)
注2)主 にレーダ技術者が使 用する周波数 区分
信 号 発生器
一 般 に信 号 発 生 器 は図5・1の よ うに,可 変 周 波 数 発 振 器 を 中 心 と して,変 信 号 発 生 器 と変 調 型 式 選 択,可
調
変 減 衰 器 か ら構 成 さ れ る。 可 変 周 波 数 発 振 器 は
広 い 周 波 数 範 囲 を カバ ー し,発 振 出 力 レベ ル は安 定 して い る こ とが 必 要 とさ れ る。 これ と と も に,可 変 減 衰 器 と総 合 した 出力 レベ ル は広 範 囲 に 変 化 で き,精 度 も高 い こ とが望 まれ る。変 調 はAM,FM,パ
ル ス な どの各 種 の 変 調 型 式 に対
図5・1 信号 発 生 器 の一 般 的構 成
応 す る もの で あ る こ とが 要 求 さ れ る。 安 定 度 が 高 く任 意 に 可 変 の周 波 数 を得 る こ とは,電 子 計 測 全 般 に とっ て,普 遍 的 に要 求 され る事 項 で あ る。昭 和40年
代 くら い まで は高 周 波 や マ イ ク ロ 波 の
信 号 発 生 器 と して,板 極 管 な どの 三 極 管 や ク ラ イ ス トロ ン(klystron)な
ど電
子 管 が 多 く用 い られ て い た が,現
フィ
在 は 半 導 体IC(Integrated
ル タ な ど電 子 部 品 の 高 性 能 化 と小 型 軽 量 化 に よ っ て,周 synthesizer)が
Circuit)や
波 数 合 成 器(frequency
普 及 し,一 個 の安 定 な水 晶 発 振 器 に よ り必 要 な 周 波 数
が 得 られ る よ う に な っ た。 [1]
周波数合成
周 波 数 を合 成 す る方 法 と して,直 接 法 と間接 法 とが あ る。 直 接 法 は水 晶 発 振 器 の よ う な1個 の 主 発 振 器 か ら て い倍,分
周,ス
ーパ ヘ テ ロ ダ イ ン に よ る周 波
数 変 換 な どに よ り所 要 の周 波 数 を得 る 方 法 で あ る。 間接 法 は1個 の 自励 発 振 器 の 周 波 数 を安 定 な 参 照 周 波 数 と比 較 して,AFC(Automatic 自動 周 波 数 制 御), PLL(Phase (Phase Detector:位
相 検 波 器),ま
Locked‐Loop:位 た はAPC(Automatic
Frequency
Control:
相 同期 ル ー プ),PD Phase
Control:自
動 位 相 制 御)を 利 用 し て参 照周 波 数 と同 程 度 の安 定 度 を 実現 す る方 式 で あ る。 これ らの 各 方 式 の構 成 を図5・2に 示 す。 同 図(a)の
直 接 法(そ
の1)は,非
直 線 回 路 の 高 調 波 発 生 器 で 周 波 数 て い倍
して,帯 域 フ ィル タ を通 して必 要 な 周 波 数 を取 り出 す 最 も簡 単 な 構 成 で,帯 域 フ ィ ル タ の 通 過 帯 域 を切 り換 え る こ とに よ り周 波 数 を選 択 で き る。 同 図(b)の
直 接 法(そ
の2)は,ス
ー パ へ テ ロ ダ イ ン式 の 周 波 数 変 換 を 行 っ
(a)直
接 法(そ
(b)直
の1)
接 法(そ
(c)間
の2)
接 法
図5・2 周 波数 合 成器 て い る 。例 と し て,2段
の 周 波 数 変 換 を 示 し て い る が,上
2段 目 の 帯 域 フ ィ ル タ の 出 口 で はf0+f1+f2+f3と と な る よ う に 条 件 を 選 ぶ と,分
側 波 帯 を取 っ て い く と
な る 。 い ま,10f0=f0+f1+f2
周 器 の 出 力 側 に はf0+fs/10が
進 ス イ ッ チ で 選 択 で き る 可 変 周 波 数 と す る と,fs/10の
ス テ ッ プで 周 波 数 が 可 変
と な る 。 こ の モ ジ ュ ー ル を 何 段 に も 重 ね る こ と に よ り,よ 周 波 数 が 得 ら れ る 。 例 え ば,3段 +fs3+/fs2/10+fs1/100と
り桁 数 の 多 い 精 密 な
重 ね る と 出 力 周 波 数 を 合 成 し た も の は,10f0
な り,4桁
の精 度 の 周 波 数 が 得 られ る。
間 接 法 に は い ろ い ろ な 形 式 が あ る が,最 便 利 に 利 用 で き る た め,PLLを
現 れ る 。fsを10
近 はPLLが
デ ィ ジ タ ルIC化
中心 に した 製 品 が 多 い。
さ れ,
同 図 の(c)に
そ の 一 例 を掲 げ る。 この 回路 は 本 質 的 に は 主 発 振 器 の 出 力 周 波
数 の て い倍 器 で あ る。周 波 数 選 択 操 作 に よ り,可 変 分 周器 の 分 周 比nを こ とが で き る。位 相 検 波 器 に は主 発 振 器 の周 波 数 と出 力 周 波 数 をn分
変える 周 した 信
号 が と も に入 力 され,比 較 さ れ て,そ の位 相 差 に比 例 した 直 流 電 圧 を発 生 す る。 低 域 フ ィ ル タ は この 直 流 電 圧 に重 畳 され て い る交 流 分 や雑 音 を除 去 し,PLL の ル ー プの 時 定 数 な ど応 答 特 性 を 調 節 し て い る が,市 販 のPLLに
はフ ィル タ
を省 略 した もの もあ る。低 域 フ ィル タ を通 過 した 直 流 電 流 は,VCO(Voltage‐ Controlled
Oscillator:電
圧 制 御 発 振 器)を 制 御 して 主発 振 周 波 数 のn倍
の周
波 数 を発 生 し,そ の 出 力 の 一 部 は フ ィ ー ドバ ッ ク ル ー プ(1/n分
周)を 経 由 し
て,位 相 検 波 器 に帰 還 され る周 波 数 差 をゼ ロ に す る よ う にVCOを
制 御 す る。位
相 検 波 器 へ の二 つ の 入 力 信 号,VCOの 波 数 とが 等 し くな った と き,PLLは
出 力 周 波 数fOUTの1/nと 位 相 同 期 状 態 に な り,VCOの
主発 振器 の周 発 振 周 波 数fc
は, (5・1)
す な わ ち, (5・2)
これ か ら,fcの
ス テ ップ ご とに 多種 類 の 周 波 数 を取 り出 す こ とが で き る。
も し,主 発 振 器 の 出 力 側 と位 相 検 波 器 との 中間 に1/m分
周 器 を挿 入 す る と,
式(5・1)と(5・2)と は次 の よ うに 変 形 され,よ り きめ こ まか な1/mの
ス テ ップ で
周 波 数 を変 化 させ る こ とが で き る。 (5・3)
す な わ ち, (5・4)
とな る。 こ の と きの 周 波 数 安 定 度 は,も
ち ろ ん 主 発 振 器 の そ れ と等 し く,安 定
した任 意 の 周 波 数 を微 調 整 して 取 り出 す こ とが で き る。
[2]
実 際 の信 号 発 生 器
高 周 波 帯 か ら マ イ ク ロ波 帯 の 開発 や 製 造 に 使 用 さ れ る信 号 発 生 器 は 多 くの種 類 が あ るが,だ
い た い低 い周 波 数 は 数100kHzか
ら,上 限 は 数 ギ ガヘ ル ツ な い
し20ギ ガ ヘ ル ツ 程 度 で あ る。ミ リ波 用 と して は上 限 が100ギ
ガ ヘ ル ツ の もの も
あ る。 周 波 数 合 成 を行 うた め,発 生 す る周 波 数 は離 散 的 で あ るが,そ は0.01∼0.2Hzく
らい で,安 定 度 は5×10-10/日
の分 解 能
く らい で あ り,こ れ は原 発 振
の水 晶 発 振 器 の 周 波 数 安 定 度 に依 存 す る。 出 力 と して は,内 部 に20Hz∼100kHzく イ ザ を もち,振 幅 変 調(AM),周
らいの変調用 オーデ ィオ シンセサ
波 数 変 調(FM),位
相 変 調(PM),パ
ルス変
調 な ど の 機 能 を もつ もの が あ る。 出 力 レベ ル は 連 続 可 変 で 約140dB(例 ば,+10dBm∼−130dBm)程 [3]
度 の範 囲 を1dB程
え
度 の精 度 で読 み とる。
掃引発振器
高 周 波 や マ イ ク ロ 波 の 帯 域 で は,機 器 や 構 成 品 な どの 周 波 数 特 性 を測 定 す る た め に,あ
る周 波 数 範 囲 を連 続 的 に変 化 させ る掃 引 発 振 器(sweep
oscillator)
が よ く使 用 され る。 これ に は可 変 容 量 ダ イオ ー ドで共 振 回 路 の容 量 を変 え る方 法 が 比 較 的 低 い 周 波 数 で利 用 され,40GHzく Garnet)の (Gunn
合 金 結 晶 を 利 用 し たYIG同
調 発 振 器 やYIG同
oscillator)が 利 用 さ れ る こ とが 多 い 。YIG同
数 を制 御 で き るYIG帯 YIG共
ら い まで はYIG(Yttrium‐lron‐ 調 ガ ン発 振 器
調 ガ ン発 振 器 は,中 心 周 波
域 通過 フ ィ ル タ を組 み合 わ せ た ガ ン発 振 器 で あ る。
振 器 の動 作 は 図5・3に 示 す よ うに,直 径 数mm のYIG球
を か け,こ
に直 流 磁 界
の磁 界 の強 さに比 例 した 共 振 周 波 数 を得 る こ とが で き る。 磁 界 を制
御 す る だ け で周 波 数 を変 化 で き るの で,機 械 部 分 が な く,す べ て電 気 的 に所 要
(a)構
成
(b)等 価 回路
図5・3
YIG共
振器
(c)共 振特 性
の周 波 数 を発 生 で き る。時 定 数 は0.5ms 程 度 で,1000掃引/秒 き る。Qが
くら い が 実 現 で
高 く,広 い 同 調 範 囲 を もち,可 変 周 波 数 は0.5∼40GHz,周
解 能 は100∼300kHzで
波数分
あ る。短 所 と し て は,周 波 数制 御 に大 き な磁 界(電
流)
が 必 要 で あ り,周 波 数 は温 度 の 影 響 を受 け る こ とで あ る。
5・3 [1]
ス ペ ク トル 分 析 器 周 波 数 領 域 での 信 号 観 測
オ シ ロ ス コ ー プ に つ い て は,す (time domain)に
で に2.8節
と3.3節
に 述 べ た が,時
間 領域
お け る 波 形 の観 測 が 主 な用 途 で あ った 。 す な わ ちCRT表
面 上,横 軸(X軸)は
時 間 を,縦 軸(Y軸)は
応 答 な い し は振 幅 を そ れ ぞ れ示
して い る。 これ に対 して,ス ペ ク トル 分 析 器(spectrum 周 波 数 領 域(frequency は周 波 数 を,縦 軸(Y軸)は
domain)に
analyzer)の
お け るス ペ ク トル の観 測 で,横
用 途 は, 軸(X軸)
応 答 な い し は振 幅 を そ れ ぞ れ 示 して い る。
同 じ信 号 波 に 関 して この 関 係 を 図 解 す る と,図5・4の 波 を左 側 の 時 間 領 域(オ
示
よ う に な る。 あ る信 号
シ ロス コ ー プ)で 見 る と方 形 波 で あ るが,こ
れ を フー
リエ解 析 して 各 周 波 数 ご との 調 波 成 分 に 仕 分 け る と,右 側 の ス ペ ク トル 分 析 器 の よ うに表 され る。
図5・4 信 号 の時 間領 域 と周 波数 領域 にお け る表 現
例 え ば,図5・5の
よ う に,単 一 周 波 数 で 変 調 され た 振 幅 変 調(AM)波
を例 に
と る と,時 間領 域 の オ シ ロ ス コ ー プ 表 示 は図 の 左 の よ う に な り,周 波 数 領 域 の ス ペ ク トル 分 析 器 の表 示 は 図 の 右 の よ う にな る。図 中,1は 帯 ,3は
搬 送 波,2は
上側 波
下 側 波帯 を示 して い る。
図5・5 振幅 変 調(AM)信
[2]
号 の時 間 領域 と周 波数 領域 での表 現
ス ペ ク トル 分 析 器 の 機 能
スペ ク トル 分 析 器 は一 種 の ス ー パ へ テ ロ ダ イ ン受 信 機 で あ る。 図5・6(a)の よ う に,通 常 の受 信 機 と異 な る大 き な点 は,局 部 発 振 器 の発 振 波 形 が 周 波 数掃 引で あ る こ とで,ま
た 信 号 の検 波 出 力 をCRT上
に直 接 表 示 す る こ との2点
あ ろ う。 そ の ほ か細 部 に な る と,検 波 出 力 を 得 る の に 直 線 検 波,二 数(LOG)検
で
乗 検 波,対
波 の切 り換 えや 各 種 フ ィル タ を付 加 し て い る こ と な ど も挙 げ ら
れ る。 また,ス
ペ ク トル 分 析 器 は構 成 上 もオ シ ロ ス コ ー プ に よ く似 て い る。 オ シ ロ
ス コー プ がCRTの
横 軸 にの こ ぎ り波 に よ る掃引 信 号 を乗 せ る の に対 して,ス
ペ ク トル 分 析 器 で は周 波 数掃引 信 号 を乗 せ る 点 が 違 っ て い る。 図5・6(a)は
原 理 的 な系 統 図 を示 す 。まず 大 ざ っ ぱ な説 明 を す る と,測 定 さ れ
る入 力 信 号 を周 波 数 変 換,増 に,掃引
幅,検 波 し てCRTの
電 圧 発 生 器 で つ くられ た掃引 信 号(の
垂 直 偏 向板 に加 え る と と も こ ぎ り波)を
水 平 偏 向板 に加 え
(a)系
統図
(b)掃 引局 部 発振 器 と周 波数 表 示 図5・6 スペ ク トル分 析 器の 系統 図 と表示
れ ば,CRT上
に は横 軸 が 周 波 数,縦
軸 が 電 圧 の ス ペ ク トル 表 示 が得 られ る。
入 力 端 子 に加 え られ た 信 号 は ミク サ で 掃 引局 部 発 振 器(SLO:Swept
Local
Oscillator)の 時 間 的 に 変 化 す る周 波 数 と混 合 さ れ,そ の 差 周 波 数 が 中 間 周 波 数(IF:Intermediate
Frequency)と
な り,狭 帯 域 中 間周 波 増 幅 器 に供 給 され
る。 掃 引 局 部 発 振 器 は い ろ い ろ な方 法 で つ く られ るが,オ
シ ロス コー プ の 掃 引 発
生 器 の よ う な 時 間 的 に 振 幅 が 変 化 す る の こ ぎ り波 を電 圧 制 御 発 振 器(VCO: Voltage VCOと
Controlled
Oscillator)に
加 え,電 圧 に比 例 した 周 波 数 変 移 を得 る 。
して は,バ ラ ク タ ダ イオ ー ド(varactor
diode)の
よ う な可 変 容 量 半 導
体 を使 用 し,こ の バ イ ア ス電 圧 を変 化 させ る こ と に よ り発 振 周 波 数 を変 化 さ せ る。 した が って,の
こ ぎ り波 の 電 圧 を 変 え れ ば,周 波 数 掃 引 範 囲(dispersion)
が変 わ る。限 られ たCRT表
示 面 の 上 で 読 み と り精 度 を上 げ る に は,周 波 数 掃 引
範 囲 を しぼ り,信 号 がCRTの
中 心 に位 置 す る よ う に掃 引 局 部 発 振 周 波 数 の 中
心 を調 節 す る。 中 間 周 波 増 幅 器 は それ 自身 で 帯 域 フ ィル タ を も った 増 幅 器 で,掃 器 で 掃 引 され,あ
引局 部 発 振
る幅 を もっ た 中 間周 波 数 の信 号 を ろ波 し増 幅 す る。 周 波 数 分
析 の た め に必 要 な通 過 帯 域 幅 は スペ ク トル 分 析 器 の 分 解 能 に比 例 す る。 こ の通 過 帯 域 幅 は か な り狭 いが,中
間 周 波 が 周 波 数 掃 引 幅 を もつ の で,あ
域 幅 は必 要 で あ る。 一 般 に周 波 数 掃 引 範 囲 がD〔Hz〕,掃 き,最 適 な帯 域 幅B〔Hz〕
る程 度 の帯
引 時 間 がT〔s〕 の と
は, (5・5)
で与 え られ る。 した が っ て,Dを
変 え れ ばBも
変 わ り,中 間周 波 増 幅 器 は通 過
帯 域 幅 を変 化 で き る増 幅 器 とな っ て い る。 この 出 力 は検 波 器 に加 え られ るが,機 種 に よっ て は複 数 の信 号 レベ ル を比 較 す る た め,検 波 器 の 特 性 と して 直 線 検 波,二 乗 検 波,対 数 検 波 な どが 用 意 さ れ て い て,選 択 で き る よ う に な って い る 。 図5・6(a)と(b)に
ス ペ ク トル分 析 器 の 動 作 原 理 に つ い て示 して い る。 掃 引
局 部 発 振 器 の 出 力 はfl01か らfl02ま で変 化 し こ の 瞬 時 周 波 数 をfl0で 代 表 さ せ る。 入 力 信 号fsは 中 間 周 波 数 をfifと す る と, (5・6)
ま た,常
に,
とな る よ う に 中間 周 波 数 を設 定 して お けば, (5・7)
と な り,こ の 周 波 数 帯 で の ス ペ ク トル分 析 が で き る。 例 と して,い
ま入 力 信 号fsが50 MHzと100MHzの
ん で い る と き,掃 引 局 部 発 振 器 は150MHzを 点 を示 し,50MHzが =50MHzを
入 っ て くる とfl0=200MHzと
表 示 す る 。 同様 に100MHzが
=100MHzを
二 つ の 周 波 数 成 分 を含
発 生 しCRT横
軸 上 の周 波 数 の 始
な り,200MHz−150MHz
入 って く る と250MHz−150MHz
表 示 す る。最 後 は300MHz−150MHz=150MHzで
表 示 の終 点
とな る。 狭 帯 域 中 間周 波 増 幅 器 は増 幅 器 と フ ィル タ の両 方 の 機 能 を もっ て い て,周 波 数 分 解 能 は この 通 過 帯 域 幅 に よ っ て 決 ま る。
図5・7 スペ ク トル 分析 器 の 外観
[3]
実 際 の ス ペ ク トル 分 析 器
実 際 の スペ ク トル 分 析 器 に つ い て 見 る と,周 波 数 レ ン ジ は か な り広 く,同 軸 入 力 で100Hz∼40GHz,外
部 導 波 管 ミ クサ を使 用 す る と,8GHz∼325GHzに
拡 張 して 使 用 で き る。 分 解 能 は1Hz∼1GHzに は1%ス
テ ッ プ で 選 択 可 能,精
選 択 可 能,ま
度 は100Hz∼1kHzで
た100Hz以
±7%,1kHz∼2MHz
上で
で ±1%,2MHz以 は6dB低
上 で ±2%で
あ る 。 分 解 能 帯 域 幅(resolution
下 点 で3Hz∼10MHz(1-3-10切
−135dBm∼+30dBmで
替)で
分 解 能 は0.1dBで
イ ン チ ・フ ロ ッ ピ ー デ ィ ス ク,外
bandwidth)
あ る 。 最 大 振 幅 レ ン ジ は,
あ る 。デ ー タ 記 録 装 置 と し て,3.5
部 イ ン タ フ ェ ー ス ポ ー ト と し て,GP-IBを
標
準 装 備 し た 機 種 が 一 般 的 で あ る 。 実 際 の ス ペ ク トル 分 析 器 の 外 観 を 図5・7に
示
す 。 ス ペ ク トル 分 析 器 に は ポ ー タ ブ ル 型 とベ ン チ ・ユ ー ス 型 と が あ る が,こ
の
機 種 は後 者 に 属 す る 。 最 近 は デ ィ ジ タ ル 無 線 電 話 や セ ル ラ ー(cellular)電
話 の 普 及 に と もな い デ
ィ ジ タ ル 復 調 を 行 な う ス ペ ク トル 分 析 器 が 出 現 し て い る 。 デ ィ ジ タ ル 技 術 を 利 用 す る こ と に よ り,雑 音(noise floor)が 数 範 囲 は20Hz∼3.5MHz,周
抑 圧 で き,測 定 速 度 が 向 上 す る 。周 波
波 数 範 囲 を 拡 大 す る と7GHzま
測 定 入 力 レ ベ ル は−160dBm∼+10dBm,周
波 数 分 解 能 は0.01Hzで
周 波 数 カ ウ ン タ を 使 用 す る と 読 み 取 り分 解 能 は0.1Hzに フ ィ ル タ は1Hz∼10MHz,ビ
で 測 定 で き る。 内蔵 の
な る。 分 解 能 帯 域 幅
デ オ 帯 域 幅 フ ィ ル タ は 同 じ1Hz∼10MHzで
る 。 最 小 フ ル ス パ ン(full‐span)掃
引 時 間 は5msで,最
あ
大 掃 引 時 間 は1000s
まで 可 能 で あ る。 信 号 処 理 に よ り信 号 の 振 幅 と位 相 角,す
な わ ち ベ ク トル を 測 定 で き,こ
無 線 電 話 ま た は 携 帯 電 話 の 測 定 に 役 立 つ 。 復 調 時 に は,BPSK(Binary ‐ Shift‐Keying),π/4DQPSK(Differential
Quadrature
ing ),MSK(Minimum‐Shift‐Keying),QPSK(Quadrature Keying),QAM(Quadrature (Gaussian
Phase
Phase‐Shift‐Key Phase‐Shift‐
Amplitude‐Modulation),お
Minimum‐Shift‐Keying)の
最 近 の ス ペ ク トル 分 析 器 は,ウ
れが
よ びGMSK
定 型 的 な 処 理 を 行 な う こ とが で き る 。 オ ー タ ー フ ォ ー ル,ベ
テ レ ー シ ョ ン と い っ た モ ー ドや カ ラ ー に よ る 表 示 な ど,多 よ り信 号 分 析 機 能 が 豊 富 に な っ て い る 。 ま た,AMやFMの
ク トル,ア
イ,コ
ンス
種多様 な 出力表示 に 復 調機能 をもつ も
の も多 い 。 [4]
ス ペ ク トル 分 析 器 の 選 定
計 測 を 行 な う場 合,使
用 目 的 に 合 致 し た ス ペ ク トル 分 析 器 を 選 定 す る た め に
は,次
の よ う な事 項 に留 意 す る必 要 が あ る。
(1) 周 波 数 範 囲 ス ペ ク トル 分 析 器 の 周 波 数 範 囲 は,測 定 周 波 数 を 十 分 に カ バ ー して い る こ と が 必 要 で あ る。 (2) 分 解 能 測 定 す る信 号 に対 して 必 要 な周 波 数 分 解 能 を も っ て い る必 要 が あ る。 特 に レ ベ ル差 の 大 きな 信 号 を分 離 して 測 定 す るた め に は,フ 急 峻(シ
ャ ー プ)さ
ィル タ の通 過帯 域 特 性 の
が必 要 で あ る。
こ こで,分 解 能 と分 解 能 帯 域 幅 とは異 な る こ と に注 意 を要 す る。 分 解 能 は表 示 面(CRT)で
の 実 際 の 表 示 を指 す が,分 解 能 帯 域 幅 は ス ペ ク トル分 析 器 内部
の フ ィ ル タ 特 性 に よ っ て決 定 され る。 (3) ダ イ ナ ミ ッ ク レ ン ジ ダ イ ナ ミ ッ ク レ ン ジ(dynamic で き る信 号 の 振 幅 レベ ル 差(最
range)は,ス
ペ ク トル 分 析 器 が 同 時 に 分析
大 レベ ル か ら最 小 レ ベ ル ま で のdB値)を
う。 ダ イ ナ ミッ ク レ ン ジ を決 定 す るの は お もに,雑 音 レベ ル,ス
い
プ リア ス,高
調 波 ひ ず み,増 幅 器 の特 性 な どで あ る。 ダ イ ナ ミ ッ ク レ ン ジ を 広 げ る に は、 対 数 増 幅 器 が 使 用 され る。 (4) 周 波 数 安定 度 スペ ク トル 分 析 器 で は測 定 精 度 を左 右 す る要 素 と し て,横 軸 を掃 引 す る周 波 数 の 安 定 度 や 精 度 が 重 要 で あ る。 高 い分 解 能 を得 るた め に は,分 解 能 帯 域 幅 よ り も小 さい 周 波 数 合 成 器 の周 波 数 安 定 度,位 相 雑 音 の 抑 圧,高
分解能周 波数 カ
ウ ン タ な どが 必 要 と され る。 安 定 化 周 波 数 は 内部 基 準 発 振 器 に よ り作 られ,周 波 数 安 定 度 の 典 型 的 な 数 値 は だ い た い10-8∼10-9/日
の オ ー ダ ー で あ る。
(5) 測 定 目的 に合 致 した 信 号 処 理 と表 示 モ ー ドの 選 択 現 在 の スペ ク トル 分 析 器 は,マ イ ク ロ プ ロ セ ッサ とデ ィ ジ タ ル メ モ リを 内蔵 した 高 度 の単 能 的 な コ ン ピ ュー タ で あ る。 した が って,観
測 さ れ るデ ー タ は人
工 度 が 高 い。 多 くの 信 号 処 理 と表 示 方 式 を も っ て い る こ と は利 便 性 に富 むが,
そ の 反 面,目
的 と 手 段 と を 適 合 さ せ る た め 、 事 前 に ス ペ ク トル 分 析 器 の 性 能 を
吟 味 しな けれ ば な ら な い。 [5]
トラ ッ キ ン グ ジ ェ ネ レ ー タ
トラ ッ キ ン グ ジ ェ ネ レ ー タ(tracking み 合 わ せ て20kHz∼2GHzく
generator)は
らい の振 幅 周 波 数 特 性 を直 視 して 測 定 で き る 広
帯 域 の 掃 引 信 号 発 生 器 で あ る 。ALC(Automatic 制 御)機
ス ペ ク トル 分 析 器 と 組
Level
能 を も つ の で 出 力 レ ベ ル 確 度 が 高 く,レ
利 用 で き る。 上 記 の 周 波 数 範 囲 で,出
Control:自
動 レベ ル
ベ ル校 正 用 の信 号 源 と し て も
力 レ ベ ル は ±0.4dB以
の 高 確 度 で 変 動 が 小 さ く,出 力 レ ベ ル は−135∼+25dBmく
内 に収 ま る く らい らい の 広 い ダ イ ナ
ミッ ク レ ン ジ を もつ もの が あ る。 ト ラ ッ キ ン グ ジ ェ ネ レ ー タ を利 用 し て,図5・8の タ,増
幅 器,減
衰 器,分
る。 そ の ほ か,SWRブ を 用 い て,不
[6]
FFT(高
ー ブ ル,抵
在 波 比),減
種 フィル
抗 器 な どの 周 波 数 応 答 を測 定 で き
リ ッ ジ(Standing‐Wave‐Ratio
整 合 時 のSWR(定
図5・8
波 器,ケ
よ う な 設 定 で,各
bridge)な
ど応 用 部 品
衰 量 の 測 定 な どが 行 え る。
トラ ッ キ ン グ ジ ェ ネ レー タ に よ る 周 波 数 応 答 の 測 定
デ ィ ジ タ ル ス ペ ク トル 分 析 器 速 フ ー リエ 変 換)技
で き る。 これ が,い
術 を応 用 し て ス ペ ク トル 分 析 器 を作 る こ とが
わ ゆ るデ ィ ジ タ ル スペ ク トル分 析 器 と呼 ば れ る測 定 器 で あ
る。 そ の 原 理 は 図5・9に 示 す よ う に,あ 形 は標 本 化 され,A-D変
る入 力 チ ャネ ル か ら与 え られ た 信 号 波
換 さ れ,メ モ リバ ン ク に蓄 積 され,信 号 処 理 とFFTを
行 う た め プ ロ セ ッサ に 供 給 さ れ る。 処 理後 の デ ー タ は表 示 器 に 入 力 さ れ,周
波
数 領 域 で任 意 の 形 式 で 表 示 さ れ る。 現 在 の通 信 用 に はバ ー ス ト(burst)状 の 信 号 やAM,FM,PM(phase :位 相 変 調)な
ど多 くの 信 号 形 式 が 使 用 さ れ て い る が,FFTを
modulation 利用す
図5・9
デ ィ ジ タ ル ス ペ ク トル 分 析 器
る こ と に よ り,複 雑 な信 号 に つ い て 周 波 数 情 報 や 位 相 情 報 を得 る こ とが で き, 信 号 解 析 が で き る。 実 際 の器 材 例 で は,A-D変 が256kHz∼25.6MHz,ダ
換 器 の 分 解 能 が12∼16ビ
ッ ト,最 大 標 本 化 周 波 数
イ ナ ミ ック レ ン ジが54∼85 dB,最 大 入 力 感 度(最 小
検 知 信 号 レ ベ ル)が−110dBV∼−125dBV,時
間 領 域 デ ー タ分 解 能 が1チ
ル 当 た り64∼8192ポ
イ ン ト,周 波 数 領 域 デ ー タ 分 解 能 が1チ
択 に よ り25∼3200ラ
イ ン,く ら いで あ る。
ャネ
ャ ネ ル 当 た り選
普 通 の 器 材 で は2チ
ャネ ル を備 え て い る。 汎 用 機 を指 向 す る機 種 で は信 号 処
理 機 能 を拡 張 して,デ
ィジ タル オ シ ロ ス コー プ,信 号 発 生 器,映
像信 号解析 な
ど を1台 で す べ て 行 え る型 式 が あ る。
5・4
ネ ッ トワ ー ク 分 析 器
ネ ッ トワ ー ク分 析 器(network
analyzer)は,1934年
帰 還 増 幅 器 の μβ(増 幅 度 と帰 還 電 圧 比 の 積)特
に米 国 の ベ ル研 究 所 で
性 の測定 用 に開発 された のが
最 初 で あ る とい わ れ る か ら,す で に60年 以 上 の歴 史 を もっ た 測 定 器 で あ る。日 本 で は,1953年
に位 相 伝 送 量 測 定 器 とい う名 称 で 開 発 さ れ,発 売 され て い る。
ネ ッ トワ ー ク 分析 器 は ア ナ ロ グ回 路 を解 析 す る た め に欠 か せ な い測 定 器 で, ア ナ ロ グ 回 路 の 直線 動 作 領 域 に お け る複 素 量(ベ
ク トル)と
して の伝 送 特 性 と
イ ン ピ ー ダ ン ス特 性 を測 定 で き る。 これ に よ り,ア ナ ロ グ 回路 や 素 子 の特 性 を
す べ て 知 る こ とが で き る の で,ネ 機 器,シ
ッ トワー ク分 析 器 は電 子 材 料,部
品,回 路,
ス テ ム に わ た る広 範 囲 な測 定 機 能 を もっ て い る。
ネ ッ トワ ー ク分 析 器 の 測 定 方 式 は被 測 定 対 象 が 線 形 回 路 に 限 定 さ れ る。 直 線 性 とい う特 性 に よ り,正 弦 波 を入 力 して励 振 し た線 形 回 路 網 か ら は正 弦 波 しか 出 力 され な い た め,振 幅 応 答 と位 相 応 答 を 周 波 数 の 関数 と して 解 析 す る こ とが で き る。 した が っ て,ネ
ッ トワー ク分 析 器 は一 般 に正 弦 波 を用 い て,線
送 特 性 と反 射 特 性 を測 定 す る。す な わ ち,ネ ッ トワー ク の性 質(パ
形 回路 網 の伝 ラ メ ー タ)を
周 波 数 領 域 で 測 定 す る 測 定 器 で あ る。 [1]
ネ ッ トワ ー ク 分 析 器 の 機 能
スペ ク トル 分 析 器 とネ ッ トワ ー ク分 析 器 とは,互 い る場 合 が 多 い。 ま た,ネ て,い
い に共 通 した 機 能 を も っ て
ッ トワー ク分 析 器 は利 用 者 の特 別 の使 用 目的 に 応 じ
ろ い ろ な ア ダ プ タ を付 加 す る こ とが 多 い し,そ れ ら を本 体 の 内 部 に組 み
込 ん で い る場 合 も多 い。 こ こで は,ネ な測 定 機 能,す
ッ トワ ー ク分 析 器 に つ い て,そ の 基 本 的
な わ ち伝 送 特 性 とイ ン ピー ダ ン ス特 性 に つ い て説 明 す る。
図5・10に 示 す よ うに,入 力 と出力 に それ ぞれ 一 対 の2端 子 端 末 を も っ た4端 子 回路 網 につ い て,伝 送 特 性 とイ ン ピー ダ ン ス特 性 を求 め る と,以 下 の とお り で ある。
図5・10
4端 子 回 路 網 の 一 例
伝 送 特 性 は4端 子 回 路 網 の入 出 力 端 で,有 能 電 力(available
power)を
入力
端 に加 え て, (5・8)
この と き の振 幅Aは
電 圧 比 〔dB〕で, (5・9)
位 相 角 φ は ラ ジ ア ンで 表 さ れ るが,実 際 は度 数 θ 〔degree〕で 呼 ば れ る こ とが 多 く,次 の よ う に表 され る。 (5・10)
ま た,群
遅 延 時 間 τ〔s〕は φ が 〔radian〕 の と きΔ φ/Δω で 表 さ れ,度
数
〔degree〕 を 使 用 し た と き の 表 現 は, (5・11)
とな る。 こ こ に,Δfは
周 波 数 帯 の帯 域 幅 〔Hz〕で あ る。
イ ン ピ ー ダ ンス 特 性 の測 定 は,基 本 的 に は, (5・12)
を 求 め る こ と で あ る 。 こ の 式 を│Z│θ
の 形 で 表 す と,│Z│は
そ の ま ま で あ る が,
θ 〔degree〕 は 次 の よ う に な る 。 (5・13)
回 路 網 の 負 荷 点 に お け る反 射 係 数(reflection
coefficient)Γ
は, (5・14)
とな る。 電 圧 定 在 波 比(Voltage
Standing‐Wave
Ratio:VSWR)Sは, (5・15)
で あ る。 ま た,不
整 合 減 衰 量(mismatching
attenuation)δ
〔dB〕 は,次
の よ う に表
さ れ る。 (5・16)
高 周 波 で は,図5・11(a)お
よ び(b)に
示 す よ う な,回
路 網 にsパ
ラメー タの
(a)回 路 網 との対 比 (b)Sパ
図5・11
線 形 回 路 網 のSパ
ラ メ ー タ ・モ デ ル
ラ メー タ
概 念 を 導 入 して,線 形 特 性 を もつ4端 子 回 路 網 を解 析 す る こ とが で き る。 個 々 のsパ
ラ メ ー タ は 入 出 力 側 の 端 子(port)を
特 性 イ ン ピ ー ダ ン スZoで
終端
し,回 路 網 の 伝 送 特 性 と反 射 特 性 を測 定 す る こ とに よ り求 め られ る 。 sパ ラ メ ー タ を 次 の よ うに定 義 す る。
(5・17)
こ こで,s11は 合,a2=0で
ポ ー ト1の 複 素 反 射 係 数 で あ り,ポ ー ト2をZoで
あ るか ら,s11=b1/a1で
素 伝 送 係 数 で あ り,a2=0で
あ る。s21は ポ ー ト1か ら ポ ー ト2ま で の複
あれ ばs21=b2/a1で
あ る。a信 号 は 入 射 を,b信
は反 射 を,そ れ ぞ れ 表 す 。入 出 力 関 係 を逆 に し,ポ ー ト1をZoで ト2か ら見 る とa1=0と [2]
終端 した場
な り,同 様 に してs12とs22を
号
終 端 し,ポ ー
求 め る こ とが で き る。
ネ ッ トワ ー ク 分 析 器 の 構 成
これ まで述 べ て きた 回 路 網 の 測 定 を行 うた め,ネ ッ トワー ク分 析 器 は 図5・12 の よ う な機 器 構 成 を と っ て お り,大 別 して信 号 発 生 部,信
号 分 離部,受
信 部,
お よび 表 示 部 か ら構 成 され る。 信 号 発 生 部 は,信 号 源 と して,標 準 信 号 発 生 器,掃
引 信 号 発 生 器,お
よび周
波 数 合 成 器 か ら成 っ て い る。 標 準 信 号 発生 器 は精 度 や 安 定 度 の 高 い 単 一 周 波 数 を発 生 す るが,あ る任 意 の 周 波 数 を必 要 とす る場 合 は周 波 数 合 成 器 を選 択 す る。 また,あ
る周 波 数 帯 域 を掃 引 す る場 合 に は,時 間 と と も に周 波 数 が 直 線 的 に変
図5・12
ネ ッ ト ワ ー ク分 析 器 の 系 統 図
化 す る信 号 を作 っ て表 示 部 のCRTに
供 給 す る。
信 号 分 離 部 は,信 号 発 生部 か らの 信 号 を2方 向 に分 け るた め に分 岐 を作 り, また 被 測 定 回路 網 の入 力 端 に戻 っ て くる 反射 波 を 方 向性 結 合 器 や 方 向 性 ブ リ ッ ジ を使 っ て 分 離 す る。 受 信 部 で は,高 周 波 信 号 また は マ イ ク ロ波 信 号 を ス ー パ ヘ テ ロ ダ イ ン方 式 で 中 間 周 波 に落 とし て,検 波,増 幅 し て,基 準 信 号 と伝 送 信 号 な い し は反 射 信 号 との 振 幅 比 を検 出 す る チ ャ ネル と,同 様 に位 相 差 を検 出 す る チ ャネ ル が あ り, 目的 に応 じて 表 示 部 で 選 択 表 示 す る。 測 定 結 果 は表 示 部 のCRTに recorder ),印
出 力 され るが,必 要 に応 じて,X-Y記
字 装 置(printer),プ
ロ ッ タ(plotter)な
録 計(X-Y
ど を付 加 して,表
示 な い し記 録 で き る。 [3]
ネ ッ トワ ー ク 分 析 器 の 測 定 機 能
ネ ッ トワー ク分 析 器 は周 波 数 に対 す る振 幅 特 性 と位 相 特 性,す 応 答 を 同 時 に測 定 す る。 基 本 的 に は横 軸(X軸)に 軸)に 振 幅 と位 相 を示 す とボ ー ド線 図(Bode
線 図(Nyquist
plot)と
周 波 数 を 指 示 し,縦 軸(Y
diagram)と
ベ ク トル 形 式 で一 緒 に して示 す と極 座 標 表 示(polar
なわ ち 周 波 数
な り,振 幅 と位 相 を
plot)ま
た はナ イキ ス ト
な る。極 座 標 表 示 で は,ω を− ∞ か ら+∞
まで 変 化 さ せ
た と きの 伝 達 関 数 の ベ ク トル軌 跡 を表 す 。 簡 単 な例 と し て,図5・13の
よ う なRCか
らな る4端 子 網 を考 え る と,こ の 回
図5・13 4端 子 回路 網 の例
路 の 電 圧 で の利 得(伝
達 関 数)は, (5・18)
で あ る。 こ の 回 路 網 に つ い て ボ ー ド線 図 を 書 く と,図5・14の 振 幅(利
得)は
よ う に な る。
デ シ ベ ル に 換 算 し て, (5・19)
た だ し,τ=CRで
回 路 の 時 定 数 で あ る 。│1+jω τ│=√1+ω2τ2で
あ る か ら,式(5・
19)は ま た, (5・20)
と書 け る 。 一 方
,位
相 差 は, (5・21)
で ある。 い ま τ=1と
す る と極 座 標 表 示 で は,式(5・18)を
実 数 部 と 虚 数 部 に 分 け て, (5・22)
が 得 ら れ る。 この 軌 跡 を図5・15に 示 す が,− ∞ ≦ ω≦+∞ な わ ち 円 とな り,0≦ ω≦+∞
を とれ ば実 軸 の 上 下 の半 円,す
を とれ ば,実 軸 の下 半 分 の半 円 とな る。
(a)振 幅 変化
(b)位 相変 化
図5・14
ボ ー ド線 図
図5・15 極 座 標表 示
この ほ か,回 路 構 成 を変 え る こ と に よ り,種 々 の 測 定 と表 示 が 可 能 で あ る。 例 え ば,基 準 信 号 側 の 中 間 周 波 チ ャ ネル と,伝 送 信 号 側 の 中 間 周 波 チ ャネ ル に 位 相 検 出器 を接 続 す れ ば,そ の 出 力 は表 示 器 上 で横 軸 の 周 波 数 に対 して縦 軸 に 位 相 差 を示 す 。 また,同 様 に同 期 検 波 器 を 挿 入 す れ ば,基 準 信 号 の 中 間周 波 と 伝 送 信 号 の 中 間 周 波 の ベ ク トル 比,す
な わ ち 互 い の振 幅 と位 相 の 極 座 標 表 示 が
得 られ る。 反 射 波 を 測 定 した場 合,反
射 係 数 は極 座 標 目盛 か ら直 読 で き る。 し か し,よ
り詳 細 に複 素 反 射 係 数 を求 めた い場 合,ス ミス線 図(Smith
chart)を
表示 させ
る こ とが で き る。 ス ミス線 図 を利 用 す れ ば,被 測 定 回路 網 の複 素 反 射 係 数Γ を測 定 す る こ と に よ り,イ ン ピー ダ ン ス を求 め る こ とが で き る。そ の 関 係 式 は 次 の とお りで あ る。 (5・23)
そ の 一 例 と し て,図5・16に
マ イ ク ロ 波 増 幅 器 の 入 力 イ ン ピ ー ダ ンス の プ ロ ッ
トを 示 す 。
図5・16
[4]
マ イ ク ロ 波 増 幅 器 の 入 力 イ ン ピー ダ ン ス
実 際 の ネ ッ トワ ー ク 分 析 器
近 代 的 な 回 路 網 測 定 に は,多 量 の 測 定 デ ー タ と複 雑 な計 算 が必 要 に な り,こ れ に 費 や さ な け れ ば な らな い労 力 と時 間 は大 き い。 した が っ て,測 定 と計 算 を 効 率 的 に行 うた め に は,ネ
ッ トワ ー ク分 析 器 の よ うな ツー ル が必 要 に な る 。
ネ ッ トワ ー ク分 析 器 の 備 え るべ き基本 的 性 能 と して は,次 の事 項 が 挙 げ られ
る。 ① 高 精 度,高
確 度,高
分解能
② 測定周波 数範囲が 広 い ③ 測 定 振 幅 の ダ イ ナ ミ ッ ク レ ン ジが 広 い ④ 周波数特性 が よい ⑤ 高 純 度,高 安 定 の信 号 源 を 内 蔵 して い る ⑥ 直 角 表 示 と極 座 標 の 両 方 の表 示 が で き る(伝 送 特 性 測 定 に は 前 者 が,イ
ンピ
ー ダ ン ス測 定 に は後 者 が 便 利 で あ る) ⑦ マ イ ク ロ プ ロ セ ッ サ制 御 に よ り,測 定 時 間 を短 縮 で き,測 定 操 作 を簡 素 化 で きる ⑧ 付 加 装 置 や 周 辺 機 器 に よ り測 定 機 能 を拡 張 で き る ⑨GP-IBに
よ り遠 隔 操 作 が で き る
一 例 と し て,図5・17に
実 際 の ネ ッ トワ ー ク分 析 器 を示 す 。こ の測 定 器 は 周 波
数 範 囲 が45MHz∼110GHz,ダ 差 補 正 が で き,高 分 解 能(振
イ ナ ミッ ク レ ン ジ100dB以 幅0.001dB,位
相0.01°,群
上,実 時 間 で の 誤 遅 延0.01ns)で
あ
る。
(b)伝 送反 射 の 同時 測 定 (a)ネ
ッ トワ ー ク 分 析 器 の 外 観
図5・17
(Sパ ラ メー タ を表 示)
実 際 の ネ ッ トワ ー ク分 析 器
また,機 種 に よ っ て は45MHz∼50GHzの
周 波 数 範 囲 に お い て,ア
ク テ ィ ブ,
パ ッ シブ 両 方 の 回 路 網 伝 達 関 数 が 測 定 で きる。2チ ャ ネ ル の 測 定 系 統 を も ち,そ
の 一 つ は カ ラー 表 示 で,同 図(b)の
よ うに 複 合 的 な 表 示 が で き る。 測 定 結 果 は
対 数 表 示 と線 形 表 示 の い ず れ か を選 択 で き る。 オ プ シ ョン で あ るが,付 加 機 能 をつ け て時 間領 域 で の 測 定 も可 能 で あ る。
問 5-1 図5・2(b)の
よ うな 直 接 周 波 数 合 成 回 路 に お い て,f0=1MHz,f1=3MHz,f2=
6MHz,fs=2MHzで ュ ー ル を3段
題
あ る と き,出 力 側 に現 れ る周 波 数 を 求 め よ。 ま た,こ の モ ジ と し た 場 合,f0=1MHz,fs1=6MHz,fs2=8MHz,fs3=4MHzと
し て,合 成 周 波 数 を求 め よ。 5-2 図5・2(c)の
分 周 器 の 分 周 比 を100と い て,主
(答 1.2MHz,14.86MHz)
よ うな 間 接 周 波 数 合 成 回 路 に お い て,主 発 振 器 の 周 波 数 を1MHz, した と き の 出 力 周 波 数 は い く らか 。 ま た,こ の 回 路 に お
発 振 器 の 次 の 段 に 分 周 比10の
固 定 分 周 器 を挿 入 し た と き の 出 力 周 波 数
は い く らか 。
5-3 あ る ス ペ ク トル 分 析 器 の 周 波 数 範 囲 を1MHz,掃
(答 100MHz,10MHz) 引 時 間 を100msと
き,最 適 な帯 域 幅 を 求 め よ。
5-4 信 号 が100MHzと200MHzの
(答 2087Hz)
二 つ の 単 一 周 波 数 成 分 を含 ん で い る と き,掃 引
局 部 発 振 器 は200MHz∼500MHzを CRT表
す る と
発 生 し,掃
示 面 に表 れ る 周 波 数 の 始 点 と終 点,お
引 す る 。 ス ペ ク トル 分 析 器 の
よび表示 面 に現 れ る信 号 表示 は ど
の よ う に な るか 図 示 せ よ。 (答 横 軸 上 の 始 点 は0Hz, 100MHzと200MHzが
現 れ,終
点 は300MHz)
5-5 ス ペ ク トル分 析 器 とオ シ ロス コー プ との 系 統 図 を比 較 した 場 合,機 能 上 の 共 通 点 と相 違 点 を 挙 げ よ 。 5-6 ネ ッ トワ ー ク分 析 器 に お い て,フ
ィ ル タ の 群 遅 延 時 間 特 性 を 測 定 す る原 理 を 述
べ よ。 5-7 式(5・23)に 抗 で75Ω
お い て,Γ=0.8∠30°
で あ る と き,イ
で あ り,測 定 系 の イ ン ピ ー ダ ン スZoが
ン ピ ー ダ ン スZの
値 を 求 め よ。
5-8 式(5・18)に
お い て,R=1kΩ,C=1nFの
る伝 達 関 数F(jw)を
求 め よ。
純抵
と き,100kHzの
(答 106+j236Ω) 入 力 周 波 数 に対 す
(答 0.717−j0.451)
6、 計測 自動化 システム 6・1
実 時 間 計 測 評 価
近 年 の デ ィ ジ タ ル 計 測 技 術 の 進 歩,コ
ン ピ ュ ー タ の 普 及 に と も な い,測
を コ ン ピ ュ ー タ で 制 御 す る 計 測 の 自動 化,計
定器
測 デ ー タ の 自動 処 理 が行 わ れ る よ
うに な った 。 [1]
GP-IBシ
ス テ ム
測 定 器 と コ ン ピ ュ ー タ の 間 で コ ン トロ ー ル 信 号 や 測 定 デ ー タ な ど の 情 報 を や り と り す る標 準 的 な イ ン タ フ ェ ー ス がGP-IB(General Bus)シ
ス テ ム で あ る 。 これ は1970年
でHP-IBシ IEC-625-1)と
図6・1
Interface
代 に 米 国 の ヒ ュ ー レ ッ ト ・パ ッ カ ー ド社
ス テ ム と し て 開 発 さ れ た も の が1975年 な っ た も の で,JISと
Purpose
に 国 際 標 準(IEEE-488,
し て も規 定 さ れ て い る(JIS
GP-IBの
構 成例
C
1901)。
こ
の 方 式 の 普 及 に よ り,複
数 の 測 定 器 と コ ン ピ ュ ー タ が 簡 単 に 接 続 で き,自
測 シ ス テ ム の 構 築 が 容 易 に で き る よ う に な っ た 。 図6・1に (1)
GP-IBバ
GP-IBバ ス,5本
そ の構 成 例 を 示 す 。
ス
ス は 図6・1の
よ う に8本
の コ ン ト ロ ー ル バ ス の16本
の デ ー タ バ ス,3本
こ の 信 号 線 は24ピ
ン ま た は25ピ
の ハ ン ドシ ェ ー ク バ
の 信 号 線 と リ タ ー ン 用 グ ラ ウ ン ド線 と シ ー
ル ド線 で 構 成 さ れ る 。 デ ー タ の 転 送 速 度 は1Mbyte/s以
下 で あ る。
ン の コ ネ ク タ を通 じ て 計 測 器 や コ ン ピ ュ ー
タ に 接 続 さ れ る 。 こ れ ら は そ の 機 能 に よ り コ ン トロ ー ラ(controller),ト (talker),リ
ス ナ(listener)と
バ ス 上 に は1台
動計
ー カ
呼 ば れ て い る。
の コ ン ト ロ ー ラ が あ り,接
続 さ れ た 機 器 の コ ン ト ロ ー ル や,
測 定 デ ー タ の処 理 解 析 を す る。 通 常 コ ン ピ ュー タ が この機 能 を行 う。 バ ス上 の 情 報 を 受 け 取 る 装 置 を リ ス ナ,バ リ ス ナ は バ ス 上 に14台 (2)
GP-IBの
ス 上 に 情 報 を 送 り 出 す 装 置 を トー カ と い い,
ま で 接 続 で き,ト
ー カ と な る の は1度
ハ ー ドウ ェ ア
(a)直 列 接 続
(b)星 形 接 続 図6・2
GP-IBシ
ス テ ムの 接 続 法
に1台
で あ る。
シ ス テ ム を 構 築 す る に は,イ GP-IB対
応 の 機 器(デ
器,信
ン タ フ ェ ー ス 機 能(接
図6・2の
リ ン タ,プ
備 えた
ィ ジ タ ル マ ル チ メ ー タや 周 波 数 カ ウ ン タ な ど の 測 定 機
号 発 生 器 や 電 源 な ど の 信 号 源,モ
ラ イ ブ,プ
続 用 コ ネ ク タ)を
ニ タ 用 デ ィ ス プ レ イ ・磁 気 デ ィ ス ク ド
ロ ッ タ な ど の コ ン ピ ュ ー タ 周 辺 機 器 な ど)を
バ ス 上 に,
よ う に 直 列 あ る い は 星 形 に 接 続 す る だ け で よ い 。 た だ し1シ
接 続 で き る イ ン タ フ ェ ー ス 数 は15以
内,接
ス テム に
続 ケ ー ブ ル の 長 さ は 合 計20m以
内
と い う 制 約 が あ る 。 コ ン トロ ー ラ か ら 命 令 を 受 け て 作 動 す る 信 号 発 生 器 や プ リ ン タ な ど は リ ス ナ,命 な ど は リ ス ナ,ト (3)
ー カ 両 方 の機 能 を もつ 。
GP-IBの
GP-IBで
令 を 受 け か つ 測 定 デ ー タ を送 る デ ィ ジ タ ル マ ル チ メ ー タ
ソ フ トウ ェ ア
は,コ
ン ト ロ ー ラ はBASICな
に 対 し て コ マ ン ド を 出 し,機
ど の 言 語 を 使 い,バ
ス を 介 し て機 器
器 は そ の コ マ ン ドで 作 動 す る 。
プ ロ グ ラ ム 言 語 は コ ン トロ ー ラ に よ り異 な る がBASICやFORTRANな
ど
が 多 く用 い ら れ る 。 [2]
RS-232-Cと
RS-232-Cは で,測
セ ン トロ ニ ク ス
コ ン ピ ュ ー タ が 標 準 的 に装 備 して い る シ リア ル イ ン タ フ ェ ー ス
定 器 が1台
だ け の よ うな簡 単 な シ ス テ ム に使 用 さ れ る。
セ ン ト ロ ニ ク ス(Centronics)は
プ リ ンタ 用 の パ ラ レル イ ンタ フ ェ ー ス で測
定 器 の デ ー タ を プ リ ン タ や プ ロ ッ タ に 送 る も の で あ る が,こ
れ も簡 単 な シ ス テ
ム に向 い て い る。 [3]
VXIバ
VXIバ
ス はVME
ス シ ス テ ム bus
Extensions
for Instrumentationの
タ の バ ッ ク プ レ ー ン と し て 採 用 さ れ て い るVMEバ Europeの
略)を
ス(Versa
略 で,コ Bus
ン ピ ュー Modular
べ ー ス と し て 計 測 用 に 必 要 な 機 能 が 追 加 さ れ た も の で,GP-IB
に 比 べ 高 速(約10倍)の
デ ー タ 転 送 が 可 能 で,計
測器 はモ ジ ュラー化 され
シ ス テ ム の 小 形 化 が 可 能 とい っ た特 徴 が あ る。 図6・3の
例 は,約30cmの
高 さ の メ イ ン フ レ ー ム の 中 に 最 大13個
ー ル 化 され た 計 測 器 を 収 納 す る もの で
,同
等 機 能 のGP-IBシ
のモ ジュ
ス テム に比較 し
図6・3
GP-IBシ
ス テ ム からVXIシ
ス テム へ
て小 形 化 す る こ どが で き る。
VXIシ
ス テ ム に は,図6・4に
示 す よ う に次 の タ イ プ が あ る。
(1)
(2)
(3)
(4)
図6・4
VXIシ
ス テム 構成 例
① シ ン グ ルCPUシ で 接 続 さ れ,左
ス テ ム:VXIシ
ス テ ム と外 部 の コ ン ト ロ ー ラ がGP-IB
端 の ト ラ ン ス レ ー タ モ ジ ュ レ ー タ に よ りVXIの
コ ル に 変 換 さ れ る も の で,シ
プロ ト
ス テ ム の 導 入 時期 に よ く と られ る タ イ プ で あ
る。
② マ ル チCPUタ
イ プ:各 モ ジ ュー ル に マ イ ク ロ プ ロ セ ッサ が 搭 載 され,
測 定 デ ー タ を一 次 処 理 した の ち,ホ ス トコ ン ピ ュー タ に 送 る タ イ プ で,ホ ス トの タ ス ク を軽 減 し効 率 的 に使 用 で き る。 ③ ス タ ン ドア ロ ン シ ス テ ム:ホ
ス トコ ン ピ ュー タ を モ ジ ュー ル 化 し,VXI
シ ス テ ム 内 で す べ て の処 理 を行 っ た後,LANな
ど に よ り大 型 コ ン ピ ュ ー
タ に デ ー タ を送 る タ イ プ。 ④
階 層 シス テ ム:一 つ のVXIシ
ス テ ム 内 に,複 数 の 異 な る計 測 シ ス テ ム を
構 築 し,そ れ ぞれ の計 測 シ ス テ ム が 同 時 に異 な る測 定 デ ー タ を得 る方 法 で あ る。
6・2 CATと
コ ン ピ ュー タ 援 用 計 測 シ ス テ ム はComputer
Aided Testの 略 称 で あ るが,こ
る計 測 の 自動 化 に と ど ま らず,そ れ を発 展 させ,ネ
れ は単 にGP-IBに
よ
ッ トワ ー キ ン グ,デ ー タベ
ー ス の 構 築 まで ,総 合 的 な 自動 化 を意 味 して い る。 す な わ ちCATと 『計 測 の 現 場 に お い て,計 測 か ら測 定 デ ー タ の 効 率 的 処 理,計 ミ ュ レ ー シ ョ ン,レ ポ ー テ ィ ン グ ・デ ー タの 一 元 管 理,ま
は
算 ・解 析,シ
で を含 め た コ ン ピ ュ
ー タ 支 援 に よ る 自動 化 』 をい う
。
CATは
繁 雑 な 事 務 処 理 作 業 を含 め た 計 測 全 体 の 合 理 化 を図 り,無 駄 な 作 業
を 削減 す る こ と を第 一 の 目標 とす る もの で あ る。 これ に よ り計 測 に か か わ る時 間 や 測 定 者 に よ るデ ー タ の ば らつ きが 減 少 し,エ
ン ジニ ア は 創 造 的 な業 務 に よ
り多 くの 時 間 を使 え る よ うに な る。 [1]
CATの
各段階
(1) 第 一 段 階(手
動 か ら 自動 へ)
測 定 時 間 の 短 縮,省
力 化 に よ る コス トダ ウ ンの た め に 従 来 の手 動 に よ る計 測
図6・5
CATの
第 一 ・第 二 段 階
を 自動 化 す る段 階 で,前 節 のGP-IBシ
ス テ ム は この段 階 に 当 た る。
こ れ は 実 験 や 計 測 ベ ン チ の 自動 化 を行 う段 階 で あ る。 手 動 測 定 で の 人 為 的 な 操 作 ミス,デ ー タ の読 取 り誤 差 を な く し,迅 速 な デ ー タ収 録,正
確 な デ ー タ処
理,省 力 化 に よ る コス トダ ウ ン を図 る こ とが で き る。汎 用 性 の あ るGP-IB,使 い や す いBASICを
利 用 し てPC(Personal
Computer)やWS(Workstation
)を コ ン トロ ー ラ と した計 測 の 自動 化 の 第 一 歩 とな る。 (2) 第 二 段 階(一
連 の 作 業 の 自動 化)
この段 階 で は,各 種 ア プ リケ ー シ ョ ン ソ フ トウエ ア の利 用 に よ り,計 測 デ ー タの 統 計 解 析 処 理 まで を 自動 化 す る。 複 数 ベ ンチ の 計 測 装 置 を ネ ッ トワ ー ク を 介 して接 続 し,計 測 デ ー タ,ソ
フ トウ エ ア,周 辺 機 器 を共 有 し共 同利 用 が で き
る。 これ ら を図 示 す る と図6・5の よ うに な る。 さ らに解 析,シ
ミュ レ ー シ ョン もネ ッ トワー ク 内 のWSに
よ り計 測 と並 行 し
て 行 う こ とが 可 能 とな る。 多種 多 様 の コ ン ピ ュー タ シ ス テ ム と リ ン ク し,将 来 的 な ネ ッ トワー ク シ ス テ ム へ の 拡 張 性 を もた せ る こ とが で き る。 (3) 第 三 段 階(多 種 作 業 の 自動 化) こ の段 階 に な る と,工 場 ・事 業 所 全 体 を管 理 す る上 位 コ ン ピ ュ ー タが 計 測 器
か ら の デ ー タ に よ る 大 規 模 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン,品 らCIM(Computer
Integrated
図 示 す る と 図6・6の
よ うに な る。
Manufacturing)へ
図6・6
CATの
で と,CATか
と 展 開 さ れ て い く。 こ れ を
第三段 階
設 計 ・製 造 の 自 動 化 シ ス テ ム(CAD/CAM:Computer Aided
質 管 理,OAま
Manufacturing)へLANを
Aided
通 じ て 展 開 し,フ
Design/Computer
ィ ー ドバ ッ ク で き
る シ ス テ ム へ と 展 開 で き る 。 こ う し た 作 業 効 率 の 向 上 を 実 現 す る た め,CATシ ス テ ム は,ソ
フ トウ エ ア 開 発 支 援 ツ ー ル,デ
ー タ 収 録/解 析 ソ フ トウ エ ア,品
質
管 理 ・統 計 処 理 ソ フ ト ウ エ ア な ど の ソ フ トウ エ ア 群 の 支 援 を 必 要 と す る 。 [2] CATの 動 化 し,試
計 測 情 報 ネ ッ トワ ー ク シ ス テ ム 第 三 段 階 を さ ら に 進 め る と,製 験 デ ー タ を 共 有 化 し,有
造 ・検 査 デ ー タ の 測 定,解
効 活 用 す る こ と に よ り,計
析作業 を自
測 情 報 ネ ッ トワ
ー ク シ ス テ ム を構 築 し,工 場 ・事 業 所 全 体 の 活 動 を高 効 率 化 した 経 営 が 可 能 と な る。 そ の一 例 を 図6・7に 示 す 。
図6・7
6・3
計 測 情 報 ネ ッ トワ ー ク ・シ ス テ ム の 事 例
電 子 計 測 自動 化 の 将 来 展 望
計 測 の 自動 化 は1990年
代 後 半 も ます ます 推 進 さ れ る で あ ろ う。GP-IBシ
ス
テ ム の 単 体 の 測 定 器 は モ ジ ュ ラ ー 化 され,コ ン ピ ュー タ の性 能 向上,小 形 化, 馳 価格低 下 とともに ,VXIバ ス シ ス テ ム や 第 三 段 階 のCATは 加 速 的 に普 及 し, 図6・7の よ うな計 測 情 報 ネ ッ トワー ク シ ス テ ム を構 築 す る事 例 も急 速 に増 えて い くで あ ろ う。 そ して,2000年
代 にか けて 次 に示 す よ う な計 測 器 や 計 測 シス テ
ム が 多 く用 い られ る よ う に な る で あ ろ う。 [1]
MMS(Moduler
これ はVXIバ
Measurement
System)
ス が カ バ ー で き な い 無 線 周 波 か らマ イ ク ロ波 帯 域 の 測 定 の た
め に開 発 され た 。 モ ジ ュー ル 方 式 を採 用 した 新 しい 計 測 シス テ ム で,モ ル の種 類 と し て スペ ク トル 分 析 器,パ 形 のGP-IB測
ワ ー メー タ な どが あ る。VXIバ
定 器 との 組 み 合 わ せ で,直
ジュー
スや単体
流 か ら光 波 領 域 ま で の 全 帯 域 の ア プ
リケ ー シ ョ ン を カバ ー す る こ とが 可 能 に な る。VXIバ
ス とMMSの
カバーす る
領 域 を 図6・8に 示 す 。
図6・8
[2]
SCPI(Standard
VXIとMMSの
Commands
カバ ー す る領 域
for Programmable
Instrumentation)
ハ ー ドウエ ア上 で コ ン ピ ュ ー タ を用 い た 計 測 の 自動 化 が進 む と,計 測 を行 う 時 間 の減 少 や 測 定 者 に よ る計 測 デ ー タ の ば らつ きの 減 少 な どの メ リ ッ トが あ る が,一
方 で は コ ン ピ ュー タ の ソ フ トウ エ アの プ ログ ラ ミ ング に長 時 間 を要 す る
こ とに な っ て くる。これ を解 決 す るた め の 工 夫 も行 わ れ て い る。SCPIは
そ の一
つ で あ る。 ハ ー ドウ エ ア で はVXIやMMSが
国 際 標 準 ・業 界 標 準 と な っ て い るが,ソ
トウ エ ア の 面 で の 業 界 標 準 的 な もの はSCPIと
フ
呼 ばれ る プ ロ グ ラ マ ブ ル計 測 器
用 標 準 コマ ン ドで あ る。 これ は リモ ー トコ ン トロー ル プ ロ グ ラ ミ ング 仕 様 の標 準 化 の た め の統 一 化 され た計 測 器 制 御 用 の コ マ ン ドセ ッ トで,制 御 で き る計 測 器 は フ ァー ム ウ エ ア と してSCPIプ
ロセ ッサ を搭 載 した もの が 対 象 と な る。
これ に よ っ て メ ー カ ー の違 い や 計 測 器 の違 い に よ らず 統 一 した コマ ン ドで 制 御 で き る の で,従 来 長 時 間 を要 し て い た 計 測 シ ス テ ム の ソ フ トウ エ ア の 開発 時 間 が 短 縮 で き る よ う に な る。
[3]
近 未 来 の 電 子 計 測 シス テ ム
1990年 代 後 半 か ら2000年
代 に か け て の 電 子 計 測 に お け る 自動 計 測 シス テ ム
は,ハ ー ドウ エ ア に はVXIやMMS,ソ
フ トウ エ ア に はSCPIが
さ れ,計 測 器 単 位 で は現 在 の コ ン ピ ュー タ機 能 を内 蔵 した,よ
標準 的に装備 りイ ン テ リジ ェ
ン トな もの とな って くる 。 さ らに そ れ ら は テ ス トサ ー バ と呼 ば れ る ホ ス トコ ン ピ ュ ー タ とLANで
接 続 され,分 散 処 理 形 の計 測 シス テ ム と な り,CAE(Computer
Aided Engineering)と
も リ ン ク し て研 究 ・開 発 か ら試 験 ・検 査 まで一 貫
性 を もち,全 体 の生 産 性 向 上 を もた らす もの とな るで あ ろ う。 この よ うな展 望 を図6・9に 示 す 。
図6・9 自動 計 測 シス テム の展 望
問 6-1 計 測 の 自動 化 の た め にPC(パ シ ョ ン)の 6-2 CATに
題
ー ソ ナ ル コ ン ピ ュ ー タ)やWS(ワ
ー ク ステ ー
果 た す 役 割 に つ い て述 べ よ 。 は 利 害 得 失 が あ る が,そ
の 短 所 につ い て 述 べ よ。
6-3 電 子 計 測 自 動 化 と工 場 の ロ ボ ッ ト化 の 関 連 につ い て 述 べ よ。 6-4 自動 計 測 シ ス テ ム と ダ ウ ン サ イ ジ ン グ の 関 連 に つ い て 述 べ よ。 6-5 電 子 計 測 自 動 化 が 進 ん で くる と,エ 必要 とされ るよ うにな るか。
ン ジ ニ ア に は どの よ う な 能 力 が 求 め ら れ,
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,
索
あ アナ ロ グ表 示
行 15
引 計 器 用 変圧 器
25
計 器 用 変 流器
29
計測環境
2
計 測 器 管理 イ ン ピー ダ ンス 計
44
イ ン ピー ダ ンス メー タ 位 相検 波 器
1
計 測 情 報 ネ ッ トワー クシ ス テム
47
計 量 研 究所
110
位 相 同期 ル ー プ 陰極 線 管
9,11
計 測 シス テ ム
110
検流計
26,29
51 コー ル ラウ シ ュブ リ ッジ
エ リア シ ン グ
82
エ リア シ ン グ領 域
84
エ レク トロニ ッ クカ ウ ン タ 液体 抵 抗 の 測 定 オ シロ グ ラ フ
48 48,49,51,56 か
行
51
113
11
高周波
108
高抵抗
39
高 電 圧 の測 定
25 41 22 21
交 流 ブ リ ッジ
32 44
国 際 キ ロ グ ラム 原器 国 家標 準
可動 コイ ル 形
26
さ 49,51
帰 還 形 パ ル ス幅 変 調 方 式 115
67
6
7,9,11
7
感 熱 式 オ シ ログ ラ フ
43
133
交 流電 力 の測 定
36
局 部 発 振器
25
コ ン トロー ラ
交 流 電位 差 計
15
間接 測 定
コ ンデ ンサ分 圧 器
交 流 電 子電 圧 計
ガ ルバ ノ メー タ
回路 計
24
交 流 抵 抗 の測 定 カ ウ ン タ 56 ガ ン発 振 器
56
コモ ンモ ー ド雑 音
工 業 試 験所
43
オ シロ ス コー プ
階級
138
10
3電 圧 計 法
33
3電 流計 法
33
サ ブ ミ リ波
108
サ ンプ リン グ
行
81
サ ンプ リン グオ シ ロ ス コー プ 55,77,89 組 立 単位
5,6
サ ンプ リン グヘ ッ ド
90
雑 音 除去
75
差 動 電圧 計
準 ミ リ波 18
産 業 計測 標 準
108
人工 衛 星利 用 7
信号 処 理
シー ケ ン シ ヤル サ ンプ リ ング シー ケ ン スプ ロ グ ラム機 能 シ ェー リング ブ リッジ
82,91 96
45
61 2
信 号 発 生器
113
信 号 前 処理
2
振動子
50,51
振 動 容量 電 位 計
41
114
ス コー プ ドロー
94
20
ス トレー ジオ シ ロス コー プ
時 間標 準
56,59
時 間領 域 指 示 計 器
指 示 計器 形 交 流 電圧 計
20
ス プ ラ イ ン補 間
94
指 示 計器 形 交 流電 流計
29
ス プ ラ イ ン曲線
94
指 示 計器 形 直 流電 流 計
26
スペ ク トル分 析 器
指 示 電気 計 器
56
指 示 電気 計 器 形電 圧 計 指 示電 気 計 器 の精 度 実効 立 上 り時 間 実効 値
16 15
ス ミス 線 図
129
水 晶 発 振器
60
水 素 メー ザ標 準
114
86
59
垂 直 軸分 解 能
89
ゼー ベ ック効 果
19
72
実効 蓄 積 周 波数 帯 域
86
実効 値 指 示
21
セ シウ ム ビー ム標 準
実効 値 変換
73
セ ンサ
自動 位 相制 御
110
自動 計 測 シ ス テム 自動 周 波数 制 御
セ ン トロニ ク ス 2
周 波数
34
接地
39
44
接 地 抵抗
56
43
接 地抵 抗 計
周 波数 安 定度 周波 数 計
25
絶縁抵抗 47
120
56
周波 数 合成
134
23
静 電 電 圧計
101
自動 平衡 式 変成 器 ブ リッジ 時 分割 掛 算 器
静電 結 合
110
自動 平衡 形 記 録形
59
2
43
接 地 方法
25
接 点抵 抗 計
42
110
周波 数 合成 器
110
周 波 数 掃 引範 囲
掃 引局 部 発振 器
117
周 波 数 の一 次標 準
59
掃引 発 振器
113
測定波形
23
117
周 波 数 の二 次標 準 60 た
行
周 波 数 の測 定
56
周 波数 の標 準
59
ダ イナ ミッ ク レ ンジ 120
周 波数 分 解能
118
ダ ブル ブ リッジ 38
周波 数 領 域
114
大 電 流 の測 定 28
56
立上 り時 間
53,54
単発現象
電 子 電 圧 計 に よる電 流測 定
81
電子電力計
単 発 現 象 の 観 測
78
電 磁誘 導
単発周波数帯域
87
電流計
置換法
9,14,18
中抵 抗 の 測 定
41
超絶縁抵抗計 直接測定
31
33 24
26
電 流 計 の 負荷 効 果
28
電 流 力計 形 電 力 計
32
電 力計
31
トー カ
133
40
7
直 動 式 記録 形
100
トー トバ ン ド
直 流 電 子電 圧 計
16
トラ ッキ ン グ ジ ェネ レー タ
121
31
トリガ掃 引 オ シ ロス コー プ
52
直 流 電 力 の測 定 直 列 抵 抗 ブ リッ ジ
トレー サ ビ リテ ィ
45
特殊 な抵 抗 デー タ レ コー ダ
デ ィ ジタ ル計 測 技術
デ ィ ジタル 精 密 電力 計 デ ィジ タル 測 定
ナ イ キ ス ト線 図 34
126
ナ イ キ ス トレー ト 82 内部 抵 抗
37,38
27
日本 電 気 計器 検 定 所
15
日本 品 質保 証 機 構
デ ィジ タル マ ル チ メ ー タ
65
10,11
任 意 波 形 発生 器
10,11 91,92
36
デ ュ ア ル ス コー プ
67
ネ ッ トワー ク分 析 器
デ ュ ア ルス コー プ方 式
69
熱 起電 力
は
121
低抵 抗 の測 定
ハ イ ブ リ ッ ド ・レコー ダ
電 圧 計 の 負荷 効 果 電 圧 制 御 発振 器 電 位 差 計法
倍 率器
17 17
電 子 技術 総 合 研 究所
49,50
21
16
波形 率
72
波 高率
72
波 高値 指 示
21
10
30
電磁 テ ー プ レ コー ダ 電 子電 圧 計
バ ラク タ ダイ オ ー ド
19 117
電 磁 オ シロ グ ラ フ 電 子検 流計
行
パ ー セ プ チ ュア ル エ リア シ ング
38,42
16
電位差計
122
19,42
35
定在 波 比 電圧 計
121
行
63
デ ィ ジタル 抵 抗 計
抵抗 計
な
77
63
デ ィ ジタ ル スペ ク トル分 析 器
テ ス タ
9
43
104
デ ィ ジタ ル オ シ ロス コー プ
デ ィジ タル 表 示
27
ピボ ッ ト 49
27
微 小 電 圧 測 定 微 小 電 流 の 測定
23 29
117
102
83
標 準
6 ら
標 準電 池
18
標 準電 波
60
表 皮効 果
108
標本 化 定 理
ラ ンダ ムサ ンプ リン グ
リア ル タ イ ムFFT演
82
標 本 保 持 回路 品 質保 証
リス ナ
±1カ ウ ン ト誤 差
58
プ リン タ
ル ビ ジ ウ ム ・ガ ス 標 準
78
零位 法
129
28 119 49
72 21
8,12,16,20
ボー ド線 図
A-D変
換
A-D変
換器
8
AFC
110
ALC
121
ATE
65
92
C/C++
46 126
63
CAD
4,138
CAE
141
CAM
ホ ール 効 果 電力 計
33
4,138
CIM
ホ イー トス トン ブ リ ッジ
13,36
138
CRT
51,136
9,14
CT
5
D-A変
換器
FFT
121
補助単位
ま マ イ ク ロ波
65,67,79
63
BER
変 成器 ブ リッジ
行
29
GP-IB
108
79
2,3,66,132
I EEE488
マ クス ウェル ブ リ ッジ
45
108
LAN L CRメ
メガ ー 39
2
I SDN JJY
ミ リ波
8,12,17,22
BASIC
平 均値 指 示
補償法
60
ア ル フ ァベ ッ ト
ペ ン書 きオ シ ログ ラ フ
偏 位法
79
133
54
分 解能 帯 域 幅
平 均値
算 56
106
複 素 反射 係 数Γ 分圧器
82
51
プ リ ト リガ機 能 プ ロー ブ
リサ ジ ュ ー 図 形
80,98
9
ブ ラ ウ ン管
行
80 60 4,63,80 ー タ
47
Log-Antilog方 MMS
や 誘 導形 電 力 量計
行 32
MS-DOS NTT時
式
73
139 63 報 サ ー ビ ス
61
PC
137
PLL
sパ ラ メ ー タ
110
PT
25 67 ー タ
RS-232-C SCPI
140
本単位
SI単
位系
SI補
助 単位
SWR
VXIバ
2,134
SI基
121
63
VMEバ 48
ス
134
ス シス テム
WAN
4 5
WS
134
4
WINDOWS 4,5
125
63
UNIX
PWM Qメ
TCP/IP
63 137
X-Yプ
ロ ッ タ
105
X-Yレ
コー ダ
103
YIG
113
〈 著者紹介〉
小滝 國 雄 学
歴
東 京 電機 大 学 工 学 研究 科 修 士課 程 修 了(1969年) Ph.D(1983年) 技 術 士(電 気 ・電 子部 門/情 報工 学 部 門)
職
歴 防衛庁海上 自衛隊,技 術研究本部等 海上 自衛隊呉造修所長,横 須賀造修所長 日本無線(株)顧問 防衛大学校理工学研究科講師 中央大学理工学部講師 現 在 東京電機大学講師 小滝技術 士事務所所長
島 田 和 信 学 職
歴 歴
東京 電 機 大学 電 気 工 学 修士 課 程 修 了(1968年) 横 河電 機 製作 測 定 技術 部 横 河 ヒ ュー レ ッ トパ ッカ ー ド(株)計 測 器 部 門 ヒュー レ ッ トパ ッ カー ドオー ス トラ リア教育 開発 部
現
在
(財)日 本 品質 保 証 機 構 (有)ア イキ ュ ーエ ム 代 表取 締 役
理工学講座 電 子 計 測 ―基礎か ら計測 システムまで― 1996年6月20日 2006年9月20日
第1版1刷
発行
第1版3刷
発行
小 滝 國 雄 島 田和 信
著 者
学校法人 東京電機大学
発行所
東京 電機 大学 出版局 代表者 加藤康太郎 〒101-8457 東 京 都 千 代 田 区 神 田 錦 町2-2 振 替 口 座 00160-5-71715 電 話 (03)5280-3433(営 (03)5280‐3422(編
印刷 三美印刷(株) 製本 渡辺製本(株)
〓
Kotaki
Kunio,
Shimada Printed
Kazunobu in
Japan
*無
断 で転 載 す る こ とを禁 じ ます。
*落
丁 ・乱 丁 本 は お 取 替 え い た し ま す 。 ISBN4-501-31830-9
C3055
1996
業) 集)
電気工学図書 理工学講座
基礎 電気 ・電子工学
理工学講座 改訂 交 流 回路
宮 入 庄 太/磯 部 直 吉 監 修 前 田明 志 他 著 A5判 308頁 2色 刷 電 気 ・電子技術 全般 を理 解 でき るよ うに編 集 した。 大 学理 工学 部の基礎課程 のテキス トに最適。2色 刷
宇 野 辛 一/磯 部 直 吉 共著 A5判 318頁
新テキス ト 電 気 回 路Ⅰ
新テキス ト 電 気 回 路Ⅱ
直 流 回路 ・交 流 回 路
四 端子 回 路 ・波形 応 答 ・過 渡 現 象
専 門 教育 研 究 会 編 A5判 198頁
専 門教 育研 究 会 編 A5判 188頁
電気工学 の基礎 理論をやさ しく,正 確に解 説した 「 新 テ キス ト」 シ リー ズの1冊 。 回路理論 の基礎 につい て,身 につ き使 い こなせ るよ うに解説。
電気回路の うち四端子 回路,波 形応答,過 渡現象 を 豊富な例題 によってや さ しく解説 した。短大,高 専, 専修 学校のテキス トに最 適。
理工学講座 電磁 気学
新テキス ト
交流現象の理論的 な解説 と計算法を詳述 した名著 「 交 流回路」を,時 代 の要求に沿っていて親 しみや す く, かっ理解 しやす いよ うに全面的 に見 直 した改訂版。
電磁気学
東 京電 機 大 学 編 A5判 266頁 理工系 大学 の基礎課 程 のための教科 書 として編 集。 講義 と学生の演習 の便宜 を考 えて,豊 富 に例題や演 習問題 を用意 した。
理工学講座 高周波 電磁 気学
専門 教 育研 究 会 編 A5判 224頁 短大,高 専,専 修学校の学生 を対象に,電 磁現象の理 解 に重点 をおいてや さしく,し か も正確に解説 した。
電磁気学の基礎 P.ハ モ ン ド 著 秋 月影 雄 他 訳 A5判 192頁
三輪 進 著 A5判 228頁 電磁気 学を基礎 に,ア ンテナ,電 波伝搬,高 周波回 路等 を理 解す るのに必要 な理論 を簡潔 に解説。
高度な数式演算 に終始 してい る従来 の霞磁気学 を改 め,ベ ク トル を用 いず に物理現象の理解に重点 をお いて解説 した 良書の翻訳 書。
理工学講座 照 明工学 講義 新訂 版
理工学講座 電気機器 要論 磯部 直 吉 著 A5判 370頁
関 重広 著 A5判 210頁 長年読者 か ら愛用 され信頼 を得 てい る前著 を最新 ・ 最良の資料 をと り入 れて全面的に見直 した。
大学における著者の20年 余の電気機器の講義 と研究 から得 た経験 を基に して 執筆 した。 大学専門学科の 教 科書 と して最適 であ る。
*定 価,図 書 目録のお 問い合 わせ ・ご要望 は出版局 までお願 い致 します.
A-54
電気通信工学図書 理工学講座 電気 通信概 論 第2版
理 工学講座 マ イ ク ロ 波 回 路
荒 谷孝 夫 著 A5判 214頁 2色 刷
倉石 源 三 郎 著 A5判 310頁
好評の初版 を全面的に見直 し,特にデー タ通信 ・ISDN について大き く書 き改 めた。2色 刷
初学者に とって難解な数式 による理論展開 を避け,例 題 を解 くこ とによって理論 を学ぶ。
理工学講座 無線機器 システム
理工学講座 画像通信工学
小 滝 國雄/萩 野 芳 造 共著 A5判 362頁
村 上 伸一 著 A5判 210頁
無線機器 システムの全体像 を理解 しやすい よ うに図 を多 く入れ て解 説。
画像 を中心に した最新の各種通信 システムを、 その 構成原理 と主要技術について基礎技術 か ら解説。
ディジタル移動通信方式
スペク トラム拡散 通信
通 信 シ ステ ム ・デ ィ ジタル 通 信 ・ISDN
次 世代 高 性能 通信 に向 けて
山内 雪路 著 A5判 148頁 デ ィジタル化の時代 に備 えた移動 体通信シ ステ ムの 理解のために,デ ィジタル変復調技術 を中心に解説。 さらに,現 状の方 式や 日米欧で予定 され てい るデ ィ ジタル 自動車電話方式 について もふれた。
山内雪 路 著 A5判 168頁 次世代の無線 通信 システムの基幹技術 になるスペ ク トラム拡散通信 について,そ の特徴や原理 をできる だけ平易 に解説。
入門 テ レビ装置1
入門 テ レビ装置2
倉 石 源 三郎/荒 木 庸 夫/近 藤 昭治 共著 A5判 272頁
倉 石源 三 郎/荒 木 庸 夫/近 藤 昭 治 共 著 A5判 200頁
基礎的 な電 子工学の知識で十分理解で きるよ うに多 くの図面 を用 いて解 説 した。
専修学校の教科書,企 業の講習会 のテ キス トとして だけでな く,技 術者 の自学 自習に も最適。
入門 カ ラー テ レ ビ 改訂版 直川 一 也 著 A5判 294頁 カラー受像機 の基 本的な しくみか ら最新のテ レビ(ハ イ ビジ ョン)及 び衛星放送 までを平易に解説 した入 門書。
入 門VTR
横 山幸 太 郎 著 A5判 248頁 VTR技 術 を修得 しよ うとす る人の入 門書 として,基 礎事項 から最新VTRま
でを解 説。
*定 価,図 書 目録 のお問い合わせ ・ご要望 は出版局 までお願い致 します.
C-52
デー タ解 析 ・信号 処理関 連 図書 数理科学セミナー
数 理 科 学 セ ミナ ー ウ ェ ー ブ レ ッ
ト入 門
ウ ェ ー ヴ レッ トビ ギ ナ ー ズ ガ イ ド
チ ャー ル ズK.チ ュ ウイ著 桜 井/新 井 共 訳 A5判 306頁 フー リエ解析の欠点 を補 う強力 な手段 として,ウ ェー ブ レット解析が数学,物 理の基礎研究か ら信号処理, 情報等 の工学的 な応用 まで,あ らゆる分野で話題で ある。 その基 礎的知識 を与 える待 望の入門書。
榊 原 進 著 A5判 242頁
情報科学セ ミナー
数理科学セミナー
応用 を目標 と した ウェーブ レ ッ トの入門的 な解説 を 与 える国内で は数少 ない ウェーブ レッ トの解説書。
ス プラ イ ン関 数 入 門
ウ ォル シ ュ解 析
桜 井 明 編 著 A5判 184頁
遠藤 靖 著 A5判 218頁
任意の点を滑 らかに結ぶ 曲線 を描 くスプライ ン関数 は,デ ー タ解析 や処理,コ ンピュー タグラフ ィック に と幅広い分野 で活 用されてい る。基礎理論や初歩 的な性 質か ら応用 までわか りやす く解説 した。
ウォル シュ解析 は,PCM信 号等 の離散デー タの解 析 に最適 であ り,過 渡的 ・衝撃的現象や脳波等 の解 析 にも応用 されている。 このデ ジタル 時代 にふ さわ しい ウォル シュ解析 の基礎理論 を解説 した。
ビギナーズ デ ジタル 信号処 理 中村 尚五 著 A5判 192頁
情 報 科 学 セ ミナ ー マ ル チ ス プ ラ イ ン
デ ジタル信号処理 を入門者に も分 かるよ うにていね いに解説 した シ リー ズ三部作の第 一弾。デ ジタル信 号処理の基本概念 について,信 号 を時間の世 界で処 理す ることを中心 に,て いねい に解説 した。
チ ャー ル ズK.チ ュ ウイ 著 桜 井/新 井 共訳 A5判 210頁 80年 代以降,多 変数スプ ライン(マ ルチ スプ ライン) の研 究が本 格化 し,め ざま しい発展 を とげ大きな分 野となった。高次元 のデー タ処理や3次 元CAD等 の 応用 に向けて,最 新の理論 を解説 した。
ビギナーズ
ビギナーズ
デ ジ タ ル フー リエ 変 換
デ ジ タル フ ィル タ
中村 尚 五 著 A5判 200頁 フー リエ変換 を用い,周 波数 の世 界における信号処 理 を取 り上 げる。DFT,FFTの 原理 を詳 しく説明 し た後,FFTの 応用例 を解説 した。特に数式の展開は 工科系の学生 にも理解 できるよ うにていねいにした。
中村 尚五 著 A5判 192頁 デジタル フィル タの原理 を理解 し,読 者が必要に応 じて開発 でき ることを目標 に した。 具体的なシ ステ ムを応用例にあ げ,ソ フ トウェア とハー ドウェア を 含め解説 した。
ユーザーズ
プラ クテ ィス
デ ィ ジ タル 信 号 処 理
デ ジ タ ル 信 号 処 理
江原 義 郎 著 AB判 208頁 これか らデ ィジタル信号 処理を学ぼ うとす る者,あ るいは現在,特 に この分野の知識 な しに信 号の処理 を行 っている信 号処理 システ ムのユーザー やエ ンジ ニア を対象 とした入 門書 である。
イブ ・トー マ ス/中 村 尚五 著 A5判 216頁 基本 とな って いる例題 を繰 り返 し演習す ることによ り,効率 よくデジタル信 号処理を学べるよ うに編集。 大学の演習のみ な らず,関 係 技術に携わ るエ ンジニ アや 基礎知識のあ る人向 けの入門書で ある。
*定 価,図 書 目録 のお 問い合わせ ・ご要望は出版 局までお願い致 します.
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