片 桐重 延 監修 片 桐 重 延 ・室 岡 和 彦 共著
R〈日本 複 写権 セ ン ター 委 託 出版 物 〉 本 書 の 全 部 また は一 部 を無 断 で複 写 複 製(コ ピー)す るこ とは,著 作 権 法 上 での例...
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片 桐重 延 監修 片 桐 重 延 ・室 岡 和 彦 共著
R〈日本 複 写権 セ ン ター 委 託 出版 物 〉 本 書 の 全 部 また は一 部 を無 断 で複 写 複 製(コ ピー)す るこ とは,著 作 権 法 上 での例 外 を除 き,禁 じ られ てい ます。 本 書 か らの複 写 を希 望 さ れ る場 合 は,日 本 複 写 権 セ ンター(03‐3401‐2382)に ご連 絡 くだ さ い。
序
文
平 成6年 度 よ り実 施 さ れ た新 しい高 校 数 学 で は,コ
ン ピ ュー タに 関 す る取 扱 い
が い ま ま で 以上 に重 視 さ れ て い る。 そ れ は,こ れ か ら コ ン ピ ュ ー タ につ い て,ま た,コ
ン ピ ュー タに 関連 す る 「数 学 」 に つ い て 学 ぼ う とす る人 々 に と って 学 びが
い の あ る もの で あ る。 元 来,日 本 の 数 学 教 育 は,戦 後 長 い間 大学 進学 者 のた め の, あ るい は,将 来 特 に 数学 を必 要 とす る人 々 の た め の も ので あ っ た。 しか し,数 学 が 情 報 化,高 度 技術 社会 の た め に さ ま ざ まな か た ちで 関 与 して きた 現 在,も
はや
単 に,将 来,数 学 を 特 に必 要 とす る人 々 や,理 工 系 を志 す 人 々 の た めの もので は な くな り,よ
り広 い意 味 で の 知 的 ユ ーザ ー と いわ れ る人 々が 数 学 を 学 習 す る時 代
が きた の で あ る。 この こ と は,「 中等 教 育(中 学 ・高 校)に お け る数学 的 リテ ラー シー は,情 報 化,高 度 技 術 社 会 にお け る一 般 的 知 識 人 が もつ べ き標 準 的 な教 養 を 目指 す こ と に な る」(数 学 教 育 の会)の
指 摘 に も端 的 に示 され て い る。 ま さ に,
コ ン ピュ ー タ関 連 の数 学 は,こ れか らの生 涯学 習 の基盤 と して の数学 で あ る とい っ て も過 言 で は な い。 本 シ リー ズ(全10巻)は,コ
ン ピ ュー タ関連 の数 学 を 次 の 各 分 野 に 分 け て 企
画 した。 そ れ は既 刊 の 「数 学 と コ ン ピ ュー タ シ リー ズ(全8巻)」 現 代 向 け に発 展 さ せ,新
の思 想 を よ り
しい中 等 数 学 の 考 え を取 り入 れ た もの で あ る。
第 一 は, ● コ ン ピ ュー タ言 語 と処 理 ●BASICに
よ る数 学 の 問題 解 法
●BASICに
よ る高 校数 学
の 内 容 で,コ 数 学A,数
ンピュ ー
タ関連 の 数学 を 学 ぶ た めの 基 盤 と新 しい数 学,特
学Bの 内 容 に準 拠 した も ので あ る。BASIC言
語 は,こ
に高 校 の
れ らの 教 科 書
の ほ とん どで 使 用 され て い る言 語 で あ り,こ れ か ら も教 学 教 育 用 言 語 の主 流 と し て導 入 され るで あ ろ う。
第二 は ●行列 と線 形計算 ●数値 計算 ● 確率統計 に そ の 特 徴 が 見 られ るよ うに,こ れ か らの高 校 数 学,あ
るい は,大 学 初年 度 の数
学 に取 り入 れ られ るで あ ろ う,行 列,線 形 計 算,数 値 計 算,確 ざ した 。 主 題 の性 格 上,や
率統 計 の基 礎 を 目
や 難解 な 問題 も含 ま れ るが,全 体 を とお して読 め ば高
校 生 に も理 解 で き る よ う に心 が けたつ も りで あ る。 い う まで も な く,高 校 現場 で 数 学Cを 中 心 に これ か らコ ン ピュ ー タ関連 の数 学 を 教 え よ う とす る先 生 方 や,大 学 で こ れ らの数 学 を 平 易 に学 習 しよ う とい う人 々 に と って も有 効 に利 用 で き るで あ ろ う。 第 三 は, ● 数 学 ソフ トに よ る曲線 と図形 処 理 ● 数 学 ソフ トに よ る数 式 処 理 と関数 に お い て取 り上 げ た数 学 ソ フ トウ ェ ア に よ る数 学 の展 開 で あ る。 数学 ソ フ トは い ま や ま す ます 発 展 し,こ れ か らの数 学 で 欠 く こと の で きな い 分野 にな りつ つ ある。 図 形 処 理 や 数 式 処 理,関 数 と グ ラフ の扱 い につ い て は,単
に中 等 数 学 の み な らず
数 学 教 育 や 数 学 の研 究 に お い て も有 効 な手 段 に な る。 こ こで は,代 表 的 な数 学 ソ フ トに つ いて 取 り上 げ,問 題 の解 法 を試 み た。 他 に ● コ ン ピュ ー タに よ る グ ラ フ ィ ッ クス は,コ
ン ピュ ー タ グ ラ フ ィ ック スを そ の基 盤 か ら誰 に で も わか る よ うにや さ し く
解 説 した もの で あ り, ● コ ン ビュ ー タ に よ る成 績 処 理 は,主 と して小 学 校,中
学 校,高 等 学 校 にお け る教 科 担 任,学 年 担 任 の先 生 方 の
学 期 ご と の,ま た,学 年 末 の成 績 処 理 と その 省 力 化 等 につ い て,誰 き る よ う に解 説 した。 ま た,こ も示 した。
にで も利 用 で
こで は ソ フ トウ ェ アを 利 用 した処 理 方 法 につ いて
以 上,こ
れか らコ ン ピュ ー タを 学 習 す る人,コ
ン ピュ ー タ に関 連 す る数 学 を 学
習 し,教 育 しよ う とす る人,数 値 計算 に習 熟 し数 学 の社 会 に お け る有 効 な 活 用 を 図 る人,さ
らに,数 学 の ソ フ トウ ェ アを 有 効 に利 用 しよ う とす る人 々 に と って,
この全10巻
の 書 が 座 右 の銘 の ご と く,有 効 に活 用 され る こ とを 願 って や ま な い 。
な お,多 忙 な 中 を この シ リー ズ の執 筆 に あ た られ た 白石 和 夫,高 橋 公,飯 三,室
田健
岡和 彦,佐 藤 公 作,志 賀 清 一,山 路 進,金 子 伸 一 の各 氏 に お礼 を 申 し上 げ
る と と もに,本
シ リー ズの 出版 を 企 画 ・推 進 して くだ さ っ た東京 電機 大学 出版局,
お よ び終 始 ご助 言 くだ さ った 同編 集課 長 朝 武 清 実 氏 に深 甚 の感 謝 を捧 げ た い。 1995年3月
監修 片桐 重延
は じめ に 確 率 統 計 は従 前 か らあ る高 校 数 学 の一 分 野 で あ る。 しか し,今 回 の執筆 にあた っ て は,そ の 取 扱 い方 法 を一 新 す る と と もに,従 前 か らの確 率 統 計 の 内 容 に 多 く の新 しい内 容 を加 え た こ とに そ の特 徴 が あ る。 ま た,必 要 な箇 所 で は コ ン ピュ ー タを使 用 して 計 算 の能 率 化 を 図 った。 こと に,第1章
個 数 の処 理 に於 て は,日 常 的 な素 材 を取 り上 げ,「 数 え あ げ
の原 理 」 を もと に して,も の の個 数 を数 え た り,そ の並 べ 方 を順 序 よ く作 る方 法 を取 扱 った。 そ の た め に,辞 書 式 順 序 に並 べ た り,樹 形 図 を作 った り,鳩 の巣 原 理 につ いて 紹 介 す る よ うに した。 これ らの こと を も とに して集 合 の要 素 の個 数 を 数 え た り,順 列 や組 合 せ の数 を数 え るな ど高 校 生 に も十 分 取 扱 え る よ うに考 え た。 第2章
確 率 の基 礎 で は,不 確 な現 象 と確 率 の問 題 を取 り上 げ,確 率 の意 味 を
誰 に もわか る よ うに と考 え た。 そ して,条 件 付 確 率 へ と発 展 す る よ うに した。 ま た,第1章,第2章
に於 て は,コ
第3章 確 率 分 布 で は,2項 第2章,第3章
ン ピ ュー タを初 歩 的 に取 扱 った。
分 布,正 規 分 布,そ の 他 の 分 布 を 取 扱 うと と もに,
で確 率 と確 率 分 布 の基 礎 の大 方 を取 り上 げ た っ も りで あ る。
第4章 で は,確 率 の応 用 と して,ツ キ の確 率,情 報 量 と符 号 化,ゲ ー ムの理論 ,マ ル コ フ過 程を 紹 介 す るよ うに した。 第5章
デ ー タ解 析,第6章
統 計 的推 測,第7章
従 前 か らの 取 扱 い を元 に して そ の 内容 を紹 介 した が,コ
多 変 量 の統 計 につ い ては, ン ピ ュー タが デ ー タ処 理
に重 要 な役 割 を果 た して い る。 以 上,確 率 統 計 を新 しい視 点 か ら取 り上 げ る と共 に コ ン ピ ュー タを そ の 場 そ の 場 で適 切 に利 用 した。 本 書 が これ か ら確 率 統 計 に つ い て学 ぼ う と して い る人達 に と って 少 しで もそ の端 諸 にな れ ば 幸 い と存 ず る次 第 で あ る。
1995年5月
著 者 しるす
目
次
第1章 個 数の処理 1.1
1.2
1.3
順 列 ・組 合 せ 列
1
[1]
順
1
[2]
重 複 順 列
4
[3]
同 じ も の を 含 む 順 列
5
[4]
組 合 せ
6
[5]
重 複 組 合 せ
8
[6]
順 列 ・組 合 せ の 構 成
10
数 え あ げ の 原 理
12
[1]
和 の 法 則
13
[2]
積 の 法 則
15
[3]
鳩 の 巣 原 理
16
[4]
数 学 的 帰 納 法
16
[5]
コ ン ピ ュ ー タ の 利 用
18
応 用 問 題
20
[1]
部 分 集 合 の 個 数
20
[2]
出 会 い 数
22
[3]
2項 定 理
24
練 習 問 題
25
第2童 確 庵 の 基 礎 2.1
不 確 か な 現 象 と確 率
27
2.2
2.3
2.4
[1]
さ い こ ろ 投 げ
27
[2]
男 児 の 出 生 率
30
[3]
疑 似 乱 数
30
[4]
シ ミュ レ ー シ ョ ン
31
同 様 に 確 か ら し い と き の 確 率
33
[1]
計 算 の し か た
33
[2]
確
34
[3]
シ ミュ レ ー シ ョ ン
認
35
事 象 と 確 率
37
[1]
根 元 事 象 と 標 本 空 間
37
[2]
い ろ い ろ な 事 象
39
[3]
加 法 定 理
42
条 件 つ き 確 率
45
[1]
確 率 の か け 算
45
[2]
条 件 つ き 確 率
46
[3]
事 象 の 独 立
48
[4]
コ ン ピ ュ ー タ の 利 用
50
練 習 問 題
51
第3章 確率分布 3.1
3.22
独 立 試 行52 [1]独
立 試 行 の 性 質
52
[2]
独 立 試 行 の 定 理
54
[3]
シ ミュ レ ー シ ョ ン
55
項 分 布57 [1]
確 率 分 布
57
[2]
2項 分 布
59
[3] プ ログ ラム
61
3.3 平 均 値 と分 散
64
[1] 平 均 値
64
[2]
65
2項 分 布 の平 均 値
[3] 平 均 値 の確 認
66
[4] 分
68
[5]
散
2項 分 布 の分 散
69
3.4 正 規 分 布
3.5
3.6
72
[1] 連 続 確 率
72
[2] 確 率 密 度 関 数
74
[3] 正 規 分 布
78
そ の 他 の 分 布
83
[1] 一 様 分 布
83
[2] 幾 何 分 布
84
[3] 超 幾 何 分 布
85
[4] ポ ア ソ ン分 布
87
中 心 極 限 定 理 [1] 和,積
の 分 布
[2] 大 数 の 法 則
88 89 92
練 習 問 題
96
第4章 確率 の応 用 4.1
4.2
ツ キ の 確 率 [1]
ラ ン ダ ム ウ ォ ー ク の 実 験
[2]
得 点 の 確 率99
97 97
情 報 量 と 符 号 化 [1]
情 報 量
105 105
4.3
[2]
ハ フ マ ン コ ー ド
110
[3]
コ ー ドの 長 さ と情 報 量
114
ゲ ー ム の 理 論115 [1]ゼ
4.4
ロ和 ゲ ー ム
115
[2]
混 合 戦 略
117
[3]
プ ロ グ ラ ム
122
マ ル コ フ 過 程 [1]
124
推 移 の モ デ ル 化1
24
[2]
行 列 の 積1
26
[3]
マ ル コ フ過 程
129
練 習 問 題
第5章 5.1
デ ー タ解 析 デ ー タ の 表 現 [1]
5.2
132
リー フ プ ロ ッ ト
134
[2]
度 数 分 布
135
[3]
累 積 度 分 布
137
[4]
プ ロ グ ラ ム
138
平 均 値 と 分 散140 [1]平
5.3
134
均 値
140
散
143
[2]
分
[3]
デ ー タ の 標 準 化
[4]
プ ロ グ ラ ム1
メ ジ ア ン,モ
146 48
ー ド
150
[1]
デ ー タ の 種 類
150
[2]
メ ジ ア ン,モ
ー ド
151
[3]
ボ ッ ク ス プ ロ ッ ト
154
5.4
[4]
パ ー セ ン タ イ ル 順 位
156
[5]
プ ロ グ ラ ム
157
相 関 係 数
159
[1]
相 関 図
159
[2]
相 関 係 数
160
[3]
プ ロ グ ラ ム
161
練 習 問 題
163
第6章 統計 的推測 6.1
6.2
6.3
サ ン プ リ ン グ
164
[1]
母 集 団 と標 本
164
[2]
サ ン プ リ ン グ
166
推
定
171
[1]
点 推 定
[2]
区 間 推 定1
[3]
標 本 平 均 の 分 布
178
[4]
平 均 値 の 推 定
181
[5]
比 率 の 推 定
185
検
172 75
定187
[1]
仮 説 と 判 断
188
[2]
比 率 の 検 定
191
[3]
平 均 値 の 検 定1
[4]
プ ロ グ ラ ム
練 習 問 題199
94 198
第7章 多変量 の統計 7.1
回 帰 分 析 [1]
201
直 線 の あ て は あ
201
[2]
最 小2乗
法
204
[3]
プ ロ グ ラ ム
206
[4]
曲 線 の あ て は め
208
[5]
プ ロ グ ラ ム
211
7.2
カ イ2乗
分 布 の 統 計
212
[1]
カ イ2乗
検 定 の 方 法
212
[2]
カ イ2乗
分 布
214
[3]
ク ロ ス 集 計
7.3
218
t分 布 の 統 計
219
[1]
t分 布 を 利 用 す る 問 題
220
[2]
t分 布 の プ ロ グ ラ ム
221
[3]
相 関 関 係 の 分 析
225
練 習 問 題
227
問 お よ び 練 習 問 題 の 解 答
索
230
(1) 問 の 解 答
230
(2) 練 習 問 題 の解 答
238
引
244
第1章 個数の処理 もの の 個 数 を 数 え た り,そ の 並 べ方 を順 序 よ く作 る方 法 は和 の法 則,積
の法 則 な どに ま
とめ られ る。 この原 理 は,集 合 の要 素 の個 数 や順 列 ・組 合 せ の個 数 を 数 え る こ と な ど に 応 用 され,さ
らに確 率 に用 い られ る。 こ こで は数 え あ げ の方 法 と原 理 を取 り上 げ,数
えあげ
や 組 合 せ の 基 本 的 な考 え方 の見 通 しを つ け る とと もに,離 散 確 率 へ の準 備 を行 う。
1.1
順 列 ・組 合 せ
情 報 化 社 会 で は多量 の デ ー タが あ ふ れ,情 報 を有 効 に収 集 し,整 理 す る こ とが 重 要 視 され て い る。 ま た,離 散 確率 で は与 え られ た条 件 を満 たす 場 合 を 考 え,そ の 個 数 を数 え あ げ る こ とが 必 要 に な る。 こ こで は順 列 ・組 合 せ と い う具 体 的 な問 題 を 中 心 に,そ れ らの 個数 を数 え あ げ る方 法 を調 べ て み よ う。
[1]
順
列
具 体 例 を も と に,デ (1)
ー タ な ど を 並 べ る と き の 方 法 と特 性 に つ い て 考 え る 。
順 列 とは何 か
デ ー タ の 式(1.1)の
よ う に,異
な る い くつ か の も の が あ る と き,そ
て を も れ な く並 べ る に は 工 夫 が 必 要 で あ る。
れ らの す べ
〔 例 題1〕
あ る 人 が,京 都,名 古 屋,大
阪 の 中 の2都 市 を巡 回 す る必 要 が で きた とい う。 巡 回 す る方 法 は どれだ けあ るか。
図1.1
〔 解1〕
京 都,名
古 屋,大
順 序 に 並 べ る と,次
3都 市 の 巡 回
阪 を 先 頭 の ア ル フ ァベ ッ トk,n,oで
の よ う に6通
表 し,辞
書式 の
り に な る。
kn,ko,nk,no,ok,on
〔 解2〕
〔解1〕 と同 様 に,京 都,名 古屋,
大 阪 の 各場 合 を 樹 形 図 で 表 す。 図1.2の 右 端 の 文字 の個 数 か ら総 数6が 得 られ る。
図1.2
樹 形図
〔 例 題1〕 で は3つ の異 な る ものか ら2つ 取 り出 して 並 べ る場 合 と,そ の個 数 を 考 え て い る。 一 般 に,n個 〔 例 題1〕 で は,例
の もの か らr個 取 り出 して並 べ た各 場 合 を順 列 と いう。
え ば,京
都 → 名古
屋 と名 古 屋 → 京 都 の 巡 回 の仕 方 が 異 な る もの と考 え て い る。 す なわ ち,
図1.3
順 列
図1.3が 巡 列 の す べ て で,こ れ は3つ の もの か ら2つ 取 り 出 して 並 べ た 順列 で あ る。 こ う した 順 列 を作 り,そ の個 数 を もれ な く数 え るた め に順 列 を辞 書 式 の順 序 に並 べ た り樹 形 図 を 作 った りす る。 例 え ば,図1.2の
樹 形 図 で は,左 側 の3本
の各 線 分 に つ いて 右 側 の 線分 が2本 ず つ あ るか ら,順 列 の個 数 は次 の よ うにな る。 3×2=6〔
本 〕
(1.1)
(2)
順列の個数
n個 の 異 な る も の か らr個 取 り 出 し て 並 べ る順 列 の 個 数 は,式(1.1)と 考 え れ ば 式(1.2)の
よ う に な り,こ
の 式 をnPrと
同 様 に
表 す 。 す な わ ち,
(1.2) こ こ で,nPnと
同 じ式 を
(1.3) で 表 し,nの
階 乗 と い う。 順 列 の 個 数 の 式(1.2)は
す こ と が で き る。 特 に0!は1と
階 乗 を 用 い て,次
の よ う に表
す る。
(1.4) な お,rは0≦r≦nの と す る。 こ こ で,0!は
範 囲 と す る 。 ま たnP0は 式(1.4)でr=0,nと
何 も 並 べ な い 場 合 と 考 え て1
お い た次 の 式 に も う ま くあ て は ま
る。
式(1.2)あ
る い は 式(1.4)か
問1 赤,黄,青,緑,茶
ら,nPrが
求 め ら れ る 。 例 え ば,n=4の
と き,
の色 を塗 った玉 が1個 ず つ あ る。 これ か ら3つ 選 ん で並 べ る方
法 は何 通 りあ るか。
(3)
プ ログ ラ ム
n個
の も の か らr個(0≦r≦n)と
って 並 べ る 順 列 の 個 数nPrの
掛 け 算 と割 り 算 の 個 数 は,式(1.2),式(1.4)で 計 算 量 の 少 な い 式(1.2)を
利 用 し てnPrを
計 算 に つ い て,
は そ れ ぞ れr個,n個 求 め る。
で あ る。
プ ロ グ ラ ム1.1
計算の結果 60
図1.4
問2
プ ロ グ ラ ム1.1を
用 い て7P0,7P1,…,7P7の
値 を 求 め よ。
[2] 重 複 順 列 今 度 は,同
〔 例 題2〕
じ も の を い くつ も 並 べ て よ い 場 合 に つ い て 考 え よ う。
数 字0,1を
合 わ せ て4つ
〔 解 〕 作 っ た 数 字 を 昇 順(小
並 べ て で き る 順 列 を 作 り,そ の 個 数 を 数 え よ。
さ い順)に
図1.5
こ れ ら の 順 列 で は0,1が も2通
り だ か ら,全
一 般 に,n個
並 べ る と,次
の よ う に な る。
重 複順 列
重 複 して 用 い ら れ て お り,各
部 で24=16通
桁 の と りか たはいず れ
り あ る。
の も の か らr個 重 複 を 許 し て 並 べ る 順列 の こ と を 重 複 順 列 と い い,
そ の 個 数 はnr通
り あ る。
問3 次 の並 べ 方 は何 通 りあ る か。 (a) 赤,黄,青,緑
の色 の 玉 が3個 ず つ あ る。 こ れ か ら3つ 選 ん で 並 べ る方法
(b) 0と1を5個
並 べ る方 法
〔 注 〕 特 に問3(b)は2進
数 と関 連 す る。
[3] 同 じもの を含 む 順 列 同 じ もの を何 個 か 含 ん で何 種 類 か の もの を並 べ る順 列 に つ い て考 え る。 これ は, 2項 定 理 や独 立 試 行 の定 理 な どに登 場 し,応 用 場 面 の広 い タイ プ の順 列 で あ る。 〔 例 題3〕
文 字aを2個,bを3個
並 べ る順 列 をす べ て作 り,そ の 個数 を数 え よ。
〔 解 〕 作 った 順 列 を 辞 書 式 に 並 べ る と,次 の よ う にな る。
図1.6
個 数 を 数 え る に は,ま
の 順 列 を 作 れ ば,そ
の よ う な2!3!個
ず 文 字a,bが
区 別 で き る と 考 え て,
の 個 数 は 全 部 で5!通
の 順 列 はaabbbと
個 ず つ で き る の で,も
同 じ もの を含 む 順 列
りで き る。 こ の と き 例 え ば,
い う順 列 に な る 。ababbな
ど他 の順 列 も2!3!
との 順 列 の 個数 は 次 の 式 で 表 され る。
一 般 に,文 字aをm個,bをn個
並 べ て で き る順 列 の 個 数 は,次
の式 で表 さ
れ る。
(1.5) この 式 は,次 に登 場 す る組 合 せ の個 数nCmと 3種 類,4種
同 じにな る。
類 の もの を並 べ る順 列 も同様 の 考 え 方 で 求 め る こ とが で き る。
問4
コ イ ンを6回 投 げ た と き,表 が ち ょう ど2回 出 る場 合 の個 数 を求 め よ。
問5
(1+x)5の
展 開 式 でx3の 項 は,xを3個,1を2個
並 べ た順 列 に な る こ とを 示 し,
x3の係 数 を 求 め よ
。
問6 同 じ大 き さ の赤 玉2個,白
玉3個,青
玉4個 を 並 べ る方 法 は 何 通 りあ るか。
[4] 組 合 せ 順 序 を 問 題 に せ ず,あ
る も の を 何 個 か 取 り 出 す 方 法 を 考 え よ う。 ま ず,順
列 と
の 関 係 を 具 体 例 で 調 べ て み る。
〔 例 題4〕
あ る グ ル ー プ で 仙 台,東
が 生 じた と い う。1人
京,名
が そ の 中 の3都
古 屋,京
都,大
阪 につ い て 調 べ る こ と
市 を 分 担 し て 調 べ る と き,調
べ方 には どん
な 場 合 が あ る か 。 そ の 個 数 も数 え よ 。 〔 解1〕
仙 台,東
式 に 並 べ る と,そ
京,名
古 屋,京
都,大
阪 を そ れ ぞ れs,t,n,k,oと
の 合 計 は 次 の よ う に10通
し,辞
書
り に な る。
kno,kns,knt,kos,kot,kst,nos,not,nst,ost 〔 解2〕
順 列 の 考 え 方 を 利 用 す る。 図1.7の
よ う に,1つ
の も の に6つ
の順列 が
あ る。
図1.7
し た が っ て,そ
順 列 と組 合せ の 関 係
の 個 数 は 次 の よ う に10通
り に な る。
〔 例 題4〕 の 〔 解1〕 の よ う に,異 な る もの か ら何 個 か 取 り出 した もの の こ と を 組 合 せ と い う。 異 な るn個 の もの か らr個 取 り出 した組 合 せ の個 数 を
と 表 す 。 そ の 値 は 次 の よ う に な る。
(1.6) な お,nCrは0≦r≦nの か らnCr=nCn-rが 例 え ば,4個
整 数 と し,特 にnC0=nCn=1と
す る 。 こ こで 式(1.6)
成 り立 つ。 の も の か ら 何 個 か 取 り 出 す 組 合 せ の 個 数 は,次
問7 赤,黄,青,緑,茶,紫
の よ うに な る。
の 色 を 塗 った 玉 が1個 ず つ あ る。 これ か ら3つ 選 び 出 す 方
法 は何 通 りあ るか 。
問8
10人 を5,3,2人
に分 け る方 法 は何 通 りあ るか。
こ こ で,組
合 せ の 個 数nCrを
計 算 す る 方 法 に は2通
計 算 量 は,そ
れ ぞ れ 次 の よ うに な る。
り あ り,掛
〓の 場 合,2n-1個
〓の 場 合,2r-1個
前 者 の 方 が 計 算 量 が少 な い ので,前 者 で ア ル ゴ リズ ムを 作 る。 プ ロ グ ラ ム1.2
計算の結果 10
図1.8
け 算 と割 り算 の
問9
プ ロ グ ラ ム1.2を
用 いて 次 の 各 値 を求 め よ。
7C0,7C1,7C2,7C3,7C4,7C5,7C6,7C7
[5] 重複組合 せ 今 度 は 同 じ デ ー タ や も の が,い
〔 例 題5〕
〔 例 題4〕 で 同 じ都 市 を 何 回 選 ん で も よ い と す る。 こ の と き,ど
な 組 合 せ が あ る か,ま 〔 解1〕
くつ も あ る 場 合 の 組 合 せ に つ い て 考 え る 。
仙 台,東
た そ の個 数 を数 え よ。
京,名
古 屋,京
都,大
阪 を そ れ ぞ れs,t,n,k,oで
れ ら を 重 複 して 用 い て よ い の で,図1.9の
図1.9
〔 解2〕
組 合 せ が で き,そ
kknは で あ る。 逆 に,例
始 ま る4つ
か ら下 に 辞 書 式 に 並 ん で い る の で,各
な る 文 字 と文 字 の 間 を 仕 切 り│で1通
の 個 数 は35に
な る。
の 各 グ ル ー プ は,と
も
組 合 せ は 文 字 を ○ で,異
り に 表 す こ と が で き る。 例 え ば,
〓 nosは〓
え ば, 〓はkns
〓はost
を表 す。 した が って,仕 切 り と ○ の 並 べ 方 と組 合 せ の1対1対 と ころ で,○
表 せ ば,こ
重複 組合 せ
上 の 組 合 せ でkkk,nnn,ooo,sssで
に左 か ら右,上
の よ う
を3個,│を4個
応 が つ け ら れ る。
並 べ た もの は 〔 例 題3〕 の 問題 場 面 と同様 の 「同
じもの を含 む順 列 」 だ か ら,式(1.5)と
同様 に考 えて その 個 数 は次 の よ うにな る。
この よ うに,あ る もの を 重 複 して 取 り出 す 組 合 せ の こ とを重 複組 合 せ とい う。 一般 に ,n個 の もの か らr個 取 り出 す 重 複組 合 せ の個 数 をnHrで 表 す 。 この 値 は
次 の 式 で 表 さ れ る。 た だ し,rは0以
上 の 整 数 とす る 。
(1.7) 例 え ば,4個
の も のか らr個 取 り出 す重 複 組 合 せ の個 数 は,次 の よ うに な る。
問10 方 程 式x+y+z+u=7の
解 の 個数 を求 め よ。 た だ しx,y,z,uは0以
上 の整
数 とす る。
問11 7枚 の デ ィ スケ ッ トを3人 に分 け る方 法 は何 通 りあ るか 。 た だ し,ど
の 人 に も少 な
くと も1個 は与 え る もの とす る。
重 複 組 合 せ の 個 数nHrを 1.2と
計 算 す る プ ロ グ ラ ム は,次
の式 を用 いて プロ グラム
同 様 に して 行 う。
(1.8) プ ロ グ ラ ム1.3
計算の結果 35
図1.10
問12
プ ロ グ ラ ム1.3を
用 い て,次
の 各値 を求 め よ。
6H0,6H1,6H2,6H3,6H4,6H5,6H6,6H7
[6] 順 列 ・組 合 せ の構 成 順 列 や 組 合 せ の1つ ひ とつ を作 る方 法 は,構 成 的 組 合 せ と呼 ばれ て い る。 順 列 や組 合 せ の個 数 を計 算 す る こ と は容 易 で あ るが,順 列 や組 合 せ の1つ ひ とつ を作 り出 す こ と は一 般 に難 し くプ ロ グ ラ ム も長 くな る。 利 用 で き るn,rは
限定 的で
はあ るが,簡 単 な方 法 を こ こで は取 り上 げ る。 〔 例 題6〕1か 〔 解 〕3重
ら5ま で の 数 か ら3つ 選 ん で並 べ る 順列 を作 れ(順 列 の構 成)。
の ル ー プで3桁 の 整 数 を作 り,そ の 中 で 各桁 の数 が異 な る もの を選 ん
で 出 力 す れ ば よ い。 プ ロ グ ラ ム1.4
図1.11
計算の結果 123 153 245 341 423 514
124 154 251 342 425 521
125 213 253 345 431 523
132 214 254 351 432 524
134 215 312 352 435 531
135 231 314 354 451 532
142 234 315 412 452 534
143 235 321 413 453 541
145 241 324 415 512 542
152 243 325 421 513 543
図1.12
問13 1か ら5の 数 字 か ら3個 取 り出 して並 べ る重 複 順 列 を構 成 す る プ ロ グ ラ ムを作 れ。
〔 例 題7〕1か 〔 解〕
ら5ま
で の 数 か ら3つ
プ ロ グ ラ ム1.4と (100の
取 り 出 す 組 合 せ を 作 れ(組
同 様 に し て,1か
位 の 数 字)<(10の
ら5を
使 っ て 作 る3桁
位 の 数 字)<(1の
合 せ の 構 成)。 の数 の中 で
位 の 数 字)
と な る もの を選 ん で 表示 す れ ば よ い。 プ ロ グ ラ ム1.5を
用 い て 重 複 組 合 せ を 構 成 して み よ う。 各 桁 で 重 複 す る数 が あ っ
て も よ い の だ か ら, (100の 即 ち,プ
位 の 数)≦(10の
ロ グ ラ ム の6行
の よ う にす れ ば よ い。
位 の 数)≦(1の
目 をIFi<=jANDj<=kTHEN
位 の 数)
プ ロ グ ラ ム1.5
計算の結果 123
1か ら5ま で,次
124
図1.13
125
134
で の 数 か ら3つ
の よ う に35個
135
145
234
235
取 り 出 す 重 複 組 合 せ は,1か
245
ら5か
345
ら な る3桁
の数
で き る。
111 112 113 114 115 122 123 124 125 133 134 135 144 145 155 222 223 224 225 233 234 235 244 245 255 333 334 335 344 345 355 444 445 455 555
問14 5つ の数1,2,3,4,5か
ら4個 取 り出 す重 複 組 合 せ を作 り出 す プ ロ グ ラ ム を 作 り,
そ の個 数 を求 め よ。
1.2 数 え あ げ の 原 理 場 合 の数 を求 め る と きの基 本 的 な法 則 は,数 え る対 象 を集 合 で表 現 す る こ と に
そ の特 徴 が あ る。 こ こで は,数 え あ げ の原 理 を 集 合 の 性質 と関 連 づ けて 示 そ う。
[1] 和 の 法 則 もの の集 ま りで そ の個 数 を数 え る と き,重 複 して 数 え な い よ う に注 意 す る。 和 の 法則 は,そ の と きの数 え方 を 問題 に す る。 〔 例 題8〕
大 小2個 の さ い こ ろ を振 って 出 た 目の 和 が6で あ るか,ま
た は ゾロ目
(同 じ数 の 目)で あ る場 合 の個 数 を求 め よ。 〔 解 〕2つ
の さ い こ ろで 大 き い方 の 目が1,小
さい方 の 目 が2の 場 合 を12の
よう
に 表 せ ば,和 が6で あ る場 合 は,次 の よ う に集 合 で表 す こと がで きる。
A={51,42,33,24,15} ゾ ロ 目で あ る場 合 も,次 の よ う に集 合 で 表 す こ とが で きる。
B={11,22,33,44,55,66} こ れ らの 集 合 の 個 数 を,そ
れ ぞ れn(A),n(B)と
表 せ ば,
n(A)=5, n(B)=6
共 通 集 合 はA∩B={33}でn(A∩B)=1 で あ るか ら,和 集 合A∪Bの
個 数 は,
図1.14
2つ の こ と が らA,Bに n(B)で
表 す と き,Aま
つ い て,そ た はBの
共 通 集合
れ ら が 起 こ る場 合 の 個 数 を そ れ ぞ れn(A),
起 こ る 場 合,A∪Bの
個数 について次 の式 が成
り立 つ 。 こ れ を 包 除 の 原 理 ま た は 和 の 法 則 と い う。A∩BはA,Bが
と も に起 こ
る場 合 で あ る 。
(1.9) 同 様 に 集 合A,B,Cに 集 合A,B,Cの
つ い て も,和
和 集 合A∪B∪Cの
の 法 則 が 次 の よ う に 成 り立 っ 。 個 数 は,
に な る。
図1.15
〔 注 〕AUBをAとBの
3つ の 共通 集 合
結 び,A∩BをAとBの
問15 1か ら100の 整 数 で4の 倍 数,6の 集 合A,Bの
結 びA∪Bと
倍 数,4ま
交 わ りA∩Bは,一
交 わ りと もい う。
た は6の 倍 数 の各 個 数 を求 め よ。 般 的 に次 の よ う に定 義 さ れ る。
ま た は, か つ,
こ こ で 空 集 合 φ の 要 素 は0で n(φ)=0で 集 合Aの
あ る 。 ま た,全 補 集 合 をAと
あ るか ら,
体 集 合 をU,
表 せ ば,
で あ る か ら, 図1.16
補 集合
(1.10) が 成 り立 つ。 ま た,集 合 で は次 の ド ・モ ル ガ ンの法 則 が成 り立 つ か ら
個 数 に つ い て も次 の性 質 が成 り立 つ。
図1.11
問16 1か ら100ま で の整 数 の 中 で,4の
ト ・モ ル ガ ン の 法 則
倍 数 で も6の 倍 数 で もな い数 の個 数 を求 め よ(こ
の よ うな数 の こ とを オ イ ラ ー数 とい い,整 数 の 問題 に よ く登 場 す る)。
[2]
積 の 法 則
福 岡,東 京,成 田 を結 ぶ主 な 交通 手 段 が,図1.18の
図1.18
よ うに あ げ られ る。
交通 手段の選び方
この と き,福 岡 か ら東 京 に 行 く方 法 は2通 りで,そ の お の お の に つ い て東 京 か ら成 田空 港 に行 く方 法 は3通 りあ るか ら,福 岡 か ら成 田 空 港 に行 く方 法 は 2×3=6〔
通 り〕
の 方 法 が あ る。 2つ の こ と が らA,Bが 場 合 が 起 こ る と す る。A,Bを せ ば 次 の 式 が 成 り立 ち,こ
あ り,Aの
起 こ る そ の お の お の の 場 合 に 対 してBの
こ み に し た と き 起 こ る す べ て の 場 合 をA×Bと
各 表
れ を 積 の 法 則 と い う。
(1.11) 問17 あ る診 療 所 の 健 康 調 書 に は43人 が 登 録 してお り,そ の 調 書 に は身 長,体 重,血 糖 値 な ど12項
目の 記 載 項 目が あ る と い う。 これ を コ ン ピュ ー タで 記 憶 す る に は,何 個 の デ ー タ
の 空 きを 用 意 して お け ば よ いか 。
問18
23×32=72の
約 数 の 個 数 を 求 め よ。
[3] 鳩 の巣 原 理 例 え ば,n+1羽
の 鳩 に 対 してn個
つ の 巣 箱 に 少 な く と も2羽
の 巣 箱 が あ っ た と す る。 こ の と き ど れ か1
の 鳩 が い る。
当 た り前 の よ うに 見 え る この こ とを鳩 の 巣 原 理 とい う。 鳩 の巣 原 理 は,あ る性 質 を 満 たす 場 合 の数 を数 え た り,あ る性 質 を もつ 場 合 が 実 際 に存 在 す る こ とを示 す と き に用 い られ る。 〔 例 題9〕
図1.19
鳩 の 巣 原理
あ る学校 の学 生 が生 ま れ た月 を札 に書 い て箱 に入 れ る。 この 箱 か ら札
を 元 に戻 す こ と な く1枚 ず つ 取 り出 す と き,生 ま れ た 月 が 一 致 す る札 が必 ず あ る の は何 枚以 上 の と きか 。 〔 解 〕12枚
で は,1,2,…,12と
な る可 能 性 が あ るが,13枚
で は鳩 の 巣 原 理 か
ら,必 ず 同 じ数 字 が 存 在 す る。 よ って13枚 以 上 の と き一 致 す る札 が必 ず あ る。 問19 図1.20の
よ う な9列
の格 子 が あ り,
縦 の ます 目 に赤 と青 の色 を一 色 ず つ塗 ると き, (a) 色 の塗 り方 は何 通 りあ る か。 (b) 同 じ塗 り方 の列 が1組 は あ る こ と を 示 せ。
図1.20
色 の 塗 り分 け
[4] 数学的帰納法 1枚 の紙 を半 分 に折 れ ば2枚 に な る。 それ を また 半 分 に折 れ ば4枚 に な る。 こ う して で き る数 列; 1,2,4,8,16,…
の 第n番
目 の数 をanと す れ ば,
(1.12) と い う性 質 が 成 り立 つ 。 式(1.12)の
よ う に,an+1をanな
い う 。 特 に 式(1.12)の
ど を 用 い て 表 した 式 を 漸 化 式 ま た は 再 帰 式 と
数 列 は 自 然 数nに
つ い て,次
式 の よ う に表 さ れ る。
(1.13) 式(1.13)の
よ う に,anをnの
再 帰 式(1.12)が
式 で 表 し た 式 を 明 示 式 と い う。
明 示 式(1.13)と
同 じで あ る こ と を 証 明 す る の に,次
の(1),
(2)を 示 す や りか た が あ る 。 (1) an=2nは,n=1で
成 り立 つ。
(2) an=2nがn=kで (1),(2)か
成 り立 つ と す れ ば,an=2nはn=k+1で
ら,式(1.12)と
式(1.13)は,す
図1.21
つ い て 一 致 す る。
数学的 帰納法の意味
こ の 証 明 で は,an+1=2an,a1=1か
とな って,an=2nが
べ て の 自 然 数nに
も成 り立 つ。
推 測 で き るが,こ
ら
れが 常 に成 り立つ こ と を(1),(2)で 示 して
い る。 この 方 法 を 数 学 的帰 納 法 とい う。 数 学 的 帰納 法 は,自 然数 に関 して帰 納 的 に得 た 式 や,数 え あ げ に つ い て推 測 し た性 質 が 常 に成 り立 つ こ とを確 認 す る と きに 用 い られ る。 問20 平 面 上 にn本
の 直線 が あ り,ど の2本
も平 行 で な く どの3本 す る。 このn本 分 の個 数 をanと
も1点 で交 わ ら な い と
の 直線 で分 け られ る平 面 の部 す れ ば,再 帰 関 係
an+1=an+n+1 が 成 り立 ち,次 の 明示 式 に な る こと を示 せ。
図1.22 n本
の直線の交点
[5]
コ ン ピ ュー タ の利 用
今 ま で に 取 り上 げ た 問 題 を コ ン ピ ュ ー タ を 用 い て 解 い て み よ う。 な お,プ
ログ
ラ ム が 小 さ い の で フ ロ ー チ ャ ー トは 省 略 す る 。
〔 例 題10〕1か
ら100ま
で の 整 数 で,4の
倍 数 で も6の
倍 数 で も な い もの の 個 数
を求 め よ。 〔 解 〕1か
ら100ま
で の 各 数 に つ い て,4の
倍 数 で も6の
倍 数 で もな い も の を 調
べ る。 プ ロ グ ラ ム1.6
計算の結果 67
プ ロ グ ラ ム1.6の
と し た と き,ド
中 心 は3行
目 で あ る 。 こ の 行 と50行
・モ ル ガ ン の 法 則 か ら 同 じ値 が 得 られ る 。
こ の プ ロ グ ラ ム を 使 っ てn=100,1000,10000の で き,そ
れ ぞ れ67,667,6667個
と きの 個 数 を 求 め る こ と が
に な る。 そ の 根 拠 を 探 る と き,包
る。
〔 例 題11〕72の 〔 解 〕72の
を,
約 数 を あ げ,そ
約 数 に は1と72を
の 個 数 を 求 め よ(問18)。 含 め る。
除 の原 理 を 用 い
プ ロ グ ラ ム1.7
計算の結果 1
2
3
4
6
8
9
12
プ ロ グ ラ ム1.7は,72が1か べ,も
18
ら72ま
36
変 数sを
最 初0と
72
12
で の 各 数 が72で
しそ う な ら そ の 数 を 表 示 し,最 後 に 変 数sを
〔 例 題12〕s=1+2+3+…+50の 〔 解〕
24
割 り 切 れ る か ど うか を 調
カ ウ ン トす る。
値 を求 め よ。 お き,1,2,…
を 順 次 加 え て い く。
プ ロ グ ラ ム1.8
計算の結果 1275
プ ロ グ ラ ム1.8の
計 算 の 結 果 は,次
の式 で 求 め た値 に等 しい こ とがわ か る。
(1.14) こ こ で あ げ た 例 題 の よ う に,コ
ン ピ ュ ー タ で は 和 の 法 則 な ど の 原 理 を 使 わ ず,
条 件 を そ の ま ま 表 現 して 結 果 を 求 め る こ と が で き る。 こ の や りか た を シ ミ ュ レ ー シ ョ ン と い い,そ
問21
れ を 行 う プ ロ グ ラ ム を シ ミ ュ レ ー シ ョ ン プ ロ グ ラ ム と い う。
次 の 問 題 を シ ミュ レー シ ョ ンプ ロ グ ラ ムを 作 って解 決 せ よ。
(a) 〔例 題8〕
の問 題
(b) 12+22+32+…+502の
値 を 求 め よ。
1.3 応 用 問 題 これ まで に挙 げた 数 え あ げの 方 法 を,さ [1]
らに い くつ か の問 題 に応 用 す る。
部 分 集 合 の 個 数
あ る場 合 の個 数 を 数 え る と き,対 象 を集 合 と考 え て個 数 を求 め る こ とが あ る。 〔 例 題13〕 〔 解1〕
集 合A={1,2,3,4}の
部 分 集 合 の個 数 を求 め よ。
要 素 の個 数 が0,1,2,3,4個
で あ る部 分 集 合 の個 数 を数 え る。
要 素 が0個;4C0=1個
φ(空
要 素 が1個;4C1=4個
{1},{2},{3},{4}
要 素 が2個;4C2=6個
{1,2},{1,3},{1,4},{2,3},{2,4},{3,4}
要 素 が3個;4C3=4個
{1,2,3},{1,2,4},{1,3,4},{2,3,4}
要 素 が4個;4C4=1個
A(全
よ っ て,1+4+6+4+1=16個 〔 解2〕
各 部 分 集 合 は,要
集 合)
体 集 合)
で き る。 素1が
あ る か な い か の2通
り で あ る 。 要 素2,3,4,5
に つ い て も 同 様 の こ と が い え る 。 部 分 集 合 に 要 素 が 属 し て い る と き ○,そ な い と き × を つ け る。 例 え ば,部
分 集 合{1,3}は
要 素1,3を
選 ん で い る か ら1,
3の 箇 所 に ○ を,2,4の
箇 所 に × を つ け る 。 部 分 集 合 の 取 り 方 は,1が2通
2,3,4に
り ず つ あ る。
つ い て も2通
よ っ て,そ
の 個 数 は,
2×2×2×2=16〔 に な る。
個〕
うで
り,
図1.23
〔 解3〕
要 素 の 選 び方
集 合A1={1},A2={1,2},A3={1,2,3},A4={1,2,3,4}と
集 合A1の
部 分 集 合 は φ,{1}の2個
こ こ で,A0=φ
と し,集
合Amの
お け ば,
で あ る。 部 分 集 合 の 個 数 をn(Am)の
と表 せ ば,次
の よ
うに な る。
一 方 ,集 合A2の 部 分 集 合 は,A1に
の よ う に2種
要 素2を 追 加 す るか 否 か で,
類 ず つ で き る か ら,
同様 に 考 え て,
し た が っ て,
図1.24
〔 例 題13〕 る の で,こ
再 帰 的 な 考 え方
に お い て,〔 解1〕,〔 解2〕 の 考 え 方 は 重 複 順 列 や 組 合 せ を 用 い て い れ ら を 組 合 せ 的 方 法 と い い,〔 解3〕 はAnをAn-1で
考 え る の で,こ
れ を再 帰 的方 法 とい う。 あ る もの を数 え る と き,そ れ を集 合 で と らえ 直 し,組 合 せ数 学 的 な考 え方 や再 帰 的 な考 え方 な どを使 う こ とを モ デ ル化 と い う。 〔 例 題13〕 で,要 素 の個 数 がn個 の 集 合Aの
部 分 集 合 の個 数 は2n個 あ る こ とが
推 測 さ れ,そ れ が常 に成 り立 つ こ と は数学 的帰 納 法 な どで示 す こ とが で き る。 問22 図1.25に
つ い て,次 の各 問 に 答 え よ。
(a) 長 方 形ABCDの
辺 に平 行 な直線 が あ
る と見 た と き,長 方 形 の個 数 を求 め よ。 (b) ABCDを
碁 盤 の 目状 の街 とみ た と き,
Aか
行 く最 短 の 道 の本 数 を 求 め
らCに
よ。 図1.25
長 方 形 と街 路
[2] 出会 い数 3つ の 数1,2,3を い は3番
目 に3が
並 べ る順 列 は6通 く る 場 合 は,次
り あ る が,1番
の よ う に4通
図1.26
目 に2,あ
る
りあ る 。
出 会 い数
問23 プ ロ グ ラ ム1.4を 修 正 し,1,2,3,4,5を 目 にkが
目 に1,2番
並 べ た 順 列 で,21543の
よ う に 第k番
くる もの だ け を 表 示 す る よ う にせ よ。
こ の よ う な 問 題 は 出 会 い の 問 題,帽
子 の 問 題,封
筒 の 問 題,一
致 の問 題 な ど と
呼 ば れ て い る。 和 の 法 則 を 利 用 し て 出 会 い 数 の 問 題 を 解 決 し よ う 。
〔 例 題14〕A,B,C,Dの4人
が 帽 子 を か ぶ っ て パ ー テ ィ に 出 席 し,会
場 の帽
子 か け に そ れ を か け た 。 帰 りが け に そ れ を 取 ろ う と し た と こ ろ帽 子 が 判 別 で きず, と り あ え ず 自分 の も の と 思 わ れ る 帽 子 を 取 っ た と い う。 こ の と き,4人 か が 自 分 の 帽 子 を と る場 合 は 何 通 りあ る か 。
の うち 誰
〔 解 〕Aが
自分 の 帽子 を と る場 合 の個 数 をn(A),Bが
個 数 をn(B)と
し,以 下 同様 にn(C),n(D)を
自 分 の 帽 子 を と る場 合 の
定 め る と,自
分 の帽子 を とる と
い う こと は,他 の人 が そ の 帽子 を と らな い こ とだ か ら,
ま た,
図1.27
4つ の 集 合
和 の 法 則 か ら,
(1.15) この 問 題 か ら,一 般 の問 題 場 面 を作 り,そ の結 果 を推 定 す る こと は容 易 で,次 の よ うに い う こ とが で きる。 これ を 出会 い数 と い う。 〔 例 題15〕n人
に1か
らnま で の番 号 をつ け,1か
らnと い う数 字 を 書 い た カ ー
ドを 持 って 並 ぶ と き,少 な く と も誰 か1人 が 自分 の番 号 と カ ー ドの番 号 が一 致 す る場合 は何 通 りあ るか 。
〔 解〕
〔 例 題14〕 か ら類 推 し て,求
め る場 合 の 数 は 次 の よ う に な る 。
1人 が 一 致 す る 場 合;(n-1)!×nC1 2人 が 一 致 す る 場 合;(n-2)!×nC2
(n-1)人
が 一 致 す る 場 合;1!×nCn-1=n n
n人 全 員 が 一 致 す る 場 合;0×nCn=1
求 め る個 数 は,包 除 の原 理 か ら次 の よ うに表 さ れ る。
(1.16) 問24 1か ら4ま で の数 字 を書 い た カ ー ド4枚 を横 に1列 にで た ら め に 並 べ る と き,ど kに つ い て も,左 か らk番 目 の カ ー ドの数 字 がkと
の
は な らな い場 合 は何 通 り あ るか 。
[3] 2項 定 理 場 合 の 数 の 視 点 か ら(a+b)nの 〔 例 題16〕
多 項 式(a+b)5を
〔 解 〕a3b2の
展 開 し た と き,a3b2の
係 数 はa, bを 図1.28の
同 じ もの を 含 む 順 列 の 式(1.5)か
と な り,こ
展 開 式 に お け る各 項 の係 数 に つ い て調 べ よ う。
れ がa3b2の
同 様 に して,(a+b)5の a5
よ う にaを3回,bを2回
ら,
係 数 と な る。
図1.28
係 数 を求 め よ。
a3b2の
展開式で
,a4b,a3b2,a2b3,ab4,b5
の係 数 は,そ れ ぞ れ次 の式 で表 され る。
順 列
と る こ と に な る。
5C0,5C1,5C2,5C3,5C4,5C5 (a+b)nを はnCrで
展 開 し た と き,arbn-rの
表 さ れ,図1.29の
係 数
よ う に した もの
を パ ス カ ル の 三 角 形 と い う。 こ の と き,展
開 式 は,
図1.29
パスカルの三角形
(1.17) の よ う に な り,こ 2項 定 理 は2項
れ を2項
定 理 と い う。 た だ し,nは
正 の 整 数 と す る。
分 布 の 基 礎 に な っ て い る。
問25
2項 定 理 を 用 い て1.015を
問26
4C0+4C1+4C2+4C3+4C4の
求 め よ。
値 を 求め
よ 。
問26の 結 果 と 〔例 題13〕 を結 び つ け れ ば,次 の問 題 を 解 くこ とが で き る。 「要 素 の個 数 がn個
あ る集 合 の部 分 集 合 の 個 数 は2nで あ る。」
もの の個 数 を数 え る こ とを 中心 に した組 合 せ 数 学 の こ とを 数 え あ げ 組 合 せ 論 と い う。 数 え あ げの 方 法 に は,自 然 数 と の対 応 をつ け る組 合 せ 論 的 な 方 法,再 帰 的 な関 係 を 導 く再 帰 的 な方 法,2項
定 理 の考 え方 を拡 張 した母 関 数 の方 法 な ど が あ
る。
練習問題 1. 易 の卦 は――
と―
を6個 用 い て〓
の よ うに 表 す 。―
を2個 用 い た 卦 の
個 数 お よ び,卦 の総 数 を求 め よ。 2. 5人 で じゃん け ん を1回 す る と き,次 の問 に答 え よ。 (1) 手 の 出 し方 は何 通 りあ る か。(2) (3) 2人,3人,4人
1人 だ けが 勝 つ 場 合 は何 通 りあ るか。
が 勝 つ場 合 は,そ れ ぞ れ何 通 り あ るか 。
(4) あ い こ に な る場 合 は何 通 りあ るか 。 3. コ イ ンを6回 投 げ る と き,ち
ょ うどk回 表 が 出 る場 合 は何 通 りあ るか 。k=0,1,2,
3,4,5,6につ
い て 求 め よ 。 ま た,そ
4. 文 字a,bを5枚 (1) aが
れ らの 和 を 求 め よ 。
ず つ 書 い た カ ー ド10枚
ち ょ う ど0,1,2,3,4,5枚
(2) 2nCn=(nC0)2+(nC1)2+…+(nCn)2を 5. 5,55,555,5555,… に な る 。 た だ し,nは2,5で 鳩 の巣 原 理 で証 明 せ よ。
と い う数 がn+1個
か ら5枚
無 作 為 に 取 り 出 す と き,
あ る の は そ れ ぞれ 何 通 りか 。 示せ。 あ る 。 こ の 中 の 少 な く と も1つ
はnの
倍 数
割 り切 れ な い 数 と す る 。 こ れ を プ ロ グ ラ ム を 作 っ て 確 か め,
第2章 確率の基礎 情 報 化 社会 で は,情 報 の伝 達 や処 理 が 確 実 に 行 わ れ る よ うに み え る。 しか し,降
水確 率
や 伝 達 ミスな ど,不 確 か な 現 象 が 新 しい 形 で 登 場 して い る。 こ こで は不 確 か な 現 象 を 可 能 性 の度 合 い と考 え て,確 率 を 取 り扱 う こ と に し よ う。
2.1 不 確 か な現 像 と確 率 現 代 で は コ ン ピュー タの 助 け を借 りて 不 確 か な現 象 の特 性 を 明 らか に し,起 こ りや す さ を求 め る こ とが で き る よ うに な って きた。 不 確 か な現 象 を 取 りあ げ,そ れ を数 学 的 に モデ ル化 す る に は ど う した らよ い だ ろ うか。
[1] さ い こ ろ投 げ さ い ころ投 げで は,初 め の状 態 が ほ ん の少 し変 わ った だ けで 異 な った結 果 が生 じ る。 原 因 → 結 果 の メ カ ニ ズ ム が再 現 で きな い現 象 を不 確 か な現 象 とい う。
図2.1
不確 かな現象
そ こで,さ
い ころ を投 げ る と きど ん な高 さ か らどん な位 置 で 投 げ た らど うな る
か と い う側 面 で の追 求 はせ ず,そ の代 わ り,1か
ら6の 目が 同 じ可 能 性 で 起 こ る
と考 え て 特 性 を探 求 す る。 不 確 か な現 象 の中 で,1の
目か ら6の 目の よ う に,そ
れ 以 上 分 け られ な い こ とが らがす べ て等 し く起 こ る こ と を同 様 に確 か ら しい とい う。 この 規 則 性 に着 目す れ ば,確 率 を計 算 す る こ とが で き る。 こ こで は,さ い こ ろ投 げ に お け る不 確 か さ の特 性 を さ らに詳 し く調 べ よ う。
図2.2
同 様 に 確 か ら しい 起 こ り方
(1) 収 束 性 実 験 や 観 察 を繰 り返 し行 い,あ
る こ とが らAの 起 こ った 回数 を数 え た と き,
Aの 起 こ った 回数
/実験 回数 をAが
起 こ る相 対 頻 度,ま
た は相 対 度 数 と い う。
図2.3
ば らつ き の よ う す
さ い こ ろ振 りを 何 回 も繰 り返 す と き,図2.3の ほ ぼ 同 じ値 に な り,回 数 を 増 や した と き1/6を
よ うに,各 目 の 出 る相 対頻 度 は 中 心 に そ の ば らつ きが 小 さ くな っ
て い く。 (2) 無 規 則 性 一 方,さ
い こ ろを 実 際 に振 って 出 た 目を例 え ば40個 記録 す る と,次
の よ うに
な る。 11456
44654
65413
11353
14224
51332
35341
52321
こ の 列 の2,4,6,… 15464
番 目 を 取 り 出 し て み る と, 51133
の よ うに な るが,こ
42532
54531
の数 列 に規 則 性 は見 い出 せ な い。
さい ころ 振 り を多 くの回 数 実 験 す る と,起 こ る こ とが らに次 の性 質 が あ る。 ・実 験 回 数 を 多 くす れ ば,各 目 の相 対 度 数 は一 定 の値1/6に ・部 分 的 に取 り出 した もの に規 則 性 が な い。 こ の2つ
近 づ く。 (2.1)
の 性 質 を で た ら め ま た は ラ ン ダ ム と い う 。 ま た こ の 性 質 を もつ 実 験 や
観 察 の こ と を 試 行 と い う。 ト ラ ン プ か らで た ら め に1枚 と 同 じ よ う に 考 え,特
取 り出す こと な ど も これ
に無 作 為 抽 出 と い う。
じ ゃ ん け ん や コ イ ン投 げ が 本 当 に で た ら め な 結 果 に な る か ど うか は,性 質(2.1) に 照 ら し合 わ せ て 実 験 す る こ とで 判 断 す る こ と が で き る 。 な お,図2.3の20000 回 は,100人
の 人 が200回
ろ 投 げ を200回
行 っ た 試 行 の 結 果 を ま と め た も の で,100個
の さい こ
行 っ た 結 果 と 同 じ と み な し て い る 。 こ れ が 成 り立 つ 性 質 の こ と を
エ ル ゴ ー ド性 と い う。 さ い こ ろ 投 げ は 古 くか ら不 確 か な 現 象 と し て 知 ら れ,占 て き た の で,で
た らめ な こ と を 多 くの 人 が 経 験 的 に 知 っ て い る。 そ こ で,さ
投 げ や コ イ ン投 げ な ど で 考 え る確 率 の こ と を 経 験 的 確 率,数 問1 次 の 実 験 を行 い,で た らめ さ に つ い て の性 質(2.1)を (a) 1円 玉 を50,100,200,400回 (b) 〓
い や か け事 な ど に用 い い ころ
学 的 確 率 な ど と い う。
調 べ よ。
投 げ て表 の 出 る 回数 を数 え る。 … の右 辺 の数 字 の 出方 を調 べ る。
[2] 男 児 の 出 生 率 日本 で は男 の 子 の 生 まれ る度 合 いが,女
の子 の そ れ よ り も少 し大 き い こ とが 知
られ て い る。 この 割 合 か ら,男 子 が生 まれ る確 率 は約0.51と
い え る。 男 児 が や
や 多 い の に は,生 物 的 に何 か 理 由 が あ るの で あ ろ う。 しか し,我 々 はそ の メカ ニ ズ ムを 考 え ず,起
こ る こ とが らと その 可 能 性 につ い て,統 計 的 な デ ー タを根 拠 に
して 確 率 を 定 め る。 この よ う な確 率 の 決
表2.1 男 児 の 出生 率
め 方 を 統 計 的確 率 とい う。統 計 的 確 率 は 多 数 の デ ー タか ら確 率 を 決 め よ う と い う の で あ る。 また,表2.1の
出生 率 の例 か
ら,日 本 の あ る家 で生 ま れ る子 ど もが 男 児 と女 児 で 同様 に確 か ら し くな い こ とが
〔 注〕 厚生統計協会 「 国民衛生の動向 ・ 厚生 の指標」1995年8月
わ か る。 問2 画 鋲 を続 けて 投 げ た と き,針 が上 に 向 い た回 数 が 表2.2の ら,1個
よ う に な っ た。 こ の表 か
の画 鋲 を 投 げた と き,針 が上 を 向 く確 率 を求 め よ。 表2.2 画鋲 投 げ の実 験 結 果
[3]
疑 似 乱 数
で た らめ な 数 が生 じる現 象 の 中 に は,発 生 の しくみ は わ か って い て も事実 上不 確 か な 現 象 が あ る。 そ の 現 象 の で た らめ さ につ い て調 べ よ う。 (1) πの 小数 の桁 πを10進 小 数 で表 す と,次 の よ う にな る。 π=3.1415926535
8979323846
2643383279
5028841971
6939937510
5820974944
5923078164
0628620899
8628034825
3421170679
8214808651
3282306647
0938446095
5058223172
5359408128
4811174502
8410270193
8521105559
6446229489
5493038196
π の数 列 は マ チ ンの方 法 な ど で機 械 的 に作成 で き る。 しか し,そ の結 果 に つ い て は,例 え ば小 数 点 以 下 第50桁 らめ さ の性 質(2.1)で
が0で あ る こと は大 部 分 の 人 は知 らな い,で
た
吟 味 す る と ほぼ成 り立 つ。 そ こで,各 数 は0か ら9の 数 を
で た らめ に取 り上 げ るの と事 実 上 同 じに な る。 (2) 疑 似 乱 数 32ビ ッ トの コ ン ピ ュー タが作 る乱 数 は,基 本 的 に は次 の 漸 化 式 で 作 ら れ,こ の メ カ ニ ズ ム で作 られ る数 を疑 似 乱 数 と い う。
x0は 適 当 な 正 の 整数, aは4で 割 って1余 る正 の 整 数,cは こ こ で,xn+1はaxn+cを231で 動 くが,xnを231で
割 っ た余 り を 示 す 。xnは0<xn<231の
割 っ た 数xn/2^31は0と1の
疑 似 乱 数 の 小 数 点 以 下 第6位
間 の 数 に な る 。 次 の 数 は,そ
の
疑似 乱数
数 表 に あ る乱 数 の 利 用 法 は こ こ で は ふ れ な い 。
問3 図2.4の
乱 数 の小 数 点 以 下 第1位 が 偶 数 に な る個 数,奇
3の 結 果 は,性 質(2.1)の
[4]
間 を
を 四 捨 五 入 し た も の で あ る。
図2.4
な お,乱
正 の奇数
数 に な る個 数 を 求 め よ。 問
初 め の方 の部 分 的 な解 答 に な る。
シ ミ ュ レ ー シ ョ ン
あ る確 率 の 値 を,そ ン と い う。BASICで
れ が 起 こ る 現 象 を ま ね て 求 め る こ と を 確 率 の シ ミ ュ レー シ ョ はrnd(1)と
い う 関 数 で0か
ら1ま
で の 疑 似 乱 数 を 発 生 さ せ,
こ れ を 用 い て 確 率 の シ ミュ レ ー シ ョ ンを 行 う こ と が で き る。 プ ロ グ ラ ム2.1は, 疑 似 乱 数 を 扱 っ て さ い こ ろ 投 げ の シ ミ ュ レー シ ョ ン を 行 っ て い る 。
プ ロ グ ラ ム2.1
計 算 の結 果(初 期値1853) .157
.158
.191
.168
.171
.155
図2.5
こ の プ ロ グ ラ ム で は, ・1行 目 のRANDOMIZEで,乱 ・4行 目 のRND(1)で,0か ・5行 目 のINT(x*6)+1で,1か
数 の初 期 値 を で た らめ にす る。 ら1ま
で の 乱 数 を1つ
作 っ てxに
入 れ る。
ら6の 整 数 の 乱 数 を 作 りiを
さい こ ろの 目
とす る。 ・6行 目 のa(i)=a(i)+1で,さ 現 実 の 実 験 で も そ うだ が,こ
い こ ろ の 目iの 度 数a(i)を の シ ミュ レ ー シ ョ ンで1の
カ ウ ン トす る 。
目 の相 対 頻 度 が 確 率 に
近 づ く よ うす は 数 列 の 極 限 の よ う に 規 則 的 で は な い 。 こ れ が 確 率 の 実 態 で あ る 。 表2.3 1の 目の 相 対 頻 度
2.2 同様 に確 か ら しい とき の確 率 さ い こ ろ 投 げ で は,1の
目 が 出 る こ と が ら は,他
同 様 に確 か ら し い か ら確 率1/6と き の 確 率 の 計 算 を 行 い,コ
[1]
の 目の お の お の が 出 る こ と と
計 算 さ れ る。 こ こ で は,同
様 に 確 か ら しい と
ン ピ ュ ー タ で 実 験 し て み よ う。
計 算 の しか た
確 率 の値 を 計 算 す る と き の手 順 を 具 体例 で考 え る。 〔 例 題1〕
ジ ョー カ ー を 除 い た52枚 の トラ ンプ を よ く切 り,1枚 抜 き出 す と き,
それ が ハ ー トで あ る確 率 を求 め よ。 〔 解 〕 カ ー ドは全 部 で52枚,そ
同 様 に 確 か ら し い 現 象,例 あ る こ と が らAが
の うちハ ー トは13枚 あ るか ら求 め る確 率 は,
え ば さ い こ ろ 振 り,ト
起 こ る確 率P(A)は,次
ラ ン プ,コ
イ ン投 げ な ど で は,
の よ う に して 計 算 を 行 う。
Aが 起 こ る場 合 の個 数
(2.2)
/起 こ る場合 全部 の個 数 式(2.2)の
計 算 で は,順
列 の個 数 や組 合 せ
の 個 数 を 求 め て 確 率 を 求 め る。
問4 3本 の あ た り く じを 含 む10本 本 を 同 時 に 引 く と き,1本
の く じか ら3
図2.6
く じ引 き
だ け が 当 た り く じで あ
る確 率 を 求 あ よ 。
問5 4人 で じ ゃん けん を す る と き,ち
〔 例 題2〕
大 小 の さ い こ ろ2個
ょ うど2人 が 勝 っ 確 率 を 求 め よ。
を 同 時 に投 げ た と き,そ
に な る場 合 は ど ち らが起 こ りや す い か。
の 和 が7に
な る 場 合 と8
〔 解 〕 大 小 の さ い こ ろ の出 方 を す べ て あ げ る と,表2.4の
よ うに36通 り に な る。
各 場 合 は同 様 に確 か ら しいか ら,和 が7の 場 合 と8に な る場 合 の個 数 を数 え て, 表2.4 出 る 目 の和
よ っ て 和 が7に
な る場 合 が 起 こ りや す い。
さ い こ ろ を3回
振 る と き も同様 に して個 数
63=216で,す
べ て の 場 合 を尽 くす こ と が で
き る。
問6 10円 硬 貨 と100円 硬 貨1枚 ず つ を 同 時 に投 げ た と き,起 こ り得 る場 合 を す べ てあ げ, そ れ ぞ れ の確 率 を求 め よ。
[2]
確
認
式(2.2)の
計 算 は,起
こる場 合 のす べ て が 同様 に確 か ら し く起 こる ことが 条 件
に な る。 現 実 と合 わ な い場 合 に は,起 こ る こ とが らを再 度 調 べ 直 す必 要 が あ る。 〔例 題3〕
次 の確 率 の求 あ方 につ い て,誤
りを正 せ。
10円 硬貨 を2回 投 げ て表,裏 を見 る。起 こ り う る こ とが ら は表 表,表 裏,裏 裏 しか な い。 各 場 合 は,同 様 に確 か ら しい か ら表 裏 とな る確 率 は1/3で
〇〇 〇 表表 〔 解〕
● 表裏
表 裏 の 出 方 の 実 験 を100回
そ の 確 率 が1/2と
あ る。
●● 裏裏 か ら500回
行 っ て み る と,表2.5の
な る こ と が ほ ぼ 確 実 に推 定 さ れ,上
よ う に な り,
の 結 論 と合 わ な い。
表2.5 実 験 結 果
そ こで 〔 例 題2〕 の よ うに考 え る。 い ま仮 に10円 硬 貨2枚 とす れ ば,各 場 合 は表2.6の
が大 小 で 区 別 で き る
よ うに表 す こ とが で き,各 場 合 が 同様 に確 か ら し く
表2.6
起 こ る とす れ ば,裏 と表 が 出 る確 率 は
と な っ て 実 験 結 果 と 合 う。 し た が っ て,起
コイ ンの 裏 表
こる
こ と が ら と そ の 確 率 は,
表表 が〓,表
裏 が〓,裏裏
が〓
とす れ ば よ い。 確 率 の 計 算 で は,同
様 に 確 か ら し く起 こ る こ と が ら を 現 実 に 見 合 う よ う に 考 え
る必 要 が あ る 。 〔 例 題3〕 は,過
問7 ゲ ー ム好 き のA君
去 の 数 学 者 が 間違 え た ほど の問 題 で あ った。
は,退 社 時 間 に な る と500円 硬 貨 を投 げて 退 社 後 の3行 動 を 公 平
に しよ うと して い る。 (a) 表 が 出 た ら駅 前 の ゲ ー ム セ ン ター に寄 る。 (b) 裏 が 出 た ら駅 裏 の ゲ ー ム セ ンタ ー に寄 る。 (c) コイ ンが立 った らま っす ぐ家 に帰 る。 彼 の方 法 を公 平 さ と い う点 か ら批 判 し,代 わ りに な る例 を1つ あ げよ。
[3]
シ ミ ュ レー シ ョン
2個 の コイ ンを投 げ,表 表,裏 表 か ど うか を見 る シ ミュ レー シ ョ ンを 次 の手 順 で行 お う。 ・0,1の
乱 数 をx=int(rnd(1)*2),y=int(rnd(1)*2)で2個
作 る。
・x=0,1で,1つ
目 の コ イ ン の 表,裏
を表 す。
・y=0
目 の コ イ ン の 表,裏
を 表 す。
,1で,2つ
・x+y=1で
,表
裏 また は裏 表 が 出 る事 象 を表 す。
この シ ミュ レー シ ョ ンの結 果 は 〔 例 題3〕 と ほ ぼ 同 じ結 果 に な り,そ
の正 しさ
を裏 づ け る。
問8
プ ロ グ ラ ム2.2の 結 果 を 用 いて,コ
イ ンが2回
と も裏 にな る相 対 頻 度 を 求 め よ 。
図2.7
プ ロ グ ラ ム2.2
計算の結果 0.256
0.496
1000
500
0.258
0.499
1500
0.250
0.493
2000
0.248
0.493
2500
0.252
0.492
2.3 事 象 と確 率 確 率 は,不 確 か な現 象 につ い て,そ の 中 の あ る こ とが らが起 こ る可 能 性 を 数 値 化 した もの で あ った。 こ こで は起 こ り得 る こ とが らを集 合 の考 え方 で 表 し,確 率 の 問 題 を解 決 しよ う。
[1] 根元事象 と標本空間 い ま,A,B2人
が じ ゃ ん け ん を し た と き に,あ
起 こ り得 る す べ て の 場 合 を 数 え る と,次 は,Aが
ぐー,Bが
い こ にな る確 率 を 求 め て み る。
の よ う に9通
ぱー を 出 し,「 ち ぱ 」 はAが
り に な る。 こ こ に 「ぐ ぱ 」
ち ょ き を,Bが
ぱ 一を 出す こと
を表す。 あ い こ に な る の は 「ぐ ぐ」,「 ち ち 」, 「ぱ ぱ 」 の3通
り に な る か ら,9通
りあ
る 各 場 合 の 起 こ り方 が 同 様 に 確 か ら し い と き,そ
の 確 率 は 次 の よ う に して 求 め ら
れ る。
図2.8
じゃん けん で起 こ り得 る こ とが ら は上 の9通
事 象
りあ り,各 場 合 はそ れ 以 上細 か く
で きず,そ れ らの起 こ り方 が み な 同様 に 確 か ら しい と き,そ れ ぞ れ の こ とが らを 根 元 事 象 とい う。 そ して,あ い こに な る事象Aは,根
元 事 象 を 用 い て,次
のよ
うに表 す こ とが で き る。 A={ぐ
ぐ,ち
ち,ぱ
ぱ}
一 般 に,根 元 事 象 を す べ て集 め た集 合 の こ とを標 本 空 間 とい う。 一 方,根 元 事 象 の どれ か が起 こ る こ とが らは根 元 事 象 す べ て を含 む の で,こ れ を全事象 とい う。 全 事 象 は標 本 空 間 と同 じに な り,任 意 の事 象 は標 本 空 間 の部 分 集 合 に な る。
〔 例1〕
さ い ころ を振 る と きの標 本 空 間 は,次 の6つ の根 元 事 象 か ら な る 集 合 で
あ る。 1の
目,2の
目,…,6の
目
偶 数 の 目 が 出 る 事 象 は 集 合{2,4,6}で
〔 例2〕
コ イ ン を2回 表 表,表
投 げ る と き の 根 元 事 象 は,次
裏,裏
表,裏
た だ し,「 表 裏 」 は1回 出 る 事 象 は,集
合{表
図2.9
表 さ れ る。
で あ る。
裏
目 に 表,2回
裏,裏
の4つ
目 に 裏 が 出 る こ と が ら を 示 す 。 表 が1回
表}で 表 さ れ る 。
偶 数 の 目の事 象
図2.10
表1回
の事 象
事 象 を 利 用 し て 確 率 の 問 題 を 解 決 し て み よ う。
〔 例 題4〕
大 小2個
の さ い こ ろ を 振 り,ゾ
賭 率 で 賭 け る と き,ど
ロ 目 に な る か,和
が6に
な るか を 同 じ
ち ら に賭 け るの が有 利 か判 定 せ よ。
〔 解〕
標 本 空 間 は,図2.11の
1・2は
大 小 の さ い こ ろ の 目 が,そ
ゾ ロ 目 に な る 事 象 は,次
よ う に36個
の 根 元 事 象 で 表 せ る。 こ こ で 例 え ば,
れ ぞ れ1,2で
の よ う に6つ
あ る こ とを 示 す 。
の根 元 事 象 か らな る。
{1・1,2・2,3・3,4・4,5・5,6・6} ゾ ロ 目 に な る 確 率 は,
他 方,和
が6に
な る 事 象 は 次 の よ う に5つ
の 根 元 事 象 か らで き て い る 。
{1・5,2・4,3・3,4・3,5・1}
和 が6に な る確 率 は〓
と な っ て,ゾ
ロ 目 に賭 け る方 が 有 利 で あ る。
図2.11
一 般 に,あ 事 象Aが
る事 象Aに
2個 の さ い こ ろ 投 げ の 標 本 空 間
根 元 事 象 がm個
起 こ る確 率P(A)は,次
あ り,全 事 象 に根 元 事 象 がn個
あ れ ば,
の式 で求 め られ る。
(2.2) さ い こ ろ を 使 っ た 賭 け の 方 法 は 数 多 く あ る が,〔 例 題4〕 の よ う に,確
率でそ の
有 利 性 を 判 断 す る こ と が で き る。 問9
さ い ころ2個 を投 げ,目 の和 が6ま た は7で あ る場 合 と,目 の 差 が1で
あ る場 合 を
同 じ賭 け率 で賭 け る と き,ど ち らが有 利 か判 定 せ よ 。
[2]
い ろ い ろ な事 象
事 象 は集 合 と同 じ扱 い方 を す る こ とに特 徴 が あ る。 事 象 の 考 え 方 で 問題 を解 決 す る こ とを 考 え よ う。 (1) 空 事 象 コ イ ン投 げ で 図2.12の
よ うに側面 で
立 つ こ とが らは,実 際 に は起 こ らな い。 この よ う に,実 際 に は起 こ らな い事 象 の こ とを 空 事 象 と い い,φ
で表 す。 空 事
象 φが 起 こ る確 率 は0で あ る。
図2.12
(2) 和 事 象 と積 事 象 大 小2個
の さ い こ ろ を 振 る と き,ゾ 1・1,2・2,3・3,4・4,5・5,6・6
ロ 目 に な る事 象 は
空事 象の例
と い う6つ
の 根 元 事 象 の ど れ か1つ
こ こ で 例 え ば,共 る の で,集
に1の
目 が 出 る根 元 事 象 は1個
合 の 記 号 で{1・1}の
こ の と き,ゾ
が起 こる ことが らで あ る。 の 要 素 を もつ 集 合 と 考 え られ
よ うに表 す 。
ロ 目 に な る事 象 をAと
す れ ば,Aは
次 の よ う に6つ
の根 元 事 象
の 和 集 合 と して 表 す こ と が で き る 。 A={1・1}∪{2・2}∪{3・3}∪{4・4}∪{5・5}∪{6・6} た だ し,Aを
次 の よ う に 表 す こ と もあ る。
A={1・1,2・2,3・3,4・4,5・5,6・6} こ こ で 和 が8で
あ る 事 象 をBと
す れ ば,ゾ
ロ 目 で 和 が8の
事象 は次の よ うに
表 せ る。
図2.13
一 般 に,2つ
ゾ ロ 目の 事 象 と和 が8の
の 事 象A,Bが
Bの 和 事 象 と い い,A∪Bと つBが
あ っ た と き,Aま 表 す 。 ま た,2つ
起 こ る と い う事 象 をA,Bの
図2.14
和 事 象A∪B
事象
た はBが の 事 象A
起 こ る と い う事 象 をA,
,Bが
積 事 象 と い い,A∩Bと
図2.15
あ っ た と き,Aか 表す。
積 事 象A∩B
問10 一 組52枚
の トラ ンプ で,ハ ー トで あ る事 象 をA,絵
次 の事 象 をA,Bで
排
す る と き,
表 し,そ の確 率 を求 め よ。
(a) ハ ー トま た は絵 札 (3)
札 で あ る事 象 をBと
(b) ハ ー トの絵 札
反
2個 の さ い こ ろ を 投 げ る 試 行 で,ゾ
ロ 目 の 根 元 事 象A={1・1}とB={2・2}
が 同 時 に 起 こ る こ と は あ り え な い 。 つ ま り,次
の 式 が 成 り立 つ 。
A∩B=φ,P(A∩B)=0
図2.16
一 般 に,事
排 反
象A,Bが
あ っ て 積 事 象A∩B=φ
あ る と い う。 ま た,事 の と き,A,B,Cは (4)
図2.17
象A,B,Cが
互 い に排 反
の と き,A,Bの
ことを排反 で
あ っ てA∩B=φ,B∩C=φ,C∩A=φ
互 い に 排 反 で あ る と い う。
余事象
事 象Aが
あ った と き,Aが
事 象 をAの
余 事 象 とい い,Aで
え ば,2個
起 こ らな い 表す。例
の さ い ころ を 振 る と き,半 で
あ る事 象 をAと
す れ ば,Aは
丁 である
事 象 にな る。 図2.18
Aと そ の 余 事 象Aは
余 事 象
互 い に排 反 で,和 事 象 は全 事 象 だ か ら,次 の 関 係 が 成 り
立 つ。 A∩A=φ
(空事 象)
A∪A=U と こ ろ で,事
象A,Aに
(全事 象) お け る根 元 事 象 の 個 数 を,そ
(2.4)
れ ぞ れn(A),n(A)と
す れ ば,
だ か ら,次
の 式 が 成 り立 つ 。
(2.5) 〔 例 題5〕a,b,c,d,eと
い う5枚
の 札 をA,Bと
い う2つ
の 箱 に 入 れ る と き,
ど の 箱 も空 に な ら な い 確 率 を 求 め よ 。 〔解 〕A,Bど
ち らか の 箱 が 空 に な る事 象 をEと
箱 に 入 れ る 方 法 は25通
り,A,
求 め る確 率 は 式(2.5)を
す る。5枚
Bが 空 に な る場 合 は,そ
の 札 をA,B2つ
れ ぞ れ1通
の
りず つ だ か ら,
用 いて
図2.19
札を箱に 入れる
問11 1か ら100ま で の 数 が書 いて あ る札 か ら2枚 抜 き取 る と き,そ
の 積 が 偶 数 で あ る確
率 を求 め よ。
[3]
加 法 定 理
集 合 の和 の 法 則 を 利 用 して,和 事 象 の確 率 につ い て考 え よ う。 (1) 確 率 の 和 の 法 則 1.2節 の数 え上 げ の 原理 で は,和 の法 則 が 次 の よ う に成 り立 つ。
一 方 ,A,B,A∪B,A∩Bが
起 こ る確 率 は,そ
れ ぞ れ 次 の よ う に 表 さ れ る。
した が って,次
の式 が 成 り立 ち,こ れ を確 率 の加 法 定理 とい う。
(2.6) 〔 例 題6〕
一 組52枚
の ト ラ ン プ か ら1枚 抜 い た と き,そ
れ が ハ ー トか ジ ャ ッ ク
で あ る確 率 を求 め よ。 〔 解 〕1枚
の トラ ン プ が ハ ー トで あ る 事 象 をH,ジ
だ か ら,
ャ ッ ク で あ る事 象 をJと
図2.20
トラ ン プ の 標 本 空 間
問12 1か ら100ま で の番 号 をつ け た100枚 の カ ー ドか ら1枚 抜 き取 る と き,そ た は6で 割 り切 れ る確 率 を 求 め よ。
す れ ば,
れ が4ま
特 に,A,Bが
排 反 つ ま りA∩B=φ
の と き,P(A∩B)=0だ
か ら
(2.7) が成 り立 ち,確 率 の加 法性 とい う。 加 法 定理 とそ れ に 関連 す る式を まとめ てお く。 ・加 法 定 理;事
・加 法 性;A
象A
,Bが
,Bに
排 反 つ ま りA∩B=φ
・余 事 象;事 象AとAに
式(2.7)を
つ い て,
の と き,
つ いて
利 用 して 確 率 を 求 め て み よ う。
〔 例 題7〕20個
の製 品 の 中 に3個 の 不 良 品 が 入 って い る。 この 中か ら無 作 為 に3
個 の製 品 を取 り出す と き,不 良 品 が1個 以 下 で あ る確 率 を 求 め よ。 〔 解 〕 取 り出 し方 は全 部 で20C3通 りあ る。 ま た,不 良 品 が0個,つ
ま り3個 と も
良 品 の場 合 は17C3通 り あ るか ら,そ れ が 起 こ る確 率 は
不 良 品 が1個 あ る か ら,そ
の 場 合 は18C2・3C1通
り
れ が 起 こ る確 率 は
図2.21
不 良 品 の 取 り出 し
2つ の事 象 は排 反 だ か ら,求 め る確 率 は次 の値 に な る。
問13 赤玉3個,白 確 率 を求 め よ。
玉4個 入 って い る袋 か ら玉 を2個 同 時 に取 り出す と き,同
じ色 で あ る
2.4 条 件 つ き確 率
くじ引 きで は何 番 目に 引 い て も当 た る確 率 は同 じで あ る とい わ れ る。 ここで は,
確 率 の値 を か け る こ との意 味 を探 り,条 件 つ き確 率 の 考 え 方 を ま と め よ う。 [1]
確 率 の か け算
いま,A君
とB君 が コ イ ンを使 った ゲ ー ムで, A君 は次 の よ う に 考 え て い る。
・コイ ンを投 げ ,表 が 出 た らA君
の勝 ち
・裏 が 出 た ら再 度 コイ ンを投 げ,表 が 出 た らA君
の 勝 ち,裏
が 出 た らB君 の
勝ち
こ こで,表 裏 の 出 方 は次 の3通
(a) 表 →A君
の勝 ち
(b) 裏 表 →A君
の勝 ち
(c) 裏 裏 →B君
の勝 ち
A君 が 勝 つ 場 合 は,B君 が1円
りで あ る。
が 勝 つ 場 合 の2倍 あ る。 そ こ で(a),(b)の 場 合, A君
も らい,(c)の 場 合,B君
がA君
か ら2円 も らえ ば よ い 。 お 人 好 しのB君
は これ に賛成 し,こ のゲ ー ムを 行 った。 表2.7 ゲ ー ム の得 点1
100回 繰 り返 し た と き,B君 でB君
は,B君
は 表2.7の
が 勝 つ(c)の 場 合 は,1回
目 に 裏 が 出 る 確 率 は1/2だ
か ら,こ
よ う に負 けが 重 な って し ま った 。 そ こ 目 に 裏 が 出 る 確 率 は1/2,さ
れをかけて
ら に2回
これ に 対 して,A君
が勝 つ確 率 は余 事 象 の確 率 で次 の よ うに求 め た 。
さ ら に 調 べ て 図2.22の
樹 形 図 を作 っ
た。 図2.22
新 た な ゲ ー ム で は,(a)で 点,B君
が-2点,(c)で
はA君 はA君
が+1点,B君
ゲ ー ム の モ デ ル
が-1点,(b)で
が-4点,B君
が+4点
はA君
が+2
と した。
表2.8 ゲ ーム の 得 点2
100回
コ イ ン投 げ を 行 っ た 結 果,B君
公 平 で な い こ と の 判 断 は,第6章
[2]
は 負 け て い る が ほ ぼ 公 平 に な っ た 。 な お,
の 検 定 で 行 う こ と が で き る。
条 件 つ き確 率
上 の コイ ン投 げ の ゲ ー ム の問 題 で確 率 の積 の意 味 を考 えて み よ う。 ・1回
目の コ イ ン投 げ で裏 が 出 る事 象 をE,表
が 出 る事 象 をE
・2回
目の コイ ン投 げ で裏 が 出 る事 象 をF,表
が 出 る事 象 をF
とす る と き,標 本 空 間 が 次 の よ う にで き る。
図2.23
コ イ ン投 げ の標 本 空 間
図2.24
部 分 的 な 標 本 空間
こ こで,B君
が勝 つ の は2回 と も裏 が 出 る事 象 だ か らE∩Fと
表 せ て,
(2.8) と計 算 され る。 式(2.8)で,前
の 方 の 確 率1/2は,図2.24で
式(2.8)で,後
ろ の 確 率1/2はEと
事 象Eの
確 率 に な る。
い う条 件 が 成 り立 つ と き に 事 象Fが
成 り立 つ 確 率 にな って い る。 この 確 率 の こ とを条 件 つ き確 率 とい い,次 の式 で表 す。
式(2.8)は
次 の 式 に な り,こ
の 式 を 確 率 の 乗 法 定 理 と い う。
(2.9) こ う して 確 率 の か け 算 の 意 味 が 説 明 さ れ る。 次 に,乗
法 定 理 を 用 い て く じ引 き の 問 題 を 解 い て み よ う。
〔 例 題8〕10本
の う ち1本
が 当 た り で あ る く じを,A,Bの
こ の と き,Aが
当 た り く じ を 引 く確 率,お
よ びBが
順 に1本
ず つ 引 く。
当 た り く じを 引 く確 率 を求
め よ。 〔 解 〕Aが
当 た り く じ を 引 く確 率 は1/10,Bが
は ず れ,か
つBが
当 た る確 率 だ か ら,乗
当 た り く じ を 引 く確 率 は,Aが
法 定 理 の 式(2.9)か
ら,
こ こ に, 図2.25
く じ引 き の 樹 形 図
は,Aが
は ず れ く じを 引 く確 率,
は,Aが
は ず れ の と き にBが
当 た る 条 件 つ き 確 率 で あ る 。 こ う し て,く
じ引 き
で 当 た る確 率 は順 番 に よ らな い こ とが 乗 法 定 理 で 示 され た 。
問14 10本 の うち3本 が 当 た りで あ る く じを,A,Bの が 当 た り く じを 引 く確 率,お
[3]
よびBが
事 象 の 独 立
条 件 つ き 確 率 を い くつ か の 具 体 例 で 調 べ,そ (1)
順 に1本 ず つ 引 く。 こ の と き,A
当 た り く じを 引 く確 率 を求 め よ。
の 事 象 の 特 性 に つ い て 考 え よ う。
条 件 つ き確 率 の 事 象
〔 例 題9〕52枚1組
の ト ラ ン プ か らA君
しよ う 。 次 の 状 態 でA君
が1枚
抜 き 出 し,B君
が言 い当 て ると
が ハ ー トの ク イ ー ン で あ る と い っ た と き,当
た る確 率
を 求 め よ。 (a) で た らめ に い っ た と き (b) B君 が 赤 い ハ ー トの 印 を 見 て し ま っ た と き 〔 解 〕(a)は
全 体 で52通
り あ り,ハ
ー トの ク イ ー ン の 場 合 は1通
り だ か ら,求
め
る確 率 は〓 (b)は 全 体 で ハ ー トの13通
り あ り,そ
の 中 で ク イ ー ン の 場 合 は1通
り だ か ら,
そ の確 率 は〓 〔 例 題9〕 の よ う に 条 件 つ き 確 率PA(B)は,も
と の 確 率P(B)よ
り も大 き くな
る。
問15 トラ ンプ の絵 札12枚
か ら元 に戻 さず に1枚 ず つ 引 き,1枚
2枚 目 も ダ イ ヤ で あ る確 率 を求 め よ。
目が ダ イヤ で あ ったと き,
(2)
事 象 の 独 立,従
あ る 事 象A,Bが
属 あ っ た と き,次
の2つ
・Aが 起 こ っ た と い う条 件 の も と でBが
の 条 件 つ き 確 率 を 考 え る。 起 こ る 条 件 つ き確 率;PA(B)
・Aが 起 ら な か っ た と い う 条 件 の も と でBが こ の2つ
の 確 率 が 一 致 す る と き,事
象A,Bは
起 こ る 条 件 つ き確 率;PA(B) 独 立 で あ る と い い,そ
うで な い
と き 従 属 で あ る と い う。 A,Bが
独 立;PA(B)=PA(B)
A,Bが
従 属;PA(B)≠PA(B)
〔 例 題10〕
さ い こ ろ を1個
あ る 事 象 をBと 〔 解〕
図2.26か
振 る と き,出
す る 。 こ の と き,A,Bは
る 目 が2以
下 で あ る 事 象 をA,偶
独 立 か従 属 か を調 べ よ。
ら,
図2.26
よ っ て,A,Bは 〔 例 題10〕
数 で
さ い こ ろの 事 象
独 立 で あ る。
で は,出
る 目 が1,2か
否 か は,偶
数 が 出 る確 率 に影 響 し な い 。 こ
れ が 独 立 の 具 体 的 な 意 味 で あ る。 一 方,〔 例 題10〕 で は,次
の 式 が 成 り立 つ 。
PA(B)=PA(B)=P(B) P(A)・P(B)=P(A∩B) 式(2.10)は,独
(2.10)
立 か 従 属 か の 判 定 に よ く用 い ら れ る 。
問16 さ い ころ を1個 振 る と き,出 る 目 が3以 下 で あ る事 象 をA,偶 す る。 こ の と き,A,Bは
独 立 か 従 属 か を調 べ よ。
数 で あ る事 象 をBと
[4]
コ ン ピュー タ の利 用
本 節 の[1]で
取 り上 げ たA,B両
君 の ゲ ー ムを シ ミュ レー シ ョ ンす る こ と を
考 え,答 え が 正 しい こ とを確 認 して み よ う。 ・コ イ ンを投 げ,表 が 出 た らA君
の勝 ち とす る。
・裏 が 出 た ら再 度 コイ ンを投 げ,表 が 出 た らA君
の 勝 ち,裏
が 出 た らB君
の
勝 ち とす る。 プ ロ グ ラ ム2.3
計算 の 結 果(初 期 値46の 1
2
0
1 ‐1
場 合) 0 ‐2 ‐1
‐ 4 ‐3 ‐2 ‐4 ‐3 ‐2 ‐1
0 ‐2
0
1 ‐1
0
1
2
3
1
2
3
4
5
7
8
6
7
8
9
7
8
9
8
9
10
11
12
6 7
13 14
15 16
19
20
18
19
17
18
16
17
18
19
20
21
19
20
21
22
20
21
22
23
21
19
20
21
22
23
24
25
26
27
25
26
27
28
26
27
25
26
27
28
29
30
31
29
30
31
29
30
31
図2.27
こ こで,表 裏 の出 方 と乱 数,得 点 を 次 の よ う にす る。 (a) 表;x≧0.5→A君
の 勝 ち で,A君
(b) 裏 表;x<0.5,y≧0.5→A君
17
18
が+1点,B君
が-1点
の 勝 ち で,A君
が+1点,B君
が-1点
(c) 裏 裏;x<0.5,y<0.5→B君
の 勝 ち で,A君
プ ロ グ ラ ム で は 乱 数x,yを こ と を,y<0.5の
と き2回
y<0.5の
と きA君
の 得 点pの
ム を100回
行 う。 各 回 で,B君
作 り,x<0.5の
期 値30の
と き1回
が+2点
目 の コ イ ンが 裏 で あ る
目 の コ イ ン が 裏 で あ る こ と を 表 す 。x<0.5か 値 を2減
ら し,そ
の 得 点 は-pに
実 行 結 果 は 初 期 値 に よ っ て 異 な り,ふ 例 え ば,初
が-2点,B君
よ う にB君
つ うB君
つ
れ 以 外 の と き1増 や す 。 こ の ゲ ー な る。 に と っ て 不 利 な 結 果 に な る が,
が 終 始 勝 ち 続 け る場 合 も あ る。
問17 プ ログ ラム2.3を 修 正 し,表2.8の
よ う に公 平 な 結 果 を作 り出 せ。
練習問題 1. 大 中 小 の さ い こ ろ3個 を 同 時 に 振 る と き,和 が7に な る場 合 と8に な る 場 合 は ど ち ら が 起 こ りや す いか 。 確 率 を 求 め て判 断 せ よ。 2. 2個 の さ い こ ろ を振 り,出 た 目の大 きい 方 が1,2,3,4,5,6で プ ロ グ ラ ム2.1を 修 正 し,1000回
あ る確 率 を そ れ ぞ れ 求 め,
繰 り返 して そ れ が 正 しい こ とを確 認 せ よ。
3. プ ロ グ ラ ム2.1を 修 正 して コイ ン3個 を投 げ る シ ミュ レー シ ョ ン プ ロ グ ラム を作 り, 1000回 の試 行 で 表 の個 数 が0,1,2,3の 4. 1円,5円,10円 そ の 確 率Pを
相 対 頻 度 を そ れ ぞ れ 求 め よ。
玉 を 投 げ 表 裏 を見 る試 行 で,根 元事 象 の個 数 と,表 が2枚
出 る事 象,
求 め よ。
5. 〔 例 題7〕 の不 良 品 の各 個 数 の 確 率 と,プ ロ グ ラ ム2.1を 利用 した 相対 頻 度 を求 め よ。
第3章 確率分布 不確 か な 現 象 が あ る と き,起 こ り得 る こ とが ら(事象)と そ れ が起 こる可 能 性(確 率)で 確 率 の 基 本 的 な 概 念 が で き上 が って い る。 こ こで はい ろ い ろ な確 率 と,そ の 特 性 に つ い て さ らに探 求 す る。
3.1 独 立 試 行 東 京 とパ リの 天 気,さ
い ころ投 げ と ル ー レ ッ トな ど,2つ
の不 確 か な 現 象 が 無
関 係 で 起 こ る こ とが あ る。 こ う した実 験 や 観 察 で起 こ る確 率 の特 性 につ い て考 え よ う。 [1]
独 立 試 行 の性 質
さ い こ ろ は,出 た 目 を記 憶 して い るわ けで はな い か ら,各 回 に振 って 出 る目 は 互 い に無 関 係 で,極 端 な場 合 に は続 けて10回
も1の 目が 出 る こ と も起 こ る。 コ
イ ン投 げや 画 鋲 投 げ で も同様 の こと が い え る。
図3.1
画鋲 投げ
1回 目 の 画 鋲 投 げ と2回
目 の 画 鋲 投 げ が 無 関 係 で あ る こ と を 数 式 で 考 え て み る。
1個 の 画 鋲 投 げ を 多 数 回 行 っ た と き, P(1個
の 針 が 上 を 向 く確 率)=0.6745
2個 の 画 鋲 投 げ の 試 行 で は, P(2個
と も針 が 上 を 向 く確 率)=0.455
に な っ た 。 こ れ は, P(上
を 向 く)×P(上
を 向 く)=P(2個
と も 上 を 向 く)
(3.1)
を示 して い る。 さ い こ ろ 投 げ で も,次 P(1回
目 に1の
=P(1回
の 式 が 成 り立 つ 。 目 が 出 る確 率)×P(2回
目 に1が
,2回
目 に 偶 数 の 出 る 確 率)
目 に 偶 数 が 出 る 確 率)
同 じ状 態 の もと で何 回 も繰 り返 す こ とが で き,起
(3.2)
こ った結 果 が偶 然 に支 配 さ れ
る実 験 や 観 察 の こ とを試 行 と い う。 試 行 を 何 回 も繰 り返 して行 い,こ の一 連 の試 行 を こみ に して1つ
の試 行 と考 え た と き,そ れ を反 復 試 行 とい う。
図3.2
独 立試 行
あ る試 行 で の 起 こ りや す さ と,他 の試 行 で の 起 こ りや す さの 間 に関 係 が な い と き2つ の実 験 試 行 を 独 立 試 行 とい う。 あ る試 行 が あ っ た と き,そ れ が独 立 試 行 か
ど う か は,式(3.1),式(3.2)と
同 様 の 式 で,次
の よ う に 判 断 す る。
P(A)P(B)=P(A∩B) こ こ に,あ
(3.3)
る 試 行Sで
の 事 象 をA,他
を こ み に した と き,AとBが
の 試 行Tで
の 事 象 をBと
と も に 成 り立 つ 事 象 をA∩Bと
問1 あ る ○ × 式 の テ ス ト問 題 が2問 に ○ × を選 ん で 答 え た。A君
あ っ た。A君
し,試
行S,T
して い る。
は全 くわ か ら なか っ た ので,で
た らめ
の答 え が2問 と も合 って い る確 率 を 求 め よ。
[2] 独 立 試 行 の 定理 コイ ン投 げ の独 立 試 行 で は,10回
の試 行 で10回 と も表 に な る場 合 もあ り得 る。
こ こで は,あ る事 象 が反 復 試 行 で何 回 起 こるか に着 目 した計 算 を考 え よ う。 〔 例 題1〕
コ イ ン投 げ を10回 行 い,10回
〔 解 〕 各 回 で 表 が 出 る確 率 は1/2だ
〔 例 題1〕 で は,コ
と も表 が 出 る確 率 を求 め よ。
か ら,10回
イ ン 投 げ で 表 が10回
連 続 し て 現 れ る こ と が1,000回
程 度 は あ る こ と を 示 して い る 。 一 般 に,1回 と き,n回
の 試 行 でn回Aが
と も表 が 出 る確 率 は
の 試 行 で 事 象Aが
続 け て 起 こ る 確 率 はpnに
に1回
起 こ る 確 率 がpの
な る。 こ れ を勝 ち続 け の
確 率 と い う。 問2 次 の 各 反 復 試 行 で 勝 ち続 け の確 率 を求 め よ。 (a) A,Bが
じ ゃん けん をす る と き, Aが 続 けて10回
勝つ確率
(b) あ る家 族 で 男 児 が 続 け て10人 生 ま れ る確 率,た だ し男 児 が 生 ま れ る 確 率 は0.51と す る。
〔 例 題2〕A,Bが 〔 解〕
じ ゃ ん け ん を4回
じ ゃ ん け ん を1回
す る と き,Aが3回
す る と き,Aが
Aが4回
と も 勝 つ 確 率 は,勝
Aが3回
勝 つ 場 合 は,表3.1の
以 上 勝 つ 確 率 を 求め よ 。
勝 つ 確 率 は1/3で
あ る。
ち 続 け の 確 率 だ か ら(1/3)4 よ う に4C3=4通
そ れ ぞ れ が 起 こ る 場 合 の 確 率 は(1/3)3(2/3)だ
り あ り, か ら,求
め る確 率 は
で あ る 。 な お,表3.1で
「-」 はBが
勝 つ か,あ
表3.1 Aが3回
一 般 に,A,Bが をn回
ゲ ー ム を 行 い,各
行 っ た と き,Aがr回
い こ の 場 合 で あ る。
勝 つ場 合
回 でAが
勝 つ 確 率 をpと
勝 つ 確 率 は 次 の 式 で 示 さ れ,こ
す る。 こ の ゲ ー ム れ を独 立試 行 の 定 理
と い う。
(3.4) 特 に,Aがn回
と も 全 部 勝 つ 確 率 は,式(3.4)でr=n,nCn=1,(1-p)0=1
だ か ら,
(3.5) に な る。 こ れ は勝 ち 続 け の 確 率 と 同 じで あ る。 独 立 試 行 の 定 理 を 利 用 して 一 致 の 確 率 を 考 え て み よ う。 問3
あ る学 校 の生 徒500人
と して,次
の 中 に1月1日
の場 合 の 確 率 を 小 数 点 以下 第3位
生 まれ の 人 が い るで あ ろ う か 。1年 を365日 ま で求 め よ。
(a) 少 な くと も1人 い る確 率 (b) ち ょ う ど2人 い る確 率
[3]
シ ミ ュ レ ー シ ョ ン
独 立 試 行 の 定 理 は,コ
イ ン投 げ や ル ー レ ッ トな ど の ゲ ー ム に 利 用 して,そ
敗 を 予 測 す る こ と が で き る。 次 の 例 題 と 問 は,確
〔 例 題3〕
さ い こ ろ を4個
1の 目 が 出 た と きB君
振 り,1の
の勝
率 が 始 ま る原 因 に な っ た 。
目 が 全 く出 な い と きA君
の 勝 ち と す る 。 こ の ゲ ー ム はA君,B君
の 勝 ち,1回
で も
の ど ち らに と っ
て有利か。 〔 解 〕A君
の 場 合,(5/6)4≒0.482
B君 の 場 合,1-(5/6)4≒0.518 だ か らB君
の 方 が 有 利 で あ る。
問4 2個 の さい ころ を 振 り,6と6の 1回 以 上 出 る方 に,B君
ゾ ロ 目を 見 る こ とを24回 繰 り返 す。A君
は全 く出 な い 方 に賭 け た。A君,B君
の ど ち らが有 利 か。
〔 例 題3〕 の 問 題 を 実 際 に コ ン ピ ュ ー タ で シ ミュ レ ー シ ョ ン し,そ しよ う。 プ ロ グ ラ ム3.1で
は,0か
ら5ま
の結果を確認
で の 整 数 を で た ら め に 出 す 乱 数 を4個
プ ロ グ ラ ム3.1
図3.3
はそれ が
計算 の 結 果(初 期値4712の .471
.479
.489
場 合) .483
作 り,0を
さ い こ ろ の1の
数Pに1を
加 え る 。Pの
.486
.483
目 と 考 え る 。0が1回 相 対 頻 度 が0.5を
10回 の 実 行 結 果 平 均 は,A君
が 有 利 で あ る。 あ る こ と を 表 示 して い る。
数 が5000の
の反復 試 数が少 な い
よ う に多 い と き
落 ち つ い て い く こと が わ か る。 5000回
プ ロ グ ラム3.1を 利 用 し,1000回
3.2
の 勝 ち と し,変
値 を 修 正 し て5000回
が 勝 つ チ ャ ン ス が あ る が,回
表3.2
問5
.493
も な け れ ばA君
越 え た と きA君
目 のnの
.517
〔 例 題3〕 で は 確 率 の 差 が ほ ん の わ ず か だ か ら,回
と き勝 敗 が 逆 転 しA君 結 局,0.48に
.48
の 勝 っ た 割 合 が0.4892で
ば ら つ き の よ う す を み る た め に,2行 行 に す る(表3.2)。
.511
の シ ミュ レー シ ョ ンの例
の試 行 でA君
の勝 つ割 合 を10個
書 け。
2項 分 布
コ イ ン投 げで は,1回
の試 行 で 表 が 起 こ る確 率 が1/2で
あ っ て も,10回
とも
表 が 出 る確 率 は小 さ い。 こ こで は事 象 の数 値 化 とそ の確 率 の 関係 を 考 え る こ とに しよ う。
[1]
確 率 分 布
不 確 か な現 象 で 起 こ る,す べ て の場 合 を知 りた い と きが あ る。 この と き事 象 を 数 値 化 し,各 場 合 の確 率 を求 め て問 題 を解 決 す る。 〔 例 題4〕
あ る サ ー クル に は男子8人,女
選 ぶ の に,で
子7人 が い る。 こ こか ら4人 の 代 表 を
き るだ け 自然 に任 せ た いが,男 子 だ け あ る い は,女 子 だ け で は 困 る
と皆 考 え て い る。 無 作 為 に代 表 を選 ん で よ いか,確 率 で 判 断 せ よ。
図3.4
〔 解〕
選 ん だ4人
男 女4人
の 選 び方
の 中 の 男 子 の 人 数 をXと
し,X=0,1,2,3,4の
め る。 こ こ で 例 え ば,女 子 だ け の 場 合 はX=0に
な る の で,そ
場 合 の確 率 を 求 の 確 率 をP(X=0)
と表 す 。
表3.3 男 子 の 人 数 と確 率 の分 布
表3.3か
ら,男
子 だ け の 場 合 が 約20回
回 しか 起 こ ら な い の で,自 表3.3で
は,変
数Xに
の よ う に,X=kと
子 だ け の 場 合 が 約40回
に1
然 に任 せ て お い て もよ か ろ うと判 断 で き る。 は 男 子 の 人 数 が,確
確 率 を 示 して あ る 。 ま た,変 確 率 変 数 の 各 値X=kに
に1回,女
数Xを
率 に はX=0,1,2,3,4の
確 率 変 数 と い い,XやYな
対 す る 確 率 をP(X=k)の そ の 確 率P(X=k)を
率 分 布 と い う。 確 率 分 布 は,表3.3の
ど の 文 字 で 表 し,
よ う に 表 す 。 そ し て,表3.3
対 応 さ せ た も の を,確 よ う な 表 の 他 に 式(3.6)や
式 や グ ラ フで 表 す こ と もで き る 。 な お,こ
各 場 合 の
率 変 数Xの 図3.5の
確
よ う に,
の 確 率 分 布 を 超 幾 何 分 布 と い う。
(3.6)
図3.5
確 率 分 布 を 作 れ ば,確 る 。 な お,nCrの
確 率 分布 の グ ラ フ
率 変 数 の範 囲 と各 確 率 変 数 の起 こ りや す さが す べ て わ か
計 算 が 大 変 な と き に は,プ
問6 男10人,女10人
ロ グ ラ ム1 .2を 利 用 す る と よ い 。
の グル ー プか ら4人 の代 表 を選 ぶ こ とに な った。 で た ら め に 選 ん
だ と きの男 女 の バ ラ ン スに つ い て調 べ よ。
[2]
2項
分 布
1回 の コ イ ン投 げ で 表 の 出 る 確 率 は1/2で る と き,表
の 出 る 可 能 性 は3回
あ る。 い ま6回
だ け で な く,0回
か ら6回
の コ イ ン投 げ を 考 え
まで あ り得 る。 この と
き 各 回 数 の 起 こ りや す さ は ど う な る の で あ ろ う か 。 こ う し た 視 点 か ら確 率 分 布 を 考 え よ う。
〔 例 題5〕
コ イ ン を6回
投 げ た と き,表
の出 る回 数 の 値 の 範 囲 と各 回 の確 率 を 求
め よ。 〔 解〕
表 の 出 る 回 数 をXと
れ の 回 数 の 確 率 は,独 3.4に
す る とXは0,1,2,3,4,5,6の
立 試 行 の 定 理 の 式(3.4)か
値 を 取 り得 る。 そ れ ぞ ら式(3.7)が
導 か れ,結
果 は表
な る。
(3.7)
表3.4 表の 出る回数 と確率
コイ ン投 げを6回 行 う場 合 は,表 が3回,裏 く,そ の確 率 は全 体 の約63%に にX=3を
も3回 出 る場 合 が 最 も起 こ りや す
もな る。 しか も確 率 分 布 の 形 は,図3.6の
よう
中 央 に して左 右 対 称 の形 に な る。
次 に,1回
で起 こる確 率 が1/2以
外 の値 にな る現 象 に つ い て確 率 分 布 を調 べ て
み よ う。 〔例 題6〕A君
とB君 が6回
じゃん け ん を す る と き,A君
が勝 つ 回数 で可 能 性 が
最 も高 い の は何 回 か 。確 率分 布 を作 って調 べ よ。 〔 解 〕1回 にA君
の じ ゃん け んでA君
が 勝 つ 確 率 は1/3で,6回
じ ゃん けん を す る と き
が勝 つ 回数 は0回 か ら6回 ま で あ る。 こ こでA君
て 確 率 分 布 を 求 め る。独 立試 行 の定 理 の式(3.4)か
が勝 つ 回 数 をXと
ら,X=0,1,2,…,6の
おい 各確
率 は,次 の よ う にな る。
(3.8) 表3.5か
ら,A君
が 勝 つ 可 能 性 が 最 も高 い の は2回
の と きで あ る。
表3.5 表の出 る回数 と確率
表3.4と
表3.5を
折 れ 線 グ ラ フ に す る と 図3.6の
異 な る こ と が わ か る 。 こ れ は1回 い(山
の 頂 上)の
で 起 こ る 確 率pの
の高さ と幅が
値 に 依 存 し,最
も起 こ り や す
回 数 の 計 算 は,
〔例 題5〕 で は6×(1/2)=3, と な る こ と が 推 定 さ れ る 。 証 明 は 式(3.12)を る。
よ う に な り,山
〔 例 題6〕 で は6×(1/3)=2 用 い て で き る が,こ
こで は 省 略 す
図3.6
コ イ ン投 げ とじ ゃ ん け ん の 確 率
確 率 分 布 の 中で も,独 立 試 行 の定 理 を適 用 で き,X=kと
な る確 率 が,
(3.9) と な る確 率 分 布 の こ と を2項
分 布 と い い,B(n,p)と
表す。
〔 例1〕
式(3.7)はn=6,〓
でB(6,1/2)と
表 せ る。
〔 例2〕
式(3.8)はn=6,〓
でB(6,1/3)と
表 せ る。
2項 分 布 は コ イ ン投 げ や ゲ ー ム,ミ られ る 。2項 分 布 は 問7の
ス の 回 数 な ど 日 常 的 な 現 象 の 中 に 数 多 く見
よ う に 訪 問 件 数 の 決 定 に も利 用 さ れ,ミ
ス の 回 数,信
号 待 ち の 回 数 な ど に も適 用 さ れ る 。
問7
あ る保 険 の 訪 問 販売 で は10件
に1件
しか 勧 誘 に成 功 しな い と い う。1日 に15件
訪 問 販 売 を義 務 とす る人 が い る と して,彼 が1日 に 勧 誘 に成 功 す る件 数 と,そ うす を調 べ よ。 た だ し,確 率 が0.05未
問8 A君
は20ペ
の確 率 の よ
満 の と き は可 能 性0と み な す。
ー ジ の書 類 に1個 の割 合 で転 記 ミスを す る と い う。A君
が10ペ
ー ジの
書 類 を転 記 した と き,転 記 ミス の よ うす を問7と 同 様 に して 調 べ よ。
[3]
プ ロ グ ラム
2項 分 布B(n,p)の
各X=kに
の
お け る確 率 の 値 を 求 め,疑 似 乱 数 でB(n,p)
の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン を 行 う プ ロ グ ラ ム を 作 っ て み よ う。 プ ロ グ ラ ム3 .2で は,じ ん け ん の 回 数n,お れ ば,n回
でA君
よ び1回 が0回
の じ ゃ ん け ん でA君
勝 つ 確 率 か らn回
数 を 使 っ て シ ミュ レ ー シ ョ ンを 行 い,相
図3.7
プ ロ グ ラ ム3.2
が 勝 つ 確 率p=1/3を
入力 す
勝 つ 確 率 ま で が 求 め ら れ る。 ま た,乱
対 頻 度 を 計 算 す る。
ゃ
計算の結果 0
問9
1
2
3
4
5
6
0.088
0.263
0.329
0.219
0.082
0.016
0.001
0.089
0.287
0.322
0.211
0.069
0.022
0.000
プ ロ グ ラ ム3.2を 用 い て6回 の じ ゃん けん の 確 率 分 布 を 作 れ。
プ ロ グ ラ ム3.2で,例 る と,次
え ばn=10で
同 じ値 に 保 ち,pを0.1か
の よ う に 山 が 左 か ら右 に 移 動 す る 。
図3.8
2項 分 布B(10,p)
ら0.9ま
で変 え
3.3 平 均 値 と 分 散 確 率 分 布 の よ うす を示 す代 表 的 な数 値 に平 均 値 と分 散 が あ る。 この値 の求 め 方 と特 性 につ い て調 べ よ う。
[1]
平 均 値
あ る 町 内 で1000円 1000本
で,各
ご と に 宝 く じを1枚
等 の 賞 金 と 本 数 は 表3.6の
は テ ィ ッ シ ュ で,こ
れ を10円
も らえ る とい う。 この 宝 く じは 全 部 で よ う に な っ て い る と い う。 た だ し,5等
に 換 算 した と しよ う 。 表3.6 宝 く じの本 数 と賞 金
い まA君
が そ の 宝 く じを1回
引 い た と す る。
表3.7 宝 く じの本 数 と賞 金
こ の と き,A君 A君
が 各 賞 金 を 手 に す る 確 率 は 表3.7の
が 期 待 して よ い 金 額 は,次
よ う に な り,こ
の宝 く じに
の よ う にな る。
50000×0.002+5000×0.018+1000×0.04+200×0.14+10×0.8 =266〔
こ の 値 を,表3.7の
円〕
確 率 分 布 の期 待 値 また は平 均 値 と い う。 表3.8 確率分布
確 率 変 数Xがx1,x2,…,xnの 確 率 分 布 が 表3.8の
値 を と り,各X=xkに
お け る 確 率 がpkで
あ る
よ う に な って い る と し よ う。 こ の 確 率 分 布 の 平 均 値 は,次
の式
で 表 さ れ る。 こ の 値 は確 率 変 数Xの
期 待 値 で も あ る の で,こ
れ をE(X)
と表す。 (3.10)
問10 表3.3を
用 いて,〔 例 題4〕 の 確 率分 布 の 平均 値 を 求 め よ。
問11 フ ラ ン ス と イ タ リア に挟 ま れ た 小 国 モ ン テ カル ロ は,と ば くで有 名 で あ る。
モ ン テ カ ル ロ の ル ー レ ッ ト は,1つ に37個
の 溝 が あ り,そ
れ に0か
の 円盤
ら36ま
での
数 が 記 さ れ て い る 。 こ の 円 盤 が 回 転 し,ボ ル が 溝 の1つ ル 賭 け,そ
ー
に 入 る 。 あ る 人 が あ る 溝 に1ド の 溝 に ボ ー ル が 入 る と36ド
け 取 り35ド
ル 儲 け,そ
れ 以 外 な ら1ド
ル受 ル損
を す る。 彼 の儲 け の平 均 値 を求 め よ。 図3.9
[2]
2項
ル ー レ ッ ト
分 布 の 平均 値
2項 分 布 の平 均 値 は,期 待 され る値 や 可 能 性 が 最 も高 い回 数 を求 め る と き に使 わ れ る。 こ こで は2項 分 布 の平 均 値 を計 算 し,そ れ が正 しい こと を確 認 す る。 〔 例 題7〕A,B両
君 が じ ゃん けん を2回 す る と き,A君
に な るか 。 〔 解 〕 期 待 で き る回 数Xの
分 布 は表3.9の
よ うに な る。
表3.9 2回 の じ ゃん けん の確 率 分 布
この じゃん け ん で,A君
が勝 つ 回 数 の平 均 値E(X)は
が勝つ 回数 は平均 何 回
と な り,じ
ゃ ん け ん でA君
が 勝 つ 回 数 は平 均0 .667回
で1回
に満 た な い こ とに な
る。 〔 例 題7〕 の 平 均 値 は,2項
分 布B(2,1/3)の
今 度 はB(2,p),B(3,p)の
〔 例 題8〕2項 〔 解 〕2項
平 均 値 を 考 え,B(n,p)の
分 布B(2,p),お
よ びB(3,p)の
分 布B(2,p)は,1回
表3.10
B(2,p)の
表3.11の B(2,p)の
な った。
平 均 値 を 求 め て み よ う。
平 均 値 を 求 め よ。
の 試 行 で 起 こ る 確 率 がpで
回 繰 り返 して で き る か ら,そ 布B(3,p)は
平 均 値 でE(X)=2/3に
の 分 布 は 表3.10の
あ る と き に 試 行 を2
よ うに な る。 同 様 に して確 率 分
よ う に な る。 確 率 分 布
表3.11
B(3,p)の
確 率分 布
平 均 値 は,
(3.11) と な る 。 同 様 に し てB(3,p)の
平 均 値 は,次
の よ うに な る。
問12 〔 例 題5〕,〔 例 題6〕 の確 率 分 布 の平 均 値 を そ れ ぞ れ表3 .4,表3.5か も とにB(n,p)の
ら求 め,そ れ を
平 均 値 を推 定 せ よ。
[3] 平 均 値 の確 認 こ れ ま で の 計 算 か ら,2項
分 布B(n,p)の
平 均 値 はnpに
な る ら しい 。 こ れ が
正 し い こ と を 確 認 し て み よ う。 1.1節
の 組 合 せ,お
よ び1.3節
の2項
定 理 か ら,次
の こ とが わ か って い る。
(3.12)
(3.13) 2項 分 布B(n,p)は,1回 と す る 。 こ の 試 行 をn回
の 試 行 で あ る こ と が らAが 繰 り返 す と き,こ
起 こ る 確 率 がpで
と が らAがk回
あ る
起 こ る確 率 が 次 の 式
で 表 され て い る。
したが っ て,こ の確 率 分 布 の平 均 値 は次 の式 に な る。
(3.14) 式(3.12)を
代 入 す る と,npが
共 通 因 数 と な るか ら,こ
れ で く く る と式(3.13)
が 利 用 で き る。
(3.15) 式(3.15)を
〔例 題9〕
使 え ば,今
ま で の 計 算 量 が 次 の よ う に 軽 減 さ れ る。
次 の 確 率 分 布 の 平 均 値 が 等 し くな る こ と を 示 せ 。
(a) コ イ ン 投 げ を6回 (b) A,B2人
行 い,表
の 出 る回 数 を確 率 変 数 と して数 え る と き
が じ ゃ ん け ん を9回
行 い,Aが
勝 つ 回 数 を 確 率 変 数 と して 数 え
るとき 〔解 〕(a)
6×(1/2)=3〔
回〕
(b) 9×(1/3)=3〔
回〕
[4]
分
散
確 率 分 布 の よ う す は 平 均 値 だ け で は わ か ら な い 。 例 え ば,〔 例 題9〕 で は2つ 平 均 値 は 一 致 す る が,確
率 分 布 の よ う す は 表3.12お
て い る 。 こ の 違 い は,(b)の
よ び 図3.10の
の
よ う に異 な っ
方 の ば らつ き が 大 き い こ と に よ る。 表3.12 2つ の 確 率 分 布
この よ うに,確 率 分 布 の よ うす を知 る に は,ば
らつ きの 度 合 い も必 要 に な る。
ば らつ き の度 合 い を数 値 化 す る と き の ア イ デ ア に は,次 の よ うな 平 均 偏 差,分 散 の求 め方 が あ る。 そ の考 え方 を示 そ う。
図3.10
2つ の確 率 分 布
(1) 平 均 偏差 平 均 か らの 差 の 平 均 値 を とれ ば,〔 例1〕 の場 合 は,平 均 値 を3と
して 次 の式 に
な る。
この方 法 の こ とを平 均 偏 差 とい う。 しか し,実 際 に は次 の 式 の 方 を用 い る。
(2)
散
分
平 均 か らの差 の 平 方 の 平 均 値 を とれ ば,〔 例1〕 の場 合 は,次 の式 に な る。
(3.16) こ の式 で求 め た 値 を 分 散 と いい,V(X)で い,σ(X)で
表 す 。 ま た√V(X)を
標 準 偏 差 とい
表す。確率分布
の平 均 値 をE(X)=mと
す る と き,分 散 は次 の 式 で 表 され る。 (3.17)
な お,度
数 分 布 表 や シ ミ ュ レー シ ョ ン の 結 果 を 利 用 す る と き に は,確
代 わ り に 相 対 頻 度 を 用 い る 。 コ ン ピ ュ ー タ で は後 述 の プ ロ グ ラ ム3.4で
問13 〔 例 題4〕 で男 子 の人 数 の 平 均値 は2.1335人
率pnの 計 算 す る。
で あ っ た。 この 分 布 の 分 散 と標 準偏 差 を
求めよ。
[5]
2項
分 布 の 分 散
2項 分 布B(1,p),B(2,p),B(3,p)の み よ う。 こ れ ら の 平 均 値 は,そ か っ て お り,こ
れ と 式(3.17)を
分 散V(X)を,nとpの れ ぞ れp,2p,3pで
式 で 表 して
あ る こ と が 式(3.15)か
らわ
用 い て 各 場 合 の 分 散 を 次 の よ う に求 め る こ とが
で き る。 (a) B(1,p)の
分散
(3.18) (b) B(2,p)の
分散
(3.19)
(c) B(3,p)の
分散
2項 分 布B(n,p)の
分 散 は,次
の 式 に な る こ と が 知 られ て い る 。
(3.20)
(3.21) 問14 A,B2人
が じ ゃん けん を9回 行 う。Aが
〔 例 題9〕 の(a),(b)は,そ
勝つ 回 数Xの
分 散 と標 準 偏 差 を求 め よ。
れ ぞ れB(6,1/2),B(9,1/3)の2項
分 布 で あ り,
そ の 分 散 は そ れ ぞ れ1.508,1.992に
な る。 後 者 の 分 布 の 方 が 分 散 の 値 が 大 き く,
ば らつ き が 大 き い こ と を 示 して い る。 2項 分 布 でnが
大 き い と き の 平 均 値 と,分
散 を 利 用 して 分 布 の よ う す を 調 ベ よ
う。
〔 例 題10〕
あ る 養 魚 場 に は,や
い う。 こ の 養 魚 場 か ら90匹
ま め と ニ ジ マ ス が1:2の
の 魚 を 取 り 出 し た と き,や
比率で飼 わ れて い る と ま め が い る平 均 値 と標 準
偏 差 か らや ま め の 分 布 を 求 め よ 。 〔 解 〕90匹
中 に い る や ま め をX匹
と す れ ば,Xは2項
分 布B(90,1/3)に
か ら, 平 均 値 はE(X)=90×(1/3)=30〔
匹〕
分 散 はV(X)=90×(1/3)(2/3)=20 標 準 偏 差 は σ(X)=√20=4.47〔
この確 率 分 布 で,ち
匹〕
ょう ど30匹 の や ま めが 取 り出 せ る可 能性 を 求 め る と,
な る
(3.22)
と小 さ い 。 そ こ で,平
均 値 を 中 心 に して2σ(X)の
範 囲 を と り,
(3.23) の 範 囲 の 確 率 を 式(3.22)と
同 様 に して 求 め る と,次 表3.13
表3.13か
ら式(3.23)の
と な る 。 一 方,プ
だ か ら,や
2項 分 布B(90,1/3)
範 囲 の 確 率 は,
ロ グ ラ ム3.2を
ま め が21匹
の よ うに な る。
用 い て 計 算 す る と,
以 下,39匹
以 上 の こ と は と も に20回
に1回
よ り も少 な
い 。
図3.11
B(90,1/3)の確率
同 様 に して,E(X)-σ(X)≦x≦E(X)+σ(X)の
分 布
範 囲 の 確 率 は,約0.68
に な る 。 こ の よ う な 考 え 方 を 区 間 推 定 と い う。
(3.24)
2項 分 布 で はnが 大 きい と き,次 の式 が成 り立 つ 。
(3.25) (3.26) 問15 あ るテ レ ビの視 聴 率 は12%で 見 て い た家 庭 の95%が
あ る とい う。900世 帯 に調 査 した結 果,こ の テ レ ビを
含 ま れ る範 囲 を,式(3.26)を
利 用 して 求 め よ。
3.4 正 規 分 布 2項 分 布 や宝 く じの確 率 分 布 で は,確 率 変 数Xは0,1,2,3な
どの離 散 量 で あ っ
た。 これ に対 して待 ち時 間 な ど連 続 量 を扱 う確 率 の考 え 方 と,そ の代 表 的 な確 率 分 布 で あ る正 規 分 布 につ い て調 べ て み よ う。
[1] 連 続 確 率 連 続 的 な量 が登 場 す る確 率 の問 題 で は,面 積 を利 用 して 確 率 を 求 め る こ とが で き る。 そ の よ うな問 題 を い くつ か 解 き,そ の特 性 につ い て考 え る。 〔 例 題11〕0以
上1以
下 の 数a,bを
無 作 為 に と る。 点(a,b)が
半 径1の
円の内
部 に あ る確 率 を 求 め よ 。 〔 解〕
点(a,b)は0≦
a ≦1,0≦b≦
1の 正 方 形 に 一 様 に 分 布 し,そ
の面積 は
1で あ る 。
この 正 方 形 の 内 部 で 半 径1の 円 の 面 積 は1/4π
だから,求
0.7854で
あ る。
め る 確 率 は1/4π
≒
図3.12
円の 内部 に あ る確 率
〔 例 題11〕 の よ うに,連 続 的 に で た らめ な値 を とる変 数x,yの
確 率 を考 え る と
き,こ の 確 率 を 連 続 確 率 また は連 続 型 の 確 率 とい う。 一 方,各 根 元 事象 に 対 して
同様 な確 か ら しさ の成 り立つ 確 率 を離 散 確 率 とい う。 問16
図3.13の よ うに,a=1(cm)間
隔で
並 ん だ縞 の上 に長 さd=0.6(cm)の
針 が縞
の 直線 に 直 角 に落 ち る。 この と き,針 が 縞 の 直 線 の ど れ か に交 わ る 確率 を 求 め よ。
図3.13
〔 例 題12〕 〔 解 〕0と1の
針 が 交 差 す る確 率
〔 例 題11〕 の 問 題 を コ ン ピ ュー タ で シ ミ ュ レー シ ョ ン せ よ 。 間 の 乱 数a,bを
と り,a2+b2<1を
え て 確 率 を 近 似 す る 。 プ ロ グ ラ ム3.3で
は1000個
満 た す 点(a,b)の の 点(a,b)を
個 数 を数
作 り,条
件を満
た す も の の 相 対 頻 度 を 確 率 の 近 似 値 に す る。 プ ロ グ ラ ム3.3
計算の結果 1000
.784
プ ロ グ ラ ム3.3でn=10000の し さ を 裏 づ け る。 な お,問16で
と き 相 対 度 数 は0.7864と
の正
針 の傾 きを 任 意 とす れ ば ビ ュ ッ フ ォ ンの 針 の 問
題 に な る。
問17 問16の
な り,〔 例 題11〕
問 題 を コ ンピ ュー タ で シ ミュ レー シ ョ ンせ よ。
[2] 確 率 密 度 関 数 い ま,あ る駅 か ら電 車 が10分 お き に発 車 し,A君
はその電車 で通 学す るのに
時 刻 に無 頓 着 に駅 に行 く とす る。 この と き駅 で 電 車 を待 つ 時 間 をt分 とす れ ば, tは0≦t≦10を
満 たす 任 意 の数 で,t分
が で き,い ま,tをxで
以 下 待 つ確 率 はP(X≦t)と
表 す こと
置 き換 え る と,
(3.27) と な る。 関 数y=P(X≦x)の
こ とを確 率 分 布 関数 とい う。
こ こで,確 率 密 度 関数 の考 え方 を用 い て確 率 分 布 の平 均 値,分 散 を求 め よ う。 あ る関 数f(x)≧0の f(x)の
と き,〓f(x)dxを,x軸,y軸,直
グ ラ フで 囲 ま れ た部分 の面積 と し,こ の記 号〓
確 率P(X≦t)=t/10を
面 積 で 考 え れ ば,x軸,y軸,直
で 囲 ま れ た 部 分(図3.14)の
面 積 に な り,定
線x=tお
よ びy=
を定 積 分 と い う。 線x=t,y=1/10
積 分 で 次 の よ う に 表 す こ と が で き る。
(3.28) この と きの 関 数
(3.29) を確 率 密 度 関 数 と い う。 確 率 分 布 関 数 をF(x)=P(X≦x)と P'(X≦x)に
す れ ば,確
な る。 逆 に,確 率 密 度 関 数f(x)が
率 密 度 関 数 はF'(x)=
わか り,確 率 変 数 がa≦X≦b
の値 を と る と き,確 率 分布 関数P(a≦X≦t)は,
(3.30) と表 現 さ れ る 。 な お,aは-∞,bは
∞ で も よ い。
ま た,確
値 を と る と き,そ
率 変 数Xがa≦X≦bの
1に な る か ら,次
の 式 が 成 り立 つ。
の 確 率 はP(a≦X≦b)=
(b)
(a) 図3.14
確 率 分 布 関 数 と確 率 密 度 関 数
(3.31)
〔 例 題13〕
あ る 会 社 の 蛍 光 灯 ラ ン プ がx日
式 で 表 さ れ,100日 A君
以 内 で 切 れ る 確 率 は1-e-axと
以 内 で 切 れ る 確 率 は0.181で
あ る こ と が わ か っ て い る と す る。
が こ の 会 社 の 蛍 光 灯 ラ ン プ を 買 っ た と き,1年(365日)の
れ る確 率 を 求 め よ。 た だ し,a,eは 〔 解 〕1-e-100a=0.181か
eを 底 と す る 自 然 対 数 を と っ て,
よ っ て,P(x≦t)=1-e-0.002t
定 数 でe=2.71828と
ら,e-100a=0.819と
い う
な る。
点灯 時 間以 内 に 切 す る。
図3.15
〔 例 題13〕 は,次
〔 例 題14〕
蛍 光 灯 が切 れ る確 率
の よ う に 確 率 密 度 関 数f(x)か
確 率 密 度 関 数f(x)を
ら問 題 を 解 く こ と が で き る 。
求 め て,〔 例 題13〕.の 問 題 を 解 け 。
〔解 〕 確 率 分 布 関 数 はF(x)=1-e-0.002xだ
か ら,こ
れ を 微 分 して
(3.32) 求 め る確 率 は,次 の定 積 分 で 表 され る。
駅 の待 ち合 わせ 時 間 の 問題 で は,確 率 密度 関 数 が式(3.29)の に な る ので,こ
よ う に定 数 関 数
の よ うな確 率 分 布 の こ とを一 様 分 布 とい う。 〔 例 題13〕 で は確 率
密 度 関 数 が,式(3.32)の
よ うに 指数 関数 に な るの で,こ
の確 率 分 布 の こ と を 指
数 分 布 と い う。 指 数 分 布 は,も の が 消耗 す る と きの確 率 な どに現 れ る。 連 続 確 率 の 平 均 値,分 散 を考 え よ う。 離 散 確 率 で は,X=kと
の と き,そ
の 平 均m=E(X)と
分 散V(X)は,次
連 続 確 率 の 平 均 値 の計 算 で も,X=axに え,axの
範 囲a≦ax≦bでaxpxの
な る確 率 が
の よ う に して 求 め た 。
対 す る確 率 がpx=f(ax)に
な ると考
和 を定 積 分 で求 め れ ば,次 の式 に な る。
(3.33) 分 散 も 同 様 に して,X=axに
つ い て(ax-m)2pxの
和 を 定 積 分 で と れ ば,
(3.34) と な る 。 な お,標
〔 例 題15〕
準 偏 差 σ(X)=√V(X)で
式(3.29)で
〔 解〕 平 均 値E(X)と
あ る。
表 さ れ る一 様 分 布 の 平 均 値 と分 散 を 求 め よ 。 分 散V(X)は,確
率 密 度 関 数f(x)=1/10か
ら次 の よ う
に 求 め られ る。
(3.35) (3.36)
問18〔
例 題14〕 で ラ ンプ が切 れ る時 間 の 平 均 値 と分 散 を 求 め よ。
連 続 確 率 分 布 の シ ミュ レー シ ョ ンを プ ロ グ ラ ム3.4で 率 密 度 関 数 に も つ 一 様 分 布 に つ い て0<a<10の k≦x≦k+1(k=0,1,…,9)に 分 散 を 計 算 す る。 プ ロ グ ラ ム3.4
行 お う。 式(3.29)を
乱 数aを
作 り,一
あ る相 対 頻 度 で 確 率 分 布 を 求 め,そ
確
定 の区 間 の 平 均 値,
計算の結果 0.5
0.09
1.5
2.5
0.10
0.09
3.5
0.10
4.5
0.12
5.5
6.5
0.10
7.5
0.10
0.10
8.5
0.09
9
0
.5
.10
平 均5.028 分 散8.949216 標 準 偏 差2.991524
プ ロ グ ラ ム3.4を こ う して 〔 例 題15〕
実 行 した 平 均 値,分
散 は,〔 例 題15〕 の 結 果 と ほ ぼ 一 致 す る 。
の 理 論 計 算 が プ ロ グ ラ ム3.4の
実験 結 果 で確 か め られ た。
[3] 正 規 分 布 2項 分 布B(90,1/3)の
折 れ 線 グ ラ フ は 図3.11で
示 さ れ て い る が,こ
れ と
(3.37) の グ ラ フ は ほ ぼ 一 致 す る(図3
.16)。2項
分 布B(n,p)でnが
大 き くp≠0,1の
と き,
(3.38) の 関 数 で 近 似 さ れ る 。 こ こ に,σ=√np(1-p),m=npで 関 数 式(3.39)の の 分 布 をN(m,σ2)に
あ る。
グ ラ フ を 正 規 分 布 曲 線 と い い,図3.17の 従 う 正 規 分 布 と い い,平
均 値 はm,分
形 に な る 。 ま た,こ 散 は σ2に な る 。
(3.39) こ こ にeは ま た,1円
自 然 対 数 の 底 で,e=2.71828… 玉500個
で あ る。
の 重 さ を 測 定 し た と き,誤
差 の 度 数 分 布 が 表3.14の
よ う
図3.16
正 規 分 布 と2項 分 布
図3.17
に 得 ら れ,そ mg)。
の 平 均 値 はX=0.08,分
そ の 値Xの
度 数 分 布 は,式(3.39)の
正 規 分 布
散 はs=4.50に
な っ た(誤
差 の 単 位 は
関数 で近 似 で き る。
表3.14 誤 差 の 度 数 分 布 表
特 にm=0,σ=1の 布 と い い,図3.18の
と き の 関 数 は 式(3.40)と
な り,そ
の分布 を標 準正規 分
よ う に な る。
(3.40) 正 規 分 布 は,式(3.39)の
よ う に2項
分 布B(n,p)のnが
大 き い 場 合,お
よび
図3.18
表3.14の
誤 差 の度 数 分 布 な ど とほ ぼ一 致 す る。 そ の た め正 規 分 布 を 誤 差 分 布 と
も い う 。2項 分 布 の 反 復 数nや 値,分
度 数 分 布 の 度 数nを
散 の 値 は正 規 分 布 のm,σ2に
布 でnが
標 準正 規 分 布
大 き く,逆
にpが0に
大 き く す る と,そ
れ らの平均
近 づ く こ と が 知 られ て い る 。 な お,2項
近 い と き の 分 布 は3.5節[4]の
分
ポ ア ソ ン分 布 で
考 え る。
問19 さい ころ を60回 振 る と き,1の
次 に,正 (1)
確率分布を正規分布 で近似 せ よ。
規 分 布 に つ い て の基 本 的 な性 質 を調 べ て み よ う。
平 均 値mの
式(3.39)の
目 の 出 る 回数Xの
役割
グ ラ フ をx軸
方 向 に-mだ
け 平 行 移 動 す る と,
(3.41) に な る。 こ の 関 数 の グ ラ フ は,xの
代 わ り に-xを
y軸 に 関 し て 対 称 に な る 。 し た が っ て,式(3.39)の て 対 称 で 図3.19の (2)
代 入 して も同 じ式 に な る か ら, グ ラ フ は 直 線x=mに
よ うに な る。
標 準 偏 差 σの役 割
式(3.39)で
σ の 値 を1,1.5,2な
ど と し た グ ラ フ は,図3.20の
こ の 形 か ら,σ の値 が 大 き く な る と グ ラ フ の 山 が 低 く な り,横 か る。
関 し
よ う に な る。 に広 が る こ と が わ
図
mの 役 割(α=1)
3.19
図
3.20
αの 役 割(m=1)
(3) 面 積 を 求 め る 連 続 確 率 で は,確 率 密 度 関数 とx軸 で囲 まれ た部 分 の面 積 は1に な る。 標 準 正 規 分 布 の分 布 曲 線 式(3.40)の 範 囲 に お け る面 積 を,図3.21の
図3.21
f(x)の
グ ラ フ とx軸 で囲 まれ た部 分 の,-a≦x≦aの よ うに して台 形 公 式 で 求 め よ う。
作 る面 積 の 近 似
図3.22 a=2の
と きの 面積
式(3.41)をy=f(x)と
お け ば,
面積
(3.42) プ ロ グ ラ ム3.5で
はa=1,2,3に
つ い て 式(3
.40)の-a≦x≦aに
プ ロ グ ラ ム3.5
計算 の結果 1 2 3
図3.23
.682689
.9544992 .9972995
お け る面
積 を,分
割 数n=1000の
台 形 公 式 で 計 算 す る。
正 規 分 布 で は次 の 性 質 が 成 り 立 つ。た
だ し,m=E(X),σ=σ(X)と
す る。
(3.43) (3.44) (3.45) 〔 例 題16〕
正 規 分 布N(3,22)で
〔 解 〕 正 規 分 布N(3,22)の
だ か ら 式(3.43)か
確 率 密 度 関 数 は,直
求 め よ。 線x=3に
つ いて 対 称 で
ら,
問20 標 準 正 規 分 布N(0,1)に (a)
確 率P(5≦X)を
お け る次 の 確率 を求 め よ。
(b)
3.5 そ の 他 の 分 布 こ こで は2項 分 布,正 [1]
規 分 布 以 外 の 分 布 を 現 象 例 に も とづ い て考 え て み よ う。
一 様 分 布
さ い こ ろを 振 り,出 る 目 をXと
す る と きの 確 率 分 布 は,図3.24か
ら次 の よ う
に な る。
(3.46) そ の 平 均 値 はE(X)=3.5,分 う な 確 率 分 布 の こ と を(離 連 続 確 率 で は,式(3.29)の
散 はV(X)=35/12≒2.9167で 散 型 の)一
あ る。 こ の よ
様 分 布 と い う。
よ うに確 率 密 度 関 数 が定 数 関 数 で
表 され る確 率 分 布 の こ とを一 様 分 布 とい う。 この と きの確 率 分 布 関 数 は,一 次
図3.24
一 様 分 布(離 散 型)
図3.25
関 数 に な る 。 コ ン ピ ュ ー タ のrnd(1)で
疑 似 乱数 の 一 様 分 布
作 り 出 す 疑 似 乱 数 は 一 様 分 布 に な る(図
3.25)。
[2] 幾 何 分 布 ゲ ー ムや さ い ころ振 りを繰 り返 す と き,一 方 的 に勝 ち続 け た り同 じ目が 続 けて 出 る こ とが あ る。 この続 け る回 数 を確 率 変 数Xと
す る確 率 分 布 を 幾 何 分 布 と い
う。 い ま,さ い ころ を1の 目 が 出 る まで 振 る とす る。 そ の と き各 回 数 の 確 率 は,1 回 目で1の
目 が 出 る確 率,2回
で1の
目が 出 る確 率 は,そ れ ぞ れ 次 の 式 に な る。
Xの 確 率 分 布 は,次 の式 で表 さ れ る。
(3.47)
〔 例 題17〕
さ い ころ を振 り1の 目が 出 る まで繰 り返 す と き,平 均 何 回 繰 り返 す
か 。
〔 解 〕 繰 り返 しの 回数Xに
つ い て の平 均 値 は,
こ こ で,r=5/6と
す れ ば,第n番
目 ま で と った 値E(X)は,
(3.48) こ こ で,式(3.48)か
ら 式(3.49)を
引 け ば 式(3.50)が
で き る。
(3.49)
(3.50) nが 大 き く な る と,(5/6)nやn(5/6)nは0に
な る か ら,
よ っ て,平 1/6(1-r)2=6 均 値 (回) はE(X)=
幾 何 分 布 は確 率 変 数 を無 限 大 まで と り,そ の 確 率 が指 数 関数 に な る。 そ の平 均 値 は ゲ ー ム で獲 得(損
を)す
る金 額 や ゲ ー ムの 回数 の め や す にな って い る。 また,
分 散 は平 均 値 の計 算 と同 様 の考 え方 で 導 くこ とが で き る。 問21 コ イ ンを裏 が出 る まで 投 げ続 け る と き,そ の 回数Xの
平 均 値 と分 散 を求 め よ。
[3] 超 幾 何 分 布 2.3節 (a) 20個
の 〔 例 題7〕,3.2節 の 製 品 の 中 に3個
の 個 数Xの
の 〔 例 題4〕 の 問 題 と確 率 分 布 は,次 の 不 良 品 が あ る 箱 か ら3個
の よ う に な る。
を 取 り出 す と き の 不 良 品
確率分布
( b) 男 子8人,女
子7人 か ら4人 の 代 表 を選 ぶ と き,男 子 の人 数Xの
確率分布
こ れ ら の 確 率 分 布 の 表 と グ ラ フ は,次 表3.14
図3.26
の よ う に な る。
2つ の超 幾 何 分 布
超幾何分布 のグラフ
上 の(a),(b)の よ うに,集 団 の 中 か ら適 当 な個 数 を取 り 出 す と き,あ
る性 質 を
もつ グル ー プの個 数 につ いて の確 率分 布 を超 幾 何 分 布 と い う。
図3.27
大 き さNの
集 団 の 中 で 性 質Aを
M)個 あ る と す る 。 こ のN個 質Aを
も つ 確 率 は,超
い と き,M/N=pと
超 幾何 分布 の 現 象
もつ グ ル ー プ がM個
の 集 団 か らn個
幾 何 分 布 の 式(3.51)で お き,式(3.51)を
も た な い グ ル ー プ が(N-
取 り 出 し た と き,そ
の 中 のk個
が性
示 さ れ る 。 集 団 の 大 き さNが
大 き
式(3.52)の2項
分 布 で近 似 す る。
(3.51) (3.52) こ の 近 似 式 か ら平 均 値 がE(X)=np,分
散 がV(X)=np(1-p)と
して求 め
られ る 。
問22 A君
は,コ
ンサ ー トに100人 が 無料 招 待 され る と聞 き,5枚
した が,応 募 者 は400人
に も な り抽 選 にな っ た。A君
の 申 し込 み は が き を 出
の はが きで 少 な く と も1枚
は抽選 に
当 た る確 率 を 求 め よ。 また,抽 選 に 当 た る平 均 枚 数 を 求 め よ。
[4]
nが
ポ ア ソ ン 分 布
大 き い2項
分 布B(90,1/3)は
正 規 分 布 で 近 似 で き る こ と が,式(3.37)
で 示 さ れ た 。 しか し,こ
の 条 件 はpが
くpが
分 布 を 近似 す る こ とを 考 え る。
小 さ い と き の2項
〔 例 題18〕
コ イ ン を500回
投 げ10回
ず つ 区 切 る と き,表
数Xの
確 率 分 布 を調 べ よ。
〔 解〕
コ イ ン投 げ で 表 が 連 続 して10回
投 げ の 中 に,表
が10回
小 さ い と き に は あ て は ま らな い 。nが
出 る 確 率 は1/210で
連 続 して 出 る 回 数 がk回
1回 の 試 行 で 起 こ る確 率 が2-10の
試 行 を500回
が10回
大 き
続 けて出 る回
あ る 。500回
のコイ ン
あ る とす る。 反 復 す る2項
分 布 だ か ら,X=
kと な る 確 率 は,
(3.53) とな る。
〔 例 題18〕 で,式(3.53)の
計 算 は 難 しいの で
(3.54) と し て 近 似 す る 。 こ の 式 で 表 さ れ る 確 率 分 布 を ポ ア ソ ン 分 布 と い う。 式(3.53),(3.54)の
確 率 分 布 を 比 較 す る と,表3.15の
ポ ア ソ ン分 布 は,2項
分 布 でnが
大 き く てpが
よ う に ほぼ一 致 す る。
小 さ い 現 象,つ
ま り ほ と ん ど起
表3.15 2項 分 布 と ボ ア ソ ン分 布
図3.28
ポ ア ソ ン 分布 の グラ フ
こ ら な い こ と が ら に つ い て 多 数 回 の 反 復 を 行 う試 行 の と き に 現 れ る。 こ の 現 象 を 確 率 分 布 に あ て は め る と き に はnp=λ ポ ア ソ ン分 布(3.54)で
はnpが
と し て 使 う。
一 定,1-pを1と
み な せ ば 平 均E(X),分
散
V(X)は,
E(X)=np=λ,V(X)=np(1-p)=λ
と な る。
問23 あ る会 社 で 製 作 す る カ ラーCRTの ると い う。 このCRT100個
歩 留 ま り(完 成 品 の で き る割 合)は99.5%で
あ
の 中 で2個 以 上 の 故 障 品 が 見 つ か る確 率 を 求 め よ。
3.6 中心 極 限定 理 こ こ で は 確 率 変 数 の 和,積
に 着 目 して 平 均 値 の 意 味 を 探 り,コ
レー シ ョ ン に 利 用 し て み よ う。
ン ピ ュー タ シ ミュ
[1] 和,積
の分 布
さ い こ ろ を2個 振 る と き,そ の和 や積 で新 しい確 率 変数 が作 られ る。 確 率 変 数 の和,お 〔 例 題19〕
よ び積 の分 布 の よ うす を探 り,確 率 の 問題 を分 析 しよ う。 ふ つ うの さ い こ ろ と,正 四 面 体 に1か
ら4の 数 を 刻 ん だ さ い こ ろ を
作 り,こ れ らを 同時 に振 る と き,目 の和 の各 確 率 とそ の平 均 値,分 散 を求 め よ。 〔 解 〕 ふ つ うの さ い ころ を振 る試 行 で 出 る 目 をX,正 行 で 出 る 目 をYと
す れ ば,そ の 確 率 分 布 は次 の と お りで あ る。
表3.17 Xの
一 方 ,目
確率 分布
表3.18
の 和X+Yは2,3,…,9,10の 表3.19
各 値 で,各
らX+Yの
分 布 は,次
場 合 は 表3.19の
よ う に な る。
正 四 面体 の さ い ころ
の よ う にな る。
表3.20 X+Yの
こ こ に,X+Yが4の
Yの 確 率 分 布
和 の 事象
図3.29
表3.19か
四面 体 の さ い ころ を振 る試
確率分布
と き の 確 率 は次 の よ う に して 求 め る 。
X+Yの
確 率 分 布 の平 均 値E(X+Y),分
散V(X+Y)は,次
の よ うに して
求 め る。
〔 例 題19〕 か ら確 率 変 数X,Yの こ れ を 確 率 変 数X,Yの で な く,X+Y+Zの +Xな
確 率 変 数 に な る こ と が わ か る。
和 の 確 率 変 数 と い う。 和 の 確 率 変 数 はX+Yの よ う に,3つ
の 和 や 同 じ確 率 変 数Xの
形 だ け
和X+X,X+X
ど に つ い て も考 え られ る。
次 に,X,Yの 3.18か
和Z=X+Yも
らX,Yの
平 均 値,分 平 均 値,分
散 と和X+Yの
そ れ を 比 べ て み よ う 。 表3.17,表
散 は 次 の 値 に な る。
(3.55) (3.56)
一 方
,E(Z)=6,V(Z)=25/6だ
か ら,〔 例 題19〕 で は 次 の 等 式 が 成 り 立 つ。
(3.57) (3.58) 問24 コ イ ンと 画鋲 が1個 ず つ あ る。 画 鋲 を投 げ た と き針 が 上 に な る確 率 が0.4で
あ ると
い う。 この 事 象 を表 が 出 る事 象 と し,こ れ らを投 げて コ イ ンま た は 画鋲 の 表 が 出 る個 数 を Xと す る と き,Xの
確 率 分 布 と平 均 値,分 散 を求 め よ。
式(3.57),式(3.58)で
は 加 法 性 に つ い て の 整 っ た 式 が 示 さ れ て い る が,積
つ い て も 同 様 の 式 が 成 り立 つ こ と が 予 想 さ れ る 。 そ こ で ,積
に
の確 率 変 数 と その 確
率 分 布 を 考 え て み よ う。
〔 例 題20〕
〔 例 題19〕 の 問 題 場 面 で,2つ
率 分 布 と,そ 〔 解〕
の 平 均 値,分
表3.17,表3.18でXYの
の さ い こ ろ を 振 る と き 目 の 積XYの
確
散 を求 め よ。 と る 値 と,そ
の確 率 分 布 を計 算 す る と次 の よ う
に な る。 表3.21 XYの
XYの
確 率分布
平均 値 と分 散 を,次 の よ う に して 求 め る。
〔 例 題20〕 算 しよ う。
で 計 算 し たXYの
平 均 値,分
散 を 式(3.55),式(3.56)を
用 いて計
一 方
,
だ か ら,積 の 確 率変 数 につ いて
(3.59) が 成 り 立 つ が,V(XY)≠V(X)V(Y)と 〔 例 題19〕 の 確 率X,Yで
な る。
は
が 成 り立 つ 。 こ の 関 係 が 成 り立 つ 確 率 変 数X,Yの
こ と を 独 立 な 確 率 変 数 と い う。
問25 コイ ンと画 鋲 が2個 ず つ あ る。 画 鋲 を 投 げ た と き針 が上 に な る確 率 が0.4に
な った
と し,こ の事 象 を表 が 出 る事 象 と い う こ とに しよ う。 これ らを投 げて コ イ ン ま た は画 鋲 の 表 が 出 る個 数 をXと
す る と き,Xの
一 般 に 確 率 変 数X+Y,XYの 数 の 法 則,中
心 極 限 定 理,統
平 均 値,分 散 を求 め よ。
平 均 値,分
散 に つ い て 次 の 基 本 性 質 が あ り,大
計 的 推 測 な ど に 用 い ら れ る。
E(X+Y)=E(X)+E(Y) X,Yが
独 立 な と き,E(XY)=E(X)E(Y)
X,Yが
独 立 な と き,V(X+Y)=V(X)+V(Y)
[2]
大 数 の 法 則
n個
の さ い こ ろ投 げ の よ うす を シ ミュ レー シ ョ ンの助 け を借 りて 探 り,そ の 特
性 を ま とめ よ う。
〔 例 題21〕2個 Y)/2の 〔 解〕
の さ い こ ろ を 投 げ,各
分 布 と 平 均 値,分 出 る 目2つ
さ い こ ろ の 目 をX,Yと
散 を求 め よ。
の 平 均(X+Y)/2の
各 場 合 と,そ
の確 率 の 確 率 分 布 は次 の と
お りで あ る。 表3.22 2個 の さ い こ ろの 目の 平均
図3.30
XとX+Y/2の
分 布
1個 の さい こ ろで 出 る 目 の平均 値 と分 散 は,
と な り,X,Yは
平均値
す る と き,(X+
独 立 だ か ら式(3.55)か
ら式(3.58)を
用 いて
分散
プ ロ グ ラ ム3.6で
な ど,和 の 確 率 分 布 を シ
ミ ュ レ ー シ ョ ン し よ う。 プ ロ グ ラ ム3.6
計算の結果 ?6 1 0.000
2 0.061
平 均 値3.548
プ ロ グ ラ ム3.6は,n個 1000回
行 い,平
3 0.415
4 0.439
5 0.085
6 0.000
分 散.539696
の さ い こ ろ を 投 げ て 出 る 目 の平 均 値 を求 め る試 行 を
均 値1,2,…,6の
相 対 度 数 で確 率 を求 め る よ うに した。 プ ロ グ ラ
ム3 .6でnを
大 き く し て い く と,図3.31の
よ う に,正
散 σ2が 小 さ く な る こ と が わ か る 。 た だ し,平
規 分 布N(3.5,σ2)の
分
均 の計算 方 法 か ら平 均 値 に 多 少 の
偏 りが あ る。 表3.23 平 均 値 の 分 布
図3.31 n個
こ の こ と か らn個
の平 均 の 分 布
の さ い こ ろ を 振 り 出 る 目X1,X2,…,Xnの
平 均 値 の確 率 変 数
(3.60) と,そ
の 平 均 値E(Sn)=m,分
散V(Sn)=σ2,定
数e>0に
つ い て,次
の こと
が 推 定 で き る。 (a) n→
∞ の と き,P(│Sn-m│≧e)→0
(b) Snの 分 布 はN(m,σ2)に X1,X2,…,Xnを
(3.61)
従 う。
互 い に 独 立 で,平
均 値E(Xk)=m,分
(3.62) 散V(Xk)=σ2が
等
しい確 率 変 数 とす る。Snを 式(3.60)の
よ う に と る と き式(3.61),式(3.62)が
成 り立 つ こ とが知 られ,前 者 の こ とを大 数 の法 則,後 者 の こ とを 中心 極 限 定 理 と い う。 大 数 の法 則 は個 々 のXは で,そ
予 測 で き な くて も,多 数 の平 均 を と れ ば 高 い 可 能 性
の結 果 を予 測 で きる こと を示 して い る。 中心 極 限定 理 は,平 均 値 を と る確
率 変 数 が,正 規 分 布 で近 似 で き る こ と を示 して い る。 これ らは,推 測 統 計 の 根 拠 に な っ て い る。
練習問題 1. 2個
の さ い こ ろ を 振 り,大
2. A,Bが
き い 方 の 目 をXと
じ ゃ ん け ん を4回
す る と き,Aが3回
す る と き,Xの
確 率 分 布 を求 め よ。
以 上 勝つ 確 率 を シ ミ ュ レ ー シ ョ ン で 求
めよ。 3. 分 散 の 式(3.17)は,次
の 式 で も導 か れ る こ と を示 せ 。 こ れ をE(X2)-E(X)2と
表す。
V(X)=(x12p1+x22p2+…+xn2pn)-m2
こ の 式 を 用 い て 表3.11か
4. プ ロ グ ラ ム3.3を 5. コ イ ン1個
らB(3,p)の
利 用 し て 半 径 が1の
を 投 げ,表
が 出 る 回 数Xの
の 確 率 分 布 を 表 で 表 し,そ 実 験 を 行 い,結
求めよ。
確 率 分 布 に つ い て,和X+X,X+X+X
の 平 均 値 と分 散 を 求 め よ 。 ま た,プ
ロ グ ラ ム3 .2を
利 用 して
果 を確 認 せ よ。
6. 〔例 題4〕 の 確 率 分 布 を2項
分 布 で 近 似 し,男
近 似 の 確 率 分 布 を プ ロ グ ラ ム3.2で 7. 10個
分 散V(X)を
球 の 体 積 を 近 似 せ よ。
の さ い こ ろ を 振 り,出
子 の人 数 の 平 均 値 と分 散 を 求 め よ。 こ の
シ ミュ レ ー シ ョ ン せ よ 。
る 目 の 平 均 値 と 分 散 を 求 め よ 。 ま た,プ
用 し て シ ミユ レ ー シ ョ ン を 行 え 。
ロ グ ラ ム3.6を
利
第4章 確率の応用 これ ま で の章 で確 率 の概 念 につ い て一 通 り学 ん だ。 こ こで は,確 率 の概 念 を い く つ か の 不 確 か な現 象 に応 用 し,必 要 に応 じて コ ン ピ ュー タを利 用 して み よ う。
4.1
ツ キ の確 率
い ま,A君
とB君
が コ イ ン投 げ を し,表
が 出 た らA君が
勝 ち で+1点,B君
が 負 け で-1点,裏
が 出 た ら そ の 逆 と す る ゲ ー ム を 繰 り返 し 行 う と す る 。 こ の
ゲ ー ム の 各 回 でA君
が ど こ ま で 得 点 を あ げ られ る か 探 る こ と に し よ う。
[1]
ラ ン ダ ム ウ ォー ク の 実 験
コ イ ン投 げ で 得 点 の 推 移 の 実 験 を して み よ う。 コ イ ン投 げ の 模 擬 実 験 を100回 行 い,変
数sを
sに 加 算 し,そ
最 初0(s0=0)と
お き,表
が 出 た ら+1,裏
が 出 た ら-1を
の 値 を 表 示 す る 。 実 際 に コ イ ン投 げ を 行 っ て も よ い が,コ
得 点 イ ン投
げ と シ ミ ュ レ ー シ ョ ンの 結 果 に ほ と ん ど 違 い は 出 な い 。 プ ロ グ ラ ム4.1で
は,INT(RND(1)*2)*2で0,2の
乱 数 を,式(4.1)で1,
-1の 乱 数 を 作 る。
(4.1)
プ ロ グ ラ ム4.1
計 算 の 結果(乱 数 の 初 期 値28の -1 0
1 0 -1 0 -1 0 1
場 合) 2
3 2 3 4 3 2 1 2 1 0 -1 0 1 2 3 4 5 6 5 4 3 2 1 0 -1 0 1 0 1 2 3 4 5 6 5 6 7 8 7 6 5 4 5
4 3
2 3 4 3 2
3 4 5 6 5 4 3 2 3 2 3 4 3 4 3 2 3 4 3 2 1 2 1 0 -1 -2 -3 -2 -1 -2 -1 0 -1 0 1 0 1 0 -1 -2
図4.1
問1
プ ロ グ ラ ム4.1を 修 正 して100回
数 を数 え よ。 また,│s│≧10と 問1で
は,100回
の実 験 を20回
な る割 合 が30%程
実 行 し,s<0の
の コ イ ン投 げ を 行 っ た と き の 得 点sの
図4.2
個 数 とs>0の
度 あ る こ とを確 認 せ よ。
ラ ン ダ ム ウ ォ ー ク(100回)
分 布 を調 べ て い る。
個
結 果の考察 プ ロ グ ラ ム4.1でsの れ て い る が,A君
推 移 は 図4.2,図4.3の
が ツ イ て い る と き(x軸
よ う に な り,得
点 の範囲 が 限 ら
よ り上 の と き)が 意 外 に 長 く,ツ
入 れ 代 わ る こ と は あ ま り な い 。 こ の よ う な 推 移 を1次
キが
元 の ラ ンダ ム ウ ォー ク と い
う 。 ラ ン ダ ム ウ ォ ー ク は ゲ ー ム の 得 点 や す ご ろ く,ブ
ラ ウ ン運 動 な ど に 見 られ
る。
図4.3
[2]
ラ ン ダ ム ウ ォー ク 〔1000回 初 期 値28)
得 点 の 確 率
確 率 を 応 用 し,上
の コ イ ン投 げ で 考 察 し た こ と の 根 拠 をn=1,2,3の
場合 を も
と に考 え る。 (1)
得 点 の推 移 と確 率
コ イ ン投 げ をn回
A君
が 得 た 得 点 をsn,そ
確 率P(sn)の
n =2の
と き,snの
次 の よ う に お く。
れ を 得 る 確 率 をP(sn)
計 算 の しか た は1,2回
〔 例 題1〕n=1,2の 〔 解 〕n=1の
行 っ た と き,sn,P(sn)を
目 の計 算 を次 の よ うに吟 味 す れ ば わ か る。
と る 各 値 と 確 率P(sn)を
と き,コ イ ンの 表 が 出 た と きs1=1,裏
と き ,コ
イ ン が 表 表 の と きs2=2,表
求 め よ。
が 出 た と きs1=-1だ
裏 の と きs2=0,裏
か ら,
裏 の と きs2=
-2だ か ら,
2回 目 と3回 目の 得 点 の 確 率 分布 は次 の よ うに な り,各 平 均 は0に な る。 表4.1 2回 目 の得 点
問2
n=4の
n回
と る 各 値 と,そ
目 の 得 点snは,m=snと
n=2の
n
と きs4の
=3の
と き,sn=-2,0,2,こ
と き
と な る か ら,nが -n≦m≦nの
表4.2 3回 目の 得 点
の確 率 を求 め よ。
す れ ば, の と き,
,sn=-3,-1,1,3,こ
偶 数(奇 数)の
の
と きmは
と き,
偶 数(奇
数)だ
け を と る。 よ っ て,
と き,
は,0,1,2,3,…,n
の 値 を と る 。 図4.4と ・得 点mを
あ わ せ て 考 え る と ,次
得 る方 法 は, 〔 通 り〕
・得 点mを
の こ とが わ か る。
得 る 確 率P(sn=m)は
(4.2)
,
(4.3)
図4.4
得 点 と そ の確 率
(2) 各 回 の 得 点 と そ の確 率 A君
の 得 点 が0に
な る の は,偶
それぞれ
の 確 率 はn=2,4,6で,
に な る。
〔例 題2〕A,B両 〔解 〕n回
数 回 目 に 限 られ,そ
君 のn回
目 にA君
目 の 得 点 が0に
の 得 点snが0に
な る確 率 を 求 め よ 。
な る 確 率P(sn=0)は,図4.4と
式(4.3)
か ら, ・nが
奇 数2k-1の
と き,
(4.4) ・nが 偶 数2kの
と き,
(4.5)
問3 上 の ゲ ー ムで10回
(3)
目にA君
を 得 る確 率 をそ れ ぞ れ 求 め よ 。
シ ミ ュ レー シ ョン
確 率P(sn)の
値 を,度
数 分 布 に よ る 近 似 値 と 式(4.3)に
て み よ う 。 プ ロ グ ラ ム4.1を -6か
が0点,2点,4点
ら6ま
次 の よ う に 修 正 し,6回
で の数 の相 対 度 数 を求 め る。
よ る理 論 値 で 比 較 し
目 の 得 点s6を100個
出 し,
プ ロ グ ラ ム4.2
計算 の 結果(乱 数 の 初 期値26703の
場合)
02
64 20 2 46
23 8 3
シ ミ ュ レ ー シ ョ ン の 結 果 の 一 例 と 理 論 値 を,表4.3に
示 す。
表4.3 s6の 確 率
図4.5は,得
点mの
確 率 分 布 が2項
図4.5
分 布 と 同 じ形 に な っ て い る の で,こ
s6の 相 対 度 数 と理 論値,近
似値
れ を
正 規 分 布N(0,6)で
近 似 し て 表4.3に
追 加 した 。 た だ し,表4.3で
き に と る の で 正 規 分 布 の 確 率 密 度 関 数 を,式(4.6)の
よ う に2倍
はmを1お して あ る。
(4.6)
問4 5回 目 の 得点s5の 確 率 分布 の 式 と近似 式 を 求 め,そ れ ぞ れ の 値 を計 算 せ よ。 表4.3で
はsnの
確 率 分 布 をN(0,n)で
近 似 し た が,そ
れ が 正 しい こ と を 次 に
示 そう 。
(4) 平 均 値 と分 散 3回 目 の得 点 の平 均 値,分 散 を求 め,n回 ン投 げ の 各 回 でA君 例 え ば,1回
で あ り,そ
目の得 点 の 分 布 を 近 似 しよ う。 コ イ
の と る得 点 は1と-1で
あ り,各 回 は互 い に独 立 で あ る。
目の 得 点s1の 確 率 分 布 は,
表4.4 s1の 確 率 分 布
の 平 均 値,分
散 は次 の よ うに な る。
平均値
分散
s2の 確 率 分 布 は 表4.5の
〔 例 題3〕3回
目 の 得 点s3の
よ う に な る か ら,そ
の 平 均 値,分
確 率 分 布 の 平 均 値E(s3)と
散 は 次 の 値 に な る。
分 散V(s3)を
求 め よ。
〔 解〕
表4.2でs3の
図4.4か
確 率 分 布 が 示 さ れ て い る か ら,
ら,s1,s2とs3に
s3=1,s3=3の
は 次 の 関 係 が 成 り 立 つ。
場 合 に つ い て も 同 様 の こ と が い え て,3.6節
た 確 率 変 数 の 和X+Yと,そ
の 確 率 の 考 え 方 に よ っ て,次
コ イ ン投 げ で 各 回 は 独 立 だ か ら,式(3.55),式(3.56)を が,次
〔 例 題19〕 で 扱 っ
の 式 が 成 り立 つ 。
用 い て 平 均 値,分
散
の よ う に 求 め ら れ る。
こ の 考 え 方 をs2,s3に
適 用 す る と,次
の よ う に な る。
2回 目s2=s1+s1
3回 目s3=s1+s1+s1
こ の 手 続 き を 続 け る と,確
率 変 数snはs1の
和 と して,次
(n個 の和)
の よ う に表 され る。
(4.7)
(4.8) (n個 の和) こ う して 得 点snの ま た,図4.4か
分 布 は 平 均 値0,分
らsnの
得 点 分 布 は2項
散nに
な る こ とが 示 され る。
分 布 と 同 じ形 に な り,正 規 分 布N(0,n)
で 近 似 で き る。
問5 5回 目 の得 点s5の 確 率 分 布 の理 論 値 と,そ の近 似 式 を式(4.3),式(4.6)か
ら導 き,
プ ロ グ ラ ム を作 っ て そ の値 を 求 め よ。
4.2 情 報 量 と符 号 化 現 在 の情 報 化 社 会 で は多量 の情 報 が あ ふ れ,さ ま ざ ま な 情 報 の 伝 達 量 が飛 躍 的 に増 加 して い る。 こ こで は情 報 の 価 値 を,起
こ りに く さの 視 点 か ら情 報 量 と して
表 し,そ れ を使 って 効 率 的 な 伝 達 の た め に記 号 を コー ド化 す る こ と を考 え る。
[1]
情 報 量
順 番 を 決 め た り,あ
る 選 択 を す る の に,く
じ や さ い こ ろ,コ
チ ャ ン ス を 公 平 に す る こ と が よ く あ る。 そ こ で は,コ は ず れ と い う情 報 を,あ 価 値 が あ り,そ (1)
る 確 率 で 得 て い る。 そ し て,得
イ ンな ど を使 って
イ ン の 裏 表,く
じの 当 た り
難 い チ ャ ンス の情 報 ほ ど
れ を 得 る 確 率 は 小 さ い で あ ろ う。
情報量
コ イ ン投 げ で 表 が 出 た こ と を 知 る と き の 情 報 量 は,次
〔 例 題4〕
コ イ ン をn回
投 げ,n回
の よ う に して 求 め ら れ る。
と も表 が 出 た こ と を 知 る と き の 情 報 量Inを
め よ 。 た だ し,1回
の コ イ ン投 げ で 表 が 出 る と き の 情 報 量 を1と
〔 解〕
投 げ,と
コ イ ン を2回
の2倍 あ る と考 え れ ば,
も に 表 が 出 る と き,情
求
す る。
報 の 価 値 は コ イ ン1回
の とき
と な る。 コ イ ン をn回
投 げ,n回
と も表
が 出 る と き の 情 報 量 は,
(4.9) とな る。
図4.6
〔 例 題4〕 で は,n回
の と も表 が 出 る確 率 はpn=2-nだ
コ イ ンの 情 報 量
か ら,式(4.9)は
(4.10) と 表 す こ と もで き る 。 例 え ば,5回 こ と の 情 報 量Iは,次
この 値 は,マ
さ い こ ろ を 投 げ た と き,す
べ て1の
目が 出 る
の値 に な る。
ニ ュ ア ル 計 算 で 次 の よ う に 求 め ら れ る。
問6 次 の こ とが らが起 こ った こ とを知 る と きの情 報 量 を 求 め よ 。 (a) さい ころ投 げ で5の (b) 120456の よ うに,6桁
目が 出,か つ コイ ン投 げ で 表 が 出 た こ とを知 る と き。 の数 か らな る く じの 中 に 当 た り く じが1本 あ る と い う。 そ の
番号 を 知 る と き。
次 の 例 題 は,条 件 つ き確 率 と も関 連 す る現 実 的 な問 題 で あ る。 〔 例 題5〕A君
が ト ラ ン プ の 種 類(ス
ペ ー ド,ク
ラ ブ,ダ
よ う と して1枚
の カ ー ドを い じ っ て い る う ち に,そ
か っ た と し よ う。 こ の こ と に よ っ て 得 る 情 報 量Iを 〔 解 〕A君
が 例 え ば ダ イ ヤ を 当 て る 確 率 は1/4で
ドと い う情 報 を 得 た と き,図4.7の ゆ え に,赤
よ う に,当
イ ヤ,ハ
ー ト)を 当 て
れ が 赤色 で あ る こと が偶 然 わ 求 め よ。 あ る が,A君
が 赤 い色 の カ ー
た る 確 率 は1/4か
い 色 の カ ー ドが 見 え た こ と で 得 る情 報Iは,次
ら1/2に
な る。
の式 で表 され る。
図4.7
あ る 試 行 の 結 果,事
象Aが
得 ら れ る 情 報 量IAを,次
トラ ン プ の 色か ら得 る情 報 量
起 こ る 確 率 がp(A)の
と き,そ
れ が 起 こ る こ とで
の よ う に決 め る。
(4.11) そ れ は 次 の4つ (a) 確 率1,つ
の条 件 に も とづ い て い る。
ま り必 ず 起 こ る 事 象Uか
ら は 全 く情 報 が 得 ら れ な い と 考 え,IU=
0と す る 。 (b) よ り 起 こ り に く い 事 象Aの P(A)≦P(B)と (c) A,Bが IA +IBと
す る と き,IA≧IBと
り大 き くす る。 つ ま り
す る。
独 立 な 事 象 の と き,つ ま りP(A∩B)=P(A)P(B)の
と き,IA∩B=
す る。
(d) 確 率0.5と
な る事 象Aが
例 え ば,さ
い こ ろ を5個
と な る。 こ の 情 報 量 は,コ イ ンを3回
情 報 量IA(≧0)を,よ
起 こ る と き の 情 報 量 を1と
す る。
振 り,1の
目 が2回
出 る こ と で 得 られ る 情 報 量 は,
イ ン を2回
投 げ て す べ て 表 が 出 る と き の 情 報 量 と,コ
投 げ て す べ て 表 が 出 る と き の情 報 量 の間 に あ る。
問7 車 の ナ ンバ ー プ レー トは,「 あ12-34」 な1文 字 と,-で
の よ う に,「 あ」 か ら 「ん 」 まで の ひ らが
区 切 られ た4桁 の数 字 か らな って い る。 い ま,ひ
らが な を46文
よ び0か ら9の 数 字 が 同 じ頻 度 で 用 い られ て い ると して,次 の情 報 量 を求 め よ。 (a) ひ らが な1文 字 を 知 る と きの情 報 量 (b) 上2桁
の数 字 を 知 る と きの 情報 量
字,お
(2)
エ ン トロ ピー
互 い に 排 反 な 事 象Aiが
起 こ る情 報 量-log2p(Ai)の
平 均 値 に つ いて 考 え る。
全事象 互 い に排 反 に つ いて の情 報 量 の平 均 値,
を エ ン ト ロ ピ ー と い い,そ 例 え ば,コ
の 単 位 を ビ ッ ト と い う。
イ ンが も つ 情 報 量 は,次
の 値 に な る。
(4.12)
〔ビ ッ ト〕
こ れ は,コ
イ ン を 投 げ て 表 が 出 る こ と を1,裏
が 出 る こ と を0と
1ビ ッ トで 表 現 で き る こ と を 示 して い る。 エ ン トロ ピ ー は,あ す 情 報 の 種 類 が,2進
〔 例 題6〕
し,あ
わせ て
る情 報 源 が 作 り 出
数 で 何 桁 に な る か を 示 し て い る。
さ い こ ろ を1個
振 っ た と き,次
(a) 1の 目 が 出 る 事 象 と,そ
の エ ン トロ ピ ー を 求 め よ 。
う で な い 事 象 の エ ン トロ ピ ーI1
(b) 出 る 目 の エ ン ト ロ ピ ーI2
(a) 〔 解〕
(b)
〔 例 題6〕 の 考 え 方 か ら,表4.6の
確 率
表4.6 確 率 分 布
分 布 に 対 す る エ ン トロ ピ ーが 求 め られ る。 す な わ ち,
の 確 率 分 布 の エ ン トロ ピ ーIは,次
の 式 で 表 され る。
(4.13) 問8 大 小 の コ イ ンを2枚 投 げ表 表,表 裏,裏 表,裏 裏 が 出 る事 象 の エ ン ト ロ ピ ー を 求 め
よ。 ま た,表 が 出 る回 数 の 確 率 分 布 の エ ン トロ ピー を求 め よ。 問8は,根
元 事 象;表
表,表
裏,裏
れ,表
の 回 数 に 着 目 し た 場 合,1.5ビ
(3)
プ ロ グ ラム
表,裏
裏 の 個 数4個
が2桁
の2進
数で表 さ
ッ ト必 要 な こ と を 意 味 し て い る 。
確 率 分 布 が 与 え ら れ た と き,そ
の エ ン トロ ピ ー を 求 め る プ ロ グ ラ ム を 考 え よ う。
〔 例 題7〕2項
エ ン ト
分 布B(n,p)の
ロ ピー を プ ロ グ ラム を作 って求 め よ。 〔 解〕
自 然 数nと0<p<1の
と に,k=0,1,…nに
数pを
も
ついて
(4.14) を 計 算 し,さ
ら に 式(4.13)を
用 いて エ
ン ト ロ ピ ー を 求 め る 。 な お,い
ろいろな
nに つ い て 計 算 す る た め,nに
つ いて反
復 す る ル ー プ を 設 け る。
図4.8 プ ロ グ ラ ム4.3
計算 の 結 果(p=0.5) 12 3 45 6
1 1.5
1.811278 2.030639 2.198192 2.333362
例 え ば,2項
分 布B(n,0.5)の
エ ン トロ ピ ー は,単
調 に 増 加 す るnの
関数に な
る(図4.9)。
図4.9
B(n,0.5)の
エ ン トロ ピ ー
図4.10
図4.10か
ら,2項
き は,p=0.5で
分 布B(n,p)に
つ い て の エ ン ト ロ ピ ー はpを
エ ン トロ ピー
変 化 さ せ る と
エ ン トロ ピ ー が 最 大 に な る こ と が 予 想 さ れ る 。
問9
2項
4.2を
利 用 して 求 め よ 。
[2]
B(n,p)の
分 布B(10,p),P=0.1,0.2,…,0.9に
対 す る エ ン トロ ピ ー を,プ
ロ グラム
ハ フ マ ンコー ド
現 代 で は文 字 や 記 号 を 通 信 す る と きに は,す べ て2進 数 の コ ー ドで行 う。 これ
を 符 号 化 とい い,変 換 手 順 を符 号 化 ア ル ゴ リズ ム とい う。 起 こ りや す さを もと に した符 号 化 アル ゴ リズ ム に つ い て調 べ て み よ う。 (1) 暗 号 解 読 3桁 か ら5桁 の2進 数
を,ア
ル フ ァ ベ ッ トや 空 白 と い っ た 文 字 に 割 り 当 て て 通 信 を す る と き,一
定 のア
ル ゴ リズ ム で 符 号 化 す る こ と を 考 え る 。
〔例 題8〕
図4.11か
ら,(a)は
暗 号 を 解 読 し,(b)は
図4.11の
頂 上(つ け根)か
コ ー ドの 誤 り を た だ せ 。
(a) (b) 〔 解 〕(a)
ら初 め て 最 初 の 数 字 を 読 み,0な
な ら右 に 行 く。 こ の ア ル ゴ リズ ム で,コ 暗 号 はthe
shopと
ら 左 に,1
ー ドと 文 字 が 次 の よ う に 対 応 す る か ら,
解 読 で きる。 空 白,
(b) 図4.11で と8番
文 字 と コ ー ドを 対 応 さ せ る と き,う
だ か ら,4番
目 の1110を1101に,8番
ま く対 応 し な い の は,4番
目 の101を100に
直 す。
〔 例 題8〕 の よ う な ア ル ゴ リズ ム で 作 っ た コ ー ドを ハ フ マ ン コ ー ドと い う 。 ま た,コ
ー ド中 の2進
数 の個 数 を そ の
コ ー ドの 長 さ と い い,例 長 さ は4で
あ る。 な お,グ
え ば,1101の ラ フ理 論 で は,
こ う し た 図 を 木 構 造 と い い,最
も上 の
部 分 を 根,最
分を経
も下 の 文 字 を 葉,線
路 と い う。 図4.11
問10〔
例 題8〕
の ア ル ゴ リ ズ ム で,the
season
opensを
符 号化 の 木
コ ー ド化 せ よ 。
(2)
コ ー ド化 の ア ル ゴ リ ズ ム
文 字 を コ ー ド化 し て 通 信 す る と き,よ コ ー ド011に,確
率 の 小 さ い 文 字,例
く使 う文 字,例
え ばwを
え ば 図4.11でsを
長 い コ ー ド1110に
短 い
した方 が 通 信
の 効 率 が 上 が る 。 こ の 観 点 か ら文 字 を コ ー ド化 して み よ う。 あ る文 を ハ フ マ ン コ ー ドで コ ー ド化 し て 送 信 した い と き,次
の 手 順 で 行 う。
(a) 各 文 字 が 利 用 さ れ る 統 計 的 確 率 を 調 べ る 。 (b) 確 率 の 値 に つ い て 昇 順 に 文 字 を 並 べ,符
〔例 題9〕you
send
me
correct
codesと
い 。 各 文 字 の 出 現 確 率 が 表4.7の こ の 文 を2進
号 化 の 木 を 作 る。
い う 文 を ハ フ マ ン コ ー ド化 して 送 信 し た
よ う で あ っ た と き,ハ
フ マ ン コ ー ドを 構 成 し,
数 の コ ー ドに 直 せ 。 表4.7 出 現確 率
〔 解 〕 各 文 字 を 葉 と して,出
現 確 率 の 小 さ い 方 か ら 順 に 並 べ る。 た だ し,出
率 に あ ま り差 が な いsとc,oとeは
同 じ順 位 と し て お く 。 次 に,並
同 じ 出 現 頻 度 の も の を 経 路 で 結 び,そ
現確
べ た文 字 で
の 上 に 合 計 を 書 く(図4.12)。
表4.8 出 現 頻 度順 位
並 べ た 数 の 列 に つ い て,さ
ら に 合 計 を そ の 上 に 書 く。
図4.12
次 に,ほ
4.13)。
葉 を経 路 で結 ぶ
ぼ 同 じ数 ど う しを 線 分 で 結 ん で い って 根 の あ る 木 構 造 を 描 く(図
図4.13
符 号 化 の 木1
図4.14
最 後 に,経 路数 が 多 いr,mな
符 号 化 の 木2
どの文 字 が両 脇 に く る よ うに文 字 を並 べ替 え る。
こ う して符 号 化 の 木 が 出 来上 が る(図4.14)。 表4.9
図4.14の
ハ フ マ ンコ ー ド
符 号化の木か ら 〔 例 題9〕 で 取 り 上 げ た 文 の 文 字 が,表4.9の
よ うに
コ ー ド化 さ れ, you
send
me
correct
codes
と い う文 が次 の よ うに送 信 さ れ る。 00001
100 110 001 010 101 1110 00010
011 100 00000
〔 例 題9〕 で は,各 は3ビ
00000
101 011 00011
001 1111 101 001
001 011 100 00010
文 字 の 出 現 しや す さ か ら符 号 化 さ れ,出
ッ トで コ ー ド化 さ れ る。 一 方,出
101 010
現 頻 度 の 高 いoやu
現 頻 度 の 低 いyやdは5ビ
ッ トと い う ビ ッ
ト数 の 多 い コ ー ドに な っ て い る 。 な お,表4.7の
出 現 確 率 は あ る 英 語 の 文 章 の ご く一 部 か ら得 て 確 率 の 総 和 を1
に した 値 な の で 一 般 的 な 値 で は な く,表4.10の
問11
英 字 新 聞 な ど で は,ア
と い う。
値 の方 が現 実 に近 い。
ル フ ァ ベ ッ ト の 文 字 や 記 号 の 出 現 確 率 が 表4.10の
よ うにな る
表4.10
図4.15は,出 し,次
現 確 率 を100倍
出 現 確率
し た 値 か ら作 成 した 符 号 化 の 木 で あ る。 符 号 化 の 木 を 完 成
の 文 を コ ー ド化 せ よ 。 the
chance
to see
it
図4.15
符 号 化 の 木3
[3] コー ドの長 さ と情 報 量 ハ フ マ ン コ ー ドで は 各 文 字 の 出 現 確 率 を も と に した が,こ 字 の 情 報量 が 計 算 で きる。 例 え ば 〔 例 題9〕 のyは,表4.7か
出 現 確 率 は0.05
情 報 量 は-log20.05≒4.32
と な る。 一 方,表4.11で
表4.11
ら,平
ら,
比 較 す る と,〔 例 題9〕 に お け る 各 文 字 の 情 報 量 と コ ー
ドの 長 さ が ほ ぼ 等 し い こ と が わ か る 。
表4.11か
の 出 現 確 率 か ら各 文
情 報 量 と コ ー ドの 長 さ
均 コ ー ド長 を 調 べ て み よ う。
you
send
me
correct
codes
の 文 に お け る各 文 字 の エ ン ト ロ ピ ーI,お
よ び 平 均 コ ー ド長Cは
次 の よ う に な る。
(4.15)
(4.16)
よ っ て,こ
問12
の エ ン ト ロ ピ ーIと
〔 例 題9〕
を 表4.11か
平 均 コ ー ド長Cは
の ハ フ マ ン コ ー ドに お い てmute
secondの
エ ン ト ロ ピ ー と 平 均 コ ー ド長
ら求 め よ。
4.3
ゲ ー ム の理 論
ゲ ー ム の 理 論 は,身
近 な 問 題 に 確 率 を 応 用 す る 格 好 の テ ー マ で あ る。 こ こ で は,
2人 で 行 う単 純 化 さ れ た ゲ ー ム を,身
[1]
ほ ぼ等 し くな る。
近 か な 表 現 で 考 え て み よ う。
ゼ ロ 和 ゲ ー ム
L球
団 の ピ ッ チ ャ ー 園 川 が,強
打 者 と し て 恐 れ ら れ て い るO球
団 の イチ ロー
選 手 と 向 か い 合 っ て マ ウ ン ドに 立 っ て い る と しよ う 。 園 川 は 直 球 と変 化 球(カ ブ)を 武 器 に し,イ
チ ロー は そ の ど ち ら
表4.12
ー
打率の利得表
か の 手 で く る か を 予 想 して 打 率 を 上 げ よ う と す る 。 今 ま で の イ チ ロ ー の 予 想 と, そ れ が 当 る 確 率 をO球
団 が次 のよ うに
調 べ た。 (1)
利 得 表 の利 用
表4.12を
イ チ ロ ー 側 の 利 得 表 と い い,次
の こ と を 示 し て い る。
・直 球 が く る と イ チ ロ ー が 予 想 し た と き,直
球 だ っ た 場 合 が3割5分,予
想 に
反 して カ ー ブ だ っ た 場 合 が2割 ・カ ー ブ が く る と イ チ ロ ー が 予 想 し た と き,カ
ー ブ だ っ た 場 合 が3割,予
想 に
反 し て 直 球 だ っ た 場 合 が1割5分
ゲ ー ム の 理 論 で,対 法 を 方 略(ス 方 略 は2通
戦 者 の 打 つ 手 を 戦 略 と い い,ど
ト ラ テ ジ ー)と
い う。 こ の 場 面 で は,両
の 戦 略 を 選 ぶ か そ の選 択 方 者 の 戦 略 は 直 球 と カ ー ブで,
りず つ あ る 。
こ の対 決 で は,で
き る だ け安 全 で,損
が 少 な い 選 択 を お 互 い に と る と仮 定 し,
次 の 方 略 で プ レ ー が 進 行 す る。 ・行,つ
ま り イ チ ロ ー側 か ら見 た と き,行
の あ る 第1行 ・列 ,つ
を選 ぶ 。
〔 例 題10〕
の 最 大 値 の 小 さ い 方0.3(<0.35)の
を選 ぶ 。
利 得 表4.12に
〔 解 〕 ① イ チ ロ ー は,各 行 目,つ
ま り 園 川 の 側 か ら見 た と き,列
あ る 第2列
よ っ て プ レ ー は ど う 進 行 す る か,そ 行 の 最 小 値 を 探 す(0.2と0.15)。
② 園 川 は,イ
③ イ チ ロ ー は,園
④ 園 川 は,イ と0.3)の
ま り カー ブを 選 ぶ 。
川 が カ ー ブ を 投 げ る と 見 て と り,2列
び ② に 戻 り,②
目(0.35と0.15)
ま り直 球 を選 ぶ。
→ ③ → ④ → ⑤ → の よ うに循 環 を繰 り返 す 。
の プ レ ー で は両 者 の 予 想 が 表4.13
う し た ゲ ー ム を 鞍 点 が な い ゲ ー ム と い う。 の 場 合,2人
2人 ゲ ー ム と い い,両
目(0.15
ま り直 球 を 選 ぶ 。
川 が 直 球 を 投 げ る と 見 て と り,1列
ぐる ぐる回 って 安 定 す る こ とが な い。 こ
ま た,こ
目(0.2と0.3)
ま りカ ー ブを選 ぶ。
中 で 損 の 少 な い 方 の 列,つ
の 中 で 利 得 の 大 き い 方 の 行,つ
〔例 題10〕
目(0.35と
チ ロ ー が カ ー ブ を 予 想 し て い る と 見 て と り,2行
⑤ イ チ ロ ー は,園
以 下,再
そ れ が 最 大 で あ る1
チ ロ ー が 直 球 を 予 想 し て い る と 見 て と り,1行
の 中 で 利 得 の 大 き い 方 の 行,つ
の 進 行 状 況 を示 せ。
ま り 直 球 を 最 も安 全 と考 え て 選 ぶ 。
0.2)の 中 で 損 の 少 な い 方 の 列,つ
の 最 小 値 の 大 き い 方0.2(>0.15)
が プ レー す るの で 者 の 取 り う る戦 略
ゲ ー ム の推 移
は 共 に 直 球 と カ ー ブ の2種
類 しか な い の で2×2ゲ
ー ム と い う。 ま た,対
戦 者 は
お 互 い の 方 略 を 完 全 に 知 る こ と が で き る と 仮 定 して い る の で 完 全 情 報 ゲ ー ム と い い,一
方 の 得 点 が 他 方 の 失 点 に な っ て い る の で ゼ ロ 和 ゲ ー ム と も い う。 こ こ で あ
げ た ゲ ー ム は,完
全 情 報2×2の2人
ゼ ロ和 ゲ ー ム と い う最 も基 本 的 な ゲ ー ム の
例 で あ る。 こ の プ レ ー で は,両
者 は 互 い に 相 手 の 戦 略 を 予 想 し な が ら,安
て 利 得 を 最 大 に し,損
失 を 最 小 限 に し よ う と して,い
択 す る 。 利 得 表4.12に
よ る選 択 で は,例
え ば,次
全 を基 本 に お い
くつ か の 戦 略 か ら1つ
の 方 略 で 安 全 性,利
得(損
を選 失)
の ね らい を具 体 化 して い る。 ・安 全 の 方 略;イ
チ ロ ー が,行
の最 小 値 に着 目す る。
・利 得 最 大 の 方 略;イ
チ ロ ー が1列(0.35と0.15)の
・損 失 最 小 の 方 略;園
川 が1行(0.35と0.2)の
こ の 方 略 を ミ ニ マ ッ ク ス 法 と い い,ゲ 現 実 の 人 間 は,こ
最 大 値0.35を 最 小 値0.2を
選 ぶ。
選ぶ。
ー ム の 理 論 の 中 心 を な す 考 え 方 で あ る。
こ に あ げ た 戦 略 や 方 略 だ け で 行 動 す る わ け で は な く,ミ
ニマ ッ
ク ス法 は 手 堅 す ぎ て と き に は 最 良 の 方 法 と な ら な い こ と が あ る 。 し か し,行
動 の パ タ ー ン と して ミニ マ ッ ク ス 法 は 基 本 的 で あ り,集
基 づ く戦 争 や 市 場 開 拓 な ど に 有 効 に な る。 実 際,ゲ 戦 で 実 際 に 用 い ら れ,現
問13 A君
とB君
団 の 行動 に
ー ム の 理 論 は,第2次
世 界大
在 で も選 挙 運 動 や 市 場 獲 得 に 利 用 さ れ て い る 。
が 表4.14の
利得 表 に従 っ
表4.14 利 得 表
て 得 点 を 得 る と い うル ー ル で,ゲ ー ム を 行 う と き の 推 移 を 調 べ よ。 た だ し,ゲ
ー ム はA
君 か ら開 始 す る も の とす る。
問13の
ゲ ー ム で は,上
の 両 者 と も同 じ手,つ
の 戦 略 を 両 者 が 選 び 続 け る 。 こ の 戦 略(1行2列)を
ま りⅠ の 行 とⅡ の 列(2行2列
目)
鞍 点 と い う。
[2] 混 合 戦 略 これ ま で の ゲ ー ム で は,相 手 が どん な戦 略 を選 択 した か,そ の方 略 を他 方 が 完
全 に 知 り 得 る と 仮 定 した 。 しか し,実 しか で き な い 。 そ の 場 合,事
〔 例 題11〕
際 に は相 手 の方 略 を対 戦 者 は予 想 す る こ と
態 は か な り複 雑 に な る 。
園 川 が 直 球 を 投 げ る 確 率 をp=0.4と
し た と き,イ
チ ロ ー の打 率 を求
め よ。 〔 解〕
イ チ ロ ー が 直 球 を 予 想 し た と き,利
イ チ ロ ー が カ ー ブ を 予 想 し た と き,利
〔 例 題11〕 か ら,イ
得 表4.12の1行
目 か ら,
得 表4.12の2行
目か ら
チ ロ ー は 直 球 を 予 想 し た 方 が 有 利 に な る 。 こ の よ う に,園
川 が 直 球 を 投 げ る と きの 確 率 で イ チ ロー の とる方 略 が 決 ま る。 園 川 が 直 球 を 投 げ る 確 率 をpと こ の プ レ ー で は,イ の 打 率 は,そ
す れ ば,カー
ブ を 投 げ る 確 率 は1-pで
チ ロ ー が 直 球 を 予 想 し た 場 合,お
あ る。
よ び カ ー ブを 予 想 した場 合
れ ぞ れ次 の よ う にな る。
(a) イ チ ロ ー が 直 球 を 予 想 し た と き の 打 率
直線1
(4.17)
p=1の p=0の
と き,0.35(表4.15の1行1列 と き,0.2(同1行2列
目,図4.16の 目,直
線1の
直 線1の
右 端)
左 端)
(b) イ チ ロ ー が カ ー ブ を 予 想 した と き の 打 率
直線2
(4.18)
p=1の
と き,0.15(同2行1列
p=0の
と き,0.3(同2行2列
表4.15
目,直 目,直
線2の 線2の
右 端) 左 端)
利 得 表
図4.16
確 率pと
打率 の関係
この プ レー で は,対 戦 者 は相 手 の 方 略 を確 率 で 予 想 し,利 得 表 を利 用 して 安 定
性 の も と に 利 得,あ
る い は損失 が 最適 に な る よ うに 方 略 を 決 め る。
こ こ で,式(4.17),式(4.18)を 〔 例 題12〕
園 川 が 確 率pで
p=0.1,0.5の 〔 解〕
も と に両 者 の 方 略 を 考 え て み よ う 。 直 球 を 選 ぶ と き,ど
場 合 を も と に,両
次 の 各 場 合 は,園
(a) p=0.1の
の よ うな プ レ ーが展 開 さ れ る か 。
者 が と る べ き方 略 を 求 め よ 。
川 の 確 率pに
対 し て,イ
チ ロ ー が 期 待 で き る打 率 で あ る。
場合
直線1 直線2 よ っ て,イ (b) p
=0
チ ロ ー は 直 線2(カ
ー ブ)を 選 び,こ
の と き の 打 率 は0 .285に
な る。
.5の 場 合
直線1 直線2 よ っ て,イ
チ ロ ー は 直 線1(直
球)を 選 び,こ
図4.17
の と き の 打 率 は0.275に
な る。
確 率 と 打 率2
・イ チ ロ ー は 打 率 を 最 高 に し た い の で
,園
川 の 各 確 率pに
対 し,常
に 直 線1,
2の 高 い 方 の 戦 略 を 選 ぶ 。 ・園 川 は イ チ ロ ー の 打 率 を 最 低 に 抑 え た い の で 直球 を投 げ る。 こ れ が 両 者 の 最 善 の 方 略 で あ る。 直 線1,2の
交 点 は,連
か ら,p=1/3と
な る。
立 方程 式
,直
線1,2の
交 点 の 確 率pで
し た が って,園
川 は 直 球 を 確 率1/3,カ
最 善 で あ る 。 こ の と き,イ
ー ブ を 確 率2/3で
チ ロ ー は 直 球,カ
投 げ続 け る 方 略 が
ー ブ の ど ち らで を 予 想 して も 同 じ打
率 で,
だ か ら,そ
れ は2割5分
〔 例 題12〕 で は,対
に な る。
戦 者 は 安 全 で か つ 最 良 の 選 択 を,あ
る確 率 で と る。 こ う し
た ゲ ー ム の こ と を 混 合 戦 略 と い う。 問14 A,B両
君 が 表4.16の
戦 略 の ゲ ー ム を行 うと き,B君
表4.16利
利 得 表で混 合 はⅠ,Ⅱ
得 表
をど
の よ う な確 率 で 選 ぶ の が最 善 策 か 。
今 度 は,イ
〔 例 題13〕 1-qと 〔 解〕
チ ロ ー の 最 善 策 を 求 め て み よ う。
表4.15で す る と き,園
イ チ ロ ー 選 手 が 直 球 を 選 ぶ 確 率 をq,カ
ー ブを 選 ぶ 確 率 を
川 が 選 ぶ 戦 略 と イ チ ロ ー の打 率 を求 め よ。
園 川 選 手 が 直 球 を 選 ぶ 場 合,お
よ び カ ー ブ を 選 ぶ 場 合 の イ チ ロ ー の 打 率 は,
次 の よ う に な る。 (a) 園 川 が 直 球 を 選 ぶ と き,
直線1
(4.19)
(b) 園 川 が カ ー ブ を選 ぶ と き,
直線2 こ の と き の 打 率 とqの
(4.20)
関 係 は,図4.18の
図4.18
よ う に な る。
打 率 とqの
関係
こ の と き,園
川 は で き るだ けイ チ ロ ーの 打 率 を 低 くお さえ よ う とす る。 そ れ に
対 し て イ チ ロ ー は,2直
線 の 交 点 を 選 ぶ の が よ い 。 そ こで,次
の連 立 方 程 式 を 解
く。
解 を 求 め る とq=0.5,し い 。 こ の と きy=0.25,つ
たが って 直 球 と カ ー ブ の比 率 を 半 々 に す る の が よ ま り イ チ ロ ー の 最 善 の 打 率 は2割5分
と な り,〔 例 題
12〕 の 解 と 一 致 す る 。
問15
利 得 表4.16の
ゲ ー ム で,A君
〔 例 題14〕A,B両 る 。A君
は ど ん な 確 率 でⅠ,Ⅱ
君 が 相 手 に見 え な い よ うに交 互 に お金 を 置 くゲ ー ム を して い
は 何 も 出 さ な い か,5円
か10円
か の3通
20円 の ど れ か を 出 す も の と す る 。 ま た,両 A君
が,奇
数 の と き,B君
作 り,A,Bの
り の 出 し 方 を し,B君
は1円
か
君 が 出 した お 金 の 合 計 が 偶 数 の と き
が そ れ を も ら え る も の と す る。 こ の ゲ ー ム の利 得 表 を
最 善 の方 略 を調 べ よ 。
〔 解 〕A君
の 利 得 を 調 べ る 。A君
の と き,B君 A君
を選 ぶ のが 最 善 か 。
が1円,20円
表4.17 A君
が0円
の 利得 表
出 し た 場 合,
の 利 得 は そ れ ぞ れ-1円,+20円
で あ る 。 同 様 に し て,A君 円 の と き も調 べ る と,表4.17の
が5円,10 利 得表
が で き る。
B君 が1円 を 出す 確 率 をqと す れ ば,20円
出 す確 率 は1-qに
な る。 よ っ て各
行 の 戦 略 に対 す る値 は,次 の 式 で 表 され る。 1行 目
(4.21)
2行 目
(4.22)
3行 目
(4.23)
A君 はで き るだ け効 果 を 上 げ よ うとす る ので3つ が 大 き い方 を 選 ぶ。
の直 線 の う ち,qに
対 す る値
図4.19の
最 も上 の 折 れ 線 に対
して,Bは
そ の 最小 直を と る の で,
1行 と2行
の 直 線 の 交 点 がBの
最
善 の 方 略 に な る。 式(4.21),(4.22)で 式 を 作 り,解
連立 方 程
を 求 め る。
図4.19
利得 と確 率 の 関 係
よ っ て,
B君
は45:7の
割 合 で1円
と20円
を 出 せ ば,毎
れ が 最 善 の 方 略 で あ る 。 こ の と き,A君
は0円
回1.83円
か5円
程 度 の 損 で 済 み,こ
を 出 し,10円
は出 さな い
方 略 を と る。 問16〔
例 題14〕 で,A君
の最 善 の 方 略 を 求 め よ。
〔 例 題14〕 で は,A君
が0円
の と き の 確 率 をpと
pで-p+6(1-p),20p-25(1-p)の
す る と,5円
交 点 か ら,A君
の 確 率 で そ れ ぞ れ0,5円,10円
を 出 し,B君
れ1円,20円
を 出 す の が 最 善 の 策 で あ る。
し か し,毎
回A君
が1.83円
は45/52,7/52の
儲 け る こ と に な る の で,B君
を 出 す 確 率 は1-
は31/52,21/52,0 確 率 で,そ
れ ぞ
は このゲ ー ムはや ら
な い 方 が 最 も よ い と い う結 論 に な る 。 〔 例 題14〕
の ゲ ー ム も表4.12の れ を2×3の
場 合 と 同 様 に,A君
る と0に
な る の で,こ
2×nの
ゼ ロ 和 ゲ ー ム に も適 用 で き る 。 な お,ゲ
の 得 点 とB君
の得 点 を加 え
一 般 ゼ ロ 和 ゲ ー ム と い う。 同 様 の 考 え 方 は, ー ム の 理 論 に は,2×nで
和 が
ゼ ロ で な い ゲ ー ム も あ る。
[3] 2×nの
プ ロ グ ラ ム 一 般 ゼ ロ和 ゲ ー ム の 解 を コ ン ピ ュ ー タで 求 め て み よ う。A君
ゲ ー ム を 行 い,A君
がn通
り の 手 を も ち,そ
れ ら を 戦 略1,戦
略2,…,戦
とB君
が 略n
と し,B君
が2通
を 戦 略1,戦
り の 手 を 持 ち,そ
略2と
ム の 利 得 表 をA君
す る。 ま た,こ
表4.18
れ ら
A君 の 利 得 表
のゲ ー
の 立 場 か ら,表4.18
の よ う に 作 る。 こ こ でB君
が 戦 略1を
選 ぶ 確 率 をqと
す れ ば,,式(4.21),式(4.22),式(4.23) と 同 様 に,次
の 式 が 得 られ る 。
1行 目
2行 目
n行 目 こ こでi行 目の 直線 とj行 目の 直線 の連 立 方 程 式 を解 い て,次 の式 が得 られ る。
こ の 図4.19の のi,j
よ う に 太 い 直 線 を 作 っ た と き のyが
に対 して 次 の 連 立 方 程 式 を 解 い て,A君
最 小 に な るi,jを
の 最 善 の 値z,そ
求 め,こ
の と き の 確 率p
が 求 め ら れ る。
プ ロ グ ラ ム4.4で プ ロ グ ラ ム4.4
は,A君
の 戦 略 の 個 数nと,利
得 表 の 値 をdata文
で 入 力 す る。
A
計算の結果 ,Bの 最 善 の 確 率.5961539 ,Bの 最 善 の 利 得1.826923
4.4
.8653846 -1 .826923
マル コフ過 程
現 代 社 会 は競 争 の社 会 で も あ る。 大 手 新 聞 社 は発 行 部 数 の推 移 に気 を 使 い,各 テ レ ビ局 は視 聴 率 の 変 化 に 一喜 一 憂 す る。 こ う した 変 化 を 単 純 化 す る と発 行 部 数 や 視 聴 率 の よ うす が 見 え て く る。 こ こで は行 列 を 用 い て 一 定 の 確 率 が 与 え られ た と きの推 移 につ いて 考 え る。
[1]
推 移 の モ デル 化
情 報 化 社 会 で は多 方 面 の 情 報 が 行 き交 って い る。 そ の 情 報 は,競 合 す る企業 間 の 浮 沈 を左 右 す る。 そ の基 本 的 な例 に つ い て考 え て み よ う。 〔 例 題15〕
東 京 とそ の周 辺 で は,夕 刊 紙 が 事 実 上A,Bの2紙
か も毎 週 そ の市 場 占有 率 が次 の よ うに変 化 す る と い う。
に 独 占 され,し
・A紙 を買 った読 者 は翌 週80%が
再 びA紙
を買 い,20%がB紙
に変 え る。
・B紙 を買 った読 者 は翌 週75%が
再 びB紙
を買 い,25%がA紙
に変 え る。
最 初 に同 じ占有 率 で あ った と き,1週 〔 解 〕1週
間 後,2週
間 後 の各 社 の 占有 率 を 求 め よ。
間 後 の 占有 率 は,次 の よ う にな る。
A社 B社 2週 間 後 の 占 有 率 は,次
の よ うに な る。
A社 B社 (1)
表 現 の しか た
〔 例 題15〕 の 変 化 を 示 す 図4.20を
図4.20
ま た,変
シ ャ ノ ン線 図
化 の よ うす は表4.19の 表4.19
シ ャ ノ ン 線 図,図4.21を
図4.21
よ う に 表 す こ と が で き,こ
推 移 グ ラ フ
れ を 推 移 表 と い う。
推移表
図4.22
この表 で は,わ
推 移 グ ラフ と い う。
推 移 行 列
くを取 り去 って も流 れ は変 わ らな い の で,図4.22の
よ う に数
字 とか っ こで 表 す こ とが で き る。 こ う して で きた 数 の 集 ま りを 推 移 行 列 とい う。 数 を行 と列 に並 べ た数 の集 ま りを行 列,行 列 の各 数 の こ と を成 分,第i行j列 の成 分 を 第ij成 分,第kk成 らな る行 列 の こ とをm×n(型
分 の こ とを 対 角 成 分 と い う。m個 の)行 列 と い い,n×n行
の 行 とn個 の 列 か
列 の こ と をn次
の正方
行 列 と い う。 行 列 は,コ
ン ピ ュー タで推 移 の変 化 を包 括 的 に と らえ,ま た計 算 す る の に便 利
で あ る。
問17 図4.22の
推 移 行 列 につ い て,次 の 各 問 に答 え よ。
(a) 行 列 の型 は何 か 。 (b)
何 次 の正 方 行 列 か。
(c) 対 角 成 分 は何 か。 (d)
0.2は 第何 行 何 列 の成 分 か。
(2)
行列計算
〔 例 題15〕 の 計 算 を 行 列 で 行 お う。1週
間 後 の 占 有 率 は,次
の よ うに 行 列 で 表
す ことが で き る。
A社 B社 こ こ で,行
列 の 計 算 は 次 の よ う に な り,結
果 は2×1行
列 で 表 さ れ る。
(4.24) 2週 間 後 の 占有 率 も同 様 に して,次 の よ うに計 算 す る。
A社 B社
問18 〔 例 題15〕 の3週 間 後 の 占有 率 を,小 数 点 以 下 第5位 を 四 捨 五 入 して求 め よ。
[2]
行 列 の積
行 列 の積 とそ の 計 算 方 法 につ いて 考 え よ う。 (1) 積 の定 義 と計 算 図4.22を2回
繰 り返 す推 移 は,図4.23の
よ うに な る。
図4.23
図4.23で,例 ら,次
え ばA→Aと
繰 り返 しの 推 移
な る 確 率 は,A→A→AとA→B→Aの
和 だ か
の 値 に な る。
そ の 他 の推 移 の確 率 も同 様 に して 求 め られ る。
こ れ ら4つ
の 式 を,行
列 の 式(4.24)と
同 じ形 で 求 め る。
(4.25) こ こで 行 列 を 文 字 で 表 し,そ の 累 乗 の 計 算 を 考 え る。 (4.26) と お け ば,式(4.25)はPPと
な る の で,こ
れ をPPをP2と
表 し,行
列Pの2乗
とい う。 式(4.26)のPで
は,
(4.27)
と な る。 さ ら に,P2PをP3,P3PをP4な ま た,行
列PとQに
つ い て 式(4.25)の
問19 行 列 の式(4.27)を
(2)
ど と 表 し,こ
利 用 してP4を
れ らを行 列 の 累 乗 と い う。
規 則 で 行 うPQを
行 列 の 積 と い う。
求 め よ。
プ ログ ラ ム
行 列 の 積 を 求 め る プ ロ グ ラ ム を 作 っ て み よ う。 プ ロ グ ラ ム4.5で Qの
成 分 をdata文
で 与 え て お き,行
列Rに
行 列 の 積PQの
は,行
計 算 結 果 を 入 れ る。
こ の プ ロ グ ラ ム は,2×2行 くn×n行 数nもdata文
プ ロ グ ラ ム4.5
図4.24
列P,
列 だ けで な
列 で も計 算 で き る よ う に,次 で 入 力 す る。
計算 の結果 .6900001 .31
特 に,QをPと 例 え ば,プ
す れ ばR=P2,QをP2と ロ グ ラ ム4.5の
列P3が
求 め られ る 。
data
0.69, 0.3875
data
行 列P,行
求 め られ る。
成 分 に あ た るdata文
計 算 結 果(P3)
を次 の よ うに 修 正 す
0.6295 0.463125 0.3705
0.31, 0.6125
さ ら に,P3を
.6125
す れ ばR=P3が
行 列Qの
れ ば,行
.3875
列Qのdata文
0.536875
に 入 れ て お け ば,行
列P6が
求 め られ
る 。
data
問20
計算結果(P6)
0.6295
0.463125
data
0.3705
0.536875
0.5678582
0.5401775
data
0.6295
0.463125
0.4321420
0.4598226
data
0.3705
0.536875
プ ロ グ ラ ム4.4を
利 用 し てP9を
求 め よ。
[3] マ ル コ フ過 程
プ ロ グ ラ ム4.5を
〔 例 題16〕11人
利 用 して 行 列 の 問 題 を 解 決 して み よ う。
の 人 が あ る情 報a;「aで
う。 こ の と き,情
報aを
あ る」 を電 話 で順 番 に 伝 達 す る と しよ
誤 っ て 否 定 し 「aで な い 」 と 伝 え て し ま う 確 率 は0.05
で あ る と い う。 一 方,情
報aの
否 定 情 報 を 再 び 否 定 し て し ま う確 率 は0.1で
め に 「aで あ る 」 と 流 した 情 報 が11人 〔 解 〕aで 図4.25,そ
な い と い う情 報 をa'と
目 の 人 に 正 し く伝 わ る 確 率 を 求 め よ 。
表 せ ば,1回
の 推 移 行 列 は 図4.26のPの
あ る と い う。 は じ
の 伝 達 で 情 報a,a'の
よ う に 表 さ れ る。
伝達 状態 は
図4.25
図4.26
推 移 グ ラ フ
プ ロ グ ラ ム4.5を
用 い てP10を
推 移 行 列
計 算 す る 。 そ れ に はP2,P4,P8,P8P2を
求
め る。
た だ し,各 成 分 は小 数 点 以 下 第5位 を 四 捨 五 入 して あ る。
図4.27
11人
目 の 人 が 情 報aをaと
る確 率 は0.2677に
正確 に 伝 達 され る 割 合
して 受 け 取 る 確 率 は0.7322に
減 り,誤
な る 。 そ の 途 中 の 人 が 誤 る 確 率 の 数 値 はpnの
って 受 け 取
第1行1列
成 分
低 く て も10回
伝 達 す
で 示 さ れ る(図4.27)。
〔 例 題16〕 で は,1人1人 る と,約1/4が
が 誤 っ て 伝 達 す る 確 率 は0.05と
誤 る こ と を示 す 。
一 方,aで
な い と い う情 報 を 最 初 に 伝 達 し た 場 合,aで
率 は0.4646と
な り,半
な お,100回
分 以 上 が 誤 る こ と を 示 し て い る。
以 上 の 伝 達 で はaで
ほ ぼ2/3で
一 定 の 値 に な り,こ
列 の 累 乗 の 計 算 が 必 要 で,そ 一 方,〔 例 題16〕
な い と正 し く伝 わ る確
あ る こ と が 正 し く 伝 達 さ れ る 確 率 は0.66667,
れ を定 状 状 態 と い う。 定 状 状 態 を 調 べ る に は行
れ に は コ ン ピ ュ ー タ が 有 効 な 道 具 に な る。
の よ う に各 回 が 独 立 な 試 行 で,推
移 行 列 の 積 に よ って あ る定
状 状 態 に 収 束 す る 現 象 の こ と を マ ル コ フ 過 程 と い う。 マ ル コ フ 過 程 で は1回 の 変 化 は 小 さ く て も,収
束 結 果 は も と の 状 態 と は か け 離 れ る こ と が 多 い。
問21 隣 りあ うA国
で は,毎
とB国
民 がB国
民 に な る人 がA国
逆 にB国
民 がA国
年A国
の 全 人 口 の1%,
民 に な る 人 がB国
口 の0.8%い
る と い う。 初 め にA国
民 だ け,B国
にB国
年 後,20年
の全 人 にA国
民 だ け い る と し て 丸10
後 の 両 国 に い るA,B国
民 の比 図4.28
率 を求 め よ。 マ ル コ フ過 程 で 特 異 な 状 態 に 落 ち つ く例 と し て,次
〔 例 題17〕
問21と
同 じ状 況 で,B国
に 戻 る こ と が な い と し た と き,A国
の よ うな 問 題 が あ る。
の将 来 を 予 測 せ よ。 移 行 列 は 図4.30で
図4.30
P10,P100を
推 移 グ ラ フ
民 に な っ た 人 は 居 心 地 が よ い た め にA国
〔 解〕 こ の 問 題 で 移 動 の 状 態 は 図4.29,推
図4.29
ごと
表 され る。
推 移 行 列
推 移 グ ラ フ
計 算 す る と,次
の よ う に な る。
(4.28)
民
A国
に お け るA国
民 の 割 合 は 約10年
〔 例 題17〕 で は,式(4.28)か 1:2に
後 に は 約90%,100年
後 に37%に
ら初 め の 人 口 が ど う で あ れ,A,B両
な る こ とが 予 想 さ れ る 。 この 計 算 結 果(図4.31)は
図4.31
この結 果 に よ れ ば,A国
な る。
国民 の比率 が
それ を 裏 づ け る。
吸収マ ルコフ過程
の首 相 は早 急 に手 を打 た な い と民 族 の存 亡 に関 わ る こ
と に な る。1つ の場 所 に入 った ら出 られ な い,ブ ラ ック ホ ール の よ う な マ ル コ フ 過 程 を吸 収 マ ル コ フ過 程 とい い,過 疎 化 の社 会 現 象 だ け で な く生 物 の住 み分 け な ど の 自然 現 象 に も見 られ る。 こ う した現 象 を数 学 的 に考 察 す ると きに はコ ン ピュー タに よ る大 量 の デ ー タ処 理,大 量 の計 算 が必 要 に な る。 そ の こ と に よ って 結 果 を 洞 察 した り分 析 す る こ とが で きる。
練習問題 1. コ イ ン投 げ の ゲ ー ム で4回 な る確 率p(s3=k)で m=-4
,-2,0,2,4と
し,こ
2. コ イ ン 投 げ の ゲ ー ム で,A君 p(Tn=0)をn=6ま 3. 問11の
目 に 得 点mに
表 し,確
率p(s4=m)を
な る 確 率p(s4=m)を,3回
目 に 得 点kに
求 め よ 。 た だ し,k=-3,-1,1,3,
れ 以 外 の 確 率p(s3=k),p(s4=m)は0と がリ
ー ド し 続 け た 後n回
で 求 め よ。 ヒ ン ト:P(T6=0)=P(T5=1)/2と
文 の 平 均 情 報 量 と 平 均 コ ー ド長 を 求 め よ 。
す る。 目 で 得 点 が0に 図4.4
な る確 率
4. 利 得 表4.20でAか
らゲー ムを始 め る と
表4.20
き,完 全 情 報 ゼ ロ和 ゲ ー ム と,一 般 ゼ ロ和 ゲ ー ム(混 合 戦 略)の 両 方 に つ い て 最 適 解 を調 べ よ。
5. A,B,Cの3状
態 の1回 の変 化 が次 の確 率 で 表 され て い る と き,10回
うす を調 べ よ。 A→A,B,Cの
確 率 が,そ
れ ぞ れ0.4,0.3,0.3
B→A,B,Cの
確 率 が,そ
れ ぞ れ0.4,0.3,0.3
C→A,B,Cの
確 率 が,そ
れ ぞ れ0.6,0.2,0.2
後 の変 化 の よ
第5章 デ ータ解析 この 章 で は,あ
るね ら いで集 め た デ ー タ を 調 べ るた め に,度 数 分 布表 な ど に表 す方 法 と,
そ の 平 均値 や 分 散 な どの 代 表値 の求 め方 に つ い て考 え よ う。 この テ ーマ は記 述 統 計 と も呼 ば れ,推 測 統 計 と と もに統 計 の主 要 な 内容 に な って い る。
5.1 デ ー タ の 表 現 市 場 調 査 や 健 康 調 査 な どの 目的 で デ ー タを 集 め る と き,情 報 源 の傾 向 を知 る た め に さ ま ざ ま な統 計 的 な表 現 や数 値 化 が行 わ れ る。 これ を デ ー タ解 析 と い う。 こ こで は,リ ー フプ ロ ッ ト,ヒ ス トグ ラム,相 対 度 数 グ ラフな どで デ ー タの傾 向 を 表 現 し,平 均 値 と分 散 な ど で数 値 化 す る こと を考 え よ う。
[1]
リ ー フ プ ロ ッ ト
表5.1は,某 さ が20の
学 校 の 男 女20名
デ ー タ,資
ず つ の テ ス トの 点 の 集 ま り で あ る 。 こ れ を 大 き
料 な ど と い う。 ま た,85,74な
ど個 々 の デ ー タ を 変 量 と い
う 。 こ の デ ー タ を い く つ か の 方 法 で 表 し て テ ス トの 特 性 を 探 っ て み よ う。 表5.1
テ ス トの デ ー タ
表5.2を
リー フ プ ロ ッ ト ま た は デ ジ タ ル グ ラ フ と い い,度 数 分 布 を 調 べ た りデ ー
タ の 特 性 を 調 べ る の に使 う 。 リー フ プ ロ ッ トは,表5.3の プ ロ グ ラ ム5.1の 表5.2
計 算 結 果 の よ う に デ ー タ そ の も の を 並 べ る こ と も あ る。 リー フ プ ロ ッ ト
表5.2,表5.3で
は 表5.1の
表5.3
男 子 の 点 を20点
プ 分 け を し て い る 。 こ の よ う に,グ の こ と を 幹,ま
よ う に 昇 順 に並 べ た り,
た は 級,各
を そ の 級 の 下 限,最
順 序 づ け た リー フ プ ロ ッ ト
台,30点
ル ー プ 分 け で20点
台,…,90点 台,30点
台 で グ ルー
台 な どの各 範 囲
級 に 入 る 個 数 を 度 数 と い う。 級 に あ る デ ー タ の 最 小 値
大 値 を 上 限 と い う。 ま た デ ー タ の 範 囲 を レ ン ジ と い う。 こ の
デ ー タ の レ ン ジ は25点
か ら92点
で あ る。 表5.3の
よ う に順 序 化 した リー フ プ ロ ッ
トで は 直 ち に レ ン ジ を 読 み と る こ と が で き る。
[2] 度 数 分 布
リ ー フ プ ロ ッ ト と 同 じ 枠 組 み で,図5.1の
ま た,例
え ば 表5.3で
中 点 値 と い い,図5.4の
各 級20,30,…,90の
う 。 こ こ で,例
中 央 の 値24.5,34.5,…,95.5を
よ う に 定 め る 。 各 中 点 値 と 度 数 の 組,お
数 の 組(14.5,0),(104.5,0)で (104.5,0)を
よ う に 度 数 分 布 を 作 る こ とが で き る。
よ び そ の両 端 の
決 ま る 点(24.5,2),(34.5,1),…,(94,5,1),
結 ん で で き る 図5.2の え ば,20,21,…,29の
各 級 の
よ うな 折 れ 線 グ ラ フの こ とを 度数 多角 形 と い 中 点 値 を 図5.4の
よ うに定 め た。
図5.1
図5.2
問1 表5.1の
度 数 分 布
度 数 多角 形
女 子 の デ ー タに つ い て リー フ プ ロ ッ ト,度 数 分 布 表 を 作成 せ よ。
相対度数分布 各 級 に お け る数 値 を 表5.4の
よ う に 全 体 の 割 合 で 表 し,こ
れ を相 対 度 数 表 と い
う。 表5.4 相 対度 数 表
度 数 分 布 と同 様 に して 作 る,図5.3の
棒 グ ラ フ を 相 対 度 数 分 布,ま
グ ラ ム と い う。 相 対 度 数 分 布 で は棒 線 の長 さの和 は1に な る。
た は ヒス ト
図5.4 図5.3
問2 表5.1の
[3]
ヒス トグ ラ ム
女 子 の デ ー タの ヒス トグ ラム,相 対 度 数 多 角 形 を作 成 せ よ。
累 積 度 数 分 布
デ ー タ に よ っ て は,表5.5の 図5.6の
級 の 中点値
よ う な 累 積 度 数 曲 線(パ
累 積 度 数 表 か ら 図5.5の
累 積 度 数 分 布,あ
レ ー ト図)を 作 る と,そ
るい は
の特牲 が わか る場合 が
あ る。 表5.5 累 積度 数表
図5.5
累積度数分布
累 積 度 数 分 布 で は右 端 の 値 が度 数 の 合 計 を 表 し,パ レー ト図 で は 曲線 は常 に 右 上 が りに な る。
図5.6
問3 表5.1の
[4]
パ レ ー ト図
女 子 の デ ー タ につ い て 累 積度 数 分 布,パ
レー ト図 を作 成 せ よ。
プ ロ グ ラ ム
表5.1の
デ ー タ を 入 力 し,リ
ー フ
プ ロ ッ トと度 数 分 布 を作 成 す る プ ロ グ ラム を 考 え よ う。 入 力 した デ ー タ を 昇 順 に 並 べ て 級 ご と に ま とめ れ ば, リー フ プ ロ ッ ト に な る 。
図5.7
60
プ ロ グ ラ ム5.1
計算の結果 級 20 3 40 50 70 80 90
度 数 累 積 リ ーフプ ロツ 卜 2 0 1 3
2
2 3 6
8
25 27 30 40
45
47
50 52
2 10 5 15
60 70
65 72
74
75
4 19 1 20
81 92
82
85
86
プ ロ グ ラ ム5.1で
は使 う変 数 を,次
・デ ー タ の 大 き さ をn ,レ
77
の よ う に し て い る。
ン ジ(範 囲)の 下 限 をmin,上
・ リ ー フ プ ロ ッ トと 度 数 分 布 表 の 級 の 幅 をhと 表5.1の
男 子 の デ ー タ で は,次
の 値 を 用 い る。
す る。
限 をmaxと
す る。
プ ロ グ ラ ム は こ れ ら の 変 数 を も と にn個
の デ ー タ を 入 力 し,バ ブ ル ソ ー トで デ ー
タ を 昇 順 に 並 べ て リー フ プ ロ ッ ト,度 数 分 布 表,累
問4
プ ロ グ ラ ム5.1を 利 用 して,表5.1の
積 度 数 分 布 表 を作 成 す る。
女 子 の デ ー タの 度 数 分 布 表,累
積度 数分布 表
お よ び リー フ プ ロ ッ トを作 成 せ よ。
5.2 平 均 値 と分 散
あ る デ ー タ 全 体 を 表 す 値 と して 平 均 値 を よ く使 う。 ま た デ ー タ の 散 ら ば り方 を
表 現 す る 値 と し て 分 散 が 使 わ れ る が,そ
[1]
平 均 値
平 均 値 の 計 算 は,デ
ー タに よ って は多 少 の工 夫 が 必 要 に な る。 主 な平 均 値 の計
算 方 法 を あ げ て み よ う。 な お,平 (1)
の求 め方 と利 用 法 を考 え る。
均 値 は も と の デ ー タ と 同 じ単 位 に な る 。
平均値
あ る デ ー タ が あ っ た と き,個
で 割 っ た 数 値 を 平 均 値 と い い,例 た と き,平
均 値xは
々 の デ ー タ の 和 を と り,そ え ばxで
れ を デ ー タ全 体 の 個 数
表 す 。 デ ー タa1,a2,…,anが
あっ
次 の よ う に して 求 め ら れ る 。
(5.1) 平 均 値 に は,式(5.1)の
変 形 と して い くつ か の 求 め 方 が あ る 。 特 に,〔 解3〕 の
方 法 を 仮 平 均 法 と い う。
〔 例 題1〕 〔 解1〕
表5.1の
男 子 の デ ー タの平 均 値 を求 め よ。
〔 解2〕
表5.4で,級
の 中 点 値 と度 数 を か け て 平 均 値 を 求 め る。
〔 解3〕
表5.1で,仮
の平 均 値 点60と の偏 差 の平 均 値 を 求 め,最
後 に60点 を 加
え る。
度 数 分 布 表 が あ る と き や,平
均 値 の 概 数 が わ か っ て い る と き,式(5.1)の
バ リ
エ ー シ ョ ンを 〔解2〕 や 〔 解3〕 の よ う に して 使 う こ と も で き る 。 〔解2〕 で は,各 級 の 中 点 値24.5,34.5,…,94.5を
用 い る た め,〔 解1〕 と 多 少 の 違 い が で き る が,
そ れ は本 質 的 な こ とで は な い。 デ ー タ の 度 数 分 布 表 が 表5.6の
表5.6 度 数 分 布 表
よ うに
与 え られ た と き,〔 解2〕 の 方 法 は 次 の 式 で 表 され る。
(5.2) な お,確
率 の 平 均 値(期 待 値)は 式(5.1)と
同 様 の 計 算 で 求 め る が,確
合 は ま だ 起 こ ら な い 事 象 につ い て 一 種 の 予 測 を 行 い,そ 値 で あ る 。 そ れ に 対 し て 式(5.1)は,あ こ の よ う に,同
問5 表5.1の
率の場
こで 期 待 で き る値 が平 均
る デ ー タの よ うす を示 す代 表 値 で あ る。
様 の 式 で もそ の意 味 が異 な るの で 注意 を 要 す る。
女 子 の デ ー タの 平 均値 を 求 め,男 子 の 場 合 と比 較 せ よ。
(2) 相 乗 平 均 値 ロ シア な どの 国 で は イ ンフ レが 進 み,名 の 平均 賃 金 の よ うす は式(5.1)の
目賃 金 の ア ッ プが 毎 年 行 わ れ,今 ま で
よ うな平 均 値 で は わ か らな い。 毎 年 飛躍 的 な生
産 拡 大 を続 け るあ る メ ー カ ーの 電気 製 品 の平 均 生 産 台 数 な ど も これ に属 して いる。
例 え ば,あ
る ロ シ ア人 の 月 給 が1989年 表5.7
こ の7年
か ら次 の よ う に 変 わ っ た と す る。 月給 の 移 り変 わ り
間 に お け る彼 の 給 料
の 平 均 値 は,4.87万 に な る。 一 方,も
ル ー ブ ル と の デ ー タの
対 数 を と る こ とが 特 に 経 済 統 計 な ど で よ く行 わ れ る 。 こ の デ ー タ の 常 用 対 数 を と り,そ 値 を 求 め る と0.553に
の平均
な る。
対 数 の 平 均 値 は も との 数値 で は100.553=3.572〔 と な り,こ
万 ルー ブ ル〕
図5.8
給 料 の 移 り変 り
の値 の方 が実 態 を反
映 す る。 こ の こ と は 図5.8,図 5.9か
ら もわか る。
さ て,こ
の 値3.572を
直 さ ず に 求 め る と,次
対 数 に の よ うに
な る。
図5.9
一 般 に,正
の 値 の デ ー タa1,a2,…,anの
次 の 式 で 表 さ れ,こ
給 料 の 移 り変 り(対 数)
対 数 を と っ た と き の 平 均 値xは,
れ を 相 乗 平 均 と い う。
(5.3)
問6
あ る 染 め 物 工 場 に は染 料 の プ ー ル(埋
め 込 ん だ 壺)が
あ り,そ
れ らに つ い て ア ル カ リ
度 が 次 の よ う に 測 定 さ れ た と い う。 こ れ ら の 平 均 値 を 求 め よ 。 た だ し,phは 対 数 を と っ て い る た め,相
イ オ ンの値 の
乗 平 均 を と る必 要 が あ る 。
7.8 7.4 7.9 7.5 1.4 7.5 7.6
(3)
移動平均
例 え ば,表5.8の
よ う に 日 々 変 動 す る 株 の 値 動 き も5日
ずつの平均値を とって
い け ば 大 き な 流 れ の よ うす が わ か る。 こ の よ う な デ ー タ を 時 系 列 デ ー タ と い い, こ の と き の 平 均 値 を 移 動 平 均 と い う。 な お,図5.10で の 平 均 値 を8月1日
に プ ロ ッ トし て あ る。 表5.8 8月 のJ社
図5.10
[2]
分
こ こ で は,分
は7月29日
の株 価 と移 動 平 均
8月 のJ社
の 株価 と移 動 平 均
散 散 と 標 準 偏 差 を 求 め,デ
ー タの標 準 化 を考 え よ う。
か ら8月3日
(1)
分
散
表5.1で
は 男 子 の 平 均 値 が61.75,女
ど差 が な い。 しか し図5.11の
子 の 平 均 値 が61.55で,平
均 値 に ほ とん
度 数 多 角 形 か ら わ か る よ う に,そ
の散 らば り方 に
大 き な 差 が あ る。 ち ら ば り の 度 合 い を 数 値 化 す る た め に,平 方 の 平 均 値 を と り,こ の 平 均 値xが
れ を 分 散 と い い,υ
わ か って い る と き,分
均 値 か らの 偏 差 の 平
で 表 す 。 デ ー タa1,a2,…,anと
そ
散υ は 次 の よ う に して 求 め られ る。
(5.4)
図5.11
男女 の 得 点 の ち らばり
分 散 に は い くつか の 求 め 方 が あ る。 〔 例 題2〕
表5.1の
男 子 の デ ー タ の 分 散 を 求 め よ。
〔 解1〕
〔解2〕
度 数 の平 方 の平 均値 を求 め,も と の平 均 値 の平 方 を 引 く。
〔 解3〕
度 数 分 布 表 が与 え られ て い る と き度 数 の平 方 の平 均 値 を求 め,も
均 値 の 平 方 を 引 く。
と の平
〔 解1〕 と 〔 解2〕 の 値 は 丸 め 誤 差 を 除 い て 常 に 一 致 す る が,〔 解3〕 の 値 は 多 少 異 な る 。 し か し,そ
れ は 本 質 的 な も の で は な い 。 表5.6の
度 数 分 布 表 と 平 均 値x
が 与 え ら れ て い る と き,〔 解3〕 の 解 は 次 の 式 で 求 め られ る。
(5.5)
問7 表5.1の
女 子 の デ ー タに つ いて 分 散 を式(5.4)で
布 表 を もと に して 式(5.5)で
(2)
求 め よ。 ま た問1で
作 った 度 数 分
求 め よ。
標 準偏 差
分 散s2の
平 方 根√s2=sの
標 準 偏 差 は√416.99=20.42〔
こ と を 標 準 偏 差 と い う 。 表5.1で
男子 の デー タの
点 〕,女 子 の 標 準 偏 差 は√214.92=14.66〔
点 〕に
な る。 標 準 偏 差 が 小 さ い 女 子 の デ ー タ は,男 る こ と が 図5.12,図5.13か
子 よ り も平 均 値 の ま わ り に ま と ま っ て い
らわ か る。
図5.12
男子のち らばり
図5.13
女 子 の ち らば り
[3]
デ ー タの 標準 化
集 め た デ ー タa1,a2,…,anか
ら求 め た平 均 値xと 標 準 偏 差sで 作 った デ ー タ
(5.6) は,平
均 値0,標
準 偏 差1に
れ た デ ー タ の こ と をz-ス
な る 。 こ の 方 法 を デ ー タ の 標 準 化 と い い,標
生 デ ー タ は,平 と が あ り,そ
コ ア と い う。 ま た,100点
均 値50点,標
準 偏 差10点
準化 さ
満 点 で 行 っ た テ ス ト結 果 の
で 「標 準 化 」 し た 方 が わ か り や す い こ
の 場 合 に は 次 の 式 を 用 い る。 こ う し た デ ー タ は,そ
れが正規分布 に
従 う と き 真 価 を 発 揮 す る。
(5.7) こ う し て 作 っ た デ ー タ の こ と をt-ス
〔 例 題3〕z-ス タ を 入 力 し て,各 〔 解 〕
コ ア,t-ス
コ ア と い う。
コ ア の プ ロ グ ラ ム を作 成 し,表5.1の
あ る男子 の デー
ス コア の デ ー タ を求 め よ。
こ の デ ー タ で は,平
均 値x=61.75〔
た 。 各 点 数 か らx=61.75を こ れ は プ ロ グ ラ ム5.2で
点 〕,標 準 編 差s=20.42〔
引 き,s=20.42で
割 れ ばz-ス
行 え る。 結 果 は 表5.9の
点 〕で あ っ
コ ア が求 め られ る。
よ う に な る。
プ ロ グ ラ ム5.2
表5.9
各 点 数 か らx=61.75を
男子 のz-ス
引 き,s/10で
コア
割 り50を
足 せ ばt-ス
コ アが 求 め られ
る。 こ の 手 順 は プ ロ グ ラ ム5.2の4∼6行 't-ス
目 のzをtに
コア
t=(a-m)/s*10+50 PRINT
USING
"###.##";t
END
の よ う に 修 正 す れ ば よ い 。 結 果 は小 数 以 下 を 四 捨 五 入 し表5.10の 表5.10
問8
表5.1の
タ の 平 均 値,標
女 子 の デ ー タ に つ い て,z-ス 準 偏 差 はx=62.0,s=14.66で
〔例 題3〕 と 問8で 図5.15の
男 子 のt-ス
得 たz-ス
よ う に な り,男
よ う に な る。
コア
コ ア とt-ス
コ ア を 求 め よ 。 な お,こ
の デー
あ る。
コ ア とt-ス
コ ア の 度 数 多 角 形 を 作 る と,図5.14,
女 の平 均 値 とち らば りが一 致 す る こ とが わ か る。
図5.14
図5.15 t‐
Z‐ ス コ ア
スコ ア
[4]
プ ログ ラ ム
デ ー タを入 力 し,そ れ を処 理 す る方 法 と して デ ー タそ の もの を入 力す る場 合 と, 度 数 分 布 表 を代 入 す る方 法 が あ る。 これ らを 行 うプ ロ グ ラムを 作 ろ う。 (1)
生デ ータ
プ ロ グ ラ ム5.3で と そ の 大 き さnを 均 値,分
散,標
は,デ
ー タ
入 力 して,平
準 偏 差 を 求 め,
z-ス コ ア,t-ス
コアを出力
す る 。 計 算 の 結 果 は,次
のよ う
に な る。
図5.16
プ ロ グ ラ ム5.3
計算の結果 平 均 値,分
散,棟
準 偏 差;61.75,416.9873,
20.42027
z-ス コア 1.14
0.60 0.94 0.99 0.16
-0 .82 -0.48 t-スコア
1.19 -0
.72 -0.58 -1.70
0.75 -1.55 -0.09 -1.80 -1.07
0.65
61
56
59
60
52
62
43
44
33
65
42
45
57
34
49
32
39
56
54
55
1.48
0 .40
0.50
(2) 度 数 分 布 度 数 分 布 表 か ら平 均 値,分 散 な ど の値 を求 め る プ ロ グ ラム を作 って み よ う。 プ ロ グ ラム5.4で 度 数 分 布 表 の級 の 中点 値 と度 数 を入 力 し,平 均値 を式(5 .2),分 散 を式(5.5)で
求 め る。
図5.17
プ ロ グ ラ ム5.4
計算の結果 平均値,分 散,標 準偏 差
; 6.3,4.227497,2.056088
問9 問1の 度 数 分 布 表 につ い て,女 子 の平 均 値,分 散,標 準 偏 差 を求 め よ。
5.3
メ ジ ア ン,モ
ー ド
あ る ね ら い で デ ー タ を 収 集 す る と き,平
均 値 や 分 散 で は,そ
せ な い こ と が あ る 。 デ ー タ の もつ 性 質 と,ね と し て メ ジ ア ン,モ
[1]
ら い を う ま く表 せ な い と き の 表 し方
ー ドにつ いて 考 え よ う。
デ ー タ の種 類
統 計 処 理 を 行 い,そ 順 位,番
の 特 性 を う ま く表
の 特 性 を と ら え る た め の デ ー タ に は,長
号 な ど が あ っ て,次
も 異 な る。
の よ う に 分 類 で き,そ
さ,重
さ,点
数,
れ に 応 じて デ ー タ 処 理 の 方 法
(1) 比 率 尺 度 長 さ,重 さ,面 積,体 積,時 間 な ど,日 常 よ く使 わ れ る数 量 の 尺 度 を 比 率 尺度 と い う。 この 尺 度 の 目盛 りは等 間 隔 にで き,1m,1.1mの
よ うに 目盛 りが 等 間 隔
で,そ れ らに は意 味 が あ る。 比 率 尺 度 で は2m+3m=5m,3×(2g)=6g の よ う に単 位 の加 減 乗 除 が で き る。 (2) 間 隔 尺 度 テ ス トの点 数,知 能 テ ス トの点,摂 氏 や 華 氏 の 温 度 な ど の尺 度 を間 隔 尺 度 と い う。 こ の尺 度 は等 間 隔 の 目盛 りで測 定 で き るが,そ ま た3点+4点=7点,10度-3度=7度
の間 隔 に一般 的 な意味 はな い。
とい う加 減 算 は可 能 で あ るが,2×
3点 の よ うな乗 除算 は意 味 を もた な い。 (3) 順 序 尺 度 成 績 順 位,マ
ラ ソ ンの順 位,鉱 石 の硬 度 な ど の尺 度 を順 序 尺 度 とい い,順 位 づ
け はで き る が,1位
と2位 の差 に一 般 的 な意 味 は な い。 等 間隔 の 目 盛 りで は 差 が
測 定 で き な い尺 度 で あ る。 (4) 名 義 尺 度 保 健 証 の登 録 番 号,電 話 番号,出 席 番 号 な ど の尺 度 を名 義尺 度 とい い,数 量 間 に大 小 関 係 や等 間 隔 性 もな く四 則 演算 は無 意 味 で あ る。 問10 次 の デ ー タの 尺 度 を い え 。 (a)
表5.3で
昇順 に並べたデー タ
(b) あ る野 球 球 団 の 一軍 選 手 の1シ (c)
ある学校 の学生 の学生 番号
(d) 1円 玉100個
[2]
の重 さ
メ ジ ア ン,モ
こ こ で は,メ (1)
ー ズ ン中 に お け るホ ー ム ラ ン数
ー
ジ ア ン,モ
ド ー ド,4分
位 数 の 求 め 方 に つ い て 考 え よ う。
メ ジア ン
あ る デ ー タ が あ っ た と き,表5.2の ら順 に 並 べ た り,あ
る い は 降 順,つ
よ う に 各 デ ー タ を 昇 順,つ
ま り小 さ い 値 か
ま り大 き い値 か ら順 に並 べ た と き に メ ジ ア ン
が 現 れ る 。 デ ー タ の 個 数 が 奇 数 の と き,並 が 偶 数 の と き,中 例 え ば,0か
央 に あ る2個
ら9ま
べ た デ ー タ の 中 点 値 を,デ
ー タ の個 数
の デ ー タ の 平 均 値 を メ ジ ア ン と い う。
でのデー タ
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9
の メ ジ ア ンは,中 5.4の20か
央 に あ る2個
ら29の
の デ ー タ4,5の
デ ー タ で は,メ
の デ ー タ が 同 じ場 合 は,そ
平 均 値 を と っ て4.5と
ジ ア ン は24.5で
あ る。 な お,中
央 に あ る2個
れ を メ ジ ア ン と す る。 メ ジ ア ン は,表5.3の
序 づ け た リー フ プ ロ ッ トを 作 っ た り,プ
す る。 図
よ うに 順
ロ グ ラ ム で デ ー タ を ソ ー ト して 求 め る こ
と が で き る。 (2)
モ ー
ド
度 数 分 布 で 最 も度 数 の 多 い 級 の 中 央 の 値 を モ ー ドと い う。 デ ー タ に よ っ て は, モ ー ドが2つ
以 上 あ る 場 合 が あ る 。 例 え ば,次
の 各 場 合 の よ う に,モ
ー ドの 個 数
は デ ー タ に よ っ て 異 な る。 (a)2,3,4,4,5,8,9の
モ ー
ド は4で
あ
モ ー
ド は5と9で
(b)1,3,5,5,7,9,9,10の
問11 表5.1の
あ
る 。
女子 の デ ー タの メ ジ ア ン,モ ー ドを 求 め よ。
度 数 分 布 表 が 与 え ら れ た と き の メ ジ ア ン,モ
〔 例 題4〕
る 。
あ る ク ラ ス の22人
ー ドは 次 の よ う に し て 求 め る 。 表5.11 兄 弟 数 の 度 数
で 本 人 も含
め た 兄 弟 の 人 数 を 調 べ た と こ ろ,表5.11 の よ うに な った。 この度 数 分 布 表 の メ ジ ア ン と モ ー ドを 求 め よ 。 〔 解〕
モ ー ドは 最 も度 数 の 多 い 級2人
ま た,こ
で あ る。
の デ ー タ を 昇 順 に 並 べ た と き,メ
る 変 量 だ か ら,級2の
幅 を(11-4):10に
ジ ア ンMeは22の 配 分 し,メ
半 分 の11に
対 す
ジ ア ンを次 の式 で求 め る。
(5.8)
一 般 に
,メ
ジ ア ンMeは
次 の式 で求 め る。
(5.9) こ こ で,ai-1:中
央 値 の あ る級
の 下 限,h:級
の 幅,N:デ
の 総 数,fi:中
央 値 の あ る級 の 度
数si-1:中
ー タ
央 値 の あ る級 ま で の
度 数 で あ る。
図5.18
問12 表5.5の
(3)
メ ジ ア ンの 求 め 方
度 数 分 布 の メ ジ ア ン と モ ー ドを 求 め よ 。
4分 位 数
デ ー タ を 昇 順 に 並 べ た と き,左 と い い,q1で
表 し,75%の
か ら25%の
位 置 に 対 応 す る 値 を 上 位4分
そ れ ら は メ ジ ア ン の 求 め 方 と 同 様 に,デ 間 の デ ー タ の メ ジ ア ン,最
位 置 に 対 応 す る 値 を 下 位4分 位 数 と い い,q3で
ー タ を 昇 順 に 並 べ,最
位数 表 す。
小 値 とメ ジア ンの
大 値 とメ ジア ンの 間 の メ ジ ア ンと して求 め る こ とが で
き る。 例 え ば,表5.1の 式(5.11)の
男 子 の デ ー タ を 昇 順 に 並 べ た と き,q1,q3は
概 略,式(5.10),
よ う に し て 求 め る。
(5.10) (5.11) 4分 位 数 の 計 算 と 同 様 の 考 え 方 で,メ
ジ ア ンMeを
求 め る こ とが で き る。
図5.19
4分
位 数 と メ ジア ン
(5.12) 度 数 分 布 表 が 与 え ら れ て い る と き の4分
位 数 は,例
え ば 表5.11の
次 の よ う に し て 求 め る。 一 般 的 な 式 は,プ
ロ グ ラ ム5.4お
デ ー タ で は,
よ び5.5で
考 え る。
(5.13)
(5.14)
同 様 に し て,メ
ジ ア ン も求 め
られ る。
問13 表5.1の 数 と 上 位4分
女 子 の 下 位4分
位
位 数 の概 略 の値 を求
め よ。 図5.20
[3] ボ
ッ ク スプ ロ ッ ト
表5.3の
順 序 づ け た リー フ プ ロ ッ トで,男
メ ジ ア ン は(65+70)/2=67.5〔 79.0点
4分 位 数 と メ ジ ア ン
子 の 点 数 の レ ン ジ は25点
点 〕,下 位4分
位 数 は46.0点,上
か ら92点,
位4分
位 数 は
で あ る。 こ れ ら の 数 値 を 次 の よ う に ボ ッ ク ス プ ロ ッ トで 表 現 す る こ と が
で き る。
(1)
ボ ッ クス プ ロ ッ ト
図5.21
ボ ッ ク ス プ ロ ッ トで は,下 の 間 を ボ ッ ク ス で 描 き,最 を 線 分 で 描 き,ひ 50%が
あ り,こ
の 間,上
位4分
男 子 の ボ ッ ク スプ ロ ッ ト
位4分
位 数q1=46.0か
小 値25とq1=46
.0の 間,q3=79.0と
げ と い う 。 ボ ッ ク ス プ ロ ッ トで は,ボ の 範 囲 を4分
位 区 間 と い い,qで
(2)
の 間 に25%ず
最 大 値92の
間
位 数 とメ ジア ン
つ が あ る 。 ま た,左
つ が あ る 。 図5.21で
の
は,46.0と
つ が 集 中 し て い る。
2つ のボ ッ ク ス プ ロ ッ ト
表5.1の
女 子 の デ ー タ ス コ ア で は レ ン ジ は35点
分 位 数,上
位4分
ジ ア ン,下
位4
だ か ら,男 女 の デ ー タを ボ ッ
の よ うに な る。
図5.22
図5.22か
か ら91点,メ
位 数 は そ れ ぞ れ62.5,50.5,73.0点
ク ス プ ロ ッ トで 比 較 す る と,次
男女 の ボ ッ ク ス プ ロ ッ ト
ら女 子 の 点 が メ ジ ア ン の ま わ り に 集 中 して い る こ と が わ か る 。 度 数
分 布 や 度 数 多 角 形 な ど と 同 様 に,ボ し,標
位 数q3=79.0
ッ ク ス の 間 に デ ー タの
表 す 。 下 位4分
位 数 と メ ジ ア ンの 間 に 全 デ ー タ の25%ず
ひ げ の 区 間 と 右 の ひ げ の 区 間 に デ ー タ の25%ず 67.5,67.5と79点
ら上 位4分
準 偏 差 と 同 様 に4分
問14 次 の デ ー タ は,1994年
位 区 間qで
ッ ク ス プ ロ ッ トで も デ ー タ の 散 ら ば り を 表 現 も散 ら ば り を 数 量 化 す る こ と が で き る 。
に おけ る あ る20県
の13歳 男 女 の 体 重 の 平 均値 で あ る。 こ の
デ ー タ か ら 男 女2つ
の ボ ッ ク ス プ ロ ッ トを 作 り,そ
の特 徴 を あ げ よ。
表5.12 各 県 の体 重 の平 均 値
[4]
パ ー セ ン タ イ ル 順位
ここで は,デ ー タを昇 順 に並 べ た と きの順 位 を点 数 化 す る こ とを考 え る。 与 え られ た デ ー タ を昇 順 に並 べ て,そ の 順 位 を デ ー タ の 個 数 で 割 り100倍
した 整 数
〔%〕で表 現 した 順 序 尺 度 の デ ー タを,パ ー セ ンタ イ ル 順位 ま た は百分 位 と い い, PRで
表 す。
(1) デ ー タ か ら求 め る 〔 例 題5〕
次 の 大 き さ20の
デ ー タを パ ー セ ン タイ ル 順 位 で 表 せ 。
85 74 81 82 65 86 47 50 27 92 45 52 77 30 60 25 40 75 70 72
〔 解〕
デ ー タ を リー フ プ ロ ッ ト等 で 次 の よ う に 昇 順 に 並 べ る 。 25 27 30 40 45 47 50 52 60 65 70 72 72 74 75 81 83 85 86 92
デ ー タ の 順 位 を20で
割 り100倍
す る 。 た だ し,同
じ値 の と き は 同 じ順 位 と し,
続 く順 位 を60 60 70の
よ う に と ば す 。 こ れ が パ ー セ ン タ イ ル 順 位 で あ る。
5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 60 70 75 80 85 90 95 100
パ ー セ ン タイ ル順 位 は,も
との間 隔 尺 度 の デ ー タを 「等 距 離 」 の順 序 尺 度 にす
る と き,例 え ば,成 績 を無 視 して順 位 だ け を問 題 にす る場 合 に用 い られ る。 〔 例 題5〕 の パ ー セ ン タ イ ル 順 位 か ら わ か る よ う に,PR=50と も と の デ ー タ の メ ジ ア ン で あ り,PR=25の の デ ー タ が 上 位4分
問15
表5.12の
位 数q3に
デ ー タ が 下 位4分
な る。
女 子 のデ ー タを パ ー セ ン タイ ル順 位 で 示 せ 。
な る デ ー タが 位 数q1,PR=75
(2)
累 積 度 数 分 布 表 か ら作 る
例 え ば,表5.5の
累 積 度 数 分 布 表 を も と に し た 昇 順 の デ ー タ と,そ
のパ ー セ ン
タ イ ル順 位 は次 の よ うに な る。 表5.13
こ こ で,例 ① 47を
の 生 徒 の パ ー セ ン タ イ ル 順 位 は,次
の手 順 で 求 め る。
挟 む パ ー セ ン タイ ル順 位 を探 す。
47は40と50の
② 47を
え ば47点
パ ー セ ン タ イ ル順 位
間 に あ り,こ
れ を 挟 む パ ー セ ン タ イ ル 順 位 は20と35
挟 む パ ー セ ン タ イ ル 順 位 の 区 間 を 比 例 配 分 す る。
区 間20≦x≦35を(47-40):(50-40)の
③ 小 数 点 以 下 第1位
比 で比 例 配 分 す る。
を4捨5入
す る。
す な わ ち,
(小数点以下第1位4捨5入) (5.15)
[5] プ ロ グ ラ ム 度 数 分 布 表 をdata文
で 入 力 し,昇
順 に 並 べ て メ ジ ア ン,4分
位 数,モ
ー ドを
求 め る プ ロ グ ラ ム を 作 って み よ う 。 プ ロ グ ラ ム5.5で
は,表5.14の
表5.14 度 数 分布 表
形 の度 数
分 布 表 で 表 さ れ た デ ー タ を ペ ア に して 入 力 し, モ ー ド と各 代 表 値 を 求 め る 。 ま ず,級
の個 数
mと デ ー タ の 大 き さ つ ま り 度 数 の 合 計nを, 次 に 級 の 値 と そ の 度 数xk,fk,k=1,2,…, mをdata文
で 読 み 込 み,モ
4分 位 数 を 求 め る 。 こ こ で,メ
ー ド,メ
ジ ア ン,
ジ ア ンMe,下
そ れ ぞ れ 式(5.16),式(5.17),式(5.18)を
位4分
位 数q1,上
用 い る。
位4分
位 数q3は,
(5.16) (5.17) (5.18) こ こ に 式(5.16)の 級 の 下 限,fiは
メ ジ ア ン で は,h=10は
そ の 級 の 度 数,si-1は
式(5.18)のq3に
計算の結果 モード60
メジ アン62
下 位4分 位 数 50 上 位4分
そ の 級 ま で の 累 積 度 数 で,式(5.17)のq1,
つ いて も同 様 で あ る。
プ ロ グ ラ ム5.5
位 数 73.33334
メ ジ ア ン が あ る 級 の 幅,xiは
その
問16 右 の 表5.15は,子
犬21匹
表5.15
が お 座 りが 完 成
お座 りの回 数
す るま で の 練 習 回 数 の度 数 分 布 表 で あ る。 こ の 表 か らモ ー ド,メ ジア ン,下 位4分
位 数,上
位4分
位 数 を 求 め よ。
5.4 相 関 係 数 組 に な っ た デ ー タ(ai,bi)に
つ い て,aiの
値 で 表 し て み よ う。 い ま,10人
の 生 徒 に つ い て,数
社 会,芸
術 の 点 が 表5.16の
デー タの関連 性 を数
学Ⅰ と数 学Ⅱ,英
語,体
育,
よ う に な っ て い る と し よ う。 表5.16
な お,表5.16で
デ ー タ とbiの
数 学 と各 教 科 の 点
は,数 学Ⅰ の 点 数 に1点 ず つ 加 算 した点 を数 学Ⅱ の 点 数 と して
あ る。
[1]
相 関図
表5.16の
デ ー タ を 数 学Ⅰ の 点 と 比 較 し関 連 性 を 見 る た め に,横
点 を 縦 軸 に,そ 図5.23で
軸 に 数 学Ⅰ の
の 他 の 点 を プ ロ ッ ト し た 。 こ れ を 相 関 図 と い う。
は,数
学Ⅱ の 点 が 数 学Ⅰ の 点 の 一 次 関 数 で 表 せ,し
か も 数 学Ⅰ の 点
が よ く な れ ば 数 学Ⅱ の 点 も よ く な る 。 こ れ を 完 全 な 正 の 相 関 が あ る と い う 。図 5.24の
数 学Ⅰ と英 語 の 関 係 を 強 い 正 の 相 関 が あ る と い う。
一 方,図5.26の
よ う に,強
い 負 の 相 関 も あ り,こ
の場 合 に は傾 き が 負 の 形 に
表 せ る。 な お,強 い相 関,弱 い相 関,相 関 が な い状 態 に明 確 な区 別 は な い。
図5.23
完 全 な正 の相 関
図5.26
強 い負の相関
問17 表5.16の
図5.24
図5.27
強 い正 の 相 関
弱い負の相関
図5.25
図5.28
弱 い正 の相 関
相関 が な い
デ ー タか ら,国 語 と体 育,国 語 と社 会 の相 関 図 を 作 成 し,相 関 の正 負 お よ
び強 弱 を い え。
[2]
相 関 係 数
相 関 の度 合 い を数 値 化 して み よ う。 例 え ば,数 学Ⅰ と英 語 の相 関 は次 の よ うに 行 う。 (a) 平 均 値 を求 め る
数 学Ⅰ の平 均 値x=5.5〔
英 語 の平 均 値y=6.4〔
点〕 点〕
(b) 標 準 偏 差 を求 め る
数 学Ⅰ の 標準 偏 差sx=1.77
英 語 の標 準 偏 差sy=1.43
(c) 積 の平 均 値 を 求 め る
これ らの 数 値 か ら,数 学Ⅰ と英 語 の相 関係 数rxyを 次 の よ う に して求 め る。
(5.19) 特 に,式(5.19)の
分 子 の 式(5.20)を
共 分 散 と い い,sxyで
表 し,回
帰 で利用
す る 。 す な わ ち,
(5.20) 問18 国 語 の点 の 平均 値,標 準 偏 差,数 学Ⅰ と国 語 の 積 の平 均 値 を求 め,そ
れ らの値か ら
数 学Ⅰ と 国語 の 相 関係 数 を 求 め よ。
式(5.11)で 係 数 は表5.17の
求 め た 数 学Ⅰ と数 学Ⅱ,英
語,国
語,体
育,社
会,芸
術 との 相 関
よ う に な る。 表5.17 相 関 係 数
この 表 か ら相 関 の状 態 と相 関係 数 につ い て,次 の こ とが わ か る。 表5.18 相 関 と相 関 係 数 の関 係
〔 注 〕 相 関 関係 が あ るか ど うか の統 計 的 な検 定 は7.3節 で 行 う。
[3]
プ ログ ラム
プ ロ グ ラ ム で 相 関 係 数 を 求 め て み よ う。 プ ロ グ ラ ム5.6は,ペ の デ ー タ が 与 え ら れ た と き,平 い る。
均 値 と標 準 偏 差,共
ア に な っ たn組
分 散 お よ び相 関 係 数 を 求 め て
問19 英語 と 国語,体 育,社 会,芸
術,国
語 と体 育,
社 会,芸 術,体 育 と社 会,芸 術,社
会 と芸術 の各相 関
係 数 を プ ロ グ ラム5.6を 用 いて 求 め よ。 〔 注 〕 相 関 で は,ペ ア に な っ た 組 の デ ー タ の 関 連 性 を 相 関 係 数 と して 数値 化 した。 この考 え方 を利 用 し,7章 の よ う に各 相 関係 数 の大 き さ か ら2種 類 の デ ー タの 関 係 の 強 さの 分 析 や,一 方 の デ ー タ か ら他 の デ ー タの 推 測 を 行 う こ とが で きる。
図5.29
プ ロ グ ラ ム5.6
計算の結果 平均 値5.5
6.4
1.428285
標 準 偏 差 1.746425 相 関 係 数.7617079
練習問題 1. あ る 自 動 車 工 場 で 働 く5人
の 初 任 給 は,次
の 通 り で あ る と い う(単
位 万 円)。
16,16,19,20,22 (1) 5人
(2) 6人
の 初 任 給 の 平 均 値,メ 目 に50万
2. 表5.19の
ジ ア ン,モ
ー ドを 求 め よ 。
円 の 人 が 加 わ っ た と き の 上 の 各 値 は ど う な る か。
デ ー タ は,ア
メリ カ に お け る 男 女 の 既 婚 者 の 累 積 し た 割 合 で あ る(単
位%)。
表5.19
度 数 多 角 形,平
3. 2回
均 値,メ
ジ ア ン な ど を 用 い て2つ
の 数 学 の テ ス トが あ り,A君
の 点 は そ れ ぞ れ82,88点
の 方 が で き が よ か っ た か 。 た だ し,1回 80点,標
準 偏 差 は5,6点
4. 表5.20の
デ ー タ は,30個
の デ ー タの 特 徴 を あ げ よ。
目 と2回
で あ った。 ど ち らの テ ス ト
目 の テ ス トで は そ れ ぞ れ 平 均 点 は72,
で あ った。 表5.20
の ミ ル ク1cc
中 の バ ク テ リ ア の 個 数 で あ る。 平 均 値 と 標 準 偏 差 を 求 め,そ
5. 1か
ら9ま
で の 数 か ら い ろ い ろ な4数
の と き の4数,お た だ し,同 は1.118で
の特 徴 に つ い て述 べ よ。
を と る と き,そ
よ び 標 準 偏 差 の 最 大 値,最
の 平 均 値 の 最 大 値,最
小 値 と そ の と き の4数
じ数 が あ っ て も よ い と す る 。 例 え ば,4数1,2,3,4の あ る。
小値 とそ
を そ れ ぞ れ 求 め よ。
平 均 値 は2.5,標
準 偏差
第6章 統計的推測 推 測 統 計 の ね らい はデ ー タを 解 析 して,そ
こか ら何 か情 報 を 引 き 出す こ と で あ る。 こ こ
で は,少 しの デ ー タか ら多 くの情 報 を 引 き出 す た め に サ ンプ リ ング,推 定,検
定 につ いて
考 え,そ れ らで 用 い る数学 モ デ ル を ま とめ る こ とに す る。
6.1 サ ン プ リ ン グ あ る集 団 の 特 性 を つ か む の に,そ
こか らで き るだ け少 な い デ ー タを収 集 して で
き るだ け有 益 な 情 報 を得 た い。 デ ー タを う ま く収 集 す る と き の工 夫 につ いて 探 っ て み よ う。
[1]
母 集 団 と標 本
い ま,パ ソ コ ンで は機 能 の多 様 化 が進 ん で お り,買 う人 に と って は限 られ た 機 能 で 安 い か,値 段 が 多少 高 くて もパ ソ コ ン通 信 な ど の機 能 が あ る方 を 買 うか 迷 う と ころ で あ る。 (1) 全 数 調 査 学 校 や 企 業 の あ る課 で パ ソ コ ンを導 入 しよ う とす る と き,そ こ に い る人 全 員 に つ い て調 査 を行 い,各 人 の希 望 の最 大 公 約 数 的 な条 件 を明 らか にす るこ とにな る。 ま た,各 学 校 で行 う健 康 調 査 や,5年
に1回 行 う国勢 調 査 の よ うな調 査 もあ る。
こ の よ う な 調 査 を 全 数 調 査 と い う 。 全 数 調 査 は,ふつ
う多 く の 労 力,時
間,費
用
を 必 要 とす る。 (2)
標本調査
消 費 者 に 対 して パ ソ コ ン メ ー カ ー は,売 そ こ で,パ
れ 筋 の 見 極 め が 最 大 の ポ イ ン トに な る。
ソ コ ン メ ー カ ー は タ ー ゲ ッ トを 若 者,中
調 査 を 行 う 必 要 が 生 じ る 。 こ の 場 合,若 を 対 象 に 調 査 を 行 い,全 標 本 調 査 は,マ
高 年,女
性 な どに 絞 って市 場
者 全 員 を 対 象 に で き な い の で,そ
の一 部
体 像 を 知 ろ う と す る。 こ の よ う な 調 査 を 標 本 調 査 と い う。
ー ケ ッ ト リサ ー チ だ け で な く選 挙 の と き の 支 持 率 調 査,あ
る製 品
の 中 の 不 良 品 の 割 合 の 調 査 な ど で 行 わ れ る。
図6.1
全 数 調 査.と標 本 調 査
(3) 母 集 団 と標 本 我 々 が そ の特 性 を調 べ た い対 象 を母 集 団 とい う。 母 集 団 は個 々 の人 や物 か らな り,そ れ らを個 体 とい う。 母 集 団 に お け る個 体 の個 数 を母 集 団 の 大 き さ と い う。 ま た,母 集 団 の部 分 集 合 を標 本 とい い,そ の個 数 を標 本 の 大 きさ と い う。 母 集 団 の状 況 を反 映 す る よ うに標 本 を選 び 出 す こ とをサ ンプ リン グ(抽 出)と い う。 選 挙 の支 持 率 調 査 や パ ソ コ ンの売 れ筋 調 査 な ど,現 実 の標 本 調 査 で は労 力,時 間, 費 用 をで き る だ け少 な く し,し か も母 集 団 を代 表 す る よ う にサ ンプ リ ング をす る 必 要 が あ る。 母 集 団 の状 況 を そ の ま ま反 映 しな い標 本 の こ とを偏 った標本 とい い, 特 殊 な場 合 を除 いて,こ
の よ うな サ ンプ リ ング を避 け る必 要 が あ る。
[2]
サ ンプ リング
サ ンプ リン グは統 計 学 の1つ の分 野 で,標 本 調 査 を行 う よ う に な って 起 こ って き た。 そ の意 味 と実 際 の方 法 につ い て調 べ よ う。 (1) サ ンプ リ ング の意 味 サ ンプ リング は,ど ん な方 法 で 標 本 を選 び 出す か,標 本 の大 き さを どれ だ け に す るか,標 本 か ら得 た結 果 に ど の程 度 の信 頼 が お け る か を問 題 に して きた 。 これ らの 問 題 は,次 の3つ に焦 点 が 絞 られ る。 (a) 問 題 が置 か れ た状 況 パ ソ コ ンの売 れ筋 は景 気 に左 右 さ れ,同
じ調 査 で も結 果 が異 な る。 また,あ
る問 題 は,抽 出 した標 本 を元 に戻 す復 元 抽 出 が不 可 能 で あ る。 (b) 調 査 に使 え る手 段 電 話 に よ る調 査,書
き込 み調 査 等 の手 段 で労力,費
用 が違 い,標 本 の大 き さ
に影 響 す る。 (c) 処 理 方 法 正 規 分 布 な ど,ど の モ デ ル を使 うか で信 頼 性 に違 い が生 じる。 母 集 団 か ら標 本 を サ ンプ リング して デ ー タを収 集 す る と き,期 待 通 り に しか も 効 果 的 に デ ー タを収 集 す る必 要 が あ る。 サ ンプ リン グを確 率 的 な サ ンプ リング と 非 確 率 的 な サ ンプ リング に分 け る こと が で きる。 (2) 確 率 的 サ ンプ リング 母 集 団 の ど の個 体 も同 じ確 率 で,ど
れ も互 い に独 立 に選 ば れ る と き,そ の抽 出
方 法 を 単 純 ラ ン ダ ム サ ン プ リン グ と い い,選 ば れ た標 本 を無 作 為 標 本 と い う。 無 作 為 標 本 を実 現 す る方 法 と して,コ イ ン投 げ,く
じ引 きが あ る が,乱 数 表 か ら取
り出 した数 字 や コ ン ピュ ー タ の疑 似 乱 数 が よ く使 わ れ る。
〔 例 題1〕
あ る 学 校 の 学 校 新 聞 で は,全
員450人
の 中 か ら40人
を 選 び,全
員 の
動 向 を 知 り た い と考 え て い る 。 ラ ン ダ ム サ ン プ リ ン グ の 方 法 を 調 べ よ 。 〔 解 〕450人
の 生 徒 に001か
ら450ま
で の番 号 をつ け る。 こ の番 号 の 中 か ら大 き
さ40の
標 本 を,次
の ど れ か の方 法 で ラ ン ダム サ ンプ リ ングす れ ば よ い。
(a) 乱 数 さ い を 投 げ る 乱 数 さ い は 色 のつ い た 正20面 つ に 書 か れ て い る 。3つ
体 の さ い こ ろ で,0か
の 乱 数 さ い を 選 び,次
ら9ま
で の 数 字 が2面
ず
の 手 順 を 行 う。
① 3つ の乱 数 さ い を投 げ る。 ② 赤 の 目 の数 を100の 位,青 の 目 の 数 を10の 位,黄
の目
の数 を1の 位 とす る3桁 の数 を作 る。 ③ 数 字 が 重 複 した り450よ
り
大 き い場 合 は,そ れ を 捨 て, ①,② を繰 り 返 して40個
の
図6.2 乱数 さい(提 供 ㈱ 加藤数物製作 所)
数 字 を 作 る。 (b) 乱 数 表 を 引 く 乱 数 表 は,上 下,左 右,斜
めの どれ を と って も0か ら9ま で の 数 字 が 同 じ確 率
で 現 れ る よ う に2桁 の 数 字 を 並 べ た表 で あ る。 い ま乱 数 表 がn行 あ る と き,乱 数 さ いや,1か
らnま で の数 字 を書 い た カ ー ドか ら1枚 選 ん で 開 始 す る行mを
び,そ れ を 戻 して 再 び カ ー ドを 引 いて 数kを
決 め た後,乱
数 表 の 第m行
選
の 第k
番 目の 数 か ら,次 の ①,② の手 順 で40個 の数 字 を 求 め る。 ① 2桁 の数 字 を そ れ ぞ れ の数 字 と み な し,3桁 ず つ 区 切 って3桁 の数 を作 る。 ② 3桁 の数 字 が450よ
り大 きい か 重 複 す る と きは,そ の数 を捨 て,そ
れ以 外
の と きそ の数 を記 録 す る。 (c) コ ン ピ ュー タ で疑 似 乱 数 を作 る ① プ ロ グ ラム6.1を 実 行 す る。 ② 新 しい乱 数 系 列 を入 力 して くだ さい(-32768to
32768)→?
とい う表 示 が 現 れ る か ら,実 際 に は4個 の乱 数 さ いで4桁 の数 を作 り,入 力 す る。
表6.1 乱 数 表
な お,筆
者 が 上 の3つ
た と こ ろ,所
の方 法 を行 っ
要 時 間 は次 の よ うに な っ
た。
・乱 数 さ い −−43分
・乱 数 表 −−26分
・コ ン ピ ュ ー タ −−14分
この 結 果 は コ ン ピ ュー タの便 利 さを 示 して い る 。 な お,疑 は 周 期,一 あ り,第7章
似 乱 数 の吟 味 に
様 性 の 検 定,連
の検 定 等 が
の練 習 問題 で そ の検 定 を
扱 う。
図6.3
プ ロ グ ラ ム6.1
計 算 の 結 果(乱 数 の初 期 値19370) 16 37 156 348 229 86 305 25 42 183 164 110 139 328 80 172 27 158 425 200 20 31
問1
60 33
287 238
222 204
プ ロ グ ラ ム6.1を
343 173 334 389
320 430
437 450
299 386
273 232
実 行 して 数 字 を 求 め,1∼90,∼180,∼270,∼360,∼450の
各 級 の度 数 を計 算 して,こ の乱 数 の均 一 性 に つ い て調 べ よ。
〔 例 題1〕 で作 成 した デ ー タ40個 か ら度 数 多 角 形 を 作 っ て み る と,図6.4の
よ
うに な り,無 作 為 標 本 が 比 較 的 一 様 に分 布 して い るの は乱 数 表 だ け の よ うに見 え る。 しか し,そ れ は単 な る偶 然 で あ ろ う。なお,大
き さ40程 度 の ラ ン ダム サ ンプ
リン グで も,平 均 値 を とれ ば母 集 団 で あ る全 生 徒 の実 態 を反 映 で きる場 合 が多 い。
図6.4
(3)
層 別 サ ンプ リング
〔 例 題1〕 の 高 校 で は,同 (270人)お
り,高
後 者 か ら16人 得 た。
乱 数 の 度 数 多角 形
じ系 列 の 中 学 校 か ら そ の ま ま 進 学 す る 内 部 生 が60%
校 受 験 組 の 外 部 生 が40%(180人)い
を 無 作 為 抽 出 し,学
る の で,前
者 か ら24人,
校 外 で の 学 習 時 間 に つ い て,表6.2の
結 果 を
表6.2 学 習 時 間 の調 査
図6.5
学 習 時 間 の 度 数 多角 形
こ の調 査 で は,単 純 ラ ンダ ムサ ンプ リ ングを行 う と,図6.5の が2つ
合計 のように山
で き るが,内 部 生 と外 部 生 に分 け る と実 態 を よ く把 握 で き る。 内部 生 と外
部 生 と い った グル ー プ に分 けて か ら標 本 を ラ ン ダム サ ンプ リ ングす る方 法 の こ と を 層 別 サ ンプ リング と い う。 この場 合,母 集 団 に お け る内 部,外 部 の人 数 に比 例 して 各 層 の標 本 の 大 き さを 決 め るの で比 例 抽 出 とい う。 〔例 題2〕
表6.2で
比 例 抽 出 した24人
表6.3 制 服 変 更 希望 者 の割 合
の 内 部 生 と16人 の 外 部 生 に対 して,学 校 の 制 服 を変 え る希 望 を 同 時 に と った と こ ろ,次 の よ うな人 数 に な った。 この こ とか ら,全 生 徒 の変 更 希 望 者 の割 合 を推 測 せ よ。 〔 解 〕 内 部 生24人,外
部生16人
の賛 成 者 の割 合 は,そ れ ぞ れ次 の値 に な る。
一 方 ,全 校 生 徒 に対 す る内 部 生,外 部 生 の割 合 は そ れ ぞ れ,
だ か ら,全 校 生 徒 の賛 成 の割 合 は,
と推 測 さ れ る 。
問2〔
例 題2〕 で,内 部 の 生 徒 の 賛 成 者 が9人,外
部 の 生 徒 の賛 成 者 が10人
の と きの 割 合
は ど うな るか。
(4) 非 確 率 的 サ ン プ リン グ ラ ン ダ ム性 に基 礎 を置 か な い抽 出方 法 を非 確 率 的 サ ンプ リン グ と い い,標 本 と 母 集 団 の主 要 な特 性 が異 な る。 しか し,問 題 に よ って は こ の サ ンプ リングが有 用, あ るい は一 部 に利 用 す る こ とが不 可 欠 な場 合 が あ る。 例 え ば,木 箱 に入 った オ レン ジの 中 で腐 った もの の 割 合 を 見 るの に,表 面 の オ レ ン ジだ け見 て 全体 の腐 り方 を推 定 す る。 底 の方 の オ レ ンジ は表 面 よ り もた く さ ん 腐 って い るで あ ろ う。 表 面 の腐 り方 か ら全体 の割 合 を知 る こ とが で きれ ば,こ の 方 法 で 十 分 で あ る。 この よ うな サ ン プ リ ングを 効 率 的 サ ンプ リング とい う。
問3
あ る鉱 石 は 比 重 が 重 く,オ ー ス トラ リア か ら船 積 み して くる途 中 で 振 動 の た め,含
有 率 が1mの
深 さに つ い て1%増
す よ うに な る とい う。 あ る船 に6mの
て き た鉱 石 の表 面 の含 有 率 を調 べ た と ころ3%で
高 さ で バ ラ積 み し
あ った 。 この船 の 鉱 石 の平 均 含 有 率 を 求
めよ。
6.2
推
定
あ る母 集 団 か ら一 定 の大 きさ の標 本 を ラ ン ダ ムサ ン プ リン グ した とす る。 そ の 標 本 の 平 均 値 を求 め,そ れか ら母 集 団 の平 均 値 を予 測 す る方 法,あ
るい は標 本 の
中 の あ る性 質 の割 合 か ら,母 集 団 に お け るそ の性 質 の割 合 を予 測 す る方 法 につ い
て考 え よ う。 そ の背 景 に は区 間 推 定 の考 え方 が あ る。
[1] 点推定 表6.2は,270人
の 内部 生 か ら24人 の 標 本 を ラ ン ダ ム に と っ た と き の1日 の
学 校 外 の学 習 時 間 で あ る。 この標 本 の大 き さ は24で 代 表 値 は,次 の よ うに な る 。
平 均 値 はx=1.125〔
時 間 〕,分 散 はs2=0.484,標
準 偏 差 はs=0.696〔
時間 〕
一 般 に,標 本 の平 均 値 を標 本 平 均,標 本 の分 散 を標 本 分 散 標 準 偏 差 を標 本 標 準 偏 差,標 本 の あ る性 質 の比 率 を標 本 比 率 とい い,こ れ らを標 本 値 とい う。 一 方,母 集 団 の平 均 値 を母 平 均,母 集 団 の分 散 を母 分 散,母 集 団 の標 準 偏 差 を 母 標 準 偏 差,母 集 団 の あ る性 質 を母 比 率 と い い,こ れ らを総 称 して母 数 とい う。 標 本 平 均,標 本 分 散 な ど の標 本 値 を もと に母 数 を 推 定 す る こと を統 計 的推 定 と い う。 統 計 的 推 定 に は,例 え ば 「母 平 均 はm=1.125〔 る点 推 定,お
よ び,例 え ば,「 母 平 均mは,区
時 間 〕で あ る」 と推 定 す
間28≦m≦32に
あ る」 と推 定
す る区 間 推 定 が あ る。 点 推 定 に は多 数 の標 本 値 を と り,そ の平 均 値 を用 い て母 数 を 推 定 す る方 法 が あ り,そ の平 均 値 の こ とを 不 偏 推 定 値 と い う。 大 き さnの 標 本 を と り,そ の平 均 値 をx,分 標 本 平 均xの 平 均 値X,母 式(6.1),式(6.2)の
散 をs2と す る と き,母
平 均mと
分 散 σ2と標 本 分 散 の 平 均 値S2に は次 の 関 係 が あ り,
右 辺 の値 は,そ れ ぞ れ 母 平 均m,母
分 散 σ2の 不 偏 推 定 値
で あ る。
母平 均
(6.1)
母分 散
(6.2)
図6.6
不 偏 推 定 値 に よる 点 推 定
標 本 の 大 き さ が30以 と が 知 られ て お り,こ 30未
上 の と き,σ の 代 わ り にSを
の 方 法 を 大 標 本 法 と い う。 そ れ に 対 し て 標 本 の 大 き さ が
満 の と き,式(6.2)や
問4 表6.2か
〔 注1〕
用 い て も さ しつ か え な い こ
後 述 のt分
布 を 用 い,こ
れ を 小 標 本 法 と い う。
ら外 部 生 の学 習 時 間 の母 平 均,母 分 散 を 不 偏 推 定 値 で 点 推 定 せ よ。
式(6.1)が
成 り立つ 理 由 は,次 の手 順 で 考 え る こ とが で き る。
(a) 大 き さ1の 標 本 を取 り出 して 平 均 値xを 求 め る。 この操 作 は,母 集 団 か ら1つ の デ ー タを取 り出 す の と同 じで,こ の操 作 を母 集 団 の大 き さN回
行 い,そ の平 均 値 を求 め る と母 平 均mに
な る。
こ こで,母 集 団 か ら1つ の標 本xを 取 り出す こ とを,母 集 団 の確 率 分 布 に従 う 確 率 変 数Xの
実 現 値 がxで あ る と考 え れ ば,そ の 平 均 値 は母 平 均 と一 致 す る。
す な わ ち,
(6.3) (b) 大 き さnの 標 本 を取 り出 し,そ の平 均 値xを 求 め る。
(6.4) こ こ でx1,x2,…,xnは 平 均 値xを
確 率 変 数Xの
式(6.4)の
各xiを(a)の
母 集 団 か ら取 り 出 し た デ ー タ で あ る。 実 現 値 とす る 。 確 率 変 数Xの
実 現 値 と考 え る と,次
の 式 が 成 り立 つ 。
(6.5)
よ って,標 本 平 均 の平 均 値 は母 平 均 の 不 偏推 定 値 にな る こ とが 示 され た。 〔 注2〕
式(6.2)が
成 り立 つ 理 由 も,次 の よ うに説 明 され る。 た だ し,標 本 平 均
xが わ か って い る とす る。 (a) 大 き さ1の 標 本xを 取 り出 して 母 平 均mと
偏 差 平 方(x-m)2を
求 め る。
こ の操 作 を 母 集 団 の 大 き さN回
行 い,そ の平 均 値 を求 め る と母 分 散 σ2に なる。
(6.6) 式(6.3)と
同 様 に してxiを 確 率 変数Xの
実現 値 と考 え る と,次 の式 が成 り立つ。 (6.7)
(b) 大 き さnの 標 本 を取 り出 し,標 本平 均xと の偏 差 平 方 の平 均 値 を求 め る。
(6.8) こ こ でx1,x2,…,xnは,母 分 散s2を
操 作(b)で 多 数 計 算 し,そ
各(xi-x)2を,確 と,式(6.7)か
集 団 か ら取 り 出 した デ ー タ で あ る。
率 変 数Xか ら式(6.9)が
の 平 均 値s2を
求 め る。
ら作 っ た 確 率 変 数(X-X)2の
実 現 値 と考 え る
成 り立 つ 。
(6.9) (c) S2を 確 率 変 数 と し,そ の 実 現 値 がs2で あ る と考 え る と,次 の式 が 成 り立 つ 。 (6.10)
よ っ て,母
分 散 σ2の 不 偏 推 定 値 は
式(6.5),式(6.9)の あ る。
よ う に,平
〓と な る こ と が 示 さ れ た。
均 値 を と る こ とが 母 数 の不 偏 推 定 値 の 特 徴 で
[2] 区 間 推 定 点 推 定 の 考 え 方 は 一 応 も っ と も の よ う に み え る。 しか し実 際 に サ ン プ リ ン グ す る と,母
平 均 が1.125時
間 ち ょ うど に な る チ ャ ン ス はあ ま り な い。 そ こで
「何 時
間 か ら何 時 間 ま で な ら 間 違 い は ま ず な い 」 と い う答 え 方 を す る 。
〔 例 題3〕
人 口1万
率 は60%で
人 の あ る 町 の 町 長 選 挙 でA氏
あ る と い う。 こ の 町 の 住 民 か ら50人
に 投 票 す る 人 数 は,実 〔 解1〕
が 立 候 補 し,A氏
に対 す る支 持
を ラ ン ダ ム に 選 ん だ と き,A氏
際 に は 何 人 に な る か 調 べ よ 。 ま た,100人
の 場 合 は ど う か。
シ ミュ レ ー シ ョ ン で 実 験 す る 。1万 人 の 住 民 が ほ ぼ 均 一 で あ る とす れ ば,
ど の 住 民 も60%の
確 率 でA氏
に つ い て は,0<xk<1の
と して,そ
に 投 票 す る と し て よ い 。 し た が っ て,50人
乱 数xkを50個(k=1,2,…,50)を
の と き,A氏
に投 票 した。
の と き,A氏
に投 票 しなか っ た。
の 度 数 を 数 え る と実 際 の 投 票 数iに
る 。 しか し こ の 投 票 数 は,残
と り,
な
念 な が らy=30に
な る 場 合 は 少 な い 。 そ こ で プ ロ グ ラ ム6.2で,こ の 実 験 を50回,100回 る と,図6.8の
繰 り返 してiの
よ うに な る。
プ ロ グ ラ ム6.2で
は 図6.8か
ら,50人,100人
を 選 ん だ 場 合 に 支 持 者 の 人 数x,yは 人,60人
分布を調 べ
そ れ ぞ れ30
を 中 心 に,ほ ぼ20<x<40,45<y<
75の 範 囲 で ば らつ く こ とが わ か る 。
図6.7
の標本
プ ロ グ ラ ム6.2
計 算 の結 果(乱 数 の 初 期 値16370) ?50,10 20 0 0 .11
40 .01 .1
.03 .01 .07
.03
.11
.01
.06 .06
.11 .05
. 09 .01 0
.13 0
0
〔 解1〕 の シ ミュ レ ー シ ョ ン結 果 は 乱 数 の 初 期 値 に よ っ て 異 な る が,図6.8の ラ フ は,n=50,100に
つ い て,そ
グ
れ ぞ れ の 支 持 者 の 人 数 と相 対 度 数 を 表 示 し た
もの で あ る。
図6.8
〔 解2〕
支持 率60%の
プ ロ グ ラ ム6.3は,2項
の と き の 支 持 者 の 人 数x,yも
と きの 支持 者 の 人数 と相 対 度 数
分 布 の 式 を 用 いて 確 率 を 求 め た も の で あ る。 こ 〔 解1〕 と ほ と ん ど 同 じ状 況 に な る。
0
プ ロ グ ラ ム6.3
計算の結果 ? 50
95%の 区間24 .026
0.040
36 0.058 0.078 0.096
0.115 0.111 0.099 0.081
こ こ で,2項 ・50人
0.109
0.061 0.042 0.026
分 布B(n,p)でp=0.6と
し た と き,
の場 合
平 均 値np=30〔
人 〕,標
準偏差
人 〕,標
準偏差
・100人 の 場 合 平 均 値np=60〔 と な る。 式(3.25),お
こ こ で,信
よ び 式(3.26)か
頼 度95%,99%の
な る 。 例 え ば,信
頼 度95%の
ら,次
確 実 さ で い え る支 持 者 数xは,表6.4の 範 囲 は 次 の よ う に な り,こ
い う。 n =50の
99%の
の 関係 が成 り立 つ。
場 合;24≦x≦36〔
人〕
信 頼 区 間 に つ い て も同様 で あ る。
れ を95%の
範囲 に 信頼区間 と
表6.4 支 持 者 の信 頼 区 間
問5
〔 例 題3〕 と同様 に,50人
95%,99%で
の 町民 を ラ ン ダ ム に 選 ん だ と き の 支 持 者xの
求 め よ。 た だ し,A氏
の支 持 率 が40%に
信頼 区 間 を
な った とす る。
[3] 標 本 平 均 の分 布 あ る母 集 団 か ら大 き さが一 定 の サ ンプ ル を ラ ン ダ ム に取 り出 して 平 均 値 を 計 算 す る と き,そ の値 が どの よ うに な るか調 べ て み よ う。 まず,次 〔 例 題4〕 mgの
次 の デ ー タ は,1円
玉]100個
の 重 さ を,1gか
の実 験 を 行 お う。
らの軽 重 を デ ジ タ ル秤 で
単 位 で 調 べ た も の で あ る。 表6.5 1円 玉 の 重 さ100個
(例 え ば,-13は0.987g,8は1.008gを
こ こ か ら ラ ン ダ ム に標 本 を 取 り 出 す 実 験 を 行 い,次 (a) 100個
の 重 量 の 平 均 値 と 標 準 偏 差(母 平 均,母
(b) n=10〔
個 〕の 標 本 を1つ
(c) n=10〔
個 〕の 標 本 を20回
(d) n=4〔
個 〕 の 標 本 を20回
た だ し,標 〔 解 〕(a)
取 り 出 し,平 取 り 出 し,平 取 り出 し,平
表 す)
の 問 い に答 え よ。 標 準 偏 差)を
求めよ。
均 値 と標 準 偏 差 を 求 め よ 。 均 値 の 平 均 値 と標 準 偏 差 を 求 め よ。 均 値 の 平 均 値 と標 準 偏 差 を求 め よ。
本 の 取 り 出 し は復 元 抽 出 で 行 う。
プ ロ グ ラ ム6.4か
ら,母
平 均m,母
(b) 〔 例 題1〕 の 〔 解1〕 に 従 っ て 乱 数 さ い2個
標 準 偏 差 σ は,次
を10回
投 げ,次
の よ う に な る。
の数字 を得 た。
この 数 字 を 番号 とす る1円 玉 の 重 さ は,次 の10個 の数 値 で あ る。
こ の 数 値 の 平 均 値 はx=0.7〔mg〕,標 (c) 1か ら100の
整 数 の 乱 数 を10個
準 偏 差 は σ=4.88〔mg〕 作 り,表6.5の
に な る。
デ ー タか らそ れ に相 当 す る
番 号 の 数 値 を 重 複 な く取 り 出 し て 平 均 値 を 計 算 す る 。 こ の 実 験 を プ ロ グ ラ ム 6.4で20回
繰 り返 して 結 果 を 求 め る と,例
こ の と き の 標 本 平 均 の 平 均 値 は0.56,標 (d) n=4の
と き も同 様 に し て,例
2.49で あ る 。 プ ロ グ ラ ム6.4
え ば 次 の 値 に な る。
準 偏 差 は1.58で
あ る。
え ば 標 本 平 均 の 平 均 値 は1.58,標
準偏 差 は
な お,表6.4の 6.5の
デ ー タ をdata文
デ ー タ に つ い て,大
でendの
後 に 置 くが,こ
こで は 省 略 す る。 表
きさ を変 え て 〔 例 題4〕 と 同 様 の 実 験 を 行 う と,
母 平 均m=0.58,母
標 準 偏 差 σ=4.85
か ら抽 出 し た 標 本 値 の 例 と して,表6.6の
値 が得 られ た。
表6.6 標本平均 と標本標準偏差 の例
図6.9
表6.6か
標本平均値 の度数分布
ら標 本 平 均xは 母 平 均mと
ほぼ 一 致 し,標 本 標 準 偏 差sと 母 標 準 偏
差 σに つ いて,次 の式 が成 り立つ こ とが わ か る。 (a) 標 本 の大 き さnが 母 集 団 の大 きさNに
(b) 標 本 の 大 き さnがNに
比 べ て小 さい(n≦20)と
比 べ て小 さ くな い(n≧30)と
き,
き,
(6.11)
ま た,標
本 平 均 の 度 数 分 布 は,図6.9の
問6 プ ロ グ ラム6.4をn=30で
[4]
よ う に 正 規 分 布 に 従 う。
実 行 し,式(6.11)を
確 認 せ よ。
平 均 値 の 推 定
母 平 均 が わ か ら な い と き,ラ
ン ダ ム抽 出 した標 本 の平 均 値 か らそ れ を推 定 しよ
う。 (1)
標準偏差の使い方
〔 例 題5〕
あ る休 校 日 の学 校 で 急 に女 子 の体 重 の平 均 値 が 必 要 にな った と す る。
校 内 を 探 し た 結 果,得
られ た の は次 の デ ー タだ けで あ った 。
昨 年 度 全 生 徒 の 平 均 値m=51.3〔kg〕,標 ク ラ ス40人
分 の デ ー タ の 平 均 値x=50.6〔kg〕,標
こ の 情 報 を も と に 今 年 度 の 体 重 を95%の 〔 解1〕
昨 年 度 の 標 準 偏 差 σ=6.61は,年
母平均m,標 の 正 規 分 布N(m,σ2/40)に
〔 解2〕
準 偏 差s=6.11〔kg〕
。
信 頼 区 間 で 調 べ よ。
と っ た とす れ ば,式(3.60)か
準 偏差 従 う か ら,式(3.44)に
め る 信 頼 区 間 は,X=50.6と
今 年 度 の 標 本 標 準 偏 差s=6.11を
母 分 散 は 不 偏 推 定 値 の 式(6.2)か
年 度 の1
ご と に 変 動 し な い も の と し て,今
に も 流 用 す る 。 多 数 の 標 本 平 均Xを
よ っ て,求
準 偏 差 σ=6.61〔kg〕,今
ら,
よ っ て,
お い て,
利 用 す る。
らXは,
年度
標本平均xは,母
平均m標
ら,〔 解1〕 と 同 様 に95%の
〓の標 準 正 規 分 布 に 従 うか
準偏差
信 頼 区 間 は,次
図6.10
の よ う に な る。
母平均 の推定
〔 例 題5〕 の 〔 解1〕 は 母 標 準 偏 差 が わ か っ て い る 場 合 の,〔 解2〕 は 母 標 準 偏 差 が わ か らな い と き の,母 問7 100円 玉50個
標 準 偏 差 の 求 め 方 で あ る。
の重 さ を測 っ た と こ ろ平 均 値X=4.800〔g〕,標
に な った。100円 玉 の重 さmの
信 頼 区 間 を 信 頼 度95%で
求 め よ。
コ イ ン は 母 平 均 の 推 定 の 実 験 を 行 い や す い 対 象 で あ る。1円 3.75g(1匁)の mg程
重 さ が あ る。 しか し,実
度 の 偏 差 が 確 認 さ れ,大
き さ100程
際 に は1円
準 偏 差s=28〔mg〕
玉 は1g,5円
玉 で は15mg,5円
玉 は
玉 で は30
度 で は正 規 分 布 と は い い に く い こ と が
あ る。 (2)
公
式
あ る母 集 団 か ら大 き さnの
標 本 を ラ ンダ ムサ ンプ リン グ した と きの標 本 平 均 が
xで あ っ た と す る 。 こ の と き 母 集 団 の 平 均 値mの と して 信 頼 度95%,99%の
95%の
信 頼 区間
信 頼 区 間 は,母
標準偏 差 を σ
それ ぞ れ で 次 の よ う に な る。 〓(6.12)
99%の
〔 注 〕95%の
信頼 区間
〓(6.13)
信頼区間で は
〓を切 り上 げ て,
〓を切 り上 げ て
間 で,
〓と し た 。 同 様 に,99%の
信 頼 区
〓と す る こ と が あ る 。
母 標 準 偏 差 が わ か らず,標 本 標 準 偏 差sで 代 用 す る と き式(6.10)に
よ る,
(6.14) ま た は,大
き さnの
標 本x1,x2,…,xnと
た だ し,n≧25の
標 本 平 均xを
も と に し た次 の式 を 用 い る。
と き σ とsの 値 は ほ ぼ 等 し くな る の で,sで
代用 す る ことが
で き る。 (3)
プ ロ グ ラム
標 本 平 均 か ら母 平 均 を 推 定 す る プ ロ グ ラ ム を 作 っ て み よ う。 こ の 処 理 で は,出 力 は95%お
よ び99%の
母 平 均 の 処 理 で は,次
信 頼 区 間 で あ る が,入
力 は多 様 な 問題 場 面 が あ る。
の 入 力 条 件 に 応 じて 計 算 を 変 え る 必 要 が あ る 。
(a) 母 標 準 偏 差 σ が わ か っ て い る か ど う か 。
わ か っ て い る と き,σ で 式(6.12),式(6.13)を わ か っ て い な い と き,式(6.14)を
使 う。
使 う。
(b) 標 本 の デ ー タ を 入 力 す る か ど う か 。
入 力 す る と き,デ
ー タ か ら標 本 平 均x,標
入 力 し な い と き,標
本 平 均xと
本 標 準 偏 差sを
標 本 標 準 偏 差sの
求 め る。
値 を 入 力 す る。 た だ し,
(a)で σ が わ か っ て い る と き,σ の 値 を 入 力 す る 。 プ ロ グ ラ ム6.4で
は 変 数p,dを
次 の よ う に 用 い て 処 理 を 行 う。
p=1の
と き母 標 準 偏 差 σが わ か り,p=0の
d=1の
と き デ ー タ を 入 力 し,d=0の
処 理 した 結 果 を 信 頼 度95%,99%の2つ
と き 標 本 標 準 偏 差sを
と きx,sま
使 う。
た は σ を入 力 す る。
の 信 頼 区 間 で 表 示 す る。
図6.11
プ ロ グ ラ ム6.5
計算の結果 95%信 頼 区間 2.097633=<m=