4 応用化学 シリーズ
化学工学の基礎 柘植秀樹 上ノ山周 佐藤正之 国眼孝雄 佐藤智司 …
…[著]
朝倉書店
応用 化 学 シ リーズ代 表 佐 々 木 義 典 千葉大学名誉教授
第4巻 執 筆者
柘 植
秀
樹...
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4 応用化学 シリーズ
化学工学の基礎 柘植秀樹 上ノ山周 佐藤正之 国眼孝雄 佐藤智司 …
…[著]
朝倉書店
応用 化 学 シ リーズ代 表 佐 々 木 義 典 千葉大学名誉教授
第4巻 執 筆者
柘 植
秀
樹 慶應 義塾大学名誉教授
上 ノ 山
国立大学大学 院工学研究院機能の 周 横浜 創生部 門教授
佐 藤
馬大学大学院工学研究科環境 プロセ 之 群 ス工学 専攻教授
正
国
眼 孝 雄 東京農工 大学工学部応用化学科教授
佐
藤
智
千葉大学 大学院工学研究科共生応用化
司 学専攻教授
『応 用 化 学 シ リ ー ズ 』 発 刊 に あ た って
こ の 応 用 化 学 シ リー ズ は,大
学 理 工 系 学 部2年
・3年 次 学 生 を対 象 に,
専 門 課 程 の 教 科 書 ・参 考 書 と し て 企 画 さ れ た. 教 育 改 革 の 大 綱 化 を受 け,大 学 の 学 科 再 編 成 が 全 国 規 模 で 行 わ れ て い る. 大 学 独 自の 方 針 に よ っ て,応 れ ば,応
用 化 学 科 と,た
用 化 学 科 を そ の ま ま 存 続 させ て い る大 学 もあ
とえ ば 応 用 物 理 系 学 科 を合 併 し,新
し く物 質 工 学
科 と し て 発 足 させ た 大 学 もあ る.応 用 化 学 と応 用 物 理 を 融 合 させ 境 界 領 域 を究 明 す る効 果 を ね ら っ た もの で,こ
れ か らの理工 系の 流れ を象徴 す る も
の の よ うで もあ る.し か し,応 用 化 学 と い う分 野 は,学 科 の 名 称 が ど の よ うに 変 わ ろ う と も,そ の 重 要 性 は 変 わ ら な い の で あ る.そ れ ど こ ろ か,新 しい 特 性 を も っ た化 合 物 や 材 料 が 創 製 さ れ,ま
す ま す 期 待 さ れ る分 野 に な
りつ つ あ る. 学 生 諸 君 は,そ
れ ぞれ の 専 攻 す る分 野 を 究 め る た め に,そ
の土 台で あ る
学 問 の 本 質 と,こ れ を 基 盤 に 開 発 さ れ た 技 術 な ら び に そ の 背 景 を理 解 す る こ とが 肝 要 で あ る.目
ま ぐる し く変 遷 す る 時 代 で は あ る が,ど
の よ う な場
合 で も最 善 を つ く し,可 能 な 限 り専 門 を確 か な も の と し,そ の 上 に理 工 学 的 セ ン ス を 身 に つ け る こ とが 大 切 で あ る. 本 シ リー ズ は,こ
の よ う な 理 念 に 立 脚 して 編 纂,ま
執 筆 者 は教 育 経 験 が 豊 富 で,か
とめ られ た.各
巻の
つ 研 究 者 と し て 第 一 線 で活 躍 して お られ る
専 門 家 で あ る.高 度 な 内 容 を わ か りや す く解 説 し,系 統 的 に把 握 で き る よ う に 幾 度 と な く討 論 を重 ね,こ
こ に 刊 行 す る に 至 っ た.
本 シ リー ズが 専 門 課 程 修 得 の 役 割 を 果 た し,学 生 一 人 ひ と りが 志 を高 く も っ て 進 まれ る こ と を希 望 す る もの で あ る. 本 シ リー ズ刊 行 に 際 し,朝 倉 書 店 編 集 部 の ご 尽 力 に 謝 意 を表 す る 次 第 で あ る. 2000年9月 シ リー ズ代 表 佐 々 木 義 典
は じ め に
わ れ わ れ が文 明社 会 の 中 で持 続 的 に快 適 な生 活 を して い くた め に は,こ れ まで 築 き上 げ て き た生 活 や 産 業 に関 係 す る技術 を,環 境 や 資 源 の 厳 し い条 件 の下 で さ らに 向 上 させ,世
界 に 貢 献 す る必 要 が あ る.
化 学 工 学(ケ ミカ ル エ ン ジニ ア リン グ)は 化 学 系 企 業 や 化 学 製 品 を素 材 と して 扱 う企 業 の エ ン ジ ニ ア と して の プ ロ に な るた め に は,必 ず 習得 して お か な け れ ば な らな い必 須 科 目で あ る.米 英 に お い て は 化 学 系 の 学 生 は工 学 部 の ケ ミカ ル エ ン ジ ニ ア か 理 学 部 の ケ ミス トか の2領 域 に大 別 され て い る.日 本 で は 化 学 系 学 科 が 設 立 され た時 の 歴 史 的 経 緯 か ら応 用 化 学 系 の 教 育 が ウエ イ トを 占め て い るが,こ れ か らは 応 用 化 学 系 の 学 生 も き ち ん と化 学工 学 を履 修 し,そ の 基礎 を習 得 して い る こ とが 要 求 され る. 本 書 は 応 用 化 学 シ リー ズ全8巻 学 系 の 大 学2,3年
中 の1冊 で,応 用 化 学 系,工 業 化 学 系,物 質 化
生 を対 象 に 化 学 工 学 の 基 礎 を 身 につ け て ほ しい と思 い編 纂 さ
れ て い る.化 学 工 学 は そ の カバ ー す る領 域 が 近 年 急 速 に 拡 大 して い るが,化 学 工 学 の 基 本 とな る,化 学 工 学 量 論,流 動,伝 を加 え て,な
熱,分 離 操 作,反
応 工 学 に つ い て例 題
るべ くわ か りや す くを モ ッ トー に 編 集 され て い る.ま た,演 習 問 題
を解 くこ とに よ って,確 実 に 実 力 が 身 につ くよ うに考 え られ て い る.第1章 植,第2章
は 上 ノ 山,第3章
は 佐 藤(正),第4章
は 国 眼,第5章
は柘
は 佐 藤(智)が
担 当 した.各 章 を 通 して 基 本 的 な統 一 を 図 る よ う 多少 の調 整 を した が,む
しろ担
当 執 筆 者 の個 性 を消 さ な い よ うに し た. 本 書 を執 筆 す るに あ た っ て は 千 葉 大 学 名 誉 教 授 の 野 崎 文 男 先 生,朝 倉 書 店 編 集 部 の 方 々 に 大 変 お世 話 に な っ た.こ
こ に,感 謝 の 意 を表 す る次 第 で あ る.
2000年9月 執筆 者 を代 表 して 柘 植 秀 樹
目
次
1. 化 学 工 学 の 基 礎
1
1.1 化 学 工 学 の 魅 力
1
1.2 化 学 工 学 計 算 の 基 礎 1.2.1
単
位
1.2.2
次 元 と次 元 解 析
3
4
1.3 物 質 収 支 お よ び エ ネ ル ギ ー 収 支 存
3
6
1.3.1
保
則
6
1.3.2
物 質 収 支
7
1.3.3
エ ネ ル ギー 収 支
1.4 気 体 の 状 態 方 程 式 1.4.1
理想気体 法則
1.4.2
実在気体 の状態式
15 22 22
22
1.5 相 平 衡 と単 位 操 作
25
1.5.1
純物質 の蒸気圧
26
1.5.2
理想 溶液の法則
26
1.5.3
平 衡 関 係 と物 質 収 支
30
2. 流 体
と 流 動
2.1 流 れ の 基 礎 項 目
35 35
2.1.1
さ ま ざ ま な 流体 と粘 度
2.12
レ イ ノ ル ズ数 と流 動 状 態
2.1.3
流 線 と流 管
40
2.1.4
基礎 方程 式
41
2.1.5
エ ネ ル ギ ー の保 存 則
2.2 円 管 内 の 流 れ 2.2.1
管 内 層 流
35 37
42 46 46
2.2.2
管 内 乱 流
47
2.2.3
管 摩 擦 係 数 と流 体 輸 送
50
2.2.4
粗 面 管 の 場 合 の 流 速 分 布 と管摩 擦 係 数
52
2.2.5
直管部 以外 での圧力損失
53
2.3 物 体 ま わ りの 流 れ 2.3.1
境界層 内の流 れ
2.3.2
流 体 中 の 物体 に 作 用 す る力
2.3.3
円柱背後 の流 れ
2.4 流 動 状 態 の 計 測
56 56
59
61
62
2.4.1
流
速
計
62
2.4.2
流
量
計
66
2.5 流 れ の 可 視 化
69
2.5.1 実 験 的 可 視 化 手 法
69
2.5.2
71
数 値 シ ミュ レー シ ョン
3. 熱 移 動(伝
熱)
77
3.1 は じ め に 3.1.1
77
伝 熱 機 構 の 概 要 と事 例
3.2 伝 導 伝 熱
77 79
3.2.1
伝導伝熱 の基本 式
3.2.2
無限平板 の定常伝 熱
3.2.3
中空 円筒 半 径 方 向 の 定 常 伝 熱
83
3.2.4
中 空 球 半 径 方 向 の定 常 伝 熱
84
3.2.5
非定常熱移動 の考 え方
84
3.3 対 流 伝 熱
79
80
86
3.3.1
ニ ュ ー トン の 冷 却 の 法 則
3.3.2
強制 対 流 伝 熱
86
3.3.3
自然 対 流 伝 熱
90
3.3.4
水 平 平 板
91
3.3.5
対 流 と伝 熱 の 組 合 せ
3.4 放 射 伝 熱
86
92 93
3.4.1
完 全 黒 体 と灰 色 体
3.4.2
電 磁 波 の 波 長 と放 射
3.4.3
放
3.4.4
固 体 表 面 の 形 状 と形 態 係 数
射
93 94
率
95
3.5 そ の 他 の 伝 熱
96
100
3.5.1 沸 騰 伝 熱
100
3.5.2 凝 縮 伝 熱
101
3.6 熱 交 換 器
101
3.6.1
総 括 熱 伝 達 係 数 の定 義
3.6.2
熱交換器 の種類
102
3.6.3
対数平均 温度差
102
3.7 温 度 測 定 方 法
4. 物
質
分
102
104
離
112
4.1 分 離 技 術 序 論
112
4.1.1
分 離 の 原 理 と分 離 技 術
4.1.2
分 離 装 置 と分 離 係 数
113
4.1.3
分 離 に 要 す るエ ネ ル ギー
115
4.2 平 衡 法 に よ る 分 離 技 術 4.2.1
蒸
留
4.2.2
ガ ス 吸 収
112
116 116 127
4.3 速 度 差 分 離 技 術 ― 膜 分 離 法
138
4.3.1
膜分離技術
4.3.2
濃 度 分 極 と物 質 移 動 係 数
4.3.3
阻
4.3.4
限 界 流 束 と溶 質 排 除
4.3.5
浸
4.3.6
膜 分 離 の透 過 モ デ ル
146
4.3.7
膜 の 構 造,素
147
4.3.8
膜 に よ る ガ ス混 合 物 の 分 離
止
透
139
率
140 143
圧
144 145
材 とモ ジ ュー ル
148
5. 反
応
工
学
154
5.1 均 一 系 反 応 に お け る 反 応 速 度 論
154
5.1.1
反 応 速 度
5.1.2
反応速度 式
5.1.3
反応速度定数 の温度依存性
5.1.4
反 応 器 の種 類 と反 応 流 体 の 流 れ 形 式
157
5.1.5
微 分 法 に よ る反 応 速 度 解 析
158
5.1.6
積 分 法 に よ る反 応 速 度 解 析
162
5.1.7
複 合 反 応 の反 応速 度解 析
5.1.8
連 続 流 通 式 反 応 器 に 関 連 す る諸 量
5.2 不 均 一 系 反 応 に お け る 反 応 速 度 論
154
155
156
168 170 171
5.2.1
不均一 系反応
171
5.2.2
気相接 触反応
5.2.3
ガ ス境 膜 内物 質 移 動 抵 抗
5.2.4
吸 着 平 衡
175
5.2.5
吸 着 速 度
177
5.2.6
ラ ン グ ミュ ア-ヒ ン シ ェ ル ウ ッ ド型 触 媒 反 応 速 度 式
178
5.2.7
反応速度 式の積分形
172 174
180
5.2.8
固 体 細 孔 内 拡 散 と触 媒 有 効 係 数
181
5.2.9
気 固系 反 応
183
5.3 反 応 装 置 ・反 応 操 作 設 計 の 基 本 事 項
187
参 考 文 献
192
演 習 問題 解 答
194
付
表
199
索
引
203
1 化学工学の基礎
本 章 で は化 学 工 学 の 基 礎 とな る物 質 収 支 お よび エ ネ ル ギー 収 支 な どの化 学 工 学 量 論 な ら び に相 平 衡 論 につ い て勉 強 して み よ う.
1.1 化 学 工 学 の 魅 力
化 学 工 学(ケ ミカ ル エ ン ジ ニ ア リン グchemical
図1.1
engineering)っ
石 油 精 製 プ ロセ ス(「高純 度 化 技 術 大 系 」(第3巻),p.859,フ
て 何!「 高 校
ジ テ ク ノ シス テ ム,1997).
で 習 わ なか っ た よ な」 と思 う方 が 多 い だ ろ う.し か し,高 校 の 教 科 書 に は 出 て こ な い が,化 学 工 学 は石 油 化 学 を は じめ と して,あ
ら ゆ る化 学 工 業 の発 展 の 基 礎 と
な った 工 学 だ.実 験 室 で の ビー カー を使 っ た実 験 か ら工 業 規模 の化 学 装 置 を設 計 す る場合 に は化 学 工 学 を 身 に つ け て い な い と,化 学 技 術 者 と して,世
界的に認め
て も らえ な い. 図1.1は
石 油 か ら生 産 され る化 学 物 質 の 流 れ 図 とプ ロセ ス を示 し た もの で,ナ
フサ の うち,特
に 沸 点 が30∼100℃
の軽 質ナ フサ の大部 分 は石 油化 学 プ ロセス
を経 て,身 の ま わ りの 家 電 製 品,自 動 車,プ
ラ ス チ ッ ク容 器 な どの 原 料 とな っ て
い る.図1.2に
は こ の石 油 精 製 プ ロ セ ス の 心 臓 部 で あ る常 圧 蒸 留 塔 の 概 略 図 を示
した.図1.3に
は その 写 真 を示 した が,精 製 プ ロセ ス の な か で もひ と きわ 大 き い
こ とが わ か る. さ らに,機 能 性 材 料,バ
イ オ テ ク ノ ロ ジー,メ
デ ィ カ ル テ ク ノ ロ ジ ー な どの 先
端 技 術 な ら び に地 球 環 境 問題 も,物 質 とエ ネ ル ギ ー の 有 効 利 用 を 目指 した 化 学工 学 的 な見 方 か らの解 決 が 待 ち望 まれ て い る.皆 さ ん が こ う した化 学 工 学 に興 味 を 持 ち,本 書 をマ ス タ ー し,さ らに上 級 コー スへ の 道 を進 まれ る こ と を期 待 して い る.
図1.2
常圧 蒸留塔の概略図
(提供:日
石 三 菱 株 式 会 社)
図1.3 常 圧 蒸 留 塔(右)と (提 供:日
減 圧 蒸 留 塔(左)
石 三 菱 株 式 会 社)
技術者資格試験 ア メ リ カ で はProfessional
Engineerと
い う技 術 者 資 格 の 制 度 が あ る.通 常 の 場
合 は 認 定 を受 け た 大 学 の コー ス を修 了 し た ら,ま
ずFundamental
の 試 験 を 受 け る.合 格 し た ら企 業 な どの 技 術 者 と し て4年 fessional Engineer
(PE)試
Engineer
(FE)
以 上 の 経 験 を積 み,Pro
験 を受 け,合 格 す れ ば 州 政 府 に 登 録 し,正 式 のPEと
な
り,名 刺 に も肩 書 き と し て 書 く こ とが で き る.社 会 的 に も責 任 あ る 技 術 者 で あ る こ とが 認 め ら れ,尊 さ て,こ 午 後4時
敬 さ れ る.
のFE試
験(1996年)の
内容 を 見 て み よ う.午
前 中4時
間 の 共 通 問 題,
間 の 専 門 問 題 が 試 験 さ れ る.化 学 に 関 係 し た 部 分 を 見 て み よ う.
◆ 共 通 問 題(120題) 120題 の 内 訳 は 以 下 の 通 り. 化 学 …9%,計 算 機 …5%,力 学 …8%,電 …4% ,流 体 力 学 …7%,材 料 科 学 …7%,数 …10% ,熱 力 学 …9% 計100%
気 回 路 …10%,経 学 …20%,材
済 …4%,倫
料 力 学 …7%,静
理 力学
化 学 に 関 連 し た部 分 の 内 容 は 以 下 の よ うに な る. 化 学:酸
塩 基,平
酸 化 ・還 元,周 材 料 科 学:原
気 化 学,無
期 律 表,物
子 構 造,結
熱 力 学:第1法 理 想 気 体,混
衡,式,電
質 の状 態,溶 液,量
晶,腐
則,第2法 合 気 体,相
◆ 専 門 問 題(60題)(ジ
食,拡
則,有 変 化,エ
ャ ン ル:化
物 質 ・エ ネ ル ギー 収 支 …15%,輸 化 学 熱 力 学 …10%,反
機 化 学,動
散,材
力 学,金
相 図,物 イ ク ル,エ
ン タ ル ピー,エ
質 移 動(10%),反
内容 を き っ ち り勉 強 し て,将
熱 …10%,物
ロ セ ス 制 御 …5%,プ
水 の4℃
単
由エ ネル ギー
質 移 動 …10%, ロ セ ス 設 計 ・経 済 評
ロ セ ス の 安 全 性 …5%,計
応 工 学(10%)と
算 機 ・数 値 解 析
送 現 象(10%),伝
熱
な り,午 後 の 化 学 の 専 門 問 題 の
う し た 資 格 制 度 の 導 入 が 検 討 さ れ て い る.本 書 の
来 に備 え よ う.
1.2
1.2.1
造 法 と試験
ネ ル ギー ・熱 ・仕 事,
ン トロ ピー,自
送 現 象 …10%,伝
応 工 学 …10%,プ
度 と な る.日 本 で も,こ
性,製
学)
本 書 と 関 連 し た 部 分 は 物 質 ・エ ネ ル ギ ー 収 支(15%),輸
50%程
機 化 学,
論 関係
料,二
効 度-可 逆 性,サ
価 …10%,プ ロ セ ス 装 置 設 計 …5%,プ …5% ,汚 染 防 止 …5% 計100%
(10%),物
属 ・ 非 金 属,有
化 学 工 学 計 算 の基 礎
位 で の 密 度 は1.00g
の 積 で 表 さ れ る.単
位 をkg
cm−3で
あ る が,密
度 の よ う な物 理 量 は数 値 と単位
m−3に 変 え る と 数 値 も1000と
変 わ る.し
た が っ て,
単 位 を統 一 し て計 算 す る必 要 が あ る.現 在 世 界 的 に普 及 して い る の は 国 際 単 位 系 (SI unit)で,表
の よ うな 基 本 単 位 と組 立 単 位 か らで きて い る.本 書 で はSI単
位
系 を主 と して 用 い て い る.
こ の ほ か に 長 さ,質
量,時
間,温
の 代 わ り に 力(重 量)を 用 い た4つ
度 の4つ
の 基 本 量 か ら な る絶 対 単 位 系,質
の 基 本 量 か ら な る 重 力 単 位 系,さ
量
らに質量 も
力 も 基 本 量 と し た 工 学 単 位 系 も 用 い ら れ て い る. 【例 題1.1】 5000mの
有 用 な鉱 物 資 源 を豊 富 に 含 む マ ン ガ ン 団塊 が あ る と い わ れ る海 底
絶 対 圧Pt[kPa]を
求 め よ.た
だ し,海
水 の 密 度 ρ は1.01×103kg
m−3
と す る. 解. 圧 力Pは 9.81m kg
単 位 面 積 に 働 く力 で,液
柱 の 高 さ(液 高)h,重
s−2)と す る とP=hρg=(5000m)(1.01×103kg
m−1 s−2=4.95×107N
m−3)(9.81m
力 加 速 度g(= s−2)=4.95×107
m−2=4.95×107Pa=49.5MPa
大 気 圧P0=1atm=0.1013MPa. し た が っ て,海
底 の 絶 対 圧(全
圧)Pt=P+P0=49.5+0.1013=49.6MPa
こ う し た 計 算 を す る 際 に は 桁 数 に も 注 意 が 必 要 で あ る.例 に 使 用 さ れ る塩 ビ 管 の 直 径 を100cm(=1m)と
え ば,水
す る の と1cmと
道水 の 供 給
す るの で は パ イ
プ の 値 段 や パ イ プ を 地 下 に 埋 め る 工 事 費 を考 え る と大 き な 違 い が で て く る.
1.2.2
次 元 と次 元 解 析
長 さ(length),質
量(mass),時
間(time)の
基 本 量 の 次 元(dimension)をL,
M,Tで な.チ
表 す と,密
度 の 次 元 はML−3,圧
力 の 次 元 はML−1T−2と
な る(本 当 か
ェ ッ ク し て み よ う).
複 雑 な 現 象 を 理 論 式 で 解 く こ と が で き な い と き に は,次 analysis)を
元 解 析(dimensional
用 い 次 元 的 に 統 一 さ れ た 実 験 式 で 整 理 す る こ と が 多 い.例
式 の 左 辺 が 速 度 の 次 元(=LT−1)の
と き は 右 辺 も速 度 の 次 元 の 項 で な け れ ば な ら
な い.こ
の 式 の 両 辺 を 速 度 の 次 元 で 割 る と 次 元 の な い 無 次 元 数(項)と
れ を1つ
の 変 数 と し て 扱 え る.代
を 示 す レ イ ノ ル ズ 数(Reynolds L),uは
あ る.Reが
【 例 題1.2
な り,こ
表 的 な無 次 元数 と して管 内 を流 れ る 流体 の 状 態 number)
流 体 の 速 度(=LT−1),ρ
ML−1T−1)で
えば実 験
Re=Duρ/μ
が あ る.Dは
は 流 体 の 密 度(=ML−3),μ
管 の 直 径(=
は 流 体 の 粘 度(=
無 次 元 数 で あ る こ と を 確 認 し よ う.
次 元 解 析 】 液 体 の 表 面 張 力 を測 定 す る 方 法 に 次 の 液 滴 法 が あ る.
① 静 止 空 気 中 に,ノ の 体 積Vは,ノ
ズ ル か ら ゆ っ く り と 液 滴 を 生 成 させ た と き に で き る 液 滴
ズ ル の 直 径d,液
数 で あ る と し て,次
の 密 度 ρ,表 面 張 力 σ,重 力 加 速 度gの
関
元 解 析 を行 え.
② い ろ い ろ な 系 で 実 験 を 行 い,次
の 相 関 式 を 得 た. (A)
い ま,d=5.0mmの 0.0280cm3で
ノ ズ ル を 用 い,液 あ っ た.液
滴 の 体 積 を 測 定 し た と こ ろ,1滴
体 の 密 度 が800kg
m−3で
あ る と き,そ
が
の 表 面 張 力 σ
[N m−1]を 求 め よ. 解. 次 元 解 析 の 原 理 は 「m個 は,n−m個 am)の ①
の 基 本 単 位 を 用 い て 表 せ るn個
の 物 理 量 の 関係
の 無 次 元 数 の 関 数 と し て 表 せ る 」 と い う バ ッ キ ン ガ ム(Buckingh
Π(パ イ)定 理 で 示 さ れ る. V=daρbσcge
液 滴 体 積Vが
(a)
物 理 量 の べ き 乗 の 積 で 表 せ る と す る.式(a)を
次 元M,L,Tを
用 い 書 き 直 す. (b) 両 辺 の 次 元 が 等 し く な る 必 要 が あ る か ら,次
の 関 係 がM,L,Tに
つ い て満 足 さ
れ て い な け れ ば な ら な い. M:0=b+c
(c-1)
L:3=a−3b+e
(c-2)
T:0=−2c−2e
(c-3)
基 本 単 位 数 が3で
物 理 量 が5個
だ か ら 無 次 元 数 は5−3=2個
と な る .a,b,cを
eで 表 す と, a=3+2e
(d-1)
b=e
(d-2)
c=−e
(d-3)
と な る.こ
れ を 式(a)に
代 入 し,整
理 す る と
(e)
し たが っ て2つ
の 無 次 元 数 で整 理 で き る こ とが わ か る.一 般 的 に は 両 者 が 関数 関
係 に あ る と し て次 の よ うに 書 く. (f)
実 験 式 と して は (g) と し て,実
験 的 にd,ρ,σ,gを
変 え,液
滴 体 積Vを
測 定 し て ,係
数aと
指 数b
を 決 定 す る こ と に な る. ② こ こ で は 実 験 相 関 式 と し てa=16.4,b=−1.02と (A)にSI単
位 系 に 統 一 し た 数 値 を 代 入 す る.す
0.028×10−6m3,ρ=800kg こ れ よ り σ=0.225N
m−3で あ る . m−1と 求 ま る.
1.3
1.3.1
保
存
得 ら れ て い る の で,式 な わ ち,d=5.0×10−3m,V=
物 質 収 支 お よび エ ネ ル ギ ー 収 支
則
質 量 保 存 則 お よ び エ ネ ル ギ ー 保 存 則(=熱
力 学 第1法
則)を
あ る閉 じ た系 につ
い て考 え る と
系 内の蓄積量=
系 へ の 入 量−
系 か らの 出 量 +
−系内 での消 費量
系 内での生成量
(1.1)
系 内 で の 生 成 や 消 費 が な け れ ば,式(1.1)は
系 内の蓄積 量=
系 へ の 入 量−
簡 単 に 式(1.2)と
な る.
(1.2)
系 か らの 出 量
装 置 内 の 挙 動 が 時 間 的 に変 化 しな い 状 態 を定 常 状 態(steady の 場 合 は 系 内 の蓄 積 量 は0な 系 へ の 入 量=
state)と い う.こ
の で,式(1.2)は
(1.3)
系 か らの 出量
と な る.
1.3.2
物
質
収
支
物 質 収 支 は 質 量 保 存 則 の こ と で,英 Balanceと
い わ れ る.化
語 で はMaterial
Balanceあ
る い はMass
学 反 応 を 伴 わ な い 物 理 プ ロ セ ス と 化 学 反 応 を 伴 う化 学
プ ロ セ ス に つ い て 例 を あ げ て 説 明 し よ う. a. 物 理 プ ロ セ ス n個
の 成 分 が プ ロ セ ス に 関 係 す る 場 合 は,各
成 分 に つ い て のn個
式 と1個
の 物 質 全 量 に つ い て の 収 支 式 が か け る が,数
あ る.以
下 の 例 題 で そ の 応 用 方 法 を 見 て み よ う.
【 例 題1.3
蒸 発 操 作 】 10wt%の
連 続 的 に 蒸 発 さ せ,40wt%の h−1]を 得 た.フ 解. W[kg
濃 縮 シ ョ糖 水 溶 液L[kg 示 す.お
こ の プ ロ セ ス は 水 と シ ョ糖 の2成 h−1],シ
[wt%]と
ョ 糖 の 組 成 をa[wt%],ま
h−1]と 水 蒸 気V[kg
の お の の 流 量LとVを
分 系 で あ る.原
と シ ョ糖)に
求 め よ.
料 シ ョ糖 水 溶 液 流 量 を
た 濃 縮 シ ョ糖 水 溶 液 の 組 成 をb
つ い て の物 質 収 支 よ り
W=L+V
(a)
ョ糖)に つ い て の 物 質 収 支 よ り (b)
図1.4
で
h−1を 減 圧 蒸 発 缶 で
す る.
全 量(水
溶 質(シ
学 的 に 独 立 な 式 はn個
シ ョ糖 水 溶 液1000kg
ロ ー シ ー ト を 図1.4に
の物 質収 支
蒸発プ ロセス
これ よ り
V=W−L=1000−250=750kg
【 例 題1.4 にa[wt%]の
h−1
混合操 作】 あ る水 路 中 を 流 れ る 水 の 流 量W[kg 食 塩(ト
レ ー サ ー)水
溶 液 を 流 量T[kg
流 の 地 点 で 水 中 の 食 塩 濃 度 を 測 定 し た らb[wt%]で
図1.5
① 水 の 流 量Wを
h−1]を 知 る た め
h−1]で 注 入 し,十
分 に下
あ っ た(図1.5).
混合 プロセス
求 め る 式 を 導 け.
② a=10wt%,b=0.1wt%,T=50kg
h−1の と き,水
の 流 量W[kg
h−1]
を 求 め よ. 解. 下 流 で の ト レ ー サ ー を含 む 水 の 流 量 をM[kg
h−1]と す る.
全 量 につ い て の 物 質 収 支 よ り W+T=M
(a)
トレー サ ー に つ い て の物 質 収 支 よ り (b) これ よ り
(c)
② を解 くた め に 与 え られ た 数 値 を式(c)に 代 入 す る.
【 例 題1.5
蒸 留 操 作 】 ベ ン ゼ ン(標 準 沸 点80.1℃)-ト
2成 分 系 混 合 溶 液 を 蒸 留 操 作 で 分 離 す る.混 モ ル 分 率xで F[mol
表 す.図1.6に
示 す よ う に,低
h−1]で 蒸 留 塔 に 送 り,蒸
h−1]で,ま
た 塔 底 よ り組 成xWな
ル エ ン(標 準 沸 点110.6℃)
合 液 の 組 成 は低 沸 点 成 分 ベ ンゼ ンの 沸 点 成 分 の 組 成xFな
留 塔 の 塔 頂 よ り組 成xDな る 缶 出 液 をW[mol
る 原料 を流 量
る 留 出 液 をD[mol
h−1]で 得 た.
図1.6
① DとWを
蒸 留 プ ロセ ス
求 め る 式 を 導 け.
② xF=0.60,xD=0.95,xW=0.05,F=100mol
h−1で あ る と きDとWを
求 め よ. 解. ① 全 量 に つ い て の 物 質 収 支 よ り F=D+W
(a)
低 沸 点 成 分 につ い て の 物 質 収 支 よ り FxF=DxD+WxW
(b)
これ よ り (c)
(d)
② 与 え られ た数 値 を 式(c)と(a)に
代 入 す る.
W=F−D=100−61.1=38.9mol
【 例 題1.6 液 を 第1精
2本 の 連 続 精 留 塔 を 用 い た 蒸 留 操 作 】 50mol%の
留 塔 に100kmol
液 を40kmol
h−1で 供 給 し,塔
h−1で 留 出 さ せ た.塔
れ て く る30mol%メ さ れ る.第2塔
h−1
頂 よ り80mol%の
底 缶 出 液 は,別
メ タ ノー ル 水 溶
系 統 か ら30kmol
タ ノ ー ル 水 溶 液 と 混 合 さ れ,第2精 で は 塔 頂 よ り60mol%の
メ タ ノー ル 水 溶
留 塔 へ 原 料 と し て供 給
メ タ ノー ル 水 溶 液 を30kmol
出 さ せ る.以
下 の 量 を 求 め よ.
① 第1精
留 塔 の 缶 出 液 の 流 量[kmol
② 第2精
留 塔 に 供 給 さ れ る 混 合 原 料 の 流 量[kmol
h−1で 送 ら
h−1で 留
h−1]と メ タ ノ ー ル 組 成[mol%] h−1]と メ タ ノ ー ル 組 成
図1.7
2本 の連 続 精 留塔 に よ る蒸 留 プ ロ セ ス
[mol%] ③ 第2精
留 塔 の 缶 出 液 の 流 量[kmol
解. 図1.7の 成 分 系 溶 液 で,メ 分 率]を
よ う に 記 号 を 決 め る.メ
に 添 字1と2を
で の 全 物 質 収 支 よ り,第1塔 W1=F1−D1=100−40=60kmol
第1塔
の 塔 底 缶 出 液 量W1は h−1 底 缶 出 液 組 成xW1は
の 原 料 流 量F2は F2=W1+F2′=60+30=90kmol
ま た,xW1,xF2′ ③ 第2塔
メ タ ノー ル 組 成[mol
つ け る.
で の メ タ ノ ー ル の 物 質 収 支 よ り,第1塔
② 第2塔
と も に30mol%な
で の 全 物 質 収 支 よ り,第2塔 W2=F2−D2=90−30=60kmol
第2塔
タ ノ ー ル 水 溶 液 は メ タ ノ ー ル と水 の2
タ ノー ル が 低 沸 点 成 分 で あ る の で,xは
表 し,第1塔,第2塔
第1塔
h−1]と メ タ ノー ル 組 成[mol%]
h−1 の で,原
料 組 成 はxF2=0.30.
の 塔 底 缶 出 液 量W2は h−1
で の メ タ ノー ル の 物 質 収 支 よ り,第2塔
底 缶 出 液 組 成xW2は
b. 化 学 プ ロセ ス 化 学 反 応 を伴 うプ ロ セ ス で は,物 質 全 量 に つ い て の 物 質 収 支 が1個,化 に 関 与 し な い 元 素 か ら な る成 分 の物 質 収 支 がm個,化
学反応
学 反応に関与 す る元素か
ら な る 成 分 の 物 質 収 支 がn個 で あ る.以
書 け る が,こ
の う ち 独 立 な 物 質 収 支 式 はm+n個
下 の 例 題 で そ の 応 用 方 法 を 見 て み よ う.
【 例 題1.7
燃 焼 反 応 】 エ タ ン(C2H6)100kmol
焼 器 に よ り燃 焼 さ せ た と こ ろ,エ が 反 応(A)でCO2を,ま
h−1を50%の
タ ン の 全 量 が 燃 焼 し,燃
た20%が
反 応(B)でCOを
焼 し た エ タ ン の80%
生 成 し た.こ
り基 準 で 燃 焼 器 出 口 ガ ス 中 の 各 成 分 の 組 成[mol%]を
の と き,湿
求 め よ.
C2H6+7O2/2→2CO2+3H2O
(A)
C2H6+5O2/2→2CO+3H2O
(B)
た だ し,過
剰 空 気 率 の 定 義 は 式(C)で
過 剰 空 気 率(%)=[供 解. 式(C)の
与 え ら れ る.
給 空 気 量 −理 論 空 気 量]×
理 論 空 気 量 と は,供
100/
(C)
理論 空気量
給 さ れ た す べ て のC,Hを
C+O2→CO2
(a)
H2+O2/2→H2O
(b)
の 反 応 に よ りCO2,H2Oに
す る の に 必 要 な 空 気 量 を 示 す.
計 算 基 準 を 問 題 に 示 さ れ て い る エ タ ン100kmol 反 応(A)に
よ り,エ
×(7/2)=350kmol
タ ン100kmol
h−1の 理 論O2が
h−1と す る.
h−1を 空 気 中 のO2で
完 全 燃 焼 す る に は100
必 要 と な る.
燃 焼 反 応 で は 空 気 はN2:79mol%とO2:21mol%の 理 論 空 気 量 は350×(100/21)=1667kmol 過 剰 空 気 率 が50%で kmol
過剰 空気率 で燃
混 合 物 と 考 え る か ら,
h−1と な る.
あ る か ら 式(C)よ
り供 給 空 気 量 は1667×(1+0.50)=2500
h−1と な る.
し た が っ て,供
給O2量
×(79/100)=1975kmol
は2500×(21/100)=525kmol
h−1,供
給N2量
は2500
h−1と な る.
次 の 物 質 収 支 の 表 で 成 分,入 (− は 反 応 で 消 失,+は
量(燃 焼 器 入 口 で の 流 量),燃
反 応 で 生 成),出
焼 器 内で の生成 量
量(燃 焼 器 出 口 で の 流 量)と
出 口組 成 を
示 す. 反 応(A)に
よ り80kmol
h−1のC2H6と280kmol
kmol
h−1のCO2と240kmol
h−1のH2Oが
kmol
h−1のC2H6と50kmol
h−1のO2が
kmol
h−1のH2Oが
生 成 さ れ る.入
h−1のO2が
生 成 さ れ る.ま 消 費 さ れ,40kmol
た,反
消 費 さ れ,160 応(B)か h−1のCOと60
量 と 生 成 量 よ り出 量 が 計 算 さ れ る.
ら20
湿 り基 準(wet 量 合 計2670kmol
basis)で あ る か ら,反 応(A)と(B)で
生 じ たH2Oを
h−1を 基 準 と して 各 成 分 の 組 成 を 計 算 す る.乾
basis)の 場 合 に は 反 応(A)と(B)で
生 じたH2Oを
含んだ出 き 基 準(dry
含 ま な い 出 量 合 計2370kmol
h−1を 基 準 と して 各 成 分 の 組 成 を計 算 す れ ば よ い. 化 学 プ ロセ ス の構 成 は 次 の よ うに 大 き く分 類 で き る. ① 直 列 型 プ ロ セ ス(図1.8) 精 製 した 原 料 を 反 応 器 に仕 込 み,反 応 後 生 成 物 を分 離 装 置 で製 品 と副 生 成 物 に 分 離 す る. ② リサ イ クルパ ー ジ型 プ ロ セ ス(図1.9) 反 応 器 に 原 料 を仕 込 み,反
応生 成 物 を分 離 装 置 で 製 品 と未 反 応 原 料,不
純物 な
どに 分 離 す る.未 反 応 原 料 を循 環 原 料 と して反 応器 に リサ イ クル す る.反 応 で 製 品 に な っ た 原 料 の 補 給 の た め に補 給 原 料(fresh
feed)を 新 た に 反 応 器 に 供 給 す
る.ま た,不 純 物 が プ ロ セ ス 内 に 蓄 積 す る と触 媒 活 性 が低 下 す る な どの理 由 で 一 部 を系 外 にパ ー ジ(purge・ 放 出)す る.
図1.8
図1.9
直 列 型 プ ロセ ス
リサ イ クル パ ー ジ型 プ ロセ ス
物 質 収 支 を 考 え る 際 の 手 順 は 次 の よ う に な る. ① プ ロ セ ス の フ ロ ー シ ー ト を書 く. ② 物 質 収 支 に 関 与 す る デ ー タ(例 え ば 組 成,流 ③ 計 算 の 基 準 を 明 確 に す る.例
え ば,原
料100kmol
④ 基 準 に 基 づ い て 物 質 収 支 式 を た て て,解 変 化 し な い 手 が か り物 質(例 【 例 題1.8
え ばN2)に
量,圧
く.こ
力,温
度)を
整 理 す る.
h−1を 基 準 と す る. の 際 プ ロセ ス の前 後 で 量 の
着 目 す る.
エ タ ノー ル 製 造 プ ロ セ ス 】 エ チ レ ン を水 和 し て エ タ ノ ー ル を 製 造
す る プ ロ セ ス を 考 え る. C2H4+H2O=C2H5OH
(A)
こ の 反 応 は 触 媒 反 応 器 を1回
通 過 す る だ け で は 完 結 せ ず,水
ノ ー ル を 凝 縮 分 離 し た 後,未
反 応 エ チ レ ン を循 環 し て い る.反
ン に 対 す る 水 の モ ル 比 は0.6に 率(単 通 転 化 率)は4.2%で
保 た れ て お り,エ
あ る.次
お よ び 生 成 した エ タ
チ レ ン の1回
応器 入 口の エ チ レ 通 過 当 た りの 転 化
の 問 に 答 え よ.
① 本 プ ロ セ ス の フ ロ ー シ ー トを 書 け. ② エ チ レ ン の 循 環 比(=循
環 原 料 中 の エ チ レ ン の モ ル 数/補 給 原 料 中 の エ チ
レ ン の モ ル 数)を 求 め よ. ③ 補 給 原 料 組 成[mol%]を
求 め よ.
④ エ チ レ ン の 総 括 転 化 率(=反
応 し た エ チ レ ン の モ ル 数/補 給 原 料 中 の エ チ
レ ン の モ ル 数)を 求 め よ. 解. ① プ ロ セ ス フ ロ ー シ ー ト を 図1.10に で,補
環 原 料 が エ チ レ ン(C2H4)
給 原 料 が エ チ レ ン と水 で あ る.
② 反 応 器 入 口 で のC2H4:100mol 100mol
h−1×0.6=60mol
C2H4の
単 通 転 化 率 が4.2%で
な わ ち,C2H4の
h−1を 基 準 と す る と,入
h−1と な る.反
消 費 さ れ る こ と に な る.し る.す
示 す.循
量 は
応 器 で の 物 質 収 支 表 を 作 成 す る.
あ る の で 入 量100mol
た が っ て,100−4.2=95.8mol
循 環 比=95.8/4.2=22.8.
図1.10
口 で のH2O流
エ タ ノー ル製 造 プ ロセ ス
h−1に 対 し4.2mol
h−1が
h−1が リサ イ ク ル さ れ
③ 補 給 原 料 組 成 は次 表 で 示 さ れ る.
④ 反 応 し た エ チ レ ン の モ ル 数 と補 給 原 料 中 の エ チ レ ン の モ ル 数 は と も に1時 当 た り4.2molだ
か ら総 括 転 化 率 は(4.2/4.2)×100=100%と
な る.
【 例 題1.9
メ タ ン と塩 素 の 反 応 】 メ タ ン と 塩 素 か ら,次
チ ルCH3Clと
二 塩 化 メ チ レ ンCH2Cl2が
図1.11は
る.反
の 反 応 に よ り塩 化 メ
生 成 す る.
CH4+Cl2→CH3Cl+HCl
(A)
CH3Cl+Cl2→CH2Cl2+HCl
(B)
プ ロ セ ス の 概 略 を 示 し た も の で あ る.b点
応 器 へ の 供 給 モ ル 比 は5:1で,塩
素 の1回
応 器 出 口 で の,CH3ClとCH2Cl2の
に お け る メ タ ン と塩 素 の 反
通 過 当 た り の 転 化 率 は100%で モ ル 比 は4:1で
生 成 物 は 冷 却 器 に 送 ら れ,CH3ClとCH2Cl2は
凝 縮 し,さ
あ っ た.反
た,冷
却 器 を 出 た ガ ス は ガ ス 吸 収 塔 に 送 ら れ,HClは100%吸
CH4は
ガ ス と し て 再 び 反 応 器 に リサ イ ク ル さ れ る.CH3Clを1000kg の 量 を 求 め よ.
① 補 給 原 料 の 流 量[kmol ② CH4の
h−1]
リサ イ ク ル 流 量[kmol
図1.11
h−1]
メ タ ン と塩 素 の 反 応 プ ロ セ ス
あ
応器 よ り
ら に 蒸 留 塔 に 送 られ
る.ま
す る と し て,次
間
収 さ れ る. h−1製 造
解. 1molのCl2の
う ち 反 応(A)で
α[mol],反
応(B)で(1−
α)[mol]が
消 費
さ れ る とす る. CH4+Cl2→CH3Cl+HCl α
α
(A) α
α
CH3Cl+Cl2→CH2Cl2+HCl 1− α
b点
で のCH4
1− α
100mol
1−
(B) α
1− α
h−1を 基 準 に と る と,メ
る こ とか ら,Cl2は20mol
タ ン と 塩 素 の 供 給 比 が5:1で
あ
h−1と な る.
反 応 器 で の 物 質 収 支 は 次 表 の よ う に な る.
反 応 器 出 口 で のCH3ClとCH2Cl2の =20(2α
−1)/20(1−
CH3Clの kmol
α)=4/1よ
モ ル 比 が4:1で
分 子 量 は50.5,し
た が っ て,CH3Cl:1000kg
h−1を 製 造 す る こ と に な る の だ が,本
基 準 と し て 解 い て き た た め に,生 h−1で あ る.そ と,ス
あ る か らCH3Cl/CH2Cl2
り α=5/6
解 法 で はb点
成 す るCH3Clは
こ で 比 例 計 算 を行 う た め の 比 率(ス
ケ ー ル 因 子 は19.8kmol
h−1/13.3mol
① 補 給 原 料 はCH4:100−83.3=16.7mol
h−1=1000/50.5=19.8 で のCH4
100mol
表 か ら わ か る よ う に13.3mol ケ ー ル 因 子 と 呼 ぶ)を
h−1=1.49×103[―]と h−1,Cl2:20mol
h−1だ か ら合 計16.7
h−1ス ケ ー ル 因 子 を 考 慮 し て(36.7)(1.49×103)=54.6×103mol
h−1=54.6kmol
h−1 表 よ り83.3mol
83.3×(1.49×103)=124×103mol
1.3.3
h−1だ か ら ス ケ ー ル 因 子 を 考 え る と
h−1=124kmol
h−1
エネルギー収支
熱 力 学 第1法 balance)を
求 め る
な る.
+20=36.7mol
② リ サ イ ク ル す るCH4は
h−1を
則 に よ りエ ネ ル ギ ー は 保 存 さ れ る の で,エ
書 く と 次 式 と な る.
ネ ルギー 収 支(energy
系 内 に蓄 積 され るエ ネ ル ギー 量=系
へ の 流 入 物 質 の有 す るエ ネ ル ギー 量
− 系 か らの 流 出物 質 の 有 す るエ ネ ル ギー 量 ± 系 内 で発 生 ま た は 吸収 され るエ ネ ル ギー 量 ± 系 外 か ら流 入 ま た は 系外 へ 流 出す るエ ネ ル ギー 量
(1 .4)
a. エ ネ ル ギ ー 形 態 化 学 工 学 で は1kgの
物 質 を基 準 に エ ネ ル ギ ー を考 え る.
① 運 動 エ ネ ル ギ ー:流
速 をuと
す る とu2/2[J
kg−1]
② 位 置 エ ネ ル ギ ー:Zを
基 準 面 か ら の 高 さ とす る とZg[J
③ 内 部 エ ネ ル ギ ー:E[J
kg−1]
④ エ ン タ ル ピ ー:H[J
kg−1]はPを
圧 力[Pa],vを
kg−1]
比 容[m3
kg−1]と
す る
とH=E+Pv ⑤ 熱:Q[J
kg−1](熱
が 系 内 に 流 入 す る と き:+,熱
が 系 外 に流 出す る と
き:−) ⑥ 仕 事:W[J
kg−1](系 が 外 部 よ り 仕 事 を し て も ら う と き:+,系
が外部 に
仕 事 を す る と き:−) ⑦ 全 エ ネ ル ギ ー:U[J
kg−1]は
内 部 エ ネ ル ギ ー,位
置 エ ネ ル ギ ー,運
動 エ
ネ ル ギ ー の 和 で 表 さ れ る.
(1.5)
b. 非 流 通 系 の エ ネル ギ ー 収 支 系 の 容 積 が 一 定 の場 合(定 容 系):ΔE=Q
(1.6)
内部 エ ネ ル ギ ー 変 化 は 系 内外 の 熱 変 化 と等 し い. 系 の 圧 力 が 一 定 の場 合(定 圧 系):ΔH=Q
(1.7)
系 の エ ン タ ル ピー 変 化 と系 内外 の 熱 変 化 と等 しい. c. 定 常,流 通 系 の エ ネ ル ギ ー 収 支 定 常 状 態 に あ る流 体1kgに
つ い て 図1.12の
よ うに 断 面1と
断 面2の
間 でエ
ネ ル ギー 収 支 を と る と,系 内 の蓄 積 エ ネ ル ギ ー 量 は0だ か ら, 断 面1よ
り系 内 へ 流 入 す る物 質 の 有 す るエ ネ ル ギー 量 ± 断面1と2の
系 外 か ら系 内へ 流 入 ま た は 流 出 す るエ ネ ル ギー 量(熱,仕 =断
面2よ
り系 外 へ 流 出 す る物 質 の 有 す るエ ネ ル ギ ー 量
間で
事) (1 .8)
図1.12
流 通 系 の エ ネ ル ギ ー収 支
す な わ ち,エ ネ ル ギー 収 支 式 は 次 式 で 表 され る. (1.9)
【 例 題1.10 kg
パ イ プ 内 の 流 動 】 サ イ ホ ン の 原 理 を 利 用 し て,水(密
m−3)を 十 分 に 大 き い 貯 水 槽Aか
イ プ で くみ 出 し て い る.1.0m3の だ し,パ
ら5.1m下
の 水 槽Bへ
管 断 面 積5.0cm2の
水 を く み 出 す の に 要 す る 時 間[s]を
イ プ 内 の 摩 擦 損 失 は 無 視 で き る と す る.ま
た,貯
度 ρ=1000
水 槽Aと
パ
求 め よ.た 水 槽Bは
と
も に 大 気 圧 下 で 操 作 さ れ る と す る(図1.13). 解. 全 エ ネ ル ギ ー 収 支 は,系 損 失 が 無 視 で き る こ とか ら,次
内 に ポ ン プ,熱
交 換 器 が な く,パ
イプ内 の摩擦
式 で か け る. (a)
貯 水 槽Aと
水 槽Bは
と もに大 気 圧 下 で操 作 され て い るか ら,
PA=PB=0.1013MPa エ ネ ル ギー 収 支 を貯 水 槽Aの る と,貯 水 槽Aは
水 面 ① と水 槽Bに
十 分 に 大 き い の でuA=0と
入 るパ イ プ 出 口近 傍 ② で と
して よ いか ら,
uB2/2=(ZA−ZB)g 重 力 加 速 度g=9.81m
(b) s−2で
あ る か ら,
uB=[2(ZA−ZB)g]0.5=[2×5.1×9.81]0.5=10m す な わ ち,パ
イ プ 内 の 水 流 量Qは,パ
Q=uBS=10×(5×10−4)=5×10−3m3 し た が っ て,1m3の 1m3/5×10−3m3
s−1 イ プ の 断 面 積 をSと s−1
水 を く み 出 す の に 必 要 な 時 間 は, s−1=200s
す る と
図1.13
パ イプ 内 の 流 動
d. 物 理 プ ロセ ス の エ ン タル ピ ー変 化 物 理 プ ロ セ ス の エ ン タ ル ピー 変 化ΔHは 化 と相 変 化 に よ る潜 熱 変 化Lの
次 式 の よ う に 温 度 変 化 に よ る顕 熱 変
和 で 表 され る. (1.10)
こ こ で,1molの 熱,分
物 質 の 温 度 を1Kだ
子 熱,分
熱 で あ る.気
子 熱 容 量[J
け 上 昇 さ せ る の に 必 要 な 熱 量 を,モ
mol−1 K−1]と
体 の 定 圧 モ ル 比 熱 は,温
い い,式(1.10)中
度T[K]の
のCpは
定圧 モル比
関 数 と し て 表 さ れ る.
Cp=a+bT+cT2+dT3
た だ し,a,b,c,dは 1kgの
(1.11)
物 質 に 固 有 の 定 数 で,化
物 質 を 基 準 に 考 え る 時 は 熱 容 量[J
【 例 題1.11
学 工 学 便 覧 を 参 照 さ れ た い.な
kg−1 K−1]と
水 蒸 気 の 加 熱 】 0.1013MPa,273.2Kの
蒸 気 に 加 熱 し た い.必
要 な 熱 量[kJ
kg−1 K−1
水 の 蒸 発 潜 熱(373.2K):L=2257kJ 水1kg当
水
mol−1]を 求 め よ.
水 蒸 気 の 定 圧 熱 容 量:CpV=1.97kJ
必 要 な 熱 量Qは
お,
い う. 水1molを500Kの
〔デ ー タ 〕:水 の 定 圧 熱 容 量:CpL=4.187kJ
解.
ル比
kg−1 K−1 kg−1
た り で 考 え る と,式(1.10)よ
り
Q=ΔH=CpL(373.2−273.2)+L+CpV(500−373.2) =(4 水1molは18×10−3kgだ
.187)(100)+2257+(1.97)(126.8)=2.925×103kJ
kg−1
か ら
Q=(2.925×103)×(18×10−3)=52.65kJ
mol−1
e. 化 学 プ ロ セ ス の エ ン タ ル ピ ー 変 化 エ ン タ ル ピ ー 変 化 を 求 め る 際,ヘ
ス(Hess)の
法 則 が 用 い ら れ る .す
な わ ち,
反 応 熱 は そ の 反 応 の 初 め の 状 態 と 終 わ りの 状 態 だ け で 決 ま り,途 な い.し
た が っ て,反
中 の経 路 に よ ら
応 器 内 の 反 応 メ カニ ズ ム が 不 明 で も反 応 器 入 口 と出 口の エ
ン タ ル ピ ー の 差 か ら エ ン タ ル ピ ー 収 支 を 計 算 で き る.エ 学 に お い て は,1atm,25℃
ン タル ピー 計 算 な ど熱化
を 標 準 状 態 と し て い る.ま
ず,エ
ン タ ル ピー 変 化
の 計 算 に 必 要 な 基 本 デ ー タ を あ げ て み よ う. ① 標 準 生 成 熱(standard molが 25℃
of formation):ΔHf,標
準 状 態 で,物
そ の 元 素 か ら 生 成 さ れ る と き の エ ン タ ル ピ ー 変 化 を 示 す.な で 安 定 な 集 合 状 態 の 元 素 の エ ン タ ル ピ ー の 値 は0と
② 標 準 燃 焼 熱(standard molが
heat
heat
質1
お,1atm,
す る.
of combustion):ΔHc,標
準 状 態 で,物
質1
完 全 燃 焼 す る と き に 発 生 す る 熱 量 で あ る.
③ 標 準 反 応 熱(standard
heat
of reaction):ΔHR,反
応 生 成 物 と反 応 物 質 の
生 成 熱 の 差 と し て 得 ら れ る. (1.12)
こ こ で,ΔHf,Pは (reactant)の ΔHRが
反 応 生 成 物(product)の
標 準 生 成 熱,ΔHf,Rは
反 応 物 質
標 準 生 成 熱.
負 で あ れ ば 発 熱 反 応(exothermic
反 応(endothermic
reaction)で
し た が っ て,任
正 であ れば 吸熱
あ る.
意 の 温 度T[K]に
標 準 生 成 熱 と,25℃
reaction),ΔHRが
お け る あ る 物 質aの
エ ン タ ル ピーΔHaは,
か ら あ る状 態 ま で の エ ン タ ル ピ ー の 増 加 分 の 和 と し て 与 え
ら れ る. Δ Ha=ΔHf+ΔH298−T
(1.13)
化 学 プ ロ セ ス の エ ン タル ピー 変 化 を求 め る こ とは,物 質 収 支 と熱 収 支 の 組 み合 せ 問題 を解 くこ とに ほ か な ら な い.手 順 と して は ま ず,物 質 収 支 を計 算 し,そ れ に基 づ い て熱 収 支 を計 算 す る こ とに な る. 【例 題1.12
メ タ ン の水 蒸 気 分 解 反 応】 メ タ ン を水 蒸 気 で接 触 分 解 し,
CH4(g)+H2O(g)→CO(g)+3H2(g) な る 反 応(A)でH2を
(A)
製 造 す る 際 に は,副
反 応 と し て 次 の 水 性 ガ ス 反 応(B)が
時 に 起 こ る. CO(g)+H2O(g)→CO2(g)+H2(g) CH4
1kmol
h−1に 対 し,H2Oを2.5kmol
で 反 応 器 を 去 る.こ
の と き,CH4は
(B) h−1の 比 率 で300℃ 完 全 に 分 解 す る.ま
た,出
で 供 給 し,1000℃ 口 ガ ス 中 に はCO
同
が15mol%(湿
り基 準)含
ま れ て い た.
① 反 応 器 出 口 ガ ス 中 の 湿 り基 準 の 組 成[mol%]を ② 本 反 応 で は 反 応 器 か ら熱 を 除 去 す る の か,あ ③ CH4
100 N m3 h−1当 た り の 熱 量[kJ
態(0℃,1atm)で
の 体 積[m3]を
求 め よ. る い は 加 え る の か.
h−1]を 求 め よ.な
お,N
m3は
標 準状
示 す.
〔デ ー タ 〕
な お,各
成 分 の(g)は
解. 基 準:CH4
1mol
気 体 で あ る こ と を 示 し て い る.
h−1を 基 準 に と る.CH4は
完 全 に 分 解 す るか ら,
CH4(g)+H2O(g)→CO(g)+3H2(g) 1mol
生 成 し たCO
h−1
1mol
1mol
h−1
1mol
h−1の う ちx[mol
(A) h−1
3mol
h−1
h−1]が 反 応(B)に
進 む と す る.
CO(g)+H2O(g)→CO2(g)+H2(g) x[mol
h−1]x[mol
h−1]
x[mol
(B) h−1]x[mol
h−1]
物 質 収 支 の 表 を作 成 す る.
題 意 よ り(1−x)/5.5=0.15し
た が っ てx=0.175.こ
算 し た 結 果 を 出 量 ② に 示 す.反
のxの
値 を 出 量 ① に入 れ 計
応 器 出 口 ガ ス の 湿 り基 準 の 組 成 は 表 に 示 す よ う
に な る. ② 反 応 器 入 口 の エ ン タ ル ピ ー:ΔH1 CH4:(1)[−74.87+(0.044)(300−25)]=−62.77kJ
h−1
H2O:(2.5)[−241.89+(0.035)(300−25)]=−580.66kJ 合 計:ΔH1=−643.43kJ
h−1
h−1
反 応 器 出 口 の エ ン タ ル ピ ー:ΔH2 H2O:(1.325)[−241.89+(0.039)(1000−25)]=−270.12kJ CO:(0.825)[−110.53+(0.032)(1000−25)]=−65.45kJ
h−1
CO2:(0.175)[−393.64+(0.050)(1000−25)]=−60.36kJ
h−1
H2:(3.175)[0+(0.030)(1000−25)]=92.87kJ 合 計:ΔH2=−303.06kJ ΔH=ΔH2− ΔHが ③100 ②
h−1
ΔH1=−(303.06−643.43)kJ
正 だ か ら 吸 熱 反 応 で あ る.し N
m3
1mol
た り だ か ら100
N
h−1)=1.52×106kJ
h−1 m3
ル を 脱 水 素 し て ア セ トア ル デ ヒ ドを 製 造 し て い る.エ タ ノ ー ル の 転 化 率 は40%で
成 物 の 温 度[℃]を
h−1に
つ い て は
h−1
断 熱 型 反 応 器 】 断 熱 型 反 応 器 を 用 い,反
で 供 給 さ れ,エ
h−1
を 反 応 器 に 加 え る.
h−1=4.46×103mol
h−1当
ΔH=(4.46×103)(340.4kJ
h−1=340.4kJ
た が っ て,熱
h−1=100/22.4=4.46kmol
で 求 め た ΔHはCH4
【 例 題1.13
h−1
応(A)に
よ りエ タ ノー
タ ノ ー ル は 反 応 器 に325℃
あ る と し た と き,反
応器 出 口での生
求 め よ.
C2H5OH→CH3CHO+H2 な お,各
成 分 の25℃
(A)
で の 標 準 生 成熱
ΔHf[kJ
mol−1]と 平 均 定 圧 モ ル 比熱Cp
[kJ mol−1 K−1]は 次 の よ う に 与 え ら れ る.
解. 物 質 収 支 を と る 基 準 と し て 反 応 器 入 口 で の エ タ ノ ー ル100mol る.エ
タ ノ ー ル の 転 化 率 が40%で
あ る か ら,反
h−1を と
応器 での物質収支 の表 が次 の よ
う に 書 け る. 物 質 収 支 の 表 と与 え ら れ た 熱 力 学 デ ー タ の 表 よ り以 下 の 計 算 を行 う.反 ガ ス の エ ン タ ル ピー を ΔH1と
す る と,
ΔH1=ΔHf+CpΔT =(100)[−240+(0
.1)(325−25)]
応器入 口
=−21000kJ
h−1
反 応 器 出 口 ガ ス の エ ン タ ル ピ ー をΔH2,出
口 温 度 をt[℃]と
す る と,
断 熱 反 応 器 だ か ら反 応 器 入 口 と出 口で の ガ ス の エ ン タ ル ピー は 等 し くな け れ ば な ら な い.し
た が っ て,ΔH1=ΔH2
す な わ ち,
−21000=−21200+10.4×(t−25)
こ れ を解 い て しか し,こ
t=44.2℃
れ で は 温 度 が 下 が り す ぎ る こ と に な っ て し ま う の で,断
熱 反 応 器 を用
い る の が 妥 当 か 否 か を 再 検 討 す る 必 要 が あ る こ と が わ か る.
1.4 気 体 の状 態 方 程 式
1.4.1
理 想 気 体 法 則(ideal
gas
law)
基 本 的 な 理 想 気 体 の 状 態 方 程 式 と し て よ く知 ら れ て い る. pV=nRT
(1.14)
pv=RT
(1.15)
こ こ で,pは
気 体 の 圧 力,Vは
りの 体 積,Tは
絶 対 温 度,nは
J mol−1 K−1=82.06cm3
1.4.2
体 積,vは
atm
分 子 容 あ る い は モ ル 体 積 で1mol当
モ ル 数,Rは
気 体 定 数(gas
mol−1 K−1=1.987cal
た
constant)で,8.314
mol−1 K−1で あ る.
実在気体 の状態式
a. 状 態 方 程 式 を 用 い る 方 法 理 想 気 体 法 則 で は 気 体 分 子 自 身 の 体 積bと 無 視 し て い る.そ ワ ー ル ス(van
こ で,1molの
der Waals)の
気 体 分 子 相 互 間 に 働 く 引 力a/v2を
気 体 に つ い て 補 正 し た 式(1.16)を 式,a,bを
フ ァンデル
フ ァ ン デ ル ワ ー ル ス 定 数 と 呼 ぶ.
(1.16)
b. 圧 縮 因 子 を 用 い る 方 法 実 在 気 体 の 理 想 気 体 か ら の ず れ を 圧 縮 係 数(compressibility
factor) zで 表 す
と pV=znRT
(1.17)
pv=zRT
(1.18)
こ こ で,zは
対 臨 界 圧(reduced
temperature)
Tr(=T/Tc)の
臨 界 点(critical ば,物
point)を
質 に よ ら ずzの
state)が
[m3 mol−1]を
関 数 で,pcとTcは
pr(=p/pc),対
臨 界 温 度(reduced
気 体 と液 体 の 区 別 が な くな る
示 す 臨 界 圧 力 と 臨 界 温 度 で あ る.対
値 は 同 じ と い う対 応 状 態 原 理(principle
成 立 し,図1.14の
【 例 題1.14
pressure)
臨界値 が同一 なら of corresponding
圧 縮 係 数 線 図 が か け る.
エ チ レ ン の 分 子 容 】 エ チ レ ン の250℃,1000atmで ① 理 想 気 体 法 則,②
圧 縮 係 数 線 図 を 用 い て 求 め よ.た
レ ン の 臨 界 定 数 はTc=283.1K,pc=50.5atmで 解. ① 理 想 気 体 法 則(1.15)よ
の 分 子 容v だ し,エ
あ る.
り
② 対 臨界温度
対 臨界圧力
図1.14の
圧 縮 係 数 線 図(b)の
た が っ て 式(1.18)よ
高 圧 範 囲 よ り圧 縮 係 数z=1.73と
り
理 想 気 体 の 場 合 の1.73倍
と な る.
読 み 取 れ る.し
チ
図1.14
(a) 低 圧 範 囲 圧 縮 係 数 線 図(江 口
彌:化
学 工 学 量 論,化
学 同 人,1973よ
り)
(b) 中 高 圧 範 囲
超 臨界流 体 液 体 と気 体 の 区 別 が な く な る 臨 界 点 を超 え た 温 度,圧 流 体 と呼 ば れ,特 て い る の がCO2(臨 近 傍 で 温 度,圧
力 に 置 か れ た 流 体 は超 臨 界
徴 あ る性 質 で 注 目 さ れ て い る.な か で も,工 業 的 に よ く用 い ら れ 界 温 度31.1℃,臨
界 圧 力72.8atm)で,図
に示 す よ うに臨 界点
力 を若 干 変 化 させ る と密 度 が 大 き く変 化 す る.密
対 応 す る か ら,温
度,圧
力 を 操 作 す る こ とに よ り超 臨 界CO2を
度 は分 子間 距離 に 溶 媒 と して 用 い る
と,固 体 や 液 体 の 溶 解 度 や 拡 散 係 数 を コ ン トロ ー ル す る こ とが で き る.最 に 行 わ れ て い る の が 超 臨 界CO2を ロ セ ス で,現 在 年 間5万
も大 規 模
用 い た コー ヒー や 紅 茶 か ら の カ フ ェ イ ン 抽 出 プ
トン の プ ラ ン トが 稼 動 中 で あ る.
超 臨 界CO2の
密 度 の 圧 力 ・温 度 依 存 性
(化 学 工 学 便 覧(改 訂6版),丸
善,1999)
1.5 相 平 衡 と単 位 操 作
気 液 系,液 液 系 な ど異相 間 の 物 質 移 動 の 速 度 は他 の 条 件 が 同 じな らば,平 衡 状 態 か らの ず れ に よ り決 ま る.回 分 操 作 の 場 合 は所 要 時 間,連 続 操 作 の 場 合 は装 置 の 大 き さ を決 定 す る際 に,こ の 物 質 移 動 速 度 が 重 要 とな る.相 平 衡 と密 接 に 関 連 し た単 位 操 作 の 関 係 は次 表 の よ うに な る.単 位 操 作 とは化 学 プ ロセ ス で物 質 に 組
成,状
態,エ
1.5.1
純物 質の蒸気圧
温 度Tと ①
ネ ル ギー な どの 変 化 を与 え る ため の操 作 法 を ま とめ た もの で あ る.
純 物 質 の 蒸 気 圧Pの
関 係 は 次 の 式 で 与 え ら れ る.
ク ラ ペ ー ロ ン(Clapeyron)の
式 (1.19)
こ こ で,λ 子 容[m3
はT[K]に
お け る モ ル 蒸 発 潜 熱[J
mol−1]で,vG≫vL,vG=RT/P(理
mol−1],vG,vLは
想 気 体 法 則),λ
次 の ク ラ ウ ジ ウ ス-ク ラ ペ ー ロ ン(Clausius-Clapeyron)の
気 体,液
体 の分
が 一 定 と仮 定 す る と
式 と呼 ば れ る. (1.20)
② ア ン トワ ン(Antoine)の
式 (1.21)
こ こ で,Tは
温 度[K],A,B,Cは
液 体 に 固 有 の 定 数 で,化
学 工 学 便 覧 に デー
タ が 収 録 さ れ て い る.
1.5.2 理 想 溶 液 の 法 則 a. 理
想
溶
液
理 想 溶 液(ideal solution)は 混 合 して も容 積 の 増 減 が な く,発 熱 や 吸 熱 も起 こ さ な い 溶 液 の こ とで あ る.理 想 溶液 の 例 と し て は ① 希 薄 溶 液,②
化学 的性質 が
非 常 に類 似 して い る同 族 列 炭 化 水 素(例 え ば ベ ン ゼ ン-ト ル エ ン),同 族 ア ル コー ル(例 え ば メ タ ノー ル-エ タ ノー ル)が あ げ られ る. b. ヘ ン リ ーの 法 則 気 体 の 液 体 中へ の 溶 解 度Cは
温 度 が 低 い ほ ど,気 体 分 圧pが
大 き い ほ ど大 き
い.一
定 温 度 でCが
(Henry)の
小 さ い 範 囲 で はpとCは
法 則 と い い,式(1.22-1∼3)で
液 中 の 溶 質 の 濃 度[kmol
表 さ れ る.こ
m−3],pは
ン リー 定 数 はH[m3
れ を ヘ ン リー
こ で,Cは
平 衡 に あ る溶
平 衡 に あ る 気 相 中 の 溶 質 の 分 圧[Pa],xは
平 衡 に あ る 溶 液 中 の 溶 質 の モ ル 分 率[―],yは 率[―],ヘ
比 例 す る.こ
Pa
平 衡 に あ る気 相 中 の 溶 質 の モ ル 分
mol−1],K[Pa],m[―]で
表 さ れ る.ヘ
ン
リー 定 数 が 小 さ い ほ ど ガ ス の 溶 解 度 は 大 き い. p=HC
(1.22-1)
p=Kx
(1.22-2)
y=mx
(1.22-3)
【 例 題1.15】
1atm,20℃
で 空 気 中 の ア ン モ ニ ア 分 圧 が19.2mm
ア ン モ ニ ア の 水 へ の 溶 解 度 は3.3g
NH3/100g
H2Oで
① ヘ ン リ ー の 法 則 が 成 立 す る と し て,ヘ [Pa],m[―]を ② 1atm,20℃ kgの
求 め よ.た でNH3
水 と 接 触 さ せ,温
NH3の
だ し,溶 10mol%,空
度,圧
液 相 中 の 濃 度[kmol
積[m3]を
求 め よ.た
だ し,溶
液 の 密 度 は1.00g
m3 mol−1],K
cm−3と す る. 混 合 気 体1.00m3を50
力 一 定 の ま ま 平 衡 に 達 し た と す る.こ m−3]と 気 相 中 の 濃 度[mol%]お 液 の 密 度 は1.00g
cm−3,空
よ び,気
解. ① ア ン モ ニ ア の 分 子 量 は17だ か ら,溶 液 中 の 溶質 濃 度Cは
水 銀 柱760mmだ
し た が っ て,
水 の 分 子 量 は18だ
し た が っ て,
から
か ら
の と きの 相 の 容
気 は 水 に 不 溶 と し,
水 の 蒸 発 は な い も の と す る.
1atmは
とき
あ る.
ン リー 定 数H[Pa
気90mol%の
Hgの
②NH3と
空 気 の 混 合 気 体 の モ ル 数 は理 想 気 体 法 則 か ら
混 合 気 体 中 のNH3の
モ ル 数 は41.56×0.10=4.16mol,NH3のa[mol]が
け る とす る とy=mxよ
水 に溶
り
こ れ を 解 く とa=4.12mol 気相 中の濃度 は
液相 中の濃 度 は
気相 の容積 は
c. ラ ウ ー ル の 法 則 理 想 溶 液 の 気 液 平 衡 関 係 は ラ ウ ー ル(Raoult)の
法 則 で 表 せ る.
pi=Pixi
(1.23)
す な わ ちpi(気 相 中 の 成 分iの 分 圧)は,Pi(平 とxi(液 相 中 の 成 分iの
衡 温 度 に お け る成 分iの 蒸 気 圧)
モ ル 分 率)の 積 で 表 さ れ る.A-B2成
分 系 につ い て ラ
ウ ー ル の 法 則 を適 用 して み よ う.全 圧 を Π とす る. pA=PAxA
(1.24-1)
pB=PBxB=PB(1−xA)
(1.24-2)
Π=pA+pB=PAxA+PB(1−xA)
Aを
低 沸 点 成 分 と し,x,yを Π=PAx+PB(1−x)
(1.25)
低 沸 点 成 分 の 液 相,気
相 の モ ル 分 率 と す る と, (1.26)
(1.27)
し た が っ て, (1.28)
αAB=PA/PBで,相
対 揮 発 度 あ る い は 比 揮 発 度(relative
volatility)と
い う. (1.29)
例 え ば ベ ン ゼ ン-ト ル エ ン 系 で は 80.1℃(ベ
ン ゼ ン の 標 準 沸 点)で は,αAB=2.60=α0
110.6℃(ト
ル エ ン の 標 準 沸 点)で
は,αAB=2.36=α1
平 均 相 対 揮 発 度 αavは 両 沸 点 で の α の 相 乗 平 均 を 用 い,式(1.28),(1.29)の
αAB
と し て αavを 使 用 す る.
d. 非 理 想 溶 液 の 気 液 平 衡 ラ ウ ー ル の 法 則 に 従 わ な い 系 で は,液 γA,γBを 用 い,理
activity
coefficient)
想 溶 液 か ら の ず れ を 示 す.
pA=γAPAxA=ΠyA
(1.30-1)
pB=γBPBxB=ΠyB
(1.30-2)
理 想 溶 液 で は γA=1,γB=1と
な る.
γAxA=aA,γBxB=aBをA,B成 γA,γBを Laar)の
活 量 係 数(liquid
分 の 活 量(activity)と
求 め る た め に マ ー ギ ュ レ ス(Margules)の 式,ウ
て い る.詳
イ ル ソ ン(Wilson)の
式,NRTL式
し く は 化 学 工 学 便 覧 を参 照 さ れ た い.
図1.15
単蒸留装置
い う.こ 式,フ
やUNIQUAC式
の 液 活 量係 数
ァ ン ・ラ ー ル(van が 用 い られ
1.5.3 平 衡 関係 と物 質 収 支 a. 単
蒸
留
図1.15の
よ うな2成
分 系 の 単 蒸 留 を考 え る.単 蒸 留(simple
distillation)は
操 作 が 簡 単 で,実 験 室 で は よ く利 用 され る.工 業 的 に は ウ イ ス キー の 蒸 留 器 と し て用 い られ て い る. い ま,あ る時 刻 の 蒸 留 器 内 の液 量 をF[mol],液 をx[―],発
相 中 の低 沸 点 成 分 の モ ル 分 率
生 蒸 気 中 の低 沸 点 成 分 の モ ル分 率 をy[―]と
さ らにdF[mol]だ
す る.こ の 状 態 か ら,
け 蒸 気 が 蒸 留 器 よ り発 生 した と きの 液 相 と気 相 の 低 沸 点 成 分
の物質収 支 よ り d(Fx)=ydF
(1.31-1)
Fdx+xdF=ydF
(1.31-2)
(1.31-3)
こ の 関 係 を 最 初 の 状 態(F0,x0)か レ イ リ ー(Rayleigh)の
ら 任 意 の 時 刻 の 状 態(F1,x1)ま
で 積 分 す る と,
式 が 得 ら れ る. (1.32)
仕 込 ん だ 原料 の モ ル 数 と蒸 留 器 か ら留 出 し た モ ル数 の 比 を留 出 率 β とい う. (1.33)
一 般 的 に は 気 液 平 衡 関 係 か らyとxの る い は 図 積 分 す る こ とに な る.し 与 え ら れ る とす る と 式(1.32)は
関 係 を 式(1.32)に
か し な が ら,気 式(1.34)と
代 入 し,数
値積 分 あ
液 平 衡 関係 が ラ ウー ル の 法 則 で
な る. (1.34)
し た が っ て,式(1.34)よ
りx0,β
が 与 え ら れ れ ばx1が
求 ま る.
留 出 液 の 平 均 組 成xDは
物 質 収 支 よ り次 式 で 得 ら れ る. (1.35)
【 例 題1.16】 40mol%の
ベ ン ゼ ン-ト ル エ ン2成 分 系 混 合 溶 液300gを
蒸留
器 に入 れ,大 気 圧 下 で 単 蒸 留 し た.蒸 留 器 内 の 残 液 組 成 が ベ ンゼ ン20mol%の と き の 留 出 液 量[g]と
留 出液 平 均 組 成[mol%]を
求 め よ.た だ し,平 均 相 対 揮
発 度 は αav=2.48と
解. 式(1.34)を
す る.
用 い る と
し た が っ て,
ベ ン ゼ ン(C6H6)と
トル エ ン(C7H8)の
分 子 量 は78と92で
あ る か ら,
し た が っ て,
残 留 液 の 平 均 分 子 量 は0.2×78+0.8×92=89.2で
あ る か ら,
F1=1.342×89.2=119.8g
留 出液量 は F0−F1=300−119.8=180.2g
留 出 液 の 平 均 組 成 は 式(1.35)よ
り求 ま る.
b. 平 衡 フ ラ ッ シ ュ 蒸 留
平 衡 フ ラ ッ シュ 蒸 留(equilibrium 供 給,加
flash vaporization, EFV)は
原 料 を連 続 的 に
熱 し,減 圧 弁 か ら低 圧 室 に 噴 射(フ ラ ッ シ ュ)さ せ,蒸
気 と液 に 分 離 す
る操 作 で あ る.こ の と き,得
ら れ る蒸 気 と液 の組 成 は平 衡 で あ る.図1.16の
よ
う に原 料 を連 続 的 に加 熱 し,減 圧 弁 か ら フ ラ ッ シュ 蒸 留 器 に 噴射 す る と,蒸 気 と 液 に分 離 す る.こ の と き,気 液 の組 成 は 平 衡 状 態 に あ る.こ の 方 法 は最 初 は 原 油 の 粗 い分 離 に 用 い られ た. 2成 分 系 の 平衡 フ ラ ッ シ ュ蒸 留 の全 物 質 収 支 は F=V+L
(1.36)
低沸 点成分の物質収支 FxF=Vy+Lx
以上 の式 よ り
(1.37)
図1.16
フ ラ ッ シ ュ蒸 留 器
(1.38) 平 衡 関 係y=f(x)と 【 例 題1.17】 (C8H18,標
式(1.38)の
交 点 よ り(x,y)が
n-ヘ プ タ ン(C7H16,標
準 沸 点125.6℃)60mol%か
求 ま る.
準 沸 点98.4℃)40mol%とn-オ ら な る2成
ク タ ン
分 系 混 合 液100kmol
h−1を 大
気 圧 下 で 平 衡 フ ラ ッ シ ュ 蒸 留 し,平
衡 状 態 に あ る蒸 気 と液 に 分 離 す る.得
蒸 気 流 量 と 液 流 量 が 等 し い と き,液
相 留 分 と気 相 留 分 と の 組 成[mol
求 め よ.な
お,本2成
分 系 の 平 均 相 対 揮 発 度 αavは2.20で,ラ
られ る
fraction]を
ウー ル の 法 則 が
適 用 で き る と す る. 解.
xF=0.40,L=Vだ
か ら,式(1.38)よ
り
(A) 一方
,ラ
ウー ル の 法 則 よ り
(B) 式(A)と(B)を
解 き,xを
求 め る と,x=0.307,y=0.494.
液 相 留 分 と 気 相 留 分 の 組 成[mol
fraction]は
表 の よ う に な る.
【 演 習 問題 】 1.1 濃 度 の 換 算: cm3つ
モ ル 分 率 が0.50の
くる に は,95wt%エ
1.2 次 元 解 析:
エ タ ノー ル 水 溶 液(密 度0.860g
タ ノー ル 水 溶 液 と水 を何gず
液 体 中 を 気 泡 が 上 昇 す る 時 の 速 度uを
μ,液 体 の 密 度 ρ,表 面 張 力 σ,重 力 加 速 度gの
cm−3)を1000
つ 混 ぜ れ ば よ い か.
気 泡 の 直 径d,液
体の粘度
関 数 で あ る と し て 次 元 解 析 を行
え. 1.3 燃 焼 反 応: 給 し,プ
プ ロパ ン100kmol
h−1を4500kmol
ロ パ ン を燃 焼 させ る.プ
h−1の 空 気 と一 緒 に 燃 焼 炉 に 供
ロ パ ン は100%反
応 せ ず,CO2,COとH2Oが
生 成 す る.こ れ ら の デ ー タか ら過 剰 空 気 率 を 計 算 し た い が で き るか.計 場 合 に は 過 剰 空 気 率 を求 め よ.ま
た,で
き な い とす れ ば,他
算できる
に どの よ うなデー タ
が 必 要 か 述 べ よ. 1.4 反 応 系 の 物 質 収 支:
反 応(A),(B)に
よ りブ タ ン,ブ
テ ン か らブ タ ジ エ ン が 製
造 さ れ て い る. C4H10→C4H8+H2
(A),
補 給 原 料 は 純 粋 な ブ タ ン で,リ 反 応 器 に 送 られ る.反 反 応(B)に
C4H8→C4H6+H2
応 器 中 で は 反 応(A)に
よ る ブ テ ン の 単 通 転 化 率 は70%で
離 装 置 で ブ タ ジ エ ン,ブ ル さ れ る.補
(B)
サ イ ク ル さ れ た ブ テ ン と混 合 さ れ,加
あ っ た.反
テ ン と水 素 に 完 全 に 分 離 さ れ,ブ
給 原 料 ブ タ ン100kmol
熱 炉 を経 て,
よ る ブ タ ン の 単 通 転 化 率 は100%, 応 器 を 出 た ガ ス は,分 テ ン は す べ て リサ イ ク
h−1を 基 準 に と り,次 の 問 に 答 え よ.
① 本 プ ロ セ ス の フ ロー シ ー トを書 け. ② 反 応 器 で の 入 量,生 ブ テ ン 流 量[kmol
成 量,出
量 の 物 質 収 支 の 表 を 書 き,リ サ イ ク ル さ れ る
h−1]を求 め よ.
③ 反 応 器 出 口 ガ ス の 組 成[mol%]を 1.5 エ ン タ ル ピー 計 算:
を 生 産 し て い る.水1kmol当 熱 器 に1.00×104kJ
の 水 か ら160℃
た り必 要 な エ ン タ ル ピー[kJ]を
で の 平 均 分 子 熱 はCp=75.6×10−3kJ
で の 潜 熱 はL=40.7kJ
×10−6T+1.12×10−9T2[kJ 1.6 エ ン タ ル ピー 収 支:
の スチー ム
求 め よ.ま
h−1の 熱 を加 え た と き の ス チ ー ム 発 生 流 量[kg
〔 デ ー タ 〕 水 の25∼100℃
の100℃
求 め よ.
大 気 圧 下 で 加 熱 器 に よ り25℃
た,加
h−1]を 求 め よ. mol−1 K−1,水
mol−1,水 蒸 気 の 分 子 熱 はCp=30.2×10−3+9.93 mol−1 K−1]
エ タ ノー ル は エ チ レ ン の 水 和 反 応 で 製 造 さ れ て い る.
C2H4(g)+H2O(g)=C2H5OH(g)
(A)
エ タ ノー ル の 一 部 は 副 反 応 に よ り ジエ チ ル エ ー テ ル に な る. 2C2C5OH(g)=(C2H5)2O(g)+H2O(g)
(B)
反 応 器 に 供 給 さ れ る 原 料 は54mol%のC2H4,37mol%のH2Oと 物 質(記 号 はIを で操 作 さ れ,出 率 は5%で,エ
用 い る)か ら な り,310℃ 口 温 度 も310℃
で 供 給 され る.反 応 器 は310℃
で あ る.エ チ レ ン の 反 応 器1回
タ ノー ル の 収 率(=生
残 りは 不 活 性 の等温
通 過 当 た りの転化
成 し た エ タ ノー ル の モ ル 数/消 費 さ れ た エ チ
レ ン の モ ル 数)は0.9で て,以
あ っ た.反 応 器 に 供 給 さ れ る 原 料100mol
h−1を 基 準 と し
下 の 問 に 答 え よ.
① 反 応 器 入 口 と 出 口で の 物 質 収 支 の 表 を書 け. ② 反 応 器 出 口 で の 生 成 物 の エ ン タ ル ピ ー ΔH2と 反 応 器 入 口で の 原 料 の エ ン タ ル ピー ΔH1と
の差 ΔH[kJ
h−1]を 求 め よ.
③ この プ ロ セ ス で は 反 応 器 を加 熱 して い るの か,冷 ④ なぜ エ チ レ ン の 転 化 率 を5%に
却 して い る の か を示 せ.
抑 え て い るの か.考
え られ る理 由 を述 べ よ.
⑤ 反 応 器 の 後 に どの よ う な プ ロ セ ス が 必 要 に な る か を,フ
ロ ー シー トを 書 い
て 説 明 せ よ.
1.7 z因 子:
125m3(0℃,1atmの
力 は40atmで して,次
あ っ た.O2の
条 件 下)のO2が
装 置内の圧
界 温 度 は154.4Kで
あると
の 問 に 答 え よ.
(a) 装 置 内 の 温 度[K]を
(b) こ の 温 度 を保 っ た ま まO2を
1.8 理 想 溶 液:
求 め よ.
ヘ キ サ ン50mol%と
を1atm,85℃
液 化 す る に は,ど
う し た ら よ い か を述 べ よ.
ヘ プ タ ン50mol%か
ら な る 混 合 蒸 気100mol
の 容 器 に 入 れ た と こ ろ 気 液 に 分 離 し た.ヘ
合 溶 液 は 理 想 溶 液 と み な せ る と し て,平 お よ び 気 相 と液 相 の 各 組 成[mol%]を
入 っ て い る1m3の
臨 界 圧 力 は49.7atm,臨
〔デ ー タ 〕 85℃
キ サ ン-ヘ プ タ ン の 混
衡 状 態 に お け る 液 相 と 気 相 の 量[mol],
求 め よ.
で の ヘ キ サ ン の 蒸 気 圧 は1233mmHg,85℃
で のヘ プ タ ン の
蒸 気 圧 は503mmHg. 1.9 単 蒸 留:
A成 分40mol%か
蒸 留 し た.留 fraction]で よ.た
あ っ た.こ
だ し,必
ら な るA-B2成
出 率 β=0.4の
分 系 混 合 液900gを
と き 留 出 液 中 のA成
大 気 圧 下 で単
分 の 平 均 組 成 はxD=0.7[mol
の 系 は 理 想 溶 液 とみ なせ る と し て,平 均 比 揮 発 度 α を求 め
要 が あ れ ば,Aお
よ びB成
分 の 分 子 量 は 各 々30お
よ び40と
す
る. 1.10 フ ラ ッ シ ュ 蒸 留: 2成 分 系 混 合液100kmol
A成
分(低 沸 点 成 分)40mol%とB成 h−1を 操 作 圧 力0.125MPaで
分60mol%か
らな る
平 衡 フ ラ ッ シ ュ 蒸 留 し,蒸
気 と液 に分 離 す る.こ の と き得 られ る蒸 気 と液 の 組 成 は 平 衡 状 態 に あ る.蒸 気 中 の 成 分Aの
組 成 が60mol%で
求 め よ.な
お,A-B2成
で き る とす る.
あ る と き,得
られ る液 と蒸 気 の 流 量[kmol
分 系 の 平 均 相 対 揮 発 度 は2.5で,ラ
h−1]を
ウー ル の法 則が 適用
2 流 体 と 流 動
流 れ は 風 の そ よ ぎや 川 のせ せ ら ぎか ら台風 や 竜巻 に見 られ る大 規 模 な もの に至 る まで,私 達 の ご く身 近 に 見 られ る 自然 現 象 の1つ
で あ り,普 段,私 達 は何 気 な
く これ に 接 して い る.し か しな が ら化 学 工 業 の 生産 ラ イ ン 上 に 並 ぶ 様 々 な装 置 内 に お い て は,こ の 流 動 が決 定 的 な役 割 を果 た して い る もの が 少 な くな い. 本 章 で は流 体 と流 動 の 基 本 的 な性 質 を学 ぶ こ とか ら始 め て,こ
れ を定 量 的 に 表
現 あ るい は計 算 す る方 法 に つ いて 述 べ る.
2.1 流 れ の 基 礎 項 目
2.1.1
さ ま ざ ま な流 体 と粘 度
孔 子 の 「川 上 の 嘆 」や,方 "流 れ"は
丈 記 の 冒 頭 の 一 節 を 引 き 合 い に 出 す ま で も な く,
古 来 か ら 多 くの 人 々 の 関 心 を 引 きつ け て き た
最 大 の 天 才Leonardo
da
Vinciも
そ の 一 人 で あ り,彼
.ル
ネ ッサ ン ス が 生 ん だ
は 川の流 れに立 てた物体
ま わ り の 流 れ の 様 子 を 精 緻 な ス ケ ッ チ に し て 残 し て い る. 流 体(fluid)と く さ,す
は 気 体 と 液 体 の 総 称 で あ る が,そ
の 流 れ や す さ あ るい は 流 れ に
な わ ち 流 体 の 内 部 摩 擦 に 基 づ く粘 性(viscosity)に
的 な 記 述 を し た の は,Newtonで
あ っ た.彼
つ い て,初
め て定 量
は 万 有 引 力 を世 に 知 ら しめ た 大 著
『Principia』 の 中 で 次 の よ う な 仮 説 を 述 べ て い る. 「流 体 の 諸 部 分 の 間 に 滑 りや す さ が 欠 け て い る こ と に よ っ て 生 じ る 抵 抗 は,そ の 他 の 条 件 が 等 し け れ ば,流
体 の 諸 部 分 が 互 い に 引 き離 さ れ て い く速 度 に 比 例 す
る.」 こ れ は 今 日 ニ ュ ー トン の 粘 性 法 則(Newton's れ て い る も の で,式
に 表 せ ば 式(2.1)の
law
よ う に な る.
of viscosity)と
して 知 ら
(2.1) こ こ で,τ
は 剪 断 応 力(shear
stress) [Pa]と
呼 ば れ,上
さ が 欠 け て い る こ と に よ っ て 生 じ る 抵 抗"に (shear
相 当 す る.ま
たdu/dyは
りや す
剪断速 度
rate) [s−1]ま た は ず り 速 度 と呼 ば れ る 量 を 最 も単 純 な 場 合 に つ い て 表 記 し
た も の で あ り,"流
体 の 諸 部 分 が 互 い に 引 き 離 さ れ て い く速 度"に
な わ ち 剪 断 速 度 と は,あ 垂 直 な 方 向(こ
る 方 向(こ
こ で はy方
勾 配 を 表 し て お り,γ
般 に 式(2.1)が
向)の 流 速u[m
で 表 示 さ れ る こ と も 多 い.式(2.1)は
成 り 立 ち,μ
流 体(Newtonian
こ で はx方
fluid)と
相 当 す る.す
s−1]が,そ
れ と
向)に 沿 っ て ど の よ う に 変 化 す る か と い う 速 度 の 空 間
関 係 に あ る こ と を 示 し て お り,そ
は,ニ
記 し た 仮 説 の"滑
の 比 例 定 数 μ が 粘 度[Pa
こ の τと γ が 比 例 s]と 定 義 さ れ る.一
が 剪 断 速 度 に よ ら ず 一 定 と な る 流 体 は,ニ 呼 ば れ る.水,油,空
ュ ー トン 流 体 と考 え て よ い.ち
ュー トン
気 な どで高分 子 で は な い流体
な み に 常 温 で の 水 の 粘 度 は 約10−3Pa
sで
あ る. 一 方,液
体 の 一 部 や 混 相 流 の 中 で,μ
が 一 定 と な ら ず,γ
す る 流 体 は 非 ニ ュ ー トン 流 体(non-Newtonian
fluid)と
を 体 系 的 に 取 り扱 う 学 問 は レ オ ロ ジ ー(rheology)と
や 時 間t[s]に
呼 ば れ る.同
流体 の 特 性
呼 ば れ,Binghamに
よって
20世
紀 前 半 に 創 始 さ れ た.図2.1に
Aの
よ う に 原 点 を 通 る 直 線 で 表 さ れ る の が ニ ュ ー ト ン 流 体 で あ り,直
が 粘 度 と な る.一 線 上 の あ る1点
方,B,Cは
は τ と γ と の 関 係 を 模 式 的 に 示 し て い る.
原 点 は 通 る が 曲 線 と な る 流 体 で あ り,原
に 引 い た 直 線 の 勾 配 は,見
は 非 ニ ュ ー トン 粘 度 η[Pa s]と
図2.1
依存
か け 粘 度(apparent
呼 ば れ る.こ
線 の 勾配 点 か ら曲
viscosity)あ
るい
の ηが γ の 増 大 と と も に 減 少 す る
純 粘 性 非 ニ ュ ー トン流 体 の 流 動 特 性 曲線
流体Bは,擬
塑 性 流 体 と呼 ば れ,高 分 子 水 溶液 や コ ロ イ ド溶 液 に 多 く見 られ る.
これ とは 逆 に,η が γ の 増 大 と と もに 増 大 す る 流体Cは ば れ,微 か らCま
ダ イ ラ タ ン ト流 体 と呼
小 な 固 体 粒 子 を 多 量 に含 む 塗 料 な ど の 懸 濁 液 に 多 く見 られ る.流 体A で の レオ ロ ジー 流 動 特 性 は 式(2.2)で
ま とめ て表 現 す る こ とが で き る.
η=kγn−1 式(2.2)は 1の
(2.2)
パ ラ メ ー タ ーnの
値 に よ り,00 今,上
下 面 の 位 置 高 さ は 同 じ で あ る と し て,ベ
用 い て,翼
ル ヌ ー イ の 定 理,式(2.11)を
上 下 面 の 圧 力 の 大 小 を比 較 す る と,
で あ る.下 面 側 の 圧 力 の 方 が,上 面 側 の そ れ よ り も大 き くな るの で,翼
は下 か ら
上 向 きに 揚 力 を受 け る こ と に な る.
式(2.11),(2.12)は,機
械 的 エ ネ ル ギ ー の バ ラ ン ス の み を 考 慮 し,粘
づ く摩 擦 な ど に よ る エ ネ ル ギ ー を 考 慮 し て い な い.こ え て,失
わ れ る こ と に な る.実
き に は,ポ
れ は 熱 エ ネ ル ギ ー に 形 を変
際 に 流 体 を あ る 点Aか
ら 他 の 点Bに
ン プ や ブ ロ ワ ー な ど の 輸 送 機 を 用 い て 動 力W[J
の 損 失 分F[J
kg−1]を
エ ネ ル ギ ー で,損
カ バ ー す る こ とが 必 要 と な る.こ
失 頭 と 呼 ば れ る.W,Fを
性 に基
輸送 す る と
kg−1]を 供 給 し,こ こ で,Fは
頭 換 算 した
組 み 入 れ た バ ラ ン ス 式 は 式(2.13)
の よ う に な る.
(2.13) 式(2.13)は,流
体 の 温 度 変 化 が 無 視 で き,式(1.9)に
お い て,熱
エ ネ ル ギー
で の 損 失 は 別 と し て 系 外 と の 積 極 的 な 熱 交 換 を 行 わ な い 場 合 に 相 当 す る. 【 例 題2.3
エ ネ ル ギ ー 保 存 則 】 密 度 ρ=1025kg
圧 しQ=0.14m3
s−1の 流 量 で 輸 送 し て い る.ポ
口 の 管 内 径 は0.13mで
あ る.出
メー タ ー の 読 み は −190mm 失 頭 は68.6J 率 η=80%と
kg−1で
す る と き,ポ
た だ し1mm 解.
式(2.13)よ
Hg=133.3Paで り,
口 は 入 口 よ り1.8m上
Hg,出
あ っ た.入
m−3の
口,出
口 の そ れ は420mm
方 に あ り,入 Hgで
ン プ で昇
口の マ ノ
あ っ た.ま
口 の 温 度 は 同 一 で あ る と し,ポ
ン プ の 所 要 動 力Wp[kW]は あ る.
海 水 を,ポ
ン プ 入 口 の 管 内 径 は0.20m,出
い く らか.
た損
ン プ の効
単位 系 あれ これ 本 書 で は 単 位 と し て,第1章 本 量 と し た 国 際 単 位 系(Le
に 述 べ た とお り,長 さ,質
Systeme
International
こ れ ら の 基 本 量 を組 み 合 わせ た 組 立 単 位,例 (=[kg
m s−2]),圧 力 に は パ ス カ ル(pascal)
こ れ に 対 して,力(重
量,時
d'Unites;
間,温
え ば 力 に は ニ ュー ト ン(newton) [Pa](=[N
(LMFT)が
あ り,力
力 換 算 係 数(gravitational
は[Kg]あ
る い は[kgf]な
ど と表 記 さ れ る.こ
conversion
[N]
m−2])な ど を 用 い て い る.
力)を 基 本 量 の 一 つ とす る重 力 単 位 系(LFT)や
合 に は,重
度 な どを基
SI)を 使 用 して お り,
factor) gc[kg
い て 計 算 を行 わ ね ば な ら な い とい う 煩 わ し さが あ る が,1Kg
工 学単 位 系
れ ら を 用 い る場 m Kg−1 s−2]を 用
cm−2が 約1気
圧に等
し い こ とか ら,現 在 も慣 用 的 に これ らの 単 位 系 が 使 わ れ て い る. こ の ほ か に 英 国 式 の[ft]や[lb]な
ど を用 い る ヤ ー ド ・ポ ン ド法(1yd=3ft)が,
ひ と頃 は 化 学 工 学 で も 多 用 さ れ て い た.こ れ て い る.ア で あ る.こ
れ は,人 体 の 各 部 に 因 ん だ単 位 系 と い わ
メ リカ ン フ ッ トボ ー ルや ゴ ル フ な ど は,こ
の ヤ ー ドを基 準 と した 競 技
の ほ か に も飛 行 距 離 を示 す さ い の マ イ ル や,ガ
の ガ ロ ン な ど もヤ ー ド ・ポ ン ド法 の 単 位 の1つ
で あ り,現 在 も広 く使 わ れ て い る.
日本 に も わ が 国 固 有 の 尺 貫 法 な る 単 位 系 が あ っ た.和 作 られ た1尺2寸5分
ソ リン の 販 売 単 位 と して
裁 の 分 野 で は,鯨
の 長 さ の 鯨 尺 な る もの が 使 わ れ て い た.ヤ
尺 貫 法 も過 去 の も の と な りつ つ あ る が,そ
の ひげで
ー ド ・ポ ン ド法 も
れ ぞ れ の 国 の 文 化 を色 濃 く反 映 し た もの
と い え よ う.
よ って ポ ンプ を用 い て 海 水 に加 え るべ き単 位 時 間 当 た りの仕 事Wp[kW]は,
2.2
2.2.1 管
内
層
円 管 内 の 流 れ
流
断 面 が一 様 な 円管 内 に,流 体 が完 全 に満 ち た状 態 で 流 れ る場 合 の 流 速 分 布 や 圧 力 損 失 につ い て 考 え よ う.ま ず 層 流 の場 合 につ い て 見 る こ とに し よ う. 図2.5に
示 す よ うに,半 径Rの
とす る.い
管 が 水 平 に 置 か れ て お り,そ の 中心 線 をz軸
ま管 内 に 半 径r[m],長
さL[m]の
仮 想 的 な 円 管 を考 え,同 円 管 ま
わ りの 力 のバ ラ ン ス を考 え る.上 流 側 の端 面Aに 端 面Bに
作 用 す る圧 力pよ
作 用 す る流 体 圧 は,下 流 側 の
り も Δpだ け 高 い とす る.ま
た,円 管 側 面 に 働 く剪
断 応 力 の 大 き さ を τ と し,各 面 に 働 く力 の 方 向 を考 慮 す る と,次 の よ うに な る. 端 面Aに
働 く力:πr2(p+Δp)
端 面Bに 働 く力:−
πr2p
側 面 に働 く剪 断 力:−2πrLτ こ れ らの 総 和 が全 体 と し て0に πr2(p+Δp)−
πr2p−2πrLτ=0,
(rの た だ し,τw=τ│r=R=(管 る 流 動 の 式(2.15)を
な る こ とか ら,式(2.14)が
導 か れ る.
∴rΔp=2Lτ
位 置 に 依 ら ず)一 定
壁 に お け る 剪 断 応 力)で
(2.14)
あ る.こ
れ に 式(2.1)に
相 当す
考 え る.
(2.15) 式(2.15)の
負 号 は 軸 方 向 の 速 度uが
に よ る.同 式 に 式(2.14)を
管 中心 か ら管 壁 に 向 か っ て,減 少 す る こ と
代 入 す れ ば,次
の 常 微 分 方程 式 を得 る.
(2.16)
図2.5
円 管 内層 流 定 常 流 れ
境 界 条 件 と して 管 壁 に お け る速 度 を0と
し,上 式 を積 分 す る と,管 の 半 径 方 向 に
沿 っ た流 速 分 布
(2.17) を得 る.こ れ よ り,層 流 定 常 状 態 の管 内 流 速 分 布 は,管 中 心 を最 大 流 速 と し,壁 面 で流 速 が0と な る放 物 線状 で あ る こ とが わ か る.同 最 大 流 速 をumax[m
s−1]と
す る と,
管 内 の 平 均 流 速 をuav[m
s−1]と し,管
断 面 の 流 量 をQ[m3
s−1]と す る と,
(2.19) と な り,こ
こ で,2R=Dよ
り,式(2.20)が
得 ら れ る.
(2.20) す な わ ち,流 体 の 圧 力 損 失Δpは 管 長Lに 式(2.20)は
ドイ ツ の 学 者Hagenと
比例 し,管 径Dの2乗
フ ラ ン ス の 医 師Poisuilleに
に 反 比 例 す る. よ っ て 同 じ頃,
別 々 に 実 験 的 に 確 か め ら れ た も の で ハ ーゲ ン-ポ ア ズ イ ユ の 法 則(Hagen -Poiseuille's law)と 呼 ば れ る.同 式 は 流 量 測 定 あ るい は 毛 細 管 を用 い た粘 度 測 定 に適 用 され る.
2.2.2 管
内
乱
流
円 管 内 の よ うに単 純 な剪 断場 の 場 合 で あ っ て も,乱 流 を解 析 的 に 取 り扱 う こ と は きわ め て 困難 な もの とな る.円 管 内 に お け る非圧 縮 性 流 体 の乱 流 状 態 に 対 応 す る運 動 方程 式 は,通 常,式(2.9)のN-S式 軸 方 向,半 径 方 向 の 流 速 と して,系
の 時 間 平 均 を と り,u,ν
をそれ ぞれ
の対 称 性 を考 慮 す れ ば 式(2.21)の
ように な
る.
(2.21) 式(2.21)中 呼 ば れ る.こ
の 項 − ρu′ν′ が 実 は 難 物 で,レ
イ ノ ル ズ 応 力(Reynolds
stresses)と
れ は 軸 方 向 と 半 径 方 向 の 時 間 平 均 的 な 流 速 か ら の ず れu′
とν′ と の
積 の 時 間平 均u′ν′を含 ん で お り,同 量 はu′ とν′の そ れ ぞれ の時 間 平 均 の積u′ ・ν′ とは 本 質 的 に 異 な る もの で あ る.し た が っ て,こ の ま ま で は この 方 程 式 の解 は得 られ ず,何
らか の 形 で 方 策 を講 じ る こ とが 必要 に な る.通 常,次
に述べ る二
つ の ア プ ロー チ 法 が 取 られ て い る. ① 理 論 式 を用 い ず,実 験 的 考 察 か ら流速 分 布 を 経 験 的 に 与 え る方 法 ② 理 論 的考 察 に基 づ き レイ ノル ズ応 力 を半 経 験 的 に 算 定 す る 方法 以 下 に 述 べ る よ うに ① に は 指 数 法 則(power
law),②
に は 対 数 法 則(log
law)
と呼 ば れ る手 法 が あ る. a. 指
数
法
則
これ は 軸 方 向 の 流 速uを
経 験 的 に 式(2.22)に
示 す べ き指 数 法 則 で 表 す もの で
あ る.
(2.22) こ こ で,y[m]は,壁 通 常6∼10の
か ら管 中 心 に 向 か っ て の 距 離 を 表 す .nは
値 と さ れ て お り,n=7と
u+=u/u*,y+=yu*/ν
す る 場 合 に は7分
と す る と,7分
の1乗
の1乗
パ ラ メー ター で 則 と呼 ば れ る.
則 は 次 式 の よ うに も書 き改 め ら
れ る こ とが 知 ら れ て い る. u+=8.74(y+)1/7 こ こ で,u*[m
(2.23)
s−1]は,
(2.24) と 定 義 さ れ,摩
擦 速 度(friction
応 力 で あ る.ま
た,ν
あ り,y+=yu*/ν 式(2.22)を
velocity)と
は μ/ρ[m2 s−1],す
呼 ば れ る.τw[Pa]は
な わ ち 動 粘 度(kinematic
管 壁 で の剪 断 viscosity)で
は レ イ ノ ル ズ 数 と 同 等 な 無 次 元 数 で あ る. 用 い た 場 合 の 管 断 面 平 均 流 速uav[m
s−1]は,nを
用 い て,次
式の
よ う に な る.
(2.25) n=6の (2.19)に
と きuav=0.79umax,n=10の
と きuav=0.87umaxで
示 し た 層 流 の 場 合(uav=0.5umax)と
比 較 し て,乱
付 近 に お い て 著 し く平 坦 な 速 度 分 布 と な る こ とが わ か る.こ
あ る .す
な わ ち 式
流 の 場 合 は,管
中心
れは軸方向の運動 量
が,乱
流 内 で 発 生 す る渦 に よ り,半 径 方 向 に運 ば れ,管
内 の他 の部 分 と混 ざ り合
う ため と解 釈 す る こ とが で き る. b. 対
数
法
則
乱 流 の 場 合 の剪 断 応 力 τは式(2.21)右
辺 の 括 弧 内,
(2.26) に 相 当 し,第1項
は 粘 性 応 力 で あ り,第2項
円 管 内 流 れ の 実 験 結 果 に よれ ば,管
は レ イ ノル ズ 応 力 で あ る.
中心 で は 乱 流 が発 達 して お り,レ イ ノル ズ
応 力 は粘 性 応 力 に 比 較 し て 卓 越 し た 大 き さ と な って い る(内 層(inner 一 方 ,管 壁 近 傍 で は,レ
イ ノル ズ応 力 の影 響 は 小 さ く,ほ とん ど粘 性 応 力 支 配 と
考 え られ る(粘 性 底 層(viscous
sublayer)).ま
て い る遷 移 域 と考 え られ る(中 間 層(buffer の3つ
layer)).
た,そ の 中 間領 域 は両 者 が 拮 抗 し
layer)).そ
こ で 円 管 内 を径 方 向 に こ
の 領 域 に 分 け て 考 え,各 領 域 で 流 れ の 特 徴 を よ く表 現 す る よ う,式
(2.26)を 単 純 化 して取 り扱 うの が対 数 法 則 モデ ル で あ る. 考 えて い る点 が どの領 域 に 入 るか はy+の
値 で判 断 さ れ る.同 値 を用 い て 領 域
を判 別 し,各 領 域 で の 流 速 は 次 の よ うに 計 算 さ れ る. ① y+