言語学大辞典 セ レクション ヨー ロッパ の 言 語 亀 井 孝 ・河 野 六 郎 ・千 野 栄 一[編 著]
三省堂
〓Copyright First
Made
and
Printed
1998 Published
i...
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言語学大辞典 セ レクション ヨー ロッパ の 言 語 亀 井 孝 ・河 野 六 郎 ・千 野 栄 一[編 著]
三省堂
〓Copyright First
Made
and
Printed
1998 Published
in
JAPAN
装 丁=三
by
Sanseido
Co.,Ltd.
1998
at
the
Sanseido
省 堂 デ ザ イ ン室
Press,TOKYO
ま え が き
10年 余 に わ た る準 備 の後,1988年 言 語 名 索 引 編 」,お よ び,1996年
か ら1993年 に か けて 刊 行 さ れ た 「世 界 言 語 編」 「補 遺 ・ に刊 行 さ れ た 「術 語 編 」 か ら な る 「三 省 堂 言 語 学 大 辞 典』
は,わ が国 内外 の 言 語 学 界 を は じめ,広
く社 会 か ら認 め られ,好 評 裡 に受 け入 れ られ る と こ ろ
とな った.扱 っ た言 語 の 豊富 さ と記 述 の 精 確 さ,術 語 編 の的 確 な記 述 と そ の思 想 は,特 に高 い 評 価 を得 て い る. しか し,一 方 で 同辞 典 の 大 き さ とそ れ に 伴 う価 格 の高 さ は,読 者 の 方 々 に負 担 を 負 わ せ る こ とに もな っ た.そ こで読 者 個 人 に と って特 に必 要 な部 分 を集 めて 手 頃 な一 冊 を 作 れ な いか と い う考 え が浮 上 し,そ れ を要 望 す る読 者 か らの声 も強 か ったの で,そ れ に応 ず る こ と と した. 現 行 の大 辞 典 を 全面 的 に縮 小 して一 冊 の辞 典 を作 る こ と は,作 業 そ れ 自体 が 困 難 で あ り,大 辞 典 が持 つ 長 所 を殺 す こ とに もな りか ね な い の で考 慮 の 対 象 か らはず し,系 統 な り地 域 な りで 一 括 で きる何 冊 か の分 冊 を考 え た.そ の うち,日 本 内 外 で 一 番 要 望 が 強 い と思 わ れ た 『日本列 島 の言 語』 を,そ の シ リー ズ の 第 一 巻 目 と して1997年1月 い,手 頃 な 分冊 と して世 に受 け入 れ られ る こと と な った.そ
に 上 梓 す る こ とが で き た.さ い わ こで この度,そ
の続 巻 と して,こ
こ に 『ヨー ロ ッパ の言 語 』 を世 に送 る こと に した. 本 分 冊 は,採 用 範 囲 を いわ ゆ る ヨー ロ ッパ 地 域 に限 定 した.そ の主 体 は イ ン ド ・ヨー ロ ッパ 語 族 の 言語 が 占 め るが,ウ
ラ ル語 族 の フ ィ ンラ ン ド語 や 孤 立言 語 の バ ス ク語 な ど,別 系統 の言
語 も含 まれ る. また,原 則 と して 現 代 にお いて 話 され る言 語 を 中心 に採 り上 げ た が,イ
ン ド ・ヨー ロ ッパ 語
族 を は じめ 「ゲ ル マ ン語 派 」 「ケ ル ト語 派 」 「ス ラ ブ語 派」 等 の全 体 を俯 瞰 す る項 目 や,ギ
リシ
ア語,古 代 教 会 ス ラ ブ語 を は じめ,現 代 の 言 語 の 理解 の た め に必 要 と思 われ る古 典 言 語 を も一 部 採用 した.収 録 言 語 の 詳 細 は 目次 にあ る とお りで あ る. 本書 の原 本 で あ る 「世 界 言 語 編 」 に 採 択 した言 語 に 関 す る記 述 は,専 門 分 野 に わ た って それ ぞ れ の専 門 家 に よ る もの で あ って,精 緻 な 文献 研 究,意 欲 的 な フ ィー ル ドワ ー ク に よ って 裏 付 け られ た科 学 的 言 語 研 究 の 成 果 で あ る.ヨ ー ロ ッパ の諸 言 語 の個 別 研 究 お よ び比 較 研 究 の 進 展 の た め に,本 書 が 大 い に 活 用 され る こ とを 切望 す る. 残 念 な こ とに,同 辞 典 の 編 修 主 幹 の ひ と り,亀 井 孝 氏 は,「 世 界 言 語 編 」 完 成 後,「 術 語 編 」 の 編 修 の途 次 に不 帰 の 客 と な っ た.ま
た,プ
ロ ヴ ァ ンス語 を 担 当 せ られ た 高 塚 洋 太 郎 氏 も,
「世 界 言 語 編」 の 完 成 後 永 眠 さ れ た.こ
こ に本 書 を両 氏 の霊 前 に捧 げて ご冥 福 を お 祈 りす る次
第 で あ る. 本 書 を編 修 す るに あ た って は,原 本 で あ る 「言 語 学 大 辞 典 』 の 活版 清 刷 を利 用 して再 編 成 し
た.し たが って,原 本 刊 行 以 降 の執 筆 者 お よ び学 界 の 動 向 に触 れ る こ と はで きな か った.対 処 した の は,ご く少 量 の誤 記 ・誤 植 の訂 正 で あ る.た だ し,ロ シ ア ・東 欧 の政 治 的 ・経 済的 変 動 に よ って生 じた変 化 を 本 文 中 に も若 干 反 映 させ,ま た追 記 の 形 で 項 目末 尾 に 付 した.こ こ に, 各言 語 が 収録 され た各 巻 の 発行 年 次 を記 し,本 書 の 記 述 は原 則 と して そ の 時点 で の到 達 点 で あ る ことを 明 らか に して お く.
「世 界言 語 編 」 第1巻(上)
1988年3月1日
「世 界言 語 編 」 第2巻(中)
1989年9月10日
「世 界言 語 編 」 第3巻(下‐1)
1992年1月20日
「世 界言 語 編 」 第4巻(下
1992年1月20日
‐2)
「補 遺 ・言 語 名 索 引編 」 第5巻
1993年7月10日
本 書 に よ り,国 の内 外 を問 わ ず,数 多 くの 方 々 が これ らの言 語 につ い て の知 識 を広 げ,そ の 考 察 が一 段 と深 ま る こ と を願 う もの で あ る.
1998年3月1日 河 野
六 郎
千 野
栄 一
目
次
ア イ ス ラ ン ド語 … …1
秦
宏一
ア イ ル ラ ン ド語 … …5
土居
敏雄
ア ル ザ ス 語 … …24
橋本
郁雄
ア ル バ ニ ア 語 … …26
直野
敦
ア ・ル ー マ ニ ア 語 … …34
倍賞
和子
ア ン グ ロ ・ノ ル マ ン語 … …36
町 田
健
イ ス トロ ・ル ー マ ニ ア 語 … …37
倍賞
和子
ア イ ル ラ ン ド ・ゲ ー ル 語(=ア
イ ス パ ニ ア語(→
イ ル ラ ン ド語)
ス ペ イ ン語)
イ タ リ ア 語… …38
長神
悟
イ タ リ ッ ク 語 派 … …52
蛭沼
寿雄
イ タ ロ ・ケ ル ト語 群 … …55
蛭沼
寿雄
イ タ ロ ・ロ マ ン ス 諸 語 … …57
長神
悟
イ デ ィ ッ シ ュ 語 … …59
上 田
和夫
イ ベ ロ ・ロ マ ン ス 諸 語 … …77
原
イ ン ド ・ゲ ル マ ン語(族)…
…78
風間喜代三
イ ン ド ・ ヨ ー ロ ッパ 語 族 … …78
風間喜代三
ヴ ァ ン ダ ル 語 … …91
橋本
ウ ェ ー ル ズ 語 … …92
水谷
宏
ウ ク ラ イ ナ 語 … …106
山本
富啓
英
語 … …109
福 島
エ ス トニ ア 語 … …116
誠
郁雄
治/木
松村
一登
桜井
隆
カ タ ロ ニ ア 語 … …140
塩 田
洋子
ガ リ シ ア 語 … …146
黒沢
直俊
ガ ロ ・ロ マ ン ス 諸 語 … …149
長神
悟
教 会 ス ラ ブ 語 … …150
栗原
成郎
ギ リ シ ア 語 … …153
松本
克 己
近 代 ギ リ シ ア 語 … …160
松本
克 己
ケ ル ト語 派 … …163
蛭沼
寿雄
ゲ ル マ ン語 派 … …167
秦
宏一
オ ク シ タ ン語(=プ オ ッ ク 語(=プ
ロ ヴ ァ ン ス 語)
ロ ヴ ァ ン ス 語)
オ ラ ン ダ 語 … …133 カ ス テ ィ ー ヤ 語(=ス カ タ ラ ン語(=カ
ペ イ ン語)
タ ロ ニ ア 語)
ク ロ ア チ ア 教 会 ス ラ ブ語(→ ゲ ー リ ッ ク 諸 語(→ ゲ ー ル 諸 語(→
教 会 ス ラ ブ 語)
島 嶼 ケ ル ト語)
島 嶼 ケ ル ト語)
現 代 ギ リ シ ア 語(→
近 代 ギ リ シ ア 語)
ゴ イ デ リ ッ ク 諸 語(→ ゴ イ デ ル 諸 語(→ 高 地 ドイ ツ 語(→
島 嶼 ケ ル ト語)
島 嶼 ケ ル ト語) ドイ ツ 語)
村
建 夫/秦
宏一
古 サ ク ソ ン語 … …172
秦
宏一
千野
栄一
秦
宏一
古 ノ ル ド語 … …186
秦
宏一
古 プ ロ シ ア 語 … …188
千野
栄一
長神
悟
橋本
郁雄
山本
文明
ス コ ッ ト ラ ン ド ・ゲ ー ル 語 … …212
土居
敏雄
ス ペ イ ン語 … …225
原
ス ラ ブ 語 派 … …233
千野
栄一
ス ラ ブ 祖 語 … …236
千野
栄一
ス ロ バ キ ア 語 … …237
長與
進
ス ロ ベ ニ ア 語 … …241
千野
栄一
栗原
成郎
古 代 教 会 ス ラ ブ 語 … …176 古 代 ギ リ シ ア 語(→ 古 代 ス ラ ブ 語(→
ギ リ シ ア 語)
古 代 教 会 ス ラ ブ語)
古 典 ギ リ シ ア 語(→
ギ リ シ ア 語)
ゴ ー ト語 … …180
サ ル ジ ニ ア 語(=サ
ル デ ー ニ ャ語)
サ ル デ ー ニ ャ語 … …189 ジ プ シ ー 語(=ロ
マ ー ニ ー 語)
ジ ー ベ ン ビ ュ ル ゲ ン ・ザ ク セ ン語 小 ロ シ ア 語(=ウ
…200
ク ラ イ ナ 語)
ス イ ス ・ ド イ ツ 語(→
ドイ ツ 語)
ス ウ ェ ー デ ン語 … …204 ス オ ミ語(=フ
ィ ン ラ ン ド語)
ス カ ン ジ ナ ビ ア 語(=ノ
ル ド語)
ス コ ッ ト ラ ン ド語(=ス
コ ッ ト ラ ン ド ・ゲー ル 語)
セ ル ビ ア 教 会 ス ラ ブ 語(→
教 会 ス ラ ブ 語)
セ ル ビ ア ・ク ロ ア チ ア 語 … …242 セ ル ボ ・ク ロ ア チ ア 語(=セ 俗 ラ テ ン語(→
誠
ル ビア ・ク ロ ア チ ア 語)
ラ テ ン 語)
ソ ル ブ 語 … …246
千野
ダ ゴ ・ル ー マ ニ ア 語(=ル
栄一
ー マ ニ ア 語)
ダ ル マ チ ア 語 … …247
倍賞
和子
チ ェ コ語 … …248
千野
栄一
チ ェ コ教 会 ス ラ ブ 語(→ 低 地 ドイ ツ語(→
教 会 ス ラ ブ語)
ドイ ツ語)
デ ン マ ー ク語 … …254 ドイ ツ語 … …262 島 嶼 ケ ル ト語 … …287
山本
文明
橋本
郁雄
土居
敏雄
ド ロ ミテ 語 … …292
富盛
伸夫
ノ ル ウ ェ ー 語 … …296
山本
文明
ノ ル ド語 … …303
秦
宏一
ノー ン語 … …305
秦
宏一
白 ロ シ ア 語 … …306
大平
陽一
バ ス ク語 … …312
田村 す ず子
バ ル カ ン ・ロ マ ン ス 諸 語 … …324
倍賞
和子
バ ル ト語 派 … …325
村 田
郁夫
ハ ン ガ リ ー 語 … …335
早 稲 田 み か/徳
フ ィ ン ラ ン ド語 … …346
松村
一登
フ ェ ー ロ ー 語 … …362
秦
宏一
永
康元
ブ ラ ジ ル ・ポ ル トガ ル 語 … …369
黒沢
直俊
フ ラ ン ク 語 … …371
橋本
郁雄
フ ラ ン コ ・プ ロ ヴ ァ ン ス 語 … …374
長神
悟
フ ラ ン ス 語 … …377
町田
健
フ リ ウ リ語 … …395
富盛
伸夫
フ リ ジ ア 語 … …400
桜井
隆
佐藤
純一
ブ ル グ ン ド語 … …410
橋本
郁雄
ブ ル ト ン語 … …412
堀 井 令 以知
フ ラ マ ン語(→
オ ラ ン ダ語)
フ リ ー ス ラ ン ド語(=フ
リ ジ ア 語)
ブ リ ソ ニ ッ ク 諸 語(→
島 嶼 ケ ル ト語)
ブ リ タ ニ ッ ク 諸 語(→
島 嶼 ケ ル ト語)
ブ リテ ィ ッ シ ュ 諸 語(→
島 嶼 ケ ル ト語)
ブ リ トニ ッ ク 諸 語(→
島 嶼 ケ ル ト語)
ブ ル ガ リ ア 語 … …403 ブ ル ガ リ ア 教 会 ス ラ ブ 語(→
教 会 ス ラ ブ 語)
プ ロ ヴ ァ ン ス 語 … …415
高 塚 洋 太郎
ベ ラ ル ー シ語(=白
ロ シ ア 語)
ベ ロ ル シ ア 語(=白
ロ シ ア 語)
ベ ロ ロ シ ア 語(=白
ロ シ ア 語)
ベ ン ド語(=ソ
ル ブ 語/ポ
ラ ブ語)
ポ ラ ブ語 … …420
千野
栄一
ポ ー ラ ン ド語 … …422
小原
雅俊
ポ ル トガ ル 語 … …441
黒沢
直俊
マ ケ ドニ ア 語 … …449
中島
由美
メ グ レ ノ ・ル ー マ ニ ア 語 … …454
倍賞
和子
モ ル ダ ビ ア 語 … …454
倍賞
和子
ヤ ト ヴ ィ ン ギ ア 語 … …455
村 田
郁夫
ラ デ ィ ン語 … …456
富盛
伸夫
ラ テ ン語 … …458
中山
恒夫
ラ ト ヴ ィ ア 語 … …476
村 田
郁夫
ラ ン ゴバ ル ド語 … …482
橋本
郁雄
リ トア ニ ア 語 … …486
村 田
郁夫
ル ク セ ン ブ ル ク 語 … …495
橋本
郁雄
ル ー マ ニ ア 語 … …502
倍賞
和子
レ ト ・ロ マ ン ス 諸 語 … …512
富盛
伸夫
レ フ 諸 語 … …520
千野
栄一
ロ シ ア 語 … …521
佐藤
純一
マ ケ ド ・ル ー マ ニ ア 語(=ア
モ ル ドバ 語(=モ
ル ダ ビ ア 語)
レ ッ ツ ェ ブ ル ク 語(=ル レ ッ ト語(=ラ
・ル ー マ ニ ア 語)
ク セ ン ブ ル ク 語)
ト ヴ ィ ア 語)
ロ シ ア 教 会 ス ラ ブ 語(→
教 会 ス ラ ブ 語)
ロ マ ー ニ ー 語 … …533 ロ マ ニ ア 語(=ル
風間喜代三
ー マ ニ ア 語)
ロ マ ン シ ュ 語 … …535
富盛
伸夫
ロ マ ン ス 諸 語 … …539
富盛
伸夫
ワ ロ ン語(→
フ ラ ン ス 語)
まえ が き
……ⅲ
目
次 … …ⅴ
凡
例 … …ⅰⅹ
言語名和文索引
… …563
IPA(1979年
改 訂 版)… … 表 見 返 し
IPA(1989年
改 訂 版)… …
裏見返 し
凡
例
0. 編 修 の立 場
言 語 現 象 に 対 して 異 な った 解 釈 が ほ ど こ され て い た
0.1 本 書 は,『言 語 学 大 辞 典 』 「世 界 言 語 編 」 「補 遺 ・
り す る場 合 が あ る.ま
言 語 名 索 引 編 」 全5巻 の 中 か ら,い わ ゆ る 「西 欧」
た,項
目 あ る い は執 筆 者 に
よ って,用 語 法 や 表 記 法 が 必 ず しも一 致 しな い場 合
「中欧 」 「北 欧 」 「南 欧」 「 東 欧」 に お い て 用 い られ る
もあ る.こ う した,立 場 や 解釈 の ち が い に起 因 す る
言 語91項
記 述 の ず れ は,そ れ 自体 が 研究 の 現状 の正 確 な反 映
目 を抜 き 出 し,分 冊 と して 一 編 に ま と め
た もので あ る.
で あ り,そ の 意味 に お い て,そ れ らの統 一 を あ え て
0.2 採 択 の範 囲 は,同 地 域 で,言 語 人 口 の い か ん に か か わ らず,現 在,現 実 に話 され て い る言 語 を中 心 に,そ の 個別 言 語 の所 属 す る語 族 ・語 派 ・諸 語 の 項 目,な らび に現 代 語 の理 解 の上 で 重 要 な歴 史 的 言 語 (死語)を 含ん で い る.そ の 詳 細 は,目 次 を参 照 され た い.ヨ ー ロ ッパ 大 陸 の 言 語 とい う設 定 に 伴 って,
行 な わ な か った場 合 が あ る.ま た,関 連 諸 項 目間 に お け る記 述 内容 の重 複 に つ い て も同様 で あ る. 0.8 記 述 に あ た って は,語 例 や 文 例,ま
た,図 表 類
を豊 富 に用 い て,可 能 な限 り具 体 的で あ る よ うにつ とめ た. 0.9 執 筆者 名 を,項 目 の 末尾 に 示 した.
イ ン ド ・ヨ ー ロ ッパ 語 族(地 域 を 異 に す る イ ン ド ・ イ ラ ン語 派 や,同
じイ ン ド ・ヨ ー ロ ッパ 語 族 に あ っ
て も地 域 を 異 に す る ア ル メ ニ ア語 な ど は 除 く)のみ で な く,バ ス ク 語 や ウ ラル 語 族 の 言 語 も収 め て あ り,ヨ ー ロ ッパ で 使 用 され る諸 言 語 が俯 瞰 で き るよ うに した.
1. 見 出 し形 1.1 ヨー ロ ッパ の 諸 言 語 の 名 称 を,力
1.2 見 出 しに は,主 と して 個 別 の 言 語 を と り あ げ た が,一 部 の 方 言 や,分
0.3 分 冊 の 編 修 にあ た って は,ロ
シア ・東 欧 ・中 欧
の政 治 上 ・社 会面 で の変 動 に伴 う記 述 の変 更 等 を 中 心 と した本 文 の 訂正,追 記 を行 な った ほ か は,本 体 で あ る 「世 界 言 語 編 」 「補 遺 ・言 語 名 索 引 編」 刊 行 時 の 内容 を そ の ま ま採 用 す る こ と を原 則 と して,ご
タ カ ナ に 翻字
して,五 十 音 順 に 示 した.
類 上 の 位 置 に か か わ る名 称,
す なわ ち,語 族,語 派,語 群,諸 語等 も,必 要 に応 じて と りあ げ た. 1.3 現 在 用 い られ て い る言 語 の み な らず,過 去 の言 語(い わ ゆ る死 語)も と りあ げ た. 1.4 カ タ カ ナ へ の 翻 字 は,「 外 来 語 の 表 記 」(平 成3
く少 量 の 修正 と誤 記 ・誤 植 の訂 正 を行 な うに と どめ
年6月28日
た.し たが って,そ の後 の 研 究 の 進 展,研 究 書 等 の
ず し もそ れ に と らわ れ る こと な く,現 在 の慣 用 に も
刊 行 につ い て は原 則 と して ふ れ て いな い.
内閣 告 示)を ひ とつ の 目安 と した が,必
十分 留 意 す る よ う につ と め た.
0.4 記 述 的 な研 究 が す す み,資 料 の 蓄 積 が よ く行 な
1.5 慣 用 と して 広 く用 い られ る異 称 を,可 能 な 限 り
わ れ て い る言 語 につ いて は,そ れ にみ あ った 詳 細 な
空 見 出 しと して 掲 げ た.
記 述 を 行 な った.し か し,一 方 で は,言 語 内容 の 具
例)オ ッ ク語(空 見 出 し)=プ
ロヴ ァ ンス語
体 的記 述 に まで 詳 し く立 ちい る こ とが で きな か った
カ ステ ィー ヤ語(空 見 出 し)=ス
言 語 もあ る.こ の よ うな 項 目 の 大 小,記
ス カ ン ジナ ビア語(空 見 出 し)=ノ
は,主
述 の精粗
と して,そ の 言語 に 関 す る記 述 的研 究 の進 展
状 況 を反 映 して い る.
ジプ シー語(空 見 出 し)=ロ
ル ド語
マ ー ニ ー語
1.6 カ タカ ナ 表 記 の ゆ れ が い ち じる しい 場 合 は,ど
0.5 執 筆 者 自身 の調 査 研 究 に よ る,豊 富 な 第1次 資
の 異 表 記 か らで も引 け る よ う,別 に 空 見 出 しを設 け
料 を有 す る言 語 に つ い て は,そ の 資料 を存 分 に と り
た.
こん だ精 密 な記 述 を行 な った.
例)サ ル ジニ ア語(空 見 出 し)=サ
0.6 話 者 人 口 の 多 い,い
ペ イ ン語
わ ゆ る 大 言 語 や 国 際 語 に,
と くに大 きな紙 面 を あ て る方 針 は と らなか っ た.大 言 語 も小 言語 も,言 語 学 的 記 述 の 対 象 と して は,同 等 で な けれ ば な らな いか らで あ る. 0.7 関 連 諸 項 目 の記 述 に お い て,同 一 言 語 が異 な っ た 分類 上 の位 置 や名 称 を 与 え られ て いた り,同 一 の
ルデ ィ ーニ ャ語
モ ル ドバ 語(空 見 出 し)=モ ル ダ ビ ア語 1.7 空 見 出 しの参 照 先 は,2種
類 の記号 を用いて区
別 して 示 した. →:矢 印 の先 の項 目 に,そ の言 語 につ い ての 記 述 が 含 まれ て い る こ と を表 わす. =:イ
コ ー ルで 結 ば れ た両 者 は,同 一 言 語 の 異 称
で あ り,イ コー ル で示 さ れ た項 目 で,具 体 的 な 解 説 が な され て い る こと を表 わす.
含 まれ る こ とが あ る. 3.5 本 文 中 の 言 語 名 に は,本 書 に見 出 し と して と ら
1.8 見 出 しは,長 音 記 号 「ー」 お よ び漢 字 「語 」 は 無 視 して,五 十音 順 に配 列 した.
れ て い な い もの につ い て,そ の項 目 の初 出個 所 に カ タ カ ナ表 記 と そ の 原 綴 りを示 す こ と を原 則 と し た. な お,見 出 しに と られて い る言 語 名 につ いて は,そ
2. 原 綴 りと原 籍 の表 示
の 項 目 の 初 出個 所 も 含 あ,カ
2.1 見 出 し形 の 直後 に,そ
の 見 出 し形 に対 応 す る原
綴 り と原籍 を示 した.
3.6 本 文 中 の 民 族 名,人
2.2 そ の 言 語 の研 究 に 関 連 の 深 い 各 言 語 に よ る綴 り を,必 要 に応 じて,原 則 と して,以 下 の 順 に 並 べ て 示 した. 自称,英 語,ド
名,地
名 に は,そ の項 目の
初 出個 所 に カ タカ ナ 表 記 とそ の 原 綴 りを示 し,2回 目以 降 は カ タ カナ の み で 表 記 す るの を 原 則 と した. 3.7 音論 の記 述 に は,国 際 音 声 字 母(The
イ ツ語,フ
ラ ンス 語,ロ
シア語,
ス ペ イ ン語,そ の 他 の 言 語
tional Phonetic
Interna
称IPA)の1979年
改
的 な 慣 用 に 従 わ ざ る を え な か っ た場 合 が 少 な くな
な か った.な お,自 称 の綴 りを本 文 の記 述 中 で示 し
い.な お,1979年
た場 合 があ る.
に掲 出 した.
2.4 原 籍 は,上 の 英,独,仏,露
西 と,伊(イ
タリ
ア語),蘭(オ ラ ンダ語)は漢 字 に よ る略 称 で,そ の他 は カ タカナ で 示 した. 2.5 原 綴 り は,第1字
Alphabet,略
訂 版 を用 い る こ とを 原 則 と した が,各 言語 の研 究 史
2.3 自称 によ る綴 り の場 合 は,原 籍 の 表 示 は行 な わ
西,露
タ カ ナの み で 表 記 し
た.
版,1989年
版 のIPA表
を見返 し
3.8 文 字 に関 す る具 体 的 な記 述 は,「 世 界 文 字 編 」 で 扱 った. 3.9 本 文 中 の 引 用 文 献 は,「 参 考 文 献 」 欄 に記 載 の な
を,英,独
は 大 文 字 で,仏,
い もの は,記 述 中 に そ の 著 者 名,論 文 名(書 名),出
は小 文字 で示 した.た だ し,英 語 に よ る綴 り
版 社,刊 行 年 な ど を 示 し,「 参 考 文 献 」 欄 に掲 げ ら
と他 言 語 に よ る綴 り が 同 形 の 場 合 に は,簡 略 化 し
れ て い る もの につ いて は,著 者 名 と刊 行 年 の み に よ
て,英 語 に よ る綴 りのみ を 示 す こ とを 原 則 と した.
る略 式 の表 示 を行 な うこ と を原 則 と した.
2.6 そ の言 語 名 の も っ と も一 般 的 な ロー マ字 表 記 を,
例)サ
便 宜 上,英 語 に よ る表 記 と して 示 した 場 合 が あ る.
ピア(E.Sapir,1930)
メイ エ と コエ ン(A.Meillet
et M.Cohen,
1952) 3. 本
文
ま た,本 文 中 で 論 文 名 や 書 名 を 省 略 形 に よ って示 し
3.1 見 出 しに掲 げ た言 語 の,名 称,系 統,分 布,人
口,音 韻,形
態,統 語,方 言,語
類,分
彙,語
史,
研究 史,作 品 等 を,可 能 な 限 り最 新 の デ ー タを用 い て記 述 した.
た場 合 が あ るが,そ
の場 合 は,「 参 考 文 献 」 欄 に 全
形 を 掲 げ るよ うに した. 3.10 項 目末 の 「参 照 」 欄 と は別 に,本 文 中,そ こ で 話 題 に な って い る事 柄 に つ い て の 参 照項 目を,カ
3.2 大 項 目,中 項 目 に は,適 宜,上
記 の 内 容 に対 応
ッ
コ内 に → で 示 した .そ の 場 合,『 大 辞 典 』 と して掲
した小 見 出 しを 設 け る こ と を原 則 と した.な お,そ
げ られ た 言語 名 は,本 書 の元 版 で あ る 『 言語学大辞
れ ぞれ の言 語 の研 究 事 情 に応 じて,言 語 構 造 以 外 の
典 』 に 掲 載 さ れ て い る項 目 で あ る こ と を 示 して い
文 化 的,社 会 的,歴
史 的 な背 景 等 に関 す る記 述 を
「概 説 」 と して ま と め た り,「 形 態 」 と 「統 語 」 を 「文 法」 と して ま と め た り,さ
ら に は 「音 韻 」 と
る. 3.11 本 文 中 の 略 語 は,特 殊 な もの につ いて はそ の 項 目内 で,一 般 的 な もの につ い て は凡 例 で 説 明 す る こ
「文 法 」 を 「 言 語 特 徴 」 と して ま と めて 記 述 した 場
とを原 則 と した.後 出 の略 語 一 覧 を参 照 され た い.
合 が あ る.小 項 目 に は,原 則 と して 小 見 出 しはつ け
3.12 言 語 名 の 略称 は,各 項 目 の記 述 中 で説 明 した.
なか った. 3.3 語 族,語 派,語
群,諸
語 等 の 分 類 上 の 名 称 を,
本 文 中 で は慣 用 的 に簡 略 化 した 形 で 用 い る こ とが あ る.た とえ ば,ケ ル ト語 派,ロ マ ン ス諸 語 に 属 す る 個 々 の言 語 を,そ れ ぞ れ ケ ル ト語,ロ とよ ぶ類 で あ る.さ らに,た
マ ン ス語 な ど
とえ ば,イ
ロ ッパ 語 族 に属 す る諸 言 語 を,ま
ン ド ・ヨー
とめて イ ン ド・
ヨー ロ ッパ(諸)語 な ど と よぶ 場 合 もあ る. 3.4 分 類 の 方 法 に よ っ て は,諸 語 の 中 に 別 の 諸 語 が
4. 辞
書
4.1 これ ま で に 出 版 さ れ た そ の言 語 に関 す る辞 書 の うち,代 表 的 な もの を 精 選 して 示 した. 4.2 学 習 ・研 究 向 き の す ぐれ た辞 書 や,研 究 史 的 に 重 要 な意 義 を もつ 辞書 を と りあ げ る こ とを主 眼 と し たが,必 要 に 応 じて,語 源 辞 典,古
語辞 典,外 来 語
辞 典,百 科事 典 等 の特 殊 辞 書 も と りあ げ た. 4.3 そ の言 語 自体 に よ る辞 書 ば か りで な く,二 言 語
(例:1968).
対 照 辞 典 も と りあ げ る よ うに した. 則 と して と り あ げ な
5.10 欧文 文 献 中,漢 字 の 該 当 す る著 者 名 に は,欧 文
か った が,語 彙 集 で は あ って も,実 質 的 に辞 書 と し
ス ペ リ シ グの す ぐ後 に,〔 〕 を 用 い て,可 能 な 限
て の 内 容 を備 え て い る もの に つ いて は,辞 書 と して
り漢 字 表 記 を 補 入 した.
4.4 簡 略 な 語 彙 集 の 類 は,原
と り あ げ た場 合 が あ る. 4.5 内 容 的 に不 十 分 な 辞 書 で は あ っ て も,そ れ が, そ の言 語 に関 す る唯 一 の 辞書 で あ る場 合 に は,そ の
6. 参
照
6.1 項 目末 に,必 要 に応 じて 参 照 項 目を お き,そ の 言 語 を よ り よ く理 解 す る た め の 補 助 情 報(周 辺 地 域
辞 書 を と りあ げ て示 す こ とを 原 則 と した. 4.6 語 族 等 の,上 位 レベ ル に 属 す る項 目で は,比 較 言 語 学 的 な観 点 か ら編 まれ た 比 較辞 典 の類 を と りあ
の 諸 言 語 分 布 図,近
縁 諸 言 語 の 系 統 分 類 表,研
究
史,言 語 特 徴 等)の 所 在 を示 した. 6.2 相 互 に 関 連 した 複数 の 項 目間 で,記 述 の 重 複 を
げ た. 4.7 掲 示 した 辞 書 の そ れ ぞ れ に つ い て,そ の特 色 を, ご く簡 略 に解 説 す る よ うにつ とめ た.
さ け る た め に,内 容 の書 き分 けを 行 な っ た場 合 が 少 な くな い.こ の よ う な場 合 は,参 照 に よ って,単 な
4.8 書 誌 的 な デ ー タの 記 載 は,後 述 の 参 考 文 献 の 記
る補助 情 報 の範 囲 に と ど ま らな い,必 要 情 報 の所 在 を 示 した.
載 法 に準 じた.
6.3 本 欄 の 中 で,『 大 辞 典 』 と して 掲 げ られ た言 語 名 5. 参 考 文 献
は,本 書 の元 版 とな った 『言 語 学 大 辞 典 』 に掲 載 さ
5.1 そ の言 語 に 関 す る参 考 文 献 の 中 か ら,学 習 や 研
れ た項 目で あ る こ とを示 して い る.
究 に有 益 なす ぐれ た 文献,研 究 史 的 に重 要 な意 義 を 7. 使 用 記 号 一 覧
もつ 文 献 を精 選 して 示 した. 5.2 そ の言 語 の 全 体 像 を 概観 的 に と らえ た 文 献 を と
本 書 で 使 用 した 主 な記 号 類 の 用 法 は,大
略,以
下
り あ げ る こ とを 主 眼 と し,個 別 的 な言 語 現 象 を テ ー
の と お り で あ る.な お,こ
マ と した特 殊 文 献 は,原 則 と して と りあ げ な か っ
特 殊 な 記 号 類 に つ い て は,本 文 中 の 該 当 箇 所 に そ
た.
れ ぞ れ説 明 を 付 した.
5.3 参 考 文 献 の 選 定 は,執 筆 に あ た って利 用 した文
( )言
こに あ げ られ て い な い
語 名,民 族 名,地 名,人 名,書 名 の 原綴 り
献 と い う観 点 で は な く,こ れ か らそ の言 語 を学 習 し た り研 究 した り す る上 で の 必 読 の 文献 と い う観 点 か
そ の部 分 省 略可 能
ら行 な った.た だ し,そ の 言 語 の研 究 状 況 に よ って
文例の提示
は,両 者 は,事 実 上,一 致 す る こ とが少 な くな い.
文 例 の 逐 語訳 一 般 に,補 足 的 説 明
5.4 参 考 文献 は,著 書,雑 誌 論 文 の 別 な く示 した.
執 筆 者 の表 示
5.5 そ の 言 語 自体 に よ る文 献 ば か りで な く,他 の 諸 〔 〕
言 語 に よ る文 献 もと りあ げ た. 5.6 著 者 名,刊
行 年,書
名,シ
リー ズ名,出
文法的機能 一 般 に,( )に 準 じる補 足 的 説 明
版 社,
出版 地 の デ ー タを,こ の順 序 で 記 載 した.雑 誌 論 文 の 場 合 は,著 者 名,刊
行 年,論
文 名,雑 誌 名,巻
略 称,略 語
[ ]項
目 中 の小 見 出 し
[ ]発
音表 記
この 順 序 で記 載 した.た だ し,雑 誌 につ いて は,出
/ /音
素
版 社(発 行 機 関)や 発 行 地 の 記 載 を 省 略 した場 合 が あ
{ }形
態素
る.ま た,単 行 本 収 録 論文 の場 合 は,著 者 名,刊 行
図
年,論 文 名,編 者 名,書
〈 〉
一 般 に,語 句 の 強調 な ど
《 》
小 見 出 しの 中 の 区分 け
数,号
数,出
版 社(発 行 機 関),発 行 地 の デ ー タを,
名,シ
リー ズ 名,出 版 社,
出 版 地 の 各 デ ー タを,こ の順 序 で記 載 した.
文 法 的 機能
5.7 同 一 著 者 が 同 一 年 に 刊 行 した 複 数 の著 作 を 表 示 す る場 合 は,刊 行 年 の 後 に,a,b,cな
どを 付 して 区
「 」
き る限 り そ
れ を 示 す よ う につ と めた. 5.9 第2版 以 降 の 版,お
よ び そ の 刊 行 年 は,刊 行 年
の右 肩 に 版 数 を 添 え て 表 示 す る こ と を 原 則 と した
語 例,文 例 の 日本 語 訳 日本 語 によ る論 文名 一 般 に ,強 調 や特 定 の 術 語 な どの 指 示
別 した. 5.8 復 刻 版 や 日本 語 訳 の あ る文 献 は,で
表 の指 示
『 』 ' '語
日本 語 によ る書 名,雑 誌 名 例 ,文 例 の英 語訳 一 般 に,強 調
" "欧
文 に よ る論 文 名
abl.
一般 に
,強 調 韻 論 的条 件 に よ って 決 ま る)異形 態
∼(音
生 没 年 な どの つ な ぎ 一 般 に ,省 略語 句 の代 用
ablative
abs.,
absol. ①absolutive,②absolute
Abt.
Abteilung(独)
acc.
accusative
A.D.
Anno
∞(形態論 的条 件 に よ って 決 ま る)異形態 〓語 根
Domini(=in
our adj.
adjective
>,<
語 形 変 化,派 生
adv.
adverb
→ ,←
語 形 変 化,派 生
aor.
aorist
→
参 照 項 目の指 示
AP
adjective
approx.
approximate(ly)
art.
article
aux.
auxiliary
B.C.
before
Bd.
Band(独)
Bde.
Bande(独)
〓(表中 で の)参照 の 指 示 等 ,等 価
=同
参 照 項 目の指 示 /,/音 …(文
韻 や 形 態 の対 立,交 替,択 一 例 中 の)省略 語 句 の代 用
φ
ゼ ロ要 素(主 と して 形 態素)
#語
の境界
+
ゼ ロ要 素(主 と して 形 態 素)
ca.
形態素の境界
caus.
causative
cf.
confer
立
語 例 や 文 例 の例 示 *(左 肩)再 構 形(再建 形)
chap.
chapter
cl.
class
② comparative
×非 文 法 的 な文 や表 現
compar.
comparative
cond.
conditional
〇
存在
conj.
conjunction
×
非存在
dat.
dative
‐接 辞
degree degree
der.,deriv. ①derivative,②derivation
形 態 素 間 の 区切 り(欧文)
dl.
dual
原綴 りの分 綴
do.
ditto
ed.,eds.
editor(s)
文献 の刊 行 年 な どの つ な ぎ 形 態 素 間 の 区切 り(欧文,和 文)
e.g.
exempli
encl.
enclitic
人 名等 の カ タカ ナ表 記 の 区 切 り 一 般 に,並 記
esp.
especially
−形 態 素 間 の 区切 り(和文)
_(下
Christ
comp. ①compound,
*(右 肩)注
=人
phrase
circa
音 声 上 の 吸気
・
year
C ①complement,②consonant
‖形 態 素 の 境界 :対
the
Lord)
et
名等 の カ タカ ナ表 記 の 区 切 り 線)(文 例 中 の)語句 の 強調 や指 定
イ タ リ ッ ク体 活 字
欧 文 に よ る書 名,雑
誌名
al.
et
alii(=and
etc.
et
cetera(=and
ex.
example
excl.
exclusive
(文例 中 の)語 句 の 強 調 や
f.
feminine
指定
fasc.
fascicule
fig.
figure
fut.
future
8. 略 語 一 覧
gratia(=for
本 書 で 使 用 した 主 な略 語 は,大 略,以 下 の と お り
gen. ①genitive,②general
で あ る.な
ger.
gerundive
Hrg.,Hrsg.
Herausgeber(独)
お,言 語 名 の 略 称 に つ い て は,本 文 中
の該 当個 所 に そ れ ぞ れ説 明 を付 した. A
adverbial
hrsg.
herausgegeben(独)
abbrev.
abbreviation
ibid.
ibidem(=in
example)
others) so
the
same
on)
place)
of
i.e.
id
poss.
possessive
impf.
imperfect
p.p.
past participle
incl.
inclusive
pref.
prefix
ind.
indicative
prep.
preposition
inf.
infinitive
pres.
present
inj.
injunctive
pret.
preterite
inst.
instrumental
procl.
proclitic
inter.
interrogative
pron.
pronoun
intr.
intransitive
IPA
The
pronom. pt.
pronominal part
1.,11.
line(s)
pt. rep.,repr.
participle reprint
lit.
literally
rev.
revised
loc.
locative
rt.
root
m.
masculine
S
subject
mimeo.
mimeograph
ser.
series
manuscript(s)
sg.
singular
N①noun,②new
sic.
so,thus
N°numero(仏)
suf.
suffix
neuter
Suppl.
supplement
n.d.
no
t.
tome(仏)
neg.
negative
tl.
trial
No.,Nos.
number(s)
tr. ①transitive,
est(=that
International Alphabet
MS.,MSS.
n.,neut.
is)
date
Phonetic
②translation
nom. ①nominative,②nominal NP
noun
N.S.
New
O ①object,②old p
proto-
p.
past
p.,pp.
page(s)
pass.
passive
phrase Series
or
voc.
vocative
Vol.,Vols.
volume(s)
VP
verb
vs.
versus
phrase
〓(露) 〓(露) 〓(露),
perf.,pf.
perfect
pers.
person
pl.
plural
T.
TOM(露)
plate
TT.
B…TOMax(露)
plt.,pt.
translated
V①verb,②vowel
〓(露)
by
〈u〉[Y]は,い
あ
の狭い
わ ゆ る あ い ま い 音 で,ド
Ⅱ)音
声 上 の特 徴
ア ク セ ン トは,原 ア イ ス ラ ン ド語
islenzka,英Icelandic,
[概
説]
ル ド語)に
属 す る言 語 で,現
国 の 公 用 語 に な っ て い る.ア
在 は,ア
イ ス ラ ン ド共 和
イ ス ラ ン ド(Island)と
「氷 の 国 」 の 意 味 で あ る.ス 語 な ど の 東 部 方 言 に 対 し,西
ウ ェ ー デ ン 語,デ
は
Islendingur[〓]「
ンマ ー ク
部 ノ ル ウ ェ ー 語 諸 方 言,
ェ ー ロ ー 語 に も っ と も近 い が,形
占 め て い る.ア
Ⅲ)母
態
短母音 長母音
妨 げ る よ う な 自 然 の 要 害 も 少 な い の で,理
解を困難に
す る ほ ど の 方 言 上 の 差 異 は な い. ア イ ス ラ ン ドは,9世
ル ウ ェ ー よ り植
植 民 の 書 」 に よ れ ば,
最 初 の 植 民 者 は 西 ノ ル ウ ェ ー 出 身 の イ ン ゴ ゥル ヴ ル ・ ア ウ ド ナ ル ソ ン(Ingolfur
Arnarnson)で,877年,
の よ う な 事 情 か ら,ア
イ ス ラ ン ド語 は 中 世 ノ
ル ウ ェ ー 語 と ほ ぼ 同 一 の 言 語 で あ っ た.エ
ッ ダ 詩,サ ガ
文 学 な ど が 特 に ア イ ス ラ ン ドで 栄 え た の は,こ
二 重 母音 発 音 と綴 り字 の 関 係 で 特 殊 な も の は,次
1)〈y〉 語では 2)歴
は,古
語 で 中 舌 母 音 の[u]で
の とお りで
史 的 に は 開 音 節 で,古
代
語 の 短 母音 は すべ て 長
の 島が
現 代 語 で は 長 さ で は な く,音
bite',
vi〓bitum[〓]'we
bit'
3)短
母 音 は,p,t,k+v,j,rの
は な か ろ う.ア イ ス ラ ン ド語 で 国 外 へ で る こ と をfara
vokvi[〓]'juice'
の 母国
質 の 違 い と な っ た.
vi〓bitum[〓]'we
母 国 を は る か に 離 れ た 孤 島 で あ っ た こ と と も無 関 係 で
海 外 か ら 帰 朝 す る 」 と 表 現 す る の は,そ
あ る が,近
〈i〉と 合 流 し た.
betri[〓]'better'
utan「
奥舌
音 と な っ た の で,〈i〉 と 〈i〉,〈U〉 と 〈u〉 と の 対 立 は,
現 在 の首 都 レイ キ ャヴ ィ ー クの 地 に居 をか まえ た とさ れ る.こ
中 舌
あ る.
紀 の 後 半,ノ
民 が 始 ま っ た.Landnamabok「
国民の」
音 前 舌
通を
強
ア イ ス ラ ン ド人 」〓
[〓]「
代 ノ ル ド語 の 中 で 特 異 な 地 位 を
イ ス ラ ン ド島 は 面 積 も 小 さ く,交
数)」
お い て 先 の 音 節 に2次
勢 が 発 生 す る.
フ ェ ー ロ ー 語 な ど と と も に 西 ノ ル ド語 を 形 成 す る.現
の 複 雑 さ に お い て,現
外 国(複
3音 節 以 上 の 語 で は,1つ
ゲ ル マ ン 語(ノ
節 に あ る.
戦 い」
utlond[〓]「
ア イ ス ラ ン ド語 は,北
存 す る 方 言 中,フ
則 と し て 第1音
bardagi[〓]「
独Islandisch,仏islandais
イ ツ語 な ど
〈o〉 に 似 て い る.
4)〈ng,nk〉
の 前,あ
前 で 長 音 と な る.
る い は 重 複 子 音 の 前 で は,
か ら み て,「 帰 っ て く る こ と 」が ア イ ス ラ ン ドか ら み る
かつ て は 単 母音 で あ った もの が 長 母 音 あ る い は二 重 母
と 海 外 へ で る こ と を 意 味 し て い た か ら で あ る.
音 と同 じ扱 い に な っ た(し
現 代 ア イス ラ ン ド語 の 概 要 は,次
発 音 さ れ る).
の 通 り で あ る.
[音 声 ・音 韻] Ⅰ )字
母
i→i
fingur[〓]「
u→u
ungur[〓]「
a→a
anga[〓]「
か し,〈i〉 〈u〉 は 短 く鋭 く
指」 若い」 匂 う」
langur[〓](「
長 い 」の男 性 主格 単
数) o→au
long[〓](<langurの
女 性 主格 単
数) e→ei
lengi[〓]「
長い間」
〈gj,gi〉 の 前 で, a→ai
hagi[〓]「
e→ei
segja[〓]「
i→i
stigi[〓]「
5)二 〈q〉 お よ び ]と
〈w〉 は,そ
読 む が,本
な い 文 字 で あ る.近
れ ぞ れ[〓][〓
年 の 正 書 法 改 革 で,〈z〉
と書 か れ る こ と に な っ た が,本
項では
は
〈s〉
〈z〉 を 用 い る.
suld[〓]「 Ⅳ )子 [〓]は
言 う」 梯子」
重 子 音 の 前 で,〈〓
piddur[〓]「
来 の ア イ ス ラ ン ド語 で は 用 い ら れ
牧草地」
〉 は 短 く発 音 さ れ る.
溶 け た 」(〓
の 過 去 分 詞)
霧 雨」
音 〈n〉 の,[q](gの
摩 擦 音),[x](同
左 の無
声 音)は
有 声 破 裂 音 〈g〉の,環 境 に 応 じ た 変 種 で あ る.
enginn[〓]<einn'one'+gi(否
定 詞)〓
[〓]<leggjaの lagt[〓]< [x]音
中 性 名 詞 は,主
過 去形
単数
同上 の 過去 分 詞
は,ま
た 字 母 の 〈x〉[〓]に
格 と対 格 が 常 に 同 形 で あ る ほ か は,
男 性 名 詞 に よ く似 た 変 化 を す る.
複数 み ら れ る.
綴 り字 と 発 音 の 関 係 で 特 殊 な も の は,次
「国 」
弱 変 化 の 例:「
の とお りで
目」
単 数(全
あ る.
格 同 形)
複数
1)前
舌 母 音 の 前 でxお
よ びgの
音 は ,口
蓋化 さ
3)女
れ る.
性名詞
単数
hja[〓
ヒ ャ ウ]「 … の も と で 」〓 [〓
2)kl/kn/kk,pl/pn/pp,tl/tn/ttは hk,hp,htと
ガ,歴
史」
複数 4)特
欠 乏」
殊 な 変 化 を す る名 詞
単数
heppni[〓]「
幸運」
dottir[〓]「
娘 」,な
3)‐rn/‐llは,そ
物 語,サ
単数
れぞれ
れ を 前 気 音(pre‐aspi‐
よ ぶ.
ekla[〓]「
「港 」
弱 変 化 の 例:「
,そ
発 音 され る .こ
ration)と
複数
イ ー ギ ャ イ ル]「 昨 日」
複数 ど.
れ ぞ れ[dn/dl]の
「父 」
上 の 類 例:「 よ う に発 音 す
兄弟」
単 数(主
る.
格)(主
格 以 外)
複数 barn[〓]「
子 供」
gamall[〓]「 ま た,barns「
古い」
子 供 の 」,vatns「
Ⅱ )冠
水 の 」は,[〓][〓]
娘」
冠 詞(akve〓ni
greinirinn)の
み で,不
定 冠 詞 は な い.
[語 形 変 化]
現 代 ア イ ス ラ ン ド語(islenzka)に
の よ う な 品 詞 が 認 め ら れ る.
Ⅰ)名
詞(nafnor〓)
定 冠 詞 は,数,性,格
に 応 じ て 変 化 す る.一
ル ド語 の 特 徴 と して,名
詞 に 定 冠 詞 を つ け る 場 合,形
容 詞 が あ れ ば,冠 詞 を,英
数(tala)―
単 数(eintala)と
複 数(fleirtala)
性(kyn)―
男 性(karlkyn),女
性(kvenkyn),
格(fall)―
主 格(nefnifall),属
先 頭 に お き,形
与 格(pagufall),対 1)男
〓 stora
格(polfall)
容 詞 が な け れ ば,名
な ど が 変 化 の 目 安 に な る.古
ノ ル ド語 の 語 幹 に よ る 変
代 ア イ ス ラ ン ド語 で は 難 し くな っ て
い る.
た だ し,こ
Ⅲ )数
hus「
れ は 文 語 で あ り,口
の 順)
数 字 は,性,格
て い る 場 合 は,こ er
24(tuttugu
基 数 詞 「馬 」 「1」
単数 複数
「ビ ‐ ル 」
「2」 「3」
単数 「4」 複数
「場 所 」 雄 鶏」 格)(主
「5」
格 以 外)
「6」 「7」
性 名詞
に よ っ て 変 化 す る.5以
「8」
詞 に1∼4が
降 は, 含 まれ
の 部 分 が 変 化 す る.
「私(男 性)は24歳
複数
複数
語 で は,stora 〓
名 詞 扱 い で 属 格 を 要 求 す る が,数
単数
単 数(主
そ の 大 きな 家 」
詞(〓)
1∼4の
Eg
男 性(主,属,与,対
弱 変 化 の 例:「
詞 の う しろ につ け
の よ う に い う.
男 性 名 詞 は,属 格 語 尾 が‐sか ‐arか,単 数与格 に ‐iが あ る か な い か ,複 数 主 格 の 語 尾 が‐arか‐irか,
化 類 の 区 別 は,現
イ ッ 語 の よ うに語 群 の
〓 「そ の 家 」
格(eignarfall),
性 名詞
語,ド
般にノ
る.
中 性(hvorugkyn)
2)中
姉 妹 」,「
詞(greinir)
冠 詞 は,定
と 読 む.
は,次
「母 」
上 の 類 例:「
og
fjogra)ara
で す 」(fjograは,複 序数詞
gamall. 数 属 格)
単数
「9」
複 数(す
「10」
《女 Ⅳ )代
名 詞(fornofn)
1)人
単数
称代 名 詞 主 格
《単
べ て の 格 に 共 通)
性》
属 格
与 格
複 数(す 対格 《中 数》
べ て の 格 に 共 通)
性》
単数
1人 称 複 数(す 2人 称 3人 称
べ て の 格 に 共 通)
形 容 詞 の 比 較 級 と最 上 級 に は,3種
男
類 の っ くり方 が
あ る. 女
1)原
級 に‐ari(比
較 級),‐astur(最
上 級)を
つ
中 《複
け る もの
数》
1人 称
rikur‐rikari‐rikastur「
2人 称
skyldur‐skyldari‐skyldastur「
3人 称
2)原
男 女
称 と し て 使 わ れ た が,今
上 す た れ て い る.ま
た,3人
が 含 ま れ る と き は,中 2)指
日で は 事 実
称 の 複 数 で,男
性 のpauが
性 と女性
《単 》〓
は 複 数,属
これ 」 《複 》hinir/hinar/hin「
あ
sem(不
変 化);er(同,古
∼ の 中 で 」)で あ る.最
風)―
これ らの語 は前
er
halli
en 〓.「
氷 は ガ ラ ス よ り滑
skemmstur.「
今 の 時期 も っ と も
〓
化 の 形 式 は,ド
よ び,比
較 級,最
上級の
イ ツ 語 な ど と 同 じ く,
dyrara
en
er
fegurst
平 ら な 」 の 強 変 化(主,属,与,対
〓― betri―bestur「
の
mikill―meiri―mestur「
非常
の よ うな もの も あ
よ い 」(英'good') 小 さ い 」(英'little') 多 くの 」(英'many') 大 き い,多
く の 」(英
'mickle')
複数
vondur―verri―verstur「
性》
原 形 が な く,比
単数
較 級,最
悪い」 上 級 の み の 形 容 詞 に は,次
の よ う な も の が あ る.
複数
〓―〓 「よ り遠 い,も
性》
単数
fremri―fremstur「
複数
ytri―ystur「
《男
グブズルー
年 を と っ た 」(英'old')
margur―meiri―mestur「
性》
単数
2)同
alla kvenna.「
な 美 人 だ)」
litill―minni―minstur「
《中
肉 は 魚 よ り値 が は
不 規 則 な 形 を も つ 形 容 詞 に は,次
gamall―eldri―elstur「
容 詞 の 変 化 例 を 示 す.
順)
《女
fiskur.「
る(英 語 な ど と共 通 の 語 が 多 い).
強 変 化 と弱 変 化 を 区 別 す る.
1)flatur「
er
ン は す べ て の 女 の 中 で も っ と も美 し い(=
に よ る 変 化,お
以 下 に,形
dagur
る」
i.
容 詞(r〓)
区 別 が あ る.変
er
日が 短 い」 Kjot
,sem(ま た は er)eg by house which I live in'
数,性,格
《男
上級
格 の 名 詞 を と る こ と が で き る.
Isinn
Nu
置 詞 と 直 接 結 合 し な い.〓
Ⅴ )形
健 や か な」
エ ネ ル ギ ッ シ ュな」
らか だ」
係 代 名 詞(tilvysunarfornofn)
'the
浅 い」
混成
比 較 の 接 続 詞 はen(「
「そ れ 」
れ」 3)関
記1と2の
otutull―otulli―otulastur「
《複 》〓
pessi/pessi/petta「
grunnur―grynnri―grynstur「 3)上
つけ
「少 な い 」
heill―heilli(<*heilri)―heilastur「
用 い られ る.
示 代 名 詞(abendingarfornofn)
《単 》〓
上 級)を
音 に 注 意)
far―〓―〓
ver,perは,敬
縁 の深 い」
級 に ‐ri(比 較 級),‐stur(最
る も の(変
中
富 め る」
上 の 弱 変 化(配 性》
列 は 上 に 同 じ)
な ど. Ⅵ )動
詞(〓)
よ り 前 の,も
よ り外 側 の,も
っ と も遠 い 」 っ と も前 の」
っ と も外 側 の 」,
動 詞 は,ド
イ ツ 語 な ど の よ う に,人
行 な う.時 vera+
制(〓)は,現
過 去 分 詞)の
Eg
hef
Jon
去,完
bokina.'I
have
kominn.'John
read
the
book.'
er
〓 lesa
同 様 に,完 Eg
bok.'I
a〓+ 不 定 詞
の形 式
in
the
middle
of
複数
私 は 読 書 中 だ」
buinn
〓 lesa
reading
the
bokina.'I
am
through
現在分詞
book.'
Ⅶ )準
と 表 わ す こ と が で き る. 法 は,直
態(mynd)は,能
+ 過去 分 詞)で
し て は,再
fnhattur),助
別 が あ る.
英 語 や ド イ ツ 語 と 同 じ く,現
受 動 態(pol あ る.特
す る.不
別 な形 と
帰 代 名 詞 が 動 詞 と融 合 し た 中 間 態 と称 す べ
き もの が あ る. 例)〓
sig→〓 berjast「
彼 ら は 互 い を 打 つ;殴
りあ い を す
互 い に 挨 拶 す る 」,な
の 変 化 様 式 を も っ て い る.強
ル マ ン語 独 自 の 発 達 で あ る.こ ス ラ ン ド語 で は,英
ど.
変化 は母 音 交替 変化 は ゲ
の 両 者 の 区 別 は,ア
語 な ど と違 い,か
〓〉 で あ る.
の 主 な もの は次
で き る,可
イ
な り忠 実 に 保 存
す る術 を知 って い る」
能 で あ る」
∼ だ ろ う」 ∼ す べ き だ」
vilja「 ∼ す る つ も り だ 」 Ⅷ )前
置 詞(forsetning)
a〓'at',(a)eftir'after',fra'from',fyrir 'for' Ⅸ )副
,gegn'against',な
ど.
詞(〓)
《形 容 詞 か ら 派 生 す る も の 》
強 変 化 動 詞 の 人 称 変 化 例:at 'to choose'と
kjosa「
選 ぶ 」(英
語
同 系)
〓
「遅 い 」 →
〓
「遅 く」
《場 所 の 副 詞 》
在》
fram,,frammi,framan「
前 へ,前
inn,inni,innan「
単数
中 へ,中
upp,uppi,uppan「
複数 去 》
外 へ,外
か ら」
か ら」
に,上
に,外
heim,heima,(〓)heiman「
複数
に,前
に,中
上 へ,上
ut,uti,utan「
単数
か ら」
か ら」 家 へ,家
に,家
か
ら」
弱 変 化 動 詞 の 人 称 変 化 例:at
《時 の 副 詞 》
tala「 話 す 」
nu「
在》
今 」,pa「
「決 し て 」,oft「
単数
そ の と き」,lengi「 し ば し ば 」,seint「
長 く」,aldrei 遅 く」,な
ど.
《様 態 の 副 詞 》
複数 《過
詞 は,
在 分 詞 と過 去 分 詞 を 区 別
do'
∼ で き る,∼
mega「
skulu「
さ れ て き た.
《現
あ る.分
助 動 詞 は か な り 発 達 し て い る が,そ
munu「
heilsast「
に 基 づ く伝 統 的 な 造 語 法 に よ っ て 作 ら れ,弱
《過
定 詞 の 印 は,〈
〓 gera'to
kunna「
「服 を 着 る 」
ア イ ス ラ ン ド語 の 動 詞 は,ゲ ル マ ン 語 の 伝 統 に 従 い,
《現
定 詞(na
動 詞(hjalparsogn)が
の とお り で あ る.
る」
強 弱2種
詞(〓),不
令 法(〓
動 態(germynd)と
mynd:vera/〓
動詞
準 動 詞 と し て は,分
説 法(framsoguhattur),命 続 法(〓)の
p eir
去》
了 の 意 味 も辞 書 的 に,
er
peir
《過 単数
am
a book.'「
with
),接
複数
is(=has)come.'
英 語 な ど で い う進 行 形 は,vera
reading
在》
単数
了(hafa/
を も っ て 表 現 す る こ と が あ る. Eg
《現
別 が あ る.
lesi〓
er
在,過
称 に よ る変 化 を
vel「
去》
よ く」,illa「
ん な ふ う に 」,svo「
単数
svona「
複数
本 動 詞 の ほ か,完 ッ コ 内 は 接 続 法).
be'の
変 化 を 示 す.こ
れ は,
了 お よ び 受 動 の 助 動 詞 で も あ る(カ
以 下 に,比
手 に 」,pannig「
そ の よ う に,そ
そ の よ う に 」,mjog「
「全 く」,〓 次 に 存 在 動 詞vera'to
悪 く,下
「少 し 」,な
非 常 に 」,alveg ど.
較 変 化 の 例 を 示 す. 〓
lengi―lengur―lengst「
「広 く」 長 く」
そ
れ ほ ど に 」,
hatt―
〓
「高 く」
vel―betur―bezt「
よ く」
illa―verr―verst「
悪 く,下
Ⅹ )接
〓(Leiftur,Reykjavik)―
は も と よ り,語
手 に」
続 詞(samtenging)
ⅩⅠ )間
,な
〓(〓,Reykjavik) ―コ ン サ イ ス ・オ ッ ク ス フ ォ ー ド辞 典(通 称COD) 定 的 な 問 い に対 して 相 当す
を も と に 編 ま れ た も の.簡
単 な 例 文 つ き.
《ア イ ス ラ ン ド語‐フ ラ ン ス 語 辞 典 》 Boots,Gerard(1955),Islenzk‐Fronsk 〓
る); ha?「
は?」;〓'hallo';ho「
[統 語 法]ア 語,ド
お っ と」,な
ど.
イ ス ラ ン ド語 の 構 文 で 特 に 目 立 つ の イ ツ 語 に 比 較 し て,非
れ る こ とで あ る.こ
れ は,古
の とお りで あ る.英
人 称 文 が 多 く使 わ
れ ら を ま と め る と,以
下
is raining/snowing.'
〓 vorar.'Spring 〓 ljomar Isa
af
degi.'Day
Batna〓i
getting
Agli.'Egil
got
dreymdi.'I
Mig
minnir.'I
had
chilled.'
Haugen,Einar(1976),The
well.'
hefur
peninga(対
upp
ma
the
story
be
〓logum gum
特 定 な 場 合(助 動 詞 と と も に)》
segja.'You skal
ey〓a.'A
is destroyed 彙]
can
land state
by
say
byggja is made
so,too.'
en 〓 olo by
law
[概
説 ]
東 部6州
人(1981).四
外 来 語 と し て は,次 akkeri「
動 く像
船 」,kirkja「
dla「 取 引 す る 」,smakka「 書]
〓 ,Arngrimur(1970),Islenzk‐Ensk
存 す る ケル で あ る.
ー ロ ッ パ に 現 存 す る イ ン ド ・ヨ ー ロ 典 語 を 除 い て もっ と も古 い 文 献 を
世 の 頃 に は,神
話,伝
説 に 基 づ く文 学 が 豊 か
くの 写 本 を 残 し て い る.近
世 初 期 に は,古
典 的 韻 律 に 基 づ く詩 や 散 文 も 多 く,よ
言 語 的 な 特 徴 と し て は,語 教 会 」,han
試 食 す る 」,な
《ア イ ス ラ ン ド語‐英 語 辞 典 》
イ ル ラ ン ド語 は,現
く ケ ル ト的 伝 統
を 伝 え て い る.
の よ う な も の が あ る.
錨 」,batur「
元 前 よ り ケ ル ト人 が 住 み
っ と も 重 要 な 言 語 の1つ
ッパ 語 族 の 中 で,古 も ち,中
映画」<
の 島 に は,紀
た が っ て,ア
ト語 の う ち,も
に 栄 え,多
口 は3,443,405
国 ・九 州 ・中 国 地 方 を 合 わ せ た 大 き さ に
も 及 ば な い.こ
限 り排 除 し,必 要 な も の は 翻 訳 す る 方 針 を と っ て い る.
+ 油,kvikmynd「
の 北 ア イ ル ラ ン ドを 除 く,約7万
ア イ ル ラ ン ド共 和 国 で あ る.人
来 語 が き わ め て 少 な い が,こ の 国 で は,外 来 語 を で き る
石 油 」< 石
イルラ
の 島 で,北
こ の 言 語 は,ヨ
統 的 語 彙 ば か りで 外
s〓mi「 電 話 」 < 「電 線 」,steinol〓a「
ア イ ル ラ ン ド共 和 国 の 国 語.ア
ー ロ ッパ の 北 西 岸 に あ る ブ リ テ ン 諸 島 西 端
つ き,し and
lawlessness.'(諺)
語 彙 の 面 で は,伝
宏 一)
Gaeilge,英Irish,独Irisch,
ン ドは,ヨ
km2が
og
Lan
Faber,London)
仏irlandais lack
gins.'
Svo
Scandinavian &
ア イ ル ラ ン ド語
格).'I
soguna.'Now
般 的,不
学校用
(秦
I remember.'
,
money.'
《主 語 が,一
Namsboka,Reykjavik)―
教 科 書.
生 ま た は 終 結 す る こ と》
格)skortir
すでに
a dream.'
think
《事 態 が あ る こ と,発
Hop
Press,Baltimore)―
guages(Faber
Mig
Modern
Gu〓finnsson,Bjorn(1958),Islenzk 〓
《精 神 現 象 》
Her
University
(Rikisutgafa am
in
Buske,Hamburg)
is breaking.'
is melting.'
svalar.'I
Course
of Iceland,Reykjavik)
内 容 が 古 く な っ て い る.
《生 理 現 象 》
Mig(対
〓 ,Jon(1977),A Icelandic(University
Petursson,Magnus(1978),Islandisch(Helmut
is coming.'
leysir.'Ice
Mer
[参 考 文 献]
kins
rignir/snjoar.'it
手 頃 な学
形 変 化 の 表 示 あ り.
Einarsson,Stefan(1972),Icelandic(Johns
語 の 表 現 法 と 比 較 さ れ た い.
《自 然 現 象 》 Hann
(〓,Reykjavik)― 習 辞 典.語
語 に つ い て も現 代 語 に つ
い て もい え る こ と で あ る.そ
[辞
っ さ い な い.
Orn(1966),Ensk‐Islenzk
ど.
投 詞(upphropanir)
肯 定 的 に 答 え る と き の 言 葉.独'doch'に
[語
形 変 化 の 表 示 は,い
Bogason,〓
ja,yes',nei'no',ju(否
は,英
イ ス ラ ン ド語 の 発 音
《英 語 ‐ア イ ス ラ ン ド語 辞 典 》
〓'that',ef'if',pegar'when',pott 'though'
ア イス ラ ン
ド人 向 け に つ く ら れ た も の.ア
ど.
や 鼻 音 化(nasalization)が 目的 語(VSO)の pronoun,す
よ く 知 ら れ,動
語 順 や,屈 な わ ち,代
従 っ て 変 化 す る 前 置 詞)の の 構 造 を も ち,ア
頭 の 緩 音 現 象(lenition) 詞 ‐主 語 ‐
折 前 置 詞(prepositional
名 詞 と 融 合 し て,数 使 用 な ど,ケ
イ ル ラ ン ド語 は,言
と人 称 に
ル ト語 に 特 有
語 学 者 に も一 般
学 習 者 に も極 め て 興 味 深 い も の が あ る.文 な 地 位 を 占 め る,い
学 の 作 家 の 英 語 に は,よ い 特 徴 が あ る.こ て い る が,そ
く 知 ら れ て い る よ う に,著
の 英 語 はIrish
Englishと
れ ら の 特 徴 は,ア
っ た も の が 多 い.し
し
よば れ
イ ル ラ ン ド語 法 を な ぞ
た が っ て,ア
ン グ ロ ・ア イ リ ッ シ
ュ 文 学 の 理 解 に は も ち ろ ん,Irish も,ア
学 史 に 特異
わ ゆ る ア ン グ ロ ・ア イ リ ッ シ ュ文
Englishの
研究 に
イ ル ラ ン ド語 の 知 識 は 極 め て 有 用 で あ り,む
し
ろ 必 須 と い っ て い い. し か し,こ
イ ル ラ ン ド)に
イ ル ラ ン ド語 の 話 し 手 は 次 第 に そ の 数 を 減 じ て きた. た 学 校 そ の 他 で の ア イ ル ラ ン ド語
し て,ヒ
ベ ル ニ ア(Hibernia=ア
は ア イ ル ラ ン ド語 が 話 され て い た.ア
イ ル ラ ン ド語 の も っ と も 古 い 資 料 は,オ ガ ム 文 字(Og ham
alphabet)で
あ る.こ
れ は ラ テ ン文 字 の ア ル フ
ァ ベ ッ ト を い わ ば 暗 号 化 し た も の で,直 み 合 わ せ た 母 音 字5,子 2,お
よ び4を
音 字15か
参 照).石
線 と斜 線 を組
ら な っ て い る(図1,
に 刻 ま れ て,そ
の ほ とん どが
人 名 で あ る. い ま,図2の
こ 数 百 年 の 間 に,英 語 の 力 に 圧 さ れ て,ア
今 日 で は,政 府 や,ま
人 の 島 で あ っ た.そ
碑 文 を 転 写 す れ ば,
DEGOS
MAQI
lister
1945,No.197)
と な り'of
Daig
MOCOI
son(of
TOICAKI(Maca
one)of
the
descendants
学 習 の 奨 励 に も か か わ らず,社 会 生 活 一 般 に お い て,英 語 が 事 実 上,ア イ ル ラ ン ド語 に と っ て 代 わ り つ つ あ る.
オ
ガム文字
ア イ ル ラ ン ド西 部 の ア イ ル ラ ン ド語 常 用 地 域 と さ れ て い る 地 方 で す ら,地 1981年
現 在,す
域 の 人 口7万5千
人 中22.6%
は,
で に英 語 使 用 者 と し て 報 告 さ れ て い
る. [歴 史 的 展 望 と そ の 背 景] 1)古
期 ア イ ル ラ ン ド語(Old
大 陸 の ケ ル ト語 に は,ゴ
Irish)
出 典:バ
ー ル 語(Gaulish),ガ
ラテ
A 注:図
ィ ア 語(Galatian),ケ
あ る.ゴ
わ ゆ るp‐
属 す る.最
of the Irish Languageに
中YはZの
誤 り.な
よ る.
お,図4参
照.
ル トイ ベ リ ア 語(Celtiberian,
Hispano‐Celtic)が て,い
ラ ン シ ー(Ch.Vallancey,1781),
Grammar
群 に,ケ
近 で は,レ
ー ル 語 は,大
体 にお い
ル トイ ベ リア 語 はq‐
ー ポ ン ト語(Lepontic)を
ト語 とす る 見 解 も 有 力 で あ る.島
オ
ガ ム碑 文
群 に ケル
嶼 ケ ル ト語 の う ち,
ブ リ タ ニ ッ ク ま た は ブ リ ソ ニ ッ ク(Brythonic)諸
語,
す な わ ち,ウ ェ ー ル ズ 語,コ ー ン ウ ォ ー ル 語 お よ び ブ ル ト ン 語 はp‐ な わ ち,ス
群 に,ゴ
イ デ リ ッ ク(Goidelic)諸
コ ッ トラ ン ドゲ ー ル 語(Scottish
マ ン 島 語(Manx),お 分 類 さ れ る.こ
Gaelic),
よ び ア イ ル ラ ン ド語 はq‐ う し た 分 類 は,印
/kW(qu)/が,ケ と な り,他
語,す
ル ト諸 語 に お い て,一 方 で はq(c)/k/で
群に
欧 祖 語 にお け る音 素 方 で はp/p/
現 わ れ る事 実 に基 づ い
て い る. e.g.―Gaulish Welsh (Lat
pempe,Welsh pimp'five'/Ir
pump<Old cuig<OIr
coic
quinque)
Welsh
pwy'who'/Ir
ce<OIr
cia(Lat
quis) Gaul
epo‐,Welsh
ebol<*epalo‐/OIr
ech(Lat
equus),'horse',etc. し か し,p/kの2音
は 聴 覚 的 に 類 似 し,そ
の 故 に,か
え っ て 区 別 の 生 じた 音 響 上 の 現 象(dissimilation)と 考 え られ,特
別 の 意 味 は な い(→
ケ ル ト語,ケ
ル トイ ベ リ ア 語).
紀 元 前55∼54年 ア(Britannia)に
に,シ
大 陸 ケ ル ト語,島
ー ザ ー(Caesar)が
渡 っ た 時,ブ
嶼
ブ リタ ニ
リ テ ン 諸 島 は,ケ
ル ト
注:ケ リー(Kerry)州 ー ル マ ゴ ー ト(Cool magort)に
ク
あ る もの.
of
Toecach',す
な わ ち,「
イ グ の(墓)」
トイ カ ハ 族 の1人
の 意 で あ る.ま
MODDAGNI
の息子 ダ
た,
MAQI
GATTAGNI
MUCOI
LUGUNI(Macalister,No.307) は,OIrの
Luigni.「
tagnas)の
息 子 の モ ダ ガ ス の(墓)」 尾 の‐I(属
行 す る 子 音 を 口 蓋 化(後
と な り,各
Gaithain
と な る.そ
格)が
第2音
ガ ム 碑 文 の 多 く は,5世
紀 半 ばの 語 末 音 節 の脱 紀 後 半 には 終 わ って
後,古
れ だ け に,原
Irish,∼5世
紀)の
変 化 を と げ つ つ も,全 っ て い た.そ 離 れ,ロ
き に,
ア イ ル ラ ン ド語
紀)は,た
Milan
glossesな
の た め,こ
た.し
か し,1169年
ー ロ ッパ に 冠
絶 し,ま
あ っ た.そ
Irish)
Boru)大
王 が,1014年
戦 死 し た 後,し
ばら
に 始 ま っ た ノ ー マ ン人 の 侵 入 は,
と え ば,
barda<warde'guard'
えず内的
聖 徒 の 時 代 と 称 さ れ る ケ ル ト文 化 は,ヨ
buirgeis<burgeis'borough' contae<cuntee'county' palas<palais'palace' seomra<chambre'room' siucra<sucre'sugar' paiper<paper'paper' cuirteis<curteis'courtesy',な
の
ど.
この 期 の ア イ ル ラ ン ド語 を 中 期 ア イ ル ラ ン ド語(お
の よ う な 語 彙 に も よ く う か が わ れ る.
peccad(Lat
ラ ン ・グ ロ ー
ア ン グ ロ ・ノ ー マ ン 系 の 語 彙 を 大 量 に ア イ ル ラ ン ド語
継 承 さ れ,修 道 院 を 中 心 と し て 文 化 の 繁 栄 を 享 受 し た.
こ と は,次
ど が そ れ で あ る.図3は,ミ
ロ ン タ ル フ(Clontarf)で
こで は 古 典文 化 が 断 絶 す る こ と な く
紀)で
glosses(Wb),
く は ア イ ル ラ ン ドの 政 治 は も っ と も 自 律 的 な 発 達 を み
の島 が大 陸 の 騒 乱 か ら
さ に 黄 金 時 代(6∼8世
とん どが
glosses(Sg),Turin
期 ア イ ル ラ ン ド語(Middle
に,ク
ー マ帝 国 に侵 され る こ とが な か った か らで あ
る.そ
Gall
ブ ラ イ ア ン ・ボ ル(Brian
体 と し て は 比 較 的 よ く均 質 を 保
れ は 何 よ り も,こ
れ ら の 写 本 は,ほ
glosses(Ml),St
に も た ら し た.た
お も か げ が 濃 い.以
期 ア イ ル ラ ン ド語(6∼9世
ら な っ て い る が,そ
2)中
の よ う
い た は ず の 語 中 音 節 の 消 失(syncope)も,と これ を 免 れ て い た.そ
の期の
ス の 一 部 で あ る.
節 を 失 っ てLuigni
経 て お ら ず,6世
(primitive
テ ン語 に よ る 聖 書 注 釈 書 に 書
大 陸 で 発 見 さ れ た も の で,Wurzburg
の 際,
脱 落 す る前 に 先
語 と も 音 節 を 減 じ 変 形 し て い る.こ
落(apocope)を
失 は 甚 大 で あ っ た.こ
言 語 資 料 の 大 部 分 は,ラ
ses)か
述 「音 韻 」)さ せ,MUCOIは
語 尾 を 落 と し,LUGUNIは
に,オ
Maic
ル グ ニ オ ス 族 の ガ タ グ ナ ス(Gat
MODDAGNIは,語
写 稿 類 の 被 っ た 損 傷,逸
き 込 ま れ た 多 量 の ア イ ル ラ ン ド語 の グ ロ ー ス(glos
形 に す れ ば,Muadain
moccu
し は し た が,か れ ら の 事 と し た 収 奪 に よ っ て,修 道 院 や
よ そ10∼12世
peccatum),litir(littera),ec
紀)と
よ ぶ.資
料 に は,年
代 記,宗
教 書,
lais(ecclesia),leg(a)id(legit),lebor(liber),
神 話 や 伝 説,わ け て も ア ル ス タ ー 物 語 群 は 重 要 で あ り,
oroitま
11世 紀 終 わ り 頃 の 編 纂 に な るLebor
た はorait(oratio),cathair(cathe
dra),sacart(sacerdos),pridchaid(prae
Book
dicat),popul(populus),obair(opera),etc.
bala'The
他 方,社 会 的 に は,ア イ ル ラ ン ドは 大 陸 時 代 と大 差 な いtuath'a
tribe
成 単 位 と し,そ
and
the
の 上 に,3つ
land
か し,や
が て8世
人 の 来 寇 に よ っ て,こ れ る こ と に な る.彼 れ,ケ
構
Dun
頃)に
Book
Cow'や,Lebar of
na
hUidre'The
na
Leinster'(LLと
Nuachong 略 す.1150年
は,そ れ ら の 写 稿 が 多 く 含 ま れ て い る.か
11∼12世
紀 の ア イ ル ラ ン ド文 学 は,ギ
く て,
リ シ ア,ラ
の 古 典 文 学 を 除 く固 有 の 土 着 文 学 と し て は,そ
の 階 級 か ら な るri'king'
を 戴 く部 族 社 会 と して 存 続 し,永 か っ た.し
it occupied'を
of the
く統 一 国 家 を な さ な
紀 の 終 わ り頃 よ り,北
欧
ミ
ラ ン ・グ ロ ー ス(部 分)
の 島 は た び重 な る襲 撃 に さ ら さ ら の 移 住 に 伴 う都 市 が 各 地 に 生 ま
ル ト的 社 会 と 秩 序 は 混 乱 し,ア
イ ル ラ ン ド は,
よ う や く 中 世 の 世 界 へ と変 貌 し て い く.次
の 語 彙 は,
そ の こ と を 物 語 っ て い る. Ir
ancaire(ON
akkari)'anchor'
stiuir(styri)'rudder' bat(bad)'boat' marggad(〓
<Lat
mercatus)'mar
ket' fuindeoc(vindauga)'window' iarla(jarl)'earl',な
出 典:Collotype Dublin,1936)に
ど.
注:ラ
こ の よ う に,バ
イ キ ン グ(vikingr)は,交
易 を もた ら
Facsimile
ed.R.I.Best(RIA,
よ る.
テ ン語 本 文 の 行 間や 欄 外 に 書 き こまれ た グ
ロ ー ス は ミラ ン ・グ ロ ー ス35c‐dの
一 部.
テ ン
の豊 か
さ に お い て,ヨ
ー ロ ッパ 随 一 の 存 在 で あ っ た.
過 渡 期 を 映 す 言 語 の 動 き に は,新 加 え て,綴
の 特 徴 の1つ
しい語 彙 の流 入 に
りや 発 音 の 揺 れ を 示 す 変 種 の 多 い こ と が 何
よ り も 目 に つ く.た
と え ば,「 歓 迎 」 を 意 味 す るfailte
/〓/やfaoilte/〓/,ま
い っ た例 は 枚 挙 にい とま
が な い.「 年 」 を 表 わ すbliadainが,た 代 記(Annals blieinと
of Inisfallen)に
ま た ま同 じ年
わ ず か の 時期 を距 て て
記 さ れ て い る の も,そ
の1例
で あ る(「1201
年 」 と 「1270年 」 の 記 述;blieinは,も の 発 音 で あ る).次
あ い ま い で,そ
う ほ と ん ど現 代
に 目 に つ くの は 動 詞 で あ る が,ア イ
ル ラ ン ド語 で は,元
来,完
了 を表 わ す 時制 につ い て は
の た め に は,前
接 辞ro(ru)‐
を使 用
す る こ と が 多 か っ た.ほ か に,ad‐'to'や,未 お よ び 過 去 未 来 接 辞(conditional な ど も,そ
完 了過 去
particle)のno
fort(Atkinson,1887,2848)'he
sworn
against
nobeind father
should
saw
be
some
dobeind(ib.7489)(adciに
これ は,当
じ書 物
つ い て は,辞 べ てdo‐
書 の4を
くて,完
が 単 な る 過 去 の マ ー ク と な り,noが
了 のro
勢 力 を え て,
bi動
去 の 標 示 と な っ て い っ た.現
文 面 か ら 落 ち る こ と が 多 い.こ
tar
代 ア イ ル ラ ン ド語 で,完 在 形ta,過
了 の 意 味 は,
去 形bhi)+
前置詞句
動 詞 的 名 詞(Verbal
Noun)
で 表 わ す こ と が で き る. Ta
se(he)tar
eis teacht
coming
after
aren't
you
Father has 等 々,少
read
と さ れ の る が,キ
ン ド史 綱 要 」1634)の 数 の 歴 史 文 書,地
abhaile(home)'he
home→he
after
has
come
home'
have
felt
アイルラ
の 時 代 に は,多
Fenian
教 書,
Cycle),系
図,
く に 編 纂 さ れ た 法 令 の,幾
「バ リ モ ー トの 書 」(The
世紀
き留 め られ た写 稿 の 断 片
の1葉
Book
は,上
of
Ballymote,1391)
か ら と っ た も の で あ る―,ま
レカ ン の 黄 書 」(The
Yellow
Book
of Lecan,
に あげ た 各 種 資 料 の 一 部 や 断 片が
多 く含 ま れ て い る.な お,D.A.Binchy,Corpus uris
か く て,1600年
記 の法
に お け る 教 育 あ る ア イ ル ラ ン ド人 士
か し,そ
統 に培 わ れ た 豊 か な標 準 語 で あ っ
れ は 一 種 の 文 学 語 で あ り,一
般庶民の
話 し言 葉 と は お の ず か ら別 種 の も の で あ っ た.古
ぐれ たfilidは,や
風 な
は り時 代 に 沿 っ て な
だ ら か な 文 体 に つ と め て い た.と ど も,庶
は い え,彼
ら とい え
民 の 言 葉 を 写 す も の で は な か った.
15世 紀 に 書 か れ た 『オ デ ュ ッ セ イ ア 』 の 断 片 の ア イ
ペ ネ ロ ペ の や り と り で あ る(R.T.Meyer Uilix
maic
saying?=haven't after
reading
you
said?
it=Fr.Reilly
な か ら ぬ い わ ゆ る ア ン グ ロ ・ア イ リ ッ シ ュ作 そ れ は 文 字 通 りIrish
English
,Merugud
Leirtis,DIAS,1958,ll.250‐255).
P."A
daine
maithi,carsa
mac
Leirtis
P."Ni
tu
int
Uilix
U,"Is
me
co
deimin
P."Caidi
it(Synge,Playboy)
家 の 中 に み ら れ る―
Eirenn(「
名 古 説(dinnsheanchas),宗
か に わ た っ て 受 け つ が れ,書
martha feeling=I
Reilly's
ar
散 文 で あ る.こ
の ほ か,早
の
ー テ ィ ン グ(Geoffrey
Feasa
U."Uilix
こ の な ぞ りが, I'm
こ の 時 期 に あ た り,そ
ル ラ ン ド語 版 が あ る.次 は,故 郷 に 還 っ た ユ リ シ ー ズ と
eis'after'+
is after
古 典 の1つ
紀)が
Keating)のForas
あ っ た が,す う
法全 般 につ い て大 きな変 動 の あ った こ
詞(現
準 語 とし 期近代 アイ
用 語 と韻 律 に し ば ら れ て 佶 屈 晦 渋 な 文 を 弄 す る 詩 人 も
と を う か が わ せ る. ち な み に,現
もい わ れ
近 く,こ の 国 に 君 臨 し た.初
ル ラ ン ド語(13∼17世
た.し
し た 現 象 は,そ の 背 後 に お い て 夥 し い 語 彙 の 新 陳 代 謝, 語 形 そ の 他,文
ー ド'rhymesters'と
れ ら の 用 語 と用 法 が 権 威 を も ち,標
て,以 後400年
の 共 通 の 用 語 は,伝
原 義 を失 っ て 無
は 混 用 さ れ,doが
ほ か の 接 辞 に か わ り,過 のdoも
た が,か
に は,バ
し て 知 ら れ,
伝統 を受けつ ぐも
令 文 写 稿 類 の 集 大 成 で あ る.
で お き 換 え ら れ て い る.
い ま い とな っ て い た こ と を 示 す.か
内 容 化 し た と き,2つ
Danaと
hibernica,6Vols.(Dublin,1978)は,上
時 す で に そ れ ら接 辞 の 原 義 が 忘 れ ら れ,あ
今 で は,こ
の と し て,後
14世 紀 末)に
の ほ か の 箇 所 で は,doderb(Atkinson,ib.7631),
ご と く,す
の 人 々 は,Aes
ドル イ ドdraoi(pl.draoithe)の
た,「
ど.
イ タ リ ッ ク の 部 分 が 該 当 す る 動 詞 で あ る が,同
参 照)の
な 言 語 とそ の 用 法 を 身 に つ け た 新 し い 職 業 的 詩 人 階 級
―図4は,そ
adci)ni(1317)'she
thing',な
Irish)
よ ば れ,伝 統 的
が 残 っ て お り,い ず れ も貴 重 な 資 料 で あ る.牛 皮 写 本 の
doib(ib.6107)'I
to you(pl.)',
atchi(OIr
Modern
紀 の 終 わ り頃,fili(pl.filid)と
年 代 記,そ has
you',
athair
12世
い わ ゆ る フ ィ ン 物 語 群(The
れ ぞ れ の 機 能 を 帯 び て 使 用 さ れ て い た.
roderb
で あ る.
期 近 代 ア イ ル ラ ン ド語(Early
が 台 頭 し た.こ
た,「 家 」 はteach
/t'ex/やteagh/〓/,と
3)初
cia
sib‐si etir?"
misi."
rob
aichnid
ocus
duinne."
indesad
mo
muinter
masa
cho
duit." do
delb
ocus
do
tu
Uilix?" U."Docuadar
amugu."
P.よ
う こ そ.と
U.わ
し は ラ エ ル テ ス の 息 子 の ユ リ シー ズ だ.
P.そ
こ ろ で,ど
ち ら さ ま で.
な た さま は 妾 ど もの 知 って い る ユ リシー ズ
で は ご ざ り ま せ ぬ わ. U.た
文 法 を 一 歩 も は ず れ ぬ い わ ば 正 統 派 の 文 学 語(the
しか に こ の わ し だ.君
には 身 の あ か し をた
て る よ. P.そ
な た さ ま の 顔 だ ち は い か が な す っ て?ユ
ⅹⅲ ),原
ら ば,ご
リ
家 来 衆 は.
語 的 に は13世
注:オ
リモ ー トの 書(The
Book
the
poets)で
あ り,ど
こに も
Murchu,1985). 代 ア イ ル ラ ン ド語(Modern 戦 い(1601)以
Irish) 降,イ
ギ リス
の 苛 酷 な 支 配 下 に お か れ た ア イ ル ラ ン ドの 社 会 は,次
の ま まで 立 派 な
人 公 た ち の 身 分 を 考 え て も,や
バ
of
方 的 あ るい は 階 級 的 特 徴 は うか が い え
キ ン セ イ ル(Kinsale)の 紀 の も の で あ る が(Meyer
文 の 綴 り を 若 干 改 め る と,そ
現 代 文 で あ る.主
な い(O 4)現
く方 し ら ず だ.
これ は,言
dialect
そ れ ら し い,地
シ ー ズ で す っ て,な U.行
standard
は り
第 に 活 力 を 失 い,や
of Ballymote)
ガ ム文 字 の ア イル ラ ン ド語 に よ る解 説.牛
が て バ ー ド制 度(Bardic
を 支 え て い た 貴 族 階 級 が 没 落 す る と,文
皮写 稿,38×25cm.
Order)
化 的 活 力 もま
た急 速 に萎靡,沈 滞 して い っ た.英 語 勢 力 の侵 潤,拡
二 重 母 音 を 表 わ さず,次 の 子音 の 口蓋 化 を 示 す こ とが
大 に よ って,ア イ ル ラ ン ド語 は徐 々 に西部 海 岸 地 域 に
多 い.二 重 母音 を明 示 す る場 合 は,ai,oiな
せ ばめ られ,そ
な お,aiお
の 上,ゲ ル タハ ト(Gaeltacht=ア
イ
ル ラ ン ド語 常 用地 域)は,南 北 に分 断 され る結 果 と な っ
よびae,oiお
よびoeは,そ
ど と記 す. れぞれ同音
異 綴 りで あ る.
た.し か し,1800年 現 在,ア イル ラ ン ド語 は な お,ア イ ル ラ ン ド人 の 言語 で あ った.1846∼48年 うち続 く国 内 の疲 弊,そ て,1841年
の大 飢 饉 と,
の上,多 数 の 海外 脱 出 に よ っ
の 人 口 約800万 人 が,1851年
万 人 に激 減 した.1851年
現 在,ア
イル ラ ン ド語 の話 し
手 は,32州 全 人 口の25%の152万4千 26州 につ い て は148万5千 (ZCP ⅩⅩⅡ,312).こ べ る と,お よそ 図5の
に は,約600
人(う ち,南 の
人 で29%)と
な っ てい る
3)子
れ を,1961年 現在 の 状況 と比 ご と くで あ る.
この地 図 は オ ー キ ー ブ(O
Cuiv,1969)に
摩擦 音
添 付 の地
図 に基 づ い て,住 民 半 ば以 上 が ア イ ル ラ ン ド語 常 用 の 地域 に限 定 して,1851年
と1961年
話 し手50%以
鼻音
の情 勢 を 比較 した
もの で あ る(Bammesberger,1982).し
た が っ て,
下 の 地 区 を捨象 した略 図 で は あ るが,ゲ
ル タハ トの 衰 退 の 経 過 を よ く示 して い る.1981年 査 に よれ ば,総 人 口の31.6%の100万
音
破裂音
の調
入 余 りが ア イ
流音 上 記 中,/N,R,L/は,n,r,lが 二 重 音 のnn,rr,llで 前 やt,d,s,l,r,nに い 音 で あ る.な
語 頭 に あ る と き, 現 わ れ る と き,s,l,r,nの つ づ く と き,な
お,以
上 の 子 音,す
ル ラ ン ド語 の話 し手 と報 告 され て い る.し か し,こ の
ン ド語 で い う 広 い(leathan)音
大部 分 は,実 際 には 英 語 を 日常語 とす る もの で,今 日の
応 す る 狭 い(caol)音,す
学校 教育 にお け る 自国 語 へ の 帰属 意 識 が 主 観 的 に反 映
lized
counterparts)が
され た もの と思 わ れ る.ア イ ル ラ ン ド語 使 用 者 の 実数
ben/〓/「
は不 明 で あ るが,現 在,共 和 国 に お いて,お よそ10万
(acc.)」
人 と推 定 され る(O
or/〓/「
Murchu,1985).19世
紀 後 半 の,
に は,そ
な わ ち(硬)口 あ る.た
どの や や 強
な わ ち,ア
イル ラ
れ ぞ れ に対
蓋 音(palata
と え ば,
婦 人 」 ∼bein/〓/「
金 」 ∼oir/〓/「
婦人 を
金 の(gen.)」
アイ ル ラ ン ド文 芸 復 興 の 情 熱 の炎 が ヨー ロ ッパ 諸 国 に 与 えた 影 響 は大 き く,日 本 の英 文 学 研 究 に も少 な か ら ぬ刺 激 を与 えた こ とは 周 知 の とお りで あ る.こ の 運 動 を通 して,ア イ ル ラ ン ド人 は 民族 的 自信 を と り戻 し, 1922年,こ の 国 は,数 世 紀 にわ た る英 国の 桎 梏 を は な れ て,独 立 国 と な った.同 時 に,ア イ ル ラ ン ド語 を 国語 とす る悲 願 は,こ
こに 達 成 され た.し か し,そ れ ま で
数 世紀 に わ た って放 置 され てい た 話 し言 葉 と綴 字 の 問 題 は紛 糾 の ま ま残 され て いた.こ の 問 題 に つ い て は, 後 述 の 「方 言 と共通 語 」 で 再 度 と り上 げ る. [音
韻]
古期 ア イ ル ラ ン ド語 の 音 韻 は,大 略 次
の よ うで あ る. 1)母
音
ア イ ル ラ ン ド語 で は,綴 し,ア 2)二
字 の 上 の'の
記 号 は長 音 を示
ク セ ン トで は な い. 重母音
こ の 言 語 で は,ai,oi,ei,uiな
ど のiは
必ず しも
過
去1世 衰退
紀 間 の ゲ ル タハ ト地 区 の
音 韻 記 号 右 肩 の'が み に,こ
そ の 子 音 の 口蓋 音化 を 示す . ち な
の 対 応 は 偶 然 な が ら,ロ シ ア 語 の 硬 音(hard)
∼ 軟 音(soft)の
組 織 的 対 応 に 匹 敵 し,か
つ,そ
今 日 ま で ア イ ル ラ ン ド語 の 特 徴 で,ウ み ら れ な い.そ
の ほ か,shま
れ る 無 声 摩 擦 音/h/が
あ る.OIrの
発 音 に つ い て は,
よ う に,同
よ う に 発 音 す る.な
音 節 が 弱 ま り,OIr以 ち な み に,上
(p)
t
b/bh
d/dh
母音
n
i
e
k
o
l u
i(e)
a(o)
ル ト語 でi,aに れ を ラ テ ン語 と比 較 す
つ て か な り の 期 間,互
い に密
接 な 関 係 に あ っ た こ と を 示 唆 し て い る.
用 し た の は,今
容 詞,冠
名 詞 に は,3性,単
リ ス ト教 の 渡 来 と前 後 して ア イ ル ル フ ァ ベ ッ トの う ち,実
際 に使
日 と同 じ18字,
・複 ・双 数,5格
ソ ニ ッ ク 諸 語 で は,こ 性 お よ び 双 数 は,そ
の 頃 す で に な か っ た.次
幹 男 性 名 詞fer'man'の
た,1)‐oiは
語 尾 よ り,2)‐osはNpl.の
で あ っ て(こ の 文 字 の 呼 称 に つ い て は,「 ス コ ッ トラ ン ド ・ゲ ー ル 語 」 の 「辞 書 」 の4Dwelly's
複,男
語 尾 を 借 用)
女2性
と な り,屈 折 に つ い て は,南
部 方 言 で は 今 も な お,か な り古 い 格 形 を 残 して い る が, 現 今 の 文 法 指 導 要 領(Gramadach
na
Dictionary
は,共
す る の み で あ る.し
数 形 で は,Mid
か し,複
お く な ど の 工 夫 が な さ れ た が,そ
音 と綴 字 の 問 題 は 最 初 か ら 複 雑 で
あ っ た.こ
の 問 題 は,今
い な い.は
じ め は 一 種 の 異 音(variant)に
ら ず,語
形 態,文
は ‐gh/〓/と
日 もなお 十 分 に は解 決 され て
紀 の 頃 ま で に は,音
す ぎな か っ 素(phoneme)
の 口 蓋 音 素 化 は,音
声 現象 に止 ま
法 組 織 に ま で 入 り込 み,こ
豊 か に か つ 複 雑 に し た.複 て,‐idh/〓/は12世
の た め,別
雑 と い え ば,摩
の言 語 を 擦 音 につ い
紀 初 頭 に 崩 れ 始 め,1世
融 合 し,の
ち に は,そ
紀後 に
の 多 くが異 な る条
Irに
言 も 交 え,各
名 詞 の 使 用 も,実
際 は そ れ ほ ど 簡 単 で は な い.
種 各 様 の 異 形 が あ り,
の ヨ ー ロ ッ パ 語 と 大 差 な い.し
辞(copula)is'(it)is'の is I',is
tu'it
し,く
だ,疑
は,代
か し,
名詞主格は繋
補 語 に な る 場 合(is
is thou')の
お
に さ らに新 た な語
尾 も加 わ っ て,方
る た め,常
の他
音 の前 後 に前 方 母 音
通 格 と属 格 を区別
い て 子 音 語 幹 の 語 尾 が ひ ろ が り,後
て 不 十 分 で あ っ た.そ
の た め,bh,dh,gh,そ
gaeilge,後
述 「方 言 と 共 通 語 」を 参 照)で
こ と は な い.た
と し て 定 着 し た.こ
ア
も と代 名 詞 の
V 今 日 で は,単
を 参 照),多 数 の 摩 擦 音 や 口 蓋 音 を 表 わ す た め に は 極 め
た 口 蓋 音 も,6世
語
は,原
sg.pl.dual
代 名 詞 は,他
考 案 し,子
リ
は,o‐
変 化 で あ る.(*形
特 異 な 点 も 少 な く は な い.OIrで
個 の 困 難 が 生 じ,発
折 に は,母
れ ら の 区 別 は 早 く に くず れ,中
r,s,t,u
(e,i)を
が あ っ た.
呼 格 は 主 と し てo‐ 語 幹 名 詞 に 現 わ れ る.屈
a,b,c,d,e,f,g,h,i,l,m,n,o,p,
の 合 字(digraphs)を
詞
A 融合
母 音 と も相 互 に 精 確 に 対 応 す る.こ
ラ ン ド に 入 っ た が,ア
名 詞,形
u
れ ぞ れb,d,gに
変 わ っ た こ と を 示 し て い る.こ
ラ テ ン 文 字 は,キ
詞,代
D
し た こ と を 示 し,母 音(e)(o)は,ケ
語 が,か
態]
G
s
ケ ル ト語 に お い て,そ
の こ と は,2言
[形
N
ケ ル ト諸 語 に お い て 脱 落 し,b/bh,d/dh,
母 音,長
れ らは 綴 り と 発 音 と方 言 の 入 り 組 ん だ ア イ ル ラ
ン ド語 音 韻 史 の 困 難 な 一 面 で あ る.
の よ う で あ る.
g/gh
r
a
ち さ ら に,sh/h/と
言 に よ って微 妙 に 交 錯 しつ つ 今 日に至 っ
イ ル ラ ン ド語 の 再 建 形.ま
前 に 消 失 した.
m
れ ば,短
よ び 第4
記 の 音 韻 を 印 欧 祖 語 の そ れ と比 較 す れ
子音
表 中,(p)は
中
末音 は早 く
い 語 に あ っ て は 第2お
い に 直 接 対 応 す る 音 韻 は,次
g/ghは
口蓋 化
時 は‐ch/x/,の
紀 の間に
音 語 幹 の ほ か,幾 種 類 か の 子 音 語 幹 の 別 が あ っ た.ブ
長 音 を 示 す.語
た,長
変 わ り,一
た.こ
りは そ の ま ま で あ っ た.
同 じ こ ろ 動 揺 を き た し,13世
も 重 な り,方
OIrの
様 にg,b,
お,sの
則 と して 語 頭 に あ り,語
の 母 音 字 の 上 の 記 号'は か ら消 失 し た.ま
/h/に
1)名
音 で あ る.
ア ク セ ン トは 強 勢 で,原
ば,互
よっ て 表 わ さ
除 い て,c,p,tは
母 音 間 や 語 末 で は[g,b,d]の
S'はs[〓]の
れ は,
ェー ル ズ語 に は
た はsに
少 数 の 例 外(e.g.macのc)を
dは[〓]の
ま た,th/〓/も
の も
つ 文 法 的 機 能 も相 互 に 極 め て 類 似 し て い る.こ
件 の 下 で 無 音 と な っ た が,綴
ほ か は,文
me'it
章に現われ る
問 代 名 詞 は,元 来 す べ て 主 格 で あ
に ゼ ロ形 の 繋 辞 を 伴 い 一 種 の 関 係 文 を 構 成
り 返 し構 文(reprise
とが 多 い.次
の 文 は,疑
construction)を 問 詞cid'what'で
なす こ 始まって
い る. Cid
dia
mboi
longes
mac
nUisnich?(後
述
「語 頭 子 音 の 変 化 と リズ ム 単 元 」 例 文1を 直 訳:'What(is of
the
sons
it)for of Usnig?'(す
which
was
な わ ち,フ
les fils d'Usnech
参 照). the
exile
ラ ンス語
'Pourquoi
est‐ce que
exiles?'に
対 応 す る)「 ウ ス ナ の 息 子 ら が 放 浪 し た
の は なぜ な の か 」 こ の 事 情 は,今
日 で も 原 則 的 に 同 じ で あ る.
se sont
Ce
a
chonaic
tu?'Who(is
saw?=Qui
est‐ce
it)that
que
tu
as
vu?'「
you
で あ る.
きみ は誰
《単
数》 m
を見 た の です か 」 Ce
a
duirt
to?=A
tu?'Who(is
qui
it)that
est‐ce que
tu
as
you
talked
N
parle?'「 君 は 誰
に話 しか け ま した か」 この 点,フ
ラ ン ス 語 は ケ ル ト語 に 大 変 よ く似 て い る.
queen,Archivum な お,く
senti
senti
sentas
sento
sento
senta
A
senton
sen
sentan
数》 m
N G D A
り 返 し構 文 に つ い て は,「 方 言 と 共 通 語 」末 尾, 参 照.
代 名 詞 が 前 置 詞 の 目 的 語 と な る と き は,例 れ と融 合 し,そ
外 な くこ
の 人 称 と 数 に 応 じ て 特 種 の 形 を と る.
agam'at
me'(ag+meと
agat'at
は,な
you',aige'at
orm'on
me'(ar+meで
you',air'on
っ て い な い),
him',な
him',な
ど(以
これ を 屈 折 前 置 詞(prepositional
上,Mod
い う.
これ ら の 形 態 は ウ ェ ー ル ズ 語 と は 一 致 し な い が,文 の 初 め よ り両 言 語 に み ら れ,島
sen(a?) senton sentobis sen(a?)
sentas senton sentabis sentas
は,語
は,次
《単
数》
《複
数》
あ っ た た め,語
末 音 が 脱 落 し,文
Irishで
て い た.OIrで
Ir).
pronoun)と
f
に 前 よ り(proclitic)で
弱 ま り,語
のArchaic
は な い),ort'on
n
*senti senton sentobis sentos
冠 詞 は,常 のsが
ど.
*senta
D
Linguisticum ⅠⅩ,66,1957).
聖 書 の 例 文4を
*sen
G
《複
あ る い は ケ ル ト語 の 影 響 か と も 思 わ れ る(Cf.J.Mac‐
f
n
*sentos
頭
献 に現 わ れ る 直 前
幹 が*(s)indo‐
とな っ
の よ う で あ る.
献
嶼 ケ ル ト語 の 特 質 を な
して い る. 挿 入 代 名 詞(infixed pron.)に
pron.),接
つ い て は,別
尾 代 名 詞(suffixed
に 「動 詞 と 文 の 構 造 」1,2,3
で 述 べ る. 形 容 詞 は,修
飾 さ れ る 名 詞 に つ づ く の が 原 則 で,名
詞 属格 が他 の名 詞 の あ と につ い て そ の 修 飾 語 と な る こ と は 極 め て 多 い.OIrに お い て は,形 容 詞 に は,原 級 の ほ か,同 た.比
等 級(equative),比
較 級,最
上級 が揃 って い
較 文 の 基 本 型 は,Adj(comp)+Pivot
ard(dat.)で
Stand
あ っ た.
is ardu(higher)sleibib(than
mountains)
「そ れ は 山 よ り も高 い 」 こ こ で,sleibibは people,the
与 格 で あ る.た
biggest
manの
だ し,the
older
よ う な 句 で は,必
ず関
係 節 を 構 成 し た. doini
ata
in fer
as
siniu'people moam'the
の ご と く な る.上
are
who
is biggest'
記 のsiniuはsen'old'の
moamはmor'big'の の3rd
man
who
最 上 級.ち
older'
比 較 級,
な み に,ataはis
pers.rel.pl.,asはisの3rd
rei.sg.以 至 る ま で,基
上 の よ う な 用 法 は,Mid
経 て 今 日に
本 的 に は 変 わ っ て い な い.
冠 詞(article)も,広 だ,定
冠 詞(ア
い)は
元 来,指 示 的 小 辞*senに,印
で あ
イ ル ラ ン ド語 に は 不 定 冠 詞 は な
数,主
格,対
格 を 除 い て)付
は次
鼻 音 化(nasalize)
は 二 重 音(gemination)を
の 語 尾 を と っ て い た 箇 所 で あ る.ま
で あ る が,い
と,‐tos,‐tas
た,‐intな
ど の‐
加 さ れ た 形 で,原 よそ 次 の よ う
ま1,2の
例 を 加 え る と,Goidelic*sin‐
dos 〓(<IE*〓)はProto‐Irishで*sin‐ 〓 ,こ 音 節 のaの
ケ ル ト語 に お け る 変 化 を 想 定 す る と,お
じく
表 中,右 肩 の
起 こ す こ と が あ る こ と を 示 し て お り,も
欧語の代名詞語幹
to‐,ta‐(cf.Gk〓Lat is‐ta'that')が(中 性,単
形 で あ る.上
は 前 置 詞 が 先 行 す る 場 合 を 示 す.以 上 が,定 冠 詞 の 行 状
い 意 味 で は 形 容 詞 の1つ
る.た
にinの
の 子 音 が 緩 音 に な り(lenite),Nは す る こ と を 示 す.同
pers. Irを
双 数 で は,常
an
れ がArchaic 消 失)を 経 て,OIr
t‐athair'the
*sinda
father'と
sulis>Proto‐Ir*sinda
Ir*a〓(中 int
間
ath(a)ir,Mod
な る.同
じ くGoidelic
hulis>Archaic
Ir
Ir*(s)indhuil>OIr an
suil'the
ばMod
int suil/hu:l'/,Mod
eye'.今,the
Irでsuil
冠 詞anは
fhir
男 性 属 格 で,今
に,fをfhに 合,最
an
eye
of the
と い う.こ
Ir
「動 詞 と文 の 構 造 」1,2,3で
ら
b)動
の 場 合,定
も古 代 の 名 残 り を そ の ま ま
緩 音 化 して い る.な
初 のtheに
manな
あ た るanは
お,こ
の よ うな場
省 略 す る こ と が,ケ
ル ト語 一 般 の 通 則 で あ る. bia
na
gcat'the
of
the
cats=the
(単
の 通 り で あ る.
数)
(複
m 音
ing
mf
anL
の 前ant
音の
前nah 音naN
t‐,nahはna
of knowledge'で
様 に,denum will
of
will
genitive)と
tuile
God'.し
dae
使 っ て,tol will
of God'と
of God
an
h‐ の ご と くな る も の を
dorais'shutting
doras
do
of the
dhunadh'the
door'の
door
場 合 に は,Agent+do+VN+N(obj.gen.)の
a)概
観
the
door'と
弱 の2種
の変化
do marbad
(lit.D.for
killing
Mane)'と
の 用語 は ゲル マ ン語 の そ れ を借 用 し た も
的 語 が 初 め に く る と,N(obj.)+do+VN+do
変 化 と は,語
+Agentの
な ど が 接 尾 さ れ た,本
来の動詞 に
幹 が 主 と して 名 詞 お よび 形 容 詞 か ら
派 生 し た もの を 弱 変 化 動 詞 と い う.後
と ‐aで 終 わ る(Lat
対 応 す る)か,‐iに
態(voice)に
Ir以
は,能
降,徐
動,受
に は,直
説,接
さ れ る.こ
verbが
含 ま れ る),法
続 お よ び 命 令 の 別 が あ る.接
subjunctive,お
よ びa‐subjunctiveを
と 現 在 の2つ
しか な い が,直
含 む)に は 過 去
説 法 に は,現
在,過
さ ら に,こ
去,未
trog
snig'the
sons
fall'は
'for the は'It
の ほ か,接
し て い る(H.Pedersen,Vergleichende matik
der
加 え て,各
keltischen
(conjunct 詞 に は2種
Gram
Sprachen Ⅱ).
の異 な る語 尾 体 系 を備 えて
を 絶 対 形(absolute form)と
よ ぶ.こ
form),他
を連 結 形
れ と関 連 し て,複
の ア ク セ ン ト型 が あ り,目
み ず か ら の 中 に と り込 ん で い た.こ
Uisnig'とdo
Conchobor,for
to fall'と tirib
countries
他 方 に お い て,VNは,種
変 化形
+oc(Mod
trog
namatは'in
the
the
is grievous,
sons
of
訳 す れ ば, な る.Is
体 で'It
of
Uisnig
enemies.'で
to
あ る.
々 の 前 置 詞 と結 び つ い て,
副 詞 句 や 形 容 詞 句 を つ く り 出 す.な (at)taの
thuitim ,英
of Uisnig
Ui
か んず く実動 詞
Ir ag)'at'+VNは,
も っ と も頻 繁 に 現 わ れ る.
動 詞 は 大 部 分 の 時 制 と法 に わ た っ て,単
複 各 人 称 を と お し て,2つ い た.1つ
数
極 め て 複 雑 な様 相 を呈
of
do
お い て,meic
of enemies',全
fall in the
Uisnig
namat.に
is grievous',i
countries Oh
の 不 規 則 動 詞 を 擁 して,OIrは
代 英 語for
ネ クサ ス関 係 に あ り
sons
よ び 過 去(能 動 と 受 動 に 分 か れ る)そ れ らに別 の語 幹
る い は,現
Chonchobuir meic
tirib
来,お
化 形 に は 欠 如 が 多 く,無
a
thuitim i
現 在,未
続 法 に は,さ
係の
定 法 つ き 対 格(ac
同 じ機 能 を 果 た す こ と が 多 い.
件 法(過 去 未 来)の 時 制 を も つ.か
の 上,変
Dubthach
ネ ク サ ス(nexus)関
infinitive),あ
来,条
が 用 い ら れ る.そ
do
の 枠 組 み と な っ て,不
完 了,未
ぞ れ の 語 幹4つ
つ,
marbad
のdo+VNの
with
+toと
do
ア ル ス タ ー の 少 女 た ち を 殺 した 」
配 列 は,1つ
'to
続 法(s
Ulad
「D.は
例)Is
動 に は ‐r語
か し,目
順 序 と な る.
ingenrad
cusative う した
々 に 消 失 し た.
動 の 別(能
尾 を と る 異 態 動 詞deponent
の 特 徴 で,
‐are,Goth‐onに
終 わ る か に2分
区 別 は し か し,Mid
者 は 数 も多 く,
有 す る の が1つ
Mane
な る.し
の で あ る.強
幹形成母音
為者 を表 わ す
Mane'D.killed
of
が あ る が,こ
根 の 部 分 に,語
shutting→to
い う こ と が 多 い.行
型 でDubthach
古 期 ア イ ル ラ ン ド語 の 動 詞 に は,強
語 幹 が,も
do
代 わ り に,an
for
shut
s‐preteriteとf‐futureを
denum
現 代 ア イ ル ラ ン ド語 で も 「戸 を 締 め る 」の は,dunadh
詞
つ い て い う.語
do
doing→to
す る こ と も早 く か ら 行 な わ れ た.
2)動
‐e/o‐,na‐,‐i‐
格の代わ りに
dae
for
み
Ml545'do
か し,属
示 して い る.
の
あ る が, 属格で
わ ゆ る 目的 属 格(objective
30a18'the
the
詞
も あ る た め,
は た ら き を もす る.Fursunnud
illuminating
of the
Wb
の 前na antはan
詞的名
詞 的 名 詞 は,動
actionisで
前 置 詞do'for,to'を
na,母
anL,na,母
のnomen
英 語 のgerundの
な され る.同
数)
f
an,母
G
の 機 能 を もつ1種
あ り,い
現 代 ア イ ル ラ ン ド語 の 定 冠 詞 は,次
定 法 が 発 達 し て お ら ず,動
こ の と き,fissはrofitir'knows'のVNの
cats'food'
NDA
こ の 言 語 で は,不
Noun)
詞 が そ の 代 わ り を つ と め て い る.動
fissは'the food
改 め て 述 べ る.
詞 的 名 詞(Verbal
合動
的 格 の代 名 詞 を
れ ら に つ い て は,
at‐to(a‐tai,at‐ta)oc are,he
is)drinking
oc marbad ing
ol uisci'I
am(you
water',at‐ta(at‐taat)
Chonairi'he
is(they
are)kill
Conaire'.
こ の 構 文 は,お
そ ら く英 語 の 進 行 形 の 発 達 に 何 ら か の
影 響 を 与 え た も の と 思 わ れ る.ま
た,sitting,stand
ing,lying,sleeping,waking,dwelling,そ
の
他,あ
と
る 条 件 下 の 状 況 や 身 分 を 示 す 場 合 に も,taと
も に,関
係 す る 動 詞 のVNで
ta
se ina
ta
Sean
慣 用 的 表 現 を 形 成 す る.
sheasamh'he ina
is standing'
chodladh'John
is
た が っ て,能
そ の 傾 向 は す で に,9世 紀 の 終 わ り に は,異
(Kegan
使 用 さ れ て い る.な
of
日 ま で 一 貫 して
あ っ た.今,そ
の 形 は,異
'is placed'
leicid'lets
go,leaves(behind)'→leiciud
た す こ と が で き な い.そ 身 の 形 が,や
guidid'prays'→guide
態 動 詞(deponent verb),受
verb),自
律 動 詞(auton
no‐m‐leicthir'I
動 形(passive).
と前 置 詞iar(m)‐'after'と ' puts
after'のs‐pret.3.sg.が, の 際,suidigedar of
語 尾 に ‐igの つ い た 弱 変 化 動 詞 で あ
て,‐edarの
形 は,前
接 要 素iarmi‐
に つづ い
て い る と こ ろ か ら,連 結 形 と い わ れ る.こ 単 純 形 な ら‐idirの
当 た る が,能
令 法,直
す べ て の2人
の 語 形 は,
称単数命 よ び,
称 複 数 に お い て,区 別 が な い.今,現
在形
form),Bは
単 純(す
form)で
を,我
々 を,あ
「残 す 」 の"主
語"は
の"自
B(連
suidigidir 'places' sg.
suidigedar 'places'
buailtear
me直
して 多 用 され て
人 称 と 数 を 超 え,他 時 制 に つ い て"受
だ,あ あ る.
struck e「 彼 を そ れ が ぶ た れ る →he
さ ら に,teitear「 Teitear
Domhnach「 →one
go…)」
1 suidigmir
お い て,古
異 態 動 詞 は,OIrに
お い て,す
e.g.Oscan
で に 多 くが 欠 如 動 詞 と
そ こ
goes…(people
明 確 な 主 語 を さ け る こ の ‐r語 尾 の 使 用 は,印
‐suidigetar
is
行 か れ る 」 で は,
ann(there)gach
3 suidigidir ‐suidigedar
3 suidigitir
身"を
くま で非 人 称 的 受 動 態
struck
1 (欠 如) ‐suidigur
2 suidigthe ‐suidigid
動詞は
訳 「私 を そ れ が ぶ た れ る →I
へ 日曜 ご とに 行 か れ る
‐suidigmer
は,
称複数 を
の 非 人 称 自 動 詞saorbhriathar
verb)と
(passive‐impersonal)で
2 suidigther ‐suidigther
pl.
味 的 に は,1種
も ち ろ ん 自 動 詞 に も 及 び,各
結 形)
「そ れ が
Irで
立 の 代 名 詞 と し て3人
表 わ す こ とが で き る.た
am
れぞれ
現 わ れ て い な い.Mod
律 動 詞"は
buailtear 対 形)
目 的 格 で あ り,主 格 し くは,そ
れ ぞ れ の 動 詞 の 後 に お か れ,V+Oの
順 序 に な る が,意
あ
こ ろ で,挿 入 さ れ た 代
な た 方 を 残 さ れ た 」 で あ り,
こ れ ら の 代 名 詞 は,独 も ふ く め,そ
に つ い て は,「 動 詞
後 述 す る.と
た が っ て,正
る. A(絶
left'
pron.m,t,n,bは
な わ ち 絶 対)形(absolute
連 結 形(conjunct
are
頭 のno‐
で は な い.し
い る.こ
件 法,お
の 活 用 を 次 に 示 す.Aは
続 法 過 去,条
left',
名 詞infixed
私 を,君
left',
are
(autonomous
中 動 態(middle
動 態 の 活 用 と は,3人
説 法 未 来 完 了,接
no‐b‐leicthir'you
ら
left', art
と い っ た 具 合 で あ る.文
異 態 動 詞(deponent)
欧 語(Indo‐European)の
voice)に
れ に 対 し て,
語 尾 を と る.こ れ ら2つ
異 態 動 詞 の そ れ で あ る.OIrの は,印
put
部 分 がsuide'sitting'(VN
saidid'sits')の る.さ
had
れ は,suidigedar
の 臨 時 合 成 語iarmisuidigedar と文 の 構 造 」 の3で
用 い ら れ た 形 で あ る.そ
のsuidigの
am
no‐n‐leicthir'we
な わ ち,'he
意 で あ る.こ
称単数受
と え ば,
left'か
no‐t‐leicthir'thou
は'after‐has‐(he)‐placed',す aside(disregarded)'の
在3人
が て そ れ ぞ れ の 人 称 代 名 詞 を 伴 っ て,他
leicthir 'he(it) is
ミ ラ ン ・グ ロ ー ス13a7のiarmu‐ru‐sudigestar
は,そ
‐suidigter
称 の み で は 必 要 をみ
こ で ま ず,現
の 人 称 に 拡 が っ て い っ た.た
do‐gni'does'→denum,etc.
perfectに
‐suidigther
placed'
他 動 詞 が 受 身 に 転 ず る と き,3人
ibid'drinks'→ol
omous
'are
結 形)
marbad
saidid'sits'→suide
c)異
称 の み に対 応 し
B(連
pl. 3 suidigtir marbaid'kills'VN
Society
態 動 詞 の 受 動 形 と共 通 で
対 形)
sg. 3 suidigthir
多 い.
Philological
の 現 在 形 を あ げ る と, A(絶
個 々 の 動 詞 に よ っ て 異 な る が,a‐ 動 詞 に は ‐ad,‐ath,
the
と 能 動 態 の 単 複3人
て 存 在 し た が,そ
お,動 詞 的 名 詞 の 形 態 は 一 定 せ ず,
i‐動 詞 に は‐(i)ud,‐(i)uthが
紀 後 半 か ら み ら れ る.12世
態 動 詞 は 少 な く な っ て い た(J.
Paul,London,1891‐94),444∼566.
受 動 の 形 は,も 伴 うす べ て の 用 法 は,OIr,Mid
通 し て 多 少 の 消 長 は あ っ て も,今
動 態 が こ れ に 代 わ る が,
Strachan,Transactions asleep',
な ど. 本 項 に あ げ たVNに Irを
な っ て お り,し
one
欧語 に
くは 中 動 態 と 並 存 し た 非 人 称 的 受 動 態(cf. loufir'is
is gone')の
pleased
to',Umbr,ier'that
ケ ル ト的 名 残 り と い え よ う.事
態 動 詞 と 受 動 形 は 形 態 的 に 同 一 で あ り,意
実,異
味 的 に も極
め て 密 接 な 関 係 に あ っ た.発
生 的 に,そ
teller,gen.)Conchobuir(of
こ に は共 通 の
根 が あ っ た の で あ る(J.Lloyd‐Jones,Miscellany Kuno
for
his
se
da
律 動 詞 でmoltar
mholadhと
praising→he
Batar oc olは(they)
eと
す れ ば,'he
is
is(being)praised'と
なっ
て,英 語 の 受 身 形 に 相 当 す る文 が で き る.行 為 者 が 「私 」 な らagam'by て,あ
me',「
君 」 な らagat'by
と に 添 え れ ば よ い.す
+ag+Agentの
ta an
fhuinneog
window
bristeと
imithe'he
3)Bai(was)dano(now)ben(wife)ind(of the)Feidlimthe(gen.)oc(at)airiuc(attending,
そ
the)tsluag(host)osa(os'over'+a'their')
VN
(Breath
of aric'attends')don(on
cind(head)is(and)si(she)thorrach(being pregnant)
お け ば 受 身 に は な る が,
「フ ェ ズ リ ミ ド の 妻 立 ち て,あ
様 に,ta se
え し ら い し が,こ
is gone'.
[語 頭 子 音 の 変 化(Initial group)]前
mutation)と
リズ ム単 元
章 に お い て,す
で に い くつ か
の ア イ ル ラ ン ド語 の 特 性 に つ い て ふ れ た が,こ
Bai
oc
airiuc
ま た indは
do
こ と をFが
次 の 語 の 初 頭 音 で,ま
2)挿
入 代 名 詞 お よ び 動 詞 の 形 態 と機 能
はt/t/の
図6の
れ ら は 文 の 構 造 と分 か ち 難 く結 び
下,し
文 は,写
ば ら く実 際 に つ い て 観 察 す る.
本(LL)に
現 わ れ る 「デ ア ド レ物 語 」
1)Cid
dia
2)Batar
mboi
longes
Ulaid
Daill 3)Bai
oc
scelaige dano
don
nUsnig.
ol i taig
Feidlimthi
ind
osa
cind
is si
た,最
格単数名詞の
れ ぞ れ,Thurneysen,
さ て,こ
の よ う に,語
頭 に お け る母 音 間 の 子 音 の 緩
場 合 に は 消 失)す
る 現 象 を,lenition(緩
来 は よ く,aspirationと
thorrach.
よび 先 の 鼻 音
1)書
法 は そ の ま ま で,
2)鼻
音字 を 表 わ して,
it〕di(for)a(which)mboi
(was)longes(the nUsnig(of と な る.前
exile)mac(of
the
sons)
Usnig)?
述
「形 態 」1の
とお り,繋
辞isは
な い が,
そ れ を 補 っ て 訳 す と, 「ウ ス ナ の 息 子 た ち は な に ゆ え に 放 浪 し た の か 」 で あ る.文
中,diaは
そ のaの
前 置 詞diと
要 請 で,次
しmboiと
語尾
な っ て 脱 落 す る 前 に,Usnigの
decem
鼻 音化
boves,Ir
あ る が,こ
deich
れ を鼻 音
い う. mba'ten
cows'.
Ulstermen)oc 出)i(in)taig
(house)Feidlimthi(of
Fedlimid)meic(of
son)Daill(of
も
弱 ま り‐onと
(at)ol(drinking,VN前
the
デ ア ドレ物 語 」(部分)
頭 に付 着 して い た の
た,eclipsis)と
2)Batar(were)Ulaid(the
は,macの
‐omが
の 連 声(sandhi)で
化(nasalization,ま cf.Lat
fuit)は
前 のn‐
と のpl.gen.*macomの
で あ る.1種
複 合.
のboi(cf.Lat
な っ た.Usnigの
「
関 係 辞aの
Dall)scelaige(the
出 典:The
story
本
ル ト語 全 般 に 通 じ る 特 徴 で あ る.鼻
これ を 逐 語 的 に 英 語 で お き 換 え る と, 1)Cid(what)〔is
音 化)
よ ん で い た.日
音 変 化 の 主 な も の を 列 挙 す る と,
oc airiuc
の
後 のthorrachのth/〓/
語 の 連 濁 と 軌 を 一 に す る こ の 緩 音 化,お
meic
on. Feidlimthe
み(エ ネ ル ギ ー 節 約 の た め の 自 然 の 弱 ま り)か ら 摩 擦 音
変 化 の 現 象 は,ケ
Feidlimthe
attending
母 音 の 間 に 挟 ま れ て 消 失.そ
摩 擦 音 と な っ た(そ
と よ ぶ.従
Conchobuir.
ben
tsluag
mac
was
と の 形 は*sindi
1946).
化(fの
の 冒 頭 で あ る.
ご も りて あ り」
示 し て い る.2のFは,与
頭 子 音 の変 化
し て,こ
また な る 客 人 を あ
(she)
定 冠 詞 属 格,も
1)語
合 っ て い る.以
の 女,身 は
で あ り,f/f/は
の 言語
の 著 し い 特 徴 と し て は,
が あ る.そ
形 態 」2,
無 音 化 した こ と を
示 す.
is brokenを
も っぱ ら結 果 の 状 態 を 示 す こ と に な る.同
drinking(「
し
you'と
語 のbe+p.p.を
と え ば,The
were
b).FeidlimthiのFはf/f/が
な わ ち,ta+da+VN
型 で あ る.英
の ま ま 移 して,た
Connor)
息 子 フ ェズ リ ミ ドの 館 に て 酒 宴 の 席 に あ り た り」
Meyer,Halle,1912).
「か れ は ほ め ら れ る 」 を,自 す る代 わ り にta
King
「ア ル ス タ ー の 武 士 た ち,コ ナ ー 王 の 語 り人 ダ ル の
Facsimile of the
R.Atkinson(Dublin,1880)に
Book
of Leinster,ed. よ る.
/〓/,/〓/,/〓/の
b→mb/m/,d→nd/N/,g→ng/〓/ 3)or'gold'→a
n‐or/〓/'their
以 上 の うち,1はMid a
Irよ
bpeann,a
りMod
dteach,a
の よ う に 書 き 示 す こ と に な っ た.な の 黒 点 は,次
は,口
す か ら で あ る.た
だ し,現
イ ル ラ ン ド語 史2千 ど
混 同 を きた
代 語 に っ い て は,'の
記号
年 を 通 じ て 絶 え ず 存 続 し,今
こ の 言 語 を 支 え て い る 大 き な 特 徴 の1つ を 許 容 し て き た も の は,一
れ
に文 献 以 前 よ り存 在 した ア
group)で
あ っ た.こ
の 言 語 で は,「 語 」 は 連 続 し て1 な し,そ
の中で各語は楽
に 滑 ら か に 発 音 で き る よ う に 密 接 に 連 な り,し
じ く,
日も
で あ る.そ
イ ル ラ ン ド語 に 特 有 の リ ズ ム 単 元(rhythm〔breath〕
つ の 語 群(word‐group)を
を 用 い る の が 普 通 で あ る. 緩 音 化 に つ い て は,同
る す が た は,
か け て,
お,/〓/な
蓋 化 音 の 記 号'と
容"す
bhfuil
の 音 節 に ア ク セ ン トの あ る こ と を 示 す の
に 使 わ れ る.'で
の 自 在 に"変
一 見 ま こ と に 捉 え ど こ ろ が な い .そ し て こ の 変 容 は,ア
Irに
gceann,a
よ う に,語 尾 と と も に
語 頭 が 屈 折 す る.こ
gold'
融 合 して,リ る.ゆ
ズ ム(息
の 段 落)の
ば しば
構 成 にあ ず か って い
え に,「 語 」 は そ の 段 落 内 に お い て,と
メ レ オ ン の ご と く変 貌 す る.こ
きに カ
れ が 緩 音 と鼻 音 を 交 え
た リ エ ゾ ー ン の 発 現 で あ っ た.こ の 現 象 は,uber'ein, uber'all,uber'raschen,er'innernの
ご と く,語
とそ の構 成 要 素 が お の お の そ の独 自性 を主 張 して 止 ま た だ し,OIrで
は,b,d,g,mな
ま ま で あ っ た.ち
どの スペ ル は そ の
な み に,こ
語 頭 の み な ら ず,同
のlenitionの
現 象 は,
様 に 類 推 に よ っ て 複 合 語 の 第2要
素 の 初 頭 音 に 生 じ る こ とが あ る.上 記,例 のch/〓/が <Conchobor)の
そ れ で,コ
文2のConchobuir
ナ ー 王(King
Connor
ぬ ドイ ツ 語 に は,絶
ア イ ル ラ ン ド語 の 文 章 も,今 に 分 か ち 書 き を す る.し
ロ ー ス の 筆 者 た ち は そ うで は な く,息 書 き 進 め て い っ た.そ
れ ゆ え,1綴
の段 落 に従 っ て
り は 通 常2つ
以 上,
)nimunaccammar<ni‐immu‐naccammar.
か ら'hound‐desiring'で
あ っ た とい え る.こ
複 合 語 の 形 成 は,今
の種 の
も な お 活 発 で あ る.
Wb
な わ ちtrade
18d3'we
have
not
seen
one
another'
β)indaroncomarlecis<in‐da‐ro‐ncom‐arlecis. Ml77d6'into
ceardchumann<ceard'artisan'+cumann
us(to
union;
which
自律 動 詞 」
実 は 極 め て や さ し く,か
緩 音 化 の 起 こ る 条 件 は 類 推 に よ っ て 拡 が り,あ
るい は
い た.い
thou
hast
permitted
fall)'
一 見 複 雑 な こ の 書 記 法 は,筆
saorchriathar<saor'free'+criathar ' word'「
語 ご と
期 ア イ ル ラ ン ド語 グ
で あ っ た. α
'desires'
,す
日で は 無 論,単
か し,古
と き に は 数 個 の 語 な い し要 素 を 含 む 語 句 あ る い は 文 章
原 意 は,
con'hound'+*c(h)o‐bur'desiring'<ad‐cobra
'society'
え て み ら れ ぬ と こ ろ で あ る.
者(話
し 手)に
と っ て,
つ 自然 に 言 語 の 法 則 に 従 っ て
つ の 時 代 で も,言
語 を語 の 正 しい 分 か ち 書 き
慣 習 に よ っ て 行 な わ れ る も の も あ り,鼻 音 化 も 含 め て,
に 従 っ て 書 く こ と は 高 い 教 養 を 必 要 とす る.こ
こ れ ら の 変 化 は 形 態 音 素 論(morpho‐phonemics)の
筆 稿 者 が ラ テ ン 語 の 文 法 に 拘 束 さ れ る こ と な く,母
問 題 で も あ る が,あ
の リズ ム に 従 っ て の び の び と 綴 っ て い っ た 語 群 に は,
ら ゆ る 文 脈 に お い て,毎
ほ と ん ど 毎 行 頻 繁 に 現 わ れ る(な
お,語
ペ ー ジ,
頭子音変化 の
起 こ る 条 件 と ル ー ル に つ い て は,Thurneysen(1946), 現 代 語 に 関 し て は,The Dillon
and O
Christian
Brothers(1977),
Croinin(1966)を
参 照). た か も 定形 な き
が ご と く す が た を か え て 現 わ れ る.ボ
ー トは 今 も 昔 も
あ る が,現
ramh na
an baid
seolta don
a
'the na
bhad'
dosna
bhaid
実 に は, 'the
oar
to
期 せ ず し て ア イ ル ラ ン ド語 の 基 本 構 文 が あ ま す と こ ろ な く示 さ れ て い る.た 1)動
the
badaibh'to
詞Vを
は,infixed
pron.
connective)+V―
上 例 α,
β な ど. b)prev+pron+(prev+)V+suf.pron.
of
the
―(dum‐gnesseadae<du‐mgne‐sse,a
boat'
dae'(thou) sails
of
the
boats'
(下 述 2)名
boat' the
と え ば,
核 と す る も の(Vに
a)relative(or
boats'
mbad 'the
語
を 包 摂 し た も の を 含 む)
そ の 結 果,「 語 」 は 常 に 変 形 し,あ
bad/〓/で
こ で,
boats'
bhada'oh,boat!'
と な る に つ れ て,/〓/は/〓'/,/〓/,/〓/,
shouldst‐make‐me,Oh
「動 詞 と 文 の 構 造 」1,例
詞 を 核 と す る も の(例
a)prep+art(or
God' 文eを
文 略).
pronom.adj.,poss.pron.,
numeral)+N b)art+N+adj.(or
demons.pron.)
参 照)
c)(art)+N+(pron.+)N
in
genitive
ら ば"と
d)interjection+N
な る.こ
junct
そ の 他,副
詞 句 や 繋 辞isで
は じ ま る 文 型 も 多 い.
(preverb)と
次 は,オ
レ ア リ ー(Peter
O'Leary)の
はguididの
ア ナ 』(Seadna,1904)の 今,ゲ
作 品 『シ ェ
綴 り に 直 し,中
世 修 道 院 の 写 字 生 が し た よ う に,息
段 落 に 従 っ て 区 切 る とす れ ば,お う.こ
こ に,ア
よそ 次 の よ う に なろ
イ ル ラ ン ド語 の 特 質(genius)が
Bhi‐fear‐ ann‐fado
の
あ る.
air/na‐Seadna.
agus‐is‐e‐ainm‐a‐bhi‐ Greasi‐ab‐ea‐e.Bhi‐tigh
beag‐deas‐cluthar‐aige thaobh‐na‐fothana.
形 を と る.こ
ag‐bun‐cnoic,/ar
'gives'を
ば,次
,‐beirに
通 語 」 を 参 照)
上 の 表 中,独 Verb)]
次 の テ キ ス トは,ミ
対 形)
‐beir(連
結 形)
の 第2音
ラ ン ・グ ロ ー ス か ら と っ た も の
示すれ
dobeir(deutero tonic) ‐ tabair(proto tonic)
立 絶 対 形(こ
こ で はberid)は,文
外 に 現 わ れ る こ とが な い.ま
structure)
得 る.こ
(複 合動 詞)
berid(絶
(independent) (dependent)
頭 の 動 詞(VO
‐tabairを
(単純 動 詞)
文 の 発 音 と意 味 は 「方 言 と 共
あ る.
の よ う で あ る.
従属用法
1)文
対 して は
独 立 用 法 の 形 と い う.表
独立用法
nuair
当 た るOIr
結 形‐beirで
が 前 接 辞 に 連 な る と こ ろ か ら こ れ を 従 属 用 法,
う 意 味 で あ る.な
of the
bears'に
つ い て はdobeir(<do'to'+beir'carries')
beridとdobeirは
a‐bhiodh‐obair‐an‐lae‐criochnaithe...
[動 詞 と文 の 構 造(Syntax
よ ぶ.今,'he
これ ら の 単 純 動 詞 に 対 す る 複 合 動 詞 と し て,beridに
(斜 線 は,必 要 な ら ば そ こ を 息 の 段 落 と し て も よ い と い お,上
の 長 い 方 を 絶 対 形(absolute
の 形 を 考 え る と,絶 対 形berid,連
agus‐ba
gnath‐leis‐sui‐inti/um‐thrathnona
べて一 種 の 前 綴
接 辞 を と ら ぬ 場 合,‐guid
い 方 を 前 接 辞 に 続 く と こ ろ か ら 連 結 形(con form)と
の2つ
Bhi‐cathaoir‐shugain
aige/do‐dhein‐se‐fein‐do‐fein,
junct
と め て 前 接 辞(con
よ ば れ る が,す
考 え て よ い.前
form),短
初 め の 部 分 で あ る(図7).
ー ル 文字 の原 文 を通 常 の ロー マ字 に よ って 現 代
う し た 要 素 は,ま
particles)と
頭以
た,deuterotonicは
節 に,prototonicは
第1音
語
節 に ア クセ ン ト
が く る こ と を い っ た の で あ る. b)Dobeir(gives)a(the)n‐or(gold)do
で あ る. a)niguid
digail
corruanat
duthabairt
inna
arrad
foraib,acht
(to)Chonairiu(Conaire),acht(but)ni
42a4
thabair(not
こ れ を 直 訳 す れ ば,
it gives〔he〕)do(to)Chunn
(Conn).
ni‐guid(not‐prays〔he〕)di(for)‐gail(punishment)
「か れ は コ ネ ル に は 金 を 与 え る が,コ
du(to)‐thabairt(bringing)foraib
与 え ない 」 c)In‐tabair(does
(on‐them),acht(but)cor‐ru‐anat(that
give)in(the)sacart
may‐remain〔they〕)inn(in)‐a(his)arrad
(priest)libru(books)donaib(to‐the)mac
(company).
caib(sons)?
「彼 は,彼
ら が 罰 せ ら れ る こ と を 願 わ ず,か
え って
彼 らが彼 と と もにい られ る よ う に祈 って い る」
願 望 を 示 す 小 辞roと
は 屈 折 前 置 詞.文 を そ の ま ま に し て,niの は 疑 問 文(∼
代 わ り にinを
を願 う か),diaを
で 始 ま る 関 係 文 に,dianと
部分 お く と,全
た て れ ば,for す れ ば,条
件 文"も
doaib(to
gives〔he〕)
them),acht(but)ni‐tabair(not them).
「僧 侶 は 息 子 た ち に 書 物 を 与 え ま す か 」 「は い ,そ
の 結 合 形,foraib
頭 のniguidは,‐guidの
Do‐s‐beir(them
gives)biad(food)doaib(to
文 頭 の 動 詞 に 前 接 して い る の は 否 定 の 小 辞ni,corru‐ は 接 続 詞coと
ンに はそ れ を
体
which し∼ な
れ を 与 え ま す.し
か し食 物 は与 えて お り ませ ん」
こ の 中 でdobeir,‐tabairは,そ 形,bの
れ ぞ れ 独 立,従
‐thabairのthはtの
緩 音(後
d)Sligid(slays)Niall(人
属 の
述).
名)slogu(Eriu
Xll,214) 「ニ ア ル は 大 軍 を う ち 負 か す 」
オ
レア リーの 『シ ェア ナ 』(抜粋)
e)Du‐m‐gne(me
shouldst
make
thou)‐sse,
a(Oh)dae(God).Ml.42a8 「神 よ,あ
な た は 私 を つ く り給 う」
こ こ でdのsligidは
独 立 絶 対 形.eのdugneの
の ‐m‐ は 英 語 のmeに が ‐sseで
出 典:Peadar
ua
Laoghaire(1904),Seadnaに
よる.
あ る.た
当 た る が,そ だ し,強
中
の強 調 の 接 尾 辞
調 辞 も代 名 詞 も 自 ら の 上
に ア ク セ ン ト を と る こ と な く,常
に 後 に か え り,先
の 語 に よ り か か っ て(enclitic)い
る.与
行
格 は 前 置詞 と
融 合 し,対
格 は 動 詞 の 中 に と り 込 ま れ,挿
入 代 名詞 と
な っ た.cのdos‐beirの‐s‐
お よ びeの
れ で あ っ た.挿
行 の 音 と形 態 に よ っ
入 代 名 詞 は,先
て,単
複,各
人 称 を 通 して,25に
た.い
ず れ も1音
り,か
つ,し
の ぼ る変 化 形 が あ っ
節 を 出 な い が,ゼ
ロ形 態 の も の も あ
ば し ば 後 続 音 に 変 化 を起 こ す.bのni
thabairが
そ れ で,英
み え な い.こ
訳 のitに
行 す る 否 定 辞ni
表 面 か らす が た を 消 し た.け
失 に 先 だ ち,次
の 子 音tをth/〓/に
れ ど
ほ か にcoimmdiu'the
語 的(incorporating
or
あ り,既
ル ト語 の 非 印 欧 語 的
(J.Pokorny,E.Lewy,H.Wagner). 文 末 に あ る と き,動 い う な ら ば,動
語 と 目的語
現 わ れ る.し
語 順 を と る が,代
名詞になれ
倚 的 代 名 詞(enclitic
語は動詞の変
詞 の とった 形 に つ い て ま とめて
詞 は,特
詞 は 文 頭 に 位 置 し,主
的 語 は 動 詞 の 中 に と り こ ま れ,主
らか に 抱 合
polysynthetic)で
述 の 屈 折 前 置 詞 な ど と と も に,ケ
づ く と き,従
が 名 詞 の と き,VSOの
に そ の主 語 ま た は 目的 語 につ
属 用 法(単
純 動 詞 な ら ば 連 結 形,複
従 って
語 構 文 を と ら な い と き は,後 pron.),つ
ま り挿 入 代 名 詞 を 目
的 語 と し て と る こ と は な い.こ
れ を は じめ て 公 に 指
摘 した の は0.ベ
2)文
「ベ ル ギ ン の 法 則 」 の 解 釈 に つ い て は,J.Carney,
次 の 文 で は,い
structure)
ず れ も動 詞 が 文 末 に き て い る.
f)Conden
Drechlethan
Condenは'so
Eigse ⅩⅤⅡ
dailfa(Eriu16,146).
that
it'の
3)動
意,dailfaは'will
そ れ を 分 配 す る で し ょ う」
cain
atchichither(be
(LU3889).Cruthは
とす れ ば
seen
姿,cainは
will)
そ の 形 容 詞.
「美 し い 姿 が 見 ら れ る で し ょ う 」 h)Brechtaib(by
the
m‐berar(is
taken〔he〕)(Eg
「女 の 魅 力 に(彼 こ れ ら の 場 合,動 あ る.gは
は)と
88).
詞 の 語 尾 は,す
よ びhの
属 の 区別 はす で に
動 詞 が 独 立 用 法 な ら ば,
そ れ ぞ れ 絶 対 形 のdailfia,berairと ろ で あ る.同 i)Nim 42).中
が つ い た も の で,‐usは3sg.f.の れ は,と
の 意 味 に も 使 わ れ る.こ
の‐usの
語 のthem) 立
「私 は 評 判 に な っ て い る 」.さ
らに
す れ ば,そ
れ ぞ れ 「君 は 」 「彼
入 代 名 詞 の あ る と きは もち ろ ん
使 用 さ れ る こ と は な い.「 彼 女 を 有 名 に す る 」は,noi thiusと
と も に ‐s‐を 用 い てnosnoithidと
も で き た.ア の2つ
間 のaesは'age',argartは'hin
目的 格 を示 す 接尾
き に ま たpl.(英
代 わ り に‐umを
こ れ ら の 代 名 詞 は,挿
aes
n‐argart(Meyer,Misc.Hib.
cain
(ま た は そ れ)は 」 「我 々 は 」 「あ な た が た は 」 と な る.
様 に,
する こと
イ ル ラ ン ド語 前 史 の 頃 は,し
たが っ て こ
が 角 逐 し つ つ 共 存 し て い た と 思 わ れ る.
と こ ろ が,接
尾 代 名 詞(suffixed
pron.)は8世
紀中
dered'.
頃 を 頂 点 と し て 急 速 に 衰 え,9世
紀 に は 早 く も活 力 を
「齢 は わ た し に 妨 げ と は な ら な か っ た 」
失 い,半 ば は 形 骸 化 し て い た.代
償 と して,生 産 的 に 一
動 詞 文 末 の 位 置 は,す
で に1892年,ヴ
ル(J.Wackernagel)の
れ は,今
Forschungen
定 動 詞 文 末(OV型)の
らず,主
や 法 令 文)に
お い て も,
中 へ 目 的 語 の ‐m‐ の み な
で が 抱 き 込 ま れ た 結 果,こ
型 的 な 分 語 構 文(tmesis)が j)Nomchoimmdiu
おいて
存 在 は 早 くか ら 知 ら れ て い た.
詞ni‐argartの 語 のaesま
I)に
日 ほ ぼ 一 般 に み と め ら れ て い る.
ア イ ル ラ ン ド語 の 古 い 文 献(詩
は,動
ァ ッケ ル ナ ー ゲ
論 考 「印 欧 語 の 配 語 法 に つ い
て 」(Indogermanische 指 摘 され,そ
iで
な るべ き と こ
cruth
のnoithiusはnoithi(d)'celebrates'に‐us'her'
‐ut,‐i,‐unn,‐uibと
べ て 従 属 用 法 の形 で
立/従
accent)
姿 ・美 し い 」 と し て 表
れ を 主 語 と してnoithius
て れ ば,1sg.で
りつ か れ て い る 」
未 来 受 動 形 で,独
失 わ れ て い る が,fお
women)
and
cain「
「美 しい 姿 が 彼 女 を 有 名 に す る 」 と な る.こ
代 名 詞 で あ る.そ
spells)ban(of
law).
を 参 照.
詞 と ア ク セ ン ト(verb
わ し た.今,こ
「そ こ でD.は g)Cruth
ル ギ ン で あ っ た(Bergin's
「美 し い 姿 」 はcruth
distribute'.
合動
節 ア ク セ ン ト型prototonic)に か して,分
化 語 尾 に よ っ て 示 さ れ る こ とが 明 らか と な っ た. 末 の 動 詞(OV
の
挿 入 さ れ て い る.
古 期 ケ ル ト語 の 古 層 に お け る す が た は,明
詞 な ら ば 第1音
以 上 に よ っ て,動
中 に,‐m‐
Lord'が
換えてい
た の で あ る.
ば,目
に お い て も,no‐coima'befriends'の
性 格 を強 調 す る学 者 が 絶 え な い の も 故 な し と し な い
当 た る 目的 語 のaが
の 軽 い 中 性 代 名 詞 は,先
の 母 音 と融 合 し,文 も,消
‐m‐ が こ
生 じ て い る.次 coima(ThesⅡ,290;Sg.
こ に典 の 例,
層 の 負 荷 が 複 雑 な 挿 入 代 名 詞 の 使 用 に か か っ て い た. 一 体 に 代 名 詞 は 軽 小 で ,挿 入 代 名 詞 は 特 に 然 り で,そ れ は 常 に動 詞 の前 接 要 素 に う しろ向 き に よ りか か る こ と と な る.そ は,前
こで単 純 動 詞 が 挿 入 代 名 詞 を と るた め に
接 辞no‐
を つ け て 形 式 を 整 え る 必 要 が あ っ た.
「彼 女 が 愛 す る 」 はcaraid(絶 愛 す る 」 と き はno‐m‐charaと 無 意 味 の1音
対 形)で
し な け れ ば な ら な い.
節 を 接 頭 し た の は(た
ヒ ッ タ イ ト語 のnu‐
あ る が,「 私 を
だ し,こ
に 対 応 して い る),お
のno‐
は
そ ら く,発
話 に おけ る整 調 の た め の 話 し手 の 無 意 識 の 要 請 で あ っ
204).
た に 違 い な い.こ
「主 は わ れ を い つ く し み 給 わ ん 」
‐m‐)を 従 え て で き た 新 し い 前 綴(P,こ
う し て,後 倚 的 代 名 詞(E,こ
こで は
こ で はnom‐)
は,ア
ク セ ン トを も つ 定 動 詞 語 幹charaに,前
(proclitic)に
か か る こ と に よ っ て,語
nomcharaを
え た の で あ る.図
より
詞 と して新 し く
示 す れ ば,下
の よ うで
あ る.
2重
に 対 立 し た 動 詞 組 織 に お い て,第2音
ト型 は 次 第 に 第1音
節 アクセ ン
節 ア ク セ ン ト型 の 方 に 解 消 し,接
辞 を と る 複 合 動 詞 は 次 第 に 単 純 動 詞 が と っ て 代 わ り, 総 じ て 動 詞 は 著 し く簡 易 化 の 方 向 に 向 か っ た.Mid は,い
わ ば こ の 動 揺 の 過 程 で あ っ た.近
説 法,接
続 法 と も に,総
Ir
代 以 降 は,直
合 的 よ り次 第 に 分 析 的 構 造 に
移 りつ つ あ り,か つ て の 独 立/従
属 の 区 別 は 消 滅 し た.
こ う し て ア イ ル ラ ン ド語 の す が た は 今 日 大 き く変 貌 し た.と
こ ろ が 近 代 に 入 っ て,新
dependentの
た なindependent/
対 立 が 生 じ た.そ
れ は 主 と して 文 章 論
的 に 規 定 され る 動 詞 の 変 化 で あ る.次 こ の 際,Pの tually
次 のEと,Vの
次 のEは
complementary)な
前 述 の と お り,単
相 補 的(mu
関 係 に あ っ た.
(do‐)chim'I
純 動 詞 の ア ク セ ン トは 語 頭 音 節 に
あ っ た.こ の 位 置 は 前 接 要 素 が つ く と き も変 わ ら な い. し か し,接 辞,す
辞 が2つ
重 な れ ば,ア
な わ ち,語
直 接 結 合 す る こ と は な い.動
ni
詞 は,ア
ク セ ン トを 直 前 く
do
not
see'
ni
me'I
fhaca
現 在,過
saw'
me'I
去,い
did
not
see'
ず れ も 「見 る 」 に つ い て,形
る 別 語 を 使 用 し て い る.一
方 は 肯 定 文,他
て 生 じ た 新 しい 語 幹 に 第2の
接 辞 を 冠 す る の で あ る.
そ れ ぞ れch‐/fh‐
と 対 立 し て い る.前
す な わ ち,複
与 え る 」 に お い て,話
dependent)形,後
者 が 従 属(dependent)形
手 はdo‐
に 対 し て ‐beirの
た の で あ ろ う.今,「 ni‐ を 必 要 と す る.す で あ る.そ が1つ
の 際,上
な わ ち2つ
接 辞ni‐
を迎 え るの で あ
くて,nitabair(nidobeirで
は な い)は
は 〕与 え な い 」 とな る―univerbation(1語 好 例 で あ る.と
こ ろ で,独
立/従
ち ま ち で ま だ 定 説 は な い.そ
あ る が,そ
令 法)に
究 者 の見 解 は ま
の 起 源 を 遠 く印 欧 語 の
遡 ら せ よ う とす る 最 近 の 説 も
1963,K.McCone
1982;K.H.Schmidt,
古 期 ケ ル ト語 動 詞 の 構 造 は,以 雑 を極 め,煩
瑣 な ル ー ル は,と
Mid
を 要 求 す る.挿
Ir)
な ど で,こ る.ま
れ ら は も っ と も頻 用 され る 不 規 則 動 詞 で あ
た,taやisの
上 の ご と く,微 妙,複
れ は言 語 の 改 変
入 代 名 詞 は 伝 統 的 に か な り後 代 ま で 残
が て,代
名 詞 が,主
格,目
的 格 と も に独 立
し て 用 い ら れ る よ う に な る と,そ れ も 廃 れ,VSOが
形chim'I
see'の
る よ う に,こ
dagniu‐sa
19世
た.そ
の 主 張 の1つ
は,国
と え ば, it,that'.
語 の 典 範 と して 初 期 現 代 ア
イ ル ラ ン ド語 の 古 典 を 採 用 す べ し と の 高 唱 で あ っ た. 他 方,自
然 淘 汰 の 理 を 説 く も の も あ っ た.結
局 は"民
衆 の 話 し 言 葉 を も っ て 書 き 言 葉 の 手 段 と す る"方 赴 い た.し
か し,こ
向 に
れ は 漠 然 と し た も の で,ア
中 で,官
do
Gaelic
盟 の 結 成 に よ っ て,ア
イ ル ラ ン ド語 再 興 の 声 は 一 層 か ま び す し く な っ て い っ
ン ド 自 由 国 の 成 立(1922)を
14d26'I
紀 末 に 起 こった 文 芸 復 興
結 成 を 促 した.同
詞 の あ とに 指 示 代
Wb
許 容 され て い
方 に お い て ゲ ー リ ッ ク 同 盟(the
入代名詞のあいま
sin
か し,今 対 す る肯 定
こ で も文 法 が 徐 々 に 整 理 され つ つ あ る.
の 初 め は,挿
名 詞 を 重 ね た こ とが 一 因 で あ ろ う.た
fheicimに
代 わ り にfeicimも
つ 強 調 す る た め,動
常 な 語 順 と な っ た.そ い さ を 補 い,か
正
変 化 も複 雑 で あ る.し
で は 慣 用 の 実 際 に 即 し て,ni
League)の
き に そ の話 し手 の 記 憶
に 絶 す る こ と も あ っ た に 違 い な い.こ
っ た が,や
teigh'go'
の 熱 気 は,一
期 ア イ ル ラ ン ド語 以 降(After
属形
か に,
[方 言 と 共 通 語]
KZ94,1980). 4)中
that'
こ と に 語 の 変 容 は,
dean'make,do',faigh'get',ith'eat',
の 解 決 は 今 後 に ま た な け れ ば な ら な い(cf.
W.Meid
で あ る.
こ こ で も ア イ ル ラ ン ド語 の 著 し い 特 徴 で あ る.従 を 有 す る の は,ほ
化)の
語 尾本 来 の機 能 と その
こ に 求 む べ き で あ る か.研
injunctive(指
「〔彼
者 が 独 立(in
a'all
な ど に 続 く と き に 用 い ら れ る.ま
属 の用 法 に従 っ て対
立 す るabsolute/conjunctの 来 由 は,ど
less',sara'before',relative
形 成 し,ア ク
を異 にす
は 否 定 文 で,
従 属 形 は,ほ か に 疑 問 文,従 属 節 の 中 で,す な わ ち, ni 'not' ,nach'that not',an(疑 問 辞),go 'that' ,ca?'where?',da'if',mara'un
ずdo+beir
に 融 合 し て 新 し く語 幹 ‐tabairを
る.か
定 の接辞
の接辞が重なるわけ
に 述 べ た 習 慣 で,ま
セ ン トが 前 に 移 り,第2の
し
部 分 に語 幹 を意 識 して い
与 え な い 」 とす れ ば,否
で
see'
fheicim'I
chonaic
の接辞が
の 前 接 辞 に 移 す こ と に よ り こ れ と 緊 密 に 融 合 し,か
合 語dobeir「
の1例
同 じ く過 去 は,
クセ ン トは最 初 の接
幹 直 前 の 部 分 に 移 り,2つ
は,そ
あ る.
イル ラ
挟む前後の社会的騒擾の
民 と も永 い あ い だ 積 極 的 に 国 語 政 策 に と り 組
む 余 裕 の な か っ た の は 惜 し ま れ る.よ し,1948年,ま
うや く機 は 熟
ず 新 ス ペ リ ン グ の 標 準 が で き,次
いで
1958年,文
法 と綴 り字 の 大 綱 が 法 制 局 よ り公 に さ れ た
(Gramadacha
na
Gaeilge
agus
litriu
こ れ は ガ イ ド ラ イ ン で あ っ て,方 に 過 ぎ な い が,数
ま で は,官
Focloir
庁 も学 校 も新 聞 も作 家 も,大 こで は,O
Gaeilge‐Bearla(1977)が
目 安 に な っ て い る(図8,後 し な が ら,こ
出
るdh,gh,mh,bhは,あ
体 にお
日,語
行 す る短 母 音 が,方
言 に よっ
る い は 長 母 音 あ る い は 二 重 母 音 に 変 わ っ て い る.
ず 発 音,次
次 移 り 動 い て い る.ワ 国88の
参 照)と
し て 上 梓 され た.い
(∼ の 左 は ゴ ル ウ ェ イ 州 コ シ ア ー リ ゲCois は コ ー ク 州 西 部 マ ス ケ リWest
Muskerryの
こ の 一 事 に 鑑 み て も,そ
纂 者 の1人
の辞典に統一
オ ー ホ ー ガ ンE.OhOgainの
述懐
cf.SCJ15,24). 節 に あ る.た
not
notice
ー ク,ゴ
点 に 求 め,相
較 し て み よ う(図9). thugas
fe
ndeara
37.nior
thug
me
faoi
e.
dear(ndeara)e.
[〓] 72.cha
dtug
me
fa
dear
し く は 第3音
節 に ア ク セ ン トを と る も の が あ る.
い ず れ も,強 ア ク セ ン トの ゆ え に,無 ア ク セ ン トの 部 分 で は 母 音 は あ い ま い 音/〓/に
な りや す い.し
瞭 な 母 音 性 を 失 わ な い 地 方 も あ る し,長 る と こ ろ も あ る.た bacax'lame'に
か し,明
母 音 が 短 くな
と え ば,scadan'herring'と つ い て み る と,
マ ン ス タ ー(Munster) /〓//〓/ ア ル ス タ ー(Ulster) /sgadan//bakax/ コ ナ ハ ト(Connacht) /〓//〓/ 方 に よ っ て 違 い が 大 き い.ア
イ ル ラ ン ド語
の 学 習 に お い て も っ と も困 難 な の は,如
上 の意 味 に お
い て 発 音 の 習 得 で あ ろ う.ア Poca'ポ
イ ル ラ ン ド政 府 出 版 の
ケ ッ ト愛 英 辞 典'(1986)の
わ ば 方 言 間 の,現
音声 表 記
時 点 で の も っ と も合 理 的 な 妥
協 音 を 示 し た も の で あ る. ア イ ル ラ ン ド の 方 言 は,大 れ は 次 の よ う で あ る.
略3つ
に 分 け ら れ る.そ
オ
ー ド ー ニ ィ ル(O
e.
Donaill)の
ル
互 に比
だ し,
西 部 マ ン ス タ ー 地 方 に お い て は 一 定 の 条 件 の 下 で,第
Focloir
did
[〓]
ア ク セ ン トは,原 則 と し て 第1音
と な り,地
ま"I
and
[〓]
の 時 点 で は,こ
あ る発音 表 記 の 記載 は放 棄 せ ざる を え な か った の で あ る(編
Atlas
参 考 文献 」を
当 た る 表 現 を,コ
よ び ドニ ゴ ー ル の3地
7.nior
発 音)
文 につ い て調 査
Dialects,4Vols.(「
him"(Vol.I,285)に ウ ェ イ,お
句,短
の 結 果 は,Linguistic
Irish
して 語 形
錯 し つ つ,順
ー グ ナ ー(H.Wagner)は,全
of
Fharrge,右
接 し,交
地 点 で,多 数 の 単 語,語
Survey
naomhtha'holy'
に 語 彙,そ
と文 法 が 微 妙 に 重 な り合 い,隣
adhmad'wood'/〓/
/〓/
は,い
ケ リー(Kerry) こ れ ら の 方 言 で は,ま
し 観 察 し た.そ
Ir
Munster)
コ ー ク(Cork)
leabhar'book'/〓/
そ の 他,naofa<Mid
Munster)
西 部 マ ン ス タ ー(West
音につい 中 に頻 出 す
righin'slow'/rain'∼ri:n'/
2も
東 部 マ ン ス タ ー(East
か
る種 の 音 声 環 境 に お い て
は す で に 無 音 と な り,先
言―
ウ ォ ー タ ー フ ォー ド(Waterford)
照).し
の 新 し い 正 書 法 に よ っ て も,発
,)およ び マ ヨ(Mayo)
マ ン ス タ ー(Munster)方
Donaill,
「辞 書 」1参
言―
ゴ ル ウ ェ イ(Galway
も っ と も手 近 な
て は 何 ら 示 唆 す る と こ ろ が な い.今
て,あ
コ ナ ハ ト(Connacht)方
き な 区 切 りが つ い た の で あ
い て こ の 基 準 に 則 っ て い る.そ
言―
中 心 部 ドニ ゴ ー ル(Donegal)
言 間の 大 ま か な 妥 協
世 紀 にわ た っ て放 置 され て い た話 し
言 葉 と 綴 り の 問 題 に,大 る.い
ア ル ス タ ー(Ulster)方
Gaeilge).
辞書
文 頭 のniorは,過 7で
去 否 定 の接 辞 で 次 音 を緩 音化 す る.
は,[〓]と
な り37と
fe,faoi,faで
異 な っ て い る.前
37.scartadh
発 音 も 形 態 も 異 な り,thugasは
tabhair'bring'のpret. は'notice'の
sg.1の
意.こ
notice→took
形.次
の 部 分 は'I
notice
of',そ
こ ろ が,37で
れ ぞ れ 主 格 代 名 詞 を 従 え,分
はthug
me,72で
ラ ン ド ・ゲ ー ル 語 と 同 じchaと
ル タ ハ トに 赴 い て 実 地 に 学 ぶ に 如 くは な い.し す で に 多 くの 研 究 が あ り,必
はdtug
コッ ト
な り,か つ 次 音 を 鼻 音
上 か ら,現 代 ア イ ル ラ ン ド語 で はVSO
の 語 順 を も ち,文
法 的 に はnot+Past
under+notice
himの
型 と な る.そ
brought
are
you?"に
tan chaoi
音 に は,単
の 長 音,お
72.Goide
mar
ta
ま さ に 三 態 三 様 で あ る.こ
れ は1例
に す ぎ な い が,中
に 地 域 的 に あ ら わ れ た も の と 解 釈 で き よ う か.後 ヨ ハ ネ 伝1.5の
あ る.
そ の 口 蓋 化 音(palatalized
「光 」 も,
出の
counter
よび 摩 擦 音/s,s[〓],z,z[〓],x,x, ら び に 破 擦 音/c[〓]/が
あ る.
ー キ ー ブ は,/〓/に
対応す
る 無 声 化 音 を あ げ て い る.し
期 よ り 現 代 初 期 に か け て の は げ し い 語 彙 の 消 長 が,横
そ 重 母 音/〓
音 に は,/〓 /と
な お,オ
tu?
母 音/〓/と
/が b)子
〓,j,h/,な tu?
様 で は な く,こ
か し,無
声 化 の程 度 は 一
れ ら を 音 素 と み とめ る こ と に は 問 題 が
あ る. 前 出(「 語 頭 子 音 の 変 化 と リ ズ ム 単 元 」)のP. ア リーの 小 説
『シ ェ ア ナ 』 は,マ
言 の 相 対 的 位 置 と7,37,72の
ま,段
落 ご と
に そ の 抜 粋 箇 所 の 発 音 と 訳 文 を 示 す. 1)Bhi
地点
オ レ
ン ス ター 方 言 で 書 か
れ た も の で 広 く読 ま れ た も の で あ る.い
3方
ンス ター
言 の音 素 は 次 の よ
よ び 中 間 母 音/〓/;二
当 た る表 現 をみ
tu? bhfuil
よ れ ば,マ
う で あ る.
parts),お
7.Connas
Cuiv,1944)に
Muskerry,Co.Cork)方
の 発想 を分 析 す
る と(Vol.I,244),
37.Cen
オ ー キ ー ブ(O (West
a)母 I
れ ば,「 私 は 彼 を 注 意 の 下 に 持 っ て こ な か っ た 」.ち な 拶 用 語"How
か し,
要 に 応 じて そ れ ら を 参 照
す る こ と が で き る.
析的表現 をと
は 文 頭 の 過 去 否 定 の 小 辞 が,ス
化 し て い る.以
の よ う に 異 な っ て い る. ア イ ル ラ ン ド語 の 方 言 は,ゲ
under
の 目 的 語 がe'him'
meと,そ
っ て い る.72で
72.soillsiu
のdeara
brought
で あ る.と
み に,挨
7.taitneamh
置詞 は
fear
ann
(直 訳 的 に,'was
fado/〓/
2)agus
is
a man
e
ainm
there
a long
bhi
air/〓
a
time
ago'),
/〓/〓/('and it the
it's
name
which
was
on‐him,/namely,
Shiana'). 3)Greasai ab ea e/〓/('a cobbler
t'was
4)Bhi
tigh
cnoic/ar
he').
beag
deas
thaobh
na
cluthar
aige/ag
bun
fothana/
〓 /〓/〓 /('was by‐him/at tered
the
foot
little,nice of
a
hill/on
cathaoir shugain do
6)agus
had ba
made
ghnath
for
a hayrope
chair
himself'),
leis sui
inti
/um
thnona/〓
thra /
調 査 者 が 接 した 方 言 資 料 提 供 者
(informant)の 在 住 地 で,バ レ ビ コ ー ダ(Ballyma coda),カ ‐ ル モ ー ル(Carnmore),フ ルー ス リ の 呼 称.
shel
aige/do dhein se
/('was
(Creeslough)は
cosy
the
fein/〓
by‐him/he
注:⑦,37,72は
and
side').
5)Bhi fein
a house
〓/('and him
to
sit in‐it/in
t'was the
customary evening'),
そ れ ら 現 地 の ア イ ル ラ ン ド語 で
7)nuair a bhiodh obair an lae criochnai
with
the,…/〓/
語 の 発 想,表 現 と す こ ぶ る 類 似 して い る.こ
('when
was
the
訳:「 む か し,シ っ た.彼
day's
work
do+ 関 係 辞a'of(for)that
done,…').
ア ナ と い う 名 前 の 男 が い た.靴
屋 だ
自 分 で 作 っ た 藁 椅 子 が あ っ た.1日
2,4,5のbhi(taの ∼aige'by(at)him'の
で あ る.は
文 はBa
greasai
っ てい た 」
eに 同 じ.eaは
い 中 性 代 名 詞 . 形 容 詞 が い くつ か 並 ぶ と き,そ agus'and'は
入 れ な い.5のdo
完 了 に は 特 別 の 形 が な い.な
脈か
イ ル ラ ン ド語 で は 過 去 お,過
去 を 示 す 前 接do
ま で は 読 ま な い こ とが 多 い(前
と そ の 背 景 」2).7のnuair
出
「歴 史 的 展 望
aはwhen(接
意 . 完 了 を 示 す と き はta∼p.p.を
Maynooth(An
動
bheathaが
詞 に 当 た る も の に,繋 verb)ta(<Lat
an an
Briathar
ba
Dhia
an
ann
i dtus
eineacht
baire
agus
baire
in
is
ni
uile
dhearnadh
4.Is na
ann
a
aon bhi
ndaoine
5.Agus
ta
chadas,ach
eineacht
le
an an
trid
bheatha
nior
e
agus
ollamh
e'it's
フ ラ ン ス 語 のc'est
訳 す が,an 密 には
れ た 」 で あ る.否
ag
a professor,him.'→he
un
ghabh
an
sa
dor
dorchadas
e Sean
an
ollamh'it's
lui,Jean,le す な わ ち,フ
e.
こで は
ni「 す べ て の 物 」 が 主
「す べ て の も の を そ れ が つ く ら 係 文 の 中 で は,rinneadh
は 従 属 形(「 動 詞 と文 の 構 造 」4)を
と り,そ
つ く ら れ な か っ た 」,da
「つ く ら れ た も の の 中 で 」 と な っ て い る.す ろ ず の も の こ れ に 由 り て 成 り,成
これ に相
him,John,the
is the
professor.=c'est
professeur. ラ ン ス 語c'estの
機 能 が こ のisに
当た
の 後 半 は ま さ に こ の 構 文 で,「 そ れ は 人
来,目
的 格 で あ っ て 主 語 で は な い.そ
れ ぞ れni
ndearnadh な わ ち,「 よ
りた る物 に して ひ と
つ と し て 之 に よ ら で 成 り た る は な し」. 結 果 的 に,日 本
こ のe れ はis
る い は別 の語 句 に
よ っ て 反 復,確 認 す る と い う く り返 し(reprise)の
shining'が
強調
な っ て い る . な お,5節
tneamhはtaitin'shine'のVNで
のtai
「輝 き 」,し た
taitneamhは
進 行 形'the
本 義(「 形 態 」2のb).最
light
後 のeは
こ で は 「光 を 」. 目 的 語 と な る 代 名 詞 は,通
is
目的 常,
この 位 置 を と る. [辞 1)O
律 動 詞),こ
is
professeur,lui.が
professor.'→John
語,こ taitneamh
uile
定 文,関
に無 人 称 的 用 法 が あ
た,
が っ て,ta∼ag ba e solas
dean'make'のpret.auto
語 で は な く,厳
dhearnadh「
gan
bheatha.
solas
形(「 形 態 」2のc自
madeと
agus
ni da ndearnadh.
an
3節 のrinneadhは, nomousの
ni
こ
professor.
構 文(「 形 態 」1)と an
ペ イ
昔 よ り,別
は,OIrの
に よ っ て 提 示 さ れ た 語 句 を 再 度,あ
i dtus
の 用 法 は,ス
ろ がisに
も,元
Dia. 3.Rinneadh
実 動 詞(substantive あ り,そ
の 光,命 な り き 」の 気 持 ち . フ ラ ン ス 語 のluiも
le Dia,agus
Briathar.
se ann
辞isと
用 法 に ほ ぼ 平 行 し て い る.と
あ
ハ ネ 伝 の 初 め の数 節 で あ
in
との文 で 語 のbe動
ン 語serとestarの
is
Sagart,1981)で
Briathar
bhi
調 部 分 を この よ
文 法 的 主 語.英
stare)が
っ て い る.4節
2.Bhi
was
後 のan
Bio
る. 1.Bhi
beatha
う な 文 法 的 枠 組 み に よ っ て 示 す の で あ る.あ は,最
わ ば 共 通 語 で 書 か れ た 格 調 あ る現 代 文
の 範 例 で あ ろ う . 以 下 は,ヨ
の構 文 の 中 に挟 み
ク セ ン ト を お く の で は な く,強
似 し て い る.ま
れ は,い
語 のit∼that…
こ で は,annがis∼a…
は,ア
past)+crioch
終 わ っ た と き 」(前 出 「形 態 」2のc受
Naofa,
る.こ
men,the
命 が そ こ に あ っ た 」 で よ い . ア イ ル ラ ン ド語 で
a
形 を 参 照).
bla
of
ann「
こで
ア イ ル ラ ン ド語 で も っ と も新 し い 聖 書 は,An
light
and
っ た.
続 詞)の
用 い る.こ
はbhiodh(taの3sg.habitual naitheで,「
古
の間 に
dheinは,文
ら過 去 完 了 の 意 味 に な っ た.ア
life was
こ ま れ て 自 然 に 強 調 され て い る.普 通 な らbhi
him',bhi
構 文 で,通 常,∼ の 部 分 に 所 有
の 意 に な る.3の
,the
じ め の 文 は,英
に 等 し い.こ
当 た る 語 が な い.
され る 目 的 語 が き て,「 誰 々 が ∼ を 持 つ,持
the
life
の仕 事 が す む
過 去)∼air'on
God)that him)
して
と夕方 に は そ の中 に座 るの が 常 だ った」 ア イ ル ラ ン ド語 に は,英 語 のhaveに
のdaは,
鼻音化 をひき
の 直 訳 は,
it's there(=in 'twas it(or
に は さ っぱ り して 住 み心 地 の よい 小 さな
家 が 丘 の ふ も と の 奥 ま っ た 斜 面 に あ っ た.そ
は,い
起 こ す.4節
which'で
書] Donaill,Niall(1977),Focloir
Bearla(Stationery
編 修 長 オ ー ドー ニ ィ ル(N.O ァ ル ド ラ ー ヒ(Tomas て14名
Gaeilge
Office,Dublin)(ⅹⅱ
de
の ス タ ッ フ が 約20年
+1309)―
Donaill)の
下,ド
Bhaldraithe)を を 費 や し て,政
・ヴ
顧 問 とし 府 の刊行
物 と し て 出 版 さ れ た ア イ ル ラ ン ド語 ‐英 語 辞 典 . 新 綴 り字 法 に 則 っ た 最 初 の 本 格 的 辞 書 で あ る.特 は,動
詞 の 見 出 しが 従 来 の もの と 異 な り,命
称 単 数 の 形 に な っ て い る こ とで,そ
れ は,原
徴 の 第2 令 法2人 則 的に こ
の形 が人 称 語 尾 を除 い た現 在 形 語 幹 と等 しい か らで あ
る . 本 辞 典 は"現
代 ア イ ル ラ ン ド語 に お け る,も
も 普 通 の 語 彙 が 集 録,記
述 さ れ て"い
異 綴 り の 語(variants)も て あ っ て,便 が,一
る が,方
っ と
言 な ど,
利 で あ る.発
音 につ い て の 指 示 は な い
般 ア イ ル ラ ン ド人 の,ま
た,ア
参 照.な
お,本
書 に は,縮
Gaeilge‐Bearla(814ペ り出 版 さ れ て い る.持
milies
に文 教 局 よ
2)Dinneen,Patrick
Irish
の方が便利であ
S.(1927),An
Dictionary(The
Ireland,Dublin)(ⅹⅹⅹ
デ ィ ニ ー ン の 辞 書 と し て,初 られ て き た も の.本 て,い
Cois
いわ ゆる
特 有 の も の が み ら れ,興 同 時 に そ の こ とは,一
く結 果 と も な っ て い る.も 語 の 辞 書 で は あ る が,古
ち ろ ん,現
を 引 き 当 て る こ と が 困 難 な 場 合 が あ る.し
ま も極 め て 有 益 で あ る.
(Stationery
レ イ ン(T.O'Neill
Office,Dublin)
Lane)や,マ
は な か っ た.本 rap's
辞 典 で は,材
Shorter
French
に 範 を と っ て",多
English
み ら れ る.す
で に25年
の と こ ろ 手 に 入 る,一
者
1976年
Irish
(1966),The Three
Irish
Mac
the
sons
of
Association
n‐Uislenn
of
of
Materialsと
語 に お け るNEDの
America〔
以 下,MLA〕,
the
Goedelic
Languages",
British
Academy
あ る よ う に,ア
Old
and
よ う に,現
W.P.Lehmann(1975), to
and
Comparative
Old Irish(MLA,New
&
H.Pedersen(1937),A Celtic
Con
Grammar(Vanden
Ruprecht,Gottingen;repr.,1961) Inscrip
Insularum
Celticarum
(Stationery
to
irischen
idg.Grundlage absoluten
flexion(Otto O
Absolute
and
33(Dublin)
Meid,W.(1963),Die
イル ラン
und
der
konjunkten
alt
Verbal
Harrassowitz,Wiesbaden)
Cuiv,B.(1944),The
Irish
of
West
Muskerry,
Co.Cork(DIAS,Dublin) ―(ed.)
(1969),A
Language(Stationery
代語か ら
の 橋 渡 し と な る歴 史 的 辞
Pro
37(London)
Office,Dublin)
紀半
直 ち に 求 め る 語 を 引 く こ とが で き な い 憾 み が あ る が, ア イ ル ラ ン ド学 士 院 で は,そ
Lan
Gaelic'The
the
of
tionum
備 期 間 を 合 わ せ る と,
on
The
Uisliu(Modern
York)
Conjunct",Eriu
こ の 辞 典 は,1913年
Mainly
Language
Macalister,R.A.S.(1945),Corpus
Language(Royal
冊 を も っ て 完 了 す る ま で に,1世 題 に,Based
Moyen,
Candles,Dublin)
of
hoek
ド語 の 本 格 的 な 研 究 に は 欠 く こ と の で き な い 辞 書 で あ る . た だ,英
d'Irlandais
Introduction
cise
般 学 習 者 の た め の も っ と も有 用
冊 が 出 て い る が,準
Eng
York)
Dictionary
つ慣用的表現が豊富に
of the Irish
を 要 し て い る.副 Middle
impression,The
Press,London)
Lewis,Henry
余 り前 の 出 版 物 と な っ た が,今
Academy,1913‐76)―
に23分
Croinin(1966),Teach
McCone,K.(1982),"Further
4)Dictionary
に 第1分
An
ず し も実 際 的 で
な 辞 書 で あ る.
Irish
Universities
ceedings
くの 可 能 な 訳 語 の 中 か ら も っ と も 共
通 と 思 わ れ る も の が 選 ば れ,か
D.O
Lehmann,R.P.M.and
者 は 訳 語 に,後
料 の 選 択 と 配 置 を"Har
and
and
Evolution
ッ ケ ナ(L.McKenna)
は 見 出 し語 の 選 択 に 片 寄 りが あ り,必
Irish
Jackson,K.H.(1951),"'Common
「英 語 ‐ア イ ル ラ ン ド語 辞 書 」で は,以 前
の か な り大 部 な も の が あ っ た が,前
(1977),New
Irish(Revised
Exile
用 す れ ば,い
Dictionary
Institute 以 下,DIAS〕,Dublin)
Hull,V.(1949),Longes
New
(ⅹⅰⅰ +864)―
Myles
(The
れ
Bhaldraithe,Tomas(1959),English
of
2Vols.(Champion,Paris)
guage
Irish
Brothers
Greene,David
を一 種 の歴 史 的 辞 書 と して オ ー ドー ニ ィル の 辞 書 と併
3)de
of
Irish
Christian
lish
出し め る語
か し,こ
Handbook
Dottin,G.(1913),Manuel
代 アイ ル ラ ン ド
紀 の ま ま で,求
以
Winter,Heidelberg)
Studies〔
Yourself
や 均 衡 を欠
語 も ま た 少 な く な く,見
語 の 綴 りが し ば し ば12∼13世
Academy〔
Fhairrge,Co.Galway(Dublin
Dillon,
ま著 者
味 あ る 辞 書 と な っ て い る が, 般 辞 書 と し て は,や
Ho
Grammar(Fallons,Dublin)
『大 言 海 』 に 当 た る と
い え よ う. 見 出 し 語 の 選 択 と そ の 説 明 に は,ま
Irish
Advanced
The
版 以 来 も っ と も 広 く用 い
書 は オ ー ドー ニ ィ ル の そ れ に 対 し
わ ば旧 カナ文 語 体 の 大槻
Glossary(Royal
I(Carl
for
Company
+1344)―
the
Bhaldraithe,Tomas(19662),The
Irish
Educational
and
and
Breac:Text,Transla
Bammesberger,A.(1982),A
de
English
Leabhar
下,RIA〕,Dublin)
約 版Gearrfhocloir
ち 運 び に は,こ
Passions
from
tion
出
る.
of
[参 考 文 献] Atkinson,R.(1887),The
イ ル ラ ン ド語 学
ー ジ)が,1981年
で に そ の 事 業 を
進 め て い る.
か な り 多 く 見 出 し語 に 掲 げ
習 者 の 依 拠 し て 然 る べ き 現 行 唯 一 の 辞 書 で あ る.前 図8を
書 の 編 纂 を 継 続 事 業 と し て 決 定 し,す
O
View
Murchu,M.(1985),The (The
Department
of
the
Irish
Office,Dublin) Irish of
Foreign
Language
affairs,Dublin)
O
Siadhail,M.(1980),Learning
Irish(DIAS,
ス 住 民)の
Pokorny,J.(1923),A Old
Historical
Irish(Max
Reader
of
Niemeyer,Halle)
た,古
Workbook
Stokes,J.and
J.Strachan(1903),Thesaurus
Palaeohibernicus.A
collection
of
Glosses,Scolia,Prose,and University
Verse
by
(Cam
the
Tain
O.Bergin,RIA,Dublin;repr.,
1976)
ル ザ ス は,フ
ラ ン ク族 の 長 い 支 配 の
紀 か ら 神 聖 ロ ー マ 帝 国 の 一 部 と な っ た が,
そ の 後,三
十 年 戦 争,普
大 戦 と,戦
争 の た び に 勝 者 に 帰 属 し,国
た.し
from
仏 戦 争,第1次
る い は ドイ ツ と,め
大 戦,第2次
か し,深
籍 は,あ
Isles
in
(Cambridge
University
the
British
く根 づ い た 言 語 文 化 の 伝 統 は 消 滅 す る
こ と な く,ア
ル ザ ス 語 も住 民 の 間 に し ぶ と く生 きつ づ
け て き た.ド
イ ツ 文 学 史 を 繙 け ば,古
von
Press,Cam
Wei〓enburg)を
の1人
bridge)
高 ドイ ツ語 期 の
Grammar
of
Old
Irish(DIAS,Dublin)
of
世3大
叙事詩人
von
Stra〓burg),『
阿 呆 船 』(1494)の
者 ゼ バ ス テ ィ ア ン ・ブ ラ ン ト(S.Brant),16世 風 刺 作 家 ヨ ハ ン ・フ ィ ッ シ ャ ル ト(J.Fischart)等
Wagner,H.(1969),Linguistic Survey
は じ め と し,中
ゴ ッ トフ リー ト ・フ ォ ン ・シ ュ ト ラ ー ス ブ ル ク
(Gottfried
Thurneysen,R.(1946),A
A tlas
Irish
and
Dialects,4Vols.(DIAS,
ア
ルザス語 内部 の言 語的 特徴
Dublin;repr.,1981) [参
照] 島 嶼 ケ ル ト語,ス
語,『 大 辞 典 』 ケ ル ト語 派,大
コ ッ トラ ン ド ・ゲ ー ル 陸 ケ ル ト語 (土 居
ア イ ル ラ ン ド ・ゲ ー ル 語
英Irish
敏 雄)
Gaelic
イ ル ラ ン ド語
ア ルザ ス語 [系
独Elsassisch,仏alsacien,英Alsatian
統]
ア ル ザ ス 語 は,フ
ス 地 方 の 土 着 の 言 語 で,約130万 て こ れ を 話 し て い る.系 北 か ら 南 へ,1)ラ kisch),2)低 3)高
るい
ま ぐ る し く変 わ っ
オ ッ ト フ リ ー ト ・フ ォ ン ・ヴ ァ イ セ ン ブ ル ク(Otfried
Trudgill,P.(1984),Language
=ア
意味
の ち,10世
は フ ラ ン ス,あ
Press,Cambridge)
Strachan,J.(1944),Stories (revised
Old‐Irish
源 的 に は 「他
ラ ンク族 が 居 住 地 を求 め て 侵 入 し定 着 した こ と
を さ し て い る.ア
(RIA,Dublin)
高 ドイ ツ 語
,語
国 に お け る 土 地 の 占 有 」(ali‐ は,「 他 の 」 の 意)を し,フ
Quin,E.G.(1975),Old‐Irish
bridge
逆 成 に よ る 国 名 と も,ま
*ali(‐lanti‐)sazの 縮 約 形 と も 解 され
Dublin)
ラ ンス 北 東 部 アル ザ 人 の住 民 が 母 語 と し
統 的 に は ドイ ツ 語 の 方 言 で,
イ ン フ ラ ン ケ ン方 言(Rheinfran
地 ア レ マ ン方 言(Niederalemannisch),
地 ア レマ ン 方 言(Hochalemannisch)の3つ
方 言 に 区 分 さ れ る.1は の 等語 線
①
の
中 部 ドイ ツ 語 に 属 し,〈
以 北 を 占 め る.2,3は,上
ア レ マ ン 方 言 に 属 し,大 部 分 を2が ン トガ ウ(Sundgau)の
図 〉
部 ドイ ツ 語 の 占 め,3は
南 部のズ
南 東 部 の小 地 域 で話 されて い
る に す ぎ な い.ア ル ザ ス の 原 住 民 は ケ ル ト人 で あ っ た. の ち,ロ
ー マ 人 が 支 配 し た が,3世
ン 人 の 侵 入 が 相 つ ぎ,4世 つ づ い て5世
紀 末 に フ ラ ン ク族 が ア レマ ン族 を破 って
こ の 地 を 統 治 し た .842年 以 降,フ
紀 ご ろか らゲ ル マ
紀 後 半 に ア レマ ン 族 が 侵 入,
の 「ス トラ ス ブ ー ル の 誓 約 」
ラ ン ケ ン方 言 と ア レ マ ン方 言 は,ヴ
(Vosges)山
地 を 境 に,古
れ る こ と に な る が,今 イ ツ 語 の 方 言 は,遠 す る . ち な み に,ア 名Alisatia)は,中
ォー ジ ュ
日,ア
フ ラ ンス 語 と 地 域 的 に 分 か ルザ ス で話 されて い る ド
くこれ ら ゲル マ ン の部 族 語 に淵 源 ル ザ ス の 古 名Alisaz(ラ 世 ラ テ ン 語Alesaciones(ア
テ ン語 ルザ
出 典:マ
ッ ツ ェ ン(R.Matzen)に
よ る(一 部 変 更).
作 紀の 々,
ア ル ザ ス は 実 に 多 く の 詩 人,作 つ て,ア
Tierer(標
家 を 輩 出 し て い る.か
ル ザ ス は ド イ ツ 文 化 の 源 泉 の1つ
で あ った の
で あ る. [言 語 的 特 徴]
ア ル ザ ス 語 の 大 部 分 は,ス
イス ・
同 じ く上 部 ドイ ツ 語
の ア レ マ ン方 言 に 属 し,両
者 には 共通 す る と ころ が 少
な く な い.以
韻 面 で の特 徴
ま ず 第2次
ブ ー ル(Wissembourg,ド
る(い
イ ツ 語 名Wei〓enburg)か ヴ ェル
北 側 を 西 へ走 る
な るk/ch等
音 の前 の
語 線 が ミ ュ ル ー ズ(Mulhous,
ドイ ツ 語 名Muhlhausen)の
わ
ま り,ア ル
ザス 語 は 大 部 分 がとの
圏内にある
母 音 と流 音 の あ と で は,b,gが
半 母 音 化 し て,そ
軟 口 蓋 音 化 し てngと
な る .
junge
Kalwel'dein
dys
Chalbliで
な る こ とが あ る.
な くwuま
た はwoが
ら な る.接
の 口蓋 音 化 を あ
な る 現 象 で あ る.た
家 」,Fues'Fu〓'「
2)形
在 完 了,過
足 」,Brue
態 面 の 特 徴
低 奥 舌 母 音)は,単
終 わ る.た
数2人
な る.動
だ し,不
つ い て は,〈
岸
の 口蓋 音 化 現 象 につ い
[現
況]
1945年
以 降,ア
ル ザ ス は フ ラ ンス に帰
し こ とば で あ る アル ザ ス語
の 文 章 語 で あ る ドイ ツ 語―
語 とは微 妙 な 差 異 を示 す
そ れ は 標 準 ドイ ツ
―に対 し て,き
び し い抑 圧
ち に 緩 和 の 傾 向 が あ ら わ れ た が,そ
の 政 策 に よ っ て,都 市 部 の,と く に 若 い 世 代 の あ い だ で ル ザ ス 語 と ドイ ツ 語 は 著 し く 後 退 し た,こ
標 準 ドイ ツ 語 と 名 詞 の 性 が 異
Elsassische
く に,文
Schickele,1940年 Rene
没)の
関 誌Les
バ イ リ ンガ リズ ム評 論 ―
そ わ れ ら が 未 来 』(第1号1968年,ス
二 言語使用 こ ト ラ ス ブ ー ル)を
ル ザ ス と ロ レー ヌ 地 方 に お け る 二 言 語 使 用
準 ド イ ツ 語'Bet
イ ツ 語'Herzen'),Mul'Maul'「 (標 準 ド イ ツ 語'Maule';y[〓]),Tier「
準 ド
口 」―Myler 動 物 」―
の よう
な 住 民 の ね ば り強 い 運 動 が 徐 々 に 効 を 奏 し て い る よ う に み え る.従
性 名 詞 で あ る.
Cahiers
Bilinguisme―Zweisprachigkeit:Unsere
Zukunft『
を 促 進 す る た め に 市 民 運 動 を展 開 し て い る.こ
部分 は中
ル
名 を 冠 し た サ ー ク ル(Cercle
Schickele‐Kreis)は,機
発 行 し,ア
心 臓 」―Harzer(標
Ditsch)
学 の あ ら ゆ る ジ ャ ン ル に お い て,ア
数 語 尾 ‐erが 新 高 ドイ ツ く,大
地
ザ ス の 二 重 性 を と り あ げ た 作 家 ル ネ ・シ ッケ レ(Rene
詞 は 格 語 尾 を も た ず,主
語 よ り(も ち ろ ん 中 高 ド イ ツ 語 よ り)多
のよ
ル ザ ス の 文 化 を 擁 護 し,超
域 的 な ア ル ザ ス ・ドイ ツ 語(das
du
の論 考 が知 られ て い る.
ベ ッ ド」―Better(標
過
図 〉を 参照
な る こ と は ま れ で は な い.名
ten'),Harz'Herz'「
称 ・ 詞の
規 則 動 詞(単
格 と対 格 は 区 別 さ れ な い.複
例)Bett「
制か
属 す る こ と に な っ た.フ ラ ン ス 語 を 普 及 さ せ る た め,当
る.と
買 う」
ル ケ ー(J.Four
イ エ(E.Beyer)ら
去 完 了 の3時
の 普 及 の た め に力 を尽 くす グル ー プ も あ ら わ れ て い
ラ イ ン右 岸 地 域 で はHusで,右
ニ エ ル(L.Tesniere),フ
quet),ベ
だ し,
兄,弟 」,koife'kaufen'「
と 左 岸 と で 対 立 が み ら れ る.こ て は,テ
ル ザス
音 ほ ど 広 域 に は わ た ら な い.
der'Bruder'「
行詞 が
にか か わ り
3人 称 で ウ ム ラ ウ ト し てhesch,hetと
う な 状 況 を 慨 歎 し て,ア
た と え ば,Husは
た,性,数,格
動 詞han'haben'(aは
は,ア
高 ド イ ツ 語 のu,uo,ouが,ア
例)Hus'Haus'「
Hund,
続 法 現 在 は,一 般 に 消 失 し て 用 い ら れ な い.
の1つ
他 の2母
groosse
用 い られ る.
げ な けれ ば な らな い . これ は アル ザス 語 の 顕著 な特 色
ou>oiは
Kalbchen'
地 ア レマ ン 方 言 と 同 様,先
物 で あ れ,ま
政 策 を と っ た.の
よ り もu音
語 で そ れ ぞ れu,ue,oiと
Hund'
あ る(y[〓]).
関 係 代 名 詞 は,高 人 で あ れ,事
と,そ 分 布 は 新 高 ドイ ツ 語 の そ れ と 同 じ で あ る
で,中
junges
地 ア レ マ ン 方 言 で はdyn
jung
局 は 住 民 の 母 語 で あ り,話
「子 供 」
ま た 母 音 に つ い て は,何
gro〓er
「君 の 幼 い 子 牛 」
行母音が二重母音
例)feif'funf'(英:five);Ching[〓]'Kind'
が,[〓]に
‐sの
さ れ た い,
朝」
ま え で は 鼻 音 が 消 失 し て,先
摩 擦 音chの
dyns
去 分 詞g(e)wan/gsi(n)に
化 す る . 南 部 で はndが
性通 格 で
音 節 動 詞)の 不 定 詞 は ‐nに 終 わ る .sin'sein'の
な る.
例)Morje'Morgen'「
‐er,中
Hund'dein
不 定 詞 は,‐e(n)に
(〈 図 〉 を 参 照).
れ ぞ れw,jに
groos
動 詞 の 時 制 は,現 在,現
南 側 を 走 っ て い る(い
ゆ る'Sundgau‐Bodenseeschranke').つ
性 通格 で
「君 の 大 き な 犬 」
な お,高
経 て,サ
イ ツ 語 名Zabern)の
わ ゆ る'Selz‐Lauterschranke').母
s,fの
例)dyner
ィ ッサ ン
語 線 が 低 地 ア レ マ ン方 言 の 北 限 を 形 成 し て い
kがchに
所 有 代 名 詞 は,男
子音推移がほぼ
デ ル ブ ロ ン(Niederbronn)を
ヌ(Saverne,ド p/pf等
数 通格 お よび 女 性 単 数 通 格
語 尾 を もつ .
下 に,主 要 な 特 徴 を い くつ か 列 挙 し よ う.
完 全 に 行 な わ れ て い る こ と が あ げ られ る.ヴ
ら,ニ
形 容 詞 の 強 変 化 で は,複 の 語 尾 は と も に ‐i.
ドイ ツ 語(Schwyzerdeutsch)と
1)音
準 ド イ ツ 語'Tiere')
来,部
分 的 に しか 認 め られ て い な か った
ドイ ツ 語 教 育 が,1982年
に は,幼
稚 園 か らバ カ ロ レ ア
ま で 全 面 的 に 復 活 し た. も ち ろ ん,そ
こ に は 政 治 的,
経 済 的 事 情 が 大 き く作 用 し て い る で あ ろ う. [辞
書]
ス トラ ス ブ ー ル 大 学 方 言 研 究 所 の マ ッ
ツ ェ ン(R.Matzen)ら
に よ る ア ル ザ ス 方 言 辞 典(Dic
tionnaire
des
parlers
alsaciens)の
あ る が,目
下 の と こ ろ は,19世
Lothringen(Duden‐Beitrage,Heft
編 集 が 進 行 中 で
紀 末 か ら20世
紀 初 め
に か け て 出 版 さ れ た マ ル テ ィ ー ン(E,Martin)と ー ン ハ ル
ト(H
.Lienhart)の
リ
ア ル ザ ス 方 言 辞 典 が,
手 に し う る ほ と ん ど 唯 一 の も の で あ る. 2と3は,シ
ュ ミ ッ ト(Charles
に 基 づ く.2は,初
期 の 新 高
が み ら れ る.1と3に 1)Martin,E.und
Schmidt)の
遺 稿
プ リ ン ト版 が あ る.
der
elsassischen
1974,de York)
2)
Schmidt,Ch.(1901),Historisches
buck
der
elsassischen
Worter Mundarten
graphie
und
Elsa〓(Deutsche
Dialektgeo
42,Elwert,Marburg) B.Martin(1927‐
1956),Deutscher
Sprachatlas(DSA)(Elwert,
Marburg)
SPRACHE.Verglei
chende
Betrachtungen
zum
schen
Kontaktbereich
in
Elsa〓
und'in
deutsch‐franzosi der
Luxemburg", und
Schweiz,im Zeitschrift
Linguistik
44
der Stra〓
照]
[追
Mundart(Trubner,Stra〓burg;Nach
ドイ ツ語
京 頼 三 訳(1987),「
(み す ず 書 房,東
ア ル ザ ス 文化 論 」
京)
[参 考 文 献]
(橋 本 R.Matzen(1969),Atlas
tique
et
Linguis
Ethnographique
de
du
Centre
Dialekts",in
Dialektologie.Ein
am
in Dialekt
Standardsprache
am
der
ニ ア,ト
des
der
源]
マ に 征 服 され,以
た め,ア
Morphology(Manchester
Analyse
Alsacienne
et
後,約500年
Dialekt―
einer Lorraine
Umfrage de
る.以 (So
Diffusion
は ロ ー マ 帝 国,つ
Schriftsprache
後,ア
は オ ス マ ン帝 国 の 北
ル バ ニ ア 語 の 起 源 は,19世
im
Elsa〓
der und
in
紀
Bopp)に
代 の こ とで あ
ル バ ニ ア 語 と古 代 の バ ル カ ン の 諸 言 語, ラ キ ア 語,ダ
キ ア 語,ヴ
ェ ネ ト語 あ
る い は エ トル リ ア 語 と の 関 係 が 論 じ ら れ て き た.し し現 在 で は,種
Besonderheiten
いで約
ル バ ニ ア 語 が イ ン ド ・ ヨ ー ロ ッ パ 語 族 の1
イ リ ュ リア 語,ト et
代の イ リ
の 地 方 は ロー
一 した 民族 国 家 を形 成 しえ な か った
ル バ ニ ア 人,ア
よ っ て,ア
d'Edition[SALDE),Strasbourg) Magenau,D.(1962),Die deutschen
よ ば れ て い る.
つ で あ る こ と が 確 認 さ れ た の は,1850年 elsassische
museumsreif?
ーマ メ リカ
の う ち,15∼16世
は じ め ま で 不 明 で あ っ た . ボ ッ プ(Franz
University
Press)
ciete
リ シア南 部 に
に,こ
1千 年 は ビザ ン ツ 帝 国,約500年
Dialects.Phono
Ladin,W.(1982),Der
人,
ル ガ リ ア,ル
現 在 の ア ル バ ニ ア の 地 は,古
配 下 に あ っ て,統
baden)
and
人,ギ
ク ラ イ ナ に 少 数 の 移 住 者,ア
ュ リ ア 地 方 の 一 部 で,B.C.167年
Elsa〓",ibid.
Sprache,Wies
Keller,R.E.(1961),German logy
ル コ,ウ
和国
和 国 に 約50万
人 の ア ル バ ニ ア 人 が 住 み,ブ
[起
Elsa〓",Muttersprache
deutsche
Gora)共
た ち は,ア ル バ レ シ ュ 人(arberesh)と
Domanenver
Situation
fur
ケ ドニ ア(Makedonija)共
合 衆 国 に 数 万 の 移 住 者 が い る.こ
nichtdeutscher
Hammacher,K.(1975),"Die im
人,マ
紀 に 移住 した イ タ リアお よび ギ リシア の ア ル バ ニ ア人
and
Beispiel
Sprache
ー ゴ ス ラ ヴ ィ ア の コ ソ ヴ ォ(Kosovo)自
イ タ リ ア 南 部 と シ チ リ ア に 約8万
deutschen
内 の 人口 約
人 の ア ル バ ニ ア 人 の 母 語.
と ツ ル ナ ・ゴ ー ラ(Crna
約5万
York)
zwischen
(Gesellschaft
des
Dialektforschung,Halbbd.2
― (1983),"Tendenzen
国 外 で は,ユ
u.a.(eds.), zur
Gruyter,Berlin‐New
deutschen
Ent
Beispiel
W.Besch
Handbuch
allgemeinen
teilung
de
人 を 含 む,約500万
治 州 に 約120万
Fallstudie
elsassischen
(de
national
lexikalischer
wicklungen,Eine
und
270万
scientifique,Paris)
Hartweg,F.(1983),"Typen
郁 雄)
shqipe/shqipe,英Albanian,
ア ル バ ニ ア 人 民 共 和 国 の 公 用 語 で,国
S.Spindler(1985),
(Publications
recherche
gjuha
独Albanisch
Mensch;Bothorel
Witz,A.,Philipp,M.et
la
ア ル バ ニ ア語
L'Alsace(ALA),
Vol.I:L'Homme―Der
Vol.Ⅱ
(Steiner,
記]
F. オ ッ フ ェ,宇
1972,Valentin,Baden‐Baden)
Beyer,E.et
fur
Wiesbaden) [参
3)―(1885),Worterbuch burger
des
Dialektologie
(Trubner,
Stra〓burg)
druck
Geschichte
DIALEKT―STANDARD
Mundarten,2Bde.
(Trubner,Stra〓burg;Nachdruck Gruyter,Berlin/New
Stoeckicht,O.(1942),Sprache,Landschaft
Zimmer,R.(1977),"DIALEKT―NATIONAL‐
H.Lienhart(1899,1907),
Worterbuch
7,Biblio
Institut,Mannheim)
Wrede,F.,Mitzka,W.und
ドイ ツ 語 へ の 特 別 の 顧 慮
は,リ
graphisches
か
々 の 理 由 か ら,ア ル バ ニ ア 語 が 古 代 の イ
リ ュ リ ア 語 か ら発 展 して き た と 考 え る 研 究 者 が 多 い. し た が っ て,ア
ル バ ニ ア 語 は,イ
ン ド ・ヨ ー ロ ッパ 語 族
の 中 で 同 一 の 語 派 に 属 す る 言 語 が な く,ア な ど と 同 じ く,1言
語 で1語
語 で あ る . 「ア ル バ ニ ア 」の 名 称 は,中 中 部 の1氏
ル メ ニ ア語
派 の扱 い を 受 け て い る言 世 の ア ルバ ニ ア
族 の 名 称 に 由 来 し,Arber,Arben人
の 意 味 で あ っ た と 考 え ら れ る.イ
の国
タ リ ア,ギ
リ シア に
[文
法]
1)名
詞
ア ル バ ニ ア語 の名 詞 は,男 性 お よび
女 性 名 詞 に分 類 され る. 一 部 の物 質 名 詞,形 容 詞 お よ び動 詞 の 非人 称形 か ら転用 され た名 詞 は,限
られ た 範
囲 で 中性 名 詞 と して 認 め られ てい る.
移 住 し た ア ル バ レ シ ュ 人 以 外,ア ル バ ニ ア 人 は,民 族 名
名 詞 の 曲用 は,ル ー マ ニ ア語,ブ ル ガ リア語,マ
と し て こ の 名 称 を 用 い ず,shqiptar「
ドニア 語 と同 じ く,名 詞 に後 置 され る定冠 詞 が 名 詞 と
Shqiperia「
ア ル バ ニ ア 人 」,
ア ル バ ニ ア 」,shqip「
ア ルバ ニ ア語 で」
結 合 して 接 尾 辞 化 し,さ
らに,形 容 詞 お よび 名 詞 属格
な ど を 用 い る.こ の 名 称 の 起 源 に つ い て は 定 説 が な く,
に前 置 され る形 容 定 冠 詞(i,e,te,se)も
shqipe,shqiponje「
複 雑 な形 を呈 す る.
shqipの
もつ
鷲,勇
「明 確 に,分
者 」 と関 連 づ け る 説 と, か りや す く」 す な わ ち 「理
与,対,奪
る.
詞 の場 合 には,属
[字 母 と 発 音]
現 代 ア ル バ ニ ア 語 は,基
そ の う ち,有
音,29子
声 の 硬 口 蓋 閉 鎖 音[〓]はgj,有
声 の 硬 口 蓋 歯 茎 摩 擦 音[〓][〓]は 有 声,無
本的 にラ
音 を 表 わ す.
[〓]はnj,歯
茎 顫 動 音[〓]はrr,軟
音[〓]はllの
よ う に,2文
鎖 音[〓]はqに [〓][〓]は
そ れ ぞ れx,cに
は 前 舌 弾 音[〓]で
れ る.補
主格
少 年,若 者 」
(不定 冠 詞 + 名 詞)
(定冠 詞形)
nje djale
djali
対格
(同上)
属格
i/enje
与格
nje djali
djalit
奪格
(同上)
(同上)
の他 の 子 音 に対 応 す るア ル
よ っ て 表記 さ
mark)を
djalin djali
b)vajze「
母 音[〓]はjに
助 記 号(diacritic
a)djale「
茎破擦音の
フ ァ ベ ッ トの 文 字 は,b,p,v,f,g,k,h,d,t, z,s,m,l,nで,半
とる名 詞 と定 冠 詞形 の 名詞 の 単数
声 の 硬 口蓋 閉
よ っ て 表 記 さ れ る.r
あ る.そ
形 が存 在 す る こ とに な る.し か し,定 冠 詞 形 を と る名
口蓋 化 歯 茎 側
字 に よ っ て 表 記 さ れ る.
よ っ て 表 記 さ れ る.歯
i/e djalit
少 女,娘 」
(不 定冠 詞 +名 詞)(定
冠 詞 形)
と るcはc,
2文 字 のdhはd,gjはgの,そ
れ ぞ れ 後 に続 く
主格
nje vajze
vajza
独 立 の ア ル フ ァ ベ ッ ト文 字 と し て 扱 わ れ る.sh,th,
対格
(同 上)
vajzen
xh,zh,nj,ll,rrな
属格
i/enje
舌半
与格
nje vajze
vajzes
舌 円 唇半 狭
奪格
(同 上)
(同 上)
ど も同様 で ある.
ア ル バ ニ ア 語 の 母 音 は,中 狭 母 音 の[〓],後 母 音 の[〓],前
舌 広 母 音 の[〓],中
舌 円 唇 狭 母 音 の[〓],後 舌 狭 母 音 の[i],前
前 舌 円 唇 狭 母 音 の[〓]の7つ
の う ち,文
よ っ て 表 わ さ れ る 音 は,ル
ル ガ リ ア 語 の〓
語 圏 に 共 通 の 現 象 の1つ 部 で は,方
ue,yeの
ル カ ン言
ルバニア語圏内
言,年 代 の 差 に よ る 発 音 上 の 差 異 が 大 き く,
無 強 勢 のeは のhも
で あ る が,ア
発 音 さ れ な い 傾 向 が 強 い . ま た,母
発 音 さ れ な い こ と が 多 い.母 ク ラ ス タ ー(cluster)は
強 弱 ア ク セ ン トで,ア な い が,shtepi「 の 音 節 に くる 語,お
よ び,lule「
ち は 働 い て い た 」 な ど,最 ト を と る 語 が 多 い.
音間
音 +j,ie,ua,
私 は 働 く」 な ど,最 花 」,punonim「
後 か ら2音
名 詞 の 複数 形 は,方 言 に よ って 大 きな差 が あ り,現
ない. 2)冠
詞
不 定冠 詞njeは,名
詞 に前 置 され,
格 変化 を し ない.ア ル バ ニ ア 語 の前 接(enclitic)定
冠
詞 は,名 詞 と結 合 して接 尾 辞化 す る. 単 数 の主 格 形 は, 男 性 ‐i,‐u,女 性 ‐a,‐ja,複 数 の 主 格 形 は ‐t(e)で あ り,名 詞 の格 変 化 と と もに 変化 す る.さ らに,形 容
二 重 母 音 と な る.
ク セ ン トの 位 置 は 一 定 し て い
家 」,punoj「
i/e vajzes
に よ り,い くつ か の異 な る複 数 形 を もつ 名 詞 も少 な く
ーマニ
に 近 い 音 で,バ
vajze
在 は,標 準語 の形 に統 一 され つ つ あ る. しか し,方 言
れ ぞ れ,文
よ っ て 表 記 さ れ る.こ
字eに
ア 語 のa,ブ
舌 半 広 母 音 の[〓],
か ら な り,そ
字a,e,u,o,i,e,yに
・
にお け る格 変 化 を示 せ ば,次 の 通 りで あ る.
口蓋 鼻 音
無 声 の 硬 口蓋 歯 茎 破 擦 音[〓]はc,無
・与 ・奪 格 形 が 一 致 し,他 方,主
対 格 も一 致 す る ので,実 際 に は,直 格 と斜 格 の2つ の
て,不 定 冠 詞njeを
そ れ ぞ れdh,th,
有 声 の 硬 口 蓋 歯 茎 破 擦 音[〓]はxh,硬
の5つ の 格 を もつ が,定 冠 詞 を と らな い名
詞 では,単 数 の主 格,対 格 は異 な る形 を と る. 例 と し
声,無
そ れ ぞ れzh,sh,
声 の 歯 裏 摩 擦 音[〓][〓]は
あ るた め,
名 詞 は,単 数,複 数 の そ れ ぞれ にお い て,主,属,
解 で き る 言 葉 で 」 の 意 味 に 由 来 す る と考 え る 説 とが あ
テ ン 文 字 を 用 い て,標 準 語 の7母
ケ
後 私た
節 目 にア クセ ン
定 冠詞 は,名 詞 属 格形,一
部 の形 容 詞,所 有 代 名 詞,
関 係代 名 詞,順 序 数 詞 に 前 置 され,限 定 され る名 詞 の 性,数,格
に よ り変 化 す る.そ の 際,名 詞 の定 冠 詞 形
につ く場 合 は,不 定 冠 詞 を と る名詞 につ く場 合 と一 部 異 な る形 を とる.例 と して,i/emire「 名 詞 の単 数 形 を示 す.
よい」 を とる
a)djale
kimik「
(不 定 冠 詞 + 名 詞 + 形 容 定 冠 詞 + 形 容 詞) 主格
nje
djale
i mire
対格
nje
djale
te
属格
i/enje
与 ・奪 格
nje
te
mire
te mire
(名 詞 定 冠 詞 形 + 形 容 定 冠 詞 + 形 容 詞) 主格
djali
対格
djalin
属格
i/edjalit
与 ・奪 格
djalit
kimike
数》 男
mire
djali
djali
《複
化 学 の」
性
女
性
te mire
te
te sotem
te
sotme
te
te
medha
medhenj
mira
trima
trime
kimike
kimike
i mire e
mire
4)代
te
te
mire
mire
名詞
代 名 詞 の 種 類 は,他
の よ う な 点 に 特 徴 が あ る.
a)人
普 通,述
称代 名 詞
語 とな る動 詞 の 語 尾 に
よ っ て 人 称 が 示 され る の で,主
b)vajze
ajo,ata,atoは nje
vajze
e
対格
nje
vajze
te
属格
i/enje
与 ・奪 格
nje
mire
の で,近
mire
vaize
vajze
こ と も あ る.主
対格
vajzen
属格
i/evajzes
与 ・奪 格
vajzes
な い),与
格,属
の 人」 が 用 い られ る
格(1・2人
称 の 属格 は 用 い られ
格,対
格,奪
格 の 格 変 化 形 を もつ が,そ
格 と対 格 に は,長
形(完
る 場 合 に は 強 形 も併 用 され,代
se
mire
形)と
に 目的語 が強 調 され 名 詞 の 二 重 使 用 とい う
バ ルカ ン言 語 圏 に共 通 の 現 象 が み られ る. 目的 語 が 名
mire
詞 あ る い は 他 の 代 名 詞 の 場 合 に も,人
称代 名 詞 短 形 に
あ る.
よ っ て く りか え さ れ る の が 普 通 で あ る.前
3)形
ル バ ニ ア語 の形 容
で は 必 ず 強 形 が 用 い ら れ る.
詞 は,限
上 述 の よ う に,ア
定 さ れ る 名 詞 の 性,数,格
形 容 定 冠 詞 を と る が,す と る わ け で は な い.名
に よって 変 化 す る
Koha
べ て の形 容詞 が形 容 定 冠 詞 を 詞 か ら 転 用 さ れ た 形 容 詞,近
形 容 定 冠 詞 を と ら な い.た
Ai
ル バ ニ ア 人,ア elektrik「
労 働 者,勤
勇 士,
勉 な 」,shqiptar「
ル バ ニ ア の 」,obiektiv「
ア
客 観 的 な 」,
に よ って変 化 す る タ
イ プ と,し な い タ イ プ が あ る.変
化 し な い 場 合 で も,形
容 定 冠 詞 を と る 形 容 詞 な ら ば,形
容 定 冠 詞 の形 に よ っ
て 性,数
た,性,数
を 示 す こ と が で き る.ま
応 じ て の み 変 化 す る タ イ プ も 多 い.4つ
の変 化 形 を も
と ん ど が 不 規 則 な 形 容 詞 で あ る.
以 下 の 例 は,定
《単
の 一方 に
冠 詞 形 で ない 名 詞 の 主格 を限 定 す る に よ る 語 尾 変 化 を 示 す.
数》 女
主格
与
une
ti 「君 が 」 ai 「彼 が 」 ajo 「彼 女 が 」
ty
shume
格,対 対
形)
形)
mua
me
me
te
「私 を 」 ty
「君 に 」 atij
i
i
ate
na
e 「彼 を 」
ate
「彼 女 に 」 neve
te 「君 を 」
「彼 に 」 asaj
格
(長 形)(短
「私 に 」 ty
格 の み)
e 「彼 女 を 」
ne
「私 た ち に 」
na 「私 た ち を 」
性 ju
emire
「君 た ち が 」
isotem「 今 日 の 」
esotme
ata
imadh「 大 き い 」
emadhe
「彼 ら が 」
trime
ato
勇敢 な」
格,与
格
mua
「私 が 」
imire「 よ い 」
trim「
meson
「彼 は す べ て を 知 っ て い る」
人 称 代 名 詞 の 格 変 化(主
ne
性
te
私 は友 人 に会 っ た」
gjitha.
「私 た ち が 」 男
e
く の こ と を 私 た ち に 教 え,君
shokun.「
i di te
(長 形)(短
形 容 詞 は 格 変 化 を せ ず,性,数
形 容 詞 の 性,数
ne
時 が,多
pashe
電 気 的 な」 な ど.
つ も の は,ほ
meson
置詞 のあと
に も教 え る 」
代
お よ び 現 代 の 国 際 的 に 共 通 な 新 造 語(neologism)は, と え ば,guximtar「
na
gjera.「
E
勇 敢 な」,punetor「
の 短形
形 は 動 詞 の 直 接 ・間 接 目 的
語 と し て 接 辞 的 に 用 い られ る.特
e mire
全 形,強
形 容 定 冠 詞 の 複 数 形 は,e,teで 容 詞
照 な
称 のai,
「あ れ 」 が 転 用 さ れ た も
こ れ,こ
(弱 形)の 両 形 が 存 在 し,短 e mire
se
調,対
te mire
te mire
(名 詞 定 冠 詞 形 + 形 容 定 冠 詞 + 形 容 詞) vajza
指示代名詞
称 のky,kjo「
う ち,与
主格
格 形 は,強
ど の 特 殊 な 場 合 以 外 は 表 示 され な い .3人
(不 定 冠 詞 + 名 詞 + 形 容 定 冠 詞 + 形 容 詞) 主格
の ヨ ー ロッ パ 諸
語 と ほ ぼ 等 し い が,次
juve
ju
ju
「君 た ち に」 atyre
u
ata
「彼 ら に 」 atyre
u
ju 「君 た ち を 」 i 「彼 ら を 」
ato
i
「彼 女 らが 」
「彼 女 ら に 」
「彼 女 ら を 」
「彼 ら の,彼
女 らの」
「彼 ら の も の, 彼 女 ら の もの」
複 数2人
称 形 は,単
数 の 相手 に対 す る敬 称 とし て も用
い られ る.
法 を 示 す 助 詞teの
重 な る 場 合(ⅰ),動
詞 接続
あ と に 用 い ら れ る 場 合(ⅱ)に
は,
次 の よ うな融 合 形 が 生 じる.
me+i=m'i,i+i=ia,u+i=ua な ど.
t'ju,te+ju+e=t'jua,te+i+i= ど.
で あ る が,特
ル カ ン言 語 圏 に 共 通 の も の
に ル ー マ ニ ア 語 と平 行 す る点 が 多 い.
有 形 容 詞 ・所 有 代 名 詞 詞 に 後 置 され,名
ば,shoku
im「
達 」. し か し,親
詞 は 定 冠 詞 形 を と る.た
私 の 友 人 」,shoqja
ime「
族 名 称 に 限 り,1・2人
とえ
私 の 女友
称 単 数 の 所有
例)im
shoq「
私 の 姉 妹 」,ime
所 有 代 名 詞 形 は,名 ‐t,‐s,‐ve(t)の
mite「
‐i,‐e,‐te,
の 複 数 形,お
よ び3人
の 」,ityre「
単 fjalori
複 im
fjaloret
e mi
yne
fjaloret
tane
yt
fjaloret
e tu
mite
juaj
fjaloret
tuaj
i tij
yni
tanet
yti
te
tute
juajti
a tij
i tiji
tuajt
te
tijte
「彼 の も の 」 i saj
fjaloret
e saj
fjaloret
e tyre
isaji
te
sajte
「彼 女 の も の 」 tyre
ityri
れ」
目 」 が あ り,こ
の う ち,c',cfare,cili,sa,i
sati
は 形 容 詞 と し て 用 い ら れ る.c',cfare,seは
無 変 化,
格,対
sati「 何 番
格 お よび 奪格 を と る前 置 詞 の あ とで 用
い ら れ る .kush,saは
格 に よ る 変 化,i
よ び 格 に よ る 変 化(た 数,格
な に 」,i/e
satiは
だ し主 ・対 格 の み),ciliは
性 お. 性,
に よ る 変 化 を もつ .
以 上 の 疑 問 代 名 詞 の う ち,kush,c',cfare,cili, 行 詞 を と ら な い 非 限 定 関 係 代 名 詞 と し て も用 先 行 詞 を と る 場 合 に は,i
cili,e
cila
属節で動
詞 の 目的 語 の機 能 を もつ 場 合 に は 人 称 代 名 詞 短 形 に よ る 繰 りか え しが 必 要 で あ る . こ れ も,他
の バ ル カ ン諸
vajza,te
cilen
e takuat
dje,「 君 た ち が 昨 日 会
ciles
i fola「 私 が 話 し か
けた 女 性 」 5)数
詞
は,次
ア ル バ ニ ア 語 の 基 本 数 詞 の,1∼10
の 通 り で あ る. nje,dy,tre/tri,kater,pese,gjashte, shtate,tete,nente,dhjete
そ の う ち,3の
み,女
11∼19は,ス
ラブ語 の 影響 で
性 形triの
で 構 成 され,前
置 詞mbi「
古 形 を も っ て い る. 「10の 上1」
と い う形
… の 上 に 」 と 同 根 のmbe
が 用 い ら れ る.
tembedhjete「19」 10の
位 に は,一
njezet
部20進
法 が 保 た れ て い る.
「20」,dyzet「40」
他 の 十 位 の 数 お よ び 百 位 の 数 は,3×10,1×100,
「君 た ち の も の 」 fjaloret
だ れ,ど
れ だ け 」,se「
njembedhjete「11」,trembedhjete「13」,nen
「君 の も の 」
「彼 女 の 」 fjalorii
te
「私 た ち の も の 」
「彼 の 」 fjalori
imi
複
「私 の も の 」
「君 た ち の 」 fjalori
彼女
単
「君 の 」 fjalori
彼 の 」,isaj「
《所 有 代 名 詞 》
「私 た ち の 」 fjalori
君 の」
の よ う に な る.
「私 の 」 fjalori
私 の 」,yt「
女 らの 」 は形 容 定 冠 詞 を と
《所 有 形 容 詞 》
疑 問 代 名 詞 に は,
な に 」,cili「
語 と共 通 の 特 徴 で あ る.
im「 私 の 辞 書 」 に 対 応 す る 各 人 称 の 単 ・複
数 主 格 形 を 示 す と,次
容 詞
だ れ 」,c',cfare「
sa「 い く つ,ど
定 さ れ る 名 詞 の 性,数,
称 のitij「
彼 ら の,彼
る .fjalori
問 ・関 係 代 名 詞,形
った 娘 」,gruaja,se
ら に,im「
名 詞 の3
が 省 略 され た 形 で あ る.
私 の も の 」(単 数),
名 詞 は,限
有 形 容 詞,代
語 頭 母 音a‐
私 の も の 」(複 数)
所 有 形 容 詞,代
た,所
の よ う に 形 容 定 冠 詞 を と る ば か り で な く,従
詞 の定 冠 詞 と同 じ
格 に よ っ て 変 化 す る.さ
人 称 代 名 詞 に転 用 さ
い ら れ る.ciliは
ら に前 置形 容定 冠 詞 を と る場 合 もあ る.
te
の う ち,ai,ajoが
私 の 妻」
語尾 が 所 有 形 容 詞 に結 合 し た形 を と
atille によっ
私 の 夫 」,ime
shoqje「
例)im>imi,ime>imja「
こ の よ う な 」,i/e
示 代 名 詞 の 属 格 のatij,asaj,atyreの
saは,先
vella「 私 の 兄 弟 」,im
moter「
の 」,ai,ajo
人 称 形 は,指
seは,主
所 有 形 容 詞 は,普
形 容 詞 は 前 置 され 得 る.
り,さ
て 変 化 す る.こ
kush「
ⅱ)te+e=ta,te+i=t'i,te+ju=
以 上 の 特 徴 の 多 く は,バ
ketille「
こ れ,こ
「そ の よ う な 」 な ど の 指 示 形 容 詞 も,性,数,格
d)疑
t'iaな
の 」,i/e
ky,kjo「
れ る こ と は 上 述 し た.ま
ⅰ)me+e=ma,te+e=ta,ju+e=jua,
通,名
示 代 名 詞
「あ れ,あ
人 称 代 名 詞 の 弱 形 が2つ
b)所
c)指
te tyret
9×100の
合 成 型 の 数 詞 と な る.
tredhjete,njeqind,nenteqind 1,000以 nje
上 の 単 位 は,合 mije「l,000」,tre
成 型 と な ら な い. mije「3,000」,nje
mil
ion「1,000,000」 各 単 位 は,接 peseqind
続 詞eに
よ っ て 結 ば れ る.
a gjashtembedhjete
mije
a
shtate
qind
e katermbedhjete「516,714」
基 数 詞 は,名
単
詞 化 さ れ た 場 合 を 除 き,数,格
による
変 化 を し な い. 順 序 数 詞 は,i/e
pare「
第1の
」 を 除 き,基
形 容 定 冠 詞 + 基 数 詞 +te/tの i/edyte「
第2の
」,i/e
基 数 詞 と 異 な り,上
本的 に
形 で 合 成 さ れ る. katert「
第4の
数
複
数
1人 称
ha,ve
hame,veme
2人
称
ha,ve
hani,vini
3人 称
ha,ve
hane,vene
以 上 に 示 した 変 化 形 は す べ て 能 動 形 の 動 詞 の も の で
」
あ る が,多
位 の 数 も す べ て 合 成 さ れ て1語
く の 動 詞 は,中
動 ・受 動 態 は,も
と な る.
動 ・受 動 態 の 形 を も つ.中
と の 能 動 形 動 詞 の 意 味 か ら 離 れ て,
多 く の 新 し い 意 味 を も つ 場 合 が あ る.
i/egjashteqindedyzetekatert「644番 6)動
詞
目 の」
ア ル バ ニ ア 語 の 動 詞 は,古
活 用 語 尾 の 一 部 が 消 失 し,他 が 複 雑 に か ら み あ い,バ
方,法,時
称,態
用変
究 者 の 意 見 は 一 致 し て い な い.純
的 に 分 類 す れ ば,次 a)単
母 音/二
の3つ
重 母 音 +jに
終 わ る もの
な 規 則 動 詞 の 部 類 で,punoj「 半 過 去 形,接
続 法 現 在 形,ア
動 ・受 動 動 詞 は,無
fle「 眠 る 」 >flihet「 例)s'me
働 く」 の 直 説 法 現 在 形, の
く,諦
近 づ け る」 >afrohem
人 称 動 詞 と し て3人
称単
数 の 形 の み 用 い る 場 合 も 多 い.
典型 的
オ リ ス トを 示 せ ば,次
与 え ら れ る,行
念 す る 」,afroj「
「近 づ く」 ま た,中
形 式
の タ イ プ に 分 け ら れ る.
与 え る 」 >jepem「
め る,専
の体系
ル カ ン 諸 語 の 中 で は,活
化 が もっ と も複 雑 な タイ プ に 属 す る. 動 詞 の 活 用 タイ プ に つ い て,研
jap「
い語根や
眠 れ る」
flihet mire
ketu.「
私 は こ こ で は よ く眠
れ な い」 動 詞 の 述 語 形 に は,次 の よ う な 法,時 称 が あ る.afroj 「近 づ け る」,afrohem「
近 づ く」 の1人
称単 数 形 の み
を 例 と し て 示 す.
通 りで あ る.
《直 説 法 》 (現
在)
単 数
(半 過 去)
複 数
単 数
現
複数
在 afroj,afrohem
半 過 去 afroja,afrohesha 1人 称 punoj
punojme
punoja
punonim
2人 称 punon
punoni
punoje
punonit
3人 称 punon
punojne
punonte
punonin
単 純 過 去(前 過 去)
大 過 去 kisha
数
複
単 純 未 来 do
数
te
punoj
te
punojme
2人
te
punosh
te
punoni
3人
称 称
te
punoje
te
teafroj,do
(単 純 過 去) 数
punova
punuam
る 助 詞uが
2人 称
punove
punuat
在 す る).未
3人 称
punoi
punuan
音 に 終 わ る もの
る」.な ど で,語
hap「
開 く」,jap「
単
複
jap,flas
japim,flasim
2人 称
jep,flet
jepni,flisni
称
jep,flet
動 ・受 動 態 動 詞 の 語 尾 に対 応 す
詞dua「
の 法,時 望 む,欲
c)母
音 に 終 わ る も の
ha「 食 べ る 」,ve「
動 詞 が 多 い. haとveの
の 通 り.
の未
在 te afroj,te
afrohem afroheshe
afruar,te
jem
afruar,te
afruar
isha
afruar
の 多 くの ヨ ー ロ
ッ パ の 言 語 に お け る 不 定 法 を 接 続 法 が 代 行 す る. 《条 件 法 》 現
直 説 法 現 在 形 は,次
動 詞接
《接 続 法 》
大 過 去 te kisha
置 く」
す る」 に 由
来 形 も他 の バ ル カ ン 諸 語 と 共 通 の 現 象 で あ る.
近 過 去 te kem
の 部 類 に は ア オ リ ス トで 不 規 則 な 形 を と る
称 に も存
よ っ て 示 さ れ る.こ
バ ル カ ン 言 語 圏 に 共 通 の 接 続 法 で,他
な ど で,こ
詞 「い の場合
接 続 法 を 導 入 す る 助 詞te+
半 過 去 te afroja,te
japin'flasin
「持 つ 」
分 詞(こ
の 形 は,他
続 法(現 在 お よ び 近 過 去 形)に
現
数
1人 称
3人
与 え
話 す 」 の 直 説 法 現 在 形 は 次 の 通 り. 数
分 離 す る(こ 来 形 は,動
afruar
詞
動 ・受 動 態 動 詞 は,動
つ け て つ く ら れ る.中
来 す る 助 動 詞do+
幹 の 母 音 が 変 化 す る もの が 多 い .jap
「与 え る」 とflas「
te jem
単 純 過 去 形 に お い て は,‐hem,‐emの
1人 称
b)子
afrohem
る 」 に 由 来 す る 助 動 詞jamに
はafruar)を 複
te
afruar,do
に 由 来 す る 助 動 詞kam,中 punojne
数
afruar
直 説 法 の 能 動 形 に お け る複 合 時 称 形 は,動
る,あ
単
afruar
afruar
afruar,qenshe
完 了 未 来 do te kem 1人 称
afrova
afruar,jam
afruar,isha
先 立 過 去 pata
(接 続 法 現 在) 単
afrova,u
近 過 去(複 合 過 去) kam
在 do
近 過 去 do
te te
afroja, kisha
do
te
afrohesha
afruar,do
te
isha
afruar
E
ema
そ れ ぞ れ 接 続 法 の 半 過 去 お よ び 大 過 去 に 助 動 詞 のdo を 前 置 し た 形 を と る が,こ
れ を 接 続 法 の1つ
《願 望 法 》
njeri
i ditur「
fakti
i ditur「
副 動 詞 は,助
在afrofsha,u
近過去
paca
afrofsha
詞 で は,能
afruar,qofsha
afruar
本 来 の 願 望 法 の 意 味 で 用 い ら れ る ほ か,接 し」,edhe と,仮
ne「
は,前
続 詞ne「
も
た と え … で も」 と と も に 用 い ら れ る
kendofte
bijte
の 心 が 歌 う よ う に な,私 Edhe
ne
pas
ranca,do
e mi!「
murit.「
お前た ち
ん と か壁
afruakesha,u
近過去
paskam
大過去
paskesha
afruakesha
分 詞 で 構 成 され る
pyeste
ik
pa
na
こ の 構 文 は,分
afruar
nis
pa
zbardhur
ー マ ニ ア 語 のsupin ditur
gje!「
そ し て,私
が
zbuluar!「
Shkoi
受 動 態 動 詞 は,能
動 形 +u(hu)の
形 を と る.
非 述 語 形 動 詞 に つ い て は,研 通,ほ
ぼ 次 の3つ
詞
afruar,u
二次 的不定詞 duke
afruar,duke
u
詞
が あ り,joは とも
くの 機 能 を もつ が,
表 現 し,ま
能 動 と受 動 の 両 方 の 意 味 を も ち 得 る が,受
動的意味 で
Nuk
ね に能 動 の
Mos
去
A
在 の 状態 を さす 場 合 が
do me eshte
は1977年
1977,「
に 建 て られ た 建 物 で あ る 」
これ
君 は働 くの を止 め た」
詞以 外 の文 中 の語 を否 定 す る場 合 に 続 法,願
望 法,命
令 法 の 否 定,s'
の 他 の 動 詞 形 の 否 定 に 用 い ら れ る.
te vonohem.「 prit.「
私 は 遅 れ な い だ ろ う」
私 を待 つ な」
larg?Jo,eshte
い で す か?」 「い い え,大 aは,疑
あ る. me
疲 れ る」,mbaroj
直 説 法 の 反 語 的 疑 問 文 に 用 い られ る こ と も あ る.
用 い ら れ る 方 が 多 い . 自 動 詞 の 分 詞 は,つ
godine,ndertuar
奪
中止 す る」 な ど の補 語 として も用
用 い ら れ,mosは,接 お よびnukは,そ
eshte
性 名 詞 と し て 扱 わ れ る)の
疑 問 文 に 対 す る 否 定 の 答 え 「い い え 」 を
mosは
Kjo
atje.
否 定 の 助 詞 に は,jo,s',nuk,mos
た,動
る 場 合 も多 い . 形 容 詞 用 法 に お い て,他 動 詞 の 分 詞 は,
実 を さ す 場 合 と,現
彼 はパ
らは そ こに集 ま っ て い た」
se punuari.「
7)助
afruar
詞 の 意 味 と 文 脈 に よ っ て,過
buke.「
mbledhur
飽 く」,lodhem『
「終 え る」,pushoj「
限 定 され る 名 詞 の 状 態 を 示 す 機 能 か ら 形 容 詞 に 転 化 す
意 味 で 用 い ら れ る.動
te blere
い られ る.
t'u afruar
動 詞kam,jamと
合 時 称 形 を 構 成 す る ほ か,多
の 行 為,事
per
分 詞(中
Pushove
te afruar,per
分詞 をル
対 分 詞 構 文 で あ る.
さ ら に,te+
afruar
per
分 詞 で 「… す る と と も
muzgu,ishin
格 はmerzitem「
究 者 の意 見 は 一 致 し な
の 形 が あ げ ら れ る.
ア ル バ ニ ア 語 の 分 詞 は,助 に,複
dyqan
rene
上 の 例 は,絶 形 の み を もつ . 中動 ・
置 詞per(…
分 詞 の 構 造 を(二 次 的)不
と 同 じ機 能 を も つ 動 名 詞 と 考 え
「夕 暮 が 訪 れ る と,彼
現 在afro,afroni;afrohu,afrohuni
副動 詞
ne
te
《命 令 法 》
分
来 の 不 定 詞 を も た な い 点 で,他
ンを 買 い に店 に行 っ た」 Me
称(単,複)の
彼 は 夜 明 け 前 に(日
す るや 否 や 」 と い う 用 法 も あ り,te+
彼 らが 私 た ち を発 見 し
て い た とは!」
い が,普
dita.「
る べ き か も し れ な い.
な に ひ とつ 知 ら な か っ た と は!」
命 令 法 は,2人
私 た ち に知 ら せ な
味 す る 用 法 で あ る が,me+te+
特 徴 で あ る.
paskeshin
あ る声 が近
定 詞 と よ ぶ 場 合 が 多 い.「 … す る た め に,… に は 」 を 意
に,…
Na
afruar.「
lajmeruar.「
の た め に)+ 前 置 定 冠 詞te+
い 疑 い な ど を 示 す 動 詞 形 で,
s'paskam
u
の バ ル カ ン 諸 語 と 同 じ 特 徴 を 示 す が,前
し手 に と って 思 いが け ない 行 為 や 事 実 に
une
詞 あ るい は 分 詞
詞 に 主 文 と別 の 主 語 が つ い て 絶 対 分
他 のバ ル カ ン諸 語 に もみ られ な い ア ルバ ニア 語 固 有 の
Dhe
「… す る こ と な し
と考 え る こ と も で き る.
duke
ア ル バ ニ ア 語 は,本 afruar
afruar,qenkesha
き,強
動
が 明 る く な ら な い ま ま に)出 発 し た 」
afruar,qenkam
対 す る 話 し 手 の,驚
分 詞 で 構 成 され る が,他
詞 構 文 と な る 場 合 も あ る.
afruakam
半過去
感 嘆 法 は,話
ze
U
afruakam,u
知 る」
い で 行 か な い で くれ 」
《感 嘆 法(驚 嘆 法)》 在
母親
づ き な が ら問 い か け て い た 」 Mos
に よ りか か れ る だ ろ う」
現
詞duke+
と 同 形 の 動 名 詞 の 用 法 の1つ
te mbeshtetem
も し 私 は 倒 れ て も,な
qilim.「
も の 知 りの 人 」
し な い で 」 の 構 文 と 平 行 し,分
の 息 子 た ち よ」
te arrij
mbi
動 形 と 中 動 ・受 動 形 が 区 別 され る. こ の 形
Nje
zemra,o
fjetur
周 知 の 事 実 」 <di「
置 詞pa+
に,…
定 の 意 味 を 示 す.
Ju
bijen
は 娘 が じ ゅ う た ん の 上 で 眠 っ て い る の を 見 る」
の用 法 と
み な し て 独 立 の 法 と認 め な い 考 え も あ る.
現
e shikon
shume
afer.「
遠
変近 い で す」
問 詞 を 含 ま な い 疑 問 文 で,文
頭 に用 い られ
る助 詞 で あ る. 8)前
置詞
本 来 的 前 置 詞 の う ち,ne,meそ
の
他 は対 格 を,prejそ
の他,副 詞,名 詞 に 由 来 す る前 置
詞 は奪 格 を と る.例 外 は,te,tek,ngaな
どで 主格
ne kuzhine.「
Ajo
nuk
doli nga
私 は 台所 にい る」 kuzhina.「
ス ク 方 言 のvaに,ゲ
nが
彼 女 は台 所 か ら
対応 す
ス ク 方 言 のmb,ndに
は,ゲ
グ 方 言 のm,
対 応 す る.
以 上 の 方 言 的 差 異 を 示 す 例 を あ げ る.
出 なか った」 [統語 法]
グ 方 言 のvoが
る. 7)ト
を と り,そ の 際,主 格 は,必 ず定 冠 詞 形 と な る. Jam
6)ト
(ト ス ク 方 言)
人 称 代 名詞 の 二重 使 用,前 接 定 冠 詞,
(ゲ グ 方 言)
ア ル バ ニ ア Shqiperi
Shqipni
動 詞未 来形 の 構 造 動 詞 接 続法 の多 用,そ の他,統 語 法 上
声
ze,zeri(定
の 特殊 性 の多 くを,ア ル バ ニ ア語 は他 のバ ル カ ン諸 語
冠 詞 形)za,zani
木 材
dru,druri(")
dru,druni
と共 有 し,さ らに,語 順 や 文 構 造全 体 で も共 通 す る と
月
hene
han(e)
こ ろが 多 い.こ の よ うな文 法 上 の 共 通性 は,バ ル カ ン
女 性
grua
grue
言 語 学 の 研 究 対象 とな って い る.
punoj の 分 詞
punuar
punue
か ま ど
vater
voter
言 に大 き く分
名 誉
nder
ner
かれ る.両 方 言 の境 界 は,国 の ほ ぼ 中央 を東 か ら西 に
保 つ
mbaj
maj
[方
言]
(gege)方
アル バ ニ ア 語 の方 言 は,北
言 と南 方 の トス ク(toske)方
流 れ る シュ ク ンビ(Shkumbi)川
方のゲ グ
で,そ の南 岸 一 帯 は,
両 方 言 の 移行 ・中間 地 帯 で あ る.そ れ ぞれ の方 言 は, さ らに下 位 方 言 に 区 分 さ れ る が,特 に峻 険 な地形 を も
文 法 上 の 差 異 の う ち,主 要 な も の は 次 の 通 りで あ る. 8)ゲ
つ 北部 では,方 言 間 の差 異 が 著 し く,季 節 的 移 動 や商 業 活動 が早 くか ら発 達 して い た南 部 で は,比 較 的 方 言
グ 方 言 に は,前
置 詞me,me+
(ト ス ク 方 言) dua
te
(ゲ グ 方 言)
punoj
due(du)me(me)punue
間 の 差 異 は少 ない . ユ ー ゴス ラ ヴィ ア 内 の コ ソ ヴ ォ地
(punu)
方,マ ケ ドニ ア北 部 のア ル バ ニ ア 語 は ゲ グ方 言 に属 し, マケ ドニ ア南 部,ギ
リシア,そ して16世 紀 以 降,イ タ
リアへ 移 住 した ア ルバ レ シ ュ人 の ア ル バ ニ ア語 は トス
「私 は 働 き た い 」 9)ゲ
グ 方 言 で は,kam+
ク方 言 に属 す る.現 在 の 標 準語 は,20世 紀 に な って ト
(ト ス ク 方 言) do
te
も,一 種 の コイ ネ と して 民 謡,民 話 で 用 い られ るゲ グ
言 が 用 い られ る場 合 もあ る.し か し,新 聞,ラ
ジオ,
[語 史 ・研 究 史] 1462年
は,い
した. この変 化 は,か な り古 く,10世 紀 頃 ま で に生 じ た と考 え られ てい る.ル ー マ ニア の北 部方 言 に も同 じ 現 象 が み られ るが,そ の つ なが りは 解 明 され てい ない.
語,ト ス ク方 言 に は な い i,e,a,u,yの5鼻
ア ル バ ニ ア 語 の 最 古 の 記 録 は, 古 の 印 刷 され た
の 「時祷 書 」(Meshari)で
あ る.こ
れ
ず れ も 北 の ゲ グ 方 言 に よ っ て 書 か れ た も の で,
ン文 字 に よ っ て 書 か れ て い る.15世
トス ク方 言 で は,母 音 間 の ‐n‐ は,例 外 な く ‐r‐ に転化
音 の長 短
luftue(luftu)
カ ト リ ッ ク 教 の 普 及 活 動 と 結 び つ い て い た た め,ラ
ス ク 方言 に お け る ロタ シズ ム(rhotacism)
グ方 言 に お け る鼻母 音,母
me
の 洗 礼 儀 式 に 関 す る もの で,最
文 献 は,1555年
2)ゲ
kam
「私 は 戦 う だ ろ う 」
速 に進 ん で い る.
1)ト
分 詞)
(ゲ グ 方 言)
luftoj
テ レ ビ,教 育 の 普 及 に よ り,標 準 語 へ の 統合 過 程 は 急
両方 言 の主 要 な差 異 は,次 の よ う な点 で あ る .
不 定 詞(=me+
で 構 成 さ れ る 未 来 形 が 標 準 語 の 形 に 対 応 す る.
ス ク方 言 を も とに 成 立 して い る が,北 部 の ゲ グ 方 言 に
文 語 が 成立 して お り,現 在 で も,文 学 作 品 で は ゲ グ 方
分 詞 で構 成 さ
れ る 不 定 詞 が 存 在 し,ト ス ク 方 言 の 接 続 法 に 対 応 す る.
標準 母音 が
ゲ グ方 言 に はあ り,つ ね に ア ク セ ン トを もち,長 母 音
語 の 歴 史 に つ い て は,イ 関 係 が,地
名,人
紀 前のアルバニア
リ ュ リ ア 語,ト
ラキ ア 語 との
名 を中 心 とす る資 料 に よ って 研 究 対
象 と な っ て い る . そ れ 以 後,俗
ラ テ ン 語,そ
の発展形
態 で あ る バ ル カ ン ・ロ マ ン ス 語 か ら の 借 用 語,ま 古 代 お よ び 中 世 ギ リ シ ア 語 か ら の 借 用 語,南 の 影 響 な ど が,史 15∼16世
テ
た,
スラブ語
的 考 察 の 対 象 と な る.
紀 の ア ル バ ニ ア 語 に つ い て は,ト
ル コ語 と
と して発 音 され る .ま た,母 音 に は長 短 の 区別 が あ る.
近 代 ギ リシア語 か らの 影 響 が 重 要 な 研 究 課題 とな って
3)ト
い る.南
言 のaが 4)ア
ス ク方 言 の ア ク セ ン トを もつeに は,ゲ
グ方
対 応 す る. クセ ン トの ないeの 消 失 は,ゲ グ方 言 にお い
て 一 般的 で あ る. 5)ト
ス ク方 言 のuaに,ゲ
応 す る.同 じ くye,ieに,y,iが
イ タ リア に移 住 した ア ル バ レ シ ュ人 た ち の 最
古 の 文 献 は,1559年
Rada,1814‐1903)が
グ方 言 のue,uが 対 応 す る.
対
の キ リ ス ト教 教 理 問 答 の 書 で,ア
ル バ レ シ ュ 人 の 文 学 者 と し て は デ ・ラ ダ(Jeronim
de
有 名 で あ る.
南 ア ル バ ニ ア で は,18世
紀 に,ア
の 即 興 詩 を ま ね た 詩 人 が 輩 出 し,そ
ラ ビ ア,ペ
ル シア
の 詩 は ア ラ ビア 文
字 で 書 か れ た が,ト
役 割 を 果 た し て い る.19世
紀 に 入 り,民 族 の 独 立 と 統
一 を求 め る運 動 の 発展 と平 行 して 準 語,単
一 の 文 字,正
展 し た.ト
,ア
(Andon
Zako
字 法 を確 立 す る た め の運 動 が 進
Frasheri,1846‐1900),チ Cajupi)ら
大 き い .1908年
ャユ ピ
の モ ナ ス テ ィ ル(Monastir)の
グ 方 言 と トス ク 方 言 の 両 標 準 語 が 平 行 し て 存 在 大 戦 後,ト
ク 方 言 を 基 礎 に 標 準 語 と正 字 法 を 制 定 し た.そ
会 議 で,ア
わ れ て きた . マ イ ア ー(G.Meyer),ヴ
源 研 究 に は,レ
どで
著 作 と し て は,サ
もの が あ げ ら れ る.
言 学 で は,ギ
ほ か,国
ュヴ
ュ テ リ チ(Dh.S.Shuteriqi),
ド ミ(M.Domi),方
イ ナ リ(J.Gji
(1954),Fjalor
i
giuhes
e
shqipe
れ が 唯 一 の権 威 あ るア ルバ ニ ア語 辞 典 出 し 語 は2万7千
れ ほ ど 多 くな い.し
か し,標
語.文
章 の用 例 は そ
準 語 の基 礎 を確 立 す る
役 割 を 果 た し た.
Fjalor
i gjuhesise i gjuhes
se
e RPS dhe
sotme
te Shqiperise,
i letersise
語,現
代 語 の区 別
数 形,定
冠 詞 形 な どの 文法 項
目 は 正 確 で あ る. 4)Drizari,Nelo(1957),Albanian‐English
and
Dictionary(Frederick
Un
York)
つ い 最 近 ま で 簡 単 に 入 手 で き る 唯 一 の 辞 書 で あ っ た.し
か し,な
ん と い っ て も 語 数 が 少 な く,ま
tionary(Printed
グ,ト
(1980),
shqipe(Tirane)
ア ル バ ニ ア の 言 語 学 者 の 総 力 を 結 集 し た 現 代 ア ル バ
た,
点 が 目立 つ . Dic
in Italy) 出 し 語 が2万7千
語あ
ス ク の両 文 語 に も十 分 配 慮 した 編 集 で
益.
6)Buchholz,Oda,Fiedler,Wilfried
and
Uhlish(1977),Worterbuch Verlag
Gerda
Albanisch‐deutsch
Enzyklopadie,Leipzig)
見 出 し 語 は 約3万
語.文
法 的 説 明 が 正 確 で 詳 細.と
く に 動 詞 変 化 表 が つ け ら れ て い る の が 便 利. 7)Kokona,Vedat(1977),Fjalor jisht(Shtepia
e shkencave
準 語,古
点 の 多 い 辞 書.
〓(1950),
(VEB
で あ っ た.見
言,標
University
3)
あ り,有 i gjuhes
(Tirane) 最 近 ま で,こ
Instituti
も な く,欠
り,ゲ
《ア ル バ ニ ア 語 に よ る 解 説 辞 典 》
2)Akademia
語 数 は 多 い が,方
Albanian
(Cambridge
著 者 の 自 費 出 版 ら し い が,見
書]
letersise
例 が豊 富
5)Kici,Gaspar(1976),Albanian‐English ス
あ げ ら れ る.
i shkencavet,Sekcioni
Historical
Dictionary
誤 植 そ の 他 の 誤 り が 多 く,欠
外 の ハ ン プ(E.P.Hamp),デ
ニ ツ カ ヤ(A.V.Desnickaja)が
1)Instituti
で あ る が,用
特 徴.
gar,New
ャベ イ
ス タ ラ リ(A.Kostallari),ジ
ァ ニ(A.Xhuvani),シ
i
っぱ ら トス ク方 言 を 中心 と して い る の も
English‐Albanian
ン ドフ ェ ル ト(K.Sandfeld),最
(E.Cabej),コ
訳 辞 典 と して は 最 良
(MOCKBa)
クメ ジ
ア ル バ ニ ア の 代 表 的 な 言 語 学 者 と し て は,チ
Orientale,
出 し 語 は2万6千
語 数 は 多 くな い が,複
ル カ ン言 語 学 上 の
ゾ ル タ(G.R.Solta)の
nari)の
書
ク ル(N.Jokl),ス
ど が 寄 与 し た.バ
l'Europa
で あ る.も
Press,Cambridge)
法 書,辞
Albanese
per
の も の.見
ルバニ
ン(S.E.Mann),ペ
(G.Pekmezi)な
(Istituto
English
オ ッ テ ィ(A.Leotti),
ラ ン ベ ル ツ(M.Lambertz),ヨ コ ク(P.Skok),マ
り簡 略 化 し た ハ ン デ ィ な
現 在 で は 入 手 困 難 で あ る が,対
ァイ ガ ン ト
ル バ ニ ア 語 の 入 門 書,文
な ど の 編 集,語
(1984),
出 し 語 は 約3万4千.
欧比較
デ ル セ ン(H.Pedersen)な
te Shqiperise,
i letersise
se sotme(Tirane)
2)Mann,S.E.(1948),A
ア 語 の 研 究 は 主 と して ドイ ツ 語 圏 の 学 者 に よ っ て 行 な
あ る . そ の 後,ア
i shqipes
Italiano
れ に 基 づ く正 字 法 も,
ル カ ン地 域 研 究 な ど の 関 心 か ら,ア
(G.Weigand),ペ
e RPS dhe
Rome)
代 に 確 定 さ れ て い る.
言 語 学,バ
段 階 にお け る最 良 の
1)Leotti,Angelo(1937),Dizionario
の 後,
紀 の は じ め に か け て は,印
法項
《対 訳 辞 典― 年 代 順 》
ル バ ニ ア の標 準 語 を受 け入 れ る こ とを決 定
19世 紀 か ら20世
e shkencave i gjuhesise
辞 典.見
の プ リ シ ュ テ ィ ナ(Prishtine)の
し,単 一 の 標 準 語 が 成 立 し た.そ
[辞
Fjalor
ス
ゲ グ標 準 語 を用 い て い た ユ ー ゴス ラ ヴィ ア 内 の アル バ ニ ア 人 も,1968年
例 も 豊 富 で,現
2の 説 明 お よ び 用 例 を,よ
会議で 大戦まで
し て い た . ア ル バ ニ ア の 政 府 は,第2次
近では
3)Akademia Instituti
の 文 学 者 の 果 た した 役 割 は
ア ル フ ァ ベ ッ トの 統 一 は 実 現 し た が,第2次
1970年
目 も詳 し く,用
出 し語 は 約4万1千.文
辞 典 で あ る.
ル バ ニ ア語 の標
ス ク 方 言 を 基 礎 と す る 標 準 語 の 成 立 に は,
フ ラ シ ャ リ(Naim
は,ゲ
ニ ア 標 準 語 の 辞 典.見
ス ク方 言 の コ イ ネ 成 立 上 に大 き な
botuese《8
見 出 し 語,約2万5千 8)Duro,Ilo
shqip‐freng
and
Nentori》,Tirane)
の 辞 典. Ramazan
Hysa(1981),Fjalor
Shqipanglisht(Albanian‐English (Shtepia
botuese《8
Nentori》,Tirane)
Dictionary)
ア ル バ ニ ア で 出 版
さ れ た 辞 書 で,見
名 詞 の 定 冠 詞 形,複
数 形 な ど,文
く,ま
た,正
確 .5よ
A.B.(1968),
出 し 語 約2万, 法 に つ い て も詳 し
り 語 数 は 少 な い が,信
頼 度 は
(1982),
よ り高 い と い え る . 9)直
野 敦 編(1986),『
(大 学 書 林,東
ア ル バ ニ ア 語 基 礎1,500語
[追
京)
見 出 し 語,約1,800の 法 要 項 が 付
小 辞 典 . 簡 単 な ア ル バ ニ ア 文
a shkencave
Instituti
i
e
gjuhesise
RPS
dhe
drejtshkrimor
i
te
Shqiperise
letersise
nische
,
Leipzig)
(1976)
A
は,参
Wilfried
学 書 林,東
Fiedler(1986)
Grammatik(VEB
Verlag
,Alba
ギ リ シ ア,ア ニ ア),ブ
一 の 語 源 辞 典 で あ っ た.現
,
敦)
ル ー マ ニ ア aromana,
英 Macedo‐rumanian
Sprache(Strassburg;
考 文 献Cabej,Huldな
京)
Enzyklopadie
(直 野
Worter
lbanesischen
い 間,唯
ル バ ニ ア 語 入 門(大 und
ア ・ル ー マ ニ ア 語
reprint,Leipzig,1982) 古 い が,長
考 文 献)
i gjuhes shqipe(Tirane)
11)Meyer,Gustav(1891),Etymologisches der
記](参
敦(1989),ア
,
現 代 ア ル バ ニ ア 語 の 理 解 に 必 要 な 正 書 法 辞 典.
buck
直野
Buchholz,Oda
さ れ て い る.
10)Akademia
Fjalori
』
在 で
ど の よ り新 し い 研 究
が あ る.
ニ ア 語 の1種
ー ゴ ス ラ ビ ア(現
マケ ド
. マ ケ ド・ル ‐ マ ニ ア 語 と も い う. ル ー マ
ニ ア で 話 さ れ て い る,い は,ダ
[参 考 文 献]
ル バ ニ ア,ユ
ル ガ リアの 所 ど こ ろ で話 され て い るル ー マ
わ ゆ る ル ー マ ニ ア 語(正
コ ・ル ー マ ニ ア 語)と
確に
姉 妹 関 係 に あ る.9∼10
世 紀 に,ド ナ ウ 川 近 く の ル ー マ ニ ア 人 の 移 住 に 伴 い,ダ
Bevington,Gary
Loyd(1974)
nology(Otto
,Albanian
コ ・ル ー マ ニ ア 語 か ら 分 か れ た と い う 説 が あ る が,ダ
Pho
Harrassowitz,Wiesbaden)
コ ・ル ー マ ニ ア 語 と 共 通 の 祖 語 で あ る 共 通 ル ー マ ニ ア
Camaj,Martin(1969),Lehrbuch Sprache(Otto
der
albanischen
語 か ら発 展 し た 姉 妹 言 語 と み る 方 が 確 か で あ ろ う . 古
Harrassowitz,Wiesbaden)
―(1984),Albanian
い 形 を 残 し て い る の で,ダ
Grammar
(Otto
Harrassowitz,Wiesbaden)
人,ユ
Cabej,Eqrem(1986),Studime
‐Ⅱ
Dhrimo,A.,Angoni,E.,Hysa,E.,Lafe,E
.,
Likaj,E.,Agalliu,F.and Gramatika
a
Sh.Demiraj(1985) gjuhes
se
(morfologjia)(Enti mesimore
mente
ル バ ニ ア1万5千 einer
sotme
i teksteve
i Krahines
,
letrare dhe
socialiste
shqipe
い る が,そ
リ シ ア 内15万
人,ブ
ル ガ リ ア3万5
人(H.Haarmann,Ele
Soziologie
Europas,Band
(Rilindja,Prishtine)
者 数 は,ギ
ー ゴ ス ラ ビ ア 内5万5千
千 人,ア
gjuhesore.Stu
dime etimologjike ne fushe te shqupes Ⅰ
コ ・ル ー マ ニ ア 語 の 歴 史 的
研 究 に と っ て 貴 重 で あ る.話
der
Kleinen
Sprachen
1,Hamburg,1981)と
み られ て
れ ぞ れ 別 の 公 用 語 を使 用 して い る 国 の少 数
民 族 で あ る の で,減
少 の 傾 向 に あ る.
[音 韻 体 系] 1)母
i mjeteve
autonome
te
音
ダ コ ・ル ー マ ニ ア 語 と 同 じ く,7つ
母 音 か ら な っ て い る.体
の
系 は,
Kosoves,Prishtine) Huld,Martin
E.(1984),Basic
mologies(Slavica
Albanian
Publishers,Los
Ety
Angeles)
Lambertz,Maximilian(1959),Lehrgang
nischen Halle
der
Sprache(VEB
Max
i は,ア
Alba
Niemeyer
Verlag
,
Newmark,Leonard,Hubbard
,Philip
Prifti(1982),Standard for
Albanian
.A
students(Stanford
and
Peter
Reference University
shkollor (Tirane,1978)
A.Toma, I,Shtepia
(Tirane,1975);Gjuha
ダ コ ・ル ー マ ニ ア 語 に な い 音 と し て,
/〓/[〓]に
対 す る有 声 音/〓/[〓]が
/〓//〓/の
摩 擦 音/〓//〓//〓/が,ギ
あ る.ま
botuese
e shqipe
た,/〓/
リ シア語 の 影
コ ・ル ー マ ニ ア 語 よ り 古 い 形 が 多 い が,中
Radovicka,L.,Karapici,Z,and shqipe
音
響 を 受 け て い る 方 言 で 使 わ れ て い る.音
Press,Stanford,California)
Gjuha
ル バ ニ ア に 住 む フ ァ ル シ ェ ロ ッ ト(farserot)
と よば れ る人 々 の言 語 に は現 わ れ ない . 2)子
(Saale))
Grammar
と い う 三 角 形 で 表 わ す こ とが で き る.中 舌 母 音 の う ち,
des
Albanischen Ⅲ―Grammatik
韻 面 で は,ダ に は 新 しい
変 化 に よ っ て 生 じ た も の も あ る . ダ コ ・ル ー マ ニ ア 語 (略dr.)と
librit 2
の 比 較 と い う 形 で,い
す. a)唇
音 の 後 のeの
保 存.
くつ か の 例 を 下 に 示
dr.par「 b)語
梨 」,mar「
末 のu,iの
リ ン ゴ 」/per,mer
主 ・対 格 dr.cap「
頭 」,vad「
い 」(男
見 る 」(1単3複),alb「
iの
単),albi「
白 い 」(男
dr.iepure「
複)/capu,vedu,
属 ・与 格
保 存(dr.で
3)代
兎 」/l'epuru<lat.leporem
よ び 二,三
の 子 音 の 前 のaの
‐l'ei
‐lor
兄 弟 」(複 数)/fratil'i
・ル ー マ ニ ア 語 で は 使 用 さ れ る.
使 用 さ れ,尊
い う3人
4)動
ひ げ 」(単,複)/barbi,
barghi<lat.barba(複
コ ・ル ー マ
は 発 音 さ れ な い.
コ ・ル ー マ ニ ア 語 と比 べ,古 方,新
い形
し く変 化 し た と 考 え ら れ る
も の も あ る.
数 は 男 性 形 に な っ た)
くつ か が ダ コ
詞 で は,ダ
を 残 し て い る が,一
狼 」(複)/luk'<lat.lupi
dr.barba,barbi「
た,elu,ea,
称 の 人 称 代 名 詞 は,ダ
ニ ア 語 の よ う に,eが[je]と
胸 」/k'eptu<lat.pectus
当
称語 と して で な く
称 語 に 当 た る も の が な い.ま
el',ealeと
擦 音 の い
私 は 歌 う」/minecintu
た るnisu,nisa,nisi,niseが,尊
賞 め る 」(inf.)/alavdu<lat.lau
音 の 口 蓋 化.
dr.lupi「
称 代 名 詞 の 強 形mine,tineが,
ダ コ ・ル ー マ ニ ア 語 の 尊 称 代 名 詞dinsul,dinsaに
川 」/ariu<lat.rivus
dr.piept「
家 」(属 格)/casel'ei
dr.eucint「
出 現.
dare
・ル ー マ ニ ア 語
と異 な
る.
a)複
合 過 去 の 助 動 詞aaveaの
じ形 を と り,ま
た,過
活 用 が 本 動 詞 と同
去 分 詞 がaを
伴 って 開 音 節 と
な る. dr.am,ai,a,am,ati,au+cintat「
dr.[〓]/[] 例)dr.cer「
た だ し,io,iuの
au+cintata
夕 食 」/tina
dr.ginere「
む
b)大
こ 」/dinire
歌 う 」(大
過 去)/
aveamu,aveai,avea,aveamu,aveati,
dr.zic「
言 う 」(1単)/dicu<lat.dicere
dr.zeama「 dr.joc「
avea+cintata
汁 」/dama<gr.zema
c)半
遊 び 」/gocu<lat.jocum
dr.june「
詞,形
合 形 で あ る.
cintaserati,cintasera「
男 の 子 」/ficoru<lat.fetiorus
dr.[〓]/[〓]
態]
過 去 は,複
dr.cintasem,cintasesi,cintase,cintaseram,
前 で は[〓].
dr.fecior「
歌 う」
(複 合 過 去)/amu,ai,are,avemu,aveti,
空 」/teru
dr.cina,「
若 者 」/gone<lat.juvenis
[語
詞 は,性,数,格
等,ダ
家 」(女
コ ・
単,複)/casi,casi
dr.sora,surori「
姉 妹 」(女 単,複)/sori,surari 男 の 子 」(男
単,複)/ficoru,
ficiori
彙]
水 」/apa
dr.cap「
頭 」/capu
dr.gura「
口 」/guri
dr.mina「
手 」/mini
単,複)/lupu,luki
dr.munte「
dr.sac,saci「
袋 」(男
単,複)/saku,sati
dr.vatam「
場 所 」(中 単,複)/loku,lokuri
dr.alb「
し る し 」(中 単,複)/semn,
・
れぞれの
山 」/munti 傷 つ け る 」(1単)/vatamu 白 い 」/albu「
ま た,dr.brinza「
seamni
冠 詞 は,ダ
ダ コ ・ル ー マ ニ ア 語 と 共 通 の も の,ア
dr.apa「
狼 」(男
dr.semn,semne「
称 単,複)
ル ー マ ニ ア 語 だ け に保 存 され て い る も の,そ
dr.lup,lupi「
dr.loc,locuri「
形 で あ る.
歌 う」(半 過 去3人
言 語 で 別 の 意 味 を 表 わ す も の が あ る.
dr.casa,case「
dr.fecior,feciori「
称 単 複 が,同
/cinta
次 の よ う な 特 徴 が あ る. 容 詞,冠
過 去 の3人
dr.cfnta,cintau「
ル ー マ ニ ア 語 と 同 じ よ う な 構 造 で あ る .
2)定
‐lor
‐lui
名 詞 で は,人
対 し,ア
悪 い 」/arau<lat.reus
dr.lauda「
1)名
‐a ‐le
ダ コ ・ル ー マ ニ ア 語 で は 主 格 と し て 使 用 さ れ な い の に
疥 癬 」/arin'e<lat.aranea
dr.rau「
[形
‐l'i
dr.fratii「
は 消 失 し て
亜 麻 」/l'inu<lat.linum
dr.riie「
f)破
‐lu
dr.casei「
dr.riu「
複数
た と え ば, 前 のi',n'の
dr.in「
e)唇
単 数
(ま た はle)
み).
d)r,お
複 数
白
albu,alghi c)e,iの
単 数
保 存 .
白 い 」,ま
「殺 す 」
た,「 幸 福 な 」
チ ー ズ 」 の よ う に,ア
ルバニア語
と共 通 の 単 語 が ア ・ル ー マ ニ ア 語 に も み ら れ,dr.baba コ ・ル ー マ ニ ア 語 と同 じ く後 置 し,
構 造 も 同 じ で あ る.
「老 婆 」,nevasta「
女 房 」 の よ う に,ス
ラブの古い単
語 も 両 ル ー マ ニ ア 語 に 入 っ て い る. (男
性)
(女
性)
[文
献]
テ キ ス トは,18世
紀 初 頭 に初 め て現 わ
れ た.ギ
リ シ ア 文 字 で 書 か れ た も の と,ラ
書 か れ た も の が あ る.18世
テ ン文 字 で
紀 の 末 に 出 た カ バ リオ テ ィ
(Th.Cavallioti)の"Protopiria"や,モ
ス コ ポ レア
ー ヌ(D.Moscopoleanul)の"Invatatura ducatoare"は,テ
キ ス トそ の も の よ り,巻
表 に 価 値 が あ る . 前 者 は,ア ア 語,ア
Intro
ル バ ニ ア 語,後
末の語彙
・ル ー マ ニ ア 語,ギ
者 は,そ
の3言
語 の ほ か,ブ
ル ガ リ ア 語 も対 照 さ れ て 示 され て い る.1850年 1940年
リシ
頃か ら
に か け て 文 学 作 品 な ど も 現 わ れ た が,大
な い.ま
た,一
部 の 人 は,ダ
方 言 で あ る フ ラ ン シ ア ン 方 言(francien)を う と い う 意 図 が 顕 著 だ っ た の で,こ ぶ の は,こ
の 時 期 ま で に 関 し て は 適 当 で は な く,あ
ま で も,大
陸 の,ノ
フ ラ ン ス 語(オ
ル マ ン 方 言(お
コ ・ル ー マ ニ ア 語 で 書 い
1)俗
書]
aroman
dialec
general si
etimologic(Bucu
ラ テ ン 語 の ア ク セ ン ト の あ る 音 節 末 の[〓],
[〓]は,フ
Th.(1932),
Aromanii.
Dialectul
M.(1968),
Fono‐morfolo
aro
(Bucuresti)
な る が,ア
ング
ら に 単 母 音 化 し て[e]
照]
ル ー マ ニ ア語
Marioteanu,Matilda(1997),Dictionar Aro
に 出 版 さ れ た の は,A‐Dの
記 述 が あ り,ア
史,地
項である
理 的 分布 等 の
・ル ー マ ニ ア 語 に つ い て の す べ て と
い っ て も過 言 で は な い .
[〓]>veeir
[〓]>veoir[〓]「
見 る 」(ア
ル マ ン 方 言 で は,vedeirの
段 階 の ま ま)
3)俗
ラ テ ン語 の 母 音 間 の[〓]は,フ
言 で は,摩
和 子)
ン グ ロ ・ノ
ラ ン シ ア ン方
擦 音 化 し て[〓 ] と な っ た 後 に 脱 落 し た
が,2のvedeirの
例 を み て も分 か る よ う に,ア の 子音 が保 持 され
る 傾 向 に あ っ た. 4)古
ア ン グ ロ ・ノ ル マ ン 語 仏 anglo‐normand ア ン グ ロ ・フ ラ ン ス 語(Anglo‐French)と
も い う.
ル マ ンデ ィー地 方 で 話 さ
フ ラ ン ス 語 の 名 詞 が も つ 特 徴 で あ る,主
(cas‐sujet)と 別 は,ア
非 主 格(cas‐regime)の
格
形 態論的区
ン グ ロ ・ノ ル マ ン 方 言 で も,お
おむね保
れ て い た ノ ル マ ン デ ィ ー 方 言(normand)が,1066年
た れ て い た が,同
の ノ ル マ ン デ ィ ー 公 ウ ィ リア ム の イ ギ リ ス 征 服 に よ っ
す る と,両
者 が 混 同 さ れ る 傾 向 が 強 か っ た.こ
て,イ
こ と は,格
の 形 態 論 的 区 別 が,ア
ギ リス の 支 配 階 級 の 言 語 と な り,イ
用 さ れ る よ う に な っ た 結 果,フ
ア ン グ ロ ・ノ ル マ ン語 は,イ 学 な ど で 使 用 さ れ,『 Roland),ト (Tristan de
et Iseut),マ
France)の
紀 頃 ま で は,
ギ リ ス の 宮 廷,法
ロ ラ ン の 歌 』(La
マ(Thomas)の
ギ リス で使
ラ ンス 本土 の 諸 方 言 と
は 異 な る 独 自 の 発 達 を と げ た 言 語.13世
廷,大
Chanson
de
リ ー ・ ド ・ フ ラ ン ス(Marie ど の す ぐれ た 文 学 作 品
の 言 語 で も あ っ た.
ン 方 言 と そ れ ほ ど大 き な 差 異 は な く,し 語 の 話 者 た ち は,パ
陸 の ノル マ か も,こ
の言
リ を 中 心 とす る 地 域 の フ ラ ン ス 語
の
ン グ ロ ・ノ ル マ
で に 消 滅 しつ つ あ った こ と
を 示 唆 して い る. 紀 に な る と,フ
る こ と,お
よ び,そ
た 英 語 が,支
ラ ン ス 本 土 と地 理 的 に 離 れ て い
れ ま で もっ ぱ ら民 衆 の言 語 で あ っ
配 階 級 の 間 で も,ふ
た た び使 用 され る よ
う に な っ て き た こ と が 原 因 で,ア
ン グ ロ ・ノ ル マ ン 方
言 は,フ
ラ ン ス 本 土 の 諸 方 言 と異 な っ た 特 徴 を 示 す よ
う に な る.そ
こ の 時 期 の ア ング ロ ・ノ ル マ ン 語 は,大
時 期 の フ ラ ン シア ン方 言 と比 較
ン 方 言 に お い て は,す
13世
『ト リ ス タ ン と イ ズ ー 』
物 語 詩(lais)な
な
ング ロ・
ま ま に と ど ま っ た.
ン グ ロ ・ ノ ル マ ン 方 言 で は,こ (倍 賞
古 フ ラ ン ス 語 の 方 言 で,ノ
重 母 音 化 し て[〓]と
と 変 化 す る が,ア
ノ ル マ ン 方 言 で は,[〓]の
ー マ ニ ア 言 語 学 者 で あ り,
・ル ー マ ニ ア 語 の 特 徴,歴
ら に[〓]へ
vedere[〓]>vedeir
Enciclopedica,Bu
ア ・ル ー マ ニ ア 人 で あ る 著 者 に よ る こ の 辞 書 が 出 版 さ れ た.1997年
ラ テ ン 語 の ア ク セ ン トの あ る 音 節 末 の[〓]は,
っ た あ と,さ
に,ル
段 階 の ま ま)
フ ラ ン シ ア ン 方 言 で は,二
man(Macedo‐Vlah)(Editura curesti)―1997年
騎 士 」(フ ラ ン シ
ア ン 方 言 は,chevalierの
記] (参 考 文 献)
が,ア
重 母 音 化 し て[〓]と
caballariu(m)[〓]>chevalier[〓
2)俗
Aromana
Caragiu
ら変 化 した
ラ ン シア ン方言 を 代 表 とす る 古 フ ラ ン
]>chevaler[〓]「
Caragiu‐Marioteanu,
[参
フ ラ ンス語 の初 期 に お いて 俗 ラ テ ン
と な っ た.
man(Bucuresti)
[追
特 徴 とし
の よ うな点 が あ げ られ る.
ロ ・ノ ル マ ン 方 言 で は,さ
[参 考 文 献]
gie
で
紀 ま で の ア ン グ ロ ・ノ
よ び ノ ル マ ン デ ィ ー 方 言)の
ス 語 で は,二
resti)
Capidan,
方 言 の1つ
語 の ア ク セ ン トの あ る 音 節 末 の[〓]か
Papahagi,T.(1909,1962),Dictionarul tului
イ ル 語)の
あ る と見 な し た 方 が よ い.13世
て は,次
く
カ ル デ ィー
ャ ンパ ー ニ ュ 方 言(champenois)な
ど と並 ぶ,古
あ る い は,古
[辞
ル マ ン デ ィ ー 方 言,ピ
方 言(picard),シ
作は
た.
模倣 し よ
れ を 「言 語 」 と よ
れ ま で も,ノ
お い て は,[〓]の し て,[〓
〕[〓]に
ル マ ンデ ィー 方 言 の 一 部 に
前 の 軟 口蓋 閉 鎖 音[〓][〓]が,口 な らず,閉
蓋化
鎖音のま まにとどまる と
い う 特 徴 が あ っ た の に 対 し て,ア
ン グ ロ ・ノ ル マ ン 方
言 で は,フ ラ ン シア ン方 言 と同 様 に 口蓋 化 す る とい う
で,そ
点 で,ノ ル マ ンデ ィ ー方 言 とア ング ロ ・ノル マ ン方 言
ロ ・ノ ル マ ン 語 を 第1言
れ ぞ れ 約1万
人,サ
ー ク 島 で550人
は異 な って い た の で あ るが,こ の 時 期 に は,さ ら に,
以 外 に も,数
万 人 が 第2言
次 の よ うな特 徴 が ア ング ロ ・ノル マ ン方 言 にみ られ る
島 ご と に,そ
れ ぞ れ,ジ
よ う にな っ て い た.
sey
1)語
末 の[〓]は,フ
ラ ン シア ン方 言 で は,17世
の後 半 にな って脱 落 す るが,ア
紀
ング ロ ・ノ ル マ ン
方 言 で は,す で に,こ の頃 に は脱 落 して い た. sire[〓]>sir[〓]「 2)俗
す るガ ロ ・ロマ ンス 語 にお い て は,一 般 に,[y] に変化 し たが,こ の 音 声 は,英 語 の話 者 が 一 般 に 習 得 す る とこ ろ とは な らず,[u]と
発 音 され る よ
う にな った.こ の こ とは,ア ング ロ ・ノ ル マ ン方
とい う綴 りを与 え られ て い る こ とか ら も実 証 さ れ
前 か ら消滅 しつ つ あ っ た名 詞 の2格 体 系 は,
フ ラ ン シア ン方 言 よ りも早 く消 滅 した. 4)動
French)な
き,dire「 言 う」の 代 わ りに,よ り規 則 的 なdiser が 使 用 され る な どの 例 が み られ た.
百 年 に わ た る 英 語 と の 接 触 で,chance「 力 」,pay「
な 」,very「
機
支 払 う」,strange「
非 常 に 」 な ど,お
奇妙
び た だ しい数 の語 彙 を
ア ン グ ロ ・ノ ル マ ン語 が 英 語 に 与 え た こ と は よ く知 ら れ て お り,英
語 の 語 彙 の 半 数 近 く は,ア
ング ロ ・ノル
マ ン語 起 源 で あ る. [辞
書]
Maistre,F.(1966),Dictionnaire francais(Don
jersiais
Balleine,Jersey) C.W.(1960),
A
glossary
of Jersey
French(Blackwell,Oxford)
Elcock,W.D.(1975),The (Faber
and
Romance
大 陸 の フ ラ ンス語 とは異 な っ た,こ の よ うな 変 化 を
Du
示 した ア ング ロ ・ノ ル マ ン方言 は,大 陸 の フ ラ ンス 語
Press
の 話 者 に とって,理 解不 可 能 とい う状 態 で はな か った
don)
自の 変化 の 方 向 が 出て き てい る とい う
点 で,独 立 した 「ア ング ロ ・ノル マ ン語 」 とい う言 語 と して の地 位 を獲 得 しは じめ た と言 っ て もよ い.し か
latin
a
of
de
l'ancien
R.Posner
1340年 に は,オ ッ クス フ ォー ド大 学 で,学 生 は会 話 に
Romance
langue:
francais(University York/Lon
parler
bas‐normand
de
Guernsey(Klincksieck,Paris)
Viatte,A.(1982),"French
し,14世 紀 以 後 は,こ の 言 語 の使 用 は さ らに衰 退 し,
la
America,Lanham/New
Sjorgen,A.(1964),Le l'ile de
languages
Faber,London)
Machonis,P.A.(1990),Histoire
and
outside
(Mouton,The
な い とい う布 告 が 出 され るほ ど に ま で な った.こ
の
[参
後,百 年戦 争(1339∼1453)の
に
France",in
J.N.Green(eds.),Trends.in
Linguistics
お いて は フ ラ ンス 語 か ラ テ ン語 を使 用 しな け れ ば な ら
時 代 とな り,1399年
ど
[参 考 文 献]
詞形 態 に お い て,類 推 の 作 用 が 強 くは た ら
で あ ろ うが,独
語 と し て 使 用 し て い る. ャ ー ジ ー 島 フ ラ ン ス 語(Jer
ー ク 島 フ ラ ン ス 語(Sark
Spence,Nicol
る. 3)以
れ
と よ ば れ る,
Le
固 い 」 がdour
ング
ー ン ジ ー 島 フ ラ ン ス 語(Guernsey
会 」,power「
ル マ ンデ ィー 方 言 の属
言 の文 献 に お いて,dur[〓]「
French),サ
ま た,数
領主」
ラテ ン語 の[〓]は,ノ
French),ガ
が,ア
語 と し て 使 用 し て お り,そ
and
Philology,Vol.3
Hague/Paris/New
照]
York)
フ ラ ン ス語 (町 田
健)
は,ウ ィ リア ム の イギ リス 征 服 以 来 初 め て の,英 語 を 母 語 とす る王 で あ るヘ ン リー4世 が 即 位 して,宮 廷 で
い
も,ア ング ロ ・ノル マ ン語 は使 用 され な くな っ た.こ う して,大 陸 とは離 れ た イ ギ リス とい う場所 で使 用 さ れ たが ゆ え に,言 語 的 に は独 立 した 位 置 を占 め る に至 っ た この フラ ン ス語 の1方 言 は,ま さ に同 じ理 由 に よ っ て,消 滅 へ の道 を た ど る こ と にな った.15世 紀 頃 に
イ ス ト ロ ・ル ‐ マ ニ ア 語 ル ー マ ニ ア
istroromana,
英 Istro‐rumanian イ タ リ ア 半 島 の つ け ね に あ た る イ ス ト リ ア(Istria,
は,日 常 的 に使 用 され る こ と は ほ と ん ど な くな った
ま た はIstra)半
が,法 律 用語 と して は,1731年
和 国 内)で 話 され て い る ル ー マ ニ ア 語 の1種.ル
まで 使 用 され 続 け た.
もっ と も,ア ング ロ ・ノル マ ン語 が 完 全 に死 語 とな
島(ユ
ー ゴ ス ラ ビア の ク ロア チ ア 共
ア 社 会 主 義 共 和 国 で 話 され て い る,い
ーマニ
わ ゆ るル ー マ ニ
っ たわ けで は な く,イ ギ リス 本 土 か ら離 れ た 海 峡 諸 島
ア 語,つ ま り ダ コ ・ル ー マ ニ ア 語 とは 姉 妹 関 係 に あ る.
(チ ャ ンネ ル 諸 島Channel
1950年
Islands)で
は,今 世 紀 の
頃 の 調 査 で,す
初 め まで は,か な り使 用 され て い た よう で あ る.現 在
と い わ れ て い た.ハ
で は,こ の諸 島 の都 市部 で は,英 語 に とって 代 わ られ
Elemente
た もの の,農 村 部 で は,ジ ャ ー ジー島 とガー ン ジー 島
Europas,Band
einer
で に1,500人
の話 者 しか い ない
ー ル マ ン(H.Haarmann)の
Soziologie
der
1(Hamburg,1981)の
Kleinen
Sprachen 資 料 で は,
1,200人
と な っ て い る.
言 語 の 特 徴 と し て は,セ 影 響 を 受 け,イ
ル ビ ア 語,ク
ロア チ ア 語 の
ス ト ロ ・ル ー マ ニ ア 語 と同 様,ダ
コ ・
に,マ
ル タ共 和 国 に おい て 文 化 語 と して 用 い られ て い
る.一
方,旧 イ タ リ ア 領 ア フ リカ 植 民 地 の エ チ オ ピ ア,
ソ マ リア,リ
ビア に イ タ リア語 は 根づ く こ とが な か っ
ル ー マ ニ ア 語 と は 姉 妹 関 係 に あ る ア ・ル ー マ ニ ア 語 や
た が,エ
メ グ レ ノ ・ル ー マ ニ ア 語 と 比 較 し て,古
こ と が 注 目 さ れ る(→
く,こ
の 言 語 で 発 達 し た 新 し い 要 素 が 多 くな っ て い る
こ と が あ げ ら れ る . 文 法 構 造 は,ラ い る が,単
純 化 し て い る.そ
ア 語(略dr.)と 1)二
の 違 い と し て,次
の 例 が あ げ ら れ る.
対 応 し て い る.
消 失 して い る.
示 す 」(inf.)/rata
音 と半 母 音 の 間 にlが
末 のlが
dr.cal「
dr.el「 5)動
人,南 190万
が 単 純 化 さ れ,接
続 法 や 単 純過
istroromane,
l'an
修,Un
2000(L'Harmattan/ につ い て タ リア語 が公 用 語 に な
ち,北
の他 の 国 にお
ア メ リカ 諸 国1,874,000
ー ス ト ラ リ ア53万
ー ロ ッパ 諸 国 人),計62,714,500人
タ リア語 は数 多 くの方 言 を擁 し
ル デ ー ニ ャ 島 に 残 る サ ル デ ー ニ ャ 語(サ
ル ジ ニ ア 語)は,イ
タ リ ア 語 諸 方 言 の1つ
と して で は
マ ンス 諸 語 に属 す る別 個 の 言 語 として 扱 わ れ た,ド
デ ィ ン語,イ
ロ ミテ ィ ・ア ル プ ス 山 中 で 行 な わ れ る ラ タ リア 北 東 部 の 都 市 ウ デ ィ ネ(Udine)
を 中 心 に 広 が る フ リ ウ リ語 も,イ タ リア 語 で は な く て,
Coteanu,I.(1957),Cum
dispare
o
レ ト ・ロ マ ン 語 の 一 員 と し て 分 類 さ れ る こ と が 多 い.
limba(is
イ タ リ ア 国 内 で 話 さ れ て い る,イ
troromana)(Bucuresti) (倍 賞
と して は,そ
和 子)
の ほ か に,国
タ リア 語 以外 の 言語
境 地 域 を 中 心 に分布 して い
る フ ラ ン コ ・プ ロ ヴ ァ ン ス 語(半
イ ス パ ニ ア語 → ス ペ イ ン語
Puglia州
に も,14世
あ る),オ
伊italiano,英Italian,独Italienisch,
ッ ク 語,ド
ら に,半
仏italien ロ マ ン ス 諸 語 の1つ.他
の ロ マ ン ス 諸 語 同 様,そ
の
イ タ リア 語(い
わ ゆ る 標 準 語 の ほ か,各 タ リ ア 共 和 国(人
種 の方 言 を
口,約5,700万
ー ロ ッ パ で は,サ
人)
イ ス の テ ィ チ ノ(Ticino)州
全域お よ の 一 部,コ
ル
ユ ー ゴ ス ラ ビ ア の イ ス ト ラ(Istra)半
岸 で 用 い ら れ て い る ほ か,フ ル ギ ー な ど に,そ
ラ ン ス,西
イ ツ 語,ス
ロ ベ ニ ア 語 が あ り,さ
島 南 部 か ら シチ リア にか け て 散 在 して い るア
ル バ ニ ア 語(15世
島沿
ドイ ツ,ス
シ ア 語(古
紀 以 降,バ
ル カ ン半 島 か らの 移 民 に
イ
れ ら の 国 に 帰 化 な い し居 住 し
域 に残 る ギ リ
代 の ギ リ シ ア 植 民 市 時 代 ま で 遡 る も の か,
そ れ と も 中 世 の ビ ザ ンチ ン 帝 国 支 配 期 に 移 植 さ れ た も の か,議
ン ・マ リ ノ 共 和 国,バ
び グ ラ ウ ビ ュ ン デ ン(Graubunden)州
島 南 部 の プ ー リア
紀 末 の移 民 に遡 る言 語 的 離 島 が
よ っ て 移 植 さ れ た),半 島 最 南 端 部 の2地
源 は 古 代 ロ ー マ 人 の 用 い た ラ テ ン語 に 遡 る.
ス,ベ
en
ア メ リカ 諸 国1,639,000人,ヨ 人,オ
な く,ロ
2Vols.(Bucuresti?)
チ カ ン市 国,ス
言語 併 用 者 も
シ ヨ ン(Ph.Rossillon)監
de Latins
て い る が,サ
Puscariu,S.(1925‐26),Studii
を は じ め,ヨ
タ リ
人 を 含 め,約64万
Latine,Paris,1983)が,1980年
る.ま
も含 む)は,イ
チ カ ン市 ち,イ
公 用 語 と し て 用 い ら れ て い る.
後 述 す る よ う に,イ
・男 ・単)/ie
[参 考 文 献]
シ カ 島,旧
国 人 居 住 者 約42万
人,う
と な っ て い る.
陽 気 な 」/vese
過 去 は 消 失 し て い る.
イ タ リ ア 語
人),バ
イ ス連 邦(約640万
い て5,943,000人(う
消 失 し て い る.
詞 の 時 制,法
タ リア共 和 国 の ほ
口,約2万
っ て い る 国 に お い て56,771,500人,そ
失 う」(inf.)/pl'erde
彼 は 」(代
タ リア 語 は,イ
掲 げ て い る 統 計 表 に よ れ ば,イ
挿 入 さ れ る.
馬 」(単)/ca
dr.vesel「
ア 語 人 口 は,外
Union
鉄 」/fl'er
dr.pierde「
人),ス
milliard
dr.arata「
4)語
国(約1千
含 め る)の 数 は,ロ
見 つ け る 」(inf.)/fla
dr.fier「
お,イ
ン ・マ リ ノ 共 和 国(人
人)で
星 」/ste
頭 のaが
タ リ ア 語),な か,サ
『大 辞 典 』 エ チ オ ピ ア ・ピ ジ ン ・イ
全 世 界 に お け る イ タ リア 語 使 用 者(二
dr.afla「
3)唇
コ ・ル ー マ ニ
晩 」/sere
dr.stea「 2)語
テ ン語 を 踏 襲 し て
の ほ か,ダ
重 母 音eaがeで
dr.seara「
去,大
い要素が少な
チ オ ピア で イ タ リア語 系 ピ ジ ンの 生成 をみ た
論 が 分 か れ る),半
島 南 部 モ リ ー ゼ(Molise)
州 の セ ル ビ ア ・ク ロ ア チ ア 語(15世 を 逃 れ て き た 移 民 に よ っ て 移 植),サ ア ル ゲ ロ(Alghero)市 ャ 語(カ 移 植),さ
ル コ支 配
ル デ ー ニ ャ島 の
に行 な わ れ て い るカ タ ル ー ニ
タ ロ ニ ア 語,14世 ら に は,イ
紀 に,ト
紀 の ア ラ ゴ ン王 朝支 配 期 に
タ リア 各 地 に 散 ら ば る ジ プ シ ー
て い る イ タ リ ア 語 話 者 が い る . ヨ ー ロ ッ パ 以 外 で は,
の 言語 が あ る. これ らイ タ リア 国 内 にお け る非 イ タ リ
ア メ リ カ 合 衆 国,カ
ア 語 使 用 者 の 総 数 は250万
ナ ダ,ア
ル ゼ ン チ ン,ブ
ラ ジ ル,
オ ー ス トラ リ ア な ど に 渡 っ た イ タ リ ア 人 移 民 の 間 で も
る . な お,フ
イ タ リア語 が 受 け 継 が れ て い る . イ タ リア 語 は さ ら
ァ ッ レ ・ダ オ ス タ(Valle
人 を 上 回 る と推 定 さ れ て い
ラ ン コ ・プ ロ ヴ ァ ン ス 語 の 話 者 の い る ヴ d'Aosta)州
で は フ ラ ンス
語 が,ド
イ ツ 語 系 住 民 の 数 が イ タ リア 語 系 住 民 の 数 を
上 回 る ア ル ト ・ア デ ィ ジ ェ(Alto ツ ァ ー ノBolzano県)で
Adige)地
方(ボ
は ドイ ツ 語 が,そ
ア 語,ボ
リ ツ ィ ア(Gorizia)県
ル ツ ァ ー ノ 県 の ラ デ ィ ン 語 も,学
他 の 面 で,法
ル
校 教育 そ の
か んず くフ ィ レ ン ツ ェ方 言 を基 盤 に して れ は 近 年,イ
め ざ ま し い 普 及 を み せ て い る が,そ
タ リア全 土 に
の か た わ ら,各
タ リ ア の 南 部,お
よ び 北 東 部 の 地 域),都
者 や 若 い 世 代 を 中 心 に,あ
2)ヴ
と
市居住
面 に よ っ て 使 い 分 け る イ タ リ ア 人 の 方 が 多 い.方
言 の
に 音 声 面 に お い て,地
a)フ
[方
言]
b)西
域 ご
c)シ
わ ば そ の 変 種 で あ る の に 対 し,
成 さ れ た も の で あ る. イ タ リ ア に お
詩 人 ダ ン テ(Dante,1265∼1321)が (De
vulgari
言 及 し て い る が,今 言 を 擁 し て い る.方
日 な お,イ
紀 の は じ め,
そ の 『俗 語 論 』
eloquentia,1303‐04頃
執 筆)の
中で
タ リア 語 は 数 多 く の 方
言 間 の 違 い は 一 体 に 大 き く,異
e)南
い . 方 言 の 分 類 は さ ま ざ ま に 試 み ら れ て い る が,妥 と思 わ れ る 分 類 を 以 下 に 示 す.方
言 名 の あ と に は,そ
の 分 布 地 域 を 付 記 し た(参
照).
a)ピ
ピエ モ ン
ンバ ル デ ィ ア 方 言(lombardo)―
イ ス の テ ィチ ノ 州
グ リ ア 方 言(ligure)―
ria)州(含,ジ
ロ ンバ ラ ノ 市),
ト レ ン ト(Trento)県,ス
ェ ノ ヴ ァ 市)
ア レ ッツ ォ
よび そ の 近郊
部 トス カ ナ 方 言(toscano
meridionale) ロ ッ セ ー トGros
ル シ カ 方 言(corso)―
フ ラ ンス領 コル シ カ
Ⅲ)中
・南 部 イ タ リア 方 言 群
1)中
部 イ タ リア諸 方 言
a)ラ
ツ ィ オ方 言
(laziale)―
ツ ィ オ(Lazio)州(含,ロ b)ウ
ン ブ リ ア 方 言(umbro)―
(Umbria)州(含,ペ c)中
最南 部 を除 くラ ー マ 市) ウ ン ブ リア
ル ー ジ アPerugia市)
部 マ ル ケ 方 言(marchigiano マ ル ケ 州 中 部(含,ア
centrale)
ン コ ー ナAncona市)
部 イ タ リア諸 方 言
a)カ
ン パ ニ ア 方 言(campano)―
(Campania)州(含,ナ
カ ンパ ニ ア
ポ リ市),ラ
ツ ィ オ州
最南部
リ ノ 市)
ル デ ィ ア(Lombardia)州(含,ミ
c)リ
gallo‐italici)
レ ッ ツ ォ 方 言(aretino)―
島
―
エ モ ン テ 方 言(piemontese)―
テ(Piemonte)州(含,ト b)ロ
2)コ
2)南
ロ ・イ タ リ ア 諸 方 言(dialetti
ッ ルバ
シ エ ナ(Siena)市,
― トス カ ナ 州 南 部(含,グ
当
部 イ タ リア方 言 群
1)ガ
サPisa市,ル
seto市)
な
った 方 言 に よ る相 互 理 解 は 不 可 能 な 場 合 が 珍 し く な
Ⅰ )北
,ピ
ス トイ アPistoia市,エ
エ ナ 方 言(senese)―
(Arezzo)市,お
ずれ もそ の土 地 土
く14世
occidentale)
お よび そ の近 郊 d)ア
と よ ぶ.
け る 方 言 の 多 様 性 に つ い て は,古
部 トス カ ナ 方 言(toscano
カLucca市,ピ
地 で 話 さ れ て い た ラ テ ン語 が 長 い 年 月 に わ た っ て 変 化 を 遂 げ た 結 果,形
フ イ レン
Elba島)
の よ うに地 方 的 な特
次 に 述 べ る イ タ リ ア 語 諸 方 言 は,い
toscani)
よび そ の 近 郊
―ト ス カ ナ 州 西 部(含
「地 域 イ タ リ ア 語 」が 標 準 イ タ リ ア 語 を
基 に し て 生 ま れ た,い
ク ロ アチ ア領 イ ス
ィ レ ン ツ ェ 方 言(fiorentino)―
ツ ェ市,お
徴 を 含 ん で 実 現 さ れ る 標 準 イ タ リ ア 語 を,「地 域 イ タ リ regionale)」
リエ ス
ロ ア チ ア領 イ ス トラ半 島北 西 部 沿 岸
ス カ ナ 諸 方 言(dialetti
少 年 」 が ヴ ェ ネ トVeneto地
ア 語(italiano
ェネ ツ ィア ・
方(含,ト
スカナ方言群
と に 異 な っ た 特 徴 が つ け 加 わ る こ と が 多 く(た と え ば,
発 音 さ れ る),そ
Giulia)地
ス ト ラ方 言(istriano)―
口 の7%程 し言 葉 と
ヴ ェ ネ ト(Ve
ェ ネ ツ ィ ア 市),ヴ
トラ半 島南 西 部沿 岸
1)ト
方 で[〓]と
ロ ・イ タ リ ア 諸 方 言 の 言 語 的 離 島 が い くつ
テ 市),ク
Ⅱ)ト
ragazzo[〓]「
ル デ ー ニ ャ 島,コ
世 期 の移 民 に よ っ て形 成 され た もの
ェ ネ ト方 言(veneto)―
3)イ
の 上 で は 標 準 語 の み の 使 用 者 よ り 標 準 語 と方 言 と を 場
して 用 い られ る 際 に は,特
ロー ル ケ(Mar
ン ・マ リ ノ 共 和 国 チ リ ア 島,サ
ジ ュ リ ア(Venezia
らゆ る場 面 で標 準 語 のみ を
度 か と 推 定 され る). ま た 標 準 語 に し て も,話
北 部,サ
neto)州(含,ヴ
用 い る イ タ リ ア 人 の 数 が 増 加 し つ つ あ る と は い え,数
み の 使 用 者 も ま だ 少 な か ら ず 存 在 す る(人
エ ミリア ・ロ
ン バ ル デ ィ ア 州 南 部,マ
島 南 部,シ
ル シ カ 島 に は,中
地
に 残 る 方 言 の 勢 力 に は 依 然 根 づ よ い も の が あ り(こ に,イ
(emiliano)―
か 存 在 す る.
い わ ゆ る 標 準 イ タ リア 語 は トス カ ナ(Toscana)地
形 成 さ れ た も の で あ る.こ
che)州 な お,半
を 含 め,ガ
的 な 庇 護 を 受 け て い る.
方 の 方 言,な
ニ ャ 市),ロ
リエ ス テ の ス ロベ ニ
ミ リア 方 言
マ ー ニ ヤ(Emilia‐Romagna)州(含,ボ
れぞれイ
タ リ ア 語 と並 ん で 公 用 語 と し て 認 め ら れ,ト (Trieste)県,ゴ
d)エ
リ グ リ ア(Ligu
b)ア
ブ ル ッ ツ ォ 方 言(abruzzese)―
ツ ォ(Abruzzo)州(含,ペ 市),マ c)モ
アブル ッ
ス カ ー ラPescara
ル ケ州 南 部 リー ゼ 方 言(molisano)―
lise)州
モ リー ゼ(Mo
イ
タ リア の 言 語 ・方 言 分 布
d)プ ー リ ア 方 言 (pugliese)― ー リ ア(Puglia)州(含 ,バ e)ル
南 部 を 除 くプ ー リBari市)
カ ー ニ ア 方 言 (lucano)―
(Basilicata)州,カ
バ ジ リカー タ
レ ン ト方 言(salentino)―
部 サ レ ン ト(Salento)地 b)カ
プー リア州 南
州 中 部,南 部(含,カ c)シ
カ ラ ブ リア
シ チ リア 島
イ タ リア の 各 地 に 多 数 の 方 言 が 生 じ,そ
う した状 況
が 今 日 に 至 る ま で 保 た れ て き た 背 景 に は,交
通 の障 害
に な る 丘 陵 地 帯 が 多 い と い う 自 然 的 条 件 に 加 え,そ そ も古 代 ロ ー マ 人 に よ っ て 征 服 さ れ,ラ
らの言 語 が ラ テ
こ と な ど の 歴 史 的 要 因 が 考 え られ る.一 ン ゴ バ ル ド族)を
方,ゲ
まざ
タ リア の さ ま ざ ま な 地 域 を 支 配 し た 外 ラ ブ,ノ
ル マ ン,ス
オ ー ス ト リア な ど)は,言
ペ イ ン,フ
テ ン語 の 語 形 で あ る こ とを示 す)が,北 caud,coltな
部方言群 では
ど とな り,中 ・南 部 方 言 群 で はcallo,
ど とな った の に 対 し,ト ス カ ナ 方 言(お
な って い る と い う
1例 に も うか が え る よ うに,ト ス カ ナ方 言 は,全 体 に ラ テ ン語 の姿 を よ く保 って い る とい う こ とが で き る. そ の原 因 と して,ト ス カ ナ地 方 に居 住 して ラ テ ン語 を 受 け入 れ た エ トル リア 民族 の言 語 が,ラ
土 地 の ラ テ ン語 の上 に は 及 ば ず,そ の純 粋 さが保 た れ た との意 見 が 出 され て い る.そ れ は さてお き,ト ス カ
は重 要 な変化 を及 ぼ す こ と
ナ方 言 を古 典 ラ テ ン語 か ら区別 す る特 徴 の うち,音 声 面 で は,紀 元3∼4世
紀 頃 ま で に,次 の よ うな 変 化 が
に 示 し た 方 言 分 類 に 関 し て 少 し補 足 し て お
起 こ った もの と考 え られ る.す な わ ち,
部 イ タ リ ア 方 言 群 と,そ
1)音
の南 に位 置 す る ト
・南 部 イ タ リ ア 方 言 群 と の 境 界 線 は,
ア ペ ニ ン 山 脈 を 間 に は さ み,イ
タ リア 半 島 の 方 言 群 を
大 き く南 北 に 分 か つ 重 要 な 境 界 線 で あ る.こ に,「 ラ ・ス ペ ツ ィ ア ‐リ ミ ニ(La
Wartburg)の
マ ン ス 諸 語 へ の 最 初 の 大 き な 分 化(西
う こ と に な る.た 言 の 領 域 は,ラ
だ し,テ
ロマ ニ ア と東 ロ
ィ レ ニ ア 海 側 で は,北
ガ リ ア(Senigallia)あ
に 起 こ った わ ず か な変
の 境 界 線 は(少
紀 頃 生 じた と思
わ れ る,開 音 節 に お け る 〓,〓 の 二 重 母 音 化(>〓, 〓)で あ る(例:PEDE(M)>piede「
2)h音
キ ロ南 の セ ニ
3)語
足 」,HOMO
男 」). の 消 失(「 文 字 ・音 韻 」 を 参 照). 末 の ‐m,‐tの 脱 落(例:AMAT>ama
「 彼 は愛 す る」). 4)母
音 の 前 のe,iの 半 母音(j)化(6,7の
5)v/w/お VINU(M)>vino「
よび 母 音 間 の ‐b‐の/v/音 ワイ ン」,HABERE>avere「
な く と もそ の 一 部 に お い て),ア ペ ニ ン 山 脈 と い う 自 然
つ 」).
的 条 件 を 反 映 す る も の で あ る が,古
6)‐lj‐>‐llj‐ >〓(例:PALEA(M)>*PALJA
く は,ケ
ル ト人 と
エ トル リア 人 と の 民 族 的 境 界 線 で あ り,よ り新 し くは ,
>*PALLJA>paglia/〓/「
ラ ヴ ェ ン ナ(Ravenna)大
7)‐nj‐>‐nnj‐ >〓(例:CASTANEA(M)>
司 教 管 区 と ロー マ大 司 教 管
の結
の 母音
化 を除 き,今 日 まで そ の ま まの 音 色 で ひ き継 が れ てい
部方
た りま で 北 部方 言 の 諸 特徴 が
及 ん で い る と 考 え る こ と が で き る.こ
/〓/は,後
>uomo「
キ ロ南 に あ るマ
ミニ よ り さ ら に60数
果,強 勢 母 音 に関 して 俗 ラ テ ン語 に生 じた7種
い
た り ま で 伸 び て い る と考 え ら れ,ア
ド リ ア 海 側 で は,リ
色,音 量(長 短)の 対 立 に基 づ く母 音 体 系 か ら,
音 色 の み の対 立 に基 づ く母 音 体 系 へ の 移 行.そ
る.後 に 起 こ った変 化 とは,6∼7世
テ ン語 か ら ロ
こ の 線 を 境 に し て 起 こ っ た,と
・ス ペ ツ ィ ア よ り20数
ッ サ(Massa)あ
」
ァ ル トブ ル ク(W.
主 張 に よ れ ば,ラ
マ ニ ア へ の 分 化)が
れ は一 般
Spezia‐Rimini)線
と し て 知 ら れ て い る も の で あ り,ヴ
テ ン語 とは完
彙 の面
が な か っ た.
ス カ ナ 諸 方 言,中
よ
タ リア語 の
語 的 に み る な ら,語
韻 や 文 法)に
テ ン語 のCALIDU(M)
「暑 い 」(以 下,大 文 字 の み で 示 し た 語 形 は,ラ
全 に異 質 の言 語 であ った ゆ え に,言 語 的 な 干 渉 が この
ラ ン ス,
で 無 視 で き ぬ 痕 跡 を 残 し て い る も の の,イ 基 本 構 造(音
ルマン
は じ め,さ
化 につ い て ま とめ て お きたい.ラ
び 標 準 イ タ リア 語)で はcaldoと
紀 後 半 の 国 土 統 一(1861)
に至 る まで 小 国 分 立 状 態 が何 世 紀 に もわ た っ て続 い た
来 の 勢 力(ア
こ こで は,標 準 イ
む トス カ ナ諸 方 言 を 中 心 に,ラ テ ン語 か らの言 語 的 変
cauroな
ン語 に 別 様 の 影 響 を 及 ぼ し た 可 能 性 の あ る こ と,5世
ー ト族,ラ
[ラテ ン語 か らイ タ リア 語ヘ]
も
テ ン語 を 受 容
し た 先 住 民 族 が 地 域 に よ り異 な り,彼
ま な 時 代 に,イ
が,か つ て,こ の方 言 の 分布 地 域 に 居 住 して い た こ と
タ リア 語 形 成 の基 盤 とな った,フ ィ レ ンツ ェ方 言 を 含
レ ル モPalermo市)
紀 の ロ ー マ 帝 国 滅 亡 後,19世
リ
古 代 ロー マ 人 に よば れ た ケ ル ト民族
に 因む.
タ ン ザ ー ロCatanzaro市)
チ リ ア 方 言(siciliano)―
(含,パ
von
ル デ ー ニ ャ語 の
な お ま た,「 ガ ロ ・イ タ リア 諸 方言 」 な る名 称 は,ガ ア人(Galli)と
方
ラ ブ リ ア 方 言(calabrese)―
く な ら,北
以 降 の ピサ 人 の進 出 に伴 い,本 来,サ
で もな く,今 日,この 島 の 公 用語 は フ ラ ンス 語 で あ る.
南 部 イ タ リア諸 方 言
な お,上
紀
トス カ ナ語 の 影響 を著 し く受 け た結 果 に よ る.い う ま
a)サ
民 族(ゴ
ル
シカ 方 言 が トス カ ナ方 言 群 に分 類 され るの は,11世
よ うに,古 い ロマ ンス 語 の タイ プ で あ った 島 の 方 言 が,
ラ ブ リ ア(Calabria)州
北部 3)最
区 との 境 界 線 で あ っ た こ とが 注 目 され る.な お,コ
わ ら」).
例 参 照). 化(例: 持
*CASTANJA
>
/〓/「
*CASTANNJA>castagna
/〓/「
イ チ ジ ク の 実 」,cf.標
> ロ ン バ ル デ ィ ア 方 言/〓/,ヴ
栗 の 実 」).
8)‐ct‐,‐pt‐ > ‐tt‐;‐x‐,‐bs‐,‐ps‐ >‐ss‐ と い う 一
/〓/「
連 の ア シ ミ レ ー シ ョ ン に よ り,新
2)重
た に 二 重 子 音 が形 成
紀 よ り 後 の 時 代 に 属 す る と 思 わ れ る変
化 に は,先
に触 れ た
〓> 〓,〓>
〓 の ほ か,次
の よう
口 蓋 母 音(e,i)の
化,破
前 で のk音,g音
の 口蓋
人 々 」).
1)ラ
平 ら な 」,FLORE(M)>fiore
「花 」). 3)‐rj‐ > ‐j‐.これ は 元 来,フ
ィ レン ツ ェ方 言 に 特
が,そ
の ロ マ ン ス 語 と多 か れ 少 な か れ
cf.標
証 人 」,AREA(M)>*ARJA>aia「 文 法 に 関 して は,他
麦 打 ち 場 」).
詞 の 発 生.
2)名
詞 お よ び 形 容 詞 に つ い て は,数
詞 に 関 し て は,助
性 が 失 わ れ て 男 性,女
遡 る 母 音 の/y/音
助 動 詞(の
は な く,そ
ち 語 尾)と
の現 在 完
して不 定 詞 と融 合
し た も の で あ る. 4)フ
説法 現 在
人 称 複数 の
語 尾 が す べ て の 活 用 型 の 動 詞 に つ い て,‐iamoと た(3世
/〓/「
な っ
紀 以 降).
象 を,ケ
cf.標
casa「
家 」 が[〓]
い つ 」,
鉛 」,cf.標
ナ ポ リ方 言
準 語piombo).―
な お,こ
ば し ば イ タ リ ッ ク語 基 層 の 影 響 に よ る も
テ ン 語 ‐i,‐uに 由 来 す る 語 末 母 音 に 起 因 す 音 変 異 な い し二 重 母 音 化(例:カ
ンパ ニ ア方 言
花 婿 」 〔単 数 ・複 数 〕 <SPONSU(M),
SPONSI,cf./〓/「
花 嫁 」 〔単 数 ・複 数 〕<SPONSA(M),
SPONSAE;/〓/「
美 し い 」 〔男 性 単 数 ・
複 数 〕 <BELLU(M),BELLI,cf,/〓/「 断
な る,「 トス カ ナ 喉 音(gorgia と よ ば れ る こ の 現 象 に 関 し て ほ,エ
に み られ る同 化 現 象
ナ ポ リ方 言/〓/「
準 語quando;PLUMBU(M)>
帯
草 原 」 が[〓]と,ripa「
崖 」 が[〓]と toscana)」
で あ る .la
> ‐mm‐,‐nn‐
の と 主 張 さ れ て い る.
/〓/「
と,prato「
の よ うな変 化 が あ げ られ る.
の 現 象 は,し
準語 に 採 り
擦 音)化
グ リア 方 言
・南 部 イ タ リ ア 方 言 群 の 多 くに 共 通 す る 現
(例:QUANDO>
イ タ リ ア 語 の 上 に も反 映 さ れ て い る が,標
気 音(摩
この 現
例 を 参 照).
1)‐mb‐,‐nd‐
る,母
音 間 無 声 閉 鎖 音p,t,kの
ボ ロ
準 語sale).―
除 く無 強 勢 語 末 母 音 の 消 失(リ
を 除 く;1の
ず れ も標 準
そ の 代 表 的 な も の は,母
準 語ruota;SALE(M)>
塩 」,cf.標
ル ト語 基 層 と 結 び つ け る 説 が し ば し ば 出 さ れ
2)ラ
入 れ られ て い な い,ト ス カ ナ 方 言 に 固 有 の 特 徴 も あ る.
壁 」,
ロ ンバ ル デ ィ ア 方 言
て い る.
上 の 音 声 ・文 法 上 の 変 化 は,い
な お,以
化 な ど の 一 連 の 母 音 の 口蓋 化
車 輪 」cf.標
/〓/「
ィ レ ン ツ ェ 方 言 で,直
トル
リア 語 基 層 の 影 響 に よ る も の と い う説 が 出 さ れ て い る 説 に は な っ て い な い.
美 し
い 」 〔女 性 単 数 ・複 数 〕 <BELLA(M),BELLAE). な お,語
末 無 強 勢 母 音 に 関 し て,南
言 で は,す
べ て の 母 音(あ
て の 母 音)が
元 さ れ る(ト
部 イ タ リア諸 方
る い は,aを
あ い ま い 音 化 し て/〓/と
タ リア 諸 方 言 で は,こ
上 記 の よ う な 変 化 を た ど っ た トス カ ナ 方 言 に 対 し,
遡 る
遡 る開 音節 の 強
ロ ン バ ル デ ィ ア 方 言/〓/「
象 と し て,次
ラ ン ス 語 や ス ペ イ ン 語 の よ う にHABERE
化,oに
化,aに
準 語muro;ROTA(M)>
一 方,中
件 法 が 発 達 し た.な
過 去)で
少
れぞ れ 異 な る 地 理 的 分 布 を も っ て 存 在 す る
2)aを 動
詞 の 不 定 詞 +HABEREの
由 来 す る 未 来 時 称,条
過 去)が
性
動 詞 を 伴 う完 了 時 称,受
言 法(動
件 法 は,フ
の対 立 が維 持
変 化 は 消 滅 し た.
の 未 完 了 過 去(半
が,定
テ ン 語uに
ー ニ ャ方 言/〓/「
1)冠
の 区 別 は,中
ェネ
ロ ・イ タ リア 諸 方 言 に 特 徴 的 な 現 象 と し て
(例:MURU(M)>
共 通 す る,次 の よ う な 変 化 が 中世 期 に お い て み ら れ た.
活 用 形)に
末母音に起因す
の よ う な も の が あ る.
勢 母 音 の/〓/音
公
有 の 変 化 で あ っ た(例:NOTARIU(M)>notaio「
態 が 形 成 さ れ,迂
準 語cavallo).
‐iに 由 来 す る,語
開 音 節 の 強 勢 母 音 の/〓/音
3)動
ェネ
少 年 た ち 」<TONSI,cf./〓/「
ま た,ガ
PLANU(M)>piano「
了(遠
馬 」,cf.標
テ ン語 の
ト方 言/〓/「
は,次
さ れ る 一 方,性
ピ
ン バ ル デ ィ ア 方 言/〓/,ヴ
ト方 言/〓/「 3)ラ
2)pl,bl,cl,gl,fl>/〓/(例:
お,条
子 音 の 単 子 音 化(例:CABALLU(M)>
年 」 <TONSU(M)).
擦 音 化(例:CENTU(M)>cento/〓/
「00」,GENTE(M)>gente/〓/「
の み の 対 立 とな り,格
ェ ネ ト方 言
準 語catena).
る 母 音 変 異(metafonesi,metafonia)(例:ヴ
な も の が 含 ま れ る. 1)硬
鎖 」,cf.標
エ モ ン テ 方 言,ロ
さ れ た(例:OCTO>otto「8」). 紀 元4∼5世
準 語fico;CATENA(M)
除 く他 の す べ な り,最
れ がi,a,uの3種
南部 イ
の母 音 に還
ス カ ナ 方 言 で は,i,e,a,oの4種).
北 部 イ タ リ ア 方 言 群 に 共 通 して み ら れ る 変 化 と し て
[イ タ リ ア 語 の 歩 み]
は,次
生 し た の か,と
い う よう な問 い に は正 確 に答 え る こ と
が で き な い.イ
タ リア 語 の 母 体 と な っ た 俗 ラ テ ン語,
の よ う な 点 が あ げ ら れ る.
1)母 FICU(M)>
音 間 無 声 子 音 の 有 声 化 な い し 脱 落(例: リ グ リ ア 方 言/〓/,ヴ
ェ ネ ト方 言
す な わ ち,古
ま ず,い
つ イ タ リア語 が 誕
代 ロー マ帝 国 の民 衆 の話 し言葉 で あ っ た
ラ テ ン語 は,何
世 紀 に も 及 ぶ 漸 進 的 な 変 化 を 経 て,イ
伸 張 を 背 景 に 市 民文 化 の 台頭 著 しか った フ ィ レ ン ツ ェ
タ リア語 諸 方 言 を 含 む ロマ ンス 諸 語 に移 行 した の で あ
で,俗 語 に よ る文 学 活 動 が盛 ん に な り,詩 作 や 散 文 作
り,ラ
品 の制 作 に,ト ス カ ナ方 言,フ
テ ン 語 と イ タ リ ア 語 の 間 に,明
瞭 な年 代 上 の境
界 線 を 引 く こ と は 不 可 能 だ か ら で あ る.書
き言葉 と し
て ラ テ ン 語 を 用 い る 伝 統 が 根 づ い て い る イ タ リ ア で, 「俗 語(volgare)」(ラ こ う よ ば れ た)が
テ ン 語 に 対 し て,イ
タ リア語 は
文 字 で書 き写 さ れ る よ う に な る の
は,よ
う や く9∼10世
紀 に な っ て か ら の こ とで あ る
が,民
衆 の 間 で 日 常 用 い ら れ て い た 言 葉 が,も
テ ン 語 と は よび え ぬ 状 態 に な っ た の は,そ
はや ラ
れ よ り以 前
ィ レ ンツ ェ方 言 が 用 い
られ た. この よ うな 状況 の も と,フ ィ レ ンツ ェ生 ま れ の ダ ン テ(Dante
Alighieri)が
登 場 し,そ の 畢 生 の 大 作
『神 曲』(Divina
Commedia,1309頃
成 功 に よ って,フ
ィ レ ン ツ ェ方言 の文 学 的 威 信 は決 定
的 な もの に な った.ダ
∼1321頃)の
ンテ は,前 に も触 れ た 『俗 語 論 』
の 中 で,詩 的 創 造 に 用 い られ る理 想 的 な「俗 語 」は いか
の こ と で あ る と 推 察 で き る.い
ず れ に せ よ,書
き残 さ
な る もの で あ るか を 論 じ,現 実 の イ タ リア諸 方 言 に は,
れ た 証 拠 に つ い て い う な ら,紀
元800年
ェ ロー
そ の ま ま で 詩 作 に ふ さわ しい もの は1つ
ナ(Verona)の
テ ン語 の 祈 祷 書 の 余 白
を離脱 した一 種 の人 為 的 な 共通 語 こそ 求 め られ るべ き
テ ン語 で あ る と もイ タ リア 語 で あ る と も解釈 し
だ と主 張 した が,彼 が 実際 の詩 作 に あた って 拠 り所 と
に,ラ う る,短
一 写 字 生 が,ラ
い
も な い9世
「謎 う た 」 を 戯 れ に 書 き記 し,そ 紀 の 前 半 に は,ロ
る 僧 侶 が,相
し て い る.イ
れ か ら間
ー マ市 の 外 れ に あ る カ タ
コ ン ベ の 地 下 礼 拝 堂 の 壁 に,ミ め を,さ
頃,ヴ
サ の 朗論 法 に関 す る戒
当 「俗 語 」色 の 濃 い 短 文 で 書 き残
タ リ ア 語 と ラ テ ン語 の 違 い が 明 瞭 に 対 比
さ れ た 最 初 の 記 録 は,960年3月 ナ ポ リ の 北 約30キ
ロ)の
裁 判 所 で 出 され た 判 決 文 を
ば れ る 資 料 に 遡 る.こ
Capuano)」
オLazio州
とよ
れ は,土 地 の 領 有 権 を め ぐ っ て,
モ ン テ カ ッ シ ー ノ(Montecassino)修 南 部)を
道 院(ラ
し,彫 琢 を加 え た言 葉 は,故 郷 フ ィ レ ンツ ェの 方 言 に ほ か な らな か った.『 神 曲』の成功(少 な く と も600の 写 本 が 残 され て い る ほ か,14世 紀 以 降,数 多 くの 注解 が書 かれ た)に 続 き,ペ ∼74) ,ボ
トラル カ(F.Petrarca,1304
ッカ ッチ ョ(G.Boccaccio,1313∼75)が
フ
ィ レ ン ツ ェ方 言 の 文 学 的 名 声 を高 め る の に貢 献 す る.
に カ プ ア(Capua,
記 し た 「カ プ ア の 判 決 文(Placito
も な く,方 言
ツィ
相手 どっ て 起 こされ た 訴 訟 に関
そ の結 果,ト ス カ ナ 地 方 以 外 の作 家 の作 品 に もフ ィ レ ン ツ ェ方 言 の 影 響 が 及 ぶ よ うに な る.フ ィ レン ツ ェ方 言 は イ タ リア の 他 の 諸 方 言 と比 べ,ラ テ ン語 の 面 影 を よ り忠 実 に伝 え て お り,ラ テ ン語 の知 識 の あ る者 には, トス カ ナ 以 外 の 人 間 に も容 易 に これ を学 ぶ こ とが で き
す る 判 決 記 録 で あ る . ラ テ ン語 で 綴 ら れ た 本 文 の 中
た で あ ろ う点 も,こ の方 言 の全 国 へ の,少
に,被
き言葉 レベ ル で の普 及 に 力 が あ った もの と思 わ れ る.
告 側 証 人3人
が カ ンパ ニ ア地 方 の 方言 を反 映 す
る イ タ リア 語 で 行 な っ た 証 言(い ko
kelle
trenta
terre,per anni
kelle
le possette
「私 は そ の 土 地 を,こ
ず れ も 同 文 で,Sao
fini
parte
que
ki
Sancti
contene, Benedicti
こ に 示 さ れ る 範 囲 に お い て,30
一方,ラ
テ ン語 は書 き言 葉 と して,あ
な くと も書
らゆ る分 野 で
依 然大 きな勢 力 を保 ち,時 の古 典 古 代 復 興 熱 と相 ま っ て,ラ テ ン語 の イ タ リア語 に対 す る 優 位 を 主 張 す る人 文 主 義 者 も少 な か らず い た.実 際,14世 紀 末 か ら1世
年間 聖 ベ ネ デ ィ ク ト側 が 所 有 し た こ と を 知 っ て い
紀 近 くの 間,俗 語 文 学 は低 迷期 に 陥 り,文 芸 上 の み る
る」)が そ の ま ま 引 用 さ れ て い る.そ
タ リア
べ き作 品 は,い ず れ も ラテ ン語 で書 か れ て い る.だ が,
るい は全 面 的 に用 い た碑 文 や 実 用 的 な
15世 紀 後 半 に は,古 典 語,古 典文 学 か ら多 くの養 分 を
語 を 一 部 に,あ 文 書(訴
訟 記 録,帳
簿,遺
地 に現 わ れ 続 け,13世 え る が,そ
の 後 も,イ
産 目 録 な ど)が
の頃 には す で に
イ タ リア 各
汲 み と り(こ の 時 代,多
くの 作家 は イ タ リア語,ラ
テ
の数 は急 激 に増
ン語 両 言語 で 作 品 を 発 表 した),俗 語 文 学 は 再 び 活 況
「俗 語 」 を用 い た 文 学 的 創
を呈 す るに 至 る.こ の 間,ア ル プス の 北 か ら もた ら さ
紀 に な る と,そ
作 も 試 み られ る よ う に な っ て い た,
れ た 印 刷技 術 に よ り,1470年
フ ィ レ ン ツ ェ 方 言 は,他
の 方言 に 先 ん じて そ の 地 歩
出 版 物 で あ るペ トラ ル カ の抒 情 詩 集 『カ ン ツ ォニ エー
を 固 め た わ け で は な い.む
し ろ,ア
チ ェ ス コ(San
Francesco
の 『被 創 造 物 の 歌 』(Cantico 26頃)や,数
ッシ ジの 聖 フ ラ ン
d'Assisi,1181頃 delle
∼1226)
レ』(Canzoniere)が (Decameron)も
に は,俗 語 に よ る最 初 の
現 わ れ,『 神 曲』 『デ カ メ ロ ン』 時 を経 ず して 印 刷 刊 行 され,フ
ィレ
ンツ ェ文 語 の知 識 階級 へ の普 及 に拍 車 が か け られ る こ
creature,1225∼
々 の 宗 教 詩 に 用 い ら れ た ウ ン ブ リア 方 言,
とに な っ た.俗 語 文 学 の活 況 は16世 紀 に も ひ き継 が
宮 廷 を 拠 点 に し た,「 シ
れ,フ ィ レン ツ ェのみ な らず,ヴ ェネ ツ ィ ア,フ ェラ ー ラ,ミ ラ ノ,ロ ーマ,ナ ポ リと,そ の拠 点 が各 地 に
チ リア派 」 の 詩 人 た ち の作 品 の基 盤 とな った シチ リア
林 立 す る よ う に な る.ラ テ ン語 に 対 す る 俗 語 の 興 隆
方 言 な ど が,文
が,
は,文 学 者,知 識 人 の 間 に,文 学 表 現 の用 具 とな る言
業の
語 は どの よ う な もの で あ るか につ い て改 めて 問 題 を提
神 聖 ロ ー マ 皇 帝 に し て シ チ リ ア 王 の フ ェ デ リ コ2世 (FedericoⅡ,1194∼1250)の
学 上 の 開 花 を 早 く迎 え て い た.だ
13世 紀 後 半 以 来,ト
ス カ ナ 地 方,こ
とに 経 済,産
起 し,さ ま ざ ま な意 見 が 出 され るな か,こ こ にい わ ゆ
語 イ タ リ ア 語 が,や
る 「言語 問題(questione
ぶ 傾 向 を 示 す に 至 っ た の は,自 然 の な り 行 き で あ っ た.
della lingua)」 をめ ぐ る論
や もす る と形 式 的 な 修 辞 技 巧 を 弄
争 が展 開 され る に至 った.ダ ンテ が 『俗語 論 』の 中 で 説
ヴ ェ ネ ツ ィ ア の ゴ ル ドー ニ(C.Goldoni,1707∼93),
い た よ う な,い ず れ の 方 言 に も偏 らな い超 地 方 的 な共
シ チ リア の メ ー リ(G.Meli,1740∼1815),ミ
ラノの
通 語 を用 い るべ きだ とす る説,同 時 代 の フ ィ レン ツ ェ
ポ ル タ(C.Porta,1775∼1821)ら
方 言 を採 用 す べ きだ とす る説 な どを 退 け,結 局,韻 文
言 に よ っ て 作 品 を 書 い た の も故 な い こ と で は な い.イ
に つい て は ペ トラル カ を,散 文 につ い て は ポ ッカ ッチ
タ リ ア 語 を 「死 語 」 と さ え 評 した,ミ
ョを模 範 にす べ き だ と す る, ヴ ェネ ツ ィア 人 ベ ン ボ
家 マ ン ゾ ー ニ(A.Manzoni,1785∼1873)は,自
(P.Bembo,1470∼1547)ら
の 小 説 『婚 約 者 』(I
の 主 張 が 大勢 を 占 め,14
が,生
Promessi
気 あ る方
ラ ノ生 ま れ の作 作
Sposi,初
版1827,決
世 紀 フ ィ レ ン ツ ェ方 言 を基 盤 とす る文 語 が,以 後 の 文
定 版1840‐42)を
学史 で標 準 語 の 地 位 を確 保 す る こ とに な った.こ の 事
る フ ィ レ ン ツ ェ 人 の 日 常 語 を 用 い る こ と に よ り,文
情 は 今 日 ま で基 本 的 に は変 わ って い ない.と こ ろで,
語 と して の イ タ リア語 に新 た な 息 吹 きを与 え る試 み に
ボ ッカ ッチ ョの 言 語 に し ろペ トラル カ の言 語 に し ろ,
成 功 し た.
他 の ヨー ロ ッパ 諸 国 に 先 駆 け て,イ タ リア に成 立 した
イ タ リ ア 語 が 話 し言 葉 と し て 全 土 に 普 及 す る の は,
近 代 市 民 文 化 の 表 現 手 段 にふ さわ しい近 代 性 をす で に もち 合わ せ て お り,こ れ を基礎 に据 え た標 準 イ タ リア 文 語 は,以 後,そ の 根 底 を揺 るが す よ うな大 き な変 化 を
19世
書 き改 め る に 際 し,同
紀 後 半 の 国 家 統 一 以 後 の こ と で あ る.言
デ ・マ ウ ロ(T.De
Mauro)の
り(う
の転 換 が15世
口 の わ ず か2.5%に
言 語 上 に も強 く反 映 され て,中 世語 と近 代 語 の間 に際
ち,ト
ー マ 人7万
%,も
る.1583年
に 従 う な ら9.52%に
人),全
の 数 字 は8.77%な
い し12.63
っ と も 妥 当 だ と思 わ れ る 「共 通 語 」 の と ら え 方
い る が,い
修 正 す べ きだ との 意 見 を 出 して
ず れ に せ よ,19世
紀 後 半,共
通 語 の 話 し
正 主義 の 拠 点 とな る. 同 学 会 の 刊 行 す る 『ク ル ス カ学 会 辞典 』(Vocabolario
れ,統
は,第11巻
版1612;も
degli
Accademici
dells
一 後 は 人 口 の 大 規 模 な 移 動,こ
まで 出 て 中断)は,こ れ を擁 護 す る にせ よ批
度 の 実 施,学
校 教 育 の 整 備 な ど に よ り,共
は 促 進 さ れ た.国 に 進 行 した.現
象 に され て い る. この よ うに して,文 語 として は 規 範 の定 ま った イ タ だ統 一 国 家 の 存 在 しな い イ タ リ
内 の 共 通 語 化 は,ま
首 都 と な っ た ロ ー マ を は じ め,北 の 影 響 が 指 摘 さ れ る.近 発 達 が,イ
は 程 遠 い状 況 で あ った.イ
と は い う ま で も な い.
タ リア語 を,学 習 に よっ て
以 下 の 記 述 に お い て は,現 て,そ
この よ うな 中 に あ っ て,例 外 的 な状 況 を示 した の が ロー マ で あ る. ロー マ方 言 は早 くか ら トス カ ナ方 言 の 影 響 を 受 け,話 し言 葉 に お い て も16世 紀 以来,「脱 方言 化 」 の 過 程 が進 ん だ.こ れ は全 国各 地 か ら集 ま る 聖職 者 が 支 配層 を形 成 し,一 般 住民 の間 に も さま ざま な地 域 出 身 の 移 民 を数 多 く抱 え る こ の都 市 にお い て,共 通 語 の 必 要 が 強 く求 め られ た た め で あ る. そ の 結 果,今 日の ロー マ方 言 は,中
・南 部 イ タ リア方 言 の 特徴 を は
部 の 有 力都 市 の 言 葉
代 標 準 イ タ リア 語 に つ い
の 主 要 な 特 徴 を 概 観 す る.
[文 字 ・音 韻] ト.26文
が 普 通 だ っ た.
の
タ リア 全 土 の 標 準 語 化 を 著 し く推 進 し た こ
ス カ ナ地 方 は別 に し て,彼
言 葉 とは 断絶 に近 い隔 た りの あ る土 地 の方 言 で あ る の
以 来,国
年 の マ ス ・メ デ ィ ア の 急 速 な
覚 え る こ との で き た少 数 の知 識 人 や 文 人 に して も,ト き
役制
通語 の普 及
ず 大都 市 を 中心
在 あ る 標 準 語 に は,1871年
ア にお い て,こ れ が話 し言葉 と して 全 国 に 普 及す るに
らが 日常 用 い るの は,書
もあ
と に産 業都 市 へ
の 人 口 の 集 中 を は じ め と す る 大 き な 社 会 変 動,兵
っ と も新 しい 第5版1863‐1923
判 す る にせ よ,以 後 の言 語 論 争 にお い て常 に言 及 の対
リア 語 で あ っ たが,ま
人
近 になっ
手 の 数 が 非 常 に 少 な か っ た こ と は 間 違 い な い.と
Crusca,初
人余
て,別 の 言 語 学 者 カ ス テ ッ ラ ー ニ(A.Castellani)が
ス ペ イ ン語,英 語 な ど)の 場 合 と大 き く異 な る点 で あ
ンボ の主 張 した 立場 を守 り,純
人,ロ
す ぎ な か っ た と い う.最
新 た に 推 計 を 行 な い,こ
della Crusca)は,ベ
語学者
推 定 に よれ ば,1861年
ス カ ナ 人40万
立 った違 い が 生 じた 他 の西 欧 諸 国 の 言 語(フ ラ ン ス語,
に 設立 され た クル ス カ学 会(Accademia
学
の 統 一 時 に 共 通 語 を 話 す こ と の で き た の は,60万
被 る こ とな く今 日 に及 ん だ.こ れ は,中 世 か ら近 代 へ 紀 末 か ら16世 紀 に起 こ り,そ の影 響 が
時代の教養 あ
使 用 文 字 は,ラ テ ン ・ア ル フ ァ ベ ッ
字 の う ち,j,k,w,x,yの5文
字 は,主
て 外 来 語 の 表 記 に 用 い ら れ る.hは さ ず,主
に 連 字(ch,gh)や
「私 は 持 つ 」 < 残 り の 文 字 は,大
語 源 的 な 綴 り(ho/〓/
ラ テ ン語HABEO)の 体
とし
固 有 の音 価 を表 わ
中 で 使 わ れ る.
「ロ ー マ 字 」 式 に 発 音 さ れ る が,
こ こ で 注 記 す べ き は,複
数 の 音 価 を 表 わ すi=/〓/,
e=/〓/,o=/〓/,u=/〓/,c=/k(a,o,uの 前),t∫(i,eの eの
前)/,g=/g(a,o,uの
前)/,s=/s,z/,z=/ts,dz/の
っ き り備 え て い た16世 紀 以 前 の 方 言 と大 き く違 って
る こ と,お
い る. 一 方,日 常語 か ら遊離 し古 い 規 範 に 縛 られ た文
の 前),ci=/〓/(a,o,uの
よ び,1つ
前),d〓(i, よ う な文字 が あ
の 音 価 を 表 わ すch=/k/(i,e 前),gh=/g/(i,eの
前),gi=/〓/(a,o,uの
前),gl(i)〓(母
は〓)/,gn=/〓(母 音 間 で は ∬)/の 常 にuを た,正
トの な い あ る 種 の 単 音 節 語)の
と重
音 化(raddoppiamento
徳 」),ま
た,同
有す る
音(ま
た は
ア クセ ン
ト と 重 ア ク セ ン トの 使 い 分 け に 関 し て は ゆ れ が み ら 者 を/〓/を
/を
表 わ すe,oを
表 わ すe,oの
上 に,後
者 を/〓
含 む他 の母 音 字 の 上 に付 す 方 式
が 一 般 的 だ とい え そ う で あ る が,e,o(/〓/)の にi,uの
ほか
た,音
上 に 鋭 ア ク セ ン トを つ け る こ と も あ り,ま 色 の 区 別 に 関 わ り な く,す
べ て の 母 音字 の 上 に
的 重 音 化 は,こ
sintattico)」
ア ク セ ン トの な い 位 置 で は,/〓/と/〓/,/〓/と/〓/ の 対 立 が 失 わ れ(通 実 現),5種 れ に21種
常 は,そ
書 法 上 つ な げ て 書 か れ る 「動 詞 + 前 倚
辞(人
か く」+detto「
して
区 別 さ れ る.こ
類 の 子 音/〓
言 え 」+mi「
が つ け 加 わ り,イ (表1を
類 の 半 母 音/〓/
タ リア語 の音 韻体 系 を構 成 して い る
ど を 除 い て,綴
「家 で 」). 音 節 構 造 は,母
音 で終 わ る開 音 節 と子 音 で終 わ る閉
音 節 とが あ る が,単
語 の 終 わ り で は,あ
る種 の 外 来 語
ス ポ ー ツ 」)や,近
年 そ の数 が
央 統 計 局 」=Istituto
Centrale
政府 中
di
Statistica)の
類
べ て 開 音 節 で あ る.
ア ク セ ン トは 強 弱 型 で,ア
ク セ ン トの あ る 開 音 節 の
母 音 は 語 末 母 音 を 除 き,ふ つ う長 音 化 す る(例:amare 愛 す る 」).た
だ し,ア
ク セ ン トの な い 母 瞭 に 発 音 され る の
が イ タ リ ア 語 の 特 徴 で あ る . ア ク セ ン ト の 位 置 は, 語 に よ っ て 異 な る. 語 末 か ら 数 え て2番
目の 音節 に
ア ク セ ン トの く る語 が も っ と も多 い が(例:zanzara
タ リア語 の音 韻
両唇 唇歯 歯茎 硬 口蓋 硬 口 軟 口 《子音》 音 音 歯音 音 歯茎音 蓋 音 蓋音
/〓/「
蚊 」),最 終 末 音 節 に く る 語(例:citta
/〓/「
町 」)や,語
末 か ら3番
(例:albero/〓/「
閉鎖音 破擦音 摩擦音 鼻 音 側面音 ふるえ 音 《母音》
via
彼 は 行 っ て し ま っ た 」,acasa/〓/
音 も あ い ま い 音 化 す る こ と な く,明
参 照).
イ
私に
私 に 」)な
り字 の 上 に 反 映 さ れ る こ と が な い(例:ando /〓/「
[〓]「 /,2種
言わ
称 代 名 詞 な ど)」(例:dimmi/〓/「
言 え 」 <di「
い を 除 き,す
れ ぞ れ 狭 い[〓]と
の 母 音(/〓/)が
辞
い わ ゆ る 」<cosi「
増 加 し つ つ あ る頭 字 語(例:ISTAT/〓/「
が 数 え ら れ る が,
と よ ぶ.統
れ た 」)や,正
さ て,イ
の と し て/〓/の7種
頭
「統 辞 的 重
/〓/「
(例:sport/〓/「
ク セ ン トを に な う も
れ を
れ を 内 包 す る 複 合 語(例:cosiddetto
重 ア ク セ ン トを 用 い る 方 式 も あ る. タ リ ア 語 の 母 音 は,ア
クセン
あ と に 続 く場 合,語
ア クセ ン ト
彼 女 を 」)に 用 い られ る.鋭
れ,前
末 母音 に ア ク セ
ク セ ン トの あ る 単 音 節 語,ア
の 単 子 音 が 重 音 化 す る 現 象 が あ り,こ
義 語 を もつ 単 音 節 語 を 区 別 す る た め(例:la
「そ こ に 」 ∼la「
音 で 終 わ る あ る 種 の 語(語
おま
末 に ア ク セ ン ト(強 勢)を
語 を 示 す た め(例:virtu「
な お,母
発 音 さ れ る.な
書 法 上 の ア ク セ ン ト記 号(鋭
ア ク セ ン ト)は,語
ン ト を も つ 語,ア
よ う な 連 字 の あ る こ と で あ る,qは
従 え て,qu=/〓/と
同 綴)異
音間で
音 間 で は〓)/,sc(i)=/〓(母
て,4番
木 」)も
目の 音 節 に くる語 あ る.語
末 か ら数 え
目以 上 の 音 節 に ア ク セ ン トが 遡 る も の は,動
詞 の 活 用 形(例:fabbricano/〓/「 製 造 す る 」)や,正
彼 らは
書 法 上 つ な げ て1語
の よ うに 書 か れ
る 「動 詞 + 前 倚 辞 」(例:ordinamelo/〓/ 「私 に そ れ を 注 文 せ よ」)の 以 上 の 長 さ の 語 に は,と
場 合 で あ る.ま
き に,副
れ る(例:fisicamente/〓/「
《半 母 音 》
た,3音
節
次 ア ク セ ン トが み ら 物 理 的 に 」).
な お,す
で に 述 べ た よ う に,正
号 は,ア
ク セ ン トの 位 置 を 示 す 印 と し て は,語
書 法 上 の ア ク セ ン ト記 末 母音
に ア ク セ ン トの あ る 語 の 場 合 以 外 は つ け る 必 要 が な い の で,/〓/「
錨 」 と/〓/「
ancoraと 子 音 に 関 し て は,常 に 単 子 音 と し て 実 現 さ れ る/〓/,
[文
母 音 間 で 常 に 重 複 し て 実 現 さ れ る/〓/
1)名
(例:legno/〓/「 を 除 く他 の 子 音 が,母
木 材 」,figlio/〓/「
息 子 」)
音 間 の位 置 で 単 子 音 と重 子音 と
の 対 立 を も ち う る 点 が 注 目 さ れ る(例;fato/〓/ 「運 命 」 ∼fatto/〓/「 は 飲 む 」 ∼bevve/〓/「
事 実 」,beve/〓/「 彼 は 飲 ん だ 」).
法]
名 詞 は,文
詞 法 上,男 性 名 詞,女 性 名 詞 の い ず れ か に 区
別 さ れ . お の お の の 名 詞 は,単 化 す る . た と え ば,男
彼
ま だ」が と もに
綴 ら れ る と い う よ う な こ と が 生 じ る.
数 形 で はlibri,女 で はcaseと
数,複
数2つ
性 名 詞 単 数 形libro「
性 名 詞 単 数 形casa「
な る.こ
の よ う に,名
の 形 に変 本 」 は複
家」は複数形
詞 の 複 数 形 が,ス
ペ イ ン 語,フ
ラ ンス語 な どの西 ロ マ ンス 諸 語 の よ うに
‐sの 添 加 に よ っ て 示 さ れ る の で は な く,語
末母音の変
ー マ ニ ア 語 に もみ ら れ る 特 徴 で あ る).歴
的 に い う な ら,西
表 わ す が(例:Hai る か 」),フ
化 に よ っ て 示 さ れ る の が イ タ リア 語 の 特 徴 で あ る(こ れ は,ル
若 干 の 量 や 数 の 意(「 い く ば くか の 」 「い く つ か の 」)を
史
ロ マ ンス 諸 語 の 名 詞 複数 形 が ラ テ ン
3)形
degli
amici?「
君 に は友 達 が い
ラ ン ス 語 に 比 べ る と使 用 範 囲 が 狭 い.
容詞
形 容 詞 も,共 起 す る 名 詞 の 性,数
に応 じて 語尾 変化 を
語 の 複 数 対 格 に 由 来 す る の に 対 し,イ
タ リ ア 語(お
び ル ー マ ニ ア 語)の
テ ン語 の 複 数 主
行 な う.品 質 形 容 詞 に は,‐o(男 性 単 数),‐i(同 複 数), ‐a(女 性 単 数) ,‐e(同 複 数)の4種 の 語 尾 を有 す る も
性名詞の語尾に
の(例:bravo,‐i,‐a,‐e「
名 詞 複 数 形 は,ラ
格 を ひ き 継 い だ こ と に な る.な は,例
に あ げ た ‐o(複 数 形
例:sapore,‐i「 blema,‐i「
お,男
‐i)の ほ か,‐e(複
味 」)や,‐a(複 問 題 」)な
よ
数 形 ‐i,
性 名 詞 の 語 尾 に は,‐a
優 秀 な 」)と,‐e(男
‐i(男 女 複 数)の2種
breve,‐i「
数 形 ‐i,例:pro
ど が,女
数)と
女単
の 語 尾 を 有 す る も の(例:
短 い 」)と が あ る.品
質 形 容 詞 が,名
詞を直
接 修 飾 し,そ の 名 詞 と と も に 名 詞 句 を 構 成 す る 場 合,形
(複 数 形 ‐e)の ほ か,‐e(複 数 形 ‐i,例:occasione, ‐i「機 会 」)な ど が 含 ま れ る.ま た,子 音 終 わ りの 外 来
容 詞 は 名詞 に後 置 され る場 合 と前 置 され る場 合 とが あ
語(主
対 比 的,限
に 男 性 名 詞.例:film「
の あ る 語(例:caffe「 「王 」)な る.な
ど,い
末 に強 勢
終 わ る 少 数 の 男 性 名 詞 は,通
終 わ る 複 数 形 を も ち,
両 複 数 形 の 間 に 意 味 の 分 化 が み ら れ る(例:単 数 形membri「
「四 肢 」).女
常
数形
性 複 数 形 の 冠 詞,形
容 詞 な ど と 共 起 し,主
で あ る(例:la
は,ラ
か あ る(例:un
2)冠
un
詞
イ タ リ ア 語 は 他 の ロ マ ン ス 諸 語 同 様,ラ 示 形 容 詞 に 由 来 す る 定 冠 詞,数
詞の
不 定 冠 詞 を も ち,お
起 す る 名 詞 の 性,数
の お の,共
応 じ て 違 っ た 形 を と る.す 数 形 と し てil/lo/l'(3形 種 類 に よ る.l'は
冠 詞 は,男
用 い られ る.不
性 形 と してun/uno(s類
本 的 に は,前
特 定 化 し う る,既
み 手)に
visto
人 を 見 か け た 」),と
性
者 が 文 脈 そ の他 に よ って
私 に そ の(例 の) き手(読
uno
straniero.「
私 は あ る外 国
い う こ と が で き る だ ろ う.な
な ど),所
い と し の 祖 国 」,un
お,
概略い うこと
詞 に 対 す る位 置 に よ
uomo「
か わ い そ う な 男 」,
貧 乏 な 男 」).
示 形 容 詞(questo,‐i,‐a,‐e「
有 形 容 詞(mio,‐ei,‐a,‐e「
不 定 形 容 詞(qualche「 詞(quale,‐i「
い く ら か の 」,な ど),疑
れ て 用 い られ る が,所
人 の で は な く)私
の 本 」).ま
た,所
有 形 容 詞 は 通 常,
mio
amico「
あ る 私 の 友 人 」).
の 形 容 詞 な ど を 伴 わ な い,単
数形の親族名
mio
caro
padre「
padre「
zii「 私 の お じた ち 」).
4)人
称代名詞
人 称 代 名 詞 は,主 を 含 み,お
語 人 称 代 名 詞 と補 語 人 称代 名 詞 と
の お の,単
数,複
人 称 を 区 別 す る.ま
た,人
数 に3つ
ず つ,計6つ
れ 自体 ア ク
セ ン トを に な っ て 発 音 し う る 強 勢 形 と,そ
れ 自身 は ア
ク セ ン ト を も た ず,後
続 ま た は 先 行 す る 動 詞 と一 体 に
な っ て 発 音 さ れ る 非 強 勢 形 とが あ る.イ
タ リア 語 の 人
由 来 す る 前 置 詞 と定 冠 詞 とが 融 合 し て で き た 部 分 冠 詞
6つ
し 相 手 を さ す2人
を も ち(男
のtu(補
複 数 形dei/ 複 数 形delle),
の
称 代 名 詞 は,そ
よ う で あ る.
性 単 数 形del/dello/dell',同
私
私 の い と しい 父 」,
称 代 名 詞 の 形 態 は,表2の
性 単 数 形della/dell',同
mio「(他
定 形 容 詞 な ど の 限 定 辞 を伴 って
イ タ リア 語 は,フ ラ ン ス 語 と同 じ く,ラ テ ン語 のDEに
degli,女
問形 容
比 的 に用 い られ libro
称 の 前 で は 定 冠 詞 は 使 用 さ れ な い(例:mio
imiei
ど),
般 に 名 詞 に前 置 さ
有 形 容 詞 は,対
示 形 容 詞,不
の 父 」,cf.il
こ の 」,
私 の 」,な
ど の 」 な ど)は,一
定冠
と って 未知 の もの を表 わ す 名 詞 の前 で 用 い ら
れ る(例:Ho
数 形 容 詞,指
た だ し,他
口で 説明 す る こ と
鍵 を 下 さ い 」),後 者 は 特 定 化 さ れ ぬ も の,聞
povero
povero「
使 用 さ れ る(例:un
用 い られ る. 定 冠 詞
dia la chiave.「
uomo
音の
知 の もの を表 わ す 名 詞 の前 で 使 わ れ
る の に 対 し(例:Mi
patria「
御 親 切 な お 招 き 」),と
っ き り と 意 味 を 分 化 さ せ て い る もの が い く つ
冠 詞,指
音 の 前)が,女
音 の 前)が
と 不 定 冠 詞 の 使 い 分 け に つ い て,一 は 難 し い が,基
他 の子音の
性 単 数 形 と し てla/l'(母
飾的 に 用 い られ る場 合
る 場 合 は 名 詞 に 後 置 され う る(例:il
性 複 数 形 と し てi/gli(s類
性 複 数 形 と し てleが
形 と し てuna/un'(母
に 性単
子 音z,gn,ps
音 と 略 記 〕 の 前,ilは
音 の 前)が,女
詞 は,男
」に由来す る
の 区 別 は,後 続 語 の 語 頭 音 の
前 で 用 い られ る)が,男
前)が,女
な わ ち,定
母 音 の 前,loはs+
〔こ れ ら を 以 下,s類
音,母
「
テ ン語 の指
容 詞 が 前 置 さ れ る の は,そ
が で き る. 形 容 詞 に よ っ て は,名 っ て,は
名 残 り で あ る.
dolce
invito「
letteratura
ま ざ ま な 文 学 が あ る な か で)イ 方,形
の 形 容 詞 が 主 と し て 記 述 的,修
と し て 集 合 的 な 意 味 を 表 わ す こ の ‐aで 終 わ る 複 数 形 テ ン 語 中 性 名 詞 複 数 形(‐a)の
vino
口 の で は な く)甘 口 の ブ ド ウ 酒 」,la
タ リ ア の 文 学 」),一
gentile
構 成 員 」,同membra
の 形 容 詞 が 主 と して
定 的 に 用 い ら れ る 場 合 で あ り(例:il
italiana「(さ
くつ か の 名 詞 は 単 数 と 複 数 が 同 形 で あ
‐iの ほ か に,‐aで
membro,複
容 詞 が 後 置 さ れ る の は,そ
dolce「(辛
コ ー ヒ ー 」),単 音 節 語(例:re
お ま た,‐oで
の複数形
映 画 」)や,語
る.形
の 人 称 形 の う ち,話 語ti,te)は,友
人,家
称 単 数形
族 な ど親 しい 間 柄 の
人 間 を さす 親 称 の 代 名 詞 と 用 い ら れ,そ
れ ほ ど親 し く
な い,あ
る い は 敬 意 を 表 わ す べ き相 手 を さ す 敬 称 の 代
しで も用 い られ るloro(た
だ し,位 置 は 動 詞 の 後)に
名 詞 と し て は,元 来3人 称 のlei(補 語la,le,lei)が 一 般 に 用 い ら れ る.敬 称 のleiに 対 す る動 詞 の 活 用 形
代 わ って,単 数形 として も用 い られ るgliが,話
は3人
形 の間 接 目的 補語 人 称 代 名 詞 と直接 目的 補 語 人 称 代 名
称 単 数 形 が 選 ば れ,ま
た,共
起 す る形 容 詞 は,
ふ つ う,該 当 す る 人 物 の 性 別 に よ り,男 ず れ か の 形 を と る . 一 方,2人 vi,voi)は,親
性 形,女 性 形 い
称 複 数 形 のvoi(補
語
称,敬 称 い ず れ の 代 名 詞 と し て も 用 い ら
れ,leiに 今 日 で は,ご
葉 を 中心 に 勢 力 を伸 ば しつ つ あ る.な お ま た,非 強 勢
詞 とが 同 時 に用 い られ る場 合 に は,ふ つ う前 者 が 後 者 に先 行 す るが,そ の際,前 者 の語 尾 ‐iが ‐eに変 わ る (gliとleは,glie‐ 5)動
形 の 上 で 対 応 す る 敬 称 複 数 形 のloroは, く改 ま っ た 表 現 を す る と き以 外,あ
ま り
主 語 人 称 代 名 詞 は,主
語 を 他 と対 比 さ せ て 強 調 した
とな る).
詞
イ タ リア 語 は,ラ テ ン語 の 動 詞 の 複 雑 な語 形 変 化 を ひ き継 ぎ,1つ
用 い ら れ な い.
し言
の 動詞 が さ ま ざま な 語 形 変 化(活 用)を
行 な う. 活 用 は,人 称 に よ る変 化 を もた ない 不 定 詞,
り,文 意 が 不 明 瞭 に な る の を 避 け た りす る と き 以 外 は,
現在 分詞,過 去 分詞,ジ ェル ンデ ィ オ と,主 語 の 人 称,
省 略 さ れ る こ と が 多 い(例:Ho
数 に よっ て6つ ず つ(命 令 法 は5つ)の
cf,Io
ci vado,e
tu?「
fame.「
私 は 空 腹 だ 」,
私 は そ こ に 行 くが,君
強 勢 形 の 補 語 人 称 代 名 詞 は,動 直 接 目 的 補 語 に な っ た り(た
語 形 変 化 を行
な う 「時 称形 」 に また が っ て行 なわ れ る. 時 称 形 は,
は?」).
詞の直後におかれて
直 説法(現 在,近 過去*,半 前 過去*,未
だ し,esso,‐i,‐a,‐eを
過 去,大 過 去*,遠
来,前 未来*の8時
称),接
除 く),前 置 詞 を 伴 っ て 間 接 目 的 補 語 や 状 況 補 語 に な っ
去*,半 過 去,大 過去*の4時
た りす る.直
れを特
の2時 称),命 令 法(現 在 の1時 称 の み)の い ず れ か の 法
つ う非 強 勢形 の
に 分 類 され る.時 称形 は ま た,動 詞1語 で 表 わ され る
接 目 的 補 語,間
接 目的 補 語 は,そ
に 強 調 し て 表 現 す る の で な け れ ば,ふ 代 名 詞 で 表 わ さ れ る が,強
勢 形 の代 名 詞 を用 い る こ と
に よ っ て 強 調 的 表 現 が 可 能 に な る(例:Io non
lei.「 私 は 君 が 好 き な の で,彼
な い 」,A
te dico
お う」).非
la verita.「
す る 動 詞 形 態),命
Ti
君 に は本 当の こ と を言 定 詞,ジ
ェ
行 形 や種 々 の副 詞 節 を形 成
令法 の一 部 の活 用形 な ど には そ の 直
un
libro.「
la verita?「
な お,3人
君 に 本 を1冊
贈 ろ う」, Puoi
君 は 私 に 本 当 の こ と が 言 え る か 」).
称 複 数 の 間 接 目的 補 語 と し て は,前
イ
単 純 時 称形 と,「助 動詞(avere〔 本 来 の意 味 は 「持つ 」〕 ま た はessere〔
置詞 な
の 説 明 で,*を 付 した もの が 複合 時 称 形 で あ る). さて,活 用 の型 は,不 定 詞語 尾 が,I)‐are(<
1人 称 2人 称 3人 称
「私」 「君 」 男性 形
と も多 くの 動 詞 を擁 し,ま た,新 語 形 成 に お い て も っ と も生 産 的 な の は‐are活 用 で あ り,‐ire活 用 が そ れ に次 ぐ.不 規 則 な活 用形(特
勢
lui,egli
「そ れ 」
女性 形
esso
数
〔非 強 直接補 語 人称代名詞
me te
mi ti
mi ti
lui
lo
gli
la
le
se
si
si
形〕
「彼 女 」
lei,ella
lei
「そ れ 」
essa
essa
1人
称
「我 々」
noi
noi
ci
2人
称
「君 た ち 」
voi
voi
vi
3人
称 男 性 形 「彼 ら」
loro,essi
loro,essi
li
essi
essi
loro,esse
loro,esse
esse
esse
「そ れ ら」 女 性 形 「彼 女 ら」 「そ れ ら」 再 帰 形 「自 ら 」
勢 形〕 間接補 語 人称代名詞
esso
再 帰 形 「自 ら」 複
に 直説 法 現 在,接 続法 現
補 人
語 称代名詞
io tu
「彼 」
ラ
テ ン語 ‐are活 用 動 詞),Ⅱ)‐ere(< ラ テ ン語 ‐ere, ‐ere活用 動 詞),Ⅲ)‐ire(< ラテ ン語 〓 活 用 動 詞)
タ リア 語 の人 称 代 名 詞 〔強
数
本 来 の 意味 は 「 で あ る」〕)+動 詞 の 過
去 分 詞 」 で 表 わ され る複 合 時称 形 とに分 け られ る(上
主 語 人称代名詞 単
件 法(現 在,過 去*
のい ず れ で ある か に よ って 異 な る.イ タ リア語 で も っ
の 他 の 動 詞 形 に は そ の 直 前 に お か れ る(例:
regalo
dirmi
te,
女 が好 き なの で は
強 勢 形 の 補 語 人 称 代 名 詞 は,不
ル ン デ ィ オ(gerundio,進
後 に,そ
amo
称),条
過 去,
続 法(現 在,過
se
ci
vi
le
si
si
在,直
説 法 遠 過 去,過
‐ere活
去 分 詞 に 多 い)を
含 む 動 詞 は,
用 に も っ とも多 い .
以 下 に,3つ 詞amare「
の 活 用 型 を,規
愛 す る 」,temere「
則 的 な 変 化 を 行 な う動 恐 れ る 」,sentire「
く」 の 単 純 時 称 形 を 例 に 示 し て お く(表3参
聞
am‐i
tem‐a
sent‐a
am‐i
tem‐a
sent‐a
am‐ia‐mo
tem‐ia‐mo
sent‐ia‐mo
am‐ia‐te
tem‐ia‐te
sent‐ia‐te
am‐i‐no
tem‐a‐no
sent‐a‐no
照). 《接 続 法 半 過 去 》
イ
タ リ ア 語 規 則 動 詞 の 活 用
《不 定 詞 》 am‐a‐re
tem‐e‐re
sent‐i‐re
《現 在 分 詞 》 am‐a‐nte
tem‐e‐nte
sent‐e‐nte
《過 去 分 詞 》 am‐a‐to
tem‐u‐to
sent‐i‐to
am‐a‐ss‐i
tem‐a‐ss‐i
sent‐i‐ss‐i
am‐a‐ss‐i
tem‐a‐ss‐i
sent‐i‐ss‐i
am‐a‐ss‐e
tem‐a‐ss‐e
sent‐i‐ss‐e
am‐a‐ss‐imo
tem‐e‐ss‐imo
sent‐i‐ss‐imo
am‐a‐s‐te
tem‐a‐s‐te
sent‐i‐s‐te
am‐a‐ss‐ero
tem‐e‐ss‐ero
sent‐i‐ss‐ero
am‐a
tem‐i
sent‐i
am‐i
tem‐a
sent‐a
《命 令 法 現 在 》
《ジ ェ ル ン デ ィ オ 》 am‐a‐ndo
tem‐e‐ndo
sent‐e‐ndo
《直 説 法 現 在 》 am‐o
tem‐o
sent‐o
am‐ia‐mo
tem‐ia‐mo
sent‐ia‐mo
am‐i
tem‐i
sent‐i
am‐a‐te
tem‐e‐te
sent‐i‐te
am‐a
tem‐e
sent‐e
am‐i‐no
tem‐a‐no
sent‐a‐no
am‐ia‐mo
tem‐ia‐mo
sent‐ia‐mo
am‐a‐te
tem‐e‐te
sent‐i‐te
各 活 用形 は,語 幹 +幹 母 音 + 時 称 標 識 + 人 称 標 識 か
am‐a‐no
tem‐o‐no
sent‐o‐no
ら形 成 され て い る と考 え られ るが,幹 母 音 以 下 の 要素 は 部 分的 ない し全 面的 に融 合 して い る場 合 も少 な くな
《直 説 法 半 過 去 》 am‐a‐vo
tem‐e‐vo
sent‐i‐vo
い.‐ire活 用 に属 す る規 則 動 詞 には,上
am‐a‐vi
tem‐e‐vi
sent‐i‐vi
動 詞 と並 ん で,そ の活 用 形 の い くつ か に ラテ ン語 の起
am‐a‐va
tem‐e‐va
sent‐i‐va
am‐a‐va‐mo
tem‐a‐va‐mo
sent‐i‐va‐mo
動 接 辞(「∼ し始 め る」の意 を表 わ す 要素)に 由来 す る ‐isc‐ を 語 幹 の 後 に挿 入 す る型 の もの が あ る(例:finire
am‐a‐va‐te
tem‐e‐va‐te
sent‐i‐va‐te
am‐a‐va‐no
tem‐a‐va‐no
sent‐i‐va‐no
《直 説 法 遠 過 去 》 tem‐e‐i
sent‐i‐i
am‐a‐sti
tem‐e‐sti
sent‐i‐sti
tem‐e
「終 え る」 の 直 説法 現 在finisco「 私 は 終 え る」). イ タ リア語 の動 詞 体 系 に関 して,そ
の形 態 お よび機
能 上 の主 要 な 特徴 につ い て さ ら に述 べ る な ら,次 の よ
am‐a‐i
am‐o
にあげた型の
sent‐i
う な こ とが 指 摘 で き る. ⅰ)ラ
テ ン語 の完 了 語 幹 に基 づ く活 用 形 が 衰 退 し
(標 準 イ タ リア語 に残 った の は,ラ テ ン語 直 説 法 現 在 完
am‐a‐mmo
tem‐e‐mmo
sent‐i‐mmo
am‐a‐ste
tem‐e‐ste
sent‐i‐ste
了 に 由来 す る 直説 法 遠 過去 と,ラ テ ン 語 接 続 法 過 去 完
am‐a‐rono
tem‐e‐rono
sent‐i‐rono
了 に 由来 す る接 続 法 半 過 去 の み),代 わ って 助 動 詞 を用
am‐e‐r‐o
tem‐e‐r‐o
sent‐i‐r‐o
ⅱ)ⅰ
am‐a‐r‐ai
tem‐a‐r‐ai
sent‐i‐r‐ai
在 +過 去 分 詞)と,ラ
am‐e‐r‐a
tem‐e‐r‐a
sent‐i‐r‐a
ひ き継 い だ 直説 法 遠 過去 との 間 に機 能 上 の対 立 が 生 じ
am‐e‐r‐emo
tem‐e‐r‐emo
sent‐i‐r‐emo
た.前 者 は,過 去 の 事 柄 を何 らか の 意 味 で現 在 とつ な
am‐a‐r‐ete
tem‐a‐r‐ete
sent‐i‐r‐ete
が り を もつ もの と して 表現 す るの に対 し,後 者 は,過
am‐e‐r‐anno
tem‐e‐r‐anno
sent‐i‐r‐anno
am‐a‐r‐ei
tem‐a‐r‐ei
sent‐i‐r‐ei
am‐e‐r‐esti
tem‐e‐r‐esti
sent‐i‐r‐esti
am‐e‐r‐ebbe
tem‐e‐r‐ebbe
sent‐i‐r‐ebbe
am‐e‐r‐emmo
tem‐e‐r‐emmo
sent‐i‐r‐emmo
い た,分 析 的 な表 現 で あ る複 合時 称 が 発 達 した.
《直 説 法 未 来 》
《条 件 法 現 在 》
tem‐e‐r‐este
sent‐i‐r‐este
am‐e‐r‐ebbero
tem‐e‐r‐ebbero
sent‐i‐r‐ebbero
動詞の直説法現
テ ン語 の現 在 完 了 を形 の 上 で
去 の 出来 事 を現 在 とは 切 り離 され た事 柄 と して 表 現 す る.こ の2つ
am‐e‐r‐este
の時 称 形 に,過 去 の 事 柄 を そ の 継 続 的 な
広 が りの うち に とらえ る直 説法 半 過 去 を 加 え た 用 例 を 次 に あげ て お く. Io sono
nato(近
過去)nel
(半過 去)5anni fini(遠 「私 は1940年
1940.Quando 過 去)la
avevo
guerra.
に生 ま れ た.私 が5歳 だ っ た と き,
戦 争 が 終 わ った 」
《接 続 法 現 在 》 am‐i
に関 連 し,直 説 法 近過 去(助
tem‐a
sent‐a
この よ う に,標 準 イ タ リア語(ま
た,そ の 土 台 とな
っ た トス カ ナ 方 言)で
は,近
対 立 が 保 た れ て い る が,北 タ リ ア 語 で は,近 と が 多 く,逆
過 去 と遠 過 去 の 機 能 上 の 部 イ タ リアの 方 言 や 地 域 イ
過 去 が遠 過 去 に とって 代 わ られ る こ
に,南
部 イ タ リ ア で は,遠
過 去 が 標 準語
と し て で は な く,仮
想 上 の そ れ として 表現 す る場 合 に
多 く 用 い ら れ る. 接 続 法 が,あ 句(affinche「
る種 の接 続 詞 や 持 続 詞
∼ す る よ う に と」,prima
前 に 」,senza
che「
che「 ∼ す る
∼ す る こ と な し に 」)の 後 で 自 動
の 近 過 去 の 機 能 を 兼 ね て 用 い られ る こ と が 多 い.
的 に 用 い ら れ る の も,あ る い は 同 じ 接 続 詞 で あ っ て も,
ⅲ)語
次 に 直 説 法 が く る場 合 と接 続 法 が く る 場 合 と で 違 っ た
形1つ
で 示 された ラ テ ン語 の受 動 態 の 活 用形
(例:AMOR「
私 は 愛 さ れ る 」)が 廃 れ,助
単 純 時 称 に お い て はvenire〔 も)と
意 味 に な る こ と が あ る(Dice
動 詞(essere,
本 来 の意 味 は
「来 る 」〕
過 去 分 詞 を組 み 合わ せ た分 析 的 な受 動 表現 が そ
れ に と っ て 代 わ っ た(例:Eamato 皆 に 愛 され て い る」).な 受 身 の 代 名 詞siを
da
tutti.「 彼 は
お,イ タ リ ア 語 で は こ の ほ か, 語 は3人
称に
限 られ る)も 広 く用 い られ て い る(例:Si
vedono
due
ombre.「
の 場 合,「 ∼
影 が2つ
用 い た 受 動 表 現(主
見 え る 」).た
だ し,こ
に よ っ て 」 に 当 た る 行 為 者 は 表 現 され な い の が 普 通 で
cosi
perche
ridete.〔 直
説 法 〕 「君 た ち が 笑 う の で 彼 は そ ん な ふ う に 言 う 」, Dice
cosi
perche
ridiate.〔
接 続 法 〕「君 た ち が 笑 う よ
う に と彼 は そ ん な ふ う に 言 う」)の も,仮
想上の事柄 を
表 わ す と い う 接 続 法 の 本 質 か ら し て 納 得 が い く.Cerco una
persona
che
l'abbia
visto.(接
続 法)「 私 は
そ れ を 見 た か も し れ ぬ 人 を 探 し て い る(現
実 にそ うい
う人 が 存 在 す る か ど う か は 判 ら な い が)」 una
persona
che
l'ha
visto.(直
と,Cerco
説 法)「 私 は そ れ を
あ る.
見 た 人 を 探 し て い る(そ
ⅳ)あ
ら)」 と の ニ ュ ア ン ス の 差 も,同 様 の こ と か ら 説 明 が つ
る 種 の 動 詞 が,主
再 帰 代 名 詞(1人
語 と同 一 の 人 や も の を さ す
称mi,ci,2人
称ti,vi,3人
称si)
け ら れ る.ま
う い う人 が 存 在 す る は ず だ か
た,現 実 に 起 こ っ て い る,あ る い は 起 こ っ
を 能 動 態 の 活 用 形 の 前 に お き,「 自 ら を ∼ す る 」 「自 ら
た 事 柄 で あ っ て も,そ
に ∼ す る 」 な ど の 意 味 を 表 わ す 場 合 が あ り,こ
情 な ど に 力 点 を お い て 表 現 が な さ れ る 場 合 に は,接
の よう
に 用 い られ た 動 詞 を 再 帰 動 詞 と よ ぶ(例:Ada guarda
allo specchio.「
る」,Mi
sono
si
ア ー ダ は鏡 で 自 らの 姿 を見
comprato
un
libro.「 私 は 自 分 に 本 を
法 が 用 い ら れ る(例:Sono venuto.「
contento
che
tu
私 は 君 が 来 て く れ た の で 嬉 し い 」).た
こ の 場 合,特
に 口 語 な ど で,当
テ ン語 の 直 説 法 未 来 形 が,「 不 定 詞 +HABERE (元 来 は,「 持 つ 」 の 意.イ
は,直 sei
タ リア 語 のavere)
説 法 の 使 用 も可 能 で あ る(Sono venuto.).同
じ く,主
contento
同 時 に,「
び 帰 結 節 の 条 件 法)に
不 定 詞 +HABEREの
現 在 完 了 形(avere
の 遠 過 去 形)」 か ら ラ テ ン語 に は な か っ た 「条 件 法 」 な
ば み ら れ る (例:Se
る 形 態 が 生 じ た(例:canterebbe「
compravo〔
彼 は歌 うだ ろ う
に 」/琶/)
子 音 組 織 に お け る 顕 著 な 変 化 に,語
士階級の没落 とと
用 文 書,年
由 来 す る 二 重 母 音ahd./iu/が
れ ぞ れ 由 来 を 異 に す る が,Mhd.で
異 な った6種
い に統 一 語 に至 る こ とは な
教 文,公
由 来 す るahd./u/
ahd.liut,liuti(pl.):mhd.(liiite>)liute "Leute"
か っ た. 後 期 に な る と,説
ゲル マ ン語 〕/u/に
ⅲ )ah(1./iu/の
ア レマ ン 語 と 東
準 語 と な る 萌 芽 を 秘 め な が ら,宮
の
(ich)biutu"biete"
言
る 「宮 廷 的 詩 人 語(hofische
限 定 さ れ た 身 分 語 で あ っ た の で,騎
は,次
(germ.*beudu‐)ahd.(ih)biutu:mhd.
この 宮
フ ラ ン ケ ン 語 を ベ ー ス と し て 磨 き 上 げ ら れ た,い
を も ち,標
を数 え るに
あ る.
ⅱ )germ./eu/に
も
人 た ち は,ど
ま れ た . こ の 宮 廷 的 詩 人 語 は,洗
期 に は24個 除 く).mhd.iuに
長 母 音 化 し た/u/.
フ ラ ン ス 語 の 影 響 が み ら れ る.詩
語 に よ る 詩 作 を志 し た . こ う し て,北
の数は
音 の 独 立 に よ って 母音 音 素
(germ.*hnsa‐)ahd.hus,husir(pl.)>
ル マ ンの 伝 説 に 材 を と った英 雄 叙 事
『ク ー ドル ン 』(Kudrun,1230/40年
の 後,異
重 母 音/iu/を
の/u/が
紀 後 半 に は,/e/(閉
区 別 さ れ る よ う に な り,そ
hiusir:mhd,hus"Haus",hiuser(pl.) "Hauser"
『ニ ー ベ ル ン ゲ ン の 歌 』(Nibelungenlied,1200年
頃)や
に な っ た.そ
音音
の ウ ム ラ ウ ト/u/.
イ ツ文 学 最初
廷 文 学 の 多 く は,範
音)が
ⅰ )germ.〔 von
情 詩 人 ヴ ァ ル タ ー(Walther
Vogelweide)ら
紀 前 半 ま で は,母
で あ っ た が,す で に8世
至 っ た(二
大 叙 事 詩 人 ハ ル トマ
ッ トフ リ ー ト(Gottfried
な わ ち,8世
数 は さ ら に 増 加 し,Mhd.盛
ち,都 市 の 勃 興 に 伴 い,市 民 出 身 の 詩
Eschenbach),ゴ
期,す
音)と/e/(開
士 階級 か らす ぐれ た 詩
人 も こ れ に 加 わ る こ と に な る.三
Ahd.初
素 は16個
ら の 作 品 は 文 学 的 価 値 の 高 い も の で は な か っ た.12世
詩
二 重母 音
の 名 残 を と ど め て い る が,
職 者 た ち は 新 しい 情 勢 に 対 処 す る
der
長 母 音
に 区分 され
12世 紀 に 入 る と,聖
von
高 ドイ ツ語(中 期)と 中 高 ドイ ツ語 (盛 期)の 母音 音 素
期(約1170∼
期(約1250∼1350年)の3期
る . 初 期 の 前 半 はAhd.期
と お り で あ る.
古
ど.
高 ドイ ツ 語(約1050∼1350年)Mhd.
例,初
し,聖
組 織 は,表8の
学
Mhd.に
書 法 上,表
記 を
音 は,[p][t][k]で の ほ か,f
交 替 も あ る. は 黙 字 は な く,hを
こ と は な い.hは,語
延 音 記 号 と して 用 い る
頭 音 な い し 音 節 頭 音 で はNhd.
と 同 じ く有 声 気 音 で あ る が,語 /t//s/の
末 ・音 節 末 音,ま
前 で は 摩 擦 音/x/で
形 態 面 で は,語
は 別 の,独 立 し た 言 語 と し て 扱 う の が 適 当 で あ ろ う(→ 古 サ ク ソ ン 語).第2期
あ る.
尾 の 弱 化 に 伴 い,屈
失 わ れ た た め,冠
たは
が い え る が,ハ
折語尾の機能が
し て い っ たMnd.は,文
詞 や 代 名 詞 へ の依 存 が 強 ま った . 具
格 は ほ と ん ど消 滅 し て,前
のMnd.に
置 詞 句 に よ って 代 替 され る
つ い て も同 じ こ と
ン ザ の 没 落 後 は,急
中 低 ドイ ツ 語(Mnd.)は,初 よ う に,ラ
テ ン語 の 模 倣 に 終
始 す る こ と が な く な っ た.語
順 は,Nhd.に
か な り 制 約 は ゆ る や か で,接
続 詞 な し に従属 関 係 が つ
く ら れ る こ と も多 い.ま
年),盛 期(約1350年
比 べ れ ば,
た,性,数,格,人
称 の 不一
定 が 重 複 し て も,相
殺 され て
致 は め ず ら し く な い.否
傾斜
中 世 オ ラ ン ダ 語 と は 著 し く事 情 を 異 に す る.
よ う に な っ た. 統 語 面 で は,Ahd.の
速 にHd.に
章 語 として 独 自の 道 を 歩 ん だ
年)の3期
期(約1200年
∼1500年),後
∼1350
期(約1500年
∼1650
に 区 分 さ れ る.And.とMnd.の
は,文
献 上,約150年
And.の
文 献 は,ほ
あいだに
も の 空 白 が あ り,12世
紀 に は,
とん ど伝 え られ て い ない .オ ス トフ
ァ ー レ ン 出 身 の ア イ ケ ・ フ ォ ン ・ レ プ ゴ ー(Eike Repgow)私
肯 定 に な る こ と は な い.
von
撰 の 『ザ ク セ ン シ ュ ピ ー ゲ ル 』(Sach
ラ ン ス 語 か ら騎 士 文 化 に か
senspiegel,1221‐24年)が,ド
か わ る 多 く の 語 を 借 用 し た .そ の 大 部 分 は 消 滅 し た が,
書 と し て 重 要 で あ る.私
Abenteuer「
だ け で な く,オ ラ ン ダ や ポ ー ラ ン ド の 法 書 の 範 と な り,
語 彙 の 面 に お い て は,フ
冒 険 」,Lanze「
「ダ ン ス 」,Turnier「
槍 」,Preis「
試 合 」 な ど は,現
賞 」,Tanz
在 で も使用 さ
も,当
時,フ
ラ ン ス 語 か ら 借 用 さ れ た.ま
義 者 に よ っ て 造 成 さ れ た 抽 象 語 は,哲
た,神
ま た,各
れ て い る . 今 日 き わ め て 生 産 的 な 接 尾 辞‐ei,‐ieren 秘主
学 用 語 の基 礎 と
Nd.の
さ て,こ
こ で,同
時 代 の
れ た 東 方 植 民 に よ り,ま
常,次
の3期
∼1200年:古
か し,拡
deutsch,And.) ⅱ )約1200年
∼1650年:中
時 代 区 分 に な ら った もの で あ
はAltsachsisch(古
ク ソ ン語)の 別 称 で,古
ザ クセ ン語 ま た は 古 サ
英 語,古
北 海 ゲ ル マ ン語 に 属 し,Hd.と
オ ラ ン ダ 語 と 同 じ く, は,系
統 的 に 隔 た りの
あ る 言 語 で あ る(図1参
照).「 低 地 ドイ ツ 語 」 と い う概
念 が 現 わ れ る の は15世
紀 で あ る が,当
部 族 名(Sassen=Sachsen)に よ ば れ て い た.す
(低 地 ザ ク セ ン 語)の
時,一
な わ ち,Niedersachsisch
準 的 なHd,に
特 徴 に よ る とす る 説(し
Plat 'verstandlich'「
分 か りや す い,平
す る とす る 説 な ど,諸
ま り,
比 し て 「素
し ば し ば 蔑 語 的 ニ ュ ア ン ス を 帯 び る),オ
Platt(deutsch)は,話
な わ ち,古
紀 半 ば か ら15世
さ れ た.次
な わ ち,
し 手 の 意 識 の 上 か ら も,ド
サ ク ソ ン語 は,む
イ の
し ろ ドイ ツ 語 と
に法 律 心地
う し て,14世
紀 に か け て,方 言 色 を 残 し た 方 言 的 文 ュー ベ ッ クを 中心 に形 成
ⅰ )動
に,形 態 上 の 特 徴 を い く つ か あ げ て お こ う. 詞 の 直 説 法 現 在1・2・3人
称 の 複 数 語 尾 は,
‐enに 統 一 さ れ て い る(wi/gi/se maken,geven "geben") .こ れ は,東 低 地 ドイ ツ 語 地 域 の 特 徴 で,西
ⅱ )過
一 語 尾 は‐etで
あ る い はe‐ ⅲ )人
方,ge‐
称 代 名 詞 の1人
ⅳ )人
を も た な い か,
称 複 数 の 与 ・対 格 は,uns(他
多 い)で
称 代 名 詞 の1人
あ る.
称 単 数 の 与 ・対 格 は,mi(オ
ス トフ ァ ー レ ン 語 で は,mik/mek)で 数 もdi(オ Mnd.盛
物語
を もつ(例:
の 場 合 が あ る.
方 言 で は,usが
あ る.
去 分 詞 は,文 章 語 で は 接 頭 辞ge‐
gemaket,gegeven)が,他
明 な」 に 由来
説 が あ る .Nnd.す
章語 を必 要
期 に 至 っ て,中
移 っ た.こ
章 語(Schriftdialekt)が,リ
た が っ て, ラ ン ダ語 の
ツ 語 の 三 大 方 言 群 の 一 つ と し て 扱 わ れ る が,第1期 And.,す
は リ ュ ー ベ ッ ク(Lubeck)に
い う 呼 称 に と っ て 代 わ ら れ る が,
意 味 に つ い て は,「 平 坦 な(土 地)」,つ
最
ンザ都 市 間 の コ
ス ト フ ァ ー レ ン 語 が,特
低 地 ドイ ツ 語 地 域 で は,統
こ と で あ る.Sasseschは,17世
「低 地 の 」 こ と ば と す る 説,標 朴 で 粗 野 な 」Nd.の
ッ
期 に は,オ
語 の 分 野 で 影 響 力 を も っ た が,盛
般 に は,
よ っ てSassesch(サ
部
子 音 推 移 の 波 は,Mnd.の
ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を 容 易 に す る た め に,文
低 ドイ ツ 語(Neunieder
と し た.初
紀 後 半 以 降,Plattと
リ ジ ア 語 を 圧 迫 し た.し 干 の 失 地 も あ っ た.上
ハ ン ザ の 商 業 語 で あ るMnd.は,ハ
∼ 現 代:新
こ の 区 分 は,Hd.の
セ ン語)と
部 で は,フ
地 一 方 で は な く,若
盛 期 に お い て も北 上 を や め る こ と は な か っ た.
低 ド イ ツ 語(Mittel
deutsch,Nnd.)
る.And.
ルベ 川 以 東 のス ラ ヴ語 地 外 に と ど ま っ た の は,わ
プ ロ イ セ ン の ドイ ツ 騎 士 団 の 移 住 地 に す ぎ
ドイ ツ に は じ ま る 第2次
niederdeutsch,Mnd.) ⅲ )約1650年
紀 のハ ンザ の 繁 方 へ と言 語 圏 を 拡
う して,エ
な い . さ ら に,西 低 ドイ ツ 語(Altnieder
た,14,15世 た 西 方 へ,北
圏 内 に 入 り,圏
ず か に,東
に 区 分 さ れ る.
ⅰ )約800年
plattの
方 へ,ま
域 がNd.の
状 況 に 目 を 転 ず る こ と に し た い.Nd.は,通
イ ツ
紀 か ら14世 紀 に か け て 盛 ん に 行 な わ
大 し て い っ た.こ 低 ドイ ツ 語
法 な が ら権 威 を も ち,ド
地 の 都 市 法 に も大 き な 影 響 を 与 え た.
Mnd.は,12世
栄 に 伴 い,東
な っ た. 2‐b)中
イ ツ 語 に よる最 初 の法
あ り,2人
ス ト フ ァ ー レ ン 語 で は,dik/dek)で 期 の 主 要 作 品 と し て は,作
『狐 ラ イ ン ケ 』(Reinke
de
称単 あ る.
者不 詳 の韻 文 の
vos)が
あ る.1498
年,リ ュ ー ベ ックで 初 版 が 刊 行 され た.Nd. 訳 の 最 初 の 聖書 は,1478年,ケ
ル ンで 出版 された が,1494年
に
に さ れ た. ル タ ー は,「 ザ ク セ ン の 官 庁 に 従 っ て 」,す な わ ち,
印 刷 され た,い わ ゆ る 『リ ュー ベ ッ ク聖 書 』(Lubecker
マ イ セ ン ・ ドイ ツ 語 を 用 い て,聖
Bibel)は,「 北 ドイ ツ の 印刷 技 術 の 生 んだ 傑 作 」(シ ュ
事 した が,彼
の ド イ ツ 語 は,民
タム ラ ーW.Stammler)と
鮮 に な り,一
般 に も親 し ま れ や す か っ た の で,広
た た え られ た.
16世 紀 に 入 る と,ハ ン ザ は衰 退 の 一 途 を た ど り, Mnd.の た.ハ
商 業 語 も国際 舞 台 か ら退 場 せ ざ る を え な か っ ンザ 都 市 の 中心 は,リ ュー ベ ッ クか らハ ンブ ル
クへ 移 った が,Mnd.の
文 章語 を 支 え て き た 諸 官 庁
は,次 第 に官 用 語 と してHd.を
採 用 す る こ とが 多 く
れ た.い
期 新 高 ドイ ツ語(約1350年
市 の 興 隆,第2段
に,新
に は,旧
階 に入 った東 方 植 民,大 学 の 創 設,
タ ー 聖 書 は,西
へ,北
へ,そ
南 部 へ 浸 透 し て い っ た.ル
と し て,ク
ル(J.G.Schottel(ius))も
の も と に,共 通 文 章 語 へ の 道が 拓 かれ て い く,種 々の
高 く 評 価 し て い る.シ
可 能 性 を秘 めたFnhd.期
(Teutsche
Arbeit
的 著 作 で あ る.
業語 を 中心 とす るMnd.の
の共通文章
タ ー の言 語 を
ョ ッテル の
『ドイ ツ 語 法 』
SprachKunst,1641年),『
(Ausfuhrliche
印刷 業 者,宗 教 改 革 者,人 文主 義 者,文 法 家 た ちで あ
ドイ ツ に は,ハ ンザ 都 市 の 商
法 書(1578年)
ま た,ル
Sprache,1663年)は,Fnhd.期
っ た.中 世 後 期 に,ド イ ツ語 圏 に は,3つ
一的
紀 最大 の 文 法 家 とい わ れ る シ ョ ッテ
れ る.文 化 の担 い 手 は,市 民 階級,と りわ け,手 工 業 者,
語 が あ っ た. 第1に,北
後 に カ ト リ ック の
ラ ー ユ ス(J.Clajus)は,文
宗 教 改 革 と人 文 主 義 等 々,新 しい 社 会 的,文 化 的 状 況
して 注 目 さ
し て,最
タ ー の ド イ ツ 語 が,統
ター の ドイ ツ語 を ドイ ツ語 の 模範
を 著 し た が,17世
は,単 な る過 渡期 で は な く,
あ
章 語 の 地 な ら し の た め に 果 た し た 役 割 は,
諸 官 庁 にお け る ドイ ツ語 使 用の 増 加,印 刷 術 の 発 明,
ま った く独 自 の語 期(Sprachperiode)と
く歓
約 聖 書 が 直 接 原 典 か ら翻 訳 さ
約 ・新 約 全 聖 書 が 完 訳 され た . ル
き わ め て 大 き い.ル
∼1650年)都
衆語 に よ って 表 現 が新
わ ゆ る 『九 月 聖 書 』(Septemberbibel)で
る .1534年
なNhd.文
な った. 3)初
迎 され た.1522年
書 の ドイ ツ 語 訳 に 従
以 下 に,Fnhd.の Fnhd.の
von
der
ドイ ツ語 詳 説 』 Teutschen
Haubt
の掉 尾 を 飾 る 記 念 碑
言 語 特 徴 を 述 べ る.
前 期(約1350年
∼1500年)に
は,Mhd.
が 色 濃 く名 残 を と ど め て お り,後 期(約1500年
文 章語 が あ り,第2に,東
中部 ドイ ツ に は,東 方 政 策 に よっ て,13世 紀 以 来,マ
年)は,ル
∼1650
タ ー の ドイ ツ 語 に よ っ て 代 表 さ れ る.
イ セ ン ・上部 ザ ク セ ン地 域 には,入 植 者 の 方 言 が 混 じ
音 韻 面 で は,特 に 母 音 組 織 に 顕 著 な 変 化 が み ら れ る.
り合 っ て,一 種 の平 均 的 ドイ ツ語 が生 まれ て い た.こ
(Fnhd.の
れ は さ ら に,エ ア フル ト(Erfurt)を 中心 に形 成 され た
の で,Nhd.の
テ ユー リ ンゲ ン ・上 部 ザ ク セ ン地 域 の商 業 語 兼 通 用 語
主 な 特 徴 は,そ
の ま ま,Nhd.に
通 用す る
例 を 用 い る).
ⅰ )Mhd.の
二 重 母 音ie,uo,ueは,単
母音化 し
を 併 せ て,「 東 中部 ドイ ツ文 章語 」 が成 立 した.第3
て 長 母 音i,u,uに
な り,逆
は,上 部 ドイ ツ 語地 域 に,皇 帝 庁 の ドイ ツ語 を範 と し
i,u,iu[y:]は,二
重 母 音 化 し て,ei,au,eu/
て 成立 した 上 部 ドイ ツ文 章 語,い わ ゆ る 「 共 通 ドイ ツ
auに
語(das
mhd.lieben
Gemeine
Teutsch)」
で あ る.低 地 ドイ ツ語
の文 章語 は,ハ ンザ の衰 微 と ともに,統 一 的 な共 通 語 の 指 導 権争 い か ら脱 落 し,東 中部 ドイ ツ文 章語 が 低 地 ド
mhd.min 〓
イ ツ 語 地 域 を も支 配 した .一 方,16世 紀 に は,ス イ ス
Haus「
レマ
ⅱ )開
guoten
hus>nhd.mein
音 節 の,ア
mhd.sagen>nhd.sagen「
賞 賛」
は,e,iが
統 一 的 な 標 準 語 が 成 立 す る.標 準 語 の 母 胎 とな った の は,従 来,東 中部 ドイ ツ語 で あ った と説 か れ て きた が,
mhd.finf>nhd.funf「5」
1960年 代 以 降,都 市 の 記 録文 書 の精 細 な 研 究 に よ っ
子 音 組 織 で は,次
て,東 中 部 ドイ ツ語 だ け で な く,上 部 ドイ ツ語 地 域 を
ⅰ )流
円 唇 化 し て,o,uに
の 特 徴 が 認 め ら れ る.
音 の あ との 音 節 頭 音h,uの
含 めた,諸 官 庁 を中 心 とす る地 方 的 共 通 語 が互 い に 影 響 し合 って,均 一化 の過 程 を た どる 中 で,統 一 的 な 共
mhd.schouwen>nhd.schauen「
通 語 が成 立 した こ と,し か も,均 一 化 は,話
mhd.bevelhen>fnhd.bevelen>nhd.(延 音 符hが
な っ た.
地獄」
音wが
で は な く,文 章 語 の レベ ルで 行 な わ れ た こ とが 明 らか
音化
言 う」
mhd.lop>nhd.Lob「
mhd.helle>nhd.Holle「
し こ とば
neues
ク セ ン トの あ る 短 母 音 は,延
ン語 の 共 通 文 章 語 が 生 ま れ たが,17世 紀 の あ い だ に,
ⅲ )Obd.で
gute
私 の新 しい家 」
上 部 ドイ ツ文 章 語 に吸 収 され,ド イ ツ語 は,東 中 部 ド
に入 る.そ して,18世 紀 末 か ら19世 紀 初 め に か け て,
brueder>nhd.liebe
愛 す る よ き兄弟 た ち」
し た.
イ ツ文 章 語 と上 部 ドイ ツ文 章語 の 対 立 の ま ま,18世 紀
長母音
な っ た.
Bruder「
に,同 地 の 印 刷 業 者 の バ ックア ップ に よ って,ア
に,Mhd.の
あ との 音 節 頭
脱 落 した.
加 わ り)befehlen「
見 る」
委 ね る」
ⅱ )dとtが
しば しば交 替 し た.
も,18世
deutsch:teutsch ⅲ )語
中 音,語
末 音 の 同 化 現 象.
形 態 面 で は,次
子羊」
の 特 徴 が 認 め ら れ る.
変 化 動 詞 の 過 去 時 制 の 単 数 と複 数 が 同 一 の 幹
ⅱ )現
half,wir
half,wir
hulfen
halfen
ー
る 古 典 派 や,こ
ラ ー(Fr.Schiller)を
で は4つ
ある
を 中 心 と し て,ド
は 未 曾 有 の 黄 金 時 代 を 迎 え た が,文
の 変 化 体 系 が あ り,地
域的 に
異 な る.
え ら れ て,広
育,交
ヤ ー コ プ ・グ リム(Jacob
Grimm)に
1世 紀 余 の 歳 月 を 経 て,1960年 (Deutsches
の 聖 書 の 翻 訳 と並 ぶ 壮 挙 で あ る.
は,ウ
統 語 面 で は,ラ
の 体 系 に 統 合 さ れ た)
テ ン 語 の 影 響 に よ り,論
16世 紀 以 来,定
動 詞 の 位 置,特
に,従
属 文 に お け る定
動 詞 の 後 置 が 固 定 化 し た. 語 彙 面 で は,外
来 語 の 流 行 と,こ
れ を阻 止 す るた め
の 国 語 浄 化 運 動 が 特 徴 的 で あ る.1617年,ヴ 設 立 され た
ァイ マ ル 称,棕
Gesellschaft
に は,高
oder
名 な詩人 や 文 法 家 た ち
が 会 員 と して名 を 連 ねて い る. ∼ 現 代)
17世 紀 以
範 文 法 を 求 め て努 力 を重 ね て き
紀 に 入 る と,語 学 界 の 大 御 所 ゴ ッ ト シ ェ ー ト
(Joh.Chr.Gottsched)と Adelung)が,指
ア ー デ ル ン グ(Joh.Chr. 導 的 役 割 を 演 じ た.名
詞 をHauptwort(主
解 す る彼 らの
ら は,上
部 ザ クセ ン
衆 語 を純正 で な い もの
と し て し り ぞ け た の で,ル タ ー に よ っ て 拓 か れ た 道 が, 一 時 的 に 閉 ざ さ れ る 結 果 に な っ た .し ェ ー ト と そ の 一 派 が,規
か し,ゴ
ッ トシ
範 文 法 へ の 努 力 を 通 して,明
晰 な 文 体 の 建 設 に 多 大 の 寄 与 を し た こ と は,否 な い . そ の み ご と な 開 花 を,啓 レ ッ シ ン グ(G.E.Lessing)に 17,18世
で は,フ
事,建
築,服
に,
み る こ とが で き る.
装,料
会 万 般 にわ た
理,流
行等の分野
ラ ンス 語 系 の外 来 語 が 氾 濫 した . この よ うな
外 来 語 の 洪 水 に 対 す る 抵 抗 は,国 語 浄 化 運 動(Sprach purismus)に
発 展 し,19世
1901年
紀 ま で つ づ い た が,中
紀 初 め にか 源
ウ マ ー(R.von
主 張 す る慣 用 重 視 の 正 書 法 が 勝 利 を 占 め,
に ベ ル リ ン で 開 か れ た 第2回
正書法会議の成果
ン ラ ー ト ・ ド ゥー デ ン(K.Duden)の
『正 書 法 辞 典 』(Orthographisches が 出 版 さ れ た.オ
Worterbuch,1902)
ー ス ト リ ア,ス
に 同 調 し た の で,ド
イ ス も,こ
イ ツ 語 圏 全 域 に,統
が 行 な わ れ る よ う に な っ た.ド
シ ェ ー ト以 来,一
の正書法
一 的な正書法
ゥー デ ン の 正 書 法 は, りわ け,ゴ
ッ ト
般的 に な った 名 詞 の 大文 字 書 きに 対
す る 風 当 た り は 強 か っ た.し 書 法 改 革 に 関 す る,い
か し,第2次
大 戦 後,正
わ ゆ る 「ヴ ィ ー ス バ ー デ ン 勧 告
Empfehlungen,1958)」
を は じめ
と す る 再 三 の 改 革 案 に も か か わ ら ず,ド 国 の 歩 調 が 揃 わ ず,い
イ ツ 語 圏4か
ま だ に名 詞 の 小 文 字 書 きは 実 現
す る に 至 っ て い な い. 発 音 の 統 一 も,19世 年,フ
典 』(Deutsches
の
紀 以 来,よ
う や く機 が 熟 し,1885
ィ ー エ トル(W.Vietor)の
『ドイ ツ 語 発 音 辞
Aussprache‐Worterbuch)が
づ い て,1898年
に,ジ
刊行
ー プ ス(Th.Siebs)
『ド イ ツ 語 舞 台 発 音 』(Deutsche Buhnenaus
sprache)が
出 版 さ れ た.こ
重 視 す る も の で あ っ た が,低
れ は,舞
い 傾 斜 が 特 徴 と な っ て い る.フ 記 号 を 用 い た の に 対 し,ジ
台 俳 優 の発 音 を
地 ドイ ツ 語 の 発 音 へ の 強 ィ ー エ トル が 国 際 音 声
ー プ ス は,方
に 用 い ら れ る 記 号 を 用 い る な ど,学
言の音声記述
問 的 に は,フ
エ トル が す ぐ れ て い た に も か か わ ら ず,学 で
ター
書 法 は,語
を 重 視 す る 歴 史 的 正 書 法 に 対 し て,ラ
さ れ,つ
定 でき
蒙 主 義 者 た ち,特
紀 の フ ラ ン ス 語 の 影 響 は,社 に,軍
紀 末 か ら20世
う や く実 現 の 運 び に な っ た.正
案(Wiesbadener
詞 の 大 文字 書
要 品 詞)と
文 法 観 に 基 づ く も の で あ っ た.彼 語 を 文 章 語 の 模 範 と し た が,民
イ ツ 語 史 上,ル
も ち ろ ん 数 々 の 矛 盾 を 含 ん で お り,と
高 ドイ ツ 語(約1650年 法 家 た ち は,規
け て,よ
に 基 づ き,コ
「実 り を 結 ぶ 会,別
櫚(しろ)の ゆ 会(Fruchtbringende
っ た が,特
は じ ま る ドイ ツ
準 語 の成 立 の た め の必 須 の 条件 と され る正
書 法 と 発 音 の 統 一 は,19世
Raumer)の
に 設 立 さ れ た 一 連 の 言 語 協 会(Sprachgesellschaft)
Palmenorden)」
Worterbuch)は,ド
さて,標 理関係の明
確 さ が 求 め られ る よ う に な っ た . 複 合 文 が 多 用 さ れ,
き は,名
し て,
に完 成 した グ リム辞 典
エ)‐(e)n,‐(e)n,‐(e)n
た.18世
聞 等 に支
一 語 へ の 道 を 着 実 に 進 ん で い く.
ウ)‐(e)n,‐(e)t,‐(e)n
来,文
通,新
語 の 科 学 的 研 究,国 民 の 言 語 意 識 の 高 揚 と あ い ま っ て, ドイ ツ 文 章 語 は,統
4)新
学 を通 して 磨 き上
く 一 般 の 階 層 に 浸 透 し て い っ た.そ
イ)‐(e)n,‐(e)nt,‐(e)nt
(Weimar)に
人,思 イ ツ文 学
つ て の 中高 ドイ ツ語 の 詩 人 語 の
ア)‐(e)nt,‐(e)nt,‐(e)nt
(Nhd.で
代 表 とす
れ に つ づ く ロ マ ン派 の 作 家,詩
よ う に 衰 退 す る こ と は な く,教
3人 称 そ れ ぞ れ は,‐(e)n,‐(e)t,‐(e)ntで
der
ツ 語 の 文 章 語 を 文 化 言 語 の レ ベ ル に 高 め た の は,ゲ
げ ら れ た 文 章 語 は,か
在 人 称 変 化 の 複 数 語 尾 は,Mhd.で,1・2・
が,Fnhd.
イ
想 家 た ち で あ っ た.1800年 助 け る 」:ich
>nhd.ich
作 を 通 じ て, か し,ド
テ(J.W.Goethe),シ
母 音 に な っ た. mhd.helfen「
ン ペ(J.H.Campe)は,著
ドイ ツ 語 の 語 彙 に 大 き な 影 響 を 与 え た.し
mhd.lember>nhd.Lemmer「
ⅰ )強
紀 の 語 彙 を大 辞 典 に ま で ま と め あ げ た ア ー デ
ル ン グ や,カ
ィー
界 にお け る
ジ ー プ ス の 権 威 が,「 舞 台 発 音 」 に よ っ て 発 音 の 規 範
を つ く り 上 げ た.ジ
ー プ ス の 発 音 辞 典 は,そ
の 後,た
2.2. ―(eds.)(1983),Duden.Deutsches
び た び 版 を 改 め,「 舞 台 発 音 」 の タ イ トル も 削 ら れ た .
Universalworterbuch(Bibliographisches
シ ュ テ ッ ツ ァ ー(U.Stotzer)を
tut,Mannheim/Wien/Zurich)―3段
代 表 と す る 東 ドイ ツ
の 研 究 グ ル ー プ に よ る 新 し い 発 音 辞 典 は,社 的 立 場 に 立 っ て,慣
会言語学
用 に規 準 を 求 め て い る.ま
範 性 を 重 ん ず る ド ゥ ー デ ン の 発 音 辞 典 も,改 っ て,慣
た,規
西 両 ドイ ツ,オ
の ドイ ツ 語 は,そ
れ ぞ れ の 標 準 語 を も っ て お り,微
ー ス ト リア,ス
イス 妙
の ドイ ツ の ドイ ツ 語 は,統
語 面 で は ほ と ん ど 変 わ ら な い が,語
彙 面 で は,政
治体
ドイ ツ で は,「 政 治 的 広 報 活 動 」 を 意 味 し,ポ
ン ビ ナ ー ト)な
Verlags‐Anstalt,Wies
baden/Stuttgart)―
き.文
全6巻,5,121ペ
語 . う ち,外
以 来,版
Worterbuch 組 み,1,493ペ を 重 ね(1980年
は,Bertelsmann,Gutersloh),3.1.の
ベー スにな
語 が 豊 富 で あ る.
4.1. Springer,O.(ed.)(1974‐75),Langenscheidts
und
deutschen
und
D.Sanders,2.Teil:Deutsch‐Englisch
nautと
ドイ ツ で は,ロ
い うが,と
な お,東
シ ア 語 に な ら っ て,Kosmo
も に ギ リ シ ア 語 系 の 語 で あ る.
西2つ
の ドイ ツ が 誕 生 し,言
分 が 消 滅 し た1945年
Ⅰ)現
期の
1.1. Klappenbach,R.und
W
(1964‐77),Worterbuch
Gro〓worterbuch deutschen
der
Verlag,Ost‐Berlin)― 出 し語,約10万
.Steinitz(eds.)
englischen
Kleine
deutschen
Gegenwartssprache 東 京)―2,882ペ
ー ジ.見
家 賞 を 受 賞.語
彙の細かい
の 辞 書 に も 影 響 を 与 え た.重
Kleines
(Schwann,Dusseldorf)
Ⅱ)語
der
deutschen
Gegenwartssprache
語 . 上 のWDGの
2.1. Drosdowski,G.et
出
簡 約 版. al.(eds.)(1976‐81)
Duden.Das 〓
Worterbuch
Sprache(Bibliographisches /Wien/Zurich)― 語 彙 が 豊 富 で,日
全2巻.見
常 語,専
源 の 記 載 も あ る.
der
,
deutschen
Institut ,Mannheim 全6巻.2,958ペ
ー ジ.
門 語 も多 数 採録 され て い
に, 版
des
,
DDR‐Wortschatzes
東 ドイ ツ の 新 語 』(同 学 社,東
京)
義 の 歴 史 的 変 遷 を 記 述 し た 新 高 ドイ ツ 語 辞 典
1.1. Grimm,J.und
,Handwor
語.特
科 項 目 を 多 く採 録,図
B.Stube‐Edelmann(1980) Worterbuch
7. 根 本 道 也(1981),『
た(例:deutsch).
独 和 大 辞 典 』(小 学 館,
出 し語,約16万
も豊 富 で あ る. 6. Kinne,M.und
版に際
(Akademie‐Verlag,Ost‐Berlin)―
,19972),『 ー ジ.見
し て,特 に,政 治 的 な 観 点 か ら語 義 に 改 変 が 加 え ら れ
1.2. Kempcke,G.(ed.)(1984‐85)
.1.の 簡 約
重 要 語 の 記 述 が 詳 し い.百
全6巻.4,551ペ
に,DDR国
und
Muret‐San‐
ー ジ.
5. 国 松 孝 二 他 編(1985
語 .最 初 の 本 格 的 な 現 代 語 辞 典 と し
文 体 区 分 は,他
る.語
der
Sprache,"Der
補 訂 版.1,296ペ
〔略 称,WDG〕(Akademie
し語,約6万
E .Muret
Berlin/Munchen/Wien/Zurich)―4
代 語 を対 象 とす る一 般 語 義 辞 典
terbuch
englischen
ders",Deutsch‐Englisch(Langenscheidt,
書]
て,1978年
der
4.2. Mensinger,H.(ed.)(1982),Langenscheidts
を も って 言 語 史 の 上 で の新 しい
は じ ま り と み な す 学 者 も い る. [辞
Worterbuch Sprache,Begr.von
― 「独 ・英 の 部 」 全2巻.
語 の 島の 大 部
語 期 , 「現 代 ドイ ツ 語(Gegenwartsdeutsch)」
ー
版 まで の 出版 社
enzyklopadisches
と い い,東
出
源 つ
明 示 し て い る. 3.2. ―(1986),Deutsches
系 の 語 彙 素 か ら な っ て い る の が 特 色 で あ る.「 宇 宙 飛 語 に な ら っ て,Astronaut
語.語
詞 と形 容 詞 の 統 語 関 係 を
行 士 」は,西
ドイ ツ で は,米
ー ジ.見
来 語 約8万
型 番 号 に よ っ て,動
ジ .1966年
典語
Worterbuch(F.A.
Brockhaus/Deutsche
っ た.新
ど,古
al.(eds.)(1980‐84),Brockhaus
然
団),Exponat
圧 縮 した簡
語.一巻 本 の 中 で
Wahrig.Deutsches
(Mosaik,Munchen)―3段
シ ア 語 か ら借 用 され た も の が 少 な く
(陳 列 品),Kombinat(コ
‐
ジ
テ ィ ヴ に 解 され る . 東 ドイ ツ に お け る 外 来 語 は,当
な い が , そ の 多 く は,Kollektiv(集
の1に
っ と も内 容 が充 実 してい る.
し 語,約22万
制 の 違 い か ら,意 味 を 異 に す る こ と が め ず ら し くな い. 一例 を あ げれ ば ,Agitation「 煽 動,ア ジ テー シ ョン」
の こ と な が ら,ロ
内 容 を3分
3.1. Wahrig,G.et
わ け で は な い.東
は,東
は,も
全 な 意味 で統 一 され て い る
な 差 異 を 示 して い る .2つ
ー ジ .2.1.の
約 補 訂 版 . 見 出 し語 数,約12万
版 に あた
用 を顧 慮 し て い る.
ド イ ツ 語 の 標 準 語 は,完
1,504ペ
Insti 組 み,
W.Grimm(1854‐1960),
Deutsches
Worterbuch[DWB)(S.Hirzel,
Leipzig)―
全16巻(=32冊).1977年
にQuellen
verzeichnis
1巻 が 加 わ っ た.通
称,『 グ リ ム 辞 典 』.
グ リ ム 兄 弟 の 生 前 に は,第4巻 で し か 進 ま な か っ た が,遺 継 が れ,立
案 か ら120年
の 印 刷 年 は1960年
の 途 中 のFruchtま
業 は,後
代 の 学 者 に受 け
余 り を 経 て 完 了 し た.最
で あ る が,最
終
終 分 冊(widrig
Wiking)の
配 本 は,1961年1月.最
辞 典 で,16世
紀 以 降 の 高 地 ドイ ツ 語 を 見 出 し語 と し
大 の ドイ ツ 語
て,語
形,語
引 例 は,し
義,用
例 の 変 遷 を 詳 細 に 跡 づ け て い る.
ば し ば 中 世 に 遡 り,そ
随 を ゆ る さ な い.1984年
の豊 富 さは 他 の 追
にペーパ ーバ ックに よる
リ プ リ ン ト版dtv‐Deutsches Jacob
Grimm
und
が 刊 行 さ れ,入
Wilhelm
von
der
DDR
in
der
Wilhelm
von
Worterbuch
Akademie
von
der
Jacob
mit
Wissenschaften
zu
Grimm
以 来,分
東 ドイ ツ,D‐Fを
Ⅴ)語
冊が刊行中であ
西 ドイ ツ が 担 当 し て
,
常 語 的,俗
出 し 語,約12万
語.慣
語 的 表 現 の 集
用 句 の 由 来 や 年
版 は,1,200点
代
に も 上 る.
源 辞 典 W.Mitzka(eds.)(197521),
Etymologisches
西両
Worterbuch
Sprache(de
der
deutschen
Gruyter,Berlin/New
York)
ド イ ツ 語 の も っ と も 代 表 的 な 語 源 辞 書 で,通 Kluge.
称 は,
典 拠 や 文 献 が 示 さ れ て い て 便 利 で あ る.初
版 は,1883年.
い る. 2. Gotze,A.und
W.Mitzka(eds.)(1939‐57),
Trubners
Deutsches
Berlin)―
全8巻.語
者Karl
Trubnerを
半 に は,ナ
拠 を
チ文 献 か ら
名 は,〓
の出版
の 第5版
著.東
ドイ ツ で も,時
に よ り,新
し て,次
刊 が 予 告 さ れ て い る 大 辞 典
York)―
たSchulzの
遺 志 をBaslerが
に は,Mannheimの
O.Springer(eds.)(1988‐), Worterbuch
受 け 継 ぎ,最
終的 fur
と え ば,『 グ リ ム 』 に は,
欠 け て い る が,本
料 目 録,逆
引 辞 典)が 分 冊 の 形 で 刊
も多 く の 外 来 語 が 含 ま れ る が,両 の2書
ドイ ツ
der
(Bibliographisches /Wien/Zurich) 3. Kufner,R.(ed.)(1977,19802),〓
Enzyklopadie",
Sprache,2
Bde.
Institut,Leipzig)
al.(eds.)(1973,19802),Lexikon
Germanistischen
Linguistik〔LGL〕(Niemeyer,
Tubingen) Besch,W.,Knoop,U.,Putschke,W.und
H.E.
Wiegand(eds.)(1982‐83),Dialektologie. Handbuch
zur
deutschen
und
Dialektforschung(=Handbucher zur
allgemeinen Sprachund
Kommunikationswissenschaft,hrsg.von G.Ungeheuer
Institut,Mannheim
deutsche
Bibliographisches
Althaus,H.P.et
が あ る.
2. Drosdowski,G.(ed.)(19824),Duden.Fremdworterbuch
Deutschen(Akademie‐Verlag,
al.(eds.)(1969‐70),"Kleine
(VEB
Ein
行 中 で あ る.
の 手 ご ろ な 外 来 語 辞 典 と し て,次
+
[参 考 文 献] Agricola,E.et
書 のKultur,
項 の 解 説 は 詳 細 を 極 め る).1984年
以 降,第7巻(資
全8巻 ド イ ツ 語 の 語 源 辞 典.
全3巻.
Die
化
来 語 の 手 薄 な グ リム辞 典 を補
う 役 割 を 果 た し て い る(た
des
Ost‐Berlin)―
刊 行 以 来,70
年 を 経 て 完 成 し た . 外 来 語 に 関 す る 言 語 史 的,文
Cultur/Kulturが
Worterbuch
に戦 没 し
ドイ ツ 語 研 究 所(Institut
史 的 資 料 集 と し て,外
Althochdeutschen
5. Pfeifer,W.(ed.)(1989),Etymologisches
Gruyter,
よ り,第1巻
des
(Vandenhoeck,Gottingen)―
全6巻.1915年
Sprache)に
etymologisches
)
Etymologisches
ド イ ツ のH.
Fremdworterbuch(de
と
の も の が あ る.
別 巻 「イ ン デ ッ ク ス 」. 古 高
Berlin/New
Ⅰ .2,Ⅰ.3.に
よ び,近
4. Lloyd,A.L.und
を 同 じ く し て,A.Schirmer お,西
目数
Worterbuch(C.Winter,Heidelberg
O.Basler(eds.)(1913‐83),
Zivilisationの
項
り も 多 い.
版 は,1897年.
来語辞典
deutsche
はKlugeよ
版 が 進 行 中 で あ る.
1. Schulz,H.und Deutsches
Sprache(Bibliographisches
Institut,Mannheim/Wien/Zurich)―
史 的 変 遷 を簡 潔 に 解 説 した名
に よ る 改 訂 版 が 現 わ れ た.な Henneら
deutschen
3. Hiersche,R.(ed.)(1986‐),Deutsches
に 基 づ く改 訂 版.初
語 義 の 本 源 に 遡 り,歴
der
分 冊 刊 行 中,お
記 念 し て 命 名 さ れ た. W.Betz(eds.)(19818)Deutsches
Worterbuch(Niemeyer,Tubingen)― 1935年
al.(eds.)(1963,19892),
Duden.Etymologie.Herkunftsworterbuch
Gruyter,
義 の 歴 史 的 展 開 を,典
の 引 例 も 少 な くな い.書
3. Paul,H.und
2. Drosdowski,G.et
Worterbuch(de
示 し な が ら 説 明 し て い る.前
Ⅲ)外
全8巻.日
1. Kluge,Fr.and
Akademie
部 の 新 訂 版.東
ドイ ツ 協 力 の 下 に,1965年 る.A‐Cを
der
Lexikon
Umgangssprache(Klett
が 記 さ れ て い る.図
der
Institut,
語 辞 典
deutschen
大 成.見
Gottingen,S.Hirzel,
Leipzig)―DWBのA‐Fの
常 語 辞 典,俗
Stuttgart)―
Wissenschaften
Zusammenarbeit
Ⅳ)日
der
Grimm.Neubearbeitung(Hrsg.
Bibliographisches
Kupper,H.(ed.)(1982‐84),Illustriertes
Grimm(33巻)
手 しや す く な っ た.
1.2. Deutsches und
Worterbuch
(VEB Leipzig)
2
Halbbde.〔HSK
New
York)
Fremdworterbuch Besch,W.,Reichmann,O.and
und
H.E.Wiegand,Bd.1), 1〕(de
Gruyter,Berlin/
S.Sonderegger
許 容 さ れ る.
(eds.)(1984‐85),Sprachgeschichte.Ein Handbuch
zur
deutschen
Sprache
Erforschung(=Handbucher
und
zur
und
Sprach‐und
し語 数 は20万
Gruyter,Berlin/New
und
Wortgeschichte,
Gruyter,Berlin/New
(eds.)(1951‐80),Deutscher
エ)前
mologisches
Wortatlas〔D
(1989)は,旧
der
水 社,東
ド イ ツ 語 史 』(白
al.(eds.)(1983),"Kleine
Bibliographisches
Institut,Leipzig)
der
Mundart Laut‐und
deutschen
von
Mundarten.Aus
und
dem
Russischen
う し ょ)ケ ル ト語
ラ テ ィ ア 語,お
1500,Bd.1:
る.ケ
(1969)(E.Schmidt,Berlin) W.Mitzka(eds.)
(1926‐56),Deutscher
は,破 gwhの 独 が 西 独 に 吸 収
し た.言
治 体 制 を 異 に
語 面 で は,影
さ れ る 形 で,
響 の 一 つ と し
した 東 部 の 人 た ち の 語 彙 使 用 の 誤
法 が 承 認
イ ツ 語 を 公 用 語
と す る 国 家 間 で,新
さ れ,1998年8月1日
な っ た.改 今 回 も 見 送
ら れ た.な
し い 正 書
か ら 施 行 さ れ る こ と に
正 は 一 般 に 控 え 目 で,名 お,従
よ び,ブ
コッ ト
リソニ ッ ク リタ
る い は ブ リテ ィ ッ シ ュBritish な わ ち,ウ
ェ ー ル ズ 語,コ
ー ンウォ
括 し て よぶ 名 称 で あ
ル ト語 の 分 類 に は,以 上 の 地 理 的 区 分 の ほ か に,
詞 の 小 文 字 書 き は
来 の 正 書 法 は2005年
ま で
系 列 で あ る.こ
れ ら が,原
の 段 階 で のbに
よ びgwが
経 てgに に,残
は,も
と のbの
合 流 し,有
ほ
声 帯 気 音 は す っか り消失 し
る 口 蓋 唇 音(labiovelar)kWは,や
合 流 す る.一
(allophone,)と
た は
含 ま れ て い る . な お,gwhは,
て 唇 音 の 要 素 を す てkと (c)と
ケ ル ト語(ま
お い て は,(p),t,k,kW;b,d,g
と な っ て い た.こ か に,bhお
た.次
っ と も顕 著 な 存 在
裂 音p,t,k,kw;b,d,g,gw;bh,dh,gh,
共 通 ケ ル ト語)に
ghを
り や 戸 惑 い が あ げ ら れ よ う. 2)ド
イ ル ラ ン ド語,ス
ン 島 語),お
印 欧 祖 語 に お け る 子 音 の 中 で,も
Sprachatlas〔DSA〕,23
記]
ドイ ツ 統 一 が 実 現
な わ ち,ア
イデル
るい は ゲ ー ル
あ る種 の 音 韻 に つ いて も併 せ 考 え る の が常 で あ る.
Lieferungen(Elwert,Marburg)
1)1990年10月3日,東
ー ロ ッ パ 大 陸 の ケ ル ト語 に 対
ー ル 語 ,お よ び,ブ ル ト ン 語)を,一
Bde.+Registerband
ル トイ ベ リ ア
近 で は し ば し ば レ(ー)
き に ブ リ トニ ッ クBrittonic,ブ
と もい う)語 群(す
Stammler,W.(ed.)(1952‐57,1957‐622),Deutsche
Wrede,F.,Martin,B.und
Celtic,
ー ル 語,ケ
よ び,最
ニ ッ クBritannic,あ
im 〓,3
郁 雄)
insulaire
き に ゲ ー リ ッ クGaelic,あ
(Brythonic,と
Sprachgeschichte(E.Schmidt,Berlin)
Philologie
庫 の
リ テ ン 諸 島 に 伝 わ る ゴ イ デ リ ッ ク(ゴ
ラ ン ドゲ ー ル 語,マ bis
英Insular
celtique
嶼 ケ ル ト語 と は,ゴ
語,ガ
と も い う)語 群(す
Philologie
Verlagのdtv文
(橋 本
Goidelic,と
Berlin)
て,政
を 重 ね て い る(1995,19972).
し て,ブ
bearbeitet
Schmitt,L.E.(ed.)(1970),Kurzer 〓
[追
Taschenbuch
ポ ン ト語 を も 含 め た,ヨ
wissenschaftlich
ー ジ)と の縮 刷 版
[ケ ル ト諸 語 の 分 類 と そ の 相 対 的 年 代]
W.Fleischer(Akademie‐Verlag,Ost
germanischen
+1,665ペ お,第2版
一 冊 と し て ,版
島 嶼(と
イツ
発 行 さ れ た.
がDeutscher
1)島
Formenlehre
(Originalausgabe,Moskau,1956) ubersetzt
本(ⅩⅩⅦ
容 に 縮 小 は な い.な
独Inselkeltisch,仏
Schirmunski,V.M.(1962),Deutsche
Bde.
東 独 の イ デ オ ロ ギ ー と は 無 縁 で,ド
Enzyklopadie",
Sprache(VEB
kunde.Vergleichende
導 下 に 成 っ た 《Ety des Deutschen》3
じ出 版 社 か ら 第2版(1993)が
な っ た が,内
京)
Deutsche
の 第22版(1989),
出 し語 数 は 約14,000語.
判 型 の 変 更 に よ っ て2巻
Gruyter,Berlin/New
岩 崎 英 二 郎 他 訳(1974),『
Schildt,J.et
ペ ー ジ
よ る 全 面 的 改 訂 版.
+822.見
Worterbuch
統 一 後,同
Polenz,P.v.(19728,19789),Geschichte
York)―
《Kluge》
掲Ⅴ)5.のW.Pfeifer指
R.Hildebrandt
WA〕,22Bde.(E.Schmitz,〓)
Sprache(de
源辞典
総 ペ ー ジLⅩⅤ
York)
Mitzka,W.,Schmitt,L.E.und
deutschen
よ る 本 格 的 な 改 訂 版.総
第23版(1995)は,E.Seeboldに
H.Rupp(eds.)(Bd.1,Bd.2:
Bde.(de
の 第9版(1992).H.Henne/
ウ)Ⅴ)1:語
Wachholtz,Neumunster)
19743;Bd.3:19783),Deutsche
出
ⅩⅩⅩⅠⅩ +1130.
Literatur,Bd.1:Sprache(K.
Maurer,F.und
ペ ー ジ4,090+ⅩⅩⅣ.見
を 超 え る と い う.
G.Objartelに
Goossens,J.(ed.)(1973,19832),Niederdeutsch.
der
語 ・新 語 義 ・例 解 等 豊 富
イ)Ⅱ)3:《Paul》
Sprache
イ ツ語 大 辞 典 》
で き わ め て 有 用 な 辞 書.総
York)
3
書]Ⅰ)2.1:《Dudenド
の 第2版(1993‐95).全8巻.新
G.
H.E.Wiegand,Bd.2),2
Halbbde.〔HSK2〕(de
要辞 典 の新 しい改 訂 版 な ど
ア)[辞
Kommunikationswissenschaft,hrsg.von Ungeheuer
3)重
ihrer
な り,す
が
方 に お い て,は
で に 存 在 し て い たk じ めkwの
し て 唇 音 的 要 素 が 強 ま り,そ
異 音 の結果生
な っ た(こ
の
過 程 は,『 大 辞 典 』 「大 陸 ケ ル ト語 」 の 項 を 参 照).こ
じ た[p]が,や
が て 別 個 の 音 素/p/と
れ
だ け な ら ば,い
わ ゆ るP‐CelticとQ‐Celtieの
別 に
は 特 別 の 意 味 は な い .ホ ワ ッ トモ ー(J.Whatmough) に よ れ ば,kとpは the
Celtic
Second
International
Studies,University の 区 別 は,一
Congress
of
Wales,
の2つ
lation)に
よ る も の と 考 え られ る か ら で あ る .こ の い わ
ば 物 理 的 現 象 が,ケ
種 の 異 化 作 用(dissimi
に か か わ る と き,q/pの
区 分 は,に
3)上
印 欧 祖 語 〕*kw(*kw)
語 で は,一 般 に/p/と に も,pの
a)原
な る が,事
実 は,ゴ
Calendar),な
余 の も の か ら 分 か れ,イ
し た.こ
ール語の内部
か),こ
り)の よ う だ
あ る(Lejeune,1971).
こ れ を シ ュ ミ ッ ト(K.H.Schmidt)は,次 のkw→Pの
変 改 は,ガ
リア の中
ン ト語 地 域 に は 達
イ ル ラ ン ド人 お よ び ケ ル トイ ベ リア 人 は,
こ の 変 化 の 波 が 到 達 す る 以 前 に,す
で にそ れ ぞ れ の 地
記 の ほ か,注
*m ,*nが
あ る が,こ
〓 ,そ の 他),お
の 時期 の 初 め に 位 置 す
つ い て,am/an>em/en
れ に は 問 題 が あ り,か
つ,そ
の変 化 の
か し,こ
の よ うな
よ り よ き 体 系 的 知 識 を う る た め に は 不 可 欠 で あ ろ う. [2語 1)ア
群 の 共 通 点 と 差 異] ク セ ン ト
不 明 で あ る が,ゴ )に
原 ケ ル ト語 の ア ク セ ン ト体 系 は
ー ル 語 で は,末
尾 第3音
節(antepenult
ア ク セ ン トが あ っ た こ と が,部
分 的 なが ら
Tricasses,Bodiocasses,Durocasses>F.〔
よ び,異 音 の‐im‐(Cimberius
yaouank<Bryth.〔
Bituriges,Caturiges>F.Bourges,Chorges
た だ し,Nemausus,Arelate>F.Nemours,
ブ ル トン語〕
ブ リ ソ ニ ッ ク 語 〕*iouanko
よ び,そ
の 異 音‐in‐(iouinco)(E
vans,1983); Celtib.〔 ケ ル トイ ベ リア 語 〕am,an(Am mbhi,Can
Pi<
Tom<*kmtom);W.cant,B.
1937).
に あ っ た 形 跡 が あ る が,ウ 尾 第2音
節(penult)に
で は,オ
ー ガ ム(Ogham)文
,1971;し
な わ ち,sistes<
移 っ て い た.ゴ
蓋 化 音(palatalized
ラ ン ド語 は,子
か し,cf.Schmidt,
Pedersen, 節(ultima) で に末
イデ リッ ク語
字 の 頃 よ り第1音
節 にあ
れ が基 本 的 に今 日 まで一
consonants)ア
音 の 口 蓋 化 に つ い て,早
イル くか ら敏 感 に
意 識 し て い た.前 古 期 ア イ ル ラ ン ド語(Archaic
1986);
5c∼6c)に ゴ イ デ リ ッ ク 語 〕em(im),en(in).
and
尾 第1音
ェ ー ル ズ 語 で は,す
っ た . こ の グ ル ー プ で は,こ
2)口 ン ト語 〕en,す
ど の 例 もみ ら れ る(Lewis ブ リ ソ ニ ッ ク 語 で は,末
貫 し て 続 い て い る.
kant レ(ー)ポ
フ
ラ ン ス 語 〕Troges,Bayeux,Dreux
Arletな
*sedens(Lejeune
お,レ(ー)
構 図 の 設 定 は,ケ ル ト語 の 再 構 と 発 達 の 過 程 に つ い て,
〔ウ ェ ー ル ズ 語 〕ieuanc,B.〔
Goid.〔
と 考 え る が,そ
れ は 次 の よ うで あ る.
人 名);
Lep.〔
am/an)
ぼ ゴ ー ル 語 の 時 期 に 当 た る.な
シ ュ ミ ッ トは,em/enに
目 す べ き も の に,母 音 的 鼻 音PIE
ゴ ー ル 語 〕am,an(ambi‐,ande‐,
' young',お
リ
知 ら れ て い る.
2)上
W.
古態
る(Schmidt1986,1988).
らの言 語 に はそ の波 が 及 ば な か った
(Schmidt,1980).
Gaul.〔
み な し,
形 を と る.ブ
条 件 を 特 定 す る こ とが で き な い.し
の よ うに解
心 部 か ら東 部 に ひ ろ が っ て レ(ー)ポ
に 移 住 を 終 え,彼
Celtic)と
の 際,*kw→kwは
ポ ン ト語(em/en)は,そ
れ ぞ れ
ラ テ ン語 〕‐que)が あ る.た
ン ト語 で は‐peで
し た が,ア
ー ル 語(*kw→p,こ
が,ほ
れ と 同 じ 意 味 で,
ず れ もPIE*kweよ
な 後 接 的 接 続 詞(=Lat.〔
釈 す る . す な わ ち,こ
の諸
ベ リア 半 島 に 定 着
的 例 外 と み な す)は,am/anの
あ るが
イ ル ラ ン ド語 に は,そ
よ び‐ch(い
イデ
ず,他
テ ン 島 で は ブ リ ソ ニ ッ ク 語(Brythonic
ケ ル トイ ベ リ ア 語,ア
し,レ(ー)ポ
'horse'(Coligny
当 た る ゴ ー ル 語 にeticが
(シ ャ マ リ エ ー ル の 鉛 板,ほ
‐c(u)e,お
後,ゴ
の ケ ル トイ ベ リア 語 よ り や や の ち ま で
を,前 古 期 ケ ル ト語(Archaic *kw→kwを そ の 特徴 とす る.
ど.
こ こ に ラ テ ン 語etに
Celtic)以
い で,ケ ル トイ ベ リア 語(am/an‐language)
が,自
一 部 混 在 して い るか らで
Seine',equos
ュ ミ ッ トは,
の よ うに 考 え た .
語 よ り 分 岐 した.
c)ゴ 'the
略,次
ケ ル ト語(Primitive
b)次
あ る. Sequana
ら に新 しい
リ ッ ク語(em/en‐language)が,ま
ー ル 語 お よび ブ リ ソニ ッ ク諸
ほ か,ku(qu)が
として
ル ト諸 語 相 互 の 相 対 的 年 代 を
そ れ ら を 手 立 て と し て,大
ル トイ ベ リ ア 語 と ゴ イ デ リ ッ ク 語 で は/k(u)/
で 現 わ れ る の に 反 し,ゴ
記 の デ ー タ の み で は 不 十 分 で,さ
測 る い ち お う の め ど と は な り え よ う.シ
わ か に 意 義 を 帯 び,
い さ さ か 複 雑 と な っ て く る.PIE〔
交 え つ つ も,主
現 わ れ て い る.
資 料 を 必 要 と す る が,ケ
ル ト語 全 域 に 広 が り 分 布 す る 事 実
,1946).
はem/en,P‐Celtic
で は 異 音‐im‐,‐in‐(‐en)を am/anで
1966),こ
は,ケ
以 上 を 約 言 す れ ば,Q‐Celticで
聴 覚 的 に き わ め て 類 似 して お り
(Proceedings of of
し, 破 裂 子 音 の 前 に お い て(Thurneysen
ただ
お い て す で に,こ
は 音 素 化 し,機
の 口 蓋 音,た
能 的 とな り,/p/に
Irish,
と え ば[p]
対 応 す る別 個 の 音
素/p/と
な っ て い た.こ
の よ う に,[h]を
除 いて 全 子
音 が そ れ ぞ れ 対 応 の 口 蓋 音 を もつ に 至 り,音 化 し,し
た が っ て,名
詞,動
素 数 が倍
詞 な どの語 尾 変 化 もそれ
だ け 豊 富 か つ 複 雑 と な っ た . こ の 状 態 は,ひ
き 続 き,
今 日 ま で 継 続 し て い る. OIr.〔
る が,属
格 に お か れ たin
kat(t)i
koiliを
∼caitt/kat/gen.,Ir.〔
音 声 現 象 で は な く,形
cat'
ア イ ル ラ ン ド語 〕cat
Ir.croi/kri:/,M.〔
OIr.boc/bog/'soft'∼boic/bog/gen.sg.
/kolon/,Leon
m.,Ir.bog/bog/∼boig/bog/gen.sg.m. ア イ ル ラ ン ド語 で は,こ
の 口蓋 化 音 をcaol「
う で な い も の をleathan「
つ,そ
れ ら の 文 法 的 機 能 も,偶
な が ら,相 互 に き わ め て 類 似 し て い る.以 ゴ イ デ リ ッ ク 語 に 特 有 の も の で,ウ
上 の 特 徴 は,
ェー ル ズ 語 に は み
コ ッ ト ラ ン ド ゲ ー ル 語 に お い て は,
で は,明
瞭 な 口 蓋 化 が 区 別 で き に くい 状 態 に 立 ち い た
通 ケ ル ト語 に お け る 子 音
の 大 部 分 が 系 列 を な し て 強 弱 の2つ
に 対 立 し て い た こ と が 知 られ て い る.こ
と,上
ご と く破 裂/摩
だ し,無
声 破 裂 音 につ
擦 の 対 立 が あ っ た が,ウ
声/有
音 に 際 し て,発
れ ら は,該
の差 異
当 子音 が 発
音 器 官 の 緩 み に よ って 生 じた
音 」 で あ る こ と に 違 い は な い . こ れ は,人 通 す る 一 種 の 普 遍 的 現 象 で あ り,日 そ の 一 つ で あ る.西
galoun
の ご と く で あ る.し
か し,こ
れ に 類 似 の 現 象 は,サ
ル
デ ィ ニ ア(サ ル デ ー ニ ャ)島 の 方 言 に も み る こ と が で き る. ロ グ ドル(ロ
ン グ ドー ロ)方
coro/koro/>su
coro
言(Logudorese):
tou/su
goro
dou/'the
your'
サ サ ル(サ >lu
ッ サ リ)方 言(Sassarese):cori/kori/
to cori/lu
do
gori/'the
your
heart'(cf.
Bonaparte,1884) と は い え,こ を な し,組
こで の 変 化 は,ケ
ル ト諸 語 ほ ど に は 体 系
織 的 に は た ら い て い る わ け で は な い.
大 陸 ケ ル ト語 に お け る 緩 音 現 象 に つ い て は,そ
の萌
芽 は あ っ て も 資 料 に 乏 し く,こ
れ を十 分 明 らか に す る
こ と が で き な い.緩
る い は,島
音 化 は,あ
に お け る 改 新(innovation)で た だ 最 近,大
嶼 ケ ル ト語
あ った か もしれ ない .
陸 ケ ル ト語 に お け る 緩 音 化 を 証 明 し よ
う とす る 論 考 が い くつ か 提 出 さ れ て は い る(Evans,
い ま,島
嶼 ケ ル ト語 に 現 わ れ る 緩 音 の 主 な も の を, 世 ウ ェ ー ル ズ 語(MW.),ブ
ル トン 語 の そ れ ぞ れ に つ い て み る と,〈 あ る.左
欄 は,共
表 〉の よ うで
通 ケ ル ト語 の 原 音(radical;R.)で
あ る.
「ゆ る み
間言 語 に 共
本 語 の連 濁 現 象 も
島
嶼 ケ ル ト語 の 主 な緩 音
R.OIr.MW./W.B.
同 様 で あ る(cf.Lat.
Lord's
prayer').
ル ト語 に 特 有 な の は,語
頭 音 の 変 化(initial
mutation)に
もの が あ る こ とで あ る.OIr.in た 猫 」 は,Goid.*sindos
da
ス ペ イ ン 語 〕,
ポ ル トガ ル 語 〕padreも
pater>W.pader'the しか し,ケ
Breton
部 ロ マ ン ス 語 に み ら れ る,Lat.
liber>F.livre,Lat.patrem>Sp.〔
ず,語
ェー ル
記 の ア クセ ン トとの 関係 の有 無 につ い て は 不 明 ず れ に し て も,こ
galon/〓/,C.dha
古 期 ア イ ル ラ ン ド語,中
声 の そ れ に 変 質 し て い た.こ
chree
1983).
で に/p/∼/b/,/t/∼/d/,c/k/∼/g/の
で あ る が,い
Port.〔
の 強/弱
イ ル ラ ン ド語 で は,/t/∼th/θ/,c/k/∼ch
ズ 語 で は,す よ う に,無
余 の もの が 弱 音 と な
声 破裂 音 にお い て は 破 裂
擦 の 対 立 と な っ て い た.た
/x/の
頭やその他一
献 資 料 に 現 わ れ た と き,こ
の 対 立 は す で に 解 消 し て,有
い て は,ア
う した
がて 独 立 の 音 素
音 は,語
定 の 子 音 結 合 に お い て 起 こ り,自 か し,文
とえ
れ らが 位 置 に よ っ て生 じた 異 音
す ぎ な か っ た の が,や
と な っ た もの と考 え られ る.強
/摩
れ を,た
よ う に 示 す.こ
と は,そ
(variants)に
caloun/kalun/
galun/
heart
対 立 は,も
Breton
chroi/〓/(lenition),M.dty
/da
諸音
っ て い る.
ば,L/l,M/m,T/t,D/dの
コ ー ン ウ オ ー ル 語 〕colon
/〓/,W.dy
然
の 体 系 は 大 き く く ず れ,p,b,m,f,vの
の 特 徴 と し て,そ
マ ン島 語 〕cree/kr:/,W.
golon/〓/,Leon
今 日,こ
っ た.し
Ir.do
狭い」
広 い 」 と よ ぶ. 対 す る軟 音(soft)
音(lenition)共
と
で あ る が,「 汝 の 心 」 な ら,
ス ラ ブ 語 に お け る 硬 音(hard)に
3)緩
「形 態 」 「語 頭 子 音 の 変
え ば,「 心 」'heart'は,
/kat/∼cait/kat/
ら れ な い . た だ,ス
はや 単なる
態 音 素 的(morphophonemic)
な 変 化 で あ る(ア イ ル ラ ン ド語
c alon/kalon/,C.〔
の 対 応 に 類 似 し,か
coiliは,*sindi れ は,も
化 と リズ ム 単 元 」 を 参 照). 現 代 ケ ル ト諸 語 で は,た
古 期 ア イ ル ラ ン ド語 〕catt/kat/'a
と い い,そ
chaiti
想 定 さ せ る.こ
cat
cat(t)os
中音 に とど ま ら む し ろ著 しい coel「 そ の や せ koilosか
らで あ
[語
彙]
数 詞 その 他 の 基 礎語 彙 に,上 記 の 諸 語
に 共 通 す る も の が 多 い こ と は い う ま で も な い.「 犬 」は,
工 異 曲 で あ る.す
Ir.cu,M.co,W.ci,C.ky,B.c'hi,「
eem,W.ymenyn,B.Amannは,そ
家 」 は,そ
れ ぞ れ,teach,thie,ty,chy,tiで 音 声,語
あ る.こ
形 と も 共 通 で,一
し か し,中
に は,ゴ
の よ う に,
M.Ta
イ デ リ ック語 群 とブ リソ ニ ック語
と な る.こ
異 な っ た 道 を た ど っ た か ら に ほ か な ら な い.他
方,こ
の 両 語 群 で ま っ た く異 な る 語 彙 を 使 用 す る こ と も,ま た ま れ で は な い.
B.のa
マ ル コ 伝4:17に
Standard
行 形
ケ ル ト語 で は,印
欧 祖語 か らの現 在
使 用 に よ っ て 代 行 し て い る.そ
名 詞(VN)は,前
置 詞 +VNの
中 に 現 わ れ る.目
的 語 は 属 格 に お き,動
訳:was
he
of the
baint
e a' gearradh
eh(ec)giarrey ynfaiyr.
W.Yr
oedd
ef yn
torri'r
目的 語 が 代 名 詞 の と きは,一 間 に 挿 入 す る.た
格 形 容 詞 をVNの
fheoir.
だ,マ
ン島 語 の み は,所 有
前 に お く 代 わ り に,前 置 詞 な し で そ
is beating
me.「
se ag
bhualadh(Is
he
e'gam bwoailley
W.Mae'n 2)所
fy
bhualadh('gam=at mee(Is
nharo
有 の 表 現
he
ケ ル ト語 で は,通
置 詞(pronominal
prepositional す,Ir,Ta
pronoun)を im
agam.(is
は バ タ ー が あ る 」 で,ロ
me).
Hogen('but')n'eus
ket('is
な お,上
本 的発 想 にお い て 軌 を一 に す る類 詞 の 構 成,不
変 化 の 関 係 詞 な ど,
例 中,Ir.agam,M.aym/W.gennyf,
B.ganenは,そ
れ ぞ れ,前
置 詞ag,oc'at'+1
pers.sg.と
pers.
分 析 す る こ とが
素 は,こ こ で 合 成 さ れ た も の で は な
献 以 前 よ り分か ち難 く融 合 して 使 わ れ て い た . 嶼 ケ ル ト語 に
欧 語 で は ま れ な 現 象 で あ る.し
の 構 成 要 素 か ら,2群
た
た は,
種 々 の 点 で,大
か し,そ
に 共 通 す る活 用 前 置 詞 の 原 形 を
先に
「ケ ル ト諸 語 の 分 類 と
く,ゴ イ デ リ ッ ク 語 は,ケ ル トイ ベ リ ア 語 に 近 い . こ の
す な わ ち,断 い て は,主
「私 に と同
リ ソ ニ ッ ク 語 は,
陸 ケ ル ト語 中 の ゴ ー ル 語 に も っ と も 近
関 係 は,文 中 の 語 順 に つ い て も ほ ぼ 同 じ こ と が い え る.
butter シ ア 語 の〓
not')gwrisienn
ほ か に も 数 多 い.
合 わ せ 用 い て,所 有 を 表 わ me)は
yn
れ ぞ れ の 言語 にお け る実 際 の用 法 に は 出
そ の 相 対 的 年 代 」 に み た ご と く,ブ 詞に
融 合 し た 活 用(ま
at
Newydd
them').
[語 順 と 動 詞 の 構 造]
preposition,ま
eu
Testament
再 構 す る こ と は で き な い.
常,'have'に
の た め,'be'動
た は,gan'with'が
は 屈 折)前
my).
i(fy∼i=my).
あ た る 語 を 使 う こ と が な い.そ ag ' at',ま
striking
not')ganddynt('by
こ れ を ブ ル ト ン 語 に お き か え る と,
共 通 す る,印
S.Gael.Tha
not')fraue('root')
こ れ ら を 含 む い わ ゆ る 活 用 前 置 詞 は,島
striking).
M.T'eh
oes('is
で き る が,こ の2要
at my
fein,
Gymraeg,London,1975.
く,文
mo
is not')
hene,―D.B.Gregor,
sg./gan(d)'with'+1
彼 は 私 を打 って い る」
の よ う に な る.
Ir.Ta
nid
似 の 表 現 形 式 に は,数
様 に そ の所 有 格 を前 置 詞
は,
them')iontu
vel('is
入 りは あ っ て も,基 gwellt.
こ で'they'と
Naofa,Maynooth,1981.
them')ayndoo
こ の 種 の,そ
の あ と に 代 名 詞 を お く こ と が で き る.
は,次
Biobla
hunain,―Y
の 直 訳 英 語 と同
an
in
地 に 落 ち た 種 で あ る. ケル
bhionn('there
('root')enno('in
M.Va
root
them')(g)wreiddyn('root')ynddynt
じ語 順 で あ る. S.Gael.Bha
no
while.'(Revised
1980.
grass)
ェー ル ズ語 で
An
W.Ond
コ ッ トラ ン
ン島 語,ウ
の よ う に な る . ど の 場 合 も,上
He
have
a
下 の よ う で あ る.
oc('at
詞 の 後 に した
se ag
at cutting
の 文 は,
自 分 の 中 に 根 が な い の で,し
M.Agh('but')cha
語 尾 が 退 化 した ブ リ ソ ニ ッ ク 諸 語 で は,形
ドゲ ー ル 語(S.Gael.),マ
とVNの
they for
freamh('root')acu('at
え 間 な く文
彼 は 草 を 刈 っ て い た 」 で あ る が,ス
は,次
Version)「
―
の た め,動
結 合 で,絶
の 上 で は 属 格 は 区 別 が つ か な い.Ir.Bhi
は,「
た が っ て,こ
は,'And endure
ト語 で は,以
me).
順 序 で あ る.
Ir.Ach('but')ni
fheir.(直
i(with me).
同 じ.し
meの
themselves,but
分 詞 を ひ き 継 い で お ら ず,そ の 機 能 を,動 名 詞(verbal
an
is with
種 蒔 く も の の た と え で,砂
「共 に 」―le,lesh/gan,gans,gant
が え る.格
gennyf
a zo ganen(with
zoは'is'と
[慣 用 表 現]
noun)の
ymenyn
ば ら く続 く だ け で あ る 」 と あ る.こ
「行 く」―dul,goll/mynd,mones,mont
1)進
me).
mae
Butter
れ ぞ れ の言 語 群 で 音 韻 が
れ ぞ れ バ ター
aym(at
B.Amann
な り,
の 種 の も の は,そ
eem
W.Y
群 で 別 の 形 を と る も の も少 な く な い.「 男 」 は,Ir.
「8」は,Ir.ocht,M.hocht/W.wyth,C.eth,B.eiz
下 の と お り で あ る.M.
の 意 で あ る.
見 して 分 か る も の が 多 い .
fear,M.fer/W.gwr,C.gour,B.gourと
な わ ち,以
Vの
片 的 な 資 料 に す ぎ な い が,ゴ 語(S)ま
た は 目 的 語(O)が
ー ル 語 にお
先 行 す るS/O+
配 置 が も っ と も 多 い が,V+S(+O)もO+S+V
も ま た 存 在 し た(大
陸 ケ ル ト語
cf.Lewis,1942).こ W.)に
「文 の 構 造 」 を 参 照.
の こ とは,中 世 ウ ェ ー ル ズ 語(Mid
お い て,動
詞 に 先 ん じ て 名 詞(相
頭 に で る 文(noun‐initial
事 実 に よ く反 映 さ れ て い る.そ ー ル ズ 語(Mod
W
い た.そ
当 語 句)が
sentence)が
文
正常 で あ っ た
れ は 同 時 に,現
め よ り複 雑 で,語
代 ウ ェ
.)に お け る 基 本 的 配 列,V+S/Oの
尾 に よ り主 語 の 人 称 と数 を 明 示 し て
の 上,人
称 代 名 詞 は き わ め て 軽 小 で,通
主 格 の 代 名 詞 す ら コ ピ ュ ラisの か は,独
目 的 語 と な る 場 合 は,例 pron.)と
な っ て 動 詞 の 中 に 組 み こ ま れ た . そ れ ゆ え,
古 期 ア イ ル ラ ン ド語(6c∼9c)で ま た は 節 を な す こ と が 多 く,抱
前 古 期 ア イ ル ラ ン ド語(5c∼6c)に 位 置 は,む
現 わ れ る動 詞 文 末 の
る(「ケ ル トイ ベ リ ア 語 」 の 項 の 参 照).
language)的
biursa
「動 詞 と文 の 構 造 」 を
ュ ミ ッ トが,原
ケ ル ト語 よ り最 初 に 分 離 し た も の と す
る 説 に は 根 拠 が あ る と い え よ う(Schmidt,1986). ウ ェ ー ル ズ 語 文 法 で は,上 を,伝
か し,こ
て 行 な わ れ て い る . そ の 機 能 は,通 (verb‐initial こ れ は,一
sentence)と
は,被
常 の動 詞 文 頭 の 文
中 の動 詞 以 外 の 要 素 を強 調
sentence)と
成 文(mixed
say
they
れ,広
it',amal
may
raise
asind
themselves'(「
く使 用 され る よ う に な る の は,中
ア イ ル ラ ン ド語 で は,古
ミ
に は,文
形 で全 体 を複 文
らに 以 前 の こと
は 前 に 述 べ た が,そ れ ぞ れ の 場 合,動 詞 は 語 尾 を 異 に す くの 動 詞 に は,一
)と よ ぶ.連
対の異なる語
合 に 応 じて 使 い 分 け ら れ て い た
の で あ る .一 を 独 立 形(absolute),他
に混
う し て,ア ク
か し,さ
末 に く る こ と も ま れ で は な か っ た,こ
る の が 常 で あ っ た.多
れ を,特
期 な い し初 期
期 ア イ ル ラ ン ド語 以 来,動
詞 は 文 頭 の 位 置 が 正 常 で あ っ た.し
尾 が 備 わ っ て お り,場
よ ん で い る.こ
said
it',arndacumcabat 'in
ラ ン ・グ ロ ー ス 」Ml.46a12)
の際
す る も の で,こ
sentence)と
that
I
よ って文 頭 に ひ き
出 し,自 余 の 部 分 を 関 係 辞a+verbの (complex
こ ろ が,
須 の 構 文 と な っ て い る.そ
強 調 部 分 を 繋 辞(copula)に
で文
近 代 ア イ ル ラ ン ド語 以 降 に 属 す る .
日 も依 然 と し
変 わ り は な い,と
方 に お い て,文
し よ う と す る と き,必
sentence
sentence)」
の 構 文 は,今
詞1語
主 格 と と も に 目的 格 の 代 名 詞 が 独 立 し て 文 中 に 現 わ
記 のnoun‐initial
統 的 に 「変 則 文('abnormal'
と よ ん で い る.し
has
'as
order
こ の 意 味 か ら も,ゴ イ デ リ ッ ク 語 に つ い て,シ
は,動
合 語(incorporating
性 格 が き わ め て 濃 厚 で あ っ た.
asidrubart'who
し ろ ケ ル トイ ベ リ ア 語 の そ れ に 共 通 し て い
た,
外 な く 挿 入 代 名 詞(infixed
古 期 ア イ ル ラ ン ド語(OIr.)に
なわ ち
補 語 と な る場 合 の ほ
立 し て 文 に 現 わ れ る こ と が な か っ た.ま
す が た を もす で に 示 唆 し て い た . ア イ ル ラ ン ド で は, 先 行 す る 古 層,す
常 は,
を 連 結 形(conjunct
結形 は 動 詞 語 幹 が 各種 の前 接 辞 と合
体 し て と る 形 で あ っ て,こ れ が 複 合 動 詞 の 場 合,第1音
セ ン トに よ らず 文 型 に よ って 強 調 部 分 に焦 点 を与 え る
節 ア ク セ ン ト(prototonic)型
形 式 は,古
の 独 立 絶 対 形 は,文 頭 以 外 に は 現 わ れ な い .複 合 動 詞 の
くか ら ケ ル ト語 の あ ら わ な 特 徴 の 一 つ に な
っ て い る .Mid
W.Ys
mi
a'e heirch.「
彼 女 を さが
独 立 形 は,語
is I who
型 と な る.そ
し て い る の は(そ れ は)私 だ 」,す な わ ち,'it seek
her'で
あ る. こ のysは,前倚
的(proclitic)で,
必 ず 次 の 語 に 寄 り か か っ て 支 え ら れ,や a…'it's
I who…'の
脱 落 し,mi dywedaf
a'e
形 を 経 て,早
heirchと
が て's
くに文 の表 面 よ り
な っ た.同
様 に,Mi
a'e
yt.「 僕 が 君 に そ れ を 話 そ う」.ま た,「
女 が 私 を 見 た 」 は,Hi
a'm
で あ る . こ の よ う に,そ
sise a
あの
の 後 は,ysを
はず す の が ウ ェ
chonaic
方,ア
me.と
イル ラン ド
い う.こ
こ で は,
ン ド語 」 の 項 の
ン ド,ウ
(Wb.10d7).'it
is
we
ata
are
oxen…'の
who
boves
… よう
に 出 て い る . 上 の ウ ェ ー ル ズ 語 の2文
は,フ
で は,そ
れ ぞ れ,C'est
le dirai;c'est
elle
m'a
qui
vue.と
moi な り,こ
qui
te
の 点,フ
ラ ンス 語
ラ ンス 語 の 構
文 は ケ ル ト語 に酷 似 し て い る(「 ア イ ル ラ ン ド語 」の 項
ア イ ル ラ ン ド語 の 動 詞 は,ウ
ェー ル ズ語 に 比 して初
「動 詞 と 文 の 構 造 」 を 参 照). 日 で は,英
語 の 侵 入 を う け,ア
ェ ー ル ズ と も,事
実 上,二
っ て い る . 二 言 語 併 用 の 結 果 は,お
言 語 に と っ て,明
イル ラ
言語併用地域 とな お む ね,政
治的に
日 の 前 途 は き わ め て 微 妙 で,
難 が 多 い とい わ な け れ ば な ら な い.こ
は,フ
の事 情
ラ ンス語 に囲 まれ た 対 岸 の ブ ル ター ニ ュ に と っ
て も,ほ
ぼ 同様 で あ る.
[参 考 文 献] Bowen,J.T.and (Teach
T.J.R.Jones(1960),Welsh
Yourself
Books,London)
Bonaparte,Louis‐Lucien(1884),"Initial tions
の 「形 態 」 を 参 照).
ェ
有 力 な言 語 が他 を圧 す る のが 歴 史 の示 す と ころ で あ っ
本 的 に 変 わ る こ とが な か っ た.「
ヴ ュ ル ツ ブ ル ク ・グ
れ ら は,ウ
ア イ ル ラ ン ド語 の もつ 興 味 あ る側 面 で あ る(「 ア イ ル ラ
か つ,困
snisni
か し,こ
ら か に 古 態 を 示 す も の で あ り,印
欧 語 の 探 究 や 原 ケ ル ト語 の 再 建 に は 貴 重 な 鍵 と な る,
た.両
と え ば,Is
節 ア ク セ ン ト(deuterotonic)
お 不 明 の 点 が 多 い.し
ー ル ズ 語 に 比 べ ,明
こ の構 文 が 文 献 の は じ め よ り一 貫 し て 今 日 に 至 り,基
ロ ー ス 」 に は,た
純動詞
の 構 造 の メ カ ニ ズ ム と語 尾 の 由 来 に つ い
と も あ れ,今
gwelodd.(Evans,1976)
ー ル ズ 語 の ル ー ル と な っ て い る .一 語 で は,Is
て は,な mi
尾 が 第2音
の 語 尾 を と る.単
and
in the Italian
Living
Muta
Celtic,Basque,Sardinian,
Dialects",Transactions
of
the
Philological
Society〔TPS〕(Oxford)
[参
Evans,D.Ellis(1983),"Continental Linguistic the
Celtic
and
International
Studies(Dublin
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(土 居
Congress
Institute
for
of
Celtic
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Studies
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Grammar of
(Que
et
sais‐je,Presses
litterature
bretones
Universitaires
de
名 を と っ て,ド
の 方 言 群 が 北 イ タ リア高 原
ロ ミテ 語 の 名 が 与 え ら れ る.話
は 「ラ デ ィ ン 」 語(ladin,ラ と よ ぶ が,い
France,Paris) Gregor,D.B.(1980),Celtic―a Study(The Hemon,Roparz(1975),A
Historical
Syntax of
Morphology
Britain(The
じ レ ト ・ロ マ ン
で 話 さ れ る ロ マ ン シ ュ 語 の 一 方 言, 方 の ラ デ ィ ン語 を さ す こ
と も あ る の で 混 同 され る お そ れ が あ る.他
and
History
Edinburgh
in
ア人 学 者 に よ る名 称
方,イ
ト ・ロ マ ン ス 語 の 総 称 と
し て も 用 い ら れ る た め に,誤 解 を 生 ず る お そ れ が あ る.
Press,Edinburgh) Jones,J.Morris(1913),A
Welsh
(repr.1955,Clarendon
し た が っ て,地
Grammar
Grammar of
Language(Scolar
the
ド ロ ミ テ 語 の 推 定 言 語 人 口 は,約3万
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Gaulois
Cisalpine",Etudes
et
者 の ほ と ん ど が,イ た,か
the
British
in
人 と考 え ら れ
タ リア 語 との二 言 語 併
タ リア 語,ド
イ ツ語 との三
言 語 併 用 者 も少 な くな い.
Welsh",
[分 類 ・分 布]
Academy〔PBA〕28
ド ロ ミテ 語 の 使 用 地 域 は,高
千 メ ー トル 級 の 山 々 の 連 な る セ ル ラ(Sella)山
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Vandenhoeck
&
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イ ツ 語 名 で は,南
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Celtic
Reconstruction fur
of
vergleichende
as
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Rekonstruktion und
Verbum",Zeitschrift 41(Max
fur
des
kelti
den
phonologischen
of
Dif
Celtic
Society
じ レ ト ・ロ マ ン ス 系 の フ リ ウ
Grammar
of
Old
Irish
ル ラ 山 塊 に 対 し て4
方 向 の 谷 ご と に 下 位 区 分 さ れ る. 1)北
の 町 ブ ル ー ニ コ(Brunico)に
デ ー ラ(Gadera)川 は,現
Japan)
Thurneysen,R.(1946),A (DIAS,Dublin)
Celtica
Series,No.1(The
ラ ンチ ェス カ
降 の イ タ リ ア 方 言 学 者 ら は,
前 者 の ア デ ィ ー ジ ェ 方 言 は,セ
ferenzierungsmerkmalen",Studia Japonica,New
の エ ル ト方 言 に つ い て は,フ
リ語 の 一 変 種 と し て い る.
Philologie
Niemeyer,Tubingen) (1988),"Zu
谷 で 話 さ れ る 方 言 群 は, と一 括 さ れ る こ と が あ る.
ー ト(G .Francescato)以 ド ロ ミ テ 語 に 含 め ず,同
inselkeltisches
celtische
し 離 れ た ヴ ァ ジ ョ ン ト(Va
の エ ル ト(Erto)渓
し か し,こ
schen.Festlandkeltisches
し て,少
「カ ド ー レ方 言(cadorino)」
(Gottingen)
た,別
源 流 地 方 の コメ リ コ
ル テ ィ ー ナ ・ダ ン ペ ッ ツ ォ(Cortina
d'Ampezzo),そ gionto)川
Proto‐Celtic",
Sprachforschung
の 方(ド
主 で,「 ア デ ィ
と ま と め て よ ば れ る .ま
ア ー ヴ ェ(Piave)川
(Comekico)や,コ
Ruprecht,Gottingen)
Adige)地
チ ロ ルSud‐Tirol)が
ー ジ ェ方 言(atesino)」
Grammatik
度3
塊 を中
こ か ら 源 を 発 す る ア デ ィ ー ジ ェ(Adige)川
上 流 地 帯 ア ル ト ・ア デ ィ ー ジ ェ(Alto
Sprachen,2Bde.(Nachdruck,
Vandenhoeck
to
心 に,そ
Concise
Grammar(repr.1961,
Pedersen,H.(1976)Vergleichende
こ で は,
つ て の オ ー ス ト リア の 統 治 下 に
あ っ た 地 域 に お い て は,イ Sentence
of
て い る.話
用 者 で あ り,ま
Celtiques
ⅩⅡ(=Lepontica)(Paris) Lewis,Henry(1942),"The Proceedings
り正 確 な 名 称 で あ る が,こ
簡 潔 に ド ロ ミ テ 語 と よ ぶ こ と に す る.
Manx
Press,Menston,Yorkshire)
Para‐gaulois
方 名 と 自 称 を 組 み 合 わ せ た 「ド ロ ミテ ・
ラ デ ィ ン」 語 が,よ
Press,Oxford)
Kneen,J.J.(1973),A
Zeitschrift
タ リ
「ラ デ ィ ー ノ 」 語(ladino)は,こ
の ド ロ ミテ 語 の み な ら ず,レ
University
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イ ス の グ ラ ウ ビ ュ ンデ ン
エ ン ガ デ ィ ン(Engadin)地
Breton(DIAS,Dublin)
Jackson,K.(1953),Language
わ ゆ る ラ デ ィ ン 語 は,同
(Graubunden)州
Press,Cambridge)
方
者 自身
テ ン語LATINUか
ス 語 の 一 下 位 区 分 で あ る,ス
Comparative
Oleander
Early
[系 統 ・名 称 ・人 口] イ ン ド ・ヨ ー ロ ッ パ 語 族 の 一分派 ,ロ マ ンス 諸 語 に 属 す る レ ト ・ロ マ ン ス 語 の 一
地 帯 の ド ロ ミテ 地 方 で 用 い ら れ て い る こ と か ら,地
Gourvil,F.(1968),Langue
and
敏 雄)
ド ロ ミ テ 語 英Dolomite
下 位 グ ル ー プ の 通 称 で,こ
Middle
Welsh(DIAS,Dublin)
Aid
ア イ ル ラ ン ド語,『
ル ト語 派
Reconstruction",Proceedings of
Sixth
der
照]
語,ケ
向 け て流 れ る ガ
の バ デ ィ ー ア 渓 谷(Val
地 名 で バ デ ィ オ ッ ト(badiot)と
用 い ら れ,文
化 的 中 心 地 は,サ
Martino)で
あ る.こ
Badia)で
よ ば れ る方 言 が
ン ・マ ル テ ィ ー ノ(S.
の 支 流 で あ る マ レ ッ ベ(Marebbe)
渓 谷 の 方 言 マ ロ(maro)も 2)セ
ザ ル コ(Isarco)川
に 合 流 す る ガ ル デ ー ナ(Gardena)渓 ダ イ ナ(gherdeina).こ (Ortisei)が
の 渓 谷 で は,オ
言 は,行
に あ り,言
わ せ て17,700人
ル
ル ティゼイ
政 区 分 で は,ボ
く)に 例)ラ
上 が これ を
た 地 方 フ ァ ッ サ 渓 谷(Val (Trento)県
に 属 し,モ
ァ ッ サ 方 言(fashan)が ン 語 人 口 は75%を 4)セ
di Fassa)は,ト
話 さ れ る.住
中 心 に,フ
民 の う ち,ラ
(Livinallongo)地
ヴ ィ ナル ロ ン ゴ
方 の フ ォ ド ム 渓 谷(Val
ォ ドム 方 言(fodom)が
語 と し て い る.こ
di Fodom)
用 い ら れ る.こ
の 方 言 は,次
ベ ル ル ー ノ(Belluno)県
ま た,ラ
テ ン 語 のCA‐,GA‐
れ る が,こ
に,ロ
例)ラ
と同 じ く,ガ れ が,レ
に 起 こ る子 音 の 口蓋 ロ ・ロ マ ン ス 語 的 特 徴 と さ
ト ・ロマ ンス 語 を イ タ リア 語 と区
口 の約
ー マ 軍 に よ っ て 征 服 さ れ,ラ
ル プ ス 一 帯 か ら 北 に,現
住 民族 の
仏.chevre/〓/(< champs/〓/(<
同/〓),バ
2)語
の 特 徴 は,上
と 同 様,ガ
例)ラ
テ ン語PLUS「
/pju/に
よ り多
対 し て,仏
の北イ
タ リ ア ・フ リ ウ リ地 方 で 話 さ れ る フ リ ウ リ語(約50万 人)が
あ り,こ
の ド ロ ミテ 語 は,中
と し て 位 置 づ け ら れ る.こ 政 治 的,社 な く,共
れ ら3地
史 上,
会 的 統 一 が か つ て 一 度 も行 な わ れ た こ と が 通 の 言 語 が 生 ま れ る 条 件 が な か っ た に もか か
わ ら ず,ひ
方 言 で は,そ
‐ Sが
ロ ・ロ マ ン ス 諸 語(ス
ッ ク 語 な ど),イ
ペ イ ン語,ポ
分
重 な り合 う 特 徴 を もつ こ と は
ベ
ル トガ ル 語 な ど)
す る顕 著 な 特 徴 と さ れ て い る . 例)ラ
に音 声 的 な 特 徴 を共 有 す る
ル ー プ の 言 語 と 共 有 し て い る が,部
ー
に レ ト ・ロマ ンス諸 語 を加 えた 西 ロ マニ ア 圏 を区 分 け
テ ン 語ILLAS
AURICULAS「
occhiに
耳(複 数)」
対 し,仏.les
oreilles,ド
ロ ミ テ 語 ・ガ ル デ ー ナ 方 言la uredles,ま
ロ ミ テ 諸 方 言 も レ ト ・ロ マ ン ス 語 的
(特 に,ヴ ェ ネ ト方 言)と
[言 語 特 徴]
テ ン語 語 末 の 屈 折 語 尾
タ リ ア 語 を 含 む 東 ロ マ ニ ア 圏 に 対 し,ガ
> 伊.gli
ロ ・ロ マ ン ス 諸 語 や 北 部 イ タ リ ア の 諸 方 言
当 然 で あ る.
に 変 化 し て い る.
ロ マ ン シ ュ 語 ・エ ン ガ デ ィ ン 方 言las
し た が っ て,ド
的 に は,ガ
れ ぞ れ,tl‐,dl‐
態 論 の レ ベ ル で は,ラ
マ ニ ア 語,イ
か ら で あ る.
特 色 を 他 の2グ
デ ィー ア 方 言 とガ ル デ ー ナ
保 存 さ れ る こ と が 特 色 で あ る . こ の 点 が,ル
と つ の 言 語 群 と して ま とめ ら れ る の は,通
時 的 見 地 か ら み た と き,主
は,バ
伊.piu
ロ ミテ 語 ・
ル デ ー ナ 方 言plu
ロ ・ロ マ ン ス 諸 語(フ ラ ン ス 語,オ
央 レ ト・ロ マ ン ス 語 域 に は,歴
た だ し,KL‐,GL‐
3)形
人)と,東
語 人 口 約5万
ラ
共通 に も
く の」 >
.plus/ply/,ド
ー マ人 の もた ら した 民 衆 ラ テ
ス ・ ロ マ ン シ ュ 語(言
ロ ・ロ マ ン ス 語(フ
ち,イ タ リ ア 語 と は 一 線 を 画 す る 際 立 っ た 特 色 で あ る.
チ ア 語 が 基 層 と な り,ロ
のスイ
の保
ン コ ・プ ロ ヴ ァ ン ス 方 言 の 大 部 分 は 除 く)と
/plu/
の ほ か に,西
デ ィー ア 方 言
頭 子 音 群 のPL‐,BL‐,KL‐,GL‐,FL‐
バ デ ィ ー ア 方 言plo/〓/,ガ
さ れ る.
対 し,
/tso:ra/,/tsamp/
か し,通 説 で は,彼 ら の 言 語 レ
「レ
原」 >
古 代 仏 語/〓),
に ま で 広 が る 広 大 な 地 域 に 住 ん で い た と さ れ る が,そ
レ ト ・ ロ マ ン ス 系 言 語 に は,こ
イ タ リ
羊 」,CAMPU「
の 詳 細 は 不 明 で あ る.し
ト ・ ロ マ ン ス 」 語 で あ る,と
れ は,北
伊 .capra/kapra/,campo/kampo/に
在 の ドナ ウ 川
ン 語 と 混淆 し て 形 成 さ れ た ア ル プ ス 地 方 の 言 語 が
だ し,こ
テ ン語CAPRA「
存.こ
よ ば れ た.先
デ ィー
ア の ガ ロ ・イ タ リ ア 系 諸 方 言 に も広 く み ら れ る 進 化 で
も に,
イ ス ・グ ラ ウ ビ ュ ン デ ン地 方 と
チ アRaetia)と
レ チ ア 人 は,ア
ロ ミテ 語 で は,バ
あ る.
の リヴ
れ を 母 語 と し て い な い.
元 前15年
エ テ ィ ア(=レ
伊.nudo/nudo/
ミ ロ テ 語nut/nyt/
の 進 化 現 象 は,ド
化 現 象 も,上
に 属 す る 前 述 の コル テ ィー
ド ロ ミ テ 地 方 は,ス
裸 の 」>
ア 方 言 の み に み ら れ る も の で あ る.
の カ ド リー ノ 方 言 と の
ナ ・ダ ン ペ ッ ツ ォ 地 方 の カ ド リ ー ノ 方 言 は,人
同 様,紀
テ ン 語NUDU「
に 対 し,仏.nu/ny/,ド
フ ォ ドム 方 言 を 母
移 行 形 態 を 示 す と さ れ る . こ の 東 に 隣 接 し,と
か,こ
の フ リ ウ リ語 の 大 部 分 は 除
別 す る 根 拠 と な っ て い る.た
ィ ナ ル ロ ン ゴ地 方 で は,約90%が
30%し
デ ィ
越 す.
ル ラ 山 塊 の 南 東 に 広 が る,リ
で は,フ
レ ン ト
エ ー ナ(Moena)を
ル
共 通 し て み ら れ る も の で あ る.
た だ し,こ
ル ラ 山 塊 か ら南 西 に 流 れ る フ ァ ッ サ 川 に 沿 っ
れ は,ケ
ラ ンス や ス イ ス 西 部 の
ガ ロ ・ロ マ ン ス 語 的 口蓋 化 現 象 と一 般 に よ ば れ る が,
ル ザ ー ノ(Bol
人 口 の90%以
な る.こ
ト人 の 残 し た 特 徴 と い わ れ,フ
の 統 計 で は,合
母 語 と し て い る. 3)セ
ラ テ ン語 強 勢 長 母 音Uは,調
レ ト ・ロ マ ン ス 諸 言 語(東
語 人 口 は,1981年
を 数 え,全
蓋 化 現 象
音 点 が 口 腔 前 方 に 移 り,u[y]と
谷 の 方 言,ガ
中 心 の 町 で あ る.
以 上 の2方 zano)県
1)口
こ れ に 含 め る.
ル ラ 山 塊 か ら西 に 伸 び,イ
た, urelias,
フ リ ウ リ語lis orelis た だ し,ガ
ル デ ー ナ 方 言 に お い て は,こ
わ れ は 不 安 定 で あ り,た は2通
り の 形‐s,‐iが
例)(定 ani;形
と え ば,男
の‐Sの
表
性 名詞 の複 数 形 に
あ る.
冠 詞 付 き の)「 年 」(単
数)l'an:(複
数)i
容 詞 で も 同 様 に,「 良 い 」(単 数)bon:
(複 数)boni
第1次 大戦 後 はイ タ リア に 併 合 さ れ,3県
「 友 人 」(単 数)amich/amik/:(複 「日」(単 数)di:(複 dur:(複
数)dis;「
数)amichs,
に 分 割 され
た た め に,こ の分 断 状 態 は 決 定的 な もの とな り,共 通
硬 い」(単 数)
数)dures
語 形 成 の可 能 性 は 薄 れ て しま っ た.フ
ァ シズ ム の 勃 興
と と もに,ド ロ ミテ 語 を イ タ リア語 系 方 言 の 一 変 種 と
近 年,イ タ リア 語か ら の借 用 的 影 響 に よる‐iの 形 もみ
す る政 治 的 立 場か ら,こ の 言 語 の 独 自性 が 危 ぶ まれ,
られ る.
イ タ リア人 学 者 や,ド イ ツ な い しス イ ス 系 の 学 者 た ち
例)「 外 国 人」(単 数)furesto/〓/:(複
数)
た.第2次
furesti 4)統
を巻 き込 ん だ,い わ ゆ る 「ラデ ィ ン語 論 争 」 が 白熱 し
語 面 に お い て も,ド ロ ミテ 語 は,周 辺 地 域 に
大戦 後 は,ひ とつ の言 語 グ ル ー プ と して の
比 べ て,比 較 的 古 い時 期 の特 徴 を保 って い る反 面,近 隣
自立 的 地 位 が 与 え られ る傾 向 が進 ん で い る.母 語 と し て の 教 育 で は,ボ ル ザ ー ノ 県 の バ デ ィー ア 渓 谷 と ガ
の 北 部 イ タ リア諸 方 言(東 部 で は,特 に ヴ ェネ ト方言)
ル デ ー ナ渓 谷 にお い て,幼 稚 園 で は ド ロ ミテ 語 の使 用
か らの 影 響 を は じめ,イ タ リア 語 や ドイ ツ語 の絶 え ざ
が 法 的 に保 証 され て い る が,小 学 校 か らは,ド イ ツ語,
る干 渉下 に あ る .他 の レ ト ・ロマ ンス語 に お い て も同
イ タ リア語 の比 重 が高 ま る.高 学 年 に な る と,ラ デ ィ
様 の 状 況 で あ るが,ド
ン語 の授 業 は週2回 に減 り,ド イ ツ語 とイ タ リア語 が
ロ ミテ語 は,言 語 接 触 の格 好 の
同 じ時 間数 に設 定 されて い る.現 在,新
研 究 素材 を提供 して い る. 例)(ガ
ル デ ー ナ 方言)dagiut「 早 く」:plu
dagiut
聞 を は じめ,
マ ス コ ミを利 用 した啓 蒙 運 動 は盛 んで,上 記 の各 方 言
「昔,過 去 に」 ← 独.fruher
ご とに,主 要 な 町 に言 語 文 化 復 興 の た め の研 究所 が お
tume「
か れ,そ の 活 動 は活 発 に な って きて い る.
落 ち る 」:tume
ite「 あ る考 え を抱 く」←
以 下 に,ガ ル デ ー ナ方 言 とバ デ ィー ア方 言 を対 照 し
独.einfallen また,副 詞(相 当語 句)が 文 頭 に立 つ とき,主 語 と動
語 全 般 に通 用 す る統 一 され た 綴 字 法 は 存 在 し な いが,
詞 が 倒 置 す るの も,ド イ ツ語 傍 層 の 影 響 と され る. 5)語
彙 面 で は,ド
ロ ミテ語 は,他 の2つ の レ ト ・
ロマ ンス 諸 方 言 と同 じ く,基 本 語 彙 の 約4分 の3が
ラ
テ ン語 系 で あ る. しか も,ラ テ ン語 の 古 い 時 期 の 語 彙 層 を残 存 させ て い る 語 もあ る. 例)ラ テ ン語CASEOLU「 方 言ciajuel(こ
て,音 韻 面 と形 態 面 の一 部 を記 述 す る.な お,ド ロ ミテ
1987年 以 来,ボ ルザ ー ノ県(バ デ ィー ア 方 言,ガ ル デ ー ナ方 言)で は,新 しい 綴 字 法 が 公 布 され て い る. [音
韻]
1)ガ チー ズ 」> ガ ル デ ー ナ
《母
ル デ ー ナ 方言(A.Bammesbergerに
よ る)
音》
れ に 対 し,伊.formaggio,
仏 .fromage) さ らに,ケ ル ト語起 源 と思 わ れ る語 彙 で,ガ
ロ ・ロ
マ ンス諸 語 に も共 通す る と考 え られ る語 もわ ず か な が ら確 か め られ るが,ア ル プス 特 有 の 語 彙 で,他 に は み られ な い語 を特 定 す る の は,現 在 の 段 階 で は 難 しい よ うで あ る.
この うち,/〓/は,フ
例)cesa/〓/「
ドロ ミテ地 方 は,特 に,北 のゲ ル マ ン世 界 と南 の イ タ リア とを結 ぶ 交 通 の要 所 で あ った た め に,中 世 か ら 現 代 に 至 る まで,ド イ ツ語,イ タ リア 語 か ら直 接 借 用 さ れ た語 彙 が著 し く多 い こ とは 当然 で あ る.た とえ ば, バ ンメ ス ベル ガ ー(A.Bammesberger)に ガ ル デ ー ナ方 言 の/〓/「 妹 の子 供 た ち」 で は,名 詞/kindri,〓/が
よれ ば, 私 の姉
ラ ンス 語 の/〓/の 音 に近 い が,
強勢 下 で現 わ れ る点 で 異 な る.
/e/は,/r/の と/o/(広
家」 前 で は広 く発 音 さ れ る([e])が,/o/
口母 音)は 対 立 関 係 に あ る.
二 重 母音 に は,〓
が
あ るが,バ ンメ ス ベ ル ガ ー は,二 重 母 音 を認 め ず,単 母 音 の連 続 として 解 釈 して い る. 《子
音》
子 音 の種 類 は,以 下 の とお りで あ る.
ドイ
ツ 語 か らの借 用 で あ るが,こ の よ うな外 来 語 の 使 用 は, 話 者 の語 感 に まだ 十分 に な じん で い な い よ うで あ る. [歴
史]
ドロ ミテ 語 の 歴史 は,6世
紀 の ゲル マ
ン民 族 の 侵 入 か ら20世 紀 初 頭 に至 るま で,ド イ ツ語 圏 とイ タ リア語 圏 との 狭 間 に お か れ た,チ ロル ・ア ル プ ス 南 端 の辺 境 の歴 史 で あ る.谷 ご とに分 断 さ れ た ま ま,バ ヴ ァ リア ない しオ ー ス トリア の支 配 下 に あ っ た 一 方 で ,ヴ ェネ チア の経 済 ・文 化 圏 に含 ま れ て い た.
/r/は,フ
ラ ン ス 語 と 同 じ 口蓋 垂 の 振 動 音 で あ る./n/
と/〓/と 例)/an/「
は,音
韻 論 的対 立 関係 に あ る .
年 」:/〓/「
わ れ わ れ は 持 っ て い た 」(avei
「持 っ て い る 」 の 直 説 法 過 去 形) 強 勢 ア ク セ ン ト は 弁 別 的 で あ り,音
声 表 記 で は,鋭
(3・ 複 ・男/女)
ア ク セ ン ト記 号 を も っ て 区 別 さ れ る . 例)uni/uni/「
お の お の の 」:uni/uni,/「
来 る,
成 る」 2)バ
デ ィ ー ア 方 言(J.B.Altonら
《母
に よ る)
音》
母 音 体 系 に,ウ ム ラ ウ トで表 記 され た/u/[y],/o/, /e/([〓]に
近 い音)の
あ る こ とが特 徴 的 で あ る./e/
と/〓/,/o/と/〓/は,開 綴 字 で は,た
口度 にお い て 対 立 す る.
とえ ば,so/soの
よ うに,ア クセ ン ト記
号 で 区別 す る(/o/,/〓/〈o〉).こ
のア クセ ン ト記 号
は,語 末 母 音 に弁 別 的 な 強勢 ア ク セ ン トの あ る場 合や, 同音 異 義 語 を 区 別す るた め に も用 い られ るの で注 意 を 要 す る.
「法 」 に は,不
法 が あ る.直
例)a(前
置詞)―a(動
直 説 法現 在1人
詞avei「
持 って い る」 の
称 単数 形 と3人 称 単 数 ・複数 形)
母 音 の 量的 対 立 が あ り,長 短 の区 別 を 例)a/a:/(aveiの
で示 す.
直 説 法 未 完 了過去1人 称 単 数
音 》
定 法,直
説 法 は,現
時 制 形 の ほ か に,完 を も つ.接
在,未
了,過
説 法,接
在,未
令
来 の 単純
来 完 了 の複 合形
完 了 過 去,完
合 形 の 形 成 に は,助
ま た はester(vester)を
続 法,命
完 了 過 去,未
去 完 了,未
続 法 に は,現
完 了 の 形 が あ る.複
形 と3人 称 単数 ・複 数 形) 《子
動 詞 の
了,過
去
動 詞 にavei
選 択 的 に 用 い,動
詞の過去分
詞 を 付 け る.
子音 の 種類 は,以 下 の とお りで あ る.
受 動 形 は,助 /uni/「 の 性,数
動 詞 と し て,ガ
来 る,な
ル デ ー ナ 方 言 で はuni
る」 を 用 い,動
詞 の 過 去 分 詞 を主 語
に 一 致 さ せ て つ く る が,バ
助 動 詞 と し て,gni「
来 る,な
デ ィ ー ア 方 言 で は,
る 」 とester「
∼で あ
る 」 の ど ち ら を 用 い て も よ い. [辞
子 音 の 表 記 に は,文 法 書 に よ って 揺 れ が あ り,特 に, 摩 擦 音,破 擦 音 の系 列 で は 統一 が とれ て い ない. [形
態]
〈表 〉に,ラ
て い る」 とESSE「
テ ン語HABERE「
in
持っ
∼ で あ る」 お よ びAMARE「
愛
す る」 に 由来 す る動 詞 の 直説 法 現 在 活 用 を人 称 代 名詞 (強 勢 形)と と もに 掲 げ る.
書]
辞 書 に は,古
Schneller)のDie
Sudtirol(Gera,1870)が
れ た も の の,学
ド
不 統 一 の た め に,ほ
バ デ ィー ア 方 言 人 称代名詞
動詞
(2・
単) 単)
Worterbucher",
方 言 語 彙 集 の 解 題 を 行 な っ て い る. 方 言 別 辞 書 と し て は,バ
デ ィ ー ア 方 言 に は,次
複)
の よ
う な も の が あ る.
aus
den
Zeitschrift
Worterbuch
Dolomitentalern",Beiheft fur
romanische
italiano",Archivio (1・ 複)
ラマ ー
Schlern,No.47(Bozen,1973)で,
73
per
badiotto l'Alto
Adige
(Firenze) Pizzinini,A.(1966),Parores
zur
Philologie(Halle)
Martini,G.S.(1950),"Vocabolarietto
(2・
ロ ミテ 語 全 般 に
と ん ど不 可 能 で あ ろ う.ク
Gartner,Th.(1923),"Ladinisches (1・
に再版 さ
言 差 の 大 き い こ と と正 書 法 の
(J.Kramer)は"Dolmitenladinische
ロ ミテ 語 動 詞 の 活 用 と人 称代 名 詞
人 称 代 名詞 動 詞
Volksmundarten あ り,1970年
問 的 信 頼 度 は 低 い.ド
わ た る 辞 書 の 編 集 は,方
Der
ガル デ ー ナ方 言
く は シ ュ ネ ル ラ ー(Ch.
romanischen
ladines,Vokabulare
44
badiot‐tudesk(E.〓,Bregenz)
Mondo
Ladino.Bollettino
ガ ル デ ー ナ 方 言 に つ い て は,次 の よ う な も の が あ る. Lardschneider‐Ciampac,A.(1933),Worterbuch der
Grodner
Mundart(lnnsbruck)
Martini,G.S.(1953),Vocabolarietto Italiano(Sansoni
dell'Istituto
Ladino(Istitut di
Fascegn",Vigo
[参
照]
Cultural di
Culturale
Ladin"Majon
Fassa,1977‐)
レ ト ・ロ マ ン ス 諸 語
Gardenese
(富 盛
伸 夫)
Antiquariato,Firenze)
[参 考 文 献]
通 時 的 視 点 に た つ 研 究 書 と し て は,
レ ト ・ロ マ ンス 語 学 の 基 本 文 献 で あ る,次
の
の もの を あ
げ る. Ascoli,G.I.(1873),Saggi glottologico
ladini,Archivio
italiano,Vol,1(Ermano
ノ ル ウ ェ ー 語
Loescher,
gisch,仏norvegien
Roma/Torino/Firenze)
[系 統 と 分 類]
Gartner,Th.(1910),Handbuch manischen
der
Sprache
und
Kramer,J.,Historische
ratoro
Literatur(Halle) Grammatik
い る . 言 語 人 口 は,約400万
des
Dolo
ノ ル ウ ェ ー 語 は,イ
Ver bei
Pellegrini,G.B.(1972),Saggi mitico e
sul
語,ア
Wurzburg)
sul
friulano(Casa
ladino
dolo Edi
記 述 的 文 法 書,参
考 書 と し て,入
門 者 の役 に立 つ も
言 ご と に 次 の も の が あ り,本
項 の用 例
Ladin
Badia
の 参 考 に し た.
(A.Weger,Brixen)―
dla
du
parler
Val
ladin
Gardena",Bulletin
des
romanistes,No.20(Strasbourg)―
ガ
Obletter,A.(1985),Rujnon illadino(Comitato Soggiorno
Coordinatore della
Val
delle Aziende
Gardena,Ortisei)―
Tals,Worter
Mundart
und
2(Carl
Sachen;Der
des
Fassa
Neuen
Folge,
Winter,Heidelberg)―
Craffonara,L.(1987),I
ファ
Ru",San
Michele/
ド ロ ミテ 語 全 般 の 概 説 書.
言 語 の み な ら ず,民
俗,文
載 さ れ る 雑 誌 と し て,次 Der
de
Dolomiti
化 に関 す る論 文 が 随 時 掲
Schlern,Zeitschrift
fur
und
Volkskunde(Bozen) Ladinia,Sfoi (Istitut Martin
de
ク 語,ス
ェ ー ロ ー 語 を 西 ノ ル ド語,デ
ンマー
ウ ェ ー デ ン語 を 東 ノ ル ド語 と よ ぶ こ と が あ る.
し か し,ノ
ル ウ ェ ー 語 の 場 合 は,他
ェ ー デ ン,デ
の 北 欧 諸 語 とは
ル ウ ェ ー は,1397年
に 独 立 す る ま で,隣
のカ
国のス ウ
ンマ ー クの 政 治的 な 影 響下 に あ った が . ご ろ か ら は ス ウ ェ ー デ ン語 の.15 紀 に 国語 運 動 が起 こる ま で は デ
ン マ ー ク 語 の 影 響 が 強 か っ た . そ の 結 果,現 ウ ェ ー で は,デ
在,ノ
ル
ン マ ー ク語 を 基 盤 と し た リ ク ス モ ー ル
(riksmal'official
language')に
音,イ
ノ ル ウ ェー 語 的 な
ン トネ ー シ ョ ン を 加 え て 成 立 し た ブ
ー ク モ ー ル(bokmal'book 首 都 オ ス ロ で,ま
た,元
language')が
東 部 お よび
来 の ノ ル ウ ェー 方 言,ラ language')を
た ニ ー ノ シ ュ ク(nynorsk'new
ンス
基盤 とし
Norwegian',以
下,
省 略)が 西 部 で 用 い ら れ て お り,ベ
ギ ー 等 の 国 々 と 同 様,言
ル
語 対 立 を ひ き 起 こ し て い る.
デ ン マ ー ク の 政 治 的 ・言 語 的 支 配 下 に あ っ た こ ろ は,
cultural Cultral
語 学上
重 母 音 の単 母 音化
な ど の 若 干 の 方 言 上 の 特 徴 に よ っ て,ノ ル ウ ェ ー 語,ア イ ス ラ ン ド語,フ
し ば し ばNNと
Heimat‐
義には ノ
ン マ ー ク 語 を さ す.
ラ ル 語 族)の 言 語 で,言
モ ー ル(landsmal'country
の も の が あ げ ら れ る.
般 に,
理 的 に 近 接 して い る フ ィ ン ラ ン ド語
っ た く 別 系 統(ウ
正 字 法,発 ladini delle
Ladin―"Micura
Appiano)―
だ し,地
世 紀 の 中 葉 以 降,19世
ッ サ 方 言 の 記 述 的 研 究 書.
(Istitut
る).た
言 語 的 に も,1370年
ガ ル デ ー ナ 方 言 の 会 話 入 門 書(テ ー プ 付 き). Elwert,W.Th.(1943),Die
義 に は ノ ル ド語 全 体,狭
ウ ェ ー デ ン語,デ
ル マ ル 同 盟 以 後,1905年
Ladin.Parliamo
ン マー ク
カ ン ジ ナ ビ ア 〔諸 〕語 と い う 名 称 も
か な り 言 語 事 情 が 異 な る.ノ
ル デ ー ナ 方 言 の 記 述 的 論 文.
Beiheft
た,ス れ は,広
の 北 欧 に は 含 ま れ な い . さ ら に,二
バ デ ィ ー ア 方 言 の 文 法 書.
Bammesberger,A.(1974),"Le dolomitique
Val
ウ ェ ー デ ン 語,デ
ェ ー ロ ー 語 と と も に,一
以 下 で用 い るス カ ン ジナ ビア語 の名 称 は後 者 を 意 味 す
は,ま
Alton,J.B.(1968),L
di
形 成 す る(ま
ル ウ ェ ー 語,ス
の と し て は,方
人 と 推 定 さ れ る.
る い は ノ ル ド語 と よ ば れ る 北 ゲ ル マ ン 語 を
あ る が,こ
trice,Bari)
jeunes
イ ス ラ ン ド語,フ
北 欧 語,あ
Adriatica
メ
ン ド ・ヨー ロ ッパ 語 族 の ゲル マ
ン 語 派 に 属 す る 言 語 で,ス
Formenlehre(1978)(Wissenschaftlicher A.Lehmann,Gerbrunn
ノ ル ウ ェ ー の 公 用 語 . ま た,ア
リ カ 合 衆 国 や カ ナ ダ な ど へ の 移 民 の 間 で も用 い ら れ て
mitenladinischen,I.Lautlehre(1977),Ⅱ.
lag
norsk,英Norwegian,独Norwe
dai
ladins
Ladin"Micura
Tor,1977‐)
dles Dolomites de
Ru",San
ノ ル ウ ェ ー 人 は,高
度 な学 問 を修 め るに は コペ ンハ ー
ゲ ン大 学 で 学 ば ね ば な ら な か っ た.ナ 台 頭 と と も に,ノ
シ ョナ リズ ムの
ル ウ ェ ー 本 来 の 言 語 が 求 め ら れ,20
世 紀 前半 に はニ ー ノ シ ュ クが 優 勢 で あ るか の よ うな現
は,古
象 を 呈 し た が,第2次
っ て い る こ と で,こ
大 戦 後 は 再 び ブ ー クモ ー ル が 勢
ノ ル ド語 以 来 の〓
力 を 増 し た . 現 在 で は,80%以
上 の 国 民 が ブ ー クモ ー
て 著 し い . ち な み に,デ
ル を 用 い る と い わ れ て い る.両
者 を 統 一 し よ う とい う
で は,こ
動 き も あ る が,現 要 す る に,基
在 ま で の と こ ろ,成
の 特 徴 を,ニ
本 的 に は,ブ
ー ク モ ー ル は 東 ノ ル ド語
下 に,若
ンマ ー ク語 や ス ウ ェー デ ン語
れ ら の 音 は 単 母 音 化 し,東
3)子
干 の 例 を 示 す.
ノ ル ド語
ノ ル ド語 の 特 徴 を
音
閉 鎖 音
側 音1
摩 擦 音
震 え 音r
鼻 音 「(数 詞 の)1」
「遊 ぶ 」
sの
半 子 音j
有 声 音 で あ るzは,他
の ノ ル ド語 と 同 様,存 在
デ ン マ ー ク 語
en
lege
し な い .rは,東
ス ウ ェー デ ン 語
en
leka
西 部 お よび 南 部 で は パ リ の フ ラ ン ス 語 の よ う に 口 蓋 垂
ブ ー ク モ ー ル
en
leke
の 摩 擦 音 で あ る.
ア イ ス ラ ン ド語
einn
leika
お り で あ る.
フ ェ ー ロ ー 語
ein
leika
ニ ー ノ シ ュ ク
ein
leika
2)西
ノ ル ド語
な お,legeの
ja[ja]「 ノ ル ド語
頭 以 外 の 位 置 に お い て,デ
ク 語 で は 有 声 音[b,d,g]に
推 移 し た が,ブ
ル は デ ン マ ー ク 語 起 源 で あ り な が ら,度 の 改 革 に よ っ て,元 [文 字 と 発 音] らZま
[j]<j‐,g‐(+i,y,ei),gj‐,hj‐,lj‐
綴 り に み ら れ る よ う に,古
で の26文
Aa[〓]の3個
は い 」,gi[ji:]「
[〓]「
ンマ ー ー クモ ー
で 行 く 」,kirke[〓]「
文 字 は ラ テ ン 文 字 で,英
「キ ス 」
sj〓[〓]「
海 」,〓[〓]「
さ ら に,東 l,sの
abcdefghijklmnopqrstuv
と が あ げ ら れ る.た
wxyz〓a
前 のrが
Karl[〓]「 後 の 文 字Aaは,1917年
ル ド語 の 長 母 音aに
の正字法改正
書 か れ た が,こ れ は 古 ノ 由 来 す る.な
お,Aaの
文 字 自体
ウ ェ ー デ ン 語 か ら 借 用 した も の で あ る.ま
Cc,Qq,Zzの
使 用 は,固
有 名 詞,外
来 語 な ど,特
た, 別な
場 合 に 限 られ る. 2)母
切 る 」,ski
音
後 続 の 音 に 同 化 し,反
舌音化 す る こ
と え ば,barn[〓]「
カ ー ル(人
る と,[∫]の
名)」.と
よ う に 聞 こ え る.た
子 供 」, く に,sに
同化 す
と え ば,norsk[〓]
「ノ ル ウ ェ ー 語 」. こ の 現 象 は,ス
ウ ェ ー デ ン語 に も 認
め ら れ る. 4)ス
ト レ ス ・ア ク セ ン ト
ノ ル ウ ェ ー 語 は,英
語 や ドイ ツ 語 と 同 様 の 強 弱 に よ る ス ト レス ・ア ク セ ン トを 有 し,そ
母 音 の 体 系 は,以 下 の と お り で あ る.
雲」
部 方 言 に 特 徴 的 な 子 音 と し て,t,d,n,
WXYZ〓A
は,ス
教 会 」,kys[〓]
[∫i:]「 ス キ ー 」,sky[∫y:]「
ABCDEFGHIJKLMNOPQRSTUV
以 前 は,AはAa,aはaaと
車
[∫]<sj‐,skj‐,sk‐(+i,y,〓y)>
母
と く に,最
大鎌」
親 愛 な る 」,〓[〓]「
来 の 音 を 示 す 綴 り を 残 し て い る.
字 の ほ か,〓,
か
家 」,lja[〓]「 >
kj〓r[〓]「
語 な どの
>
始 め る 」,gjemme[〓]「
[c]<kj‐,ki‐,ky‐
重 な る正 字 法
の と
与 え る 」,begynne
くす 」,hjem[jemm]「
の 独 自の 母 音 を 示 す文 字 を有 す る .
1)字
部 方 言 で は 舌 先 の 震 え 音 で あ る が,
と く に 注 意 す べ き 発 音 と 綴 り字 と の 関 係 は,次
の[p,t,k]は,語
Aか
くにニ ー ノ シ ュ ク にお い
示 し て い る.
ー ノ シ ュ ク は 西 ノ ル ド語 の 特 徴 を 有 し て
い る と い え る.以 1)東
功 して い な い.
が残
れ は,と
の 位 置 は,ゲ
ル マ ン 語 の 特 徴 を 示 し,第
1音 節 が 原 則 で あ る(例:tanke[〓]「 た だ し,ラ
テ ン語,フ
考 え 」).
ラ ンス 語 等 か らの 借 用 語 で は 他
の 音 節 に あ る(例:student[stu'dent]「
学 生 」)こ と
が多い. 5)音 こ の う ち,〓 rの
は,〓[〓]「
前 で 現 わ れ る.ノ
強 い」の よ うに
ル ウ ェ ー 語 に 特 徴 的 なuは,
他 の 言 語 に 比 べ か な り前 よ り で,oは さ ら に,強
舌 の 位 置 が 高 い.
勢 の ない 語 尾 な ど に現 わ れ る あい ま い 母 音
〓が こ れ に 加 わ る.長
母 音 も 短 母 音 に 対 応 し て,i:,
e:,〓,y:,〓,a:,u:,o:,〓 〓は 短 母 音 に 比 べ 狭 い.二
が あ る が,e:,〓, 重 母 音 で 注 目す べ き こ と
楽 的 ア ク セ ン ト
ノ ル ウ ェ ー 語 に は,上
の ス ト レス ・ア ク セ ン トに 加 え て,2種 ク セ ン ト(高 低 ア ク セ ン ト),す ト と複 調 ア ク セ ン トが あ る.こ は,ス
記
類 の音 楽 的 ア
な わ ち,単
調 ア クセ ン
の音 楽的 ア クセ ン ト
ト レ ス ・ア ク セ ン ト と組 み 合 わ さ っ て 現 わ れ る.
単 調 ア ク セ ン ト(')は
上 昇 型 ア ク セ ン トで,単
音節
語 あ る い は 本 来 的 に 単 音 節 語 で あ っ た 語 に み ら れ,名 詞 に 定 冠 詞 が つ い た り複 数 形 に な っ た り し て2音
節 に
な っ て も こ の ア ク セ ン トに 変 化 は な い.
(た だ し,ノ
dag[〓]'day,→dagen[〓]'the
day'
複 調 ア ク セ ン ト(')は,2音 トで,2音 し,次
節 に ま た が るア クセ ン
節 の うち の 最初 の音 節 で高 い位 置 か ら下 降
る い は,そ
れ 以 上 の 音節 を有 す る語 にお い て
tanke[〓]「
考 え」
vanskelig[〓]「
field'(女
king'(男
定 冠 詞 は,形
queen'(女
単 調ア クセ ン ト
中 性 ・単 数 は‐et(huset;た
hender[〓](hand[〓]「
手 」 の 複 数 形)
hender[〓](hende[〓]「
起 こ る」
の 音 楽 的 ア ク セ ン トは,ノ
ら 存 在 して い た と 考 え ら れ,現
ら れ る.さ
ル ド語 に 古 くか
在 で は,ノ
ル ウ ェー 語
ン マ ー ク語 に 特 徴 的 な 声 門
詞
対 格 の 諸 格 は,属
つ て 存 在 し た,主 格,属 格,与 格,
格(‐s)を
残 し て ほ と ん ど 消 失 し た.
格 の 用 法 の 中 心 的 機 能 で あ る所 有 を表 わ す
場 合 に は,mannens
barn'the
う よ り は,口 語 で は,barnet man'の
man's
child'と
til mannen'the
た,til
bords'at
よ う な 熟 語 に は,古
が 残 さ れ て い る.そ
い
table',til
の 他 の 格 形 も,い
わ ば化 石 化 して
は,古
ノ ル ド語 で は
de store husene 'the
big
houses'(ブ
dei store husa 'the
3)代
称 代 名 詞
の 所 有 格 は な く,所
来
称 で は,親
語 で は,du/dereを
守 的 で,男
性 と女 性 の 区別 が残 って い る. デ ン マー ク
参 照.
性 名 詞 は限 ら
man detは,非
sier
性 がet,共
イ ツ 語 と 同 様,複
c)そ 性 がen,
数形 は ない
よ びvi
称du/dere(NN 語,と
代用 du/de)と
敬
くに若 い世 代 の 言
manは,ド
イ ツ語 な ど
間 で は 」 と い う 意 を 表 わ す.
'they say' 人 称 構 文 の 主 語 を 表 わ す.
det regner 'it 不 定 冠 詞 と 定 冠 詞 が あ る.
eg),duお
有 形 容 詞min,din,varを
名 詞man,det
性 とと もに共 性
に 含 ま れ る.
ー ノシ
用 い る こ と が 多 くな っ て い る.
と同 じ く,「 人 は,世
語,ド
表1を
の 区 別 が あ る が,口
の ノ ル ウェー 語 の 方 言 を基 盤 と した ニー ノ シ ュ ク は保
女 性 がeiで,英
houses'(ニ
名詞
a)人
b)代
詞
big
ュ ク)
す る.2人
男 性 と 女 性 が 融 合 し て 共 性 と な る 傾 向 が 強 い が,元
ー クモ
ー ル)
称Deと
ブ ー ク モ ー ル の 不 定 冠 詞 は,中
ル ウェ
chair'
chairs'
性 の み が 独 立 し て 残 り,
実 上 は,男
ン マー
house'
big
ル ウ ェー語 で は 区別 が あ
2)冠
big big
de store stolene 'the
い ま い に な っ て き て い る.中
れ た 語 に の み 用 い ら れ,事
'the
det store huset 'the
十 分 に 保 存 さ れ て い た が,ノ
語 に 基 づ く ブ ー ク モ ー ル に お い て は,女
ら に,
併 置 す る こ とが 多 い . こ の 定 冠 詞 の 二
ノ ル ウ ェ ー 語 で は,jeg(NN
印 欧 祖 語 以 来 の3性
ークモー
前 置 さ れ る.さ
ウ ェー デ ン語 で は 義 務 で あ り,デ
den store stolen
fots
くか ら の属 格 の用 法
断 片 的 に 保 存 さ れ て い る. b)性
性)・ 単 数 は
口 語 体 で は,こ れ ら の 定 冠 詞 に 加 え て,‐en,‐et,‐(e)
child
よ うに 前 置 詞 を 用 い て 分析 的 に表 わ
す 方 が 好 ま れ る.ま foot'の
性(男 性,女
数 は 両 性 と も,ブ
ー 語 は両 者 の 中 間的 位 置 に あ る とい え る.
ノ ル ウ ェ ー 語 の 名 詞 に は,性,数,
格 の 区 別 が あ る が,か
語 をは
ル ド語 に 関 し て は
ク 語 に は 英 語 な ど と 同 様 に こ の 現 象 は な い.ノ
変 化
し か も,属
の 意 味 で,英
ー ノ シ ュ ク でdeiが
重 使 用 は,ス
1)名
the
性 ・単 数 はdet,複
ne(NN ‐a)を
態]
a)格
ー ノ シ ュ ク で は,中 性 ・複 数 は‐a(husa))
形 容 詞 を と も な う 場 合,共
ら に,音
史 的 に は,デ
発音 さ
そ ぐ わ な い 印 象 を与 え る.
ル でde,ニ
閉 鎖 音 に 対 応 す る. [形
般 に,tは
じ め ヨー ロ ッパ の 言語 の 文法 で 伝統 的 に用 い られ て き
ウ ェ ー デ ン 語 に も 類 似 の ア ク セ ン トが 認 め
セ ン トは,歴
だ し,一
と も‐(e)ne(stolene,husene,
が 接 辞 の 形 で 名 詞 の 後 に つ く.そ
den,中
楽 的 ア ク セ ン トの う ち の 単 調 ア ク
性 ・単 数 と
性 ・単 数 は‐a(marka),
た 定 冠 詞 と い う 日本 語 の 用 語 は,ノ
の 現 在 形)
の ほ か,ス
数 は3性
markene;ニ
な る 場 合 が あ る.
な お,こ
れ な い),複
性)
性)
容 詞 を と も な わ な い 場 合,共
複 調ア クセ ン ト の 音 楽 的 ア ク セ ン トに よ っ て 意 味 が 異
の と お り で あ る.
性)
eit hus 'a house'(中
の よ う に な る.
ェー ロ
性)
ニ ー ノ シ ュ ク の 不 定 冠 詞 は,次
男 性 ・単 数 は‐en(stolen),女
と き に は,こ
' on
性)
ei dronning 'a む ず か しい」
高 低 を 図 示 す る と,次
to
性)
et hus 'a house'(中
ein konge 'a
認 め ら れ る.
イ ス ラ ン ド語,フ
en stol 'a chair'(共
ei/en mark 'a
の 音 節 で 再 び さ ら に 高 い 位 置 に 上 昇 す る.2音
節 語,あ
ル ド語 の う ち,ア
ー 語 に は 不 定 冠 詞 に 複 数 形 が あ る).
is raining'
の 他 の 代 名 詞
疑 問 代 名 詞 と し て は,ブ
ク モ ー ル で,hva[va]'what',hvem[vem]'who', hvis[vis]'whose',hvilken(hvilket,hvilke)
ー
〈表1〉
ノ ル ウ ェー語 の人 称 代 名 詞
数
主
(ブ ー ク モ ー ル)
単
人称
(ニ ー ノ シ ュ ク)
所有格
meg ―
2
du(De)
3
han(男
deg(Dem) 性) han,ham
格
eg
meg
(Deres)
du(De)
deg(Dykk)
(Dykkar)
han
han,honom
hans
ho
ho,henne
hennar,hennes
性) henne
hennes
den(共
性) den
dens
det(中
性)
dets
det
oss ―
vi,me
oss
2
dere(De)
dere(Dem)
deres(Deres)
de(De)
dykk(Dykk)
dykkar(Dykkar)
3
de
dem
deres
dei
dei
deira
どが あ る.
強 変 化 単 Veien(Vegen)er
関 係 代 名 詞 と し て は,somが い ら れ,英
road
も っ と もひ ん ぱ ん に 用
語 のwho,whom,which,thatの
て の 用 法 を 兼 ね る.somの
語 的 で あ る.そ
用
強 変 化 単 Huset
どが あ る.
ル マ ン祖 語*hw‐
名 残 り で あ る(た だ し,ス ウ ェ ー デ ン 語 で は,こ す で に 綴 り か ら も 消 失 し て い る).な
に 対 し てkva,hvemに
対 してkven等
英
と し て 現 わ れ,hva が 用 い られ
は,述
に 応 じて 変 化 す る が,ド
変
イ ツ 語 と異 な る 点
語 的 な 用 法 に お い て も,性,数
存 され て い る こ と で あ る.た
に よ る変 化 が保
だ し,複
数 で は,強
変 化,
弱 変 化 の 区 別 は な く な り,ど ち ら も形 容 詞 の 語 尾 に‐e を つ け る(カ
だ し,こ
ッ コ 内 は,ニ
ー ノ シ ュ ク を 示 す).
強 変 化 単 en(ein)
stor vei(veg)'a
big
road'
弱 変 化 単 den store veien(vegen)'the road'
複 de(dei)store 強 変 化 単 et(eit)stort 複store
veiene(vegane) hus'a
big
house'
big
house'
hus
弱 変 化 単 det store huset'the 複 de(dei)store
husene(husa)
ど.た
ー ノ シ ュ ク で は‐are,‐astを な る.
語 幹 に 接 辞 す る(原
則 と し て,語
幹
の 母 音 が 変 音 す る). ど.
規則 な形 式
god「
よ い 」―bedre(NN
betre)―best,
liten「 小 さ い 」―mindre―minst,な ま た,形
容 詞 と して の 原 級 を も た な い,位
ど. 置関係 を
示 す 語 が あ る. indre
'inner'―innerst
'inmost',
fremre 'anterior'―fremst 'foremost',な 5)数
詞
基 本 的 な も の を 示 す と,次
で あ る.原
則 と し て10進 基 数 詞
複 store veier(vegar)
big
の 場 合,ニ
接 辞 し,gladare―gladastと
ⅱ )不 ドイ ツ 語 な ど と同 様,強
化 と定 冠 詞 類 の 後 に 現 わ れ る 弱 変 化 の 区 別 が あ り,名 詞 の 性,数
語 幹 に 接 辞 す る.
stor―〓―〓,な
容詞
store.
う れ しい 」―gladere―gladest,な
イ)‐re,‐stを
相 当す る語 は な い.
変 化 と弱 変 化
is
則 的 な形 式
ア)‐ere,‐estを glad「
のhは
お,hvemは
はkv‐
4)形
の
来 は 与 格 で あ っ た . な お,
ニ ー ノ シ ュ ク で は,*hw‐
た,hvisに
house
較 級 と最 上 級
ⅰ )規
で は じ ま る 語 の 語 頭 のhは
発 音 さ れ な い が,印 欧 祖 語*kw‐,ゲ
当 た り,元
er stort.'The
複 Husene(Husa)er b)比
語 のwhomに
store.
big.'
の ほ か,der
' who',hvilken'which',hvad'what,which'な
これ ら の 代 名 詞 で,hv‐
stor.'The
is big.'
複 Veiene(Vegane)er
すべ
所 有 格 と し てhvisが
い ら れ る こ と も あ る が,文
a)強
所有格
称 の( )内 は 敬 称 .
' which'な
る.ま
目的格
hans
hun(女
det
主
vi
数 1
注:2人
目的格
jeg
数 1
複
格
ど. の とお り
法 で あ る(→ ゲ ル マ ン語 派). 序数詞
toogtjue(tyve)('two‐and‐twenty')の 多 用 さ れ る.す
な わ ち,ス
方が現在で も
カ ン ジ ナ ビ ア 諸 語 の う ち,
ス ウ ェ ー デ ン 語 は 英 語 式 で,デ 式,ノ
ンマ ー ク語 は ドイ ツ 語
ル ウ ェ ー 語 は 両 者 の 用 法 を 併 用 し て い る.さ
に,13以
上 の 序 数 詞 の 語 尾‐endeは,ニ
で は,‐andeと 6)動
ー ノ シュ ク
な る.
詞
動 詞 は,形
詞 と弱 変 化 動 詞 に,機
態 面 か ら み る と強 変 化 動
能 面 で は 本 動 詞 と助 動 詞 に 分 け
ら れ る . 文 語 で 動 詞 に 認 め ら れ る 範 疇 は,人 時 制,態,法
で あ る が,現
代 の 口 語,お
反 映 す る 文 章 語 に お い て は,人 て い る.た
ら
称,数,
よ び,こ
れ を
称 と数 の 区別 が 消 失 し
と え ば,「 投 げ る」 と い う 動 詞(ブ ー ク モ ー
ルkaste,ニ
ー ノ シ ュ クkasta)の
現 在 は,1・2・3
人 称 の 単 数 あ る い は 複 数 の 主 語 に 対 し,kaster(ブ ク モ ー ル),kastar(ニ
ー
ー ノ シ ュ ク)と い う1つ
の形 し
か もた な い . a)強
変 化 動 詞
ゲル マ ン系 の諸 言語 に 特 徴 的 な
drikke―drakk―drukket(NN
drikke―drakk―
drukke)'drink―drank―drunk'の
よ う に,ア
ウ トに よ り語 幹 母 音 を 変 化 さ せ る 動 詞 で,不
プラ
規 則 な変
化 をする. binde―bandt―bundet(NN bunde)「
縛 る 」,〓
― bar―bore)「
binde―batt― ―bar―baret(NN
gje/gi―gav―gieve/gitt)「 b)弱 な お,sju「7」,tjue「20」
は,1938年
革 に よ っ て 導 入 さ れ た が,デ モ ー ルsyv,tyveの 21,22…
の 綴 り字 改
方 が 広 く用 い ら れ て い る.ま
な ど も,1951年
は,不
た,
が 採 用 さ れ た が,デ
ど.
参 照.
動 詞 を活 用 させ るた め に必 要 な 語 形
定 詞,現
在 形,過
不 定 詞 は,原
ンマ ー ク
(NN
去 形,現
在 分 詞,過
形 の ほ か,aを
a kasta)「
去分 詞で
前 に お い てa
投 げ る 」 の 形 を と る.現
ー ク モー ル で は
語 に よ っ たenogtjue(tyve)('one‐and‐twenty'),
ノ
用
与 え る 」,な
表2を
あ る.
に英 語 や ス ウ ェー デ ン語 の よ
う にtjueen,tjueto…
変 化 動 詞
c)活
ン マ ー ク語 起 源 の ブ ー ク
bere
運 ぶ 」,gi―ga/gav―gitt(NN
,語 幹 に‐endeを
kaste
在 分 詞 は,ブ
接 辞 し てkastende
ル ウ ェー 語 の 弱変 化 動 詞
(ブ ー ク モ ー ル) 1類
2(a)類
不 定 詞
kaste「
現
在
kaster
投 げ る」
過
去
kastet/kasta
完
了
har
〓
2(b)類 「買 う 」
〓
〓
har
曲 げ る 」
〓
〓
kastet/kasta
3類
〓 〓
har
na「
達 す る」
nar nadde 〓
har nadd
(ニ ー ノ シ ュ ク) 1類
2(a)類
不 定 詞
kasta 〓 〓
現
在
kastar
過
去
kasta
完
了
har
注:skiljaな
ど の4類
kasta は,ブ
2(b)類
〓
〓
〓 har
〓 〓
ー ク モ ー ル で はskilleと
har し て2類
〓d に 含 ま れ る.
3類
4類
na
skilja「
nar
skil
分 け る」
nadde
skilde
har nadd
har skilt
の よ う に い う.こ
れ は,デ
ニ ー ノ シ ュ ク で は,語 andeの
ン マ ー ク 語 と 同 じ で あ る.
幹 に‐andeを
よ う に い い,こ
す る.用
れ は,ス
接 辞 し てkast ウ ェ ー デ ン語 と 同 じ
rike
komme.'Thy
Kongen
で あ る. 制
時 制 に は,現
在,過
去,未
来 の3種
が あ り,そ
れ ぞ れ に 完 了 形 が 加 わ る.完
際 に は,ブ
ー ク モ ー ル で は ドイ ツ 語 や デ ン マ ー ク 語 な
ど と 同 様,往
来,発
了形 をつ くる
着 等 を 意 味 す る 自 動 詞 の 場 合 に は,
〓(現 在 形er,過 + 過 去 分 詞(han
去 形var,過
er
去 分 詞〓)'be'
kommet'he
has
そ れ 以 外 の 自 動 詞 お よ び 他 動 詞 の 場 合 は,ha(現 har,過
去 形hadde,過
詞 を 用 い る.た
ー デ ン 語 と 同 様 ,自 動 詞,他
動 詞 の 区 別 な く,ha(va)
(変 化 形 は ブ ー ク モ ー ル と 同 一)'have'+ い る.な
お,最
近 で は,ブ
な ど の よ う に,決 は2人
kastast)'it
過 去 形ble(v),過
7)助
分 詞blitt〕 vart,過
動 詞
あ る い はverta〔
わ す 複 合 形det kasta)'it
blir
Jeg
習 慣 性 を 示 し,後
det
者 は,個
別 性,特
な お,受
再 帰 代 名 詞 で,古 に 由 来 し,‐skを
去 分 詞vore/‐i〕)+
用 さ れ る よ う に な っ た.ニ ン ド語,フ
者
た,ニ
語werdenと
minnast)「
(NN
会 う 」,synes(NN
m〓)「
う」,な f)法
ikke
詞
ま た,形
令 法 が あ る.
こ の う ち,接
続 法 は,話
法 の助 動 詞 の発 達 に よ り ほ と
ん ど 廃 れ,現
在 は 不 定 詞 と同 形,過
去 も直 説 法 を 流 用
kvar)
da)「
当 時 」,snart 長 く」,ofte
し ば し ば 」;
meir〕―mest)「
良 く」,mye
多 く 」,ja「
は い 」,
ど.
容 詞 に‐tを
つ け た 中性 形 も副 詞 と して 用
pen「
す ば ら しい 」―pent「
す ば ら し く」,lang
長 く」,sen「
遅 い 」―sent「
置 詞
av'of',for'for',i'in',med
' with',pa'on',til'to',ved'at',な
ど が あ る.ノ for a 〓
人 に な る の を 恐 れ て 」 の よ う に,不 す る.な は,古
遅
ど.
ル ウ ェ ー 語 の 前 置 詞 は,redd 続 法,命
較 級,最
い ら れ る.
9)前
説 法,接
級,比
そ こ 」,hvor(NN
nei「 い い え 」,な
く」,な
法 に は,直
彼 は1人
betre〕―best)「
「長 い 」―langt「
ど.
く床
byrja)
む こ う へ 」;
no)「 今 」,da(NN
(mer〔NN
イツ
思
は)早
i 〓.「
形 容 詞 と同 じ く,原
vel(bedre〔NN
思 い 出 す 」,〓
alene
(oftere―oftest)「
イスラ
synast)「
ga
「す ぐ 」,lenge(lenger―lengst)「
べ て の 人 称 に適
語 尾 が これ に 対
til sengs.「(人
こ こ 」,der「
na(NN
干 の 動 詞 に 中 間 態 が み ら れ る.
minnes(NN
tidlig
「ど こ」,bort「
称の
イ ス ラ ン ド語〓,ド
na.「 も う 行 か な く て は い け ま せ ん 」
b〓r ga
her「
も語 源 を 同 じ くす る.
さ ら に,若
入 っ て い い で す か 」(不
上 級 を も つ も の が あ る.
去形
ー ノ シ ュ クの 分 析 的 な 受動 態 に 用 い
る 助 動 詞vertaは,ア
ga
8)副
態 を 表 わ す.
ー ノ シ ュ ク で は,ア
ェー ロ ー 語 と同 様,‐stの
応 す る.ま
inn?「
で 暗 が り を 歩 く勇 気 が な い 」(不 定 詞tore)
ル ウ ェ ー 語seg)
な り,す
ノ ル ウ ェー語 を しゃ
に つ くべ き で す 」(不 定 詞burde,NN
過去分
史 的 に は3人
ノ ル ド語sik(ノ
vilje) norsk?「
komme
Han 〓
日で
vere〔 現 在 形,過
経 て‐sと
私 は 先 生 に な りた い 」
snakke
jeg
Man
blir/vert
示 や 広 告 な ど に 多 用 さ れ る が,今
動 態 の 単 純 形 の‐sは,歴
De
Jeg ma
者 は ,反 復 性,
殊 性 を 示 す.前
動 態 と い う よ り 動 作 の 結 果,状
私 は 明 日出 か け ま
べ れ ま す か 」(不 定 詞kunne)
去形
在 形 と法 助 動 詞 の 後 の 受 身 の 不 定 詞 の 用 法 に 限
詞 は,受
Kan
去
質 上,公
は ブ ー ク モ ー ル に 同 じ,過
の と お り で あ る.
i morgen.「
定 詞matte)
は,現
た,〓(NN
reise
動 態 に 用 い るbli,verta
vil 〓 〓.「
Ma
は,性
ら れ て い る.ま
ー ノ シ ュ ク で は,
複 合 時 制 を つ く る 際 の〓(NN
skal
Jeg
過 去 分 詞 で表
み ら れ る.前
数 投 げ
す 」(不 定 詞skulle)
kastes
現 在 形vert,過
kastet(NN
is thrown'が
令形
数,複
飲 め 」,kast「
だ し,ニ
ha(va)),受
(不 定 詞ville,NN
去 形blei,過
去 分 詞vorte/‐i〕'become')+
with
は,命 令 形 は 不 定 詞 と 同 形 で,kasta
以 外 の 主 な 助 動 詞 は,次
在 形blir,
現 在 形blir,過
と え ば,drik「
vere),ha(NN
去 分 詞blitt)'become,get'(ニ
ー ノ シ ュ ク で は ,bli〔
詞 の 語 幹 を 用 い,単
「買 え 」,な ど.た
ーノ シ
つ け る 単 純 形det
be
と な る.
動 詞 の場合 で も助動
is thrown'と,bli(現
king.'
ま っ た 表 現 に 限 ら れ て い る.命
の 区 別 は な い.た
態 に は,能 動 態 と 受 動 態 が あ り,後 者 に は
動 詞 の 語 幹 に‐s(NN‐st)を
the
dykk.(NN)'God
称 の み に あ り,動
広 く用 い ら れ る よ う に な り つ つ あ る.
e)態
come.'
you.'
過去 分 詞 を用
ー ク モ ー ル で も,ニ
ュ ク や そ の 他 の 方 言 の 影 響 で,自 詞haが
過去分
ー ノ シ ュ クで は英 語 や ス ウ ェ
live
med
弱 変 化 動 詞 第1類 在形
去 分 詞hatt)'have'+
だ し,ニ
vere
ろ 」,〓
come')で,
kingdom
leve.'Long
Herren
d)時
(NN
法 も,
Ditt
お,ス
alene「1
定 詞 と 自 由に結 合
カ ン ジ ナ ビ ア 諸 語 に 共 通 の 前 置 詞pa
ノ ル ド語upp
aに
由 来 し,英
語 のuponと
同
語 源 で あ る.
び,そ
10)接
続詞
a)等
位 接 続 詞
'or'
,な
og'and',men'but',eller
[辞
属 接 続 詞
at'that',enda(NN
,mens(NN
medan)'while',nar'when',
'though' om'if',な
enda)
ど が あ る.
な お,atは,古
書]
ノ ル ウ ェ ー 語 の 辞 書 の 中 で は,Norsk
Ordbok/Norwegian‐English
aryが,外
国 人 学 習 者 に も っ と も 使 い や す く便 利 で あ れ は,ハ
ウ ゲ ン(Einar
「ほ お っ,な
年 に,Universitetsforlaget(Oslo)とUniversity
と同 語 源
of
イ ツ 語〓
あ あ 」,bravo「
る ほ ど」,a(h)「
ブ ラ ボ ー 」,na
え え っ,お
お 」,な ど が
Wisconsin
Pressか
[統 語 的 特 徴]
統 語 的 に も っ と も 重 要 な 点 は,ド
と る が,他
動 詞 が 文 の 第2要
の 要 素 が 文 頭 に く る とVSの
Det
regner
i dag.「
S
V
I dag
regner
Adv Jew 〓
語 順 に な る.
今 日は 雨 降 りです 」
が ノ ル ウ ェ ー か ら 出 た.ブ
ー 語
i London.「
私 は この
Adv
bilen 〓
jeg V
I London 〓
jeg V
denne
bilen.
er
fire vegger
「室 に は4つ こ れ は,元
er'it
と
ル ウ ェー 語 特 有 の用 法 とな っ
と え ば,受
Verta,muna'will,may'〔cf.ア turva'need'〔cf.ア
動 態 をつ くる際 に用 い る イ ス ラ ン ド語munu〕,
イ ス ラ ン ド語purfa〕
の 成 立 の 背 景 ゆ え に,デ
ー
ンマ ー ク語 の
影 響 が 強 い.
Ordbok(Kunn ー ジ,
の 見 出 し 語 を 有 し,発
音 表 記 は な い が,ノ
ノ ル ウ ェ ー 語 か ら 日 本 語 に 入 っ た 語 は,ス
キー関係
接 に 日本 語 に と り 入 れ ら れ た の で は
語 を と お し て の 場 合 が 多 い.た だ し,ノ
ル
っ と も 大 き く,情
ニ ー ノ シ ュ ク の 辞 書 と して は,ス Skard)に
よ るNynorsk
カ ル ド(Matias
Ordbok(Aschenhoug
あ り,簡
トル ヴ ィ ク(Ingvald
Nynorsk
と え ば,ス
キ
ル ウ ェ ー 語 の 発 音 は[∫i:]),お
よ
,
便 な も の と し て は,セ
Ordliste(Fabritius
ル リエ
Torvik)の
,Oslo,1959)が
あ る.
旅 行 用 の 簡 便 な も の で は あ る が,Berlitz(Lau sanne)のEngelsk‐Norsk/Norsk‐Engelsk あ り,小
語 源 辞 典 と し て は,ト Etymologisk 1919年
Ordbok
型 な が ら 発 音 を 示 し て い る. ル プ(Alf
Torp)のNynorsk
Ordbok(Aschenhoug,Oslo,1963;
版 の 写 真 版)が
定 評 が あ る.
百 科 事 典 で は,ホ ル ム ス ラ ン(Arthur
の 語 が 多 い が,直
,た
あ る.
補 さ れ た キ ル ケ ビ ー(W.
よ るNorsk‐Engelsk
(1974,1981)が
な どの 助
動 詞 は 他 の ス カ ン ジ ナ ビ ア 語 で は 用 い な い)で,ブ ク モ ー ル は,そ
訂,増
(Einar 〓)と
ー ノ シ ュ ク は,ア イ ス ラ ン ド語 と と も に,語 彙 の
な く,英
近,改
報 量 も 多 い.た だ し こ れ も ブ ー ク モ ー ル の 辞 書 で あ る. 代 名 詞detが
ノ ル ウ ェ ー 語 の 語 彙 の 基 本 部 分 は,他
点 で も 保 守 的(た
よ るNorsk
ウ ェ ー 語 ・英 語 の 辞 書 と し て は,も
の 北 欧 諸 語 と 同 じ く ノ ル ド語 系 の 単 語 か ら な っ て い る が,ニ
ぎら
リス ト フ ァ ー セ ン(R.Christophersen)
Oslo,19657)が 彙]
クス モール
Ordbok(Gyldendal,Oslo,19664)が
7万5千
て い る. [語
の構 成 で 出版 され て
名 に も あ る と お り,リ
skapsforlaget,Oslo,19862)は,約1,400ペ
is'の
意 味 で も 用 い る.
の壁 が あ る」
っ て 代 わ っ た も の で,ノ
よ るNorsk
な わ ち ブ ー ク モ ー ル の 辞 典 で,ま
Kirkeby)に
i et 〓.
来 の 副 詞der'there'に
(riksmal),す
ま た,最
O
is(are)'の
Knudsen)
Sommerfelt)に
(Aschenhoug,Oslo,1937‐57)
れ は,書
Engelsk
非 人 称 構 文 を 導 く代 名 詞detは,det
Det
ヌ ド セ ン(Trygve
と ス カ ヴ ェ ニ ウ ス(H.Scavenius)に
Adv
S
用 法 の ほ か に'there
大 き な 辞 書 で は,ク
さ ら に,ク i London.
S
考
わ しい 発 音 は 記 号 で 示 され て い る.
車 を ロ ン ドンで 買 った 」
Adv
ー ジ 余 り の 序 文 で の 文 法 ・発 音 解 説,参
い る.こ
O
O
ま た,30ペ
文 献 の リ ス トは 有 益 で あ る.
が,Ⅰ(2巻),Ⅱ(2巻),計4巻
S
V
Denne
類 の 音 楽 的 ア ク セ ン トの 別 を 示 し,
Riksmalsordbok
bilen
補 さ れ,
ク モ ー ル と ニ ー ノ シ ュ ク の 両 方 の 語 彙 を 収 録 し,熟
と ソ マ ー フ ェ ル ト(Alf
det.
denne
S
語順 を
Adv
V
メ リ カ で 改 訂,増
発 音 の ま ぎ ら わ し い も の に は 発 音 表 記 もつ い て い る.
素 と して現 わ れ る
語 が 文 頭 に き た 場 合 に はSVの
よ っ て1965
ら出版 され た ノル ウ ェー 語 ・ に,ア
さ ら に,1984年,第3版
に も 詳 し く,2種
あ る.
こ と で あ る.主
Haugen)に
語頭音が
ah「
イ ツ 語 と同様,定
Diction
語that,ド
英 語 の 辞 典 で,1974年 投 詞
どが
Engelsk
る.こ
で あ る. 11)間
ス
名),な
ノ ル ド語 のpat'that'の
消 失 し た も の で,英
ー(ski
レ マ ー ク(<Telemark,地
そ れ で あ る.
ど が あ る.
b)従
の 関 連 語 ク リス チ ャ ニ ア(<Kristiania,オ
ロ の 旧 名),テ
他 に よ るAschenhougs
Konversasjons
18vols.(Aschenhoug,,Oslo,1954‐614)が 良 で,ノ
Holmesland) Leksikon, 最 大,最
ル ウ ェ ー の 文 化 を 知 る の に す ぐ れ て い る.
[参 考 文 献]
Berulfsen,Bjarne(1971),Norwegian
b)ノ
Grammar
(Aschenhoug,Oslo) Haugen,Einar(1937,19573),Beginning
Norwe
Teach
and
Yourself
Alf
Norwegian(The
English
Uni
れ て い る.後
ー クモ
ー ノ シ ュ ク に関 す る情 報 は ほ と
〓 ,Olav(19652),Norsk 〓
ブ ー クモ
ー ル の 文 法. Grammatikk
(Universitetsforlaget,Oslo)―
ニーノ
シ ュ ク の 文 法. and
Ingvald
Spraket
Vart(Gyldendal,Oslo)―
Scandinavian
to
the
Deutsch,
々 の 言 語 の 発 音,文
法 を簡潔に
示 し た も の. Conflict
Planning(Harvard
Press,Cambridge)―
and
University
ブ ー ク モ ール と ニ ー ノ シ
デ ン マ ー ク 語,ス
ウ ェ ー デ ン 語,古
ノ
(山 本
っ た.そ
の 後,ハ
ン ド ・ヨ ー
ル マ ン語 派 に 属 す る 言 語 の 総 称 で,北
ヴァ
音 に忠 実
の入 れ る と ころ とな ら なか
ン マ ー シ ュ ハ イ ム(V.U.Hammers
haimb,1819∼1909)が,中
世 ノ ル ド語 を も と に し た 用 さ れ た.こ
修 正 を 経 て,今
日 に 至 っ て い る.上
そ れ で あ る.日
常 生 活 に お い て は,デ
れ は,若
干の
に 示 し た 綴 り字 が ンマ ー ク語 の混
用 が 頻 繁 に 行 な わ れ て い る.
a)デ
部方言 ン マ ー ク 語
デ ン マ ー ク 本 土,お
よ び,フ
リー ン ラ ン ドで 使 用 さ れ て い る.標
解 を 招 きや す い.た
ジ ナ ビ ア の フ ィ ン ラ ン ド語 は,非
b)ス
準デ
門 閉 鎖 とい わ れ る一 種 のつ ま り音 が
ス ウ ェ ー デ ン 本 国 と,か
つ
て の 植 民 地 で あ っ た 西 部 フ ィ ン ラ ン ドで 使 わ れ,フ
ウ ェ ー デ ン 語
ィ
は,地
理上
ン ラ ン ドで,フ
とえ ば,ス
カ ン
る.ノ
カ ン ジ ナ ビ ア 語 と もい う.後2者
の 名 称 で あ り,誤
,発
特 徴 と な っ て い る.
ヨ ー ロ ッパ で 話 さ れ て い る,イ
ロ ッ パ 語 族,ゲ
発 音 す る(ア イ ス
ー ボ(J.Chr.Svabo,1746∼1824)は
ン マ ー ク語 は,声
文 明)
英Nordic
イ ン ド ・ヨ ー ロ ッパ
c)ノ
ィ ン語 と 並 び,公
ノ ル ド語 に 属 す る 言 語 は,次
の とお り
で あ る.
ー ン語
以 前 は,ス
ン ド諸 島(Shetland 使 わ れ て い た.こ
部方言 イ ス ラ ン ド語
ア イ ス ラ ン ド共 和 国 の 公 用
語 で,現
代 ノ ル ド語 の 申 で も 「古 風 」 な 言 語 と し て 知 の 理 由 と して は,ア)名
の 変 化 お よ び 活 用 が,中
詞,形
容 詞,動
詞
世 ア イ ス ラ ン ド語 と大 き な 差
ま な お,外 来 語 を ほ と ん ど 受 け つ け ず,
語 彙 の 発 達 が 一 貫 し て い る,な
どの 点 を あ げ る こ とが
コ ッ ト ラ ン ド北 部 に あ
Islands)お
Islands)に
よ び シ ェ トラ
も,ノ ル ド系 の 言 語 が
れ を ノ ー ン 語 と い う.し
領 主 の 弾 圧 政 策 に あ い,18世
a)ア
用 語 に指 定 され て い
ル ウ ェ ー 語 に よ く似 た 音 楽 ア ク セ ン ト を も つ.
る オ ー ク ニ ー 諸 島(Orkney
語 系 の 言 語 で あ る.
が な い,イ)い
イ ス ラ ン ド語eg
日」 と綴 っ て[〓]と
ェ ー ロ ー,グ
ル マ ン語 派
ら れ る.そ
擦 音 の 変 化 が 著 し い.
読 む(ア
ラ ン ド語dagur[〓])
2)東
ュ ク の 言 語 対 立 に 関 す る 名 著.
で き る.
eg「 私 」 と 書 い て[〓]と
古 風 な 正 書 法 を 提 唱 し,採
Haugen,Einar(1966),Language
1)西
態 と も に 単 純 化 し て い る.特 鎖 音,摩
な 正 書 法 を 案 出 し た が,世
ス カ ン ジ ナ ビア 諸 語 に つ い て の 概 説
類]
ル ウ ェー か ら の植 民 イ ス ラ ン ド語 と の 類 似
フ ェ ー ロ ー 人 は 久 し く文 字 を もた な か っ た.ス
Languages(Andre
書 で あ り な が ら,個
欧 語,ス
韻,形
重 母 音 の 発 達,閉
ノル ウ ェー
Walsche,M.O'C.(1965),Introduction
現 在,北
デ ンマ ー ク の 自 治領 で あ る フ
に よ り も た ら さ れ た も の で,ア
dagur「
Torvik(1967),
語 の 歴 史 を 扱 っ た も の.
ノ ル ド語
弱 ア ク セ ン トと と も
わ ゆ る 音 楽 ア ク セ ン トが あ る.
ェ ー ロ ー 語
に,二
功 績が
[〓])
Lundeby,Einar
ル ド語,ゲ
紀 の 国 語 愛好 家 イ ー
ル ウ ェ ー 語 に は,強
低 の,い
点 が 目立 つ が,音
Torvik,Ingvald(1954,19662),Nynorsk
[分
に,高
新 ノ
Aasen,1813∼96)の
ェ ー ロ ー 諸 島 で 使 わ れ て い る.ノ
til skolebruk
og 〓(Fabritius,Oslo)―
照]
な り
方 言 が公 用語 と して認 め ら
者 に つ い て は,19世
大 で あ る.ノ
c)フ
ん ど な い.
[参
部 の 方 言 を も と に し て,か
,西
ヴ ァ ル ・オ ー セ ン(Ivar
こ れ ら の 文 法 書 は 平 易 で 分 か り や す い が,ブ ー ル の 文 法 で あ り,ニ
Language
ンマ ー
ー ル(bokmal)と
ル ウ ェ ー 語 」 の 意)の2大
Sommerfelt(1967),
Press,London)
London)―
ノ ル ウ ェ ー の 国 語.デ
部 を 中 心 に 勢 力 を もつ ボ ー ク モ
人 為 的 に 整 理 さ れ た ニ ュ ー ノ シ ュ ク(nynorsk「
gian(Harrap,London) Marm,Ingvald
versities
ル ウ ェ ー 語
ク 語 の 系 統 を ひ き,東
け て 滅 び て し ま っ た.前
か し,英
紀 の 末 か ら19世
世 紀 の 後 半,フ
ェー ロー の言
語 学 者 ヤ ー コ プ ・ヤ ー コ プ セ ン(Jakob 1864∼1918)が
源 辞 典 』(Etymologisk Sprog
pa
Jakobsen,
調 査 を 行 な っ た と き に は,な
り の 単 語 が 記 憶 さ れ て い た.そ
国
紀 にか
お,か
な
の 成 果 は,『 ノ ー ン 語 語
Ordbog
Shetland,1908‐21)と
フ ィ ン ヌ ル ・ヨ ウ ン ス ソ ン(Finnur
over det 〓 し て,彼 Jonsson)の
の 死 後, 手 で
完 成 され た.ク
レイ ギー(W.Craigie)ら
に よ る英 訳
もあ る(→ ノー ン語). [歴
が 減 っ て い る)が あ り,言
語 上 の 変化 を 反映 した
も の で あ る.
史]
1)資
形(数
ル ー ン碑 文 に 記 録 さ れ た 言 語 は き わ め て 古 風 で あ
料
ス カ ン ジナ ビア に 移 り住 ん だ ゲ ルマ
ン人 につ い て は,古 代 の歴 史 家 の 著述 に,若 干 の民族
り,ゴ
ー ト語 よ り保 守 的 な と こ ろ も あ る.た
5世 紀 の 半 ば の も の と さ れ る,ガ
と え ば,
レ フ ー ス(Gallehus)
名が 記 され て い る の み で,詳 細 は不 明 で あ る.言 語 上
出 土 の 角 形 の 金 盃 に 刻 ま れ た 碑 文 の 文 面 は,次
の資 料 と して は,い つ の時 代 か,フ ィ ン語 お よび ラ ッ
で あ る.
プ語(サ ー ミ語)に,ゲ
ル マ ン語(ノ ル ド語?)よ
り借用
ek
され た 単語 が,原 型 に よほ ど近 い と思 わ れ る形 で残 存
hlewagastiR
「余,ホ
holtijar
こ こ に 見 え て い る‐gastiR(ゴ
参照).
か ら,こ
ほか に,ノ ル ド語 の資 料 で あ る ル ー ン 碑 文(runic
2)文
字
の 語 がi‐
こ と が で き る.ま
対 し,北 ゲル マ ン語 と も よば れ,す で に死 滅 した ゴ ー ト語 と近 い 関 係 にあ る.大 陸 と異 な り,キ リス ト教 の 代),そ
の受 容 の
方法 が 緩 や か で あ っ た こ とな ど か ら,中 世 の ノル ド語 は,異 教 時 代 の要 素 を多 分 に残 して い た よ うで あ る. ラテ ン文 字 が 輸 入 され る前 は,ル ー ン文 字(runes)
た,〓
と称 す る,直 線 を基 調 と した 独 自の文 字 を使 用 して い
3)語
史
も,長
母 音 を保
頭 に ア ク セ ン トが 固 定 さ れ る 傾 子 音 推 移(い
則)を 経 て い る,ⅲ)形 ⅳ)動
詞 に 強 弱 の 変 化 が あ る,な
き る が,他
に,ノ
も知 られ て お り,ま た,大 陸 で も,こ の 文 字 で 書 か れ く,ゲ ル マ ン人 の 間 に普 及 して いた 時 代 が あ った の で あ ろ う. 北 欧 で は,巨 大 な 石 に 故 人 の事 跡 を刻 ん だ墓 碑 銘 が , 各地 に多 数 現 存 して い る.こ の ほ か に は,装 身具,剣 な ど の武 器 に,持 ち 主 の名 前,あ るい は呪 文 な ど を刻 んだ もの が 出 土 して い る.こ れ らの うち で,特 に 古 い 紀 頃 ま で遡 る とす る学 者 もあ る.こ の文
字 列 を,ア ル フ ァベ ッ トの命 名 法 に ち な んで フ サル ク よ ぶ.ル ー ン文字 の 字 体 には,古 形 と新
ど を あ げ る こ とが で
ル ド語 独 自 の も の と し て,次
のよう
な 事 項 が 指 摘 さ れ る. a)ゲ
ル マ ン 祖 語*wwが,gwwと
b)ゲ ddjと
し て 現 わ れ る.
ー ト語triggwa(古
英語
ル ド語ggj,ゴ
ー ト語
ー ト語twaddje(古
英語
ル マ ン 祖 語*jjは,ノ な る.
ノ ル ド語tveggja,ゴ で は,twegra「2つ c)2人
の 」)
称 単 数 過 去 形 の 語 尾 が,‐tに
古 ノ ル ド語pu
gaft「
古 英 語pu 〓
タ ク ス)の 1)定
終 わ る.
汝 は 与 え た」
「(同 上)」
[現 代 ノ ル ド語 の 一 般 的 特 徴] 面 で,次
文 法(形
態,シ
ン
の よ う な 特 徴 が あ る.
冠 詞 が 名 詞 の 後 ろ に 接 続 す る.た
語 のthe
ル ド語 の 文 字
わ ゆ る グ リム の法
容 詞 に 強 変 化 と弱 変 化 が あ る,
で は,treo'true')
た碑 文 が見 つか っ てい る とこ ろ をみ る と,広
ル マ ン語 に 共通 す
る 特 徴 と し て,ⅰ)語
ノ ル ド語triggvi,ゴ
ノ
客 」)
向 が あ る,ⅱ)第1次
影 響 も認 め られ る.こ の文 字 とほ ぼ同 じもの が英 国 に
(futhark)と
の〓
ノ ル ド語 に は,ゲ
た.〈 図 〉か ら も分 か る よ うに,一 部 に ラ テ ン文 字 の
もの は,2世
ー ト語 で は,gasts「
語 幹 で あ る こ とを 明瞭 に読 み とる
存 す る 古 い 形 で あ る.
ノル ド語 は ,英 語,ド イ ツ 語 な どに
伝 来 がや や 遅 れ た こ と(西 暦1000年
horna 〓
ル テ の 息 子 こ の 角 を 作 る(刻 む)」
して お り,貴 重 な もの で あ る(「ゲ ル マ ン語 派 」 の項 を
inscriptions)が あ る.
の よう
book,the
deskを,デ
と え ば,英
ン マ ー ク語 で は,
そ れ ぞ れbogen(bog‐en),bordet(bord‐et)の
よう
に い う. 2)形
容 詞 の 述 部 的 用 法 に は,英
な り,文
法 性 に よ る 語 形 上 の 差 異 が 残 っ て い る.た
え ば,ア
イ ス ラ ン ド語 で, 〓 er 〓
er
Mennirnir 3)現
stor「
stort「 eru
イ ツ 語 と異 と
そ の 男 は 背 が高 い 」
そ の家 は 大 きい 」 storir「
そ の 男 た ち は 背 が 高 い」
代 ゲ ル マ ン 諸 語 の 中 で,動
り の タ イ プ,お
語,ド
よ び,重
詞 の 弱 変 化 の4通
複 法 に よ る 過 去 形 な ど は,ア
イ ス ラ ン ド語 に 保 存 さ れ て い る が,他
の 言 語 で は,英
語 な ど の よ う に 簡 素 化 さ れ て い る. 4)中 出 典:モ ル トケ(Erik Moltke)『 デ ンマ ー クの ル ー ン と そ の 起 源 』(1976)に よ る.
た が,ア
世 ノ ル ド語 で は,非
人 称構 文 が頻 繁 に使 わ れ
イ ス ラ ン ド語 に は よ く保 存 さ れ て い る.た
と
え ば,I
dreamをMig
dreams
dreymir(直
to me')と
す る な ど.し
1)古
訳 で は,'It
か し,他
古 ノ ル ド語
お お か た 人 称 構 文 へ 転 化 し て し ま っ た. 5)語
彙 の 面 で は,a)英
語,ド
イ ツ 語 のto
(ich)binな
ど に 対 応 す る語 根*bheu‐
な い,b)英
語to
do,ド
定 形*dhe/dha)が
be,
独 立 語 と し て 存 在 し て い な い,な の ゲ ル マ ン語
と お お む ね 共 通 で あ る. ノ ル ド語 で は,中
世 か ら現 代 へ 向 か っ て,音
韻 ・形
態 上,著 し い 簡 素 化 が 進 行 し,ノ ル ウ ェ ー 語,デ ンマ ー ク 語 ,ス ウ ェ ー デ ン 語 な ど は,程 度 の 差 は あ る が,
haf'sea'
vakr'alert'
voker'healthy'
damr'taste'
doma'taste,smell'
berg'cliff' 〓 'good'
berg'mountain,rocky hill' gue'good'
bu'abode'
bu'abode'
古 ノ ル ド語 の 無 声 摩 擦 音 の[〓]は,ノ
Haugen,Einar(1976),The (Faber
Scandinavian &
Languages
Faber,London)―
料 を駆 使 し て い る が,比
treat
ー ン 語 で[t]
し て 現 わ れ る.有 声 摩 擦 音 の[〓]は,[d]
と し て 保 存 さ れ る か,さ [参 考 文 献]
or
haf'sea'
あ る い は[d]と
現 代 英 語 の よ う な 屈 折 的 言 語 と な っ た.
health ment'
欧祖語の想
本 語 彙 は,他
ノ ー ン語
bani'death'bani'bad
が 知 られ て い
イ ツ 語tun(印
ど の 点 が 注 意 さ れ る が,基
ノ ル ド語 との 対 応
の 言 語 で は,
古 ノ ル ド語
も な け れ ば 失 わ れ た.
ノ ー ン語
フ ェー ロー 語
膨 大な資
較 的 読 み や す く,内
容 も信
頼 で き る. Wessen,Elias(1941,19699),De (Almqvist
&
edition:Die
nordiska
spraken
Wiksell,Stockholm;German nordischen
Sprachen,Walter
Gruyter,Berlin,1968;日
de
本 語 訳:『 新 版 ・北 欧 の
言 語 』 菅 原 邦 城 訳,東
海 大 学 出 版 会,1988)―
小冊
子 で あ る が 概 観 に 便 利. 尾 崎 義(1972),『
北 欧 語 の 話 』(大 学 書 林,東
京)―
名 詞 の 格 語 尾 は,現
北 欧 語 に つ い て 初 め て 読 む 人 向 き.学 術 書 で は な い. [参
照]
ゲ ル マ ン語 派 宏 一)
男 性 単 数 主 格‐r: ilder(ON:eldr)'fire';
英Norn
ノ ル ド語 に 属 す る 言 語 で,ス あ る オ ー ク ニ ー 諸 島(Orkney ラ ン ド諸 島(Shetland
mader(ON:matr)'food'
コ ッ トラ ン ドの 北 方 に Islands)お
Islands)に
よび シ ェ ト
お い て,19世
同 上(弱 変 化)‐i: andi(ON:andi)'breath';
紀初
spadi(ON:〓)'spade'
頭 ま で 日常 語 と し て 使 用 さ れ て い た.ノ ー ン と は,古 ノ ル ド語(Old
Norse,以
下ONと
略 称)の〓
が転
化 し た も の で,「 北 方 の 」 と い う 意 味 で あ る.上 島 は,ノ
ル ウ ェ ー,フ
ェ ー ロ ー 諸 島(Faeroe
kupa(ON:kupa)'cup'
の言
れ らの 地 域 か らの植 民者 に よ り当地 に もた ら
紀 に ス コ ッ ト ラ ン ド人 領 主 の
底 的 な 弾 圧 と 搾 取 を 受 け,19世
に 入 る と島 民 の 言 語 も南 部 か ら 次 第 に 英 語(ス
紀
コッ ト
資 料 に 基 づ い て い る.ヤ
た とえ ば,'to は,'bon'は
ェー ロ Jakob
ー コプ セ ン以 前 に こ
の 言 語 が 学 問 研 究 の 対 象 と さ れ た こ と は な く,標 は も と よ り正 書 法 も存 在 し な か っ た.
準語
say bon words'「 お祈 りを す る」 で
古 ノル ド語bon「
祈 り」 と思 わ れ るが,
す で に 英 語 のbonnie'good'と 2)シ
し て い っ た.
[言 語 特 徴] 以 下 の ノ ー ン 語 の 記 述 は,フ ー の 言 語 学 者 ヤ ー コ プ ・ヤ ー コ プ セ ン(Jakob sen)の
低 地 ス コ ッ トラ ン ド方言 が定 着 した後 も,多 くの ノ ー ン語 の単 語 が 英 語 の 表 現 に混 在 す る形 で保 存 さ れて い る.し か し,原 義 が 忘 れ られ て い る場 合 もあ る.
こ れ ら の 諸 島 は,15世
ラ ン ド方 言)化
brena(ON:brenna)'burning';
Islands)
さ れ た も の で あ る.
手 に 渡 っ て 以 来,徹
女 性 単 数 主 格‐a:
記の諸
と ス コ ッ トラ ン ド を結 ぶ 交 通 の 要 路 上 に あ り,こ 語 も,そ
ー ン語 に お い て も
一 部 の 単 語 に 見 い だ され る. (秦
ノ ー ン語
在 で は ア イ ス ラ ン ド語 と フ ェ ー
ロ ー 語 に の み 保 存 さ れ て い る が,ノ
ン タ クス,そ の 他
混 同 さ れ て い る. ノ ー ン語 の資 料 は量 的
に も質 的 に も限 られ て い るた め,シ
ンタ ク ス の詳 細 は
不 明 で あ る.ヤ ー コプ セ ンが 調査 した 時点 で は,代 名 詞,前
置詞 な どい わ ゆ る機 能語 は英 語 に な って い る も
の が 多 い.ま た,ノ ル ド語 の特 徴 で あ る接 尾 辞的 定冠 詞 は ほ ぼ忘 れ られ,英 語 のtheの
変 形 で あ るdeが
用
い ら れ て い る.
ク 語 が 使 わ れ て い た よ う で あ る.
ノ ー ン 語
古 ノ ル ド語
下 に 示 し た 引 用 文(Jakobsen
K warna farna? mader to de bjadni Fo me a dek. Oba donja.
Hvert ferr pu? matr tilbarns Fa mer ein drykk. Opna dyrnar.
ご ろ ま で シ ェ ト ラ ン ド島 北 部 に お い て 葬 儀 に 実 際 に 使
My
Min 〓
midder me.
kaller o
kallar
わ れ て い た 告 別 の 辞 で,14・15世
《原
du
'food
for
'Give
the
me
' Open '
Op
going?'
is
calling
me.'
英
Goden
'Good
dag! dag
til dora!
語
yurden fra
day
も い う.こ
ク 語 な ど のmor[〓]に
英語
れ は,デ
er
du
skabt
var
Opstaa,
syne
du,for
Og
til jorden
Op
fra
ンマ ー
bastnan
blaa.
af jorden
ら な る 民 謡 の 断 片
タ リ ック で
息 子 が ス コ ッ トラ ン ド
「都 会 の 言 葉 」 を 覚 え て き た こ と を 自 慢 す
の 代 名 詞 は 英 語 のheを
用 い る が,こ
ル ド語 のhan(n)も
skal
Herren
nar
du
du
er)dod,
opsta,
lader(i)sin
thou
basun 〓.
称単数
の例 に あ る よ う
of
earth
the earth
Lord
shall
ま た,de 'the
ど は,古
earth
thou
shalt last
when when
sea',de
burning
poetry)の
De
文》 vare
when
gue
一 部 に な って い る の は興 味 深 い 事 実 で あ る. 書]
min
guid
〓 ca' big
sossa
the
Norn
;英
mare
Sprog
Ordbog pa
Shetland(〓
訳
An
Etymological
Language
in
Dictionary of Shetland,David
Nutt,London,1928‐32;repr.1985,AMS bere
klovandi
New
Press,
York)
[参 考 文 献]
taings...
Barnes,Michael(1984),"Orkney
《英 訳 文 》
he
det 〓
to Kadanes:
eld fire
when
over ti
sone
It was
in my
a
good
son
can
call
went
rossa
big
Norn",in
hour,
the
to Caithness
British
and
Shetland
Trudgill(ed.),Language Isles(Cambridge
in University
Jakobsen,Jakob(1957),Greinir
bere(=barley)
klovandi
Peter
Press,Cambridge)
mare
eld〔ON:eldr〕
og 〓
(H.N.Jacobsen,Torshavn) ,fire [参
taings(=tongs)
照]ノ
ル ド語 (泰
(J.ヤ 4)語
彙
用
れ ら の語 が ノー ン語 の 日常 語 の
Jakobsen,Jakob(1908‐21),Etymologisk 《原
ljog
one,fire'な
ノ ル ド語 の ス カ ル ド詩(Skaldic
語 に 通 じ る も の で,こ
now arise
trumpet.
deep,open
brenjer'the
thou wast
returns thou
blow the
djup'the
sea',de
[辞
散 見 さ れ る.
art,for
dead.From the
ー ン語 とス コ ッ トラ ン ド英 語(イ
vender(du
jorden
made,...to
近 い.
る 親 の 気 持 ち を 歌 っ た も の で あ る と い う.3人
に,ノ
doed. du
《英 訳 文 》
to you!'
敬 称.midderは
ー ン語 で はmoraと
へ 出 か けて
ven
skal laar
Jorden
Earth
示 す)か
nu
yurden
Herren
nar
day!'
'Good
dor/doraはdu(thou)の
3)ノ
af yurden
door!'
ノ ー ン 語
で,ノ
fur
《デ ン マ ー ク 語 訳 文 》
drink!'
mother
Goden
art
skav'd
naar
child'
a
the
My
du
vis
Oktoa you
紀 に成 立 し た もの と
文》
Yurden
a
mik.
are
紀
い わ れ る.
英 語 'Where
CXVII)は,18世
ー コ プ セ ン の 語 源 辞 典 よ り 引 用)
語 彙 の 面 で,特
に 日 常 生 活,自
境 お よ び 漁 業 に 関 す る も の は,ノ
然環
と 共 通 点 が 多 く認 め ら れ る.ま
は
ル ウ ェー 語 の 諸 方 言
ー ク の 領 土 で あ っ た こ と か ら,か
た,15世
紀 まで デ ン マ
な りの数 の デ ンマー
白 ロシ ア語
英
宏 一)
Byelorussian,露
格)
ベ ロ ル シ ア 語,ベ
ロ ロ シ ア 語 と も い う.
ソ 連 邦 を 構 成 す る 共 和 国 の1つ,白
ロシ ア共 和 国 に
お い て 主 に 行 な わ れ て い る 言 語.白
ロ シ ア は,ヨ
ッ パ ・ ロ シ ア の 西 部 地 域 を 占 め,西
は ポ ー ラ ン ド,南
は ウ ク ラ イ ナ,北
東 は ロ シ ア,北
人(う ち,757万
共 和 国 に 居 住)の74.2%に
あ た る700万
お,白
万 人 お り,そ
に
[系
統]
e)ス ら れ る.
ラ ブ 語 派 に 属 し,ロ
ン ド ・ヨ シ ア 語,ウ
イ ナ 語 と と も に 東 の グ ル ー プ を 形 成 す る.以 ロ シ ア 語 と,他
の2つ
クラ
下 に,白
シ ア 語(略Rus.),ウ
と 違 っ て,非 related
音/〓//〓/で b)ふ
BR.〓
ク ラ イ ナ 語(略Ukr.)
鎖 音 で は な く,破
で も,白
シ ア 語 は,音
し て 何 よ り,文
声 面,語
彙 面,そ
い て 著 し い 類 似 を 示 す.了
互に
ロ シア 語 と ロ 法 にお
解 度 と い う 観 点 に 立 って
ロ シア人 に と っての 最 大公 約 数 的 な 印 象 の よ う で あ 方,白
ロ シ ア 人 に と っ て も,ロ シ ア 語 は,「 第2
下 の 記 述 で も,ロ
う した 事 情 か
シ ア語 へ の 言 及 が しば し ばな
[文 字 お よ び 正 書 法] い る.ロ
蓋 化 と い う相 関 標 識 に 関 し
文 字 は,キ
シ ア 語 との 相 違 は,次
1)ロ
な さ な い.
BR.〓
ス ラ ブ 語 は,相
き わ め て 近 い と され て い る.中
さ れ る こ と に な ろ う. 擦
わ ゆ る).
る え 音/r/は,口
て,対(pair)を
蓋化」がみ
「手 」:Rus.〓
以 上 の よ う な 相 違 は あ る が,東
ら,以
「相 関 対(cor
を な す の が,閉 あ る(い
「第2口
の 母 語 」 の ご と き も の で あ る と い う.こ
口 蓋 化 音/d//t/と
pair)」
「飲 ん だ 」:Rus.〓 ラ ブ語 史 で言 う と ころの
る.他
ロ シ ア 語 固 有 の 特 徴.
a)ロ
対 す る 非 音 節 主 音 的 な[w]
も,「 白 ロ シ ア 語 は 習 わ な くて も 分 か る 」 と い う の が,
の 東 ス ラブ 語 との関 係 を示 す 特
徴 を あ げ る. 1)白
「清 潔 な 」
BR.〓
人 強 の 母語 で
白 ロ シ ア 語(略BR.)は,イ
べ て 硬 音 で あ る.
シ ア 語 の/l/に
人 が 白 ロ シア
い る.
に対
を 有 す る.
連
人 が ポ ー ラ ン ドに 居 住 し て
ュ ー 音)+j」
み ら れ る.
「判 事 」:Rus.
ュ ー 音 は,す
BR.〓
ロ シ ア 人 は ソ連 邦 国 外 に も約22
の う ち,18万
ー ロ ッ パ 語 族 ,ス
BR.〓 c)シ
d)ロ
ソ連 邦 で 実 施 さ れ た 調 査 に 基 づ く統 計 に よ れ ば,ソ
あ る と い う.な
複(gemination)が
西 は ラ トヴ ィ ア,リ
料 に よ っ て か な り異 な る.1979年
邦 内 の 白 ロ シ ア 人946万
シ ア 語 の 「軟 子 音(歯 音,シ
し て,重
ー ロ
トァ ニ ア と国 境 を 接 す る. 言 語 人 口 は,資
b)ロ
リー ル文 字 を用
の と お り で あ る.
シ ア 語 の 正 書 法 の 母 音 字〓
に 対 し,iが
用い
られ る.
「列 」,(私
が)喫 煙 す る 」:Rus.〓
2)[w]を
示 す た め,発
音 区 別 符(diacritic)が
用
い ら れ る. c)両
唇 音 に あ っ て は,語
位 置 で,口
末,お
よ び,/j/の
蓋 化 に よ る 対 立 が な く な る(次
前の
の 例 で は,
「ず っ と 以 前 に 」 3)分
母 音 の 前 で は 対 立 し て い る). 数 ・生 格)
ロ シ ア 語 と ロ シ ア 語 が 共 有 す る が,ウ
クライ
BR.〓
a)ア
区 別 さ れ な い(い
母 音/a/と
非
わ ゆ る,
). 代 ロ シ ア 語(略OR.)の〓
音字
を 用 い な い.
BR.〓
ク セ ン トの な い 音 節 で は,低
b)古
ポ ス トロフ
「合 同 」:Rus.〓
4)子
ナ 語 に は み ら れ な い 特 徴.
低 母 音/e//o/が
で は な く,ア
ィ ー を 用 い る.
「鳩 」(単 数 ・主 格):(単 2)白
離 記 号 と し て は,〓
は,/e/と
合流 し
た.
「も の 惜 し み し な い 」:Rus.〓
正 書 法 は,ロ
シ ア 語 と比 べ て,よ
に 近 い.す
な わ ち,ロ
い〓
が,白 BR.〓
り音 素 表 記 の 原 則
シ ア語 で は正 書法 に反 映 され な
ロ シ ア 語 で は 正 書 法 で 示 さ れ る. 「都 市 」(単 数 ・主 格),〓(複
数 ・
主 格):Rus.〓 OR.〓
c)古
「時 代 」:BR.BeK:Ukr.BiK 代 ロ シア語 の弱 化 母 音
る 場 合,b>o,b>eと 3)白
と は い え,口 が完全母音 にな
な っ た.
の2文
ロ シ ア 語 と ウ ク ラ イ ナ 語 が 共 有 す る が,ロ
シ
ア 語 に は み られ な い 特 徴. a)ロ
有 す る(そ
1)母 れ
ぞ れ,〓). BR. 「血 」:Rus.〓(と
も に 単 数 ・前 置
音 の 前 では
い う 音 素 に 対 し,
字 が 当 て ら れ て い る 点 な ど か ら み て も,音
素 的 原 則 は,そ [音
シ ア 語 の 子 音 間 で ア ク セ ン トの な いpo,pe, に 対 し て,を
蓋 化 に よ る 子 音 の 対 立 が,母
母 音 字 に よ っ て 表 わ さ れ る 点,/i/と
れ ほ ど 徹 底 し た もの で は な い.
韻] 音
白 ロ シ ア語 の母 音 を記 述 す る に 際 し
て は,併
せ て ア ク セ ン トを 考 慮 す る の が 妥 当 で あ る.
a)ア
ク セ ン トの あ る 母 音―/i/,/u/,/e/,/o/,/a/
の よ う に,そ の 目 録 は 最 大 と な る.関
与 的 で あ る の は,
「高 さ」 と 「円 唇 化 」 で あ る. 高 母 音(/i/,/u/):非 さ ら に,非
と き,目 につ く特 徴 と言 え よ う,伝 統 的 に,口 蓋 化 音 に/〓/を 加 え た 子音 を軟 子 音,そ れ 以 外 の 子 音 を硬 子
高 母 音(/e/,/o/,/a/)
高 母 音 は,
低 母 音(/a/):非
音 と よび な らわ して い る.
低 母 音(/e/,/o/)
同 じ く硬 口蓋化 に よ る対 立(硬:軟
円 唇 化 母 音(/u/,/o/):非
円 唇 化 母 音(/i/,/e/)
こ こ で 断 っ て お か ね ば な ら な い の は,母 され る 前 舌 母 音[i]と,〓 に つ い て で あ る.こ
の2つ
は,音
ⅰ )上 述 の〓(/t/と/ts'/,/d/ 表わ
声 的 に か な りの 違 い
き に2つ
あ る が,実
補 分 布 を な す.
際 に は,相
音 字iで
で 表 わ さ れ る 中 舌 母 音[i]
が 認 め ら れ る た め,と
b)ア
この相 関 に 入 らな い.
ⅲ )音 声 的 実 現 の 際,白
声規則
ⅰ )有 声,無 声 の相 関対 を なす 子 音 の 前 では,同
く有 声,無 声 の 対 を な す子 音 は,有 声 性 に関 して 後 続
〓 「小 さ な キノ コ」:〓
子 音(主
/C‐/
〓 「 頼 み 」:〓
と し て,非
/i/
口 蓋 化 音)に 続 く場 合,
子 音(主
ⅱ )軟 子音 の前 で は,対
蓋 化 音)に 続 く場 合,
〓 「盛 り土 の上 に」:〓 「森 の 」:〓
「森
ⅲ )や
は り軟 子 音 の 前 で,シ
す る(軟 子 音 の 前 で は,ス 〓 「春(複 数)」:〓
「春(単.数)」:〓
ⅳ )/v/と/v'/は,前
区 別 さ れ な い.
と,語
音 に 後 続 し子 音 に 先 行 す る 母 音/u/は,非
節 主 音 的 な[w]と
音
[w]と
〓 「小 さ な 雌 牛 」:〓
〓 「彼 女 は 兄 の と こ ろ に い た 」
表 の 中 で カ ッ コ で く く っ た 音 素 は,外 に 現 わ れ る だ け の,周
白
〓 「ひ き 臼 」:〓
ら れ た 分 布 で し か み ら れ な い.
来 語 等 に散 発 的
v)/l/は,先
ロシ ア語 の 子音
「雌 牛 」 「立 て る 」
こ の 規 則 の た め,/v/:/f/,/v'/:/f'/の
と お りで あ る.
辺 的 な 音 素 で あ る.
に 子 音 とい う環 境
し て 実 現 さ れ る.
し て 実 現 す る.
子 音 体 系 は,表1の
に 母 音,後
末 に 位 置 し 先 行 す る の が 母 音 とい う 環 境 で は,
〓 「彼 は 兄 の と こ ろ に い た 」:
音
「(君 は)洗
う」
ア ク セ ン トが な い 音 節 で は,/a/,/o/,
2)子
名簿」
〓 「(君 は)体 を 洗 う 」:〓
声 規 則 ⅰ
ⅱ )母
ュー 音 とス ー 音 が 交 替
ー 音 が 現 わ れ る).
〓 「ノ ー ト」:〓「
「春 の 」
/e/は
「盛 り土 」
(ただ し,正 書 法 上 は,そ れ ぞれ,〓)
材 」:〓
番 の」
)〓
男 ・中 性 名
詞)」
/e/
c)音
をな す 口蓋 化 音 を有 す る非
〓 「2(+ 女 性 名 詞)」:〓「2(+
と し て,口
/C'‐//i//u/
「森,木
「キ ノ コ」
「 頼 む」
口蓋化 音 は,口 蓋 化 音 と交 替 す る.
/u/
/a/ イ)軟
じ
の 子 音 に同化 す る.
/u/
れ以外の位置
ア)硬
ロ シア語 の硬 子 音 は軟 口蓋
化 を伴 って い る.
/a/ ⅱ )そ
対 を な す).
ⅱ )/r/が
b)音
ク セ ン トの あ る 音 節 の 直 前
/i/
と/〓/が
の音 素 とされ る こ と も
ク セ ン トの な い 母 音
ⅰ )ア
の 対 立)を 有 す る
ロ シア 語 との相 違 は,次 の3点 で あ る.
高 母 音 と 非 低 母 音 は,
対 立 は,限
行 す るの が 母 音 で 後 続す る のが 子 音
と い う 環 境,お
よ び,語
末 に お い て,[w]と
して 実 現
さ れ る. 〓 「正 午 」:〓
「軽 い 昼 食 」
〓 「来 た(男 性 形)」:〓
「来 た(女
性
形)」 3)音
節構造
a)開
音 節
CCCVの4種 b)閉
白 ロ シ ァ 語 で は,V,CV,CCV, が 可 能 で あ る.
音 節
最 終 音 節 以 外 に は み られ な い.閉
音
節 は,VC,VCC,VCCC;CVCC,CCVCC,
a)白
ロ シア語 の子 音 体 系 にお い て,相 関 標 識 で あ
CCCVCC,CCCCVC,CCVCCCの8種
る の は有 声 性 と口蓋 化 性 で あ る.と りわ け,口 蓋 化 が
あ る.
相 関 対 をな す こ とは,西 ヨー ロ ッパ の 諸 言 語 と比 べ た
4)ア
ク セ ン ト
で
強 め ア ク セ ン トで あ る.そ
の位
置 は,音
声 的 に 規 定 さ れ て お ら ず,自
し た が っ て,ア [形
由 ア ク セ ン トで,
ク セ ン ト は 弁 別 的 機 能 を もつ.
態]
白 ロ シ ア 語 の 文 法 構 造 は,音
ま し て ロ シ ア 語 の そ れ に 近 く,相
白 《単 数 》
ロシ ア語 の 名 詞 の格 語 尾
声面 に も
違 は,個
々 の屈 折語
尾 に し か な い と言 っ て も 過 言 で は な い. 1)名
詞類
a)文
法 カ テ ゴ リー
格―
主 格(N),生
(A),造
格(属
数.単
数(sg.),複
性―
格)(G),与
格(具 格)(Ⅰ),前
性(f.),中
義 の 性 に は,活
(Inanim.)の
格
数(pl.)
男 性(m.),女
さ ら に,広
格(D),対
置 格(位 格)(L)
性(n.)
動 体(Anim.),不
活 動体
カ テ ゴ リー も 含 ま れ る.
狭 義 の 名 詞 で は,上
記 の カ テ ゴ リー は,本
来 的 な選
択 的 カ テ ゴ リー と よ ば れ る も の で あ る が,形 詞 の 場 合 は,そ
れ が 限 定,修
容 詞,数
《複
数》
飾 す る名 詞 に 合 わ せ て 一
致 す る,「 形 式 上 の 一 致 」 に す ぎ な い. 白 ロ シ ア 語 は,概 に,さ
し て 屈 折 的 で あ り,数
ら に 単 数 に あ っ て は 性 も,1つ
て 表 現 さ れ る(す な わ ち,複 こ れ に 対 し,対 は,単
は格 ととも
の形 態 素 に よ っ
数 で は 性 の 標 識 は な い).
格 に現 わ れ る活 動 体 と不 活動 体 の 対 立
数 で は 男 性 名 詞 に 限 ら れ て い る が,複
数 で は3
つ の 性 の す べ て に み ら れ る. b)曲
用 タ イ プ
白 ロ シ ア 語 の 名 詞 は,3種
用 タ イ プ に 大 別 で き る(表2を 第1変 ‐eの
化 に は,Nsg.〓
注:1)Anim.:A=G,Inanim.:A=N
の 男 性 名 詞,Nsg.‐o/‐a/
中 性 名 詞 が,第2変
が 主 に 属 し,第3変
の曲
参 照).
化 に は,Nsg.‐aの
化 に は,Nsg.〓
2)こ
女性名詞
の 表 は,簡
略 化 し て あ る.
の女 性 名 詞 が 属
す る.
の 区 別 ば か り か,曲
c)そ
の 他 の 注 目す べ き 点
白 ロ シア 語 の 名 詞 に
用 の タ イ プ の 区 別 も消 え つ つ あ る
と言 え そ う で あ る.と
は い え,白
は,「 語 彙 ・文 法 カ テ ゴ リー 」 と も よ ぶ べ き も の が,部
か な り不 安 定 で あ り,文
分 的 に で は あ る が 認 め ら れ る.同
うに,曲
一 の 曲 用 タ イ プ に属
語 に み られ る 傾 向 に 反 す る よ
用 の タ イ プ を複 数 で も保 存 して い る方 言 もあ
す る 名 詞 の 格 語 尾 に 複 数 の 異 形 態 が 認 め られ る 場 合,
る.他
方,文
た い て い は,語
第2変
化 ・女 性 名 詞 のDsg.,Lsg.に
幹 末 の 子 音(語 幹 の タ イ プ)に よ っ て そ
の 格 語 尾 は 決 定 さ れ る.し
か し な が ら,第1変
性 名 詞 に お い て は 事 情 は 異 な っ て い る.ま で は,抽
象 名 詞,物
を と り,そ
質 名 詞,集
に,Lsg.に
る 名 詞 は す べ て‐yと む ね,語
な る.た
も っ て 論 争 が 続 い て お り,不
は で き な い.次
ず,Gsg.
合 名 詞 は‐yと
れ 以 外 の 名 詞 は,‐aと
ケ ー ス は,今
化 ・男
い う語 尾
だ し,こ
の
語 に 残 る ア ー カ イ ッ ク な 要 素 と し て は,
交 替)を 指 摘 で き る.
d)代
の 人 称,2つ
数)が
名 詞 に は,3つ
あ る.さ
中 性 の3つ
の 数(単 数,複
称 ・単 数 で は,男
の 性 が 区 別 され る(表3を
性,女
参 照).
お い て も,「 人 」 を 意 味 す
な り,そ
名 詞Gpl.(〓/‐oy/‐ay/),第2変 あ る.こ
れ 以 外 の 名 詞 は,お
お
白
ロシ ア語 の 人 称 代 名 詞 単
化 ・中 性
化 ・女 性 名 詞Gpl, う し た ゆ れ と,第1変
化 ・
1人 称 2人 称 3人 称
で あ る こ と(古 代 ロ シ ア 語 で は
‐a)を 考 え 合 わ せ る な ら ば,複 数 に お け る パ ラ ダ イ ム の 統 一 化(unification)は
ら に,3人
用意に断定
曲 用 の 語 尾 に ゆ れ が み られ る の は,第1変
中 性 名 詞Npl.が〓
み ら れ る 第2次
硬 口 蓋 化(g//z',x//s'の
幹 の タ イ プ に よ っ て 規 定 され る.
(〓/oy/‐ay/)で
ロシ ア文 語 の規 範 は
ロ シア 語 以 上 に 進 ん で お り,性
2)動
詞
数
複
数
性,
a)文
法 カ テ ゴ リ ー
つ の 法(直 説 法,命 直 説 法 に は,時 去,未
来).さ
人 称(1人
定 法)が
ず,3
2 3
区 別 さ れ る.
制 の カ テ ゴ リ ー が 存 在 す る(現 在,過 ら に,現
称,2人
過 去 時 制 は,数
動 詞 に あ っ て は,ま
令 法,仮
在 時 制 は,数(単
称,3人
称)の
数,複
ら に,単
数 に
だ し,人
称 に
辞]
統辞 論 の 分野 にお い て も,白 ロ シア語
そ れ は,既 知 と未知 の 区別 に,主
単 数 男性
と して語 順 が 関 与 す
女性
る点 に つ い て も同様 で あ る.以 下 に,目 に つ く特 徴 を
中性
あげ る に と どめ る. 1)す
数
す べ て の 動 詞 は,完
了体 か不 完 了体 のい ず れか に属
す る(「 体(aspect)」
の カ テ ゴ リー).体
命 令 法 は,数
と 人 称 の 形 式 を 有 す る.こ
れ る の は,2人
称 ・複 数 形 が,2人
こ で注 目 さ
称 ・単 数 形 に〓
を
は,数
た が って,
1人 称 の 場 合 な どで は 余剰 的 と 言 え る.し ら,2人
しか に
か しな が
称 単 数 や3人 称複 数 で は,代 名 詞 は 一 定 の機
能 を果 た す.な ぜ な ら,「一 般人 称 文 」(述 語 動 詞 が,だ
「読 め 」).一 般 に 屈 折 的 傾 向 が 優 勢 な 白 ロ の〓
法 や 時 制 と と もに人 称 も活 用 語 尾 に よ って 表現 され て
人 称 代 名 詞 と現 在形 の 動詞 を用 い る こ とは,た
添 加 す る こ と に よ っ て 形 成 され る こ とで あ る(〓
シ ア 語 に あ っ て,こ
で に 述 べ た とお り,直 説 法 の現 在 時制 に は,
い る(こ こで も,屈折 的 傾 向 がみ られ る).し
の 区 別 は,3
つ の 法 の そ れ ぞ れ に お い て 保 た れ る.
を 示 す に す ぎ ず,膠
れ に も あて は ま る行 為 を意 味 す る.主 語 を 欠 く1成 分 文)の 述 語 動 詞 が,多
くの場 合,2人
称 単 数 と同 形 で
あ り,「不 定 人 称 文 」(動 作 に のみ 注 意 が 向 け られ,動
着 的 で あ る. 仮 定 法 は,動
詞 の 過 去 形 と小 詞〓(〓)に
よって 表
作 主 は 問 題 と しな い.主
語 を欠 く)の 述語 動 詞 は3人
称 複 数 と同 じ形 を と るた め,代 名 詞 が使 わ れ た 文 は,
わ さ れ る.
主 語 を有 す る2成 分 文 で あ る こ とを 明 示 す る こ と にな
〓 「も し し た な ら」(単 数 ・男 性 形),
るか らで あ る.
〓(単 数 ・女 性 形) こ こ で は,分
2)白
析 的(孤 立 的)な 傾 向 が み て と れ る.
「相(voice)」 (passive),再
に 関 し て は,能
動 相(active),被
帰 相(reflexive)が
区 別 され る.被
完 了 体 動 詞 で は,postfix(通
と は 違 っ て,変
ロ シ ア語 で は,分 詞 形(形 動 詞 形)は,も
ら完 了体 動 詞 にお い て の み 用 い られ る.し か も,そ の
動相
また 一 部 の動 詞 か ら しか,能 動分 詞 は 形 成 され ず,受
常 の 接 尾 辞suffix
添 加 し た 動 詞 の 定 形 に よ っ て 主 に 表 現 さ れ,
動 分 詞 の方 が は るか に広 く用 い られ る. ま れ に能 動 分 詞 を用 い る場 合 で も,必 ず 前 か ら名 詞 を修 飾 す る.ま
た,た
動 分 詞 ・過 去 の 短 語 尾 形 と〓
b)活
用
の タ イ プ に 分 け ら れ る(表4を
が 分 詞形 で,〓
動 詞 は,現 在(非 過 去)変 化 に 関 し て, 参 照).
とえ ば,ロ
シア 語 の〓,
〓 「新 聞 を読 ん で い る人 」(〓
詞)の 結 合 に よ っ て 表 わ さ れ る.
大 き く2つ
っぱ
動相
化 語 尾 の う し ろ に 位 置 す る)の〓
完 了 体 動 詞 で は,受 (be動
[統
と ロ シア 語 との 間 に,本 質 的 な差 異 は 認 め られ な い.
よ っ て は 変 化 し な い).
(〓)を
3
カ テ ゴ リー を 有 す る.
の カ テ ゴ リ ー が あ り,さ
は,不
2
数)と
限 っ て 性 の カ テ ゴ リ ー が 表 現 さ れ る(た
複
(複)1
「新 聞 」〔 対 格 〕は そ の 補 語.
この2語 か らな る句 が,前 の〓
「人 」〔 主 格〕を
修 飾 して い る)の よ うな限 定 的 な語 結 合 は,〓, 〓… の よ うに,関 係 代 名 詞(〓)を
白
ロシ ア 語 の動 詞 の 活 用 タ イ プ (例)語
尾
《Ⅰ タ イ プ 》
[語 1)語 「待 つ 」 (単)1
彙] 彙 の構 成 な らび に借 用
白 ロ シ ア語 の語 彙
の基 礎 と な って い る の は,古 代 ロ シア語,さ らに は,ス ラ ブ祖 語 に まで 遡 り,多 くは,ロ
2
用
いた 節 に よ って 表 わ され る.
シア語,ウ
ク ライ ナ
語 と共 通 す る語 彙 で あ る.こ の ほ か に も,後 代 に な っ
3
て,ス ラブ 諸 語 に 共 通 す る語 根 に 接 辞 を 添加 して形 成 (複)1
され た語 が 少 な くな い.も ち ろ ん の こ と,か つ て は 白
2
ロ シア の地 で も話 され て い た ポ ー ラ ン ド語 や リ トア ニ
3
ア語 か らの借 用 をは じめ と し,他 の ス ラブ語,ス
《Ⅱ タ イ プ 》 「見 る 」
(単)1
語以 外 の諸 言 語(チ ュル ク系,フ
ラブ
ィ ン・ウ ゴル 系,ス カ
ン ジナ ビア の諸 言 語)か らの 借 用 も知 られ て い る.
2)語
形 成
ア ニ ア 大 公 国 の支 配 下 に入 った 「黒 い ロ シ ア」 に 対 し
語 形 成 に お い て 生 産 的 な 手 段 は,語
て,い
幹 の 合 成 お よ び 接 辞 添 加 で あ る. 接 辞 添 加 の 場 合,接
頭 辞 に よ る 語 形 成 と接 尾 辞 に よ
る 語 形 成 は,品
詞 に よ って非 常 に異 な った生 産性 を示
す.動
則 と し て 接 頭 辞 添 加 に よ り形 成 され る
詞 が,原
の に 対 し,名
詞,形
容 詞 の 形 成 は,も
っぱ ら接尾 辞 添
〓 「書 く」 >〓
「書 き な お す 」;
〓 「文 字 」 >〓
言]
ま ず,A)基
「文 書 の 」
幹 方 言 群 と,B)ポ
ク 方 言 群(〓)に
レス
大 別 さ れ,基
ら に,東
北 方 言,西
南 方 言,中
文 書 等 が ふ え 始 め る.リ
トアニ ア 大 公 国 では,事
16世 紀 初 頭,偉
〓 )が 現 わ れ,教
幹方言群
部方 言 に細 分 さ
大 な 文 化 人 ス コ リナ( 会 文 書 を 白 ロ シ アの 民 衆 に理
解 可 能 な こ と ばに 翻 訳 した.こ の 翻 訳 に は,す 〓 ,硬 いrの
基 幹 方 言 群 と ポ レ ス ク 方 言 群 の 特 徴 を ま と め る と, お お よ そ,次
務上
が 用 い られ て い た の で あ る.
れ る.
1)ア
トア
ニ ア 大 公 国 の 支 配下 に お い てで あ った.
の公 用 語 と して,当 時 の西 ロ シア 語(後 の 白 ロシ ア 語)
「作 家 」,〓
〓 「閨 秀 作 家 」,〓
は,さ
しか し,皮 肉 に も,独 立 した 言 語 と し て の 白 ロ シア 語 が 成 立 し,最 初 の 言語 文 化 が 花 開 い た の は,リ
14世 紀 に な る と,そ れ以 前の 宗 教 文 献 と並 ん で,公
加 に よ る.
[方
まだ 自 由な る地域 を 「白い ロ シ ア」 と名 づ け た
とい うの で あ る.
ア 語 の 主 要 な特 徴 が現 わ れ てい る. しか し,1569年
の よ う に な ろ う.
ク セ ン トの な い 音 節 で,/a/,/o/,/e/を
区
で に,
よ うな,白 ロ シ
に,リ
トアニ ア 大 公 国 が ポ ー ラ ン ド
を併 合 して ポ ー ラ ン ド・リ トアニ ア 王 国 が 成 立 す る と, 白 ロ シア 語 は,禁 止 され た わけ で は な い に し ろ,次 第
別 す る か? A(基)し
な い."〓":B(ポ)す
2)/t/,/d/と
に,ポ ー ラ ン ド語 に 公用 語 として の 地 位 を奪 わ れ る よ
る."〓"
対 を なす 口蓋 化 音
うに な った.1696年
に な る と,い よい よ公 用 語 と して
A/ts'/,/dz'/"〓,〓":B/t'/,
の 白 ロ シア 語 の 使用 が禁 じ られ,1795年
/d'/
再 併 合 され た 後 も,白 ロ シ ア語 に よ る教 育 や 出 版 は 禁
A[〓]:B[〓]「
ら は)欲 し か っ た 」
3)Lsg.m.の
文 学 も生 ま れ て くる.
詞 の3.pl.現
20世 紀 に な って,ヤ ンカ ・クパ ラ(〓),
在 形 の 活 用語 尾
ヤ ク ブ ・コラ ス(〓)の
A‐(a)〓',‐(y)〓,:B‐(a)T,‐(y)T 5)形
容 詞 のLsg.の
格語尾
[語
史]
十 月革 命 で あ った と言 え よ う.
今 日の 白 ロ シ ア 語 の 基 盤 と な っ た の
シ ア,ウ
ク ラ イ ナ,そ
の3言
い う こ と は,そ
もか な り不 安 定 で あ る.そ の 上,あ ま りに も ロ シア 語
よ び,そ
の 方言
と近 い た め,こ の2つ の 言 語 を 区 別 す る こ とは,話
の 頃 に は ま だ,東
スラブ
語,お
語 の 違 い は 大 き い も の で は な く,容
解 が 可 能 だ っ た の で あ る.し
か し,古
易 に相 互 理
代 ロ シ ア の領 土
の 一 部 が リ トア ニ ア 大 公 国 の 支 配 下 に 落 ち,ま
言 的 分 化 は 顕 著 に な っ て い っ た,と
紀
し
手 に とっ て さえ 困難 で あ る とい う.実 際,白
ロ シア 共
和 国 に お け る 白 ロ シ ア語 の 保 持 率 は90.1%で
あ るの
に対 し,白 ロ シア共 和 国 以 外 に居 住 す る白 ロ シア 人 の 間 で の保 持 率 は,わ ず か40.8%に
た,他
の 地 域 が,「 タ タ ー ル の くび き」 の も と に 屈 し た8世 に な る と,方
した が っ て,現 代 白 ロ シア文 語 の歴 史 は浅 く,規 範
ロシ ア を含 む古
し て,白
代 ロ シ ア で 用 い られ て い た,文 で あ っ た.と
よ うな 文 学 者 が 登 場
した が,最 終 的 に白 ロ シア 文語 の成 立 を促 した の は,
A‐〓,‐〓:B‐〓
は,ロ
19世 紀 に 入 る と,白 ロ シア 語 は 口承 文 芸 を 通 じて 洗 練 され て い き,出版 は 禁 じられ て い た に もか か わ らず,
格語尾
A‐e,‐y:B‐os'〓 4)動
シア に
止 され た ま ま で あ っ た.
子 供 た ち」
A[〓]:B[〓]「(彼
に,ロ
[辞
す ぎな い.
書]〓 (〓)(1977‐84),
推測
さ れ る. そ も そ も,ど
の よ うな 理 由 で
「白 ロ シ ア 」 な る 名 称
〓 .(MiHCK)―
が 用 い ら れ る に 至 っ た か に つ い て は,定
説 が な い.こ
る が,第5巻
の 呼 び 名 は,す で に ロ シ ア 最 古 の 年 代 記
『原 初 年 代 記 』
105,056語.文
(〓)の
現 存 す る 写 本 の1つ
『イ パ ー チ ー 写 本 』(〓)に れ る が,一
説 に よ れ ば,そ
み ら れ は,13世
た 白 ロ シア 西 部 地 域 を さす表 現 想 か ら生 ま れ た,と
さ れ る.す
紀 に使 わ れ て い
「黒 い ロ シ ア 」 と の 連 な わ ち,い
ち早 くリト
最 大 の 詳 解辞 典.全5巻
と な って い
は2つ の 分冊 に分 か れ て い る.総 語 数 語 と して歴 史 の 浅 い 白 ロ シア 語 の 語
彙 に つ い て,意 義,文 法 特 性,文 体 の 面 か ら規 範 を 確 定 し よ う とい う 目的 を もつ.用 例 は,文 学 作 品, 雑 誌 等 か ら引 か れ て い る.第5巻
の 第2分 冊 に は補
遺 が 含 ま れ,そ の 用例 の 大半 が,70年
代 の 作 品か ら
採 られ て い る.規 範確 立 へ の 努 力 の 一 方 で,up‐to
dateな
辞 書 に し よ う と す る 努 力 が う か が え る.
バ(Araba/Alaba),ナ
バ ラ(Nafarroa∼
Garaia〕/Navarra)の4県,フ
〔Nafarroa
ラ ンス 側 西 南 端 の ラ ブ
ー ル(Lapurdi/仏Labourd)
,低
な水 準 に達 した の は,ま ず,ロ シ ア語 との 対 訳 辞 典
Beherea/Basse‐Navarre),ス
ー ル(Zuberoa/Soule)
に お い て で あ った.本 辞 典 の総 語 数 は約9万.た
の3郡,計7つ
―白 ロ シァ語 の 辞 書 が 今 日的
し,4半
だ
世 紀 も前 の もの で あ り,用 例 も少 な く,文
体 上の 問題 が 多 い とい う.
の 州(=県,郡)が,こ
ス ク 語 を 話 す 人 は,約60万 ス ペ イ ン 側,4分
り,国
籍 上 は ス ペ イ ン人,フ
る特 殊 な辞 典 が 続 々 と 出版 され つ つ あ るが,こ の 語
二 言 語(あ
ま で 刊 行 され て い る.
方 言 辞 典 も,白 ロ シア 全 域 を カ バ ーす る もの は ない が,特 定 の 方 言 を対 象 とす る もの が刊 行 され て い る.
の1が
フ ラ ンス 側 に住 ん で お ラ ン ス 人 で あ る.み
米,中
米,南
米 を は じ め,世
伝 え 保 っ て 使 用 し て い る人 々 も い る.日
お,16世
な,
界 各 地 に移
住 し た バ ス ク 人 や そ の 子 孫 が 住 ん で お り,バ
な い.な
の4分
言 語)併 用 者 で あ る.
師 等 と し て 来 日 し,長
ス ク語 を
本 に も,宣
教
年住 ん で い る バ ス ク人 も少 な く
紀 に,イ
エ ズ ス 会 宣 教 師 と し て 日本
へ 来 た フ ラ ン シ ス コ ・ザ ビ エ ル(シ
―大 百 科 事 典.
の う ち,バ
ペ イ ン語 また は フ ラ ンス 語 を使 う
る い は,多
ほ か に,北
人 弱 で,こ
人 と 言 わ れ る.そ
の3が
バ ス ク 語 の ほ か,ス
現 在,4巻
れ に 入 る.
バ ス ク 地 方 の 総 人 口 は,300万
白 ロ シ ア語 研 究 の 発 展 とと も に,白 ロシア 語 に関 す
源 辞 典 も,1990年
ナ バ ラ(Nafarroa
エ チ ェ ベ リ アEtxeberria,「
ャ ビ ェ ルXabier<
新 し い 家 」 の 意)も
バス
ク 人 で あ っ た.
―小 百 科 事 典.ロ シ ア語 で 出版 され た も
[方
言]
細 か くみ れ ば,ほ
の で,手 軽 に 白 ロ シ ア を 知 る こ とが で きる.
差 が あ る が,バ
[参考 文 献]
カ ヤ(Bizkaiera/西vizcaino),ギ /guipuzcoano),北 /alto
高 ナ バ ラ(lparraldeko
navarro
goinafarrera/alto
),西 bajo [参
照]ロ
シ ア 語,ス
ラ ブ語 派 (大 平
陽 一)
バ ス ク 語 euskara,英Basque,仏basque, 西vasco,独Baskisch [名
称]
(eskuara),エ
ス ク 語 を,エ
ウ ス ケ ラ(euskera)な
バ ス ク 語(共 通 語,公 用 語)で は,エ と言 う.バ kalduna)と
ス ク 人 の こ と は,エ
ス クア ラ
ど と よ ぶ.統
一
ウ ス カ ラ(euskara) ウ ス カ ル ド ゥ ナ(eus
言 う.「 バ ス ク 語 を も つ も の 」 の 意 味 で,
国 籍 に 関 係 な く,バ
ス ク 語 を 伝 え て い る 人 々,す
なわ
ち バ ス ク 民 族 を さ す. 〔分
布] 主 に,ス
ス ク 地 方(Euskal Euskadiと
navarro
meridional),東
behenafarrera/bajo
ペ イ ンと フ ラ ン スに また が るバ Herria,「
バ ス ク 語 の 地 域 」 の 意.
も.euskalは,euskaraが,派
生 接 尾
低 ナ バ ラ(Mendebaldeko
behenafarrera/
occidental),ス
ー ル(Zuberoera/suletino
)の8方
言 へ の 分 類(19世
紀 の ボ ナ パ ル ト公 の 分
れ を 訂 正 し た,ビ
ス コ ア,ラ
ブ ー ル,高
ナ バ ラ,低
ス カ ヤ,ギ
ナ バ ラ,ス
[系 統 ・歴 史]
分 類)で
バ ス ク 語 の 系 統 は,分
い.現
在 周 囲 を と り ま い て い る,ラ
は,系
統 関 係 が な い.
起 源 に 関 して は,今 が 提 出 さ れ て い る.1つ
日,大
テ ン系 の 諸 言 語 と
フ カ ー ス 諸 語)と が,1つ
の
ス 語 族 」 を な す と す る 説 で,文
「バ ス ク ・ コ ー カ サ
法構 造 上 の類 型 的 類 似
と,語
彙 の 一 部 の 類 似 を 根 拠 に し て お り,バ ス ク 人 は,
昔,カ
フカ ー ス 地方 か ら西 ヨー ロ ッパ に移 住 した 民 族
れ て い る.バ
脈 の
バ ス ク 民 族 は ク ロ マ ニ ヨ ン 人 の 直 系 で,最
で,ス
ス ケ ー(Biscay)湾
ペ イ ン 側 で は,ビ
Vizcaya),ギ
ス カ ヤ(バ
に面 し た地 域 ス クBizkaia/西
プ ス コ ア(Gipuzkoa/Guipuzcoa),ア
う1つ
の 説 は,考 古 学 的 発 見 を 根 拠 に,
場 所 に 住 ん で い た と す る 説 で,バ 言 語 の 系 統 に も 属 さ な い,あ
ラ
の仮説
ス ク語 とコ ー カ サ ス 語
だ と も 言 う.も
西 北 の 裾 野 一 帯,ビ
あ る.
か って い な
き く言 っ て,2つ
は,バ
プ
ー ル,ロ
言 へ の分 類
紀 の ア ス ク エR.M.deAzkueの
使 わ
レネ ー(Pyrenees)山
oriental
navarro
辞 の 前 や 後 続 の 名 詞 を 修 飾 す る と き に と る形)で ス ク地 方 は,ピ
低 ナバ
navarro
参 照)と,こ
族(カ
ブール
高 ナ バ ラ(Hegoaldeko
類,図1を
(20世
goinafarrera
septentrional),ラ
ン カ リ(Erronkariera/roncales)の7方 バ ス ク 人 は,バ
ス
プ ス コ ア(Gipuzkera
(Lapurtera/labortano),南
ラ(Ekialdeko
と ん ど村 ご と に 方 言
ス ク で 多 く と られ て い る 分 類 は,ビ
る.い
ず れ に せ よ,バ
ス ク 語 は,他
る い は,系
ス ク 人 が,イ
初 か ら今 の の どの
統 不 明,と
す
ン ド ・ヨ ー ロ ッパ
バ
出 典:バ
スク語 の方 言分 布
ス ク 政 府 教 育 部 編,『 バ ス ク語 地 域 地 図 』(Atlas
de
語 民族 の侵 入以 前 か らイ ベ リア 半 島 に 住 ん で い た こ と は 明 らか で あ る.
Herria,erein,1982)に
はブ ル ゴス(Burgos),南
ラ ゴサ(Zaragoza)を
りま で,北 はボ ル ドー(Bordeaux)ま 使 わ れ て い た(図2を
は,
よ る.
残 っ た.紀 元10世 り,今
紀 元1世 紀 頃 は,西 ソ リア(Soria),サ
Euskal
紀 に は,そ の 半 分 の 地域 だ け に な
日で は,図1に
10,000km2)に
見 る よ う な,ご く狭 い地 域(約
ま でせ ば ま っ た.
結ぶ線のあた
近 世 以 来,商 工 業 の 発展 に 伴 い,バ ス ク地 方 にバ ス
で,バ ス ク語 が
ク人 以 外 の 民族 が どん どん 入 って 来 た.特 に,ス ペ イ
参 照).
ン側 で,主 に ス ペ イ ン語 の 話 し手 が 職 を求 めて 多 数 流
バ ス ク語 が 話 され て い た地 域 に,ラ テ ン系 の民 族 が
入 し,ス ペ イ ン語 が 優 勢 とな って きた.そ の上,ス ペ
次 々に入 って 来 る と,言 語 も次 々に ラ テ ン系 の言 語 に
イ ン側 で は,1936∼1975年
の み こ まれ て い き,バ ス ク語 は,そ の よ う な他 民 族 の
バ ス ク語 の 公 的 使 用 が 禁 止 され た40年
あま り入 ら なか った 山 の 中や,ご
語 の 話 し手 人 口は ぐ っ と減 少 した.
く北 の隅 の 方 にだ け
の フ ラ ンコ将 軍 独 裁 の 時 代,
[共通 バ スク語(公 用語)]
バ
スク語使 用 地域 の歴 史 的推 移
間 に ,バ
スク
バ ス ク語 死 滅 の 危 機 は,
す で に19世 紀 か ら叫 ば れ て い た. 1918年 に は,バ ス ク 語 の擁 護 と研 究 を 目的 とす る公 的 機 関,ス ペ イ ン王 立 バ ス ク語 ア カ デ ミー が 設 立 され た. 20世 紀 後 半,バ ス ク 語 ア カ デ ミー は,バ ス ク語 の 公 用 語,つ ま り,共 通 書 き言 葉(Euskara
batua;従
来,
「統 一 バ ス ク語」とい う誤解 を 招 きや す い訳 語 が使 わ れ て い る)の 制 定 を始 め た.主 に,ギ プス コア,ラ ブ ー ル,ナ バ ラ の各 方 言 の 特徴 を集 め て,ま ず,正 書 法 と 名 詞 の 曲 用 が1968年 形 変 化 や,数 詞,月 られ て,1980年
に 決 定 され,そ の 後,動 詞 の語 名 等 の語 彙 につ いて も会議 が 重ね
前 後 ま で に大 体 の決 定 をみ た.
この 決 定 は,決 して言 語 を1つ に 「統 一 」し よ う とい う意 図 に 基づ く もの で は な い.た 出 典:エ Borroka
ル カ ル ・ラ ネ ア ン(Elkar Euskal
Bilbo,1979)に
Lanean,Hizkuntz
Herrian,Euskaltzaindia,E.V., よ る.
とえば,一 般 の 語彙
につ い て は規 制 もな く,各 方 言 の習 慣 に基 づ い て使 っ て い くこ とに な る.日 常 生 活 で の話 し言 葉 に は,も ち
ろ ん 方 言 の 使 用 が 当 然 と さ れ て い る.し
か し,バ
ス ク
語 を 覚 え ず に 成 人 し た 人 が 習 得 す る バ ス ク 語 は,多 の 場 合,共
通 バ ス ク 語 で あ る.そ
日 常 の 話 し 言 葉 と し て も,共
の た め,最
く
近 で は,
通 バ ス ク 語 が,あ
る程 度
の フ ラ ン コ死 亡 後,ナ
を 除 くバ ス ク地 域 の 自 治 が 認 め ら れ,1980年 府 大 統 領 が 選 ば れ た.以
降,バ
ス ク語 教 材 の 開 発,成
語 教 育 機 関 の 設 立,バ
に 自治 政 及 は,
富 な予 算 がつ ぎ こ
・中 学 校 で の バ ス ク語 教 育,教
ク語 教 育,バ
バ ラ
ス ク 語 の 擁 護,普
バ ス ク 政 府 の 中 心 的 政 策 と な り ,豊 ま れ,小
師 に対 す る バ ス
人 に対 す るバ ス ク
ス クテ レ ビに よ る放 送 等 々が 成
果 を あ げ て い る.こ
れ と 並 行 して,フ
若 年 層 の 積 極 的 な 活 動 に よ っ て,同
ラ ン ス 側 で も,
様 の バ ス ク語 教 育
な い.古
く は,ロ
の 墓 碑 に,バ り,11世
バ ス ク 語 は,固
有 の 文 字 を もた
ー マ 時 代 の ア キ タ ニ ア(Aquitania)
紀 頃 か ら の 古 文 書 に は 普 通 名 詞 が,そ な どの 文 章 も現 わ れ る.各
ル 等 の 書 蔵 庫 に は,ま
だ,膨
々 と,解
読,公
後,続
れ る.印
刷 され た 最 初 の 出 版 物 は,低
1545)で
あ る.聖
し て,
地 のカ テ ドラ
ナバ ラ の司 祭 ベ
d'Echepare,デ
チ
『詩 集 』(Olerkiak,Bordeaux,
書 の バ ス ク 語 訳 も,16世
紀 か ら出 版
フ ラ ン ス 語 式 あ る い は ス ペ イ ン 語 式 に 使 わ れ て い る. バ ス ク 語 の 文 法 書 と 辞 書 が 出 る の は,18世 ず,ス
ペ イ ン 側 で,マ
デ ィ(Manuel
ス ク 語 文 法 』(El
de
lengua
紀 か らで
ヌ エ ル ・デ ・ラ ラ メ ン
de Larramendi)の
事.バ
『征 服 さ れ た 不 可 能
imposible
の2枚
くの 業 績 を 残 し た が,中
の 地 図 』(Deux
basques,1869)と
(Diccionario y latin,San
こ の 頃 か ら,続
フ ラ ン ス 側 で,マ Harriet)の
出 版 さ れ,次
い で,
ル テ ィ ン ・ ド ・ハ リエ ッ ト(Martin 『フ ラ ン ス 語 を 学 び た い 人 の た め に 書
Jan
Van
(Grammaire
comparee
des
dialectes
Vinson)の,『
de
la
langue
basque,Paris,1891)お
Paris,1898),ア
ル
Campion)の
ト ゥ ー ロ ・カ ン ピ オ ン(Arturo
『バ ス ク 語 の4文
de los cuatro
学 方 言 の 文 法 』(Gramatica
dialectos
literarios
euskara,Tolosa,1884,復 紀 初 頭 に 出 た,レ
Bayonne,1741)が ム・フ
nahi
公 刊 さ れ た.言
ォ ン ・フ ン ボ ル ト(Wilhelm
が,1799年
に,初
francez
dutenen
faboretan,
語 学 者 ウ ィル ヘ ル von
Humboldt)
め て バ ス ク を 訪 問 し て 以 来,バ
語 に 興 味 を 抱 い た こ と は よ く知 ら れ て い る.フ ス ク=ミ
シ ェ ル(Francisque‐Michel)の
そ の 民 族,言
語,風
習,文
ど で あ る.
ス レ ク シ オ ン ・マ リ ア ・デ ・
ア ス ク エ(Resurreccion
Maria
de
Azkue)の
vasco‐espanol‐frances,1905‐06)は,各
と して,今
『バ ス
1918年
に,バ
Lengua
方言におけ
っ とも信 頼 で き る辞 典
日 ま で 版 を 重 ね て き た.ア
ランシ
Pays
ス ク エ は,ま
ス ク 語 ア カ デ ミ ー(Academia
Vasca,本
会 長 を 務 め,そ
の機 関 誌
の 他,多 de
くの 業 績 が あ
Urquijo)は,『
international
略,RIEV〕)を
国際
de los
創 刊(1907),編
バ ス ク 語 に 関 す る 論 文 の ほ か,古 の 刊 行 に 尽 く し て,後
主
か に,『 バ ス ク 語 形 態 論 』
リ オ ・デ ・ウ ル キ ホ(Julio
vascos〔
la
す る まで
『バ ス ク 語 』(Euskera)を
vasca,1925),そ
バ ス ク 研 究 』 誌(Revista
た,
de
拠 は ビ ル バ オ)を 創 立,没
幹 編 集 し た(1912∼1936).ほ
es 集 し,
い未 印刷 の テ キス ト
の バ ス ク 語 学 に 貢 献 し た.
こ の 頃 か ら,ヨ ー ロ ッ パ 各 国 の 学 者 に よ る,各 分 野 の
話 し 手 が 激 減 し た 間 も,研 1975年,フ
ペ イ ン で は,1936
間 続 く フ ラ ン コ 独 裁 時 代 に,バ
ス ク語 の
究 活 動 は 途 絶 え な か っ た.
ラ ン コ 将 軍 の 死 亡 後,バ
禁 に な る と,バ ス ク
『バ ス ク 地 域.
学 お よ び 音 楽 』(Le
de la lengua
刊1977)な
年 か ら40年
ikhasi
よび
et Supplement,
バ ス ク 語 研 究 が 続 々 と出 始 め る.ス
hitzcunca
basques,
バ ス ク 語 文 献 目 録 』(Biblio‐
『補 足 と追 加 』(Complement
20世
basque‐
ラ ヴ ィ ダ 語 学 者 で も あ る ジ ュ リア ン ・ ヴ ァ ン
ソ ン(Julien
その
書
『バ ス ク 語 諸 方 言 の 比 較 文 法 』
escuaraz
francesez,composatua
ラ ンダ
Eys)の,辞
『バ ス ク 語 ・フ ラ ン ス 語 辞 典 』(Dictionnaire
か れ た バ ス ク 語 と フ ラ ン ス 語 の 文 法 』(Gramatica eta
で sept の方
々 と研 究 業 績 が 現 わ れ る.オ
francais,1873)と
tudios
del castellano,vascuenze
Sebastian,1745)が
des
い う 言 語 地 図 は,彼
の ヴ ァ ン ・エ イ ス(Willem
る.フ
ス ク 語,ラ テ ン 語 の 三 言 語 辞 典 』
trilingue
cartes
言 研 究 の 大 き な 成 果 で あ る(「方 言 」 を 参 照).
(Morfologia
vencido.Arte
vascongada,Salamanca,1729),お
よ び,『 ス ペ イ ン語,バ
de
も,『バ ス ク7州 provinces
イ ・ リ ュ シ ア ン ・ボ ナ
ラ ンス とス ペ イ ンの バ ス ク地 方 で フ ィ
る 語 の 正 確 な 記 述 と用 例 で,も
こ れ ら の 記 録 で は,大 ざ っ ぱ に 言 っ て,ラ テ ン 文 字 が
la
ス ク の 言 語 に つ い て は,そ
の 甥,ル
ク 語 ・ ス ペ イ ン 語 ・フ ラ ン ス 語 辞 典 』(Diccionario
さ れ て い る.
あ る,ま
musique,Paris,1857)は,バ
ー ル ド ・ワ ー ク を 重 ね ,多
刊 され る こ とが 予 想 さ
ル ナ ト ・ ド ・エ チ エ パ レ(Bernat
et sa
ポ レ オ ン1世
大 な 古 文 書 が 収 蔵 され て
お り,今
ェ パ レ と発 音 す る)の
の 頃,ナ
graphie
ス ク語 の 人 名 が ラテ ン文 字 で 刻 まれ て お
次 第 に,祈祷
litterature
langue,ses 〓,
ス ク 民 族 の 紹 介 で あ る.バ
1879),ド
普 及 運 動 が 進 ん で い る. [記 録 ・研 究 史]
sa
population,sa
パ ル ト公 が,フ
使 わ れ る よ う に な っ て き て い る. ス ペ イ ン側 で は,1975年
Basque.Sa
ス ク語 の使 用 が解
ス ク 人 の 民 族 意 識 の 高 揚 と と も に,バ
ス ク 語 を 死 滅 か ら 守 る こ と を 目 的 と し て,バ
ス ク語 で
書 か れ た 書 物 も 大 量 に 出 版 さ れ る よ う に な る.ま 同 じ 目 的 で,バ 1980年,ス
た,
ス ク 語 研 究 の 重 要 性 も 叫 ば れ る. ペ イ ン側 で バ ス ク の 自 治 が 始 ま っ た 年 に
(「共 通 バ ス ク 語 」 の 記 述 を 参 照),バ は,初
ス ク 語 ア カ デ ミー
の 国 際 バ ス ク 語 学 会 を 開 催 し た.そ
(z[〓]とx[〓]の
お り,そ
学 会 は 回 を 重 ね て お り,学 会 記 録 集 も 出 版 さ れ て い る.
て い る.
近 年,辞
た,ア
メ リカ 合 衆 国 に お い て,国
書 や 文 法 書 の 類 も,各
れ て い る.最
で あ る バ ス ク 語 に 興 味 を 示 し,他
史 的 研 究 や 比 較 研 究 も 進 め ら れ,数
hotza「
か ら は,バ
の1つ
と し て,大
1997年
現 在,デ
寒 さ」(定 形),hotsa「
々 の成 果 が 刊行 さ
指 小 表 現 で,z,s,tz,tsの
代 わ り に,x,txが
以 下 の 記 述 で は,主
1)母
ま っす ぐ」 →xuxen「
samur「
刊 準 備 中 で あ る. と し て,統
や わ らか い,穏
て も や わ ら か い,穏
一バ ス
zerri「
在 用 い ら れ て い る正 書 法 に よ っ
音
母 音 は,ほ
o,uの5個,フ
と ん ど の 地 域 で,a,e,i,
ラ ン ス 側 の ス ー ル 方 言 だ け は,こ
か に,u[y]を
もつ.二
のほ
や か な 」 →xamur「
と
ラ ン ス 側),txerri(ス
lo「 眠 り」 →llo「
重 母 音 は,ai,ei,oi,ui,au,
子 音 に は 地 方 差 が あ る が,多
域 に ほ ぼ 共 通 す る 子 音 は,次
た,lの
くの地
節
た,閉
日本 語 の よ う に 開 音 節 が 多 い が,ま
音 節 も あ る.音
節 末 尾 に立 つ 子 音 は限 られ て い
る.
の と お り で あ る.
音 節 の 頭 に も 末 尾 に も,子
(ス ペ イ ン側 の 一 部 で[〓],そ
で 現 わ れ る.音
尖 ふ る え 音,フ
の 他 で[〓]);tz[〓],
尖 は じ き音),rr[〓](舌
ラ ン ス 側 で は,口
れ,音
蓋 垂 の[R]も
聞
か れ る);l,ll[〓];m,n,n[〓] き と し て,dd[〓],dz[〓],dx[〓]も
ら れ る.フ
ラ ン ス 側 の 一 部 に は,p,t,kと
有 気 のph,th,khが
あ る.有
用い 対 立 し て,
気 のlh,nhが
あ ると
言 う研 究 者 もい る. フ ラ ン ス 側 の 諸 方 言 で は,日
本語のハ行子音の よう
そ の,そ
れ」
ス ペ イ ン側 で は,hの
書 法 上,書
記の語 か れ るだ
け で あ る. 小 表 現 で の み 用 い ら れ,tの
代 わ りに
現 わ れ る も の で あ る. aita「 父,お
お と う ち ゃ ん,
パパ」 れ と並 行 し
擦 音 に,tz[〓],ts[〓],tx[〓]の3種 地 方 差 が あ り,ス
が あ る.
ペ イ ン 側 で は,舌
を
そ ら し て 舌 尖 を 歯 茎 な い し そ の 後 部 に 近 づ け る,舌
尖
の 歯 茎 音 な い し そ り舌 音 が 多 く(便 宜 上,[〓]で
表 わ
ラ ン ス 側 で は,舌 を そ ら さ ず に 舌 尖 ま た は 舌 端
を 歯 茎 に 近 づ け る 音 や,日
どの限 られ た子
本 語 の シ の 子 音 の よう な 音
は,音
節 初頭に
国 語 か らrやrrで
ま る 語 を と り入 れ る と き は,そ
始
の 前 に 母 音 が 添 え られ
る. Erroma(<Roma)「
ロー マ 」
arrazoi(<razon)「
道理」
ク セ ン ト と メ ロ デ ィ ー
フ ラ ンス 側 の西 の
型 ア ク セ ン ト ら し く,平
る 傾 向 が あ る.ス
ら に単 調 に発 音 す
ペ イ ン側 の 西 の 方 で は,大
き な高 低
の メ ロ デ ィ ー を つ け る 傾 向 が あ る.し
か し,多
くの方
言 で,語
れ が,地
方に よ
の 高 低 ア ク セ ン トが あ り,こ
っ て 異 な っ て い る.
し く,固
形 も,多
telefonoa「
た,最
ペ イ ン語 の ア ク セ ン トそ の ま ま の
数 学 」(西matematica) 電 話 」(定 形)(西telefono)
法] 徴
で あ げ る と,次 a)き
ラ ンス語 の 影 響 が著
く聞 か れ る よ う に な っ て い る.
matematika「
[文 1)特
ペ イ ン語,フ
有 の ア ク セ ン トが く ず れ つ つ あ る.ま
近 の 借 用 語 で は,ス
歯 擦 音 に,z[〓],s[〓],x[〓]の3種,こ
こ の う ち,sは
た が っ て,外
こ こ数 十 年 は,ス
と う さ ん 」,aitta「
一
ス ク 語 に 固 有 の 語 に も よ く出 る.
は 立 ち え な い.し
方 で は,一
音 は す で に 脱 落 し,上
発 音 され る.hは,正
tt[〓]は,指
く の 場 合,単
節 末 尾 に は,‐st,‐rtz,‐ltzな
音 群 の み が,バ
4)ア
あ る. hori[〓]「
音 は,多
節 初 頭 の子 音 群 の 多 くは借 用 語 に み ら
上 に 掲 げ た 子 音 の う ち,rとrrと
ほ か に,と
現われ
ねんね」
b,d,g;p,t,tt[〓],k;f,z[〓],s[〓],x[〓],j
ts[〓],tx[〓];r[〓](舌
代 わ り に,ll[〓]が
る こ と も あ る.
3)音 音
は[〓]と
ず う っ とま っす
や か な(感 じ の い い)」
ブ タ 」→xerri(フ
指 小 表 現 で は,ま
あ る.
2)子
す),フ
現
ペ イ ン側)「 ブ タ(ち ゃ ん)」
て 表 記 す る.
て,破
音 声 」(定 形),kutxa
ぐ」(感 情 を こ め た 表 現)
が か り な 方 言 調 査 が 行 な わ れ た. ー タ処 理,公
韻]
zuzen「
ス ク語 ア カ デ ミー の プ ロ ジ ェ ク ト
ク 語 を 中 心 に 扱 い,現
なhが
シ ャ ビエ ル
わ れ る こ と が あ る.
1985年
euが
売 る 」,Xabier「
「箱 」
た,歴
れ て い る.
[音
な る正 書 法 上 の問 題 とな っ
(人 名)」
の能
格 言 語 と の 対 照 研 究 な ど を も行 な っ て い る.ま
ス カ ヤ の大
区 別 が す で に な くな っ て
の 使 い 分 け は,単
zaldi「 馬 」,saldu「
国で相次いで出版 さ
近 は,類 型 論 を 研 究 す る 言 語 学 者 た ち が,
能 格 言 語 の1つ
聞 か れ る.ビ
部 分 で は,zとs,tzとtsの
の 後 も,バ 際
ス ク に お い て,ま
中 間 の 音)も
バ ス ク語 の 文 法 的 特 徴 を か い つ ま ん の と お り で あ る.
わ め て,論
理 的,膠
着 的 で あ る.
b)語
順 は,基
語 が 先,動
本 的 に は,日
本 語 と 同 じ く,SOV(主
詞 部 が 文 末 に お か れ る)型
要 因 に よ り,こ
れ に 転 換 が 加 え ら れ,さ
が 実 現 す る(5の c)前
で あ る.各
Patxik
diru‐a
パ チ は
お 金 を(定 単)
(='Patxi
has
種の
ま ざ ま な 語順
Liburu‐ak
「統 語 」 を 参 照).
置 詞 を 用 い ず,後 置 詞 や 格 語 尾 を 用 い る(2の
「語 形
成 」 を 参 照). e)動
雑 な 変 化 組 織 を もつ.自
詞 と で 変 化 が 異 な り,法,時 て 変 化 す る.人
制,態,人
動 詞 と他 動 称,数
に よっ
称 に つ い て は,主 語 の 人 称 の み な ら ず,
間 接 目 的 語 の 人 称,直
接 目 的 語 の 人 称 に も呼 応 し て,
何 重 に も 入 り く ん だ 変 化 を す る(3の
「動 詞 ・動 詞 句 」
を 参 照).
.
表1に
は,無
情 物(inanimate)の
情 物(animate)の
が あ る.14な
場 合 は,語
い し16の
例 を示
形 に 多 少 の 相違
格(kasu/case)が
あ る と され
て い る. こ れ ら の 格 の 中 で,構 格,能
格,与
格,お
絶 対 格 は,語
文 法 上,主
よ び,2つ
要 な も の は ,絶
わ ゆ る 「能 格(ergative)言
動 詞 文 の 主 語 は,他
に お か れ る(2の 動,受
で,自
動 詞 文 の 目 的 語 と 同 じ格,す
ち 「絶 対 格 」 に お か れ,他
g)能
語 」 の1つ
を 代 表 す る 格 で あ り,ま
た,他
動詞文
他 動 詞 文 の 主 語 に な る.
「統 語 」 を 参 照).
da.(自
動 詞 文)
来
た
ama
ikusi
du.(他
動 詞 文)
ス ク語 文 法 の 特徴 を な す い くつ か の 点 に (能 格)(絶
詞 ・名 詞 句
名 詞 に も,代
名 詞 に も,文
法
的 性 の 区 別 は な い. 数 は,単
格 は,い
だ け で あ る が,数
の 区別
sintagma)全
bea/indefinite)は
べ て,1つ
の 名 詞 句(名
詞統
見
た
aita
ikusi
du.(他
見
た
母 が
不 定 形(無
父(を)
無 表 示,定
形(限
ama‐ri
ekarri
定 形mugatua/
詞(artikulua/article)と
の た め,「
よば れ る定
形 で の み 単 数 形, 単 数,複
数,不
dio.(他
定
の 数 のカ テ ゴ リー が あ る」 と ま とめ る研 究 者 も
動 詞 文)
詞 の 付 加 語(連 体 語)に な っ て,名
詞 句 を つ く る. aita‐ren
etxea
父 の(所 有 属 格) 家 mendia‐ren
絶 対 格(bの
山 の(所 有 属 格) 名 前
「格 」 を 参 照)の 場 合 の 例 を あ げ る.‐a 複 数 形 語 尾 で あ る.
izena
etxe‐ko
atea
mendi
(不 定)「 山 」
家 の(位 置 属 格) 出 入 口
mendi‐a
(定 単)「 山 」
mendi‐ko
mendi‐ak
(定 複)「 山 々 」
山 の(位 置 属 格)
mendi
zuri
(不 定)「 白 い 山 」
c)代
mendi
zuri‐a
(定 単)「 白 い 山 」
人 称(聞 き 手),3人
mendi
zuri‐ak (定 複)「 白 い 山 々 」
定 形 語 尾(冠 詞)は,英 な 場 合 も 含 め て,広 zer
mendi?
何
山(不 定)?「
語 で は'the'を
使わ ないよう
い 範 囲 に 用 い ら れ る.
表2の
木
名 詞 と 人 称
に 単 数(1人)と 称 に は3種
zuhaitza
人 称 は,1人
称(第 三 者)の3種
複 数(2人
類 あ る(表2を
用 い ら れ,「2単
称(話
し 手),2
類 で,そ
以 上)が あ る.た
れ ぞれ
だ し,2人
参 照).
「2単 親 」hiは,親
っ て 言 う と き や,親 何 と い う 山?」
動 詞
っ て き て あ げ た)
い る(Lafitte,1979).
詞),‐kは
動 詞 文 で も,自
gona
持 っ て き た(買 2つ の 属 格 は,名
に 無 関 係 で あ り,定
複 数 形 が 区 別 さ れ る.こ
接 目的 語 に な る.他
文 で も 使 わ れ る.
父 が(能 格) 母 に(与 格) ス カ ー ト(を)
限 定 形mugaga
形 語 尾 に よ っ て 示 さ れ る.
は 定 形 語 尾(冠
動 詞 文)
対 格)
Aita‐k
体 の 後 に 付 く.
定 と 数
不 定 形 は,数
母(を)
Ama‐k
与 格 は,間
語 尾 に よ っ て 示 さ れ る.
定 形 語 尾 も格 語 尾 も,す
definite)は,冠
父 が
定 の 区 別 が 語 尾 に よ っ て 示 さ れ る.
ろ い ろ あ り,格
a)定,不
対 格)
(能 格)(絶
数 と 複 数 と の2つ
と 同 時 に,定,不
合 体izen
etorri
(絶 対 格)
Aita‐k つ い て 概 観 す る. 2)名
Aita
父(が) 動 の 区 別 は な い.
以 下 に,バ
格 は,
なわ
動 詞 文 の 主 語 の み が 「能 格 」
「名 詞 ・名 詞 句 」,5の
対
の 属 格 で あ る.
の 直 接 目 的 語 に な り,自 動 詞 文 の 主 語 に な る.能
f)い
の3つ
dituzte
sell books.')
b)格 す が,有
詞 は,複
も って い る
money.')
saltzen
(='They
頭 辞 は 少 な く,接 尾 辞 を 多 用 す る(4の
some
本 を(定 複) 売 っ て い る
「名 詞 ・名 詞 句 」 を 参 照). d)接
dauka.
や 祖 父 母 が 子 や孫 に 向か
密 な 友 人 ど う し の くだ けた 会 話 で
敬 」zuは,そ
れ 以 外 のす べて の場 合
バ
ス ク 語 の 名 詞 の 格(例:mendi「 不
定
定
単
山」)
数
定
複
数
絶 対 格
「山,山 を,山 が(+ 自動 詞)」
能
格
「山 が(+ 他 動 詞)」
与
格
「山 に」
所 有 属格
「山 の(も つ て い る∼)」
対 象 関 与格
「山 に とつて,山 の た め に」
動 機格
「山 ゆ え に,山 の た め に」
共
格
「山 と(と もに)」
具
格
「山 に よつて,山 に つ い て」
位 置 属格
「山 の(と ころ に あ る∼)」
内
格
「山で,山 に(お いて)」
方
格
「山へ 」
到
格
「山 ま で」
方 向 格
「山の 方 に向 か って 」
奪
格
「山か ら」
分
格
「ひ とつ の山 も/で も」
補 説格
「山 と(し て)」
バ スク語の人称代名詞 絶対格 能 格 与 1単
(句)と
格 所有属格
ni「 私 」
同 種 の 格 変 化 を す る.
Nor‐i
eman
diozu
dirua?
だれに
与 え
た(あ な た が)お
金(を)
2単 親 hi「 お 前 」
「だ れ に お 金 を あ げ た の?」
3単
(hura「
Elkarr‐ekin
bazkalduko
dugu.
1複
gu「
私 た ち」
お互 い とい っ し ょに
昼食 を とろ
う(私 た ち)
2単 敬 zu「
あ な た」
「い っ し ょ に お 昼 を 食 べ よ う」
2複
あれ」
zuek「 あ な た 方 」
3複
(haiek「
3)動
あ れ ら」
詞 ・動 詞 句
こ と に よ り,各
動 詞,動
種 の,法,時
詞 句 の語 形 が 変 わ る
制,態,人
称,数
が表現
さ れ る. に 用 い ら れ る.zuは,フ vous,ustedな
ラ ンス 語 や ス ペ イ ン 語 の
ど と は 異 な り,も
称 単 数 代 名 詞 で あ る が,語 特 徴 を 示 す(3の
っ と も 一 般 的 な2人
形 の 上 で は,複
称 複 数 で あ っ たzuの
人 称 が,1人
を 表 わ す た め の 代 名 詞 が,zuに
く は2人
け で あ る.3人 hau「
れ ら1人
称 お よ び2人
称 の 人 称 代 名 詞 は な い.そ
こ の,こ れ 」,hori「
そ の,そ
接尾
あ れ 」 と い う 指 示 連 体 詞(連 し て 使 わ れ る)が bera「
ど)や,こ
「何 か 」,norbait「
か に,疑
た,
何 」,nor「
件 法)
bazkal 昼 食 を食 べ る
Zazpi 7つ の
dezakegu.(可
Herriak
バ ス ク語 の
国 を1つ
egin
dezagun.(接
す る
よ う に(私 た ち が そ れ を)
bat
続 法)
を1つ
に しよ う」
Euskara
jalgi
hadi
バ ス ク語 よ
出て行
け(お 前 が)
mundura.
能 法)
こ と が で き る(私 た ち)
Euskal
「私 た ち は バ ス ク7州
れ か ら派 生 し た 不 定 代 名 詞(zerbait
れ ら の 代 名 詞 は,名
ginateke.(条
山で
だ
(命 令 法)
世界へ
だ れ か 」)や,ま た,相 互 代 名 詞(elkar
「互 い 」)な ど い ろ い ろ あ り,こ
続 法,
ba‐zina
Mendian
の ま ま名 詞 と
そ の 同 じ 人 」 を さす の に 用
問 代 名 詞(zer「
能 法,接
喜 ぶ で し ょ う に(私 た ち は)
あ の,
尾 の 形 は,一 般 の 名 詞 と 少 し だ け 異 な る.
代 名 詞 に は,ほ れ 」,な
体 詞 は,そ
だ
の 代 わ り に,
指 示 代 名 詞 と し て 用 い ら れ,ま
同 じ(も の)」 が,「
い ら れ る.語
称 の5語
れ 」,hura「
件 法,可
も し来 る と し た ら(あ な た が)
poztuko
以 上 の 聞 き手
複 数 語 尾‐ekを
etorriko
あなたが
さ せ る こ と に よ っ て つ く ら れ た の で あ る. 人 称 代 名 詞 は,こ
Zu
の聞 き手 に対 して
用 い ら れ る よ う に な っ た の に 伴 い,2人
直 説 法 の ほ か,条
命 令 法 が あ る.
数 の人 称 の
「動 詞 ・動 詞 句 」 を 参 照).古
a)法
詞
「バ ス ク 語 よ,世 b)時
制 と態
界 に 出 で よ」 時 制 は,現 在 と過 去 の2種
で あ る.
動 現 完
「少 年 た ち は 山 を 歩 い た 」(過 去 完 了)
詞 の 時 制 と態 在
了 ikusi
過
du
ikusi
「(今 日)見 た 」 不 完 了 ikusten
来 ikusiko
zuen
ikusten
Maiteri
giltza
galdu
zaio.
マイテに
鍵が
な くな っ
た
「マ イ テ の 鍵 が な く な っ た 」
「(昨 日)見 た 」
du
「見 て い る 」 未
去
cf.Maitek zuen
「見 て い た 」
du
ikusiko
「見 る だ ろ う 」
giltza
れ と,完
他 動 詞 のizan(ukanと
「見 た だ ろ う」
了,不
とが 組 み 合 わ さ っ て,6種
完 了,未
来 の3種
の態
の 基 本 的 な範 疇 を形 づ くっ
例 と し て,表3に,他
時 制,態,法
る の で,全
ぐ ら い の 語 形 が あ る こ と に な る.
動 詞ikus「
見 る」 の直 説 法 の
部 で2千
に,そ
れぞれの形があ
時 制 は 助 動 詞 の 形 に よ っ て,態
る.
は本 動 詞 の形 に よ っ
本 動 詞 の 語 形 は,原
形(ikus),完
名 詞(ikuste)の3つ
了 分 詞(ikusi),動
の 基 本 の 形 と,さ ら に,語 尾 の 付 い
た 未 来 分 詞(ikusiko),不
完 了 分 詞(ikusten)な
動 詞 の 語 形 は,法
や,主
どが あ
語 の 人 称,直
称 表 現
動 詞 は,主
zaitを
り で な く,直 接 目 的 語,間 分 析 的 な 形 で は,人 さ れ る.自
称 は,す
フ ラ ン ス 語 のetre,ス (「自 動 詞izan」)が 助 動 詞 と し て は,英 avoir,ス
ペ イ ン語 のserに
用 い ら れ(表4,5を
izan,ま
ペ イ ン語 のhaberに た,ukan」)が
以 下 に,自
詞,フ
Baionatik
バ イ ヨ ン ヌ か ら 来
etorri
た(私 が あ な た を)
マイテに
本
bat
eman
←1冊
与 え
diot. た(私 が 彼 に そ れ を) Maitek
niri
liburu
batzu
eman
マイテが
私 に
本
数 冊の
与 え
←
dizkit.
d)凝
縮 動 詞 形
凝 縮 動 詞 形(aditz
trinkoak)
naiz. た(私 が)
制,人
称,数
は,不
規 則 な 部 分 が あ る.態
ziren.
少年 たちは
山 で
歩い
た(彼
自
動 詞izanの
を,1語
以 外 の 態 で は,分 ら が)
不 完 了 態 も,分
で 表 わ す も の を 言 う.そ は,不
過去
(条
仮 定
の語形 に
完 了 態 の み で,そ
析 形 の み が 用 い ら れ る. 析 形 と凝 縮 形 の 両 方 で 表 わ さ れ,多
主 語 に よ る人 称 変 化 (直説 法)
2単 敬
見
関 す る 例 を 示 す.
と よ ば れ る も の は,本 動 詞 と 助 動 詞 に 分 か れ ず,法,時
ibili
1複
敬の印
付 け て,zaitut
た(彼 が 私 に そ れ ら を)
mendian
3単
前 に2単
の 印tを
zaitut.
私 が
ラ ンス語 の
Mutilak
現在
「あ な た 」 で
た 」 と い う形 に な る.
liburu
動詞の
(現 在 完 了)
2単 親
根uの
敬
ikusi
Maiteri
詞,
用 い た 例 を あ げ る.
私 は
1単
あな た を
用 い ら れ る.
動 詞izanを
代名詞
私が
相 当 す る 動 詞(「 他 動 詞
Ni
人称
zu
あ た る動 詞
参 照),他
語 のhave動
Nik
Nik
べ て 助動 詞 の形 で表 わ 語 のbe動
後 に1単
次 に,表7に
接 目 的 語 の 人 称 を も表 わ す.
動 詞 の 助 動 詞 と し て は,英
「私 」 の 場 合 は,語
付 け,uの
分 け して 表 示 され
接 目 的 語 が2単
「私 が あ な た を ∼ す る/し
接 目的 語
語 の 人 称 を 表 わ す ばか
と え ば,直
主 語 が1単
や 間 接 目 的 語 の 人 称 や 数 に よ っ て 変 化 す る. c)人
よ う に 分 析 し,色
表6で,た
て 表 わ さ れ る.
ス
ク 語 の 動 詞 変 化 を 学 ば せ る た め の 本 や 文 法 表 で は,通 常,表5,6,7の
3複
語の人称だ
接 目的語 の 人 称 に よ って も
語 形 変 化 を す る.各
「彼 が 彼 を(そ れ を)∼ 」 の 形 を示 す.
2複
も い う)は,主
接 目 的 語,間
バ ス ク 語 を 習 得 せ ず に 育 っ た バ ス ク 人 子 弟 に,バ
て い る.
る.助
du.
な く し た
「マ イ テ は 鍵 を な く し た 」(他 動 詞 文)
zuen
け で な く,直 直 説 法 で は,こ
galdu
マ イ テ が 鍵 を
件
帰 結現在
法)
帰結過去
れ
自
動 詞izanの
主 語 と間 接 目 的 語 に よ
他
動 詞izanの
直 接 目的 語 と主 語 の2項 に よ る 人 称 変 化(直説 法現 在)
る人 称 変 化(直 説 法 現 在)
主語 語根
主語 の 間接 目的語 (主 語 の 複 数) 複数
直接 直接 目的 目的語 語複数
1単
1単
2単 親(男)(女)
2単 親
3単
3単
1複
1複
2単 敬
2単 敬
2複
2複
3複
3複
語根
(直 接 目的 主語 語 複 数)
注:上 の 見 出 しの 「主 語 」「 主 語 の複 数 」な ど は,そ れ ぞ れ,「 主 語 の 人 称 を示 す 部 分 」 「主 語 が 複 数 で
他
あ る こ とを 示 す 部分 」… を意 味 す る(以 下,同 様). 1複 以下 の 人 称 の‐zki‐は,複 数 の指 標 で あ る. 2単 敬 は,古
くは複 数 形 だ っ た ものが,1人
直 接 目的 語,間 接 目的 語,
主 語 の3項 に よる 人 称 変 化(直 説 法現 在)
直接 (直接 目的 目的語 語根 語 複数) 間接 目的語 主語
に対
す る敬 称 形 と して使 わ れ る よ うに な った た め,さ ら に複 数 指‐teを 付 け て,新 しい2複 が つ く ら
動 詞izanの
1単 2単 親(男)(男)/
れた.
(女)(女) 3単
くの場 合,分 析 的 な不 完 了形(bの
「時制 と態 」を参 照)
1複
は,反 復 ・習慣(「いつ も∼ す る/し た」 「とき ど き∼ す
2単 敬
る/し た 」)を,凝 縮 形 は,進 行 中 の あ る時 点 で の 状 態
2複
(「今 ∼ して い る と こ ろだ/だ eramaten
du(分
った 」)を表 わ す.
析 形)「彼 は いつ も(毎 日,と き
3複 注:直
接 目的 語 は,3人
どき)そ れ を持 っ て歩 く」
指 標 の あ と に,さ
darama(凝
tはda,2単
縮 形)「彼 は今 そ れ を持 っ て歩 い て い
称 に 限 ら れ る.間
接 目的 語
ら に 語 尾 が 付 く と き は,1単
親 のk,nは
そ れ ぞ れa,naと
の な る.
る と ころだ 」 自動 詞joan「
行 く」 の 直 説 法 現 在 形 の例 を あ げ る
多 い.前
部 が 後 部 を 修 飾 す る 場 合 が も っ と も 多 ぐ,前 ・
(‐oa‐ が語 根 で,そ の前 後 の 接 辞 で 人 称 が 表 わ され る.
後 部 が 並 列 関 係 に あ る 場 合 もか な り あ る.後
た とえ ば,doazは,d‐
を 修 飾 す る 場 合 は 少 な い.
が 主語3人 称 を,‐zが 複 数 を
idazmakina「
表 わ す).
タ イ プ ラ イ タ ー 」=idatz「
1単
「私 が 行 く」
makina「
2単 親
「お前 が 行 く」
neskamutilak「
3単
「あ れ(あ の人)が 行 く」
1複
「 私 た ち が 行 く」
b)派
2単 敬
「あ なた が行 く」
く,使
2複
「あ な た た ちが 行 く」
3複
「あれ ら(あ の 人 た ち) が 行 く」
青 少 年 男 女 」(定 形)=neska「
い 娘 」+mutil「 生
若 い 男 性 」+‐ak(定
凝縮 動 詞 形 を もつ 動 詞 は,か っ て は 数 十個 もあ った
詞,主
聞 く」:e‐ra‐ntzun「
詞 の ほ か,形
の 人」
が 接 合 して,い ろ い ろな 合 成 語(複 合語)や 派 生 語 が つ
a)合
成(複 合)
‐txo/‐txu(指 て,小
合 成 語(複 合 語)は,特
に名 詞 に
小 辞,愛
さ い こ と,愛 umetxo「
くられ る.
詞なども
所 を 表 わ す名
と し て 地 名 に 付 い て,「 ∼ 出 身 の 人 」 を 意 味 す
donostiar「Donostia(=サ
るい は,語 根 と接 辞
容 詞,動
る.
る形 もあ る. 語 根 と語 根,あ
答 え る 」(< 「聞 か せ
と え ば,‐r/‐tarは,場
古 風 な,あ るい は,文 学 的 な 表 現 と して のみ 残 って い 形 成
形 複 数)
接 頭 辞 ・接 中 辞 は,ほ と ん ど な い.古
る 」)
が,現 在,日 常 に 使 わ れ る の は,ご
4)語
若
役 の 接 中 辞‐ra‐ が あ っ た 痕 跡 が 残 っ て い る.
entzun「
つ く ら れ る,た
く頻 度 の 高 い 少 数
書 く」+
機械」
接 尾 辞 は 豊 富 で,名
の動 詞 のみ で,そ れ も部 分的 に欠 落 し た も のが 多 い.
部が前部
txikitxo「
ン ・セ バ ス テ ィ ア ン)
称 辞)は,名
詞,形
容 詞 に付 い
ら し い こ と,少 な い こ と を 表 わ す.
赤 ち ゃ ん 」(umeは,「 と て も ち っ ち ゃ な,か
子 供 」) わ い い 」(txiki
は,「 小 さ い 」) ‐ garriは,主
イ)Patxi‐k
と し て,動
詞 に 付 い て,「 ∼ さ れ う る,
∼ に 値 す る」 とい う意 味 の 形 容 詞 をつ くる. maitagarri「
愛 す べ き,か
maiteは,「 ‐tuは,名
を つ く る.ラ
わ い い 」(maita<
容 詞 等 に 付 い て,動
とけ る,と
askatu「
ederki「
美 し く,立
ⅲ )A=Bの
詞 化 す る.
が 組 み 合 わ さ っ て,よ
美 し い,立
合 成(複
り長 い,さ
合)と 派 生
まざ ま な 語 が つ くら
れ る.
aurre「
眼 鏡 」(定 形 複 数)=bet‐
バ ス ク 語 の 話 し 手 に な る/す バ ス ク 語 」+du「
形 語 尾)+‐du(=‐tu)(動 5)統
る」
∼ を 持 つ 」+‐n(連
体
本
間 投 詞 だ け の 文 や,名
の 文 も頻 繁 に 用 い ら れ る が,文 る の は,動
本
詞だけ
の基 本 的 な 骨 組 み にな
詞 部 を 述 語 と し て もつ 構 造 で あ る.そ
う な 文 で は,SOVの
語 順 を と り,動
詞 部 は,文
詞 の 要 求 す る1個
動 詞 部 の 前 に,そ
な い し3個
の
の 本 liburu
ど の 本 biblioteka‐ko
liburu‐a
の よ
図 書 館‐ の
本(定 単)
末 に
Patxi‐ren
対 格(NP),能
格(NP‐k),与
ず れ か に お か れ る(2の
の主 動
liburu
の 場 合,名 格(NP‐ri)の
「名 詞 ・名 詞 句 」,bの
on
Maite
「格 」 を
マ イ テ(が)来
自 動 詞 文)
ideia
zaio.(複
←
雪(が)
降 っ た(と
詞 部
ⅰ )動
ona
マ イ テ ーに 考 え
egin zuen
の dio‐n
etorri
egun‐a こ ろ の)
動 詞 部 は,基
動 詞 か ら な る(3の
た
Maite‐ri
eman
本(定 単) Elurra
d)動
da.(単
Maite‐ri
liburu‐a
い
主 語)
etorri
bat
良 い ←1つ
パ チ ーが マ イ テ ーに 与 え た ーと こ ろ の 詞
参 照). 動 詞 文(NPが
Patxi‐k
の 名 詞 句 が お か れ て,自
動 詞 文 ま た は 他 動 詞 文 が つ く ら れ る.そ
ⅰ )自
1つ
liburu
パ チ‐の 本 ←
の 基 本 的 骨 組 み
句 は,絶
この
←
お か れ る. b)文
ろ か ら か か る もの
bat
hiru 3冊
詞 だ け,副
飾 語 に は,後
hau
←
zein
a)文
一 の名 詞 だ け
や 後 ろ にい ろい ろ な 要素 が加 わ って
か ら か か る も の と が あ る.
liburu
詞 化 接 尾 辞)
語
名 詞 句 に は,単
で き る も の も あ る.修
liburu
=euskal「
だ
詞 句 の 構 成
の も の の ほ か,前
形複数
語 尾)
naiz.
私 は バ ス ク 人
「目 」+
前 」+‐ko「 ∼(の 所)の 」+‐ak(定
euskaldundu「
dio.
主 語)
euskalduna
と,前
betaurrekoak「
な い 文 も あ る.
begiratu
構 文(NP1が
Ni
c)名
成 ・派 生 の 組 み 合 わ せ
接 目 的 語NPの
Maite‐ri
「パ チ が マ イ テ を 見 た 」 自 由 な 」)
派 な 」) c)合
Patxi‐k
水 」)
派 に 」(ederは,「
与 え
他 動 詞 文)
パ チ ーが マ イ テ ーに 目 を 向 け た
解 放 す る 」(aska<askeは,「
容 詞 に 付 い て,副
eman
た
詞(完 了 分 詞 形)
か す 」(urは,「
liburua
マ イ テ ーに 本(を)
イ の 変 種 と し て,直
テ ン 語 に 由 来 す る と 言 わ れ る.
urtu「
‐ kiは,形
dio.(複
愛 す る 」)
詞,形
Maite‐ri
パ チ ーが
日(定 単)
本 的 に は,本
動 詞 と助
「動 詞 ・動 詞 句 」 を 参 照).
詞 の 完 了 分 詞 形 と 結 び つ く動 詞(群)が,少
数
あ る.
よ い 来
Berehala
自動 詞 文)
ale
bat
ま も な く 部 ←1
た
bialdu
ahal
送 る
こ とが で き
dizugu.
「マ イ テ に よ い 考 え が 浮 か ん だ 」 ⅱ )他
動 詞 文(NP‐kが
ア)Patxi‐k
主 語,NPが
Maite
ikusi
パ チ ーが マ イ テ(を)見 ア の 変 種 と し て,主
語NP‐kの
Euria
hasi
du.
雨
始 ま っ た
「雨 が 降 り出 し た 」
る(私 た ち が あ な た に そ れ を) 直 接 目 的 語)
du.(単
他 動 詞 文)
た な い 文 も あ る.
Ogia
erosi
パ ン(を)
買 わ な け れ ば な ら な い(私 が)
behar
dut
Maite‐k
etorri
nahi
zuen.
マ イ テ‐が(は)
来
た か っ た
ⅱ )助 動 詞 の 直 前 に お か れ る 小 辞 が,数
個 あ る(凝
動 詞 の 場 合 は そ の 前 に お か れ る). Patxi‐k
Maite
ikusi
omen
du.
縮
パ チーが(は)
マ イ テ(を)見
Maite
poztuko
マ イ テ(は)
喜ぶ
e)連
ote
3人 っ と も基 本 的
か し,実 際 に は,そ
者 の 発 話 意 図 に よ っ て,さ ondo
の と きの 話
egiten
バ ス ク 語 で よ く 話
で.こ
mendira
ⅰ)疑
問文
ま た,主 か?」(主
cf.Patxik
こか ら 」,nola「 あ る.疑
(al)
da?
(か?)
た
何 」,nora「
昇 音 調 を付
ez zuen
ez
見
zue‐lako
な か っ た か ら
Maite
ikusi.
ⅴ)間 接 引 用 節 文 末 の 助 動 詞 ま た は 合 成 動 詞 に, ‐la「∼ と」 を 付 け る . Patxi‐k
∼
Maite
ikusi
パ チ ‐が マ イ テ(を)
問 文 に用 い ら
見
zue‐la
uste
た ‐と
思
dut. う(私 が) cf.…ikusi
ど こ へ 」,nondik「
ど
い つ」 等 々の 疑 問 詞 が
詞 部 の 直 前 に お か れ る.文
る 場 合 が 多 い(gのⅲ
ikusi
zuen.
「… 見 た 」
ど う」,noiz「
問 詞 は,動
「∼ す
「パ チ は マ イ テ を 見 な か っ た 」
「マ イ テ は 来 た か?」 nor「 だ れ 」,zer「
Maite
パ チ ‐が マ イ テ(を)
∼ だ ろ う か な?」 が あ る.
マ イ テ は 来
「∼ の で 」,(baldin)ba‐
∼す
詞 部 が 省 略 さ れ る 場 合 も あ る.
Patxi‐k
問 文 に な る.
etorri
称 単 数 の 形)
つ く ら れ る.動
動 詞 の 直 前 に お か れ る 疑 問 の 小 辞al「
Maite
的 語3人
す る 時 」,‐lako「
い る(彼)
に ギ プ ス コ ア 方 言 で,yes‐no疑
れ る),ote「
語
ろ い ろ な語 形 や 語 尾 に よ っ て連 用 節 が
平 叙 文 は そ の ま ま で,上
け る こ と に よ り,疑
称 単 数,目
∼ す る と,∼
た か ら 」,bait‐
gara.
ろ い ろ な 文 の つ く り方
語3人
れ は,主
∼ す る よ う に 」(他 動 詞 節
れ ば 」 等 々,い
行 こ う(私 た ち)
f)い
接続法 のいろいろな
du.
して
joango
あ した 山 へ
れ は,主
や,‐la(‐larik)「
「彼 は バ ス ク 語 で 上 手 に 話 し て い る 」 Bihar
izanの
∼ す る よ う に 」(自 動 詞 節 で.こ
称 単 数 の 形),dezan「
る/し
ま ざ ま な 位 置 に 現 れ る. hitz
用 節(副 詞 節)
形dadin「
連 用 語 は,も
か ら か か る.し
Euskaraz
ⅳ)連
da?
だ ろ う か
用 語 の 入 る位 置
に は,前
た そ う だ
「語 順 転 換 な ど」 の,ア
g)話
し手 の 意 図 や 気 持 ち の 表 現
ⅰ)関
係 す る 人 物(等)を,主
Akerra‐k
頭 に く とイ を参
語 や 目的 語 に お く.
adarrak
okerrak
ヤ ギ ‐が(は) 角(定 複) 曲 が っ た も の(と
照).
し て)
ditu. Noiz
ikusiko
du
Maite
い つ 見 る だ ろ う
Patxi‐k?
持 っ て い る(彼 が そ れ ら を) 「ヤ ギ は 角 が 曲 が っ て い る」
マ イ テ を パ チ‐ は
「パ チ は い つ マ イ テ に 会 う だ ろ う か?」 ⅱ)否
定文
助 動 詞(ま
た は 凝 縮 動 詞)の
(直 前 の 小 辞 が あ る 場 合 は そ の 前 に),否 な い 」 が お か れ,本
cf.(Akerra‐ren)adarrak
動 詞 とez以
直前 に
定 辞ez「
下 の 助動 詞 群 とが 入
曲 が った もの
で あ る(そ れ ら が) 聞 き 手 に 対 し て 敬 意 や 親 し み を 表 わ す た め に,実
Maite
ez
マ イ テ(は)
da
etorri.
な か っ た ← 来 る
に は 行 為 者 や 対 象 で な くて も,語 場 合 が あ る.た
「マ イ テ は 来 な か っ た 」 cf.Maite
き,naiz「(私
etorri
マ イ テ(は)
da.
来
' you
た
体 節(関 係 節)
have
基 本 的 語 順 の ま ま で,文
末
ikusi
パ チ ーが 見
た
Sartu
naiz‐en
入 っ
た(私)
Mutile‐k
du‐en
体 形 語 尾(関 係 辞)
Goikoetxea
nauzu,
arazo
horren
件
そ の ・の
←
arduraduna. 担 当者
少女
「私 は そ の 件 の 担 当 者 の ヨ ン ・ゴ イ コ エ チ ェ ア で ご
hi「 お 前 」 の 人 称(2の ikusi
kalea「
そ れ 」 の 属 格 形)
ざ い ます 」
出入 口
Maite
と も い う)
代 わ り に,nauzu
形 を 用 い る と,よ り て い ね い に な る.
(horrenは,hori「
atea
dute‐n‐eko
対 面 の人 に 自己 紹 介 す る と
neska
少 年 た ち ‐が マ イ テ(を)見 (…ikusi
際
の格 に お く
ヨ ン ゴ イ コ エ チ ェ ア (あ な た が 私 を)持 つ
付 け る.
Patxi‐k
と え ば,初
形 上,そ
は)で す 」'(I)am'の me'の
Jon
の 助 動 詞 ま た は 凝 縮 動 詞 の 後 に,連 ‐(e)nを
okerrak
角 は
dira.
∼ し
れ 替 わ る.
ⅲ)連
ヤ ギ‐の
dute‐n た
見 た(と
kalea
道路 き)の 道 路 」
「名 詞 ・名 詞 句 」,cの
「代 名 詞
と人 称 」 を 参 照)で 話 す と き は,naiz'(I)am',gara '(we)are'の gaituk'thou の 例,以
代 わ り に,nauk'thou hast 下 同 じ).他
us'等
hast
me',
の 形 が 用 い ら れ る(男 性 形
動 詞 で は,2単
親 を与 格 に お い
て,du'He
has
thee'と
it'の 代 わ りに,dik'He
言 い,さ
ら に,dit'He
わ り に,zidak'He ⅱ)非
has
人称表現
it to
to
it to
me'の
thee'と
代
cruce)
言 う」は
称 単 数 形 に し て,
hori
言 う
euskaraz?
題 項(焦
語,フ
mitin「
点galdegaia/focus)を
動 詞 部 の直
充す
け 足 し を 後 に お く,
し て 入 っ た 語 も あ る.ま
deklinabidea「
の 結 果,実
ま ざ ま な 語 順 が 実 現 す る.ま
た,呼
が 文 の 途 中 に 入 っ た り,文
2)数 honetan
intentsiboa
し て,バ
ス ク語 で
常 語 で,「 名 前 」)
bost,「6」sei,「7」zazpi,「8」zortzi,「9」
に,そ
は ベ ル ベ ル 語 のafust「
こ ぶ し」 に,zazpi
こ の 」 の 内 格 形.gaude い る,あ
る 」 の 直 説 法 主 語1人
称
11か
ちろんバ
れ る).20を
す ぐに
で は,10のhamarと1か
ら9ま
だ し,11,18,19に,特
表 わ す 語 は,ケ
で と
殊 な 形 が含 ま
ル ト語 起 源 か も し れ な い
…,「17」hamazazpi,「18」hamazortzi∼he‐
lez,
な た が 私 た ち に そ れ を)と
mezortzi,「19」hemeretzi,「20」hogei
お り, 20よ
bidaltzen
り上 は,20進
法 で あ る(多 少,形
の変わ るところ
も あ る).
送 り
dizkizut
「21」hoge(i)ta
inkestak.
ま す(私 が あ な た に そ れ ら を)ア
ンケ ー ト を
「お っ し ゃ っ た と お り,す ぐ に ア ン ケ ー ト を お 送 り し ま す 」(下 線 部 は,前
マ
「11」hamaika,「12」hamabi,「13」hamahiru,
zenigun
berehala
は,ロ
と言 わ れ る.
ス ク 語 で(で す)」
言 っ た(あ
ら19ま
の 合 成 で あ る(た
集 中 講 座 を 受 講 して(い る の で す),も
は ベ ル ベ ル 語mrau
れ ぞ れ ひ き 当 て ら れ て い る.sei「6」
ン ス 語 に 似 て い る.
「私 た ち は こ の す ば ら し い キ ャ ン プ 場 に い ま す,
1),…
bat(<hogei‐eta‐bat;20と
「30」hoge(i)ta
hamar(20と10)
「40」berrogei(2・20) 「60」hirurogei(3・20)
置 き)
「80」la(u)rogei(4・20)
彙] 用語
ラ テ ン 語,ス
か ら の 借 用 語 が 特 に 多 い.そ ア ラ ビ ア 語,英 語 彙 の80パ
名 詞 」(定 形)(日
「7」 は コ プ ト語 に,hamar「10」
複 数 現 在 の凝 縮 形 〔'we are'〕)
1)借
の ま ま利 用 し て い る
bederatzi,「10」hamar
もち ろ ん
は,egon「
ち ろ ん,
詞
bost「5」
noski!
(honetanは,hau「
形 は,
法 」 で あ る.も
「1」bat,「2」bi,「3」hiru,「4」lau,「5」
gaude
egiten,euskaraz
集 中
部分 が
曲 用 」)で,bide(定
バ ス ク 語 の 「道,方
izena「
の一 部 が 省 略 され た りす る
eder
曲 用 」(定 形)で は,deklinaの
場 合 も 多 い.
キ ャ ン プ 場 す ば ら し い こ の ・ に い る(私 た ち)
[語
用 語 を も と に し て,バ
バ ス ク 語 で 日常 使 わ れ る 語 を,そ
際 に は,さ
び 掛 け語 や挿 入句
こ と も多 い.
Esan
た,借
西declinacion「
bidea)は
な ど の 語 順 の 転 換 が 起 こ る.そ
←
宇宙飛行
討 議 会 」 の よ う に,英 語 か ら ス ペ イ ン 語 を と お
借 用(<
入 部 を 前 に お く,
講 座
プ ラ ス チ ッ ク 」,astronauta「
ス ク 語 の 語 形 成 法 に 合 わ せ て つ く ら れ た 語 も 多 い.
る こ と を 次 に,付
ikastaro
ペイ ン
士」
し手 の 意 図 や気 持 ち
ち ば ん 言 い 表 わ し た い こ と を 最 初 に,補
Kanpin
ス ク
ラ ンス 語 等 か ら 積 極 的 に と り入 れ て い る. plastiko「
種 の 文 や節 をつ
前 に お く,
ウ)導
形)は,バ
に い ま す も の 」が
近 代 の 生 活 や 科 学 技 術 等 に 関 す る 語 彙 は,ス
と)言 い ま す か 」
く る と き の 語 順 転 換 と は 別 に,話
奪格〕
し か し,「 神 」 を 表 わ す 語Jainkoa(定 主,上
ラ
ラcrux,〔
縮 ま っ た 形 で あ る.
そ れ は バ ス ク 語 で
上 述fの,各
身体」 魂 」(<
十 字(架)」(<
語 に よ る 表 現Jaun‐goiko‐a「 da
テ ン 語 か ら入 っ
ラ〓),gorputz「
動 詞 に か か わ りな く,自
を 表 現 す る た め に,
イ)い
」(<
と え ば,esan「
順転換な ど
ア)問
空,天
動 詞,他
「そ れ は バ ス ク語 で ど う(何 ⅲ)語
zeru「
anima),gurutze「
れ を 自 動 詞3人
esaten
どう
リス ト教)語 彙 の 多 くは,ラ
て い る.
言 う.
次 の よ う に 言 う. Nola
宗 教(キ
数 種 の 非 人 的 表 現 法 が あ る が,
称 単 数 形 に す る.た
他 動 詞 で あ る が,こ
me
has it to
(< ラcorpus),anima∼arima「
そ の ひ と つ と し て,自 動 詞3人
has
ペ イ ン 語,フ
ラ ンス語
の 他 の ラテ ン系 の言 語や
語 等 々 か ら の 借 用 語 も 合 わ せ る と,全
ー セ ン トに も の ぼ る と 言 わ れ て い る.
「100」ehun 「1,000」mila 「1,000,000」milioi 「1,000」
と
「1,000,000」
は,ラ
テ ン語 か らの 借 用 で
あ る.
1)概
[ 辞
書]
Azkue,Resurrection
Maria
de(19692),Diccionario
vasco‐espanol‐frances,2vols.(Editorial La
Gran
Enciclopedia
1905‐06,Bilbao/Paul 15+xlⅶ
Vasca,Bilbao;初
版
Geuthner,Paris―Vol.1,
+561ペ
ー ジ;Vol.2,ⅹⅲ
+487ペ
ー ジ+
ー ジ.約4万7千
た 語 が,そ
の 土 地 で の 発 音 ど お り に 表 記 さ れ,用
が そ え ら れ て い る.意
項 目.各
地 で 採 集 され 例
味 の 記 述 と 用 例 の 解 釈 は,ス
ペ イ ン 語 と フ ラ ン ス 語 で 付 け ら れ て い る.現
在 まで
っ と も信 頼 で き る 語 彙 記 述 と さ れ て い る 辞 典
(Dialectes
labourdin,basnavarrais,
ー ジ.約5万6千
掲 の ア ス クエ の
俗 関 係 の 用 語 や 挿 し絵 が
豊 富 で あ る. vasco‐castellano,
2vols.(Mensajero,Bilbao)―Vol.1, ー ジ;Vol.2,1,005ペ
用 的 辞 典 で あ る.同
数,用
項 目.
例の豊かな実
basque
Bayonne)―
訂 版,Ikas,
フ ラ ン ス 側 の バ ス ク 語 の 概 説 書.フ
ラ ン ス 語 で 書 か れ て い る.初
版1944年,再
版1962
2000(Elkar,
+ⅹⅹⅹⅱ+854ペ
ペ イ ン語 辞 典(45,600項 語 辞 典(33,600項
ー ジ.バ
目)と,ス
ペ イ ン語 ‐バ ス ク
目)か ら な る.統
一 バ ス ク語 の学 習
彙,方
2,San
言,参
較 の 成 果,音
論,形
vasca
Sebastian)
態 論,統
考 書 目 か ら な る.ス
語 論,語
ペ イ ン語 で 書 か れ
て い る.
(Nevada
University
Dictionary
Press,Reno,Nevada)
―最 初 の バ ス ク 語 ‐英 語 辞 典.108+558ペ 項 目 数 約5万.英
New
York)―
vasco.Orotariko
euskal
Brouver,S.A.)―
Lehen
韻 論,語
ー ジ,
彙を
Gramatika:
Urratsak(Comunidad y Real
Academia
Foral de la
Lengua
de
Navarra Vasca
新 進 の学 者 が 中
同 研 究 と 会 議 を 重 ね な が ら作 っ て い る
バ ス ク 語 ア カ デ ミー 編 の 文 法 書 で,バ れ て い る.第4巻
ス ク語 で書 か
ま で 刊 行 さ れ て い る.
Euskaltzaindia(1979),Euskal
Aditz
Sebastian)―
詞 の 変 化 表 を,4色
Batua(Graf
統一バス ク語の動
刷 り で 示 し た も の.
史
Michelena,Luis(1960,19772),Fonetica vasca(Diputacion
hiztegia
バ ス ク語 学 の 最 高
de
historica
Guipuzcoa,San
―(1988a),Palabras del
Pais
権 威 ミチ ェ レ ナ の 半 世 紀 に わ た る 研 究 の 集 大 成 が, 継 者 た ち によ って 出 版 され つ つ あ る.
本 辞 典 は そ の1つ
で,バ
ス ク語 ア カ デ ミー が 力 を 入
れ て 出 版 に こ ぎ つ け た.全13巻 途 中)ま
の 予 定 で,1997年
れ だ け で,必
現
で 出 て い る.上 掲 の ア ス ク エ
の 辞 典 の 記 述 も こ の 中 に 含 め られ,こ
れが完結すれ
要 な語 彙 資 料 は すべ て 間 に合 う
こ と を め ざ して つ く られ て い る. 吉 田 浩 美(1992),『
態 論,音
Sebastian)
Sarasola(1988‐),Dic
general
在,第9巻(Jの
統 語 論,形
Euskaltzaindia(1985‐89),Euskal
2)語
語 ‐バ ス ク 語 辞 典 も 出 た.
Michelena,Luis&Ibon
そ の 死 後,後
Helm,
語 で 書 か れ て い る.
Valverde,San
Aulestia,Gorka(1989),Basque‐English
バ ス ク 語 常 用6000語
簡 単 な 文 法 が 付 い て い る.
[参 考 文 献]
Vascongadas
語 史 ,比
心 と な り,共
ス ク 語 ‐ス
用 の 辞 典 で あ る.
de
―
lengua
Euskaltzaindia,Pamplona)―
Taldea(1984),Hiztegia
Bilbao)―ⅹlⅸ
東 京)―
de
フ ラ ンス語 で
書 か れ た,初 心 者 の た め の バ ス ク 語 概 説 書.
じ 著 者 に よ る,ス ペ イ ン語‐ バ ス
ク 語 辞 典 も あ る.
ば,こ
pratique
Picard,Paris)―
Lafitte,Pierre(1979),Grammaire
含 む.英
ー ジ.約6万
バ ス ク 語 ‐ス ペ イ ン 語 辞 典 で,語
(Desclee
b asque(Edition
Saltarelli,Mario(1988),Basque(Groom
Mugica,Placido(1981),Diccionario
cionario
修 館 書 店,東
て い る 唯 一 の 本 で あ る.
(Monografias +
項 目.上
辞 書 を も と に し て い る.民
Ekiten
多 方 面 に わ た っ て,バ ス ク を 日 本 語 で 紹 介 し
basquefrancais Tovar,Antonio(19542),La
souletin)(G.Beauchesne,Paris)―lⅱ
1,093ペ
京)―
年.
Lhande,Pierre(1926‐38),Dictionnaire
1,117ペ
言 語 ・民 族 ・文
知 ら れ ざ る バ ス ク の 全 貌 』(大
(navarro‐labourdin litteraire)(改
で あ る.
et
バ ス ク 語 入 門―
化―
Allieres,Jacques(1979),Manuel
補 遺102ペ
で,も
説 書 ・文 法 書
下 宮 忠 雄(1979),『
― (1988b),Sobre vols.(Diputacion 後 の2書 め ら れ,公 3)雑
学 書 林,
textos(Universidad
は,著
historic de Guipuzcoa,San
Sebastian)
者 の 死 後 に後 継 者 た ち に よ っ て ま と
誌 ・叢 書
Euskera(1919‐,Euskaltzaindia〔Real de
de la lengua,2
刊 さ れ た 論 文 集 で あ る.
la Lengua
Fontes linguae de
Academia
Vasca〕,Bilbao)―
デ ミー の 機 関 誌.古 』(大
y
Vasco,Bilbao)
vasconum〔
略 称,FLV〕(Diputacion
Navarra,Pamplona,1969‐)―
ス ク 語 学 の 学 術 誌.
バ ス ク語 ア カ
い 号 の 多 く は,復 刊 さ れ て い る.
バ
IKER(1981‐)―
バ ス ク 語 に 関 す る 研 究 書,研
論 文 集 の シ リ ー ズ で,バ
際 学 会 の 議 事 録 も兼 ね て い る.1989年 ま で 出 て い る.第4巻
は,ア
研 究 の 成 果 で,350枚 Revista
究
ス ク 語 ア カ デ ミー 主 催 の 国
internacional
de los
estudios
Enciclopedia
vascos〔 略
Vasca,Bilbao,
de
途 絶 え て い た が,1984年 て,29巻 4)文
に,ミ
フ
チ エ レナた ち に よ っ
bibliografia de
Pais
1976‐1980,
Vasco,Vitoria)
に わ た る 包 括 的 な 資 料 調 査 の 成 果.1976年
以 前 の も の は 絶 版,1980年
注(1988),『
ル
語 とい う名 称 か ら分 か る とお り,ル ー マ ニ アの 公 用 語
るが,こ れ は 適 当 で ない.と
い うの は,単
ニ ア 語 」 と言 った場 合 は,ダ
コ ・ル ー マ ニ ア語 を さす
に 「ル ー マ
マ ニ ア語 な ど と並 ん で,共 通 ル ー マ ニ ア語 の一 方 言 に
に は,そ れ独 自の 方 言 が あ るの で,単 に,「ルー マ ニ ア
村 す ず 子 筆 録 ・訳
日 本 と バ ス ク の 古 い 習 俗 に つ い て 』(カ
セ ッ トテ ー プ 付 き,早
稲 田 大 学 語 学 教 育 研 究 所,東
語 の方 言」 と言 う場 合 に は,こ の ダ コ ・ルー マ ニ ア語 の 方言 を さす の が 妥 当 で あ る. [ 歴
史]
バ ル カ ン半 島一 帯 が ロー マ の属 領 と な
る と,ラ テ ン語 は,次 第 に文 章 語 と は違 った もの に な
京) 吉 田 浩 美 編(1994),『 [追
バ ス ク の 伝 説 』(大 学 書 林,東
京)
習 用 の 辞 書 や 本,雑
の 多 く は,バ
書 か れ て い る.フ
で に,多 少 の 方 言差 が あ
っ た と考 え られ る.も ち ろ ん,こ の 違 い は,共 通 ル ー
ス クで 出 て い る学 習 書
バ ス ク で は 近 年,学 出 て い る.そ
っ て い く.こ う して形 成 さ れ た俗 ラ テ ン語 には,先 住 民 族 の 違 い な どに よ って,す
記]
6)バ
誌が数多 く
ス ク 語 ま た は ス ペ イ ン語 で
ラ ン ス 語 の も の も 少 数 な が ら あ る. (田 村
す ず 子)
マ ニア 語 に も受 け継 が れ て い た で あ ろ う.そ の後,6 世 紀 に,ス ラ ブ 民族 が バ ル カ ンに 南 下 して くる が,そ の 後 で,こ れ らの方 言 が 分 離 し,次 第 に,そ の違 い が 拡 大 され た も の とみ られ る.こ れ らの 方言 に は,ス ラ
バ ル カ ン ・ロ マ ン ス 諸 語 英Balkano‐Romance
ブ 語 の影 響 が 共 通 に み られ るか らで あ る.現 在,バ ル
Languages
カ ン半 島 各 地 に残 って い る ロマ ンス語 で あ る ア ・ル ー され
マ ニ ア語 等 の 由来 につ い て は,ド ナ ウ川 の 北 か ら,つ ま
用 語 と して ル ー マ ニ ア で話 され て い
そ の話 者 が も と も と南 部 に居 住 して い た とい う説 が あ
バ ル カ ン 諸 国 で 話 さ れ て い る か,あ
る い は,話
て い た ロ マ ン ス 語 の 総 称. こ の 中 に は,公 る,い
人 と言 わ れ て い た.ダ
す ぎな か った か らで あ る.ま た,ダ コ ・ルー マニ ア語
ス ク 語 ‐日本 語 の 対 訳 テ キ ス ト
ホ セ ・マ リ ・サ トル ス テ ギ 講 演,田
者 は30万
マ チ ア語 以 外 の これ らの ル ー マ ニ ア語 は,ル ー マ ニ ア
の に 対 し,こ の ダ コ・ルー マ ニ ア語 は,か つ て,ア ・ル ー
以 降 の も の は,刊 行 準 備 中
で あ る.
リ
シア の と ころ どこ ろで 話 され て い る が,上 の2つ の言
で あ る ダ コ ・ル ー マ ニ ア語 と非常 に近 い 関 係 に あ る.
vols.(Universidad
5)バ
名
「ル ー マ ニ ア 語 の方 言」 と して 扱 わ れ る こ と も よ くあ
献 目録
―40年
・ ル ーマ ニ ア語,別
マ ケ ド・ル ー マ ニ ア語(英Makedo‐rumanian)は,現
語 と同 時期 に,話
ま で 出 て,
が 出 さ れ た.
Bilbao,Jon(1988),Eusko 3
滅 寸 前 と考 え られ る.ア
人 しか 話 者
う,ほ ぼ 死 滅 した
在 で も,ブ ル ガ リア,ア ル バ ニ ア,マ ケ ドニ ア,ギ
Urquijo)が,1907
年 に 創 刊 し た,国 際 バ ス ク 語 学 雑 誌.28巻
お よび1万2千
が い ない と報 じ られ てい た ので,も か,死
1907‐36〔 フ ァ ク シ ミ リ復 刊1969‐76〕,1984)― リ オ ・デ ・ウ ル キ ホ(Julio
を ユー ゴ 国境 まで 遡 った あ た りで 話
され て い た メ グ レノ ・ル ー マニ ア 語 は,数 十 年 前,す で に,そ れ ぞ れ,1,500人
現 在,第5巻
ス ク エの 言語 地 理学 的
の 言 語 地 図 を 含 む.
称,RIEV〕(Gran
ダル(Vardar)川
り,ダ コ ・ル ー マ ニ ア語 の話 者 が 移 住 した とい う説 と,
わ ゆ る ル ー マ ニ ア(ロ マ ニ ア)語(limba
〔= ダ コ ・ル ー マ ニ ア 語dacoromana〕),今
romana な お,と
る.ま た,同 こ
ろ ど こ ろ で 話 さ れ て い る ア ・ル ー マ ニ ア 語(aromana),
じ場所 に住 み 続 けた 場 合 もあ るが,同
場 合 もあ る.隣 接 言 語 と の類 似 点 や 相 違 点 か ら,そ れ
死 滅 の 途 を た ど っ て い る メ グ レ ノ ・ル ー マ ニ ア 語(meglenoromana) ら の言 語 との関 係 を推 測 す る こ とは で き るが,こ と イ ス ト ロ ・ル ー マ ニ ア 語(istroromana), そ し て,死
じ
南 部 の あ る場所 か ら別 の 場 所 に移 動 した と考 え られ る
の言
語 の 話者 の居 住 地 と移 動 状 況,移 動 時期 を特 定 す る こ とは不 可 能 で あ る.こ れ らの 諸 言 語 は,い ず れ も,ダ
滅 し た ダ ル マ チ ア 語(英Dalmatian)
コ ・ル ー マ ニ ア語 よ り古 い形 を保 っ てい るの で,ル ー
が 含 ま れ る. 公 用 語 とは異 な る少 数 民族 の 言 語 が 存 続 して い く こ
マニ ア 語 の歴 史 を知 る 上 で,非 常 に貴 重 な 存 在 で あ る.
と は 容 易 で は な く, ダ コ ・ル ー マ ニ ア 語 を 除 き,話
[言語 特 徴] 以 下,ダ コ ・ル ーマ ニ ア語 と他 の ル ー マ ニ ア語 との違 い を 中心 に述 べ る.
数 は 減 少 す る 一 方 で あ る.ダ い た ダ ル マ チ ア 語 は,1898年,最 死 語 と な っ た.ま マ ニ ア 語,サ
者
ル マ チ ア 地 方 で 話 され て 後 の 話 者 が死 亡 して
た,イ ス ト リ ア 半 島 の イ ス トロ ・ル ー
ロ ニ カ 湾(Golful
Salonic)に
注 ぐヴ ァル
音 韻 面 で は,ダ コ ・ル ー マニ ア語 で は,唇 音 の後 の e,iはa,iと な っ たが,他 の ル ー マ ニ ア語 で は,元 の音 を保 って い る.
Lat.〔
ラ テ ン 語 〕melum>ar.〔
ア 語 〕meru,dr.〔
ア ・ル ー マ ニ
ダ コ ・ル ー マ ニ ア 語 〕mar「
リ
ンゴ」
dr.vazut:istr.〔 動 詞a
風」
vedea「
メ グ レ ノ ・ル ー マ ニ ア 語 〕ved
dr.par:meg.per「
称 単 数 ・3人
称複数
1985)誌
蓋 化 し たl,n
ウ
Lat.clavem>ar.cl'aie,dr.cheie「 文 法 面 で は,ダ
鍵」
コ ・ル ー マ ニ ア 語 で は,人
的 と な る 場 合 に 前 置 詞peを マ ニ ア 語 に は,こ
が直接目
必 要 と す る が,他
のルー
れ が な い.
vad
pe
meu:ar.vedu
frati‐mi
た は 弟)を 見 る 」
過 去 は,他
ar.aveamu
の ル ー マ ニ ア 語 で は,ダ
コ ・ル
cintat:
そ の ほ か,バ
界 の 注 目を浴
ル ト語 派 に 属 す る 言 語 と し て は,ク
い っ た,い
ず れ も,現
然,豊
富 で
ラ ブ 語 の 影 響 は 南 の 諸 言 語 に も み ら れ る が,
ダ コ ・ル ー マ ニ ア 語 に は,そ
の 他,ハ
代 ギ リ シ ア 語,ド
ラ ンス 語 か らの借 用 語 も
ンガ リー語 や古
代 社会 の 諸 分野 にお け る 事 象 を的 確 に表 現 す
る こ と が で き る の に 反 し,そ
の 他 の 言 語 の 語 彙 は,は
部,リ
トア ニ ア 南 部,白
除 く,死
在 の ポ ー ラ ン ド東 北
ロ シ ア 西 部 で,か
Manoliu(1965),Introducere
in lingvistica romanica(Editura
断 片 が あ る.こ
し て 知 られ る,古
の 資 料 は,14世
語 の 「エ ル ビ ン グ(Elbing)語
(Societatea din
de
o limba(istroromana)
stiinte
istorice
R.P.R.,Bucuresti)
彙 集 」(1400年
ま た,バ
ル マ チ ア 語,ル
トア ニ ア 語,ラ
ト語 派 リ トア ニ アBaltu valodas,英Baltic
kalbos,ラ
和 子) トヴ ィア
languages,独Baltische
〓
説 ]
さら
トヴ ィア 語 に よ るい ず
の 内容 は プ ロテ ス タ ン トない しカ トリ
バ ル ト諸 語 の 文 献 上 の 初 出 年 代 は,こ 韻,形
態 法 に お い て,よ に,リ
上 で,ラ
紀 に 属 す る. の よ うに 遅 い
く印欧 語 の古 態 を保 存
トア ニ ア 語 は,現
も っ と も 古 風 な 言 語 と して 知 ら れ,印
代 の 印 欧 語 中, 欧語比較文法の
テ ン語 に 匹 敵 す る 言 語 的 価 値 を も っ て い る. イ ツ の 学 者 ネ ッセ ル マ ン
(G.H.F.Nesselmann)に
よ っ て,そ
ロ シ ア 語 』(Die (倍 賞
頃)を
ル ト諸 語 の 書 物 と し て の 最 初 の 文 献 は,古
バ ル ト語 とい う呼 称 は,ド
[参 照 ] ア ・ル ー マ ニ ア 語,ダ ー マ ニ ア 語 ,ロ マ ン ス 諸 語
Sprachen,露
si
れまで
に 遡 る 貴 重 な 資 料 で あ る.
して お り,特
dispare
プ ロ シア 語 の
紀 の も の で,そ
に 知 られ て い た バ ル ト語 最 古 の 記 録 で あ る 古 プ ロ シ ア
が,音
si pedagogica,Bucuresti)
Coteanu,Ion(1957),Cum
ずれ も
に 発 見 さ れ た,「 バ ー ゼ ル の 警 句 」
epigram)と
ッ ク の 教 理 問 答 書 の 翻 訳 で,み な16世 Maria
つ て 話 され
トヴ ィ ンギ ア 語 を
語 と な っ た バ ル ト語 派 の 諸 言 語 は,い
れ の 文 献 も,そ
[参 考 文 献] and
紀 の
間 に 死 語 と な っ た 言 語 が 知 ら れ て い る.
プ ロ シ ア 語,リ
る か に 限 ら れ た も の で あ る.
Iordan,Iorgu
在 のラ ト
ヴ ィ ア と リ トア ニ ア の 境 界 域 で 話 さ れ,15∼16世
(Basel's
コ ・ル ー マ ニ ア 語 が,断
イ ツ 語,フ
ロ
ミガ リ ア 語(Semigalian),セ
ロ ニ ア 語(Selonian)と
な お,1974年
歌 って しま っ て いた 」
語 彙 の 面 で は,ダ
[概
上 に お い て,ジ ン キ ャ ー ヴ ィ チ ュ ス(Z.Zinkevicius)
人 名 や 地 名 が 知 ら れ る に す ぎ な い.
cintat(a):meg.veam
dr.cintasem「
語 派 で,バ
XXI,Vilnius,
て い た 言 語 と し て 知 ら れ て い た.ヤ
ー マ ニ ア 語 と違 っ て 複 合 形 で あ る .
Baltu
か
よ
前 述 の ヤ ト ヴ ィ ン ギ ア 語 は,現
fratele
「私 は 私 の 兄(ま
バ ル
考 え ら れ る 言 語 の,215語
ニ ア 語(Curonian),セ
filologice
の言 語 に限
に よ る 資 料 と論 文 が 発 表 さ れ,学
サ ギ」
didactica
上,3つ
プ ロ シ ア 語 に 近 い ヤ トヴ ィ ン
び た.
Lat.leporem>ar.l'epur,dr.iepure「
多 く,現
年,古
ら な る 語 彙 集 が 発 見 され,『 バ ル ト ・ス ラ ヴ 研 究 』(
の ル ー マ ニ ア 語 で は,1,nを
保 っ て い る.
あ る.ス
ル ト語 の 文 献 は,以
び 『バ ル テ ィ ス テ ィ カ 』(Baltistica
コ ・ル ー マ ニ ア 語 で は,口
ま た,大
プ ロ シア
〓,1984)お
梨」
変 化 す る が,他
こ れ ま で,バ
ら れ て い た が,近 ギ ア 語(Yatvingian)と
見 る」 の 過 去 分 詞
「見 る」 の 直 説 法 現 在1人
dr.il
が あ る.死
語 と し て 文 献 を残 す 重 要 な 言 語 と し て は,古
イ ス ト ロ ・ル ー マ ニ ア 語 〕vezut
dr.vad:meg.〔
はiに
ッ ト語)の2つ
語 が あ る.
Lat.ventum>ar.vintu,dr.vint「
ま た,ダ
用 語 で あ る ラ ト ヴ ィ ア 語(レ
preussische
で 提 唱 さ れ た.今
の著書
『古 プ
Sprache,1845)の
中
日 で こそ 学 界 に 定 着 し て い る が,今
世 紀 の 初 め ま で は,単 に リ トア ニ ア 語 と か レ ッ ト語(ラ ト ヴ ィ ア 語)と か,あ
る い は,レ
ッ ト・リ トア ニ ア 語 と
よ ば れ る こ とが 多 か っ た.
イ ン ド ・ ヨ ー ロ ッ パ 語(印 欧 語)族 の1
ル ト海 東 沿 岸 部 に 分 布 す る 言 語 群.
現 代 語 で は,ソ
連 邦 リ トア ニ ア 共 和 国 の 公 用 語 で あ
る リ トア ニ ア 語,同
じ く ソ連 邦 ラ ト ヴ ィ ア 共 和 国 の 公
今 世 紀 の 初 頭,リ
トア ニ ア を 代 表 す る バ ル ト語 学 者
ブ ー ガ(K.Buga)は,ア Sprache,Aisciu テ ィ ー(Aestiorum
エ ス テ ィ ー 語(Aistische kalba)な gentes)と
る 名 称 を 用 い た.ア は,タ
エス
キ ト ゥ ス の 『ゲ
ル マ ニ ア』(紀元 後1世 紀)に 現 わ れ るバ ル ト族,お そ ら
1200年
頃 の バ ル ト語 域
くプ ロ シア人 の 一 部 を さす と思 わ れ る部 族 名 で あ る. 考 古 学,地 名 学 の 知 見 に よれ ば,バ ル ト人 は,紀 元 前3千 年期 後 半 には,西 は バ ル ト海 沿岸 地 域(ヴ クセ ルWeichsel川)か 〓
川,オ
ァイ
ら,東 は 中部 ロ シア(ヴ ォル ガ
カ〓
川,モ ス ク ワ近 郊)に 及 ぶ広 域
に拡散 して いた こ とが 知 られ て い る.そ の意 味 で は, バ ル ト語 とい う呼 称 は,若 干,適 切 さを欠 く う らみが な くは な い.紀 元 後5世 紀 頃 か らは じま る,ス ラ ヴ人 の 膨 張 拡散 に よ り,バ ル ト語 域 は しだ い に せ ば め られ るが,12∼13世
紀 頃 には,い ま だ,モ ス ク ワ近 郊 に バ
ル ト族 の ゴ リ ャー デ ィ人(〓),す デ ィア 人(Galindian)が
なわ ち,ガ リ ン
定 住 して い た.い ず れ に して
も,現 在 の バ ル ト語 域 は,往 時 の6分 の1程 度 の 領 域 を占 め て い るに す ぎ な い. バ ル ト地 方 が 真 の意 味 で歴 史 時 代 に入 るの は,ド イ ツ人 が,12世
紀 以 後,北 で は,リ ガ(Riga)を
中心に 注:リ ーブ 語 は,バ ル ト語 派 で は な く,バル ト ・フ ィ ン 諸 語 に属 す る別系 統 の 言 語 であ る.
剣 帯 騎 士 団 を,つ い で,リ ヴ ォニ ア 騎士 団 を,南 で は, 東 プ ロ シア に ドイ ツ 騎 士 団 を創 設 し,東 方 植 民 を 開始
terre Prussie)に
して か らで,こ の時 期 のバ ル ト地 域 の 民族 情 勢 は,バ
よ って 知 られ る.こ れ らの 文 献 は,
ル ト地 方 進 攻 の あ りさ ま を記 し た,『リ ヴ ォ ニ ア 押 韻
ドイ ツ語,ラ テ ン語 に よ って書 か れ て い るが,地
詩 年 代 記 』(Livlandische
トヴ ィ
『リヴ ォ ニ ア年
知 る上 で,バ ル ト文 献 学 的 に 重 要 な 資 料 とな っ て い る.
ゥス ブ ル ク(P.
〈図 〉は,1200年
Reimchronik),ラ
ア の ヘ ン リ クス(Henricus
Letus)の
代 記 』(Chronicon
Livoniae)や,ド
von
『プ ロ シ ア 年 代 記 』(Chronicon
Dusburg)の
ー ゼ ル の 警 句(1974年
祖 語,リ
トア ニ ア 語,英 Kayle *kails
に バ ー ゼ ル 大 学 図 書 館 で 発 見 さ れ た 手 稿.上
か ら順 に,古
プ ロ シ ア 語,バ
語)
reky∫e,thoneaw *rikis *tu*n'au
sveikas,pone!
Tu nebe
Hellow,Sir!you
aren't
poyte,nykoyte,penega *pot *nik(v)〓itu gerti
(bet)nenori
to drink
(and)don't
want
(乾 杯,だ
ん な,お
ま えは
labonache *labans
thewely∫e,Eg *tevelis
*ik
geras
dedelis
jeigu
nori tu
good
fellow
if
you want
*penigan
doyte. *d〓t.
tu piniga
duoti.
you money
to pay.
太 え野 郎 だ
も し も,飲
koyte, *k(v)〓i‐tu
む こ と を 欲 し て い て,
金 を 出 す こ と を 欲 し な い な ら) 2)教
名,
人 名,種 族 名 の み な らず,バ ル ト人 の 宗 教,風 俗 等 を
理 問 答 書Ⅱ(1534)(ル
タ ー)(ド
イ ツ 語 原 文 に 対 す る 古 プ ロ シ ア 語 訳)
Vater
un∫er
der
du
bist
Thawe
nou∫on
kas
thou
〓
父 よ
わ れ ら の と こ ろ の 汝
name.Zukomme
いる
天 に
dein
emmens.Pareysey 名前が
jm himmel.Geheyliget 〓.Swyntits
来 る よ うに
noumans わ れ らに
「天 に ま し ま す 我 ら の 神 よ.御
twayia あ な た の
werde
dein
wir∫e
tways
あ が め ら れ る よ う に
Reych. ryeky. 国が
名 が あ が め ら れ ま す よ う に.御
国 が来 ます よ う に」
汝の
ル ト
に 分 け ら れ,東 ィ ア 語,セ は,古
バ ル ト語 に は,リ
ミ ガ リ ア 語,セ
プ ロ シ ア 語,ヤ
トア ニ ア 語,ラ
ロ ニ ア 語 が,西
バ ル ト語 に
トヴ ィ ン ギ ア 語 が 含 ま れ,東
西 バ ル ト語 の 中 間 言 語 と し て,ク る(表1を
トヴ
・
ロニ ア語 が あ げ られ
参 照).
元 前4∼3世
の 分 化 は,ブ
紀 に 遡 る と さ れ,東
ー バル
ト語 内 で の リ トア ニ ア 語 と ラ ト ヴ ィ ア 語 の 分 化 は,紀 元 後7∼8世
[ 音
紀 頃 と さ れ る.言
語 的 に は,リ
トア ニ ア
料 が 乏 し い 上 に,プ
*i ,*uは
料 と し て,き
う し た 資 料 の 乏 し さ と,西
aksah,OHG.〔
た,古
〔ロ シ ア 語 〕ocb
言 で,3つ
OCS.〔
ド(Samland)方
は1561年
言 で 書 か れ,言
お,「 グ ル ナ ウ(Simon
OPr.dessimts;cf.OCS.desgti,Lat. decem,Gk.〓,Skt.dasa
語 彙 集 」(1517∼1526
IE.*i:Lith.likti「
IE.*u:Lith.dukte「
トア ニ ア 語
eは[e:],yは[i:],uは[u:],
印 欧 語 の 長 母 音*a,*e,*i,*o,*uの *i ,*uは バ ル ト語 で 保 存 さ れ た が,*aと*oは
母 音 文 字 と よ ば れ るa[a:],e[〓:],
i[i:],u[u:]は,長
母 音 を 表 わ す.ア ク セ ン ト記 号 は,
下 降 音 調('),上
昇 音 調(∼),短
ア ク セ ン ト(')で
aと トヴ ィ ア 語
以 下 の 記 述 で は,ラ uoで
oは[uo]を
記 す.a,e,i,uは,長
ン ト記 号 は,下
バ バ ル 西
表 わ す.た
だ し,
降 音 調('),引
母 音 を 表 わ す.ア き 伸 ば し 音 調(∼),狭
ル ト諸 語 の音 韻 特徴 ト 祖 語
古 プ ロ シア 語
中(?)
ク ロニ ア 語
東
リ トア ニ ア 語 ラ トヴ ィア 語 セ ミガ リア 語 セ ロニ ア 語
クセ 窄
バ ル
ト ヴ ィ ア 語 と古 プ ロ シ ア 語 で は
し て 保 存 さ れ た が,リ
トア ニ ア 語 で はoと
して
現 わ れ て い る. IE.*a:OPr.brati「
トヴ ィ ア 言 語 学 の 慣 例 に 従 い,oを
う ち,*e,
ト語 内 で 異 な る 扱 い を受 け て い る. 印 欧 語 の*aは,ラ
あ る. 2)ラ
息 女 」,OPr.duckti;
cf.OCS.dusti,Gk.〓,Skt.duhita
[ 文 字 と発 音 ]
oは[o:]を,鼻
残 る 」,Latv.palikt;cf.
Lat.relictus,Gk.〓
語 的 に く ず れ て お り,資 料 と
し て の 価 値 は 劣 っ て い る.
1)リ
ま っ す ぐの 」;cf.Skt.
立 っ て い る 」,Lat.status
IE.*e:Lith.desimtis「10」,Latv.desmit,
ザム ラン
語 的 差 異 が 著 し い.な
Grunau)の
年 の 間 に 書 か れ た)は,言
出 版)は
古 代 教 会 ス ラ ヴ 語 〕ovica
IE.*〓:Lith.status「 sthitah「
の ル タ ー の 『教 理 問 答 書 』(2
り の1つ
羊 」,Latv.avs,OPr.
awins;cf.Lat.ovis,Gk.〓,Skt.avih,
語 の 文 献 中,「 エ ル ビ ン グ 語 彙 集 」 は ポ メ ザ ニ ア(Po
つ は1534年,残
サ ン ス ク リ ッ ト語 〕
古 高 ドイ ツ 語 〕ahsa,Russ.
IE.*o:Lith.avis「
ル ト祖 語 を プ ロ シア
古プ ロ
ラ テ ン 語 〕axis,Gk.
〔ギ リ シ ア 語 〕 〓,Skt.〔
バ ル ト語 と東 バ ル ト語 の 間
再 建 す る こ と は か な り 困 難 で あ る.ま
リ トア ニ ア 語 〕asis
ラ ト ヴ ィ ア 語 〕ass,OPr.〔
シ ア 語 〕assis;cf.Lat.〔
プロ
わ め て 不 完 全 で あ る.そ
印 欧 祖 語 〕*a:Lith.〔
「軸 」,Latv.〔
ロ シ ア 人 で は な く,
に 存 在 す る 大 き な 言 語 的 差 異 の た め に,バ
mesania)方
音 の 音 量 は よ く保 存 され
保 存 さ れ て い る.
IE.〔
こ の 言 語 を 十 分 に 知 ら な い ドイ ツ 人 に よ っ て 書 か れ て い る た め に,資
少の改変 を
1)母 音 印 欧 語 の 短 母 音*a,*e,*i,*o,*u, *〓 の う ち ,*a,*o,*〓 はaに 合 流 して い る が,*e,
トア ニ ア 人 と ラ ト ヴ ィ ア 人 の 意 思 の 疎 通 は,文
献 が 現 わ れ た 時 期 に す で に 可 能 で は な か っ た.古 シ ア 語 は,資
バ ル ト語 の 音 韻 組 織 は,多
欧 語 の 音 韻 組 織 を か な り 忠 実 に 継 承 し,
語 末 以 外 の 音 節 に お い て,母
語 は ラ ト ヴ ィ ア 語 の 祖 語 に 近 い 形 を 保 存 して い る.し か し,リ
韻 ]
へ て い る が,印
あ る.
て い る.
東 ・西 バ ル ト語 の 差 異 は 著 し く,そ ガ に よ れ ば,紀
ま た は 中 断 音 調(^)で
兄 弟 」,Latv.bralis,
Lith.brolis,broterelis;cf.Lat.frater, Gk.〓,Skt.brata,Goth.〔
ゴー ト
語 〕bropar
音 組 織 に 比 べ,非
印 欧 語 の*oは,東 れ て い る が,古
バ ル
ト語 で 二 重 母 音 と し て 現 わ
プ ロ シ ア 語 の 扱 い は,資
料 が 乏 し く 明
瞭 で な い. 与 え る 」,Latv.duot;
(th>t,dh>d,な
に 属
Lat.donum「
音 は,印
た だ し,期
贈 物 」
待 さ れ るuoの
代 わ り に,リ
ト ヴ ィ ア 語 でaと
そ の 場 合 は,ア
トア ニ ア 語
し て 現 わ れ る 例 が あ り,
ク セ ン ト を 受 け な か っ た と す る 説 が あ
る. Lith.dovana「
贈
り 物 」,Latv.davana
IE.*e:Lith.seti「 semen「
蒔
欧 語 に 由 来 す るsの
種 子 」;cf.OCS.seti,Lat.sevi,
し か し,今
ト 祖 語 に は,次
gospodi 息 子 」,OPr.souns;cf.
diups「
の う ち,*aiと*oiはaiに,*auと*ouはauに 変 わ
り,*eiは
古 プ ロ シ ア
ト語 で は ア ク セ ン トの あ る
し て 現 わ れ る こ と が 多 い.し
か し,eiと
兄 弟 」;cf.Skt.
IE.*t:Lith.tu「
あ な た 」,Latv.tu,OPr.
tou;cf.Lat.tu,Gk.〓,OCS.ty,Goth.
車 輪 」,Latv.rats; 古 ア イ
ア ヴ ェ ス タ 語 〕kaena
ル ラ ン ド 語 〕roth,OHG.rad
耳 」,Latv.auss,
IE.*d:Lith.du「2」,Latv.divi,OPr. dwai;cf.OCS.duva,Skt.dva,Lat.
OCS.ucho,Gk.〓,Goth.auso
duo,Gk.〓
IE,*ei:OPr,deiwis「
IE.*dh:Lith.medus「
神 」,Lith.dievas,
蜜 」,Latv.medus,
OPr.meddo;cf.Skt.madhu,Gk.〓
Latv.dievs;cf.Skt.devah,Av,daevo, Lat.deus,IE.*deiwos,な
IE.*k:Lith.kraujas「
お,Lith.deive
血 」,OPr.krawia;
ef.OCS.kruvi,Skt,kravih「
」 を 参 照.
IE.*eu:Lith.tauta「
IE.*kw:Lith.kas「
民 族 」,Latv.tauta,
OPr.tauto;cf.Goth.piuda,Osk.〔
オ ス
生 肉 」 な に が,だ
れ が 」,Laty.
kas,OPr.kas;cf.Lat.quis,Goth,〓as, Skt.kas
ク 語 〕touto
IE.*k:Lith.simtas「100」,Laty.simts;
印 欧 語 の 長 二 重 母 音*ei,*eu,*ai,*au,*oi,*ou し く,少
な く と も,バ
ル
ト語 で は,語
尾
印 欧 語 の ソ ナ ン ト*r,*l,*n,*mは,バ 常,ir,il,in,imと
ル し て 現 わ れ,ま
ト語 で れ に,
し て 現 わ れ て い る.
IE.*l:Lith,vilkas「
cf,Lat.centum,Skt.satam,Av.sat〓m, OCS.suto
に し か そ の 反 映 を 認 め が た い.
鶴 」,Laty.dzerve,OPr.
gerwe;cf.Gk.〓,ORuss.〔
IE.*gh:Lith,migla「
狼 」,Latv.vilks,OPr.
古
も や 」,Latv.migla;
cf,Gk.〓,OCS.migla IE.*gw:Latv.guovs「
wulfs,Lat.lupus,Gk.〓 バ ル ト 語 の 子 音 組 織 は,印
IE,*g:Lith.gerve「
語 〕zeravi
wilkis;cf.Skt.vrikah,OCS.vliku,Goth.
く ぼ み 」;cf.Goth.
深 い 」
cf.Skt.rathah,Lat.rota,OIr.〔
OPr,ausins(acc.pl.);cf,Lat.auris,
音
主 人 」;cf.Skt.patih,OCS.
pu
値 段 」;cf.Gk.〓,
IE,*au:Lith.ausgis「
ur,ul,un,umと
自 身 」,Latv.pats,OPr.
IE.*th:Lith.ratas「
IE,*oi:Lith.kaina「
の存 在 は 疑 わ
の よ う な 子 音 組 織 が 想 定 さ れ る.
bhrata
し て も 現 わ れ る.
「女
トヴ ィ ア
受 け 入 れ る に 至 っ た.
IE.*bh:Lith.bro1is「
印 欧 語 の 二 重 母 音*ai,*au,*oi,*ou,*ei,*eu
OCS.cena,Av.〔
擦 音fを
トア ニ ア 語 と ラ
IE.*b:Lith.dubus「
Skt.sunuh,OCS.synu,Goth.sunus
バ ル
息 音h,摩
欧 語 の 状 態 を 反 映 し て い る.
IE.*P:Lith.pats「 waispattin「
位 置 でieと
擦
ら にz
ソ ナ ン ト:r,l,m,n,y,w
dzivs,OPr.giwans;cf.Skt.jivah,Lat.
語 で 保 存 さ れ た が,東
ト語 は,気
と と も に,h,fを
vrrus,OCS.zivu
合 流 し,*euは(j)auに
ほ か に,s,z,さ
世 紀 に 入 っ て,リ 来 語
パ 語 族)
く し て,歯
歯 擦 音:s,s,z
生 き て い る 」,Latv.
IE.*u:Lith.sunus「
2)子
ル
発 達 さ せ る こ と な く,印
し て
口 蓋 子 音 を 歯
イ ン ド ・ ヨ ー ロッ ど).か
し
閉 鎖 音:p,b,t,d,k,g
semen,Goth.seps IE.*i:Lith.gyvas「
ト語 は,硬
テ ム 語(→
を 発 達 さ せ た.バ
バ ル
く 」,Latv.set,OPr.
口 蓋 唇 音 を 非 唇 音 化 ル
し て い る(k>s,g>z,な
語 は,外
は,通
ど),軟 ど).バ
擦 音 に 変 え,サ
cf.Gk.〓,Skt.dadati,OCS.dati,
鎖 音 系 列
声 お よ び 有 声 の 帯 気 子 音 を 非 帯 気 化
い る(kW>k,な
IE.*o:Lith.duoti「
でo,ラ
常 に 簡 単 化 さ れ て い る.閉
の 子 音 で は,無
欧 語 の 子
Gk.〓
牛 」;cf.Skt.gauh,
ロ シ ア
IE.*gwh:Lith,garas「
蒸 気 」,Latv.gars,
OPr.gorme;cf.Skt.gharmah,haras 「熱 」,Lat.formus,Gk.〓
1)名
a)バ
ル ト語 に は,男
の3性
IE.*g:Lith.zinoti「
知 っ て い る 」,Latv
.
zinat,OPr.ersinnat;cf.Gk.〓,
性(m.),女
が 再 建 さ れ る が,3性
男 性 名 詞 か,ま
冬 」,Latv,ziema,OPr.
湖 」,Lith.ezeras(m.),
Latv.ezers(m.);cf.Russ.o〓epo(n.)
semo;cf.Skt.himah,Lat.hiems,Gk.
た だ し,リ
トア ニ ア 語 は,代
中 性 形 を 残 し て い る.ラ
〓
印 欧 語 の 歯 擦 音*sは,バ
ル ト語 で 保 存 さ れ て い
Lith.geras(m.)「 座 る 」,Latv.sedet,
リ トア ニ ア 語 は,印
良 い 」,gera(f.),gera
Lith,grazus(m.)「
欧 語 の*sと*kを,sとsに
美 し い 」,grazi(f.),grazu
(n.)
トヴ ィ ア 語 と古 プ ロ シ ア 語 は,
Latv.labs(m.)「
そ れ を 混 同 し て い る.
良 い 」,laba(f.)
Latv.skaists(m.)「
印 欧 語 の ソ ナ ン ト*y,*wは,母
音 の 前 でj,vと
し
b)バ
て 現 わ れ て い る.
美 し い 」,skaista(f.)
ル ト語 に は,単
数,双
Lith.vyras(sg.)「
IE.*y:Lith.jungas「
軛 」,Latv.jugs;cf.
c)バ
数,複
ル ト語 の 中 で,東
バ ル ト語 は,主
与 格,対
Gk.〓,Russ.〓
ロ シ ア 語 に は,主
格,属
い.伝
欧 祖 語 に は8格
神 」;cf.IE,*deiwos
印 欧 語 の 鼻 音 と流 音 は,バ い る.し
か し,同
*in ,*unは,古
音 節 中(tautosyllabic)の*an,*en,
鎖 音 以 外 の 子 音 の 前 で は,鼻
化 を へ て 長 母 音a,e,i,uと 様 の 変 化 を た ど っ た.ラ
な り,語
末 に お い て も同
な り,語 末 に お い て は, な っ た.こ
れ は,バ
ル ト語 内
の 大 き な 差 異 で あ る. OPr.rancko「
第5の
」,Lith.penki「5」,
Latv.pieci Lith.ginti「
バ ル ト祖 語 の 子 音 結 合tl,dlは,古 は 保 た れ た が,東
バ ル ト語 で はkl,glに
OPr.deiw‐as「
格 の4格
が あ っ た と想 定 され
ル マ ン語 や 古 プ ロシ ア語 の よ
語幹 単数属
神 の 」,Lith.vilk‐o「
古 プ ロ シ ア 語 の 属 格 形 は,IE.*‐oso,あ タ イ ト語 のatt‐as「
狼 の 」,
る い は,ヒ
父 の 」 と 同 じIE.*‐osに
バ ル ト語 の 属 格 形 は,ス
欧 語 の 奪 格 形*‐o(d)に
e)古
プ ロ シ ア 語 は,複
存 し,古
形 を 示 し て い る.
ラ ヴ語 と と も
数 対格 形 に お い て鼻 音 を保
こ と ば を 」,Lith. 単 語 を」
手 を 」,Lith.rankas,
Latv.ruokas
プ ロ シ ア語 で
i‐語 幹:OPr.akins「
目 を 」,Lith.akis,Latv.
acis もみ の 木 」,Lith.egle,Latv.
代 名 詞:OPr.mans「
egle 3)ア
ク セ ン ト
ア 語 は,ア
バ ル ト語 の 中 で,古
プ ロ シア語
ク セ ン ト を語 頭 に 移 動 した.ア
トヴ ィ
ク セ ン トの
詳 細 に つ い て は,「 リ トア ニ ア 語 」の 項 を 参 照 さ れ た い. [形
態]
私 た ち を 」,Lith.mus,
Latv.mus
と リ トア ニ ア 語 は 自 由 ア ク セ ン トで あ る が,ラ
f)古
プ ロ シ ア 語 は,複
も ち,古
形 を 示 して い る.
OPr.nouson「
ッ
遡 るか
由 来 す る と さ れ る.
名 前 を 」,Latv.vardus「
a‐語 幹:OPr.rankans「
る. OPr.addle「
プ
しか な
Latv,vilk‐a;cf.OCS.vlik‐a
vardus「
変 化 して い
格,対
格,
の み を 祖 語 に 想 定 す る 説 が あ る.
o‐語 幹:OPr.wirdans「
軛 」,Latv.jugs
格,与
格,属
を も つ が,古
プ ロ シ ア 語 と 東 バ ル ト語 は,o‐
追 う 」,Latv.dzit
Lith.jungas「
格 の7格
格 形 に 異 な る 語 尾 を も っ て い る.
に,印
鳥 」,Lith,zasis,Latv.zuoss
OPr.penckts「
格,呼
年 で は,ゲ
も し れ な い.東 手 」,Lith,ranka,Latv.ruoka
OPr.sansy「鵞
d)古
トヴ ィ ア 語 で は,*an>uo,
,*in>i,*un>uと
そ れ ぞ れ,u,i,i,uと
音
格,位
統 的 に,印
て い る が,近 う に,4格
プ ロ シ ア 語 で は 完 全 に 保 存 さ れ た が,
リ トア ニ ア 語 で は,閉
*en>ie
ル ト語 で よ く保 存 され て
格,具
数 の 区 別 が あ る.
夫 」,vyru(du.),vyrai(pl.)
IE.*yugom,Lat.iugum,Skt.yugam,
IE.*w:Lith.dievas「
詞に
性形 は す
(n.)
OPr,ensadints;cf.Lat,sedere
よ っ て 区 別 し た が,ラ
名 詞 と 形 容 詞,分
ト ヴ ィ ア 語 で は,中
べ て 失 わ れ た.
る. IE.*s:Lith.sedeti「
性(n.)
れ に 女 性 名 詞 に 変 え て い る.
OPr.assaran(n.)「
IE.*gh:Lith.ziema「
性(f.),中
の す べ て を もっ て い る の
は 古 プ ロ シ ア 語 の み で,東 バ ル ト語 は 中 性 名 詞 を 失 い,
Lat.nosco,OCS.znati
詞類
数 属 格 形 に お い て ‐onを
私 た ち の 」,Lith.musu,Latv.
mnsu g)古 プ ロ シ ア 語 の 所 有 代 名 詞mais(m.nom.) 「私 の 」,maia(f.);twais(m.)「 あ な た の 」,twaia
(f.);swais(m.)「 語,た
自 分 の 」,swain(f.)は,ス
と え ば,ロ
〓
双1 2
と形 成 法 を 同 じ く し,東
え ば,ラ
ラヴ
シ ア 語 の〓, バ ル ト語,た
トヴ ィ ア 語mans,manaと
と
単 ・複 ・双3
は 異 な る.
バ ル ト祖 語 に お け るo‐ 語 幹 名 詞 の 変 化 を,表2に
示
す.
バ ル ト語 の3人
称 形 は,印
お り,現 在 形dirb‐aの *e/*oの*oに 遡 る .ま
バ
た,過
欠いて
欧語 の語 幹 形成 母 音
去 形dirb‐oの
‐oは,
ル ト祖 語 のo‐ 語 幹 名 詞 の 変 化 (例はdeiwas「 ニ ア語) 単
主
欧 語 の 語 尾*‐tを
‐aは,印
数
神 」.〔 〕内 は リ トア
印 欧 語 的 に*‐aに 語 尾 は,以
複
遡 る.単 数 お よ び 複 数 の 過 去 の 人 称
下 の ご と く形 成 さ れ た.
*dirbau>dirbau,*dirbai>dirbai,*dir
数
bame>dirbome,*dirbate>dirbote,*dirba
格
>dirbo ‐u,‐i,‐me,‐te,‐va,‐taの
属 格
語 尾 は,現
在,過
去,
未 来 に 共 通 し て い る. こ の よ う に,バ
与 格
く,単
対 格
現 在 形 で 興 味 深 い の は,3人 の語 尾
具 格
‐ont/‐entを
位 格
称 複 数形 語 尾 が 印 欧 語
在 分 詞 の 複 数 主 格 形 で あ る.
性 主 格dirbas(<
‐onts),女
性 主 格dir
性 主 格dirba(<
‐ont),女
性 主 格dir
banti 複 数:男
格
bancios(方
言 形dirba)
複 数 主 格 形 の み は,語
2)動
詞
古 プ ロ シア語 の文 献 が ル タ ー の 『教
ろ で,バ
ル ト語 は,伝
尾 の な い 語 幹 形 で あ る.と
人 称単 数 形 にお い て 語 尾
系 は 再 建 しが た く,実 質 的 に は,東 バ ル ト語,と
‐ontを
りわ
トアニ ア語 の動 詞 体 系が,バ ル ト祖語 の動 詞 体
こ
統 的 に 考 え ら れ て い る よ う に,3
理 問 答 書』 の 翻 訳 に 限 られ る た め,バ ル ト語 の動 詞 体
け,リ
制 に関 係 な
欠 い て い る こ と で あ る.
さ ら に 奇 異 な の は,現 単 数:男
呼
ル ト語 の 人 称 語 尾 は,時
純 な 唯 一 の モ デ ル し か な い.
‐tを,複
数形 に おい て 語 尾
,は た し て 喪 失 し た の で あ ろ う か.こ
れ は,バ
ル ト言 語 学 の 大 き な 謎 と さ れ て き た 問 題 で あ る.
系 の モ デル と して用 い られ て い る.バ ル ト語 の 動 詞 組
印 欧 語 の3人
称 複 数 形 は,前
織 は,印 欧 語 の動 詞 組 織 を大 き く再 編 しなお し,時 制
者 に よ っ て,現
在 分 詞 に 由 来 す る 形 で は な い か と考 え
を も と とす る近代 ヨー ロ ッパ 諸 言 語 の 一 変 種 と して 現
ら れ て き た.さ
ら に,こ
世 紀 か ら,多
の30年
の 間 に,印
わ れ てい る.バ ル ト語 に は,ア オ リス ト,完 了 は な く,
称 は 真 の 人 称 で は な く(動 詞3人
現 在,過 去,未 来 の3時 制 が あ り,法 として は,直 説
人 間 で あ る よ り も,事
法,希 求 法,命 令 法 が あ る.中 動 相 は な く,受 動 相 は,
も,本
来,事
単 数 形 は,語
バ ル ト語 の動 詞 を もっ とも特 徴 づ け て い る の は3人 称
に な っ て い る.と
形 で,3人
形 は,3人
称 形 は,バ ル ト諸 語 全 体 を 通 じて,語 尾 ゼ
物 で あ り,印
欧 語 の 原 初 の3人
す れ ば,3人
称 複 数 形 の 語 尾 ‐ontの
称 単 数 形 の ‐tよ り,は
る か に の ち の造 成 で
あ っ た は ず で,3人
数,双 数,複 数 を 区別 す るが,3人
称形 は,数 の 区別
語 幹 形 で あ っ た こ と が 想 定 さ れ る.
れ ば,表3の
ご と くで あ る.
バ
Toje
(リ トアニ ア語dirbti「 働 く」) 現
在
過
と こ ろ で,リ
称 複 数 形 も,古
トア ニ ア 語 に は,現
2
去
未
来
lygumelej
2
esanti(f.sg.)zalioji
pievele,viduj
tos
pievuzeles
緑 の didis
に そ の 草 地 の 〔中 に 〕 大 き な
dvarelis.Anksti 宅 が(あ
複1
尾 ゼ ロの
在 分 詞 が叙 述 用 法
そ の 小 さ な 平 地 に は あ る
草 地 が,中 単1
く は,語
と し て 頻 繁 に 使 わ れ る こ と が あ る.
ル ト語 の 動 詞 の 活 用 例
称
尾 ゼ ロ の 語 幹 形 で あ っ た と す る説 が 有 力
称 と2人 称 は,単
トア ニ ア 語 の 動 詞d〓rbti「 働 く」を例 に と
般 に,
欧 諸 言 語 の代 名詞
ロの,語 幹 形 そ の もの で あ る.1人
が な い.リ
欧 語 の3人
称 の 主 語 は,一
物 を さ し て い た),印
動 詞 の 再帰 形 が 使 わ れ るか,受 動 分 詞 が 用 い られ る.
くの 研 究
る).高
remi〓(m.pl.),zali
rumai い
建物 は vysniu
dangu 天 を sodai
支 え て お り,
緑の
桜の
園は
dadan「
saule temda(m.pl.).
dagis「
太 陽 を 暗 くして い る.
emmens「
ミル ク 」
vasara
名 前 」
こ こに は,男 性複 数 主 語 に対 して,語 尾 ゼ ロ の 分 詞形
garbis「
が使 わ れ て い る.と こ ろが,高 地 リ トア ニ ア語 東 方 言
kerdan「
で は,次 の例 の よ うに,女 性複 数 主語 に 対 して も分 詞
panno「
火」
gaylis「
白い 」
kails「
健 康 な」
語 幹形(た だ し,過 去 能 動 分 詞)が 使 わ れ て い る.こ の 方 言形 は,標 準 語形 よ り古 い形 で あ る とい わ れ る. Kalnai
kelmuoti,pakalnes
nuplike(f.pl.). 裸 に な って い る.
waist「
vasara vards
kalnas
kalns
laikas
laiks
ugnis
uguns
baltas
balts
時」
druwit「
piens
vardas
山」
sveikas
信 じ る 」 tiketi
seggit「
山 々は 伐 り払 わ れ,麓 は
pienas
夏」
な す」
sveiks ticet
daryti
darit
知 っ て い る 」 zinoti
zinat
上 に あ げ た 分 詞 の用 法 は きわ め て 示 唆 的 で,ト ポ ロー フ(〓)に
よ れ ば,こ の よ うな語 尾 ゼ ロの
古 プ ロ シ ア 語 と リ トア ニ ア 語 で 一 致 す る が,古
プ ロ
シア 語 と ラ ト ヴ ィ ア 語 で は 異 な る 語 が み ら れ る.
分 詞 形 が,印 欧 諸 言 語 の3人 称 複 数 形 の 起 源 で あ った
OPr.
Lith.
Latv.
と推 定 され る.そ うで あ る とす れ ば,印 欧語 の 古 層 の 時 代 には,動 詞3人 称形 は,バ ル ト諸 語 の よ う に,数
angurgis「
の 分 化 をい まだ 示 さず,純 粋 な語 幹 形 で 現 わ れ て い た
antis「
鴨」
antis
pile
ausis「
金」
auksas
zelts
の か も しれ ない.そ
して,以 後 の 印 欧 語 の 名 詞 の数 組
buttan「
う な ぎ 」 ungurys
家」
zutis
butas
maja kauns
織 の 発 達 に呼 応 して,動 詞3人 称 も数 の 分 化 を余 儀 な くされ,3人
称 複 数 形 と して,叙 述 用 法 の 分 詞 の語 幹
形 が 拡 大 的 に使 用 され て い った の か も しれ な い. バ ル ト語 には,上 例 の現 在o‐語 幹 の ほ か に,a‐ 語 幹 laikyti「保 つ」(3人 人 称 形turi)が
称 形laiko),i‐ 語 幹tureti(3
gidan「
恥」
geda
stogis「
屋根」
stogas
jumts
血」
kraujas
asins
krawian「 souns「 duckti「
息 子」
sunus
息女」
dels
dukte
meita
あ る.過 去 語 幹 として は,前 例 のa‐語 古 プ ロ シ ア 語 と ラ ト ヴ ィ ア 語 で 一 致 す る が,古
幹 の ほか に,e‐ 語 幹vesti「 連れ て 行 く」(3人 称 形 vede,現
在 形veda)が
あ る.未 来 形 は,不 定 形 語 幹
プ ロ
シ ア 語 と リ トア ニ ア 語 で は 異 な る 語 も あ る. OPr.
Lith.
Latv.
にsを 付 添 す る. 以 上 のo‐ 語 幹 動 詞,a‐ 語 幹 動 詞,i‐語 幹 動 詞 の ほ か に,‐mi,‐si,‐ti型 の 動 詞 が古 文 献 に見 い だ され る. た とえ ば,Lith.1人 3人 称esti,な [語
称esmi「 私 は あ る」,2人 称esi,
古 プ ロ シア 語 と東 バ ル ト語 に は,バ ル
taws「
父」
mergu「
娘」
clokis「
pele「
ねずみ」
pelky「
沼」
Lith.
Latv.
tevas
tevs
merga
merga
lokys
lacis
熊」
pele
ilgas「
labs「
良 い」
pele
持 つ」
わ ら」
bamba
naba
siaudas
[フ ィ ン諸 語 との 関 係] 紀 元前3千
salms
年期 後 半 に.
に進 出 し,北 側 に住 む フィ ン人 と隣 人 関 係 に入 った.
諸語 に残 る,バ ル ト語 か ら の多 数 の借 用 語 に反 映 して い る.フ ィ ン諸 語 の 中 で も,も っ と も古 態 的 な フ ィ ン ラ ン ド語 に は,今 日の リ トア ニア 語 に類 似 す る,バ ル ト語 か らの借 用 語 が数 百 知 られて い る.他 方,リ ニ ア語 に は,フ ィ ン語 か らの借 用 語 は,ほ
pelce
られ な い.そ れ ゆ え,フ ィ ンラ ン ド語 の 話 し手 の 祖 先 が,か つ て,ど こで バ ル ト人 と接 触 し た の か,沿 岸地
labas
labs
域 か,内 陸 奥 深 くか,ま た,リ
tureti
turet
れ とは 異 な っ た,そ の 後消 滅 し たバ ル ト人 と交 渉 を も
古 プ ロ シ ア 語 と 東 バ ル ト語 に は,異
な る語 もみ られ
トア ニ ア 人 に近 い が そ
っ た の か否 か な ど,さ ま ざ まな 議 論 が あ る. いず れ に して も,借 用 時 期 は,紀 元 前2千
る. OPr. aglo「
雨」
assanis「
秋」
ayculo「
針」
bitas「
夕 方」
トア
とん ど認 め
長 い 」 ilgs「 長 い 」
pelke
ilga「 長 く」
turit「
へそ」
そ の こ とは,バ ル ト ・フ ィ ン諸 語 や ヴ ォ ル ガ ・フ ィ ン
ト語 特 有 の 語 彙 が 見 い だ され る. OPr.
salme「
バ ル ト人 は,南 方 か らバ ル ト海沿 岸 地 域 と中部 ロ シア
どで あ る.
彙]
nabis「
Lith.
Latv.
lietus
lietus
ruduo
rudens
adata
adata
vakaras
vakars
な い し1
千 年 期 で あ ろ う と,言 語 学 者 や 考 古 学 者 た ち は考 え て い る.す な わ ち,両 民族 が 混 交 し あ っ た 初期 の 時代 に 属 す る こ とで あ る.そ れ らの 借 用 語 か ら,フ ィ ン人 が バ ル ト人 か ら農 業 や牧 畜 を学 ん だ こ とが 知 られ る し, 親 族 名 称 の 借 用語 か ら,両 民 族 の 間 に は 頻繁 な婚 姻 関
[ス ラ ヴ 語 派 と の 関 係 ]
係 が あ っ た こ と が 推 定 さ れ る. 以 下 に,フ (Est.)に
み
《農 業
ィ ン ラ ン ド 語(Finn.)と ら れ る バ ル
エ ス ト ニ ア 語
論 争 が 行 な わ れ て き た.し
Finn.siemen「
種 子 」,Est.seeme:Lith.
semenys(複
通 す る現 象 と し て,次
え ん ど う 豆 」,Est.hernes:
1)印
Finn.tarha「菜
山 羊 」:Lith.ozys
3)形 牧 人 」:Lith.piemuo(対
格
4)o‐
を 付 添 して,形
容 詞限 定 形
そ の 新 し い 」<naujas+(j)is:
語 幹 名 詞 単 数 属 格 語 尾*‐o(d),い
わゆる印
欧 語 の 奪 格 語 尾 の 代 用.
Finn.heimo「
親 族 」:Lith.seima「
家 族 」
Finn.sisar「
姉 妹 」:Lith.sesuo(対
格sese
Lith.vilk‐o「
5)現
Finn.tytar「
狼 の 」,Latv.vilk‐a:OCS.
vlik‐a
ri)
在 語 幹 ‐i‐の 動 詞 は,不
Lith.sed‐i‐me「
息 女 」,Est.tutar:Lith.dukte
定形
6)統
嫁 」,Est.morsja:Lith.
‐e‐を も つ.
私 た ち は 座 っ て い る 」,不
sed‐e‐ti:Russ.〓,不
(対 格dukteri) Finn.morsian「
辞 法 で は,否
定形
定 形〓
定 文 に お い て,対
格 形 に代 わ っ
て 属 格 形 が 使 用 さ れ る.
marti 《そ の 他 》
Lith.Jis
Finn.silta「
橋 」,Est.sild:Lith.tiltas
Finn.,Est.ratas「
neka
う な ぎ 」,Est.angerjas:
7)補
歯 」:Lith.zambas「犁
Latv.zuobs「
声 閉 鎖 音 を も た な い た め に,そ
さ れ て い る.そ
保 存 し,男
性 名 詞 の 干
ィ ン ラ れ ら の 音
8)バ
mokytoju.(彼
〔3人 称 代 名 詞 〕 ‐
‐asと
用 語 は,リ 性 名 詞 のo‐
似 の ア ク セ ン ト移
Lith.ranka「
手 」,対 格ranka:Russ.pyKa,
対 格pyky トア ニ 語 幹 の
区 別 し て い る.
し 草 」:Lith.sienas,Russ.
ル ト語 とス ラ ヴ 語 に は,類
動 が み ら れ る.
ル ト 語 のtiは,siと
の ほ か,借
ト ヴ ィ ア 語 で 失 わ れ た,中
Finn.heina「
格 形 が 使 わ れ る.
buvo
〓. ィ ン ラ ン ド 語 は,
し て 再 現 し て い る.フ
を 無 声 子 音 で 再 現 し て い る.バ
語 と し て,具
し て あ っ た(= 先 生 だ っ た)」:Russ.OH〓
歯 」,
歯 」
以 上 の 例 か ら も 明 ら か な よ う に,フ ト 語 のz,sをhと
9)バ
ル ト語 と ス ラ ヴ 語 に は,多
ら れ る.ト
トース ラ ヴ 語 辞 典 』(1923)に れ て い る.し
くの 共 通 語 彙 が み
ラ ウ トマ ン(R.Trautmann)の
か し,そ
『バ ル
は,約1,700語
れ ら の 語 は,必
が あげ ら
ず し も,バ
語 と ス ラ ヴ語 の み に 特 有 の 語 で は な く,他
ceHo(n.) 橋 」:Lith.tiltas,Skt.tirtham 渡 し 」
動詞
で あ っ た 〔過 去 〕‐先 生 〔単 数 具 格 〕)「 彼 は 先 生 と
〓 」:Lith.vaskas
Finn.hammas「
〔3人 称 代 名 詞 〕‐何
nezin.:Russ,OH 〓.
Lith.Jis
鮭 」,Est.lohi:Lith.lasis
Finn.,Est.vaha「
nezino.(彼
3人 称 〕)「彼 は な ん に も 知 ら な い 」,Latv.Vins
Lith.ungurys,OPr.angurgis Finn.lohi「
nieko
も 〔代 名 詞 属 格 〕 ‐知 ら な い 〔否 定 前 接 辞ne+
車 」:Lith.ratas
Finn.ankerias「
(n.)「
容 詞 に 代 名 詞io‐
OCS.novyi<novu+ji
sienas
Finn.silta「
ドイ ツ 語 〕
を 形 成 す る.
干 し 草 」,Est.hein:Lith.
《親 族 関 係 》
‐aを
人 々 」:OCS.ljudije,Russ.
Lith.naujasis「
Finn.heina「
して現 わ
Leute)
ガ チ ョ ウ 」,Est.hani:Lith.
piemeni)
形
欧 語 の 二 重 母 音*euは,(j)auと
〓(cf.IE.*leudh‐,Ger.〔
羊 毛 」:Lith.vilna
Finn.paimen「
狼 」:OCS.vliku,Russ.〓
Lith.liaudis「
zasis,OPr.sansy
ア 語,ラ
し
れ て い る.
雄 羊 」:Lith.avinas
Finn.hanhi「
し て 再 現
た はuRと
(cf.IE.*wlkwos,Skt.vrkah) 2)印
Finn.,Est.oinas「
ン ド 語 は,有
欧 語 の ソ ナ ン ト*Rは,iRま
園 」:Lith.darzas
・牧 畜 用 語 》
Finn.vuohi「
バ ル
ル ト語 と ス ラ ヴ 語 に 共
の 点 が あ げ ら れ る.
Lith.vilkas「
畝 間 」,Est.vago:Lith.vaga
Finn.villa「
に近 い
の 問 題 は 複 雑 で,
て 現 わ れ て い る(R=r,l,n,m).
Lith.zirnis
《家 畜
か し,こ
現 在 も 未 解 決 の 問 題 で あ る.バ
数 名 詞),OPr.semen
Finn.herne「
の た め に,「 バ
ル ト ・ス ラ ヴ 祖 語 」 の 存 否 を め ぐ っ て,100年
ト語 か ら の 借 用 語 を あ げ る.
・植 物 用 語 》
Finn.vako「
バ ル ト語 派 と ス ラ ヴ 語 派
の 諸 言 語 に は 多 く の 類 似 点 が み ら れ,そ
語 に 見 い だ さ れ る も の も あ り,真 の 語 は,100た
ら ず か,300な
ル ト
の 印 欧 諸言
に両 言 語 のみ に 特有
い し400し
か な い,と
もい
わ れ る.そ
の う ち の 若 干 の 語 を あ げ れ ば,以
下 の とお
り で あ る.
い う見解 を 述 べ て い る. そ れ に 対 して,ヴ
Lith.galva「
頭 」,Latv.galva,OPr.galwo:
Russ.〓,Pol.〔 Lith.ranka「
ポ ー ラ ン ド語 〕glowa
リ ック語 とケ ル ト語 との 間 に 認 め る よ う な遠 い 過 去 の
cko:Russ.pyka,Pol.reka
事 実 に関 す る こ とで は な く,ゲ ル マ ン語 の 一 体 性 とほ
指 」,Latv.pirksts,OPr.
とん ど同 時代 の 事 実 に関 す るこ とで,バ ル ト語 とス ラ ヴ語 は,ス ウ ェー デ ン語 と ドイ ツ語 ほ ど には 異 な って
pirsten:Russ.〓,Pol.parst Lith.karve「
雌 牛 」,OPr.curwis「
Russ.KopoBa「
雌 牛 」,Pol.
Lith.kiaune「
krowa「
雄 牛 」:
い ない 」 と述 べ,学 界 を驚 か せ た.そ して,バ ル ト ・
雌 牛」
ス ラ ヴ祖 語(彼
て ん 」,Latv.caune,OPr.
う な ぎ 」,OPr.angurgis:
て 崩 壊 し た,と 考 え た.ゲ オ ルギ エ フ(〓) は,両 語 派 の 一 体 性 の 時期 を前2千 年 ま で,崩 壊 期 を
も み の 木 」,Lith.egle,Latv.
前2千 年 か ら前1千
egle:Russ.〓,Pol,jodla OPr.assaran「
年 と想 定 し て い る.フ ァ ス マ ー
(M.Vasmer)は,ヘ
湖 」,Lith.ezeras,Latv.
(Neuroi)人
ロ ド トス に 現 わ れ る ネ ウ ロイ
を,前4世
紀 まで は ま だ 分化 して い な か
った バ ル ト ・ス ラ ヴ祖 語 の 担 い 手 と考 え て お り,キ パ
gzers:Russ.〓,Pol,jezioro Lith.ledas「
の 諸土 語 の束 が 祖 語 と され る)は,
紀 元 後 も 間 もな い,北 欧 か らの ゴー ト人 の侵 入 に よ っ
Russ.〓,Pol.wegorz OPr.addle「
に よ れ ば,タ キ ト ゥス に 現 わ れ る ヴ ェ
ネ デ ィーVenedi人
caune:Russ.〓,Pol.kuna Lith.ungurys「
バ
か な り最 近 ま で 続 い て い た.そ れ は,比 較 文 法 が,イ タ
手 」,Latv.ruoka,OPr.ran
Lith.pirstas「
ァイ ヤ ン(A.Vaillant)は,「
ル ト ・ス ラ ヴ語 の一 体 性 は,印 欧語 の単 一 時 代 以 後,
氷 」,Latv.ledus,OPr,ladis:
ル ス キ ー(V.Kiparski)や
Russ.〓
アル マ ー(P.Arumaa)
も,彼 に 同 調 して い る.
Lith.zvaigzde「
星 」,Latv.zvaigzne:Russ.
同 祖説 の 立 場 か らは,ほ か に も,さ ま ざ ま な見 解 が
〓,Pol.gwiazda Lith.vartai「
提 出 され て きた が,考 古 学 上 は,ま だ,分 化 して い な 門 」,Latv.varti,OPr.warto
いバノ レト人 とス ラ ヴ 人 の 文 化 圏 の存 在 は,今 日 ま で知
「戸 」:Russ.BopoTa,Pol.wrota Lith.minkstas「
られ てい な い.ス ラ ヴ人 の 故 地 と して,も っ と も穏 当
や わ ら か い 」,Latv.miksts:
な 説 は,カ
Russ.〓,Pol.mieki 以 上 の 音 韻 上,文
ル パ チ ア(Carpathian)山
ドニ エ プ ル(〓)川
法 上 の 共 通 現 象 は,共
て る に は 貧 困 の 気 味 が 感 じ られ る が,両
通 基 語 を立 語 派 は,明
ら
脈 の 北 東 部 と,
中 流 域 間 の草 原 地 帯 で,そ
の北
側 にバ ル ト人 が 住 ん で い た こ とが 知 られ て い る.考 古 学 者 ギ ンブ タ ス(M.Gimbutas)に
よれ ば,ド ニ エ プ
か に 類 似 し て い る.
ル川 上 流 域,プ
こ の2つ
フ の南 を含 む 森 林 地 帯 の南 限 が,青 銅 器 ・鉄器 時 代(紀
の 語派 の 系統 関 係 の問 題 が 印欧 言 語 学 の 主
要 な 課 題 の1つ Meillet)に
と な っ た の は,1908年
よ る,ブ
ル ト ・ス ラ ヴ 語 派 定 立 根 拠 の8項 る.メ
イ エ は,両
バ
目に 対す る批 判 で あ
語 派 が 地 理 的 に隣 接 し,同
的 条 件 の も と で,並 退 け た.メ
の メ イ エ(A.
ル ー ク マ ン(K.Brugmann)の
様の文化
行 的 に 発 達 し た と して,単
一説 を
イ エ に つ い で 単 一 説 に 強 く 反 対 した の は,
セ ン(A.Senn)で,彼
は,両
3世 紀 以 後 に は じ ま る,バ (symbiosis)に
語 派 の 類 似 点 は,紀
よ っ て 説 明 で き る,と
エ ン ゼ リ ン(J.Endzelin)は,印 ス ラ ヴ語 は,バ
欧 祖 語 の 崩 壊 期 に,
ン ド ・ア ー リ ア 語 が 位 置 的 に 遠 の
ば ら く の 期 間,ス
ラ ヴ 語 とバ ル ト語 は 共
の南 側,キ エ
元 前2千 年 か ら紀 元 後100年)を
通 じて,バ ル ト人 と
ス ラ ヴ人 の 境 界 線 で あ っ た.と
ころ で,単 一 説 を否 定
した セ ン は,通 行 不 能 な プ リ ピャ チ沼 沢 地 が バ ル ト人 とス ラ ヴ人 の 交 流 を妨 げ,必 然的 にバ ル ト人 とそ の 言 語 を孤 立 化 させ た とい う説 を,1953年
に提 起 した.こ
の セ ンの 地理 的 説明 は,同 祖 説 の 立 場 か ら激 しい 非 難 を浴 び た もの の,そ の説 は,支 持 者 も多 く,な お 有 力 で あ る.プ リ ピ ャチ川 は,ド ニエ プ ル 川 の 支 流 で,そ の 沼 沢 地 は,1,500kmに
主 張 し た.
ル ト語 と イ ン ド ・ア ー リア 語 の 中 間 に
位 置 し て い た が,イ い た の ち,し
元後
ル ト人 と ス ラ ヴ 人 の 共 生
リ ピ ャチ(〓)川
わ た って 東 西 に横 た わ って
い る.地 質学 が確 認 す る と こ ろで は,新 石 器 時代 に は, そ れ は 大 きな湖 を な して い た. 1962年,ト ポ ロー フ と トゥル バ チ ョー フ(O.H.Tpy 〓)は,著
書 『ドニ エ プ ル 川 上流 域 の水 名 の 分析 』
同 体 を形 成 し,若 干 の 近 似 現 象 を 生 ん だ,と 考 え た.ス
に よ り,白 ロ シア と ロ シア 西 部 に,約800の
タ ン グ(Chr.Stang)は,「
後 期 印 欧 語 時 代,若
源 の水 名(河 川 ・湖 名)が 潜 ん で い る こ とを明 らか に し
変 異 を含 み,お
質 で な い バ ル ト ・ス ラ ヴ
そ ら く は,同
方 言 領 域 が 存 在 し た.し っ た と い う 意 味 で,そ
か し,一
干の
連 の 共通 改 新 を行 な
の 方 言領 域 は一 体 性 を なす 」 と
た.も ち ろん,彼
バ ル ト語 起
ら以 前 に も,ロ シ ア の学 者 や,リ
ア ニ ア人 のブ ー ガ,そ
ト
して,フ ァ ス マ ー に よって,プ
リ ピャ チ沼 沢 地 の 北側 に バ ル ト系水 名 は 発 見 され て い
た.最
近 で は,さ
ら に 研 究 が 進 み,約2千
の 語 彙 と用 例 か ら な る 大 辞 典 で,3種
の バ ル ト系
水 名 が 知 ら れ て い る.
そ れ ら の 水 名 は,ス
ば,白
ラ ヴ 語 化 さ れ て お り,た
ロ シ ア に 知 ら れ る3つ
Lucesa)川
川)に
トア ニ ア の ラ ウ ケ
トア ニ ア 語 のlauk‐as「
Ⅰ‐Ⅳ(A‐L)(〓)‐
木の生えて
川 名 接 尾 辞 ‐esaに
地 名 は,と
地 の か つ て の エ ピ ソー ドを語 っ
き に は,大
パ ン カ(〓)川
ア ニ ア 語 のlape「
て,ロ
は,語 源 的 に,リ
と い う 川 に 注 ぐ.こ
他 の 住 民 は,リ
シ チ ュ カ(〓)と
シ ア 語 で,〓
人 が 移 り 住 み,そ
い で バ ル ト人 が,最
れ ぞ れ の 言 語 で,こ
名 で,バ
時,遠
や は り,セ
ル ト,ス ラ ヴ の 両 語 派 の 関 係 に 戻 る と,
ン が 唱 え た よ う に,バ
ル ト人 が 南 西 よ り プ
リ ピ ャ チ 沼 沢 地 の 北 に 移 動 し た 紀 元 前2千
年 頃 か ら,
J.Kabelka(1977),Latviuli
ラ トヴ ィ ア 語 ‐ リ トア ニ ア 語 辞 典.文
[参 考 文 献 ]
and
Morphology
lated
by
ラ ヴ 人 の 膨 張 拡 散 以 後,ふ
紀 頃 か ら,ス
た た び バ ル ト人 と ス ラ ヴ 人
接 な 関 係 に 入 っ た も の と考 え ら れ る.な
ル ト人 が プ リ ピ ャ チ 川 の 北 に 移 動 す る 以 前,い
お,バ
北 ヨ ー ロ ッパ 語 圏,す ラ ヴ 語 圏 に は,た
な わ ち,ゲ
と え ば,数
わ ゆる
ル マ ン ・バ ル ト ・ス
‐m‐(Goth.wulfam「
OCS.vlikom〔cf.‐bh‐ Lat.noctibus〕),「 bras,Russ.cepeopo)な こ れ ら3語
数与
狼 に 」,Lith.vilkams, を も つSkt.vrkebhyah,
銀 」(Goth.silubr,Lith.sida ど の 等 語 線 が 存 在 し て お り,
派 間 に は 古 い 交 渉 が あ っ た,と
考 え られ て
W.R.Schmalstieg
Jegers,Mouton,The
書]
Trautmann,R.(1923),Baltisch‐Slavisches
valsts
izdevnieciba,Riga,1948)―
形 態 論 の 中 で,統
辞 論 も扱 わ れ て い る.
Fraenkel,E.(1950),Die (Carl
baltischen
Winter,Heidelberg)―
含 む,バ
etymologi Winter,Heidel
berg) Muhlenbach,K.und Lettisch‐deutsches
印欧 語 民族 の原 郷 問 題 の権
古 学,地
名 学,言
ク ロ ア を 総 合 し た 研 究.た
ministrija,Riga)―
語 学,神
話 学,フ
ォー
だ し, ドイ ツ 語 版Die
Balten(Munchen,1983),お
よ び,リ
版Baltai(Vilnius,1985)で
は,新
トア ニ ア 語 しい 研 究 に よ
容 が 全 面 的 に 書 き 変 え ら れ て い る. filologijos
ivadas(Mok
バ ル ト文献 学 の最 新 の成 果 を示
Ⅰ‐Ⅳ(Izglitibas
ラ トヴ ィア の フ ォ ー ク ロア
baltischen
Rekonstruktion Grundwortschatzes(Peter
Lang,Frankfurt
am
Main/Bern/New
Maziulis,V.(1966‐81),Prusu l ai(『
J.Endzelin(1923‐32), Worterbuch
Sprachen
バ ル ト語 概 説 を
Balts(Thames&
Hudson,London)―
っ て,内
formas,
ル ト語 と 印 欧 語 と の 関 係 に 関 す る 研 究 書.
威 に よ る,考
des
Ⅰ‐Ⅱ(Carl
un
す 書.
tingen)
Worterbuch
トヴィ ア
skanas
Lanszweert,R.(1984),Die
Worterbuch(Vandenhoeck&Ruprecht,Got
sches
Benjamins
Hague/Paris;ラ
slas,Vilnius)―
Fraenkel,E.(1962‐65),Litauisches
and
valodu
Kabelka,J.(1982),Baltu
い る. [辞
Languages(trans
Gimbutas,M.(1963),The
詞 の 「1,000」(Goth.pu
sundi,Lith.tukstantis,OCS.tysesti),複
Phonology
of Baltic
Latvijas
格形
例 が豊 富 なす
ば ら し い 辞 典.
の が 妥 当 で あ ろ う.そ
元 後5世
クセ ン ト
etuviu kalbu zodynas(Mokslas,Vilnius)―
語 に よ る 原 著Baltu
し て,紀
izdev
語,ア
付 き の リ トア ニ ア 語 ‐ラ トヴ ィ ア 語 の 中 辞 典.
バ ル ト人 とス ラ ヴ 人 の 交 流 は 弱 ま っ て い っ た と 考 え る
は,密
valsts
見 出 し語5万
Endzelin,J.(1971),Comparative
と を 教 え て い る. ふ た た び,バ
古 プ ロシ ア語
vardnica(Latvijas
Balkevicius,J.and
の支 流
く東 に ま で 及 ん で い た こ
etimologijos
が 予 定 さ れ て い る.
nieciba,Riga)―
の 川 名 を借 用 し
の 川 は セ イ ム(〓)川
号
V.Subatnieks(1964),Lietuviesu
l atviesu
後にスラヴ
た こ と が 知 ら れ る.こ ル ト人 が,一
Bojate,A.and
よ ん で い る.す
な わ ち,こ の 地 に は,か
kalbos
Ⅰ(Mokslas,Vilnius)―
の 語 源 辞 典.全3巻
の 川 は,
ラ ン 系 ス キ タ イ 語raupasa
は り 狐 を 意 味 す る.す
つ て ス キ タ イ 人 が,つ
zodynas
源 学 的,記
行 中.
Maziulis,V.(1988),、Prusu
ト
の 川 の 名 を,
地 名,
プ ロ シ ア 語 資 料 の,語
学 的 研 究.刊
「狐 」 と関 係 して い る.さ
プ シ ャ 川 の 名 は,イ
で,や
人 名 を 含 む,古
分 析 され る.
狐 」 と 関 係 づ け ら れ る.こ
ロ プ シ ャ(〓)川
ル ト文 献 学 上 の
To〓opos,B.H.(1975‐84),〓,〓
トヴ ィ ア の ラ ウ ツ ェ サLaucesa
相 当 し,リ
な わ ち,ロ
言 形 と 語 源 解 説 を 付 し た,バ
最 重 要 書.
い な い 空 き地 」 と,河
て くれ る.ロ
る.方
とえ
の ル チ ェ サ(〓,
は バ ル ト系 の 水 名 で,リ
サ(Laukesa)川(ラ
の イ ン トネ ー
シ ョ ン か ら な る ラ トヴ ィ ア 語 の ア ク セ ン トを 記 載 す
kalbos
York) pamink
古 プ ロ シ ア 語 古 文 献 』)Ⅰ‐Ⅱ(Mintis/
Mokslas,Vilnius)― と 解 説,第2巻
第1巻
は写 真 版 テ クス ト
は 活 字 化 した テ クス トと全 テ クス ト
の リ トア ニ ア 語 訳,後
半 に は,「
リ トア ニ ア 語 ‐古 プ
ロ シ ア 語 語 彙 集 」 「ドイ ツ 語 ‐古 プ ロ シ ア 語 語 彙 集 」
Gottingen)
「古 プ ロ シ ア 語 逆 引 き 辞 典 」 が あ る. ―(1970),Baltu kalbu
ir
kitu
Zinkevicius,Z.(1984‐88),Lietuviu
indoeuropieciu
santykiai(Deklinacija)(『
バ ル ト語 と 他
の 印 欧 語 と の 関 係 』)(Mintis,Vilnius)―
バル ト
を予
定 す る リ トア ニ ア 語 史.第1巻,第2巻
で,印
欧祖
語 か ら バ ル ト祖 語 の 時 代 ま で が 書 か れ て い る. な お,ラ
書.
の 著 作 集 全6巻,Darbu
tyrinejimo
istorija(『
kalbos
ト ヴ ィ ア を 代 表 す る 言 語 学 者,エ
1971‐82)に
リ ト ア ニ ア 語 研 究 史 』)Ⅰ‐
Ⅱ(Mokslas,Vilnius)―
は,『 古 プ ロ シ ア 語 文 法 』 や
ま た,リ
文 を 収 め て い る.
集 全4巻,Rinktinialrastai(Valstybine
く紹 介 さ れ て お り,研
it mokslines
題 点 を 知 る 上 で,貴
Grammar(The
Old Pennsylvania
Press,University
Review
the field
and
in
Old
1945(The
Park
[ 参
照 ]
シ ア 語,ヤ
State
and
ラ ト ヴ ィ ア 語,リ
ウ ラ ル 語 族,フ
und
に 属 し,ハ
称 は,マ
に よ っ て 話 さ れ て い る.ウ
ラ ヴ語 お よ
話 し手 の 多 い 言 語 で,ハ
ン ガ リ ー 共 和 国(1,040万
ラ ビ ア(40万
人),ス
(16万
ー ス ト リ ア(7万
Oslo/Bergen/Tromso)― れ た 大 著.た
だ し,統
Finnischen und
辞 論 を 欠 く.
Nordisk
g de
Bog
de
ース ト
ラ リア な ど の ハ ン ガ リー 系 移 民 も 含 め る と,世
界中に
人 の 話 し 手 が い る.
ハ ン ガ リ ー 民 族 は,中
れ が,ヨ
〓,B.H.
ル ト語 間 の 借 用 語 に 関 す
ム セ ン の 著 作 集Samlede
第4巻
に,ド
のHun‐
は,5世
な い).自
と を 証 明 し た,詳
先史時代 ロシ
た が っ て,英
紀 に,カ
細 な 地 名 学 研 究 書. altpreuβischen
語 名Hungarian
ー ル パ ー トKarpat盆
称 の 「マ ジ ャ ル 」 は,系
(Mansi)」
と 同 源(ウ
統 的 に もっ と も近 い
に,ま
た,住
の 順 に 記 す.
所 は,氏
自称
ゴ ル 祖 語*〓)と
ハ ン ガ リ ー 語 で は,人
地 〔ハ
ー ロ ッパ全
名 称 とは 直 接 の 関 係 は
ウ ゴ ル 系 民 族 の ヴ ォ グ ル 人(Vogul)の
ル ト人 居 住 地 で あ っ た こ
S prachdenkmaler(Vandenhoeck&Ruprecht,
代 の 中 世 ラテ ン語 に お い て現
土 を 脅 か し た フ ン 族(Hun)の
―
Trautmann,R.(1910),Die
は,後
ン ガ リー 民 族 の 現 住 地 〕 を 拠 点 と し て,ヨ
O.H.〓(1962),〓
ア の ヨ ー ロ ッ パ 地 域 が,バ
の 中 の,英Hungarian,仏hongrois
わ れ た も の で あ る(し
Af
イ ツ 語 訳 が あ る.
〓〓
ュル
ー ロ ッパ の 諸 言 語 に 受 け 継 が れ て 現 在 に 及 ん
な ど の 語 頭 のh‐
バ ル ト語 の 先 史 お よ び 再 建 に 重 要 な 資 料
handlingerの
時,
辺 諸 民 族 の 当 時 の 文 献 に オ ノ グ ル の 名 称 で 記 さ れ,そ
Kgl.
1890)―
ィ ン 語,バ
名 称 に 由 来 す る.当
央 ア ジ ア の 黒 海 北 方 で,チ
フィ Lunos
だ の で あ る.そ
る 記 念 碑 的 研 究.ト
紀頃
ク 系 の オ ノ グ ル 族 と 密 接 な 関 係 を 保 っ て い た の で,周
Hof‐Bogtrykkeri(F.Dreyer),Kobenhavn,
を 提 供 す る,フ
どで 話 され て
finske o
baltiske(litaniak‐lettiske)Sprog(『
ン語 と バ ル ト語 の 交 渉 』),Bianco
人)な
クライナ
メ リカ 合 衆 国 や カ ナ ダ,オ
ク 系 オ ノ グ ル 族(Onogur)の
ンマ
mellem
人),ウ
ー ゴス
に,ハ ン ガ リー 民 族 が 密 接 な 共 存 関 係 に あ っ た,チ ュ ル
Forlag,Kobenhavn;デ
ー ク 語 に よ る 原 著Beroringer
の ほ か,ア
ロ バ キ ア(60万
人)
人),ユ
他 称 で あ る 「ハ ン ガ リー 」 の 語 源 は,5∼6世
Baltischen(Litau
isch‐lettischen)Sprachen(Gyldendalske handel
人),オ
は,約1,500万 zwischen
den
の 周 辺 諸 国 の ル ー マ ニ ア(200万
い る.こ
バ ル ト語 比 較 文 法 の 優
Thomsen,V.(1931),Beruhrungen den
der
Sprache(Universitetsforlaget,
ジ ャ ルmagyar)
ラ ル語 族 の 中 で は もっ と も
る大 著 . Grammatik
郁 夫)
ィ ン ・ウ ゴ ル 語 派 の 中 の ウ ゴ ル 諸 語
ン ガ リ ー 人(自
と,そ
―(1966),Vergleichende
プ ロ
独Ungarisch,仏hongrois,露〓
London)
び バ ル ト語 動 詞 論 の も っ と も 優 れ た 研 究 と称 え られ
Baltischen
トア ニ ア 語,古
トヴ ィ ンギ ア 語
ハ ン ガ リ ー 語magyar,英Hungarian,
Dybwad,Oslo)―
印 欧 語 比 較 文 法 の 観 点 か ら 記 述 し た,ス
文 を収 め
(村 田 in
slavische
Verbum(Jacob
Literature
Stang,Chr.S.(1942),Das baltische
ル ト語 比 較 文 法 の 重 要 な 著 書,論
Prussian.A
Pennsylvania
Press,University
politines
leidykla,Vilnius,1958‐
て い る.
Univer
London)
of the Relevant
since
University
Prussian
State
Park
―(1976),Studies Critical
literaturos
62)も,バ
重 な 文 献.
Schmalstieg,W.R.(1974),An
sity
在の問
『バ ル ト語 比
トア ニ ア を 代 表 す る 言 語 学 者,ブ ー ガ の 著 作
ル ト語 に 関 す る 現 在 ま で の 研 究 史 が あ ま す と こ ろ な 誌,現
ンゼ リ ン
izlase(Zinatne,Riga,
較 文 法 』 等 の 著 書,論
リ トア ニ ア 語 お よ び バ
究 者 の 経 歴,書
is
全5巻
語 の 母 音 体 系 と名 詞 屈 折 体 系 に 関 す る 透 徹 し た 研 究
Sabaliauskas,A.(1979‐82),Lietuviu
kalbos
torija Ⅰ‐Ⅲ(Mokslas,Vilnius)―
名 は 姓 名,日
「マ ン シ
み ら れ る. 付 は 年 月 日の順
名 の 後 に,市,町,通
り,番
地
《子 音 音 素 》 表2を 参照.
[文 字 と 音 ] ハ ンガ リー 語 の ア ル フ ァ ベ ッ トは ラ テ ン 文 字 で 表 記 さ れ,そ こ の ほ か,外
の 発 音 は,次
の と お り で あ る.
来 語 や 固 有 名 詞 に,q,w,x,yな
使 用 さ れ る.長
母 音 は,a,o,u,e,〓,o,uの
く 表 記 され,若
干 の 子 音 は,2つ
ハ
ン ガ リー 語 の 子 音 音 素
どが ごと
ま た は3つ
の文 字 で
記 さ れ る(ty,gy,ny,ly,sz,dz,zs,cs,dzs).
《母 音 音 素 》
表1を
参 照.
母 音 に は,長 母 音7つ
ハ
子 音 音 素 は,25あ
し て は,硬
と 短 母 音7つ
が あ り,/i/,/y/,
る.ハ
鼻 音 のny[〓]が に,歯
ンガ リー語 の母 音 音 素
あ げ ら れ る.子
音 の 前 の/m/,/n/の
国防軍」
軟 口 蓋 音 の 前 の/n/の
異 音 と し て[〓]が, 私 を」
そ れ ぞ れ 現 わ れ る.ま が,/p,f,k/の れ ぞ れ 対 立 す る長 母 音 が あ る
記のほか
樟脳 」
honved[〓]「
engem[〓]「
は,そ
口蓋 ・
音 に は,上
異 音 と し て[〓]が,
kamfor[〓]「
/o/,/o/,/u/に
ン ガ リー 語 に 特 有 の 子 音 と
口 蓋 ・破 裂 音 のty[c],gy[〓],硬
た,2人
称 単 数 命 令 形 語 尾 の/j/
後 で 無 声 化[c]す
kapj[〓]「
る.
つ か め 」,rakj[〓]「
置 け」
が, orul[〓]「 /〓/,/〓/に
喜 ぶ 」,orul[〓]「
対 応 す る 長 母 音,/e:/,/a:/に
母 音 は な い.長
母 音/e:/の
開 き が 狭 く,短
母 音/〓/は
非 円 唇 母 音 で,口 た だ し,多 法 上 はeに れ をeと
子 音 の 前,あ
気 が 狂 う」 対応 す る短
方 が 短 母 音/〓/よ 円 唇 母 音,長
り口 の
母 音/a:/は
く の 方 言 に は 短 母 音/e/が
存 在 し,正
書
の/e/は,元
ン ガ リー 語 に あ っ た も の で,/e/と/〓/は
来,ハ 異 な る音 素
で あ る. く‐君 た ち は)「 君 た ち は 行 く 」
ment‐ek(行
っ た ‐彼 ら は)「 彼 ら は 行 っ た 」
ment‐ek(免
れ て い る 〔形 〕‐彼 ら は)「 彼 ら は 免 れ
て い る」
/e/は,19世
け る ‐私 は)「 私 は 助 け る 」
紀 末 頃 に は,北
の 方 言 に あ っ た が,今 (Budapest)を
子 音 に も長 短 の 区 別 が あ り,長
子 音 は,同
世 紀 に な っ て,首
都 ブダペス ト
中 心 に 急 速 に 消 え つ つ あ る. 母 音[a]も/〓/の
語hallo[〓]「
hal[〓]「 た だ し,正
魚 」,hall[〓]「
書 法 で は,ラ
聞 く」
テ ン 文 字2つ,あ
る い は,3 初 の1文
字 が く
り か え さ れ る. meggy[〓]「 ま た,正
さ く ら ん ぼ 」(gygy→ggy)
書 法 で は 短 子 音 で あ る が,長
く発 音 され る語
異 音 と し て,語
れ ぞ れ,/〓//〓/の
kisebb[〓]「 逆 に,正
よ り小 さ い 」
書 法 上 は 長 母 音 で あ る が,短
末以外
一 般 の 」,外 来
異 音 と して 現 わ れ る こ
とが あ る.
fiu[〓]「
少年」
ovoda[〓]「
あ れ へ」
保 育 園」
母 音 の 結 合 に 関 し て は,母 音 調 和 の 現 象 が み ら れ る. 母 音 は,前
舌 母 音(e,e,o,o,u,u,i,i)と
母 音(a,a,o,o,u,u)の2つ こ れ へ 」,arra[〓]「
く発 音 さ れ る こ
と も あ る.
も し も し」 等 に 現 わ れ る.長 母 音[〓]
erre[〓]「
一 文 字2
つ で 表 記 さ れ る.
egy[〓]「1」
東 部 方 言 を 除 くほ とん ど
の 閉 音 節 や,altalanos[〓]「
[〓]も,そ
発 音 さ れ る こ と も あ る.
イ ン ス ピ レ ー シ ョ ン」
が あ る,
ment‐ek(助
ま た,短
シ ャ ー(ペ ル シ ア 帝 王 の 称 号)」
つ で 表 記 さ れ る 子 音 文 字 の 場 合 は,最
men‐tek(行
書 法 上 は,h
ヨ ッ ト」
sah[〓]「
ihlet[〓]「
区 別 す る た め に,こ
表 記 す る こ と が あ る.こ
jacht[〓]「
末 の/h/(正
発 音 さ れ る こ と が あ る.
前 舌 母 音 の 後 で は,[c]と
の 開 き が よ り 大 き い.
対 応 す る の で,/〓/と
る い は,語
あ る い はch)は,[x]と
両 者 は,原
後舌
の グ ル ー プ に 分 か れ,
則 的 に 同 一 語 内 に お い て 共 存 し な い の で,
多 く の 単 語 は,前 korte「
舌 母 音 だ け か ら な る もの,
梨 」,beszel「
あ る い は,後
baratja[〓]「
話す」
ハ ンガ リー語 は,語 頭 の子 音 連 続 を き ら う.
舌 母 音 の み か ら な る もの,
ablak「
窓 」,olvas「
古 代教 会 ス ラブ 語
読 む」
舌 母 音 のi,iは,母
は 中 立 母 音 で,前
舌 母 音,後
音 調 和 に 関 して
舌 母 音 の どち ら と も共存
す る.
学校 」
単 語 の ア ク セ ン トは,第1音 ネ ー シ ョン は,平 叙文,お
節 に あ る.文 の イ ン ト
よび,疑 問 詞 で 始 ま る疑 問
文 は下 降 調 で,疑 問文 は 最 後 か ら2つ め の 音 節 で 上 昇
ido「 時 」,virag「 な お,前
花 」,kigyo「
舌 母 音 のe,eも,後
蛇」
し文 末で 下 が るの が一 般 的 で あ る.
舌 母 音 と共 存 す る 場 合
が あ る.
[ 形
態]
品詞 は,動 詞,名 詞類(名 詞,形 容 詞,
数 詞,代 名 詞),副 詞 類(副 詞,後 置 詞,動 詞 接 頭 辞),
kave「
コ ー ヒ ー」,beka「
ま た,名
音 調 和 が あ る.接
舌 母 音 と 後 舌 母 音 の2種
冠 詞,接 続 詞,感 嘆 詞 に 分 け られ る.こ の うち,動 詞
蛙」
詞 や 動 詞 の 活 用 語 尾,派
間 に も,母
生 接 尾 辞 と語 幹 の
尾 辞 や 活 用 語 尾 に は,前
類 が あ り,
ben「
家 の 中 に 」,kert
庭 の 中 に」
さ ら に,こ
れ に,前
唇母音 と
類 の 場 合 が あ る.
‐hoz/‐hez/‐hoz:hazhoz「
kerthez「
庭 へ 」,foldhoz「
a)派
地面へ」
な り,‐akが
含 む 単 音 節 の 単 語 の い く つ か は, 詞 の 複 数 形 は,iが
短 く
識 接尾 辞(jel)―
品詞 を変 え ず に 新 し い 意
味 を 付 け加 え る接 尾 辞 で,動 詞 の 時 制や 法 を 表 わ す接 尾 辞,名 詞 類 の 所 有 人 称 接 尾 辞,複 数 接 尾 辞 な どが こ れ に属 す る. 複 数 接 尾 辞 ‐k:haz「 家 」/hazak
nyil「 矢 」/複 数 形nyilak ir「 彼 は 書 く」/irok「
1人 称 単数 所 有 接 尾 辞 ‐m:hazam「 私 は 書 く」
inni「 飲 む 」 の 不 定 形/ivas「 れ ら の 単 語 の[i]が,か
c)関
係 接尾 辞(rag)―
さ ま ざま な文 法 的 お よび
意味 的 関係 を示 す 接 尾 辞 で,動 詞 の人 称 活 用 語 尾,名
つて後舌非円唇狭
詞類 の格 接 尾 辞 が あ る.
ル 祖 語 に あ っ た と さ れ る 母 音 で,10あ
ィ ン ・ウ ゴ る い は11世
紀
に は 消 滅 した. 子 音 の 結 合 に 関 す る 主 な 音 変 化 と し て は,同
化が あ
声 化 あ る い は 無 声 化 の,部 分 的 逆 行 同 化,
kertben[〓]「
庭の中で」
nyelvtan[〓]「
文 法」
完 全 逆 行 同 化,
対 格 接 尾 辞 ‐t:hazat「 家 を 」 これ らの 接 尾 辞 の 接 続順 は,a,b,c,と な る. tarsasagomban「 私 の サ ー ク ル で 」(tars「 仲 間 」,‐sag:集
合 名詞 派 生 辞,‐m:1人
有 接 尾 辞,‐ban:内 2)動
飼
わ れ わ れ は 行 な う」
動 詞 は,人 称(単 複,1・2・3人
時 制(現 在,過 去),法(直
完 全 順 行 同 化,
調 和 に よ って,い
称単数所
格 接 尾 辞)
異 な る接 尾 辞 を とる(表3を
esinaljuk[〓]「
私 の 家」
飲 む こ と」
あ っ た 痕 跡 で あ る.[i]は,フ
げ られ る.有
今 日の 」
動 詞 派 生 辞 ‐l:telefon「 電 話 」,telefonal「 電 話 す る」
付 く.
母 音[i]で
自 由 な」,szabadsag
「自 由」
b)標
hid「 橋 」/複 数 形hidak
こ れ は,こ
新 しい単 語 をつ くる.
形 容 詞 派 生 辞 ‐i:ma「 今 日」,mai「 舌母音の
コー ヒーヘ 」
後 舌 母 音 の 接 尾 辞 を と る.名
接 尾 辞 は,次 の3つ に分 類 され る.
生 辞(kepzo)―
名 詞派 生辞 ‐sag:szabad「
接 尾 辞 が 接 続 す る こ と が 多 い.
ま た,前 舌 母 音 のiを
ンガ リー語 の特 徴 で あ り,ハ
ンガ リー語 は膠 着 語 で あ る,と言 わ れ る ゆ え ん で あ る.
家 へ 」,
前 舌 母 音 と 後 舌 母 音 の 混 ざ っ た 単 語 に は,後
kavehoz「
る程度,副 詞 類 も)に さま ざま な 接 尾 辞
1)接 尾辞
舌 母 音 に 関 し て の み,円
非 円 唇 母 音 の 対 立 が 加 わ り,3種 向格 接 尾 辞
と名 詞 類(あ
が 付 く こ とに よって,い ろ い ろ な意 味 関 係 や文 法 関 係 が 示 され る.こ れ が,ハ
内 格 接 尾 辞 ‐ban/‐ben:hazban「
〓>asztal「 机 」
ラ テ ン語schola>iskola「
に 分 け ら れ る.前
彼 の友 だ ち 」
称),
説,仮 定,命 令)に よ って, 参 照).接
尾 辞 に は,母 音
くつ か の 異 形 態 が あ る.ハ
ンガ リー
語 で は,目 的 語 が 何 か特 定 の もの で あ る か な い か に よ
anyja[〓]「
彼の母」
って,動 詞 の活 用 形 が 異 な る.目 的語 が(省 略 されて
子 音 の前 あ るい は 後 ろ に別 の 子
い て も)限定 され てい ない(冠 詞 な しか,あ るい は,不
な ど が あ る.ま
た,長
音 が く る と,長
子 音 は 短 く発 音 さ れ る.
jobbra[〓]「 lanccal[〓]「 こ の ほ か,い
右 に」 鎖 で」
latsz[〓]「
く つ か の 融 合 現 象 が み ら れ る. あ なた は 見 る」
定 冠 詞 が 付 い て い る)場合 には,不 定 活 用(主 体 活 用 と も)を し, Egy
lany‐t var‐ok.(不 定 冠 詞 少 女‐対 格 待
つ ‐私 は 〔 不 定活 用 〕)「私 は1人 の 女 の 子 を待 って いる」
限定 され て い る(固 有 名 詞 か,あ
るい は,定 冠 詞が 付
定 法 形)の 組 み 合 わ せ に よ っ て 表 わ さ れ る.
いて い る)場 合 に は,定 活 用(対 象 活 用 と も)をす る. A
lany‐t var‐om.(定
私は〔 定 活 用〕)「私 は(そ の)女 の 子 を待 っ て い る」 目的 語 に人 称代 名 詞 が くる場 合 は,1・2人 定 活 用 を,3人 Var
称 は不
称 は定 活 用 をす る.
engem.(待
Var‐t‐am
冠 詞 少 女‐対 格 待 つ ‐
3単
volna.(待
つ ‐過 去 ‐私 は 動 詞vanの
仮 定 形)「 私 は 待 っ た も の を 」
動 詞 に 付 く 派 生 辞 は 非 常 に 豊 富 で,使 動 詞(ほ
役 動 詞,受
と ん ど 使 用 さ れ る こ とは な い),再
つ 〔 不 定3単 〕 私 を)「彼(彼 女)
ad「 与 え る 」,adat「 られ る 」,adodik「
Var‐ja
が で きる」
ot.(待 つ ‐〔 定3単 〕彼 〔 彼 女 〕を)「 彼(彼
女)は 彼 女(彼)を 待 ってい る」
与 え さ せ る 」,adatik「 生 じ る 」,adhat「
動 詞 の 語 幹 +niは,不 Szeret‐ek
動 詞 は,特 殊 な活 用 語 尾 ‐lak/‐lekをと り,主 語 と 目
る ‐不 定 詞)「 勉 強 す る の が 好 き で す 」
的語 は 省 略 され う る.
Szeret‐lek.「 私 は 君(君 た ち)が 好 きで す 」
在 分 詞 を, 笑 う 」,mosolygo「
語 幹 + ‐t/‐ttは,過 fagy「
語 幹 + ‐ando/‐endoは,未 jon「
fog「 つ か む 」 の 活 用形 と不 定 詞 の 組 み 合 わ せ で 表 現
つ く り,そ
す る こ と もで き る.
語 幹 + ‐va/‐veは,動
Fog‐ok var‐ni.(未 来 を表 わす 動 詞 ‐私 は 待 つ ‐
来 る 」,jovendo「
詞 を修 飾 す る 現 在 分 詞 と な る.
詞類
+ 人 称 接 尾 辞 」で,命 令 法 は,「動 詞 語 幹 十命 令 法 標 識 ‐j+人 称 接 尾 辞 」 で 表現 され る.も ち ろ ん,そ れ ぞれ
尾 変 化 で 重 要 な の が,所
に,定 ・不 定 活 用 が あ る.仮 定法 過 去 は,過去 形 とvolna
所 有 人 称 接 尾 辞 は,所
(英 語 のbe動
よ び,被
ン ガ リー 語 の 動 詞var「 〔 現
待 つ 」 とker「
詞 と 同 様 に 扱 わ れ,語
詞 を修 飾 し な い 尾 変 化 を す る.語
有人 称 接 尾 辞 と格 接 尾 辞 で あ
る. 有 者 の 単 複1・2・3人
頼 む」 の活 用 〔 過
不定活用
去〕
定 活 用
単1 2 3 複1 2 3
特殊語尾
不定活用 単1 2
3 複1 2 3
特殊語尾
〔 仮定法現在〕 定 活 用
称,お
所 有 物 の 単 複(複 数 標 識 は ‐i)に よ り 異 な る.
在〕
定 活 用
立 って 」
形 容 詞 と数 詞 は,名
と き に は,名
称単数仮
これ か ら来 る」
れ ぞ れ 名 詞 を 修 飾 す る.
仮 定 法 は,「動 詞 語 幹 +仮 定法 標 識 ‐na/‐ne/‐na/‐ne
詞 にあ た る,動 詞vanの3人
凍 っ た」 来 分 詞 を,
all「 立 つ 」,allva「 3)名
笑 って い る」
去 分 詞 を,
凍 る 」,fagyott「
わ す 標 識 接 尾 辞 は な く,現 在 形 が 使 わ れ る が,動 詞
不 定 詞)「 私 は待 つ で し ょう」
き‐私 は 〔不 定 〕 勉 強 す
mosolyog「
時 制 は,現 在 と過 去 が あ り,過 去 は,「動 詞語 幹 +過 去 標 識 ‐t/‐tt+ 人 称 接尾 辞」 で 表 わ され る.未 来 を 表
tanul‐ni.(好
語 幹 + ‐o/‐oは,現
Var‐lak.「 私 は君(君 た ち)を 待 ち ます 」
与 え
与え ること
定 詞 を,
また,主 語 が1人 称 単 数 で 目的 語 が2人 称 の 場 合 には,
不 定活 用
帰 動 詞,可
能 動 詞 な ど も 派 生 辞 に よ っ て つ く ら れ る.
は 私 を待 って い る」
ハ
身
〔 命令法現在〕 不定活用
定 活 用
た と え ば,「 家 」 はhaz,「 家k」
はhazaimと
あ る(表4を
私 の 家 」 はhazam,「
な る.母
音 調 和 に よ り,異
私の
因 格(causalis‐finalis)‐ert: hazert「
形 態が
家 の ため に」
こ れ に,接 尾 辞 な し の 主 格 を 加 え る と,全 部 で17個(同
参 照).
形 の 与 格 と属 格 を 別 々 に 数 え る と18個)の
haz「
家 」 とkert「 単
数
庭」の語形変化 複
数
単1
と に な る.格
格が あるこ
の 数 に つ い て は,さ ま ざ ま な 議 論 が あ り,
こ の ほ か,
a)標
2
識 接 尾 辞 の付 か な い単 語 に しか 接 続 しな い も
の,お
3
よ び,意
味 的,慣
用 的 に使 用 が 制 約 され る
も の, 複1
配 分 格(distributivus)‐nkent:
2
hazankent「 3
家 ご とに 」
共 伴 格(sociativus)‐stul/‐stul: hazastul「
所 有 人 称 接 尾 辞 や 複 数 接 尾 辞 な どの 標 識 接尾 辞 が付 い て で きた 単 語 の 後 に も さ らに付 くこ との で き る生産 的 な 格 接 尾 辞 は,次
の16個
hazat「
hazul「
peldakepp「 格genitivus)‐nak/‐nek:
家 に/家
haromkor「3時
nyaranta「
家 の中 で 」
Pecsett「 b)形
家 の 中か ら」
家 の 上 で」
foleg「
家 の上 へ 」
haromszor「3回
家 の上 か ら」
家 の所 で 」
家 の 方へ 」
家 の方 か ら」
点 の3つ
の 方 向 性 が,
詞 を修 飾 す る場 合 に は語 形 変 化
szep
alma(き
szep
alma‐t(き
れいな
りん ご)「 き れ い な りん ご 」
れ い な り ん ご ‐対 格)「
述 語 あ る い は 名 詞 的 に 使 わ れ る 場 合 に は,複
の 子 音 に 同 化 す る):
家 に(な る)」
Ezek
szep
ご ‐複 数)「 Ezek
鉛筆 で」
alma‐k.(こ
数接尾辞
れ らは
きれ い な
りん
これ らは きれ い な りん ごだ」
szep‐ek.(こ
れ ら は き れ い な ‐複 数)「
こ
れ らは きれ い だ」 Szep‐ek‐et
化 す る): 家 と と も に 」,ceruzaval「
きれ い
や 格 接 尾 辞 を と る.
具 ・共 格 (instrumentalis‐comitativus)‐val/ ‐vel(vは ,子 音 に 接 続 す る と き,そ の子音に同
hazzal「
部 ・表 面 ・近 傍 関 係 に つ い 点,着
な りん ご を」
家 と して」
変 格(translativus‐factivus)‐va/‐ve(vは,子
hazza「
止,起
を し な い が,
家 ま で」
音 に接 続 す る と き,そ
れ ぞ れ,静
れ ら
の 格 は,
き れ い に 体 系 づ け られ て い る.
様 格(essivus‐formalis)‐kent: hazkent「
の 格 を あ げ る 説 も あ る.こ 格 か ら 奪 格 ま で の9つ
形 容 詞 と数 詞 は,名
到 格(terminativus)‐ig: hazig「
な ど も 含 め,20∼28個 の 格 接 尾 辞 の う ち,内
て,そ
奪 格(ablativus)‐tol/‐tol: haztol「
」
場 所 格 と 言 え る も の で,内
向 格(allativus)‐hoz/‐hez/‐hoz: hazhoz「
主 に」
頻 度 格(multiplicativus)‐szor/‐szer/‐szor:
接 格(adessivus)‐nal/‐nel: haznal「
きれ い に」
様 態 格4(modalis‐essivus)‐lag/‐leg:
離 格(delativus)‐rol/‐rol: hazrol「
容 詞 や 数 詞 に し か 付 か な い も の,
szepen「
着 格 (sublativus)‐ra/‐re: hazra「
ペ ー チ で」
様 態 格3(modalis‐essivus)‐n/‐an/‐en:
上 格(superessivus)‐n/‐on/‐en/‐on: hazon「
夏 ご とに」
特 定 の 地 名 に 付 く場 所 格(locativus)‐t/‐tt:
家 の中 へ 」
出 格(elativus)‐bol/‐bol: hazbol「
に」
時 の 配 分 格(distributivus‐temporalis)‐anta:
入 格(illativus)‐ba/‐be: hazba「
例 と して 」
時 格(temporalis)‐kor:
の」
内 格(inessivus)‐ban/‐ben: hazban「
家 として 」
様 態 格2(formalis)‐kepp(en):
家 を」
与 格(dativus;属 haznak「
様 態 格l(essivus‐modalis)‐ul/‐ul:
で あ る.
対 格(accusativus)‐t:
家 ご と全 部 い っ し ょに 」
ker‐ek.(き
れ い な ‐複 数 ‐対 格
私 は)「 き れ い な の を下 さ い 」
頼む‐
形 容 詞 の 比 較 級 と 最 上 級 は,接
辞
‐bb,leg‐ … ‐bb
gyors「
速 い 」,gyorsabb「
gyorsabb「
よ り 速 い 」,leg
Fel‐megy‐ek
冠 詞 丘 ‐着 格)「 私 は 丘 へ 登 る 」
形 が 存 在 す る格 は,9つ
詞 と異 な り,格
の 場 所 格,お
格 で あ る.対
格 形 は,特
称代名詞
よ び,与
格,具
5)冠
・
殊 な 形 を と る(表5
ez/az「
れ 」,ezt/azt「 こ の 中 に/あ
名 詞 を 修 飾 す る 場 合 に も,形
れ
単 語 で あ り,ま
た,単
haz
mellett(家
haz
es
kert
定冠
点,着
asztal
[統
asztal),ま
庭
nagy.(定
語]
的 語,修
そ して
点 の3つ
人 称 接 尾 辞 を と る(表5を
横 に)
冠詞
接 尾 辞 と同
た,ど
の机か
の)
る い は,不 Peter
参 照).
語,述
的 語(O)か
あ る.目
olvas.(ペ
本的 語(S),
ら な る 文 で は,基
本的語順
的 語 が 無 冠 詞 か,あ な り,
ー テ ル 本 ‐対 格 読
む 〔不 定3単
〕)「 ペ ー テ ル は 本 を 読 む 」
Peter
konyv‐et
egy
法的 に
も可 能 で あ る.主
定 冠 詞 が 付 い た 場 合 は,SOVと konyv‐et
語,目
れ ら の 語 順 は,文
olvas.(ペ
詞 本 ‐対 格 読 む 〔不 定3単
詞 的 意 味 を付
asztal).
語 と 述 語 か ら な る 場 合,基
がSOVとSVOの2つ 横へ」
私 の 横 に」 詞 の 前 に 接 続 し,副
大 き い)「(そ
文 を 構 成 す る 要 素 は,主
飾 語 に 分 け ら れ,こ
述 語(V),目
の 形 が あ る. 横 か ら 」,melle「
机
冠 詞 が 付 く(az
か な り 自 由 で あ る.主
ー テル
不 定冠
〕)「 ペ ー テ ル は1冊
の 本 を読 む 」
加 し た り, megy「
行 く」,felmegy「
上 へ 行 く/登
る」
定 冠 詞 が 付 い た 場 合 に は,SVOと Peter
動 作 の 完 了 を 意 味 し た りす る. ert「 理 解 す る」,megert「
ハ
理 解 して しま う」
〔定3単
olvassa
a
な る.
konyv‐et.(ペ
〕 定 冠 詞 本 ‐対 格)「
ー テル 読む ペ ー テ ル は(そ の)
ン ガ リー 語 の 人 称代 名 詞 の 格 変 化 と後 置 詞 の 語 形 変 化
主格 対
2
こ に あ る 不 定 冠 詞
が新 しい情 報 と して 導 入 され る場 合
とい う よ う に,定
い く つ か の 後 置 詞 は,人 称 代 名 詞 の 格 変 化 の よ う に,
動 詞 接 頭 辞 は,動
机 」),
asztal.(こ
語 順 は 主 語 ‐述 語 で あ る が,逆
横 に 」,mellol「
mellettem「
egy
机 は大 き い」
立 した
横 に)「 家 の 横 に 」
場 所 関 係 を 表 わ す 後 置 詞 の 多 く に は,格 止,起
これ は机 で あ る」
こ こ に 机 が ひ とつ あ る 」
Az
能的には格接
書 法 上,独
「家 と 庭 の 横 に 」
mellett「
van
机)「
まざ
語 だ け で な く句 を 修 飾 で き る.
mellett(家
語や ンガ リ
が 限 定 さ れ る 場 合 に は,
詞 の 後 に 位 置 し,さ
置 詞 は,正
な る 点 は,ハ
の数 や どの机 か が 問 題 と な ら ない 場
に は 不 定 冠 詞 が 付 き(egy
この 家 の 中 で 」
後 置 詞 は,名
不定冠
の 用 法 は,英
と え ば, asztal.「
Itt
れ ‐内 格
ま な 場 所 ・時 間 ・状 況 関 係 を 表 わ す.機
3
冠 詞(a/az)と
あ り,そ
合 に は 冠 詞 な し(asztal「
こ の家 」
haz‐ban(こ
尾 辞 と 同 じ で あ る が,後
3
詞 の)1」)が
と い う よ う な,机
冠 詞 が 付 く.
家)「
冠 詞 丘 ‐着 格
ハ ン ガ リ ー 語 に は,ウ ラ ル 系 諸 言 語 の
と い う よ う に,机
詞 家 ‐内 格)「 詞類
あ る.た Ez
れ ‐対 格 定 冠 詞 家 ‐対 格 〕
ebben(←ez‐ben)a
複1
中 で は 例 外 的 に 冠 詞 が あ る.定
の 中 に」
通,定
定 冠詞
ez‐t a haz‐at(こ
2
fel.(定
ー語 で は 可 算 名 詞 に冠 詞 が付 か ない 場 合 が あ る こ とで
れ を 」,
容 詞 と異 な り格 変 化 し,
飾 さ れ る 名 詞 に は,普 a haz(こ
こ れ を/あ
「こ の 家 を 」
単1
詞
詞(egy「(数
詞 と 同 じ よ う に 格 変 化 す る.
こ れ/あ
ebben/abban「
様 に,静
megy‐ek
ドイ ツ 語 の そ れ と似 て い る が,異
指 示 代 名 詞 は,名
4)副
hegy‐re
行 く‐私 は 上 へ)「 私 は(塔 で は な く て)丘 へ 登 る 」
接尾辞の
を 参 照).
ez
ヘ ‐行 く‐私 は 定
A
形 態 素 に 人 称 接 尾 辞 が 接 続 し た 形 と な る.人
ま た,修
a hegy‐re.(上
詞 は 複 数 形 を と ら な い.
人 称 代 名 詞 の 格 変 化 は,名
ォー
れ が 動 詞 の 直 前 に 位 置 し,
の 家」
haz「2軒
共 格,因
トレ ス の お か れ る 要 素(フ
あ る 場 合 に は,そ
接 頭 辞 は 動 詞 の 後 ろ へ 分 離 す る.
も っ と も速 い 」
数 詞 が 付 く と,名 ket
意 味 的 に 強 調 さ れ,ス カ ス)が
を 付 け て つ く る.
格
与
格
内
格
入
格
出
格
mellett「 横 に 」
つ な げ る),イ
本 を読 む」 こ の 基 本 的 語 順 か ら,い つ く る こ と が で き,そ る.そ
くつ か の 異 な る 語 順 の 文 を
れ は 話 者 の 視 点 か ら決 ま って く
の 際 の 基 本 的 な 語 順 は,こ
話 題 と な る ト ピ ッ ク(topic)が
れ か ら述 べ る こ との 文 頭 に,ト
い て の 叙 述 で あ る コ メ ン ト(comment)が コ メ ン トに お い て は,も
「彼 は 本 を 読 む 」 (読 む 〔定3単 Olvassa
〕 定 冠 詞 本 ‐対 格)
a konyv‐et.
ピ ッ ク につ そ れ に 続 く.
っ と も 強 調 され る 要 素 で あ る
フ ォ ー カ ス(focus)が,コ
ン トネ ー シ ョ ン は 下 降 調 と な る.
メ ン トの 初 め に く る.ト
「彼 は 本 を 読 み ま す か 」 Olvassa
a konyvet?
ピ
ッ ク は,省 略 可 能 で あ る.述 語 動 詞 が フ ォ ー カ ス に な ら
「彼 は 本 を 読 み ま す か 」
な い 場 合 に は,フ
Olvassa‐e
る.た
ォ ー カ ス は,必 ず 述 語 動 詞 の 直 前 に く
a
konyvet?
と え ば, Peter
olvassa
a konyv‐et
ー テ ル 読 む 〔定3単 部 屋‐ 内 格)「 とい う,動
a szoba‐ban.(ペ
否 定 文 は,否
〕 定 冠 詞 本 ‐対 格 定 冠 詞
詞olvassa「
読 む 」 に ス ト レス が あ る 文 に
お い て は,「 ペ ー テ ル 」 が ト ピ ッ ク,「 読 む 」 が フ ォ ー カ ス で あ る.「 本 を 」 を 強 調 し た い 場 合 に は,こ 動 詞 の 前 に 移 動 し,そ Peter
a
の句 を
こ に ス ト レ ス を お き,
konyvet
olvassa
a
szobaban
olvassa
述 文 の 場 合 は,nem/semを, nem
olvassa
Ne
olvass!「
複 数 形)/sincs(en),sincsenek(sinceの
a
konyvet.
Nincs
a
szobaban.
A
と な り,「 部 屋 で 」 を ト ピ ッ ク に し た 「部 屋 で は ペ ー テ ル が 本 を 読 む 」 は, A
szobaban
konyv.「
と な る.こ
の よ う に,ハ
olvassa
a konyvet.
ン ガ リー 語 の 語 順 は,何
が ト
定 文 な ど も,こ の 原 則 に 基 づ い て 構 成 さ れ る.
疑 問 文 は,疑
問 詞 を 使 う も の と,そ
うで な い もの に
分 け ら れ る. 疑 問 詞 を 使 う 場 合 に は,疑
問 詞 が フ ォー
カ ス と な る の で 述 語 動 詞 の 直 前 に お か れ,必
ず し も文
頭 に く る 必 要 は な い. Mi‐t
olvas
mit
‐対 格 読 む 〔不 定3単
〕
olvas?「
ペ ー テ ル は何 を読 ん で い ま
す か」 疑 問 詞 の 並 列 や 複 数 形 も可 能 で あ る. Ki
mi‐t olvas?(誰
何 ‐対 格 読 む)「 誰 が 何 を
読 ん で い ます か 」 Mi‐k‐et olvas?(何
‐複 数 ‐対 格
読 む)「 何(複 数)
since.「
本 は ここ に な
定 辞 と と も に 用 い,二
olvas
semmi‐t.(な
重否定の形
い 読 む 〔不 定3単
〕
何 も な い ‐対 格)「 何 も読 ま な い 」 「AはBで
あ る 」 と い う 意 味 の 文 に,ハ
で は 繋 辞(copula)を Ez
asztal.(こ
Peter
ン ガ リー 語
用 い な い. れ
tanulo.(ペ
た だ し,主
語 が1人
(英 語 のbe動
机)「
これ は机 で す 」
ー テ ル 生 徒)「 ペ ー テ ル は 生
イ ン トネ ー シ ョ ン の み が 異 な る.叙
述 文 と 同 じ で, 述 文 は下 降 調 で あ
称,2人
En
tanulo
vagyok.「
Te
tanulo
vagy.「
O
tanulo.「
Mi
tanulok
Ok
Itt
在動詞
私 は 生 徒 です 」 あ なた は 生 徒 です 」
彼 は 生 徒 で す」 vagyunk.「
tanulok
vagytok.「
tanulok.「
vagy.「
Itt van.「
称 の 場 合 に は,存
詞 に あ た る も の)を 繋 辞 と し て 用 い る.
Itt vagyok.「
肯 定 か 否 定 を 問 う疑 問 文 の 構 成 は,叙
疑 問 文 に は,疑
Nem
Ti
を読 ん で い ます か 」
る の に 対 し,疑
itt,ott
徒です」
Peter?(何
ペ ー テ ル)「 何 を ペ ー テ ル は 読 ん で い ま す か 」 Peter
nincs
そ こに もな い 」
を と る.
ピ ッ ク で 何 が フ ォー カ ス か に よ っ て 決 ま っ て く る . 疑 問 文,否
で 始 ま る 形 は,「 ∼ も ま た ∼ な い 」 と い う意
konyv
い,あ
本 が ない 」
否 定 代 名 詞 は,否 Peter
複 数 形)を
用 い る.
味 の とき に使 う. olvassa
ペー テ ル は 本
読 む な」
上 記 のs‐
Peter
konyvet.「
命 令 文 の 否 定 に は,ne/seを,
と な る.「 本 」 を ト ピ ッ ク に し た 「本 は ペ ー テ ル が 部 屋
konyvet
a
を読 ま ない」
で 読 む 」 は, A
定 す る 語 の 前 に お く. 否 定
存 在 文 の 否 定 は,nincs(en),nincsenek(nincsの
a szobaban.
と な る.「 部 屋 で 」 を 強 調 す る と, Peter
辞 は,叙 Peter
ペ ー テ ル は 部屋 で本 を読 む 」
定 辞 を,否
私 た ちは生 徒 です 」 あ なた た ち は 生 徒 です 」
彼 らは生 徒 で す」 私 は こ こ に い る」(itt「
こ こ」)
あ な た は こ こにい る」 彼 は こ こに い る」
問 文 は 文 末 で 上 昇 し す ぐ に 下 降 す る.
Itt
vagyunk.「
私 た ち は こ こ に い る」
問接 尾 辞
Itt
vagytok.「
あ な た た ち は こ こにい る」
Itt
vannak.「
‐eを 疑 問 の 対 象 と な っ て い
る語 に 付 加 す る 方 法 も あ り(正
書 法 上 は,ハ
イ フ ンで
彼 ら は こ こ に い る」
所 有 者 が 代 名 詞 以 外 の 所 有 関 係 は,「 所 有 者 + 属 格
[語
(与 格 と 同 形)接 尾 辞
フ ィ ン ・ウ ゴ ル 祖 語,ウ
‐nak/‐nek‐ 被 所 有 物 +3人
称単
数 所 有 接 尾 辞 」 で 表 現 され,属 格 接 尾 辞 は 省 略 で き る. a tanulo
konyv‐e(定
接 尾 辞)/a
冠 詞 生 徒 本 ‐3単 所 有
徒 ‐属 格
tanulo‐nak 定冠詞
a tanulo
a
konyv‐e(定
冠詞
生
本 ‐3単 所 有 接 尾 辞)「 生 徒 の 本 」
konyv‐ei(定
数 所 有 接 尾 辞)/a
冠詞
生徒
tanulo‐nak
本 ‐3単
・複
a konyv‐ei「
生
持 っ て い る 」 と い う 所 有 文 は,「A+ 与 格 接
尾 辞 ‐存 在 動 詞 の3人
称 形van/vannak(否
は,nincs/nincsenek)‐B+ に はBが
定の場合
所 有 人 称 接 尾 辞 」 で,「A
あ る 」 と 表 現 さ れ る.
A
tanulonak
van
生 徒 は 本 を持 って
続 詞 あ るい は関 係 代 名 詞 を用 い て構 成
節 に 従 属 節 を 示 す 指 示 語(普
通 は,指
示代 名
az‐t mond‐ja,hogy
ヴァ
あ れ ‐対 格
Peter
言 う‐〔定3単
勉 強 す る 〔不 定3単
tanul.(エ
〕,接
続詞
ー
ペーテ
〕)「エ ー ヴ ァ は ペ ー テ ル が
関 係 代 名 詞 は,疑
問 詞 の 頭 にa‐
が 付 い た 形 で,後
に 格 接 尾 辞 や 後 置 詞 が く る こ と が で き る.関
ろ
係 節 は,
節 の後 ろ に くる.
Peter
olvas‐t‐a
ir‐t.(ペ
a konyv‐et,amely‐et
ーテ ル
対 格,関
読 む ‐過 去 ‐定3単
Eva 定冠詞
係 詞 ‐対 格 エ ー ヴ ァ 書 く‐過 去
本‐ 〔不 定
3単 〕)「ペ ー テ ル は エ ー ヴ ァ が 書 い た 本 を 読 ん だ 」 [敬 語 的 表 現 ]
ハ ン ガ リー 語 に は,日
な 敬 語 体 系 は な い が,呼 詞 の 活 用,話
び か け,人
法 な ど に,敬
称 敬 称 が あ り,そ
称 の 活 用 形 を と る.2人
magaの2種
類 が あ り,そ
変 化 を 行 な う.Onは,広
本語 の よう
称 と そ れ に 伴 う動
語的表現が存在する.ハ ン
ガ リ ー 語 に は 独 立 し た2人 動 詞 は3人
の 場 合,
さ れ る.た
と え ば,生
れ ぞ れ,複
数 変 化 お よび格
い 範 囲 で 使 用 さ れ る 敬 称 で,
徒 が 先 生 に,年
体,同
少 者 が 年 長 者 に,
レ ビや 講 演 な ど の 公 的 な 場 で 使 わ れ る.こ
に 対 し て,magaは,年
れ
齢 や 社 会 的 地 位 に 関 し て は,大
等 の 立 場 に あ る 比較 的 親 しい 人 間 関 係 の 場 合 に
使 用 さ れ る.し 使 う と,先
た が っ て,生
徒 が 先 生 に 対 して こ れ を
生 を 自 分 と 同 等 あ る い は 下 と見 な し て い る
こ と に な り 失 礼 に あ た る.magaは,公
的 な場 で は あ
ま り使 用 さ れ な い .2人
称 の 人 称 代 名 詞teは,親
弟,夫
婦,友
し い 間 柄 で 使 用 さ れ る.最
は,若
い 人 を 中 心 に,敬
だ ち 等,親
ィ ン ・ウ ゴ ル 祖 語 に ま で 遡 る
「魚 」),身
体 名 称(szem「
目」),親
理 の 娘 」)な ど が あ り,ウ
「外 へ 」)な
本 的 な 動 詞(el「
称 を 使 わ ず,最
話 す 傾 向 が 広 ま り つ つ あ る.
子兄
初 か らteで
義
ゴ ル 祖 語 に な る と,馬
鞭 」)や,形
容 詞,副
詞(jo「
に関 す
よ い 」,ki
ど が 現 わ れ る . こ れ ら の 古 い 語 彙 は,お
を 数 え,重
は,名
詞 と 動 詞 の 明 確 な 区 別 が な く,ど
要 な 基 層 を な し て い る.こ
」).ハ
よ
の 時代 に
ち らに も使 用
凍 る/霜
」,nyom
ン ガ リー 語 の 時 代 に な る と(紀
元 前
しい 固 有 の 語 彙 が 増 え る と と も に,原
始語
彙 か ら数 多 く の 派 生 語 が 生 ま れ(el「 「生 き か え る 」,el>elet「
も に,ハ
水 」,hal
族 名 称(meny「
そ1千
「押 す/跡
生 き る 」,
然 現 象 に 関 す る 語(viz「
生 き る 」>eled
生 活 」,el>elenk「
生 き生
派 生 語 が あ る),古 い 語 彙 と と
ン ガ リー 語 の 語 彙 の 大 部 分 を 形 成 し た .
こ れ ら 固 有 の 語 彙 の ほ か に,借 っ と も 古 い も の は,ハ
用語 が あ る. そ の も
ン ガ リー 民 族 が ウ ラ ル 民 族 発 祥 紀 末 に現
在 の カ ー ル パ ー ト盆 地 に 辿 り着 くま で に,異
民 族 と接
触 し て き た 過 程 で 借 用 さ れ た 語 彙 で あ る.そ
れ に は,
イ ラ ン 系 諸 語(tehen「
ル シ ア語
(var
「城 」,vasar「
「鐘 」,homok「
牛 」,tiz「10」),ペ 市 」),チ
砂 」)な
ュ ル ク 系 諸 語(harang
どか らの 借 用 語 が あ る.
特 に チ ュ ル ク 系 諸 語 の 影 響 は 大 き く,5∼9世 間 に,お よ そ300の 畜 産,農
業,住
単 語 が 借 用 さ れ て お り,そ
紀 の れ ら は,
居 に関 す る ものか ら知 的 な領 域 に ま で
及 ん で い る. diszno「
豚 」,sajt「 チ ー ズ 」,buza「
「り ん ご」,szek「
椅 子 」,ber「
小 麦 」,alma
賃 金 」,bolcs「
知
恵」
称 敬 称 に は,Onと
年 上 や 目 上,あ る い は,個 人 的 関 係 の な い 場 合 等 に 使 用
ま た,テ
hal「 死 ぬ 」),自
に 分 け ら れ る.
の 地 と い わ れ る ウ ラ ル 山 脈 の 辺 り か ら,9世
勉 強 して い る と言 う」
普 通,主
よ び,フ
名 詞 や 疑 問 詞,基
き し た 」 な ど,約150の
詞)が 使 わ れ る こ と が 多 い.
ル
語 彙 は,代
500年),新
従 属 節 は,接
Eva
ハ ン ガ リ ー 語 固 有 の 語 彙,借 用 語 の3つ ウ ラ ル 祖 語,お
ラ ル 祖 語,
ゴ ル 祖 語 に ま で 遡 る 原 始 語 彙,
さ れ る 語 が か な り あ っ た(fagy「
konyve.「
い る」
さ れ,主
ハ ン ガ リ ー 語 の 語 彙 は,ウ
る 語 彙(ostor「
徒 の 本(複)」 「AはBを
彙]
近
身 体 名 称 に も 借 用 語 が あ る こ と か ら,い
か に,チ
ュル
ク 系 諸 語 の 影 響 が 強 力 で あ っ た か が うか が わ れ る. kar「 腕 」,gyomor「
胃」
ハ ン ガ リ ー 民 族 が カ ー ル パ ー ト盆 地 に 定 住 し た あ と, チ ュ ル ク 系 諸 語 の 影 響 力 は 弱 ま っ た も の の,16∼17世 紀 に,ふ
た た び,今
度 は オ ス マ ン ・トル コ に よ っ て,国
土 の か な りの 部 分 を 占 領 され る に 至 り,い
くつ か の 単
語 が 入 っ て い る. zseb「
ポ ケ ッ ト」,kave「
コー ヒー」
カ ー ル パ ー ト盆 地 に 定 住 し た あ と は,周 民 族 に 囲 ま れ,ス
ラ ブ 系 諸 語 か ら は 約500の
りを ス ラ ブ 借 用語 彙
が あ る. gabona「
穀 類 」,kacsa「
所 」,kolbasz「
ア ヒ ル 」,konyha「
ソ ー セ ー ジ」,ruha「
台
衣 服 」,
csalad「
15∼17世
家族」
こ の 現 象 は,特
紀 に は,オ
ー ス ト リア ・ハ プ ス ブ ル ク 家 の
政 治 的 影 響 の も とで,ド 用 さ れ て い る.そ て,約300と
イ ツ語 か ら数 多 く の 語 彙 が 借
の 数 は,古
い 時 代 か ら の も の も含 め
され て い る.
polgar「 pisztoly「
と し て,ラ
紙 」,cukor「
砂 糖 」,
ピ ス トル 」
テ ン 語 の 影 響 が あ る.ラ
テ ン 語 は,10世
紀
末 に ハ ン ガ リー が キ リス ト教 に 改 宗 し て 以 来,19世 会 や 宮 廷,政
し て 機 能 して い た.そ
治,教
会 や 教 育 関 係 の借 用
教 会 」,iskola「
学 校 」,ceruza「
英 語 のcoach「
馬 車 」 は,Kocsと
鉛筆」
ン ガ リー 語 か
ら ほ か の 言 語 に 借 用 さ れ た 語 は 少 な い が,た
と え ば,
い う場 所 で つ く ら
れ て い た 馬 車 に 由 来 す る(kocsiは,形
容 詞 形)ハ
ンガ
リ ー 語 起 源 の 語 彙 で あ る. [方
言]
の8つ
に 分 け られ る(〈
図 〉
を 参 照).
2)ド
3)南
か わ り にoを
中 心 と した 南 部 方 言
な り,バ
ロー ツ方 言 地域 の
ロ ー ツ 方 言 地 域 の 中 部,
く の 方 言 に お い て,母
の,1が
落 ち,母
音 +l(音
音 が 長 く な る.
szilva>sziva「
プ ラ ム」
olvasol>ovaso「
あ な た は 読 む」
こ の よ う な 音 韻 変 化 に 伴 い,接 と え ば,標
格 接 尾 辞 は,パ
尾 辞 に もさ ま ざま な
準語では
‐bol/‐bolで
東 部 方 言 で は ‐bol/‐bol,テ
ゼ ー シ ェ ー グ 方 言,
ィ サ 方 言 地 域 の 一 部,パ
ー ツ 方 言 地 域 の 南 部 ,東 部,北
部 方 言 地 域,テ ナ ウ以 西 方 言 地
部 方 言 地 域 の 南 部 な.ど で は ‐bu/‐buと
格 接 尾 辞 の 用 法 に 関 し て も,さ ま ざ ま な 違 い が あ る. 部 方 言(nyugati;オ
ー ス ト リ ア 地 域 を 含 む)
ナ ウ以 西 方 言(dunantuli) 部 方 言(deli;ユ
部 方 言 で は,後
置 詞fele「
か わ り に,与 格 接 尾 辞 ‐nak/‐nekが
ー ゴ ス ラ ビ ア 地 域 を 含 む)
ロ ー ツ 方 言(Paloc;ス
た と え ば,西
た,北
東 部 方 言 で は,「 ∼ さ ん の 所 へ 」 と い う と
格接尾辞
‐hoz/‐hez/‐hozの
か わ り に,接
5)テ
ィ サ 方 言(Tisza)
接 尾 辞 ‐nal/‐nelが 使 わ れ る 傾 向 が あ る.北
6)北
東 部 方 言(eszaknyugati)
の 一 部 で は,形 容 詞 の 比 較 級 で,接
7)メ
ゼ ー シ ェ ー グ 方 言(Mezoseg)
8)東
部 方 言(keleti;セ
ン ゴ ーCsangoを
ロ バ キ ア 地 域 を 含 む)
り,ま き に,向
∼ の方 へ 」の
使 わ れ る こ とが あ
4)パ
(nagy‐obb
ー ケ イSzekely,チ
ャー
含 む)
メ ゼ ー シ ェ ー グ 方 言 地 域,お
ー ケ イ とチ ャ ー
ル デ ー イ(Erdely;
ト ラ ン シ ル バ ニ アTransylvania)と
の 異 音 が あ る.多 狭 い[e]の
韻 に 顕 著 で,特
書 法 上 は,ど
に,母
在 は
大 き い ‐よ り 定 冠 詞
(‐nyi)が
あ る.こ
者 は,方
あ る が,こ
れ ら は 異 な る 音 素 で あ る,こ
言 学 な ど で はeと
az
ハ
apjatol).
,‐nol(‐nul)/‐nol(‐nul),‐ni れ ら は,人
名 に 付 い て,そ
の 人 の 家 か ら,そ
ン ガ リー 語 の 方 言 地 域
あ る が,
表 記 さ れ る)が の[〓]と[e]
の 方 言 区 域 に も属 さ ず,
そ こ で 話 さ れ て い る こ と ば が,ほ
ぼ,標
準 語 と一 致 す
る). こ の ほ か,方
言 に 特 徴 的 に み られ る 音 韻 変 化 に,標
ィ サ 方 言 を 基 礎 と す る;「 歴 史 」 を 参 照)のe お き か わ るi化
現 象 が あ る. 出典:ハ
ver>vir「
血」
and
イ ド ゥ(Hajdu,Finno‐Ugrian Peoples
Andre
Deutsche,1975)に
れ ぞ れ,
の人 の 家 へ」 と
ダ ペ ス トお よ び 北 東 部 方 言 地 域
の み で あ る(ブ ダ ペ ス ト は,ど
彼 格接
準 語 に は な い特 殊 な 格 接 尾 辞
音 に数 多 く
口の 開 きの よ り
ち ら もeで
便 宜 上,後
の 区 別 が な い の は,ブ
エ ル デ ー イ 地 方 に は,標
「そ の 人 の 家 で,そ
く の 方 言 に,[〓]と
区 別(正
apja‐nal〔
東部 方 言
の 父 ‐接 格 〕 「彼 の 父 よ り大 き い 」)の か わ り に,奪
‐nott/‐nett/‐nott
よ ば れ,現
ル ー マ ニ ア 領 に な っ て い る. 方 言 間 の 差 は,音
az
格
格 接 尾 辞 ‐nal/‐nel
尾 辞 ‐tol/‐tolが 使 用 さ れ る(nagyobb よ び,セ
ン ゴ ー を 含 む 東 部 方 言 地 域 は,エ
がiに
な
る.
準 語(テ
ロ
東 部 方 言 地 域 で は ‐bul/
ナ ウ 以 西 方 言 地 域 の 北 部,南
域 の 南 部,西
あ る出
ロ ー ツ方 言 地 域 の 西 部 お よび 中 部 で は
‐bo/‐bo ,西 部 方 言 地 域 の 北 部,メ
‐bul,ド
な る.ま
節 を 閉 じ る 場 合)
ィ サ 方 言 地 域 の 一 部 で は ‐bu/‐bu,ド
ハ ン ガ リー と そ の 周 辺 諸 国 に 広 が る ハ
ン ガ リー 語 の 方 言 は,次
1)西
た,多
育 の場 で の言 語 と
の 結 果,教
と り入 れ た 借 用 語 の 数 に 比 べ る と,ハ
西 部 な ど で は[l]と
形 が あ り,た
templom「
た,eの
ゲ ド(Szeged)を
ィサ
や セ ー ケ イ 方 言 に み ら れ る . 子 音 で は,ly[j]が,ド
紀
語 が 多 い.
使 う現 象 が,セ
チ ャ ー ン ゴ ー の 方 言 で は 口 蓋 化 し て[l']と
接 的 な 民 族 接 触 に よ る 影 響 と異 な る も の
に 至 る ま で,教
方 言 地 域 に 広 範 に み ら れ る.ま
ナ ウ以 西 方 言 地 域 の 西 部 と 南 部,バ
市 民 」,papir「
以 上 の,直
に ドナ ウ 以 西 方 言 地 域 の 北 部,テ
Languages よ る.
い う意味 を表 わ す.同
じ意味 は,標 準 語 で は,与 格 で
表 現 され る.
言 え る.
こ の と き,ハ ン ガ リ ー 人 が と り 入 れ た の は,キ
リス ト
この よ うな古 い 格 接 尾 辞形 を残 す エ ル デ ー イ地 方 で
教 と と も に 教 会 の 言 語 と し て 受 け 入 れ た ラ テ ン語 の 文
は,過 去 時 制 を,過 去,現 在 完 了,過 去 完 了 の3つ に 区別 して い る(後 述 す る,「 古期 ハ ンガ リー語 期 」の説
字 で あ る(そ れ と は 別 に,チ ュ ル ク 起 源 と さ れ る ロ ヴ ァ ー シ ュ 文 字rovasirasが あ るが ,こ れ に つ い て は,世
明 も参 照).
界 文 字 編 「ロ ヴ ァ ー シ ュ文 字 」 の 項 を 参 照).残
語 彙 に も,数 々 の方 言 差 が あ る.た
い る,ラ
とえ ば,kuko
存 して
テ ン文字 で 書 かれ たハ ン ガ リー語 の も っ と も
rica「 と う もろ こ し」は,西 部方 言,ド ナ ウ以 西 方 言,
古 い 記 録 は,ラ
南 部 方 言,パ ロー ツ方 言 で はkukoricaで
単 語 や 句,短 い 文 等 が 挿 入 さ れ て い る もの で あ る(Ha‐
サ方 言 で はtengeri,北 イ地 方 で はtorokbuzaと [語
史]
あ るが,テ ィ
東 部 方言 で はmale,エ
ル デー
よば れ てい る.
け られ る. 1)ウ
ラル祖 語 期(紀 元 前4000年
ま で),フ
まで),ウ
ィ ン・ウ
ゴ ル祖 語 期
まで)を 経 て,独 自 の道 を歩
み 出 す まで の前 ハ ンガ リー 語 期, 2)ウ
死 者 の 辞 』1192‐95,Omagyar
Maria
古 期 ハ ン ガ リ ー 語 マ リア 哀 歌 』1300).
15世 紀 に な る と,フ
kai
Kodex『
フ ス(Jan
ラ ン シ ス コ 派 等 の 影 響 で,宗
ヨ ー カ イ ・コ ー デ ッ ク ス 』1450).ま
Hus)の
改 革 運 動 も,ハ
に 貢 献 し た(Becsi 1450,Muncheni
ラル 山 脈 の あ た りか ら移 動 を開 始 し,現 在 の
地 に定 住 す る9世 紀 まで の,文 字 の な い原 始 ハ ン ガ リー 語 期, 3)そ
ンガ リー語 の
教
的 資 料 が ハ ン ガ リー 語 に 翻 訳 さ れ る よ う に な っ た(Jo
ゴル 祖 語期(紀 元 前2000年 (紀元 前1000∼500年
lotti Beszed『 Siralom『
ハ ン ガ リー語 の 歴 史 は,次 の3期 に分
テ ン語 の 文 書 の 中 に,ハ
ウ ィ ー ン ・コ ー デ ッ ク ス 』 ミュ ン ヘ ン ・コ ー デ ッ ク ス 』
1466). 文 法 的 に は,後
置 詞 が 名 詞 に接 続 して 新 しい 格 接 尾
辞 が 生 ま れ(bele「
れ 以 降 の,文 字 を有 す る時 期.
Kodex『 Kodex『
た,
ン ガ リー 語 の 文 字 化
中 へ 」 > ‐ba/‐be入 格 接 尾 辞),副
詞 派 生 辞 の 付 い た 名 詞 か ら新 し い 後 置 詞 が 生 ま れ,格
ハ ンガ リー 語 と して の歴 史 が 始 ま る前 ハ ンガ リー 語
接 尾 辞 と 後 置 詞 の 体 系 が 豊 か に な っ た.14世
期 に は,こ の 言 語 は す で に豊 富 な 派 生 辞 を有 して お り,
限 定 機 能 の た め に,原
1つ の 語 か ら数 多 くの派 生 語 を生 み だ す こ とが で き る
紀 に は,
始 ハ ンガ リー 語 期 に 形 成 さ れ た
動 詞 の 定 ・不 定 活 用 に 加 え て,定
冠 詞 お よび 不 定 冠 詞
状 態 に あ った . 標 識接 尾 辞 や 関 係 接 尾 辞 は,ま だ 十 分
が 現 わ れ る.時
に確 立 され て お らず,目 的 語 や 所 有 関 係 な どの 文 法 的
単 純 過 去,継
関 係 の多 くは 無 標 で あ っ た. 場 所 ・方 向 関 係 に関 して
が あ っ た . ハ ン ガ リー 語 は 文 字 言 語 に な っ た も の の,
は,意 味 的 な分 化 は み られ ない が,静 止,起 点,着 点
書 き こ と ば に は ラ テ ン 語 を 模 倣 し た 点 が 多 く み ら れ,
の 区別 は す で に 存 在 して いた.
話 し こ と ば と の 間 に は 大 き な 差 が あ っ た.ま
原 始 ハ ンガ リー語 期 は,ハ ンガ リー 民族 が,ほ か の
時 代 に は,宮
ウ ゴル 系 民 族 と分 か れ,馬 と と もに 遊 牧 ・牧 畜 生 活 を
書 き こ と ば の 萌 芽 が み ら れ る,し
営 み なが ら移 動 を して い く時 期 で あ る. この 時 代 に,
ス マ ン ・ トル コ の 侵 入 に よ っ て,つ み と られ て し ま う.
ハ ンガ リー 語 の 基本 的 文 法 体 系 が 形 成 され た . 場 所 関
制 は,現
続 過 去,現
在 よ り も 豊 か で,過 在 完 了,過
去 に は,
去 完 了 の4つ
の 区別
た,こ
の
廷 の 言 語 と 教 会 の 聖 典 等 の 言 語 に,標
準
中 期 ハ ン ガ リ ー 語 期 は,ハ
か し,こ
の 芽 は,オ
ンガ リーが モハ ー チ
係 の格 接 尾 辞 が 内部 ・表面 ・近 傍 関 係 に分 化 し,所 有
(Mohacs)の
人 称 接 尾 辞,複 数 接尾 辞,動 詞 の 人 称 接 尾 辞,副 詞 か
部 分 を トル コ と ハ プ ス ブ ル ク 家 に 占 領 され て か ら,18
ら発 展 した 後 置 詞,対 格 接 尾 辞 等 が 形 成 され て い る.
世 紀 後 半 に 解 放 運 動 が 盛 ん に な る ま で の 時 期 を さ す.
対 格 接 尾 辞 の ‐tは,元 来,主 と して 目的 語 の 限 定 性 を
戦 い(1526年)で
この 時 期 に は,エ
トル コ に 敗 れ,王
ラ ス ム ス(Desiderius
国 の大
Erasmus)の
示 す 要 素 で あ った の が,動 詞 の 定 活 用 の 発 達 の 結 果,
流 れ を 汲 む 人 文 主 義,ル
限 定 機 能 を失 い,対 格 接 尾 辞 に な った もの で あ る.
改 革 運 動,お
ハ ンガ リー 語 が文 字 言 語 にな って か らの 第3期 は,
に 大 き な 影 響 を与 え た . 人 文 主 義 者 た ち は,政
古 期 ハ ンガ リー 語期,中 期 ハ ンガ リー 語期,新
宗 教 的 に 分 断 さ れ た ハ ン ガ リー を 統 一 す る も の は 共 通
期ハ ン
よ び,印
タ ー(Martin
Luther)の
刷 技 術 の 誕 生 が,ハ
宗教
ン ガ リー 語 治 的,
ガ リー 語 期 に分 か れ る.
の 言 語 で あ る と し,さ
古 期 ハ ンガ リー語 期 は,ハ ンガ リー 民族 が 周 りの ス
範 言 語 と い う 考 え が 芽 生 え た.1539年
ラブ 民族 を征服 し,カ ール パ ー ト盆 地 に定 住 して か ら,
ス テ ル ・ヤ ー ノ シ ュ(Sylvester
トル コに 侵 入 され る16世 紀 ま で の 時期 で あ る.王
ン ガ リー 語 の 文 法 書 と い え る も の を ラ テ ン語 で 著 して
国
を築 き,キ リス ト教 を受 け 入 れ,生 活 様 式 の面 で も, 政 治 ・経 済 的 に も,大 き な転換 期 を 迎 え た. 言 語 史 の 上 で も,文 字 を 獲得 した 点 で重 大 な 転換 期 を 迎 え た と
い る.ま
た,カ
par,1590)や Peter,1604)が,聖
ま ざ ま な方 言 の上 に存 在 す る規 に は,シ
Janos)が,最
ル ヴェ 初のハ
ー ロ リ ・ガ ー シ ュ パ ー ル(Karoli
Gas
パ ー ズ マ ー ニ ュ ・ペ ー テ ル(Pazmany 書 を ハ ン ガ リ ー 語 に 翻 訳 し,ハ
ン
ガ リ ー 語 の 書 き こ と ば の 発 展 に 寄 与 した.こ き こ と ば は,主 い は,西
と し て,東
れ らの書
の テ ィサ 地 方 の 方 言,あ
の ドナ ウ地 方 の 方言 を代 表 す る もの で あ った .
文 法 的 に は,過
去 時 制 が1つ
に な り,そ
多 くの 接 続 詞 が 生 ま れ た.ま
文の発達に
た,敬
ラ ニ ュ ・ヤ ー ノ シ ュ(Arany
の 時 期 で あ る.こ
の 時 期 に は,上
語 の 成 立 が み ら れ た が,政 に あ り,公
治,文
的 な 言 語 は,ラ
述 の よ うに文
化 の 中 心 は ウ ィー ン
テ ン語 と ドイ ツ 語 で あ っ た.
18世 紀 後 半 に な る と,フ
ら れ ず,中
期 ハ ン ガ リー 語 期 に 入 る.
Janos)等
が 活 躍 す る.
代 のハ ンガ リー語 に至 っ て い る .動 詞 の
分 詞 形 の 使 用 が 減 り,そ れ に か わ っ て 複 文 が 発 達 し た. 動 詞 の 時 制 の 減 少 は,完 て 補 わ れ,同
了 を 表 わす 動 詞 接頭 辞 に よ っ
時 に,動
詞 の意 味 を変 化 させ る機 能 を 担
う よ う に な る. [辞
書]
ハ ン ガ リ ー 語 の 辞 書 の 古 い も の は,19
世 紀 後 半 に す で に 編 纂 さ れ て い る(Czuczor
り,ハ
Fogarasi
族 の 言 語 と し て の ハ ン ガ リー 語 の 権 利 が 叫 ば れ る よ う に な る.こ
う して,1844年
に は,国
会 で,ハ
ン ガ リー
作 家 の カ ジ ン ツ ィ ・フ ェ レ ン ツ(Kazinczy に よ っ て 推 進 さ れ た 近 代 化 運 動 は,一 に あ っ た が,新
語 の 導 入 に よ り,語
に 寄 与 し た.新
し い 語 彙 は,方
Ⅵ ,1862‐74).現
magyar 在 で は,ハ
っ て い る . 以 下 に,最
Ferenc)
方 で 激 しい 反 対 彙 と表現 力 の 増 加
べ て,ブ Amagyar
nyelv
と ん ど は,造
た 見 出 し 語 は 約6万
語 による
ン ガ リ ー 語 辞 典)―
的 辞 書.文
例 は,19世
れま
ナ ウ方 言 とテ ィサ方
et
esse,
A
Samuel,Affinitas
linguae
fennicae
originis
strata,1799)が,ハ
hungaricae
全4巻
demon
か し,ハ
ン
て い る.第4巻
法 辞 典)―
で は な か っ た.1880年
約8万5千
代 に は,ト
ル コ語 と の 同 系 を 主
張 す る ヴ ァ ー ン ベ ー リ・ア ー ル ミ ン(Vambery と,フ
パ ー ル(Hunfalvy (Budenz
Armin)
ィ ン ・ウ ゴ ル 系 説 を 主 張 す る フ ン フ ァ ル ヴ ィ ・ pal)や
Jozsef)と
の 間 で,「
ブ デ ン ツ ・ヨ ー ジ ェ フ ウ ゴ ル ・トル コ 戦 争 」 と
よ ば れ る 大 論 争 が 展 開 され た . トル コ 語 と の 共 通 語 彙 が 問 題 と な っ た の で あ る が,こ
れ は,結
に よ る 借 用 語 で あ る と結 論 さ れ,フ
局,言
語接触
ィ ン ・ウゴル 系説
が 確 立 さ れ た の で あ る. 19世
紀 に は,数
多 くの ハ ン ガ リ ー 語 の 文 法 書 や 辞 書
Idegen
出 し語 は,約1万2千
語.全
部
献 と とも に記 載 され
は 索 引. szotar,1961,19735(正
書
ア カ デ ミー の 正 書 法 規 則 に 基 づ い て, 語 の 正 書 法 が 記 載 さ れ て い る.
szavak
es kifejezesek
(外 来 語 ・表 現 辞 典)― Magyar
szotaraⅠ
ン ガ リ ー 語 歴 史 ・語 源 辞 典)―
tanacsado
ガ リー 語 の フ ィ ン ・ウ ゴ ル 系 説 は,容 易 に 確 立 さ れ た の
し
語増 えて
源 に も言 及 して い る.
語 の 歴 史 と語 源 が,文
Helyesirasi
出 し語 は,新
torteneti‐etimologiai
か ら な り,見
で 約6万
ン ガ リー 語 の フ ィ ン ・ウ ゴ ル 系 説
を 唱 え る 最 初 の 学 問 的 著 作 を 発 表 し た.し
nyelv
ンガ リー
後 に 出版 され た 国
生 辞 が 加 わ り,1万
‐Ⅳ,1967‐84(ハ cum
grammatice
門用
keziszotar,1972(ハ
語,語
magyar
ャ ル マ テ ィ ・ シ ャ ー ム エ ル(Gyarmathi
着 し た 外 来 語,専
刷 版 と も 言 え る が,見
全 部 で 約7万
idem
紀 の
上 記 の 辞 書 の10年
い 現 代 語 や 接 尾 辞,派
Janos,Demonstratio Lapponum
よ び,20世
語 等 も 含 む.
ertelmezo
語 辞 典 で,縮
言 語 学 の 分 野 で も,歴 史 言 語 学 が 発 展 し,シ ャ イ ノ ヴ
linguis
言,俗
語 小 辞 典)―
ん で い く.
1770)や,ジ
語,方
Magyar
第 に テ ィ サ 方 言 に 統 一 され て 標 準 語 化 が 進
Ungarorum
‐Ⅶ,1959‐
か ら な り,独 立 し
紀 の 文 語,お
標 準 語 か ら と ら れ て お り,定
ィ チ ・ヤ ー ノ シ ュ(Sajnovics
全7巻
語,小 見 出 し も 含 め る と 約20万
語,古
idioma
szotaraⅠ
語 . 現 代 標 準 語 と文 語 の 意 味 と 用 法 を記 述 し た 規 範
推 や 逆 形 成 的方 法 に よ って うみ だ
あ っ た 文 語 の 規 範 言 語(ド
Kiado刊).
ertelmezo
62(ハ
多 くの 新 し い 派 生 語 や 複 合 語 が,本
近 の 主 要 な 辞 書 類 を あ げ る(す
ダ ペ ス トのAkademiai
近 代 化 運 動 に よ り語 彙 が 豊 富 に な る と と も に,こ で2つ
Gergely szotara Ⅰ
ま ざ ま な辞 書 の 編 纂 に携 わ
さ れ た が,そ れ ら の 中 に は 定 着 し な か っ た もの も 多 い.
言)が,次
nyelv
ン ガ リー 科 学 ア カ デ ミ ー
付 属 の 言 語 学 研 究 所 が,さ
言 か らの導 入 や 古 語 の
復 活 に よ る も の も あ っ た が,ほ
来 の 方 法 の 他 に,類
Janos,A
っ て お り,外 国 語 ‐ハ ン ガ リー 語 の 対 照 辞 書 も 豊 富 に 揃
語 が 公 用 語 と し て 認 め ら れ た.
も の で あ っ た.数
作家 ア
法 的 に 大 きな 変化 は み
民 族 運 動 の 高 揚 と と も に ハ ンガ リー 語 へ の 関 心 が 高 ま ン ガ リ ー 語 の 近 代 化 運 動(nyelvujitas)や,民
ンガ
期 ハ ン ガ リー語 期 に 始 ま っ た 変 化 が ひ き 続
き 進 行 し,現
ラ ン スの 啓 蒙 主義 の 影 響で
独 立 運 動 が 盛 ん に な り,新
Sandor)や
新 期 ハ ン ガ リー 語 期 に は,文
称 を使い
た,ハ
ンガ リー の代 表 的 詩人 ペ
テ ー フ ィ ・ シ ャ ー ン ドル(Petofi
3人 称 の 動 詞 活 用 で 話 す 丁 寧 な 話 法 が 発 達 し始 め る の が,こ
書 法 が 確 立 さ れ て い く.ま
リー 文 学 も隆 盛 期 を 迎 え,ハ
の か わ り,
完 了 を 表 わ す 動 詞 の 接 頭 辞 が 形 成 され,複 伴 い,数
が 出 版 さ れ,正
る
szotara,1973,19868
見 出 し 語,約1万
szinonimaszotar,1978,19802(ハ
語 同 義 語 辞 典)―
見 出 し 語,約3万5千
Magyar‐angol nagyszotar Ⅰ ガ リ ー 語 ‐英 語 大 辞 典)―
語. ンガ リー 語 .
‐Ⅱ,1963,19775(ハ 見 出 し 語,約12万2千
語. Angol‐magyar nagyszotar Ⅰ‐Ⅱ,1976,19889(英 語‐ ハ ン ガ リー 語 大 辞 典)―
見 出 し語,約12万2千
ン
ィ ン 諸 語 と よ ば れ る グ ル ー プ に 属 す る 言 語 で,フ
語. こ の 英 語 と ハ ン ガ リ ー 語 の 対 照 辞 書 の ほ か に も,ロ シ ア 語,フ
ラ ン ス 語,ド
イ ツ 語,フ
ィ ン ラ ン ド語,ス
ペ
話 者 数 は,約500万
イ ン 語 等 の 主 要 言 語 と ハ ン ガ リー 語 と の 対 照 辞 書 が,
つ で,フ
そ れ ぞ れ,大,中,小
て い る(1995年
最 近,上 記 の
の 規 模 で 揃 っ て い る.
「ハ ン ガ リー 語 ‐英 語 大 辞 典 」 「英 語 ‐ハ
人.フ
ィ ン ラ ン ドの 公 用 語 の1
ィ ン ラ ン ドの 人 口512万 推 計),フ
人 の93%が
ィ ン ラ ン ド国 内 に は,フ
公 用 語 で あ る ス ウ ェ ー デ ン語(29.5万
訂 増 補 し た,比
語(ラ
較 的 入 手 し や す い 辞 書 が,ブ
フ ォ ー ド大 学 出 版 局(OUP)か A
Concise by
Magay
and
1990)―1,178ペ A
Concise by
フ ィ ン ラ ン ド語 の 話 者,使 デ ン(27万
Orszagh,OUP,1990)―1,052ペ
ー
nyelv
ele
and
Hungarian
Samu
標 準 語(yleiskieli)に
Language(Akademiai
次 の21文 Kiado,
(Ungarisches
Languages
フ ィ ン ラ ン ド語 は,ラ
テ ン文 字 を用
較 的新 しい外 来 語 を表 記 す る場 合
字 で あ る.
正 書 法 は,1音
Deutsch,London)
Lotz,Janos(1939),Das
Ungarische
Sprachsystem
母 音 音 素 は8つ
Institut,Stockholm)
magyar
(Tankonyvkiado,Budapest) Sauvageot,Aurelien(1951),Esquisse
de
la
hongroise(Klincksieck,Paris)
Tompa,Jozsef(ed.)(1961‐62),A rendszere,Ⅰ
mai ‐Ⅱ(Akademiai
magyar Kiado,
Budapest) ― (1968),Ungarische
Grammatik(Aka
Kiado,Budapest) 照]『
非 円唇 円
nyelv
よ う な 体 系 を な す.
音音素の体系 舌{
前 mai
字 対 応 の ほぼ 完 全 な 音 素 表 記 で
あ り,表1の
母
Ⅰ‐Ⅲ(〓) Racz,Endre(ed.)(1976),A
素1文
あ る.
〓(1955‐60),〓
[参
ィ ン ラ ン ド語 の
関 す る記 述 で あ る.
s,t,u,v,y,a,o
Peoples(Andre
demiai
ビ エ ト運 邦 の カ レ リ ア 自
a,d,e,g,h,i,j,k,l,m,n,o,p,r,
Budapest)
nyelv
ー ス トラ リ
を 除 く と,フ ィ ン ラ ン ド語 の 表 記 に 用 い ら れ る 文 字 は,
Imre(ed.)(1972),
Hajdu,Peter(1975),Finno‐Ugrian
langue
ウ ェー ナ ダ(4
用 語 に 準 じ る 地 位 を 与 え ら れ て い る.
い て 表 記 され る.比
tortenete(Tankonyvkiado,Budapest)
Benko,Lorand
人),オ
に 断 わ りの な い 限 り,フ
[音 と 文 字] magyar
人),カ
ど に 住 む フ ィ ン人 も考 慮 す る 必 要 が
あ る . フ ィ ン ラ ン ド語 は,ソ
以 下 は,特
trajza(Gondolat,Budapest)
and
人)な
治 共 和 国 で,公
[参 考 文 献]
Benko,Lorand(ed.)(1967,19782),A
プ お む ね,
用 者 と し て は,ス
ビ エ ト連 邦(7万7千
メ リ カ 合 衆 国(3万2千
ア(1万2千
句 数,約6万5千.
The
人),ソ
万 人),ア
Dictionary(ed.
magyar
の
ー ミ
フ ィ ン ラ ン ド語 と の 二 言 語 生 活 を して い る.
句 数,約9万5千.
Barczi,Geza(1963,19752),A
人)や,サ
シ ア語(15,900人),ジ
Orszagh,OUP,
English‐Hungarian
nyelv
ッ プ 語;1,700人),ロ
ィン
う1つ
シ ー 語 な ど を 母 語 と す る 人 々 も い る が,お
Dictionary(ed. Laszlo
ー ジ.語
Laszlo
ジ.語
ッ クス
ら刊 行 さ れ た.
Hungarian‐English
Tamas
ダペス ト
の 共 同 出 版 の 形 で,オ
母語 とし
ラ ン ド語 を 母 語 と す る フ ィ ン人 の ほ か に,も
ン ガ リ ー 語 大 辞 典 」 の 中 型 版 に 当 た る もの を 大 幅 に 改
のAkademiai Kiadoと
ィン
語 と も よばれ る.
唇奥舌{ 非 円唇 円 唇
高 中 低 す べ て の 母 音 に つ い て,長 短 の 対 立 が 弁 別 的 で あ る . 長 母 音 と短 母 音 の 対 立 は,音
声 学 的 に も持 続 時 間 の 差
と し て 現 わ れ,音
色 の 違 い は 観 察 され な い. 二 重 母 音
は,い
の 母 音 音 素 の ど れ か と 同 定 で き る2
ず れ も8つ
つ の 部 分 に 分 か れ て 聞 こ え る.こ
大 辞 典 』 フ ィ ン ・ウ ゴ ル 語 派,ウ ラ ル 語 族 (早 稲 田 み か/徳
永 康 元)
長 母 音 は 同 じ短 母 音2つ
の た め,音
の 連 続,二
韻 論 上,
重 母 音 は 異 な る2
つ の 短 母 音 の 連 続 と し て 解 釈 す る の が 通 説 で,正
書法
もこれ に従 って い る. tule「
ふ
が)来
来 い 」:tuule「(風 る」:tuulee「(風
voi「 バ タ ー 」,tie「 フ ィ ン ラ ン ド 語 suomi(suomen
kieli),英Finn
ミ」,yo「
よ)吹 け 」:tulee「(彼 が)吹
道 」,tuo「
く」 あ れ 」,tai「
ish,独Finnisch,仏finnois,露〓
フ ィ ン ラ ン ド語 に は 母 音 調 和 が あ り,8つ
ウ ラ ル 語 族,フ
前 母 音(y,o,a),後
ィ ン ・ウ ゴ ル 語 派 の 中 の バ ル ト ・フ
シラ
夜」
母 音(u,o,a),中
の 母 音 は,
立 母 音(i,e)の
3つ の グ ル ー プ に 分 か れ る.同
一 形 態 素 内 に,前
母音
と 後 母 音 は 混 在 で き な い が,中
立 母 音 は どち らの母 音
母 音 間 に 喉 頭 閉 鎖 音 が 聞 か れ る こ とが あ る. muuta
poyta「
机 」:pouta「
sieva「
美 し い 」:sielu「
母 音 調 和 は ま た,名
ota
晴天」
な わ れ て お り,こ
数 分 格)
suo‐vat‐ko「
彼 ら は許 容 す るか 」
syo‐vat‐ko「
彼 らは 食 べ るか 」
d,h,v,j,〓
音m,n,〓,お
(舌 先 の ふ る え 音)の 計13個
で あ る.鼻
直 前 に の み,重
階 程 交 替 に お け る〓k(nkで 音 間 に の み 現 わ れ る.こ
の ほ か,比
に は,b,g,f,∫(s,shで 動 詞 の2人
表 記)な
称 命 令 形 や,名
一 部 の 母 音 で 終 わ る語(語
学 説」
鎖 音p,t,k,
mato「
よ び,lとr
kuka「
誰 」:kukka「
kisa「
競 技 」:kissa「
ネ コ」
音(n
palo「
火 事 」:pallo「
ボ ール 」
表 記)は
kero「
岩 山 の 頂 」:kerro「
音〓
音(ngで
は,独
自
ミ ミズ 」:matto「
じ ゅ うた ん」
花」
弱階 程 と して母
kimo「
あ し 毛 色 の 」:kimmo「
較 的新 しい外 来語
kana「
ニ ワ ト リ」:kanna「
表 記)の
無 声 閉 鎖 音p,t,k,お
ど が 現 わ れ る.
詞 派 生 接 尾 辞 ‐eな
形)の 直 後 に お い て ,後
は,階
ど,
弾 性」 運 べ」
よ び,そ
よ ば れ る 現 象 に 関 係 す る.こ
語(ま た は 前 接 語)の 語 頭 の 子 音 が 重 子 音 と し て 発 音 さ れ る 現 象 が あ る.後
上 の 長 さ の 語 幹 の 最 終 音 節 の 直 前)に
続 の 語 の 語 頭 が 母 音 の 場 合 に は,
ィ ン ・ウ ゴル 語 派 の 諸 言 語 の 地 理 的 分 布
出 典:〓(1974‐76)に
よ る.
の 長 音pp,tt,kk
程 交 替(astevaihtelu,gradation,Stufen
wechsel)と
続 の
語 れ」
(お よ び 形 容 詞),動
フ
音間において長短
(単 子 音 対 重 子 音)の 対 立 が 可 能 で あ る .
の 文 字 が な く現 わ れ る 環 境 も限 定 さ れ て お り,短 で 表 記)は 子 音kの
を 除 く子 音 は,母
opi「 学 べ 」:oppi「
フ ィ ン ラ ン ド語 固 有 の 子 音 音 素 は,閉
行
の形 態 音 素 を子 音 音 素 に 含 め る考 え
方 も あ る.
aly‐kas‐ta「 利 発 な 」(単 数 分 格)
擦 音s,h,v,j,鼻
リ ン ゴを取 れ 」 該 の 語(語 形)の 末 尾 に 形
態 音 素(×)を 立 て る 分 析(muuta,taide,ota)が
詞 の 人 称 語 尾,派
ど に もお よぶ .
意 欲 的 な 」(単
芸術作品」
omena[ota(〓)omena]「
こ の 現 象 の 説 明 の た め に,当
魂」
詞 の 格 語 尾,動
接 語(enclitic)な
halu‐kas‐ta「
d,摩
引 っ越 せ 」
taideteos[taidetteos]「
と も混 在 し う る .
生 接 尾 辞,前
pois[muutappois]「
れ は,名
詞 の 語 幹 の 特 定 の 位 置(2音 お い て,一
詞 節以 定 の
環 境 にあ る 無 声 閉 鎖音 の 長 音 が 短 音 と 交替 した り(量 的 交 替,quantity
alternation),短
階
音 が 他 の子 音 と
交 替 す る か消 失 した り(質 的 交 替,quality
強 階程 (単数主格)
alterna
tion)す る現 象 で あ る.量 的 交 替,質 的 交 替 のい ず れ に お い て も,語 幹 に付 く,格 語尾,人
程 交 替
tt:t
称 語 尾,派 生 接 尾
ntt:nt
弱階程 (単数属格)
rotta:rotan
「ネ ズ ミ」
juntta:juntan
「くい 打 ち 器 」
辞 な どの音 形 に応 じて,交 替 す る閉 鎖 音 の 直 後 の 音 節
ltt:It
teltta:teltan
「テ ン ト」
が 開 音 節 とな るか 閉 音 節 とな る か に よ って,交 替形 の
rtt:rt
kartta:kartan
「地 図 」
pp:p
分 布 が ほ ぼ 決 ま る.開 音 節 の 場 合 に 現 わ れ る 交 替 形 (お よび,そ の 交 替形 の現 わ れ る語 幹)を 強 階 程(vahva aste,strong
grade),閉
音 節 の場 合 に現 わ れ る交
替 形(お よび,そ の交 替 形 の現 わ れ る 語 幹)を 弱 階程 (heikko
aste,weak
grade)と
言 う.名 詞 を例 に と
って,階 程 交 替 の タ イ プ を示 す と,表2の
noton)か
あ るか,も
soppa:sopan
「ス ー プ 」
的
m pp:mp
jumppa:jumpan
「体 操 」
交
lpp:lp
tolppa:tolpan
「く い,柱 」
torppa:torpan
「小 屋 」
kukka:kukan
「花 」
ankka:ankan
「ア ヒ ル 」
palkka:palkan
「給 料 」
nurkka:nurkan
「す み,か
pata:padan
「深 な べ 」
rpp:rp
替 〕
kk:k
よ う に な る.
語 強 勢 に関 して,音 節 は,主 強勢(paapaino)あ は 副強 勢(sivupaino)が
〔量
ηkk:肩k
るい
lkk:lk
し くは 無 強 勢(pai
rkk:rk
の い ず れ か に な る. 主 強勢 は,原 則 と して語
t:d
の第1音 節 にお か れ,多 音 節 語 の 最 終 音節 は無 強 勢 と な る(以 下,主 強 勢 を('),副 副 強 勢 は,第3音
nt:nn
強 勢 を(')で 表 わ す).
節 お よび そ れ 以 降 の奇 数 番 目の音
ka‐la,ka‐las‐tus
た だ し,5音
節 以 上 の語 で,第3音
〔質
的
節 お よ び それ 以 降 の 偶 数 番 目の 音 節 に お か れ,第2音 節 と第3音 節 以降 の奇 数 番 目の 音 節 は 無 強 勢 とな る.
「橋 」
rt:rr
parta:parran
「ひ げ 」
ht:hd
kohta:kohdan
「箇 所 」
lupa:luvan
「許 可 」
kampa:kamman
「く し」
p:v mp:mm
節 が 短 い 音 節(短
母 音 で終 わ る開 音 節)の 場 合 には,副 強 勢 は,第4音
「礎 」
silts:sillan
lt:ll
節 に お か れ,偶 数 番 目の 音 節 は無 強 勢 とな る. ka‐las‐tuk‐sen,ka‐las‐tuk‐ses‐tan‐sa
kanta:kannan
lp:lv
halpa:halvan
「安 い 」
rp:rv
arpa:arvan
「く じ」
k:〓 交
haka:haan
k:v
ka‐las‐ta‐mas‐sa,ka‐sit‐ta‐mat‐to‐mal‐la
「止 め 金 」
puku:puvun
:〓
ど」
「服 」〓
lanka:langan
「糸 」
複 合 語 の強 勢 のパ ター ンは,複 合語 を つ くっ て い る そ 替 〕
lk:l
jalka:jalan
「足 」
れ ぞれ の構 成 要 素 ご とに,上 の一 般 規 則 を適用 し,第
lk:lj
olki:oljen
「わ ら」
1構 成 要素 の主 強 勢 以外 の主 強勢 を 副 強 勢 に弱 め る こ
rk:r
virka:viran
「職 務 」
とに よ って え られ る.
rk:rj
kurki:kurjen
「ツ ル 」
hk:h
uhka:uhan
「脅 威 」
hk:hj
pohkeen:pohje
「ふ く ら は ぎ 」
yli=op‐pi‐las=tut‐kin‐to=lau‐ta=kun‐ta 文 の イ ン トネ ー シ ョン の特 徴 と して,文 叙 文,疑 問 文,等)に
の種 類(平
関 係 な く,文 末 が 下 降 音 調 にな
る こ とが あ げ られ る.
注:「 ふ くら は ぎ」の例 の み,強 階 程 が 単数 属 格,弱 階 程 が 単 数 主 格.
[語形 変化 と語 の 構 造] フ ィ ン ラ ン ド語 の 名 詞 (形容 詞,数 詞,代 名 詞 を含 む)と 動 詞 の 語 形 変化 は,
面,近 傍)」 と 「静 止 位 置― 起 点― 到 着 点」 の2つ の 基
膠 着 性 が 高 く,不 規 則 変化 が 少 な い.
準 に よ り,表4の
名 詞 は,数(単 数,複 数)と 格(14格;表3を 参 照) に よ って語 形 変 化 す る.格 語 尾 は,大 部 分 の場 合,単
名 詞 には,所 有 者 を表 わ す 接 尾 辞(所 possessive
よ うな体 系 を な す.
suffix;表5)が
有 接 尾 辞,
付 い て,「 私 の 家 で 」 「あ
複 共通 で あ り,そ れ ぞれ の格 形 は,単 数 で は 「語 幹 +
なた の 家 か ら」 の よう な意 味 を表 わ す が,そ の 場 合,
格 語 尾 」,複 数 で は 「語 幹 +複 数 標 識 + 格 語 尾 」 とい う
所 有 接 尾 辞 は,格 語 尾 の 後 ろ に付 く.所 有 接 尾 辞 は,
構 造 を して い る. 主 格 の 語 尾 はゼ ロ と考 え られ,し た
1人 称 と2人 称で は,所 有 者 が 単 数 で あ るか 複 数 で あ
が って,複 数 主 格 に現 わ れ る ‐tは,複
数標識の異形
態 と見 な され る.な お,共 格 と具格 には,単 数形 と複
るか が 区別 され るが,3人
称 で は そ の 区別 は な い . 単
数 主格,単 数 属 格,複 数 主 格 の3つ は,所 有 接 尾 辞 が
数 形 の 区別 が ない .
付 く と,形 が ま った く同 じ にな る.14の
14の 格 の う ち,内 格,出 格,入 格,接 格,奪 格,向 格
格 は,常 に所 有 接 尾 辞 が 付 い た形 で 用 い られ る.3人
の6つ は,場 所 関係 を 表わ す 格 と して,「内 部一 外 部(表
称 の所 有 接 尾 辞 は,‐nsa/‐nsaが
格 の うち,共
本 来 の形 で あ る が,
主 格,属
格,入
格,お
よ び,‐aa/‐aaで
tionaali,可
終 わ る単 数 分
格 形 以 外 で は,「 語 末 の 母 音 の 長 音 化 +n」 を 用 い る の が 普 通 で あ る.ま
た,話
し こ と ば で は,「 名 詞 + 所 有
接 尾 辞 」 の 構 造 は ほ と ん ど用 い ら れ ず,代
わ りに
た だ し,4つ
「人
詞 を修 飾 す る 場 合 に,名
み で あ る.動
詞 と,数
と格
talo,iso‐ssa
talo‐ssa,iso‐i‐ssa
詞 の 変 化 形 と本 動 詞 の 過 去 分 詞 去 分 詞 に は,主
純 時 制 の 動 詞 の 形 は,直
数 内 格,複
語 の 単 数,複 説法
現 在 が 「語 幹 + 人 称 語 尾 」,直 説 法 過 去 が 「語 幹 + 過 去 標 識(‐i‐)+人 称 語 尾 」,条 件 法 現 在 が 「語 幹 + 条 件 法 標
有 接 尾 辞 は,名
詞 に の み 付 き,形
容詞 に
識(‐isi‐)+人 称 語 尾 」,可
は 付 か な い.
能 法 現 在 が 「語 幹 + 可 能 法 標
識(‐ne‐)+ 人 称 語 尾 」,命 令 法 現 在 が 「語 幹 + 命 令 法 の
talo‐ni,iso‐ssa
talo‐ssa‐ni(そ
の 大 き な 家 」 の 単 数 主 格,単 形 容 詞 の 比 較 級,最 ‐mpi,‐inを
れ ぞ れ,「 私
人 称 語 尾 」 と い う構 造 を し て い る.受
上 級 は,そ
数 内 格)
幹 に
幹 に接 尾 辞
た 受 動 語 幹 か ら 導 か れ る.否
定 形 は,否
定 動 詞 と本動
詞 を 用 い て 分 析 的 に 表 わ さ れ,否 定 動 詞 が 人 称 変 化(た
iso,iso‐mpi,iso‐in(そ 較 級,最
動 形 は,語
受 動 の 標 識(‐tt(a)‐/‐tt(a)‐ ∼ ‐t(a)‐/‐t(a)‐)が 付 い
れ ぞ れ,語
付 け てつ くる.
級,比
語 のbe
数 の 別 が 表 示 さ れ る.単
数 内 格) こ の 場 合,所
iso
了 時 制 で は,英
形 を 用 い て 表 わ さ れ,過 talo‐i‐ssa
(そ れ ぞ れ,「 大 き な 家 」 の 単 数 主 格,単
純 時 制 と完 了 時 制 の 区 別 が さ れ る の
詞 の 変 化 形 は,完
動 詞 に あ た るolla動
に お い て 一 致 す る. iso
令 法imperatiivi)
の 時 制 が 区 別 さ れ る の は 直 説 法 の み で,
ほ か の 法 で は,単
称 代 名 詞 の 属格 形 + 名詞 」 が一 般 的 で あ る. 形 容 詞 は,名
能 法potentiaali,命
に よ っ て 語 形 変 化 す る(表6).
れ ぞ れ,「 大 き い 」 の 原
だ し,受
上 級)
動 で は3人
時 制,法(場
「数 詞 + 名 詞 」 の 構 造 で は,名
詞 が単 数 形 で 現 わ れ
る .1(yksi)以
外 の数 詞 が主 格 の とき名 詞 が 分 格 とな
る 点 を 除 き,数
詞 と名 詞 は,格
称 単 数 形 が 用 い ら れ る)し,受
合 に よ っ て は,主
語 の 単 数,複
も)は 本 動 詞 に 表 示 さ れ る . た だ し,命
(non‐finite
と え ば,
forms;不
定 詞,分
詞)が
数 の別
令 法 で は,否
定 動 詞 が 特 別 の 語 幹 と人 称 語 尾 を も つ.動
に お い て 一 致 す る.た
動,
詞 に 不 定形
多 い(表7)の
も フ ィ ン ラ ン ド語 の 特 徴 で あ る.
kaksi
talo‐a「2軒
の 家(kaksi「2」
は 主 格,
talo‐aはtalo「
家 」 の 分 格)」:kahde‐n
(属 格):kah‐ta
talo‐a(分
on(入
格):kahde‐lle
動 詞 は,人 称 の6つ
称(単
数,複
の ほ か に,「
定 人 称 形 が あ る),時 perfekti,現
格):kahte‐en
talo‐lle(向 数 の1人
称,2人
在preesens,過
在 完 了perfekti,過
perfekti),法(直
名
詞talo「
talo
根kirja「
本 」(古
く は,「
kirje「
称,3人
し る し,符
とよ ばれ る不
手 紙 」,kirjasto「
字 」,kirjava「
去im
か れ た,文
号 」 を 意 味 した)
図 書 館 」,kirjain「
jata「 書 留 に す る 」,kirjoa「
件 法kondi
し し ゅ う す る」,kir
jailla「 著 作 活 動 を す る 」
格
(nominatiivi,英nominative)
属
格
(genetiiv,英genitive)
分
格
(partitiivi,英partitive)
内
格
(inessiivi,英inessive)
出
格
入
「∼ の 」
「∼ の 中 で 」
複
数
talo
talo‐t
talo‐n
talo‐j‐en
talo‐a
talo‐j‐a
talo‐ssa
talo‐i‐ssa
talo‐sta
talo‐i‐sta
(elatiivi,英elative)
「∼ の 中 か ら 」
格
(illatiivi,英illative)
「∼ の 中 へ 」
talo‐on
talo‐i‐hin
接
格
(adessiivi,英adessive)
「∼ で 」
talo‐lla
talo‐i‐lla
奪
格
(ablatiivi,英ablative)
「∼ か
talo‐lta
talo‐i‐lta
向
格
(allatiivi,英allative)
「∼ へ 」
様
格
変
格
欠
格
(abessiivi,英abessive)
「∼ な し で 」
共
格
(komitatiivi,英comitative)
「∼ と い っ し ょ に 」
talo‐ine‐
具
格
(instruktiivi,英instructive)
「∼ で も っ て 」
talo‐in
ら」
数
talo‐lle
(essiiv,英essive)
「∼ と し て 」
(translatiivi,英translative)
「∼ に(な
る)」
talo‐i‐lle
talo‐na
talo‐i‐na
talo‐ksi
talo‐i‐ksi
talo‐tta
書
書 く」,kir
家」の格変化
主
文
色 と り ど り の 」,kirjallinen「
学 に 関 す る 」,kirjoittaa「
単
い し語 幹) と え ば,語
か ら,
去 完 了pluskvam
説 法indikatiivi,条
の 語 根(な
か ら さ ま ざ ま な 派 生 語 が つ く られ う る.た
格)
受 動 形passiivi」 制(現
派 生 接 尾 辞 が 非 常 に 多 く,1つ
talo‐n
talo‐i‐tta
場
所 格(local
cases)の
(interior cases)
静止位置 「∼ で 」
所
体系
内 部 格
外 部 格
local
(exterior cases)
有接尾辞 数
単 local
内 格:‐ssa/‐ssa
接 格:‐lla/‐lla
「∼ の 中 で 」
「∼ の 上(表 面,近
点
「∼ か ら」
称 ‐ni「私 の 」
‐mme「
私 た ち の」
2人
称 ‐si「あ な た の 」
‐nne「
あ な た た ち の」
3人
称
‐nsa/‐nsa∼
奪 格:‐lta/‐lta 「∼ の 上(表 面,近
入 格:‐(h)Vn,
単
ら」
向 格:‐lle
「∼ の 中 へ 」
格/接
「∼ の 上(表 面,近
on
ミッ コ
nyt
湖(内 格)
湖(接 格)
の 辺 に い る 」
格
Mikko
tulee
jarve‐sta/jarve‐lta.
くる
(出 格)
(奪 格)
「ミ ッ コ は 湖 か ら(上 が っ て)や
っ て く る/湖
の辺 か
らや っ て くる」
menee 行 く
「ミ ッ コ は 湖 へ(入
属
格
talo‐ni
talo‐j‐e‐ni
分
格
talo‐a‐ni
talo‐j‐a‐ni
内
格
talo‐ssa‐ni
talo‐i‐ssa‐ni
向
格
talo‐lle‐ni
talo‐i‐lle‐ni
格
talo‐mme
talo‐mme
属
格
talo‐mme
talo‐j‐e‐mme
分
格
talo‐a‐mme
talo‐j‐a‐mme
内
格 talo‐ssa‐mme
talo‐i‐ssa‐mme
向
格
talo‐i‐lle‐mme
talo‐lle‐mme
主
格talo‐si
talo‐si
属
格talo‐si
talo‐j‐e‐si
分
格talo‐a‐si
talo‐j‐a‐si
内
格talo‐ssa‐si
talo‐i‐ssa‐si
向
格talo‐lle‐si
talo‐i‐lle‐si
(向 格)
く/湖
ら に,こ
の 辺 へ 行 く」
れ らの 語 か ら,そ
の よ う な 語 が 派 生 さ れ る.
手 紙 で 」,kirjastollinen「
す る」,kirjaimisto「
「あ な た た ち の 家 」
図 書 館 に関
主
格
talo‐nne
talo‐nne
属
格
talo‐nne
talo‐j‐e‐nne
文 学,文
分
格
talo‐a‐nne
talo‐j‐a‐nne
登 録 」,kir
内
格
talo‐ssa‐nne
talo‐i‐ssa‐nne
向
格
talo‐ lle‐nne
talo‐i‐lle‐nne
ア ル フ ァ ベ ッ ト」,kirja
変 化 に と む こ と 」,kirjallisuus「
献 」,kirjoitus「
主
(入 格) っ て)行
と え ば,次
kirjeitse「
jonta「
書 く こ と 」,kirjaus「
し し ゅ う 」,kirjailija「
作家」
フ ィ ン ラ ン ド語 の 派 生 接 尾 辞 の 例 を,表8に 複 合 語 も 頻 繁 に 用 い ら れ,非
あ げ る.
常 に 長 い 単 語 もめ ず ら
し く な い. yli│oppilas││tutkinto│││lauta│kunta「
大学生試
「彼(女)の
家;彼(女)ら
格
talo‐nsa
talo‐nsa
属
格
talo‐nsa
talo‐j‐e‐nsa
分
格
talo‐a‐an
talo‐j‐a‐an
(∼ ‐nsa)
複 合 名 詞(複 合 形 容 詞)に は,次
の3つ
く こ と」 は,主
タ イ プ ラ イ タ ー 」(kirjoitus「
格
(∼ ‐nsa) talo‐lle‐en
tumma‐n│ruskea「
格 形)
(∼ ‐nsa)
(形容 詞)で あ る のが 通例 で,対 応 す る動 詞 句 が あ る と
人 類 」(ihmis‐
は,ihminen「
ヒ
い う特 徴 が あ る. 厳密 な 意 味 で の 複 合 動 詞 はま れ で, 複 合 動 詞 にみ え る もの は,複 合名 詞 か らの 逆 成(back
国 民経 済」 こげ茶 色 の 」
成 要 素 が そ れ 以 外 の 格 形(表9)
タ イ プ は,第2構
(∼ ‐nsa) talo‐i‐lle‐en
(∼‐nsa)
成 要 素 が属 格 形
kansa‐n│talous「
3の
向
(∼ ‐nsa) talo‐i‐ssa‐an
書
ト」 の 語 幹 形)
3)第1構
格talo‐ssa‐an
成要 素 が主 格 形 ま た は語 幹 形
ihmis│kunta「
2)第1構
内
のタイプがあ
る.
kirjoitus│kone「
の 家 」
主
験委員会」
1)第1構
talo‐ni
jarve‐en/jarve‐lle.
の よ う な 語 が 派 生 さ れ,さ
vuus「
数
talo‐ni
「あ な た の 家 」 格
Mikko
れ ぞ れ,た
複
格
「私 た ち の 家 」
jarve‐ssa/jarve‐lla.
い る 今
「 ミ ッ コ は 今 湖 の 中 に い る/湖
入 格/向
数
主
格
Mikko
出 格/奪
の 」
「私 の 家 」 出 格:‐sta/‐sta
傍)へ 」 例:内
‐Vn
「彼(女)の,彼(女)ら
「∼ の 中 か ら 」
傍)か
到 着 点 「 ∼ へ」
数
1人
傍)で 」 起
複
成 要 素 が 動 詞 か ら派 生 した 名 詞
formation)で
あ る こ とが 多 い.
huuto│kaupata「
競 売 す る」<huuto│kauppa「
競
売」 副詞 や後 置 詞 の 中 に は,格 語 尾 が 識 別 可 能 な もの が 多 くあ る.
動 〔 肯
定
詞puhua「
話 す 」 の語 形 変 化(完 了 時 制 形 を除 く)
形〕 《直 説 法 現 在 》
《直 説 法 現 在 完 了 》 olen
puhu‐nut
2
puhu‐t
2
olet
puhu‐nut
3
puhu‐u
3
on
puhu‐nut
単1
puhu‐n「
複1
単1
私 は話 す 」
複1
受
puhu‐mme 2
puhu‐tte
3
puhu‐vat
動
olemme
puhu‐neet
2 olette
puhu‐neet
ovat
puhu‐neet
on
puhu‐ttu
3
puhu‐ta‐an
受
動
《直 説 法 過 去 完 了 》
《直 説 法 過 去 》 単1
puhu‐i‐n「
単1
私 は 話 し た 」
2
olit
puhu‐nut
3
puhu‐i
3
oli
puhu‐nut
olimme
puhu‐neet
2
puhu‐i‐tte
複1 2
olitte
puhu‐neet
3
puhu‐i‐vat
3
olivat
puhu‐neet
oli
puhu‐ttu
puhu‐i‐mme
動
受
puhu‐tt‐iin
動
《条 件 法 完 了 》
《条 件 法 現 在 》 単1
puhu‐isi‐n
olisin
puhu‐nut
2
puhu‐isi‐t
2
olisit
puhu‐nut
3
puhu‐isi
3
olisi
複1
「私 は 話 す で あ ろ う 」
単1
puhu‐isi‐mme
受
複1olisimme
puhu‐neet
puhu‐isi‐tte
2
olisitte
puhu‐neet
3
puhu‐isi‐vat
3
olisivat
puhu‐neet
puhu‐tta‐isi‐in
受
動
olisi
《可 能 法 現 在 》 単1
puhu‐ne‐n
puhu‐ttu
《可 能 法 完 了 》
「私 は た ぶ ん 話 す で あ ろ う 」
lienen
puhu‐nut
2
puhu‐ne‐t
2
lienet
puhu‐nut
3
puhu‐ne‐e
3
lienee
puhu‐nut
複1
単1
puhu‐ne‐mme
lienemme
puhu‐neet
2
puhu‐ne‐tte
2
lienette
puhu‐neet
3
puhu‐ne‐vat
3
lienevat
puhu‐neet
動
複1
puhu‐tta‐ne‐en
受
動
lienee
《命 令 法 現 在 》 単2
puhu 3
puhu‐ttu
《命 令 法 完 了 》
「話 し な さ い 」
puhu‐koon
複1
単3
olkoon
puhu‐nut
olkoot
puhu‐neet
olkoon
puhu‐ttu
puhu‐kaamme
受
2
puhu‐kaa
3
puhu‐koot
動
koa「
複3
puhu‐tta‐koon
taalla/taalta「 外 で/外
「(∼ の)近
luona/luota「(∼
受
こ こ で/こ
こ か ら 」,ulkona/ul
形 が,後
か ら 」,lahella/lahelta/lahelle
くで/近
edesta/eteen「(∼
ま た,日
puhu‐nut
2
動
受
puhu‐nut
puhu‐i‐t
複1
受
olin
2
く か ら/近 の)前 の)許
で/許
か ら/前
置 詞 と し て 用 い ら れ る こ と も 多 い.
vali「 間 隔,す
く へ 」,edessa/
で/前
動
へ 」,
か ら」
本 語 の い わ ゆ る形 式 名 詞 に相 当す る名 詞 の格
valiin「(∼ [ 文 の 構 造]
き ま,あ
の)間
で/間
い だ 」>valissa/valista/ か ら/間
フ ィ ン ラ ン ド語 の 文 の 基 本 的 語 順 は,
「主 語 ‐動 詞 ‐そ の 他 の 成 分 」 で,形 詞 句,お
よ び,数
へ」
詞 は,と
容 詞 修 飾 句,属
格 名
もに修 飾 さ れ る名 詞 に 先 行 す
〔否
定
形〕 《直 説 法 現 在 》
単1
puhu
2
et
puhu
2
et
ole
puhu‐nut
3
ei
puhu
3
ei
ole
puhu‐nut
emme
puhu
emme
ole
puhu‐neet
2
ette
puhu
2
ette
ole
puhu‐neet
3
eivat
puhu
3
eivat
ole
puhu‐neet
ei
puhu‐ta
ei
ole
puhu‐ttu
複1
受
《直 説 法 現 在 完 了 》
en
動
単1
enole
複1
受
動
《直 説 法 過 去 》 単
《直 説 法 過 去 完 了 》
1
en
puhu‐nut
en
ollut
puhu‐nut
2
et
puhu‐nut
2
et
ollut
puhu‐nut
3
ei
puhu‐nut
3
ei
ollut
puhu‐nut
emme
puhu‐neet
emme
olleet
puhu‐neet
2
ette
puhu‐neet
2
ette
olleet
puhu‐neet
3
eivat
puhu‐neet
3
eivat
olleet
puhu‐neet
ei
puhu‐ttu
ei
ollut
puhu‐ttu
複1
受
動
単1
複1
受
動
《条 件 法 現 在 》 単1
《条 件 法 完 了 》
en
puhu‐isi
en
olisi
2
et
puhu‐isi
2
et
olisi
puhu‐nut
3
ei
puhu‐isi
3
ei
olisi
puhu‐nut
複1
受
単1
emme
puhu‐isi
emme
olisi
puhu‐neet
ette
puhu‐isi
2
ette
olisi
puhu‐neet
3
eivat
puhu‐isi
3
eivat
olisi
puhu‐neet
ei
puhu‐tta‐isi
ei
olisi
puhu‐ttu
複1
受
動
《可 能 法 現 在 》 単.1
《可 能 法 完 了 》
en
puhu‐ne
en
lienepuhu‐nut
2
et
puhu‐ne
2
et
liene
puhu‐nut
3
ei
puhu‐ne
3
ei
liene
puhu‐nut
emme
puhu‐ne
emme
liene
puhu‐neet
2
ette
puhu‐ne
2
ette
liene
puhu‐neet
3
eivat
puhu‐ne
3
eivat
liene
puhu‐neet
ei
liene
puhu‐ttu
複1
動ei
単1
複1
puhu‐tta‐ne
受
動
《命 令 法 現 在 》 単2 3 複1
受
puhu‐nut
2
動
受
puhu‐nut
《命 令 法 完 了 》
ala
puhu
alkoon
puhu‐ko
alkaamme
puhu‐ko
単3
2
alkaa
puhu‐ko
3
alkoot
puhu‐ko
alkoon
puhu‐tta‐ko
動
受
alkoon
olko
puhu‐nut
複 3
alkoot
olko
puhu‐neet
動
alkoon
olko
puhu‐ttu
る.前 置 詞,後 置詞 とも に用 い られ るが,後 置 詞 の 数
疑 問 詞(の 適 当な 格 形)で お きか え て文 頭 に移 動 させ る
の方 が圧 倒 的 に多 い.比 較 構 文 で 比 較 の基 準 を表 わ す
(2c)こ
名詞 句 は,形 容 詞(の 比 較 級)の 前 に現 われ る こ と も後
の他 の成 分 の語 順 は,そ の ま ま に保 た れ る のが 普 通 で
ろ に現 わ れ る こ と もで き る(表10の
あ る.
例 文1a,1b).
とに よ ってつ くられ る.い ず れ の場 合 も,文
疑 問 文 は,文 の 成 分 の どれ か に前 接 語 ‐ko/‐koを付
従 属 節 に は,接 続 詞 を用 い る もの(3a,3b)と
けて 文 頭 に移 動 さ せ る(2b)か,文
詞 の不 定 形 を用 い る もの(4a,4b)と
の 成 分 の どれ か を
動
が あ る.た だ し,
動 第1不
詞puhua「
話 す 」 の 主要 な 不 定形
る性 質,特 徴 を も って い る こ とを表 わ す 形 容 詞
‐inen
「日 の あ た る 」 ‐kas/‐kas
短 形 puhu‐a
「話 す 」
長 形 puhu‐akse‐ni
「私 が 話 す た め に 」
puhu‐akse‐si
「あ な た が 話 す た め に 」
puhu‐akse‐en
「彼(女)が
puhu‐akse‐mme
「私 た ち が 話 す た め に 」
puhu‐akse‐nne
「あ な た た ち が 話 す た め に 」
puhu‐akse‐en
「彼(女)ら
話すために」
が話すために」
9.あ
内 格 puhu‐essa
10.副
‐(i)ttain
(受 動) puhu‐tta‐essa
「話 し な が ら」
具 格 puhu‐en
11.使
「話 す こ と で 」
vari‐ton 「無 色 の 」
<vari 「色 」
ahkera‐sti 「勤 勉 に 」
d
女 た ち を 略 奪 して
結 婚 し た と い う 伝 説 に み ら れ る よ う な,原 ラ テ ン人 と, オ ス ク ・ウ ン ブ リア 語 の 話 し 手 の う ち の1つ
し か し,こ
れ らの一 部 は他 の 印 欧語 に も共通 す る特 徴
プ と が 合 体 し て,1つ
で あ り,一
部 は一 般 的 な音 声 変化 の現 象 で あ る. 残 り
の 類 似 性 が 生 ま れ た も の と 考 え ら れ る.
の 特 徴 も,地
理 的 に 隣 接 す る 言 語 か ら音 声 と音 韻 体 系
イ タ リ ッ ク 語 派 と ケ ル ト語 派 が,印 に,し
そ れ ら の 言 語 現 象 の 類 似 か ら,ラ
タ ロ ・ケ ル ト説(Italo‐Celtic
テ ン語 を 含 む イ タ リ
ッ ク 語 派 の 存 在 を 推 定 す る こ と は で き な い. くの
終 わ る 奪 格 形 が,o語
幹 以 外 の 型 に も広 ま
っ た こ と. 神 苑 」:オ
古 ラ テ ン 語mihei「 「自分 に 」:ウ
ン ブ リ ア 語mehe「
君 に 」,sifei
私 に 」,tefe「
君
自分 に」
説 法 未 完 了 過 去 の 形 成 法.
印 欧 祖 語*qwis>
オ ス ク 語pis,ウ
ェ ール ズ 語
変 化 が,両
語 派 に共 通 で
だれ」
ラテ
ン 語er‐a‐nt)は,ラ
テ ン 語 のama‐ba‐nt「
彼 ら
は 愛 して い た 」 と 同 じ接 尾 語*‐bhua‐ ス ク)/‐ba‐(ラ
〉 ‐fa‐(オ
テ ン)を 用 い て い る.
pinp;ラ
テ ン 語quinque;,オ
「あ る 」の 接 続 法 未 完 了 過 去3人
ち ら も,
称 単 数 で,‐si‐/
テ ン語 は
,母
音 間 で
s>r)
domini「 4)‐rに
神 に 捧 げ ら れ る 」:オ
ラ テ ン語observ‐a‐tum「 形 容 詞(gerundivum)の
オ ス ク語sakra‐nn‐as「
息 子 の 」,ラ
人 は 運 ば ね ば な ら ぬ 」,ア 人 は運 ぶ 」
よ る 受 動 相 と形 式 受 動 相,
ラ テ ン 語sequor「
従 う 」,sequitur;ア
同」
欧 祖 語*bhu(「
あ る 」)に 由 来 す る ラ テ ン語 の ル ト語 の ‐f‐に よ る 未 来 と
の 対 応,
捧 げ ら れ る べ き 」:ラ
同 」(‐nn‐ < ‐nd‐:同 化)
7)語
根 に ‐a‐ま た は ‐s‐を 加 え て っ く る 接 続 法,
ラ テ ン語advenat「 テ
私 は 立 ち去 るだ ろ
テ ン 語abi‐b‐o「 同 」
ア イ ル ラ ン ド語bera「
形 成 法.
イルラ
ン ド語sechur,sechithir
う 」;ラ
観 察 す る た め に 」:
テ ン語
主人 の 」
ア イ ル ラ ン ド 語leic‐f‐ea「 形 成 法.
ウ ン ブ リア 語anzeri‐a‐tu「
ン 語sacra‐nd‐ae「
スク
同」
的 分 詞(supinum)の
ス ク ・ウ ン ブ リア
‐i,
‐b‐に よ る 未 来 と,ケ
ラ テ ン語sacra‐tur「
ウ ェー ル ズ 語
よ る 非 人 称 形,
5)‐rに
6)印 よ る 受 動 相.
語sakara‐ter「
幹の単数属格
ア イ ル ラ ン ド 語maqi「
イ ル ラ ン ド語berir「
テ ン語fo‐re‐t(ど
‐re‐ が 対 応 し て い る;ラ
ア イ ル ラ ン ド語coic,古
ウ ン ブ リ ア 語ferar「
続 法 未 完 了 過 去 の 形 成 法.
オ ス ク 語fu‐si‐d:ラ
イ タ ロ ・ケ ル ト語*qwen
qwe,古
3)o語
彼 ら は ∼ で あ っ た 」(=
7)動
タ リ ッ ク語 の 一 部 とケ
語*pompe「5」
オ ス ク 語fu‐fa‐ns「
6)目
変 化 が,イ
印 欧 祖 語*penqwe>
私 に 」,tibei「
に 」,オ ス ク 語sifei「
5)‐rに
唱 え られ た こ
あ る こ と,
称 代 名 詞 の 与格 単 数 .
4)接
1)*qw>pの
2)*p―qw>qw―qwの
ス ク 語slaagid
「境 界 」
3)直
theory)が
の 根 拠 と さ れ る 両 語 派 の 共 通 点 は,
pwy「
古 ラ テ ン 語loucarid「
2)人
欧語 族 の分 裂 後
ル ト語 の 一 部 と に み ら れ る こ と,
類 似 点 が み ら れ る. 1)‐dに
言語
ば ら く同 一 の 言 語 集 団 を な し て い た と い う,イ
と が あ る.そ
下 の よ う な,多
の グ ルー
の 社 会 を 形 成 し た 結 果,両
の 影 響 を 受 け や す い と い う一 般 言 語 現 象 に 照 ら して,
重 要 な の は 形 態 上 の 類 似 で,以
な る隣
触 れ る 要 素 ま で 交 換 さ れ る こ と は あ り え な い か ら,ロ
声 帯 気 音 の 無 声 摩 擦 音 化(*bh,
*dh ,*gh>f,f,h);母
か も,単
や 時 称 や 法 の よ うな文 法 構 造 の根 幹 に
運 ぶ 」,tiasu「
行 く」;古
着 く」,faxo=fac‐s‐o「
作
る」 8)比
較 級 と 最 上 級 の 形 成 法(‐tero‐
に よ る比 較 級
と,‐isto‐に よる 最 上級 を失 っ た こ と),
ラテ ン語 に は ケ ル ト語 お よび ゲ ル マ ン語 と共 通 す るか
な どで あ る.し か し,こ れ らの事 実 も,イ タ ロ ・ケ ル
な りの数 の語 が あ る .原 ラテ ン人 は,紀 元 前 第2千 年
ト説 を裏 付 け るの に は不 十 分で あ る.た
紀 の終 わ りに近 い ころ,北 か らイ タ リア半 島 に 侵 入 し,
タニ ッ ク語(Britannic)と 通 の*qw>pに
とえ ば,ブ
リ
オス ク ・ウ ンブ リア 語 に共
つ い て 言 えば,印 欧祖 語 の語 頭 の*p‐
が ケ ル ト語 で す べ て 消 失 した とい う事 実 に 照 ら して, ブ リタ ニ ッ ク語 に お け る*qw>pの
現 象 は,共 通 ケ
しば ら くは北 イ タ リア に滞 留 して い た が,前1千
年こ
ろ南 下 して,ラ テ ィ ウ ム に 定 住 した,そ の 少 しあ とで, オ ス ク ・ウ ン ブ リア語 の話 し手 が,東 か らア ド リア 海 を渡 って イ タ リア に侵 入 し,そ の 一 部 が ラ テ ィ ウム に
ル ト語 の時 期 よ り も あ とで 生 じた もの,し た が って,
入 って原 ラテ ン人 と融 け合 った.ラ テ ン語 は,こ
オス ク ・ウ ンブ リア語 とは 無関 係 に 発 達 した もの で あ
て 原 ラテ ン人 の 言 語 と オ ス ク ・ウ ンブ リア語 の1方 言
る.ま た,た
との 融 合 に よ って 成 立 し た.イ
とえ ば,語 根 に ‐a‐を付 け る接 続 法 は ア
うし
タ リア 侵 入 の 以 前 に
ル カ イ ズ ム で,他 の語 派 で は 除去 され,ケ ル ト語 とイ
は,両 言 語 は か な り違 っ た こ と ばだ ったが,融 合 の結
タ リッ ク語 に の み残 った もので あ る.
果,語 彙 の 面 の み な らず 文 法 面 にま で類 似 が 生 じた.
語 彙 の 点 で も,イ タ リ ック語 派 とケ ル ト語 派 に のみ 共 通 す る一連 の語 が 指 摘 され た.し
か し,こ の点 で は,
さ らに 一 歩進 ん で,ケ ル ト語,ゲ ル マ ン語,イ ク語,バ ル ト・ス ラ ブ語 を含 み,ギ
タ リッ
リシ ア語 を除 い た,
イ タ リア に 侵 入 した 民 族 は,ほ か に も多 い.ラ
テン
語 は,そ れ らの 諸 民族 の こ とば か ら,大 な り小 な り影 響 を 受 け た.ま ず,シ ケ ル 人(Sicels,Siculi;シ ア人)は,原
チ リ
ラ テ ン人 よ り も早 くか ら,イ タ リア,特
西 グ ル ー プ の存 在 が 考 え られ,北 西 文 明 が か つ て 存 在
に ラ テ ィ ウ ム に 住 ん だ 印 欧語 民族 で,の ち に,シ チ リ
した とい う説 が唱 え られ た こ とが あ る. これ らの 語派
ア に移 住 した.ラ テ ン語 に,何
に 共通 の語 は確 か に多 数 あ り,し か も,そ れ らは 基本
とが推 測 され る,同 様 に,印 欧 語 民 族 のイ リ ュ リア 人
らかの 影 響 を 与 え た こ
語 彙 で あ って,共 通 の 祖 先 を推 定 す るの に 十 分 な 証拠
(Illyrians,Illyri)は,前8世
で あ る と考 え られ た.し か し,西 グ ル ー プ の 中 に ラ テ
長 い期 間 にわ た って,イ
ン語 に欠 けて い る重 要 語 が あ った り,逆 に,広
海 岸 地 方 の諸 方 言 にイ リ ュ リア語 の 名 残 りがみ られ,
く印 欧
紀 後 半 を頂 点 と す る
タ リア を侵 害 した.特 に,東
語 にわ た る語 で 西 グ ル ー プ に は 見 い だ され な い も の
ラ テ ン 語 に も若 干 の イ リュ リア 語 系 の語 が あ る.ま
が,ラ テ ン語 の 中 に あ る こ とに加 え て,ギ
た,イ
リ シア語 と
リュ リア 人 は,ギ
リシア 語 とギ リシ ア文 化 を イ
ラ テ ン語 に共 通 で,他 の 西 グ ル ー プ に は な い語 もあ る.
タ リア に もた らす 橋 渡 しの役 を演 じた ら しい.ヴ
語 彙 の 点 か ら系 統 を 論 ず る こ とは,は な は だ危 険 で あ
ト語(Venetic)も
る.
方 向 か ら北 イ タ リア に 入 り,ラ テ ィ ウム に ま で言 語 的
イ タ リッ ク語 とケル ト語 が,イ ヒッ タイ ト語,ト
ン ド ・イ ラ ン語 派,
カ ラ語(Tocharian)と
は共 通 に もつ
印 欧 語 に属 し,前9世
ェネ
紀 こ ろ,北 東
影 響 を及 ぼ した. エ トル リア 人(Etruscans,Etrusci)は,前8世
紀
け れ ど も,中 央 部 の ギ リシ ア語,ゲ ル マ ン語,バ ル ト・
に トス カ ナ(Toscana)地
ス ラブ語 に は欠 けて い る特 徴 も あ り,こ の こ とか ら周
族 で,次 第 に 支 配 圏 を 広 げ,前7世
辺現 象 が 提唱 され た こ とが あ る.し か し,こ の 説 は,
そ150年
共 時 言語 学 に のみ 適 用 され るべ き 方 言 地 理 学 の 方 法
政治 的,文 化 的 な影 響 が 大 きか っ たわ りには,ラ テ ン
を,通 時 的 に,し か も,資 料 の 年 代 の は る か に異 な る
語 に残 した 痕 跡 は 少 ない . 人 名 や 地 名 に はエ トル リア
諸 言 語 に応 用 す る とい う誤 りを 犯 して い る.
起 源 の もの が 多 く,人 名 体 系(個 人 名,氏 族 名,家 名)
ラテ ン語 は,印 欧 語 の 中 の ケ ン トゥム(centum)グ
方 に移 住 した非 印 欧 語 系の 民 紀 後 半 か ら,お よ
間,ラ テ ィ ウ ム の 大 部 分 とロ ーマ を支 配 した.
もエ トル リア 人 の習 慣 に 由来 す る.普 通 名 詞 の 借 用 は
ル ープ に属 す るが,し か し,ケ ン トゥム グル ー プ とサ
少 ない.し か し,そ れ以 上 に重 要 な の は,エ
テ ム(〓)グ
語 が ギ リシア 語 か らの多 数 の借 用 語 を ラ テ ン語 に もた
ル ー プ の 分 類 も,こ の 特 徴 が 他 の諸
特 徴 と一 致 しな い こ とか ら,ラ テ ン語 の 系 統 の 究 明 に
ら した こ とで あ る.
と って は 重 要 性 を もた な い.
ギ リシア 人 は,前8世
結局,印
に植 民 活 動 を開始 した.彼
欧 祖語 の 分 裂 の 時代 か ら歴 史 時 代 ま で の 間
トル リア
紀 に,南 イ タ リア と シチ リア らは,出 身地 の方 言 を,そ
に,ラ テ ン語 が 他 の い ず れ か の語 派 と同 一 グル ー プ を
の ま まイ タ リア に もち込 ん だ の で,植 民都 市 に もギ リ
つ く って い た と推定 す る の に十 分 な証 拠 は ない.確 か
シア語 の方 言 差 が存 続 し た.ギ
なの は,ラ テ ン語 が 他 の 印 欧諸 語 と複 雑 な関係 を もち,
年 ま で に,エ
類 似点 も相 違 点 も示 して い る こ とだ けで あ る.
は,エ
[成
立]
リシ ア文 化 は,前600
トル リア人 の 間 に深 く浸 透 した . ロー マ
トル リア 人 を仲 介 者 に して,ギ
リシア 語,ギ
リ
原 ラ テ ン人 は,か つ て,ヨ ー ロ ッパ 大 陸
シア文 化 の 影 響 を 受 け た. ギ リ シア語 の どの 方 言 か ら
の 中央 部 にい て,ケ ル ト人 お よび ゲ ル マ ン人 と隣 接 し
の借 用 語 な の か,ま た,そ れ が いつ 頃 ラ テ ン語 に入 っ
て 共通 の 文 化 圏 をつ くって い た ら し く,こ の た め に,
た のか,に つ い て の おお よそ の判 別 が 可 能で あ る. た
と え ば,macina「
機 械 」 は,ア
ッ テ ィ カ ・イ オ ー ニ ア
方 言(Attic‐Ionic
dialects)のa>
η の 変 化 を経 て い
な い か ら,ド
ー リス 方 言(Doric
か ら 入 っ た も の で あ る.デ
dialects)の〓
ィ ガ ン マ(F)は,ア
ッテ
も の で あ る.ラ し た か ら,こ
は,早
テ ン語 の 語 中 母 音 は,前4世
〓 ,macina<〓
紀 に弱 化 丸天井」 <
な ど は,そ
れ以 前 に 入
エ ト ル リア 語 の 影 響 の み ら れ る ギ リ シ ア 語 か ら の 借 トル リ ア 人 が ラ テ ィ ウ ム を 支 配 し た 時 代 に
入 っ た も の で あ る . た と え ば,amurca「 〓やgubernare「
油 の 泡」 <
操 舵 す る 」 <〓
み られ る 破 裂 音 の 不 安 定,cotoneum「
に
マ ル メ ロ」 <
〓に お け るt<dとo<u,cisterna「 下 水 槽 」 <〓
とlanterna「
地
灯 火 」 <〓
み ら れ る エ トル リア 語 の 接 尾 辞 ‐na,な る.陶
に
どが そ れ で あ
か め 」 <〓,な
ど),演
リ ア 語 を 経 由 して い る(た
劇 用 語 も エ トル
と え ば,persona「
〓 <〓).elementa「 リ シ ア 語*elepanta「 のp>mの
文字」 < ギ
象 牙 文 字 」 に は,エ
変 化 が み ら れ,forma「
リ ア 語*morma<〓
は,エ
〓の 変 化 を 受 け た の ち に,異 f―mに
仮 面 」<
トル リア 語
形」<
エ トル
紀 末 に,ケ
が,ラ
馬,馬
車,戦
女解放奴隷」
な ど の 音 韻 変 化 が み ら れ,さ
に は,ロ
争,衣
ら に,語
ー マ を荒 ら した
cra=cras「
明 日」,sta=stat「
ま た,次
の 点 も,フ
4)第2変
ァ レ リイ ー 方言 の特 徴 で あ る.
化 単 数 与 格‐oi.
zextoi=sexto「6番 5)3人
目の 」
称 単 数 ‐d.
douiad=det「 6)‐f‐
与える」の接続法
に よ る 未 来.
pipafo=bibam「 7)畳
立 つ 」,mate
母」
飲 む で あ ろ う」
音 完 了. 作 っ た 」(?)
プ ラ エ ネ ス テ(Praeneste)の
前6世
畳 音 完 了fefaced(=fecit「
紀 の 碑 文 で は,
作 っ た 」)に,中
弱 化 が ま だ み ら れ な い.ま
た,母
節 でi>e(fileai=filiae「
間 母音 の
音 前 お よび 語 中 開 音
娘 」),‐r‐ の 前 の 閉 音 節
で は 逆 にe>i(Mirquirios=Mercurius)と
なる
地 の 田 舎 方 言 に, ー マae),ai>e(ロ
ae),ei>e(ロ
ー マi),oi>o(ロ
eu>ou>o(ロ
ー マu),au>o(ロ
ーマ ー マu), ー マau)
な ど の 二 重 母 音 の 単 母 音 化 が み ら れ る . 第2変
ル ト語 は,ラ
服 な ど に関 す る若 干
主 格 ‐es,単
数属格
‐us(‐os)な
化複数
ど も各 地 に 現 わ れ て
い る.
の 語 を 与 え た. そ の ほ か に も,ベ
リ ン ツ ォ ー ナ(Bellinzona)付
近
ロ ー マ 自 体 の 古 ラ テ ン 語 の 最 古 の 碑 文 は,前5世
に い た 謎 の 民 族 が 使 っ て い た 印 欧 語 系 の レ ポ ン ト語
の も の で あ る が,前3世
(Lepontic)や,系
っ て し て も理 解 不 能 で あ り,わ
か ら,エ
末 子 音s,t,r
な ど が 失 わ れ て い る.
語 末 のai>a(ロ
テ ィ ウ ム に は 定 住 し な か っ た.ケ
テ ン語 に,乗
loferta=liberta「
そ の ほ か,各
化 に よ っ て,m―mが
ル ト人 が イ タ リ ア に 侵 入 し て,北
部 平 野 を 占 領 し た . 前390年
長官」 ー マi),
変 化 を 示 し て い る.
ト ル リ ア 語 でm<
変 わ っ た も の で あ る.
前5世
ー マ‐b‐),
ー マae),
fifiked=finxit「
器 の 名 は,す べ て エ トル リ ア 語 か ら入 り(urna,
urceus「
2)*ai>e(ロ
=mater「
っ た と 推 定 さ れ る.
用 語 は,エ
>‐f‐(ロ
欠 くで あ ろ う 」
3)*ou>o(ロ
い 時 期 に入 っ た
の 現 象 の み ら れ るcamera「
音 間 の*‐bh‐
pretod=praetor「
ィ カ ・イ オ ー ニ ア 方 言 で は も っ と も 古 くか ら消 え,ド
オ リー ブ 」 <〓
1)母
carefo=carebo「
ー リス 方 言 で は し ば ら く残 っ た の ち に 消 え た か ら, oliva「
出 土 の 碑 文 で は,
統 不 明 で,一
トル リ ア,ラ
時 は ポ ー(Po)川
テ ィ ウ ム,コ
ル シ カ,シ
ま で 及 ん で い た リ グ ル 語(Ligurian)な
流域
チ リア に
ど が,何
の 形 で ラ テ ン語 に 影 響 を 与 え た と 思 わ れ る.さ
らか ら に,
ず か2世
語 は,碑
文 の ほ か に,キ
前106∼43)や
ケ ロ ー(M.Tullius
名 を 提 供 し た 可 能 性 が あ り,plumbum「
28)が 保 存 し て い る 占 い 用 の 定 句,カ
ゆ り」,laurus「
「い ち じ く」 な ど は,基 [古 ラ テ ン 語]
月 桂 樹 」,ficus
層 語 に 由 来 す る と 思 わ れ る.
文 学 作 品 が 生 ま れ る,前3世
紀 後
ラテン
Cicero,
法 律 家 が 引 用 し て い る 十 二 表 法(前5世
紀)の 法 文,ワ
「す み れ 」,lilium「
紀 の 間 に,ラ
テ ン 語 が 激 烈 に 変 化 し た こ と を 示 し て い る.古
地 中 海 基 層語 が地 理 的 特 色 を表 わ す 語 や土 地 の動 植物 鉛 」,viola
紀
紀 の 古 典 ラテ ン語 の 知 識 を も
ル ロー(M.Terentius
Cato,前234∼149)の
Varro,前116∼ トー(M.Porcius
農 業 書 に 記 録 さ れ て い る 祈祷 文
な ど か ら 知 る こ とが で き る. 原 ラ テ ン 人 は,ラ
テ ィ ウ ムの 各 地 に分 散 して 田園 共
同 体 を 形 成 し,ゆ
る い同 盟 関係 に よ って 相 互 に結 ばれ
と古 典 期 の 作 家 の 引 用 に よ っ て 知 られ る . 古 ラ テ ン 語
て い た が,前4世
紀 に,ロ
は 多 く の 方 言 に 分 か れ,ロ
市 を 吸 収 し て い っ た . そ の 結 果,他
半 に 至 る ま で の ラ テ ン語 は,古 ラ テ ン 語 と よ ば れ,碑 文
つ に す ぎ な か っ た.た
ー マ の ラ テ ン語 もそ の ひ と
と え ば,フ
ァ レ リ イ ー(Falerii)
ー マ の 力 が 増 大 して 他 の 都 の方言が次第 にロ
ー マ の ラ テ ン語 に お き 換 え ら れ る と と も に,地
方の人
々 の 首 都 ロ ー マ へ の 流 入 に と も な っ て,田 形 が,ロ
ー マ の ラ テ ン 語 に,多
「赤 い 」,robigo「 マu)の
な ど に は,au>oが
音 間 のs>r)の
し,rufus「 b,dに
対 応 す るfを
チー
ー タ シ ズ ム
な い 田舎 方 言 に 由来
赤 毛 の 」,vafer「
ursus「
洗 わ れ た」
現 わ れ て い る.caseus「 カ エ サ ル 」 な ど は,ロ
(rhotacism;母
ー
尾 」,lotus「
ず る い 」 な ど は,都
示 し て い る.furnus「
く ま 」 は,or>urと
の
か ま ど」,
い う方 言 形 か ら 入 っ た
も の で あ る.
位 が 確 立 す る と,ラ
タ リア に お け る 政 治 的 優
語 を 非 常 に 豊 か に し て,や [古 典 ラ テ ン 語]
れ が ラテ ン
狭 義 の 古 典 期 は,前1世
あ る が,広
義 に は,前3世
典語は文語で
の 古 典 ラ テ ン 語 を さ す.以
古 典 ラ テ ン 語 の,文
字 と音 韻,文
を 改 良 し た も の で,エ 変 わ り,こ
Vを
法,話
典 期 中 葉 に,ギ
のmは,古
音 間 で は,古
ラ テ ン語 の
転 化 し た(ロ ー タ シ ズ ム).古
典語 の母音
ど か ら 変 わ っ た も の,あ
る
の 後 の 借 用 語 で あ る. 頭 に 強 い ス トレス ア ク セ ン
中 母 音 の 弱 化(can‐o「
ク セ ン トの 移 動 の 結 果,後
か ら2番
代 を通
な ら ば,そ
常,ラ
音 節(短 母 音 を も つ 開 音 節)な
下 に,
節 に ア ク セ ン トが お か れ る,と
目 の音 節 が長 音 節 る い は 閉 音 節)
こ に ア ク セ ン トが お か れ,ま ら ば,後
た,そ
れ が短
か ら3番
目の 音
い う規 則 に 変 わ っ た.
cru‐de‐lis「 残 酷 な 」,per‐pau‐per「 い 」,ma‐gis‐ter「 しか し,こ
歌 う 」:
典 期 に は,ア
(長 母 音 ま た は 二 重 母 音 を 含 む 音 節,あ
ギ リシ ア文 字
典
の韻 律 の計 測 の
非常に貧 し
先 生 」,dif‐fi‐ci‐lis「難 し い 」
の ア ク セ ン トが ス ト レ ス で あ っ た か ピッ
チ で あ っ た か は,議
れ を 変 形 し てGが
の文 法 学 者 は ピッチ で あ った こ と を ほ の め か し て い
つ く ら れ た.
除 く21文
字 で あ った
リ シア語 か らの 借 用 語 の 記 述 の
使 わ れ は じ め,ま
た,近
世 に な っ て,
音(I,U)と
子音
世 ヨ ー ロ ッパ 語 に 使 わ れ て も,
ラ テ ン 語 の 正 書 法 で は 用 い な い.小 書 体 か ら発 達 した も の で,古
文 字 は,の
代 に は,大
る.ま
た,詩
論 の 分 か れ る と ころ で あ る. 古 代
の リズ ム が ア ク セ ン トを 無 視 し た 音 節 の
長 短(quantity)に
よ っ て つ く ら れ て い る こ と か ら,ピ
ッ チ 説 を と る 学 者 が フ ラ ン ス と イ タ リ ア に 多 い.し し,ア
ち に草
文 字 し か なか
った.
か
ク セ ン トの 直 後 の 音 節 の 母 音 消 失 の 例 が あ る こ
と(audaciter>audacter「
区 別 の た め に 使 わ れ る よ う に な っ た.Wは,
重 ね た 文 字 で,近
に母 音 で始 ま
トル リア 人 の 仲 介 を 経 た た め に,
変 形 し たJとUが,母
格 の 短 音 化(iambic
大 胆 に 」),い
shortening)の
「愛 す る」,mihi>mihi 「
わ ゆ る短 長
存 在(amo>amo
私 に 」),お よ び,詩 人 た ち が
詩 行 の 終 わ り の 方 で ア ク セ ン ト と イ ク ト ゥ ス(ictus, 韻 律 上 の 強 め)を 一 致 さ せ よ う と す る 努 力 な ど か ら,ギ
母 音 は,a,e,i,o,uの5母
音 体 系 で,長
短 母 音 の 区 別 が あ る . の ち に,ギ 語 に,yが
れ に,偶
の 短 母 音 の 隣 接 か ら 生 じ た,eu,ei,uiが だ し,euは,ギ
で あ る が,発
音 が[ai][oi]で
字 通 り に[ae][oe]で
あ っ た か は,議
リシア 語 に 近づ け よ う とす る規 範 的 思 考
か ら出 た も の で あ ろ う.実
加
節 が,同
ら か に/ai//oi/
あ っ た か,そ
トレスの 存在 は否 定 で きな い . 古 代 の 学 者
発
リシア 語 か らの 借 用語
で は 純 二 重 母 音 で あ る.ae,oeは,明
リ シ ア 語 と は 異 な る 性 質 の ア ク セ ン トで あ る こ と が 推 定 さ れ,ス の 記 述 は,ギ
重 母 音 は,ae,
類 が 純 粋 な 二 重 母 音 で,こ
え ら れ る.た
母音 と
リシア語 か ら の 借用
使 わ れ る よ う に な っ た.二
oe,auの3種 的 に2個
に,次
と ん ど消 滅 し た.こ
の 後 にssな
い は,そ
し こ と ば,詩
ラ テ ン 文 字 は,西
は じ め は,J,U,W,Y,Zを
た め にY,Zが
テ ン語 本 来 の 語 に も 転 用 さ れ 化 し て,特
際 に は 無 視 さ れ た.sは,母
文 の こ とば につ い て 記 述 す る.
字 と 音 韻
(J,V)の
末 のmは,弱
る 語 が く る と,ほ
用 い
を 転 写 す る 際 に は,ph,
ce‐cin‐i「歌 っ た 」)か ら 推 定 さ れ る.古
紀 末 か ら 後2世
韻 と 文 法 の 変 化 は あ ま り な か っ た.通
IとVを
た.語
は,xを
文
の 有 気 無 声 破 裂 音 が,pulcher
「美 し い 」 の よ う な,ラ
トが あ っ た こ と が,語
紀(黄
テ ン語 と 言 え ば,こ
〓はCに
用 い た.こ
書かれ
音 と 同 じuの
重 子 音 の[ks]に
リ シ ア 語 の〓,〓,〓
th,chを
リ シア 語
加 え ら れ る.近
代 わ り に,母
古 ラ テ ン 語 の 時 期 に,語
が て 古 典 期 を 迎 え る.
語 の よ う に 時 代 的 変 遷 を 経 る こ と が 少 な く,古
が,古
る.ギ
間 のsは,そ
度 確 立 す る と頑 固 に 継 承 さ れ て い くの で,口
1)文
れ に,ギ
区 別 す る た め にjと
字 を 使 う こ と も あ る.二
時 代 にrに
紀 ま で を 古 典 期 と よ ぶ こ とが で き る.古
の こ と ば,散
音 のiと
る こ と も あ り,v[w]の
リシア 植
移 住 者 を 首 都 に迎 え 入 れ る こ と に な り,こ
じ て,音
世 以 後,iは,母
び た だ しい 数 の 新 しい
テ ィ ウ ム の み な ら ず,ギ
民 都 市 を 含 む 半 島 全 体 か ら,お
あ り,一
音 で,こ
語 で は 標 準 化 に よ っ て 復 活 し た が,詩
ロ ー マ の 力 が 増 大 して,イ
金 時 代)で
r,f,s,h,i,vの15子
か ら の 借 用 語 を 表 記 す る た め のzが
数 入 り 込 ん だ.robus
さ び 」 な ど は,*eu>ou>o(ロ
方 言 形 を 示 し,coda「
ズ 」,Caesar「
舎 の語 や語
れ と も,文
論の分かれ ると
時 に,高
際 に は,ス
トレス の あ る音
い ピ ッチ を 併 せ も って い た もの と思
わ れ る. Ⅱ )文
法の概略
1)語 あ っ て,名
の 形 成 詞,形
ラ テ ン 語 は,印 容 詞,代
こ ろ で あ る.
詞 は,屈
子 音 は,p,b,t,d,k(=c,q),g,m,n,l,
幹 と 屈 折 語 尾 か ら な り,語
折(inflection)を
名 詞,お
欧 語 系 の屈 折 語 で
行 な う.屈
よ び,動
詞 の4品
折 す る語 は,語
幹 は さ ら に,語
根 と接 辞 に
分 け ら れ る(副
詞,前
置 詞,接
変 化 詞 に つ い て は,記 語 根 は,語
続 詞,感
嘆 詞 な どの 不
屈 折 語 尾 は,名 と格 を,動
述 を 省 略 す る).
の 基 本 的 な 意 味 を 表 わ す 部 分 で,品
詞の
詞,形
容 詞,代
わ し,そ
詞 の 場 合 に は,人 の た め に,し
名 詞 の 場 合 に は,数
称,数,相(態)な
ば し ば,名
枠 を越 え て,名
詞 と 動 詞 の 間 で 共 通 で あ る.し
か し,
人 称 語 尾 な ど と い う 名 称 が 使 わ れ る.屈
多 く の 場 合,語
根 は 理 論 的 な も の に す ぎ ず,接
辞 と密
た,特
着 し て 語 幹 を 形 成 し て い る た め に,判
別 が 困 難 で あ
に 名 詞,形
容 詞,代
同 一 の 語 根 で も,母
音 交 替 に よ っ て,い
態 を も つ こ と が あ る.印 が 推 移 し た り,類
くつ か の 形
欧 語 本 来 の 母 音 交 替 は,音
推 が は た ら い た 結 果,ラ
か な り あ い ま い に な っ た が,そ
韻
テ ン語 で は
れ で も次 の よ うな 母 音
梯 とo階
pend‐o「
梯 の交 替
b)e階
名 詞,形
衣」
現 わ れ る.
贈 り物 」:da‐re「 中 辞,接
立場」
尾 辞 が あ る.接
了 幹 で は,e(と
化 名 詞)
手」
名 詞(第5変
こ の 区 別 は,形 i幹 頭辞
詞 の 現 在 幹 と完 了 幹 に
化 名 詞)
の 上 の も の で,意
と 子 音 幹 は,互
似 の 曲用 を
性 名 詞,女
性 名 詞 の3
示 す よ う に な っ た. 名 詞 は,ま
た,男
性 に 分 か れ,語
在 幹 で は,そ
種 類 が 同 じ な ら ば,男
き に,oま
れに母
は,一
た はu)を
味 と は 関 係 が な い.
い に 影 響 し 合 っ て,類
音(reduplication)
頭 音 を 重 ね る こ と で,現
化 名 詞)
都市 」
di‐e‐s「日 」
与 え る」
し ば し ば 現 わ れ る畳 音 で あ る.畳
添 え,完
化 名 詞)
名 詞(第4変
e)e幹
作 る」
の う ち で 特 に 重 要 な も の は,動
と は,語
性 名 詞,中
尾 に よ っ て,数
と 格 を 表 わ す.語
性 と 女 性 は 同 形 で あ る.中
部 の 格(主 格,呼
格,対
格)が,男
性
・女 性 形 と異
sto「 立 つ 」:si‐sto「 立 て る 」
数 は 単 数 と複 数 で,印
欧 祖 語 の 双 数(両 数)は,数
can‐o「 歌 う」:ce‐cin‐i「 歌 っ た 」(完 了)
のduo「2」
両 方 」 の2語
接 中 辞 の お も な も の は,現 infix)で
在 幹 に 現 われ る鼻 音 接 中 辞
あ る. 征 服 さ れ た 」(完 了
な 接 尾 辞 は,名
種 多 様 で あ る が,文
法 的 に も っ と も重 要
詞 や 動 詞 の 語 幹 末 に 現 わ れ て,屈
折 の
種 類 の 目 印 と な っ た り,さ
ら に 動 詞 の 場 合 に は,時
や 法 を 決 定 し た り し て,さ
ま ざ ま な形 態 論 的 機 能 を示
しな が ら,語
根 に,意
味 上 の 色 合 い を 与 え る.接
が い くつ も 重 な る こ と も あ る.な 音(thematic
vowels)のe/oは,多
お,印
用 動 詞 で は,i/uに
れ ら の 接 尾 辞 の 具 体 例 は,以
を参 照 され た い.
尾辞
欧祖語の幹母 く の 場 合,他
母 音 と融 合 し て 判 別 が 困 難 に な っ て い る が,第2変 名 詞 や 第3活
称
の 化
弱 化 して 現 わ れ てい 下 の 各 品詞 の説 明
に の み,化
詞 石化
し て 残 っ て い る.
与 格(間
格(主 語),呼
接 目 的),対
時,場
受 動 分 詞) 接 尾 辞 は,多
とambo「
格 は,主
vinc‐o「 征 服 す る 」:vic‐tus「
る.こ
幹 の
な る.
添 え る.
(nasal
の
主人」
名 詞 と 子 音 幹 名 詞(第3変
man‐u‐s「
sta‐re「 立 つ 」(不 定 法):sta‐tus「
音iを
名 詞(第2変
d)u幹
憎 し み 」:od‐i「 憎 む 」
頭 辞,接
よ ば れ る.
幹 末 の 音 に よ っ て,次
化 名 詞)
turr‐i‐s「塔 」,urb‐s「
母 音 の 系 列 で の 低 減 階 梯 は,aで
接 辞 に は,接
名 詞(第1変
c)i幹
sed‐eo「 座 る 」:sed‐i「 座 っ た 」
do‐num「
名 詞 は,語
domin‐u‐s「
fec‐i「 作 っ た 」:fac‐io「
名 詞 の 屈 折 は 曲 用(declension),
詞
b)o幹
種 族 」:gi‐gn‐o「 生 む 」
od‐ium「
時的観
puell‐a「 少 女 」
階 梯 と延 長 階 梯 の 交 替
d)長
容 詞,代
動 詞 の 屈 折 は 活 用(eonjugation)と
es‐t 'is':s‐unt'are' gen‐us「
れ ら が 融 合 し た 「語 末 」 の 特 徴 を,共
a)a幹
「重 り」
梯 とゼ ロ階 梯 の交 替
c)強
時 的 観 点 か ら語 幹 と語 尾 を 区 別 す る よ
5種 類 に 分 け ら れ る.
重 さ を 計 る 」:pond‐us
teg‐o「 お お う」:tog‐a「
幹 の最 後
別 が 困 難 で あ る.
点 か ら 記 述 す る 方 が 現 実 的 で あ る.
2)名
交 替 が み ら れ る. a)e階
り も,そ
詞の
折 語 尾 もま
名 詞 の 場 合 に,語
の 音 と 融 合 し て い る こ とが 多 く,識 し た が っ て,通
る.
どを 表
詞 の 格 語 尾,動
所,な
ど)の6種
domin‐us「
格(呼
び か け),属
格(直 接 目 的),奪 類 で あ る.
ご 主 人 さ ま!」(呼 格)
domin‐i「
主 人 の 」(属格)
domin‐o「
主 人 に 」(与 格)
domin‐um「
主 人 を 」(対 格)
a domin‐o「
主 人 か ら(aは
印 欧 祖 語 の 共 ・具 格(随 格(場 所)は,少
の よ う な,価
と は,奪
伴,手
前 置 詞)」(奪 格) 段)は,奪
数 の 普 通 名 詞(humi「
な ど)と 都 市 の 名(Neapoli「 だ け で,あ
段,
主 人 が 」(主格)
domin‐e「
さ れ,地
格(所 属),
格(分 離,手
格 に吸 収 地 上 に」
ナ ポ リ に 」 な ど)に 残 っ た
格 に(一 部 は,quanti「
い くらで 」
値 や 価 格 を 表 わ す 「価 値 の 属 格 」 に)吸 収
さ れ た.奪
格 は,し
た が っ て,本
来 の 奪 格 の ほ か に,
共 ・具 格 と地 格 の 役 割 も 備 え て い る . な お,斜 格 以 下 の4格)に
は,上
と用 法 が あ り,前
記 の ほ か に,さ
格(属
ま ざ ま な意 味
置 詞 を と もな う こ とが古 典 語 で は 比
較 的 少 な い. 3)形
ら れ る.完
名 詞 に 準 じて,a/o幹(第1第2変
お よ び 子 音 幹(第3変
類 に分 か
規 則 動 詞 は,現
第3変
・女),omn‐e(中)「
格),felic‐is(属 i幹
格)「
比 較 級 と最 上 級 は,原
,原
級の
化 だ け が,副
詞 のmagis,
pi‐us「 敬虔 な 」,magis 名 詞
く ぶ ん 異 な る.特
に,単
属 格ill‐ius,与
容 詞 とい
あ り(た と え ば,ille
格ill‐i),一
の 代名 詞
格un‐ius,与
人 称 代 名 詞 の 主 格(ego「
私 は 」,nos「
名詞
「そ れ 」:
部 の 形 容 詞 も,こ
的 曲 用 に 従 う(un‐us「1」,属
な ど)は,強
詞,形
数 の 属 格 と 与 格 に は,代
特 有 の 語 尾‐ius,‐iが
格un‐i).
わ れ わ れ は 」,
調 や 対 照 を 示 す と き 以 外 は 用 い ら れ な い.
そ れ は,動
詞 の 活 用 語 尾 か ら,主
語 の 人 称 と数 が 明 ら
か だ か ら で あ る. 冠 詞 は,ラ
要 な と き に は,指
詞的 な意 味 が 特 に必
示 代 名 詞(is「
そ の 」,ille「 あ の,例
の 」,iste「 君 の 言 う そ の 」,な ど)に 定 代 名 詞 のquidam「
よっ て定 冠 詞 的 な
詞
動 詞 は,法,相(態)
数 に 従 っ て 活 用 す る.法 法 が あ る . こ れ に,不 定 法 は,法
に は,直
説 法,命
称,人
称,
令 法,接
続
定 法 を 加 え る こ と も あ る が,不
動 相 と 受 動 相 で あ る.時
在,未
完 了 過 去,未
来 の3時
来 完 了 の3時
動 詞 の 代 表 形 に は,直
称 は,未
称,完
完 了 系 が,現
了 系 が,完
了,過
幹,目
幹
た,完
音延長完 了
leg‐e‐re「 読 む 」:leg‐i
ⅳ )子
音重複完 了
cad‐e‐re「 落 ち る」:ce‐cid‐i
ⅴ )s完 ⅵ )語
了
scrib‐e‐re
根完 了
称 単 数(amo「
目 的 分 詞 幹 は,‐t‐ ま た は ‐s‐に 終 わ る . こ れ も ま た,必
ず し も,現 am‐a‐re「
称,現
了 幹 か ら,完
在 分 詞,動 了 系3時
b)直
説 法
に よ っ て,直
名 詞,動
在 幹 や 完 了幹 の種 類 に対 応 し な い .
愛 す る 」:am‐a‐t‐um「 送 る 」:mis‐s‐um「
私 は愛 す る」 の例
説 法 の 活 用 の 概 略 を 記 述 す る.
現 在 は,現
在 幹 に 人 称 語 尾 を 付 け る.
称
能 動 相
受 動相
am‐o
am‐or
2人 称
am‐a‐s
am‐a‐ris
3人 称
am‐a‐t
am‐a‐tur
称
am‐a‐mus
am‐a‐mur
2人 称
am‐a‐tis
am‐a‐mini
3人 称
am‐a‐nt
am‐a‐ntur
説 法 と 接 続 法 を 通 じ て(た だ し,直 じ で あ る が,単
私
能 動 が ‐oま た は‐m,受
了
‐ba‐ を 付 け る .
在 幹,完 在 幹 か ら,未
形 容 詞 が,ま
称 能 動 相 が,さ
ら に,目
愛 し に」
送 りに 」
主 と し て,amo「
動 が ‐orま
未 完 了 過 去(「 ∼ し て い た 」)は,現
則 と し て,現
の 語 幹 を も つ.現
「書 く」:scrip‐s‐i
incend‐e‐re「 放 火 す る 」:incend‐i
説 法 完 了 を 除 く),同
説 法 現 在1人
動 詞 は,原
的 分 詞 幹 の3種
完 了 系3時
hab‐e‐re「 持 つ 」:hab‐u‐i
定
語 尾).
ⅲ )母
人 称 語 尾 は,直
称 で あ る.
は 愛 す る 」 な ど)を 用 い る 習 慣 で あ る. a)語
am‐a‐re「 愛 す る 」:am‐av‐i
了
複 数1人
で あ る よ り も む し ろ 動 詞 的 名 詞 で あ る.相
は,能
去 完 了,未
了
単 数1人
,時
称 を あ げ る.‐iは
ⅱ )u完
あ る 」 に よ っ て,不
定 冠 詞 的 な 意 味 を 表 わ す こ とが で き る.
ま ざ ま な 種 類 が あ り,
ⅰ )v完
mitte‐re「
テ ン 語 に は な い.冠
の よ う に,さ
類 の 分 類 法 に 対 応 し な い(語 例 は,不
法 現 在 と 直 説 法 完 了 単 数1人
代 名 詞 の 曲 用 は,名
根 をそのまま現在幹
vol‐o「 欲 す る」:vel‐le 完 了 幹 に は,次
pius
来 る」
あ る 」 :es‐se
現 在 幹 の4種
pius,maxime
送 る」
用):ven‐i‐re「
fer‐o「 運 ぶ 」 :fer‐re
‐usの
原 級 に 添 え る 複 合 形 で 表 わ さ れ る.
持 つ」
に 使 う 語 根 動 詞 が あ る.
れ ぞ れ,‐ior,
alt‐us「 高 い 」,alt‐ior,alt‐issimus
5)動
ⅳ )i幹(第4活
e‐o「 行 く」 :i‐re
級 の 語 幹 に,そ
愛 す る」
用):mitt‐e‐re「
s‐um「
付 け る単 一 形 を原 則 と し
maximeを
意 味 を,不
用):hab‐e‐re「
幸福 な」
前 に 母 音 の あ る 第1第2変
4)代
用):am‐a‐re「
詞 以 上 に 小 さ い.
と 子 音 幹 の 差 異 は,名
‐issimusを
・女 ・中/主
定法 現 在 能 動 相
語 尾).
不 規 則 動 詞 は 少 数 で あ る が,語
化 子 音 幹:felix(=felic‐s男
類 に 分 け ら れ る.
ⅱ )e幹(第2活
すべ
て の」
あ る」
しい規 則 化 の 傾 向
純 化 さ れ た(語 例 は,不
ⅲ )e幹(第3活
化i幹:omn‐is(男
第3変
在 幹 に よ っ て,4種
ⅰ )a幹(第1活 化:bon‐us(男),bon‐a(女),bon‐um
(中)「 良 い 」
来分詞がつ く
了 分 詞 にsum「
っ と多 様 で あ っ た が,著
を あ げ る.‐reは
れ る. 第1第2変
了 分 詞,未
の 未 完 了 系 を 添 え て つ く られ る 複 合 形 で あ る.
に よ っ て,単
化)の2種
的 分 詞,完
了 系 の 受 動 相 は,完
本 来 は,も
容 詞
化)と,i幹
的 分 詞 幹 か ら,目
数1人
称 だ け は,
た は ‐rで あ る . 在 幹 に,接
能 動 :ama‐ba‐m.ama‐ba‐s,ama‐bat, ama‐ba‐mus,ama‐ba‐tis,ama‐ba‐nt 受 動 :ama‐ba‐r,ama‐ba‐ris,ama‐ba‐tur,
尾 辞
ama‐ba‐mur,ama‐ba‐mini,ama‐ba‐ntur 未 来 は,第1活 辞
用 と第2活
語 幹 に し て,そ
用 で は,現
‐be/o‐ を 付 け る(e/oは,弱
在 幹 に,接
化 し てi/uに
尾
な る).
能 動 :ama‐b‐o,ama‐bi‐s,ama‐bi‐t,
受 動 :amare‐r,amare‐ris,amare‐tur,etc. 接 続 法 完 了 能 動 相 は,完
ama‐bi‐mus,ama‐bi‐tis,ama‐bu‐nt
を語 幹 に す る.1人
ama‐bi‐mur,ama‐bi‐mini,ama‐bu‐ntur 用 と 第4活
用 の 未 来 は,幹
と第4活
用audio「
用rego「
れ ぞ
治 め る」
接 続 法 完 了 受 動 相 は,完
amat‐us
reg‐e‐mus,reg‐e‐tis,reg‐e‐nt
1
3 amav‐it
動 相 は,完
amatus
amav‐imus
3
接 続 法 は,意
来 完了能
了 幹 に ‐eri‐を 付 け た も の を 語 幹 と す る.
過 去 完 了 :amav‐era‐m,amav‐era‐s,amav‐era‐t,
含 む.願
完 了 受 動 相 :amat‐us
di te
完 了 系3時
こ と に す ぎ な い.完
了 は,現
eram ero 称 と完 了 系3時
称 が,整
れ は,形
質 的 に,ギ
リシ
了,過
去 完 了 の4時
現 在 は,現 ‐e‐ ,第2活 変 え る(amo「
的,結
条 件 文 の 接 続 法 は,可 在 ま た は 完 了 を,非 合 に は,現
由 文(一 部),譲
歩
接 疑 問 文(す べ て),間
接
ど が あ る . 関 係 文 も,接
果,理
由,譲
続
歩 な ど を 表 わ す.
能 的 条 件 の 場 合 に は,接
続法現
現 実 条 件(事 実 に 反 す る 仮 定)の 場
在 の 仮 定 に 接 続 法 未 完 了 過 去 を,過
副 文 の 接 続 法 の 時 称 は,相
完 了 過 去,完
れ ぞ れ,第1活
‐a‐,第4活
用
対 時 称 で,主
称 対 応 が 行 な わ れ る.接
去 の仮
用
‐ia‐に
第1・ 能 動 :am‐e‐m,am‐e‐s,am‐e‐t,etc. 受 動 :am‐e‐r,am‐e‐ris,am‐e‐tur,etc. 第3・ 能 動 :reg‐a‐m,reg‐a‐s,reg‐a‐t,etc. 受 動 :reg‐a‐r,reg‐a‐ris,reg‐a‐tur,etc. 定 法 現 在 能 動 相 と 同 じ形 を
本 時 称,意 は,〈
文 との 間
続 法 の 未 完 了 系 は,主
文 の 時 と 「同 時 」で あ る こ と を 表 わ し,完
愛 す る 」 の 例).
接 続 法 未 完 了 過 去 は,不
件 文(一 部),間
に,時
称 で あ る.
用
間 文(一 部 接 続 法),理
文(一 部),条
前 」 で あ る こ と を 表 わ す.意
在 幹 の 幹 末 母 音 を,そ 用 ‐ea‐,第3活
(す べ て),時
続法 を 向結 果 文
定 に接 続 法過 去 完 了 を用 い る.
ven‐i: 「来 た 」(単 純 過 去 的 な 意 味) 在,未
使 わ れ る.接
的 文(す べ て 接 続 法),傾
法 を 用 い れ ば,目
称 体 系 で あ る と 言 え る.
接 続 法 は,現
に 副 文(従 属 節)で
了 した
nov‐i: 「知 っ て い る 」(現 在 完 了 的 な 意 味)
続 法
能性》
話 法 の 中 の 副 文(す べ て)な
在 完 了 の 意 味(完
た 」)に 用 い られ る こ と が あ る か ら,実
c)接
だ れ か が 言 う か も し れ な い 」 《可
式上の
純 過 去 の 意 味(過 去 の 一 回 的 行 為:「 ∼ し
ア 語 と同 じ7時
愛 そ う で は な い か 」 《意 図 》
用 い る 副 文 に は,目
行 為 の 現 在 に お け る 結 果:「 ∼ し て あ る」)に 用 い ら れ る こ と と,単
求 法 の もつ 意味 合 い
求 法 は 接 続法 に吸 収 され
serv‐e‐nt「 神 々 が 君 を 守 り ま す よ う に 」
接 続 法 は,主
然 と対 応 し て い る よ う に み え る が,こ
能性 の い ず れ か の意 味 を 来,希
テ ン 語 で は,希
dic‐a‐t aliquis「
称 単 数 の 例 を あ げ る.
sum
未 来 完 了 受 動 相:amat‐us
望,可
《願 望 》
了 受 動 分 詞 に,sum
過 去 完 了 受 動 相:amat‐us
時 称 体 系 は,未
図,願
am‐e‐mus「
amav‐eri‐mus,amav‐eri‐tis,amav‐eri‐nt 称 の 受 動 相 は,完
esset,
た.
未 来 完 了 :amav‐er‐o,amav‐eri‐s,amav‐eri‐t,
「あ る 」の 未 完 了 系 を 添 え る.1人
esses,amatus
望 と 可 能 性 は,本
だ っ た が,ラ
amav‐era‐mus,amav‐era‐tis,amav‐era‐nt
完 了 系3時
essem,amatus
etc.
amav‐erunt
了 幹 に ‐era‐ を,未
了 受 動 分 詞 に,sum
「あ る」 の 接 続 法 未 完 了 過 去 を 添 え る.
2 amav‐istis
過 去 完 了 能 動 相 は,完
sit,etc.
定 法 完 了能 動 相 と同 じ
接 続 法 過 去 完 了 受 動 相 は,完
了 幹 に 完 了 語 尾 を 付 け る. 複 数
sis,amat‐us
amavisse‐m,amavisse‐s,amavisse‐t,etc.
audi‐e‐mur,audi‐e‐mini,audi‐e‐ntur
2 amav‐isti
あ
形 を 語 幹 に す る.
第4・ 受 動 :audi‐a‐r,audi‐e‐ris,audi‐e‐tur,
1 amav‐i
sim,amat‐us
接 続 法 過 去 完 了 能 動 相 は,不
第3・ 能 動 :reg‐a‐m,reg‐e‐s,reg‐e‐t,
単 数
了 受 動 分 詞 に,sum「
る 」 の 接 続 法 現 在 を 添 え る.
聞 く」 の 例 を 示 す.
完 了 能 動 相 は,完
説 法未 来 完 了 と
amav‐eri‐m,amav‐eri‐s,amav‐eri‐t,etc.
末 母 音 を,そ
れ,‐a/e‐,‐ia/ie‐ に 変 え る . 第3活
了 幹 に ‐eri‐を 付 け た も の
称 単 数 を 除 き,直
同 形 で あ る.
受 動 :ama‐b‐or,ama‐be‐ris,ama‐bi‐tur,
第3活
れ に 人 称 語 尾 を 付 け る.
能 動 :amare‐m,amare‐s,amare‐t,etc.
了 系 は,「 以
味 上 の 現 在 また は 未 来 を
味 上 の 過 去 を 副 時 称 と よ べ ば,時
称 対応
表 〉の よ う に な る. Cura‐t,ut
vale‐a‐t.「 彼 は 元 気 で い る よ う に 気
を つ け て い る 」(目 的 文) Cura‐ba‐t,ut
vale‐re‐t. 「彼 は 元 気 で い る よ う
に 気 をつ け て い た」 Interroga‐t,quis
Romam
condid‐eri‐t.「
彼 は
だ れ が ロ ー マ を 建 国 し た か と 尋 ね る」(間 接 疑 問
副
詞 語 尾 と を 付 け る):amat‐ur‐us(男),amat‐ur‐
文における接続法の時称対応 接 続 法
主文
「同 時 」
本時称
「以 前 」
現在
副時称
a(女),amat‐ur‐um(中) 動 詞 的 名 詞,動
未完了過去
の ほ か に,動
詞 的 形 容 詞 の 類 に は,不
名 詞(例
:ama‐nd‐um「
完了
動 形 容 詞(例
:ama‐nd‐us「
過 去完 了
目 的 分 詞(例
:対 格 形 amat‐um「
形 amat‐u「
愛 す る の に 」)が
愛 さ れ る べ き 」),お
る格 を 補 う(不
Interrogav‐it,quis
Romam
condid‐isse‐t.「 彼
あ る.動
名 詞 は,第2
令 法
命 令 法 現 在2人
Paratus
そ の ま ま 用 い る.複 単 数 ama「
数 は,そ
愛 せ 」
命 令 法 未 来 は,法 で,2人
称 と3人
称 単 数 は,現
2複
ama‐tote
ama‐to
3複
ama‐nto
不 定 法 は,一
種 の 動 詞 的 名 詞 で,原
在 幹 の 幹 末 の ‐eを 除 い た も の
動 相
か ら,正
し く は,中
受 動 相 は,本
来 は,中
動相 であった
・受 動 相 で あ り,中
動 的 な意 味 を
能 動 相 effer‐o「 揚 げ る 」,受 動 相 effer‐or「 登 る 」
添 え る):
特 に,形
が 受 動 相 で 意 味 が 能 動 の 形 式 受 動 相 動 詞(能
loqu‐or「
添 え る):
い 中 動 相 の 名 残 りで あ る.
話 す 」,hort‐or「
励 ま す 」,
pati‐or「 耐 え る 」 添 え る):amatum
iri
行 く」 の 受 動 不 定 法)
格 + 不 定 法 を,不
格 を 用 い る.対
び,さ
ま ざ ま な 動 詞 の 目 的 語 と し て 使 わ れ る.特
直 接 話 法 の 平 叙 文 は,間
h)語
令 文,副
定法構 文 とよ に,
折 が 明 確 で,語
文 は,間
れ で も,基
Poet‐a libenter
fili‐ae naut‐ae donav‐it.「
libr‐um
pulchr‐um
詩 人 は船 乗 りの娘 に美 しい
本 を喜 ん で贈 った 」
veni‐re.「
し か し,単
友 が 来 る と彼 は 言 っ
た」
調 さ を 避 け る た め に,こ
の よ うな 標 準 的 語
順 は あ ま り用 い ら れ な い. 名 詞 の 修 飾 語(形 容 詞 や 属 格 名 詞)は,名
受 動 分 詞,未
狭 義 の 分 詞 は,現
来 能 動 分 詞 の3種
在 能 動 分 詞,完
形 容 詞):ama‐n‐s,属
了
類 だ け で あ る.
現 在 能 動(現 在 幹 に‐nt‐ を 付 け た,第3変
完 了 受 動(目
順 は,ま
本 的 に はSOVの
詞 」 の よ う な 語 順 が 標 準 的 で あ る.
接 話 法 で
veni‐t.「 友 が 来 る 」
詞
順 に
語 順 で あ り,「 主 語 ‐間 接 目 的 語 ‐直 接 目的 語 ‐副 詞 ‐動
続 法 の 文 に 変 わ る).
amicum
ラ テ ン 語 は,屈
っ た く 自 由 で あ る が,そ
接 話 法 で は 不 定 法構 文 に 変 わ
る(直 接 話 法 の 疑 問 文,命
順
よ っ て 統 辞 関 係 を 表 わ す 必 要 が な い の で,語
文 の 主 語 と異 な る 主 語 が 必 要 な と き に
は,対
f)分
容 詞
eo.「 私 は 寝 に 行 く」
動 相 欠 如 動 詞)は,古
未 来 受 動(目 的 分 詞 にiriを
Dix‐it
格 奪 格 形 は,形
vi‐s‐u「見 る も不 思 議 な 」
g)受
esse
Amicus
動 の 意 味 の 動 詞 と と もに用 い
表 わ す こ と も ま れ で は な い.
未 来 能 動(未 来 分 詞 にesseを
は,接
語的に用い
est.
動 の 目 的 を 表 わ し,与
mirabile
esse
(iriは,eo「
lege‐nd‐us
Cubi‐t‐um
付 け る):ama‐re
完 了 受 動(完 了 分 詞 にesseを
不 定 法 に,主
あ る 」 と と も に,述
の 意 味 を 限 定 す る.
了 幹 に ‐isseを 付 け る):amav‐isse
amaturus
scribe‐nd‐um.
目 的 分 詞 対 格 形 は,移
に ‐iを 付 け る:reg‐i)
amatus
liber
ら れ て,移
現 在 受 動(現 在 幹 に ‐riを 付 け る):ama‐ri
完 了 能 動(完
Hic
詞 的 に は 用 い ら れ な い.
現 在 能 動(現 在 幹 に‐reを
用 で は,現
置詞 をとも
「こ の 本 は 読 ま れ る べ き で あ る 」
ama‐to
(第3活
ad
ら れ る.
令や格言な どに 用 い られ る もの
容 詞 的,副
sum
動 形 容 詞 は,sum「
称 が あ る.
定 法
定 法 に欠 け て い
よ び,前
「私 は 書 く用 意 が で き て い る 」
れ に ‐teを 付 け る.
3単
則 と し て,形
在幹を
複 数 ama‐te
2単
e)不
格,お
な わ な い 対 格 と し て し か 使 え な い).
は だ れ が ロ ー マ を 建 国 し た か と尋 ね た 」 d)命
定 法 は,主
よ び,
愛 し に 」,与 格 奪 格
変 化 中 性 単 数 の 斜 格 形 の み を も ち,不 文)
定 法 と分 詞
愛 す る こ と」),
動 詞 や 形 容 詞 の 修 飾 語 は,前
化子音幹
格ama‐nt‐is
的 分 詞 幹 に,第1第2変
合 分 詞
統 辞 上 の1つ
分 詞 構 文 と 同 じ よ う に,副
um(中)
時,原 と第1第2変
化形容
の 著 し い 特 色 は,分
詞 の 述 語 的 用 法 が 発 達 し て い る こ と で あ る.英
尾 を 付 け る):amat‐us(男),amat‐a(女),amat‐
未 来 能 動(目 的 分 詞 幹 に,‐ur‐
にお か れ る こ とが 多 い
(上 例 のlibenter). ⅰ )接
化 形 容 詞 の語
詞 の後 に お
か れ る こ と が 多 く(上 例 のnautaeとpulchrum),
因 理 由,付
ラ テ ン文 法 で は,接
随 行 為,条
文法 の
詞 的 副 文 の 代 用 と し て, 件,譲
歩 な ど を 表 わ す.
合 分 詞 と よ ば れ,そ
の 特 徴 は,第
1に,主
語 に 対 し て だ け で な く,呼
格 に 対 し て,述 第2に,分
語 的 な 関 係 に 立 つ こ と が で き る こ と,
詞 の み な ら ず,名
詞 と形 容 詞 も,述
同 格 に用 い ら れ る こ とで あ る.た ambula‐ns と言 え ば,現
格 を 除 くす べ て の
cogitav‐i「
語的な
私 は 歩 きな が ら考 え た」
在 分 詞ambulansは,cogitaviと
い う 私 」 の 述語 的
Christ‐um
nat‐um「
キ リス ト生 誕 前 」
名 詞Christumの
修 飾 語 で は な く,述
語 的 同格 で あ
た, consul
coniuration‐em
pate‐fec‐it.「 キ ケ ロ ー は,執
Catilin‐ae
政 官 の と き に,カ
テ ィ リー ナ の 陰 謀 を 暴 露 し た 」 に お い て,consulは,名
詞構文
述 語 的 な 分 詞 に 対 し て,主
語的
な 関 係 に 立 つ 語 が 主 文 の 中 に 存 在 し な い 場 合 に は,英
る が,そ
の 際,分
の 主 語 を分 詞 に 付 け
詞 とそ の 主 語 を,と
null‐o cerne‐nt‐e「
も に 奪 格 に す る.
だ れ も 見 て い な い と き に;
述 語 的 同 格 に な る.こ
格 分 詞 は,奪
格 名 詞 に 対 し て,
の 場 合 に も,分
詞 の 代 わ り に,
Ciceron‐e
consul‐e「
キケ ロー が 執 政 官 で あ った
とき に」 な お,分
語 のbeingに
詞 や 形 容 詞 が 用 い られ る
相 当 す るsum「
分 詞 が 存 在 し な い か ら で あ る,と Ⅲ)話
し こ と ば
ま で,す
あ る」の 現 在
言 え よ う.
ラ テ ン 語 は,碑
時 の 日 常 語 を そ の ま ま 知 る こ と は 不 可 能 で あ る . しか 学 の あ る 種 の ジ ャ ン ル は,書
かれ た 時代 の 日常
語 を あ る 程 度 ま で 反 映 し て い る と み られ る.プ ゥ ス(T.Maccius
Plautus,前254∼184)と
ィ ウ ス(P.Terentius よ び,キ
し こ と ば を書
し手 と 聞 き 手 の 緊 密 な
れ が 情 緒 的 緊 張 を 高 め て,誇
び な ど を 生 む.熟
は 首 尾 一 貫 性 を 欠 き,挿 ど,発
喜 劇,お
ケ ロ ー の 書 簡 が そ れ で あ る.話
接 触 で,こ
ラウ ト テ レ ンテ
Afer,前185∼159)の
き こ と ば と 区 別 さ せ る の は,話
嘆,叫
ま た,そ
puer‐um!「
ecastor
気 の き い た 少 年 だ!」
homin‐em
カ ス トル に か け て,ひ
periuri‐um.「
張,力
説,感
1)聞
どい 人 だ 」
き 手 の 注 意 を 促 す た め の く り 返 し.
Ab‐i ab‐i aper‐i‐te aper‐i‐te.「 ど け ど け,開
2)2人
3)人
si illa
invent‐a
格構 文な 況か ら
est
quam
omni‐um
「何 よ り も ま ず 第1に
magis 6)二
cert‐ius「
よ り確 か に 」
重 否 定 に な ら な い 否 定 詞 の 重 複. ego
hau
committ‐a‐m.「
ambo par
ま ざ ま な 冗 長 語 法 が み ら れ る, duo「2人
idem「
富 で,変
の両 方 」
等 し く同 じ 」 き 手 に 強 い 印 象 を 与 え る た め に,豊
化 に 富 み(dico「
「話 す 」,fabulor「
言 う 」 の 代 わ り に,narro
物 語 る」,memoro「
Ea
de‐mori‐tur
ど),
と り わ け,次 1)単
te.「 彼 女 は 君 に ぞ っ こ ん だ 」
の用 法 を好 ん で 用 い る.
純 動 詞 の,表
現 力の 豊 か な 複 合動 詞 へ の お き
換 え. de‐amo「
ぞ っ こ ん ほ れ る 」,com‐edo「
る 」,ad‐credo「 2)反
平 らげ
信 じ る」
復 動 詞 な ど の 強 調 形.
3)名
食 べ る 」<edo 眠 る 」<dormio
詞 と形 容 詞 の 指 小 形 . 小 鉢 」<catinus 少 し 」<paulum
下 に,そ れ を 列 記 す る と,
語 る」,な
坐 き 生 き と した 俗 語 も多 い .
paullum「
に 典 型 的 に 現 わ れ て い る.以
それ に私 は 全
然 そ ん な こ とを した くな い」
catillus「
ラ ウ トゥス の喜 劇
」
重 比 較 級 の 使 用.
の め か し,中
こ れ ら の 話 し こ と ば の 特 徴 は,プ
ille am‐a‐t「 彼 が
上 級 の 冗 長 表 現.
primumdum
判 断 で き る こ と を 詳 細 に 説 明 す る 必 要 が な い か ら,ほ 略 も許 さ れ る.
廷 へ 行 こう」
愛 して い る彼 女 が 見 つ か れ ば」 4)最
dormito「
成,破
ins.「 お 前,法
称 代 名 詞 と指 示 代 名 詞 の 過 剰 な 使 用.
esito「
縮,省
け
称 代 名 詞 の 使 用 に よ る 統 辞 の 乱 れ.
入,追
作 的 な 発 話 の 特 徴 が 現 わ れ る . ま た,状
断,短
何 と,
下 の よ う な 特 徴 を あ げ る こ と が で き る.
慮 して い る 暇 が な い か ら,文 加,混
スケ レ ド
れ が 間 投 詞 を と も な う こ と も あ る.
語 彙 も ま た,聞
文 か ら高級 文学
べ て 書 か れ た 資 料 で 伝 え ら れ て い る か ら,当
し,文
intus?「
感 嘆 の 対 格 も多 い .
そ の ほ か,さ
詞 の 代 わ り に,名
くそ っ」,eugepae
dorm‐i‐t Sceledr‐us
Neque
名 詞 ま た は 形 容 詞 が 用 い ら れ る こ と が あ る.
の は,英
an
5)二
だ れ に も見 つ か ら ず に 」 こ れ が 絶 対 的 奪 格 で,奪
あ あ 」,babae「
問 文 の 導 入 に も 使 わ れ る.
E‐a‐mus,tu,in
に 相 当 す る 述 語 的 同 格 で あ る.
文 法 の 独 立 分 詞 構 文 と 同 様 に,別
あ あ 」,
ろ開 け ろ」
詞 で あ りな が ら,分
対 的 奪 格
あ あ 」,heu「
くは ギ リ シ ア 語 か ら と っ た も
ル ス は 中 で 眠 っ て い る か ね?」
次 に,以
Cicero
j)絶
Eho
En
と い う 前 置 詞 句 に お い て も,完 了 受 動 分 詞natumは,
る.ま
の で あ り(attatae「
Facet‐um
同 格 で あ る が, ante
投 詞 が 豊 富 で あ る(vae「 お い 」,な ど).多
「よ し」),疑
と え ば,
1人 称 単 数 形 に 含 ま れ て い る主 語ego「
ま ず,間 heus「
文 は,短
文 や 短 い フ レ ー ズ を 接 続 詞 な し で 羅 列 し,
従 属 文 を 使 わ ず 間 接 疑 問 文 を 直 説 法 で つ く る.そ
のほ
か に,挿 2種
入 文 に よ る 中 断, あ と か ら の 追 加,破
格 構 文,
の 文 型 の 混 合 な ど も多 い.
さ れ た こ と ば を 用 い た と す る 説 も 誤 り で あ る.確
か
に,テ
典
レ ン テ ィ ウ ス で は ア ル カ イ ズ ム が減 っ て,古
以 上 が,プ
ラ ウ トゥス の喜 劇 に み られ る話 し ことば
語 の 規 範 に 近 づ い て い る が,プ
の 特 徴 で,こ
れ が 当 時 の 日常 語 だ った こ とが うか が え
カ イ ッ ク な 点 も あ る.抑
る . 最 大 の 特 徴 は,語
彙 の 豊 富 さ で あ る が,そ
の 中 に,
ギ リ シ ア 語 か ら の 借 用 語 が 目立 っ て 多 い.そ 術,学
問,教
育,経
済,政
び,流
行,ス
ポ ー ツ,演
域 に わ た っ て い る.こ 借 用 語 が,知
治,動
植 物,家
劇 な ど,あ れ は,当
れ は,技
ラ ウ ト ゥス 以 上 に ア ル
制 と洗 練 の 度 が 増 して,日
語 に 典 型 的 な 語 が 減 っ た と は い え,自
常
然 の 話 し こ とば
に 近 づ け よ う とす る 努 力 も み ら れ る . 頭 韻,同
具 什 器,遊
復,接
らゆ る 生活 文 化領
時 の ギ リ シア 語 か らの
識 人 に よ っ て 導 入 さ れ た も の で は な く,
続 詞 省 略 法(asyndeton),文
phora),交
音 反
頭 語 反 復 法(ana‐
差 配 列 法(chiasmus)等
の 文 体 的 装 飾 は,
教 養 あ る人 々 の 日常 会 話 の こと ばか らか け 離 れ た文 学 の こ と ば で あ る こ と を 示 して い る.し
た が っ て,テ
ン テ ィ ウ ス も ま た,文
と り 入 れ,下
て い る の で あ る . こ の よ う な 条 件 を つ け た 上 で,は
レ
ロー マ に移住 したギ リシア 人 との 接 触 に よ って 民 衆 が 層 階級 の 日常 語 の一 部 と して い た こ とを
示 し て い る.
め て,喜
文 法 構 造 の 点 で は,プ
ラ ウ ト ゥ ス の ラ テ ン語 も,黄
金 期 の ラ テ ン語 と 大 差 な い.ラ り を 前3世 も,黄
紀 とす る の は,そ
金 期 に は 使 わ れ な い 用 法 が,若
辞 の 点 で は,た
と え ば,間
格 支 配),都
ら 」 とin「 が,プ
れ で
干 み ら れ る.統
使 う」 の 対 格 支 配(黄 金 期
市 の 名 に つ け る 前 置 詞 のex「
に 」,な
ど,黄
か
金 期 で は 誤 り と され る用 法
ラ ウ ト ゥ ス に は み ら れ る.
形 態 の 違 い と して は,呼 よ 」),属
(=fac「 た 」),ア
元 老 院 の 」),分
(=fecerim,
facio「
‐ier(adducier=adduci「
か れ る 」),の
っ た 第3活
思 う 」),の
(=fervere「
沸 く」),な
ち に 第2活
定
彼 は 言 う」 落 と した
忘 れ る 」)やdinus(=divinus
3人
est(=factum
定 の 場 所 に 限 られ て い る こ と は,喜
est「
な ど の 古 い 語 形 は,叙 け られ て い る.彼
な され た 」),
事 詩 に 限 ら れ,彼
は,古
ラ ウ ト
形 に よ っ て,叙
い え,悲
劇 を は じ め,他
の 詩 の ジ ャ ンル もア ル カイ ズ
の 差 で は な い.
ア ル カ イ ッ ク な 調 子 を 出 す た め に,詩
人 た ち は,伝
劇 の こ とば が様 式
属 格 ‐ai(=‐ae),第2変
化 複 数 属 格 ‐um(=‐orum),
代 名 詞ipsus(=ipse「
自 身 」),olli(=illi「
常語 から
か な り離 れ た 文 学 語 で あ る こ と も確 か で あ り,プ
ラウ
quis(=quibus疑
近 く に 」)に み ら れ る‐terと
と は,誤
な 使 用,不
定 法 受 動 相‐ier(=i),未
レ ンテ ィ ウス は教 養 あ る人 々の 洗 練
(=‐iebat),完 等 々で あ る.
彼 ら 」),
等 し く」)やiuxtim
(=iuxta「
ラ ウ トゥス が 下層 階級 の こ とば を反 映 し
でに
な 古 形 は,
問 ・関 係 代 名 詞 複 数 与 ・奪 格),副
詞 で は,aequiter(=aeque「
トゥス の喜 劇 の こ とば が 日常 語 で あ っ た と断 定 す る こ りで あ る.
は
事 詩 と他 の 詩 と の 差 は 程 度 の 差
承 され て き た 詩 歌 や 宗 教 と 法 律 の こ と ば か ら,す
か
の
事 詩 の こ と ば は,
使 わ れ な く な っ た 語 や 語 形 を 採 用 し た.主
に 多 く の 日 常 語 の 要 素 を 含 ん で は い る が,日
同 様 に,プ
事 詩 の崇 高 さ の 原 則 は,彼
行 の 末 尾 な ど,特
化 さ れ た 技 巧 的 な も の で あ る こ と を 示 し て い る.確
た の に 対 し て,テ
の 悲劇 で は 避
悲 劇 の こ と ば よ り も い っ そ う 荘 重 に つ く ら れ た.と
で あ っ て,質 時 の 碑 文 に も み られ,プ
れ ら の ア ル カ イ ズ ム が,詩
人 間 を 」),
称 複 数 ‐ont(=‐unt),
ム を 利 用 し て お り,叙
ゥス が 話 し こ と ば を 使 っ た こ と を 証 拠 づ け て い る.し か し,こ
右 の 」),
す べ て の 後 継 者 に よ っ て 守 ら れ,叙
「神 の 」)もみ ら れ る. こ れ ら の 語 形 は,当
息 子 よ」),
dextrabus(=dextris「
fitum
ー ウィ
Andronicus,前204
と主 題 の 古 さ を 表 現 し よ う と し た.こ
ど が あ る.
彼 は 聞 く」),母 音 間 のvを
obliscor(=obliviscor「
用 とな
に お う 」)やfervere
語 末 音 節 の 長 母 音 は ま だ 保 た れ(dicat「 の 接 続 法,audit「
の ジ ャ ン ル で は ‐aiを 使 っ て い る.リ
homonem(=hominem「
連 れ て 行
ャ ンル に
い 属 格 形 ‐asを 詩 人 た ち は 叙 事 詩 に の み
filie(=fili「
ち に形 式 受 動 相 と な った 動 詞 の 能 動 形
用 のolere(=olere「
た と え ば,古
没)が 使 っ て い る,
もた ら し
リシ
も,ラ テ ン文 学 に と り 入 れ ら れ た . 初 期 の 詩 人 た ち は,
詞 と
行 な う 」 の 接 続 法 完 了),不
arbitro(=arbitror「
紀 後 半 に,
微 妙 な方 法 で ジ ャ ンル の こ とば を 区別 しよ う とした .
ウ ス ・ア ン ド ロ ニ ー ク ス(Livius
オ リ ス ト接 続 法 ・希 求 法 のfaxoやfaxim
法受動相語尾
ラ テ ン文 学 は,前3世
少年
‐i)に区 別 が な い こ と,命 令 法face
せ よ 」),畳 音 完 了tetuli(=tuli「
の こ と ば
よ って こ とば が異 な る とい うギ リ シ ア 文 学 の 習 わ し
用 い,他
格puere(=puer「
格senati(=senatus「
形 容 詞 の 奪 格(‐eと
Ⅳ )詩
ギ リ シ ア 文 学 の 圧 倒 的 な 影 響 の 下 に 始 ま っ た.ギ ア 語 の 影 響 が 急 激 に 高 ま っ た だ け で な く,ジ
接 疑 問 文 に 現 わ れ る 直 説 法,
目 的 を 表 わ す 不 定 法,utor「 で は,奪
じ
劇 に 話 し こ と ば が 反 映 して い る こ と を 認 め る
こ と が で き る.
テ ン語 の古 典 期 の 始 ま の た め で あ る.そ
学 語 に固 有 の 文 体 的 工夫 を 用 い
了 の 語 尾 ‐eruntと
‐timの
自由
完 了過去 ‐ere(=‐erunt),
‐ibat
ギ リ シ ア 語 の 影 響 は 大 き い が,喜 れ ば 真 面 目 な 詩 歌 は 保 守 的 で,エ 前239∼169)を
除 い て,で
劇 と民 衆語 に 比 べ
ン ニ ウ ス(Q.Ennius,
っそ
的 な 型 を 踏 襲 して い る.し か し,彼 と新 詩 人 派 の功 績 は,詩 形 と こと ば と韻 律 を高度 に 洗練 させ た こ とで あ
る . ラ テ ン文 学 は,ギ
れ だ け,い
リ シア文 学 の翻 訳 に よ って 始 ま
リ シア 語 の 単 語 を ど の よ う に ラ テ ン 語 化
す る か が,い
くつ か の 古 語 と古 形
を詩 的 伝統 と して 受 け入 れ,合 成 語 や 文 体 装 飾 も伝 統
彙 の 乏 し い ラ テ ン語 に 苦 心 し て い
人 た ち は,語
っ た か ら,ギ
ジ ャ ンル の規 則 に拘 束 され て,い
き るだ け ギ リ シア語 か らの
借 用 語 を 用 い な い よ う に し て い る.そ う,詩
し よ う と努 力 した.そ れ で も,彼 は,小 叙 事 詩 で は,
つ も問 題 に な っ た.典
シ ア 叙 事 詩 に 多 い 合 成 形 容 詞 で,ラ
型 的 な の が,ギ テ ン 語 は,す
リ で に
る. ウ ェル ギ リウス(P.Vergilius
Maro,前70∼19)
の 叙 事 詩 『アエ ネ ‐ イ ス』(Aeneis)に
至 っ て,ラ テ ン
詩文 学 は発 展 の 頂 点 に達 す る.主 題 の 荘 厳 さ と ジ ャ ン
人 た ち は,
ル の規 則 が エ ンニ ウス 風 の 色合 い に富 ん だ こ とば を 要
さ ま ざ ま な 苦 労 を し て 合 成 語 を 創 造 し た . し か し,
求 す るた め に,彼 の 詩 語 も基 本 的 に は先 人 た ち の そ れ
合 成 語 を つ く る 能 力 を 失 っ て い た の で,詩
‐osus ,‐ifer,‐igerな ず(frondosus「 corniger「
ど,少
数 の種 類 に限 らざ る を え
葉 の 多 い 」,florifer「
花 を つ け た 」,
つ の の あ る 」),性 質 の 属 格 ・奪 格 の よ う な
迂 言 法 に 頼 る こ と も,し rectis
foliis「
一方では
,新 詩人 た ちが 達 成 した 技 巧 の 洗 練 も受 け継
い で い る.そ れ で も,精 神 的,情 緒 的 な効 果 を破 壊 す るほ どに 重 圧的 な学 識 は退 け る.し た が って,先 輩 叙
ば し ば で あ っ た.
ま っ す ぐ な 葉 を つ け た 」(性
奪 格)<〓
で あ り,彼の 革新 も伝 統 的 な型 を はみ 出 して は い な い.
質の
「先 の 尖 っ た 葉 を つ け た 」
叙 事 詩 の 韻 律 に 合 わ せ る た め に も,エ
ン ニ ウ ス は,
新 しい 語 形 を 創 ら な け れ ば な ら な か っ た.imperare 「命 令 す る」 の 代 わ り の,induperareが,そ
の 例 で,
す で に 用 い ら れ な く な っ て い た 古 形 indu‐,indi‐
を
事 詩 人 た ち の こ とば に忠 実 で も,同 時 代 の 語 形 か ら あ ま り離 れ ず,多
くの 古 語,古 形,方
言 形,珍 語 を,粗
野 で あ る とい う理 由 で追 放 した.確 か に,彼
も,一 部
の古 形 は使 って い る.た とえ ば,次 の とお りで あ る. ‐ai=‐ae(第1変 化 属格) ,‐ier=‐i(不 定 法現 在 受動 相),‐ibat=
‐iebat(第4活 用 未 完 了過 去3
復 活 さ せ た.の
ち の 詩 人 た ち は,こ れ を 奇 異 と 感 じ て,
人 称 単 数),olle=ille「
imperitareの
よ う な 反 復 動 詞 で 解 決 し て い る.ほ
(関 係 代 名 詞 複 数 与 格 ・奪 格),faxo=fecero
に も,韻
律 上 の 理 由 か ら,単
用 い た り(gaudia「
数 の代 わ りに 詩的 複 数 を
喜 び 」,otia「
り(agrestum=agrestorum「 形),不
か
暇 」),古
形 に頼 っ た
田 舎 の 」 の複 数 属 格
定 法 現 在 を 不 定 法 完 了 に お き換 え た り し て い
る(continuisse=continere「
含 む 」).
彼 は」,quis=quibus
(facio「 す る」 の未 来 完 了1人 称 単 数),fuat= sit(sum「 =at「
あ る」 の接 続 法 現 在3人 称 単 数),ast
しか し」,ceu「 よ うに 」,pone「
あ とに」,
な ど. しか し,こ れ らは,無 意 味 に使 って い るの で は な く,
エ ン ニ ウ ス の 文 体 に は,本
質 的 に イ タ リア的 な 特 色
ある もの は韻 律 上 の 必 要 な い し便 利 さか ら,あ る もの
も み ら れ る.同
に 頭 韻),語
は先 人 の意 識 的 模 倣 の 文脈 の 中 で 利 用 し て い る.特
mentes「
音 反 復(特
精 神 」―dementes「
遊 び,caeli
caerula
狂 気 の 」 の よ うな 語 の
に,神 々の こ とば,巫 女 の こ とば,祈 願 の こ とば な ど,
天 の青 い 宮 」 の よ う
崇高 さ と荘 重 さを 必 要 とす る こ とば の 中 に古 語 を使 う
templa「
な 語 源 的 文 彩,explebant「
末 の 一 致,
補 う 」―replebant「
補充
す る 」 の よ う な 類 語 法 な どが そ れ で あ る. ル ク レ ー テ ィ ウ ス(T.Lucretius は,時
も,む
し ろ,エ
代 末 ∼ 後10年
ェル ギ リ ウス の繊 細 で意 識 的 な技 巧 で あ る.
ウ ェル ギ リウス の も う1つ の功 績 は,前1世 紀 にロ ー マ で も盛 ん に な っ た ギ リシア 修 辞 学 の 成 果 を ,叙 事
Carus,前55没)
代 の 標 準 語 化 の 影 響 を あ ま り受 け ず,ア
ト ゥ ス 時 代(前40年
のが,ウ
ウグ ス
代)の 詩 人 た ち よ り
ン ニ ウ ス や プ ラ ウ ト ゥス に 近 い ラ テ ン
詩 に応 用 して,き わ め て技 巧 的 な ペ リオ ドス(peri odus)を 開 発 した こ とで あ る.ペ の 節(clause)の
リオ ドス とは,多
く
積 み 重ね に よ って 構 成 さ れ る1つ の
語 を 使 っ た . ア ル カ イ ッ ク 時 代 の 文 学 と同 じ よ う な,
長 い 文(sentence)の
曲 用,活
ウス とカ ト ゥル ス は,そ れ を従 属 節 の積 み 重 ね に よっ
用,統
辞 の 型 を 用 い,エ
法 や 文 体 的 装 飾 を 利 用 し た.全
ンニ ウス の 好 ん だ 語
こ と ば を 用 い,日
体 と して は,同
時代の
て つ く った た め に,調 和 と均 衡 を 欠 き,修 辞 の 点 で問
か し,
題 を残 した . ウ ェル ギ リウス が 修 辞 学 の師 か ら学 ん だ
常 語 さ え と き に は 使 っ た が,し
ジ ャ ンル の 規 則 に 忠 実 で,叙
事 詩 の 韻律 に合 う語 形 を
創 造 し な け れ ば な ら な か っ た.こ
こ とで,前 の 世 代 のル ク レー テ ィ
れ に 対 し て,同
じ時
こ とは, 1)論
理 的 な 接続 詞 を使 わ ず に,主 節 を単 に並 列 さ
代 に 活 躍 し た 「新 詩 人 派 」 の カ ト ゥ ル ス(C.Valerius
せ る こ と,
Catullus,前84∼54)は,エ
2)修
辞 的 疑 問文 や 感 嘆 文 を利 用 す る こ と,
3)対
照 法,文 頭 語 反 復 法,語 末 同音,交 差 配列 法
判 的 で,都 形 を,粗
雅(urbanitas)を
ンニ ウ ス派 の 擬 古 文 に 批 重 ん じて,古
野 な 田 舎 風(rusticitas)と
風 な語 や 語
して 詩 語 か ら追 放
な どの 手 法 を 駆使 す る こと に よ って 生 み 出 され る,相
互 に 均 斉 の とれ た,短 い速 い 文 を次 つ ぎに連 ね る こ と
一の 時 代 に,は じめ て 全 面 的 に使 用 可 能 に な っ た.
な どが,強 烈 な 情緒 的 緊 張 をつ く る とい う こ とで あ っ
散 文 は演 説 か ら発 達 した た め に,文 の構 成 要 素 に 長
て,こ の 文 体 を,彼 は叙 事 詩 に と り入 れ た.彼 の ペ リ
さ の制 限 が 加 え られ,こ
オ ドス は,キ ケ ロー が最 良の ペ リオ ドス と よん だ4行
マ に分 割 す る文 体 が 開発 され,4コ
を 越 え る こ とが まれ で あ り,た とえ ば,2個
の ペ リオ
ドス が,お の お の3個 の並 列 の コー ロ ン(colon:ペ オ ドス の 下 位 区 分,1個
リ
ま たは2個 以 上 の節 か らな る)
こか ら,文 を コ ー ロ ン と コ ン ー ロ ンか らな る ペ
リオ ドス が 理 想 とされ た.快 感 を与 え る こ とを 目的 と す る歴 史 書 や 誇 張演 説 に は,長 い ペ リオ ドス が ふ さわ しい と して も,法 廷 や議 会 の演 説 は 説 得 を 目的 と し,
で構 成 され て い る とい う ような,均 斉 と簡 潔 性 が,彼
誠 実 さの 印象 を与 え る こ とが 必 要 で あ るの で,過 剰 な
の 語 りの 部 の 文 体 の特 徴 で あ る.せ
華 美 は避 け られ な け れ ば な らない と考 え られ,こ
りふ の部 は,や や
異 な り,か な り高度 に複 雑 な構 造 型 を示 す.ウ
ェル ギ
ら,調 和 的 均 整(concinnitas)が
こか
入 念 な 工 夫 に よ って
リ ウス の 手 に よ って,ラ テ ン語 は 洗 練 の 頂点 に 達 し,
追 求 され た.さ
そ の後 の 文 人 た ちに よ っ て模 範 と仰 が れ た.
に構 築 され た ペ リオ ドス を 最高 度 に洗 練 させ た のが,
Ⅴ)散 文 の こ とば
リズ ム の 型,す な わ ち,散 文 の韻 律(numerus)で
カ トー に代 表 され る 前2世 紀
らに,こ の調 和 的 均 整 を も って,論 理 的
の 散文 の こ とば は,指 小語,合 成 動 詞,冗 長 な 指 示 代
る.こ れ は,ペ
名 詞 お よび 指 示 副 詞,統 辞の 乱 れ を 特 色 とす る 日常 語
の 工 夫 で,い
を基 礎 に して,こ れ に 荘重 さ を与 え るた め に 古 語 や 古
も っ と も好 んだ の は,長 短長 ・ 長 短(〓),お
形 を散 りば め,さ
び,長 短 長 ・長 短 長(〓)の
らに伝 統 的 な文 体 装 飾 で 美 化 し,ギ
あ
リオ ドス の 末尾 の響 き を良 くす る た め
ろい ろ な 型 が 用い られ た が,キ ケ ロ ー が よ
リズ ム で あ る.
リ シア修 辞 学 の 光 を 当 て,同 時 代 の 詩 歌 の 花 を 加 え た,
この 均 整 と リズ ムの 典 型 的特 徴 を備 え て完 成 され た
奇 妙 な混 合 物 で あ った. それ が,次 の 世 紀 の 間 に 高 度
装 飾 文 体 も,いつ で も ど こで も使 っ て よい の で は な く,
に 洗練 され て,古 典的 な散 文 の こ とば に成長 した.こ
ジ ャ ンル の 適 正 さ(decorum)が
の過 程 は,ラ テ ン語 を そ の乱 れ か ら守 り,田 舎 風 の も
じカ エサ ル(C.Julius
の,地 方 的 な もの,外 国的 な もの を 排 除 し,純 粋 で都
も,『ガ リア戦 記 』な どの 手 記 と演 説 とで は文 体 が異 な
そ れ に優 先 した . 同
Caesar,前100∼44)の
文 章で
会 風 な正 しい ラテ ン語 を追 求 す る過 程 で あ った .粗 野
る.そ れ ばか りで な く,こ の文 体 の理 想 に,意 識 的 に
な発 音 が 追 放 され,性 の混 乱,屈 折形 と造語 法 の 流動
反 抗 す る作 家 た ち もい た.た
性 が規 制 され て,古 典 的 規 範 が確 立 した.統 辞 の面 で
(Q.Sallustius
も,た とえ ば,副 文 に よって 間 接 話 法 を構成 し,間 接
で あ る.彼 は,古 語 や 詩 語 を好 ん で 用 い,意 識 的 に 調
疑 問文 を 直 説 法 でつ くる 旧習 や,格 関 係 を 表 わ す の に
和 的 均 整 を破 り,韻 律 を排 除 す る.彼 の ア ル カ イ ズ ム
前 置 詞句 を 用 い る慣 行 も追 放 され た.雄 弁 家 た ち は,
は,並 列 文,主 語 を変 え て不 器 用 に組 み 立 て た ペ リオ
とえ ば,サ ル ス テ ィ ウス
Crispus,前86∼35)の
歴 史書がそれ
効 果 が な い とい う実践 的 理 由で,ま た,明 晰 さ と論理
ドス,指 示代 名詞isの
性,あ
組 み 合 わ せ,接 続 小 辞 の省 略,直 接 目的 語 を と る 目的
い ま い さの 回避 を重 視 す るギ リシア修 辞 学 の 影
響 もあ っ て,ア ル カ イ ズ ム と人 工 的 な 語 法 を や め た. 時 の 奪格 か らinを,手
段 の奪 格 か らcumを
り,形 容 詞 の付 か な い様 態 の 奪格 にcumを
と り去 冠 す る慣
冗長 な使 用,頭
韻 に よ る語 の
分詞 な ど,な じみ の もの で あ り,こ れ に標 準 的 な文 体 装飾 を加 え る.暗 喩(metaphor)を 体 に近 い.特 に,エ
多 く用 い,詩 の 文
ンニ ウスの 影 響 が,統 辞 と造 語 法
行 を定 着 させ,siに 導 か れ る 間接 疑 問 文 を廃 止 し,ut
と語 彙 に み られ る.
の 用 法 に制 限 を加 えた . 特 に語 彙 の面 に,古 典 主 義 の
リー ウ ィ ウス(T.Livius,前59∼ 後17)は,キ ケロ 一派 で ,サ ル ス テ ィウス 風 の 文体 を避 け,入 念 なペ リ
精 選(elegantia)の
態度 が よ く現 わ れ て い る. 風 変 わ
りで 耳 ざわ りな語,聞
き慣 れ な い語,非
合 成 語 が 追 放 され,新
しい 語 も俗語 の疑 い の あ る もの
ラテ ン語 的 な
オ ドス をつ くった.し か し,キ ケ ロー の 副 文 の 代 わ り に分 詞 構 文 を好 み,そ の 動 きの 遅 い ま ごつ い た 構 文 は
は 避 け られ た.
説 得 や 啓 蒙 の た め の もの で は な く,読 者 を楽 し ませ る
語 の 入 念 な選 択 に よ って 表現 の 明晰 さを確 保 す る一
た め の散 文 詩 で あ る.こ れ は,歴 史 の ジ ャ ンル が 詩 的
方 で,彼
ら は,副 文 の 組 み 合 わ せ に よる長 い 複 雑 なペ
リオ ドス の開 発 に手 腕 を発 揮 した .構 文 上 の 矛 盾,不 一 致 ,破 格 な ど,日 常 語 につ き もの の不 合 理 が す べ て
な色 彩 を要 求 す る か らで,リ ー ウ ィ ウス の文 章 は,詩 語 と詩 的 造 語 と詩的 統 辞 に満 ち て い る.特 に,最 初 の 10巻 まで は 神 話伝 説 を扱 って い るの で,古 語 と詩 の こ
リオ ドス を通 して 主語 を 変 え ない 長 文 が
と ばの 特 徴 を多 く含 む が,巻 が 進 む につ れ て,そ れ ら
発 明 され た . 主 語 の 統 一 に よ る長 い ペ リオ ドス を可 能
が 次 第 に減 少 して,古 典 主 義 に 近 づ く. これ は,ジ ャ
に した の は,分 詞 構 文(接 合 分 詞 と絶 対 的 奪 格)で
ン ル の適 正 さ に従 っ た もの で あ る.
解 消 され,ペ
あ
る.中 で も,現 在 分 詞 の動 詞 的 機 能 は,か つ て は,き わ め て 限 られ て い た が,次 第 に 開 発 が進 ん で,キ ケ ロ
キ ケ ロー の 演 説 とウ ェル ギ リ ウ ス の 叙 事 詩 に よ っ て,散 文 と詩 は,そ れ ぞ れ の辿 って きた 道 の 頂 点 に達
した.そ れ は,ジ ャ ンル の 特 性 を守 って きた伝 統 の 産 物 で,中 間 に歴 史 書 の 詩 的 散文 が あ る とは い え,散 文
ス ト レ ス ア ク セ ン トで あ る . 母 音 は,長
の ことば と詩 の こ とば の 間 に は 厳密 な 区 別 が あ った .
狭 く,短
この 区別 が,古 典 後 期 の 文 学 で ぼ か され た. 詩 が 散 文
〓/の9母
短 の 差 が な く な り,aを
母 音 が 広 く な っ た 結 果,/〓, 音 体 系 に な っ た.
を侵 略 し,修 辞が 詩 を支 配 した . す で に,ウ ェル ギ リウ
sebe/sIbI/<sibi
ス の 文体 が 高 度 に修 辞 的 な技 法 を含 ん でい た こ とが,
ficit/fecIt/<fecit
そ の 始 ま りで,そ の後 の 詩人 た ち は,演 説 家 を模倣 し て,詩 に修 辞 学 の あ らゆ る工 夫 を と り入 れ た . 逆 に,
そ し て,次 1)二
の よ う な 傾 向 が 現 わ れ た. 重 母 音 の 単 音 化(ae>e,oe>e,au>o).
雄 弁 家 た ち は,耳 の肥 え た聴 衆 か ら 楽 しさ と美 し さ を
que<quae(関
求 め られ て,詩 的 色彩 とエ ピグ ラ ム 風 の 速 さ を 特 色
penam<poenam「 2)弱
とす る新 しい 文体 を 開 発 し た.セ ネ カ(L.Annaeus Seneca,後65没)の
圧 縮 され た警 句 風 の文 体 が,そ の
代 表 で あ る.歴 史家 タ キ トゥス(P.Cornelius 55∼120)は,サ
Tacitus,
れ た エ ピグ ラム 風 の文 体 を完 成 した . 彼 は,わ ざ と調 和 的 均整 を避 け,す べ て の余 計 な語 を切 り捨 て て 表 現
由奔 放 で,高 度 に装
罰 を」
speclum<speculum「
鏡」
音 前 のiとuの
子 音 化.
congiugi[〓]<coniugi「 (coniuxの 与 格) 一 方 ,子 音 で は,次 1)母
音 間 のbの
の よ う な 傾 向 が み ら れ る.
摩 擦 音 化.
2)ti,ci,giな
寝室」
ど の 口 蓋 音 化.
飾 され,古 い もの で も新 しい もので も,日 常 語 で も荘
sapiensie<sapientiae「
重 な もので も,お よそ,こ
nuncius<nuntius「
とばが 提 供 す るす べ て の 工
生)で あ った,そ の 後 の 文人 た
3)母
と文 体 の 区別 は混 乱 し,古 典 ラテ ン語 は 衰 退 の 一途 を
[俗ラテ ン語]
5)子
口
治 的,社 会 的 な 要 因,そ のほ か,
くか ら あ り).
彼 は愛 す る」
音 連 続 に お け る 同 化.
isse<ipse「
自 ら」
rusum<rursum「
し ことば は着 実 に変 化 して い き,そ こか ら,の ち に ロ
に俗 ラテ ン語 と言 って も,話 す機 会 に よ る違い,階 層,
消 失(古 庭 を」
ama<amat「
い っそ う 日常 語 か ら遠 く な った.し か し,そ の 間 に,話
につ い て は,間 接 的 に しか 知 る こ とが で きない.一
毎年」
末 の‐mと‐tの
hortu<hortum「
古 典 主 義 は,都 雅 と精 選 を 追 求 し
マ ンス諸 語 が生 まれ た . そ の 祖 語 に あ た る俗 ラ テ ン語
場所 」
quodannis<quotannis「
て,ラ テ ン語 に,厳 格 な 語 形,統 辞,語 彙 の 制 限 を課
世 代,教 養 の差,政
音 間 の 無 声 破 裂 音 の 有 声 音 化.
4)語
した.古 典 後期 の ラテ ン語 は,古 語 と詩 語 に飾 られ て,
使者」
logus<locus「
ち は,過 去 の 模範 のい た ず ら な模 倣 に陥 り,ジ ャ ンル
辿 っ た.
知 恵」
septuazinta<septuaginta「70」
夫 を利 用 す る文 体 が あ り,そ の代 表 は,ア ー プ ー レイ ウ ス(Apuleius,123頃
配 偶 者 に」
Cuuiculo<cubiculo「
を圧 縮 し,荘 重 さを 出す た め に詩 的 な 表現 と構 文 を 利 用 した. 他 方 に は,豊 満 華 麗,自
係 疑 問 代 名 詞)
い 位 置 で の 母 音 の 消 失.
3)母
ル ス テ ィ ウス の文 体 を継 承 して,ア ル
カ イ ズ ム と詩 的 な 色彩 で豊 か に した,圧 縮 され 歪 め ら
除 いて 長 母 音 が
た だ し,こ
う しろ へ」
れ ら の 音 韻 の 変 遷 に は,時
が あ る. 名 詞 の 性 は,中 ら み ら れ,帝
性 の 男 性 化 に よ る2性
天」
fatus<fatum「
え が たい . そ こで,古 典 的用 法 か らの逸 脱 の 例 と,ロ
運 命」
マ ンス語 か ら推 定 され る祖形 とで一 致 す る もの を も っ
し か し,中
て,俗 ラ テ ン語 を 構 築 す るの が 常 で あ る.資 料 は,作
詞 の 複 数 形 に 使 わ れ た り,あ
家 た ちが 記 録 して い る 日常語,民
女 性 単 数 の 扱 い を 受 け る よ う に な っ た.
55ま た は66没)の Trimarchionis)の
衆的 な笑 劇 の 断 片,
『トリマ ル キ オ ー の 饗 宴 』(Cena 中 の対 話,400年
頃の尼僧が書い
性複数語尾の
digit‐a<digit‐i「
トロー ニ ウス(G.Petronius,
体 系 が 早 くか
政 期 に 進 行 した.
caelus<caelum「
さま ざ ま な理 由 に よ って 変化 が 多 く,実 に多 様 で と ら
キ ケ ロー の書 簡 集,ペ
代 差 と地域 差
castr‐a「
‐aは,形
だ け 残 り,男
る い は,集
指 」(男 性 複 数)
陣 営 」(女 性 単 数 < 中 性 複 数)
曲 用 で は,‐mの
消 失,‐sの
弱 化,母
音 の 変 遷 の結
た文 章,教 養 の な い人 々の書 い た無 数 の碑 文(呪詛 文
果,語
尾 が 大 幅 に 同 化 し て 格 体 系 が 崩 れ,8世
や,ポ ンペ イ の落 書 きや,庶 民 の墓 碑 銘),文 法 学 者 や
に2格
体 系 に な っ た.性
注釈 家が 「 正 し くな い 」 とか 「俗語 」 として あ げ て い
第1変
化 は 女 性,第2変
る もの,等 々で あ る.
第2変
化 か ら第1変
ア クセ ン トは,古 典 ラ テ ン語 と大 体 同 じ位 置 に くる
変 化 か ら 第1変
性 名
合 名 詞 と し て,
紀 まで
の 明 確 化 の 傾 向 が 現 わ れ て, 化 は 男 性 に 固 定 さ れ た た め に,
化 へ(nurus>nura「
化(tempestas>tempesta「
嫁 」),第3 嵐 」),
ま た は,第2変
化 へ(os>ossum「
か な り あ る.第4変 portico「
骨 」)と移 っ た 語 が
化 は 第2変
化 に(porticus>
柱 廊 」,manus>mano「
は 第1変
laborait<laboravit「
手 」),第5変
化 に(facies>facia「
でにプラウ ト
韻 の 変遷 で 語 尾 の 区別 が つ か な く
な る に 従 っ て 進 行 した .
完 了)は
の 他 で は 衰 え た . 長 母 音 完 了(母 音 交 替
衰 え(cep‐i>capu‐i「
標 準 形 の ‐eruntと
de
nav‐i‐bus
が あ っ た が,そ
e‐gred‐i「 船 か ら上 が る 」 典 語以 前 か らあ った
用 い る 分 析 的 比 較 級 と,二
maiores「
‐eruntは
magis
重 比 較 級(magis
よ りい っ そ う 大 き い 」)が 盛 ん に な り,二
接 尾 辞 に よ る 最 上 級(pe‐ssim‐issim‐us「
も っ と も悪
は,か
並 ん で,古
形の
不定冠詞 に
‐ereと
ま だ 使 わ れ 続 け た.す
了 分 詞 +habeo)が
ま残 っ た の は,不
定 法 現 在 能 動 相,現
は,不
在 分 詞,完
定 法 に お き 換 え ら れ た.動
名 詞 も,一
くか ら あ ど),ecce
っ て,現
ab‐ante「
フ ラ ン ス 語cet「
動 詞 で は,形
これ」
post「
動 形 容 詞(「 ∼ さ れ る べ き 」)は,の
後 か ら」
式 受 動 相)<dubita‐mus(能
動 相)
主 格 の 動 形 容 詞 は,現 iuba‐nd‐i
vocatur>se
est「 彼 は 愛 さ れ る 」 vocat「
用 は,一
部の
の よ う に な る(cf.
助 け に な る 」=iuva‐nt 説 法 に お き換 え られ た.古
文,疑
ecclesi‐a
惑 文 な どに も直説 法 を用 い る よ
valde
pulchr‐a
aimes,
etc.).
だ し,古
い ‐ibamも
volo,facere
debeo,facere
除 い て,あ 残 っ た.未
ま り 来 に
habeo(そ
す る こ と を 欲 す る 」 「し な け れ ば な ら な い 」
「す る こ と を 持 つ 」> す べ て,「 す る で あ ろ う」)の な 複 合 形 が 現 わ れ る.‐bo型
と‐am型
よう
の 混 同 もみ ら
れ る. dicebo<dicam「 habeam<habebo「
くの 従 属 文 で 接 続 法 が 使 わ れ,接
dign‐a
es‐t
く.特
言 う」 持つ」
了 で は 縮 約 形(‐avit>‐ait,
続 法 は単 な
に,quod,quia,
quoniam
と 接 続 法(ま
詞 節 が,古
典 語 の対 格 + 不 定 法 に代 わ って 普及 す る の
が,後
た は 直 説 法)に
よ ってつ くる名
期 ラ テ ン語 の 特 徴 で あ る.
語 彙 の 点 で は,文 な い . た だ,日 を 好 み,そ
学 語 と民 衆 語 は,基
常 の こ と ば は,色
れ が,次
失 っ て,単
復動
来 の 反 復 と起 動 の 力 を
純 動 詞 の 意 味 に な っ て い く.た
can‐ta‐reは,本 っ た が,単
本的に区別が
彩 豊 か な強 烈 な 表 現
第 に 強 烈 さ を 失 っ て い く.反
詞 と起 動 動 詞 が 好 ま れ る が,本
完 了 で は 規 則 化 の 傾 向 が あ り(praestavi<prae stiti「 与 え た 」),v完
vere
しい ほ ど美 しい 教会 」 逆 に,多
る従属 の指 標 に な って い
変 わ ら な い.た
ut
es‐se domu‐s De‐i「 ほ ん と う に 神 の 家 に ふ さ わ 化 して接 頭 語
フ ラ ン ス 語 j'aime,tu
未 完 了 過 去 は,‐iebam>‐ebamを
くか
う に な っ た.
混 ぜ る」
人 称 代 名 詞 の 主 語 の 使 用 が 定 着 し,弱
れ ぞ れ,「
理 由 のcumの
ぶ ら下 が る」
miscere>miscere「
書 か れ るべ き」
在 分 詞 の 代 用 も な し た.
ら あ っ た 直 説 法 に よ る 間 接 疑 問 文 の み な ら ず,結 果 文,
用 に 吸 収 され て 消 滅 し た.
pendent>pendunt「
sunt「
接 続 法 の 多 く は,直
呼 ば れ る」
活 用 の 種 類 の 混 同 が 多 く な り,第2活 地 域 を 除 い て,第3活
形 容 詞 の代 わ りに用 い られ る こ
scrip‐tur‐as=scrib‐e‐nd‐as「
言 法 や再 帰 動 詞 に お き換 え る傾 向
が 現 わ れ る.
は,facere
来 分 詞 が,動
と も あ っ た.
「わ れ わ れ は 疑 う 」
amatur>amatus
き に は,
mori‐e‐nd‐i「 死 の う と 」(=mori‐tur‐i) 逆 に,未
動 相 を,迂
務 の意 味
未 来 能 動 分 詞 の 代 わ り に 使 わ れ る こ と も あ っ た.
式 受 動 相)
「君 は 従 う 」
ま た,受
ち に,義
な る 未 来 受 動 分 詞(「 ∼ さ れ る で あ ろ う と
こ ろ の 」)と し て 使 わ れ る よ う に な っ た が,と
式 受 動 相 と能 動 相 の 混 同 が み られ る.
sequ‐i‐s(能 動 相)<sequ‐e‐ris(形
dubita‐mur(形
般 に,不
格 だ けは 生 き残
在 分 詞 の 代 わ り に 使 わ れ た.
を 失 っ て,単
合 化 が 進 ん だ.
前 か ら」,de
了分
dic‐e‐nd‐o「 言 い な が ら 」(=dic‐e‐ns)
で 強 め る 複 合 形 も 普 及 し た.
副 詞 と前 置 詞 も,複
の ま
ー マ ニ ア以 外 の地 域 で
っ た が,こ
istum>
普 及 す るの
な り の ち の こ と で あ る . 不 定 形 の 中 で,そ
変 わ っ た . 指 示 代 名 詞 の 複 合 化 の 傾 向 は,古
ecce
‐erunt 消 滅 し,
で に プ ラ ウ ト ゥス に
定 法 に お き 換 え ら れ て 消 滅 し た が,奪
の 傾 向 は の ち に も続 き(is ipseな
典語の
‐ereは
詞 の み で あ る . 目 的 分 詞 は,ル
定 冠 詞 に,unusが
了は
称 複 数 に,古
の う ち,‐eruntと
み ら れ た 複 合 的 完 了(完 重
い 」)も み ら れ る よ う に な っ た. 代 名 詞 で は,illeが
と ら え た 」),s完
発 展 し た . 完 了 の 語 尾 で は,3人
eum dic‐i‐t「彼 に 言 う 」
やplusを
贈 っ た」
畳 音 完 了 は,歯 音 幹 で は 盛 ん に な り(ed‐id‐it<ed‐it 「食 べ た 」),そ
ad
形 容 詞 の 比 較 で は,古
働 い た」
donaut<donavit「
化
顔 」)吸 収 さ れ た.前
置 詞 句 を 格 の 代 わ り に 用 い る 傾 向 は,す ゥ ス に あ っ た が,音
‐aut)が 好 ま れ た.
と え ば,
来,「 何 度 も 歌 う 」 と い う反 復 動 詞 だ
純 動 詞can‐e‐re「
り,dormi‐sc‐e‐re「
歌 う」 と同 じ意 味 に な
眠 り こ む,眠
り始 め る」 とい う
起 動 動 詞 は,dormi‐re
「眠(っ て い)る 」と い う 単 純 動
詞 の 意 味 に な る.
詩 人 で さ え も,キ
次 の よ う な 表 現 が 好 ま れ る よ う に な っ た の は,重
量
音 節 語 が,意
リス ト教 的 な ギ リ シ ア 借 用 語 を 使 う
よ う に な っ た. キ リ ス ト教 ラ テ ン 語 の 特 殊 性 は,語
感 が あ っ て 表 現 力 が 豊 か な た め で あ る. 1)単
や が て,芸 術 的 な キ リス ト教 散 文 作 家 に と り 入 れ ら れ,
味 の 同 じ多 音 節 語 に お き 換 え ら
れ る.
て い る.借
用 語 や 翻 訳 語 と並 ん で,新
れ た . こ れ も,主
vade=i「
行 け」
esto=es
「あ れ 」
longo
成 動 詞 が,単
語 も多 くつ く ら
に キ リス ト教 的 術 語 で あ る が(trini‐
tas「 三 位 一 体 」,incarnatio「
肉 化 」),特
教 的 とは 言 え な い も の に 対 し て も,特
tempore=diu「
2)合
彙 の面 に 限 られ
長い間」
れ た(veraciter「
純 動 詞 よ り も優 勢 に な る .
ま た,同
別 の 語 が つ くら
真 に 」,transgressor「
じ語 が,キ
違 反 者 」).
リス ト教 徒 の こ と ば と異 教 徒 の こ
per‐trans‐ire「
渡 る」
と ば で 意 味 を 異 に す る 場 合 も あ り(sapiens「
dis‐se‐parare「
分 け る」
教 徒 〕> 「ず る い 」 〔キ リス ト教 徒 〕),す で に 使 わ れ な く
3)指
小 名 詞,指
小 形 容 詞 が 好 ま れ る.
な っ た 語 で,そ
の 古 さ の ゆ え に,神
へ の祈 りに ふ さわ
鳥」
し い と考 え ら れ て 復 活 し た も の も あ る(orare「
vetulus=vetus「
古い」
> 「祈 る 」).
ま た,par
idem
「同 じ」 やitaque
ergo「
だ か ら」
語 彙 は 特 殊 で も,文 法 は,俗
キ リ ス ト教 が ま ず 下 層 民 に 与 え ら れ,宣 衆 の こ と ば で 説 教 し た こ と か ら,キ
に あ っ て,古
言 う 」)の よ う に,初
典 ラ テ ン語 に な く,ロ
て い る語 は,古
期 ラテ ン語
マ ンス 語 に現 わ れ
典 作 家 の都 雅 の基 準 に合 わ ない た め に
採 用 さ れ な か っ た け れ ど も,日 と を 示 し て い る.一
方,詩
常 語 に は生 きて い た こ
人 の こ と ば と俗 語 とに 共 通
に み ら れ る 語 や 用 法 が あ る . こ れ は,俗 存 さ れ て い て,そ
語 に古 語 が 保
の古 さの た め に高級 詩 歌 に と り入 れ
ら れ た もの で あ る. リ シア 語 との 関係 は
こ れ ま で に な く 緊 密 に な り,ギ と 模 倣 は,語 彙 の 面(た
リ シ ア 語 の 翻 訳 と借 用
と え ば,〓
>casus「
ち ら も 「落 下 」 の 意 味)に
文 法 に ま で 及 ん だ(in+
与 格 を,手
格」
と ど ま ら ず,
段 の 奪格 の意 味 に
用 い た 例 な ど). キ リ ス ト教 は,ギ
語 に よ っ て イ タ リ ア に 渡 来 し て,ま 話 す 移 民 の 間 に 広 ま り,2つ
ず,ギ
リシ ア
リシ ア語 を
の 言 語 の 話 し手 を 通 し て,
ラ テ ン 語 を 話 す 下 層 民 の 間 に 浸 透 し た.初
期 キ リス ト
教徒 か ら離れ て 彼 らだ け の社 会 を作 った の
部 の 者 に は 理 解 の で き な い 特 殊 な ラ テ ン語 を 開
発 し た.そ
れ は,ギ
に 散 りば め た,混 の 翻 訳 は,直
ラ テ ン 語 の あ ら ゆ る 特 徴 を 備 え て い る.
し か し,こ
の卑 俗 な こ とば が 神 の 崇 拝 に い つ も用 い ら
れ た 結 果,神 聖 さ と 尊 厳 を 与 え ら れ,や
が て,教
ウ グ ス テ ィ ‐ ヌ ス(Aulerius
Augustinus,354∼430)
で さ え も,俗
し ろ,俗
語 を 避 け ず,む
語 擁 護 論 を展 開
キ リス ト教 ラ テ ン語 が 始 ま っ た の は,ギ
リ シ ア 語 の 借 用 語 と翻 訳 語 を 無 数 乱 し た こ と ば で あ っ た.初
訳 調 で,誤
訳 も 多 く,と
期 の聖 書
き に は,語
順や
し て,ラ
テ ン語 に よ る 聖 書 と 著 作 へ の 要 求 が 高 ま っ た
2世 紀 頃 で あ る と 考 え ら れ る.3世 マ 教 会 が ラ テ ン 語 化 し て,教
紀 中 葉 に は,ロ
語 で 書 か れ た 著 作 も,こ 半 に は,も
じめ か らラ テ ン
の 頃 か ら 現 わ れ る.4世
わ れ 始 め る.キ
リ ス ト教 化 さ れ た ラ テ ン 語 を 最 初 に 大
(Q.Septimius
Florens
230頃)で,キ
ル ト ゥ リア ー ヌ ス
Tertullianus,150頃
ュ プ リ ア ー ヌ ス(Thascius
Cyprianus,200頃
∼258)や
Firmianus
世 紀 初 頭)を 経 て,ヒ
ラ ク タ ン テ ィ ウ ス(L. 紀 後 半 ∼4
エ ロ ニ ュ ム ス(Hieronymus,342
ラ テ ン 語 は 最 盛 期 を 迎 え る . し か し,そ
洗 礼 」),異 教 の に お い
ア ウ グ ス テ ィ ー ヌ ス に 至 っ て,キ
と 民 衆 が 創 造 し た こ と ば で あ り,そ
の す る ラ テ ン語 を 避 け て 借 用 語 を 使 う こ と も 多 か っ た
活 発 な 相 互 交 流 の た ま も の で,た
(propheta「
合 っ て い た こ と が,比
リ シ ア 語 は,す
預 言 者 」,ecclesia「 で に,古
浸 透 し て い た の で あ り,キ
教 会 」).し
か し,ギ
くか ら ロ ー マ 人 の 日常 生 活 に リス ト教 徒 は,こ
推 し 進 め た ま で の こ と で あ る.こ
の伝 統 を
の 民 衆 の こ と ば が,
∼ Caecilius
Lactantius,3世
頃 ∼420)と
天 使 」,baptisma「
紀後
っ と も保 守 的 だ っ た 典 礼 に も ラ テ ン 語 が 使
規 模 に 文 学 作 品 に 使 っ た の は,テ
Caecilius
ー
会 の 公 式 の通 信 に ラ テ ン
の 多 くは,ラ
テ ン語 に 対 応 す る 語 の な い 術 語 で あ る が
リシア 語 を
話 す キ リス ト教 徒 の 間 に ラ テ ン 語 を 話 す 改 宗 者 が 増 加
格 形 にま で ギ リ シア語 の直 輸 入 が 及 ん で い る .借 用 語
(angelus「
養のあ
る キ リ ス ト教 作 家 の こ と ば に も 深 い 影 響 を 与 え た.ア
語 が 使 わ れ て い る . 翻 訳 で は な く,は
[キ リス ト教 ラ テ ン 語]
教 徒 は,異
教 師 た ちが 民
リス ト教 ラ テ ン語
して い る.
ロ ー マ 帝 国 の 拡 大 に よ っ て,ギ
来,ど
の 文 法 は,俗
頼む」
ラ テ ン 語 と 同 じで あ る.
fabulari(=dicere「
で,外
賢 い 」〔 異
avicellus=avis「
の よ う な 重 複 法 の 流 行 も,力 強 さ を 求 め た もの で あ る.
は,本
に キ リス ト
リ ス ト教
れ は,も
え ず 文 通 し,往
来 し
較 的 一 様 な キ リ ス ト教 ラ テ ン 語
の 発 達 と 維 持 に 貢 献 し た.や
が て,改
宗 者 が 増 大 し,
キ リス ト教 が 帝 国 の 全 域 を の み 込 ん だ と き に,こ 殊 な 言 語 は,帝
とも
の普遍的な性格は
国 の 西半 分 の 共 通 語 に な っ た .
の特
[中世 ラ テ ン語]
古 代 末期 か ら始 ま った ゲ ル マ ン
人 の侵 入 は,ロ ー マ帝 国 を大混 乱 に 陥れ,476年
に,
よ く使 わ れ て い る も の を あ げ る. 1)ポ
ケ ッ ト版
西 ロ ー マ帝 国 は滅 亡 す る . ロー マ の 統 制 力 が 失 われ る
Menge,H.und
と,ラ テ ン語 は地 域 ご とに進 化 して い く.経 済 的 衰 退
scheidts
に よ って 学 校 が 閉 鎖 され,古 典 教 育 が 行 な わ れ な くな
und
った こ とが これ に拍 車 をか け て,俗 ラ テ ン語 は 無 制 限
Berlin/Munchen/Wien/Zurich)―
に 発 達 して,中 世 前 期 に,ロ マ ンス 諸語 に 変わ って い
要 な こ と は 記 載 さ れ て お り,簡
く.し か し,文 語 と して の ラテ ン語 は,そ の 後 も,聖
(E.Pertsch)の
職 者 や官 吏 の手 に よ って 生 き続 け る. これ が,中 世 ラ
が も っ と も 良 心 的 な 辞 典 と な っ た.
テ ン語 で あ る. そ れ は,古 代後 期 の キ リス ト教 ラ テ ン 語 を継 承 す る もので,初 め か ら俗 ラ テ ン語 の基 礎 の 上 に成 立 した もので あ るが,中 世 初 期 の,政 治 的,文 化 的 な混 乱 の 中 で,ま す ま す,地 方 色,俗 語 色 を 強 め, 8世 紀 に は,も は や,古 典語 の知 識 だ け で は理 解 不能
deutschen
2)小
Magnus,Charle
改 革 は,こ の 乱 れ た ラ テ ン
語 を,古 代 の 正 しい ラ テ ン語 に戻 そ う とす る 努 力 で あ った.彼 は,西 欧 各 国 か ら,学 者,文 人 を集 め,宮 廷 学 校 と フ ラ ン ク王国 全 土 の 修 道院 と司 教座 の学 校 を教 育 の 中 心 に した . カ ロ リン グ朝 ル ネ ッサ ンス と よば れ
Dictionary(Clarendon 級 者 向 け で,用
Press,Oxford)―
田 中 秀 央(1952,19662),『
が 詳 し く,現 3)中
語 と して 確 立 す る結 果 とな っ た. そ れ は,知 識 階級 の 共 通 語 と して,宮 廷 と教 会 で,の ち に は,大 学 に おい
羅 和 辞 典 』(研 究 社,東
francai
illustre
って,ふ た た び,ラ テ ン語 文 化 が 栄 え,教 育 が 普 及 し た.13世
紀 に は,修 道 院 や 司 教座 の付 属 学 校 と並 ん
latin
も っ と も優 れ て い る.語
中 辞 典 と し て は, 数 が 多 く,絵
入 りで あ る.
Pertsch,E.(1971),Langenscheidts
Hand
lateinisch‐deutsch(Langenscheidt
ケ ッ ト版 よ り,訳
語 と 解 説 が 詳 し い. latin
francais(Belin,Paris)― 示 し て,標
,
同 じ著 者 の ポ
Lebaigue,C.(196062),Dictionnaire
古 語 と新 語 を 記 号 で
準 的 古 典 語 と 区 別 し て い る.
4)大
紀 か らは,都 市 の 経 済 的
京)
辞 関係 の 記 述
代 科 学 用 語 も あ げ ら れ て い る.
s(Hachette,Paris)―
Lewis,C.T.and
発 展 と封 建 社 会 の安 定 とロー マ 教会 の 権 力 の 伸 展 に よ
,統
Gaffiot,F.(1934),Dictionnaire
て,ま た,国 際 交 流 の 場 で 用 い られ た . 民 衆 的 基 盤 を
続 けた .9世 紀 後半 か ら,再 び 異 民族 の 侵 入 に よ って
初
辞典
欠 いて い る と はい え,そ れ は,常 に 各 国 の 言 語 か ら影 響 を受 け なが ら,精 神 的,文 化 的 な ことば と して 生 き
Latin
例 も か な り 多 く あ げ ら れ て い る.
Berlin/Munchen/Wien/zurich)―
しろ,古 典 ラテ ン語 と も古 代 の キ リス ト教
音の 長 短 の 記述
Elementary
古 代 の こ とば に近 づ け られ た.し か し,こ の浄 化 は 徹
ラ テ ン語 と も異 な る 中世 ラテ ン語 を,西 欧 世 界 の 標準
ルチュ
辞典
worterbuch
西 欧 社 会 は混 乱 す る が,11世
最 低 限必 便 で あ る.ペ
改 訂 に よ っ て,母
る この改 革 に よって,ラ テ ン語 は俗 語 か ら清 め られ,
底 せ ず,む
lateinischen
Sprache(Langenscheidt,
― わ が 国 唯 一 の ラテ ン語 辞 典 で
シ ャ ル ル マ ー ニ ュ(Carolus 世768∼814)の
der
Lewis,C.T.(1891),An
な まで に変 貌 して しま っ た. magne,治
E.Pertsch(1963),Langen Taschenworterbuch
辞典 C.Short(1879),A
Dictionary(Clarendon
Latin
Press,Oxford)―
っ と も よ く 使 わ れ て き た も の で,現
も
在 で も,も
っと
も標 準 的 な 辞 典 で あ る. Glare,P.G.W.(1982),Oxford
Latin
tionary(Clarendon
Press,Oxford)―
も新 しい 大 辞 典.訳
語 よ り も,正
Dic もっと
確 な意 味 の記 述 に
で,大 学 が知 的 活 動 の 中心 にな っ て い く.古 典 作 家が
重 点 を お き,引
尊 重 され て,ラ テ ン語 の 質 は 高 め られた.し か し,一
期 ま で に 限 り,キ リ ス ト教 ラ テ ン 語 以 後 を 含 ま な い.
方 では,そ れ と並 行 して 発 達 した ス コ ラ哲 学 が ラ テ ン
用 例 が き わ め て 多 い.た
Georges,K.E.(19138),Ausfuhrliches
語 を極 度 に形 式 化 して,そ の 生命 力 を奪 った こ と も否
deutsches
定 で き ない . ル ネ ッサ ンス の 人文 主 義 者 た ちは,古 典
Basel/Stuttgart)―
ラ テ ン語 の復 興 を 目 ざ し,そ の 模倣 に努 め た た め に, か え って,ラ テ ン語 の 発 展 を止 め て しま った.以 後,
し く,引 Thesaurus
だ し,古
典
lateinisch
Handworterbuch,2
Bde.(Schwabe,
語 数 が 多 く,意
味の記述が詳
用 例 も多 い. Linguae
Latinae(1900‐,Teubner,
古 典 的 な ラテ ン語 は,一 部 の 哲学 者 や 科 学 者 に よ って
Leipzig)―
用 い られ るだ け にな り,今 日で も,西 洋 の 一 握 りの 古
十 分 冊 が 刊 行 さ れ,続
典 学 者 に よ って 書 き続 け られ てい る.一 方,中 世 ラテ
Pの
ン語 は,今
が で き上 が って い る. 古 代 の文 献 に 使 用 され て い る
日 も,カ
トリ ッ ク教会 の典 礼 の 中 で,わ ず
か に命 脈 を保 って い る. [辞
書]
無 数 に ある ラ テ ン語 辞 典 の うち,現 在,
最 大 の ラ テ ン 語 辞 典.現
る.
刊 中 で あ る.Nの
途 中 ま で が 既 刊 で,残
文 例 を 網 羅 し,詳
在 ま で に百 数
り も,編
項 を除 い て
集 本 部 にカ ー ド
細 な意 味 の 区 分 が ほ ど こ され て い
5)特
殊 な 辞 典
堂,東
Quicherat,L.et saurus
Poeticus
Linguae
Hildesheim)―
Latinae(Olms,
the
詩 人 の 作 品 と 断 片 に 現 わ れ る,す
べ て の 語 を と り 上 げ た 辞 典.
auteurs
都) Latina:A
Pronunciation
bridge
of
University
Guide
Classical
des
chretiens(Brepols,Turnhout)―
Press,Cambridge)
ン グ 朝 の 終 わ り ま で の,キ
リス
Lautlehre
Lateinischen(Winter,Heidelberg)
Kuhner,R.und
F.Holzweissig(1978),
ロ ヴ ィ
Ausfuhrliche
Grammatik
ト教 作 家 に 関 す る 辞
Sprache:Teil
1:Elementar‐,Formen‐
最 初 期 の テ ル ト ゥ リ ア ー ヌ ス の 時 代 か ら,メ
典.
der
lateinischen und
Wortlehre(Wissenschaftliche
6)中
世 ラ テ ン語 辞 典 C.Van Latinitatis
Leiden)― に,世
de
Kieft(1976),
Lexicon
Kuhner,R.und
Minus(Brill,
建 制 度)に
関 す る 語 が 詳 し い .
Blaise,A.(1975),Lexicon Aevi
Latinitatis
praesertim
ad
vestigandas
res
Medii
ecclesiasticas
in
pertinens(Brepols,Turnhout)
キ リス
J.B.Hofmann(1906,19725),
Lateinisches
etymologisches
etymologique
latine:histoire
des
de
la
langue
nische
Grammatik:Band
Band
Laut‐
2:
und
Formenlehre,1977;
J.B.Hofmann
und
Syntax und
A.Szantyr,
Stilistik,1972(Beck,
A.Meillet(1932,19743),Morpho
of
Oxford
Classical
Dictionary
Press,Oxford)―
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classischen
Ernout,A.et
F.Thomas(1951,19722),Syntaxe
Ziegler,K.und
Altertumswissen
W.Sontheimer(1964‐75),Der
muller,Stuttgart)― (1893‐1980)の
縮 刷 版 で,5巻
Row,New
Andresen,C.et
the
zur
historischen
lateinischen
Sprache(Gruyter,Berlin)
von
der
den
and
Anfangen
der
alten
An
Historical
bis zum
Beginn a.M.)
Latin
Language
Latin
Language:
Account
of
Latin
Sounds,
Flexions(Hafner,New
York/
London) Hofmann,J.B.(19513),Lateinische
Welt(Artemis,Zurich/Stuttgart)
lateinischen
Faber,London)
Stems,and
York)
Lateins,
Literatur(Klostermann,Frankfurt
(Faber
World
des
A.Debrunner(19533),Geschichte
Lindsay,W.M.(1963),The
Classical
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Syntax
Palmer,L.R.(1954),The
か ら な る.
of
der
der
I.Shatzman(1975),Illus Encyclopaedia
Syntax
Bde.(Gleerup,Lund)
Sprache
Antike(Drucken
上 記,Pauly‐Wissowa
Yonah,M.A.and
Latin
und
Altheim,F.(1951),Geschichte
か ら な る.
der
Beitrage
Stolz,F.und も っ と
Pauly:Lexikon
New
Lofstedt,E.(1956),Syntactica:Studien
2
schaft(Druckenmuller,Stuttgart)― も 大 規 模 な 百 科 事 典 で,84冊
Latin,
(Methuen,London)
(Clarendon
も っ と も簡 便 な 百 科 事 典 .
Pauly,A.und
Early
vols.(Olms,Hildesheim)
Woodcock,E.C.(1959),A H.H.Scullard(19702),
&
1:M.Leumann,
Latine(Klincksieck,Paris)
科 事 典
Umgangs
sprache(Winter,Heidelberg)
[参 考 文 献] 呉 茂 一(1952,19782),『
ラ テ ン 語 入 門 』(岩
波 書 店,
国 原 吉 之 助(1975),『 京/京
東 京) 松 平 千 秋,国
Leumann‐Hofmann‐Szantyr(1972‐77),Latei
2
mots(Klincksieck,Paris)
Hammond,N.G.L.and
(Harper
Bde.(Wis
Buchgesellschaft,Darmstadt)
Bennett,C.E.(1966),Syntax J.Andre(19744),
Dictionnaire
trated
lateinischen
logie historique du latin(Klincksieck,Paris)
(Winter,Heidelberg)
Kleine
senschaftliche
Ernout,A.et Worterbuch
Ernout,A.,Meillet,A.et
clopadie
der
2:Satzlehre,2
Munchen)
Walde,A.und
The
Teil
Lateinische
源 辞 典
8)百
Grammatik
Sprache:
Lateinische
ト教 会 関 係 の 語 に 重 点 を お い た 中 世 ラ テ
ン 語 辞 典. 7)語
C.Stegmann(1971),Aus
fuhrliche
訳 語 に フ ラ ン ス 語 と 英 語 を 併 用 し,特 俗 の 制 度(封
Buchgesell
schaft,Darmstadt)
Niermeyer,J.F.et Mediae
to
Latin(Cam
Niedermann,M.(19533),Historische
Blaise,A.(1954),Dictionnaire latin‐francais des
京/京
Allen,W.S.(1965),Vox
E.Chatelain(192231),The
原 吉 之 助(1968),『
新 ラ テ ン 文 法 』(南 江
中 世 ラ テ ン 語 入 門 』(南
江 堂,東
都)
Harrington,K.P.(1975),Mediaeval
Latin
(University
of
Chicago
採用 され,実 際 の 発 音 に 即 した正 書 法 が つ くられ た .
Press,Chicago/
London) (中 山 ラ ト ヴ ィ ア 語Latviesu
恒 夫)
説]
河 川 名(た
と え ば,Late川)に
由 来 し,ラ
係 し て い る.他
方,レ
呼 称 は,
ラ トヴ ィア 語 は,現 代 イ ン ド ・ヨー ロ ッパ 諸 言 語 の
トヴ ィア東
中 で は 古 風 な 言 語 で あ るが,リ トア ニ ア語 に 比 べ る と,
「ラ トヴ ィ ア の 端 」)と 関
ッ ト人 〔語 〕の 呼 称 は,フ
リ ー ブ 人 の よ び 方 に 由 来 し,特
ィ ン系
に ドイ ツ 人 は,ラ
ィ ア を,古
来,Lettland,ラ
と よ び,そ
こ か ら 英 語 で レ ッ ト語(Lettish)と
トヴ
ラ ト ヴ ィ ア 語 は,リ
も よば
トア ニ ア 語,死
語 で あ る古 プ ロ
紀 に 遡 る と され,古
よれ ば,
くか ら リ トアニ ア
人 とラ トヴ ィア人 の 意志 の疎 通 は不 可 能 で あ った.ラ
滅寸 前 に あ る,先 住 民 フ ィ ン系 リー ブ 人 の リー ブ 語 と
[文字 と 発音] ドビ
字22,補
ラ トヴ ィア語 の 文 字 は,ラ テ ン文
助 記 号 を付 した文 字11の,合
わ せ て33文
字
を用 い,組 み 合 わ せ 文 字 と して,dz[dz],dz[〓]の2
岸 地 域 の ソ連 邦 ラ トヴ ィ ア 共 和 国(Latvijas 住 民,ラ
日,消
の混 交 に あ る.
ン ド ・ヨ ー ロ ッ パ(印 欧)語 族,バ
バ ル ト海 に 注 ぐ ダ ウ ガ ヴ ァ(Daugava)川(西
Republika)の
リ トア ニ ア 語 は ラ トヴ ィア 語 の祖 語 に近 い と言 え る. 両 言語 の 分 化 の 時 期 は,ブ ーガ(K.Buga)に
トヴ ィア 語 の 変 容 の も っ と も大 き な要 因 は,今
ル ト語 派 に 属 す る 言 語 で あ る.
ナ 川)沿
音 韻 面,形 態 面 で 大 きな 変 化 を被 って お り,そ の 点 で,
紀 元後5∼7世
トヴ ィ ア 語 をLettisch
れ る よ う に な っ て い る.
シ ア 語 と と も に,イ
と も に,版 を 重 ね た ラ トヴ ィ ア
語教 本 を 執 筆 した .
レ ッ ト語(英Lettish,独Lettisch)と
部 の ラ トガ レ 地 方(Latgale
トヴ ィ ア 人 に よ っ て 話 さ れ て
い る.
つ が あ る. アル フ ァベ ッ トは,次 の とお りで あ る.
ラ ト ヴ ィ ア(Latvija)の ツ 人,ポ
土 地 は,13世
ー ラ ン ド人,ス
民 族 に よ っ て,相
紀 以 来,ド
ウ ェ ー デ ン 人,ロ
イ
シ ア人 の 諸
次 い で 北 配 さ れ て き た 経 緯 が あ り,
原 住 民 の ラ ト ヴ ィ ア 人 が 真 の 独 立 を か ち え た の は,第 1次 大 戦 後 で,独
用 語 と な っ た.し
ト ヴ ィ ア 語 は,よ か し,第2次
う や く,同
ソ連 邦 に 編 入 さ れ た た め,ロ
大 戦 後,ラ
は,1つ
国の公
トヴ ィア は
シ ア 語 が 公 用 語 と な り,
ラ トヴ ィ ア 語 は 民 族 語 と さ れ た. 独 立 国 時 代,1935年 の う ち,ラ
ア 人 は21万 査 で は,人
人(11%)で 口250万
シ の調
トヴ ィ ア 人 は134万
前 よ り 減 少 し,ロ
な っ て い る.第2次
ィ ア 人 は,約20万
人(73%),ロ
あ っ た . し か し,1979年 人 の う ち,ラ
人(53.6%)で,戦 (32.8%)と
の ラ トヴ ィ ア の 人 口 は,195万
トヴ ィ ア 人 は143万
後,ロ
シ ア 人 の 移 住 者 は,増
一 途 を た ど っ た . ラ ト ヴ ィ ア で は ,近 レ ス ト ロ イ カ の 過 程 で,非
年,進
加の
行 す るペ
ラ トヴ ィア 語住 民 の ラ トヴ
ィ ア 語 習 得 が 要 請 さ れ る に 至 っ て い る.
に す ぎ ず,最
初 の 書 物 は,1585年
紀 に遡 る
に 出版 され たカ ト リ
『教 理 問 答 書 』 で あ り,翌1586年
ー の 『教 理 問 答 書 』 も 出 版 さ れ て い る .い
に は,ル
タ
ず れ も,ド
文 字 は,長
い 間,ゴ
シ ッ ク文 字 が 使 わ れ,ド
イツ語
代 か ら ラテ ン文 字 が
じ たe音
と開 い た
ト ヴ ィア 言 語 学 で は,eの
記 号で
の 音 を 表 わ す.
閉 じ たe:zeme「
土 地 」,meness「
開 い たe:ledus「
氷 」,dels「
文 字oは,ラ
月」
息子」
ト ヴ ィ ア 語 本 来 の 語 で は 二 重 母 音uoを
表 わ す が,国
際 用 語 の 借 用 語 で は,短
/opera/「 子 音fとhは,ラ
母 音 のo,と
き
表わす.
ozols/uozuols/「
樫 の 木 」,国
際 用語
opera
オ ペ ラ」 ト ヴ ィ ア 語 に は 本 来 な か っ た 音 で,
国 際 用 語 の 借 用 語 の た め に 新 し く導 入 さ れ た 文 字 で あ る .k,g,l,nは,歴 し,軟
史 的 に,kj,gj,lj,njに
由来
音 化 さ れ た 口 蓋 化 音 を 表 わ す.kとgは,ロ と〓
1)有
の よ う な 点 が あ げ ら れ る.
声 子 音 と 無 声 子 音 の 連 続 で は,先
声 化 し,無
シ
に 近 い.
発 音 上 の 規 則 と し て,次
行 子 音 は無
声 子 音 と有 声 子 音 の 連 続 で は,先
行子
音 は有 声 化 す る. labs[laps]「
イ ツ 人 に よ る ドイ ツ 語 か ら の 翻 訳 で あ る.
式 の 書 法 が 行 な わ れ た が,1920年
の お の が,閉
近 く,ラ
示 す)の2つ
ア 語 の〓
も っ と も 古 い ラ ト ヴ ィ ア 語 の 文 献 は,16世
外 の文字
の 音 韻 を 表 わ し て い る.
e音([〓]に
人
長母音文
字 か ら な り,e,e,o以
文 字eとeは,お
トヴ
人 が ア メ リカ そ の他 の国 外 に流 出 し
た の に ひ き か え,戦
母 音 文 字a,e,i,u,oと
に は 長 母 音 のoを
シ ア 人 は82万
大 戦 終 結 前 後,ラ
母 音 文 字 は,短 字a,e,i,uの9文
立 国 ラ ト ヴ ィ ア 共 和 国(1918∼40)の
成 立 と と も に,ラ
ックの
Endzelins)
(K.Muhlenbach)と
も い う . ラ トヴ ィ ア(Latvija,英Latvia)の
人,そ
トヴ ィ ア の言
の寄 与 す る と ころ が 大 き く,彼 は,ミ ュー レ ンバ ッハ
valoda,英Latvian,
露〓 [概
ラ トヴ ィア 語 の 標 準 語 の 確 立 に は,ラ 語学 者 ヤ ー ニ ス ・エ ンゼ リー ンス(Janis
良 い 」,nakdams[na:gdams]「
来
な が ら」 2)語
末 の 有 声 子 音 は,対
応 す る無 声 子 音 と して 発
音 さ れな い .
3)*s,*z>s,z.
maz[maz]「 3)子
少 し」
音vとjは,同
sirds「 心 臓 」,Lith,sirdis;ziema「
じ 音 節 内 でa,e,i,uに
す る と き,お
の お のu,iと
nav[nau]「
な い 」,dzejnieks[dzeinieks]「
4)*an>uo,*en>ie,*in>i,*un>u.
母 音 化 す る. 歌
ruoka「
の 他 の発 音 .
svess[sve∫]「 [音
手 」,Lith.ranka;pieci「5」,Lith.
penki;miksts「
手」 4)そ
韻]
jugs「
見 知 ら ぬ 」,mezs[me∫]「
ラ ト ヴ ィ ア 語 に は,12の
重 母 音,26の
5)語
森」
母 音,10の
軟 ら か い 」,Lith.minkstas;
くび き 」,Lith.jungas
末 音 節 で,短
に 変 わ り,二
二
〉uに
子 音 が あ る.
母 音 は 消 失 し,長
重 母 音*ai,*ei,*ie>i,*au,*uo
acs「 目」,Lith.akis;lacis「
長 母 音:/i//e//e//a//o//u/
dari「
二 重 母 音:/ai//au//ei//ie//uo//iu/
み は保 存 され て い る.
蜜 」,Lith.medus
[ア ク セ ン トと イ ン トネ ー シ ョ ン]ラ
歯 擦 音:/s//z//s//z/
は,語
摩 擦 音:/f//v//h//j/
cent)を
鼻
音:/n//n'//m/
ヴ ィ ア 語 は,自
側
音:/l//l'/
な り,ア
ふ る え 音:/r/
欧 祖 語 の*aは,リ
トア ニ ア
もつ,固
由 ア ク セ ン トを も つ リ トア ニ ア 語 と異
ク セ ン トの 語 頭 化 に よ り,語
トア ニ ア 語 で はoと
トヴ ィ ア 語 で はaと
頭,語
保 存 し て い る . さ ら に,ラ 長 音 節,す
な
して 保 存 さ れ て
い る.
な わ ち,長
音 節 に は,イ
母 」,Lith.〔
リ トア ニ ア 語 〕mote「
女,妻 」
子 音*k',*g'>c,dz.
ciets「 固 い 」,Lith.kietas;dzerve
中 で は,母
母 音,二
重 母 音,お
名
ン トネ ー シ ョ ン(音 調)が 現 わ れ,リ
下 の3種
a‐語 幹
単 数 主 格
tevs「
roka「
属 格
teva
与 格
tevam
対 格
tevu
具 格
tevu
位 格 呼 格
父 」
rokas
トア
1)下
降 音 調(')(kritosa
nakts「
母音記号
調 記 号 の み が 付 され る.
i‐語 幹 手 」
合 もつ
が あ る . な お,
単 音 と し て の 長 母 音 の 音 調 を 記 す 際 に は,長
intonacija,英falling
詞 の 曲用 o‐語 幹
よ び,混
の 結 含)を
intonation)
gerve.
音 の量 を
ニ ア 語 よ り音 楽 的 で さ え あ る.
が は ず さ れ,音 「鶴 」,Lith.
末 音 節 の弱 化 を
トヴ ィ ア 語 の 特 徴 と し て,
イ ン ト ネ ー シ ョ ン に は,以
mate「
ac‐
定 ア ク セ ン ト型 の 言 語 で あ る . ラ ト
二 重 母 音(a,e,i,uとr,l,m,nと
下 に あ げ る.
トヴ ィア語
の 初 頭 音 節 に 強 い 強 勢 ア ク セ ン ト(stress
著 し く被 っ た . し か し,語 バ ル ト語 派 の 言 語 に 共 通 に 生 じ た 音 変
化 に つ い て は,「 バ ル ト語 派 」 の 項 に 譲 り,リ
2)軟
末 の*‐usの
medus「
破 擦 音:/c//c//dz//dz/
語 と異 な っ た 顕 著 な 音 変 化 の み を,以
私は
為 す 」,Lith.darau
破 裂 音:/p//t//k//k'//b//d//g//g'/
っ た が,ラ
熊 」,Lith.lokys;
あ な た は 為 す 」,Lith.darai;daru「
た だ し,語
/eu//oi//ou.//ui/
1)印
母 音 は短 母 音
短 縮 化 さ れ た.
短 母 音:/i//e//e//a//o//u/
[音 変 化]
冬 」,Lith.
ziema
後続
u‐語 幹 夜 」
tirgus「
nakts
tirgus
rokai
naktij
tirgum
roku
nakti
tirgu
roku
nakti
tirgu
teva
roka
nakti
tirgu
tev(s)!
roka!
nakts!
tirgu!
複 数 主 格
tevi
rokas
naktis
tirgi
属 格
tevu
roku
naksu
tirgu
与 格
teviem
rokam
naktim
tirgiem
対 格
tevus
rokas
naktis
tirgus
具 格
teviem
rokam
naktim
tirgiem
位 格
tevos
rokas
naktis
tirgos
呼 格
tevi!
rokas!
naktis!
tirgi!
市場」
tas(tas,代
名 詞tas「
Lith.tos,ギ sniegs「 2)引
そ れ 」 の 単 数 女 性 属 格),
述 用 法 に お い て も,名 詞 の性,数,格
リ シ ア 語〓;
雪 」,Lith.sniegas
容 詞 に,不 定 を表 わ す 単 純 形 と,特 定 を表 わ す 限 定 形
き伸 ば し 音 調( )(stiepta
sustained
intonacija,英
intonation.軽
い 上 昇,な
とが あ る.単 純 形 の 男性 形 はo‐ 語 幹 名 詞 の 語 尾 と,
い し,上
昇
saule「 3)狭
兄 弟 」,Lith.brolis;
容 詞 の 限 定 形(例:「 男性形
単 主
頭 」,Lith.galva,galvos(複
数 主 格)
labais
laba
属
laba
labas
与
labajam
labajai
対
labo
labo
れ ぞ れ 対 応 し て お り(下 降 音 調 の 符 号 は,
具
labo
labo
位
labaja
labaja
labie
labas
属
Iabo
labo
与
labajiem
labajam
対
labos
labas
具
labajiem
labajam
位
labajos
labajas
トヴ ィ ア 語 の 下 降 音 調 に
ラ トヴ ィ ア 語 で は('),リ の 向 き が 逆 で あ る),両
トア ニ ア 語 で は(')で,符
あ る. そ して,ラ
号
言語の音 調の 現われ方は 逆で
ト ヴ ィ ア 語 の 音 調 の 方 が,印
欧語的
トア ニ ア 語 よ り古 い 状 態 を 示 し て い る.さ
ら に,
ラ トヴ ィ ア 語 の 狭 窄 音 調 に 対 し て も,リ
トア ニ ア 語 の
下 降 音 調 が 対 応 し て い る が,こ
トア ニ ア 語 の
れ は,リ
ア ク セ ン ト移 動 型(語 根 と語 末 で,ア
ク セ ン トが 交 替 す
る)の 名 詞 の 下 降 音 調 に 対 応 し て い る こ と か ら,狭 窄 音 わ ば,引
複 主
き 伸 ば し音 調 の 変 種 で,ア
クセ ント
単 純 形:balts
zirgs「
限 定 形:baltais
形 容 詞 の 比 較 級 は,原
と 考 え ら れ る.な
く ら れ,最
(ozols)「
トヴ ィ ア 語 で は,/uozuols/
樫 の 木 」(参 照Lith.azuolas,azuolai〔
数 主 格 〕)の よ う に,各
複
長 音 節 に音 調 を示 す こ とが 特徴
的 で あ る. [形
ラ ト ヴ ィ ア 語 で は,男 数,複
数 を 区 別 し,格
属 格(生 格),与
格,対
格,具
性 名 詞 と女 性 と し て,主
格(造 格),位
格,呼
格, 格 の
を もつ .
曲 用 は,大
あ る. 父 」,jo‐ 語 幹:bralis「
ⅱ )a‐
語 幹:roka「
手 」,e‐ 語 幹:zeme「
ⅲ )i‐ 語 幹:nakts「
とⅳ
兄弟」 土地」
夜」
語 幹:lietus「
一 般 に ,ⅰ
の
の とお りで あ る.同
雨」
較 級labak,最
とⅲ
は女性名詞 トア ニ
語 幹 名 詞 とa‐ 語 幹 名
語 幹 の 曲 用 変 化 を,部 分 的 に 浸 蝕 し て い る(表
1).
Riga
ir lielaka
(リ ガ 市 は
neka
語 幹,女
性形は
a‐ 語 幹 の 変 化 に 倣 う. 形 容 詞 は,修
Jelgava.
あ る 大 きい
よ り 〔接 続 詞 〕イ ェ ル ガ ヴ
(リ ガ 市 は あ る も っ と も大 き い 都 市 で ラ ト ヴ ィ ア で 〔位 格 〕)「リ ガ 市 は ラ トヴ ィ ア で も っ と も大 き い 都 市 で あ る」 3)代
名詞
人 称 代 名 詞 主 格 形:es「 容 詞 と 分 詞 の 男 性 形 はo‐
容 詞
上 級vislabak
文 を あ げ る.
Riga ir vislielaka pilseta Latvija.
は 男 性 名 詞,ⅱ
ア 語 に 比 べ 単 純 化 して お り,o‐
じ く,labs,labaの
場 合 に つ い て 示 す.
ァ 市)「 リ ガ 市 は イ ェ ル ガ ヴ ァ 市 よ り大 き い 」
で あ る . ラ トヴ ィ ア 語 の 名 詞 の 屈 折 体 系 は,リ
2)形
を付 し
場 合,次
最 上 級:vislabakais,vislabaka 副 詞 は,次
以 下,例
語 幹:tevs「
な お,形
と え ば,labs,labaの
よ う に な る.
原 級labi,比 別 し て4つ
ⅰ )o‐
詞 は,他
を 付 してつ
較 級 限 定 形 の 前 にvis‐
限 定 形:labakais,labaka 詞
名 詞 が あ り,単
ⅳ )u‐
上 級 は,比
て つ く ら れ る.た
そ の 白 い馬 」
級 の 語 幹 に‐ak‐
比 較 級:labaks,labaka
態]
1)名
7格
あ る 白い 馬 」
zirgs「
の 語 頭 化 に よ り引 き 伸 ば し音 調 が 阻 ま れ て 生 じ た 音 調 お,ラ
良 い」)
女性形
き 伸 ば し音 調 に は 下
上 例 に み ら れ る よ う に,ラ
は リ トア ニ ア 語 の 上 昇 音 調 が,引
調 は,い
形 数/格
rits「 朝 」,Lith.rytas;
降 音 調 が,そ
変 化 形)
intonacija,英broken
門 閉 鎖 な い し声 門 の狭 窄 に よ る,
急 激 な 声 の 弱 化 を 伴 う音 調)
に,リ
性)「良 い」の 場 合 は,
が添 え られ てで き た形 で あ る(表2).
窄 音 調(^)(lauzta
galva「
性),laba(女
リ トア ニ ア語 と同 様,単 純 形 に代 名 詞(*jisの
太 陽 」,Lith.saule
intonation.声
女 性 形 はa‐ 語 幹 名 詞 の 語 尾 と同 一 で あ る.限 定 形 は, た とえば,labs(男
を 抑 制 し つ つ 引 き 伸 ば し た 平 坦 な 音 調) bralis「
と照 応 す る.
ラ トヴ ィア語 に は,冠 詞が な く,そ の代 わ りに,形
vina「
彼 女 」;mes「
vini「 彼 ら」,vinas「 飾 用 法 に お い て も,叙
指 示 代 名 詞:sis,si「
私 」,tu「
君 」,vins「
私 た ち 」,jus「 彼 女 ら」 こ れ 」;tas,ta「
彼 」,
君 た ち 」,
そ れ」
そ れ ぞ れ,格
変 化 を す る.
4)動
詞
動
ラ トヴ ィ ア 語 の 動 詞 は,現
在,過
タイ プ 未 来 の3つ 現 在2人
の 時 制,直
説 法,命
令 法(基 本 的 に,直
称 単 数 ・複 数 形 に 同 じ),条
関 係 法 の5つ
の 法,能
件 法,義
動 形 と再 帰 形,迂
が,不
務 法,
1.celt rast「
ア ス ペ ク トの 区 別 が あ る.動
詞 前 接(preverb)の
「読 む 」,rakstit「
書 く」 は,行
死 ぬ 」mirstu
miru
cirst「
切 る 」certu
cirtu
完 了 体 動 詞 で あ る の に 対 し,動 uzrakstitは,行
と過 去 語 幹 の3つ 人 称,数
定 形 語 幹,直
を 区 別 す る が,3人
称 の み は,単
用,第3活
用 の3つ
た く を 終 え て い る」
「彼 は(彼
の タ
用 は,過
用 は,現
称 形 と が,同
制
表4に,現
過 去 形 は,過
去 語 幹 形 に,活
添
maja.
気 が 良 け れ ば,私
来 形 は,不
‐s;‐sim,‐sit(再
定 形 語 幹 に,活
用 語 尾‐su,‐si,
る.さ
件 文 の主 文 お よ び 従 属 文 に 使 わ れ
ら に,butuと
過 去 能 動 分 詞 主 格 形 の 複 合 形 で,
Ja
es
to
tad
帰 形 は,‐sos,‐sies,‐sies;‐simies,
あ る 」 は,不
butu
butu
to
そ の と き
zinajusi,
pateikusi.
そ れ を 話 し て い た
「も し 私 が そ れ を 知 っ て い た ら,そ
添 え て つ く ら れ る(表5).
動 詞but「
は家 の 中 に 座 って
い な い の に」
も し 私 が 〔女 性 〕 そ れ を 〔対 格 〕 知 っ て い た ら,
え て つ く ら れ る(表5). ま た,未
望 を 表 わ す.
laiks,es
過 去 の 事 実 と 反 す る こ と を 表 わ す.
用 語 尾‐u,‐i,‐a;‐am,
帰 形 は,‐os,‐ies,‐as;‐amies,‐sties)を
能 性,願
labs
座 っ て な い 家 の 中 に 〔 位格〕
節 多 い こ とを 特
在 形 の 活 用 語 尾 を示 す .
規 則 動 詞 で,次
の よ うな変
の と き私 はそ
れ を 話 して い た の に」 単 文 で 願 望 を 表 わ す.
化 を す る. 在 esmu,esi,ir;esam,esat
Kaut
過
去 biju,biji,bija;bijam,bijat
せ め て も っ と早 く 〔比 較 〕 始 まれ ば なあ
未
来 busu,busi,bus;busim,busit
現
完 了 形 は,butの
現 在,過
来 完 了 が つ く ら れ,行
去,未
saktos
春が
来 の各 形 と過 去 能 在 完 了,過
去完
為 が 終 わ って い る 状 態 を
「春 が も っ と 早 く来 れ ば よ い の に 」 ま た,条
件 法 は,命
令 形 を 用 い た 場 合 よ り丁 寧 な 依
頼 を 表 わ す.
表 わ す. 過 去 能 動 分 詞 は,過 単 数 男 性:celis(再
去 語 幹 か ら 導 か れ る. 帰 形celies),
女 性:celusi(celusies) 複 数 男 性:celusi(celusies), 女 性:celusas(celusas) 以 下 に,完
drizak
pavasalis!
動 分 詞 主 格 形 と の 迂 言 形 に よ っ て,現 了,未
定形
あ れ ば 良 い 天 気 が 私 は
上 例 の よ う に,条
a)時
‐sities)を
butu
「も し,今,天
じ 音 節 数 を も ち,
去 形 が 現 在 形 よ り1音
tagad
mood)は,不
称 変 化 が な い(例:celtu,
現 実,可
nesedetu
在 単 数1
徴 とす る.
‐at(再
添 え て つ く ら れ,人
も し 今
第3
浴 を 終 え て い る」(再 帰 形)
条 件 法(conditional
再 帰 形celtos).非
幹形 成 法 が
用(‐at,‐et,‐it,‐ot)と
女 は)入
b)法
Ja
活 用(‐it,‐et)は 派 生 動 詞 で,第2活
第3活
dzirdeju
mazgajies(mazgajusies).
詞 は,
数 形 と複 数
根 動 詞(不 定 形‐t)で,語
人 称 形 と 過 去 単 数1人
く」dzirdu
Vins(Nina)ir
に‐uを 用,第2活
用 は,語
聞
dariju
「彼 は(彼 女 は)洗
イ プ に 分 類 さ れ る(表3). 第1活
dzivoju
為 す 」daru
b.dzirdet「
説 法 の 現在 語 幹
形 が 同 じで あ る.
さ ま ざ ま で あ る.第2活
mazgaju
き る 」dzivoju
詞 前 接 を も つizlasit,
の 基 本 形 か ら つ く ら れ る.動
動 詞 は,第1活
生
3.a.darit「
為 の 完 結 を 表 わ す 完 了 体 動 詞 で あ る.
す べ て の 動 詞 形 は,不
洗 う 」mazgaju dzivot「
為 の 継続 を 表 わ す 不
radu
mirt「
ない
動 詞 は,一 般 に,不 完 了 体 動 詞 で あ る . す な わ ち,lasit
celu
見 つ け る 」rodu
2.mazgat「
完 了 体(perfective)の
過 去単数 1人 称形
「起 こ す 」celu
言 法 に よ る受
ラヴ語 ほ ど明 確 な対 立 は な い
完 了 体(imperfective)と
現在単数 1人 称形
不定形
説 法
動 形 と完 了 形 が あ る. ラ トヴ ィ ア 語 に は,ス
詞 活 用の タイ プ
去,
了 形 の 例 文 をあ げ る.
Vins(Nina)ir
mazgajis(mazgajusi).
Vai
tu
nevaretu
man
か 〔疑 問 小 詞 〕 君 は で き な い か 私 を 〔 与格〕 palidzet? 助 け る こ と が 〔不 定 形 〕 「君 は 私 を 助 け る こ と が で き な い か 」 義 務 法(debitive 直 説 法 現 在3人
mood)は,butの3人
称 +ja‐ +
称 の 迂 言 法 で 表 わ さ れ,「 ∼ ね ば な ら
動
詞 の現 在 形 活 用 語 尾 第1活 用
人称 単 数
単純形
1 ‐u 2
ゼ ロ
3
ゼ ロ ‐as
{
再帰形
単純形
再帰形
‐os
‐ju ‐jos ‐u
‐ies
ゼ ロ ‐jies ‐i ‐ies ゼ ロ
単1 起 こ す 」 celties「
起 き る 」
2.mazgat「
単3
celu
cel
cel
celam
celat
celos
celies
celas
celamies
celaties
mazgaju
mazga
mazga
mazgajam
mazgajat
daru
dari
dara
daram
darat
dzirdu
dzirdi
dzird
dzirdam
洗 う 」
b)dzirdet
「聞 く 」
eeltiesの
単 数2人
側 の 形 を と る.複
数3人
な い 」 の 意 を 表 わ す.た の3人
称 形 は,非
称 は,単
だ し,現
称 現 在)は,通
mazgatの
常,省
義 務 法 の 場 合,意
口蓋 化 音1を
数3人
在 時 称 で は,ir(but
略 さ れ る,た
と え ば,
味 上 の 主 語 は,与
格で表
私 は 〔 与 格 〕 洗 た くしな け れ ば な らな い 過
去:Man
bija
jamazga.
未
来:Man
bus
jamazga.
現
在:celot(再
未
来:celsot(再
dzirdat
用 語 尾 の う ち,斜
線の右
帰 形celoties) 帰 形celsoties)
複 合 現 在:esot+
過 去 能 動 分 詞celis(再
帰 形
他 動 詞 の 目 的 語 は,対
Meitene
esot(esot
娘 は
あ る よ う だ(あ っ た よ う だ)病
関 係 法 は,間 Tevs
格 形 で は な く,主
格形で表わ
bijusi)
slima. 気で
接 話 法 の 文 に お い て も使 わ れ る.
sacija,ka
rit
lisot
lietus.
父 は 言 っ た こ と を 明 日 降 る だ ろ う 雨 が 「父 は 明 日 雨 が 降 る だ ろ う と言 っ た 」
さ れ る. Man(ir)jalasa
gramata.
(参 照:直
な お,義
務 法 は,印
欧 諸 言 語 に は み ら れ な い,ラ
ト
ヴ ィ ア 語 独 自 の 発 達 で あ る. 関 係 法(relative
者 が 他 者 か ら聞 い た
者 が 行 為や 状態 の 内 容 に つ い て 確
信 し て い な い こ と が ら を 述 べ る 際 に 使 わ れ る.現 来 形,お 語 幹(現
よ び,複 在,未
この 法 の 名 称 は,動
合 現 在 形 が あ る.そ 来)に‐otを
在
れぞれの
添 え て つ く ら れ,
人 称 変 化 は し な い.
法 は,ラ
sacija,'Rit
lis lietus'.
「降 る 」 の 直 説 法 未 来 形)
組 み こ ま れ,関
mood)は,話
こ と を 述 べ た り,話
接 話 法Tevs
lisは,lit
私 は 読 ま ね ば な ら な い 本 を 〔主 格 〕
形 は,各
dzirdetは,第3活
複2
celies)
在:Man(ir)jamazga.
形,未
も つ.
複1
称 と 同 形.
わ さ れ る. 現
‐amies/‐amies
単2
「な す 」
注:celt,
ロ ‐as/‐as ‐am/‐am
‐sties ‐jat ‐jaties ‐at/‐at ‐sties/‐sties
《活 用例 》
3.a)darit
再 帰形 ‐os
‐jamies
‐at
1.celt「
単純形
‐jas ‐a/ゼ
複 数1 ‐am ‐amies ‐jam 2
第3活 用
第2活 用 {
{
詞 形 の 中 に,主
語以外の話者が
係 して い る と ころ か ら きて い る. 関 係
トヴ ィ ア 語 と リ トア ニ ア 語 に 特 有 な 文 法 現 象
で あ る. c)受
動
ラ ト ヴ ィ ア 語 で は,受
の 制 約 が あ り,能
動表現に若干
動 文 が 好 ん で 使 わ れ,受
動 文 は,む
し ろ 避 け ら れ る傾 向 が あ る . そ の 理 由 は,ま
ず 第1に,能
動 文 「父 は 家 を 建 て る 」
に 対 し て,「 家 が 父 に よ っ て 建 て ら れ る」 と い う 現 在 形 動
詞 の 過 去 形,未
来 形 の活 用 例
(celt「 起 こ す 」,celties「 〔 過去形〕
起 き る」)
〔未 来 形 〕
の 受 動 文 は 不 可 能 で,「 父 に よ っ て 」の 部 分,す な わ ち, 動 作 主(agent)は 語 は,類
現 わ れ な い か ら で あ る.ラ
型 論 的 見 地 か ら み て,印
トヴ ィ ア
欧 諸 言 語 の 中 で,動
人 称 celt
celties
celt
celties
単1
celu
celos
celsu
celsos
第2に,ラ
ト ヴ ィ ア 語 の 受 動 文 は,現
在 ・過 去 ・未
2
celi
celies
celsi
celsies
来 完 了 か,現
在 ・未 来 進 行 を 表 わ す が,一
般 的 な 現 在,
3
cela
celas
cels
celsies
celam
celamies
celsim
celsimies
celat
celaties
celsit
celsities
複1 2
作 主 を 表 わ さ な い(agentless),ま
過 去,未
れ な 言 語 で あ る.
来 を 表 わ す こ と が で き な い.
受 動 は,but「
あ る」+ 過 去 受 動 分 詞(完 了 受 動),あ
る い は,tikt,tapt,ま
た は,klut「
な る 」+ 過 去 受 動
分 詞(進 行 受 動),の
迂 言 形 を と る.
Es
esmu(biju,busu)
私は
い る(い
Maja
た,い
macits. る だ ろ う)教
え られ て
Vienam つ あ っ た,つ
つ あ ろ う)
格 形 と 動 詞but「
tevam
bija
金 持 ち の 父 に 〔与 格 〕 い た
娘 が 〔主 格 〕
詞
ラ トヴ ィ ア 語 は,分
語 で,性,数,格
詞 形 が豊 富 な言
の 変 化 を す る可 変 分 詞,主
格 のみ で
性,数
の 変 化 を す る半 可 変 分 詞(半 分 詞),不
変化分詞
の3種
類 が あ る.以
下 に,主
格,単
数,男
・女 形 の 例
を あ げ る. 変》
「あ る 金 持 ち の 父 親 に1人 具 格 は,現
咲 い て い る」
現 在 受 動 分 詞 cel‐ams,‐ama「
に 使 わ れ る こ と が 多 く,手 ar
rakstu
私は
書 い て い る 新 しい
uz
過 去 受 動 分 詞 cel‐ts,‐ta「 起 こ さ れ た 」
diem(複
《半 可 変 》
par cel‐dams,‐dama「
《不 変 化 》
jaunu
起 き な が ら」
galda「
spalvu. ペ ン で 〔具 格 〕 れ ぞ れ,一
数 形 に 対 し て は,す
属 格)―uz
よ び,不 変 化 分 詞 は現 在 語
幹 か ら,過 去 能 動 分詞 は 過 去 語 幹 か ら,過 去 受 動 分 詞, お よび,半 分 詞 は 不定 形 語 幹 か ら,そ れ ぞ れつ くられ る.
gramatu「
書 物 に つ い て 」(gramataの
gramatam(複
既 出 の分 詞 以 外 の用 例 を,以 下 に あ げ る. 現 在 能 動分 詞:ziedosa
tirs
zelts「 純 粋 な 金 」,zelta
abele「 咲 い て い る リ ンゴ
現 在 受 動分 詞:dzerams udens「
彙]
gredzens「
飲 み水 」(可 能 を
siens「 刈 る べ き草 」(必 要 を
と の 混 交 に よ り,基
dziedadamas.
pajemu
「男 の 子 」,puke「
花 」,vai(疑
「∼ ね ば な ら な い 」,な
ligavinu,tevam
matei
tevu
plaujam
maurinu
「色 」,karogs「
週 」,gramata「
旗 」,kaposts「
私 は 見 る 父 が 〔 対格〕刈 っている 草 を 「私 は 父 が草 を 刈 って い るの を見 る」 ラ トヴ ィ ア語 は,語 順 が 比 較 的 自由 で
シ
期 ロ シア 語 か
数 形)「 休 日,祭
人 間 」,
文 書,本
」,svets 」,krasa
キ ャ ベ ツ 」,pirags
ど.
紀 か ら17世
紀 に か け て,ラ
ドイ ツ 人 領 主 に 支 配 さ れ,そ
.
ロ 日 も,ロ
と え ば,cilveks「
13世
格 形 と と もに用 い られ る.
こ か ら,今
よ ん で い る),古
教 会 」,svetki(複
「ピ ロ シ キ 」,な
redzu
リ ヴ ィ チ 人(〓,
ら 若 干 の 語 を 借 用 し た.た
知 らな い 間 に
不変 化 分 詞‐amは,対
紀 に ドイ ツ 人 が 到 来 す る よ り
baznica「
nezinot.
「 私 は父 も母 も知 らな い うち に 妻 を め と っ た」
問 小 詞)「 ∼ か 」,vajag
隣 接 し(そ
「聖 な る 」,nedela「
〔 与格 〕と母 〔 与格 〕が
とえ
家 」,puisis
ど.
部 ロ シ ア で,ク
ア の 国 名 をKrievijaと
格 絶 対 構 文 を とる.
私 は め とった 妻 を 父
[統辞 法]
本 的 な 語 を 借 用 し て い る.た
シ ア 人 の 一 部 族)と
「娘 た ちは歌 い な が ら行 っ た」
れ はや や 極 端 住 民 の リー ブ 人
数 形)「 結 婚 式 」,maja「
も以 前,北
娘 た ちは 行 った 歌 い な が ら(付 帯 状 況)
Es
ト ヴ ィ ア 人 は,先
ラ ト ヴ ィ ア 人 は,13世
半分 詞:
金の指
「ラ ト ヴ ィ ア 語 は リー ブ 人 の 口 を 借 り
ば,kazas(複
表 わ す)
不 変 化 分 詞‐otは,与
修飾語の
輪」 [語
で あ る と は 言 え,ラ
の 木 」(自 動 詞 のみ か らつ くられ る)
gaja
対
数) 詞 属 格 形 は,被
た 言 葉 」 と い う 言 い 習 わ し が あ る が,そ
Meitas
gal‐
数)
前 に お か れ る.
現 在 能動 ・受 動 分詞,お
表 わ す),plaujams
定
べての前置
の 格 形 は 同 一)を 支 配 す る.
修 飾 語 と して の 形 容 詞,名
cel‐am
とも
伴 を 表 わ す.
机 の 上 に 」(galdsの
格)―par
cel‐ot
置 詞arと
具,同
詞 単 数 形 に 対 し て は,そ
詞 が 与 格 ・具 格(2つ
過 去 能 動 分 詞 cel‐is,‐usi「 起 こ し た 」
半分詞
段,道
Es
の 格 を 支 配 す る が,複
起 こ す べ き」
の 娘 が い た」
代 ラ ト ヴ ィ ア 語 で は,前
前 置 詞 は,名
現 在 能 動 分 詞 zied‐oss,‐osa「
Es
あ
meita.
建 て られ
《可
「∼ を もつ 」 を 表 わ す 動 詞 が 欠
bagatam
ある
celta.
d)分
有
れ を 表 わ す の に,与
る 」 が 使 わ れ る こ と が 特 徴 的 で あ る.
tiek(tiku,tiksu)
家 が つ つ あ る(つ
こ の 言 語 に は,所
け て お り,そ
トヴ ィ ア 人 農 民 は,
の 期 間 に,ラ
トヴ ィ ア語
は,中 世 低 地 ド イ ツ 語 か ら 語 彙 を 借 用 し た,た
と え ば,
meita「
娘,息
学 校 」,
tornis「
塔 」,stunda「
女 」,zens「
ま た,17∼20世
少 年 」,skola「
時 間 」,un「
紀 前 半 に は,ド
そ し て 」,な
イ ツ 語 か ら3千
ど. 語が
流 入 し た.そ
の後 の 徹 底 した 言 語 純 正 化 の運 動 に もか
あ るが,上 例 の 文 にみ られ る よ うに,基 本 的 に,SVO
か わ ら ず,現
代 語 の 中 に,brilles「
の 言 語 で あ る.
ー ド」,tinte「
イ ン ク 」 な ど,ド
眼 鏡 」,mode「
モ
イ ツ 語 か らの 借用 語
Erganzun
が,約500語,常
用 語 と し て 残 っ て い る.
[方 言 と 標 準 語] で,バ
gen und
ラ トヴ ィ ア に は,14∼16世
ル ト語 派 の ク ロ ニ ア 語(Curonian),ゼ
ア 語(Semgalian),セ て い た.リ
西 側 に は,今
リ ー ブ 語 を 話 す 人 々 が い る.現 言 は,そ
東 の 高 地 方 言 の3大
ずかながら
在 の ラ トヴ ィ ア 語 諸 方
の リ ー ブ 方 言,中
ム ガ レ(Zemgale),ク
ら に,ヴ
下 位 区 分 さ れ,ヴ
Bendiks,H.et
位 方 言 と し て,ラ
(1951),Latviesu
ら に3 部方言
トガ レ 方 言,セ
(Latvijas
vardnica
al.(1979‐81)
York)
,
(The
J.Kabelka(1977)
,Latviu‐
ministrija,
J.Endzelin
I‐Ⅳ(Izglitibas
唯 一 の,イ
,
in
Latvian
Press,London) dialektologija
izdevnieciba,Riga) Standardization
Latvian(Almqvist
&
Wiksell
,
Stockholm) Sokols,E.et
ン トネ ー シ ョ ン と 語 源 付 き 辞
al.
valodas
典. Endzelin,J.und
University
valsts
Process
von
Modern
Yourself
English
(Latvijas
Muhlenbach,K.(1923‐32),Lettisch‐deutsches fortgesetzt
,
Association
Ruke‐Dravina,V.(1977),The
Worterbuch,Redigiert,erganzt und
in
Latvian
Rudzite,M.(1964),Latviesu
lietuviu kalbu (『ラ zodynas ト ヴ ィ ア 語‐ リ トア ニ ア 語 辞 典 』)(Mokslas,Vilnius)
Riga)―
Course (American
Lazdina,T.B.(1966),Teach
Riga) Balkevicius,J.and
(Mintis
Lincoln,Nebraska)
,Latviesu‐vacu
ラ ト ヴ ィ ア 語‐ ドイ ツ 語 辞 典 』)(Avots
kalba
Lasmane,V.(1985),A Latvian
al.(1980)
Sprache und
Vilnius)
ラ トヴ ィ ア 語‐ロ シ ア 語 辞 典 』)Ⅰ‐Ⅱ
Bisenieks,V.et
Hague/
Hague/Paris/
Kabelka,J.(1975),Latviu
,Latviesu‐krievu
(Liesma,Riga)
vardnica(『
Lettische
Dialekte(Mouton,The
New
(『ラ ト ヴ ィ ア 語‐英 語 辞 典 』)(Avots,Riga)
The
York)
Gaters,A.(1977),Die
Trukina,E.(1982),Latviesu‐anglu
Grammar
Latvian Ⅰ‐Ⅲ(Mouton
Paris/New
ihre
gramatika
izdevnieciba,Riga) H.Gelson(1980),A
of Modern
書]
vardnica(『
valodas
valsts
Fennel,T.G.and
ロ
ニ ア 方 言 が あ る.
Beitina,M..et
Grammatik(Carl
Winter,Heidelberg)
ィ ゼ メ 方 言 と ゼ ム ガ レ方 言 だ け で あ る.
高 地 方 言 に は,下
Lesebuch(Carl
(1923),Lettische
ト
部 方 言 は,3大
っ と も保 守 的 な 状 態 を 示 し,さ
literaras
[参 考 文 献]
言に
種 の イ ン トネ ー シ ョ ン を 保 存 し て い る の は,中 の 中 で も,ヴ
al,(1972‐),Latviesu vardnica Ⅰ‐Ⅵ(Zinatne,Riga)
Winter,Heidelberg)
ル ゼ メ(Kurzeme)の3方
ヴ ィ ア 標 準 語 の 基 礎 と な っ て い る.中
valodas
Endzelin,J.(1922),Lettisches
ィ ゼ メ(Vidzeme),ゼ
ィ ゼ メ 方 言 と ゼ ム ガ レ方 言 が,ラ
方 言 の 中 で,も
al.(1987),Latviesu
va rdnica(Avots,Riga)
央 の 中 部 方 言, 図 〉を参
K.
Worterbuch
fonds,Riga)
valodas
方 言 に 分 か た れ る(〈
部 方 言 は,さ
[辞
(Kulturas Gulevska,D.et
れ ら の 基 層 言 語 の 上 に 成 立 し た.
ラ トヴ ィ ア 語 は,西
照).中
も,わ
残存 し
zu
Muhlenbach s Lettisch‐deutsches
ムガ リ
ロ ニ ア 語(Selonian)が
ガ(Riga)湾
Berichtigungen
紀 ま
(1959‐62)
,Musdienu latviesu
gramatika Ⅰ‐Ⅱ(LPSR
zinatnu
aka
demija,Riga)
E.Hauzenberga(1934‐46),
[参
照]
バ ル ト 語 派,リ
ト ア ニ ア 語,古
プ ロ シ
ア 語
ラ
トヴ ィア 語 の 方 言 分 布 (村 田 ラ ン ゴ バ ル
ド 語
郁 夫)
独 Langobardisch,
英Langobardic,伊longobardo [系 族
統]
ラ ン ゴ バ ル
gobarden)の マ ン 語 派 nisch)に
ラ ン ゴ バ ル
ド 語 は,ゲ
ド 族(ラ
ンLangobardi,独Lan
言 語 で,イ の,い
わ ゆ
属 す る(→
西 ゲ ル マ ン 語 は,ま nisch)と
テ
ン ド ・ ヨ ー ロ ッ パ 語 族,ゲ る 西 ゲ ル
マ
ル
ン 語(Westgerma
ド イ ツ 語). た,南
も よ ば れ る が,そ
語(Nordseegermanisch),ヴ
ル マ ン 人 の 一 部
ゲ ル マ ン 語(Sudgerma の 内 部 に は,北 ェ ー ザ ー
海 ゲ ル マ ン ・ラ イ ン
・ゲ
ル マ ン語(Weser‐Rhein‐Germanisch),エ
ル ベ ・ゲ
西 ル マ ン語(Elbgermanisch)の3つ 区 別 さ れ,ラ
ン ゴ バ ル ド語 は,古
mannisch),古
ア レ マ ン語(Altale‐
バ イ エ ル ン 語(Altbairisch)と
エ ル ベ ・ゲ ル マ ン諸 語 の1つ
同 じ く,
で あ る.
古 ア レ マ ン語 と 古 バ イ エ ル ン 語 は,古
語(Altoberdeutsch)と
ゲル マ ン語 内 部 に お け る
の 大 きな方 言 群 が
総 称 さ れ,ヴ
上 部 ドイ ツ
ェ ー ザ ー ・ラ イ
ン ・ゲ ル マ ン 語 の 流 れ を 汲 む 古 フ ラ ン ケ ン 語(Alt frankisch)の
う ち の,中
と と も に,古
部 お よ び 高 地 フ ラ ンケ ン語
高 ドイ ツ 語(Althochdeutsch)の
を形 成 す る.ラ
ン ゴ バ ル ド語 は,最
中 部 ドイ ツ 語 に近 く,時
代 が 下 が る と,古
語 と の 一 致 が 優 勢 に な る.し
か し,ラ
古 高 ド イ ツ 語 に 含 め る か 否 か は,論 で,た
と え ば,ブ
上 部 ドイ ツ
ン ゴ バ ル ド語 を の 分 か れ る と ころ
ラ ウ ネ の 『古 高 ド イ ツ 語 文 法 』 の
改 訂 者 エ ッ ガ ー ス(W.Braune 197513)は,古
中 核
古 の 資 料 で は,古
und
H.
Eggers,
高 ドイ ツ 語 に 含 め る こ と に は 消 極 的 で あ
る.8世
紀 半 ば に 始 ま る ド イ ツ 語 の 時 代 区 分 に 従 え ば,
6,7世
紀 の ラ ン ゴ バ ル ド語 を 古 高 ドイ ツ 語 に 含 め に
く い と い う 事 情 も あ る.と
も あ れ,ラ
ン ゴ バ ル ド語 に
は,古 高 ド イ ツ 語 を 特 徴 づ け る古 高 ド イ ツ 語 子 音 推 移,
エ ル ベ 下 流 左 岸 地 域,今
日の 北 ドイ ツ の リ ュ ー ネ ブ ル
す な わ ち,第2次
Lautverschie
ク ・ハ イ デ(Luneburger
Heide)の
た,不
タ キ ト ゥス は,『 ゲ ル マ ー ニ ア 』(Germania)第40章
bung)の
子 音 推 移(die
zweite
影 響 が 歴 然 と し て い る し,ま
素 が あ る け れ ど も,古
確実な要
高 ドイ ツ 語 の 重 要 な 特 徴 の1つ
で あ る ウ ム ラ ウ ト現 象(‐i‐ お よ び‐j‐Umlaut)も め ら れ る の で,ゾ 1970)な
ど,ラ
ン ダ ー エ ッ ガ ー(S.Sonderegger,
[部 族 史]
参 照).
ィ ナ ヴ ィ ア 南 部 と推 定 さ れ て い る.前1世
移 動 し,こ
い,日
ァ ン ダ ル族
ラ ン ゴ バ ル ド語 〕Gwo ォー ダ ンの 妻 フ ラ 髪 で 顔 を覆
ァ ンダ ル族 に 先 ん じて ヴォ ー ダ れ を 見 た ヴ ォー ダ ン は,彼
らに勝
利 と 「長 ひ げ 族 」 と い う 新 し い 部 族 名 ラ ン ゴ バ ル ドを 与 え た.か
くて,「 長 ひ げ を 蓄 え た 者(〓
<〓'lang'+〓'Bart')」 が,広
く流 布 す る に い た っ た が,古
部 族 の 命 名 は,部 り,ま
た,部
紀 後 半 に い た り,ラ
武 に よ っ て よ く独 立 を 保 持
「高 貴 さ 」 を 讃 え て い る.2世
ン ゴ バ ル ド族 は,一
っ て,移
動 を 開 始 し た.今
部 が,エ
部 分 は,5世
ル ベ 紀 に入
日の リュー ネ ブル ク市 近 郊
の 小 都 市 バ ル ドヴ ィー ク(Bardowick)は,13世
紀 ま
の 中 心 地 で あ っ た.部 は,ラ
族 名 と関 係 の あ る こ れ ら の 地 名
ン ゴ バ ル ド族 が,長
くこ こ に居 住 して い た こ と
を 語 っ て い る.
ル マ ン の最 高
助 言 に 従 い,長
の 出 の 刻 に,ヴ
ン の も と に 赴 く.こ
の
の大部
で 記 録 に 名 を 留 め て い る バ ル デ ン ガ ウ(Bardengau)
衝 突 し た.
戦 勝 を 祈 願 す る に あ た り,ヴ
イ ア(Freia,lgb.Frea)の
の
在 の ドイ ツ の リ
ィ ニ ラ ー 族 は,ゲ
神 ヴ ォ ー ダ ン(Wodan,lgb.〔 dan)に
紀 頃,こ
こ で,ヴ
(ラ テ ンVandali,独Wandalen)と 古 伝 承 に よ れ ば,ヴ
カ ンデ
テ ンWinnili,独Win
コ リ ン ガ(Scorings,現
ュ ー ゲ ンRugen)へ
族 に 服 属 す る こ と な く,勇
下 流 地 域 を 離 れ て 南 下 し た が,大
ラ ン ゴ バ ル ド族 の 原 住 地 は,ス
地 に あ っ た ヴ ィ ニ ラ ー 族(ラ
ン ゴ バ ル ド族 が 小 部 族 な が ら,他
し て い る と して,そ
ン ゴ バ ル ド語 を 古 高 ドイ ツ 語 に 含 め る
学 者 も少 な く な い(図1を
niler)が,ス
に お い て,ラ 認
あ た り に 定 着 し た.
と い う通 俗 語 源 伝 承 に 由来 す る新
族 の ヴ ォー ダ ン信 仰 を示 す もので あ
族 の新 しい 戦 闘集 団 と して の 出発 を意 味
移 動 を 開 始 し た 彼 ら は,エ か い,シ mia)を
経 て,ド
は じめ に は,パ
ン ノ ニ ア(Pannonia)に
ツ 帝 国 の 皇 帝 ユ ス テ ィ ニ ア ヌ ス1世 ン(Alboin)王 年 に,ロ
に 率 い ら れ て,北
し て ,6世 進 出,ビ
の 死 後,ア
ン バ ル デ ィ ー ア(Lombardia)を
ルボイ
中 心 に,ラ に は,パ
占 領 し,こ こ を 首 都 と 定 め た が,さ
地 を 拡 大 して,国
境 沿 い に,自
族 共 同 体faraが
つ く ら れ た.諸
を 冠 し た 地 名 は,ラ
紀 ザ ン
イ タ リア に 侵 入,568
ン ゴ バ ル ド王 国 を 建 設 し た.572年 (Pavia)を
ヘ ミア(Bohe
ナ ウ 中 流 域 に 達 す る.そ
ヴ ィー ア らに征 服
由 戦 士 に よ る多 くの氏 所 に み ら れ るFara
ン ゴバ ル ド族 の 足 跡 を 示 す も の で
す る も の で あ ろ う.
あ る(図2を
さ て,ヴ
ラ ン ゴ バ ル ド族 は,5世
ァ ン ダ ル 族 を 破 っ た ラ ン ゴ バ ル ド族 は,
ル ベ 川 に 沿 って 南 東 に 向
ュ レー ジ エ ン(Schlesien),ボ
参 照). 紀 末 以 来,キ
リス ト教 に 接
イ
ベ
タ リア にお け る ラ ン ゴバ ル ド族 の
ゼ ニ ェの ル ー ン文 字 銘(6世
紀 後 半)
足跡
出 典:フ 注:本
テ ラー(C.J.Hutterer,1975)に 図 で は,翻
よ る.
字 に 大 文 字 は 用 い な か っ た.
発 見 さ れ た,A,B1組
の 銀 の 留 め 針(フ
裏 面 に 刻 ま れ た も の で あ る(図3を 普 通,A,Bは,そ
ィ ー ブ ラ)の
参 照).
れ ぞ れ,「Godahi(l)dは
「私Arsibodaは
祝 福 を」 と読 み ,留
歓 び を 」,
め針の所有者で
あ る 婦 人 に あ て た 祈 願 と祝 福 の 言 葉 と 解 さ れ て い る. Godahi(l)dもArsibodaも は,dとlの の で あ ろ う.ま (ahd.〔
婦 人 名 で あ る が,前
調 音 点 が 近 い の で,lが た,Bの
冒 頭 のkは,お
古 高 ドイ ツ 語 〕ih,nhd.〔
「私 」)の 略 記 で あ ろ う(以 下,新 出 典:ガ
ミ ル シ ェ ク(E.Gamillscheg,1935.)に
(た だ し,若 干 補 足).
し た.ア
wunnia`Wonne'「
リ ウ ス 派 を 奉 じ,7世
紀 前 半 に は,ア
リ ウス
派 の 推 戴 を 受 け た ロ ー タ リ 王(Rothari,在 652)が,ゲ
タ リ王 法 典 』(Edictus か し,王
Rothari,643)を
『ロ ー
ゴ バ ル ド族 の あ い だ に,徐
々 に,カ
ン ゴ バ ル ド人
と ロ ー マ 人 と の あ い だ の 異 宗 婚 に よ り,両
部 族 の同 化
が 深 ま る に つ れ て,一
体 として カ
層 促 進 さ れ た が,全
ト リ ッ ク に な る の は,7世
紀 末 で あ る.
ラ ン ゴ バ ル ド王 国 は,8世 (Liutprand),ア に,全
紀 前 半,リ
ウ トプ ラ ン ド 王の時代
イ ス ト ゥル フ は,751年
ビ ザ ン ツ 領 ラ ヴ ェ ン ナ(Ravenna)を
れ る.な
お,ア
ル ン ツ と ツ ァ イ ス(H.Arntz の2つ
に,「 私Arsibodaは
の 銘 を1文
占 領,ビ
ザ ンツ の
ラ ン ゴ バ ル ド語 の 言 語 資 料 と し て は,こ
れ ら,わ
とま った テ キ ス トは何
も 伝 え ら れ て い な い.た
ン ゴ バ ル ド族 の 王 た ち
だ,ラ
し て,そ
典 な ど の 中 に,単
語,主
れ も 大 部 分 は 人 名 で,他
と し て 法 律 用 語 が 散 見 さ れ る に す ぎ な い.ラ
れ る ゆ え ん で あ る.主
片 言 語)と
要 な 言 語 資 料 と し て は,ラ
conus,約720∼800年
ン ゴ バ ル ド族 を 破 り,ラ
の 滅 亡 に よ っ て,ラ わ け で は な い.ラ
ンゴ バ
か し,王
国
ン ゴ バ ル ド語 が た ち ま ち 消 滅 し た ン ゴ バ ル ド族 に よ っ て 南 イ タ リ ア に
建 て ら れ た ベ ネ ヴ ェ ン ト(Benevento)公 独 立 を 保 持 し つ づ け た し,ラ
国 は,な
お,
ン ゴ バ ル ド語 も 余 喘 を 保
つ こ と が で き た. [言 語 資 料] は,6世
史 』(Historia
紀 後 半 の ル ー ン(ル ー ネ)文 字 銘 が あ る.ハ
ガ リ ー 西 部 の ベ ゼ ニ ェ(Bezenye)村
ン
近傍 の墓地 か ら
頃)が
あ る が,こ
な み に,Edictus(よ
と は,Lex(法
は,ラ
紀 末)や
Rothari)が
典)に 対 し,立
ンゴ Dia
『ラ どが
に 発 布 さ れ た 『ロ と りわ け 重 要 で
り正 し くは,Edictum) 法 権 が な く告 示 権 だ け し
「告 示 法 典 」 を い う が,『
ロ ー タ リ王 法 典 』
ン ゴ バ ル ド部 族 の 法 典 の 中 で は も っ と も古 く,
ゲ ル マ ン 固 有 法 の 色 彩 が 濃 厚 で あ る.次 に,ラ
ン よば
『ラ ン ゴ バ ル ド
Langobardorum)な
れ ら 法 典 の 中 で は,643年
ー タ リ王 法 典 』(Edictus あ る.ち
著わ した
Langobardorum,8世
ン ゴ バ ル ド諸 法 典 』(Leges
か もた な い 残 存 す る ラ ン ゴ バ ル ド語 資 料 と し て
語 と
に 少 数 の 地 名 と専 門
フ ラ ン ク 族 の 王 カ ー ル 大 帝 は,774年,ロ
ル ド王 国 は フ ラ ン ク 王 国 に 併 合 さ れ た.し
ず
か な ル ー ン文 字 銘 を 除 け ば,ま
バ ル ド 人 史 家 パ ウ ル ス ・デ ィ ア コ ヌ ス(Paulus
救 援 要 請 に 応 じ て,ラ
順
よ 」 と 読 ん で い る.
勢 力 を 中 部 イ タ リ ア か ら駆 逐 し て,ロ ー マ を 脅 か し た. ーマ教皇の
H.
と し て,BAの
ゴ バ ル ド語 が,Trummersprache(破
に,
und
祝 福 と 歓 び を 祈 る,Godahi(l)d
の ラ テ ン 語 の 公 文 書 や 史 書,法
イ ス ト ゥ ル フ(Aistulf)両
盛 期 を 迎 え た.ア
神 の 祝 福 」 に 対 応 し,ラ
〓 ,1939)は,こ ン
トリ ック が広 ま っ
ら の カ ト リ ッ ク 改 宗 は,ラ
数 対 格 形,ahd.
無 上 の 歓 び 」 に 対 応,Bのsegun
は,ahd.segan`Segen'「
制 定 し た.し
の 後 継 者 が カ ト リ ッ ク を 信 奉 し た の で,ラ
て い っ た.彼
高 ドイ ツ 語 は`'で
ン ゴ バ ル ド人 の キ リス ト教 へ の 改 宗 を 示 唆 し て 注 目 さ
位636∼
ル マ ン 古 来 の 慣 習 法 を 多 く保 存 し た
そ ら く,ik
新 高 ドイ ツ 語 〕`ich'
示 す).Aのunjaは,wunjaで,単
よ る
者で
書 き落 と され た
にみ る よ う
テ ン 語 の 法 文 中 に ラ ン ゴ バ ル ド語 が 散 在 す る の
で,法
制 史 の 上 だ け で は な く,言
語 学 的 に も,き
わ め
て 貴 重 な 資 料 と な っ て い る. 372.Si
seruus
regis
actogild,et 373.Si seu
furtum
non
seruus
in
aut
fecerit,ita
aut
uuecuorin
qualibit
alia
conponat,sicut
exercitalium,quae
supra
decreta
sunt,
conponuntur. 374.De
sculdhais.Si regis
quis
sculdhais
occiderit
aut
utilitatem
regis
facientem,... Langobardorum
(Bearbeitet
von
643‐866
F.Beyerle)所
王 法 典 』372‐374章.た
収の
だ し,引
『ロ ー タ リ
用 に あ た っ て,
ラ ン ゴ バ ル ド語 を イ タ リ ッ ク 体 に 改 め た. 注)Cap.372:actogild「 nhd,'Geld'「
八 倍 金 」.後
屋 敷 へ の 闖 入 」.の ち,語
失 い,oberusと
頭
な る.uuecuorin「
路 道」
に あ た る.marahuorf「
馬 か ら の 突 き 落 と し 」.
marahはahd.march「
馬 」 に 対 応,後
はahd.,nhd.‐wurf(<werfen「
半‐uorf
投 げ る 」)に 対
応 す る.
' Schulthei〓'「
職 名.ahd.sculdheizo
[言 語 特 徴]
ラ ン ゴ バ ル ド王 国 の 書 き 言 葉 は,ラ 述 の よ う に,ラ
ラ テ ン 語 の 文 中 に,単
ン ゴ バ ル ド語 は,
語 の 形 で 現 わ れ る.転
写 に は,
ゲ ル マ ン語 の 古 いtに 例,そ
た はv,uで
き にt)で
代 替 され
擦 音pf,zz(z)[〓],kx
ン ゴ バ ル ド語 で も,P>pfの
推 移 は,
ほ と ん ど 完 全 に 行 な わ れ た が(例:as.〔
「け い れ ん 」),t>zz(z)は
古 サ ク ソ ン語 〕
一 部 に と ど ま っ た.た
し,古
上 部 ドイ ツ 語 の み に 現 わ れ るk>kxの
は,ラ
ン ゴ バ ル ド語 に は ま っ た くみ ら れ な い.
だ 推移
高 ドイ ツ 語 の 顕 著 な 現 象 で あ る ウ ム ラ ウ ト ル ッ ク ナ ー(W.Bruckner,1895)は,
ア ク セ ン トを も つ 短 音aの に よ る 変 音(a>e)だ
後 続 の ア ク セ ン トの な いi
け を 認 め,ま
(E.Gamillscheg,1935)は,ウ
た,ガ
ミル シ ェ ク
ムラ ウ ト可 能 な す べ
て の 母 音 に つ い て,‐i‐/‐j‐ に よ る 広 範 囲 の ウ ム ラ ウ ト を 認 め た が,ア 1987)は,イ
ル カ モ ネ(Maria
G.Arcamone,
タ リ ア 語 の 標 準 語 や 方 言 の 中 に,ラ
ンゴ
バ ル ド語 の 借 用 語 を 探 索 し,‐a‐ だ け で な く,‐u‐
表 記 す る こ と も少 な くな い.な
thing,ding'Thing'「
お,
も,
語 と 同 じ く,‐osあ
る い は‐asで
「宣 誓 補 助 者 」,scamaras「
頭 お よ び 語 中 で は[h],語 だ い に[h]へ
ち に 消 失 し た.お
語 の 影 響 に よ る も の で あ ろ う.た
で な く,ラ
ドィ ツ
末 で は[x]と
推 移 し た が,語 そ ら く,イ
タ リア
と え ば,arimannus
テ ン 語 で あ る と し,エ ッ ガ ー ス(W.Braune
H.Eggers,1975)も,こ
明 し て い る.一
方,ヴ
れ に 同 調 の態 度 を表 ァ ー グ ナ ー(N.Wagner,1987)
中 の ガ ウ(Gau,古
バ ル ド語 のa幹
と ま っ た く同 じ で,古 こ と を,納
な ど の 重 ね 子 音 字 は,古
畑 」),
ドイ ツ 語 と 同 じ く,「 長 い 」 子
ンゴ
高 ドイ ツ 語
サ ク ソ ン語 と は 語 尾 を 異 に す る
得 の ゆ く論 述 で 例 証 し て い る.
語 彙 面 で は,ラ 史 書,法
ン ゴ バ ル ド 語 は,ラ
テ ン語 の 公 文 書,
典 に 散 在 す る 単 語 の ほ か,今
数 え る が,そ
歯 」)のkk,nn
Lango
手 が か り に,ラ
方 言 に も借 入 さ れ て お り,そ
あ る.akkar[〓](ahd.ackar`Acker'「
genti
代 ゲル マ ンの行 政 区
の 男 性 名 詞 複 数 主 格 は,古
「戦 士 」 に あ た るharimannusの
頭 音 が 消 失 した 形 で
ー ン(Hans
れ ら の 語 尾 は ラ ン ゴバ ル ド語
は ラ テ ン語 化 し て い るが,ahd.hariman`Heermann'
zann[〓](ahd.zan`Zahn'「
あ る(例:gamahalos
密 偵 」)と 唱 え て 以 来,こ
域)名Scoringa,Mauringaを 字 は な い.hは,古
に,a
幹 の 男 性 名 詞 の 複 数 主 格 ・対 格 形 の 語 尾 は,古 サ ク ソ ン
bardorum)の
民 会 」,Saxo,ahd.Sahso
発 音 さ れ る.[x]は,し
ル ッ ク ナ ー が,1895年
は,『 ラ ン ゴ バ ル ド人 の 起 源 』(Origo
ザ ク セ ン 人 」).
ラ ン ゴ バ ル ド語 に は,黙
形 態 面 に お い て は,ブ
und
唇 音w[w]を
表 わ さ れ る(例:thinx=things,ahd.
頭 のh[h]は,の
同 様 に,ラ
Kuhn,1955/56)は,こ
由 来 す る 摩 擦 音z[s]やp
れ ぞ れs,th(と
た,k[k]とz[ts]をcで,両
語 と 同 じ く,語
れ ぞ れ,破
の 語 尾 を め ぐ っ て 論 争 が 絶 え な い.ク
テ ン 語 の 字 母 が 用 い ら れ た.
' Sachse'「
頭 音 お よ び 子 音 の あ と の 語 中 ・語
認 し て い る.
シ ュ ル トハ イ ス(執 行 官)」 に 対 応.
テ ン 語 で あ っ た.前
gs,hsはxで
音 のあ
擦 音ff(f),zz(z)[〓],
後 続 の‐i‐/‐j‐ に よ っ て ウ ム ラ ウ トを 起 こ す こ と を 確
Cap.374:sculdhais役
uuま
末 音 で は,そ
に つ い て,ブ
大 盗 人 」.
上 遮 断 」.前 半uuecはahd.weg'Weg'「
る.ま
た,語
ま た,古
半‐gildは
金 」 に あ た る.fegangi「
Cap.373:hoberus「
[〓]は,通
れ ぞ れ,摩
krampo∼ahd.krampf(o)`Krampf',lbd.krampf
テ キ ス トは,Leges
当 然,ラ
と の 語 末 音 で,そ
ルマ ン語 の
よ び,母
に 推 移 して い る.
actorem
音hを
バ イ エ ル ン語 で は,ゲ
音 に 挟 ま れ た 語 中 音,お
hh(h)に,ま
aliorum
高 ドイ ツ 語)子 音 推 移 を 受 け て
な わ ち,古
p,t,kは,母
culpa
ン ゴ バ ル ド語 は 古 バ イ エ ル ン 語 に き
わ め て 近 く,第2次(古 い る.す
hoberus
marahuorf
minorem
fecerit,reddat
sit fegangi.
regis
音 を 表 わ す. 音 韻 面 で は,ラ
日の イ タ リアの
の 数 は お お よ そ280語
の 大 部 分 は 小 農 階 級 の 語 彙 で あ る.ま
を た,
ス ロ ヴ ェ ニ ア 語 の 方 言 に も ラ ン ゴ バ ル ド語 が 入 り こ ん で お り,ラ
ン ゴ バ ル ド語 の 借 用 語 は,ラ
ン ゴ バ ル ド,
ス ロ ヴ ェニ ア両 民族 の 交渉 史 の貴 重 な 研 究 資 料 とな っ
buch(ARS‐Verlag,Gie〓en)
て い る. 統 語 面 で は,あ
Krause,W.(1966),Die
ま り に も 言 語 資 料 が 乏 し い の で,文
法 構 造 を 再 建 す る の は 至 難 の 業 で あ る が,古 語 と 本 質 的 に 大 き な 径 庭 は な い,と
高
alteren
ドイ ツ
hoeck
言 っ て も 間 違 い は
&
書]
nischen
「参 考 文 献 」 のBruckner,Gamill
scheg,Kobler,Schrobler(→Beyerle)を
参 照 さ れ
der
germa
deutsche
Literatur
86
(F.
Steiner,Wiesbaden) Opitz,S.(1977,19873),Sudgermanische
[参 考 文 献] Arcamone,M.G.(1987),"Der
i‐Umlaut
Langobardischen
nach
nischen",in
dem
Zeugnis
im
des
inschriften
Italie
R.Bergmann,H.Tiefenbach
und
Rhee,F.van Worter
(Bronder,Rotterdam) H.Zei〓(eds.)(1939),Die
mischen
einhei
Runendenkmaler
(Gesamtausgabe
des
der
Bd.Ⅰ)(Otto
alteren
germanischen schichte
deutschen
Worte
der
zur
Sprache und
Ge
einem
Glossar
der
von
部 族 法 典 の テ キ ス
Lan
ド
ー ジ)付
H.Eggers(197513),Althoch H.
Eggers)(M.Niemeyer,Tubingen)
schen
und
und
der
ド 語 辞 書 」 の3部
der
1500,Bd.I:Sprach
Gruyter,Berlin)
Tischler,J.(1989),"Zum
Langobardischen",in
H.Beck(ed.),Germanische
Rest‐und
mersprache(W.de
Trum
Gruyter,Berlin/New
langobardische
Nom.Akk.Pl.der
Endung
maskulinen ‐a‐
me",Zeitschrift fur
deutsches
Literatur
Stam
Altertum und
98(F.Steiner,Wiesbaden) (橋 本
郁 雄)
germani
り
序 章 」 「文 法 」 「ラ ン ゴ
か ら な る.た
だ し,修
正 を 要
der
リ ト ア ニ ア 語Lietuviu
Germanica germanischen
Philologie
Gruyter,Berlin)
Hutterer,C.J.(1975),Die
ラ ト ヴ ィ ア 語,死
Lilien,
全 住 民354万
人 中 の,271万
メ リ カ 合 衆 国 に40万 ロ ッパ 各 地 に15万
Wiesbaden,19872) Worter
ル ト
語 派 に 所 属 す る 言 語.
て 話 さ れ て い る.そ
Sprachen.Ihre Geschichte in Grundzugen
,Germanisches
語 で あ る古 プ ロ シア
ン ド ・ヨ ー ロ ッパ(印 欧)語 族,バ
ソ 連 邦 リ ト ア ニ ア 共 和 国(Lietvos germanischen
Kiado,Budapest;Drei
説]
語 と と も に,イ 11,
kalba,英Lithuanian,
独Litauisch,露 [概
Gamillscheg,E.(1935),Romania
Kobler,G.(1980,19822)
germa
zur
す る 個 所 も 少 な く な い.
Bd.Ⅱ,W,de
der
Gruyter,Berlin)
も っ と も 詳 細 な 文 法 概 説 書.「
(Akademiai
bis
LXXV,K.J.Trubner,Stra〓
burg;repr.1969,W.de
L.E. Grundri〓
Lan
Forschungen
Culturgeschichte
Volker
(Grundri〓
marphais", 14(C.Winter,Heidelberg)
Philologie
deutsche
(Quellen
H.Lauffer
Schutz,J.(1989),"Langobardisch
des
Grammatik,13.Aufl.(bearb.von
Sprache
langobar
und
Interferenz.Festschrift
Wagner,N.(1987),"Die
Bruckner,W.(1895),Die
Sprach‐
H.Kolb
York)
イ ツ 語 対 訳 を 除 い た 復 刻 版 が,第2版(1962)
と し て 刊 行 さ れ て い る. Braune,W.und
Gesetzen
W.Betz(M.Niemeyer,Tubingen)
geschichte(W.de
ラ ン ゴ バ ル
よ る グ ロ サ ー ル(11ペ
Mero
germanischen
dei
italiano",in
nischen
ト と ドイ ツ 語 対 訳 ・ シ ュ レ ー ブ ラ
.Schrobler)に
der
Sonderegger,S.(1970),"Althochdeutsch",in
I.Schrobler
Nachf.,Weimar)―
gobarden
langobardischen
Sprachwissenschaft
Literatur
Gesetze
gobarden,mit
deutsche
den
Schmitt(ed.),Kurzer
Beyerle,Fr.(1947),Die
き.ド
(1970),Die
(eds.),Sprachliche
59(M.Niemeyer,Halle)
(H.Bohlaus
in
fur
Gesetze",Beitrage der
der in
dismi
Runendenkmaler,
deutschen
aus
Scardigli,P.(1977),"All'origine
Festlandes
Harrassowitz,Leipzig)
Baesecke,G.(1935),"Die
Futhark
wingerzeit(Burg‐Verlag,Freiburg,i.Br.)
Winter,Heidelberg) Arntz,H.und
Runen
in alteren
L.Voetz(eds.),Althochdeutsch,Bd.Ⅰ(C.
バ ル
Gliederung
Sprachen",Zeitschrift fur deutsches
Altertum und
た い.
ー(I
im
Ruprecht,Gottingen)
Kuhn,H.(1955/56),"Zur
あ る ま い. [辞
Runeninschriften
Futhark,Ⅰ.Text,Ⅱ.Tafeln(Vanden
国 の 人 口 比 率 は,リ
の ほ か,ソ 人,南
Respublika)の
人 の リ トア ニ ア 人 に よ っ
米,オ
連 邦 内 に14万
人,ア
ー ス ト ラ リ ア,ヨ
人 の 話 し手 が い る.な トア ニ ア 人80%,ロ
お,同
ー 共和
シ ア 人9%,
ポ ー ラ ン ド人7%で,ソ 国 に 次 い で,他
連 邦 内 で は,ア
言 語 住 民 が 少 な い.文
ルメニア共和 字 は,ラ
テ ン文
リ トア ニ ア(Lietuva)の
名 称 は,1009年
古 文 献 に 言 及 さ れ る が,リ
トア ニ ア は,東
白 ロ シ ア 語 で あ り,次
ポ ー ラ ン ド語 を 日常 言 語 と し た.リ
Prasty
族 階 級 は,
トア ニ ア 語 の 文 献
タ ー の 宗 教 改 革 を 期 に,マ
Mazvydas)の
ー ジ ュ ヴ ィ ダ ス(M.
始 め と し,言
と も 重 要 な 文 献 ダ ウ ク シ ャ(M.Dauksa)の ッ ク教 の 説 教 書 』(Postilla の 宗 教 書,ド
rium ∼17世 れ,古
『カ ト リ
Cathoricka,1599)な
イ ツ 人 ク ラ イ ン(D.Klein)に
文 法 書(Grammatica
ど
よ る最 初 の
Lituanica,1653),シ
.Sirvydas)に
trium
ル ヴィ
次 大 戦 以 後,リ
2月
ー ガ(K.Buga)は,
方 の 予 想 に 反 し て 再 生 し,第1
トア ニ ア が 独 立 国 と な る に 及 ん で,公 大 戦 後,リ
び 公 用 語 に 復 活 し た.
[文 字 と 発 音] 字23,補
トア ニ ア が ソ連 邦 に
トア ニ ア 語 は 民 族 語 と な っ た が,1989年
に,再
リ トア ニ ア 語 の 文 字 は,ラ
助 記 号 を 付 し た 文 字9の,合
を 用 い,組
の とお り で あ る.
i,i,y,j,k,l,m,n,o,p,r,s,s,t,u,u, u,v,z,z.
母 音 文 字 は,短
母 音 文 字a/〓/,e/〓,(外
重 要 な ア ク セ ン トの 資 料 を 残 して い る.18世
紀中頃 に
i/i/,u/u/の4文
は,東
人 ドネ ラ
o/〓/,u/〓/,a/〓/,e/〓/,i/〓/,u/〓/の8
プ ロ イ セ ン 領 リ トア ニ ア に お い て,詩
トア ニ ア 文 学 の 最 高
傑 作 叙 事 詩 『四 季 』(Metai)を
しか し,ポ
書 き遺 し た.
ー ラ ン ド分 割 後,リ
支 配 下 に 入 り,さ
ら に,1865年
トア ニ ア は ロ シ ア の ま で の40
字,長
文 字 か ら な る.最 鼻 母 音,起
か ら1904年
後 の4文
短 母 音aとeは,ア
良 い 」).oは,本
シ ア 文 字 の 使 用 が 強 制 さ れ た た め,リ
母 音 で あ る が,国
物 は ほ と ん ど 出 版 され ず,リ
トア ニ ア 語
あ っ た.た
だ,東
プ ロ イ セ ン領 リ トア ニ ア で は,ド
ツ 語 化 の 波 に さ ら さ れ な が ら も,リ
イ
トア ニ ア 語 の 出 版
は 続 け ら れ て い た. 19世 紀 後 半,比
較 言 語 学 の 隆 盛 と と も に,シ
ブ ル ー ク マ ン(K.Brugmann),フ
シ ュ ー ル 等,錚
々た る印 欧
ロ イ セ ン領 と ロ シ ア 領 の リ トア ニ ア に,
現 代 印 欧 語 中 も っ と も 古 態 的 な リ トア ニ ア 語 の 実 地 研 究 に 訪 れ,フ
ォ ー ク ロ ア の 採 集,あ
ア 語 の 研 究 に 貢 献 した.最
る い は,リ
初 に,学
トア ニ
術 的 な リ トア ニ ア
語 文 法 書 を 著 わ し た シ ュ ラ イ ヒ ャ ー は,「
この よ うな
来,長 母 音/〓/ オ ペ ラ 」).
二 重 母 音 と し て,ai,au,ei,ie,uo,ui,お 外 来 語 の み に 現 わ れ るeuとoiが 重 母 音(mixed
母 音(例
よ び,
diphthong)と
あ る ほ か,混
組 み 合 わ せ に よ っ て で き る16個 :baltas「
合二
よ ば れ る,a,e,i,uと の二重
白 い 」)が あ る. 舌 母 音i,i,y,e,e,e
と 後 舌 母 音a,a,o,u,u,uの2系
列 に 分 か た れ る.
前 舌 母 音 に 先 行 す る 子 音 お よ び 子 音 連 続 は,口
蓋化音
(軟 子 音)と な る(例:geras/〓/).文
字iは,
母 音 と し て 発 音 さ れ る(例:pilis/p'il'is/「
城 」)以 外
に,先 号/'/と
行 子 音 が軟 子 音 で あ る こ と を示 す 単 な る軟 音 記 し て も用 い られ る.軟
後 舌 母 音(a,o,uな
ど)の
音 記 号 と し て のiは,
前 に の み 立 ち,先
行する
言 語 が 地 上 か ら 消 滅 し て い く こ とは な ん と 悲 し い こ と
子 音 お よ び 子 音 連 続 の 口 蓋 化 を 表 わ す(例:Vilnius
で あ る か 」 と 嘆 い て い る.し
/v'il'n'us/「
で,リ
か し,出
版禁止令の もと
トア ニ ア 語 の 父 と よ ば れ る ヤ ブ ロ ン ス キ ス(J.
Jablonskis)は,同 法 』(Lietuviskos
朋民族 のために kalbos
『リ トア ニ ア 語 文
gramatika,1901)を
地
お,
母音 と
際 的 用 語 の 外 来 語 で は,短
リ トア ニ ア 語 の 母 音 は,前
ォ ル ト ゥナ ー ト フ
(Φ.Φ.ΦOPTyHaTOB),ソ 語 学 者 が,プ
ュライ
ス キ ー ン(A.Leskien),
:geras「
と し て 発 音 さ れ る こ と が 多 い(例:opera「
r,l,n,mの
ヒ ャ ー(A.Schleicher),レ
由 来 す る.な
ひ き 伸 ば さ れ,長
止 さ れ,ロ
民 の 話 し言葉 と して生 きなが らえ て い る有 様 で
期 リ トア ニ ア語 で
ク セ ン トの あ る位 置 で 上 昇 音 調 を
して 発 音 さ れ る(例
は,農
字 は,古
と る と き,a/〓/,e/〓/と
トア ニ ア 語 に 固 有 の ラ テ ン 文 字 の 使 用 が 禁 トア
来 語)e/,
母 音 文 字y/〓/,e/〓/,
原 的 にan,en,in,unに
年 間 は,リ
ニ ア で は,書
字
が あ る.
a,a,b,c,ch,c,d,dz,dz,e,e,e,f,g,h,
ウ ク シ ャ の 文 献 は,
イ テ ィ ス(M.Donelaitis)が,リ
テ ン文
わ せ て32文
み 合 わ せ 文 字ch,dz,dz3つ
ア ル フ ァ ベ ッ トは,次
期 リ トア ニ ア 語 と よ ば
りわ け,ダ
ー ロ ッパ の 比 較 言 語
日で も価 値 あ る重 要 な 研 究 を遺
リ トア ニ ア 語 は,大
が 現 わ れ る.16
紀 の 宗 教 書 の 言 語 は,古
た,ブ
し た.
よ る 最 初 の 辞 典(Dictiona‐
linguarum,1629)等
い 言 語 状 態,と
っ
プ ロ
トア ニ ア に お け る 唯 一 の バ ル ト語 学 の
権 威 と し て 活 躍 し,今
編 入 さ れ,リ
語 学 上,も
た,東
期 的 な 文 法 書 と 辞 典(「 辞 書 」
著 作 し,ヨ
用 語 と な っ た.第2次
新 教 派 の 『教 理 問 答 書 』(Catechismusa
Szadei,1547)を
ー ダ ス(K
今 世 紀 初 頭,リ
世 後 期(14∼15世
の リ トア ニ ア ・ポ ー ラ ン ド王 国 時 代 に は,貴
ク セ ン ト学 史 上,画
「参 考 文 献 」 を 参 照)を
学 界 に 大 き く寄 与 し た.ま
ヨー ロ ッパ 最 大 の 国 家 と して 栄
え た が,当 時 の 官 房 語(公 文 書)は
は,ル
めて
トア ニ ア 語 の 文 献 は,16世
紀 前 半 か ら 始 ま る に す ぎ な い.中 紀),リ
に,初
語 教 育 の た め に 尽 力 し た.ま
イ セ ン の リ トア ニ ア 人 ク ル シ ャ ー ト(F.Kurschat) は,ア
字 を 基 礎 に つ く ら れ て い る.
下 出 版 し,国
ヴ ィ リニ ュ ス(首
都 名)」,ロ
シ ア 語〓
を 参 照). リ トア ニ ア 語 に は,前 み 合 わ せ 文 字 を 含 め,23の
述 の よ う に,ch,dz,dzの 子 音 文 字 が あ る.こ
組 の う ち,
j/j/(例:Jonas「
ヨー ナ ス(人 名)」)は,常 に軟 子 音
で あ るが,他 の 子 音 は,後 続 す る母 音 が 前 舌 母 音 で あ
流
音 側 音/〓/
る場 合 は軟 子 音,後 舌 母 音 で あ る場 合 は 硬 子 音 とな る. な お,ch,h,fの3文
字 は,外 来 語 にの み 現 わ れ る.
子 音 文 字 の 音 価 は,次 の とお りで あ る.
[音 韻 史]
変 化 と し て,次 1)*a,*o,*〓
2)*aが,長
3)*oが,uoへ
声 と無 声 の 子 音 連 続 に お い て は,後 行 子 音 は 後 続 子 音 に 同 化 さ れ,
そ れ ぞ れ,有
声 音 と し て 発 音 さ れ る.
atgal[adgal]「
元 へ 」,dirbti[dirpti]「
T=破
裂 音,R=流
擦 音,
飛 ぶ」
泣 くで あ ろ う(3人
称)」 た はRTSR(こ
音 お よ び 鼻 音),
alksta「
飢 え る(3人
音,混
称)」,linksmas「
幸 せ な」
音 節 の 核 を な す の は,単
合 二 重 母 音 で,子
母 音,二
重 母
音 は 周 辺 的 部 分 を な し,次
よ う に 切 ら れ る.
く の 場 合,特
に ア ク セ ン トを 受 け た
変 化 し た.
5)*euが,(i)auへ
6)語 末 に お い て*‐au,*‐ouが‐auへ,ま *‐euが‐iauへ 変 化 した .
7)*r,*l,*m,*nが,ir,il,im,in,ま
8)*k,*gが,s,zへ
9)同
変 化 し た.
「カ ラ ス 」,va‐ka‐ras「 子 音 連 続 の 場 合 は,最 z vaigz‐de「
た は,ur,
変 化 し た.
他 の 子 音 の 前 で は,鼻
の
10)語
夕方」
喜び」
リ
参 照.
鵞 鳥 」).
変 化 し た.
舌 母 音 の 前 に 立 つ*tj,*djは,そ
は,リ
木 の 」,
木 」).tとc,dとdz
ト ア ニ ア 語 の 形 態 上 に 現 わ れ る,唯
一の子
音 交 替 で あ る. 音 結 合*tt,*dtは,異
な お,上
長 母 音aを
字aは
よ り,リ
トア ニ ア 語 は,
欠 く こ と に な っ た.そ
文 字 体 系 に も 反 映 し,文 ま た,文
導 く(不 定 形)」,
私 は 導 く」).
記 の 変 化1と2に
短 母 音oと
化 作 用 に よ り,stと
:vesti<*vedti「
参 照:vedu「
長母音
れ ぞ れ,c,
dzとな っ た(例:medzio<*medjio「
な っ た(例
トアニ ア 語 の 母 音
短 母音
の
末 の*‐om,*‐am,*‐im,*‐um,*‐emは,そ
12)子 表1を
裂
母 音 を経 て 長 母 音 とな った
参 照:medis<*medjis「
終 子 音 の 前 で 切 る.
星 」,dziaugs‐mas「
音(12個)
鼻 音nは,破
れ ぞ れ,‐a,‐a,‐i,‐u,‐eに
戦 争 」,var‐na
韻]
1)母
た,
変 化 し た.
一 音 節 内(tautosyllabic)の
11)後
o‐la「岩 」,lie‐tus「 雨 」,ka‐ras「
[音
4)*eiは,多
(例:zasis<*zansis「 節]
母 音o
音 の 前 で 保 持 さ れ た が(例:penki「5」),そ
で あ る. [音
だ し,元
ク セ ン トを 受 け な か っ た*oは,長
ul,um,unへ
語 中 の 最 大 限 の 子 音 連 続 はRTSTま の 場 合,R=流
と 二 重 母 音 化 し た.た
語 末 に お け る 最 大 限 の 子 音 連 続 はRTS, verks「
合 流 し た. 変 化 し た.
音),
skraidyti「
が,aに 母 音oへ
場 合 に,ieへ
働 く」
語 頭 に お け る 最 大 限 の 子 音 連 続 はSTR(S=歯
の 点 が あ げ ら れ る.
と し て 存 続 し た よ う で あ る.
続 の 子 音 が 優 勢 で,先 声 音,無
/〓/
印 欧 祖 語 か ら リ トア ニ ア 語 へ の 主 要 な
来,ア 無 声 と 有 声,有
ふ るえ 音/〓/
/〓/
字oは
れ は,
本 質 的 に 長 母 音 を,
本質 的 に 短 母 音 の み を 含 意 す る よ う
に な っ た. [ア ク セ ン ト]
2)子
音(45個)
破裂音
リ トア ニ ア 語 の ア ク セ ン トは,語
の い ず れ の 位 置 の 音 節 に も落 ち う る 自 由 ア ク セ ン トで あ る.屈
折 変 化 語 の 中 に は,ア
ク セ ン トの 位 置 が 固 定
し て い る語 と 移 動 す る語 と が あ る.
破擦音
リ トア ニ ア 語 に は3種 ぞ れ,さ
歯擦 音
短 音 調(trumpine cent/intonation),上
摩擦音 音
priegaide,
gravis,英short
昇 音 調(tvirtagale
れ
宜 上, ac
priegaide
〔尾 勢 音 調 〕,cirkumfleksas,英rising/circumflex intonation),下
鼻
類 の ア ク セ ン トが あ り,そ
ま ざ ま な 呼 称 が 与 え ら れ て い る が,便
降 音 調(tvirtaprade
勢 音 調 〕,akutas,英falling/acute
priegaide〔 intonation)と
頭
よ ぶ.な
お,リ
ト ア ニ ア 語 の ア ク セ ン トは,強
抑 揚 が 微 妙 に か ら み あ っ た 混 合 体 を な し,純 (intonation)と
勢 と
粋 の音 調
母 音 に 固 有 の 短 い ア ク セ ン トで,
強 勢 を 主 と し て お り,専
門 家 に よ っ て は,音
の高 ま り
ranka「
娘 た ち 」,geresnis「
よ り 良 い 」,
手」
しか し,一
般 的 に は,高
上 昇 音 調(〓)と
下 降 音 調(〓)は,長
母 音,二
重 母 音, の 音 調 は,
kopti「
巣 箱 か ら蜂 蜜 を と る 」:kopti「
austi「
夜 が 明 け る 」:austi「
登 る」
常 の 二 重 母 音,混
成 長 す る 」,vilkas「
し か し,借 用 語 に お い て は,長
合二 重 母 音 に
末)を
お,ア
ク セ ン トを 受 殊 な 場 合(一 定
除 い て,短
き 伸 ば さ れ,上
vakaras<*vakaras「
音 調 と して 現
トヴ ィア
良 い 」(参 照:ラ
トヴ ィ ア 語
labs)
来,長
頭 に鋭 い 強 勢 が か か った下 降 的 音 調
母 音 と 長 い 二 重 母 音(起
原 的 に,*oi,*r
リシア 語〓(対
格)に 対 し て,
クセ ン トを移 し て い る. なわ
ン トは,後 続 の 下 降音 調 の音 節 に移 動 して い る(い わ ゆ る ソ シ ュー ル とフ ォル ト ゥナー トフ の ア ク セ ン ト移
ア クセ ン トとは 別 に,原
称 〕).な お,こ の 法 則 は,
リ トア ニ ア 語 の す べ て の 長 母
音 音 節,二 重 母 音音 節,混 合 二 重 母 音 音 節 に,音 調 が 存 在 して いた とい う仮 説 に基 づ い て い る.
音 調 の短 音 調 へ の 変 化(レ ス キ ー ンの法 則)が あげ られ *gera>gera「
良 い」(参 照:形
容 詞限 定形
太 陽 」,kelti「
上 げ る」
混 合 二 重 母 音 の う ち,iR,uR(R=n,m,l,r)の 音 調 に は,慣 「羊 毛 」).こ
習 上,短 れ は,リ
下降
アクセン
の よ う な 現 象 が 起 こ ら な か っ た 事 実 と も関 係
し て い る.saule,keltiに し か し,vilnaのiは な お,個
お い て は,a,eは
調 転 換(metatony)に
上 昇 音 調 や,二
りわ け,長
重 母 音ai,au,ei型
釈 が む ず か し い.印 い 二 重 母 音(oiな
き な 問 題 で,長
よっては
母 音 に現 わ れ る の 下 降 音調 の現 わ
欧 祖 語 の 語 根 に,果
た
ど)が
実 在 してい た か は 大
母 音 やeR(<*eR〓)型
の 語 と 同 様 に,
喉 頭 音(laryngeal)の
消 失 と の 関 連 か ら説 明 す る こ と
欧 語 の 古 い ア ク セ ン トの 位 置 を
トヴ ィ ア
り古 い状 態 を代 表 して い
る.そ れ につ い て は,「 ラ トヴ ィ ア語 」 の 項 を 参 照 さ れ た い. [形 1)名
態] 詞
リ トア ニ ア語 の 名詞 組 織 は,中 性 名
詞 を欠 くほか は,サ
ンス ク リ ッ ト語 に次 ぐほ ど の古 い
印欧 語 の状 態 を,今 日 も保存 して い る. 名 詞 に は,男 性 名詞 と女 性 名 詞 が あ り,単 数,複 数, 双 数(今 世 紀 初 め まで 保 存 され て い た)を 区 別 す る.格 は,主 格,属 格,与 格,対 格,具 格(造 格),位
問 が 残 る.
リ トア ニ ア 語 は,印
ラ トヴ ィ ア語 や 古 プ ロ シア語 に お い て は,そ れ ぞれ, 下 降 的 音 調 と上 昇 的 音 調 で 現 わ れ て お り,ラ 語 や 古 プ ロ シア 語 の 方 が,よ
々 の 語 の 上 昇 音 調 と 下 降 音 調 の 現 わ れ 方 は,
説 明 し が た い 例 が 多 く,と
れ 方 は,解
長 め に,
短 め に 発 音 さ れ る.
前 述 の 一 般 原 則 や,音
と,多 くの研 究 者 は 考 えて い る. なお,リ トア ニ ア 語 の 上 昇 音 調 と下 降 音 調 に対 して,
ト を 受 け て 延 長 化 さ れ る 傾 向 が あ る の に 対 し て,i,u に は,そ
トは語 頭 に あ るが,非 ア ク セ ン ト音節(長 母音,二 重母 音 の長 音 節)に お い て も,種 々の イ ン トネ ー シ ョンが 存 在 し,か つ て の リ トア ニ ア 語 に お い て も同 様 で あ っ た
音 調 記 号 が 使 わ れ る(例:vilna トア ニ ア 語 で,a,eが
ソ シ ュー ル の法 則 は,前 末 尾 と末 尾 間 に も認 め られ る. *ranka>*ranka>ranka(参 照:属 格rankos) ラ トヴ ィア 語 や 低 地 リ トア ニ ア 方言 で は,ア ク セ ン
固 有 の もの で あ っ た と 考 え ら れ て い る.
buti「 存 在 す る」,saule「
に は,疑
女 を」 は,ギ
格)「 息
geroji<gera+ji)
下 降 音 調 は,初
し て,長
トの語 頭 化 現 象 が 一 般 的傾 向 で,dukteri(対
る.
labas<*labas「
な ど)に
ら交 替 ア ク セ ン ト
トア ニ ア語 で は,ア ク セ ン
そ の他 の ア クセ ン ト現 象 と して,末 尾 にお け る下 降
昇 音 調 と な る.
タ 方 」(参 照:ラ
語vakars)
で,本
神 」 は,語 末 固 定
ン ト位 置,参 照:laiko〔3人
母 音 に も 現 わ れ る(例:
ぶ ど う 酒 」).な
わ れ る 代 わ り に,ひ
る.ま た,dievas(複
動 の法 則;以 下,単 に ソ シ ュー ル の 法 則).た と えば, *laikyti>laikyti「 保 つ 」(下 線 部 は ,元 来 のア ク セ
狼」
け る位 置 に 立 つ 短 母 音 のaとeは,特 の 文 法 カ テ ゴ リー,語
数dievai)「
ア クセ ン ト型(ヴ ェー ダ語devas)か
ち,上 昇 音 調 お よび短 音 調 の音 節 の上 に あ っ た ア ク セ
現 わ れ る.
vynas[〓]「
数vilkai)
ま た,ア ク セ ン トの後 続 音 節 へ の 移 動 現 象,す
冷 え る」
上 昇 音 調 は,緩 や か な 上 昇 に よ っ て 特 徴 づ け ら れ る.
augti「
ら語 根 固定 ア ク
「 狼 」 は,語 根 固 定 ア ク セ ン ト型(ヴ ェー ダ語vrkas)
語 中 か ら語 頭 へ,ア
意 義 の 差 異 に 関 与 す る.
来,通
男,夫 」 は,古 い語 末 固
セ ン ト型 へ 位 置 を変 え て お り,vilkas(複
型 に位 置 を変 え てい る.リ
ま りが 感 じ ら れ る.
混 合 二 重 母 音 に 現 わ れ る ア ク セ ン トで,2つ
こ の 音 調 は,本
とえ ば,vyras「
か ら語 根 と語 末 の交 替 ア ク セ ン ト型 へ 位 置 を変 え て い
を 認 め な い 人 も い る. dukterys「
くな い.た
定 ア クセ ン ト型(ヴ ェー ダ 語viras)か
は 言 い が た い.
短 音 調(〓)は,短
と どめ て い る語 が多 い が,変 化 を受 け て い る語 も少 な
格,呼
格 の7格 を もち,そ の ほ か,後 置詞(postposition)を
名
型
数
(1)単
複
詞 の 曲用 例
格 主
o‐語 幹
a‐語 幹 「 夫,男 」
「カ ラス 」
属
主 属 与 対 具 位 呼
与 対 具 位
型
呼 複
主
数
(3)単
主
属 与
与
対
対
「手 」
複
属
与
与
対
対
具
具
位
位 呼
主
(4)単
主
「天」
属
属
与
与
対
対
具
具
位
位
呼
「犬 」 (男性)
呼 「朝」
「頭 」
複
属
主 属
与
複
主
属
主
(女 性)
呼 「 車」
呼
(3)単
「息 女 」
位
呼
複
「息 子 」
具
位 主
子音語幹
属
具
(2)単
u‐語 幹
格
与
対
対
具
具
位
位
呼
呼
主 属
付 し た 周 辺 的 な 格 と し て,入
与
sive),向
格(allative)が
格(illative),傍
格(ades‐
あ る.
対 名 詞 の 曲 用 は,o‐ 語 幹,a‐ 語 幹,e‐ 語 幹,i‐ 語 幹,u‐
具
語 幹,子
位 呼 (4)単
主 属
音 語 幹(r‐,n‐,s‐
o‐語 幹,u‐
「 神 」
「枝 」
語 幹)が
語 幹 は 男 性 名 詞,a‐
は 女 性 名 詞 を 代 表 し て い る.子 女 性 名 詞 が 混 在 し,単
与
し い.名
詞 は,ア
対
に よ っ て,4つ
具
語 幹,8‐ 語 幹,u‐
あ る.一
語 幹,e‐
音 語 幹 は,男
性 名詞 と
数 主格 形 で は性 の判 別 が む ず か
ク セ ン トの 性 質,不
動 ・移 動 の 種 類
の 型 に 分 け ら れ る.一 語 幹,子
例 と し て,o‐
音 語 幹 名 詞 を,表2に
位
る.表
呼
リ トア ニ ア 語 の 前 史 に お い て,ア
中 の(1)∼(4)は,ア
般 に,
語 幹,i‐ 語 幹
あげ
ク セ ン トの 型 を 示 す. ク セ ン ト型1と2
の 名 詞 は 非 末 尾 ア ク セ ン ト型 名 詞,3と4は,子 幹 名 詞 を 除 き,末 さ れ る.2音
尾 ア ク セ ン ト型 名 詞 で あ っ た と 想 定
節 語(単
数 主 格 形)の1と3(た
音 語 幹 を 除 く)は,語 根 に,上
音語
詞 に3人
称 代 名詞 形 を付 し て つ く ら れ た 限 定形 が あ
る. 男 性 :gerasis(<geras+jis)「
だ し,子
昇音 調 ま た は 短 音 調 を もつ こ とが特 徴 的 で あ
比 較 級,最
上 級 は,次
比 較 級(男
る. ア ク セ ン ト の 移 動 は,*vyras>vyras(1)が
も
っ と も早 く起 こ っ た と 考 え ら れ る.次
dukteri)が,単 て 生 じ,さ
音 節 語suoの ら に,3お
い で,dukte
最 上 級(男
副 詞 形 :gerai「
語 幹,u‐ 語 幹,a‐ 語 幹
に も波 及 し,最 後 に,o‐ 語 幹 に お い て,一
層 の語 頭 化 現
性)geresne「
性)geriausias,(女
ア ク セ ン ト型 に な ら っ
よ び4のi‐
の と お りで あ る.
良 く」,比 較 級geriau「
最 上 級geriausiai「 3)動
詞
性)geriausia「
織 と比 較 し て,き
o‐語 幹 の ヴ ァ リ ア ン トio‐ 語 幹 名 詞 主 格dagys「
アザ
形 が 豊 富 な こ と が 特 徴 的 で あ る.
は,末
尾 ア ク セ ン トが 保 持 さ
ソ シ ュ ー ル の 法 則(上 記 を 参 照)は,さ
らに遅 い 時期
に,2・4型
の 単 数 具 格,複
数 対 格 に,ま
詞 で は,単
数 主 格 に も作 用 した と 想 定 さ れ る.
ラ ト ヴ ィ ア 語 で は,リ 調 は,virs(リ
トア ニ ア 語 の1と3の
トア ニ ア 語vyras),rits(リ
語rytas)の 3の
た,a‐ 語 幹 名
例 に み ら れ る よ う に,異
名 詞 が,古
トア ニ ア
な る 音 調 を 示 し,
く は 末 尾 型 ア ク セ ン トで あ っ た こ と を
示 し て い る. 2)形
と し て,直
複 数,双
容詞
形 容 詞 は,男 性 形 と 女 性 形 の ほ か に,
良 い 」
女 性 形 a‐語 幹:gera「
在 語 幹,過
去語
の 基 本 形 か ら 導 か れ る.活
用 形 は,単
数,
数(現 在 は 廃 用)を
の 区 別 を せ ず,形
vaikui「
動 詞 の 人 称 語 尾 に は,単
に,名
3種 類(Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ),過
応 す る名 詞 語 幹 の 格 形 と
良 い 子 供 に 」,同
Siandien
Malonu
在 に
る.
詞 の 人 称 語 尾(単 純 形)
現在
過去
未来
yra
不 定 形 は‐tiで,活 て,次
の3種
用 は,3人
類 に 分 類 さ れ る.不
称 現 在 単 純 形 に よっ 規 則 動 詞 は,buti
「あ る 」 の み で あ る
複 数 主 格 形geri
用 dirbti「
働 く」,現 在dirba,過
第2活
用 mileti「
愛 す る 」,myli,mylejo
に 一 致 す る.
第3活
用 skaityti「
geri.
dirbti「
定 用 法 に お い て も,叙 詞 の 性,数,格
述 用 法 にお い て
読 む 」,skaito,skaite
働 く」 の,現 在 の 単 純 形 と 再 帰 形 の 活 用 は,
現在単純形
yra salta.
単
寒 い
susitikti
去dirbo
次 の よ う に な る.
い
人 称 構 文 に 現 わ れ る.
今 日 は 〔副 詞 〕
称 語 尾 は,現
類(Ⅰ,Ⅱ)あ
第1活
そ の 子 た ち は (あ る)良 中 性 形 は,無
去 に2種
大 きい」
と え ば,o‐ 語 幹 男 性 単 数 与 格 形
Vaikai
純 形 と再 帰 形 と が あ る.表
純 形 の 人 称 語 尾 を 示 す.人
複
良 い 子 供 た ち が 」,な ど.
形 容 詞 は,限
幹 形 成 母 音 のみ を もつ 形 で
あ る.
単
美 し い」
形 容 詞 の 若 干 の 格 形 は,対
vaikai「
称形は数
良 い」
e‐語 幹:didele「
geram
態 上,語
区 別 す る が,3人
美 し い 」 中 性 形grazu
ia‐語 幹:grazi「
同 形 で は な い.た
来
中 性 形gera
「大 き い 」
u‐語 幹:grazus「
慣 過 去,未
続 法(条 件 法,希 求 法
令 法 が あ る.
数 人称
の 語 幹 が あ る.
ii o‐語 幹:didelis
詞
定 形 語 幹,現
動
男 性 形 o‐語 幹:geras「
詞組
方 で,分
人称構文に使わ
れ る. 形 容 詞 に は,次
純)過 去,習
説 法,接
す べ て の 動 詞 形 は,不
3に,単
中 性 形 の 残 存(主 格 形 の み)が あ り,無
も,常
説 法 現 在,(単
か らな り,法
幹 の,3個 下 降音
わ め て 単 純 で あ る が,他
時 制 は,直
と も い う),命
よ り 良 く」,
リ ト ア ニ ア 語 の 動 詞 組 織 は,名
お,
ミ」(4)(<*dagiias)に
も
も っ と も 良 く」
象(単 数 主 格 を 参 照)が 起 こ っ た と想 定 され る.な
れ て い る.
より
良 い」
っ と も良 い」
照:単
同上」
性)geresnis,(女
数対格
の 語 中 か ら語 頭 へ の ア ク セ ン ト移 動(参
そ の 良 い」
女 性 :geroji(<gera+ji)「
根 に 下 降 音 調 を,2と4は,語
su
う れ し い 会 っ て 〔不 定 形 〕
jumis.
リ トア ニ ア 語 に は 冠 詞 が な く,そ
君 と の 代 わ り に,形
複 容
現在再帰形
1 dirbu(<‐uo<*‐o)
dirbuos(i)
2 dirbi(<‐ie<*‐ei)
dirbies(i)
3 dirba(<*‐o)
dirbas(i)
1 dirbame(<*‐ome)dirbames 2 dirbate(<*‐ate)
dirbates
リ トア ニ ア 語 の 人 称 語 尾 は,3人 過 去,未
称 以 外 は,現
来 を 通 じ て,‐u,‐i,‐me,‐teを
い る か ら,3個 れ る.未
の 基 本 形 か ら,活
来 形 は,不
る(例:3人
な お,3人
称 形 の み,下
慣 過 去 形 も,不
っ く られ る(例:3人
定 形 語 幹 に‐dav‐
称dirbdavo「
当然 の こ と な が ら,各
語 幹 は,母
義 務 分 詞:dirbtinas「
現 在 副 分 詞:dirbant「
働 き な が ら」
過 去 副 分 詞:dirbus「
働 きお わ って 」
見 す る こ とは必
在randa,過
去redo,未
働 くこ とを つ ね と
した 」 未 来 副 分 詞:dirbsiant「
来ras imti「 buti「
取 る 」,現
在ima,過
去eme,未
あ る 」 の 活 用 は 不 規 則 で,現
yra,esame,esate,過 称budavo,未
去3人
来3人
来ims 在esu,esi,
称buvo,習
称bus,1人
リ トア ニ ア 語 に は,ス
慣 過 去3人
称busiuと
が あ る.た
と え ば,rasti「
前 接 辞 付 き のatrastiは の 再 帰 形 はrastis「
dirbtu「
《半 分 詞 》
詞 の 否 定 は,否
定 辞ne‐
詞 の 構 成 は,否
完 了 形 は,buti「
去 形,未
の 迂 言 形 に よ って つ く
tekant,
[統 辞 法]
リ トア ニ ア 語 の 語 順 は,比
あ る.現
代 リ トア ニ ア 語 で は,SV型
SVO型
がSOV型
各 時 制 形 と現 在 受 動 分 詞 ど)と の
と して
Mokinys
skaito
knyga.
V
O
「生 徒 は 本 を 読 ん で い る」
れ ば,フ
tute
よ り,や
2人 称 単 数dirbk,複 下 の13個
数dirbkite
過 去 能 動 分 詞:dirbes「
働 い て い る」 働 い て い た」
習 慣 過 去 能 動 分 詞:dirbdaves「
化 石 と な っ て,古
働 い た もの で あ
に,こ
prota
gerbia.
O
V
「良 い 人 々 は 智 恵 を 尊 ぶ 」 Pirmi
gaidziai
Adj.
S
velnia
baido.
O
V
「一 番 鶏 は 悪 魔 を 怖 れ さ せ る 」 限 定 語 は,被
がSVO型
と わ ざ,謎
々 に は,
い 統 辞 法 が 残 っ て い る と言 わ れ る.
Adj.S
の変 化 をす る可 変 分 詞 》
研究に よ
ォ ー ク ロ ア の 言 語 で は,SOV型 や 優 勢 で あ る.特
Geri zmones
に 及 ぶ.
現 在 能 動 分 詞 :dirbas「
った 」
V
ア ン ブ ラ ー ザ ス(V.Ambrazas,1982)の
定 形 語 幹 か ら つ く ら れ る.
よ り,
倒 的 に 優 勢 で あ る.
verkia.
S
定 形 語 幹 を も と に つ く ら れ,主
よ り,圧
較 的 自由 で
がVS型
「子 供 が 泣 い て い る 」
dirbciau,dirbtum,dirbtu,dirbtume,dirb
《性,数,格
jis
太 陽 が 〔与 格 〕 上 る こ ろ 〔現 在 副 分 詞 〕 彼 は
S
願 望 を 表 わ す.
分 詞 形 は,以
家に
動 作 主 が 文 の 主 語 と一 致 しな い と き,
Saulei
迂 言 形 に よ っ て つ く ら れ る.
命 令 法 も,不
namo.
動 作 主 は 与 格 形 を と る.
彼 は 働 き お わ っ て い る」
ま た は 過 去 受 動 分 詞(dirbamas,dirbtas,な
接 続 法 は,不
sugrizo
起 きた 来 形)
男dirbes,女dirbusi,
受 動 形 も,同 様 に,butiの
分詞
の 主 語 と一 致 す る.
jis
Vaikas dirbes.「
般 に,
atsikele.
ら れ る. yra
変 分 詞 は,一
泣 きな が ら 彼 は 帰 った
定辞+前接辞
あ る 」(現 在 形,過
男dirbe,女dirbusios)と
動 作 主 は,文
《副 分 詞 》
称 形)「 現 わ れ な い 」
去 能 動 分 詞 主 格 形(単
あ る.可
ル ト語 独 自 の 発 達 で あ る.
Verkdamas
+si+ 語 幹 + 語 尾 の 順 序 と な る. ne‐at‐si‐rand‐a(3人
テ ン語 の ス ピ
働 く た め 」(例:eiti
古 代 印 欧 諸 言 語 の 分 詞 の 用 法 と 同 じ で あ る が,半
見 つ け る 」 は 持 続 行 為 を,
よ う に前 置 す る こ とに よ って つ く
た が っ て,動
働 き に 行 く」)が
と 副 分 詞 は,バ
接辞 と
働 い て 」,ス ピ ー ヌ ム(い わ
成 法 に お い て も,ラ
ー ヌ ム と 同 じ で あ る)dirbtu「
れ に近 い体
帰 辞‐si‐ は,前
働 く で あ ろ う」
定 形dirbte「
ゆ る 動 詞 状 名 詞.形
現 わ れ る」,そ れ に 対 し て,atrasti
語 幹 に よ っ て 抱 合 さ れ る.動
ら れ る.し
ま た,第2不
行 為 の 完 遂 を 表 わ す.rasti
の 再 帰 形 はatsirastiで,再
を,neatsirastiの
な る.
ラ ヴ語 の よ うな 明 瞭 な完 了体
と 不 完 了 体 の 対 の 動 詞 の 対 立 は な い が,そ
Jis
働 き な が ら」
習 慣 過 去 副 分 詞:dirbdavus「
rasti「 見 つ け る 」,現
複
を区 別 す る半 分詞 》
半 分 詞:dirbdamas「
ず し も容 易 で は な い.
と,過
働 か ね ば な らな い」
《無 変 化 の 副 分 詞 》
音交替や挿入辞な ど
に よ っ て 独 立 に 形 成 さ れ う る か ら,予
働 か され るで あ ろ う」
《主 格 形 の み が あ り,性,数
を添 え て
働 い た もの だ 」).
働 か され た」
未 来 受 動 分 詞:dirbsimas「
降音調
称dirbsiu,
働 か され る」
過 去 受 動 分 詞:dirbtas「
定 形 語 幹 に‐s‐ を 添 え て つ く ら れ
称dirbs〔
働 くで あ ろ う」
現 在 受 動 分 詞:dirbamas「
用 形 は 自動 的 に 導 か
が 短 音 調 ま た は 上 昇 音 調 に 変 わ る 〕,1人 な ど).習
未 来 能 動 分 詞:dirbsias「
在,
共 通 に して
限 定 語 の 前 に 立 つ.
senas zmogus「
Poss.Pron.
老人」
Adj.N
あなたの
penki
vaikai「5人
「私 の 本 は 君 の よ り 良 い 」
の子 供 た ち」
Kas uz
Num.N a ukso
ziedas「
geni
margesnis?
Pron.Prep.Acc.N
金 の指 輪 」
Gen.N
Comp.Adj.
何 が よ り キ ツ ツ キ
graziai
dainuoja「
―Svieta
美 し く歌 う」
ま だ らな
. N
Adv.V labai
geras「
と て も良 い 」
世の中 「キ ツ ツ キ よ り ま だ ら な 色 の も の は 何 か 」―
Adv.Adj. labai
gerai「
と て も 良 く」
の中 」 Visu
Adv.Adv. 間 接 目 的 語(IO)は,一
般 に,直
geriausia.
Pl.Gen.Pron.Super.Adj.
接 目的 語(DO)の
「す べ て の 中 で 一 番 良 い も の 」
前 に 立 つ. Senele
dave
S
V
mergytei obuoli. IO
上 例 の よ う に,リ SOV型,修
DO
トア ニ ア 語 に は,民
「老 婆 は 娘 に リ ン ゴ を 与 え た 」
年 の 印 欧 語 比 較 統 辞 論 の 観 点 か ら は,現
aklam
kelia
rodo.
語 に 比 べ,フ
S
IO
DO
V
方 が,統
「盲 人 が 盲 人 に 道 を 教 え る 」
[語
リ ト ア ニ ア 語 に は,前 置 詞 の 数 は 多 い が(下 記aを 有 の 後 置 詞 は な い.し
を 付 し た 二 義 的 な 格(入 (下 記bを
か し,後
格,傍
格,向
置 詞*‐na,*‐pi 格)が
存 在 す る
参 照).
a)apie
参
代 リ トア ニ ア
ォ ー ク ロ ア の 言 語 や 古 期 リ トア ニ ア 語 の
辞 法 上 古 い と言 え る. 彙]
て,古
衆 の 言 語 に,
飾 語‐被 修 飾 語 型 の 語 順 が 残 っ て お り,近
Aklas
照),固
「世
リ トア ニ ア 語 の 語 彙 の 基 本 は,主
い 印 欧 語 の 語 彙,バ
とし
ル ト語 派 特 有 の 語 彙(B),
バ ル ト語 派 と ス ラ ヴ 語 派 に 固 有 な 共 通 語 彙(BS)か
ら
な っ て い る. 現 代 標 準 語(後 述)に お け る 借 用 語 の 占 め る 比 率 は,
stala
近 隣 の ス ラ ヴ 語(ポ ー ラ ン ド語,白
ロ シ ア 語,ロ
シア
Prep.Acc.N
語)か
「テ ー ブ ル の 近 く に 」
騎 士 団 の 東 方 進 出 に 伴 っ て 到 来 し た,ド イ ツ 商 人(13∼
i
14世
miesta
ら 受 け た ス ラ ヴ ィ ズ ム(Slavism)1.5%,ド
紀)か
Prep.Acc.N
0.5%で
「町 へ 」
て,リ
del
to
ら 受 け と っ た ゲ ル マ ニ ズ ム(Germanism)
あ り,今
世 紀 に 導入 され た国 際 用 語 は別 に し
ト ア ニ ア 語 は,借
語 と言 え る.古
Prep.Gen.Pron.
く は,主
「そ れ ゆ え 」
用 語 の きわ め て少 な い純 正 言
く存 在 し た 借 用 語(ス
と し て,国
「そ れ ゆ え 」)
本 来 の 語 を 基 礎 に,新 干 の 基 本 語,暦
b)miskan illative
motina「
母 」,sunus「
「息 女 」,brolis「
miskiep
「夫 」,zmona「
adessive
ア ニ ア 語 特 有 の 語)marti「 《家
miskop
畜》
arklys「
「森 の 方 角 に(向 格)」
「犂」)
形 容 詞 の 比 較 級,最 Mano
上 級 の 例 を あ げ る.
knyga
Poss.Pron.N 私の ta vo.
yra V
本 は
あ る
《動
geresne
negu
Comp.Adj.Conj. 良 い
《人 よ り
物 》
vilkas「
羊 」,ozys「
す も の:arti「
狼 」,lape「
akis「
目 」,ausis「
歯 」,sirdis「
(BS)ranka「
ト
山 羊 」,
シ ア 語〓),(L)
を な め る も の:lakti「
体 》
dantis「
父 」,(L=リ
嫁」
犬 」,avis「 牝 牛 」(ロ
馬 」(=耕
「熊 」(=蜜
姉 妹 」,vyras
妻 」,(B)tevas「
suo「
下 に,若
息 子 」,dukte
兄 弟 」,sesuo「
(BS)karve「
allative
トア ニ ア 語
用 語 を あ げ る.
「森 の 中 に(入 格)」
「森 の き わ に(傍 格)」
わ っ て,リ
鋳 語 が つ く ら れ た.以
の 月 名,借
《親 族 名 称 》
ラ ヴ ィ ズ ム)の 多
語 の 父 ヤ ブ ロ ンス キ ス に よ っ て,
リ トア ニ ア 語 か ら 排 除 さ れ,代
(参 照:todel〔Adv.〕
イツ
耕 す 」,arklas
狐 」,(B)lokys な め る」) 耳 」,nosis「
心 臓 」,(BS)galva「
手 」(ロ シ ア 語〓),(B)
鼻 」, 頭 」,
koja「 《天
足」
低 地
体 》
saule「
zv aigzde「
太 陽 」,menuo「
星 」,(BS)zeme「
現 象 が 起
月 」,(BS) 大 地 」(ロ
シア語
〓) 《暦 》
原 的 に は 春,ロ
」(乾 燥),vasaris「2月
」(鳩),
会 」,pagonis「 「荘 園 」;(ポ
」(落 葉),gruo
紅 茶 」,kava「
教
領 主,貴
部 の3つ
部 屋 」,pinigas「
ペ ー ニ ッ ヒ 」),rumas「
[標 準 語 と 方 言]
殿」
ル ト海 寄 り 内 陸 部 の高
地 方 言 は,さ
ら に,西
部,南
方 部,東
地 西 部 方 言 の 中 の南 西 地 域 の農 民 た ち
つ て は,プ
リ トア ニ ア)に
の南 西 部 の 方 言 地 域
ロ イ セ ン領 リ トア ニ ア(い
連 な っ て お り,そ
ル ク(Konigsberg,現
わゆる小
の都 ケー ニ ッ ヒス ベ
在 の標 準 語 に
Bojate,A.and
V.Subatnieks(1964),Lietuviesu
latviesu
vardnica(Latvijas
こで は 触 れ が た い.な
valsts
お,
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sakinio
Lithu York)
der
Sprachen Ⅰ‐Ⅱ(Carl
kalbu
Modern
Fathers,New
litauischen
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リ トア ニ ア 語 の 方 言 分 布
izdevnie
ciba,Riga)
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く の 重 要 な 古 文 献 が 出 版 さ れ た.
諸 方 言 の 差 異 は 複 雑 で,こ
〈図 〉
Ruprecht,
Wor
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在 の カ リ ー ニ ン グ ラ ー ド〓
ロ シ ア 共 和 国 飛 び 地)で は,現 近 い 方 言 で,多
&
Vilnius,1968‐87)―
の 方 言 に 分 か た れ る(〈 図 〉 を 参 照).
の 言 語 を 基 礎 に お い て い る.こ は,か
Schriftsprache Ⅰ‐Ⅴ(Carl
Winter,Heidelberg)
terbuch(Waisenhaus,Halle)
ウ ク シ ュ タ イ チ ェ イAukstaiciai)の2大
標 準 語 は,高
A.Salys(1932‐68),Worterbuch litauischen
Gottingen)
お金 」
邸,宮
リ トア ニ ア 語 は,バ
ェ マ イ チ ェ イZemaiciai)と
言 に 区 別 さ れ,高
odynas(Mokslas,Vil
Worterbuch Ⅰ‐Ⅳ(Vandenhoek
コ ー ヒ ー 」,bulve
(中 世 低 地 ドイ ツ 語 か ら)ama
tas「 手 職 」,kambarys「
地 方 言(ア
B.Svecevicius(1979),Lietuviu‐anglu kalbu z
Kurschat,F.(1883),Littauisch‐deutsches
《ゲ ル マ ニ ズ ム 》
の 低 地 方 言(ジ
各 長 音 節 に 示 し て
Kurschat,A.(1968‐73),Litauisch‐deutsches
王 」,dvaras
「ジ ャ ガ イ モ 」
(<pennig「
Piesarskas,B.and
Senn,A.und
(白 ロ シ ア 語 か ら)baznycia「
ー ラ ン ド語 か ら)ponas「
族 」,arbata「
調)を
要 な 資 料 を な す.
書]
der
異 教 徒 」,karalius「
ト ヴ ィ ア 語 と や や 類 似 す
nius)
」(霜)
《ス ラ ヴ ィ ズ ム 》
[辞
ク セ ン ト学 上,重
」(ラ イ
」(ラ イ 麦 蒔 き),spalis
「10月 」(亜 麻),lapkritis「11月 dis「12月
こ っ て い る 一 方,ラ
々 の イ ン トネ ー シ ョ ン(音
nas(Mokslas,Vilnius)
」(白 樺),
」(菩 提 樹),rugpjutis「8月
麦 刈 り),rugsejis「9月
ク セ ン トの 語 中 か ら の 語 頭 化
Lyberis,A.(19883),Lietuviu‐rusu kalbu zody
」(郭 公),birzelis「6月
liepa「7月
」
シ ア 語〓),kovas「3
月 」(ミ ヤ マ ガ ラ ス),balandis「4月 geguze「5月
る 種
お り,ア
(L)sausis「1月
(夏,起
リ ト ア ニ ア 語 は,ア
tvarka tipo
ir
baltu
rekonstrukcija",Baltistica
18(Mokslas,Vilnius) (1979),Lietuviu istorine
kalbos dalyviu
sintakse(Mokslas,Vilnius)
Schmalstieg,W.R.(1987),A Historical
Lithuanian Syntax
(Slavica
Publishers,
Columbus,Ohio)
Zinkevicius,Z.(1966),Lietuviu
dialektologija
(Mintis,Vilnius) (1980‐81),Lietuviu
kalbos istorine
gramatika Ⅰ‐Ⅱ(Mokslas,Vilnius) (1984‐91),Lietuviu
kalbos
istorija
の使 用 が 法 律 的 に認 め られ て い る以 上,こ れ を 「言 語 」
Ⅰ‐Ⅳ (Mokslas,Vilnius) Kazlauskas,J.(1968),Lietuviu
kalbos
と して 扱 う の が穏 当 であ ろ う.
istorine
ル クセ ン ブル ク語 は,階 層,職 業,公 私 の別 な く用 い
gramatika(Mintis,Vilnius) Schleicher,A.(1856‐57),Handbuch ischen
der
litau
Skardzius,P.(1943),Lietuviu mokslu
下 に お か れ て い る.し た が って,屋 根 付 きか 否 か が,
institutas,Vilnius)
Kurschat,F.(1876),Grammatik
der
両 者 の根 本 的 な 相違 とな っ て い る.む し ろ,ル クセ ン
littauischen
ブ ル ク語 は,オ ラ ンダ語 が,低 地 ドイ ツ語 とは 異 な り,
Sprache(Waisenhaus,Halle) Lietuviu
kalbos
gramatika Ⅰ‐Ⅲ
Mokslas,Vilnius,1965‐76)―
(Mintis/ ア カ デ
高 地 ドイ ツ語 に のみ 込 まれ る こ とな く,独 立 を完 う し た よ う に,ル ク セ ン ブル クの 公用 語 と して 長 い歴 史 を
ミ ー 編.
Sabaliauskas,A.(1990),Lietuviu
kalbos
もつ フ ラ ンス 語 の屋 根 の下 に も,ま た,系 統 的 に 深 い 親
leksika(Mokslas,Vilnius)
縁 関 係 に あ る ドイ ツ 語 の屋 根 の下 に も入 る こ とな く, い ず れ の 文 化 言 語 と も異 な る独 自 の道 を歩 もう と して
Buga,K.(1958‐62),Rinktiniai rastai Ⅰ‐Ⅳ
い る よ う にみ え る.
( Vilnius) [参
照]
ア 語,ヤ
似 て い るが,ス イ ス ドイ ツ語 は,
書 き言 葉 と して は用 い られ ず,標 準 ドイ ツ語 の 屋 根 の
kalbos zodziu
daryba(Lietuvos
られ る話 し言 葉 で あ る とい う点 で は,ス イ ス ドイ ツ語 (Schwyzerdutsch)に
Sprache Ⅰ‐Ⅱ(J.G.Calve,Prag)
バ ル
ト語 派,ラ
ト ヴ ィ ア 語,古
プ ロ シ
[分
布]
ル ク セ ンブ ル ク語 は,ル ク セ ン ブル ク
大 公 国 で 話 され て い るだ け で は な く,隣 接 の ドイ ツ語
トヴ ィ ン ギ ア 語 (村 田
地 域 に も,こ
郁 夫)
れ を 母語 とす る話 し手 が い る(〈 図 〉を
参 照). ベル ギ ー の ザ ンク ト ・フ ィー ト(St.Vith)と,ド
る
ツ の ラ イ ンラ ン ト(Rheinland)の burg)周
ル クセ ンブ ル ク語
辺 の西 アイ フ ェル(Westeifel)地
方 や,ベ ル
ギ ー 南 東 部 リュ クサ ンブ ー ル の州 都 アル ロ ン(Arlon,
仏luxembourgeois,
独Luxemburgisch,英Luxemburgish ル ク セ ン ブ ル ク 語 は,ル (Grand‐Duche
de
Luxemburg)の
ク セ ン ブ ル ク 大 公 国
な わ ち,ル
般 に は,レッ
よ ば れ て い る.主
と し て 話 し言 葉 で あ る が,Koine(コ
イ ネ ー)と
る 共 通 言 語 が 形 成 さ れ て お り,1984年 よ って
「国 語(langue
[系
クセ ン ブル ク
ツ ェ ブ ル ク 語(Letze‐
buergesch,独Letzeburgisch)と
語 の1つ
クセ ン ブル ク領 の 分 割
Luxembourg,Gro〓herzogtum
土 着 住 民,す
人 の 母 語 で,一
ル
nationale)」
よば れ
制定 の 言 語法 に と 定 め ら れ,公
用
に な っ て い る. 統]
ル ク セ ン ブ ル ク 語 は,イ
ン ド ・ヨ ー ロ
ッパ 語 族,ゲ ル マ ン語 派 の 西 ゲ ル マ ン語 の1つ
で,言 語
地 理 学 的 に は,西 中 部 ドイ ツ 語(Westmitteldeutsch; 「ドイ ツ 語 」 の 項 を 参 照)の モ ー ゼ ル フ ラ ン ケ ン 方 言 の 西 の グ ル ー プ(Westmoselfrankisch)に し,社
会 言 語 学 的 観 点 か ら,ル
イ ツ 語 の 方 言(Dialekt)で ダ 語,フ
リ ジ ア 語,イ
属 す る.し
イ ツ 語,オ
学 者 も い る(F.Coulmas,Sprache und York,1985を
参 照).ル
ク セ ン ブ ル ク 語 が,ル
み る Staat,
クセ ン ブル ク語
が 方 言 で あ る か 言 語 で あ る か の 判 定 は,必 で は な い が,ル
ラン
デ ィ ッ シ ュ 語 な ど と と も に,西
ゲ ル マ ン 語 を 形 成 す る 独 立 し た 言 語(Sprache)と
Berlin/New
か
ク セ ン ブ ル ク 語 は,ド
は な く,ド
ず し も容 易
ク セ ン ブル ク人
の 共 通 の 話 し 言 葉 で あ る だ け で は な く,公 用 語 と し て, き わ め て 制 限 さ れ て い る と は い え,書
き言 葉 の 領 域 で
出 典:ク
ラ ー マ ー(J.Kramer,1984)に
注:1)… 西 側―
… は 言 語 境 界 線:東
よ る. 側―
ゲ ル マ ン 語 領 域,
ロマ ン ス 語 領 域.
2)領 土 の 割 譲:1659年 → フ ラ ン ス,1815年 イ セ ン,1839年 → ベ ル ギ ー.
→ プ ロ
3)都 市 の 別 称:a― 独 ウ ル フ リ ン ゲ ン,b― 独 ア ー レル ,c― 仏 リ ュ ク サ ン ブ ー ル,d― 独 エ シ ュ ・ ア ン ・デ ァ ・ア ル ゼ ッ トe― f― 独
イ
ビ ッ トブル ク(Bit
独
デ ィー デ ン ホ ー フ ェ ン.
デ ュ ー デ リン ゲ ン,
独
ア ー レ ルArel),フ
デ ィ ー デ ンホー フ ェ
マ ンス 語 系 の 外 国 人労 働 者 の子 女 の 言 語 教 育 の問 題 も
ク セ ン ブル ク語 が 話 さ
か らんで,外 国 人 の増 加 が ル ク セ ン ブ ル ク語 に 与 え る
の テ ィ オ ン ヴ ィ ル(Thionvill,独 ンDiedenhofen)周 れ て い る.し は,衰
辺 で も,ル
か し,こ
れ ら の地 域 のル クセ ンブ ル ク語
退 の 一 途 を た ど っ て い る.そ
の ほ か,ア
合 衆 国 北 中 部 の ミネ ソ タ(Minnesota)で よ っ て,長 が,今
い 間,ル
は,英
メ リカ
も,移
民に
ク セ ンブル ク語 が 保 持 され て きた
ジ ー ベ ン ビ ュ ル ゲ ン 語(Siebenburgisch)
わ ゆ る ジ ー ベ ン ビ ュ ル ゲ ン ・ザ ク セ ン
人 の 故 地 を ル ク セ ン ブ ル ク に 求 め る 試 み は,成
功する
に い た っ て い な い.
(1986年
ル ク セ ンブル ク大 公 国 の 面
方 キ ロ メ ー ト ル,総
調 査)で
あ る が,そ
人 口 は 約36万
の う ち の 約70パ
強 が ル ク セ ン ブ ル ク 人 で,30パ
国 人 労 働 者 の 流 入 は 年 々増 加 し,逆
人 は,出
生 率 の 低 下 な ど に よ り,年
に,本
国
々 減 少 し て い る.
表1,2は,1970年,1983年,1986年(い 現 在 の 調 査)の
人
ーセ ン ト
ー セ ン ト弱 が 外 国 人 で
あ る.外
31日
ず れ も,12月
ル ク セ ン ブ ル ク 人 と在 住 外 国 人 と
ク セ ン ブル ク は,ヨ ー ロ ッパ の
変 わ った が,言 語上 は,つ ね に フ ラ ンス 語 が 優 位 に 立 ち,1443年
以 降,今 日に い た る まで,ナ チ ス ドイ ツ 占
領 下 の4年 間(1940∼1944)を
除 い て,一 貫 して,フ
1815年 の ウ ィー ン会議 の結 果,ル ク セ ン ブル ク公 領 は 独 立 の大 公 領 とな り,オ ラ ンダ 国王 ウ ィ レム1世 が, ル ク セ ン ブル ク大 公 と して 同 君連 合 の形 で これ を統 治 す るこ とにな った の で,1830年
ま で の15年 間 は,オ
ラ ンダ語 が 第2公 用語 とな った が,1830年,ベ
ク セ ン ブル ク人 と外 国 人 の 人 口の 変 遷
ルギ ー
独 立戦 争 に さ い して,ル ク セ ンブル ク で もオ ラ ン ダ の 支 配か ら離 脱 を求 め る運 動 が起 こ り,ド イ ツ語 が オ ラ ンダ語 に とって 代 わ った.1839年 西 部領 域 がベ ル ギ ー に割 譲 され,今
の 人 口 の 比 較 で あ る.
ル
鼎 立 して お り,単 独支 配 的 な言 語 は 存 在 し な い.
ラ ンス 語 がル クセ ンブ ル ク の 主 た る公 用 語 で あ っ た.
[大 公 国 の 人 口 動 態] 積 は2,586平
大 公 国 に は,ル ク
セ ンブ ル ク語 と フラ ンス語 と ドイ ツ語 の3つ の言 語 が
列 強 の 抗 争 の は ざ ま に あ って,め ま ぐる し く支 配 者 が
ク セ ン ブ ル ク 語 と驚 く ば か り類 似 し て い る に も
か か わ らず,い
[ルクセ ンブ ル ク の 言語 状 況]
が あ る.建 国 以来,ル
ー マ ニ ア の トラ ン シ ル ヴ ァ ニ ア(Transyl
vania)の
影 響 は,無 視 す る こ とは で き な い.
ル クセ ンブ ル クに お け る 多言 語 使 用 に は,長 い 歴 史
語 が 優 勢 で あ る.
ま た,ル
は,ル
化 性 の 高 いル クセ ンブ ル ク人 の歴 史 を顧 み る と き,ロ
ラ ン ス 東 ロ レ ー ヌ(Lorraine)
た.1848年
の ロ ン ドン会 議 で, 日の領 土 が 確 定 し
に は,憲 法 に よ って,ド イ ツ語 は フ ラ ンス
語 と法 的 に対 等 の 資格 を与 え られ たが,心 理 的 に は, フ ラ ンス 語 が威 信 を 保 って い た.両 文 化 言 語 の使 用 分 総 人口
野 は,フ
ルクセンブルク人
ラ ンス 語 は,主
と して法 律,交 通 な どの 分 野
にお い て,ド イ ツ語 は,教 会,出 版 界 な どの 分 野 に お い て優 勢 を保 っ て き た.公 用語 は フ ラ ンス 語 と ドイ ツ
外 国人
語,日 常 語 はル ク セ ンブル ク語 とい う言 語 状 況 が,19 世 紀 半 ば に はす で に確 定 し て いた ので あ る. 注:カ ッ コ内 は,総 人 口 に対 す る百 分 比. ル
1896年,シ
ュポ ー(Caspar
Mathias
Spoo)は,議
会 に お け るル ク セ ンブ ル ク語 の使 用 を激 越 な 調 子 で 説
ク セ ン ブル ク の民 族 構 成
い た が,実 現 しなか った.ド イ ツ は,2度 で,ル
ルクセンブルク人
の世界大戦
クセ ンブ ル ク の 中立 を侵 した.わ け て も,第2
次 大 戦 中,大 公 国 を 占 領 した ナ チス ドイ ツ は,ル ク セ
ポ ル トガ ル 人
ンブ ル ク人 に対 して フ ラン ス語 の使 用 と学 習 を禁 じ,
イ タ リア人
フ ラ ンス 語系 の市 町 村 名,街 路 名,看 板 や,姓 名,ク
フ ラ ンス 人
リス チ ャ ンネ ー ム な どを,ド イ ツ名 に 変更 す る こ とを
ドイ ツ人
強 要 した(ち なみ に,ル ク セ ンブル ク人 に は,ゲ ル マ
その他
ン系 の姓 に フ ラ ンス 系 の名 とい う組 み 合 わ せ が 多 い). 注:「 そ の 他 」 は,ベ ン 人,イ
ル ギ ー 人,オ
ギ リ ス 人 な ど で,こ
ラ ン ダ 人,ス
ペイ
の 順 に 少 な くな る.
特 に,1941年10月10日
の悪 評 高 い国 勢 調 査 に際 して,
ル クセ ンブ ル ク人 に,ド イ ツ語 を母 語 とす る ドイ ツ 人
外 国 人労 働 者 数 は 年 々増 加 し,た とえ ば,首 都 で は,
た る こ とを公 け に認 め させ よ う とした が,ル ク セ ンブ
外 国 人 が首 都 人 口の20パ
ル ク人 の96パ
ー セ ン トを 超 え る.そ の 大
ー セ ン トが,敢 然 とこれ を拒 否 し,ル ク
部 分 を占 め る ロマ ンス語 系 の外 国 人 に と って は,ゲ ル
セ ンブ ル ク語 を母 語 とす るル ク セ ンブ ル ク人 で あ る こ
マ ン系 の ドイ ツ語 や ル ク セ ンブ ル ク語 よ り も,フ ラ ン
と を表 明 した.ナ チ ス ドイ ツ の強 引な 言 語 政 策 は,ド
ス 語 の使 用 が は るか に容 易 で あ る.他 民族 との 融 和 同
イ ツ人 と ドイ ツ語 に対 す る反 感 を強 め,1944年
以 降,
ドイ ツ語 は議 会 か ら締 め 出 され,ル ク セ ン ブル ク語 が
LetzeburgはLuxemburgの
これ に代 わ った.ド イ ツ 語 の地 位 が 弱 ま る一 方,ル
zelburgと
ク
セ ンブ ル ク語 の 重 要 性 は増 し,本 来 話 し言 葉 で あ るル
語(Mittelhochdeutsch)で,「
クセ ンブ ル ク語 の 文 章 化 が 促 進 され た が,方 言 を文 化
語 のlittleに
言 語 に 高 め よ う とす る試 み は,知 識階 層 の支 持 が 得 ら
古 名 で,ま
も 言 っ た.前
対 応 す る(lutzelは,今
ン方 言Alemannischに xemburgは
っ た ロ ー マ の 城 砦Lucilinburhuc(古
こ う して言 語 問 題 は,1945年
の憲 法第29条
ま ま先 送 りにな った が,1983年
か ら84年 にか けて の
が その
「小 城 砦 」 の 意 で,現 在 の 首 都 の 位 置 に あ
の 古 城 を 占 取 し た の ち,こ
関 す る1984年2月24日
des langues;以
1984
下,「 言 語 法 」 と略
こを 本拠 と して 周 辺 一 帯 を
は,「 ル クセ ンブ ル ク人 の 国語 は ル ク セ ン ブル ク語 で
へ と 名 称 が 変 遷 す る 過 程 で,城
あ る(La
て,さ
des
Luxembourgeois
らLutzelburgへ,さ
ら に,国
言 語 名 に つ い て 言 え ば,ド Luxemburgischが,い
フ ラ ンス 語 で作 成 され るべ き こ と を定 め て い る.第3
に 対 し,Letzeburgischは,ふ
条 は,行 政 ・司法 の用 語 と して,フ
よ う.し
か し,ド
で は,官 庁へ の 申 請 書 は,ル ク セ ンブ ル ク語,ド イ ツ
H.Kloss,1952),最
し,これ に応 ず る官 庁側 の 回答 書 は,"dans
強 ま る で あ ろ う.こ
la mesure
きる限 り)"申 請 者 が 選 ん だ 言 語 に よ
使 っ て き た し(た
術 書 に お い て も,し
「 言 語 法 」 の 成 立 に は,「 わ れ ら が こ と ば」(》Eis Sprooch《)の 発 行 な どを通 して,国 民 の母 語 の 擁 護 普
そ ら く,こ
の 傾 向 は,今
れ は,そ
の言 語 に よ る名 称 を用 い
[言 語 特 徴]
中部 ドイ ツ語 の西 モ ーゼ ル フ ラ ンケ
ン 方 言 に 属 す る ル ク セ ン ブ ル ク 語 の 音 韻 上 の 特 徴 は, い わ ゆ る 第2次(高
Letzebuergesch)」
標 準 ド イ ツ 語(' '内 は,対
の果 た した役 割 は 大 きい.ル ク セ
地 ド イ ツ 語)子 音 推 移 に 現 わ れ る. 応 す る 英 語)のich'I',
ンブル ク語 は,学 校 教 育 の場 で も,教 科 目 に採 り入れ
machen'to
られ た.し か し,言 語 問題 は,つ ね に社 会 的 問 題 で も
'that',was'what',Apfel'apple',Pfund'pound'
語 の習得 が 義務 づ け られ る生 徒 の負 担 の増 りわ け フ ラ ンス語 の学 力 の低 下 を招 き,就 職
make',Dorf'thorp',auf'up',das
に 対 応 す る ル ク セ ン ブ ル ク 語 は,そ
dat[〓],wat[〓],Apel[〓],Pond[〓]
と もあ れ,ル クセ ンブ ル ク語 が文 化 言 語 に伍 し て 独 り
で あ る が,下
立 ち す る 日は遠 く,そ の 道 は決 し て平 坦 で は な い で あ
pfと
ろ う.
は,P>fの opに
か]
語 で は,第2次
用 い られ て い る よ うに,ル
クセ
線 を 施 し た 語 に は,p>f,t>s,p>
い う 子 音 推 移 が み ら れ な い.特
[言語 名―LuxemburgischかLetzebuergesch 「 言 語 法 」に添 え られ た ドイ ツ語 の翻 訳 で,das
れ ぞ れ,ech[〓],
maachen[〓],Duer(e)f[〓],op[〓],
に不 利 に な る ので は な い か と懸 念 す る声 もきか れ る.
Luxemburgischeが
後 い っそ う
る こ と に よ っ て,「 言 語 」 と し て の 独 自 性 を 主 張 し て い
及 に尽 力 した 「レ ッツ ェブル ク語 振 興 協会(Aktioun
大 は,と
ば し
る と も考 え られ る.
る べ き こ とを明 文 化 して い る.
あ る.3言
くか ら, と え ば,
ば ル ク セ ン ブ ル ク 人 の 母 語 に よ るLetzebuergesch が 用 い ら れ る.お
possible(で
だ ん 着 の 言 い 方 と言 え
近 は,学
て い る)の い ず れ に よっ て作 成 して も よい こ と,た だ
du
イ ツ 語 に よ る 呼 称 は,
イ ツ の 社 会 言 語 学 者 は,早
語,ル クセ ンブル ク語 の3言 語 の使 用 を認 め,第4条
とは逆 順 に,言 語 名 が あげ られ
し
わ ば よそ ゆ き の呼 称 で あ るの
好 ん でLetzeburgischを
語,フ ラ ンス 語(第3条
ら にLuxemburg 砦 名 は 都 市 名 へ,そ
名 へ と 拡 大 し て い っ た.
2条 は法 律 に関 す る条 項 で,条 文 な らび に 施行 規 則 は
ラ ンス 語,ド イ ツ
の
よ う な 建 国 の 事 情 に ち な ん で 命 名 さ れ た が,Lucilin burhucか
こ とが 謳 わ れ て い る.第
の の ロー マ
領 の 礎 を 築 い た.Luxemburgは,こ
す)の 制 定 をみ た の で あ る.ま ず,「 言 語 法 」 第1条 に
nationale
クセ ンブ ル
ジ ー ク フ リー ト(Siegfried)は,963年,こ
支 配 し,伯
langue
高 ドイ ツ 語 形
ク の 建 国 の 祖 と よ ば れ る ア ル デ ン ヌ(Ardenne)家
議 会 で,よ うや く言 語 法 問 題 が 討議 され,「 言 語 規 定 に 法」(Loi du 24 fevrier
レマ
な わ ち,Lu
で,「 小 城 砦 」 を 意 味 す る)に 由 来 す る.ル
改 正 は見 送 らざ る を えな か った.
est le luxembourgeois.)」
日 な お,ア
残 っ て い る).す
てい った.1948年
sur le regime
高 ドイ ツ
小 さ い 」 を 意 味 し,英
れ ず 挫 折 し,過 激 な 愛 国 主 義 は,大 戦 後,次 第 に冷 め の 憲 法 改正 で は,複 雑 な言 語 問 題 の
た,Lut
半 部lutzelは,中
推 移 がDuer(e)fに
に注 目 され るの は 起 こ り な が ら,
は 起 こ ら な か っ た こ と で あ る.ル 子 音 推 移(→
クセ ンブ ル ク
ドイ ツ 語)は,完
全には行
な わ れ て い な い の で あ る.
ンブ ル ク語 に対 す る ドイ ツ語 名 は,公 式 に はLuxem
ル ク セ ン ブ ル ク 語 の 内 部 は,東,西,南,北,4つ
burgischで
方 言 に 下 位 区 分 さ れ る.西
方 言 は 保 守 的 で,東
の 母 語 で は,Letzebuergesch(独Letzeburgisch)
は 対 照 的 で あ る.ま
方 言 に は ド イ ツ 語 の リプ ア
で あ る.一 般 に,「レ ッ ツ ェブ ル ギ ッ シ ュ語 」 とい う訳
ー ル 方 言(Ripuarisch)の
語 が行 な わ れ て い るが,本
ン 方 言(Bairisch)や
あ る と考 え られ るが,ル
語」 を用 い る こ とにす る.
クセ ンブ ル ク人
項 で は,「 レ ッツ ェブ ル ク
た,北
の小 方言 と
,南 方 言 に は 同 じ くバ イ エ ル ア レ マ ン方 言 の 影 響 が み ら れ る.
こ れ ら の 方 言 の 間 に は,音
韻,意
味,語
彙 の 面 で,大
き な 地 域 差 が あ る が,地
域 を超 え た 一 種 の 共 通 の 通 用
語 が 造 成 さ れ て い る.こ
れ を,コ
た は,共
イ ネ ー(Koine),ま
通 ル ク セ ン ブ ル ク 語(das
burgische)と
い う.こ
の は じ め 頃 か ら,方
c)ae,oe,ueは,二
Gemeinluxem 紀
言 文 学 の 分 野 に も用 い ら れ る よ う
に な っ た.
み よ う.
常,用
い ら れ な い(例:Pobel「
drink),Kand(独
[〓]の
唇音
暴 徒 」).
前 に 用 い る.
[〓](独Leute,英people),Wain[〓](独
greng(独grun)「
Wein,英wine) netは,ル
た だ し,人
ク セ ン ブ ル ク 北 部 で はnick,neckと
Wainは,北
東 部 で はWengと
い い,
な どや,Aarbecht(独Arbeit)「 Musik)「
い う.
通 常,eの
f)e[〓]は,接
fannen(独finden)「
で あ る. 見 い だ す 」,bal(独bald)
「ま も な く」,Enn(独Ende)「 (独halten)「
終 わ り」,halen
「時 間 」,Wonn(独Wunde)「 Gurtel)「
傷 」,Giirdel(独
を 使 用 し,Aか
ル ク セ ン ブ ル ク 語 は,ラ
らZま
テ ン文 字
で の 大 小 そ れ ぞ れ26文
助 的 に,e[〓],e[〓],a[〓]な
字 に加
ど の ほ か,主
お,(^)は,長
音 を 示 す た め に用 い る こ
と も あ る(例:Maus/Maus[〓]「 1)母
音
a)単
母音
ネ ズ ミ」).
a,a,e,i,o,uに
は,長
Fuuss(独Fuchs)「
短 が あ る.
よ っ て も 表 わ さ れ る.
Biirger(独Burger)「
市民」
ま た,ド
イ ツ 語 のoの
舌 母 音eが
用 い ら れ る こ と が あ る(1のdを
ウ ム ラ ウ トの 代 わ りに,中
kennen(独konnen)「
g)多
で は,
用 い る.
参 照).
で き る」 太 鼓 」,(pl.)Tremm
音 節 語 の 主 ア ク セ ン トは,原
則 と し て,第1
音 節 に お か れ る. Aarbecht[〓]「
仕 事」
2)子
習 う,教
え る」
音
b,c,d,f,g,h,j,k,l,m,n,p,q,r,s,t,v,w,
代 わ り に,aaを
用 い る こ と が あ る.
chに
心臓」
あ る.二
素 が 音 節 主 音,第2
Haiser[〓](pl.<Haus[〓])「
は,ド
∼ の た め に 」,vir(独vor)
家」
準 じ る.
Dag[〓](独Tag)「 (独genug)「
日」,genuch[〓] 十 分 に 」,Krich[〓](独Krieg)
語 頭 のst‐,sp‐ ツ 語 の‐stは,し
人 び と」
は,[〓][〓]と ば し ば‐schtに
speit(独spat)「(時 習 う,
(独Stein)「
Ouer[〓](独Ohr)「
作 品」 耳」
意 す べ き 点 と し て,以
な る.
石」 客 」,gescht(er)(独gestern)
「き の う」 ル ク セ ン ブ ル ク 語 は,サ
下 の よ うな もの
発 音 さ れ る.ド
刻 ・時 期 の)遅 い 」,Steen
Gaascht(独Gast)「
教 える」 Wierk[〓](独Werk)「
両 音 が あ る.
私 」,Baach[〓](独Bach)
「戦 争 」
氷」
leieren[〓](独lernen,lehren)「
イ ツ 語 と 同 じ く,[〓][〓]の
語 末 のgは,chに 重 母 音 は,
降 二 重 母 音 で あ る.
Leit[〓](独Leute)「
ライ
「小 川 」
ai[〓],ai[〓],au[〓],ei[〓],
ei[〓],ie[〓],ou[〓],ue[〓]が
Ais[〓](独Eis)「
イ ツ 語 の そ れ と対 応 す る. 歌 」,Leiw(独Lowe)「
ech[ec](独ich)「
肉」
ドイ ツ 語 の 場 合 と 同 じ く,第1要
Lidd(独Lied)「
「∼ の 前 」
Fleesch/Flaasch(独Fleisch)「
要 素 が 音 節 副 音 を な す,下
大 部 分 の 子 音 は,ド
オ ン 」,fir(独fur)「
狐」
Haerz/Haarz(独Herz)「
そ の ほ か,注
頭 辞be‐,ge‐,ver‐,zer‐
代 わ りにeを
x,y,z
長 音 は,aa,ee,ii,oo,uuに
重母音
用 い る.
leieren[〓]「
と し て フ ラ ン ス 語 系 の 語 の 鼻 音 化 を 表 わ すa,e,i,o を 用 い る.な
末 の‐echt,‐ek,‐echは,
Tromm(独Trommel)「
帯」
[文 字 と発 音]
代 わ りにeを
通 常,eの
支 え る 」,Stonn(独Stunde)
仕 事 」,Musek(独
音 楽 」 な ど の,語
ど の 同 化 現 象 も,特
徴 の1つ
乾 い た」 緑 色 の」
称 代 名 詞ech(独ich),sech(独sich)
ま た,nd,nt>nn,n;ld,lt>l;rd,rt>rな
が あ る.
市 民」
イ ツ 語 を そ の ま ま 用 い る 場 合 以 外 は,円
o,uは,通
drechen(独trocken)「
b)二
城 」
Bierger/Biirger(独Burger)「
Kind,英child),net(独nicht,英not),Leit
ae,eeの
だ
e)e[〓]は,ch[〓],ck[〓],ng[〓],nk[〓],chs/x
drenken(独trinken,英to
え,補
あ る.た
前 で は 長 音 を 表 わ す.
Buerg/Buurg(独Burg)「
d)ド くつ か あ げ て
ウムラ
と え ば,ueは[〓]で
し,ue,ieは,rの
の よ う な 共 通 言 語 は,19世
代 表 的 な 共 通 ル ク セ ン ブ ル ク 語 を,い
重 母 音 で,a,o,uの
ウ トで は な い.た
frei(独fruh)「(時 fillen(独fuhlen)「
イ レ ン トのhを
欠 く.
刻 ・時 期 の)早 い 」 感 じ る」
イ
〓
の 代 わ りに,ssを
Fu〓en.)
用 い る.
Flaiss(独Flei〓)「
勤勉」
「彼 は は げ し く(手 と足 を 使 っ て)抵 抗 す る 」
フ ラ ン ス 語 系 のg,j[〓]は,し
ば し ば,jhに
綴 ら
ま た,古
風 な 表 現 で は,主
格 と対 格 が 区 別 さ れ る こ と
が あ る.
れ る. Jhandarem(仏gendarme)「
憲兵 」
Jhackett(仏jaquette)「
[文
1)名
2)形
ジ ャ ケ ッ ト」
詞
ド イ ツ 語 と 同 じ く,名 詞 は,語 頭 を 大
文 字 で 書 く.す
べ て の 名 詞 は,男
中 性(n.)の3つ
の 文 法 的 性 を も ち,た
イ ツ 語 と一 致 す る が,と Botter
性(f.),
い て い,標
準 ド
‐er;中
mei
al(独alter)「
n.)「 窓 」
jonk(独junger)「
‐schtに
リ ン ゴ 」,pl.Appel
石 」,pl.Steng
Kou(独Kuh)「 Maus[〓](独Maus)「
最後 の」
詞
もっ と も多 くの」
動 詞 に は,強
弱2種
の 変 化 が あ る.
と お りで あ る.カ
Deier(独Tier)「
動 物 」,pl.Deieren
Bild(独Bild)「
変 化.
家 」,pl.Haiser 絵 」,pl.Biller
指 小 辞‐chenの
複 数 形 は,‐ercherで
し,‐elchenの
複 数 形 は,‐elcherと
Blat(独Blatt)「
あ る.た
だ
な る.
葉 」:Blietchen,pl.Blieder 語 例:(弱)pleck‐en(独pflucken)「
cher Apel(独Apfel)「
(強)lei‐en(独liegen)「
リ ン ゴ 」:Appelchen,pl.
Appelcher
1・2人 格(主 格 と対 格 が 共 通),属
つ の 格 が あ る.た
だ し,1・2人
格 と対 格 が 異 な る の で,主 詞 は,通
で は,単
例,格
格,与
格 の3
称 の 人 称 代 名 詞 は,主
・属 ・与 ・対 格 の4格
語 尾 を も た な い が,慣
数 属 格 の‐s,複
数 与 格 の‐enが
にな
用的表現 残 存 して い
as
gesonnes
(独Er
Leifs
ist gesunden
gestuerwen. Leibes
(独Er
wiert
sech wehrt
mat sich
Hann mit
で あ る が,強
弱 は 必 ず し も 一 致 し な い(表4).
基 本 形 に は,不 分 詞 の4つ
称単数
イ ツ語 と同 じ
定 詞,過
去(直 説 法,接
続 法),過
が あ る. と ど ま る 」,blouf,bleif,
(ge)bliwwen 来 る 」,koum,keim,
komm
a mat Feissen. Handen
変 化 動 詞 に は,2・3人
で 語 幹 母 音 を 変 え る も の が あ る の は,ド
kommen(独kommen)「
gestorben.)
「彼 は 頓 死 し た(健 康 な 体 で 死 ん だ)」 En
摘 む 」, 横 た わ っ て い る 」.
称 単 数 の 変 化 語 尾 が 標 準 ドイ ツ 語 と は 異 な
る 点 が 注 目 さ れ る.強
bleiwen(独bleiben)「
る. En
変 化,
付 加 す る.
Haus[〓](独Haus)「
格 に は,通
ッ コ内
応 す る ドイ ツ 語 の 人 称 代 名 詞.(弱)=弱
動 詞の現在人称変 化語尾 人称 単 数 複 数
ネ コ」,pl.Kazen
る.名
最良 の 」
lescht(独letzt)「
(強)=強
ネ ズ ミ」,pl.Mais
付 加 す る.
尾‐erを
bescht(独best)「
は,対
Kaz(独Katze)「
e)語
もっ とも若 い」
現 在 人 称 変 化 語 尾 は,表3の
雌 牛 」,pl.Kei
尾‐enを
も っ と も 年 長 の(古 い)」
な る も の も あ る.
3)動
幹 母 音 を 変 え る.
い)」
あ る が,
meescht(独meist)「
友 人 」,pl.Frenn
数
原 級 」 を 用 い る.
よ り若 い」
aalst(独altest)「
末 子 音 を 変 え る.
Steen(独Stein)「
弱
よ り良
よ り年 長 の(古
最 上 級 語 尾 は,‐stで
の タ イ プ が あ る.
脚 」,pl.Been
Frend(独Freund)「
語 尾 を と り,強
の も の を 除 い て,「mei(独mehr)+
尾 を 加 え な い.
Been(独Bein)「
性
ロ),‐er,
よ り好 ま し い 」 な ど,少
jengst(独jungst)「
Apel(独Apfel)「
詞類 の有
れ ぞ れ,男
形 容 詞 の 比 較 級 は,besser(独besser)「
mei
の5つ
格,そ
性 形 は‐t,‐en,‐en/‐emの
n.)「 紙 」
f.(独Fenster
名 詞 の 複 数 形 に は,次
d)語
格,与
性 形 は‐ φ(ゼ
い 」,leiwer(独lieber)「
f.)「 バ タ ー 」
m.(独Papier
Fenster
性(m.),女
こ れ ら は,フ ラ ン ス 語 の 性 に 影 響 され た も の で あ ろ う.
c)語
格,属
変 化 の 区 別 は な い.
き に 異 な る 場 合 が あ る.
m.(独Butter
Pobeier
b)語
限 定(付 加 語)形 容 詞 は,冠
形 は‐en,‐en,‐en/‐em;女
法]
a)語
容詞
無 に か か わ ら ず,通
und
setzen(独sitzen)「 mit
gesiess
座 っ て い る 」,souz,seiz,
去
強
接 続 法 過 去 は,日
変 化 動 詞 の活 用 例
Hie
(語 幹 母 音 が変 わ る もの) ruffen
kafen
人 称 (独rufen)
mengt,
(独Er
kommen
常 語 に 多 用 さ れ る. ech
geing
meint,ich
him
wurde
alles
ihm
glawen.
alles glauben.)
(独kaufen)
(独kommen)
ruffen
kafen
kommen
riffs
keefs
kenns
「彼 は 私 が 彼 の 言 う こ と は す べ て 信 じ て い る と 思 って い る」
単1 2 3 複1 2 3
受 動 形 式 は,「gin(独geben)+ て,動
rifft
keeft
kennt
ruffen
kafen
kommen
rufft
kaaft
kommt
(独Die
kommen
「ジ ャ ガ イ モ の 皮 が む か れ る」
ruffen
kafen
D'Grompre
過 去 分 詞 は,原
則 と し て 接 頭 辞ge‐
の 動 詞fannen(独finden「 fond)やkommenな
ど は,中
去 分 詞 にge‐
完 了 時 制 は,助 sin(独sein)を hunの
を もつ が,完
了態
見 い だ す 」;過
去分詞
高 ドイ ツ 語 の 場 合 と 同
を 欠 く も の が あ る.
gouf
(keng=独keine,Wourechtf.=独Wahrheit
sein)+
過 去,gesot:soen(独
言 う」)の 過 去 分 詞) イ ツ 語 の 場 合 と 同 様,「sin(独
過 去 分 詞 」 を 用 い る.
D'Grompre
の と お り で あ る.
geschalt.)
gesot.
「真 実 」,gouf:ginの
状 態 受 動 に は,ド
用 い る.
現 在1・2・3人
Wourecht
werden
「本 当 の こ と は な に ひ と つ 言 わ れ な か っ た 」
sagen「
動 詞 と して,hun(独haben)と
変 化 は,次
gi geschielt.(gi=gin) Kartoffeln
Keng
じ く,過
過 去 分詞 」 に よ っ
作 受 動 を 表 わ す.
si geschielt.(si=sin)
「ジ ャ ガ イ モ の 皮 が む い て あ る 」
称
単 数:hun,hues,huet
語 順 に つ い て は,ド
複 数:hun,hut,hun
文 の 定 動 詞 は,ド イ ツ 語 と 同 じ く後 置 さ れ る.た
過 去1・2・3人
称
Ech
waiss,datt e
(独Ich
過 去 分 詞:gehat 接 続 法 現 在:hief(単
数),hiewen(複
接 続 法 過 去:hatt(2人 命 令 法:hief(単
数)
wei〓,da〓
(e=en.語
称 単 数:hatts/hass)
数),hut(複
こ れ は,中
er
kommen. kommen
soll.)
数)
[文
称
は,1290年
末nの
学]
ル クセ ンブル ク語 文 学 の 最 古 の 作 品 ご ろ 成 立 し た,フ
単 数:sin,bas,as 複 数:sin,sid,sin
(Yolanda)と
von
ィア ンデ ンの 修 道 士 ヘ
Vianden)作
い わ れ る.両
に 入 っ た,伯
称
消 失 形)
高 ドイ ツ 語 と 同 じ 語 順 で あ る.
ル マ ン(Hermann
過 去1・2・3人
soll
「私 は 彼 が 来 る こ と を 知 っ て い る 」
の とお りで あ る.
現 在1・2・3人
の 『イ オ ラ ン ダ 』
親 の 意 見 に逆 ら って 修 道 院
爵 令 嬢 イ オ ラ ン ダ の 一 生 を 歌 っ た,5,963
単 数:war/wor,wars,war
行 か ら な る 長 大 な 中 高 ドイ ツ 語 の 叙 事 詩 で あ る が,文
複 数:waren/woren,waart,waren
学 的 に は す ぐ れ た も の で は な い. 近 代 に お い て は,ま
過 去 分 詞:gewiescht 接 続 法 現 在:sief(単
数),siewen(複
命 令 法:sief(単
へ の 衝 撃 』(E
数),sid(複
sus,1829)1巻
数)
イ ツ 語 と 同 じ く,現
在 時 制 に よ る代
替 が 普 通 で あ る が,waerden(独werden)や sollenも,未 る.こ
の ほ か,英
Wat
法助動詞
来 あ るい は推 量 の 助 動 詞 と して用 い られ
「goen(英go)+ geet
(英What
語 のto
be
going
to
doに
不 定 詞 」 と い う 未 来 表 現 が あ る. hie
is he going
似た
tichリ
to do?)
Schreck
Parnas
エ ー ジ ュ(Liege,独Lut‐
学 の数 学 教 授 の この 詩 集 の 与 え
た 影 響 は 大 き か っ た.マ
イ ヤ ー 後30年
を 出 で ず し て,
ル ク セ ン ブ ル ク 文 学 は 黄 金 時 代 を 迎 え,劇 ク ス(Dicks,本 1891),抒
名Edmon
de
作家デ ィ ッ
la Fontaine,1823∼
情 詩 人 ミ シ ェ ル ・ レ ン ツ(Michel
Lentz,
物 叙 事 詩 『レ ネ ル ト』(Renert,1872)
の 作 者 ミ シ ェ ル ・ロ ダ ン ジ ュ(Michel ∼1876)の,三
(hie=hien.語
『レ ネ ル ト』 は,ゲ
消 失 形)
op de Letzebuerger
ュ ッ テ ィ ヒ)大
「彼 は ど う す る の だ ろ う」 末nの
ン ト ン ・マ イ ヤ ー(Anton
方 言 詩 集 『レ ッ ツ ェ ブ ル ク 詩 壇
が あ る.リ
1820∼1876),動
maachen?
ず,ア
Meyer,1801∼1857)の
数)
接 続 法 過 去:waer/wier
未 来 時 制 は,ド
動
詞 は 文 末 に こ な い.
複 数:haten,hat,haten
変 化 は,次
だ し,
法 助 動 詞 が 定 動 詞 と な り不 定 詞 を 伴 う 場 合 に は,定
単 数:hat,has,hat
sinの
イ ツ 語 と 大 き な 違 い は な い.副
Rodange,1827
大 詩 人 を 生 ん だ. ーテ の
『ラ イ ネ ケ 狐 』(Reineke
Fuchs)の
す ぐれ た 翻 案 で,「 国 民 叙 事 詩(National
epos)」
と称 え ら れ て い る.次
し,ド
に,冒
イ ツ 語 と 日本 語 に よ る 逐 語 訳 を 試 み る.テ
トは,Editioun
Guy
burg;Nachdruck
頭 の数 行 を 引 用 キス
Binsfeld(Letzebuerg,1987)
esou em d'Paischten, Alles an der Blei
Lidder
5 Du
all Drier
a
Leiw,de
op
の 複 雑 さ,語
all seng
Best.
war
es
die
ihre
Lieder
5
Da
im
spat
der
Tiere
es
auf
,
Rinnen,H.und
und
ein
Deutsch‐Luxemburgisches
Worterbuch
(Sankt‐Paulus,Luxemburg)―178ペ
Konig
,
ー ジ.
―(1980,19873),Petit
Fest
dictionnaire
fran
cais‐luxembourgeois(Saint‐Paul,Luxembourg) ―309ペ
all seine
こ で はDeierの
の よ う な も の が あ る.
W.Reuland(eds.)(1974,19876),
Kleines
fruh.
Tiere.
ー ジ.
Christophory,J.(ed.)(1980),Portugiesisch
目Best=Beischt(独Biestに
だ し,こ
記法
纂 の き っ か け と な っ た.
訳 小 辞 典 と し て は,次
Blute,
zusammen,
kamen
注:8行
Pfingsten
Lowe,der
Grunewald
und
die
in der
Vogelchen(,die)sangen
raft
alle
um
alles
und
方 の 語 彙 も 収 録 し た が,書
外 国 語 を 見 出 し語 と す る ル ク セ ン ブ ル ク 語 に よ る 対
so
stand
著
的 な 委 員 会 の 編 集.
源 の 不 正 確 さ な ど の 欠 点 が 指 摘 さ れ,
そ れ がLWB編
《 ドイ ツ 語 訳 》 1 Es
の 基 礎 と な っ た"Luxem
Worterbuch"(Manuskript,1870)の
首 都 だ け で な く,地
zesummen,
koumen
ー ジ.そ
者 ヴ ェ ー バ ー を 中 心 と す る,公
e Fest
Grengewald
an't
burger
Kinnek,
der
Mundart(M.Huss,Luxem
burg)―532ペ
frei.
廷 翻 訳 官 で あ る.
al.(eds.)(1906),Worterbuch
luxemburgischen
di songen
speit
rifft de
am
Weber,J.et ,
d'Villercher
bei
初 のル クセ ンブ ル
クセ ンブ ル ク市 内 お よび 周 辺 の 日常 語
著 者 ガ ン グ ラ ー は 警 部 で,法
1 Et war 't stung
hir
ク 語 辞 典.ル
ー ジ.最
彙 を 収 集 し,ド イ ツ 語 と フ ラ ン ス 語 の 両 言 語 で 解 説.
版 に よ る.
an
1973,M.Sandig,Walluf
Wiesbaden)―495ペ
対 応.た
意).
Letzebuergesch
Dictionnaire(Bourg‐Bourger,
Luxembourg)―204ペ
《日 本 語 訳 》
ー ジ.
―(1982),English‐Luxemburgish
と きは 聖霊 降 臨 祭 の ころ
nary.Englesch‐Letzebuergesch
百 花 咲 き匂 い
Teamwork
朝 な 夕 な に小 鳥 た ち は
Bourger,Luxembourg)―288ペ
彼 らの歌 を歌 った .
by
こ の ほ か に,シ
Lycee
Dictio Dictionnaire.
Michel
Rodange(Bourg ー ジ.
ェ フ ィ ー ル ド(Sheffield)大
学の方言
折 し も百 獣 の 王 た る ラ イ オ ン は
学 者 ニ ュ ー ト ン(G.Newton)と
す べ て の 動 物 た ち を 祭 りの た め に
共 編 の 英 語 とル クセ ン ブル ク語 の 対 訳 辞 典 が 進 行 中 で
グ リ ュ ー ネ ヴ ァ ル トに 呼 び 集 め る.
あ る.
そ こ で 配 下 の 動 物 た ち は 残 ら ず 馳 せ 参 じ た. [辞
Bruch,R.(1953),Grundlegung Worterbuch〔
略LWB〕
Worterbuchkommission 〓
im
2,238ペ
,hg.von Auftrag
Luxemburgischen
der
は 補 遺 . 第1巻
巻 頭 に,60ペ
ル ク セ ン ブ ル ク 語 概 説 が あ る.解
ー ジに及 ぶ
説 は,も
イ ツ 語 に よ る ・ ト ッケ ル ト(J.Tockert),パ (H.Palgen),ブ Meyers),デ Ludovicy),リ
―(1954),Das frankischen
,1950‐77)―
ー ジ・ 本 格 的 なル クセ ンブ ル ク共 通 語大 辞
典 ・ 第5巻
ル フ(R.Bruch),マ ュ モ ン(J.Dumon) ネ ン(H,Rinnen)ら
っぱら ド ルゲ ン
ド ヴ ィ キ ー(E. が,編
集 に 参加
し た.
Geschichte
Luxemburgische
im
west
Kreis(P.Linden,Luxemburg)
― (1955,19733),Precis grammaire
populaire
de
luxembourgeoise/Luxemburger
Grammatik
in
edition
revue
par
volkstumlichem
Abriβ.3e
L.Senninger
(P.Linden,
Luxembourg)
イ ヤ ー ス(J. ,ル
einer
des Luxemburgischen(P.Linden,Luxemburg)
Regierung,
5Bde.(P.Linden,Luxemburg
―(1965),Luxemburgischer 〔略LSA〕:Laut‐und Druck
vorbereitet
Sprachatlas
Formenatlas,fur von
den
J.Goossens,hg.von
L.E.Schmitt(N.G.Elwert,Marburg)
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Luxemburger der
リネ ン(H.Rinnen)
Umgangssprache(V.Hoffmann
der
Luxem
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,Luxem
Letzebuergeschen.Mit
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des von
J.‐P.
Goudaillier,F.Hoffmann (Helmut
und
F.Schanen
(ed.),Europaische Vergleich
Buske,Hamburg)
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der
Mundartdichtung,2
Luxem
in
Luxemburg(Franz
of
Zeitschrift
Grenzgange(Georg
45(Franz
Olms,Hildesheim)
― (1988),"Sprachen
in
fur
istik ⅩⅩ,1(Peter
der
Situation
Internationale
of
Language
von
Sprache
(Handbucher
zur
Sprach‐und
und
tionswissenschaft,Band
le
Toponymie von den
des
und
schaft
fur
deutsche
Sprache,Wiesbaden) zur
Grammatik.
(Romanian),独Rumanisch,仏roumain 単 に ル ー マ ニ ア 語 と い っ た 場 合 は,ル
し 手 は,約2千 Press,
neuer
Kultursprachen
seit
1800
に あ た る(1984年
約2,270万
人).こ
通,モ [文
seldorf)
gesprochenen
Sprachen
1984",Germanistische
in
beim
ル ダ ビ ア 語(モ ル ドバ 語)と 字]
kilogramと
Jahresende
Mitteilungen
24(F.
1859年
に,そ
かwattの
れ は,普
よ ば れ て い る.
れ ま で の キ リル 文 字 を 廃
テ ン 文 字 を 使 用 し て い る.英
使 用 さ れ な い.補
Dummler,Bonn)
ーマニアの人
の ル ー マ ニ ア の 人 口 は,
の ほ か,ソ 連 邦 モ ル ドバ 共 和 国 で 約
フ ァ ベ ッ トの う ち,QとYが
Luxemburg
れ は,ル
の 人 々 が 同 一 言 語 を 話 し て い る が,こ
止 し て 以 来,ラ der
マ ン ス 語 派 に 属 し,話
万 人 で あ る.こ
口 の 約9割
300万
37,Schwann,Dus
Stand
さす
う 呼 び 方 も 次 第 に 増 え て い る).
Entwicklung
―(1986),"Der
ー マ ニ ア の公
(ル ー マ ニ ア 語 の 発 音 ロ ム ニ ア に 近 い,ロ マ ニ ア 語 と い
University
Gegenwart
郁 雄)
romana,英Rumanian
Publikations
Manchester)
und
luxem
Syntax(Elwert,Marburg)
イ ン ド ・ヨ ー ロ ッ パ 語 族,ロ
germanischer
des
98(Gesell
用 語 で あ る ダ コ ・ル ー マ ニ ア 語(dacoromana)を
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la syntaxe
Schengen:l'enonce
Dialekt
Dreilanderecke(Abteilung
mit
de
Franzosisch‐Deutsch,2.Band(Duden,Mann
saarlandisch‐lothringisch‐luxembur
Zusammenarbeit
of
heim) und
〓 Instituts
sur
luxembourgeois
burgischen
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Sprache,Ethnologie
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1993年,正
書 法 の 改 訂 が あ り,そ
れ まで原 則 と して
同 一 音 素 を 同 一 文 字 で 表 記 し て い た,つ
im
詞 以 外,iで とiを
ま り,/i/[i]
ー マ ニ ア と い う固 有 名詞 と そ れ に 関連 す る形 容 表 わ し て い た の だ が,そ
区 別 す る よ う に な っ た.し
の 位 置 に よ り,a
か し,ル
ー マ ニ ア語
の 歴 史 上,こ の表 記 は い ろ い ろ複 雑 に 変 わ っ たの で, 一 言 で 説 明 す るの はむ ず か しい .ど ち ら も同 じ音 素 を
oa/o―boala/boli「
1人 称 単 数/3人
表 わ す と考 え て よ いで あ ろ う, [音韻体 系] 1)母
病 気 」(単
遊 ぶ 」(直 説 法 現 在 の
称/1人
称 複 数)
i/i―cuvint/cuvinte「
音
単 語 」(単 数/複 数)
t/t―frate/frati「
母 音 は7個 で,次 の よ うな三 角 形 の
体 系 を な して い る.
兄 弟 」(単 数/複 数)
k/c―vaca/vaci「
雌 牛 」(単 数/複 数)
d/z―brad/brazi「
モ ミの 木 」(単 数/複
数)
g/g―drag/dragi「
親 愛 な る 」(男 性,単
数/複 数)
s/s―frumos/frumosi「 aは,発
音 は ま っ た くiと
同 じ で あ る が,Romania
「ル ー マ ニ ア 」 と か,roman「 う な,ル
z/j―obraz/obraji「
外 の 子 音 の 後 で,非
常 に 短 く発
の20個
で あ る.
〓/ 大 部 分,1文
字 が1音
に 対 応 して い る の で,文
っ て 音 素 表 記 と し た.同 場 合 は,補
じ文 字 が2通
字 をも
りに発 音 され る
助 記 号 を付 け た 音 素 表 記 を つ く り,音
声表
記 を 併 記 し た. /k/は,文
外 的 にkに
cとgは,i,eの
前 で は[〓],他
3)ア
発 音 す る.
ア ク セ ン トは,強
く発 音 さ れ る.た
さア ク セ ン ト
者 は 語 尾 に,後
韻 交替
格,属
格,与
は
ま た,ご
終 わ る(以 下,例
な く"マ
ー レ"
動 詞 の 活 用 や,名 尾 の 音 に よ っ て,語
詞,形
a/a―carte/carti「 a/e―para/pere,perisoara「
ban:bani「
bou:boi「
boiangiu:boiangii「
染物 屋 」
目」 ピ ー マ ン 」(単 複 同 形) 雄 の 家 鴨 」(単 複 同 形)
tata:tati「
父」
《女 性 名 詞 》 単 数 は,‐a,‐e,‐a,‐ea,複 ‐i ,‐leで 終 わ る. 家」 広 間」
vaca:vaci「
ま り 「箸 」 等) 黒 い 」(男 性 単 数/女 性 単
数) ea/e―ceapa/cepe「
玉 葱 」(単 数/複 数)
数 は,‐iで
数 の 順 で あ げ る).
王」
数 は,‐e,
雌牛」
basma:basmale「
ス カ ー フ」
sotie:sotii「
妻」
ridiche:ridichi「
e/ea―negru/neagra「
尾 ‐u,‐e,‐iで,
山林 」
sala:sali「
棒,杖 」(単 数/複 数,指
と
雄牛」
casa:case「
指 小 辞 形) a/e―bat/bete,betisor「
ず,性
お金」
codru:codri「
容詞 など
梨 」(単 数/複 数,
音 か,語
数:複
幹 の母 音 や 子 音 が
本 」(単 数/複 数)
は,
変 化 は,
詞 の 部 分 が 変 わ る の で,例
単 数 は,子
は,単
ratoi:ratoi「
レ"で
格 を 区 別 す る.格
く少 数 の 単 語 で は ‐aで 終 わ る.複
者 は 語 幹 に ア ク セ ン トを 付 け て
本 語 で は"マ
格,呼
の 区 別 が あ る. 数 と複 数,格
数 の 例 を 下 に 示 す.
ardei:ardei「
ク セ ン トが
は,単
「冠 詞 」 の と こ ろ で あ げ る こ と に し て,ま
ochi:ochi「
大 き い 」 は,ア
性,数
女 性 名 詞 単 数 を 除 い て,冠
子 供 」の 複 数
も にcopiiと
交 替 す る 現 象 が 広 くみ ら れ る.
小 辞 形,つ
主 格,対
書 く
た,mare「
に あ る が,日
の 屈 折 の 際,語
性,中
rege:regi「
と 書 く方 が 原 音 に 近 い. 4)音
名 詞 に は,性,数,格
性,女
い ところ
と え ば,copil「
コ ピ ー 」 の 複 数 は,と
発 音 さ れ る.ま ma‐
頭 辞ex
置 は 語 に よ っ て 決 ま っ て い る.強
と,copie「 が,前
音 は,chi,che,
の 他 で は[gz]と
クセ ン ト
で あ り,位
の文字
の 母 音 の前 で は
い う つ づ り字 で 表 わ す ・xは,接
と 子 音 の 前 で[ks],そ
は,長
対 応 す る.こ
発 音 す る.[ki,ke,gi,ge]の
ghi,gheと
詞
性 は,男
《男 性 名 詞 》
字c,例
[k,g]と
法]
1)名
/〓
性,単 数/複 数)
わ れ わ れ の 」(男 性,単
数/複 数) [文
子 音 は,次
悲 し い 」(男
str/str―nostru/nostri「
音 さ れ る. 音
蝿 」(単 数/複 数)
st/st―trist/tristi「
母 音 を 付 け て 発 音 さ れ る.
2)子
馬 」(単 数/複 数)
sk/st―musca/muste「
重 母 音 で あ る.
語 末 のiは,l,r以
性,単 数/複
頬 」(単 数/複 数)
l/φ―cal/cai「
古 く か ら あ る 単 語 の 語 頭 で,eが[je],oが[wo]の よ う に,半
美 し い 」(男
数)
ル ー マ ニ ア の」 とい うよ
ー マ ニ ア に 関 連 の あ る 語 に の み 使 用 さ れ る.
eaとoaは,二
数/複 数)
o/oa/u―joc/joaca/jucam「
zi:zile「
ラデ ィ ッ シ ュ」
日」
muncitoare:muncitoare「
女 性 労 働 者 」(単 複
同 形) sora:surori「
姉妹」
《中 性 名 詞 》
単 数 は,男
性 名 詞 と同 じ語 尾 で終 わ
り,複
数 は,‐e,‐uri,ま
tren:trenuri「
れ に‐iで 終 わ る.
riu:riuri「
主 ・対 格 baiatul:baietii
川」
ac:ace「
属 ・与 格 baiatului:baietilor
針」
呼
teatru:teatre「
劇 場」 虹」
bordei:bordeie「 bici:bice「
属 ・与 格unei 名 前 」(単 複 同 形)
詞
る.格
冠 詞,不
は,主
数では女性形 をと
格 と与 格 が 同 形 で あ る.呼
冠 詞 だ け で あ る . 定 冠 詞 は,そ
か か る 名 詞 ま た は 形 容 詞 に 後 置 し,接 っ つ け て 書 か れ る.そ
有
の別が
性 名 詞 と と もに使
数 で は 男 性 形,複
格 と 対 格,属
定 冠 詞,所
れ ぞ れ,性,数,格
性 形 と い う の は な く,中
格 が あ る の は,定
格
fete
fete:unor
fete
fato:―
定 冠 詞 と;
冠 詞 に は,定
わ れ る と き は,単
呼
研 究」
示 冠 詞 が あ る.そ
あ る が,中
少女」
主 ・対 格 o fata:niste
鞭」
studiu:studii「
冠 詞,指
baiatule:baietilor
不 定 冠 詞 と;
あ ば ら家 」
nume:nume「
格
《女 性 名 詞 》 fata「
curcubeu:curcubeie「
2)冠
定 冠 詞 と;
汽車 」
属 ・与 格fetei:fetelor 呼
格
―:fetelor
《中 性 名 詞 》 tren「
汽 車,電
車」
不 定 冠 詞 と;
れが
尾 辞 の よ うに く
れ ぞ れ の 屈 折 形 は,表1の
主 ・対 格fata:fetele
とお
りで あ る.
主 ・対 格un
tren:niste
属 ・与 格unui
trenuri
tren:unor
trenuri
定 冠 詞 と; 主 ・対 格trenul:trenurile
ル
属 ・与 格 trenului:trenurilor
ーマ ニ ア語 の 冠 詞
格 変 化 に お い て,名
《定 冠 詞 》 (単 男・ 中性
数)
(複
主 ・対 格
‐l,‐le,‐a ‐a ‐i ‐le
属
・与 格
‐lui,‐(e)i ‐i ‐lor
呼
格
‐le
―
女 性 名 詞 の 単 数 だ け で あ る こ と が 分 か る.
数)
男 性 女 ・中性
女性
主 ・対 格un 属 ・与 格
の少女の母」 の少年の母」 母 」 の 定 冠 詞 の 付 い た 形)
fratele baiatului「
数)
(複
unui
数)
その少年の弟」
男 ・女 ・中 性 呼 格 は,原
数
al
複 数 で は 定 冠 詞 の 付 い た 属 ・与 格 と 同 じ で あ る.単
unei
unor
の 呼 格 は,よ
複
数
主 baiat「
男 ・中 性
数) 女性
主 ・対 格
cel
cea
属 ・与 格
celui
celei
(複 男性 cei
数)
unchi「
女 ・中性
sora「
cele
数:複
語 に よ っ て 決 ま っ て い る.最 下 に,呼
格 少年」 叔父」
vulpe「
姉妹」
unchiule soro 母 」 の 呼 格 は,mamoで
使 う)
狐」
数 の 順).
Ion「 イ オ ン(男 性 の 名 前)」
少年」
Radu「 Ana「
不 定 冠 詞 と; 主 ・対 格 un baiat:niste 属 ・与 格 unui baiat:unor
baieti baieti
格
格 の 例 を あ げ る.
baiate,baiatule
主 格 のmamaを に
近 は,主
れを
呼 格
(た だ し,mama「
celor
これ ら の 冠 詞 と名 詞 の 使 用 例(格 変 化 の 例)を,次
《男 性 名 詞 》baiat「
詞 が 付 か な い 形 が あ る.ど
を 使 う 傾 向 が 強 い.以
ale
数
く使 わ れ る 少 数 の 名 詞 に 残 っ て い る が,
使 う か は,単
《指 示 冠 詞 》
(単
を 表 わ す 名 詞 に 使 わ れ る が,
niste
ai
a
あ げ る(以 下,単
則 と し て,人
o
冠 詞 が 付 い た 形 と,冠
単
兄 また は弟 」 の定 冠 詞 の
付 い た 形)
《所 有 冠 詞 》
性
unui baiat「1人
fratele fetei「 そ の 少 女 の 弟 」 ‐lor
男 ・中性 女 性
性
unei fete「1人
mama
(frateleは,frate「
(単
女
mama
(mamaは,mama「
《不 定 冠 詞 》
男
詞 そ の も の の 形 が 変 わ る の は,
vulpeo Ioane
ラ ド ゥ(男 性 の 名 前)」Radule ア ナ(女 性 の 名 前)」
Ano,Ana
指 示 冠 詞 の 例 を あ げ る. Stefan cel Mare「
シ ュ テ フ ァ ン大 王 」
な く
(celは,指
示 冠 詞 の 男 性 単 数 形.mareは,
な タ イ プ の 例 を,表2に
「大 き い 」 と い う 意 味 の 形 容 詞) cei bogati
si cei saraci「
富 め る者 た ち と貧 し き
級 に はmai
等 比 較 級 に はmai,劣
putinを,最
上 級 は,指
cei,cele)maiを,形
者 た ち」 (ceiは,指
示 冠 詞 の 男 性 複 数 形,主
bogatiは
「金 持 ち の 」,saraciは
Ion
・対 格. 「貧 乏 な 」 と
指 示 冠 詞 は,形
等 比較
示 冠 詞cel(cea,
容 詞 の 前 に 付 け て 表 わ す.
este
mai
inalt
decit
Virgil.
「イ オ ン は ヴ ィ ル ジ ル よ り背 が 高 い 」
い う形 容 詞 の 男 性 複 数 形)
(inalt「 高 い 」,decit「 Nicu
容 詞 の 最 上 級 で も用 い る(「形 容 詞 」 を
este
mai
∼ よ り」)
putin
inalt
decit
Virgil.
「ニ ク は ヴ ィ ル ジ ル よ り背 が 低 い 」
参 照).
Ion
所 有 冠 詞(属 格 冠 詞 と も い う)の 例 を あ げ る. al treilea
fiu al vecinului「
(alは,所
隣 人 の三 男」
有 冠 詞 の 男 性 単 数 形 で,数
「3」 に 付 け て 順 序 数 詞al
este
cel
mai
inalt
「イ オ ン は そ の3人
詞trei
treilea「3番
目 の」
(dintre「 ま た,同
dintre
cei trei.
の 中 で一 番 背 が 高 い 」
∼ の 中 で 」)
等 比 較 は,次
〔男 性 単 数 形 〕を つ く る 〔女 性 形 はatreia〕.fiu は 「息 子 」.次 のalは,vecin「
「マ リ ア は ニ ク と 同 じ く ら い の 背 丈 で す 」
隣 人 」の 定 冠 詞 の 冠詞 の付 い
て い な い 男 性 名 詞 単 数fiuを
修 飾 す る こ とを示
す は た ら き を す る) 3)形
容詞
と一 致 す る.も
れ が か か る 名 詞 の 性,
っ と も,女
性 単 数 の 属 ・与 格 を
修 飾 す る 場 合,女 性 複 数 形 と 同 じ形 と な る(fetei で あ っ て,fetei
bunaで
は な い)以 外 は,形
bune
の上では
tot
atit
de
(tot atit de∼ca… 4)代
名詞
問,不
形 容 詞 は,そ
este
の よ う に 表 わ す.
Maria
の 付 い た 属 格 形vecinuluiが,前
数,格
あ げ る.
形 容 詞 の 比 較 級 は,優
係,再
帰,尊
称,所
称 は,単
有,指
べ 有
称 代 名 詞,所
称 代 名 詞 は,表3の
ら 分 か る よ う に,人
数,複
示,疑
が あ り,人
称 の 別 が あ る.人
と お り で あ る.表3か
Nicu.
称 の 諸 代 名 詞 が あ る.す
て の 代 名 詞 に,性,数,格 代 名 詞 に は,人
ca
「… と 同 じ く ら い ∼ 」)
代 名 詞 に は,人
定,関
1・2人
inalta
称代名詞 の
数 と も属 格 が な い.
格 に よ る 違 い は な く,性,数
で 一 致 す る だ け で あ る.
所 有 を 表 わ す に は,所 有 形 容 詞 が 使 用 さ れ る.次
形 容 詞 は,多
飾 す る名 詞 の 後 に お か れ
例 を 示 す.
る が,前
く の 場 合,修
に く る 場 合 は,定
冠 詞 は 形 容 詞 の 後 に 付 く.
《男 性 名 詞 》 un
casa
baiat
unui
bun「
baiat
baieti
良い少年」
bun「1人
buni「
baietilor
」
casa
良 い 少 年 た ち の/に,良
い少年
た ち よ!」
fata
buna「
fetei
bune「
の 良 い 少 女 の/に
そ の 良 い 少 女 の/に
bune「
」
た り,後
そ の 良 い 少 女 た ち の/に,良
い少
pod
scurt「
複,つ ま り4つ 3つ
・与 格)」
数 で は 女 性 形 を と る.
性 単 数 の 属 ・与 格 は 複 数 形 と 同 じ で あ る か ら,
形 容 詞 は,も
や2つ,ま
参 照).
称 代 名詞 の弱 形 が 先 にお か れ
よ っ て,必
っ と も 多 い 場 合,男
性 の単 複 と女 性 の 単
の 異 な る 形 を も つ こ と に な る.し た,無
ろい ろ の 法 則 に
須 で あ る 場 合 と 自 由 で あ る 場 合 と が あ る.
と え ば,「 彼(ま
ーマニア語の特徴の た は 彼 女)が
て い る 」 と い う 意 味 を 普 通 に 言 う と,Ma
そ の 短 い 橋(複 数,属
数 で 男 性 形,複
変 化 の も の も あ る.こ
の 形 成 過 程 や 音 法 則 の 結 果 で あ る.い
に よ って
と 一 致 す る.
私 を待 っ asteapta.
で あ る が,「 私 を 」 を 強 調 し て 言 い た い と き は,Ma
そ の 短 い 橋(複 数)」
scurte「
中 性 名 詞 は,単
性 は,語
短い橋」
scurte「
あなた方 の
飾 さ れ る 名 詞 の 性,数 有 形 容 詞 は,性,数
で も う一 度 く り 返 さ れ る.い
1つ で あ る.た
podurilor
ま た,女
voastra「
こ の 人 称 代 名 詞 の 二 重 用 法 は,ル
女 た ち よ!」
podurile
私 の 家 」,casa
詞 の 強 形 で あ る と き,人
その良い少女たち」
bune「
あなた
直 接 目的 語 ま た は 間 接 目的語 が名 詞 また は 人 称 代 名
」
《中 性 名 詞 》 un
mea「
こ の 点 が 代 名 詞 と違 う(表4を
良 い少 女 」
bune「1人
vostru「
家」
形 を 変 え な い が,所
fete
fetelor
私 の 弟 」,fratele
代 名 詞 の 属 格 は,修
unei
fetele
meu「
ei「 彼 女 の 弟 」
ei「 彼 女 の 家 」
方の弟」
良 い 少 年 た ち」
buni「
lui「 彼 の 弟 」,fratele
lui「 彼 の 家 」,casa
fratele
の 良 い 少 年 の/に
《女 性 名 詞 》 o
fratele
に,
か し,
の不 規 則 ろい ろ
asteapta
pe
とな っ て,人 れ る.強
mine.ま
た は,Pe
形 だ け のAsteapta
あ る(peは,代
mine
ma
asteapta.
称 代 名 詞 対 格 の強 形 と弱 形 が二 重 に使 わ pe
mine.は,間
違 いで
名 詞 の 強 形 か 特 定 の 人 を 表 わ す 名 詞 が,
目 的 語 と し て 使 わ れ る と き 必 要 な 前 置 詞). 目 的 語 が 名 詞 の 場 合 も,同
様 に,代
名詞 の 弱 形 を二
重 に 使 用 す る こ と が あ る.「 デ ィ ヌ を 見 な か っ た 」 は,
ル
ー マ ニ ア語 の 形 容詞(例)
男 ・中性 単 数
女 性 単数
男 性複 数
女 ・中 性複 数
意
味
《4つ の 形 を もつ 形 容 詞 》 bun
buna
buni
bune
「良
い」
negru
neagra
negri
negre
「黒
い」
rau
rea
rai
rele
「悪
い」
さ い」
《3つ の 形 を もつ 形 容 詞 》 mic
mica
mici
mici
「小
rosu
rosie
rosii
rosii
「赤
folositor
folositoare
folositori
folositoare
「有
しい 」 益
な」
《2つ の 形 を も つ 形 容 詞 》 verde
verde
verzi
verzi
「緑
色
の」
vioi
vioaie
vioi
vioaie
「活
発
な」
dibaci
dibaee
dibaci
dibace
「器
用
vechi
veche
vechi
vechi
「古
feroce
feroce
feroci
feroce
「残
虐
な」
maro
「褐
色
の」
な」 い」
《不 変 化 の 形 容 詞 》 maro
maro
ル
maro
ー マ ニ ア 語 の 人 称代 名詞 (1人 称) 強 形
数 主 属 与 対
格 格 格 格
eu
数
格 格 格 格
noi ―
単
複
ル
主 属 与 対
(2人 称)
弱形
強 形
(3人
弱形
男 性 強形 弱形
(i)ti te
el lui lui el
tu
mie
(i)mi
mine
m(a)
tie tine voi ―
noua
ne,ni
noi
ne
voua voi
v(a),vi v(a)
称)
女 性 強形 弱形
(i)i (i)l
ea
-
ei
-
ei
(i)i
ea
o
ei ―
ele
―
lor ―
lor
―
lor
le,li
lor
le,li
ei
(i)i
ele
le
ー マ ニ ア語 の 所 有 形 容 詞
所 有 され る
名詞
男・ 中 性 単 数
女 性 単数
1人 称 単 数
meu
mea
mei
mele
「私 の 」
2人 称 単 数
tau
ta
tai
tale
「君 の 」
1人 称 複 数
nostru
noastra
nostri
noastre
「私 た ち の 」
2人 称 複 数
vostru
voastra
vostri
voastre
「あ な た 方 の 」
所有者
N‐am
vazut
(am 去1人
Dinu
nu
見 る」の 複 合過
A
spus
定 文 を つ く るnu
l‐am
l‐am vazut.と
与 格 の 場 合 も同 様 で,「
tot
mamei.
(aspusは,動
詞aspune「
言 う」の複 合 過 去
3人 称 単 数.mameiは,mama「
結 合 し た 形)
と も言 え る し,Nu
女 ・中 性複 数
は,
詞avedea「
称 単 複.n‐amは,否
とamが
Pe
pe Dinu.
vazutは,動
男性複数
vazut
pe
Dinu.ま
た は,
も言 え る. 彼 は母 に す べ て を 言 っ た」
母 」の 定 冠 詞
が 付 い た 与 格) が 普 通 で あ る が,「 母 に 」 を 強 調 す る と,I‐aspus mamei,ま
た は,Mamei
i‐a spus
tot.と
tot
な る(i‐ は,
ル
ー マ ニ ア 語 の 指 示形 容 詞 と指 示 代 名 詞 男 ・中性 単 数
主
・対 格
属
・与 格
主
・対 格
属
・与 格
女性単数
男性複数
女 ・中 性 複 数
acest(acesta)
aceasta(aceasta)
acesti(acestia)
aceste(acestea)
acestui(acestuia)
acestei(acesteia)
acestor(acestora)
acestor(acestora)
acea(aceea)
acei(aceia)
acele(acelea)
acelei(aceleia)
acelor(acelora)
acelor(acelora)
acel(acela) acelui(aceluia)
ル
ル
ー マ ニ ア梧 の 疑 問 ・関 係代 名 詞 の
ーマ ニ ア語 の 不 定 代 名 詞 の 格 変 化(例) (単
格変 化(例:care) (単
主 ・対 格 属 ・与 格
数)
(複
男 ・中 性
女性
care
care
数) 主 ・対 格
女性
数) 女 ・中 性
unul
una
unii
unele
altul
alta
altii
altele
caror(a)
citva
citava
citiva
citeva
unuia
uneia
unora
altuia
alteia
altora
carui(a)carei(a)
称 単 数 与 格iiがaと
男 ・中 性
男性
care
属 ・与 格
代 名 詞3人
(複
数)
citorva
結 合 す る と き の 形).
尊 称 代 名 詞 に は, 2人 称 単dumneata(属
・与 格 はdumitale),
3人 称 男 単dinsul,女 女 複dinsele(主
単dinsa,男
複dinsii,
指 示 代 名 詞 と 同 じ形 を と る.acesta「 「あ れ 」 の 変 化 形 を,表5に
・対 格 の み),
名 詞,ま
さ ら に 丁 寧 な 形 と し て,
女 単dumneaei,男 が あ る.こ 次 に,例
acest
称 男 単dumnealui,
acea
女 複dumnealor
れ ら の 尊 称 形 は,格
cineに
格 と し て)
(venitiは,a
veni「
voastraは,単
複 両 方 に 使 え る が,動
来 る 」 の2人
称 複 数.d‐ 詞 は複 数
は,属
d‐voastra?(属
にcine,物
を,表6に
と 物 に使 わ れ る.関
係 代 名 詞 は,疑
問 ・関 係 代 名 詞careの
容 詞 と して 名 詞 の 前 に 用 い ら れ
る.
格 と し て)
「ど れ(ど の 花)が 一 番 好 き で す か 」
格 と し て)
「あ な た は 音 楽 が 好 き で す 」
d‐voastra
va
invit
la mine.(対
格 と し て)
placea「
meu「
な た 方 の も の 」 の よ う に,所 を 付 け て つ く ら れ る.こ も の の 性,数,格
vostri「
の 所 有 形 容 詞 は,所
称 は,人
あ
有 形 容 詞 の 前 に所 有 冠 詞
と 一 致 す る.所
と お り で あ る.3人 る.再
私 の も の 」,ai
Al carui
有 され る
気 に 入 る 」 と い う 動 詞 の3人 este
Al
caruia
este
caietul?
「そ の ノ ー トは 誰 の も の で す か 」 (alに
関 係 代 名 詞careは
つ い て は,所
先 行 詞 を 含 み,ceは
両 方 の 場 合 が あ る.
指 示 代 名 詞 は,指
「吠 え る 犬 は 噛 ま な い 」
示 形 容 詞 の 語 尾 にaを
付 けて つ く
飾 す る 名 詞 の 後 に 付 く と き は,
care
有 冠 詞 の 説 明 を 参 照)
先 行 詞 を 必 要 と す る が,cineは
分 の 」 を 使 う.
示 形 容 詞 は,修
称 単 数)
caietul?
Ciinele
る.指
mult?
「そ の ノ ー ト は ど の 学 生 の も の で す か 」
称 代 名 詞 の 属 格 を使 用 す 自
cel mai
あ な た に = 与 格 」.placeは,a
student
有 形 容 詞 は,表4の
帰 の 意 味 を も つ 場 合 は,sau,sai,sa,sale「
place
ど れ が あ な た に 一 番 気 に 入 って い る
か 」.vaは,「
「あ な た を 私 の と こ ろ へ ご 招 待 し ま す 」 所 有 代 名 詞 は,al
floare)va
(直 訳 は,「
(直 訳 は,「 あ な た に 音 楽 が 気 に 入 る 」) Pe
問代 格変化
示 す.
Care(Care
muzica.(与
使 わ れ る.
どれ 」 を 意 味 す る
D‐voasta
place
こ の学 生 」 あの 女 子 学 生 」
にceが あ る.「
「あ な た の 家 は ど こ に あ り ま す か 」 va
に,
あれ が私 の 息子 で す 」
・与 格cuiが
‐aの な い 形 は,形 casa
acesta「 aceea「
fiul meu.「
名 詞 と 同 形 で あ る.疑
形 を と る) este
este
careは,人
「あ な た も い ら っ し ゃ い ま す か 」
Unde
student,studentul
疑 問 代 名 詞 は,人
d‐voastra?(主
示代
示 形 容 詞 の 後 置 の 場 合 で あ る.次
studenta,studenta
Acela
に よ っ て 形 を 変 え な い.
を あ げ る.
Venitisi
が,指
例 を 示 す.
2人 称 単 複 共 通dumneavoastra(d‐voastraと 短 縮 す る こ と が 多 い),3人
た は,指
こ れ 」 とacela
示 す.()内
latra
(latraはalatra「
nu
musca.
吠 え る 」 の,muscaはa
musca「 Nu
噛 む 」 の3人
cred
ce spui
称 単 数)
douazeci(20)de
tu.
順 序 数 詞 は,数
「君 の 言 う こ と を 信 じ な い 」 (credは,a
crede「
spuiは,a
unul「
言 う 」 の2人
他 の も の 」,cineva「
何 か 」,citva「
「他 の 誰 か 」,oricine「 unul,altul,citvaの
な お,‐cine‐
称 単 数.
誰
い く ら か 」,altcineva
誰 で も 」,な
格 変 化 を,表7に
ど.
の 付 く も の の 属 ・与 格 は,‐cui‐
とな
詞
基 数 は,次
adoua aunsprezecea
「14番 目 」al
a paisprezecea
詞
paisprezecelea 動 詞 は,態,時
態 に は,能
動,受
制,法
動,再
帰 の3つ
が あ る.受
過 去 分 詞 」 で つ く ら れ,過
「11」unsprezece
deschisa
de
catre
el.
「ドア は 彼 に よ っ て 開 け ら れ た 」
「12」doi(doua)sprezece
(過 去 分 詞deschisaは,usa「
「3」trei
「13」treisprezece
(定 冠 詞 付 き)と 一 致.decatreは,動
「4」patru
「14」paisprezece
「5」cinci
「15」cincisprezece
再 帰 態 は,他
「6」 sase
「16」saisprezece
s‐,与 格isi,‐si‐,1・2人
「7」 sapte
「17」saptesprezece
付 け て つ く ら れ る.受
「8」opt
「18」optsprezece
機 能 を も ち,よ
「9」noua
「19」nouasprezece
unu(un)は
男 ・中 性 形,douaは
示す
Ma
女 ・中 性 形,un,oは,
形 容 詞 の は た ら き を す る 場 合 の 形 で あ る(不
「53」cincizeci
後 に,si「
unu(una) si trei 使 わ れ る.10の
位の
法 は,述 法,蓋
「1,000」omie
「200万
」un
「20億
」doua
suta,mieは で あ る.し
de
mii
milioane
説 法,接
続 法,条
去 分 詞 法,動
続 詞saが
が,「 助 動 詞avoi+
miliarde
名 詞 法 が あ る. 続 法 で あ る.こ
た が っ て,2以
あ る の で,分 と し て,動
中性名詞
上 の 数 とい っ し ょ に使 わ れ 女性名詞 として 複 数
上 の 数 詞 が 名 詞 と い っ し ょ に 使 わ れ る と き は, お く. の学生」
れ ら の 例 を,動
い て あ げ る.
(eu)voi
merge
(tu)vei
merge
(el)va
merge
と
か り や す い.
詞 の未 来 形 が あ る
接 続 法 」,ま
た は,「 助
接 続 法 」 に よ る未 来 形 の 方 が 口 語
《voi+ 不 定 詞 》
は 言 わ な い.
nouasprezece(19)studenti「19人
動 詞 の 不 変 化 形o+ 的 で あ る.こ
で あ る.
不定 詞」に よ る未来 形 がや や 文語
的 で あ る の に 対 し,「aavea+
女 性 名 詞,milion,miliardは
件希求
述 語 的 法 と し て は,不
称 を 除 い て 直 説 法 と 同 形 で あ る 上,ほ
よ く使 わ れ る 用 法 の1つ
miliard
数 詞 と名 詞 の 間 にdeを
動 詞 と して の 機
は)東 京 に 住 ん で い る 」
令 法 が あ り,非
在 分 詞 法,過
ん ど の 場 合,接
る と き は 複 数 形 と な る.zeceも
20以
動 詞,他
ま た は 彼 女 は)ド ア を 閉 め る 」
語 的 法 と し て,直
活 用 は,3人
milion
形 を と る が,ozeceと
手 」 の 複 数 定 冠 詞 付 き)
の 接 続 法 の 多 用 が,ル ー マ ニ ア 語 の 特 徴 の1つ
zeci
」doua
「10億
様 な
彼 ら は手 を と りあ っ た」
直 説 法 の 次 に よ く使 わ れ る の が,接
mii
」un
人 称 な ど,多
私 は学 校 へ 行 く」
in Tokio.「(私 usa.「(彼
然 法,命
定 詞 法,現 mii
「20,000」doua
互,無
動 詞 「運 ぶ 」〔自 分 を 運 ぶ = 行 く〕.
詞 だ け で,自
Inchide
sute
「10,000」zece
格se,
く使 わ れ る.
miinile.「
Locuiesc
∼ と 」 を お く.
「100万
動,相
称 は,対
称 代 名 詞 と 同 形)を
能 を 果 た す.
「100」osuta
「2,000」doua
作主 を
∼ へ 」 と い う 意 味 の 前 置 詞)
能 動 態 は,動
複 数 形zeciが
「200」doua
称 は,人
(miinileは,mina「
「21」douazecisi
ら,zeceの
動 詞 に 再 帰 代 名 詞(3人
lascoala.「
Si‐au dat
「20」douazeci
20か
duc
l aは,「
定代名詞
ドア 」= 女 性 名 詞
「∼ に よ っ て 」)
(duceは,他
と 同 じ).
動 態 は,
去 分 詞 は主
に 一 致 す る.
「10」zece
「 2」doi,doua
を 区 別 し,そ
称 と数 に よ る 活 用 を 行 な う.
Usaafost
「1」unu(un), una(o)
doilea
「11番 目 」al unsprezecelea
語 の 性,数
の と お りで あ る.
性
例外で
intfi(a),prima
「助 動 詞afi+
5)数
性 形),‐a(女 お く.1は
「2番 目 」al
の 中 の い く つ か は,人
る.
詞 の 後 に‐lea(男
に 所 有 冠 詞al,aを
「1番 目 」intii(ul),primul
6)動
あ げ る.
の女子学生」
あ る.
称 単 数)
の も の が あ る.
あ る も の 」,altul「
か 」,ceva「
形)を 付 け,前
信 じ る 」 の1人
spune「
不 定 代 名 詞 に は,次
studente「20人
詞amerge「
行 く」 に つ
(noi)vom (voi)veti
merge
(ei)vor
merge
《avea+
Nu
merge
詞の不定詞で あ
よ う に示 す の が 普 通
で あ る.
sa mergi
(el)are
ど れ か で 終 わ る.
付 け て 用 い ら れ る こ と が 多 く,動
る と い う し る し に,amergeの
sa merg
(tu)ai
歌 うな」
不 定 詞(法)は,‐a,‐ea,‐e,‐i,‐iの
aを
接続法》
(eu)am
cinta!「
sa mearga
時 制 は,直
説 法 で は,現
去(未 完 了 過 去),単
在,未
来,未
純 過 去,複
来 完 了,半
合 過 去,大
(noi)avem
sa mergem
を 区 別 す る の に 対 し,接
続 法,条
(voi)aveti
samergeti
で は,現
在 と過 去 の2つ
し か 区 別 し な い.複
未 来,未
来 完 了 は,助
(ei)au
sa mearga
《o+接 続 法 》 merg
(tu)osa
mergi
+過 去 分詞
(el)osa
mearga
am
(noi)osa
mergem
(voi)osa
mergeti
(ei)osa
mearga
複 合 過 去:助
mers「
来:助 vor)+
動 詞 を 用 い る 複 合 形 で あ る が,
「∼ し な け れ ば な ら な い 」
続 法 を 使 っ て 表 わ す こ と が 多 い.下
に,例
を示
sacitesti.「
君 は読 む こ とが で き る」
putea「
で き る 」の2人
citestiは,aciti「
不定詞 は)行
る 」)
Trebuie
citiと
い う言 い 方 も あ る が,や
や
単 純 過 去:(vorbii,vorbisi,vorbi,vorbiram,
seram,vorbiserati,vorbisera)「
接 続 法,条
た は,あ
な た 方)は
来 なければならな
部分が
い」 ∼ ね ば な ら な い 」 は,不
主 語 が 「彼 」の 場 合 は,Trebuie る.aveniの 法 はsa
直 説 法3人
vinaで,3人
接 続 法 の 過 去 形 は,数,人 分 詞 」 で あ る.条 ar+ 不 定 詞(過
変 化.
sa vina.と
称 現 在 はvine,接
件 希 求 法,不
く」 の 上 記3法
続
動 詞 の 活 用 に は,同
られ て い る
称 共 通 で,「sa+fi+
あ る.直
説 法 現 在 に,も っ と も 多 様 な 活 用 が み ら れ る.
過 去
過 去 分 詞)」,蓋
4つ
然 法 は,「a 去 分 詞)」 と い
の タ イ プ に 分 け た 活 用,お
る の に 必 要 な 助 動 詞 と,そ
説 法 複 数 形 と 同 じ(2人
称)で
詞
称 と 同 形 の も の と,3
Calul
不 定 詞 」 で あ る.
の
este
frumos.
romineste
frumos.
「(彼 は)ル ー マ ニ ア 語 を き れ い に 話 す 」
称 と 同 じ)
来 る な」
示 す.
形 容 詞 の 男 ・中 性 単 数 の 形 は,そ
Vorbeste
令 法 の 前 にnuを
合時制 をつ く
ま ま 副 詞 の は た ら き を す る こ とが で き る.
称 と 同 じ)
数 で は,命
よ び,複
の 助動 詞 が本 動 詞 と して 使
わ れ る と き の 活 用 を,表8に
不 規 則 形 も あ る.
数 で は,「nu+
に よ る 活 用 が あ る.
語 は不要で
「そ の 馬 は 美 し い 」
veniti!「
称,数
に 明 確 に す る 必 要 が な け れ ば,主
数 の 命 令 法 は,2人
歌 え 」(3人
行
形 の 語 尾 も あ る が,限
人 称 と 同 形 の も の が あ り,動 詞 に よ っ て 決 ま っ て い る.
否 定 の 命 令 法 は,複
fi mers(merge「
の で,特
7)副
黙 れ 」(2人
動詞の
の 過 去 形)
動 詞 の 述 語 的 法 で は,人
う 形 で あ る. 数 は,直
mers,a
な
件 希 求 法 は,「as,ai,ar,am,ati, 去 は,fi+
定 詞 法 の 過 去 は,本
称 だ け 両 者 の 違 い が あ る)
活 用 形 +fi+ 現 在 分 詞(過 去 は,過
命 令 法 は,複
∼ は す で に話
「fi+過 去 分 詞 」 に な る.
sa fi mers,asfi
(こ のtrebuie「
Nu
∼ は話 した」
して し ま っ てい た 」
sa veniti.
「あ な た(ま
け る が,単
∼ は 話 して い た 」
vorbirati,vorbira)「
文 語 的 に な る.
Cinta!「
過去分詞
は)行 っ て し ま っ て い る だ ろ う 」
大 過 去:(vorbisem,vorbisesi,vorbise,vorbi
不 定 詞 を 使 うpoti
Taci!「
くだ ろ う」
動 詞avoi+fi+
fi mers「(彼
vorbeati,vorbeau)「
称 単 数.
直 訳 す る と,「 君 は 君 が 読 む と い う こ と を で き
あ る が,単
行 く」 の 過 去 分 詞)
半 過 去:(vorbeam,vorbeai,vorbea,vorbeam,
称 単 数.sa
読 む 」の 接 続 法2人
merge「
動 詞avoi(voi,vei,va,vom,veti,
未 来 完 了:助 va
(potiは,a
私 は 行 った」
vei merge「(君
す.
voiの
定詞 法 合 過 去,
動 詞aavea(am,ai,a,am,ati,au)
(mersは,a 未
「∼ す る こ と が で き る 」 や
Poti
件 希 求 法,不
そ の 他 の 時 制 は 統 合 形 で あ る.
(eu)osa
も,接
過
過 去 の7つ
そ の 他,副 付
8)前
置詞
詞 に 関 し て は,語 属 格,ま
る 前 置 詞 も少 し あ る が,大 る.
彙 の 問 題 と言 え る.
た は,与
格 と と も に使 わ れ
部分 は 対 格 と と もに 使 わ れ
impotriva
oamenilor「
そ の 人 々に反 対 して 」
(oamenilorは,om「
natie「
人 」の 定冠 詞 付 き複 数 属
格) 私 と と も に 」(mine対
よ く使 わ れ る 前 置 詞 を,下 pe「 ∼ の 上 に,∼
か ら 」,fara「
に よ っ て 」,pentru「 語 と 語,文
き を す る が,主
∼ に,∼
へ 」,
∼ な し に 」,prin「
∼
∼のために」
と文 を 結 び つ け る は た ら
な も の は 次 の と お りで あ る.
si「 ∼ と,そ
して 」,dar「
っ て 」,pentru
ca「
言 差 は,比
した が ∼で あ
言,
部,ユ
ー ゴス ラ ビア国 境 付 近 の バ ナ ー
(Banat)方 4)東
主 要 単 語 の10数
ガ リー 語,フ
パ ー セ ン トが ス ラ ブ
リ シ ア 語,ト ル コ 語,ハ
ン
ラ ン ス 語 か ら の 借 用 語 が み ら れ る.
ス ラ ブ 語 起 源 の 単 語:da「
北 部,ソ
連 邦 国 境 沿 い の モ ル ドバ(Moldova)
は い 」,nevasta「
[歴
史]
現 在 の ル ー マ ニ ア の あ た り に は,ロ
ー
マ の 進 出 前 に,イ ン ド・ヨ ー ロ ッパ 語 族 の ト ラ キ ア 系 ダ キ ア 人 の 奴 隷 国 家 が あ っ た(そ の 国 名 ダ キ ア は,Dacia
女 房 」,
iubi「 愛 す る 」
の ラ テ ン 語 読 み.ル
ー マ ニ ア 語 読 み は,ダ
チ ア).ロ
ー マ に よ る バ ル カ ン半 島 の 植 民 が こ の 地 に も 及 び
ギ リ シ ア 語:stup「
蜜 蜂 の巣 箱 」
暦106年,ロ
トル コ 語:sarma「
ロ ー ル キ ャ ベ ツ の 一 種 」,cioban
進 み,ラ
「羊 飼 い 」
ー マ の 属 州 と な っ て,次 テ ン語 が 公 用 語 と な る.ダ
併 用 を 経 て,次
ハ ン ガ リー 語:chin「
苦 悩 」,cheltui「
費 や す 」,
か弱い」
フ ラ ン ス 語:fotografie「
キ ア 人 は,二
言語
第 に文 語 とは 異 な るい わ ゆ る俗 ラ テ ン
語 を 話 す よ う に な る.こ ぶ の で あ る.東
写 真 」,telefon「
,西
第 に ロー マ 化 が
の 傾 向 は,次
第 に 教 会 に も及
西 ロ ー マ 帝 国 の 分 裂 以 来,こ
の地の ラ
テ ン 語 と 西 ロ ー マ の ラ テ ン 語 の 違 い が 大 き く な る.こ
電 話 」,
ー マ ニ ア 語 の 動 詞の 直 説 法 現 在活 用 第1活 用 「 歌 う」 「 働 く」
第2活 用 「 見 る」
不 定詞 過去分詞
cinta
lucra
vedea
incepe
merge
rupe
cintat
lucrat
vazut
inceput
mers
rupt
単 数1
vad vezi vede vedem vedeti vad
incep
merg
rup
incepi
mergi
rupi
incepe
merge
rupe
incepem
mergem
rupem
incepeti
mergeti
rupeti
incep
merg
rup
cint
lucrez
2
cinti
lucrezi
3
cinta
lucreaza
cintam
lucram
2
cintati
lucrati
3
cinta
lucreaza
「 始 め る」
第3活 用 「行 く」
「折 る」
第4活 用 「 逃 げ る」 「 働 く」 「 降 りる」 「恨 む」
3つ の 助 動 詞(そ の本 動 詞 も)の活 用 「 いる,ある」 「 持つ」 「欲 す る」
不 定詞
fugi
munci
cobori
uri
afi
a avea
過去分詞
fugit
muncit
coborit
urit
fost
avut
単 数1
fug
muncesc
cobor
urasc
sint
am
fugi
muncesti
cobori
urasti
esti
ai ai
3
fuge
munceste
coboara
uraste
este,e,i
aare
fugim
muncim
coborim
urim
sintem
am
2
fugiti
munciti
coboriti
uriti
sinteti
3
fug
muncesc
cobor
urasc
sint
注:「 い る,あ る 」 「持 つ 」 「欲 す る(vrea)」
は,こ
avoi
a vrea
voit
2
複 数1
ト
言,
方言
彙]
複 数1
較
2)西 部 か ら 西 北 部 に か け て の ク リ シ ャ ナ(Crisa na)方 言, 3)西
し か し」,deci「
な ぜ な ら ば 」,desi「
語 起 源 の 単 語 で あ る ほ か,ギ
ル
コ ・ル ー マ ニ ア 語)の
言 に 代 表 さ れ る.方
1)ブ ク レ シ ュ テ ィ(Bucuresti,ブ カ レ ス トBu charest〔 英 〕)を 中 心 と す る ム ン テ ニ ア(Mun tenia)方
るが 」
gin‐gas「
ル ー マ ニ ア 語(ダ
下 の4方
的 小 さ い.
に あ げ る.
を 通 っ て,∼ 続詞
格 強 形)
を(対 格)」,la「
de「 ∼ の,∼
[語
言]
方 言 は,以
cu mine「
9)接
[方
国民」
am
vrut
voi vreau vei vrei va vrea
avem
ati aveti au au
vom
vrem
veti vreti vor vor
れ らの 動 詞 が 本 動 詞 と して 使 わ れ る とき の 意 味 で あ る.
う し て,バ ル カ ン 半 島 一 帯 で 話 さ れ て い た ラ テ ン 語 は,
Enciclopedic(Editura
共 通 ル ー マニ ア語 と よぶ に ふ さわ しい もの に変化 して
Bucuresti)―
い くが,こ 方,6世
の 時 期 は,5∼8世
紀 頃 と 考 え ら れ る.一
紀 頃 か ら ス ラ ブ 人 が 移 住 し て 来 始 め た が,9
世 紀 に ブ ル ガ リア が ギ リ シ ア 正 教 を と り入 れ,こ ド ナ ウ北 岸 に も 広 げ,正
教 と と も に,教
り,外
れを
キ リ ル 文 字 が 教 会 で 使 用 さ れ る こ と に な り,ル
ー マニ
ア 語 に ス ラ ブ 語 彙 が 入 る こ と に な る の で あ る.ル
ー マ
Limbii Socialiste
語(英 語,日
1521年
で あ る.教
が,一
般 に は,次
な り,1859年
説明が要領
頃 で あ る.
ー マ ニ ア 語 で 書 か れ た もの で あ る が,他 本 語)と
の 対 照 辞 書 と し て は,以
会 で は キ リル 文字 が 使 用 され て い た
が 代 表 的 で あ る.
第 に ラ テ ン文 字 も 使 用 さ れ る よ う に
Panovf,Irina(1976),DictionarRoman‐Englez
に は,ラ
テ ン文 字 の 使 用 が 公 式 に 決 め ら
(Editura
深 い 思想 を美 しい ル ー マ ニ ア語 で うた
(Editura
Stiintifica
学]
っ た 詩 人 エ ミ ネ ス ク(Mihai
Emineseu,1850∼89),主
た サ ド ヴ ェ ア ヌ(Mihail ま た,長
Sadoveanu,1880∼1961),
Stancu,1902∼)な
[辞
Romane〔DLR〕(Editura sti)―1913年,王
集 が 続 け ら れ て い る.大
項,1984年
目 のsの
る ま で,用
直 野 敦(1984),『
目 のpの
項,
組 で15,6ペ
ージをあ
語 的 用 法 や 方 言 に至
例 を あ げ て 詳 し く説 明 し て い る.
Romane
Academiei
Populare
上 のDLRの
Romine,Bucu
Academiei
Romine,Bucuresti)―
Romane
Republicii
や 名 詞 複 数 形 の 不 規 則 な 語 も 分 か る.語
Roman,4vols.(Editura
に
詞の活用 源について
politica,Bucuresti) ら ゆ る 分 野 に つ い て,か
R.S.R.(1972),Mic
Limbii
Academiei
Republicii
Romine,Bucuresti;2nd Republicii
Popu
ed.1966,Editura Socialiste
Romane,Bu
curesti) Course
in Contemporary
Didactica
si Pedagogica,
Coteanu,Ion(1981),Structura Limbii
Romane(Editura
si Academiei
Evolutia R.S.R.,
Bucuresti)
Limbii
Enciclopedic
り 詳 し い 説 明 が 得 ら れ る. Academia
R.S.R.(1954),Gramatica
Dimitrescu,F.and
―(1962‐66),Dictionarul
Repu
Romane,Bucuresti)
Bucuresti)
も触 れ て い る.
真 入 りで,あ
blicii Populare
Rumanian(Editura
Popu
図 入 り な の で,特
V.Pamfil(1978),Istoria
Romane(Editura
Didactica
si Peda
gogica,Bucuresti) な
直 野 敦(1977),『
ル ー マ ニ ア 語 文 法 入 門 』(大 学 書 林,
東 京) Dictionar
京)
Limbii Academiei
Cazacu,Boris(1980),A
物 の 名 前 な ど を 調 べ る と き 便 利 で あ る.動
図 ,写
R.P.R.(1965‐69),Istoria
Academiei
文 学 作 品 な ど を 読 む 際 に 有 用 で あ る.
Moderne(Editura
例 が豊 富
詞 を 探 す の に 役 立 つ.
Romane,2vols.(Editura
lare
Limbii
羅
正 書 法 が 古 く,例
ル ー マ ニ ア 語 辞 典 』(大 学 書 林,東
Romane(Editura
縮 小 版 と も 言 う べ き も の で,
―(1958),Diotionarul
Academia
Academia
Literare,4vols.(Editura
Republicii
resti)―
山 青 松(1940),『
京)―
[参 考 文 献]
R.P.R.(1955‐57),Dictionarul
Limbii
津 憲 三,青
―巻 末 の 動 詞 活 用 表 が,動
項が 出 版 され て い
に つ い て,A4判2段
Aeademia
―
Englez‐Roman(Editura
で 役 に 立 つ 辞 書 で あ る.
に は11巻3
に は8巻5冊
に は10巻2冊
て る こ と もめ ず ら し く な く,俗
lare
Frazeologic
文 の 中 に 現 在 に 合 わ な い も の も あ る が,用
国 で あ っ た 頃 に 刊 行 が 始 ま り,
体 ア ル フ ァ ベ ッ トの 順 に 進 み,1983年
る.1語
I.Preda(1967),
日 辞 典 』(杏 林 舎 印 刷,東
Academiei,Bucure
体 制 が 変 わ っ た 現 在 も,編
冊 目 のtの
Roman‐Englez
Stiintifica,Bucuresti)
ラ ド ゥ ・ フ ロ ン ド ル,根 R.S.R.(1913‐),DiotionarulLimbii
1987年
L.Levitchi Frazeologic
Stiintifica,Bucuresti)
書]
Academia
Englez‐Roman
Nicolescu,A.,Popovici,L.and Dictionar
ど の 作 品 が,日
本 語 に も訳 さ れ て い る.
下 の もの
si Enciclopedica,Bucuresti)
(1966),Dictionar (Editura
編 小 説 で は現 代 ル ー マ ニ ア文 学 を代 表す る ス
タ ン ク(Zaharia
Stiintifica
Bantas,A.,Gheorghitoiu,A.and
と して短 編 小 説 の 中 に ル ー マ ニ ア の 自 然 と心 を凝 縮 し
言
si Enciclopedica,Bucuresti)
― (1981),Dictionar
[文
al
Republicii
Romania,Bucuresti)―
れ た.
Academiei
よ く ま と め ら れ て い て,手 以 上 は,ル
手 紙 が 書 か れ た の は,
Explicativ
Romane(Editura
(Neacsu
Cimpulung)の
め 細 か に 作 ら れ て い る.
―(1975),Dictionarul
ニ ア語 の 最初 の文 献 で あ る ク ン プル ン グの ネア ク シ ュ din
romana,
国語 につ い て は原 語 の 発 音 が分 か る よ うに配
慮 す る な ど,き
会 ス ラ ブ語 と
enciclopedica
固有 名 詞 が 後 半 に ま とめ られ て お
[参
照]
ア ・ル ー マ ニ ア 語,ロ
マ ンス 諸 語
(倍賞
和 子) レ
ト・ロマ ン ス諸 語 地 域
れ レ ッ ツ ェ ブ ル ク 語Letzebuergesch, 独Letzeburgisch レ ッ ツ ェ ブ ル ギ ッ シ ュ(語)と
も い う.
= ル クセ ンブ ル ク語 レ ッ ト語
英Lettish
= ラ トヴ ィ ア 語 レ ト ・ロ マ ン ス 諸 語 ロ マ ン シ ュretorumantsch,英 Raeto‐Romance,仏rhetoroman,独Ratoroma nisch,伊retoromancio 上 記 の ほ か に,イ
タ リ ア 語 で,レ
を 総 称 し て,ladinoと [概
説]
ト ・ロ マ ン ス 諸 語
よ ぶ 場 合 が あ る.
c)ス
レ ト ・ロ マ ン ス 諸 語 は,イ
ロ ッ パ 語 族 の ロ マ ン ス 諸 語 に 属 し,ス
ン ド ・ヨ ー
イス東南部のグ
ル メ イ ル(Surmeir)地
方:ス
ル ミラ ン語
(surmiran) d)エ
谷 地 方:ラ
デ ィ
ラ ウ ビ ュ ン デ ン(Graubunden)州
と,イ
ド ロ ミテ(Dolomite)地
タ リア 北 東 部 の フ リ
高 地 エ ン ガ デ ィ ン 地 方:ピ
ュ テ ー ル 語(puter)
の地 域 で 話 され る言 語 群 の
低 地 エ ン ガ デ ィ ン地 方,ミ
ュ ス タ イ ル(Mus
ウ リ(Friuli)平
方 と,イ
野 の,3つ
タ リア 北 部 の
ン ガ デ ィ ン(Engadin)渓
ン語(ladin)
総 称 で あ る. 言 語 人 口 は,推
tair)地 計,60万
2)イ
人 前 後 と さ れ る.
ア ル プ ス 山 岳 地 帯 の 先 住 民 族 で あ る レ チ ア 人(Rae ti)の 言 語 が,帝 た,と
政 ロー マ 期 に ラテ ン語 化 して形 成 さ れ
す る の が 通 説 で あ る が,言
明 な 点 が 多 い.ス は,北
イ ス,イ
方 を 強 力 な 国 家 に 囲 ま れ て,
戦 略 防 衛 上 の 要 衝 で も あ っ た.こ
れ ら の3地
理 的 に 隣 接 し て お ら ず,ま
た,歴
め わ め て 細 か な 方 言 群 に 分 か れ て い る.こ
在 も,き
が,レ
ト ・ロ マ ン ス 語 系 言 語 を 研 究 す る 上 で,大
さ れ る3地
1)ス
d'Ampezzo)地
・ ダ ン ペ ッ ツ ォ(Cortina ド リ ー ノ 語(cadorino)
リ ウ リ地 方:フ
方:ス
ア ン語(sursilvan) ッ トセ ル ヴ ァ(Sutselva)地
1)ス
ル ニ ア(Carnia)地
方:カ
ル ヴ ァ ン 語(sutsilvan)
ッ トシ
ル ニ ア 語(carni
れ ぞ れ の 言 語 状 況 に つ い て 述 べ る. イ ス,グ
ラ ウ ビ ュ ンデ ン州 の ア ル プ ス地 方
際 の 発 音 と 綴 りの ヴ ァ リ ア ン トは,下 ば れ,4方
方:ス
フ リ ウ リ語(fur
co) 以 下,そ
ル シル ヴ
通 フ リ
occidental)
ス イ ス の レ ト ・ロ マ ン ス 諸 語 は,ロ
ル セ ル ヴ ァ(Surselva)地
リ ウ リ語(furlan)
comun)
リ ウ リ平 野 西 部 地 方:西
c)カ
Romanisch,仏
ォ ドム語
リ ウ リ平 野 中 央 お よ び 東 部 地 方:共
lan
マ ン シ ュ語
称 に つ い て は,以 下
ァ ッサ 語
谷 地 方:フ
方:カ
タ リ ア,フ
ウ リ語(furlan
を 参 照)
b)ス
ル テ ィー ナ
3)イ
b)フ
(英Romansh,独Bundner
a)ス
ォ ド ム(Fodom)渓
e)コ
レ ト ・ロ マ ン ス 諸 語 の 話
romanche,伊romancio,自
谷 地 方:フ
(fodom)
a)フ
ラ ウ ビ ュ ン デ ン 州:ロ
ルダイ
(fashan)
域 と そ の 方 言 名 を,西 か ら 東 へ 列 挙 す る と,
イ ス,グ
デ ィオッ ト
谷 地 方:ガ
ァ ッ サ(Fassa)渓
d)フ
きな
以 下 の とお り で あ る(〈 図 〉 を 参 照).
称 は
ナ 語(gherdeina)
課 題 と な っ て い る. [方 言 分 布 と 言 語 状 況]
ロ ミ テ 語,自
谷 地 方:バ
ル デ ー ナ(Gardena)渓
c)フ
の た め,他
の ロ マ ンス 諸 語 と 区 別 す る共 通 的 特 徴 と 分 類 の 問 題
デ ィ ー ア(Badia)渓
b)ガ
史 的 に も,共
通 語 や 標 準 語 が 形 成 さ れ な か っ た た め に,現
ロ ミ テ 地 方:ド
語(badiot)
域 は,外
に 開 か れ て い る と と も に 自立 的 な 生 活 圏 を 保 っ て い た が,地
a)バ
の ゲル マ ン語 圏 と南 の地 中海 ロー マ文 明圏 を結
ぶ 交 通 の 枢 軸 で あ り,四
タ リ ア,ド
ァ ラ ー デ ル 語(vallader)
ラ デ ィ ン語(ladin)
語 基層 につ い て は不
タ リア の ア ル プ ス高 原 地 方
方:ヴ
マ ン シ ュ 語(実 記 を 参 照)と
よ
言 群 に 分 け ら れ る.
言 語 人 口 は,グ ラ ウ ビ ュ ン デ ン 州 内 で 約3万7千 他 の ス イ ス 各 地 方 に 住 む 話 者 を あ わ せ て,約5万
人, 人(ス
イ ス 全 人 口 の0.8%)と 票 に よ っ て,ド ぐ,ス
さ れ る.1938年2月
イ ツ 語,フ
イ ス 第4番
目の
の国民投
ラ ン ス 語,イ
ナEngiadina)地
タ リア 語 に 次
「国 語 」 と して,さ
方―
の 源 流 地 帯 で,避
ドナ ウ川 水 系 イ ン(Inn)川
暑 地 サ ン モ リ ッ ツ(St.Moritz,
ロ マ ン シ ュ語 名 サ ン ミ ュ レ ッ ツ ァ ンSan
らに最 近 に
Murez
の国
zan)を
中 心 とす る 高 地 エ ン ガ デ ィ ン(Engiadin'
民 投 票 に よ り 「公 用 語 」 と して い ち お う認 め ら れ て い
ota)地
方 と,同
な っ て 少 数 言 語 擁 護 の 世 論 が 高 ま り,1996年3月
る.し
か し,さ
らず,ド
ま ざ まな 再 生 の た め の努 力 に もか か わ
イ ツ 語 の 侵 食 に 従 っ て,次
第 に,そ
(Scuol)を dina
の勢 力 を
ス メ デ ィ ア の 影 響 で,ロ は,ほ
よ ば れ る.そ
は サ メ ー ダ ン(Samedan)に
イ ツ語 との二 言 語 併 用 者 とな って
動 が 展 開 さ れ て い る.後
紀 以 来,共
通 ロマ ン シ ュ語 の 必 要性 が 認識
語,ロ
マ ン シ ュ 語 名 は,ル
ざ ま な 試 み が な さ れ て き た が,特
方 言 が,オ
フ ェ ン(Ofen)峠
章語 の
ル セ ル ヴ ァ 地 方―
般 に,ス
方 言 名 は,ス
ル シル ヴ ァ
ン 語 ・ グ ラ ウ ビ ュ ン デ ン州 の 州 都 ク ー ル(ド 語 名Chur,ロ は,ク
マ ン シュ語 名
エ ラCuera)か
が,イ
た
マ ンシ ュ語 名
の 町 で あ る.ル
ネ ッ サ ンス 時 代 に は,い
ロ マ ン シ ュ 語 の 印 刷 が こ こ で 行 な わ れ,以 語 文 化 の 擁 護 運 動 の 中 心 と な っ て い る.ロ ュ 語 で は,ロ 語 彙,統
モ ン チ ュ(romontsch)と
語 法 と も に,隣
れ ら と 区 別 せ ね ば な ら な い.
b)ス
域 が あ る.方
ッ ト セ ル ヴ ァ 地 方―
方 言 名 は,ス
リ ム ス(Flims)の
抜 け る 峠 道 が 南 に あ る た め,中 語 の 侵 入 が 著 し く,4地
ッ トシル
森 を 隔 て て,ス
セ ル ヴ ァ 地 方 の 下 流 に 位 置 す る一 帯.イ
ル
言 分 布 は,セ
語 化 さ れ て,言
地 と な っ て い る.ロ (rumantsch)と
tino‐Alto
Adige)自
と つ の 流 域 で,交
っ とも非
言 語 に 対 す る 呼 称 と し て,ラ
デ ィ ン(ladin)が
用い ら
こ こ で は,簡
潔 に,ド
中心
マ ンチュ
た る ま で,強
ロ ミテ 語 と総 称 す る こ と に す る.
ご と に 分 断 さ れ た ま ま,辺 た.第1次
ル ミラ ン語 ・
大 戦 後 は,イ
ほ と ん ど の 話 者 が,イ
通 の 要 所 で あ る テ ィー フ ェ ンカ
ミテ 語 の 言 語 人 口 は,資
サ ヴ ォ ー ニ ン(Savognin)
ら7万
マ ン シ ュ 語 で は,ル
マ
よ ば れ る.
ン ガ デ ィ ン(ロ マ ン シ ュ 語 名
エ ン ジ ヤデ ィー
3万
境 言語 の歴 史 を た ど って き タ リ ア に 併 合 さ れ て3県
に分
準 語 形 成 の 機 会 を 失 っ て し ま っ た.
る い は,ド
の ス ッ トシル ヴ ァ ン語 と近 い特
世 か ら現 代 に い
力 な ドイ ツ 語 圏 と イ タ リア 語 圏 の 間 で 谷
割 さ れ た た め,標
方 言 名 は,ス
イ ス の ラ デ ィ ン語 と の 混 同 を 避 け る
か ら発 す る ラ イ ン 川 の 源 流 の ひ
と め ら れ る こ と が 多 い.ロ
か くは,5
者 自身 に よ る この 地 域 全 体 の
チ ロ ル ・ア ル プ ス の 南 端 に 位 置 し,中 全 に ドイ ツ
徴 を 示 す た め に,「 中 央 ロ マ ン シ ュ 語 」 と し て ま
ン チ ュ(rumantsch)と
つ の 谷 に 分 類 さ れ る.話
ロ ミテ ・ラ デ ィ ン 語 と よ ば れ る 場 合 が 多 い.
ラ ン ツ(Ilanz)が
ス テ ル(Tiefencastel)や を 中 心 と す る.西
治 州 と,そ の 東 に 隣 接 す る ヴ ェ ネ
の 山 岳 地 帯 に ま た が り,細
た め に,ド
マ ン シ ュ 語 で は,ル
ル メ イ ル 地 方―
塊 を中 心 に
世末 期 か ら ドイ ツ
よ ば れ る.
ユ リ ア(Julier)峠
ル ラ(Sella)山
レ ン テ ィ ー ノ ・ア ル ト ・ア デ ィ ー ジ ェ(Tren
記,ス
方 の 中 で も,も
語 上 は,イ
ロ ミテ 諸 語 地
れ る が,上
ロ マ ン シ ュ 語 化 が 進 ん で い る.
d)エ
し て,ト
ロ を 隔 て て,ド
タ リア に
中 心 地 の ト ゥ シ ス(Thusis)は,完
c)ス
線 距 離 で 約100キ
ト(Veneto)州
ヴ ァ ン 語.フ
ス イ ス ・ロ マ
ン シュ語 の 話 され る グ ラ ウ ビュ ンデ ン州 の 南 端 か ら東
マ ンシ
強 い.
よぶ 場 合 が 一 般 的
タ リ ア 北 部 の ド ロ ミテ 地 方
に,直
接 す る ドイ ツ 語 の 影 響 が
地 名 で ラ デ ィン
ト ・ロ マ ンス 諸 語 を 総
な の で,そ
後,言
よ ば れ,
い し,現
る い は,レ
デ ィ ー ノ(ladino)と
2)イ
ち 早 く,
記 の ド ロ ミ テ 諸 方 言 を,ラ
称 し て,ラ
イ ツ語 名
ム シ ュ テ ー ルMuster)
よぶ のが 慣 例 と な っ て い る
タ リア 人 が,下
(ladin)と,あ
帯 の 谷 で,中 心 地 は,中 世 か ら ベ ネ デ ィ ク ト派 の 修
Disentis,ロ
を南 に越 え て イ タ リ
れ ら の 諸 方 言 を ま と め て,
デ ィ ー ニ(ladini),な
ら東 に 入 る ラ イ ン川 源 流 地
道 院 が あ っ て 栄 え た デ ィ セ ン テ ィ ス(ド
イ ス で は,こ
ラ デ ィ ン 語(ladin)と
イツ
コ イ ラCoira,ま
語 的特 徴 か ら は後 者 に属 す る小
ア と の 国 境 に 接 す る ミ ュ ス タ イ ル の 谷 に あ る.一
の 開 発 と普 及 が 進 め ら れ て い る. a)ス
発 な復 興 運
マ ン チ ュ(rumantsch)
た,言
Grischun)
の言 語 文 化 的 中心
者 の方 言 は ヴ ァ ラ ー デ ル
で あ る.ま
に 最 近 は,文
メ ー ンチ ュ
あ り,活
さ れ,中 間 地 帯 の ス ル ミ ラ ン語 を 中 心 言 語 と し て,さ ま
レベ ル で,統 一 ロ マ ン シ ュ語(Rumantsch
者 の 方言 は ピ
(rumauntsch)と
在で
ぼ 完 全 に,ド
い る.18世
方 と に 分 か れ る.前 マ ン シ ュ 語 名 は,ル
業 生 活,マ
マ ン シ ュ 語 の 話 者 は,現
中 心 と す る 低 地 エ ン ガ デ ィ ン(Engia
bassa)地
ュ テ ー ル 語 で,ロ
失 い つ つ あ る の が 現 在 の 趨 勢 で あ る. 小 学 校 高 学 年 か ら の ドイ ツ 語 教 育 や,職
じ谷 の下 流 地 域 の シュ ク オ ル
タ リ ア 語 と の 二 言 語 併 用 者,あ
イ ツ 語 を 加 え て 三 言 語 併 用 者 で あ る.ド 料 の と り方 に よ っ て1万
人 ま で の 幅 が あ る が,推
計,約2万5千
ロ 人か
人か ら
人 の 間 で あ る と 考 え られ る.
a)バ ト語
デ ィ ー ア 渓 谷 地 方―
方 言 名 は,バ
デ ィオ ッ
ト レ ン テ ィ ー ノ ・ア ル ト ・ア デ ィ ー ジ ェ 州,
ボ ル ツ ァ ー ノ(Bolzano)県
に 属 し,こ
政,教
言の使用 が公けに認め
育,教
会 な ど で,方
こ で は,行
られ て い る.険 しい 地 理 的 環 境 に あ るた め,長 い
して お り,若 干 の 語 彙 的 要 素 を 受 け 入 れ て い る.し か
間,中 央 イ タ リアか らの 「トス カ ー ナ語 化」 の影
し,現 在 で も,一 般 に,民 衆 の 間 で は,フ
響 を被 らな か った.そ の た め,歴 史 的 な保 守 性 が
メ デ ィア が 好 まれ,文 学 活 動 も活 発 で あ る.フ
リウリ
顕 著 で,ド ロ ミテ ・ラデ ィ ン語 の 典 型的 な特 徴 を
語 の 言語 学 的 研 究 は,主 に,ウ デ ィネ(Udine)大
学 と,
多 く示 す.し か し,隣 接 す る言語 文 化 圏 は,む
西 の パ ドヴ ァ(Padova)大
し
学 で な され,フ
ろ ドイ ツ 語 で あ り,そ の 影 響 は 無視 で き な い.文
の 言 語地 図 も刊 行 され て い る.
化 的 中 心地 は,サ ン ・ マ ル テ ィー ノ(San
a)フ
Martino)
で あ る. b)ガ
方 言 名 は,ガ ル ダイ ナ
リウ リ地 方
リウ リ平 野 中 央 お よび東 部 地 方―
は,フ
ル デ ー ナ渓 谷 地 方―
リ ウ リ語 の
(furlan
東部方言
リウ リ語 諸 方 言 の共 通 語(コ イネ ー)的 役 割 comun)を
果 た して お り,中 心 地 は ウ デ
語・ セ ル ラ山 塊 か ら西 に伸 び て イ ザ ル コ(Isarco)
ィネ で あ る.こ こに は,大 学 の ほか,フ
川 に合 流 す る この渓 谷 は,地 形 が穏 や か で,し か
文 献 協 会 が 出版 ・啓蒙 活 動 を行 な い,伝 統 的 言 語
リウ リ語
も,古 くか ら木 製 玩 具 の 製造 を産 業 として もって
文 化 の 擁 護 に 努 め て い る.こ の方 言 は,強 勢 音 節
い た.こ の た め,交 通 が 頻 繁 で,言 語 的 に も均 質
の 強 位 置/弱 位 置 に よ り,語 末 母 音 の 長/短
で あ り,人 口 の9割 以 上 が,こ の方 言 を母 語 と し
韻 論 的 対 立(i:/i,e:/e,etc.)を
て い る.バ デ ィー ア地 方 と同様,ド
る.
イ ツ語 か らの
影 響が 大 き い.中 心 地 は,オ ル テ ィゼ イ(Ortisei) で あ る. c)フ
b)フ
リ ウ リ平野 西 部地 方―
の音
もつ の が 特 徴 で あ
平 野 を北 か ら南 に流
れ,ア ド リア海 に注 ぐ タ リャメ ン ト(Tagliamento)
ァ ッサ渓 谷 地 方―
方 言名 は,フ ァ ッサ 語.セ
ル ラ 山塊 か ら南 西 に伸 び る谷 は,ト レ ン ト(Tren
川 を 隔 て て,西 の半 分 が,フ
リ ウ リ語 西 部 方 言
(furlan
occidental)地
to)県 に属 し,隣 接 す る北 イ タ リア の ヴ ェネ ト語
もに,こ
こで は,特 に,ヴ ェネ ト語 との 干 渉 現 象
(veneto)の
が 著 しい.東 部 方 言 の 長母 音/短 母 音 の対 立 は な
影 響が,音 韻 か ら構 文 上 まで 強 くみ ら
れ る.モ エ ー ナ(Moena)を ト以上 が,フ d)フ
中心 に,75パ
ーセ ン
ァッサ 語 の 話者 で あ る.
ォ ドム渓 谷 地 方―
セ ル ラ 山塊 の 南 東,リ
域 で あ る.海 岸 地 帯 と と
く,ス イ ス の エ ンガ デ ィン地 方 の ラデ ィ ン語 の よ うな 下 降 二 重 母 音 との 対立(i,a,u,ei,ou)と
方 言 名 は,フ ォ ドム語. ヴ ィ ナル ロ ンゴ(Livinal
な
る. c)カ
ル ニ ア地 方―
フ リウ リ平 野 の 北 で,オ ー ス
longo)地 方 は,ヴ ェネ ト州,ベ ル ル ー ノ(Belluno)
トリア 国 境 に近 い 山 間 部 の フ リ ウ リ語 は,カ ル ニ
県 に属 し,約90パ
ア 方 言 と よばれ,音 韻,語 彙 の面 で独 自の特 徴 を
ー セ ン トの住 民 が,こ の 方 言 を
母 語 と して い る. e)コ
示 す.強 位 置/弱 位 置 に よる音 韻 論 的 対立 は,西
ル テ ィー ナ ・ダ ンペ ッツ ォ地 方―
カ ドリー ノ 語.フ
ォ ドム地 方 と 同 じ行 政 区 分 に属
す るが,人 口の30パ は い な い.こ
方 言 名 は,
ー セ ン トしか この 方 言 の話 者
こで は,い か な る法 的,公 的 な 地 位
も与 え られ て お らず,ヴ ェネ ト語 に従 属 して い る. 3)イ
タ リア,フ リウ リ地 方
行 政 区 分 上 は,フ リ
ウ リ ・ヴ ェネ チ ア ・ジ ュ リア(Friuli‐Venezia
Giulia)
自治 州 に あ り,州 都 は,19世 紀 に,ヴ ェネ ト語 に よ っ
部 方 言 と同 じ タイ プ を もつ.カ
ル ニ ア 語 は,3つ
の 小 さな谷 に分 か れて 存 在 し,中 心 地 や共 通 語 は もた な い. [系統論 争 と名 称]
レ ト ・ロ マ ンス語 が他 の 言 語
との 間 に もつ 類 似 性 を発 見 し,書 物 の形 に ま とめ た の は,ス イ ス の エ ンガ デ ィ ン地 方 出 身で,イ ギ リス大 英 博 物 館 の 司書 を して い た プ ラ ン タ(J.Planta)で
あ った.
て 非 フ リ ウ リ語 化 され た トリエ ス テ(Trieste)で あ る.
彼 は,1776年 に,フ ラ ンス 語 最 古 の 文 献 『ス トラ ス ブ ー ル の宣 誓 』(Serments de Strasbourg ,842)と,
フ リ ウ リ語 は,主 に,中 央 の平 野 部 に残 され,言 語 人
エ ンガ デ ィ ン地 方 の ロ マ ン シ ュ語 方 言 で あ るラ デ ィ ン
口は50万
語 を比 較 して,そ の相 似 性 を指 摘 し た.そ の後,1790
人 を 越 え るが,公 け の場 や 義 務 教育 の 言 語 と
は な って お らず,地 域 語 と して の地 位 は低 い と言 え る.
年 に,ス ラブ 系 学者 のカ ル リ(J.R.Karli)は,聖
歴史 的 に,フ
リ ウ リ語 は,隣 接 す る ヴ ェネ ト語 の絶 え
『 創 世 紀 』の 冒 頭 部分 につ い て,や は り,エ ンガ デ ィ ン
ざ る 影 響 を 強 く受 け て お り,多 くの 共 通 の要 素 を見 い
地 方 の ラ デ ィ ン語 とフ リウ リ語 との 両 方 の翻 訳 文 を対
だ す こ とが で き る.日 常 的 に,大 部 分 の 住 民 は,ヴ ェネ
照 して,そ の 類 似性 を根 拠 に,こ れ らが 同一 の言 語 に
ト語 との二 言 語併 用 状 態 に あ る.さ ら に,今 世 紀 に な
属 す る2方 言 で は な いか と結 論 した.さ
っ て積 極 的 に 進 め られ た 「イ タ リア 化 」政策 に よ って,
リ語 が,ラ テ ン語KA‐
特 に,都 市 部 で は,公 的 に は,イ タ リア 語 が フ リ ウ リ語
折 語 尾 の ‐sな ど,フ
を駆 逐 して しま った.ま た,イ タ リア 国 境 内 部 で も,
か ら,イ タ リア 語 よ り,フ ラ ンス 語 に近 い こ とを主 張
周辺 部 で は,北 の ドイ ツ語,東 の ス ロベ ニ ア語 と接 触
した.現 代 の ロマ ンス 語 学 で 言 う 「西 ロ マ ニ ア」 的 特
ら に,フ
書の
リウ
の 口蓋 化,複 数 を示 す 語 末 屈 ラ ンス 語 との 共 通 点 を もつ こ と
徴 で あ る(後 述 参 照).
19世 紀 後 半 に,史
る と,レ
ス を 中 心 に,こ
的 音 声 学 の 方法 が精 密 に な って く
ト・ロ マ ン ス 諸 語 の 内 的 一 体 性 を 証 明 し よ う と
い う 試 み が な さ れ た.当
の 便 利 な 名 称 が 広 ま っ た が,ス
「ロ マ ン シ ュ語 」 を 言 う場 合 に も,広
第2の
不 都 合 が 生 じ た.最
ler)と,ス
manisch「
近 で は,狭
マ ン シ ュ 語 に 対 し て は,ド
ラ ウ ビ ュ ン デ ン州 の ロ マ ン シ ュ 語
諸 方 言 を 研 究 し て い た ラ ウ シ ュ(F.Rausch)は,と に1870年,フ
を 形 成 す る と論 じた.こ に,フ
も
リ ウ リ語 と そ れ ぞ れ の 言 語 が 同 一 言 語 群 れ ら の 主 張 を 受 け て,1873年
て,区
を 著 し,そ
『ラ デ ィ ン 語 試 論 』(Saggi
こ で,3つ
属 す る と い う 学 説 を た て た.本 語 学 は,ア
の言 語 群 に
さ ら に,東
は 「ノ リ ク ム(Noricum)」
と よ ば れ,レ
ッテ ィ ス テ ィ(C.Battisti)や ど,イ
ト ・ロ マ ン ス 諸 語 に,独
し て の 自 立 性 を 与 え ず,イ
タ リ ア 北 部 の ガ ロ ・イ タ リ
た が っ て,こ
の 点 に よ り,3つ
言 語 群 に そ れ ぞ れ 独 立 し た 地 位 を 与 え,さ
ら に,レ
の ト・
ー マ時 代 に チア には 含 ま
た が っ て,レ
チ ア とい
う地 方 名 な い し 民 族 基 層 を 共 有 し な い ド ロ ミテ 語 や フ
タ リア 人 学 者 の 多
ア 語 系 か ヴ ェ ネ ト語 系 の 方 言 に 連 な る も の で あ る と い う 立 場 を と っ た.し
れ て い な か っ た か ら で あ る.し
サル
自の 言 語 グル ー プ と
名 な どか ら
の フ リ ウ リ平 野 地 方 に ま で 広 く分 布 し て い
ト・ロ マ ン ス 語 が 「ラ デ ィ ン 語 」 と い ス コ リに な ら って の こ とで
代 民族
確 認 さ れ て い る も の の,イ タ リ ア 北 部 の ド ロ ミテ 地 方,
れ ら の 地 方 は,ロ
ヴ ィ オ ー ニ(C.Salvioni)な く は,レ
た る 平 野 地 方 に も 居 住 し て い た こ と は,地
た と は 考 え ら れ な い.こ
う 名 称 で よ ば れ る の は,ア だ し,バ
な わ ち,古
イ ス ・ア ル プ ス か ら 北 の ドイ ツ に い
タ リア 人
学 者 に よ っ て,レ
あ る.た
の 「レ ト ・ ロ マ ン ス 語 」 と い う 命 名 に は,
の レ チ ア 人 は,ス
格 的 な レ ト ・ロ マ ン ス
ス コ リ か ら 始 ま っ た と言 え る.イ
Ro
別 を す る よ う に な っ て い る.
歴 史 的 事 実 に 反 す る 誤 りが あ る.す
ladini)
の 地 域 の 言 語 が1つ
義 の ス イ ス ・ロ
イ ツ 語 でBundner
グ ラ ウ ビ ュ ンデ ン州 ロマ ンシ ュ語 」 と言 っ
し か し,こ
リ ウ リ地 方 出 身 の イ タ リア 人 方 言 学 者 ア ス コ リ
(G.I.Ascoli)は
イスの
「レ ト・ロ マ
ン ス 諸 語 」 を 総 称 し て 言 う 場 合 に も使 わ れ る と い う,
時 の オ ー ス ト リ ア 領 ド ロ ミテ
地 方 の 方 言 を 研 究 して い た シ ュ ネ ッ ラ ー(Ch.Schnel イ ス,グ
義の
リ ウ リ語 に ま で,「
レ ト・ロ マ ン ス 」 の 名 を 与 え る の は
問 題 で あ ろ う. 同 様 に,ブ
ル シ エ(E.Bourciez)の
う に,langues
rhetiques「
め る こ と も,同
じ 理 由 か ら誤 解 を 生 ず る.
ま た,ガ
よ
レ チ ア 諸 語 」 と して ま と
ミル シ ェ ク(E.Gamillscheg)は,ア
ル プ
ス 固 有 の 語 彙 や 地 名 を 根 拠 に,Alpenromanischen
ロマ ンス語 と して系 統 的 一 体 性 を う ち た て よ う と し
「ア ル プ ス ・ロ マ ン ス 諸 語 」 と い う名 称 を 与 え た が,平
た,ス
野 部 の フ リ ウ リ地 方 は や は り排 除 さ れ,ま
イ ス や ド イ ツ の ロ マ ン ス 語 学 者 た ち と 鋭 く対 立
し た.こ
の 論 争 の 背 景 に は,第1次
大 戦 前 後 か ら,ド
イ ツ,オ
ー ス ト リ ア に 対 し て,南
チ ロル を め ぐっ てイ
タ リア 国 内 で ナ シ ョ ナ リ ズ ム が 勃 興 し つ つ あ っ た 反 面,他
方,ス
イ ス 人 側 で は,イ
併 合 の 野 望 を 警 戒 し た,自 と い う状 況 が あ っ た.ロ
衛 の 意 識 が は た らいて いた マ ン シ ュ 語 を,国
語 と し て 認 め る と い う,1938年 る 決 定 は,こ
タ リア 側 の 領 土 拡 大,
の正 式 な 言
他 方,イ
タ リ ア 人 学 者 の ほ と ん ど は,レ
ス 諸 語 全 体 を さ す の に,ド
は,狭
イ ス,ア
ル プ ス 地 方 一 帯 か ら ドイ ツ 南 部 に か け
エ テ ィ アRaetia)と,「
「レ チ ア 」(ま
た
ロ マ ン ス 」(< ラ テ ン語
代 の 「レ
ト ・ロ マ ンス 」 語 地 域 と は 一 致 し な い の で あ る.
を 用 い て い る.し
代 ロー マ 人 に よっ
ルプ
ル プス 地 方 一 帯 をお お う古 代
の 民 族 ・言 語 基 層 の 存 在 は 認 め る に し て も,現
デ ィ ン 語(ladin)」
て の地 域 に対 して 付 け られ た 地 方 名 は,ラ
適 当 で あ る.ア
の よ うな 歴史 的 文脈 の 中 で な され た の で
あ る.
て,ス
の で,不
の ス イ ス国 民 投 票 に よ
レ ト ・ロ マ ン ス と い う名 称 は,古
た,ア
ス 山 脈 南 西 部 の フ ラ ン ス ・ア ル プ ス ま で 含 ん で し ま う
ト ・ロマ ン
ロ ミテ 語 の 自 称 で あ る 「ラ
に 相 当 す るladino(複 か し,こ
数ladini)
の 語ladin(<LATINU)
義 の ド ロ ミテ ・ラ デ ィ ン語 の 名 称 と し て 用 い ら
れ る ほ か に,ス
イ ス,グ
ラ ウ ビ ュ ンデ ン州,エ
ンガ デ
ィ ン 渓 谷 地 方 の ロ マ ン シ ュ 語 の 自 称 で も あ る.さ に,「 ラ デ ィ ー ノ(ladino)」 っ て の 外 国 語,つ
ま り,ス
は,中
米 で,原
ら
住民に と
ペ イ ン 語 を 意 味 し,そ
の言
ROMANICE)と
い う 言 語 系 統 名 と の 合 成 語 で あ る.
語 を 理 解 す る 「白 人 と イ ン デ ィ オ と の 混 血 の 人 」 を さ
こ の 名 称 は,19世
紀 の 初 め,ス イ ス 人 で,デ ィ セ ン テ ィ
す こ と も あ る.ま
ス に 住 む ベ ネ デ ィ ク ト派 の 修 道 僧 で あ っ た,プ ラ チ ア ・
々 の話 す
シ ュ ペ ッ シ ャ(Placia
た が っ て,こ
ドイ ツ 語 で は,フ
Spescha)に
よ っ て 用 い ら れ た,
ラ ンス語 や イ タ リ ア 語 な ど を 含 む
「ロ マ ン ス 語 」 を 示 すRomanischが,ス
イスの
マ ン シ ュ 語 」 を 表 わ す の に も 使 わ れ て い た た め,誤 が 生 じ や す く不 便 で あ っ た.そ
こ で,古
解
代 の地 方 名 な
い し は 民 族 名 を 付 け て,Rato‐romanischと に よ っ て,区
「ロ
別 を 容 易 に し た の で あ る.そ
すること の 後,ス
イ
た,場
合 に よ っ て は,ユ
ダ ヤ 系 の人
「ロ マ ン ス 語 」 の 意 味 に な る こ と も あ る .し の よ う に多 義 で あ る
「ラ デ ィ ン 」 を,レ
ト ・ロ マ ン ス 諸 語 全 体 の 総 称 とす る こ と は 避 け る べ き で あ ろ う. レ ト ・ ロ マ ン ス 諸 語 の 話 さ れ る3地 て,ベ
域の両端 をとっ
ッ ク(P.Bec)は,rheto‐frioulans「
レ ト ・フ
リ ウ リ諸 語 」 と い う 命 名 を し て い る が,内 性 は 認 め られ る に し て も,ま
だ,一
容的 な 妥 当
般 的 な 名称 とは な
って いな い. ラ 名 称 の 問 題 は,こ の言 語 群が,果 系 統 的 な,あ
テ ン語 の屈 折 ・ 活 用語 尾 ‐Sの 保 存
た して,ひ とつ の
るい は,類 型 的な 一 体 性 を もつ か ど うか
の 点 に もか か わ って くる.「 レ ト・ロ マ ンス 」 系 言 語 と
主
格
対
ラ テ ン語 (単数) (複 数) 「年 」 ANNUS ANNI
格
(単数) ANNUM
(複 数) ANNOS
い う名 称 を用 い る場 合,「 イベ ロ ・ロ マ ンス 」 「イ タ ロ・ ロマ ンス」 「バ ル カ ン ・ロ マ ンス 」 「ガ ロ ・ロ マ ン ス」 と並 列 に お か れ て,ロ マ ンス 諸 語 の一 大 言 語 群 と して の 位 置 づ け を す る こ と に な る.「 ガ ロ ・ロ マ ンス 」 的 特
東ロマニア イタリア語 anno
anni
ルーマニア語 an
ani
西 ロマ ニ ア
徴 を多 く もつ レ ト ・ロマ ンス 語 が,そ れ とは 別 に独 立
レト・
した グ ル ー プ を形 成 す るか ど うか につ い て は,議 論 の
ロマンス語
an/on
ans/ons
多 い と ころ で あ る.
フランス語
an
ans
スペイン語
ano
anos
[言語 特 徴]
レ ト ・ロマ ンス 語 は,数 多 くの 方 言
群 の総 称 で あ り,ひ とつ の 言 語 に 代 表 させ て,そ の特 徴 を網 羅 す る こ とは で きな い.以 下 に,レ
ト ・ロマ ン
‐ⅰの あ っ た 形 跡 を う か が わ せ る 語 尾 を と る .
ス語 を1つ の言 語 群 と して ま とめ る 特 徴 の み を 掲 げ る.下 位 言 語 グル ー プ に つ い て の個 別 的 な記 述 は,「ド
/nes/「
ロ ミテ語 」 「フ リウ リ語」 「ロマ ン シュ語 」 の各 項 目 を
声
語,ル
ア ス コ リの研 究 以 来,レ
ト ・ロマ ン
ス諸 語 の共 通 的特 徴 と して,一 般 に,次 の4点 が あ げ られ る. 末 屈 折 語尾 ‐Sの 保 存.
2)語
頭 子 音 群PL‐,BL‐,KL‐,GL‐,FL‐
3)KA‐,GA‐,U,Aに 4)特
タ リア 語 で は,‐iと
BELLAS
れ
れ に 対 し て,
な っ て い る.
DOMINAS
LA
UDAS.
レ ト ・ロ マ ン ス 語
ロ ・ロマ ンス 系 あ る い はガ
(ス ル ミ ラ ン)Tei
ロ ・イ タ リア 系 言 語 に も,あ る程 度 は共 通 して み られ ト ・ロマ ンス 諸 語 に お いて は,さ
(ヴ ァ ラ ー デ ル)Tu
Tu
テ ン語 の 語 末 屈 折 ・活 用 語 尾 の ‐Sの保 存
laudas
las
lodast
bialas
duonas.
belas
duonas.
las
フ ラ ンス 語
らに際 立 った 特 殊 性 が 指 摘 され う るの で あ る. 1)ラ
保 存 し て い る.こ
「君 は 美 し い 婦 人 た ち を 讃 え る 」
殊 な 二 重 母 音 化 現 象.
る もの で あ るが,レ
称 に,‐sを
も,「 西 ロ マ ニ ア 」 的 共 通 特 徴 で あ る.こ
ラ テ ン語
の 保 存.
起 こる 口 蓋化 現 象.
これ ら の通 時 的 現 象 は,ガ
タ リア
ー マ ニ ア 語 で は,noi,voi).
動 詞 活 用 語 尾 の2人
た と え ば,イ
1)語
数)(<*nes‐i) 残 し て い る.
ラ テ ン 語NOS,VOS>nus,vus(cf.イ
参照 された い. Ⅰ)音
鼻 」(単 数):/nes/(複
人 称 代 名 詞 の 複 数 形 も,‐sを
loues
les
belles
dames.
イ タ リア 語 Lodi
レ ト・ロマ ンス 語 地 域 で は,ラ テ ン語 の語 末 子 音 ‐S
le belle
donne.
は,発 音 上,消 滅 せ ず に 残 存 した.そ の た め に,イ タ
2)ラ
リア 語 地 域 とは 対照 的 に,こ の ‐sが文 法 機 能 の 標 識 と
PL‐,BL‐.,KL‐,GL‐,お
して 機 能 しつ づ け て い る.名 詞,形 容詞 等 の複 数 は,
は,ロ
ラテ ン語 の 対 格 複数 か ら形 成 され る.こ の複 数 を示 す
ロ マ ン ス 系 言 語 と レ ト ・ ロ マ ン ス 語 だ け が,完
形 態 素 ‐sは,フ
れ ら を 保 存 し た.こ
ラ ンス 語,ス ペ イ ン語,ポ ル トガ ル 語
テ ン語 の 語 頭 閉 鎖 子 音 に ‐L‐が 続 く子 音 群 の よ び,摩
擦 音 の 子 音FL‐
マ ン ス 諸 語 の 中 で 多 様 な 進 化 を と げ た が,ガ
の 保 守 性 は,レ
ロ・
全 にそ
ト ・ロマ ンス 語 を
な ど,ロ マ ンス 諸 語 の うち で,「 西 ロマ ニ ア」の 言 語 グ
ガ ロ ・ロマ ンス 系 言 語 の 中 に 含 め よ う とす る立 場 の有
ル ー プ が 共 通 して もつ 特徴 とさ れ る.他 方,イ
力 な 論 拠 と な る.
タ リア
語,ル ー マ ニ ア 語 は,ラ テ ン語 の主 格 複 数 か ら複 数 形 を受 け 継 い で お り,「 東 ロマ ニ ア」 の グル ー プ を 形 成 す る.レ
ト ・ロマ ンス語 は,イ タ リア北 部 の ロ ンバ ル
デ ィア 方 言 と同 じ く,こ の点 で,「西 ロ マニ ア 」系 の 言 語 で あ る と言 え る(表1を
参照).
ラ テ ン語PLANTA「
ラ テ ン 語CLAVE「
蓋化現象
し か し,レ な く,ス
る と こ ろ も あ る.こ
数形に
口 蓋 化 す る 傾 向 を も つ.
ト ・ロマ ンス 諸 語 に一 様 にみ られ るの で は
リア 語 の よ うに,主 格 複 数 か ら の ‐ Ⅰ を受 け 継 い で い
語 の 子 音 で終 わ る 男性 名 詞 の い くつ か は,複
リ
ガ ロ ・ロ マ ンス 語 的 特 徴 で あ る,
強 勢 母 音 ‐Aの 前 のKとGが
る こ とが 注 目 され る.た
とえ ば,ド ロ ミテ ・ラデ ィ ン
鍵 」 > レ ト ・ロ マ ン ス 語(フ
ウ リ)claf,仏clef(cf.伊chiave) 3)口
た だ し,ド ロ ミテ ・ラ デ ィン語 とフ リウ リ語 で は, 一部の名詞が ,対 格 複 数 か らの‐Sで は な くて,イ タ
植 物 」> レ ト ・ ロ マ ン ス 語(ヴ
ァ ラ ー デ ル)planta,仏plante(cf.伊pianta)
ル シ ル ヴ ァ ン 語 の よ う に,ka‐
を と どめ て い
れ は,近
隣 の ドイ ツ 語 か ら の 強 い
影 響 を 受 け て き た た め に,逆
行 現 象 が 起 きて い る と考
え ら れ る.す
な わ ち,ka‐
>k'a‐
ラ テ ン語KA‐:CAPRA「
>tsa‐
>ka‐.
俗 ラ テ ン 語 の 狭 口 母 音e[e]とo[o]が,フ
山 羊」
と 進 化 し,
イ タ リ ア 語ka‐:kapra
「ガ ロ ・ロ マ ン ス 的 二 重 母 音 化 」 と よ ば れ る が ,ス イ ス ・
レ ト ・ロー マ ンス 語
ロ マ ン シ ュ 語(ス ー デ ル 語)で
(ス ル シ ル ヴ ァ ン)ka‐:kaura
ル ミ ラ ン語,ピ
も
,同
ラ テ ン語SERA「
(ヴ ァ ラ ー デ ル)tsa‐:tsavra
伊sera;古
(ピ ュ テ ー ル)tse‐:tsevra
swa:r;レ
(西 フ リ ウ リ)tsa‐:tsavra
(ス ル ミ ラ ン)seira,(ベ
こ の よ う な 共 時 的 多 様 性 は,必
ず し も,口
蓋化の通時
Ⅱ)形
理 的 分 布 か ら 明 ら か で あ る.む
し ろ,隣
お い て は,ま
る ドイ ツ 語 や ヴ ェ ネ ト語 か ら の 傍 層 的 干 渉 作 用 を 原 因
た 格)と
と み る 立 場 が 有 力 で あ る.
ど っ た.上
ま た,ケ
前 舌 化 が,フ
リ ウ リ地 方 と ド
ロ ミテ地 方 ア デ ィー ジ ェ渓 谷 を除 く レ ト ・ロマ ンス 語 全 域 に み ら れ る.フ
現 代 レ ト ・ ロ マ ンス 語 の 形 態 ・ ず,格
体 系の 部 分的 保 存
テ ン 語 の 格 体 系 は,ロ
ず,主
い う2つ
格 と 斜 格(主
格 以 外 の 格 が融 合 し
述 の,ラ
テ ン 語 の 屈 折 語 尾 ‐Sの
ル プ ス 地 帯 に も認 め ら れ る こ と は,
1)形
容 詞 主 格 の ‐Sの
保存
ス イ ス ・ロマ ンシ
は,2格
体 系(主 格/斜
体 系 の 保 持 は,ガ
《レ ト ・ ロ マ ン ス 語(ス ル シ ル ヴ ァ ン)》 Igl
な っ て い る.こ
um
ei naschius
libers.
の 方 言 の 東 に隣 接 す る 中 央 グ ラ ウ ビ ュ ン デ ン 地 方(ス
「人 は 自 由 に 生 ま れ て い る(生
ッ トシ ル ヴ ァ ン 語 と ス ル ミ ラ ン 語)で
自 由 で あ る)」
二 重 母 音 化 し てeiと
進 化 す る.さ
ギ ュ ン(Bergun)地
のiが,
方 で は,ekと
ら に,上
流のベル
[myr];レ
(cf.ラ
壁 」 > 伊muro;仏mur
ト ・ ロ マ ン ス 語(エ
ピ ュ テ ー ル)mur,(ス トシ ル ヴ ァ ン,ス
ンガ デ ィ ン地 方 の ッ
ル ギ ュ ン地
進 化 し た 広 口 母 音e[〓]と マ ンス 諸 語 に 広 く発 す るの
HOMO
(直 接 目 的 格)に り,対
格 のme「
加 え て,与
対 立 し て い る.た
与 格 的 な 機 能 は,前
く に お い て は,対
に し か 残 さ れ て い な い.た
な ど)に 対 し て,逆 ま た,ス
と え ば,エ
に,下
降 二 重 母 音(ei,ou)と
ル シ ル ヴ ァ ン 語 で は,二
ラ テ ン 語MEL「蜜 miele;仏miel;レ ン)mel,(ス
ン ガ デ ィ ン地 方
の 言 語 の 上 昇 二 重 母 音(ie,uo
」,俗
な る.
ュ テ ー ル)meil
接 目 的 格)の
だ し,ピ
私 に 」(ま
伊
格
形 があ た は,
ュ テ ー ル 語 で は,
用 い て,分
析 的 にame
代 ロマ ンス 諸 語 の 多
格 の 対 立 は,3人 と え ば,フ
称 の代 名詞
ラ ン ス 語 で は,
次 の よ う に な る.
(女)ら
を 」/leur「 彼(女)ら
こ の 与 格 の 保 持 は,定
ト・ロ マ ンス 語(ス ル シ ル ヴ ァ ル ミ ラ ン)meal,(ピ
格/与
除 く レ 格,対
le「 彼 を 」,la「 彼 女 を 」/lui「 彼(女)に
重 母 音 化 し な い.
ラ テ ン語*MELE>
格(間
な み に,現
こ ろ が,レ
ピ ュ テ ー ル 語 で は,他
称 代 名 詞 に,主
置 詞aを
の よ う に 示 さ れ る.ち
般 に,「 共 通 ロ マ ン ス 的 二 重 母 音 化 」 と よ ば れ
化 は 特 殊 な 方 向 を と る.た
エ ン ガ デ ィ ン地
私 を 」 と 与 格 のmi「
る.と
の変
NATUS
ュ テ ー ル 語 と ヴ ァ ラ ー デ ル 語)を
で,一
ト ・ロ マ ン ス 語 領 域 内 で は,こ
EST
称 代 名 詞 と定 冠詞 の与 格
ト ・ ロ マ ン ス 諸 語 に は,人
ami)が
方 の ピ ュ テ ー ル)mekr ラ テ ン 語 の 短 母 音E,Oの o[〓]の 二 重 母 音 化 は,ロ
2)人
方 の 方 言(ピ
ル シ ル ヴ ァ ン)mir,(ス ル ミラ ン)meir,(ベ
テ ン 語ILLE
まれなが ら に して
LIBERUS)
い う寄 生 子 音 に 変
化 し て い る. ラ テ ン語MURU「
ロ ・ロ
ラ ンス 語 で は ,
中 世 後 期 に は 消 滅 し て い る.
上 記 の 口蓋 化U>u
イ ス ・ロ マ ン シ ュ 語 ス ル シル ヴ ァ ン 方 言 で は,
は,こ
の現象
格)の 段 階 の 痕 跡 を と ど め て い
マ ン ス 諸 語 に共 通 す る特 徴 で あ る が,フ
前 舌 化 傾 向 が 強 ま り,U>u>iと
詞の位
置 に あ る 形 容 詞 の 男 性 単 数 が ‐sを と る が,こ
る 特 徴 で あ る と言 え る.2格
殊 な二 重 母 音 化 現象
保 存 は,
ュ語 の 一 方 言 で あ る ス ル シル ヴ ァ ン語 で は,属
よ う と す る立 場 を 補 強 す る も の で あ る.
は,ス
マ ン ス諸 語 に
の 格 に 単 純 化 され る進 化 の 過 程 をた
西 部 レ ト ・ ロ マ ンス 語 を ガ ロ ・ロ マ ン ス 系 言 語 に 含 め
4)特
,
ル ギ ュ ン地 方 の ピ ュ テ ー
な っ た の で あ る.
ラ ンス や 北 イ タ リア に住 ん で い た
と考 え ら れ る ケ ル ト系 ガ リ ア 人 の 言 語 特 徴 で あ っ た 口 蓋 化 的 傾 向 が,ア
〓,現 代 フ ラ ン ス 語
レ ト ・ ロ マ ンス 語 の 文 法 体 系 の 形 成 に 決 定 的 な 要 素 と
ル ト民 族 基 層 と関 係 づ け て 説 明 さ れ る,ラ
テ ン語U>u(=[y])の
ラ テ ン 語*SERA>
ュ テ ー ル)saira
態 ・統 語
が あ げ ら れ る.ラ
接す
ァラ
ト ・ロー マ ン ス 語(ス ル シ ル ヴ ァ ン)sera
統 語 面 で の 特 徴 と し て は,ま
的 変化 の各 段 階 が そ の ま ま残 存 して い るの で は な い こ と は,地
夕 方 」,俗
代 フラ ンス語
ル)segra,(ピ
フ ラ ンス 語se‐:〓
ュ テ ー ル 語 ,ヴ
じ進 化 の 方 向 を た ど る.
(共 通 フ リ ウ リ)k'a‐:k'avre
フ ラ ン コ ・プ ロ ヴ ァ ン ス 語tsa‐:tsavra
ラ ンス 語
で は,e>ei>oi>wa,o>ou>〓
ラ テ ン 語).
彼
に」
冠 詞 に お い て も み ら れ る.ス
イ ス の ス ル ミ ラ ン 語 で は,表2の 与 格 に は,男
」;les「
よ う な 体 系 を も つ.
性 ・女 性 の 性 の 区 別 は な い(大
文 字 は,
ス
は,合 成 的 未 来 形 と言 え る.最 後 の例 で あ る フ リ ウ リ
ル ミラ ン語 の 定 冠 詞 主格 = 目的 格
単 数 男 性
与
前 にお い て い る点 で,興 味 深 い, il(<ILLU)
女性
語 の 迂 言 法 的 未来 形 は,助 動詞ve(<HABERE)を
格
li (<ILLI)
4)語
la (<ILLA)
複 数 男 性
ils(<ILLOS)
女性
las(<ILLAS)
順
レ ト ・ロマ ンス語 は,ロ マ ンス 諸語
の 一 般 的 タ イ プ で あ る,VO型 lis(<ILLIS)
の統 語 構 造 を もつ.名
詞 句 に お い て は,少 数 の カ テ ゴ リー の限 定 詞 とご く限 られ た前 置 詞 を 除 い て は,修 飾 語(句)は 後 置 さ れ る.
《スル ミラ ン語 》
動 詞句 に お い て も,目 的 語 と補 語 は動 詞 の 後 に おか れ
il fegl「 息 子 は(を)」/li fegl「 息 子 に」
る.た だ し,レ
他 の レ ト ・ロマ ンス語 で は,独 立 した 与 格 形 は もた な いが,こ の 場 合,定 冠詞 と前 置 詞aが た とえ ば,ピ
ュテ ー ル語 で は,al(男
融 合 し て,
性 単 数),als(男
ト ・ロ マ ンス語 にお い て は,縮 約 形 と
して現 わ れ る人 称 代 名 詞 の前 接 と後 接 が,豊 富 にみ ら れ る こ とが 特 色 で あ る. ス イ ス の レ ト ・ロ マ ンス 語(ロ マ ン シ ュ語)で は,動
性 複 数)の よ うに な る(cf.ル ー マ ニ ア 語 で は,名 詞 に
詞 が 文 の 第2位 置 にお か れ る.文 頭 に,目 的 語,状 況
後 置 され る定 冠 詞 が,主 格 ・対 格形 に 対立 す る与 格 形
補 語 な どが 先 立 つ 場 合 に も,動
を もつ.lupului「
て,主 語 が そ の 後 に お か れ,い わ ゆ る倒 置 が 起 こ る.
3)句
狼 に」/lupilor「 狼 た ち に」).
構 造 の分 析 的 形 成
レ ト ・ロマ ンス語 の形
詞 は 第2位
《スル シル ヴ ァ ン語 》
態 ・統語 面 で注 目す べ き点 は,分 析 的 統 語 構 造 の 発達
Plaunet
で あ る.ラ テ ン語 の格 体 系 の崩 壊 と平 行 して,さ
「ゆ っ く りと,騎 士 は 近 づ く」
ま な前 置 詞(a,de,な
まざ
ど)を 名 詞 に付 け る句 構 造 を好
s'avischina
(文頭 に副 詞plaunetが
ん で用 い る方 向 を と った.こ れ は,他 の ロマ ンス 諸 語
il cavrerが
に も共通 してみ られ る,名 詞 句 形 成 の分 析 的 な特 質 で
る)
あ る.レ
置を守 っ
il cavrer.
お か れ た た め に,主 語 の
動 詞s'avischinaの
後 にお か れ て い
ト ・ロ マ ンス 語 で は,さ ら に動 詞 句 にお いて
これ は,ド イ ツ語 傍 層 と関 連 す るガ ロ ・ロマ ンス 語 的
も,前 置詞 を用 いて 未 来 形 を 表 わ す のが 一 般 的 で あ
特 徴 とされ,近 代 フ ラ ンス 語 に も部 分 的 にみ られ た 語
る.す な わ ち,語 末 の 活 用 で 未 来 時 制 を 示 す 代 わ り
法 で あ る.ロ マ ン シ ュ語 で は,こ の 語 順 は文 法 規 則 と
に,VENIRE「
な って,厳
来 る,な る」+AD「
に」+ 動 詞 不 定
詞,の 構 造 を と る. 《ス ル シル ヴ ァ ン語 》 Jeu
vegnel
し く守 られ て い る.こ れ に つ い て,ハ イ マ
ン(J.Haiman
1974,1988)は,ゲ
ル マ ン諸 語 と,お
そ ら くは そ の 影響 を うけ た レ ト ・ロマ ンス 語 と フ ラ ン
a salidar.
ス 語 が,動 詞 と離 れ た 位 置 に(前 か後 に)主 語 代 名 詞 を
「私 は,挨 拶 を す るだ ろ う」
必 ず お き,省 略 で きな い統 語 構 造 を も って い る こ と と 詞
関 係 させ て,イ ン ド ・ヨ ー ロ ッパ 諸 語 の 中 で も特異 な
vegnir「 来 る」 と前 置 詞 を用 い た,こ の 迂 言 法 的 未 来
言 語 タ イ プ として と り上 げ て い る.た だ し,イ タ リア
しか 存 在 しな い.他 の レ ト・ロマ ンス 語 で は,多 くの 選
国 内 の レ ト ・ロマ ンス語 で あ る ドロ ミテ ・ラ デ ィ ン語
択 可 能 性 を も って い る.同 じ意 味 の 文 を例 に とろ う.
と フ リ ウ リ語 で は,分 離 的 主 語 の 存 在 は必 須 の もの で
ス ル シ ル ヴ ァ ン 語 で は,未 来 形 と し て は,動
《ヴ ァ ラー デ ル語 》
はな く,動 詞 の第2位 置 は要 求 され な い.
Eu
saludara.(合
成 的 未 来 形)
Eu
vegn(a)saludar.(gnir「
Eu
voglsaludar.(助
Ⅲ)語 来 る」+ 不 定 詞)
動詞vulair「
欲 す る」 +
不 定 詞)
彙
地 理 的 ・文 化 的 に 隔 離 され て い た,
ス イ ス,ア ル プス地 方 の ロ マ ン シ ュ語 で は,多
くの ロ
マ ンス諸 語 にお い て は別 の 新 しい 語 に とっ て代 わ られ た,ラ テ ン語 の 古 い形 が 残 され て い る こ とが,特 徴 の
フ リウ リ語 で は,上 の 形 成 法 の ほか に も,次 の よ う
第1で あ る(表3を 参 照).
な ものが あ る. 'Oai saluta
ま た,ア ル プ ス地 方 の イ ン ド ・ヨ ー ロ ッパ 語 以 前 の .(助 動 詞ve「
持 つ」+ 不 定 詞)
ラテ ン語 か ら ロマ ンス 諸 語 へ の進 化 の過 程 で,動 詞
言語 民 族 基層 に よる と考 え られ て い る,若 干 の 単 語 が 伝 承 され て い る こ とが,こ の レ ト ・ロマ ンス 語 の 語 彙
の語 末 の 屈 折 語 尾 が あい まい に な った た め に,不 定 詞
の特 異 な点 で あ る.た とえ ば,crapま
の 後 に,動 詞HABERE「
「山 の岩 石,ガ
持 つ 」 を助 動 詞 と して 付 け
る こ とに よ り,分 析 的 未 来 形 が形 成 され た.レ
ト ・ロ
レ場 」 を,ま た,alpは,「
た はclapは, 高 山 の 草原
地 帯,ア ル プ ス」 を表 わ す,こ の 地 域 の 古 い 語 彙 で あ
マ ンス 諸 語 も,上 記 の ス ル シル ヴ ァ ン語 を 除 き,こ の
る.
未 来 形 を もつ.歴 史 的 に は 分析 的 な形 成 で あ っ た この
『イ タ リア,南 ス イス 言 語 地 図 』(K.Jaberg und J・Jud,1928‐40)に 収 録 され た基 礎 語 彙 を中 心 に 調査
タイ プ の 未 来 形 も,共 時 的 に は,レ
ト ・ロマ ンス 語 で
ラ
テ ン語 と ピュテ ー ル 語 の語 彙 比 較
ラテ ン語
ピュ テ ール 語
CODICE
「本 」
CASEOLU
「チ ー ズ 」 >
>
PLACITU「
こ と ば 」 >
cudesch
libro
livre
chaschol
formaggio
fromage
pled
voce
mot
「赤 」
cotschen
rosso
rouge
MELINU
「黄 色 い 」 >
mellan
giallo
jaune
ALBU
「白 い 」 >
alv
bianco
blanc
ば,起
>
ッ ド フ ァ ー ン(J.Redfern,1971)に
源 別 に み た 語 彙 の 組 成 は,レ
礎 語 彙 が75%,ゲ 2.5%,そ
ル ト語 系 が
れ を 論 拠 に,レ
ス 語 の 内 的 一 体 牲 を 主 張 す る の は,多 に し て も,こ で あ る.特
少の無理がある
ル マ ン 語 系 の 単 語 が 基 礎 語 彙 の 約5
占 め て い る 事 実 は,ド
渉 の 状 況 を 物 語 っ て い る.と て い る,ス
ト ・ロマ ン
れ ら の言 語 の間 の言 語 接触 の歴 史 は 明 瞭 に,ゲ
分 の1を
テ ン語 系 の 基
ル マ ン語 系 が19%,ケ
の 他3.5%).こ
イ ツ語 圏か ら の強 い 干 りわ け,傍
層 的 に接 触 し
イ ス の ラ イ ン川 源 流 地 帯 の ロ マ ン シ ュ 語 諸
方 言 で は,マ
ス メ デ ィ ア や 学 校 教 育(小 学 校4年
全 科 目 が ド イ ツ 語 に よ る 教 育)の
か ら,
影 響 の 下 に,語
で の 直 接 な い し 間 接 の 借 用 が き わ め て 多 い.ス の よ う な 厳 し い 条 件 の 中 で も,ロ
現 代 語 と し て 蘇 ら せ る た め に,ロ
berg)―
従 え
彙面 イス で
マ ンシ ュ語 を
マ ン シ ュ 語 本 来 の,
レ ト ・ロマ ンス語 諸 方言 の語 形 を採 録 す
る 辞 書.
ト ・ロ マ ン ス 諸 語
す べ て に ほ ぼ 同 じ 比 率 に な っ て い る(ラ
以 下 で は,レ
ト ・ロ マ ン ス 諸 語 全 般
に わ た る 参 考 文 献 を あ げ る.個
[参 考 文 献]
々 の言 語 につ いて の 詳
細 な 文 献 は,「
1)書
誌
Bibliographie
て き た よ う に,レ
ト ・ロ マ ン ス 語 は,基
本
の 言 語 に 属 す る.と
り わ け,顕
著 な ガ ロ ・ ロ マ ンス 語
ロ ・イ タ リ ア 語 的 特 徴 を 示 し,フ
ラ ン コ ・プ ロ ヴ ァ ン ス 語,イ
ラ ン ス 語,フ
タ リ ア 北 部 の ロ ンバ ル デ
ィ ア 語 な ど と共 通 し た 音 声 進 化 を とげ て い る.特
に,
ケ ル ト基 層 の 存 在 に よ る一 連 の 特 徴(口 蓋 化 な ど)の 保 存 に 関 し て は,ほ て,内
ぼ,全
レ ト ・ロ マ ン ス 語 領 域 に お い
的 統 一 性 が み ら れ る.た
い て は,他
の2地
だ し,フ
リ ウ リ語 に つ
域 と少 し異 な った 特 質 を 認 め る べ き
レ ト ・ ロマ ン ス 語 の 一 体 性 と 独 自 性 は,共 型 論 的 な 言 語 事 実 に あ る と い う よ り,む 観 点 か ら の 共 通 特 徴 と,周 た め の 干 渉 関 係 に,そ
時 的,類
し ろ,通
時的
辺 言 語 か らの 影 響下 に あ る
の 特 質 を 示 す と 言 っ て よ い.
Zeitscihrift
Rumantsch
Grischun(Societa,Re
torumantscha,Chur,1939‐)―
romanische
て,Romanische
Philologie,Biblio い
Bibliographie,M.Niemeyer,
Tubingen,1961‐) ま た,こ
の 分 野 に 限 ら れ た 書 誌 に は,次
Retorumantscha
Bibliografia
de
la
のような も
(1552‐1984)
musica
vocala
mantscha(1661‐1984)(1986)(Lia
e
retoru
Rumantscha,
Chur) Decurtins,A.,Stricker,H.und Studis
F.Giger(1977),
romontschs
1950‐1977
Ⅰ,Ⅱ(Societa
Retorumantscha,Cuera) Iliescu,M.(1971),"Bibliographie selective
des
Revue
dialectes
Roumaine
(l'Academie
de
Iliescu,M.und
de la
orientative
et
dits《rheto‐romans》", Linguistique,Vol.16
Republique
Socialiste
de
H.Siller‐Runggaldier(1985),
Ratoromanische Romanistik
Bibliographie(Institut der
ス イ ス の ロマ
Worterbuch(Carl
and North
etymo Winter,Heidel
fur
Leopold‐Franzens‐Universitat,
Innsbruck)
raphy",Studies
ン シ ュ 語 諸 方 言 の 語 彙 を 網 羅 す る 辞 典. Meyer‐Lubke,W.(19353),Romanisches logisches
fur
graphie(1886‐1960)(M.Niemeyer,Halle;続
Maxfield,M.E.(1941),"Raeto‐Romance
書]
Dicziunari
linguistique(1939‐)(Spectrum,
Roumanie,Bucarest)
で あ ろ う.
[辞
の該 当項 目 を参 照 す るの
Utrecht)
Bibliografia
マ ン ス 諸 語 の う ち,「 西 ロ マ ニ ア 」 グ ル ー プ
の2点
が よ い.
つ づ け て い る.
的 に は,ロ
レ ト ・ロ マ ン ス 語 研 究 の 主 な 文 献 や
資 料 を 調 べ る に は,次
の が あ る.
以 上,み
ロ マ ン シ ュ 語 」 「ラ デ ィ ン 語 」「ド ロ ミテ
語 」 「フ リ ウ リ語 」 な ど の 項 を 参 照 さ れ た い.
ロ マ ン ス 語 的 造 語 法 に か な っ た 新 語 を創 造 す る 努 力 を
的,ガ
フ ラ ン ス語
COCCINU
し た,J.レ
は,こ
イ タ リア 語
2)概 は,次
in
the
Bibliog Romance
Literatures,Vol.2(University
Languages of
the
Carolina) 説書
レ ト ・ロ マ ン ス 語 全 般 に わ た る 概 説
の も の が 便 利 で あ る.
Bec,P.(1971),Manuel
pratique
romane,Tome
de
de
la
Societe
aspects
langue
du
pro
rhetique",Bulletin
linguistique
de
Paris
de
de
la
linguistique
Ratoromanische
Sprachforschung,Ein
Philologie
romanischen
Hague/Paris)
Rohlfs,G.(1954),Die
lexikalische
dialectologie
Entstehung
Sprache
Philotogie
Ⅱ
de
la
delle
lingue
ン シ ュ 語 と,ド
ロ ミ テ 語 を 対 照 し た 研 究.
Mourin,L.(1964),Introduction comparee
des
Sursilvain
a langues
et
4)レ て は,次
照]
ド ロ ミ テ 語,フ
ポ ー ラ ン ドNarzecza
ladini",Archivio (Loescher,Roma/
スラブ諸 ラブ語 派
あ る い は,レ
(Henniger,Heilbronn;repr.1973,Wiesbaden)
und
account
Society
ratoromanischen
the
of
で にス ラブ 祖 語 の 中 に そ の傾
後 の 歩 み の 中 で,西
学 者 に よ り,細
(London) じた 研
た,ス
ラ ブ 祖語 崩 壊
ス ラ ブ 諸 語 の 一 部 に お い て は,逆
に 収斂 の 動 き も あ っ て,そ
London,Vol.LⅩⅥ
の 変 遷 は 単 純 で は な い.
部 で い ろ い ろ な 相 違 が あ る が,大
schichte
des
Forschungen
Entwicklungsge
Change(Mouton,The
and
Syntactic
の う ち,2は
所 属 に つ い て は 疑 問 は な い.し
Romance
の 一 部 は,下
分 類 され
上 ソ ル ブ 語 と 下 ソ ル ブ 語,3は
に は い ろ い ろ 異 説 が あ り,し
Hague)
―(1988),"Raeto‐Romance",The Languages(Routledge,London)
フ 諸 語,2)ソ
ェ コ ・ス ロ バ キ ア 諸 語,に
ェ コ 語 と ス ロ バ キ ア 語 の そ れ ぞ れ2つ
61(Junge,Erlangen)
Haiman,J.(1974),Targets
ル ブ 諸 語,3)チ る.こ
Alpenromanischen",Romanische
体
の と こ ろ で 一 致 し て い る 見 解 に よ れ ば,西 ス ラ ブ 諸 語, す な わ ち ス ラ ブ 語 派 の 西 方 群 は,1)レ
究. Gamillscheg,E.(1948),"Zur
と え ば,
方 群 は分 散 の程 度 が東 方 群
向 が あ っ た と見 な さ れ て い る.ま
Romansh
ト ・ロ マ ン ス 諸 語 の 特 質 と一 体 性 を 論
の 言 語,た
フ ・グ ル ー プ と い う 意 味 の 呼 称 に な る.
や 南 方 群 よ り激 し く,す
of
Transactions of
こ に 所 属 す る1つ1つ
ス ラ ブ 語 派 の 中 で も,西
Literatur(M.Niemeyer,Halle)
Language",Philosophical Royal
ラ ブ 語 派,西
ポ ー ラ ン ド語 や ポ ラ ブ 語 の 立 場 か ら み る と,レ フ 諸 語,
Grammatik
der
group
語 の 中 の 一 群 の 言 語 を ま と め て よ ぶ 名 称.ス
に な る が,そ
Gartner,Th.(1883),Ratoromanische
dialects
の 立 場 か らみ る と西 ス ラブ語 の方 言 とい う意 味 の 呼 称
Firenze/Torino)
Sprache
伸 夫)
lechickie,Grupa
lechicka,露〓,
イ ン ド ・ ヨ ー ロ ッ パ 語 族,ス
Planta,J.(1776),"An
デ ィ ン語,
(富 盛 レフ諸 語
ladin
英Lekhitic
― (1910),Handbuch
リ ウ リ語,ラ
マ ンス 諸 語
ト ・ロ マ ン ス 語 学 を 創 始 し た 先 駆 的 業 績 と し
I
Sudschweiz
レ ト・ロ マ ン ス 諸 語 の 領 域 を 含 む 言
の よ う な も の が あ る.
italiano
der
4:
anciens,et
Ascoli,G.I.(1873),"Saggi
5)レ
und
語 地 図. [参
Tempel,Bruges)
glottologico
linguistique
Co.,Zofingen;Index,Francke,
ロ マ ン シ ュ 語,ロ
la morphologie
romanes,Tome
engadinois
dolomitique(De
&
Bern,1960)― イ ス の ロ マ
fragmentation
Italiens
(Ringier
neolatine(R.Patron,Bologna) 期 文 献 の 形 態 論 的 記 述 に よ り,ス
im
J.Jud(1928‐40),Sprach‐und
Sachatlas
Munchen)
3)初
Geltung
Mensch(Francke,
語 地 図.
Jaberg,K.und
―(1975),Ratoromanisch(C.H.Beck,
origini
des
Romania(Klincksieck,Paris)
6)言
Winter,Heidelberg)
Tagliavini,C.(19593),Le
seine und
―(1967),La
(Carl
Differenzie
Bern)
I(Duclot,Lou
Rohlfs,G.(1952),Romanische
Raeto Dialect
Sprachen(Beck,Mun
und
Land",Von
vain)
the
romanischen
of
Italian
Areas(Mouton,The
Ratoromanischen
I:Die
Sprachen(Francke,Bern)
Pop,S.(1950),La
Study
Contiguous
Wartburg,W.von(1956),"Die
23(Francke,Bern)
Kuhn,A.(1951),Romanische
Lexical
and
der
Lin
chen)
Ubersicht",Vox
Romanica,Tome
Redfern,J.(1971),A
rung
und
Romanistischen
Niemeyer,Tubingen)
Romance
romane(Klincksieck,Paris) Decurtins,A.(1964),"Das
der
guistik(Max
36(Paris)
Bourciez,E.(1967),Elements
die
Ch.Schmitt(eds.)
(1989‐),Lexikon
Bonfante,G.(1935),"Quelques bleme
Holtus,G.,Metzeltin,M.uud
philologie
Ⅱ(Picard,Paris)
に 分 か れ,こ
か し,レ か も,こ
チ の
フ諸語の内容 の1の
言語 特 徴
ソ ル ブ 語 と も 共 通 す る も の が あ る.
レ フ 諸 語 に は,現 在 は 死 滅 し た,レ
フ諸 語 中 の 西 の グ
ル ー プ(そ の 中 で 代 表 的 な 言 語 は ポ ラ ブ 語 で あ る)と,
gorod「
東 の グ ル ー プ が あ る.カ
市」
シ ュ ー ブ 方 言 は,そ
あ る ポ ー ラ ン ド語 と は 別 の,独 な さ れ た こ と も あ っ た が,現 方 言 と見 な され て い る.こ
の代 表 で
立 し た1つ
の 言 語 と見
在 で は ポ ー ラ ン ド語 の 一 の カ シ ュ ー ブ 方 言 は,ポ
ラ
ブ 語 を 含 む 西 の グ ル ー プ と ポ ー ラ ン ド語 と の 中 間 に 立
の よ う に,子
舌 の 鼻 母 音o,aへ
遡 る 対 応 を 示 す.こ 化 す れ ば,他
語 の*desetb「10」,*desetb「10番 語 のdisat,disoteに,ま
ま た,本
来,音
語 でtrotと
ラ ブ 語 で はgord「
ル ブ
フ 諸 語 で はtartが 」,gorch「
対
豆」が
に行 くに した が って例 外 的
な も の と な る. ラ ブ 祖 語 の*gも
保 た れ,g>h
と変 化 し た 他 の 西 方 群 の 諸 言 語 と は 異 な っ て い る(ポ ー ラ ン ド語grod:チ
ェ コ 語hrad)
ェコ語 城
い しtortの
ス ラブ 諸 語 の よ うな母 音 重 複 は現
お,*tolt,*tert,*teltに
つ い て も,
後 述(「 歴 史 」)の よ う に,古 降,諸
方 言 が 分 化,発
期 ロ シ ア 語 は,13世
紀以
達 す る 傾 向 が 強 ま っ た が,15世
紀 後半 か らモ ス ク ワ を 中心 とす る ロ シ ア の 再 統 一 が 進 行 す る 過 程 で,モ
ス ク ワ の い わ ゆ る大 ロ シ ア語 Russian)が
立 す る一 方,南 Little
西 の 白 ロ シ ア 語(
White
Russian)は,地
迫 さ れ る に 至 り,帝 れ た.1917年
優 位 を確
の 小 ロ シ ア 語(
Russian)と
.
[参 考 文 献]
対応が認
め ら れ る.
(Great
レ フ 諸 語 で は,ス
園 」,
ル ビ ア ・ク ロ
砦 」,チ
ず れ もtrat,trotな
タ イ プ の 対 応 で,東 わ れ な い.な
対 応 す る.
城,町
の 変 化 は,東
都 市 」,セ 都 市,城
東 ス ラ ブ 諸 語 で は,tolot,teret,teletの
意 の 子 音)は,ソ
な っ て い る の に,レ
対 応 す る.こ
口
黒 い 」,*crnica
ー ラ ン ド語 でczarny,czernicaが
都 市,庭
砦」
ラ ブ 語 でcorne,carnaicaが,ま
ス ラ ブ 祖 語 の*tort(tは,任
形 に
よ うに一 般
城 砦 」,ポ ー ラ ン ド語(P)grod「
な ど の よ う に,い
ラ ブ 祖 語 の*crnb「
「黒 イ チ ゴ 」 は,ポ
(Cz)hrad「
ー ラ ン ド語 のdzie
節 を 形 成 す る 口 蓋 音 のr,lが,非
ス ラブ
の ス ラ ブ 諸 語(南 方 群 と 西 方 群)で は,
ア チ ア 語(SCr)grad「
ラブ
対 応 す る.
蓋 化 して い る.ス
応 し,ポ
れ を*tort:torotの
ブ ル ガ リア 語(B)grad「
ラ ブ祖
目 の 」 は,ポ た,ポ
siec,dziesiatyに
舌 の鼻 母 音
の 推 移 が あ る.ス
都
音 間 の 流 音 を と も な う 音 節 が,東
古 代 教 会 ス ラ ブ 語(OCS)gradu「
レ フ 諸 語 に 共 通 す る 新 し い 傾 向 に は,前
た,ポ
ロ ル シ ア 語(BR)gorad「
諸 語 で は 流 音 の 前 後 に 同 じ 母 音 が 重 複 す るORの
っ て い る.
eの,後
都 市 」,ベ
方 語 と して差 別 圧
政 ロ シア で は 公 式 の 使用 を 禁 じら
の10月
革 命 後,は
じめ て,ロ
シ ア 語 と対
等 の ウク ライ ナ 語 お よび ベ ロル シア 語 と して独 自の 正 Bednarczuk,L.et
al.(1988),Jezyki
pejskie(Panstwowe
indoeuro
Wydawnictwo
Naukowe,
Warszawa) [参
書 法 と文 法 の 規 範 が 定 立 さ れ,民
[分 布 ・人 口]
照]
ロ シ ア 語 は,現
連 邦 の ほ ぼ 全 域 で,公
ス ラ ブ 語 派 (千 野
栄 一)
調 査 の 結 果 に よ れ ば,ロ 人,第2言
2億3,250万 て い る.ロ
ロ シ ア 語 〓
在 で は,ソ
ビエ ト
人 は,ソ
の国勢
シ ア 語 を 母 語 と す る 者1億
語 と す る 者6,900万
人 で,そ
の 合計
連 邦 の 総 人 口 の 約81.4%に
達 し
シ ア 語 を 母 語 とす る 者 の 中 に は,本
来のロ
シ ア 人(1億4,480万
英Russian,独Russisch,
して の
用 語 な い し 高 等 教 育 と学 術 研 究
の 用 語 と し て ひ ろ く用 い ら れ て い る が,1989年
6,350万
ろ
族 語(国 語)と
地 位 が 確 立 し た.
人)の
ほ か に,1,870万
人以 上 の
非 ロ シア 人 が含 ま れ て い る こ とに 注意 し なけ れ ば な ら
仏russe [系
統]
語(→
ン ド ・ヨ ー ロ ッ パ 語 族
な い が,そ
の 大 部 分 は,ロ
シア化 した大 都 市 の ウ クラ
ク ライ ナ語 お よ びベ ロル シア
イ ナ 人,ベ
ロ ル シ ア 人,ユ
ダ ヤ人 な どで あ る.
ロ シ ア 語 は,イ
の ス ラ ブ 語 派 に 属 し,ウ 白 ロ シ ア 語)と
と も に,そ
の 東 方 群,す
な わ ち,
東 ス ラブ 諸語 を形 成 す る. 東 ス ラ ブ 諸 語 を他 の ス ラ ブ 諸 語 か ら 分 か つ も っ と も 重 要 な 特 徴 は,母 音 重 複(full tion)と *gorduに
よ ば れ る 現 象 で,た
vocaliza と え ば,ス
ラ ブ 基 語(PS)
対 し
,国
外 の ロ シ ア 語 人 口 に つ い て は,ま
都 市 」,ウ
城 砦,都
市 」,ロ
ク ラ イ ナ 語(U)
った くの
推 計 に す ぎ な い も の の,学
者 に よ っ て 数 値 が 大 き く相
違 して お り,た
外 の
と え ば,海
計 に 限 っ て も,そ
の 数 は,150万
う に 大 き な 幅 が あ る.し
か も,そ
「ロ シア 系 住 民 」 の 推 人 か ら400万
住 し て ロ シ ア 語 を 母 語 と す る 者 の 数 は,両 か ら 推 計 し て,200万
人の よ
の すべ て が ロ シア語
を 母 語 と し て い る と は 考 え が た い と す れ ば,海
,
古 期 ロ シ ア 語(OR)gorodu冝u シ ア 語(R)gorod「
一 方
外 に居
極 端 の平 均
人 程 度 で は な い か と 思 わ れ る.
そ の 最大 の 部 分 の居 住地 を ア メ リカ合 衆 国 とす る点 で
2)母
音字 母〓
は,語 頭,ま
た は,母 音
は,諸 学者 が一 致 して い る(た だ し,そ の数 に つ い て
字 母 お よびb,bの
は,80万
[〓]の よ うな,[〓]に 先 立 た れ る母 音 を含 む 音 節 を表
人 か ら230万 人 まで の 幅 が あ る).こ れ に次
い で,ロ シア 語 を 母 語 とす る者 の多 く分布 す る の は,
あ とで は,独 立 で,[〓][〓][〓]
わ す が,子 音 字 母 に これ らの 続 く音 節 は,た とえ ば,
カ ナ ダ とヨー ロ ッパ 諸 国 で,イ ス ラエ ル とオー ス トラ
な どの よ う
リアが そ れ に 次 ぐ もの と考 え られ て い る.な お,ロ シ
に,口 蓋 化 子 音 と母 音 の結 合 を表 わ す.母
ア語 が 国 連 の 公用 語 の ひ とつ と な って い る こ と も,ま
も,子 音 字 母 の あ とで は 同様 の機 能 を もつ(〓).
た,第2次
3)子
大 戦後 の 国 際 社 会 に お け る ロ シア 語 の比 重
音 字 母 は,閉 鎖音;〓
の増 大 の現 実 を反映 す る もので あ る. [文
字]
隙 間音
〓破 擦 音;〓
現 行 の正 書 法 は,1918年10月15日
に
音 字 母〓
面 音〓;ふ
る え音p;子
鼻音M,H;側
音 結 合〓
の よ うに分 類 され
施 行 され た が,そ の 活 字 体 の 字 母 の 一 覧 表,す なわ ち,
るが,そ の 位 置 に よ って,口 蓋 化 子 音 と非 口蓋 化 子 音
アル フ ァベ ッ トは,別 掲(表1を
の 二 様 の 発 音 を 表 わ す.た
参 照)の とお りで,33
字 母 よ りな る.後 述(「歴 史 」)のとお り,その 大 部 分 は, 18世 紀 初 頭 に,ピ ョー トル1世(〓eTpI,在
位1682∼
1725)の 制 定 した 民 間活 字(〓)の
,お よびbの
とえ ば,字 母〓 は,〓
前 で は,口 蓋化 子 音[p']を 表 わ
す が,そ の他 の 場 合 は,非
口蓋 化 子 音[p]で
だ し,〓は,〓
字 体 を直 接 の 母体 と して い るが,民
間活 字 自体 は,キ
口 蓋化 子 音[〓][〓][〓]で
あ り,逆
リル 文 字 の 体 系 と字 体 の 改 良 で あ った の で,ロ シア 文
y,o,aの
字(Russian
発 音 され る.ま た,外 来 語 で は,eの
Alphabet)は,広
い
意 味 の キ リル 文字 に属 す る. 字 母bは
前 で も[〓][〓](ま
に,〓 と〓
た は[〓])の
「テ ニ ス 」
「軟 音 記 号」 の 意 味 で,
両 者 と も記 号字 母 で あ り,そ れ 自身 の 音 価 を もた な い
「ベ レ ー 帽 」
が,そ の機 能,用 法 につ い て は 「正 書 法 と発 音 」で 述 べ る.ま た,字 母Eeは,辞
書や 教 科 書 類 の ほ か で は,
外 国 の 地 名,人 名 の 表 記 な どの 特 別 の 必 要 の あ る場 合
ロ I:活
に用 い られ る だ けで,新 聞 や 雑 誌 を 含 む 通 常 の 印 刷 物 や 手 書 きの文 書類 の 中で は,字
母Eeで
が 普 通 で あ る.つ ま り,綴 り字 で はeと も,eと
代 用 す るの
Ⅱ:名 称(IPA,た
な って い て
読 む べ き場 合 が 頻 繁 に 生 ず るの で,注 意 しな
け れ ば な らな い. 印 刷 用 の活 字 体 に は,こ の ほ か に イ タ リ ッ ク(斜 体) が あ るが,こ れ は,筆 記 体 と形 の 共通 す る もの が 多 い. 筆 記 体 に は,初 等 教 育 で与 え られ る 標準 的 な 名 称 や字 体 や 書 き方 の ほか に,い くつ か の ヴ ァ リエ ー シ ョ ンを もつ字 母 が多 い. [正書 法 と発 音]
ロ シア語 の正 書法 は,歴 史 的,
形 態 論的 な原 則 を優 先 させ て い る の で,文 字 面 と実際 の音 声 が大 き く相 違 す る 場 合 が少 な くな い.以 下 に, その 主 な もの を示 す . 1)母
音 字 母〓
は,ア
ク セ ン トの あ る音節 で は,強 倍 程 度)発 音 され るが,ア
く明 瞭 に,や や 長 く(1.5
クセ ン トの ない 音 節 で は,
弱 く曖 昧 に,短 く発音 され る.特 に,字 母oは,ア
クセ
ン トの ない と き,語 頭 お よび ア クセ ン ト音 節 の 直 前 で [α],そ れ以 外 の位 置 で[〓]を 表 わ す. 「防衛 」
注
「鐘 」
「鐘(複 数 主 格)」 こ の 特 徴 を,特
に ア ー カ ニ エ(〓)と
よぶ.
シ ア語 の ア ル フ ァベ ッ ト 字 立 体(大 小) だ し,[ ]は 省略)
Ⅲ:音 価(標 準 的 な転 字 方 式)
は, まま
前 の 子 音字 母 を
非 口蓋 化 子 音 で 発 音 す る例 が少 な くな い.
「 硬 音 記 号 」,bは
あ る. た
の前 で も,普 通,非
4)硬
音 記 号bは,子
に書 かれ,先
音字 母 と〓
行 子音 と〓
の間
が 分離 して 発 音 さ
の 系 列 の 存在 で,多 くの 場 合,対 応 の 非 口蓋 化 子 音 と 音 素 的 対 立 を な して い る点 で あ る.す な わ ち,次 の14 ペ ア に 及 ぶ.
れ る こと を 示 す. 「容 積 」 「食 べ る」 「除去 」 軟 音 記 号bは,子
音 字 母 の あ とに そ え て 口蓋化 子 音
と して の発 音 を示 す が,子 音 字 母 と〓
の
述 の よ う に,ご
環 境 に 現 わ れ る だ け な の で,そ
間 に あ る と き は,や は り分 離 した 発 音 を示 す. 「 草原」
特 殊 な 音 声 的 実 現 と さ れ,ま
「飲む(現 在3人 称 複 数)」 5)有
し か し,[〓]と[〓]は,後
が〓
声 子 音 字 母 は,語 末 お よび 無 声 子 音 の 前 で は
れ ぞ れ,/〓/と/〓/の た,[〓]も,現
わ れ るの
な ど の 前 舌 母 音 の 前 に 限 ら れ る た め,
独 立 の 音 素 と は 認 め が た い.ま
た,
「た て 坑 か ら」)
無 声 化 す る. 「か しの 木」
「1時 か ら」)
「ス カ ー ト」
な ど の よ う な[〓]と[〓]の
対 立,そ
し て,
「あ わ れ み の あ ま り」)
「 壕,堀 」
「乗 っ て 去 る」)
「火 曜 日」 bを
く特殊 な
と もな う もの も同 じで あ る.
な ど の よ う な[〓]と[〓']の
「さ ざな み」
対 立 は,音
素 レ ベ ル で は,
そ れ ぞ れ,
「開 墾地 」 6)無
声 子 音 字 母 は,有
声 子 音(た だ し,[〓][〓]
[〓][〓][〓]お よび,[〓]を 除 く)の 前 で は有 声 化 す る. 「 集合」 「反 響」
の よ うに,/〓//〓/の 結 合 のい ろい ろ な場 合 と して 解釈
「大駅 」 [音
韻]
〓の5種 類,ア で は,最
され る.
母 音 音 素 は,ア クセ ン トの あ る音 節 で,
大 限,〓
これ に関 連 して,[〓] は, 「キ ャベ ツス ー プ」)
クセ ン トの な い 音 節
「まだ 」)
の4種 類 が 対立 す る も
「仲 間 」)
の と解釈 され てい る.た だ し,後 者 の 場 合,語 頭 お よ び語 末以 外 で は,音 素 対 立 が〓 な る の が普 通 で あ るが,4音 え ば,〓
の3種 類 と
素 の 区 別 を 保 つ― た と
「きつ ね」)と〓(「
森 ・
な ど の よ うに,語 頭,語
ま た, 「酵 母」
林(複)」)を 区別 す る― 体 系 も,同 等 に,標 準 的 と さ れ て い る.な
「ぶ ん ぶ ん い う」
お,ア クセ ン トの ない 音 節 では,/〓/
(語 頭 の/〓/に 続 く位 置)の よ うに,/〓/と/〓/の
区別
中,語 末 の い ず れ の 位 置 に も
現 わ れ る が,独 立 の 音 素 で は な く,/〓/と 解 釈 され る.
な どの〓
も,上 と平 行 的 に/〓/と
解 釈 され る.
クセ ン ト前 の音 節 で,口 蓋 化
ロ シア 語 の子 音 は,き わ め て体 系的 な無 声 子 音 と有
子音 音 素 また は/〓/の あ との とき の よ うに,/〓/と/〓/
声 子 音 の 対 立 を示 す が,こ れ は,語 末 お よび 無 声 子 音
の対 立 しか 生 じない 位 置 もあ る.
の 前 で は 有 声 子 音 を許 さず,そ の一 方,有
しか 生 じない 位 置 や,ア
[〓]と[〓]の 対 立(正 書 法 上 の〓 の 場 合)は,音
とblの 区別 の 多 く
声 上 の もの に す ぎず,ま
った く相 補 的
な 分布 を示 す ので,同 一 音 素(/〓/ない し/〓/)と解 釈 さ
す る ロ シア 語 の 音 韻 法 則 と深 く関 係 して い る. た だ し,無 声 子 音 の 「帰 結 」
れ る.な お,/〓//〓//〓/の 音 声的 実現 は,す べ て,強 「よ りよ く」
い 円 唇化 を特 徴 とす る.
「とまれ!」 の特 殊 な 発 音
標 準 的 な ロ シア 語 の 口 頭 表 現 に現 われ る子 音 の簡 略 表 記 とそ の 分 類一 覧 表 は,別 掲(表2)の が,子 音 音 素34を ば,表3の
声子音の前
で は 無 声 子 音 の 現 わ れ るの を許 さな い,声 の 同 化 に関
とお りで あ る
この 表 と対 応 す る 位 置 関 係 で 示 せ
よ うに な る.
ロ シア語 の 子音 体 系で 特 徴 的 な こ とは,口 蓋 化 子音
お よび,語 末 の 化 に よ って 現 わ れ る は,す べ て,独 立 の音 素 とは 認 め られ ない. ま た,有 声 子音 の
の無声
ロ
シ ア語 の子 音 一 覧
唇
調音器官 調音様式
閉
鎖
音
無 有
声 声
隙
間
音
無 有
声 声
破 擦
音
無 有
声 声
鼻
音
無 有
声 声
音
無 有
声 声
ふ る え 音
無 有
声 声
側
面
注:非
は 非 口蓋 化 子 音,口
ロ
前
両
唇
唇
歯
非
口
非
口
は 口蓋 化 子 音.(
舌
歯 非
口
中舌
奥
茎
非
口
硬 口蓋
歯
舌
軟 口蓋 非
口
)内 は,単 独 で は 母 音 の 前 に 現 わ れ な い もの.
の よ う に,子
シ ア語 の子 音 音 素
音 音素 な い しそ の連 続 の前 で切 れ る の が
原 則 で あ る . た だ し,子
音 の 中 で も,ひ
び きが母 音 に
よ り 近 い ソ ノ ラ ン ト(〓 /〓/で 示 す),ま 子 音(こ
な ど.こ
た は,さ
ら に 母 音 に 近 い/〓/が,他
れ ら は/〓/で
れ る と き は,音
れ らを
示 す)に
の
混 じって 母 音 間 に現 わ
節 頭 位 の 子 音 連 続 に 母 音 度(sonority)
非 下 降 の 原 則 が は た ら く の で,〓 な ど は 可 能 で あ る が,母
音度
が 高 か ら 低 に 並 ぶ と き は,〓 な ど の よ う に,そ
「父
の 間 に音 節 の 区 分 が 生ず る .
例1)「
糸」 「ポ ケ ッ ト」)
が 助 け て くれ た ら な あ」) ―(「
「お し ろ い 」)
渇望 」)
「親 友(複 数 主 格)」)
も,独 立 の 音 素 と して の資 格 は な く,[〓]の 有 声 化 に よ って 現 わ れ る[〓]と,[〓](〓 て 」)のよ う な,[〓]の
随 意 的 な ヴ ァ リア ン トに現
わ れ る特 殊 な[〓]も,も
ちろ ん 独立 の音 素 で は ない
([〓]は,〓
「 神 」 の 斜 格 の[〓][〓]な
ヴ ァ リア ン トの[〓][〓]な [〓]は,[〓]「
「コ ニ ャ ッ ク 」)
「神 につ い 例2)「
捕 ら え る 」) 「建 設 現 場 」) 「地 図 」)
どの
どに も現 わ れ る).
点 」 な どの よ うに,子 音 の 前 の[〓]
[文
法]
類(名 詞,形
典 型 的 な 屈 折 的 タ イ プ の 言 語 で,名 容 詞,数
詞,代
名 詞)は,そ
[〓]の 前 に だ け 現 わ れ る,音 素/〓/の 音 声 的 実 現 の1
を 表 示 す る 複 雑 な 語 尾 の 体 系 を も つ 一 方,動
つ にす ぎ ない.
の ア ス ペ ク ト,相,法,時
基 本 的 な 音 節 の 構 造 は,〓
い し/〓/の
称,数
詞 は,そ
な どの文 法 範
疇 を表 示 す る形 態 論 的 手 段 が 発 達 して い る.
の4種 類 で あ るが,音 節 頭 位 と音 節末 位 に立 つ 子 音 連 続 は,/〓/な
称,人
詞
の 性,数,格
よ う に,4音
名 詞 類 は,男,女,中 お よ び,主
の3性
格(nominative),生
素 まで 可 能 で あ る. 語 中 の音 節 区 分 は,形 態 論 上 の 区
(dative),対
格(accusative),造
分 とは 無 関 係 に,〓
前 置 格(prepositional)の6格
と,単,複
の2つ
の 数,
格(genitive),与
格
格(instrumental), を 区別 す る.
名 詞 の 文 法 性(gender)は,活 gory,人 る.活
動体(animate
と動 物)に 関 して は,自 然 性(sex)と 動 体 中 性 は,〓
て 特別 のcopokを
cate 一致す
「怪 物 」 な ど の ご く少
数 の名 詞 に限 られ る.不 活 動体(inanimate
詞 は格 変 化 だ け で,性
の末 尾 の 形 か ら予 測 で き る場 合 が 大 部 分 で あ る.た と
2は,主
え ば,綴
〓
り字 上,子 音 に 終 わ る もの は 男性,‐a,‐〓 に ど
容 詞 型 の変 化
で 性 の 区 別 が あ り,ま
た,複 数
専用 名 詞 に付 く複 数 形〓
category)
の名 詞 の 文 法性 は,個 々に きま って い るが,単 数主 格
終 わ る もの は女 性,‐o,‐eに 終 わ る もの は 中 性,な
用 い る の は,ス ラ ブ 諸語 中,東 ス
ラブ だ け の特 徴 で あ る.個 数 詞1は,形
もあ るが,そ の他 の個 数
と数 の 区 別 を し な い(た だ し,
格 と対 格 の み,男
の 区 別 が あ る).個
性 ・中 性 の〓
と女性 の
数 詞 と名 詞類 の結 合 の規 則 は,
きわ めて 複 雑 で あ る.個 数 詞 の ほ か に,2か
ら10ま
で あ る(た だ し,軟 音記 号 で 終 わ る もの は 男 性 と女 性
で の集 合 数 詞
の2つ の 場 合 が あ り,末 尾 が ‐M〓の もの は 必 ず 中 性).
の 系列 が あ るが,人 称 代名 詞,複 数 専 用 名 詞,お よび,
個 々 の名 詞 につ い ては,単 複6格 ず つ 合 計12の
活動 体 男 性 名 詞 と結 合 す る2∼4以
形態が
外 は,あ
ま り用 い
あ る のが 普 通 で あ るが,単 数 のみ,ま た は,複 数 の み
られ な い. 順 序 数 詞 は,形 容 詞 長 語 尾型 の 性数 格 変化
の形 態 の 名 詞 もあ る.た だ し,12の 形 態 が す べ て異 な
を行 な う.
る わ けで はな く,同 じ形 が 重 複 す る場 合 が あ るの で,
人 称代 名 詞 は,英 語,ド イ ツ語,フ ラ ンス語 な ど と
実 質的 には7∼10の
共通 の体 系 を もつ が,用 法 上 は細 かい 差 異 が あ り,名
異 な った 形 を もつ こ とが 多 い. 活
動 体 名 詞 と不活 動 体 名 詞 で は,パ ラ ダイ ム が,一 部,
詞,形 容 詞 とは 異 な る格 変 化 を 行 な う.再 帰 代 名 詞
相 違す る.外 来語 起 源 の 名 詞 に は,数 と格 を表 示 す る
〓
手 段 の ない,不 変化 の もの が 少 な くな いが,こ れ らの
です べ て の人 称 と数 を表 わ す. 所 有 代 名 詞,指 示代 名
名 詞 は,文 法 性 の 区別 に関 して も,一 般 規 則 か ら外 れ
詞 な どは,形 容 詞 長 語 尾 型 の性 数 格 変 化 を行 な う. こ
る場 合 が 多 い.
れ らを,特 に形 容 詞 的 代 名 詞 と称 す る こ とが あ る.
「自 身」 は,人 称 代 名 詞 型 の 変 化 で,同 一 の形 態
ロ シア語 の動 詞 は,す べ て の ス ラブ 諸 語 と同 様 に,
「コー ヒー」(男 性) 「並木 路 」(女 性 ま た は 中性)
ア ス ペ ク トの範 疇 を もつ.す
「ウ ィス キ ー」(中 性 ま た は 女 性)
動作 の全 一 的 把 握 を特 徴 とす る完 了ア ス ペ ク トか,そ
「タク シ ー」(中 性)
の特 徴 を もた ない 不 完 了 ア スペ ク トの ど ち ら か に 属
なわ ち,す べ て の 動 詞 は,
形 容 詞 には,長 短2つ の 変化 語 尾体 系 が あ るが,一
し,し か も,多 くの場 合,一 方 の ア スペ ク トの 動 詞 は,
般 に,複 数形 で は性 の 区 別 が ない の で,長 語 尾形 は,
そ れ と形 態 上 関 連 の あ る別 の ア ス ペ ク トの 動 詞 と対 を
男,女,中,複6格
ず つ,合 計24の 形 態 を もつ .活 動
な して存 在 して い る. た とえ ば,完 了 ア ス ペ ク トの
体 名 詞 に関係 す る場 合 は,不 活 動 体 名 詞 に 関係 す る場
〓
「解 決 す る」 に 対 して,不
合 と異 な るパ ラ ダイ ム に 従 う.中 性 形 は,主 格 と対 格
〓
「解 決 す る」 が あ り,そ れ ぞ れ の 同一 時 称形 に
を除 き男 性形 と一 致 す る.短 語 尾 形 は,述 語 お よ び副
よ る表現 は,ア ス ペ ク トの意 味 で 対立 す る. 「私 は課 題 を解 い た」(完 了 ア
詞 として の 機 能 を果 た す が,格 の 範 疇 は な く,男,女, 中,複 の4つ の形 を もつ にす ぎ ない.た だ し,古 来 の
ス ペ ク ト,解 答 終 了) 「私 は課 題 を解 い て い た」(不
熟 語 的 表 現 の 場合 や,定 語 と して用 い る ‐OB,‐eB,‐〓H
完 了 ア ス ペ ク ト,解 答作 業 中)
型 の所 有 形 容詞 の場 合 に は,格 変 化 が 保 た れ る. 「白昼 堂 々」
は,名 詞 変
これ は,た
とえ ば,多 回 的(frequentative,〓
「よ くあ る」),一 回的(semelfactive,〓
化 男 性 生格) 「父親 の 領 地 で」
回)叫 ぶ 」),始 発 的(inchoative,〓
「(一 「叫 び 出
す 」)な ど と よん で 区 別 す る,い わ ゆ る動 作 様 相(
は,形 容 詞変 化 中 性 前 置 格) な お,外 来語 起 源 の(特 に 色 名 を表 わ す)形 容 詞 に は, 性,数,格
完 了 ア ス ペ ク トの
,独Aktionsarten)を
表わすための
個 々 の形 態 論 的 手 段(接 尾 辞 ‐Ba‐,‐Hy‐,接 頭 辞3a‐ な
を一 切 表 示 しな い 不 変 化 の もの が あ る. 「ベ ー ジ ュ色 」
ど)と は,レ ベ ル を異 に す る体 系 的 な文 法 範 疇 で あ る
「エ レ ク ト リッ ク ・ブ ル ー の
こ とに注 意 しなけ れ ば な ら ない. 相(diathesis,ま
ドン ス」
た は,voice)の
範 疇 は,能 動 相 と
ま た,関 係 や,所 属,部 分,材 料 な ど の意 味 で な く,
受動 相 の2つ を区 別 す るが,両 方 の相 の形 態 を もつ の
性 質や 程 度 を表 わ す形 容 詞 に は,比 較 の文 法 範 疇 が あ
は他 動 詞 に限 られ る.非 他 動 詞 な い し自動 詞 は,能 動
り,原 級 と異 な る比較 級 と最 上級 の形 態 を もつ.
相 の形 態 のみ を もつ.不 完 了 ア ス ペ ク トの他 動 詞 の 受
数 詞 は,10進 法 に基 づ く比 較 的 単 純 な体 系 で,印 欧
動相 は,末 尾 に ‐c〓,/‐cbの 要素 を加 え た形 で 表 現 され
諸 語 と多 くの対 応 な い し類 似 を 示 す が,個 数詞40と
る が,完 了 アス ペ ク トの場 合 は,受 動 過 去 分 詞 短 語 尾
し
形 と〓 辞(copula,)〓
の諸 形 との合 成 形 式 で 表現
され る.た とえ ば,
す っ か り話 して あ げ る のだ が 」 分 詞 に は,副 詞 的 機 能 を果 た す 不 変 化 の 「副 動 詞 」
「そ の 本 は 読 ま れ て い る」(不 完 了 アス ペ ク ト)
が あ る. 副 動 詞 は,不 完 了 アス ペ ク ト(〓 「そ の本 は読 了 され
た」(完 了ア ス ペ ク ト) ア ス ペ ク ト と相 は,ロ
つ つ」)と完 了ア ス ペ ク ト(〓
と,そ の お の お の につ い て,現 在 と過去 の 区別 を もつ の で,そ の 形 態 は4種 類 で あ る.
範疇 は,不 定 形 と分 詞以 外 の形
態 にお い て,直 説法,命
「解 き
「解 決 して か ら」)で,
形 態 と意 味 が 異 な る.形 動 詞 は,能 動 と受 動 の 区 別
シア語 の全 動 詞 の 全形 態 がそ
の 区別 に関 与 す る最 上 位 の 文 法 範 疇 で あ る. 動 詞 の法(mood)の
と,形 容 詞 的 機 能 を果 たす 形 容 詞 型 変 化 の 「形 動 詞 」
令法,仮 定 法 の3つ を 区別 す
「解 決 しつつ あ る」(能 動 現 在,不 完 了 ア ス ペ ク トの み)
る.
「解 決 しつ つ あ った」(能 動 過 去,不
直説 法 は,時 称 の範 疇 を もち,現 在 と過 去 お よび未 来 の 区別 が あ る.現 在 時 称 形 は,人 称 変 化 で3つ の
完),お
よび,「
人 称 を単 複 で 表 わ す6つ の 形 態 を も つ .た と え ば, 〓
「読 む 」(不完 了体)の 単 数1・2・3人
称 と複 数
解 決 し て し ま っ た」
(能動 過 去,完) 「解 決 され 得 る」(受 動 現 在,不 完 の み)
1・2・3人 称 の 形 は,
「解 決 され た」(受 動 過去,完
の み)
た だ し,形 動 詞 の現 在 や 過 去 の 形 が 表 わ す の は,主 動 詞 に対 す る 「同 時 」(現 在)ま た は 「 先 行」(過 去)の よ で あ る.過 去 時 称形 は,形 容 詞 短 語 尾 型 の 変 化 で, 男,女,中,複
の4つ の形 を 区別 す る.
うな,相 対 的 な時 の 意 味 にす ぎ ない.な お,受 動 分 詞 に限 り,述 語 と して用 い る短 語 尾 形 を もつ が,受 動現 在 分 詞 の 短 語 尾 形 は ご くまれ に しか用 い られ ない.受
独 立 の 未 来(人 称 変化)の 形 態 を もつ の は,繋 辞 と して
動 過 去 分 詞(被 動 形 動 詞 過 去)の 短 語 尾 形 は,す で に 述
も用 い られ る存 在 の 動 詞
べ た とお り,繋 辞〓
「い る,あ る」 だ け で
の 諸 形(た だ し,現 在 時 称形
は ゼ ロ)と と も に,受 動 相 の形 態 を構 成 す る. 不 完 了 ア ス ペ ク トの動 詞 に限 り,の
未 来 形 にそ
自立 的 品 詞 と して は,こ の ほ か に 副詞 が あ る が,非
れ ぞ れ の 不定 形 をそ え て,合 成 未 来 として 用 い る こと
自立 的 品 詞 と して は,前 置 詞,接 続 詞,助 詞 の3つ,
が で きる.
そ して,そ の い ず れ で も ない 特 殊 な 品詞 と して 間投 詞 な ど.
をた て るの が,通 常 の10品 詞 の 分 類 で あ る.
完 了 ア ス ペ ク トの動 詞 は合 成 未 来 で 用 い る こと はで き ない が,そ の現 在 形 は,普 通,未 来 の意 味 を表 わ す. 「い
ロ シア 語 の 統 語 論 上 の 特 徴 と して は,次 の2点
をあ
げ るに と どめ る. 1)語
の形 態 の 支 え が 強 固 な た め,主 述 関 係 の表 現
ま す ぐ私 は課 題 を解 い て しま って 散 歩 に出 か け ま
は語 順 に頼 る必 要 が ほ とん どな く,文 の各 成 分 の位 置
す」
が 比較 的 自由 な の で,発 話 の現 実的 区分(
命 令法 は,相 手 に対 す る命 令 と して,「∼ せ よ」 の 意 味 を 表わ す2人 称 命 令 法 の 単 複(〓
「解 決
せ よ」),お よび,共 同 動 作 へ の うな が し と して,「(い
functional
sentence
に よる テ ー マ(theme)と
また は〓
または し
ない 「解 答 作 業 を しよ う,
して み よ う」)が ある. 仮 定 法 の 形 態 は,動 詞 の過 去 形 に 助 詞〓
「ね こが ね ず み を捕 ら え た」:「
「解決 し よ う」,不 完 了 ア ス ペ ク トは,
ね ず み を捕 ら
え た の は ね こだ」(は
テー マ,は
レー マ
を表 わ す) 2)動
詞 の形 態 が,主 語 の人 称,数,性
を表示す る
た め,主 語 の 省 略 が 頻 繁 に起 こ る一 方,形 式 的 な 主 語 をそ えた
もの に等 しい.述 語 が この形 の とき は,現 在,過 去, 未 来 にお け る,ま った くの 仮 定 を前 提 とした 非 現 実 的 動 作 や 状 態 が表 わ され る.
に よ る非 人 称 表現 が 発 達 しな か った の で, a)主
語 の ない 無 人 称文 ―〓.「
b)不 くは 君 に
寒 い 」='It
iscold.' 定 人 称文―
とい う」='They 「仮 に君 が こ こに い る と した ら,ぼ
表 現 に際
して,語 順 が積 極 的 な 役割 を果 た す.
っ し ょに)∼ し よ う」 の 意味 で用 い る1人 称 命 令 法 の 諸 形 態(完 了 アス ペ ク トは,〓
perspective(FSP))
レー マ(rheme)の
c)普
遍 人 称文―
「彼 は イ ワ ン ca11 him
Ivan.'
「あ い つ は ど う し よ う も な い 」='You anything
with
can't
do
him.'
膨 大 な量 に達 した.1917年
な ど の 文 型 が 確 立 多 用 さ れ,一
見,日
本 語 な ど に近 い
彙]
現 代 ロ シ ア 標 準 語 の 語 彙 は,全
体 とし
て の 東 ス ラ ブ 的 な い し 大 ロ シ ア 的 特 徴 と,書
き こ とば
と して長 い歴 史 を もつ南 ス ラ ブ起 源 の 教会 ス ラブ 語 の 要 素,お
よ び,特
に18世
か ら な っ て い る.ロ
ア 語 の 語 彙 の 特 徴 と し て 特 に 重 要 な の は,純 教 会 ス ラ ブ 語 的 語 彙(CS)の
相 関 に 基 づ く語 彙 の 二 重 性 で,た 〓(R)「
〓 「革 命」,〓
対立ない し
頭 」:(CS)「
「 宇 宙」,〓
シ
と え ば, 物,
「恐慌 」,〓 「サイ バ ネ テ ィ ッ クス 」,
〓 「キ ャ ンピ ング」 な どの 比 重 は,き わ めて 高 い もの とな って い る. [方
首 領,(書
言]
現 代 の ロ シア語 の 方 言 の 全 般 的 な記 述
の 対 象 は,普 通,ウ ラル 以 西 の,い わ ゆ る ヨー ロ ッパ ・ ロ シア 地 域 に 限 定 され る. シベ リア,中 央 ア ジ ア な ど
〓(R)「
火 薬 」:〓(CS)「
〓(R)「
ろ う そ く」:〓(CS)「
〓(R)「
出 て 行
発 す る,由
に 分布 す る個 々の方 言 は,比 較 的,後 代 の ロ シ ア人 の移
屍灰」
短 い 」:〓(CS)「
〓(R)「
な ど の よ う に,同
と共 通 の政 治 ・経 済 ・法 律 ・学 術 ・文 化 関係 の 用語, た とえ ば,
ロ シア 語
論 文 の)章 」
(CS)「
け るい わ ゆ る国 際 的 語 彙,す な わ ち,近 代 西 欧 諸 言語
紀 以 降 顕 著 とな った 近 代 西 欧
諸 言 語 か ら の 借 用 の 要 素 の3つ
的 語 彙(R)と
の 革命 以 後,特 に40年 代
以 降 は,世 界 的 な 傾 向 と一 致 して,英 米 語 か らの借 用 の 例 が 増加 してい る. そ の 結 果,現 代 の ロ シア 語 に お
印 象 を 与 え る. [語
な どを含 めれ ば,こ の時 期 の フ ラ ンス 語 か ら の借 用 は
く,来
燭 台」
住 の結 果 生 じた もの な の で,そ こへ 移 住 した 人 々 の元
簡 略 な」
の 地 域 の 方 言 と関係 し,古 来 の歴 史 的,地 理 的 連 続 性 を もつ 諸 方 言 とは段 階 を異 に して い る.
る」:〓
基 本 的 な方 言 区分 は,北 方方 言 な い し北 大 ロ シア 方
来 す る」
根 の語 彙 に 見 られ る純 ロ シ ア語 的 語
彙 の 意 味 の 具 体 性 と 日 常 性 に 対 し て,教
言 と,南 方 方 言 ない し南 大 ロ シア 方 言
会 ス ラ ブ語 的
の2つ の 区
語 彙 の も つ 抽 象 性 と宗 教 性 の 対 照 が 著 し い . 東 ス ラ ブ な い し 大 ロ シ ア 特 有 の 語 彙 と し て は, 〓 「村 」,〓 こ」,〓
「安 い 」,〓
「町 の 内 城,城
「農 民 」,〓
別 で,そ の 中 間 に,両 方 言 の特 徴 を合 わ せ もつ,中 部
「茂 み,灌
「牝 ね
木 」,〓
「虹 」,
〓「長 靴 」
「き の こ(美
々 の 事 物 の 名,た
欧 諸 言 語 か らの 借 用 は,18世 初 は,ポ
湖
の 北,ボ
トフ(〓)の
ベ ジ(〓)の
な ど が 目 立 っ て い た.18世
紀 中 葉 以 降 は,学
術,文
化,
生 活 の 全 般 に わ た っ て フ ラ ン ス の 影 響 が 著 し く,語 の 直 接 の 借 用,た
彙
とえ ば,
〓 「劇 場 」 <theatre
ロム ナ(〓)の
わ ゆ る 翻 訳 借 用(仏calque),た
とえ
西,サ ラ トフ(〓)の
西を 至 ロメ ー トル
の 幅 で 東 西 に の び る地 域 に,中 部 ロ シア 諸 方 言 が 分 布 リー ニ ン(〓)の
西 の 東 経36度
線に
ほ ぼ沿 っ た形 で,東 群 と西 群 の 境 界 が あ る(〈 図 〉を
と え ば,
〓 「批 評 」 <critique→〓 評 す る」
南 を結 び,そ れ か らは 南 下
る線 を な して い る.そ の 中 間の 平 均250キ
人 間 性 」 >〓 的 派 生,た
南,メ ドゥ ィニ(〓) 北,リ ャ ザ ン(〓)の
シモ フ(〓)の
す るが,カ
な ど や,2次
線 付 近 の セー
北 か ら大 体 東 に進 み,ト ロペ ッ(〓
通 って ヴ ォル ガ の ヴ ォ ル ゴ グ ラー ド(〓)に 大 な 」 <serieux
ば, humanite「
北 方 を 走 って ヴ ェ ト 達 す る線 をな して い る. 一
して,ペ ンザ(〓)の
〓 「家 具 」 <meubles
な ど を は じ め,い
ォル ガ川(〓)の
)の南,ル ジ ェ フ(〓)の の 北,コ 北,カ
〓 「ま じ め な,重
南,ロ ス
方,南 方方 言 の北 限 は,西 で は 北 緯56度
Jahrmarkt
ロヴ ィチ
北 を経 て ユー リエ ヴ ェツ(〓)
ル ー ガ川(〓)に
〓 「定 期 市 」 <(P)jarmark∼(G)
ァル ダ イ山 地
(〓)の 南,ベ ー ジ ェッ ク(〓)の
を結 び,ヴ
と え ば,
〓 「騎 兵 」 <(P)rejtar∼(G)Reiter
線 付 近 の ラ ドガ
の北 か ら は東 南 へ の び,ヴ
代西
経 由 し た ドイ ツ 語(G)
か ら の 軍 事 ・技 術 ・商 業 関 係 の 語 彙,た
は北 緯60度
東 岸 か ら南 下 して,ノ ヴ ゴ ロ ド
紀 か ら急 激 に 増 加 し た
ー ラ ン ド語(P)を
は 大 きな 方 言 を,
〓は小 さい 方 言 を さす の に 用 い られ て い る.
味 で 有 名 な シ ロハ ラ タ ケ
の 類)」 な ど に そ の 例 が 多 い の は 当 然 で あ る.近
が,当
の 分布 す る広
北 方 方 言 の南 限 は,西
な ど の 例 が よ く知 ら れ て い る が,個 と え ば,〓
ロ シア諸 方 言 い地 域 が あ る.こ の場 合,〓
壁 」,〓
参 照). 「批
北方 方 言(北)と 南 方 方 言(南)は,以 徴 に関 して 対 立 す る.
下 に あ げ る諸 特
ロ
シア語の 方言 分布
出 典:ク
1)ア
ズ ネ ツ ォ フ(〓,1973)に
よ る.
ク セ ン トの な い 位 置 で の/〓/と/〓/の
(北)あ
り/(南)な
区 別:
し(〓
な ど.な お,前 者 を 特 に オ ー カ ニ エ 型(〓), 後 者 を ア ー カ ニ エ 型(〓)と る) 2)/〓/の
(北)閉 鎖 音[〓]/(南)隙 [〓]な
よぶ 慣 行 が あ
3)母
音 連 続 の 際 の[j]の
(北)あ 4)母
脱 落 と母 音 縮 約:
り(〓
な ど)/(南)な 音声的実現 :
間 音[〓](〓/
ど)
音 間 の〓
し(〓,な の 発 音:
ど)
ⅱ )西
(北)[〓]/(南)[〓](な
ア ー カ ニ エ 方 言 群(〓 )
ど) 5)語
末 の ‐CT,‐3〓 の 発 音:
(北)[〓]/(南)[〓](MOCT,XBOCT,な 6)‐aに
ど)
a)プ
ス コ フ 方 言 群(〓)
b)セ
リゲ ー ル ・トル ジ ョー ク 方 言 群(〓
終 わ る 女 性 名 詞 の 単 数 生 格 の 語 尾:
(北)‐bl(y〓,c〓,な
ど)/(南)‐e
(y〓,c〓,な 7)‐ymk‐ (北)男
) ⅲ )東
)
ど) a)ウ
型 名 詞 の 格 変 化:
) ⅳ )東
詞,形
(北)な
ラ ジ ー ミ ル ・沿 ヴ ォ ル ガ 方 言 群(〓
性 ・中 性 変 化/(南)
女 性 変化 8)名
オ ー カ ニ エ 方 言 群(〓
ア ー カ ニ エ 方 言 群(〓 )
容 詞 の 複 数 与 格 と造 格 の 区 別:
し /(南)あ
り
a)Aグ
ル ー プ(〓)(モ
b)Bグ
ル ― プ(〓)(エ 〓 ,カ
9)人
称 代 名 詞(1・2人
c)C'グ
称 単数 と再 帰)の 生格=対
シ モ フ〓
沿 モ ク シ ャ〓
17世 紀 後 半 以 降,モ
/(南)生=対
ス ク ワの 話 し こ とば を基 礎 と して
て の 性 格 を 強 め た 結 果,上
(北)‐T/(南)‐Tb
述 の 諸 特 徴 に 関 し て は,1,
3,4,5,7,8は,南 詞 現 在3人
称 複 数 形 で 語 尾 に ア ク セ ン トの な
い と き の,第1変 語 尾(‐〓T∼
化 語 尾(‐〓T∼
‐yT)と 第2変
方 方 言 の タ イ プ を 示 す 一 方,
2,6,9,10,11に
つ い て は,北
化
12の 語 彙 の 点 で も,両
な
語(〓,Proto‐East‐
[歴
‐aT)の 区 別:
り
ど)/(南)な
史]
紀 か ら8世
あ る ス ラ ブ 基 語(PS;→
な ど)
「練 り 粉 鉢 」
(北)〓/(南)〓
「鍋 の 柄,耳
」
エフ大
「耕 す 」 「麦 の 芽 」
は,988年
(北)〓/(南)〓
(南)〓
で,そ
西 両 群 そ れ ぞ れ の 中 に,さ
特 徴 の 相 違 に よ っ て,オ
るい
1057年
の よう
オ ー カ ニ エ方 言 群
よ ぶ.現
存 最 古 の 資 料 は,1056∼
の 『オ ス ト ロ ミー ル の 福 音 書 』(〓 )で,元
代 教 会 ス ラ ブ 語(OCS)の
テ
来,古
ク ス トに 従 っ た 福 音 書 で あ る に もか か わ ら ず,古
代教
会 ス ラ ブ 語 と は 異 な る 特 徴 を 示 して い る.す 1)ス
に な る.
の
期 ロ シ ア 語(Old
Russian〔OR〕)と
ら
ー カ ニ エ 型 とア ー カ
ニ エ 型 の 区 別 を 導 入 し て 下 位 区 分 を 示 せ ば,次
リス ト教(正 教)を 国 教
れ を 契 機 と して 言 語 の 統 一 と 標 準 化 が 進 み,14
言 語 を,古
「ゆ り か ご 」 述 の 諸 特 徴 に 関 し,あ
るい は南 方 方 言 に一 致 す る よ うな 中 間
的 な タ イ プ を 示 す が,東
に,キ
の ス ラブ 典 礼 の 用 語 と して の 古
世 紀 ま で の 間 に 各 地 に 大 量 の 文 献 資 料 を 残 し た.こ
「杓 子 」
中 部 ロ シ ア 諸 方 言 は,上
な い し989年
代 教会 ス ラ ブ語 を キ リル文 字 と と も に 受 け 入 れ た の
「輪 舞 」
(北)〓/(南)〓
位980∼1015)
と し て 公 式 に 認 め,そ
「い や が る 」
(北)〓/(南)〓
地に分
キ エ フ を 中 心 と す る 国 家 的 統 一 を 実 現 し た.キ
(北)〓/(南)〓
「は ら み 羊 」
の 間,各
紀 末に
(北)〓/(南)〓
(北)〓/(南)〓
の 母体 で
住 定 着 した 東 ス ラ ブ 諸 族 は 一 体 性 を 強 め,9世
公 ウ ラ ジ ー ミル(在
ⅰ )西
紀 に か け て,そ
ス ラ ブ 祖 語)か ら 分 離 し,独 立
性 を 確 立 し た も の と考 え ら れ る が,そ
(北)〓/(南)〓
に,1の
方 方 言 と一 致 し,
方 言 の 特 徴 を 分 有 して い る.
現 代 の ロ シア 語 の 源 を な す東 ス ラ ブ基
Slavic)は,6世
し
彙:
は 北 方 方 言,あ
在 の モ ス ク ワ地 方
の方 言 の レベル を越 え た も っ と も広範 囲 の共 通 語 と し
10)動 詞現 在3人 称 単 複 の 末 尾:
(北)〓
地 方) 述(「 歴 史 」)の よ う に,
複 雑 な 過 程 を 経 て 形 成 さ れ た が,現
与=前
12)語
地 方) ー ム ニ コ フ〓
現 代 の 標 準 語 の 諸 規 範 は,後
(北)生=対;与=前
(北)あ
ゴ ー リ エ フス ク
ル ー プ(〓)(テ
格 と与格=前 置 格:
11)動
ス ク ワ 地 方)
な わ ち,
ラ ブ 基 語*tort,*tert,*tolt,*teltに
応 す る 古 代 教 会 ス ラ ブ 語 のtrat,tret,tlat,tlet に 対 し て,古
a)グ
ドフ方 言群
teletと
b)ノ
ヴ ゴ ロ ド方 言群
full
期 ロ シ ア 語torot,teret,tolot,
な る,い
わ ゆ る 母 音 重 複(
vocalization)を
有 す る こ と.
対
2)ス
ラ ブ 基 語 の*tj,*dj,*kt,*gtに
古 代 教 会 ス ラ ブ 語 のStお 期 ロ シ ア 語 はcお
よ びzが
合計28).
詞 は,直 説 法 にお い て,現 在nesu,未
過 去nesaxu,ア
対 応 す る こ と.
オ リス トnesoxu,完
以 前 に 」:(OR)preze
未 来 完 了budunesluの7つ
で き る」:(OR)moci
た はaと
(OCS)poti「
道 」:(OR)puti
完了
了jesmi
来imunesti, の 時 制 形 態 を 区別
運 ぶ」. 上 例 は,す べ て1人
称単数〔 男性〕 形).
期 ロ シ ア 語 で は 鼻 母 音(o,e)が
oはu,eはaま
過 去baxuneslu,未
す る(不 定形nesti「
夜 」:(OR)noci
(OCS)mosti「
尾 形4の 8)動
neslu,大
(OCS)prezde「
3)古
対 し て,古
灯 明 」:(OR)sveca
(OCS)svesta「
(OCS)nosti「
対応する
よ びzdに
早 く失 わ れ,
混 同 さ れ る こ と.
この よ うな キ エ フ を 中心 とす る言 語 的 統 一 は,12世 紀 後 半 か らは 内 紛 の 激 化 に よ る地 方 分立 的 傾 向 を反 映 して著 し く弱 ま り,地 域 差 が 目立 つ よ うに な るが,さ
(OCS)peti「5」:(OR)pati
らに,13世
(OCS)cesto「
征 服 に よ り,分 裂 は 決 定 的 と な った.ま た,こ の頃 ま で
12世
し ば し ば 」:(OR)casto∼casto
紀 前 半 ま で の 古 期 ロ シ ア 語 は,地
に よ る 差 異 が 少 な く,比 徴 の ほ か に,ス の 多 い,次
域 お よび 時 代
較 的 安 定 し て お り,上
ラ ブ 基 語,古
述 の特
代 教 会 ス ラ ブ 語 と共 通 点
の よ う な 構 造 的 特 徴 を も っ て い た.
1)母
音 体 系 は,前
脱 落 と母 音o,
eへ の 転 化 の 現 象 が あ る が,東 ス ラブ 諸方 言 も,こ の
節 の原 則 に も多 くの例 外 を 生 じ,そ れ ま で の音 韻体 系
〓
の 合 計10母
音音
素 が 対 立 す る. 2)子
に,時 期 を同 じ くして ス ラブ の 全 地 域 の言 語 に生 じた 共 通 の 変 化 と して,位 置 に よ るuとiの
変 化 を生 じ,子 音 体 系 の変 化 と も連 動 す る一 方,開 音
舌 母 音〓,
奥舌母音
紀 前 半 の モ ン ゴル ・タ タ ー ル軍 の南 ロ シア
は根 本 的 な 変動 を被 った.14∼15世
紀 には,モ ス ク ワ
を 中心 とす る,い わ ゆ る大 ロ シア人 の 言 語 と,リ トワ ・
音 体 系 は,〓
ポ ー ラ ン ド領 とな っ た 南 の 小 ロ シ ア人,お よび,西 の 白 ロ シア人 の言 語 が 分 離 発 達 す る と と もに,大 ロ シ ア語 の25音 素 の 対 立 が 認 め られ
るが,/〓/は,外
来 の文 化 的 語 彙 や 固 有 名 詞 に散
の 中の 南 北 の方 言 差 も顕在 化 した も の と考 え られ る. 14世 紀 以 降,北 東 の ウラ ジー ミル 大 公 領 を 中 心 とし
発 的 に現 わ れ る だ け な の で,安 定 した もの とは 言
て近 隣 の所 領 を 合 わ せ,15世 紀 末 まで に,ロ
い が た い.現 代 との最 大 の相 違 は,非 口蓋 化 子 音
お よび 北 東 の大 部 分 の 統一 を実 現 した モ ス ク ワ公 国 で
と口 蓋化 子 音 の音 素 的 対 立 が,ま だ,ご
く一 部 に
は,伝 統 的 な書 き こ とば と して の 教 会 ス ラ ブ 語 お よび
しか 認 め られ な い 点 で,特 に,/〓//〓/と と もに,
古 期 ロ シ ア語 に加 え て,行 政 上 の 実 際 的必 要 を み た す
シア の 北
/〓//〓//〓/は,口 蓋 化 子 音 音 素 と して 存在 して い
た め に,モ ス ク ワの 話 し こ とば を大 幅 に と り入 れ た 実
る こ とに注 意 しな けれ ば な ら ない.な お,現 代 の
用 文 体(〓)を
/〓//〓/の よ うな特 殊 な子 音 音 素 結 合 を認 め る立
の書 き こ とば に も次 第 に話 しこ とば の 要素 が 強 く反 映
場 もあ る が,そ の 解 釈 は,学 者 に よ って異 な る.
され る よ うに な った.こ の タイ プ の新 しい 書 き こ とば
3)音
節 は,す べ て 開音 節 の原 則 に従 い,つ ね に母
音 で終 わ る. do│mu「 4)双
真 実」
数 の カ テ ゴ リー が,性,格,人
政文書 以外
を,中 期 ロ シ ア 語(〓,Middle Russian)と
家」,pra│〓│da「
用 い た が,行
よぶ が,15世
紀 か ら17世 紀 に及 ぶ この 言
語 は,す で に,現 代 の ロ シア 語 の 先 行 母体 を なす 新 し 称 変化 の すべ
い 特 徴 を備 え て い る点 で,古 期 ロ シア 語 とは明 瞭 に 区
て に 及 ぶ こ と.し た が っ て,名 詞,形 容詞,数 詞,
別 され る.す なわ ち,上 述 の 音 韻 体 系 の 推 移 の ほ か
代 名 詞,動 詞 のす べ て に,双 数 の 形 態 が あ る. 5)名
詞 の大 多数 が,単 数 に限 り,呼 格 の形 態 を も
つ.
に,ア ー カ ニ エ の特 徴 を示 す 一 方,ス ラブ 基 語 で 生 じ た い わ ゆ る第2口 蓋 化(前 舌 母 音 の 前 のk,g,xが, そ れ ぞ れ,c,z',s'と
な る)が 効 力 を失 い,前 舌 母 音
の 前 で もk,g,xが
そ の ま ま現 わ れ るた め,た
otice「
父 よ!」(主 格 はotici)
sinu「
息 子 よ!」(主 格 はsinu)
ば,ruka「
z eno「
女 よ!」(主 格 はzena)
の に 対 し,rukeな
6)名
詞 格 変 化 の タ イ プ に 最 小 限6種
り,現 7)形
代(3種 容 詞 は,す
あ り,両 女,中 は108の
べ て 短 語 尾形 の ほ か に長 語 尾 形 が
と6格
の3数
に お い て,男,
の 区 別 を 行 な う の で,理
形 態 を もつ(現 代 は,長
語 尾 形24と
い しrukeの
あった
形 が 逆 形 成 され,こ
こで も現 代 に 近 づ い て い る.ま た,双 数 や 呼 格 の カ テ ゴ リー は 消 失 し,名 詞 格 変化 の タイ プ の統 合 も進 ん だ
類)に 比 べ て 数 が 多 い.
者 と も,単,複,双
の3性
類 の 区別 が あ
手 」 の単 数 所 格 は,か つ てruceで
とえ
が,そ の かわ り,活 動 体 の カ テ ゴ リー が 人 と動 物 を表 わ す名 詞 の 全体 に 及 ぶ よ う にな っ た. 形 容 詞 は,長 語
論上
尾 形 の複 数 に お け る 性 の 区別 は な く な り,短 語 尾 形
短語
は,述 語 とし て の用 法 に 固定 した 結 果,格 変 化 を失 う.
ま た,動 詞 直説 法 の形 態 は,未 完 了過 去 とア オ リス ト
こ とば に よ る言文 一 致 の 試 み を示 した が,定 着 す るに
が用 い られ な くな る と同 時 に,完 了 時 称 形 の 助 動 詞
は至 ら なか った.
(〓
の現 在)が 脱 落 して,完 了(‐l‐)分詞 を独 立 の
この よ うに,18世
紀 は,新 しい ロ シア 語 の 書 き こ と
述 語 とす る過 去 表 現 が,唯 一 の過 去 時 称 形 と して確 立
ばの 創 造 の た め の準 備 期 間 と見 な す こ とが で き るが,
して くる の で あ る.
この 時期 の ロ シア 語 を,特 に,新
中期 ロ シア語 の代 表 的 な 資 料 は,ト ヴ ェ ー リ(〓)
NewRussian)と
の 商 人 ア フ ァナー シイ ・ニ キ ー チ ン( ?∼1472)の
詩や 韻 文 の 悲 劇,風 刺 的 な喜 劇,旅 行記 形 式 の評 論 な
『三 つ の 海 の 彼 方 へ の 旅 行』(Xo 1472),ア
どの い くつ か の 分野 で,ロ シ ア語 の近 代 化 の モデ ル を
レ クセ イ ・ミハ イ ロ
ヴ ィチ皇 帝(在
ロ シア 語(
よぶ.新 ロ シ ア語 は,頌
位1645∼76)
時代 の 『1649年 法 典』(1649)な
示 した が,結 局 の と ころ,模 範 とす る に足 る叙 情 詩 や 標 準 的 散文 を生 み 出 す こと は で き な か っ た.
ど
19世 紀 の20年 代 にそ れ を な し とげ たの は,プ
ーシ
で あ る.し か し,こ の時 期 の 書 き物 の 主 流 は,依 然 と
キ ン(1799∼1837)
し て,教 会 ス ラブ 語 に よ る宗 教 的 ない し教 会 用 の書 物
で,彼 の一 連 の 作 品 に よ って,伝 統 的 な 書 き こ とば の
と,伝 統的 な古 期 ロ シア 語 に よ る著 作 で あ り,旧 態 依
気 品 と力強 さ,西 欧 風 の文 物 を 反映 す る都 会 の 話 しこ
然 た る書 き こと ば と,変 化 の激 しい 話 し こ とば との 分
とば の軽 妙 さ と レ ト リッ ク,そ して,口 誦 文 学 の伝 統
離,相 違 は甚 だ しか った.
に立 つ 民 衆 の こ とば の 素朴 さ と簡 潔 さの す べ て が見 事
17世 紀 末 に,ピ ョー トル1世 が絶 対 主 義 帝 政 を確 立 し,積 極 的 な 近代 化 政 策 を推 進 す るに 及 ん で,ロ
シア
語 も新 しい 発展 段 階 を迎 え た.す な わ ち,近 代 国 家 を 背 景 とす る国語 として の ロ シア語 の確 立 完 成 が,意 識
に統 一 され た新 しい 書 き こ とば の 模 範 が示 され,す べ ての 受 け 入 れ る と こ ろ と な った.こ
う し て,現 代 ロ
シア 標 準語(〓 ,Modern
Literary
Russian)の
最 初 の 具体 的 な
的 に追 求 され る よ うに な った.一 般 図書(つ
ま り,教
規 範 が確 立 され た . 広 義 の現 代 ロ シア 語 は,プ ー シ キ
会 用 の 書物 以 外)の 印刷 の ため の新 しい33字
母 の アル
ン以 後 を さす が,よ
り厳密 に は,19世 紀 を通 じて の 洗
フ ァ ベ ッ ト(いわ ゆ る民 間 活字)と そ れ に よ る簡 便 な正
練 完 成 と,1917年
書 法 が 定 め られ た の を は じめ と して,ト
ャコ フ(,1873∼1942)
レ ジア コ フス
キイ(1703∼
の 革 命後 の 変化 を経 た の ち の,ウ シ
の 『詳 解 ロ シア語 辞 典 』(
69), ロモ ノ ソフ(
1935‐40)以 降 の 諸規 範 を 内容 とす る,標 準的
1711∼65), スマ ロ コフ(
な ロ シア語 の書 き こ と ば と話 し こ とば を さす もの と さ
1717∼77)ら の古 典 主 義 文 学 理 論 に基 づ く新 し い 詩型 や文 体 の創造 の た めの 競 作 や 論 争 が 展 開 され ,
れ て い る. [日本 語 との 関係 ]
系統 も類 型 もま っ た く異 な る
詩 論,修 辞 学,文 体 論,文 法 学 の 分 野 の 著 作 が 次 々 と
の で,日 本 語 と ロ シア 語 の関 係 は,相 互 に若 干の 語 彙
発 表 され た.特 に,ロ モ ノ ソ フの主 張 した 古 典 主 義 的
の借 用 が あ る程 度 に す ぎな い.ロ
シア語 か ら,あ るい
な3文 体 理 論(作 品 の ジ ャ ンル に よ り上 中 下 の3文 体
は ロ シア 語 を経 由 して 日本 語 に入 った 語 彙 と して は,
を 区別 し,上 位 の文 体 ほ ど古 雅 荘重 を 旨 と し,下 位 の
次 の よ うな もの が あ る.
文 体 ほ ど話 し こ とば や 俗語 の混 用 を認 め る,と す る説)
イ ク ラ <〓
は,18世 紀 全 体 を通 じて 大 きな影 響 力 を発 揮 した.こ
イ ンテ リゲ ンチ ャ <
れ は,社 会 の 生 きた話 し こ とば で あ る ロ シア 語 とま っ
ウ ォ ッカ <〓
た く断 絶 した,不 自然 か つ 煩瑣 きわ ま る古 め か しい 書
カ ンパ <
き こ とばの 規 範 の一 義 的 な束 縛 を否 定 し,古 い規 範 を
ス プ ー トニ ク <〓
相 対 化 して 自 らの言 語 表 現 の 中 に他 の 要素 と と もに選
ダモ イ <〓
択 的 に と り入 れ て い く自由 を確 認す る 論 拠 とな った.
ボ ル シチ <〓
ロモ ノ ソ フは,ま た,1757年
ス ー プ」
に 『ロ シア 文 法 』(
)を 著 して,は じめ て,生 きた ロ
ラ ー ゲル <〓
シア語 に文 法 的 枠 づ け を与 えた.こ れ は,『 ロ シア ・ア
ルバ シカ <〓
カ デ ミー 辞 典 』(
「知識 階 級」
「 無 色 の 蒸 留 酒」 「募 金 運 動」 「 人 工 衛 星」
「家,故 郷 へ 」 「甜 菜 で 色 つ け した 肉 と野 菜 の
「収 容 所,キ
ャ ンプ」
「上 衣 風 の シ ャツ」
ま た,日 本 語 か ら ロ シア語 に入 っ た もの と して は,
1789‐94)と と もに,ロ シア 語 の規 範 の確 立 に 大 きな 役 割 を果 た した.ま た,18世
紀 末 に は,カ
ラ ム ジ ン
(1766∼1826)が, 「新文 体(〓)」
「魚卵 」
〓 「柔 道」< 柔 術 〓 「いわ し類 の小 魚 」< い わ し 〓 「 極 東,沿 海 州 の小 型漁 船 」< 川 崎(船)
を とな え て,上 流 社 会 の話 し
〓 「日本 の伝 統 的 衣 服 」< 着 物
〓 「日 本 の 天 皇 」< 帝 な ど,特
4)
殊 な 分 野 に 限 ら れ て い る.
[日 本 に お け る 研 究 と 教 育]
日本 に お け る ロ シ ア
研 究 は,江
戸 後 期 に,10年
余 の ロ シ ア へ の 漂 流 と滞 在
の の ち,寛
政4年(1792)に
帰 国 を 果 た した大 黒 屋 光 太
夫(1751∼1828)か シ ア 語 と,そ
ら の 聞 き 書 き を 源 と す る,一
―
連 のロ
が 発 せ られ,そ
崎和 蘭通 詞 に対 す る英 露 兼 修 の 令
戸 で 光 太 夫 に 学 ん だ の ち,文
(1811∼13),松
が 収 め られ て い る.初
版 は,1863‐66年.
化6∼8年
前 に 虜 囚 として 滞 在 して い た ゴ ロヴ ニ
リ プ リ ン ト1955(Akademi scher
シ ア 語 を 修 得 す る と と も に,そ
Druck,Graz);同1958‐59
の援 助 に よ
;同1989 ―
ロ ヴ ニ ン の テ ク ス トを 翻 訳 す る か た ち で),文
化8年(1813)に,日 文 法 規 範 』6巻
本 最 初 の ロ シ ア 文 法 で あ る 『魯 語
〓 〕,1836∼1912)が よ び,そ
治6年
gtisches
Worterbuch
berg;ロ
Etymolo
Ⅰ‐Ⅲ(Carl
Winter,Heidel
シ ア 語 版:
東 京 に開 い た
の 翌 年,政
府 の創 立 した 東京
1964‐73)―
最 大 最 良 の 語 源 辞 典.
7)
外 国 語 学 校 に お い て 開 始 さ れ た.
―
比 較 言 語 学 に 基 づ く科 学 的 な ロ シ ア 語 の 研 究 は,八 杉 貞 利(1877∼1966)に
よ っ て そ の 基 礎 が お か れ た が,
井 桁 貞 敏(1907∼80),お よ っ て 発 展 し,最 獲 得 した.戦
よび,木
近,よ
後 は,国
規 模 に 達 し た が,大 は,ま
だ,比
[辞
う や くア カ デ ミ ッ ク な 地 位 を
(5),語
本 の ロ シア 語 教 育 は 空 前の
学 院 まで の 専 門 課 程 を備 え た 大学
較 的 少 数 で あ る.
書]
以 下 は,詳
源 辞 典(6),発
(8∼10)な
Oxford
dated
語 辞典
言 語 対 訳 辞典
分 野 の 代 表 的 な もの で あ る.
Dictionary.Revised
Throughout
by
Colin
代 ま で の 標 準 語 の 語 彙,約12
か ら刊 行 中 で,既 で あ る が,全20巻
下 最 大 の 辞 書.す
で に1991年
か
が ロ シ ア 科 学 ア カ デ ミ ー(PAH) 刊 はV/VI合
巻(E‐3,1994)ま
9)Daum,E.undW.Schenk(1966),Russisch Worterbuch(Verlag
で
の予定.
日本 語 に よ る 対 訳 辞 典 と し て は,以
堂,東
京)
堂,東
京)
八 杉 貞 利(1965),『
コ ン サ イ ス 露 和 辞 典 』(三 省
友 社,東
,語
版 は,1957‐61年.
3)(1992)―
岩 波 ロ シ ヤ 語 辞 典(増
博 友 社 ロ シ ア 語 辞 典 』(博
講 談 社 和 露 辞 典 』(講 談 社,東 田 規 和,新
語 辞 典 』(岩 波 書 店,東 東 郷 正 延,染
谷 茂,磯
田 実(編)(1988),『
谷 孝,石
も ポ ピュ ラー な 一 巻物 の改 訂 版 .
1)音
声 学 ・音 韻 論
山 正 三(編)(1988), 京)
京)
岩 波 ロ シア
京)
『研 究 社 露 和 辞 典 』(研 究 社,東
「オ ジ ェ ゴ フ の 辞 書 」 と し て 知 ら れ た も っ と
訂 版)』(岩
京)
[ 参 考 文 献] かつて
コ ン サ イ ス 和 露 辞 典 』(三 省
木 村 彰 一 他(1975,19952),『
和 久 利 誓 一,飯
数 約9万.初
下 の もの が 代 表
京)
佐 藤 勇(1981),『
規 範 辞 書 と して 最新 の もの で
Enzyklopadie,
Leipzig)
波 書 店,東
2)(1981‐84),
―
U.
‐露 別 々 に 出 版
され た もの を一 冊 に ま と め た便 利 な辞 書 で あ る.
(1966,19762),『
ら こ の 改 訂 第2版
Up
Howlett(Oxford
こ れ は か つ て 露 ‐英,英
井 桁 貞 敏(1954,19774),『
万 を 対 象 と す る,目
and
的 で あ る.
1)〓
プ ー シ キ ン以 後,現
発
っ と も くわ しい.
Russian
P.,1993)―
Deutsches
解 辞 典(1∼4),古 音 辞 典(7),二
ど の,各
音 辞 典 と し て,も 8)The
村 彰 一(1915∼86)に
際 社 会 に お け る ロ シ ア語 の比 重
増 大 の 傾 向 を 反 映 し て,日
,
目 下 最 高 の も の.
道 師 ニ コ ラ イ 〔イ ワ ン ・カ サ トキ ン〕(〓
正 教 神 学 校,お
古 期 ロ シア 語 の 辞 書 と して
6)Vasmer,M.(1953‐58),Russisches
を 著 し た.
日本 に お け る 組 織 的 な ロ シ ア 語 教 育 は,明 (1873),伝
語
5)〓
ン(1776∼1831)か ら,直 接,ロ
編 纂 し
の 一 人 で あ る 馬 場 佐 十 郎 貞 由(1787∼
1822)は,江
っ て(ゴ
.〓)が
言 や 俗 語 を 含 む,約20万
の 文物 の 詳細 な紹 介 を端 緒 とし て は じま
っ た . 間 も な く,長
民 俗 学 者 ダ ー リ(B
た 博 物 館 的 な 辞 書.方
は,イ
ラ ン,ト
カ ナ ダ,ア ― は1958年
初版
刊.
2) 文
(1979), 1,2(Academia,Praha) (1960), ‐1,Ⅱ ‐2
CCCP,MockBa)
店,東
ロ シ ヤ 文 法 』(岩
波 書
京)
3) 方
メ リ カ, ー ス トラ リ
れ ぞ れ の地 域 で外 国 語
と え ば,ウ
ェー ル ズ の ジ プ シ ー は,
儀 な く さ れ た.ま
た,そ
ら れ る よ う に,本
来 の ロ マ ー ニ ー(ロ
並 ん で,ク
語の使用 を余
の 言 語 形 態 も,イ
ギ リス に み
ム ニ モ スRom
レ オ ー ル 化 し た そ れ(ア
ング ロ ロ
マ ー ニ ーAngloromani)を
も つ 場 合 も あ り,イ
ス で は,後
来 の ジ プ シー以 外 に も拡
者 の 使 用 者 は,本
大 し て,約8万
村 彰 一(1953),『
し て,ア
母 語 の ほ か に 英 語 と ウ ェ ー ル ズ 語 の3言
nimos)と
I,Ⅱ (AH
ら の 多 く は,そ
を 習 得 し て い る.た (1980),
リ シ ア,そ
ュ ー ジ ー ラ ン ド,オ
ア に も達 し て い る. も ち ろ ん,彼
法
八 杉 貞 利,木
ル コ,ギ
フ リ カ,ニ
人 と 推 定 さ れ て い る が,前
ギ リ
者 は ウ ェー
ル ズ に わ ず か 数 百 人 の 使 用 者 しか な く,一
時 は消 滅 し
た と言 わ れ た ほ ど 衰 退 し て い る.
言
[故 郷 問 題] gane),
ジ プ シ ー(Gypsy),ツ
の 諸 言 語 の 彼 ら の 呼 称 は,い
4) 歴 史 文 法 ・語 史
ィ ガ ヌ(tsi
ツ ィ ゴ イ ナ ー(Zigeuner)な
な い.彼
ら の 自称 は,地
らの 自 称 で は
域 に よ っ て,や
や 形 を異 に す
れ は,バ
の そ れ と同 じ よ う に,こ
の言 語 で
あ る . そ の 源 の 形domは,イ ら は,古
ン ト ゥー 語
「人 」 を 表 わ す 語 で
ン ドの 種 族 名 に 由 来 す
い 文 献 に よ れ ば,身
集 団 で あ っ た.し
ー ロ ッパ
ず れ も,彼
る が ,Rom,Lom,Domで,こ
る.彼
ど,ヨ
た が っ て,後
分 の低 い 者 た ち の
の ロ マ ー ニ ー 語 が,イ
ン ド の あ る 地 域 の 方 言 に 由 来 す る こ と は 疑 い な い .事 実,ロ ―初 版 は1934 年 刊. 照]
ス ラ ブ 語 派,ス
ラブ 祖 語
→ 教 会 ス ラブ 語
ン ド ・ア ー リ ア 語)の1言
語.ジ
ン ド
プ シー 語
も 言 う. 説 ]
は,10世
界 各 地 の ジ プ シ ー の 総 数 は,
万 人 と推 定 され て い る. 彼 らの 祖先
紀 前 後 に,故
郷 で あ る イ ン ド北 西 部 か ら 西 に
向 か っ て 放 浪 し,ペ ル シ ア を 経 て,一 部 は シ リア に, 一 部 は ア ルメ ニ アか ら小 ア ジ ア を経 て バ ル カ ン半 島 に 入 り,15世
紀 の は じ め 頃 か ら,ヨ
入 し,1430年
ー ロ ッ パ に 急 速 に侵
に は イ ギ リ ス に ま で 達 し た.彼
地 で 独 自 の 社 会 を 形 成 し な が ら も,そ で 保 持 し 続 け て き た.し
か し,一
ら は,各
の 母語 を現 在 ま
方 で は,通
過 した り
る)を
は じ め と して,ヨ
の 人 口 は26万2千
人 と言 わ れ
ー ロ ッパ 全 域 に 及 び,さ
らに
変化 の 特 徴
ン ド・ア ー リ ア 語 の 中 部 方 言
SW. 〔南 西 方 言 〕a:C.〔
ら は,本
来,
北 西 古 言 〕ri:
中 部 方 言 〕i,u=R.〔
ー ニ ー 語 〕(Skr
.prcchati「
ー ル 語pritshi:R
.phucel)
尋 ね る 」:カ
ロマ シュ ミ
Skr.ks:NW.cch:SW.cch:C.kkh=R. (Skr.vrksa‐/*ruksa‐
「木 」:パ ー リ語rukkha‐:
ヒ ン デ ィ ー 語rukh:R.rukh) と こ ろ が,一
方 で,ロ
マ ー ニ ー 語 は,北
通 す る 特 徴 を も っ て い る.た
と え ば,ダ
(Dardic,北
ど,わ
s,s,sの3種
に,そ
よ れ ば,音
の 言 語 は,イ
中 部 方 言 の 所 有 者 で あ っ た と推 定 さ れ る . た と え ば,
い て,す
の 分 布 は,
か し,
ン ドの ど の 地 方 の も
に い くつ か の 共 通 点 が 認 め ら れ る か ら,彼
け,そ
の 言 語 は 非 常 に 多 様 化 し て い る.そ
ンス ク リ
の で あ る か を 正 確 に 指 摘 す る こ と は む ず か し い.
定 住 した 地域 の 住 民 との 接 触 に よ って大 き な影 響 を う
ソ連 邦(1989年
来,イ
Skr・ 〔サ ン ス ク リ ッ ト〕r:NW.〔
現 在,世
人 か ら1千
詞 の 活 用 に も,サ
こ の ジ プ シ ー の 言 語 が,本
か ら み て,こ
ジ プ シ ー の 母 語 ・ イ ン ド ・ヨ ー ロ ッパ 語 族 ,イ
(Gypsy)と
ー セ ン トは イ ン ド・ア ー リア
詞 の 曲 用,動
タ ー ナ ー(R.L.Turner)に
ロ マ ー ニ ー 語 英Romany,Romani
語 派(イ
く の 借 用 語 を 含 み な が ら,
ッ トに 通 じ る 屈 折 的 な 特 徴 を 失 っ て い な い.し
(佐 藤 純 一) Church Slavonic
ロ シ ア 教 会 ス ラ ブ 語 英Russian
600万
な お , そ の 語 彙 の 約60パ 系 で あ り,名
[参
[概
ム ニ モ ス を み て も,多
西 方 言 に 属 す る)な
こ れ に 対 し て,ロ 除 い て,ヨ
マ ー ニ ー 語 は,ア
ー ロ ッパ の 方 言,シ
ル ド語 群
ず か の方 言 を 除
べ て の イ ン ド・ア ー リ ア 語 は,早 の 区 別 を 失 い,1つ
西 方 言 と共
く か らSkr.
に統 合 して い る. ル メ ニ ア の方 言 を
リ ア の 方 言 と も,sと
ロ
マ ー ニ ー語 の 名詞 の 格変 化
単
数
複
数
主 格 対 格 属 格 与 格 奪 格 具 格 前置格 呼称格
sの2種
を も っ て い る.ま
に 対 す る パ ― リ語putta‐ rが
た,Skr.putra‐
「息 子 」
の よ う に,p,tの
破裂音 と
連 続 す る 場 合 に 広 く 同 化 が み ら れ る が,ロ
ー 語 は,potraの
に 対 す るR.panjの
た,Skr.pa
よ う な,鼻
化 の 現 象 は,ア
マ ー ニ ー 語 の 動 詞 の 人 称変 化 (例:'I
現
マーニ
よ う に 同 化 を 示 さ な い.こ
方 言 に 共 通 す る現 象 で あ る.ま
ロ
れ も北 西
在
see')
完
了
単
car5」
音 に続 く子音 の有 声
シ ョー カ 王 碑 文 の 資 料 に は ま だ 認 め ら
れ な い 北 西 方 言 の 新 し い 変 化 で,ロ
マ ー ニ ー 語 が これ
複
を 示 す こ と は 注 目 に 値 す る. こ の よ う に,い
くつ か の 変 化 の 傾 向 は 中 部 方 言 に 類
似 し て は い る も の の,保 い て は,北
守 的 な 面 と,新
しい変 化 につ
西 方 言 に 共 通 し た 特 徴 を も つ と こ ろ か ら,
ロ マ ー ニ ー 語 は,中
部 の 出 身 で あ り な が ら,後
部 に 移 住 し た 人 々 の 言 語 で あ ろ う,と
に北 西
タ ー ナ ー は推 定
詞 は,ロ
マ ー ニ ー 語 の3人
[言 語 特 徴] こ と は,す
ロ マ ー ニ ー 語 が イ ン ド語 派 に 属 す る
で に,18世
に 入 っ て,ポ
紀 に 指 摘 さ れ て い た が,19世
ッ ト(A.F.Pott),つ
(RMikIosich)に
い で ミク ロー シチ
よ っ て,そ
どの 英語 の代 名 詞 と と も
に,人
た,tobeの
称 変 化 を 形 成 す る.ま
と え ば,名
モ ス で は,主,対(ま 呼 称 の8格
の 言 語 は,形
態論的
合 型 か ら 分 析 型 へ 移 行 し て い く過 程 を 示
して い る.た
詞 の 格 変 化 を み て も,ロ
ムニ
た は 斜),属,与,奪,具,前
置,
を も っ て い る が,属,与,奪,具,前
5格 は,対
格 を 基 に し て,そ
れ に,そ
を そ え て 形 成 さ れ て い る(表1を 接 尾 辞 は,男
置の
れ ぞ れ の接 尾 辞
参 照).そ
し て,こ
の
・女 性 名 詞 に つ い て 変 わ り は な い .
動 詞 に つ い て も,現 持 さ れ て い る(表2を
在 と 完 了 の2形 参 照)が,未
了 の 変 化 形 の 末 尾 に,さ
に人 称 変 化 は維
完 了 と過 去 完 了 は, ら に 一asを
そ えて
形 成 さ れ る. ク レ オ ー ル 化 し た ア ン グ ロ ロ マ ー ニ ー で は,こ 析 的 傾 向 が 著 し く,英
語 の 影 響 を う け,そ
て い る.た
詞,代
と え ば,名
傾 向 が み ら れ,代 多 用 され る.比
わ っ て,英 較 級,最
動 詞 に は,
語 の形 が そ の ま ま
用 い ら れ て い る 以 下 に,ヨ
ー ロ ッパ の ロ マ ー ニ ー 語(R.)と
リ ッ ト(Skr.)の
サ ンス ク
語 彙 の 対 応 表 を あ げ て お こ う.
の 資 料 が 集 大 成 さ れ,本
格 的 な 研 究 の 基 礎 が 築 か れ た.そ に み る と,総
紀
称単数形が代
表 と し て 選 ば れ,he,weな
ロ マ ー ニ ― 語 本 来 の 形 と並 ん で,英
し て い る.
現 在,完
に 等 し い.動
名 詞 に,性,格 語 の 複 数,所
の分
れ に接 近 し の消 失 の 有 の
‐sが
上 級 の 形 容 詞 の 語 尾 も,英
語
Skr.
R.
eka
yekh
「1」
dvau,dve
dui
「2」
trayas,trfni
trin
「3」
catv縒as,catv縒i
star
「4」
pa
panj
「5」s
ca
as sov
「6」
aksi
yakh
「眼 」
agni
yag
「火 」
karha‐
kan
「耳 」
kar‐
ker‐
「つ く る 」
k緲a‐
kalo
「黒 い 」
kh綸‐
xa‐
「食 べ る 」
gharma‐
kham
「太 陽 」
dasa
「暑 さ 」
des
「10」
danta‐
dand
「歯 」
da‐
de‐
「あ た え る 」
duhkha‐
dukh
「苦
しみ 」
drs‐
dikh‐
「見 る 」
語 人 口,約50万
dosa‐
dos
「過 失 」
山 岳地 帯 で 話 され る ドロ ミテ 語(自 称 はladin;同,約
pac‐
pek‐
「料 理 す る 」
3万 人)と
pat‐
per‐
「落 ち る 」
bubhuksa
bokh
「飢 え 」
bhagini
phen
「姉 妹 」
bhumi‐
phuv
「大 地 」
bhratr‐
psal
「兄 弟 」
mamsa‐
mas
「肉 」
が含 まれ る.こ れ ら3つ の言 語 が 互 い に共
通 す る言 語 上 の特 徴 を もつ こ とか ら,1つ
のグループ
に ま とめ られ,他 の ロ マ ンス諸 語 と区 別 され るが,系 統 的 関 係 と,下 位 分 類 と,名 称 には,異 論 が な い わ け で は な い.地 理 的,歴 史 的 にみ る と,こ れ ら レ ト ・ロ マ ンス 語 の 下 位 区 分 の3地 域 に は,政 治的,文
化的な
統 合 の 核 とな り うる 中 心 地 は 存 在 して い な い.
marayati
mar‐
「殺 す 」
ratri‐
rat
「夜 」
labh‐
le‐
「取 る 」
ス語 で あ る ロ マ ン シ ュ語 は,グ ラ ウ ビ ュ ンデ ン(Grau
lavana
lon
「塩 」
bunden)州
lohita‐
lolo
「赤 い 」
varsa‐
bers
「年 」
万 人 の23パ
hemanta‐
jvant
「冬 」
れ て い るに す ぎな い .地 図 上 の 面積 で は,グ ラ ウ ビュ
[分布 ・話 者 ・方 言]
Position
in Indo‐Aryan",Journal of Society(3rd
the
Gypsy
Lore
University
Press,1975)に
人に よって使 用 さ
Tsiganes(《Que de
sais‐je?》,
語 訳:木
内 信 敬 訳 『ジ プ シー 』,白 水 社,東
France,Paris;日
本 京,1973)
Lockwood,W.B.(1975),Language of British
Isles
Past
the and
Present
狭 隘 な平 地 は,工 業 化,商 業 化 が進 ん でい て,ド イ ツ
州 を離 れ て 生 活 す る ロマ ン シ ュ語 人 口は,約1万3千
再 録..
Universitaires
(Andre
人 で,年
々,漸 増 の 傾 向 にあ る.彼 らの ほ とん ど が,
異 言 語 間結 婚 を して お り,第2世
Ventzel,T.V.(1983),The
Gypsy
Language
代以 降 は,言 語 的,
文 化 的 に,ロ マ ン シュ語 とは ほ とん ど接 触 を もた ず に 育つ こ とに な る. グ ラ ウ ビ ュ ンデ ン州 の 主 都 ク ー ル(ド イ ツ 語 名 Chur;ロ
Deutsch,London)
マ ン シ ュ語 名Cuera,Coira等)は
,中 世
末 に は ドイ ツ語 化 し,そ の た め に,ロ マ ンシ ュ語 を州 の標 準 語 とす る契 機 を失 って しま った.ロ マ ン シ ュ語
(Nauka,Moscow) Hancock,I.(1984),"Romani
and
Angloromani",
in P.Trudgill(ed.),Language (Cambridge
in
University
the British
使用 地 域 は,徐 上,大
々に広 が る ドイ ツ 語 圏 に 分 断 さ れ た
きな渓 谷 ご とに方 言 差 が あ り,名 称 もそ れ ぞ れ
異 な る(〈 図 〉を参 照).
Press)
1)ス 照]
ル セ ル ヴ ァ 地 方 ス ル シル ヴ ァ ン語(表 ライ ン
『大 辞 典 』 イ ン ド語 派 (風 間
ロ マ ニ ア 語
Iimba
喜 代 三)
romana
=ル ー マ ニ ア 語
ロ マ ン シ ュ 語
川 源 流 地 帯) 2)中
央 グ ラ ウ ビ ュ ンデ ン地 方(裏 ライ ン川 流域)
a)ス
ッ トセル ヴ ァ地 方 ス ッ トシル ヴ ァ ン語
b)ス
ル メ イ ル 地 方 ス ル ミラ ン語
3)エ
英Romansh,仏romanche,
ンガ デ ィ ン渓 谷 地 方 ラデ ィ ン語
a)ピ
独BundnerRomanisch 自 称 に は,rumantschな 説 ]
諸 語 に 属 し,ス
タ リ ア 語 に 続 く第4番
に は,ド
イ ツ 語,
目 の 国 語 と して ,
に は 公 用 語 と し て 認 定 さ れ て い る.
レ ト ・ロ マ ン ス 諸 語 に は,ほ
か に,イ
ァ ラー デ ル 語(低 地 エ ンガ デ ィ ン地 方 と ミ
クー ル か ら ライ ン川 を10キ
人 弱 に よ って 用 い
られ る 言 語 群 の 総 称 で あ る .1938年
ュテ ー ル 語(高 地 エ ンガ デ ィ ン地 方)
ュス タイ ル 渓 谷)
マ ン ス 諸 語 の1グ
ト ・ ロ マ ン ス(Rhaeto‐Romance)
イ ス 国 内 で,約5万
フ ラ ン ス 語,イ
b)ヴ
ど が あ る(後 述).
ロ マ ン シ ュ 語 は,ロ
ル ー プ で あ る,レ
ま た,1996年
ー セ ン ト,約3万7千
語 人 口 の密 度 が 高 い. ま た,故 郷 の グ ラ ウ ビ ュ ンデ ン
Papers
presses
[参
タ
るの は,主 に 山間 部 の離 村 で,逆 に,ラ イ ン川 上 流 の
of Romani
Series,Vol.4)―Collected
Bloch,J.(19693),Les
Isles
の アル プ ス 高 原 地 帯 で,ド イ ツ語,イ
ンデ ン州 の 約 半 分 を 占 め るが,母 語 と して 残 され て い
Turner,R.L.(1926),"The
(Oxford
ス イ ス 国 内 の レ ト ・ロ マ ン
リア語 と と も に,こ の 州 の公 用 語 と して,州 人 口約16
[参 考 文 献]
[概
人)と,イ タ リア 北 部 な い し南 チ ロ ル の
タ リア 北 東端
で,2つ
の 方 言 地域 に 下位 区 分 され る. 西 の オ ー バ ー
ア ル プ(Oberalp,2,044m)峠 渓 谷(Vorderrhein)の
に源 を発 す る表 ライ ン川
ス ル セル ヴ ァ(Surselva)地
ス ル シル ヴ ァ ン語(sursilvan)と,南
の ユー ゴス ラ ヴ ィア とオ ー ス トリア に 国境 を接 す る フ
ゲ ン(Splugen,2,113m)峠
リ ウ リ(Friuli)地
イ ン川 渓 谷(Hinterrhein)の
方 で 話 さ れ る フ リ ウ リ語(furian;言
ロメ ー トル遡 る と,2つ
の ライ ン川 源 流 に 分 か れ るが,ロ マ ン シュ語 も,こ こ
方
の シュ プ リュー
の あ た りに源 を もつ,裏 ス ッ トセ ル ヴ ァ(Sut
ラ
地 エ ン ガ デ ィ ン(Engiadin'ota)地
ロ
マ ンシ ュ語 の 方 言 分 布
(Scuol)を
方,シ
ュ ク オル
中心 とす る 下 流 の 東 半 分 を 低 地 エ ンガデ ィ
ン(Engiadina
bassa)地
方 と よ ぶ.
前 者 の 方 言 は ピ ュ テ ー ル 語(puter),後
者 の方 言 は
ヴ ァ ラ ー デ ル 語(vallader)で,方
言 差 は 小 さ く,2つ
を ま と め て ラ デ ィ ン語(ladin)と
い う 名 称 を もつ.低
地 エ ン ガ デ ィ ン地 方 の ツ ェ ル ネ ッ ツ(Zernez)か
ら峠
を 越 え て 南 の イ タ リ ア 領 に 連 な る ミ ュ ス タ イ ル(Mus tair)渓 谷 の 言 語 は,ヴ
ァ ラ ー デ ル 語 に 属 す る. 低 地 エ
ンガ デ ィ ン 地 方 で は,ロ mantsch),高
マ ン シ ュ 語 は ル マ ン チ ュ(ru
地 エ ン ガ デ ィ ン地 方 で は,ル
の ほ か に,ル
マ イ ン チ ュ,ル
mauntsch)と
い う 呼 称 が あ る が,一
名 称 を 好 む.た
だ し,こ
マ ンチ ュ
メ ー ン チ ュ(綴
り はru
般 に,ラ
の 名 称 は,イ
デ ィ ンの
タ リ ア 北 部,ド
ロ ミ テ 地 方 の ラ デ ィ ン 語 と 同 じ で あ り,ど ち ら も レ ト・ ロ マ ンス 語 に 属 す る が,同
一 の 言 語 で は な い の で,注
意 を要 す る. selva)地
方 ス ッ ト シ ル ヴ ァ ン 語(sutsilvan)で
前 者 で は,ロ
エ ン ガ デ ィ ン地 方 は,上
あ る.
こ とか ら,ロ
マ ン シ ュ 語 は ロ モ ン チ ュ(romontsch)
と よ ば れ て い る.中
世 か ら ベ ネ デ ィ ク ト派 修 道 院 が あ
割 を 担 っ て き た.特
マ ン シ ュ 語 名 は ム シ ュ テ ー ルMuster)で
伝 統 文 化 と,こ
に,初
の ロマ ン シュ語新 聞
(Gasetta
Romontscha)が
ま で,文
『ガ ゼ ッ タ ・ ロ モ ン チ ャ 』 創 刊 さ れ,現
後 者 の ス ッ ト シル ヴ ァ ン 語 で は,自 ン チ ュ(rumantsch),ル で,言
在にいたる
称言語名はルマ
マ ウ ン チ ュ(rumauntsch)
語 的 特 徴 は,ス
ル シ ル ヴ ァ ン 語 よ り も,む し ろ,
性 を もつ . し た が っ て,こ と を ま と め て,中 も あ る.こ
業 の 発 展 に よ り,著
の 方 言 と 隣 の ス ル ミラ ン 語
通 の 便 が よ く,商
称 し,特
方 名 は,ス
ヴ ォ ー ニ ン(Savognin),テ fencastel)な
芸,建
有 の レ チ ア(Raetia)民
築,装
教 的 に は,北
受 け て,新
翻 訳 し た.以
ル メ イ ル(Sur
ネ ッ サ ン ス 期 に は,イ
飾,生
め て,新 来,サ
活 様 式 を受 け入 れ
に は,高
地 エ ンガ デ ィ ン
生 ま れ た ビ フル ン 約 聖 書 を ロマ ン シ ュ語 に
メ ー ダ ンが ロマ ン シュ語 文 化 振 興
の 中 心 地 と な り,『 ラ デ ィ ン語 新 聞 』(Fogl
ladin)が
刊 行 さ れ て い る. 以 下 に,高
地 エ ン ガ デ ィ ン地 方 の ピ ュ テ ー ル 語 を 中
韻]
マ ン シ ュ語 の 特 徴 を 記 述 す る .
ロ マ ン シ ュ 語 ピ ュ テ ー ル 方 言 は,レ
ト ・ロ マ ン ス 諸 語 の 中 で も,母
音,子
数 が 多 い こ と が 特 徴 的 で あ る.鼻 1)母
か ら の 源 流 は,サ
族の
の プ ロ テ ス タ ン ト運 動 の 影 響 を
教 化 し た.1560年
(J.Bifrun)が,初
[音
に 音 声 面 で 独 自の 変 化 を とげ て
リ ア(Julier,2,284m)峠
タ リ ア か ら,文
心 に と り上 げ て,ロ
マ ン シ ュ 語 は ル マ ン チ ュ(ru
い る こ と が 特 徴 で あ る.地 meir).ユ
工業や観光
し く ドイ ツ 語 化 が 進 ん で い る.
ス ル ミ ラ ン 語 で は,ロ mantsch)と
共通
央 グ ラ ウ ビ ュ ンデ ン方 言 と よぶ こ と
の 地 域 は,交
に,固
地 方 の サ メ ー ダ ン(Samedan)に
東 に 隣 接 す る 後 述 の ス ル ミラ ン 語(surmiran)に
中海 世
れ を ロ ー マ 化 し た 地 中 海 ・イ タ リア 文
明 と の 融 合 が 強 く み ら れ る.ル
た が,宗
芸 活 動 の ひ と つ の 中 心 と な っ て い る.
の町 が鉱 泉 を もつ
養 地 と し て,地
界 とゲ ル マ ン 世 界 を 結 ぶ ア ル プ ス 山 中 の 中 継 地 点 の 役
っ て 栄 え た デ ィ セ ン テ ィ ス(ド イ ツ 語 名Disentis;ロ は,1857年
述 の2つ
ー マ 時 代 か ら,保
音
表1を
音 と もに音 素 の
母 音 は な い.
参照 .
ィ ー フ ェ ン カ ス テ ル(Tie
どの町 を抜 け て 裏 ラ イ ン 川 に 合 流 す る
ロ
マ ン シ ュ語 の母 音 体系 (ピ ュ テ ー ル 語)
が,古
代 か ら の 峠 越 え で イ タ リア に 向 か う 道 も,そ
れ
に 沿 っ て い る. ロ マ ン シ ュ 語 の 中 で は,ラ イ ン 川 渓 谷 の 系 統 と 別 に, イ ン(Inn)川
渓 谷 の エ ン ガ デ ィ ン(Engadin;ロ
シ ュ 語 名 は エ ン ジ ャ デ ィ ー ナEngiadina)地 群 が,1つ
の グ ル ー プ を 形 成 す る.ユ
る マ ロ ー ヤ(Maloja,1,815m)峠
ン ・モ リ ッ ツ(St.Moritz)を
リア 峠 の 南 に あ
か ら 東 に80キ
トル 伸 び る エ ン ガ デ ィ ン地 方 は,東
マ ン 方の方言
西 に2分
ロメ ー さ れ,サ
中心 とす る 西 半 分 を 高
単 母音 の 体 系 は,9個
の 音 素 か らな る.円 唇 中舌 母
音 の あ る こ とで フラ ンス語 の母 音 体 系 に 似 て お り,o で 表 わ した 音 素 は,そ の位 置 に よ り,相 補 的 に[〓][〓]
と し て 現 わ れ る と解 釈 さ れ る. ま た,開
冠 詞,代
で も,長
音 節 で は 一 般 的 に 長 母 音 と な る が,閉
音節
短 の 量 的 対 立 を 示 す 場 合 が あ る.
(eau)pos[pos]「(私
an「
休息」
二 重 母 音 は 豊 富 で,13個
数 語 尾 の ‐sは,ラ
年 」/ans,bun「
形)/ils,nos「
あ る.そ
の う ち,第2要
素
2)男
の 部 分 的 痕 跡 と し て,ロ ピ ュ テ ー ル 語 で は,特
素 に 強 ま りの あ る 下 降 的 二 重 母 音 は[〓
綴 字 法 で 注 目 す べ き は,aunが[〓]と
発 音 され
る こ とで あ る.
ら は)行
三 重 母 音ieuの
綴 り は,ピ
ュ テ ー ル 語(p.)で
は二 重
は 三 重 母 音[〓],ま
格Dieuの
メ ー ダ ン市 内)と 表2を
区 別 が あ っ た.ス
代 で も,Dieus/Diuと 私 は 」 は, 発 音 さ れ る.
に,男
マ ン シ ュ語 の子 音 体 系
詞 直 説 法 現 在3人
称 単 数形
「壁 」,ei:動
詞 男性
数 形)cf.ラ
容詞
制,態,人
のロ マ ンス 諸 語 と同様
称,数
に 応 じ て 活 用 す る が,形
系 の 単 純 化 が み ら れ る.
規 則 動 詞 で は,不
定 法 形 の ‐er型
れ る.表3に,直
鼻 音 側 音 ふるえ音
「白 い 」 の 男 性 主 格 単
テ ン 語MURUSESTALBUS.
ロ マ ン シ ュ 語 の 動 詞 は,他
態 上,体
付 け る.
「そ の 」,mir:名
「∼ で あ る 」,alfs:形
に,法,時
斜
壁 は 白 い」
冠詞男性単 数 形
単数形
摩擦音
語 ・呼 格Deusと
ル セ ル ヴ ァ地 方 で は,現
容 詞 が 属 詞 と して用 い られ た 場 合
Ilmireialfs.「
閉鎖 音 破擦 音
テ ン 語MEUS
性 単 数 名 詞 の 主 語 に 一 致 し て,‐sを
参 照.
両唇音 唇歯音 歯茎音 口蓋音 喉音
直
と ‐ir型 に 大 別 さ
説 法 現 在 形 の 活 用 例 を あ げ る.
説法 現 在 形 の活 用(規 則 動 詞)
saluder「
挨 拶 す る 」
cusir「
称 複 数 は,語
尾 に,そ
縫 う」
単 閉 鎖 音 と 摩 擦 音 の 系 列 の ほ か に,3種
類 の破 擦 音が
い に 対 立 し て い る こ と が 特 徴 的 で あ る.
(el)pisa[〓]「(彼
複
は)考 え る 」
(la)pizza[〓]「
山 頂」
(el)picha[〓]「(彼
は)た た く」
(la)pischa[〓]「
2人 称 単 数 と1人
尿」
綴 り で は,ce,ciが[〓],ch(た
だ し,中
央
グ ラ ウ ビ ュ ン デ ン 地 方 で はtg)が[〓],schが[〓]ま
い し ‐insを
‐AS+TU> レ ト ・ロ マ ンス 語 全 体 に 共 通 す る 通 時
論 的 特 徴 と し て,ラ
テ ン語 の 屈 折 語 尾 の
れ る 傾 向 が あ る.こ
れ は,ロ
‐Sが 保 存 さ
マ ンス 諸 語 を東西 に 分 け
の グ ル ー プ に 属 さ せ る根 拠 と な る が,ロ
マ ン シ ュ 語 に お い て も,こ
の 傾 向 は,名
と る が,こ
れ は,ラ
れ ぞ れ ‐ast, テ ン語 の 動 詞
‐er型).
対 応 す る. 態 ]
‐ ainsな
の 変 化 語 尾 に 人 称 代 名 詞 が 付 い た も の で あ る(次 例 は,
た は[〓],tschが[〓],dschが[〓],s‐chが[〓]に
た 場 合 に,西
彼(女)
して 対 立 して い る. この ス ル シ
ル ヴ ァ ン 語 で は,形
(ピ ユ テ ー ル 語)
[ 形
‐sを
FRATER)
(il:定
あ っ て,互
格の
ル シル ヴ ァ ン語 で
な る.cf.ラ
古 語 法 で あ る が,「 神 」 は,主
発 音 さ れ る.
称 単 数 主 格 形 のeau「
音
ロ
父 」,frer「 兄 弟 」)
君 の 」,sieus「
私 の 兄(弟)」(ス
も,meisfrarと
神 」(p.)[〓],(v.)[〓]
た は[〓](サ
2)子
私 の 」,tieus「
mieusfrer「
く」
ァ ラ ー デ ル 語(v.)で
重 母 音[〓]と
人 称 代 名 詞1人 [〓]ま
保 存 し,mieus「
ロ マ ン シ ュ語 」
vaun[〓]「(彼
Dieu「
マ ン シ ュ 語 に 残 さ れ て い る. 定 の 語(bap「
の 」 と な る.
rumauntsch[〓]「
た は,二
テ ン語 の 格 標 識
の 前 に お か れ る所 有 形 容 詞 男 性 単 数 が,主
あ る.
詞 男性
彼 らを」
性 名 詞 主 格 単 数 の ‐sは,ラ
に 強 ま り の あ る 上 昇 的 二 重 母 音 は[〓],
母 音[〓],ヴ
を あ げ る.
良 い 」/buns,il(冠
わ れ わ れ 」,als「
第1要
]で
下,例
テ ン語 の 対 格 複 数 の語 尾
が 残 存 し た も の で あ る.
は)休 む 」
(il)pos[〓]「
名 詞 な ど に 広 く み ら れ る.以
1)複
詞,形
容 詞,
[ 統
語]
‐ast,‐AMOS+NOS>
統 語 法 の 主 な 特 色 を あ げ る と,次
お りで あ る(文 例 は,特 1)動
La
「人 間 」 を 示 す 場 合 に は,
介 在 さ せ る.
figlia ho
の と
に 断 ら な い 限 り ピ ュ テ ー ル 語).
詞 の 直 接 目的 語 が
前 置 詞aを
‐ains
saludo
a Peider
〔a me〕.
「娘 は ペ イ デ ル に 〔私 に 〕挨 拶 を し た 」 (1a:定
「も し 私 は 時 間 が あ れ ば 家 に 行 く の だ が 」
冠 詞 女 性 単 数 形 「そ の 」,figlia:名
単 数形
「娘 」,ho:助
動 詞avairの
人 称 単 数 形,saludo:動
詞saluder「
る 」 の 過 去 分 詞 男 性 単 数 形,a:前 ∼ に 」,Peider:人 的格
詞女性
直 説 法 現 在3 挨 拶 をす 置詞
名 ,me:人
「∼ を,
称 代 名 詞1人
称 目
「私 を 」)
2)代
方 ラ デ ィ ン 語 で は,ス
Els
s'haun
ペ イ ン語 な ど の よ う に,avair
称asの
「彼 ら は 」,
称 複 数 形,
考 え る」 の 過 去 分 詞
男 性 複 数 形) ラ ン ス 語,イ
の よ う に,esser(<ESSE)を
用 い る.ど
帰 代 名 詞 の 性,数
ュ テ ー ル 語 は,未
ま り,ラ
マ ン ス 諸 語 と 同 様,動
あ る」)+AMATUSの
型 は,16世 れ に は,ド
単 数 形,clamo:動
の ロ
詞 の 不 定 形 に 助 動 詞(HABEO)
clamo.「
詞clamer「
法 的意
称
呼 ぶ 」 の過 去 分
vegnel
clamaus.「
(ド イ ツ 語)Ichwerdegerufen.「 6)語
順 の 点 で は,ド
2位 置 に く る .
れ ら は,叙
「私 は 」,
直 説 法 現 在1人
Els
同」
A
詞(相
置 に お か れ る と,動
vendan
frutta
la staziun
同」
イ ツ 語 傍 層 の 影 響 と し て,主
語 と動 詞 の 倒 置 が あ げ ら れ る.副
欲
私 は 呼 ば れ る」
詞 男 性 単 数 形)
の よ う な 迂 言 的 未 来 時 制 の 型 と し て,
来 る 」)+(A+)CANTAREとVOLEO(「
イ ツ 語 のwerden+
称 単数 主格 形
(ス ル シ ル ヴ ァ ン 語)Jeu
テ ン語 の未 来 形 の 活 用 語
あ る が,こ
vegn
動 の 助 動 詞gnirの
通 ロマ ン
で
紀 頃 か ら衰 退 の 一
過 去 分 詞 が 影 響 を 与 え た と さ れ て い る.
補 語 が 文 の 第1位
a la
vendan
当 語 句)や 状 況 詞 は す ぐ後 の 第
staziun.
els
frutta.
「彼 ら は 駅 で 果 物 を 売 っ て い る 」
Eau
chantaro.「
Eau
vegn
Eau
vogl
私 は歌 うだ ろ う」
chanter.「
(els:人
私 は(こ れ か ら)歌 う 」
chanter.「
私 は 歌 う(つ も りだ)」
他 の ロ マ ン シ ュ 語 方 言 で は,VENIO+(A+)CAN TAREの
型 が 一 般 的 で あ る.ス
称 代 名 詞3人
vendan:動
ル シル ヴ ァ ン語 の 例
称 複 数 形,frutta:名
[語
称 複 数 主 格 形
詞vender「
で 」,la:定
を あ げ る, vegnel
a cantar.「
私 は歌 う だ ろ う」
ら に,「 不 確 実 性,意
現 す るCANTARE+*HEGIA(ラ の 接 続 法 現 在 か ら)が,未
図 」 を表
テ ン 語HABEO 来 形 と して 用 い られ る こ と
も 多 い.
「彼 ら は 」,
売 る 」 の 直 説 法 現 在3人 詞
「果 物 」,a:前
置 詞 「∼
冠 詞 女 性 単 数,staziun:名
彙]
ロ マ ン シ ュ 語 は,ラ
く と ど め て い る(以 下 の 例 は,ピ
ピ ュ テ ー ル 語 で は,さ
CODICE「
詞
「駅 」)
テ ン語 の 古 形 を 多
ュ テ ー ル 語).
本 」 >cudesch
ALBU「
白 」 >alf
PLACITU「 そ の 反 面,イ
こ と ば 」 >Pled タ リア 語 お よ び ドイ ツ語 か ら の借 用 語
を 受 け 入 れ て い る.
Eauchantaregia.「
私 は た ぶ ん 歌 うだ ろ う」
件 法 に つ い て は,ロ
る よ う な,助 分 析 的 形 成,た
動 詞HABEOの
マ ンス 諸 語 に 広 くみ られ 未 完 了 形 を 後 に付 け た
と え ば,CANTARE+HABEBAM 続 法 を用
件 文 と帰 結 文 が つ く ら れ る. gess
a
chesa,sch'eau
ド.Wald「
森 」 >vaut,god
ド.Stube「
居 間 」 >stuva
特 に,最 ら さ れ,ゲ
の 型 は 発 達 し て い な い . ラ テ ン 語 と 同 様,接
Eau
通 ロ マ ン ス 語 的 なSUM(「
vegn:受
に 一 致 す る.
愛 され
た 」)の 型 が 一 般 的 で,共
途 を た ど っ て い る.こ
る」
助 動 詞 と して 用 い て 分
ち ら の場 合
味 を 伴 う.
い て,条
「自 由
ど が 消 滅 し た た め,「 来 る,な
称 代 名 詞1人
ど を 失 っ た た め,他
す る 」)+CANTAREが
4)条
,‐ATURな
来 の 意 味 を表 わ す よ う に な った の で あ
か に,こ
容 詞
テ ン語 の 受 動 態 活 用 語 尾 の‐OR,
(eau:人
歌 う 」)+HABEO
尾 で あ る ‐AM,‐ES,‐ETな
Jeu
動 態 は,ラ
タ リア語
来 形 と し て は,共
ス 語 的 形 成 で あ るCANTARE(「
る.ほ
∼ で あ る」 の接
称 単 数 形,liber:形
(ピ ュ テ ー ル 語)Eau
(「持 つ 」)を も つ.つ
も し」 の 縮 約 形,
詞esser「
な 」 の 男 性 単 数 形)
5)受
縮 約 形,haun:
直 説 法 現 在3人 詞impisser「
去 分 詞 は,再
称 単
詞女性単数
続 詞scha「
上,fuss:動
な,暇
「私 は 」,
析 的 に 形 成 さ れ た.VENIO+AMATUS(「 称複 数 主 格 形
他 の ロ マ ン シ ュ語 方 言 で は,フ
VENIO(「
「家 」,sch':接
eau:同
の 意 味 を も つ 動 詞VENIOを
帰 人 称 代 名 詞3人
を 付 け て,未
「∼ に 」,chesa:名
impissos.
impissos:動
3)ピ
置詞
‐ARIS
助 動 詞avairの
も,過
形
称 単 数 主 格 形
行 く」 の 接 続 法 未 完 了1人
とる.
称 代 名 詞3人
s':再
数 形,a:前
ンガ デ ィ ン地
「彼 ら は 考 え た 」 (els:人
称 代 名 詞1人 詞ir「
続 法 未 完 了1人
名 動 詞 の 複 合 時 制 に お い て,エ
(<HABERE)を
(eau:人 gess:動
fuss
近 で は,ド
イ ツ語 か ら技 術 用 語 が 数 多 くも た
ル マ ン語 系 語 彙 の 比 重 を 高 め て い る の で,
こ れ に 対 し,ロ
マ ンシ ュ語 で 新 語 を造 語 す る必 要 に 迫
ら れ て い る. liber.
こ の た め に,ロ
マ ン シ ュ語 で は,方
言 間 の 差 異 を埋
め る よ う な 共 通 語 の 創 造 を 模 索 語 に つ い て は,rumantsch デ ン
し て い る.現
grischun「
・ ロ マ ン シ ュ 語 」 と し て,語
面 で,統
在,文
グ ラ ウ ビ ュ ン
彙,文
法,正
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R.0.Tonjachen(1976),Dic ladin(Lia
Societa
Grischun(publicha
da
る 辞 書.1991年
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っ と も権 威 の あ
la
rumantsch
Ludais‐ch(Lia
ladin‐
Rumantscha,Chur)
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traducziun
da
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als
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inglaisa(Engadin
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Bern) 4)民
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Retorumantscha,Chur/Samedan,1886‐)
書]
Bezzola,R.R.e
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誌,雑
Annalas
Bibliografia
一 的 規 範 を 設 け る 試 み が な さ れ て い る.
[辞
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間 伝 承,文
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cha,Chur)
Bezzola,R.R.(ed.)(1910),Litteratura (1975),Vocabulari
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romontsch
e
dals
ladins(S.Tanner,Samedan;
repr.1979,LiaRumantscha,Chur) Lansel,P.(ed.)(1950),Musa
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bassa
rumantscha
Rumantscha,Chur) 照]
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ladina.
sistematica
d'Engiadin'Ota(Lia
dal
dina
sistematica Bassa(Lia
rumantsch
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英Romance
伸 夫)
languages,仏langues
romanes,独romanischen
[概
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Samedan)
ladina.Gram dal
ン ス 諸 語
Sprachen,伊lingue
neolatine
Rumantscha,Chur)
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rumantsch
ロ マ
説]
イ ン ド ・ ヨ ー ロ ッ パ(印
派 で あ る イ タ ロ
・ケ ル
半 島 中 部 ラ テ ィ ウ ム(Latium)地 ladina engiadinaisa,
テ ン 語(Latin)を 総 称.推 現 在,国
起 源 と し て 分 化
定 言 語 人 口 は,5億8千 語
欧)語
族 の 一 分
ト語 派 の 系 統 に 属 し,イ
と し て の 地 位 を もつ
タ リ ア
方 の 言 語 で あ っ た ラ した 言 語 グ ル ー プ の 万 人
と さ れ る.
ロ マ ン ス 諸 語 は,ヨ
ー ロ ッ パ で は ,東 略 号 は ル),地 号 イ),ス
の ル ー マ ニ ア 語(Rumanian,以
下,
中 海 沿 岸 諸 国 の イ タ リ ア 語(Italian,略
ペ イ ン 語(Spanish,略
語(Portuguese,略
号 ス),ポ
号 ポ),そ
し て,か
で あ っ た フ ラ ン ス 語(French,略
ル トガ ル
つ て ガ リア 地 域
号 フ),北
して,各
地 方 の 表 現 力 豊 か な 俗 語 体 の 話 し言 葉 を さ す
よ う に な っ た.た
イ タ リア か
は,そ
と え ば,中
世 フ ラ ンス 語 のromanz
の 俗 語 体 の 話 し 言 葉,つ ま り,当 時 の い わ ゆ る ロ
マ ンス 語 方 言 オ イ ル 語 で 書 か れ た 作 品 を も示 す よ うに な っ た.ま
た,ス
ペ イ ン で は,「 は っ き り と(言 う)」 と
ら ス イ ス 東 部 ア ル プ ス 地 方 の レ ト ・ ロ マ ン ス(諸)語
い う意 味 に も使 わ れ て い る.こ
(Rhaeto‐Romansh,略
は,ス
号 レ),さ
ら に,ア
メ リカ 大 陸
のromanz(主
イ ス の レ ト ・ロ マ ン ス 語 で は,「
格 形)
ロマ ン シュ 語
で は,カ ナ ダ の フ ラ ン ス 語 や 中 南 米 諸 国 の ス ペ イ ン 語,
(romontsch,rumantsch)」
ブ ラ ジ ル の ポ ル トガ ル 語 な ど が あ る.
た,中
世 フ ラ ン ス 語 で,そ の 斜 格(casoblique,す
ち,主
格 以 外 の 対 格,属
ま た,国
語 と し て で は な く地 域 語 と し て の 役 割 を も
つ も の に は,サ ian,略
ル デ ー ニ ャ 語(サ
号 サ),オ
ル ジ ニ ア 語Sardin
ッ ク 語(Occitan
,略
号 オ),フ
プ ロ ヴ ァ ン ス 語(Franco‐Provencal,略 ル シ カ 語(Corsian),カ Catalan,略
号 フ ・プ),コ
タ ル ー ニ ャ 語(カ
号 カ),そ
し て,旧
か ら,形
ラ ン コ・
タ ロニ ア 語
植 民 地 諸 国 に 形 成 され
た ス ペ イ ン 語 系 ・ポ ル トガ ル 語 系 ク リ オ ー ル(creole) や,フ
ラ ン ス 語 系,イ
ロ マ ンス 諸 語 は,歴
て 版 図 を 拡 大 し た . 第1は,ロ
ー マ 時 代 の 紀 元 前240
頃 に か け て の 地 中 海 を と り巻 く
沿 岸 諸 国 の 征 服 の 時 代,第2は,16世 の 発 見 と植 民 地 化 の 時 代 で,南 ア ジ ア に ま で,ロ
紀 か らの 地 理上
北 ア メ リカ,ア
マ ン ス 諸 語 を 広 げ た.ヨ
ロ マ ン ス 語 の もつ,歴 い に し て も,非
の発 展 期 を経
史 的,文
フ リカ,
ー ロ ッパ の
化 的 な優 位 は揺 る がな
ヨ ー ロ ッパ 圏 の ロ マ ン ス 語 系 言 語 の 言
語 人 口 は 前 者 の 約2倍
と な り,そ
の重 要 性 は無 視 で き
な い.
一 方 , 「ラ テ ン 語(LATINUS,‐UM)」
る.ま
界 の 言 語 グ ル ー プ の 中 で,そ
の
共 通 の 起 源 が 比 較 的 に 資 料 的 に 明 証 で き る 点 で は,ま れ な 事 例 を 提 供 し て い る.ル
タ リア 語 や フ ラ ン ス 語 の 起 源 を,芸
術,文
を 受 け継 ぐ
方 の ラ デ ィ ン 語(ladin)と,イ
た,中
(ladino)」
タ リア北
方 の ラ デ ィ ン 語(ladin)が
世 ス ペ イ ン で は,ア
ち に,ス
ペ イ ンか ら追 放 され
た ユ ダ ヤ 人 の 自 称 と も な っ た.イ
タ リア 語 で は,「
用 い る が,「 諸 語(lingue
ロ マ ン ス 諸 語 」 を さ す と き は,「 新 ラ テ ン neolatine)」
[分 布 と 言 語 状 況]
と よ ぶ の が 一 般 的 で あ る. 以 下 に,東
ス 諸 語 を 列 挙 し て,歴
史 的,社
参 照).言
か ら,主
語 構 造 に つ い て の 詳 細 は,
各 言 語 お よび 上 位 の グ ル ー プ ご との 項 目を参 照 され た ル カ ン ・ロ マ ン ス 諸 語,ア
ア 語,メ
・ル ー マ ニ ア 語,イ
コ ・ル ー マ ニ ア 語,ダ
ー マ ニ ア 語;イ
タ リ ア 語,サ
ル デ ー ニ ャ 語(サ ル ジ ニ ア 語);レ
テ ン語 が ロマ ンス 諸 語 を生 ん だ 母 語 と して
認 め ら れ る よ う に な っ て き た.19世 証 的 歴 史 ・比 較 研 究 で は,豊
紀 か ら発展 した 実
富 な 資 料 を 使 っ て,い
ゆ る 歴 史 文 法 の 典 型 的 な 研 究 分 野 と な っ た.今 ロ マ ン ス 言 語 学 者 の 関 心 は,通 語 の 起 源,原
時 的 に は ,ロ
共 時 的 に は,内
マ ンス 諸
ロ マ ン ス 語(祖 語)の 仮 定 と 再 構,諸
へ の 分 裂 の 原 因 とそ の 過 程 ,諸 的 統 一 性,類
言 語 の 形 成 な ど,ま 型 論 的 特 質,分
わ
世紀 の
方言 た,
類 などの
問 題 に 集 中 して い る. [ 名
称]
ROMANICEに
テ ン語 の
由 来 し,「 ロ ー マ 人 風 に(話 す)」
とい
と も とフ ラ ンク民 族 の 言
葉 に 対 す る ロー マ 言 葉 を さ す 言 い 方 で あ っ た が,続 て 中 世 初 期 か ら は,公
マ ン ス 諸 語,ド
ロ ミテ 語,フ
ロ マ ン シ ュ 語;ガ ヴ ァ ン ス 語,フ
ラ ン ス 語,プ
リ シ ア 語,ス
I)東
リ ウ リ語,ラ
ロ ・ロ マ ン ス 諸 語,フ
イ ベ ロ ・ ロ マ ン ス 諸 語,カ 語),ガ
タ ロ ・ロ マ ン ス 諸 語,イ
, ラ ン コ ・プ ロ
ロ ヴ ァ ン ス 語(オ タ ロ ニ ア 語(カ
ペ イ ン語,ポ
ロ マ ニ ア 言 語 地 域(「
ト ・ロ
デ ィ ン語
ッ ク 語); タル ーニ ャ
ル トガ ル 語).
ロ マ ニ ア 」 と は,ロ
マ ン
ス 言 語 学 の対 象 とな る ロマ ンス 諸 語 の地 域 の うち で,旧
ロ ーマ 帝 国 の 支 配 地域 に ほ ぼ 相 当す る地 理
的 空 間 を 言 う)
「ロ マ ン ス 」と い う名 称 は,ラ
う 意 味 で あ っ た . これ は,も
ス
ル マチ
グ レ ノ ・ル ー マ ニ ア 語,モ ル ダ ヴ ィ ア 語(モ ル
れ た が,し に つ れ,ラ
な ロマ ン
会 的 側 面 か ら言 語 状 況
ダ ビ ア 語),ル
判 的 考 証 が厳 密 に な る
ロ
マ ン ス 語 の 」 と い う 形 容 詞 に 対 し て は ,romanzoを
と され て いた ギ リ シアや ヘ ブ ライ に 求 め る試 み が な さ だ い に,文 献 学 的,批
あ
ラ ビア語 使 用 者 に対
ペ イ ン 語 使 用 者 は 「ラ デ ィ ー ノ
と よ ば れ,の
ト ロ ・ル ー マ ニ ア 語,ダ
明 の発 祥 地
Ro
ト ・ロ マ ン ス 語 の ス イ ス ・エ ン ガ デ ィ ン
す る 区 別 と し て,ス
い(バ
ネ ッ サ ン ス 時 代 に は,イ
イス ・
容 詞romand/
い う地 方 名 の基 と な って い る.
を 概 観 す る(図1も
ロ マ ン ス 諸 語 は,世
紀 に,形
派 生 さ せ,ス イ ス ・ ロ マ ン ド(Suisse
mande)と
部 ド ロ ミテ(Dolomite)地
史 的 に み て ,2度
年 頃 か ら 紀 元 後100年
romandeを
なわ
語 形romant
つ く ら れ ,ス
フ ラ ン ス 語 地 域 で は,16世
(Engadin)地
な ど を 含 め る こ と が で き る.
格 な ど の 格)の
容 詞roman/romaneが
名 称 は,レ
タ リ ア 語 系 の サ ビ ー ル 語(sabir)
と い う名 称 を 生 ん だ.ま
い
式 で文 章 体 で あ るラ テ ン語 に対
1)バ グル ー プ
ル カ ン ・ ロ マ ン ス(Balkan‐Romance)語 東 ロ マ ニ ア の ロ マ ン ス 諸 語 の 中 で,バ
系 ル
カ ン 半 島 を 中 心 に 分 布 す る も の を バ ル カ ン ・ロ マ ン ス (な い し は,バ ル カ ノ ・ ロ マ ン ス)語 わ め て 離 れ た4つ
と い い,地 理 的 に き
の 言 語 グ ル ー プ に 分 け て 示 さ れ る.
a)イ
ト リ ア(Istria)地 は わ ず か に2千 b)ア
ス ラ ヴ ィ ア国 境 付 近 のバ ナ ー ト語(Banat)の4つ
ス ト ロ ・ル ー マ ニ ア 語(Istro‐Rumanian)
ユ ー ゴ ス ラ ヴ ィ ア の 西 端,イ
タ リア領 に近 い イ ス
方 の ル ー マ ニ ア 語 方 言 で,話
者
た は,マ
印欧 語 族 の トラ キ ア(Thracia)系
ー ゴ ス ラ ヴ ィ ア,ブ
ル ガ リ ア,ア
ル バ ニ ア に 散 在 す る 言 語 島 で,言
紀 元 後106年 グ レ ノ ・ル ー マ ニ ア 語(Megleno‐Rumanian)
ギ リ シ ア の サ ロ ニ カ(Salonika)の
千人
に よ っ て 話 さ れ る. コ ・ル ー マ ニ ア 語(Daco‐Rumanian)バ
語 で,現
Rumanian)を
生 ん だ.言
下 位 区 分 と し て は,4つ す な わ ち,ル
(Aurelianus,在
位270∼275)が
すでにダキアを
ので,直 接 の ロー マ 支 配 は200年 足 らず で あ った.
心地 ブ カ
の交 渉 は途 絶 え,し か も,中 世 初 期6世 紀 頃 か ら 始 ま っ た ス ラ ヴ民 族 か らの 圧 迫 に もか か わ らず, ル ー マ ニ ア が ラ テ ン語 系 の 文 明 圏 に と ど ま って い
方言 をも
るの は 興 味深 い.そ の原 因 につ いて は 論 争 が あ る
紀 に ル ー マ ニア 語 の文 語 を形 成 し
が,主 な 仮説 は2つ で あ る.す なわ ち,ロ ー マ帝
レ ス ト(ブ ク レ シ ュ テ ィ,Bucuresti)の と に,18・19世
万 人.
の 方 言 グ ル ー プ が あ る.
ー マ ニ ア 南 部 で 話 さ れ,中
に は,ア ウ レー リ ア ー ヌ ス 帝
そ の後,東 西 ロー マ 帝 国 の 分 裂 に よ り,ロ ー マ と
romana,英
語 人 口 は,約2千
しか も,271年
保 持 す る望 み を失 い,住 民 を ひ きあ げ させ て い る
っ と も優 勢 な 言
在 の ル ー マ ニ ア 語(Limba
で あ り,比 較 的 遅 くロー マ 化 した と
言 え る.
北 西 で,数
ル カ ン ・ ロ マ ン ス 諸 語 の 中 で,も
ダ キア(Dacia)
植 民 地 化 され,公 式 に ロー マ の属 州 とな っ た の は
語 人 口 は35万
人.
d)ダ
人.
人 が す で に国 家 を築 い てい た . こ こが,ト ラ ー ヤ ー ヌ ス 帝(Trajanus,在 位 紀 元 後98∼117)に よ り
ケ ド ・ル ー マ ニ ア 語(Macedo‐Rumanian)ギ
c)メ
マ ニ ア共 和国 内 の言 語 人 口は,約1,800万
現 在 の ル ー マ ニ ア の あ る地 域 は,紀 元 以 前 に,
人 ほ ど.
・ル ー マ ニ ア 語(Arumanian),ま
リ シ ア 北 部,ユ
に分 け られ るが,方 言 差 は 小 さい と言 え る. ル ー
た ム ン テ ニ ア 語(Muntenian,別
名,ワ
Wallakian),ル
よ び,ソ
ー マ ニ ア 北 部,お
ラキ ア 語 連邦 の
国 時 代 以 来,民 衆 の ラ テ ン語 が,絶 えず ドナ ウ川 北 部 流 域 で は 用 い られ 続 け た と い う説 と,271年
モ ル ドヴ ァ共 和 国 と ウク ラ イ ナ共 和 国 に また が る
の断 絶 に よ って,い
モ ル ダ ヴ ィ ア 語(モ ル ドヴ ァ 語,Moldova),そ
し
た が,そ の後,ド ナ ウ川 の南 か らス ラ ヴ民 族 に よ
部 ユー ゴ
り追 い や られ た 住 民 が 北 部 に移 住 した とい う説 が
て 西 北 部 の ク リ シ ャ ナ 語(Crisana),西
ヨ
出 典:ポ
ー ロ ッパ に お け る ロマ ン ス 諸 語 の 分 布
ズ ナ ー(R.Posner,1966)に
よ る.
った ん は ラ テ ン語 は放 棄 され
主 張 さ れ て い る が,後
者 の方 が事 実 に即 して い る
と考 え ら れ て い る.
ドロ ミ
テ ・ラ デ ィ ン 語(ladin,英Ladin),そ
ス ラ ヴ 諸 語 や ギ リ シ ア 語,ブ
ル ガ リア語 な ど に
囲 ま れ た ル ー マ ニ ア 語 諸 方 言 は,バ (Sprachbund)の
ス 語 系 の フ リ ウ リ語(furlan,英Friulan)と
ル カ ン言 語 群
中 の 重 要 な 一 言 語 群 で あ り,ロ
し て,ガ
マ ン ス 語 系 の ガ ロ ・イ タ リア(Gallo‐Italian)諸
ロ ・ロ 方言が
分 布 す る. こ こ で 言 う イ タ ロ ・ロ マ ン ス 語 系 グ ル ー プ と は,こ の
マ ン ス 語 とバ ル カ ン諸 語 の 混 成 言 語 と し て 注 目 さ
言 語 境 界 線 の 南 に 位 置 す る イ タ リ ア 語 系 の 諸 言 語 で,
れ る.語
そ れ は 一 般 に,中
彙 の み な らず,形
態 ・統 語 面 で も 周 辺 言
央 部 の トス カ ナ(Toscana)地
語 と の 干 渉 関 係 が き わ め て 深 く,そ
の豊富な方言
ィ レ ン ツ ェ 方 言(fiorentino)を
の 変 種 の 存 在 を 考 慮 に 入 れ る と,ル
ーマニア語の
方の フ
と りま く トス カ ナ 地 方
の 諸 方 言 と,中
央 か ら 南 部 に わ た る 方 言 群 に2分
され
ロ マ ンス 語 性 に つ い て は 議 論 の 多 い と こ ろ で あ
る.後
者 は,さ
ら に,3つ
なわ
る.ま
ち,マ
ル ケ(Marche),ウ
た,現
か ら,意
代 の ル ー マ ニ ア 語 は,近
識 的,人
為 的 に,イ
代 に 入 って
タ リア 語,フ
ラ ンス
語 な どか ら借用 を重 ね て つ く り あ げ た 言 語 で あ り,諸
方 言 にみ られ る民 衆 の 話 し言 葉 とは か な り
の 隔 た り が み ら れ る. 2)イ ル ー プ
ダ ル マ チ ア 語(Dalmatian)を
チ ア 語 は,現 る,ア
系グ
さ す.ダ
ル マ
在 のユ ー ゴス ラ ヴ ィ ア の 北西 部 に相 当す
ド リ ア 海 沿 岸 地 方 の イ ス ト リ ア(Istria)地
ダ ル マ チ ア(Dalmatia)地 語 で,系
統 的 に は,先
方 に 話 され て い た ロマ ン ス 住 民 族 の イ リ ュ リ ア(Illyria)人
の 言 語 特 徴 を 保 っ て い た と さ れ る た め,こ 名 が あ る.構
方 と
カ ン パ ニ ア(Campania),ル
造 的 に は,ル
ー マ ニ ア 語 とイ タ リア 語 と
の 中 間 的 特 徴 を 示 す こ と か ら,東
ロ マ ニ ア の 中 で,バ
ーマ
カ ニ ア(Lucania)な
代 表 さ れ る地 方 の 南 部 方 言,そ チ リア(Sicilia)島
コ ル シ カ(Corsica)島
し て,カ
どに
ラ ブ リ ア(Cala
の 最 南 端 の 方 言 群 で あ る.
の 言 語 コ ル シ カ 語(corso)は,主
に トス カ ナ 語 の 強 い 影 響 を 受 け て 発 達 し た の で,ト
ス
カ ナ 諸 方言 の ひ とつ に数 え る こ と もで き る. 一 般 に ,イ
タ リア で は,標
は 別 格 と し て,各 り な が ら,非
の グル ー プ
ン ブ リ ア(Umbria),ロ
な ど の 中 部 地 方 の 方 言 群 と,ア ブ ル ッ ツ ォ(Abruzzo),
bria),シ
リ ュ ロ ・ロ マ ン ス(Illyro‐Romance)語
に 下 位 区 分 さ れ る.す
準 語 と して の イ タ リア 語
地 方 の 諸 言 語 は 方 言 とい う地 位 に あ
常 に よ く保 存 さ れ 活 力 を も っ て い る.方
言 ご との 文 章 語 も,書 で 発 達 し て き た.標
記 法 の 模 索 を 経 て,多
くの 地 方
準 文 章 語 の 制 定 を め ぐ る,い
る 「言 語 問 題(questione
della
lingua)」
わゆ
は,数
世紀
ル カ ン ・ロ マ ン ス 語 系 に 含 め る か,イ
タ ロ ・ロマ ンス
に わ た り論 議 の 的 と な っ て き た が,諸
語 系 に 含 め る か で 論 議 さ れ て き た.こ
の 地 域 は,中
世
と き わ 有 力 と な っ た の は,中 世 か ら,ダ ン テ(A.Dante,
国 に 属 し て い た が,そ
の
か ら ク ロ ア チ ア(Croatia)王
後,独 立 し た 国 家 と し て 成 立 し な か っ た.そ ダ ル マ チ ア 語 は,常
の た め に,
に 地 方 語 の 立 場 に お か れ て お り,
活 発 な 商 業 上 の 交 易 や 植 民 の た め に,イ ヴ ェネ ト語(veneto,英Venetian)の
タ リア の方 言 影響 を受 けて 形
成 さ れ た . ま と ま っ た テ キ ス トの 初 出 文 献 は15世 に あ り,当
時 の 話 者 は,5万
紀
人 程 度 で あ っ た と推 測 さ
れ る. 主 な 方 言 は,ア
ド リ ア 海 沿 岸 の ラ グ ー サ(Ragusa,
ゥ ブ ロ ヴ ニ クDubrovnik)方
(Krk)島(イ
タ リ ア 語 名,ヴ
言 と,ク
ェ ッ リ アVeglia)の
で あ る ヴ ェ ッ リオ ー ト語(veglioto)で,前
方言
者 は15世
後 の 話 者 が1898年
言 語 は 死 語 と な っ て い る.か
プ
し,国
役,マ
Spezia)と
分 さ れ る.こ
っ て,標 準 イ タ リ ア 語 が 話 し 言 葉 に ま で 浸 透 し た の は, 紀 に 入 っ て か ら の こ と で あ り,現
か ら,イ
タ リア 中 部 の ロ ー マ 方 言 の 言 語 特 徴 が,マ ス ・
る. こ の よ う な 状 況 を 考 慮 に 入 れ る と,現
た,ス
イ ス で は,南
系 グル ー
述 の東 西 の ロ マニ ア ・ス ペ ッ ツ ィ ア 結 ぶ 線 で,大
半 数
準 イ タ リ ア 語 以 外 の 地 方 語 を 自分
タ リア 国 内 で 約6千
ェ ネ ト語,レ
代 で も,約
の 母 語 と し て 考 え て い る . ま た,政 治 的,経 済 的 な 背 景
は,イ
リ ミニ(Rimini)を
か
ス ・メ デ ィ ア な ど の 影 響 に よ
つ て の ダ ル マ チ ア語 圏 で
な わ ち,ラ
の 線 の 北 は,ヴ
語 教 育,兵
よ び,イ
イ タ リ ア 半 島 の 言 語 は,後
を 分 け る 言 語 境 界 線,す (La
央 集 権 化 が 進 ん だ こ と に よ る.し
語,お
タ ロ ・ロ マ ン ス(Italo‐Romance)語
の国
家 統 一 を 機 に,中
の
在 ヴ ェ ネ ト語 と ク ロ ア チ ア 語 が 話 され て い る.
3)イ
れがイ タ リ
ア の 標 準 語 と し て の 地 位 を 獲 得 し た の は,1861年
メ デ ィ ア を通 して 全 国 に広 が っ て い る とい う観 察 もあ
の 資 料 の提 供 者 で あ っ た 最
に 地 雷 の た め に 爆 死 し て 以 来,こ
ィレンツェを
中 心 と す る トス カ ナ 地 方 の 言 語 で あ る.こ
の イ タ リ ア 人 が,標 ル ク
紀 の 記 録 が 残 る の み で あ る が,後 者 の 記 述 的 研 究 は19 世 紀 末 に な さ れ て い る.そ
は じ め とす る 多 く の 文 学 者 た ち の 手 に
よ っ て 文 章 語 と し て 完 成 さ れ て き た,フ
20世
現 在 は,ド
は,現
1265∼1321)を
方 言 の うちで ひ
き く2
ト ・ロマ ン
ノ(Ticino)州
語 は,ガ
(lombardo)で コ ル シ カ 島,マ
万 人 で あ る と み ら れ る.ま
部 の イ タ リア 語 圏 で あ る テ ィ チ ー
を 主 な 地 域 と し て,ス
パ ー セ ン ト(66万 し,母
在 の イ タ リア
タ ロ ・ロマ ンス語 系 諸方 言 の言 語 人 口
人)が
イ ス 全 人 口 の 約10
イ タ リア語 話 者で あ る. た だ
ロ ・イ タ リ ア 語 系 ロ ンバ ル デ ィ ア 方 言 あ る . そ の ほ か,ユ ル タ(Malta)島
ー ゴ ス ラ ヴ ィ ア,
に も,イ
タ リア語 使用
者 が存 在 す る.17世 は,イ タ リア 語,フ
紀 頃 を 中心 に,地 中海 沿 岸 都 市 で
Ⅱ)西
ラ ンス 語,ス ペ イ ン語 にア ラ ビア
5)レ
ロマ ニ ア言 語 地 域 ト ・ロマ ン ス語 系 グ ル ー プ
レ ト ・ロ マ ン
語 の 交 じ った 混 成 語 の サ ビー ル語 が用 い られ た.海 外
ス 諸 語 は,西
へ の 移 住 者 で,イ
リア 北 部 に ま たが る地 域 で 話 され る3つ の言 語 群 の総
タ リア 語 を保 存 す る 人 々 の数 は きわ
ロマ ニ ア言 語 地域 に属 し,ス イ ス とイ タ
め て 多 く,ア メ リカ 合 衆 国 には概 数 で400万 人,ア ル
称 で あ るが,共 通 語 な い し標 準 語 は もっ て い な い.言
ゼ ンチ ン に は150万 人,ブ
語 的 特 徴 と し て は,歴 史 的 には,ア ル プス 基 層 言 語(リ
ラ リア に は それ ぞれ50万 4)サ
ラ ジル,カ ナ ダ,オ ー ス ト
sardo,英Sardinian)
グ リア 語 系 と比定 さ れ て い る)と ケ ル ト語基 層,中
人 を数 え る.
ル デ ー ニ ャ 語(サ
ル ジ ニ ア 語sardu,イ
イ タ リア 半 島 の 西 方,コ ル
か ら の ゲル マ ン語 上 層,さ
世
らに,現 在 で も,周 辺 言 語,
特 にゲ ル マ ン傍層 か らの干 渉 が,他 の ロマ ンス 諸 語 よ
シカ 島 の南 の地 中海 に あ るサル ジニ ア 島 で,約100万
り強 くみ られ る,そ
して,山 間 部 とい う地 理 的 な 閉 鎖
人 に よ って 話 され て い るサ ル デ ーニ ャ語 は,ロ マ ンス
性 を反 映 して,音 声 的 に は特 殊 な 進 化 の 方 向 を と る一
諸 語 の 中 で も っ と も保 守 的 な言 語 特 徴 を示 し,特 に,
方 で,語 彙 面 で は他 で は 失 われ た ラテ ン語 の 単 語 を残
音 声 的 に は 他 の ロマ ンス 語 にみ られ な い際 立 った 独 自
して お り,そ の保 守 性 が あ げ られ る.こ れ らの3つ の
の 音 韻 体 系 を も って い る(後 述).こ
言 語 群 の通 時 的特 徴 か らみ る と,大 半 の 方 言 は,ガ ロ ・
の ため,サ ル デ ー
ニ ャ語 を,他 の ロマ ンス 諸語 と別 に,ひ とつ の 言 語 グ
ロ マ ンス 系言 語 の進 化 の 方 向 をた ど って い るた め,レ
ル ー プ と して 独 立 させ る立 場 を とる研 究者 が 多 い.
ト ・ロマ ンス 語 と して 独 立 させ ず に,ガ ロ ・ロ マ ンス
サ ル デ ー ニ ャ語 は,5つ
語 に含 め る立 場 が あ る.ま た,フ
の 方言 に下 位 区分 され るが,
リウ リ語 に は,系 統
そ の どれ も が,他 を圧 す る勢 力 は も って お らず,標 準
的 に も類 型 論 的 に も独 自な 位 置 を与 え るべ きだ とす る
的 な文 章 語 も な い.言 語 史 的 に,き わ め て保 守 的 な特
意 見 が 強 い.こ れ ら を一 つ の言 語 グル ー プ と し て ま と
徴 を示 す の は,中 央 部 と東 部 の ヌ オ ロ(Nuoro)市
を中
め られ るか ど うか,ま た,そ れ に独 自 な地 位 を与 え る
型 的なサル
べ きか ど うか につ いて は,議 論 が 続 い て い る.言 語 人
心 とす る ヌ オ ロ方 言(イnuorese)で,典
デ ー ニ ャ語 と言 え る.こ れ に接 す る北 西 部 の 方 言 は,
口 は,合
ロ グ ドー ロ方 言(イlogudorese)で,比
地 域 で,統 一 書 記 法 の制 定,文 学 作 品 の 出版,文 化 活
較 的 ヌ オ ロ方
言 に近 く,古 い サ ル デ ー ニ ャ語 の形 を と どめ て い る. この た め,こ れ らの2つ を1つ の方 言 にま とめ る立 場
計 で70万
人 に満 た な い と推 定 され る が,各
動 の再 興 が 活 発 に試 み られ て い る. イ タ リア 北 東 部 の フ リウ リ(Friuli)平 野 で,約50万
もあ る.島 の南 部 の大 部 分 は,州 都 カ リア リ(Cagliari)
人 に よ って 話 され る フ リウ リ語 は,隣 接 す る ヴ ェ ネ ト
の あ る カ ン ピダ ー ノ(Campidano)平
野 を中 心 に,カ
語 か らの 影 響 を強 く受 け てい る.フ リウ リ語 の 話 者 の
ン ピダ ー ノ 方 言(イcampidanese)が
話 され る.そ し
大 部 分 は,ヴ
て,島 の 北 端 部 は,西 に サ ッサ リ(Sassari)市 サ ッサ リ方 言(イsassarese),東
のある
の ガ ッル ー ラ(Gal
lura)地 方 に はガ ッル ー ラ方 言(イgallura)が
ェネ ト語 とイ タ リア 語 との二 言 語 な い し
三 言 語 併 用 者 で あ る.さ らに,北 部 で は ドイ ツ 語,東 部 で は ス ロ ヴ ェニ ア 語(Slovenian)か
らの傍 層 的 影 響
あ るが,
を こ うむ っ て い る.音 韻 論 的 特徴 と して,強 勢 母 音 の
この2方 言 は,ト ス カ ナ 地 方 の イ タ リア語 か ら の影 響
強 位 置/弱 位 置 に対 応 して,語 末 母音 の 長/短 の 対 立
を強 く受 けて い る.
が あ るが,他
サ ル デ ー ニ ャ島 は,ロ ー マ 時 代 か ら中世 末 期 に い た
で あ る.
る まで,比 較 的,他
の ロマ ニ ア 地域 と隔離 され た歴 史
を た ど って お り,サ ル デ ー ニ ャ語 も,地 域 の通 用 語 と
の レ ト ・ロ マ ンス 語 に は み られ な い もの
イ タ リア 北 部 の ドロ ミテ(Dolomite)山 され る ドロ ミテ ・ラデ ィ ン語(ladin,単
塊地 方で話 に ドロ ミテ 語
して の地 位 を保 って き た.そ の 地 理 的,歴 史 的 条 件 の
と も)は,谷
下 で,言 語 的 特 徴 と して は,音 声 組 織 や 語 彙 にお いて,
れ ぞ れ の 歴 史 的,文 化 的 背 景 が異 な る ため に,言 語 的 に
保 守 性 と進 化 の特 異 性 が あ げ られ る.と
も大 きな 多 様 性 を示 す.北 に 開 い た谷 で は,長 ら く ド
ころ が,14世
ご とに5つ の方 言 に下 位 区分 され る が,そ
紀 頃 か ら は,カ タル ー ニ ャ語,ス ペ イ ン語,コ ル シカ
イ ツ語 圏 に併 合 され て い たた め,ド イ ツ語 の影 響 が 強
語 な ど の異 質 な要 素 が,次 々 とサ ル デ ー ニ ャ語 に 影 響
くみ られ る.ま た,南 西 に広 が る谷 で は,ヴ
を与 え,方 言 差 を拡 大 させ て きた.ま た,こ れ らの外
とイ タ リア語 の支 配 下 に あ る.住 民 は,ド イ ツ 語,イ
来 の言 語 を母 語 とす る 入植 者 が 多 く住 ん だ,サ ル デ ー
タ リア語 な ど との 多言 語 併用 者 で あ り,正 確 な 言 語 人
ニ ャ島 の 北部 と西 部 の沿 岸 地 方 は,非 サ ル デ ー ニ ャ語
口 は 求 め に くい が,現 地 資料 に基 づ くと,多 め に み て,
地 域 と して残 って お り,こ の島 の 言 語 事 情 を複 雑 に し
約7万 人 で あ る.
て い る. 現 在 は,イ
タ リア 共和 国 の一 州 と して 併 合 さ
ェネ ト語
ス イ ス 国 内 で は,レ ト・ロマ ンス 語 は,ロ マ ン シ ュ語
れて お り,公 的 な 場 で のイ タ リア 語 使用 が,サ ル デ ー
(rumantschま
ニ ャ語 の言 語 文 化 的 活 力 を奪 いつ つ あ る.
よ ば れ,1996年
た はromontsch,英Romansh)と 以 来,ド イ ツ語,フ
ラ ンス語,イ
タリ
ア 語 に 加 え て,4つ
目 の 公 用 語 と な っ て お り,そ の 地 位
は 保 証 さ れ て い る.し
か し,特
ュ ・コ ン テ(Franche‐Comte)地
に,ド
イ ツ語 傍層 か ら
西 の ジ ュ ラ(Jura)州
の 圧 倒 的 な 影 響 を こ う む っ て お り,ゲ
ル マ ン語 的 な 要
語 の 方 言 地 域 で あ る.オ
素 を 多 く受 け 入 れ る ば か り で は な く,ロ
マ ン シュ語 自
体 の 存 続 が 危 ぶ ま れ て い る.下 位 区 分 は4方
言 が あ り,
そ の う ち の ひ と つ,エ
ン ガ デ ィ ン(Engadin)渓
の ロ マ ン シ ュ 語 は,ラ
デ ィ ン 語(ladin)と
ミ テ ・ラ デ ィ ン語(ladin)と は,約5万
谷地 方
よ ば れ,ド
同 じ名 称 を も つ.言
系 グル ー
ガ ロ ・ ロ マ ン ス と い う 名 称 は,印
系 ガ リア(Gallia)人
欧語族ケル ト
の 名 に 由 来 す る が,そ
の言 語 領 域
ー マ 史 で 言 う 「ガ リ ア 地 方 」 と は 完 全 に は 一 致
ら に,ス イ ス 北
ッ ク 語 は,リ
(Grenoble)市
イル
ヨン 市 の 西 方
西 に 向 け て 境 界 線 か ら分 か れ,グ
ル ノ ー ブ ル
の 南 を通 って 南 ア ル プス 山脈 に 至 る線
の 南 で 話 さ れ る.そ
の 分 岐 点で あ る リヨ ン と グル ノー
ブ ル と 北 の ス イ ス ・ジ ュ ラ 州 と で 形 づ く る 三 角 地 帯 が, フ ラ ン コ ・プ ロ ヴ ァ ン ス 方 言 地 域 で あ る.さ プ ス を 東 に 越 え て,イ
ロ ・ ロ マ ン ス(Gallo‐Romance)語
は,ロ
語人 口
人.
6)ガ プ
ロ
で,南
方,さ
に 至 る . こ の 線 の 北 側 が,オ
谷 地 方 で も,フ
ら に,ア ル
タ リ ア 国 内 の ア オ ス タ(Aosta)
ラ ン コ ・プ ロ ヴ ァ ン ス 方 言 が,約10万
人 に よ っ て 話 さ れ て い る. オ イ ル 語 の 下 位 方 言 区 分 は,以 第1の
グ ル ー プ は,北
し な い.ロ
マ ン ス 言 語 学 に お け る ガ ロ ・ロ マ ン ス(諸)
デ ィ ー(Haute‐Normandie)方
語 と は,こ
の 民 族 が か つ て通 過 な い しは定 住 して い た
(Picardie)方
言,ロ
下 の と お り で あ る.
か ら 東 に か け て,北 言,ピ
部 ノルマ ン カ ル デ ィ ー
レ ー ヌ(Lorraine)方
言,そ
し て,
と さ れ る 地 域 で 共 通 し て 認 め ら れ る 言 語 特 徴 を も つ,
フ ラ ンス北 東 端 か らベ ル ギ ー領 内 に か け ての ワ ロニ ー
い くつ か の ロ マ ン ス 語 系 言 語 群 に 対 す る 系 統 的 名 称 で
(Wallonie)方
あ る.広
め た 方 言 群 で,ガ
義 の ガ ロ ・ ロ マ ンス 語 を 定 義 す る 言 語 特 徴 と
し て は,た
と え ば,ラ
円 唇 のu[y]に れ は,ケ
テ ン語 強 勢 母 音 のUが,前
舌
変 化 す る と い っ た 現 象 が あ げ ら れ,そ
の
「ケ ル ト的 」 特 徴 は,北
ロ マ ン ス 語 圏 の ベ ル ギ ー,ア
ス 語 圏 の ス イ ス ・ロ マ ン ド地 方,レ 域 の ス イ ス と イ タ リア 山 岳 部,北 タ リア 系 方 言 地 域,そ
フ ラ ン ス,
ル ザ ス(Alsace)
,フ
ラ ン
ト ・ ロ マ ンス 語 地 イ タ リ ア の ガ ロ ・イ
し て,カ
タル ー ニ ャ語 圏 を除 く
南 フ ラ ン ス 全 域 に 認 め ら れ る.し
ロ ン 語wallonと
も い う)を ま と
リ ア 民 族 の 言 語 基 層 に 加 え て,ゲ
南 東 の ブ ル ゴ ー ニ ュ 地 方,フ
グ ル ー プ は,そ
ラ ン シ ュ ・コ ン テ 地 方 の
第3の
グ ル ー プ は,フ
と め て,南 言,ブ
ラ ンス の 北 西 か ら 西 の 一 帯 を ま
部 ノ ル マ ン デ ィ ー(Basse‐Normandie)方
ル タ ー ニ ュ(Bretagne)方
言(た だ し,ケ
系 の ブ ル ト ン語 地 域 は 含 め な い),ア
ロ ・ロマ ン
方 言 な ど の 西 部 方 言 的 特 徴 を も つ 言 語 群 で,旧
位 分 類 につ
ー ニ ュ 地 方 の 地 名 を と って
,ア
ル ト語
ン ジ ュ ー(Anjou)
か し,ガ
ブルタ
ル モ リ ッ ク 語(armo
い て は 問 題 が 多 い.
ricain)グ
ル ー プ と よ ば れ る こ と が あ る.第4の
一 般には
ー プ は ,そ
の 南 西 に 位 置 す る ポ ワ チ エ(Poitiers)方
,主
な 方 言 グ ル ー プ と し て,現
言,そ
して,東
方 言,南
方
部 の フ ラ ン コ ・プ ロ ヴ ァ ン ス 方 言
(franco‐provencal),イ
タ リア国 内 北 部 とス イ ス南 部
の ガ ロ ・イ タ リ ア 諸 方 言 が あ げ ら れ る.さ の よ う に,レ
在の フラン
部 の オ ッ ク(oc)諸
ら に,上
記
ト ・ ロマ ン ス 諸 語 の 一 部 を 含 め る こ と が
で,南
え る.第5の
方 言,そ
し て,パ
de‐France)地
言 っ た こ と に 由 来 す る も の で,ま
ン ス の 方 言 名 は,同 d'oc,ま 述).両
た は,オ
様 な 理 由 で,「
た,南
フラ
オ ッ ク 語(langue
ク シ タ ンoccitan)」
者 の 方 言 区 画 は,フ ラ ン ス を 南 北 に ほ ぼ2分
る と 言 っ て よ い.そ
市 の 西 で ガ ス コ ー ニ ュ(Gascogne)湾 (Garonne)川 central)の
の 河 口 を 境 に し て,中 北 端 を 東 に 迂 回 し,リ
近 ま で 引 か れ る.そ
す
こ か ら,北
ル ゴ ー ニ ュ(Bourgogne)地
に 注 ぐガ ロ ン ヌ 央 山 塊(le Massif ヨ ン(Lyon)市
の付
東 に 方 向 を 変 え て,ブ
方 の 南 を 抜 け,フ
ランシ
の 中 央 方 言,特
ラ ンス 語 の母 体 とな った 方 言
で あ る. 音 声 的 特 徴 と し て は,ま
な ど),子 ま た,い Oの
の 境 界 線 は,ボ ル ドー(Bordeaux)
ラ ン シ ア ン 語fran
ま と め ら れ る . 歴 史 的 に は,こ
す な わ ち,母
と よ ば れ る(後
ル レア ン(Orlean)
リ を と り ま くイ ル ・ド・フ ラ ン ス(Ile
に フ ラ ン シ ア ン 語 が,フ
がoilと
言,オ
方 の 方 言(通 称,フ
北 フ ラ ン ス とベ ル ギ ー の ロ マ ン ス 語 系 言 語 の 総 称 定 の 間 投 詞(「 は い 」)
言
グ ル ー プ は,フ ラ ン ス の 中 央 方 言 で,シ ャ
ンパ ー ニ ュ(Champagne)方
cien)が
d'oil)」 は,肯
グル
フ ラ ン ス の オ ッ ク 語 の 特 徴 を もつ 中 間 地 域 と 言
あ る.
「オ イ ル 語(langue
の
方 言 で,ゲ ル マ ン 民 族 ブ ル グ ン ド人 の 言 語 特 徴 を も つ.
ス 語 を 定 義 す る 基 準 の と り 方 に よ っ て,下
ス 北 部 の オ イ ル(oil)諸
ル
マ ン民 族 の フ ラ ン ク人 とノ ル マ ン民族 に よ る言 語 上 層 の 影 響 が 著 し い 地 域 で あ る.第2の
ル ト人 の も っ て い た 母 音 体 系 か ら の 干 渉 に よ
る と さ れ る.こ
言(ワ
ず,口
蓋 化 が あ げ ら れ る.
音 の 前 舌 的 発 音 の 傾 向(U>u,A>e,
音 の 口 蓋 化(KA>t∫a,の
ち に > ∫a)な ど.
わ ゆ る ガ ロ ・ ロ マ ン ス 的 な 強 勢 狭 口 母 音E,
二 重 母 音 化(TELA>teile>toile>[twal]),
母 音 間 の 無 声 子 音 の 脱 落(CATENA>chaine[〓]), 鼻 母 音 化(VINU>vin[〓])な
ど,特
殊 な進 化 の方 向
を 示 して い る.語 彙 面 で は,ゲ ル マ ン 語 的 要 素 を 濃 く も っ て お り,ロ
マ ンス 諸 語 に共 通 の 語 彙 の比 率 は比 較 的
小 さ い . 総 合 的 に み て,ロ
マ ンス 諸 語 の 中で も っ と も
通 時 的 変 化 を こ う む っ た 言 語 で あ る と 言 え る.
ア フ リカ で は,セ ネ ガル,ザ イ ー ル,マ ダ ガ ス カ ル
イ ル ・ ド ・フ ラ ン ス 方 言 は,中 世 の 文 学 語 と し て は, 南 の オ ッ ク語,あ
る い は,シ
ャ ンパ ー ニ ュ方 言 や ピカ
な ど,16の 独 立 国 家 が,フ
ラ ンス 語 を国 語 とす る. ま
た,北 ア フ リカ 沿 岸 諸 国 の ア ラ ブ系 の アル ジ ェ リア,
ル デ ィ ー 方 言 に 比 べ て 重 要 な 存 在 で は な か っ た が,中
モ ロ ッコ,チ ュ ニ ジ ア で は,ア ラ ビ ア語 化 が 進 み,母
世 後 期 か ら,パ リ に 政 治 的,経 済 的 中 央 集 権 化 が 進 ん だ
語 と して 話 す人 は減 少 の一 途 を た ど って い る.
た め に,他 に,フ
「ヴ ィ レル ・コ ッ ト レ の 勅 令(Ordonnance Cotteret)」 て,こ
を 公 布 し て,フ
Ier)が,
語 は,特 に,民 族 上 層 で あ る ブル グ ン ド民 族 の 言 語 特
Villers
徴 の 影響 を 受 け,北 ガ ロ ・ロ マ ンス 語 か ら,8世
de
ラ ンス 唯 一 の 公 用 語 とし
の イ ル ・ ド ・フ ラ ン ス 地 方 の(つ
語,フ
ガ ロ ・ロ マ ンス 語 の 中 で,フ ラ ン コ ・プ ロ ヴ ァ ンス
の 方 言 を 圧 す る 勢 力 を も ち 始 め た.1539年
ラ ンス 国 王 フ ラ ン ソ ワ1世(Francois
ラ ン シ ア ン語 を 指 定 し,そ
ま りパ リの)言
ス の オ ッ ク語 との 中 間 段 階 の特 徴 を 示 す方 言 で,原
文書 に れ が,
る. た とえ ば,子 音体 系 の進 化 は オ イ ル語 に近 く(た
じ た.こ
国 家 の 言 語 す な わ ち国 語 と して の フ ラ ンス 語 の 成 立 で
とえ ば,口 蓋化),母
あ る.以
音節 と語 末 のAの
来,フ
ラ ン ス 語 は,標
の 力 を 背 景 に,国
準 語 と し て,絶
対王政
セ ー ズ(Academie
れ と同 時 に,ア francaise)の
その
人 た ち の 手 に よ っ て,人
為 的,意
章 語 の 表 現 手 段 と して の
近 代 フ ラ ン ス 語 を成 熟 さ せ て い っ た.フ の ロ マ ン ス 諸 語 に 与 え た,そ
フ ・プ[〓],cf.フ[〓],オ
また,二 重 母 音 化 や 母 音 間 子 音 の 弱 ま りは,フ ラ ンス 語 の そ れ に ほ ぼ 一 致 す る.
頂 点 を み る言 語 的 洗 練 が,文 識 的 に 行 な わ れ,文
音 の特 徴 は オッ ク語 に近 い(強 勢
cantar
カ デ ミー ・フ ラ ン 設 置(1635年)に
段階 に近 い と考 え られ
保 存).
ラCANTARE>
内の み な らず 国 外 にお い て も勢 力 を
拡 大 し て い っ た.そ
フ
ラ ンス語(Proto‐francais)の
の 一 方 で,公
お け る ラテ ン語 や他 の方 言 の 使 用 を
紀か
9世 紀 に 分 化 した.北 フ ラ ンス の オ イ ル語 と南 フ ラ ン
ラ ンス 語 が 他
の 文 化 的 影 響 力 は特 筆す
べ き で あ ろ う.
この 方 言 は,現 代 で は,方 言 とい う よ り俚言(パ ワ,patois)の
ト
状 態 に あ る.現 代 の 話 者 は,主 に農 村 地
帯 の 高 齢 者 で,フ
ラ ンス 語 との 二 言 語 併用 者 で あ る た
め に把 握 し に くい が,十 数 万 人 程 度 で あ ろ う.方 言 地
フ ラ ン ス 国 外 で の 発 展 と し て は,中
世 の イギ リスで
域 につ い て は,上 記 を参 照 され た い.
用 い ら れ て い た ア ン グ ロ ・ノ ル マ ン 語(anglo‐nor mand,英Norman 1066年
French)が,そ
に,ノ
ル マ ン デ ィ ー 公 ギ ヨ ー ム(Guillaume
le
イ ギ リ ス を 征 服 して か ら,約3世
紀 の
Conquerant)が 間,上
の 第 一 で あ る.
層 階 級 に よ っ て,ノ
ガ
共 通 ガロ・ロマンス語
ル マ ンデ ィ ー方 言 の特 徴 を
もつ フ ラ ン ス 語 が 行 政 や 文 学 作 品 に 用 い ら れ,英
ロ ・ロマ ンス 語 の 系 統 概 略
北 部 ガロ・ロマンス語 語に
南 部 ガロ・ロマンス語
多 くの 影 響 を も た ら し た. 標 準 語 と し て の 言 語 人 口 は,二
言 語 併 用 者 を 含 め,
フ ラ ン ス 国 内 で 約5,100万
ル ギ ー で400万
ス イ ス で100万
人,ベ
人,ド ー バ ー(Dover)海
ノ ル マ ン 諸 島(イ ギ リス 領)で10万 の イ タ リ ア ・ア ル プ ス 地 方 で10万 民 地 で は,カ
峡 の ア ング ロ・
人,ア
ナ ダ の フ ラ ン ス 語 圏 で600万
ケ ベ ッ ク(Quebec)地
オ ス タ谷 な ど
人 で あ る.旧
方 で は,1867年
海外植
人 が 話 す.
以 来,英
オイル諸 方 言
語 とと
7)オ
ク シ タ ノ ・ロ マ ン ス(Occitano‐Romance)語
系 グ ル ー プ
ガ ロ ・ ロ マ ン ス 語 の2大
る よ う に,広
ク シ タ ノ ・ ロ マ ン ス 語 の 下 位 区 分 は3つ プ で,北
ン ス 語 話 者 で あ る.ア
メ リカ で は,カ
ナダのアカデ ィ
ー ヴ ェ ル ニ ュAuvergne方
ア(Acadia)か
部 オ ッ ク 語(リ
紀 に追 わ れ て 来 た 移 民 の 子 孫 で
provencales方
言)と,中
部 オ ッ ク 語(ラ
(Cajuns)と
イ ン ド諸 島 の ハ イ チ
大 西 洋 側 の ガ ス コ ー ニ ュ(Gascogne)地
人 ほ どが 話 者 に数 え
ニ ュ語(gascon)で
ら れ る が,大 て い る.イ
部 分 は フ ラ ン ス 語 系 の ク リオ ー ル を 用 い ン ド洋 の モ ー リス(Maurice),セ
(Seychelles),レ 150万
ユ ニ オ ン(Reunion)な
ー シ ェル ど の 島 で は,
人 が フ ラ ンス 語 な い しは ク リオ ール を通 用 語 と
して 用 い て い る.
言,プ
て,す
ング ドッ ク
ロ ヴ ァ ン スProvence方
言)と,
方 の ガ ス コー
あ る.
通 時 的 特 徴 を あ げ る と,オ 音 に 関 し て は,語
言,オ
言,南 ア ル プ ス 地 方Alpes
人 お り,ケ
よ ば れ る . ほ か に,西
Languedoc方
の言語グルー
モ ー ジ ュLimoges方
フ ラ ン ス 語 を 保 つ 人 々 が 約100万
で は 公 用 語 と な っ て い て,500万
示 され
義 の ガ ロ ・ロ マ ン ス 語 に 含 め ら れ る . オ
ー セ ン トが フ ラ
イ ジュン
方 言 を区 分 す
る 境 界 線 の 南 は オ ッ ク 語 の 言 語 領 域 で,図2で
も に 公 用 語 と な って お り,住 民 の80パ
ら18世
オック語
フランコ・プロヴァンス語
人,
イ ル 語 と は 対 照 的 に,母
末 の 無 強 勢 母 音 は,‐Aを
べ て 消 失 す る こ と,共
化 が 起 き な い こ と,ラ
例外 とし
通 ロ マ ンス語 的 二 重 母 音
テ ン語 の 二重 母 音
化 せ ず に 保 存 さ れ る こ と で あ る.子
‐AUが
単音
音 で は,北 の ガ ロ ・
ロマ ンス語 に 起 こっ た,‐CA,‐GAの
口蓋 化 現 象 が起
の 干 渉 で あ る と さ れ,ス
ペ イ ン の ア ラ ゴ ン(Aragon)
きて い な い こ とな どが注 目 され る.
方 言 も 同 じ傾 向 を もつ.こ
オ ッ ク語 の 歴 史 は,12世
方 言 や サ ル デ ー ニ ャ語 や カ タ ル ー ニ ャ語 と も共 通 す る
紀 の 吟 遊 詩 人(ト ゥルバ ド
ゥー ル)た ちの 手 で形 成 され た,リ モ ー ジュ方 言 を基
の ほ か に も,南
特 徴 を い くつ か 有 す る た め,広
義 の オ ック語 グル ー プ
盤 とす る文 学 的 コイ ネ ー に始 ま る.こ の技 巧的 な文 章
に 含 ま れ る も の の,中
語 が,宮 廷 の抒 情 詩 人 た ち に よっ て,南
の オ ッ ク 語 と は 一 線 を 画 され て き た.現
で 用 い られ る よ うに な り,わ ず か50年
フ ラ ンス全 域 ほ どの 間 に,オ
ッ ク語 は そ の絶 頂期 を迎 え る.13世 紀 に 入 る と,宗 教
言 語 学 で も,ベッ
上 の 異 端 を征 伐 す る名 目 で,北 フ ラ ン ス か ら ア ル ビ
8)イ
(Albi)十 字 軍 が南 フ ラ ンス を 蹂 躙 し,政 治 的,社 会的
ル ー プ
混 乱 に お と しい れ た . こ の事 件 を境 に,通 用 語 と して
カ タ ル ー ニ ャ語(カ
のオ ッ ク語 は,オ イ ル語 に対 して,従 属 的 な位 置 に お か れ る よう に な った .
ンス 語 公用 語 化 の 決 定以 来,文
章語 は フ ラ ンス語 が用 し言 葉 は,オ
学 的 コイ ネ ー と し て 代 の ロマ ンス
よ う に,ガ
ス コー ニ ュ
ル ー プ とす る 立 場 が あ る.
ベ ロ ・ロ マ ン ス(Ibero‐Romance)系
言語グ
イ ベ リ ア 半 島 の ロ マ ン ス 語 系 言 語 は,ま ず, タ ロニ ア 語,catala,スcatalan)
れ 以 外 の 言 語(ス ペ イ ン語espanol,ポ
語portugues,ガ
1539年 の 「ヴ ィ レル ・コ ッ トレの 勅令 」に よる フ ラ
い られ るよ う にな った が,話
と,そ
世 か ら,文
ク(P.Bec)の
語 を 独 立 さ せ て1グ
イ タ リア 語
しか し,カ
リ シ ア 語gallego)と
ル トガ ル
に大 別 で き る.
タル ー ニ ャ語 を イ ベ ロ ・ロマ ンス 語 系 の グ
ル ー プ に 含 め る こ と に つ い て は,さ
ま ざ まな 問 題 が あ
ック語 が使
る . そ の 特 徴 の 多 く が,南
フ ラ ンス の オ ッ ク語 に も共
わ れ 続 け た.フ ラ ンス革 命 を機 に,他 の 方言 と同様,共
通 し て み ら れ る た め に,こ
れ を イ ベ ロ ・ロ マ ン ス 語 系
通 語 と して の フ ラ ンス語 が,南 フ ラ ンス で も支 配 的 に
に 含 め ず,オ
な った.18世
諸 言 語 に 加 え る こ と が あ る.あ
紀 後 半 に,ミ ス トラル(F.Mistral)を
旗 頭 に,オ ック語 の文 芸 復 興 運 動 が盛 り上 が り,多 く
ク シ タ ノ ・ロ マ ン ス 語 系 と し て,上
違 い を 強 調 して,別
の文 学 作 品 が創 作 され,標 準 的 文 章 語 の た め に,統 一
で は,オ
的 書 記 法 が模 索 され た.こ の地 域 言 語 文 化 に対 す る意
入 れ ず に,イ
識 の 高 揚 が,レ
根 拠 は,た
ト ・ロ マ ン ス語 や カ タ ル ー ニ ャ語 な ど
の弱 小 言 語 の使 用 者 に大 き な 刺激 と勇気 を 与 え た こ と
る い は,オ
ッ ク語 の 属 す る ガ ロ ・ ロ マ ン ス 語 グ ル ー プ に ベ ロ ・ロ マ ンス 語 系 に 含 め て お く. そ の と え ば,音
声 面 で,ラ
舌 化 が 起 こ ら な い こ と,二
口 蓋 音 の 後 の 両 唇 音(KW‐,GW‐)の 現 象 が あ げ ら れ る が,こ
在 は,オ
ッ ク語全 体 を さ
は,オ
ロ ・ロ マ ン ス(諸)語
つ ま り,マ ル セイ ユ(Marseille)近
え る か ら で あ る.
辺 の 方 言 を さす名
保 存,と
れ ら の 点 で,カ
し ろ,イ
言 語 的 に み て,カ
タ ル ー ニ ャ(ま た は,カ
カCatalunya,スCataluna,英Catalonia)地 は,ス ペ イ ン南 東 の バ ル セ ロ ナ(Barcelona)を 西 は バ レ ン シ ア(Valencia)あ
ガ ス コー ニ ュ語 は,北 は ガ ロ ン ヌ川 河 口か ら トゥー ル ー ズ(Toulouse)に
か け て の 流 域 を東 の端 と し,西 は
大 西 洋 の ガ ス コー ニ ュ湾,南
は ピ レネ ー(les
Pyre
ャ 語 方 言),東
方 と
言 領域 とす る.こ の アキ テ ー ヌ(Aquitaine)地
た り ま で(西 カ タ ル ー ニ
て い る.ま
ペ イ ン 語 と と も に,こ た,隣
在,カ
接 す る ア ン ド ラ(Andorra)公
カ タ ル ー ニ ャ 語 圏 で あ る.地
て 区別 されて い る.民 族 的 に は,古 イ ベ リア人 な い し
(los
は バ ス ク人 と同 定 され て お り,実 際,言 語 的 に も,バ
ル デ ー ニ ャ 島 西 部 の ア ル ゲ ー ロ(Alghero)付
ス ク 語や イベ ロ ・ロマ ンス 語 に共 通 した 特 異 な 特 徴 を
14世
示 す.た とえ ば,ガ ス コー ニ ュ語 で は,ス ペ イ ン語 と
言 語 人 口 は,合
して 受 け 入 れ られ て い る.
娘 」>hilha,cf.スhija,オfilha,フ
は,13世
紀 の 植 民 以 来,カ
中 海 上 の バ レ ア レス 群 島 紀 の 征 服 以 来,そ
の
人.
タ ル ー ニ ャ 語 は,オッ
ク 語 と並 ん で 文 学
の 地 方 が,12世
の 密 接 な 関 係 が 生 ま れ た .1137年 合 併 し て か ら は,オ
し て,サ 近 で は,
紀 に,バ
ナ 伯 爵 領 と して 南 フ ラ ン ス に ま で 広 が り,オ
前 にa‐ を添加 す る.こ れ も,一 般 には,バ ス ク語 基層
国 も,
タル ー ニ ャ語 が 話 され て い る.
計 約600万
語 と し て 成 熟 し た.こ
fille また,語 頭 のr‐ は,巻 き舌 で 強 く発 音 され,そ
Baleares)で
中 世 に は,カ
タル ー ニ ャ
の地 方 の公用 語 とな っ
ロー マ時 代 か ら,す で に,ガ リア と異 な る民 族 地 域 と し
FILIA「
中 心 に,
は フ ラ ン ス 領 内 の ル シ ヨ ン(Roussillon)
言 う.東 西 の 方 言 差 は 大 き く な い.現 語 は,ス
同 様,ラ テ ン語 のFがhと
タ ロ ニ ア,
地 方 ま で(東 カ タ ル ー ニ ャ 語 方 言)の 地 中 海 沿 岸 地 帯 を
nees)山 脈 の バ ス ク語 地 域 に よ って 囲 まれ た一 帯 を 方 方 は,
ベ
に つ らな る特 徴 を もって い る と言
ンス 語 との二 言 語 併用 者 が,200万 推 測 され る.
い った
タル ーニ ャ語
拡 大 解 釈 され て し ま った の で あ る.言 語 人 口は,フ ラ 人以 上 に の ぼ る と
前
単 音 化(>o),
ッ ク 語 と は 区 別 さ れ ね ば な ら ず,む
す の には 使 われ て い な い.本 来 は,プ ロ ヴ ァ ンス地 方,
称 で あ ったが,19世 紀 文 芸 復 興 期 の文 人 た ち に よ って
テ ン 語 母 音Uの
重 母 音AUの
なみ に,伝 統 的 な名称 で あ る プ ロ ヴ ァ ンス 語(プ ァ ンサ ルprovencal)は,現
ック語 との
個 に独 立 さ せ る場 合 が あ る. こ こ
は,ロ マ ンス 語 の 文化 史 に とって 特 に重 要 で あ る.ち ロヴ
記 の
に,ア
ルセ ロ ック語 と
ラ ゴ ン王 国 と
ック語 が後 に衰 退 して い っ た の と
は 対 照 的 に,宮 廷 の 公 用 語 と して,多 まれ,15世
くの 大 作 家 に恵
紀 ま で隆 盛 の 時 代 を享 受 した.と こ ろ が,
1469年 に,ア ラ ゴ ン とカ ス テ ィ リア(Castilla)の
両王
法 書 が編 纂 され始 め た の も この時 代 で あ る.18世 紀 に は,フ
ラ ンス の アカ デ ミー を模 範 と して,「 ス ペ イ ン
王 立 翰 林 院(Real
Academia
Espanola)」
が創立 さ
国 が 政 略 結 婚 に よ って 合 併 した こ とが,カ タル ー ニ ャ
れ(1714年),国
語 の 国 家 語 と し ての 道 を閉 ざ して しま っ た. レ コ ンキ
方 で,た
ス タ(国 土 回 復 運 動)の 戦 い を経 て,1492年
を失 って い くが,そ れ らの 地 域 とス ペ イ ン本 国 との 言
の ムー ア人
か らの 解 放 に至 る まで の 間 に,ス ペ イ ンの 北 部 か ら南
語 と して の 規 範 を確 立 して い った.他
び重 な る戦 争 の敗 北 に よ って,海 外 の植 民 地
語 的,文 化 的 結 び つ きは 保 た れ て い る.
部 に圧 倒 的 な 勢 力 をの ば して い っ た カ ス テ ィ リ ア 語
国 内 の 方 言 区 分 は,母 体 とな っ た カ ス テ ィ リア 方 言,
(カ ス テ ィー ヤ 語,castellano)が,ス
お よび,カ
ペ イ ン国 家 全 体 の
タル ー ニ ャ語 とガ リシア 語 は別 に して,3
国 語 とな った の で あ る.
つ に ま とめ られ る.す な わ ち,レ オ ン(Leon)方
そ れ 以 来,ス ペ イ ン語(つ ま りカ ス テ ィ リア 語)の 勢
ア ラ ゴ ン(Aragon)方
力 下 に お か れ て い る が,カ タル ー ニ ャ語 は,南 部 で,
方 言 に代 表 され る南 部 諸 方言 で あ る.
ま だ50パ
ー セ ン ト以上 の 住 民 に よ って 日常 的 に用 い
言 と
言 とア ンダル シア(Andalucia)
中 南米 で は,か つ て植 民 地 で あ った 国 々の う ち,19
られ て お り,北 の地 方 に い くにつ れ て,使 用 率 は 高 ま
の 国 がス ペ イ ン語 圏 とな って い る. ア メ リカ 合 衆 国 で
って,約80パ
ー セ ン トの 人 々が カ タル ー ニ ャ語 話 者
は,本 国 か ら の移 住 者 に加 え て,メ キ シ コや 西 イ ン ド
で あ る. ス ペ イ ン中央 のカ ス テ ィ リア(ま た は,カ ス
諸 島 か ら の移 民 が流 入 し,ス ペ イ ン語 話 者 は,公 式 に
テ ィー ヤCastilla)地
方 とその 言 語 に対 す る反 感 に 近
は,1,400万
人,実
際 に は2千 万 人 が 住 ん で い る と推
い対 抗 意 識 を もつ カ タル ー ニ ャ地 方 の 人 々は,自 分 た
測 され る.ス ペ イ ン語 圏 の うち で,最 大 の言 語 人 口 を
ち の 母 語 と文 化 に関 す る意 識 が 高 く,さ らに,バ ル セ
もつ のは メ キ シ コで7千 万 人,ス ペ イ ン本 国 の2倍 に
ロナ の経 済 力 を 背景 に,言 語 文 化 活 動 の活 力 は 衰 え て
相 当す る.他 の 地 域 で は,16世 紀 以 来,フ
い な い.
ス ペ イ ン語 共 同 体 が 形 成 され て い る が,そ こ で は ク リ
イ ベ リア半 島 の 中央 を 占め,ス ペ イ ン本 国 の み な ら ず 海 外 の 旧植 民地 な どで,2億8千
万 人 の 話者 を 数 え,
ロ マ ンス 諸語 の うち で もっ と も勢 力 を もつ ス ペ イ ン語 は,も
と も とは,カ ス テ ィ リア地 方 の一 地 方 語 で あ っ
た.こ の地 方 は,比 較 的 北 部 に あ る た め に,711年
に
ィ リ ピ ンに
オ ー ル の 方 向 に向 か って い る.し か し,一 般 に は,ス ペ イ ン語 の ク リオ ー ル 化 の程 度 は,フ ラ ンス 語 や ポル トガ ル語 に 比 べ て 小 さい と言 え る. ポ ル トガ ル 語(portugues)は,イ
ベ リア 半 島 の 西 端
に あ るポ ル トガ ル共 和 国 で約1千 万 人,海 外 の 旧 植 民
始 ま る ム ー ア人 のイ ベ リア 半 島侵 略 の余 波 を こ うむ り
地 で の使 用 者 を加 え る と,約1億
な が ら も,幸 い に して,直 接 の支 配 は 受 け なか っ た.
お り,ロ マ ンス 諸語 の う ちで は,ス ペ イ ン語 に つ ぐ大
南 部 の 各 地 で は,ア ラ ビア 語 との混 成 語 で あ る モ サ ラ
言 語 で あ る.現 代 の ポル トガ ル で は,南 部 に あ る首 都
ベ 語(mozarabe)が
形 成 され,ほ ぼ3世 紀 間 にわ た っ
リス ボ ン(Lisbon,Lisboa)や
人 に よ って 話 され て
中 央 部 の 大 学都 市 コイ ン
て,公 的 に も私 的 に も用 い られ,文 学 作 品 も生 み 出 さ
ブ ラ(Coimbra)の
れ て い る.し か し,レ コ ンキ ス タ の高 ま りが 南 下 す る
ポ ル トガ ル 語 は,も と も と,北 に 隣接 す る ス ペ イ ン
と と も に,北 部 の諸 方 言 が この言 語 を駆 逐 し,完 全 に
領 内 の ガ リシア 語(gallego)と
消 滅 させ た.中 で も有 力 で あ っ た北 部 方 言 が,カ ス テ
め て ガ リ シア ・ポ ル トガ ル 語 とよ ばれ る こ とが あ る.
ィ リア 語 で あ った .
歴 史 的 に み て も,711年
1492年 に,グ
ラナ ダ(Granada)が
カ ト リッ ク教 徒
言 語 が,標 準 的 と され て い る.
方言 関 係 に あ り,ま と
に イ ス ラ ム教 徒 の 侵 入 が あ り,
中 世 前期 は,東 西 に流 れ る ドー ロ(Douro)川
の 北 部 で,
の 手 に 奪 回 され て,レ コ ンキ ス タが 完 了 す る時 点 で,ス
ガ リ シア ・ポ ル トガ ル語(古 ポル トガ ル 語)が 形 成 され
ペ イ ン は新 た な言 語 文 化 史 上 の 時代 に入 った.言 語 上
て い っ た.11世 紀 後 半 に始 ま った レ コ ンキス タ に と も
層 として の影 響 を与 えて いた ア ラ ビア 語文 明 はす が た
な って,ポ ル トガ ル 語 は 南 に勢 力 を回 復 し,12世 紀 中
を消 し,同 時 に,ユ ダヤ 人(別 称,ラ デ ィー ノladino)
頃 の ポ ル トガ ル 国 家 成 立 に よ って,国 語 とし て地 位 が
はス ペ イ ンを追 わ れ て,他 の ヨー ロ ッパ各 地 に散 っ て
確 立 す る.そ の後,ポ ル トガ ル語 は,文 学 語 と して の
行 く.中 に は,バ ル カ ン半 島 ま で逃 れ,入 植 した グル ー プ も あ る.
発 達 と と も に,し だ い に,ミ ー ニ ョ(Minho)川
を境 に
北 の ガ リ シア 語 と分 化 し始 め,独 自 の言 語 と し て成 熟
15世 紀 末 か らの 地 理 上 の 発 見 に よ っ て 海 外 領 土 を
して い った.
獲 得 した ス ペ イ ン は,政 治 的 に も経 済 的 に も黄 金 期 を
方 言 と して は,2つ
迎 えた.イ
の グ ルー プ に分 け られ る.北 部
タ リア ・ル ネ ッサ ンス の影 響 もあ り,ス ペ
方言 は,比 較 的保 守 的 な言 語 特 徴 を保 つ が,こ れ に対
イ ン語 の歴 史 に とっ て も,カ ス テ ィ リア方 言 が文 学 の
して,レ コ ン キス タ以 後 に回 復 され た 領 土 を含 む 中南
言 語 と して 成 熟 して い っ た重 要 な 時 期 で,本 格 的 な文
部方 言 は,改 新 的 特徴 を示 す.ま た,16世
紀 以 降 の海
外 進 出 に よ っ て最 大 の植 民 地 とな った ブ ラ ジル で は, 古 い特 徴 を よ く保 存 す る一 方 で,独
2)イ
タ ロ ・ロ マ ン ス(上 記,ラ
自の 進 化 を とげ た
ポ ル トガル 語 の変 種 とな っ て い る.そ の 他 の 地 域 で
語),
は,大 西洋 上 のポ ル トガ ル領 ア ソー レス(Acores)諸
3)ガ
ロ ・ロ マ ン ス,
島,マ デ イ ラ(Madeira)諸
4)イ
ベ ロ ・ ロ マ ン ス(イ
島,旧 植 民 地 の ア フ リカ 諸
国(ア ンゴ ラ,モ ザ ン ビー ク な ど),イ ン ド,マ レー 半 島,イ
ン ドネ シア の チモ ー ル(Timor)な
どの 地 域 で
は,本 国 か らの規 範 的 制 約 が薄 れ る につ れ て,ポ ル ト ガ ル 語 系 ク リオ ール が 形成 され て い る. [分
類]
して,類 型 論 的 視 点 な ど,
基 準 と して と る通 時 的,共 時 的 特徴 の組 み合 わ せ に よ り,これ ま で,さ ま ざ まに 提 唱 され て き た.古 ンテ が 『 俗 語 論』(De vulgari
ベ リア 半 島 の ス ペ イ ン 語
と ポ ル トガ ル 語), の4つ
の グ ル ー プ に 分 け,イ
言 語 か ら 切 り 離 し,独
タ リア 語 を,イ
ベ リア 系
立 さ せ た.
オ ッ ク 語 を 専 門 と す る ベ ッ ク(P.Bec)は,広
ロ マ ンス 諸 語 の分 類 は,地 理 的 要 素,
歴 史 的,系 統 論的 観 点,そ
・ス ペ ッ ツ ィ ア=リ
ミニ 線 以 南 の イ タ リア 半 島 の 諸 言 語 と ダ ル マ チ ア
くは,ダ
eloquentia,1315)で,
ロ ・ロ マ ン ス の 中 に,フ リ ア 系 ガ ロ ・ロ マ ン ス(ガ ト ・ロ マ ン ス 語)と ス(オ
ロ ・イ タ リア 系 諸 方 言 と レ
を 含 め る が,オ
ク シ タ ノ ・ロ マ ン
ッ ク 語 諸 方 言)を 独 立 させ て,5つ
分 け る.そ
し て,こ
義 のガ
ラ ン ス 語(オ イ ル 語)と 北 イ タ
の グル ー プ に
の オ ク シ タ ノ ・ロ マ ン ス に,い
言 語 的 ヨー ロ ッパ を3つ に分割 した 中 で試 み て い る.
ゆ る オ ッ ク 語 と ガ ス コ ー ニ ュ語 の み な ら ず,カ
そ こで は,東 方 の ギ リシア 語,北
ニ ャ 語 を と り こ ん で い る こ と が 特 徴 的 で あ る.
と東 の ゲル マ ン語,
そ して,そ れ 以外 の西 の 言 語 とに 分 け て い るが,こ れ
エ ル コ ッ ク(W.D.Elcock)の
ル ー プ の 区 分 で も 組 み 合 わ せ が 異 な り,レ
グル ープ を,さ
ス 語 を 独 立 さ せ て い る.す
らに3つ の言 語 地 域 に 下 位 区分 して お
り,そ の 理 由 と して,肯 定 す る 場合 にocを (イス パ ニ ア 人),oilを
用 い るか
用 い るか(フ ラ ンク人),siを
用 い るか(ラ テ ン人)を,例
に引 い て い る.彼 の分 類 基
準 は 単純 で あ り,民 族 名 に は 当時 の 認 識 が反 映 して い る もの の,そ の3分 法 は示 唆 深 く,ま た,言 語 グル ー
1)ガ
ス パ ノ ・ロ マ ン ス(ス
語,カ 3)イ
ッ ク 語),
ペ イ ン語,ポ
ル トガ ル
タ ル ー ニ ャ 語), タ ロ ・ロ マ ンス(イ
タ リア 語,サ
ルデーニ ャ
語),
プ の 名称 と して 受 け 継 が れ てい る.
4)レ
ト ・ロ マ ン ス,
以 下 に,現 代 の ロマ ン ス言 語 学 者 の 提 唱 す る分類 法
5)バ
ル カ ン ・ ロ マ ン ス(ル ー マ ニ ア 語),
の 主 な もの を,簡 潔 に紹 介 す る.
じ5グ
ト ・ロマ ン
な わ ち,
ロ ・ロ マ ン ス(オ イ ル 語,オ
2)ヒ
タルー
立 場 で は,同
は,今 日で 言 う ロマ ンス 語 に比 定 され うる.彼 は,西 の
わ
と して い る.
も っ とも単 純 な 分 け方 は,東 西 に2分 し,東 ロマ ニ
音 声 進 化 の 観 点 か ら,系
ア 諸 語 と,西 ロマ ニ ア 諸 語 とに分 け る方 法 で あ る. そ
(Proto‐Romance)の
の 基 準 の ひ とつ は,名 詞,形 容 詞 な ど の複 数 屈 折 語 尾
Jr.)は,ま
で,‐iを と るル ー マニ ア 語 とイ タ リア語 の東 グル ー プ
デ ー ニ ャ 語,ル
統 論 的 に,原
ロマ ンス 語
再 構 を 試 み る ホ ー ル(R.A.Hall,
ず,原
ロ マ ン ス 語 を,原
南 ロ マ ン ス 語(サ
カ ニ ア 語Lucania,シ
ル
チ リア 語)と,
と,‐sを と るそれ 以 外 の 西 グ ル ー プ の言 語 と に大 別 す
そ れ 以 外 の 言 語 を 含 む 原 中 央 ロ マ ン ス 語 に 大 別 す る.
る.イ タ リア 中北 部 の沿 岸 都 市 ラ ・ス ペ ッツ ィア(La
後 者 を,東
Spezia)と
リ ミニ(Rimini)を
結 ぶ線 が,そ の境 界 と さ
と 西 に 分 け て,東
のグループには原バルカ
ン ・ ロ マ ン ス 語(ル ー マ ニ ア 語 諸 方 言,ヴ
ェ ッ リ ア 語),
れ る.ま た,母 音 間 の 無 声 子 音 の保 存 か(東 ロマ ニ ア),
西 の グ ル ー プ に は 原 イ タ ロ ・ ロ マ ン ス 語(イ
有 声 化 か(西 ロマニ ア),と
諸 方 言)と
原 西 ロマ ン ス 語 を 含 め る.こ
ス 語 を,原
イ ベ ロ ・ロ マ ン ス 語(ス
ガ ル 語,カ
タ ル ー ニ ャ 語,モ
い う基準 に よ る区 分 も,ほ
ぼ この 境 界 線 上 に一 致 す る. ワル トブ ル ク(W.von
Wartburg)は,こ
の2分 法
マ ン ス 語 と に2分
(フ ラ ンス 語,フ ラ ンコ ・プ ロ ヴ ァ ンス 語,レ
ン ス 語 諸 方 言(フ ラ ンス 語),南
ンス語)と,そ
ト・ロ マ
の 他 の地 中海 沿 岸 諸 国 語 の3つ に分 け,
ク 語),そ
し て,レ
す る.原
て,音 声 進 化 や 類 型 的 に特 徴 的 なガ リア 系 言 語 を独 立
Harris),ポ
させ て い る.
類 型 的 な 分 類 を 試 み ず に,個
マ ニ ア を, 1)ダ
コ ・ロマ ンス(広 義 の ダ キア 地 方 の ル ー マ ニ
ア諸 方 言),
フ ラ ン ス 語 諸 方 言(オ
ト・ロ マ ン ス 語 に3分
ま た,カ
ン プ ル ー(Ch.Camproux),ハ ズ ナ ー(R.Posner)ら
に 立 っ て い る.彼
ら は,社
源]
ッ
さ れ る(図3). リス(M.
は,し
い て,系 統 的,
々の 言 語 を記 述 す る 立 場 会 文 化 的 観 点 の み な ら ず,
言 語 の 進 化 と 言 語 接 触 に よ る 干 渉 の 観 点 か ら,ク ー ル の 重 要 性 を強 調 して い る . [起
ル ト
原 ガ ロ ・ロ
ガ ロ ・ロ マ ン ス 語 は,北 フ ラ
ケ ル ト基 層 と,特 に,ゲ ル マ ン民 族 上 層 の 影 響 を 重視 し
イ タ リア の タ リア ヴ ィ ー ニ(C.Tagliavini)は,ロ
の原西 ロマン
ペ イ ン 語,ポ
サ ラ ベ 語)と
に手 を加 えて,ル ー マニ ア語 と,ガ ロ ・ロマ ンス 系言 語
タ リア語
リオ
ロマ ンス諸 語 の共 通 起 源 と され て い る
ロ
出 典:ホ
マ ン ス諸 語 の分 類
ー ル(R.A.HallJr.,1950)に
よ る.
ラテ ン語 は,文 法的 規 範 の 確 立 した 「 古 典 ラ テ ン語
ロー マ帝 国 の 崩 壊 前 後 か らの 社 会 的 混 乱 に もか か わ ら
(Classical Latin)」 で は な く,「俗 ラテ ン語(Vulgar
ず,驚
Latin)」 で あ る.こ の 俗 ラテ ン語 は,話
ほ とん ど単 一 と も言 え るほ ど均 質 な ラ テ ン語 が 広 い地
し言 葉 として
くほ ど地 域 的 変 種 が 少 な い こ とが認 め ら れ る.
一 般 に 用 い られ て い た ラ テ ン語 の 変種 で,民 衆 ラテ ン
域 で 通用 し続 け た 背 景 には,キ
語(Popular
な が りが あ った こ とが 事 実 と して あ る.実 際,ロ
Latin)と
も よば れ,文 章 語 とは,音 声,
リス ト教 との 密 接 なつ ーマ
形 態,語 彙 の上 で 明 らか な 違 い を みせ て いた.た だ,
時 代 の行 政 区 画 が 中 世 以 降 の 司教 区 に受 け 継 が れ て い
後 代 の ロマ ンス 諸語 の分 裂 と発 展 を考 慮 に入 れ る と,
る例 が多 く,さ らに,方 言 分布 が それ を反 映 して い る
俗 ラテ ン語 の言 語構 造 を 明確 に把 握 し うる にた る十 分
こ とか ら み て も,社 会 機構 的 に,キ
な 文 献 資 料 が残 って い な い . そ の た め,そ の 定 義 と解
が言 語 進 化 上 に果 た した 役 割 は大 き い.
釈 に は,立 場 に よ り,多 少 の異 同 が あ る.
た だ し,文 章 語 の統 一 性,保 守 性 に対 して 民 衆 語 が
ま ず,「 俗 ラ テ ン語 」 を,古
典 ラ テ ン語 が 時 代 の 流
リス ト教 教 会 組 織
とった 過 程 は,空 間 的,時 間的 に多 様 で 複 雑 で あ った.
れ と と もに崩 れて 転 訛 した もの で あ る とす る概 念 は,
散 見 す る部 分 的 資 料 を 除 い て,現 存 す る ロマ ンス 諸 語
現 在 は も う受 け入 れ られ て い な い.む し ろ,そ れ は 文
の初 期 文 献 が現 わ れ る9世 紀 頃 に は,す で に,ロ マ ニ
章 語 と同時 代 に あ っ て,あ る社 会 階 層(つ ま り民 衆)の
ア は,い
くつ か の大 き な 言語 グル ー プ に分 裂 して い た
言語 的 特 徴 を反 映 し た言 語 であ る と,い ちお う定 義 す
の で あ る.地 域 語 と混 成 し,個 性 化 して い く第 一 の過
る こ とがで き る.あ るい は,地 理 的 広 が り と して,ロ ー マ帝 国 全 域 に長 期 間 にわ た って 用 い られ た ,日 常的
程 は,ラ テ ン語 の ク リオ ール 化 と も言 え る . これ に 続
な実 用 的 文 章 語 で あ った,と 仮 定 す る こ と もで き る.
過 程 と よべ る も ので あ る.
さら に,個 々の 言 語 の 特 殊 な事 象 は 捨 象 して,ロ マ ン
い た 内部 規 範 を もつ 国 語 の形 成 は,非 ク リオ ー ル 化 の
[俗ラテ ン語]
民 衆 ラテ ン語 の 言 葉遣 い を直 接 書
ス諸 語 の祖 語 とも言 うべ き,方 法 論 的,抽 象 的 な 言 語
き記 した 資 料 は数 少 な い.例 外 的 に 残 され た記 述 と し
を仮 定 す る こ と もで き る.こ れ を,「原 ロマ ンス 語(Pro
て,作 家 の 引用 す る 口語 体 の言 い 回 しや,碑 文 の落 書
to‐Romance)」
と よぶ こ とが あ る.
き にみ られ る俗 語 体 が 確 認 で き る.ま た,ラ テ ン語 文
ロー マ 時 代 後 期 か ら中 世 初 期 に か け て の 通用 語(リ
法 家 の 記 し訂 正 した 誤 用 例 や,一 般 民 衆 を対 象 に した
ンガ ・フ ラ ンカ),あ
る い は,共 通 語(コ イ ネ ー)と し
て の文 章 ラテ ン語 の 資 料(碑 文,通 信 文)に あ た る と,
巡 礼 記 な どの キ リス ト教 文献 とか,獣 医 学 書 に用 い ら れ た通 俗 的 な 語 法 か ら,当 時 の民 衆 語 の実 態 が うか が
え る.
格 語 尾 に代 わ って,機 能 を明 示 す る前 置詞ad,de,ex
俗 ラ テ ン 語 の 言 語 特 徴 と し て は,音
声 面 で は,各
の 碑 文 や ポ ン ペ イ の 遺 跡 に み られ る,語 の 脱 落 が あ げ ら れ る.語
末 子 音 ‐s,‐m
末 子 音 の 消 失 は,形
上 に 大 き な 影 響 を 与 え た.‐sの
し て 起 き た 東 ロ マ ニ ア 地 域 で は,複
で な さ れ,‐sの
な どが,名 詞 に付 け て頻 繁 に用 い られ る よ うに な る. この 分析 的 な表 現 方 法 は,結 果 として 与 格 と属 格 の 価 値 を 失 わせ,ま す ま す格 体 系 を 混乱 させ て い った . SCRIBO
詞,形
ど)が 失 わ れ,動
の 人 称 語 尾 に も 混 乱 を ひ き 起 こ し た.こ
の ‐sで は な く,主
態 ・統 語
脱 落 に よ り,名
容 詞 の 対 格 複 数 の 標 識(‐os,‐asな
地
く」 →scribo
詞
の変 化 が 徹 底
数 の 表 示 は,対
格
格 の 屈 折 語 尾 の 母 音 ‐i,(‐ae>)‐e
保 存 さ れ た 西 ロ マ ニ ア 地 域 と対 立 す る
こ と に な る.
FRATRI
MEO「
私 は兄 弟 に手 紙 を書
ad meum
fratrem
ま た,形 容 詞 の 比 較 級 につ い て も,派 生 的 手 段 を用 い た,古 典 ラ テ ン語 のBELLIOR「 して,俗
よ り美 し い」に 対
ラテ ン語 で は,分 析 的 なPLUS
BELLUS
とい う よ うな形 を 発 達 させ た(cf.フplus
beau,イ
piu bello).
ラANNOS「
年(複 数,対
anos;ラANNI(複
格)」 >
フans,ス
語 彙 の レベ ル で は,数 多 くの文 語 的 な語 が,民 衆 的 な
格)>
イanni,ル
単 語 に よ って 駆 逐 され た.た と え ば,俗 ラ テ ン語 で は,
数,主
ani
形 容 詞BELLUS「
ラCANTAS「
君 は歌 う」 >
スcantas,フ
美 しい 」が,同 じ意 味 の古 典 ラテ ン
語 の形 容 詞PULCAERに
と って 代 わ っ た . 同様 に,
ロマ ンス 諸 語 に残 され て い る形 か らみ る と,不 規 則 形
chantes,イcanti 校教育
に対 して 規 則 形 を とる動 詞 の 反 復 形 が 意 味 を変 えず に
や 職 業 生 活 上 の 意 識 的 な ラ テ ン語 教 育 の 民 衆 ラ テ ン 語
使 わ れ た ら し く,そ こ に も民 衆 の好 む 造 語法 が み られ
西 ロ マ ニ ア に ‐sの 残 っ た 理 由 と し て は,学
に 与 え た 影 響 が 重 視 さ れ て い る.ま 詞 の ほ とん ど は,対
た,ラ
格 単 数 形 が ‐mで
終 わ り,こ
が ロ マ ンス 諸 語 に 受 け 継 が れ て い く.と ラ テ ン語 に お け る ‐mの 壊 させ,形
消 失 は,同
テ ン語 の 名 の形
こ ろ が,民
時 に,格
衆
体 系 を崩
態 ・統 語 上 に 本 質 的 な 変 化 を もた ら す こ と
に な る.
口 語 体 の 特 徴 と し て,表
低 の ピッチ に よ る音 調 ア クセ ラ テ ン 語 で は,
現 上 の 理 由 か ら,強
ン トが 強 調 さ れ た よ う で あ る.こ
の た め,強
音 節 は 強 くは っ き り と 発 音 さ れ て,場 二 重 母 音 化 し て い くが,そ
『プ ロ ー ブ ス 付 表 』(Appendix
non
oclus「oclusで
紀
よ る文 法 書 の正 誤 は,誤
用
virdis「virdisで
は な くて,oculus
に 適 し た 指 小 辞 を 用 い た 形 が,誤
ラ ヴ 民族 な どの異 民 族 の 侵 入 と,社
形 成 史 の 中 で も ミッ シ ング ・リ ンク とな って い る.確 か な 証 言 と して は,813年
の トゥー ル(Tours)の
公会議
で,司 祭 は ミサ に参 集 す る民 衆 に理 解 して も らえ る よ う に,ラ テ ン語 で な く,「 地 方 の ロマ ンス語(rustica romana
lingua)」
を使 う よ うに と,決 定 して い る.
か らで,ラ テ ン語 の 語 彙 集(『 ラ イ ヘ ナ ウ の 語 彙 集 』 Reichenau
は な くて,viridis
(緑 の)と い うべ き で あ る 」 ま た,『 プ ロ ー ブ ス 付 表 』に は,口
ゲ ル マ ン民族,ス
現 存 す る ロマ ンス 諸 語 の 資 料 が 現 わ れ る の は8世 紀 頃
い う べ き で あ る」 non
ロー マ 時代 の 後期 か ら中 世 初 期 に か の ロー マ帝 国 の解 体 を頂 点 に,フ ン族,
黒 時 代 は,言 語史 的 に も資 料 が 乏 し く,ロ マ ンス 諸 語
元 後3世
Probi)に
け て は,476年
勢 を もつ
と し て 多 く の 例 が 記 さ れ て い る.
語 的 な 感 情的 表 現 用 と して あ げ られ て
い る. auris
歌 う」
会 的,政 治的 な混 乱 が あ った.こ の いわ ゆ る文 化 的 暗
の 前 後 の 強 勢 の な い 音 節 は,
頃 の 文 法 家 プ ロ ー ブ ス(Probus)に
viridis
ス=ポ=カ=オcantar「
さア クセ
合 に よ っ て は,
弱 ま っ た り 消 失 した りす る こ と に な る.紀
(目)と
り
この よ うに,俗 ラ テ ン語か ら ロマ ンス 諸 語 へ と向 か
[初期 文献]
テ ン語 は,高
ン トを も っ て い た と考 え ら れ る が,俗
oculus
歌 う」 に対 して,CANTARE「繰
返 し歌 う」> ルcinta,イcantare,フchanter,
る もの で あ る.
花 」 > ルfloare,イfiore,フ
fleur,ス=ポflor
表
CANERE「
う変 化 の 兆候 は,す で に,俗 ラ テ ン語 に多 くが み られ
ラFLORE(M)「
元 来,ラ
る.
Glosses,『
カ ッ セル の 語彙 集 』Kasael
Glosses)に,ロ
マ ンス語 の単 語 が記 され て い る.こ の
時 代 以 降 に,キ
リス ト教 文 献 の 中で散 見 す る俗 語,す
な わ ち,ロ マ ンス 語 の断 片 は,す で に,そ の地 方 ご と に異 な る言 語 特 徴 を帯 び てい る. 文 章 の形 を もつ ロ マ ンス 語 最 初 の 文 献 は,8世
non
oricla「oriclaで
は な くて,auris
『ヴ ェロ ー ナの 謎 』(Indovinello
(耳)と い う べ き で あ る 」 口 語 ラ テ ン語 で は,話
し言 葉 の 弱 点 で あ る音声 面 で
の 不 安 定 さ を 補 強 す る た め の,文
法 的,語
発 達 さ せ た こ と に 注 目 す べ き で あ る.く
彙的手段を ず れ か か った
紀な
い し9世 紀 に,写 本 に いた ず ら書 きの よ うに書 かれ た
は,北 イ タ リア の方 言,あ
veronese)で,こ
れ
る い は,レ ト ・ロマ ンス語 の
特 徴 を含 む と考 え られ て い る. フ ラ ン ス語(正 確 に は,オ イ ル 語)の 初 出 文 献 は,『ス
トラス ブ ール の 宣誓 』(Serments
de Strasbourg)と
ラ テ ン語 の指 小 辞 が付 いた 形 で あ るSOLICULUSを
よ ばれ る842年 の 文 章 で あ る が,正 確 に ど この地 方 の
源 に た ど れ る が,他 方 で,ス=ポsol,イsole,ル
言 語 で あ っ た のか は 特 定 で きず,議
soareを
論 が続 い て い る.
考 慮 に入 れ る と,古 典 ラ テ ン語 の形SOLも,
口語 体 を 意識 的 に記 録 した ま とま っ た資 料 と して は,
も うひ とつ の源 と考 え ざ る を え ない.そ
これ が ロマ ンス語 の 最 初 の文 献 と も言 え る.
均 質 で あ った俗 ラ テ ン語 が,ど の よ う な過 程 を経 て 多
ス ペ イ ン語 の最 初 の 文 献 は,9世 紀 末 か10世
紀 の初
頭 に 書 か れ た ラ テ ン語 写 本 の 中 の 注 解 の 部 分 に み ら れ,は
っ き り とスペ イ ン語 の特 徴 を そ な え て い る.
11世 紀 か ら12世 紀 に は,上 記 の3言 語 で は,豊
こで,比 較 的
様 化 し,ロ マ ンス諸 語 に分 化 して い った の か をみ る必 要がある. [ロマ ン ス諸 語 へ の 分 化]
ロー マ時 代 に,す で に,
富
ラ テ ン語 の,文 体 的,社 会 階層 的,地 域 的 変 種 が 存 在 し
な 文 学 作 品 が 生 み 出 され て い る.こ の 時 代 か ら,サ ル
て い た こ とは確 か め られ るが,ど の よ うな 言 語 外 的 な
デ ー ニ ャ語(法 律 文 書,1080‐85年),オ
要 因 が は た らい て,ロ マ ンス 諸 語 に分 化 した のだ ろ う
文 書,1102年),ポ
ル トガ ル 語,レ
ッ ク語(法 律
ト ・ロマ ンス 語,
カ タル ー ニ ャ語 な どに,ま と ま った 資 料 価 値 の あ る初
か.そ の原 因 と して は,一 般 に,以 下 の よ うな3つ の 側 面 が 考慮 に入 れ られ る. 1)空
出 文 献 が現 わ れ る,ダ ル マチ ア 語 の 初 期 資 料 は,10世
間 的要 因
地 理 的 要 素 は,社 会 的,経 済 的 な
紀 か ら断 片 的 な 単語 が残 され て い るが,初 出 文 献 と し
コ ミュ ニ ケ ー シ ョン の は た ら き を決 定 す る重 要 な 要 素
て は,1325年
で あ る.空 間 的 に孤 立 し た言 語 は,保 守 的 な 要 素 を残
の もの が確 か め られ て い る.ル ー マ ニア
語 の 初 期 文 献 につ い て は,キ
リー ル 文 字 で 書 か れ た
す と と もに,独 自 の発 達 をみ せ る こ とが 多 い.た
とえ
1420年 のテ クス トが あ っ た こ とが 後 代 の 資 料 で 言 及 さ
ば,地 中海 に孤 立 した サ ル デ ー ニ ャ語 や ア ル プ ス 山 脈
れ て い るが,現 存 す る文献 は,1521年
に閉 ざ さ れ た レ ト ・ロマ ンス 語,あ
の書簡が最古の
るい は,歴 史 的 な
理 由 で遠 くに隔 離 され た ル ー マ ニ ア 語 は,ほ か の 地 域
もの で あ る. [原 ロ マ ンス 語]
ロマ ンス 諸 語 の歴 史 を 遡 り,初
で は使 わ れ な くな り,別 の語 に と って 代 わ られ た ラテ
期 文 献 を検 討 して い って も,資 料 的 な限 界 が あ るた め
ン語 の古 い形 を とど めて い る.た
に,実 証 的 方 法 で は,ロ マ ンス 言 語 学 上 の ミ ッシ ング ・
ALBU「
白い」 は,ほ
と え ば,ラ
テ ン語
とん どの 言 語 で はゲ ル マ ン語 の
*BLANKが
とっ て代 わ った が ,古 期 サ ル デ ー ニ ャ語
説 と し て,い ちお う,歴 史 上 の あ る早 い時 期 に,共 通
で はalbuで
あ る.現 代 で は,イ
の均 質 な言 語 状 態 が あ った と仮 定 す る.19世 紀 後 半 に
biancu(<*BLANK)に
成 立 し た比 較 言 語 学 の 方法 を も って,で
ス語 系 の ス イ ス ・ロマ ン シ ュ語 で はalv,た
リン ク は解 明 が きわ め て むず か し い.そ こ で,作 業仮
き る限 りの厳
タ リア 語 の 影 響 で,
代 わ って い る.レ
ト ・ロマ ン だ し,ド
密 な原 形 の再 構 成 をす る.そ の結 果 え ら れ た形 態 につ
ロ ミテ ・ラデ ィ ン語 と フ リウ リ語 で は,ド イ ツ 語 の 影
い て,常 に,俗 ラテ ン語 の資 料 に よ って,実 証的 裏 づ け
響 で,*BLANKの
を求 め るの で あ る.し か し,そ れ が,現 実 に存 在 して
語 で は,albを
タイ プ とな って い る.ル ー マ ニ ア 保 つ.
い た語 形 で あ ると は限 らな い し,歴 史的 実 体 とは 別 の
逆 に,地 勢 的 に障 害 の 少 な い 地 域 は,た
レベル の仮 想 形 で あ りう る.た とえ ば,イsapere,フ
間 で あ って も,コ
savoir,レsavair,オ=カ=ス=ポsaber「
言 語 上 の 分 化 は起 こ りに く く,む しろ,干 渉 現象 に よ
ら,原形 は,短 音 のeを
知 る」 か
つ*SAPEREを,原
っ て収 束 的 進 化 をみ せ る.
もつ古 典 ラ テ ン語 のSAPERE
で は な くて,長 音 で 強 勢 ア ク セ ン トの お か れ たeを
とえ広 い空
ミュニ ケ ー シ ョ ンが 容 易 な た め に,
も
ロ マ ンス 語 の 語 形 と して 設 定 す
ま た,言 語 地 理 学 で 言 う周 圏理 論 の 観点 か ら も,ロ マ ンス語 の分 化 を説 明 す る こ とが で き る.ロ マ ニ ア 中
る.同 様 に,動 詞 の直 説 法 未 来3人 称 単 数 形 で あ る,
央 の地 域 の言 語 は,改 新 の方 向 をた ど り,こ れ に 対 し
イcantera,フchantera,レchantara,オ=カ=ス
て,周 辺 部分 の東 端 と西 端 の 言 語 は,共 通 して,比 較
=ポcantara「(彼
は)歌 うだ ろ う」 な どか ら,ラ テ ン
的 古 い時 代 の形 を とど め てい る.た と えば,ル ー マ ニ
は な くて,分 析 的 迂 言 法 的 構 成 の 仮 定 した方 が,現 実 に近 い と考
ア 語 とポ ル トガル 語 とスペ イ ン語 とカ タル ー ニ ャ語 で
語 のCANTABITで *CANTARE+ATを
は,比 較 級 を つ くる の に,よ MAGIS「
え られ る. た だ し,原 ロマ ンス 語 に均 質 な 言 語 を仮 定 す る も の
ラALTIOR「
の,歴 史 的 な事 実 と して,広 い ロマ ニア 全 域 で 単 一 の
mais
言 語 で あ っ たの か ど うか を確 認 す る 根 拠 に は な ら な い.具 体 例 を検 討 す れ ば,多
くの 反 証 的 ケ ース が あげ
られ るか らで あ る.た とえ ば,「 太 陽 」 は,フsoleil, レsulagl,sulai,オsolelh,カsolellな
どか ら,俗
り古 い ラ テ ン 語 副 詞
一 層 」 を用 い る. よ り高 い」> ルmai
alto,スmas
alto,カmes
inalt,ポ alt
これ に 対 して,ロ マ ニ ア 中央 地 域 で は,PLUS「
よ
り多 く」 を用 い る. フ plus haut,レplu 2)民
族 的 要 因
ot,イ
piu alto
一 般 に,長 期 に わた る言 語 接触
は,併
用 状 態 に あ る言 語 間 の 社 会 的,文
大 き け れ ば 大 き い ほ ど,言 渉 を ひ き 起 こ す.そ
化的な格差が
語 の さ ま ざ まな レベ ル で 干
の二 言 語 併 用 が 異 な る民 族 的 グル
ー プ の 間 に 起 こ っ て ,以
前 か ら定 住 して い た 民 族 の 言
語 が 後 か ら 来 た 民 族 の 言 語 に 影 響 を 与 え た と き,前
後 か ら来 た 民族 の言 語 を上層 言 語 と よぶ.ロ マ ンス 語 で は,以 下 の もの が代 表 的 な 例 で あ り,そ の 影 響 は, 音 声,統 語,語 彙 の各 レベ ル にわ た って い る. a)ゲ
a)オ
下 の も の が あ る と され る.
ス ク語(osco)
お け る,‐ND‐
中 部 お よび南 部 イ タ リア に
じ よ うな 現 象 が,カ
タ ル ー ニ ャ語,ガ
ス
ラ ゴ ン方 言 に もみ られ る こ とに注 意
ナ 方 言 の 帯 気 音(gorgia
ラFICU「
イ タ リ ア 語 トス カ toscana).
母音間の
ラ
とつ の言 語 の周 辺 地 域 の 言 語 か らの 干 渉 を重 視
す る場 合,こ れ を言 語 傍 層 と し て研 究す る こ とが で き
ス ペ イ ン 語(カ ス テ ィ
fが な い こ と か ら,基
ア=リ ミニ 線 で,ロ マ ニア は東 西 に2分 され るが,そ の
結 果 と して,文 章 語 の影 響 の 少 な い話 し言 葉 の特 徴 を もち,こ れ に対 して,西 ロマ ニ ア は,行 政,学 校,教
範 にそ った 保守 的 な形 態 を保 ち続 け た.こ の説 は,語 末 子 音 の ‐sに つ いて は 事 実 と一 致 す るが,母
フ ラ ン ス 語(オ イ ル 語),レ
マ ン ス 語(ロ マ ン シ ュ 語)な ど に お け る,母
声 子 音 の有 声 化 と脱 落 とい う進 化 に つ いて は,東 ロマ
音 の前
ニ ア の方 が 保 守 的 で,言 語 事 実 に反 す る. た だ,ミ ク ロ的 にみ る と,方 言 区 域 と,教会 組 織 の 区域(特 に 司教 区)や 行 政 上 の 区 分 とは,か な りの一 致 が認 め られ る.
>t∫a>tsa,∫a,∫e. 歌 う」 >
ロマ ンス諸 語 の 特 徴 の 分化 とま とま りに つ い て は,
フchanter[t∫ate>
∫dte],レchantar[tsantar],フ
以 上 の言 語 外 的 な 要 素 と と もに,言 語 構 造 内 か ら の考
・プ[
察 が必 要 で あ る.
〓],cf.サ=イcantare,ス=ポ=カ=オ cantar
[類型 的 特 徴] ト・ロ マ ン ス 語 の 一 部,お
プ ロ ヴ ァ ン ス 語 の 一 部 で は,U>uへ
よ び,フ
ラ ン コ・
の 変 化 が起 こ っ
か に も,ケ ル ト人 の 住 ん で い た 地 域 と,前
舌 化,口 蓋 化 の 地 域 とが くい 違 っ て い る と こ ろ が あ る . そ の ほ か,ル 蓋 化 現 象 や,ダ
音間無
ト ・ロ
音 の 口 蓋 化 現 象.ラU>u[y],ラKA
た だ し,レ
ロマ ニ
会 を通 じて ラテ ン語 が広 め られ たた め,意 識 的 に,規
息 子 」 >hijo,cf.イfiglio,フfils
CANTARE「
イ タ リア 半 島 の ラ ・ス ペ ッ ツ ィ
層 言 語 の イ ベ リア 語 が バ ス
ク 語 で あ る と い う説 が あ る.
ル ト語
会 的要 因
バ ス ク語 に も
リ ア 方 言 の み)に 起 こ る ラF>h.
ラFILIU「
3)社
ア は,下 層 の 民 衆 や退 役軍 人 に よ っ て入 植 が進 め られ,
ベ リア 語(Iberian)
て お ら ず,ほ
て,ひ
に よれ ば,こ の分 化 は早 い時 期 に始 ま った.東
イ チ ジ ク 」 >fiho,cf.イfico,
舌 化,子
スペ イ ン語,ポ ル トガ ル 語 の 上
原 因 の 一 つ に社 会 的要 素 が指 摘 され る.ワ ル トブル ク
(*FICA>)フfigue
d)ケ
ル ーマ ニ ア 語 の 上 層 言 語.
る.
トル リ ア 語(etrusco)
‐K‐ > ‐h‐ま た は ‐x‐.
c)イ
ラ ビア語
また,こ れ らの言 語 接 触 の ケ ース を,同 時 代 にお い
す べ き で あ る. b)エ
ラヴ語
c)ア
層 言 語.
ラMUNDU>monno,cf.イmondo,フmonde し か し,同
b)ス
> ‐nn‐,‐MB‐ >,‐mm‐.
コ ー ニ ュ 方 言,ア
ラ ン ク語,ブ ル グ ン
フ ラ ンス 語 と レ ト・ロマ ンス 語 の 上
層 言 語.
を基 層 言 語 とい う. ロマ ンス 諸語 の分 化 に はた ら いた 基 層 言 語 に は,以
ル マ ン諸 民族 の 言 語(フ
ド語 な ど)
者
ラテ ン語 の 品詞 の カ テ ゴ リー は,
ロマ ンス 語 にお い て,ほ ぼ忠 実 に 受 け継 が れ て い る が, 民衆 口語 体 の 言 語 特 徴 を もつ 俗 ラ テ ン語 で は,表 現 上 の 必要 に加 えて,発 音 上 の特 質 が 音声 組 織 の再 編 を導 き,さ らに,ロ マ ンス 諸 語 に至 る ま で に,形 態 面,統
ー マニ ア 語 に 及 ぼ した ダ キ ア語 の軟 口
語 面 で の構 造 的 変 化 を生 んだ.ラ
ル マ チ ア 語 に 対 す る イ リ ュ リ ア 語,レ
る総 合 的 な 屈 折 型 言 語 か ら,ロ マ ンス語 的 な 分析 的 な
ト ・ロマ ンス 語 に対 す るア ル プ ス 先 住 民族 の リグ リア
と が ほ と ん どで,さ
層 語 の 言 語 特徴 が 不 明 な こ
ら に,接
言 語へ と類 型 を転 換 す る過 程 がつ ぶ さにみ ら れ る ので あ る.
語 の 影 響 が 研 究 さ れ て い る. 基 層 理 論 の 問 題 点 は,基
テ ン語 と い う いわ ゆ
触 して い た 民 族 間 の 交 渉
1)音
声
a)母
音
古 典 ラテ ン語 の韻 律 法,文 法体 系 を
の 状 況 が 詳 し く知 ら れ て い な い 場 合 が 多 い こ と か ら,
支 え る母 音 体 系 は,5つ
推 測 の 域 に と ど ま ら ざ る を え な い こ と で あ る.ま
対 立(長 音/短 音)が あ り,語 に は,音 調的 な ピ ッチ ・
似 た よ う な 進 化 現 象 が,民 み ら れ る 場 合 も 多 く,絶 こ れ に 対 し て,後
た,
族 基 層 と関 係 のな い 地 域 で 対 の 論 拠 に は な りえ な い.
か ら来 た 征 服 者 が 定 住 を 始 め て,
そ の土 地 に前 か ら住 ん で い た民 族 の言 語 に 影 響 を 与 え る が,支
配 言 語 と な ら な い で 吸 収 さ れ て い っ た 場 合,
ア ク セ ン ト(高/低)が
あ る母 音 の そ れ ぞれ に,量 的
お かれ て い た.こ れ は,文 学 的
技 巧 と して,紀 元 前3世 紀 か ら,す で に,ギ リ シア語 の 影 響下 に発 達 した もの とされ る. と ころ が,民 衆 の ラ テ ン語 にお い て は,母 音 の 質 的 対 立(広
口母 音/狭
口母 音)と 強 弱 の ス トレス ・ア ク
ラ
miel,スmiel,ルmiere
テ ン語 の母 音 体 系
しか し,レ
ト ・ロ マ ン ス 語 の ラ デ ィ ン 語 で はmeil,
ス ル ミ ラ ン 語(surmiran)で ど っ た . た だ し,ス
はmealと
い う進 化 をた
ル シ ル ヴ ァ ン 語(sursilvan)で
二 重 母 音 化 せ ず にmelに
は,
と ど ま っ た.
ガ ロ ・ ロ マ ンス 語 系 の フ ラ ン ス 語 で は,他
のグルー
プ に は み ら れ な い 強 勢 開 音 節 の 狭 口 母 音eとoに 出 典:ハ
リ ス 他(M.Harris
et
al.,1988)に
じ た 二 重 母 音 化(e>ei,o>ou)が
よ る.
あ り,ガ
生 ロ ・ロマ
ン ス 語 的 二 重 母 音 化 と よ ば れ る こ と が あ る.
セ ン トが 弁 別 的 に機 能 して い た.俗 ラ テ ン語 は,話
し
ラSERA「
言 葉 の傾 向 と して,余 剰 的 に な って い た 量 的 対 立 と ピ ッチ ・ア ク セ ン トを し だ い に失 って い った.そ の結 果,
夕 方 」,俗
同 じ現 象 が 起 き,そ
短 縮 され て,多
音 を 保 存 し た の に 対 し,フ
くの 場 合 には 消滅 して しま う.弱 化 し
い た 名 詞,形 容詞 の格 語 尾 が崩 壊 し,統 語 的構 造 に大 きな 変 化 が生 じる結 果 とな った.
古 フ[〓],
レ ト ・ ロ マ ン ス 語 の ラ デ ィ ン語 と ス ル ミ ラ ン 語 で も
強 勢 の あ る音 節 は,際 立 って 音 色 が 明確 に発 音 さ れ る 一方で ,無 強 勢 の 音 節 は,音 色 が 弱 い た め曖 昧 に な り
た 語 末 の 母 音 が 失 わ れ る に至 って,文 法 機 能 を担 って
ラSERA>
現 フsoir[swar]
る.ス
れ ぞ れ,saira,seiraと
ル シ ル ヴ ァ ン 語 で は,sera.他
ラ ン ス 語 で は,後
ら の 二 重 母 音 は 単 母 音 化 の 方 向 に 進 み,現
現 代 の ロ マ ン ス 諸 語 の 母 音 は,調 (tense)響
と も と短 音 だ った 母 音 は 広 が る傾 向 に な り,近 似 的 な
は,張
き を 有 し て い る.イ
り の あ る 前 舌 母 音 に 特 徴 が あ る の に 対 し て,ポ
ル トガ ル 語 と ル ー マ ニ ア 語 の 母 音 は,比 感 じ ら れ,後
に対 立 す る こ と にな った.こ
う して,量
的
対 立 か ら広 口/狭 口 とい う質 的 な対 立 へ と,母 音 組織 の 再 編 が起 きた の で あ る. ラVIRIDEM「
俗 ラ*VERDE(第2音
節 の 母音 が 消 滅)>
ル=
イ=ス=ポverde,カverd,フvert
舌 化(な い し は,軟
対 立)は,ダ
こ の俗 ラテ ン語 に 推 定 され る進 化 の 方 向 は,ロ マ ン
りわ け,サ ル デ ー ニ ャ語 とル ー マ ニア 語 で は,表1の
よ
うな別 々の体 系 とな っ て い る.
対 に,ケ
ル ト基 層 を 強 調 さ れ る フ ラ ン ス 語 は,
前 舌 化 が 特 徴 で,円
唇 母音 が前 寄 りに発 音 され る円 唇
中 舌 母 音 の 系 列(〓)が
あ る.ま
立 が あ る.通
母音体系
ロ マ ン ス 語 の 子 音 は,一
だ し,イ
般 に,気
音
ル マ ン系 言 語 の 大半 と対照 的
タ リ ア 語 トス カ ナ 方 言 の 無 声 破 裂
音 の 帯 気 音 化 の 現 象 は 指 摘 さ れ る が,有
お よ び,有
声 化(〓)は,ロ
気 音/無
気音
マンス諸語に
広 くみ ら れ る 傾 向 で あ る.そ
ルーマニ ア語
ニ ア 語,イ
で,さ ま ざ ま な 方 向 を た ど っ た.中
で も,原 ロ マ ン ス 語
音 節 広 口 母 音 のeとoと
重 母 音 化(さ >ie,o>uo,ue)は,共 二 重 母 音 化 と よ ば れ る も の で,イ
マ ンス 諸 語
に 起 こ った 二 通 ロマ ンス 語 的 タ リア 語,ス
ペイ ン
ラ ン ス 語 な ど の 多 く の 言 語 に 起 き た. 蜜 」,俗
ラ*MELE>
イmiele,フ
ン ス 語,オ
の 分 布 を み る と,ル
ペ イ ン 語,ポ
ッ ク 語,カ
ル トガ ル 語,レ
ト ・ロ マ
タ ル ー ニ ャ 語 に 起 き て い る の で,
東 西 の ロ マ ニ ア の 区 分 に 相 当 す る.サ は,島
ルデ ー ニ ャ語 で
の 中 部 の 保守 的 な ヌ オ ロ方 言 で 無 声 子 音 が 保 存
さ れ る の に 対 し て,他
の 地 域 で は,西
よ う に 有 声 化 し て い る.フ
ロマ ニ ア と同 じ
ラ ン ス 語 で は,子
音弱化の
段 階 が も っ と も 進 み,〓 ゼ ロ,〓
ーマ
タ リア 語 に は ほ と ん ど み ら れ な い 一 方 で,
フ ラ ン ス 語,ス 強 勢 音 節 で 起 き た 二 重 母 音 化 現 象 は,ロ
ラMEL「
らの に 消失
母 音 間 の 無 声 子 音(‐P‐,‐T‐,‐K‐)の 弱 化(lenition),
サルデー ニ ャ語
語,フ
続 の 鼻 子 音(m,n)か
の 音 韻 論 的 対 立 は な い.
原 ロマ ン ス語
の 段 階 で,開
ラ ンス 語 と
れ を ひ き 起 こ し た 鼻 子 音 は,後
音
で あ る.た
ラテ ン語
た,フ
鼻 母 音 の音 韻論 的 対
さ れ る傾 向 を も っ た. b)子
ル デ ー ニ ャ語 とル ー マ ニ ア語 の
母 音/非
時 的 に は,後
同 化 現 象 で,そ
が 伴 わ な い こ と で は,ゲ
サ
みが
キ ア 基層 言語 の影 響 に よ る と され
ポ ル トガ ル 語 と に は,鼻
ス 諸 語 にお い て,一 様 に た どら れ た わ けで はな い.と
較 的,弛
口 蓋 化)の 起 き る こ と
が 特 徴 的 で あ る . ル ー マ ニ ア 語 に お け る こ の 現 象(a/ a/iの る.反
緑 色 の」(第1音 節 にア ク セ ン ト),
在 で は,二
音的 に張 りの あ る
狭 口のeに,UとOは eとoと
れ
タ リア 語 や ス ペ イ ン語
長 音 の母 音 と の混 同 が 起 こ った.す な わ ち,IとEは な り,そ れ ぞれ,
に,こ
重 母 音 は 存 在 し な い.
母 音 の長 短 の量 的 対 立 が失 わ れ る こ とに よ って,も
狭 口のoに
な ってい
の言語が二重母
ゼ ロ,に
ま で 至 っ て い る.
スペ イ ン語 の子 音 の 中 で,有 声 子 音 には,破 裂 音 と 両 唇 摩 擦 音 との 区別 が あ る(〓,な
ど).
プ ロ ヴ ァ ンス 語,レ
ト ・ロマ ンス 語 を含 め るの で,ガ
ロ ・ロマ ンス 語的 口蓋 化 と よばれ る こ とが あ る.し か
しか し, これ らは,語 頭 と語 中 母 音 間 とい う2つ の位
し,ガ ロ ・ロマ ンス 語地 域 で あ る オッ ク語 で は この 変
置 に相 補的 に現 わ れ る,ひ とつ の 音 素 の 変種 と して考
化 が な い こ とや,ケ ル ト基層 に よ る と考 え られ る他 の
え られ る. し たが って,音 韻 論 的 対 立 と して は,有 声/
口蓋 化 現 象(3世
無 声 と破裂 音/摩 擦 音 とい う2つ の 系 列 がつ くる四 角
世 紀 以 降)か
形 の 体 系で は な くて,有 声 音 で は 破 裂/摩 擦 の対 立 が
ス語 的 進 化 と断 言 は で きな い で あ ろ う.レ ト ・ロマ ン
な く,ひ とつ の 音 素 しか 設 定 しな い三 角形 の体 系 と い
ス語 の 中で も,ス イ ス の ライ ン川 源流 渓 谷 の ス ル シル
う こ とに な る(表2).
ヴ ァ ン語 で は,隣 接 す るゲ ル マ ン語傍 層 の影 響 で 口蓋
これ も,ロ マ ンス語 の 子 音 の 弱
化 傾 向 が生 ん だ 結 果 で あ る.
ス
紀 頃)に 比 べ て,か な り遅 い こ と(6
らみ て,ケ ル ト的 す な わ ちガ ロ ・ロマ ン
化 が 阻 まれ た た め か,非
ペイン語 の子音 の有声音/無 声音 と
破裂音/摩 擦音の体系 破裂/摩擦 破 裂/摩擦 破裂/摩擦 破擦/摩擦 無声 有声
口蓋 化 が 進 ん で,ka‐
とな っ
てい る(表4). ラ
テ ン語 語 頭 閉 鎖 音K+Aの
ラテ ン語
口蓋 化
CAPRA「
俗 ラテ ン語
*KAPRA(音
原 ロマ ンス 語
*KAPRA
山羊 」 素表 記)
ラテ ン語 の 語頭 閉 鎖 子 音(K‐,G‐)の 口蓋 化 現 象 は, ロ マ ンス 諸語 の音 声 的 特 徴 の個 性 を よ く示 して い る. K‐ とG‐ は,前 舌 母 音(i,e)の
前 で は,サ ル デー ニ
ャ語 を除 くロ マニ ア全 域 で 口蓋 化 され て い る.原 ロマ ンス 語 を設 定 す る場 合 に,サ ル デ ー ニ ャ語 を除 外 し分 岐 させ て,こ れ には,原 サ ル デ ー ニ ャ・ロマ ンス 語 とい
ル ー マ ニ ア 語
kapr〓
イ タ リア 語
kapra
オ ッ ク 語
kabra
ス ペ イ ン 語
kabra
ポ ル トガ ル 語
kabra
レ ト ・ロマ ンス 語
う段 階 を考 え る立 場 が あ るが,こ れ が,そ の 理 論 的 根
ス ル シ ル ヴ ァ ン 語
kaura
拠 の ひ とつ で あ る.原 ロ マ ンス 語 に は,し た が って, す で に 口蓋 化 の進 ん だK'‐
とG'‐ を仮 定 す る.こ こ
か ら,東西 の ロマ ニ ア が分 か れ,東 ロマ ニ ア諸 語 で は 破 擦 音(〓),西 な い し〓)に
原 ガ ロ ・ ロ マ ン ス 語 レ ト ・ロマ ンス 語 フ リ ウ リ 語
ロマ ニ ア 諸 語 の 大 部 分 で は摩 擦 音(s 変 化 した(表3).た
フ ラ ン コ ・プ ロ ヴ ァ ン ス 語 t∫avra フ ラ ン ス 語
的 で あ る.
2)形 ラ
k'avre
ヴ ァ ラ ー デ ル 語(vallader)tsavra
だ し,破 擦 音 を も
つ レ ト ・ロマ ンス 語 は,こ の点 につ い て は 東 ロマ ニ ア
*K'APRA
テ ン語 語 頭 閉 鎖 音K‐
ラテ ン語 俗 ラテ ン語
の 口蓋 化
CAELU「
原 ロ マ ン ス 語
類 型的 に 屈折 型 の 言 語 で あ る印
折 語尾 に 担 わせ て い る.と こ ろ が,俗 ラテ ン語 で は, 素 表記)
民 衆 の 話 し言 葉 の常 と して,形 式 上 の 混 同 と経済 原 則 か ら,複 雑 な文 法 組 織 の単 純 化 が進 ん だ.ロ マ ンス 諸
原 サ ル デ ー ニ ャ ・ロ マ ン ス 語*KELU サ ル デ ー ニ ャ 語
態 ・統 語
欧 語 系 の ラ テ ン語 は,文 法機 能 の大 半 を語末 部 分 の 屈
空」
*KELU(音
∫〓vr(〓)
語 は,形 態 の簡 素 化 を経 て,ま った く別 の類 型 の言 語
kelu
へ と脱 皮 す るの で あ る.
*K'ELU
a)曲
用(declension)
名 詞 の 曲 用 の タ イ プ が,
ル ー マ ニ ア 語
t∫er
5つ か ら3つ に数 を減 ら した.5つ
イ タ リ ア 語
t∫elo
部分 が,男 性 名 詞 の 第4曲 用(‐US)は 第2曲 用(‐US)
レ ト ・ ロ マ ン ス 語
t∫el,t∫iel
フ ラ ンス語
の 曲用 型 の うち,大
に,女 性 名 詞 の 第5曲 用(‐IES)は 第1曲 用(‐A)に 吸 収 さ れ,体 系 の 再 編 が 進 ん だ.
sj〓l
b)格(case)体
ス ペ イ ン語 〓jelo
系
名 詞,形 容 詞 の格 に関 し て も,
語 末 部 分 の弱 ま り と脱 落 に よ って,単 純 化 が 起 きた. ラ テ ン 語 語 頭 閉 鎖 音K‐,G‐ と き,口
蓋 化 す る か ど う か で,ロ
の 後 に 母 音Aが
続 く
マ ン ス 諸 語 は2つ
の
早 くか ら,呼 格 は 主 格 に吸収 され て,6つ 5つ に減 って い た.さ
あ った 格 は
らに,対 格 の標 識 で あ る ‐Mの
グ ル ー プ に 分 か れ る. 口 蓋 化 の プ ロ セ ス(KA‐
>k'a‐,
脱 落,Uか
tsa‐,t∫a‐)がみ ら れ る 言 語 に,フ
ラ ン コ・
同 に よ っ て,奪 格 と対 格 が区 別 が つ か な くな った.属
ラ ン ス 語 ,フ
らoへ
の進 化,さ ら に,母 音 の 長 短 の混
格 は前 置 詞 のDEと ADと
奪 格 との,ま た,与 格 は 前 置 詞 の
対 格 との組 み 合 わ せ に よ って,分 析 的 な 迂 言 法
で 表 現 さ れ る よ うに な って い た の で,こ れ らの 格 は 消 え る方 向 に向 か った.
ラFOLIUM「 性複 数)>
葉 」(中 性 単 数)/FOLIA「
葉 」(中
「(集合的)葉 」(女 性 単 数)イfoglia,
フfeuille,スhoja この 文 法 性 の 転 換 を行 な った ラテ ン語 中 性複 数 名詞
《第1曲 用 》
は,集 合 的 な 意 味 で 用 い られ る こ とが 多 く,そ の た め
主
格 AMICA→amica
に,概 念 的 に は単 数 で 使 用 され,文 法 形 式 と して は,
呼
格 AMICA→amica
語 尾 が 同 じ形 の 女 性 名 詞 単 数 を と った の で あ ろ う.た
対
格 AMICAM>amica
属
格 AMICAE→de
amica
詞 は,単 数 の 扱 い で は な く,集 合 的 意 味 を もつ 複 数形
与
格 AMICAE→ad
amica
と して 用 い られ る.
奪
格 AMICA>amica
だ し,ル ー マ ニ ア 語 で は,中 性 か ら女 性 に 移行 した名
ロマ ンス 語 の 名 詞 お よび 形 容 詞 の 性 は,一 般 に,語
《第2曲 用》
尾 の 母 音 の違 い に 示 され て い る.男 性 は,イ タ リア語,
主
格 AMICUS>amico(s)
ス ペ イ ン語 で は ‐o,ポ ル トガ ル 語,サ ル デ ー ニ ャ語 で
呼
格 AMICE→amico(s)
は ‐u,レ ト・ロマ ンス 語,カ
対
格 AMICUM>amico
ル ー マ ニ ア語 で は ゼ ロ標 識 に よ り,女 性 は ‐aに よ り示
属
格 AMICI→de
amico
与
格 AMICO→ad
amico
奪
格 AMICO>amico
タル ー ニ ャ語,オ
ック語,
され る. CABALLU「
馬 」> イcavallo,スcaballo;
ポcavalo[‐u],サkaddu;レcavagl,カcavall,
結 果 と して,格 の 数 は6つ か ら2つ に減 り,さ らに,
オcaval,ルcal(定
冠詞 が後 接 す る と,calu‐l)
語 末 の屈 折 語 尾 は消 失 す る道 を た どっ た の で,語 尾 に
d)数
よ る統 語 機 能 の表 示 は 不可 能 とな り,格 は 消滅 した.
の形 態 素 ‐s/‐iに つ い て は,上 述 の 「 分 布 と言 語 状 況 」
そ こで,前 置 詞 の使 用 が一 層 促 され,他 方 で,文
「 分 類 」 を参 照 され た い.
中の
位 置 に よ る機 能 表 示 の方 法 を と り始 め,し だ い に,語
e)人
ロマ ニ ア の 東 と西 で形 成 法 の異 な る複 数
称 代 名 詞
ロマ ンス諸語 の人称代 名 詞 に
順 が 一 定 して い く. 中間 段 階 の,主 格 と斜 格(な い し,
は,ラ テ ン語 の 名詞,形 容 詞 に あ っ て,後 に消 滅 した
被 制 格)に
格 に相 当す る機 能 を もつ 形 が あ る.す な わ ち,主 語 形
よ る2格 体 系 は,フ ラ ンス 語 とオ ッ ク語 で
は,中 世 中期 ま で保 たれ て い た.現 代 語 で は,人 称 代
(=主 格),直 接 補 語 形(=対
名 詞 や 関 係代 名詞 な どで,部 分 的 に 保 存 され て い るに
前 置詞 格(=奪 格)の4つ
す ぎな い.た だ し,保 守 的 傾 向 を もつ レ ト ・ロマ ンス
人 称 代 名 詞 に は,単 数 と複 数 の 区 別 が あ り,人 称 に
語 とル ー マ ニ ア語 で は,部 分 的 な格 体 系 が 残 存 して い
は3つ が あ る.ラ テ ン語 で は,3人
る.
が な くて,表 現上 必 要 な 場 合 には,指 示 代 名 詞 の 遠 称
c)性
ラテ ン語 に3つ あ っ た文 法 上 の性(男 性,
女 性,中 性)は,ロ
マ ンス 諸語 で は,中 性 が 男性 と女
性 に吸収 され て,2つ
に減 っ た.そ の理 由 も,屈 折語
で あ るILLEの て は,fの
格),間 接 補 語 形(=与
格),
で あ る.
称の固有の代名詞
系列 を用 いて い た(指 示 代 名 詞 に つ い
「 指 示 詞 と 冠 詞 」 を 参 照).そ
ロマ ンス 諸語 にお い て も,1・2人
の た め に,
称 で は 男 性,女 性 の
尾(‐S,‐M)の 消 失 か ら説 明 され う る.男 性 名 詞(主 格
区 別 が な いの に対 して,3人
形 ‐US)と 中 性 名詞(主 格 形 ‐UM)の 区 別 は,古 典 期 の
る.た だ し,ス ペ イ ン語 で は,nos,vosの
俗 ラテ ン語 で,す で に 混 同 され て お り,中 性 名 詞 は男
TEROS>)otros,(ALTERAS>)otrasが
付 けら
性 名 詞 に移 行 して い った.た だ し,バ ル カ ン言 語 群 の
れ て強 め られ て い る ので,1・2人
称 で あ って も,複 数
中 で,ギ
形 主格 に限 り性 が 区別 さ れ る.ま た,3人
リシ ア 語や ス ラ ヴ語 の 傍層 的 影 響 を受 け て形
称では性の区別 が な され 後 に(AL
称で は,中 性
成 され た ル ー マ ニア 語 は,比 較 的 忠 実 に,ラ テ ン 語の
代 名詞 を もつ.主 な ロマ ンス 諸 語 の 人 称 代 名詞 の 対 照
中 性 名 詞 を残 して い る.た とえ ば,ラ テ ン語 中 性 名詞
を,表5に
のCAELUM「
地 理 的 な 閉鎖 性 や,国 外 へ の発 展 に伴 う他 の 言 語 と
空 」は,男 性 名 詞 化 してCAELUS,
CAELUM,CAELI,… ELU(M)か
tschel,フcielな のcerは,中
とな り,こ の対 格 形 のCA
ら,ロ マ ンス 諸 語 の,イ=スcielo,レ ど を生 ん だ.た だ し,ル ー マ ニ ア語
性 で あ る.
中性 名 詞複 数 の ‐Aが,女
あ げ る.
の接 触 に よ り,ロマ ンス 語 は,さ ま ざ ま な変 種 を生 み 出 した . ス イ スの レ ト ・ロ マ ンス 語 系 ス ル シル ヴ ァ ン語 は,非 強 勢 の 目的 格 人 称 代 名 詞 を もた な い.そ れ は, ク リオ ー ル で も同 様 で,強 勢 形 目的 格 人 称 代 名詞 が動
性 名 詞 の 単 数 形 と形 態 上
詞 の 後 に おか れ る.
は一 致 す るた め に,女 性 名 詞 の カ テ ゴ リー に移 行 して
正 書法 の確立 した 文 章 語 と して 発 達 しな か った方 言
い く.
で は,話 し言 葉 の 特 徴 と して.非 強 勢 形 の 人称 代 名 詞
ロ
マ ンス 語 の 人 称代 名 詞 〔 単
人 称
数 〕
〔 複
格 (ラ)
1
(フ)
(イ)
(ス)
数〕
(ラ)
(フ)
(イ)
(ス)
主 対 与 奪
2
主 対 与 奪
3(男)
主
対 与 奪 3(女)
主
対 与 奪 注:(ラ)=ラ テ ン 語,(フ)=フ 一 部 を 示 す(*印 は 会 話 体) .
は 動 詞 に 接 辞 的 に 付 け ら れ,否 構 成 に も か ら ん で,こ を もつ.フ
ラ ン ス 語,(イ)=イ
定 詞 や 命 令 法,倒
タ リ ア 語,(ス)=ス
置の
み 入 っ た 形 態 上 の ヴ ァ リア ン ト
ラ ン ス の フ ラ ン コ ・プ ロ ヴ ァ ン ス 語 の俚 言
や レ ト ・ロ マ ン ス 語 諸 方 言,ま
た,カ
タル ー ニ ャ語 の
人 称 代 名 詞 の 複 雑 さ は 顕 著 で あ る. f)指 (近 称
示 詞 と冠 詞
「あ れ 」)の 体 系 は,ロ
称
ャ 語 の ほ か,サ
マ ン ス 語 で は,こ
そ れ に 代 わ り,全
近 称 と遠 称 だ け の2つ
タル ー ニ
る 傾 向 が あ り,強
調 辞 のECCE「
語 は,ECCE+ILLE(ILLUM)に 示 詞 を も っ て い る . 近 称 で は,中 ラ ン ス 語,カ
レ ト ・ ロ マ ンス 語,オ
称HICを
失 っ て,
体 と し て,新
た に,
示 の 意 味 が しだ い に薄 れ
付 け て 補 強 せ ざ る を え な か っ た.す
イ ン 語,ポ
法 は,イ
の 指 示 体 系 と な っ た.
機 能 上 の 変 化 と し て は,指
見 よ,ほ
ら」 を前 に
て 近 称 の も の を さ す こ と が 多 く,さ
詞 の 限 定 詞 と し て 前 置 され(つ れ)る
よ う に な っ た.ル
語
味 が弱 化 し
ら に,‐la la‐bas
ら の 影 響 で,後 れ が,ラ
ラ ヴ語 か
テ ン語 に は な か っ た 冠 詞 の 出 現 で あ る.
現 代 ロ マ ンス 語 に お い て も,な
お,定
冠 詞 が 指 示詞
的 な 機 能 を み せ る こ と が あ る . 最 上 級 で,形
容 詞,副
詞 の 前 に 付 け ら れ る 定 冠 詞 は,指
示 的 機 能 の 一例 で あ
る.ま
サ メ ー ダ ン の 人 々」,
スel
た,レils de
mi
da padre「
Samedan「
私 の 父 の そ れ 」 で は,指
特 に 人 名 の 前 に 付 け て,愛
ル デ ー ニ ャ 語,
接 的 に付 加 さ
置(前 接)さ れ る こ と が 特 徴 で あ る.こ
由 来 す る遠 称 の指 央 ロマ ニ ア の イ タ リ
ま り,後
ー マ ニ ア 語 で は,ス
詞 的 な 用 法 で あ る.多
ッ ク 語 な ど で,ECCE+ISTE
ル トガ ル 語,ル
称/
さ ら に 補 強 す る.口
称 の ‐laの 付 加 が な さ れ て も,意
べ て の ロマ ンス 諸
タ ル ー ニ ャ 語,サ
タ イ プ を,周
代 フ ラ ンス 語 で は,近
遠 称 の 対 立 す ら 薄 れ,‐ci/‐laを で は,遠
)内 に 交 替 形 の
ロ マ ン ス 語 の 段 階 で 指 示 機 能 を 失 っ た 指 示 詞 は,名 称
ル デ ー ニ ャ 語 な ど で 受 け 継 が れ た が,
中 称 のISTEが
(ISTUM)の
の3分
ル ト ガ ル 語,カ
イ タ リア 語 と フ ラ ン ス 語 で は,近
ア 語,フ
の 指 示 詞HIC
「そ れ 」),ILLE(遠
ベ リ ア 半 島 の ス ペ イ ン語,ポ
け な い ま ま の 形 を も つ.現
た,(
と 強 調 さ れ る こ と も あ る.
ラ テ ン 語 の3つ
「こ れ 」),ISTE(中
ペ イ ン 語.ま
加 え る こ と も あ る.フ
示代 名
くの ロ マ ン ス 諸 語 で,固 有 名 詞, 情,皮
肉 な どの 意 味合 い を
ラ ン コ ・プ ロ ヴ ァ ン ス 語 で は,そ
れ を親 し い 女 性 の 名 前 に の み 付 け る 地 域 が あ る. g)動
詞
4種
類 の 活 用 型(‐A‐,‐E‐,‐E‐,‐I‐)
辺 部 の ロ マ ニ ア で は,ス
ペ
が あ っ た ラ テ ン 語 の 動 詞 は,ロ マ ン ス 諸 語 で は,‐E‐ 型
ー マ ニ ア 語 で,ECCEを
付
と ‐E‐型 と が 融 合 し て 数 を 減 ら し た.不
規 則 動詞 は 単
純 化 さ れ て,規 ESSE「
スSe
則 動 詞 に と り込 ま れ た.
∼ で あ る」 →*ESSERE>
欲 す る 」→*VOLERE>
現 代 の ロ マ ン ス 諸 語 で は,‐ARE型
の 創 造 は,ほ
vivir. vivre.
フ ラ ンス語 で は,こ の よ うな 非 人 称 的 な 用 法 に対 し
イvolere,
フvouloir
‐ar,‐erが,も
para
travaille pour
「(人は)生 きる た め に働 く」
フetre,ス=ポser VELLE「
trabaja
cf.フOn
イessere,
に 由 来 す る ‐are,
っ と も 生 産 的 な 動 詞 の 形 成 法 で,新
語
た も の と考 え られ,レ
ト ・ロマ ンス 語 に も同 じ用 法 が
み られ る.
と ん ど が こ の 型 に よ っ て い る.
ロ マ ン ス 語 の 動 詞 が 人 称 と数 に 従 っ て 活 用 し,法 態 と 時 制 を も つ こ と は,ラ
て は,不 定 人 称 代 名 詞 のonを 用 い る.こ の 使 用 は, 一 般 に,ゲ ル マ ン的 統 語 法 か らの 影 響 の も とに 発 達 し
と
h)語
順
ラ テ ン語 で は,名 詞句 の構 成 は,屈
折 語 尾 で 統 語 関係 が 明確 だ った た め に,形 容 詞 の 位 置
テ ン 語 と変 わ ら な い が,そ につ
が比 較 的 自 由 で あ っ た.名 詞 の 前 にお く傾 向 は 強 か っ
い て は,ラ
テ ン語 の 接 続 法 に担 われ て いた 多 くの機 能
た もの の,直 前 の位 置 で な く離 れ て い る場 合 が 多 か っ
の う ち,仮
定 の 叙 法 が 整 理 さ れ,ロ
た. ロ マ ンス 諸語 で は,形 容 詞 は,名 詞 の す ぐ前 か 後
の 内 部 で,体
系 的 再 編 が な され た.す
な わ ち,法
マ ンス 諸 語 で は, な っ た.
ろ に付 くの で,(限 定 詞)(形 容 詞)名 詞(形 容 詞)の 構 成
助 動 詞 として
で あ る.た だ し,ル ーマ ニ ア語 で は,限 定 詞 の 冠 詞 は
条 件 法(フconditionnel,イcondizionale)と こ の 形 は,俗
ラ テ ン 語 の*HABEREを
形 成 さ れ た 迂 言 法 が 起 源 で,*HABEREは,動 用 語 尾 と な っ た.こ
の 形 成 法 は,直
詞 の活
説法の未来形のそ
れ と ま っ た く平 行 し て い る . す な わ ち,条 ず な に よ り も,直
に,過
ペ イ ン語 で は,条
ロ マ ンス 諸 語 で の傾 向 は,価 値 的 主 観 的 判 断 を 示 す 品 質 形 容 詞 は前 置 され,分 析 的 客 観 的 な 特徴 を 示 す 識 別
件 法 は,ま
説 法 の過 去 未 来 と し ての 機 能 を もっ
て い る の で あ る(ス
後 置 され る の と同様,一 般 的 に,形 容 詞 も後 置 され る.
件 法 と は よ ばず
形 容 詞 は後 置 され る こ とが原 則 的 で あ る.た だ,東 部 フ ラ ンス 語 方 言,フ
ラ ン コ ・プ ロ ヴ ァ ンス語,レ
ト・
れ が,意
味
ロマ ンス 語 で は,ラ テ ン語 の 伝 統 で あ る前 置 の 傾 向 を
確 実 さ と 主 観 的 判 断 を 強 く伴 うた め に,条
件
保 存 して い る . しか し,こ れ に は,ド イ ツ語 か らの 傍
去 未 来 な い し は 可 能 未 来 と い う).そ
的 に,不
の 仮 定 と そ の 帰 結 に 用 い ら れ る よ う に な っ た.し っ て,中
ペ イ ン 語 な ど で は,接
層 的 影 響 で あ る とす る説 も強 い.
代のイ タ
動 詞 句 の語 順 は,動 詞 に対 して,目 的語 の 名 詞 は 後
続 法 の機 能 と部 分 的
置 され るの が 原 則 で あ る.た だ し,直 接,間 接 の 目的
世 の ロ マ ン ス 諸 語 で は も と よ り,現
リア 語,ス
たが
補 語 の 人 称 代 名 詞 は,非 強 勢 形 に関 して は,前 置 され
に 競 合 状 態 に あ る. CANTARE+HABEBAM(HABEBAMは
未
る(後 接 的 で あ る)の が 一 般 的 で あ る.し か し,文 頭 に
完 了 過 去)「 私 は 歌 う で あ ろ う 」 > スcantaria,
非 強 勢 形 が 立 ちそ う な場 合 には,ト
フ(je)chanterais
文 頭 で は,こ れ を避 け るた め に,動 詞 の後 ろ に お く こ
CANTARE+HABUI(HABUⅠ
は 完 了 過 去)
た だ し,レ
ト ・ ロ マ ン ス 語 で は,条
とが 多 く,肯 定 命 令 文 で は,特 に規 則 的 で あ る. フ Il me
「私 は 歌 う で あ ろ う」 > イcanterei
le dit.
「彼 は 私 にそ れ を言 う」
件 法 は あ ま り発
(il:3人
達 して い な い . ラ テ ン語 の 受 動 態 は,活
me:1人
用 語 尾 の 屈 折 部分 で 表 わ さ
称単 数 人称 代 名 詞,主
「私 に」;le:中
を起 源 とす る助 動 詞 と過 去 分詞 を用 い た分 析 的 な形 成
れ を」;dit:direの
法 を 発 達 さ せ た.
「(彼は)言 う」)
フetre
イessere
chante「
cantato
,
フ Ne
レgnir
「彼 は」;
性 代 名詞,直 接 目的補 語 形 「そ 直説 法3人 称 単 数 現 在形
le dites pas!
「 私 に そ れ を言 わ な いで くだ さい 」
歌 わ れ る 」(不 定 法 形)
*VENIRE+CANTATU>
me
語形
称 単 数 人 称代 名 詞,間 接 目的 補 語形
れ て い た が,ロ マ ン ス 諸 語 で は,*ESSERE,*VENIRE
*ESSERE+CANTATU>
ピ ック の お か れ る
chantieu
フ Dites‐le‐moi!
「同 」
「 私 に そ れ を言 っ て くだ さい 」
こ の 受 動 形 は,他
動 詞 の 行 為者 が明 示 され な い ラテ
文 中 の 語順 は,ラ テ ン語 屈折 語 尾 が 有 して い た統 語
ン 語 の 中 間 態(中 動 態)の 機 能 を 表 現 す る た め に も 用 い
標 識 が 消 失 した た め に,ロ マ ンス 諸 語 で は,一 定 化 の
ら れ た が,ロ
方 向 に進 ん だ.一 般 的 原 則 として は,ラ テ ン語 が 動 詞
マ ン ス 諸 語 で は,動
詞 を人 称 代 名 詞 の 再
帰 形 と 結 び つ け て 構 成 す る 方 法 を 好 む.さ 動 詞 の 意 味 機 能 の 中 に,「
lavora
per
帰
自動 詞 的 な 」用 法 と し て と り
込 ま れ る よ う に な っ た. イ Si
ら に,再
を文 末 に お い て い た の に対 して,ロ マ ンス 語 で は,文 中第2の
位 置 に お く.そ れ は,主 語 の 標 識 が,名 詞 に
関 して は,文 頭 の位 置 に あ る とい う語 順 関 係 で しか 表 vivere.
示 され な いた めで あ る.
他 動 詞 文 の 場 合 に は,主 語 が 前 置 され て 目的 語 が後
そ あれ,ラ テ ン語 の 直 接,間 接 の影 響下 に あ っ た.そ
置 され る とい う,S+V+Oの
れ ぞれ の言 語 が,形 成 期 に,ど の よ うに ラ テ ン語 文 明
タイ プ が一 般的 で あ る.
しか し,自 動 詞 文 に おい て は,主 語 は 動 詞 の前 よ り後
とか か わ って きた か に よ り,語 彙 上 の多 様 性 が生 じて
ろ にお か れ る傾 向 が あ る.自 動 詞 と他 動 詞 とで語 順 が
い る と言 え る.
変 わ る とい う現 象 自体 は,そ
こに,能 格 的 な構 成 をみ
ロマ ンス 諸 語 の 間 に み られ る語 彙 上 の 分 化 の主 な原
る こ と もで きる.行 為 者 が 明 示 的 で な い場 合 に,動 詞
因 は,上 述 の よ うに,非 ロ マ ンス 語 系 の 言 語 との 干 渉
の 語尾 変化 に よ って 示 され るか,前 接 的(enclitic)な
で あ る(「 ロマ ンス 諸語 へ の分 化 」 を参 照).ロ
代 名 詞 に よ って動 詞 に添 加 され,文 の焦 点 は,動 詞 の
語 形 成 期 に接 触 の あ っ た,ラ テ ン語 以 外 の 基 層,上 層,
プ ロセ ス その もの に移 る の で あ る.す な わ ち,(ト ピ ッ
傍層 の 言 語 か ら吸 収 した膨 大 な 数 の 単 語 を考 慮 に入 れ
ク)+ 動詞 +被 動 作 者 の構 成 が,原 則 として こ こ にみ
ね ば,ロ マ ンス 諸 語 の 語 彙 に認 め られ る多 様 な個 性 を
ら れ るこ とに な る.
理解 で き な いで あ ろ う.中 で も,ル ー マ ニ ア 語 は,他
た だ し,フ ラ ンス 語,レ 詞 文 で も,V+S+Oの
ト ・ロマ ンス 語 で は,他 動
語順 を と る こ とが あ る.そ
れ
は,副 詞 句 が 文 頭 に くる場 合 にほ とん ど限 られ る の で,
の ロ マ ン ス諸 語 との 共 有 率 は 小 さ く,逆 に 強 い 干 渉 を 受 け たス ラ ヴ民 族 か らの 単語 は,日 常 的 な 基 礎語 彙 の 中 に も約2割 が 含 ま れ る.
ゲ ル マ ン語 か らの上 層 な い し傍層 的 干 渉 現 象 と して解
ルceas「
釈 され る.
HORA>
[語
彙]
系統 的 に ひ とつ の グ ル ー プ に属 して い
る ロマ ンス 諸 語 は,語 彙 の 内 部 的 共 通性 が顕 著 で あ る
マ ンス
時 間」(cf.ロ
シア語〓,ラ
テ ン語
スhora,イora,フheure)
ルrazboi「
戦 争 」(cf.ロ
ン語*WERRA>
シア 語〓,ゲ
ルマ
イ=スguerra,フguerre)
こ とは 言 うま で もな い.基 礎 語 彙 中 に 占 め る共 通 語 彙
た だ し,17世 紀 以 降 に,ル ー マ ニ ア 語 が 借 用 した ラ
の 割 合 は,主 要 な ロマ ンス 語 を とれ ば,40パ ー セ ン ト
テ ン語 系 の 単語 は,膨 大 な 量 にの ぼ る,特 に,19世 紀
程度 で あ る.ゲ ル マ ン系 の 単 語 が流 入 して い る フ ラ ン
中頃 か ら,フ ラ ンス 語 に新 語 の供 給 源 を 求 め た た め に,
ス 語 と,ア ラ ビア語 の 語 彙 を 多数 受 け入 れ たス ペ イ ン
約40パ
語 との共 通 語 彙 は約65パ
日常 的 な語 彙 に関 す る限 りで は,ラ テ ン語 系 の 比 率 は
ー セ ン ト,イベ リア半 島 内 の
隣 接 した2言 語 で あ るス ペ イ ン語 と ポル トガ ル 語 との 間 に は,90パ
ー セ ン トが フ ラ ンス 語 系 の 単語 で 占 め られ る.
80パ ー セ ン トにの ぼ る とい う統 計 が あ る.
ーセ ン トもの共 通 部 分 が あ る.現 代 の 技
レ ト ・ロ マ ンス 諸 語 の 語彙 の うち で は,ゲ ル マ ン語
術 用 語 や 専 門 分 野 の 語彙 領 域 にお い て は,ラ テ ン語 か
か らの 影 響 が顕 著 で あ る.ラ テ ン語 系 の単 語 が75パ ー
ら の借 用,類 似 の派 生 法 に よ り,ロ マ ンス 諸語 の 語彙
セ ン ト,ゲ ル マ ン語 系 が19パ ー セ ン ト,ケ ル ト系 が
的 一 体 性 は きわ め て 強 い と言 え る.
2.5パ ー セ ン ト,そ の他 が3.5パ ー セ ン トに数 え られ
む し ろ,言 語 ご とに異 な る部 分 に 注 目 して,そ の多
る.こ の 比 率 は,3つ
様 性 に関 心 が 向 け られ る.ロ マ ンス 諸語 の語 彙 の類 別
ュ語,ド
は,ラ テ ン語 か ら継 承 した 大 半 の語 彙 と,ラ テ ン語 以
し く認 め られ る こ とや,内 部 で 共 通 語 彙 の割 合 が 高 い
外 の 言 語 に起 源 を もつ 語 彙 とに分 け て考 え られ る.ラ テ ン語 系 の単 語 は,俗 ラテ ン語 の時 代 に民 衆 の 間 で 使
の で,レ ト ・ロマ ンス 諸 語 が一 つ の グ ル ー プ と して の 一 体 性 を もつ と主 張 され る.
わ れ て い た語 形 を,ロ マ ンス諸 語 の 語 彙 と して 受 け 継
現 代 で は,こ の よ うに,ロ マ ン ス 諸語 の 間で な され て
い だ の で あ るか ら,そ の た め,文 章 語 と して の 古 典 ラ
きた 語 彙 の 貸 し借 りの関 係 を,過 小 に評 価 し て は い け
テ ン語 の もの とは異 な った単 語 を も って い る こ とは 当
ない.文 芸 復 興期 の イ タ リア語,近 代 絶 対 王 政 時 代 の
然 で あ る.ロ マ ンス 諸語 の語 彙 には,同
じ ラテ ン語 系
の下 位 言 語 グル ー プ(ロ マ ン シ
ロ ミテ ・ラデ ィ ン語,フ
フ ラ ンス 語,そ
リウ リ語)に ほ ぼ 等
して,現 代 の技 術 文 明 時 代 の専 門 用 語
の単 語 で も,近 似 的 な意 味 領 域 を も ち,語 形 も相 似 し
の 供 給 源 と して の フラ ンス 語 な どが 果 た した 役 割 は大
て い る組 み 合 わ せ(「二 重 語 」)が相 当数 存 在 す る.
きい.強 大 な 国家 の 力 を背 景 に して 文 化 的 優 位 に立 つ
フfrele「 か 弱 い」/fragile「 壊 れ や す い」(< ラ
各 国 の標 準 語 が,周 辺 の弱 小 言 語 や 方 言 に及 ぼ す 語 彙
FRAGILIU)
的 な 影 響 力 は計 り知 れ な い.し か し,異 質 の 文 化 で あ
フchose「
もの」/cause「
原 因,訴 訟」(< ラ
CAUSA)
るゲ ル マ ン語や ス ラ ヴ語 か らの 影 響 を一 方 的 に受 け 入 れ る よ りは,空 間的 に離 れ て い て も,親 しい ロマ ンス
そ の原 因 は,一 方 で,民 衆 の 間で 自然 な音 声 と意 味
語 系 の 語 彙 や造 語 法 を と り入 れ る方 を選 ん で い る よ う
の 変化 を経 た,身 近 で 具 体的 な 意味 を もつ 民 衆 語 が あ
で あ る.
る と と もに,他 方 で,ラ テ ン語 か ら直 接 借 用 して 造 語
[ロマ ンス語 の文 化 的 特 質]
ロマ ンス 諸 語 の過 去
した 抽 象概 念 的 な学 識 語が 存 在 す るか らで あ る.ロ マ
と現 在 と を通 じて,そ の深 部 に脈 々 と流 れ る 「ロマ ン
ンス 諸 語 は,歴 史 の どの時 期 を と って も,程 度 の 差 こ
ス 語 性」 と も言 うべ き特 質 を求 め る な らば,以 下 の よ
ロ マ ン ス 語 の 言 語 史 は,社
う にま とめ られ るで あ ろ う. 1)分
岐 的発 展 と収 束 的 進 化 世 界史 上,も っ とも
強 大 で 統 合 的 な ロー マ帝 国 が分 裂 し崩 壊 し た の ち,多
会 文 化 の 歴 史,特
[参 考 文 献]
個 々 の ロ マ ンス 諸 語 に関 す る参 考文
献 に つ い て は,そ
に応 じた 民 衆 の地 域 通 用 語(リ ンガ ・フ ラ ンカ)と して,
に は,ロ
ロマ ンス 諸 語 が形 成 され た.中 世前 半 まで は,言 語 社
研 究 書 の み を 掲 げ る.
会 の 質 的 変 化 の流 れ に沿 った 多 様 化,分 化 の時 期 で あ
1)書
る.中 世 後 期 か ら国 家 形 成 期 を経 て,社 会 文 化 的 な 成
Bal,W.et
れ ぞ れ の 項 目 を 参 照 さ れ た い.以
マ ン ス 諸 語 全 般 に つ い て の,書
誌,雑
誌,概
下
説 書,
誌 J.Germain(1982),Guide
de
熟 へ と向 か い,政 治 的,経 済 的 な 権 力 を集 中す る大 都
bibliographique
linguistique
romane(Cabay,
市 を求 心 地 と した ロマ ンス 諸 語 の い くつ か が 大 言 語 と
Louvain)―
して 傑 出 す る.周 辺 地 域 の 弱 小 言 語 は,吸 収,淘 汰 さ
す く分 類 し 解 題 し て あ る が,ガ
が ら,収 束 的進 化 をた ど って きた.ル ネ ッサ ンス を契
芸
文 化 の 歴 史 と 切 り離 す こ と は で き な い.
くの 民族 との接 触 に よ っ て,お の お の の地 域 の独 自性
れ て い き,大 言 語 の 間 で も互 い に影 響 を及 ぼ しあ い な
に,文
入 門 者 向 け に,テ
ー マ 別 に 分 か りや ロ ・ロマ ンス 語 に重
点 が お か れ て い る. Bibliographia linguistica(Spectrum,Utrecht,
機 と して,ロ マ ンス 語 諸 国 の 間 に,互 い に密 接 な 文 化
1939‐)―
言 語 学,文
的 関 係 が は ぐ くまれ,言 語 の 面 で も,相 互 に干 渉 の 方
が,特
マ ンス 諸 語 研 究 とロ マ ンス 言 語 学 の分
向 を強 め て き た.ロ マ ンス 諸 語 の ケ ー ス は,個
々の 独
自性 を発 展 させ なが ら も,収 束 的 進 化 を とげ て きた 典 型 的 な ケ ー ス と言 え る. 一例 を とれ ば,中 世 の フ ラ ンス で は,南 フ ラ ンス の オ ッ ク語 リモ ー ジ ュ方 言 が,実 用 言 語 と して も文 学 作 品 創 作 の言 語 と して も共 通 語 の 役 割 を果 た し,広 い 地 域
った そ の地 方 の 言 語 が,フ
ラ ンス 全 土 の 公 用 語,そ
し
て,標 準 語 と して,強 い 影 響 力 を もつ よ う にな った の で あ る.フ ラ ンス の 絶 対 王 政 の 時代 には,文 章 語 と し て の完 成 を め ざ して,作 家,文 法 家 た ち に よ って,た ゆ ま ぬ 努力 が な され て きた.そ の 頃 か ら,フ ラ ンス は,
2)ラ
テ ン語 文 化 へ の帰 属 意 識
ロマ ン ス 諸 語
は,そ の 歴 史 の どの 時代 を とっ て も,ラ テ ン語 の 直接, 間接 の影 響 下 にあ った.ど の言 語 も,そ の ご く初 期 の 時 代 を除 いて,形 成 期 か ら成 熟 期 に か け て は,ほ
とん
ど常 に ラテ ン語 を念頭 に お いて,文 法 を整 理 し,語 彙
des
langues
―主 に,オ
ッ ク 語,カ
de linguistique
Philology(Berkeley/Los
1947‐)― る に は,必
須 の 雑 誌.
Romania(Paris,1872‐)―
々の言 語 が 自然 な進 化 の趨 勢 に
ま か せ て発 展 した とい う よ り,そ れ は,む
しろ,ヨ ー
ロ ッパ の大 き な歴 史 的 出 来 事(十 字 軍,ル ネ ッサ ンス, 古 典 主義,19世
っ と も権 威 の あ る ロ マ ン ス
文 献 学 の 専 門 誌. Romanica(Bern,1936‐)―
ガ ロ ・ロマ ン
ス 語 と レ ト ・ロ マ ン ス 語 の 分 野 に 詳 し い . ス イ ス の ロ マ ン ス 言 語 学 ・文 献 学 会 の 機 関 誌 で も あ る. Zeitschrift
fur
romanische
Tubingen,1877‐)―1世
紀 の地 域 ナ シ ョナ リズ ムの 興 隆,な ど)
を契 機 と して,共 通 の 言 語 文 化 的伝 統,す な わ ち,ラ テ ン語 や 文 化 的 に有 力 な 言 語 に範 を求 めつ つ,意 識 的 に,進 化 の流 れ に対 して 抵 抗 して きた 結果 と言 え る.
Philologie(Halle/ 紀 以 上 に わ た り,ド イ
ツ の み な ら ず ヨ ー ロ ッ パ の ロ マ ン ス 語 学 ・文 献 学 を っ と も重 要 な 専 門 誌 の ひ と つ.特
に,
冊 の 書 誌 の 網 羅 的 な こ とで は 比 類 が な い.
Romanische
Bibliographie(M.Niemeyer,Halle/
Tubingen,1886‐) 『ロ マ ン ス 語 研 究 』(日 本 ロ マ ン ス 語 学 会,東 京,1967‐) 2)概
説 書,研
究 書(語
源 辞 典 も含 む)
Agard,F.B.(1984),A
好 む傾 向 に あ る. ロマ ンス諸 語 は,個
パ リス(G.Paris)
に よ っ て 創 刊 さ れ た,も
次 の,別
さ らさ れ て い るル ー マ ニ ア 語 や レ ト・ロマ ンス 語 で も,
Angeles,
ア メ リカ の ロマ ンス語 学 界 の 動 向 を知
と とも に,言 語 上 の 規 範 意 識 が生 ま れ る と,文 人,学
ス ラ ヴ語 や ドイ ツ語 よ り,ラ テ ン語 系 の新 語,造 語 を
romane(Paris,1925‐)
―国 際 ロ マ ン ス 語 学 会 の 機 関 誌 . Romance
育 て て き た,も
意 識 的 に練 りあげ て い った,異 民族 の 言 語 との接 触 に
タル ー ニ ャ語 な どの 語 学 文 統 的 な ロマ ンス語 文 献 学 の 立
場 を 保 つ. Revue
を 豊富 に して い った.国 家権 力 の集 中 化 や 社 会 の安 定
者 た ち が,綿 密 に,自 分 た ち の 表 現 手 段 と して の 言 語 を
romanes(Montpellier,1870‐)
学 研 究 の 専 門 誌 で,伝
Vox
言 語 と文 化 の供 給 国 とな った の で あ る.
献 学 の総 合 的 な書 誌 で あ る
野 は 充 実 し て い る. Revue
に用 い ら れ て いた.そ の 後,政 治 的 中心 が,イ ル ・ド・ フラ ン ス地 方 のパ リ に定 着 す る と,一 方 言 にす ぎな か
に,ロ
Linguistics,2
Course vols.(Georgetown
Press,Washington,D.C.)―
Romance University
そ れ ま で の原 著
者 自 身 の 論 文 や 著 書 を ま とめ て,加 第1巻
in
は 共 時 的 記 述,第2巻
筆 し た も の で,
は通 時 的 記 述 に あ て ら
れ て い る. Anderson,J.M.and Readings
J.A.Creore(eds.)(1972), in
Romance
Linguistics(Mouton,
The
Hague)―
ロ マ ン ス 諸 語 の 多 岐 に わ た る27
Bourciez,E.(1910,19675),Elements
de linguistique
romane(Klincksieck,Paris)―19世
語 別 に記 述
声 面 と形 態 面 の 歴 史 に 詳 し い.
Camproux,Ch.(1974),Les langues (Presses
romanes
Universitaires
U.F. 〕,Paris;日
de
本 語 訳:島
『ロ マ ン 諸 語 』,白 水 社,東 に,ロ
France〔
以 下,P.
岡 茂,鳥
居 正 文 訳,
京,1975)―
一般向 け
Illinois University Feffer
Linguistics(Southern
Simons,Inc.,London/Amsterdam)
Worterbuch
Sprachen(Adolph
der
Marcus,Bonn)
der
B.Schlieben‐Lange(eds.) in
イ タ リア 語,コ の 第1分
第2分
れ た 概 説 書.初
Romance
Languages
Faber,London)―
一般 向
マ ン ス 語 学 を志 す 学 生 向 け に 書 か 期 文 献 や 中 世 ラ テ ン 語 に つ い て も詳
しい. Reconstruction
Proto‐Romance",Language
冊 で は,オ
of
History
(of
the
York)
―ロ マ ン ス 語 の 形 成 と 社 会 ・政 治 的 状 況 を概 観 す 期 文 献 も紹 介 解 説 し て い る. 次 の,原
ロマ ン
ス語 の音 韻 体 系 を仮 定 し再 構 を試 み た研 究 書 と と も に,ロ
マ ン ス 語 比 較 文 法(Comparative
(Elsevier,New
Romance Oxford
Borrowing
in
the
Blackwell,
タ リア語 とフ ラ ンス語 との語 富 な資 料 を も と
に 論 述 し て い る.
entre vue
Revue ―
et
les langues
de la
romanes
morpho‐syntaxe
de Linguistique
dessemblances
du
du
point
verbe",
RomaneⅩⅩⅩⅢ(Paris)
動 詞 の 形 態 論 的 観 点 に し ぼ っ て ,ロ
マ ンス諸 語
の 分 類 を 試 み た 論 文. Iordan,I.,Orr,J.and
R.Posner(1970),An
School
to
and
Romance
Scholars(Basil
Linguistics,Its Blackwell,Oxford)
的 入 門 書.初 の"Thirty
版 は1937年.こ Years
の 改 訂 新 版 は,ポ ズ ナ ー
On"の
一 章 を 加 え て,訂
し た も の. Kontzi,R.(ed.)(1982),Substrate und in
den
romanischen
Superstrate Sprachen(Wissenschaftliche
―伝 統 的 な 言 語 基 層 と 上 層 の 理 論 を,今
Phonology
日的 知 見
か ら と り あ げ て い る. Lausberg,H.(1969),Romanische 3 vols.(de
Languages(Routledge,London;
ア 語 訳:Linguistica York)―
正加筆
Buchgesellschaft,Darmstadt)
York)
Press,New
タ ル ー ニ ャ語 を 扱 っ て
vols.(Basil
特 に,イ
N.Vincent(eds.)(1988),The
University
ル デ ー ニ ャ 語 な ど,第
ッ ク 語,カ
Romance
シ リ ー ズ を 構 成 し て い る.
― (1976),Proto‐Romance
Harris,M.and
ー
で は,
―ロ マ ン ス 言 語 学 と そ の 学 史 に 関 す る 基 本
Languages(Elsevier,New
GrammarⅠ,Ⅱ)の
在 も刊
で は,ル
ラ ン ス 語(方 言 も含 む),同
Languages,2
26
―(1974),External Romance
る.初
ル シ カ 語,サ 冊 で は,フ
Introduction
Hall,R.A.,Jr.(1950),"The
刊 第3巻
Hope,T.E.(1971),Lexical
de
し い 方 向 を 示 唆 し て い る.
い し は,ロ
の う ち,既
Iliescu,M.(1969),"Ressemblances
Elcock,W.D.(1960,19752),The
け,な
Niemeyer,
彙 的 干 渉 に つ い て 焦 点 を あ て て,豊
romanischsprachigen
Landern(G.Narr,Tubingen)―
and
V,2(1991)(Max
ト ・ロ マ ン ス 諸 語 な ど,第4巻
ロマ ン ス 語 研 究 に 社 会 言 語 学 的 視 点 を と り 入 れ た 点
(Faber
Linguistik
各 言 語 の専 門 家 に よる最 新 の研 究 動
Oxford)―
代 で も 利 用 価 値 が あ る.
で,新
Ch.Schmitt(eds.),
Romanistischen
〔LRL〕,BandⅢ(1989),Band Ⅳ(1988),Band
Romance
判 的 に 参 照 す れ ば,現
sociolinguistik
セ ジュ文 庫 の入 門
い る.
―ドイツ に お け る ロ マ ン ス 語 学 の 創 始 者 に よ る ロ
(1982),Die
Lexikon
5巻
Diez,F.(1887),Etymologisches
Dittmar,N.und
俗 ラ テ ン語 に関 す
書.
マ ニ ア 語,レ
れ た ガ イ ド ・ブ ッ ク.
マ ン ス 諸 語 の 語 源 辞 典 で,批
原 吉 之 助 訳,『 俗 ラ テ
行 中 で あ る.全8巻
― 大 学 の 初 級 授 業 用 に簡 潔 に ま とめ ら
romanischen
村 猛,国 京,1971)―
向 と成 果 を 示 す レ フ ァ レ ン ス 的 な 叢 書 で,現
Press,Carbondale/Edwardsville;
and
vulgaire(P.U.F.,
Holtus,G.,Metzeltin,M.und
Introduction Tubingen)―
J.C.Davis(1975),An to Romance
本 語 訳:新
ン 語 』,白 水 社,東
V,1(1990),Band
セ ジュ 文 庫 の 啓 蒙 書.
Canfield,D.L.and
Paris;日
Latin
る 基 礎 知 識 を 簡 明 に ま と め た,ク
マ ン ス 諸 語 と学 史 につ い て 要 領 よ く概 説 さ れ
て い る,ク
マ ン ス 語 系 ク リオ ー ル に も一 章 を も う け て,
詳 し く解 説 し て い る.
マ ン ス 諸 語 比 較 文 法 の 基 本 参 考 文 献.言 に,音
で,ロ
Herman,J.(1967),Le
紀 的 な 実 証 主 義 的 歴 史 文 法 の 立 場 か ら書 か れ た,ロ
し て お り,特
ン 語 を は じ め,各 言 語 の 類 型 的 特 徴 や 進 化 に つ い て, イ ギ リス 学 派 に よ る 最 新 の 成 果 を と り込 ん だ 概 論 書
編 の 言 語 学 論 文 を 集 め た 論 集.
ラテ
Milano,1971)―
Sprachwissenschaft, Gruyter,Berlin;イ
タ リ
romanza,Feltrinelli, イ タ リア 語 訳 は,原
著者 自 身 に
よ っ て 増 補 改 訂 さ れ た 版 で あ る.体
系的かつ明快 に
解 説 し た 基 本 的 な 文 献 で,適 切 な 図 表 が 付 い て い る. Ludtke,H.(1956),Die des
strukturelle
romanischen
Seminar
an
Entwicklung
Universitat
唆 に富 む 論 点
Romania",Romance North
Notes
Carolina,Chapel
the
Unity
in
(1978),"The
の 書 誌 が 充 実 し て お り,ロ
ロ マ ンス 語 の
巻 は 共 時 的 研 究,第3巻
of Romance
い る.
Los
Philology31(Berkeley/
Angeles)―
Pei,Mario(1976),The Romance
Story
Languages(Harper
York)―
and
and
the
Row,New
Martinet,A.(1955),Economie
des
献.書
構 造 主 義 的 方 法 を通 時 的音 に 集 め て い る.
マ ンス 諸 語 の 問 題 に つ い て は,ケ
しく
論 じ ら れ て い る. Manual of Comparative
Linguistics,Phonology (The
Catholic
Press,Washington,D.C.)― 音 声,形
Morphology
(C.H.Beck,Munchen)―
語 彙 の 面 で,約100枚
の 分 布 図 を 掲載 し て お り,初
級 者 に も読 み や す くさ
れ た ロ マ ン ス 言 語 地 理 学 の 入 門 書. (1986),Panorama
ロ マ ン ス 諸 語 を,
態 の 面 で 概 説 し,歴
史 的 観 点 で比 較 した簡
romanischen
der
Sprachen,4
Leipzig)―
vols.(Reisland,
歴 史 的,実
て,簡
Worterbuch(Carl
代 で も,参
etymologisches 語
略 な 注 解 を 施 し た 大 学 生 向 け 入 門 書.
書.こ
1959).ま
正 した 多 くの専 門 雑 誌 の 論 文 と
考 にす べ きで あ る.
層 理 論 の 検 討,類
der Jahrbuch
ⅩⅤⅢ― ロ マ ン ス 諸 語 の 分 類 を,音
tot de
Hertogenbosch)― 史 的,理
表 も多 い. Romaanse 共時的記述
論的 見 地 に立 つ 入 門 的 参 考
di
linguistica
romanza(Firenze,
た,ス ペ イ ン 語 訳(1963),ド
Vincent,N.and in
声,形
彙 な どの 各側 面 を総 合 して 試 み て い る
点 で 興 味 深 い.
the
イ ツ 語 訳(1968)
Languages,A
Introduction(Doubleday,New
M.Harris(eds.)(1982),Studies
Romance
Verb(Croom
Helm,London)
―個 別 言 語 の 動 詞 形 態 論,統 語 論 に 関 す る 論 文 集. Wartburg,W.von(19502),Die der
Romance
型 論 的対 照 研 究 な ど
も あ る.
Klassifikation
Sprachen",Romanisches
Posner,R.(1966),The
lingue
の オ ラ ン ダ 語 の 原 書 の イ タ リ ア 語 訳 が あ る.
Manuale
romanischen
delle
初 期 文 献 の 解 説,
Vidos,B.E.(1956),Handboek
が,こ
Muljacic,Z.(1967),"Die
origini
romanze(Patron,Bologna)―
彙 の比 較 研 究 にお い て は 必須 参 照 文 献 とな って い る れ を 批 評,訂
Press,
ロ マ ンス 諸 語 の 初 期 文 献 に つ い
と い う よ り,歴
Winter,Heidelberg)―
Texts:An
University
Cambridge)―
Taalkunde('s
(19353),Romanisches
Linguistic
Romance
を 適 切 に と り込 ん だ 優 れ た 入 門 書 で,図
考 書 と し て 必 携 書.
語,語
学 の 初 心 者 向 け の 講 義 のた
Sampson,R.(1980),Early
言 語 基 層,上
証 的 立 場 か ら記 述 さ れ,ロ
マ ン ス 語 学 の 基 礎 を 築 い た 基 本 文 献.現
neolatine
多 くの地 図 を用 い た 言
Tagliavini,C.(19593),Le
Meyer‐Lubke,W.(1890‐1902),Grammatik
態,統
delle lingue
(G.Narr,Tubingen)―
Anthology(Cambridge
of America
潔 な入 門書 .
併 せ て,参
Sprachgeographie
め に 編 集 さ れ た も の.
and
University
filologia
史 的 観 点 か ら詳 細 に提 示 した 基 本 文
語 地 理 学 の 入 門 書 で,大
Mendeloff,H.(1969),A
de
ロ マ ンス 諸 語 全 般
誌 が 詳 し い.
ル ト語 基
層 と 西 ロ マ ンス 諸 語 の 子 音 の 進 化 の 関 係 が,詳
Romance
Philologie(Heidelberg,
(1971),Romanische
diachronique
韻 変 化 の 解 明 に 適 用 し た 論 文 を,主 特 に,ロ
Philologie Ⅰ:Allgemeine
hispanica(Bogota,1957)―
changements
de phonologie
(Francke,Bern)―
は 国 別 の研 究動 向 の概 観 と な って
に わ た っ て,歴
一 般 向 け に 書 か れ た 啓 蒙 書.
Phonetiques,Traits
は 通 時 的 研 究,第2
1950‐52),Ⅲ:Manual of Latin
各 分野
マ ンス 言 語 学 の動 向 と現
Romanistik,Ⅱ:Italienische
題 を 徹 底 的 に 論 じ た 重 要 な 論 文.
Philology,
は 文 献 学 的 研 究 と少 数 言 語
Rolfs,G.,Romanische
ロ マ ン ス 諸 語 の 分 類 と基 準 の 問
and
Hague)―
状 を概 観 す る に は 最 適.第1巻
に つ い て,第4巻
Classification
Linguistics
vols.(Mouton,The
of
内 的 統 一 性 を 批 判 的 に 考 察 した 論 文.
Languages",Romance
Romance
of
18(University
Hill)―
ロマ ン
言語 学的
J.N.Green(eds.)(1980‐82),
Trends 4
in
神 悟 訳,『
京,1982)―
マ ンス 語 学 の 基本 的 な 問題 を 問 い 直 し
Posner,R.and
を 展 開 して い る. Malkiel,Y.(1977),"Factors
間 喜 代 三,長
て い る 丁 寧 な 入 門 書.
Bonn,Bonn)―
母 音 体 系 の 構 造 変 化 を と り あ げ て,示
本 語 訳:風
ス 語 入 門 』,大 修 館 書 店,東 立 場 か ら,ロ
Vokalismus(Romanisches
der
York;日
Bern;フ
romanischen
Ausgliederung Sprachraume(Francke,
ラ ン ス 語 訳:La de
Fragmentation
la Romania,Klincksieck,Paris,
linguistique
1967)―
ロマニ ア の 言 語的 分 割 の原 因 につ い て考
察 す る 論 文 集 で,特
に,ガ
ロ ・ロ マ ン ス とイ タ ロ ・
ロ マ ン ス の 領 域 が と り あ げ ら れ,ゲ
ル マ ン民 族 上 層
の 影 響 を 重 視 し て い る こ と が 特 色.フ
ラ ン ス 語 版 は,
原 著 者 自 身 に よ っ て 改 訂 増 補 され た. (1946),Problemes
et
linguistique(Paris)―
de
la
語
に ガ ロ ・ロマ ンス 語
を は じ め とす る ロ マ ン ス 諸 語 を 扱 う.
い た る時 期 に,焦 点が 当 て られ て い る概 説 書. 日本 語 に よ る概 説 書 と して は,上 記 の翻 訳 書 の ほ か
島 岡茂(1970),『
ロ マ ンス 語 の 話 』(大 学 書 林,東 京)
(1986),『 ロマ ンス 語 比 較 文 法 』(大 学 書 林, 東 京) 片 岡 孝 三 郎(1982),『
ロマ ンス 語 言 語 学 叢 書 』 全5巻
(朝 日出版 社,東 京)
Weinrich,H.(1958),Phonologische
Studien
zur
(富 盛
Sprachgeschichte(Aschendorfi
Verlag,Munster)―
音 韻 論 の 分 野 で,マ
ロマ ンス語 の 通時 的
ル チ ネ(A.Martinet)の
わ
研 究を
継 承 発 展 さ せ て い る. Wright,R.(1982),Late Romance
in
Latin Spain
and
文 献 的 に 資料 の
に,以 下 の も のな どが あ る.
methodes
般 言 語 学 の 方 法 論 に 関 す る 論 考 を 集 め て い る.言
scher
Cairns,Liverpool)―
乏 しい後 期 ラテ ン語か ら,初 期 の ロ マ ンス語 文献 に
ソ シ ュ ー ル 批 判 な ど ,一
地 理 学 の 成 果 も と り入 れ て,特
romanischen
(Francis
Carolingian
and
Early France
ワ ロ ン 語 仏wallon,英Walloon → フ ラ ンス 語
伸 夫)
言 語 名 和 文 索 引
凡
例
本 書 に収載 され た項 目,お よ び,各 項 目内 で言 及 さ れ た言 語 名,方 言 名,語 族 ・語 派 ・ 語 群 ・諸 語名 な どを,可 能 な限 り網 羅 的 に収 録 し,五 十 音 順 に列 挙 した.た だ し,矢 印で 示 した 参 照項 目の採 録 に 当 た って は,適 宜,選 択 して 行 な っ た.な お,本 索 引 に は,同 一 対 象 を 指 示 す る互 い に近 似 した複 数 の表 記 が み られ る こ とが 少 な くな い.こ の よ うな表 記 の微細 な ゆ れ は,名 称 の表 記 が 定 着 して い な い数 多 く の言 語 が 存 在 す る現実 を,そ の ま ま 反 映 して い る. a)「 語 」「 方 言 」「語族 」 な ど,項 目名 の末 尾 に おか れ て い る分 類 上 の 呼称 を除 い た部 分 に 基 づ い て配 列 した. b)清
音,濁 音,半 濁 音 の順 に,ま た,促 音/拗 音 な ど小 書 きで表 記 した音,直 音 の順 に
配 列 した. c)長
音 記 号 「ー」 は,こ れ を無 視 して 配 列 した.た だ し,ふ た つ の仮 名 表 記 の違 いが
「ー」 の有 無 の み にか か って い る場 合 は,「 ー」 の あ る方 を 後 に お い た. d)上
記 に よ って も,項 目間 の序 列 を決 定 で きな い場 合 は,末 尾 に くる分 類 上 の 呼 称 の
五 十 音 順 に配 列 した. こ こに い う 「 分 類 上 の呼 称 」 と は,以 下 に掲 げ る もの,お よ び, そ れ らの組 み合 わ せ を さす. 1)グ
ル ー プ,言 語,語,語
2)基
語,祖 語,口 語,文 語,文 章 語,共 通 語,標 準 語,な
e)参
照 項 目 は,矢 印(→)の
群,語 族,語 派,諸 語,方 言,な
後 に,項 目名,ペ
ー ジ数,段(l〔
ど.
ど. 左 段 〕,r〔 右 段 〕)を こ
の順 序 で 示 した. f)参
照 項 目 が本 文 の 見 出 し項 目で あ る場 合(空 見 出 し項 目 で あ る場 合 も含 む)は,そ
の 項 目名 を 太字 で 示 し,空 見 出 し項 目を 除 い て,矢 印 を省 い た. なお,本 索 引 は,ス ペ ー ス の関 係 か ら,和 文索 引 の み に と ど め た.欧 文 に よ る詳 細 な索 引 は,本 書 の 本 体 で あ る 『 言 語 学 大 辞 典 』第5巻
「 補 遺 ・言 語 名 索 引 編 」を 参 照 され た い.
ア ル メ ニ ア 語 派 → イ ン ド ・ヨ ー ロ ッ あ
パ 語族 80r
ア イ オ リ ス方 言 → ギ リシ ア 語 154
ア ル モ リ ッ ク語
→
ロ マ ン ス諸 語
544r
r
52r イ タ ロ ・ケ ル ト語 群 55l イ タ ロ ・ケ ル ト語 派 → ロ マ ン ス諸 語 539r
ア イ ス ラ ン ド語 1l
ア レ ッ ツ ォ方 言 → イ タ リア語 39r
ア イ ト リ ア 方 言 → ギ リシ ア 語 154
ア レマ ン語 →
ドイ ツ語 264r,278
イ タ ロ ・ ロ マ ン ス 語 → ロ マ ンス 諸 語 542l イ タ ロ ・ ロ マ ン ス 諸 語 57r
l → フ ラ ンク語 372r
lア イ ル ラ ン ド語 5r → ケ ル ト語 派 163r
イ デ ィ ッ シ ュ 語 59r
→ ブ ル グ ン ド語 411l
ア イ ル ラ ン ド ・ゲ ー ル 語=ア
イル ラ
イ ベ リ ア ・ ケ ル ト語 →
ア レ マ ン方 言 → ア ル ザ ス語 24l → ル クセ ン ブル グ語 497r
ン ド語 5r ア エ ス テ ィ ー 語 → バ ル ト語 派 325 r
ア カ ル ナ ニ ア方 言
→
154l
語 542l
ア ッテ ィ カ文 語 →
ギ リシ ア 語 158
諸 語 545l 印 欧 基 語 → イ タ ロ ・ケ ル ト語 群 57l
ア ン グ ロ ・ フ ラ ン ス 語 → ア ング ロ ・ ノル マ ン語 36l
lア ッ テ ィ カ 方 言 → ギ リシ ア 語 154 r
ラ
テ ン語 461l
ン語 173l
→
ドロ ミテ語
292r
533r ア ン ジ ュ ー 方 言 → フ ラ ン ス語 387
→ ラデ ィ ン語 457l
l
ア ブ ル ッ ツ ォ 方 言 → イ タ リア語 39
ア ム ス テ ル ダ ム ・イ デ ィ ッ シ ュ語 → イ デ ィ ッ シュ語 66表4
547r ス ペ イ ン語
イ ン ド ・ ヨ ー ロ ッパ 祖 語
→
英語
→ ゲ ル マ ン語派 167r
→ ブル トン語 414r い
→ ロ マ ンス諸 語 546r アル カ デ ィ ア方 言
→
,547r ギ リ シ ア語
154r
イ ェ ー タ方言
→
う
ス ウ ェ ー デ ン語
210r
ヴ ァ ラー デ ル 語 →
ラ デ ィ ン語 457
イ オ ニ ア 方 言 → ギ リシア 語 155l
ア ル カ デ ィ ア ・キ ュ プ ロ ス 方 言 → ギ リシ ア語 154r
イ オ ニ ア ・ア ッテ ィ カ 方 言 → ギ リ シ ア語 154r
ア ル ザ ス 語 24l
生 き た ウ ェ ー ル ズ 語 → ウ ェ ー ル ズ語
ア ル ザ ス ・ ドイ ツ語 →
ア ル ザ ス語
25r
101r イ ギ リ ス 英 語 → 英 語 109r
ア イ ル ラ ン ド語
20r
イ ス ト ラ方 言 → イ タ リア語 39r イ ス トロ ・ル ー マ ニ ア 語 37r → ロ マ ンス 諸語 541l
ア ル バ ニ ア 語 26r イ ン ド ・ヨ ー ロ ッ
パ 語 族 80r アル プ ス ・ロマ ンス諸 語 → マ ンス諸 語 515r ア ・ル ー マ ニ ア 語 34r →
イ ン ド英 語 → 英 語 110l
→ ス ラ ブ祖 語 236l
226r,229l
228r
ア ル バ ニ ア語 派 →
リ トア ニ ア語 488r
111l
ア ラ ゴ ン方 言 → ス ペ イ ン語 225r,
ア ル ス タ ー方 言 →
ラテ ン語 459l
→
イ ン ド ・ヨ ー ロ ッ パ 語 族 78r ロ マ ン ス諸 語
ア ン ダ ル シ ー ア方 言 →
ア メ リカ 英 語 → 英 語 109r,115l
→
イ ン ド ・ゲ ル マ ン 語(族) 78l
→ ロマ ン ス諸語 544r ア ン ダ ル シ ア方 言 →
r
印 欧 祖 語 → イ ン ド ・ヨ ー ロ ッ パ 語 族 90l
ア ン グ ロ ロ マー ニ ー → ロマーニー語
ア デ ィ ー ジ ェ方 言
印 欧 語 族 → イ ン ド ・ヨ ー ロ ッパ 語 族 78r
ア ン グ ロ ・フ リ ー ジ ア 語 → 古 サ ク ソ
ア ッ テ ィカ ・イ オ ー ニ ア方 言 →
印 欧 語 → イ タ リ ッ ク語 派 52r → イ タ ロ ・ケ ル ト語群 55l
ア ン グ ロ ・ フ リ ジ ア 語 → フ リジ ア語 400l
→ 近 代 ギ リシ ア語 160l
イ ル ・ ド ・フ ラ ン ス 方 言 → ロマ ン ス
ロ ・ノル マ ン語 36r → フ ラ ンス語 387l
443l
イ リ ュ ロ ・ ロ マ ン ス 語 → ロマ ン ス諸
→ ロマ ン ス諸語 545l ア ン グ ロ ・ ノ ル マ ン方 言 → ア ン グ
ア ス ト ゥ リ ア ス 方 言 → ポ ル トガ ル語
ロマ
ンス諸 語 546r イ ベ ロ ・ロ マ ン ス 諸 語 77l
ア ン グ ロ ・ノ ル マ ン 語 36l
ギ リシ ア語
イ ベ ロ ・ロ マ ン ス語 系 言 語 →
ア ン グ ル 方 言 → 古 サ ク ソ ン語 172 r
ア カ イ ア 方 言 → ギ リ シア語 154l
ケ ル ト語 派
164l
ロマ ンス諸 語 541l
レ ト ・ロ
イ ス パ ニ ア 語 → ス ペ イ ン語 225r
l→ レ ト ・ロ マ ンス諸 語 512r → ロマ ンシ ュ語 536r ヴ ァ リス ・ ドイ ツ語
→
ドイ ツ 語
278r ヴ ァ ン ダ ル 語 91l → ブ ル グ ン ド語 410l ヴ ァ ン ヌ 方 言 → ブ ル トン語 412r ヴ ィェ ル コ ポ ル ス カ方 言 → ポー ラン ド語 438r
イ タ リ ア 語 38l
ヴ ィ ゼ メ 方 言 → ラ トヴ ィア語 482l
イ タ リ ッ ク 語 派 52r
ヴ ェ ー ザ ー ・ ラ イ ン ・ゲ ル マ ン 語
→ イ ン ド ・ヨー ロ ッパ 語 族 79l → ラテ ン語 459l イ タ リ ッ ク 諸 方 言 → イ タ リ ッ ク語 派
→
ドイ ツ語 262l
ウ ェ ス ト ・サ ク ソ ン方 言 112r
→ 英 語
ヴ ェ ス ト フ ァ ー レ ン語 →
ドイ ツ 語
→ プ ロ ヴ ァ ンス語 415r → ロマ ン ス諸語 544l
275l,276l ヴ ェ ッ リア語 →
ロ マ ン ス諸 語 549
,550r
オ ー ヴ ェ ル ニ ュ方 言 → プ ロ ヴ ァ ン ス
図3 ロマ ンス諸 語
542l
→ ロマ ンス 諸語545r
カ ド リー ノ 語 → ラデ ィ ン語 457l
オ ク シ タ ノ ・ ロ マ ン ス 語 → ロマ ンス
ヴ ェ ネ ト方 言 → イ タ リア語 39r
諸 語 545r
ドロ ミテ語 293l
415r
ウ ェー ル ズ語 94
lカ ドー レ方 言 →
オ ス ク ・ ウ ン ブ リ ア 方 言 → スペ イ ン 語225r
lウ ェ ー ル ズ 語 92r
→
ドイ ツ 語
ウ ェー ル ズ語
101r フ ラ ン コ ・プ ロ ヴ ァ ン
ス語 376l
オ ッ ク 語 = プ ロ ヴ ァ ン ス 語 415r
カ ラ ブ リ ア 方 言 → イ タ リア語 41l
→ ロ マ ンス諸 語 540l
→
ロ マ ン ス諸 語
ガ リ シ ア ・ポ ル ト ガ ル 語 → ガ リシ ア
544r
語 147l
106r
→ ポ ル トガ ル語 441r か
ウ ク ラ イ ナ ・イ デ ィ ッ シ ュ 語 → イ デ ィ ッ シ ュ語 66表4
カ シュブ方言 →
ウ ラ ル 祖 語 → エ ス トニ ア語 131l ウ ル フ ィ ラ ・ ゴ ー ト語 →
ポ ー ラ ン ド語 438
トガ ル語 448l ガル ダイナ方言 →
ドロ ミテ 語 293
r
ゴ ー ト語
カ シ ュ ー ブ 方 言 → ス ラ ブ語 派 234
180r →
ウ ン ブ リア 方 言 → イ タ リア語 39r
レフ諸 語 521l
ガ ス コ ー ニ ュ語 え
→
カル ニ ア語
諸 語 149r
エ ウ ス ケ ラ → バ ス ク語 312l
→
レ ト ・ロマ ンス諸語
512r カ ル ニ ア 方 言 → フ リウ リ語 395r
→ プ ロ ヴ ァ ン ス語 418r
ギ リシ ア語 154
ドロ ミテ語 293
ロマ ン ス諸 語
ガ ス コ ー ニ ュ 方 言 → ガ ロ ・ロ マ ン ス
エ ウ ス カ ラ → バ ス ク語 312l
レ ト ・ロ マ ンス諸 語 512r
ガ ル デ ー ナ方 言 →
545r
英 語 109r
lガ ル ダ イ ナ 語 → ラ デ ィ ン語 457l →
l
エ ウボ イ ア方 言 →
ガ リ シ ア ・ポ ル トガ ル 文 語 → ポ ル
→ セ ル ビア ・ク ロ ア チ ア語 243l
→ ロ シア語 529r
,447r
→ ロ マ ンス諸 語 547r
カ イ 方 言 → ス ロ ベ ニ ア語 242l
ウ ラ ジ ー ミル ・沿 ヴ ォ ル ガ 方 言 群
→ レ ト ・ロマ ン ス諸語 514r
カ ス テ ィ ー ヤ 語 = ス ペ イ ン 語 225
r
カ レ リア 方 言
→
フ ィ ン ラ ン ド語
358r
エ ス ク ア ラ → バ ス ク語 312l
rカ ス テ ィ ー ヤ 方 言
エ ス トニ ア 語 116r
スペ イ ン語
エ ル ザ ス ・イ デ ィ ッ シ ュ語
ロマ ンス諸 語
547r →
イ
デ ィ ッ シュ語 66表4
ドイ ツ語 262
→
ガ リ シア 語
→
ドロ ミテ語
442l
293r
カ タ ル ー ニ ャ語
オ イ ル 語 → フ ラ ンス語 378l,387l
→ ガ ロ ・ロ マ ンス諸 語 149l
ガ ロ ・ ブ リ ト ン 諸 語 → ケ ル ト語 派 165l
→
ロ マ ン ス諸 語
540l お
ガ ロ ・ イ タ リ ア 諸 方 言 → イ タ リア語
→ ロ マ ンス諸 語 542r
カ ス テ ィ ー リ ャ 方 言 → ポ ル トガ ル 語
カ タ ラ ン 語 = カ タ ロ ニ ア 語 140l lエ ン ガ デ ィ ン 方 言
レ ト ・ロマ ン ス
39l
カ ス テ ィ ー リ ャ語 147l
ドロ ミテ 語 292r
ガ ロ ・イ タ リア 語 → 諸 語 519l
カ ス テ ィ リア 方 言 →
エ リ ス 方 言 → ギ リシ ア語 154l
エ ル ベ ゲ ル マ ン語 →
→
225r
エ ミ リ ア 方 言 → イ タ リア語 39r
エ ル ト方 言 →
ガ リ シ ア 方 言 → ガ リシ ア語 147l → ス ペ イ ン語 228r
オ ル レア ン方 言 ウクライナ語
ガ リ シ ア 語 146r → ポル トガ ル語 442図1
オ ラ バ 方 言 → ス ロバ キ ア語 239r オ ラ ン ダ 語 133r
→
ドイ ツ語 277l
ガ リ ア 語 → ケ ル ト語 派 163r フ ラ ン コ ・プ ロ
ヴ ァ ン ス語 375表
331r
レフ諸 語 520r
上 ラ ウ ジ ッ ツ語 →
ヴ ォ ル 方 言 → エ ス トニ ア語 128l
ウ ク ラ イ ナ 語 106r
→ ソ ル ブ語 246r
オ ー ス ト ラ リ ア 英 語 → 英語 109r
オ ー トヴ ィル 方 言 →
ヴ ォ ル ガ ・フ ィ ン諸 語 → バ ル ト語 派
ドロ ミテ語 292r
カ ナ ダ の 英 語 → 英 語 110r
→
275l,276l
ウ ェ ー ル ズ 語(生 き た)→
ウ ク ライ ナ 文 語
ドロ ミテ 語 293
上 ソ ル ブ 語 → ス ラ ブ語 派 234l
オ ス ト フ ァ ー レ ン語
→ ケ ル ト語 派 163r
ヴ ォ ー方 言 →
→ レ ト ・ロマ ンス 諸 語 512r カ ド リー ノ方 言 →
オ ク シ タ ン 語 = プ ロ ヴ ァ ン ス語
→ フ リ ウ リ語 397r ヴ ェ ネ ドシ ア ン →
サ ル デ ー ニ ャ語
190l → ロマ ン ス諸 語 543l
語 418l
ヴ ェ ッ リ オ ー ト語 →
→
162r ガ ッ ル ー ラ方 言 →
カ タ ロ ニ ア 語 140l → ロマ ン ス諸 語 540l カ ッパ ドキ ア 方 言 → 近 代 ギ リシ ア語
ガ ロ ・ロマ ン ス語
→
フ ラ ンク語
372r → ロマ ン ス諸 語 544l ガ ロ ・ ロ マ ン ス 諸 語 149l カ ン パ ニ ア 方 言 → イ タ リア語 39r カ ン ピ ダ ー ノ 方 言 → サ ル デ ー ニ ャ語
190r
53r
→ ロ マ ン ス諸 語 543l
188r
共 通 ガ リ シ ア 語 → ガ リ シ ア語 147
カ ン ブ リ ッ ク 語 → ス コ ッ ト ラ ン ド. ゲ ー ル語 213r
北 ア レ マ ン語 →
語 545r図2
ドイ ツ語 281l
ス コ ッ トラ ン ド ・
ゲ ー ル 語 215l
語 419r 近 代 ポ ル トガ ル 語 →
北 イ デ ィ ッ シ ュ語 → イ デ ィ ッ シ ュ語 66表4
r→ ラテ ン語 460l 共 通 ゲ ル マ ン語
北 イ ベ ロ.ロ
マ ン ス 語 → ロ マ ン ス諸
語 549図3
語 126r
→
ゲ ル マ ン語 派 く
167r,170l
→ セ ル ビア ・ク ロ ア チ ア語 243l 共 通 チ ェ コ語 → チ ェ コ語 252l
北 エ ス ト ニ ア 文 語 → エ ス トニ ア 語 129r
共 通 ド イ ツ語 →
ドイ ツ語 283l
共 通 バ ス ク語 → バ ス ク語 313r
北 ギ リ シ ア 方 言 → ギ リシ ア語 155
共 通 フ リ ウ リ語 →
フ リウ リ語 397
r l北 ゲ ル マ ン 語 → ア イ ス ラ ン ド語 1l → イ ン ド ・ヨー ロ ッパ 語族 80l → ゲ ル マ ン語 派 168l
→
レ ト・ロ マ ンス諸 語 512r
共 通 ポ ー ラ ン ド語 →
ポ ー ラ ン ド語
ル ク語 498l
ドイ ツ語 262r
語 34r
北 ジ ー ベ ン ビ ュ ル ゲ ン語 →
ジー ベ ン
ビュ ル ゲ ン ・ザ クセ ン語 202r 北 上 部 ドイ ツ語 →
ドイ ツ語 275l
北 大 ロ シ ア 方 言 → ロ シア語 527r 北 ・中 部 オ ス ト ロ ボ ス ニ ア 方 言 → フ ィ ン ラ ン ド語 357r 北 低 地 ザ ク セ ン語 → l,276l
548r,549図3
ドイ ツ語 276r
ギ プ ス コ ア 方 言 → バ ス ク語 312r キ ュ ク ラ デ ス方 言
→
ギ リシ ア語
154r
諸 語 513l
キ ュ リ ロ ス ・ メ トデ ィ オ ス 語 → 古 代 教 会 ス ラ ブ語 177l 教 会 ス ラ ブ 語 150r
ギ リ シ ア 語 153l
共 通 イ タ リア語 →
フ リウ リ語 398
r
共 通 イ タ リ ッ ク 語 → イ タ リ ッ ク語 派
ゴ ー ト語
ク ー ル ラ ン ト ・イ デ ィ ッ シ ュ語 →
→ セ ル ビア ・ク ロ ア チ ア語 243l
→ セ ル ビア ・ク ロ ア チ ア語 243l ク ロア チ ア教 会 ス ラ ブ語 → 教会 スラ ブ語 152r ク ロ ア チ ア ・セ ル ビア語 →
語 族 78r
キ リ ス ト教 ラ テ ン 語
→
→ ラ トヴ ィア語 482l
ラ テ ン語 け
473l 近 代 ア イ ス ラ ン ド語 → 古 ノ ル ド語 188r
ゲ メ ル 方 言 → ス ロバ キ ア語 239r ゲ ー リッ ク語 群
→
島 嶼 ケ ル ト語
→
島 嶼 ケ ル ト語
287r
近 代 ギ リ シ ア 語 160l
ゲ ー リ ッ ク諸 語
近 代 ス ウ ェ ー デ ン語 → 古 ノ ル ド語
287r ゲ ー ル 語 群 → 島 嶼 ケル ト語 287r
→
古 ノ ル ド語
188r
ゲ ー ル 諸 語 → 島 嶼 ケ ル ト語 287r ケ ル ト語 派 163l
→ デ ン マ ー ク語 260l 近 代 ノ ル ウ ェー 語
ゲ グ 文 語 → ア ルバ ニ ア語 32l ゲ グ 方 言 → ア ルバ ニ ア語 32l
語 71l
近 代 デ ンマ ー ク語
セル ビ
ア ・ク ロ ア チ ア語 243l ク ロ ニ ア 語 → バ ル ト語 派 325r
188r
教 会 ラ テ ン語 → 英 語 111r
→
180r
ク ロア チ ア語 あ るい は セ ル ビア語
近 代 英 語 → 英 語 110r
r
ル ー マ ニ ア語
→ ス ロ ベ ニ ア語 241r
共 通 ロ マ ン シ ュ 語 → レ ト ・ロ マ ンス
近 代 イ デ ィ ッ シ ュ語 → イディッシュ
キ ュ プ ロ ス 方 言 → ギ リ シ ア語 154
→
510r
ク ロ ア チ ア 語 → ス ラブ語 派 234l
→ ル ー マ ニ ア語 511l
ギ リ シ ア 祖 語 → ギ リシ ア語 153r
北 フ リ ジ ア 語 → フ リジア語 402r
ク リシ ャナ 方 言
→ モ ル ダ ビア語 455l
lギ リ シ ア 語 派 → イ ン ド ・ヨ ー ロ ッパ
北 フ ラ ン ス 語 諸 方 言 → ロ マ ン ス諸 語
→ ロマ ン シュ語 539l
イ デ ィ ッ シュ語 66表4
ドイ ツ語 275r,
277r
グ ラ ウ ビ ュ ン デ ン ・ロ マ ン シ ュ語
ク レ タ 方 言 → ギ リ シア語 154l
ギ リ シ ア 語 口 語 → ギ リ シ ア語 159
北 バ イ エ ル ン語 →
→ レ ト ・ロマ ン ス諸 語 515r
→ バ ル カ ン ・ロ マ ンス諸 語 324r
極 北 方 言 → フ ィ ン ラ ン ド語 357r
ドイ ツ語 275
グ ラ ウ ビ ュ ン デ ン州 ロ マ ン シ ュ 語
ク ル シ ュ 方 言 → 古 プ ロ シア語 189l
共 通 ル ー マ ニ ア 語 → ア ・ル ー マ ニ ア
→ ノル ド語 304l
グ ド フ 方 言 群 → ロ シ ア語 529l
ク リ ミヤ ・ ゴ ー ト語
共 通 ル ク セ ン ブ ル ク 語 → ル クセ ン ブ
→ デ ンマ ー ク語 254r
グ エ ン シ ア ン → ウ ェー ル ズ語 94l
ク リ シ ャ ナ 語 → ロマ ン ス諸 語 541l
439r
→ ス ウェ ー デ ン語 205l
ポ ル トガ ル 語
447r
共 通 ス ラ ブ語 → ウ ク ライ ナ語 108l
北 エ ス トニ ア 語 諸 方 言 → エ ス トニ ア
北 マ ル ク語 →
→ ブル トン語 412r 近 代 プ ロ ヴ ァ ン ス 語 → プ ロヴ ァ ンス
共 通 ケ ル ト語 → 島嶼 ケ ル ト語 287
164l
→
近 代 ブ ル ト ン語 → イ タ ロ ・ケ ル ト語 群 55l
共 通 ゲ ール 語 →
北 イ タ リ ア ・ゴ ー ル 語 → ケ ル ト語 派
フ ラ ンス 語 385
r,389l r共 通 ガ ロ ・ロ マ ン ス 語 → ロ マ ンス諸
き
近 代 フ ラ ンス 語 →
→
→ イ ン ド ・ヨー ロ ッパ 語 族 79r 古 ノ ル ド語
ケ ル ト ・イ ベ リ ア語 →
ケ ル ト語 派
164l
289r
ゲ ル マ ン 語 派 167l
548r,,549図3
現 代 口 語 ウ ェ ー ル ズ語 → ウェールズ
→ イ ン ド ・ヨー ロ ッパ語 族 80l → ヴ ァ ン ダル語 91l
語 93r
原 西 ロ マ ンス 語
現 代 ス コ ッ ト ラ ン ド ・ゲ ー ル 語 →
ゲ ル マ ン 祖 語 → ゲ ル マ ン語 派 169l → ス ラブ祖 語 236l
ス コ ッ トラ ン ド ・ゲ ー ル語 218r 現 代 ス ペ イ ン語 → ス ペ イ ン語 232
→ ノル ウ ェー語 299l
l
ゲ ー ル ・ ラ テ ン 語 → イ タ リ ッ ク語 派 54l
7l
現代 デ ンマ ーク語 →
諸 語 549図3
現 代 デ ン マ ー ク 口 語 → デ ン マ ー ク語
現代 ドイツ語 →
ロ マ ン ス諸
語 548r 原 イ ベ ロ ・ロ マ ン ス 語 → ロ マ ンス諸 語 548r,549図3
89l ウ ェ ール ズ語 93
l
現 代 白 ロ シア 文語
→
白 ロ シ ア語
548r,549図3
イ タ リ ア語
マ ン ス諸 語 554l
53r
語 71l
現 代 フ ラ ン コ ・プ ロ ヴ ァ ン ス 語 → フ ラ ン コ ・プ ロ ヴ ァ ン ス語 375r
フ ラ ン ス語
377r
原 始 ハ ン ガ リー 語 →
ハ ンガ リー 語
344l
54l
ブ ル ガ リ ア語
409r 現 代 プ ロ ヴ ァ ン ス 語 → プ ロ ヴ ァ ンス
語 9r 現 代 ア ル バ ニ ア語 → 27l 現 代 ウ ェ ー ル ズ語 →
イ デ ィ ッ シ ュ語
ポ ル トガ ル 語
ウ ェール ズ語
現 代 ウ ク ラ イ ナ 文 語 → ウ ク ラ イ ナ語 108l
現 代 ラ ト ヴ ィア 語 →
ラ ト ヴ ィ ア語
現 代 リ トア ニ ア 語 →
リ トア ニ ア語
493r
現 代 ロ シア 標 準 語 →
ロ シ ア語 527
→ 古 ノル ド語 188r
古 ア イ ル ラ ン ド語 → イ タ リ ック 語 派
→ イ タ ロ ・ケ ル ト語 群 55l
→ ラテ ン語 459r 古 ア レ マ ン語 → ドイ ツ語 263図1 → フ ラ ン ク語 372r 島 嶼 ケ ル ト語
287r 島 嶼 ケ ル ト語
287r
r
r
フ リ ウ リ語
397r
群 55l → ウ ェ ール ズ語 93l → ラ テ ン語 459r
l,531r
現 代 ケ ル ト諸 語 → 島 嶼 ケル ト語
ゲ ル マ ン語 派
169l
古 ウ ェ ー ル ズ 語 → イ タ ロ ・ケ ル ト語
現 代 ガ リ シ ア 語 → ガ リシ ア語 148
原 ダ ル マ チ ア語
古 ア イ ス ラ ン ド語 →
コ イ ネ ー フ リ ウ リ語 →
481r
現 代 ロ シ ア 語 → ロ シア 語 531r
160l
こ
ゴ イ デ ル 諸 語 → 島嶼 ケル ト語 287
現 代 英 語 → 英 語 111l
l現 代 ギ リ シ ア語 =近 代 ギ リ シ ア語
ロマ ン ス諸 語 548
ゴ イ デ ル 語 群 → 島 嶼 ケ ル ト語 287
現 代 マ ケ ドニ ア 文 章 語 → マ ケ ドニ ア 語 450l
93l
549図3 原 ロマ ン ス語 →
ゴ イ デ リ ッ ク諸 語 →
現 代 ポ ル トガ ル 語 → 447r
ア ルバ ニア語
ロ マ ンス諸 語
ゴ イ デ リ ッ ク語 群 →
現代 ヘ ブ ライ語 → 71l
現 代 ア イ ル ラ ン ド語 → ア イ ル ラ ン ド
→
549図3
→ イ ン ド ・ヨー ロ ッパ 語 族 83l
r
語 416r イ タ リ ッ ク語 派
リ トア ニ ア 語
53l
現 代 ブ ル ガ リア 語 → l原 始 ノ ル ド語 → 古 ノル ド語 186l
→
489r
→ ブル グ ン ド語 410r
l
現 代 フ リ ウ リ語 → フ リ ウ リ語 396
原 始 サ ベ ル 語 → イ タ リ ッ ク語 派 54
原 リ トア ニ ア 語
フ ェー ロー語
現 代 フ ラ ン ス標 準 語 →
原 始 イ デ ィ ッ シ ュ 語 → イデ ィ ッ シ ュ
ウェ ール ズ語
101r
363l
現 代 フ ラ ン ス 語 → フ ラ ン ス語 390
原 始 イ タ リ ッ ク 語 → イ タ リ ッ ク語 派
ロマ ンス 諸 語
r,551l
語 360l
原 サ ル デ ー ニ ャ ・ロマ ンス語 → ロ
→
548r,549図3
原 レ ト ・ ロ マ ン ス語 → ロ マ ンス 諸 語
現 代 標 準 英 語 → 英 語 112l
現代 フ ェー ロー語 →
原 ケ ル ト語 → アイ ル ラ ン ド語 12l → 島 嶼 ケ ル ト語 287r
ロマ ン ス諸 語 545
r
原 ル ー マ ニ ア 語
現 代 標 準 イ タ リ ア語 →
現 代 フ ィ ン ラ ン ド語 → フ ィ ンラ ン ド
原 ガ ロ ・ロ マ ン ス 語 → ロマ ン ス諸 語
図3
現 用 ウ ェール ズ語 →
現 代 ノ ル ド語 → 古 ノル ド語 188r → ノ ル ド語 303l
44r
原 ウ ェ ー ル ズ語 →
諸語 548r,549図3
原 南 ロ マ ンス 語 ドイ ツ語 265r,
311r
原 印 欧 語 → イ ン ド ・ ヨー ロ ッパ 語 族
ロマ ンス 諸 語
原 バ ル カ ン ・ ロ マ ン ス 語 → ロマ ン ス
原 フ ラ ン ス語 →
285l
原 イ タ ロ ・ロ マ ン ス 語→
原 始 ブ リ ト ン語 →
デ ン マ ー ク語
255l
原 イ タ ロ ・西 ロ マ ン ス 語 → ロ マ ン ス
→
548r,549図3
原 東 ロ マ ン ス 語 → ロ マ ン ス語 549
256l
原 ア イ ル ラ ン ド語 → ア イ ル ラ ン ド語
ケ ン ト方 言 → 英 語 112r
→
ロマ ンス諸 語
549図3 原 中 央 ロ マ ンス 語 →
後 期 近 代 英 語 → 英 語 110r 後 期 近 代 ス ウ ェ ー デ ン語 → ス ウ ェ ー
ロ マ ン ス 諸 語
デ ン語 210r
後 期 近 代 デ ン マ ー ク語 → デ ンマ ー ク
黒 人 オ ラ ン ダ 語 → オ ラ ン ダ 語 138
語 260l
r
後 期 古 ス ウ ェ ー デ ン語 →
スウ ェ ー デ
ン語 210r
古 ゲ ル マ ン語 → ゴ ー ト語 184r
後 期 中 デ ン マ ー ク 語 → デ ンマ ー ク語
→
エ ス トニ ア語
古 高 ドイ ツ語
→
ドイ ツ 語 262r,
古 高 フ ラ ン ク 語 → フ ラ ン ク 語 372
128r,132l
古 コ ー ン ウ ォ ー ル 語 → イ タ ロ ・ケ ル ト語 群 55l
後 期 ラ テ ン語 → ラ テ ン語 472r 口 語 ウ ェ ー ル ズ語 →
ウ ェ ー ル ズ語
ドイ ツ語 275r,
278l 高 地 ア レ マ ン方 言 → ア ル ザ ス語 24
ドイ ツ語 262r
高 地 フ ラ ン ケ ン語 → ラ ンゴ バ ル ド語 483l
→
ドイ ツ語 262r
ドイ ツ語 277
→
バ ル ト語 派
331l
古 英 語 → イ タ リッ ク語 派 53l → 英 語 110r ドイ ツ語 263図1
古 サ ル デ ー ニ ャ 語 → サ ル デ ー ニ ャ語
古 ノ ル ド語 186l
r
→ ア イ ス ラ ン ド語 2l
191r 古 上部
ドイ ツ 語 →
ラ ン ゴ バ ル ド語
コ ス 方 言 → ギ リシ ア語 154l
→ フ ラ ンク語 372r
l
176r 古 代 チ ェ コ 語 → チ ェ コ語 248l
語 177l ウ ク ラ イ ナ 語 106
r
古 期 英 語 → 英 語 110r
→ ス ラ ブ語 派 234l
古 期 ケ ル ト語 → ア イ ル ラ ン ド語 18
→ 白 ロ シ ア語 307l
r
古 中 部 ドイ ツ 語 →
古 期 サ ル デ ー ニ ャ 語 → ロ マ ンス諸 語
172r
344l 古 期 ブ ル ガ リア 語 →
ラ ン ゴ バ ル ド語
483l
ゴ ッ ト ラ ン ド方 言 → ス ウ ェ ー デ ン語
古低
ドイ ツ 語 →
古 低 フ ラ ン ク 語 → オ ラ ン ダ語 135
409l 古 期 ポ ー ラ ン ド語 →
古 フ ラ ン ス 語 → アル ザ ス語 24l → フ ラ ン ス語 385r 古 フ リ ジ ア 語 → ドイ ツ語 263図1 → フ リジ ア語 400l 古 フ リー ジ ア語
→
古 サ ク ソ ン語
→ 古 ノル ド語 186r →
ス コ ッ トラ ン
古 ブ ル ガ リ ア 語 → イ ン ド ・ヨー ロ ッ パ 語 族 80l 古 ブ ル ト ン 語 → イ タ ロ ・ケ ル ト語 群 55l
古 プ ロ イ セ ン語
→
古 プ ロ シ ア語
古 プ ロ ヴ ァ ン ス語 →
プ ロ ヴ ァ ン ス語
188r
419r ポ ー ラ ン ド語
439r 古 期 リ トア ニ ア 語 →
ドイ ツ 語 263
→ ブル トン語 412r ドイ ツ 語 262r,
282l ブ ル ガ リア 語
→
図1
ド ・ゲ ール 語 212r
210r ハ ンガ リー 語
→ ラ ンゴバ ル ド語 483r図1
古 ブ リ ソ ニ ッ ク語
コ ッ ク ニ ー 方 言 → 英語 109r
551r 古 期 低 地 ド イ ツ 語 → 古 サ ク ソ ン語
古 フ ラ ン ク 語 → ケ ル ト語 派 166r
173l
→ 教 会 ス ラ ブ語 151r
語 71l
→ フ ラ ンク語 372r
古 フ ラ ン ケ ン語
古 代 ロ シ ア語 →
ドイ ツ 語 263
→ フ ラ ンク語 372l
古 代 ギ リ シ ア 語 → ギ リ シ ア語 153
古 代 ブ ル ガ リ ア 語 → 古 代 教 会 ス ラブ
語 6l
→
図1
古 フ ラ マ ン語 → オ ラ ン ダ語 135l
→ ス ラ ブ語 派 234l
古 期 イ デ ィ ッ シ ュ 語 → イ デ ィ ッシ ュ
古 期 ハ ンガ リー 語 →
古 ノ ル ド語
188r
古 期 ア イ ル ラ ン ド語 → ア イ ル ラ ン ド
→ イ タ リ ック語 派 53r 古 バ イ エ ル ン語
古 代 ス ラ ブ 語 → 古 代 教 会 ス ラブ語
古 オ ラ ン ダ 語 → オ ラ ン ダ語 135l → ドイ ツ語 263図1
ドイ ツ語 279r
古 ノ ル ウ ェ ー 語 → 古 ノ ル ド語 188
古 代 教 会 ス ラ ブ 語 176r
高 ナ バ ラ方 言 → バ ス ク語 312r
古 ドイ ツ 語 →
,282l
古 ス ウ ェ ー デ ン 語→
r
高 地 リ トアニ ア語
→ ロ マ ンス諸 語 549l
古 サ ク ソ ン 語 172r → ドイ ツ語 263図1
483l
高 地 プ ロ イ セ ン語 →
古 典 ラ テ ン語 → ス ペ イ ン語 225r → フ ラ ンス語 388l
コ ナ ハ ト方 言 → ア イ ル ラ ン ド語 20
r
高 地 ア レ マ ン語 →
r → デ ンマ ー ク語 260l
ゴ ー ト語 180r
古 ザ ク セ ン語 → 古 サ ク ソ ン語 172
105l
イ ン ド ・ヨ ー ロ ッパ 語 族
78r
→ ラ テ ン語 461r
r
→ フ ィ ンラ ン ド語 358r
古 典梵 語 →
古 デ ン マ ー ク 語 → 古 ノ ル ド語 188
279r
後 期 フ ィ ン祖 語
→
イ タ リック語派
53l
260l
l高 地 ドイ ツ 語 →
ドイ ツ 語 →
→ イ ン ド ・ヨー ロ ッパ 語 族 85r
l
プ ロ ヴ ァ ンス
語 418r
古 高地
後 期 古 ノ ル ド語 → 古 ノ ル ド語 186
古 典 プ ロ ヴ ァ ンス語 →
l→ フ ラ ン ク語 372l 古 典 ギ リ シ ア 語 → ギ リ シ ア語 153
リ トアニア語
487l 古 期 ロ シ ア 語 → ロ シ ア語 529r
l 古 典 サ ン ス ク リ ッ ト → イ ン ド ・ヨー ロ ッパ 語 族 78r
古 プ ロ シ ア 語 188r 古 ポ ル トガ ル 語
→
ポ ル トガ ル 語
441r,447r → ロマ ン ス諸 語 547r 古 ラ テ ン語
→
イ タ ロ ・ケ ル ト語 群
55l
200r
→ ラ テ ン語 461l 古 リ ヨ ン方 言 →
フ ラ ンコ ・プ ロ ヴ ァ
ンス語 376l
200r
l
542r
新 期 ハ ン ガ リ ー 語 → ハ ン ガ リー 語 344l
下 ソ ル ブ語 → ス ラ ブ語 派 234l → ソル ブ語 246r →
ロ マ ン ス諸 語 540l,
66表4 新 オ ラ ン ダ語 → オ ラ ンダ語 135l
→ ドイ ツ語 264r
コ リ ン ト ス 方 言 → ギ リシ ア語 154
コ ル シカ 語 →
新 イ デ ィ ッ シ ュ語 → イ デ ィ ッ シ ュ語
ジ ー ベ ン ビ ュ ル ゲ ン ・ザ ク セ ン 語
新 期 ポ ー ラ ン ド語 →
レフ諸 語 520r
下 ラ イ ン方 言 →
ポ ー ラ ン ド語
439r
ドイ ツ語 276l
新 高 ドイ ツ 語 →
ドイ ツ語 263図1,
コ ル シ カ 方 言 → イ タ リア語 39r
下 ラ ウ ジ ッ ツ語 →
コ ル ヌ ア イ ユ方 言
シ ャ リ シ方 言 → ス ロバ キ ア語 240l
新 低 ドイ ツ語 →
シ ャ ンパ ー ニ ュ方 言
新 ド イ ツ 語 → ドイ ツ語 279図4
→
ブ ル トン語
412r コ ー ンウ ォ ール 語
→
ケ ル ト語 派
→
フラ ンス語
387l →
163r
279r
ドイ ツ語 277l
新 フ リ ジ ア語 → フ リジ ア語 400l
ロマ ンス諸 語 544r
シ ュ ヴ ァ ー ベ ン語 → さ
新 ラ ウ ジ ッ ツ語 → ドイ ツ語 275
ドイ ツ語 275
シ ュ ヴ ァー ベ ン ・ア レマ ン語 →
シ ュ ト方 言 →
41l
ス イ ス ・ ドイ ツ 語 →
セ ル ビ ア ・ク ロ ア チ ア
ザ ク セ ン語 200r
シ ュ レ ジア語 →
→
ドイ ツ語 277l
シ ュ レ ー ジ エ ン語 →
サ サ ル 方 言 → 島 嶼 ケル ト語 289r
ドイ ツ語 277
シ ュ レ ス ヴ ィ ヒ語 →
190l
ドイ ツ語 276
l
→ ロ マ ンス諸 語 543l サ ッ サ リ 方 言 → 島 嶼 ケ ル ト語 289
→
ス ロバ キ ア 語
ス ウ ェ ー デ ン語 204r ス オ ミ語 = フ ィ ン ラ ン ド語 346l
ドイ ツ 語 275l,
ス カ ン ジ ナ ビ ア 語 = ノ ル ド語 303
→
ドイ ツ語 263l
サ ル デ ー ニ ャ語
189r → ロ マ ンス諸語 540l
,543l
ドイ ツ語 283
l ドイ ツ語 275
小 ロ シ ア 語 = ウ ク ラ イ ナ 語 106r
→
→ ロ シ ア語 521r
189r サ ル デ ー ニ ャ 語 189r → ロマ ン ス諸語 540l
ザ ン ク ト ・ガ レ ン ・ ドイ ツ 語 →
→
ル ズ語
フ ラ ン ス語
387l
ン ド語 8r
456r
初 期 現 代 フ ィ ン ラ ン ド語 → フ ィ ンラ
→
ドイ ツ語 263
初 期 南 ス ラ ブ語
ドイ ツ語 279図4 →
教 会 ス ラ ブ語
151l 初 期 ラ テ ン語 → ラ テ ン語 473l
ジ プ シ ー 語 = ロ マ ー ニ ー 語 533l
植 民 イ デ ィ ッ シュ語 → イデ ィッシュ
ル ク語 496l → ジ ー ベ ン ビュ ル ゲ ン ・ザ ク セ ン語
語 66表4 シ ロ ン ス ク方 言 438r
ズ デ ー テ ン ・イ デ ィ ッ シ ュ語 → イ
ス ピ シ 方 言 → ス ロバ キ ア語 240l ス ペ イ ン 語 225r ズ ボ レ ン 方 言 → ス ロバ キ ア 語 239r
シ チ リ ア方 言 → イ タ リア語 41l
ジ ー ベ ン ビ ュ ル ゲ ン 語 → ル クセ ンブ
レ ト ・ロマ ン ス諸語 512l
デ ィ ッ シ ュ語 66表4
図1,279r
シ チ リア 語 →
ラ デ ィ ン語
→ ロ マ ン シ ュ語 536l
初 期 新 高 ドイ ツ 語 →
初 期 ドイ ツ語 →
ロマ ンス 諸 語 548r,
→ ケ ル ト語 派 163r
初 期 近 代 英 語 → 英 語 110r
シ エ ナ 方 言 → イ タ リア語 39r
549図3
→ ノ ー ン語 306l
ス ッ トシ ル ヴ ァ ン語 →
ン ド語 359r し
ス コ ッ トラ ン ド ・ゲ ー ル 語 212
ス コ ッ トラ ン ド ・ゲ ー ル 語 212l
初 期 近 代 ア イ ル ラ ン ド語 → ア イ ル ラ ド
イ ツ語278r サ ン ト ン ジ ュ方 言
ウェ
93l
サ レ ン ト方 言 → イ タ リア語 41l
ノ ー ン語
r
初 期 ウェー ルズ語 → ,543l
→
305l ス コ ッ トラ ン ド英 語 → 英 語 109r
l,277r
サ ル デ ー ニ ャ語
ド ・ゲ ー ル 語 212l ス コ ッ ト ラ ン ド方 言
上 部 フ ラ ン ケ ン語 →
サ ルデ ィニア語 →
l ス コ ッ トラ ン ド語 = ス コ ッ ト ラ ン
,275l
上 部 ドイ ツ文 章 語 → →
ス ウ ェ ー デ ン語
上 部 ザ ク セ ン語 →
上 部 ドイ ツ 語 → アル ザ ス 語 24l
239r サ ル ジ ニ ア語
スヴ ェー ア方言 → 210r
277l
ザ ー ホ リエ方 言
→ ラデ ィ ン語 457l
小 ア ジ ア 方 言 → ギ リシア 語 154r
r サ ボ 方 言 → フ ィ ン ラ ン ド語 357r
ドロ ミテ語
293l
→ レ ト ・ロ マ ンス諸 語 515r
l
サ ル デ ー ニ ャ語
ドイ ツ語 262
l ス イ ス ・ロマ ン シ ュ語 →
語 243l ジ ー ベ ン ビュ ル ゲ ン ・
す
ド
イ ツ語 275r,278l
r,278l 最 南 部 イ タ リア 諸 方 言 → イ タ リア語
サ ッサ リ方 言
ドイ ツ語 277l
新 ロ シ ア 語 → ロ シ ア語 531r
r,278l
最 高 地 ア レ マ ン語 →
ゼ ク セ ン語 →
ドイ ツ語 282l
ス ラ ブ 語 → ポ ラブ語 420r ス ラ ブ 基 語 → ロ シア語 529r
→
ポ ー ラ ン ド語
ス ラ ブ 語 派 233l → イ ン ド ・ヨー ロ ッパ 語 族 80l
ス ラ ブ 祖 語 236l
デ ン語 210r
ス ー ル 方 言 → バ ス ク語 312r スル シ ル ヴ ァ ン語
→
ラ デ ィ ン語
456r →
語 260l
レ ト・ロマ ンス諸 語 512l
レ ト ・ロマ ンス諸 語 512r
→ ロ マ ン シ ュ語 536l ス ロ ヴ ィ ン ツ方 言
l
ポ ー ラ ン ド語
前 期 中 デ ン マ ー ク 語 → デ ンマ ー ク語
→
中 央 ・西 イ デ ィ ッ シ ュ 語 → イデ ィ ッ
→ フ ィ ンラ ン ド語 360r
ス ロ ビ ン ツ 語 → ス ラ ブ語 派 234l
シ ュ語 68表7
前 古 期 ア イ ル ラ ン ド語 → 島 嶼 ケ ル ト
ス ロ ベ ニ ア 語 241r
中 央 ・東 イ デ ィ ッ シ ュ 語 → イ デ ィ ッ
語 288r 前 古 期 ケル
せ
シュ語 68表7 ト語
→
島 嶼 ケ ル ト語
中 央 部 ロ グ ドー ロ方 言 → サ ル デー ニ ャ語 190r
前 ハ ン ガ リー語
→
ハ ン ガ リー語
中央 レ ト ・ロマ ンス語 →
288r
ス ロ バ キ ア 語 240
r
344l
中 央 ロマ ン シ ュ語 → そ
西 部 ス ロ バ キ ア 方 言 → ス ロバ キ ア語 240r
r
→ ロマ ンス諸 語 549l
210l
語 7r
レフ諸 語 520r
西 部 ノル ウ ェー語 諸 方 言 → アイスラ
ス ラ ブ語 派
234r
語 71l
大 陸 ゲ ル マ ン 語 → オ ラ ン ダ語 136 l
西 方 群 レ フ 方 言 → ス ラ ブ語 派 234 r
r
→
フ リジ ア 語
ゼ ム ガ リ ア 語 → ラ トヴ ィア語 482l
→ ロ マ ン ス諸 語 552l ダ コ ・ル ー マ ニ ア 語 = ル ー マ ニ ア 語 502r
ゼ ム プ リー ン方 言 →
→ ロ マ ンス諸 語 541l
240l セ リ ゲ ー ル ・ トル ジ ョ ー ク 方 言 群 → ロ シ ア語 529r セ ル ビ ア 語 → ス ラ ブ語 派 234r
ダ コ ・ロマ ン ス →
ロ マ ンス 諸 語
タ ル テ シ ア 語 → ス ペ イ ン語 231l タ ル ト方 言 → エ ス トニ ア語 128l
ダ ル マ チ ア方 言
→
教 会 ス ラ ブ語
152r
セ ロ ニ ア 方 言 → ラ トヴ ィア語 482l 前期 近 代 ス ウ ェ ー デ ン語 → スウェー
古 ノ ル ド語
→
古 ノ ル ド語
中 期 ハ ン ガ リー 語 → ハ ンガ リー語 344l フ ラ ンス 語 385
r,388l 中 期 フ リ ジ ア語 →
フ リジ ア語 400
l ち
セ ル ビ ア ・ク ロ ア チ ア 語 242r
→ ラ トヴ ィ ア語 482l
中 期 ノ ル ウ ェー語
中 期 フ ラ ン ス語 →
語 151l,152l
ク ロ ア チ ア 語 242r
→
188r
→ ソル ブ語 246l
セ ロ ニ ア 語 → バ ル ト語 派 325r
172r
188r
548l
ダ ル マ チ ア 語 247r
セ ル ボ ・ク ロ ア チ ア 語 = セ ル ビ ア ・
l
中 期 デ ン マ ー ク語
→ セル ビア ・ク ロア チ ア語 243l
セ ル ビア教 会 スラ ブ 語 → 教 会 スラブ
中 期 オ ラ ン ダ 語 → オ ラ ン ダ語 135
中 期 低 地 ド イ ツ 語 → 古 サ ク ソ ン語
ゼ ム ガ レ方 言 → ラ トヴ ィア語 482l ス ロバキ ア語
→ ウ ェ ー ル ズ語 93l 中 期 英 語 → 英 語 110r
大 ロ シ ア 語 → ロ シア 語 521r ダ キ ア 語 → ア ル バ ニ ア語 26r
セ ミガ リ ア 語 → バ ル ト語 派 325r
中 期 ウ ェ ー ル ズ 語 → イ タ ロ ・ケ ル ト 語 群 55l
大 陸 部 フ リジ ア語 402r
セ ー ケ イ 方 言 → ハ ン ガ リー 語 343
→ イ タロ ・ケ ル ト語 群 55l 中 期 イ デ ィ ッシ ュ語 → イデ ィッシュ
た
ン ド語 1l →
イデ ィ ッ シ ュ
中 期 ア イ ル ラ ン ド語 → ア イ ル ラ ン ド
ドイ ツ語 275l
ソル ブ諸語 →
中 間 イ デ ィ ッ シュ語 → 語 68表7
ソ ル ブ 語 246l →
レ ト ・ロ マ ンス
諸 語 513l 俗 ラ テ ン 語 → ラテ ン語 471l
西 部 ノ ル ウ ェ ー 語 → ス ウ ェ ー デ ン語
ドロ ミテ語
293l
西 低 ナ バ ラ方 言 → バ ス ク語 312r
西 部 トス カ ナ 方 言 → イ タ リア 語 39
ロマ
ン シ ュ語 536l
エ ス トニ ア 語
132l
西 方 群 非 レフ方 言
語 66表3,68表5 中 央 グ ラ ウ ビ ュ ンデ ン方 言 →
前 期 フ ィ ン祖 語
438r ス ロ バ キ ア 語 237l
聖 書 チ ェ コ語 →
中 英 語 → 英 語 110r 中 央 イ デ ィ ッシ ュ語 → イデ ィッシュ
260l
→
チ ャ方 言 → 教 会 ス ラ ブ語 152r → セル ビ ア ・ク ロア チ ア語 243l
ン語 210r 前 期 古 ノ ル ド語 → 古 ノ ル ド語 186
ス ル ミ ラ ン語 → ラデ ィ ン語 456r
チ ェ コ ・ス ロ バ キ ア 諸 語 → レ フ諸 語 520r
前 期 古 ス ウ ェ ー デ ン語 → ス ウ ェ ー デ
→ ロ マ ンシ ュ語 535r
→
248l
前 期 近 代 デ ン マ ー ク語 → デ ンマ ー ク
中 期 ブ ル ガ リア語 地 域 イ タ リ ア 語 → イ タ リア語 39l チ ェ コ 語 248l
ブ ル ガ リ ア語
中 期 ブ ル ト ン 語 → イ タ ロ ・ケル ト語
チ ェ コ文 語 → チ ェ コ語 250r チ ェ コ 教 会 ス ラ ブ 語 → 教 会 ス ラ ブ語 152r チ ェ コ ス ロバ キ ア 語
→
409r
群 55l 中 期 プ ロ ヴ ァ ン ス語 → プ ロ ヴ ァ ンス 語 419r
→
チ ェ コ 語
中 期 ポ ー ラ ン ド語 →
ポ ー ラ ン ド語
439r
チ ュ ー リ ヒ ・ ドイ ツ 語 →
中 期 ポ ル トガ ル 語 →
ポ ル トガ ル 語
ドイ ツ語
278r
443l,447r
ト ゥ リ ェ ツ方 言 つ
中 期 ロ シ ア 語 → ロ シア語 530r 中 高 ドイ ツ 語 →
ドイ ツ語 263図1,
279r →
ツ ァ コ ニ ア方 言 → 近 代 ギ リシア語
て
l
ト ス カ ナ 諸 方 言 → イ タ リア語 39r
テ ィ サ 方 言 → ハ ンガ リー 語 343l
ト ス カ ナ 方 言 群 → イ タ リア語 39r
低 地 ア レマ ン語 →
ト ス ク 方 言 → ア ル バ ニ ア 語 32l
ドイ ツ語 275r,
278l
中 世 ギ リ シ ア 語 → ギ リ シ ア語 153
ド ナ ウ 方 言 → ハ ンガ リー 語 345l
低 地 ア レ マ ン方 言 → ア ルザ ス語 24
151r
低 地 ザ ク セ ン語 →
ドイ ツ語 282l
低 地 ス コ ッ ト ラ ン ド方 言 → ノ ー ン語
中 世 ブ ル ガ リア語 → 教 会 ス ラブ語
低地
305r ドイ ツ 語 262r,
→
ガ リシ ア語
148l
→ ラ テ ン語 474l
279r,282l
語 39r →
ギ リシ ア語
154r
ドイ ツ語 276
リ トア ニ ア語
デ ィ ミ シ ア ン → ウ ェー ル ズ語 94l
テ ュ ー リ ンゲ ン語 → →
ド イ ツ語
275r,277r
ドイ ツ語 275
r 中 部 ド イ ツ 語 → ア ル ザ ス語 24l
デ ン マ ー ク 語 254r
→
ラデ ィ ン語 457l
→
レ ト ・ロ マ ンス諸 語 513r
→ ロ マ ンス諸 語 542r な 中 ポ ン メ ル ン語 →
→
デ ンマ ー ク語
260r
ドイ ツ語 275l,
276r 中 マ ル ク語 →
ドイ ツ語 273r
ドイ ツ語 276r
ナ ポ リ方 言 → イ タ リア語 42r
中部 バ イ エル ン語 →
と
ドイ ツ語 275
r,277r
南 高 ナ バ ラ方 言 → バ ス ク語 312r ドイ ツ 語 262l
フ ラ ンク語 371
r,372r
→ フ ラ ン ク語 372r 中 部 フ ラ ンケ ン語 →
南東 イ デ ィ ッシ ュ語 → イデ ィッシュ
統 一 バ ス ク語 → バ ス ク語 312l 統 一 ロマ ン シ ュ語 →
中 部 フ ラ ン ク語 と高 地 フ ラ ン ク語
ル ゲ ン ・ザ ク セ ン語 200r
東 中 部 ドイ ツ 語 →
→
イ タ リア 語
南 部 ガ ロ ・ ロ マ ン ス 語 → ロ マ ン ス諸 語 545r図2
島 嶼 ケ ル ト語 287r →
フ リ ジア 語
402r ジー ベ ン ビ ュ
語 68表6 南 部 イ タ リア諸 方 言 39r
諸 語 513l
島 嶼 部 フ リジ ア語
→ ラ ン ゴバ ル ド語 483l 中 部 フ ラ ン ケ ン方 言 →
レ ト ・ロ マ ンス
島 嶼 方 言 → デ ンマ ー ク語 260l
ドイ ツ語 275
l,277l
南 部 トス カ ナ 方 言 → イ タ リア語 39 r
ジ ーベ ン ビュ ル ゲ
ン ・ザ ク セ ン語 200r 東 低 ナ バ ラ方 言 → バ ス ク語 312r
中 部 ロ シ ア 諸 方 言 → ロ シ ア語 527
島 部 方 言 → エ ス トニ ア語 126r ドゥ ブ ロ ヴ ニ ク方 言 →
南 部 ノ ル ド語 → 古 ノル ド語 186r 南 部 ノ ル マ ンデ ィ ー方 言 → ロマンス
中 部 マ ル ケ 方 言 → イ タ リア語 39r
r
ドロ ミテ語
292r
l,277l
デ ンマ ー ク文 語
中 部 フ ラ ンク語 →
レ ト ・ロ マ ンス諸 語 512r
ド ロ ミ テ ・ ラ デ ィ ン語 →
テ ラ方 言 → ギ リ シア語 154l
中 部 オ ッ ク語 → ロ マ ン ス諸 語 545
ス ロ バ キ ア語
ド ロ ミ テ 語 292r →
489r
中 部 イ タ リ ア 諸 方 言 → イ タ リア語 39r
ブル トン語 412r
ト レ ンチ ー ン方 言 → 239r
r
テ ッ サ リ ア 方 言 → ギ リ シア 語 154
中部 オ ー ス トリア語
r トレギ エ方 言 →
低 ナ バ ラ 方 言 → バ ス ク語 312r
中 部 イ オ ニ ア方言
ドー リ ス方 言 → ギ リ シア語 154l
ドイ ツ語 263
r,275l,276l
低 地 リ トア ニ ア方 言 →
中 ・南 部 イ タ リ ア 方 言 群 → イ タ リア
ド ー リ ア 方 言 → イ タ ロ ・ケ ル ト語 群
トル ナ バ 方 言 → ス ロバ キ ア 語 239
低 地 プ ロ イ セ ン語 →
ドイ ツ語 263図1,
プ ロ ヴ ァ ン ス語
418l
→ ラテ ン語 461l
→ フ ラ ン ク語 371r 低 地 フ ラ ンケ ン語 →
中 世 ラ テ ン語 → ギ リシア語 157r
ドー フ ィー ヌ方 言 →
55l
低 地 フ ラ ン ク 語 → オ ラ ン ダ語 136 l
r
中 世 ポル トガル 語
ハ ン ガ リ ー 語
ド ラ ベ ン語 → ポ ラ ブ語 420r
ドイ ツ 語 → 273r
中 世 ブ ル ト ン語 → ブ ル トン語 412
→
343l
中 世 ノ ル ド語 → ゲ ル マ ン語 派 171l → ノ ル ド語 303r
152l
ドナ ウ以 西 方 言
l
中 世 古 期 ロ シ ア語 → 教 会 ス ラブ語
→
都 市 フ リ ジ ア 語 → フ リ ジ ア語 401 l
303l
ポ ル トガ ル語 441r
ス ロ バ キ ア 語
ト ス カ ナ 語 → ロマ ンス諸 語 542r
ノ ル ド語
中 世 ガ リ シ ア ・ ポ ル トガ ル 文 語 →
→
239r
162r
中 世 ア イ ス ラ ン ド語
中 低 ドイ ツ 語 →
542l 東 北 海 岸 方 言 → エ ス トニ ア語 128l
ロマ ンス諸 語
諸 語 544r 南 方 中 間 イ デ ィ ッシ ュ語 → イディッ シ ュ語 68表7
南 方 西 イ デ ィ ッ シ ュ語 →
セ ン ブル ク語 497r
イデ ィ ッ
シ ュ語 68表7
西 ラ ウ ジ ッツ語 →
南 方 東 イ デ ィ ッシ ュ語 →
イデ ィ ッ
シ ュ語 68表7
バ ス ク ・ コ ー カ ス 語 族 → バ ス ク語
ドイ ツ語 277l
312r バ ー ゼ ル ・ ドイ ツ語
西 ロ シ ア 語 → 白 ロ シ ア語 311r 西 ロ マ ニ ア 諸 語
→
ロマ ン ス諸 語
バ デ ィー ア方 言 →
548l に 西 ア ー カ ニ エ方 言 群
→
ロ シ ア語
西 ロ マ ン ス 諸 語 → イ タ リア語 46l ニ ト ラ 方 言 → ス ロバ キ ア語 239r ニ ー ノ シ ュ ク →
529r 西 イ オ ニ ア 方 言 → ギ リシ ア語 154r
→
ロ シ ア語
ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド英 語 → 英 語 109
→
レ ト ・ロ マ ンス諸 語 512r
ハ ナ 上 位 方 言 → チ ェ コ語 252l
ニ ュ ー ノ シ ュ ク → ノル ド語 303r
ハ ナ 方 言 → チ ェ コ語 251r
ぬ
ロ マ ン ス諸 語
546r
バ ナ ー ト方 言 → ル ー マ ニ ア語 510
ヌ オ ロ 方 言 → サ ル デ ー ニ ャ語 190r
西 カ タ ロ ニ ア方 言 →
カ タロニ ア語
140l
→
ロマ ンス諸 語 543l
ヌオ ロ市 方 言
西 カ ル パ チ ア 方 言 → イ デ ィ ッ シュ 語
→
r バ ナ ト ・シ ュ ヴ ァー ベ ン語 →
サ ル デ ー ニ ャ語
195r
ドイ
ツ語 264r ハ メ 方 言 → フ ィ ン ラ ン ド語 357r
69l
バ ル カ ン諸 語 → ア ル バ ニ ア語 30l ね
西 ギ リ シ ア 方 言 → ギ リ シ ア語 154r
バ ル カ ン ・ ロ マ ン ス 語 → ロ マ ンス諸
ネ ー ゼ ン方 言 → 西 ゲ ル マ ン 語 → イ ン ド ・ ヨー ロ ッパ
ジー ベ ン ビュル ゲ
ン ・ザ クセ ン語 202r
語 540r バ ル カ ン ・ ロ マ ン ス 諸 語 324l
語 族 80l
バ ル ト語 派 325l の
→ ゲル マ ン語 派 167r → 古 サ ク ソ ン語 172r ドイ ツ語 262l
西 ゴ ー ト語 → ゴー ト語 180r 西 上 部 ドイ ツ語 →
→ イ ン ド ・ヨー ロ ッパ 語族 80l
ノ ヴ ゴ ロ ド方 言 群 →
ロ シア 語 529
l
→ ブル グ ン ド語 410l
ドイ ツ語 275r
ノ ル ウ ェ ー方 言
→
ノルウェー語
ノ ル ド語 303l ノ ル マ ン方 言 → ア ン グ ロ ・ノ ル マ ン
西 ス ロ ヴ ァ キ ア ・イ デ ィ ッ シ ュ 語 → イ デ ィ ッ シ ュ語 66表4 西 中 央 イ デ ィ ッ シ ュ語 → イデ ィッ シ ュ語 66表3
332r
語 36l
ドイ ツ語 275l,
277l
→ ガ ロ ・ロ マ ンス諸 語 150l ひ
,387l
→ ロ マ ンス諸 語 545l
ピ エ モ ン テ 方 言 → イ タ リア語 39l 東 ア ー カ ニ エ 方 言 群
→ デ ンマ ー ク語 254r → ノル ウ ェー語 296r 西 バ ル ト語 → バ ル ト語 派 327l フ ラ ン ク語 371r,
372l
バ イ エ ル ン語 →
レ ト ・ロマ ン ス諸 語
西 フ リ ジ ア 語 → フ リジ ア語 400r
東 イ オ ニ ア 方 言 → ギ リシ ア 語 154r → フ ラ ン ク語 372r
東 イ デ ィ ッ シ ュ 語 → イ デ ィ ッ シ ュ語
バ イ エ ル ン 方 言 → ル ク セ ン ブル ク語 497r バ イ エ ル ン ・オ ー ス ト リ ア 語 →
ド
西 モ ー ゼ ル フ ラ ン ケ ン方 言 → ル ク
→ ロ シ ア語 521r バ ー ジ ン諸 島 ピ ジ ン ・ オ ラ ン ダ 語 → オ ラ ン ダ語 138r
59r 東 オー カ ニ エ方 言 群
イ ツ語 275l,277r
バ ス ク 語 312l
ロ シ ア語
ドイ ツ語 277r
白 ロ シ ア 語 306r
512r
→
529r は
西 低 ナ バ ラ方 言 → バ ス ク語 312r
→ ス ウ ェ ー デ ン語 205l
イ
デ ィ ッ シ ュ語 66表4
ドイ ツ語 275l
西 ノ ル ド語 → ア イ ス ラ ン ド語 1l
ハ ンガ リー ・イ デ ィ ッ シ ュ語 →
ル マ ン語 36l
ノ ー ン 語 305l
西 低 地 ドイ ツ語 →
パ ロ ー ツ 方 言 → ハ ンガ リー語 343l ハ ン ガ リー 語 335r
ノ ル マ ン デ ィ ー 方 言 → ア ン グ ロ ・ノ
→ フ ラ ンス語 377r
西 中 部 ドイ ツ 語 →
333l バ ル ト ・ ス ラ ヴ 祖 語 → バ ル ト語 派
296r
西 ス ラ ブ語 → ス ラ ブ祖 語 236r 西 ス ラ ブ諸 語 → チ ェ コ語 250r
バ ル ト祖 語 → ス ラ ブ祖 語 236l → バ ル ト語 派 327表1 ,330l バ ル ト ・ ス ラ ヴ 語 派 → バ ル ト語 派
ノ ル ウ ェ ー 語 296r
西 ス ラ ブ → ス ラ ブ語 派 234l
西 フ リ ウ リ語 →
ラ デ ィ ン語 457
バ ナ ー ト語 → ロマ ン ス諸 語 541r
西 カ タ ル ー ニ ャ語 →
西 フ ラ ン ク語 →
ド ロ ミテ 語
l
529l
→
→
292r バ デ ィ オ ッ ト語 →
r
西 オ ー カ ニ エ方 言 群
ドロ ミテ語 293
バ デ ィ オ ッ ト方 言
ス ウ ェ ー デ ン語
210l
59r
ドイ ツ語
r
→ ノ ル ウ ェ ー語 296r 西 イ デ ィ ッ シ ュ語 → イ デ ィ ッシ ュ語
→
278r
→
ロ シア 語
529l 東 カ タ ル ー ニ ャ語 →
ロ マ ンス諸語
546r 東 カ タロ ニア方 言 →
カ タ ロニア語
140r 東 ギ リ シ ア 方 言 → ギ リシ ア 語 154 r
東 ゲ ル マ ン語 → ヴ ァ ン ダル 語 91l → ゲ ル マ ン語派 168l → 古 サ ク ソ ン語 172r →
→ レ ト ・ロマ ンス諸 語 512r → ロマ ン シ ュ語 536r
→ ブ ル グ ン ド語 410l
東 上 部 ドイ ツ 語 →
標 準 イ ギ リス 英 語 → 英 語 110l
ドイ ツ語 275l
東 ス ラ ブ → ス ラブ語 派 234l
→ 白 ロ シア語 307r
フ ラ ン シ ア ン語
標 準 イ デ イ ッ シュ語 → イデ ィッシュ
フ ラ ン シ ア ン方 言
語 62l,71l
イデ ィッ
l → 近代 ギ リシア語
162l
東 中 部 ドイ ツ 語 →
ジー ベ ン ビ ュル ゲ
東 中 部 ドイ ツ文 章 語
→
標 準 ス ロ バ キ ア語 → ド イ ツ語
283l
ス ロバ キ ア語
240l ドイ ツ語 262r
ドイ ツ語 275l
デ ン マ ー ク語
→ デ ンマ ー ク語 254r
フ ァ ッサ 方 言 →
→ ノ ル ウ ェー語 296r
東 フ ラ ン ク語 →
ドロ ミテ語 293l
フ ァ レ リイ ー 方 言 →
ラテ ン語 461
r
東 バ ル ト語 → バ ル ト語 派 327l
372r,373l
フ ィ レ ン ツ ェ 方 言 → イ タ リア語 39r
277r
フ ィ ン祖 語 → エ ス トニ ア語 131l → フ ィ ンラ ン ド語 357r
東 フ ラ ン ケ ン方 言
→
フ ラ ン ク語
371r
フ ィ ン ・ ウ ゴ ル 祖 語 → エ ス トニ ア 語 131l
東 フ リ ジ ア 語 → フ リジ ア語 402l 東 ポ ン メ ル ン語 →
ドイ ツ語 276r
フ ィ ン ラ ン ド語 346l フ ェ ー ロ ー 語 362r
東 ラ ウ ジ ッツ語 →
フ ォ ドム 語 → ラ デ ィ ン語 457l
ドイ ツ語 277l →
フ リ ウ リ語
396l 東 ロマ ニ ア諸 語
→
ロ マ ンス諸 語
548l ピ カ ル デ ィ方 言 → フ ラ ン ス語 387 l ピ カ ル デ ィ ー 方 言 → ガ ロ ・ロ マ ンス 諸 語 150l → ロマ ンス諸 語 544r ピ ジ ン ・イ ン グ リ ッ シ ュ → 英 語 109r
ドロ ミテ語 293l
ブ ー ク モ ー ル → ノ ル ウ ェ ー 語 296 r プ ス コ フ方 言 群 →
ロ シア語 529r
ブ ラ ジ ル ・ポ ル トガ ル 語 369r
フ リ ー ス ラ ン ド語 = フ リ ジ ア 語 400l ブ リ ソ ニ ッ ク語 群 →
島 嶼 ケ ル ト語
→ ブル トン語 412l
287r ブ リ タ ニ ッ ク 語 群 → 島 嶼 ケ ル ト語 287r ブ リ タ ニ ッ ク 諸 語 → 島 嶼 ケ ル ト語
ブ リ テ ィ ッ シ ュ 語 群 → 島 嶼 ケ ル ト語 287r
287r ブ リテ ィ ッ シ ュ 方 言 → ウ ェ ー ル ズ語 93l ブ リ トニ ッ ク語 群 →
ブ リ トニ ッ ク 諸 語 →
島 嶼 ケ ル ト語
ブ ル ガ リ ア 語 403l
フ ラ ン ク 語 371r
ブ ル ガ リア 口 語
→ イ タ リア語 51l → フ ラ ンス語 379l → フ リウ リ語 398r
ヒ ス パ ノ ・ ロ マ ン ス → ロ マ ン ス諸 語
→ ロ マ ン ス諸 語 552r フ ラ ン ケ ン方 言 → アル ザ ス 語 24l → フ ラ ン ク語 371r
島 嶼 ケ ル ト語
287r
フ ラ マ ン 語 → オ ラ ンダ語 135l
→ ブ ル グ ン ド語 411l
ピ ュ テ ー ル 語 → ラデ ィ ン語 457l
フ リ ジ ア 語 400l
287r
ビ ス カ ヤ 方 言 → バ ス ク語 312r
548r
フ リ ウ リ語
ブ リ テ ィ ッ シ ュ 諸 語 → 島 嶼 ケ ル ト語
レ ト ・ロマ ンス諸 語 512r
フ ォ ドム 方 言 → →
→
395r
287r
→ フ ィ ンラ ン ド語 360r
東 モ ラ ビ ア 方 言 → チ ェ コ語 252l
東 ロマ ニ ア言 語 群
→ レ ト ・ロ マ ン ス諸 語 512r
ブ リ ソ ニ ッ ク 諸 語 → 島 嶼 ケ ル ト語 → ロマ ンス諸 語 542r
ドイ ツ語 275l,
プ ー リア 方 言 → イ タ リア語 41l
287r
フ ラ ンク語 371r,
東 フ ラ ンケ ン語 →
ドイ ツ語
語 395r
フ ァ ッサ 語 → ラデ ィ ン語 457l → レ ト ・ロマ ンス 諸語 512r
260l 東 ノ ル ド語 → ス ウ ェ ーデ ン語 205l
→
フ リ ウ リ 中 部 ・東 部 方 言 → フ リウ リ ふ
東 低 ナ バ ラ方 言 → バ ス ク 語 312r 東 デ ンマー ク方言 →
ブ ラ ン デ ン ブル ク語
フ リ ウ リ西 部 方 言
標 準 ドイ ツ 語 →
東 低 地 ドイ ツ 語 →
フ ラ ンス
語 387l
フ リ ウ リ語 395r
r
ドイ ツ語 275l,277l,283l
フ ラ ンス 語
275l,276r
標 準 ス ペ イ ン 語 → ス ペ イ ン語 225
ン ・ザ ク セ ン語 200r
→
フ ラ ン ス 語 377l
標 準 ギ リシ ア 語
シ ュ語 66表3
ロ マ ンス 諸 語
フ ラ ン シ ュ ・コ ンテ方 言 →
標 準 オ ラ ン ダ 語 → オ ラ ン ダ語 135
東 中央 イデ ィ ッシュ語 →
→
544r
377r,387l
標 準 英 語 → 英 語 113l
東 ス ラ ブ 諸 語 → ロ シ ア語 521l
ド
→ ロ マ ン ス諸 語 544r
標 準 イ タ リア 語 → イ タ リア語 39l → ロマ ンス 諸語 542r
東 ス ラ ブ 基 語 → ロ シア語 529r 東 ス ラ ブ 語 → ス ラブ祖 語 236r
フ ラ ン コ ・プ ロ ヴ ァ ン ズ 方 言 → ロ ミテ語 293r
r
東 ゴ ー ト語 → ブ ル グ ン ド語 411l
→
→ ロ マ ンス諸 語 540l
ピ ュ テ ー ル 方 言 → フ リ ウ リ語 396
ドイ ツ語 262r
フ ラ ン コ ・プ ロ ヴ ァ ン ズ 語 374l
→
ブ ル ガ リア語
409r ブ ル ガ リ ア 文 章 語 → 教 会 ス ラ ブ語 152l ブ ル ガ リ ア 方 言 → 古 代 教 会 ス ラ ブ語 177l ブ ル ガ リア教 会 ス ラ ブ語 → 教会 スラ ブ語 151l,152l
ブ ル グ ン ド語 410l
ニ ア 語 34r
語 68表7
ブ ル ゲ ン ラ ン ト ・イ デ ィ ッ シ ュ語 → イ デ ィ ッ シュ 語 66表4 ブ ル ゴ ー ニ ュ方 言
→
北 西 ギ リシ ア方 言
→
マ ゾ フ シ ェ方 言
154l
フ ラ ンス語
387l ロ マ ン ス諸 語
544r
マ ル ク語 →
→ ケ ル ト語 派 163r
プ ロ ヴ ァ ン ス 方 言 → プ ロ ヴ ァ ン ス語 416r,418r
ロ マ ン ス諸 語 545
み
北 部 ノ ル マ ン デ ィ ー 方 言 → ロマ ン ス
文 語 イ タ リア 語 → イ タ リア語 44l
諸 語 544r
文 語 イ デ ィ ッシ ュ語 → イデ ィッシュ 語 63l
南 ア フ リカ 英 語 → 英 語 109r
北 米 大 陸 の 英 語 → 英 語 110l
南 アル プ ス地 方 方 言 →
ボ ー ク モ ー ル → ノル ド語 303r 北 海 ゲ ル マ ン語 →
へ
ドイ ツ語 262l
米 語 → 英 語 115l
北 方 中 間 イ デ ィ ッシ ュ語 → イデ ィッ →
ダル マチ ア語
247r
南 イ ベ ロ ・ ロ マ ン ス 語 → ロ マ ンス諸 語 549図3
ドイ ツ語 275l,277
l
ポ ラ ブ 語 420r
語 60l
→
ポ ー ラ ン ド語
ン ド語 357r イ デ ィ ッ シ ュ語
南 オ ラ ン ダ 語 → オ ラ ン ダ語 135l 南 ギ リ シ ア 方 言 → ギ リ シ ア語 155
ポ ー ラ ン ド ・イ デ ィ ッ シ ユ語 → イ
フ ィ ン ラ ン ド語
358l表12
デ ィ ッ シ ュ語 66表4 ホ ル シュ タ イ ン語 →
ベ ル ン ・オ ー バ ー ラ ン ト ・ ドイ ツ 語 ドイ ツ語 278r
l南 ゲ ル マ ン語 → 古 サ ク ソ ン語 172 ドイ ツ語 276
r →
l ポ ル タ ヴ ァ ・キ エ フ 方 言 → ウ ク ライ
ドイ ツ語 278r
r
l ド
イ ツ語 264r
ベ ン ド語 = ポ ラ ブ 語 420r
南 ス ラ ブ 語 群 → セ ル ビ ア ・ク ロ ア チ
ロマ ン ス 諸 語 544
r
ポ ン トス方 言
南 ス ラ ブ → ス ラ ブ語派 234l 南 ス ラ ブ 語 → ス ラ ブ祖 語 236r
ボ ロ ー ニ ャ 方 言 → イ タ リア語 42r ポ ワチ エ方 言 →
ベ ン ド語 = ソ ル ブ 語 246l
ア語 243l 南 ス ラ ブ 諸 語 → ス ロバ キ ア語 240l
→
→ ス ロベ ニ ア語 242l
近 代 ギ リ シ ア語
→ ブ ル ガ リア語 403l
162r ほ 南 ま
ポ ア ト ゥ方 言 → フ ラ ンス語 387l ボ イ オ テ ィア方 言
→
ギ リ シア 語
154r ポ ウ イ シ ア ン → ウ ェー ル ズ語 94l
マ イ セ ン語 →
ドイ ツ語 277l
マ ウ ォ ポ ル ス カ 方 言 → ポ ー ラ ン ド語 438r
ポ キ ス 方 言 → ギ リ シア 語 154r
マ ケ ドニ ア 語 449r
北 欧 語 → ノル ド語 303l
マ ケ ド ニ ア 方 言 → 古 代 教 会 ス ラ ブ語
北 高 ナ バ ラ 方 言 → バ ス ク語 312r 北 西 イ デ ィ ッ シ ュ語 → イ デ ィ ッシ ュ
ジー
ベ ン ビュ ル ゲ ン ・ザ クセ ン語 201
ポ レ ス ク 方 言 群 → 白 ロ シ ア語 311
ベロ ロ シ ア 語 = 白 ロ シ ア 語 306r
ドイ ツ語 262r
南 ジ ー ベ ン ビュ ル ゲ ン方 言 →
ナ語 108l ポ ル トガ ル 語 441r
ベ ロ ル シ ア 語 = 白 ロ シ ア 語 306r
ペ ン シ ル ヴ ェ ニ ア ・ ド イ ツ語 →
ドイ ツ 語 275
南 オ ス ト ロ ボ ス ニ ア 方 言 → フ ィ ンラ
439l
69l
ベ リ ー 方 言 → フ ラ ン ス語 387l
ベ ル ン ・ ドイ ツ語 →
南 オ ー ス ト リア語 → r,277r
ポ ー ラ ン ド方 言 →
ベ ラ ル ー シ 語 = 白 ロ シ ア 語 306r
エ ス トニ ア 語
129r
ポ ー ラ ン ド文 語
ヘ ル シ ン キ方 言 →
南 エ ス トニ ア 文 語 →
ポ ー ラ ン ド語 422l
ヘ ブ ラ イ ・ ドイ ツ語 → イデ ィッシュ
→
語 126r
→ ス ラ ブ語 派 234l
r
南 エ ス トニ ア 語 諸 方 言 → エ ス トニ ア
シ ュ語 68表7 ボ ヘ ミ ア 方 言 → チ ェ コ語 251r
ベ ッ シ ュ ・ ド ・メ ー ル → 英 語 109
ロマ ン ス諸 語
545r
北 高 ナ バ ラ方 言 → バ ス ク語 312r
ヘ ッ セ ン語 →
ア イ ル ラ ン ド語
語 545r図2
プ ロ シ ア 語 → 古 プ ロ シ ア語 188r
ベ グ リ オ ッ ト方 言
→
20r
北 部 ガ ロ ・ ロ マ ン ス 語 → ロマ ン ス諸
→ ロマ ンス諸 語 545r
ドロ ミテ語 293l
マ ン島 語 → ケ ル ト語 派 163r マ ンス ター方言
r
ドイ
ツ語 275l,276r マ ロ方 言 →
39l 北 部 オ ッ ク語 →
ドイ ツ語 275l,276r
マル クブラ ンデ ンブルク語 →
北 部 イ タ リ ア 方 言 群 → イ タ リア 語
プ ロ ヴ ァ ン ス 語 415r
ポ ー ラ ン ド語
マ ニ 方 言 → 近 代 ギ リ シア語 162r
北 ・中 部 オ ス ト ロ ボ ス ニ ア 方 言 → フ ィ ン ラ ン ド語 357r
ブ ル ト ン 語 412l
→
438r
北 東 イ デ ィ ッ シュ語 → イデ ィッシュ 語 66表3,68表6
ブ ル タ ー ニ ュ方 言 →
→ ロマ ン ス諸語 541l
ギ リシ ア語
177l マ ケ ド ・ル ー マ ニ ア 語 = ア ・ル ー マ
大 ロ シ ア 方 言 → ロ シ ア語 527r
南 ・西 イ デ ィ ッ シ ュ 語 →
イ デ ィッ
シ ュ語 68表7 南 バ イ エ ル ン語 →
ドイ ツ語 275r,
277r 南 ・東 イ デ ィ ッ シ ュ 語 →
イデ ィ ッ
シ ュ語 68表7 南 フ ラ ン ケ ン語 → 277r
ドイ ツ語 275l,
南 フ ラ ン ス 語 諸 方 言 → ロ マ ンス諸 語
ユ ダ ヤ 人 ドイ ツ 語 → イ デ ィ ッ シュ語 60l
548r,549図3
南 ラ イ ン ・フ ラ ン ク 語 → フ ラ ン ク語
ドイ ツ語 263図1
ラ ン ス モ ー ル → ノ ル ウ ェ ー語 296
ユ ダ ヤ ・ ス ペ イ ン 語 → ス ペ イ ン語
南 マ ル ク 語 → ドイ ツ語 276r
→
r
229l り
ユ ダ ヤ ・ ドイ ツ 語 → イ デ ィ ッ シ ュ語
371r,372r ミュ ケ ナ イ 語 → ギ リシ ア語 155l 民 衆 ラ テ ン語 → ロマ ンス諸 語 549l
60l
リ ク ス モ ー ル → ノ ル ウ ェ ー 語 296
ユ ト ラ ン ド方 言
→
デ ンマ ー ク語
260l
r リ グ リア 語 → サ ル デ ー ニ ャ語 191l
む
→ ロマ ンス 諸 語 552l ら
ム ジ ャ コ フ方 言 → ソル ブ語 246r
リ グ リア 方 言 → イ タ リア語 39l
ム ル キ 方 言 → エ ス トニ ア語 128l
ラ ア ズ 語 → イ デ ィ ッ シュ語 71r
リ トア ニ ア 語 486r
ム ン テ ニ ア 語 → ロマ ンス諸 語 541l
ラ イ ンプ フ ァル ツ語
リ トア ニ ア 方 言 →
ム ンテ ニ ア方 言
→
モ ル ダ ビ ア語
→ ル ー マ ニ ア語 510r
ドイ ツ語
フ ラ ン ク語
371r,372r →
ドイ ツ語
264l,275l,277l
メ ガ ラ 方 言 → ギ リシ ア語 154l メ グ レ ノ ・ル ー マ ニ ア 語 454l → ロ マ ンス 諸語 541l
24l ドイ ツ語 275l,
497r
諸 語 77r → プ ロ ヴ ァ ンス語 418l
277l ラ グ ー サ 方 言 → ロ マ ンス諸 語 542l
メ ゼ ー シ ェ ー グ方 言 → ハ ンガ リー 語
→ ロ マ ンス諸 語 545r
ラ グ サ ン 方 言 → ダ ル マ チ ア語 247r る
343l メ ッ セ ニ ア 方 言 → ギ リシ ア 語 154
ラ コ ニ ア 方 言 → ギ リ シア語 154l → 近 代 ギ リ シア語 162r
l メ ロ ス 方 言 → ギ リシア語 154l も モ サ ラ ベ 語 → ポ ル トガル語 447r → ロマ ンス諸 語 547l,549図3 モ ー ゼ ル フ ラ ン ケ ン語 →
ドイ ツ語
ル ク セ ン ブ ル ク 語 495l
ラ ツ ィ オ 方 言 → イ タ リア語 39r
ル マイ ンチュ →
ラ デ ィー ニ →
→
ロマ ンス諸 語
ル マ ウ ンチ ュ → レ ト ・ロ マ ン ス諸 語
ドロ ミテ 語 292r
レ ト ・ロマ ン ス諸語 513
ラ デ ィ ン語 456r レ ト ・ロ マ ンス諸 語 512r
ラ テ ン 語 458r
モ ル ドバ 語 = モ ル ダ ビ ア 語 454r
ラ テ ン ・ フ ァ リス ク 方 言 → スペ イ ン
r
188r ラ トヴ ィ ア 語
482l や
ラ ト ガ レ方 言 → ラ トヴ ィア語 482l
ヤ トヴ ィ ン ギ ア 語 455l
ラ ブ ー ル 方 言 → バ ス ク語 312r
ヤ ト ビャ グ方 言
ラ ン グ ド ッ ク 方 言 → ガ ロ ・ロマ ン ス
→
古 プ ロ シ ア語
189l
諸 語 149r → プ ロ ヴ ァ ン ス語 416r,418r ゆ
ユ ダ ヤ 語 → イ デ ィ ッ シ ュ語 60l
→ ロ マ ンス諸 語 545r ラ ン ゴ バ ル ド語 482r
→ ス ウ ェ ー デ ン語 210r ル ー ン ・デ ン マ ー ク 語 → 古 ノル ド語
語 225r
ラ トヴ ィ ア 標 準 語 →
→ ロ マ ンシ ュ語 536r
語 188r
ラ トヴ ィ ア 語 476l
→ ル ー マ ニ ア語 510r
レ ト ・ロ マ ン ス諸 語
ル ー ン ・ス ウ ェ ー デ ン語 → 古 ノ ル ド
モ ル ドヴ ァ語 → ロマ ンス諸 語 541l
モ ル ド バ 方 言 → モ ル ダ ビア語 454
513l
513r
→ ロマ ンシ ュ語 536r
モ ル ダ ビ ア 語 454r
レ ト ・ロマ ンス諸語
→ ロマ ン シ ュ語 536l,536r ル メ ー ンチ ュ →
r
ロマ ン シュ語 536l
ル ー マ ニ ア 語 502r ル マ ンチ ュ →
ラデ ィー ノ語 →
→
541l
ロマ ン シ ュ 語 536r
レ ト ・ロ マ ン ス諸 語
ラデ ィ ー ノ →
モ リ ー ゼ 方 言 → イ タ リア語 39r モ ル ダ ヴ ィ ア語
549図3
ラ シ 方 言 → チ ェ コ語 252l
ラデ ィ ン →
252l
ロ マ ン ス諸 語 548r,
ル カ ー ニ ア 方 言 → イ タ リア語 41l
513r
モ ラ ビ ア ス ロ バ キ ア 方 言 → チ ェ コ語
ル カニア語 →
ラ シ 上 位 方 言 → チ ェ コ語 252l
513r
264l,275l,277l
ドイ ツ語 275l,
リ モ ー ジ ュ 方 言 → イ ベ ロ ・ロ マ ンス
ラウ ジ ッツ語 →
ドイ ツ語 275l,276r
→
277l リ プ ア ー ル 方 言 → ル クセ ン ブ ル ク語
ラ イ ン フ ラ ン ケ ン 方 言 → ア ル ザ ス語
メ ク レ ン ブ ル ク ・前 ポ ン メ ル ン語
リ ー ブ 方 言 → ラ トヴ ィ ア語 482l リ プ ア ー ル語
ラ イ ン フ ラ ン ケ ン語 め
イ デ ィ ッ シ ュ語
69r
ラ イ ン ・フ ラ ン ク語 →
455l
→
→
275l,277l
→ デ ンマ ー ク語 260l ル ー ン ・ ノ ル ウ ェ ー 語 → 古 ノル ド語 188r れ レオ ン方 言
→
ス ペ イ ン語 225r,
228r → ポ ル トガ ル語 442l → ロマ ンス諸 語 547r
レオ ン 方 言 → ブ ル トン語 412r
ロ モ ン チ ュ → ロマ ン シュ語 536l ろ
レ ス ボ ス 方 言 → ギ リシア語 154r レチ ア語 →
ドロ ミテ語 293l
レチ ア諸 語 →
レ ト ・ロ マ ン ス諸 語
515r
ロ レ ー ヌ 方 言 → ガ ロ ・ロ マ ン ス諸 語
ロ エ ズ 語 → イ デ ィ ッ シ ュ語 71r ロ グ ドル 方 言 → 島 嶼 ケ ル ト語 289
→ ロ マ ンス諸 語 544r
r
レ ッ ツ ェ ブ ル ギ ッ シ ュ語 → ル ク セ ン ブ ル ク語 497l
ロ グ ドー ロ方 言 →
サ ル デ ー ニ ャ語
190l
レ ッツ ェブ ル ク語 = ル ク セ ンブル ク
レ ッ ト語 = ラ ト ヴ ィ ア 語 476l
ロ シ ア 語 521l
レ ッ ト ・ リ トア ニ ア 語 → バ ル ト語 派
ロ シ ア 教 会 ス ラ ブ 語 → 教 会 ス ラ ブ語
325r レ ト ・ロ マ ン
ス諸 語 515r レ トロ マ ン語 →
ドイ ツ語 264l
レ ト ・ロ マ ン ス 語 →
ロマ ンス諸 語
543r レ ト ・ ロ マ ン ス 諸 語 512l レヒ タ諸 方言 グル ー プ → ポー ラン ド 語 422l レ フ 諸 語 520r レ フ 方 言 → ス ラブ語 派 234r → ポ ラ ブ語 420r
→ 島 嶼 ケ ル ト語
289r ロ ンバ ル デ ィ ア語 →
レ ト ・ロ マ ンス
諸 語 519l
151l
レ ト ・ フ リ ウ リ諸 語 →
ロ ン カ リ方 言 → バ ス ク語 312r ロ ン グ ドー ロ 方 言
→ ロ マ ンス 諸語 543l ロ ク リ ス 方 言 → ギ リシ ア語 154l
語 495l
149r → フ ラ ンス語 387l
ロ ンバ ル デ ィ ア方 言 →
イ タ リア 語
39l
ロ ドス 方 言 → ギ リシア 語 154l
→
ロ ー マ 方 言 → イ タ リア 語 44l
→ ロ マ ンス諸 語 542r
レ ト ・ロ マ ンス諸 語 516l
→ ロ マ ン ス諸 語 542r わ
ロ マ ー ニ ー 語 533l ロ マ ニ ア 語 = ル ー マ ニ ア 語 502r
ワ ラキ ア 語 →
ロ マ ン シ ュ語 535l
ワ ロ ニ ー 方 言 → ガ ロ ・ロ マ ンス 諸 語
→ レ ト ・ロ マ ンス諸 語 512l ロマ ンス 語 派 →
ポル トガ ル 語 441
r ロ マ ン ス 諸 語 539r ロ ム ニ モ ス → ロマ ー ニ ー語 533r
ロマ ンス 諸語 541l
149r → フ ラ ンス語 387l → ロ マ ンス諸 語 544r ワ ロ ン 語 → フ ラ ン ス語 377l
1998年5月10日
初 版 発行
言語学大辞典 セ レク シ ョン
ヨ ー ロ ッパ の 言 語
1998年5月10日
第1刷 孝(か
発行
編 著 者 亀
井
め い ・た か し)
河
野
六
郎(こ
うの ・ろ くろ う)
千
野
栄
一(ち
の ・え い い ち)
発 行 者 株 式 会 社 三 省 堂 代 表 者 五 味 敏 雄 印 刷 者 三 省 堂 印 刷 株 式 会 社 発 行 所 株 式 会 社 三 省 堂 〒101‐8371 東 京 都 千 代 田区 三 崎 町 二 丁 目22番14号 電 話 編 集(03)3230‐9411 販 売(03)3230‐9412 振 替 口 座 00160‐5‐54300 〈ヨーロッパの言語 ・592pp.〉 落丁 本 ・乱 丁 本 はお 取 替 え い た し ます ISBN4‐385‐15205‐5 〓 本 書 の 全 部 ま た は 一 部 を 無 断 で 複 写 複 製(コ ピー)す る こ とは,著 作 権 法 上 で の 例 外 を 除 き,禁 じ られ て い ま す 。 本 書 か らの 複 写 を 希 望 さ れ る 場 合 は,日 本 複 写 権 セ ン ター(03‐3401‐2382)に
ご連 絡 くだ さ い。
言 語 学 大 辞 典
全6巻(各B5判,本
製 ・箱 入 り)
編 著 者 亀 井
孝
・河 野
六郎
・千 野
栄 一
編集委員 三 根 谷 徹 ・北 村 上村
幸 雄 ・松 本
甫 ・南 不 二 男 ・風 間 克 己 ・土 田
滋 ・上 野 善 道
言 語 学 の 歴 史 と現 在 を 総 括 し,21世 新 し い 基 礎 を 築 く,言
喜 代 三 ・西 田 龍 雄 ・
紀 の 言語 研究 へ 向 けて
語 お よ び 言 語 学 の 百 科 全 書.
第1巻
世 界 言 語 編(上)あ
∼ こ
1824頁
第2巻
世 界 言 語 編(中)さ
∼ に
1824頁
第3巻
世 界 言 語 編(下‐1)ぬ
∼ ほ
1216頁
第4巻
世 界 言 語 編(下‐2)ま
∼ ん
1232頁(付
世 界 の諸 言 語 の,名 称,系 統,分 類,分 布,人 語 彙,語
項 目 一 覧)
口,音 韻,形 態,統 語,方
き と記 述 した世 界 最 大 の 言 語 辞 典.各
言 語 の 検 索 ・理 解 に は もち ろん,一
言 語 学 の 研 究 に と って も言 語 デ ー タの 無 限 の宝 庫 を提 供 す る.約3500言 五 十 音 順 に 上 ・中 ・下‐1・ 下‐2の4巻
第5巻 上 記4巻
言,
史,辞 書,参 考 文 献 を,最 新 の言 語 資 料 を駆 使 して 具 体 的 に生 き生
語を
に分 けて 収 録 す る.
補 遺 ・言 語 名 索 引 編 に未 収 録 の 言 語 の う ち,そ
般
1072頁 の 後 の 調 査 ・研 究 の進 展,新
資料 の 発
見 ・刊 行 な ど に よ って 記 述 可 能 と な っ た もの を 追 補 す る.ま た,言 語 名 の異 称 や異 綴 り,方 言 名 な どを も含 む 言 語 名 総 索 引 を 併 録 す る.
第6巻
術 語 編
1808頁
伝 統 的 言 語 学 の各 分 野(音 声,音 集 大 成,学 派,隣
韻,文
法,方 言,文 字 な ど)の 術 語1500を
接 諸 分 野 等 の大 項 目 も配 置.付 録 に,世 界 の言 語 学 者420
名 を紹 介 した人 名 解 説,和 文索 引,欧 文 索 引,文 献 一 覧 も付 載.